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名 前 : 知桐 京子 ( チキリ キョウコ ) 誕生日 : 1978年9月13日( おとめ座 ) 出身地 : 東京都 所 属 : 尾木プロ THE NEXT/BQMAP 知桐京子@_chiki_ #twitter_widget_profile
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キャラクター紹介 氏名 沖田 京子(おきた きょうこ) ■説明分■ 高名な武士の子孫。 非常に道徳的で「武士」然としているが、どこか抜けたところもあり、 何もないのに躓いたりといった一面も・・・。動物が苦手だが、好かれる体質で いつも七瀬のペットに追いかけられている。 ステータス(初期値) N 410/710 N+ 510/890 技 破壊の種子…自分のカードの攻撃力が44%アップ。発動率70% R R+ 技 SR SR+ 技
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「……なっ…………」 ある月曜日の朝。 まぶしい光を一身に浴びた俺は、しぶしぶと目を開け、周りを見渡し……そして絶句した。 と言っても、目覚し時計が鳴らなくて既に一時間目の授業が始まっている時間だったとか、中々起きない妹が、今にでもフライング ボディプレスをかまそうとした瞬間だったとか、容易に想像のつく事象じゃない。 普通そんなことあり得ないだろう、と言うような事が起きていたのだ。 それはというと―― 「どこだ、こりゃ……」 ――どう考えても俺の部屋じゃない、全く異質の部屋で目を覚ましたからだ。 広さは俺の部屋と同じくらい。今俺が寝ていたベッドは部屋の片隅に置かれ、もう片隅には一人掛けの椅子とテーブルがそれぞれ鎮 座している。その間には観音開きの窓。溢れる朝日がこの窓を伝ってベッドを照らしている。俺が目覚めたきっかけとなった光だ。 手をかざし、朝日の眩しさを遮りつつ別の方向に目をやる。部屋の奥には扉が一つ、恐らく出入り口。……出入り口だから奥と言う のはおかしいな。部屋の手前に修正しよう(細かくてスマン)。 そして、その扉の横には仕切られた一畳程度の小部屋が一つ。大きさと作りからしてクローゼットか物置か……そんなところだろう ……と、ここまでならどこの家庭にも存在するワンルームと言っても差し支えないのだろうが、しかし普段俺が目にする部屋とは決 定的に異なる部分があった。 それは、この部屋の壁、床、天井……つまり、この部屋を構成しているのが全て丸太で造られていること。 いや、この部屋だけじゃない。ベッドも、椅子も、テーブルも。全て木材で作製されたものだった。ペンションなんかで見られるロ グハウスのような建物だと思っていただければいいかもしれない。 そして、普通のログハウスとは違う、何か違和感があった。確かに普通の部屋なのだが、しかしどこか俺の知っているログハウスと は違うような気がしてならない。実際にログハウスに入ったことがないから、うまく言葉にはできないのだが…… しかし……そうなると、ますますここがどこだか分からなくなってきた。どうしてこんなところで寝ていたのかね、俺は。昨日の夜 は、自分の部屋で寝てたはずだ。 昨日の夜―― ――前日の日曜日。 特にイベントもやることもなく、一日中家でごろごろと怠惰に時間を費やしたのだが、それでも夜になれば眠たくなる。いやはや、 人間の体内時計というものは実に良く出来ているね、等と感心した瞬間である。 布団の中に潜ろうと掛け布団を捲ると、既に先客、いや、今やうちの居候と成り果てた三毛猫シャミセンが『ふぎゅあ』と不機嫌に 声を上げたのだが、俺の寝る場所を邪魔するんじゃないぞと後方へ押しやり、更に不機嫌な声を上げたところで相変わらずノックもせ ず入ってきたうちの妹に『シャミをいじめちゃダメ!』等と叱られたり、俺は俺で『俺の寝床を占拠したこいつが悪い!』等と同じレ ベルで反論し、寝る間際までギャーギャーと言い争いをしていたのだが、それがよほど五月蝿かったのだろう、母親が俺の部屋にやっ てきて『夜中に騒ぐんじゃない』等と俺と妹がその場で大目玉を喰らって……当のシャミセンはフリーパスだったのが非常に疎ましか った。 とまあ、唯一それだけが昨日の出来事の中で一番大きな出来事だったわけだが、逆に言えば一番鮮明に覚えていることになる。俺の 記憶の片隅どころか中心ど真ん中に鎮座して離れなかったくらいだ。 少し話が逸れたが、つまり俺は昨日、『間違いなく自分の部屋で寝た』と自信を持って言える訳で、こんなどことも知らない部屋に 入って寝ていることなど万に一つもあり得ない。あるとすれば誘拐されたか俺に夢遊病のケがあるくらいだが、流石に誘拐されたらい くらなんでも違和感で目を覚ますだろうし、寝ぼけてでどこかの家にあがり込むほどモウロクはしていないつもりだ。 それに第一、俺の近隣にここまで木造然とした建物があった事など記憶にないし、縦しんばあったとしても記憶が無い家にどうやっ て侵入しベッドまで潜り込んだかは甚だ疑問である。 ……うむ、なら誘拐の方がまだあり得るか。とはいえ、俺を誘拐しても何のメリットも無いような気がするがな。庶民の家の男子高 校生を誘拐するより、裕福な家庭で育ったお嬢様を誘拐した方が誘拐犯にとっても望ましいものだ。 ……そっちのケがある奴だったらあるいは……いや、考えるのはよそう。 「あるいは……」 ここまで言って口を閉ざした。それは一番考えたくない、しかし一番あり得そうな可能性。 だから誰にも聞かれないよう、心の中でボソッと呟いた。 まさか――ハルヒがやったことなのか? ……等と思わせぶりな発言をしたところで、何も解決するわけではない。ベッドの上であれやこれやと考えるよりは、少しこの辺を 探索して状況判断した方がよりベターだ。 奇妙奇天烈な事件は既に何度も経験済み。最近は耐性がついてきたから立ち直るのも早くなったな、俺。 ……決して自慢できるアビリティではないが。 微妙な自己嫌悪を振り払い、ベッドから這い出した俺は麻のシーツと掛け布団を綺麗にたたみ(一応他人の家だったら申し訳ないこ とをしたことになるから、これくらいはやっておかないとな)、同じく麻で編み上げられたスリッパを履いて部屋を軽く物色する。 先ずは木製の窓から外の様子を伺う事にした。 窓は観音開き式の扉で、よく見るとそれとは別にもう一枚扉があった。ガラス窓ではなく、薄い板を何枚も縦に並べたような構造を しており、手前のレバーを引くと板が回転して開いたり閉じたりする構造になっている。ちょっと目の粗いブラインドといえば分かり やすいかもしれない。このブラインド状の板が少し開いていたため、朝日が漏れていたのだろう。 暫くブラインドをくるくるまわして遊び、飽きたところで外を見渡した。 あたり一面を占拠するのは、果てしなく生い茂った緑の木々。 ほほう、なるほどなるほど。どこか爽やかな薫りがすると思ってはいたが、なるほどこれだけ木々が生い茂っていたらそりゃマイナ スイオンもたっぷり出ているに違いない。 思いっきり背伸びして深呼吸を一つ。 「うん、空気が上手い」 …………。 …………。 …………。 ああ、わかっているよ。単なる現実逃避だ。 すこしおさらいしよう。俺の家がある場所は、決して都会のど真ん中とはいえないが、それでも周りには住宅街が立ち並び、コンク リートで作られた建物が辺りを覆い尽くしている。 緑の木々は、もっと山の方を望めば見える事は見えるのだが、しかし目の前の光景を全て埋め尽くすほどではない。 つまり、どういうことか。 簡単に言うと、どうやら俺は俺の住む地域とは一線を画する地域に引っ越してきたようだ……というか、俺は本気で俺の知らない場 所にやってきたらしい。公共交通機関を利用して帰宅するのは……難しそうだな。 「やれやれ」 はあ、と溜息を一つついて伸ばしていた腕を下げると、コツンと何かが手に当たった。音のした方を見ると、そこには古びたランタ ンが置いてある。油は既に燃え尽きており、ホヤは煤けて元の透明度を無くしている。 ランタンとはまた古風なものだな。この家のイメージにはピッタリだが……ん? そう言えばここ…… 俺は再三辺りを見渡した。……ははあ、そうか。なるほどね。 起きた当初からこの部屋に違和感を感じたのだが、それが何であるかわかった。 実はこの部屋、電灯がない。あたりを見渡しても、白熱球だか蛍光灯の類は見つからないし、スイッチのようなものも見つからない ……いや、それどころか。そもそも電気が通ってないのかもしれない。テレビや電話もなければ、コンセントすら見つからない。 閃いた。ここはアンティーク趣味を持つ金持ちが道楽で作った家だな。別荘と言った方が差し支えないかもしれない。 なるほどなるほど。だから電気は通ってなかったり、およそ数世紀前の建築物を装ったりするわけだ。うん。 そうと分かれば話は早い。ここの主人に話をつけて、どうして俺がこんなところに連れてこられたのか聞くことにしよう。 というか、それしか残されてないんだけどな。 よし、とりあえず着替えよう。下着のままじゃさすがにまずかろう。おそらくクローゼットの中に、何かしら服があるはずだ―― ――一人ブツブツと誰かに聞かせるかのごとく、というより自分に言い聞かせるかのごとくそう思い込むことにした俺は、着替えよ うとクローゼットの前まで来て、引き戸を開けて更に絶句することになるのは、これからおよそ数秒後のことになる。 そしてそれは、この事件はハルヒがしでかしたことだと確信した一瞬でもあった。 「おはようございます、お客様、昨日は良くお休みでしたね。ではいってらっしゃいませ!」 RPGの宿屋で言われそうなメッセージをそっくりそのまま喋ったのは、まさしくソレモンだった。 「あ、あの……」 「ああ、次の村までは、ここから半日もあれば辿り着けると思いますよ」 「いえ、そうじゃなくて……」 「この辺はモンスターもさして強くないですし、旅慣れた人であればお客様のような方じゃなくてもそうそう被害に遭うことはありま せんから」 「だから……」 「それでは、良い旅を!」 「…………」 その人は俺の言葉なぞ歯牙にもかけず、一方的に話したいことだけ話し、フロントから消えていった。 ……まあ、宿屋のおやじなんてあんなもんだろうな。 そう。俺と話をしていたのは、宿屋のおやじ。 そしてこのペンションのオーナーでもあった。俺はこの宿に宿泊者として一室を借りて一泊していたことになっており、そして今ま さにチェックアウトして出て行くところで上記の会話となったわけだ。 ……マジで意味がわからんぞ、おい。 ゲームで出てきそうな宿屋に泊まっていたり、目的もないのにツギノムラなるヘンピな場所に足を向けたり。なんでそんな事をしな きゃいけない? そして、最大の疑問。 ……どうして俺は、鎧と剣と盾を身に付けているのだろうかね? ……クローゼットの中をあけると、そこには皮をなめして作られた鎧と盾。そして一振りの剣が置いてった。 「何の冗談だ!?」 冗談と決め付けた俺はそのまま引き戸を閉め、何もみなかった事にする。こんなものが置いてあるだけでカタギの部屋じゃない。さ っさと逃げ出したほうがいいな。 「問題ははこのドアの先だが……いきなり出るのはまずいな」下着姿だし。 俺は出入り口のドアを、音を立てずに数センチ動かし、そこから外の様子を探る。 廊下の先、吹き抜けから見えるは下の階。恐らく食堂だろう。数人がそこで思い思いに食事をしているのが見えた。 しかし……彼らの姿を見て絶句したね。俺の部屋においてあったような鎧姿や、もっとごつい鎧姿がわんさかいたのだからな。 貫頭衣を被っただけの普通っぽい人もいるにはいたが、しかし手にした剣や弓がカタギの人間ではない事を物語っていた。 実はコスプレパーティですというオチであれば非常にありがたいのだが、部屋に置いてあった剣が本物だと気付いて、俺の希望は儚 く散っていった。 だが、伊達や酔狂でこんな格好をしているわけじゃなさそうだ。何かしら意味があるのだろう。郷に入りては郷に従えではないが、 鎧姿の方が下着姿よりも怪しまれない事だけ分かった。 そう考えた俺は、しぶしぶと鎧と来込み剣を手にし……意外と重いんだな、これ。しかも微妙に動き辛いし…… とまあ、そんなわけで着慣れぬ鎧を見につけ、腰に剣を差して外に向かって歩き出したわけだが……今後の方針として俺がやる事は 『次の村』とやらへ向かう事だ。 なぜか、と言われればそのように誘導されているからだ。宿を出て、行き交う人が突然『次の村』の話を俺にふってくるんだからな やれ『次の村では今ごろバザーが開催されてますよ』とか、『よく当たる占い師がいるそうですよ』ってな具合に。 ……こっちはそんなこと聞いちゃいないんだが…… これだけしつこく『次の村』の情報を出してくるということは、つまりそこに行けというわけだろう。ゲームでも次の目的地の話は 出てきても、前いた町の話が盛んに出てくる事はないからな。 しかし……次の村まで半日と宿屋のおやじは言ったが、多分歩いて半日と言う事だろう。半日も歩くのか? だるくてしかたないぞ こういう時古泉がいたらタクシーを手配してくれるから楽なんだが。 歩くしかないよな、やっぱ。はあ…… 出かける際はやや意気消沈としていたが、それでも歩き出すと意外と楽しいものである。 次の村に続く、森の中を突っ切る森林道。草木が茫々で歩き辛いかと思っていたが、そこそこ需要のある道路なのか、一通りの手入 れはしてあるようだ。田舎にあるあぜ道と比べてどっこいどっこいの道だ。こう言う道は嫌いじゃない。 それに天気のよさと森を吹き抜ける風が心地良い。鳥の鳴き声や川のせせらぎのアンサンブルもすこぶる好調。 小学校の頃、遠足で近所の山にハイキングに来たときのことを思い出した。あの時もこんな道を一人で探検したんだったっけな。 木々の間にある先の見えない道にドキドキワクワクし、そして木々の間を抜けた後に広がる光景……俺の住む町を一望した時には、子 供心ながら感動したもんだ。 ……こう言う一人旅も、悪くないな。 そう思いながら歩みを続けると、道の奥に木々の切れ目があるのに気付いた。もうすぐ森を突き抜けるのだろう。切れ間からこぼれ る太陽の光が俺の期待値を増幅させる。 さて、今回はどんな光景が待っているのかね。未開拓の大地か、はたまた断崖絶壁と海岸線のコラボか。もしかしたらモンスターで 溢れかえっていたりして。 予想とも妄想ともつかぬ思いが一人歩きし、いつしか駆け足となって木々の切れ間目掛けて走りだす。 みるみる間に切れ目は大きくなり、薄暗い森が少しずつ明るくなっていくのを感じた。 あと10m、あと5m、あと1m…… そして、遂にその光景を目の当たりにした。 そこは、森の中庭……とでも言うべきか。 およそ100m四方に渡って木々の無い草原が広がっていた。草原の中央部分は丘のように少し小高くなっている。 その丘には倒された木々が、まるで椅子とテーブルのように並んでいる。旅人のために作られた休憩所か展望台か……恐らくそんな ところだろう。 草原を取り囲むのは、俺が抜けきったと思っていた木々。ここが一部だけ生えてないだけで、森は俺の想像以上に大きいようだ。 更に注目すべきは、切り倒されたテーブルに居座っている……モンスター。 ……マジ? 『…………』 モンスターと俺、双方が一様に沈黙した。 モンスターはサルのような出で立ちで、一丁前に服なんか着てやがる。もっとも、ボロボロの布切れだが。 耳と目が異様に長く、獰猛な牙は血の色に染めあがっている。血の色といっても、本来の色ではないだろう。その証拠に、こいつが 座っている椅子の先にあるスクラップな小動物の姿が目に入る。どうやらお食事中だったみたいだ。 (あまり刺激しないでやり過ごしたほうが良いな) そう感じ取った俺は、そいつとの距離をとりながら、ゆっくり歩みを進め……しかしそのモンスターは俺に対してあからさまに警戒 の色を強めている。『ギギギ』などと唸り声を上げて威嚇してるから丸分かりだ。飯の途中に乱入したのがまずかったのかもしれない おいこら。そんなもの横取りする気はないからそんなに怒るなって。 「ギギィー!」 説得は徒労に終わった。というかヤツはこちらに向かって一目散に飛び掛る! 「ぐっ!」 とっさに盾を翳し、何とか受け止める。 いつの間に用意したのか、手には短めの木の棒。ヤツはそれを振り上げ、攻撃してきやがった。 特に怪我は無かったものの、以外に強い衝撃に一瞬息が詰まった。こいつ……結構馬鹿力だな。 渾身の一撃を受け止められたソイツは、そそくさと間合いを取り、再び俺を睨み付けた。 負け時と俺も睨めつけ、「こりゃ……戦うしかないな」 腰に身に付けた剣を取り出し、剣先を獲物に目掛けて中段の構えを取る。 これで向こうがビビッて逃げてくれればいいのだが、現実はそれほど甘くない。ヤツは俺の剣を見てより警戒心を高め、先ほどより も大きく嘶いた。 しかし、嘶いたのみ。剣の効果があったのか、おいそれと飛び掛ってこようとはしない。 暫くにらみ合いが続き、じりじりと間合いを取り、お互いの距離を確保するに留まる。 近づいては離れ、離れては近づきを繰り返し…… ……気がつけば、俺は次の村の方向に陣取っており、当初の位置と真逆に立っていた。俺の後方には森。次の村に繋がる、森の道が ある。 よし、これはチャンスだ。隙を見て逃げ出そう。 弱虫と言う事無かれ。勝てるかどうかわからない相手にけんかを売るよりは、怪我も無く安全に事を済ませるほうを選ぶさ。戦略的 撤退ってヤツだ。 気付かれぬよう、徐々に間合いを空ける。俺の動きに、ヤツは気付いた風も無く、俺との間合いを取り……そして笑った!? 「…………?」 一瞬、意図が理解できなかった。 「グギャァアァァアアァ!」 ヤツの咆哮は更に大きく、森にまで響き渡り―― 『ギギギャァ!!』 ――そして俺の背後。次の村への道を遮るかのように、モンスターが群れを成して現れた。 く……しまった。あいつら意外と知識があるのか…… 臍を噛みながら悔恨の念を紡ぎだす。 背後から現れたモンスターは、俺を取り囲むように移動する。前方に三体。後方にも三体。合わせて六体のそれが、それぞれの獲物 を掲げて俺を睨みつけていた。 くそ……こんなことなら一目散に逃げたほうがまだマシだったな…… 嘆いていても仕方ない。今は今の最良の策を練るしかない。というか、俺の腹積もりは既に決まっていた。 「逃げるが勝ちだ!」 剣を収め、一目散に駆け抜けた。 一体でも敵うかどうかわからんのに、六体もいたら絶対戦えない。ならば今度こそ逃げたほうがいい。 前後を挟まれた俺だが、横隣は比較的隙がある。ここを走り抜ければあるいはなんとかなるはずだ。 『ギッ! ギギィ!?』 不意をつかれたのか、或いは多勢で油断したのか。モンスターたちは反撃せず、あっさりと包囲網を突破できた。慌てて追いかけて くるものの、足の速さはそれほどでもない。あれは俺の妹よりも遅いかも知れん。 俺とモンスターの距離は見る見る離れていくのが分かる。なんだ、足が速いわけじゃないのか。意外に力があったから足も速いもの だと思い込んでいたが……なんか勝機が見えてきた。 「やーいやーい。遅いでやんのー」 後ろ向きに走りながら、軽く挑発。挑発された事がわかったのか、モンスター達は奇声を上げながら迫ってくる……が、やっぱりそ れほど早くない。 余裕ぶっこいてそのまま後ろ向きで走り出す。 「ここまでおいでー」 今度は両手を広げ舌を出し、完全に挑発スタイルをとる。ムキになって迫いかけてくるが、やはり追いつく事は無かった。それどこ ろか遂にその場で立ち止まり、肩で息をし始めた。体力もないぞ、こいつら。 よし、今なら振り切れる! 俺は前を向いて、大きく足を踏み出し――そして気付いた。 目の前に、大きな窪みが広がっている事を。 「うおおおっ!!!」 踏み出した足は止まる事が出来ず、こうして俺は窪みの中にダイブするはめになった…… 「痛ててて……」 起き上がるのに、それほど多くの時間を要しなかった。気を失っていたかもしれないが、それも長い時間ではなさそうだ。 窪みは深さ一メートル、幅は二メートルくらいで、中には砂が詰まっている。深めのバンカーみたいな感じだ。 少し離れたところからは確認できなかったから、気付くのが遅れたみたいだ。まさかこんな地形になっているとは……少し調子に乗 りすぎたな。 幸いな事に、奴らはまだここまで来ていない。体力が回復していないのか、それとも一瞬にて消えてしまった俺に不可解なものを感 じて追ってこないのか。 ともかく見つかる前に逃げ出さなきゃ……くそ、砂が重い。足を取られて思うように勧めない。 ――ギッ!? ギギッ! ――ギィーギィー! ――ギャッ!! 遠巻きながら、モンスターたちの声が聞えてくる。……ちっ、追いかけてきやがったか。このままじゃいずれ見つかってしまう。 加えて足場が最悪だ。俊敏性を生かして逃げ切る事も敵わない。 なら、どうする……? 『ギギ、ギギッ!!』 ――窪みの麓までやってきたのだろう。モンスターたちは声を揃え、そして一段とやかましくなった。なにやら討論しているような 感じだ。多分、俺がいなくなった事に気付いて、どうしようか考えているのだろう。 できればこのまま諦めてもらって、おうちに帰っていただきたいのだが…… 「ギギギ!?」 「ギィ-ギィー……ギギッ!」 「ギギギギギ……」 「ギギギッ?」 「ギギギッ……ギギギッ?」 『ギッ!』 …………。 辺りは一段と静けさを取り戻す。 今ここにモンスターがいる気配は無い。俺のことを見捨てて帰還したのか、それとも罠を張り巡らすために敢えて黙っているのか… …ともかく、まだまだ油断はできない。 俺は一段を息を潜め、そこ――崖が削られてできた、人一人がなんとか入れそうな横穴――でじっと待つことにした。 窪みの直下、崖となっている部分にちょうどこんな横穴があった。この横穴、上から見ても死角となって見えないから、俺がいなく なった思わせるのには最適だ。当然逆も然りで、俺も向こうの様子を知ることは出来ないが。それにヤツラが下まで降りてきて、この 横穴を見たら一発でアウトだ。 しかし――である。果たしてそこまでするだろうか? わざわざ足場の悪い場所に降り立ってまで、俺を探すメリットなどあいつら にあるのだろうか? 俺は無いと踏み、横穴に逃げ込んだ。先ほどから俺の行動が裏目裏目と出ているから、ここいらでなんとかうまくいって欲しいもの だ。 息を潜めてじっとしていること、およそ十分。鳴き声はおろか、物音すらない。 (どうやら行ってしまったみたいだな……) 俺とモンスターの根競べは、俺の勝利で幕を閉じたようだ。横穴から出てきた俺は体を伸ばした。ふう、やれやれ。 俺はそのまま重たい砂を掻き分けて崖の上へ駆け上ろうとした、その時。 「キキキキ!」 崖の上にいたそいつは、嘲け笑うかのように声を上げた。 ……ちっ、まだいやがったのか。しつこいヤツだな! 腰に手を当て、剣を振り回した。しかし剣の一撃は虚しく空を切ったのみ。ヤツはジャンプで俺の一撃をかわしたのだ。 くっ……足は遅いが、ジャンプは得意、ってことか。そういえば最初の一撃もジャンプでの奇襲だったな。 正直部が悪い。こんな足場の悪いところじゃ逃げ切れないし、向こうがジャンプを駆使して攻めてきたらたまったもんじゃない。 一見したところ他の仲間はいないが、あまりぐずぐずしているとまた仲間を呼ばれてしまう。 くそ……どうすりゃいい? 「ギギャ!!」 そう思ったのも束の間、ソイツは大きくジャンプしてこちらに攻めてきた! ――やばいっ! 余りにも咄嗟のことだったため、盾を構えるのも忘れ、思わず体を抱え込み…… ――トサッ。 軽い音を立てて、ソイツは砂の上に不時着した。 「…………?」 恐る恐るそちらに目をやると、砂の上でモンスターが苦しそうに喘ぎ、そして間も無く息を引き取った。よく見ると腹に矢が突き刺 さっている。これが致命傷となったのだろう。 「ゴブリン程度に苦戦するようじゃ、あなたもまだまだね」 そして聞えたのは、場違いに明るい女の……いや、少女のせせら笑う声。 声のする方を思わず降り返り―― 崖の上……モンスターがいた崖と対岸にあたる崖の上に、少女は立っていた。 ノースリーブのゴシック風ドレスと赤い胸リボン。そしてスカートからすらりと伸びる足がやけに眩しく感じた。 左手には鈍い光を放つ、不思議な弓。 そして……栗色の髪を左右で括ったツインテールと、整った顔立ち。 姿こそ違えど、間違いない。俺の見知った奴だ。 「橘……お前なのか?」 「ええ。お久しぶりですね」 くすくすと笑うその笑みには、たっぷりと可愛げの成分が振りかけられていた。 「よかった。ようやく見つけることが出来た。欣喜雀躍……いいえ、狂喜乱舞の思いだわ」 スチャと弓を背中にかけた橘は、腕を組みなおして喋り始めた。 「こっちの世界にあなたが来てなかったら、どうしようかと思案を巡らせていたところなの。うん、本当に良かったわ。どうせ次の村 に行く途中なんでしょ。実はあたしもそこへ行く途中なの。善は急げっていいますからね。早く行きましょう」 「待て、色々聞きたい事がある」砂まみれになった体をパンパンと叩き、「先ずはその、『こっちの世界』とらの説明をしてもらおう か」 橘は首を傾げ、あごに手をやってうーんと頷きながら 「そうですね……簡単に言うと、ファンタジーの世界なのです」 ファンタジーの世界? 「ええ。ここはあたし達の住む世界とは異なる世界なの。科学文明とは裏腹に魔法文明が発達し、幻想的な生物が跳梁跋扈する。コン ピューターゲームでありそうな、剣と魔法の世界。そんなところなの、ここは」 剣と魔法の世界……か、なるほどね。確かにそれなら宿屋で会った人たちがあんな格好をしていたのも頷けるし、見たことの無い生 物――ゴブリンだっけ?――が襲ってきたのも分かる。 今ひとつ確証はなかったが、俺も橘の見解と全く同一だ。疑う余地は無い。だが。 「じゃあ何故、俺達はこの世界にやってきたんだ? 「それはね。この世界に囚われた姫を助けるためよ」 姫? ……なんか本当にRPGゲームっぽくなってきたな。面白そうと言えば面白そうだが。 「だか何故その姫とやらを、俺達が助けなければいけないんだ? 別段その姫が誘拐されたところで俺達が困る事はなかろう」 俺の疑問ももっともだと思う。正直関係の無い世界のことで体を張ってまで姫様を助けようなんてこれっぽっちも思わない。 しかし橘京子は待ってましたかの言わんばかりの自慢気な口調で 「それが大困りなのよ。誘拐された姫が、佐々木さんなんですから」 「……なっ……」サラッと言いやがった。「どうして佐々木がこの世界で囚われている!?」 「理由は……わかりません。でも」 橘京子は、ややシュンとした表情となり、 「分かってしまうんだから仕方ありません。この世界に突如現れた、邪悪な大魔王。その大魔王が、この世界のシンボルたるササキ姫 を誘拐し、自分の根城に幽閉してしまったのです。大魔王を倒し、ササキ姫を救出しなければ、あたし達の世界も危ういのです!」 そして対照的にグッと拳に力を込め、 「だから! 協力してください! あなたは選ばれし勇者! あなたはこの世界と元の世界、そしてササキ姫を救出できる唯一の人間 なのです!」 ……おいおい。本気か? リアルな世界で『エラバレシユウシャ』が存在するなんて思っても見なかったぜ。しかもそのユウシャと やらが俺だってよ。片腹痛しにも程がある。それに誘拐少女の片棒を担ぐなんて、俺のポリシーにも違反する。 「お願いですからぁ! お礼もしますからぁ!」 今度は半泣きの顔で哀願。……うん、ちょっとした冗談だったんだが、ここまで泣かれるとさすがに気が引けるな…… 「……わかったよ。仕方ない。どの道この世界とおさらばするにはそれしかなさそうだし、お前の用件、飲んでやる」 「本当ですか! ありがとうございます!」 最後は喜び溢れんばかりの笑顔。忙しい性格だな、こいつは。 「……ああ、それから」 「なんですか?」 「いや……まあ……なんというか……お礼はいいや」 「……え? 何故?」 いぶかしげな顔をする橘から目線を逸らし「なかなかいいものを見させてもらったからな。少しは目の保養になった。いや、眼福眼 福」 「…………?」 まだ気付いてないらしい。……どうやらストレート言うしかないようだ。 「あのな、橘」 「はい?」 「ここからだとな、お前のスカートの中、丸見えだ」 「……なっ、何見てるのよっ! エッチ! スケベ!! 変態!!!」 橘は、俺の顔と自分のスカートとを交互に見据え、そしてみるみる顔を赤くしていった。 スカートを押さえながら、俺に向かって罵詈雑言を浴びせるツインテール。だがフリフリのスカートは思ったよりも剛性が高いよう で、下着を隠そうにも隠れない。むしろピラピラ舞うスカートとモゾモゾする足がよりフェティシズムを刺激する。 「んん……もうっ! これだからワイヤー入りのスカートは嫌なのよっ!!」 「まあまあ、いいじゃないか。少しくらい華があったほうがいいぜ。特にお前は胸がないんだから、他の場所でそれを補うことは悪い 事じゃないと思うぜ」 ピクッ ……何かが、壊れるような音がした。 「た、橘……?」 「……キライ……?」 「……へ?」 「あからさまな嘘はもっと大ッキライっよおっ!!!」 「うをあー!! ほ、本気で打つなぁー!!!」 ――こうして俺は小一時間に渡り、ゴブリンよりもよっぽどタチの悪い、アーチャー橘の弓矢をかわしつづけるハメとなった。 「橘ぁ! さ、佐々木を早く助けに行こうぜ! なっ!」 「あなたへの制裁が先よっ!! 覚悟なさいっ!!」 「わ、わかったから! 俺が悪かったから大人しくなってくれって!」 「あなたに一矢報いたら大人しくします!!」 「俺は勇者じゃなかったのかぁ!!!」 「勇者である以前にあたしの心を傷つけた大罪人です!!!」 「そんな馬鹿な話あるかぁー!!」 「ここにあるったらあるんです! さあ、大人しく突っ立てなさい!!!」 「無理言うなぁー!!!!!!」 なおもわきゃわきゃ喚く橘京子を尻目に、俺はふとこんな事を考えていた。 ……佐々木。お前を助けに行くのはまだまだ先のことになりそうだ、と。
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真島 京子 (まじま きょうこ、1986年5月19日- )は、大阪ナイトブレイカーズの作戦コーチ。 概要 経歴 詳細情報背番号 pixivリンク 概要 所属 大阪ナイトブレイカーズ 背番号 99 国籍 日本 出身 大阪府大阪市西成区 生年月日 1986年5月19日 身長 180cm 体重 64kg 投打 不明 血液型 不明 PL 裵龍 球歴 九曜学園和泉高等学校→阪海運輸→大阪ナイトブレイカーズ内野守備コーチ(2021)→作戦コーチ(2022~) 経歴 詳細情報 背番号 99(2021-) pixivリンク キャラシート【2021】 キャラシート【2022】
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長谷川京子 出演:功名が辻(ガラシャ) おいしいプロポーズ(白石鈴子) 華麗なる一族(万俵早苗) 孤独の賭け ~愛しき人よ~(乾百子)
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【粟原 京子】 ※名前: 粟原 京子 ※読み: あわはら きょうこ 身長:156センチ 体重:52キロ スリーサイズ:96・68・92 ※髪型: ストレートショート 髪色: 茶髪(地毛) ※一人称:私 ※性格: 面倒を見るのが好き、優しい、お母さん 誕生日:2月14日 血液型:A型 ※所属クラス:高2、6組 ※部活動:情報部 ※通学手段:徒歩(自宅生 好きな食べ物 抹茶パフェ、羊羹、肉じゃが 嫌いな食べ物 牡蠣、うに、いくら 好きな飲み物:抹茶味の飲み物 趣味・特技:料理、ランニング 苦手なもの:初対面からウザ絡みしてくる人 お気に入りのシャンプー: イメージCV: 備考:お姉ちゃんというよりお母さん気質、お腹の中は意外と黒いので扱い注意 台詞例:「ほらー、ちゃんと謝らなきゃ。ね?」 「ダメだよー?みんなに迷惑かけちゃ」 登場作品 メイン登場作品 【作品名と作品へのリンク】 サブ登場作品 【作品名と作品へのリンク】 【作品名と作品へのリンク】 【作品名と作品へのリンク】
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藤波京子 出演作品 実写 クレイドル・ウィル・ロック*(アルドの母【リン・コーエン*】) G.I.ジェーン*(リリアン・デヘイヴン【アン・バンクロフト*】)※ソフト版 ジャングル・ジョージ(ベアトリス・スタンホープ【ホランド・テイラー】) ジョン・カーター*(老女) 天使にラブ・ソングを…(修道院長【マギー・スミス】)※日本テレビ版天使にラブ・ソングを2(修道院長【マギー・スミス】)※日本テレビ版
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イメージ データ 台詞集親愛度 授業 放課後シアター 入手アクセサリー イメージ データ 名前 国分寺 京子(こくぶんじ きょうこ) レアリティ R/R+/SR 所属学校 桜ノ姫女学院 学年 2年 タイプ 芸術 レベル上限 50/55/60 MAX攻撃 5360 MAX防御 5780 コスト 8 連携 D/C/B CV 仲田有沙 入手方法 ガチャ 台詞集 親愛度 Lv 台詞 0 国分寺京子よ。…見られるのは慣れておりませんので、ジロジロと見ないでいただけます。 1 最近、誰かに見られている気がいたします。すごく…怖いです。 2 この頃、左目に封印された魔眼アビス・アイが疼くんです。…冗談です。 3 えぇっと…。最近、先生に見られると、胸が…すごく苦しくなるのです。 4 金曜日の夜は暇よね? よろしければ私のお屋敷にいらっしゃらない? 少し、相談いたしたいことがありますので…。 MAX お部屋で二人っきりって、すこしドキドキしますね。それに…ちょびっとお部屋が暑いですね。 授業 うーん…感情表現は難しいです… 中二病って…危険ですか? 私って、無表情すぎますか? 放課後シアター 「真面目×中2病」 神谷 朱莉 異性を口説く時は『くっ、この左目に封印されし魔眼アビス・アイが疼く…』と、言えば相手は国分寺先輩にメロメロです 国分寺 京子 ほうほう。(明日にでもためしてみようかしら…) 入手アクセサリー 黄昏のリボン 情熱のリボン 奇跡のリボン テスト -- 名無しさん (2013-03-31 04 12 41) 名前 コメント
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上原 京子(Kyoko Uehara) かつて、日本・メキシコマットで活躍したルチャドーラ。 既婚時は式部 京子を名乗っていた。 既婚し一線級を退いた後、女子プロレスアカデミーを提唱。 11人のアカデミー生を統括するアカデミーAliceの校長となった。 その後、Aliceのオーナーとの軋轢からアカデミー生と共に団体を離脱。 S を立ち上げ同社長に就任。 その後、 S Aliceに社名変更後も第15期まで社長を歴任。 第16期からは S Alice会長の肩書きを持つ。 選手としてはAlice時代から S 時代までリングにあがり S Aliceでは社長業に専念となっている。 しかし、実際はその後もマスクーマンサンドとして第9期までリングにあがっていた。 プライベートではムラサキの母でもある。 プロフィール ニックネーム:琉球の刃 出身国:日本 身長:167cm 体重:62kg 生年月日:1968/12/31 必殺技:フランケンシュタイナー 初出場:Alice1st.(Alice) 経歴:W.A. 主なタイトル: 第14代ワールド王座
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橘京子の溜息(前編) 橘京子の溜息(後編) ○<シリーズ一覧なのです!(時系列順) 橘京子の溜息 橘京子の―― 橘京子の憤慨 橘京子の陰謀 橘京子の消失 橘京子の退屈 橘京子の分裂 周防九曜の溜息 橘京子の暴走 橘京子の驚愕 橘京子の動揺 藤原くんの溜息 橘京子の憂鬱