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第三種目 銀:× 金:130 翠:98 蒼:150 真:130 雛:× 白「第三種目『障害物競走』の賞品はこちらであります。」 そして服。もはやくんくんが着たものだというのは見当がつく。 蒼「くっ、あれは噂に聞いていた『くんくん四十八の探偵秘奥義其の四・早変わり』の際のデザインじゃないか!! かつて一度だけくんくんの服が撮影中に破れてしまった。その時に1カットだけ着ていたという代用の服・・・。」 マ「・・・蒼星石もずいぶんとマニアックなものを知ってるんだね。」 しかし今回も予想を遙かに上回る一品だったようである。レアなのは分かっても、自分にその価値は分からないが。 蒼「ちなみに探偵秘奥義というのは視聴者が作ったネタだったのに後に公式設定のように定着してしまったんだ・・・。」 マ「・・・・・・ふーん。」 白「ルールは簡単。ミーディアムとドールで障害を乗り越えつつゴールまで走って下さい。 その際にはどこかしらミーディアムとドールの体が触れ合っているようにして下さいね。」 白「それではよーい・・・スタート!」 各チーム一斉に駆け出す。なんだかんだでどこも足の速さは大差ないようだ。 ただ、相方を普通に抱っこしている自分やみっちゃんさんとは違い、ジュン君は両脇に抱えている。 なにぶん走りにくそうだし、いくらそんなに重くはないとはいえ結構な負担になるだろう。 真「ジュン、他チームよりも少し遅れだしているわよ。」 ジ「ちょっと待てって!食べてすぐに走ったらお腹が・・・。」 翠「お前は運動不足なのですぅ。気合で走りやがれです!」 金「みっちゃんファイトー、かしら!」 み「ちょっと待って。普段あまり体を動かさないから・・・。」 マ「僕も・・・早くもなんかばててきたかな。」 走り出して早々にくたびれてきた。日ごろの運動不足がたたったようだ。 蒼「マスター・・・。」 マ「ん?」 蒼「僕が・・・重いせい?」 マ「まぁーさぁかぁーーーー!!」 ターボがかかったように加速して他のチームを引き離す。 真「これは・・・ドップラー効果!?」 白「お客さん、ほんっと単純ッスね。」 そんな感じで先頭を独走しているとコース上に机がセッティングされていた。 白「第一の障害は・・・計算問題!!全問解いてからお進み下さい。」 マ「やけにこれ簡単じゃない?」 白「全員が解けるように最年少のジュン君に合わせてますから。」 マ「難易度を各人の年齢に合わせればいいのに・・・。ジュン君が可哀想だよ。」 白「ぶっちゃけそこまで調べて違った問題を用意するのは面倒だったのと、後は複数人いるハンデって事で。」 マ「まあそれも一理あるのかなあ?」 答案を机に置いて走り出す。 翠「こらジュン!早く解けです!」 ジ「うるさいな!気が散るだろ!」 真「・・・金糸雀たちに抜かれてしまったけど、落ち着いてお解きなさい。あなたならきっと出来るわ。」 そんな風に騒いでいるうちに、ジュン君たちより後からやって来た金糸雀たちは問題をすんなりと解いてしまったようだ。 焦りもあってなのかだいぶ手こずり、ジュン君たち御一行はやはりここでかなりの後れを取ってしまったようだ。 マ「これがお次の障害か。」 今度は大きな机があってその上には小さな穴の開いた箱が置かれている。 白「まあ障害というよりもミニゲームですかね。その箱から封筒を引いてこちらへ持ってきて下さい。 中に書いてある簡単なクイズに正解したら通過できます。通過順に30点、10点、5点のボーナスつきです。」 マ「じゃあ蒼星石に引いてもらおうか。」 蒼星石が選び出した封筒を持って少し離れた解答用の場所へと向かう。 封筒が開封され、問題が読み上げられる。 白「それじゃあ問題です。世界三大美人、楊貴妃、クレオパトラとあと一人は?」 蒼「小野小ま・・・」 マ「蒼星石だぁぁーーー!!」 白「違います。いやー、期待通りのお答えッスね。もう一度問題を取りに行って下さい。」 蒼「マスターったら何を馬鹿なこと叫んでるのさ・・・。」 マ「違うんだ、知っていたけどつい美人という言葉に反応しちゃっただけなんだ!! ちゃんと小野小町の短歌だって知ってるんだ、どうか馬鹿だと呆れないでくれぇえ!」 蒼「それだから・・・言ってるんじゃない・・・。」 気を取り直して再チャレンジ。もう残り二チームは通過してしまった。 金糸雀チーム、翠星石チームの順だったから点差はそこまでは怖くない。 白「それでは第二問ですね。料理の美味しさに欠かせない『さしすせそ』を全部言って下さい。」 マ「砂糖、塩、酢、醤油、・・・」 白「『そ』は?」 何やら期待した眼差しで聞かれる。 マ「・・・味噌。」 今度は何やらがっかりといった顔をされてしまう。 マ「ソースって言っちゃうと思った?」 白「いえ別に。正解ですのでちゃっちゃと先に進んじゃって下さいな。」 蒼「さては問題・・・封筒に関係なくあらかじめ用意してあったね?」 何やらみんなが立ち往生しているところにやっとの事で追いついた。 マ「おや?今度の障害はそんなに手強いのかな。」 白「はーい、お二方に第三の障害の説明をしまーす。 ここは『芸術の秋・届け私のこの思い!』クイズです。 まあ簡単に言えばドールがお題の絵を描いて、ミーディアムがそれを当てるってだけです。」 マ「平たく言うとパクリの企画か。」 蒼「絵心勝負って訳だね。」 白「まあ細かいことは気にしないで、蒼星石さんへのお題はこちら!」 少し離れた場所で蒼星石が何か書かれた紙を見せられている。 蒼「・・・君ってやつは!」 白「ではお絵かきスタート!」 どう表現しようかとしばしの思案ののち、何やら描き始めた。 思いのほか短時間で描き上げられたその絵は・・・ハート? 何の変哲もない真っ赤なハートが大きく描かれているだけだけど・・・。 白「さあお答えをどうぞ!」 ハート・・・な訳がない。 それなら描き出すまでにあんなに時間を取る必要はないし、お題を見た時のリアクションにも結び付かない。 ハートが意味しているものとは・・・? 蒼星石が何やらじーっと目で訴えかけてくる。きっと答えかそのヒントを伝えようとしてくれてるのだろう。 ・・・駄目だ、見当がつかない。ごめんよ蒼星石、僕の愛が足りないばかりに・・・。 マ「あ!」 白「お、分かりましたか?それではお答えをどうぞ!」 マ「え、あ・・・うん。」 しかしちょっとためらわれる。ちょっと確信が持てないし、これで違っていたらこっ恥ずかしい。 白「早くしないと時間切れッスよ?」 マ「う・・・答えは僕、マスターだ!!」 白「ファイナルアンサー?」 マ「う・・・ファイナルアンサー・・・。」 白「・・・・・・・・・。」 マ「・・・・・・・・・。」 白「・・・・・・はぁ・・・。」 マ「・・・(ドキドキ)・・・。」 白「・・・・・・・・・はい正解です!お見事でしたー。」 安堵に全身の力が抜ける。 蒼「じゃあマスター、先を急ごうか。」 マ「う、うん。そうだね・・・。」 答えを聞いて既にこちらに来ていた蒼星石を抱き上げる。 蒼「えへへ、マスターとアイコンタクトできたね。」 マ「う、うん・・・そうだね。」 蒼星石からのメッセージを完全に受け取り切れなかった自分としては、 嬉しそうな蒼星石を見ていてかすかな罪悪感に囚われずにはいられなかった。 再び駆け出そうとすると真紅が騒ぎ出した。 真「ちょっと、早くお当てなさい!!あなたの目は節穴なのかしら?」 ジ「無茶言うな!どう見たってジャガイモだろうが!!」 真「あなた、失礼な事を言わないでくれる!?」 だがどうひいき目に見てもその絵はジャガイモにしか見えない。 だいぶハイレベルな推理力や観察力が必要そうだ・・・。 白「あのチームへのお題はこれっすよ。」 そう言って真紅の描いたお題の正体を見せてくれた。 『くんくん』・・・これは先が長くなりそうだな。 何はともあれ、この障害を一抜けで突破することができた。 ようやくゴールが見えてきたあたりでコース上に何やら置かれているのに気づく。 マ「なんだこりゃ?」 よく見ると、それぞれのコースごとに箱と棒が置かれている。 蒼「マスターあれ・・・。」 蒼星石が真上を見上げている。どうやら何か発見したらしい。 マ「うわ・・・。」 自分も上を見ると、そこには紐で吊るされたバナナがあった。 マ「猿じゃないんだから・・・。」 蒼「でも・・・かなり高いね。」 マ「確かに、すごく高いよね。」 そう、問題は高さ。おそらくは4、5メートルはあるだろう。 マ「台に乗って背伸びして、蒼星石を足を持って目一杯持ち上げて、鋏も使って・・・届くかな?」 蒼「多分ぎりぎりで届かないと思う。」 マ「だよね。さらにそこからジャンプ・・・は危険そうだし。」 蒼「飛んじゃう?」 マ「夢の中じゃないから僕は飛べないし、それだと蒼星石と離れちゃう。」 蒼「あっ、ルール違反か・・・。」 マ「ねえ、蒼星石が鋏を振った勢いで真空波を飛ばしてロープを切ったりは出来ないの?」 蒼「流石にあそこまで届くような盛大なのは無理かな・・・。」 マ「そっか、やっぱ無理か・・・。」 ここで追いついてきた他のチームが果敢にバナナ獲得に乗り出す。 翠「今こそ翠星石の出番ですね。スィドリーム!!」 あっという間に植物がぐんぐんと育っていく。 あれなら余裕でバナナの高さに到達しているだろう。 翠「ほれジュン、とっとと登るですよ。」 ジ「くそっ、なんでこんな事まで・・・。」 真「ジュン、あまり揺らさないでちょうだい。」 片手に真紅を抱え、背中に翠星石を負いながらやっとの思いで登っていく。 一方の金糸雀チームはある意味で正攻法ともいえる、台の上で肩車&傘を振り回すという方法を選択したようだ。 ただ、人間とドールのメンバー中でもそれなりに背丈がある方でコンビを組むうちが無理なのだから当然それでは届かない。 金「みっちゃん、後ちょっとかしらー。」 み「真紅ちゃんとこの踏み台も借りちゃおっか?」 金「流石はみっちゃん、賢いかしらー!!」 み「ちょっと・・・ぐらぐらするわね。」 それでも届きそうにはない。あの傘がいきなり伸びでもしなきゃ無理そうだ。 あ、こけた。金糸雀は尻餅をついて涙目になっている。 そしてみっちゃんさんは口では慰めつつも、それを嬉々として写真に撮っている。 ・・・もっとちゃんと慰めておやりよ。 蒼「ねえマスター、僕らはどうするの?」 必死な面々をよそに、自分はさっきからとある疑問が頭をよぎっていた。 マ「・・・そういやさ、あのバナナってどうしても取らなきゃいけないの?」 白「いえ、別に。」 その答えにより、参加者の間に動揺が走る。 白「いやー、さりげなく置いといたら皆さんどんなリアクションをするかなと・・・。」 真「じゃあ今までの事は無意味だったのかしら?」 白「いやいや、傍から見ている分にはとっても面白かったですよ。」 翠「てんめー、ふざけんじゃねえです!」 金「まんまと騙されたかしらー!!」 マ「じゃあこのまま行こうがバナナを取ろうが何も無いんだ。」 白「はい。『もうボーナスもペナルティもないんだよ!』ってやつです。」 マ「そういう事ならスタコラサッサだ!」 蒼星石をしっかりと抱き直して再び駆け出す。気を取り直した金糸雀たちも追ってくる。 ジュン君は・・・苦労して登った木の上からそろそろと降りているようだった。不憫だ。 自分たちだけが体勢の崩れていない状態でスタートを切れたので、後続を何とか振り切れた。 マ「やった!今度こそ一番乗り!!」 白「ゴールおめでとうございます。」 マ「そうか・・・遂に蒼星石とゴールインしたんだ!」 白「その通りですけど多分全然違いますから。色呆けも大概にしろッス!」 金「二番手でゴールかしらー!」 白「あ、お疲れ様です。」 金「これで決勝は蒼星石のところとなのかしら?」 白「まあまあ、慌てないで下さいよ。ジュン君のチームが今来ますから。」 翠「こらジュン!もっと突っ走れです。」 ジ「もう・・・みんなゴールしてるのに・・・人を酷使するなよ・・・。」 なんかもう精根尽き果ててるな・・・。 白「はいゴールです。本当にお疲れ様でしたー。」 翠「納得いかねえですよ!あんな引っ掛けが無ければ翠星石たちは負けてなかったです。」 白「いやあ思い込みこそ最大の障害・・・ってのは駄目ですか?」 金「翠星石、往生際が悪いかしら♪決勝はカナたちがいただきかしらー。」 白「ちょっとお待ち下さーい、実は途中の計算問題の点数は一秒一点で換算されます。それを加味するとー・・・」 金「ふふん、その程度ではカナたちの優位は揺らがないかしら♪」 白「おや?まさかの大逆転!残念ながら脱落は金糸雀チームだぁ!!」 金「な、なんでかしら!楽してズルして蒼星石のマスターさんの答えをちゃーんと写したのかしらー!!」 白「いえ、問題のレベルは同じですけど問題自体は別ですから。だからでしょうね、0点でしたよ。」 雛「ズルはいけないのー。」 翠「0点なんて青ダヌキのオマケみてえですね。」 白「ちなみにですけどねー、蒼星石チームと翠星石チームは満点でしたよ♪」 蒼「因果応報だね・・・。」 マ「悪の栄えたためしなしってやつだな。」 二人でうんうんと頷く。 金「みんなボロクソに言ってひどいのかしらー!!」 み「きゃー、みんなからいじめられて泣いてるカナもかーわいいー!!」 そう叫んでデジカメで様々な方向から撮りまくっている。 マ「前向きな人だなあ・・・。」 蒼「でもなんかあの二人らしいという気はするね・・・。」 翠「でかしたですよ、ジュン!ほめてやるです。」 ジ「・・・いいよ、あれだってもっと早く解けていたはずなんだ。本当だったら・・・くそっ!」 何やら・・・ジュン君は思い悩んでいるようだな・・・。
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←前回へ マ「お待たせ。」 脱衣所の隅の方に隠れていた蒼星石のところに浴衣を着たマスターがやって来た。 マスターが屈み込んで蒼星石と目線の高さを合わせる。 マ「それでさっきの話だけど・・・。」 蒼「マスターは自分がそばに居ても迷惑なだけだなんて、本気で言ったの?」 蒼星石が三度目の質問をする。 マ「・・・ああ、そうだよ。」 蒼「なぜ?」 マ「だってこんな事が起きているのに僕は皆のために何も出来ない・・・。 ジュン君のように被害に遭った人形を治す事も、皆の不安を軽減する事も、犯人を捕まえる事も出来なかった! 僕には・・・何一つ出来やしないんだ。」 蒼「どうしてそんなになんでもかんでもしょいこんじゃうのさ、マスターは別に完璧な存在ではないのに。」 マ「確かに・・・僕じゃあ完璧とは程遠いね。」 蒼「ううん、完璧な存在なんて居ない。僕も、翠星石達姉妹も、世の中の人全てでもそうだと思う。」 マ「そうかもね。でも自分だってせめて何か一つくらいは役に立ちたかったんだ。」 蒼「・・・ジュン君の事ならあれは彼の才能が特別なんだと思う。 確かに技量にもセンスにも目を見張るものがあるし、潜在的なもので言えば世界中探しても匹敵する人はそうそう居ないと思う。」 マ「ああ、同感だよ。」 蒼「でもね、マスターがジュン君と同じ事を出来る必要は無いし、マスターはマスターで自分の出来る事をやればいいんだよ。 だってジュン君が出来る事はジュン君がやればいいんだし、マスターにはマスターにしか出来ない事があるんだから。」 マ「僕にしか・・・出来ない事?」 蒼「うん。マスターは誰にもやさしく気配りが出来るし、知らず知らずみんなの中心に居て、ムードメーカーになれる人だと思う。 先日だって皆を引っ張って宴会を開いてくれたし、今も・・・皆マスターのことで我が事のように心を痛めてくれている。」 マ「そんなの何も特別な事じゃないじゃないか。やろうとしてやった事でもないし。」 それを聞いた蒼星石がここに来てちょっと笑った。 蒼「だからすごいんじゃない、意識せずに他人を惹きつけてしまうんだから。間違いなく一種の才能だよ。僕にはとてもできない。」 マ「そう・・・なのかな?」 蒼「それにね、マスターにしか出来ない事ってまだあるんだよ。」 マ「え?」 蒼星石がマスターの胸にしなだれかかる。 蒼「こうしてね、マスターのそばにいるだけでなんだか心があたたかくって・・・満たされた気分になるんだ。 他の誰からも得られない感覚だよ?マスターだけの・・・特別な・・・ね。」 マ「本気でそう言ってもらえるのなら・・・それが本当なら・・・それだけでもう満足だよ。他には何も望まないよ。」 ようやくマスターも笑った。 蒼「僕の方こそ何も出来なくってごめんね。」 しかし今度は蒼星石の表情が曇る。 マ「なんのこと?」 蒼「僕は・・・マスターと並んで歩いてお買い物を楽しんだり、野山を気兼ねなく散歩したり出来ない。 そう言った『普通』の事すら出来ずに、マスターに迷惑をかけてしまう・・・。」 マ「こっちの方はちっとも迷惑なんかじゃないよ!」 蒼「それにマスターが怪我をしても肩を貸すことも、すぐそばに居ても傷の手当をしてあげられもしなかった。」 蒼星石がマスターの顔についた傷にそっと触れた。 蒼「僕のせいでこんなひどい傷を負ったのに、何もしてあげられなかったんだ。」 マ「そんなの平気だよ!そもそもこれは自分のせいなんだしさ。」 蒼「だから僕も、僕にしか出来ない手当てをしてあげるね。」 マ「え?」 蒼星石の唇が傷に優しく押し付けられた。 蒼「・・・・どうかな?」 マ「すごく・・・楽になった。」 蒼「それは良かった。」 蒼星石がうれしそうに笑う。 マ「痛みもだけど・・・何より心が軽くなったよ。本当にありがとう。」 蒼「それは僕にお礼を言う事じゃないよ。」 マ「なんで?」 蒼「さっきのはね、マスターが僕に教えてくれた事なんだから。それこそマスター本人は気づかない内にかもしれないけどね。」 マ「・・・そっか。」 蒼「マスター、こちらこそ本当にありがとう。」 しばらく無言で見つめ合う。 マ「・・・あのさ、もう一回さっきの手当てをしていただけない?」 蒼「ふふふ、マスターったらすぐ調子に乗っちゃうんだから。駄目だよ、もう戻らないと皆が心配してるんだからね。」 マ「あ、そっか。・・・さっきの事も謝らなくっちゃな。皆をいたずらに困らせちゃった。」 蒼「そうだね、僕も部屋を飛び出してきちゃったし一緒に謝るからさ、急いで戻ろうか。」 マ「善は急げと言うしそうしようか。」 マスターが蒼星石を抱き上げた。 蒼「このままでいいの?誰かに見られちゃうかもよ。」 マ「いいんだ、今は蒼星石にそばに居て欲しい。今度はもう失敗しないから。」 蒼「じゃあ・・・お言葉に甘えちゃうね。」 蒼星石が手から蒼い光の球を飛ばす。 蒼「レンピカに見張ってもらってるしさ、ちょっとお話しながら戻ろうか。」 マ「あ、その手があったか。」 蒼「今度あんな事があったら僕がマスターを助けるからね。」 マ「もしもピンチになったらお願いね。」 蒼「はいはい、任せておいてよ。」 そんな他愛も無い事に始まり、いろいろ話しながら二人で部屋に帰って行った。 続きへ
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今日はふと思い立って、蒼星石と一緒に家中を大掃除した。 居間から物置部屋まで本当に隅々までやったので体は埃まみれだ。 こういう時には蒼星石にいつも必ずやってあげていることがある。 「マスター、今日もお願い。」 「任せろ、じゃあ先風呂入っててくれ。」 風呂と言っても、ただ埃まみれの頭を洗うだけだ。 掃除以外でも庭弄りなど、髪が傷むような事をした時は洗ってあげている。 蒼星石が風呂に向かってから少し待って、俺も風呂へ向かった。 「よーし、じゃあ洗ってやるからな。」 風呂場の戸を開けると、蒼星石はタオルを巻いて待っていた。 「うん、それじゃあお願い。」 まずシャワーをかけて髪を濡らしてからシャンプーを手に取り、髪を洗い始めた。 その間二人が交わす言葉はなかったが、心地よい静寂があった。 泡を洗い流した後は、リンスもかけて髪質を整えて、洗髪は終了した。 脱衣所に上がり、まず蒼星石の頭をタオルでくしゃくしゃに拭いた。 「うわわっ!ちょっと・・・やめてよマスター!」 頬を膨らませて俺を見上げるようにしながらにらみつけてくる。 「でもちゃんと拭いとかないと、ドライヤーもちゃんとかけるからいいだろ?」 「かけながらちゃんとブラシもしてよね。」 その後、ちゃんとドライヤーをかけながらブラシもしてやった。 「前よりちょっと髪も綺麗になったかな、マスター、ありがとね。」 「どういたしまして、こういうときじゃなくたっていつでもやってあげるからな。」 「うん、でも僕ばっかりじゃあ悪いから僕も何かしてあげるよ、何がいい?」 「そうだな、とりあえず肩揉んでくれ。」 「分かった、じゃあそこに座って。」 肩揉みを受けていると時々耳をかすめる蒼星石の髪は、いつもよりなめらかに揺れていた。
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今日は翠星石と話し込んでいたためにお夕飯の準備が少し遅くなってしまった。 蒼「マスターお待たせー、ご飯だよー。」 しかし普段のように返事も無ければやってくる気配も無い。 蒼「マスター?」 様子を見に部屋に行く。 蒼「マスター、ご飯できたよ。」 しかし反応は無い。 コン コン そっとノックしてみた。やはり反応が無い。 蒼「マスター・・・中に入るよ。」 そっとドアを開けて中の様子をうかがう。 マスターがこちらに背を向けて机に座っている。 ヘッドホンをしているところを見ると音楽でも聴いて夕食までの時間をつぶしていたのだろう。 蒼「マ・ス・タ・ー、ご・は・ん・で・す・よ!」 ドアのところからちょっと大きな声で呼んでみる。 やはりなんの反応も無い。 多少ためらいながらも無断で部屋に入る。 蒼「ねえ、マスターったら・・・。」 少しはなれたところから呼びかける。反応は・・・無かった・・・。 もうちょっと近づいて手を触れればすぐに気づいてくれるのは分かっている。 だけど・・・自分の声で振り向いてほしかった。 手を伸ばせば届きそうな距離なのに自分の声が届かない、それだけのことが無性に切なかった。 まるで・・・マスターにとって自分など存在していないかのようで・・・。 蒼「マスター・・・こっち向いてくれないとご飯抜きにしちゃうよ?」 うつむきながらそんなことを言ってもみたが、当然反応は無かった。 蒼「マスターの心に僕の声が届かないようでさびしいよ・・・。マスターは僕の一番大事な・・・のに。」 ぽつりと本音が漏れてしまう。 マ「ほぉ、そりゃ光栄だ。翠星石のほうが大事なのかと思ってた。」 蒼「す、翠星石とマスターはまた別の意味で・・・えっ!?」 顔を上げるといつの間にやらヘッドホンをはずしたマスターがこちらに体を向けていた。 マ「や、お迎えありがとう。どう別なの?」 蒼「マ、マスター、ひょっとしてヘッドホンで何も聞いてなくて、今までの全部お芝居だったんじゃ・・・。」 マ「いや、本当にちゃんと聞いてたよ。・・・で、どんな意味なのかな。」 マスターがにこやかに意地の悪い質問をしてくる。 蒼「そ、それは・・・その・・・ああぅ。・・・ほら!早くご飯を食べようよ。冷めちゃうよ!」 マ「ねえ~、どんな意味~?」 蒼「もう知らないっ!」 結局その後もマスターの執拗な追及は続くのだった・・・。 蒼「と、ところで・・・本当にさっきは何かを聞いていたんだよね?」 マ「いや、本当に聞いていたんだって。それで無ければ蒼星石の声を聞き逃すわけ無いだろ。」 蒼「ちぇっ、マスターこそ僕なんかより音楽の方が重要なんだね?ひどいなあ・・・。」 しつこい追及をそらす思惑もあってか、珍しく蒼星石がすねたように不満を漏らす。 マ「いや・・さっきのは・・・これを聞いていたから。」 マスターが聞いていたCDを見せる。 そこにはマスターの字でこう書かれていた。 『蒼星石の声 ~日常編~ 』 蒼「な、何を聞いてるのさ・・・!」 蒼星石の顔が真っ赤に燃え上がる。 マ「・・・まあ、そういうわけで、さすがにすぐには気づけなかった。」 マスターも目をそらし、顔を赤らめつつ弁解する。 蒼「もう・・そんなものじゃなくて僕自身の生の声を聞いてほしいよ。」 マ「うん・・・ごめん・・・。寂しい思いをさせちゃって。」 そう言ってマスターが蒼星石の頭を優しく撫でる。 マ「もう君の声を聞き逃すようなことはしないから許してくれないかな。」 蒼「うん、約束だからね、マスター。」 二人が笑顔を交わす。 そこには何の言葉も必要なかった。 蒼「ところで・・・『日常編』ってあったけれど他には一体何編があるのかなあ?ねえ、マスター?」 さっきまでの笑顔から一転して蒼星石が鋭い表情でマスターを問い詰める。 マ「・・・・・・・・。さあ、冷める前にご飯だ!!」 マスターがそしらぬ顔で颯爽と立ち上がり食卓へと向かう。 蒼「ちょっと、なんで逃げるのさ!」 マ「知~らない、知~らない!」 蒼「ねえ、ちゃんと答えてよ!」 マ「アーアー、聞こえなーい。」 耳をふさぐとそのまま行ってしまう。 蒼「マスターの嘘つき!」 マ「アーアー、ごめんなさーい。」 蒼「ほら!聞こえてるじゃない。」 マ「アーアー、蒼星石の可愛さは異常ー。」 蒼「な、そ・・そんなので、ご・・ごまかされないんだからね!」 ・・・その後もしばらく二人の声が途絶えることはなかったとさ。
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前回までのあらすじ 朝起きたらなんと蒼星石になっていた! じじいの世話は出来ないので脱走、偶然飛び込んだ家は柏葉家だった! なんとか巴のおかげで桜田家に行くことが出来たのだが……? 「着いたよ。」 巴の声を聞いて、俺は鞄から飛び出した。 「ここが桜田家か……。」 なんでも巴は、ここにいる子に会いに来たらしい。 巴が手に持ってるのは不死家の袋だし、たぶん雛苺だろう。 じじい家に翠星石もいなかったし、どうやら既に桜田家に3体のドールがいると見て間違いないだろう。 巴がドアのチャイムを鳴らすと、わりとすぐにドアが開いた。それと同時に、何かが走ってきて、巴に飛びついた。 「トゥモエエエエエエエエ!」 「ふふ、いい子にしてた?雛苺」 雛苺か。抱きつかれた巴もまんざらでもないようだ。 「やあ、雛苺」 俺はできるだけフレンドリーに雛苺に声をかけた。 「あー、蒼星石!久しぶりなのー!」 「あら?みんなのお友達?」 のりちゃんもやってきたようだ。とても不思議な気分だが、ここは冷静になれ、俺。 「はじめまして。僕はローゼンメイデン第4ドール、蒼星石。翠星石の双子の妹で、真紅と雛苺の姉です。みんながここにいると聞いたので……。」 「あら、そうだったのぅ?私はのり。桜田のりっていうの。よろしくね。さあ、上がって上がって。巴ちゃんも遠慮しないで」 「すいません、私はこれから部活があるので……。」 「あら…それじゃ仕方ないわね……がんばってね」 「え~、巴帰っちゃうの!?」 「ごめんね、雛苺。また後で来るから。」 「は~い……。」 雛苺はぶすくれているがこれ以上わがままは言わない。 「おじゃまします。巴さん、グラッツェ(ありがとう)! 君の幸運を祈ろうッ!アリーヴェ・デルチ(さよならだ)」 俺はここまで連れてきてくれた巴に礼を言い、桜田家にお邪魔した。 巴は少し微笑みながら帰っていった。 さて、ここに翠星石に真紅、更にジュン君がいるのか……。 ああ、やっぱ不思議な気持ちだ。 「あれ、蒼星石ってそんなキャラじゃなかったような気がするの……。」 やべっ……。 どこがいけなかった?つい気分が高揚して変なこと言っちまったか? 「雛苺。僕たちは悠久の時の中、時の流れ、世界の流れを感じながら生きているんだ。そんな中で価値観が変わらないわけが無い。 たとえば邦楽のショボイ曲しか聴いたことの無い人がビートルズの名曲を聞いて洋楽のよさに目覚めるのはコーラを飲んだらゲップが出るくらい確実なことじゃあないかい? とにかく、『苺大福を一口食べたら魅了される』ように、考え方や価値観は意外と簡単に変わってしまうものなんだ。 人間社会に長い間暮らしていればなおさらね。 わかったかい?雛苺。」 「うゆ……よくわかんないの。」 「はは、まだ雛苺には早かったかな。さあ、皆のところに行こうか。」 フゥ~ッ…。 純粋で精神的に幼い雛苺だから、なんとか口から出任せの説明ではぐらかすことが出来たが……。 これが真紅相手だったらと思うと……ゾッとするぜ。 とにかく、注意を払って、一時のテンションに身を任すことだけは慎まなければいけない。 ここでの行動が、今後の生死を分けることになるのかもしれないのだから……。 俺の死は即ち蒼星石の死。 すごいプレッシャーだ。絶対に死ぬわけにはいかないじゃないか。 まったく、やれやれだぜ……。
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Story ID pxjm2IHS0 氏(300th take) 【13 03】ローゼンスタジオ到着。 【13 30】誰も来ない…。 【14 00】翠星石が来る。遅いよ!真紅はまだ来ない。 【14 08】バーカウンターの影に人影がっ!泥棒か?!と思ったら薔薇水晶だった。僕が来る前から居たらしい。居たなら声かけてよ! 【14 09】薔薇水晶「・・・ヒマだったから水周りの掃除しちゃった・・・」 僕「・・・」 てか他にやることあるよね? 【14 25】やっと真紅が来た。なんだか浮かれている。 88 :名無しさんのみボーナストラック収録 :04/06/01 02 08 ID ??? 【14 30】「スゲーいい曲が出来たのだわ!聴いて!」と真紅が言うと同時に大爆音が流れ始めた。 【14 30】うんうん、イントロはプリーストのアレだな。 【14 31】おっ、リフはメイデンか・・・ 【14 32】で、サビはスウィートかよ!つぅかこの曲、3曲繋げただけでオリジナルのメロが無いんだけど…いいのかな?! 89 :名無しさんのみボーナストラック収録 :04/06/01 02 12 ID ??? 【14 35】「どう?」真紅が聞く。よし、今日こそ僕がハッキリと言ってやるぞ! 【14 36】翠星石「凄いですぅ真紅!感動しちゃったですぅ!」 薔薇水晶「・・・とってもスイーツ・・・」 おいおい、そうくるのかよ! 【14 37】真紅「で、蒼星石はどう思ったの?」 僕「……よ、良かったよ」 【14 38】「じゃあ次作の先行シングルはコレにケテーィ!だな!」・・・ますます浮かれポンチになる真紅を見て思った・・・僕の負けだ・・・ 短編SS保管庫へ
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翠「ふんふん・・・ほー・・・」 翠星石が真剣に何かを読んでいる。 蒼「さっきから何を読んでるんだい?」 それが余りに真剣なので双子の妹の蒼星石が質問してみた。 翠「週刊誌ですよ。人目の無い早朝に回収に出てたのをゲットしてやりました。」 そう言えば翠星石の脇には雑誌の山があった。 蒼「週刊誌?どれ・・・。」 蒼星石も山から一冊手にとってぱらぱらとめくってみた。 蒼「・・・な、なんだいこれ!女の人の裸とか、その・・・ああいうシーンばっかじゃないか!!」 翠「ああ、いわゆる『エロ本』やら『エロゲー雑誌』とやらも持ってきてしまったみたいです。 気付いたのが遅かったので戻しに行けませんでしたが・・・人間のオスって奴はホント下劣ですね。」 蒼「まあ人それぞれだよ。マスターはこんなもの読まないみたいだし。」 翠「わかりませんよぉ?案外ベッドの下にでも置いといたら戻ってきてると驚いたりして・・・。」 翠星石がそんな冗談を言ってニヤニヤする。 蒼「やめなよね。それにしてもなんでまた週刊誌なんて読む気になったの?。」 翠「何かマスターとお話しするのに手頃な話題を仕入れられないかと思いましてね。」 蒼「別に普通に話せばいいんじゃない?今までだって仲良く接してられてるじゃない。」 翠「まあそうですがね、一応いろいろな話題をストックしておこうかと。 よその女に現を抜かされて見放されても困りますしね。女としての差をつけておかないと。」 蒼「まさか、マスターに見放されるだなんて・・・で、何か面白い話題はあったの?」 翠「ちょっとした心理テストなんてどうですかね?」 蒼「どんなの?」 翠「あのですね・・・」 蒼「ふむふむ・・・」 その晩のご飯は双子が用意した。 普段はマスターが作るが時折双子も作っている。 マスターの負担を減らすのと、自分達にも出来るんだというのを示すのが主な目的だ。 翠「うまいですか?」 マ「美味しいよ。ありがとうね。」 その言葉で双子の顔に笑みが浮かぶ。 蒼「良かった。」 翠「まあ当然ですがね。」 マ「この分なら二人にもっと任せちゃってもいいかもね。」 翠「ふっ、どーんと来いですっ!」 蒼「そうだね。いろいろと栄養にも気を配って、役に立てたらいいな。」 マ「ははっ、そんなに堅苦しく考えなくてもいいけどさ。」 蒼「ねえマスター、マスターはお風呂でどこから洗うの?」 マ「ほえ?うーんと、髪の毛かな。」 翠「ほう、髪の毛ですか。」 蒼「じゃあこれから僕らが料理する時にはワカメとかひじきを多めに出すように心がけるね。」 マ「なんで?」 蒼「あのね、お風呂で真っ先に洗うのがその人にとって一番の大事なものなんだって。」 翠「だから禿げたりしないようにケアしてやりますよ。」 マ「な、なんだってー!!」 蒼「だからさ、僕らもそれを守るのに協力するよ。」 翠「翠星石みたいな見事な髪を目指して頑張れです。」 蒼「いや、そりゃ長過ぎだよ。まあ・・・僕ぐらいが限度じゃない?」 マ「一番大事なもの・・・じゃあ最初に翠星石と蒼星石を洗わなきゃ!!」 翠「えぇっ!?」 蒼「どうして?」 マ「髪なんぞ無くなってもいいけど、翠星石と蒼星石は失いたくない!」 蒼「えーと、気持ちは嬉しいけどそういう事じゃないと思うんだ。」 翠「ちょっとズレてますよ。そこはどっちかというと翠星石達の心配りに感謝感激して・・・」 マ「よし!じゃあ早速だけど今夜は翠星石と蒼星石をお風呂で洗うぞ!!」 蒼「ええっ、本気なの!?」 翠「そ、そんなん出来るわきゃねえです!」 マ「錆びるとか?」 蒼「水を被ったくらいならレンピカ達も居るし平気だと思うけど・・・でも・・・。」 翠「そういう問題じゃなく、乙女に混浴を強いるなんて・・・やっぱマスターも下劣なんですか?」 マ「なるほど、乙女心には配慮せねば・・・そうだ!!」 蒼「なんか閃いたみたいだね。」 翠「碌でもなさそうな予感がしますよ。」 マ「準備できたよー、お願い。」 お風呂場の方からマスターの呼ぶ声。 双子が様子を見に行く。 蒼「本気みたいだね。」 翠「そのようですね。」 マスターは腰にタオルを巻いて、あとアイマスクをしている。 二人が恥ずかしくないようにとの配慮らしいが。 翠「まるで変質者のような出で立ちですね。」 蒼「マスターったらノリノリだね・・・で、どうする?」 翠「どうするって・・・。」 二人ともそれなりに長い付き合いだから分かっていた。 言い出したらマスターは聞かない。 断っても無駄か、落ち込むだけだ。 翠「今日のところは仕方ありませんよね。」 ふぅ、とため息混じりに翠星石が胸のリボンをほどく。 蒼「そうだね。」 蒼星石もそれに従った。 視界の利かないマスターが双子に手を引かれてお風呂場に入る。 マ「いやーありがとう。」 蒼「足元に気をつけてね。」 翠「こんなんですっころんでくたばりでもしたら末代までの恥ですよ。」 マ「はっはっは、僕が死んだらそれで末代だから別に平気だよ。」 翠「平気じゃありません!!」 蒼「そんな縁起でもない事を言わないでよね。」 マ「はーい。じゃあ早速・・・あっ!!!」 翠「どうしましたか?」 蒼「何か問題でも?」 マ「どうしよう・・・どっちを先に洗えばいいんだ・・・。 二人同時に洗うのも無理があるし、どちらが大事かを決めるなんて出来ないし・・・うむむ。」 マスターが頭を抱えて悩みだした。 翠星石と蒼星石は呆れた感じで顔を見合わせる。 翠「本当にどうしますか?」 蒼「どうするって・・・どっちが先かって事だよね?」 翠「はい。」 向き合ったまま二人とも黙ってしまった。 蒼「どうするっていってもねえ・・・。」 翠「ええ・・・。」 どちらが先に洗われるのか、翠星石も蒼星石も嫌ではないのだろうが尻込みしていた。 マ「・・・よし!」 悩む双子よりも先にマスターの方が結論を出したようだ。 蒼「僕らが悩まずとも決めてくれたみたいだね。」 翠「ただ、いやに自信ありげなのが気になりますが。」 マ「二人同時に洗うしかない!」 翠「・・・やっぱりですぅ。」 蒼「それは流石に無理なんじゃないかと。」 マ「でも!二人のどっちがより大事かなんて決められるだろうか、いやない!!」 蒼「反語で言わなくっても。」 翠「反論しても無駄みたいですね。」 マ「じゃあまずは髪洗うから正面に来て♪」 促されて二人が移動した。 マ「えーと、悪いけどシャワー取って。」 蒼「どうぞ。」 マ「お湯出して。」 蒼「はい。」 マ「なんかさ、手術してるお医者さんと看護婦さんみたいだね。」 翠「のんきな事を言ってないで早くするです。」 マ「はーい・・・あっ!!!」 翠「どうしたんですか?」 蒼「まさかシャワーを熱くし過ぎた?火傷しちゃった?」 二人が不安そうな表情をする。 マ「どっちに先にお湯をかけよう・・・。」 翠「もういいから早くしてくださいよ。」 蒼「お湯がもったいないよ。」 マ「じゃあ今日はお手伝いしてくれた蒼星石が先で、この次に交代で翠星石を先にしよう。」 翠「だったら最初からそうすれば良かったんですよ。」 蒼「そうだよね・・・って、なんだかもう一回お風呂に入るのは平気になってたね。」 翠「そういや・・・すっかりと流されてました。」 マ「え、まだ流してないよ?じゃあまずはさっと流すから二人とも目をつぶって。」 そう言って一拍おいてからお湯をかける。 手で簡単に髪を梳いて埃等を流す。 マ「じゃあ一旦お湯を止めて。二人ともシャンプーとかつけて平気?」 蒼「薬品はちょっと・・・。」 翠「キューティクルとかは無いからこれで十分だと思いますよ。」 マ「じゃあ何もつけないでちょっとわしわしとしておこう。 一度には無理だからまずは蒼星石からね。かゆい所があったら言ってね。」 蒼「大丈夫だよ。」 翠「どこの美容師ですか。」 マ「さらさらだー♪」 蒼「そう?髪なんてあまりほめられる機会ないけど・・・そう言ってくれるとうれしいな。」 マ「せっかくのきれいな髪なんだからちゃーんと隅々まできれいにしようね。」 蒼「ふふっ、ありがとう。」 マ「じゃあお次は翠星石の番だ。」 翠「はい。・・・翠星石の髪はどうですか?」 マ「やっぱりさらさらだー♪そして見事に長々だー!」 翠「まあ一応は自慢の髪ですからね。」 マ「これはすごい。こうして目隠ししてるとどこまでも続くようだ。」 翠「触っていてどんな感じですか?」 マ「うーむ、未知の体験だけど、中華麺を自分で作るとこんな感じなのかな。」 翠「・・・怒りますよ。」 マ「ちゃーんと隅々まできれいにするから許してね。」 翠「やれやれ、多いかもしれませんが手を抜かないでくださいね。」 そして一通り洗ってから再びお湯で流す。 マ「じゃあ次は体ね。これなら二人いっぺんに洗えそうだ。」 翠「いっぺんにですか。」 マ「なんとかなるって。石鹸ちょうだい。」 蒼「はい。あとタオルも。」 マ「あ、タオルはいいよ。」 蒼「えっ?」 マ「手で洗うよ。二人の柔肌を傷つけても困るし、関節の隙間とかもきれいにしたいからさ。」 翠「手で、ですか?」 マ「じゃあきれいにしましょうねー♪」 マスターがうれしそうに両手で石鹸をこする。 そんな様子に双子が小声で話を交わす。 蒼「まあ仕方ないよ。マスターは純粋に洗ってくれるつもりみたいだしさ。 こちらばかりが変に意識して構えてても仕方ないよ。」 翠「そうですね、しばらくはされるがままになっておきましょうか。」 マ「じゃあいきまーす。これなら二人同時で大丈夫そうだ。」 泡を塗りたくった手で二人の肩をこする。 翠「なんかむずむずしますね。」 蒼「こんな風に触らないものね。」 マスターの手が球体間接の隙間に進入した。 翠「ひゃっ!!」 マ「うっわ!!」 蒼「危ない!!」 翠星石が身じろぎするのとほぼ同時にマスターが手を引いた。 危うくそのまま後ろに倒れそうになるのを蒼星石が支えた。 蒼「二人とも大丈夫?」 翠「私はくすぐったかっただけですけど・・・マスターはどうしたんですか?」 マ「ああごめん、関節の隙間に指が挟まれそうになって。」 蒼「えっ!怪我は無い?」 マ「なんとか。見えなかったから分からないけど爪とかは大丈夫なはず。 ただアイマスクで目隠ししていたから危なく転びそうになっちゃった。」 翠「すみません。くすぐったくてもじっとしてるようにしますね。」 蒼「僕も暴れた弾みで押したりしないよう気をつけるよ。」 マ「じゃあ再開しまーす。」 肩を洗い、だんだんと体の下の方へと手が移動していく。 そして・・・ マ「お、なんかゴミがついてる。」 翠「ひぃ!?」 マ「ありゃ?蒼星石にもだ。」 蒼「ぁ・・・そ、それはゴミじゃなくって・・・」 二人ともさっきの事があってか動かないようにしているようだ。 マ「取れないや・・・引っ掻いちゃえ。」 翠「痛!!」 蒼「つ、爪は・・・やめ・・・」 マ「あ、ごめん。肌に傷つけちゃうところだったね。」 マスターが指の腹でそっとこすってみる。 蒼「だ、だから、それはぁ・・・」 マ「それは?」 翠「な、なんでもないから早く終わりにするですっ!!」 マ「はーい、つまんだら取れないかな?」 蒼「と、取れたら困るよ・・・あぁ・・・。」 翠「だ、だめですってば・・・ふぁ・・・。」 マ「んー・・・これってひょっとしてねじ穴みたいにドールには普通についてるもの?」 翠「そんな感じですよ!」 蒼「わ、わかったら早く・・・。」 マ「はーい。」 その後は特にアクシデントも無く洗い進んだ。 全身に塗りたくられた泡をシャワーで丁寧に流す。 マ「きれいになった?きれいになった?」 蒼「ええ、まあ。」 翠「・・・ですね。」 マ「あれ、なんか二人ともテンション低くない?・・・迷惑だった?」 蒼「違うけどさ、なんというか・・・。」 翠「鈍くってかなわんって事ですよ。」 マ「えー、だったらはっきりと言ってよ。」 蒼「えーと、言葉で説明するのはちょっと・・・。」 翠「ふん、自分でやられてみりゃ分かりますよ。」 蒼「やられてみればって・・・ふむ、なるほど。」 翠「え?・・・確かにいいかもしれませんね。」 双子が顔を向き合わせる。 と、ほぼ同時ににやりと笑う。 翠「・・・そう、やられてみれば・・・」 蒼「そうだよね、それが手っ取り早いよね。」 マ「じゃあさ、自分の体洗うからタオル貸して。」 そんな二人の様子の見えないマスターがのんきにそう言った。 翠「いえいえ、その前にさっきの説明をさせてもらいます。」 蒼「そうそう。・・・ただ、身を以って体験してもらっちゃうけどね。」 マ「え、どういう事?」 マスターはいまだ訳も分からずにニコニコとしていた。 [スレ住人の大半には関心の無いもの] ( 0T0) おばあちゃんが言っていた、『あまり長々と続けると読む側がだれるから適当に切っておきなさい』ってな! そんな訳で天の道に従って以下次回 三( 0X0) つまりこの後の場面は長いんだな?俺はクロックアップで先に行ってるぞ! (0T0) お前が加速しても体感の待ち時間は増えるだけだぞバカガミ・・・だがッ!『ハイパークロックアップ!!』
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翠「ふんふん・・・ほー・・・」 翠星石が真剣に何かを読んでいる。 蒼「さっきから何を読んでるんだい?」 それが余りに真剣なので双子の妹の蒼星石が質問してみた。 翠「週刊誌ですよ。人目の無い早朝に回収に出てたのをゲットしてやりました。」 そう言えば翠星石の脇には雑誌の山があった。 蒼「週刊誌?どれ・・・。」 蒼星石も山から一冊手にとってぱらぱらとめくってみた。 蒼「・・・な、なんだいこれ!女の人の裸とか、その・・・ああいうシーンばっかじゃないか!!」 翠「ああ、いわゆる『エロ本』やら『エロゲー雑誌』とやらも持ってきてしまったみたいです。 気付いたのが遅かったので戻しに行けませんでしたが・・・人間のオスって奴はホント下劣ですね。」 蒼「まあ人それぞれだよ。マスターはこんなもの読まないみたいだし。」 翠「わかりませんよぉ?案外ベッドの下にでも置いといたら戻ってきてると驚いたりして・・・。」 翠星石がそんな冗談を言ってニヤニヤする。 蒼「やめなよね。それにしてもなんでまた週刊誌なんて読む気になったの?。」 翠「何かマスターとお話しするのに手頃な話題を仕入れられないかと思いましてね。」 蒼「別に普通に話せばいいんじゃない?今までだって仲良く接してられてるじゃない。」 翠「まあそうですがね、一応いろいろな話題をストックしておこうかと。 よその女に現を抜かされて見放されても困りますしね。女としての差をつけておかないと。」 蒼「まさか、マスターに見放されるだなんて・・・で、何か面白い話題はあったの?」 翠「ちょっとした心理テストなんてどうですかね?」 蒼「どんなの?」 翠「あのですね・・・」 蒼「ふむふむ・・・」 その晩のご飯は双子が用意した。 普段はマスターが作るが時折双子も作っている。 マスターの負担を減らすのと、自分達にも出来るんだというのを示すのが主な目的だ。 翠「うまいですか?」 マ「美味しいよ。ありがとうね。」 その言葉で双子の顔に笑みが浮かぶ。 蒼「良かった。」 翠「まあ当然ですがね。」 マ「この分なら二人にもっと任せちゃってもいいかもね。」 翠「ふっ、どーんと来いですっ!」 蒼「そうだね。いろいろと栄養にも気を配って、役に立てたらいいな。」 マ「ははっ、そんなに堅苦しく考えなくてもいいけどさ。」 蒼「ねえマスター、マスターはお風呂でどこから洗うの?」 マ「ほえ?うーんと、髪の毛かな。」 翠「ほう、髪の毛ですか。」 蒼「じゃあこれから僕らが料理する時にはワカメとかひじきを多めに出すように心がけるね。」 マ「なんで?」 蒼「あのね、お風呂で真っ先に洗うのがその人にとって一番の大事なものなんだって。」 翠「だから禿げたりしないようにケアしてやりますよ。」 マ「な、なんだってー!!」 蒼「だからさ、僕らもそれを守るのに協力するよ。」 翠「翠星石みたいな見事な髪を目指して頑張れです。」 蒼「いや、そりゃ長過ぎだよ。まあ・・・僕ぐらいが限度じゃない?」 マ「一番大事なもの・・・じゃあ最初に翠星石と蒼星石を洗わなきゃ!!」 翠「えぇっ!?」 蒼「どうして?」 マ「髪なんぞ無くなってもいいけど、翠星石と蒼星石は失いたくない!」 蒼「えーと、気持ちは嬉しいけどそういう事じゃないと思うんだ。」 翠「ちょっとズレてますよ。そこはどっちかというと翠星石達の心配りに感謝感激して・・・」 マ「よし!じゃあ早速だけど今夜は翠星石と蒼星石をお風呂で洗うぞ!!」 蒼「ええっ、本気なの!?」 翠「そ、そんなん出来るわきゃねえです!」 マ「錆びるとか?」 蒼「水を被ったくらいならレンピカ達も居るし平気だと思うけど・・・でも・・・。」 翠「そういう問題じゃなく、乙女に混浴を強いるなんて・・・やっぱマスターも下劣なんですか?」 マ「なるほど、乙女心には配慮せねば・・・そうだ!!」 蒼「なんか閃いたみたいだね。」 翠「碌でもなさそうな予感がしますよ。」 マ「準備できたよー、お願い。」 お風呂場の方からマスターの呼ぶ声。 双子が様子を見に行く。 蒼「本気みたいだね。」 翠「そのようですね。」 マスターは腰にタオルを巻いて、あとアイマスクをしている。 二人が恥ずかしくないようにとの配慮らしいが。 翠「まるで変質者のような出で立ちですね。」 蒼「マスターったらノリノリだね・・・で、どうする?」 翠「どうするって・・・。」 二人ともそれなりに長い付き合いだから分かっていた。 言い出したらマスターは聞かない。 断っても無駄か、落ち込むだけだ。 翠「今日のところは仕方ありませんよね。」 ふぅ、とため息混じりに翠星石が胸のリボンをほどく。 蒼「そうだね。」 蒼星石もそれに従った。 視界の利かないマスターが双子に手を引かれてお風呂場に入る。 マ「いやーありがとう。」 蒼「足元に気をつけてね。」 翠「こんなんですっころんでくたばりでもしたら末代までの恥ですよ。」 マ「はっはっは、僕が死んだらそれで末代だから別に平気だよ。」 翠「平気じゃありません!!」 蒼「そんな縁起でもない事を言わないでよね。」 マ「はーい。じゃあ早速・・・あっ!!!」 翠「どうしましたか?」 蒼「何か問題でも?」 マ「どうしよう・・・どっちを先に洗えばいいんだ・・・。 二人同時に洗うのも無理があるし、どちらが大事かを決めるなんて出来ないし・・・うむむ。」 マスターが頭を抱えて悩みだした。 翠星石と蒼星石は呆れた感じで顔を見合わせる。 翠「本当にどうしますか?」 蒼「どうするって・・・どっちが先かって事だよね?」 翠「はい。」 向き合ったまま二人とも黙ってしまった。 蒼「どうするっていってもねえ・・・。」 翠「ええ・・・。」 どちらが先に洗われるのか、翠星石も蒼星石も嫌ではないのだろうが尻込みしていた。 マ「・・・よし!」 悩む双子よりも先にマスターの方が結論を出したようだ。 蒼「僕らが悩まずとも決めてくれたみたいだね。」 翠「ただ、いやに自信ありげなのが気になりますが。」 マ「二人同時に洗うしかない!」 翠「・・・やっぱりですぅ。」 蒼「それは流石に無理なんじゃないかと。」 マ「でも!二人のどっちがより大事かなんて決められるだろうか、いやない!!」 蒼「反語で言わなくっても。」 翠「反論しても無駄みたいですね。」 マ「じゃあまずは髪洗うから正面に来て♪」 促されて二人が移動した。 マ「えーと、悪いけどシャワー取って。」 蒼「どうぞ。」 マ「お湯出して。」 蒼「はい。」 マ「なんかさ、手術してるお医者さんと看護婦さんみたいだね。」 翠「のんきな事を言ってないで早くするです。」 マ「はーい・・・あっ!!!」 翠「どうしたんですか?」 蒼「まさかシャワーを熱くし過ぎた?火傷しちゃった?」 二人が不安そうな表情をする。 マ「どっちに先にお湯をかけよう・・・。」 翠「もういいから早くしてくださいよ。」 蒼「お湯がもったいないよ。」 マ「じゃあ今日はお手伝いしてくれた蒼星石が先で、この次に交代で翠星石を先にしよう。」 翠「だったら最初からそうすれば良かったんですよ。」 蒼「そうだよね・・・って、なんだかもう一回お風呂に入るのは平気になってたね。」 翠「そういや・・・すっかりと流されてました。」 マ「え、まだ流してないよ?じゃあまずはさっと流すから二人とも目をつぶって。」 そう言って一拍おいてからお湯をかける。 手で簡単に髪を梳いて埃等を流す。 マ「じゃあ一旦お湯を止めて。二人ともシャンプーとかつけて平気?」 蒼「薬品はちょっと・・・。」 翠「キューティクルとかは無いからこれで十分だと思いますよ。」 マ「じゃあ何もつけないでちょっとわしわしとしておこう。 一度には無理だからまずは蒼星石からね。かゆい所があったら言ってね。」 蒼「大丈夫だよ。」 翠「どこの美容師ですか。」 マ「さらさらだー♪」 蒼「そう?髪なんてあまりほめられる機会ないけど・・・そう言ってくれるとうれしいな。」 マ「せっかくのきれいな髪なんだからちゃーんと隅々まできれいにしようね。」 蒼「ふふっ、ありがとう。」 マ「じゃあお次は翠星石の番だ。」 翠「はい。・・・翠星石の髪はどうですか?」 マ「やっぱりさらさらだー♪そして見事に長々だー!」 翠「まあ一応は自慢の髪ですからね。」 マ「これはすごい。こうして目隠ししてるとどこまでも続くようだ。」 翠「触っていてどんな感じですか?」 マ「うーむ、未知の体験だけど、中華麺を自分で作るとこんな感じなのかな。」 翠「・・・怒りますよ。」 マ「ちゃーんと隅々まできれいにするから許してね。」 翠「やれやれ、多いかもしれませんが手を抜かないでくださいね。」 そして一通り洗ってから再びお湯で流す。 マ「じゃあ次は体ね。これなら二人いっぺんに洗えそうだ。」 翠「いっぺんにですか。」 マ「なんとかなるって。石鹸ちょうだい。」 蒼「はい。あとタオルも。」 マ「あ、タオルはいいよ。」 蒼「えっ?」 マ「手で洗うよ。二人の柔肌を傷つけても困るし、関節の隙間とかもきれいにしたいからさ。」 翠「手で、ですか?」 マ「じゃあきれいにしましょうねー♪」 マスターがうれしそうに両手で石鹸をこする。 そんな様子に双子が小声で話を交わす。 蒼「まあ仕方ないよ。マスターは純粋に洗ってくれるつもりみたいだしさ。 こちらばかりが変に意識して構えてても仕方ないよ。」 翠「そうですね、しばらくはされるがままになっておきましょうか。」 マ「じゃあいきまーす。これなら二人同時で大丈夫そうだ。」 泡を塗りたくった手で二人の肩をこする。 翠「なんかむずむずしますね。」 蒼「こんな風に触らないものね。」 マスターの手が球体間接の隙間に進入した。 翠「ひゃっ!!」 マ「うっわ!!」 蒼「危ない!!」 翠星石が身じろぎするのとほぼ同時にマスターが手を引いた。 危うくそのまま後ろに倒れそうになるのを蒼星石が支えた。 蒼「二人とも大丈夫?」 翠「私はくすぐったかっただけですけど・・・マスターはどうしたんですか?」 マ「ああごめん、関節の隙間に指が挟まれそうになって。」 蒼「えっ!怪我は無い?」 マ「なんとか。見えなかったから分からないけど爪とかは大丈夫なはず。 ただアイマスクで目隠ししていたから危なく転びそうになっちゃった。」 翠「すみません。くすぐったくてもじっとしてるようにしますね。」 蒼「僕も暴れた弾みで押したりしないよう気をつけるよ。」 マ「じゃあ再開しまーす。」 肩を洗い、だんだんと体の下の方へと手が移動していく。 そして・・・ マ「お、なんかゴミがついてる。」 翠「ひぃ!?」 マ「ありゃ?蒼星石にもだ。」 蒼「ぁ・・・そ、それはゴミじゃなくって・・・」 二人ともさっきの事があってか動かないようにしているようだ。 マ「取れないや・・・引っ掻いちゃえ。」 翠「痛!!」 蒼「つ、爪は・・・やめ・・・」 マ「あ、ごめん。肌に傷つけちゃうところだったね。」 マスターが指の腹でそっとこすってみる。 蒼「だ、だから、それはぁ・・・」 マ「それは?」 翠「な、なんでもないから早く終わりにするですっ!!」 マ「はーい、つまんだら取れないかな?」 蒼「と、取れたら困るよ・・・あぁ・・・。」 翠「だ、だめですってば・・・ふぁ・・・。」 マ「んー・・・これってひょっとしてねじ穴みたいにドールには普通についてるもの?」 翠「そんな感じですよ!」 蒼「わ、わかったら早く・・・。」 マ「はーい。」 その後は特にアクシデントも無く洗い進んだ。 全身に塗りたくられた泡をシャワーで丁寧に流す。 マ「きれいになった?きれいになった?」 蒼「ええ、まあ。」 翠「・・・ですね。」 マ「あれ、なんか二人ともテンション低くない?・・・迷惑だった?」 蒼「違うけどさ、なんというか・・・。」 翠「鈍くってかなわんって事ですよ。」 マ「えー、だったらはっきりと言ってよ。」 蒼「えーと、言葉で説明するのはちょっと・・・。」 翠「ふん、自分でやられてみりゃ分かりますよ。」 蒼「やられてみればって・・・ふむ、なるほど。」 翠「え?・・・確かにいいかもしれませんね。」 双子が顔を向き合わせる。 と、ほぼ同時ににやりと笑う。 翠「・・・そう、やられてみれば・・・」 蒼「そうだよね、それが手っ取り早いよね。」 マ「じゃあさ、自分の体洗うからタオル貸して。」 そんな二人の様子の見えないマスターがのんきにそう言った。 翠「いえいえ、その前にさっきの説明をさせてもらいます。」 蒼「そうそう。・・・ただ、身を以って体験してもらっちゃうけどね。」 マ「え、どういう事?」 マスターはいまだ訳も分からずにニコニコとしていた。 [スレ住人の大半には関心の無いもの] ( 0T0) おばあちゃんが言っていた、『あまり長々と続けると読む側がだれるから適当に切っておきなさい』ってな! そんな訳で天の道に従って以下次回 三( 0X0) つまりこの後の場面は長いんだな?俺はクロックアップで先に行ってるぞ! (0T0) お前が加速しても体感の待ち時間は増えるだけだぞバカガミ・・・だがッ!『ハイパークロックアップ!!』 そして続くッ!! 未成年は見ちゃ駄目ッ!!><
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ようやくその姿を現した、蒼星石のマスター、川口高史。 しかし、彼が蒼星石に言った言葉は、予想外のものだった。 高史「マスターって呼んでんじゃねぇよ。 俺はもうお前のマスターじゃねぇんだよ。」 蒼「えっ・・・・」 翠「お前、何言ってやがるですか!!」 高史「事実。」 翠「お前、ちゃんと頭冷やしてきたんですか!?」 高史「いやー、あいつに奇襲されてさー、それどころじゃなかったわ。」 蒼「じゃあ・・・なんでここに・・・?」 高史「あいつを潰すために決まってんだろ。」 司「ところで、蒼星石のマスターよ。」 高史「マスターじゃねぇっつってんだろうが。」 司「そろそろ会話にも飽きてこないか?」 高史「それもそうだな。 時間もないし。 とりあえず宣言しとくわ。 いまから一時間以内にてめーを潰す!!」 司「できるのか?貴様ごときに。」 高史「出来ないと思ってたら、んなこといわねぇよ!!」 高史は司馬懿に斬りかかる。 しかし、司馬懿はそれをことごとくかわす。 司馬懿は一瞬の隙を突き、蒼星石に鉄の糸を伸ばした。 蒼「あっ・・・」 高史はすばやくその糸を刀で巻き取り、斬り払った。 蒼「マスター・・・」 高史「邪魔だ!!どっかいってろ!!」 高史はそう叫ぶと、また司馬懿に攻撃を仕掛けた。 蒼「マスター・・・ 僕の事・・・嫌いになっちゃったのかな・・・」 翠「あの馬鹿人間、どこまでぶざければ・・・」 ?「二人ともー、こっちこっちー。」 翠「えっ?」 蒼「とにかく行こう、翠星石。 ここにいても、マスターの邪魔にしかならないよ。」 翠「・・・しょうがねぇです。」 翠星石と蒼星石は、呼ばれたほうへ向かった。 ?「よし、二人とも無事だな。」 蒼「貴方は?」 ?「高史の・・・ちょっとした知り合いだ。 そうだなー・・・「名無し」とでも名乗っとくか。」 蒼「なぜここに?」 名無「蒼星石、お前に頼みがあんだよ。」 蒼「頼み?」 名無「ああ。 お前はさっき、高史に突き放されたよな。」 蒼「はい・・・」 名無「それでも、あいつを信じてやれねぇか?」 蒼「どういうことですか?」 名無「お前は、あいつにとって何よりも大切な存在。 それは今でも変わっていないはずだ。」 蒼「でも・・・マスターは・・・」 名無「なら、今高史が言う言葉をよーく聞いみな。」 蒼「えっ・・・?」 高史「っかしいな・・・全然はがたたねぇ・・・ 何で初代と二代目倒せて、三代目倒せないんかね・・・ 俺・・・いつの間に本当の雑魚に成り果てたんかい・・・ だが・・・奴が攻撃目標変える前につぶさねぇとな・・・ あいつの犠牲になんのは・・・俺だけで十分なんだよ。 道連れにしてでも、こいつを潰す!!」 蒼「マスター・・・」 名無「今のが、決定的な証拠っつーこった。」 翠「どういうことですか?」 名無「あいつは、「犠牲になるのは自分だけで十分」、そういったよな。 つまり、「あいつに蒼星石はやらせない」って言う意味なんだよ。」 蒼「マスターが・・・そんなことを・・・」 名無「お前だって、高史と仲直りしたいと思ってんだろ? だから、お前の力で高史の希望を甦らせて欲しいわけよ。 そうすりゃ、高史もお前の元へ戻ってきてくれるだろう。 お前も心の奥底で願っているはずだろ? 「マスターとまた一緒になりたい」ってな。」 蒼「・・・ありがとう・・・名無しさん・・・」 翠「ちょっと待つです! あいつの様子が変です!」 名無「やばいな・・・・・・時間切れが近い・・・」 蒼「どういうことですか?」 名無「ここに来る前に俺の娘から電話があってな。 「高史に特別な薬を投与した」ってな。 そしてそれには制限時間がある。 だから宣言したんだよ。」 蒼「そ、それじゃあ・・・」 名無「残り・・・三分くらいだな。」 蒼「そんな・・・!」 高史「やばっ・・・ダメージが戻ってきやがった・・・」 司「やはり・・・薬を使っていたか・・・」 高史「悪いか?」 司「ふはははははははっ!! 形勢逆転だ!! これで終わりにしてやろう!!」 高史「はい断固拒否!!」 高史は切りかかるが、一蹴されてしまう。 高史「げぼぐはっ!!」 司「ふん、愚か者めが。 完全に歯ごたえがなくなったな。 さて、そろそろ本題に入るか。 蒼星石、今度こそ貴様のローザミスティカをもらうぞ!!」 そして司馬懿は爪を構えた。 が、空から黒い羽が数本飛んできた。 それを見た司馬懿は、両手を下ろした。 司「おやおや・・・いらっしゃったんですか・・・水銀燈様。」 水「あんた私を舐めてるの? ただの人間風情の力を借りなきゃアリスになれないとでも? 蒼星石、私がじきじきに闘ってあげるわぁ・・・ あんたは邪魔だから消えなさい、さもないと吸い殺すわよ。」 司「水銀燈様の御命令ならば、逆らうわけにはいきませぬ。 ここはおとなしく引きましょう。」 そして司馬懿は退いて、蒼星石に向かった言った。 司「蒼星石、水銀燈様の前では、今の貴様は無力! おとなしく散るがいい! ふはははははははっ!!」 司馬懿は高らかに笑いながら、森の中へ消えた。 蒼「水銀燈・・・まさか君がいるとはね・・・」 水「私もよぉ・・・ 三代そろっておばかさぁんだわ・・・」 高史「ったく・・・厄介な奴が来やがったよ・・・」 水「あんたも邪魔よ・・・さっさと消えなさい。」 水銀燈はそういうと、羽を数十本、高史に向かって飛ばした。 蒼「マスター!!」 高史「くっ・・・!」 名無「させっかよ!!」 名無しが飛び出し、高史の前に立って、どこからか取り出した銃剣で羽を撃ち落した。 蒼「名無しさん!!」 名無「ギリギリセーフ・・・ってとこか。」 高史「すいませーん、何であんたがここにいるわけ?」 名無「よく聞けこんちくしょう。」 名無しは、相変わらずのお気楽顔で話し始めた。 名無「お前は今、水銀燈と闘おうとしてんだろ。」 高史「ああ、そうだよ。」 名無「ミーディアムにすら勝てないお前が、水銀燈に敵うはずねーだろ。」 高史「・・・図星だ、まさに。」 名無「でも、お前は初代と二代目には勝った。 その理由を、契約を破棄する前に言ってるはずだ。 それを思い出せ、そうすりゃ勝てるはずだ。」 高史「ごめん忘れた。」 名無「射殺したろか。」 高史「・・・冗談だよ。 覚えてるよ、一応。」 名無「ならさっさとし直せ。」 高史「ごめん動けない。」 名無「・・・やっべ忘れてた・・・」 水「いつまで話してるつもり?」 水銀燈がまた羽を飛ばす。 名無しはそれをぎりぎりで撃ち落した。 名無「そろそろやばいかも・・・」 高史「自力で何とかするしか・・・ないっつーことか。 よっ・・・と。」 高史は、残る力を振り絞って立ち上がり、森の中へ入って、木に背中を預けて座った。 名無「あいつ立てたんかい・・・ まあいっか。 蒼星石、高史のもとへ。 あいつと話し合って来てくれ。 頼むぞ。」 蒼「わかりました。」 蒼星石は、高史の木の反対側に座った。 蒼「マスター。 マスターは大変だと思うけど・・・、そのままでいいから、 僕の気持ち・・・聞いてくれないかな?」 高史「・・・了解。」 蒼「ねぇ・・・マスター。 僕は・・・ね、前のようにマスターに拒絶されるんじゃないかって、すごく不安で 心の何処かでマスターを避けていたんだと思う。 もしマスターに嫌われたら・・・迷惑だったらどうしよう・・・って。 でも・・・ね、それは結局マスターを傷つけて、僕自身を孤独に追い詰めるだけだった。 マスターは・・・いつだってマスターは僕を見守ってくれたのに・・・ だから・・・マスター。 迷惑かも知れない、我が儘かも知れない、けど僕は・・・僕はまたマスターと 一緒になりたい。 マスターと・・・仲直りしたいんだ。」 高史「?・・翠星石に「出直して来い」って言われたときさ、これ以上何を言っても、蒼星石をさらに傷つけることにしかならない、って思った。 それで、蒼星石を傷つけるくらいなら、蒼星石と別れたほうがいい、そう決意した。 でも結局これのせいで、蒼星石をさらに傷つけちまった。 んでもってこの言葉も、蒼星石に追い討ちをかけているだけかもしれん。 でも、それに耐えられるんなら、それでもついてこられるんなら、それでも俺を好きでいられるんなら、もう一度契約しよう。 蒼星石、今まで何度も何度も、お前の心を傷つけてしまって、本当に悪かった。 こんな・・・結局お前に追撃しかしてない俺を・・・許せるか? いや・・・許してくれないか?」 蒼「?…っマスター…!!」 蒼星石は思わず、高史に抱きついた。 蒼「仲直り…してくれるんだね? また…僕と一緒に居てくれるんだね…?」 高史「その気がなけりゃ・・・こんなこと言わねぇだろ・・・?」 蒼「うん…、ありがとうマスター… 許すも何も、意地っ張りな僕なんかを受け入れてくれて… 本当にありがとう…。 僕の…僕の大好きなマスター…」 高史「俺も・・・大好きだぜ、蒼星石・・・」 蒼「…うん。それじゃあ二回目になっちゃうけど、マスターさえ良ければ、僕と…また契約してくれないかな? もし誓えるなら、この指輪にキスを――… 」 高史「了解・・・」 そして高史は、指輪にキスをした。 高史「これで、契約成立、だよな。 なんか、自分がめがっさ幸せ者に思えてきたわ。 同時に、力がみなぎってきた・・・! これなら、水銀燈のミーディアムに勝てる! 蒼星石は、俺が守る!! 」 水「じゃあお死になさい。」 水銀燈が飛来した。 高史「早速きやがったか・・・」 水「私の可愛い媒介、あなたも出てきなさい、居るんでしょ? 私と契約したのならあのミーディアム程度は私に力を与えながらでも倒せるわね?」 司「承知いたしました。」 木の陰から、ゆっくりと司馬懿が現れた。 司「死に底ないにてこずる必要なんてありません。 では、蒼星石、ミーディアム共々・・・消えてもらおう!! 」 そのとき、別の二人の男が現れた。 水銀燈のミーディアム、初代と二代目だった。 初代「加勢しよう・・・ 全ては水銀燈様のために・・・」 二代「加勢しよっか? 答えは聞いてない!」 水「あらぁ、流石あなた達は優秀ねぇ。 じゃあ最初からクライマックスといきましょうか。」 蒼「そんなことはさせない…!! マスターは…僕の大切なマスターには指一本も触れさせはしない!! そう…例え僕が倒れたとしてもだっ!!!」 水「おばかさぁん。 同等の条件でも不利なあなたがここに集まる連中の力を根こそぎ使える私に勝てるとでも? まああんたのローザミスティカを貰えればそっちの人間なんてわざわざ相手しないわよ。 これであなたのお望みどおりってワケね。」 蒼「ふふ…あははっ! 僕が馬鹿だって?その言葉、そっくりそのまま君に返すよ…! 水銀燈…、君には分からないかも知れないけど、僕とマスターには君には無い強い絆の力があるんだ…! だから、いくら何人のミーディアムを従えようとも、僕とマスターには君は勝てないよ! 」 水「へえ、絆ねぇ。 お父様を裏切り、『つなぎ』にした『マスター』を見殺しにし、 辛い時にあんたを励ました連中も無視して再契約したそいつとの絆はさぞ強いんでしょうねえ? ……でもね、あんたが悲劇のお姫様ぶるために踏み台にした連中の力は私の味方。 ふふふ…大勢の犠牲の上に成り立つ身勝手な絆ごっこの力とやら、せいぜい楽しませてもらおうかしらぁ。」 蒼「水銀燈…確かに、君の言う事には一里あるかも知れない。 けど、僕は今まで僕を励ましてくれた人達を忘れてなんかいない! マスターとの絆が、身勝手なごっこ遊びじゃないように…!! それと…、水銀燈。 一つ忠告しといてあげるけど、仮にもアリスを目指そうとするドールが、 大の男をぞろぞろと引き連れて戦う姿なんて滑稽な行為だと思わないかい? とてもじゃないけど、僕にはそんなアリスから遠ざかるような、はしたない真似は出来ないなぁ… その点に置いては、第1ドールの君を尊敬するよ。 …と、少し無駄話が過ぎたようだね。 さて…そろそろ始めようか、アリスゲームを…!!」 水「言うじゃない。 ところで、この間知り合いの居る病院で面白い面白いものを見たわぁ。 なんでも首吊り自殺を図った馬鹿な人間が意識を無くしたままだとか。 面白そうなんで見たら指に蒼い薔薇の指輪をしてるじゃない。」 蒼「何だって・・・」 水「うわごとで時折誰かさんの名前を呼んでたわぁ。 ごめんなさい、あなたには関係ない話だったわね。 見捨てた人間の事なんか。仮に目覚めて指輪の消えた左手を見て喜ぶのかしら、悲しむのかしら?」 蒼「くっ・・・」 水「いいわよね、あんた達は綺麗事でわがままを美化できて。 私はそれをしない。 蔑まれようと、罵られようとアリスになる。それだけ。そのためには何だってする。 …この場の人間、すべての命を利用しても。 そうしても構わないとまで言った物好き達のためにもね。 自分のために選り好みをしていろいろ捨ててきたあんたと私は違う! 最初から薔薇乙女として、お父様から与えられたあんた達とは!! だから私は捨てない、ひとたび得た物は… そう、その中にあなたのローザミスティカも今から加えてあげるわぁ!!!」 初代「アリスの座は・・・水銀燈様にこそ・・・ふさわしい!! 水銀燈様のアリスへの道を阻むものは・・・俺が根絶やしにする!」 二代「ねぇねぇ水銀燈、僕らの事なんか気にしなくて良いからさ、こんな奴ら細胞一つ残さず消し去っちゃおうよ!! 」 司「水銀燈様が私たちの心配などするわけがないだろう。 しかし、私たち三人のミーディアムの力をささげれば、水銀燈様は最強のドールとなるに違いない。 さぁ水銀燈様!今こそ、オーベルテューレでの屈辱を晴らしてやりましょう!! そして蒼星石を倒し、あの忌々しき真紅をジャンクにしてやりましょう!!」 高史「くっくっくっ・・・ あっはっはっはっはっはっはっ(棒読み)」 司「何がおかしい・・・」 高史「いやーこれはこれは見事な水銀燈軍団が出来上がってるじゃねーかよおい、って思ってな。 ま、何人来ようが、蒼星石との絆を取り戻した俺は、不死身かつ自称最強なんですけどね!! 行くぞ蒼星石!! こいつらに、俺たちの絆の力を思い知らせてやろうぜ!」 蒼「…うん、行こうマスター! 僕たちで水銀燈のミーディアムを…水銀燈を止めるんだ!!」 司「馬鹿めが! 死に底ないの分際で、何ができると言うのだ!!」 高史「知らねーのか? 負けて死に底なったりした奴は、たいていパワーアップして大逆転勝利するのが世のお約束なんだよ!!」 司「ふん、そんな不条理、この私が貴様ごとズタズタにしてくれるわ!!」 高史「やれるもんならやってみろ!! もとい、やらせやしねぇよ!!」 ここに、蒼星石&川口高史対水銀燈軍団の戦いの火蓋が、切って落とされた。
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朝の日差しと小鳥のさえずりで俺は目を覚ました。 横で一緒に寝た蒼星石はまだ起きてこない。 「マスター・・・そこは・・・だめ・・・」 どうやら夢を見ているようで、寝言を言ってる。 内容が想像できる寝言だったので、おどかしてやろうと思い、 蒼星石が起きないようにこっそりと上着を脱ぎ、上半身裸になった。 「うーん・・・・・」 蒼星石が目を覚ましたようでうっすらと目を開けた。 「よかった・・・・夢か・・・って うわぁっ!!マスター!!えっ!?もしかして??」 上手く行った、蒼星石はかなり動揺している。 「大丈夫、夢だよ。」 「そっか・・・良かったぁ・・・いや良くはないよ! マスター聞いてたんだよね?」 「もちろん聞いてた、だからこんな格好してるんだろ?」 「そんなぁ・・・・やめてよね、そういういたずらは。 本当だったのかと思っちゃったよ・・・。」 「ハハハ、悪いな。でもして欲しいんだろ?」 「そんな事はないよ!ただの夢なんだからね!!」