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某月某日、午後六時、とある児童公園にて。 「やあ、ジライっち」という、そんな気軽な声をジライヤは尻に捻り込むような衝撃と共に受けた。そして落ちた。 地面に。さらに言うなら二メートルほどの高さから尻餅をつき、再度ジライヤの尻(尾てい骨と直腸)にダメージを受けた。 「…………………………!!!」 声もでない痛み。何故かジライヤの脳裏に薔薇が散った光景が浮かんだ。 と、そんな男としてぎりぎりの状態になりながら、尻を両手で押さえ呻いていた。 ちなみに着ているのは、最近のお気に入りであるショッキングピンクカラーの短パンに闇夜にとけ込む柄のジャケットである。 下半身がそんなに目立っては上を地味な柄にするのは意味がないのであるが、そこは本人の趣味である。 ファッションに、どうしてもこれ以外着たくない、と主張する人もままいる。 ジライヤはぶるぶると震えながら立ち上がり、自分のかわいい尻を襲った暴徒に逆襲すべく振り向いた。まだ尻は押さえていた。 「……なんじゃ、デカ乳尻羽娘ではないか」 そこに、人気のない公園に居たのは一人の女であった。 流れるような金糸の髪に付けられた、翼を模したバレッタ。神の血を引く者特有の赤眼。恐ろしいほど自己主張している、押し上げられたシャツに包まれた巨大な乳房。 うっすらと割れた腹筋が見える腹。右は膝まで、左を股間部位ぎりぎりまで大胆に露出したGパンを穿いているのは、肉付きの良い腰としなやかな足。 それらのパーツの持ち主はやはりと言うべきか、美女であった。極上とも言うべき白皙の美女であった。 余談ではあるが、彼女の胸に関して、某腹黒は『私って並です……』とコメントし、某ツインテールは『……………』と黙秘権を行使、 某赤髪は、『え、え~と…………。そ、そうだ! 肩こり対策グッズを買いに行こう!と、それぞれコメントを返した。 「そのあだ名は語呂が悪過ぎやしないか? もうちょっとわたしみたいにフレンドリーなあだ名をだな」 【例:セドナ→セドにゃん。衛宮士郎→赤髪くん。プテサン・ウィ→ウィっち。エル・シド→パンダ。etc……】 セクハラなあだ名を憤怒するまでもなく、眉を顰めるわけでもなく、 自身のセンスを自信満々に言うことから。容姿と同じく彼女は常人とは感性も違うらしい。 「なんてことするんじゃ、男の尻を攻めるとは! ワシをせめていい場所は布団の上だけじゃ! 美女限定で!」 怒りの声を上げながら、再度セクハラをかますジライヤ。最後の部分だけは譲らないつもりだろう。込めた魂が違った。 最早、筋金入りの助平である。そもそも、わざわざ住処から遠くまで出歩き、風呂屋の覗きに適したポイント探しから、利用客層(若い子限定)、さらには発見された場合の逃走ルートまで調べ上げているのだから、 最早筋金ではなく筋超合金である。 「ククク、クスクス、いやいや悪かった。声をかけても気付いて貰えなくてね。ついつい、強硬手段に出てしまった。平にご容赦を」 しゃなりとそんな音が立つくらい優雅に金糸の髪を揺らし頭を下げた。ついでに胸を派手に揺れた。どうやらブラジャーの類は身に付けてないようだ。 彼女のこういった服飾の着付けに対して、同居人(女性のみ)は口を酸っぱくして『つ・け・ろ』と再三言っているのだがあまり効果はないようである。 彼女の主張は『きつい』『高い』『特注しないとない』『そんな高い物を何着も買わせるのは悪い』といったものである。 家主である少年としては意地でも着けて欲しいと心の中で思っていた。 「フンッ、まったく」 それで気を許したか、若しくは派手に揺れた乳房で気を許したか。兎に角、ジライヤの声はいつもの声色に戻っていた。 「で、なんのようじゃ? お前さん。そんな物騒な得物を持ち出しおって」 そう言って、ジライヤが指を向けたのは一本の槍であった。 長さ三メートル近い/材質不明の黒色/勝利のルーン/矢印にも似た穂先。 ――それは槍であった。無銘の歩兵槍(スピア)。しかしその重量は常人が振るうどころか、持ち上げることすら困難な質量を有している。 これらのキーワードを聞けばちょっと北欧神話や、それらから派生した物語をかじった者ならわかる事だろう。 神性を剥奪された戦乙女、空を駆る翼を持ちし者。眠り姫の原典。愛憎の果てに愛した者を殺した乙女。 その名は―――――――― 「ブリュンヒルド、だ。『お前さん』と言う三人称もいいが、ここには二人しかいないから、名前で呼んでくれ。愛称はブリュンだ。ぶりゅっちでもいいぞ」 「ブリュンで呼ぶ……」さすがにそんなあだ名で人を呼ぶのは嫌らしい。ちなみにこんな遣り取りも十回を超えている。 「で、何のようじゃ? ワシは忙しいのじゃぞ。(覗きに)」 「君に用があってね。こうして訪ねてきたと言うわけさ」 自分が三人称で呼ぶのはかまわないらしい。都合のよい事だった。 「? 何のようじゃ? ワシに用など……マスター(ゾォルケン)どのから言伝か? いや、それなら念話で伝えられるか」 ジライヤは考えを巡らすが、真相にはたどり着けそうにない、そうした空気を感じ取ったか、ブリュンヒルドは口を開き言った。 「いやいや、用があるのはわたし自身で、個人的な理由からだ」 口元をにまにまと歪めながらそう言った。 「? ますます訳がわからん。お主に用を作らせた憶えはないがのう……」 「これからその“用”を話すから、とりあえず一緒に覗こう」 そう言い、ブリュンヒルドは上を、先ほどまでジライヤが立っていたブランコを指差した。 「覗くのは、いっこうにかまわんが………………どうした? 上らんのか?」 ブリュンヒルドは上れないわけではない。ブランコの何倍の高さを持つビルでも駆け上れる足を持っているからだ。 先に上らないのには訳があった。 「……これがラブコメの世界なら【ニュートンのリンゴは不味い】と言う事実と必然性により、わたしは君を股間蹴りで無理矢理上へ、上らせなければならない。……でゅー・ゆー・あんだーすたん?」 ブリュンヒルドの格好は下はともかく、上はシャツのみだ。もしジライヤより先にブランコの上に上ったらシャツの裾からその巨大な乳房の下部、もしかしたら乳首すら見えてしまうかもしれない。 で、あるからそんなトリビア知識を使った脅迫でジライヤに理解させたのである。 「…………………」 ジライヤは無言で従った。ちなみにニュートンも万有引力も、そのリンゴが不味いことは聖杯に与えられた知識で知っていた。 ブリュンヒルドはジライヤが上ったのを確認すると、彼が振り返るよりも早く宙を跳び、絶妙な体重移動で髪、衣服の乱れ、足音一つ無くブランコの鉄柱の上に降り立った。 to be continude. the next second.
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瀟瀟(しょうしょう)と風が鳴いている。騒がしく鳴いていた虫も静かになった。まるで命がなくなったかのように、風の音だけが支配したかのように。 そして、今、公園にいる二人の緊張は高まりつつあった。 「…………戦えと、な?」 ジライヤの声色は固い。先ほどまでの友人に対して使っていた声色ではなくなっていた。まるで、彼の時間があの頃に戻ったかのように。 「そうだ、貴方と戦いたいのだ。武器を取り、鎧を纏い、兜を締め、心を“殺し”で満たしてだ」 ブリュンヒルドの方も先ほどの雰囲気ではない。彼女の時間もあの頃に戻ってしまっていた。 「理由を聞いてもよろしいか?」 先ほどよりもさらに固くなっていった。友人の裏切りにあったかのように、すこしばかり声がうわずっている。 「ああ、勿論だ。貴方にはそれを要求する義務がある。そしてわたしには応じる義務がある」 「ああ、それは良きことじゃ」 少しだけ声色が柔らかくなるが、警戒は解いてなかった。ブリュンヒルドはその態度に満足するように、蠱惑的に微笑んだ。 「その理由とは、わたしが“変る”ためだ。生前のわたしのように、愛した伴侶を絶望と嫉妬に狂い、殺したわたしから変るためだ」 「……それは「身勝手だとも、自分勝手な理由だ、と言うこともわかっている。英霊(変らない存在)であるが故に変われるはずがないと言うこともわかっている。 “座”で考える時間だけ与えられても狂者はまともになれない!」……うむぅ……」 ブリュンヒルドはジライヤの言葉を遮り、叫ぶように“心の澱”を吐き出した。 彼女は今でもシグルドの目を見て話をすることができないでいる。罪がない良人(おっと)を暗殺し、さらには死後でも責め続けたのだから。 シグルドの方もまともに会話できないでいる。フォローしてくれる者がいないと逃げ出してしまうのだ。 ジライヤやその他の男性陣は情けない奴だとは、思っていない。 死後も人間のように生活できる聖杯戦争特有の弊害でもあるし、余りにも複雑すぎる男女の問題なのだ。まあ、さらに複雑な伴侶の問題を持っている者もいるが。(チンギスとかセドナとか) 「……何故ワシと戦いたいと? ワシより強く、立派な英霊が一山幾らとばかりに、ごろごろしておるではないか」 ジライヤは至極真っ当な疑問を口にする。気高き英雄とは、無縁の立ち位置にいる英霊である。 「む……、それはだな……」 珍しい事に、答えに休していた。不安に悶えるように乳房を両腕で抱え込み、恥じらう乙女のようにモジモジとしていた。 ジライヤは大人しく、答えを待った。やがて―― 「貴方は善人だからだ」 「はい…………? ぜ、ぜんにんですか?」 余りにもあんまりな答えにジライヤの口調は完全に変ってしまった。顔もポカンと間抜け面である。 『ジライヤは善人である』この言葉に賛同する者は、この町にどれくらいいるのだろうか。ジライヤを現す熟語として、変態、もしくは痴漢、覗き魔、狒々親父が上げられる。 どれをとっても高評価とは言えない認識である。しかし生前のことを考えてみても善人と言えるかもしれない。 義賊として悪党を懲らしめた――地域の人には喜ばれただろう。 綱手姫を伴侶とした――他の女に色目を使ったが、時代的に言えば良き夫の範疇に入っただろう。 大蛇丸に憑いた大蛇の精を祓い彼を許した――衛宮士郎にも匹敵する慈悲の心である。 ジライヤの逸話を余りブリュンヒルドは知らない。精々が三竦みのアレくらいの知識である。 だが、ブリュンヒルドはジライヤを善人と言った。それには訳があった。 「貴方は善人だよ。どうしようもなくね」 「いやいや、そんな善い人ではないぞい、ワシは」 手を振り否定するジライヤ。それをおかしそうに笑い。 「善人でもない人が、二時間も迷い子を肩に乗せて親を捜すかな?」 「ぬぐ………」(ジライヤの心に十五のダメージ) 「さらに、引きこもりだったセドにゃんにパラケルスス特性の肉手袋と肉仮面をプレゼントしたりするかな?」 「のう………」(ジライヤの羞恥心に七十六のダメージ) 「さらにさらに、ホム娘らに自分の時間を潰して、二十四時間もテレビゲームに付き合ったりするかな?」 「……………」(ジライヤの一番敏感な箇所に千四百五十三のダメージ) ジライヤはへこんでしまった。 ブリュンヒルドはその様子に本気で腹を抱えて、笑い転げていた。 しばらく公園には美女のはしたないくらいの笑い声に包まれた。 そしてジライヤが気力を取り戻し、どうしてそんなことを知っているのか、と聞いた。 「ああ、それはだね……ぷっくくくく」 まだ笑っていた。おまけに笑いすぎによってシャツが捻れ、右乳が危うい事になっていた。 「ええい、笑い過ぎじゃ!」 声を荒げ(演技)、眉間にしわを寄せ(これも演技)じっと見入るジライヤ。少しだけ空気が以前の物に戻っていた。 「いや、すまない、話そう……言っておくが、ラブコメのように貴方が好きでじっと恋する乙女のように見ていたわけではない。 さる情報通からの情報だ。そのさる情報通と言うのは、鉄鼠のことだ。群体である彼らは、かなりの情報通なんだ」 立つはずだったフラグと伏線を纏めて叩き折ってしまった。本気の本気でラブコメをするつもりはないらしい。 「さらに言えば彼に操を立てているわけではない。彼とは今の関係を何とかしたいとは思っているが、夫婦にまではなりたいわけではない。一言で言えば『ずっと仲の良い友達でいましょうね』だ」 (わー、このおなごすごー) そのようなラブコメ展開全拒否の姿勢を見せられて、さすがのジライヤも惚けるほかなかった。 「さて、貴方が善人だからわたしは戦いたい。わたしは今まで色々な者と戦ってきた。しかし貴方のように、どうしようもなく助平で善人である者とは戦った事がない。 で、あるからわたしは貴方と戦いと思いここに参上したわけだ。明らかに言葉が足らず、わたしの心意を慮(おもんぱか)れないだろうが、それは問題ではない。わたしの目的のために、私と戦え」 それだけ言うと後はむっつり黙ってしまった。 ジライヤは困惑していた。何しろ意味不明である。義賊団を率いたジライヤであるが、このような心情を持つ者を見るのは初めてである。夫を殺し、自殺し、その事に苦悩している目の前の女を助けてやりたいという気持ちもあるし、何より友人としても助けてやりたい。 しかし、彼女が望んでいるのは試合ではなく“死合”である。友人と殺し合いをしたくないという気持ちが心のほとんどを占めていた。 ――つまりは、彼はどうしようもなく“善人”だった。 そしてジライヤは「わかった……了解しよう。ただし、二つ条件がある」と言い、ブリュンヒルドは「何だ?」とだけ言った。 「まず、互いに一撃のみだ。それ以上やるとこの公園がなくなってしまうからのう」 「了承した」頷く。比喩でも何でもなく、純然たる事実である。 「二つ目に、もうワシの事を善人善人言うな。どうにもこそばゆいんじゃ。善人の称号は赤坊(あかぼん)にくれてやれ」 「了承した。が、善人の称号は赤髪くんには少しばかり合わない。彼は自己欠落者であり、偽善を行動原理にしているからだ」 二人は同時に、あのどうしようもないくらいの欠落者であり、最高の偽善者である少年を思い浮かべた。二人とも、少年を好いていた。 瀟瀟と鳴いていた風はいつの間にか凪いでいた。 To be continued. 肉手袋:パラケルススが作った、人の手そっくりの手袋。ぱっと見、見分けは付かない。 肉仮面:パラケルススが作った、肉性の仮面。セドナの場合、左目を中心に貼り付けている。 様式美に凝っていて触っても見分けは付かないが、貼り付けているだけなので左の視覚は取り戻せていない。なお汗腺もない。
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某月某日、午後六時、とある児童公園にて。 「やあ、ジライっち」という、そんな気軽な声をジライヤは尻に捻り込むような衝撃と共に受けた。そして落ちた。 地面に。さらに言うなら二メートルほどの高さから尻餅をつき、再度ジライヤの尻(尾てい骨と直腸)にダメージを受けた。 「…………………………!!!」 声もでない痛み。何故かジライヤの脳裏に薔薇が散った光景が浮かんだ。 と、そんな男としてぎりぎりの状態になりながら、尻を両手で押さえ呻いていた。 ちなみに着ているのは、最近のお気に入りであるショッキングピンクカラーの短パンに闇夜にとけ込む柄のジャケットである。 下半身がそんなに目立っては上を地味な柄にするのは意味がないのであるが、そこは本人の趣味である。 ファッションに、どうしてもこれ以外着たくない、と主張する人もままいる。 ジライヤはぶるぶると震えながら立ち上がり、自分のかわいい尻を襲った暴徒に逆襲すべく振り向いた。まだ尻は押さえていた。 「……なんじゃ、デカ乳尻羽娘ではないか」 そこに、人気のない公園に居たのは一人の女であった。 流れるような金糸の髪に付けられた、翼を模したバレッタ。神の血を引く者特有の赤眼。恐ろしいほど自己主張している、押し上げられたシャツに包まれた巨大な乳房。 うっすらと割れた腹筋が見える腹。右は膝まで、左を股間部位ぎりぎりまで大胆に露出したGパンを穿いているのは、肉付きの良い腰としなやかな足。 それらのパーツの持ち主はやはりと言うべきか、美女であった。極上とも言うべき白皙の美女であった。 余談ではあるが、彼女の胸に関して、某腹黒は『私って並です……』とコメントし、某ツインテールは『……………』と黙秘権を行使、 某赤髪は、『え、え~と…………。そ、そうだ! 肩こり対策グッズを買いに行こう!と、それぞれコメントを返した。 「そのあだ名は語呂が悪過ぎやしないか? もうちょっとわたしみたいにフレンドリーなあだ名をだな」 【例:セドナ→セドにゃん。衛宮士郎→赤髪くん。プテサン・ウィ→ウィっち。エル・シド→パンダ。etc……】 セクハラなあだ名を憤怒するまでもなく、眉を顰めるわけでもなく、 自身のセンスを自信満々に言うことから。容姿と同じく彼女は常人とは感性も違うらしい。 「なんてことするんじゃ、男の尻を攻めるとは! ワシをせめていい場所は布団の上だけじゃ! 美女限定で!」 怒りの声を上げながら、再度セクハラをかますジライヤ。最後の部分だけは譲らないつもりだろう。込めた魂が違った。 最早、筋金入りの助平である。そもそも、わざわざ住処から遠くまで出歩き、風呂屋の覗きに適したポイント探しから、利用客層(若い子限定)、さらには発見された場合の逃走ルートまで調べ上げているのだから、 最早筋金ではなく筋超合金である。 「ククク、クスクス、いやいや悪かった。声をかけても気付いて貰えなくてね。ついつい、強硬手段に出てしまった。平にご容赦を」 しゃなりとそんな音が立つくらい優雅に金糸の髪を揺らし頭を下げた。ついでに胸を派手に揺れた。どうやらブラジャーの類は身に付けてないようだ。 彼女のこういった服飾の着付けに対して、同居人(女性のみ)は口を酸っぱくして『つ・け・ろ』と再三言っているのだがあまり効果はないようである。 彼女の主張は『きつい』『高い』『特注しないとない』『そんな高い物を何着も買わせるのは悪い』といったものである。 家主である少年としては意地でも着けて欲しいと心の中で思っていた。 「フンッ、まったく」 それで気を許したか、若しくは派手に揺れた乳房で気を許したか。兎に角、ジライヤの声はいつもの声色に戻っていた。 「で、なんのようじゃ? お前さん。そんな物騒な得物を持ち出しおって」 そう言って、ジライヤが指を向けたのは一本の槍であった。 長さ三メートル近い/材質不明の黒色/勝利のルーン/矢印にも似た穂先。 ――それは槍であった。無銘の歩兵槍(スピア)。しかしその重量は常人が振るうどころか、持ち上げることすら困難な質量を有している。 これらのキーワードを聞けばちょっと北欧神話や、それらから派生した物語をかじった者ならわかる事だろう。 神性を剥奪された戦乙女、空を駆る翼を持ちし者。眠り姫の原典。愛憎の果てに愛した者を殺した乙女。 その名は―――――――― 「ブリュンヒルド、だ。『お前さん』と言う三人称もいいが、ここには二人しかいないから、名前で呼んでくれ。愛称はブリュンだ。ぶりゅっちでもいいぞ」 「ブリュンで呼ぶ……」さすがにそんなあだ名で人を呼ぶのは嫌らしい。ちなみにこんな遣り取りも十回を超えている。 「で、何のようじゃ? ワシは忙しいのじゃぞ。(覗きに)」 「君に用があってね。こうして訪ねてきたと言うわけさ」 自分が三人称で呼ぶのはかまわないらしい。都合のよい事だった。 「? 何のようじゃ? ワシに用など……マスター(ゾォルケン)どのから言伝か? いや、それなら念話で伝えられるか」 ジライヤは考えを巡らすが、真相にはたどり着けそうにない、そうした空気を感じ取ったか、ブリュンヒルドは口を開き言った。 「いやいや、用があるのはわたし自身で、個人的な理由からだ」 口元をにまにまと歪めながらそう言った。 「? ますます訳がわからん。お主に用を作らせた憶えはないがのう……」 「これからその“用”を話すから、とりあえず一緒に覗こう」 そう言い、ブリュンヒルドは上を、先ほどまでジライヤが立っていたブランコを指差した。 「覗くのは、いっこうにかまわんが………………どうした? 上らんのか?」 ブリュンヒルドは上れないわけではない。ブランコの何倍の高さを持つビルでも駆け上れる足を持っているからだ。 先に上らないのには訳があった。 「……これがラブコメの世界なら【ニュートンのリンゴは不味い】と言う事実と必然性により、わたしは君を股間蹴りで無理矢理上へ、上らせなければならない。……でゅー・ゆー・あんだーすたん?」 ブリュンヒルドの格好は下はともかく、上はシャツのみだ。もしジライヤより先にブランコの上に上ったらシャツの裾からその巨大な乳房の下部、もしかしたら乳首すら見えてしまうかもしれない。 で、あるからそんなトリビア知識を使った脅迫でジライヤに理解させたのである。 「…………………」 ジライヤは無言で従った。ちなみにニュートンも万有引力も、そのリンゴが不味いことは聖杯に与えられた知識で知っていた。 ブリュンヒルドはジライヤが上ったのを確認すると、彼が振り返るよりも早く宙を跳び、絶妙な体重移動で髪、衣服の乱れ、足音一つ無くブランコの鉄柱の上に降り立った。 to be continude. the next second.
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ブリュンヒルドル ブリュンヒルドの別名。
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【元ネタ】ニーベルンゲンの歌 【CLASS】ランサー 【マスター】 【真名】ブリュンヒルド 【性別】女性 【身長・体重】172cm・59kg 【属性】混沌・善 【ステータス】筋力B++ 耐久A 敏捷B 魔力C 幸運C 宝具A 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。 【固有スキル】 触れずの花:A 男性に対しての攻撃値を上昇させるスキル。 同名の戦乙女は対象への愛が深くなればなるほど絶大な力を現す性質を有するが、 彼女とは逆にランサーは自身の絶大な力に耐えうる・匹敵する者しか愛するに値しないと定めている。 ランサーは生前自らに求婚してきた男たちに力比べを挑み、敗北した者たちを容赦なく屠ってきた。 白鳥礼装(偽):B 戦乙女が纏う、北欧の大神オーディンの加護を宿す白鳥の衣……の模造品。 女神として振る舞うランサーのために仕立てられた一品であり、大神の加護こそ無いものの、ランサー自身の神気を帯びることで機動性能は本物に並び、高速飛行を可能とする。 ただし、ランサーの神性が低下するに従い機動性能も落ちていく。 投擲:A 持ち上げられる範囲の物体を弾丸として放つ能力。 ランサーは槍投げ、岩投げでの勝負で幾人もの求婚者たちに勝利してきた。 …時には盾を投げつける事もある。 【宝具】 『交わらぬひとりの生(ブリュンヒルデ・ソリチュード)』 ランク:A 種別:対人宝具(自身) レンジ:0 最大捕捉:1人 ランサーがある大英雄に屈服するまで有していた武勇、その秘密。 この宝具は常時発動しており、ランサーにAランクの神性を付与し、全ステータスを神霊サーヴァント級にまで引き上げている。 但しこの宝具はランサーの精神と密接に繋がっており、ランサーの精神が揺さぶられるほどに神性は低下し、ステータスもダウンしていく。 そしてランサーの精神が敗北を認めた瞬間にこの宝具は失われ、筋力、耐久、敏捷ステータスはEランクにまで低下する。 生前のランサーは人間を北欧の戦乙女に近づけようとした存在であり、女神のように振る舞い続けるという条件付きで絶大な力を得ていた。 しかし姿を偽ったある男に敗北を認めた事でその力を失ってしまった。 『その武勇を示せ、我を求む者よ(イーセンシュタイン・デュエルフェルト)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2~10 最大捕捉:1人 ランサーが自らへの求婚者たちに力比べを課してきた逸話からの宝具。 一対一により行われる三競技を目的とする領域を作り上げるという、固有結界に匹敵する大魔術。 まずランサーが三つの競技の内容を提示する。 それに対し対象がランサーに挑戦する意思を示し、ランサーがそれを認める事を条件として発動する。 ランサーと挑戦者は提示された三つの競技による三番勝負を行う。 ランサーが勝利した場合はその場で挑戦者は死亡し、ランサーが敗北した場合は宝具『交わらぬひとりの生』を失う事になる。 領域外からの干渉はできず、一度発動すれば決着が付くまで出ることは出来ない。 領域内にランサーとランサーが挑戦者と認識した者以外は入る事は許されず、ランサーが領域内にその存在を認識すると強制的に外部へ転移させられる。 ただしランサーが認識出来ない存在であれば領域に入りこむ事が可能となる弱点がある。 …隠された効果として勝負に敗北したランサーがその敗北に納得しなかった場合、第四の競技が行われる。 その競技の内容は暗闇の中での格闘戦であり、それにランサーが敗北すると納得の有無に関わらず『交わらぬひとりの生』を失う。 【Weapon】 『無銘・重槍』 ランサーが愛用する槍。 宝具ではないもののランサーの大力に耐えうる槍であり、家臣が三人がかりでようやく運べたという逸話を持つ。 『無銘・重盾』 ランサーが愛用する盾。 こちらも宝具ではないもののランサーの大力に耐えうる強度と重量を持ち、時にランサーはこれを守りではなく攻めに使いもする。 【解説】 イースラントという国の女王。 美貌と大力を兼ね備えた女傑であり、使う槍や盾は家臣が三人がかりでようやく運べる代物であったという。 自身の定めた三つの力比べ、槍投げ、岩投げ、幅跳びで求婚者が勝たねばその妻にならず、求婚者が負ければ殺してしまう冷酷さを持っていた。 ブルグント王国のグンター王はジークフリートを自身の臣下という名目で連れ求婚に向かってきた。 姿を消し12人力の力を与える効果を持つ隠れ蓑を使用したジークフリートの助力を借り、グンター王は競技に挑戦した。 途中ブリュンヒルドの投げる槍がグンター王の持つ盾を貫き、グンター王を支えていたジークフリートごと吹き飛ばす出来事もあったが最終的に勝利し、 ブリュンヒルドを妻に迎え入れる事になった。 しかし初夜にてグンター王を縛り上げブリュンヒルドは性交を拒否。 理由はグンター王の臣下だと思っているジークフリートがグンター王の妹クリームヒルトと婚約した事にあるという。 王女であるクリームヒルトが家臣の妻となる事は王女としての資格を失う事に見え、それを疑問に感じていたのだ。 ジークフリートは再び隠れ蓑を使用し、暗闇の中でグンター王の振りをし、ブリュンヒルドと格闘、彼女を屈服させた。 その後ブリュンヒルドはクリームヒルトとの口論の中、以前寝室にてブリュンヒルドを屈服させたのはジークフリートである事を知る。 屈辱の涙を流すブリュンヒルトにブルグント族の戦士ハーゲンは同意を取り、ジークフリート殺害を果たす。 ジークフリートの死後はニーベルンゲンの歌ではほとんど出番はないが、グンター王がフン族の国に向かう際は穏やかに見送っている。
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カード名 ブリュンヒルド 二つ名 決戦型超ド級ヴァルキュリア ログコスト 2 クラスタ 【緑】 構築条件 【緑】 BP 110 サイズ M SP B+ アビリティ1 《Fast》 団結【ヴァルキュリア】 コスト - 同じバトルエリアの隣のユニットが「ヴァルキュリア」の場合、このユニットに「強化」を1枚エンチャントする。 アビリティ2 「Re」 Φルーンフォース【+20】 コスト Φ✥ [このアビリティは1つのリアクション中に1度しかプレイできない]リアクション連鎖終了までこのユニットを「BP +20」する。効果適用後、このユニットに「衰弱」がエンチャント中の場合、それを1枚捨札にする。 TYPE ヴァルキュリア Sub Effect Re覚醒[BP +10] 対象 FREE レアリティ SR 収録 chapter5 グリンウィンド・サガ フレーバー 恋に、焦がれる。 Typeヴァルキュリア配置時の『団結』と、リアクション連鎖中一度だけBP+20する『Φルーンフォース』のアビリティを持つユニット。 デッキ構築をTypeヴァルキュリアに寄せれば、毎ターンBP130となるので、主力ユニットのひとつとして運用できる。 『Φルーンフォース』は打点でも軽減でもなくBPそのものをパンプするので、直接焼き耐性も上がる。 さらに「衰弱」をはがす。 例として、ブリュンヒルドに1枚づつ「衰弱」と「強化」が乗った状態(BP110)にVersion2 アグニの浄火をプレイしたとする。 このままでは焼かれるため、『Φルーンフォース』をプレイ。 BPが130に上がる。これでは焼かれてしまうと思われるだろうが、ブリュンヒルドのアビリティプレイのプロセスウィンドが別に開いて処理されるので、 この時『Φルーンフォース』をキャンセルすることが相手にできなければ、効果適用後が即座に解決されるため、BP150になり、 アグニの浄火を耐えてしまうことが出来る。 よって、 「衰弱」1枚くらいなら、ブリュンヒルドにとってはあってないようなものである。 もう一つの例としては、 ベルゼブブの冥風をAcで打たれた時、Reで『ルーンフォース』を起動し1枚はがす。 その後、何らかのAc行動がブリュンヒルドに向けられたなら、また同じく起動して「衰弱」を完全にはがすと言ったプレイも可能である。 このような「衰弱」剥がしは刻印配置分しかできないが、「衰弱」デッキにとってはかなり厄介なユニットなるだろう。
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【種別】 霊装 【元ネタ】 Wikipedia-グングニル 【初出】 とある魔術の禁書目録SS 第7話 【解説】 ブリュンヒルド=エイクトベルが完成を目指す、北欧神話中最強の武器の名を冠する霊装。 形状としては3メートルサイズの槍。 白兵戦で使うには大きいが、馬上・船上で使うにはやや小さい代物。 材質はトネリコの樹と、入念に熱処理した炭素鋼。 木製の柄に蛇のように複数の金属刃が絡みついており、突き刺すことも重さで潰すことも考慮されている。 その『帯に短し襷に長し』な外見により、明確な用途や戦法を一目で看破できない。 あくまで『主神の槍(グングニル)』として設計された霊装だが、 ブリュンヒルド自身が持つ『聖人』の特性が割り込みを掛けてきており、 気付かない内に『ロンギヌスの槍』の要素が入り込んでいる。 オーディンのみが扱えるとされる『最後のルーン』を世界そのものに刻むことで、 世界中の霊的・魔術的な力をこの槍に集める効果を持ち、完成さえすれば無尽蔵な力の供給を可能とする。 使用にはワルキューレの資質を必要とするため、現状ではブリュンヒルドにしか扱えない。 ブリュンヒルドによれば、グングニルの有名な伝承である、 『投げれば標的を必ず貫く』・『どんな武器でも防げない』などの一見して統一性の無い能力は、 人にとって美味しい能力を後付けした結果であり、この槍の本質を見えなくしてしまっている。 彼女は、「全てのバラバラな能力は、天変地異に対する恐怖心の発露である」と解釈しており、 故にこの槍は、ありとあらゆる天候を完璧に操ることを可能とする。 また、大剣バルムンクを砕いた伝承から、『武器破壊』の能力も持ち、 これを受ければ七天七刀ですら砕かれてしまう。 その能力はすさまじいの一言で、 神裂火織と対峙した際には70%の出力であったにもかかわらず、 落雷・マグマ・氷・塩害・暴風・爆炎・洪水などを自在に引き起こした。 原理としては、北欧神話の世界を形成した要素である、 『炎と氷と霜の魔術的記号』を組合わせることで様々な現象を生み出している。 3つの記号の組合わせという十字教の『三位一体』思想が意図せず反映された形であり、 神裂はそこを突破口とした。 ブリュンヒルドが敗れた後、解析されて新たな火種になる事を恐れた神裂によって破壊され、 連鎖崩壊した『最後のルーン』共々廃棄された。 【関連】 →主神の槍(グングニル) →主神の槍(グングニル)【オティヌス】
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ブリュンヒルト ブリュンヒルドの別名。
https://w.atwiki.jp/gods/pages/19615.html
ブリュンヒルデ ブリュンヒルドの別名。
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【元ネタ】北欧神話 【クラス】ランサー 【マスター】 【真名】ブリュンヒルデ 【性別】女性 【身長・体重】165cm57kg 【属性】混沌・善 【ステータス】筋力B 耐久D 敏捷A 魔力A 幸運E 宝具B 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 【固有スキル】 ルーン:A 北欧の魔術刻印・ルーンの所持。 炎避けの加護:A 火神ローゲの加護により、火属性攻撃に対して強い耐性を得る。 神性:- 主神オーディンと知恵の女神エルダの娘で本人も戦女神ワルキューレであり 本来は破格の神霊適性を持つがオーディンにより神性を剥奪されてる。 【宝具】 『目覚めし戦姫(シグルドリーヴァ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 人間と戦乙女、双方の性質を持つブリュンヒルデの戦乙女としての力の具現。 真名開放によって槍は炎に包まれ、ブリュンヒルデは一時的に力を取り戻し、戦乙女と化す。 この状態では戦乙女としての能力である、炎の環を纏った槍と白鳥の翼による飛行能力が復活する。 【Weapon】 『テュールの大槍』 勝利のルーンが彫られた巨大な槍。 重量はおよそ150kgと規格外の重さを誇る。 【解説】 オーディンに仕える戦乙女の一人。 オーディンの意に逆らった罪により、眠りの魔術をかけられ炎に囲まれた城に幽閉されていた。 炎を乗り越え城を訪れた英雄シグルドの手で、ブリュンヒルデは覚醒し二人は愛を誓い子をなす。 シグルドは再会を約し旅に出るが、再び二人が巡り合った時には、シグルドは陰謀により記憶を失っていた。 記憶を失ったシグルドの手によって、他の男と婚姻させられたブリュンヒルデは、愛憎の末シグルドを暗殺し自殺する。 死後、戦乙女としての姿を取り戻し、冥府の館にシグルドとの再会を求めて赴いたという。 【イメージイラスト】 ブリュンヒルド ブリュンヒルデ