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2007年ワールドカップ ダウンヒル 女子 ワールドカップランキング #5 スロベニア マリボル 1 レイチェル・アサートン GBR19871206 ANIMAL COMMENCAL 3 16.27 2 トレイシー・モーズリー GBR19790412 KONA LES GETS 3 24.90 3 Tracey HANNAH AUS19880613 3 25.60 4 Floriane Pugin FRA19890417 CHATEL MOUNTAIN CYCLE 3 26.07 5 ヘレン・ガスケル GBR19830116 3 27.07 6 サブリナ・ジョニエ FRA19810819 IRON HORSE / MONSTER ENERGY 3 29.11 7 セリーヌ・グロス FRA19830128 3 29.48 8 Marielle Saner SUI19770322 BIKEPARK.CH TUI 3 31.01 9 末政実緒 JPN19830401 3 31.99 10 Jennifer MAKGILL NZL19860114 SSANGYONG-FUSION PRO TEAM 3 34.11 #4 オーストリア シュラドミン #3 カナダ モンサンタン #2 スイス シャンペリー #1 スペイン ヴィゴ 関連項目 2007年ワールドカップ Celine Gros Kathy Pruitt Sabrina Jonnier 末政実緒 自転車辞典
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酒場のアラマキからリヴァイアサンを倒す依頼を受けることができる。依頼を達成すると2000G貰え、パーティー全員のSTRが1上がる。 マップ情報 移動先 備考 修者の丘 町の右の方にいる子供 ダヒリー 酒場にいる男 クバーサタウン 船で行ける 竹林 船で行ける トコウ 船で行ける(アラマキの依頼達成後) 海底神殿 アラマキを仲間にすると出現 仲間キャラ キャラクター 加入場所と条件 フィオナ 魔法、アイテムショップ内にいる(フィオナを仲間にした場合ガルキンのヘレンは消滅する) サモン 酒場にいる リザ 酒場にいる リリア 酒場にいる リナックス 酒場にいる アラマキ 酒場で依頼を達成した後で再度話しかける ボス:リヴァイアサン HP50000アラマキの依頼を受けると戦闘。 領主の館(地下) 行き止まりマップ。 仲間キャラ キャラクター 加入場所と条件 ラミア 娘様を仲間にしていると最奥で仲間になる 入手アイテム:牙のお守り、最高傷薬、シェルガード、シェルブレーザー、ワニ革の鎧、ドビーの弓、心の香薬、500G ボス:イカ娘 HP6500
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MsキャラもGW後になんとか5人まで覚醒達成^^v 防具面はなかなか33等級から抜けれませんが、35・36と揃えれるように頑張っていきます! そのうち党戦でも活躍できるような強さになれればいいなぁ・・・・w ロクシェ メインキャラクター キャラクター 名前 Lv 主な使用スタンス 一言メモ グレイス グレイス Ex9 ギガンティックブラスター 最近出番ない^^; 魚子 リリア Ms4 炎属性 大活躍キャラ・エラク要員 エミリア エミリー Ex1 ESP・回復 好きだけど最近出番なし^^; カリュケ カリュケ Ms2 セジター 貫通最高・エラク要員 マスコ アイカシア Ms1 フリント 保護者のみw カート ベネディクト Ms1 ラピエルオブグリム 防具次第で前線いけそう?^^; オーシュマスコ カナン Ms2 フリント ス皮着れるから育てて今やメイン 育成予定のキャラ キャラクター 名前 Lv 主な使用スタンス 一言メモ ロミナ ミーナ Ex2 フリント 天上でぼちぼちあげようかなw ファイ太 ヴィル Vt2 決まってないw いつか女性を守れる盾に・・・ ミフユ サクラ Vt10 ローガード 強くて可愛いので育てたい クレア クレア Vt1 大砲 見た目好きだから育てたい! ヘレナ ヘレン Vt1 Vtスタンス 隠し金庫ミッション用に育成中 その他色々育成したいが追い付いていない状況w 今後育成予定キャラ 編入済:ビセン・ソソ・生カトリ・ナル・ロルク 編入したいキャラ:黒エミ・ヴァレリア
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I wish** (re side wish及びwishing-linkの登場人物・設定を含みます) 人物 バルディア共和国 ヘレン・サリー? ハイルダー・シンス? ケイト・ミルフォンス? アスラ・ヒス・エミリー? ハインツ・イスニエル? シドニー・レンブラント? アヤハ・ローズ? リト・リックスター? リスター・エーデルワイス? アリス・トワイライト? アンリ・シンス? マナ・アスタラビット? マルグリット・アストラル? エアナ・キスミー? アイドリー連邦国 シャンシャオリ・アイドリー? シャンレイ・アイドリー? ルカ・アイドリー? ルシ・アイドリー? ミルト・アイドリー? ミレ・アイドリー? リザル・アイドリー? リエッタ・アイドリー? リグレット・スミル? ベルベット・スミル? メール・スミル? キレート王政国 デメテル・キレート? シール・キレート? シヴ・ヴァルキュリア? ソレット・バーニークロー? マリア・ベルリダ・ロキサード? シオン・リード? ランス・ガーディー? ユキ・ミルベルト? レスト・キレート? ラキ・ダークサイド? エリカ・ニンフル? ラティ・サーキュリー? ゼリオ・アーミア? リオリウス・バラード? アイリス・レイン? ザイン・アーミア? 組織 Green Leaves? 南方支援隊? 東方守護隊? 北方守護隊? 北方戦隊? 近衛隊? 王立魔導団? 王立騎士団? 王立戦士団? 王立隠密隊? 雪百合血盟団
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メンバー紹介 メンバー表を作成しました^^ IN時間帯、種族、レベルを入れてもらえたらみんなで楽しみやすいかな? 名前からリンクしますのでプロフィールや自分の画像も書き込みよろしく~(≧∇≦)b キャラ名/ID名 役職 種族・性別 IN時間帯 クラス・Lv こなこな/こなこな マスター ニューマン・♀ 基本不定期。休日、夜にINすることがわりと多いカモ? マスター、カキコお願いします!! 羽川翼/owsla コモンメンバー ヒューマン・♀ 基本不定期。仕事してるので休日、夜にINしてます ハンター3、レンジャー19、フォース4 ヴァレリア/ローレッタ コモンメンバー キャスト・♀ 基本不定期。仕事してます休日、夜にINしてます、夜勤の週は昼間INします ハンター5、レンジャー21、フォース18 セルヴァン/セルヴァン・グランツ コモンメンバー ヒューマン・♂ 昼ぐらい。無口だけど、声かけてくれたら返事は返しますよ ハンター12、レンジャー3、フォース1 ヘレン/ほこほこ コモンメンバー ニューマン・♀ 平日:20時~25時┃土曜:朝~昼┃日曜:夕~深夜┃テンション高い変人だけど基本受身です。 ハンター10、レンジャー10、フォース38 ちんにく/ちんにく コモンメンバー ヒューマン・♂ 基本不定期。よく夜にINしてます ハンター21
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01.天津垓 02.アリーナ 03.アルトリア・ペンドラゴン 04.犬飼ミチル 05.ウルトラマンオーブ・サンダーブレスター 06.エシディシ 07.エレン・イェーガー 08.大神さくら 09.大崎甘奈 10.岡田以蔵 11.門矢士 12.竈門炭治郎 13.神代剣 14.神崎蘭子 15.擬態型 16.鬼舞辻無惨 17.クリムヴェール 18.桑山千雪 19.ゲルトルート・バルクホルン 20.ケロロ軍曹 21.港湾棲姫 22.斉木楠雄 23.坂田銀時 24.相楽左之助 25.櫻木真乃 26.佐藤太郎 27.ジョナサン・ジョースター 28.スカラベキング 29.関織子 30.操真晴人 31.ソリュシャン・イプシロン 32.孫悟空 33.高町なのは 34.立神あおい 35.千翼 36.鶴見川レンタロウ 37.天使の悪魔 38.デンジ 39.遠坂凛 40.トニートニー・チョッパー 41.ナミ 42.二宮飛鳥 43.燃堂力 44.野原しんのすけ 45.長谷川泰三 46.東方仗助 47.ピカチュウ 48.ピサロ 49.左翔太郎 50.フィリップ 51.フォーエバー 52.藤原妹紅 53.ヘレン 54.堀裕子 55.ミーティ 56.村紗水蜜 57.ユーノ・スクライア 58.ランスロット 59.両津勘吉 60.リンク
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Against the Wind 三階での捜索は、エレベーター通路側の部屋から始まり、タナトスの研究者らしき人物の死体が発見された部屋で終わりを迎えた。 総数は四部屋。どの部屋も共通して捜索すべき箇所は少なく、要した時間は総じて一時間足らずといったところか。 結論から言えば、この捜索ではデイライトに関する件でのさしたる進展は望めなかった。 とは言え何も得られなかった訳では無い。収穫としては、まずは二つ目の部屋。ジェニファーの友人達が放置していったリュックサックだ。 中からはデイライト生成に関するメモが発見された。 そのメモはジェニファーから聞いていた説明を補足するものであり、彼女の話の信憑性を高める物となった。 リュックからは他にデイライト関連の品は見つけられなかったが、別の事で三四達の気を引いた物があった。 それは、日記。このリュックを持ち運んでいたミクという少女とも、本来のリュックの持ち主である「ヨーコさん」とも無関係と思われる日記だ。 生じる一つの小さな疑問。日記はそれなりに嵩張り、重量もあるサイズの物だった。 同じくその場に放置されていたジェニファーの鞄の様に本人の私物であればまだしも、荷物にしかならない他人の日記をこんな状況下で持ち運んでいたのはどういった訳だろうか。 ジェニファーに確認してみれば、彼女はこの日記の存在すら知らなかったと言う。 訝しげに思いながらパラパラとページを捲る三四だったが、疑問の答えと思しき文字は程なくしてその目に入り込んできた。 “サイレントヒル” 日記のあちらこちらに確認出来る、その名称。 それは、かつてサイレントヒルを訪れた事のある人物の物だったのだ。 となれば、サイレントヒルに関する何かしらの手がかりが記されている可能性が、この日記にはある。 だからこそミク、もしくはヨーコはそれをリュックに入れていた。恐らくはそういう事なのだろう。 三四が手を止めたページには特に町自体に関わる様な記述は見られなかったが、初めから目を通してみるだけの価値はある。 時間が許せばすぐにでも読み進めたいところだが、しかし、現在の状況で優先すべきはデイライトの方だ。 日記の事は気には留めておくも先送りとした。 とりあえずリュックはジェニファーが持ち、入っていたハンドガンの弾はレオンに手渡され、ジェニファーの鞄の方はそのままここに捨てていく事となった。 一つ目、三つ目の部屋では別段取り上げる程の事は無く、次の収穫は最後の部屋での事。 こちらの部屋では三人は、どうにも奇妙な現象に見舞われた。 それは室内の捜索を一通り済ませ、これといった収穫も得られずに苛立ちを募らせていた時だった。 パサリ、と。背後で細やかに上がった物音が一つ。 三人が振り向けば、それまでは何も無かった筈の部屋の中心付近の床上に見覚えのない用紙が落ちていたのだ。 何かの拍子に物が落ちる。本来ならば取り立てて気にするでもない事象だが、この場合はそうもいかない。 この室内には剥き出しで放置されていた用紙など何処にも無かったし、それ以前に問題なのは、用紙の周りには何も無い事だ。棚も机も、何も無い。 用紙は忽然とその場に現れたのだ。 一体それは何処から落ちて来たのか。三人が三人とも何となしに辺りを見回してみるも、特に異常は見当たらない。 微かな困惑を覚えつつ用紙を拾ってみれば、枚数は二枚。 それは何者かに宛てられた作戦の指令書と、“カプセルに入れられた人間らしきもの”の写真であり、その内容は―――― ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 作戦指令書 1.作戦名 エンペラーズ・マッシュルーム 2.作戦エリア ラクーン大学周辺4ブロック区間内 3.作戦時間 午前5時35分より60分間 4.武装 基本武装C-2+エキストラクター 5.目的 「T」の生体血液サンプル採取(コードネーム:T-ブラッド) 及び「T」本体の殺害、遺体回収 補足 今作戦においては、T-ブラッドの採取と痕跡の消去が最優先事項となる。 殺害組の遺体回収が困難と判断された場合は、遺体と作戦エリアを完全破壊すべし。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ――――驚くべき事にT-ブラッドの回収を目的としていた。 すると写真に写っているものは、恐らくはこの作戦の対象者。T-ブラッドの保有者である“T”――――即ちタナトスなのだろう。 その外見が、地下で一戦交えたコートの怪物と似通ったものである事も、三四の推測を後押ししていた。 指令書と写真を覗き込んだレオンがすぐに悪態を吐いたが、それも已む無しだ。 T-ブラッドが何処かに採血された状態で保管されているならば良いが、最悪を見越せば血液入手の為にはコートの大男と同等の怪物と戦う羽目になり兼ねないのだから。 三四達はもう一度、困惑混じりの視線を部屋中に巡らせた。 あまりにも不自然だ。 室内は全員で調べたのだ。これ程までに重要な手がかりの存在に誰一人気付けなかったなどという事があるだろうか。 幾重にもケーブルが走っている天井を改めて見上げれば、見落としていた隙間に気付く事も出来た。天井裏に通じているのかもしれない。 ケーブルにしても、天井裏にしても、用紙を引っ掛けるなり置いておくなりする事くらい物理的には可能だろうが――――。 仮に皆が皆、何処かに保管されていた用紙を見落としたとしてもだ。或いは、天井から落ちてきたのだとしても。 探していた手がかりの方から勝手に三四達の前に現れるというのは、あまりにも都合が良すぎないだろうか。 果たしてその手がかりは、信用に足るものなのか。何かの罠なのではないか。三四の胸中に猜疑心が巣食い始めた時だった。 「もしかして……ヨーコ……さん?」 ジェニファーが何処にともなく呟いた。 デイライトを作る為に。ウィルスに感染したミクを助ける為に。ここまでジェニファー達を導いてきたという幽霊の名前を。 ヨーコなる人物が何者なのかは知る由もないが、その幽霊が助け舟を出してくれたのだとジェニファーは考えたらしい。 三四も日常ではオカルト好きを自称しているとは言え、所詮は趣味の範疇の事。本質的にはリアリストだ。 先程のジェニファーの話の中でも、流石に幽霊の件だけは手放しでは信用する気になれずにいた。 しかし、例えばオヤシロ様の生まれ変わりとされている古手梨花の見せた予知能力や、このサイレントヒルの町など。 明らかに科学的な説明の付けられない事象を体験してしまえば、頭ごなしに否定するつもりは無い。 幽霊だろうと、何だろうと、目の前に現れてくれるのであれば受け入れる事は吝かではないのだ。 仮にその幽霊が本当に存在してジェニファー達の守護霊代わりをしていたのなら、ここで道標が現れる事は出来過ぎとまでは言い切れないのだが。 「幽霊……ねえ。お礼を言った方が良いのかしら? ……ヨーコさん?」 若干の抵抗を感じながらも問いかけてみたものの、三四の声に反応したものは何も無く。 「……ラップ音の一つも鳴らしてくれないなんて随分とケチなのね。それくらいのサービスをしてくれてもバチは当たらないと思うけど?」 言葉を軽い挑発に変えてみるが、結果は変わらない。 結局、その用紙が罠なのか道標なのか、その現象が何だったのかは結論が出せないままに、何とも言えぬ気持ちの悪さを残して捜索は終わってしまった。 T-ブラッドの保有者の外見。確かに重要な手がかりであり、それを特定出来たであろう事は一歩の前進とは言える。 用紙がどういった理由、現象で現れたにせよ、この場合の三四達にはそれを収穫として受け取る以外の選択肢は無いだろう。 ただ、それも進展と呼ぶには中途半端なものである事は間違いなかった。 三四達が最優先で見つけ出したかったものはT-ブラッドの在処に関する情報であり、用紙にはその肝心の部分については一切書かれていなかったのだから。 この階での捜索ではもう少し直接的な手がかりが見つかるかと期待していたが、ここから先を導くヒントは得られず仕舞い。後は手探りで動くしかない。 せめてケーイチなる少年が何かしらの成果を持ち帰って来てくれれば話はまた変わってくるのだが、その少年は未だに行方知れずだ。 戻らないのは、T-ブラッドを探し続けているからか、または何処かで負傷でもして動けないでいるせいか。 最悪を見越せばとっくに命を落としているか、そうでなくともマコトと言う学生と同じくこの大学から逃げ出してしまったかもしれない。 どうあれ戻る確証もないその少年を、ただ手をこまねいて待っている訳にもいかない。 そして話し合われた次の行動方針。 とは言え、その目的は変わる事はない。 探すべきものは、デイライトの材料であるT-ブラッド。そしてジェニファーの友人ケーイチだ。 問題となるのは、何処を探すか、なのだが、これに関してはレオンから一つの提案が上がった。 「二手に別れよう。俺は地下を探す。二人は二階と一階を探してくれ」 その理由としてレオンが説明した事柄は二つ。 一つは、もう一時間近くも戻って来ないケーイチの身を案じた為。 少年が死んでいたり逃げ出したりしている可能性よりも、まだ何処かで生き延びている可能性。レオンはそちらを見ているのだ。 生きているならば一刻も早く保護しなくてはならないと思うレオンの気持ちは、流石に三四も否定出来ない。 二手に別れた方が捜索の効率が良く、合理的であると見る事も正しくはある。 そしてもう一つは、三四とジェニファーの身を案じての事だった。 地下階層にはまだ捜索していない部分がある事は知っている。エレベーターには三四達の行っていない、B4階へのパネルがあったのだから。 ただ、地下に降りるという事は、あのコートの怪物と再び遭遇する危険があるという事。 地下にT-ブラッドがあるかもしれない、少年が入り込んでるかもしれないと考えれば、危険を承知で向かわなければならない。 だが、その危険な道に三四達を連れて行く訳にはいかない。そうレオンは考えたようだ。 反面、二階と一階はレオンと三四で大まかにではあるが回っている。コートの怪物と比較すれば危険が少ない事も分かっている。 レオンの立場で極力他の人間の安全を確保するとなれば、この捜索方法は正しいのかもしれないが――――。 「分かってるのかしら。この場合、危険なのは私達よりもあなたの方よ? この写真見たわよね。さっき見回った範囲では、こんなカプセルは見当たらなかったわ。 なら、未調査の地下にある可能性は濃厚よねえ? 秘密の研究ということなら、尚更隠し場所には人目につかない地下を選ぶのが人情というものじゃなくて? 今度はさっきのコートの彼だけじゃない。この写真のやつも一緒になって襲いかかってくるかもしれないわ。そうしたら、どうやって切り抜ける気?」 「さあな。でも今はあいつの弱点も分かってる。後頭部だろ? そっちの奴だって似たようなもんなら、やってやるさ。 それに俺一人だけならいざって時は逃げ出して体勢を立て直せる。何とかしてみせるよ」 どうやら決意は固いらしい。 三四はふっと溜息を吐き、レオンにタナトスの写真を差し出した。 「一つだけ約束してちょうだい。T-ブラッドにしてもケーイチくんにしても、見つけたらそれを一区切りとして一旦戻ってくること。 あくまでも可能性が濃厚というだけで、どちらも地下で見つかるとは限らないわ。欲ばって深追いするのは厳禁よ」 「……OK。分かってる」 三人は一先ず最初の部屋に戻った。 やはり少年の姿は無いが、ここでの目的は彼ではない。 T-ブラッドを――――というよりはタナトスを見つけた場合に備えて、血を取るのに必要な注射器を確保する為だ。 そこは様々な実験器具が置かれていた部屋。注射器があった事は最初に確認していた。 念の為にとそれぞれが数本ずつの注射器を手にすると、そのままエレベーターに向かい、乗り込んだ。 「それじゃあ、さっきの約束を忘れないで」 言い残して三四とジェニファーは一階で降りる。 ラジャー、と親指を立てるレオンは一人B4階へ。 そして、探すべきものは存外早くに見つかる事になったのだが――――。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ゾンビの様に変貌してしまったミクの死体のあったエントランスホールから、たった扉一枚を隔てた向こう側。 赤黒く変色している大量の血液と、一面に撒き散らされた臓物や排泄物と、それらが醸し出す悪臭の中。 ケーイチは、物言わぬ残骸と成り果てていた。 腹部を中心として分断され、互いから数メートル離れた場所に無造作に捨てられていた上半身と下半身。 その上半身側に屈み込んだミヨの後ろで、ジェニファーは今、血の気の引いた唇を震わせて立ち尽くしていた。 予想出来ていた事ではあった。 ミクがああした状態で発見された以上、同行していたケーイチが無事である可能性は限りなく低い。 廊下や室内に足を踏み入れる際、その先には彼の死体が有るのでは、との思いが過ぎったのも一度や二度ではなかった。 彼の無事を願う一方で、既に何があろうと受け入れるだけの覚悟は決めていたつもりではいたのだ。 しかし、こうして現実にケーイチの死を目の当たりにしてしまえば、心構えは容易く砕け散り、恐怖はジェニファーを縛り付ける。 久方ぶりに強く鼻を刺激する生臭い死臭。込み上げてくる吐き気を辛うじて堪えられたのは、偏に他人が側に居たからに過ぎなかった。 ミヨの身体越しに見えているケーイチから、涙が滲むその目を背ける。 この町に迷い込んでから頭の片隅にちらついていた幾つもの悍ましい記憶。それが、ケーイチの死体に呼び起こされる様に、その姿を顕にしていた。 何度目になるのだろう。こうして人の死を見せつけられるのは。 この一年と少しの間に、二度も巻き込まれたクロック・タワー事件で。ジェニファーは多くの人間の死に触れてきた。 全ての始まりは、あの日。 グラニット孤児院で暮らすジェニファーら四人の孤児の引取先が決まり、新しい生活に対する期待と不安を胸にして転居に向かったあの日。 その屋敷で待ち受けていたのは、約束された幸せな日々とは程遠い、異形の怪人による悪夢の様な殺戮の時間だった。 シャワールームの天井から吊り下げられていたローラ。二階の窓から中庭へ叩き落とされたアン。ジェニファーに最期の言葉を残して息絶えたロッテ。 白骨死体として発見されたのは、十年前に何処かへ回診に出たきり行方不明になっていた父、ウォルター・シンプソン。 揉み合っている拍子に時計塔の操作盤に激突して感電死したのは、孤児院の教師『だった筈の』、メアリー・バロウズ。 幼き日々を過ごした親友達も、心の何処かではいつかの再会を願っていた父親も、信頼していた恩師も。あの日ジェニファーは、大切にしていた存在全てを失った。 それから一年が経ち、再び振りかかる事になった悪夢。 ジェニファーの目の前で巨大な鋏に貫かれた警備員。置物の様に『飾り付けられていた』研究者。 バロウズ家の魔像を預かってしまったせいで事件に巻き込まれてしまった、図書館のサリバン館長や司書達。 シザーマンを退治する手立てを求めて向かったイギリスのバロウズ城での殺戮劇では、それこそ扉を潜る先々に転がっていた、見知った人々の死体。死体。死体。 そして今、この町だ。 何度目になるのだろう。こうして人の死を見せつけられるのは。こうして恐怖に竦み上がるのは。 少し前まで言葉を交わしていた者達が、次に出会った時には無惨な死を遂げている。 どれだけ経験しようとも、その本能を刺激する原始的な恐怖には慣れるものではなかった。 後何度、己はこの死の恐怖に耐えなければならない。後何度、己はそれを繰り返さなくてはならない。 それとも次こそは、今度こそは、己がそうなる番なのか――――。 シャキン 唐突に耳の中に甦る、金属と金属の擦り合わさる音。ジェニファーはビクリと身体を震わせた。 聞こえた訳ではない。単なる気のせいに過ぎない音だ。 ただ、それはジェニファーにとって死の象徴とも言える音。 怯えた心が呼び覚ます、繰り返される悪夢の記憶。 鋏から連続して奏でられる金属音が、どこまでもジェニファーを追いかけてくる。 (ヘレン……) 震える心の中で、ジェニファーは呼び掛けていた。 今の彼女が最も会いたいと願う、誰よりも信頼を寄せる女性。共にバロウズ城の危機を乗り越え生還した、聡明な研究者。 ジェニファーの現在の保護者であり、親友であり、姉妹同然の存在でもある、ヘレン・マクスウェルの名前を。 切に願う。助けに来てほしい。このおかしな町から、自分を救い出してほしいと。 脳裏に浮かぶヘレンの姿。 想像の中のヘレンは、ジェニファーの元に駆け寄り、震える身体を抱きしめてくれる。 もう大丈夫、一緒にこの町から逃げましょう。ジェニファーの目をしっかりと見つめ、そう優しく微笑んでくれる。 それからジェニファーの手を取って、出口まで導いてくれる――――。 (…………ううん。違う……駄目よ!) はたと気付き、ジェニファーは自身の妄想を取り消す様に首を振っていた。 違う。 違う。 違う。 それでは、ヘレンまでがこの危険な町に迷い込んでしまう事になる。 ヘレンに会いたい。助けてもらいたい。それは本心だが、頼れない。こんな状況に彼女を巻き込みたくはない。 ヘレン――――。今頃彼女はどうしているだろう。 ジェニファーがこの町に迷い込んでから、もう六、七時間は経ってしまっている。 帰りの遅いジェニファーを心配して、苛立っているだろうか。 ノランと一緒に居ると勘違いして、彼のところに怒鳴りこんでいるだろうか。 それともゴッツ警部――――いや、ゴッツ警部補に連絡を取り、一緒に捜索をしているかもしれない。 と、不意に思い出されたある言葉に、ジェニファーはハッと息を呑んだ。 ケーイチ達が言っていた。この町にはケーイチ達三人のそれぞれの知人も迷い込んでいるらしい、と。 何の根拠でケーイチ達がそう考えていたのかまでは今ではもう分からない。具体的な話し合いは研究所についてから、と後回しにしていた為だ。 だがもしもその話が正しいものだとすれば、ジェニファーだけが例外という事があるのだろうか。 ケーイチ達の知人の様に。ケーイチ達やジェニファー本人の様に。 ジェニファーの友人達もまたこの町に迷い込んでしまっている可能性は充分有り得る事なのではないか。 町をさ迷うヘレンの、ノランの、ゴッツ警部補の姿が見えてくる様だ。 違う。 先程の様にそう否定するが、一度思い至った最悪の想像は容易に掻き消えようとはしてくれず。 冷たい塊が胸中を圧迫し始めていた。まるで溶ける事の無い氷を胸に閊えさせてしまったかの様に。しかし――――。 (もしそうなら、なんとかしなくっちゃ……!) 裏腹に、ジェニファーの瞳は力強さを増していた。 心は冷たい恐怖に震えている。頼れる人に助けを求めたい気持ちもそのままに残っている。 ただ今は、それらの弱気な感情に勝る想いがジェニファーの身体の内から湧き上がって来ていた。 それは、クロック・タワー事件の中で常にあった単純な想い。 生きていたい。二度と大切な者達を失いたくはない。そんな本能的な強さを持った想いだ。 その必死さ、生を求めて足掻く力強さこそが、ジェニファー・シンプソンを二度のクロック・タワー事件から生き延びさせた強さなのだ。 耳障りな鋏の音が、ジェニファーの中から遠ざかって行く。 (でも、どうやって? なんとかしなくちゃって、何をすればいいのかしら……) 恐怖心に乱されない冷静さを取り戻し、ジェニファーは置かれた状況を振り返る。 とにかく今はデイライトを作る事が最優先だ。それに関しては皆でT-ブラッドを探し続ける他無い。 問題はその後。生き延びる為には、巻き込まれてしまっているかもしれない友人達を助ける為には、これから何をしていけば良いのだろう。 無数に居るらしい怪物や幽霊を全て倒す事は、恐らく不可能に近い。 ただ町から逃げ出すくらいならば可能かもしれないが、それでは万が一ヘレン達が巻き込まれていた場合は助けられない事になる。 それに居るかどうかも分からない人間を探すなど、傍から見ればただの愚行だ。流石にミヨやレオンが協力してくれるとは思えない。 だったら、どうする。これから何と戦えば良い。何を目的として、何処に向かって進めば良い。 シザーマンが起こしたクロック・タワー事件とは違い、今回の事件は立ち向かうべき敵の姿がまるで見えていない。 サイレントヒル。マコトとミヨの、赤の他人で面識もない筈の二人が口にしたこのアメリカの田舎町の名称。 異なる国々に住む筈の人間達が迷い込み、ゾンビや悪霊などという化物が当たり前の様に存在している異常な町。 現時点で判明しているのはその程度の事でしかない。つまりは、何も分かっていないも同然だ。そんな状況で、一体どう動けば良いというのか。 (分からない……分からないわ。……ヘレン。あなたならこういう時、どうするの……?) 問い掛ける様に、ジェニファーはもう一度ヘレンに思いを馳せた。 仮にここに迷い込んだのが自分などよりも遥かに賢明で知識も豊富なヘレンならば、まず何をしただろう。 自分にはヘレン程の頭の良さは無い。パソコンには触りたくもないし、本を読んでいれば頭痛がする始末だ。 そんな人間に、ヘレンの思考をトレースする事など出来る筈も無いが――――。 ――――ジェニファー。この屋敷の中にシザーマンを完全に倒す方法があるはずよ―――― 甦ったのは、バロウズ城でのヘレンの言葉。 それを切欠として、ジェニファーの思考は広がり出す。 そうだ。ヘレンの思考をトレース出来ないとしても、あの時のヘレンの行動をトレースする事は出来る。 クロック・タワー事件の時、ヘレンは一般の出入りが禁止されている図書館の希観本閲覧室で、バロウズ城の歴史が記された書物を見つけ出してきた。 あのバロウズ城の中では、ヘレンの推察通りにシザーマンを退治する方法が隠されていた。 その行動をトレースして、例えばあの時入り込んだバロウズ城を、今迷い込んでるサイレントヒルの町と重ね合わせたとしたら。 北イングランドの歴史を探る事で見つけ出したバロウズ城の歴史の様に、この町の歴史を調べる事で何かの手がかりを得られるのでは。 バロウズ城の内部に隠されていたシザーマン退治の方法の様に、この町の何処かを探る事で現状を打破するヒントが得られるのでは。 具体的に何を調べれば良いのか。それはこの町にある施設次第ではあるが、すぐに思い浮かんだものはやはり図書館や新聞社などだ。 レオンが戻り、デイライトを作れたとしたら、次はそれらの施設を探す提案をしてみるのも手かもしれない――――。 (……ありがとう、ヘレン) 何となくヘレンが力を貸してくれた様な気がして、ジェニファーは口の中で呟いた。 ほんの僅かにだが見えた希望。無論それは単なる可能性の話であり、調べたところで無駄骨に終わるかもしれないが、何も見えないままでいるよりは幾分かはマシだ。 俯いていた顔を上げると、それに合わせたかの様にジェニファーの横で動く気配があった。死体を調べていたミヨが立ち上がったのだ。 ミヨはジェニファーには目もくれず、黙りこくったまま壁際まで歩を進めると、その場に落ちていた金属バットを拾い上げた。ケーイチが持っていたバットだ。 何かを調べているようだが、それを気にするよりもジェニファーの目を引いているもの。 それまでミヨの身体に隠れていたケーイチの半身が、改めて視界に入っていた。 その惨たらしくグロテスクな姿に、吐き気がぶり返しそうになる。申し訳ないとは思うも、それは生理現象に近い。自分ではコントロール出来ない。 それでもジェニファーは、今度はケーイチから目を背ける事はしなかった。 生気の失われたその顔に、あの不敵な笑みが重なった。巧みな話術も聞こえてくる様だ。 出会ってからこれまで、この異常な状況下でも場を明るく保とうと努めていたムードメーカーの少年。 不意をついて襲いかかってきた幽霊にも果敢に挑み、皆を守ろうとする勇気のある少年だった。 だが、それだけだ。ジェニファーが知ってる事はたったのそれだけ。 ケーイチが何を大事にしているのか。何を好んで何を嫌うのか。彼の事は何も知らない。 心は痛みこそしているが、それは悲しみのせいではない。哀れんでいるせいだ。 今は、彼の為に涙を流す事も出来ない。聞いた筈の名前も思い出せない。その程度の関係しか築けていない。 当たり前と言えば当たり前だ。彼は、たったの数時間前に出会った人間に過ぎないのだから。 ただ――――それでも、ケーイチに抱いた好感は本物だ。 ケーイチだけではない。ミクやツカサもそう。 もっと長い時を重ねられたならば、彼等も皆ジェニファーの大切な者の一人になった筈なのだ。 だからせめて、今度は目を背けずに。 (どうか、安らかに……) ただ一言の、祈りを捧げた――――。 「ねえ、ジェニファーちゃん」 唐突に耳に入り込んだ声に、ケーイチ達の死を偲ぶジェニファーの意識は現実に引き戻される。 目を向ければ、ミヨは拾い上げていた金属バットのグリップエンドを険しい顔付きで眺めていた。 その厳しい視線をジェニファーに移し、ミヨは言った。 「このバットは彼が持っていたもの?」 「え? ……ええ。会った時から持ってたけど……」 「ふぅん。そう。……それじゃあ、もしかして……」 一旦、ミヨは勿体振るかの様に間を置いた。 そして続けられた、次の言葉。 「もしかして、『マエバラ』。……彼、『ケーイチ・マエバラ』って名前じゃあなかったかしら?」 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 「マエ……バ……ラ……?」 鸚鵡返しに呟き、記憶を探る様に眉を潜めたジェニファーは、やがて何かに気付いた素振りでその目を大きく見開いた。 その表情を見るだけでも分かる。三四の出した答えはどうやら正解だという事が。 「そう言えば……そんな風な名前だったかも。でも、どうして……」 言い終える直前、ジェニファーはハッと口元に手を当てていた。 美しく整った顔が驚愕と悲哀に曇っていく。 「……知り合い、だったんですか……?」 「まあ、そうね」 それを聞くとジェニファーは、悲しげに目を伏せた。こちらの心情を勝手に想像して気を使ってくれるらしい。 彼女から他の質問は上がらず、また、三四からも聞くべき事は特に無い。辺りには沈黙だけが残される。 考え事を再開したい三四にとっては、好都合だった。 ゾンビの様な変貌を遂げた少女の死体のあったエントランスホールから、たった扉一枚を隔てた向こう側。 黒へと変色しつつある大量の血液と、撒き散らされた臓物や排泄物と、それらが醸し出す悪臭の中。 少年は、物言わぬ残骸と成り果てていた。 身体の損壊は著しく、体外へ流れ出た血液も尋常な量ではない為に分かり辛くはあるが、恐らく死亡してからは一時間から一時間半程度が経過しているだろう。 それは、三四とレオンがジェニファーと出会った頃。ゾンビ化していたミクを発見した頃。あの時には既に、少年は死んでいた可能性があるという事になる。 蒼白化の進んだ顔面部を観察してみれば、表情筋は弛み切り、恐らくは死の直前苦悶に歪んでいたであろうその顔からは、既に一切の感情が消えている。 それに希望を見る者は多い。全ての苦痛から解放され、安らぎを得た表情なのだと。 だがそうではない。グリーフ・ワークで心に安らぎを得るのは生者の方であり、死体そのものには関係無い。これはただの反応に過ぎないのだ。 例え生きたまま脳を切り開かれようとも。例え生きたまま腹を裂かれて腸を引きずり出されようとも。 生前にどの様な耐え難い苦痛があろうとも、死を迎えれば全ては同じ。 肉体からは中枢神経の支配が消失する。全ての筋肉は不随意状態となり、速やかなる弛緩が進んでいく。強張りも歪みも無くなり、苦しんだ痕跡は全て消えていく。 そうして死亡から三十分程も経てば“安らかな顔”の出来上がりだ。 死体が得るものは安らぎでも苦痛でもない。死の先にあるもの――――死んだ肉体を司るのは、単なる物理的、化学的反応なのだ。 環境により、ある程度の差異こそ生じようとも、これは誰にでも起こる事。 死がもたらす現象は、誰に対しても例外は無く、総じて平等に訪れる。 ――――いや。訪れなくてはならない筈なのだが。 この場で臓物を撒き散らして死んでいた少年。 ジェニファーがこの町で出会い、これまでの行動を共にしてきたという友人達の一人。 三四には見覚えのある顔だった。生前のあのやんちゃな顔は、まだ記憶には鮮明に残っている。 ケーイチ。すぐ側で青ざめているジェニファーの友人とは、三四の知るあの前原圭一と瓜二つだったのだ。 いや、瓜二つという表現は適切ではない。これが単なる別人だとは考えられない理由が幾つも存在しているのだから。 前原圭一は、この手で心臓を撃ち抜いた。確かに死んだ筈だ。その死人が何故、この町を彷徨っていたのか。 これもオヤシロ様の祟りだとでも言うのか。 冥界と現世が激突して霊魂が流入したせいか。 地底人や鬼ヶ淵村の珍獣オッシーの仕業か。 それとも遂に現れた寄生虫型宇宙人がクローン人間を作り上げたのか。 いずれかだとしたら、自慢のスクラップ帳に追記してもいいくらいなのだが。 「……ふん」 自虐気味に鼻を鳴らして下らぬ戯言を取り下げると、三四は眉間に深い皴を寄せ、苛立ちに疼くこめかみに手を当てた。 現実的に考えるならば、この死体はあの前原圭一とは別人という事になる。 そもそも死体とは、死後そのまま放置しておけば弛緩した顔は重力に引っ張られ、生前では見られない程に平坦化した状態で死後硬直を起こしてしまうもの。 それ故、生前と死後では顔面部に若干の異なりが見られ、印象は変わってしまうのだ。 その場合、例え身内が確認したとしても本人だと判別しにくいケースがあるにはある。逆に、別人を本人だと判別してしまうケースもだ。 これはその後者で、前原圭一に似た人物を本人だと思い込んでしまっているのではないだろうか。 その可能性に対して、三四が導き出した答えは――――否だ。 全くの別人であるならば、どうして服装までがあの時の前原圭一と同じとなる。 この金属バットもそうだ。これは入江京介が監督を務めていた野球チーム『雛見沢ファイターズ』で使用していた金属バットだった。 無論似た様なバットなど何処にでもあろうが、グリップエンドを確認すれば、見覚えのある文字で『さとし』と名前まで書かれている。 『北条悟史』のバットに書かれていた文字と同じものだ。 更にはジェニファーに確認した前原の姓。決して珍しいとは言えないが、ありふれているとも言えない姓だ。 たまたま前原圭一と同じ服装をしていて、たまたま北条悟史のバットに似たバットを持ち歩き、たまたま同姓同名で顔までそっくりの人物が、たまたま雛見沢でも日本でもない遠い異国の地で三四の前に現れた――――。 そんな偶然を認めろとでも言うのか。それこそ一笑に付したくもなる話だ。 では――――前原圭一は死んでいなかった可能性を見るべきか。 確かに三四自身、彼の絶命を直接確認した訳ではない。 前原圭一を射撃したあの時。月明かりだけが頼りの暗い林の中で、相手は遠距離を走っていたのだ。 至近距離から頭を撃ち抜いた園崎魅音、園崎詩音、竜宮礼奈、北条沙都子の四人とは状況が異なる。心臓を狙いはしたが、その狙いが多少ずれたとしてもおかしくはない。 であれば、あの時点での前原圭一は即死しておらず、仮死状態に陥っただけという可能性も僅かながらには存在するだろう。 だが、あれからしばらくの間に彼に息があったとしても、如何なる名医だろうともあの状況から蘇生させる事など不可能だ。 それこそT-ウィルス。あんな状態のミクを生かし続けたあの強力なウィルスに感染したというなら話は違うのだろうが、雛見沢に存在するウィルスではない以上、そんな仮説は無意味。 それ以前に、前原圭一達の死体処理の報告は間違いなく受けている。 『鷹野三四の焼死体』の様に、わざわざ死を偽装する者が山狗の中に居たとも思えない。 あの時、前原圭一は、確実に死んだのだ。 それならば、別人とも本人とも言い難いこの前原圭一は何なのだ。 十五年先の未来に住むというレオンの様に、時間を越えて過去から連れて来られてきたのか。 有り得ない。前原圭一が三四に撃たれる前の五体満足な頃の時間軸上から時間旅行してきたと仮定するなら、三四が射撃した事実そのものが存在しなくなる筈だ。 では未来の技術でSF小説に登場する様なクローン人間でも造り上げたか。 それも無い。ただの子供である前原圭一のクローンなどを造ったからといって、労力に対して見返りは何だ。誰に何の得が有るというのだ。 それでは残る可能性は何だ。死者が蘇ったとでも言うのか。 三四をこの町に招待した連中は、死を覆す事すらやってのけるとでも――――。 (いえ……待って……) ふと思い出された映像に、三四は眉間に深く皺を刻む。 それは、三四がこの町に迷い込んだばかりの時のもの。 その時は唯の思い込み、見間違いだと切り捨て、特には気に止めようともしなかった霧の中のあの影の事。 (古手……梨花) 三四は、圭一の顔面を見返した。 あれが、思い込みや見間違いではなく、正真正銘の古手梨花だったとしたら。 確かに殺した筈の彼女も、この前原圭一と同様に生きてこの町を彷徨い歩いている事になる――――。 そう気が付いた三四が抱いたのは、一つの疑念だった。 (古手梨花……前原圭一……これは、偶然なの?) それは、彼等が蘇った事――――ではない。彼等が如何にして蘇ったのか、この際原理などはどうでも良くなってしまった。 今、三四にとって重視すべきは、果たして古手梨花や前原圭一が三四の前に現れたのは偶然なのか、という事なのだ。 その疑念から、連鎖的に次々と思い出されるのはこれまでの様々な事柄。 フラッシュバックは最初に送られてきた小包にまで遡る。 そうだ。改めて振り返ってみれば、最初から何もかもが不自然だったのではないか。 三四がその生涯を捧げた雛見沢症候群と、雛見沢寄生虫の研究。 ――――サイレントヒルから送られてきた物は、雛見沢寄生虫を遥かに凌ぐ性質を持った寄生虫、プラーガ。 あらゆる障害を排除して、達成するまで後一歩と迫った悲願。 ――――その最重要事項である滅菌作戦を目前にして、プレゼントされたのは拉致に等しい遠い異国への海外旅行。 その異国を歩いて最初に目にしたものは、殺した筈の女王感染者の姿。 その異国で初めてまともに出会った人間は、何処か富竹ジロウを思わせる熱さと眼差しを持った青年。 その異国で最初に入り込んだ施設で見たものは、これもやはり雛見沢症候群を遥かに凌ぐ性質を持ったT-ウィルスと、やはり殺した筈の前原圭一――――。 (いいえ……偶然と見るにはあまりにも出来過ぎてる……) これらの事が偶然とは、どうしても三四には思えない。 サイレントヒルへの招待――――祖父の研究が永劫の存在となる事の邪魔をして。 プラーガとT-ウィルス――――雛見沢症候群を上回る発見と研究を突きつけて。 レオン・S・ケネディ――――未だ抱えている己の未練と後悔を暴き立てて。 そして古手梨花生存の可能性――――作戦の根本となる重要人物の死を覆して。 この町に入ってから三四の前に現れたのは、悲願成就の為に命を賭して行ってきたこれまでの全ての事を妨害するものばかりではないか。 無意識に、爪を噛む。 或いは被害妄想か。いつの間にか三四自身、雛見沢症候群を発症し、妄想に囚われていると疑うべきか。 いや、違う。雛見沢症候群はただ幻覚を見せるだけの病気ではない。 己の身体、精神の状態が、症候群の症状に当てはまるものではない事は判断出来ている。 偶然でも被害妄想でもない。となれば、これは必然だ。 何者かの意志が存在している事こそ、疑いようもない事実なのだ。 それは誰だ。決まっている。このサイレントヒルの町から三四に対してプラーガと招待状を送り付けてきた連中だ。 虫唾が走った。己の中にある、例の暗いざわめきを自覚する。 へどろの様に泥々とした不快感が、胸中に湧き出して広がっていく。 己がその苛立ちを何に対して感じているのか。一体何が気に食わなかったのか。漸く、その答えが見えた気がしていた。 「……面白いわねぇ」 「……え?」 「ジェニファーちゃん、あなた、オカルトは好き?」 「…………オカルト?」 T-ウィルスが気に食わなかったのではない。レオンの甘さに対して苛立ちを募らせていたのではない。 それらを見せつけられていた事。その後ろに見え隠れしていた何者かの意志を無自覚の内に感じ取っていた事。 三四が感じていた暗い感情は、そこにこそ向けられていたのだ。 「この子……圭一くんね。死んだはずなの。 ああ、ここでじゃないわよ? 雛見沢っていう日本のとある村でね、銃で心臓を撃たれて死んだはずなのよ。 だから、こんなところにいるはずがないのだけれど」 「…………ミヨ?」 全ては否定。 祖父の悲願を。 祖父の名を神のものとする研究を。 人生も、倫理も、プライドも、何もかもを投げ打って漸くここまで辿り着いた鷹野三四を。 己のしてきた事、しようとしていた事の全てが今、この町に否定されている。 三四を招待した連中のせせら笑う顔が、声が、浮かんでくる様だ。 「面白いでしょう? 死んだはずの人間と一緒にあなた歩いてたのよ? ねえ、それってどんな気分かしら?」 「……何を……言ってるの?」 そのイメージとは真逆に、ジェニファーは困惑の顔を向けていた。 三四は、口元だけを吊り上げて笑みを作る。 「…………ごめんなさい。冗談よ」 気に食わない。 苛立ちの対象を、漠然と思い浮かべて三四は思う。 彼女にあの手紙を送り付けてきた連中が何者なのかは知った事ではない。 連中が何を企んでいるのかも、どうでも良い事だ。 しかし『連中』が、何処までも三四を否定し、嘲笑うつもりだと言うのであれば――――。 三四は戸惑い固まるジェニファーの横を通り抜けると、今度は前原圭一のもう一つの部位――――下半身のチェックを始める。 ポケットに入っている物は何も無い。どうやら彼もT-ブラッドの在処に関するメモ等の物は最初から持っていなかったようだ。 ならば、こんな薄汚い場所にはもう用は無い。 「いつまでもこうしていても仕方ないわね。行きましょうジェニファーちゃん。T-ブラッド、早く見つけないとね」 受けて立ってやろう。 そしてこの町の何処かに隠れ潜んでいる『連中』を引きずり出して、思い知らせてやらねばならない。 この鷹野三四を否定出来る者など、もう何処にも存在しない事を。 鷹野三四は神となる。 祟りを起こし、雛見沢症候群の名を永遠のものとする。 今やもう目前と迫っていた悲願の時。 何人足りとも、その否定など出来はしない。 否定など、させてなるものか――――。 【Dー3/研究所(ラクーン大学)・1階裏口通路付近/一日目深夜】 【鷹野三四@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:健康、サイレントヒルに対する強い怒りと憎悪 [装備]:9mm拳銃(8/9)、懐中電灯 [道具]:手提げバッグ(中身不明)、プラーガに関する資料、サイレントヒルから来た手紙、グレッグのノート、UBCSの作戦指令書 [思考・状況] 基本行動方針:この町に自分を招待した連中を排除する。 1:まずはデイライトを作る。 2:手紙を送りつけた連中を排除する。 3:日記を確認したい。 4:プラーガの被験体(北条悟史)も探しておく。 5:『あるもの』の効力とは……? ※手提げバッグにはまだ何か入っているようです。 ※鷹野がレオンに伝えた情報がどの程度のものなのかは後続の方に一任します。 ※グレッグのノートにはまだ情報が書かれているかもしれません。 ※ジェニファーからこれまでの経緯を聞きました。 【ジェニファー・シンプソン@クロックタワー2】 [状態]:健康、悲しみ [装備]:私服 [道具]:ヨーコのリュックサック(試薬生成メモ、ハリー・メイソンの日記@サイレントヒル3) [思考・状況] 基本行動方針:怪異を終わらせる為に町を調べる 0:ミヨ……? 1:デイライトを作る。 2:レオンたちについていく。 3:もしも自分の知り合いが迷いこんでいるなら助ける。 4:日記を確認したい。 5:町を調べる。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 異常に膨れ上がったその背中。一つの覚悟を決めて、逆手に握ったコンバットナイフを思い切り突き立てる。 僅かな抵抗を感じさせるも刃は肉の中に沈み込み、黒い皮膚の上には微量の血液が滲み出た。 そのまま力任せにナイフを手前に動かせば、皮膚の裂け目は大きく広がり、光沢を帯びたピンク色の生々しい肉を覗かせた。 銃を撃つのとは違い、直接的に手に伝わる気色の悪い不快な感触。いくら怪物の死骸でも、人とそうは変わらぬ形のものを切り裂く実感とは精神的にも歓迎出来る事ではない。 決して気乗りはしなかったが、注射器の針がその硬質化した皮膚を通らなかったのだから、この作業もやむを得ない。 ナイフを引き抜くと、その肉の裂け目には染み出してくる様に血液が溜まり始める。レオンは改めて注射器を手に取った。 B4階は、先程降り立ったB1階よりも更に広い構造となっている階層だった。 長い廊下を抜けると、まず最初に所謂ターンテーブルらしき設備と、その床に飛び散っていた肉の塊がレオンを出迎えた。 グロテスクなその肉塊。よく見てみれば中には真っ赤に染まったシャツや、ズボンがある事に気が付いた。それは紛れも無く人間の死体なのだ。 まさかケーイチか、との思いが頭をもたげたが、その死体の服装は聞いていたケーイチの服装とは異なっている。恐らくは別人だろう。 そう判断するのとほぼ同時に思い出されたのは、ジェニファーと出会う前に上ですれ違った、レオンを人殺しと誤解した少年の姿だった。 マコト、だったか。この服装はそちらの少年のものと一致している様に思える。 レオンはふと風を感じ、上を見上げた。そこはターンテーブルを外に出す為の吹き抜けとなっていた。 ミヨと共にこの大学に入った時、最初の広場にリフトらしきものの大穴を確認した事を思い出す。位置関係から察するに、あの大穴がここに繋がっていたらしい。 マコトはあの後一人で外に逃げ出そうとしたが、誤って大穴から転落してしまった――――そんな顛末だろうか。 やるせない思いを舌打ちとして残し、レオンは次のフロアに移った。 そのフロアは、ターンテーブルのあった場所よりも二回り程広く、深い吹き抜けだった。 足場は中央の小部屋に伸びている連絡通路のみ。その上で見つけたのが、このやたらと巨大な人間“らしきもの”の死骸だ。 初見ではそのゴツゴツとした見た目に、岩か何かが転がっているのかと錯覚したが、良く見てみればそれには腕があり、脚がある。サイズこそ有り得ないものだが、生物の形をしている。 調べてみれば、写真とは随分と印象が異なるものの、それが探すべき対象である“タナトス”だと気付くまでには然程の時間もかからなかった。 薄ら寒さすら覚える程に巨大な躯体。一見としてはコートの怪物を遥かに凌駕しそうな化物が、何故ここでこうして死骸と化しているのか。 事実をありのままに、単純に考えると、この化物を殺せる程の力を持った敵がまだ他に存在するという事だ。 しかし、この際そちらまでは気にしてもいられない。 いくら規格外の力を持った敵が存在しようとも、今この場にいる訳ではない。 前向きに捉えれば危険に直面せずに済んだという事だ。目的物であるT-ブラッドを安全に入手出来るのなら、それに越した事はない。 「……これで良し」 三本分の注射器をその血液で満たし、銃を抜いてある空のホルスターにしまい込む。 ワクチン製造の為に必要な量は不明だが、足りなければまた取りに来れる故に心配は無いだろう。 レオンは立ち上がると、前方の小部屋を見た。そこからは更に二本の連絡通路が左右の壁に伸びている。この先にもまだフロアは存在しているのだ。 もしかしたらケーイチはこの奥に入り込んでいるのかもしれない。このタナトスを殺した奴に襲われているのかもしれない。そんな想像がレオンの中に浮き上がる。 だが、T-ブラッドを手に入れた今、一刻も早くワクチンを作りに戻らねばならない。 ミヨとジェニファーへのウィルスの感染を防ぐ事。彼女達を守る事。それが今のレオンの第一の役割だ。 ともすれば少年を見捨ててしまう判断を下さねばならない状況に、胸中にはやり切れなさが増していくが――――これもまたやむを得ない。 思いを断ち切る様に、レオンは踵を返した。 「ん……?」 その時だ。視界の端――――左手に、何かが動いた様な気配があった。 反射的に視線を走らせるが、気配があったと感じた場所。そこはただの吹き抜けだった。 眼前に広がる深い穴を覗き込んでも、暗闇の中に見える物は何も無い。 「気のせい……か?」 呟き、通路を戻ろうと体勢を戻したレオンの、やはり視界の端。今度は逆側だ。 またしても何かの気配がちらついた。はっとして目で追うが、今と同じくその場はただの吹き抜け。足場も何も無い場所だ。 そんな所に何かが居る筈もないが、しかし今、確かに何かが過ぎった気がしていた。青白い何かが、スッと動いていた様な――――。 「何だ……?」 じわりと、空気が変化した様な感覚に見舞われた。 無意識に銃を握り締める手に力が篭もる。 何かが居るような気配。気のせいだと一蹴し切れない予感。 それでも辺りを見回しても何も居ない、感覚と現状がずれている様な心地の悪さ。 額に滲む汗が、やけに冷たく感じられた。 冷や汗をかいている――――レオンは張り詰めた緊張感を逃がす様に、意識的にふうっと息を吐き出した。 と、目の前に現れた違和感。 空間に溶けて消えていく、白い息。 「……息が、白い……?」 違う、冷や汗ではない。レオンは気付く。 冷たいのは汗ではない。 いつの間にか気温そのものが先程よりも下がっている。身体が冷えているのだ。 急に、何故。何が起きている。恐らくは今の気配と関連性がある筈。しかし、それは何だ。 辺りへの警戒を怠らず、一歩だけ、レオンは慎重に脚を踏み出した。 ひと ごろし め 寒気立つ背中の後方から、何かが聞こえた。 【Dー3/研究所(アンブレラ地下研究所)・B4階連絡通路上/一日目深夜】 【レオン・S・ケネディ@バイオハザード2】 [状態]:打ち身、頭部に擦過傷、決意、背中に打撲 [装備]:コンバットナイフ、ブローニングHP(装弾数13/13)、懐中電灯 [道具]:コルトM4A1(30/30)、ハンドガンの弾×10発、“T”の写真、T-ブラッド(注射器に三本分)、ライター、ポリスバッジ、シェリーのペンダント@バイオハザードシリーズ [思考・状況] 基本行動方針:鷹野とジェニファーを守る 1:現状への対処。 2:T-ブラッドを持ち帰り、デイライトを作る。 3:人のいる場所を探して情報を集める。 4:弱者は保護する。 5:ラクーン市警に連絡をとって応援を要請する? ※ジェニファーからこれまでの経緯を聞きました。 ※大学一階の裏口からエントランスホール、二階の学長室からバルコニーまでの壁がそれぞれ壊されています。また、実験室とエレベーターの天井には大きな穴があいています。 ※上記の破壊痕はサイレン後の世界には影響がないかもしれません。 ※大学の三階実験室に、ジェニファーの丈夫な手提げ鞄(分厚い参考書と辞書、筆記用具入り)が置かれています。また生成機にはV-ポイズン、P-ベースが設置されています。 ※研究所地下は、ラクーンシティの地下研究所にエレベーターで直結しています。エレベーター前の通路は原作よりも長くなっているようです。 ※ヨーコが今後どういう行動を取るのかは後続の方にお任せします。 ※ターンテーブルを動かすには専用の鍵が必要です。 ※地上の穴の縁、及びターンテーブルそのものにコンソールが設置されています。 ※タナトス@バイオハザード・アウトブレイクの死骸が地下研究所B4階連絡通路上にあります。 back 目次へ next 遠い出来事 時系列順・目次 今日も僕は殺される 過去は未来に復讐する 投下順・目次 ゼロの調律 back キャラ追跡表 next The FEAST 1 ジェニファー・シンプソン 最後の詩 The FEAST 1 鷹野三四 最後の詩 The FEAST 1 レオン・S・ケネディ 最後の詩
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もしも世界が終わりを迎えたら XP製の「ミスティック・アーク」風のRPG。XP製なのが理由で好みが分かれている模様。 攻略諸々について ここでは主に同梱のテキストに書かれていないものを取り上げる。 グレイブヤードへ進めない。 レバーを下ろした後2つ隣の頭蓋骨を調べ一番上の選択肢を選ぶ。 敵がなかなか素材をドロップしない。 頑張れ。ただガスドラゴン、ボーパルバニー、プリーステス、ブラックドラゴン辺りは落とす確率はかなり低い模様。 始まりの村~へ進めない。 ランプを調べた後幻想のアークを使用しもう一度ランプを調べる、その後2階の部屋の料理を調べフォークを左、ナイフを右に。 ダーエロと偽五世、どちらと帰ったほうがいいか。 偽五世と帰ったほうがすぐ人形の館に入れるので少しお得な位か。 人形の館はいつ出られなくなるのか。 3つ目の部屋の奥まで進んだ時。これ以降ここをクリアするまでセーブする場合は別の場所にしておくことを薦める。なお、クリア後は館内に敵が出現しなくなるので月光石を集めている場合は特に注意。 ~クォーツ類はどこで手に入るのか。 それぞれレベッカ、ベラ、ワードナを倒せば手に入る。但しこいつらは他の隠しボスより強いためレベルを上げたり装備を整えたりして挑もう。 水に沈んだ聖域へ進めない。 神殿内部右側のテーブルのメモにて時計の針を入手し2階の時計に長針03、短針00の位置にあわせ時計盤を5回回す。その後鍵盤をオルガンにはめて幻想のアークを使用した後オルガンを弾く。 ドラゴンの爪の強化はどちらがいいのか。 ヴァンブレイズ派生でないと最強の限定装備が作れないためこちら推奨。 水に沈んだ聖域の噴水の謎が解けない。 まず聖域に入って北側の水の溜まった場所からコインを手に入れないと始まらない。この謎解きで使わないコインは月と山羊、後は同梱テキストのヒントを見れば何とかなるはず。 朽ちた城下町の死神の出るフロアはどこか。 入って3つ目のエリア。(中心に万物or元素の光がある場所。) トラモンテンの森へ入れない。 ヘルガイベントをハウンドソード入手後まで進める、インキュバスを討伐する、この両方を満たしていればOK。 地下寺院へ入れない。 神殿左側の一番左の部屋で夢のアークを使い出てきた花を調べる。その後3つ目の選択肢を選んだ後選択肢を1→2→4→3→4。(入るたびに選択肢を入れる必要あり。) 地下十層の石像の合言葉がわからない。 「Time」を日本語に略す。 ヘレンがアクセサリを壊すイベントが発生する宝箱はどれか。 朽ちた城下町の「ヘレンたん限定DVD」とテスタメントの「ヘレンたん抱き枕」。両方見ると「手作りのお守り」が手に入る。 蛇の書が見つからない。 神殿の図書室にある。地下寺院クリア後に片っ端から本を読みまくってみよう。(読まなくてもそれがある場所を調べて取るを選んでもOK?そこら辺は要検証。) 木彫りの指輪の強化方法がわからない。 道具欄で使用すればOK。4回まで強化出来る。 テスタメントに入れない。 地下寺院クリア後に神殿を出て近くの洞窟の鍵がかかっていた部屋に入り夢のアークを使う。 迷宮の鍵はどこで使うんですか。 グレイブヤードの鍵のかかった部屋で使う。ちなみにその先はエターナルの海。 異界で気をつけることはありますか? ワープクリスタルが2つある場所の上のクリスタルからワープするとクリアするまで戻ってこれなくなる。セーブ注意。 レアメタルが見つからない。 異界かエターナルの海の鉱石アイテムのシンボル、もしくはエターナルの海のメタルゴーレムがドロップする。 強敵攻略 レベッカ 一緒に出てくる取り巻きを倒さないと永遠に回復され続けるので真っ先に倒す。 最速で出せる段階では全体攻撃のスラッシュブレイドの威力が高く連発されると危険。倒せないようならもう少しストーリーを進めてみよう。 ベラ 各種全体攻撃を使う確率が高い。全体回復持ちは2人以上いた方がいいかも。 だがそれよりも全員のSPを0にしてしまうウォッシュアウトが凶悪。挑むならブーストを覚えてからの方がいいだろう。 ワードナ 2体いる取り巻きは早い段階で倒しておこう。 溜め後の全体攻撃は防御しててもかなり喰らう。回復が追いつかないようなら短期決戦を心がけよう。 第9世界の悪霊 幻惑攻撃を多用する上に自身も回避率が高い。必ず命中する魔法系の攻撃中心で戦いたい。 千の目の魔物 HPがメチャクチャ高い上に全体攻撃も痛い。全体回復持ち必須。出来れば2人以上。あと村正も装備して挑みたい。 エターナルの海最深部ボス(名前なし) 本作の最強ボス。まず挑む前に村正とダークマーダーを作っておきたい。 まず入れておきたいのがドラゴン。ダークマーダーがあれば通常攻撃で幻惑に出来るし全体回復も持っている。 残り2人は村正を装備出来るキャラ1人とそれ以外1人がいいだろう。 敵の攻撃は全体攻撃、即死攻撃、SP減少完備なためとにかく厄介。あと全属性防御バリアも張ることがある。 HPが半分を切ると毎ターン全員に100ずつ与えてくる。こうなったら全力で攻撃して早めに終わらせたい。 状態異常は幻惑が有効なのでダークマーダーによる通常攻撃などで積極的に狙っておきたい。 LVは全員40以上推奨。高性能回復アイテムをたくさん作っておこう。後は君の腕次第と言ったところか。 ベラは何処にいるんだ?千の目は鍵で開けても部屋に入れん 力、夢、幻想、願い以外のアークが見つからん ムーンストーンは何処で?サーペンとコイルは何処d?フェイブルブックは何処に? -- (k) 2012-10-18 01 50 25 難易度は低目だが、やったら戦闘に時間が掛かる。ストーリーも面白いがXPは凄まじい致命点だと思い知った -- (名無しさん) 2016-10-15 06 56 33 名前 コメント すべてのコメントを見る 今日 - 人 昨日 - 人
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403 : ◆kaGYBvZifE [sage]:2013/07/18(木) 21 30 15.42 ID UrDXlaAQ0 ナターリアというかアンダーワールドの話 地理的になかなかストーリーに絡めないので無理矢理状況を動かそうとする男! 404 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 31 05.92 ID UrDXlaAQ0 ―――――――――― 「地上の都市がカースに乗っ取られただと?」 思わずおうむ返しにしてから、オーバーロードは報告書を一瞥した。 「例の財閥経由の情報です。首謀者は不明ですが、都市全体がカースによって封鎖されていると」 情報部所属の士官が応え、オーバーロードは報告書をつまむ指に力を込めた。 この公邸の執務室で受け取る報告に、よい報告があった試しはない。 櫻井財閥経由でもたらされた情報の発信源は、日本政府やGDFに潜むアンダーワールドシンパの議員か、 それとも散発的な紛争と緊張関係を望む軍需産業のロビイストか。 どちらにせよ、断片的ではあるが情報の精度は悪くない。アンダーワールド政府が地上に放っている 諜報員からの情報と照らし合わせても大きく異なっていたことは今のところない。 しかし、今回の一件は寝耳に水の事態だ。 地上人の犠牲者が何人出ようとそれ自体はどうでもいいことだが、問題はカースの肉体を構成する呪詛の 泥による土壌汚染と、それによる地底への影響だ。 最新の研究報告によって、カースの泥による汚染が土壌や地下水にも及ぶことがわかっている。 特に水資源への影響は、アンダーワールドでは死活問題と言ってよかった。 405 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 32 10.12 ID UrDXlaAQ0 「アンダーワールドへの影響は?」 「我が方のテクノロジストらに試算させていますが、ただちに影響があるとは……」 「これほどの大量発生は過去に類を見ない。例のGC爆弾とやらが投下された際の発生数をすら超えている。 前例がないということは、何が起こるか読めないということだ。用心にしくはない」 「はっ、失礼いたしました」 テクノロジストの研究の完了を待ち、結果を浄化施設の各種機材に反映させるには時間もコストもかかる。 しかし、今期予算の赤字と十数億のアンダーワールド人の安全を天秤にはかけられない。 三十秒ほどで試算を終え結論を導き出したオーバーロードは、太い首をわずかに傾けて言う。 「研究所のテクノロジスト達に連絡を取り、状況を督促しろ。対策は急がねばならん。 それから、状況によっては次の中央議会で特別予算の編成を提案することになる。資料作成を頼む」 ともすれば眉をひそめたくなる心持ちではあったが、オーバーロードは努めて無表情を装った。 どうせもっともらしい渋面を作るのであれば、議会の場で対立政党の議員や、御身大事の利権亡者どもを 相手取るときにすればいい。 指示を受けた士官が「はっ!」と短い声で応じて執務室を辞した後、オーバーロードは執務机の端末の 横に置かれたフォトフレームを手に取った。 406 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 32 51.58 ID UrDXlaAQ0 観葉植物の鉢が置いてある以外は何も飾られていない殺風景な執務室の中で、愛娘のナターリアと 撮った一葉の写真が彼の心の慰めだった。 あまり身体の強くなかった妻は、娘を出産してすぐに死んだ。ナターリアは母親を知らずに育ち、 自分は妻の死後間もなく行われた選挙に当選し史上最年少のオーバーロードに選出された。 以降は四度の再選を繰り返し、現在に至るまで長い任期をこなしている。 オーバーロードとして多忙を極める生活の中でも、なんとか娘との時間を作るよう心がけた。 それは娘のためでもあったし、何より自分のためでもあったのだろう。愛する娘との語らいの時間は、 自分の背負っているもの、守るべきものを再確認するための儀式でもあったのだから。 (ナターリアは優しい子に育ってくれた。この父に似ず、まっすぐに育ってな……) ふと、オーバーロードの強い髭面に愛嬌のある笑みが浮かぶ。 アンダーワールドの子供達が幸せに、豊かに暮らせる未来。そのための礎になることこそ大人の役目だ。 だが、地上人とアンダーワールド人すべてを受け入れるには、地球はどうやら狭すぎる。 だからこそ、近い将来地上人を排除し、地上を奪還しなくてはならないのだ。 どれだけ多くの血が流れることになっても、成し遂げなければならない。 いつか子供達が歩く地上の道が、大人達の血と屍で舗装されることになるのだとしても、その罪は 自分達の世代で終わらせなければならない。 (……救われんな) 笑った瞳の奥の仄暗い光がフォトフレームのガラスに映り込んでいるのが見え、オーバーロードは 顔の表皮を機械的に苦笑させた。 407 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 34 25.57 ID UrDXlaAQ0 ―――――――――― アンダーワールド首都のアップタウンにある、私立のジュニアハイスクール。 広い教室に扇状に配置された長机の一角に、ナターリアは座っていた。 教壇に立つ壮年の教師が、眼鏡の位置を直しながら朗々と声を上げている。 課題の易しさからそれなりに人気のある教師だったが、それと比例するかのように授業は退屈だった。 「――であるからして、今年から人工太陽の照明ユニット改修のための工事が始まりました。 改修と言っても、実質的には造り替えに近い大規模計画で、工事完了までに10年を予定しています。 まずは最も老朽化の激しい第四ユニットから着手して、それから第一、第二と続く予定ですね」 個人用ノートパッドのバーチャル・ディスプレイに、教師用端末から配布されている資料画像が ずらずらと表示されていく。ノートパッドは机に備え付けられた差し込み口とケーブルで接続され、 学校の内部ネットワークに接続されているのだ。 アンダーワールドでは、電話やネットは有線での使用が基本になっている。 その背景には、先人達が地底という過酷な環境を整備していくにつれて、人の住む地域が精密機械の 集積体と化していった事情がある。浄化施設などの生命維持に直結するシステムは勿論、建物の中の 空調や発電設備などの誤動作を防ぐために、電波の取り扱いが制限された結果だった。 デジタルデータの破損に備えて、重要なデータはプリントアウトしておくのも習わしである。 テクノロジーが高度化し複雑になっていく一方、どこかをアナログ化しておいた方が都合のいい場合もある。 数百年前の時代を復古する懐古趣味的なムーブメントが数十年周期で起こり、現在もアナログ志向の人間が 一定数存在するのも、そうした歴史の必然なのかもしれない。 408 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 35 16.22 ID UrDXlaAQ0 「この計画は現オーバーロードが発案し、7年に及ぶ議論の末、ようやく始動したものです。 同様の人工太陽改修計画は600年前にもありましたが、その時は予算の関係と野党の反対から 小規模な補修工事に留まっており、その結果、電力系統のトラブルから第二~第五ユニットが 一ヶ月近く機能を停止したという事故が起こってしまったわけです」 無味乾燥な年表の羅列と、当時の事故の模様を物語る映像資料がディスプレイに浮かんだ。 一ヶ月も太陽が動かず光がないというのは、どれほど不便なのかとナターリアは考える。 空のないアンダーワールドの夜はあまりにも暗く、そもそも人工太陽がなければ昼夜が存在しないのだ。 きっと不安で、寂しくて、心細くて、何よりあるべきものがなくなってしまったような喪失感があるのだろう。 ナターリアがそうであるように、600年前の人々もそうだったはずだ。 四角くて細長い太陽が天蓋に設置されていて、毎朝6時になると唸り声のような振動音を上げながら 照明ユニットに電力が通い、光り輝く太陽がアンダーワールドを照らし始めるというのが当たり前の 日常だったはずなのだ。 (……パパのやるコトは、全部ナターリア達のためなんだナ) そして、今年から始まる人工太陽改修のための10ヶ年計画は、父がその当たり前の日常を守るために、 アンダーワールドに住まうすべての人のために始めたことなのだという認識が、ナターリアの心を暖かくした。 ナターリアは社会科や数学のような暗記科目は苦手だったが、父の為したことにはやはり興味を禁じ得ない。 物心ついたときには父は既にオーバーロードの座についていたし、自分が生まれてからの14年間ずっと オーバーロードとしての任を全うしていたというが、ナターリアは父の口から直接仕事の話を聞いたことは ほとんどなかった。 409 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 35 52.01 ID UrDXlaAQ0 週に一度か二度あるかないかという父との語らいの時間では、父は聴き手に回ることが多かった。 ナターリアの話す色々なことを、ただ優しく微笑みながら聞いてくれる。 ナターリアの抱える迷いや不安を、正面から受け止めて一緒に悩んでくれる。 そんな父の姿に誠実さを感じる一方、仕事のことを話したがらないのだと見て取れたのも覚えている。 確かに難しいことはよくわからないが、父のしている仕事をよく知りたいと思うのも子供心だ。 人伝に色々聞いたりすることはあっても、いつか父の口から直接話を聞きたいとナターリアは思っていた。 「ここ数年、人工太陽の照明ユニットの不具合や誤作動はたびたび報じられてきましたが、 だからといってアンダーワールドを捨てて地上へ逃れようなんてことは許されませんよ。 シビリアン以下の労働者は勿論、ジェントルマンでさえも、地上へ渡ることは許されていませんからね」 教室の窓の外は、昼過ぎのうららかな陽気だった。 中庭には綺麗に手入れされた芝生が広がり、背の低い樹が何本か植樹されている。中庭の向こうにある グラウンドでは、トレーニングウェアに身を包んだ生徒達が球技に興じていた。 遠い昔に戦争で犠牲になった人達がいて、この地底を照らす太陽を造るのに人生を捧げた人達がいて、 地底世界を人の住めるように整備した人達がいて、彼らの遺産によって自分達は生かされている。 そして父は、現在を生きている自分達と、さらに未来の人達を生かすために仕事をしている。 その中で生きている自分は所謂『戦争を知らない子供達』で、今日と同じ明日が訪れることに疑いを 持つことはない。人工太陽の明りが消えても、すぐに復旧されて次の日からは問題なく動くと思い、 よほど運が悪かったのだと思えば他人事と呑み込むことができる。 それがいいことなのか悪いことなのか、今のナターリアには判断がつかなかった。 410 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 36 35.27 ID UrDXlaAQ0 ―――――――――― 「知ってる? 地上で今、カースってのが暴れてるんだって」 昼休み、クラスメイトの女子が、ノートパッドにニュース画面を表示させながら言った。 どうやら社会科の講義の際、外部サイトからダウンロードしていたらしい。 カースという怪物が黒い泥の身体を震わせながら、人間を襲っている様子が映っている。 画像の不鮮明さが不気味さを際立たせており、本文には現在アンダーワールドでカースが出現したという 報告は今のところないとも書かれている。 それを見たクラスメイト達は口々に感想を漏らし、論を交わし合っていた。 「それ、俺も知ってるぜ。ヒーローとかいう奴らがカースを狩ってるってさ」 「うわ……これがカース? キモーイ」 「……地上ってやっぱり危険なところなのかなぁ。先生もさ、地上は大気汚染がひどいって言ってたろ」 「そんなの、私達を地上に行かせたくなくてわざと大袈裟に言ってるのよ。地上がそれほど危険なら、 どうして地上人が生きていけるわけ?」 「そりゃあ、地上人は地上人で変な進化をしてるのかもしれないだろ?」 「でも実際にこんな化け物が出るんだし……危ないことには変わりないわ」 「なあ、ナターリアはどう思う?」 411 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 37 45.16 ID UrDXlaAQ0 急に話を振られ、ナターリアはドキッとしながら振り向いた。 「エート、なに?」 「聞いてなかったのかよ? これだよこれ、カースってやつ」 「お父さんから何か聞いたりしてないの?」 「ウゥン。パパ、ナターリアにはお仕事の話しないヨ」 ナターリア個人としては、父のオーバーロードとしての仕事ぶりはニュース配信や議会中継などで 見られる範囲内のことしか知らない。だから地上で『カース』なる怪物が暴れているらしいことは ほとんど初めて知ったし、それについて父がどう考えているのかもまるで知らない。 父が普段から仕事の話をしたがらないのだから、仕方のないことではあったが。 「地上のコトもそんなに……アッ、でもスシは食べたことあるヨ! スシ!」 「スシ……? 何それ?」 「地上の料理だヨ! ニギったコメの上にサカナが乗ってるんダ」 「米の上に魚って……ライスボールかカナッペみたいなもの?」 「なんか想像つかなーい。それって美味しいの?」 「ウン! 細長くテ、ノリ巻いてあるのもあるヨ!」 412 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 38 15.47 ID UrDXlaAQ0 ナターリアのクラスメイトは皆、アンダーワールドの貴族であるジェントルマンの子弟ばかりだが、 さすがに地上の料理を食べたことのある者は少ない。アンダーワールドは公には地上との交流はなく、 レシピや調理技術が伝わってこないからだ。 「スシはとってもおいしくて、お口がとろけテ、ほっぺた落ちちゃいそうだったヨ♪ それからスシ職人もすっごくカッコよかったナ! イタマエっていうノ!」 「職人? 職人っていうと、テクノロジストみたいな……」 「スシって作るのにすごい技術が要るのか?」 クラスメイト達がナターリアから聞いた断片的な情報から想像したのは、レストランの厨房で、白衣を着て 防護マスクをつけたスシ職人が、植物工場で生産された米を炊いて四角く成形したものに、地底湖で養殖 されている脂の乗った地底魚のソテーを乗せているというおかしな光景だった。 「う~ん……」 「地上人はヘンテコなものを食べてるんだなぁ。母さんの作るモグラウサギのパイの方が美味そうだよ」 「ナターリアも最初は驚いたヨ。でもすっごくおいしいんダ! ミンナも食べてみたらわかるヨ!」 「へぇ……ナターリアさんがそういうなら、私も食べてみたいかな?」 「どちらにせよ、そうそう食べられるものじゃないわよ。私達が地上に行くことなんてないんだし」 413 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 39 00.91 ID UrDXlaAQ0 「でも何ヶ月か前、どこかの名家の娘が地上に行ったって噂になってただろ」 「アッ、ナターリア知ってるヨ。イブキっていう名前の、カレッジの学生だっテ」 「噂は噂でしょ?」 「火のないところに煙は立たないし、人の口に戸は立てられない。まったくデタラメな話でもないと思うな」 「……しかし、わざわざアンダーワールドを出てどこに行こうってのかな」 「ああ、理解に苦しむよ。僕はアップタウン以外に住みたいなんて思わないね」 男子の一人が切って捨てる声音で言う。 実際、この場にいるほとんどの人間が同じ思いを共有していただろう。 アンダーワールド人の常識として、自分達が地上の追放者の末裔であることは誰もが知っていることだが、 2000年前の怨恨を連綿と受け継いでいる者もいれば、先人達の努力によって開拓され整備された世界を 故郷と想い慕う者も同じだけいるのだ。 ジェントルマンという特権階級に属する少年少女達は、そういった意味では愛郷心豊かな存在だった。 確かにアンダーワールドは楽園と呼ぶにはあまりに不十分な世界だ。 だがその中で不自由なく暮らすことができ、大切な家族や友人がいるのならば、それで十分ではないか。 どうして今の暮らしを壊してまで住み慣れない地上に出る必要があろうか。 「土地とか食糧とか、色々なものが足りなくなるかもしれないって言われてるけど、今までだって 技術を進歩させて乗り越えてきたんだしさ。増えすぎた人口もなんとかできるさ」 414 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 39 31.51 ID UrDXlaAQ0 こうした彼らの感性は自分達が「増えすぎた人口」のうちに含まれないという無根拠な確信に基づいて いるものではあったが、ミドルタウンやダウンタウンに住むシビリアンにしたところで、実体のない理念や 理想や信条よりも、現実の生活を優先するはずだ。 だが逆に言えば、政府がまっとうな仕事と生活を保障してくれるのであれば、彼らは間違いなく地上への 移住を支持するだろう。大衆とは常に、ごく短期的な視座においては誰よりも利口な者達なのだから。 「地上になんて行きたがるのは、食い詰めたアウトレイジやスカベンジャーばっかりじゃないか? そうでなけりゃよっぽどの物好きか」 「どこかのバカなテクノロジストが、地上人に、『ジェントルマンみたいな暮らしをさせてやるから アンダーワールドの技術を寄越せ』って言われたのかもよ」 「でも、地上に行くような奴がいたとして、もうアンダーワールドに帰ってこられなくなるってのは わかってるのかな」 地上への渡航が全面禁止され、公的に鎖国状態にあるアンダーワールドにおいて、無許可で地上へ行くのは れっきとした犯罪だ。違法出国者がノコノコと戻ってきたところで当局が黙っていまい。 アンダーワールドでの身分も暮らしも捨ててしまえるほど地上が素晴らしい場所なのか、確証はない。 それだけの知識も情報も子供達は持ち合わせておらず、そうしたいとも今のところは思っていない。 畢竟、パンドラの箱の蓋を開ける勇気も力もないと言えばそれまでだが、それはそれでひとつの見識だ。 今までの日常を躊躇いなく投げ捨ててしまえるのは果たして正常な神経の持ち主と言えるだろうか。 「そうだナ……ナターリアもスシは食べに行きたいケド、帰ってくるのはアンダーワールド以外にないヨ」 ナターリアの認識もまた明瞭だった。 生まれ育った故郷を去ることの恐れと悲哀は、多分、地上から追放された始祖達も同様だったに違いない。 415 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 40 04.74 ID UrDXlaAQ0 ―――――――――― 天頂に横たわる太陽の基部では、青いジャンプスーツを着た作業員や白衣を着たテクノロジストが慌ただしく 動き回り、第四照明ユニットの改修工事に従事していた。 膨大な熱と光でアンダーワールドに朝をもたらす人工太陽のひとつは、工事が終わるまで稼働することはない。 当然、この第四ユニット直下にある区画には工事終了まで太陽光が一切届かなくなるため、該当する区画に 住む者達には代わりの住居があてがわれ、ひと月前にはすべての住人が引越しを終えていた。 休憩時間に喫煙室で紫煙をくゆらせる技師長も、二ヶ月ほど前に家族総出で余所の地区に引っ越した ばかりだった。 妻も息子もすぐに引っ越しを承知してくれたのはよかったし、地上車の共同駐車場が近い物件だったのも もっけの幸いだったが、息子の転校や住所登録の変更など、煩雑な手続きに追われてとても忙しかったと 妻が愚痴を漏らしていたものだ。 「第四ユニットの工事が終わるまで半年か一年か……こんな大計画には付き物の弊害かもしれんがね」 慨嘆と共にタバコを吹かし、技師長は寝癖のついた頭を掻きむしった。 もう一週間以上アパートに帰っておらず、技師宿舎のベッドを第二の家と決め込んでいるのは彼に限った ことではない。向こう何年こんな生活を送る羽目になるやらと考えると、実に憂鬱だった。 「大変ですね、技師長。俺は独り暮らしだからその辺はスムーズに行きましたけど……」 工専を卒業して間もない新米のテクノロジストが、新しいタバコをケースから取り出して言う。 416 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 40 48.79 ID UrDXlaAQ0 「でも、研究所や現場からも遠くて大変ですよ。こんなことなら元のアパートに留まりたいです」 「朝も昼もない暮らしでもか? あの区画は電力供給が制限されるから街灯もつかないぞ」 「それはそうなんですけどね……」 各々のくゆらせる紫煙が束の間たゆたい、喫煙室に備え付けられた空気清浄機に吸い込まれていく。 タバコはアンダーワールドの歴史の中で一度は絶滅しかけたが、今日に至るまで生き延びていた。 人体や精密機械への影響を最小限に留める低タール低ニコチン化や、化学剤と遺伝子組み換えによる 低温度燃焼葉の発明、空気清浄機の不断の改良などによってなんとか生存し、シビリアン以下の階級に ある者達の様々なストレスを軽減する慰めとなっている。 政権が代わるごとに酒やタバコやドラッグに関する規制案が議会の俎上に上がり、タバコも全面禁煙を 呼びかける団体は多いのだが、彼らが人類の歴史から抹消される日は遠いらしかった。 現に、彼ら現場の人間の楽しみとして受け入れられているのだから。 「考えてみりゃあ、太陽を修理するってとんでもない話ですよね。壮大っていうか」 「おいおい。それなら、その太陽を造ったご先祖はもっと壮大だろう」 「なけりゃあ不便なものだってのはよく理解してるし、俺もこのプロジェクトに参加できてよかったですけど、 思ってたよりずっと大変でしたよ」 「まだプロジェクトは始まったばかりなんだぞ。気持ちはわかるがな」 歴史的な大事業に臨む誇らしさはあるが、生活の不便はまた別の話だ。 技師長も新米テクノロジストも、突き合わせた顔に偽らざる本音が書いてあった。 417 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 41 34.72 ID UrDXlaAQ0 「さて、そろそろ休憩時間も終わりだ。お前もワーク・ロボットの整備に戻るんだな」 「了解。あーあ、俺も技師長みたいに新型核融合炉のテストに参加してみてぇなぁ」 「お前にはまだ早い。さ、行くぞ」 灰皿にタバコを押しつけ、灰と吸殻が自動で吸引されるのを確認してから、二人は喫煙室を辞した。 そして戸口をくぐる際、技師長は喫煙室の戸口で新米の背中を大きな掌で叩いた。 「お互い環境の不便はあるけどな。それでもこのプロジェクトは大きな意義がある。わかるよな?」 「は、はい。勿論」 新米は軽く咳き込みながら応えた。 「世界には常に改善の余地があるが、同時に適材適所って言葉もある。そうだろ?」 「ええ。俺らみたいなのがアンダーワールドを支えて、将来のことはお偉いさんやガキどもが考えるんでしょ。 技師長、いつもその話するじゃないですか」 「大事なことだからさ。そのうちお前にもわかるよ」 ニッと笑った技師長につられて、新米もまた口元を緩ませて笑った。 それ以上交わすべき言葉もなく、二人のテクノロジストはそれぞれの持ち場に戻っていった。 418 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 42 18.86 ID UrDXlaAQ0 ―――――――――― その頃。 穢れと呪いに満ちた街に降り注ぐ清浄な雨が、徐々に、だが確実に、街を浄化しつつあった。 だが地表に溶け出した澱みと歪みは、厚い地層を通り抜け、固い岩盤をもすり抜けて、今、地底深くへ 到達しようとしていた。 数百数千体に及ぶカースの残滓――おぞましい呪詛を湛えた泥が、地球そのものを汚染し始めていたのだ。 そして―― 地底世界アンダーワールドに、未曾有の異変が起きようとしていた。 419 : ◆kaGYBvZifE [saga]:2013/07/18(木) 21 44 15.97 ID UrDXlaAQ0 イベント情報 ・アンダーワールドでは憤怒の街の情報が100%伝わっていません ・アンダーワールドでは現在、人工太陽改修計画が進行中です ・カースの泥による汚染が地底へと到達しようとしている……? ジェントルマンの子供はおおむね現状に満足してるけど、アウトレイジやスカベンジャーはその限りではないよねという話 426 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 22 57 57.03 ID 12OysYXQO 投下しますー 427 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 22 59 02.15 ID 12OysYXQO とある昼下がりの公園。 裕子「ムムムンッ!」 堀裕子はスプーンを片手に、睨めっこしていた。 その瞳は宝石のように真っ赤に輝いていた。 裕子「曲がれ……曲がれ!ムンッ!!」 どうやらスプーンを曲げようとしているようだが…… スプーン ハ ナントモナカッタ 428 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 22 59 56.65 ID 12OysYXQO 裕子「曲がらない……そんなまさか…」 本人は落ち込んでいるが、はたからみたら異様な光景だろう。 裕子「なんで?」 何故なら 裕子「なんでスプーンだけ曲がらないの!?」 彼女の目の前の公園の木々が渦巻き状に曲がっているのだから。 こんなこんな光景、何処かの大精霊に見られたら処刑される気もするが… 429 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 00 46.01 ID 12OysYXQO 裕子「あなたもそう思わない?このエスパーユッコの目はごまかされないわ!」 『………』 裕子が輝く瞳を、誰もいない筈の砂場の方に向けた。 すると、そこに人型の泥……カースが突然現れる。 だが、その姿は…… 『お姉さん。≪あたし≫のレベル上げに協力してくれないかな?』 怠惰の悪魔ベルフェゴール…それに乗っ取られてた三好紗南そっくりの声と形だった。 だが、その顔や衣服や身体はカースみたいに黒い泥でできていて、まるで黒塗りのシルエットのようで、表情とかはわからなかった。 430 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 01 48.42 ID 12OysYXQO 裕子「ふっふっふっふっ!なんだかよくわからないけど、このエスパーユッコに対する挑戦ね?」 嬉しそうにそう言うと、6つのスプーンを両手の指の間に一つずつ挟みながら持ち、そのスプーンを投げはなった。 それぞれの方向はバラバラでどれも偽ベルフェゴールにいかないが 裕子(曲がれっ!) OZ≪スケアクロウ≫の力で、スプーンな通る空間を捻じ曲げ、軌道を変えて、偽ベルフェゴールに向かっていく。 『面倒くさいな』 だが、偽ベルフェゴールは狙う場所が最初からわかってたように自然に避けた。 避けられたスプーンは地面や木や遊具に≪突き刺さって≫いた。 431 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 02 45.58 ID 12OysYXQO 裕子「なっ!?」 驚愕する裕子だが、無理もない。 もし、ベルフェゴールを知る人物がいたなら、タネはわかるだろう。 ベルフェゴールの能力。このカースはそれが使えてるのだ。 ベルフェゴールに比べれば劣るものの、初見の相手にとっては厄介な程だ。 432 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 04 02.55 ID 12OysYXQO 裕子「……ならっ!」 『暗闇よ!大いなる我の力に従い!我に敵対するものの視界を閉ざせ!ダークミスト!!』 裕子「!?見えない!」 偽ベルフェゴールが呪文を唱えると、裕子の目は黒い霧に覆われ、何も見えなくなった。目を塞がれれば、透視能力も千里眼も空間を曲げる事もできない。 ベルフェゴールが使える魔術も使えるようだ。 そして、裕子の情報はベルフェゴールの能力。情報収集能力で読み取ったものだ。 先ほどの避けたのも裕子の考えを読み取ったものである。 『目を塞がれれば能力使えないんだよね?じゃあ、コレでゲームオーバーだね』 そう言って、偽ベルフェゴールがトドメを刺そうと近づこうとした。 その時だった。 433 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 05 08.16 ID 12OysYXQO ???「は~はっはっはっはっはっは!!」 『……乱入は受け付けてないんだけど』 裕子「だ、だれ!?見えないよ!」 突然、響く自身に満ちた笑い声。 そこに現れるは最近話題の謎のニューヒーロー!!!! 美穂「私は!!ひなたん星人ナリ!!」 渦巻き状になった木の上に一つの影! 美穂「この街はまるごとつるっと!」 そこから飛び降り、二人の間に降り立つ!! 美穂「ぜ~~んぶ!私のものひなた☆」キラッ 刀を持った少女がチャーミングなポーズをとり着地する! 我らの『ひなたん星人』こと小日向美穂だ! 434 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 06 00.42 ID 12OysYXQO 『もういいかな?サクッとクリアしたいんだけど』 偽ベルフェゴールは怠そうに言った。 無理もない。彼女の情報が刀で上昇されているものの、できる事が刀での攻撃しかない。 そんなのさっきみたいに軌道を読んでよければいい。 例え避けきれなかったとしても、自分にはオートリジェネがある。だから、負ける筈はない。 そう偽ベルフェゴールは余裕でいた。 それが、間違いだった。 435 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 06 57.75 ID 12OysYXQO 美穂「じゃあ、サクッといくひなた☆」 その瞬間、美浦の姿は消えていて…… 『……はっ?』 偽ベルフェゴールの背後にいて…… 美穂「食らえ!ラブリージャスティスひなたんビーム!!」 偽ベルフェゴールの核がある位置を狙うように袈裟斬りを放った。 436 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 07 58.55 ID 12OysYXQO 『な……に……これ?……無理g……』 核を斬られ、偽ベルフェゴールはあっさりと消えていった。 いくらベルフェゴールの能力を持ったカースとはいえ、所詮は紛い物。 情報を読めてもその動きに対応できなかったら意味もない。 美穂「は~はっはっはっはっは!!」 裕子「え?もう終わったの?見えないからわからない!」 勝利の高笑いをあげる美穂と目が見えず何が何だかわからない裕子。 美穂「愛と正義のはにかみ侵略者!ひなたん星人に敵うものはいないナリ!」 美穂「今日もまるごとつるっとぜ~んぶ!守ってみせたひなたっ☆」キャピピーン 美穂「では、さらばでひなたっ☆」 勝利のポーズを決めると鞘をとりにそのまま走り去っていった。 裕子「え?ちょっとー!!」 公園に裕子の声が響き渡った。 彼女の目が見えるようになったのはそれから数分後だった。 437 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 08 57.65 ID 12OysYXQO 場所は変わり中学校。 瑞樹「ここの問題はこうよ?わかるわね?(試作品が負けたのね。わかるわ)」 授業をしながら、川島瑞樹ことレヴィアタンは心の中でそう思った。 瑞樹「じゃあ、昼子ちゃん?授業聞いてたならここはわかるわね?(ベルフェゴールとルシファーが残したカースの核で、私の呪詛により作ったドッペルカース……良い兵隊達になるはず。わかるわ)」ニコッ 昼子が蘭子に助けを求める様子を見ながら、教師としてそれはあえて見ないふりをしている。 瑞樹「ふふふ、昼子ちゃんは後で友達に聞きなさい(憤怒の街に行かせた分身によればキバも来ているみたいね。けど、まだ殺しはしないわ。いえ、キバは強い。妬ましいわ)」 キンコーンカンコーン 438 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 10 25.30 ID 12OysYXQO 瑞樹「では、今日の授業はここまで(憤怒の街はそろそろダメね。なら、岡崎泰葉のドッペルカースも作れたし、こっちの準備もあと少し)」 生徒の一人が号令をかけ、礼をすると、瑞樹は教室を出た。 瑞樹(アレらの居場所もわかったわ。あとは呼び起こすだけ) 瑞樹(神が残した危険すぎると封印した古代の遺産の内の二つ。≪ノアの方舟≫。天界の連中に気づかれていない。あの神の新聞でさえもばれてない) 瑞樹(そして………唯一神が余りの危険さに封印した最強の生物。サタンの娘とキバの娘を倒すための私の切り札) 439 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 11 40.82 ID 12OysYXQO 初代レヴィアタン 終わり 440 :@設定 ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/18(木) 23 13 51.54 ID 12OysYXQO ドッペルカース(量産型) ベルフェゴールが残してった怠惰のカースの核をレヴィアタンの呪詛により作ったカース。 偽岡崎泰葉と違い、こっちは姿と声は同じだが、黒塗り。 能力も身体能力もベルフェゴールの劣化だが、魔術も使える。 一人だけなら倒せるだろうが大量生産されたら厄介だ。 まだ量産されてないが、復讐計画の為に準備をしている。 ルシファーのドッペルカースも今後作られる予定。 ノアの方舟と初代レヴィアタン 神が残した古代の遺産。 あらゆる生物が保管されており、神の洪水にも耐えられる聖人ノアの為に渡した設計図により作りだされた≪ノアの方舟≫ いかなる攻撃も効かない神が創りし最強の生物≪初代レヴィアタン≫ いずれも人類に残したら危険すぎるため封印したもの。 コレを復活させるのが川島瑞樹の復讐計画に必要らしい。 447 : ◆Nb6gZWlAdvRp :2013/07/19(金) 02 50 13.93 ID NXH3qdzxo たった今書き上がったカミカゼをそのまま投下だー イブと裕美と先輩と杏と菜々と夕美を借りた 448 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 50 58.30 ID NXH3qdzxo 烈風「どうすりゃいいんだよこれ……」 美世「さ、さあ……」 どこか優しい雨が降り注ぐ中、カースひしめく街を駆け、二人は避難民の元へと辿り着いた……が、 ――そこは氷の壁に覆われて出入りができる状態ではなかった。 烈風「どう見てもカースの仕業じゃねえし、下手にぶち破るわけにもいかないよな」 ガンガンとノックの要領で叩いてみると、分厚い壁はしっかりとした手ごたえを返してくる。 これを力ずくで除けようとすれば、中の人が危険だろう。 ??「あら、ヒーローの方ですかぁ~?」 二人が手をこまねいていると、背後から間延びした声が上がる。 振り返るとそこには少女が二人。 宙に浮いているから、恐らく魔法使いとかだろう。 449 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 51 39.82 ID NXH3qdzxo 烈風「ああ、救出に来たんだけどな、この壁をどうしようか迷ってたとこだ。 これはあんたらがやったのか?」 ??「そうです、私たちはそれの張り直しに来たんですよ。 一旦魔法を解くので少々お待ちくださいね」 そう言って二人が壁に向かい一緒に呪文を唱えると、頑丈で分厚かった壁が煙のように消えてしまう。 烈風「はあー、魔法ってのはすげえな」 ??「貴女みたいに拳でカースに立ち向かうのもすごいと思いますけどね」 烈風「ん? なんだアタシのこと知ってたのか?」 裕美「貴女は割と有名ですからね……と、名乗りが遅れましたね。 私は関裕美、魔法使いをやってます。 こちらが私の師匠の……」 イブ「イブ・サンタクロースです~♪ イブ非日常相談事務所を経営してます~♪」 烈風「もう知ってるみたいだけど、アタシはカミカゼやってる向井拓海だ」 美世「専属メカニックの原田美世でーす」 450 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 52 15.02 ID NXH3qdzxo 簡単に名乗ると、美世の装甲車に怪我人や無能力者を優先で乗せる。 裕美「今回は貼り直しとタイミングが合ったようで幸いでしたが、私たちは主に病院に居ますので救助を続けてくださるならそちらへいらしてくださいね」 美世「りょーかい」 裕美「では、ご武運を」 イブ「お気をつけて~」 壁を貼り直す二人と別れ、カミカゼと美世は来た道を戻る。 カミカゼによって一度倒された分数はまだ少ないが、それでも再び湧き出したカースによって道はすでに塞がっている。 烈風「キリがねえなあ、全くよお!」 美世「時間かけるだけ不利だよ、一気に駆け抜けよう!」 烈風「よし、こじ開ける! リストツイスト!」 風を生み、道をこじ開け突き進む。 451 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 52 46.63 ID NXH3qdzxo 幾度かそれを繰り返し、そろそろ半ばも過ぎようかという頃。 ??「随分騒がしいので見に来てみれば、好き勝手に暴れまわってくれているみたいですね」 角を曲がった先は既に拓けていて、ぽつりと佇む少女が一人。 大人しく路地の隙間を塞ぐカースの群れは、頭を垂れているようにも見える。 烈風「……美世、先に行け」 美世「え、でも」 烈風「いいから行け!」 言うが早いか、カースの一団を消し飛ばす。 美世は納得のいかない表情を浮かべてはいたが、黙ってそこに向かう。 ??「すんなり通すと思いますか?」 烈風「邪魔立てすんな!」 美世へ向かおうとした少女をカミカゼが弾き、美世が消えた路地はカースによって塞がる。 452 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 53 16.51 ID NXH3qdzxo ??「……自己犠牲で友情ごっこですか。さすがヒーロー、反吐が出ます」 烈風「犠牲になるつもりなんてねえし、何より『ごっこ』じゃねえんだよ!」 叫び、殴りかかる。 単調なそれは防がれてしまうが、衝撃で少女は大きく後退する。 驚愕の表情を浮かべる相手に肉薄し、追撃。 今度はしっかりと受け止められ、少女が後ずさる代わりにアスファルトに亀裂が走った。 ??「この、馬鹿力!」 少女はカミカゼの腕を掴むと、力任せに放り投げた。 投げ飛ばされたカミカゼは、ビルの壁に脚を突きさして着地する。 烈風「人のこと言えた口か!」 壁を蹴って跳び、再び接近を試みる。 少女は標識を引き抜くと、振りかぶって空中のカミカゼに叩きつける。 カミカゼが手刀で標識を切断し、少女は鋭利になった先端で突く。 掴んで止めると、カミカゼごとフルスイングして投げ捨てる。 最接近、今度は車が飛んでくる。 跳んでかわすと、少女もそこに居た。 烈風「っ!」 同時に放たれた拳は互いの頬を捕え、三度距離が開く。 453 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 53 43.92 ID NXH3qdzxo ??「……分かりませんね。 貴方の闘志には怒りが多分に含まれる、なのにどうして飲まれないのですか」 烈風「んなもん知るか」 ??「まあ良いです。理由はどうあれ、そこに怒りがある限り私の力になるんですから。 せいぜい足掻いて、怒りを振りまいてから死んでください」 烈風「そうかい。生憎、相手が強いほど燃える性質なんでな、そっちの力が増す限り、アタシの力も湧き続けるんだよ! いくらでもやってやるさ!」 ??「減らず口を!」 少女の周囲に核が生まれ、そこから黒い泥が湧く。 カミカゼが生んだ風が核を吹き飛ばすと、少女は足を地に埋めて踏み止まる。 今度は吹き飛ばされないよう手の中に核を生むと、カースを武器のように振るう。 カミカゼは少女がそうしたように足を地に突き刺し、泥の体を受け止める。 そのまましばし綱引きのような状態が続き、カースの体が千切れる。 二人は足を引き抜くと、相手の元へ駆けながら拳を構え―― 454 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 54 12.80 ID NXH3qdzxo ――少女は濡れた路面で足を滑らせた。 455 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 54 43.45 ID NXH3qdzxo _____________ 杏はイヤな雨の降りしきる中、ようやく街へと侵入に成功した。 GDFや報道機関などに囲まれたここへの侵入に手間取ってしまい正直うんざりしているが、まだ目的は半分も果たされていない。 怒りっぽい同居人を連れ戻すために、この街をまだ駆けずりまわらなくてはならないのだ。 杏「あぁもう、杏にここまでさせたんだから、泰葉には何としても返ってきてもらうよ…… にしても、なんかこうNTみたいにピーンと居場所分かったりしないかな」 ぼやきながらも足は止まらない。こんなに動いているのはいつ以来だろうか。 カースの無駄な巨体で見通しが悪い道を駆け、僅かな隙間から周囲を伺う。 そうしてしばらく探索していると、不意に目の前を装甲車が走り抜けていった。 別に撥ねられたとて死にはしないだろうが、思わず尻もちをついた杏は立ち上がり、車の去った方を眺める。 そしてふと予感めいたものを感じ取り、車が来た方へと向かう。 気持ちカースの少ない方を選んで進んだ先に、果たして目的の人物は居た。 どうやらヒーローと戦っているようだ、加勢してあげないと。 しかし二人の居る通りに駆け付けようとした矢先、泰葉は足を滑らせた。 杏「ーーっ!」 ほぼ無意識の行動だった。 生みだしたカースに自分を投げさせ、泰葉を突き飛ばす。 驚いた泰葉と目が合い――痛烈な打撃が背中にめり込んだ。 456 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 55 11.12 ID NXH3qdzxo _____________ 泰葉「どうして……」 自分は彼女たちに何も言わず、半ば捨てるようにして出ていったはずだ。 だというのにどうして、よりによって怠け者の彼女がここに来て、しかも自分を庇うような真似をしたのだろう。 さっきまで戦っていたヒーローは彼女の乱入に戸惑っていたけど、結局仲間を追って行ってしまった。 自分は何をしているのだろう。 捨てた仲間に助けられて、邪魔者の排除にも失敗して…… 杏「泰葉……」 泰葉「あ、杏さん! 大丈夫ですか!」 杏「杏の能力知ってるでしょ? このぐらいすぐ治るって。 それよりもさ、泰葉……帰ろう? 泰葉が何をしたくてここに来て、こんなことまでしてるのかは知らないけどさ、全部終わってからでいいから帰ろうよ。 幸子も待ってるんだよ? あの場所を守るって言って、ここには来なかったけどさ。 何より……げほっ」 457 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 55 38.25 ID NXH3qdzxo 杏「何より、杏にここまでさせたんだから、嫌って言っても首に縄付けてでも連れて帰るけどね」 泰葉「分かりましたから、帰りますから! 無理に喋らないでください!」 杏「よーし言質取った。 で、駆け付けといてなんだけどさ、珍しく走り回ったもんだから疲れちゃったよ。 だから、ちょっと、寝かせ、て……」 泰葉「あ、杏さん!? 杏さん!?」 思わず杏の体を揺する。 杏は呼びかけには答えず、代わりに寝息を返してきた。 とりあえず生きていたことにほっと一息。 泰葉「よかった……生きてる。 ……とりあえず、あのヒーローは絶対に許せませんね」 眠る杏を起こさないよう、静かに怒りを燃やした。 458 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 56 11.63 ID NXH3qdzxo _____________ あと少しで街の外、というところまで来て、美世は完全に立ち往生してしまった。 周囲を取り囲むカースに絶えず車を叩かれ、車内が揺れる。 今はまだ車体に傷一つついていないが、乗せている市民たちは皆不安になっている。 さてどうしたものかと考えていると、 菜々「ウサミンスラッシュ!」 カースが真っ二つになり、 夕美「咲け!」 アスファルトを割って生えてきた植物が核を噛み砕いた。 美世「ナナちゃん! 夕美ちゃん!」 菜々「正式な指令が下りたので加勢に来ましたよ!」 夕美「片づけるからちょっと待ってて!」 加勢に来た二人によってカースが倒され、再び車が進みだす。 しかし細かな蛇たちが攻撃の隙間を縫って車に這い寄る。 美世「わー! 何これ、何これ!」 菜々「うう、車体に張り付かれると下手に手出しが……」 459 : ◆Nb6gZWlAdvRp [saga sage]:2013/07/19(金) 02 56 45.16 ID NXH3qdzxo 烈風「真空唐竹割り!」 そこへ追いついたカミカゼが手刀を振るうと、発生した風の刃が蛇を切り裂く。 刃は車にも襲いかかるが、傷を付けるには至らない。 烈風「悪い、待たせた!」 美世「ちょっと! 助かったけど乱暴過ぎるよ!」 菜々「拓海さんも無事だったんですね……ってあれー!? カミカゼもなんか変わってません!? こうなったらナナも装備を新調するしか……」 夕美「ナナちゃん、それは帰ってからにしようね。 拓海ちゃん、新たに手に入った攻略マップとやらがあるから、騒動の原因を退治するよう指令が下りたわ」 烈風「マジか! じゃあすぐに再突入だな!」 合流を果たし、攻略が本格化し始めた。 了 ――次回予告―― 美世「ナナちゃん夕美ちゃんが加わって、街での戦いも本格化! 攻略の拠点とするためイブさんたちのいる病院に向かう道中、新たな敵が現れる! 正気を失い暴力を振りまく少女を、止めることはできるのか!? 次回の特攻戦士カミカゼは、 『狂戦士』! 覚悟、完了!」 この番組は、株式会社DeNAとアイドルヒーロー同盟、ゴランノスポンサーの提供でお送りしました。 460 : ◆Nb6gZWlAdvRp [sage]:2013/07/19(金) 02 59 31.05 ID NXH3qdzxo 投下終了 もっとしっかりバトル書きたいけどうまく書けない 次回以降もしばらく菜々と夕美借りっぱなしになるし、もうレギュラー扱いで良い気がしてきた 466 : ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 43 59.76 ID bkZIk99wo シリアスな憤怒の街で盛り上がる中、宇宙レベルに空気を創り出すSS投下 467 : ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 44 49.79 ID bkZIk99wo ヘレン「なるほど」 パラパラと地上の新聞を読みつつ、ヘレンが呟く。 彼女はヘレン。宇宙の向こうからやってきた侵略者だ。 マシン「マム、どうしました?」 ヘレン「地上ではヒーローが多数いるらしいわ」 マシン「そうなのですか。知りませんでした」 ヘレン「仕方のないことね。励みなさい」 ポンと配下のマシンの頭をヘレンが叩く。 マシンは無機質にアイカメラのライトを点滅させた。 マシン「……多数のヒーロー、とのことですが」 ヘレン「えぇ、そう。どうやら正義感にあふれた子たちがいろいろと邪魔をしたがるみたいね……ふぅ、無駄な抵抗もまた美しいけれど」 少しの間をおいてマシンが質問を続ける。 ヘレンは演技がかった動きで憂鬱さを表現し、そのあと大きなため息を吐いた。 468 : ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 45 26.68 ID bkZIk99wo マシン「確かに、マムに及ぶものなどありえませんね」 ヘレン「そう。それは当たり前のこと……」 マシンはあくまでも無機質にヘレンを讃える。 ヘレンもそれが当然のことであると受け止めて答えた。 ヘレン「だけど。それならそれで面白いことを思いついたわ」 マシン「面白いもの、ですか?」 悪いことを思いついた子供のようにヘレンが笑う。 パチン、と指を鳴らすと大きなドラム式洗濯機のような機械が降って来た。 そしてマシンへと簡単に書かれた設計図と、どこからか取り出した資材を渡す。 マシンは何も言わず、ヘレンの次の言葉を待っている。 ヘレン「材料はあるわ。設計はこっち。あなたは応えられる?」 マシン「……勿論です、マム」 あくまで無機質にマシンが答えると、ヘレンは満足気にうなずいてその頭へと手をやった。 少し撫でたあと、そのまま奥の寝室へと彼女は向かう。 その後姿を見届けてから、マシンは機械を稼働させ始めた。 469 : ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 46 26.92 ID bkZIk99wo ――翌朝 ヘレン「できたかしら?」 マシン「えぇ、完成しました。マム」 奥の寝室からやってきたヘレンが声をかけると、マシンが待っていたようにゆっくりと振り返る。 その後ろの機械は完成を示すようにピカピカとランプを光らせていた。 ヘレン「……満足できるかしら?」 マシン「全てはマムのために」 ヘレン「なら、見せてみなさい」 マシン「イエス、マム」 にぃ、とヘレンが笑い、マシンが答える。 洗濯機の蓋が開き、まばゆい光があたりを襲った。 470 : ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 47 50.43 ID bkZIk99wo マシン「――?」 ヘレン「………どうしたの?」 マシン「申し訳ございません、マム。どうやら失敗――」 開いた洗濯機の中からは何も這い出ては来ない。 どうやらうまくいかなかったらしく、マシンが謝罪しようと振り返るとそこにはすでにヘレンの姿はなかった。 マシン「……マム?」 ヘレン「そう……少し、お腹が減ってるみたいね」 もう一度振り返る。いつの間にやらヘレンは洗濯機の横へ立ち、中をのぞき込んでいた。 すぅ、と手を動かすともう一度機械を起動させる。 ヘレン「これでいいわ」 マシン「……マム、私は」 ヘレン「この設計図はできそこないね。あなたが完成させられないのだから」 マシンが謝罪の言葉を述べる前に、ヘレンが設計図を燃やしてしまう。 マシンはただ、燃え上がるそれを見つめていた。 471 : ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 48 25.31 ID bkZIk99wo ヘレン「これでいいわ。とりあえずの試作品ね」 洗濯機が改めて完成を示すランプを光らせる。 ドアが開き、長い毛を引きずって2つの影が這い出てきた。 ヘレン「……2体に分かれる。こちらの方が安定するわ」 マシン「マム、これは――」 自分の失敗だ。と続ける前にヘレンが言葉を遮る。 ヘレン「いえ、それはあり得ない……これでいいの。安心しなさい」 マシン「………イエス、マム」 ヘレン「もともと異なる2つの性質。同時に持たせるよりも別行動を行わせた方が楽しいでしょう?」 そういうヘレンの手の中には、割られた卵の殻。 どうやら合成たんぱく質のバランスを変えたらしい。 472 : ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 49 16.50 ID bkZIk99wo マシン「流石です、マム」 制作物をあっという間に別物へとつくりかえたへレンに対し、マシンはただ驚嘆の声を出す。 あくまでも無機質ではあったが、ヘレンはそれを聞いて満足気に笑った。 ヘレン「いきなさい……アバクーゾ、ハンテーン」 完全に姿を現した怪人2体が唸り声をあげる。 片方は長い首を持ち、全身柔らかそうな毛を纏ったつぶらな瞳の獣人。 もう片方はずんぐりとした体に短い手足を持ち、短くそろえられた茶色の毛並が美しい獣人。 アバクーゾ「あばくぞー!」 ハンテーン「はんてーん!」 どちらも凶悪な姿には見えないが、張り切った様子で降下用の装備を装着して地上へと飛び立っていった。 473 : ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 50 32.44 ID bkZIk99wo マシン「しかし、なぜあのような怪人を?」 怪人たちが無事に活動を開始したのを確認した後、マシンが疑問を口にする。 最初に作ろうとしていたのは『性質反転』――つまり、ヒーローを悪に落とす怪人だ。 改めて作られたあの怪人たちにそのような力があるようには見えない。 ヘレン「そうね……今の時点では満足のいくものにならなかった。私は私が満足できるものしか求めないの」 マシン「なるほど。あの2匹は実験体ですか」 ヘレン「いえ。あれは他のヒーローたちの活動を見て閃いたものよ」 マシン「……相手の精神へと感応し、意思と異なる行動を起こさせる。結果として孤立することを狙う。そういった理由でしょうか」 ヘレン「えぇ。やはりあなたは賢いわ……私が作ったのだから、当然だけど」 マシン「ありがとうございます、マム。ですがひとつ」 ヘレン「……どうしたの?」 マシン「本日のベーコンエッグのエッグが切れました。いかがしましょう?」 ヘレン「…………仕方ないわ。とってきなさい」 本日の朝食の材料を買いにマシンが地上へ降り立つ。 ヘレンはその空腹をたたえながら朝食の時を待つことを決めた。 474 :@設定 ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 52 06.29 ID bkZIk99wo !イベント情報 「憤怒の街」終了後の時系列の設定でドタバタ系イベント「嘘つきと本音」が開始されました 日本全国津々浦々を怪人「アバクーゾ」と「ハンテーン」が襲います。 本人たちの戦闘力は非常に低いですが、逃げ足の速さと頑丈さはピカイチです。 アバクーゾ 属性:アルパカ風獣人 ふかふかの毛におおわれた獣人。 凶悪な爪や牙といった機能がオミットされた代わりに柔軟性にすぐれ、打撃攻撃に対して非常に高い防御力をほこる。 実はふかふかの毛には大量の『本音薬』が含まれており、叩いたり近くで暴れられると思わず自分の隠し事を大声で叫んでしまう。 そのほか、本音薬を凝縮した液体を吐き出したりすることも可能。 ハンテーン 属性:カピバラ風獣人 ずんぐりとした体形につぶらな瞳がチャームポイントの獣人。 凶悪な爪や牙といった機能がオミットされた代わりに瞬時に硬質化する毛で全身を覆っているため斬撃に対して非常に高い防御力をほこる。 実はその毛には『反転薬』が塗り込まれており、刺さると性格が反転してしまう。 反転してしまうのはあくまで表面上の性格だけのため、本質は変化しない。 そのほか、毛バリを発射したりすることも可能。 475 : ◆IRWVB8Juyg [saga]:2013/07/19(金) 18 53 47.19 ID bkZIk99wo 以上、ギャグイベント開始宣言でした シリアスできるかと思ったらしなかった。やはりヘレンさんは宇宙レベルであるな 506 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 06 36.99 ID NW4wqk7so ハンテーンとアバクーゾお借りしてちょいと投下します 507 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 07 29.04 ID NW4wqk7so 美穂「は~はっはっはっはっは~!!」 今日も今日とて一人の少女の高笑いが街に響く! 美穂「愛と正義のはにかみ侵略者!ひなたん星人!ただいま惨状ナリっ☆」 キュピーン 最近、ちょっとだけ有名になったヒーロー、ひなたん星人こと小日向美穂! 怪人が現れたらしいと、街の騒ぎを聞きつけ駆けつけた!! なお本人は有名になりつつある事に非常に複雑な気持ちである模様 少なくとも卯月ちゃんには、ひなたん星人としての活動バレないだろうから頑張れ、美穂! さて!そんな美穂の今回のお相手は!? ハンテーン「はんてーん!」 街に人々を襲う謎のカピバラ獣人! その名前、能力、目的は一切不明! 鳴き声から名前はとりあえずハンテーンだ!! 508 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 08 05.28 ID NW4wqk7so 美穂「か、カワイイひなたっ!」 ハンテーン「?」 カピバラモデルのその怪人、 ずんぐりとしたその姿は穏やかそうで、どこかゆるく、 怪人でなければお持ち帰りしたいほどキュートであったりした。 美穂「ひなたんは、アレのぬいぐるみの商品化を希望するひなたっ!」 何処にだ。 509 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 08 39.57 ID NW4wqk7so それはさておき、 美穂「ひなたんの力は本来カースを狩るためにあるナリ」 美穂「けれど、街を騒がす存在も放っておくわけにはいかないひなたっ!」 その人格と力の維持に、負のエネルギーを必要とするひなたん星人は エネルギーを補充できるカース狩りのとき以外はできるだけ力を抑えておくべきなのだが、 美穂自身にはそんな事情は関係なく、守れる人は守りたいと思っていて、 ひんたん星人にしても、そんな美穂のヒーロー像をベースにして作られた人格なのだ。 街の騒ぎにはヒーローとしての血が騒ぎ(?)、できるだけ駆けつけたくなるらしい。 美穂「この街はまるごとつるっとぜ~んぶ私のものひなたっ☆」 キラッ 美穂「他の誰にも、たとえカピバラさんにもあげることはできないナリっ!」 そう言って刀を構える少女 ハンテーン「はんてん!!」 主の敵であるところのヒーローとやらが臨戦態勢に入ったのを見て、 ハンテーンもまたやる気満々だ! 510 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 09 54.99 ID NW4wqk7so ハンテーン「はん!」 先に動いたのはカピバラ獣人だった! 自身の体毛の一部を硬質化させ! ハンテーン「てーん!!」 一気に射出! 数え切れない毛針攻撃が美穂に襲い掛かる! だが 美穂「こんなものひなた?」 目前で刀をただ一振り それだけで襲い来る毛針の全てを叩き落してしまった! ハンテーン「はんてん?!」 自身の攻撃を物ともしない少女の様子に怪人は驚く 美穂「ひなたん星人の秘密☆その5!」 美穂「聖なる乙女を守るバリアーがひなたんを守ってくれるナリ☆」 バリアー(物理)である。 511 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 10 28.02 ID NW4wqk7so 美穂「今度はこっちから行くひなたっ☆」 そう言うと少女は凄まじいスピードでハンテーンに駆け寄ってくる ハンテーン「は、はんてん!!はんてん!!」 毛針を射出し、近づけさせまいと応戦するが無駄。 その全てが叩き落され、簡単に接近を許してしまった。 美穂「悔い改めるナリ☆」 ハンテーン「はんてん!?」 美穂「ラブリージャスティスひなたんフラーッシュっ!!」 全てを一刀両断にするひなたん星人の一撃が怪人に向けて放たれる! が、しかし!! ハンテーン「はんてん!!」 ハンテーンは全身の毛並みを一気に硬質化! なんとラブリージャスティスひなたんフラッシュ(物理)をその体で受け止めたっ!! 512 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 11 02.86 ID NW4wqk7so 美穂「!」 まるで信じられないものを見るように驚く少女の隙を逃すハンテーンではない! 硬質化した毛をさらに爆発するように全方位に射出! さながら炸裂弾の如し! 美穂「くっ!」 慌てて飛び退き、飛んできた針を刀で打ち落とすが、 しかし討ち漏らした何本かの毛針が手足の数箇所に刺さってしまった。 ハンテーン「はんてーん♪」 ドヤ顔でしてやったりとでも言いたげなハンテーンであった。 513 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 11 45.22 ID NW4wqk7so 美穂「ど、どういうことナリ・・・・・・?」 ハンテーン「?」 美穂「ひなたんの必殺技であるところの」 美穂「ラブリージャスティスひなたんフラッシュが効かないなんて信じられないひなたっ!」 ハンテーン「はんてん?」 これはおかしいとハンテーンは思う。 針弾自体に威力はさほど無いから、刺さってもケロっとしているのはいい。 だが、自身の針弾に塗りこまれた『反転薬』、その効果すら少女には無いように見えた。 美穂「ひなたん星人の秘密☆その6」 美穂「天使の祝福によって、ひなたんにはどんな毒も効かないナリっ☆」 妖刀『小春日和』の効力である。 『小春日和』はあまりに精神支配力が強い、日本一、横暴な刀。 ひなたん星人には、いかなる薬であろうと精神に作用する効果であるならそれは通じない。 514 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 12 38.14 ID NW4wqk7so ハンテーン「・・・・・・。」 カピバラ獣人ハンテーンは考える。 今相手にしている少女。 この娘は、自身の能力が通じない上に戦闘能力があまりに高い。 ただ、刀による攻撃しか出来ないようなので、 斬撃に対して非常に強い耐性を持つハンテーンの毛並みは、少しばかり彼女に対して優位であろう。 ただし、先ほどの全方位毛針攻撃で、 全身の毛の数割を射出した今はその限りではない。 毛の再生には多少の時間が掛かる。 そもそも毛針が通じなかった以上、この場で戦う理由が何一つないのだ。 ならば、やる事は一つ。 ハンテーン「はんてん!」 言葉の通り、体の向きを反転させて、 美穂「あっ!!ちょっと待つナリ!!」 カピバラ怪人ハンテーンは逃げ出した。 515 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 13 20.43 ID NW4wqk7so 美穂「な、なんて逃げ足の速い怪人ひなたっ」 それはもう瞬く間に、 はぐれメタルもびっくりなスピードで怪人は去っていった。 美穂「それにしても、怪人を逃がしてしまうなんてひなた・・・・・・」 美穂「ひなたん星人、一生の不覚ナリっ・・・・・・」 ひなたん星人がショックを受けるのは無理も無い。 日本一の刀による、日本一の技術を発揮した まさに日本一の斬撃を、あの怪人は受け止めたのだ。 『傲慢』な刀から生まれた人格としては少々受け入れがたい事であろう。 美穂「・・・・・・修行が必要ひなた」 美穂「もっともっと強くなって!必ずあの怪人を!」 美穂「まるっとつるっと一刀両断にしてみせるひなたっ☆」 だが、ひなたん星人は挫けない! 斬撃の効かない相手にあえて斬撃で挑み、見事勝ってみせると誓うのであった! そして少女は刀を鞘に納める。 516 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 14 08.93 ID NW4wqk7so 美穂「さてと、これからどうしようかひなた☆」 美穂「・・・・・・・ん?」 美穂「おかしいナリ、ちゃんと『小春日和』は鞘に収めたのにひなた」 脇に抱える刀は、どう見ても鞘に収まっている。 なのに、何故だろうか 美穂「どうして、”私”の人格がまだ出てるナリ??」 何度、刀を抜き差ししても『ひなたん星人』の人格が引っ込む事は無かった。 『小春日和』の精神支配が強まるのは、あくまで”刀を抜いている”間だけである。 ”鞘に収まっている”間、薬の効力が薄まるわけではなかったようで。 『反転薬』は恥ずかしがり屋の小日向美穂の内にあった、『ひなたん星人』の人格と合わさり、 この様な形で効果を発揮したのだった。 美穂「ふっふっふ」 美穂「は~はっはっはっはっはっは!」 美穂「薬の効果がどのくらい続くかはわからないナリ」 美穂「けれど、こうなったら私も精一杯日常を楽しむひなたっ☆」 キラッ 小日向美穂は薬の効果が切れるまでしばらくの間、ひなたん星人のまま生活をする事になるようだ。 517 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 16 10.39 ID NW4wqk7so ―― ―― 一方その頃 アバクーゾ「あばくぞー!」 別の場所ではアバクーゾが暴れており、民衆はパニックに陥っていた。 肇「怪人ですね。」 肇は冷静に暴れる怪人を分析する。 どうやら、それに近寄ると自分の恥ずかしい秘密を大声で叫んでしまうらしかった。 そのせいで多くの人々が、恥ずかしさのあまりうな垂れ再起不能になっている。 肇「『戟王丸』なら遠距離から一撃で倒せるけれど・・・・・・。」 流石に一般人を巻き込みすぎるから、この案は却下だ。 肇「それなら」 と別の刀を取り出そうとするが、 アバクーゾ「あばくぞー!」 肇「!」 その前にアバクーゾが近づいてきていて 『本音薬』の含まれた毛が舞う。 肇「へっくち、しまっ・・・・・・」 くしゃみと共に少女の目が怪しくきらめく 518 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 17 12.85 ID NW4wqk7so 肇「メンルイパワーでバハムに出張♪」 肇「みんな大好き 好き好き大好き うー☆どおぉん!!」 肇「メンルイハートにキュンキュンきらめく」 肇「ホントの気持ち 頑固☆一徹16歳!」 肇「だいじなだいじなトウゲイだもん!」 キャピピーン 肇「・・・・・はっ!!」 肇はかつて『小春日和』を所持していたことがある。 日本一、横暴な刀は鬼の少女のうちにも例外なく人格を作っており、 今のは当時、『小春日和』を抜いて戦った時に使われていた人格の再現であった。 肇「・・・・・・墓場まで持っていくって決めてたのにっ!」 ガクリ アバクーゾ「あばくぞー♪」 鬼の孫娘の秘密を暴いたアバクーゾは、機嫌よく去って行ったのだった 519 : ◆6osdZ663So [sage saga]:2013/07/20(土) 11 17 47.39 ID NW4wqk7so おしまい それもこれもだいたい小春日和って奴のせいなんだ。 524 : ◆yIMyWm13ls [saga]:2013/07/20(土) 13 54 25.02 ID gCY/ehtJ0 うー☆どおぉん!! が反則的に腹筋を攻撃してくるんですが… 小ネタを投下 525 : ◆yIMyWm13ls [saga]:2013/07/20(土) 13 55 59.37 ID gCY/ehtJ0 ハンテーンは後悔していた。 ハンテーンはマムにより仮初の命を与えられ、役目を得て地上に降り立った。 ハンテーン「は、はんてん!?」 だというのにこの有様は何だ? ジグザグに走りながら二人の追手に毛バリを飛ばす。 リン『炎よ!』 虚しくも、自慢の毛バリは突如せり立つように現れた炎に焼かれ役目を果たせず燃え尽きる。 リン「一応このハリって燃えるんだ、モチーフが動物だからかな?」 沙織「あ、あんまり寄り道するとわだすたちウサミンさんに怒られてしまいません?」 ハンテーンの後を追うように二人の少女たちが駆ける。 リン「…沙織、これは他人に迷惑を掛けるロボットを捕まえるボランティアだよ」 …絶対嘘だ。 ハンテーンは確信していた。 526 : ◆yIMyWm13ls [saga]:2013/07/20(土) 13 58 29.18 ID gCY/ehtJ0 ― 思えば単純にこの場所で暴れすぎたのかもしれない。 なにせこの容姿だ。自分で言うのもなんだがらぶりーでぷりちーなカピバラさんだ。 ハンテーン自身が人間に近づいていかなくても向こうから女子供が寄ってくる。 そして撫でようとして手を伸ばしてきたところで少し食い込む程度に毛を逆立ててやればいい。 そうすれば人間は『反転』した。 それでいい、あくまでマムはハンテーンに人を過度に傷つけるように命令されなかった。 ハンテーンは何人もの人間を『反転』させて調子に乗っていた。 沙織「ウサミンさんは放っておぐと変なものしか食べませんがら」 リン「それで食材買いに来たの?」 沙織「わだずあんまり器用でねぇからこういう形でねぇと感謝してるって言えねぇし…」 沙織「ウ、ウサミンさんのこと話せる知り合いってリンさんぐらいしか知らねぇし…」 リン「…沙織は女の子だね」 などと会話に華を咲かせてる少女たちを次のターゲットに絞ろうなどと思ってしまったことも運が悪かった。 しかしまさか近寄った瞬間に少女たちの片割れに『機械油の臭い』などと言う理由で自分の正体がバレるとは思わなかった。 そしてこの辺りでアルパカを撫でた直後に性格が変わるなどという噂が丁度流れ始めてしまったのも悪かった。 やることをやったならさっさとトンズラしておけば良かったのだ。 そして何よりも運が悪かったのは… リン『これって中身どうなってるんだろうね?』 少女の片割れが人畜無害な羊なんかではなく飢えた狼だったことだ。 527 : ◆yIMyWm13ls [saga]:2013/07/20(土) 13 59 23.36 ID gCY/ehtJ0 リン「出来るだけ傷つけないで捕獲したいんだけどな」 などと言って少女がショルダーバックから何かの砲身のようなものを取り出しこちらに向けてくる。 リン「足の駆動ユニットぐらいなら私でも直せるから…」 砲身から何かが飛び出しハンテーンの足元のアスファルトが砕ける。 ハンテーン『は、ははは、はーん!?』 冗談じゃない、とんだ外れくじだ。 沙織「リ、リンちゃん!?やりすぎでねぇか!?」 リン「大丈夫、当てても峰打ちに……」 四肢が粉砕されるのはこの少女にとっては峰打ちなのだろうか? どちらにしても捕まってもロクなことにはならないことは分かりきっていた。 慌てて近くでハンテーンと同じく人々の隠し事を暴いているであろうアバクーゾに救難信号を送る。 買い物袋を引っさげた二人の少女に追い込まれているだなんて情けないことは伝えられない。 『ベェ、コイツマジヤベェわ』程度に伝わればいい。 528 : ◆yIMyWm13ls [saga]:2013/07/20(土) 14 01 06.29 ID gCY/ehtJ0 ― アバクーゾ『あばくぞー!』 おお、我が友よ、来てくれたか。 リン「一体増えた…」 少女は砲身を今度はアバクーゾに向ける。 今度はメキョリとアバクーゾの二本の前足の間のアスファルトが砕ける。 リン「むぅ、当たらない…」 渋顔を浮かべてアバクーゾに再び砲身を向ける。 アバクーゾ『あば、あばくぞー!?』 アバクーゾは慌てて体を揺すり毛を撒き散らす。 アバクーゾの毛には本音を暴かせる『本音薬』が…。 すると少女は何かを懐から取り出してアバクーゾに投げ込みながら叫ぶ。 リン『風よっ!』 突然暴風が吹き荒れて撒き散らした『本音薬』が二体の後方に居た人たちに降り注ぐ。 529 : ◆yIMyWm13ls [saga]:2013/07/20(土) 14 02 50.21 ID gCY/ehtJ0 『ガチャチケでSR引いたとか自慢したけど実はあずささんです』 『あべなな、さんじゅうななさい』<ナ、ナンダコノショクブツ!? 『あべ、ななじゅうななさい』<ハナセー! 『実世ちゃんに優しくメンテされたい』 リン「わざわざ毛を散らしたんだから何かあると思うんだけどなんなんだろうねこれ?」 沙織「わだずに聞かれても…」 沙織「それよりさっきの人二人ほどなんかでっけぇ植物に攫われてったけんど…」 リン「…気のせいじゃない?」 ハンテーンは確信した。 この少女、鬼であると。 どうやったのかは分からないが風を起こしてわざわざ他人に『本音薬』を被らせて実験したのだ。 アバクーゾ『あ、あばくぞー!』 恐らくアバクーゾも『ベェ、コイツマジヤベェわ』の意味を真に理解したのだろう。 アバクーゾも二人の少女に背中を向けて走り出そうとする。 530 : ◆yIMyWm13ls [saga]:2013/07/20(土) 14 04 10.33 ID gCY/ehtJ0 ― 「田舎に行って機械から離れた生活がしたい…」 ポツリと唐突に危ないほうの少女が呟く。 「い、いきなりどした!?リンちゃんそんなキャラじゃねぇんじゃ…」 危ないほうの少女の肩をもう片方の少女が揺する。 「…なんかもう…毎日土弄って過ごしたい」 ハンテーン『てーん…!てーん…!!』 その頃ハンテーンは達成感に酔いしれていた。 アバクーゾの毛に紛れさせて飛ばしておいた毛バリが暴風に負けずに無事に当たったようだ。 後は危ない方の少女が正気を取り戻さないうちに逃げるだけだ。 リン「まっくろく○すけが住んでそうな家に引っ越したい…」 リン「あと沙織…これあげる…」 そう言ってショルダーバックから砲身の正体、ブラズマバスターをズルリと取り出す。 沙織「こ、こんなん貰っても持てねって!?」 リン「私はもう…川のせせらぎを聞きながら山の恵みだけで生きて行きたい…」 沙織「リンちゃんが壊れた…」 そんな二人を尻目にハンテーンとアバクーゾは去って行った。 531 : ◆yIMyWm13ls [saga]:2013/07/20(土) 14 05 03.26 ID gCY/ehtJ0 終わり。 沙織「…クジケソウになったヶどハンテーンぉぃかけた」 沙織「さぉりは、がんばったョ!だけど、メカにはぉいつかなかった・・・」 沙織「トーゼンだよメカだもん・・・さぉり激おこ・・・」 沙織もハンテーンでギャル語で喋る謎キャラにして壊そうと思ったけど収集付かなくて諦めた。 植物に攫われた二人は無事に?帰ってきたらしいです。 536 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 07 34.12 ID tvpnfxwi0 アバクーゾとハンテーンネタで投下します 537 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 08 15.86 ID tvpnfxwi0 「あずきバーがおいしい季節だねー!」 「はいはい。買わないからな。」 涼とあずきは街中を歩いていた。さすがにこの季節になるとあずきの浴衣姿も少々目立たなくなるようだ。 『お仲間』を探したいらしく、勝手に一人で出かけることが結構あるのだが、帰って来ない事も多く、暇なときは一緒に行っているのだ。 …そもそも彼女の言う『お仲間』というのもよく分からないのだが。妖怪仲間だろうか? 538 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 08 41.61 ID tvpnfxwi0 ふと、視界の端にもこもこした何かが見えた。 「あっばくぞー!」 「涼さん涼さん!あそこになんか可愛いのがいる!」 「…こんな季節に着ぐるみ…。」 「…一緒に写真とかとらない?」 「とらない。それにアレが可愛い…?」 なんか妙に顔の辺りがリアルな気がして、涼的にはカワイイとは思えなかった。 539 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 09 08.95 ID tvpnfxwi0 「あーばーくーぞー!」 『俺はテストをしたくないあまりに仮病をした!』 『俺の書いてる小説で次死ぬのは校長だぁ!』 『ボク、女の人より男の人の方が好きぃ!』 『俺は妹と結婚したい!!』 妙なことに、そのキグルミの周りでは人々が大声で何やら叫んでる。 …そしてあの鳴き声。 「…あいつ、怪人とかいう類のやつじゃないか?」 「え、マスコットじゃないの!?」 「なんか『暴くぞー』とか言ってるし、碌な奴じゃなさそうだな…。」 「じゃあ退治しよう!退治したらあずきバー奢ってよ!なんか弱そう!」 「ちょ!?勝手に決めるなって!」 540 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 10 11.82 ID tvpnfxwi0 あずきは涼の脇をすり抜けて怪人を上空から半透明な腕で殴り掛かった。 昼間だから夜の時よりは小さいが、かなりの威力…のはずだった。 「あばー!」 打撃だったが故に、その怪人に全くダメージが通らなかったのだ。 「あれれー?…ていうかなんか湿ってるー!?やだやだー!」 半透明の腕を、水分を飛ばすように振る。もちろん、飛び散ったそれは本音液で… 『メイドのみくちゃんでいつもあんなことやこんなことの妄想をしてた!』 『たくみんと結婚したいよおおおおお!』 『ひなたん星人は俺の嫁ええええ!』 もちろん涼にもそれはかかっていた。 『せーの、うさちゃんピース!!』 「…はっ!?」 …少し前に親戚の子と一緒に行った遊園地でのとある出来事の一部である。 涼にとってはもう思い出したくもない、ずっと隠していたい記憶だった。 541 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 10 45.23 ID tvpnfxwi0 「あ…ああ…!」 顔が真っ赤になる。 「あばばばばー♪」 アバクーゾはご機嫌そうだ。スキップをしながら去って行こうとしていた。 「…絶対に許さないぞ…毛むくじゃら野郎!」 「え、あの…涼さーん?顔が怖いよー?」 『あずき、いつも持っている裁ち鋏を強化してから渡してくれないか。』 無意識の能力使用。それは付喪神…つまり物であるあずきにはあまりにも効果的だった。 「…はい。どうぞ涼様。」 「よし…。『アイツの毛を切れ!』」 鋏が涼の手から放たれ、アバクーゾの頭の毛を切り、ハゲの部分ができる。 「あばー!?」 542 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 11 21.46 ID tvpnfxwi0 アバクーゾは焦った。さすがに鋏が飛んでくるとは思ってもいなかったからだ。 物理は良いが斬られるのはダメだ。そういうのは相方の専門だ。 空中を執拗に追いかけてきながら舞う鋏を何とか回避しながらアバクーゾは全力疾走した。 しかし、真後ろから何かが高速で接近していた。 靴に能力を使い、飛行した涼が追いかけてきていたのだ。 今までそんな発想もなかったのに必死に追いかける方法を模索した結果、靴に能力を使うという発想が生まれたのだ。 怒りのパワーってすごい。 その後ろをあずきが追いかけているがアバクーゾには涼しか目に入っていない。 「逃げられると思ったか…!」 「あ!?あばくぞーっ!」 何なんだコイツは。怒らせちゃいけないタイプだったか。 取りあえず振り切るまで全力での鬼ごっこが始まった。 543 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 12 06.15 ID tvpnfxwi0 「涼さーん?どこー?」 あずきは涼からはぐれてしまった。今回はさすがにあっちが悪いから怒られることはないだろうが…今自分がいる場所さえ分からない。 「どうしよう…」 「はんてーん!」 「ん?」 どことなくさっきの毛むくじゃらと似た雰囲気を持つ茶色い怪人が、道を歩いていた。 「きゃーかわいいー!」 「はーんてーん!」 「オラ!邪魔だキモキャラ!」 「はん?!」 そこに少女が笑いながら駆け寄り、何故か罵って帰って行った。 544 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 12 36.83 ID tvpnfxwi0 (あの怪人のお仲間なら、居場所分かるかなー?) 涼はあの怪人を追いかけているのだからそっちの居場所が分かればいい。 それにあの茶色いのは人を襲っているようには見えなかった。 「あのー?」 「はーん?」 「けむくじゃらの怪人さんが知り合いにいませんかー?」 「はん!?」 コイツは何を言っている?アバクーゾに何かあったのか? 「あ、会話できない感じかな?…どうしよう」 そもそも無警戒に怪人に怪人と分かって話しかけてくるはずがない。罠がある。コイツは危険だ。そうハンテーンは考えた。 545 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 13 16.60 ID tvpnfxwi0 「はーん!」 「きゃあ!?」 毛針が容赦なくあずきに襲い掛かった。 「…和服はやっぱり時代遅れ…この時代、やっぱり洋服よ…」 「はーんてーん♪」 暗い性格の洋服好きになってしまったあずきを見て、ハンテーンはスタコラサッサと逃げていった。 546 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 21 14 30.28 ID tvpnfxwi0 以上です。反転って難しいね… 涼さんは激おこぷんぷん丸状態ですが、振り切ったことにしても追跡中にしてもいいかと。 551 : ◆hCBYv06tno [sage]:2013/07/22(月) 10 20 12.10 ID y6gkJJkb0 投下します イベント設定おかりします 554 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/22(月) 10 38 20.49 ID y6gkJJkb0 とある平日の朝 川島瑞樹---レヴィアタンは、人間としての生活として、いつものように教師として学校へ向かっていた。 瑞樹(……面倒くさいわね) そう思いながら、立ち止まり、前方の光景を見ていた。 それは…… 555 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/22(月) 10 39 34.68 ID y6gkJJkb0 『あっばくぞー』 通行人A「小学生は最高だぜー!!盗撮サイコー!!!!」 通行人B「たくみんに踏まれたい!むしろ虫をみるような目で見てもらいたい!!」 通行人C「夜道で全裸で走るのサイコー!!!!」 加蓮「16歳になって始めて友達できて、交換ノートとかお泊まり会とかできるか楽しみで最近夜も寝られない!!入院してた時からやりたい事考えたノートは机の引き出しの中にある!!」 ふかふかの毛におおわれた獣人が、次々と通行人に触っていっては、触られた人達は何かを暴露していた。 暴露した人達は頭を抱えていて、内二人は小さい婦警さんに連行されていったが…… 556 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/22(月) 10 40 46.97 ID y6gkJJkb0 瑞樹(アレに触れられたら秘密を喋ってしまうのね。わかるわ) 瑞樹(嫉妬の証を使えば、あの光景を見たからあの能力は私には効かないわ) 瑞樹(けど……こんなのでそれを使ったらアイツの部下に居場所がばれてしまうわね。同じ理由で私自身がアレを攻撃するのもできないわね。こんな人通りの多い所で能力者でもない川島瑞樹という人間があの怪人を攻撃をしたら、怪しいわ) 人々の秘密を暴露させて、喜んでる怪人を見ながら彼女は思考する。 557 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/22(月) 10 41 47.94 ID y6gkJJkb0 瑞樹(だからといって、受けてもダメね。もし私の正体をバラすような事や計画の事を言ってしまったらそれこそ今までのが水の泡になるわ) そして出た答えはこの場から急いで立ち去るだ。 幸い、あの怪人は喜んでいてこちらには気づいてない。 なら、今のうち逃げるのみ。 そう思い、来た道を戻ろうと走りだした。 558 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/22(月) 10 43 59.86 ID y6gkJJkb0 『あば?あばくぞー!!』 瑞樹「!?」 だが、怪人は逃げようとする彼女を見て あ、コイツバラされたくない秘密あるな。やっちゃうかー って軽いノリで、向かって来た。 瑞樹(くっ…仕方ないわ) 走りながら後ろをチラ見した彼女の服の袖からコッソリと一匹の蛇が地面をはっていき 『あば!?』 追いかけて来た怪人の足に絡みつき、足を崩した。 追いかけようと猛スピードで走って来たせいもあり、壮大に転けてしまった。 常日頃、保険用に何匹か分身の蛇を仕込んでいたのだ。 コレなら大きな魔術を使わないかぎり、自分の存在がばれないようにかつ怪しまれずに自衛はできるだろうし、この光景ははたから見れば怪人が蛇に絡まれて、勝手に転けたようにしかみえない。 そのまま、彼女は逃げ出した。 559 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/22(月) 10 45 27.21 ID y6gkJJkb0 だが、彼女は気づくべきだった。 アバクーゾの能力は触れたら効いてしまう事。 暴露するのは自分の隠している恥ずかしい秘密。 そして、それが≪分身≫の蛇にも効いてしまう事を……… 560 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/22(月) 10 46 36.85 ID y6gkJJkb0 「寝る前に、昔から大事にしているぬいぐるみのサークンとキバタンを抱きしめながら寝てるわ!!!」 561 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/22(月) 10 48 55.09 ID y6gkJJkb0 この日、川島瑞樹は学校を休んだ。 理由は体調不良だ。 だが……実際の理由は魔界の時から、治そうとしてもどうしても治らなかった癖を自分が大声で叫んでしまった事。 それにより、恥ずかしさの余り家に帰って、悶えてしまっているのだが…… そして、そのぬいぐるみの名前の由来が、憧れを抱いていて、今は憎しみと妬みを抱いている二人からとったものなのだが……それを知る者は多分いないだろう。 終わり 余談だが、そのあと怪人を追いかけるカースがいたとかいないとか… 562 : ◆hCBYv06tno [saga]:2013/07/22(月) 10 52 32.53 ID y6gkJJkb0 以上です 最近、悪巧み中のkwsmsnにたまにはギャグっぽいのをさせたかったのに……どうしてこうなった? そして……あの年でぬいぐるみ抱きながら寝てるkwsmsn。わかるわね? 569 : ◆3Y/5nAqmZM [saga sage]:2013/07/22(月) 15 36 00.95 ID O3XfpYaDo 本音と反転が盛り上がっている中、投下するよー! 麗奈サマとイルミナティをお借りしておりますー 570 : ◆3Y/5nAqmZM [saga sage]:2013/07/22(月) 15 36 50.03 ID O3XfpYaDo 小関麗奈は、後悔していた。慣れない事などするものではないと。 「……もういっぺん聞くわよ?アンタ、名前は?」 「こずえはー……こずえだよー?こずえはねー……おにんぎょうさんなのー……」 「お人形さん、って何よ……苗字は?」 「んー……みょうじー……?」 「……はぁ、もういいわ。で、アンタどっから来たの?」 「……こずえはねー……ここじゃないところからー……きたんだってー」 「……その『ここじゃないところ』がどこかって聞いてんのよ」 「ここじゃないところはー……ここじゃないところだよー……?」 「……だぁぁぁもう、埒が明かない!!」 572 : ◆3Y/5nAqmZM [saga sage]:2013/07/22(月) 15 37 21.21 ID O3XfpYaDo 学校帰りにたまたまその少女を見かけた。十歳にもならないだろうか、とても小柄なその少女は、あっちへふらふら、こっちへきょろきょろ、たった一人で歩き回っていた。 どこからどう見ても迷子の女の子、普段の麗奈ならば素通りしていただろう。だが、何故だかその日は、なんとなく声を掛けてやってもいいか、と思ってしまった。 しかし、何度聞いてみても「名前はこずえ」「ここじゃないところから来た」以外の情報がとんと出てこない。 小さな子供の相手をするのが得意ではない麗奈にしては粘った方だが、そろそろ限界を感じ始めていた。 「ハァ……もうとっとと交番連れて行こ。っていうか、最初からそうしてりゃ良かったのよ」 「こうばんー……?」 「オマワリが居る所よ。迷子の親捜し位ならやってくれるでしょ」 「んー……まいごー……?」 「なにきょとんとした顔してんのよ、アンタよアンタ」 「こずえー……?こずえ、まいごじゃないよー……?」 「迷子じゃない、って……じゃあアンタ、一人で何してたのよ?」 「んー……こずえねー……かくれんぼしてたのー……」 「かくれんぼ、って……」 あっちこっちふらふら歩きまわっていてかくれんぼも何もあるものか、とツッコミを入れようとした、その時である。 573 : ◆3Y/5nAqmZM [saga sage]:2013/07/22(月) 15 38 01.99 ID O3XfpYaDo 『クワセロォ……クワセロォォォォオ!!』 「っ、カース……ッ!?」 間の悪いことに、カースと出くわしてしまった。 (何だってこんな時にッ…!コイツの前で変身するワケにもいかないし……) 実際はルシファーが魔界へ連れ戻されたせいで麗奈は力を失っているのだが、当人はまだそのことに気づいていない。 どうにか隙を窺って逃げるか、癪に障るがヒーローの助けを待つしかないか。 「……やー、なの……」 逡巡する麗奈の手を、こずえがぎゅっと握った。 「……こっちきたら、いやなのー……!」 そして、こずえがそう声を上げた、次の瞬間。 「……えっ?」 麗奈とこずえの前から、カースの姿は消え去っていた。 574 : ◆3Y/5nAqmZM [saga sage]:2013/07/22(月) 15 38 56.13 ID O3XfpYaDo いや、その表現は正確ではない。 「……ちょっと、どこよここ……?」 正しくは、『麗奈とこずえが、カースの前から姿を消した』のである。二人の周囲の景色は、先ほどまで立っていた場所とは全く別物になっていた。 「かくれんぼ、って、もしかしてさっきのカースから逃げてたってこと……?」 景色が切り替わる前、こずえは「こっちに来るな」とカースに言い放っていたはずだ。 「んー……ちがうよー?さっきの、うにょーってしたのはー……こっちきたらやなのー……」 「…………」 駄目だ、まるで意志の疎通ができない。子供ってこんなに話するの難しい相手だったっけ、と麗奈は頭を抱える。 「……じゃあー、こずえ、もういくねー……」 「え?あ、ちょっと……」 そう一言だけ残して、いつの間にか繋いだ手を離していたこずえは、ばいばい、と手を振りながらとことこ歩き去ってしまった。 色々な事が一度に起こりすぎて茫然としていた麗奈は、それを追うことも忘れてしばらくぽかんと立ち尽くしていた。 「……いや、ちょっと、マジで待ちなさい!結局ここはどこなのよッ!こら、戻ってこいこずえーッ!!」 しばらく周囲を歩きまわり、やっとこさ見つけた案内板を見てみれば二つ隣の町。 その日、麗奈が家に帰れたのはとっぷりと日の暮れた頃になってしまったトカ。 575 : ◆3Y/5nAqmZM [saga sage]:2013/07/22(月) 15 39 52.02 ID O3XfpYaDo 「で、まーだ見つかんないカンジ?」 「……申し訳ありません。監視体制は整えていたはずなのですが」 「いーよいーよ、世界一つヒョイっと飛び越えちゃうようなトンデモちゃん相手だし、そのうち逃げちゃうとは思ってたから」 「まるでその場から消滅したかのように魔力を検知できなくなった事を考えると、やはり別の世界へ転移したのでしょうか」 「そう見せかけてるだけじゃない?消えたワケじゃなくて一時的に隠したとか。そうやってこっちの目をくらますつもりなんだろーね。 ま、あんだけの膨大な魔力、そうそう長いこと隠しきれるもんでもないっしょ。別にこれからのことに必須ってワケでもないし、気長に探せばオッケーってことで」 「了解しました。隠蔽魔術の痕跡が無いかを中心に捜索してみます」 「ん、がーんばってねー」 「……まーでも、ここまで早く逃げられるとはねー。よっぽど無理やり起こされたのがぉこだったのかにゃー?」 「ま、どこまで行ったのかは知んないけどサ。ゆいから簡単に逃げられるとは思わない方がいいよー……」 576 : ◆3Y/5nAqmZM [saga sage]:2013/07/22(月) 15 40 19.66 ID O3XfpYaDo 「『妖精の秘宝』ちゃん♪」 577 :@設定 ◆3Y/5nAqmZM [saga sage]:2013/07/22(月) 15 41 45.44 ID O3XfpYaDo こずえ(??) 属性:自立型マジックアイテム 能力:未知数(大部分は封印中) 唯/バアルによって強制的に覚醒させられた『妖精の秘宝』。彼女らに使われることを良しとせず、イルミナティから逃げ出してきた。 その際、捜索の目を撹乱させるために保有する魔力と能力の大部分を自ら封印した。現在使用できる能力は『傷の回復』と『テレポート』のみ。 強力な封印術を使用した反動で身体つきや思考能力が子供と同等になっており、自らを『おにんぎょうさん』と称する。 578 : ◆3Y/5nAqmZM [saga sage]:2013/07/22(月) 15 42 56.25 ID O3XfpYaDo ビビッと来たので新キャラで早速やらかしちまいました(テヘペロ 482 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 00 56 20.28 ID tvpnfxwi0 キヨラさんと捕まった大罪の悪魔達を投下します 589 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 10 45.95 ID D9dekgl+0 キヨラは魔界更生施設の職員である。 職員達は皮肉を込めて『魔界の天使』と呼ばれる。…決して天界と因縁があるわけではないのだが。 何故なら彼女を含めた更生施設の職員たちには、全能紳が与えたとされる職員の証というべき持ち物があるからだ。 それは全能紳が決めた罪と善行が個人別に記される裁きのカルテ。その能力は2つある。 「いやだ!二回も死にたくねええええええ!」 「罪人・○○。貴様には『人殺しの罪』『騙した罪』『神を冒涜した罪』『複数の女性との関係を持った罪』等、許しがたい罪を犯した。」 「裁きのカルテは貴様に死刑の判決を下したのだ。」 カルテには今叫んでいる彼の写真。そこに大きく×マークが記されている。 機能その1.すでに捕まった・死んだ魂に近づけるとその対象の罪と死刑判決・刑期の確認。 「お前の処刑人はキヨラだ!…頼んだぞ。」 「お任せください。」 メスを杖のように構えると、キヨラは呪文を唱える。 『汝の悪行、魂の死によって罰せられる。処刑器具の名は『ファラリスの雄牛』!天界の全能神に生まれたことを詫びて死になさい!』 罪人の真横に青銅のような物で作られた牛が召喚される。 背中の扉が開き、中から黒い手が溢れ出し、罪人を中に連れ込み、鍵をかける。 そして牛の真下に炎が燃え上がった。 …あとはお察しください。 590 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 11 16.74 ID D9dekgl+0 職員達は朝の処刑を終え、食堂で食事をとっていた。 「キヨラさん、お疲れ様です。」 「今日の処刑もいい感じでしたねぇ。ファラリスの雄牛はやっぱり悲鳴が醍醐味ですし!」 「ふふ、そうねぇ。」 食事はいたって普通のもの。トカゲや虫を食べたりはしない。 さすがに人間界とは食材が違うが、似たようなものが作られている。 「やあやあ、皆さん。今日も頑張っていきましょうか。」 新聞を読みながら男性職員が話しかけてくる。 一見まともに見える彼も、裏ルートで仕入れているというよく分からない新聞を毎日読んでいる。 そしてそこに載っていた、名前もわからない堕天使のブレまくりの写真に一目惚れしてしまい、毎日彼女をどう処刑するかばかり考えている。 新聞を読む意味も、彼女の情報がないかと探すことになってしまったらしい。 キヨラ達は堕天使の写真など全く興味がないのだが。 591 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 11 46.72 ID D9dekgl+0 食事を済ませた後、施設の裏庭にキヨラはやってきていた。 「ベルフェゴールちゃん、ルシファーちゃん、お仕事の調子はどう?」 「…ハイ、オシゴトシテマス」 「…ちゃんとやってますよぉ?」 少女の姿のベルフェゴールと、怪物の姿のルシファーがひたすら穴を掘っては埋める作業をしていた。 最近はやっと敬語が身についてきたというところか。いや、ベルフェゴールはまだ敬語がぎこちない。 ちなみに…ルシファーには『人間界の崩壊を望んだ罪』『脱走を企んだ罪』が追加されていた。 働くことを喜びとせずに余計な事を考えれば罪となり、刑期は伸びるばかり。ここはそういう仕組みなのである。 「お疲れ様です♪やっぱり体がない魂の状態だとこれしかすることが無いのよね…。」 「…じゃあ体を得たらどういうことさせられるのさ…」 「大半の子は、掃除とか洗濯とか…悪魔の召使いになる修業をするのよ♪…ただの召使いじゃないんだけどね。お給料をくれるのもご主人様の気分次第だし…。」 (そりゃ20時間労働だもんね…絶対召使いじゃすまないよ) 「ということで!職人さんが特注品の大罪の悪魔さん用の体を作ってくれたので入ってくださいね!」 袋から…山羊・熊・ライオン・犬・狐の小さなぬいぐるみを取り出す。 「そぉれ♪」 熊とライオンのぬいぐるみを掲げると、二人の魂は吸い込まれてしまった。 「気分はどう?」 「…最悪…というかなんで熊?…ですか?」 「可愛くないですよぉ…これじゃあ大罪の悪魔(笑)ですよぉ…」 それは魂を閉じ込める檻。痛覚が魂にリンクされており、ぬいぐるみのような体なのに痛いときは痛い。 しかし素材は魔界で最も強い防具の素材の一つとされている皮で作られており、魔法にはかなり耐性がある。…物理に関しては人並みだが。 万が一破損しても縫えば回復したのと同じ効果を得る。 「大丈夫そうね♪これでみんなと一緒に…」 その時、放送が鳴り響いた。 『今すぐ職員は全員会議室へ集まるように!繰り返す、今すぐ職員は会議室に集まるように!』 呼び出しだ。それもかなり緊急事態のように思える。 「…二人とも取りあえず穴掘り続けててね♪…やらなかったらすぐわかるから…うふふ♪」 「!?」 「は、はい…」 592 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 13 38.21 ID D9dekgl+0 会議室に全員が集まると、施設長は口を開いた。 「全能紳によってカルテが更新された。アップデート内容は罪の追加だ。」 全能紳によるカルテの更新。確かに呼び出されるのも無理はない。 「そして、そのアップデートにより追加された罪の一つ。『実行可能な滅亡を企んだ罪』。これに該当する者が数名いる。」 「え…滅亡ですか?」 「それじゃあ…お仕事がなくなるじゃないですかぁ!」 「それは嫌だな…」 ざわざわと、職員が騒めく。仕事がなくなることは生きがいが無くなる事。一大事な問題だ。 機能その2.罪の内訳人数と一部データ回覧。 これを使う職員はあまりいない。罪が追加された時に施設長がみたり、暇なときに見る趣味を持っているような奴らが見るのだ。 名前も顔もわからないけれど、犯した罪の人数と、その罪を犯した者の他の罪を確認できる検索機能のような物。 その機能経由でカルテを見ても顔写真は真っ黒。名前欄等は真っ白。罪の内容と死刑判決の×マークだけが分かる。 『嘘をついた罪』のレベルでは役に立たない。あまりにも該当者が多いから。 けれど例えば『堕天した罪』を調べれば堕天使が何人いるか分かる。『カースを生み出した罪』なら大罪の悪魔が出るだろう。…その程度の機能。 朝の堕天使に惚れた職員はその堕天使がそれなりの人数がいるカルテからどれが愛しの堕天使のカルテか推理しているらしい。 しかし、キヨラはそんな機能、全く使ったことも無いし興味もなかった。 593 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 14 56.81 ID D9dekgl+0 だが『実行可能な滅亡を企んだ罪』…それを犯した者が数名もいるとなれば騒めくのも無理はなかった。 何故ならカルテに間違いはないから。実行可能な力を持つ者が、世界の滅亡を企んでいる。その事実が実際にあるのだから。 「…人間界にしろ魔界にしろ天界にしろ…滅亡するのはまずい。輪廻の理が崩れる。」 「そこで、最も優秀な職員であるキヨラに、その危険を排除してもらいたい。」 「わ、私に…ですか?」 「他の罪を見るに、人間界で行動しているのは分かる。そしてきっと大事を起こすだろう。そして…それをヒーローという者達が討伐しようとするだろう。」 「その時にキヨラ、君にはそのヒーローたちの手助けという形でその重罪人を倒してもらいたい。」 「危険な任務だ。誰が重罪人かもわからない。潜伏する必要性もある。…それでもやって欲しいんだ。」 「…ヒーローに倒させれば罪に問われることも無い。あくまで補助をすればいい。…やってくれるか?」 一呼吸おいて、キヨラはいつもの笑顔で答えた。 「お任せください。」 594 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 15 45.75 ID D9dekgl+0 人間界。街中にキヨラは居た。 柳清良。それがここでの名前。 清楚な服にオシャレなバッグ。しっかり普通の女性のように見える。 …その両脇に二体の動くぬいぐるみが無ければ。 …まぁ「ぬいぐるみを使う能力者なんだろう」で済むから便利なものである。 「なんでアタシ達まで連れてこられるのさ!」 熊のぬいぐるみのベルフェゴールが文句を言うも、笑顔で窘められる。 「貴方たちは私が担当なんだから当たり前でしょう?それに終われば一世紀分の刑期免除でしょう?」 「そうだけど…ですけどさー経験値ゼロの呪いの装備をしているアタシ達じゃ戦力にならないでしょう?」 「能力の制限はある程度解いたじゃない。情報収集能力だって今までのデータも使えるんだし、わがまま言っちゃダメよ。」 「えー…」 キヨラの情報を見ようとしてもできない。逃げようとしても次の瞬間には頭が飛んでいる。 …ベルフェゴールはどうしろととしか思えなかった。 ライオンのぬいぐるみのルシファーは、どこからか手鏡を取り出すと雪菜の姿へ変化した。 「ちゃんと変身できますねぇ…感覚的に数分程度かしらぁ。」 「レベル1ってことはMPもほとんど無いからねぇ…」 595 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 16 13.21 ID D9dekgl+0 そのままショーウィンドウを見つめていると、背後に黒い泥が生まれたのが見えた。 『ドウシテドウシテドウシテエエエエ!』 『メンドクサイヨォ…ハタラキタクナイヨォ』 「あら?」 「高慢のカース…操作はできないわねぇ…なんか腹が立たない?」 「あー怠惰もだ。操作できないとかマジ…?キヨラさん、どうするのさ?」 「…」 バッグから明らかに入らないであろうサイズの医療用ノコギリを取り出すと、にっこりほほ笑んだ。 「悪い子はオシオキしないと♪」 596 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 16 51.35 ID D9dekgl+0 ふわりとキヨラの周りにはメスが浮かび、指で示したカースに一直線に飛んでいく。 『イウトオリニシヤガレェ!』 ドロドロの腕を振り回して高慢のカースがメスを受け止める。 『汝、我が魔の力を受け、呪われよ。その呪いの名は【死の癒し】!毒を薬に、薬を毒に!呪われた哀れな者となり、性質よ反転せよ!』 キヨラの右手に持っていたメスから黒い光が怠惰のカースに飛び、呪う。 『光よ!大いなる我が力に従い、その優しい微笑みのような力で我が示す者を癒せ!ヒーリング!』 連続で回復魔術を怠惰のカースへ発する。 死の癒しの呪いによって、痛みはないのに内側から崩壊する。 『ア、アア、アアアア』 核が飛び出すと、その手からメスが飛び出し、貫いた。 597 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 17 20.28 ID D9dekgl+0 『ムシスルナアアアア!』 「ベルフェゴールちゃん!」 「ちょ!?ぎゃああああああああああああ!」 『!?』 キヨラがベルフェゴールを高慢のカースが伸ばしてきた腕に投げる。もちろん正面衝突だ。 カースもさすがにそっちに気がとられる。 「…余所見しちゃ駄目よ?」 声はさっき立っていたところの真逆の方向から。 投げた時に一個だけ軌道をずらし、背後で空中に浮かんでいたメスの上に器用に立っていた。 598 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 17 51.33 ID D9dekgl+0 次の瞬間にはさっきまで全く使っていなかったノコギリでカースを真っ二つにしていた。 『ゴア、グアアアア!』 しかし核を砕かなければ意味がない。二つに切り裂いた体の片方が再生を始めていた。 …抜かりはない。 『汝は悪の塊。我ら、悪は滅するのみ。処刑器具の名は『鉄の処女』!天界の全能神に生まれたことを詫びて死になさい!』 カースの真上に大きなサイズのその処刑器具が召喚される。 棺が開き、中から無数の黒い腕が伸びてカースを中へと連れ込んだ。 扉が閉まる。 『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』 耳をつんざく程の音量。ルシファーは耳を覆っている。 「ふぅ…。」 しかしキヨラは満足気な表情をしていた。 599 : ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 19 01.23 ID D9dekgl+0 カースに殴られ気絶したものの、すでに体は自分の能力で回復しているベルフェゴールを回収する。 「…」 ルシファーも無言でぬいぐるみの姿に戻ると、キヨラに回収された。 「…誰が重罪人かはさっぱりわかりませんし…まずは姫様やユズちゃんから探しましょうか!」 「え!?あの死神に会う!?」 「…ダメですか?」 ぬいぐるみを引き連れた女性は、そのまま人ごみへ消えていった。 497 : ◆zvY2y1UzWw [saga sage]:2013/07/20(土) 01 09 24.42 ID tvpnfxwi0 情報更新 キヨラ 施設長の命令を受け、人間界で暴れまわる重罪人の討伐の補助をするためにやって来た。 重罪人と戦うヒーロー達なら無償で援護します。 施設長からもらった四次元バッグからは魔法の医療器具を取り出し放題。ただし職員以外にはただのバッグである。 人間界に来るにあたって、レベルドレインは大幅に制限を受け、一人のレベルを5分だけ奪える程度に収まっている。 しかし、奪ったレベルを他の誰かにその5分以内なら貸し借りできる。 罪人やその内容は決して口にしてはいけないが把握している。 自分から行くことは少ないが、売られた喧嘩は買う。 ベルフェゴール(ぬいぐるみ) 熊のぬいぐるみに入っているがちゃんと大罪の悪魔。 その力は大幅に衰えているが消えたわけではない。 大罪の証はまだ不明。 回復が早いことが災いしているのか、キヨラさんに容赦されてない。 ルシファー(ぬいぐるみ) ライオンのぬいぐるみに入っているがちゃんと大罪の悪魔。 その力は大幅に衰えているが消えたわけではない。 大罪の証による変身も結構劣化してしまっている模様。 魔界更生施設 実力のあるドSの巣屈。殆どの職員が戦争の生き残りである。 職員は基本的に閻魔のように罪人を裁く役割や、罪人の更生をしているが、処刑人もしている。 死神と同様に天界とのつながりが深い。 600 :@設定 ◆zvY2y1UzWw [sage]:2013/07/22(月) 19 19 37.67 ID D9dekgl+0 裁きのカルテ 全能紳が決めた罰と善行をした者が記録されるカルテ。 罪の判定が厳しいことに定評があり、『全能紳はいつまで知恵の実を食べる前のアダムとイヴに固執しているんだよ』とまで言われる。
https://w.atwiki.jp/arcadiasaga/pages/180.html
ナストリタン南地区 に戻る 番号 NPC名 座標 種族 備考 1 衛兵 ジョフリー 2 衛兵 グスタフ 3 衛兵 ルーベルト 4 宿屋 イボンヌ 5 初心者用NPC 6 ナストリタン斡旋所 クエスト受付 7 衛兵 エドモンド 8 衛兵 ドリク 9 ペット屋 ボウイ 10 アウルベア 11 リザード 12 ウルフ 13 大工 ウッディー 14 見習い大工 モック 15 木こり ヨサン 16 倉庫番 ローランド 17 フラータ 18 フィリップ 19 衛兵 バルタン 20 サーラ 21 デミトリー 22 カードリック 23 衛兵 コンラド 24 衛兵 ゲーネフ 25 メリー 26 雑貨屋 ヘレン 27 鍛錬師 ロドリア 28 修理屋 ネルソン 29 武器商人 ケビン 30 マハルマーケット店員 エルローン 31 防具商人 ジョアンニ 32 鉱山工 ダロン 33 猛者 バッガーニ 34 鍛冶職人 アモーン 35 鍛冶手伝い シレーン 36 刻印師 サンバドール 37 歴戦の勇士 ホルネイ 38 魔術師 アライア 39 【試練クエスト】幻現師 フィルマン E5 -353,+304 「ブシューケー」を渡すことで試練クエスト、ハーレム(Lv30以上・PT推奨)、山の主(Lv30以上・PT推奨)、暴風兄弟(Lv40以上・PT推奨)、幻獣(Lv45以上・PT推奨)のいずれかを受けることが出来る