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聖騎士バルテルミー VR 光文明 (7) クリーチャー:レインボー・ファントム 6000 ■このクリーチャーで攻撃するかわりに、タップして次の[TT]能力を使ってもよい。 [TT]自分のシールドを相手に1枚選ばせ、それを手札に加える。それが呪文であれば、手札に加えるかわりにコストを支払わずに唱えてもよい。 ■W・ブレイカー 作者:赤烏 評価 名前 コメント
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キルミー劇場 2号館 キルミー劇場 キルミー劇場 2号館 ミ;ヽ. ミ斗 ミ'シ\ ミ; | ミ';, ヾ;' / ミ ; ,... i,,.ノ _ ≧゙''''", _,,二二´,,・ )≠=- // ̄ /ハ オォ ノハν 〃 ヽ ノ jVハ八ト.. 从N -ヮ-ノハ Zzz.... { U U l. ヾ.,______,ノ ミ;ヽ. ミ斗 ミ'シ\ ミ; | ミ';, ヾ;' / ミ ; ,... i,,.ノ _ ≧゙''''", _,,二二´,,` )< ゲホッ // ̄ オォ ハ /ハ ノハν 〃 ヽ ノ jVハ八ト.. 从N -ヮ゚ノハ ん?. { U U l. ヾ.,______,ノ || || | || || | || | | | | | ハ /ハ ノハν 〃 ヽ ノ jVハ八ト.. 从N;゚д゚ノハ ぬああ!!. { U U l. ヾ.,______,ノ | || || | || || | | || | | | | | | | ハ | /ハ | ノハν | 〃 ヽ | ノ jVハ八ト |.. 从N;゚д゚ノハ な、なんだこれっ!? |. { U U l |. ヾ.,______,ノ | | | | | | ν ν ν | 〃 ヽ 〃 ヽ 〃 ヽ |ノ jVハ八トノ jVハ八トノ jVハ八ト |从N.゚ ヮ゚ノハ从N.゚ ヮ゚ノハ从N.゚ ヮ゚ノハ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | | | | | | ハ | /ハ | ノハν | 〃 ヽ | ノ jVハ八ト |.. 从N;゚д゚ノハ |. { U U l |. ヾ.,______,ノ | ν ν ν ストン | 〃 ヽ 〃 ヽ 〃 ヽ |ノ jVハ八トノ jVハ八トノ jVハ八ト |从N.゚ ヮ゚ノハ从N.゚ ヮ゚ノハ从N.゚ ヮ゚ノハ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | | | | | | | | | | ' '' ' `' ,',,' , | ` ; . ;, ;, ;, | ; . ;, ;, ;, ;, | ` ;. ,.゚ д゚ ,;' | ' '' ' `' ,',,' , ' '' ' `' ,',,' , ' '' ' `' ,',,' , | ` ; . ;, ;, ;, ` ; . ;, ;, ;, ` ; . ;, ;, ;, | ; . ;, ;, ;, ;, ; . ;, ;, ;, ;, ; . ;, ;, ;, ;, えいっ! | ` ;. ,.゚ ヮ゚ ,;' ` ;. ,.゚ ヮ゚ ,;' ` ;. ,.゚ ヮ゚ ,;'  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ これで全部捕まえてやる _  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄__ 〃 ヘヽ / ヽ li jノ|/゙^リi _ / / イ!i(l|´ヮ`ノト 7´ `Z / _ ヨッ! リ/ ゙`y'^i 仆 |/|/Vハ .7 ̄´ . '´ `ヽ ∧_∧ )) ヽヽ ν (〈 j)二i、_〉/八(*゚д゚ノl |/ .{i八八N、| (( / \ ̄ ̄ 丶二二> 〃 ヽ/|___,リ// く ニつ/) パヮ ゚*)从 |● ● ) | ノ ノ.ノ jVハ八ト {/ く/儿〉|ノ_____/ ヽ/ |つ (・ _ / /|\_丶.从N*゚∀゚ノハ<大繁盛だぞ! _,,,_ ○-とソ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄。゜U 。゜ ̄/| 丶 / | |§と7〈〉iつ / ,。~。. i⌒)ν,へ~~~~~~め,゚~_,,.~。~~~/ | ∪ ∪§ ,イl.儿〉 / , '~~〃しノ /,し'~~ゆ_,,,f,,,~~~ ゚蕊袗~~./ ./. ’ ~~しU’/ , '゚~。。。ノ jVハ八ト・。 ~ /》 》 》ヽ ~~T.;~~./ ./ / 。 ' _,,、 ~~从N`д´∩~~ .{《 《 《 _} )) ~.~./ ./ / , '(( ゚ノゞ ))~ ~~ ぷかぷか ~~~ ~~ ゚,/ / | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| / | ポイ小 150円 / ポイ大 600円 |/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄♪ | ソーニャちゃーん♪ | ♪__________/ _ _ 7´ `Z . '´ `ヽ 仆 |/|/Vハ {i八八V、| /八(| ゚~ノl | ハ´ワ`.l)从. // く7〈〉i l | とi〈〉Y⊃ {/ く/儿〉|ノ 〈儿l.7⊃ しU ヽJ ´ ̄` ポチッ _ /´〉,、 | |rヘ l、 ̄ ̄了〈_ノ _/ (^ーヵ L__」L/ ∧ /~7 /) 二コ ,| r三'_」 r--、 (/ /二~|/_/∠/ /__」 _,,,ニコ〈 〈〉 / ̄ 」 /^ヽ、 /〉 '´ (__,,,-ー'' ~~ ̄ ャー-、フ /´く// `ー-、__,| / _ 〃 ヽ? │ V八八| _ 从(l ゚ヮ゚ノハ 7´ `Z Σ / ̄ ̄\ 仆 |/|/Vハ |) ○ ○ (| /八(|. ゚ロノ | /____\. // (]つつ |  ̄`ー' `ー' `ー' ̄ {/ く/儿〉|ノ 川 川 川 しU 川 川 川 ;;;⌒`)⌒`) (´⌒(´⌒;;; ;;;⌒`)⌒`) ( (´⌒;;; _ ,・=・=・=・、 │ V八八| p、从(l゚∀゚ノハp (( / \7〈〉i ∠ 〉 )) やれやれ… . ̄`'/ ̄ ̄\ ~ |) ○ ○ (| _ ~ /____\ 7´ `Z ~  ̄`ー' `ー' `ー' ̄ 仆 |/|/Vハ (( /八(|;゚ -ノl |. // ノ,〈〉i l | {/ くU_U |ノ しし' キルミー劇場 キルミー劇場 2号館
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前ページ次ページヘルミーナとルイズ 思い出すのは水のせせらぎ、草の臭い、頬を撫でる風の冷たさ、彼女の笑顔。 そのすべてが遠く、遠い。 何もかもが懐かしい。 彼女と過ごした時間が、今の彼を突き動かすすべて。 ルイズは、泣いてくれるかな? サイトは力を振り絞ってデルフリンガーを振るう。 一振り二振り、三度振ったところでたたらを踏んだ。 サイトはこんなにもデルフリンガーが重いということを初めて知った。 あいつ、あれで泣き虫だからな。 段々足に力が入らなくなってきた。 槍で突かれた左腕の傷口からは血が溢れている。そこから命が漏れていくような感覚に怖気が走る。 それでも止まらない、止まったらもう二度と動けない。 それに寂しがり屋だし。 着地ざま、剣を力任せ横なぎに払った。 手に伝わる肉と骨を断った、確かな手応え。 周囲に味方なんて誰もいない、適当でも振り回せば誰かに当たる。 いっぱい悲しんで、いっぱい泣いてくれるかな? 大群の前にたった一人で現れた少年剣士は既に満身創痍。 けれど、彼は今この場にいる誰よりも必死に生き足掻いていた。 すべては彼女のために。 結局あんな別れになったけど、俺、お前のこと、好きだったんだぜ。 包囲していた兵士たちが一斉に槍を突き出した。 再び跳躍、敵のいない方へと渾身の力を込めた一飛び。 直後、サイトの耳に届く空を裂く無数の音。 生意気で、我が儘で、短気。でも、そんなところも好きだったよ。 見上げれば空を黒く染める矢の嵐。 サイトは足が地面についた瞬間、足腰すべてのバネを使ってその場から飛び退いた。 そのはずみで、体の中からぶちぶちと何かがちぎれる音がした。 ごめんな。 かわしきれなかった矢が右の腿と背中に刺さった。 転がりながら足の矢だけ引き抜く、背中の矢は転がった際に半ばから折れていた。 既にサイトの体は血で汚れていない場所など一カ所もない。 本当にごめんな。 真っ赤に染まった少年剣士。 生きているのが不思議なほどの傷を負ってなお、剣を握り、離さない。 なぜそのような姿になってまで戦うのか、この場にいる誰もが理解できないでいた。 お前一人残してごめんな。 衝撃。 爆音と吹き上がる炎、かつてテレビの向こう側で見た爆撃のようなそれがサイトを襲う。 ある意味それは正しい。サイトの周囲に向かって、無差別に火玉の魔法が何十とうち込まれているのだ。 お前は泣き虫だから、きっと泣くと思う。 吹き飛ばされる。 投げ出されて、仰向けに倒れるサイト。 それでも起き上がろうともがくが、一度止まってしまった体は、糸が切れた人形のように動かなかった。 でも、いっぱい泣いて、いっぱい悲しんだら…… 何もかもなげうって、少しでも長く生きるためにサイトは懸命に戦った。 一分一秒一瞬でも長く、ルイズのことを考えるために。そうすることだけが、自分の気持ちを証明する唯一の方法だと信じて。 だが、それも終わる。 俺のこと、忘れてくれ。 涙が止まらない、止められない。 もう体は動かない。 握りしめていたはずのデルフリンガーは、既になかった。 全部忘れて……幸せになってくれ。 遠巻きに包囲した兵士たちが、一斉に弓をつがえ、大砲を向け、杖を構えた。 標的は、たった一人のちっぽけな少年。 「ルイズ、ごめんな」 流星のように降り注ぐ死を眺めながら呟いたそれが、サイトの最後の言葉となった。 ルイズはネグリジェ姿のまま、ベットに腰掛けている。 神聖アルビオン共和国の降伏から既に三週間が経過し、トリステインにも平和な日々が戻り始めていた。 出征していた男子生徒たちも皆学院へと帰還し、授業も平常通りのものへ戻った。 窓の外からは光が差し込み時刻は昼過ぎを知らせていた。 寮で生活していた女性生徒たちの殆どは、今は授業を受けるために本塔へと出払っている。 そんな中部屋に残ったルイズの姿は、痛々しいという他なかった。 目は落ちくぼみ、唇は乾いている。 痩せてはいたが、健康的でしなやかであった体は、今や憔悴しやつれ果てている。 視線は虚空を泳ぎ定まっていない。手には以前にサイトへプレゼントしたセーターと、赤い布きれ。 確かに男子生徒たちは戻ってきた。 戦場で生き残り、ギーシュのように勲章を貰ったものもいる。 けれど、その中にサイトの姿はなかった。 代わりに彼女の手元に戻ってきたのは、どす黒く血に染まったパーカーの切れ端とデルフリンガー。 そして、サイトが死んだということを示す紙切れ一枚。 「ルイズ! ちびルイズ! 返事をなさい!」 「ルイズ! お願いだからご飯だけはちゃんと食べて!」 扉の向こう側から響く、二人の姉の声も今のルイズには届かない。 あの日、あのときから、彼女たちの言葉は届かなくなった。 「どういうこと!? 何であんただけなのよ!? サイトは……サイトは一体どうしたのよ!?」 「落ち着けよ、娘っ子……」 「そうよ、落ち着きなさい。あなたが大声をあげても彼は帰ってこないわ」 ルイズの部屋の中、かつてサイトが寝起きしていた藁の上にはデルフリンガーが置かれている。 そしてルイズの横には二人の姉の片割れ、エレオノールの姿があった。 「サイトは……サイトは生きているんでしょう!? 答えて! 答えてよ!?」 目に涙を浮かべ、手には血染めの切れ端を握りしめたルイズが叫ぶ。 最初に届けられたのは手紙だった。 その中にはヴァリエール家が使い魔の三女、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔が死んだことと、その死を悼む内容が記されており、血染めのパーカーが同封されていたのであった。 この際半狂乱に取り乱したルイズに対して、学院は実家への連絡という手段をとった。 そうして呼び寄せられたのがエレオノールとカトレアの二人の姉であった。 最初はルイズを叱咤してルイズを立ち直らせようとしたエレオノールであったが、サイトを呼びながら泣き叫ぶルイズに折れ、最終的には公爵家の力を使って、サイトの消息についての調査を行った。 そうした調査の末、戦場で収集された武器の中に、一振りのインテリジェンスソードがあり、それが盛んに「ルイズ」「サイト」と叫んでいると分かったのである。 エレオノールは直ぐさまその武具を取り寄せる手続きを行って、その甲斐あってデルフリンガーは再びルイズの部屋への帰還を果たしたのであった。 「サイトは……サイトは無事なの?」 縋るような目つきのルイズ。 「相棒は……」 デルフリンガーは言い辛いことを伝えるときの人間のように一度言葉を区切り、やがて決心したように続けた。 「相棒は、死んだよ」 「嘘よっ!」 間髪入れずに叫んだルイズの言葉。まるでその言葉が予め分かっていたような速やかな反応。 「本当だ。相棒は、もうこの世に生きちゃいない。相棒は、最後の最後で俺を手放しちまったのさ……あの中を、ガンダールヴ無しで生き残るは不可能だ」 「それでも……、それでも!」 ゆっくり、崩れるようにして床へ腰を下ろすルイズに、デルフリンガーもエレオノールも、かける言葉が見つからなかった。 デルフリンガーだけが、最後の希望だったのだ。 「生きてるって言って……お願い……」 すすり泣くルイズに、デルフリンガーは「すまねぇ」と小さく返すしかできなかった。 希望が砕かれたとき、人は惑う。そうしたときに、一人で立ち直れるものは強いものだけだ。 だから、長女として、人生の先輩として、エレオノールはルイズに手を貸そうとした。 彼女なりのやり方でルイズの立ち直りを手助けしようとした。 「いつまでそうしているつもり、泣き虫ルイズ!」 「……」 「お父様が止めるのを聞かずに、戦地になんて行くから、使い魔を死なせる羽目になったのよ」 「……」 姉として、妹を心配していた。 だから、結局のところ、エレオノールが次に発した言葉は、彼女の優しさからであったのだが。 「毅然となさい! あんな使い魔が死んだくらいで……」 その一言で、ルイズの中にある、何かが砕けた。 「使い魔くらい……」 どうってこと、と続けようとしたところで、エレオノールが凍りつく。 泣きはらした目で顔を見上げたルイズのそこからは一切の表情が抜け落ちていた。ただその目が、まるでガラス玉のように無機質で、エレオノールはこれまでの人生で一度も妹のそんな姿は見たことがなかった。 その唇が、小さく震えた。 妹が何かを言おうとしていることを気取ったエレオノールは、焦点の定まらないルイズの瞳を真っ直ぐに見返し挑発した。 「はん、何か言いたいみたいね、言ってごらんなさいよ」 再び、ルイズの口が小さく動いた。 「何を言っているのか、全然聞こえないわ。ほら、ちゃんと口に出してごらんなさい」 「おい止めろ姉っ子! そいつは逆効果だ!」 ルイズの異変に気づいたデルフリンガーが大声で静止するが、何もかもが遅過ぎた。 「黙れ」 「……え?」 無表情な顔をした妹が紡いだ言葉の意味が理解できずに、エレオノールは漏らすようにして聞き返した。 一方、ルイズは自分が見上げているものがなんだか分からなかった。 ひび割れたモノクロのステンドグラスのような形をした何か、それが先ほどから耳障りな雑音をまき散らしている。 その音を聞いているだけでひどく頭が痛くなる。 まるで頭の内側から大きなハンマーで、力一杯ガンガンと殴られているようだ。 だから言ってやったのだ、思ったままを。感じたことをそのままに。 「うるさい うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 その日以来、姉たちの言葉はルイズに届かなくなった。 そして姉以外の者たちの言葉も届かない。 今や、彼女たちはルイズにとって『理解できない何か』になってしまったのだ。 彼女たちが、ルイズの心が分からなかったように、ルイズにも彼女たちが分からなくなってしまっていた。 時折部屋の外で発せられる、『何か』が発する雑音。 ルイズはそれが響く度に手編みのセーターと血染めの切れ端を強く握りしめる。 母の庇護を求める赤子のように、それだけが彼女を守ってくれると信じて。 「サイト、助けてサイト。怖いよ、怖いのがくるよ……」 大切な想いを抱きしめたまま、ルイズはベットに倒れこむ。そして子供のように丸くなって泣いた。 部屋の外、エレオノールとカトレアの二人は揃ってため息をついた。 「ごめんなさい、エレオノール姉さま。私が至らないばっかりに……」 そう言って両手で顔を覆って泣き出すカトレアを、エレオノールは抱きしめ慰めた。 「いいのよ、あなたのせいじゃないわ。あなたはあのとき体調を崩していたんだもの、仕方がないわ」 泣きじゃくる妹っ子のカトレアをあやすエレオノールの顔色も曇っている。 「おい姉っ子、あんまし自分を責めるんじゃねぇぞ。お前さんはお前さんなりに精一杯やったんだろ」 壁際に立てかけられたデルフリンガーの言葉にも、エレオノールの顔は晴れない。 「いいえ、何もかも、私の責任だわ」 「……反省と自分を責めることは似て非なるもんなんだぜ」 分かってはいても、返す言葉もない。 しばらくするとカトレアも泣き止み、表面上は平素通りの様子に戻った。 「ちょっとは食べてるみたいだけど、こんな状態じゃ放っておくわけにはいかないわね」 足下にあるトレイには干からびたパンと、冷たくなったスープがのせられている。 そのパンには小さくちぎった跡が残されていたが、とても健康を保つのに必要な量とは言えそうになかった。 「この扉を破ってでも屋敷に連れ帰るしかないわね。屋敷なら目も行き届くし、何より……この部屋に残すのは良くないわ」 使い魔の少年との思い出がある、という言葉を飲み込んだエレオノールは、いつにもまして辛そうな表情をしていた。 「……可哀想だけど、私もそれが正しいと思うわ」 ルイズの心が壊れてしまった翌日、カトレアもまた彼女の狂乱ぶりを目の当たりにした。 ルイズを可愛がっていた分だけ、彼女の受けた心の衝撃は言葉にできないほどであった。 だが、それと同様かそれ以上に、カトレアはエレオノールのことも心配していた。 ルイズの心を決壊させた原因が自分であると、人一番責任感の強いエレオノールは自分を責め続けているに違いない。 カトレアは愛する妹、そして姉までが苦しんでいるのに、何もすることができないという自分の無力さを強く呪った。 「それで?それはいつやるつもりなんだい?」 カトレアの苦悩を余所にデルフリンガーがエレオノールに問いかけた。 あるいは、エレオノールの注意を自分に向けるためだったかもしれない。 「早い方がいいわね。明日か、明後日にでも」 「……エレオノール姉さま、ルイズは……あの子は、お屋敷に帰ったらどうなるんですか?」 痛いところを突かれたという表情を一瞬見せたが、すぐに眼鏡を直すふりをして手で顔を隠してしまうエレオノール。 それだけで、カトレアには今後ルイズがどういった状態に置かれるかが分かってしまった。 「屋敷で軟禁、でしょうね。外を歩けるようになるのは、だいぶ先のことになると思うわ」 冷たい口ぶりでそう答えるエレオノール。 けれどカトレアには分かっている、その真なる暖かさを。 だからいっそうの切なさを感じるのだ。それが追いつめられたルイズの心に届かなかったという、お互いのすれ違いに。 深夜。 気がつくと、ルイズは階段を上っていた。 素足で堅い石段を踏んでいるはずなのに、どういうわけか足下はふわふわとして、まるで雲の上を歩いているようだった。 心地よい浮遊感に身を任せ、どんどんと階段を上っていく。 理由は分からないけれど、一番てっぺんまで辿り着けば、そこにサイトがいる気がした。 「サイト……待っててね、すぐに、すぐに会いに行くから……」 頭がぼうっとする、まるで霞がかかったように上手く考えが纏まらない。 本来結びつくはずの事実と意味が組み合わさらない、そうしているうちにどちらも泡が弾けるようにして溶けて消えてしまう。 自分が何をしているのか、どうなってしまうのかが考えられない。 でもいい、もうどうだっていい、なんだか疲れてしまった。 ただ、楽になりたかった。 階段は唐突に終わりを告げた。 屋上、冬の空気が鼻孔から入って肺を満たした。 普段なら頭がすっきりするようなそれを受けても、熱に浮かされたようなルイズの足取りは止まらない。 そうして、ルイズは終着へと辿り着いた。 屋上の円周を囲む石塀、そこが行き止まり、そこから先に道はない。 でも、その先にサイトがいるような気がした。 ルイズは胸ほどの高さがある石塀をよじ登り、その上に立って地面を見下ろした。 闇が支配する時間、黒に塗りつぶされた世界、どこまでも続いていそうな、そんな光景が目の前に広がっていた。 サイトのそばに行くための一歩。ルイズがそれを踏み出そうとしたとき、雲間から双月の片割れが顔を出し、眼下の一部を淡く照らし出した。 それは、ルイズとサイトが出会った、あの春の召喚の儀式が執り行われた一角であった。 無表情なルイズの目から、一筋の滴がこぼれ落ちる。 すべてはあの場所から始まった。 馬鹿で、スケベで、浮気者で、お調子者で、ちっとも乙女心が分かっていないサイト。 でも、勇敢で、優しくて、いつも守ってくれた、そして何より、私を好きって言ってくれたサイト。 「我が名は」 自然と、口をついで言葉が出た。 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 それは始まりの呪文。 「五つの力を司るペンタゴン」 あの素晴らしい日々の、幕開けを告げた呪文。 「我が運命に従いし」 だからもう一度唱えよう。 「使い魔を召喚せよ」 何もかもを、やり直すために。 光。 背後から自分を放たれる光に気づき、ゆっくりと首をそちらに向けるルイズ。 そこには白く光る鏡のような形をしたゲートが出現していた。 ルイズはゲートが現れた方を、身じろぎせずに、ただ無感動に見つめていた。 そうだ、サイトはゲートの向こうになんていない、いるのは…… 自然と体が正面を向いた。 早く会いたい、サイトに会いたい。 そう思い、再び歩を進ませようとしたところで、声をかけられた。 「あら飛び降り? いきなり目の前で人に死なれるってのいうのも、ちょっと新鮮ね」 聞き覚えのない、女性の声。聞こえた方向、先ほどまでゲートがあったそちらに顔を向けた。 そこには先ほどまであった銀色に輝くゲートはなく、代わりに一人の女性が立っていた。 年の頃は二十歳前後。 腰まで届くロングの髪は薄く紫がかった銀髪、月光に照らされた整った顔立ち、そして何より特徴的な左右色違いの瞳、それらが組み合わさって彼女と その周囲に幻想的な美しさを作り出していた。 けれど可愛らしいかと言われれば否、全体的に紺で纏められている服装は、どちらかといえば妖艶な雰囲気を醸し出している。 妖精というよりは、淫魔サキュバスといった方がこの場合は正しいだろう。 ゲートが閉じて、現れた女。 つまりは彼女が、サイトの『代わり』ということだ。 ルイズが平静の状態であったならば、彼女が現れた意味を悟り、また泣き叫んでいたことだろう。 けれど、今の彼女にそれすらも理解することができない。 ぼうっとした眼差しで女を見つめるルイズ。 対する女もルイズの感情の宿らぬ瞳を見返して、二人はお互いの目を覗き込むこととなった。 ルイズは女の、女はルイズの瞳を覗き込む。 目を見る、ということはその人間の奥底までを見ることに似ている。 人と自分が違うが故に、本来であれば目を見ただけで何かが分かるなどというのはおとぎ話のまやかしだ。 けれど、それが鏡を見るように、同じ瞳に同じ心を持っていたなら? 二人はお互いの内に潜む、深淵を深く覗き合った。 そして直感的に、お互いがよく似たものであると理解する。 それは、同じ何かを持つもの同士のシンパシーだったかもしれない。 「……私の名はヘルミーナ。あなたの名前は?」 女の涼やかな声が聞こえる。 雑音しか聞こえなかったルイズの耳に、久方ぶりの人間の声が届いた。 「ルイズ……ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール」 「そう、ルイズっていうの……何をしてるかは、見た通りなんでしょうね」 口元を隠してくすくすと声を漏らす。 「それで、あなたはどこへ行きたいの?」 「サイトの……サイトのところへ行くの」 不思議だった。 ヘルミーナに問われたままを、唇が勝手に動いて答えていた。 彼女の言葉は砂漠のような乾いたルイズの心に、水滴を落とす如くすっと染みこんでくる。 「そう……あなたも大切な人を喪ったのね」 ヘルミーナの口から漏れた『失った』という言葉がルイズの心を締め付けた。 誰の言葉よりも、重くルイズの心に突き刺さった。 すっと、ヘルミーナが石塀の上に立つルイズへと手を伸ばした。 「だったら、取り戻せばいいじゃない」 「……え?」 ヘルミーナの言っていることがルイズには分からなかった。 だが、『何か』が発する雑音のような不快さは全く感じない。むしろ心地よい不可解さ。 それは人を誘惑する悪魔の声のようだった。 「あなたの手から零れたものを、自分の力で再びその手につかむのよ。私にはその手助けができる」 差し出された手と、ヘルミーナの端正な顔を交互に見つめる。 「そうしてあなたは再び大切なものを取り戻して、心の底からまた笑うの」 冷たく、美しく、微笑むヘルミーナの顔が、月の加減で泣いているようにも見えた。 おずおずと手を伸ばすルイズ、そしてその小さな手をヘルミーナが力強くつかんだ。 泣いた、声を出して泣いた。 恥も外聞もなく、わんわんと泣いた。 ヘルミーナの胸の中、しがみついて、縋り付く。 楽しかったこと、辛かったこと、悲しかったこと、大切な宝石箱をぶちまけるようにして、心の奥から気泡のように沸き上がってくるそれらを全部ヘルミーナにぶつけた。 ヘルミーナは脆い彼女の背中を抱きしめ、その桃色の髪を優しく撫でていた。 こうしてルイズの幸せな少女時代は、一つの別れと一つ出会いをもって、その終わりを告げた。 前ページ次ページヘルミーナとルイズ
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前ページ次ページヘルミーナとルイズ あのときから数えて、三度目の冬が訪れていた。 ルイズとヘルミーナはろくに人の手も入っていない、岩がごろごろと転がっている山道を登っていた。 日はまだ高い。この調子なら目的を果たすのに多少手間取ったとしても、今晩はテントの中で落ち着いて休むことができるだろう。 今更堅い床では眠れないなどというやわな神経は、両者とも持ち合わせていなかった。 「それでルイズ、道は大丈夫なんでしょうね。こんな物騒なところは用事が済んだらさっさとおいとましたいところなんだけど」 そう言ったのはヘルミーナ。 彼女は今年で二十三になるそうだが、現れたときの姿とあまり変わっていない。相変わらずの美しさと妖しさで周囲を惹きつけてやまない。 「そう願いたいわね。私だってこんなところまで来たのは初めてだもの、確証なんて持てやしないわ」 そう答えたのは手に地図を持って、ヘルミーナに先行していた桃色の髪の女性。 ――ルイズだった。 あれからだいぶ背も伸びた。ヘルミーナと出会った頃は彼女の方が十サントほど高かったのだが、今ではほぼ同じ身長になっている。 やせっぽちだった体型も、女性的な丸みを帯びたものへと変わっていた。 胸だけは水準以下であるが、ほっそりとした体つきとのバランスが美しく、それは十分に男を惑わせ得るものとなっていた。 だが、何よりの変化は、その目であろう。 もとよりつり目がちだった目は一段とその鋭さを増し、かなりキツイ雰囲気を放っている。 見たものを震え上がらせるような冷酷な目は、以前のルイズにはないものだった。 二人とも旅装を纏っているが、それが野暮ったい印象は与えない。 一般的に動き回るに向いていないメイジや僧侶用のローブを大胆に改造した着こなしは、それだけでセンスの良を感じさせる。 色はヘルミーナは紫を基調として、ルイズは黒。それぞれ二人のイメージと相まって、彼女たちの魅力を最大限に引き出していた。 「巣立ちを迎えていない火竜の幼体、本当に見つかるのかしら」 「こんな眉唾な情報を見つけてきたのはあなたじゃない。でも、もしも本当なら幼体の『竜の舌』、とても貴重だわ」 この二人、一般的なメイジとは違う、少々特殊な存在であった。 曰く、この世界でたった二人の『錬金術師』。 錬金術の練金は土魔法『練金』を意味するものではない。 素材を調合し、全く違う効果を持つ様々な薬やアイテムを作り出す研究者の総称、それが錬金術師である。 それがヘルミーナが召喚された翌日に、ルイズに語って聞かせたことだった。 そして今、彼女たちは旅の空の下にいる。 二人が出会った翌日、ヘルミーナは自分が錬金術師であること、材料の収集中に魔物に襲われ、その先にあったゲートに飛び込んで難を逃れたこと、そして自分は親代わりであった先生を捜して旅をしていたことをルイズに話した。 一方、ルイズはここがハルケギニアという世界であること、ヘルミーナは異世界から来たかもしれないということ、この世界に錬金術というものがないことを伝えた。 この頃になるとルイズも本来の冷静さを取り戻し、お互いに必要な情報の交換が行うことができた。 特に、お互いの関心事については念入りに話し合った。 ルイズにとっては、錬金術のその技。人工生命や死者蘇生、聞いたこともないような途方もない錬金術の奥義の数々。 ヘルミーナにとっては、異世界の存在とそれに付随する様々な未知なる事柄、そしてルイズが喪ったという少年の話。 そうしてお互いの関心事が分かったとき、ルイズはヘルミーナに申し入れたのだ。 『自分に錬金術を教えて欲しい』と。 ルイズのこの申し出をヘルミーナはしばし検討し、結果として承諾した。 そこにどの様な思惑があったのか、神ならざるルイズには分からなかったが、確かなことは自分が一筋の光明をつかんだという事実であった。 ヘルミーナは自分が元の世界へ戻るまでの間、ルイズに錬金術を教える、その代わりに自分が戻るための手助けをして欲しいと言った。 ルイズは一も二もなくこれを快諾し、この世界で最初の『錬金術師の弟子』となった。 そしてその日の夜、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールは学院から失踪した。 あれから三年、ルイズは一度もトリステイン魔法学院を訪れていない。当然ヴァリエール公爵家にも。 今、ここにいるのはただのルイズ。 貴族の名誉も、家族も、友人も、何もかもを捨て去った、ただのルイズであった。 「毎度思うんだけど、空飛ぶ箒ってこういったところでも使えれば便利じゃないかしら」 「仕方がないわ、あれはそういうものだもの。大ざっぱな移動はできてもこういうところを飛ぶのは向いていないわ」 ルイズの軽口にヘルミーナが相づちをうつ。 深い意味はない、毎度の愚痴と切り返しの応酬だ。 ルイズとヘルミーナは弟子と師匠、召喚者と被召喚者という関係にありながらお互い対等の立場をとっていた。 お互いが教師であり生徒、そんな二人は主人と使い魔の証である使い魔の契約、すなわちコントラクト・サーヴァントも済ませていなかった。 ルイズにとって使い魔とは生涯あの少年ただ一人であったし、ヘルミーナ自身も使い魔という立場を望まなかったからだ。 空飛ぶ箒の調合材料である風石の品質、その調合に使われる中和剤の元となるラグドリアン湖の水についてお互いに意見する。 いつも通りの大して実りもない雑談をしばし続けたあと、二人は目的地周辺に到着した。 「情報によればこの辺のはずね。ルイズ、準備は良い?」 「氷属性のブリッツスタッフでしょ。分かってるわ」 ルイズが背負った革袋から強烈な冷気を放つ杖を取り出すと、ヘルミーナも同様にそれを取り出して手に持った。 「標的はあくまで幼体だけ。もしも成体に見つかったら一目散に逃げる。良いわね」 「幼体を見つけたら二人でブリッツスタッフを使ってブレスを使われる前に倒す。手順は覚えてる、大丈夫よ」 彼女たち二人の目的は竜の舌、それも幼竜のそれだ。 竜の舌は錬金術の素材としても大変貴重なものであるが、その中でも幼竜のものとなるとその価値は跳ね上がる。 幼い竜は常にその周囲を成竜たちに囲まれて生活している。 単独で行動する成竜を相手にするよりも、幼竜を相手にする方がよほど骨が折れるのだ。 なぜそのような明らかに危険過ぎる幼竜を、女二人で探しているのか? それは今ルイズが手にしている一枚の紙切れに原因があった。 多数の火竜が生息する火竜山脈、彼女たちはそこへ鉱石の採集が目的でやってきた。 準備を整えるために立ち寄った麓の町に一泊したときのこと、彼女たちは酒場で気になる言葉を耳にした。 それは「火竜山脈の一角で、親とはぐれた幼竜を見かけた」というものであった。 普段ならそんな与太話、酔っぱらいの戯言と聞き流すところだったが、それが火竜山脈近郊で幼竜となると話は別だ。 ヘルミーナとルイズはそれを喋っていた傭兵風の男に近づいて、酒を奢り、しなだれかかり、女の武器を使って詳しい話を聞き出した。 商隊の護衛だという男は、昨日まで火竜山脈の一部を通る護衛の仕事についていたらしい。 多数の火竜が生息する火竜山脈は、ハルケギニアでもトップクラスに危険な一帯であることは間違いないが、山脈のどこへ行っても竜と遭遇するというわけでもない。 竜たちの生活圏の外ならば、その危険度は大幅にダウンする。 無論、群からはぐれた竜が出現する可能性も完全には否定できない、 そういうわけで、彼は竜のテリトリーの外を横断する商隊の護衛任務を引き受けていたらしい。 危険は大きいがその分報酬も大きい、運悪くドラゴンに遭遇しなければしばらく遊んで暮らせる。 そんなことを心の支えにしながら、怯えつつもきちんと護衛の仕事を果たしていた彼は、もうすぐ山脈が終わろうかというところでそれと遭遇したらしい。 まだ翼で飛ぶこともできないよう、幼い竜の子供。 幼竜の周囲に親竜たちがいる。 子育てに神経質になっている成竜たちは非常に好戦的である。 危険きわまりない幼竜と遭遇してしまった彼は、正直なところ死を覚悟した。 けれど、不思議なことに幼竜の周辺には他の竜の姿はなく、商隊が竜を刺激しないように息を殺して歩を進める間も、結局何も現れなかった。 そうして、商隊と男は無事に街へと到着したというのが話の顛末であった。 しきりにルイズのお尻を触ろうとする男をあしらいながら聞き出したのは、なかなかに貴重な情報であった。 最後に男に地図を見せて場所を確認してから、彼女たちは酒場をあとにした。 そして今ルイズが手にしている紙切れこそ、男が幼竜と遭遇したという場所が記された地図であった。 「まだこの辺に居てくれると嬉しいわね」 「ハルケギニアの竜の生態は分からないけれど、目撃されてからまだ三日。この周辺に居ると考えるのが妥当でしょうね」 その『周辺』とやらがどの程度の範囲なのか分からないから困るのだとルイズは嘆息した。 冬とはいえ、火竜山脈は暑い。 山頂付近の蒸し風呂じみた暑さではないにしろ、二人が今いる場所も十分に暖かかった。 加えて、街から山の入り口までは空飛ぶ箒で飛んできたものの、そこからは徒歩。 火竜の幼体がその場所を離れてしまう可能性を考えて、二人は割と強行軍でここまで上ってきている。 ヘルミーナもルイズも、弱音は吐かないものの、美しい顔を流れる汗は正直であった。 「……少し探して駄目なら、一度休憩にしない?」 「……賛成ね。ドラゴンも、もっとじめじめして空気が淀んでる地下に住めばいいのに」 そろそろ付き合いも長くなってきたこの師匠の変な趣味には口出しせず、ルイズはあたりを見渡して休憩ができそうな場所を探した。 ルイズの視界の端を、ちらりと動く何かの影が横切った。 「! ヘルミーナ! あそこ!」 胸元を手で扇いでいるヘルミーナを余所にルイズが指さしたその先、小高く積み上げられた岩の上、そこには赤い獣の姿があった。 大きさは牛ほどもあるだろうか。赤い鱗に覆われ、背中には折りたたまれた翼がある。 間違いない。ハルケギニア原産の火竜種の幼体であった。 ルイズが気づくと同時、幼竜もルイズたちを確認したのか、威嚇の唸りをあげた。 発見したのはルイズ、だが先に反応したのはヘルミーナ。 「ブリッツスタッフ!」 ヘルミーナが手にした杖の先端を幼竜へと向けると、そこから一直線に強烈な冷気が迸った。 同時、幼竜の喉の奥がオレンジに輝き、恐怖と共に語られる火竜の象徴、ファイアブレスが放たれた。 幼くともドラゴンはドラゴン、そのブレスはヘルミーナのブリッツスタッフの冷気を相殺せしめる程の威力があった。 しかも、その余波は二人の肌を軽い熱波をもって炙っていった。 相殺どころか、押し負けている。 熱気と冷気がぶつかり合い、その余波で発生した水蒸気、それによってルイズたちの周囲はまるで霧にでも包まれたかのようになっていた。 「ヘルミーナ! 杖!」 そう言ってルイズは手持ちのブリッツスタッフをヘルミーナに放り投げた。 ブリッツスタッフはその性質上、使えば使うほどに充填された魔力を消費していくマジックアイテムである。 つまり、追撃には初撃以上の攻撃力は望めない。 その最初の一撃がブレスを押し返せないと分かった以上、彼女たちが考えていたブリッツスタッフを使って、遠くから力任せに押し切るという作戦は使えなくなったのである。 真っ白の視界の中、ドラゴンがいた方向へと一直線に駆けるルイズ。 懐から小さな杖とピルケースを取り出し、器用に片手でケースの中身を口に運ぶ。 口に含んだ錠剤を奥歯で噛み砕き嚥下して、次に呪文を唱え始める。 薬の助けを借り、意識と肉体とを切り離す。意識は呪文に集中し、体はただ最初に決めた通りに前へ向かって走るだけ。 そうして彼女は走りながら、見事呪文を完成させた。 霧が薄れ、再び視界が戻ったとき、幼い竜の目にはナイフを片手に持った女が自分へ向かって走ってきているのが映っていた。 このとき、幼い竜は飢えていた。数日前に親竜とはぐれて以来、常に空腹だった。 しばらく前に餌になりそうなものを見かけたが、それは数が多く体が大きく、諦めざる得なかった。 今回見つけた餌はそのときのものと同じ形をしていたが、先のやつよりも小さく、何より柔らかくて美味そうだった。 目の前の餌を食べる。捕食者の頭は、その原始的な欲求を満たすことでいっぱいになっていた。 幼竜の顎が開く。今ぞ高熱のブレスが吐き出されるという段となっても、駆けるルイズに怯みは感じられない。 だが、ドラゴンにしても躊躇いはない。 真っ直ぐに岩場を上ってくるルイズに向かって、灼熱のファイアブレスが浴びせかけられた。 これで終わり、一巻の終わり。 人の身でドラゴンのブレスの直撃を受けて、無事で済む道理などありはしない。 だが、次の瞬間獲物を確認しようとのそりと動いた幼竜を襲ったのは、腕に走る焼け付きような鋭い痛みだった。 「ギッ!」 突然襲った未知の感覚。それは不快で、ひどく幼竜を苛立たせるものだった。 「ギャギャッ!」 体中を使って痛みと怒りを露わにする。 そうしてじたばたと手足を振り回す幼竜から、素早く飛び退いた影一つ。 五体満足で、火傷一つ負っていないルイズの姿。 その手には赤い血を滴らせた、一振りのナイフ。 しくじった。 折角のイリュージョンの魔法が成功したというのに、肝心のナイフは幼竜の腕に傷を負わせることしかできなかった。 正面に投影した幻を囮に使い、自身は側面から奇襲を仕掛ける。そして首尾良く接近したならば必殺の一撃でもって絶命させる。 これがルイズの計画であったのだが、詰めが甘かったとしか言いようがない。 幼竜は未だ健在であるし、そのどう猛さは手負いになったことで、ますます手がつられなくなってしまった。 本来ならこれは一時退却して体勢を立て直すのが定石。だが、それを決行するにはルイズはブレスの射程範囲内部に、深く入り込み過ぎてしまっていた。 引けば丸焼き良くて生焼け、ならば攻めるか? これもまた上手い方法とは考えにくい。 今のルイズの位置は引くには近過ぎるが、攻めるには遠過ぎる。 ならばどちらがマシか? 頭がその回答を導き出す前に、ルイズの体は前へと飛び出した。 弾丸のような俊敏さをもって飛び出したルイズを見て、竜は大きく口を開けた。 喉の奥では既に赤い焔が灯されている、あとはその塊を怒りに任せて吐き出すだけ。 あるいは、幼竜が冷静であったならば、また違った行動に出ていたかもしれない。 自分に躊躇いなく近寄ってくることや、これだけ火を吐いても未だ食事にありつけないでいることで、危険を察知して逃げ出していたかもしれない。 だからそれはある意味では不幸中の幸い、ルイズの功績だったかもしれない。 とにかく、竜は怒っていた。 怒っていたのである。 幼竜の口から、炎の吐息が放たれた。 正面から飛び込んでいったルイズの目の前が、美しいオレンジの光で埋め尽くされる。 それはとても綺麗で、あの夜に、石塀の上から見下ろした闇によく似ていた。 ルイズの耳元で、誰かが囁いた。 ただのルイズになって以来、何度も耳にした甘い誘惑。 (これでサイトのところに行けるのよ) サイト、その名前を思い浮かべただけでルイズの心がキリキリと痛みを感じた。 自分を残してどこかへ行ってしまったあの少年、誰かが書いた悪魔のシナリオの向こう側に消えてしまった大好きだった彼。 そのサイトに逢える、また逢える。 それを思うだけでルイズの体は力を失ってへたり込みそうになってしまう。 「ブリッツスタッフ!」 彼女を幻想から連れ戻したのは相棒の鋭い叫び声だった。 目前に迫った赤い瀑布に、白色の寒波が叩きつけられる。 瞬く間に周囲はもうもうと水蒸気が立ちこめ、視界を奪った。 いつの間にか幼竜とルイズの延長上へとその位置を移動させていたヘルミーナが、ブリッツスタッフに込められた冷気の魔力を解放し、ルイズの背中越しにそれを放ったのだった。 甘美なる誘惑に屈しかけた精神が、強引に現実へと引き戻される。 意識が飛びかけていたそのときも、ルイズの両足はきちんと目標地点へ向けて動いてくれていた。 ルイズが気がついたとき、そこは既に竜の眼前。手を伸ばせば触れられる距離だった。 驚いた幼竜が再びその口を開けてブレスを吐きかけようとする。 だが、四度目のブレスが放たれるより早く、ルイズの手中にある白銀がきらめき、鱗ごとその喉元を真横に切り裂いていた。 ファイアドラゴンの幼子が横たわっている。 その喉元からは赤い血が噴水のように勢いよく噴き出して、周囲を赤く染めていた。 「お見事な手並みだわ」 返り血を浴びるルイズの背後から手を叩く音がする。 ルイズが振り返るとヘルミーナが小さく拍手しながら岩山を上ってきているところだった。 「うつろふ腕輪はあなたに渡しておいて正解だったわね」 非力なルイズが、幼いとはいえ竜の鱗の防御を貫けた要因、ルイズの右手にはめられた腕輪を見ながらヘルミーナが言った。 うつろふ腕輪、人間の力を引き出すことができる腕輪。 しかもルイズが手につているそれはヘルミーナの特別製。武器を使った直接攻撃でなら、ドラゴンの鱗も切り裂けるかもしれないと、以前彼女が笑って話していたものだったのだが、本当に切り裂けたのは驚きであった。 「さて、仕上げね」 幼竜相手とはいえ、竜殺しを成し遂げたという感慨もなく、無表情のままのルイズが倒れた獲物に向き直った。 喉と口から血を溢れさせる幼竜、その口からはヒューヒューと風が抜けるような音が漏れている。 そのどう猛さとはアンバランスなつぶらな瞳が涙に濡れて、鮮血にまみれたルイズを見上げていた。 ルイズはそんな竜の姿を見ても眉一つ動かさずにその場に片膝をつく。 ついた左の膝を竜の下顎に、そして右足の裏を上あごへと当てて、足に力を込めてその口をこじ開けた。 そして、血の海になった口内に目的のものを見つけるとルイズはそれを素早くつかみ、根本からナイフを使って刈り取った。 直後激しく痙攣する幼竜から、ルイズは転がるようにして距離を離すと、ゆっくりと立ち上がった。 その左手には。血まみれの竜の舌。 「終わったわ」 「そう、それじゃ時間も早いし戻りましょうか」 二人は特にそれ以上この件に関して話をすることもなく、先ほど上ってきた山道を下山し始めたのだった。 そのあとには、哀れな竜の骸が一つ。 前ページ次ページヘルミーナとルイズ
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前ページ次ページヘルミーナとルイズ ガリア王国、王都リュティス。 数ある酒場の中でも、中の上といった格付けに入る一軒。 様々な層の平民にお忍びの貴族、まっとうな商売人から人様には言えない仕事に従事するものまで、その客層は多種多様。 そこに旅から帰還したルイズたちの姿があった。 火竜山脈での『竜の舌』採集からは既に四日が経過している。 あれから山を下りて街へ戻った二人はそこで一泊宿をとり、ぐっすり眠ってからリュティスへの帰路についた。 当初はルイズが浴びた竜の血が酷い悪臭を発していたのだが、街に戻り次第それを捨てて新しい服を調達、念入りに湯浴みして香水をつてごまかすこと四日、ようやくその臭いからも解放された。 今ならこうして酒場にいても臭いのせいで目立つということもないだろう。 テーブルを挟んで向かい合っている美女二人。 ちびちびと舐めるようにして酒を飲むルイズと、ゆったりとした動作で時間をかけて杯を呷るヘルミーナ。 別に『祝杯』というわけでもない。 採集へ出かけて帰ってきた日の夜にはこうして酒場に足を向ける、これがこの三年間における二人の日常であった。 二人の錬金術師は現在このリュティスに工房を構えている。 表向きは薬屋として、裏では後ろ暗いマジックアイテムでも用意してみせる何でも屋として。 錬金術というものは何はともあれ金を食う、それがルイズが最初に学んだことだった。 魔法学院をあとにした二人は、道々で適当なアイテムを作ってはそれを売り払いながら路銀を稼ぎ、旅を続けた。 そうして辿り着いたのがガリア王国は王都リュティス。 人口三十万人を誇るハルケギニア随一の大都市、そこに二人は工房を据えることにした。 人が多く活気もある、これは裏を返せばろくでもない人間も多数集まっているということだ。 ヘルミーナとルイズは最初しばらくの間は宿に腰を据えて、こうして酒場に出入りして依頼人を捜すことを繰り返した。 そうやって一月もたつ頃には、街の大通りから一本入った通りに面した一軒家を借りられるくらいに、纏まった金が集まっていた。 この頃になると既にルイズは、錬金術というものが金になると学んでいた。 無事王都リュティスに工房を構えた二人は、今度は必要な機材を集めるための資金集めに奔走した。 昼間は薬屋として、夜は事情を聞かないで不思議なマジックアイテムを作ってくれる便利屋として、酒場ややってきた顧客を通じて積極的に宣伝を行った。 ヘルミーナの予想通りというかなんというか、ルイズがあっけなく感じてしまうほどに、二人の名は瞬く間にリュティスの裏側へと浸透していった。 何より二人にとって何より幸運であったのは、ガリア王国で常に燻っている政争の存在であった。 事情を詮索せずに、金次第ではどんなアイテムでも作ってくれる店。それは彼らにとっては実に歓迎すべき存在であったのだ。 官憲の手がまわりかけたこともあったが、そのうち何度かが勝手に解決されたことになっていたのは、お互いに持ちつ持たれつの関係を築けたという証左だろうか。 そうやって工房を構え、名前が売れてきてからも、ルイズたちは定期的に酒場に顔を出すことを欠かさなかった。 勿論営業努力という面もあったが、二人の本来の目的は金などではないのだから、その真の意味合いは情報収集にあった。 酒場の客や情報屋からえられる情報、そのうちに少しでも興味が引くものがあれば西へ東へ飛び回るのである。 この日も、新たなる情報と仕事の依頼を求めて顔を出していたルイズとヘルミーナだったが、結果は芳しくなかった。 こうなると特にやることもないルイズは酒を飲むことくらいしか時間をつぶす方法がない。 片手にグラスを持って、あまり美味しそうには見えない飲み方でちびちびと酒を舐める。貴族様が好んで飲むような高級ワインではない、平民も口にするような蒸留酒。 ルイズには酒の味は大して分からなかったが、ヘルミーナに言わせると値段の割には悪くないらしい。 手持ち無沙汰になった左手では手にしたネックレスを弄っていた。 アクセサリーのようなそれも、錬金術師としてルイズが制作したものの一つだった。 一見すると菱の形に整えられた黒い水晶、しかしその正体は錘の形の容器に入れられた黒い液体であった。 暗黒水。錬金術によって作られる毒薬の中でもとびっきりの劇薬である。 並の錬金術師には目にかかることすら適わない、大海原のように奥が深い錬金術の中でもかなり難しい部類に入るそれを、自前で作り出せる程にルイズの腕前は上達していた。 元々勉学に関しては得意な方であったルイズは、明確な目的を備えたことで錬金術という学問において目覚ましい成長を遂げていた。 ヘルミーナが言うには「私ほどじゃないにしろ、あなたも十分に天才ね」とのこと。 「あれ……おめぇ、娘っ子、ルイズ! ルイズじゃねぇか!?」 近くから、どこかで聞いたことがあるような声が聞こえた。 幻聴が聞こえるほどには飲んでいない。ルイズは左右を見渡して声の主の姿を探した。 「おい俺だ! 俺だよ! こっちだこっち!」 ルイズがそちらを向くと、隣でテーブルに突っ伏していびきをたて寝ている男の姿が目に入った。 「また、酒弱くなったのかしら」 元来強い方ではなかったのだが、ザルのヘルミーナに付き合っているうちに、多少は飲めるようになったルイズである。 「そっちじゃねぇ! こっちだよ! テーブルの下だ!」 訝しんだルイズがそちらの方を見てみると、そこには一振りの大剣が転がされていた。 ルイズの中で、やや胡乱になっていた記憶のピースがかちりと嵌る。 「あら、お久しぶりね。デルフリンガー」 だらしなくぐーぐーと寝ている傭兵風の男の足下、そこに転がっていたのはかつての使い魔、あの少年の手にあったインテリジェンスソード、デルフリンガーであった。 当時よりも薄汚れて錆が浮いているようだ、つまりは今の持ち主はその程度ということなのだろう。 「こんなところじゃぼちぼち話もできねぇ、ちょっと俺をそっちのテーブルの上に置いてくれよ」 「私から話すことなんて一つもないわ」 冷たく切り捨てるルイズ、だがデルフリンガーは食いついた。 「そんなこと言うなよ。おめぇさんだって、あのあとのことが気になるんじゃねぇのか?」 「興味ないわ」 取り付く島もない様子のルイズに、デルフリンガーはそれでも引き下がらない。 「いいから俺をそっちにあげやがれ! こうして出会ったのはきっと相棒の導きなんだよっ!」 大声をあげたデルフリンガーに、酒場中の注目が集まる。自然とその方角にいた二人にも視線が刺さった。 「話くらい別に構わないじゃない」 ヘルミーナから「あまり目立つことはするな」という意味の台詞。 ルイズは嘆息を一つ漏らし、仕方なくといった手つきでデルフリンガーをテーブルの上へと置いた。 「いやぁ、それにしても久しぶりだな娘っ子!……って、もうそんな歳でもねぇのか。嬢ちゃんって呼んだ方が良いか?」 「別に。呼び方なんて何だって良いわ」 その声を聞くのも不愉快だというふうにそっぽを向いてルイズはグラスの中身を舐めた。 「つれねぇなぁ……以前はもう少し付き合いが良かったぜ」 「そういうあんたは変わりないようね。凄く気に触るわ」 「そりゃあ、俺はインテリジェンスソードだかんね。ちょっとやそっとじゃ変わらねぇよ」 カタカタと柄が鳴る、ルイズはこれがこの剣が笑うときの仕草であったことを思い出した。 「お前さんは……随分と変わったみたいだな」 ルイズはつまらなそうな顔のまま、デルフリンガーの言うことをじっと聞いていた。 遮る声が入らなかったことを続けても構わないと受け取ったのか、デルフリンガーは言葉を続けた。 「背丈も伸びたみたいだし、ぺたんぺたんだった胸もちったあ膨らんだみたいじゃねぇか。何よりそう、……美人になったよ。もしも相棒が生きてりゃ、きっと見惚れてたと思うぜ」 ガシャン という音が響いた。 酒場を満たしていた喧噪がピタリと止み、一瞬の静寂が世界を支配する。 ルイズはこのとき初めて店内に竪琴を奏でている奏者がいることに気がついた。 客たちの視線が視線が一斉に音の方向へと向く。そこにはテーブルにグラスを勢いよく降ろしたルイズの姿。 その表情は先ほどまでと変わらぬ無表情だったが、凍えるような冷たさを秘めたものになっていた。 静けさはいつまでも続かない。水が低いところに流れ落ちるようにして、すぐに人々の発する騒音に飲み込まれ、取って代わられた。 人々はもう先ほどまでの静寂など忘れたように、飲んで唄って馬鹿話に花を咲かせている。 ただ一つ、ルイズたちの座るテーブルのある一角を除いて。 「……悪かったよ。その服で、気づくべきだった」 ルイズの身につけた黒い服、それが喪服であることに気づけなかったのは彼らしくない迂闊であった。 陶器でできた仮面でも被っているように冷たく非人間的な無表情をしたルイズに、デルフリンガーが詫びを入れる。 「……」 「すまねぇ」 デルフリンガーにとって何とも気まずい沈黙が舞い降りた。 何も喋らないルイズであったが、その無言はむしろデルフリンガーに息苦しい重圧となってのしかかる。 厨房で作られた美味しそうな香りを放つ料理を運ぼうとしていた給仕が、避けて通った。 すえたような臭いを放つ平民の酔っぱらい二人組が、そばを横切ろうとして思い直す。 男のいない席で酒を飲んでいる美女二人を見つけた優男が、声をかけようか考えて結局諦めた。 そういったある種の『触れてはいけない空気』の底に、ルイズたちのテーブルは沈み込んでいった。 「辛気くさくていけねぇ! 話題を変えるぜ娘っ子。それで、あのあとのことはちったあ聞いてんのかい?」 耐えかねたのか、わざとらしいほど明るい声でデルフリンガーが次の話題を提供した。結局呼び名は以前のまま『娘っ子』で通すことにしたらしい。 彼なりの気遣いなのだろうが、それすらも今のルイズには気に入らなかった。 「さっきも言ったけど、そんなことに興味はないわ。知らなくたって別に私は困らないもの」 「んじゃそれでも構わねぇよ。俺が勝手に喋る、お前さんはそれを聞く。これでどうだ?」 「……勝手にすれば」 ルイズはテーブルにあった酒瓶を手にとって、中身をグラスへと注いだ。 舐めるようにして飲んでいたはずなのに、いつの間にかグラスの中は空になっていた。 「お前さんたちがいなくなっちまって、学院はもう大騒ぎだったんだぜ。特に姉っ子二人の慌てようったら……」 そう語り始めたデルフリンガーの昔話は、ルイズにとっては知っている事実と、予想できる範囲の出来事の、実につまらない内容であった。 手紙も残さず消えた名家の子女と怪しい女。二人の失踪は役人によって連れの女による誘拐と判断され、即刻トリステイン中にルイズの似顔絵と背格好、連れの女の人相などが書かれた手配書がまわされた。 しかし彼女たちの行方はようとして知れず、有力な手がかりがつかめないまま時間だけが経過した。 その先の春期休暇、夏期休暇にはルイズの学友たち、キュルケ、タバサ、ギーシュ、モンモランシーによって遠隔地や都市を巡る自力による捜索も行われたらしい。 それでも、彼女たちの学院卒業までに集めることができた情報といえば「それらしい人影がガリア方面に向かう馬車に乗った」という目撃証言だけだったそうだ。 そうして一年と少しの時間が過ぎ、ルイズの同窓たちは卒業を迎え、それぞれの進路へ旅立っていった。 エレオノールとキュルケたち、それにコルベールの嘆願でそのままにされていた寮の部屋も、彼女らの卒業と共に片づけられ、今では別の生徒が使っているそうだ。 同時、休学扱いとなっていたルイズの学籍も正式に退学となり、学院にはルイズが在学していたという痕跡は何もなくなった。 書類の上ではルイズの所持品ということになっていたデルフリンガーにはこのとき、エレオノールに引き取られてヴァリエール家の所有になるか、コルベールが身受けして学院の備品となり、引き続き居残るかの選択肢が与えられた。 そして、結局デルフリンガーが選んだのは第三の選択肢。 デルフリンガーはエレオノールに自分を武器屋に売却して欲しいと頼み込んだ。 どこか一カ所に留まるよりも、世界中を行き来する誰かの手に渡れば、もしかすると再びルイズに出会える日が来るかもしれない。 何よりも自分は剣だ、武器だ。屋敷の倉庫や学院の研究室に放置されるのは、自分の在り方じゃない。 例え持ち主を失っても、次の持ち主の手に渡り振るわれることこそが自分の在り様なのだと、デルフリンガーはエレオノールを説得したらしい。 結果、エレオノールはデルフリンガーの言う通りに彼を武器屋へ売却した。 そうして半年、ついに買い手がついたデルフリンガーは、新たな持ち主の剣となった。 その持ち主とやらが、今ルイズたちの隣のテーブルで気持ちよさそうに寝ているこの男らしい。 「それにしても、ガリアにいたってのは驚いたぜ。それに印象も随分変わっててよ、オデレータオデレータ」 黙ってデルフリンガーの話を聞いていたルイズ。先ほど継ぎ足したはずのグラスの中身はもう半分になっていた。 「馬鹿ね。トリステインなんて探し回っても見つかるわけないじゃない」 ルイズはつまらなそうにそう漏らすと、テーブルの上に置かれたアイスペールから、大きめの氷を取り出してグラスに入れた。 この店の目玉は、店からのサービスとして出される『氷』にある。 普通は高級な酒場で貴族が馬鹿みたいな金額を払ってワインを頼んだ際にボトルクーラーに入れられて出てくる氷。それをこの店ではどんな客にでも、平民でも貴族でも、分け隔てなく出しているのだ。 勿論そのための追加の料金などはとらない。他の店と同じ程度の料金で、きちんとした口にできる氷が出てくるのである。 それには当然ながらからくりがある。 この店にあって他の店にないもの、それがルイズたちの作った製氷器の存在である。 錬金術の研究と応用、そして実践。その上でたまたま完成した製氷器、特に自分たちには使い道のないそれを、ヘルミーナの言い分でこの店に売却したのだ。 それ以来、酒場は連日満員御礼。結果としてルイズとヘルミーナは酒場の店長から、様々な面での便宜を図ってもらえるようになったのである。 「まあ、無事で何よりだ。のたれ死んでやいないか心配したんだぜ」 「……ふぅん」 グラスを手元で揺らすと、中で氷が転がって澄んだ音がした。 別に酒が好きというわけでもない。 ただ、酒を飲んで、やがてその後にやってくる酩酊感は嫌いではなかった。 そういう意味においては、今口にしているそれはワインなどよりもよほど適している。 けれど、今日はなんだか気持ちよく酔えそうになかった。 「まあ、お前さんも色々あったみたいやね」 「そう?」 「見てりゃ分かる」 色々あった、と言われてルイズは自嘲気味に笑った。 確かに色々なことがあった、命を狙われたこともあったし死にかけたこともあった。 錬金術の習得はとても楽しいことだったし、自分の作り出したものが何か成果をあげたときは確かに嬉しかった。 けれど、同時に何もかもが空虚だった。 その空虚の中心には常に一人の少年の存在。彼が隣にいないという、ただそれだけのことで何もかもが色あせて感じてしまう。 刹那的な快楽に身を委ねてみるというのも考えたが、そんなことをしても願うものはえられないと分かるほどには理性的であった。 結果、こうして酒をちびちびとやり、忘れた気になるというのが専ら最近のルイズの楽しみと言えた。 「その後、誰か昔の知り合いとは会わなかったか?」 「ん……タバサは見かけたわね。二回ほど」 タバサ、というか彼女の所属する『北花壇騎士団』というものが、ガリアの暗部にあって結構な知名度の組織であった。 ガリア王国の裏側の顔役ともいえるそこに所属するかつての学友は、今ではルイズにとって同じ業界に身を置く近くて遠いお隣さんであった。 「へぇ、あの青髪か。元気してたか?」 「さあ? あっちは私のことに気づいてないようだったし、私は別にあの子のことなんてどうでも良いからね。体調のことなんて分かるわけないわ」 そう言って薄く笑う。 二度ほどニアミスしたことがあるが、お互いはっきりと顔を見たわけではない。ことが済んだあとに北花壇騎士団に所属するタバサという名の騎士だったと知っただけだ。 「変わったなぁ……」 「さっきも聞いたわ」 「いや、本当に変わっちまったんだなぁって思ってよ。ルイズ、昔のお前さんはそんなふうに冷たく笑うことなんてなかったのによ」 これもまた、予想の範囲内の反応。 「変わったですって? いいえ、むしろ何も変わっていないわ。私は昔のまま、何も変わらず進み続けているだけよ」 「何がだよ。何が変わってないって言うんだよ……あの頃、相棒と一緒だった頃のお前さんと、今のお前さんの、どこが同じだって言うんだよ!」 最初は抑えるように、そして最後は溜まっていたものを爆発させるようなデルフリンガーの叫び。 それを聞いてもルイズは揺るがず、惑わず、静かに応えた。 「サイトを愛しているわ」 「……あ?」 「私はまだ、ちゃんとサイトを愛しているわ。あんたたちとは違う、私はサイトを忘れてないしサイトを諦めてもいない。この手で必ずサイトを蘇らせるわ。そして言うの、きちんと伝えるの、好きだって伝えるの」 そう、何も変わっていない。 この気持ちだけは真実。例え時間と共に記憶が風化しても、この気持ちだけは変わらない。 この先、何があっても絶対に失ってやるものか。 「そうか……お前さんの時間は、あのときのまま凍っちまってるんだな」 寂しそうに呟いたデルフリンガーの声は、六千年を生きながら快活であったこの剣とも思えない老けた声色だった。 「そっちの嬢ちゃん、嬢ちゃんはどうなんだい?」 一瞬、誰に話を振ったのかを理解できない。人の姿をしていないとこういうときに困る、そう思いつつヘルミーナが答えた。 「あら、私のことかしら、デルフリンガーさん」 「おうよ。えっと……すまねぇ、まだ名前を聞いてなかったな」 「ヘルミーナよ。お喋りな魔剣さん」 「よせやい、さんなんてつられるとむず痒くて仕方ねぇ。デルフリンガーで構わねぇよ」 自分に話題が振られることは予想外であったが、その程度でヘルミーナは微笑を崩さない。 「それで、一体何がどう、なのかしら?」 「ルイズが、こう思っているってことを、お前さんはどう思うってことだよ」 デルフリンガーの柄がカタカタと何度も音をたる、それはまるで感情の高ぶりを暗に主張しているようでもある。 「お前さんはこの三年、この娘っ子と一緒だったんだろ。だったら今を一番分かってるのはお前さんのはずだ。そのお前さんから見てどう思うか、俺はそれを聞きてぇって言ってんだよっ」 最後の方は紛れもなく激昂が含まれていた。 デルフリンガーの怒り。 どうしてルイズがこんなふうになってしまったのか、止められたはずだ、導けたはずだという彼の主張。 「すべてはルイズが自分で決めたことよ。それに私はその在り方が間違ってるとも思わない」 そうしてヘルミーナの脳裏に思い出されたのは、古い記憶。 彼女かつて、封印され禁忌とされた伝説の秘技を用いて、一人のホムンクルスを創造した。 ヘルミーナが十歳の頃である。 彼女はホムンクルスに『クルス』という名を与え、本当の家族のように愛を注いだ。 一緒に街を歩き、風を感じ、木陰で休み、ものを食べ、鳥の囀りを聞き、水の冷たさを感じた。 姉妹のような存在はいたけれど、むしろ彼女はライバルで、ヘルミーナにとっては、自分が作り出したホムンクルスこそが本当の弟のように思えた。 ヘルミーナは本当に、惜しみなく彼に愛を注いだ。 しかし、別離は突然訪れた。 人造生命として創造された彼は、試験管の外では二十日しか生きられなかったのだ。 クルスが動かなくなる直前、二人は最後の、別れの言葉を交わした。 ――クルス、思い出、わすれない。 ――え? ――たのしい。悲しい。うれしい。さみしい。くるしい。クルスはわすれない。ヘルミーナとの思い出、わすれない。 ――ありがとう……。あたしもクルスといっしょにいた時間、忘れない。絶対忘れないよ……。 ――おやすみなさい……クルス。さようなら。 忘れてはいない。いや、生涯忘れることはないだろう。 動かなくなった彼を前に、泣くことしかできなかった自分を覚えてる。 彼を作り出したことを後悔した。彼を助けられなかったことを後悔した。 泣いて泣いて、涙が涸れる程に泣いたそのあとに気がついた。 自分にもっと力があれば、こんなことにはならなかったと。 だから私はそのときに決意した。この身のすべてを錬金術に捧げることを。 この悲しみを忘れない。 そして誓ったのだ、この技術を悲しみとともに伝えていこうと。 ヘルミーナは正面に座るルイズを見た。 彼女の在り方は間違っていない。愛するものを忘れず、それを貫こうとする意志は崇高とも思えた。 故に、ヘルミーナはルイズを導く。 自らの錬金術が、人の悲しみを癒やすことができると信じて。 「彼女がそうしたいと望むなら、私は喜んで手を貸すわ」 その答えを聞いたルイズは顔を上げて、しっかとヘルミーナを見返した。 「私は、このまま錬金術の研究を続けたい。そして、いつかサイトを蘇らせたい。今の私が思うことはそれだけよ」 そのルイズの言葉を聞いて、ヘルミーナは小さく微笑みを返した。 出会ったときにヘルミーナの言葉がルイズに届いたのは、同じ痛みを背負ったもの同士の共感かもしれなかった。 もしそうなら、よく似た二人が近い道を歩むことになったのは必然であったのだろう。 「……そうかい。それじゃあ、俺から言うことはもう何もねぇよ」 サイトと心を通じさせたデルフリンガーは、結局最後までルイズと心を通じ合わせることはなく、その言葉を最後に口をつぐんだ。 デルフリンガーの沈黙で話は終わったと判断し、ルイズは席を立った。 続いてヘルミーナも席を立ち、あとに残されたのはテーブルの上の大剣一振りだけ。 先に店の外へ出たルイズとは逆方向へとヘルミーナは歩いて行き、奥にあるカウンターの前で会計を済ませた。 そうしてルイズの待つ外へと出ようとしたところで、ヘルミーナの背中に向かってデルフリンガーから声が投げかけられた。 「あいつのこと、よろしく頼む!」 その言葉にヘルミーナは何も答えず、扉を開けて夜の街へと消えていった。 「なあ相棒、どうしておめぇさんは一人で逝っちまったんだよ……。娘っ子はよぉ、相棒のために大事だった貴族の名誉や大儀まで捨てて、あんなになってまでお前さんを追いかけてるよ。でもよぅ、こんなのがお前さんの望みだったのかよ……答えてくれよ、相棒……」 虚空へと消えたデルフリンガーの言葉に、応えはなかった。 前ページ次ページヘルミーナとルイズ
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キルミー劇場 キルミー劇場 キルミー劇場 2号館 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | 分 身 の 術 で す ~ | \__ ___ ___ ___ ___ ___/ |/ |/´ ∨ `ヽ( \| _ _ _ _ _ 〃 ヘヽ 〃 ヘヽ 〃 ヘヽ 〃 ヘヽ 〃 ヘヽ li jノ|/゙^リi li jノ|/゙^リi li jノ|/゙^リi li jノ|/゙^リi li jノ|/゙^リi イ!i(l|´ヮ`ノト .イ!i(l|´ヮ`ノト .イ!i(l|´ヮ`ノト .イ!i(l|´ヮ`ノト .イ!i(l|´ヮ`ノト リと7〈〉i⊃ リと7〈〉i⊃ リと7〈〉i⊃ リと7〈〉i⊃ リと7〈〉iつ ((y /儿〉 .((y /儿〉 .((y /儿〉 .((y /儿〉 .((y /儿〉 UU .UU .UU .UU .UU/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\| あぎりさん、スゴーイ! |\____ _____/ |/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | AAキャラなら、矩形コピペで. | | 誰でも出来ますよ~ | \_____ ______/ 十 , _ |/ X _ x 〃 ヘヽ メ. 〃 ヽ. li jノ|/゙^リi │ V八八| イ!i(l|´ヮ`ノト. 从(l ゚ワノハ リj /つ[_゚ペ] ノつ0 ((y /儿〉 ̄ く/儿〉 UU しU / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | じゃあ、やってみるね。 | | | | …まずは、 ソーニャちゃんで練習っと | \_______ _________/ \| ! 7´  ̄ `Z 仆 |/|/Vハ _ ハイ、コピペ /八(| ゚ロ゚ノl.| . '´ `ヽ. // く.7〈〉i)l | {i八八N、| {/ く/儿〉|ノ . ハ.゚ヮ ゚ l)从 しU (´д`)と) 〈儿Lゝ しヘ.) 7´  ̄ `Z 7´  ̄ `Z 仆 |/|/Vハ /八(|#゚ロノl.| < おい、自分でやれ!?. // く7〈〉i l | {/ く/儿〉|ノ しU 仆 |/|/Vハ /八(|#゚ロノl.| < おい、自分でやれ!?. // く7〈〉i l | {/ く/儿〉|ノ しU〃  ̄ ヽ. __| V八八| ミ ひゃっはっはっ ソーニャちゃんズレてる!ズレてる! ,く._从(l;^ヮ^ノつ と」」^U´ ☆ バンバン〃  ̄ ヽ _{i八八N、| ,く._ハ゜Д゜ l)从つ と」」^U´/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\| ズレズレですね~ | 7´  ̄ `Z \____ _____/ 7´  ̄ `Z ツギハ ワタシガ ∨ |\.仆 |/|/Vハ _ \, (| - ノl | ステルスカイギョウヲ タメシテヤル 〃 ヘヽ. //^○7〈〉iつl]二> li jノ|/゙^リi {/ .く/儿〉|ノ イ!i(l|´ヮ`ノト しU リj /つ0 仆 |/|/Vハ ((y /儿〉 /八(| - ノl | UU // く7〈〉i l | {/ く/儿〉|ノ しU アタマ、アタマ… . __| V八八| ,く._从(l ~~ノつ )) と」」^U´ 〃  ̄ ヽ _ 〃 ヽ │ V八八| . 从(l ゚ヮ゚ノハ <あぎりさんに忍法教えてもらおう と7〈〉iつ く/儿〉 しU _ _ 〃 ヘヽ 〃 ヽ li jノ|/゙^リi |八八V | イ!i(l|´ヮ`ノト <いいですよ~ .. .ハ(゚ヮ゚ l|)从 <あぎりさん! リと7〈〉iつ ⊂7〈〉iつ ソーニャちゃんを倒せる忍法教えてください! ((y /儿〉 〈儿/〉つ UU U _ _ 〃 ヘヽ 〃 ヽ li jノ|/゙^リi |八八V | イ!i(l|´ヮ`ノト <でも、タダじゃダメですよ~ .ハ(゚ヮ゚ l|)从 <お米ですか… リと7〈〉iつ お米をくれたら教えてあげますよ~ ⊂7〈〉iつ 分かりました!持ってきますね! ((y /儿〉 〈儿/〉 UU UU _ 〃 ヽ │ V八八| . 从(l´ヮ`ノハ <早く取りに行かなくちゃ ⊂7〈〉iノつ 三 ⊂く/」_〉 し′ _ 〃 ヘヽ li jノ|/゙^リi イ!i(l|´ヮ`ノト <さて… リと7〈〉iつ ((y /儿〉 UU ┌oー,ォ_ │ /(ヘヽ │ ) ,ノ゙^リi l/ (´ヮノト <今うちに隠れま~す || \⊂} |し'⌒´ | │ | |____________| | | | あぎりさん、持ってきましよ!> .| | | | _ 〃 ヽ _______ |八八V | /ソ / ̄ ̄/ ハ( ヮ |)从 <俵で持って来ましたよ! ||i !ii !! ||ii !ii i || ヾ⊂7_/) || i !ii .|| ii ! .i i||彡 __〈儿/〉 \ヽヾ \ ヾヾ\ノ_/Uヽつ 三  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ _ , ,. . . . _ 〃 ヽ _ ______ |八八V | /ソ / ̄ ̄/ !ヽ .ハ(゚ヮ゚ l|)从 <あれ、居ない… ||i !ii !! ||ii !ii i || ヾ。ソ| ⊂7〈〉iつ || i !ii .|| ii ! .i i||彡 ヾノ 〈儿/〉 \ヽヾ \ ヾヾ\ノ_/ UU ' ~ ' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ _ , ,. . . . _ て 〃 ヽ て _ ______ |八八V | /ソ / ̄ ̄/ !ヽ .ハ(゚ヮ゚ l|)从 <あっ!あの壁に膨らみが!? ||i !ii !! ||ii !ii i || ヾ。ソ| ⊂7〈〉iつ || i !ii .|| ii ! .i i||彡 ヾノ 〈儿/〉 \ヽヾ \ ヾヾ\ノ_/ UU ' ~ ' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ _ , ,. . . . _ 〃 ヽ |八八V | .ハ(゚ヮ゚ l|)从 <バレバレですよあぎりさん ⊂7〈〉iつ 〈儿/〉 UU ' ~ ' ' ~ ┌o ,,,, _ │| .[余] o 〃 ヽ │しヘY//j |八八V | │  ̄. .|.ハ(゚ヮ゚ l|)从 <・・・ │ |⊂7〈〉iつ │ | 〈儿/〉 |____________| UU ┌o ,,,, _ │| .[余] o 〃 ヽ _______ _ │しヘY//j |八八V | /ソ / ̄ ̄/〃 ヘヽ │  ̄. .|.从(l ゚ヮ゚ノハ <・・・ ||i !ii !! ||ii !ii i |li jノ|/゙^リi │ | ⊂7〈〉iつ .|| i !ii .|| ii ! .i i イ!i(l|´ヮ`ノト <お~いしい │ | 〈儿/〉 \ヽヾ \ ヾヾ\ノ_リ7つ〈〉iつ |____________| UU  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ . __ 〃  ̄ ヽ [__] │ V八八| / \ 从(l´ヮ`)ハ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ⊂7〈〉iノつ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ⊂く/」_〉 \____/ ≡ し′ . __ [__] /____\ 仆 |/|/Vハ /八(|.゚ -゚ノl | <ここから、やすなを監視しよう | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| \____/ | | | | _ 〃 ヘヽ li jノ|/^リi イ!i(l| ゚ヮ゚ノト リ/⊂二) ((つ(⌒) . (_| U~ [ ̄ ̄] / ̄ ̄ \ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| <ぎゃっ! | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| \____/ ---- . __ 〃  ̄ ヽ [__] │ V八八| / \ 从(l´ヮ`)ハ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ⊂7〈〉iノつ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ⊂く/」_〉 \____/ ≡ し′ . __ [__] /____\ 仆 |/|/Vハ /八(|.゚ -゚ノl | <ここから、やすなを監視しよう | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| \____/ . __ . | [__] .| /____\ .| /八(|.゚ -゚ノl | ソーニャチャンドコー?> . | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | \____/ .| | | | | _ 〃 ヘヽ li jノ|/^リi イ!i(l| ゚ヮ゚ノト リ/⊂二) ((つ(⌒) . (_| U~ [ ̄ ̄] / ̄ ̄ \ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| <ぬぅぅぅん!? | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| \____/ _ _ 〃 ヽ 〃 ヘヽ │ V八八| li jノ|/^リi . 从(l ゚ヮ゚ノハ <あぎりさん! イ!i(l| ゚ヮ゚ノト と7〈〉iつ リ /7〈〉ilノ く/儿〉 .(( U/儿〉 しU UU _ _ 〃 ヽ 〃 ヘヽ │ V八八| li jノ|/^リi . 从(l ゚ヮ゚ノハ <あぎりさん? イ!i(l| ゚ヮ゚ノト と7〈〉iつ リ /7〈〉ilノ く/儿〉 .(( U/儿〉 しU UU _ 〃 ヽ ⊂⊃ │ V八八| |il! !| . 从(l ゚ヮ゚ノハ <あぎり…さ… |il! !| と7〈〉iつ /7〈〉i く/儿〉 U/儿〉 しU UU ; ; ;; ; ;; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ,, ,,, ; ,,, ,,,,; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; /"'"||"'" ||''"''''||'ヽ,,..; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;;; ; ; ; ; ; ;; ;;; ;; ; /.|| || . . .|| || || ||ヽ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ;;; | || ||_. || || || || | ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ;;; ; ;;; .| ||..〃||. ヘ|| || || || .| ; ; .; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ;;; ; ; ; ; ;; ; | || li ||.|/゙^|| || || || |; ; ; ; ; ; ; ; ; ,,,. ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ;; ; ; ; | . ||イ!i(||´ヮ`||. || || || .| ' ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; | ||..リl(l)7〈〉i(l || || || . . |; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ;; ;; ;.| ||((y||/儿.|| || || || . |;; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; | || .ノ||UU||、 || || || |; ;; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;;; ; ; ; ; ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,,; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ;; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ,, ,,, ; ,,, ,,,,; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; /"'"||"'" ||''"''''||'ヽ,,..; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;;; ; ; ; ; ; ;; ;;; ;; ; /.|| || . . .|| || || ||ヽ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ;;; | || ||_. || || || || | ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ;;; ; ;;; .| ||..⊂||⊃. || || || || .|; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ;;; ; ; ; ; ;; ; | || .|i||||i|i|...|| || || || | ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ;; ; ; ; | . || .|ili||iili|...|| || || || .| ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; | || .|ili||iili|...|| || || || . . |; ; ; ;; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ;; ;; ;.| || .|ili||iili| .|| || . || || | ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; | || .|ill||lili|. ||、 || .|| || |; ;; ; ; ; ;; ; ;; ; ; ; ; ; ;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;;; ; ; ; ; ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,,; ; ; ; ; ; ; ; _ 〃 ヘヽ li jノ|/^リi ⊂ニイ!i(l| ゚ヮ゚ノト |±±/|| 〈〉 !ヽ |±±Uノ 〈U └─‐ /_ノ〉__) _ _ _ _ U U 〃 ヘヽ 〃 ヘヽ 〃 ヘヽ 〃 ヘヽ"""゚'"''``"~^^^~""゚"^""""゚`""`"''~~""'゚"""゚'"''``"~^^^~""゚""゚'"''``"~^ _ 〃 ヘヽ li jノ|/^リiニニ⊃ イ!i(l|´ヮ`ノト±±| ((/.二つ ̄ ヘ0 ))±±| ノ li jノ|/゙^リi ゚ _ _ _─‐┘ ⊂(__イ!i(l|´ヮ`ノト ゚。 〃 ヘヽ 〃 ヘヽ 〃 ヘヽ"""゚'"''``"~^^^~""゚"^""""゚`""`"''~~""'゚"""゚'"''``"~^^^~""゚""゚'"''``"~^ _ 〃 ヘヽ li jノ|/゙^リi イ!i(l|´ヮ`ノト : リ/∴〈〉 ニつ ∵ : ((0二l 〈 ∴ : (__〈ヽ_ヽ ))) : U U""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""" _ 〃 ヘヽ li jノ|/゙^リi イ!i(l|´ヮ`ノト <成長早いですね~ リ/∴〈〉 ヽ (0二l 〈U (__〈ヽ_ヽ ν ν ν ν U U ≡≡ 〃 ヽ 〃 ヽ 〃 ヽ 〃 ヽ""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""" _ 〃 ヘヽ li jノ|/゙^リi イ!i(l| ゚ヮ゚ノト <・・・ リ/∴〈〉 ヽ ν ν ν ν (0二l 〈U 〃 ヽ 〃 ヽ 〃 ヽ 〃 ヽ (__〈ヽ_ヽ ノ jVハ八ト ノ jVハ八ト ノ jVハ八ト .ノ jVハ八ト U U 从N ゚ ヮ゚ノハ 从N ゚ ヮ゚ノハ 从N ゚ ヮ゚ノハ 从N ゚ ヮ゚ノハ""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""" /私の出/私の出番/私の出番だ/私の出番だな!\ _ _ 7´ `Z . '´ `ヽ 仆 |/|/Vハ {i八八N、| /八(|.゚ -゚ノl | <どうした? ハ.゚ヮ ゚ l)从 <ねぇねぇ、ソーニャちゃん. // く7〈〉i l | ⊂〈〉iと) {/ く/儿〉|ノ 〈儿Lゝ しU しヘ.) ! _ _ _ 7´ `Z . '´ `ヽ. '´ `ヽ 仆 |/|/Vハ {i八八N {i八八N、| /八(|.゚ ロ゚ノl | <えっ? .ハ.゚ヮ ゚ l)レハ.゚ヮ ゚ l)从 <ソーニャちゃん!. // く7〈〉i l | ⊂〈〉iと) ⊂〈〉iと) <ソーニャちゃん! {/ く/儿〉|ノ 〈儿Lゝ 〈儿Lゝ しU しヘ.) しヘ.)\ど、どっ、どういう事だ/ _ _ _ _ 7´ `Z . '´ `ヽ. '´ `ヽ. '´ `ヽ 仆 |/|/Vハ {i八八N {i八八N {i八八N、| /八(; ゚ ロ゚ノl | ハ.゚ヮ ゚ l)レハ.゚ヮ ゚ l)レハ.゚ヮ ゚ l)从 <ソーニャちゃん!. // く7〈〉i l | ⊂〈〉iと) ⊂〈〉iと) ⊂〈〉iと) <ソーニャちゃん! {/ く/儿〉|ノ 〈儿Lゝ 〈儿Lゝ 〈儿Lゝ <ソーニャちゃん! しU しヘ.) しヘ.) .しヘ.) _ . '´ `ヽ. '´ `ヽ. '´ `ヽ 7´ `Z . '´ `ヽ. '´ `ヽ. '´ `ヽ、| 仆 |/|/Vハ {i八八N {i八八N {i八八N、|从 (( /八(;゚ ロ゚ノl | )) ハ.゚ヮ ゚ l)レハ.゚ヮ ゚ l)レハ.゚ヮ ゚ l)从 <ソーニャちゃん!. // く7〈〉i l | ⊂〈〉iと) ⊂〈〉iと) ⊂〈〉iと)Lゝ <ソーニャちゃん! {/ く/儿〉|ノ 〈儿Lゝ 〈儿Lゝ 〈儿Lゝ.) <ソーニャちゃん! しU しヘ.) しヘ.) .しヘ.) !! _ ボフンッ! 7´ `Z γ ⌒ ⌒ `ヘ 仆 |/|/Vハ イ "" ⌒ ヾ ヾ /八(;゚ ロ゚ノl | <うおっ! / ( ⌒ ヽ )ヽ. // く7〈〉i l | ( 、 , ヾ ) {/ く/儿〉|ノ ゞ (. . ノ. .ノ .ノ しU ゝ、、ゝ.....; ; ...; ;..., , ノソ ⊂⊃⊂⊃⊂ニ⊃ ! _ _ |il.⊂⊃⊂⊃llililili| 7´ `Z 〃 ヘヽ|illlili||illlili|lllililili| 仆 |/|/Vハ li jノ|/゙^リi.|illlili||illlili|lllililili| /八(|.゚ ロ゚ノl | <またお前か! イ!i(l|´ヮ`ノト|illlili||illlili|lililllili|. // く7〈〉i l | リと7〈〉iつ.|illlili||illlili|lllililili| {/ く/儿〉|ノ ((y /儿〉ill|illlili||illlili|lllililili| しU UU|illli|illlili||illlili|lllililili| ⊂⊃⊂⊃⊂ニ⊃ _ _ |il.⊂⊃⊂⊃llilillii| 7´ `Z 〃 ヘヽ|illlili||illlili|lllillilii| 仆 |/|/Vハ li jノ|/゙^リi.|illlili||illlili|lllililili| /八(|.゚ ロ゚ノl | <やすなっ!? イ!i(il ゚ヮ゚ノハ<残念!やすなちゃんでした!. // く7〈〉i l | リil(つ(´ヮ`)lllili||illlili|liilllili| {/ く/儿〉|ノ ((y /儿〉ill|illlili||illlili|lllililili| しU UU|illli|illlili||illlili|lllililili| _ _ 7´ `Z . '´ `ヽ 仆 |/|/Vハ {i八八N、| /八(|´ヮ`ノl | <お上手ですよ~ .ハ.゚ヮ ゚ l)从 <忍法使えてました? .// (つ(.゚ロ゚)| (´ヮ`)と) {/ く/儿〉|ノ 〈儿Lゝ しU しヘ.) ⊂ニ⊃ |illlilili| |illlillii| これでソーニャちゃんにも勝てそう!> |illlilili| 勝てるといいですね~> |illlilili| |illlilili| |illlilili| ⊂ニ⊃ |illlillii| |ili(;゚-゚) <ど、どうなってやがる |illlilili| __, |illlliili| ヽ三ヽ |illlilili| " ̄ ピラッ |illlilili| 七_ =|=゛ レ | . (乂 )⊂ニ __ノ \お水だよちくわぶ!/ _ x ∧_∧ メ. 〃 ヽ / \ │ V八八| |● ● )  ̄ ̄ 丶二二>. 从(l ゚ワノハ (・ / | ノつ□ ∪ヾ¨ /|\_丶 く/儿〉 | |⌒| | 丶 / | | しU (―-) ∪ ∪ ∪ ∪  ̄~\飲み過ぎちゃ駄目だからね/ _ x メ. 〃 ヽ ∧_∧ )) ヽヽ │ V八八| (( / \ ̄ ̄ 丶二二> . 从(l ゚ワノハ |● ● ) | ノ ノ ノつ□ (・ _ / /|\_丶 く/儿〉 ゚ .U 。| |⌒| | 丶 / | | しU (―-) ∪ ∪ ∪ ∪  ̄~ ( _ ) ( . '´ `ヽ ) ( ♪{i八八N、| ) ( _ ハ.゚ヮ ゚ l)从 ) ( 7´ `Z ⊂(〈〉と) ) ( 仆 |/|/Vハ .〈儿Lゝ ) ( /八(l#゚дノ しヘ.) ) ( ~~~~~~~~~~~ ) `─── O ────────── 。 _ 〃 ヽ │ V八八| 从(l ゚ヮ゚ノハ <ここにソーニャちゃんを誘き寄せよう と7〈〉iつロ――l>___ く/儿〉 / \ しU ( ;) \ /  ̄ ̄ ̄ _ _ 7´ `Z . '´ `ヽ 仆 |/|/Vハ {i八八N、| /八(|.゚ -゚ノl | <どうした? ハ.゚ヮ ゚ l)从 <ねぇねぇ、ソーニャちゃん. // く7〈〉i l | ⊂〈〉iと) {/ く/儿〉|ノ 〈儿Lゝ しU しヘ.) _ _ 7´ `Z . '´ `ヽ 仆 |/|/Vハ {i八八N、| /八(#゚д゚ノl | <あぁん!? ハ.゚ヮ ゚ l)从 <ソーニャちゃんのま・ぬ・け!. // く7〈〉i l | ⊂〈〉iと) {/ く/儿〉|ノ 〈儿Lゝ しU しヘ.) _ 〃 ヽ │ V八八|<まて、やすなっ! 从(l´ワ`ハ (作戦成功!) ⊂7〈〉iノつ 三 ⊂く/」_〉 し′ _ 〃 ヽ │ V八八|<くそっ!逃げ足の早い奴だ 从(l´ワ`ハ ⊂7〈〉iノつ ___ 三 ⊂く/」_〉 / \ し′ ( ;) \ /  ̄ ̄ ̄ _ 〃 ヽ │ V八八| _ 从(l ゚ヮ゚ノハ 7´ `Z ⊂7〈〉iノつ 仆 |/|/Vハ く/」_〉⊃ /八(l#゚дノ | ⊂ノ // {7)尸i)尸 -=・ =・ ___ {/ く_/儿〉|ノ / \ (/U 从 ( ;) \ /  ̄ ̄ ̄ _ 7´ `Z 仆 |/|/Vハ /八(l#゚дノ | <ん?. // {7)尸i)尸__ -=・ {/ く_/儿〉|ノ \ (/U ;) \ / ベキッ!  ̄ ̄ ̄ | | | | || | || | || | | ___ / \ ( ) <ギャッ! \ 7´  ̄ `/  ̄ ̄ ̄ 十 , X _ x メ. 〃 ヽ. │ V八八| .从(l ゚ワノハ <落とし穴に嵌るなんてダッサーwwww ノつ0 ___ く/儿〉 / \ しU ( ) \ 7´  ̄ `/  ̄ ̄ ̄ /早くここから出せ!\ _ 〃 ヽ │ V八八| 从(l´ワ`ハ <ハッハッハッ!さらばだ、ソーニャくぅん! ___ ⊂7〈〉iノつ / \ 三 ⊂く/」_〉 ( ) し′ \ 7´  ̄ `/  ̄ ̄ ̄ /後で覚えてろ!\ ∥ .∥ ∥ シュルル ∥ ._∥_ / ∥ \ ( ) <ん?縄か? \ 7´  ̄ `/  ̄ ̄ ̄ (( ∥ .∥ ∥ )) とうとう見つけたぞ!> ∥ グイッ ._∥_ / ∥ \ ( ∩ ) <えいっ \ | |´  ̄ /  ̄ ̄ ̄ ∥ .∥ ∥ やす・・・ぎゃああああああああああ!!> ∥ ._∥_ / ∥ \ ( ) <何も起きないな。これを使って登るか \ 7´  ̄ `/  ̄ ̄ ̄ 七_ =|=゛ レ | . (乂 )⊂ニ __ノ === | ♀ | |ニニニニ| キュィィィ 人 人 ノ _ て ノ 〃 ヽ そ ) │ V八八| ( アハハヒャア~ ビッ /ζ 从(;゚ヮ゚ノハ ( ===/ ) ⊂7〈〉iノつ ( |. ♀| ) ⊂く/」_〉 ( |ニニニニ| ) し′ ( ズルズル ズルズル _ _ 〃 ヽ 7´ `Z │ V八八| 仆 |/|/Vハ 从(l ゚ヮ゚ノハ /八(|.゚ヮ゚ノl | <旨いな (っ=||| o) //(っ=||| o) | ̄ ̄ `――´ ̄ ̄ `――´ ̄\ん゛っ! ズルズル _ _ 〃 ヽ 7´ `Z │ V八八| 仆 |/|/Vハ 从( ゚д゚ノハ /八(|.゚ヮ゚ノl | (っ=||| o) //(っ=||| o) | ̄ ̄ `――´ ̄ ̄ `――´ ̄\げほっ! _ _ 〃 ヽ 7´ `Z │ V八八| ., ;;∴.,'|/Vハ 从( ゚д ,; .' -., ;∵;,ヮ゚ノl | (っ=||| o) //(っ=||| o) | ̄ ̄ `――´ ̄ ̄ `――´ ̄\ _ _ 〃 ヽ 7´ `Z │ V八八| ,.';;∴' |/Vハ 从(;゚ヮ゚ノハ /,.';;".,'' ゚ノl | (っ=||| o) //(っ= o) | ̄ ̄ `――´ ̄ ̄ `――´ ̄\_ `Z ―――|/Vハ ―――д゚.ノl | <逃げんな! ⊂) ――― ―――  ̄ ̄ `――´ ̄ ̄ `――´ ̄\ | ̄ ̄ ̄ ̄| ――― |食い逃げ.| ――― ____.|____| ――― / ヽ || ――― | ● ● | ∋ ――― ――― ――― ――― ̄ ̄ `――´ ̄ ̄ `――´ ̄\ キルミー劇場 キルミー劇場 2号館
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バルテルミードリルブシャール(バルテルミー・ド・リル=ブシャール) フランスのアキテーヌ地方の君主アキテーヌ公の系譜に登場する人物。 リル=ブシャール領主。 関連: アルシャンボーボレルドビュエイユ (アルシャンボー=ボレル・ド・ビュエイユ、父) アニェス(8) (母) ジェルベルジュドブレゾン (ジェルベルジュ・ド・ブレゾン、妻) ダンジュルーズドリルブシャール (ダンジュルーズ・ド・リル=ブシャール、娘)
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キルミーQ A みんなでついかしよう アニメについて Q.OPの「ワサワサ」「ナーミン」「フォリシ」とかってどういう意味ですか? A.ワサワサ→「What s up,what s up!(やぁ!、みたいな軽い挨拶)」 ナーミン→「You know what I mean?(言ってること分かる?と尋ねる)」 フォリシ→「Holy shit!!(コンチクショウ!!)」 Q.EDの踊りはなんなの? A.原作コミックス第1巻の表紙をめくると見ることが出来る「とくべつふろく6 キルミーダンス」が元ネタです。 かなり人間離れした動きもありますが、チャレンジする方もいるようです。 Q.タイトルの「キルミーベイベー」ってどういう意味ですか? A.「私を殺してみなよ」みたいな感じかと思われます。 Q.アニメと原作の違いは? A.一部にまるごとオリジナルの場面・ネタが追加。 またアニメでは一話で約一ヶ月季節が進むため、それにあわせて服装やネタを披露する舞台が調整されています。 更に、演出やシーンの追加によってソーニャのやすなへの好意が強調(デレ)されているとの指摘も。 Q.放映されていない原作回は? A.以下の通り。括弧内はアニメ化確定以降の掲載回。 1巻:迷い猫 2巻: 3巻:地震 4巻:瓦割り、トイレ、(呪い人形、催眠術、散歩、ハロウィン、貯金) (5巻:骨折、壁穴、スポーツテスト) キャラクターについて Q.ソーニャは何でやすなみたいな子に構ってあげてるの? A.キャラクターソングを聞けば2人の関係性が見えてきます。 スレッドについて Q.「やすニャ」って何ですか? A.「やすなとソーニャ」の略。百合的なニュアンスを込めて使われる事が多いようです。 やすなとソーニャとあぎりさんを「やすニャぎり」と略す事もあります。 Q.やすなに煽られた。 A.遠慮なく殴って結構です。 限りなく公式HPに近いサイトについて Q.公式HPじゃないの? A.公式です。 Q.ミルキィベイベーってなに? A.一時期キルミーベイベーのサイトが 探偵オペラ ミルキィホームズに乗っ取られ、トップ画像が「ミルキィベイベー」になってしまいました。 その後、今度はキルミーベイベー側がミルキィホームズのサイトを乗っ取り返し、トップ画像を「キルミーホームズ」にしてしまいました(当時のトップ画像はこちらで見ることができます)。 ぶっちゃけコラボ企画ですが、最終的に両者は和解したようです。詳しくは検索。 ちなみに「ミルキーベイベー」の場合は原作2巻のおまけ漫画を指します、こちらの内容は上記コラボと関係ありません(そもそも当時はミルキィが本格展開していない)。また、スレなどではこちらのほうが話題に挙がりやすいです。 Q.限りなく(略)サイトのひみつとは? A.ホームページのソースを見ると、やすなとソーニャのミニコメントが見れます。 また、トップ画像下のキャッチコピーはランダムで変わります。 やすな曰く「何個出るかは想像にお任せするよソーニャちゃん。」だそうです。 現在確認されているのは…… バカと刃物。 さわるな危険。 ふたりはなかよし。 痛くない、はずがない。 THEなかよしバイオレンス うっとおしさ1.5倍(当社比) 殺人お遊戯 バカほど可愛いこの世の不思議。 攻撃は、最愚の防御。 血まみれフレンドシップ 殺られても、好きな人。 覚悟しましょう。 バカすぎて、ごめんなさい。 友だちの暗殺はやめましょう。 学校で人を殺してはいけません。 命だけは助けてあげましょう。 コメント 名前 コメント 「命だけは助けてあげましょう。」を追加しました。2013/07/20 現在ではこれですべてのようです。(SWFを直接解析しました) -- 名無しさん (2013-07-20 23 31 49) 手錠回って放送されてなかったっけ -- 名無しさん (2012-12-29 16 21 59) 「バカと刃物」って表現が秀逸 -- 名無しさん (2012-05-17 22 08 23) 学校で人を殺してはいけません。 ←。付きです、どなたか追加お願いします -- 名無しさん (2012-04-17 03 02 36) ミスったので再度…トップ画像下のキャッチコピーですが、15個目がありました→「学校で人を殺してはいけません」 -- 名無しさん (2012-04-17 02 58 41) トップ画像下のキャッチコピー学校で人を殺してはいけません -- 名無しさん (2012-04-17 02 56 38)
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前ページヘルミーナとルイズ トリステイン西部の海岸沿いに位置する辺境部に、ダングルテールと呼ばれる一帯がある。 そこに点在するいくつもの廃村。その中でも、別段の不吉さをもって語られるものが一つ。 かつて起こった新教徒狩りを目的とした政府による住民虐殺事件、通称『ダングルテールの惨劇』。 その忌まわしい歴史の爪痕を残す廃墟。事件から四十年が経過した現在も、住み着くものがいない闇へと葬られた地。 今はそこに、一人の魔女が住み着いていた。 呪われた地に住まう魔女。 魔女の住む一帯には常に深い霧に包まれており、彼女に会おうとした誰かが足を踏み入れたとしても、必ず道を見失い、霧の外へと戻ってきてしまうという。 そんな不気味な場所に居を構える魔女に対して、人々は様々な噂をた。 ある人は言う、邪悪なる人食い魔女と。 ある人は言う、死者を冒涜する術を使う忌まわしい魔女と。 ある人は言う、すべての知識を持ち合わせた、万能の力を得た魔女と。 彼女に関する噂は枚挙にいとまがなかったが、ただ一つ共通するのはその呼び名。 人は彼女を『ダングルテールの魔女』と呼ぶ。 春が来た、夏が来た、秋が、冬が、そしてまた春が来た。 四季は巡り、止まることなく時間は流れ続ける。 アルビオン崩壊から二十年。 七万の兵士に立ち向かった使い魔の少年が命を落とし、人々の記憶からもその勇姿が忘れ去られるのに、十分なほどの時間が流れていた。 多くの人から『ダングルテールの魔女』と呼ばれているかつて少女であった女性は、今は少数の人々から『錬金術師ルイズ』とも呼ばれている。 当時から近隣の住人であっても近寄りたがらなかったダングルテールの廃村を、住処と定め工房を構えてから早十年。 ルイズに錬金術の教示を与えたもう一人の錬金術師、ヘルミーナの姿はもう隣にはない。 彼女はルイズに己の知りうる限りの知識を授けたあと、己の世界へと帰っていった。 すべての機材と資金を引き継いだルイズは、その後数年間に渡り、ガリアに工房を構え続けた。 ヘルミーナがいなくなってから最初の一年目にしたことといえば、世界をまわり、四人の弟子をとることだった。 ルイズはヘルミーナと過ごした数年間で、錬金術というものが実に広大な海原のようなものであると理解していたし、故に己一人の手での目的へと辿り着くことができないであろうことも理解していた。 ルイズは四人の弟子たちに、己の納めた錬金術の知識と技術とを、四年の年月をかけて教え伝えた。 それも全員に同じものを教えたわけではない、それぞれの弟子たちには適性ごとに別々の事柄を教え込んだ。 自分の限られた時間では辿り着ない境地へと、弟子の誰かが辿り着く未来を願って。 そうして四年間かけて、彼らを一人前の錬金術師に育てたあと、彼女は弟子たちにこう言ったのである。 「錬金術を、世に広めなさい」と。 その一言から、十年以上の歳月が流れた。 たった二十年、それだけの時間で世界は容易く変化する。 様々な部分で、小さく、大きく。 人は年をとったし、真新しかった石畳は薄汚れた。 美味しかったパイの店は主人が引退して息子に代替わりしてから評判が落ち、草木が育たないと言われていた荒れ地も、開墾と土壌改良によって実りをえた。 トリステイン王国は貴族によって寡占されていた職種の一部で、広く平民を登用することを決定した。 ガリア王国では国が分裂し、その片方が共和政府を名乗り今でも内乱を続けている。 ゲルマニアは相変わらずらしいが内部での政争はその激しさを増しているらしい、ロマリアでは弾圧され力を失っていたはずの新教徒たちが力を盛り返し、年々その発言力を増していると聞く。 ここ数百年なかったような、急激な変動が世界に起こっている。 そして、その一端には錬金術の存在があった。 魔法を使えない平民でも容易に扱うことのできる錬金術によるアイテムの存在。更には平民出身でも錬金術師にはなれるという事実そのものが、絶対的であった貴族の権威を揺るがし、貴族に対する平民の地位の向上へと繋がりつつあるのである。 が、このことはルイズとしては別段どうでも良いことである。 ヘルミーナとルイズがガリアにいた頃から平民に貴族に、表に裏にばら蒔いた錬金術とその成果は、やがては四人の弟子たちにも受け継がれ、世界各地へと波及していった。 四人の高弟たちは、各地に錬金術を広める傍らに弟子をとり、更なる錬金術の広まりに貢献した。 最初は争いの場に、やがては貴族たちの社交の場に、そしてついには平民たちの生活の場にまで錬金術は手を伸ばした。 早くから錬金術が広まったガリア王国には、錬金術を専門で研究する機関を設立する気運が高まっているとも聞く。 分裂し、国力を殺がれたとはいえ、格式と伝統の国ガリア。彼の国で錬金術が認められたとなれば、各国ともそれを追随せざるをえまい。 それもこれも何もかも、すべてはルイズの思い描いた通りに。 工房地下に作られた廃棄処理施設、ルイズはそこで失敗作を破棄する作業を行っていた。 かつては美しかった桃色のブロンドも今はくすみ、その鮮やかさの面影を残すのみとなっている。 三十路半ばの盛りを過ぎた体は全盛期の美しさは失っていたが、逆に円熟した大人の女性を感じさせる。 露出を抑えつつも色気を発露させている黒いイブニングドレスを身に纏った姿は、妖しいとか、艶やかという言葉がよく似合う。 だが、それらの魅力と氷のように冷たい眼光とが合わさって、一種近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。 失敗作を炉に放り込んで再生成し、新たなる錬金術の礎とする。錬金術師なら誰でも行っている行程である。 薄暗い地下で、こぼれ落ちる汗も気にせずに、根気よく作業を続ける。 錬金術というものは、これでなかなか力仕事が多い、今回のそれもなかなかに重労働であった。 弟子がいた頃にはこういった面倒な作業はすべて彼らに任せっきりにしていたことが、今は懐かしい。 手の平大のものから一抱えもあるものまで、様々な失敗作や欠陥品を焼却台の上へと並べていく。 そうして、最後の一体に取りかかろうとしたところで、光源を最低限に抑えてある地下に不意に光が差し込んだ。 「ん……?」 ルイズは視線を上げて階段の上、闖入者の姿を確認しようとする。 逆行になってその顔は確認できなかったが、背格好とほのかに香った香水の匂いで、それが女性であることだけが知れた。 「『ダングルテールの魔女』さん、であっているかしら?」 ヒールの音をたてながら降りてくる声には女性的な瑞々しさが溢れており、推測が正しかったことが証明された。同時、ルイズはその声に引っかかるものを感じたが、そちらの方は無視することにする。 ルイズがじっと見つめる中で人影は石段を下り、残りが数段になる頃には、その姿をはっきり見て取ることができた。 燃えるように赤いロングウェーブに褐色の肌。身長はルイズよりも高い、百七十サントほどはあるだろうか。 どこか見覚えのあるような青いのローブと緑のマントを着用したその女性は、口元に不適な笑いをたたえている。 「ふん……初対面の相手を前にしたら、まずは自分から名乗りなさいってこともゲルマニアでは教わらないのかしら?」 先ほどの違和感を表へと出さぬように、『ダングルテールの魔女』は普段通りの対応で客を出迎えた。 「あら、随分と変わったなと思ったのに、悪態の付き方だけは昔のままなのね。ゼロのルイズ」 久しく耳にしていない名前で呼ばれ、面食らうルイズ。 『ゼロのルイズ』自分をそう呼んだ赤髪の女性、古い古い記憶の中に一人だけ心当たりがあった。 「……キュルケ?」 遠い記憶の肖像画と、目の前の女性とが重なった。 「あの高名な『ダングルテールの魔女』に名前を覚えていて貰って光栄だわ」 あの頃と変わらずに、腰に手を当てて、自信に満ちた顔と仕草で微熱のキュルケが微笑んでいた。 「その派手な特徴を忘れろって方が無理があるわね。それで一体何のようかしら、同窓会の誘いならお断りよ」 皮肉げな声と表情で、作業を続けようとするルイズ。 半ば予想していたとはいえ、目の前の女性の過去と現在の差異にキュルケは小さく嘆息した。 「ふう……それにしてもここは熱いわね。長くなりそうだから上で話したいんだけど、駄目かしら」 キュルケの言葉にルイズは作業の手を止める。 「さっさと上に行きたいならそっちの方を持って頂戴。これをそこの台の上にのせるから」 そう言ってルイズが失敗作の端を指さすと、キュルケもそちらの方へ目線を移した。 「これ? ええと、この辺を持てばいいのかしらね?」 「それで良いわ。合図をしたら持ち上げるわよ。……いち、にぃ、さんっ!」 重い何かを二人で持ち上げ、少し離れた場所にある台まで運んでいってその上にのせる。今日の分はこれでお終いである。 「ところで、これって……」 キュルケが自分が持ち上げた袋状のものに入れられた何かを指さす。渡り百五十サント以上はありそうな大きな長細い袋、中には所々弾力のあるごつごつしたものが入っているようだった。 「ただの失敗作さ」 応えるルイズであったが、たまたまキュルケの指さしたその袋の一部が破れており、中身が覗けるようになっていることに彼女は気がついた。 好奇心で中にあるものを覗き込むキュルケ。 直後、彼女はそのことを後悔することになる。 そこから見えたのは、眠るように目を閉じたあの使い魔の少年の顔だった。 作業を終わらせたルイズはキュルケを伴って階段を上り、彼女の居住空間も兼ねている工房へと戻っていた。 煩雑にものが散らかった工房に、申し訳程度に置かれている丸いテーブル、そこに向かい合い座っている二人。 周囲には色とりどりの瓶や良く分からない鉱物の欠片、果てにはバナナの皮なんかも落ちている。 ふと何かが動いた気配を感じてキュルケがそちらを見ると、箒とちり取りがひとりでに動き回り掃除をしているところだった。 訪れる前に想像していた以上に、そこは『魔女の住処』じみていた。 失敗作の正体と、それを無造作に炉へ放り込むルイズに顔色を失ったキュルケだったが、今は立ち直ったのかそんなことはおくびにも出していない。 「それで、長くなる用向きとは何かしら?こう見えても暇じゃないものでね、さっさと済ませたいのだけど」 「そうね。さっさと用件を済ませたいのはこちらも同じだわ」 そう言ってキュルケが続けようとしたとき、工房の奥から小間使いの少年が現れて二人の前に紅茶の入ったカップを置いていった。 その小間使いの少年は、サイトの顔をしていた。 「……」 それを見て、開きかけた口を再び閉じて押し黙るキュルケ。 「ここは魔女の工房さ。そんなことで一々驚いてちゃ身が持たないよ」 言いながら優雅な仕草で、運ばれてきたカップを口元へと運ぶルイズ。 その姿は確かにあの頃の片鱗を思わせたが、それ以上に『魔女』の凄みを感じさせた。 「ええ、あなたがとびっきりイカれてるってのはよく分かったわ」 「あらそう。ありがとう」 運ばれてきた紅茶に手をつけぬまま、キュルケは懐から一通の書簡を取り出して、それをルイズに手渡した。 「これは?」 「読めば分かるわ」 ごもっとも、と答えて封筒の端を手でちぎり、その中に入っていた一通の手紙に目を通す。 そこにはキュルケの服装を見てから予想していた通りの用件が、事務的に書かれていた。 「こんな用件のためだけにあの霧を抜けてきたなんてね、とんだ酔狂がいたものだわ」 くすりと声を漏らしてから、白魚のような指で手紙を破り捨てる。その様子を見てもキュルケは何も言わなかった。 「伝えて頂戴。答えはノー、私には余計なことに関わっている時間はないと言っていたと」 細かな紙切れとなって床に落ちていく手紙に書かれていた内容は、ルイズをトリステイン魔法学院の教師として迎え入れたいという旨の打診であった。 魔法学院とはいえ、国の抱える高等教育機関。その教員ともなればそれなりの名誉には違いない。 けれど、ここ数年このような願いが各地からルイズの元へと寄せられる度に、彼女はそのすべてを断っていた。 その多くはルイズの持つ錬金術の奥義を己がものにしようとする政府や組織の意向によるものばかりで、本当の意味で教師や職員として迎えようなどというものは一つとして無かったからである。 「私は誰かの子飼いになって研究するつもり気はさらさらないわ。別に援助なんて受けなくとも資金面での苦労なんてしていないもの」 そう言い放ち、話はこれまでと腰を浮かせるルイズの手を、キュルケがさっとつかんだ。 「学院はあなたを子飼いの研究員にしようとなんてしてないわ! ただあなたを純粋に錬金術の講師として雇いたいと言っているの!」 「ふん、口だけなら何とでも言えるわね。手を離しなさい、話は終わったわ」 「終わってないわ!」 振りほどこうとするルイズだが、キュルケはつかんだ手を頑として離そうとしない。 「良いから聞きなさい! 学院は来年度新設される平民向け教育カリキュラムに、錬金術を取り入れる予定よ」 平民向け教育カリキュラムという聞き慣れない単語に、ルイズの目が細まった。 キュルケはその仕草でルイズの興味を引けたことを確信すると、話をたたみかけた。 「トリステイン魔法学院は来年度、出自を問わない専門課程として錬金術を中心としたクラスを設立することに決定したの。生徒の数は十五人、修学期間は三年間。教育費用は王国が大部分を負担、その上で奨学金制度を用意するわ」 「離しなさい」 今度こそキュルケの手を振り払い……腰を下ろす。 「ガリア王国で三年後に設立される予定のアカデミー、それを受けてトリステイン王宮内でも錬金術教育を進めるべきという声が上がって、その先駆けとしてトリステイン魔法学院に錬金術教育部門が新設されることになったのよ。 そして、その目玉として『ダングルテールの魔女』であるあなたを、教師として迎え入れたいというのがオールド・オスマンのお考えよ」 「……正気かい?」 『ダングルテールの魔女』と言えば、確かに最初に錬金術を伝えた『旅の人』より直々に手ほどきを受けた、その道の第一人者。錬金術を少しでも囓った人間でその名を知らなければモグリであろう。 しかし同時に、多くの戦争兵器や毒薬を生み出した残虐な魔女としても名が通っている。 彼女が歩いてきた道は、決して綺麗な道などではない。屍に屍を重ねて作った血塗られた道だ。 そんな人間だと知ってなお教師として雇おうなど、ルイズが学院長の正気を疑うのも無理はなかった。 「ええ、正気よ。大真面目よ。だからあなたも真面目に答えて頂戴。トリステイン魔法学院で、錬金術の教鞭を執るつもりはないかしら?」 「……考えさせて貰うわ」 途端、キュルケが右手を握ってテーブルを叩いた。 「これはあなたのためでもあるのよ! 確信したわ、あなたはここにいたら駄目になる」 キュルケの激昂にもルイズは動じない、ただ小間使いの少年にお茶のお代わりを持ってくるように言いつけるだけ。 「さっきのアレは何? お人形さんにサイトの格好させてサイトの顔させて、おまけに失敗作って言って眉一つ動かさずにゴミ扱い!」 彼女自身こんなことを言うつもりはなかったのだが、キュルケの二つ名は微熱。その名に恥じない情熱と感情の迸りを、思うがままに放埒に言葉にのせる。 「もう二十年よ!? 忘れたって良い頃合いだわ! 第一彼があなたのそんな姿を望んでると思っているの!?」 年を重ねても、そんなところこだけは当時のままだった。 懐かしい、と思わないでもない。 しかし、 「黙りなさい」 そんなことでは揺るがない。 静かに言ったその一言は、ルイズがそれまで積み重ねてきた二十年、その重みを感じさせるような暗く淀んだ声。 「あなたに何が分かるって言うの? 私はこの二十年間、必死にサイトを取り戻そうと努力してきた。私はあなたが二十年をどう過ごしてきたか知らない、でもあなただって私がこの二十年 をどうやって過ごしてきたのか知らないはずよ。あなたは何をもってそれを否定しようとするのかしら? あなたの正しさはあなたが決めなさい。でも、私の正しさは、私が決めるわ」 この二十年、一日たりともサイトを忘れた日はなかった。 それでも年月は人の記憶を薄れさせる。 嬉しかったことも、悲しかったことも、苦しかったことも、全部、全部。 ある日気づいた。サイトの声が思い出せなくなっている自分に。 はっきりと覚えていたはずのサイトの顔も、おぼろげになっていることに気づかされ、そんな自分に愕然とした。 忘れないと、サイトを忘れないと誓ったはずなのに、月日の流れは残酷にも岩を削る川の流れのようにして、彼女の記憶を風化させていた。 ルイズは恐怖した。 いつか自分がサイトの顔も、サイトへの想いも忘れてしまうのではないかと気が狂ってしまいそうなくらい恐怖した。 だから作ったのだ、サイトの写し身を。 彼を忘れないために。 サイトのパーカーから抽出した血を用いて、ルイズは人工生命を作り出した。 彼はサイトの声で喋り、サイトの顔で微笑んだ。 だが、それはサイトではなかった。 肉体の複製は作れても、そこに宿る魂はサイトのものではない。 サイトの魂の復活なくしては、それはただのサイトの形を模した人形に過ぎないとルイズはこのとき知った。 加えて彼は、かつての恩師ヘルミーナがルイズに教えた通りの欠陥を抱えていた。 それは寿命。 人の手により生み出された彼のそれは、人間のものに比べて余りに短かったのである。 最初のサイトは、二十日で動かなくなった。 改良を加えた二人目も、三十日でその生を終えた。 ルイズはそれからもサイトを生み出し続けた、何人も、何人も。 けれど、どれほどの業を用いたかも分からぬ今になっても、その問題は解決できないでいる。 今この工房で生きているサイトは、都合百二十五日目を迎えていたが、ルイズの予測ではあと四十日ほどで寿命を迎えるはずであった。 欠陥だらけの失敗作、それがルイズの下したサイトたちへの評価だった。 だが、それでもルイズは彼女の作品たちを愛した。 彼らに罪はない。罪があるとすれば、それは己の無力さが罪なのである。 そうしてルイズは何度も何度もサイトを失った。 最初は一人のサイトが死ぬ度に、心が軋み、悲鳴をあげた。発狂するような痛みが心を貫いた。 だが、二人、三人、やがて何十人と繰り返すうちにそれも慣れてきた。 折れた骨が太く硬くなるように、ルイズの心もまた堅く強ばっていった。 ルイズは工房の窓から、霧の中へと去っていくキュルケの後ろ姿を黙って見つめていた。 その背中は何かを語っているようであったが、キュルケの最奥を知らぬルイズがそれを理解することなど、適うはずもない。 周辺を覆う霧は推薦状無しに訪れたものを拒む効果があったが、それがあろうとなかろうと、出て行くものには干渉しない。 キュルケがこの工房へと辿り着たのは四人の高弟の一人、今はトリスタニアに工房を構えているらしい彼女の推薦状があったからだったのだが、それも既に取り上げた。 これを燃やして話を聞かなかったことにすれば、今回の件は終わりだ。 二度とキュルケがここを訪れることはないだろう。 窓辺を離れる。 この先やらなくてはいけないことは山積みされている。 工房の機材の中、持っていくものと残していくものを選別しなくてはならない。 大き過ぎるものや取り扱いが難しいものは、推薦状を渡した高弟のところへ出向いて巻き上げる算段をたればいいだろう。 以前自分がヘルミーナから渡されたレジュメも探さなくてはいけない。 まあ、何よりもまず工房の中を整頓するのが最優先に違いない。 保留ということでキュルケに返事をしたが、実際のところ、ルイズは今回の誘いを引き受けるつもりでいた。 彼女が言っていたことは実に傲慢かつ正論ぶった内容で、とても気に入らなかった。 だが、その中で一つだけルイズにも同意するところがあるとすれば、それは「ここにいたら駄目になる」という部分。 それはルイズ自身にとっても、本当は気がついていたことだったのだ。 この工房には定期的に世界に散った高弟たちから、各地で行われている錬金術研究の成果が送り集められてくる、そういう仕組みになっていた。 ダングルテールにいながら、ルイズの元には常に世界中の最新の情報が集められてくる。 正に隠者として過ごすならば理想的な環境、研究をするだけならば工房にいるだけでことは満ち足りる。 人目を避けて外界を拒絶し、孤独に一人研究を続ける。あるいはこれが自分の終着点であると思った時期もあった。 けれど、この工房で十年を過ごし、何人ものサイトと触れあって分かったことがある。 これでは、駄目なのだ。 ただ一人で過ごし、サイトの死を諾々と受け入れ続ける自分。 そんなことを続けていけば、サイトへの想いはやがて変質する。 本来あるべき形を失って、歪んだ何かへと変わってしまうかもしれない。 それは到底認められないことだった。 人間は摩耗する。気力は衰え、在り方は変容する。 人は外部からの刺激無しに己を貫くことはできない。 だが同時、刺激に対して反応し、変化せずにはいられない。 ルイズは自分がなぜこんなところに隠れるように住まうようになったかを分かっていた。 怖かったのだ、何もかも変わっていく風景が。 恐ろしかったのだ、サイトを忘れろと語りかける周りの声が。 だから逃げ込んだのだ、何も見えず、何も聞こえないこの場所へと。 しかし、孤独は彼女を救いはしなかった。 変化を避けて逃げた先に待っていたものは変質であった。 そのジレンマに気がついて以来、ルイズは如何にすれば自分を保つことができるかを考え続けていた。 朝も夜も昼も考えた。 そうして今、彼女は一つの答えへと辿り着いている。 それは、伝えること。 サイトのことを漏らさず余さず、すべてを伝えること。 自分の気持ちと共に、それを伝えるということが、ルイズの見つけた答えであった。 例え自分の中でサイトが薄れても、伝えた誰かが覚えてくれている。 分からなくなったら、誰かの中にあるサイトを確認すればいい。 伝えられた人の中でもきっとサイトの姿は変化するだろう。 だが、何百人何千人と伝えることで、彼らの中にある真実の断片を繋ぎ合わせて、本物に近いサイトを見つけることができるはずだ。 そうして、伝えながら常に自分でも確認するのだ、サイトへの想いを。 キュルケの誘いは、外の世界へ踏み込めないでいたルイズへの、最後の一押しとなった。 孤独の中で変質するか、困難であろうとも人の中で自分を貫くか。 ルイズが選んだのは後者。 もう恐れはしない、変化する世界を、人々の声を。 だから伝えていこう、錬金術を、サイトへの想いと共に。 いつの日か、本当にサイトが蘇るその日まで。 ◇◇◇ 「先生! ツェルプストー先生! またルイズ先生が!」 火の塔、キュルケの研究室への扉を騒々しく開けて飛び込んできたのは、錬金術科の女生徒。 「あらら、どうしたのかしら?」 ある種の予感をもって、キュルケの手が机の引き出しの一番上、書類などを納めたそこへと滑る。 「先生! ルイズ先生ったら酷いんです! 魚をとりたいって言ったら薬をくれて……それを使ったら川の魚が全部浮かんできたんです!」 「また人騒がせな……」 こめかみを抑えてキュルケが呻く。 伸ばした手で引き出しの金具をつかんで引く、そうしてそこから一枚の書類を取り出すと、そこには「始末書」の文字が躍っていた。 ルイズは錬金術科の統括教師、一方キュルケは一年生の学年主任をしている。 駆け込んできたのは錬金術科とはいえ一年生、キュルケの管轄には違いない。 加えて彼女はルイズがこの学院へと赴任して以来、何か問題を起こした際にはその後処理を行う役目も任されていた。 そもそも、当初学院において評判の悪い魔女であり、不名誉きわまりない退学者であるルイズを召致するという思い切ったことを主張したオールド・オ スマンを強く支持したのは、このキュルケくらいだったのである。 学長が自分の権限を使いルイズを呼び寄せた今、自然とルイズが何か問題行動を起こした場合に、面倒ごとに巻き込まれるのはキュルケというのが、一つの決まり事となりつつあった。 「まったく酷いんですよルイズ先生ったら! この前はこの前で畑の収穫を増やしたいって言ったら……」 そこから先はキュルケが続けた。 「畑の養分をすべて作物に変える苗を渡した、だったかしらね」 ルイズの問題行動はこれが初めてでも、ましてや二回目や三回目というわけでもない。 無論、それぞれオスマンからのフォローも入っていたが、細々とした書類上の処理などはキュルケが行っている。 何か起これば一蓮托生、それが現在のルイズとキュルケの関係なのである。 「そうなんです! あの人は魔女です! きっと悪魔に魂を売り渡してるんです!」 そう言って地団駄を踏む生徒を見ながら、キュルケは嘆息した。 そして更に詳しい事情を女生徒から調書する。まあ、それによれば自分で調合せずに手抜きをしてルイズを頼った生徒の自業自得とも受け取れる内容であったのだが…… 「あー、はいはい、落ち着いて落ち着いて。そっちの方は私の方から彼女に言っておくから」 「ツェルプストー先生! 確か先生とルイズ先生って同期なんですよね? ルイズ先生ってば昔からあんなに根性ひん曲がった人だったんですか? あんな性格が異次元な人、わたし他に知りませんよ!?」 半泣きになりながら訴える生徒をぼんやり聞き流しつつ、指先でペンをくるくると回す。 「んー……昔はだいぶ違ったんだけどねぇ……」 キュルケにすれば何の気は無しに漏らした一言だったのだが、それがいけなかった。 とたんに女生徒の目は輝き、おもちゃを見つけた子猫のように、その動きをピタリと止める。 「え? ルイズ先生って昔からあんな感じだったんじゃないんですか?」 女生徒の顔が好奇心に燃えるのを見て、キュルケは先ほどの自分の失言に気がついた。 「あちゃー……」 「いいじゃないですか! 教えてくださいよ!」 「うーん、そうねぇ……」 しばし頭をひねって考える。するとキュルケの頭に何とも素晴らしい妙案が思い浮かんだ。 「話しても良いけど、これから聞いたことを絶対誰にも口外しない、勿論ルイズにも。あとそれから今回の件は忘れること」 ルイズの過去と、今回の面倒事とを秤にかけて、結局後者が勝ったのだ。 「いいですいいです! それで先生、昔のルイズ先生ってどんな感じだったんです?」 「そうねぇ。どこから話せばいいか迷うけど、彼女と最初に会ったときのことから話しましょうか……」 椅子を引っ張り出してきて、その上にある書類をどかして勝手に座る女生徒。 彼女を前にしてキュルケは語り始める、長く切ない過去の話を…… これはとある女性の人生の、ほんの一部分だけを抜き出した物語。 彼女は色々なものを失って、ほんの少しを手に入れた。 長い時間の中で、姿や考え方、性格まで変わってしまった彼女。 けれど、変わりゆく流れの中で、己の本質だけを守り通そうとした、そんな強い彼女の物語。 最後に、この物語を閉じるにあたり、彼女が初めて教壇に立った際に口にした言葉をここに記し、幕引きに代えることとしよう。 初めは誰もが無力だった。 不死身の勇者も、高名なる錬金術士も王室料理人も 初めは何の力もないごく普通の人間だったのだ。 だが、彼らは誰よりも夢や希望を強く抱き、追い続けた。 だからこそ世に名を轟かすほどの存在になれたのだ。 夢は、追いかけていればいつか必ず叶うものだから…… ――ルイズ 前ページヘルミーナとルイズ
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*ここに名前* imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (*ここにアプデした画像ファイルをはってね。あまりでかすぎるとバランス悪くなるかも*) レベル *○○* 型 *SDやらSAやら入れるといいよ* 職業 *○○* サブ *○○* コメント *ここにコメントどうぞ* みんなからのコメント *ここにこの人への熱い想いを書くといいよ!* *名前を入れてください* *ここにこの人への熱い想いを書くといいよ!* *名前を入れてください* 画像は 左上の編集→このページにファイルをアップロード→画像を選んでアップロード→編集中ページの下の方にアップロードしたファイル名をコピーして括弧内に入れる