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ディヴァイン(でぃゔぁいん) 「アルカディア・ムーブメント」の総帥。 実の父から恐れられ、社会から阻害されていた十六夜アキを組織に勧誘した。 しかしその様子はまるで娘か恋人に接する様な態度で、アキ自身もディヴァインに依存しきってる関係からちょっとアダルトな大人の雰囲気を漂わせている。 サイキック族の使い手であり、エースモンスターは《メンタルスフィア・デーモン》。 その戦術のガチっぷりや使用カードがOCGプレイヤーが慣れ親しんだカードであること、長らく待ち望まれていたサイキック族使いということにより反響を呼んだ。 アルカディア・ムーブメントのビルに潜入したカーリー渚をサイコデュエルでビルから叩き落として殺害するが、ダークシグナーとして復活した彼女にフルボッコにされ、しばらく消息を経つ(*1)が、カーリーの消滅とともに再びその姿を現す。 遊星たちの前に現れ、装備魔法《サイコ・ソード》(*2)を装備して襲いかかる。その後、遊星の誘導尋問によってミスティの弟・トビーを人体実験によって虐殺したことを暴露。 遊星の策によりそれがミスティに知られた上、トビーを「役立たず」だと罵ったことが彼女の逆鱗に触れて《地縛神 Ccarayhua》に捕食されるという凄まじい最期を遂げた。 地縛神の生贄にされた人達の魂はダークシグナーの消滅によって復活したが、彼だけは肉体ごと物理的に食われたため、蘇生していないようだ。 …と思われていたが、遊戯王10周年アニメーションブックにて物理的に食い殺されたのではなく「魂を吸収された」ことが判明した。 つまり一応生き返っているはずなのだが、セキュリティにでもしょっ引かれたのかとうとう再登場せずに終わった。 海外版では画面には出ないが、打ち切りにあわせてイリアステルの歴史改変を裏で阻止していた設定が追加され、間接的にゾーンを死に追いやり、世界を救った・・・と同時にモーメントの改善も阻止された。破滅の未来へアクセラレーション! 因みに、遊戯王5D s ワールドチャンピオンシップ2010 リバースオブアルカディアでは《地縛神 Ccalayhua》に捕食された筈が、何故か旧ムーブメントの廃墟に居る。 初登場時の大物感が半端なく、イリアステルの存在を知っていたり(*3)、治安維持局長官ゴドウィンの弱みまで握っているなど多くの視聴者がラスボスと予想する程の人物だった。 しかしダークシグナーになったカーリーにあっさり倒されたり、アルカディア・ムーブメント自体がそれほどストーリーに関わって来なかったり、洗脳したアキにデュエルを任せて自分だけ安全な場所で高見の見物してたり、 遊星のしょぼい誘導尋問に引っかかって過去の悪事をペラペラ喋ったり、再登場してすぐに地縛神にパックリされたりと、登場ごとに見事な小物っぷりを見せつけていき遊戯王5D sに登場する敵キャラの中でもトップクラスの小物とまで呼ばれるに至る。 この小物化には、海外で表現規制の対象となり、エピソードをカットされたのも影響しているのかもしれない。 その海外では、黒い部分が悉くカットされ上記の通り大物化している。 龍亞との決闘時にやたらと一人称「おじさん」を使いまくったことから、通称兼愛称は「おじさん」。 OCG板サイキック族スレの住民だけは敬意をこめて「総帥」と呼ぶ。 彼を「総帥」と呼んでいる人が居たら高確率でサイキック族を使っていると考えてよい。
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賢者のプロペラ (2000) トラックNo. 曲名 アーティスト名 JOYSOUND DAM 備考 1 賢者のプロペラ-1 平沢進 配信中 - 2 ルベド(赤化) 平沢進 配信中 - 3 ニグレド(黒化) 平沢進 配信中 - 4 アルベド(白化) 平沢進 - - インストゥルメンタル 5 円積法 平沢進 配信中 - 6 課題が見出される庭園 平沢進 配信中 - 7 達人の山 平沢進 配信中 - 8 作業(愚者の薔薇園) 平沢進 配信中 - 9 ロタティオン(LOTUS-2) 平沢進 配信中 2019-16 10 賢者のプロペラ-2 平沢進 配信中 -
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1.『”もう一度”に手を伸ばす/We look forward to serving you again.』 JR池袋駅東口からほど近い喫茶店の一角。 クラシックの流れる店内で、一人の男が紫煙に包まれていた。 明らかに不慣れな手つきで煙草(ハイライト)を揺らし、その味に顔をしかめながら、仙道 ソウスケは手元の資料に目を通していた。 勝手知ったる池袋の雑然とした空気。 だが、ここは、仙道 ソウスケの生きてきた世界とは別の、よく似た異世界だ。 ニュートン物理学にアインシュタインの相対性理論、そして、魔人能力――認識による世界律歪曲がまかり通る、その世界法則に変化はない。 少なくともここ百年ほどの歴史にも大きな差異はなさそうだ。 ただ、細かなところが違う。 たとえば、一昨年の夏にあったはずの、「東京不連続殺人鬼事件」が、起きていないとか。 たとえば、一昨年の冬に起きたはずの、「都内広域無差別テロ事件」を、誰も覚えていないとか。 たとえば、去年の夏に開かれたはずの、「闘技大会イグニッション・ユニオン」が、開催されていないとか。 そして何より。 警察のデータベースに、「国際指名手配犯:仙道 ソウスケ」の名前が存在しないとか。 少なくともここ十数年、この国でハルマゲドン――歴史の特異点となるような魔人同士の戦乱は発生していない。それが、この世界線で『山乃端 一人』――ソウスケの標的が生きていることの証明である。 そういう世界だからこそ、ソウスケは、世界線の壁を越えて、この地を訪れたのだ。 かつての相棒、英 コトミを蘇生させるために。 ーーーーーーーーーーーー 『山乃端 一人』が死ねば、ハルマゲドンが起きる。 ハルマゲドンとは、多くの魔人を巻き込んだ歴史の特異点たる闘争である。 故に、ハルマゲドンの渦中であれば、特定の魔人能力者――死者蘇生が可能であるものが姿を現す可能性も高い。 (山乃端一人と言う魔人を殺す) よって、コトミを蘇らせるため、ソウスケはその手段を選んだ。 だが、ソウスケの生きてきた世界線において、山乃端 一人は既に死んでいる。 そもそも、山乃端 一人が死んだことをトリガーとした、ハルマゲドンの一形態、『闘技大会イグニッション・ユニオン』で、ソウスケとコトミは共に時間を過ごして、その果てに過日の別離を迎えたのだ。 だから、改めて、ハルマゲドンのトリガー、『山乃端 一人』を殺すならば、別の世界線――並行世界の彼女を殺さねばならない。 難しいことではあった。 だが、あらゆる制約から解放されたソウスケにとって不可能な話ではなかった。 希少であるが、並行世界を運用する魔人能力者は皆無ではない。 それを見つけ出し、交渉し、協力を取りつければいいだけのこと。 コトミの体を、様々な可能性に備えてストック用の「保管庫(フリーザー)」に貯蔵しつつ、『山乃端 一人』が存在する並行世界の一つにコンタクトを取れるようになるまで、ソウスケが全ての分身を駆使して、一週間の時間を必要とした。 『これから貴様を送り込む世界は、無数の世界線が縒りあった結び目、可能性の継ぎ接ぎ……つまり、貴様以外にも、他の世界線から行き来するイレギュラーが多く訪れうる、そんな場所だ。何者かによって、そう設定されている。だからこそ、専門の能力者でない、私が力づくでなんとかできるのだからな』 『おそらく、その中心にいるのが、『山乃端 一人』だ。貴様の目的が彼女の殺害なら、相当な妨害に合うことは覚悟しておけ』 『なに、礼は不要さ。私は私の新宿(マチ)から、貴様を引き離したいだけだ。できるだけ遠くへな』 『私にとって貴様は物騒すぎる武器だ。それを、位相の違う武器庫(せかい)に放り込むのは、当然の判断だろう?』 『一つ忠告だ。揺るがないとは、変わらないこと。それは、生物ではなく概念のありようだ。うちの愚妹も、その類になったがね、そういうものの末路は、得てしてみじめだぞ。ワーテレフォン』 ーーーーーーーーーーーー 二千年近くこの国の夜を統べてきたという触れ込みの、口うるさい女の言葉を思い出す。 益体もない説教はさておき、この世界線において、『山乃端 一人』を守ろうとする、並行世界の客人がいる、というのは有益な情報だった。 現地の協力者から入手した、標的の写真を一瞥する。 その姿に、ソウスケは見覚えがあった。 どうやら、彼は自身の世界線で『山乃端 一人』と出会っていたらしい。 (あれか) さしたる感慨もなく、ソウスケは自身のメモリーから、自分の世界線における彼女に関する情報を呼び出す。 ――now and forever I will love the way you are and I swear forever even if the sun goes out ♪ イグニッション・ユニオン一回戦。 相手の精神を揺さぶるために用意した、人肉と血、人皮で彩られた結婚式の飾り付け。 その原材料(ストック)の一つとして、山乃端 一人の名は存在していた。 すぐに思い出せなかったということは、取り立てて新しいことのない殺人(きおく)だったのだろうと、ソウスケは判断した。 (一度殺した相手を、もう一度殺すことになるとはね。これは初めての経験だ) ソウスケにとって最上の喜びは、“知らない事を知る事”である。 ただの作業だと思っていた『山乃端 一人』の殺害に、仙道 ソウスケは、ほんのわずかだけでも、興味を持てそうだった。 番外 『深炎(裏)』 指先すら、わずかたりとも動かない。 重力がこれほど大きいものだと、初めて知った。 口の中に鉄をねじ込まれたような感覚。 警報代わりの痛覚はもはや意味がないほど他の感覚を塗りつぶし、四肢を操作しようとする電気信号は混線状態。 自然な反射として、体は胎児のように丸まっていく。 痛い。それを回避する行動を取らせるための警告が痛覚なのに、体にはこの危機的状況から逃れる手段が残されていない。 切れた額から血が流れこんでいるのだろうか。 赤くぼやけた視界に、私は、私を刺した男を捉えた。 無造作に五度。全てが致命傷。最小の傷口で、最大の損傷を与える技巧。 明らかに慣れた手口だ。10やそこらの経験で身につくスキルではないだろう。 甘かった。《獄魔》憑きの可能性がある候補の一人。 仙道 ソウスケ。池袋ではそれなりに知られたバイヤーだった。 少なくとも、私はそのつもりで接触した。 違う。こいつは、そんなものじゃない。 憑依している《獄魔》が危険だとか、そんな問題ではない。 これは、人間相手だと認識して向き合うべき対象ではなかった。 これは、蜘蛛だ。 姿を見た時点で既に足元は粘ついた糸に絡めとられている。そういうモノ。 きっと、これまでにこの男は、息をするように無数の命を奪ってきたのだろう。 だが、私だって、ただの、被害者の1人になんて、なってはやれない。 (『逢魔刻(クライベイビークライ)』が命じる。天の杯満たすもの、濁りなき涙、流れ潰し潤う矛盾の雫――) 午後7時41分。『青』の時間。 唇はもう動かない。ただ、意志だけで、銀時計に封じられた力を行使する。 (《Ⅶ-渇き飢える青(ディープ・ブルー)》) 彼の《獄魔》が行使するのは、液体操作の権能。 何より、今の私の周囲には、私が流した血が――武器となる液体が溢れている。 指示はシンプル。 どこまでも鋭く。どこまでも長く。どこまでも速く。 あの男の心臓を、穿て。貫け。抉り取れ。 かくて、私の血で、命そのもので作られた朱槍が、男の胸をあやまたず刺し貫き、 (――え?) 力ない死体と化した仙道 ソウスケは、「もう一人の仙道 ソウスケ」に、抱きとめられていた。 「残念。そういうのは、もう知ってる」 自分と同じ姿をした死体を盾に、男は冷ややかに私を見下ろした。 分身? 命の複製? だとすればあと何度殺せばいい? あるいは《灰のハンス》と巨人の民話になぞらえたような、心臓(きゅうしょ)の分離保管? であればどこを攻撃すればいい? 延命のための血流制御を攻撃に回したとして、このトリックを看破できるか? 思考を回せ。覚悟を決めろ。限りなくゼロに近い可能性を手繰り寄せろ。 そして――私は踏み出した。 どこへも辿りつけないない、行き止まり(デッドエンド)へと。 山乃端 一人の人生の終わり。 火と火を重ね炎と燃える、最強たちの祭典の、始まりへと。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ・ ・ ◆ ◆ 『本日未明都内某所で希望崎学園に通う山乃端一人さんが遺体で発見されました、警察は殺人事件と見て調査を続ける方針です、続きまして都内で開催される闘技大会イグニッション・ユニオンについてです、総合エンターティメント配信サービス会社C3ステーションの……』 支配時間 名称 司る色 権能 0時(と12時) - 『白』 - 1時(と13時) 《I-漆黒の人形(エヴォン・ドールズ)》 『黒』 - 2時(と14時) - 『灰』 - 3時(と15時) 《Ⅲ-血塗れの侵入者(ブラッディ・ハッカー)》 『赤』 - 4時(と16時) - - - 5時(と17時) - 『黄』 - 6時(と18時) 《Ⅵ-蘇生する緑(グリーン・フィンガー)》 『緑』 植物操作 7時(と19時) 《Ⅶ-渇き飢える青(ディープ・ブルー)》 『青』 水分制御 8時(と20時) - - - 9時(と21時) - - - 10時(と22時) 《Ⅹ-銀鉄の巨塔(メタリック・バベル)》 『銀』 金属操作 11時(と23時) 《Ⅺ-黄金の欲望(ミダス・デザイア)》 『金』 性質強化 2.『悪党と救い/Heel and Heal』 平凡な日常に対する甘えなんて、とうに捨てたつもりだった。 すべての《獄魔》を打倒し、封じて、『取引』を成立させる日まで、どんな奇妙な事態に遭遇しても心を揺らさないつもりだった。 たとえば、それが、毎日のように押し寄せてくる並行世界の自分の絶命追体験めいた悪夢だとか、びっくりどっきり能力で周囲にはた迷惑な被害をまき散らす《獄魔》や《獄魔》憑きとの戦いだとか、内心絶交ものだと思っていた親友の再会だとかであってもだ。 ここ数年の経験で、私、山乃端 一人は大抵の異常事態への耐性を得たはずだ。 それでも、この状況に対しては、ありのままに平然と受け入れることはできなかった。 午後1時12分、『黒』の時間。 私がいるのは、池袋のカラオケボックス。 ここまではいい。銀時計の反応と、昨晩の悪夢から、この街に次の《獄魔》憑きが潜んでいるとあたりをつけ、食事がてら作戦を練るために入ったという説明がつく。 隣にいるのは、望月 餅子。 こいつは私の冬休み《獄魔》探しに付き従って、ここにいる。 腹立たしいが、これもまあ、許容範囲内のイレギュラーだ。 第九の《獄魔》、《Ⅵ-蘇生する緑(グリーン・フィンガー)》との戦いに乱入した翌日、この、自称『最強』の幼馴染は、当然のように私の寮の同室としてうちの学校に編入してきた。 今更どの面下げて、という気持ちもあるのだが、事実として命を助けられたことには間違いない。 バカがつくほどの無邪気な笑顔で寄ってくる相手を邪険に扱うのも気持ち悪いし、何より、こいつは、私の事情を知り、私を助けようとして、それができるだけの力を持っている。 悔しいがどう考えても、彼女の助けを得る方が、目的には近道なのだ。 そんなわけで、 池袋のカラオケボックス。隣にいる元幼馴染。 これは、私の世界観の許容範囲内だ。 だから、山乃端 一人のキャパシティをオーバーさせているのは…… 「あ、お嬢ちゃん、そのミックスドリンク飲まねーの?」 向かいに座る、西部劇に出てきそうな真っ黒なガンマンの衣装を着て、これまた真っ黒なペストマスクで素顔を隠した男だった。 怪しい。どこからどう見ても怪しい。 「よかったらどうぞ! 最近ひーちゃんはダイエット中で。あまあまブレンドスペシャルはお気に召さないと……」 「ペーラペラペラ!! 減量中のお嬢ちゃんに甘いもんか! なかなか悪じゃねえか! 気に入った!」 「なんだかよくわかりませんが! ありがとうございます!!」 笑い方のクセが強すぎる。 あと、餅子はこのどう見ても怪人な相手に対して無警戒過ぎではないか。 謎の怪人、ウスッペラ―ド。 その、突然の闖入者によって、私、山乃端 一人はなぜか、 「お、ほら、出てくるぞ! オレの見せ場!」 「おおお、なんと! 幼稚園バスをジャックするとは! なんたる悪!!」 「ペーラペラペラ! そうだろうそうだろう!! これが悪の怪人というものだ!」 ……この変人が出演している、特撮番組のDVD鑑賞を、強制されていた。 ◆ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ 正直、なぜこんなことになったのか。 「お嬢ちゃん。オレと一緒に「悪いこと」をしてみないかい?」 「え、嫌です」 「ペーラペラペラ! 見事な一刀両断! 俺のハートは真っ二つ! 紙だけに!」 「っていうかなんですかあなた」 「オレはウスッペラ―ド! お嬢ちゃんを悪の道に誘いにきた!」 「……なんで?」 「なんで……って、それが悪の怪人だろう!」 「……悪の、怪人?」 「……ちょっと待て。お嬢ちゃん。もしかして。××レンジャーとか、◎◎マンとか、△△イダーとか、■■キュアとか、そういうの、見たことない? そういうのの悪の怪人とか幹部とか、わかんない?」 「タイトルくらいは、聞いたこと、ありますけど」 「…………」 「…………」 「それはいけない!!! よし。ここでDVDが見られる場所だと……はちみつトーストのおいしいカラオケ屋だな! オレが悪の何たるかを教えてやる! あと、お嬢ちゃんはこの街で狙われてるので、その話もしてやろう!」 「え? あ? ちょっと!!!」 こんな会話があったような気もするが、なぜ強く断れなかったのか、相手のノリに巻き込まれてしまったのかはわからない。 ある意味で、びっくりするほど薄っぺらな怪人の雰囲気に、私の危機意識は刺激されなかったのかもしれない。 自分でもどうかと思うほど無防備に、色々なことを話しながら、私たちは、カラオケショップに、この怪人と向かってしまったのだ。 ◆ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ 『なん……だと? ホワイトの気配が……消えた?』 『ペーラペラペラペラ! 次は貴様の番だブラック!』 そんなこんなで、私は、謎の怪人ウスッペラ―ドがどこからともなく取り出したDVDを見せられているのである。 「ふおおお、がんばるのです! そう! それでこそ『最強』のヒーローです!」 その内容は、というと。 まあ、ちょっと、いや、結構、面白いものだった。 魅力的な悪役と、そして、繫がりによって敵を追い払うヒーローたち。 『ホワイト!? なぜ、おまえが、そのペラペラ怪人をかばうんだ!?』 『フッ。オレは、お前の親友だ。そう育った。だが……我が真の名は、漂白怪人エターナルヴァイス……それよりも先に、怪人として、この世に生を受けたのだ』 勧善懲悪のストーリーではあるが、悪には悪のロジックと魅力があり、正義には正義の、欠けている、犠牲にしているものがあった。 新鮮な体験だった。 《獄魔》との戦いが始まってから、ひたすらに戦闘の訓練と歴代の『山乃端 一人』の記録の洗い出しに没頭して、こういった番組や配信にはほとんど触れずに育ってきたからだ。 『白黒つけようぜ、親友』 『フッ。そいつは、二人で、怪人大総統を倒してからだ』 『裏切るのか! 漂白怪人エターナルヴァイス! 大総統が死ねば怪人の貴様の命も……』 『覚悟の上だ』 『な……っ!? 聞いていないぞ!』 『フフッ。善悪半端な灰色の命一つで敵の首魁が倒せるんだ。安いもんだろう』 それ以前も、あまり子どもらしい遊びはしてこなかったように思う。 「うおおお、自分の命も顧みずに親友のため、己の正義を貫く! これぞ『最強』のパートナーではありませんか!」 そういうものに私を誘ったのは、いつも、単純バカで感激屋の餅子だった。 餅子が強引に私の手を引いて、公園の子どもたちの輪に突撃する。 私の中にある遊びの記憶は、だいたいそこから始まっている。 多分、あの頃の私にとって、普通の世界に繋がる鍵が、彼女だったのだろう。 「いやあ、あたしもあんまりこういう番組は見てませんでしたが! すばらしいですね! 友情! 努力! 勝利! あと、たまに悪落ちと裏切りと和解!」 今も、もし餅子がいなかったら、ウスッペラ―ドという怪人を警戒して、警察に突き出すなり無視するなりしていたかもしれない。 「まあ、こんな感じで、悪の怪人は、「悪いこと」をするもんだ」 画面の中で子どもに謎の注射器を突きつけて高笑いをしているのと同じ姿で、ウスッペラ―ドは唐突に口にした。 「それじゃあ、「悪いこと」ってのは、なんだろうな?」 軽薄な口調の問いかけに、私は少し言葉が詰まった。 どういうレベルのことを、この怪人は聞いているのだろう。 「……色んな人に迷惑をかけること、とか?」 「なるほど。そいつは悪の怪人っぽいな!」 ウスッペラ―ドは、肩をすくめた。 「たとえば、ある「呪い」を受けた女の子がいるとする」 ほんの少し、怪人の薄っぺらな口調に、重さが乗った気がした。 「その子が死んだら暴発する、爆弾みたいな「呪い」だ。自由はなくなる。命は狙われる。顔も名前も奪われる。そんな状況で、女の子が「自分らしく生きたい」と願うとする。彼女が出歩けば、それを守るものと狙うもので戦いが起きる。犠牲が出る。無関係な巻き添えもわんさかだろう。それは「色んな人に迷惑をかけること」だ」 ウスッペラ―ドが、私を見た。 その視線は薄っぺらくて、どんな感情が込められているのか、私には理解できなかった。 「お嬢ちゃんの理屈じゃ、そいつは「悪いこと」だろう?」 この怪人が、私の何を知っているのかはわからない。 だが、私の目的を、しようとしていることを、糾弾された気がした。 もちろん、そんなことで私の覚悟は揺るがない。 一人でも戦うと決めたのだ。 ただ、それが「悪」と看板をつけられることに、わずかな引っ掛かりがあった。 私の救いは、私が決める。 だが、それが「悪」だとしたら。 全く関係のない第三者が定めた「客観的な悪」ならともかく、私が大切にしたいものを含む、「色んな人に迷惑をかけること」――「山乃端 一人にとっての悪」だとしたら。 「なあ、お嬢ちゃん。オレと一緒に「悪いこと」をしてみないかい?」 「……っ」 「ところで! ウスッペラ―ドさん!! あなたは、ひーちゃんが狙われていることを御存知だとか! そこんところをご教授いただきたく!」 餅子の能天気な言葉がウスッペラ―ドの問いを遮る。 あの日、《獄魔》の一撃から、私を守ったときのように。 「おお、そうだったな!」 くるり、と餅子に向き直ると、ウスッペラ―ドはどこからともなく地図を取り出す。 そこは、幾つかの色で塗分けられていた。勢力図のようなものだろうか。 「最近、池袋じゃあ徒党組んでヤンチャしてる若いのが襲われてて、街のパワーバランスがぐらんぐらんに揺れてるのさ。で、その仕掛け人として噂されてるのが――『山乃端 一人』ってわけだ。この街の敵。悪党にとっての悪。お嬢ちゃんは、「そういうもの」にされちまってるのさあ」 まったく重みのない薄っぺらな様子で、怪人はとんでもないことを口にした。 3.『来訪者たち/Visiters』 「……という感じデ、特撮鑑賞会をしてマス」 中肉中背のアジア系の青年は、隣の部屋の山乃端 一人一行の様子について、そう報告してきた。 どう考えても冗談としか思えない内容だが、青年の顔はいたって真面目だ。 「おかしいだろ。様子を見ようって言ったのはアイツだろうが」 「『気が変わった』だそうデス……」 申し訳なさそうに言う青年の名は、山居 ジャック。 その言葉を受けて、山乃端 一人とそっくりの顔をした色黒の少女、山乃端 万魔は、呆れたように息をついた。 2人は、鏡を媒介にして並行世界を渡る転校生、鏡助との取引に応じた魔人だ。 取引の内容は、『並行世界の山乃端 一人を襲撃者から救う代わりに、元の世界で、山乃端 一人を守るために他の魔人の力を借りる』というもの。 ここにいる2人は、元の世界の私の鏡像。 記憶も能力も元と同様だが、分身、影法師のようなものだ。 鏡助という転校生の言葉が真実なら――転校生は嘘がつけないとのことだが――今頃、2人の本体もまた、他の並行世界の魔人の力を借りて、山乃端 一人を守っているはずだ。 限りなく元の世界に近い並行世界の池袋で山乃端 一人を探していた万魔とジャックを引き合わせたのは、同じく鏡助の誘いを受けたという、ウスッペラ―ドという怪人だった。 ウスッペラ―ドは、池袋の各地に配下の戦闘員を泳がせ、挙動の怪しい人間にかたっぱしから声をかけさせて、同様の境遇の魔人を見つけたのだという。力技にもほどがある。 別の世界線に連れ込まれたものの、山乃端 一人を狙う襲撃者が何者かはわからない。 さらには、この世界の山乃端 一人が、それぞれの世界の山乃端 一人と人となりがどう違うかもわからない。 だから、少し遠巻きに彼女を監視しながら守ろう、という話になったのだが……。 『あ、ちょっとトイレ』 とか言って席を外したウスッペラ―ドが、なぜか道端で山乃端 一人と連れの少女に話しかけ、カラオケ屋に飛び込んで現在に至っている。 「バンマーサン、どうしマス?」 「引き続き、隣の様子を探ってくれ。ウスッペラ―ドとの【会話】が途切れたら、最悪踏み込む。アイツが『襲撃者』の可能性だってゼロじゃない」 「わかりマシた」 ジャックはうなずくと、部屋の壁に額をつけて集中を始めた。 彼の魔人能力は『ハナサナイカラハナサナイカ』。 どんな状況でも、10m以内の対象と会話ができる能力だ。 壁を隔てようと、本来、言葉の届かない場所にいようと、ジャックと対象の間では、会話ができる。 音声という物理法則を介さない以上、ジャックが望むならば、他の誰にも聞かれない形でその【会話】は成立する。 簡単に言えばテレパシーの亜種だ。ジャックとウスッペラ―ドの【会話】を通じて、万魔は、山乃端 一人の状況を監視していた。 「こっちのヒットリサンは……戦う人なのデスね」 「ああ、そうだな」 ジャックが呟いた。 万魔は、ジャックから、彼の世界の『山乃端 一人』の人となりと、彼との関係性を聞いている。 彼が『襲撃者』でないことの担保のため、そして、彼の動機付けを知るためだ。 同時に、万魔の世界の『山乃端 一人』のことも話している。 万魔の世界の『山乃端 一人』も、ジャックの世界の『山乃端 一人』も、戦闘とは無縁の、芯は強いが穏やかな女性だった。 思いやり深く、自分より、ともすれば他者を思いやる。そんな性格だ。 そのやさしさは、周囲に、彼女を受け止める環境があったから生まれたものだろう。 それに対して、この世界の『山乃端 一人』は、ずいぶんと攻撃的なように、万魔には感じられた。 おそらくは、万魔やジャックの世界よりも多くの危険に晒されて、しかも、周囲の助けを得ることができなかったのだろう。 だから、1人で戦うために強くなった。鋭くなった。冷たくなった。 この『山乃端 一人』は、自分の前から友人がいなくなったときに、花の写真を送り続けるだろうか。 そんなことはしないのではないか、と万魔は思った。 ジャック経由でウスッペラ―ドから『会話』でもたらされる情報によれば、『山乃端 一人』の連れ、望月 餅子とかいう少女はこの世界線の存在で、『山乃端 一人』の幼馴染だという。 だが、そうだとしたら、どうして『山乃端 一人』はここまで心を凍てつかせてしまったのか。1人で強くならなければいけないほどに追い詰められたのか。幼馴染だったら、彼女の傍に居続けて、守り続けてやればよかったのではないか。 自分のように面倒な出自がないのなら、それができない理由など、ないはずなのに。 万魔は、漠然とした苛立ちを、まだ話したこともない望月 餅子に感じていた。 「バンマーサン。ご機嫌ななめデス?」 「悪い。山居に非があるわけじゃない」 「ボクに、足りないところガあれバ、言ってくださイ。話せば、直せマス」 魔人能力は、個人の信念、認識によって形成される。 どんな状況でも会話ができるというやさしい能力の持ち主は、やはり、そういう性質なのだろう。 山居 ジャックは、万魔がいたたまれなくなるほどに善人だった。 「周囲を見てくる」 「ハイ。お気をつけテ」 万魔も魔人だが、「まっとうな」存在ではない。 使える異能には、ウスッペラ―ドのような汎用性も、ジャックのような利便性もない。 ただ、しぶとい。最後まで立ち続けられる。その程度の能力者だ。 だからこそ、一番危険な場所で、身を挺して『山乃端 一人』を守らなければ。 階の廊下を一通り回る。 すれ違ったのは2人。そのうち1人は手洗いに足早に駆け込み、1人は、各部屋のドアをちらちらと見ながら歩を進めている。 前者は白、後者は限りなく黒寄りの灰色と判断する。 万魔は非常階段に一度身を隠すと、足音を殺してあからさまな不審者に忍び寄った。 腰から下げた鎖で手首を絡めとり、関節を極めて背へと回す。 瞬間、けたたましいブザーが響いた。不審者が空いた手で鳴らしたのだ。 その音に呼応して、階上、階下へ続く階段から、若者たちが飛び出してきた。 思った以上に数が多い。 【バンマーサン! どうしマシたカ!】 ジャックの反応は早かった。 即座に『ハナサナイカラハナサナイカ』による【会話】が繋がる。 「襲撃だ! ウスッペラ―ド経由で彼女に警告してくれ!」 【それが……ウスッペラ―ドサン、ブザー鳴ったら、逃げてしまいマシタ】 やりやがったアイツ。万魔は心の中で悪態をついた。 薄っぺらなやつだと思っていたが、まさかここまでとは。 【直接ヒットリサンと、モチッコサンに呼びかけてみマスが、信じテもらえるかハ……】 「構わない、やってくれ!」 仕方ない。せめて自分が時間を稼いで―― と、男子トイレから出てきたばかりの男が、襲撃者に突き飛ばされて万魔の方へと転がってきた。襲撃直前にすれ違った青年だ。 何が起きているのか、理解できていないのだろう。 がくがくと震えながらうずくまる男を、興奮した襲撃者が蹴り飛ばそうとする。 「ひいいい!?」 万魔が放った鎖によって、蹴り脚が縛られ、そのまま襲撃者の1人は廊下に倒れこんだ。 そのまま鎖を振り回し、万魔は他の襲撃者たちの進攻を妨害する。 「ここは急場だ。怪我したくなけりゃ、別の階に逃げな」 「あ、ありがとうございます……」 歯の根も合わない様子で男は頭を下げ、そして 「Self-conceit may lead to self-destruction.(たった1人で、出てきてくれて)」 背中に。脇腹に。太腿に。立て続けに激痛が走る。万魔の息が一瞬止まる。 刺された。切られた。あまりに無駄のない動き。 足に力が入らない。廊下に倒れこむ。 万魔を見下ろすのは、金髪で細身の長身の男。 間違いない。 こいつが、『襲撃者』。 確信があった。 人に致命傷を叩き込んで、なおも全く揺れぬ視線。 「We look forward to serving you again.」 これは、『ためらいなく人を殺すもの』だ。 ◆ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ 「いよっ、大将、相変わらずえげつない手口!」 「『山乃端 一人』の能力については、大将の予想通り。一時間ごとに能力が切り替わるって話でやんしたぜ。あのお嬢ちゃんは悪意にゃ敏感そうだから、これはきっと大将じゃ聞き取れないネタだったんじゃないかと……おっと! へへへ、太っ腹っすねえ大将」 「『山乃端 一人』の能力は、封印された《獄魔》とやらの力を使うってもんで、今は、全十二柱中、八柱(・・)が封印済み。つまりは、一日のうち4時間、『山乃端 一人』は無力ってわけでやんすよ。聞けたのは名前と対応時間だけで、能力は不明(・・・・・)。能力使用不可が2時間続くのは、午前午後の8-10時らしいでやんすよ」 「……ん? オレも『山乃端 一人』を守るためによこされたんじゃないかって? 何を今更」 「気に喰わなけりゃ、幾らでも裏切るのが悪党ってもんでさ」 4.『混戦と冷笑/Concentration』 混戦、乱戦というのが相応しい惨状だった。 廊下に出ると、叫び声と暴力の音が押し寄せて、山居ジャックは顔をしかめた。 突然背後から殴られる。 この状況で、ジャックが『山乃端 一人』を守ろうとしていることはわからないはず。 廊下に集まっている若者たちは、興奮して、見境がなくなっているのだろう。 ウスッペラ―ドは、ここ一週間ほど、池袋を拠点としている若い人たちのグループのメンバーを、誰かが襲っていると言っていた。 目的は、彼らを不安にさせること。そして、襲撃の犯人を『山乃端 一人』ということにして、彼らに一人を探させ、追い詰めさせることだと。 だとしたら、彼らもまた被害者である。 少なくとも、暴力でねじ伏せるべき相手ではない。 ジャックは、そう考えた。 そもそも、彼には、彼らを力で止める力などない。 できるのはただ、『話す』ことだけ。 ――魔人能力『ハナサナイカラハナサナイカ』発動。 殴られながら、蹴られながら、それでもジャックは【会話】を試みる。 それは、ジャックが魔人として頑丈な体を得ていなかったら、成立しない対話であり、 それは、若者たちの性根に優しさがなかったとしたら、成立しない対話だった。 扇動されていても、激高していても、彼らは、武器も持たずに、ただ会話しようとするだけの相手に、致命傷を叩き込むような人たちではなかった。それが、ジャックの命を救い、この混乱した状況下での情報交換を可能にしたのだ。 山乃端 一人襲撃を止める説得こそできなかったが、それでも、ジャックは幾つかの情報を若者たちから得ることができた。 彼らは、地元の若者たちがつるんで自然発生した自警団的な集団である。 最近、彼らと、彼らと緊張関係にあったチームの構成員が襲撃される事件が起きた。 犯人を探す中、とある情報屋から『山乃端 一人が犯人である』との噂がもたらされた。 情報屋は、チームのリーダーが魔人能力で信用できる相手だと確認済みである。 チームメンバーはリーダーの人を見る目を信じている。 リーダーは参謀としても有能な情報屋の話を聞き入れ、犯人探しにメンバーを動員している。 ジャックはおおよその状況を理解する。 どう、チームリーダーの魔人能力を騙したのかは不明だが、その情報屋とやらが、この世界の山乃端 一人を殺そうとする、『襲撃者』ということなのだろう。 痛む体を引きずりながら、ジャックは空いた部屋のソファーに倒れこむと、魔人能力を行使し、半径10m以内の人の存在を確認した。 彼の異能は、【会話】を主とする能力だ。 10m以内の人間を対象にする、という特性から、「10m以内にどれだけ人がいるか」を知る、レーダーめいた応用も可能である。 反応の中心にいるのは、山乃端 一人と、望月 餅子。 餅子は多勢に無勢のはずの相手に対抗しているようだった。 途切れそうになる意識を繋ぎとめ、ジャックは2人に【会話】を繋ぐ。 【まだ人は増えてマス! 倒し切るより、逃げるのを考えてくだサイ!】 【承知しました! 山居 ジャックさんでしたか! 御助言ありがとうございます! この騒ぎでもクリアに会話できるとか、素晴らしい能力ですね! 『最強』のおしゃべり能力といえましょう!】 餅子は、最初に【会話】で襲撃について警告したときの反応通り、即断即決、迅速果断な人のようだった。 山乃端 一人の方は突然心に直接話しかけてきたジャックを警戒したようだが、餅子がすぐに信用したおかげで、結果的に2人は不意打ちを受けずに済んだのである。 【山居ジャックさん、だったかしら。山乃端 一人だけど。あなた、今どこ?】 【エレベーターの隣の部屋デスが……】 【了解】 今の質問は、どういう意図だろうか。 彼女にとってジャックは、助言らしきことをしたとはいえ、突然心に話しかけてきた怪しい存在だ。襲撃を受けているこの状況で、わざわざ居場所を確認する理由がない。 ジャックのいる場所から離れることで、襲撃の巻き添えを避けようという意図かもしれない。だとすれば、やさしい判断だと、ジャックは思った。 ソファーに横たわり、ジャックは天井をぼんやりと見上げた。 一人の無事を確認して緊張が解けたせいか、全身を痛みが襲う。 山居 ジャックは、魔人ではあるが、荒事が得意なわけではない。 それでも、言葉には力があると思い、言葉を伝えるこの能力で、できることがあると考えていた。 言葉は決して腕力には屈しない。 その認識が、魔人能力を生み出した。 けれど、今、ジャックの言葉は扇動された人たちを止めることができなかった。 自分が無力であることを痛感する。 そして、それ以上に悔しかったのは、この事態を引き起こした『襲撃者』――情報屋は、ジャックの信じた言葉の力を、きっと彼よりうまく使いながら、それを、人を傷つける方向に使っているということ。 『ほーら、暗くならないの』 『遠慮しないの、家族でしょ?』 ジャックはいつか、元の世界の山乃端 一人から投げかけられた言葉を思い出した。 どんな薬よりも、ジャックが抱える不治の病気の苦しみを、やわらげてくれた言葉。 言葉には力がある。 人と人とを繋ぎ、心を満たし、欠けたものを埋めていく。 人が満たされれば、人が作る社会も満たされる。わかりあえる。平和になる。 だからこそ、慎重に、大切に、使わなければいけない。 後悔は、数呼吸の間で止まった。 きっと、『襲撃者』は、すぐに次の手を打ってくる。 【会話】が途切れた――おそらくは10m以上離れたところにいる――万魔とウスッペラ―ドと合流して、態勢を整えなければ。 足に力が入らなかった。 這うように部屋から出ようとするも、笑ってしまうほど、2mほどの距離が長く感じる。 こんなところで、もたもたしているわけにはいかないのに―― 焦りばかりが募った、その時、轟音が響き、部屋の壁が粉砕された。 ゆうに大人が一人通れる穴の向こうから顔をのぞかせたのは、 「――あなたが、山居 ジャックさんね」 半透明な赤の獣人を従えた少女。 ジャックの知る彼女を一回り若くしたような、この世界の『山乃端 一人』だった。 「ナンデ……」 「借りっぱなしは、私の主義に反するの」 彼女は面倒くさそうに言うと、ジャックを起こし、肩を貸した。 「ひーちゃん、あたしが抱えましょうか?」 「餅子は護衛。まだ相手はたくさんなんだから。いくら《血塗れの侵入者(ブラッディ・ハッカー)》でも、全員を相手にはできないわ」 「では、この『最強』が引き続き、ばっちり守ってみせましょう! さながら夏の陣の大阪城のごとく!」 「落城寸前よねそれ!」 ああ、なるほど。 ジャックは納得した。 世界線は違っても。境遇や、それによって構成された性格は違っても。 それでも、山乃端 一人は、山乃端 一人なのだと。 決定的なところで、誰かに手を差し伸べる選択をしてしまう、そんな性質の持ち主なのだと。 「ありとがゴザイマス」 「ほら、行くわよ! こんな陰険な攻め方してくるなら、これで済むはずない――」 と、そこで、ジャックの感覚が、覚えのある気配を捉えた。 【ペーラペラペラペラ! ようブラザー! ラッキースケベ中悪いが――】 【ウスッペラ―ドさん! 無事デしたカ!】 【――その階は5秒後に消滅する】 【ハ?】 【爆発だよ! 木っ端みじんこってヤツだ! せいぜい頑張ってなんとかしな!! ペーラペラペラペラペラ!!】 考える暇はなかった。 魔人能力『ハナサナイカラハナサナイカ』同時発動。 本来なら、誰かと話しているときに、別の人と話すことはできない。 だが、山居ジャックの能力は、『お互いがどんな状態であれ会話ができる』。 多重高速会話。 状況の共有。 あとは各々がどれだけ最適な行動を取ることができるか。 真実かもわからない爆破へのカウントダウンに、体感時間が停滞していく。 どうする。何ができる。何をすべきだ。どうすれば、彼女を助けられる――? 残された時間にできたことは、ほんのわずか。 焦るジャックたちを冷たく笑うように、その時は訪れ、 爆炎、轟音、衝撃が、一行を包み込んだ。 5.『無法者/Desperado』 『いや、ほんっとーに悪かったって大将! でもよう……オレもがんばった! 超がんばったんだぜ! 見ただろ! オレの華麗な話芸! ペラペラ回る舌! ちゃんとアンタの言いつけ通り、爆弾カラオケの部屋に連れ込んだ!』 『だから、オレはオレの仕事はきちんとして……いやいやいや! 悪かったよ! でもよう……あの餅子とかいうバカ、あからさまに強そうだったし殴り合いじゃ勝てそうになかったし……あああ! いや、すみませんでしただからどうか命だけは!!』 『そ、そうだ!! とっときの情報があるんだよう。だから見逃してくれよう……』 『オレは見た! カラオケ屋から出てくとき、連中は、4人だった。山乃端 一人、餅月 餅子、山居 ジャック――そして、あんたの分身が『殺したはず』の山乃端 万魔だ!』 『つまり――連中の中に、大将が喉から手が出るほど欲しい『蘇生能力者』がいる……んじゃないかな? そんな気がする! いや、きっといる! いたらいいな……? みたいな……ほら、いいネタだろ? だからどうか……』 ウスッペラ―ドの懇願が終わる前に、ウスッペラ―ドが手にしていた『大将』――仙道 ソウスケから受け取った携帯電話は、まるで元から存在しなかったかのように消え去った。 どんな場所でも「絶対に繋がる」携帯電話。 案の定、仙道 ソウスケの魔人能力の産物だったようだ。 これでもウスッペラ―ドは悪党の端くれだ。悪人の考えはある程度理解できる。 自分はもう、お払い箱ということだろう。 伝えるべきことは伝えた。 ビルを階ごと爆破する仕込みなど、ソウスケの手札の中では序の口だ。 この街の各所には、住民ごと広域大量虐殺ができる毒ガスの用意がされている。 彼がそれを初手から使ってゲームセットにしないのは、もう一つの目的……『蘇生能力者の発見』があるからだ。 だからこそ、半分くらい口から出まかせだったとはいえ……とにかくウスッペラ―ドは、「山乃端 一人の一行に、蘇生能力者がいる可能性」を匂わせる必要があったのだ。 (だいたいなァ、こんな街中でジェノサイドなんかやられたら、オレのファンのガキまでいなくなっちまうってぇの) これでとりあえず、無差別広域虐殺の線だけは潰した。 十中八九ブラフだとわかっていても、ヤツは蘇生能力者を確保する可能性を見逃せない。 あとは、『山乃端 一人』御一行と、『襲撃者』仙道 ソウスケの直接対決となるはずだ。 ウスッペラ―ドは、無法者(デスペラード)だ。 だから、最初、鏡助とかいう転校生から、取引を持ちかけられたとき、真っ先に「気に食わない」と思った。 自分のファンである、元の世界の山乃端 一人は守ってやってもいい。 あいつが「悪いこと」をするなら、その手伝いをしてもいい。 だが、そのために、他の世界の山乃端 一人を助けるなんて、面倒だし、何より、悪党らしくなかった。 まあ、シンプルにいえば、ウスッペラ―ドは鏡助というやつにむかついた。気に食わなかったのだ。 だから、この世界の『山乃端 一人』を殺そうとする側、仙道 ソウスケと接触して、その使いっぱしりとして、しばらく同行した。 ソウスケもまた、無法者(デスペラード)だった。 しかも、ウスッペラ―ドのような薄っぺらな悪ではない。 悪を悪と認識せずに息をするように体現する、西海岸のステーキハウスの肉みたいな分厚い悪だと、ウスッペラ―ドは感じた。 まあ、ウスッペラ―ドは西海岸には行ったことがないのだが。 仙道 ソウスケの目的は、惚れた女を助けることらしい。 英 コトミ、ものの貸し借りを省略する、《印鑑不要の現実》を使う魔人の救命。 仙道 ソウスケは二枚舌どころか、九枚舌くらいはありそうなペテン師だが、この目的だけはおそらく、まじりっけなしの、真実だろうと、ウスッペラ―ドは思っている。 なにせ、池袋のチームヘッドの魔人能力《誠意大将軍》――誠意のある言葉を見分ける読心系能力だ――を切り抜け、自分を信じさせるために話した内容だ。 尋問もかくやというあの質問攻めを、クリティカルなところは的確に沈黙することで、うまくごまかした手腕は、あまりにも見事だった。 英 コトミの魅力といかに自分にとって大切だったかを語り始めたのを皮切りに、彼女の生年月日から生育歴、交友関係から好みの煙草の銘柄、ファッションブランドに至るまでよどみなく答えたのは、質問したチームヘッドも若干引き気味だったほどだ。 まあ、今にして思えば、あそこで嘘なく彼女のことを長口上で細かくまくしたてることこそ、「他のことも全て真実だろう」と思わせ、尋問を終わらせるための、ソウスケの手管だったのかもしれないが。 ともあれ、仙道 ソウスケは、英 コトミを助けるためならば、どんな被害もいとわないだろう。 それは、とても「悪いこと」だ。本来、ウスッペラ―ドにとっては望ましいあり方だ。 山乃端 一人の方は――正直、よくわからなかった。 彼女に話しかけたのは、ウスッペラ―ドの知る『山乃端 一人』とどう違うか、確かめたかったからだ。自分の番組のよさを理解しないようなら、その場でトドメをさしてもいいかもなあ、くらいに思っていた。 けれど、この世界の彼女は、「その段階にすら立っていなかった」。 『「山乃端一人」は「山乃端一人」として扱われる 「山乃端一人」は「山乃端一人」と名乗る 「山乃端一人」は銀時計を持つ 「山乃端一人」は学校に通う 「山乃端一人」は家によって守られる 「山乃端一人」は東京の外に出てはいけない 「山乃端一人」から半日以上目を離してはいけない 』 いつか、自分の世界の山乃端 一人が口にしたことを、ウスッペラ―ドは思い出す。 クソのような呪いだ。 悪党のウスッペラ―ドですら、いや、だからこそ腹が立つ、問答無用の束縛だ。 年頃の少女が背負っていいものじゃない。 だからきっと、あの日、ウスッペラ―ドは、彼女からその言葉が聞けて嬉しかったのだ。 『一緒に「わるいこと」をしましょう!』 と。 だが、この世界の山乃端 一人はどうだ。 特撮ものを知らない? そんなものに触れてすらこられなかった? 単に好みではないとか、興味がないとかであればよかった。 だが、あの、山乃端 一人は、あろうことか、ウスッペラ―ドの出演する番組のDVDを見て、初めてそれを見た子どものように、目を輝かせていたのだ。 あんな年齢で周囲を警戒し続けて。1人で戦うと言い続けて。 ここまで孤独に、九柱(・・)の《獄魔》を封じるという、修羅場を経てきたのに。 つまりは、彼女は、ウスッペラ―ドの知る山乃端 一人以上に、子どもとしての時間を問答無用で奪われていただけで、確かに「ウスッペラ―ドのファン」である、山乃端 一人と、同じ性質を持つ少女だったのだ。 きっと、争いと無縁になれば。フィクションを十分楽しむ余裕ができれば。 毎週テレビの前で彼の雄姿に興奮する、ファンにだって、なれたはずの子どもなのだ。 「……ペーラ……ペラペラ」 笑うしかない。けれど、その笑いにすら、力が入らなかった。 他人に聞かれなかったのは幸いだ。 当然だろう。 ウスッペラ―ドがいるのは、爆破されてぺしゃんこになったカラオケビルのがれきの隙間。 彼の異能は『紙造りの世界(paper craft)』。 すべてをペラペラの紙状にする能力。その対象は彼自身も含む。 普通ならば圧死間違いなしの状況で生き延びたのは、この力のおかげだ。 それでも、無事であるとは口が裂けても言えない。 この状態の彼の身体は、紙に近い性質を持っている。よって、炎には弱い。 つまり、このビルの爆破、爆炎から、山乃端 一人たちを助けたせいで、もう、ぼろぼろのずたずたであるということだ。 「……ペーラペラペラペラ」 鏡助という男を、むかついたからという理由で裏切り。 仙道 ソウスケという襲撃者を、うすっぺらな同情で裏切った。 これこそが、自分。 これこそが、ウスッペラ―ド。 誰よりも薄いことだけが取柄の、無法者(デスペラード)だ。 もう、真正面から戦う力はない。 仙道 ソウスケと戦う決戦では、彼は戦力外だろう。 「……ペーラ、ペラペラペラ!」 分は悪い。知恵も、悪徳も、悪党としての格も、きっと腕っぷしも相手が上だ。 それでも、やらなければいけない。 DVDを見て、山乃端 一人が輝かせた目を曇らせないために。 怪人ウスッペラ―ドは、怪人ウスッペラ―ドを演じ切る。 そう。 子どもたちを恐怖のどん底に陥れる怪人ウスッペラ―ドは、いつだって不屈。 何度やられても再登場。やられたあとも再生怪人。 この高笑いと共に、颯爽と現れるのだから。 そして、また、問いかけるのだ。 「お嬢ちゃん。オレと一緒に「悪いこと」をしてみないかい?」 6.『最強/Hope for the best, but prepare for the worst.』 心臓が跳ねる。それは、走り続けているからだけではなかった。 怒り。あるいは恐怖。あるいは焦燥。 思考がまだ冷静さを取り戻してくれない。 山乃端 万魔は、苛立ち混じりにアスファルトを蹴りつけた。 叫びださずに済んだのは、彼女が背負っている山居 ジャックと、前を走る望月 餅子、そして彼女が抱えている山乃端 一人の存在のおかげだった。 カラオケビルの爆破から命からがら逃げだした一行は、池袋駅から離れるように、人通りの少ない方向へと走っていた。 敗走だった。 山乃端 万魔は、『襲撃者』を侮っていた。 いや、「信用していた」と言うべきか。 たとえ目的が山乃端 一人の殺害であったとして、たとえば、周囲にいる人間ごと無差別に殺すようなことをよしとする相手だとは、思っていなかったのだ。 それは多分、彼女自身が山乃端 一人を殺そうとする側だったからだろう。 自分の中で当然だったルールは、同じような目的を持つ相手にとっても前提だと、無意識のうちに思ってしまっていたのだ。 なんて甘さだ。 常に自分にとって最悪の事態を想定することこそ、碁の基本だというのに。 『襲撃者』は、(おそらく)無関係な若者を扇動して山乃端 一人を襲撃し、足止めさせた上で、手勢である若者たちごと、カラオケビルの階一つをまるまる爆破した。 かろうじて生き延びることができたのは、その場にいた全員の咄嗟の反応によるもの。 本当に、紙一重、危機一髪だった。 そもそもの対応が間に合ったのは、ジャックが『ハナサナイカラハナサナイカ』による【会話】で、全員に瞬時の警告をしたから。 爆炎と衝撃を防いだのは、万魔の能力と、突然現れたウスッペラ―ドが、体から取り出した無数のガラクタで展開した即席のバリケード。 そして、崩落するがれきの中で脱出できたのは、山乃端 一人が純粋なパワー型の《獄魔》――《血塗れの侵入者(ブラッディ・ハッカー)》というらしい――の力を使って、外へ繋がる横穴を開けたから。 最後に、地上7階のビルの壁面から無事に地面へと着地できたのは、望月 餅子の能力である「物質へのはりつき」で壁を伝い降りることができたからだ。 『襲撃者』による攻めの刃は、首筋に触れるところまで近づいた。 執拗で、厄介な敵だった。 疲労を押して走り続ける。道はどんどん細く、すれ違う人も減っていく。 行く当てがあるわけではない。 ただ、人通りのあるところで戦えば、躊躇なく『襲撃者』は第三者を人質に、あるいは巻き添えにするだろう。 人の少ないところへ移動し、時間を稼がないといけない。 山乃端 一人は、《獄魔》の力を使いすぎたことで気を失っている。 ジャックは乱戦で攻撃されるままになったことで、立てないほど消耗している。 どれくらい走っただろうか。 万魔たちは住宅街の中の公園に飛び込むと、周囲を伺った。 追跡の気配はない。 戦う場所としても、ある程度のスペースがあった方が、万魔の能力は使いやすい。 「休むぞ」 「わかりました!」 望月 餅子の反応はシンプルだった。 ぐったりしている一人とジャックをベンチに横たえ、万魔と餅子は、手近な自動販売機で買った缶飲料に口をつけた。 コーヒーの甘さと熱が、ようやく生きた心地を取り戻させてくれる。 爆破の直前、ウスッペラ―ドは、ジャックの【会話】を通じて万魔たちに「21時まで耐えろ」「山乃端 万魔は、『襲撃者』と直接対決するまで、できるだけ魔人能力を使うな」と告げた。 意図はわからない。信用できるかもわからない。そもそも、ウスッペラ―ドが裏切者、あるいは第2の『襲撃者』である可能性も否定できない。 それでも、万魔には、これだけ周到で、無差別の被害を厭わない『襲撃者』に対する攻略法が思いつかない。胡散臭い怪人の言葉であっても、信じる他なかった。 信じる根拠は、あの爆破の瞬間に、身を挺して彼が一行を守ったことだけ。 まったく薄っぺらい、頼りのない根拠だった。 「いやあ、やっぱり疲れたときには甘い物! かの藤原道長公も甘味パワーで我が世の春を謳歌したと言いますし!」 たしかそいつ、そのあと糖尿病で死んだはずだけどな。 いつか、元の世界で親友から教わった知識を、万魔は漠然と思い出した。 改めて、万魔は缶ミルクティーをちびちびと舐めるように飲んでいる望月 餅子の横顔を見る。 こんな状況であっても、彼女は笑顔を絶やさない。 それは、一般的には美徳かもしれない。 だが、万魔はその笑顔に、ぎりり、というぎこちなさを感じていた。 そう。ぎりり、という感じだ。 万魔とは性格も顔立ちも全く違う子ではあるが、かつて万魔自身が経験したことだから。 それが、山乃端 万魔がいつか、鏡の前で練習していた固い笑みと同質であるとわかってしまった。 山乃端 万魔は、人造人間だ。 まっとうな育ち方をしていない。 だから、感情も、それを現す表情も、自然に習得できてはこなかった。 だから、笑顔の練習をした。常識を学習した。普通の女の子に近づくための努力をした。 それでも、ぎこちない笑顔を、元の世界の山乃端 一人に看破された。 そんな過去を持つ万魔だからこそ、確信した。 望月 餅子もまた、おそらくは、そういう存在だ。 普通に人の腹から生まれたのか、万魔のような人造人間か、もっと別の何かかはわからないが、何かを背負って、その背負ったものによって、まっとうな人間性を取りこぼしてしまったような、いびつな子どもだ。 望月 餅子は、『山乃端 一人』の前から、数年間、いなくなっていたという。 もし、望月 餅子が、この世界の『山乃端 一人』とずっと一緒にいたら、『山乃端 一人』の心は、もっと救われていたのではないか? 以前、万魔はそう思った。 そして、『襲撃者』から逃亡する中、望月 餅子と言葉を交わして、表情を見て、改めて考える。 もし、望月 餅子が、この世界の『山乃端 一人』とずっと一緒にいたら、望月 餅子の側も、もっと、普通の子どもとして、救われていたのではないか? この空白は、二人どちらにとっても、心を傷つけるだけの断絶だったのではないか? 余計な思考だ。お節介にもほどがある。 万魔は、元の世界で、自分が『山乃端 一人』の前からいなくなっていた間、スマートフォンに送られてきた、無数の花の写真を思い出す。 不安だったはずだ。心細かったはずだ。疑いもしたはずだ。 だったら、そんな別離は、ない方がよかったに、決まっている。 「なあ、望月 餅子」 「はい! なんでしょうか、ひーちゃんブラックさん!」 「……山乃端 万魔だよ」 「バンマさん! 強そうなお名前ですね! そこはかとなく『最強』を感じます!!」 空気を読まない言動。 それは、きっと意図的ではないだろう。 機微を感じ取れないのでもないだろう。 ただ、圧倒的に、彼女には、人と触れあう経験が、少なかったのだ。 いつかの山乃端 万魔と同じように。 「どうして、『山乃端 一人』の前からいなくなった?」 何かまた適当な即答をしようとする望月 餅子を、万魔は視線で制した。 その意図を理解したのか、それともきまぐれか、望月 餅子は珍しく、考える素振りを見せる。 しばしの沈黙の後、彼女はぽつりと口にした。 「……『最強』であるためです」 「それが、『山乃端 一人』より大切だったのか?」 「『最強』でないと、ひーちゃんを、殺してしまうからです」 妙な言いまわしだった。 守れない、ではなく、殺してしまう、と。そう、餅子は言った。 「なんだそれ」 「あたしは、常に宝物を持ち歩いています!」 唐突に、望月 餅子は背負っていたスポーツバッグから、封筒を取り出した。 その中には、かわいらしい便箋と、そして、 「押し花です。ひーちゃんの、お手製です」 望月 餅子は、ラミネート加工されてなお褪せた色のそれを、万魔に、誇るように掲げてみせた。 表情は変わらない。 無駄に気合の入った口調で、空気の読めないボケを連発するときのまま。 それでも、その笑顔から、万魔は、ぎりり、というぎこちなさを感じなかった。 「だから、あたしは『最強』になると決めました。他の誰より弱くとも、少なくとも昨日までの自分より確実に強い、今が、今までで最も強い。そうでないと、あたしは、ひーちゃんの隣にいられないのです。そうなれるまで、数年、かかりました」 万魔には、餅子の言葉の意味がわからない。 なんで、『最強』であることが必要なのか。 なんで、『最強』でないと、幼馴染を殺してしまうのか。 けれど、理解できたこともある。 万魔がそうであったように、望月 餅子は心底、山乃端 一人に救われていて。 万魔の世界の彼女と同じように、『山乃端 一人』も、親友に花を贈れる人物だったということ。 それで、万魔の個人的なわだかまりは解消した。 「…………」 万魔は、ベンチに横たわっている、親友と同じ顔をした女を一瞥した。 眠っているにしては、あまりに真剣に、こちらの会話に集中している、素直になれない少女を。 なるほど、彼女にとっても、今の会話は、大切なものだったということらしい。 ほんのひと時だけの休憩。 この雑談に戦術的な意味はないが、山乃端 万魔にとっての価値はあった。 そんな穏やかな静寂を破ったのは、 「ペーラペラペラペラ!」 完全に空気が読めていない薄っぺらな……そして、心なしかやけくそな笑い声だった。 「お嬢ちゃんたち! 援軍が来たぞ!」 「いたぞ! 裏切者のウスッペラ―ドだ!」 「つかまえろー!」 大勢の足音が聞こえてくる。 なるほど、確かに援軍だ。 万魔たちを助けるものではなく、万魔たちを追いかける側の援軍だが。 「アンタ、何、余計な追手連れてきてるのよ!!」 いつの間にか起きだしたのか、山乃端 一人が叫び声をあげる。 「ヒットリサン! こちら、人少なイでス!」 ジャックもまた、体を動かせる程度には回復したようだ。 「え!? ええええ!? お二人とも、起きてらしたのですか? ……も、もしかして、先ほどの、餅子プレシャスメモリーズのこと、聞いてらしたと?!」 「ペーラペラペラペラ! オレはまだ他にやることがあるので、諸君ら! 後のことは頼んだぞ!!!」 「おい、あそこに『山乃端 一人』がいる! 『情報屋』とヘッドに伝えろ! 裏切者は後だ!!」 見事に追手のターゲットを万魔たちになすりつけ、ウスッペラ―ドはどこかへ消えていった。 午後5時を告げる鐘が鳴る。 ウスッペラ―ドが指定した時刻まで、あと4時間。 池袋を舞台にした鬼ごっこは長くなりそうだった。 7.『自浄する藍/Indigo punishment』 住宅街の細い入り組んだ道を、追手をかわしながら移動する。 おそらく彼らも『山乃端 一人』を、池袋を騒がす犯罪者だと信じているだけの第三者。 「……面倒な、敵だな」 「だめデス。説得、応じてくれまセン……」 「主犯っぽい『情報屋』とやらの居場所は?」 「誰も知らナイみたいデス」 「ずいぶんと慎重な奴だ!」 これまで、私は九柱の《獄魔》と戦ってきた。 簡単な戦いだったとは言わない。 一柱封じるたびに敵は力を増し、死を意識したことも一度や二度ではない。 それでも、この戦いは、今までと一線を画していた。 巻き込むものが多すぎる。 関係するものが多すぎる。 誰が敵で誰が味方かも判然とせず、うねりに流されているような感覚だ。 『女の子が「自分らしく生きたい」と願うとする。彼女が出歩けば、それを守るものと狙うもので戦いが起きる。犠牲が出る。無関係な巻き添えもわんさかだろう。それは「色んな人に迷惑をかけること」だ』 ウスッペラ―ドの言葉を思い出す。 あの怪人は、今の、この状況のことを指して、あんなことを言ったのか。 覚悟はしたつもりだった。 けれどそれは、自分だけが危険を受け入れる、そんな覚悟だ。 他の人を巻き込まないために、自分の中の恐怖と向き合う覚悟だ。 けれど、今、私に必要なのはそういうものではない。 カラオケビルで扇動されて襲い掛かってきた、おそらくは無関係な若者たち。 爆破とともに、消し飛んでしまったであろう、第三者たち。 その屍を踏み越えて、それでも進む覚悟が―― 「ひーちゃん、それは違います」 まるで私の思考を読み取ったかのように、餅子が否定した。 「敵は、『山乃端 一人』の思考を誘導しています。『自分が生き延びて抵抗するから、多くの人を傷つけるのではないか。自分が諦めれば、みんなに迷惑をかけないのではないか』。そう思わせ、精神的に追い詰め、自縄自縛の末の自決を迫る。それが暗示誘導の闘争を司る《獄魔》――《自浄する藍(インディゴ・バニッシュメント)》の手口です」 一歩先を走る餅子の声は、ぞっとするほど平坦なものだった。 表情は伺えない。いつもの能天気な笑顔なのか。それとも―― 「ひーちゃんは悪くありません。それは、そんな状況に追い込んだ相手だけが悪いのです。ひーちゃんは優しいから、周囲の犠牲を悲しむでしょう。それはいい。けれど、自分を責めることだけはいけません。どんな『最強』の敵からだって逃げる手段はあるけれど、自分からだけは、逃げられないのですから。自分を敵にしては、だめです」 視界が、広がった気がした。 世界か、音を取り戻す。 自分の鼓動が暴れていることに、ようやく気付いた。 「……あんた、まともなことも言えるんじゃない」 「はっはっは! 『最強』ですからね!」 ◆ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ 午後7時51分。『青』の時間。 あたりはもうすっかり暗くなっている。 餅子のシャベルがストリートスタイルの男たちの足を薙ぎ払い、万魔の鎖が倒れた相手の手を、手近な電柱に縛り付けた。 【みなサン、もう少しで第7波、撃退デス!】 【ウスッペラ―ドは?】 【反応ありマセン! 10m以上離れたところにいるのかと!】 【ああもう、結局アイツはなんなんだよ!】 もう、どれだけの相手を無力化してきただろうか。 じりじりと防衛線を後退させ、私たちは、駅から少しはずれた神社の境内に追い詰められていた。 だが、確実に押し寄せる援軍の数は減っている。 餅子の言う《Ⅶ-自浄する藍(インディゴ・バニッシュメント)》――が扇動してた池袋の若者たちも、人数に限りがあったのだろう。 あるいは、粘り強く続けていた山居 ジャックの【会話】による説得が功を奏してきたのかもしれない。 「――《Ⅶ-渇き飢える青(ディープ・ブルー)》」 公園で買ったコーヒーの空き缶に大気中の湿気を抽出した水を注ぎ、私は3人に振舞った。いい加減お腹もすいてくるころだが、興奮状態のせいか、空腹感はない。 だが、こういう時ほどせめて水分くらいは確保しないと、最低限のパフォーマンスすら発揮できなくなるものだ。 「……That’s relieved and the foe man needs around here most.」 ぱちぱち、と、場違いなほど軽い拍車が近づいてくる。 「お見事。手水舎の柄杓に口をつけていたら、デッドエンドでしたよ」 「罰当たり、とか言って、気にするような相手じゃないんでしょうね」 「正解(Correct)!」 鳥居をくぐって敷地に踏み込んできたのは、金髪の優男だった。 長身で、すれ違ったら何人かは振り返るような美男子ではある。 ただ、 ――「残念。そういうのは、もう知ってる」 ――自分と同じ姿をした死体を盾に、男は冷ややかに私を見下ろした。 夢の記憶が、並行世界の私が、警告する。 これは、いつか、私を殺した《獄魔》憑き。 分身能力を持つ、冷酷な蜘蛛。 「――仙道、ソウスケ」 「……? ウスッペラ―ドか。いや、横着はするものじゃないね。やっぱり、僕は正義感が強い人の方が好きだなあ」 【ヒットリサン?】 【ジャック。餅子と万魔に伝えて。アレは仙道 ソウスケ。分身能力を持ってる魔人。殺し方はわからないけど、一人トドメを刺しただけじゃ死なない】 【――! わかリまシタ!】 仙道 ソウスケは、どしん、と石畳に巨大なアタッシュケースを置いた。 「僕はね、取引をしにきたんですよ。山乃端 一人さん。望月 餅子さん。山乃端 万魔さん。山居 ジャックさん」 アタッシュケースを地面に寝かせ、開く。 そこには、みっしりと敷き詰められた、札束があった。 「僕は、僕の大切な人を救うために、山乃端 一人さんの命を必要としている」 「けれど、憎いから殺すわけじゃない。だから、もし、死を受け入れてくれるなら、相応の対価を支払う用意がある」 「死んだら金は使えない。けれど、遺された人に分け与えることはできる。他のお三方ならばなおさらだ」 「餅子さんは別として、他の2人が戦っているのは、第三者からの依頼があったからだと聞いています。それよりも良条件の報酬を、僕は約束できます」 一つ一つ、言葉を区切り、弁護士めいて提案する。 仙道 ソウスケの言葉は、明快で、誠実に聞こえた。 これが自分を殺した相手の言葉でなければ、そして、ここまで多くを巻き込んできた敵の発言でなければ、当然のように受け入れてしまいそうな言葉だった。 「もしここで僕を退けても、より強力な『襲撃者』が、君を狙うでしょう。そうすれば、多くの人が巻き込まれ、そして、君が死んだ後はさらに大きな争い――ハルマゲドンが発生する」 「それよりは、今、僕と取引をして、周囲に、ハルマゲドンに備えた準備をする時間と資金を与えた方が、世界に与える被害は圧倒的に少ないはずだ。それは、「正しいこと」。違いますか、山乃端 一人さん」 魅力的な誘いだった。 正しい、誘いだった。 ――「お嬢ちゃんの理屈じゃ、そいつは「悪いこと」だろう?」 ――「なあ、お嬢ちゃん。オレと一緒に「悪いこと」をしてみないかい?」 ――「自分からだけは、逃げられないのですから。自分を敵にしては、だめです」 だからこそ、頷くことのできない、誘いだった。 (『逢魔刻(クライベイビークライ)』が命じる。天の杯満たすもの、濁りなき涙、流れ潰し潤う矛盾の雫――) 夢の中の私と同じように、ただ、意志だけで、銀時計に封じられた力を行使する。 (《Ⅶ-渇き飢える青(ディープ・ブルー)》) その《獄魔》が行使するのは、液体操作の権能。 ヤツが口にしたように、手水舎の水に毒が入れられたのかはわからないが、もしそれが事実なら、それをこそ、私は武器にする。 指示はシンプル。 どこまでも鋭く。どこまでも長く。どこまでも速く。 あの男の心臓を、穿て。貫け。抉り取れ。 かくて、私の血で、毒水で作られた水槍が、男の胸をあやまたず刺し貫き、力ない死体と化した仙道 ソウスケは、「もう一人の仙道 ソウスケ」に、抱きとめられていた。 「For the teacher to whom a stubborn person prefers the hardship caused personally most, it’ll be, decided.」 自分と同じ姿をした死体を盾に、男は冷ややかに私を見下ろした。 ここまでは、夢の――並行世界の記憶と同じ。 だが、今の私は、一人であって、1人じゃない。 よく素性は知らないものの、命を懸けてここまで守ってくれた人がいる。 そして、この混沌とした状況の中、隣で笑い続けてきた幼馴染がいる。 彼女たちのおかげで、今の私は、まだ十分に動くことができる。 だから、たとえ、次の瞬間から『藍』の時間――無力な一時間が始まるとしても、それでも、まだ私には、可能性がある。 行き止まり(デッドエンド)のその先に、踏み出せる。 餅子が大地を蹴った。 暗闇の中、まるで転移めいた速度でソウスケの目の前に、沈み込むように近寄り、足に組みつく。 【モチッコサン! 周り、2人発生デス!】 瞬間、餅子を取り囲むように2人の『仙道 ソウスケ』が発生した。 ジャックの警告がなければ不意打ちだったろう。 餅子は脚を掴んだソウスケAをジャイアントスイングめいて振り回すと、ソウスケBとソウスケCを薙ぎ払った。 派手な音を立てて吹き飛ぶソウスケBとCの姿は、地面に叩きつけられる前に霧散。 そして、再び餅子の足元にソウスケDとEが現れると、ジャイアントスイングの起点となっている脚を2人がかりで薙ぎ払った。 「っ!?」 転倒する餅子。宙を舞うソウスケAと、彼が手にしたアタッシュケース。 それは、札束を振りまきながら放物線を描いて―― 私は、信じられないものを見た。 札束を詰め込んだ巨大なアタッシュケース。 その中から、拳銃を持った、仙道 ソウスケが、体を起こすのを。 今の攻防と、並行世界の記録(ゆめ)を勘案し、私は理解する。 仙道 ソウスケの能力は、分身の創造。 分身は、おそらく「本体」の周囲にのみ生み出せる。 であれば、あの、アタッシュケースの中にいた者こそが、「本物」。 ソウスケは、ニコニコと笑っていた。 「We look forward to serving you again.」 そして、私の全身を、強い衝撃が貫いた。 ◆ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ ◆ ・ ◆ ◆ 一瞬だけ、息が詰まる。 背を叩いた衝撃に、意識に空白が生まれる。 だが、それだけ。 銃声は響いた。だが、身体を穿たれた痛みはない。 そして、代わりに。 「ぁ……」 私の前には、血を流して、私を突き飛ばした体勢のまま、山乃端 万魔が倒れていた。 私と同じ顔をした女の子の命が、消えようとしていた。 「ひーちゃん! 今は敵を見てください!」 「ヒットリさん! 気を確かニ!」 「Again and again」 ジャックは唇を噛むと、自分の着ていたコートを万魔の身体にかけた。 じくじくと、その生地が、赤に染まっていく。 「さらに、犠牲は増える」 「いいえ! それは、ありません!」 「へえ?」 「……あたしは、『最強』ですので」 理屈などない。 「ひーちゃんの!『山乃端 一人』の! 『最強』の! 幼馴染ですので!!」 それでも、餅子の叫びは、止まりかけた私のエンジンに、確かに火を入れてくれた。 ウスッペラ―ドの指定した、作戦の時刻――21時、『紫』の時間まで、あと小一時間。 なんの《獄魔》の権能も使えない状況下での耐久戦が、始まった。 支配時間 名称 司る色 権能 0時(と12時) - 『白』 - 1時(と13時) 《I-漆黒の人形(エヴォン・ドールズ)》 『黒』 - 2時(と14時) - 『灰』 - 3時(と15時) 《Ⅲ-血塗れの侵入者(ブラッディ・ハッカー)》 『赤』 物理攻撃 4時(と16時) - - - 5時(と17時) - 『黄』 - 6時(と18時) 《Ⅵ-蘇生する緑(グリーン・フィンガー)》 『緑』 植物操作 7時(と19時) 《Ⅶ-渇き飢える青(ディープ・ブルー)》 『青』 水分制御 8時(と20時) - 『藍』 - 9時(と21時) - 『紫』 - 10時(と22時) 《Ⅹ-銀鉄の巨塔(メタリック・バベル)》 『銀』 金属操作 11時(と23時) 《Ⅺ-黄金の欲望(ミダス・デザイア)》 『金』 性質強化 8.『彷徨する紫煙/purple haze』 時間を稼がれている。 仙道 ソウスケは敏感に、相手の意図を察知していた。 相手の動きだけではない。視線、スタミナの配分から分析した結果である。 何か明確な意図を持って、山乃端 一人と、その守り手たちは、ある時間を待っている。 考えられるのは、山乃端 一人の能力『逢魔刻(クライベイビークライ)』の、能力変更だ。 これまでの観察と情報収集の結果、彼女の能力は、一時間ごとに切り替わることが判明している。ウスッペラ―ドの報告は今となっては信用できないが、その言葉の内容とも、今のところ推測結果は一致していた。 クリティカルな嘘を隠すために、9割の真実に混ぜて言葉を飾るのは詐術の常套手段だ。 あの報告の大半は事実であると考えていいだろうと、ソウスケは判断する。 特定の時間で、この事態を打破できるだけの能力に切り替わるため、時を稼いでいる、というのが妥当な予想だろう。 「『山乃端 一人』の能力は、封印された《獄魔》とやらの力を使うってもんで、今は、全十二柱中、八柱(・・)が封印済み。つまりは、一日のうち4時間、『山乃端 一人』は無力ってわけでやんすよ。聞けたのは名前と対応時間だけで、能力は不明(・・・・・)。能力使用不可が2時間続くのは、午前午後の8-10時らしいでやんすよ」 ウスッペラ―ドの報告では、午後8時から2時間、山乃端 一人は《獄魔》を使えない。 午後10時には、希望崎学園の監視カメラデータで確認できた、金属操作能力、《Ⅹ-銀鉄の巨塔(メタリック・バベル)》が発動可能となる。これを切り札にしているか。 あるいは、封印済みが八柱であること、午後9時台に《獄魔》が使えないということがウスッペラ―ドのブラフで、そこに、何か逆転の方策の起点となる異能があるか。 おそらく後者だろうと、ソウスケは予測する。 であれば、多少の無理をしてでも決着を急ぐべきか。 それも否だ。 拮抗状態は、ソウスケにとっても望むところ。 ソウスケの『心覗の嗜み(ジェントルマンシップ)』で複製した分身は、疲労、損傷が回復した万全の状態で生み出される。 つまり、消耗戦では圧倒的なアドバンテージを誇るのだ。 山乃端 一人の《獄魔》の能力には、ある法則性がある。 希望崎学園へのハッキングで確認できた、能力は3つ。 午後10時台の《獄魔》、金属操作の《Ⅹ-銀鉄の巨塔(メタリック・バベル)》。 これは、「東京不連続殺人鬼事件」の中心にいた4人のうち1人、『殺人機』金岡かがみの魔人能力『鉄導徹毗(テツドウテツビ)』に類似したものだ。 午後11時台の《獄魔》、性質強化の《Ⅺ-黄金の欲望(ミダス・デザイア)》。 これもまた、「東京不連続殺人鬼事件」の中心人物の1人、『殺人姫』西条なつみの魔人能力『バイ・クイーン』に酷似している。 午後3時台、カラオケショップで池袋のチーム相手に抵抗した際に使った、パワー型の《獄魔》、《Ⅲ-血塗れの侵入者(ブラッディ・ハッカー)》は、「都内広域無差別テロ事件」を生き延びた重要参考人、我道 蘭の容姿に瓜二つだった。 いずれも、ハルマゲドン――あるいはそれに準ずるような魔人同士の抗争で中心にいた者をモデルにしたかのような能力だ。 少なくともこの世界線では、彼らは山乃端 一人のパワーソース、《獄魔》に縁があるもの、影響を受けたものということになっているのだろう。 山乃端 一人が死ねば、銀時計から《獄魔》が解放され、ハルマゲドンが起きる。 それが、この並行世界におけるルールであるという。 ならば、ハルマゲドンの中心には、解放された《獄魔》に憑かれたものがいるはずだ――ということなのかもしれない。 《獄魔》憑き、という単語を盗聴で確認しているところから、ソウスケ自身も「そういうもの」と思われている――あるいは、この並行世界の法則によって、実際そういうものにされているのかもしれない。 ともあれ、であれば、山乃端 一人が切り札とする能力の予測はできる。 できないまでも、いざ目の当たりにしたとき、まったく知らない能力を前にして虚を突かれることだけはない。 トラップが解除され、扇動してきた池袋のチームも全滅した今、それでもソウスケが山乃端 一人を守る魔人たちと拮抗できているのは、互いに様子を伺いながら時間を稼ぎあっているからだ。見た目と比べて、ソウスケ側が圧倒しているわけではない。 ここで下手に急いで相手に反撃の機を与えるリスクを与えるよりも、このままじりじりと相手のリソースを削り、切り札とやらを圧し潰す方がリスクが低いと、ソウスケは結論付けた。 何より、その方が、相手に蘇生能力者がいた場合の生け捕りの可能性が上がる。 ある意味で、それこそソウスケにとっては重要な問題だった。 ーーーーーーーーーーーー ソウスケの体内時計が、その時間が訪れたことを告げる。 瞬間、山乃端 一人側の動きが変わった。 「ペーラペラペラペラ!! 待たせたなお嬢ちゃんたち! 仕込みは上々、仕上げはごろうじろだ!!」 いつ登ったのか、鳥居の上からウスッペラ―ドが触手を翻し、いくつもの紙飛行機を飛ばした。 3つ、4つ、5つ、それは、ソウスケの分身たちの足元に着弾すると、激しい光を放った。フラッシュボムの類を紙化し、紙飛行機にして飛ばしやすくしたのだろう。 だが、その程度は織り込み済み。 ――魔人能力『心覗の嗜み(ジェントルマンシップ)』解除及び再発動。 目の眩んだ3人の分身を消滅させ、即座にソウスケは自分の傍に改めて分身を3つ再度発生させる。 分身は万全の状態で呼び出される。 解除と再発動を繰り返せば、戦闘中の不調も、さしたる問題ではない。 召喚した分身はソウスケの手元に現れる。 ソウスケ本人が危険を顧みずに戦場に赴いたのは、解除と再発動によって、相手に休む暇を与えないためだった。 が、 ソウスケの前に現れたのは、3人の分身、だけではなかった。 「――『彼誰時(クライベイビーファーストクライ)』!」 山乃端 一人と同じ顔をした色黒の少女、山乃端 万魔が、ソウスケの分身に体当たりをした。 先ほど銃殺したはずの少女の攻撃に、ほんのわずかにソウスケは虚を突かれた。 ソウスケは万魔に組み付かれた分身を解除し、再召喚するが―― 「まだまだまだ!!!」 その発生させた分身もまた、飛び込んできた万魔に掴まれる。 なぜ? ソウスケは、先ほど消した分身がいた方向を一瞥した。 そこには、力なく横たわる山乃端 万魔の体がある。 「おまえも、自分には予備(ストック)があるとか思ってるクチか?」 つまり――山乃端 万魔の能力もまた、分身であるということ。 「俺もさ」 カラオケで殺したはずの彼女が生きていたのはなぜか? それが分身であったからだ。 そして、たった今、銃殺したはずの彼女が健在なのも、同じ理由だろう。 ビルの爆破を一行が生き延びた理由はなぜか? 彼女が自らの分身を盾としたからだ。 戦場で遺体を盾に爆発を生き延びた兵士のエピソードはたびたび聞く。人の肉体の耐ショック性能は高い。 つまり、この場に、蘇生能力者は、存在しない。 ならば、ここにソウスケ自身がいる必要はない。 分身に足止めさせて距離を取り、そして、この地域に仕込んだガスを使って、山乃端 一人を殺せばいいだけ―― 「逃がしませんよ!」 万魔とソウスケ、いくつもの分身が組み合う中をかいくぐり、望月 餅子が迫る。 だが、それは下策だ。 人込みに揉まれた無理な体勢では、撃ってくれと言っているのも同然である。 ソウスケは拳銃を向け、無造作にその心臓めがけて弾丸を放った。 避けることができる体勢ではない 望月 餅子の魔人能力では、防御も回避もできはしない。 だから、確実な死が彼女にもたらされる。 「『逢魔刻(クライベイビークライ)』が命じる。形なきもの、我が名を呼べ、惑い求む不可測の絆」 ――第三者の介入が、ない限りにおいて。 「我が元で燻(くゆ)れ――《Ⅸ-彷徨する紫煙(パーフル・ヘイズ)》」 瞬間、ソウスケの銃弾が望月 餅子の胸を撃ち抜く直前に。 少女の姿は、消え去った。 違う。これは、転移。 望月 餅子の姿は、今、山乃端 一人の腕の中にある。 空間を、距離を越えた移動。 仙道ソウスケの思考は、瞬時に仮定を組み立て、眼前の状況を分析する。 山乃端 一人の用いる《獄魔》の力は、過去のハルマゲドンで活躍した魔人に類似したものである。 因果は逆――ハルマゲドンで活躍する魔人の多くが、山乃端 一人に縁のある《獄魔》の影響を受けているということなのかもしれないが、この際その「どちらが先か」という理論はさておくことにする。 だから「それ」は、明らかに、ただの転移ではない。 意味するのは、『過程を省略した受け渡し』。 オリジナルは、英 コトミの魔人能力、『印鑑不要の現実(インダストリアル)』。 山乃端 一人が今行使したのは、その、偽物(レプリカ)だ。 そう結論付けた瞬間、仙道 ソウスケの思考に、今までにない要素が混じった。 それは、炎のような熱を帯びたノイズだった。 常にフラットに、最適解をはじき続ける彼のCPUを灼く、異物だった。 午後9時台の《獄魔》がどんなものであろうと、最近の東京で名を馳せた魔人の能力のレプリカならば、まったく知らない能力を前にして虚を突かれることだけはない。 そのはずだった。 だが、今。ソウスケの思考は、「知っている能力」を前にしたからこそ、僅かに揺らいだ。 【――アナタの中にも、あったのデハないデスカ?】 追い打ちをかけるように、心に直接声が響く。 これまで、全く意に介してもいなかった、「ただ声が聞こえるだけの能力」が、今、仙道 ソウスケの精神に、初めて刺さった。 山居 ジャックの魔人能力『ハナサナイカラハナサナイカ』。 10メートル以内にいる人とジャックとの間で、お互いがどんな状態であれ会話ができる。ただそれだけ。 そのどこまでも『離さない』という執念が、ソウスケの中に生まれたわずかなヒビをこじ開ける。 ウスッペラ―ドから漏れ聞いた情報を元に、言葉の力を信じ、相手の心に寄り添うことを繰り返してきた青年が、言の刃を突き立てる。 【――それは、アナタが、人を操ル道具としてきたモノ】 今、己に湧いている感情。 そういうものが存在することを、ソウスケは理屈の上では知っていた。 むしろ、それを煽って利を得ることこそ、彼の常套手段だった。 たとえば、対象の恩人の殺害を匂わせるビデオで。 たとえば、人肉と血で飾り上げたウエディングケーキで。 己には無縁で、だからこそ容赦なく他者の弱点として踏みにじることができた。 【――『怒り』という感情デス】 怒り。 かつて人間がより原始的な動物であった頃有効だった生存機構であり。 社会的動物となってからは、不合理な鎖となった、闘争/逃走反応の名残。 仙道 ソウスケが、誕生してから初めて抱いた感情だった。 名づけられることで、認識してしまった。 言い当てられることで、直面してしまった。 種火のようだった感情に、ふいごで風が吹きこまれてしまった。 そうなれば、燃え盛る他はない。 これは、仙道 ソウスケらしからぬ反応である。そう理解していても、なお。 ふざけるな。 魔人能力(それ)は、英 コトミのものだ。 英 コトミが生きて、積み重ねてきた経験が作り上げた精神性の発露だ。 それを、他の誰かが、使っていいはずがない。騙っていいはずがない。 たとえ形だけだとしても。 たとえ本人に英 コトミを貶める意図はなくとも。 仙道 ソウスケは、その贋作(フェイク)だけは、許すことができなかった。 激情は、全身に熱を入れる。 身体能力は、シンプルな暴力は、それによって威力を増すだろう。 しかし、思考は鈍る。精緻な判断は揺らぐ。 冷徹な精神活動こそ、仙道 ソウスケを最悪の犯罪者としてきたもの。 分身を含めた4人の仙道 ソウスケと、山乃端 一人を守る4人の守護者。 保たれていた均衡が、崩れる。 「――『彼誰時(クライベイビーファーストクライ)』!」 『心覗の嗜み(ジェントルマンシップ)』で生み出されたソウスケの3つの分身を、次々と、複数の『山乃端 万魔』がドロップキックで吹き飛ばす。 捨て身の攻撃の命中と同時に、次の肉体を召喚し、別のソウスケに渾身の一撃を繰り出す。時間差で繰り出す疑似的な飽和攻撃で、本体と3人の分身、4人のソウスケの完璧な連携を押し返していく。 「ペーラペラペラペラ!! 仕込んであったガストラップはペラペラにしてやった! 心置きなく殴りやってください! 先生方!」 「言動が三下すぎますね!」 鳥居の上のウスッペラ―ドは、付近の民家に仕込んでいたはずのトラップをペラペラの紙にして、脇で興奮するペラペラのヤギに食わせていた。 そして、今。 「さあ、年貢の納め時ですよ!」 本体であるソウスケの前には、望月 餅子がいる。 最強を名乗る謎の少女。 だれよりべったりと山乃端 一人にくっつきながら、山乃端 一人に親愛を告げながら、自分のことを語らない。 どこか、いつかの、英 コトミに対する、仙道 ソウスケに似たあり方。 常に絶やさない笑顔。 他の感情を置き忘れたような、理解できないような表情。 全く自分と異なる背格好の少女に、仙道 ソウスケは、英 コトミの隣にいる自分を見た。 望月 餅子が拳を繰り出す。 一撃、二撃。回避。三の拳に体勢が崩れ、四の拳を受ける。 瞬間。 その、受けの接触面から予想外の方向に引きずられ、ソウスケは床に転がされた。 掴まれたわけではない。服を引っ掛けられたわけでもない。 ただ、触れただけで、一瞬くっついたまま、離れなくなる。 分身たちがやられているのを見たが、本当にささやかな能力だ。 その行使者が、武術の達人でない限りにおいては。 手で相手の体勢を崩すために掴み、投げるためには多くの場合、指を開く必要がある。 それは、脆く細い部位をむき出しにすることと同義。 しかし、望月 餅子の能力はその弱点を無効化する。 ソウスケは餅子の短い髪を掴んだ。 今まで、餅子が能力を発動したのは、肌が触れた対象にのみ。 毛髪は対象外ではないかという判断だった。 しかし、それもまた手に絡みつく。 距離を取れない。拳銃を有効に使える間合いにならない。 粘りつく餅のように、望月 餅子は獲物を捕らえて離さない。 打撃を繰り出し、命中すればダメージを与え、受けられれば、そこを起点に掴んだかのような崩しに派生させる。 回避し続けなければ、相手のペースから逃れることはできない。 それこそが、望月 餅子の、必勝の型。 単純な近接戦闘では、そう破られることはないだろう。 もっとも、単純な一対一であれば、いくらでも戦いようがあったはずだ。 いや、そもそもいつものソウスケであれば、一対一に持ち込まれる前に、彼女を無力化することもできただろう。 だが、扇動した一般人は無効化され、 能力で生み出した分身は、類似した自己増殖能力で封じられ、 トラップは薄っぺらな紙と化して、 冷静な判断は、心に響き続ける声によって揺さぶられた。 だから、仙道 ソウスケは、衝動のままに、生身一つで殴りあうことしかできない。 怒りの衝動? 否、もはや怒りではなかった。それは歓喜の衝動だ。感謝の情動だ。 (ああ、やっぱり、コトミはすごいなあ) ソウスケにとって最上の喜びは、“知らない事を知る事”である。 なるほど。 大切なものを騙られると、尊厳を弄ばれたと感じると、人はこう思考にノイズが走るのか。 興味深い。なんて新しい。ソウスケは興奮のままに闘争する。 (いなくなっても、僕に、新しい世界を、見せてくれるんだから!) 端からみれば、どう思われるのだろうか。 突然追い詰められて逆上した犯罪者? 愛する女の能力を模倣されて激怒する、純情な男? 違う。どれも違う。 そんな解釈を、仙道 ソウスケの生き方は許さない。 【――あなたは、大切なヒトを思って、怒れるヒトだ】 言葉を連ねながら、ソウスケの魂と接続し続けるジャックは思った。 自分のこの解釈は見当違いかもしれない。的はずれなのかもしれない。 それでも、彼は話し続ける。彼は、ソウスケとの繫がりを離さない。 言葉による平和をもたらすことができずとも。 言葉には力があるのだと、そう、世界を歪めるほどに信じた青年の、意地だった。 【――もう、やめまショウ】 ソウスケは哄笑した。ジャックの言葉にか。この状況にかはわからない。 あろうことか、仙道 ソウスケは体一つで、望月 餅子と、拮抗し続けた。 魔人能力の不利を、体術の練度を、ただ思考と判断力で補ったのだ。 4人の守り手をもってして、1人の殺し手と互角。 だから、最後の結末は、彼女が下した。 守られるだけのヒロインではないと主張するように。 いつかの日、仙道 ソウスケに対し、英 コトミがそうあろうとしたように。 「我が元で燻(くゆ)れ――《Ⅸ-彷徨する紫煙(パーフル・ヘイズ)》」 今の山乃端 一人の能力は「所有物を手元に引き寄せる」だけの能力。 だから、ただの女子高生に、戦況を覆す武器が都合よく取り出せるはずがない。 「そいつは貸しだ! さあ、お嬢さん! 「悪いこと」の時間だぜ!」 その理屈を、薄っぺらい言葉が覆す。 山乃端 一人の手元に、真っ黒い紙が現れる。 彼女はそれを器用に折り曲げ、構えた。 ペーパークラフトのはずの拳銃が、確かな重みをもって、ソウスケを狙った。 迫る、望月 餅子の拳。 それを避ければ、紙の銃弾がソウスケを穿つだろう。 それを防げば、粘着する拳で体勢を崩され、銃弾にトドメを刺されるだろう。 それを受ければ、拳の衝撃で、意識が刈り取られるだろう。 その全てを理解した上で、ソウスケは、最後の一撃を繰り出した。 防御でなく、回避でなく、諦めでなく。攻撃を選んだ。 【認めるよ。山居 ジャック。言葉は無力じゃない。――最悪の武器だ】 真正面から餅子の拳を受けるべく立ちはだかり、言葉を凶器にすべく口を開く。 「なあ、望月 餅子。なんで、《キミ(■■■)》が、山乃端 一人を守るんだい?」 支配時間 名称 司る色 権能 0時(と12時) - 『白』 - 1時(と13時) 《I-漆黒の人形(エヴォン・ドールズ)》 『黒』 - 2時(と14時) - 『灰』 - 3時(と15時) 《Ⅲ-血塗れの侵入者(ブラッディ・ハッカー)》 『赤』 物理攻撃 4時(と16時) - - - 5時(と17時) - 『黄』 - 6時(と18時) 《Ⅵ-蘇生する緑(グリーン・フィンガー)》 『緑』 植物操作 7時(と19時) 《Ⅶ-渇き飢える青(ディープ・ブルー)》 『青』 水分制御 8時(と20時) - 『藍』 - 9時(と21時) 《Ⅸ-彷徨する紫煙(パープル・ヘイズ)》 『紫』 所有物引寄 10時(と22時) 《Ⅹ-銀鉄の巨塔(メタリック・バベル)》 『銀』 金属操作 11時(と23時) 《Ⅺ-黄金の欲望(ミダス・デザイア)》 『金』 性質強化 9.『遺されたもの/Last will』 仙道 ソウスケは、消滅した。 餅子の拳を受けて地面に倒れ伏してから、彼の体は合わせ鏡に映る像のように輪郭からぼやけ、霞み、その場から忽然といなくなっていた。 「……転移か何かか?」 「違う……と思う。銀時計に《獄魔》が封印されてる」 銀時計から私の中に、新たに封印した《獄魔》の情報が流れこんでくる。 《Ⅷ-自浄する藍(インディゴ・パニッシュメント)》。 おそらく、仙道 ソウスケに憑いていたもの。 《獄魔》憑きは、無力化することで《獄魔》の影響を逃れる。 そうすれば、私を殺す理由もなくなる。……そのはずなのだけれど。 さきほどの仙道 ソウスケは、夢で見た様子と違っていた。 《獄魔》の影響などとは関係なしに、明確な理由があって私に襲い掛かり、私の使った能力に何かを重ねて激昂し、そして、倒れた。 「ボクの能力の範囲内に、ソウスケサンの反応はありまセン」 「あたしも、いい一発が入ったと自信を持って断言できます! あれはよくても気絶コースでしょう! 自分でも「やったか!?」と思わず叫びそうになったほどですから!」 昼に見せられた特撮番組を見る限り、それは明らかに倒せていないときの反応だと思う。 数分の間、私たちは警戒を解くことができなかった。 いくつもの罠を張り、人を使い、緩急をつけてこちらを追い詰めてきた敵だ。 これもまた、策のうちかもしれないと、心のどこかで思ってしまったのである。 どれだけ、時間が過ぎただろうか。 雲が流れ、池袋には似つかわしくない星空が頭上に広がり始めた頃、ようやく、誰ともなく、神社の境内に座り込んだ。 「……生き延びたわね」 「……はい!」 「おつかレさまデシタ」 「どうも」 ずいぶんと長く、張り詰めた状態だった。 緊張が解けてみれば、全身が疲労で悲鳴をあげている。 「……しかし、ウスッペラ―ドの言ったとおりになったわね。『21時まで待て。《Ⅸ-彷徨する紫煙(パーフル・ヘイズ)》を使えば、ソウスケの動きが鈍る』って。……何か確信があったの?」 「ああ、あれな。ソウスケの惚れた女の魔人能力に似てたから、年頃の娘さんが使うのを見たら、なんかその、回想アタック? みたいなので、恋人の姿がお嬢ちゃんにかぶったりなんだりして、攻撃が鈍らないかなー? みたいな。ほら、鬼の目にも涙、みたいな?」 「……それだけ?」 「それだけ」 「あの、周りの被害も見境ない奴に、お涙頂戴的な展開を期待した?」 「うん」 ……薄い! 根拠が薄すぎる! 事前に理由を聞かなくて良かった。 聞いていたら、そんな薄っぺらな一か八かの賭けには乗れなかったかもしれない。 「よっと。ほいっと。どっこいせっと」 「なにしてるのよアンタ」 呆れていた私をよそに、ウスッペラ―ドは懐から、一枚、また一枚とペラペラした紙の人形を境内に並べ…… 「眠りより覚めるがよい! ペーラペラペラ!」 ぱちり、と指……触手? を鳴らすと、その紙人形は厚みを増し、人間になった。 何人かには見覚えがある。 カラオケで私たちを襲ってきた若者たちだ。 全員、爆破に巻き込まれたと思ったのだが。 まさか、ウスッペラ―ドが助けたのだろうか? 「ペーラペラペラ! オレよりかっこいい本物の”悪人”なんざ、許せねえからなあ! 仙道 ソウスケを『あんだけ騒ぎを起こして、一人も殺せなかった小悪党』にしちまえば、この一件で一番の悪人はこのウスッペラ―ド様って寸法よ! ……ああ違うお嬢ちゃんを今から襲おうとかそういうことじゃないんでどうか物騒なボディーガードレディースはその鎖手錠とスコップはしまってくださいプリーズ」 その動機はまったくどうかしている。 だが、それでもほんの少しだけ、心が軽くなった。 私は、私が生き延びるために《獄魔》を狩る。 それで周囲に被害を出すのは、「悪いこと」だ。 私はそれを厭わないけれど。それを望んで行えるほど、強くもない。 「怪人さん。やっぱり、いつかのお誘いはお断り」 「そうかい、お嬢ちゃん。そいつは残念だ。ならば、ここらでお別れだな」 「ありがとう。薄っぺらのウスッペラ―ドさん。あなた、少しだけ、かっこよかった」 芝居がかったように肩をすくめ、怪人ウスッペラ―ドは境内を後にした。 「ソレでは、ボクらも、ここまでデス」 「ああ。元からそういう契約だ。借りだなんて思うな。俺たちは、俺たちに利があるから、契約に従って手を貸しただけ。それ以上の個人的な感情はない」 「……契約? 誰と?」 「悪いが、そいつも言えない契約だ」 山居 ジャックと、山乃端 万魔も立ち上がる。 結局、ろくに話しもできなかった。 どうして私を、家族を見るように心配するのか、とか。 どうして私と同じ顔をしているのか、とか。 「話すコト。離さナイコト。ボクは、それを信じテいまス。ヒットリサンもどうか、話し合う気持ちを、手離さナイで」 「……なんだか、ずいぶん、私のことを知ってるような言いぶりね」 「家族が、とても、ヒットリさんと、そっくりなんです。だから、放っテ、おけマセン」 「そっか。面倒な家族もいたものね」 「大切な、優しい、家族デス」 会釈を一つ残し、山居 ジャックも、夜の住宅街に消えた。 「望月 餅子。こっちの『山乃端 一人』は、頼んだよ。自分が何だろうが、どう生まれようが。そうしたいと思ったなら、やってみせろよな」 「万魔さん……」 「『最強』なんだろ」 「……はい!」 山乃端 万魔もまた、私たちを残して立ち去った。 大変な一日だった。 突然襲われて、突然見知らぬ来訪者に助けられて。 なし崩しで3人と身を守って、そして、気が付けば第十柱目の《獄魔》を封印していた。 1人で戦い続けてきた今までとは、全く違う。 敵の強さも。そして、周囲の状況も。 彼らの思惑を私は知らない。 けれど、事実として、私は彼らに助けられた。 だから、3人がどう言おうと、この借りはいつか返すべきものなのだろう。 「にぎやかな方たちでしたね!」 餅子の空気を読まない声が境内に響く。 「ねえ、餅子」 「はい、なんでしょうか、ひーちゃん!」 私は、あの日から聞けずにいた問いを、隣の幼馴染に投げかけた。 「どうして、5年前、いなくなったの? 手紙に返事も、くれなかったの?」 背中を押したのは、2つの言葉。 ――話し合う気持ちを、手離さナイで。 ジャックの忠告と。 そして、 ――なあ、望月 餅子。なんで、《キミ(■■■)》が、山乃端 一人を守るんだい? 仙道 ソウスケが遺した、最後の一言。 ジャックの言葉だけならば、何をきれいごとを、と捨ておいたかもしれない。 ソウスケの言葉だけならば、ただいたずらに疑念を募らせたかもしれない。 餅子がいなくなって、連絡が取れなくなり、彼女の真意を知るのが怖かった。 だから、捨てられたと思い込んで心を固くした。 けれど、 ――『最強』でないと、ひーちゃんを、殺してしまうからです。 あんな、泣きそうな声を聞いたら、知らないふりはできない。 今はもう違うかもしれないけれど。 私は確かに一度、望月 餅子に救われて、親友だと思ったのだから。 「……わかりました。それじゃあ、今日はもう遅いですので。明日、ゆっくり、お話しましょう」 そういって、餅子は、私に手を差し出した。 5年以上ぶりに繋いだその手は、記憶よりもざらざらのごつごつな、『最強』の感触だった。 10.『藍二乗/I need you』 仙道 ソウスケは、明らかに不慣れな手つきでハイライトを揺らし、その味に眉をひそめながら、薄雲りの空を見上げた。 自分が元の世界線へと送還されたことを、彼は漠然と理解した。 JR池袋東口からほど近くの、少し奥まった路地裏。 顔に、水滴が落ちた。雨が降り出したようだ。 ゴミ箱にもたれかかり、ぼんやりと不味い煙を味わう。 全身を痛みが支配する。無理に並行世界に残留し続けた反動だろうか。 あるいは、目的通り『山乃端 一人』を殺せなかった罰則(ペナルティ)だろうか。 これまで経験してきた傷とは違う。 しいて言えば、イグニッション・ユニオンの二回戦の最後に経験した感覚が近い。 刻一刻と、死が近づく確信だ。 あの日のそれは悪くなかった。泣きながら、コトミが傷を手で塞ごうとして――そんなことをしても、何の意味もないのに、ただ、感情的になって―― 「言ったし。試合の『外』――表社会(シャバ)で悪事(わるさ)かますなら――って」 目の前に誰かがいた。 何か話しかけてきているが、まるで水の中にいるように、声がくぐもって聞こえない。 鼓膜が損傷しているせいだと、ソウスケは冷静に判断した。 「――どうして、一人で、全部、やろうとするかな」 ソウスケは声を出そうと、息を吸う。 広がった肺が折れた胸骨を圧迫する。 痛みが走り、咳と共に血反吐が出た。 煙草のせいだ、とソウスケは思った。 コトミは大好きだが、コトミの好きだった煙草は好きになれなかった。 認知的不協和も、この嗜好までは変えられなかったらしい。 それもまた、新たな発見だった。 「按甲休兵(じゃあね)、ミスタ・クライド・バロウ。ボニーのことは――」 そして、誰かは、いなくなった。 視界には、ビルの狭間から覗く、暗い夜空。 打てる策は全て試した。 山乃端 一人を殺すルートは失敗したが、それでも、まだ複数、英 コトミを蘇らせる方策が、ソウスケの生死に関わらず進んでいく。そうなるように、種は蒔いた。 今の彼の血判は、魂を肉体に引き寄せることができるだろうか。 今の彼の能力は、致命傷をも液体に変えて繋ぐことができるだろうか。 あの独尊の刃は、死という概念すら切り裂くことができるだろうか。 継承された技は、致命の冷凍体をも復活させる奇跡を為すだろうか。 永遠の偶像は、寿命の概念を越えた機械仕掛けを作り出せるだろうか。 怪物の少女は、その情報網で、不可能を可能たらしめるだろうか。 おそらく、英 コトミは蘇る。 そして、仙道 ソウスケは、このまま死ぬだろう。 悔やむことがあるなら、蘇生した彼女の反応を、この目で確かめられないこと。 けれど、それはソウスケにとって、さしたる問題ではなかった。 最後にソウスケが吐いたハイライトの紫煙は、藍色を重ねたような夜闇へと溶け消えた。 ーーーーーーーーーーーー 『ソウスケは、死んだ後の事って考えたことはあるの』 ーーーーーーーーーーーー コトミは、僕にいくつもの課題をくれる。 コトミが存在しているだけで、僕の道が続いていく。 それは、とても幸せな事なんだ。 だからさ、コトミ。 コトミが生きて、コトミ自身の人生を送ることを、僕は心から願っているよ。 支配時間 名称 司る色 権能 0時(と12時) - 『白』 - 1時(と13時) 《I-漆黒の人形(エヴォン・ドールズ)》 『黒』 - 2時(と14時) - 『灰』 - 3時(と15時) 《Ⅲ-血塗れの侵入者(ブラッディ・ハッカー)》 『赤』 物理攻撃 4時(と16時) - - - 5時(と17時) - 『黄』 - 6時(と18時) 《Ⅵ-蘇生する緑(グリーン・フィンガー)》 『緑』 植物操作 7時(と19時) 《Ⅶ-渇き飢える青(ディープ・ブルー)》 『青』 水分制御 8時(と20時) 《Ⅷ-自浄する藍(インディゴ・パニッシュメント)》 『藍』 - 9時(と21時) 《Ⅸ-彷徨する紫煙(パープル・ヘイズ)》 『紫』 所有物引寄 10時(と22時) 《Ⅹ-銀鉄の巨塔(メタリック・バベル)》 『銀』 金属操作 11時(と23時) 《Ⅺ-黄金の欲望(ミダス・デザイア)》 『金』 性質強化
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スポーツ界の現状に疑問を持ち、プロペラ団によるスポーツの健全化を信じて協力している人達。 普段は別の仕事を持っており、ボランティアで任務に従事している者がほとんどである。(1) ドリルトーイの曽根村の依頼を受けて多くの破壊活動に協力している様子が見られる。(2) パワプロクンポケットキャラ強さ格付け 771 枯れた名無しの水平思考 2009/03/12(木) 00 39 28 ID EdBjA32o0 空白なんてやるぐらいならいっそその行は書かないで欲しかった アルベルトは6主が麻痺銃で狙えない程度の実力はもっているんだがなぁ BB団兵士は腐っても兵士だがプロペラ団団員は群れても3のチンピラより弱いぞ ついでに言えばワルクロ団団員もただの人より強くてリコより弱い程度だろう そのリコも唯と冬子の間に納まる程度の強さだろう アンヌより弱い亀田がオオカミ憑きのレッドローズに勝るとも思えない 村上はともかく鋼が強いとも思えない 6主殴って拳を痛めるマコンデも微妙 カビンダも地味に強いんじゃないかと思うが表になくても良い 772 枯れた名無しの水平思考 2009/03/12(木) 12 20 08 ID R4gCiDTG0 771 アルベルトなんて何もしなくても勝手に骨折するから実力あっても無駄 BB団兵士は銃があるから強い プロペラ団員は銃あったっけ?あるならチンピラより強い カニやフグは梨子より強いだろ 一般団員は一般人程度 レッドローズは動きが速いだけで、攻撃力とか一般男性以下 亀田は攻撃力がガンダーと互角だし まぁ前後後退してもいいと思うけど 鋼はチンピラよりは強かったはず マコンデは銃があるから、常人が鍛えた程度では勝てない ガビンダは憲法の達人だけど、あの位置でいいんじゃね 少森寺とは格が違うし 774 枯れた名無しの水平思考 2009/03/12(木) 20 46 19 ID EdBjA32o0 772 大谷記者を襲ったプロペラ団員は銃を持っていなかったはず 3ガンダーの攻撃力が亀田と同等なだけだろう という事はなく1・2でも似たようなHPなので単にミニゲームの都合だろう 3主を一撃で倒すたかゆきやゾンビ、そのゾンビを管理する立花? 大岩に潰されても死なない4主?6主を一撃で倒すゴキブリ(小)? それでいてミサイル受けてもクローで掴まれて電磁バリアに突っ込んでも一撃では倒されない6主? 真面目に受け取る必要はないだろう カビンダとアルベルトは一応超現象も起こせるが
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「カレー食べたい」 膝の上に乗せた雑誌をパラパラと捲りながら律は呟いた。 小さな呟きだったが隣でテレビのチャンネルを変えつつぼんやりしていた私の耳にはしっかりと届いた。 しかし……カレーかあ、それはまた。 「唐突だな」 「食べたいって思ったんだからしょうがないだろ」 まあ何か食べたいって考えは割と唐突に浮かぶものだからなあ。 それに律のカレーは美味しいし、いいかなあ。 何カレーにするんだろうなあ。 甘口がいいなあ。 未だ頭はぼんやりとしていて、うまく頭が回らない。 今日はそういう日なんだろう。仕方がない。 そんなよく分からない理論も簡単に納得出来る。 それくらい、何もしたくない気分だった。 「澪、作って」 ぼんやりし過ぎて今にも寝そうな私の脳みそが、律の一言で急に冴えてくる。 「えっ……私が作るの」 「ん」 驚きの表情を律に向ければ、満面な笑みが返ってくる。 いやいや、なんで私がそんなことしないといけないの。 「やだ」 「なーんでさ」 「律が作ればいいだろ」 「『澪が作った』カレーが食べたいんだよ」 なんだそれは。カレーなんて誰が作っても……いや、律が作ったのはママのよりも好きだしなあ。 それに私が作るより律が作ったほうが美味しいしなあ。 ……ああ、そっか。 「じゃあ私は『律が作った』カレーが食べたい」 「……そうきたか」 ふふふ、今日の私は一味違うんだ。何もしたくないことに全力だからな。 ……自分で考えてて意味が分からない。 「甘口でよろしく」 更に追い打ちとばかりに一言添えれば、律は諦めたように笑った。 「……しょうがないな」 うん。しょうがないんだよ。今日に限っては。 「楽しみにしてる」 「お、おー。りっちゃんシェフに任せとけ!」 私の言葉におチャラけた口調で返事をしつつも、律は照れたように笑っていた。 何でだろうとぼんやり眺めていると、その視線に気づいた律が口を開く。 「澪が私の作ったご飯食べたいっていうの、珍しいよな」 それがなんか、すっげー嬉しい。と律は言った。 そうだったっけ。言われてみれば……確かにそうかもしれない。 普段の私はあんまりそういうこと言わないもん。恥ずかしいし。 でも今は、何時もの私じゃないから、言えちゃうんだ。 「律のご飯、好きだよ」 「へへ、そっかそっか」 ……思ったことを言葉にするって大事だなって、律の嬉しそうな顔を見て思った。 だから。 「だから早く作って、お腹すいた」 「…………いい雰囲気が台なしだ!」 思ったことを素直に伝えたら、怒られた。 まあ律も怒りたい気分だったんだなあ、なんてよく分からない理由をつけて納得する。 「はあ。まあいいや……んじゃ、作ってくる」 「ん、いってらっしゃい」 律が台所に行くのを眺めたあと、再びテレビに視線を戻す。 特に見たいものはなかったからリモコンを手に取り、テレビを消す。 なんだか……手持ち無沙汰だ。 律がさっきまで見ていた雑誌をペラペラと捲ってみる。 あれ、これ見たことあるなあ。ため息をつきつつ雑誌を閉じて、意味もなく天井を眺める。 律はまだかなあ。いやでも、さっき作りにいったばっかりだしなあ。 ……お腹すいたなあ。隣に律がいないの、なんか寂しいなあ。 そんなことをぼんやりと考える。 しばらくすると台所の方から、いい匂いがしてきた気がする。 その匂いにアテられたのか、私のお腹がぐぅと鳴ったような気がする。 カレーが出来るまで、あと少し。 律が帰ってくるまで、あと少し。 おわる。 名前 コメント
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元東大生退室後、コンプラー君に強力な味方が現れた。 イギリスの名門・オックスフォードを卒業した ID xcOwJGld0である。 221 名前:名無しさん必死だな[] 投稿日:2012/05/29(火) 21 31 13.97 ID xcOwJGld0 [1/7] 東大程度で自慢してる豚w せめてオックスフォードは行けよw 231 名前:名無しさん必死だな[sage] 投稿日:2012/05/29(火) 21 32 38.34 ID UE6vP7c30 [5/9] 221 オックスフォードの卒業証明うp 241 名前:名無しさん必死だな[] 投稿日:2012/05/29(火) 21 35 49.62 ID xcOwJGld0 [2/7] 英語の読めない豚には見せてもどうせわからないだろ 英検せめて準1級はないとうpするきにならんわ。 253 名前:名無しさん必死だな[sage] 投稿日:2012/05/29(火) 21 39 23.07 ID 0YSUnFQ40 [4/14] 241 英検はねーよw そこはTOEICにしておけ コンプラー君には及ばないものの、また面白いおもちゃが登場した。 しかしこの ID xcOwJGld0、なかなかの強者であった。 278 名前:名無しさん必死だな[] 投稿日:2012/05/29(火) 21 43 25.00 ID xcOwJGld0 [3/7] 俺は採集学歴は高卒だからなー オックスフォード行ったけど3年目で辞めた。 まあ3年もいけば英語はペラペラだからよく友達と学校帰りにマンハッタンに行ったっけ 任豚には無い充実した青春だったよ なんとイギリスのオックスフォード帰りに、アメリカのマンハッタンへ行ったというのだ。 さすがオックスフォード卒のエリートは格が違った。 300 名前:名無しさん必死だな[sage] 投稿日:2012/05/29(火) 21 46 45.86 ID 0YSUnFQ40 [6/14] 278 あのイギリス… 307 名前:名無しさん必死だな[sage] 投稿日:2012/05/29(火) 21 48 21.52 ID 9/KOjfto0 [5/10] 278 すげぇ!! ところで、 どうやってオックスフォード(イギリス)から学校帰りにマンハッタン(アメリカ)へ行ったの? 無論即座にツッコミが入った。 対する彼の言い訳がこれ。 323 名前:名無しさん必死だな[] 投稿日:2012/05/29(火) 21 51 13.19 ID xcOwJGld0 [4/7] 友達の自家用ジェット機かな。 まあ大体5時間くらいで着くから大体1時間くらい遊んで次の日オックスフォードみたいな感じ。 あんまり自慢したくないんだよなー自慢してるみたいに思われるのが嫌なんで 彼が天然物か釣りなのか、判断は個々に委ねたい。 しかし 361 名前:名無しさん必死だな[] 投稿日:2012/05/29(火) 22 00 30.36 ID xcOwJGld0 [5/7] 世界的に見れば東大って24位でしょ・・・ オックスフォードは6位か。6位と24位では4倍もの知力の差があるんだから 東大の卒業証書見たところで何一つ驚かないけどね。 541 名前:名無しさん必死だな[] 投稿日:2012/05/29(火) 22 35 07.83 ID xcOwJGld0 [7/7] 俺のオックスフォード発マンハッタン行きに釣られる豚も多かったからな。 面白発言なんかに載せてるんだよ。嬉々とw惨めすぎて仕方ないはーw 「6位は24位の4倍知力がある」発言や、一度弁解したにも関わらず 後釣り宣言をしないと気がすまないところから、個人的には天然物に一票を投じたい。
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【評価】まぁまぁ 【ブランド】mysty woman 【金額】 10K 【購入場所】 地元オーパ 【中身】 ◎、○、△、×で中身の内容を明記 ◎立ち襟ウールコート黒(これバーゲン狙ってた!) ○薄ベージュのスプリングコート(生地ペラッペラで安くさいけど形かわいい) ◎黒のパーカーワンピ(無難。シンプル。かわいい) ×柄ワンピ(柄うるさい) ◎花柄レースがべろべろっと付いたベスト?ジレ?黒(かわいい系だけど 甘すぎなくて良い。これが個人的に一番ヒットでした) △チェック柄のショーパン茶(かわいいけど事前に剥がしたっぽい 50%オフのタグが袋の中に残っててorz) △茶色のブラウス(売れないマジシャンみたいなシルエット) ○チャコールグレーの鉤編みストール 【転載】転載可 全部で56Kとちょっとでした 点数多めだしかわいいけど黒ばっかなのでトータルで「まぁまぁ」で。 【評価】福 【ブランド】ミスティウーマン 【金額】5K 【購入場所】ラフォーレ原宿 【中身】 ◎モッズコート(黒)\8295 ◎コクーンコート(黒)\9345:着るとお人形さんみたい ◎トレンチコートベージュ(ベージュ)\12390:袖のリボンが可愛い ◎ボーダー・グラデニット(モノト-ン)\4095 △ストール付きロンT(ベージュ)\5145 △刺繍入りタンクトップ(白)\3045 ?謎のニット(灰)\5145:使い方不明 これもアウターばっかり。もうアウターいらないですww ボーダーニットはきっと普通に売ってても買ってた 灰色のニットは裾を結ぶボレロかカーディガンかと思ったけど、床に垂れるほど長い… ショップのお姉さんに聞いてみようかな。 【評価】福 【ブランド】mysty woman 【金額】10k 【購入場所】 町田TWINS 【転載】可 【中身】 ◎グレーのコート(¥13440):人形っぽくてかわいい!めっちゃあったかい。明日から着る ◎春物ベージュのコート(¥13440):七分丈でワンピースみたい。丸襟でかわいい ○ペラいカーキのコート?(¥6195):形はかわいいんだけど着こなし方がいまいちわからんw ◎チャコールグレーのジャケット(¥6195):バッジ付きですてき ○茶色のセーターワンピ(¥6090):ふつうに着る ◎黒のシフォン羽織(¥6195):これ店頭で見てた!嬉しい!! ○ライトグレーの重ね着用?トップス(¥4095):春向きかな ○ヒッコリーのサスペンダーw付きハーパン(¥6195):着てみたら結構よかった 計61845円・8点 このスレで評価よかったから買ってみたんだけど、個人的にかなりよかった。並ばないで買えたし とにかくアウター2点がかなりかわいくて感動(´;ω `) 店で見かけた服も多くて全部値札付き。来年も買う! 【評価】やや欝よりの普通 【ブランド】mystywoman 【金額】 5K 【購入場所】横浜CIAL 【中身】 ◎グレーのスタンドカラーコート(¥13440):袖口までデザインが凝ってて可愛い! △チャコールグレーの七部袖チュニック(¥6195):素材がペラペラなので重ね着必須。 △青ストライプデニム地サロペット(¥6195):胸当て部分を取り外せる。ショート丈で夏向き。 ×アイボリーのロングキャミソール※ペチコート付(¥7245):胸元と肩紐がカギ針編なので扱いに困る。 ×レースフリンジ付きの黒の羽織(¥4725):ショール風。変な形で一見テーブルクロスみたい…。 計5点(総額¥37800) コート以外は春夏物で、すぐに使えるアイテムが無いのが残念。 5000円でこれならコートで十分元は取れてるんだけど、福袋ならではのお得感が感じられず微妙でした。 【転載可】 【評価】まぁまぁ 【ブランド】mysty worman 【金額】5K 【購入場所】モール 【中身】 カーキのチェック柄っぽい細身サルエル…△ 似合わない グリーンの編み編みボレロ…△ ストール風に使えば何とか使えるかも ピンクのロング丈Tシャツ…◎ 夏に沢山着たい ホワイトのクロシェ?ワンピ…〇 これも夏用だけどまぁ可愛い グレーのスタンドカラーAラインコート…◎ お人形みたいで可愛い!! 【転載】可 今更需要ないかもですが、初福袋なので記念に報告です。 そこまで当たり外れの落差がなく、福袋ってこんなものかと納得できる中身でした。 総額は36Kほど、Tシャツとコートで元は取れたし満足です。 カウンター: -
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極悪宇宙人 テンペラー星人(属性:雷、炎、水) 使用する武器 ハンドガン、ヘヴィガン、ランス、ナックル、グレートソード 備考 ウルトラマンタロウに登場した宇宙人であり、ウルトラの星を攻撃しようと前々から狙っていた。 しかしウルトラ6兄弟が地球に居ると知るとそちらに矛先を向け、6兄弟を倒そうと彼らを大声で呼び出そうと挑発をする。 電磁ロッド、ガス、ハサミから放つ炎など武器は多種多彩であり、変身能力も持っている。 更にウルトラ兄弟が人間に変身していても見破れる「特殊スペクトル光線」や、 彼らの体に大ダメージを与える「ウルトラ兄弟必殺光線」など強力な武器も携えている。 映画「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」に登場した宇宙人同盟の一人であり、 同盟を組んだ仲間のナックル星人族、ガッツ星人族、ザラブ星人族とチームを組むとボーナスを得られる。 なかでもナックル星人族とは他の共通点も存在し、どちらも自分自身を俺様と称している。 (デスレ星雲人デフレイムも一人称が俺様であり、三人揃うと「俺様ハンターズ」というボーナスが発生する) U3弾現在、同族はテンペラー星人 極悪のヴィラニアスが存在している。 元はウルトラ一族の宿敵である「エンペラ星人」だったが、何故か別人扱いとなって番組に登場した。 また、上司が猿の玩具を使って指令を下すなど、強敵ながらコミカルな描写も数多く存在している。 平成シリーズになると、まるで別人の様にスリムになった同族が登場した。 CGムービーにも登場。キリエロイド、ヒッポリト星人とともに恐竜戦車を攻撃するが、 砲撃を受けてひるんだところに追撃を受けてリタイアとなってしまう。この時、武器は使用せず手から光線を発射して攻撃していた。 カードリスト 第1弾 カード№:1-040 レアリティ:スターレア ☆☆☆ 属性:雷 アタック:1100 ガード:700 タイリョク:1000 武器タイプ:ハンドガン ハンターアイテム:テンペラースキャナー(テンペラースキャナーを使って、与えるダメージを増やす。) 復活コスト:3200 ソウルナンバー:1 コウゲキ:テンペラーショット トクギ:特殊スペクトル光線(特殊スペクトル光線によって、次に与えるダメージが増える。) ヒッサツ:ダウンフォールショット(怪獣必殺のエネルギーをハンドガンに集め攻撃と共に怪獣に叩き込む!) テキスト:火炎放射や電気エネルギーを鞭のように飛ばす攻撃技を持つ。執念深く、狙った相手を逃すことはない。 備考:アタックとタイリョクが高めで、トクギやアイテムによって更に攻撃力が増加出来るのでアタッカーとして活躍させよう。 カード№:1-041 レアリティ:レア ☆☆ 属性:雷 アタック:1000 ガード:500 タイリョク:1100 武器タイプ:ヘヴィガン ハンターアイテム:テンペラ製スタンボム(テンペラ製スタンボムを投げて、怪獣を感電状態にする。) 復活コスト:3000 ソウルナンバー:2 コウゲキ:テンペラーインパクト トクギ:ミストガス(毒ガスの噴射によって、怪獣を毒状態にする。) ヒッサツ:ダウンフォールインパクト(怪獣必殺のエネルギーをヘヴィガンに集め攻撃と共に怪獣に叩き込む!) テキスト:豪放な性格だが、仲間が倒れた際には犠牲者を尊び、勝利をもって報いようとする等、ただの極悪ではない一面もある。 備考:№:3-055のガッツガンナー・ガルム、№:CM-012のナックル星人と組ませると、「宇宙人同盟」「最大火力」「ヘビーアームズ」が同時に発動する。これは、№:P-024のテンペラー星人でも可能。だが、攻撃をほかの二人に任せて、ガードとタイリョクが高めのこのカードをチームの左に配置したほうが安定するため、こちらが適任かと思われる。 カード№:1-042 レアリティ:ノーマル ☆ 属性:雷 アタック:1100 ガード:500 タイリョク:800 武器タイプ:ランス ハンターアイテム:テンペラーマント(テンペラーマントを使って、受けるダメージを減らす。) 復活コスト:3000 ソウルナンバー:3 コウゲキ:ライトニングテンペラー トクギ:ウィップホールド(ビームで拘束することによって、怪獣を停止状態にする。) ヒッサツ:ビームヴォルテックス(ランスを螺旋状に巻きつけたビームで相手を粉砕する!) テキスト:知恵を使った作戦よりも力に任せた攻撃を好む。己の力に絶対の自信を持ち、相手をねじ伏せて勝つことにこだわる。 備考: 第2弾 カード№:2-045 レアリティ:ノーマル ☆ 属性:炎 アタック:1000 ガード:500 タイリョク:900 武器タイプ:ナックル ハンターアイテム:テンペラーマント(テンペラーマントを使って、受けるダメージを減らす。) 復活コスト:2800 ソウルナンバー:3 コウゲキ:テンペラーフィスト トクギ:ミストガス(毒ガスの噴射によって、怪獣を毒状態にする。) ヒッサツ:ダウンフォールフィスト(怪獣必殺のエネルギーをナックルに集め攻撃と共に怪獣に叩き込む!) テキスト:両腕のハサミから電気エネルギーを鞭のように飛ばしたり、連続光線を放つ。暴走すると辺り一面を火の海にしてしまう。 備考:第2弾までで初の炎属性のテンペラ―星人。 第4弾 カード№:4-040 レアリティ:ノーマル ☆ 属性:雷 アタック:1200 ガード:400 タイリョク:800 武器タイプ:グレートソード ハンターアイテム:テンペラ製スタンボム(テンペラ製スタンボムを投げて、怪獣を感電状態にする。) 復活コスト:2800 ソウルナンバー:4 コウゲキ:テンペラーブレイカー トクギ:特殊スペクトル光線(特殊スペクトル光線によって、次に与えるダメージが増える。) ヒッサツ:ダウンフォールブレイカー(怪獣必殺のエネルギーをグレートソードに集め、攻撃と共に怪獣に叩き込む!) テキスト:力任せな戦い方を好む血の気の多いハンター。一度怒りの沸点を迎えれば、誰にも止めることはできない! 備考: ウルティメイトフォースゼロ編 カード№:U3-040 レアリティ:ノーマル ☆ 属性:水 アタック:1200 ガード:600 タイリョク:700 武器タイプ:ハンドガン ハンターアイテム:テンペラーマント(テンペラーマントを使って、受けるダメージを減らす。) 復活コスト:2900 ソウルナンバー:2 コウゲキ:テンペラーショット トクギ:特殊スペクトル光線(特殊スペクトル光線によって、次に与えるダメージが増える。) ヒッサツ:ダウンフォールショット(怪獣必殺のエネルギーをハンドガンに集め攻撃と共に怪獣に叩き込む!) テキスト:両腕はハサミ状になっているものの、これを直接戦いの武器にすることはあまりなく、光線や火炎の発射口として機能させることが多い。 備考: プロモーションカード カード№:P-024 レアリティ:無し 属性:雷 アタック:1200 ガード:400 タイリョク:800 武器タイプ:ヘヴィガン ハンターアイテム:テンペラースキャナー(テンペラースキャナーを使って、与えるダメージを増やす。) 復活コスト:3000 ソウルナンバー:4 コウゲキ:テンペラーインパクト トクギ:ウィップホールド(ビームで拘束することによって、怪獣を停止状態にする。) ヒッサツ:ダウンフォールインパクト(怪獣必殺のエネルギーをヘヴィガンに集め攻撃と共に怪獣に叩き込む!) テキスト:凶暴な性格で、何でも力ずくで解決しようとする。出たとこ勝負で完全勝利を収めることが最高の戦い方と思っている。 備考:大怪獣ラッシュウエハース付属。 同じヘヴィガンを装備した、№:1-041と比較すると、ガード、タイリョクで劣るがアタックは勝っている。また、こちらはアイテムで攻撃力のアップを図れるという利点があり、攻撃を重視する場合はこちらを採用するといいだろう。
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エンペラー星人大暗黒皇帝・エンペラー星人 エンペラー直下暗黒四天王豪将・グローザム 暗黒四天王謀将・デスレム 暗黒四天王邪将・巨大ヤプール 暗黒四天王邪将・アークボガール エンペラー星人 大暗黒皇帝・エンペラー星人 原点はウルトラマンメビウス エンペラー直下 暗黒四天王豪将・グローザム 原点はウルトラマンメビウス 暗黒四天王謀将・デスレム 原点はウルトラマンメビウス 暗黒四天王邪将・巨大ヤプール 原点はウルトラマンA、ウルトラマンメビウス 暗黒四天王邪将・アークボガール 原点はウルトラマンメビウス このページへのコメントは以下へどうぞ 名前 コメント
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藍沢先生イベント中 藍沢先生イベント中 ●●「えっ! 藍沢先生! 藍沢「よお。 くるか? ・ ・ ・ ●●「すごい! バーなんて……初めてです。 マスター「いらっしゃいませ。 藍沢「マスター、 キツいのをふたつ。 ●●「えっ!? あの、わたし、 お酒は…… マスター「はい。じゃあ…… 混じりっけ無しのキツいヤツ、 100%のオレンジジュースで いいですか、お嬢さん? ●●「はい! マスター「かしこまりました。 マスター「それにしても…… 連れがいること自体が 珍しいってのに、それが 制服を着た女の子とはね。 藍沢「うるさい。 マスター「ハハハ、開店前の時間を少し だけ貸してくれってのは…… なるほど、 可愛いお連れさんのためか。 ●●「え? 藍沢「よくもまあ、ペラペラと…… バーテンは客の秘密を守る もんだろ。 マスター「いらっしゃいませ。 すみません。 まだ開店前…… ●●(えっ! 氷室先生!?) マスター「なんだ、零一じゃないか。 マスター「お嬢さん、下に隠れな。 面倒くさいのが来た。 ●●「あっ、はい! 氷室「益田、まさかとは思うが、 高校生に酒を飲ませたり してないだろうな。 ●●(ああ、どうしよう……) マスター「さあ…… 客の歳なんか知らないし、 最近は大人びた子供が 多いからな。 マスター「そこの作家先生だって、 実はまだ 高校生なのかもしれない。 氷室「ん? 客がいたのか。 これは、失礼。 藍沢「い、いえ…… 氷室「……益田、その心配はない。 藍沢君は、はばたき学園の 卒業生だ。 間違いなく成人だ。 藍沢「氷室先生、 ご無沙汰しています。 ●●(あ、そうか。 藍沢先生は、はば学の 卒業生だったんだよね) 氷室「藍沢君、活躍しているよう だな。……しかし、職業柄なの かもしれないが、この時間から の飲酒は控えた方がいい。 藍沢「はい、気をつけます。 マスター「なんだ、作家先生は 零一の教え子だったのか。 氷室「藍沢君、 あまりその男に 毒されないようにな。 藍沢「わかりました。 注意します。 マスター「おい、人をなんだと思ってる? ま、とにかく未成年者に 酒なんて出してないよ。 氷室「ここに高校生が 入っていったと聞いて、 一応、確かめに来ただけだ。 後でまた顔を出す。 ・ ・ ・ マスター「ハハハ、 ここにいる全員が零一とは 浅からぬ仲ってことか。 藍沢「しかし、氷室先生は 変わらないな。 驚いたよ。 ●●「氷室先生の変な伝説って 知ってますか? 藍沢「ああ。教会の地下で作られた アンドロイドって話だろ。 ●●「はい。教会の地下は工場で、 出来の悪い生徒もアンドロイド にされるんですよね。 藍沢「氷室先生の方は何とも言えない が、生徒の話はウソだな。 俺は生身のままだ。 ●●「ふふっ! あの教会、いろいろな伝説 がありますよね? わたしはやっぱり—— 藍沢「恋人を待ち続けるお姫様の 伝説、だろ? ●●「はい! あこがれちゃいます。 藍沢「興味を惹かれるってことは、 自分に必要な何かがあるって ことだ。そういうものには、 乗っかってみる方がいい。 ●●「はい! 藍沢「教会の伝説か…… ふふ、君や氷室先生を見て、 自分まではば学生に戻った気に なってる。 藍沢「……そろそろ時間だ。 また、学校の話でも 聞かせてくれ。 ●●「はい。 藍沢「マスター、 無理言って悪かった。 マスター「今日のは貸しにしとくよ。 ●●「ごちそうさまでした。 マスター「さようなら、お嬢さん。 大人になったら、またおいで。