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衛宮 切嗣 3/1/1 1:1 ○ ○ ○○ ○ ○○ ○ ○ アタッカー (自動)このユニットが相手デッキに戦闘ダメージを与えた場合、相手手札1枚をランダムで捨て札に置く。
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{、、 ヽ、、__ ,ゝ\ _...,..イ ,.ィ> `ヽ V ∠...___ _,ィ彡 `ヽ} 二=ー ィ彡゙ヽー── " <`ヽ、 ヾ≦ >ー `ヽ、 > >ミ ノ ノ \ <、 ヾ 彡イ /ト、 ;イ ` ー \ \ ー=彡 / ! !ヾノヘ! |! i ミ\ > ∠ 7 / イ / ! ! | |i! | ! | ∠ 彡"´. / / / / | /| |ハ! |从乂リノ `ヽヾ /イ i |/ ムィぇォノハ ィリ弌升イリ ;ヘ ハ\ |イ ∨ヘヘ!`┴'' ノ ヽ` ̄´ ノ!/ }リ |ハ{ ハ リ ノイ ノイヽ、 . ム ミ、 /イ ヽ. __`´ ,イ ネヾ /イ \ `´ ̄` ,イ i バヽ j从 | ;.;.、,、 ,.、,.;.' |仆 〉 | .' !i ! i i !i !′ |`ヽ、 / j . y \ . イ { . / Vヽ、、_ , . <´ l l . . / | > .., . ィ ´ l l . / | `> ..., _ . . . ´ l l / | . . . . . . . . . . l /ー、 ´__ | . . . . . . . . . . . l ,.イ;、 l _} 、、 | . . . . . . . . . . . . . . l ,/ マ∧ .. l l ∠才 \. | . . . . . . . .. . . . . . . . . . l/ / マ∧.. l ,j∠才 | \ ! . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . / マУ⌒ヾ才 | ヽ j . . . . . . . . 名前:衛宮切嗣(えみや きりつぐ) 性別:男 原作:Fate/staynight/Fate/Zero 一人称:僕 二人称:名前呼び 口調:大人びた口調/冷静 AA:TYPE-MOON作品/Fate/02 Fate/Zero/衛宮切嗣.mlt 衛宮士郎の養父で『Fate/Zero』の主人公。第四次聖杯戦争のセイバーのマスター。 アイリと夫婦になり、娘のイリヤをもうけている。 戦闘においては銃火器による射撃を中心に爆殺、だまし討ち、人質を取ることも躊躇わず、 目的のため、正に外道と呼ぶに相応しい行いから魔術師らしからぬ方法で数多くの魔術師を屠り、「魔術師殺し」の異名を持つ。 その為騎士道を重んじるセイバーとの相性は最悪で、切嗣も無視を決め込み会話らしい会話を交わすことはなかった。 『Fate/stay night』では鬼籍に入っており(享年34)、士郎の回想に登場。 「Fate/Grand Order」ではありえたかもしれないイフの一つである、反英雄エミヤ〔アサシン〕が実装された。 やる夫スレではイリヤや士郎の親や関係者として登場。 キャラ紹介 やる夫Wiki Wikipedia TYPE-MOONWiki MUGEN Wiki アニヲタWiki ニコ百 ピクペ 登場作品リスト タイトル 原作 役柄 頻度 リンク 備考 私の兄貴がこんなにかっこいいわけがない オリジナル 聖杯戦争に無理やり参加させられた、やる夫の成長した姿 主 スレ R-18 Fate/Imaginary Numbet Fate/Zero 本人役 常 まとめ R-18G あんこ完結 モンハン自衛隊 戦国自衛隊 モンスターハンターP2G 一曹、73式大型トラック操縦手 常 まとめ やる夫が『梅松論』を語るそうです。 梅松論など 後醍醐天皇役 常 まとめ 予備やる夫Wiki 異世界に転生したカズマは悪徳領主になるようです オリジナル アインツベルン辺境伯 準 まとめ 予備 あんこ 完結 稀代の大英雄「ベネット」!!でやんす! オリジナル 沙都子の兄を狙う殺し屋 準 まとめ 予備 エター しのぶさんは間桐のマスターのようです Fate/Zero 本人役 準 まとめ 真・女神異聞録ブルードラゴン 女神転生ブルードラゴン テンプルナイト 準 まとめ R-18G あんこエター 戦え!聖杯戦隊サーヴァンツ!! オリジナル サーヴァンツ戦術顧問 準 まとめ 完結 やる夫「王様ゲームしようぜ!!」 オリジナル 8期メンバー、EMIYAに苦労させられっぱなし 準 まとめ やる夫がDQ1でロトと賢者の子孫のようです ドラゴンクエスト 大魔導役 準 まとめ 完結 アルトリアさんはてんせいしゃ オリジナル 国王 脇 まとめ 予備 完結 あんこ時々安価でクトゥルフ神話TRPG クトゥルフ神話TRPG シナリオ「庭師は何を口遊ぶ」に登場する、探偵事務所所長 脇 登場回 wiki R-18G 安価あんこ 貴族的な… オリジナル 国王。病のため表舞台から退いている 脇 まとめ R-18 完結 俺の屍を越えてゆけ ~新速出一族の歴史譚~ 俺の屍を越えてゆけ 帝都防衛隊の隊長 脇 まとめ 完結 新選組列剣伝 日本史(新撰組) 沖田林太郎役 脇 まとめ 完結 タンジェロ・ポッター J・K・ローリング「ハリー・ポッター」 ビル・ウィーズリー役、ケリィ 脇 まとめ 予備 あんこ レミリアは青春を謳歌するようです オリジナル 国王 脇 登場回 まとめ あんこ 短編 タイトル 原作 役柄 リンク 備考
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、、 ノ)ノj______ `ヾ三≧ゞムム彡三≦、、 __..,,、<≧ミヾ彡ミ彡ミ彡ミ彡イ >彡彡彡ミミミミミミミミミミミイソ ∠彡彳爪爪从从ミ彡ミ彡ミ彡′ _,ノハ从ノ爪!ヘ川i|i|i|i|トミミミミミえ ノノ爪从ハ Ⅵリ川i|/^ヾノノノノ)、、 ``<≦ノ从メくア リノハ ,ノノ巛巛《く ∠≦ルハヾ ノ从巛《ヾ、 `" ノ__ __ . ′ノハⅣハ! `´、 .., // ...,,,ノハヘト,、 ー'゙´/,///////∧/≧;,、_ _.,、イ/ム/////////∧////≧;,、 ////////\////////|/////!/∧ l//////////∨//////|/////i/// l///////////l//////イ///////{ ,イ///////////!//////!////////7 ,.イ;イl///////////l//////l///i!/////! ,.ィ≦彡",イl///////////〉,/////l///l!/////l ,.ィ≦彡"´ ノイl///////////∧/////l///l!/////l ∠彡イ才 {{ }l//////////〈//////////il./////l ∠彡イ才 }} ////////////∧/////l////i./////l |彡イ才 {{///////////////〉////!////!///// ! |才´ Ⅵ//////////////////////イ////// ! _Ⅵ////////////j///////∧!///////! j//////////////イ//////く Ⅵ!/////j ///////////////j!//////// 〈///////l 【衛宮切嗣】
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autolink() FZ/SE13-05 カード名:アインツベルンの切り札 切嗣 カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:500 ソウル:1 特徴:《マスター》?・《武器》? 【永】他のあなたの前列の中央の枠のキャラに、パワーを+1000。 【自】チェンジ[③ このカードを控え室に置く]あなたのドローフェイズの始めに、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、あなたは自分の控え室の「冷酷非情の猟犬 切嗣」を1枚選び、このカードがいた枠に置く。 レアリティ:C illust. 12/02/22 今日のカード。 枠を限定したパンプ効果と、チェンジ効果を持つ。 ストックブーストのクライマックス、袋アイコン、終わりなき聖杯戦争バゼットなどを駆使すれば先攻2ターン目のドローフェイズにチェンジすることも不可能ではない。 また、後列にこのキャラを並べ、終わりなき聖杯戦争バゼットを前列中央に置くとパワーがバニラと同等の3000まで上昇する。 相手の手札によっては、リバースしてデメリットを発動することがなくなるかもしれない。 2月23日のブシ生では、ホリDが上のギミックを搭載したデッキで先攻2ターン目での冷酷非情の猟犬 切嗣の早出しに成功した。 (先攻1ターン目でバゼットと切嗣を並べて、冬の聖女ユスティーツァを使った高速ストックブースト) ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 冷酷非情の猟犬 切嗣 2/1 8000/1/1 黄 チェンジ先
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/WwMwMwWw、 / l / l _,,-‐' l _, -‐' `ヽ、 _, -‐' _ _ ,, -‐;エ卅卅~r'─、f卅r‐- ;,_ `ヽ、 ャ´‐;'';;´;;;;;;;;;;;;;;;;;;r'ヲl─‐l~弋__丿‐弋_/丿 l`゙`'‐- 、,`ヽ、 ``'‐- 、;;_;;;;;;;;;;;;;〉ェl ヽ、l _ ´i | / ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'‐ヽ、 生きていれば誰しもが死ぬ ``''ー-/ /l ャ‐'´ ``'‐-'⌒`‐、l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;__;、-‐'´ / /ノl i  ̄''´^''"^゙`゙゙`'`´il  ̄ ̄ ̄ 大事なのは生きた証を建てる事じゃ / 'ノ l l ; l! ,,r ''´ ̄``'‐、ヾヽ ; ヽ l! 本当の死とは命が無くなることではない ,r'´ ヽ、 `ヽ、ヽ ; l,_ / ヽ、 \ヽ ; ; ; l\ヽ、_ 誰からも忘れられることだ ─────────────────────────────────────── 衛宮切嗣(故人) 文明崩壊戦争の英雄にして初代勇者である衛宮士郎の子孫 自身も英雄となるために様々な努力を積んだが、晩年はゴミ山の片隅でなんとか生を繋いでいた。 ある日ゴミ山に遺棄されたネロを拾い、彼女を育て上げた人物。 一族に代々受け継がれてきた神具「原初の火」をネロに授けた。 死を前にして己の人生に悲観するが、「いずれ英雄を育てた親として人々に語り継がせる」と約束する彼女の言葉を聞き心穏やかに逝った。 自分の生きた証として彼女を育てた事に満足して逝ったのであろう。 ※ステータス情報なし、更新時再編集求ム
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autolink FZ/S17-012 カード名:追い求めた理想 切嗣 カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2500 ソウル:1 特徴:《マスター》?・《武器》? 【永】他のあなたの「切嗣の部品 舞弥」1枚につき、このカードのソウルを+1。 僕がこの冬木で流す血を、人類最後の流血にしてみせる レアリティ:U illust. ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 切嗣の部品 舞弥 0/0 3000/1/0 黄
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衛宮切嗣&キャスター◆NHpqfH./HY 「それじゃあ士郎、僕はもう行くけど、ちゃんと大河ちゃんの言うことを聞いて良い子にしてるんだぞ」 「言われなくってもわかってるって。爺さん、いってらっしゃい」 冬木市の一角にある屋敷の前で、何度も繰り返したやり取りが行われた。 旅に出ると言ってどこかへ赴く父と、特に疑うことなくそれを見送る子。 数日後にはどこか寂しそうな顔をした父が帰ってきて、子がそれを迎え入れる。 ひょっとしたら永遠に続くのではないかと錯覚するほどに何度も繰り返してきた光景だ。 しかし、物事に永遠はない。 爺さんと呼ばれた男は、これで幾度となく繰り返した偽りを終わらせようと決意していた。 父親の名は衛宮切嗣。「魔術師殺し」の名を持つ魔術師である。 いや、魔術師であった、が正確かもしれない。 アインツベルンのマスターとして数年前に行われた聖杯戦争に参加し、そこで魔術師としての力は失われているからだ。 聖杯戦争に参加した彼は生き延びることに成功したが、体を呪いで蝕まれ、夢は砕け、生きながらにして死人となっていた。 士郎と呼ばれた少年も切嗣の実子ではなく、彼によって齎された大火災から唯一救い出せた孤児であり、切嗣が養子として迎えたのだ。 そうして幽鬼のように生きているはずの彼が時折どこかへ旅に出る。 その目に使命感を漂わせ、なにかに脅迫されているような面持ちで。 子供ながらも士郎はそのことに気付きはしたが、枯れた彼がそれで生きていけるならいいと、いつもにこやかに切嗣を送り出していた。 切嗣が旅と偽って訪れていた場所はアインツベルンの所領である。 結界に閉ざされたその場で、たどり着くことが叶わなかろうと何度も結界を破ることに挑戦していた。 大切な、たったひとりの娘を取り戻すために。 しかし体を呪いで蝕まれた切嗣には結界を解くことはおろか、その起点を探し出すことすらできずにいた。 凍死寸前まで吹雪の森を彷徨うことを無意味に繰り返し、娘を救出することを半ば諦めかけていた。 諦めがつくならどれほど楽であるだろうかと自嘲しながら。 体の中で延々と続く怨嗟の声に押し潰されそうになりながら。 「これで駄目ならば、もう…………」 数日前に情報屋を名乗る魔術師からある噂話を耳にした。 どのような結界や封印が施されていようとそれを打破する、どのような鍵穴にも適合する礼装があると。 藁にも縋る思いでどこにあるのかと問うと、魔術師は素質のある、強く求める者の元にいつの間にか現れると言った。 一体なんの素質なのか、それを聞いても魔術師は一切口を開かず、煙のようにその場から消え失せた。あの魔術師は果たして何者だったのか。 そんな疑問を今更ながらに抱くが、だが謎の魔術師の言葉は真実であった。その日になんとなく家の土蔵を掃除していると、蔵から複雑な彫刻を施された銀の鍵が発見された。 「強く望む者の前に現れるという話は本当だった。だが、噂通りに結界を解除できるかどうか……」 確かに鍵からは強い神秘を感じ取ることができる。だが謎の部分が多すぎるのだ。 銀の鍵など今まで一度も耳にしたことがない礼装であるし、そもそも強く望むだけで手元に来るなどわけがわからない。 さらに素質というワード。魔術師として、という意味ではないだろう。それならば僕は選ばれはしないはずだ。魔術師としての、いや、魔術師など関係なく既に僕は死に体に等しい。 だというのにこの鍵は僕の元へと現れた。 詳細も理由も一切不明の、そんな未知の礼装であろうと今はこれに頼るしかなかった。 僕の力ではどうやってもイリヤスフィールを救い出すことはできない。そしておそらく、僕ももう長くはない。 「噂通りであってくれよ」 猛々しく吹雪く森の中、目の前には何度も辛酸を舐めさせられた結界が展開されている。 ポケットから鍵を取り出し、恐る恐る結界へ近づけると、まるでそこにはなにもないかのように鍵は結界を貫き、そして根元近くが結界の中に入った所で行き止まりにぶつかった。 一瞬噂は嘘だったのかと考えたが、ここから何をどうすべきかすぐに思い至る。 「鍵だから、回せってことか…………。待っててくれイリヤ。すぐ迎えにいくよ」 随分と長く一人にさせてしまったことの罪悪感から、どのような顔をして会えば良いのかはまだわからない。だが。 愛する娘を助け出すため、衛宮切嗣は結界に刺さった銀の鍵を回す――――――――。 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 「――――くそッ! よりにもよってまた聖杯戦争だって!?」 衛宮庭の土蔵の中で、切嗣は声を荒げる。 銀の鍵を回した瞬間、切嗣はアーカムへ召喚されていた。 切嗣が召喚された場所は自宅の土蔵。冬木の自宅がそっくりそのまま、アーカム市内にて再現されていた。 外から響いてくる喧騒が普段のものと異なる以外は内装から庭、何もかもがそのままで、聖杯から与えられた知識がなければ冬木へ飛ばされたと勘違いしていたことだろう。 しかし切嗣からすれば、いっそ冬木へ送還されていたほうが良かった。 もはや切嗣の体は聖杯戦争に耐えることが不可能なほど衰弱しており、まともにサーヴァントを運用するほどの魔力も有してはいない。 おまけにマスターを召喚する聖杯など耳にしたこともなく、明らかなイレギュラー。 そしてなによりも、第四次聖杯戦争で聖杯が汚染されていたという事実が切嗣に拭いきれない不安を与えていた。 「なにがどんな封印も解く鍵だ! なにが結界破りの礼装だ! 詐欺もいいとこじゃないかッ!」 この挑戦で駄目ならば諦めて士郎と静かに余生を終えるつもりでいた切嗣にとって、聖杯戦争への強制参加など失敗する以上に望まない、最悪の展開である。 生き残ることなど不可能。このままではイリヤだけでなく、士郎までひとりにさせてしまう。 聖杯戦争に参加せずに逃げ帰ってしまえれば良いのだが、アーカムシティなどという都市は本来存在していない。そしてそこに自宅が設置され、この都市の市民としての記憶が与えられているなど、ひょっとすると自分は異界に召喚されていて、日本行きの飛行機に乗ったところで冬木市は存在していないかもしれない。 いや、そもそもこの都市から抜け出すことすら可能かどうか。 兎に角、士郎のところに帰るにはこの聖杯戦争で生き抜くしかなかった。 そしてそれが叶わないことは明白であり、状況は完全に詰みであった。 「くすくすくすくすくす…………」 詰みであると――――――この時までは思っていた。 絶望的な展望に活路を見出そうと思案していた切嗣の耳に、静かな、透き通っているはずなのに微かなおぞましさを伴わせた笑い声が届く。 その笑い声に惹かれたように視線を上に向けると、そこには見知らぬひとりの女が佇んでいた。 それは白い女であった。 汚れひとつない真っ白のローブで全身を覆い、絹糸のような白髪は真っ直ぐに腰まで流れている。 肌は雪の様に白く、ローブについたカウベルや裾等に装飾された金の模様以外は全てが白。おそらく他に色を持つ箇所があるとすれば、今は閉ざされているその『目』だけであろう。 「はじめましてマスター」 「!? お前は……僕のサーヴァントか……?」 くすくすと笑っていたかと思えば切嗣が己の存在を認識したことに気付くと、女は慈母のような微笑を携えて、切嗣へ出会いの言葉を送った。 それは従者から主に向けての言葉であり、正しく契約により切嗣の元へと召喚されたサーヴァントであるという証明の言葉であった。 「ええ、私はキャスター。あなたが望んでいたクラスのサーヴァント」 キャスターは微笑を崩すことなく、切嗣に自らのクラスを告げる。 己はマスターが望んでいたクラスのサーヴァントであると。 そんなキャスターの言葉を、しかし切嗣は快く受け入れることはできなかった。 確かに自分は第四次聖杯戦争の始まりに際して、アハト翁から英霊召喚の触媒を渡された時、扱いの良さからアサシンやキャスターの方が好ましいと考えていた。 だが今の衰弱した肉体ではどのクラスの英霊を手にしたところでどうすることもできない。アサシンであろうと満足に魔力を供給することもできずに消滅してしまうだろう。 今更キャスターを与えられたところで、結局はなにもできずに敗退する未来しか存在しないのだ。 「そんなことはないわ、マスター」 「そんなことはないって、実際僕はお前を現界させているだけで既に…………――――!?」 キャスターの言葉を返す途中で、切嗣はある事に気付く。 自分はキャスターに対し、考えていたことをまだ口に出してはいなかったということに。 (心を読まれた? いや、そもそも僕はキャスターを召喚したいだなんて微塵も考えてはいなかった。 まさか、記憶を見られた――?) 突如心どころか記憶までも覗かれたことに狼狽する切嗣の様に、今度は子供のように楽しそうにキャスターは笑う。 「くすくすくす…………。ごめんなさい、マスター。先にあなたがどういう人なのか知っておいたほうが会話がスムーズになると思って」 悪びれた様子もなく、上手くからかえたことが実に面白いと言わんばかりにキャスターは笑う。 「それがお前の力か……、キャスター」 「そう。『視る』。これが私の力。此方から彼方、過去から未来までの遍く全てを視ることができる、ただそれだけのチカラ」 切嗣が平静を取り戻したからか、キャスターは笑いを微笑へと戻し、己の力が何であるかを伝える。 全てを見通す目。それはきっと、切嗣が健全な状態であれば恐ろしい力となっただろう。 「そうね。あなたの魔力供給がもっと多ければこのアーカム全てを見渡すことが出来るでしょうね。マスターもサーヴァントも、そうでないものも全て。どこにいて、何を考えているかまで手に取るようにわかるでしょうね」 そうなればいくらでも敵のマスターを屠ることができるだろう。敵の位置や、あろうことか考えまでわかってしまうなど、攻略本を見ながらゲームをするようなものだ。 だが現実はそうではない。 「記憶を覗いたのならわかっているだろう。僕の体は呪いに蝕まれている。どれだけお前が強力であろうとその力を活かすことはできない」 それが確かな真実だ。 あの時、『この世全ての悪』によって与えられた呪いは魔術回路を使い物にならなくし、確実に切嗣の体を、寿命を食らっている。 サーヴァントのエンジンであるマスターが死に体である時点で、どれだけ優秀なサーヴァントであろうと関係ないのだ。 「だから僕達はこの聖杯戦争に勝つことはできない」 いや、そもそも勝ちたいとすら考えていないのかもしれない。 だってそうだろう? 未知の聖杯によって執り行われるこの聖杯戦争を、誰がまともに信用することが出来る。一体誰が、聖杯が泥によって汚染されていないと言い切れる。 詰る所、僕はそもそも聖杯戦争を勝ち抜くことにすら懐疑的で、ただ士郎の所に戻りたいだけなのだ。 だから、厄介事に巻き込まれるのはごめんだ。 そう考えて、切嗣は右手を掲げてその甲を見やる。 そこはセイバーの令呪が宿っていた場所であった。そして今そこに刻まれているのは、三画によって成された一つの目。 力のない目でそれを見返し、切嗣はあることをキャスターに命じようとする。 聖杯戦争に巻き込まれない方法。それはマスターであることをやめてしまうことである。 自分のように徹底するマスターがいなければ、それで聖杯戦争に巻き込まれることなく生き残ることができる。そう考えた。 キャスターという監視の目を失うことは多大な損失であり、早計かもしれない。 聖杯に願わなければ帰ることはできないかもしれない。 だけどひょっとしたら、聖杯戦争が終われば元の場所へ返されるかもしれない。 誰にも気付かれることもなく生きられるかもしれない。 すべては可能性の話。 だがキャスターを現界させ続けることは切嗣の僅かな寿命をさらに削るということは紛れもない現実であった。やるならば、早い内にやっておかねばならなかった。 そうして切嗣は、なんの躊躇いを持つことなく己の下僕へと命令を下す。 「令呪を以て我がサーヴァントに命ず――キャスター、自害せ――」 「イリヤスフィールのことはもういいの?」 冷徹な指示が下る直前、切嗣の心の中の、最も気付きたくなかった部分をキャスターが指摘する。 「イリヤスフィールのことは、諦めてしまうの?」 なおもキャスターは切嗣の心残りを掘り返す。実の娘を取り戻すことなく、ただ漫然とした余生を甘受するのかと問い質す。 「でも、そうよね? あなたには士郎がいるから別に寂しくはないものね? 藤村組のみなさんも良くして下さるし、今はとても穏やかな生活だものね? 戦場を転々として、魔術師を殺して、安息のない日々を、常に何かを失い続けた過去とはまるで違う。今更イリヤスフィールなんていなくてもあなたは満たされているものね?」 「違う。そんなことはない……」 ああ、そんなことはない。 「あなたは穏やかな余生を過ごせればそれでいいのよね? イリヤスフィールにはもうあなたしかいないけれど、関係ないわよね?」 「違う! そんなことはないッ!」 そんなことあってたまるか――! 「だってそうじゃない。折角聖杯戦争だなんて何でも望みが叶う儀式に召喚されたのに、いきなりその権利を放棄しようとするのだもの。今回が最後と決めていたのに、随分とあっさり諦められるのね」 「聖杯戦争は殺し合いだ。こんな状態じゃどうやったって死ぬ。……士郎を一人にはできない」 そこまで言って、ある変化に気付く。 些細なことだが、とても大きな、おぞましい変化。 「そうよね。士郎を一人にはできないわよね?」 どこまでも白かった女に、色が混じっていた。 「じゃあ、アインツベルンの結界を突破できていたら、どうするつもりだったのかしら? 流石に城の中にまで入ってきた侵入者を見逃すはずがないもの。きっと殺されるわ」 そのローブは変わらず真っ白であった。 「運よくイリヤスフィールの元に辿りつけたとして、追っ手はどうするつもりだったのかしら? 大切な小聖杯を奪われて黙っているはずがないもの。下手をすればイリヤスフィールも巻き込まれて命を落とすかもしれないわね」 絹糸のように美しい白髪はやはり腰まで伸びていた。 「もしも日本まで逃げ切れたとして、どうするの? 士郎とイリヤスフィール、家族三人で仲良く暮らすの? それが叶うと思うの? まさか、日本まで逃げればアインツベルンの積年の妄執も諦めてくれるとでも本当に思っているの?」 肌も雪のように白いままだ。だが――。 「ありえないわ。必ず見つけ出されて殺される。士郎も、藤村組の人も、あなたがイリヤスフィールを助け出せば、みんな巻き込まれて死ぬわ」 いつの間にか女はその両の瞳を開けていた。 そこにある色は紅。 今まで一度たりとも目にしたことがない、恐ろしいほどに鮮やかすぎる真紅の二点が、白で構成されていたはずの女に新しく付け加えられていた。 慈母のようであった微笑も、愉しくて悦しくて仕方がないのか、口の端は歪みきり、悪魔のそれと形容できる物へと変化していた。 「あなたがイリヤスフィールを助け出せば必ず死ぬわ。しかも成功すればするほど周りへの被害が酷くなる。士郎を一人にできないと言っておきながら、あなたは何度そんな危険な綱渡りに挑んだのかしら?」 紅は僕の全てを見透かすかのように、視線を外そうとはしてくれない。 耐え切れずに僕の方から視線を逸らそうとするが、恐ろしいというのにその真紅の眼から目を離すことが全く出来ない。 「うふふ、くすくす。いえ、実際はそんな綱渡りじゃなかったわよね? だってあなた自身、本当は無理だって気付いていたものね? だけど努力はしたと、全部自分に言い聞かせるための行動だったのよね?」 否定の言葉を出そうとするが、口も視線同様に一切動けない。女がそれを許可しない。 「不可能なことはわかっているけど、だからといって行動しなくちゃ夢見が悪いものね? 『この世全ての悪』の呪いも良くなることはないものね? アイリスフィールに顔向けできないものね?」 アイリと同じの赤い目の白い女は、徹底的に切嗣の心を切り刻む。切嗣ですら気付いていない、気付こうとしなかった所を明け透けと指摘する。 「もういいじゃない♪ 何度も頑張って、何度も凍死しそうになったんだからいいじゃない♪ 諦めても、きっとアイリスフィールはあなたのことを許してくれるわ。実の娘なんか忘れて、仮の子供と静かに余生を過ごせばいいじゃない♪ ――――――――あなたはそう考えているわ。自覚はしていないけれど、聖杯戦争を降りようとしたことがその証」 「嘘だッ! 僕は本気でイリヤスフィールを助けようとした! 罪悪感からの行動だったわけじゃない!! 娘を、イリヤを忘れられるわけないだろう…………っ!!」 耐え切れず、切嗣はキャスターに反論する。自覚していない部分をどれだけ指摘されようと、自分は確かにイリヤを助けようとした。それは本心であったと、後ろめたさからの行動ではなかったと、言葉にしなければ耐えられなかった。本当に自分がそう思っていたのではないかと、真紅の目を見ていると錯覚しそうになった。 いつの間にかキャスターはその目を閉ざしていた。それはきっと切嗣が反論をした際には閉じていたのだろう。そうでなければ未だに切嗣は一言も発することはできなかったはずだ。 そして再び慈母のような微笑を浮かべるキャスターは、切嗣にだったらどうするべきかと問いかける。 「イリヤスフィールは諦めるの? それとも諦めないの?」 簡単な、意地の悪い質問であった。 切嗣は諦めたくはない。 だが聖杯を勝ち取り、イリヤを助け出すなど夢のような話である。 どちらを選ぶかなど、合理主義者である切嗣からすれば選択肢など無いに等しい。 「僕は――――イリヤスフィールを取り戻したい」 切嗣が選択したのは、魔術師殺しであれば取らなかった方であった。 「どうして? そんな選択はあなたらしくないわ。素直にさっきしようとしたみたいに、少しでも早くこの聖杯戦争から降りた方が利口よ? 勝ち目のない戦いに乗るなんてバカのすることじゃない。感情を優先させるなんて、愚か者のすることじゃない。もっと合理性を追求しなければ嘘じゃない」 キャスターはその笑みを崩すことなく、切嗣に問う。そんな愚かな選択で良いのか、気まぐれではないのか、と。 「お前が乗せたんだろうキャスター。僕はイリヤを助けたい。この気持ちに嘘なんかない。それを証明するためにも、僕は聖杯を利用する」 途端にキャスターの顔がつまらない物を視るものへと変化する。聞き分けのない子供に辟易した大人のような怒りがそこに見て取れた。 「つまらない。つまらないわマスター。またそうやって夢に逃げて現実と向き合わないつもりなの? そんな体でどうやって勝ち抜くことができると言うの? 聖杯が汚染されていたことをもう忘れたの? この聖杯戦争なら無事だとでも言い切れるの?」 キャスターは切嗣の選択に露骨な不満を示す。正確には切嗣が振り切れたことに、だが。 その様子から切嗣は、このサーヴァントは自分を苦しめたいだけであると悟った。自分が懊悩する様を、ただただ視ていたいだけ。 気付いてしまえば、キャスターの発する言葉に惑わされることなど無い。 「どうしたキャスター? 僕が令呪を使えば死んでしまうというのに、随分と僕に令呪を使わせたそうじゃないか」 「それは私が聖杯に焼べる願いを持っていないから。いつまでも私を現界させ続けることはあなたの寿命を縮めるから。あなたが最初に思った事じゃない」 煩わしそうに、キャスターは切嗣の質問に大した興味を持たずに受け流す。 「なあキャスター……、ひょっとしてだが、お前なら僕の体をある程度戦える状態まで戻すことができるんじゃないか?」 ありえないことかもしれないが、それでも切嗣はそのことをキャスターへと問うた。 見つめる先の顔はつまらないを通り越してしかめっ面になっていたが、この問を聞いた途端に虚を突かれた物となり、そして子供のように楽しそうな笑顔へと戻る。 「どうして……そんな突拍子も無いことを考えたのかしら、マスター?」 「別に、お前が勧める方とは逆の選択の可能性について考えただけだよ。お前が残念がる僕の顔を見たいから、わざと間違った選択肢を突きつけてきているのではないかってね」 切嗣の答えが気に入ったのか、キャスターは笑い声を漏らす。その笑いは、選択は間違ってはいないと切嗣に確信を持たせた。 「くすくすくす。ひどいマスターね。従者が体のことを気遣ってあげているというのに、その気持ちを無碍にして疑うだなんて」 可笑しそうに、楽しそうに、キャスターは切嗣のことを嘲う。 「第一、本当に可能だと思うの? あなたの体にある呪いは『この世全ての悪』によって施されたものよ。一介の英霊でどうこうできるものだとでも、本当に思っているの?」 「そうだな。きっと生半な英霊ではどうにかできるような代物じゃないだろう。…………だけどキャスター」 切嗣は思っていたことを口にすることにした。 それはキャスターの異常性について。 魔術師の最高位となる存在ならば、キャスター同様に世界の全てを見通すことが可能である。 しかし見れる物は、過去か、現在か、未来か、これらの内の一つだけだ。 キャスターは違う。過去も未来も現在も、それらの全てを見渡せると言った。 そのようなことが可能な存在がいるとすれば、それは――。 「キャスター――――お前は、神霊じゃないのか?」 切嗣がキャスターについて、その疑問から導き出した仮説を口にした瞬間。 「うふ」 また、キャスターの笑い声が漏れた。しかしそれは今までのようにすぐに収まることは無く。 「うふ、うふふふふふ……、くすくすうふふ、あはっ、あはは! あーっははははははは!くすすあはははうふあはははははははうふふふふはは!!」 まるで壊れたスピーカーから発せられたかのように耳障りな、耳をつんざくけたたましい哄笑が土蔵の中で反響した。 「そう! そうよ! 私は神。摩利支天。凄いわマスターよくわかったわね! あははははは! 凝り固まった魔術師の頭でよく正解できました!」 なにがおもしろいのか全くわかりはしなかったが、それでも摩利支天と名乗ったサーヴァントは笑い転げる。 切嗣はそこに得も言えぬ恐怖を抱いたが、そんなことよりももっと気にすべき点があった。 「うふくすすすす。そう、そうね。私はサーヴァント。でも、おかしいわよね? 正常じゃないわよね? 本来ならば英霊の座にアクセスしてそこからサーヴァントを引っ張ってくるはずなのに、神霊が召喚されるだなんて異常よね?」 未だ楽しそうにしているキャスターの言う様に、本来の聖杯戦争ではありえない。神霊の召喚など、冬木の聖杯を遥かに凌駕している。 「で、どうするのだったかしら? 汚染されているかもしれない聖杯を勝ち取りにいくのだったかしら? 明らかに本来の聖杯から逸脱しているソレを」 マスターを召喚する時点で異常だとはわかっていたが、神霊を再現してサーヴァントとして使役させるなど想像以上である。 キャスターは聖杯をどうするのか、とても興味深げにこちらを見ている、のだろう。その目は開いてはいなかった。 「ねえ。ねえねえねえ! どうするの? どうするのマスター!? これで碌でもないことしか叶わない聖杯だとしたらどうするの? それでもあなたは聖杯を求めるの? 今度はきっと『この世全ての悪』よりもっと酷い物に憑かれるかもしれないわね!?」 キャスターは問う。聖杯をどうすべきなのか、と。果たして求めて良い代物であるのか、と。 その問に、正しく答えることが出来るのはおそらく切嗣ひとりだけであった。汚染された聖杯を知り、正しく人類のことを思うことができるのはこの男だけであった。 「だったらなおさら、他のマスター達に渡すわけにはいかない。僕が勝ち残らねばならない」 仮令汚染などなくても、神霊を召喚可能な力を持つ聖杯が邪な者の手に渡れば、それは間違いなく世界に未曾有の危機を齎すだろう。 「そう! その通りよマスター! なんとしてもあなたが残らなければ、下手をすれば全世界規模で大惨事なんてことになりかねないものね! ああでも残念ねマスター! あなただけしか正しく脅威を認識できていないというのに、あなたには戦う力が残っていないだなんて!」 意地悪そうに、何が入っているかわからないプレゼントの箱を開ける子供のように、わくわくとした顔でキャスターは切嗣に語りかける。 これほど歯痒いこともないでしょう、と暗にそう語りかける。 そして切嗣の答えは定まった。 イリヤの元に駆けつける為に、一人の父として聖杯を求める。 悪意を持つ者が悪用しない為にも、汚染されていないとも限らない聖杯を処理する為にも、魔術師殺しとしても聖杯を求める。 そしてそれを実行するためにも。 「キャスター。頼む、僕の体を治してくれ」 この衰弱した肉体をどうにかしなければならなかった。 「嫌よ。無理。できない」 しかしキャスターはそれを拒んだ。不可能であると断じた。 それでも引き下がることはできず、切嗣は右手を掲げ、手の甲に出来た目をキャスターに見せ付ける。 「令呪を使ってサポートをする」 令呪。聖杯より授けられた強制執行権。 本来ならば己のサーヴァントを律するために使用するが、補助として扱えばサーヴァントに生前の能力を使用させることも可能となる。 それを利用すれば、最悪『この世全ての悪』の呪いを軽減させることができるかもしれない。 切嗣はその可能性に賭けた。 「嫌」 キャスターは再びそれを拒否する。しかし今度は不可能であるとは言わなかった。 (やはりか……) キャスターが言った、そんなことはないという言葉に、切嗣は体をある程度元に戻すことができるのではないかという可能性を感じていた。 そしてしつこい程の令呪の使用の強制。ここから、一画使用したところで、三画あれば体を治せたとでも言うつもりだったに違いないと踏んでいた。 何せこのサーヴァントは性悪で、切嗣が苦悩することを至上にしている節が今までの会話で十分に感じ取ることができた。 「だったらキャスター。どうすれば僕の体を治してくれる?」 令呪を用いての強制命令も考えたが、純粋な神霊相手に令呪がどれだけ機能するかもわからないし、下手に抵抗されて治癒が出来なければ令呪の無駄撃ちとなってしまう。 それを避けるためにも、切嗣はキャスターが快諾するための方法を聞いた。 「目を」 するとキャスターは、何かを呟いた。 先ほどの悪魔じみた笑顔とは別の、完全に悪魔と言える笑みを張り付かせて。 「? 目?」 「そう。目をちょうだい――?」 そう言うとキャスターは切嗣の左目に掌を押し付けた。左側の視界が減少する。 「辛いことや苦しいこと、悲しいことばかり見てきたあなたの目を、ちょうだい?」 キャスターは言う。自分は目玉をコレクションしていると。『この世全ての悪』と向き合ったあなたの目が欲しい、と。 戦闘において片側が視認できないということや距離感が掴めないということは大きな不利である。 しかし、全く動くことができない体でいるよりも、片目を失ってでも健康な体である方が遥かにアドバンテージがあると切嗣は判断した。 「それで聖杯戦争で戦えるようになるなら……僕は――ッ!?」 喜んでこの目を捧げる。そう言おうとした瞬間、もう片方の目もキャスターによって押さえつけられ、視界が暗転する。 「誰も片目だけだなんて言ってないわ。両目。どっちも貰う」 手から逃れようと必死にもがくが、サーヴァントの筋力には衰弱していようといなかろうと敵うはずがなかった。 「まずは前払いとして左目を頂くわ。これは私の分ね。で、聖杯を勝ち取ることが出来れば報酬として本体の方に右目を貰うわ」 暗闇の中で、ただキャスターの声だけが聞こえてくる。目を閉じればいつでも見ることができる闇だというのに、今はそんな単純な闇が恐ろしい。 「恐い? そうよね。怖いに決まっているわ。この暗闇がずっと、ずぅーっと続くの。 聖杯を手にしてイリヤスフィールをその手に抱いても、あなたは娘の顔を見ることができない。成長して姿が変わっていたとしても知ることができない。 イリヤスフィールだけじゃないわ。士郎もそう。これからどんどん大きくなるというのに、あなたはその姿を見ることができないの。嫌?」 意地の悪い笑い声だけが闇の中で木霊する。不安に潰されそうになり、キャスターの腕に手をかけると万力のような力で頭を潰されそうになる。 「ぐあっ、がぁあああああああっ!?」 「嫌? 嫌よね!? こんな目に遭ってまでイリヤスフィールを助ける必要なんてないじゃない! 正義の味方になんてなる必要なんかないじゃない! いつまで生きられるかわからないけど、静かに生きて士郎の成長を見守ってあげればいいじゃない!?」 切嗣の心配など一切していないくせに、中身のない親身な言葉を楽しそうにキャスターは送る。 闇に対しての恐怖と頭を締め付ける激痛に、言葉などまともに聞き取れる状態でなかった切嗣は、しかしその発言に待ったをかけた。 「ど、んなに苦しくても……、辛くても、……恐くても、それでも、ぼ、くは……、ぼく、は――――――!!!!」 「僕は? 僕は、何? 僕はなんなの?」 今までだって、そういう選択を選んできた。最近はそうでもなかったが、ずっと何かを失い続けてきた。 イリヤもそうだ。僕が失った物の一つ。そのイリヤを取り戻すことができるのだったら、今更自分の目の一つや二つ。 「僕は……、そういう生き方しか、できない…………!!」 そう言った直後、左目の部分に激痛と喪失感が襲い掛かってきた。 そして強力な倦怠感と疲労感もそれらに追随し、一瞬気を失いそうになる。 それは大量に魔力を消費した時に起こる疲労であった。 衰弱しきった体では即死であったはずの量の魔力を持っていかれたと切嗣は気付いた。つまり――。 「契約完了ね」 そう言ってキャスターが手を離すと視界が光を取り戻した。両目を開いたはずなのに、左側の視界は欠けていた。 見える右側だけで体に視線を落とすと、衣服は左目から零れた血で汚れていたが、枯れ枝のようになっていた腕は健康的な太さに戻っており、血色も良好であった。 体が数年前の、第四次聖杯戦争時の肉体へと戻っていた。 相違があるとすれば今は左目の部分が空洞となっている、という部分だけである。 魔術回路は規則正しく励起し、強力な疲労感があるにも関わらず、体は数分前までよりもよっぽど軽い。 「……何をした? 僕はまだ令呪を使用していなかったはずだ」 「面倒だから左目を貰った際に一緒に使わせてもらったわ。あの体のままだと目を抜き取った時の激痛だけで死にそうだったもの」 言われ、右の手の甲を見てみると、そこにはもう目の模様は存在していなかった。 「令呪が全て消えたなんて些細なこと。だって、魔術師殺しが復活したんだもの」 「魔術師殺し……」 魔術師殺し――それは切嗣につけられた渾名。 魔術師として魔術師が取るであろう行動を全て想定し、そして魔術師が想定し得ない手段を用いて魔術師を殺す者。 その男が、片目こそ失っているものの、全身全霊で聖杯戦争へと臨む。 「うふふ、くすくす……。楽しみね。本当に楽しみ」 何が見えているのかわからないが、キャスターは目を閉ざしてくすくすと、先ほどと同じように楽しそうに笑う。 その様子にどこか嫌な物を感じ取った切嗣は、当たり障りの無いように、基本的なことからキャスターに聞くことにした。 「キャスター、まずはどれだけの組が存在するのか、そして警戒すべきはどこの組かを教えてくれ」 最も知っておくべきこと。敵の数と、そして脅威の認識。これらのことを切嗣はキャスターから聞き出そうとする。しかし。 「え? 嫌よ。いきなりネタバレなんてつまらないわ」 「なっ――!?」 あっけらかんと。キャスターはマスターである切嗣からの指示を断った。 「うふ、うふ、うふふふ。ひょっとして、令呪のないあなたの指示に私が従うとでも思った? サーヴァントをただの道具としか思わないあなたに、私が従うと思った? 人間なんて神さまからしたらおもちゃみたいな物なのに、そんな物の言うことを聞くと思った?」 可笑しそうにキャスターは笑う。令呪のない人間の言うことを神が聞くわけがない、と。なんとも可笑しなことを言う、と。 そこで初めて切嗣は思い至った。このサーヴァントは元々自分に協力するつもりはなかったということに。 そもそもこいつは切嗣が苦しむ姿が見たいだけというのは、切嗣自身が出した結論だったではないか――! 「そう。私はただおもしろいものが見たいだけ。今回の番組は聖杯戦争。その役者の一人なのに何もできないんじゃつまらないからあなたを魔術師殺しの役に戻してあげたの。 それなのにわざわざ他の参加者の情報を教えると思う? ありえないわ。あなたも思った通り、そんなことをすれば攻略本を見てゲームをするようなものになってしまう。それじゃあつまらないの。だから私はあなたに協力しない。 あなたは役者で私は視聴者。偶にファンレターを出して意見することはあるかもしれないけど、基本的には番組に干渉はしない」 うふふ。 「だから切嗣、あなたは一人で他のマスターを全員殺さなくてはならないわ。ここには舞弥もいないし、当然アイリスフィールもセイバーもいないもの。 何人いるか、どんな力を有しているかもわからないマスターを、サーヴァントに協力してもらえないのに全員殺すの。くすくす、きっと第四次聖杯戦争の時より大変ね」 くすくす。 「でも、しょうがないわよね? あなたが召喚したのは私だったんだもの。折角あなたが望んでいたクラスだったのに、召喚されたのが私じゃどうしようもないものね?」 「だったら……、攻めてこられるまで僕はお前と居るぞ。一軒家に一人暮らしな上に、令呪もなくなった今なら長い間隠れ続けることが出来る。マスターの数が減るのを待つことも戦略として十分取ることができる」 「じゃあ敵を呼び込むわ。話が動かないなんてつまらないでしょう? ああ、当然私は隠れてるから」 「お前――!」 どこまでも意地の悪い女は切嗣を虚仮にする。道具と認識していた存在から道化扱いされる男を馬鹿にする。 「僕が死ねばお前は……ああそうか、くそッ!」 自分が死ねば番組を見ることができないとキャスターを脅そうとして、それが無意味だと切嗣はすぐに悟る。 未来の見えている存在に途中退場を脅迫に使ったところで意味はない。しかし。 「くすくす、その選択は正解よ切嗣。だって私LIVEは生派だもの。先に結末を視るなんてつまらないわ。だから」 キャスターが言葉を紡ぐその間、切嗣の体にあった倦怠感や疲労感、左目の激痛は瞬時に消失した。 「どれだけ死に掛けても、ここに来れば治してあげる。もちろん死んでいたら無理だけど」 何をされたかわからず、切嗣は左目に手をやった。そこに目玉はなかった。 だが目玉が取られた際に流れた血が手に付いておらず、衣服に目をやると血の汚れなどどこにもない。 「陣地内でならこれぐらいできるわ。どうにも埃っぽいのが問題だけど、私もできれば最後まで番組を視ていたいからそこは我慢しましょう」 「陣地……。この土蔵を工房にしたのか」 工房。それはキャスターのクラスに与えられた陣地作成によって作り出される自らに有利になる空間である。 キャスターはこの小さな土蔵を工房として選んだようである。 「工房だなんてそんな木端な物じゃないわ。これは領地。私が好きなようにできる箱庭。 それよりも切嗣、早く屋敷に戻らないと生徒のみんなが待っているわよ?」 いつの間にかマスターから切嗣と呼ぶようになったキャスターに指摘され、切嗣はこのアーカムでの自分の役割を思い出す。 切嗣は自分の屋敷を利用して、日本語塾の教師をしている、ということになっている。 そして腕時計に目をやれば、すでに塾が始まる時間となっていた。 「今はそれどころじゃ……、それに体のことをどう説明する」 「与えられた仕事をきちんとこなさないと、先に敵のマスターに見つけられるわよ? それに体のほうは何の心配もいらないわ」 「何……?」 「だって昔からそうだったって、この都市であなたに関わった全員の記憶を書き換えておいたもの」 数十、下手をすると数百人規模での一瞬の記憶の改竄に、切嗣は神霊のチカラの一端を垣間見る。 「ほら、待たせたら生徒が可哀想よ。先生」 キャスターに促されるままに土蔵から出ようとする切嗣の足は、やはり数分前よりも遥かに軽い。軽いのだが。 まるで別の呪いを仕込まれたかのように、その空間から逃れようと急ぐ足は重く感じられた。 「頑張ってね、切嗣。面白い物語を期待するわ」 こうして――――邪神に魅入られた男の運命が、幕を開けた。 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 切嗣が塾生達の元へ駆けていった後も、キャスターは蔵の中で目を閉じて座っていた。 「うふふ、くすくすくす。さあ、この物語はどうなるのかしら? みんな発狂して終わっちゃうのかしら? 誰かが聖杯を手にして終わるのかしら? それとも――――」 誰も聞く者はいないというのに、まるで誰かに語りかけるようにキャスターは独り言を漏らす。 「それとも、あなたの目論見通りになってしまうのかしら? ねえ――キーパー?」 【クラス】 キャスター 【真名】 マリーチ@ミスマルカ興国物語 【ステータス】 筋力D 耐久D 敏捷E 魔力EX 幸運D 宝具EX 【属性】 混沌・善 【クラススキル】 陣地作成:EX 魔術師に有利な陣地を作り上げる。工房を上回る神殿、信者さえ確保できれば更にその上を行く教団領を作成可能。 教団領は信者の数に呼応して範囲を拡大可能。教団領内に限定すれば、キャスターは過去や現在の改変・物質や生命の分解と再構築、空間の操作等本体の持つ『権能』を小規模で再現可能となる。 令呪の補助を受けた場合は、教団領内に関係する事柄に限れば外部にすら干渉可能。 道具作成:E 魔力を帯びた道具を作成できる。 特に非業な生涯を送る不器用な人間を自らの『使徒』として仕立てることを好む。 【保有スキル】 神性:☆ 摩利支天。仏教の守護神である天部の一柱。日天の眷属で陽炎を神格化したもの。 キャスターの正体はその伝承の元となった張本人であり、神霊そのものであるため通常のサーヴァントの規格を超えたランクで表記される。 カリスマ:B- 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘において自軍の能力を向上させる稀有な才能。 神仏としての崇拝を集め、また新たな教団を作り世界規模で浸透させるだけのカリスマ性を持つ。ただし本性を曝け出した相手には効果を喪失する。 天の属:- 天界に生まれた唯一神直系使徒。かつて運命を司った聖四天という出自を表す。 本来この次元で観測できる彼女は二十六次元からの射影であり、それ未満の次元からでは彼女の本体に干渉することはできない。 ただしサーヴァントとして再現された分身に過ぎないキャスターは、その性質を失っている。 魔眼:E~A++ 宝具に由来する億千万の目。ただの人間の目から、元の持ち主がわからないものまで、ありとあらゆるものを見通す無数の目を眷属として保有している。 中でもキャスター本人が持つ未来視は最高位の魔眼とされている。 【宝具】 『億千万の眷属・視姦魔人(Laplace s demon)』 ランク:EX 種別:対心宝具 レンジ:億千万 最大捕捉:億千万 魔人の最高位、インフィニティ・シリーズの一柱である億千万の目。視えぬものなしと謳った視姦魔人である彼女の能力にして眷属、在り方そのものの伝説が宝具として再現されたもの。 此方から彼方までの空を埋め尽くすほどの大小様々な、数え切れぬほどに膨大なストックのある眼球を場所と個数を問わず自在に召喚し、使役する。 精神的な干渉に特化しており、白い目玉、黄ばんだ目玉、血塗れの目玉、萎んだ目玉、乾いた目玉、潰れた目玉、人の頭ほどもある目玉、人の体が入りそうな目玉等々のいずれもが他者を覗き込むことで心を読み、必要とあればそこに何かを投影し、そのまま対象を発狂させることや五感を欺き幻惑することができる。この効果は精神干渉に耐性を持つ相手でも、宝具ランク未満ならば貫通して作用する。 敢えてこちらから覗き込まずとも、元々気の弱いものならば大量展開しただけでも正気を失ってしまいかねない景色を披露できたが、此度の聖杯戦争では常を越える精神的打撃を見るものに与えることとなる。また、奪い取った他者の目を宝具の一部として取り込むことが可能。 過去未来現在、世界中から異界まで果てなく見通す全知の神たるチカラであったが、人間のマスターではその本来の規模を再現することは不可能。 それでも都市一つを見通すだけの力は発揮できるが、ハイゼンベルクの不確定性原理に打ち払われて以来、完璧であったはずの未来視は損なわれ、時に視間違いを起こしてしまうようになった。 【weapon】 白杖……造りが良いだけの杖。キャスターの膂力ならば人体を貫く程度はできるが、サーヴァント相手には意味を成さない。 神器『崩壊の鐘』……本来はキャスターの持つもう一つの宝具であるが、クラス適正とキャスター本人の希望もあってここでは外観を再現しただけの単なるカウベルとなっている。 【人物背景】 元は天界に生まれた唯一神直系使徒。運命を司る聖四天の座を与えられ、未来を見通す力を持っていた。 悠久の昔、未来視の力で人心が神仏から離れることを察知し警告を発したが、逆に彼らに人間への愛想を尽かせ、神々を異界へと引きこもらせることとなってしまう。 わずかに人界に残った神々には問題児しか居らず、人類を絶滅の危機に追い込む神々の潰し合いの仲介役としてマリーチは自らの片翼を折り、天界を離れて地上を管理する神々の列に加わる。 神々の手綱を握る魔王の側近に収まる一方で、預言者として神殿協会を設立して人と魔のバランスを取って人の世を導く存在となり、後の摩利支天のモデルとしての信仰も集めた。 しかし訪れた平和な世界は皮肉にも人の心を鈍らせ、やがて人間同士の争いを頻発させるようになってしまう。 やがてハイゼンベルクにより狂わされていた未来視で最悪の世界大戦を視たマリーチは、それを回避するために『一切問題のない世界』を作ろうとするも、クルト・ゲーデルの不完全性定理によってそんなものは実現し得ないと、よりにもよって導いて来た人の理性により拒絶されてしまう。 第二次世界大戦の結末もマリーチの視たものとは異なる結果となり、自らの存在意義を揺るがされたマリーチは心を歪め邪神と化す。自らの見たいシナリオのために他者の人生を玩弄し、そうして作った恨み辛みを利用して次の芝居を打たせるような邪悪な神に。 やがて、かつて己の発した警告で神々が不在となった世界そのものを玩具として破滅寸前に導くが、初代聖魔王が引き連れた軍勢との戦いの中、初代魔王から改竄していた己の記憶を突きつけられ、ショックで己が何者であったのかも忘却して逃げる道を選び、神として“堕ちて”しまう。 しかし更なる未来、文明崩壊後も残っていた神殿協会改め神殿教会の象徴・預言者として存在していたマリーチは、悠久の時の中で忘れ去られて消え去る前に、時の教皇クラウディスの暴走によって自己を取り戻す。今回限りの反則としながら再び神としてのチカラを揮ってクラウディスの起こした動乱も、それに関わった者達の人生も書き換えて事態を鎮圧。 聖魔杯を求めるマヒロ・ユキルスニーク・エーデンファルトに警告を与えるものの、初代魔王ら残った神々同様、基本的には人の世を見守るという在り方に従い彼らの旅を覗き見している。 かつては善神だったが現在は性悪。人間が悩み苦しむ様を視るのが大好きで、不幸な生涯を送ってきた人間の目玉をコレクションするなど大概な一方、そのような境遇を恨まず自らの信心を貫く人の在り方を好み、そういった人間には今でも時々神としての慈悲を与える。本当に時々。ただし堕ちてボケていたのが直った後は、以前よりも心なし温和。 現在では自らを基本的にはブラウン管の外の視聴者としており、ファンレターのように役者へ意見を言うことがあってもスタジオに入ることは「たぶん」もうないと語っており、今回も切嗣が四苦八苦するところを見たいだけであるため、本当に陣地外でまで手助けするつもりはないと思われる。ただし、そのLIVEをリラックスして楽しみたい自分の領域(リビング)にまで踏み込んでくる場合にはその限りではない可能性もある。 【マスター】 衛宮切嗣@Fate/Zero 【マスターとしての願い】 聖杯を勝ち取り、危険ならば破壊。そうでなければイリヤスフィールを助け出すために使用する。 【weapon】 護身用のトンプソン・コンテンダー 【能力・技能】 魔術師としての腕前は並程度だが、一般的な魔術師が忌避している銃火器及び爆発物の扱いに長けており、また自身の時間流を操作する『固有時制御』での高速戦闘及びバイオリズムの抑制による隠密活動を可能とする。 【人物背景】 「魔術師殺し」の異名を持つ、魔術師を殺す術に長けた異端の魔術使い。 冬木で執り行われた聖杯戦争に参加し世界を平和にするという願いを叶えようとするも、その聖杯に宿っていた『この世全ての悪』の存在に気付き、セイバーに聖杯を破壊させ、聖杯から溢れた泥を浴びて呪いを受けることとなる。 冬木の大火災を引き起こした原因である切嗣は、その火災の中で唯一助け出すことができた士郎を養子として引き取り静かに暮らしていたが、その実何度も妻・アイリスフィールとの忘れ形見である娘のイリヤスフィールをアインツベルンから奪おうと何度もアインツベルンの領内へ踏み込み、そしてその度に凍死寸前まで彷徨い歩いてきた。 今回の聖杯戦争ではサーヴァントのチカラにより肉体が以前の健康な状態へ戻っており、自らを聖杯の危険性を知りうるただ一人の人間として、イリヤスフィールを助け出す為に利用できるのなら利用するつもりで聖杯を求める。 【方針】 キャスターは陣地に篭り、切嗣が帰って来た際に回復するか、敵が攻め込んで来た際に場合によっては迎撃するだけ(やられたフリだけで済ますか抗戦するかは気分の問題)。 基本的には片目喪失起源弾なしの切嗣が単独で敵マスターを発見し打倒して行く形となるためかなりのハードモード。
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人物詳細 「正義の味方」に憧れた理想主義者。聖杯に託す望みは「戦いの根絶」「恒久的な平和の実現」。 かつて「魔術師殺し」と徒名された殺し屋。 六代を数える魔道の血筋ではあるものの、魔術を目的を遂行するための手段としてしか見なしておらず、 本来なら忌避される近代兵器も使用する外道の魔術師。聖杯戦争の切り札としてアインツベルン家の婿養子に迎えられた。 少年期に父親の研究が引き金となって起きた惨劇を繰り返さぬため、自らの手で父親を殺害。 以後、そのとき行った多数を救う為に少数を切り捨てることを絶対の信条として徹し続けている。 愛情や友情を尊び、他者の喜びや悲嘆に共感するという人間としてごく当たり前の感性を備えながらも、 心を切り離すことで躊躇なく相手に手を下すことが出来る天性を持ち合わせたために、己の信条に従って人を救う度に罪の意識と喪失の痛みに苛まれていた。 戦いの醜さ、悪性をずっと目の当たりにしてきたため、戦争を始めとするあらゆる闘争行為を心から軽蔑しており、 戦いを肯定し人々を戦場に駆り立てる「英雄」という概念を激しく憎悪している。 ワルサーWA2000とキャリコM950といった銃器、ナイフに爆発物などを用いた戦闘術のほか、魔術も使いこなす。 特別な能力 「固有時制御」 自らの時間流を加速・減速させることで、通常の数倍の運動能力や時間遅延による状況の先延ばしを得る。 但し、肉体への負担も大きく濫用すれば死に到る。 「起源弾」 魔術礼装として改造された銃トンプソン・コンテンダーから放たれる弾丸。 これは彼の第12肋骨をすり潰した粉を霊的工程を以って凝縮し30-06スプリングフィールド弾の芯材とした概念武装としての側面も持つ魔弾で、 この魔弾で撃ち抜かれた者には切嗣の起源である「切断と結合」の二重属性が発現し、 不可逆の変質(作中で「切れたロープをつなぐとロープとしての用は成すが、その結び目の部分だけ太さが変わる」と喩えられている)がもたらされる。 特に魔術師にとって致命的な特性であり、魔術的手段をもって防御しようとすれば循環していた魔力が暴走し、肉体と魔術回路に深刻な破壊が引き起こされる。
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衛宮切嗣&アーチャー ◆F3/75Tw8mw 僕はね……正義の味方になりたかったんだ ◇◆◇◆◇ 「……一体、何が起きている……?」 人気の無い、他者からの監視も恐らくは無いであろう薄暗い建物の中。 壁に背を預け、その男―――衛宮切嗣は、口からタバコの煙を燻らせつつそう呟いた。 事の発端は、時間にして十数分程前。 妻のアイリスフィールと共に、アハト翁が用意したという聖遺物を確認していた最中であった。 全ては来る第四次聖杯戦争に勝ち残る為……アインツベルンは持てる権力・財力の全てを賭し、その聖遺物を探し出したという。 そうして見つけ出されたのが、かのノアの方舟に使われたとされる欠片―――即ちゴフェルの木片だ。 もしこの木片が本物だというならば、宿る神秘性は計り知れないものがある。 呼び出される英霊もまた、極めて強き力を持ったサーヴァントとなるだろう。 そう、アハト翁をはじめとするアインツベルンの者達は喜んでいた。 まるで自身の勝利が絶対のものだと確信したかの如くだ。 しかし、その気持ちも無理はない……事実、切嗣もこの聖遺物を用いれば強力な駒を手に入れられるという予感があったからだ。 彼はこの聖杯戦争を勝ち残るに当たり、己に最も見合うサーヴァントはキャスターかアサシンであると考えていた。 そして……この聖遺物で呼び出されるであろうサーヴァントは、十中八九キャスターだ。 他のマスターが纏わる聖遺物を入手でもしていない限り、呼び出される英霊はほぼ確実に方舟を作った本人―――ノアに固定される。 ノアについては様々な伝承が現代に至るまで残されているが、その伝承から基づくに当てはまるクラスはキャスターしか存在しないのだ。 然程アインツベルンの者達に期待をしていなかった切嗣からしてみれば、これは嬉しい誤算であった。 確実な勝利を目指すアインツベルンならば、三騎士……中でも最優とされるセイバーの触媒を用意するだろうと踏んでいたからだ。 ―――戦場は地獄であり、そこで行われる命のやり取りには高潔さも何も無い。 数多くの修羅場を、文字通りの地獄を潜り抜けて来た切嗣にとって、英雄というものは許容し難い存在そのものであった。 平和の為と称して人を殺し、血を流す。 そんな者達の何処に美化される要素があるというのか、讃えられる謂れがあるというのか。 ましてやそれを『騎士道』として振りかざし、『誇り』として平然と言い放つ者達など、切嗣からすれば度し難い者達であった。 だからこそ、騎士道などとは無縁の存在たるキャスターを引く事がほぼ確定したのは朗報と言えたのだ。 無論、ノアにもその騎士道に通じる様な伝承もあるにはあるが、泥酔して裸を晒した際に、その裸体を偶然見かけてしまったハムの息子に呪いをかけるといった悪の側面もまたある。 何より……キャスターは最大限に活用すれば、自身の戦法を最大に活かせる。 聖杯戦争の勝率を大きく高められるという事実が、何よりも大きかった。 そう……アインツベルンの肩を持つつもりなどは一切無いが、切嗣は勝たねばならなかったのだから。 人の身では一生叶えられる事の無い、奇跡に頼らなければ叶えられない願いを、叶えるために。 『正義の味方』として流し続けてきた血を、奪ってきた多くの命を無駄にしない為には…… 世界の恒久的な平和という願いを叶えるには、聖杯を手にする以外に手は無いのだ。 そんな強い願いを胸に、彼は託された木片を手に取った。 それが……本来の聖杯戦争とは大きくかけ離れた流れの中に彼の身を置くとも、知らずに。 ◇◆◇◆◇ (……本来の聖杯戦争とは違う。 何か、アインツベルンですらも予想しえなかった事態が起きているという事か……) 木片を手にした結果、切嗣はこの異質な場―――聖杯戦争の会場へと呼び出される羽目になった。 本来開かれる筈であった聖杯戦争とは、何もかもが違いすぎる。 予期しえなかった―――恐らくはアインツベルンですらも分からなかったであろう―――完全なイレギュラーだ。 (しかし……どのような形にせよこれが聖杯戦争である事自体には間違いない。 そして勝ち上がった者には、奇跡を叶える聖杯が与えられる……この大前提に変化は無いだろう) だがこの事態を前にして、当初は困惑を覚えこそしたものの、あくまで冷静に切嗣は頭を働かせていた。 まず何より疑う余地が無いのは、これが聖杯戦争だという事実だ。 そして勝ち上がれば、目的の聖杯を手に入れられる。 (なら……問題は無い) ならば最初から、選ぶ道は決まっている。 この聖杯戦争に、当初の予定通り勝ち残るまでだ。 (無論、このイレギュラーが何なのか考える事を放棄するつもりはない。 その結果によっては、立ち回り方を変える必要性も出てくるだろうが……基本的な点に変更は無しだ) 勿論、この聖杯戦争の異質さを放置できるほど切嗣も楽観的ではない。 勝ちあがり聖杯を手にするというスタンスを変えるつもりは一切無いが、この異変の正体だけは突き止める必要がある。 その結果によっては、勝つ為に取るべき行動を変える必要性もあるだろうからだ。 (……予定していた舞弥によるサポートも無ければ、下調べして集めた情報も意味を成さない。 使える装備もそこまでなく、状況は決して良いとはいえないが……) それでも、成さねばならないのだ。 『正義の味方』として世界に平和を齎す為には、この戦いには絶対勝たねばならないのだ。 『……アーチャー、引き続きそのまま監視を続けろ』 その為には、効率よくサーヴァントを扱う必要がある。 切嗣は念話を使い、簡潔に指示を出した。 もう一機のそれを持つ、己がサーヴァント―――目覚めた時には傍らに居た、あの英霊に。 褐色の肌に赤い外套を身に纏う、アーチャーと自らを名乗った男に。 ◇◆◇◆◇ うん、しょうがないから俺が代わりになってやるよ。 ああ―――安心した。 ◇◆◇◆◇ 「……爺さん……」 切嗣が身を隠す建物の屋上。 その一番高い地点で、見張りの指示を受けていたアーチャー―――エミヤシロウは、人知れずそう言葉を漏らした。 彼にとって、この様な召還はあまりにも予想外すぎた。 まず、自身の記憶にある聖杯戦争の知識とは……何より自身が経験してきた聖杯戦争とは、まるで状況が違う。 もっともそれについては、基本的な情報をかつての召還同様に聖杯から与えられているのだからまだいい。 しかし、最大の問題は……自身のマスターが、養父である衛宮切嗣その人であった事だ。 磨耗した記憶の中にあっても、決して忘れる事は無かった。 彼は、自身が正義の味方を目指す切欠になった憧れともいえる大切な存在であり……呪われた運命を進む元凶ともいえる存在だった。 そんな彼が、まさか自分を召還し……そして聖杯戦争に勝ちあがろうとしていようとは。 『正義の味方』と呼ぶに相応しい願いを胸に、聖杯を望んでいようとは……こんな事をどうして予想できようか。 (……爺さん、俺は……正義の味方にはなれなかったよ) アーチャーは、エミヤシロウは生前、正義の味方を目指した。 より多くの命を救う為に修練を続け、その死後にも守護者となるべく世界と契約を結んだ。 英霊としての力があれば、多数を救う為に少数を斬り捨てるやり方を選ばず、誰もが幸福な世界を実現できると信じていたからだ。 しかし、その結果に待ち受けていたのは、どうしようもない絶望であった。 守護者とは、彼が望んだ様な正義の味方ではなく、ただ人類の滅亡を回避する為だけに、起因する全ての者達を殺しつくすための存在だった。 信じ続けた理想を裏切られ、拒絶する事も許されない。 そんな役割を演じ続けた末に、彼の心はその信念ごと磨耗し、やがてかつての己自身を憎み、己自身の消滅を願うようになっていった。 そして……そんな虐殺を続けている最中、遂にアーチャーはその機会を得るチャンスを手にしたのだ。 即ち、聖杯戦争への参加である。 (……どうすればいいんだ) しかし、召還を受けたアーチャーの心に去来したのは、喜びではなく戸惑いと驚愕であった。 何せ目の前にいたのは、己が正義の味方を目指す発端となった養父なのだ。 その顔を目にして、思わず言葉を失った程だ。 しかも話を聞くに、彼は自身が知る衛宮切嗣とは違う。 第四次聖杯戦争に参加する筈だったという、全盛期の衛宮切嗣なのだ。 つまり……ここで彼を殺害できたならば、時間の流れは変わるかもしれない。 衛宮士郎が誕生する発端がいなくなる事で、自身もまた消滅するかもしれない。 だが……アーチャーには、それが出来なかった。 守護者となった時点で、元の人物とは別物の高位の存在として己は英霊の座に記録されてしまっている。 ならばここで切嗣を殺したところで、自身が消滅できる可能性が限りなく低いだろう。 ましてや、彼はアーチャーにとっては既に死亡した筈の人物だ。 それが生きていると言う事は、この場にいる彼は自身が知る衛宮切嗣とはまた別の存在―――平行世界の彼なのかもしれない。 だとすると、殺害しても何も変わらないのかもしれない。 そして、なによりも……自身を育て上げてくれた養父への思いもまた少なからずある。 (……聖杯を手に入れる……だが、本当に聖杯に願いを託してよいものなのか……) ならば、残された道は一つ……聖杯を手にするしかない。 聖杯を手にし、自身の完全な消滅を願う事だけしかないのだが……アーチャーは、かつての聖杯が如何なる物であったのかを知っている。 万能の願望器は、歪んだ形でしか人の願いを叶えられない邪悪な代物だった……だからこそ、『彼女』に破壊を願ったのだ。 もし、この戦いで得られる聖杯もまた同じ性質を持っていようものならば、願いを叶えることはかなわないだろう。 しかし……この聖杯戦争は、かつてとは大きく違う。 ナニモノにも染められていない、純粋な願望器たる聖杯を手に出来る可能性もまたあるのだ。 ならば、ここはどう立ち振る舞うべきか。 (……見極めるしかあるまい。 この聖杯戦争を戦い、その最中で聖杯がいかなる存在なのか……私自身の目で) アーチャーが出した結論は、この聖杯戦争を戦う中で、聖杯の正体を見極めるというものだった。 戦いを進めていけば、聖杯へは自然と近づく事になる。 その中で、聖杯が正しいものなのか否かを確かめ、その上でどうするかを決めなければならない。 今の時点では判断できる材料も殆ど無い……それが恐らくは最良だろう。 (もし、この聖杯にも穢れがあったならば……その時は……) 今度は、己自身の手で聖杯を破壊せねばならない。 その様な聖杯は、誰の手にも渡すべきものではない。 まして……かつての自身と同じ理想を抱く衛宮切嗣にだけは、尚の事だ。 彼を、己のようにする訳にはいかない。 正義の味方に絶望し、憎悪し、自らの破滅をも望む様な思いを……大切な父にだけは、させたくない。 (例えそれが、マスターの意に反するものだったとしても……) 磨耗した記憶の中においても……衛宮切嗣という男は、エミヤシロウにとって特別な存在なのだから。 ◇◆◇◆◇ (アーチャー……奴は一体、何を考えている) 愛銃の手入れをしつつ、切嗣はアーチャーについて考えを巡らせていた。 彼は己が目覚めた時、自身のサーヴァントとして宛がわれたというのだが……その存在には、大きく疑問があった。 何せ、その正体があまりにも不明瞭すぎる事だ。 切嗣は彼がサーヴァントであると認識すると同時に、何はともあれその真名・宝具を問いただした。 戦う上に当たって、まずは基本的な戦力の把握を行うべきと判断したが為のものであったのだが…… この問いに対する答えが、切嗣に大きな疑問を抱かせた。 (『強引な召還の為に記憶が一部欠如しており、真名を思い出せない』……か) アーチャーは、自身の真名を忘却していると口にしたのだ。 その原因は、本人曰く召還の不備不手際という事らしいのだが……切嗣はこれを鵜呑みにはしなかった。 出会って間もない相手の言葉を信用するなど、そんな危険且つ無防備な真似など出来るわけもない。 そしてもう一点……真名のみならず、その宝具に関しても大きな疑問が彼にはあった。 曰く、アーチャーは自身を象徴するような宝具は持ち合わせてはいない。 その代わりとして、投影魔術を駆使して戦闘を行うというのだ……これは、英霊としても極めて異端だ。 もし、真名を思い出せないのではなく隠しているのならば、恐らくは……いや、ほぼ確実にこの点に繋がってくるだろう。 (例え味方であろうとも、情報を安易に他者に与えないという点では評価できるが…… 不安要素を抱えている駒を扱い戦い抜くというのは、戦略上相当に厄介だ。 やはり、早急に事実を確かめるべきか……) 己が手に宿る三画の令呪を見つめ、切嗣は思案した。 アーチャーが隠している真実を引き出すのは簡単だ……この令呪を使えば良い。 隠し事を洗いざらい全て話せとでも命令すれば、それで問題には片がつくが…… (いや……まだ早い。 少なくとも今はまだ、奴は僕をマスターとして認め共に戦う姿勢を見せている。 それに、僕自身もこの聖杯戦争の異質さは感じている……本当に記憶を失っている可能性もゼロではない。 なら、戦略上有効な切り札である令呪を捨てるのはあまり得策でもない) しかし、切嗣は令呪を使いはしなかった。 もし本当にアーチャーの記憶に欠落があるならば、ここで令呪を使うのは無駄にしかならない。 戦略上、令呪は貴重な切り札となりえる武器だ……出来る限り、使用するタイミングは計りたい。 アーチャーの存在が己にとって害になると判断できた時こそが、この令呪を使う時となるだろう。 (逆に言えば、アーチャーが僕にとって害にならない限り、奴の異質さは大きな武器にもなる。 投影魔術を扱い戦うという能力は、幅広い戦術を望める……そういう意味では、僕にとっては相性がいいサーヴァントだ) そして、アーチャーの異端さは敵に向ければそのまま武器に出来る。 弓兵のクラスにありながらも近接戦闘もこなせ、ランクが本来のモノに比べれば落ちるとはいえ、投影魔術を扱い様々な武具を生み出せる能力。 扱い方次第では極めて応用が利く戦い方が出来、その真名を看破される事もまずありえない。 駒としてみるならば、このアーチャーは切嗣にとって中々に悪くないサーヴァントだったのだ。 (……それに、奴にも叶えたい願いがある。 こちらを裏切る可能性も勿論考慮に入れるが、序盤のうちから本性を現す可能性は低いだろう) 何より、アーチャーには己と同じく聖杯へ託す願望がある。 それを考慮すれば、例え裏切るにしてもそれは戦いが山場を迎えてからだ。 この序盤では、互いに敵の数が減るまで利用しあうのが得策であるというのは、分かっているだろう。 それに……彼の願いは、恐らくかなり切実なものだ。 (『存在を消したいものがいる』……か) アーチャーが自身に話した願い。 それは、聖杯に願いこの世から存在そのものを抹消したい者がいるというものだった。 死後も他者を呪い恨み続ける英霊というのは、数ある伝承の中では然程珍しいものじゃないが…… 私怨による願いというのは、なまじ綺麗事を言われるよりも信用できる。 故に切嗣は、彼のその願いは恐らく真実であるだろうと判断していたのだ。 まさかその消滅を願う存在が……自分自身の遺言で生み出されてしまった、後の正義の味方だとも知らずに。 (……僕はこの聖杯戦争を、人類最後の流血にする。 必ず……聖杯を手に入れてみせる) 衛宮切嗣と、アーチャー/エミヤシロウ。 本来ならば出会う筈がなかった、同じ理想を追い求めた二人の男達。 彼らのこの出会いは、果たして互いの心に何を齎すのか…… 【クラス】 アーチャー 【真名】 エミヤシロウ@Fate/Stay Night 【属性】 中立・中庸 【ステータス】 筋力:D 耐久:C 敏捷:C 魔力:C 幸運:E- 宝具:?? 【クラススキル】 ◎対魔力:D 一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 ◎単独行動:B マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。 現界可能な時間は二日程度。 【保有スキル】 ◎心眼(真):B 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。 ◎千里眼:C 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。 ランクが高くなると、透視、未来視さえ可能になる。 ◎魔術 C 基礎的な魔術を一通り習得している。 特にアーチャーは道具の本質を一時的に増幅する「強化」、物質の構造を把握し、一時的に複製する「投影」と得意とする。 【宝具】 『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』 ランク:E~A++ 種別:??? レンジ:??? 最大補足:??? 錬鉄の固有結界。 本来は魔術であり宝具ではないが、アーチャーの象徴ということで宝具扱いになっている。 心象風景は、燃えさかる炎と、無数の剣が大地に突き立つ一面の荒野が広がり、空には回転する巨大な歯車が存在する。 結界内には、あらゆる「剣を形成する要素」が満たされており、目視した刀剣を結界内に登録し複製、荒野に突き立つ無数の剣の一振りとして貯蔵する。 ただし、複製品の能力は本来のものよりランクが一つ落ちる。 刀剣に宿る「使い手の経験・記憶」ごと解析・複製しているため、初見の武器を複製してもオリジナルの英霊ほどではないがある程度扱いこなせる。 神造兵装の複製は不可能。 守護者として世界と契約しているため、固有結界にかかる負荷は非常に少ない。 【weapon】 投影魔術を用いて投影した武器を扱い戦う。 『干将・莫耶』 アーチャーがメインの武器として扱うことが多い陰陽二振りの短剣。 互いに引き寄せ合う性質を持っており、二つ揃いで装備すると、対魔力、対物理が上昇する。 宝具としてのランクは高くないが、投影の負担が軽いことと、先の特質から愛用している。 【人物背景】 とある未来の世界で、死すべき百人を救うために世界と契約した衛宮士郎その人である。 全てを救うという理想を追い求め続け、限界にぶつかった彼は、「英霊になれば、きっと全てを救えるはず」と世界と契約を交わし、その百人を救った。 だが、理想を追い続けたその生涯は最後まで報われることなく、自分が助けた相手からの裏切りによって命を落とす。 それでもなお、誰一人恨むことはなかったが、その後に待ち受けていたのは自身が信じる正義の味方などではなく、「霊長の守護者」という残酷な現実であった。 死後、彼に与えられた役割は霊長の守護者として、ただただ人類滅亡を防ぐために、拒絶不可能な虐殺に身を投じることだった。 さらにその過程で人の暗黒面をまざまざと見せ付けられ、その結果信念は磨耗し、かつての理想に絶望することとなり、己自身の消滅を願うようになる。 【サーヴァントとしての願い】 憎むべきかつての己自身を殺すことで、自身の消滅を願っている。 【基本戦術、方針、運用法】 基本的にはマスターと共に聖杯戦争を勝ち抜けるつもりで、その戦術については切嗣の指示に従う。 また、その最中で聖杯の正体について見極めようと考えている。 その上で、自身の記憶にある様に聖杯が汚染された代物であった場合は、例えマスターの意に背いてでも破壊する。 また、全てに絶望した自分の様な思いを切嗣にはさせたくないとも考えている。 切嗣には自身の宝具や願いなどは伝えているが、真名については「召喚のショックで記憶に欠落がある」と誤魔化し伝えていない。 【マスター】 衛宮切嗣@Fate/Zero 【参加方法】 アハト翁が手配した聖遺物がゴフェルの木片であり、それを手にしたが為に聖杯戦争に参加した。 【マスターとしての願い】 世界の恒久的な平和。 【weapon】 『キャリコM950』 切嗣が主に扱うことが多い小型自動小銃。 コンパクトさに加え、50連ヘリカルマガジンを使用することで取り回しの良さと実用性を兼ねた銃。 『トンプソン・コンテンダー』 魔術礼装として独自の改造を施した、中折れ式単発銃。 大口径ライフル弾である30-06スプリングフィールド弾を使用するため、防弾チョッキ等では防げない程の破壊力を秘めている。 ただし単発銃である為に、一回発射する毎にリロードが必要である事が欠点。 また威力に比例して、その反動も当然ながら大きいものになっている。 『起源弾』 切嗣の肋骨の一本に魔術加工を施して作りだした弾丸。 彼の起源たる「切断」と「結合」の二重属性を発現させ、被弾した相手に不可逆の変質をもたらす魔弾。 これが魔術師が発動中の魔術に命中した時、その魔術回路を「切」って「嗣」ぐことで構造を変え、流れている魔力を暴走させて自滅させる。 また上記のコンテンダーを用いて扱われるため、魔術が関係なくとも命中した相手に大ダメージ自体を与えられる威力がある。 全部で66発の弾丸が作られ、その内の37発をこれまで魔術師の殺害に使用している。 【能力・技能】 魔術師としての腕前は並程度だが、一般的な魔術師が忌避している銃火器及び爆発物の扱いに長けている。 戦闘の際には、魔術師の裏を書く戦術や手段を多く用いる。 『固有時制御』 衛宮の家伝である「時間操作」の魔術を戦闘用に応用したもの。 本来儀式が煩雑で大掛かりである魔術であるのだが、「固有結界の体内展開を時間操作に応用し、自分の体内の時間経過速度のみを操作する」ことで、たった二小節の詠唱で発動を可能とし、戦闘時に用いている。 問言は「time alter 〇〇 accel(加速)またはstagnate(停滞)」。〇〇には倍率を示す単語が入る。 なお、固有時制御を解除した後に世界からの「修正力」が働くため、反動によって身体に相当の負担がかかる。 そのため、通常は2倍速程度が限界であり、それ以上を用いると肉体が大幅に損傷を受けてしまう。 【人物背景】 「魔術師殺し」の異名を持つ、魔術師を殺す術に長けた異端の魔術使い。 魔術師としての彼を言葉で表すならば異端であり外道。 戦闘に赴く場合は、幾重にも張り巡らせた策・謀略と罠で「絶対に勝てる状況」を作ってから挑む。 戦いにおいても確実に相手を葬ることを第一とし、そのためなら狙撃、毒殺、公衆の面前での爆殺、人質作戦、だまし討ちなど徹底して手段を問わない。 目的を達することでより多くの命を救えるならば、自分に近しい人間や愛する者ですらも利用し切り捨てる冷酷な行動原理の持ち主。 ただしそれは彼自身の悲しい過去に由来したものであり、むしろ普通の人間よりもずっと繊細な心をもっているが、あくまで自分の意志で非情な思考と行動を貫こうとしている。 「流血こそは悪」「戦場は地獄」という考えを持っており、英雄という存在そのものを忌避している。 これは自身がかつて「正義の味方」に憧れ、絶望したが故の反動とも言えるもので、自身のやり方でも闘争が終わらないことは理解している。 しかし、それまでに流してきた血や失われた命を無価値にしたくないという一心から、止まることができずに深みにはまり続けていた。 それ故に人類という種全体が抱える「闘争」全てを終わらせるための奇跡を求め、アインツベルンの誘いに乗り聖杯戦争に参加することを決める。 BACK NEXT 007 ジョンス・リー@エアマスター、アーチャー 投下順 009 アレクサンド・アンデルセン&ランサー 007 ジョンス・リー@エアマスター、アーチャー 時系列順 009 アレクサンド・アンデルセン&ランサー BACK 登場キャラ NEXT 参戦 衛宮切嗣&アーチャー(エミヤシロウ) 034 既視の剣
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衛宮切嗣 ≪クラス≫:セイヴァー 【特徴】救世の英霊 魔術師殺し 【属性】:秩序・悪 【筋力】:D(5) 【耐久】:D(5) 【敏捷】:D(5) 【魔翌力】:C(6) 【幸運】:B(7) 【宝具】:A+ 【クラススキル】 ◆対英雄:― (分類:特殊) 相手の全パラメータを、英霊なら2ランク、反英霊なら1ランクダウンさせる。 【保有スキル】 ◆単独行動:EX (分類:特殊) マスター不在・魔翌力供給なしでも長時間現界していられる能力。 EXランクではマスター不在でも制限なく行動できるようになる。 ◆破壊工作:A (分類:技能) 戦闘の準備段階で相手の戦力を削ぎ落とす才能。 ランクAの場合、進軍前の敵軍に六割近い損害を与えることが可能。 ただし、このスキルが高ければ高いほど、英雄としての霊格が低下する。 ◆魔術:B (分類:魔術) 魔術を扱えるかどうかを表すスキル。 彼の魔術は、衛宮の家伝である「時間操作」の魔術を戦闘用に応用したもの。 【宝具】 ◆『斬り繋ぐ凶弾 (エンディング・アクセル)』 自らの第十二肋骨で作られた礼装魔弾。 自らの起源、不可逆を意味する「切断」と「結合」の複合属性を発現させる。 この弾丸で穿たれた傷は即座に「結合」され、血が出ることもなくまるで古傷のように変化する。 ただ、「結合」であって「修復」ではないため、「結合」されたところの元の機能は失われてしまう。 宝具として強化されているため、相手の魔術による防御を誘う必要は無い。 魔術回路をもった者を穿つそれだけで、身体を流れる魔翌力の波は暴走し、破滅を招く。 【来歴】 地球外の金属生命体、そのを航空参謀を打倒することで数多の銀河を救った英雄。 『救世者』のクラスの他にもアサシンとキャスターに該当するが、彼が救ったものの規模を考えれば、それは救世どころでは無い。 真にあらゆる世界を救った、実在する人間としては最高峰の格を持つ大英霊である。 しかし――――その救済は何かを犠牲に得たものであり、彼の理想には及ばなかった。 争いの無い世界。その気高い理想は、気高いゆえに叶う事のないもの。 せめて、世界を救うために犠牲とした人々を救いたい。 その願いを掛け、彼は彼の終末として―――第四次聖杯戦争を選択する。 【願い】 救えなかったものを救う事。