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ペン回しとは ペン回し(Pen Spinning)とは、手指を用いてペンを操る芸当のこと。 == 概要 == ノーマルやソニックなどの個々の技を指してペン回しと呼ぶことがある。また広義には、ペンを指で弾くなどして飛ばすものや、手指以外を用いるアクロバティックな動作も含めてペン回しと呼ぶことがある。 インターネットが普及した1990年代末からは、愛好者間の交流が盛んになるとともに厳密な技の定義が構築され、現在ではヨーヨーやけん玉、ジャグリングのような体系を持った遊びの一つとして発展を続けている。 == 名称 == 国内における"ペン回し"の別名としては、回す道具を明示した"シャーペン回し"、"鉛筆回し"、"ボールペン回し"などがある。また、「浪人生がよくペン回しをしている」というステレオタイプや、「ペン回しをすると浪人する」という都市伝説から、"浪人回し"という蔑称が存在する(当然のことながら、ペン回しをする人の全てが浪人を経験しているわけではない)。 国外、特に英語圏においては"Pen Spinning(ペンスピニング)"という呼称が最も一般的であり、ペン回しをする人のことは"Pen Spinner(ペンスピナー)"、あるいは単に"Spinner(スピナー)"と呼ぶ。なお、”Spinner”に対応する適当な日本語が存在しないため、これらの英語名は国内においてもしばしば用いられる。 == 遊び方 == ペン回しには大きく分けて以下の3つの遊び方がある。 技のレパートリーを増やす、高難度の技に挑む 最も基本的な遊び方。 習得した技の数や難易度によって現在の自分の実力を知ることができる。 スピードや回数を競う 「ペン回し道場」などの古参ウェブサイト(多くはすでに閉鎖)を中心に流行した遊び方。 ある技を一定時間(主に30秒)内に何回できるか、あるいは時間無制限でどこまで続けられるかを競ったりする。 現在では「一つの技を何回転できるか」などが残るのみでこの遊び方は廃れてしまったといえる。 フリースタイル 複数の技を自由に組み合わせて演目のように構築する形態。 ペンスピナーの間では「FS」と略されることが多い。 単発技よりも多彩な表現が可能であり、技の順番(オーダー)を自分で組合せる面白さもあるため、現在の遊び方の主流となっている。 もともとは海外で発祥した楽しみ方であり、日本では「ペン回し資料室」での紹介や「神動画(後述)」によって広く知られるようになった。 == 道具 == ペン回しには道具としてペン(筆記具)が用いられる。 ペンは基本的に文房具店やコンビニなどで手に入るが、市販のペンを買って来てそのまま回すだけではなく、複数のペンの部品を組み合わせた改造ペン(カスタムペン)を作る人もいる。特に近年では高性能な改造ペンの登場によって、以前では考えられなかった高度なトリックや複雑なコンボが可能となっており、改造技術の進歩がペン回し技術の進歩に直結していると言っても過言ではない。 過去においてはペン回しのためにペンを改造する行為が邪道とされたこともあったが、海外の影響を受けた現在では寛容になりつつある。ただしほぼ全面的に自由な改造が認められている現代日本においても、文房具以外の材料を使った改造や、最終的なペンの全長が一般的に見てあまりにも長すぎる改造は邪道とみなされることが多い。 また、愛好者の間では基本的にペン以外のもの("異物"と呼ばれる)を回すことは避けられる。これは過去にペン回しを取り上げたテレビ番組で、「ペンスピナーにペン以外の日用品や食料品を回してもらおう」という企画があり、肝心のペン回しの技術にはほとんど触れられず、ネギやゴボウなどを回す様子ばかりが面白半分に報道されてしまったことに起因する。 しかしこのように、「身近にある棒状のもの」を使って様々な技を楽しめることがペン回しの大きな魅力の一つとなっているのもまた事実である。 (また、意図的に異物を回したりする動画を「ネタ動画」という) == 代表的な技 == ペン回しの技の中でも、古くから存在する代表的な技には固有の技名が付いている。 これらの技名の多くは、1997年に開設したウェブサイト「私のペン回しの歴史」において考案された非常に古いものであり、技名の由来も命名者の主観に基づくきわめて恣意的なものであった。しかしその後も権威ある定義として残り続け、10年以上経過した現在においても「ペン回しを代表する技」として紹介されることが多い。 ノーマル 物を書くときの状態から中指でペンを弾き、親指の周りを反時計回りに一回転させる技。 技名の由来は「ペン回しの技の中で最も基本的な技だから」。 ソニック 中指と薬指でペンを挟み、中指の背を通して時計回りに回転させながら中指と人差し指に移す技。 技名の由来は「ノーマルよりも動きが速く見えるから」。 ガンマン 中指を軸として薬指でペンを弾き、中指の周りを時計回りに一回転させる技。 技名の由来は「西部劇のガンマンが拳銃を回す動作に似ているから」。 その他、ペン回しには100種類を超える技が存在すると言われるが、その正確な数は把握されていない。さらにそれらの派生技・発展技を合わせると膨大な数になるため、ペン回しの技の「数」について考えることそれ自体が避けられる傾向にある。 == その他の技 == 以下に、代表的ではないが、必要があると思われるものを記述する。 バックアラウンド 物を書くときの状態から手首のスナップでペンを弾き、人差し指の後ろを時計回りに一回転させる技。 他の技との融和性が高いため、前述したフリースタイルでは多用される傾向にある。 インフィニティ ペンの端を指でつまむ様に持った状態から、短いほうを指の間をくぐらせるように動かす。 見るものに与えるインパクトが大きいため、フリースタイルの途中などに入れられることが多い。 技名の由来は「∞(無限)のような軌道を描くから」。 == 特殊な技 == 以下には、ペンの動きなどが特殊な技を記述する。 パームスピン ペンを掌の上で回転させる技。 単体で存在せず、ほぼ必ずノーマルとセットで使用される。 技の性質上複数回転するため、フリースタイルなどでは主にシメに使われる。 ちなみに「パーム」とは掌の意。 エアリアル これは単体の技の名称ではなく、ペンを空中に飛ばす技全般(厳密に言うと空中で半回転以上するか、元の手以外でペンをキャッチするもの)を指す。 以前は邪道とされていたが、現在は多くのペンスピナーがフリースタイルの中で使用している。 動きが他の技に比べてきわめて大きいことと、次の技に繋ぐのが難しいことから、フリースタイルの最後に入れられることが多い。 コブラ ペンを指の背に乗せた状態から、中指だけでペンを持ち上げる技。 ペンが全く回転しない。 この技は、カードフラリッシュの「Cobra Cut」からインスピレーションを得た技である。名前もそこから来ている。 ペン回しの動画でしばしばフリースタイルの最後などに使われるが、最初の状態に持ってくるのが難しいためか使用者は少ない。 == 技の命名規則と表記法 == 前述の通り、初期のペン回し界における技の命名とは、「最も基本的な技だからノーマル」、「ノーマルよりスピードが速いからソニック」と言ったような、きわめて恣意的なものであった。しかしこのようなやり方では、発展技や複合技も含めて無数に存在すると言われる、ペン回しの技全てに固有の技名を付けることは難しい。 そこで2000年代初頭頃から、固有の技名は必要最小限の"系統名"までに抑え、発展技など微細な動きの違いは技名の前後に特殊な英数字や記号を付記することで表現するという、全く新しい手法が研究され始めた。これはつまり、ペン回しにおける全ての回転パターンが一定の規則を持った文字列として表記できるように従来の定義を再構築しようという試みであり、ジャグリングにおけるサイトスワップの概念に着想を得ている。 尚、日本と海外で使われる技名や系統の区分は異なる(ただし、輸入された技の名前はほぼ共通)。 日本や韓国では国の文化独自のものであるが、それら以外はほぼ世界共通に近い定義を使っている。 この手法において技名の前後に付記される要素には主に次のようなものがある。 指番号軸となる指を表す数字で、親指から順に1~5のアラビア数字で表される。 技名の前に置くもの(接頭指番号)は、"a-"あるいは"a,b-"の形になる。 技名の後に置くもの(接尾指番号)は、"ab-cd"の形になる。 修飾辞技名の前後に付加し、元の技からどのように変化した技なのかを表す用語。 技名の前に置くもの(接頭辞)には、軸指が2本以上あることを表す"スキップ"や、軸間移動がないことを表す"フェイクト"など9種類がある。 系統名の後に置くもの(接尾辞)には、逆回転を表す"リバース"の1種類のみがある。 回転数技名の前後に付加し、その技が基本となる技を何回転させたものかを表す用語。 技名の前に置く場合、0.5回転刻みにハーフ、シングル、シングルアクセル、ダブル、ダブルアクセル、トリプル・・・となる。 技名の後に置く場合、アラビア数字で1.0、1.5、2.0、2.5、3.0・・・となる。 回転数は無いか、技名の前か後に1回だけ現れ、2回以上使われることはない。 結合記号技と技の間をつなぐ記号で、「⇒」と「 」の2種類がある。 「⇒」は連続技、「 」は合体技を表す。 これらを踏まえた上で現在用いられている表記法を3行にまとめると以下のようになる。 全ての技は必ず接頭指番号][回転数]接頭辞][系統名][接尾辞[回転数][接尾指番号の形に分解できる。 接頭辞が複数付く場合、技名に近いものから順に適用される。 接尾辞は接頭辞よりも後に適用される。 この表記法の発明によって、現存するほぼ全ての技を文字と記号の羅列に変換して表記することが可能となった。ただし海外の技や新しい技の中には、日本での表記が著しく困難もしくは不可能なものも存在し、これらの分類・整理および合理的類型化が積年の課題となっている。 == 歴史 == 第一世代(ウェブ以前) ペン回しの発祥は不明であるが、30年前には既に存在していたと思われる。彼らの多くは学生であり、友人同士のような小さなコミュニティの中で技を教えあっていたと思われる。コミュニティ同士の繋がりはほとんどなかったが、中には独自に技を開発するような人々も存在した。 第二世代(ウェブ以降~神動画以前) 1997年末、HIDEAKI氏によって世界で最初のペン回しウェブサイト「私のペン回しの歴史」が設立された。HIDEAKI氏は独自に技名を考案してサイト内で紹介すると同時に、掲示板やメールを通じて未知の技を知る者との交流を深めていった。これをきっかけとして、各地に散在していたペン回しに関する情報が一ヶ所に集約され始めた。さらにこのコミュニティから派生する形で複数のペン回しサイトが現れ、以後インターネットを中心としてペン回しが急速に発展していくこととなる。 またこの流れの中で、日々現れる新しい技に対して1つ1つ個別の名称を与えるのではなく、回転パターンに沿った一定の命名規則を構築すべきだという意見が出た。これが現在の定義および表記法の原型になっており、当時考案された名称の一部は現在でも使われている。 第三世代(神動画以降) 定義の確立により回転パターンがほぼ出尽くしたことや、上級者の相次ぐ活動休止が重なり、日本のペン回しは一旦衰退の色を見せる。 そんな中、2004年初頭にaysh氏が設立したウェブサイト「ペン回し資料室」において、海外で盛んであったフリースタイルの概念が紹介され、それまでとは違ったペン回しの楽しみ方が見出された。また同年春には韓国のペン回しコミュニティPenDolSaによるPV(通称「神動画」)が大きな話題となった。当時の日本人ペンスピナーにとって、ハイテンポな音楽をバックに何人ものペンスピナーが連続してフリースタイルを行うこの動画は大きな衝撃であった。 これ以降、日本のペン回しにおける価値観は海外の影響を大きく受けることになる。かつて主流であった「手から離れたものはペン回しではない」「真のペン回しは無意識のうちに行われる」「筆記できないペンや改造されたペンを回すことはペン回しの本義に反する」といった考えは古臭いものと見なされ、徐々に消えていった。 その後、日本人ペンスピナーの間でも数々のPVが作られるようになり、2005年12月25日には日本人の精鋭ペンスピナー11名による最大級のPV「JapEn1st」が完成。翌2006年12月25日には続編「JapEn2nd」が公開された。 また2007年1月から同年6月頃にかけてオンライン上で史上初の世界大会「World Penspinning Tournament 2007」が開かれ、さらに同年7月にはペン回しの普及と振興を目的とした「日本ペン回し協会」が設立されるなど、ペンスピナーたちの活躍の場はますます広がりつつある。 【出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ペン回し引用】
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ゲームサークル大都会って? 大都会は、東京大学を基盤として活動する卓上ゲームサークルです。経験の多寡を問わず、大都会では常に、卓上ゲームをしたいという人を歓迎しています。部室に来てともにゲームを囲んでさえいれば大都会員と言われることもあるほどです。 どんなゲームを遊んでいるの? 卓上ゲームの中でも主に「テーブルトークRPG(TRPG)」「ボードゲーム(ドイツゲーム・ユーロゲーム)」「トレーディングカードゲーム(TCG)」を遊んでいます。詳しくは「大都会的ゲームとは」をご覧下さい。 どこで活動しているの? 東京大学駒場キャンパスにある学生会館の三階316Aに部室を持っています。 東京大学キャンパスマップ(学生会館) 学生会館・キャンパスプラザ公式サイト 同会館の一階ロビーで活動していることも多いです。現役生会員(駒場キャンパスで学んでいる教養学部前期生を含む大学生)やOB・OGが示し合わせて、まったく異なる場所で活動することもあります。 いつ活動しているの? 日常的な活動として、学期中の平日で学生会館の開館時間内であれば、部室には常に大都会民がいる可能性があります。講義がない時間帯には部室でゲームしているというわけです。昼休みの時間ならお昼を食べに人がいることもあります。夕方以降であれば、曜日毎のTRPGキャンペーンが行われている可能性があります。 これも昔の話......コロナ禍を経て伝統が途絶え、部室に入り浸る人もいなくなりました。復活させたいところです。(2024.2.18追記) これらの日常的活動の他に、何種類かのイベントが存在します。 例会(月毎) 一ヶ月に一回、だいたいは月の最初の土曜日に、学生会館の一階ロビーにて例会が開かれます。サークルとして、その時々に話し合うべき事項が会議にかけられます。例会の日程については、当サイトのトップページに掲示されますのでご参照下さい。 会議が終わった後には、ゲームをするサークルの会員が集まっているわけですから、思い思いにゲームがプレイされることになります。大都会に興味があって来てみたいという方は、まずは例会を訪れてみるというのもいい切っ掛けでしょう。 合宿(年3~4回) 東京大学の長期休暇の度に、合宿を開催しています。夏休み(8月)、秋休み(9月)、春休み(2月、3月)に、「金曜夕方〜月曜朝方」というスケジュールで、駒場キャンパスのコミュニケーションプラザ和館でゲーム三昧の日々が過ごされます。 額面だけ見ると3泊4日ですが、別にずっといる必要はなく、各人が都合に合わせて出たり入ったりします。仕事で忙しくて普段は来れないOB・OGも、この時ばかりは顔を見せて活気を呈します。 駒場祭(年毎) 大都会は、駒場キャンパスで開かれる大学祭「駒場祭」に例年参加しています。来場した外部の方を交えてボードゲームを立てたり、TRPGのセッションを行ったりしています。 またこの際に会誌『求ム!冒険者』を発行・頒布しています。 大都会Q A Q.お金はどのくらいかかるの? A.入会費、年会費、参加費すべて無料です。かかるとすれば合宿で和館を利用する際の宿泊料金や、布教されたゲームの購入費くらいでしょうか。 Q.入会方法は? A.LINEグループに参加するだけです。ぶっちゃけ参加しなくてもいいまでありますが、例会の日程などの連絡が来て便利です。ちなみに2024.2時点で250人ほどいます。 Q.入会できるのは前期教養学部生だけ? A.いいえ、特に問題を起こさないならば大都会は大学、年齢、身分、国籍その他を問わずあらゆる人間を歓迎します。 Q.例会行ってみたい! A.ぜひおいでください!とりあえず学生会館に来てみてそれっぽい集団に声をかけてみるといいかもです。あなたが声をかけた人たちはわりと高い確率で初対面なので遠慮せず参加しましょう!
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――作戦司令室 サーシャ「昨夜の襲撃で、負傷者は4名。皆、命に別状はないそうです」 ラル「そう、か。……死者がいないのが不幸中の幸いだったな」 サーシャ「念のため、巡回の人数を増やして侵入者への警戒レベルも引き上げてあります」 ラル「何から何まで済まないな、大尉」 いえ、と答えるサーシャの表情は暗い。 このご時世に、ネウロイではなく人間に対して警戒を強めるなど思っても見なかったのだ。 全ての人間に存在を肯定されるとは彼女も思ってもいないが、殺されるほど憎まれているとも思っていなかった。 管野「それで、あのあんぺい? とかいうのは何者なんだよ……」 昨夜、あの少年に軽くあしらわれ、敵としてすら認識されなかった(と、本人は思っている)管野は、いつも以上に眉間に皺を寄せて聞いてきた。 可愛らしい子鬼のような印象だが、その声は余りに低い。 どうやら、昨夜の出来事で、相当にフラストレーションが溜まっているようだ。 定子「昨日、ロスマン曹長やクルピンスキー大尉に聞きましたけど、民間伝承の『三つの民』に登場する一族だと聞きましたけど」 クルピンスキー「ああ、そうだよ。ボクも子供の頃に聞かされたものさ。悪さをすると彼等を雇って、お仕置きさせるぞってね」 管野「だけど、史実に存在した人間が針小棒大の伝説や御伽噺になるなんて珍しい話じゃないだろ。金太郎のモデルが坂田金時って、みたいにさ」 管野は意外にも文学好きなのか、思いもよらぬ知識を披露した。 彼女の言うように、そう珍しい話ではない。 神話や伝説に登場する人物が実際に存在しており、後付けの設定で誇大妄想的に語られるのは世界中で見られる行為だ。 ロスマン「そうね、管野少尉の言うとおり。でも、問題なのは……」 クルピンスキー「ヨーロッパの古い因習と史実が残っているところかな。そう言えば、ジョゼちゃんの実家は宿屋だったよね?」 管野「……因習?」 ジョゼ「……はい。確かに、私も両親に言われたことがあります。店番をしている時に見慣れない男性が来たら、胸を見せて貰えって」 ニパ「それって、もしかして……」 ジョセ「そうです。あの刺青があったら、絶対に追い返せと言われました。多分、他のどんなお店でも、似たようなことはされていたと思います」 第三の眼、邪眼の刺青。それが、暗兵と一般人を見分けるものだという。 刺青があれば、職にもつけず、宿も取れず、食事もままならないのだ、とジョゼの言葉は物語っている。 ラル「彼等が、そこまで忌み嫌われるのには理由がある。かなり古い歴史ではあるがね」 サーシャ「……汚れ仕事の代役、ですか」 ラル「そうだ。戦時において、正規の騎士や兵士にはできない汚れ仕事を専門に請け負う傭兵集団。それが暗兵だ。 間諜、暗殺、後方撹乱、情報操作、破壊工作、果ては塹壕掘りや土嚢積みの土木作業まで、何でもこなせたらしい」 ロスマン「でも、一番の理由は……」 クルピンスキー「ウィッチの暗殺、だろうね」 クルピンスキーの苦々しい言葉に、暗兵について何も知らぬ少女達は息を呑んだ。 ウィッチはヨーロッパのみならず、世界中において信仰の対象のように称えられている。 過去においても、かつての怪異、現在ではネウロイと呼ばれる化け物を相手に一流の戦士や兵士を守って戦ってきた。 神、とまでいかずとも、ウィッチであるだけで聖女のような扱いを受けている。 そんな対象を殺す。 それは、それだけで人々の憎しみを買う要因といえよう。 ラル「国同士に諍いが起きれば、我々は否応なしに戦わなければならない」 クルピンスキー「大昔はストライカーユニットはなかったから、前線で人を殺すような真似はしなかっただろうけど、敵からすれば大いに邪魔だったろうね」 ロスマン「それに加えて、傭兵なら国の人間にも憎しみは向かわない。彼等が死んでも、国が失うのは僅かなお金だけ」 定子「だから、便利な忌み物……」 もしかしたら、ヨーロッパ中の人間から一身に憎しみを受けていたのかもしれない。 そのような憎んでも構わない人間が居たのなら、人々は容赦をしないだろう。 ラル「中世時代には、ヨーロッパ全土で暗兵の鏖殺令が下った。建前としては国内外で紛争を助長するという理由だったが……」 クルピンスキー「本音は、国の汚い仕事を隠したかった。ま、概ね政治的な理由であることは間違いないかな」 ニパ「でも、今もまだ生き残りがいたじゃないですか……」 ラル「鏖殺令なんてね、出した側が満足すればいいのさ。だから、いまだに胸を見せる因習が残っている」 そこまで話して、大きく溜息を吐く。 ヨーロッパに伝わる血生臭い史実と因習を語り、気が滅入っているのだろう。 クルピンスキー「何はともあれ、彼等は生き残り、歴史の影に隠れながら細々とその命脈を繋げてきた。だけど、僕達は懲りずに、彼等に対して鞭を打った」 管野「……どういうことだよ?」 ロスマン「それが、第一次ネウロイ大戦ね……」 ロスマンの呟きに、更に作戦司令室の空気が重くなったような気がする。 第一次ネウロイ大戦。 現大戦とは異なり、まだまだ人間の開発した魔法力を必要としない兵器が活躍していた時代である。 ウィッチ達も戦力の要ではあったものの、この時はまだまだ現在ほどの高待遇もなければ、重要度もそれほどではない。 ラル「当時もネウロイとの攻防が繰り広げられていたが、時折現在の陸戦型ネウロイに近い性能を持つ個体も現れたようだ」 ニパ「えっと、そうした時は、使い魔を使って封印処理を施したんでしたっけ?」 ロスマン「ええ。そうすれば使い魔の発する魔法力で、いつかはネウロイのコアを破壊してしまうらしいから」 今でも当時の戦死者や使い魔の犠牲を称え、封印場所に慰霊碑が立っている。 犠牲が大きければ大きいほど、建立される慰霊碑は大きいらしい。 もっとも封印は儀式を伴う学問としての魔法であり、ストライカーユニットが開発された現在では、その資料や方法は紛失しているようだ。 ラル「封印は時間がかかり、ウィッチが犠牲になる場合も少なくなかった。 軍が貴重な戦力の紛失に辟易し始めた頃、暗兵はまたふらりとカールスラントに現れた」 管野「何を、させたっていうんだ」 ロスマン「全身に爆弾をつけての特攻。そして、ネウロイに張り付いての自爆」 定子「……そんな!」 クルピンスキー「既存の兵士よりも遥かに身体能力が高く、ウィッチをも暗殺できる技量と素早さで、彼等はそれを見事成功させた。……させ、続けてしまった」 ラル「そして、戦争は終わる。味方の被害を極限して、な」 ニパ「被害を極限って、実際に死人が出てるじゃないですか!?」 ラル「暗兵は存在しないものとして、死傷者の数にはいれられなかった。どこかの国に属した人間ではないからな」 そして、軍の非道を隠す為でもあったのだろう。誇り高いカールスラント軍に、そのような事実は必要ないと。 好き勝手に使われ、捨てられていく彼等は、今わの際に一体、何を思ったのか。それを知ることさえ出来ないのだ。 そして、軍のみならず、ヨーロッパの民衆は恐れている。 そのような事実があったかどうかは知らずとも、彼等が何時か、自分達に復讐する気ではないのか、と。 だからこそ、胸の見るなどという忌まわしい因習がヨーロッパには残っているのだ。 サーシャ「では、彼の動機は復讐である、と?」 ラル「…………、ああ」 管野「そんなの……、そんなの相手の勝手な都合だ」 定子「……、管野さん」 ギシ、と手袋で包まれた拳を握り締める。彼女も、色々と思うことがあった。 同情もするし、共感もできる。彼等の行動が復讐だとするならば、それが正しいかは別として、真っ当な心の反応だと認めよう。 でも、復讐を肯定することだけできない。 決して言葉で表現しないが、管野は隊の皆を尊敬しているし、感謝もしている。 そんな人間が殺されることだけは、人として、ウィッチとして肯定することはできないし、してはいけないことだ。 管野「だから、……だから、少佐が殺される理由にはならない。絶対に、だ」 ラル「……お前がそう言ってくれるとは、思ってもみなかったな」 管野「う、うるさいなッ! オレだって、オレだってなぁ!」 ジョゼ「お、落ち着いてください、管野さん。皆、皆同じ気持ちですから!」 管野らしからぬ発言に、ラルは眼を丸くして笑う。 本人としては嬉しかったのだろうが、管野はからかわれたと思って、顔を赤くして椅子から立ち上がった。 ラル「さて、命令だ。これからまた奴が来るかも分からん。それぞれ護身用の拳銃を手放さないように。 それから一人になるのは極力避けるんだ。必ず、2人……いや、3人以上で行動するよう心掛けろ!」 『了解!』 ラルの命令に、個性は強いが結束も強い彼女達は同時に答える。 そして、管野、定子、ニパ、ジョゼはラルの命令通り、4人一組になって司令室を後にした。 残ったのは隊内の年長者組みだけ。 皆、一様に表情は暗い。まさか、人に対して銃口を向ける羽目になるとは思っていなかったのだ。 空を翔け、ネウロイを倒し、力なき人々を守ること。それを誇りとしていた彼女達の心中を考えれば、無理からぬことだろう。 しかし、その中でサーシャだけが、何か思案するように考えている。 もし仮に、彼の目的が復讐だとするならば、この死傷者の少なさはなんだ? 怪我を負った兵士も気を失っていただけで、怪我自体は全治3日程度の打撲のみ。 一番酷かった整備班長ですら、出血が激しいだけでジョゼの回復魔法ですぐに治ってしまった。 負傷者の中にはヨーロッパ出身の者どころか、カールスラント出身の者すら居る。 様々な仕事を一手に引き受ける暗兵が、それぞれの軍の服装や部隊章が分からないほどの世間知らずや間抜けなど、あり得るだろうか。 もしかしてと、ある考えに行き当たった時、クルピンスキーが声をかけてくる。 クルピンスキー「熊さんも、気が付いたんだ」 サーシャ「大尉は、分かっていたんですか?」 クルピンスキー「何となくだけどね……」 そう言い、何時もの飄々とした笑みを浮かべる。 彼女は普段、酒好きで女好き、享楽主義者にして楽天家と自他ともに認める人間であるが、決して愚かでも馬鹿な訳ではない。 その実、502では誰より聡明で計算高い性格である。ただ、自分の生きたいように生きているだけだ。 彼女はサーシャからラルへと視線を移すと、キッと睨みつけた。 クルピンスキー「仕方がないこととはいえ、気に入らないよ、ラル」 ラル「……………………」 少佐と呼ばず、名前で呼んだ。 そういう時のクルピンスキーは、決まって真剣な話をする時か、怒りを抱いた時だけと彼女は知っていた。 組んだ両手に額を押し当て、苦りきった表情を隠した。 糾弾されることは覚悟した筈だったが、余りに真っ直ぐとしたクルピンスキーの視線に耐えられなかったのだ。 それは、彼女が自らの行いを恥じているからこそだろう。 クルピンスキー「彼一人だけ悪者にしようなんてさ。それとも利用しようと考えているのかい?」 ロスマン「やめなさい、伯爵」 クルピンスキー「エディータ、ボクはラルに話してるんだ。……これじゃあ、ボク達は彼等を好き勝手に弄んできた人間と――」 ロスマン「やめなさい!」 ロスマンが机を叩く音が響き、しんと水を打ったように司令室が静まり返る。 サーシャは、長い長い時間が経ったような気がした。 しかし、室内を包む空気を変えるように口を開く。 サーシャ「少佐、分かっていたんですね。彼の目的が、復讐でないことを……」 ラル「…………ああ。私が命を狙われたんだ。それくらい、分かっていたさ」 あの時、少年は自分しか見ていなかった。恐ろしいまでの殺意を収斂させ、自分を貫いていた。 脊髄そのものが氷と化したような、心臓を氷の手で握り潰されるような感覚。 少年について知っていることは何もない。だが、何一つ分からないままに理解できる。否応なしに理解させられた。 アレは、仕事として殺人を行使する者の瞳だ、と。 ぶる、と全身に怖気が奔る。あの瞳を思い出してしまった。 油断をすると、すぐこれだと思わず笑ってしまう。 ラル「だが、復讐と思っていた方がマシだ。人類の中にウィッチの存在を疎んじている人間が居ると思うよりは……」 クルピンスキー「………………」 ラル「糾弾したければ、するといい。それはお前にしかできないことだ。そして、私もそれを望んでいる」 クルピンスキー「そこまで言うなら、ボクから言うことは何もないよ。…………ごめん、ボクもどうかしていた」 静かに謝り、それ以上の追求を止める。 彼女もラルの行為が間違いではないのは理解できた。だが、正しいと納得できなかったのだろう。 そう。彼が復讐でなく、仕事として殺人を行使するならば、必ず依頼を頼んだ者が居る。 ウィッチを疎んじる存在を真っ先にあげるならネウロイだろうが、奴等が人の手を借りる訳がない。加えて、思考があるかすら怪しい存在だ。 ならば、人間しかいないだろう。 ラル自身、人から殺されるだけの恨みを買っているとは思っていない。周りの人間も、それを重々承知している。 最も高い可能性は、軍内部のウィッチ排斥派。それもかなりの過激派だろう。 誰の目から見ても、余りに短絡的で愚かな行為。 人類守護の要、ウィッチ。彼女達の首魁を殺し、部隊を瓦解させようなどと愚行にも程がある。 最早、彼等は人類を滅ぼすネウロイと大差はない。人を内側から滅ぼすトロイの木馬と言えよう。 だからこそ、隊の若いウィッチには少年を出汁にして、彼等から目を逸らさせた。 自分の背中が、一部とはいえ軍人からも狙われているなど、報せない方がいい。士気に関わる重大な問題だ。 ロスマン「……………………」 クルピンスキー「どうしたんだい、エディータ? 昨日から、何か考えてるみたいだけど?」 ロスマン「アンタは何でもお見通しね、伯爵?」 クルピンスキー「当然。何時だって、君を見てるからね」 ロスマン「はいはい。……少佐、正直言うべきか迷っていましたが、お伝えしたいことがあります」 ラル「何かな、ロスマン曹長?」 ロスマン「昨夜の襲撃者、僅かではありますが、魔法力を感じました」 ラル「……それは、本当か?」 ロスマン「……本当に、気のせいとしか思えませんでしたが。いえ、思いたくなかったのかもしれません」 更なる悩みの種に、ラルやサーシャのみならず、クルピンスキーですら泣きそうな表情をした。 分からないでもない。鍛えた技で命を狙うはずの暗殺者が、魔法力まで備えているなんて、考えただけで吐き気を覚えそうだ。 ロスマン「ですが……個人的な意見ですが、一つだけ」 クルピンスキー「できれば、朗報を聞きたいな。もう悲報はうんざりさ」 ロスマン「どうかしらね? …………彼は、魔法力を押さえつけているような気がしました」 ラル「どういうことだ?」 ロスマン「分かりません。暗兵の教えなのか、個人的な主義なのか。ともかく、彼は魔法力を使う気はないようです」 魔法力があれば、より確実に任務を遂行することができるにも関わらず、それを行使するつもりがない。 ある意味朗報であったものの、魔法力を存分に行使するウィッチからしてみれば、理解できない薄気味の悪い話だ。 クルピンスキー「理由はどうあれ、それは朗報だね。シールドも身体強化も使う気がないのなら、巧く罠を張れば何とかなるかもしれない」 ロスマン「素人の私達の罠に、玄人が嵌ってくれればの話だけどね」 クルピンスキー「……エディータ、せっかく見えてきた希望を潰さないでよ」 ロスマン「可能性が低い希望には縋れません。軍人なのだから、当然でしょう?」 ラル「ふふ。何とか、いつもの調子が戻ってきたようだな、大尉」 サーシャ「………………」 ラル「……大尉?」 サーシャ「……あ。す、すみません」 そこでようやく声をかけられたことに気がついたのか、サーシャは頬を赤く染めて謝った。 何か考え事をしていたのだろうか、と3人の視線が一斉に集まる。 その視線に、どうようと、視線を泳がせるが、やがて観念したように語りだす。 サーシャ「あの、全く関係のない話なんですが、暗兵の彼等はどこから来たのかと思いまして。 使っていた体術もヨーロッパのものとは違う気がしましたし、単純に迫害や忌避から生まれたようではないような……」 クルピンスキー「ああ、そうか。熊さんは朝から働き詰めで、何も聞いていなかったね」 ロスマン「本当に、何から何まで申し訳ないわ」 サーシャー「い、いえ、そんな……」 クルピンスキー「そうか。なら、知りたがりの熊さんのために、この伯爵が教えてあげよう」 ふふん、と胸を張りながら、椅子から立ち上がる。だが、彼女の役目をラルが横から掻っ攫っていく。 ラル「怪異に滅ぼされた遠い東の地から彼等はシルクロードを渡ってやってきた。それが、民俗学者の見解らしい。…………つまり、中国さ」 ――とある小屋の中 昨夜、襲撃を受けた基地より南西30キロほど離れた森の中。 ネウロイの勢力圏から外れた場所に、その小屋はあった。 元々は、樵の休憩を目的として作られた小屋だったのだろうが、既に近隣の住民が避難した此処は、当然使われていない。 そんな打ち捨てられた小屋の中、二人の男が埃のテーブルを挟んで立っていた。 一人はグンドュラ・ラルの命を狙った少年であり、もう一人それを依頼した男である。 男は金髪を後ろに撫でつけ、それなりに高そうなスーツを着ていた。年齢は、30半ばと言ったところか。 少年は少年で、昨夜同様に左目だけを外気に晒し、黒い布で顔を覆っていた。 男「依頼すら満足にこなせないとは……。噂の暗兵も、どうやら大したことはないようですね」 少年「……そのようだ」 その表情は笑っていたが、男の態度は明らかに少年を侮辱している。 少年は、そんな態度を歯牙にもかけず、平然とした口調で返した。 元より、依頼内容も達成できない暗兵に向けられる侮蔑など覚悟の上なのだ。 始めてあった時から、この男が己を人間だと思っていないのは、分かっていた。 だから、彼も男を人間とは思わない。ただ、依頼を伝えるだけの伝書鳩か機械の類だと認識している。 もっとも、男のようにそんな考えを漏らす仕草は見せない。 侮蔑とは慢心の側面であり、慢心は油断を生み出すことを、骨身に刻み込まれている。 仕草に現れるということは、それの度が過ぎているということだ。 少年「任務不達成。……ほらよ、前金だ。オレは、もう降りさせてもらうぜ」 男「ほう、諦めるのですか。いやはや、暗兵など噂ばかりが先行した臆病者のようですね」 少年「何とでも言ってくれ。じゃあな、二度と会うこともないだろう」 こんな依頼人のために、警備が厳重になった基地をもう一度襲撃するのも馬鹿らしい。 やれやれ、金に困って相手を選ばず依頼を受けるのはこれきりにしよう。心の中でそう誓い、少年は手を振って小屋を出て行こうとした。 男「待ちなさい、貴方を返すわけにはいきません」 やっぱりか、と小さく呟き、動きを止める。 見れば、男は拳銃のコルトガバメントを抜き、銃口を向けていた。 続き、隣の部屋からMP40を構えた二人が入ってくる。 初めか分かっていた。男が自分を使い捨てにすることも、隣の部屋に二人の人間が潜んでいることも、外に見張りとしてもう一人いる事も、全て知っていた。 それでも逃げなかったのは、依頼失敗の報告の義務があると考えた、彼自身の律儀さのせいだ。 少年「穏やかじゃないな。いいじゃないか、依頼は失敗したが金は返した。あんた達が何かを失う訳じゃない」 男「ええ。ですが、我々の顔を見られた以上、返す訳にはいきません」 だったら、はなから顔を隠してこいよ、と余計な一言が喉元まで上ってきたが、何とか堪える。 男のような自信過剰な相手には、正論一つであっても要注意。こんな手合いは、自分が全て正しくなければ気が済まない。 もううんざりだとばかりに溜息を吐き、両腕を組んで壁にもたれかかる。 如何に不当な暴力で事を解決しようとする輩であっても、平和的に話し合いで解決できるのなら、それはそれで理想的だ。 もっとも、それが可能であるなど、少年は欠片ほども信じていないが。 少年「で、殺すのか? 意味ないぜ、オレはあんたのことを話すつもりはない。そもそも、暗兵の話なんて信じる人間がいるかよ」 男「暗兵の存在を知らぬ誰かに話す可能性はありますよ」 少年「変なところで完璧主義だね、おたく」 男「ええ、当然のことですよ」 皮肉にも気付かず、己に酔っている男の姿は、酷く滑稽だった。 もう何だか、目の前の歪みに歪み、愚かなまでに滑稽な存在と話す気すら失せてしまう。 さて、ならば戦いだ。 僅かな緊張すら見せず、少年は他人には分からないスイッチを入れる。 彼の方針は、逃げられれば逃げる。無理ならば、戦闘不能にして立ち去る。それも不可能ならば、殺すという至ってシンプルなものだった。 正味な話、少なくとも彼我の実力差は、少年から見て歴然であった。 とても機関銃程度で埋まる差ではない。それは、彼がシユウの暗兵であるが故に。 シユウとは、蚩尤。既に滅びた中国の神話に登場する神の名だ。 かの神が如何なる存在か。 それを簡単に答えるならば、戦斧、楯、弓矢などの武器を作ったとされる戦神である。 少年を育てた一族は、その戦神の名にあやかって、自らをシユウと名乗る。 但し、武器を作る一族としてではない。自らの五体――心技体に至るまで、全てを武器化した存在として。 既に組んだ腕の影で、彼の右手は投擲用のナイフを握っている。 そんな状態にありながら、どうせ最後なのだし、自分の命を狙う輩に義理立ては必要ないかと思い、口を開いた。 少年「しかし、このご時世にウィッチの命を狙うなんて、状況が見えてねえな」 男「黙れ! 我々は軍をあるべき形に戻そうとしているだけだ!」 少年「ほほう、軍人さんで。でも、そんな余裕がある軍は、限られてくるよな。 となると、ネウロイに侵攻されていないリベリオンか、はたまたファラウェイランドか。いいや、最近危険から開放されたブリタニアも候補に入るかな?」 男「黙れと言っている! 我々と同じヨーロッパの、……白人でありながら暗兵風情に成り下がった小僧が踏み込んでいい領域ではない!」 少年「人や集団にはそれぞれ事情があるのさ。つーか、世界の現状が見えてない馬鹿どもには分からないか?」 男「……貴、様! 我々のみならず、閣下の理想までも……!」 ちょっと挑発しただけで面白いほど墓穴を掘っていく男に、笑いが込み上げてくるのを必死に耐える。 男の反応から、恐らくブリタニア軍に所属しているのだろう。 他にも扶桑なども候補に入っていたが、仕草は元より顔の造形からして除外可能だった。 この予想は、およそ7割から8割の確立で的中しているはず。ブリタニアという言葉に、それほどまでに大きい反応を見せていた。 更に閣下という言葉から推測するに、将官クラスがこの男の上司なのだと自ら語っている。 少年(さて、ブリタニアの将官でウィッチ排斥派は……確か、トレヴァー・マロニー一人だったな) 彼を除いて、ブリタニアにはウィッチ排斥派はいないと記憶している。少なくとも、少年の知り得る限りでは。 しかし、そのトレヴァー・マロニーも、今年の9月に何らかの理由で失脚している。 今は監獄の中か、そうでなくとも軍の戦略上、何の重要度もない場所で細々と余生を過ごしている筈だ。 少年(成程、自分の上司が失脚して焦りの余りにウィッチを狙ったのか。一応、筋は通るな) いい情報が手に入ったかもしれないが、使えるかどうか。 少なくとも、彼等がブリタニアの軍人であり、かつトレヴァー・マロニーの一派である確証がなければ、とてもではないが使えないだろう。 そもそも、そんな情報を手に入れたとしても、物好きな雑誌記者くらいしか売り手を思いつかない。 食い繋ぐほど稼げそうにない情報に、少年は無駄な時間を使った気分になったが、元より期待はしていなかった。精神へのダメージは皆無だ。 小屋という狭い空間内では、銃を握る相手には背を向けて逃げるよりも、先手を打った方が確実。 そう判断し、左手にもナイフを握る。 まず、男の背後に居る二人の腕にナイフを投げつけ、無力化…… 兵士C「た、大尉ぃッ!」 男「馬鹿者! 私を階級で呼ぶなと言った筈だ!」 兵士C「し、しかし、ネウロイが……!」 男「何だと!?」 外で待機していた兵士の一人が、扉を壊す勢いで小屋の中に飛び込んでくる。 まして、ネウロイが来ないと踏んでいた地域である。その驚愕は男の思考を白く染めるには十分すぎた。 兵士A「ああッ!? た、大尉ッ! 暗兵の小僧がいません!」 男「くそッ! くそくそくそッ!! 何故、私の思うとおりに事が進まない!!」 次々に起こる予想と反した事態に、怒りの絶叫を上げた。己の無能さを棚に上げ、兵士を心の中で罵倒を浴びせている。 少年の立っていた場所に視線を向ければ、壁には顔を覆っていた黒い布だけがそのままの形でかけられた。 ネウロイから逃げるべきか、それとも少年を追うべきか。 暫く悩んだ末に男が下した決断は、もっとも愚かな選択だったと言うほかない。 それはネウロイから逃げつつ、少年を追うこと。二つの選択肢を同時に完遂するというものだった。 自らの置かれた立場を理解せず、そして己の性能すら把握できていない。愚かどころか哀れみすら感じる選択である。 この時、どちらか一方に選択を絞れば、或いは運命は変わっていたのかもしれない。 男「奴を追いつつ――――」 命令は、永遠に下されることはなかった。 小屋に迫っていたネウロイは容赦も慈悲もなく放った光線で、小屋を男達ごと焼き払ったのである。 かくして、トレヴァー・マロニーの亡霊と思しき男達はこの世を去った。 力なく、知なき者が二兎を追おうとした、当然の末路である。 少年「ふん。思わぬ収入だったな」 小屋から500mは離れた付近をひた走っていた少年は嬉しげに呟く。当面の生活費が稼げたので当然だろう。 しかし、恐るべき脚力である。小屋を離れてからまだ20秒と経っていない。陸上競技のオリンピック選手を遥かに凌駕する速度だ。 それ以上に恐ろしいのは、そのままの速度を保ちつつ、数十kmを走破できること。既に人間の域にない身体能力である。 少年は兵士が小屋の中に飛び込んできた瞬間、視線が己から離れたのを察するや一瞬でプランを変更した。 覆面を壁にかけ、更にテーブルの上にあった前金の封筒を手にしてから、その下に潜り込んだ。 覆面を残したのは視線を集中させる為であり、視界の端で動くものを察知させる訳にはいかなかったから。 そして、目論見通り集まった一同の視線を尻目に、獣のような低姿勢で小屋を飛び出し、そのまま森の中に飛び込んだのだ。 既に死んだ男に興味は失っている。頭にあるのは、このまま街にどう戻るかだけだ。 方位磁針と地図なしに何の目印もない森の中を移動するのは、遭難確実の自殺行為であるが、暗兵である彼には何の問題もないらしい。 事実として、彼は現在地から一番近い町へ一直線に向かっている。 その時、木々の影とは異なる影が、視界に入る。同時に、自分の頭上に気配を感じた。 はあ、と力なく項垂れるが、それでも疾走に影響がでないのは流石としか言いようがない。 黒鷲「おーい、小僧やーい」 少年「またお前か。いい加減に、俺に付きまとうのは止めたらどうだ」 黒鷲「そう冷たくするな。今契約すれば、お得なオプションとして有意義な情報を提供しよう」 少年「断る。……いや待て、情報だと?」 ギロリ、と頭上を睨めば、鳥類の癖にニンマリと笑いながら飛んでいる黒鷲の姿があった。 少年「おい。契約はしないが、情報だけ吐け」 黒鷲「いやじゃ。契約したのなら、教えてやろう」 少年「ああ、そうかいッ!」 黒鷲「ふふん。どうだ、契約する気に……って、ぐぇぇッ!!」 額に青筋を浮かせた少年は地を蹴り、手近な木の枝に飛び乗る。 そしてもう一度跳躍するや、黒鷲が飛んでいる高さまで到達し、首を掴んであっさりと捕まえてしまう。 何本もの枝をへし折りながら地面に着地し、再び疾走を再開した。 ギギギ、と黒鷲が首を捻って少年の顔を見る。 そして、全身から血の気が引いて、黒い羽毛が青くなってしまったような気がした。 それも当然、少年が悪魔のように顔面を引き歪めて哂っていたのだから。 少年「さぁて、このまま全身の羽根でも毟り取ってやろうか」 黒鷲「ま、待て待て! そんなことしたらワシが飛べなくなる!」 少年「じゃあ、情報とやらを喋れ。そうしたら離してやろう」 黒鷲「くぅ、暗兵の小僧め! ……いや、分かった。話すから無言のまま羽根を掴むな。すまん、ごめんなさい!」 少年「分かればいいんだ。早く話せ」 黒鷲「……今、陸戦ネウロイが1機追いかけてきている。空にも大中小あわせて13機ものネウロイがいる。此方はお前さんに気付いていないようだがな」 少年「クソ。見つかっていないと思ったんだがな」 少年は己の迂闊を罵しると、ぱっと黒鷲を開放してやると同時に針路を変更する。 このまま街にネウロイを引き連れていく訳にはいかない。 可能な限り人的な被害の出ないよう、森の中でやり過ごすことを選択した。 幸いにして、ウィッチの基地は近い。 10分もすれば此処にやってくる筈である。そうなれば、ネウロイもそちらに集中せざるを得ない。 その隙に逃げてしまえばいい。ネウロイから逃げるよりかは、人間から逃げた方がまだマシだ。 黒鷲「街から離れるのか。暗兵の分際で、随分お優しいことだ」 少年「お前、暗兵を破滅主義者とでも思っているのか? 少なくとも無意味に関係のない人間を巻き込むつもりはない。 他人は貴重な依頼人になり得るからな。人が居ての初めて成り立つ商売なんだよ」 黒鷲「ワシは、暗兵が受けてきた仕打ちを考えれば、お前達はもっと世界を憎んでも構わないと思うが?」 少年「下らん。憎しみで腹は膨れないよ。だが人殺しの技は、何時だって需要の絶えない商品だ。それに、ヤバくなったら逃げるさ」 黒鷲「ふむ、徹底した現実主義か。やはり、お前は我が主に相応しい。だから、契約してくれんかのう」 少年「いやだね」 取り付く島もなく断って、少年はネウロイを引き付けつつも逃げるという無謀に挑戦する。 彼は、命を捨てる覚悟をした。いや、日常的にそのような覚悟はできているので、したというのも可笑しな話である。 だからこそ、暗兵は恐れられている。死を恐れぬ暗兵は、何をしでかすか分からない、と。 少年「やれやれ。ネウロイ相手に鬼ごっこか、はは。…………笑えねぇ」 そう遠くない距離で、木々が薙ぎ倒される音が聞こえた。 ネウロイの形状は四歩足の蠍のようなフォルムをしていた筈。大きさは中型に分類されると思われる。 移動速度は時速20キロに達するか否か。ビームの射程は、実際に攻撃を見てからでないと分からない。 敵はどのような理由かは不明であるが、此方を捕捉している模様。 一旦、距離を詰めた方が逆に安全と思われる。相手の姿を視界に入れない状況では、無計画に放たれたビームで即死の可能性がある。 冷静に敵の戦力を可能な限り分析し、自身の能力を把握した上で結論を出す。 少年の出した答えは近接だった。それが懸命な判断であったかどうかは神のみぞ知る、といったところか。 運命の歯車が、火花を散らして回転する。 街に逃げず、ネウロイに接近するという選択が、少年の暗兵としての人生を大きく変えることとなる。 暗兵は生きて人にあらず、死して野晒しが宿命だと言う。 変わる宿命が、少年にとって良いものなのかは分からない。 だが、どうか、暗兵とはいえまだまだ若い少年の過酷な宿命が、良き方向に変わりますように。 天空から見下ろしていた黒鷲だけが、少年の祝福を願うように鳴いていた。
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訪問入浴とは
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編集(管理者のみ) 私の経緯 ある社会問題について、評論家や社会学者が、それは問題であるとか、それは問題でないとか語るとき、問題かそうでないかの基準を明確にしてから議論して欲しいと、私は一年ぐらい前から強く感ずるようになった。 それを明確にしてからでなければ、問題を論理的に語ることはできないし、何を論じたところで空虚で無意味に思えるからだ。これらの問題は、具体的にはベーシックインカムの是非や、2011年3月11日以降には原子力発電所の賛否に顕著に見られる。 自分で考えるに、それはまず、国益とは何か、公共の利益とは何か、弱者はどの程度に救済されるべきかといった、まだしも具体性を持つ疑問まで進んだ。 あるひとりの人間が「われわれ」と考えるものと、それ以外のものを分ける境界はどこで線引きされているのか、という疑問が新たに浮かぶ。 同時に、公平な視点とは何か、公平な視点など存在するのか、などの疑問も立ち上がった。さらに考えを進めると、他者の幸福はどの程度配慮するべきなのか、他人へはどのていど優しくするべきなのか、他人への不人情や不誠実はどの程度から法で罰せられるべきか、そもそも、他人とは何なのか、自分と他人の境界は何処にあるのか、といったかなり抽象的な疑問に往き着いた。それ以上のことは自分ではよく分からなかった。 またそれとは別に、良心の呵責を感ずると云うときの、良心とは何か、なぜ良心が人の心に存在するのか、といったことも漠然とではあるが五、六年前から疑問だった。これは生物学的な回答はあるかもしれないが、哲学的にも回答があれば面白かろうと考えていた。 はたまた、それともさらに別に、「ノーカントリー」という映画を見たときに、私はすこぶる面白い映画だと思った。これに登場するアントン・シガーという男は、他者を虫けらのように殺すのだが、仮にアントン・シガーのように強靱な肉体と精神を持っていた場合、アントン・シガーのように行動することは、誰にも否定し得ないと感じたからだ。如何なる悪事を為しても捕まることがなく、かつ独りでも生きていけるなら、他者に配慮する必要など何処にも存在しない。アントン・シガーは生きるに当たって極めて合理的な選択をしている。「ダークナイト」のジョーカーや、「セブン」のジョン・ドゥなどより、ずっと面白いキャラクターである。 つまり、先に書いた、あるひとりの人間が「われわれ」と考えるものと、それ以外のものの境界を、アントン・シガーは自分と自分以外のもので完全に線引きしている。このような人間がいた場合どうなるのか。そして本当は、誰しもアントン・シガーと同じように、自分と自分以外のものの間に利害の線引きをしているのではないか、とわたしには思えるときが多くある。 むろん、如何なる悪事を為しても捕まることのない人間など現実にはいないのだが、これは他者との関係性に完全に絶望した人間や、他者からの承認要求を完全に諦めた人間、または始めから持っていない人間が、無差別殺人をすること、またそれを止める手立てが社会の側にないことに似通っている。具体的には宅間守や加藤智宏のような事件である。 殺人が極端だというならば、いじめで考えてもよい。なぜいじめをしてはいけないのか。これを合理性をもって説明できるだろうか。いつか自分がいじめられる側になるかもしれないからだろうか。であるならば、絶対にいじめられる側に回ることなどないと断言できるほど支配権を握っている場合には、いじめてもよい、ということになる。 これらの疑問は次のようなことでもある。もしも、俗な損得勘定だけで人生の幸福が決まるなら、他者の立場に立ってものを考える配慮などどこにも必要ない。しかし、充実した人生には損得勘定を抜きにした他者との絆が必要だと思えることが多々ある。こうした考え方が、本当のところは正しいのか、正しくないのか。正しいとすれば、その絆とは、より詳しくはどのようなもので、どのように作られるのか。 アリストテレス「ニコマコス倫理学」、ホッブス「リヴァイアサン」、ルソー「社会契約論」、カント「道徳形而上学の基礎付け」「プロレゴメナ」、ニーチェ「善悪の彼岸」「道徳の系譜」、ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」、サンデル「これからの正義の話をしよう」などにはこれを考えるヒントが書かれているのではないかと直感的に感じてはいたが、自力でさまざまな哲学書を読破していけるほど、私は本物の哲学者ではなかった。そうするうちに、永井均「倫理とは何か」(ちくま学芸文庫)に出逢う。この本は私の問題を考える手助けとして、実に有益な本であった。 序章 ソクラテス 悪いことは、自分にとって悪いことである。 悪いと知っていて悪いことをする人はいない。 ことを行うに当たって、少しでも人のためになる人物の考えなければならないことは、それが正しい行為であるか不正な行為であるかだけだ。 アインジヒトたちの考察 ⑤ 祐樹…してはいけないことなんか、世の中に存在し得ない。 アインジヒト…してはいけないことが世の中に存在したとしても、していいんじゃないか。 私の考察 ④ ここでアインジヒトがいう内容の意味が分からない。 編集(管理者のみ) 永井均「倫理とは何か―猫のアインジヒトの挑戦」(ちくま学芸文庫) .
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阿含宗(あごんしゅう)は、桐山靖雄(きりやませいゆう)により1978年(昭和53年)4月8日に創設された仏教系の新興宗教。 毎年2月11日、(2009年で第36回目となる)「炎の祭典・阿含の星まつり」という修験道の儀式である護摩の一種大柴燈護摩供を京都花山にて開催することでも知られる。 == 概要 == 名称 阿含宗(あごんしゅう) 所在地 本山:京都市山科区北花山大峰町17-5 本山総本殿:釈迦山大菩提寺 立宗 1978年(昭和53年)4月8日 開祖 管長・桐山靖雄 本尊 真正仏舎利スリランカ国などより贈与された「真正仏舎利」(釈迦のご遺骨)を本尊とする。 依経 阿含経(あごんぎょう) 日々の勤行で読経する聖典には阿含経、観音経、般若心経、凖胝観音経などが含まれる。 阿含経の成仏法を密教の様式で修行することを旨とするが、阿含経を依経としてるとは言いがたい側面があるという批評もある。→#阿含経と阿含宗との教学上の齟齬。 また、護摩儀式や実際には大乗経典からも参照していることから上座仏教系新宗教ではなく密教系新宗教だという意見もある。 拠点 国内74カ所、海外8カ所 毎月開催される例祭護摩修法と法話は全国の拠点に衛星中継とテレビ会議システムによる(アゴンネットワーク新システム)を利用して同時中継されている。 == 略史 == 桐山靖雄が1954年に設立した観音慈恵会が前身。阿含宗の名称である阿含は釈迦|ゴータマ・ブッダ=釈迦とその弟子たちの教法を伝える唯一の経典教典、阿含経(アーガマ)を依経とすることを自称したことから名付けられた。 桐山は観音信仰から法華経、密教へ進み、『阿含経』の七科三十七道品という因縁解脱の法(成仏法)を体得し、成仏力を得る。密教の伝法灌頂その他は金剛院派の北野惠法、元仁和寺門跡小田慈舟師より密教最高の法とされる「如意宝珠法」及び「金剛・胎蔵界法の奥伝」を伝授される。又、チベット仏教より金剛・胎蔵両部の伝法灌頂を受ける(ニンマ派からはギュルミ・ドルチェ・ドドルチェル〈一切万霊守護金剛〉の法号と金剛阿闍梨耶の僧位を授かり、その後、サキャ・ツァル派からンガワン・リクジン・テンペル〈智証光明大覚者〉の法号と金剛大阿闍梨耶の僧位を授かる)。 初期には桐山の念力で護摩木に火を点けるという「念力護摩」が話題になった。念力の護摩は関西本部、北陸本部、東京総本部の3カ所で奉修された。桐山はクンダリニーヨーガのチャクラ開発の技法を取り入れることで密教の求聞持法、念力の護摩を成就し、それが阿含経の「七科三十七道品」の修行達成につながった、としている。 一般に「桐山密教」として知られるように、かつては密教の修行による能力開発を強く打ち出していたが、教団名の変更に伴い、阿含経が釈迦が直接説いた内容をまとめた唯一の経典であるという主張を強め、自らそれを奉じていると自称していることによる正統性の主張や、釈迦の生地やローマ教皇庁を訪問するなど国際的に活動する印象を与える。 但し、実質的処女作で大ベストセラーとなり密教ブームを巻き起こした『変身の原理』(昭和46年刊)で、すでに七科三十七道品について言及している。 近年は、1996年モンゴル大柴燈護摩供、2000年の9・11後に行われたニューヨーク護摩法要、2003年パリ大柴燈護摩供、2006年アウシュビッツ大柴燈護摩供、2007年シベリア大柴燈護摩供、2008年イスラエル大柴燈護摩供、2009年ガダルカナル大柴燈護摩供など海外での法要も活発に行う。特に近年はシベリア抑留犠牲者や南方戦線の戦死者など、太平洋戦争の戦死者・戦没者・殉難者の供養法要が多くなっている。その要因は戦争で散華した人の多くが桐山と同年代であり、その御霊を安らかにしたいという桐山の思いからである、という。 1980年代にはニューアカデミズムの流行に乗り、カジュアルなメディテーションをアピールし、また1983年のSIGGRAPHには阿含宗により製作されたCG「MANDARA 83」が出展されたり、広告代理店に依頼したメディア戦略なども、若い世代に受け入れられる側面があった。またこの頃、東京神保町にメディテーションセンター「シャンバラ」というスポットを開設するなどしていた。 1983年にはチベット仏教ゲルク派のダライ・ラマ14世は、1983年に仏舎利を寄贈したり ref [http //www.agon.org/about/b_02_06.html 昭和58年3月、ダライ・ラマ法王猊下より、数粒の仏舎利を拝受した。これは、ダライ・ラマ政府よりの、真正仏舎利である旨の由来書がついている。 - 阿含宗] /ref ref [http //www.agon.org/about/b_01_04.html 1983年、第14世ダライ・ラマ法王猊下から伝えられた真身舎利 - 阿含宗] /ref 、1984年に日本武道館で合同護摩を行った ref [http //www.agon.org/about/b_01_06.html 1984年5月 東京、日本武道館においてチベットの第14世ダライ・ラマ法王猊下と世界平和祈念大法要(オーラの祭典) - 阿含宗] /ref 。また、1989年にノルウェーのオスロで開催されたノーベル平和賞授賞式にも阿含宗を招待していた ref [http //www.agon.org/history/c_02_07.html 1989年(平成元年)12月:第14世ダライ・ラマ法王猊下のノーベル平和賞受賞式に参列 - 阿含宗] /ref など、ダライ・ラマ14世は阿含宗を積極的に支援していた。 桐山の初期の著書にあった学歴や信仰歴等が事実と異なるとして、週刊誌で採り上げられたことがあった。オウム真理教(現オウム真理教|アーレフ)が引き起こしたとされる一連の事件が問題になった際、同教団の古参信者の中にかつては阿含宗の信者だった人がいたことが話題になった。1991年(平成3年)、阿含の星まつり|炎の祭典・阿含の星まつり修法地の隣接地境内(敷地約15万坪)に総本殿・釈迦山大菩提寺を建立、チベット仏教ニンマ派ミンドリン寺コチェン・トルク宗務総長一行を招き盛大に落慶法要を営む。 1994年(平成6年)より、それまで「金剛界」「胎蔵界」の大柴燈護摩供であったものを「神仏両界の秘法」による大柴燈護摩供とした。仏界の本尊に真正仏舎利、神界の主神としてスサノオ|素佐速男命を奉祭し神仏両界の護摩壇として毎年星まつりを修している。 1999年のノストラダムスの予言に関して、著書で桐山がこの予言の中の恐怖の大王(恐怖する大王)であったと述べている。 1999年からは毎年、桐山自身が日本棋院名誉八段であることから日本棋院主催の「阿含桐山杯・全日本早碁オープン戦」に協賛している。 == 阿含宗の略年表 == 1954年(昭和29年)「観音慈恵会」設立 br / 1959年(昭和34年)「凖胝尊・因縁解脱千座行」を開始 br / 1969年(昭和44年)「大日山金剛華寺観音慈恵会」となる br / 1970年(昭和45年)初護摩にて「念力の護摩」を焚く br / 4月・大柴燈護摩供が始まる br / 1978年(昭和53年)4月8日「阿含宗」立宗 br / 1986年(昭和61年)スリランカジャヤワルデネ大統領より真正仏舎利拝受 br / 1991年(平成3年)阿含宗本山落慶法要 == 桐山靖雄管長プロフィール == 僧位・法号 1983年 チベット政府より外国人初の高い僧位法号「一切萬霊守護金剛」を授かる 1988年 チベット仏教界より僧位の師の位「阿闍梨位」を授受 1992年 スリランカ仏教界から名誉大僧正の僧位・法号「キールティ・スリ・サーマ・ドゥータ(輝く平和の大王)」授受 1993年 チベット仏教最高僧位「金剛大阿闍梨耶」と法号「智勝光明大覚者(ンガワン・リンズィン・テンペル)」授受 1994年 ミャンマー仏教界から僧位「アシン・ウイ・トツダ・タンダ・マナ(非常に高潔で平和を招来する尊い僧)」法号「テイラ・ワーダ・サーサナ・ノツガハ・ベイツク(釈迦の真の教えを保護し、伝道してこられた大尊者)」授受 1999年 チベット仏教界から当代最高の人物に贈られる名誉称号「パンティッタ」を授かり、チベット仏教ニンマ派総本山ミンドリン寺で称号認証式拳行 仏教の三つの流れ(北伝仏教・南伝仏教・東伝仏教) 東伝仏教 1983年:チベット仏教ニンマ派僧位・法号「一切万霊守護金剛」を拝受 1988年:チベット仏教ニンマ派「金剛阿闍梨法冠授与灌頂」の式典挙行 1993年:チベット仏教サキャ・ツァル派より、金剛界・胎蔵界両部の伝法灌頂 南伝仏教 1992年:スリランカ仏教シャム派より、名誉大僧正の僧位を授受 1994年:ミャンマー仏教界最高の僧位・法号を授受 北伝仏教 1972年:小田慈舟大僧正猊下より「金剛界法・胎蔵界法」の奥伝を伝授 1970年:小田慈舟大僧正猊下より「如意宝珠法」の伝授を受ける 教職・学位 1991年 チベット仏教ニンマ派仏教大学名誉学長就任 1995年 アメリカ・サンフランシスコ大学理事に就任 1996年 モンゴル国立大学より名誉哲学博士学位授受 1997年 中国・国立中山大学名誉教授授受 1998年 中国仏学院(仏教大学)名誉教授就任 1999年 モンゴル国立大学より学術名誉教授授受 中国・国立北京大学より名誉教授授受 2001年 タイ王国国立タマサート大学より名誉博士号授受 2003年 ロンドン大学SOAS名誉フェローシップ授受 2005年 モンゴル科学アカデミーから名誉哲学博士の学位授受 == 主な護摩法要 == 平成5年 伊勢神宮第61回神宮式年遷宮|式年遷宮奉祝・神仏両界大柴燈護摩供 br / 平成13年 ニューヨーク護摩法要(リバーサイドチャーチ[RiversideChurch]) br / 平成15年 パリ大柴燈護摩供(フランスのパリ・エッフェル塔前のシャンドマルス公園) br / 平成16年 東京大柴燈護摩供(東京お台場) br / 平成17年 広島大柴燈護摩供(広島平和記念公園・原爆供養塔前) br / 平成18年(6月8日)アウシュヴィッツ大柴燈護摩供(ポーランド国オシフィエンチム|オシフィエンチム市) br / 平成19年(7月9日)シベリア大柴燈護摩供(ロシア国ハバロフスク|ハバロフスク市) br / 平成20年(9月10日)イスラエル大柴燈護摩供(イスラエル国エルサレム|エルサレム市) == 主な活動 == 朔日縁起宝生護摩(毎月1日) 例祭(毎月) 冥徳祭(毎月16日、於:阿含宗本山) 土地浄霊法要 伝法会 錬脳塾 地鎮屋敷浄霊法要・冥徳地鎮屋敷浄霊法要 == 主な行事 == 毎年 1月1日 初護摩 1月5日 生誕祭 2月11日 炎の祭典・阿含の星まつり大柴燈護摩供(京都市山科区北花山大峰) 「阿含の星まつり|炎の祭典・阿含の星まつり」という大柴燈護摩供を、毎年2月11日、京都花山にて開催することでも知られ、炎の中に龍神や仏が出現するとされる。当日は京都放送|KBS京都をキー局とする独立U局のテレビ中継もされ、焚きあげられる護摩木は毎年3,000万本以上と発表されている。 3月 お彼岸法要(大阪柏原聖地霊園) 4月8日 花まつり(阿含宗立宗記念日) 5月5日 京都大仏祭 8月13日~15日 万燈先祖供養会 8月 13日お盆法要(大阪柏原聖地霊園) 9月 お彼岸法要(大阪柏原聖地霊園) == 社会活動・文化活動 == 主な活動年表 1985年 アフリカ飢餓基金に寄付 1986年 スーダンに井戸を寄付 1986年 アフリカ飢餓基金に寄付 1986年 中国残留日本人孤児養父母救援活動実施 1987年 チャド共和国にトラック寄付 1989年 愛寿会同仁病院設立 1989年 老人ホームの愛寿会紫磨園設立 1989年 日米アゴン友好財団設立 1990年 国際花と緑の博覧会に参加 1990年 フィリピン・ルソン島大地震のお見舞い 1990年 日伊アゴン友好財団設立 1991年 中国大水害のお見舞い 1991年 中国大洪水の援助金 及び 中国青少年教育基金より感謝状 1993年 日本糖尿病財団に寄付 1994年 日本糖尿病財団に寄付 1995年 日本糖尿病財団に寄付 1996年 財団法人・中国仏教阿含宗基金会設立 1997年 阿含宗立宗20周年記念・和泉流宗家狂言山科里帰り公演挙行 1999年 日本棋院「阿含・桐山杯」への協賛開始。「阿含・桐山杯第6期全国早碁オープン戦」開幕(東京日本棋院。以後、毎年開催) 1999年 「阿含・桐山杯第一期中国早碁オープン戦」開幕(中国棋院 以後毎年開催) 1999年 阿含宗中国事業管理委員会設立 1999年 トルコ大地震に災害見舞金寄付 1999年 台湾大地震に義援金拠出 2000年 「阿含・桐山杯第一期早碁オープン戦日中決戦」開催(中国・北京市の迎賓館「釣魚台」で開催。日中決戦*は日本と中国で隔年開催) 2000年 モンゴルの複合災害にお見舞金 2000年 ニューヨークの慈善団体に寄付 2000年 ニューヨークの病院に寄付 2004年 ルーヴル美術館特別展に特別協賛 2004年 ブータン王妃著書の出版記念祝賀会開催 2004年 中国仏教協会に寄付 2005年 ブータン仏教界に寄付 世界での教育支援 スリランカでは、経済的困難で教育が受けられない学生への奨学金の授与を十数年間続けてきており、奨学金を受けた学生は1000人を超え、多くの学生を支援しているという。 中国では、教育が十分に行き届かない僻地への小学校の建設を十年前から続けており、すでに10校の建設が行われたという。 その他、イタリア、ブータン、チベット、モンゴルなどで、継続的な奨学金や教育支援活動を行っている。 1991年 スリランカより留学生受け入れ開始、タイの小学校にソーラー・システム寄贈、中国中小学校幼児教師奨励基金会に寄付 1994年 スリランカ阿含宗友好財団設立 奨学金授与開始 「キリヤマ環太平洋財団」設立 1996年 第一回「キリヤマ・環太平洋ブック賞」発表 1998年 北京大学に教育関連基金を設立 1999年 タイ王国国立タマサート大学に寄付、スリランカのアパラデーニヤ高校に事務所寄付、第二回桐山教奨金授与式拳行(北京大学) 2000年 北京大学桐山教育基金設立、協議書調印式、ロンドン大学SOASに寄付 2000年 モンゴルの複合災害にお見舞金 2001年 中国遼寧省に永貴桐山小学校設立(中国の僻地へ年一校建設活動開始) 2002年 北京大学桐山教育基金授与式挙行、スリランカに桐山靖雄職業訓練校開校、中国・遼寧省に桐山永貴小学校建設、中国・国立中山大学桐山奨励金設立5周年記念祝賀会開催、タイ王国国立タマサート大学に阿含宗桐山基金設立、中国・平郷県第二町桐山希望小学校設立(河北省) 2003年 フランスのルーヴル美術館に視覚障害者用展示室寄贈、タイ王国・国立タマサート大学ジャーナリズム、中国・東平県老湖鎮桐山希望小学校設立(山東省) 2004年 第11回スリランカ阿含宗友好財団奨学金授与式拳行(スリランカ) 北京大学桐山教育基金授与式拳行(北京大学)、タイ王国国立タマサート大学スタジオ一式寄贈、中国・安化県双云桐山小学校設立(湖南省)、ブータンに教育援助 ルーヴル美術館の教育文化活動援助で寄付契約、ブータンに仏教留学 2005年 中国・貴州省凱里市龍場鎮平寨桐山小学校設立 中国 北京大学・桐山教育基金[http //www.pkuef.org/data/detail.php?id=363] br / 中山大学 歴史系 桐山基金 br / 小学校:记浙江省温岭市桐山小学校 br / 日中友好活動に貢献してきたことを中華人民共和国政府から称えられている。[http //j.people.com.cn/2004/05/09/jp20040509_39184.html] スリランカ スリランカ゠阿含宗友好財団(スリランカの小・中・高校生を対象とした奨学金設立) 米国 「キリヤマ環太平洋財団」(米政府・カリフォルニア州政府認定財団、「環太平洋研究センター」、「キリヤマ環太平洋研究大学講座」が設置 == 修行カリキュラム == 錬成修行者候補生 錬脳塾 基礎コース、滝行コース、火の行水の行コース、護摩行コース 夏期伝法会 好運会御講義 独鈷加持伝法会 屋敷浄霊法伝法会 冥徳屋敷浄霊法伝法会 ALC(アゴン・アストロロジー・ライフ・コンサルタント) == 修行施設 == 阿含宗本山:龍神の滝 阿含宗錬成道場:遠赤外線室・瞑想室・護摩修練場 九州本部:御瀧場:護摩修練場・遠赤外線室 加賀錬成道場:御瀧場・護摩修練場・遠赤外線室 == 関連項目 == 桐山靖雄 阿含宗出版部 阿含桐山杯 阿含宗関東別院 == 教団組織 == 宗教法人阿含宗本山 阿含宗本庁 宗務局 法務部 経理部 教宣部 営繕管理部 出版部 専修学院 雅楽部 宗教法人阿含宗関東別院 宗教法人阿含宗東海別院 == 関連会社 == 平河出版社 光和食品 日本宗教衛星放送 アーガマ 病院 愛寿会同仁病院(京都市) 特別養護老人施設 社会福祉法人愛寿会紫磨園 [http //www13.plala.or.jp/shimaen/](東京都) 霊園 宗教法人御堂総本山(大阪柏原聖地霊園) 保養所 阿含宗箱根保養所(箱根) 財団 スリランカ阿含宗友好財団 == 機関誌 == 『阿含宗報』 『アゴンマガジン』月刊 ==宗教番組 == 日本全国のラジオ局で毎週日曜日の朝に放送されている阿含宗の宗教番組として「さあ、やるぞ 必ず勝つ(さあ やるぞ かならずかつ)」もしくは「阿含名作シリーズ」を放送している。阿含宗管長・桐山靖雄の著書である同名の本に掲載されている法話集をラジオパーソナリティ|パーソナリティが毎週朗読している(時に桐山本人が過去に行った講話を放送することがある)。 ネット局 STVラジオ 5時10分~5時25分 東北放送 5時30分~5時45分 新潟放送 5時50分~5時45分 アール・エフ・ラジオ日本|RFラジオ日本 5時30分~5時45分 大阪放送|ラジオ大阪 6時30分~6時45分 中国放送 5時15分~5時30分 山陽放送 7時15分~7時30分 九州朝日放送 5時20分~5時35分 ==仏教美術 == 阿含宗が所蔵する仏像のなかでも、仏教美術として美術館に出品する場合がある。 ガンダーラ美術とバーミヤン遺跡展(2008年) 「仏三尊像」(2〜3世紀ガンダーラより出土) 「仏立像」(124cm、3世紀頃スワート出土) などを出品 ==阿含経と阿含宗との教学上の齟齬== 阿含宗では日々の勤行として阿含経が読誦されている。 阿含宗では、阿含経を依処にする理由について「シャカ以外の、どこのだれが書いたのか全く不明の偽りの経典(大乗仏教経典)を、シャカの説いた経典であるとして宗派をつくり教団を立てて、布教するのは正しくないことである、」「大乗仏教の経典には、内容的にも致命的な欠陥があることを桐山管長は発見しました。」「ところが、大乗仏教の経典には、どの経典にも、その修行の方法が一つも説かれていません。」 ([http //www.agon.org/about/b_01_02.html 阿含宗を知る] )と記し、そのことを元に自宗の正当性を主張しているが、実際には、桐山自身の著書の中で大日経や般若心経など大乗仏教経典を自論の根拠として掲げ、後期大乗仏教の密教形式の儀式(護摩)を行っており、また、日本の神界という、根本仏教ですらないことが明らかなものを奉っている。 そして、阿含経の時点では護摩については「バラモンよ。木片を焼いたから清らかさが得られると考えるな。それは単に外側に関することであるからである。」(サンユッタニカーヤ)、占いについては「瑞兆の占い、天変地異の占い、夢占い、相の占いを完全にやめ、吉凶の判断をともにすてた修行者は、正しく世の中を遍歴するであろう。」(スッタニパータ)と、それぞれ否定的に解釈できる表現があるにもかかわらず、あえてそれらを行っている点からも、阿含経に依経しているとは言いがたいとする見方もある。 ただし、大乗仏教経典を釈迦直説とすることを誤りとすることと、大乗仏教の体系を教理教学に採りいれることとの間に、矛盾は無い。大乗仏教経典群は根本分裂後の部派仏教時代に入ってから在家集団とも関わりつつ創作・編纂されたもので、釈迦の言行録というべき阿含経とは一線を引かれるべきものである。そもそも、大乗仏教経典のもとになる中観派の唱える「空」は上座部(長老部)がアビダルマ仏教の煩瑣哲学に陥って、現実離れした議論を繰り返していた時代に、ジンテーゼとして登場した。故に、その教学には仏陀の「四諦の法門」「縁起の法」が盛り込まれ、実に「上手くできている」のである。特に「般若心経」などにおいては二百数十文字の中に、これらが巧みに表現されている。それらを教理、教学に採りいれることは、現代の仏教として至極当然という見方もある。 仏教体系自体を否定することに必然性があるわけではない。しかし、創作されたことが明らかな経典群を釈迦直説とすることは過ちである。キリスト教で言えば、信仰の拠りどころは「旧約聖書」及び「新約聖書」なのであり、たとえダンテ・アリギエーリ|ダンテの「神曲」やマルティン・ルター|ルターその他の思想家の著作がいかにすぐれていても、創作物の範囲を出ないことに例えられる。釈迦仏陀自身は、当時の文化、宗教状況を踏まえ、バラモン教を「踏み台」にして教えと法を説いた。それをかんがみれば、現代の宗教家、特に仏教系の宗教者が膨大な体系である仏教体系を「踏み台」にするのは当然であるとする見方もある。 阿含経を依経としながら真言密教形式をとることについて このことに、批判があるようだが、桐山師自身の言葉によると(BSフジ 番組内インタビューより) 阿含経は最古の経典であり、もっとも古い仏教であるが、それゆえ、形式というものをもたない。 一方、密教は大乗仏教の最後に登場し、形式が最も整った仏教といえる。反面、形式化が進みすぎたきらいもある。 現代において阿含経を布教するにあたり、密教の形式を借りるというかたちを、テーゼとして出したのが、阿含宗である。 という趣旨を述べている。 ==因縁に付いての阿含宗の教学== 仏教の根本思想である「因縁果報」(全てのものは因から始まる縁により生じた結果が、輪廻していくという教え)から、「縁」を変えれば「因」も変わるという因縁解脱を修行の目標とするとしている 阿含宗では、因縁を人生に当てはめ大まかに分類すると、32の運命的傾向になるとしている。また「生」「老」「病」「死」という別の表現法もある。 また、因縁の「因」の例として「悪性腫瘍|癌や交通事故などで亡くなった親類縁者や水子が不成仏霊として現世に悪影響を及ぼす。」と主張している。 阿含宗に限らず、現世と死者との関連についての解釈は、宗教観により異なる。また唯物論的立場をとるか、死後の世界を認めるかによっても上記の教学についての見解は分かれるところであろう。 なお、阿含経自体には「死後の世界はあるか、ないか、霊魂はあるか、ないか、世界は常住か、無常か」という形而上学の問題についてはお釈迦様は答えず(無記)に、自分が法を解くのは苦しみから解き放たれるためだと、形而上の問題に惑わされ、またそのために苦しむことを戒める毒矢の喩えという教えがある。 ==海外の活動拠点== 台北本部 886-2-2808-4601 高雄道場 886-7-537-2002 台中道場 886-4-2475-5060 ブラジル支部 55-11-5581-9776 ハワイ支部 1-808-949-4652 カナダ支部トロント連絡所 1-416-922-1272 欧州支部(ロンドン) 海外活動では台湾での信者が最も多く、台北の淡水鎮に道場がある。台湾ではそのほか高雄、台中にも支部がある。 その他、ブラジル、カナダ、イギリスなどと続く。 ==オウム真理教との関係== オウム真理教教祖麻原彰晃をはじめ、オウム真理教の幹部の数人は元阿含宗の信者で、阿含宗を参考にオウム真理教を立ち上げたと言われている。オウム真理教は阿含宗の修行法を元に、より過激に改変した部分があり、阿含宗の修行では物足りずオウムに改宗する者もいた。以上の経緯から、後に地下鉄サリン事件等の一連のオウム事件が起きた際、マスコミによりオウムとの関係が取り沙汰され、桐山管長がオウムとの関係を明確に否定する書籍(『オウム真理教と阿含宗』1995年)を著している。 == 参考文献 == ブリタニカ国際大百科事典 阿含宗出版部『アゴン・マガジン』 阿含宗出版部 『阿含宗報』 桐山靖雄 『オウム真理教と阿含宗』 ISBN 4892032611 矢島輝夫 『阿含宗と桐山靖雄』 ISBN 4750600016 早川和廣 『阿含宗・桐山靖雄の知られざる正体』 ISBN 4871770214 広野隆憲『阿含宗の研究 桐山密教の内実』ISBN 9784885914454 広野隆憲『阿含宗 桐山密教の秘部と恥部』文芸春秋92年5月号P184-193 == 脚注 == references/ == 外部リンク == [http //www.agon.org/ 阿含宗公式サイト] [http //www.agon.org/us/ 阿含宗公式サイト(英語)] 特別養護老人施設 [http //www13.plala.or.jp/shimaen/ 社会福祉法人 愛寿会 紫磨園](東京都)
https://w.atwiki.jp/masaruyanki/pages/13.html
説明しよう まさるとはヤンキーである それ以上でもそれ以下でもない つまり、まさるはヤンキーである。 ついでにメガネちゃんでもある