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上田まで馬でも2日。それを普段培った乗馬の技で一日半で到達し、政宗は宿を取った。 目の前に上田城がある。 逸る気持ちを抑え、湯を使い、持参した風呂敷包みを開く。 その中には見事な藍色に染まった紬の女物の着物に赤い帯があった。 「女の格好になって、あいつを驚かせてやる・・・綺麗だと言わせてやる」 どんな顔を、どんな言葉を言うだろう?政宗はわくわくしながら十余年ぶりに女の姿になった。 城下に出、城へ向けて歩き出す。自然と足が弾んだ。 と、耳に聞き覚えのある声をとらえ、振り向く。 「あっ!」 思わず喜色満面の声を発する。 幸村が露天の団子屋の親父と喋っていた。頬が緩むのを押さえられない。 「ゆ・・・!」 しかし呼びかけた声はとぎれた。 幸村に明るい橙の髪を揺らし一人の町娘がどこからか現れて声をかけたのだ。 黄色の着物は政宗のそれほど良いものではないが娘に似合っていた。 幸村は振り向くと娘に微笑み、連れだって踵を返す。 それは、とても仲睦まじく見えた。 そして目の前で二人は自然な形で手を繋いだのだ。 愛別離苦4
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「うるぉおおお!!」 そんな地獄のような光景を切り裂く咆哮。 瞬間吹き飛ぶ足軽たちの首。 「ひいい!?」 幸いにも生き残った連中が腰を抜かして、間抜けに股間の萎びた物をさらす。 それを一掃する追い打ちの手裏剣。 「なっ!?これは・・・!!」 陣に帰ろうとしていた竹中が驚愕に目を見開いた。 「何故、ここに君が・・・甲斐の若虎がいるんだい!?」 絶叫のような問いに答えるのは闇から湧き出た忍だ。 「こんなでっかい謀がどこにも漏れないとでも思ったのかい?人非人め」 いつもの飄々とした声ではなく怒りを秘めた低音で囁き、 じゃきりと手裏剣を竹中の白い首筋に押し当てる。 竹中が舌を打つ。少しでもどちらかが動けば血を見るだろう。 勢いと重量の割には軽い音を立てて着地した幸村はすっくと 立ってまっすぐに竹中を見つめる。 「某、お館様と越後の竜の関係に憧れてござる!好敵手の窮地を救うは仁義!」 「・・・思い出したよ。そういえば稲葉山で軍神を信玄公は助太刀して僕を邪魔したっけ。 ったく師弟共に面倒なときに・・・まあいいや。君は間に合わなかったんだからね、残念ながら」 それを聞くなり幸村を取り巻く空気が張りつめる。竹中の瞳が怯えを掃く。 「・・・・・・間に合わなかったならば、仇をとるまで。どけ佐助」 そう低く唸った声は地獄の釜から聞こえるようだった。 音もなく忍の気配が消える。とたんに紅蓮の風が怒濤のように押し寄せた。 「くうっ!」 とっさに関節剣を前に伸ばすが跳躍されて避けられた。 竹中は絶望した。関節剣が手元に戻るより早く鬼が落ちてくる。 「うっうわぁああああ!!!」 断末魔が木霊した。 愛別離苦10
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「俺はとんだうつけだ」 不思議と幸村を恨む気に離れず、ただただ舞い上がっていた己を卑下し、後悔した。 初めての失恋に呆然としてしまい、頭の中は纏まらない自分への罵倒だけが浮かぶ。 こんな痘痕だらけの女がいつまでも幸村の心を留めておくことなど出来はしなかったのだ。 娶るやら綺麗やらは社交辞令の睦言だ。それを馬鹿正直に信じた自分が阿呆なのだ。 「それでも・・・・・・」 好きという気持ちは静まらず、政宗はただ困惑した。 恋という感情は自分の中で抑えていた感情で、政宗はそれの扱いが皆目分からない。 失恋をすれば文字通り恋心は失われるのだと思っていたのに、 この焦がれる気持ちは収まらず、馬上の彼女を散々に痛めつける。 ぎゅうっと唇を噛み締めて、涙を無理に押さえ込んだ。そして大きく息を吸い、 吐き出すとともに殺伐とした声で一人強く哀しく呟く。 「俺には・・・やっぱり伊達家当主として修羅になる道しかなかったんだ・・・そうだろ?」 だから、早く修羅へ戻らなければ。政宗はやっと馬の腹を蹴り、速度を上げた。 愛別離苦6
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なんて開放をされた気分なのでしょう。 もう何もやる気がでなくなってしまったくらいです。 新しい人生の始まりです。 できることならもっと早く決断をするべきだったのかもしれません。 こんなことにずっと捕らわれていたなんて最初から考えていたくはなかったのですがこれでもう自由の身なのです。 これからは自分の好きなように人生を歩むことができるのです。 何事も縛られることなく生きていくことができるなんてとても有意義ですね。 もっと早くに決断をするべきでした。 これからはもっと楽しい人生を送ることができるように頑張っていきたいと思います。
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しばらく戦乱もなく、東北部は平穏だった。 「It s fine,isn t it?平和だな、小十郎。いい天気だし、今年は豊作のようだし」 煙管をもてあそびながら政宗は自慢の右腕に言う。 「は。最上も気味が悪いほど静かで」 「Ha!懲りたんだろ。伊達は祖父でも容赦なく攻めるってわかってビビってやがんだ」 「このまま静かならば、良いのですが」 眉をひそめる小十郎だが、タバコの煙を吐く政宗は至って余裕だ。 「ああ。だが向こうも稲刈り前の田を荒らしてまで今、伊達を潰そうとは思わないだろうな ちったぁウチもbreakになるだろ」 「そうですね。政宗様も休息なさりたいでしょう。 留守居はこの小十郎めが守ります故、旅行でもされてはいかがで?」 「Ah~trip・・・ねえ。Good!しばらく遠乗りでもしてくる」 つい、と立って政宗は自室へと戻るべく退出した。 そして小十郎の視界から外れた途端走り出す。 行きたい所など決まっている。上田だ! 「片倉殿、よいので?」 老臣が尋ねた。 「ああ、政宗様とてご自分の境遇は分かっていらっしゃる。必ず我々の所に戻ってくるさ。 今くらい、淡い恋をされても罰は当たるまい」 「政宗様はおかわいそうな姫じゃからな。ああ、それくらい罰などあたるまいて」 老臣が深く何度も頷いたとき、馬の嘶きが城内に響き、蹄の音が遠ざかっていった。 愛別離苦3
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「ぬぅん!」 勢いよく振り回され放り投げられる。そのまま政宗は岩に体を嫌と言うほど叩きつけた。 竹中はそれを見つめ、ため息をついた。 「秀吉・・・僕に任せて陣に居てって言っただろ」 それに眉をしかめ、そびえ立つ巨躯は豊臣の総大将、豊臣秀吉である。 「この戦は最上と伊達をぶつけ合い、最上を豊臣に刃向かわないようにさせるか 共倒れにって言う目的もあるんだから。こっちは指示だけ出せばいいんだ。 見てよ。この完全な勝ち戦。秀吉が出るまでもないったら」 衝撃にしびれ、身動きできない政宗はそのやりとりを聞いて腸が煮える気がした。 全てを盤上の遊技のように弄び、上から覗いて笑うような竹中の態度が許せない。 そして己にも腹が立つ。 ーー俺が、女の夢なんか見るから。みんなを殺してしまった。仇だけでもとらなければ。 この修羅の道を失えば・・・・・・俺は生きる意味を失う。 わき起こる衝動だけが政宗を立ち上がらせた。 「God damned!」 「おや、凄いね」 純粋に驚いて竹中は秀吉を見上げた。 「ふん、だがただの意地だ。意地だけでは勝てぬ、力が伴わねばな!」 ぶうんっと風切音。 丸太のような腕が三刀を抜き突進する鬼神のような政宗をあっさりとはじき飛ばす。 「哀れだね。そんなにもがいて。そんなに生きる意味を守りたい?」 受け身もとれず地面に激突した政宗はもうどれだけ己を叱咤しても動くことは叶わなかった。 そのうつぶせに倒れた竜に竹中はつかつかと歩み寄り、つま先で転がして仰向けにした。 途端にぐうっと睨み付けられ、竹中は肩をすくめた。 「まだそんな目をして。視線だけで人が殺せれば死んでるね。怖い怖い」 しかし竹中に浮かぶのは勝利を確信した余裕の笑み。 「知ったような口利きやがって。fuck!てめえにはわかんねえだろうよ」 「分かるさ。君のことはご母堂から聞いているよ。藤姫様」 「なっ・・・その名を・・・」 それは、五歳の時に棄てた名前だ。 「ご母堂はね、君にお嫁に行って欲しかったのに。 そうやって当主として頑張るからご機嫌斜めだ」 当主として立派になればいつかは母に認められると思っていた政宗に その言葉は何よりも鋭い針だった。 「そ、んな」 がらり、と心の柱が崩れる気がした。 ーー伊達が滅び、母が望まぬ修羅の道は絶たれた。 愛別離苦8
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見たらちんこ立つ
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愛別離苦 依頼主 :ベアティヌ(グリダニア:新市街 X10-Y12) 受注条件:木工師レベル45~ 概要 :木工師ギルドのベアティヌは、なにやらひどく落ち込んでいるようだ。 ベアティヌ 「ハァァ・・・・・・私は・・・・・・ダメな奴です・・・・・・ しなびた枯れ枝以下です・・・・・・ キノコすら生えません・・・・・・。 あんな、酷いことを言ってしまうなんて・・・・・・ でも、そうしないと・・・・・・ ・・・・・・すみませんが、ちょっと、ひとりにしてください・・・・・・。 「どんぐり遊園」で、ニコリオーと 遊んであげてくれますか・・・・・・ハァ・・・・・・。」 ニコリオーと話す ニコリオー 「あ、冒険者! ひょっとしてベアティヌ先生に言われてきたのか? やっぱり、また落ち込んでるんだな。 でも今度の原因は、すらんぷじゃなくて、ケンカだよ。 ギルドに来た「ゲイルハード」って弓術士の依頼を、 先生が断っちゃって、ケンカになったんだ。 大人なのにケンカするなんて、大人気ないやつらだよ。 しかたないから、仲直りさせてやろうぜ。 お前は弓術士のところにいって、依頼をひきうけてやるんだ。 先生は俺に任せておいてよ。 弓術士は「双蛇党」統合司令部の方に行ったみたいだ。 それじゃ、頼んだぞ!」 ゲイルハードと話す ゲイルハード 「どうした、Nikuq。 ・・・・・・え? 依頼を引き受けに来たって? なぜ依頼のことを・・・・・・ なに、どんぐり遊園の子供が・・・・・・? なるほど、口論を聞かれていたのか。 本当はベアティヌに頼みたかったが・・・・・・ 背に腹は代えられん。 すまないが、代わりに引き受けてくれ。 頼みたいのは、 「ユーロングボウHQ」、「コバルトハルバードHQ」、 それと「ジェイドクルークHQ」だ。 お前の腕を疑っちゃいないが、こいつは重要な依頼だ。 作ったら、「ベアティヌ」に見てもらってくれ。 お前の作った武器を見れば、 あいつも考えを改めるかもしれんしな・・・・・・。 絶対に手を抜かず、最高の品に仕上げてくれ。頼んだぞ!」 ゲイルハード 「「ユーロングボウHQ」、「コバルトハルバードHQ」、 それと「ジェイドクルークHQ」だ。 重要な依頼だから、「ベアティヌ」に見てもらってくれ。」 ベアティヌに依頼品を見せる ベアティヌ 「Nikuqさん・・・・・・ ニコリオーから、話を聞きました・・・・・・。 ゲイルハードの依頼・・・・・・すみませんが、頼みますね・・・・・・。」 (ユーロングボウHQとコバルトハルバードHQ、ジェイドクルークHQを渡す) ベアティヌ 「ああ・・・・・・どれも・・・・・・素晴らしい・・・・・・。 何ひとつ、文句のつけようなど、ありません・・・・・・。 ユーロングボウHQは、高級木材である ローズウッド材を、ユーの枝で補強した弓です・・・・・・。 ローズウッド材の欠点である重さを、 部分的にユーの枝を用いることで補い、 丈夫なラプトルの腱を弦に張った、重厚で堅強な弓・・・・・・。 コバルトハルバードHQは・・・・・・ バイルブランド島で考案された合金「コバルト」で 穂先を作ったハルバードのこと・・・・・・。 斧を主武器とする傭兵の民ローエンガルデ族が、 チョコボ騎兵に対抗するため、斧の柄を長くしたのが ハルバードの始まり・・・・・・。 グリダニアでは珍しい武器ですが・・・・・・ 一流の木工師によって引き出される、 その攻撃性と機能性は、他の槍に決して劣りません・・・・・・。 そして、ジェイドクルークHQ・・・・・・ 素材のマホガニー材は、独特の赤みと美しい光沢から 高級家具や楽器の材料として愛されてきました・・・・・・。 そんな高級素材に、「命の再生」を象徴する翡翠・・・・・・ 「ジェダイト」をはめ込んだのが、この杖です・・・・・・。 生命力を操る幻術士たちの妨げにならぬよう、 必要な素材のみを、最高の状態で組み合わせた逸品・・・・・・ 本当に、非の打ち所がありません・・・・・・! ハァ・・・・・・Nikuqさん・・・・・・ あなたの素晴らしい武器を、 ゲイルハードに届けてあげてください・・・・・・ この武器が必要だとは、分かってはいるんです・・・・・・ ですが、私からは、とても・・・・・・ すみません・・・・・・よろしくお願いします・・・・・・。」 ゲイルハードに依頼品を納品 ゲイルハード 「頼んだ武器は、仕上がったのか?」 (ユーロングボウHQとコバルトハルバードHQ、ジェイドクルークHQを渡す) ゲイルハード 「ああ・・・・・・見事な武器だ。 どれも、隅々まで作りこまれていることが分かる。 お前はずいぶん腕を上げ、木工師として成長したんだな。 それに比べて、ベアティヌの頑固さは相変わらずだ。 少しは弟子を見習ってほしいものだ。 俺が新しい弓に変えないのなら、 依頼を引き受けない、の一点張りでな。 それで大ゲンカになっちまった、というワケさ。 だが、お前のお陰で部下たちに最高の武器を渡せる。 これで安心して遠征に向かえるぞ。 本当に、世話になった。 しばらく会えなくなるが、元気でやれよ。 「ベアティヌ」にも、そう伝えてくれ。」 ベアティヌに報告 ベアティヌ 「Nikuqさん・・・・・・ ゲイルハードに・・・・・・武器を届けてくれたのですね・・・・・・ ええ、当然ですよね・・・・・・ 木工師ですから、依頼は、こなさなければ・・・・・・ ですが・・・・・・ 私は・・・・・・我慢できなかったんです・・・・・・ ゲイルハードが、弓を変えようとしないことが・・・・・・。 あの弓は、もう限界なんです・・・・・・ 彼自身のために、もっとよい弓を作ると言っても・・・・・・ 聞き入れてもらえなくて・・・・・・ それで、つい怒ってケンカになってしまったんです・・・・・・。 ハァ・・・・・・依頼人に考えを押し付けてしまうなんて・・・・・・ 私・・・・・・職人失格ですよね・・・・・・。 ゲイルハードは、もう発ってしまいましたか・・・・・・ 今までも窮地を切り抜けてきた彼ならば、 きっと大丈夫だと信じたいのですが・・・・・・。」