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141 名前:キリノさんご乱心[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 08 44 20 ID zU6paukH キリノ「先生にお弁当作ってきたよ!」 サヤ「キ、キリノあんた…なによそれ?」 キリノ「あんこ入りパスタライス!」 タマ「どうして…」 キリノ「いや~。なんか良くわかんないけど昨日夜に突然浮かんでね。 組み合わせは奇抜だけどこれはいける! …のではないかと。」 ユージ「たしかにこれは逝けそうですね」 キリノ「でしょ!?早速渡してくる!」 サトリ「あぁぁ…」 --------------------- コジロー「う、うまいぞキリノ!」 キリノ「そう!?よかったぁ!!もっとあるから食べてね!」 ずしん。ずしん。 どこから出したのか積み上げられる弁当箱 コジロー「お、おう!どんと来い!」 サヤ「漢だ…」 ダン「先生ぇ、あんた長生きしないぜぇ。」 ミヤ「あたし先生を侮ってたわ」 タマ「…愛ですね」 サトリ「先生…先生のおなかが…」 166 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 12 30 51 ID zU6paukH 141の続き コジロー「お、おれはやったぞ…」(ぐったり) サトリ「わかります!わかりますよ先生!!」 こうして、同じ修羅場をくぐり抜けた者同士で絆な芽生えたり。 そして… ---ぴきーん キリノ「はっ!…何か悪の芽生えを感じた気がするかもっ!」 タマ「悪!?」 サトリの明日はどっちだ。
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概要 コンパクトな空間でかつ、手に汗握る緊張感を演出! 難易度が高いので何度も挑戦できる人向けです。 (知人から別解を指摘されたので、一度改訂しました) 改訂版・ダウンロード 製作者コメント こんばんわ、作者の「友引さつか」です。 これで8作品目になります。今回は空間的にコンパクトに仕上がりました。 難易度は高いですが、自信をもってお薦めできる内容なので、ぜひ挑戦してみて下さい。 なお、過去作品は下記のようになっています。 花京院さま、ご乱心! (難易度 ★★★★★) 4度の有意義な爆発 (難易度 ★★★★☆) 水面を跳ねる (難易度 ★★★☆☆) 華麗なる石造りのワナ (難易度 ★★★★☆) 鏡の中でキスして… (難易度 ★★★★★) 氷の十字迷宮 (難易度 ★★★★★) 岩場での逃走劇 (難易度 ★★★★★) C-MOONは恐くない (難易度 ★★★☆☆) ヒント ↓下記反転↓ ・まずは邪魔な吉良を効率よく排除しよう。 ・花京院が、全ての行動の鍵を握ることになるでしょう。 答え合わせ ↓下記反転↓ 右側から攻略しようとしても、すぐに手詰まりになる。ここは素直に左側から順次切り崩していく方向で考えなければならない。一見して花京院の左下にある射撃ディスクを取ることができれば、道がひらけそうに見えるが……。 『正解』――まず右に落ちているディスクを拾い、すぐに左へ向けてキラークイーンの能力を発動。このタイミングであれば花京院の誤射も加わって、シアーハートアタックが無傷のうちに吉良を倒すことができる。その後、花京院が狂ったように乱射を始めるが、これには直近の敵の方向を射撃するという法則性があり、すぐに慣れることが出来る。花京院の射線に気をつけながら左上の射撃ディスクへと向かう。ディスクを回収した直後だけは、花京院の標的がディアボロに変わるので、シアーハートアタックと入れ替わる形でその場をすぐに脱出する。(この時シアーがダメージを受けすぎていると爆発してしまう) つぎは花京院を利用してトリッシュを倒すことを考える。開始地点から一歩下のタイルまで戻り、花京院が斜めへ射撃した時のタイミングで、トリッシュ横の岩を射撃ディスクで破壊する。すぐに左下へ一歩移動し、トリッシュが花京院に倒されるのを確認する。流れ弾に充分注意しながら、トリッシュが守っていたディスクを回収する。安全な場所で「ザ・ハンド」を攻撃装備し、ポルナレフが右へ移動している時、階段下の壁を殴って破壊する。最短ルートで左下の方へ逃れると、花京院のまわりでウロウロしていたシアーハートアタックが、ちょうどポルナレフと隣接する形になる。そのまま放置すると花京院の射撃などにより爆発が起こり、ポルナレフは巻き添えで倒れる。後続してやってくるジョリーンをその場で悠々と迎え、隣接したらすぐに右下へ一歩進み、ジョリーンの下へ回り込む(このタイミングで回り込まないと、2度と右側へ移動出来ない)。ここでジョリーンは花京院に撃たれて倒れるが、ディアボロにダメージはない。こうして花京院以外はすべていなくなってしまう。あとは茫然とした花京院を横目で見ながら階段を目指せば、見事クリアとなる。 花京院さまの乱心ぶりと哀愁を感じてもらえたでしょうか。とにかく楽しんでもらえたなら幸いです。 お疲れ様でした。 評価 選択肢 投票 ☆☆☆☆☆ (3) ☆☆☆☆ (1) ☆☆☆ (0) ☆☆ (0) ☆ (0) タグ パズル系 離脱系 感想 名前 コメント
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ミッション参加者一覧/長老ご乱心 ◆W98JeQpgkI
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月へと還る獣 乱心 1 その日。 皇都の東北東の山間から、煙が一本冬の風に立ちなびいた。 宣戦布告であった。 後に「ハルガムント攻略戦」とまで呼ばれ、場末の酒場でも歌い継がれることになる一連の騒動の始まりの合図であったが、まだ誰にもそこまでの大事になるとは読めていない。 ただし、 「ちッ」 皇宮で、山積みの報告書に、目を通していたエスタッド皇帝は、報告を聞くや否や、そう舌打ちしたと言う。 「退屈で欠伸が出る」 例え目にしている書類が、国家間の重要書類であったとしても、豪語してはばからないエスタッド皇であったから、ひょっとすると責務を一旦放棄する口実でも出来たと、内心喜んでいたか、 または、 そう強くも大きくも無かったエスタッドを、一代で築き上げてきたものの持つ特有の感――へ、何か訴えるものがあったのかもしれない。 暗雲の予兆でも、感じたか。 あるいは、 思うままに行かない世の中の流れを、内心呪ったのかもしれない。 皇帝、天邪鬼である。 推し量りきれないものがある。 「エスタッド分家であるハルガムント侯爵領に、何ものかの軍が侵入した」と言うのが、第一報。 「攻め入ったのはアルカナ王国の残党であり、侵入されたハルガムント侯爵以下続く者は、すぐさま砦代わりの城に、取りあえずは立て篭もった」と言うのが、第二報。 次々に届く詳細な伝令に、不機嫌さを隠しもしないで皇帝はむっつりと腕を組んだ。 まだ、進軍の命を発する段階ではないと踏んだのだろう。 情報を、吟味している。 側には、いつものように護衛兵のディクスが控えていた。 彼もまた、齎される情報を頭に描きながら、目の前の施政者の内心を慮るのだった。 (珍しく) 皇帝が焦っているようにも見える。 ほんのささいな変化ではあるのだが、長年仕えたディクスは目敏く見抜いていた。 そうして、思う。 侵入のみなら、問題は無い。エスタッドは、軍事国家である。 常備している一軍を差し向け、鎮圧すれば済む話だ。 問題は、その取り囲んでいる城砦の中に、ハルガムント侯爵とその夫人もが、閉じ込められていることである。 事実上の人質、であった。 押し入った賊が要求するのは金品――身代金――と、相場が決まっている。 しかし。 エスタッドは先年、アルカナ王国の領土の半分近くを侵略し、勝ち取っていた。 交戦の直前まで、なんとか外交によって解決を望んだ、皇帝の本意がそこにはあるのだが、下のものにはそれとは判らない。 結果が全てだからだ。 単純に、恨んだ。 正式な要求は、まだ届いたとの報告が無いものの、おそらく、ハルガムント侯爵邸を囲んだアルカナ王国の残党の求めるものは唯一つ、「元アルカナ領土の返還」。それに違いない。 滅んだ国へ対する愛国心か、はたまた各々の我利への執着か。 ひとからげに読めないのが、人の心だ。 心は、厄介だ。 何せ、己の心であっても、上手く扱いかねてじたばたともがくことが多々ある。己の本意だと信じて為していたことが、ある日ふと気付くと、まったく真逆だったりする。 それが他人の心であれば、尚更のこと。 読めると豪語するほうが、驕りなのかもしれない。 だが、施政とはそう言ったものである。 相手の国の腹を探り、その気がどちらに傾くかを推し量り、幾本もの糸を張り巡らす。 正味、読み合いである。 より読み優れたほうが、生き残る。シビアな世界であるのだ。 張り巡らす様は、蜘蛛にも似ている。 「……要求は……、聞き入れる訳にはいきますまい」 黙ったままの皇帝の背へ、ディクスが声をかける。 「判っている」 ぞっとするほど低い声で、皇帝が応じた。 「……侵入者の要求は、ハナから聞き入れる気は無いよ」 そして、 「遠縁とは言え、あの家も皇家の血を引く家柄だ。仮令アルカナ残党の手にかかろうとも、それ位の覚悟が無くては、侯爵家は務まらない。鎮圧軍は、派遣するがね。被害も最小に収まるように……鋭意努力しよう」 見棄てるか。 涼しい顔で、怖いことを言う。 先の騒動の際、かなりの関与をしていたにも拘らず、ぬらりと逃げた侯爵夫人への思いが、まだ消化しきれていない。 言外にそんなことを仄めかしている。 見た目に反して、物騒な男であるのだ。 この目の前の男が、これと決めて両の手の平にすくい上げた、僅かな数の人間以外に相当冷徹でいられるのを、ディクスは知っている。 不必要であると判断したならば、迷わず切り捨てる。 他人面を、貫いた。 そうでなければ生きてはこられなかったからだ。 「どの軍を、派遣されますか」 救出に乗り気で無い皇帝に向かって、ディクスは尋ねた。 「ふむ」 そこへ。 蜘蛛がまた一匹――、 かつかつと聞きなれない足音を立て、回廊を近づく人の気配にディクスは気付いた。 おやめください、どうかお止まりください。 そんな侍従の制止の声も聞こえる。 ――ええぃ、放せッ。 ――なりませんッ!お会いなさるなら、謁見申し込みのお手続きを……! ――そんな悠長なことをしている場合ではないのだ! ――しかし!只今皇帝陛下は、お取り込み中ですぞ! ――取り込み中か。取り込み具合で言うなら、こちらもかなりな取り込みっぷりだ! 腕組んでいた皇帝とディスクは、扉に目をやる。 新しい伝令かと思えば、随分と騒がしい。 「……何事かね」 「――エスタッド皇ッ」 皇帝が訝しむ声を上げたのと、声を荒げて男が入室したのは、同時だった。 急いだのか、息が上がっている。 「直ぐにでも一軍を指揮していただきたいッ」 「……何事かね」 もう一度皇帝が呟いたのは、その男の不意の入室を咎めた訳ではなく、男の行動が意外なものであったからだ。 二国間協議で見せた、飄然たる仮面をかなぐり捨てた男―― トルエの若き策士だった。 2 (迂闊だったな) そんなことを思っている。 キルシュは重い溜息を吐き、尖塔の小窓から遠くの湿原を眺めていた。 湿原。 四方を山に囲まれたトルエ国と違って、エスタッド国は中央に広大な湿原を構え、北に山脈、南に太洋を備える風土豊かな国だった。 冬でも。どんなに凍えた次の日の朝でも。湿原の流れは、凍ることは無い。 滔々と流れる水脈が、そのまま国の繁栄振りを現しているようで、少しだけ、羨ましくなったキルシュである。 トルエの冬は、滝すら凍る。 それはそれで、幻想的な風景では確かにあるのだが、そう言えるのは訪れる旅人か、夢見る若者だけだ。 日々を暮らすものにとっては、長すぎる冬だった。 冬の寒さが厳しいことも、貧しさの根っこのひとつである。 冬の間、穀物が育たない。 また、周囲と比べて春が遅い。 春が遅いと言うことは耕作時期も遅いと言うことだ。 周囲よりふた月も遅く、種を蒔き、まるで撫でるように吹いた若芽を育て、駆け足で過ぎゆく、短い夏の間に育成し、早すぎる秋と共に収穫を迎える。 そして――また冬が来る。 一年の半分を雪に覆われるトルエにとって、萌黄の緑は希望の色であり、喜びの色でもあった。 つつましくも華やかな春の式典が多いのも、その辺りに起因するのだろう。 二毛作など夢のまた夢、である。 そんなトルエに比べて、目の前の湿原は、それだけであまりに広い。 エスタッドへ流れる水が、冬でも作物を育てる。 凍結する半年を見慣れたキルシュにとって、目新しくもあり、羨ましくもある。 その、湿原。 今は物騒な黒色が蠢いている。 甲冑姿の兵士であった。 背後を山に守られた、ハルガムントの城砦の三方を取り囲む形で、幾重にも輪がある。 アルカナ王国の残党兵である。 ただし、残党と一口で片付けるには、かなりの数が蠢いていた。 王国の中枢部であったアルカナ王家以下続臣は、軍幹部の裏切りにより処刑されていたが、その、当の裏切った軍部が未だに健在なのである。 領地こそ半分以下に減ったものの、掻き集めれば戦力は意外と多いのだ。 ただし、大将軍を筆頭に配下の武将とのいざこざも絶えず、何かと収拾がつかないのも事実ではある。 それをどうにかまとめ上げての、今回の出兵であった。 「打倒エスタッド皇国」 とまでは行かないものの、 「あわよくば甘い汁を」 そんな思いは参戦したそれぞれの胸にはあったはずである。 祖国の奪還だとか、アルカナの再建だとか、そんな高邁な考えは誰の胸にも無い。 そもそも、そんな崇高な思いが誰かの胸にあったなら、アルカナ王家は未だに健在であったろう。 そんな彼らが、今宵の野営と定めた場所で炊飯の煙を上げ始める。 建物や木立が燃える黒煙ではなく、真っ白な煙が立ち上る。 煙を見て腹が鳴った。 こんな状況にお構いなく、身体は正直に空腹を訴えている。鳴らしておいて、自分で笑えたキルシュだ。 もう丸二日、何も口にしていない。 食物はともかく、水すら与えられていない。いい加減、喉が引き攣るように痛かった。 とは言え、立て篭もったハルガムント邸に、一片のパン切れも無いという訳では勿論無く、おそらくこの城砦の主は、きちんと日に五度の食事を口にしているに違いない。 キルシュにだけ、与えられていないのだ。 逃げないように。 何故ならば、彼女は現在軟禁状態にあったからである。 「アルカナ王国兵、侵入」 の一報が、宴たけなわであったハルムガント邸に齎された瞬間から、おかしいとは思った。 アルカナとエスタッドの際を分けているのは、大河ゼフィール。「狂い龍」との異名が付くほどに、どんなに治水を極めても年に何度も河は暴れた。 此岸から彼岸まで、数百尋はあるとされる河は、仮令水量がぐんと少なくなるこの季節であっても、渡河は困難である。 まず、橋が無い。 水練では凍え死ぬ。 渡し舟は確かに数隻あり、それを繰る渡し守も常駐してはいるのだが、手形を持つ旅人が日に数十人利用すればよい方で、多人数の一斉渡河は不可能だ。 一個隊の乗るような船が無い。 馬連れの行商人が特別に乗るような船でも、馬数頭が限界であったし、そもそもそんな舟は一隻しか用意されていない。 懸命に往復させたところで、大した人数を運ばぬうちから日が沈むだろう。 用意させたと見るのが常識的な見方だ。 でも、誰が。 そもそも、そんなことを考える以前に、見張りの兵士が気付かないことそれ自体が、おかしいのである。 見張り櫓(やぐら)は、度胸試しに昇るものでも、酔いを醒ますために昇るものでもない。 遠方を見渡し、気を張り詰め、異変が起きたら即座に都に知らせる、そういった役割こそが櫓の持つ意味である。 新兵はまず、上がれない。 瞬時に、冷静に、熟練した判断こそが求められるからだ。 また、必ず数人一組で上がる。 仮に、櫓をまず襲撃され幾人かがやられても、最後の一人が生き残って、情報を伝えられるように、との思案がそこにはある。 その見張りが、黙っている。 相当おかしい。 「一体どう言うことですか」 疑問を投げようかとキルシュが口を開きかけた直後に、飽くまで表面上はにこやかな侯爵夫人が、侯爵と目配せをした。 「貴賓に、何かあっては一大事です」 夫人は呼んだ執事に、そう言う。 「まず、一番に安全な部屋へ公女陛下をご案内しなさい。軍備を整えるのはその後でよろしい」 そうしてキルシュは、不審をいっぱいに募らせたまま、追い立てられるように塔への階段を登らされたのだ。 無言のまま、扉に外から二重の鍵を掛けた執事が立ち去り、そのあとは誰もやってこない。 抵抗しようにも、その機を逃して抵抗し損ねたキルシュは、そこではた、と気が付いた。 これは守備ではない。幽閉である。 グラーゼンとも引き離されてしまった。 部屋にひとり残されて、そこでようやく、キルシュはうろたえた。 ラグリア教団と、深い関わりのあるハルガムント家のことであるから、そうそうあの老人に手荒な真似はしないとは思うが、ハルガムント侯爵と、その夫人が腹に何かを潜ませていることは、おそらく間違いが無い。楽観は出来なかった。 と、言うよりも、己の現在のこの状況が、どう考えても確実に負担になっている。 トルエにも。エスタッドにも。 あの皇帝は、自分を見殺す確率が高い。突き放す冷たい視線をしていた。 会談の時、うまく足元を掬った瞬間は、してやったりと内心にんまりとしたキルシュだったが、その後に続く凍る視線に、覚悟を決めた。 利用するなら来い。こちらも、利用できるだけしてやろう。 そう思ったのだ。 だが。 (エン) 常に彼女に付き従ってきた、トルエの策士はどう出る……? キルシュにも、それは判らない。 万策使って、何とかキルシュを救い出そうとするのではないか。 あるいは、己の今までの労苦を全て投げ出して、捨て鉢になるのではないか。 キルシュは知っている。 素っ気ない外見を装いながら、その実、男が内面に熱いものを抱える人間だと言うことを。 切り棄ててしまえば楽なものを、どうしてもその一歩が踏み出せない、甘い部分を持つ男であることを。 3 不意に、ざわざわと足音がして、キルシュは窓の外から内へと視線を戻した。 数名の足音が、螺旋階段を登ってくる。 (――誰か) じっと扉に目をやっていると、厚い一枚板の前で止まる気配。次いで、がちりがちりと錠前の開く音がした。 やってきたのは、ハルガムント侯爵夫人であった。 あいも変わらず艶やかな装いで、篭城を微塵も感じさせぬ出で立ちである。 「ごきげんよう、公女」 顔に構えた羽扇の陰から、真っ赤な唇が引き上げられるのが見えた。 笑っているのだ。 尊大な笑いである。 本音の部分は別にしても、建前上は敬いを忘れていなかった、二日前とは大違いである。 「ほどよく痩せてきたかしら」 「……宴は一次かと思ったに、さらに豪華な二次の宴まで用意していたとは、その幾重にも重なる心遣いに、このキルシュ、感動を覚えた」 にぃと笑ってキルシュも返した。 愛想の仮面は、こちらも脱ぎ捨てている。 「お次は三次会か」 「ふん」 軽く舌打ちをして、夫人は室内へ足を踏み入れる。 「小賢しい娘だね。自分の立場と言うものが、まだ判っていないようだ」 「立場」 眉をそびやかして、キルシュも返した。 「ハルガムントとアルカナが裏で手を組み、エスタッドへ攻め入る。表向きはラグリア教団とも深い関係にある当家に、エスタッドはぞんざいな扱いが出来ない。放っておけば、ラグリアが騒ぎ出すだろうからな。悟らせずに救援を出しておき、密かにアルカナとも通じて……、おそらくの狙いは、要求した領土の山分けなのだろうが、そこへひとまずの脅しとして、トルエの公女を押さえにしておく。……そう言う『立場』と言う理解でよろしかったか」 「この小娘……ッ」 毛ほどの動揺も見せず、むしろ冷酷な笑みを浮かべてキルシュが言うと、さっと顔色を変えた夫人が羽扇を振り上げる。 「だから、頭の回るガキは嫌いだよ。生かしておいてもそうそう良いことは無い。どころか牙をむいて、実の夫を殺して逃げるとはなんと……なんと罪深い女だろう」 「殺すとはまた人聞きの悪い。わたしは何も手を下してはおらぬ」 「ふん。利いたような口を。あたしは知っているんだよ。アンタの手下のあの目暗男が、こそこそと何か嗅ぎ回っていたことをね!人の良い弟はまんまとその罠に落ちてしまった。疑うことを知らない弟は、騙されて皇帝に反乱を起こしたんだ。……あたしの可愛いルドルフ坊や!あの子は、ウチの一族の中でも一番に純真で可憐な男だったんだ」 五十路も半ばを越えた男の名を、いとおしげに夫人が呼ぶと、曖昧な笑顔でキルシュはそれ以上の皮肉を言わなかった。 言いたいことはたくさんある。胸が裂けそうなほど。 しかし、キルシュは判っている。人が多くいれば、いるほど。いる数だけ、それぞれの言い分や正義と言うものがあるのだ。 百人いれば、百通り。 千人いれば、千通り。 キルシュにはキルシュなりの言い分や正義感がある。それと同じだけ、この夫人にも言い分や正義感はあるだろう。社会意識や常識に当てはめて、どちらが正しいかと詮議するだけ無駄なことだ。 意識も常識も、その時代その場所に住む人間が作るものだからである。 仮令キルシュの目に、故ルドルフ公の行為が反人道的なものとして映っていても、夫人に同じ常識が当てはまるとは限らない。 それをキルシュは知っている。 教えてくれた男がいる。 「では……この辛さも苦しさも固く口を閉ざせと言うか」 理屈は判る。判るが、判ることと納得できることは違う。 「無かったことにしたらよいのか」 虚脱感に支配されながら彼女がそう口にしたとき、 「いえ」 男はゆっくりと首を振った。 「陛下は、陛下のままでよいのです」 そして己の胸に手を当てる。 「ですから。私にぶつけなさいませ。狂えそうに悲しいときは、すべて私にぶつけなさいませ。私だけは、何時如何なるときでも陛下のお味方にござります」 「そうか」 その瞬間ツンと痛んだ鼻の奥を、 「……わたしは、わたしのままで良いか……」 膝から崩れ落ちるほどの安堵を、キルシュは忘れない。 であるから。 逃げ込める温床がある限り、キルシュは強くなろうと思った。 虚勢でもいい。虚栄でも構わない。無いよりは、マシでないか? でなければ、男が身を粉にする意味が無い。 そう思ったからだ。 (こなたは、卑怯な男だ) 目の前にハルガムント夫人のいる状況で、キルシュは内心愚痴ってやった。 (そうしてわたしを玉座に据えつけようとするのだろう?) 「……まぁ、いいさ」 キルシュがぼんやりと思いを馳せている間に、喚き散らしていた夫人は、いい加減気が済んだのか、荒く息を吐きながら、 「今日ここにきたのは、アンタの憎まれ口を聞くためじゃあない。アンタの血判と直筆のサインが欲しいんだよ」 そう言った。 「血判とサイン……約定でも交わすか」 「そうさ。トルエはエスタッドを離反し、アルカナとハルガムント連合に全権を委ねる、とのね。背後には教団も控えている。エスタッド皇帝を疎ましく思う連中は、国内外問わずにいると言うことさ」 「気の毒なことだ」 肩をそびやかしてキルシュは応えた。 「皇帝。頑張れど裏目に出る。そしてやはり……、アルカナ残党とハルガムント、水面下でつながっていたか」 「ふん。カンの良いガキだ。だけどね、知ったところでなんだって言うのさ?アンタはここに閉じ込められたままだ。事情を知らないエスタッドとトルエは、迂闊に手出しが出来ない。まぁ、いざとなればアンタを盾に逃げるってこともできる。トルエはちんけな領土だけどね、意外と欲しがっている国は……多いんだよ」 「残念ながら」 薄ら笑いを浮かべてキルシュは頭を振った。 「トルエはエスタッドから求婚されている」 「はッ……あの生意気に取り澄ました、おキレイな顔の男!あの男がトルエ相手に、まさか本気で条約を結ぼうとなどするものか。せいぜいがところ数ヶ月がいいところさ。必ず、トルエはエスタッドに吸収される。その時は、アンタの三度目の結婚も破局だろうさ!あの不能男が!」 歯茎をむき出して、夫人は罵る。 その仕草が急に彼女を老けさせて見えて、キルシュは思わず視線をそらした。 「……吸収されることが、それほどに悪いことだろうか」 静かに呟く。 「トルエ国と言う名が無くなることが、それほど重要なことだろうか」 「何が言いたい?」 「協定を持ち出したときに、今の貴女のように、エスタッド皇も同じようなことを言った。惜しくは無いか、と。長年続いたトルエの名を、己の代で消すことに未練は無いかと」 「……」 「トルエと言う冠を被ろうと被るまいと、その『国』に住む人々には、ほとんど関係の無いことではなかろうか。上に立つものが誰であろうと、男だろうと女だろうと、美しかろうと醜かろうと、そんなことはその『国』で日々を暮らす人間にとっては、どうでも良いことなのだ。わたしは……、長くあちらこちらを見聞きする機会に、図らずとも恵まれた。そして今ではそう思う。彼らに必要なのは、ただ安定した生活の保障と、少しの喧騒と……日常の幸福。例えば子供が生まれたとか。素敵な相手に恋をしたとか。美味いものを食べた、美味いものを飲んだ、賭け事で巧いこと儲けてやった、その程度だ。トルエの領土が広がろうが狭まろうが、彼らには関係が無い。仮令わたしの首が転がろうと繋がっていようと、その実彼らには関係の無い話なのだ。彼らを取り仕切る施政者が、わたしでもエスタッド皇でも、そんなに関係の無い話……なのだ、おそらくは」 そっと伏せられた瞼を上げて、キルシュは真正面から夫人を眺めた。 黒ビードロの瞳。 「わたしがそんなトルエに出来ることは、ただ一つ。そんな彼らの小さな幸せを、なるたけ壊さないようにするくらいだ。トルエがいずれエスタッドに吸収されようと、彼らの幸せはおそらく無くならない。エスタッド皇は民の幸せを判っておられる方だ。わたしはそう感じた。しかし……ハルガムント侯爵夫人、貴女からは騒乱と血の臭いしかしない。滅びかけているアルカナと、ラグリアの後ろ盾を頼むハルガムントに、民の幸せは……守れない」 そして、 「不幸にすると判っているものの手に、わたしはトルエを委ねる気は無い」 きっぱりと言い切った。 聞いた夫人の顔が歪む。 「取引したくない、と言うことかい」 「取引」 眉をひそめてキルシュは夫人を睨みつける。 「首筋に刃を突きつけての取引なぞ、聞いたことが無い。わたしが拒もうものなら、この身をアルカナ軍にでも差し出すつもりなのだろう?大将軍への手土産にでもするか」 「ハルガムント侯爵家はエスタッドとアルカナ、そうしてラグリアの中立を、」 「中立、と」 夫人の言葉を遮って、キルシュは鼻で笑った。 「中立。そう言われたな」 語気が強い。 目には炎が宿っている。 「……」 「今さら貫く中立とは、如何なるものか」 「……」 「こなたの生まれはアルカナと聞き及んでいる。そのこなたが、中立に立つと言うことは、事実上アルカナ派に回るも、同じことなのではないか」 「……」 「この乱世。ただ数年、泳ぎ渡るのも並大抵の苦労ではない。こなたの立場の言い分も、わたしの立場の言い分も、相容れぬ部分はあるのだろう。……だが」 そうして不意にキルシュは立ち上がった。 立ち上がり、侯爵夫人に対面する。 凛と立つのは公女だ。 勢いに呑まれ、ハルガムント侯爵夫人は数歩、にじり下がる。 「アルカナよりいくら貰ったのか知らぬが、それなら向こうへ付いて戦え!」 「……」 「中立だ、平和主義だと誤魔化さず、正々堂々真正面から戦え!」 トルエ公国21代目領主は、そう言った。 乱心 / 後編へススム 公女と参謀にモドル
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▼ Maat on the Rampage この頃、知らないうちに怪我が増えている と嘆いているマート。彼のもとに修行に きた女性と言い争いになったというが、 関係はあるのだろうか……? その女性が忘れていったバスケットを 返してほしいと頼まれたため、ジュノ 下層のジャンク屋マックビクスに行き、 マックビクス(Muckvix)に彼女の身元 を尋ねてみよう。 ル・ルデの庭 Maat うぐぐ……。 何もしとらんのに体中が痛いわい。 Maat 知らんうちに 青あざやら生傷やら増えとる。 こりゃあいったいどうしたことか。 Maat ……妙な病気か 謎の呪いか。はたまたどこかの エージェントに狙われておるのか? Maat 「いやならやめても いいんじゃぞ」と言ったがために、 新米冒険者から恨みをかってしもうたか……? Maat ホッホ、お前さん。 ワシのことが心配のようじゃな? 選択肢:マートのことが心配? はい Maat ようくわかっとるな。 そうじゃて、そうじゃて。 いいえ Maat わかっとるぞ、 素直じゃないのう? テレておるんじゃろ? Maat そんなお前さんに ひとつ、頼みごとをしてみようかのう。 Maat 実は、この前、 ちゃらちゃらした女性が ゴブリンと共にやってきおってな。 Maat ゴブリンたちと 新しいショーをやるから もっと強く鍛え上げてほしいというのじゃ。 Maat おいしい差し入れも もらったし、本人の熱意も十分。 スジも良さそうだったんじゃが、あの服装が…… Maat ヒラヒラと気が散るから 着替えてこいと言った途端、「ずっと同じ服で 何が悪いの!? アイドル失格!?」と大騒ぎ。 Maat いやぁ…… 乙女心というのは複雑じゃ。 ワシほどの歳になってもようわからん。 Maat ……ん? よう考えると、そん時あたりからじゃな……。 ワシの調子が悪くなったのは……。 Maat まあ、関係あるか どうかはわからんが、お前さんに 頼みたいのはその彼女のことなのじゃ。 Maat 彼女を捜し出し、 これを返しておくれ。大騒ぎの結果、 忘れていったバスケットじゃ。 Maat そうじゃな…… まずは、ジュノ下層のジャンク屋マックビクス に行けば、何かわかるんじゃなかろうか。 Maat あそこのゴブリンが 連れてきた女性だったからのう。 よろしく頼んだぞ。 だいじなもの 布張りのバスケットを手にいれた! 布張りのバスケット マートへの差し入れに使われた かわいらしいバスケット。 固ゆでにされた卵が入っていたらしい。 鼻を近づけると、どこかで嗅いだ 覚えのある腐臭がする……。 Maat 以前、ワシんとこに 修行にきた女性を捜し出して、 布張りのバスケットを返してくれ。 Maat まずは、ジュノ下層の ジャンク屋マックビクスに行けば、 何かわかると思うんじゃがのう……。 ジュノ下層 Muckvix ……ン? なんじゃ? ある女性を捜しておるのじゃと? Muckvix ああ、あの娘っこ! 「勇冥祭(ゆうめいさい)」がらみの件じゃな!? Muckvix 勇冥祭というのは、 わしらゴブリンに古くから伝わる、 そりゃ大事な祭りでな。 Muckvix ゴブリン族が危機に 瀕している時や、世界が絶望に包まれようと している時などに行われ…… Muckvix 最早、祈るほかないような 絶体絶命な気持ちを静めるために 行われる祭りなのじゃ。 Muckvix 以前、あの祭りが 行われたのは数百年前…… 光と闇の神が対決した時じゃったそうな。 Muckvix そして今回は、 言わずもがな。各地で「蝕世の卵」が ありえんほど数多く発見されているため。 Muckvix そうそう。 お前さんのことも 聞き及んでおるぞ? Muckvix ゼプウェル島にて ゴブリンの勇者たちの危機を 救ってくれたそうじゃな? Muckvix お前さんは人なれど カオスが生んだ「蝕世の卵」の恐ろしさを 身に染みてようく知っているとか。 Muckvix それなら、わしら ゴブリンたちが今感じとる恐れや焦り、 そこはかとない不安を理解できるだろう? Muckvix その影響は大きく、 仕事に手がつかん者も多い。ざわつく心を 静めるためにも祭りをせねばならんのだ。 Muckvix ……ン? それで、お前さんが捜している娘っこが その祭りにどう関係するのか、と? Muckvix 勇冥祭は 悲しい祭りじゃから、今どき風に出し物も 用意せにゃ、楽しくならんかなと思うてな。 Muckvix 人間からひとり、 腕の立つ芸人を募集したというわけじゃ。 Muckvix じゃが…… その娘っこは思ったより弱くてのう。 Muckvix 手っ取り早く 己の限界を突破してもらおうかと マートのところへ連れていったのじゃ。 Muckvix ……ン? その時に、娘っこが忘れ物を……? お前さんが届けないとならんのか? Muckvix そうじゃのう…… そういう理由なら、娘っこの住みかを 教えてやってもいいのかのう……? Muckvix 娘っこいわく、 たくさんのファンが押しかけてくるから 誰にも言わんでくれと言っておったが。 Muckvix じゃが、結局、 娘っこを使う予定だった出し物もお蔵入り。 ファンとやらも騒ぎようがあるまい。 Muckvix 案内図を書いてやるから、 ジュノ下層のレンタルハウス前にいる タルタル族の兵士に見せるといいぞ。 Muckvix 兵士の名前は確か ミラディニルディ(Miladi-Nildi)じゃ。彼が 娘っこの家まで道案内してくれるじゃろうて。 Muckvix それにしても…… ……あの影が現れる限り、祭りはできん…… どうにかならんものか…… だいじなもの 娘っこの家の案内図を手にいれた! 娘っこの家の案内図 マックビクスからもらった案内図。 これがあれば、マートが捜していた 女性の家へ辿り着けるらしい。 ジュノ下層のレンタルハウス前にいる ミラディニルディ(Miladi-Nildi)に 見せるとよいそうだ。 Muckvix さっき書いてやった案内図を ここジュノ下層のレンタルハウス前にいる ミラディニルディという兵士に見せるといい。 Muckvix お前さんが捜してる 娘っこの家まで道案内してくれるじゃろうて。 ル・ルデの庭 Maat 以前、ワシんとこに 修行にきた女性を捜し出して、 布張りのバスケットを返してくれ。 Maat うぐぐ…… 調子が悪くなければ、 ワシ自身で捜すんじゃがのう……。 ジュノ下層 通常時 + ... Miladi-Nildi この先はジュノの レンタルハウスだ。ゆっくり休んで 次の冒険にそなえるがよい。 Miladi-Nildi ……ほう、珍しい。 ゴブリンが書いた案内図を持っているのか。 いいだろう、道案内をしてやろう。 Mumor は~い、 ファンからのお届け物ですか~? そこらへんに投げておいてください~。 選択肢:何と言う? 忘れ物です~!(どれを選んでも同じ) ファンです~! スーパーアイドルターーーイムッ!!! Mumor えっ!? ま、まさか!? Mumor そ、それ、 いったいどこにあったの!? Mumor ……[Your Name]、 あなた……いろいろぜ~んぶ 聞いてしまったようね……。 Mumor そうよ、あたし、 アイドルとして一皮むけるために 新しい扉を開くことにしたの。 Mumor 獣人のゴブリンと ガールズデュオを組んで、世界を相手に どこまでできるか試したくなったのよ。 Mumor ウカは、アイドル戦士の イメージが悪くなるかもって心配してるけど 退屈で死んじゃいそうな方が問題。 Mumor ファンやお客さんに いくら人気があるからって、 ず~っと同じことの繰り返しなんだもの! Mumor 装いも新たに 歌もダンスも倍増♪ 火薬も3倍! ……な感じの新作を待っているのよ! Mumor ……そんな時のこと。 Mumor ゴブリンたちが 祭りを計画しているというじゃない? Mumor 祭りといえば出し物。 出し物といえば、ヒロインショー。 あたしの出番だわ。 Mumor ゴブリンたちから見れば、 ちょっとパワー不足だったみたいなんだけど そんなのファンのパワーでどうにかなるはず。 Mumor 新しいポーズも 決め台詞も考えて、意気ごんでのぞんだのに…… Mumor あのマート爺さんったら いろいろ文句をつけて、アイドル全否定! Mumor あたし、ちょっと いじけていたところだったの。 Mumor ……ハッ! も、もしかして、これって 魔王ウルゴアの魔の手!? Mumor …… そんなわけなさそうね。 ナレーションも流れてこないし。 ??? そんなミュモルに 今、新たな大ニュースが襲いかかるのだ。 Mumor ええっ!? Kupolietta たいへんクポ、 たいへ~んクポ! Mumor どうしたの、 ディーヴァ……いえ、クポリエッタ!? Kupolietta 勇冥祭、 できないかもしれないって言われたクポ! Mumor えっ!? どうして!? Kupolietta あの噂のせいクポ……。 恐ろしい噂のせいクポ……。 ………………………………………………………………………………… Kupolietta 怪しい影が バタリア丘陵の東の方で 夜な夜なさまよい、暴れているらしいクポ…… Kupolietta それを目にしたものは みんな、こう言うらしいクポ…… Kupolietta 「見てはならないものを 見てしまった」…… Kupolietta そしてジュノを去り…… 二度と戻ってこないクポ……。 ………………………………………………………………………………… Mumor ……な、なんてこと! バタリア丘陵の東の方って 勇冥祭の舞台じゃない!? Kupolietta そうクポ。 祭事のゴールになっている だいじな洞窟がある場所クポ。 Kupolietta だから、 あの怪しい影がうろついている限り 祭りは無理そうって言われたクポ。 Mumor ハッ! も、もしかして、それって 魔王ウルゴアの魔の手!? Mumor …… そんなわけなさそうね。 ナレーションも流れてこないし。 Kupolietta そこでミュモルは 怪しい影をやっつけることにしたのだった! Mumor ……そう、そうよ! 運命は自分の力で切り開かないと! Mumor ただ…… このままではソロガール。これじゃ、 完全な力を発揮することはできないわ。 Mumor そこで、あなたの出番。 今こそ、あたしとデュオを組む時! 選択肢:ミュモルとデュオを組む? はい Mumor ありがとう! あたしたちはそう! デュオ「マリトッツォ」! いいえ(ループ) Mumor あれあれ? 声が小さいぞ? Mumor いえい! あたしとデュオを組みましょう! ガールじゃないよ? Mumor だれもが心の奥底に ガールでセンチなメンタルをもってるものよ? Mumor だから今から! あたしたちはそう! デュオ「マリトッツォ」! Mumor パッフパフの あったかいハートから あま~いラブがあふれ出ちゃう。 Mumor パクっとサクっと 怪しい影をやっつけちゃおう! バタリア丘陵へしゅっぱーつ! だいじなもの 布張りのバスケットを失った。 だいじなもの 娘っこの家の案内図を失った。 Miladi-Nildi なんだ? バタリア丘陵で夜な夜なさまよう 怪しい影の噂を知らないか、って? Miladi-Nildi もちろん知ってるよ! バタリア丘陵の東の方……海が見える 洞窟の近くには近づかない方がいい。 Miladi-Nildi あの怪しい影を やっつける気があるなら 止めはしないけど……。 Muckvix もしや、お前さんも 勇冥祭の件か? Muckvix 仕方なかろう。 あの祭りで一番重要な場所が、 バタリア丘陵の東にある洞窟なのじゃ。 Muckvix 5の千のその昔、 多くの戦士が自ら命を絶った。あそこは その勇者らのための塚があった場所じゃ。 Muckvix じゃが、今は 怪しい影がうろついていて おいそれとは近づけん。困ったもんじゃ。 ル・ルデの庭 Maat あの女性に 布張りのバスケットを返してくれたのか、 これで少しほっとできた。 Maat じゃが、うぐぐ……。 体の調子は治らんし、困ったもんじゃ。 バタリア丘陵 通常時 + ... (Goblin Festival Siteを調べる) 特に何もないようだ……。 (Goblin Festival Siteを夜以外に調べる) 怪しい影は見当たらない……。夜まで待った方がよさそうだ。 (Goblin Festival Siteを夜に調べる) Mumor [Your Name]! Mumor どう!? 怪しい影、発見できた!? Mumor ……えっ??? あれって…… Mumor マート!? Mumor だいぶ思い切った メイクをしたものね……! Mumor ……ハッ! Mumor そうか、読めたわ! だからあんなにアイドル全否定…… Mumor あなた! 魔王ウルゴアの手下だったのね!? Mumor こうなったら、 あたしたち「マリトッツォ」のアイドルパワーで 目を覚まさせてやりましょう! Mumor [Your Name]、 行くわよっ! Mumor パッフパフパンは愛の素! ミュモル! 選択肢:……? とろ~りクリーム命の星! Mumor (ちょっと! それ、ウカのセリフ!) ミラクル・ラブリー・ワルツーーッ! Mumor (ちょっと! それ、決めワザだから!) まーまーまー♪ Mumor (ちょっと! それ、ディーヴァの歌だから!) (選択肢1~3共通) Mumor でも、それでわかったわ。 あなた、あますず祭りのこと、大好きでしょ? 選択肢:あますず祭りが好き? もちろん! Mumor やっぱりね! なら、あたしがあなたにぴったりの 決めゼリフを考えてあげる! そんなことはない Mumor 本当に~!? なら、あたしがあなたにぴったりの 決めゼリフを考えてあげる! Mumor え~と、 フルーツたっぷりで、 甘酸っぱい……? Mumor あとは~、 冒険者には、勇気の…… 甘酸っぱい……ナントカ! Mumor (甘酸っぱい……? あれれ、なんだか聞いたことがあるような……?) Mumor 思い出したわ! あたしの分身が、あなたにぴったりの 決めゼリフを考えたことがあるじゃ…… Mumor きゃあ! Mumor はぁ……はぁ…… だ、だんどり無視……!? Mumor ま、まさか、 恐怖のアドリブ回ッ!? (Goblin Festival Siteを調べる) 嫌な気配がした! 制限時間は15分(地球時間)です。 [Your Name]は、Maatを倒した。 (Goblin Festival Siteを調べる) Maat グアアアアッ!!! Mumor か、勝てた…… Mumor の、かしら……? Maat ……グーグー スピースピー…… Mumor ね、ねてる!? Mumor (ちょ、ちょっと! あなた……セリフとかないの!?) Maat ……むにゃむにゃ まくら…… Mumor まくら? Mumor あら、 あそこにあるのが その枕なのかしら? Mumor うーん、 とりあえず勝てたみたいだし、 アレをしておきましょうか。 Mumor パッフパフパンは愛の素! ミュモル! Mumor 甘酸っぱい ベリーグッドな勇気の光! [Your Name]! Mumor ふたりが織りなす虹の橋! アイドルデュオ、マリトッツォ! Mumor ファイナル・エターナル・ハート!!! Maat うわあぁぁぁぁぁ!!!! Mumor やったわね! Mumor みんな、 あたしたち「マリトッツォ」を 応援してくれてありがとう! Mumor ……。 Mumor おかしいわ…… あたしのファンも来ていないし…… まだ終わっていない、のかしら? 選択肢:終わっていない? はい Mumor そうね! ル・ルデの庭へ行かないと! Mumor マートに とどめをささないと 終わらないわ! いいえ Mumor あなたはまだ、 ショーの空気というものが 読めていないのね。 Mumor あたしにはわかるの。 観客がいないショーなんて、 具のないサンドイッチ。 Mumor あたしたちが マートにとどめをささないと 幕が下りないのよ! 何が? Mumor ショーが 終わらないのよ! Mumor あたしたちが マートにとどめをささないと 幕が下りないのよ! Mumor あっ! Mumor その枕、 きっとだいじな小道具だから 忘れずに持ってきてね! だいじなもの マートの枕を手にいれた! マートの枕 暴れていたマートが残していった ピンク色の枕。 ハートのアップリケがついており 作り手の愛を感じさせる。 (Goblin Festival Siteを調べる) ミュモルを追って、ル・ルデの庭にいるマートのもとへ急いだほうがよさそうだ…… ル・ルデの庭 Maat うぐぐ……。 よくわからんが、このワシのせいで 大変なことになっとったということか……。 Shami よしよし、 わかってくれればいいんだ。 Shemo ちょいとその目を つむってくれれば、抑えきれずに夜な夜な 暴れているチカラを、このオレたちが…… Mumor ちょっと待って~! Mumor あたし無しで さっさと話を進めないでちょうだい! Mumor さあ、[Your Name] マートに枕を見せてやって! それが証拠よ! Mumor バタリア丘陵で 夜な夜な暴れている怪しい影! Mumor その正体を現しなさい! 魔王ウルゴア! Shami あちゃ~! やっちまったな~! Shemo ははぁ! こりゃマズイな、オレに任せろ! Shemo そこのお嬢さん、 これはショーじゃないんで。 まだオーディションの段階なんで。 Mumor えっ!? そうなの!? Shemo へへ…… ゴブリンどもの祭りに、こちらのマートも 出たいとかなんとか言ってくれてね。 Shami オーディション用の 演技に迫力がありすぎて、この騒ぎ。 いやはや、迷惑かけまくり。 Mumor そのとおりよ! あなたのせいで勇冥祭が 中止になっちゃうところだったのよ!? Mumor それってかなり 本末転倒じゃない!? Maat うぐぐ……。 それがな~んにも覚えてなくてのう……。 Maat 知らんうちに また、青あざも生傷も増えとるし、 そのせいで記憶がないのかのう……。 Mumor ぎくっ! Shami マジか! 記憶を失うほどボコられて!? Shemo ちっ! 誰だ、お年寄り相手に ムチャしやがったヤツは!? Mumor ぎくぎくっ! Maat いやいや、仕方のないこと。 悪かったのはワシのようじゃし、怖がってた人は ホッと胸を撫でおろしてくれるじゃろうて。 Shami そうだな。 ゴブリンどもも勇冥祭の計画を また練り始めたみたいだしな。 Shemo あ、お嬢さんも 勇冥祭に興味があるなら ゴブリンどものところに行ってみるといい。 Shemo ヤツらの気が 変わらないうちに、急いでな? Mumor わかった! さっそく、行ってみるわ! Shami さて、と。 そこのあんた、見知った顔だな。 (パターン1) Shami 俺は、シャミ。 あんたとは、いい取引を させてもらったことがある。 (パターン2) Shami 俺の名は、シャミ。 ジュノ港で、あんたみたいな冒険者相手に 珍しいモノを取引させてもらってる。 Shami こっちはシェモ。 ニンゲンでいう兄弟みたいなもんだ。 Shami 俺たちどっちも、 あんたのことはよく知ってるさ。 あんたは相当、噂になってるからな? Shami で、マートのことだが、 あんたはわかってるんだろ? あのお嬢さんに言ったことは全部デタラメさ。 Shami 真実を知ったら、 あのお嬢さんが気に病んじまう。 Shami なぜかって、 あのお嬢さんが食べさせたゆで卵のせいで、 マートはあんな状態になっちまっていたんだ! Shami ほら、マートが お嬢さんから差し入れをもらったとか ナントカ言ってなかったか? Shami その差し入れこそ ゆであげた卵だ。その卵が問題でよ、 あんたもよく知ってるアレだったんだよ。 選択肢:アレとは…… 完璧な幸運の卵!?(選択肢が消えてループ) Shami ズバリ、ちがう! イニシャルエッグ!?(選択肢が消えてループ) Shami ……いつか、俺の名前も 「役」に加えてくれねぇかなぁ……? Shami ……って、 そんなことはさておき。 蝕世の卵!? Shami ズバリ、それだ! Shami ワケあって かなり劣化していたものの、「蝕世の卵」を食べた 影響がアレくらいで済んだのは、まさに奇跡。 Shami しかも、マートが 起きているうちは、体内からあふれ出ようとする パワーを抑えこむことができたようだ。 Shami だが、眠ってしまうと…… あんたも見た通り、化け物になっちまうのさ。 Shami へっへっへ。 ただ、あんたたちが戦ってくれたおかげでな。 卵のパワーの暴走が落ち着きつつある。 Shami 後は任せておけ。 俺たちの手でパワーを吸い取って、 封じておくからさ。 Shami 今晩からは、 夜な夜なさまよい暴れてる 怪しい影も、いなくなるだろうさ。 Shami これをやろう。 あんたはこの先も、いろいろ 物入りだろうからな。 だいじなもの マートの枕を失った。 獣人印章を99個手にいれた! 獣人印章 Ex 粘土板に押しつけて使う獣人の判。 獣人の関所で手形になるため、重宝されている。 (報酬を受け取れなかった場合) Maat シャミ、シェモから お前さんに渡してくれと預かったものがある。 ほれ、持っていくがいい。 獣人印章を99個手にいれた! Maat シャミ、シェモと話したら なんとなく楽になった気がするのう。 Maat あのふたりはよく 不思議な技を使うとは聞いていたが、 頼りになるもんじゃな。フォッフォッフォ。 バタリア丘陵 (Goblin Festival Siteを調べる) 特に何もないようだ……。 ▲ 燃えよアルテニア マート御乱心 アイドルはやめられない? ■関連項目 蝕世のエンブリオミッション Copyright (C) 2002-2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. ~
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アユ夫さんの妻らしい。リアルで浮気していた夫を懲らしめるためにPKになった。 リアルで何かいうよりThe WorldでPKした方が効果がある…らしい。 遭遇場所 闘争都市 ルミナ・クロス トレード 解毒ソーダ 死のタロット 火鼠の皮 大剣・舌震 必殺剣・黒翼天 「うちの主人は、頼りなさそうな呪療士よ。 アユだかマスだか、そんな魚っぽい名前。」
https://w.atwiki.jp/gu_backup/pages/172.html
アユ夫さんの妻らしい。リアルで浮気していた夫を懲らしめるためにPKになった。 リアルで何かいうよりThe WorldでPKした方が効果がある…らしい。 遭遇場所 闘争都市 ルミナ・クロス トレード 解毒ソーダ 死のタロット 火鼠の皮 大剣・舌震 必殺剣・黒翼天 「うちの主人は、頼りなさそうな呪療士よ。アユだかマスだか、そんな魚っぽい名前。」
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遭遇場所 闘争都市 ルミナ・クロス
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怪力乱心を語らず ◆KEN/7mL.JI 暗闇の中に潜む二つの影がある。 意識を向ければ、さほど大きくはない声で話をしているのが分かる。 目をこらせば、彼ら二人はさほど大きくない、痩せた体格の者であることが分かる。 そしてさらに目をこらし、或いは雲の隙間から漏れる月明かりの助けを借りれば、そのうち一方が異形をしていることも見て取れる。 一人は犬塚毛野胤智。智の珠の宿命を持つ、八犬士随一の策士。 一人はオボロ。遙かなる時の彼方より呼ばれし、トゥスクルの若き将。 そのオボロこそが異形の主であり、猟犬の如き耳と尾を持つ者だ。 毛野はそれらの言葉を聞きつつも、決して警戒を緩めはしなかった。 朧と名乗る奇怪な男の言うことは、何から何まで絵空事としか思えぬ事ばかりだし、容貌も実に怪しい。 耳は、明らかに人ならぬもの。山犬か狐狸の類のそれだ。 彼は "はくおろ" なる人物を主として仕えているようだが、どうもその人物が毛野と同じ一族なのではないかと言うようなことをしきりに言っている。 そこで考えたのは二つ。 この朧という男は、遠く明国かそれよりも彼方の異国の者で、日の本より移住した主に仕えているのではないかという事。 それとも或いは、"はくおろ" なる人物は、例えばそう、仙人や陰陽師の類で、鬼を使役するが如くこの怪しげなモノを手足としているという事。 どちらも推量で、確証はない。 毛野の常識からすれば、獣の耳を持つモノなどは狐狸禽獣、妖怪変化の類だが、朧の主が自分と同じような姿形 ――― 特に、耳を指してそう言っているようだが ――― をしているという。 であるのならば、一つめの推量を元にすれば、或いは遠い異国にはこのような姿をする者達が普通に住んでいるのかも知れない、とも思う。あり得ないとは言い切れまい。 ただ何にせよ、一つにこの男に直接的な敵意がないようだということ。 そして何より、妖怪変化と断ずるにはどうにも人間くさいという二点が、毛野の判断を保留させる。 毛野の知る妖怪変化というモノは、どちらかというと怨霊に近い。 この朧が口にする様な忠節や恩義などの徳などとは縁遠いいのだ。 勿論、朧の語る言葉にどれほど真実が含まれているのか、どの程度の嘘が混ざっているのかは知れたものではない。 とはいえ毛野としては、信頼はせずとも考慮するに値するだけの情報を得ることが出来たと言える。 この男をどうするか、は、ひとまず今決めずとも良いだろうと考えるに足る情報だ。 もし朧が、殺し合いを仕組んだ怪しい者どもに連なる妖怪だとしたら、むしろより多くの情報を引き出してから斬ればいい。 オボロはというと、頭上から落ちて来たこの少年に対して、何一つ嘘を言っては居ない。 勿論、頭から信頼をしてのことではない。 一部トウカの事など、敢えて伏せておいた事柄もあるが、自分と故国のことについては、だいたいが聞かれるままに答えている。 開口一番に妖怪変化等と言ってきたことには些か面食らったが、見ればまるで少年のような年頃。空間転移術の様な技を立て続けにかけられては混乱もするだろう。 ここは年長者として、また侍大将として、こいつをひっぱってやらねば、等とも思う。 それに、話を聞くにこの少年も自分同様、あの奇妙な白石の敷き詰められた庭に居た内の一人だと言うことも分かる。 ならば、とオボロは判断する。 ならば、自分もこいつも、同じ立場か、と。 その時点で、それはさして根拠のないことではあったが、結果として当を得たものであった。 加えるならオボロ自身、こういう場面でとっさに腹芸が出来るほど器用ではない、というのもある。 けれどももう一つ、やはりこの少年も先ほどの男同様、ハクオロと同じ耳をしている事が、オボロの判断に影響を与えていた。 もしかしたら、とオボロは思う。 彼らは、ハクオロに近しい者達なのではないか、という事を。 そうなると、どうしても好奇心が勝つ。 彼らのことを知っておきたいという好奇心だ。 勿論、それを最優先にしてしまうほどにオボロの現状認識力は鈍くはない。 最も重要なことは、この奇怪な状況を打破し、主の元へと帰還することだ。 こんなところでのんびりしている場合ではないと重々心得ている。 それに聞けばケノと名乗るこの少年も、仲間と共に重大な戦いに身を投じている最中らしいという。 やはり似た立場の者同士、と思わざるを得ないのだ。 「俺はひとまず、里に下りようかと思っているんだが…」 さて、一通りにお互いの情報を (それぞれに差し障りがないと思える範囲で嘘偽りなく) 交換した後、すっくと立ち上がった朧がそう言った。 「…まぁ、それもいいかもな」 毛野は一応そう答え、朧の顔を伺う。 暗くてさほど良くは見えないが、僅かに伺えたのは焦り。 この状況に焦っているのは当然だ。 里に下りるのは、人が多く集まる場所へと言うことだろう。 だがそれが、この自分との邂逅のように、下らぬ殺し合い等には乗らぬ者を探してなのか、或いは目当ての誰かが居るのかは分からない。 毛野は朧が表立った敵意を見せぬからこうしているだけで、朧がたちの悪い妖怪変化ではないかとの疑いはまだ持ち続けている。 里に下りようという提案にうかうかと乗って、敵のまっただ中に誘い込まれぬとは言い切れない。 だがしかし、毛野にも又事情がある。 先ほど話をしている間に一瞥した人別帳。 そこに、同じく八犬士の同士である犬塚信乃の名があったのを見て取っていたからだ。 勿論、得体の知れぬ朧にそんな事は言っていない。 探し人が居ることすらおくびにも出していない。 この時点で、朧をそこまで信用して良いものかと言えば、答えは否だ。 かといって、ここで別れるのもどうかと言うと、それも否。 毛野は懐にしまい込んでいた地図を取り出す。 「一番大きいのは、ここから南に進んだ城下だな。それなりに距離はある」 「城か…!」 朧は「城下」という言葉に些か反応をする。 実のところこれも、主ハクオロに近しいと思われる者達の城なのだろうか、という好奇心からなのだが、毛野がそんな内情を察することは出来ない。 「…それと、この今居る山の麓に、呂仁村址…と書かれているな。 人が住まなくなった村の跡…って事だろう」 ちらりと朧に目線。 「う~む…。 まぁ、人が住んでなくても、誰かが来るかもしれないな。 そんな回り道でもないし、城を見に行くのはその後でも良いか」 なんだか言っていることが妙な感じだが、毛野としてもそうするつもりで居た。 城、というのだから、或いはここが奴らの本拠なのかも知れない。 いざとなればの心づもりもあるが、まずはその前に、仲間の信乃と、何より智の珠を見つけておきたいのだ。 「よし、うだうだしてても仕方ない。 出発するぞ!」 毛野の返答などまるで待たず、朧はさっさと歩き出してしまう。 軽く悪態を付いて、毛野は少し離れて跡を追う。 さてどうにも、もしかしたら警戒しすぎているのではないかと内心思いながら。 ◆◆◆ 山野を歩くのに慣れた健脚の毛野から見ても、朧の足取りはしっかりしたものだ。 月明かりのみが頼りの山道など、普通ならまともに歩くのも危ういはずだが、朧は毛野以上に迷い無く突き進む。 気をつけねば毛野ですらも、遅れて取り残されそうになるほどだ。 時折立ち止まり、鼻をひくひくとさせたり耳をそばだてたりして辺りの気配をうかがっている様子が見て取れる。 どうにもその仕草が獣くさく、やはり変化の類やもと思わさせられる。 程なくして、地面が平坦になり、立木もまばらになり開けてくる。 荒れた耕作地の跡や荒ら屋、朽ちかけた小屋が散見し、鬱蒼とした木々に囲まれて、いかにも人無き廃村、さしもの豪傑すら尻込みしかねぬ様相だ。 暗闇に目をこらして見渡せば、ぽつりぽつりと八軒ばかりか、民家、或いは民家であったであろうものが確認できる。 人の気配どころか、生ある者はまるでこの世でただ二人きりとでも言わんばかりだが、オボロも毛野も、警戒しながらも躊躇無くその中へと突き進む。 さて、どうしたものか。 ほぼ村の中央部と言える場所で立ち止まり、辺りを見回す。 「とりあえず、手分けして家捜しでもするか…」 「家捜し? こりゃどう見たって人っ子一人居ないだろう」 毛野の言葉に、オボロがそう応えるが、 「人じゃない、モノだよ。 あの男、武器は自分で探せ、なんて言ってたろ。どっかに隠してあるって」 言われて、ああそういえば、と思い出す。 さて、かつては義賊などをしていた自分がそこに気を回せていなかったのは迂闊と言えば迂闊。 「某しとしたことが…、だな」 毛野に、というより、ここには居らぬ誰かに向けて、小さく呟く。 確かに、本来二刀流を使うオボロとしても、やはりもう一振りは欲しい。 まずは人捜し、とは考えていたが、そちらも優先したいことではある。 結局二人は、それぞれ右回り左回りにと別れて、廃屋を調べて回る。 このとき、毛野には二つばかり別の思惑があった。 一つは当然、智の珠を探す、という事だ。 智の珠についてはオボロには話していない。 出来るならば、誰にも話さず取り戻したいと考えている。 自分が直接見つけられるのが一番良いが、仮に朧が先に見つけたら、元々自分の物なのだと言って詳細は伏せたまま譲って貰うか、何かと交換するか、或いは…盗むか奪うか。 何れにせよ智の珠を取り戻すことは毛野にとって最重要事項の一つなのだ。 それともう一つ。 毛野は入っていった家の中から、外をうかがう。 朧が入っていった民家はきちんと確認している。 家捜ししつつ、朧を一人にして様子を見る事。 これも、毛野がしようとしていることの一つだ。 あの異形の主が、立ち振る舞い通りの者なのか、或いは腹に何等かの企みを抱える人外なのか。 こちらの目の届かぬ場での振る舞いから、何かしら伺えるやもしれない。 幸いにも、家の中へ入っているときは無理だが、外の開けた場所に出れば、月明かりのおかげで幾分見やすい。 さほどの期待は出来ぬが、毛野は注意深く監視をしながら、数軒の荒ら屋廃屋の中を探っていった。 新たに現れた別の気配に気づくのが遅れたのは、朧に対して意識が向きすぎていた為だと、毛野は後にそう思う。 朽ちた物入れをひっくり返し、竈の中をほじくり返し、かなりの煤塗れ埃まみれになること三軒ほど。 オボロはというと、既にこの家捜しがかなり不毛な物なのではないかという気がしてきている。 此処には何もない。半ばそう確信している。 それは内心の焦りによってもたらされた判断でもあったが、同時にやはり、義賊としての経験から来るものでもある。 こんな事をするよりも、早く人を見つけ、何よりトウカと合流した方が良いのではないか? 今は成り行きで、ケノという少年と共に行動をしているし、また彼がなかなかに腕が立つだろう事も分かる。 友好的とも言い切れないが、さてなかなかに利発そうだとも思う。 思うが、そんな事よりもやはりオボロとしては、居心地の悪い曖昧模糊としたこの状況が好ましくない。 オボロにとっては、「討つべき敵がいて、共に戦う仲間が居て、従うべき主が居る」という単純明快な場でこそ、己の力が存分に発揮できるのだと、そう思う。 主、ハクオロはこの場には居ない。 仲間、トウカとはまだ出会えていない。 そして敵。 あの殺し合いの宣言をした男と、その奥にいた連中 ――― 或いは、その手下。甘言に乗せられ、手当たり次第に人を斬ろう等と考える輩。 敵の姿が明確ではないことが、オボロの意識に僅かな焦りと苛立ち、そして妙に浮ついた、地に足のつかぬ感覚をもたらしている。 そのことを、オボロは明確には意識していない。 ただなんとはなしに落ち着かぬ、という思いが付きまとい、結果、早くトウカと合流すべきだ、という焦りに繋がる。 その焦りが、新たに近づいてきた別の気配に対し、僅かに遅れをとる一因ともなった。 ◆◆◆ 「成る程。合点が行きました」 と、そう言うと、その女、奥村五百子はするすると歩き始める。 不意のその行動に、やはり毛野は後れを取る。 この女、どうするつもりだ? 五百子に敵意がないことは分かった。 あれば、小屋の中から朧の様子を伺っていた間抜けな首が、地面に落とされていたとしても不思議はない。 しかし ―――。 「もし」 声をかけられるまでに近づかれた己の不覚を悔い、素早く脇差しを抜き放ち構えはしたが、意に反して暗がりに現れたのは、黒の袷に灰色袴を身につけた、日に焼けた肌をした一人の女であった。 まだ夜明け前という事もあり、面差しは漠としてとらえどころがないが、その眼は些か細く鋭い。 旅芸人として育った経験もあり、男装はしていても女であるとは察せられたが、物腰にしろ立ち姿にしろ、男と言われればそう信じたやもしれぬ様な凜としたものがある。 「肥前佐賀、奥村五百子と申します。率爾ながら、御名前を伺いたい」 腰に太刀、背には行李。隙はないが、かといって戦いを仕掛けようという気配もない。 「…犬坂毛野胤智」 警戒はしたまま、構えはとき、そう答える。 五百子と名乗ったその女は、名を聞いて些か思案したような表情をする。するが、その姿勢も崩さず、 「なら、旅の途上かね」 少し目を細めてそう返してきた。 毛野は表には出さずに、さらに警戒を強める。 この女、何かを知っている。 何を知っているのかは分からぬが、自分の名を聞いたときの反応が妙だった。 「そうだ」 「先程の様子、隠れていた様に思えたが…」 毛野が切り返すよりも先に、五百子がそう問うて来た。 問いかけて、視線が毛野越しに向こうを見、止まる。 しまった。毛野がまたも己の迂闊を恥じて、素早く背後に目線を送ると、朽ちかけた荒ら屋から出てくる妙に薄汚れた朧の姿。 そして、五百子は先程の言葉を発する。 オボロの前に突然現れた一人の影。 その影は何等気配も出さずに、ぬらりとただそこに立ち、僅かに高い、しかし何ら抑揚のない声で話しかけてきた。 「肥前佐賀、奥村五百子と申します。率爾ながら、御名前を伺いたく」 どうすべきか、素早く判断する間もなく、引きずられるようにただ、 「トゥスクルの侍大将、オボロ」 と返した。 その端から、白刃が眼前に迫る。 五百子は抜き打ちに一閃。 不意でありながらも反射的に身を引くオボロは、その手に刀を抜く。 切り返しを受けるべく右手の刀を上げたとき、五百子の脚が腹を打っていた。 衝撃に屈むところに、頭上からの返し。 それを受けつつ、さらに右に転がった。 「何をっ…」 言いつつ、体勢を直す。 「狐の類か…。さて、長崎に天狐、地狐なる妖物が居ると聞く。狸は四国が本場と聞くが、何れにせよ退治すれば分かったいね」 「何だって?」 ゆらりと揺れて、八双から袈裟斬りに仕掛けてくるのを、受けて力で押し返す。 そのまま鍔迫り合いになるところを、急速に切り下ろされ脚を狙われた。 ぐん、と上体で押し返す。 その軸にした右足を、再び蹴られた。 気が削がれ、右半身が密着する。 「師、宣わく、怪力乱心を語らず」 何だ? 蹴り脚の次に、言葉でさらにオボロの意が乱れる。 「在るものは在り、在らぬものは無い。 在らぬものを在ると言い、それに頼り縋るは愚。されども…」 オボロの鳩尾に、五百子の刀の柄頭が打ち込まれた。 「眼前にあらば、それは怪異で無く現世のことったい。 ならば、狐狸妖怪の類、この凶事を仕組みし妖しき者とて討ち果たせよう」 息が数瞬止まり、反応が出来ない。 頭上に月の光を浴びた刃が閃くのを感じる。 そうか、死ぬかと、数瞬の間に思った。 五百子の刃を止めたのは、毛野の叫びであったが、そのことはオボロの意識には入ってない。 「待て、駄目だ!」 事態の急変に毛野はいつになく焦っていた。 五百子の行動理由は、ほぼ見当は付いている。 自分が疑いつつも保留としていた結論。つまり、オボロが狐狸妖怪の類ではないかという問いに、素早く答えを出したのだ。 そしておそらく、自分が物陰から様子を伺っていたことから、自分がその妖怪を恐れ、或いは襲われていたとまで思ったのかも知れない。 「こどんは待っとんしゃい」 どこぞの方言か、毛野には分かりにくい言葉を使ったが、待てと言われて待てるわけもない。 「駄目だ、今は、まだ…っ!」 言い終わるより早く、五百子の身体が跳ね、毛野に覆い被さるように立つ。 見ると、オボロが下から刀を跳ね上げるように切り上げて、そのまま脱兎の如く闇へと駆けていった。 「おい、待てよ…っ!」 毛野ですら舌を巻くオボロの健脚は、この闇の中を瞬く間に駆け去り、追う間もなく消え去った。 大きく息をつく毛野。 五百子はその闇の中を見つめ、暫くして刀の血を拭ってから鞘に収める。 「血が…」 五百子の二の腕に、傷があった。 「筋も血管もやられてなかけん、血止めをすれば問題なかよ」 血。 五百子のものと、そして闇に点々と続くオボロのもの。 ほんの数瞬の間に、斬り合いとなり血が流れた。 毛野は五百子を見る。 戦いの後の昂揚も、或いは敵を逃した口惜しさも、他あらゆる感情も伺わせぬ。 殺気も、剣気もなく斬り合う五百子の姿が脳裏に残っている。 毛野の視線を見返して、五百子は再び眼を細めた。 「私もな、八犬伝は好きたい。妖怪退治なら、八犬士の方が上手ばいね」 そう言った。 言葉の意味は分からなかったが、この僅かに眼を細める表情が、五百子の笑みなのだと言うことは分かった。 【ろノ仁/呂仁村址/一日目/黎明】 【奥村五百子】 【状態】:左手に刃傷 【装備】:無銘の刀 【所持品】:支給品一式 【思考】 ひとまず殺し合いに乗る気はない。 1: 犬塚毛野を名乗る少年と行動を共にするかどうか…。 2: この凶事は妖怪やそれに類する者の仕業ではないか。 【備考】 ※1865年、20歳の頃より参戦。 ※犬塚毛野のことを、八犬士の犬塚毛野の役を演じている旅芸人か放歌師の類と考えています。 ※オボロの事は、狐か狸の変化と考えています。また、それら妖物がこの凶事の原因かと考えています。 【犬坂毛野@八犬伝】 【状態】:健康 【装備】:脇差 【所持品】:支給品一式 【思考】 基本:主催者の思惑を潰し、仲間の元に戻る。試合に乗った連中は容赦しない。 一:オボロを追うべきか? 五百子と話すべきか? 或いは…? 二:五百子が八犬士の何かを知っているのか気になる。 三:智の珠を取り戻す。 四:主催者に関する情報を集める。柳生十兵衛との接触を優先。 【備考】 ※キャラクター設定は碧也ぴんくの漫画版を準拠 ※漫画文庫版第七巻・結城での法要の直前から参加です。 ※智の珠は会場のどこかにあると考えています。 ※オボロを妖怪変化の類だと認識しています。 ◆◆◆ 迂闊だった。 暗闇の中を走りながら、オボロは己の不明を恥じる。 初めの抜き打ちをかわせたのは、それがトウカの剣筋に似ていたからだ。 運良く、かわせただけ。それが分かる。 技量において格段の差があったとは思わない。 だが、何より恐ろしかったのは、その殺気の無さである。 意識の外から現れて、名乗りを上げたそのときから、とどめを刺そうと白刃をかざすそのときまで、五百子には殺気が感じられなかった。 殺してやろう、打ち負かそう、勝ってやろう、という意志。 まるで全てが平時同様。飯を食い、用便を足し、床に着くが如く、斬りつけてきた。 何かを守ろうとする、或いは何かを奪おうとする剣。 憎しみや恨みに塗れた剣。 悲しみや怒りに震える剣。 それらは、分かる。 だが、五百子のように何ら意志や感情の見えぬ剣は、分からない。先が読めない。 オボロにとってはむしろ、そのぬらりと底の見えぬ剣筋こそ、妖怪のもののようにすら思えた。 死人の剣だ。 不意に、そんな言葉が浮かんだ。 あれは、生ある者の剣ではない。 生き延びよう、打ち負かそうという意志のない、死人の剣筋だ。 右手で、左手の傷を押さえる。 筋も血管もやられていない。痛みはあるが、何処かで薬草でもまいて血止めをすれば問題はないだろう。 この傷も、迂闊さ故だ。 普段の、二刀の時の癖で、初めの抜き打ちに対して左手で受け太刀をするかの如く前に出してしまっていた。 引くのが僅かに遅れていたら、おそらく左手はなかっただろう。 「…クソッ!!」 オボロは歯がみをする。 自分の迂闊さに。 そして、毛野のことに。 あの女は、毛野と組んでいた。 そう思う。 確証はない。確証はないが、そんな気がしてならない。 自分とトウカのような初めからの知り合いか、或いはあの村で会って組んだのかは分からぬ。 分からぬが、鳩尾を打たれたときに走り寄ってくる毛野の姿が僅かに目の端に映っていた。 少年を使い、相手を油断させてから斬るという事か。 或いは毛野が、あの女を言いくるめてけしかけてきたのか。 斬り合いの最中、なにやら訳の分からぬ事を話し続ける五百子の様は、その殺気の見え無さとも相まってオボロに得体の知れぬ輪郭を描かせる。 拙い。 オボロは自分を賢いなどとは自惚れては居ない。 しかし、今思うのは何よりもトウカの事だ。 自分よりも遙かにお人好しのトウカが、このような敵も味方も分からぬ場において、どのようにされてしまうものか。 オボロはそれを思うと、怒りとも恐怖ともつかぬ青黒い感情に包まれる。 拙い。 とにかく、トウカを探さねば。 五百子のような、或いは毛野のような、奸智に長けた、得体の知れぬ輩から守るためにも、余計なことなどせずに真っ先にトウカを探し出し、合流せねば。 果たしてそれが、仲間の安否を思っての事なのか、或いは己の中に生じた得体の知れぬ者への恐れからのものなのか。 オボロ自身、それが分かるはずも無かった。 【はノ仁/山林/一日目/黎明】 【オボロ@うたわれるもの】 【状態】:左手に刀傷、煤、埃などの汚れ 【装備】:打刀 【所持品】:支給品一式 【思考】 基本:男(宗矩)たちを討って、ハクオロの元に帰る。試合には乗らない 一:五百子、毛野を警戒。まずは離れて、傷の治療をしたい。 二:トウカを探し出す。 三:刀をもう一本入手したい。 ※ゲーム版からの参戦。 ※クンネカムン戦・クーヤとの対決の直後からの参戦です。 ※会場が未知の異国で、ハクオロの過去と関係があるのではと考えています。 時系列順で読む 前話 船頭多くして、船山昇る 次話 失われた剣を求めて 投下順で読む 前話 船頭多くして、船山昇る 次話 失われた剣を求めて 犬と狼と 犬坂毛野 忠誠いろいろ 犬と狼と オボロ 偸盗/藪の中 武士道といふ事は死ぬことと見つけたり 奥村五百子 忠誠いろいろ