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ランチタイムの時間だよ ◆AZWNjKqIBQ 「見てみろよ、ミリア! ここはお宝の山だぞっ!」 「夢の島だねっ! ドリームアイランドだねっ!」 雲ひとつない澄み渡った真っ青な空と、その頂上から燦々と降り注ぐ眩しい太陽。 その遥か足元。雑多で膨大なゴミが堆く積みあがったデコボコな地面の上を、一組のカップルが走り回っていた。 空に輝く太陽にも負けないような陽気を振りまいて、楽しそうに、とても楽しそうに――…… 「アイザックー……こんなにもたくさん勝手に持ち出していいのかなー?」 「おいおいミリア~、ここをどこだか忘れたのか? ここにあるのは全部捨てられた物なんだぜ」 「捨てられたなんて可哀相っ! もうここにある物は誰の物でもないんだね、アイザック!」 「……そうさ、ミリア。だから俺たちがこれからこいつらの面倒を見てやろうってんじゃないか」 「やさしいアイザック! これからはもうこの子たちも寂しくないんだねっ!」 「ああ。これからは俺が父となり、ミリアが母となり、この子たちは新しい人生を歩んでいくのさ」 「リサイクルだね~、循環社会だね~!」 ゴミ処分場という施設の中。分別することを諦められたゴミがただただ積まれているだけの場所でも、 アイザックとミリアはいつもの調子であった。 もう日も昇ったというのにアイザックは半裸のままで、ミリアの方は入り口を潜ったところで拾った安全メットを被り アレンビーから借りたスコップ片手にした姿で、そのゴミ山の上を走り回り、時には何かを掘り出している。 螺旋王を探すという目的も半分忘れ、二人揃っていつもの通りに、子供の様に今という時間を謳歌していた。 そんな二人を遠目に、同行者の一人であるアレンビーは溜息をひとつついた。 彼女は彼らより少し離れた場所。バランスよく積みあげられた古タイヤの塔の頂上に腰掛けている。 ここに入ってきてすぐの頃は彼女も螺旋王の隠れ家を探していたのだが…… 「そんな顔をすると、この青空を写し取ったかの様な君の髪の色も曇ってしまうよアレンビー」 憂鬱に顔を曇らせるアレンビーの頭上を一羽の烏――キールが浮ついた台詞を吐きながら旋回する。 「……やっぱり、おかしいんじゃないかなって思うんだけど」 「おかしいのはこの世界の方さアレンビー。そんな些事に心を囚われて、君の顔から美貌が失われることの――……」 ふう――と大きく溜息をついてアレンビーは烏の戯言を聞き流す。 どうやらこの喋る鳥は物事を真剣には捉えていないぞ、ということをこの1時間ほどでアレンビーは理解した。 そして、ゴミ山の上を駆け回る二人。彼らについても、真剣ではあっても根本的にな部分でおかしい所があると彼女は感じている。 嘘をついて騙しているとは思わないし、アイザックの復活劇も実際に目の当たりにしている。それでも…… 怒涛の勢いで問答無用に理性を押し流す運命の逆流――ポロロッカ(大騒ぎ)。 そこから僅かに取り残されたアレンビーの理性が、彼女にこのままじゃいけないと小さな警告を送り続けていた。 ……と、頭上の烏よりアレンビーにとって意味のある言葉が投げかけられた。 「お客さんだよ、アレンビー。しかも二人……」 「その言い方だと、来たのは男の人かしら?」 皮肉っぽくかけられた言葉に烏は空中で器用に首肯する。 「あたり。アレンビーと相互理解が深まって嬉しいよ。来たのは両方とも男。おっさんと小僧さ」 古タイヤの塔の頂上で立ち上がり入り口の方へと振り返ったアレンビー。 その視線の先には、一組の壮年の男性と背の低い少年の姿があった。 ◆ ◆ ◆ 「ゴミ処分場だと……何があるんだろう?」 出会ってより数時間が経ち、そろそろ口数も少しずつ増えてきた同行者の質問にジェットは頭を捻る。 「そうだな。……映画館では映画に、博物館では展示室に何かがあったんだ。 ということはゴミ処分場だとやっぱり集められたゴミ……もしくはそれを処理する施設あたりが怪しいな」 その返答にチェスはこくりと頷き、納得したことをジェットに知らせる。 そして視線を上げて、眼前に大きく広がるゴミ処理場をその小さな両目で見渡した。 ゴミ処分場に入ってすぐに見えるのは、廃車となり積み上げられた車の残骸や古タイヤの塔。 真っ赤に錆びた金属製の何かだった物で組上げられた奇怪なオブジェ。同じ様に錆びの浮いた、古びたコンテナの数々。 その間の所々に見えるのは、それもゴミかと見間違うほど汚れたゴミを動かすための重機達。 それらから目を移せば、次に見えてくるのは無愛想な灰色の建物の群れだ。 特徴的なのは、空へと長く伸びる紅白の縞模様に塗られた煙突だけだが、そこから吐き出されるべきである煙は少しも見えない。 そして、更に視線を奥へと進めればそこに見えるのは灰一色に見える巨大な山。 よく観察してみると、一見灰一色なそれは雑多な色が重なりあった結果そういう印象を受けるのだということが解る。 物の死骸を集める場所だけあって、まるで墓場の様にそこは静寂で、 聞こえてくるのは海風に揺られたゴミの群れが奏でる、細波の様な静かなノイズだけだった。 ――と、一瞬何かが二人の頭上に降りかかる陽光を遮った。そして、それは軽い音を立てて彼らの目の前にへと着地する。 「はじめまして! 私はアレンビー・ビアズリー。オジサンと少年は?」 それは、この場には似つかわしくない透き通った青い髪の少女――アレンビー・ビアズリーだった。 ◆ ◆ ◆ 「あ……と、驚かせたみたいだね……」 突然に現れて今、目の前で両の手の平を顔の前で振り、照れ笑いする少女にチェスは大きく驚いていた。 視界の中のどこから飛んできたのだとしても、それが尋常な距離ではないと推測できる跳躍力。 そして、目の前のジェットが銃を向けていても、なお平然としていることから窺い知れる実力。 あの螺旋王に集められていた場所でのことを除けば、目の前で見る超人との初めての遭遇であった。 「俺はジェット・ブラック。この子はドモン・カッシュだ」 銃を下ろさずまだ警戒を解かないままに、ジェットはチェスのことを聞かされたとおりにドモンと紹介する。 その瞬間、アレンビーの顔に怪訝な表情が浮かぶのをチェスは見逃さなかった。 「ドモン・カッシュです。こんにちはおねーさん」 あどけない声を使って嘘の自己紹介をすませた裏で、チェスはこの状況を推定していた。それは―― ”目の前の女はドモン・カッシュという人物を知っている。だが、決して不死者ではない” ならば、問題は想定範囲内だった。前もって考えていた通りに事を推移させればよい…… 「どうしたのおねーさん? なんだか怖い顔をしてるよ」 自分は子供だ。と、最早そう思わなくても自然に出るようになっているその使い古した仮面をチェスは被る。 「アタシの知っているドモン・カッシュとは違うみたいだけど、同姓同名って訳じゃあないよね……」 相手は警戒を強めている。だが、それもチェスの手の内だった。 ある程度緊張を高めた所で拍子抜けするような回答を提示すれば、相手を容易にそちらへと誘導することができる。 水と同じで低きところへと流れるのは人の心でも変わらない。それは300年を生きた彼が信じる世界の法則だ。 「ううん。僕は”チェスワフ・メ……”……――!」 一瞬、ドクンと心臓が脈打ちチェスの仮面に皹が入った。 (馬鹿な。今、私はドモン・カッシュと名乗ろうとしたはずなのに……何故!?) 偽名が名乗れない。それが何故なのかは解りきっている――不死者が近くにいるのだ。見えないどこかに。 そいつが目の前の女と会話をしているうちにひっそりと近づいてきている。 「ご、ご、ごめんなさい。本当……は、チェスワフ・メイエル……です」 それに気付いたことに気付かれてはまずいと、チェスは必死に子供として動揺するという自分を取り繕う。 目の前にいる二人に対しても、そしてどこか近くに潜んでいる不死者に対しても、自分は無害で臆病な子供だと見せかけなければならない。 途端に複雑化した状況と条件に、チェスの頭脳はその回答を導き出すべくめまぐるしく回転を始める。 予め用意していたプランに、このような特殊な条件を設定したものはない。だからこの一瞬で……―― 「おー! チェス君じゃあないか」「無事だったんだねー!」 と、仮面の下で苦悩するチェスの元へ聞き覚えがある声と共に助け舟が降りて来た。 1931年のフライングプッシー号に乗り合わせた、自分の身元を保証してくれる風変わりな男女のカップル。 彼らによってこの苦境から自分は救われるだろうとチェスは確信した。だが、チェスにはその男の笑い顔が―― ――その嘘偽りの全く無い真っ白な笑顔が、死神のそれにしか見ることができなかった。 ◆ ◆ ◆ 結局の所、アレンビーがチェスに抱きかけていた誤解はあっさりと解かれた。 すでに同行していたアイザックとミリアが間に入ったことで、それは単なる臆病な子供がその場の思いつきでついた嘘だったと、 チェスの想定していた通りに決着がついた。 興味なさげにその場を離れていたキールも、チェスの同行者であったジェットも最終的にはそれに納得した。 かくして、互いが安全な相手だと確信した彼らはそれまでに得ていた情報を交換し合うのだが…… ◆ ◆ ◆ 「俺にはどうしてもお前さんがたの言っていることが正気とは思えんのだが……」 「……否定はしないわ」 合流した後、再びゴミ処理場内の探索へと二手に別れたその片方。 ジェットとアレンビー。そして、その頭上のキールの二人と一羽はゴミ処分場内にある焼却施設の中を探索していた。 先程行われたばかりの情報交換の中で、新しく合流したジェットとチェスの二人に語られた アイザックが螺旋王の息子だという話と、そこから続く荒唐無稽なストーリーをジェットは…… 「意味が解らん。そんな訳ないだろう」 ……と、常識という観念で一蹴した。 勿論、それを目の前で物語を熱心に紡ぐ、頭の上にお花を咲かせた二人に直接ぶつけたりはせず、 体よく別れた所で、比較的常識が通用しそうなアレンビーへとぶつけて探りを入れてみた。 ジェットの見込み通り彼女もあの話には懐疑的な部分があったようだが…… 「でも、彼が不死身だってことはこの目で確認したし、彼は今までもそうだったって……」 そこが問題だった。 彼はこの実験が始まってより繰り返し殺され続けてきた――そういうありえない事実があるからこそ、 またそこから続く信じがたい話もアレンビーは一蹴できないでいるのだ。 「……とりあえず、話に出てきたカフカって娘と会ってみないと解らんな。 それに、やつが”殺された”という相手にも確認を取りたいところだが……」 そこでジェットも首を捻った。行方知れずのカフカという少女を探すのも骨が折れる話だが、名前も知らない相手を探すのはそれ以上だ。 しかも、アイザックを”殺した”ということは、つまりはその殺意をこちらにも向けてくる危険人物であろうことが容易に想像できる。 床の上を歩く二人は頭を悩ませ、逆に空を羽で叩いて飛ぶ一羽は何も考えずに、ゆっくりと施設の奥へと入り込んでいった。 ◆ ◆ ◆ 片方の組が薄暗い室内で、これまた暗い考えに心囚われている頃。 もう片方の組の方は明るい日差しが降り注ぐ中、あいも変わらず陽気に宝探しを楽しんでいた。 「いやー、チェス君が無事でよかった」「よかったネ!」 「あのおじさんにも何かお礼をしないとな~」「恩返しだね! 玉手箱だね!」 「よし、と言うわけで玉手箱を掘り当てよう!」「ここ掘れワンワンだね! 大判小判ザックザクだね~!」 目の前にいる二人は馬鹿だ――クルクル回ってはスコップを振り回す二人にチェスはそう評価を下した。 だが、その二人を目の前に彼の心臓は落ち着かず、身体は足場の悪さを考えてもなおフラフラと揺れていた。 ”アイザック・ディアンは不死者である” それはチェスにとっては最早間違いのないことであった。 先刻の突如として偽名を名乗れなくなった事。そして、その後彼らから聞かされた「手品」の話…… 1931年のフライングプッシーフット号。その食堂車の中にいたチェス以外の不死者。それはアイザック・ディアンだった。 子供として目の前の二人に付き合いながらチェスは考える。 ――アイザック・ディアンという男は一体何者なのか? 何を考えているのか? 底抜けの明るい態度。手品やポロロッカという荒唐無稽な話で皆に幸せをもたらせると考えている異常な思考。 チェスの頭の中に思い浮かんだのは、同じ錬金術師であり不死者の一人でもある”笑顔中毒者”のエルマーという男だった。 幸不幸の関係なしにただ”笑えればいい”――それだけが至上命題の、ある意味最も狂っていて、そして傍迷惑な男だ。 果たして、目の前の男はそんなモノなのだろうか? それとも全ては演技なのか? そして―― ――この男は私が不死者だと知っているのか? 私を喰おうとするのか? それがチェスにとって最も重要な事だった。文字通り、それは死活問題だ。 目の前の男が何を考えているのか解らない。それがチェスにはどうしようもなく怖い。 もし自分を喰おうとしているのならどうすればよいのか? それだけはどうしてもいやだ。死んでもいい。だが喰われたくはない。 こんな汚いものを。こんなおぞましいものを、誰かの中に移し覗き見られるなんてとても耐えられない。それだけは…… (……私が、ヤツを喰えば……) そうだ。そうすればよい。そうすれば不安は何もなくなる。何も怖がる必要はなくなってしまう。 何よりも、ここはそういう場所なのだ。不死者は不死者でしか殺せない。ならば、どこに躊躇う必要があるのか。 心と水はよく似ている。どちらも低き低き方へと自然に流れてゆく。恐れを抱いたチェスの心も低き方へと―― ◆ ◆ ◆ 「……で、キールはこれをどう思う訳?」 アレンビーはジェットとの会話が一段落すると、頭上で無関心を貫いていた喋る烏に声をかけた。 「あれ、もしかして俺に意見を求めたの? でも俺、男の声なんか全然頭の中に入ってこないからさ。アレンビーがその可愛い声でもう一度聞かせておくれよ」 はぁ……と、アレンビーは何度目になるかわからない溜息をつく。こんなにも面倒くさいのなら、いっそ無視すればと決め込みたいところだが、 今は鳥の足も借りたいところなので渋々ながら説明を繰り返した。 「ジェットさんが言っていた螺旋王の本当の目的って話。螺旋力ってのはあなたも聞いたでしょ」 「さぁてね。鳥頭って言葉があるぐらいだから、俺女の子の話以外は……」 「…………焼却炉に放り込んで焼き鳥にしちゃうわよ」 「おぉ、なんと大胆なアプローチか。不肖ながらこのキール、恋の炎にならば喜んでこの身を投げ込みましょう……」 「たまにはあんたも普通に喋りなさいよ!」 いつ終わるとも知れない一人と一羽のやり取りから離れた場所で、残りの一人であるジェットは大きく息を吐いた。 (……焼き鳥、か) そういえば、ここに来てからろくに食事をしていない。 これから長丁場になりそうなことを考えると、スパイクではないがたんぱく質の補給を期待したいところだ。 だがジェットの記憶が確かならば、自身の鞄の中に肉は入ってなかったはずだ……と。 「魚の肉も……たんぱく質だよな?」 ジェットの両眼が注視するところ、アレンビーの背中には青々とした巨大なブリが背負われていた…… ◆ ◆ ◆ 「そーだよ忘れてた!」 突然あがったの大声にチェスはびくりと身体を震わせ、ミリアも何事かとそちらを振り返った。 アイザックは二人が自分に注視していることを確認すると、今までに見せたことのないような真剣な口調でそれを口にした。 「……俺達、メシ喰ってねーじゃん」 その発言に、ミリアはまるでこの世の終わりが目の前にやってきたかのような表情を浮かべ絶叫する。 「どうしようアイザック! このままじゃあ、チェス君も私達もみんな餓死しちゃうようっ!」 涙を浮かべひしと抱きつくミリアを受け止めると、アイザックはその涙を拭いながら次の台詞を吐く。 「安心しなミリア。俺達には心強い味方がいるんだぜ」 「……それは?」 「ブリだ!」 「……アイザック。あのアレンビーさんのお友達を食べちゃうんだね」 「ああ。そうだぜミリア。そして、彼は我々の血となり肉となりて我々に宿りその御魂は延々と受け継がれるんだ」 「リサイクルだね~、循環社会だね~!」 という訳で。と、ピタリと直立するアイザックとミリア。 「じゃあ、ミリアはアレンビーさん達とブリさんをここまで呼んできてくれ。 俺はその間に、みんなで楽しく食事ができるよう見晴らしのイイ場所を探しとく。」 「OK。アイザック! みんなで野原にマットをひいて楽しいランチタイムだね♪」 言い終わるが早いか、ミリアはドレスの裾を翻し安全メットを小刻みに揺らしながらゴミ山の向こう側へと消えていってしまった。 後に残ったのは、ミリアが消えた先へ未だ爽やかな視線を送るアイザックと、呆然とし目が点になっているチェスの二人のみ。 ◆ ◆ ◆ 「じゃあさチェス君、一緒に見晴らしのいい場所を探そうか!」 そう言いながらザクザクとゴミ山を登るアイザックに、チェスは恐る恐るとついて行く。 目の前の無防備な男は一体何を考えているのか。これは罠なのではないか。そんな気持ちを心の中に渦巻かせながら。 「チェス君さー。アレンビーやあのおじさんに”偽名”を使ったんだって?」 先を行く男から何気なくかけられたその言葉に、チェスの身中にある小さな心臓がドクンと大きな音を立てた。 まるで、その音が外に漏れ聞こえてしまうのが心配だという風に、チェスはその手をそこに当てる。 見上げた先、振り向いた男の表情は日の光が逆光になっているため見ることはできない。 だが、チェスには男が自分を見下ろして薄笑いを浮かべているんじゃないかと思えた。 ――よ~くわかるよ。怖いもんな、俺だって泥……ウ…………時ハ………… ドクンドクンとまるで自分の身体がひとつの心臓となったかと思うぐらいに、その音は響き、身体を揺らす。 ――だ……ら、チェス君も………………………………だロ…………? ドクンドクンと一つ音を打つたび、身体が恐怖に引き絞られる。まるで見えない蛇が音を打つたびに絡み付いてくる様に。 ――で…………「安心」…………ヨ。…………で、……………………「喰ったら」………………って! 身体を縛り付けていたのは恐怖という感情だったが、それを解放したのはそれよりも強い恐怖だった。 「うわああああああああああああああああああ――――っ!」 ゴミ山の上に蕩う濁った空気を切り裂くような絶叫を上げ、まるで手負いの獣かと思えるような様でチェスは突進した。 足場も悪く、チェスは短躯なために速さはそれほどでもない。だが、眼前へと迫る彼の気迫にアイザックは動くことができなかった。 いつの間にかに抜き出されていた短剣を前に構え、弾丸となったチェスはそのままアイザックへとぶつかり――押し倒した。 グシャリと音を立ててゴミの中に埋まったアイザックの上を這い、チェスは彼の頭へと短い右手を伸ばす。 その手がそこに届いた次の瞬間、それは始まった―― 張り付いたチェスの右手から中身を吸い出されているかの様に、アイザックの身体が萎み始める。 最初は手や足の末端部分から、血が肉が骨が吸い取られ残された皮膚が乾いた紙の様にくしゃくしゃになる。 そして中身が吸われた後、残された皮膚も同じ様に右手の中へと吸い取られた。 髪の毛の一本、歯の一本、爪の一枚、何一つ残さずにアイザックという存在をその中へと吸い込んで「喰った」。 その場に残ったのは彼が身に纏っていた衣服と荷物。そして、彼の名前が刻まれた首輪が一つだけだった。 だが、アイザックがここにいたという証であるその首輪も、持ち主が居なくなると重力に従いゴミ山を転がり落ち、何処かへと姿を消した。 そして、残された人間は孤独な不死者であるチェスワフ・メイエルが一人。 彼は思っていた。自身は最悪の存在であると。この世で最も汚い物の一つだと。だから、もうどの様な悪行を尽くしても変わらぬと。 だが、信じていた己の最悪よりもまだ邪悪で汚らわしい存在があるということを今此処で彼は知った。 「――――――――――――――――――――――――――!」 自身の魂を内側から切り裂くような無音の絶叫を上げ、チェスワフ・メイエルはただ独り……逃げた。 ◆ ◆ ◆ 「アイザックー! どこにいるのー?」 広大なゴミ山の片隅に、もうこの世には存在しない男を呼ぶ声が木霊していた。 「早く出てこないと、先に食べちゃうよー」 そんなことは今までで一度もなかった。出会ってからはいつもアイザックは彼女の傍に居続けたのだから。 「チェス君? アイザック? どこに隠れているのー?」 綺麗なストレートの金髪をなびかせる彼女の足元で、何かがキラリと陽光を反射していた…… 【E-4/ゴミ処分場・ゴミ山の上/1日目-昼】 【ミリア・ハーヴェント@BACCANO バッカーノ!】 [状態]:健康 [装備]:安全メット、スコップ、珠洲城遥の腕章@舞-HiME [道具]:デイバック、支給品一式、拡声器、ガラクタ(未識別)×1~3 [思考] 基本:アイザックと一緒♪ 1:アイザックとチェス君を探してみんなと一緒にランチを食べる 2:ランチが終わったらゴミ山探索の続き、螺旋王を探す 3:ジャグジー、剣持、明智、高遠、ドモン、清麿、ジンを探す 4:パーティー楽しみだねアイザック! みんなでやればもっと楽しそう! あとでカフカたちと合流しようか? [備考] ※可符香とアイザックの話を全面的に信用しています ※殺し合いの意味を完全に勘違いしています(アイザックに課せられた試練で、終了条件は全員に手品で殺される事) ※アイザックはポロロッカ星の王子で、螺旋王は彼の父親。それを記憶喪失で忘れていたと思い込んでいます ※この世界は死ねば元の世界に帰還。生き残ればポロロッカへご招待されると勘違いしています ※少なくとも「悲恋湖伝説」「雪夜叉伝説」「瞬間消失の謎」については把握済み。(金田一の事件簿) ※可符香、金田一、アレンビー、キール、ジェットと情報交換をしました 【ジェット・ブラック@カウボーイビバップ】 [状態]:健康、空腹 [装備]:コルトガバメント(残弾:6/7発) [道具]:デイバック、支給品一式(ランダムアイテム0~1つ 本人確認済み) テッカマンブレードのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日- [思考] 基本:情報を集め、この場から脱出する 1:チェスとアイザックを探してブリを食べる 2:情報を集めるために各施設を訪れる。(とりあえず今はゴミ処理場の探索) 3:カフカという少女を探し出しポロロッカについて尋ねてみる 4:出会えればティアナを保護 5:謎の爆弾魔(ニコラス)を警戒 6:仲間(スパイク、エド)が心配 7:明日の正午以降に博物館に戻ってくる [備考] ※テッカマンのことをパワードスーツだと思い込んでいます ※ティアナについては、名前を聞き出したのみ。その他プロフィールについては知りません ※チェス、アレンビー、アイザック&ミリア、キールと情報交換をしました ※監視、盗聴されている可能性に気づきました しかし、それは何処にでもその可能性があると考えているだけで、首輪に盗聴器があるという考えには至っていません 【アレンビー・ビアズリー@機動武闘伝Gガンダム】 [状態]:健康 [装備]:ブリ@金色のガッシュベル!!(鮮度:生きてる) [道具]:デイバック、支給品一式、爆弾生物ポルヴォーラ@王ドロボウJING、注射器と各種薬剤 [思考] 1:ミリアと一緒にアイザックとチェスを探し、その後みんなでブリを食べる 2:ポロロッカのことについては、もう一度考え直したい 3:豪華客船へとゲームに乗っていない人間を集める(高遠の伝言) 4:悪いヤツは倒す! (悪くなくとも強い人ならばファイトもしてみたい……) [備考] ※キールロワイアルのアレンビーver.「ノーベルロワイアル」を習得 ※参加者名簿はまだ確認していない ※シュバルツ、東方不敗はすでに亡くなっている人として認識している ※ガッシュ、キール、剣持、アイザック&ミリア、ジェットと情報交換をしました ※高遠を信用できそうな人物と認識しています 【キール@王ドロボウJING】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:デイバック、支給品一式、ジンの仕込みナイフ@王ドロボウJING [思考] 基本:可愛い女の子についてゆく(現在はアレンビー) 1:居なくなった男二人を適当に探し、アレンビーと優雅なランチを楽しむ 2:他のことは……まぁ、あんまりどうでもいい 3:女性は口説く! 野郎? 別に興味ない [備考] ※参加者名簿はまだ確認していない ※ガッシュ、キール、剣持、アイザック&ミリア、ジェットと情報交換をしました ※高遠を信用できそうな人物と認識しています ※アイザックの遺品がゴミ山の中に放置されています デイバック、支給品一式、賢者の石@鋼の錬金術師 カウボーイ風の服とハット、アイザックのパンツ、アイザックの首輪 アイザックの掘り当てたガラクタ(未識別)×1~3 ※アイザック&ミリアがゴミ山から掘り出したガラクタは多分ただのガラクタです ◆ ◆ ◆ チェスはただ闇雲に走り続けていた。その小さな身体で。何かに追われる様に。何かから逃げる様に。 バクバクと心臓が激しい収縮を繰り返し、全身から汗が噴出し、身体中の筋肉が悲鳴を上げている。 彼は不死者である。歳はとらないし、身体が傷ついてもそれは瞬く間に元通りとなる。 だが、それはあくまでそうであるというだけのことであって、常時の肉体の働きは普通の人間と変わりはない。 疲労が限界を超え筋肉の断絶が起きた時になって、やっと悪魔の定めたルールに基づいて肉体は修復を開始する。 走りながら何度もそれを繰り返したチェスの身体が、糸の切れた操り人形の様にアスファルトへと叩きつけられた。 全身の修復箇所が身体を動かすのに必要な分を超えたからだ。それが修復されるまでの間、チェスは物の様にそこへ横たわる。 冷たい地面に触れて、乱れていたチェスの思考が少しずつ戻ってくる。狂ったままなら楽だったろうにと思っても、否応無しに…… 不死者が不死者を喰うということは、ただその片方に死を齎すという事だけではない。 喰った方が喰われた方の全てを得るということだ。脳の中の記憶だけでなく、身体の覚えた技術、体術までをもだ。 その人間の人生を受け継ぐといっても変わりはない。 そしてチェスは知った。アイザックが――愚かで、無自覚で、それでいて、とても善良な人間であることを。 彼は自身が不死者であることにすら気付いていなかった。それ故に記憶を探ってもどうして彼が不死者だったのかは解らない。 そう――だから、彼が自分を喰らおうとしているということなどは、全て卑小で愚かな自分の妄信だったのだ。 自身の記憶と同じ様に、近い記憶ほど鮮明に読み取れる。彼の最後の記憶は――「これも手品か」――だった。 その愚かさに、チェスの両目から涙が溢れた。とめどなく流れ、筋をつくり、地面にそれは溜まった。 最初に人を「喰った」のはフェルメートという男で、彼は同じ錬金術師であり、保護者であり、また自身を虐げる者であった。 「喰った」のは自衛のためであったが、直後にそうしたことを後悔した。 フェルメートの中にあったモノは己に向けられていた歪んだドス黒い欲望ばかりで、 それは己の中に元よりあった彼を恐れる気持ちと同居し、その身体を裏返しにして吐き出したくなる様な汚く重い膿を心の中に生み出した。 虐げる者と虐げられる者が同居するという、誰にも見られたくない汚らわしい自分。 それを誰にも見られたくなかった小さなチェスは、いつしか自分以外の全ての不死者を喰らおうとまでに思いつめていた。 そして、そんな自分が最悪のものであるという自覚はあったのに―― 穢れていないもの。真っ白なもの。無垢なもの。それらを踏み躙り、己の中に取り込んでしまうことのなんと悲しいことか。 真っ白なものが世界から失われ、自身の中で汚物に侵され黒ずんでいくことのなんと悲しいことか。 身体が再生を終え立てるようになっても、チェスはまだ横になったまま泣いていた。 ――ただただ、アイザックがこの世からいなくなったことを嘆いて泣いていた。 【アイザック・ディアン@BACCANO バッカーノ! 死亡】 【D-3/市街地/1日目-昼(放送直前)】 【チェスワフ・メイエル@BACCANO バッカーノ!】 [状態]:健康 [装備]:アゾット剣@Fate/stay night [道具]:デイバック、支給品一式、薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等) [思考] 基本:最後の一人になる。または、何らかの方法で脱出する 0:ミリア達とは会いたくない 1:………………………… [備考] ※アイザック・ディアンを「喰って」その知識や技能を得ました ※ミリアが不死者であることには気付いていません ※なつきにはドモン・カッシュと名乗っています ※不死者に対する制限(致命傷を負ったら絶命する)には気付いていません ※チェスが目撃したのはシモンの死に泣く舞衣のみ。ウルフウッドの姿は確認していません ※ジェット、アイザック&ミリア、アレンビー、キールと情報交換をしました ※監視、盗聴されている可能性を教えられました。 ※無意識の内に急激に進化する文明の利器に惹かれつつあります。 時系列順で読む Back 突っ走る女たち Next 奪え、全て、その手で 投下順で読む Back 突っ走る女たち Next 奪え、全て、その手で 149 螺旋博物館Ⅱ チェスワフ・メイエル 166 これより先怪物領域 149 螺旋博物館Ⅱ ジェット・ブラック 166 これより先怪物領域 126 POROROCCANO! -ポロロッカーノ- アイザック・ディアン 126 POROROCCANO! -ポロロッカーノ- ミリア・ハーヴェント 166 これより先怪物領域 126 POROROCCANO! -ポロロッカーノ- アレンビー・ビアズリー 166 これより先怪物領域 126 POROROCCANO! -ポロロッカーノ- キール 166 これより先怪物領域
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オハヨ○サンシャイン/ハロー*ランチタイム/グッナイ☆スターズ オハヨ○サンシャイン/ハロー*ランチタイム/グッナイ☆スターズ アーティスト 765PRO ALLSTARS 発売日 2014年5月28日 レーベル メディアファクトリー デイリー最高順位 7位(2014年5月29日) 週間最高順位 12位(2014年6月3日) 月間最高順位 39位(2014年5月) 年間最高順位 305位(2014年) 初動売上 3029 累計売上 4237 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 オハヨ○サンシャイン ぷちます! ED 2 ハロー*ランチタイム 3 グッナイ☆スターズ 4 オハロナイ○*☆ ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 6/3 12 新 3029 3029 2014年5月 39 新 3029 3029 2 6/10 ↓ 608 3637 3 6/17 304 3941 4 6/24 296 4237 2014年6月 ↓ 1208 4237 ぷちます! ED 前作第1期 次作 Maybe TOMORROW オハヨ○サンシャインハロー*ランチタイムグッナイ☆スターズ 関連CD ら♪ら♪ら♪わんだぁらんど PETIT IDOLM@STER Twelve Campaigns! Vol.1 高槻やよい+水瀬伊織 M@STERPIECE ラムネ色 青春 THE IDOLM@STER キャラソンシリーズ
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新宿西口のおすすめ飯処リスト 居酒屋「かあさん」場所は新宿西口リンガーハットのあるビルの三階。夜になるとよくおばちゃんが手作り感溢れるサービスビラを配っている姿が見られる。 さくら水産500円で2種類の定食を選べる。ご飯、味噌汁、卵、味付け海苔が食べ放題。沢山食べたいのならここだが…。
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「や・・・やめろっ!強引にこじ開けるな! そこは、私の大切な・・・!!」 「うるせぇな・・・よく見ないとわかんねぇだろうが。 オレだってこういうのは初めてなんだよ!」 「いやぁあああああ!!」 プシューーーッ・・・ガコン。 重い金属音と共に、ひしゃげたハッチがどうにか開く。 「まぁ・・・うん、予想はちょい外しちまったな。 腰椎フレームが丸ごとオシャカだ」 ジャンク屋の勘を頼りになるべく急所を外して 機能停止を狙ったつもりだったが、 封鎖機構製ACなどという変わり種が相手では 流石のヴァッシュも構造を把握しきれなかった。 「くっ、ルビコニアンから情けをかけられるなど、 これ以上ない屈辱だ・・・辱めを与えようというのなら、 せめて私自身にしろ!(脱)」 「・・・コーラルのキメすぎじゃねぇのか??」 荒野をゆくカーゴトレーラーに回収された執行機、アリオーン。 これ以上ない格別の収穫を得てウキウキ・・・とはいかなかった。 「レディ・アシュリー。君が危惧する事態は起こらない。 物理的に条件が整っていないからな」 「ヴィル?・・・余計なことは喋んな」 最大の懸念事項はそう、機体のおまけで拾った執行機の搭乗者。 『ミセリコルデ』アシュリー、などと大層な二つ名持ちのようだが、 このルビコンで『慈悲』なんぞ振り翳していては いかな腕利きでも早晩に荒野に蹲る残骸に成り果てていただろう。 「ん?なんだ、君はもしかして女性なのか?これは失敬した。 いや、昨今性別など大した問題ではないか。 や、やはり貴様・・・///この下種め、ひと思いに殺せ!!」 なんというか・・・こう、浮世離れしている。 試作機のテストパイロットといえば聞こえはいいが、 要は実戦に出すにはおつむがお花畑だっただけではないのか。 いいとこのお嬢様かと思わせる雰囲気からして、 あまり粗略に扱っては後々自分のためにもなりそうにない。 何度目かのため息と共に、アシュリーへまとめた荷物を投げて寄越す。 「脱いだついでだ。それに着替えとけ。 流石に封鎖機構のパイロットスーツじゃ出歩けねぇ」 受け取ったジャケットとヴァッシュの顔を交互に見遣り、 アシュリーは戸惑いを隠せない。 「・・・どこに行くつもりだ?」 「さすがにこのトレーラーの物資だけじゃ修理しきれねぇからな。 ちょうど荷捌きに大豊文化圏に寄るから、そこで買い足しだ」 ─── 「ほう!ルビコニアンの街といっても別に 街灯がコーラル色で光ったりはしていないのだな。 昔父上に連れて行ってもらった中華街を思い出す街並みだ。 おい、ミールワームとやらの本物を見てみたいのだが、 どこで飼っているんだ?」 「そんなモンここにはいねぇよ! オマエ、立場わかってんのか!?」 揃いのジャケット姿で並んで歩くヴァッシュとアシュリー。 傍から見れば二人組のよくいるジャンク屋・・・ にしては相方が些か浮いているか。 初めて見る風景に瞳を輝かせるアシュリーは 本当に自分の7つ上かと疑いたくなるほど危なっかしく、 今もふらふらと「風水薬房」と大書された けばけばしい電光看板に引き寄せられている。 「そっちじゃねぇ!・・・おいおい、この店。 こっちに逃げ込んでやがったのかよ・・・」 「う〜ん、なんだ?この匂いは・・・む。思い出したぞ! 角煮まんだな!それに中華風フレンチトースト! なぁ、ヴァッシュ。どうせこの後長くなるんだろう? そろそろ・・・」 くいくい、と裾を引くアシュリーの物言いたいたげな視線を わざとらしくかわしつつも、漂ってくる屋台飯の うまそうな匂いは実際抗い難い。 「・・・まぁ、確かにな。よし、軽く腹ごしらえしていくか!」 よし!と飛び出すが早いか、立ち並ぶ屋台を次々に物色し始めた アシュリーが、小柄な人影にうっかりぶつかってしまう。 「およよっ!?」 「っと、大丈夫か?おいバカ、ちったあ周りも見ろ!」 咄嗟に抱えた銀髪の少年の体の違和感に、 ヴァッシュはすぐに気がついた。 ずいぶんと年代物の義体だが、 どうやら整備そのものは行き届いている。 そして微かに漂う香水と煙草の匂い。 察するに、相応の実年齢と収入がある。 何より、背中のコネクタの感触は・・・間違いない。 「これは失礼した、少年。お詫びに何かご馳走しよう」 オレの金だろうが・・・というツッコミは敢えて堪え、 アシュリーの提案に首肯を返す。 「むぅ・・・当たられ損でもないようじゃし、まぁ良いか。 ならば・・・そうじゃな。 ここならまずは小籠包じゃ。蒸した後鉄板で焼いとるから、 底はカリカリ皮はもっちり、中から肉汁がジュワ〜〜〜! どうじゃ、御主らも」 ごくり、と生唾を飲み込むアシュリーには、 敢えて確認を取るまでもないだろう。 「そうだな。じゃあ爺さんと俺たちの分で三人前だ」 一見少年とも少女ともつかず、しかして実態は老爺と 思しいなんとも不可思議な人物は、白毛と名乗った。 「むぐ・・・じゅる・・・ハフハフ・・・ うん、甘味噌も捨て難いがやはり胡麻辣油がマストじゃな。 で?フレームの修復資材じゃったか」 「ああ、爺さん、AC乗りだろ?ちょいとここらで この・・・コレだ。高張力合金の複合素材なんだよ、 どこかで扱ってねぇか?」 次の一つを箸に摘んだまま、白毛が ヴァッシュの差し出した端末を覗き込む。 うん、酒の匂いもするな。・・・まだ昼間だぞ? 「ははぁ・・・なるほど・・・うん、わからん! いい加減歳じゃからな、忘れちまったのう」 「なんだよ!思わせぶりだなオイ!」 「・・・じゃが、世話んなっとる業者がおるでな、連絡してみよう。 鋼材なんかならスージーの奴が詳しいんじゃないかのう」 ガクッと脱力させられたヴァッシュが即座に顔を上げる。 弄ばれているのか、あるいは天然なのか。 「ありがてぇ、頼むぜ。 おっ、そーだ爺さん。ついでっちゃナンだが うちの品揃えも見ていけよ、まけとくぜ? ほら、コレなんか入荷したばっかの新商品だぜ。 他では取り扱ってない超レアモノでござ〜〜〜い!!」 「ふむ・・・パンドラズ・ボックス。 聞いたことのないブランド名じゃのう・・・ ふんふん?おお??よう分からんがこの、 じょうしょうすいりょく?10800?? こんな数字じゃったかのう・・・?」 「おお!そこに気付いたかぁ爺さん、さすがにAC乗りだな! 分かるだろ〜この破格のスペック!」 『QBリロード保証重量51400』 『保証重量を超過しての使用の場合、ジェネレータの EN供給途絶の際には発火、爆発の恐れがございます』 との表記を端末を抱えた掌で巧みに隠しつつ。 どうやら仕留められそうなカモを前に 内心舌なめずりするヴァッシュだったが・・・ 「ま、儂はアセンブルはやらんから買えんのじゃがの」 「ハナから冷やかしかよオイィ!!」 ともあれ、有益な情報を得たヴァッシュとアシュリーは 風変わりな相席者との昼餉を有意義に愉しむことができた。 まあ、ヴァッシュの分の小籠包は アシュリーが綺麗に平らげていたのだが。 関連項目 ヴァスティアン・ヴァッシュ 『ミセリコルデ』アシュリー 白毛 投稿者 堕魅闇666世
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久々に来たな神礼装。速攻限凸したわ。さらば英霊肖像 - 名無しさん 2016-10-06 23 24 32 絆最高率のフリクエ半減ん時のAP1冬木とかで考えたら英霊肖像の方がいいけどな - 名無しさん 2016-10-07 01 32 40 両方使えばええんやで - 名無しさん 2016-10-07 21 24 38 まあサポにつける意味はなくなったけど、自分で使うからお役御免ではないな。むしろ増やしてほしい - 名無しさん 2016-10-08 17 22 44 両方出してもええんやで。骨がログボ化したとは言えまだまだ冬木周回の需要は高いのだし - 名無しさん 2016-10-10 18 59 07 またマナプリ5000個かぁ・・・きついなぁ - 名無しさん 2016-10-07 01 50 08 ボックスガチャ70周程して出た銀種火も入手したフレポから出た銀種火に星3礼装に余り星3鯖もみんなマナプリ化したら6000以上は稼げたからヘーキヘーキ(白目) - 名無しさん 2016-10-10 18 57 51 凸ランチは人権。と言われる未来が視えますぞ - 名無しさん 2016-10-08 17 26 01 これってフレと合わせて重複する? - 名無しさん 2016-10-11 20 48 05 フレの10%+自前の10%で20%upしたよ - 名無しさん 2016-11-15 20 59 03 一部の幕間とかで絆1500ぐらい入るの超うめぇ - 名無しさん 2016-10-12 14 31 02 やっと限凸したけど、ヘラの雪の城まで道のり長いな… - 名無しさん 2016-10-30 23 16 44 馬鹿みたいにポイント必要だからね。こっちもジャックで残り40万・・・桁1つ減らして欲しい。 - 名無しさん 2016-11-06 11 03 03 まあ途中石が貰えるだけでも限凸させる価値がある。 - 名無しさん 2016-11-07 12 26 45 モナ・リザはマナプリ7000必要だったみたいですけど、ランチタイムは5000なんですか? - 名無しさん 2016-11-18 17 30 42 ショップ見れば分かるが1000で5回。モナリザのときは1000,1200,1400,1600,1800で1回ずつだった - 名無しさん 2016-11-18 17 55 28 凸ランチ人権の時代がきたか - 名無しさん 2016-12-06 22 40 40 これ持ってないのと持ってるのじゃ、絆レベの上がり具合で全然違うな。モナリザ以来の限凸超推奨 - 名無しさん 2016-12-07 16 10 39 あと三枚が遠いなぁ・・・ - 名無しさん 2016-12-10 10 12 48 第七章で自前とフレの使ってると絆ポイントの入りがすごい - 名無しさん 2016-12-12 11 19 05 あと400個。もう少し…もう少し… - 名無しさん 2016-12-12 22 42 02 凸ランチと旅あるけど孔明とlv100邪ンヌにそれぞれどっちつければいいの? - 名無しさん 2016-12-17 04 57 13 個人的には孔明についてた方が嬉しいかな。邪ンヌは相撲やら晩餐やら冒険やら付けて欲しい - 名無しさん 2016-12-17 09 12 08 100ジャンヌあるならそっちで。キャラは正直なんでも良いんだがイベント時以外はオール枠のレベル100に付いてると見つけやすくて助かる。 - 名無しさん 2016-12-17 09 24 45 スマン100ジャンヌに凸ランチね。あと英霊肖像もあるなら誰でもいいので付けておけば獲得絆Pが少ないクエの時に選びたいので付けておくと良いと思います。 - 名無しさん 2016-12-17 09 28 38 周回でこれを装備することが多いからレベル上げしたほうがいいかな?ステータスあがるし - 名無しさん 2016-12-21 12 35 44 余裕があれば、ってところじゃない? 正直相撲とか、カレスコとかの超汎用礼装育てるのが先な気はする - 名無しさん 2016-12-21 12 44 16 これ付けて周回するのってイベント以外だし、イベント以外で周回する時って最初3~4人で終わるから一番後ろにでもつけておけばいいし、育成いらなくね? - 名無しさん 2016-12-21 13 13 02 利点はソートした時にどこにあるのか分かりやすくなる、くらいじゃないかな。 - 名無しさん 2016-12-21 14 32 17 実際問題としては俺はそれが便利で大きいのでレベル上げてる。良く使う礼装は上げておきたい。 - 名無しさん 2016-12-23 02 50 57 これ期間限定だった意味わからん。復刻しろよ - 名無しさん 2017-03-09 19 52 50 12月以前にやってなかったならご愁傷様としか。やってて取ってないなら自業自得だけど。その内モナ・リザみたいにレアプリ復刻されるでしょうよ - 名無しさん 2017-03-09 20 29 29 まぁこういう便利?礼装系ってレアプリ交換で置いといていいと思うけどね。 - 名無しさん 2017-03-10 23 48 59 復刻より効果同じで新しい礼装の方がいいわ。 - 名無しさん 2017-03-11 00 01 10 それだと自前で複数使用できちゃうでしょ - 名無しさん 2017-03-29 11 09 12 何か問題が…? - 名無しさん 2017-03-31 23 10 01 大アリ。なんだ?お前は最大30%+50出来ても何も問題無いとでも? - 名無しさん 2017-04-02 09 06 20 それで誰に何の問題が……? - 名無しさん 2017-04-02 09 56 48 運営への忖度以外何も問題は思いつかないなぁ。 - 名無しさん 2017-04-02 14 07 16 寧ろ絆礼装にPTメンバーに対する絆Pアップとか付けて、重ねたら100%アップ、200%アップとドンドン増やしてもいいのよ? - 名無しさん 2017-04-03 03 49 16 むしろ10%なんてのが元々かなりケチ臭いしなぁ - 名無しさん 2017-04-03 04 14 39 コイツ最高にソルト - 名無しさん 2017-09-30 13 21 43 復刻は今日の発表見るからに秋ごろに復刻するんだろうなぁ - 名無しさん 2017-03-26 23 20 12 復刻しなくていいわ、どうせ交換した人は貰えない使用になるだろうし - 名無しさん 2017-03-29 11 21 38 ケチくさいなぁ - 名無しさん 2017-04-03 10 44 52 遠巻きに他人の不幸を願うあぁ私は悲しい - 名無しさん 2017-05-12 09 48 26 凸ランチのせいでアーラシュ使えなくなった、訴訟(きそ) この礼装、鯖の寿命縮めるな - 名無しさん 2017-07-27 14 29 26 10%しか変わらないんだし絆10だから使わんって人はランチあろうがなかろうが遅かれ早かれ同じことになる運命でしょうよ - 名無しさん 2017-08-08 16 03 31 そもそも絆10だから使わないという発想がよく分からない。全キャラ絆MAXでも目指してるの? 大した意味も無いのに - 名無しさん 2017-10-18 02 28 10 復刻はいつですか・・・?(小声) - 名無しさん 2017-09-04 14 33 55 マナプリ1万以上溜まったから復刻はよ - 名無しさん 2017-09-11 16 11 10 1000万でも復刻こないのか… - 名無しさん 2017-09-21 00 29 53 復刻しろという外圧には屈しない塩みたいな意思を感じる - 名無しさん 2017-09-30 07 08 21 どう見ても実装順にレアプリに入れてってるだけ、レッスンが復刻したばかりなんだし期間は空くだろ 塩頭になってるのはそっちじゃないのか? - 名無しさん 2017-09-30 10 45 31 所長復刻したばかりだろ 順番くらい待て - 名無しさん 2017-09-30 13 08 50 年末民にもそろそろ人権下さい!(半ギレ - 名無しさん 2017-09-30 12 19 26 年1回復刻のペースなんだから復刻終わったばかりの年度末に始めたお前が悪いだけでは。 - 名無しさん 2017-10-18 02 29 21 まさかのマーリン復刻で古参様びびってるぅー。ランチ復刻に震えろ - 名無しさん 2017-10-25 12 00 50 12月〜1月までには来るだろうね - 名無しさん 2017-11-05 16 40 54 絆10なんてちまちま上げるものだからそこまでいらなくね? - 名無しさん 2017-11-05 16 46 07 普通にプレイしてるだけだと引退までに一人も絆MAXにならんよ - 名無しさん 2017-11-10 18 05 39 ついに復刻したな - 名無しさん 2017-11-22 18 40 22 復刻したことで人権礼装扱いになりそうやね - 名無しさん 2017-11-22 20 53 57 未凸ランチテロは聖伐の対象になりますねぇ... - 名無しさん 2017-12-08 09 34 19 マナプリ5000個集まったからレアプリ1個作って無事交換出来た、終局楽にするために頑張るぞー - 名無しさん (2018-09-29 19 02 35)
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2020年9月30日 出題者:従業員よっしー タイトル:ランチタイムの悲劇 【問題】 出かけたタカフミは、足りなかったために笑ってしまった。 一体どういうことだろう? 【解説】 + ... 友達と山登りに出掛けたタカフミ。 普段運動しないタカフミは、なんとか山頂まで登ったのだが、 運動不足で脚の筋肉が足りないタカフミは、降りるときに膝が笑ってしまい、 なかなか降りることができなかったのである。 配信日に戻る 前の問題 次の問題
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TDR(東京ディズニーリゾート)では園内で弁当を広げてはいかんと いうことになっている。それはひとつには、「園内でおにぎりなんかパクつかれたら 雰囲気ぶちこわし」ってことだろう。従業員をキャスト、来場者をゲストと 呼ぶセンス、清掃要員さえ真っ白なコスチュームを着せてあくまで ゲストをもてなすための一要素として活用しようとするポリシーから すれば無理もない。また、一方では、「園内で食べ物を買ってもらうのも 入場料のうち」ってこともあるだろうな。なにせ、パスポートを買ってしまえば 基本的にアトラクションは無料で乗り放題だ。後は食費やお土産代で稼ぐしか無い。 とはいっても、標準的な一家4人の家族にとっては4人分のパスポート代だけだって 馬鹿にならない出費なわけで、弁当完全禁止ってのもリアルな選択肢とはいえない。 で、園外の入口そばにこんな「お弁当エリア」が設定されているわけだ。 俺はと言えば、朝比奈さんが腕によりをかけて作ってくれた弁当を食べて 幸せの極致だ。朝比奈さんが笑いながら「ハイ」って言いながら、 コップにお茶をついでくれる瞬間は本当に癒される。 あとこれから、何回死ななくてはいけないかも解らない身の俺としては 本当に心休まる一時だ。 「このままではまずい」 「どういうことでしょうか?」 「わたしの計算では、彼はあと20回ほど死亡を経験する」 「それは随分と多いですね。アトラクションの数はそんなに無いと思いますが」 「死亡は1アトラクションあたり1回とは限らない」 「それはお気の毒としか言いようがありませんね」 「肉体的な損傷は無くても、精神的なダメージは大きい。 有機生命体の精神は一生の間に複数回の死亡を経験することを 想定して作られてはいない。短時間に10回以上の死亡を経験した ばあいのダメージは予測不能」 「彼はどうなるのですか?」 「有機的な情報処理システムに回復不能のダメージをうける可能性がある」 「と言われますと?」 「通俗的な言い方では精神に異常をきたすおそれがある」 「....。もともと、今回のプランはあなたが設計したものではありませんか?」 「彼の死亡回数の計算を誤った」 「それはまた、なぜですか?」 「涼宮ハルヒがこれほど多数回、彼の死亡を望むとは予測できなかった」 「彼の死亡は涼宮さんが望んだことだと」 「そう」 「なんでまた?」 「理由は不明。推測は可能」 「お聞きしたいですね」 「これは、普段の彼の煮え切らない言動に対する涼宮ハルヒの不満が実体化したもの」 「なるほど。あの鈍感男に対するはらいせ、ということになりますか?」 「通俗的な言語ではそうなる」 「つまり、彼が煮え切らない態度を改めれば、彼の死亡回数は減少すると」 「そう」 「では、その様なアドバイスを彼になされればいいのはありませんか?」 「その解決方法には問題がある」 「どのような?」 「彼が煮え切らない態度を改めて涼宮ハルヒを受け入れることを、私という 個体が望んでいない」 「....。で、御自分では言えないので僕に言えと」 「そう」 「なんだと!」 僕が彼に事情を説明すると、彼は激しい拒否反応を示した。 「そんなことできるか」 「選択権はあなたにありますが、御自分の身を守るためには必要な ことではないかと」 「具体的にどうしろっていうんだ」 「あちらの世界で告白して頂ければいいと思います」 「そんなことはできん」 「所詮は、向こうの世界の話です。彼女の異世界創造能力は 急激に上昇しています。カリブの海賊では涼宮さんは、本来、 アトラクションに存在しないジャックスパロウまでつくり出しました。 これは今までに無い傾向です」 「何が言いたい?」 「つまり、あなたの死亡シーンもよりリアル度を増すことが予想されます」 「....」 「一方で、涼宮さんはあれほど現実的な異世界を作りながら、 それがアトラクション内部のできごとであることに異常なまでに 固執しています。ある意味では閉鎖空間でのできごとは「現実」な わけですが、彼女は無意識のうちのあれが「現実」であることを断固、 拒否しています」 「だから?」 「要するにですね、あっちの世界であなたが彼女にコクッたところで、 それは彼女にとってはアトラクション内の出来事に過ぎないと解釈される だろうということです。こっちの世界に戻って来たときには尾をひかない 可能性は高いです。涼宮さんは、あの世界であなたと楽しい時をすごすことを 切望してアトラクションのコンセプトを実体化している。しかし、あなたが 彼女が期待する役柄を充分に演じてくれないためにストレスが溜っています。 で、自分の期待どおり行動するキャラクター(カリブの海賊のジャックスパロウ のことですが)を生成した」 「いいじゃないか。俺はお払い箱ってことだろう」 「しかし、結局、涼宮さんはスパロウとの世界より、あなたとのこの世界を 選択したのですよ。代役は代役に過ぎません。やはり、本命が活躍して頂かないと」 「気持ち悪いこと言うな。誰れが本命だ」 「ここであなたが涼宮さんのことを「本当は」どう思っているかというような ことを追求するつもりはありません。所詮はアトラクションの中での話です。 彼女が望むような役をちょっと演じて差し上げればいいだけです。 簡単じゃないですか?」 「断る」 「なぜでしょう?あなたは前回、その様な役をみごと演じきったではありませんか。 おかげでこの世界は救われた。今度は御自分のためです。それともあれは『演技』 ではなかったんですか?」 「うるさい!」 古泉の馬鹿がへんなこといったおかげで、安らぎの時間の安らぎの時間たる 属性はすっかり失われてしまった。次のアトラクションでおれはどう振る舞えば いいんだ?全く何もかもお前のせいなんだぞ、ハルヒ。お前は何を考えている? 本当のお前の望みってなんなんだ?教えてくれ。 第八章
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リノウリムの張られた静かな廊下に、パタリパタリと足音だけが響いている。 どこであっても似た印象を与える病院の中。そこを一人の少女が物憂げに歩いていた。 少女の名前はクールなロリスキー。 看護婦の格好をしているが、決してそうではない。 よく見れば、いやよく見なくとも、それが一般的な看護婦の衣装――ナース服とは違うことが分かる。 薄く柔らかい生地は身体のラインを際立たせ、通常よりも遥かに短い裾は男の視線を誘う。 そう。彼女が着ているナース服はコスチュームプレイ用。 つまりはこの病院の制服ではなく、あの妙に品揃えのよいアダルトショップで調達したものだった。 何故彼女は数ある衣装の中からこれを選んだか……、それは別に説明する必要もないだろう。 ともかくとして彼女は一人俯き歩いている。 その手の中には輸血用の血液パック――彼女の昼食が一つ。 吸血鬼となり人の理を捨てた存在にとって、今まで摂ってきた人の食事はもう栄養にはならない。 夜族の身を潤し、力を与えるのは人間の血液のみ。 だから彼女はコレを飲まなければならない。飲まなければ滅んでしまう。しかし、それでも……。 「………………はぁ」 飲めないでいた。 人として生きて来た間に育んできた常識。化物の理に対する禁忌感が、彼女の決断を押し止めている。 溜息の中には飢えという感情も含まれていた。ただしそれは人間のではなく、吸血鬼の――所謂『渇き』と呼ばれるもの。 人間の空腹よりも遥かに焦燥感を募らせる渇き。 自分の中に持ち上がる感情に、彼女も理性では血を飲むべきだと解ってはいるのだが……。 「…………はぁ」 何度目かの溜息。冷たく、そして熱くもある溜息。 吸血鬼の身体の内側に篭る、血液を欲するという感情が押し出されてできた溜息。 しだいにそれは頻度を増し、溜息から荒い吐息へと変化してゆく。 「……はぁ、はぁ。…………っ、はぁ、はぁ」 飲めば楽になる。飲めば楽になる。所詮はただの血だ。もう誰のものでもない血。飲めば楽になる。 何も遠慮することなんかない。飲めば楽になる。誰も傷つけない。パックのジュースと変わらない……これを飲めば……。 ◆ ◆ ◆ 息を荒げ、震える足で廊下を彷徨っている若輩の吸血姫。 その姿を発見したのは、彼女のマスターであり、彼女を夜の道へと引きずり込んだ張本人であった。 「やぁ、かがみん☆ …………大丈夫?」 血色のドールドレス――真紅の格好をした泉こなた。その姿をとる地球破壊爆弾No.V-7。 彼女(それとも彼?)の姿を確認して、憂鬱げだったロリスキーの顔が明るくなる。 「それはこっちの台詞よ。……こなたこそ、もう大丈夫なの?」 まぁ、大体はねー……と、こなたはドレスの上から小さなお腹をぽんと叩いた。 ここにはいないもう一人の吸血鬼ミスター・マダオ。そして、ロリスキーの分もあれば、勿論彼女の分の血も用意されていた。 吸血鬼達がランチに選んだこの病院で、彼らは人間にして大体15人分程の血液が保存されているのを発見した。 それはもうほとんど残ってはいない。枯れかけていた地球破壊爆弾がほとんどを飲んでしまったからだ。 ディナーを……、となると彼らはまた場所を探さなくてはならないだろう。 「かがみんは、ソレ……飲まないの?」 じゃあ貰っちゃうね☆ と、地球破壊爆弾は震えるロリスキーの手から血液パックを取ると、ちゅー……っと飲んでしまう。 あまりの勝手にロリスキーの口があんぐりと開き、そこに長い牙が見えた。 しかし、だけどまぁいいかとその口はゆっくり閉じられた。悩みの種も、モノが無くなれば解決だと。 勿論、身体の疼きはそれで消えるわけではない。しかし、葛藤がないなら我慢するだけですむと、彼女は考える。 「――じゃ、ちょっとこっちにきて!」 2000ccの血液パックを5秒ジャストで飲みきると、ロリスキーの主人は彼女の手を引っ張って近くのドアを潜った。 ◆ ◆ ◆ 縦に細長いロッカーが整列し、またその列が並ぶそこは従業員用の更衣室だった。 地球破壊爆弾は混乱するロリスキーを引っ張り、そして入り口からは見えない位置まで進むとその手を放し、 ロリスキーの正面に相対すると、真っ直ぐに立って彼女の顔を見上げる。 「なんなの、こなた? こんな場所に――」 「――血を飲んで、かがみん」 ロリスキーを見上げるこなたの顔は、普段からは考えられぬ真剣さがあった。 それに、ロリスキーの心臓が一際大きく音をたてる。 「……飲むも何も。さっきあんたが――」 「――うん。だから、……私から血を飲んで」 ここで、地球破壊爆弾はこなたの顔をいつもの軽い表情に戻す。 逆にロリスキーのかがみの顔には困惑の表情が浮かんでいた。 「こな……た、から……?」 「こんなのでも、人間の血は飲めないんでしょう?」 言いながら、地球破壊爆弾は空になった血液パックをペラペラと揺らす。 その表情はまた再び真剣なものに、そして少しだけ悲しそうな、または嬉しそうな複雑な表情を浮かべていた。 そんな彼女に、ロリスキーの口から言葉が失われる。 「私からだったら、人からってことにはならないし……。それにね、かがみんにとってお得なことも多いんだよ?」 そう言って、その『お得なこと』を地球破壊爆弾はロリスキーに説明し始めた。 「私の血――高位の吸血鬼の血を飲んだら、かがみんグッとパワーアップするよ。 今私の力が10で、かがみんが1としたら、多分5か6ぐらいにまでは強くなれると思う。 そしたら……、朝日は無理でも、曇り空や夕焼けぐらいになら平気になれると思うし……」 それに、これが重要なんだけどね。と、地球破壊爆弾は更に言葉を続ける。 「……私の血を飲めば。主人の血を飲めば、かがみんは晴れて一人の吸血姫として独立できる。 勿論、主人だからといって私はかがみんに命令とかはしないんだけど……対等になって欲しいなと思うよ。 かがみんには私の後ろじゃなくて、隣りに立っていて欲しいんだ……。 だからこれは命令じゃなくて、『お願い』――、 ――かがみん。いや、クールなロリスキーさん。私の血を吸って、ください」 自分を見上げ頬を染めて告白する主人に、ロリスキーは眩暈の様なえもいえぬ感情を覚える。 これが本当の倒錯というものであろうか? こなたがかがみに……、主人が下僕になんて…………。 「こなたの、血を……吸う…………」 いいの? と呟くロリスキーに、地球破壊爆弾はいいよ、と微笑む。 そして一つだけリクエストだよとこう言った――全部、かがみんが、して――と。 それ以降、まるで供物の様にこなたの姿をした吸血鬼は直立不動。目の前のかがみんが事を始めるのをじっと待つ。 「私、初めてだから……、どうしていいのか……。い、いたくしちゃうかも……知れないよ?」 長い間を経て出てきたそんな台詞に、地球破壊爆弾はいつもどおりの猫口ではにかむと、いいよと頷いた。 ◆ ◆ ◆ 血を吸う。血を飲む。こなたから血を飲む。地球破壊爆弾から血を飲む。血を――飲む。 思い出すのは、そう。かつて血を吸われた時の事。あの時の、あの事。脳が再生し、身体が思い出す。 思い出した身体が、その時に備えてあの時を再現する。胸が高鳴る。身体が準備を完了する。 渇きが、決して水では癒されぬ渇きが心を、身体を後押しする。目の前の少女――としかいえない者。 それを取れと、それを貪れと、血液の足りない心臓が衝動を突き上げる。 怒っている様に鼓動する心臓。ドクン、ドクンという度に、そうしろ。そうしろと、言われているみたいに感じる。 手が伸びる。自分の手のはずなのに、見ている脳はまるで他人事の様に捉えているから不思議だ。 私の手がこなたの首元のリボンの端を掴んで――引いた。シュルリと衣擦れ、カツンとブローチが床に落ちた。 目は、その落ちたブローチとリボンを追いはしない。いや、できない。そこに……釘付けで……。 縛めの解かれた襟を、真っ赤な襟を、ゆっくりと襟を開いて中を覗き見る。 染み一つなく、健康的で見ただけでその張りが想像できる――おいしそうな――肌。 私の、まだ私のものではない様に思える手が開いた襟の内側へ滑り、想像以上に滑らかだった肌に触れる。 自分の心臓の音が五月蝿くてこなたの声が聞こえない。そこに囚われてこなたの顔が見れない。 小さな掌でも、その中に十分に収まる小さな矮躯。両の掌を首にかけ、滑らせ、襟を肩から落とした。 ああ、心臓が、ドクンドクンと続きをせがんで激しくノックしている。激しすぎて目も潤む。 ドクン。こなた。ドクン。こなた。ドクンドクン。こなたこなた。ドクンドクン。こなたこなた…………。 ものすごく荒い息をしている人がいる。こなたかと思ったら、自分だった。 口を、唇を、こなたを噛む牙を、自分自身をこなたに近づけてゆく。少しずつ、ゆっくりとこなたに近づけてゆく。 目の前に広がるこなた、の首筋。とても、とても……これは何だろう? とても、いい匂いがする。 唇が、上唇も下唇もがこなたの肌に吸い付いた。想像していたよりもずっと熱い。思わず隙間より息が漏れた。 頭はずっと狂ったままなのに、身体はどうすればよいのかを知っているみたいに勝手に始めてしまう。 唇の内側を沿って唾液を落とし、舌の先を使ってそれを肌の上に馴染ませ、また唇を使ってそれを広げた。 こなたのくすぐったがる様な声が聞こえた気がする。それが嬉しくて、何度も同じ事を繰り返した。 首筋にいっぱいの唾液を垂らし、今度は舌の腹を走らせ、繰り返し唇で甘噛みし、こなたの声を聞く。 それに夢中になっている内に、両腕はこなたの背中にあり、あんなに恥ずかしかったのに自然と身体を密着させていた。 したい。ほしい。こなたがほしい。血を。飲みたい。こなたの血がほしい。飲みたい。したい。したい……。 唾液でベトベトになった肌の上に2つだけ伸びた長い牙をあてがい、少しずつ顎に力を加えてゆく。 意外だったのは思いのほか力がいったという事。でも、こなたを壊すのが怖くて私は少しずつしか力を加えれなかった。 牙が肌を破った時、形容もできない小さな音が大きく頭の中に響いて、牙はこなたの中に引きずり込まれた。 ぬるぬるとしたこなたの中を滑る牙の感触に、付け根が疼き脳の中に真っ白いものが広がってゆく。 牙を包み、奥から奥から沸いてくる温かい血が一瞬で口一杯に広がり、香りが鼻腔を抜けて痺れさせてくれる。 口の中の血は、温かくぬめりがあり、何より甘い。それがこなたの血だと思うと、私の心にあった箍は容易く外れた。 ゴプリ。ゴクリゴクリ。おいしい。もっと、欲しい。ゴクリ。あたたかい。こなたがもっとほしい。ゴクリゴクリ……。 今度はこなたの声が聞こえた。小さく、そして短い声だったけど、すごく可愛い声だと思った。 それがもっと聞きたくなって、突き立てた牙をこなたの中へと深く沈める。 今まで触れていなかった部分に触れれば、また新しい声を聞くことができた。嬉しくなり、もっと、そうする。 挿し込んだ牙が肉を掻き分ける度に聞こえてくる新しい声に、自制は効かなくなり私はこなたを蹂躙する。 気付けばこなたを壁に押し付けていた。こなたの悲鳴が聞こえた様な気がしたけど、もう止められない。 突き立てた牙をヌチャヌチャと鳴らし、血を啜ってこなたの声を引き出した。 溢れ出てくる血を溜めて、ズルルルル……と音を立てて啜り取るとこなたが大声で啼きはじめた。 楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。こなたが愛しくて、愛しくて、楽しくて、嬉しくて、止められない……。 不意に唇の端から零れた血が筋となって落ちてゆく。 目だけで追っていたそれがドレスの端につこうとした時、私の手は勝手にドレスを引き裂いていた。 もったいない。血をたかが布風情に飲ませてしまうなんて、そう思った。これは全部私のものだと思った。 無様も何も関係なく私の舌は血の筋を追いかける。 口を離せばもっと溢れることに気付けないほど、この時の私は馬鹿だった。馬鹿になっていた。可笑しかった。 一つの筋を舐めている内に、2つの筋が、4つの筋が、そして血の筋は雨の様にこなたの肌の上を下る。 唾液を溜めた舌をなだらかで薄い胸の上に、縦横無尽と走らせ降り注ぐ血を舐め取ってゆく。 舌が肌の上を遡る度に、押さえつけられた矮躯が震え、振るい切れなかった分が声となって口から零れる。 血を舐め取るのではなく唇で啄ばむ様に変えると、また反応は変わり、震え方も零れる声も新しくなった。 もう、どうにかなってしまって――いた。初めての血の匂いに酔い。こなたの身体に狂って――いた。 いつの間にそうしたのかは覚えていなかったが、気付けばこなたを床に組み伏せていた。 乱れた前髪が半分は隠していたんだけど、その時初めてこなたの顔を見た。今まで見ていなかったことに気付いた。 真っ赤で、くしゃくしゃで、涙が溜まった眼がすごく潤んでいて――私を見ていた。 その赤ちゃんみたいな顔を見て……、自分の心が蕩ける音が聞こえた様な気がした。 こなた。こなた。こなた。こなた。こなた。こなた。こなた。こなた。こなた。こなた。こなた。こなた…………。 こなたの小さなピンクの唇にキスを、ではなく――噛み付いた。衝突したと言い換えてもいい。 それぐらいに、私の理性も、私の身体もこなたを欲していた。全くの優しさもなく私はこなたをむしゃぶった。 口の中に含んだこなたの血を彼女に返し、代わりに彼女の唾液を私はのばした舌で奪い取る。 歯がガチガチとぶつかり合って、時には折れるほどであったが、血の甘さの前には気にならず、また血がそれを癒してくれた。 こなたと私の間を隔てるものが一つでもあるのがまどろっこしい。 私は血塗れの手をぬるりと這わせ、プレゼントに対してそうする様に、こなたを包むそれを破って捨てた。 少しでもこなたと私がくっついている場所が増えるよう、私も私を包む余計なものを破り捨てる。 この時だけは、この間だけは、私と彼女だけで100%になるよう。不純物を取り除いてゆく。 最早、お互いに血塗れ。甘く甘く決して焦げない砂糖を煮続けた様な、噎せ返る様な空間を、時間を作り、楽しむ。 化物だけに許された、化物同士の咬合――そこから行き着くけらくの交合。 丸く小さな、そして少しだけ膨らんだ子供のお腹。その真ん中にある生物として産み落とされた証である窪み。 そこに溜まった血を啜り取るべく口付け、舌を伸ばし穴の中へと、穴を閉じている捻りを抉じ開け中へと侵入する。 快楽にか、それとも痛みか、または両方か。腹を侵されたこなたが、背骨を弓なりに反らし腰を浮かせる。 今聞こえるこなたの声はそれがどんな種類のものであろと、狂った耳には歓喜のそれとしか届かなかった。 故に私は、一切の戸惑いもなく、疑問も差し挟まず、この後のことなど微塵も考えずに、それを実行した。 こなたの小さな小さな穴。舌の先しか入らない様なその小さな穴を無理矢理に広げ――裂いた。 吹き出した血飛沫を全身に浴びたが、もう血塗れだった私には何も問題はなかった。 こなたが全く未知の獣の様な、聞いたこともないような声をあげたが、私には何も問題はなかった。 私が見ていたのは、真っ赤なそこだけ。皮膚を破られ私の目の前に曝される真っ赤なそこだけ。 血の味が変わった。そこで得られる血の味は他のものよりも甘く、吐き気を催すほどの旨味があった。 それがどうしてかは、すぐに理解できた。破った腹の皮。その裏にうっすらとのっている黄色い脂が混ざったせいだ。 迷わず広げた穴に手を突っ込み、裏返してそこにむしゃぶりついた。 顔が脂でヌルヌルになるのにも構わず、牙の先端でそれをこそいで口の中へと運び味わった。 おいしい。こなたがおいしい。もっと、もっと、ほしい。もっと、こなたがほしい。こなた。こなた…………。 こなたのほっぺた。柔らかいほっぺた。舌でつついて楽しみ、キスしてから食べた。 宝石の用な瞳も、ゼリーの様な唇も、こなたの愛らしさを形成する全てを愛して――食べた。 頂点に乗せられた野苺もちっぽけで、できそこないのプディングみたいなそこも味わって食べた。 小さな小さな、先の丸っこい可愛らしい全部で10本ある指。1本ずつ丁寧にしゃぶり、骨だけをそこに残した。 暴れる脚を押さえつけ、ふとももの内側へと大口で齧り付く。強く強く、肉の中で歯が噛み合わさるぐらいに齧る。 噛んで、噛んで、噛んで、噛んで、綺麗だった脚に歯形を幾つも刻み、ほぐし、溢れる血を音を立てて啜る。 両脚共にそうして味わい、こなたの下半身が肉屋で並んでいる物の様にだらしなく動かなくなったら次へ……。 真っ赤に熟したそこをデザートに。 ダークラムで味付けされた小さくプルプルとしたそこ。 黄金色のシャンパンをパシャパシャと吹き出すそこを。 真っ白な酸味の強いムースでトッピングされたその場所を。 最後に残しておいた、一番甘い場所を――、 ――こなたを、いただきます。 こなたを、ごちそうさまでした。 ◆ ◆ ◆ 冷たい感触を与えてくれるロッカーを背に、ロリスキーは食後の一時を惚けて過ごしていた。 噎せ返る様な血の匂いに酔って、可愛いものの美味しさに脳を蕩けさせ、ただ惚けている。 その酔いは深く、ひんやりとした金属の感触だけでは中々醒めそうにない。 半時程そうしていたであろうか、床に溜まった血の色が真紅より濁った葡萄酒の色に変わる頃、ようやく彼女は帰還した。 いつかの様に体がベトベトと濡れており、そして前以上に酷い臭いがする。 頭の芯が痺れ、焦点の合わない目で辺りを見回しても、中々に状況はつかめず、記憶も戻ってこない。 「………………こ……な、た? …………どこ?」 こなたと一緒にいた。それだけを記憶の海から掬い出した彼女は、こなたを呼ぶ。 ……だが、返事はない。こなたはここにはいない。いや、こなたはここには――無い。 「…………………………………………こな、た?」 不在が不安を呼び、不安が緊張を呼び、緊張が覚醒を促す。 ようやっと焦点の合ったロリスキーの視界の中。ドス黒い血溜りの中に『こなたらしきもの』が沈んでいた。 ◆ ◆ ◆ そう言えば、アフリカを舞台にしたドキュメンタリーで『こんなの』を見たことがある。 そんな場違いな感想が、ロリスキーの頭の中に浮かんだ最初のものだった。 肉食動物に襲われ、その日のランチにされる可哀相な草食動物。 死んで『お肉』となったそれは、弱肉強食の掟に従い強いものからその取り分を剥ぎ取ってゆく。 襲い殺した強い獣は腹や太腿などのおいしい部分を喰らい、他を捨て去ってゆく。 次にそこにくる弱い獣達は、彼らが残した部分。内蔵や手足の先を拝借し、去ってゆく。 さらには、小動物。身体が小さく、量を必要としないこいつ達はほっぺたなどの柔らかい部分を持って去ってゆく。 最後にはそれよりも小さい虫達がたかる。虫は他が残した内でまだ柔らかい部分。腸や性器などを糧にする。 そして、一つの『お肉』はサバンナに住む様々な者達によって分かち合われ、自然は循環してゆくのだ。 そんな話を思い出す様な『もの』が、ロリスキーの目の前にあった。 それが元々人の形をしていたのは、手足の数で分かる。逆に言えば、それぐらいしかヒントがなかった。 両脚は辛うじて付け根に付いているが、右腕は肘、左腕は肩の位置から捩り切られていた。 お腹がごっそりと抜け落ちている。まるで人体模型の蓋を無くしてしまったかの様にぽかりと開いている。 腸は残っているが、内臓がいくつか足りないかも知れない……おぼろげな知識でロリスキーは思う。 その下の方。腹というよりも、胎というべき辺りもぽかんと開いていて、ただのグロテスクと化していた。 胸も――無い。胸骨とそこから連なる肋骨が丸見えになっていた。 そこから喉元までも抉られ、汚い喰い散らかしか、それともスープに入れるガラにしか見えない。 そして。 そして……顔。今は虚空となっているそこに当てはまるべき顔をロリスキーは思い浮かべる。 あの顔を、一時前に自分を見上げていた顔をロリスキーは――。 「こ…………こ、な……た……………………嘘、……だ」 ◆ ◆ ◆ 「あいつら、また勝手に二人でどっか行っちまったんじゃねーだろうな……」 大きくスペースのとられた処置室の端。黒い小山の様な男が、誰に向けるでもなくそう零す。 全身に包帯を巻き、今やホラー物の主役さえ張れそうな恐持ての彼の名は――神行太保のDIE/SOUL。 シャワーを浴びに行ったロリスキーと、それを迎えにいった地球破壊爆弾がいつまでも戻ってこないことに愚痴っている。 「やはり、彼には何かあると考えるべきだとは思うんだが……さて、それは何だろうね?」 不機嫌なDIE/SOUL(以下、ダイソウ)の前で、足をブラブラとさせながら少女がそう言う。 口元には笑み、人形の様に綺麗な黒髪。オールドスタイルの体操服。その少女の名前は――ミスターマダオ。 彼女の態度からは、いなくなった二人を心配する気配はない。いや、誰にも安否を気遣う様子はなかった。 「(…………………………ロリスキーさん大丈夫かな? また、あんな……う、いかんいかん、平常心だ)」 マダオの近く、長椅子の上にかけて血液パック……ではなく、ビタミンゼリーを吸っている男がいる。 真っ黒な仮面の隙間にストローを差込み、ズルズル音を立てているのは彼の名は――忘却のウッカリデスだ。 仮面を外さないのは恥かしがりやだから――ではなく、単純に外れないというそういうアイテムだからである。 ロリスキーと地球破壊爆弾がいなくなってより、すでに1時間以上が経過している。 だが、彼らは特別アクションを起こそうとはしない。 それはあの二人が死ぬなどとは露ほども思ってないためだ。 特に地球破壊爆弾の方は、殺しても死なないとう言葉がこれほど当てはまる奴もいないと、全員が認識している。 そして、ロリスキーが彼のお気に入りである以上。彼女の生存も約束されているだろうと。 何より彼らが思っているのは、おそらくあの二人は――遊んでいるだろう。そんなことだった。 十中八九そうに決まっていると、出会って半日程の仲ではあるが、全員が二人をそう評している。 危険と言えば、ロリスキーの貞操関連ではあるが……それは、まぁ一人を除けば、あんまり気にしていない。 ◆ ◆ ◆ 「こんなに時間が空くのであれば、やはり考察でもしておけばよかったな」 ダイソウの前でゆらゆらと白い足を揺らしながら、マダオはそう言う。 「そろそろ、脱出フラグのきっかけでもつくっとかねぇと……、ここからも脱落者が出るかもな」 マダオの幼稚な誘惑攻撃を無視しながら、ダイソウはボソっと呟いた。 確かにこの集団の戦闘力は、通常のロワの基準で考えれば相当に高い。 だが、そんなものが当てにならないのがパロロワの面白さであると彼も知っている。 後に残る意味……つまりは、残すべきフラグ。それがないと、いつ『処理』されてしまうか分からないのだ。 「……フラグ。……と言われても、首輪解除とかよく解んないしなー」 なんか怪しい雲行き。 もしかしたら、いや、この中で脱落するとしたら確実に自分じゃないか? と、ウッカリデスの胸中に暗雲が立ち込める。 でも……と、気付いた。 自分だけにしか見えない、天空に浮かぶ謎の建造物。 あれが主催の本拠地なのだとしたら、これはフラグじゃないのかと……。 そして、地球破壊爆弾からそれを他言せぬよう注意されたことを合わせて思い出す。 一人、物思いに耽るウッカリデスの前ではマダオとダイソウが、その地球破壊爆弾について語っていた。 彼はジョーカーじゃないのか? それとも主催側を裏切った、逆ジョーカーかもしれないなどと……。 それは彼ら二人に任せ、ウッカリデスは自分の中だけの考えを進める。 気になったのは『フラグ』と言う言葉。彼も、書き手の一人であるからには多少なりとも意識している要素だ。 そして今自分の持つ『主催の本拠地?』という情報。これがどういう意味の『フラグ』となりえるのか。 「(――そうか! 僕だからこそ、他の人に喋っちゃいけないんだ)」 物質ではない『情報』という『フラグ』。それは容易く、周囲に広めて何人かで共有することができる。 故に価値が非常に希薄なのである。AもBもCも知っているとなれば、少なくともその内2人は安易に殺せると言う訳だ。 普通の書き手なら、広める様に言うだろう。しかし、逆に広めるなと言った彼の意図は――。 「(僕を、守っていてくれている……のか?)」 そうなのかも知れないと、ウッカリデスは思い至った。 そこまで考えれば、この病院に来てからの『ロリスキーに対するライバル宣言』をすんなり承認してくれたことも、 自分の立ち位置を与えてくれたのでは? ……と、そんな風に思えた。 地球破壊爆弾とロリスキー ――『こな×かが』 地球破壊爆弾とダイソウ ――『孤城の主』 地球破壊爆弾とマダオ ――『Wアーカード』 地球破壊爆弾とウッカリデス ――『ロリスキーを狙うライバル』 このパーティは、地球破壊爆弾を中心に因縁フラグが立てられている。それは、つまりは――……。 ◆ ◆ ◆ 「――遅えぞっ! つか、なんでまた裸になってるんだよお前ら二人は――っ!」 ダイソウの声に驚いてウッカリデスが顔を上げると、部屋の入り口にバスタオルを巻いた二人の姿があった。 こなた、こと地球破壊爆弾のホクホク顔と頭の上の湯気を見れば、どうやら今までお風呂にいってたらしいと分かる。 隣りに立つロリスキーが心なしか半べそっぽいが、どうやら大方の予想通りに彼らは遊んでいたらしい。 「あはは、ごめんねw ちょっとじゃれあってる内に服が破れちゃってさ~☆」 言いながら地球破壊爆弾は部屋へと入ってきて、ロリスキーの鞄を拾い上げるとまた飄々と戻ってゆく。 そして、着替えたら戻ってくるから。と、言うとまた二人で廊下の先へと姿を消した。 ダイソウは苛立ちの混じった重い溜息を、ウッカリデスは気が抜ける長い溜息を、そしてマダオは――、 「(……どうやら、彼女に血を飲ませることに成功した様じゃないか)」 ――溜息ではなく、クスリと小さな笑みを零した。 ◆ ◆ ◆ ぺたぺたっと、裸足でリノリウムの床を進む音が廊下に聞こえる。2つ。しかし1つは半歩遅れて……。 「か~が~み~ん~!」 珍しく不機嫌そうな声を上げて立ち止まると、地球破壊爆弾は後ろを振り向きロリスキーを睨み付ける。 そして、ちょんちょんと指先で自分の隣りを指した。 項垂れるロリスキーはいくらか逡巡した後、諦めるかの様にそこに立つ。 「じゃ、一緒に行こう」 ロリスキーの手を取り、地球破壊爆弾は彼女と並んで歩き出す。 「……あの、こなた。……本当に、本当に御免なさい。……私、わけわかんなくなって。それで……」 声を上ずらせ、先刻よりそうしなっぱなしだった謝罪を再開する彼女に、地球破壊爆弾はまた何度目かとなる溜息を吐いた。 「だから~、それはもういいって。別に、私はアレぐらいじゃあ死なないし……」 でも、かがみんがあそこまでヤってくれるとは思わなかったけどね。とそこだけは顔を緩ませる。 そして、表情をまた引き締めなおすと、足を止め、いぶかしむロリスキーを見つめ――彼女の胸に抱きついた。 「こ、こなたっ! あの、その――」 「――かがみん。いや、ロリスキーさん聞いて。 私達はもう対等なんだよ。ご主人様と奴隷じゃないんだよ。 だから、悪いこともしてないのにそんなに謝らないで。私がシてもいいっていったんだから、――謝らないでっ! 血を吸いあったり、喰らいあったり、そしていつかは殺しあうかも知れない……けど。 これからは、いつも隣同士でいよう? 後ろじゃない。味方でも敵であってもいつも隣り同士……。 手を繋いでてさ、ずっと仲良く喧嘩しあおうよ、ねぇ? ずっと、ずーっと、長く、永く――」 ロリスキーの胸元でバスタオルに顔を擦り付けると、地球破壊爆弾はまた元の位置へと戻る。 顔だけを隣りに向けて、いつもの笑顔を浮かべて互いに見詰め合う。 そして――、 「好きです。ずっと隣りにいてください――」 「――う、うん。私なんかでよければ……ね」 ――手に手を取り合って、二人は一緒に足を踏み出した。 ◆ ◆ ◆ ――永遠なんてないと知っているけど、せめて今だけはそれを信じたい。 【午後】【E-8/病院内】 【アーカードとかは行く】 【地球破壊爆弾No.V-7@アニロワ1st】 【状態】:健康 【装備】:裸にバスタオル 【道具】:支給品一式、着替え用の衣装(複数)、アダルトグッズ(大量)、未定支給品×1(本人確認) 【思考】: 基本:『こな×かが』を死守。けど…… 0:とりあえず、次の衣装にチェンジ☆ 1:次に何をするか考える 2:ごめんね、ウッカリデス。やっぱりかがみんはこなたの嫁です 3:でも、挑戦は随時受付中だよ、ウッカリデス ※基本的に中身はアーカードで、CVは平野綾です ※変化する姿に7つのバリエーションがあるらしいです。 【1:地球破壊爆弾】【2:アーカード】【3:長門有希】【4:泉こなた】 【5:銃撃女ラジカル・レヴィさん】【6:キングゲイナー】【7:1~6とか目じゃないよ?びびるよ、まじで】 ※クーガーの早口台詞が言えます! ※鎖鎌、鳳凰寺風の剣、ソード・カトラス、ノートPCの投影が可能です。 【スーパーキョンタイム】 地図氏以外の者はゆっくりとしか動けなくなります。一度使うとそれなりの時間使用不可能です。 【地図氏の地図】 参加者の位置、生死を含めた地図を投影できます。※長門有希の状態でのみ可能。 使いすぎるとアレなので、毎晩0時にのみ使うことにします。 【クールなロリスキー@漫画ロワ】 【状態】:不死者、吸血姫、 【装備】:裸にバスタオル 【道具】:支給品一式、着替え用の衣装(複数)、『村雨健二』の衣装、裸エプロン(キュートなシルク仕様)、 日焼け止めクリーム(大量)、未定支給品×?(本人確認) 【思考】: 基本:こ、こなたと一緒に……脱出か対主催 0:とりあえず、何か着替えないと 1:みんなと今後について考えないと ※容姿は柊かがみ@らき☆すたです。 ※何故か不死身です。 ※地球破壊爆弾No.V-7の血を吸い、独立した吸血姫となりました。 【忘却のウッカリデス@アニロワ2nd】 【状態】:首を捻挫(処置済み)、腰痛(処置済み) 【装備】:ゼロの仮面(蝶高性能)@アニロワ2nd 【道具】:なし 【思考】: 基本:ロリスキーの為に対主催! 0:ロリスキーさん、また…… 1:地球破壊爆弾さんって、もしかしていい人……? 2:最速の人との誓いを守る 3:地球破壊爆弾さん、ロリスキーを賭けて勝負だ! ※容姿はルルーシュ@コードギアスです。 ※ロリスキーへの恋心をしっかり認識。 ※ウッカリデスが見た上空に存在する建物(天空の城)は、今の所彼にしか見えません。 【ミスターマダオ@漫画ロワ】 【状態】:疲労(小)、強い決意、強い仲間意識 【装備】:パニッシャー@トライガン(機関銃:残り弾数100%、ロケットランチャー:残り10発)、運動服(ブルマ) 【道具】:支給品一式、未定支給品×1(本人確認済み) 【思考】: 基本:対主催! 殺し合いには乗らないが、マーダーは犬の餌。しかし……? 1:友情! もっと仲間を探すぞ! 2:努力! 首輪をどうにかするぞ! 3:勝利! 見ていろよ主催者! ※容姿はアーカード(ロリ状態)@ヘルシングです ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。 ジョーカーに襲われた事と合わせての考察はまだしていません。 ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。 【世界(スタンド)】 世界を使用でき、時止めも可能です(3秒まで)。 制限は漫画ロワに準拠――『体力の消耗』『時止めの再使用には10秒必要』『スタンドは見れるし触れる』 【神行太保のDIE/SOUL@アニロワ1st】 【状態】:疲労(小)、全身火傷(処置済み)、右指炭化(処置済み)、核鉄による治癒中 【装備】:竜殺し@ベルセルク、ガッツの装備一式@ベルセルク、核鉄『ブレイズオブグローリー』@武装錬金 【道具】:支給品一式、拡声器 【思考】: 基本:アーカード(地図氏、マダオ)は殺すつもり。(だったのだが……) 0:取り合えず、今後の方針を相談する 1:対主催を集め、機を見計らって『孤城の主』を実現させ、アーカードを打倒する 2:それまでは、Wアーカードとも協力してゆく 3:どこかで義手が見つかれば助かるのだが…… 4:ナナシと出会ったら、決着をつける! ※容姿はガッツ@ベルセルクです。 ※神行太保・戴宗の神行法(高速移動)が使えます。 ※ラディカルグッドスピード腕部限定は、腕だけが速く動きます。 ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。 ジョーカーに襲われた事と合わせての考察はまだしていません。 ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。 221 したらば孔明の陰謀 投下順に読む 223 エロス頂上決戦、決着……?! 217 あるがままに/君らしく、誇らしく 時系列順に読む 223 エロス頂上決戦、決着……?! 207 蟹座の爪の悪夢 忘却のウッカリデス 238 trigger 207 蟹座の爪の悪夢 ミスターマダオ 238 trigger 207 蟹座の爪の悪夢 神行太保のDIE/SOUL 238 trigger 207 蟹座の爪の悪夢 地球破壊爆弾No.V-7 238 trigger 206 尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を! クールなロリスキー 238 trigger
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ランチタイムコンサート 大正区役所市民協働の主催により、ランチタイムコンサートが開催されます。 日時 9月22日(木) 12 15~13 00 テナーサックス 宮部 正幸 ピアノ・歌 伊藤 みどり 場所 大正区役所2階 さわやか広場 入場料 無料 曲目 SUKIYAKI(上を向いて歩こう)、秋の童謡メドレー、素晴らしきこの世界、テネシーワルツ、ほか 主催 大正区役所市民協働