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春を嫌いになった理由(わけ) 春を嫌いになった理由(わけ) 題名:春を嫌いになった理由(わけ) 作者:誉田哲也 発行:幻冬舎 2005.01.25 初版 価格:\1,600 まずはホラー系からデビューした作家だったことをこの作品で思い出した。メジャーデビューといえる『アクセス』は四回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞だった。まだ若書きの印象が拭えないが、その後どんどん作品を上梓続けて、瞬く間に期待度が高まる注目の作家になった。 本作はメジャー第二作である。『ダークサイド・エンジェル紅鈴 妖(あやかし)の華』という幻の作品があるようだが、学研出版のジュブナイルなのだろうか。やはり『アクセス』からカウントし始めたい。その第二作にして、いきなり『アクセス』からのハイ・ジャンプを達成しているという印象が、本書にはある。 ずっと作者がこだわるヒロイン系小説としての根っこはここにもあり、後の門倉美咲(『ジウ』)、姫川玲子(『ストロベリー・ナイト』)に繋がる魅力的かつ庶民的なキャラ作りのベースもここらあたりかと思わせるものはある。 サービス精神の旺盛さもこの作品では、欲張りすぎかと心配したくなるくらいに遠慮会釈なく前向きに放出し尽くしている感が強い。無職の主人公は、たまたま英語とスペイン語が堪能なばかりに、TV局ディレクターの叔母から、霊能者の通訳を依頼される。テレ朝系列でよくやっていた外国人霊能者による行方不明者捜索、や迷宮入り事件の追跡などのドキュメンタリー系バラエティ番組を材料にしたものである。 取材、インタビュー、死体の発見、そして真相の究明を、生番組特番でやってゆくというメインの流れに加え、サブ・ストーリーとして蛇頭により日本に密入国する福建省の兄妹の物語が交錯する。一見混じりようのない物語が、二本、クロス・ポイントに向けて走り出す、というノンストップな作りになっている。 脇役たちのキャラが立っており、中国人たちの裏社会で暗躍する非情な殺し屋の恐ろしさといい、ヒロインに何かをいつも暗示しかけてくる女性霊能者といい、いつまでも気になる存在として物語に緊張感を与え続ける。 馳星周ばりに中国系暗黒社会を描く一方で、ナイト・シャマラン監督『シックスセンス』を思わせるようなホラー系どんでん返しの驚きプロット、そしてロケ・チーム内での明るいユーモラスな雰囲気や、死体発見のサスペンス、などなど、どこを切っても楽しく娯楽度満点の作品である。 グロいばかりではなく、明るいヒロインの存在によって、救われている点なども、後の作品群に共通するものがあって好感が持てる。女性は強い、というのが誉田哲也作品における共通言語であるのかもしれない。 (2007/02/12)
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85: 名前:雷蓮☆2011/07/19(火) 23 08 10 ~蓮side~ あぁー…。クソっ! 康介の変な号令のせいで、 俺まで職員室呼び出しだ…。 せっかく今週こそ、 舞と放課後どっか寄ろうと… 「スルーするなんて、舞ちゃんらしくないね?」 …はぁ? この声は確か…小野蒼太!! 「そういう天然な舞ちゃんが可愛くって、俺…好きなんだ」 ちょっ、待て!! 何俺より先に、告ってんだよ!? 「友達として両思いだね!」 …あぁ。忘れてた…。 こいつ人一倍、ド天然なんだった。 心配する事もなかったな…。 「蓮、俺はあきらめないから。 絶対舞ちゃんは俺の彼女にしてみせる」 「あぁ、やってみろよ。 こいつは俺の彼女にするんだ。 ぜってぇにお前には舞の心は奪えねぇよ」 蒼太。 こいつはマジだな…。 さっそくライバル登場ってことか…。 ま、舞も自覚ないけど、 ものすっげぇモテるんだよな。 油断は禁物ってことかよ。 舞の隣は、この俺でありたいんだ。 この想いは、きっと誰にも負けねぇ。 いや、負けるはずがねぇ。 心臓の鼓動が早まるのを感じる。 俺でも焦ることがあるんだな…。 こりゃいいライバルに出会えたな…。 86: 名前:雷蓮☆2011/07/19(火) 23 47 38 ~舞side(普通視点)~ 夜- 私は蒼太くんのことがまだ分からないので、 鈴音に聞いてみることにした。 『もしもし? 舞?』 『鈴音~~!!』 『どうしたの?』 『今日ね、小野蒼太くんに声かけら…』 『うっそぉぉぉぉぉ!?』 『本当。 それでね、よくわかんないから…』 『小野蒼太。 誕生日は8月23日。 血液型はO型。 可愛さとかっこいいその容姿から、 女子たちを虜にしてきた。 告白された回数は星の数以上!! ラブレターが下駄箱に入っているのは毎日! 男子からのファンレターもある。 また、部活のオファーや助っ人を 頼まれることが多い。 今まで好きになった女は一人しかいないが、 それが誰なのかは分かっていない。 ただ、片思い歴4年らしい…』 さすが鈴音…。 伊達に情報屋と呼ばれてはいなかった。 『そうなんだ!分かった、ありがとう!』 『蒼太のファンクラブは、 今1000人こえてるから あんまり話し掛け過ぎると目をつけられるから 気をつけてね!』 『了解!それじゃ、また明日』 『はいはーい』 ガチャ… ファンクラブって…。 蒼太くんって芸能人並にすごい…。 アメリカで言う、日本のハリウッドスターは 蒼太くんに違いない…。 そういえば、放課後にメアド交換した。 それを見てた蓮くんの顔がすごく怖かったけど なんかあったのかな…? 私はまだまだ分からないことがいっぱいです---。 96: 名前:雷蓮☆2011/07/21(木) 18 03 15 ~翌日~ ガラガラ… 教室には珍しく、蓮くんと蔵間くん。 …と、蒼太くん?? なんでこんな早くいるのかな?? 「おはよう」 不思議に思いながらも話しかけてみる。 「おはよう、舞ちゃん」 蔵間くんが爽やか笑顔で答えてくれる。 あぁ、なんて爽快でフレッシュな!! 「おはよう、ま…」 「おはよう、舞ちゃん!」 蓮くんが私にあいさつしようとしたら、 蒼太くんにさえぎられてしまった。 「おはよう、蒼太くん」 蒼太くんはかわいくて癒される…。 女の子の私でも、憧れてしまうくらいかわいい。 「今俺の事、かわいいなとか思ったでしょ?」 「えぇっ!?」 いきなり心を読まれてしまった。 「図星? 俺、好きな人のことなら分かるよ?」 「ご、ごめんね?」 「うん、いいよ」 「本当!?」 やっぱり蒼太くんは可愛いし、優しい!! 「キスしてくれたらね?」 「……え」 えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!? い、い、今、きききききき、キスって…!? 「そ、そそそ蒼太くん!!からかうのは…」 「からかってないよ? 好きな人からのキスくらい、 みんな欲しがるでしょ?」 蒼太くん、まさかの一言…。 私は顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。 「おい!! 蒼太、てめぇ何言ってんだよ」 れ、蓮くん! 私をフォローしてくれて… 「このバカは俺のモンだ。 第一、キスなんてできるわけねーだろ!!このバカに!! 理解するのにあと百年はかかんだろ、このバカは。 よく考えてからもの言えよ、蒼太」 え…。 蓮くん、なんか私、グサッときたよ…? 何回も「バカ」って言われてんですけど? てか、全然フォローになってないし…。 私を傷つけにきたんですか、あなたは…。 「蓮くん、舞ちゃんは俺が彼女にするんだ」 「バカ言ってんじゃねぇよ。俺に決まってる」 ちょっと待って!誰の事で争ってんのかわかんないし、 私だけおいて話進めないでよ!! 「舞ちゃんも罪だねぇ~」 「く、蔵間くん!?」 蔵間くんが私に爽やか笑顔で言う。 罪ってなんですかーーーー!! 97: 名前:雷蓮☆2011/07/21(木) 18 34 24 「おはよー」 私が混乱しているところに、 やっと康介と鈴音が登校してきた。 「うぃっす、蓮!!お?? 蒼太、お前早いな~」 「うん、康介もじゃない? やっと愛人との二人っきりの登校ができて 上機嫌ってとこ??」 「愛人???」 私が疑問に思って、 康介の顔を見ると…真っ赤!! 「ちょっ、康介!!? 大丈夫!?」 「あああああ、当たり前だ!! 問題ねぇ!! ちょっと武塔に用事頼まれてるから!!んじゃ」 ダダダダダー!! 「あ、康介!!」 「大丈夫だよ、舞ちゃん。 康介は元々、ああいう奴なんでしょ? 今頃心配しなくても、もうあいつはおかしいよ」 蔵間くんが消えゆく足跡に耳をすましている。 「…にしても、両思いだったんだな、お前ら」 蓮くんが驚いた顔で鈴音に言う。 あれ…?鈴音…? 鈴音も康介と同じく、顔が赤くなっている。 しかも超、恥ずかしそうに…。 両思いって…あぁ!!恋愛か!! ってことは、康介と鈴音が付き合うってこと!!? 「鈴音!! いつから康介のこと好きなの!?」 「っ~~~~しょ、小学生の時…から」 「康介も一途だからね」 蒼太くんが笑いながら言う。 「面白そうだね、これから。 あ、そういえば遊園地のことなんだけど 待ち合わせ場所とかどうする~?」 「おい蔵間…」 蓮くんはなぜか、ここで言うなといわんばかりの顔。 食いついてきたのは…蒼太くん。 「遊園地に行くの!? 舞ちゃんも!?」 「はぁ~…」 蒼太くんがキラキラの目で言う横で、 蓮くんが「やばい…」と声を漏らす。 「俺も一緒にいい!?」 「ダメだ!!」 さえぎったのは、蓮くんだった---。 私が蒼太くんの気持ちにきずくまで、 あと少し---。 106: 名前:雷蓮☆2011/07/23(土) 19 57 00 「ダメだ!!」 蓮くんが険しい顔で、断固拒否する。 「何で?? 全然行ってもいいじゃん」 蒼太くんは気にしない。 蓮くんはすごく嫌そうな顔。 「俺が嫌なんだよ」 「蓮には関係ないだろ?」 「ある。俺も行くんだよ」 「じゃあ、来なければいい」 「行くって決めたんだよ。お前があきらめればいいじゃねぇか」 「嫌だよ。舞ちゃんがいるのに」 「っ……」 「あれ? 蓮は何のために来るの?」 「ちょっと待って!!」 私が割ってはいる。 「ん? 舞ちゃん、どうしたの?」 「何で私がいるから来るの??」 疑問をぶつけた私。 「好きだからだよ。 舞ちゃんを恋愛対象としてね…」 「!!!!」 驚いて言葉もでない私…。 「おい、蒼太」 「なに? 告白するのは俺の勝手でしょ?」 「ちったぁ一目も気にしやがれ。不愉快だ」 「へぇ…。 人前で喧嘩売ってる自分には甘いんだ?」 その一言で空気が変わる。 すごい覇気のある空気に。 「蒼太、お前猫かぶりか?」 「そんなことないよ。 好きな人には素でいたいでしょ?」 「そういうのを猫かぶりっつうんだよ」 「俺は蓮には負けないからね?」 「フン…」 私は蒼太くんに 何て返事をしようか迷っていた。 「じゅん」 「ん~?」 「余分なチケット一枚、あるよね?」 「え? あぁ、ま、まー…ね?」 「それ、俺が買った」 「つまり…行くってこと?」 蔵間くんは少し困ったように言う。 「そ!じゃね!」 タタタタ--- 蒼太くんは言うことだけ言って、 部活の朝練に急いで向かった。 108: 名前:雷蓮☆2011/07/23(土) 20 12 22 ~蒼太side~ 「あーあ…。言っちゃったよ」 本当は舞ちゃんと二人きりのときに、 言いたかったんだけど…。 ま、蓮には負けるつもりはないからね。 舞ちゃんの彼氏になるのは俺でありたい。 この想い、早く舞ちゃんの心の奥に届いてるかな…? 一人、青空を見上げる、始まりの朝---。 109: 名前:雷蓮☆2011/07/23(土) 20 20 56 ~蓮side~ クソっ…。 あいつに先越された…。 舞は単純だから、惚れたかもしんねぇ…。 何をしていても気になってしまう。 顔が浮かんでしまう。 俺は舞にどれだけ惚れてんのかを、 今日改めて感じた…。 それと同時に、焦りも感じ始めた。 けど、蒼太にはぜってぇー渡さねぇ。 いつも俺だけを頭に入れさせておきたいと思うほど、 俺はアイツを求めているんだ。 不良の俺に、振り向いてくれるか分からない。 けど、俺の気持ちだけは無駄にしたくない。 それが、 それぞれの想いがぶつかりあう 夏の恋 の始まりだった---。 116: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 12 13 12 ~舞side(普通視点)~ その日の夜- 私は蒼太くんの一言に驚いていた…。 “好きだからだよ。恋愛対象としてね…” あの一言に私の心は跳ねた。 一瞬、ときめいたのも事実。 けど、蓮くんへの ときめきの大きさに比べれば 全然小さかった。 蒼太くん…。 何を考えているんだろう…。 120: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 12 52 41 遊園地前日(土曜日)- 今日も学校。 なんか行きづらいよーな…。 昨日は蓮くん、 イライラしてたから話し掛けなかったけど 今日こそは大丈夫だよね…? 「康介…、手…」 ふと風に乗って聞こえてきた小さな声が、 私の耳にとまる。 聞き覚えのある声…。 あ!! 「鈴音!!」 思いっきり振り返ったとき、 鈴音が真っ赤にして康介に手を差し出していた。 あぁ、手をつなごうとしているのか。 なんかこっちまで恥ずかしくなってきた。 「んだよ…。……ほらよ」 康介はぶっきらぼうに鈴音の手を握る。 鈴音は恥ずかしながらも嬉しそう。 「こ…すけ…好き…」 「っ!!!!!!」 突然の鈴音の愛の言葉に 康介が赤面する。 「あのドSの鈴音が、甘々…」 蔵間くんがいつの間にか私の隣で 二人の初々しい登校デートを見物。 「舞ちゃん、俺らは早く学校行こうか」 「え、あぁ、うん!」 二人は昨日、付き合ったばっかりで ラブラブなのだ。 だから今週の遊園地は、二人で行動するらしい。 「…舞ちゃんは、蒼太と蓮…どっちを選ぶの?」 「え!? 蔵間くん!?」 「ははっ。 冗談冗談! ちょっと驚かしてみただけ」 「そ、そう…」 「俺は協力するから。 約束したでしょ? ま、蓮を選んだときの話」 「わ、私はっ…蓮くんが…」 「俺が…どうしたんだ?」 「!!!!?????」 「ちょ、蓮!!」 「何だ?」 「いきなり後ろから来ないでよ!」 蔵間くんが蓮くんに説教する。 たぶん、私の本音が聞けなかったからだと思う。 自分でも分かってしまった。 「は…?ま、いいや。遅刻すんぞ?」 スタスタ--- 「ごめんね、舞ちゃん」 「う、ううん。びっくりしたよ…」 「俺も。ああいうときだけ、気配消すんだから蓮は…」 蔵間くんがあきれたように言う。 でも、今のは本当に危なかった…。 蓮くん、私の気持ちを知ったらどういう反応するのかな…? ふと思う、風がここちよい朝---。 121: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 13 18 18 教室- 「あ、舞ちゃん!」 蒼太くんが元気そうにあいさつする。 昨日のことはまったく気にしていない模様。 「おはよう、蒼太くん」 私もいつも通りの振る舞いを見せた。 …ハズだったんだけどー…。 「昨日のこと、気にしてる?」 微笑しながら私に問いかける蒼太くん。 「えっとー…」 「図星だね?」 「…」 「俺、本気だから。 それに、舞ちゃんには可愛いじゃなくて かっこいいって思われたいんだ。 男はそういうものなんだよ」 「そうかよ? じゃあ、俺も本気でいくぜ?」 「れ、蓮くん!!」 「俺はあきらめるつもりはねぇ。舞…」 「な、なに?」 「俺と蒼太…。 遊園地でお前を楽しませた方が お前の彼女になる。 この条件で申し込んでもいいか?」 「蓮くんと蒼太くんが…彼氏に?」 「どちらかだ」 「うん」 「俺はお前に選んでほしい。 これだけは心にとめておいてくれ」 「…分かった」 「俺も舞ちゃんに選んでほしい。 楽しませてあげられる自信はあるよ」 蒼太くんも蓮くんに負けていない。 私は静かに自分の心に聞いてみる。 私の好きな人は誰…? 122: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 13 30 07 休み時間- 「舞さーん」 武塔先生に突然、呼び止められた。 「はい、何ですか?」 「ちょっと頼みたいんだけど…」 「いいですよー」 「本当!? 実はさ、蓮がまだ世界史の宿題出してなくって」 「はい」 「放課後、俺のとこまでくるように言っといて」 「分かりました」 「お願いね!じゃ」 武塔先生は忙しそうに廊下を走ってく。 あ、先生、廊下走っちゃだめなんだー。 先生の背中につぶやく。 「武塔のやつ、俺が宿題ださないからってよォ」 「あ、蓮くんいたんだ?」 「あいつがしつこく宿題提出!ってせまるから、隠れてた」 「ダメだよ、隠れちゃ」 「呼ばれたら終いだな。面倒くせぇけど、行くか…」 「蓮くん、頭いいのにもったいないよ」 「こういうのは戦力で有利になる」 「社会に出ても有利になるよ?」 「俺は今を楽しみたいんだ」 「そういうタイプだったんだ?」 「…嘘。からかってみただけ」 「あ!!ひどい!!」 「日頃、ボケーっとしてっからダマシに引っかかるんだよ」 「蓮くんが好きだから信じてるのに…」 「っ!!」 125: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 15 13 51 「っ!!」 「…?? 蓮くん、どうしたの??」 私のさっきの一言に、顔が真っ赤。 「何か変なこと、言ったのかな??」 「…いや…何でもねぇ…。 お前そーいうこと、他の男に言ってないだろーな?」 「そーいうことって?」 「気安く 好き って言う言葉!!」 「あ、あぁー。うん。大丈夫だと思うよ?」 「大丈夫じゃダメなんだよ。これからは俺だけにそーいうこと言え」 「どして??」 「どうしてもだ。ほら、さっさと教室もどれ」 「蓮くんは一緒に行かないの?」 「……頭冷やしてから行く」 キーンコーンカーンコーン--- 「ほら、早く行け」 「うん。サボっちゃダメだよ?」 「わーってるって」 「じゃあ、またね」 タタタ… 変な蓮くん…。 私は急いで教室へ戻った。 126: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 15 37 57 ~蓮side~ 屋上- “蓮くんが好きだから信じてるのに…” あの一言で俺の心はどれだけ揺すぶられただろう。 この鼓動が高速にうなる。 俺の脳内、瞳、すべてがアイツで埋め尽くされる。 「やべ…」 いつのまにか目で追っている。 どこにいても、何をしててもアイツの笑顔、声、姿…。 すべて俺の中に浮かぶ。 学校じゃないときだって、舞の姿を探してるんだ。 これは重症かもしれない…。 ふと思っていたら、後ろから声がした。 「なーにサボってんの」 「!!」 「武塔先生、みーつけちゃった」 「ロリコン教師も大概にしとけよ」 俺はコイツに会う度、嫌な思いをする。 この前、俺が舞を好きだってことがコイツにばれたから。 まぁ、その前からコイツと会う度 不快な思いはしていたがな…。 「いくら可愛い生徒だからって、 ストーカーまですんなよな」 「可愛いなー。恋のお悩みかい??」 ニヤけたツラが、なおイラつく。 もうコイツ殴ろうかな…。 「人の悩み事に、首突っ込んでんじゃねぇ」 「突っ込んでないよ!温かく見守って…」 「ストーカー教師」 「君、どんどん口悪くなる…」 「てめぇのお世話にゃ、なりたくねーんだよ」 「そんな遠慮しないで~」 ウゼェ…。 「だからフラれるんだよ、アホ教師」 「その言い草は刺さるよ!!蓮くん!!」 半泣きのお前に、刺さるもクソもないだろ。 てか、本当にコイツは何なんだ…。 「俺、教室戻る」 「俺の力、偉大なり!!」 「ちげーよ。舞と約束してんだ」 「え!? 俺に見つかったからじゃないの!?」 「ったりめーだ。ストーカー教師と同じ空気吸いたくねーよバカ」 「もう!!恋愛の秘訣、教えてやんないからなーー!!」 いや、お前が教えたいだけだろ。 俺は一人でキレてるバカをあとに、 教室へ戻った---。 君を好きになる5秒前 続き4
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40: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 18 03 43 ~蓮side~の続き… 俺が学校について、一番に向かった場所。 それ、社会科準備室。 ロリコン(武塔)は、世界史などの社会専門の教師。 職員室にもよくいるが、いないときは大抵ここにいる。 コンコンッ 「今は誰もいませ…」 バァン!! 「いるじゃねぇか、ロリコン!」 「あれ??蓮??珍しい…」 「お前に相談したいことがある」 「…?」 五分後- 「…って訳なんだが、どうすりゃいい?」 「うーん…。ま、どうするかは蓮次第じゃない?」 「そりゃ分かってんだよ。ただ、具体的ないい考えが思いつかねぇんだ」 「んー…。まずは、そのお嬢様を説得しなきゃな」 「それが俺にできると思うか?」 「無理だな。100年かかっても不可能だろうな」 「だろ? はぁー…。 お前が現国の教師なら説得術なんてお手の物なのにな…」 「残念な目で見るのはやめろ!悲しくなるだろ!」 「もう悲しいよ。お前には残念だよ」 「担任にんなこと言っちゃいけません!」 「どーでもいいから、考えろよロリコン」 「ロリ言うな!!んー…。 手っ取り早いのは、蔵間を使う方法が…」 「俺自身のことなのに、蔵間巻き込んで 取り返しがつかなくなったらどうする? 蔵間に合わす顔ないだろ」 「それもそうだな…」 「……」 「相手は女だろ?」 「あぁ」 「なら、舞ちゃんに説得してもらえば?」 「だから…、他人巻き込まない方法だっつてんだよロリ」 「すいません…」 「……」 「じゃ、先生が説得するか?」 「お前に何ができんだよ」 「この学園に来るなら、説得できるだろ? やれるだけやってみればいいんだよ」 「……できなかったら?」 「そのために予備の方法も考える。放課後、また来い」 「…あぁ。サンキュな」 「お前を絶対に海外には行かせない。約束だ」 ゴッ お互いのこぶしとこぶしをぶつけて交わした約束。 その時の武塔が、やけに男らしくて憧れた。 「…すまない。よろしく頼んだぞ」 海外か居残るかを賭けた勝負まで、 あと5秒---。 41: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 18 39 24 ~舞side(普通視点)~ 教室- 私は思い出す。 さっきの蔵間君の言葉…。 教室に行く前に言われた言葉…。 「舞ちゃんしか頼れる人はいない! 蓮はきっと、武塔先生に相談してる。 けど、きっと100%先生で説得できるわけない。 43: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 19 05 07 上の続きです! 間違って途中で書き込んじゃいました(汗 続きをどうぞ。。。すみません! ~舞side(普通視点)~ 教室- 私は思い出す。 さっきの蔵間君の言葉…。 教室に行く前に言われた言葉…。 「舞ちゃんしか頼れる人はいない! 蓮はきっと、武塔先生にそうだんしてる。 けど、きっと100%先生で説得できるわけない。 舞ちゃんに頼る他ないんだ!!」 私に…できるだろうか。 蓮君を救うことが、できるのだろうか…。 「舞、どうした?」 「…康介…」 「何か悩み事でもあんのか?」 「え?あ、いやー……」 ダメだ…。後が続かない…。 「昨日、俺と一緒に遊んだから疲れたんだよ」 蔵間君の声。 「あ…」 私の顔をみて苦笑いする。 「ごめんね」 「ううん、全然」 「そっか。無理すんなよー」 康介が席に戻って何かを必死に考えている。 なにしてんだろう…? 「舞」 「あ、鈴音…」 「疲れてるときは甘いもの!はい、いちごオレ」 「わぁ~、いちごオレ!」 「舞、大好きだもんね」 「うん。ありがとう…」 「どした?」 「ん?眠いだけ」 「そ?…じゃ、私日直だからちょっと行ってくる」 「うん、またね」 「…」 「蔵間君」 「うん?」 「できるかな…?」 「俺らがあきらめない限り、大丈夫」 「フッ…。そうだね。 蓮君にまだ、新しいしっぺ技見せてないし」 「そっか。頼りにしてるよ、舞ちゃん」 「うん!」 鳳来のご令嬢に下剋上申し出るまで、 あと5秒---。 46: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 19 26 47 ガラガラッ 教室のドアを開ける音---。 ついに現れた、鳳来のご令嬢---。 「はーい、みんな席ついて~」 武塔先生の声に、みんな席につく。 瑠菜ちゃんは、堂々とほこらしげな顔で立っている。 「2週間だけだが、 ここのクラスメイトになることになった。自己紹介してくれ」 「私の名前は、鳳来 瑠菜。 庶民だてらのあなた達とは違うことをお忘れなく」 このとき、 クラス中の女子を敵にまわしたことを まだ瑠菜ちゃんは分ってないだろう…。 47: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 21 10 05 ~お昼休み~ 「蓮!!」 「あ?」 「お昼、ご一緒しません?」 「無理。約束あるから」 「なら、私も…」 「無理。俺、お前のこと好きじゃねぇし」 スタスタ… 「…失敗だわ」 ~屋上~ 「わぁっ!蓮の弁当、豪華!!」 鈴音が驚きの歓声を上げる。 「蔵間がつくってるんだ。すげぇ美味いぜ?」 「褒めすぎ、蓮」 「マジだって。 世界中どこ探しても、 男で一番料理が美味いのは蔵間だ」 蓮君がほこらしげに言う。 その横で、康介が蓮のお弁当のおかずを取ろうとしていた。 それに気づかない蓮。 あ。今、康介が蓮の卵焼きを、ぬすんで食べた。 「一番のおすすめは、この卵やきー…」 ふと視線をお弁当に戻した蓮は、目が点になる。 今まであったハズの卵焼きが…ない。 ごくんっ 「…康介」 「ん、ん?」 康介は焦って飲み込んだせいで、 ごくんっと喉(のど)をならしてしまった。 「お前…、今、何食ってた…?」 「え、えっとー…」 「吐け。今、食ったもん吐け!!」 「ち、違う!!俺は食ってない!!マジで!!」 「じゃあ聞くが、 お前のその口の端っこについてる 黄色い物体は何だ……?」 蓮君の覇気がハンパない。 見ている私たちの背筋も凍ってしまう。 「き、ききき、黄色??お、おおお、俺ァ、しし、知らねぇよぉ???」 康介の声が、尋常じゃないくらい震えている。 しかも最後の「ぉ」が裏返ったせいで、疑いがもっと深まる。 「康介~。さっき食べたもの、超おいしかったよね~?」 鈴音は康介が白状(はくじょう)するのを手伝う。 「あぁ!めっちゃ美味かった!!…あ」 康介は自分の気持ちだけは、素直に話す。 だから嘘なんてすぐにバレる。 「嘘つく康介が悪いんだよ。ご愁傷様~」 鈴音が笑顔で康介に手を振る。 鈴音はいわゆる “ドS” なのである。 「鈴音ェェェェェェ!!!」 康介が大きな声で叫ぶ。 「康介…。悪い子にはお仕置きだ。歯ァ喰いしばれ!!」 ぎゃァァァァァァァァァァァァァァァーーーー!! 康介にくだされたお仕置きは、 蓮君によるビンタ500回。 ほっぺはふくれて、 おまんじゅうを頬につめてるみたい。 でも、さっきのは康介が悪い。 「うぅ…」 康介は赤くなった頬を冷やしている。 保健室の先生には、 眠気が冷めないから友達に手伝ってもらっただけです っていう理由で、氷の入った袋をたくさんもらってきていた。 蓮君が面白そうに、康介を見る。 「なんだよ!!」 康介が反抗すると、 「んだとゴラァ」 不良モード全開の蓮様…。 そうなると子犬のように態度が小さくなる。 「す、すみませんでした蓮様…」 弟子…いいえ、舎弟が一人増えたお昼休みでした。 49: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 21 28 29 ~放課後~ 「蓮君!一緒に帰んない?」 私は思い切って蓮君に声をかけた。 「あ?舞じゃねぇか…」 驚いた顔する蓮君。 変に思われたかな? 「ごめん。俺、用事あるんだ」 「そっか…。分かった。また今度ね」 「あ、あぁ…」 蓮君は急ぎ足で教室を出た。 …大丈夫かな?? 「気になる彼を追わなくてよろしいの?」 後ろから透き通った綺麗な声が教室に響く。 「ごきげんよう、舞さん。 あなたとお話しできる日を待ち望んでいましたわ」 辺りの空気が凍りついていくのが分かる。 気を引き締めて、隙のないように瑠菜ちゃんの方を向く。 すると彼女はゆっくり微笑んだ。 その笑みは天使のようで悪魔のよう。 それぞれの思いが混じり合うまで、 あと5秒---。 51: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 22 16 05 「蓮を追わなくてよろしいの?」 クスクスと笑いながら瑠菜ちゃんは言う。 「うん。…で? 私と話したいことって何?」 すぐ外にあるグラウンドから、 野球部やサッカー部の声がかすかに聞こえる。 「蓮とずいぶん仲がよろしいのね?」 「まぁね。よく話したりするから」 「そう…。ま、そんなことどうでもいいわ。 実は私、あなたと取り引きを行いたくて ずっと待っていたの」 「…取り引き?」 「そうよ。これはあなたにとっても、私にとってもお得なこと」 「…内容は…?」 「今日、武塔先生からお話があったように 私は今週を含める2週間しか、この学園にいられないの。 それくらいは、ご存知よね?」 「知ってる」 「だから、舞さんには少し身を引いてほしいの」 「え…?」 「たった2週間でいいのよ? 私と蓮との時間を邪魔しなければいいだけ」 「邪魔するって…」 「あなたと蓮が話していることで、 それはもうりっぱな 邪魔 になっているの。 お分かりになって?」 「…でも、どうしても蓮と話さなきゃいけないときは…」 「その時は私の許可を得てから話すの」 そんな…。強引すぎるよ…。 「私は…、2週間だけ話さなければいいの?」 「ええ。そうしたらフランスに蓮を連れていくのはやめるわ」 「!?」 「こんなおいしい話はある? 私だからできたことよ? 舞さん」 「本当に蓮をフランスに連れていかないって約束する…?」 「もちろん。約束するわ」 「…本当だよね?」 「本当よ」 「……分かりました」 「クスッ。素直にそう言えばいいのよ」 「っ……」 「それでは、ごきげんよう」 彼女は私を見て一度微笑むと、 傍にいた執事に迎えの車をだすよう指示した。 私は教室で立ちつくしたまま、しばらく考えていた。 本当にこれでよかったのかと…。 52: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 22 57 55 ~蓮side~ 俺の用事はここ。 朝に社会科準備室でロリコン(武塔)と約束した。 コンコンッ 「新聞はいりませんよー…」 バァン!! 「来てやった」 「あのさ、蓮くん。 もうちょっと静に入ってこれないかな? ドアがさっきから壁にぶつかって、壊れそうなんだけど…」 「この冷蔵庫ん中のアイス、もらうぜー」 「そして俺の話もよく聞いて…」 3分後- 「え!? 舞さんが!?」 「しー…。うるせぇんだよ、バカ」 「だ、だって、まだ瑠菜さんは舞さんのこと…」 「顔はもう知ってる。あの日、舞も一緒だったんだ」 「あちゃー…。そりゃちょーっと、危ないんじゃ…?」 「分かってるよ…。きっといつか手を出してくる。 いや、もう出してっかも知れねぇ…」 「なんで彼女の誘いを優先しなかったの!?」 「男は、約束したら守る。それが仁義だ」 「そんなかっこいいこと言ってちゃ何もできないぞ!?」 「……」 「おいおい…。蓮…、お前、彼女できても 俺との約束を優先すんのか?違げぇだろ?」 「……」 「お前は、好きな奴放っておくほど不良なのか?」 「今は、舞の無事を優先したい。 俺が海外に行かないで、 事件に巻き込まれた舞を探すよりも、 俺が海外に行って舞が無事でいてもらった方が よっぽどいいんだよ」 「…ふぅーん。蓮が女の子をここまで大事にするとはね」 「っ…!?」 武塔にそう言われた瞬間、 俺の顔がどんどん真っ赤になっていくのが分かる。 「え…。蓮…お前…」 「う、うるせぇロリコン!!こっちみんな!! 彼女いない歴がうつる!!」 「蓮、舞さんを泣かせるなよ!!」 「はぁっ!? おまっ、バカじゃねぇの!? …って、何泣いてんだ!!気持ち悪ィ!!」 「だ、だっでぇ…!!」 一生の不覚。 ロリコン(武塔)に俺の好きな奴がバレた。 こうやって油断すんのがダメなんだよ、俺…。 不良全開モードで、ロリコン(武塔)を睨んでも あいつは「よかったな」って言うばっか。 弱みを握られた…。ぜってぇー仇(あだ)で返ってくる。 チッ…。やっかいな奴が増えたな…。 53: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 23 41 20 ~瑠菜side~ コツコツ… 「バカな女…」 「どうされたのですか?」 私が蓮のことをあきらめるとでも? 冗談よしてよ。 私は 舞さんに 身を引いてもらっただけ。 引き下がるわけじゃないから。 それなのに、あっさりと騙されたわあの女…。クスッ。 「何でもなくってよ。これから、楽しみだわ」 「お嬢様、お遊びもほどほどに…。 これがお父様の耳に入れば悲しみますよ」 「あなたは黙って私に従っていればいいの。 忠実な犬で、主人の言うことを聞いてればいいのよ」 迎えの高級車に乗る。 バタンッ! この執事の名は、 目黒 隆司 (めぐろ りゅうじ)。 私が幼いときから主従関係にある。 最近は私のやることに文句をつけて、 動かないことが多い。 「予定どおり、明後日には蓮を誘拐して空港に向かうわよ」 「…」 「返事は?」 「かしこまりました…」 「お嬢様がない」 「かしこまりましたお嬢様」 「…フン。最近つかえないわね、目黒?」 「…」 「これで最後よ。悪事も。日本も…」 私の顔が悲しく歪む。 車の中から眺める景色は、 まぶしすぎて鮮明すぎて思い出がしみこんでて、 涙が止まらなかった。 「目黒、蓮を手に入れるまで協力して…」 頬を涙で濡らしながら私は言う。 これが最後のわがままよ。 蓮だけいれば、私はどこまでも行ける。 だからお願い。 作戦が成功しますように…。 目黒は何も言わずに、ただアクセルを踏みつづけた。 54: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 09 33 47 ~舞side(普通視点)~ 翌日- 私は昨日のことを相談するために、 蔵間君を探していた。 屋上- 「あ、いた!蔵間君!」 「ん?あ、舞ちゃん」 「ちょっと相談なんだけど…」 私は昨日のことを、蔵間君に詳しく話した。 「…やけにおとなしすぎる…」 「え?」 「あれだけ強引な女の子が、 一晩でおとなしく引き下がると思う?」 「あ…」 「でしょ?」 「確かに、おかしい…」 「きっと罠だと思うんだ。 2週間、僕等が蓮に近づかなければ防御は手薄になる。 つまり、蓮を誘拐しやすくなるってわけ」 「じゃぁ、どうすれば…」 「僕等は正義のヒーローだ。 瑠菜ちゃんと同じく簡単には、引き下がらないよ」 蔵間君はポケットから小さいチョークを取り出し、 地面に棒人間を書いている。 「いい? あのお嬢様は、 僕等が引っかかったと思ってる。 なら僕等はあえて、騙されたフリをするんだ。 だから、お嬢様にも隙の一つや二つは浮き出る」 「なるほどー」 真剣になって蔵間君の作戦を聞く。 「きっとあの子、傍においてる執事を使う」 「ひつじ?」 「ううん、執事。メイドの男バージョンを言うんだ」 そう言うと、蔵間君は地面に「執事」の棒人間を書く。 「ここからだね…。上手くこの執事を利用できれば…」 私たちがいい作戦を考えていると… 「あれ? 蔵間君に舞さん! どうしたの? 屋上で勉強会?」 いつの間にか後ろに、武塔先生が立っている。 「ん? あ、武塔先生、おはようございます」 蔵間君は礼儀正しくあいさつ。 「おはよー。 作戦、進んでるー?」 え…? 先生、今なんて…? 「今、考え中です」 「え!? ど、どういうこと!?」 「あれ? 舞さんにまだ言ってなかったの?」 「うん。面倒くさかったから」 「蔵間!もっと俺を敬いなさい! 舞ちゃん、実は俺も手伝ってるんだ。よろしくね」 「はい!よろしくお願いします!」 武塔先生がこの作戦に加わってるなら、 結構な戦力になるかもしれない! また二人、新たな戦力が加わるまで あと5秒---。 55: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 09 50 04 「先生から話は聞かせてもらった」 先生の後ろから一人の声。 この声… 「康介!?」 やっぱり先生の隣に、康介がいた。 「どんくさいんだよ、蓮も舞もじゅんもさ~」 「本当。じゅんとメアドまで交換したのに、相談されないなんて」 もう一人先生の隣にでてきた。 「鈴音!」 「作戦、考えよ!」 新たに康介、鈴音が加わったから戦力も倍増えた! 「鈴音、康介…」 蔵間君が目を丸くしている。 「コイツらだけじゃないんだ」 「「え?」」 私と蔵間君は、さらに驚く。 「…初めまして…」 「「!!」」 康介たちの後ろから出てきたのは、 瑠菜ちゃんの執事---。 56: 名前: (ePe9WrGK2o)☆2011/07/18(月) 10 16 18 「私は、鳳来家のお嬢様の執事。 名は、目黒 隆司 と申します」 「先生、大丈夫なんですか? 敵の執事をこっちにつけるなんて」 「うん、大丈夫だよー」 「その根拠は?」 「コイツ、俺の後輩なんだ」 「「「「え?」」」」 この発言には、私含める4人が絶句…。 「俺、高校のときサッカー部だったんだよ~」 先生が誇らしげに語る。 その横で目黒さんが、微笑む。 「私の憧れの先輩でした。 リフティングなどの基礎を極めるために 夜遅くまで練習していたところを 武塔先輩に見つかってしまったんです。 そしたら先輩が何度もアドバイスしてくださって 差し入れにアイスまでもらいました」 目黒さんが嬉しそうに話す。 へぇ~。そんなことがあったんだ~! なぜか蔵間くんは、武塔先生を軽蔑の眼差しで見ている。 「それで、コイツも協力してくれることになった」 「武塔先生、エサで釣ったんですか…」 「ち、違うよ!協力したいって言ったのは目黒くんなんだよ!」 「え…?」 「私はお嬢様に、目を覚ましていただきたいのです。 どうか私も中に入れてはもらえないでしょうか?」 目黒さんは頭を下げる。 蔵間君は少し間を置いて言った。 「分かった。」 「あ、ありがとうございます!」 「ただし! 俺たちを裏切ったら無事に 日本から脱出できるとは思わないでください」 蔵間君が覇気のある雰囲気をただよわせる。 「はい、承知しました」 目黒さんは右手を自分の左胸にあて、 少し頭を下げた。 58: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 11 12 54 「じゃぁ、目黒さん。お嬢様は何をたくらんでるんですか?」 蔵間君が聞く。 「はい…。明日、お嬢様は蓮様を誘拐なさいます。 それを私は手伝わなければなりません」 「つまり、そこが勝負どきってことだな」 先生が腕を組んで考える。 「ならよ、いっそお嬢様を車に乗せなけりゃいいんじゃね?」 珍しくまともな意見をだす康介。 「それもそうね…。そして目黒さんが、どこかに蓮くんを連れていけば…」 康介の意見に鈴音が続ける。 「いっそ学校に戻ってきちゃえば?」 康介が思いつく。 「学校で誘拐するなら、一旦車に蓮を乗せて 学校のまわりを一周してまた学校に連れてくれば?」 「それならお嬢様もお気づきにはなられないか…」 目黒さんが納得する。 「でも、蓮君を誘拐するって言っても眠らせるんですよね?」 私が疑問をぶつける。 「いいえ。蓮様にも一芝居うってもらいます」 「というと?」 蔵間くんが聞く。 「蓮様には眠ったフリをしてもらいます」 「なるほど。でも、誰がそれを言うんだ? 下手したらお嬢様にあやしまれるぞ。 それに瑠菜ちゃんには何て言って車に乗せないつもり?」 蔵間くんの質問に目黒さんが答える。 「お嬢様にはお父様がお迎えに来ると伝えます。 そのときに舞さんに説得してもらいのですが…」 目黒さんが私を見る。 「説得ぐらいなら、全然いいですよ! 最初からそのつもりでしたし!」 「ありがとうございます」 「じゃぁ、作戦会議は終わり! それぞれ時間をおいて教室に戻れ。 じゃないと瑠菜さんに怪しまれるからね。 最初は俺と目黒がここからでる。 その後は、鈴音と康介。次に蔵間。最後が舞だ」 「「「「 分かりました」」」」 作戦実行まであと1日---。 君を好きになる5秒前 続き2
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273: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 11 39 47 やっとみんなが席につく。 蒼太は小腹なのかな? 量が少ない。 …けど、お皿にのってる食べ物が 全部野菜って…。 だからこの子は、こんなにスポーティーなのか。 伊玖は、お皿に食べ物を綺麗によそっている。 几帳面の性格がここに表れているな。 絶対、いいお婿になるよ…。 舞は…いくら丼しかない。 と思ったら、他にデザートのいちごプリン。 ……3歳児対象って書いてある。 舞の隣は、蓮くんだ。 彼も伊玖くんと同じく、綺麗によそってある。 意外だなー…。 というか、栄養バランス考えてよそってる!! お肉と野菜が平等の量で、 一食にこだわっていない!! これは…もうおふくろでしかない。 康介は…よそり方、ハンパない。 もう好きな食べ物、一皿にたくさんのせてるから 食べ物の上に食べ物がのっかってるよ…。 …彼は満足のご様子。 もちろん、野菜もよそっているけど デザートの量の方が圧倒的。 武塔先生と花先生は、普通に綺麗。 言っちゃ失礼だけど、正直よそり方きたないと思ってました。 じゅんは…蓮くんと同じくパーフェクト。 あの二人の、日頃の食生活が気になる…。 私がみんなのお皿を見回していると… 「ぶくくっ!舞の皿、いくら丼ばっかじゃねぇかー」 康介がっまた、喧嘩を売り出す。 「プククッ!康介だって、お皿に盛りすぎて 食べ物の原型とどめてないじゃんか~! ぶふっ!恥ずかしい~」 「んなっ!?」 「せんせー!!舞さんが俺に喧嘩売ってます!!」 「せんせー違います!! 康介くんが私のいくら丼に目をつけて ウ阿波って食おうとしてまーす!」 どっちも低レベルな争い。 武塔先生が呆れ顔で言う。 「康介ー、レディをいじめるなー」 もちろん先生は、舞の味方。 喧嘩を売ってきたのは、康介の方だから。 「ちぃっ!」 これだけ威勢のある康介に、 じゅんが少し気にかけていたらしく 私に声をかけてきた。 「鈴音、康介さ…熱ない?」 ドキッ 「何で…」 「康介の顔、少し赤いし何か変なテンションなんだよね」 「っ…」 「もしかして、気づいてた?」 「うん…」 「彼、何て?」 「康介は熱なんてないって…。でも…」 「実はあるってことかー。たぶん、あいつ自身も気づいてる」 「えっ…」 「だから、あえて逆にいつものテンションでいってる。 それが大分体に効いてるんじゃないかな? 熱くなってきてるみたいだしね…」 じゅんが推測したところで突然大きい音が響く。 ドォン!! 「こ、康介っ!?」 「おい、康介!どうしたんだ!!?」 康介が倒れた---。 274: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 12 43 57 「康介っ!!」 私は血の気が引いた。 康介が倒れているのを見て、体がふるえ出す。 「こ、すけ…」 「鈴音、大丈夫。舞ちゃん!救急車!」 「おっ、ほいさー!」 ダダッ 「康介? 康介!!」 返事がない。 意識さえもうろうとしている様子。 「こうすけぇ…」 「大丈夫だよ、鈴音ちゃん」 蒼太が優しく手を握る。 でも、私は落ち着いてなんかいられなかった。 私があのとき、無理やりにでも病院に連れていけば… もっと早く気づいてあげれば…。 その後、康介は救急車に運ばれた。 275: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 13 21 25 ~病院~ 「疲労と高熱ですね」 医者が診断結果が書いてある紙を渡す。 武塔先生が手渡された診断結果を見て、 少し驚いた。 「こいつが、疲労…」 「休養をとっていないせいで、倒れたんですよ。 食事の栄養バランスもとれてません。 今日一日は、ここで様子をみます」 「そうですか…では、よろしくお願いします」 「では、私はこれで。何かありましたらナースコールで」 バタンッ 「康介…」 康介がうっすらと目を開ける。 「はは…かっこ悪ぃ…」 「康介、あんまり喋るな。早く寝ろ」 蓮くんが康介のおでこに優しくデコピンする。 「蓮…ごめん…心配…かけたな‥」 「は? 俺は心配なんざしねぇよ。 一番お前を心配してたのは、 そこの毒舌サディスト女王だ」 「鈴…音…?」 「康介ぇっ」 「ごめ…んな?」 そう言って弱った体を起こし、 残っている力をふりしぼって康介は私を抱きしめた。 「俺は…だいじょう…ぶ…だから」 「うんっ…うん…」 私も力いっぱい抱きしめ返す。 康介は私の頬の涙を手で拭って、 おでこに優しくキスをした。 「心配、かけて…ごめんな…。明日…ちゃんと元気に…なっから、よ…」 「そ、だよ? じゃないと私、康介のこと嫌いになるから」 「ははっ…それは嫌だな…」 そう言って彼は眠りについた。 私はその夜、康介が心配だから一緒に病院に泊まった---。 276: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 15 33 05 ~翌日~ 「こっすけぇーーーっ!!」 病室に勢いよく飛び込んできた舞。 康介のベットにダイブ。 「ふごぉっ!!?」 康介は回復していたけど、 昨日無理したせいで筋肉痛らしい。 「ってぇ…」 康介はお腹に乗っかってる舞を、 はらうことができない。 そこに蓮が来る。 「っ!!康介っ…お前っ…」 蓮くんは、変な誤解をしてしまったらしい。 「ちっ違っ!」 ぎいいいいいやあああああーーー…!! ~五分後~ 「すまねぇな」 「み、みんなひどい…」 蓮くんは康介に謝っている。 誤解したおわびに、康介に肩もみ。 「ごみんね、康介」 舞も珍しく康介に謝っている。 「本当は驚かそうとしただけで…」 「あ、あぁ…もういいんだ。き、気にすんな…う゛いっ…」 「もう、退院できるの?」 「あ、あぁ…。昨日、医者に何回も言われた…ろ…」 「そうだった!んじゃあ、入り口で待ってんね~」 「ほら、行くぞ、舞」 「うぃ~」 タタタタッ… 「あいつ…いつかお返ししてやる…」 康介はいたむお腹をかかえて言った。 私は荷物をとって、 彼の手をとり、病室をあとにした。 「ねぇ、康介」 「あぁ…?」 「今度は、二人きりで…旅行だよ?」 「え…」 「ね?」 ニッコリ笑ってみせると、 彼は少し照れてから言った。 「あぁ。今度は必ず、お前を楽しませる。約束な」 「うん!約束!」 朝のひざしが眩しくて、 視界がよく見えなくても、 あなたの姿だけは、 私の目にハッキリと映っているよ---。 -鈴音side 終わり- 277: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 15 57 29 ~舞side(普通視点)~ 旅行の帰り。 車の中。 「本当にお前ら、ラブラブだよな」 蓮くんが不愉快な目で鈴音&康介を見る。 「何だよ~。妬いてんの~?」 「蹴るぞ、エスカルゴ」 「エスカルゴって言うなよ!!」 「昨日、ホテルでエスカルゴ見て騒いでた奴が 今更何を言ってやがんだ」 「だからってエスカルゴ言うな!!」 「あーあー。ギャーギャーギーギーうるさいな~」 蔵間くんが耳をふさぎながら、 二人の間に割って入った。 「ほら、喧嘩しない!」 「だってこいつがっ!」 「康介も、売られた喧嘩は買わない!」 「ぶー」 「蓮も!大人げない!」 「うっ…」 「康介、これでも蓮はお前を心配してたんだよ?」 「えっ俺?」 「そう。張り合う相手いなくて寂しそうにしてた」 「ちょっおい!!蔵間!!てめぇ!!」 「だーって、本当のことじゃん~」 「後でぜってぇーぶっ殺す!」 「じゃあ、今日の夕飯はいらないねー?」 「あたりま…はぁ!? ちょっ、それはないだろ!!」 「そっか~。俺、今日蓮に殺られるのかぁ~」 「ちょっ、嘘!嘘だっつってんだろ!!」 「蓮も寂しがり屋なんだね~」 私が面白がってつい、言っちゃった。 すると蓮の視線は私に向けられ、 腕をグイッと引っ張られた。 「えぇっ!?」 ボフン 私はすっぽり蓮くんの腕の中。 「やっぱお前の飯、いらねぇ」 「え? いいよ、遠慮しなくても~」 「こいつを飯にする」 「へ? 蓮くん、意味わかんないよ?」 彼の発言に、みんな顔を真っ赤にさせる。 「何だよ? 俺、悪いこと言ったか?」 ニッと笑う蓮くん。 その後は蓮くんに触れられないように、 みんなが私を取り囲んだ---。 283: 名前:雷蓮☆2011/08/09(火) 08 45 39 ~舞side(普通視点)~ 晴れ晴れとした青空の朝---。 今日から「星光学園」の学園祭の準備です!! 「舞、おっはよ~」 「あ、鈴音」 「はよ!今日から学園祭の準備だね」 「そうだね!気合いれてこぉー!」 「ははっ!毎年、お祭りごとには燃えるよね、舞って」 「もちろんだよ!!祭って書いてある服着たいくらい!!」 「お祭り女ですか」 「今日はクラス委員が出し物決めるんでしょ?」 「そうそう!うはぁ~楽しみ~」 「舞、ムフムフ言い過ぎ…」 「舞…楽しみだからね」 「わっ!伊玖!!?」 「あ、伊玖~!伊玖も楽しみだよねーっ」 「…あんまり」 「えぇっ!? そんなぁー…」 お祭りって楽しいじゃんかよぉー。 うちだけノってたら、浮くじゃん!! 「伊玖、何で嫌なの?」 鈴音が私を慰めながら伊玖に聞く。 「…うるさいから…」 「あぁ…。そういえば、伊玖って小学生のときも…」 「うるさいのは好まない。だから見てる…」 「本当に伊玖らしいっつうか、何ていうか…」 「伊玖も参加しようよぉ~」 「…舞が出るなら…ちょっと…くらいは…」 「本当に!?」 「あー。なるほどねー…」 「う…ん…」 「じゃあ参加しよっ!」 「…うん」 今年は伊玖も参加するなら、 もっと楽しくなるよね!! あ、蓮は出るのかな…? 聞いてみようかな。 284: 名前:雷蓮☆2011/08/09(火) 09 32 59 「蓮っ!!」 「却下」 「まだ何も言ってない!!」 「どーせ俺も参加しない? って誘うんだろ? ぜってぇー断る!!」 「違うよ!!一緒に参加しよう!!」 「一緒にを付け加えただけだろーが。 俺は大人数でたわむれるのが嫌なんだよ」 「不良だから?」 「これ、俺の性格だから」 「そっか。分かった…」 「そ。そうやって素直に諦めれば…」 「委員長ー!蓮もすっごい参加したいってー!」 「ちょっ、てめっ!おい、チビ!!」 「彼女に向かってチビはないよ!!バカ!!」 「なら、彼氏に向かってバカもダメだろ!! てか、何で勝手に俺も参加にするんだよ!!」 「いいじゃん!別に!」 「良くねーから怒ってんだろーが!!」 「はいはい、喧嘩しなーい」 「俺は参加しねぇ!!」 「じゃあさ、舞が伊玖にとられてもいいんだ?」 「は? 何、あいつも参加すんの?」 「うん。舞がいるならってね」 「やっぱ俺も参加する」 「切り替え早ッ!!」 「本当!? 蓮、絶対だよ?」 「あぁ。祭り事は嫌いだけどな」 なぜか分からないけど、 最初は嫌がってた蓮も参加してくれることになった。 蓮が出るなら俺も出るよと言って、 蔵間くんも参加表に名前を書いてくれた。 もちろん、康介は一番最初に名前を書いている。 一番張りきってるのは、康介の方だから。 285: 名前:雷蓮☆2011/08/09(火) 12 10 16 鈴音がさっき、 蓮を説得してくれたおかげで クラス全員が参加することになった。 「では、出し物について話し合います」 委員長が黒板に議題と、人数を書く。 「まず、みなさんの希望をとって その中から多数決、という形になります」 委員長はメガネをクイッと持ち上げた。 「はい!!」 勢いよく手を上げたのは、康介。 「俺はやっぱ、コスプレ喫茶!!」 「あ、それいいね~」 蔵間くんも絶賛する。 担任の武塔先生も面白そうと言う顔で見物。 「他には?」 「はーい!」 珍しく蒼太くんが手をあげる。 「蒼太くん」 「えっと、おばけやしきがいいな~」 まわりの女子が賛成!と声をあげる。 「他にはないですか?」 「はーい」 「えっ…。れ、蓮くん…?」 まさかの蓮が手をあげた。 これにはさすがの委員長も腰が引く。 「どどどど、どうぞ…」 康介が面白がって蓮をいじる。 「えぇ~、蓮がアイディアなんて~。 まさかアジトを作るぜ!なんて言わないよなー?」 蔵間くんが康介の口を慌ててふさぐ。 「おぉー…。そうか…。 康介はそんなにいじられたいんだな? よぉーし、分かった。委員長!!」 「はいい!?」 「康介を好きなだけ殴ってください店ってのは~?」 「えぇっ…」 「何言ってんだよ!!バカ蓮!! 俺が死んでも良いってのかよぉ!?」 「あぁ」 「ひどいっ!!」 「んで、本題。 おばけやしきとコスプレ喫茶を合体させれば?」 「「え?」」 クラス中のみんなが ? を頭に浮かべる。 「だからよ、 最初はおばけやしきのコーナー作って 通り抜けたら喫茶店みてぇな」 「なるほどね~。 同時に2つも楽しめるってことか」 蔵間くんが賛成する。 「それいい!」 鈴音も大声で賛成。 290: 名前:雷蓮☆2011/08/10(水) 11 53 00 「それでは、クラスの出し物はこれでいいですか?」 「「は~い!」」 ここのクラスは団結力がすごいから、 何があっても大丈夫なハズ。 だって、蓮も蔵間くんも鈴音もいるからね。 ドS不良派と、頭脳派、毒舌サディスト派が揃ってるし。 康介もある意味、重要人物であったりする。 あ、蒼太くんもか。 女の子と男の子に絶大な人気だしね。 「舞ちゃんはコスプレ、何するの?」 蔵間くんがニコニコしている。 「んー、まだ考え中…。蔵間くんは?」 「え、俺? 俺はね、宇宙人」 「えっ!?」 「ははっ!嘘。ごめんね?」 「び、びっくりしたよー」 「あははっ。そうだなー。俺は執事…かなー」 「執事?」 「そう。だって、いつも蓮に遣(つか)えてるでしょ?」 「ん、まぁ…確かに…」 「だから、ちょっと大人っぽくなりたくて執事にしよーかなーって」 「なるほどー。蓮は何になんの?」 「俺か?」 「うん」 「これ、強制?」 「だって、コスプレしないとお店になんないじゃん」 「げ…。俺はー…そうだなー…。誰かに決めてもらう」 「えー、自分で決めた方がいいよー?」 「なんでだ」 「変なのに決められるよ? 康介がいるからさ」 「あ…」 「俺が決めてあげよーか?」 ひょっこり出てきたのは、蒼太くん。 「蒼太か…。ま、お前ならセンスあんだろ。決めてくれ」 「うん、いいよー。んー…」 「…」 蓮もちょっとドキドキしているらしい。 蒼太くんはまじまじと蓮の顔をガン見。 緊張の空気がはしる。 「…海賊…じゃないかな?」 「海賊?」 「うん。蓮は俺様なとこがあるし、独占欲強いからね」 「俺、独占欲強いのか…」 「どう? 気に入ってもらえた?」 「あぁ。確かに、俺にぴったりだな。さんきゅ」 「いいえ~。それで? 舞ちゃんは何に?」 「私は…」 「女の子なんだから、可愛いのにしてほしいな」 蒼太くんはニコッと笑って私を見た。 ちょっと恥ずかしくなった私に蓮が 「こいつに変なこと言うと、しっぺされるぞー」 「ちょっ、何変なこと言ってるの!?」 「変なことじゃないだろ。しっぺは本当じゃねぇか」 「うっ…」 蒼太くんがクスッと笑う。 委員長がうるさくなる教室を、 懸命に静めようとしていた。 「ちょ、静かにしてくださーい」 武塔先生は、見物だから指示はしない。 けど、すっごい剣幕でうるさい人を睨む。 それに気づいた蔵間くんが蓮の口をふさぐ。 「武塔先生が珍しくすごい剣幕だから、静かにしてあげよう」 「ん、そうだな。あいつ意外とこえーもんな」 君を好きになる5秒前 続き9
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59: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 11 55 25 ~蓮side~ 教室に入ると、 いつもいるハズの舞がいなかった。 カバンも見当たらない。 蔵間も今日は早く来るって言ってたのに来ない。 「蔵間君なら舞さんと一緒にいたけど?」 聞き覚えのある嫌な声。 「…なんでてめぇが知ってんだよ」 「さっき見たのよ。ねぇ、どうしてあんな女にこだわるの?」 「じゃぁ俺も聞くが、どうしてそんなに俺にこだわる?」 「私は一目惚れしたのよ。かっこいいあなたに」 「それは外見だけだろ」 「!?」 「一目惚れって言うのは、大体は顔に惚れるんだよ」 「そ、そんなこと」 「俺はそういうのはごめんだ。分かったらあきらめろ」 「くっ…。まだあきらめないわ」 やれやれ。メンドクセー女だな…。 60: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 12 44 55 ~翌日~ 屋上- 「作戦実行のときがきた」 蔵間君が勢いのある声で言う。 「お嬢様はまだ、この作戦に気づいておられません。 むしろ、今日を楽しみにしておられました」 「なら、作戦も成功しそうね」 鈴音は楽しそうに微笑む。 「じゃあ、改めてみんなの役割を確認するぞ」 蔵間君がみんなの顔を見る。 「まず、目黒さんは蓮を誘拐。 車に乗せて学校のまわりを一周したら 裏門に車を止める。 そしたら目黒さんは指示がでるまで車内で待機。 もちろん蓮も一緒に」 「承知致しました」 「次に康介。 康介はあらかじめ目黒さんの車に乗っとけ」 「え!?」 「お前には蓮に状況を把握させてやるのが役目だ」 「それはマグロさんでいいんじゃ…」 「失礼ながら、私の名字は 目黒 です」 「康介、目黒さんにあやまれ」 「マグロって言ってすいません…。それで何で俺が乗るの?」 「高級車の運転は集中しなきゃいけないんだよ。 すべての内容を話すには無理がある。 そこで事故なんて起こして “さよなら” なんて悲劇だぞ」 「あ、そっか!分かった」 「そして鈴音。お前は舞の近くにいてくれ。 舞の身が危険な時、知らせてくれ」 「え? あ、うん」 「でも、瑠菜ちゃんに気づかれないように」 「どうして?」 「二人が一緒にいればきっと他の執事とか呼ぶだろ。 変な勘違いして身をまもろうとする可能性がある」 「お嬢様だしね…。了解!」 「んで、舞は目黒さんが 瑠菜ちゃんから離れた後に説得してくれ」 「うん!」 「じゃぁ、一人一人にトランシーバー渡しとく」 「「「とらんしーばー? ?」」」 「あぁ。目黒さんと武塔先生は分かるよな?」 「もちろんだ!」 「承知しております」 「これは相手との連絡をとるんだ。 ここのボタンで会話できる」 「おぉ~」 さっそく康介がいじりはじめる。 「んで、武塔先生も舞の近くにいてほしい」 「俺も?」 「あぁ。説得がうまくいきそうだったら、 トランシーバーで目黒さんに報告。 そしたら、目黒さんは蓮を連れて舞ちゃんのとこまできて」 「承知致しました」 あまりの完璧な蔵間君の説明に、 みんな関心する。 実は蔵間君は天才なんじゃないかな…。 「そういえば、じゅんはどうすんの?」 鈴音が蔵間に質問する。 「俺は予備の作戦実行者」 みんな首をかしげる。 まぁ、でも、成功する可能性は高いってことかな? 63: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 13 44 56 放課後- 私と鈴音は ろうかの角で瑠菜ちゃんと蓮を見守る。 瑠菜ちゃんの脇には目黒さん。 蓮君は少し焦っている。 一応、眠らせないことは蓮君に言ってあるハズ…。 「あれ、蓮君の演技だよ」 「そうなの?」 本当に知らないような感じだったから、 てっきり伝えてないのかと思った…。 「もう一度言います。 私と一緒にフランスへ行きましょう?」 「無理」 「どうしてです!? そんなにここが好きなのですか!!?」 瑠菜ちゃんは少しキレぎみ。 「あぁ。フランスに行ったって何の利益もねぇだろ」 「ありますわ!少しくらい!」 「俺ァ、女じゃないんだ。 てめぇみてぇに、なんでもかんでも欲しがりはしねぇよ」 「チッ…。どうしてもって言うなら…」 「なんだよ?」 「無理やりにでも連れて行ってあげる」 「!?」 ガバッ! 目黒さんはハンカチで蓮君の鼻と口をおおう。 蓮君は眠った演技を見事にこなした。 「よくやったわ、目黒」 「私は蓮様を車でお運び致します。 お嬢様はお父様が来られるまでお待ちを」 タタタッ… 「やっと…蓮を手に入れた…」 スタ… 「!!?」 「ごきげんよう、お嬢様」 「あなたは…!!舞さん、あなた…」 「もうお気づきになられましたか? ずいぶんとお察しが早いですね」 あたりの空気が凍る。 私と瑠菜ちゃんは睨み合う。 64: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 15 01 36 「騙したわね!?」 「瑠菜ちゃんだってそうでしょ?」 「くっ…!あなた、蓮とどういう関係!?」 「友達だよ」 「よくそう言えるわね!私は友達なんてつくらない!!」 「どうして?」 「女なんか信用できないわ!私の思い通りに上手くいかない! 男の方が思い通りに動くわ」 「だからって、蓮君をさらっていい理由にはならないでしょう」 「蓮は一目惚れした男よ!どうしようが私の勝手じゃない!」 「蓮はあなたのオモチャなんかじゃない」 「この私にかかれば、人間もオモチャになるわ」 「じゃあ、あなたは何様なの?」 「なっ!?」 「神様じゃないのに、何で偉そうに言うの?」 「そ、それは私が偉いからに決まって…」 「世の中にはやっていいことと悪いことがある。 それもあなたの都合でなんとかできるの?」 「っ…!!」 「いくら偉いと言っても、法律も動かせないならそれまで」 「わけわかんない!!あなたは何がしたいの!?」 「私は瑠菜ちゃんとお友達になりたい」 「なっ……!?」 「お互いに何でも話せるいい友達になりたいの」 「っ……」 「瑠菜ちゃん、私は蓮君が好きだよ」 「えっ……」 「だから、あの取り引きの時すごく嫌だった。 好きな人と2週間も話せないなんて、 私にはたえられない」 「っ…」 「でもね、瑠菜ちゃんが少しでも 蓮くんといい思い出を作りたいなら そんなこと喜んでやるって思ったよ」 「!! ど…して…?」 「だって、瑠菜ちゃん好きなんでしょ? そしたら海外に行く前に、好きな人と素敵な思い出つくりたいじゃん」 瑠菜ちゃんが涙を流す。 きっとフランスに行くことを瑠菜ちゃん自身は 望んでいないんだろうな…。 「どうして…? どうして優しくするのよ…」 瑠菜ちゃんが泣きながら問う。 「これが普通なんだよ」 「ふ…つう?」 「そう!友達に優しくするのが普通! 悪いところは言い合ってお互いになおすのが友達! 瑠菜ちゃんは、今までそういう友達に会ったことがなかっただけ」 「っ…う……」 ゴソゴソ… 「はい」 私は制服のスカートのポケットに入れてあった ハンカチを瑠菜ちゃんに手渡す。 「ふぇ…?」 「涙、ふきなよ。かわいい顔がだいなしだよー?」 「…」 「そういうとき、何ていうか知ってる?」 「え…」 「ありがとうだよ」 「あ、ありがとう…」 「はい、どういたしまして!」 私がにっこり笑顔で笑うと、 瑠菜ちゃんも思いっきり可愛い笑顔で返してくれた。 5分後- 「フランスでお婿探し?」 「そう。お父様が日本の男はダメって言うから」 「でもね、いい人を見つけた」 「蓮君だね?」 「そうよ。でも…」 「ん?」 「舞にはかないそうにないわ」 「…へ?」 「気持ちで負けちゃった。 舞が2週間話さないのはつらいっていったこと」 「あ、あぁ!」 「私はまだ我慢できるから、そんなに好きじゃないのかも」 「そ、そ?」 「えぇ。それに…」 「??」 「舞に会えて、嬉しかった…」 「え…」 「小さいころに私、ある女の子と約束してたの。 そしたらその子、その約束守ってくれなくて怒ったら 私と遊びたくなんかないって言われて」 「ひどい…」 「それからかな。女の子と遊ばなくなったの」 「そうだったんだ…」 「今は、舞がいるから大丈夫。 目を覚まさせてくれてありがとう」 その後、瑠菜ちゃんとは友達、ううん、親友になった。 来年、日本に遊びにくることを約束して 学校を去って行った---。 65: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 15 20 20 一人、ろうかに突っ立っていると 「舞!!」 後ろから声がした。 振り向いた瞬間に--- ぎゅっ えっ… 今…何が起きてるの…? 「心配した…」 私を抱きしめているのは… 「俺のために説得してくれてありがとな」 あのいつもぶっきらぼうな、蓮君だった…。 「蓮…くん…?」 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「なに大声出してんのよ!!!バカ!!」 「蓮!イチャイチャするなら外でしなさい!!」 鈴音に康介、武塔先生の声。 それにご立腹の蓮君。 「康介、ロリコン(武塔)…。ちょっとツラかせや…」 蓮君は私から離れて、指をポキポキ鳴らす。 蔵間君は私にそっと耳打ちする。 「蓮は舞ちゃんとのラブラブを邪魔されて怒ってるんだよ」 蔵間くんはニコッっと可愛く笑って、蓮くんを止めに行った。 蔵間くんが教えてくれたことに、 私は心臓が止まらなかった。 68: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 16 37 13 ~夏~ 「あぢぃーーーーー」 うなり声をあげているのは、 いつも暑苦しいくらいうるさい康介。 珍しく早く学校に来ていた康介と私と鈴音。 「うるさいんだけど、ムサ男」 「ムサ男って何だよ!!」 「ムサ苦しい男…」 「う、うるせぇ!!」 「あんたがうるさいわ!!」 「もー、二人共うるさいー」 私が二人の喧嘩を止める。 「鈴音ってば、可愛さのかけらもねぇんだもん」 「お前に言われたかねー」 「鈴音、口が悪くなってるよ」 蒸し暑いから喧嘩しかできないこの二人。 「もういっそのこと、海に行かね?」 「学校サボったら留年だぞ」 「あ…」 夏は生気を吸い取られる季節…。 コツコツ… 「あ?」 「お、康介くんの顔が死んでるぞ」 「なんだ “ぶどう” じゃねぇか」 「 “武塔” です!!」 「せんせぇー、せんぷうきぃー」 鈴音が死にそうな声で言う。 「ダメダメ!節電に協力!」 「ケチ!バカ!ぶどう!鬼軍曹!」 「康介は内申書下げとくからな」 「嘘ですー!お代官様~」 私たちは夏バテ中---。 69: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 17 57 00 ガラッ 「あれ?舞ちゃん、早いね~」 「ん~…?あ、蔵間君ー」 「すぅんごい夏バテだね。大丈夫ー?」 「もう、むりぃ…」 こんなに暑いのに、元気そうな蔵間君。 爽やか男子とは、このことを指すだろうか…。 「しっぺ女が夏バテだなんて、笑えるな」 どきっ 蓮くんが来ると、ある意味心臓に悪い…。 「もぅ、蓮君は帰っていいよ」 「うるせぇ、チビ」 「チビって言うな」 「チビにチビって言って何が悪ィ」 「全体的に…?」 言い合いが続く中、康介が割り込む。 「蓮、お前なんとかしろよ」 「何を」 「この暑さに決まってんだろ」 「体、弱ェなー。お前ら」 「冬が一番燃えるんだよ」 「年中暑苦しいクセに、よく言うぜ」 「うるせー」 康介も最近、蓮くんに反抗するようになった。 これも一歩成長…? 蓮君は康介のほっぺをつついてる。 蔵間君はケータイで何やら調べ物…? 70: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 18 15 10 「やっぱり!あったあった!」 蔵間君が楽しそうに言う。 「何があったんだー?蓮のぬけがらかー?」 「はーん…。康介…。お前に教育が必要か…?」 「ひ!!う、嘘ですよ~!もぅ、蓮様ったら~」 「で?どうしたの、蔵間君?」 私が質問する。 「ねぇ、みんなで遊園地に行かない?」 「「「「遊園地?」」」」 4人揃って驚く。 「そう!遊園地! 知り合いがさ、入場無料のチケットくれてさ! すっかり使うの忘れてて~! ちょうど人数分あるから、みんなで行かない?」 「「行きたい!!!」」 康介と私が一番に声をあげる。 「私も賛成~!!」 鈴音も元気よく言う。 「俺も構わねぇ」 「よし!決まりな!!」 こうして週末、みんなで遊園地に行くことになった。 あれ…?みんなってことは…蓮君も!? ど、どどどどうしよう!!!??? 何を着ていけばいいのーーーー!!? 73: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 21 35 44 ~4時限目(世界史)~ 「はーい、席つけ~」 やかに爽やかな武塔先生。 嫌な予感がするなぁ…。 「今、嫌な予感がしたやつ!正解だ!! 抜き打ちテストやるぞ~」 「「えぇーーーーーーーー!!」」 クラス中のみんながブーイング。 私は奇跡的に、昨日復習してたからバッチリ。 「嫌だァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」 最初に反抗したのは康介。 学園中に響く叫び声。 「そうか~!康介はそんなに嬉しいか~! あっははははははははは!」 先生は全然めげないしむしろ、その反応を見て喜んでいる。 それが気にくわないのか康介はもっと反抗する。 「もう世界史なんか嫌いだぁ!!一生恨んでやる!!末代まで!!」 いや、世界史に家族とかいないし…。 てか、末代とかもないですから!! 私が心の中でツッコむ。 「はい、始めるぞ~」 気持ちいいくらいスルーする先生。 「いやめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 鼓膜がやぶれそうなくらい泣き叫ぶ康介。 康介のプライドってどんなのなんだろ…。 「うるせぇよ。しばらく眠ってろ」 ゴスッ! しびれを切らした蓮君が、康介にみぞおちをお見舞いする。 見事にクリティカルヒットする。 「おぅ……」 抜き打ちテストの康介は、とてつもなくうるさかった。 …と同時に、蓮くんがとっても正義のヒーローに見えた。 平凡な日常の印である。 78: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 22 58 43 ~お昼休み~ 屋上- お昼休みになってもなお、 さっきの蓮くんのみぞおちが効いている様子の康介。 お昼を食べようって誘っても返事がないため、 キレた鈴音は上りの階段やろうかを 康介を引きずりながら来た。 康介のいたるところに、ほこりや傷の跡。 なんか今頃だけど、 康介が可哀想に思えてきた…。 「康介、そんなに痛かったか?」 蓮君が返事がない康介に問う。 「……ぁ」 かすかに返事らしき声が聞こえるが、 何を言いたいのかまでは分からない。 「せいぜい、俺の食いっぷりでも見物してな。 せっかく蔵間特製の 卵焼き を…」 バッ!! 卵焼きの一言に反応した康介。 「てんめぇ…その卵焼きは…俺んだァ…」 まだみぞおちが効いているから上手く話せないらしい。 「おぉ? そうだったのか? ほれ、今回はくれてやる」 バッ!! モシャモシャ… 康介が獲物を狙うように食いついた。 幸せそうな顔して卵焼きをほおばる。 その姿は本当に、犬のようでした。 たとえるなら、飼い主が蓮君で 飼い犬が康介ってトコ? 何より、仲良しだから二人共可愛く見えてくる。 83: 名前:雷蓮☆2011/07/19(火) 22 02 04 ~5時限目(HR)~ 5時限目はホームルームの時間。 みんなのテンションが上がる。 だって勉強しなくていいんだもん! ガラガラ… 担任の武塔先生が入ってきたと同時に みんな席につく---。 今日の号令の係は、康介と蓮君。 初めの号令は康介が言うらしい。 やたらとニヤけている康介…。 「きりーつ!!」 ガタガタガタ… 「ロリコン教師に絶望!! じゃなかった、礼!!」 わざとっぽかった康介の号令。 蓮くんはクスクス笑っている。 それを見て、蓮くんを叱っている蔵間くん。 「よーし、いい度胸だー康介ー!! 放課後、職員室まできなさい!! あと、笑ってる蓮!!お前も一緒にだー」 「「はぁ!? ふざけんじゃねーぞ!!」」 康介と蓮君がカブる。 「当たり前だー。 一週間、俺の元で雑務をこなしてもらうからな」 「先生!冗談はよしてください! 俺は蓮にって言わないと星にするぞって言われたから言ったんです!」 康介が自分の罪を軽くしようと、先生に弁解。 蓮くんは大人の対応。 「先生!俺は決して康介にそんな恐ろしいこと言ってません!」 いつもそれ以上のこと言うくせに…という顔で 康介が蓮くんを睨んでいる。 「分かった。 康介は2週間、雑務をこなしたいんだな?」 「えぇ!?」 先生は容赦なく、康介の雑務の期間を2週間にした。 今日は康介のアンラッキー・デーかもしれない。 あ…。鈴音がものすぅんごく、嬉しそう…。 ドSの血が騒ぐのかな…。 私はこのとき、 このクラスに個性派がたくさんいることを 改めて深く感じた。 84: 名前:雷蓮☆2011/07/19(火) 22 42 23 ~放課後~ やっとこさの放課後。 みんな部活やらバイトやらで慌しく教室を出て行く。 …が、一人、窓の外を見てぼーっとしている男の子。 まだ話しかけたことがない男子。 確か名前は… 「小野 蒼太!!」 そう!! 彼の名前は、小野 蒼太(おの そうた)。 学年で上位の成績、顔もかわいいしかっこいい。 モテるなんてもんじゃない。 その可愛さに惚れた女子は、星の数ほど。 …と鈴音が言ってた記憶がある。 「もうちょっとしたら行く…」 彼は運動神経も抜群で、 毎日部活からのオファーや助っ人を頼まれる。 「じゃぁ、グランドで待ってるからな~」 約束している男子が教室を先に出て行く。 「はぁー…。ん?」 あ、やばい。目がバッチリ合ってしまった。 こ、ここはあえてスルーしよう! スタスター… 「スルーするなんて、舞ちゃんらしくないね?」 「え…」 いきなりバッサリと言われ、驚く。 「やっとこっち向いてくれた!」 彼は満面の笑みを私に向けた。 キュンっ! な、な、なんて可愛い~~~~!! なんか子犬って感じ! 「舞ちゃんが振り向かせるために、 さっきからずっと演技してたんだよ?」 「えっ?」 い、いきなりそんな事言われても…! ど、どう反応すればいいのか困る! 「そういう天然な舞ちゃんが可愛くって、俺…好きなんだ」 !!! それって… 「蒼太くん…。実は私…」 「うん?」 「実は私も、蒼太くんが好きなの!!」 「えっ!? ってことは…両思い!?」 「友達として両思いだね!!」 「え…??」 「え??」 蒼太くんが驚く。 「残念だったな、蒼太」 「!? 蓮!!」 いつのまにか教室のドアに寄りかかっている蓮くん。 「お前、本当に好きならよー、 こいつがかなりのド天然だってこと把握ぐらいしとけ」 なぜか、どや顔でほこらしげな蓮君。 蒼太くんは少し落ち込んでいる様子…。 私、何かしたかな…??? 「蓮、俺はあきらめないから。 絶対舞ちゃんは俺の彼女にしてみせる」 「あぁ、やってみろよ。 こいつは俺の彼女にするんだ。 ぜってぇにお前には舞の心は奪えねぇよ」 二人の間に火花が散る。 私はまだ、二人がなんで睨み合っているのか理解できなかった---。 君を好きになる5秒前 続き3
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【検索用 また1つすきになった 登録タグ 2023年 Synthesizer V せきこみごはん ま 仁和 曲 曲ま 桜乃そら 灰咲アマネ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:せきこみごはん 作曲:せきこみごはん 編曲:せきこみごはん イラスト:仁和(Twitter、pixiv、skeb) 動画:灰咲アマネ(Twitter、litlink) 唄:桜乃そら 曲紹介 そしてまた私を焦がすんだ 曲名:『また1つ好きになった』(また1つすきになった) 「Synthesizer V AI 桜乃そら」の公式デモ曲 歌詞 (piaproより転載) もう止められないし 戻れやしない 曖昧心情 煮詰める臨場 微かに香る 甘い衝動 法則絡まって 恋に落ちて もう止められないし戻れやしない 嗚呼 どうなってるの バカになって 焼ける様な世界 加速する恋の音 何をしてるの 目が離せない 心研いでは 擦り減って また1つ好きになった 不可逆なのが愛なの I know I know I know 心の底に溜まる苦味 叶わぬ努力 無気力に振り払った 灰かぶりな記憶 意識のない夜に燃える 空想 恋は 甘い思考 前を向くんだ 特別? 運命? そんな言葉じゃ測れない 言えない 言えない 言える訳がない 妄想の向こう側へ もう逃げられやしない 前を向け そう 恋なんだって 熱くなって 癖になる手ぐし 状況はあいこでしょ 心焦がしては君を焚べる もう足んない 何で? 需要ばっか また1つ好きになった もう訳わからないでしょ ねぇ何で何で 擦り減って転んで重ねた 駆け引きの山 夢の中にいられたら もう耐えられないわ 眠りたいわ 嗚呼 どうやったって転ぶばっか 忘れられるかな 忘れられないからさ 明日明後日は反省会 改善 決行 さぁいざ参らん あなたの事が……! 素直になれたのなら 止められないし戻れやしない 嗚呼 どうなってるの 好きになって 焼ける様な世界 加速する恋の音 何をしてるの 目が離せない 心研いでは 擦り減って また1つ好きになった もう訳わからないでしょ これ以上好きになって 不可逆なのが愛なの I know I know I know コメント 名前 コメント
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291: 名前:雷蓮☆2011/08/10(水) 13 32 50 「はい、では続きを」 委員長は仕切り直して、 またメガネをクイッと持ち上げる。 「それでは、決まった出し物の名前を決めます」 「名前か~。カッコいいのがいいなぁ~」 蔵間くんが頬杖をつきながら言う。 すると一番ノッてる康介が手を高く上げる。 「ふぁい!!」 それに驚いた委員長が「うわっ」っと声を上げる。 「康介とゆかいな仲間たち!」 しーん… しばらくの沈黙が続いた後、 最初に蓮が口を開いた。 「おんまえなー…それ、真面目に言ってんのか?」 呆れた様子で康介に言う。 「あったりまえだろ!!」 彼はまさかの本気だったらしい。 「出直してこい」 「えーっ…。けっこう力作だったのに…」 「どこがた、あのバカっ!!」 「え、えー…他には?」 「はい…」 手を上げたのは伊玖だった。 なんとも珍しい!! 「おばけカフェっていうのは…」 「おぉー」 まともな意見が出て、委員長も安心。 「伊玖もやるね~」 蔵間くんが面白そうなものを見るご様子。 「はーいはい!!」 まさかの康介だ。 本当に出直してきた…。 耳を塞ぎたくなる。 蒼太くんは、すでに両手を耳にあてる準備をしていた。 「え、こ、康介くんですか?」 「そーだよ!あったりめーだろ!」 「え…では、どーぞ…」 「康介THEおばけパーティー」 「委員長!!こいつ追い出していいすっかー?」 我慢できなくなった蓮は、教室のドアを開けて準備。 「ま、まぁまぁ。彼も悪気はないようですし…」 委員長の心の広さに、蔵間くんは涙している。 「委員長…。あんた、最高だよー…」 「委員長、これはどう?」 鈴音が手を高くあげる。 「カフェ・おばけコス」 「それの意味は?」 「えっと、お化け屋敷とコスプレカフェを合わせておばけコス」 「「おぉ~」」 「いいですねー。他には?」 「はいはい!!」 「えーっと…他には?」 「無視すんな!!委員長ーっ!!」 「うっ…えーっと…こ、康介…くん‥」 「おうよ!!今度は一味違うぜ!! 俺が汗水流して考えた名前は---」 そこまで言う康介に、みんなちょっと期待する。 「K-O-S-U-K-E だ!!」 グサッ 蓮が用意していたコンパスは、 見事に放物線を描いて、 康介のおでこにぶっささる。 鈴音はこれ以上にないどす黒い笑顔で、 康介の頭上へかかと落とし!! ひんしになった康介に、 大丈夫の声をかける者は、 誰一人としていなかった---。 292: 名前:雷蓮☆2011/08/10(水) 15 19 03 ~休み時間~ 「あ~あ。康介に少しでも期待した、アタシがバカだった」 「鈴音、期待してたんだ」 「ほんのちょっと」 「アイツに期待しても、バカの答えしか返ってこねぇぞ」 「分かってるよ。でも、一応アイツの彼女だから」 「ラブラブだよねぇ~、鈴音ちゃん」 蔵間くんが呆れてる。 「「きゃはははは~!!」」 ふいに後ろから、二人の女の子の声。 「「大変だね~、康介の彼女やるのもさ~」」 「沙奈に瀬奈!」 さっきから二人で話しているのは、 クラスメートの女子、 土屋沙奈(つちやさな)と土屋瀬奈(つちやせな)。 この学校で唯一の双子。 モデルをやっていて両親は大富豪。 別荘なんてあって当たり前。 可愛いからもちろんモテる。 でも、残念なことにこの二人もドS。 向かうところ、敵なしなのである。 「「康介~。そんなにモタモタしてると、彼女が逃げるぞ~」」 こんなバッサリと言うのだから、 彼のガラスのハートも粉々に砕け散る。 「ぐほぉっ!」 ほらね。 ダメージ大。 「「きゃはははは~!鈴音もガンバレ~」」 「え、あー、ははっ…うん」 さすがの鈴音も苦笑い。 293: 名前:雷蓮☆2011/08/10(水) 15 49 14 ふいに蔵間くんが私の肩を叩いた。 「ん、なあに? 蔵間くん」 「舞ちゃんは知ってるの? 星光10大人物のこと」 「じゅうだいじんぶつ?」 「あ、やっぱり知らないんだ」 「うん。歴史の人?」 「うんや。この学校の重要人物を指すんだよ」 「重要人物?」 「そう。あの双子もその中の一人。 ま、実際2人なんだけどさー。 双子だから一つにまとめて一人ってことにしてるらしーよ」 「へぇー。で、他に10大人物の人は?」 「そうだね。この機会に教えてあげる。 まず一大目は、俺」 「えっ、蔵間くん!?」 「そう!んで、2大目が蓮」 「れ、蓮も!?」 「すっごいよ、蓮は。不良だしさ。 んで、3大目が鈴音」 「え…」 「4大目が、あの双子。 5大目は、須江金 奏太(すえがね かなた)。 6大目は、宮前 左端(みやまえ さたん)。 7大目は、黒鉄 颯斗(くろがね はやと)。 8大目は、佐竹 眞奈(さたけ まな)。 9大目は、森 千里(もり ちさと)。 あぁ、この千里って奴は男だから。 よく、女の名前って思うけどね。 んで10大目が…」 ごくっ… 「佐藤 舞…。舞ちゃんのことだよ?」 「へぇー…。え。え、えぇえ!?」 「あれっ? 自分が入ってることくらい知ってると思った」 この予想外の展開って、アリですか---? 294: 名前:雷蓮☆2011/08/10(水) 16 35 56 「あ、でもね、10大人物って全員同じ学年だから」 ちょ、ちょっと待ってください。 10大人物ってサイトに入会した覚えも記憶も、 これっぽっちもないんですけど!? 「ちょ、蔵間くん。何言って…」 「このメンバーは、選ばれた人なの」 301: 名前:雷蓮☆2011/08/11(木) 10 50 38 「え、選ばれた…!?」 「そう。この前の件でさ!」 「この前…?」 「ほら、瑠菜ちゃんが蓮を外国にってやつ」 「あぁ。あのときね!それが…何?」 「それを見ていたある生徒が、 舞ちゃんをただ者じゃないって言ってね。 その噂が広まって、本来9人だった重要人物が10人になった。 そんだけのことだよ~」 そ、そんだけって…。 「わ、私、大して大きい力持ってないよ?」 「持ってるよ。他の誰にもない、すっごい大きい何か…ね」 他の誰にもない、何か…? 「おい、何ごちゃごちゃ言ってんだ」 「んー? ちょっと雑談」 「遊んでねーで、とっとと康介起こせ」 「は~い」 私が10大目…。 別にそんな称号いらないんだけどなー…。 「「舞ちゃん」」 双子の沙奈と瀬奈が私を見る。 「「ファーストキス、まだしてないの?」」 「えっ…!?」 「おいっ!!てめぇら!!何言ってやがんだ!!」 「「怒ったぁ~!怖~い!」」 「うっせぇ!お前らの息ピッタリな行動の方が怖ぇよ!!」 「こら、蓮!!女の子相手に、それはないでしょ」 「ぜってぇこいつら、女じゃねぇ!!」 「「へへーん!オカマ~!」」 「おまえらぁ!!そこになおれ!!」 「「きゃ~」」 ドタドタ… 「はぁー…。あいつら、マジやだ…」 「蓮もあのくらいうるさいよ?」 「あれよりはマシだろ」 沙奈と瀬奈も、根はいい子なんだけどな…。 302: 名前:雷蓮☆2011/08/11(木) 14 21 38 ~放課後~ 「「舞ちゃ~ん」」 放課後。 変える準備をしている途中、 双子に声をかけられた。 「ん? あぁ、沙奈に瀬奈。どうしたの?」 「「学祭で着る服、決まった~?」」 あ、そういえばそうだ! 「え、えへへ~」 「「決まってないんだ~」」 「う…」 「「そんな舞ちゃんにはうちらが」」 「え?」 「「ね~」」 双子がお互いに顔を合わせて、 ニコッと笑っている。 何か嫌な予感が…。 「「当日になったら、衣装持ってきてあげる~」」 「え、でも、悪いよー」 「「悪くない!!」」 「えっ」 「「可愛い舞ちゃんのためなら!!」」 「え、えー…っと…?」 「「それじゃ、また明日~」」 二人共、手をひらひらさせて去っていく。 事前に衣装教えてもらえないのかな…? 303: 名前:雷蓮☆2011/08/11(木) 14 40 09 「おい、突っ立ってねぇで帰るぞ」 「あ、蓮!」 「ほら、行くぞー」 スタスタ… 「あぁ、待ってー」 タタタッ… ~帰り道~ 「ねぇ、蓮」 「あぁ?」 「学祭、一緒にまわろうね」 「何だよ、急に…」 「蓮が好きだからだよ」 「はぁー…。お前な、場所を考えろよ」 「言っちゃダメなの?」 「っ…そりゃ、…ダメ、じゃ…ない…」 「ふふっ。見栄っ張り」 「うるせー」 「蓮のこと、もっと知りたいって思ったの」 「は?」 「もっと蓮に近づきたくて、触れたくて…」 「ほぉー…。そりゃ、好都合じゃねぇか」 「へ?」 グイッ チュ… 「んんっ!?」 蓮が強引に私の腕を掴み、 自分のところへと引き寄せてキスをした。 時間がたつほどに、深くなっていく。 私は息ができなくて、腰が抜けた。 へにょへにょと情けなく落ちる私。 でも、彼は私の腕をしっかり掴み引き寄せた。 「れ、れん…もう…腰が…」 「フンッ。知ってるよ。今日はここまでだ」 「ハァ…意地悪…」 「俺のことを知りたいって言ったのはお前だろ?」 「そうだけど…」 「大人にしてやるよ」 「なっ、なっ…!?」 彼の俺様かつ、ドSな発言にさらに腰を抜かしてしまった。 「へ、変態!!」 「何とでも言えよ、お姫サマ?」 「っ…!」 悔しさと嬉しさで複雑になる気持ち。 でも、蓮に近づけたことは確かに感じた。 強引なキスはナイけど…。 304: 名前:雷蓮☆2011/08/12(金) 09 30 13 ~次の日~ 「「舞ちゃ~ん」」 「あ、沙奈、瀬奈!」 「「はろ~」」 にっこり笑顔で私のところにくる。 私のところに来るなんて、珍しい…。 「どうかしたの?」 「「舞ちゃん、蓮とラブだよね~」」 「えぇっ!?」 「「昨日、キスしてたとこ---」」 「ストーーップ!!ちょっと、ここ学校!!」 「「照れちゃって、かわうぃ~」」 「か、可愛くない!!声、大きいよ~」 「「だから、忠告しにきた」」 「え…?」 「「蓮のことを一方的に想ってる先輩がいるの」」 「せ、先輩?」 「「そう。でも、舞ちゃんと付き合ってるって聞いて病んでるから」」 「えぇっ」 「「だから、気をつけた方がいいよ。うちらも見張っとくから」」 「あ、ありがとう」 「「舞ちゃんが危ないとき、助けられるのは蓮とは限らないからね」」 確かに…。 蓮がずっと私と一緒ってワケじゃないんだ。 「「文化祭のときまでに、何もないといいんだけど…」」 「そうだね。私も気をつけるね」 「「帰り道、蓮と帰れないときは声かけて。送ってく」」 「ありがとう」 「「きゅんっ!やっぱ、舞ちゃん可愛いーーーっ!!」」 ギュムっ 「ぐ、ぐるじいよー」 307: 名前:雷蓮☆2011/08/12(金) 10 20 56 ~昼休み~ 「舞~、屋上行こうー」 「あ、うん!」 「「舞ちゃん、ま~ぜ~て~」」 「げ、双子!!」 「「げぇ~、おばさ~ん」」 「あぁん!? 何だってえ!?」 「「眉間にシワ~!老ける~」」 ボコッ×2 「「いてぇっ」」 「お仕置き」 「あはは…」 鈴音と双子は、仲はいいんだけど 喧嘩相手によくなる。 だから、この光景を見かけると誰も近寄らない。 何されるか分からないかららしい…。 「舞ちゃん、すっかり双子に気に入られてるね」 蔵間くんが蓮と一緒に来る。 「うん。根はいい子たちだし」 「そーだね。舞ちゃんらしい」 「えへへ」 「何ヘラヘラしてんだよ」 「蓮みたいに威張ってないから、マシでしょ」 「好きで威張ってんじゃねぇよ」 「あぁ、本当は甘えたいの?」 「はぁ?」 「なんてね~」 「てんめぇ…」 「彼女のことは、てめえって言わないの!」 蔵間くんに説教をくらう彼。 ゾクッ 「っ…!」 「ん? どうしたの?」 蔵間くんが驚いて蓮に説教をやめる。 「今…、誰かに…」 「は?」 蓮も不思議そうな顔をする。 「ううん、なんでもない…」 今、確かに視線を感じた…。 「「…」」 308: 名前:雷蓮☆2011/08/12(金) 10 27 07 ~屋上~ 「「舞ちゃん」」 双子がそっと私に耳打ちする。 「え、あ、何?」 「「さっきのって…」」 「うん…。確かに、鋭い視線だった…」 「「やっぱり…」」 「あ、でも、みんなには言わないで!」 「「どうして?」」 「あんまり…迷惑かけたくないの…」 「「でも、事件がおきてからじゃ遅いよ?」」 「できるだけ、自分で解決したいから」 「「…ちょっとだけ、様子を見ようか」」 「おい、何密会してんだよ」 蓮が不機嫌な目で見る。 「ううん、何でもないよ」 「「蓮のやきもち屋~」」 「てめぇら!!今度こそ許さねぇ!!」 「「幼児虐待~」」 「いつから幼児になったんだよ!!」 いつものにぎやかな光景が、 だんだん遠のいていくのを 私はまだ知らなかった---。 316: 名前:雷蓮☆2011/08/16(火) 17 35 01 ~放課後~ 「あの…佐藤舞さんは、ここのクラスですか?」 「あ、ちょっと待ってくださいね!まいー」 私は日直の仕事を終えて、 最後の確認をしていたところだった。 「なにー?」 「3年生の先輩!」 「え…?」 私、3年生に知ってる先輩はいないけど…。 「えと…私…ですか?」 「あなたが舞さんですか?」 「はい…」 「良かったー。私、海馬 由奈(あしか ゆな)と申します」 「海馬先輩…?」 「はい。舞さんにぜひ、お話ししたいことが…」 「あ、少しお待ちいただけますか?」 「もちろんですわ」 「蒼太くん!」 「はいはーい?」 「ちょっと任せていい?」 「任せといて!舞ちゃんのためなら!」 「ありがとう!じゃあ…」 「ここでは話ずらいので、裏門でいいですか?」 「え、あぁ、はい!」 スタスタ… 5分後- ダダダダッ… 「「蒼太!!」」 「うわぁっ!? な、何だよ、双子ー…」 「「舞ちゃんは!?」」 「舞ちゃんなら、さっき3年生の先輩に…」 「ヤバいよ!!沙奈!!」 「どうしよう、瀬奈…。とりあえず、探しに行こう!」 「何で? てか、何でそんなに急いでんの?」 「「舞ちゃんが危ないから…」」 「は…?」 「行くよ!瀬奈!!」 「あぁ、待ってぇー!」 ダダダダダ… 「…危ないって…?」 317: 名前:雷蓮☆2011/08/16(火) 18 05 39 ~裏門~ ザァァァァァァァ… 涼しい風が吹く、学園の裏。 ここには、かすかに不気味な空気が漂う。 なにせ、人気が少ないのだから。 「それで、話ってなんですか?」 先輩がいつまでも私に背を向けて、 沈黙を保っていた。 くるっ 急に私の方を向き、 思いっきり足を振り上げる。 ズドッ… 「いっっ!?」 先輩の振り上げた足のかかとは、 私の足の甲にかなりの打撃を与えた。 激痛がはしる足に、 さらに先輩は足で踏みつけた。 「いたいっ!!いだっ!」 その痛みは、激痛から苦痛に変わる瞬間だった。 先輩の突然の行動に、私は言葉を失う。 どうして…どうしてこんなことするの……? 「先輩!痛いです!やめてくだ……」 「あなたのせいでしょ……」 「えっ……」 海馬先輩の、さっきまでの優しさはなく、 別人のような低い怒りの声が聞こえた。 「誰がお似合いですって……? ちっとも釣り合ってないじゃない!! イケメンの蓮様と、無力の仔猫。 蓮様は不良。だからこそ、あなたにはもっと似合わない。 私の方がどれだけ似合っているか……」 「な、何を……」 「あのまま…遊園地であのままだったら、 どれだけ私は恵まれていたか……。 けど、それもあなたに打ち破られたわ!!」 穏やかだった先輩の表情が、 般若のように険しくなる。 「ひっ……」 思わず、震える声をあげる。 「あなたはたいそう楽しい時間をお過ごしでしょうね。 だって、あの蓮様といらっしゃるんですもの……。 いつもあなたを見て思ったわ。 あれが私だったら良かったのに……。 あなたがいなければ、私はあそこにいたのに……。 ならいっそ、この手で消してしまいたい……と。 ……どう? 怖くて逃げたくなったかしら?」 せ、先輩は何を言っているの…? 蓮様って…蓮のこと……? わ、私を消してしまいたいって……。 遊園地のことも知ってた。 あそこに…この先輩は…海馬先輩はいたってこと……!? 「恐怖でおののく姿、見せてちょうだい。 あなたの最高に怯えた顔、たまらないわ……。 いつもすましている憎たらしい顔より、 そっちの顔の方が魅力的よ? この痛いあんよ(足)、もう腫れてるのね。 私が全力であなたの頭を殴ったら、 どうなるのかしら? それとも、自慢の可愛いお顔がいいかしら……?」 「海馬先輩!言ってることが…よく分かりません……」 「……わからない? そ、分からないんだ……?」 「っ……!?」 「とんだ可愛い子ぶりね。 天然なんて言われて、浮かれてるのね。 可哀想な子……」 「浮かれてなんか……」 「私……あなたのこと、大っ嫌い」 「!?」 「いつもヘラヘラして、可愛い子ぶって……。 自分なら何しても許されるんだって顔して……。 見てると殺気がたつのよね……」 321: 名前:雷蓮☆2011/08/16(火) 20 22 57 「せ…んぱ…」 「驚いた? 優しい先輩がこんな鬼畜で…」 「え…」 「ごめんあさいね。私、どうしてもあなたのこと 好きになれそうにないの」 ズキンッ 「これは警告よ。 今日から3日以内に、蓮様と別れなさい。 もし、それが守れないようならば 私も全力であなたを潰す。 私は手段を選ばないから、気をつけてね」 「嫌です……」 「え?」 「嫌です!!」 「はぁ?」 「私だって…そんな簡単に……」 「じゃあ、蓮様がどうなってもいいんだ?」 「え……?」 「私はあなただけじゃなく、 ターゲットを蓮様に変えることも可能。 つまり、あなたと蓮様を無理やり引き裂けるってこと。 言ったでしょ? 手段は選ばないって……」 「海馬先輩!!」 「悔しい? なら、本望よ」 「どうしてこんなことっ!!」 「あなたに苦しめられた分を、 お返ししているだけ。 舞さんにも、おんなじ気持ちになってもらおうと思って」 「本望なんて言葉、言わないでください!」 「っ……」 「私たちの仲を切り裂いて、楽しいですか!?」 「えぇ。あなたが邪魔だから」 「そうだとしてもっ……」 「そんなの人間のすることじゃない。 蓮様は振り向いてくれない。 ……そう言いたいんでしょ?」 「っ……!?」 「あいにく、もう情なんて捨てたのよ。 今は、冷酷で己の欲だけを満たす人間になったの。 地獄に落ちたっていいわ。 すべて手に入れられるなら、それでいい」 先輩は不敵の笑みで言った。 その瞬間、背筋が凍るような感覚だった。 326: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 09 28 25 「さぁ、あなたは逃げ出すの? おとなしく蓮様を渡すの? それとも、この私に歯向かうの……?」 凍り付く空気が恐怖を感じさせる。 「っ……」 「「舞ちゃん!!」」 ふいに誰かの声……。 「っ……!?」 「「海馬先輩……。何したんですか……?」 「久しぶりね、沙奈、瀬奈……」 「沙奈!瀬奈!私は大丈夫だからっ」 「足の甲が腫れてるのに……?」 瀬奈が悲しい表情で、私を見る。 すると、沙奈が私を背中に乗っける。 「ちょっと、沙奈?」 「歩けないでしょ? 早く帰ろ」 沙奈が歩き出したとき、 「いいこぶり」 低い声と眼差しが突き刺さる。 その声が、悪夢の始まりだった---。 327: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 11 03 15 ~保健室~ 「舞、もういいよ」 沙奈は腫れた足の甲に、シップを張ってくれた。 「ありがとう……」 「ごめんね……。私たちがついていたら……」 瀬奈が私のカバンを教室から持ってきてくれた。 「いいんだよ、気にしないで」 「っ……でもっ」 沙奈が泣きそうになる。 「私は、大丈夫……」 「「蓮には言わないの?」」 「今回ばかりは、私1人でしかできないと思う」 「「え?」」 「先輩は、私に恨みがある。 それを晴らせるのは、私だけでしょ?」 しばらくの沈黙が続く。 「「これからは、一人でいちゃ危険だよ。 私たちが……」」 「それじゃあ双子が危ない。 二人にまで危ない目にあわせたくたいよ」 「「それとこれとはっ……」」 「今回だけはっ!!……今回だけは人に迷惑かけらんないよ」 「「舞ちゃん、私たちは先輩にヒドい目にあってる」」 「え……?」 「「迷惑なんてかけられてないよ。 先輩に何をされようが、言われようが関係ない」」 「二人とも……」 「前にね、うちらに彼氏いてさ……。 学年でめっちゃモテてたから、先輩が目つけてて。 もちろん、付き合ってるうちらに何も言うワケはなく、 私たちも舞ちゃんみたいに海馬先輩に色々言われて……。 別れるつもりなかったけど、 それを偶然見てたうちらの彼氏が 先輩に目、つけられたくないからって別れてね……。 うちらは完全に海馬先輩の思うツボだった」 瀬奈が窓の外を見ながら、 切なげに言った。 「だから、あの時久しぶりって……?」 「そう。おかげでクラスのみんなに嫌われて。 最悪だったよ。結局先輩は、付き合わないで 別れさせたかっただけらしくって…」 沙奈が拳をつくって、グッと力をいれる。 「沙奈……瀬奈……」 「「舞ちゃんには同じ道、たどってほしくない。 力になりたいんだよ!!」」 その言葉に、涙が溢れた。 嬉しくて、言葉にできない文字たちが 心の中で溶けていく。 「うっ……ありがどう……」 ただ、感謝の言葉だけしか思いつかなくて……。 私は床に膝をつき、溢れる涙を流した。 君を好きになる5秒前 続き10
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166: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 10 53 08 蓮くんと武塔先生がギャーギャー言っていると…。 「何抜けだしてるですか、武塔先生なのですよ」 なんと、花ちゃんが武塔先生を追っかけてきた。 あの小っちゃい花ちゃんが!! ムスッとした顔で武塔先生を見つめる。 「武塔先生、そんなに元気なら学校に戻って仕事なのですよ~」 そう言って、武塔先生の服の襟を掴んで 引きずりながら行ってしまった。 「花先生~~~」 悲しい叫びだけが響いた。 「やっとうるさいのがいなくなった」 「先生をそんな風に言っちゃ可愛そうだよ?」 「別に可哀想も思わないな」 「もー」 お互いに長いつきあいだから、 こういう口論にいたっては情がないのかな…? そうなると、武塔先生が可愛そうに思えてくる。 「おい」 「ん?」 「あした、お前の家に迎えにいく」 「本当!? ありがとう!!」 「寝坊したら、俺専用パシリな」 「だいじょーぶ!!絶対ない!!」 「待ち合わせ時間は10時だ。 9時には迎えに行くから、待ってろよ?」 「うん! あ、家についたよ!」 「ここがお前の…」 「小っさいけどね~」 「いや、結構でかいんじゃねーかな」 「そんなことないよ。じゃ、また明日! 送ってくれてありがとう!」 「あぁ、じゃあな」 スタスタ… 私は蓮くんの姿が見えなくなるまで、 家の中には入らなかった。 蓮くんと明日、もっと距離が縮まりますように…。 170: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 13 04 04 ~翌日~ とうとうこの日がやってきた。 遊園地の日---。 蓮くんが迎えに来てくれるから、 道に迷う心配はない。 それに、少しでも一緒の時間を過ごせる。 お母さんは長期出張でいないし、 お父さんは海外でお仕事。 ほぼ一人暮らし感覚。 ピーンポーン… 蓮くんだ!! 「はーい」 ガチャ… 「迎えにきた」 「準備はできてるよっ!行こうか!」 戸締りをして、家を出た。 今日の天気は、晴天。 何をしても上手くいきそう。 「お前、俺だけ見てろよ」 「どうして?」 「どうしてもだ。 蒼太のこと見てたら、 パシリやらせるからな」 「何で半分脅しなの…」 「いじりがいがあって、楽しいから?」 「ドSだぁぁぁぁぁぁ」 「うるせぇ。…あれ、蔵間じゃねぇか?」 「え? どこどこ~?」 遊園地の入り口に、蔵間くんが立っている。 雰囲気が大人っぽくて気づかなかった。 「あ!! 蓮、舞ちゃん!!」 「蔵間くん、おはよう」 「おはよ!蓮とのデートはどうだった?」 「で、でーと!!??」 「おい、蔵間」 「はいはい、ごめんね~」 笑いながら私の頭を撫でる。 子供じゃないよ!! 「あ、みんなおはよう」 「蒼太くん、おはよう」 「舞ちゃん、おはよう」 「意外と早く来るんだな」 「蓮こそ、舞ちゃんのお迎えなんてずるいね~」 二人の間に火花が散っている。 蔵間くんはやれやれ…と肩を落とした。 「火花散らしてないで。時間なくなるよー?」 「チッ…。舞、最初は何に乗るんだ?」 「んー、そうだなー…」 「メリーゴーランドでもいいよ、俺は!」 さすが可愛さもある、蒼太くん。 女の子の好きな乗り物も乗れるなんて!! 「俺はお前が楽しんでくれんなら、乗ったって構わねぇ」 蓮くんの意外な発言に、驚いた。 「え、蓮くんいいの?」 「仕方なくだ。早くしろ」 「うん!」 そうして悩んだ結果、 私はジェットコースターに乗ることに。 二人ずつ座るから席をじゃんけんで決めることに。 私の隣は… 「舞ちゃん、よろしくね!」 蒼太くんになった。 蓮くんと一緒じゃなくて、ちょっと残念。 「うん、よろしく」 「何で男と座らなきゃなんねんだよ…」 不機嫌な蓮くんに蔵間くんが言う。 「それは俺もだよ。ま、お互いさまね」 ジェットコースターが動く。 「私、ジェットコースター大好きなんだ!!」 「そうなの? なら、気が合いそう!!」 蒼太くんが嬉しそうに言う。 ジェットコースターが徐々にてっぺんへ上がっていく。 そして---。 「きゃーーーーー!!」 思いっきり叫ぶ!! もう最ッッッッッッッ高!!! ~広場~ 「あぁ~、超楽しかった!!」 「うん、最高だった!!」 蒼太くんもすごく楽しそう。 でも、蔵間くんと蓮くんは違った。 「男の隣で何も楽しくねぇよ」 「蓮の隣は二度といやだね…」 二人に何があったかは、 分からないけれど楽しそうじゃないのは分かる。 171: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 14 07 52 ~メリーゴーランド~ 次はメリーゴーランド!! 私は馬車にのりたくてウキウキ!! 隣のお相手は蓮くん! 「ねぇ、何かあの人かっこよくない~?」 「いやだぁ~!めっちゃタイプ!」 まわりにいる女の子たちの黄色い声。 「ほら、早く乗れ」 「あ、うん!」 ガチャンッ! メルヘンチックな音楽をバックに、 私はお姫様気分を味わう。 その正面で、蓮くんはじっと見つめている。 「ふぅ~!超楽しい!!」 「お姫様気分か?」 「うん!お姫様!王子様がいないけどねー」 「いるじゃねぇか」 「え…んン!?」 それは突然のことだった---。 蓮くんが私の唇にキスをした…。 別に嫌じゃなかったけど、 告白もしていないのにされるのは嫌だった。 ドンッ! 私は抵抗して蓮くんを突き倒した。 「…っはぁ。何すんの、蓮くん!!」 「…ってぇ。キスに決まってんだろ」 「どうして…」 「俺が舞のこと、好きだから」 「え…」 「前にも言ったろ」 「でも、イキナリ…」 「じゃぁ、蒼太なら許したのかよ?」 「そ、そういうわけじゃ…」 「なら、何なんだ」 「それは…」 ガチャンッ! “お下りのお客様は、焦らずにお下りくださいませ” 「タイムオーバー」 スタスタ… 蓮くんは一人で先に降りてしまった。 私はちゃんと向き合って、 告白した後にキスをしたかった。 ちゃんとしたデートのときに、キスしたかった。 「ごめんね…蓮くん…」 蓮くんの背中につぶやいた。 172: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 14 17 37 ~観覧車~ 蒼太くんの希望で乗ることになった観覧車。 私はさっきのことで頭がいっぱい。 蓮くんは一人でどこかに行っちゃうし…。 「気にしないで、舞ちゃん」 蔵間くんが優しい言葉をかけてくれる。 「うん…」 「さ、舞ちゃん一緒にのろ?」 「そ、だね…」 蔵間くんは蓮くんを探しに行ってくるから、 観覧車には乗らない。 「じゃ、楽しんでね」 「うん。ごめんね、蔵間くん」 「蓮の勝手な行動だから、謝んなくていいよ」 「舞ちゃん、乗ろ?」 「うん」 私と蒼太くんに手を振ってから、 蔵間くんは遊園地の広場へと姿を消した。 173: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 15 05 53 ~観覧車の中~ しばらくの沈黙。 蒼太くんは心配そうに私を見る。 「蓮がそんなに気になる?」 「え…」 「舞ちゃんは分かりやすい」 「…うん」 「いきなりキスされて、 そのまま流されるような人はいないから 舞ちゃんは正しいと思うよ」 「…うん」 「でも、後悔してるんだ?」 「あのとき、受け入れればよかったのかな?」 「うーん…。無理やり受け入れるのはできないんじゃないかな」 「そうだよね…」 「せっかくの遊園地なのにね」 「…」 「俺が先に舞ちゃんとっても、 文句ないって態度かな蓮は…」 「っ…」 「泣いてもいいんだよ?」 「っ…ふっ…」 「俺、片思いじゃん。 舞ちゃんになら胸貸してあげるからさ」 「そ…たく…ん」 「俺ならこんな風に舞ちゃんを泣かせないから」 「うん…」 「考えといてね。俺が彼氏になることも」 「…う…ん…」 「あと10秒で下に着くね」 「やだ…。涙拭かないと…」 私が立って、カバンからティッシュを取ろうとしたとき…。 ガタンッ! 間違えて足を崩して、蒼太くんを押し倒してしまった。 「うわっ!」 ドンッ! チュッ その衝撃で蒼太くんにキスをしてしまった。 その瞬間、ドアが開き… 「お疲れさ…きゃっ!」 「舞ちゃん、蓮連れてきたよー…」 「っ!!!!!」 ドアを開けてくれる女の人が声をあげる。 蔵間くんは絶句。 蓮くんは私と蒼太くんの状況に驚いている。 ダッ--- 「蓮くん!!待って!!」 ダッ 私は蓮くんに誤解だと伝えるために、 走り出した。 174: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 15 25 40 「待って!!待ってよ!!蓮くん!!」 ガシッ 蓮くん腕を力いっぱいに掴む。 「あれは誤解なの!足を崩して…」 「俺には嫌だとか言っといて、 本命のやつには自分からすんのかよ…」 蓮くんが低い声で言う。 「え…?」 「最初っから蒼太が本命なら、 俺が来る意味も迎えに行った意味もなかっただろ」 冷たくて消えそうな声で私に言う。 それでも私は誤解を解こうとした。 「違うの!あれはね、私が間違って---」 「俺の気持ちを弄(もてあそ)んで、楽しかったか…?」 ズキンッ!! 心が張り裂けそうだった。 好きな人に、愛しい人につくり笑顔で言われるのは、 私にとって絶望のようなものであった。 「蓮…く…」 「もう近寄んな。顔も見たくねぇ」 ダッ… 蓮くんは低く、悲しい声で言って走り去った。 追うことができない私は一人、涙を流す。 待って…。待ってよ、蓮くん…。 お願いだから…私の話を聞いて…。 一人になった私をさらに悲しくさせるように、 空からは大粒の雨が降ってきた---。 175: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 15 44 59 ~蓮side~ 「もう近寄んな。顔も見たくねぇ」 俺は舞の話も聞かずに、 走り出してしまった…。 あの状況を見て、誤解だなんて思えねぇよ。 違うと思いたいけど、思えないんだ。 このままつらくなんのは耐えらんねぇから、 お前を突き放したんだ。 舞、どんな顔してただろ…。 でももう、そんなこと関係ねぇ。 俺はもう、アイツの顔は見たくないんだ。 早く俺の脳内から、存在を消すんだ。 遊園地に何を期待した? アイツに何を期待した? もしかしたら、フラれるってことも考えただろ? 分かってたけど、自信があった。 自信があったからなお、傷いたダメージは大きい。 もう、関わらないようにするんだ。 俺は不良。 女なんていらねぇだろ。 あんなやつ、早く忘れるんだ。 何度も自分に言い聞かせた。 俺の目が熱くなる。 大雨が頬を伝うように、 舞への思いも流されればいいのに。 雨の中、俺は走りつづけた---。 176: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 16 00 26 ~舞side(普通視点)~ 私は大雨の中、 傘もささずに歩いていた。 道行く人々に、哀れな目で見られた。 路地裏に座り込んで曇天の空を見上げた。 「バカだな…」 蓮くんにあんなこと言って、 蒼太くんとキスしてるってなったら 誤解も何も、信じらんないよね…。 蓮くんを傷つけたのは、私---。 一番つらかったのは、蓮くんだよね…? ごめんね。私が矛盾してるって言いたいんだよね? 分かったよ? もう顔を合わせたりしないよ。 近寄ったりしないよ。 「さようなら、私の好きな人…」 路地裏の黒猫につぶやいた。 177: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 17 25 06 ~翌日~ 「あ!!舞ちゃん!!」 教室に入ると、 蒼太くんが心配そうな顔で私に話しかけた。 「昨日、大丈夫だった?」 「ごめんね、なんかあんな感じになっちゃって…」 「やっぱり、蓮とは話せなかった?」 「うん…。話すら、聞いてもらえなかった。 でも、いいんだ。これが私の犯した罪だから…」 「舞ちゃん…」 「舞、何があったんだよ?」 康介が尋ねる。 鈴音も心配そうに見つめた。 「なんでもないよ」 「でも…」 「いいんだって。私が悪いんだし…」 ふと蓮くんの机を見る。 まだ学校には来ていない。 「舞、つらくなったら保健室に行きなよ?」 「ありがと」 つくり笑顔で鈴音に言う。 蓮くんには二度と振り向いてもらえない。 分かってても、涙がでてくる。 178: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 17 32 53 ガラッ 蓮くんが教室に入ってきた。 私は胸が熱くなって、 我慢できず教室を飛び出した。 蔵間くんは私を見た後に、蓮くんを見た。 「蓮…」 「……」 それだけが耳に残っていた。 ~保健室~ 保健室の先生に頼んで、 少しだけ休ませてもらうことにした。 「あなた、無理しすぎじゃない?」 保健室の女の先生が私に言った。 「ちょっと疲れてるだけですよ。 寝ればすぐに治ります…」 「そう? 相談なら先生に何でも言ってね」 先生は職員室に戻って用事を済ませてくるらしい。 また一人になった…。 「どうして、こんなに苦しいの…?」 蓮くんへの伝えきれなかった思いが溢れ出す。 ガラッ ふいに保健室のドアが開いた音---。 私は急いでかけ布団をかぶった。 180: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 17 48 04 「舞ちゃん?」 声の主は、蔵間くんだ。 「蔵間くん?」 私は飛び起きて、蔵間くんの姿を探す。 「いたー!」 「蔵間くん…」 「よかった。 昨日の話、蓮に無理やり吐かせた」 「え…」 「舞ちゃんは悪くないよ」 「っ……」 「蓮が怖がってるんだ。 自分に自信がなくなってね」 「もう関わらないよ」 「え?」 「蓮くんに顔も見たくないっていわれたから」 「うーん…」 「私ね、海外に行こうと思ってるの」 「えっ…」 「お父さんが海外にいるんだけどね、 一緒に住まないかって連絡あってさ…」 蔵間くんは私のことを切ない目で見る。 「そんな悲しい目で見ないでよ。 そうすればさ、蓮とは関わりもなくなるし…。 昨日の事でこうなったわけじゃなくて、 私が前から悩んでたことだから」 本当は全部ウソ。 お父さんにはこっちでガンバレって言われてる。 前から悩んでなんてない。 私自身が蓮くんを苦しめる存在なら、 相手がいなくなるより自分から 身を引いた方がいいと思ったから。 そうすれば、顔もあわせなくていいし近寄ることもない。 私は自分の本当の気持ちを押し殺した---。 182: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 17 55 45 「それが、舞ちゃんの本心?」 私は少し考えて首を縦に振った。 「そっか…。蓮にはこのこと…」 「言っても蓮くんには関係ないから、 判断は蔵間くんに任せるよ」 つくり笑顔…。 やだ、私…ちゃんと笑えてるのかな… 蔵間くんが何かを言いかけたけど、 分かったと言って保健室を去った。 183: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 18 06 38 ~蓮side~ 俺はまだ、舞のことが忘れられずにいる。 あの日の夜、どうしても離れなかったあの光景。 思い出したくない嫌な記憶。 「クソッ!!」 ガンッ!! 「蓮、ものに当たるなよ」 「分かってるよ」 蔵間に何が起きたかを、すべて話した。 舞の話を聞かなかったことと、 無理やりキスしたことを説教された。 俺だって…悪いと思ってたんだ。 「蓮…」 蔵間が教室に戻ってきた。 「本当に舞ちゃんとは縁を切ったんだね?」 「……あぁ」 「本当に?」 「いいんだよ、もう」 「…分かった。じゃあ何も言わないよ」 「…」 蔵間は何か言うことあったのか? 聞きたかったけど、聞けなかった。 舞に昨日、本当は何があったか聞きたい。 だけど、あんなこと言っておいてそれはないよな。 寂しい気持ちと愛しい気持ちを押し殺した。 なぁ、舞…。 もう一度、お前と話したいって言ったらお前は何て言う? 教室のドアを見て、舞が戻ってこないか見つめる。 186: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 15 03 32 ~舞side(普通視点)~ 私は蔵間くんが去った後、 いつの間にか寝てしまった。 誰か来てくれたのだろうか、 私のカバンが置いてある。 あれ…? 何でカバンが…? もしかして、もう放課後!? ガバッ 急いで体をおこし、時計を見てみると… “16時” 嘘でしょ…。 完璧に授業でてないじゃん! 後で鈴音にノート見せてもらおっと。 服装の乱れを直し、カバンをしょって保健室を出る。 「爆睡だったんだね?」 蒼太くんの声だ。 でも、その姿が見当たらない。 「蒼太くん? どこにいるの?」 「下、下~」 「した?」 言われたとおりに下を見ると、 蒼太くんが保健室の入り口の、 ドアの前でしゃがんでいた。 「わっ」 「驚いた~?」 ニッと笑って見せる蒼太くん。 もしかして、私が出てくるのをずっと待って…。 「待っててくれたの?」 「部活帰りにちょっと休憩してただけ」 蒼太くんの優しさが胸いっぱいに広がる。 「ありがとう」 ちょっとおかしくって笑っちゃった。 「何で笑うんだよ~」 「なんか、可愛くって」 「可愛いくて悪かったねー」 私を元気づけてくれてる。 本当に蒼太くんには感謝しなきゃな。 「よかったら、一緒に帰らない?」 「え、俺といいの?」 「蒼太くん、待っててくれたんでしょ?」 「あー…バレちゃってた?」 彼は恥ずかしそうに言う。 「じゃ、行こうっか」 「うん!舞ちゃん、転ばないようにね」 「わ、私そんなドジじゃないもん!」 こういうやりとりをしてると、 思い出してしまう。 愛しいあの人との会話。 忘れたくても、脳が消去してくれない。 蒼太くんに言わなきゃいけないよね。 私の本当の思いを。 言わなかったら蒼太くんの心を弄んでることになる。 冷えた風が吹き抜ける廊下に、 一つ、愛しい人の影---。 187: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 15 11 18 「っ!!!」 私は硬直した。 正面から蓮くんが歩いてくる。 「舞ちゃん、どうしたの? ……蓮…」 かすかに手の震え。 心が張り裂けそう。 彼との距離が縮まっていく。 私の心拍数は、尋常じゃないくらいスピードをあげた。 ふと、昨日の光景が脳裏をよぎる。 “もう顔も見たくねぇ” すべてを絶望に染め上げたあの一言。 でも、私は伝えなきゃいけない。 もう海外に行くことは決めた。 最後に、誤解だけは解いておきたい。 気づいたら蓮くんの手を握ってた。 188: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 15 31 45 「……何だよ」 蓮くんが低い声で威嚇する。 私はそんなことで引いてはいけないと思った。 「誤解だけ、解いておきたいと思ったの」 真剣な顔で蓮くんを見つめる。 でも、彼はこっちを向いてくれない。 「俺がお前に話すことはねぇ」 「せめて、私の話を聞いて」 「嘘じゃねぇのか?」 「え…?」 「昨日、俺のこと突き飛ばしたくせに 蒼太だったらいいってことだよな?」 「それは違う」 「何が違うんだよ。信じろってのか?」 「うん」 「今更…天然にもほどがあるぜ」 「蓮くんに会ったり、 話しかけるのはこれで最後にする」 「……は?」 「だったら、別に文句ないでしょ?」 「なら、一刻も早く消えてくれ」 ズキンッ! 「蓮!!そういう言い方は最低だぞ!!」 「本当のことだ。 俺はお前に話なんかないし、 聞くこともまったくないんだよ」 「蓮!!」 「分かったか、天然女」 「……もう、いい…。 明日から会うこともないし、話すこともない。 今までありがとう…」 「あぁ、じゃあな」 「さよなら…元気でね」 ダッ!! 「あ、舞ちゃん!!」 「……」 「蓮!!お前、好きなんじゃなかったのかよ!!」 「このままこういう関係だったら、 アイツを苦しめるだけだ」 「だからって、もっと違うやり方があったんじゃないのか!?」 「あるわけねぇだろ。昨日、あんなっこと言っといてよォ…」 私は一人、学校を飛び出して家に向かった。 心がバラバラで修復不可能になりそうで、怖かった。 明日、私は海外へ旅立つ。 二度と見れなくなる蓮くんの顔…。 未練はもうない。 あそこまで言われたら、さすがの私も言い残すことはない。 君を好きになる5秒前 続き6
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第5話 何故私を好きになったんですか? 539 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/28(火) 04 42 06.64 ID zrUDy6jM0 [25/75] 第5話 何故私を好きになったんですか? ジュゼッピーナ「前回までのあらすじ!」 ハルカ「『どれだけ離れてても……私は武子の親友だから……絶対、忘れないから』 そんな智子の言葉に励まされ、私は笑顔で彼女を送り出した。 4ヶ月くらい、あっという間だと彼女に言って。 しかし――― 最初の内は毎日智子からあった連絡が、少しずつ減り始める。 だんだんと手紙の文面が素っ気ないものになっていき、送られてくるスナップ写真には黒髪の扶桑ウィッチと褐色の肌のロマーニャウィッチの影がちらつき始める……。 それを見る度、私は胸のざわつきを気のせいだと言い聞かせて……。 早く、スオムス派遣が終わって智子が帰ってくればいいのに、と願うのだった……」 俺「そして先日送られてきたスナップ写真は……」 ハルカ・ジュゼッピーナ「「NTR! NTR!」」 智子「アンタ達のせいで武子とどんな顔して会ったらいいか分からないじゃない!! どうしてくれるのよ!?」 540 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/28(火) 04 48 28.38 ID zrUDy6jM0 [26/75] ―1940年 3月 スオムス カウハバ基地 食糧庫 智子「ハァ……ハァ……ここまで来ればもう大丈夫よね?」 ドサッ 智子「ハァ……まったくあの娘達はいつもいつも……」 俺「ジュゼッピーナ准尉とハルカのことか?」 智子「ええ。今日は休日だから一日中そのぅ……せっ…じ、じゃれ合いをするって言って追いかけてくるのよ……」 俺「昨晩もお盛んだったのにか?」 智子「さすがに昼も夜もヤッてたら体が壊れちゃうってきゃああああああああああああああああああああ!!」 俺「うおっビックリした」 智子「い、いつの間にそこにいたのよ!?」ドキドキ 俺「君がここに入ってすぐくらいかな」 智子「なんでこんな場所に?」 俺「それは君がいるからだよ」 智子「何故ここが分かったのか……っていうのは聞かないわ……なんか怖いもの」 俺「俺は君のことだったら何でも知ってるよフヒヒ」 541 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/28(火) 04 54 16.57 ID zrUDy6jM0 [27/75] 智子「で? 何の用なんですか、俺さん?」 俺「うん、今日は休日だろう。何か予定は入っているか、アナルワイプさん?」 智子「予定はまぁ……淫獣2匹の魔の手から逃れるくらいでしょうか」 俺「ふむ、それならちょうどいいな。今日は俺とデートに行こう、アナルワイプさん」 智子「うえぇ……」 俺「心底嫌そうな顔をありがとう。でも、このまま基地にいてもあの二人に襲われるだけじゃないか?」 智子「うっ……確かに……」 俺「俺といっしょに出かければ、俺は君とデート出来てうれしい、君は今日一日を平穏に過ごせる。どっちにとっても得をする計画じゃないか」 智子「いやむしろアンタといっしょにいる過ごすことが私にとっての平穏じゃないから……」ブツブツ 俺「ハッキネン少佐に車を借りてきたんだ。せっかくスオムスに来たんだから、キレイな湖でも見に行こうぜ」ニッ 智子「………ハァ、まぁ腰を痛めて明日動けなくなるよりはマシね」 542 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/28(火) 05 00 46.02 ID zrUDy6jM0 [28/75] 俺「おっ着いたな」 キキィィィ ガチャッ 智子「うわぁ……キレイ……」 俺「おお……ハッキネン少佐から話には聞いていたけどここまでとはな……」 智子「森と湖の国と言われるだけありますね」 俺「ああ。森と湖のコントラストがこんなに見事だとは思わなかった」 智子「ちょっと近づいてみましょうか」 俺「うん、そうしようか」 智子「ひゃっ冷たいっ」チャプッ 俺「ハハハッそりゃそうだって」 智子「近くで見てもキレイねぇ。この時代にこんなに澄んだ水の湖がまだあるなんて」 俺「周りには森しか無いから静かだしな。ハッキネン少佐が言っていたようにここは本当に穴場だな」 智子「ウフフ春になったらこのキレイな水の中をたくさんの魚が泳いでいるのかしら」ニコッ 俺「」ドキッ 543 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/28(火) 05 06 51.00 ID zrUDy6jM0 [29/75] 智子「あっ一匹だけいた。かわいい♪」ニコニコ 俺「………」ドキドキ 智子「むっ……さっきから私の顔ばっかり見てますけど、また変なことを考えているんじゃないでしょうね」ジトーッ 俺「い、いやっ変なことなんてこれっぽっちも考えてないよ! うん!」アタフタ 智子「? 俺さんが慌てるなんて珍しいですね」 俺「ち、ちょっと風邪気味でな!」 智子「風邪どころかいつもより元気なような……」 俺「おっあそこに何かあるぞっ言ってみようぜ!!」ダッ 智子「あっちょっ待ってくださいよ!」 コポコポコポ 俺「ほい、できたぞ」 智子「ありがとうございます。いただきます」 ズズッ 智子「あれっこれ、麦茶ですか?」 俺「うん。こっちだと茶葉が手に入りにくいからね」 544 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/28(火) 05 13 29.19 ID zrUDy6jM0 [30/75] 智子「麦茶はいつも夏に冷やして飲んでたから、温かいまま飲むのは新鮮だわ」 俺「冬に飲むっていうのも乙なもんだろ?」 智子「ええ。懐かしい味がしておいしいわ」 ズズッ 俺「ふぅ……キレイな景色を眺めながら飲むお茶はうまいなぁ」 智子「………」ジーッ 俺「ん? どうした、神妙な顔して」 智子「いや、俺さんってあ……お、お尻以外の事にも興味あったんだなって思って……」 俺「それは失礼なことを言うなぁ。俺だって人間だぞ? そりゃこの世でアナルよりも美しいものは無いと思っているけど、他のキレイなものに心奪われたりするさ」 智子「てっきり人外か何かかと……」 俺「さ、さすがにそれはひどくないか? 俺だってキレイな景色を楽しんだり、うまい茶に舌鼓を打ったりするんだぞ?」 智子「………」 俺「な、何だよその府に落ちないっていう顔は……」 927 自分返信:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 04 42 02.98 ID WUiO3vFU0 [28/37] 俺「さて、そろそろ帰るか」 智子「そうですね……って何か雲行き怪しくないですか?」 俺「ふむ、今日は晴れると聞いたんだが……」 智子「けっこう大雪になりそうな雰囲気が……」 俺「えっとこの近くの観測所はっと……よし、ここだな。アナルワイプさん、吹雪いてきたら大変だからこっちの方を通って帰るぞ」 智子「えっ……つまり、吹雪いたら……」 俺「観測所で一泊するしかねぇな」 智子「俺さんと二人でですか……?」 俺「そりゃあもちろん」 智子「いやあああああああああ神様お願いこのまま無事に帰らせてえええええええええええ!!」 928 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 04 48 43.04 ID WUiO3vFU0 [29/37] ビュウウウウウウウウウウ ガタガタガタガタ 俺「いやー壮絶に吹雪いちゃったなー」 智子「神様のバカ……」ブツブツ 俺「そっちの方は冷えないか、アナルワイプさん?」 智子「おかげさまで心以外はあったかいですよ」ムスッ 俺「そんなに不機嫌にならないでくれよ。俺が吹雪かせてるわけじゃないんだからさ……。まぁ俺が誘わなかったらこんなことにはならなかったかもしれないけどさ……」 智子「…………ハァ……今はこの状況を受け入れるしかないですね。変なことしたらこの備前長船の錆にしますからね?」ギロッ 俺「お、おう」 俺「それでな、北郷が交渉してくるって言ったら、新人達が必死で止めてな……」 智子「アハハッ私といっしょのこと考えちゃったのねぇ」 俺「北郷は別に怖い見た目じゃないと思うんだがなぁ」 智子「軍神の名前はあまりにも有名ですから、どうしても物騒な想像しか……」 俺「ハハッまぁ気持ちも分からんでもないな……っともうこんな時間か。そろそろ寝るか」 智子「そうですね。もう一度言いますけど、へ、変なことはしないでくださいね?」 929 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 04 54 17.64 ID WUiO3vFU0 [30/37] 俺「大丈夫大丈夫。俺はアナル以外の君の体には興味ないよ」 智子「むぅ……それはそれでむかつくわね……」ブツブツ 俺「おやすみ、アナルワイプさん」 智子「…………ねぇ」 俺「ん?」 智子「俺さんは……何故私を好きになったんですか?」 俺「ふむ」 智子「や、やっぱり私のお尻に……」モジモジ 俺「確かに君の尻は今まで見てきた中でもトップクラスの美しさだ」 智子「ま、またそんな恥ずかしいことをサラリと……」モジモジ 俺「でもな、俺はこの世の全てのアナルを愛している、特定のアナルだけ愛でるなんてありえないよ」 智子「それなら何故……」 俺「そうだなぁ……強いて言うなら、君をからかうと面白いからかな」 智子「は?」 930 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 05 00 14.54 ID WUiO3vFU0 [31/37] 俺「君と初めて会った日の夜、ちょっと二人で話しただろ? その時に思ったんだ。この娘からかうと楽しいなって。それ以来君のことが気になって仕方なくなってな」 智子「わ、私はそんな理由でアンタみたいな変態に付き纏われてるの……?」ワナワナ 俺「そんな理由とは失礼な」 智子「…………ハァ、もう馬鹿らしくなっちゃいました……もう寝ますね」 俺「その人といっしょにいると楽しい。だからその人といっしょにいたいと思う。それを恋って言うんじゃないのか?」 智子「……やっぱりアンタは何も分かってないのね。俺さんは私といっしょにいて、胸がドキドキすることがあるかしら?」 俺「無いな」 智子「そう。それならもういいわ。おやすみなさい」 俺「………」 智子「………スゥ…」 俺「俺は君と話しているとすごく楽しい。ただそれだけだ」 智子「」スゥスゥ 932 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 05 06 54.78 ID WUiO3vFU0 [32/37] 俺「君といっしょにいてドキドキすることは無いよ」 智子「………んん……」スゥスゥ 俺「ここに来るまではそう思ってたんだがなぁ……ハハッ……」ナデ 智子「」スゥスゥ 俺「このままだと変なことをしてしまいそうだからもう寝ようかな。おやすみ、アナルワイプさん」 智子「………んっハルカそこはダメ……ムニャムニャ」スゥスゥ チュンチュン 智子「……んん……もう朝か……」モゾッ ザクッザクッ 智子「良かった、吹雪は収まったみたいね」 ザクッザクッ 智子「……ってさっきから何の音よ、この雪を掘るような音は……」 ザクッザクッ 935 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 05 12 15.91 ID WUiO3vFU0 [33/37] 智子「俺さんがいないっていうことは……俺さ~ん外で何してるんですか~……って」 俺「フンッフンッ!!」ズッポシズッポシ 智子「本気で何してるんですか」 俺「うおわぁ!? 起きたなら言ってくれよっ!!」ビクッ 智子「その雪の塊……お尻を象っているんですか?」 俺「い、いや、久しぶりにムラッとしたから雪尻で息子を慰めようとしていた……って言わせんな恥ずかしい///」 智子「私も聞きたくなんてありませんでしたよ……」 俺「ああ……今更ながら自己嫌悪ががが仮にもアナルを象った物を自分の汚らしい肉棒で汚してしまうなんてああああああ俺はなんと愚かなんだあああああああああああ」ヌオオオオオ 智子「………」 俺「ちくしょうイく前に賢者モードに陥るとはちくしょう」ズーン 智子「………それ終わったらとっとと帰りましょうね、俺中佐」プイッ 俺「アナルワイプさん……」 936 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 05 18 08.61 ID WUiO3vFU0 [34/37] ブロロロロロロ 俺「………」 智子「………」ムスッ 俺「あのさ、アナルワイプさん?」 智子「何ですか?」ムスーッ 俺「えっと……その……何で不機嫌なのかなーって……」 智子「別に不機嫌じゃありませんよ」ムスッ 俺「どう見たって不機嫌じゃないか……」ポリポリ 智子「俺中佐なんてもう知りません」プイッ 俺「やっぱり昨晩話したことのせいで……」 智子「…………もう一度聞きます。俺さんは私のことが好きなんですよね? それはどうしてですか?」 俺「それは昨晩言ったように君をからかうと面白いからで……」 智子「それだけ?」ギロッ 俺「ええっ!? えっと……その……君の尻はとてもキレイだから……それは素晴らしいなと……」 智子「ダメ。20点」 937 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 05 24 35.56 ID WUiO3vFU0 [35/37] 俺「そんな……えっと……俺は君の尻に魅了されてメロメロだ! ………これでいい?」 智子「………………ハァ…まぁ今日の所はそれで勘弁してあげます」 俺「何でそんなにムキになるんだよ……」 智子「俺さんはたまにはお尻だけでなくて女心についても勉強してください」 俺「お、俺からアナルを取ったら何が残るんだよ……」 智子「さあ? もしかすると素敵な男性になるかもしれないわよ?」フフッ 938 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 05 30 04.47 ID WUiO3vFU0 [36/37] 俺「まあ何にせよ機嫌が直ってくれて良かった」 智子「ん~今日もいい天気ね~」ノビー 俺「アナルワイプさん」 智子「はい?」 俺「また誘ってもいいかな?」 智子「そうねー機嫌がいい時だったら付き合ってあげるわ」 俺「今みたいに?」 智子「そうね」 俺「そうか。じゃあ次は君のお尻の素晴らしさについて400字以内の作文を……」ブツブツ 智子「次は採点がもっと厳しくなるから覚悟しなさいよね♪」ニコッ 939 自分:アナルワイプさん恋をする[sage] 投稿日:2012/02/29(水) 05 36 45.69 ID WUiO3vFU0 [37/37] 次回予告 ハルカ「人型ネウロイか……やっぱりネウロイという存在は人知を超越しているんですね」 俺「このままそっち方面の技術が発展していったらその内人間と瓜二つのネウロイが出てくるかもな」 ハルカ「そうかもですねぇ」 俺「もしさ、そいつが撃墜されて道端に落っこちてたらどうする?」 ハルカ「え? もちろん犯しますよ?」 俺「お、おう……」 次回「アナルワイプさん恋をする」第6話 強くなる敵、強くなる意思
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227: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 12 15 07 武塔先生が、 それぞれに部屋の鍵を渡す。 「みんな、なくさないように! 今からちょっと自由行動だ」 「そういえばよ、伊玖と蒼太の姿がないんだが…」 康介がキョロキョロする。 「さっき車の中にはいたよね?」 鈴音も心配そうに辺りを見渡す。 「伊玖と蒼太は部屋で休憩してる。 昨日の部活の疲れがまだ、完全にとれてないらしくて。 さっきも二人だけは寝てただろ?」 武塔先生は感心しながら言う。 「せっかくの自由行動、もったいないね」 「舞みたいに何でもかんでも楽しく思えねぇよ」 「その言い方、頭にくるよ蓮くん」 「俺はお前の大バカっぽさにイライラする」 ムッ……。 「はいはい、喧嘩しなーい」 苦笑いしながら止めた蔵間くん。 「んじゃ、12時にはここに戻ってきてくれ」 「「はーい」」 私は蓮くん&蔵間くんと一緒。 鈴音と康介は、ラブラブだからついていかない。 228: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 13 24 56 「ねぇ、ここって田舎?」 じゃり道を歩きながら、 蓮くんと蔵間くんに尋ねる。 「うん、田舎~」 蔵間くんは優雅に、田んぼとか写メってる。 蓮くんにたまに「これ、綺麗じゃね?」って自慢している。 「お前、今度からここに住めば?」 「いやだよ!!蓮くんに会えないじゃん!!」 「っ……!!!」 「あーらら。冗談を仇で返されちゃったね~」 蓮くんが顔を真っ赤にしている。 私、変なこと言ってないと思うんだけど…。 「さすが舞ちゃん。凶器の天然、発揮したね~」 蔵間くんがニッと笑った。 何がいけなかったのかな…?? 229: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 13 37 27 歩いてる途中、 広い川があったのでそこで休憩。 そこで蔵間くんに疑問をぶつけた。 「ねぇ、蔵間くん」 「ん~?」 「何で彼女さんいないの?」 「は…え、舞ちゃん?」 「ずーっと疑問に思ってたの!」 「うーん…」 「俺も聞いてなかったな」 「げ…。何で蓮まで…」 「いいだろ。早く言え」 「はいはい。んーとね、簡単に言うといらないんだ」 「いらない?」 「そうそう。そういうの、まだ考えてないしさ」 「蔵間くんて、女の子みたいなこと言うね」 「そうかな? ま、これが理由だから」 「今もつくる気はないの?」 「んー…少しくらいならある…かなぁー?」 「ふーん…」 「もう質問終わり?」 「え? あぁ、うん」 「じゃ俺、あっちの下流に行って写メってくるね~」 タタタタ… 「あいつ、大人だよな」 「うん…」 「でもよ、意外と甘えたがりなんだぜ、あいつ」 「そうなの!?」 「あぁ。ずっと一緒にいりゃ分かるぜ?」 「そっか。蔵間くんにいい人、できればいいね」 「そうだな。お前みたいにバカだったら、手に負えねーけどな」 「何でもかんでもバカって言ったら、バチ当たるよ?」 「へぇー、そりゃ大歓迎だな」 逆効果だった…? 232: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 15 39 46 今、気づいた。 私、蓮くんと二人きりじゃん。 そう思ったら、急に緊張してきた。 「舞…」 「ひゃい!?」 「何変な声出してんだよ」 「ご、ごめん」 「俺に惚れ直した?」 彼はニッと笑ってみせる。 「ううん」 「即答かよ…」 そんな彼が可愛くって、笑っちゃう。 「何笑ってんだよ…」 「可愛くて」 「自分が?」 「蓮くんが」 「好きな奴に可愛いって言われてもな…」 「ねぇ、蓮くんはさ…」 「あン?」 「私のどんなとこに惚れたの?」 「ブッ!!なっ、おまっ!! いっきなり何てこと聞いてんだよ、バカ!!」 「だって、何か聞きたくなったんだもん」 「は、はぁ? お前、頭大丈夫か?」 「大丈夫だよっ!!」 「俺にはそうは見えねぇ…」 「だから!!せっかく二人きりになれたんだし、 その…こういうこと言っても…いいんじゃないかなって…」 「っ…。そーだな…。 そこまで言うなら、言ってやるよ」 「本当!?」 「でも、あっち向け!!」 「えっ!? 何でっ!?」 「恥ずかしいんだよ…。真っ正面は…」 蓮くんが真っ赤になってる。 そんな彼がたまらなく愛しくなる。 「分かった」 私はくるりと後ろを向き、 蓮くんに背を向くかたちになった。 「はい、いいよ。言って?」 「っ…あぁ…。 俺がお前に惚れたのは、性格だ」 「性格?」 「あぁ。 初めて会ったとき、 お前はこの俺をけむたがらなかった」 「あぁ、あの時…」 「それに、まっすぐな眼差しで俺を見ていた。 俺はあのとき、女のお前に疑問を抱いた。 何で不良を怖がらないんだ?って。 どうして怖いところに一人で来たんだ?ってな。 でも、お前と関わって分かった。 性格が優しくて、友達思いで、いつでも笑顔にしてくれるやつだから あの時も、まっすぐに俺を見てくれたんだって。 ま、惚れたところはもっとあっけどよ」 私の体温が、どんどん上がってく。 この感じは…何だろう…? 233: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 16 03 17 私は自分の気持ちに素直になろうと思った。 蓮くんがこんなに私を求めてくれるなら、 私も我慢せずに求めよう。 私は向きをかえて、蓮くんの真っ正面に座った。 「なっ、おまっ、こっち向くなって…」 ギュッ 「蓮くん、大好きだよ…」 私は力いっぱいに、蓮くんを抱きしめた。 「なっ…!?」 「本当に愛しく思うの。 いつでも蓮くんが大好きだよ…」 「っ…俺も…お前のことが好きだ」 「ふふっ…。ありがとう」 「そういう笑顔、俺だけにしとけ」 「うん!愛してるよ、蓮くん」 「…呼び捨て」 「え…?」 「呼び捨てにしろ」 「あ…」 「恋人同士、呼び捨てするだろ?」 「ふふっ。そうだね、蓮」 「あぁ。俺も愛してる…舞」 チュッ 私たちは幸せな時間を過ごした。 誰にも邪魔されない、愛しい時間。 あなただけを感じていたい。 心からそう思ったのは、蓮だけだよ? 234: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 16 56 21 しばらくして蔵間くんが戻ってきた。 「ごめん、ごめん!ちょっと珍しい魚がいて」 「大丈夫だよッ」 「ごめんね~。…あれ? 何かいいことあった??」 「何もねぇよ」 「そう? あ、じゃホテルに戻ろっか!」 「うん!行こう、蓮」 「あぁ」 「あれ~? ラブラブ~」 「羨ましいか?」 「はいはい、どーせ俺はフリーですよーだ」 蓮と私は、手をつないで歩いた。 もう人前だからとか、関係ない。 好きだって気持ちがあれば、何でもできるよ。 ありがとう、蓮。 あなたが教えてくれたコト---。 235: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 18 17 23 ホテルに戻ると、 もうみんな集まっていた。 「ちょっとー!!5分も遅刻!!分かってんの!?」 武塔先生がキレた。 「分かってまーす。わざと遅れましたー」 「キサマーーーー!!」 シャーーっと猫のように襲いかかる先生。 あっけなく花先生に回収される。 「生徒に暴力はダメなのですよ~?」 「シャーーーっ!!」 キバを立てる武塔先生。 蓮は、どや顔で仁王立ちしている。 さすが蓮…。 相変わらず、向かうところ敵なしだね。 「んで? どこ行くんだよ?」 「とりあえず、観光?」 武塔先生の機嫌がなおった。 「あ、伊玖と蒼太くん! 体調はどう?」 「大丈夫。ありがと、舞」 「俺も大丈夫だよ。ありがと」 「そっか、良かったー」 割り込んで話したせいで、 武塔先生の機嫌が、また悪くなった。 「もー行くぞ!!おいてくぞ!!」 「先生、自己チューなのですよ~」 「グサッ!!」 「生徒を気遣うのが、教師たるものなのですよ~」 「……ごべんなだい(ごめんなさい)」 「みんな、私が先頭を行くので、ついてくるなのですよ~?」 「「はぁ~い」」 花先生の言うことだけは、 素直にきいた蓮だった。 236: 名前:雷蓮☆2011/08/04(木) 08 06 25 まずは、車でお土産やに行く。 「は~い。ではここで、お土産を買うなのですよ~」 みんなそれぞれ、お目当てのものをカゴに入れていく。 「蓮、なんかお揃いの買わない?」 カレカノだし、お揃いのもの持ってて当たり前だよね。 「あぁ、そうだな。何がいいんだ?」 「んー…。このペアリングは?」 「いいぞ」 「じゃあ、これね。水色でいい?」 「あぁ。いつもこれ、つけて学校来いよ?」 「ふふっ。うん!」 二人でお揃いのもの。 恋人同士だってすぐに分かるペアリング。 同じものを持っているってだけで、舞い上がってしまう。 蓮は今、何を想っているのかな…? 私と同じ気持ちなのかな…? 245: 名前:雷蓮☆2011/08/04(木) 17 31 19 車に乗ろうとしたとき、 伊玖が声をかけてきた。 「舞」 「ん? あ、伊玖じゃん。どしたの?」 「蓮とつきあってるって本当?」 「うん」 「俺に何で言ってくれなかったの」 「え…。だって、そんなの報告しなくても…」 「っ…。ごめん、やっぱいい」 「え、あ…」 タタタ… 伊玖が何か言いたそうにしていた。 私は伊玖があんな寂しそうな顔したのを初めてみた。 ~車~ 「次はどこ行くの~?」 蒼太くんがウキウキしながら聞く。 「ホテルにバックなのですよー」 「えぇっ!? もう戻んの!!?」 「はいー。何かご不満がお有りで~?」 「あ、いえ…」 花先生は、可愛いのに隠れた怖さを持っている。 それが彼女の唯一の凶器(?) 合コンしてた中に花先生が嫌いなタイプが一人いて、 そいつに話しかけられたとき超怖い顔してたって噂がある。 246: 名前:雷蓮☆2011/08/04(木) 18 20 14 ~蓮side~ 「おい、舞」 車の中。 うとうと眠気に誘われていた舞は、 俺の声で少しだけ目を開けた。 みんなは疲れたのか、爆睡している。 みんな寝ているせいで、 舞が横に寝れないからつらそうだと思ったから 俺は舞に声をかけた。 「ん…んー…。…ふぁ~…。なぁにぃ?」 「横に倒れるスペースないから、ヒドそうだと思ってよ」 「ん? あー…だいじょぶやよぉー…んー…」 「眠いか?」 「うーん…。んー…眠いぃー…」 舞は目をこすって必死に俺と話している。 可愛いな…こいつ…。 「俺の膝(ひざ)、かす」 「いいのぉ…?」 「あぁ。遠慮すんな」 「そぉ? じゃぁー…ごみんにぃ~…」 「あぁ」 「おやしゅみ、れ…ん…」 「おやすみ」 「あ…」 「どうした?」 「忘れもにょ…」 チュッ 「っ!!!!!?」 俺は突然の出来事に絶句。 これはどうリアクションするべきなんだ…。 忘れ物と言って、舞が俺にしたのはキス…。 新婚夫婦みてぇになってる!! こいつがこんなにも積極的だったとは…。 天然のクセして、いざとなってやることは一人前だな…。 258: 名前:雷蓮☆2011/08/05(金) 16 21 05 仮眠をとって1時間くらい…。 「おーい、お前ら起きろー」 武塔が、運転席から顔をだす。 「んー…スー…スー…」 舞はまだ、夢の中。そして俺の膝の上。 「あれっ? 蓮、舞ちゃんとラブいねぇ~」 蔵間がニヤニヤしながら、舞を見た。 「うっせぇよ」 「また~!照れちゃって、かわうぃ~い~」 康介もニヤニヤしながら言う。 こいつだけ、何かウゼェ…。 「おい、康介。 今は身動きとれないから反撃はできないが、 後で思う存分楽しませてやるから覚悟しろよ?」 俺は裏の笑顔でにっこり笑う。 康介の顔中から、変な汗が溢れ出ている。 さまーみろ。 「蓮くん、それじゃあ康介が可愛そうよ」 珍しく鈴音が康介をかばった。 ま、カップルだから当たり前か。 「もっと痛みを与えなきゃ、彼は喜ばないわ」 ------…前言撤回。 こいつは俺よりヒドいドS…いや、 サディストだったのを忘れていた。 「もぉ康介ったら、我慢やさんなんだからぁ」 ピュアな笑顔で、恐ろしいことをさらりと言う彼女。 学校では「毒舌サディスト女王」の名で知られている。 女子からは普通に人気なのだが、 男子は数多くの奴等から、要注意人物とされている。 「り、鈴音ー? そこは俺をフォローするところだろー…?」 「…フォロー…?」 鈴音の表情が急に曇った。 彼女のオーラは、どす黒く変わった。 「康介…。 人にものごとを頼むときは、 特に彼女という特別な存在ならなおさら、 手の甲に誓いと忠実を表す、くちづけをして跪(ひざまず)くのが 一般的なやりかたよ!!!」 いったいどこの国の頼み方だよっ! それはサディスト国とマゾヒスト国の間でのやりかただろーが!!! 「鈴音って、こんなんだったっけ?」 蔵間が震えながら俺に尋ねる。 「…知らねーよ、俺は…」 伊玖と蒼太も、かなり驚いている。 いや、ドン引きか…。 康介も、よく付き合ってられるよな…。 もう別れ話が出るんじゃ--- 「鈴音…」 チュッ なっ!!? 康介が嫌な顔せずに、鈴音の手の甲にキスをして跪く。 こいつは…本物の大バカなのか!? 鈴音は急に顔を赤らめて、康介に抱きつく。 「っばかぁ…」 …こんだけラブラブなのか、こいつらは。 俺らのいないときは、もっとイチャついてんのか…。 悪ィけど、こいつらにはマジでついてけねぇ…。 ふと運転席から震える声が聞こえる。 案の定、武塔だった---。 「ふ、ふ、不埒者ぉ~…」 顔を真っ赤にしてこの光景を見ていた。 気絶すんなよ、ロリコン---。 「んー…」 愛しいお前は、まだ夢の中---。 幸せそうでいいな、お前は…。 259: 名前:雷蓮☆2011/08/05(金) 16 39 04 ~舞side(普通視点)~ 「ん…んー…。…ふぁ~あ…」 よく寝た…。 ん? みんな、何で静かなんだろ…。 あ、なんか、枕が温かいな…。 温かい…温かい…あたたかい…? そうだ!!私、蓮に膝を貸してもらってって今何時!? あっ、あれから1時間もたってる!! ガバッ 「ご、ごめんねっ、蓮!!」 私は焦ってすぐ体を起こし、蓮に謝った。 彼は私を見ると、微笑した。 「俺がいいって言ったんだよ。謝んな」 ドキッ バカ。 また、ときめいたよ…。 ドキドキするよ、もぅ…。 「ありがとう」 彼のちょっとした行動、仕草にもドキドキする。 これが、生まれて初めての私の恋。 改めて、愛しさを感じた。 蓮から視線を外し、 前を向くとそこには互いに抱きしめている鈴音と康介の姿。 「のわっ!!!?」 「おっと、自主規制の時間だよ~」 私に気づいた蔵間くんが、 私の目を手で覆う。 「舞ちゃんには、まだ早いかな~」 「私、大人だよっ!? もう高校生だよっ!!」 「人にはね、精神年齢って言うものが存在するんだよ~」 「せいしんねんれい? ? ?」 「ほらね。そういうとこで、まだ見せるのは早いかな~」 「私、大丈夫だよっ」 「だーめ」 なんで~? 私、もう高校生だよ!? 義務教育じゃないから、 自主規制なんていらないよ~!! 260: 名前:雷蓮☆2011/08/05(金) 17 20 37 ~ホテルの部屋~ 私の部屋のパートナーは、蓮。 夕飯までまだ、時間があるから 部屋でそれぞれ過ごす。 「舞」 「なーに?」 蓮が小袋をもってきた。 「お前にプレゼント」 「え、いいの?」 「当たり前だ。お前のために買ったんだからな」 「わぁ、ありがとう!開けていい?」 「あぁ」 カサカサ… 袋を開けると、ハートのキーホルダーが入っていた。 色はピンクで、暗いところでも光るものらしい。 「すっごい可愛い!!蓮、ありがとう!」 「お前が喜んでくれたら、俺は満足だ」 彼はそう言って、私の頭を撫でる。 私は嬉しくて、笑顔があふれるばかり。 自分のために買ってくれたもの。 これは大事にしなきゃね! 私は手のひらに包み、ギュッと握った。 261: 名前:雷蓮☆2011/08/06(土) 14 25 41 ~鈴音side~ ~部屋~ 「康介、荷物はここにまとめて」 「あいよ~」 付き合い始めて、3ヶ月…。 初めての旅行。 「康介」 「んー?」 のんきにテレビを見ている彼。 「付き合ってから、今日で3ヶ月だよ」 「あぁ」 「覚えてた?」 「当たり前だろ!彼氏として覚えてなきゃ恥だ!!」 「ふふっ。康介にしては、珍しい」 「バカにすんなよな!ちょっと後ろ向いてろ」 「どうして?」 「いいから」 「わ、分かった」 私が後ろを向くと、 康介が自分の荷物から何かを取り出して 私の首につける。 「わぁ…綺麗なネックレス…」 「記念にプレゼント」 「いいの? 高かったんじゃ…」 「それくらい安いもんだよ。 これからもよろしくな、鈴音。 愛してるよ」 「ありがとう、康介。 私も愛してるよ」 私が康介の手を握ったとき、 尋常じゃない熱さを感じた。 「あつっ…。康介…あんた、熱ない?」 「えっ…そ、そんなのあるわけないだろ」 「でも、手が…」 「さっき熱い茶、飲んだからじゃね」 「そっか…。本当に大丈夫?」 「あぁ、気にすんな」 私はそのとき、気づかなかった。 後に悲劇が起こることに---。 268: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 08 57 20 ~武塔side~ 「はぁーー!!疲れたぁーーっ!!」 ボフンッ 自分の部屋についた俺は、 勢いよくベットにダイブする。 「…腹減った…」 ここの部屋は、俺一人。 「独り言」、言ったって 一人でゲラゲラ笑ったっていい。 なんてフリーダムな世界!! バァンッ!! いきなり、部屋のドアが開いた。 「おっと、蹴りすぎた」 とんだ怪力男めっ!! 「蓮!! もっと優しい入り方はできないのかなぁ!!?」 「何時から食事だよ?」 「え? あぁ、えーっと…」 腕時計を見て、今の時間を確かめる。 「んとね、今17時だからー… あと一時間かな」 「18時にどこ行けばいい?」 「あぁ、俺がみんなの部屋回って 呼びかけするから大丈夫」 「分かった。んじゃあな~」 バタムッ もう…やりたい放題して…蓮は…。 あ、そういえば花先生に食事の時間伝えてないや! 俺は急いで花先生の部屋に向かった。 ~花先生~ コンコンッ 「花先生ー」 ガチャ… 「何なのですか~?」 「あの、食事の時間なんですけど…」 「18時からなのですよねー?」 「あれ? 何で知って…」 「さっき蓮くんが教えてくれたのですよー」 クソゥ!!あいつ、いいとこどりしやがって!! まぁ、伝えそびれた俺が言うのも何だけど!! 「す、すみません」 「気にしてないのですよー。 ところで先生、今夜みんなで花火大会に行かないですかー?」 「花火大会?」 「はいなのですよ~。 さっきこのホテルの人が おすすめしてくれたなのですよ~」 「それはいいですね!!」 「浴衣、ここの人が無料で貸してくれるなのですよー? 私たちも浴衣着るなのですよ~」 「浴衣ですか~!何年ぶりでしょうー。 もう23だから、似合わないかもしれません」 「そんなことないと思いますですよ」 「え…?」 「武塔先生はかっこいいから、 何歳になっても似合いますなのですよ」 「え…」 「それじゃあ、呼びかけお願いしますなのですよー」 バタン 花先生のまさかの発言に、 俺は立ちつくしていた---。 270: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 10 20 17 ~鈴音side~ 18時---。 武塔先生の呼びかけで、 全員ホテルのロビーに集まった。 私はさっきの康介の体温が、 気になって仕方なかった。 康介は伊玖と蒼太と喋っている。 「どうしたの?」 舞が気にかけて私に言う。 「あ、ううん。何でもない」 「そう? あぁ、康介と話せなくて妬いてるの?」 ここで初めて、舞が天然&鈍感でよかったと思う。 「あ、あぁ!そ、そうなの!!ちょっと妬いちゃって~」 「心配しなくても、康介は鈴音にゾッコンだよ」 無邪気に笑って言う舞。 あぁ…この子はどんだけピュアなんだ…。 「あ、もうお店の中に入っていいって! 先に行ってるよ~」 「あ、うん」 「おーい、鈴音~!!」 「康介…」 「となり座ろーぜー!」 「そうだね」 店の中に走って入る康介。 胸騒ぎがするのは、なぜだろう…。 272: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 10 59 03 ホテルの中の店は、 バイキング専門店。 康介ははしゃいでいた。 「いえっふーーっ!」 ドタドタ走って、 食べ物が並んでいるお皿へと向かう彼。 「康介!!そんなに走ったら、ほこりが‥」 「うっひょーっ!!すっげぇ!エスカルゴ!!」 私の声は聞こえていなかった。 「康介!!こっちにいくら丼あるよ!!」 舞は我を忘れて、 いくら丼を自分のお盆にたくさんのせる。 舞…あんたって子は…。 「マジで!? ちょっと俺にもよこせよ!!」 「いーやーだー!!」 すでに喧嘩が勃発。 そこに蓮くんが来る。 あぁ、ここに大人が… 「これは舞のだ。触んじゃねぇ!」 自分の彼女を有利にたたせたーー!! 「うぅっ…」 もぅ、康介泣きそうなんですけど…。 「鈴音ーー!!こいつに何とか言ってやれー!!」 「何で私も康介を有利に立たせなきゃいけないの!!」 「俺のいくら丼がかかってんだよ!!これくらいできんだろ!!」 「おんまえは、もっと成長せい!!」 なんやかんや言って、私も喧嘩になる。 あぁ…私も充分子供じゃんか…。 君を好きになる5秒前 続き8