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タブンネの町・悲しき町民編 タブンネの町・反撃の狼煙編 タブンネの町・怒り大爆発編
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タブンネの集落で沢山のタブンネが沢山のタブンネの亡骸を見つめて呆然としています。 そこへ心優しいトレーナーがやってきてこう言いました。 「…僕が埋葬してあげよう」 タブンネ達はそのトレーナーにネコブのみ20個を渡してそれを頼みました。 やがて集落にできた立派な墓。タブンネ達は毎日お参りしていました。 ある日、違うトレーナーが来てこう言いました。 「変なものがあるなぁ、タブンネには分からんだろうし、ぶっ壊すか」 せっかくのお墓を壊されてはたまりません。タブンネ達は必死でそれを阻止しようとしました。 しかし、そのトレーナーのポケモンに勝てず、皆死んでしまいました。 いえ、一匹生き残っていました。最後のタブンネは仲間の亡骸をせっせと埋葬しました。 その光景をみたトレーナーはタブンネを追い払い、「タブンネにこんなものいらん!」と言ってお墓を壊してしまいました。 最後に残ったタブンネはただただ泣いていました。 そして何とかお墓を立て直そうとした結果、できたのは亡骸と土の山。でも最後のタブンネには十分だったようです。 最後のタブンネはそれに覆いかぶさるような形で、ゆっくりと息を引き取りました。
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俺は一組のタブンネ(♂♀)を最近飼い始めた。 理由としては新鮮なタブンネの卵を毎日食うため・・・いわばニワトリ代わりだ。 飼い始めてすぐにタブンネは卵を作った、しかし俺が卵を回収する度に「ミィミィ!」と騒いでうるせえ。 そんな日が続いたある日、いつものように卵を回収しに行くと珍しく卵を産んでいなかった。 こんな日もあるだろうとタブンネをチラ見すると、どこか様子がおかしい・・・そう思いつつ小屋を 立ち去った。 しかし次の日もその次の日も卵を産まなかった。どうしたものかと考えつつ今日も小屋に向かった。 小屋の近くに行くと「ミィミィ!」「ミィミィ!」と可愛らしい鳴き声が聴こえてきた。 中を覗き込むと♂♀タブンネに群がる3匹の子タブンネの姿が見えた。 ♀タブンネは赤ちゃんのうち一匹を抱いて「ミィ~♪」とご機嫌の様子だが、俺は卵を何日も食えなかった 理由がわかった・・・卵を隠してやがったんだ。俺は無言で小屋に入り♀タブンネに蹴りを入れた。 「ミギィッ!」と倒れる♀ブタ。「よくも俺を騙しやがったなゴルァ!!」と叫びながら追撃を浴びせようとした。 すると♂ブタが俺の前に立ちはだかった「ミィ!!」と生意気に威嚇してきやがったwwってゴフッ・・・ 俺はタブンネの突進に吹っ飛ばされたらしい・・・クソ豚だと侮っていたが、腐ってもポケモンって事かよ・・・ 身の危険を感じた俺は即座に逃げ出した。去り際に♂ブタが「ミィィイ!!」と勝ち誇っていかのように叫ぶ。 チラリとブタを見た。ドヤ顔の♂ブタに♀ブタ子ブタがやったね!といった感じで抱きついていた。 このままじゃ終わらせねえ、絶対にブチ殺す・・・怒りと悔しさに震えながら小屋を後にした。 小屋から立ち去った俺は手持ちのポケモンに復讐を手伝ってもらうことにした。 「ゾロえも~~ん!」俺はゾロアークに小屋での事を話した。するとゾロアークも怒り心頭のご様子、 復讐には乗り気のようだ。復讐の決行は夜、クソブタ共の寝込みを襲うことにした。 夜も更けた頃に頼もしい仲間を連れてブタ小屋に向かう。俺の片手には伝家の宝刀、金属バットだ。 ブタ共は俺自身がぶん殴らないと気が済まない・・・ここでやらなきゃ男が廃るってもんだぜ! 早速ブタ小屋に駆け込み、暢気に寝てる♀ブタを金属バットでメッタ打ちした。 「ブミィィィィィ!!」と下品な声を上げ、身を縮みこめる♀ブタ。 10発以上の連打を浴びせ、ボコボコになった♀ブタを蹴り飛ばすと♂ブタが起きたようだ。 生意気に俺を睨みつけ「ミィィィィィッー!!」と威嚇しているw 俺は距離を取り「かかってこいよクソブタァ!」と挑発するとこちらの思惑通り突進を仕掛けてきた。 目の前のブタに意識を集中し、金属バットを構え迎え撃つ体勢を取る俺。 勢いをつけて走るタブンネの横をすれ違う影が見え、その瞬間ブタの腹が裂け血が飛び散った。 ゾロアークのつじぎりだ。「ミギャアアァァァ!」と叫び前のめりに倒れそうになる♂ブタだが 突進の勢いを殺せずフラフラと俺のバットの射程圏内に・・・w 怒りを込めた炎のフルスイング!「顔面クリーンヒットォォォォオ!!」思わず叫んでしまう程の爽快感!! 「ミギッ・・・」顔面を強打し歯がボロボロにw気絶して倒れる♂ブタ。 「おっと、恐ろしい奴が来たようだぜ・・・」颯爽と現れたスカタンク、こいつも俺の手持ちで 今回の作戦では脱糞係を担っている。早速死にかけの♂ブタの頭に豪快に跨ると「ボフッ!!」挨拶代わりの毒ガスだ。 その瞬間ひときわ大きくビクンと痙攣するブタ。ウンコの前には屁が出るって事か。 「ブリュリュリュリュリュ!ブリュゥッ!」お次は本命の脱糞だ!1日ウンコを我慢してたのか凄い量だぜw するとボコボコにした♀ブタが動けるようになったらしく小屋から飛び出してきた。 「ミィィィィィィィィィ!!」とあまりの惨状に大声で叫ぶ♀ブタ。 ♀ブタがいやしのはどうを♂ブタに当てはじめた・・・っていうか顔に乗ってるクソをどけてやれよw ♂ブタに気を取られてる隙に子ブタをすかさず回収。卵が食えなかった分こいつ等をさばいて食うことにした。 暴れる子ブタ共に鉄拳制裁!「ミブィィィイ!!」「ミギャァァア!!」「ビギャァアァア!」と悲鳴を上げる子ブタ共。 「ミギャァァァァァァァアー!!グギャァァァァァアー!!」俺が子ブタを回収してる間に♀ブタはゾロアークに ズタズタにされていた。こいつも食っちまうか・・・ ♂ブタの傷は治っていたが、スカタンクのウンコが気道に詰まって窒息死していたw 死体という名の汚物をスカタンクとゾロアークのかえんほうしゃで焼き尽くしてもらった。 「ミビャアァァァァァー!」ヨダレと鼻水を撒き散らし泣き叫ぶ♀ブタ。死んだのお前のせいだろww 泣き声といい本当に汚いブタだな・・・おまけにアホって、プププ・・・ww 動けない♀ブタをバットの一撃で黙らせた。 すると腹が減っていたのか子豚を生で丸かじりするゾロアークとスカタンク。 「グギャアァァァァー!」「ブギィイィィィィー!」と叫びながら噛み砕かれ、飲み込まれた。 俺が楽しく調理する予定だったのに・・・・・ ん?俺が首根っこを掴んでいた残りの子豚は糞尿を漏らしガタガタ震えている。 あまりの汚さに俺は子ブタを地面に落とし、金属バットで叩き潰した。 「ブチュゥ!」と断末魔を上げて潰れる子ブタの感触ンギモヂイィィィー! 少し疲れたかな・・・気絶している♀ブタの処理はゾロアークに任せた。 ♀ブタはゾロアークの爪を心臓に突き刺されビクンと痙攣し、絶命した。 すかさずゾロアークとスカタンクが早くも♀ブタを食いはじめた。俺の分は・・・? こいつを食い終わったら新しいタブンネを探しに行こう。次は調子に乗らないようにしっかり躾けないとね。
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丹精に手間暇かけたタブ肉を出荷しているとある農家では、肉だけでなく一風変わったものを生産している。 畜舎では、横幅が並みのタブンネの二倍はあろうかというタブンネ達が狭い個室でオボンの実をムシャムシャと引っ切り無しに頬張っている。 「えらく食欲旺盛ですね…」 「ええ、一匹20個は食べますね」 「一日に20個もですか!?それはまた随分と…」 「いえ、一回20個です。肥やしタブンネを使って果樹園でオボンの実も栽培していますが、食事は一日五回なので食費は馬鹿になりませんね。ですがそれだけ多くの肉が収穫できますし、高値で買い取って頂けているので収益はとれています。」 「こちらはタブンネ達の育児小屋になります。皆今日生まれたばかりなんですよ」 小屋は畜舎と同じように個室に分けられており、タブンネ達がまだ目も開いていない小さな赤ちゃんを でっぷりとしたお腹に抱いて、優しげな目で見つめながら乳を与えている。 「このタブンネ達はあちらに移して、出荷されることになります。」 育児小屋の隣にある、壁が分厚いコンクリート造りの建物の中に入ると、数匹のタブンネが檻の中に入れられており 外の音と遮断されているためか落ち着かない様子だ。 我々が入ってくると嬉しそうな声をあげ、檻にしがみ付いて何かを訴えかけてきている。 おそらく子供を探しているのだろう、檻から出すとあたりをきょろきょろと見回す。 しかし子供達がどこにもいないと分かると、甘えた声を出しながら農夫にすり寄ってくる。 戯れてくるタブンネ達を部屋の一角に誘導すると、備え付けてあった鎖で手足を縛り、動けないように固定した。 子供と引き合わせてくれると思っていたところを、体を拘束されタブンネ達は困惑し、再び不安そうにミィミィ鳴き始めた。 動揺するタブンネ達を放置して、隣の部屋に入るとたくさんの赤ちゃんタブンネ達が母親を探してか か細い声で鳴きながらよちよちと這いずっていた。 「雌は次世代の母親として残ってもらいます。雄は可哀想ですが、ここで加工されることになります。」 そう言って牧夫は雄のタブンネだけを籠に集め、元の部屋へ戻る。 「みいいいぃぃぃーーーーーーーーーーー!!」 鎖に繋がれたタブンネ達は、籠の中に無造作に詰め込まれた我が子の声を聞き 激しい声を上げながらこちらに手を伸ばしている。籠に詰められ苦しそうにもぞもぞ蠢いていた赤ちゃん達も、母に反応してかピィピィと哀願するような声で鳴きだした。 牧夫はうるさいタブンネ達を無視して、親タブンネ達の丁度正面にある透明な大きな戸棚のようなものへ向かう。 戸を開けるとひやりとした空気が外に漏れ出し、籠の中の赤ちゃん達もぶるりと反応した。 「これは特注の冷凍庫なんですよ。ちゃんと外からも見えるものが欲しくて。赤ちゃん達はペット用の餌として出荷されることが多いですね」 「ピィィ!ピィィ!!」寒さからか恐怖からか、震えながら抵抗する赤ちゃん達を次々と冷凍庫に押し込んでいく。 後ろでは母タブンネ達がけたたましく鳴き続けている。 全ての赤ちゃんを収納し終えると、牧夫は母タブンネ達の元へ向かい、タンクへと繋がったチューブのついたゴーグルのようなものをタブンネ達に装着した。 「みっ、みいぃ!?」 取れないようバンドのきついゴーグルを付けられたタブンネ達は一瞬困惑するが、意識はすぐに冷凍庫の赤ちゃん達へ戻る。 「みぃぃ!?みっみっみっ!!み゛ーーーーーっ!!」 冷凍庫の中で身を寄せ合い震えている赤ちゃん達を見て、タブンネ達は激しく取り乱し必死に手を伸ばす。 しかし体も手足も鎖でがっちり拘束されているため身動き出来ない。 「フィィ…」 冷凍庫内の温度は生まれたての赤ちゃん達には相当深刻らしく、想像以上に衰弱が著しい。 冷蔵庫の扉に張りつき、繋がれた母親に向かって弱々しい鳴き声で助けを求める。 母タブンネ達は鎖から脱しようと必死に体を捩り暴れるが、どうにも出来るわけがなく 凍える赤ちゃん達を見てただ涙を流すことしか出来ない。すると、ゴーグルに貯まった涙がチューブを通ってタンクへと流れて行く。 「タブンネは涙腺に糖分を溜め込むんですよ。毎日沢山のオボンの実を食べさせていたので、非常に糖度の高い涙が分泌されます。」 ご存知の通りタブンネは苦痛や恐怖、絶望でミィアドレナリンを分泌するが、体液に溶けたアドレナリンが糖分と反応を起こし非常に美味な涙を流すのである。 「少しいかがです?原液を口にする機会そうそうないですよ」 一滴舐めただけでも口一杯に濃厚な甘みがじんわりと広がり、いつまでも後味が残る。甘さもくど過ぎず、さわやかな風味である。 「ちなみにこの冷蔵庫は温度が低めに設定してあります。中の赤ちゃん達もたくさんいるので、完全に冷凍されるまで丸一日くらいですね。 タブンネ達には出来るだけたくさん涙を流してもらわないといけないので、時間がかかるようにしてあるんですよ。」 タブンネという種族は非常に親子愛が強く、子を失くした親は後を追う程に悲しむという。 生まれたばかりの赤ちゃん、それも初めての子供を奪われる母タブンネの悲しみは何にも勝ると牧夫は語る。 「このまま数日放置して涙が枯れたら、従業員のサンドバッグにしたあと奥の工場で食肉に加工します。 この肉も他では味わえない甘みがあると、大変好評を頂いております。」 加工された肉は主に専属契約をむすんだ高級レストラン等にタブンネの涙と一緒に出荷される。 タブンネの涙はとても貴重なため薄められて扱われ、熟成されてタブンネフルコースの食前酒や食後酒に加工されることが多い。 また、調味料としても使用され、ソースやスープの隠し味としても重宝される。 タブンネの不幸で飯が美味いとはまさにこのことである。 供給量が需要に追い付いておらず中々口にする機会の無いものだが、一度はフルコースと共に嗜んでおきたい美食である。
https://w.atwiki.jp/keikenchi/pages/1322.html
木の実を育てているとタブンネの被害に困ることがよくある。 どうにかならないかと思い、ある方法を考え付いた。 木の実を収穫しているとオボンの木に集まるタブンネ親子を見つけた。 逃げ出そうとするタブンネたちにオボンの実を与える。 オボンを食べ終わると「ミッミッ♪」と俺の足元に集まってくる。 木の実をもらっただけですっかり俺のことを信用したようだ。 「木の実を毎日食べたくないかい?」 言葉の意味がわからなかったのか目をぱちくりさせていたが、すぐに笑顔になった。 「ついておいで」 そう言って歩き始めた俺のうしろを幸せそうにタブンネ親子がついてくる。 まったく。タブンネというポケモンは単純で扱いやすいな。 タブンネたちを家の中に入れて空き部屋を改造した檻の中に入れる。 広くはないがタブンネの家族が暮らすには十分な広さだ。 タブンネたちはこの部屋を気に入ったようで「ミャア~♪」と鳴きながらくつろいでいる。 「あとでご飯を持ってくるからね」 そう言って、逃げられないように鍵をかけてから木の実の収穫に戻った。 夕方、仕事を終えて帰ってくると「ミィミィ!」と大合唱が聞こえてくる。 「腹減った」「飯よこせ」だろう。とてもうるさい。 俺が姿を見せると「ミィッ!」とひときわ強く鳴く。 別になんてことはないのだが「いやー、ごめんごめん」と謝っておく。 「木の実がたくさんあったから遅くなっちゃたんだよ。ほら、これ」 そう言って木の実が大量に入った袋を持ち上げる。 すると、先ほどまでの強気はどこへ行ったのか「ミウ~♪」と甘えた声を出す。 「ほら、今日とれたマトマの実だよ」 タブンネたちに見せてやると「ミィ?」と不思議そうな顔をしている。 普段の食性としてオボンやオレンは知っているがマトマの実は見たことがないのだろう。 「食べていいよ」と檻ごしに父タブンネにマトマの実を渡す。 手の中でくるくる回しながら「何これ?」といった感じで見つめている。 母タブンネや子タブンネも興味津々のようだ。 「木の実だから大丈夫だよ。食べてみて」 俺がそう促すと、ふんふん鼻を鳴らしてから、あむりと噛みついた。 「ミッ、ミゥ? ……ミミッ!? ミガッ! ミヤァァァァァッ!」 甘いものが大好きなタブンネにとって辛さというものは天敵といえるのだろう。 相当に辛かったらしく口を押さえて床をのたうちまわっている。 そして涙を流しながら取り付けてある給水器から必死に水を飲む。 ごくごくという音が聞こえてきそうなほどすごい飲みっぷりだ。 水を飲んだことで辛さがひいたのか「ミミィ!」と強気に出る父タブンネ。 母タブンネや子タブンネたちも俺のことを威嚇するようににらんでいる。 タブンネがすごんだところで何の怖さもない。コラッタのほうがまだ迫力があるだろう。 俺をにらんでいるタブンネたちに説明する。 「木の実を毎日食べさせるって言ったろ? それは嘘じゃない。 ただ、オボンとかオレンは人気があるからお前らに食わせるほどの数はないんだ。 そのかわり、マトマやフィラをたくさん食わせてやるから。」 そうした生活を何日か続けていると、ある変化が起きた。 親タブンネ2匹の耳が少し欠けていた。 口の中の辛さと空腹に耐えながら寝苦しそうにしている親タブンネ。 それとは対照的に、幸せそうな様子でスヤスヤ眠る子タブンネたち。 「タブンネの肉はおいしいらしいぞ」と親タブンネには言い続け、 「タブ肉をおいしそうに食べるタブンネ」の映像を子タブンネに見せ続けた。 その効果が出てきたようだ。 そろそろテストしてみてもいい頃合いか。 「今日は特別だよ。オボンを持ってきたよ」 親タブンネの顔がぱあっと明るくなる。マトマとフィラばっかり食わされてきたんだから嬉しいだろう。 子タブンネたちも期待に満ちた目をしている。さて、どうなるかな? 1匹1匹にオボンを渡し、食べる様子を観察する。 歓喜の涙を流しながらシャクシャクとオボンにかぶりつく親タブンネ。 一方、一口だけオボンをかじると不思議そうにオボンを見つめる子タブンネたち。 ミィアドレナリンを多量に含む肉を食べた後では、木の実などスカスカな味しかしないだろう。 どうやらうまくいったようだ。 子タブンネたちにいつもの映像を見せる。 1匹のタブンネが解体されて肉となり、それを別のタブンネがおいしそうに食べる。 子タブンネたちの喉が音を立てる。 そして、新たな映像を見せる。 肉食ポケモンがタブンネを捕まえ、その体を引き裂き、飲み込んでいく映像だ。 オボンに夢中だった親タブンネが流れている映像に気付き、驚きの声をあげる。 「ミィ? ……ミッ!?」 その声に子タブンネたちが一斉に親タブンネを見る。 ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえてきた。 満足に食事と睡眠をとれず、肉体的にも精神的にも披露している親タブンネ。 栄養価の高いタブ肉を食べていたことで気力・体力ともに充実している子タブンネ。 さらに、目の前にごちそうを見つけたことで興奮している。 大人と子どもの体格差があるとはいえ、結果は見るまでもないだろう。 「ミギャァァァァァッ!」 木の実を盗みに来たタブンネの悲鳴が響き渡る。 そちらに向かうとタブンネがタブンネの喉元に喰らいついている光景があった。 「よくやったぞ」 盗人を仕留めたタブンネの頭をなでて、虫の息になった野良タブンネを回収する。 あれから1か月。 タブ肉のうまさを知った子タブンネたち。その中で生き残った1匹を教育した。 いまでは、木の実を守る番犬ならぬ「番タブンネ」として、野良タブンネたちを駆除している。 大して腹の膨れない木の実より、タブンネ1匹を仕留めた方がよっぽどいいと学習した。 そのため、木の実を盗み食いすることのない優秀なハンターとして活動するようになった。 「ミィヤァァァァッ!」 新たな獲物をしとめたようだ。今度は親子のタブンネか。 タブンネがたくさん捕れたことで今夜はごちそうだな。 「タブンネの愛情焼きを食わせてやる。まだ食ったことないだろ?」 すぐ横に立つタブンネに話しかけると、未知の料理に目を輝かせている。 「すごく美味いぞ。期待してろよ」 「ミィッ♪」 尻尾をぱたぱた振りながら俺の隣を歩くタブンネ。ご機嫌だ。 タブ肉を食べることが生きがいになったタブンネ。 こいつはこれからも立派なハンターとしてはたらいてくれるだろう。 (おしまい) タブンネ狩りにタブンネを使う! -- (名無しさん) 2021-09-11 16 07 59 いいね! -- (名無しさん) 2021-09-11 16 08 11 名前 コメント すべてのコメントを見る
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木の実を育てているとタブンネの被害に困ることがよくある。 どうにかならないかと思い、ある方法を考え付いた。 木の実を収穫しているとオボンの木に集まるタブンネ親子を見つけた。 逃げ出そうとするタブンネたちにオボンの実を与える。 オボンを食べ終わると「ミッミッ♪」と俺の足元に集まってくる。 木の実をもらっただけですっかり俺のことを信用したようだ。 「木の実を毎日食べたくないかい?」 言葉の意味がわからなかったのか目をぱちくりさせていたが、すぐに笑顔になった。 「ついておいで」 そう言って歩き始めた俺のうしろを幸せそうにタブンネ親子がついてくる。 まったく。タブンネというポケモンは単純で扱いやすいな。 タブンネたちを家の中に入れて空き部屋を改造した檻の中に入れる。 広くはないがタブンネの家族が暮らすには十分な広さだ。 タブンネたちはこの部屋を気に入ったようで「ミャア~♪」と鳴きながらくつろいでいる。 「あとでご飯を持ってくるからね」 そう言って、逃げられないように鍵をかけてから木の実の収穫に戻った。 夕方、仕事を終えて帰ってくると「ミィミィ!」と大合唱が聞こえてくる。 「腹減った」「飯よこせ」だろう。とてもうるさい。 俺が姿を見せると「ミィッ!」とひときわ強く鳴く。 別になんてことはないのだが「いやー、ごめんごめん」と謝っておく。 「木の実がたくさんあったから遅くなっちゃたんだよ。ほら、これ」 そう言って木の実が大量に入った袋を持ち上げる。 すると、先ほどまでの強気はどこへ行ったのか「ミウ~♪」と甘えた声を出す。 「ほら、今日とれたマトマの実だよ」 タブンネたちに見せてやると「ミィ?」と不思議そうな顔をしている。 普段の食性としてオボンやオレンは知っているがマトマの実は見たことがないのだろう。 「食べていいよ」と檻ごしに父タブンネにマトマの実を渡す。 手の中でくるくる回しながら「何これ?」といった感じで見つめている。 母タブンネや子タブンネも興味津々のようだ。 「木の実だから大丈夫だよ。食べてみて」 俺がそう促すと、ふんふん鼻を鳴らしてから、あむりと噛みついた。 「ミッ、ミゥ? ……ミミッ!? ミガッ! ミヤァァァァァッ!」 甘いものが大好きなタブンネにとって辛さというものは天敵といえるのだろう。 相当に辛かったらしく口を押さえて床をのたうちまわっている。 そして涙を流しながら取り付けてある給水器から必死に水を飲む。 ごくごくという音が聞こえてきそうなほどすごい飲みっぷりだ。 水を飲んだことで辛さがひいたのか「ミミィ!」と強気に出る父タブンネ。 母タブンネや子タブンネたちも俺のことを威嚇するようににらんでいる。 タブンネがすごんだところで何の怖さもない。コラッタのほうがまだ迫力があるだろう。 俺をにらんでいるタブンネたちに説明する。 「木の実を毎日食べさせるって言ったろ? それは嘘じゃない。 ただ、オボンとかオレンは人気があるからお前らに食わせるほどの数はないんだ。 そのかわり、マトマやフィラをたくさん食わせてやるから。」 そうした生活を何日か続けていると、ある変化が起きた。 親タブンネ2匹の耳が少し欠けていた。 口の中の辛さと空腹に耐えながら寝苦しそうにしている親タブンネ。 それとは対照的に、幸せそうな様子でスヤスヤ眠る子タブンネたち。 「タブンネの肉はおいしいらしいぞ」と親タブンネには言い続け、 「タブ肉をおいしそうに食べるタブンネ」の映像を子タブンネに見せ続けた。 その効果が出てきたようだ。 そろそろテストしてみてもいい頃合いか。 「今日は特別だよ。オボンを持ってきたよ」 親タブンネの顔がぱあっと明るくなる。マトマとフィラばっかり食わされてきたんだから嬉しいだろう。 子タブンネたちも期待に満ちた目をしている。さて、どうなるかな? 1匹1匹にオボンを渡し、食べる様子を観察する。 歓喜の涙を流しながらシャクシャクとオボンにかぶりつく親タブンネ。 一方、一口だけオボンをかじると不思議そうにオボンを見つめる子タブンネたち。 ミィアドレナリンを多量に含む肉を食べた後では、木の実などスカスカな味しかしないだろう。 どうやらうまくいったようだ。 子タブンネたちにいつもの映像を見せる。 1匹のタブンネが解体されて肉となり、それを別のタブンネがおいしそうに食べる。 子タブンネたちの喉が音を立てる。 そして、新たな映像を見せる。 肉食ポケモンがタブンネを捕まえ、その体を引き裂き、飲み込んでいく映像だ。 オボンに夢中だった親タブンネが流れている映像に気付き、驚きの声をあげる。 「ミィ? ……ミッ!?」 その声に子タブンネたちが一斉に親タブンネを見る。 ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえてきた。 満足に食事と睡眠をとれず、肉体的にも精神的にも披露している親タブンネ。 栄養価の高いタブ肉を食べていたことで気力・体力ともに充実している子タブンネ。 さらに、目の前にごちそうを見つけたことで興奮している。 大人と子どもの体格差があるとはいえ、結果は見るまでもないだろう。 「ミギャァァァァァッ!」 木の実を盗みに来たタブンネの悲鳴が響き渡る。 そちらに向かうとタブンネがタブンネの喉元に喰らいついている光景があった。 「よくやったぞ」 盗人を仕留めたタブンネの頭をなでて、虫の息になった野良タブンネを回収する。 あれから1か月。 タブ肉のうまさを知った子タブンネたち。その中で生き残った1匹を教育した。 いまでは、木の実を守る番犬ならぬ「番タブンネ」として、野良タブンネたちを駆除している。 大して腹の膨れない木の実より、タブンネ1匹を仕留めた方がよっぽどいいと学習した。 そのため、木の実を盗み食いすることのない優秀なハンターとして活動するようになった。 「ミィヤァァァァッ!」 新たな獲物をしとめたようだ。今度は親子のタブンネか。 タブンネがたくさん捕れたことで今夜はごちそうだな。 「タブンネの愛情焼きを食わせてやる。まだ食ったことないだろ?」 すぐ横に立つタブンネに話しかけると、未知の料理に目を輝かせている。 「すごく美味いぞ。期待してろよ」 「ミィッ♪」 尻尾をぱたぱた振りながら俺の隣を歩くタブンネ。ご機嫌だ。 タブ肉を食べることが生きがいになったタブンネ。 こいつはこれからも立派なハンターとしてはたらいてくれるだろう。 (おしまい)
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「まいどあり~5000円だよ~」 巷で可愛いと有名なタブンネを買ってみた。 「ミッミッ!」 愛らしい声で鳴くタブンネ、確かに可愛い、人気なのもうなずける。 今俺が住んでいる町ではタブンネブームが起きている、そのためタブンネを飼う人が増えている。 こうして俺はタブンネを家に連れて帰った。 まず俺は家に帰るとタブンネ専用の小屋を作ってやった。 「ミッミィ!」 しかしタブンネは小屋が気に入らなかったのか文句を言ってきた。 「悪いな、このくらいの小屋しか作れないんだ」 俺はそう言ってタブンネを小屋に押し込んだ。 「ミッミッミッミッミッ!」 小屋の中でタブンネが騒ぎ始めた、なのでオレンの実を与えてやった。 「ミッ!」 するとタブンネの目の色が変わりオレンの実にかぶりついた。 「ミィィィィ!」 タブンネは何とオレンの実を少しかじった後、床に叩きつけてしまった。 「ミッ!ミッ!」 オレンのみが気に入らないらしく、オボンの実を要求しているようだった。 しかし家にオボンはない、なのでオレンのみで我慢するようにタブンネに言った。 「ミィィィィィッ!!!」 タブンネは逆上し、小屋から出てきてしまった、そして庭の草むらに隠れて行った。 どうしてもタブンネが草むらから出てこないので今日はあきらめることにした。 次の日… 「タブンネ~飯だぞ~」 俺は朝なのでタブンネに朝食を与えてやることにした。 「ミィィィ♪」 タブンネは昨日の態度とは裏腹に綺麗な笑顔でこっちにやってきた。 朝食はバナナ、一応これでも大サービスだ。 「ミッミッ♪」 タブンネは喜んでバナナを食べ始めた、どうやらコイツはバナナが大好物のようだ。 「ミィ!」 もう一本!と言っているように鳴いた、しかしさっきの1本が最後だった。 「ミッ!」 タブンネは俺のポケモンが食べている餌を指した、どうやらそれをよこせ!とでも言いたいのだろうか。 「さすがに無理だろ…」 そう呟いているとタブンネは俺のポケモンたちに向かってとっしんしていった。 「ミィィィィ!」 タブンネは飼っているポッポに向かって体当たりを仕掛けた。 「ピィィィ!」 ポッポはタブンネの体当たりによろけてしまい、タブンネはその隙にポッポが食べている餌をたいらげた。 「ミガッ!」 しかしタブンネはその味が気に入らないとわかると、餌を皿ごと床に叩きつけ餌をぐちゃぐちゃにした。 「ごめんなポッポ、あとで焼き鳥を買ってやるから」 俺はポッポに謝罪した。 そして俺は暴れるタブンネを何とか取り押さえ、小屋に戻した。 「念のためカギをかけておこう」 小屋に鍵もかけておいた、これなら逃げ出す心配もないだろう。 昼ごろ、俺はタブンネとポッポで散歩に出かけた。 「ミィィ!ミィィィィ!」 タブンネには首輪をつけて行くことにした、こうでもしないと絶対に人様に迷惑をかけるからである。 喧しい声で鳴くタブンネ、しかも足もとで俺の脚をポカポカと殴っている。 「やめろって言ってるだろ!」 俺はついにキレた、タブンネの手足をロープで縛りつけ、引きずりまして散歩させることにした。 「ミガガガガガ…」 アスファルトに背中が擦れて痛みを訴えているのだろうか、でも俺はそれを無視してタブンネを引きずった。 しかもコイツなんか重いぞ、体重32㎏とか絶対嘘だろ。 こうして町内の散歩が終わり、タブンネを小屋に戻した。 ついでに首輪と手足のロープをほどいてやり、夕飯の焼き鳥を小屋に置いておいた。 タブンネの世話で疲れた俺は早めに寝ることにした。 「ミッミッミッミッ!」 庭から甲高い声が聞こえるせいでまともに寝付けない、なので俺はパソコンでタブンネの躾の仕方について調べることにした。 「タブンネの躾の仕方教えろ(444)」 俺はこんなスレを見つけた、このスレならいい方法が…そう思った俺は早速スレを見ることにした。 111名無しさん、君に決めた!:2011/03/25(金) 14 07 57.92 ID ???0 タブンネにはでんきショック療法がオヌヌメ 113:名無しさん、君に決めた!:2011/03/25(金)15 37 25.36ID ???0 >>111詳しく 118:名無しさん、君に決めた!:11/03/26(土) 14 07 57.92 ID ???0 >>113タブンネが悪さをするたびに電厨らででんきショック、するとタブンネは反抗心が無くなる マジオヌヌメ、これで10匹ほどの豚を調教して来た。 121:名無しさん、君に決めた!:2011/03/26(土) 15 09 57.96 ID ???0 >>118サンクス、今度やってみるわ。 「なるほど…でんきショック療法か…」 しかし俺はデンチュラを持っていないし捕まえられない、残念ながら没。 デンチュラじゃなくてもエモンガさんでも代用できるらしいが生憎俺の手持ちはポッポ、マメパト、ムックルそしてあの堕ブンネしかいない。 とてもじゃないが捕獲は無理な話である。 他にもこんなレスを見つけた。 266 :名無しさん、君に決めた!:2011/03/26(土) 10 03 55.30 ID ???0 ズルズキン先生の楽しいサンドバッグエクササイズでタブンネちゃんはとっても素直になるよ! 288 :名無しさん、君に決めた!:2011/03/26(土) 17 35 16.42 ID ???O >>266タブンネが嬉しい悲鳴をあげた件 なるほどズルズキンか…でもタブンネ1匹まともに育てられない俺にズルズキンを育て上げるのは無理な話だろう… そんな中、俺でもできそうな方法が書いてあった。 399:名無しさん、君に決めた!:2011/03/27(日) 00 52 13.74 ID ???O 糞豚のしつけ方ぁ?そんなんドッコラーさんのマッハパンチ見せればすべての糞豚はひれ伏すよ。 401:名無しさん、君に決めた!:2011/03/27(日) 01 01 25.24 ID ???0 >>399タブンネ雑魚杉ワロスwww ドッコラーくらいなら捕獲できそうだ…明日ドッコラーをゲットしに行こう… 次の日の朝… タブンネが一晩中泣き続けたせいでまともに寝られなかった… 俺は歯を磨いて顔を洗って鳥ポケ達に餌をやった。 その後小屋で未だに鳴き続けているタブンネにオレンを投げつけてやった。 「ミッミィ!」 するとタブンネがオレンを投げ返してきた、我儘ってレベルじゃねーぞ! つかその体力はどこから出てくんだよ… 俺は怒るタブンネを無視して近所の草むらに向かった。 「この草むらにドッコラーが…」 俺は眠い目をこすりながらドッコラーの出現を待った。 ガサガサッ! あ! やせいの ドッコラーが あらわれた! 俺は鳥ポケ達と一生懸命戦い、そして… やったー! やせいの ドッコラーを つかまえたぞー! こうしてタブンネしつけ用のドッコラーを手に入れることが出来た。 これでようやく糞生意気なタブンネも静かになるだろう… 俺は希望を胸に家へと帰った。 「おーいタブンネぇー!飯だぞー!」 俺は小屋の外でタブンネを呼んだ。 しかしタブンネの返事はない… 「おい!タブンネ!」 しびれを切らした俺は小屋の中を見てみた。 「ミィミィッ…♪」 タブンネは幸せそうな姿で眠っていたではないか!まあ寝顔は可愛いんだが… つか臭ェ!どういうことだこの匂い! 匂いに絶句した俺は小屋の中を見渡してみると無数の糞尿が転がっていた。 においの原因はこれか…トイレも付けてやったのに… 俺は落胆した、こいつは完璧な堕ブンネだ。 しょうがないので俺はタブンネを起こしてやった。 「ミィィィィィ!」 寝起きが悪いのかタブンネは俺に噛みついてきた。 「痛っ!」 どうしようもないなコイツ。 「オラ!飯だつってんだろうが!」 俺は噛みつかれた手を振りほどいてタブンネを呼んだ。 するとタブンネの目つきが変わった。 「ミィミッ♪」 小屋の鉄格子を破って小屋から出てくるタブンネ、飯の事になるとパワーアップするようだ。 「ホレ、オレンのみ」 俺はタブンネの前にオレンのみを置いた。 「ミッ!」 タブンネはオレンのみを蹴飛ばした、なので早速ドッコラーさんに協力してもらった。 「ヘイ!カモン!ドッコラー!」 タブンネの前にモンスタボールを投げつける、そして逞しいドッコラーが姿を現した。 「ミィ?ミィミミ?ミッ!」 タブンネはドッコラーを見まわした、そして自分よりレベルが低いことを確認するとドッコラーに向かって突進をして来た。 なので早速俺はドッコラーにマッハパンチを命じた。 シュッ!バコッ! 「ミギャッ!」 ドッコラーのマッハパンチはタブンネの顔面にクリーンヒット、ナイスドッコラー。 「ミィミィ!」 情けない声を上げるタブンネ、お前それでもLV30か?ドッコラーのLVは10くらいなんだが… 「もちろんオレンのみを食べてくれるよね?タブンネちゃん?」 倒れているタブンネに俺は綺麗な笑顔で催促した。 「ミィ!ミィミッミッ!」 タブンネは頭をコクコクと下げ土下座までし始めた、お前それどこで覚えた? 少し疑問もあったが、何とかオレンを食べてくれてよかった。 その日のタブンネの顔は屈辱に満ちていた。 そして、その日から堕ブンネを厳しく躾けることにした。 とりあえずタブンネはドッコラーを見せるだけで何でも言うことを聞いてくれるようになったため、しつけはとても簡単だった。 たまに反抗したときにはドッコラーさんの顔面パンチが炸裂する。 さらに俺の鳥ポケ達もしつけに協力してくれたからみるみるLVが上がって行った。 そして数年後… 「おはよう、タブンネ」 「ミッミッ!」 朝の挨拶を元気良くするタブンネ、可愛らしい姿だ。 厳しいしつけの結果、元堕ブンネは近所でタブンネの優等生と呼ばれるほどに成長した。 後で分かったことだがタブンネというポケモンはトレーナーの技量によって態度を変えるポケモンらしい。 なので近所では興味本位で買ってみたトレーナーがタブンネを逃がしたり、育成を放棄する事がたびたび起きた。 俺のタブンネは厳しく躾けてやったから素直で優しい子になってくれた、頑張ったかいがあったものだ。 たまにタブンネに昔のことを話してやるとタブンネは顔面クリムガンになって床にのた打ち回る。 どうやらタブンネにとって昔の事は黒歴史らしい。 ピンポーン。 「何だ、手紙か?」 俺がタブンネさんを少しからかっている時に家のチャイムが鳴った。 家のドアを開けるとそこにはポケセンの職員が立っていた。 「なんか用っすか?」 俺が用件を聞くとポケセンの職員はこう質問して来た。 「あなたのタブンネをポケモンセンターで働かせてみませんか?」 どうやらポケセンで働くタブンネの勧誘のようだ。 「ミッ!ミッ!」 タブンネはやる気満々だ、どうやら人の役に立ちたいらしい。 あの堕ブンネだった子がここまで献身的になったなんて…その優しさに心打たれた俺はタブンネがポケセンで働くことを許可した。 「ミィィィ♪ミッミッ!」 タブンネは大喜び、頑張るからね!と言っているようであった。 「では明日の朝迎えに来ますので」 そう言ってポケセンの職員は俺の家から去って行った。 どうやら出発は明日の朝だそうだ。 明日旅立つタブンネのために俺はタブンネの送別パーティを開いた。 最後の日ぐらい贅沢をさせてやろう、そう思った俺は豪華な料理を食べきれないくらいに作った。 「ミィミィ!」 可愛らしい笑顔でピザやポテトにかぶりつくタブンネ、いつもは厳しい食事制限をしていたが、今日は無しだ。 「ケーキもあるぞ!」 「ミィィィ♪」 タブンネはとても幸せな表情でケーキにもかぶりつく、さらに100個くらいあるオボンのみも平らげてしまった。 カビゴンかこいつは? そしてタブンネは用意していた料理を全て食い終わるとそのまま寝てしまった。 「ミィミッ…♪」 タブンネの寝顔は最高に幸せそうだった。 そして別れの朝… ポケセンの職員が家までタブンネを迎えに来た、いよいよタブンネとも別れの時だ。 「預かったタブンネは二度と飼い主が引き取りに来ることはできません、宜しいですか?」 職員はそう言った、どうやらそういう約束らしい。 「頑張れよ、タブンネ!」 「ミッ!」 俺はタブンネと固い握手を交わした。 「ではそろそろお時間です」 タブンネは車に乗せられ、そして車のエンジンがかかった。 「元気でな!しっかりやれよー!」 「ミィィィィィィ!」 タブンネに泣きながら最後の挨拶をすると、タブンネも泣きながら手を振った。 そして車は出発し、車の姿は見えなくなった。 「行っちまったな…アイツ…」 少しその場で立ち止まったあと、俺は家に戻った。 昼ごろ俺は居間でテレビを見ながら飯を食べていると、ふと大事なことを思い出してしまった。 「あ、アイツの特性ぶきようだった…」 俺は冷や汗をかき、箸をポロンと落とした。 我が家からタブンネが居なくなって、数ヵ月後… 散歩をしていた俺はポケセンの前を通りかかった、するととてつもない悲鳴が聞こえてきた。 「ミィィィィィ!!!」 ポケセンから一匹のタブンネが逃げ出してきた、そしてその後スーツ姿の男がタブンネを追いかけた。 「ミッミィ!ミィミィ!」 逃げてきたタブンネが俺の足元にしがみ付いてきた、どうやらとても怯えているらしい。 しかもこのタブンネとても弱っており、目にはものすごいクマができていた。 そしてスーツ姿の男がやって来て、タブンネをロープで縛り上げた。 「こぉんの糞豚がァ!次逃げたらタダじゃおかんぞ!」 「ミィィィィ!ミッミッ!」 そして男とタブンネはポケセンの中に入って行った。 あれはいったい何だったのだろうか…もしかしたらポケセンはとてつもなくハードな職場なのかもしれない… 完 オチがww -- (名無しさん) 2014-09-17 13 41 07 名前 コメント すべてのコメントを見る
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ここはユニオンルーム。交換、バトル等の様々な形でトレーナー同士が交流する場所だ。 そんな中に一匹のタブンネとトレーナーが。彼女は雌のタブンネ。野生で捕獲されて以来、いつもトレーナーと一緒に仲良く暮らしてきた。 トレーナーの手持ちとなってからはそれまでの厳しい野生での生活が一変、今ではトゲキッスとの間に遺伝技を覚えた優秀な固体を持つ子供を作り、幸せな生活を送っていた。 だが、そんな生活は長くは続かなかった。「交換」と言う形での別れが来てしまったのである。どうやら相手はタブンネが存在しない別地方のトレーナーであり、タブンネを譲って欲しいとの事なんだとか。 「お前なら何処へ行ってもきっと大丈夫だ。がんばれよ。」 トレーナーに見送られ、転送台へ歩いていくタブンネ。転送される直前、今までパートナーだったトレーナーの方を見る「ミィ・・・(ご主人様、今までありがとう。タブンネの事忘れないでね)」そしてタブンネは転送装置を通じて新たな主人の元へと旅立っていったのだった。 転送装置で移動する際、相手側からやってくるポケモンの姿を目にする。タマゴのような白くて丸い石を抱え、ピンク色のふっくらとして丸い小さな姿の、ピンプクと呼ばれるポケモンだ。 生まれて間もないベイビーポケモンのようだが、元主人のトレーナーの優しさは良く知っている。きっと大丈夫だと思うタブンネだった。 新しいトレーナーの元へとたどり着いたタブンネ。彼女は環境が変わっても、きっと幸せに暮らしていけるだろうと信じていた。 「ミッミi(こんにちは。わたしはタブンネでs)」自己紹介をしようとしたが、それはタブンネの顔目掛けて飛んできた拳によって妨害される。野生生活時代以来の激しい痛みに思わず倒れこんでしまうタブンネ。 「なれなれしいんだよっ!媚び豚が!」 憎悪のような感情を露にし、強い口調で言い切る。新しい主人は前のトレーナーとはまるで違う人だった。 「(うぐっ・・・痛い・・・ひどい・・・どうして・・・)」新しい生活がどんなものかと思えばこの仕打ちである。 これからずっとこのような仕打ちを受けて生きて行く事になるのだろうか。そう思ったタブンネは顔を地面にうずくめ涙するのだった。 新しいトレーナーの家に辿り着くや否ボールから出されるタブンネ。次の瞬間腹部にトレーナーの蹴りを受け大きく吹き飛ばされてしまう。そのまま勢い良く壁に激突し、腹への痛みが消えない内に背中にも激痛が走る。 「ミィイイ・・・(痛い・・・私はボールじゃないのに・・・)」 かつてのパートナーと別れ、新しい生活に不安を感じつつも心を躍らせていた矢先にこの始末である。 痛みと悲しみに嘆くタブンネに新たな主人のトレーナーが歩み寄ってくる。 「オラ!顔を上げろ!世界中の不幸を背負ったような面しやがって・・・」 左の触覚を掴まれ、持ち上げられるタブンネ。相手の意思を感じ取る重要な器官な為、相当の痛みを感じる。 「ミイイイイイイ!!(痛い!痛いです!止めてください!)」 必死に止めて貰うように頼むタブンネだが悲しいかな、相手の意思を感じ取ることは出来ても、自分の意思を伝える事は出来ない。トレーナーから見れば媚びたような鳴き声にしか聞こえず、それが一層トレーナーの神経を逆撫でする事となってしまった。 「黙らねえかこの糞豚アァ!」 タブンネは触覚を掴まれたまま頭から地面へ叩きつけられる。頭から叩きつけられたとあってはタブンネの短い手ではとても受身など取れる筈も無く、もろに頭から激突してしまう。 「ビャアアアアア!!!」 タブンネは頭を抱え、凄まじい叫び声を上げてのた打ち回る。暫くはその滑稽な動きを面白がって見ていたトレーナーだったが、流石に飽きてくる。 「いい加減に止まれ豚!」タブンネに踵落としを入れる。するとそれまでの激しい動きが嘘のように止まった。 「ミィブウゥゥ・・・」腹を抱え嘔吐を必死に堪えるタブンネ。何とか収まってきた矢先、トレーナーに尻尾を引っ張られ、部屋へを運ばれていく。 部屋に着いた所で、トレーナーは荒々しく扉を開け、タブンネを放り投げる。 「ミィィィ・・・(うぐっ・・・苦しい・・・)」 自分は何も悪いことをしていないのにどうしてこんな目に遭わなければならないのか。タブンネは己の不幸に涙する。そんなタブンネに対してトレーナーが語り始める 「俺は自分で言うのも何だが、カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ全てを旅したそれなりの戦歴を持つトレーナーだ。そんな俺が次に目指そうと思ったのがイッシュ地方だ。だが、イッシュには他の地方のポケモンが居ないと言う。そこで俺は事前に情報を得ようと、新型の図鑑を買ったわけだが・・・」 そう言ってトレーナーは新型の図鑑を取り出す。良く出来た代物で、立体映像が浮かび上がる物のようだ。 「まだ見ぬ新たな地方のポケモンにワクワクして図鑑を見ていたら出てきたのがお前だ!媚びた面で媚びたような動きしやがって!おかげで一気に白けちまったじゃねえか!」 トレーナーはそう言いながらタブンネのページを出す。立体映像で映し出されたタブンネは自分の触覚を掴むと少々ぎこちない動きで一回転を披露した。 「ミイイイ・・・(そんな・・・そのタブンネは私じゃないよ・・・)」 余りに理不尽な理由で暴行を受けたタブンネ。そんな理由で痛めつけられたあっては溜まったものではない。 だが、人への攻撃は出来ない。タブンネには前のパートナーと一つの約束があった。それはどんな理由があっても人への攻撃は絶対にしないで欲しいと言うものだった。 何でも以前とある町で起こったタブンネ誘拐事件の際、タブンネが誘拐犯目掛けて攻撃したのが原因で、タブンネが危険なポケモンだと言う認識が広まってしまい職を奪われ、しばらくしてその町からタブンネが姿を消す事となってしまったんだとか。 ここで手を出しては自分だけでなく、将来この地方にやって来るであろう同胞達にまで迷惑を掛けてしまう。それだけは絶対にあってはならない事だ。 そんなタブンネの思惑を他所に、今度はタブンネの耳を掴んで別の場所へ移動するトレーナー。向かった先は押入れのような場所だった。押入れとは言っても人が数人入って活動できる程の広さはあるようだ。 そこに放り込まれれるや否、扉を閉められてしまう。 「ミイイイイ!ミィイイイ!(やめて!開けてください!)」扉を叩いて必死に叫ぶタブンネだが、それで扉が開く訳が無い。トレーナーと思われる足音がどんどん遠のいて行き、辺りは無音になる。 こうしてタブンネの暗闇の中での孤独な生活が始まったのだった。 タブンネの予感は当たってしまった。新しい主人の元へ来て以来、今までの極楽な生活から一変、野生生活時代以上の過酷な生活を送るハメになってしまっていたのだ。 タブンネの食事は毎日オレンの実2つをそれぞれ朝晩に一つずつ。これだけ聞けばそこまでひどくは無いだろう。だが木の実を持ってくるトレーナーは片手にオレンの実を持っているだけでは無く、もう片方の手には必ず何らかの物を持っている。それはタブンネにとっては何の有り難味も無い代物だ。 例えば金属バット。タブンネがオレンのみを食べ終わるや否、金属バットで思い切り殴りつける。耐久に優れたタブンネと言えど、これは相当に応える。 しかも金属の棒を用いたを用いた一撃は一回だけではなく、何度も執拗にまでタブンネに襲い掛かる。それは頭、顔、腹、背中、足等様々な箇所を襲い、タブンネは全身への痛みに堪えるのに必死だ。 それだけならまだいい。だがタブンネが殴られるのは食事の直後。つまり全身への痛みだけでなく、嘔吐にも耐えなければならないのだ。もし、木の実を吐きでもしたら、その後長時間飢えとの戦いをしなければならない。 他には小型の果物ナイフ。トレーナーはタブンネを背後から掴み、自慢の触覚に白金の刃を突き立て、触覚を切り落とす。もちろん痛みを感じないように早くやるわけなどなく、ゆっくりとタブンネが少しでも苦痛を味わうように時間を掛けて長々と刃を押し当てていく。聴覚に優れたタブンネにとっては耐え難い苦痛となる。 地獄の痛みの末に切り落とされた触覚をトレーナーは掴み、タブンネに之を食べるように指示する。当然タブンネはイヤイヤと首を横に振るのだがトレーナーによって無理矢理口へと押し込まれる。日によってはイヤイヤ首を振ると、それを待っていたかの如くトレーナーはタブンネをナイフで切りつける。するとタブンネはたまらず触角を自分から口にする。自分の体の一部など好んで食べるわけがなく、タブンネは顔から溢れんばかりの涙を浮かべ、自分の体だった触覚を食べるのだった。 そんなもの二回で終わりになるだろうと思うかもしれない。だがタブンネの特性は「再生力」それもこのタブンネの特性は相当強力で、部分切断すら時間経過で治る優れものだった。そこに付け込まれタブンネは触覚を切り落とされてはそれを食べさせられると言う行為を度々繰り返させられる羽目になったのだ。 タブンネは自分の特性「再生力」を恨んだ。自分の特性を呪うポケモンなどそうそうある物では無いだろう。 何時しか、食事を運んで来る者の足音はタブンネにとって貴重な食事にありつける喜びではなく、新たな苦痛の前触れを表す恐怖の象徴となった。 さらに此処は倉庫の中。暗闇の中、外への外出等許されない。当然中は糞尿で汚れて行くが掃除など出来はしない。体を洗うことも出来ないのでタブンネの体は日に日に汗と血で汚れて行き、悪臭が漂うほどにまでなり、心身ともに痛めつけられて行ったのだった。 そんな生活が一ヶ月ほど続いたある日。いつもの様に金属バットでタブンネを殴るトレーナー。タブンネは最早抵抗する余力など無く、されるがままに弄ばれる。体中を血で汚し、その目は虚ろで触覚は切断されていた。 「そろそろか・・・」トレーナーは何かを考えるような仕草をした後、タブンネに歩み寄ってくる。 「おい糞豚。お前此処から出てバトル要のポケモンにならないか?」そう言うトレーナーの言葉を聞き、タブンネの虚ろだった瞳には光が戻ってくる。 もう苦しまなくていい。ここから出られる。そう思ったタブンネは何のためらいも無く首を縦に振る 「イ゛イィ・・・ビィイイ!(やります。やらせてください!)」掠れた声で必死に訴えるタブンネ。トレーナーはそれを良しのサインだと判断し、タブンネを連れて外へと向かう。その顔は不敵な笑みを浮かべていた。 大雑把にシャワーで体を洗われ、回復の薬を飲まされたタブンネ。するとあれ程酷かった傷もみるみる癒えていく。長期にわたる暴行を受けても瞬く間に治っていくのだから科学の力は凄まじい。 トレーナーに案内されてタブンネは地下室へと辿り着く。そこには様々なトレーニング器具があり、様々なポケモンが訓練をしていた。 「ここに居る連中は戦闘では使われない二軍だ。時々成績の振るわないと判断した一軍と取替えたりする。俺が実力があると判断したら一軍枠30の中に入れてやるからまあ精々頑張れや」そう言うとタブンネは蹴りを入れられ、トレーニングルームへと転がって行った。 何度やられても蹴りを入れられるのは痛い。だがこの一ヶ月で受けた拷問に比べれば遥かにマシだ。この機会を生かし、結果を残して名を上げよう。そうタブンネは決心した。 辺りを見回し、何かいい練習器具は無いかを探す。すると吊るされたサンドバッグにポケモンが特殊技を放っているのが見えた。これなら自分でも出来る。そう思ったタブンネは自分も仲間に入れてもらおうと近づいていった。 「ミッミッ(私も仲間にいれてくれませんか?)」そう尋ねると、先客の中のラルトスが答える。「らるぅ(いいけど順番はまもってね。今は僕らがやっているんだから。)」成る程、確かにルールは守らないといけない。後ろでタブンネは順番を待つ すると数名のポケモンがやってきた。一軍のメンバーの一員なのだろうか?いずれもかなりの実力を持っているように伺える。 一匹が訓練中のポケモンを無理矢理どかす。岩のような緑色のゴツゴツとした肌。背中に生える無数の鋭い背鰭。まるで鎧を纏っているかのようなその外見は紛れも無くジョウト地方のバンギラスだ。 すると今まで練習に没頭していたポケモン達がバンギラスに言われるがままにどいていく。いくら何でもやりすぎである、そう考えたタブンネは怒りを露にし、バンギラスに異見する。 「ミィイイイ!ミィ!ミィ!(そこのあなた!どきなさい!順番を守らなきゃだめでしょう!)」誰であろうとマナーは守るべきであると言う正義感故の発言。だがその意見を聞くや否、バンギラスは目つきが変わる。タブンネの方を見たその表情は血の気の多い者の放つ眼光を放っていた。 思わず怯んでしまうタブンネにバンギラスが詰め寄る。「(俺の聞き間違いかな?退けって聞こえたような気がしたが?)」とぼけたような口調だが顔は笑っていない。元々刃物の様な鋭い目付きが一層険しくなる。 タブンネは理解した。とんでもない相手に異見してしまったことを。だが後悔しても遅い。バンギラスの拳がタブンネの頬に直撃する。戦闘用に訓練されたポケモンから放たれるそれは人間の拳とは比較にならない。 騒音ポケモン顔負けの大声で悲鳴を上げ、のた打ち回るタブンネの胸倉を掴み、もう片方の頬に拳を叩き込むバンギラス。たった二発の攻撃でタブンネの顔は腫れ上がってしまった。 人への攻撃を止める約束をしているタブンネだがポケモンまで攻撃するなとは言われていない。だがタブンネは攻撃をしなかった。 いや、出来ないと言った方が正しいか。一般ポケモン最高峰の実力者の内の一匹が放つ圧倒的な威圧感の前に成す術が無いのだ。 うつ伏せで倒れこみ痛みの余り体を跳ね上がらせるタブンネ。そこにバンギラスの拳が迫る。視界外からでも分かる凄まじい殺気にタブンネは死を覚悟する だが、バンギラスの拳はタブンネに直撃することは無く、横から割り込んできた影によって止められる。青と黒の体に獣人を思わせる外見、シンオウ地方のルカリオだ。 「(そこまでだ。マスターの指示無しに殺傷沙汰を起こすな。)」冷静でいて強気な態度。だがバンギラスは激怒する事無く拳を収めた。 そこに別のポケモンが歩み寄ってくる。「(まったく君は放って置いたらやり過ぎるから困るよ。)」そう言ったのは両腕に刀を思わせる突起のついたポケモン。ホウエン地方のラルトスの特殊な進化系エルレイドだ。 「(君がマスターの言ってた新入りかい?彼は僕らの中でもかなり気性が激しくてね。あまり怒らせない方がいいよ。)」そう言ってエルレイドはタブンネに癒しの波動を撃つ。するとタブンネの傷がみるみる癒え、顔の腫れも元通りに治った。 されるがままに殴り飛ばされたタブンネだが、自分の主張が間違っているとは思えなかった。その為か自然と反抗的な目付きでバンギラスを睨み付けていた。 「(何だその目は?)」バンギラスの突然の問いにタブンネは驚く。自分でもどんな表情をしていたのか理解していなかったようだ。 また暴行を受ける事になるのかと思ったが、意外にもバンギラスは冷静だった。「(二度とそんな面が出来ないようにここで格の違いを思い知らせておく必要がありそうだな。)」そう言って壁にあるスイッチを押す。するとトレーニングにつかうサンドバッグが大きく動き出した。 「(ここで何時もやってる練習だ。目隠しをして動く的に特殊技を10発叩き込む。そしてそれが何発当たるかを競うって訳だ。俺らの内誰か一人にでも並べればお前の勝ち。お前が勝てば言う通り順番を守ってやろう。)」バンギラスはそう語りながら黒い布を持ってくる。 タブンネは思った。自分は聴力に優れたポケモンだ。目を隠していても聴力で的の動きを捉えて狙い撃てばいい。勝算を見出し、内心歓喜するタブンネ。ここで自分の実力を見せ付けて見返してやろうと意気込む。 「ミィイ、ミィ!(わかりました。まずは私がやります!)」タブンネは目隠しをし、聴力で的の動きを探る。標的が移動する際の規則的な音で的の大方の動きを探り、タブンネは冷凍ビームを放つ。目での確認は出来ないが何かに当たる音から、確かに的に当たっていると言う確信を持ち、タブンネは技を打ち続ける。 10発撃ち終わり、自信満々に目隠しを外すタブンネ。だが目の前の光景に目を疑う。自分の撃った冷凍ビームは殆どが壁に当たっており、的に当たったのはたったの2発だったのだ。 「(2発か。初めてにしては上出来だな。)」そう言って今度はバンギラスが挑戦する。タブンネは内心驚いた。バンギラスと言えば物理攻撃の強いことで有名なポケモンだ。そのバンギラスが特殊攻撃を放つと言うのか。 バンギラスは見ているだけで寒気が走るような悪意の込められたエネルギーを両手に集める。これは悪の波動だ。 1発目は外したが2発目は的に直撃した。ダブンネはきっと偶然だろうと思ったが、バンギラスはその後も的に当て続け、結局8発も命中させてしまった。 「(8発か・・・相棒の為とは言え、特殊攻撃はやっぱやり難いな。おいエルレイド!次はお前がやれ。)」バンギラスはそう言ってエルレイドに交代した。 エルレイドは乗り気ではないようだった。本来物理攻撃を得意とするポケモンな為無理は無い。だがそんなエルレイドも順調に技を当て続け、結局9発も命中させた。「(やっぱ物理向きな僕じゃどうしても全段当てられないな・・・ルカリオ、手本見せてくれよ。)」そう言ってルカリオに交代する。勝敗はルカリオの結果次第だが、タブンネは信じられないような顔をしている。 そんなタブンネを他所にルカリオは体の奥底から湧き出る波動を両手に集め、放つ。波動弾と言う技だ。そしてその波動弾は一寸の狂いも無く的の中央を射抜いた。 その後も波動弾は全く狂いを見せずに的を射抜き、10発全てが命中した。愕然とするタブンネにルカリオが近づいて言い放つ。「(おいお前。俺たちは耳で気配を察してる訳じゃない。動く気配そのものを感じ取って技を撃ってるんだ。何十、何百と技を撃っているうちにこう言った芸当が出来るまでになったのさ。)」 タブンネは言葉も出なかった。自分が必死になって聴覚で標的を探っていたのに対して、他の皆は聴覚など使う事無く気配を察知して標的に技を当てていたのだからのだから。 そんなタブンネを尻目にバンギラスたちは去っていく、どうやら興が削がれたようだ。 殴られた傷が治ったタブンネだが心は晴れなかった。文字通り実力差を思い知らされたのだ。 このような実力者揃いの中で戦っていかなければならないのか。そう思ったタブンネは言い知れぬ無力感にに打ちひしがれるのだった。 自分の無力さを思い知らされたタブンネ。だがここで戦闘を辞めて押入れ生活に戻るのは御免だ。 そう思いさっそくトレーニングを始めるのだが全く気が晴れない。威力、精度等何処を見ても自分が放つ冷凍ビームなどとてもバンギラス達と張り合える代物ではない事は自分でも分かるのだ。 「ミィ・・・(これじゃあの人たちには到底かなわないよ・・・)」タブンネは泣きたい気持ちだった。かつての飼い主だったトレーナーに捕まえてもらう事によって生きた地獄とも言える過酷な野生生活から開放されて幸せな時を過ごしていたのが、何の因果か野生生活の方がマシに思えるほどに苦しい毎日を過ごす羽目になってしまったのだ。 逃げ出す事を考えてはみたが此処はイッシュ地方ではない。逃げ出したところで路頭に迷い果てて行くのがオチだ。故にどうしてもここで安定した生活を送る必要があるのだが、自分にこの場で頭角を現せるだけの実力が無い。 そう言った苛立ちは技のキレを乱れさせるだけではなく、言いようの無い精神的苦痛に苦しまされる事となった。 そう言った虐待とも違う痛みを伴わない苦痛に苦しみながらもトレーニングを続けていく内に昼食の時間が来た。 二軍とは言え戦闘用として訓練されているポケモンはオボンの実一つだけだが朝昼晩三食しっかり用意される。もっともタブンネにとってはこの一ヶ月間の間に受けた虐待の所為で食事そのものが苦痛でしか無くなったのだが。 たが空腹には勝てない。まるで鉛を喰らうかのような気分でオボンの実を死に物狂いで食べるタブンネ。するとオボンの実を持ってきたトレーナーが言う。「お前らも知っている通り今一軍には一名の枠がある」タブンネは驚く。そんな事は初耳だ。だがそんなタブンネを他所にトレーナーは話を続ける。 「そこであと一名一軍枠があるんだが、そこのタブンネに一軍に入ってもらおうと思う。」タブンネを含めたその場に居た全員が騒然とする。そんな中トレーナーは言う「もし文句のある奴が居たらタブンネと戦え。もし勝てたらタブンネに変わって一軍行きだ。」 タブンネはきっと誰か自分と戦おうとする者が現れるだろうと思った。いきなり現れた新顔が一軍等誰も認めるはずが無いと。だがどう言う訳か中々戦おうとする者が現れない。それもその筈だった。よく見るとタブンネ以外は殆どが未進化のポケモンばかりと、とてもタブンネと渡り合えそうなポケモン等居なかったのだ。 だがそんな中一匹が名乗りを挙げる。カポエラーだ。雰囲気的にどうやらタマゴからの英才教育を受けたわけでは無いようだ。 しかしどの道タブンネにはどうでも良かった。強者揃いの一軍に入って戦っていくなど御免だ。ここは潔く負けて二軍に残ろう。 そう思っているタブンネへトレーナーが近づいてきて耳元で一言言った。「もし負けたらお前即押入れに逆戻りな」 タブンネ絶望感に襲われた。勝って一軍での過酷な戦闘をこなして行くハメになるか負けて押入れ生活に戻るかの酷な二択を迫られる形となってしまったのだから。 そんなタブンネの絶望感など知るよしも無く試合が始まった。タブンネとは対照的にカポエラーはやる気に満ちている。タブンネを打ち負かして一軍の座を得るべく闘志を燃やす。その瞳に迷いは無い。 カポエラーが開始早々マッハパンチを放つ。思わず見入るような踊っているかの如き滑らかな動きから放たれる拳はタブンネを逃さずに射抜いた。「ミィイイイ!!」新しいトレーナーの元に来てから何度目になるのだろうか。タブンネは悲鳴を挙げて飛ばされていく。 だが辛うじて受身を取る事によって顔面から地面にぶつかる事は避けられた。「(これくらいでそのザマなんて先が思いやられるぜ!)」そう言ってカポエラーはさらなる追撃を入れるべく近づく。 タブンネはまだ迷いながらも考えた。このまま押し入れに戻って幸福などあり得るわけが無い。再び幸せな生活を送る為には戦わなければならないと。 タブンネは迷いを振り切り、冷凍ビームを放つ。だが先程の痛みで集中力が乱れてしまいカポエラーには当たらない。 そんなタブンネを嘲笑うかのようにカポエラーは身軽な動きを見せる。タブンネの放つ攻撃は全く当たる気配を見せない。 ふとタブンネは振りかざした両手に冷気が集まってこないのに気付いた。PPを使い果たして技が出なくなってしまったのだ。 それを待っていたと言わんばかりにカポエラーが高速で接近してくる。タブンネは咄嗟に光を集め壁とするリフレクターを使った。これでダメージを少しでも軽減させるためだ。 だがカポエラーが高速回転しながら出した技は瓦割りだった。強烈な一撃はリフレクターを跡形も無く粉砕し、タブンネを襲った。 唖然とするタブンネだが次の瞬間激しい痛みに襲われる。カポエラーの一撃はタブンネの顔面に直撃し、タブンネは倒れこむ。 万事休すだった。タブンネは攻撃用の技は一つしかない。残りはサポートの為の技だ。サポート用の技で相手を倒す事など出来るわけが無い。 そんなタブンネの心情を察したかの如く、カポエラーが言う「(攻撃技を使い果たしたみたいだな。降参するならこれで終わりにしてやるぜ?)」タブンネは思った。こっちに勝算等無い。どうせ負けるなら潔く降参してしまおうかと。 だがタブンネの中に押入れでの生活が浮かんでくる。密室で虐待され続け食事すら苦痛だった日々。ここで負けてしまってあの地獄に戻って行くのはとても耐えられない。 タブンネは首を横に振った。「ミィイ・・・ミィ(嫌です・・・降参しません)」カポエラーは内心驚いた。攻撃する手段が無いと言うのにまだ戦いを続けると言うのか。 いや、こんなものは強がりだ。すぐに心が折れるに違いない。そう思ったカポエラーはタブンネに蹴りを入れる。腹部に蹴りが直撃し、タブンネは咳き込む。だが一向に降参する気配が無い。 カポエラーもさすがに焦る。何故このタブンネはこうまでして食い下がるのか。そこまでして戦いを続ける事に何の意味があるのか。カポエラーには一切理解できない。 タブンネの理解し難い行為はカポエラーを苛立たせる。「(くそっ!コイツめっ!さっさと降参しろよ!)」そう言って倒れたタブンネに執拗なまでに蹴りを入れ続ける。 顔に、腹に、足に蹴りを受け、タブンネは全身が赤黒く染まって行く。だが決して屈しはしなかった。「ミィ・・・ミィ・・・(嫌です・・・絶対に諦めません・・・)」 口ではそう言ってるものの、耐え続けたところで何か勝算がある訳でも無い。されるがままに蹴られ続けるタブンネ。こそへ今までと比較にならない強烈な一撃が飛んでくる。格闘タイプ最高峰の技であるインファイトだ。タブンネはバンギラスの時以来の死を覚悟する。 だがそれはタブンネの直前で動きを止めた。俗に言う寸止めだ。どう言う訳かカポエラーが攻撃を止めて去っていく。「(分かったよ・・・君の勝ちだ・・・)」去り際にそう言ってカポエラーは退いていった。一軍争いの戦闘はカポエラーがタブンネの異様なまでの執念に折れた形となった。 どう言った形ではあれタブンネは勝った。だが勝利の喜びなどない。歓喜は疲労に飲み込まれ消えていく。苦痛と疲労に支配され、タブンネの意識はそこで途切れたのだった。 タブンネが目を覚ますとそこはトレーニングルームの隅だった。練習は終わっているようで辺りは静まり返っており、体には乱暴に回復の薬が塗られていた。 相変わらずの酷い扱いに腹立たしく思っているとそこに先程のカポエラーが来た。何でも一軍メンバーとの合流地点へ案内を頼まれたのだか。何か報復を受けるのではないかと思っていたタブンネだがカポエラーは意外にも友好的な態度だった。何でも一戦交えた仲だろうと試合が終われば友と友なんだとか。 カポエラーに案内されるままに目的地へのタブンネは歩く。暫く歩いていくと前方に階段が見えてきた。カポエラー曰くあの階段を上れば目的地なのだとか。 目的地に着く手前でカポエラーは言う「(君は何か迷っていたみたいだね。概ね自分の力が一軍で通じるか不安だったと言ったところかな?まあ余り深く追求するつもりは無いがこれだけは言っておく。僕みたいに一軍と二軍を言ったり来たりしているポケモンはいつも死に物狂いで頑張り、一軍に上がったら肩を叩かれないように必死で頑張ってるんだ。もしそんなに不安なのだったら自ら一軍行きを拒否するんだね。)」そう言ってカポエラーは去っていった。 タブンネは思った。自分は何を甘えた事を考えていたのだろう。ここまで来て今更迷うわけにはいかない。決意を新たにしてタブンネは階段を上っていった。 階段を上るとそこは大きな広間だった。もう既に一軍メンバーは揃っている様子で、広場には何名ものポケモンが姿を見せていた。 その面子を見てタブンネは驚く。カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、それにイッシュまで伝説のポケモンこそ居ないがいずれもポケモンバトル界において勇名をはせる実力者揃いだったのだ。トレーナーはイッシュには行っていないようだったが恐らく交換でイッシュ地方のポケモンを仕入れたのだろう。 そこへトレーナーがやってきた。「よし、集まったな。コイツが新顔のタブンネだ。」トレーナーが紹介してくれたのと同時に頭を下げて挨拶をするタブンネ「ミッミッ(こんにちは。わたしはタブンネです)」 緊張しつつも辺りを見回すと周りのポケモンのタブンネへの態度は大きく分けて三種類あることに気付いた。 まず一つ目はタブンネを興味深そうに見ている者。特に敵意を向けるわけでもないようだ。 その中で特に目立っていたのは山吹色の体をした蛇に四肢を生やしたような体系のドラゴン。カントー地方の「カイリュー」だった。自身への被害を軽減するマルチスケイルと呼ばれる鱗を持ち、豊富な技のレパートリーで様々な戦いが出来る器用な一面も備える優秀なドラゴンだ。 カイリューの視線は戦闘向きには見えないタブンネを外見だけで色眼鏡で見る事は無く、興味深げにじっとを見つめている。 二つ目はあからさまな軽蔑の視線を送る者。タブンネへの敵対心すら感じる事が出来る。口にせずとも分かる、お前がここに居るのは場違いだと言わんばかりの視線。あのバンギラスやルカリオもこれに該当する。 その中で一際威圧感を感じさせるのは、四本足で立つ青の体に赤い翼に鋭い眼光を放つドラゴン。ホウエン地方の「ボーマンダ」だった。物理特殊共に高い能力を誇り、脅威の突破力を誇るドラゴンだ。ボーマンダは文字通り見下すような目でタブンネを見ている。 そして三つ目はタブンネ自体に無関心な者。これは流石に何を考えているのか分からないが恐らくタブンネなどに興味を示さないのだろう。 見たところタブンネに無関心なポケモンは数匹居るが、その中でもひときわ異彩を放っている者が居た。深く青い肌、剣のように鋭い目つき、背中や腕に見える鰭のような物、頭部の左右対称な突起物。 その姿は言わずと知れたシンオウ地方の「ガブリアス」だ。ポケモンバトル界において知らぬ者は居ないと言われる程の知名度と実力を誇り、最強に最も近い存在の一つと言われている。 ガブリアスはと言うとタブンネなど目にもくれず器用に腕を組んで何処か遠くを見つめている。タブンネなど取るに足りない存在なのだろう。 「おい糞豚。お前の腕前を皆の前で見せてやれ。この中から一人選んで勝負してみろ。」トレーナーが唐突に言う。この集団の中から一人指名して戦えと言う事だ。 冗談ではない。そうタブンネは思った。この面子に入れるかどうかと言った程度のカポエラーにすら手も足も出なかった自分が戦ったところで結果は見えていると。 だが下手に逆らう訳にもいかずタブンネは渋々辺りを見回す。「 *1 」 必死に辺りを見回すが、勝てそうな相手がまるで見つからない。そもそもタブンネでは弱点を突いたところで倒す事が出来ない相手ばかりなのだ。 半ば諦めかけていた時にふとこの場に明らかに場違いなポケモンが居た。青くて丸い体をしたマリルである。進化系のマリルリは特性力持ちによる強力な物理攻撃を得意とするが進化前のマリルなど聞いた事が無い。 得体の知れない存在だが他に戦える相手など居ない。冷凍ビームは効果いま一つだがやるしかない。そう思ったタブンネはマリルを指名する。 するとマリルは黙って頷き、前へ出てきた。どうやら承諾してくれたようだ。 両者承諾の元、対戦が始まる。タブンネは自分が取るべき行動を考える。マリルがどう言う戦い方をするのかは本当に予想がつかなかった。 まず考えられるのは進化の輝石による耐久戦法だ。正直わざわざマリルに耐久戦法を取らせるなどお世辞にも効率が良いとは言えなが進化前のポケモンを使う理由など他にタブンネは考えられなかった。 考えた末にタブンネはとりあえずリフレクターを貼った。どくどくも考えられるが、単純に攻撃してくる可能性もある、そこで物理か特殊かどちらが来る確立が高いかと考えるとやはり特性を生かした物理が有力だろうとの考えだ。 だがマリルは突っ込んでくることは無く両手を前に突き出す。これは特殊攻撃の前触れだ。相手の手を読み間違えたタブンネだが相手の攻撃を受ける体制に入る。手を突き出す動きは波動の技、つまりマリルは水の波動を撃つのだろう。だが自分の耐久力ならマリルの攻撃を受けきれると考えての行動だ。 だがマリルの手から放たれたのは青い水の波動などではなく黒い悪の波動だった。悪意の込められた漆黒の波動が直撃し、タブンネは倒れこむ。そこに自分の両手の手首から先が落ちてくる。悪の波動を受けて両手の肘から手首までが霧となって消えてしまったのだ。 「!?!?!?!?」状況が理解できないタブンネ。何故マリルが悪の波動を撃てるのか。何故それがたった一撃で自分にここまで重症を負わす事が出来るのか。 考えているうちに耐え難い痛みに襲われる。腕のあった箇所の断面からは鮮血がほとばしりタブンネは痛みのあまり体をよじるように暴れる。 そんなタブンネを見てマリルは思わず笑い出す。それをきっかけに周りのポケモン達も笑い始めた。爆笑、失笑、嘲笑、苦笑・・・いずれもタブンネの自尊心をこれでもかと言うほど傷付ける。中には呆れ果てた顔をしている者まで居る始末だ。 そんな中堪えきれずに笑い続けるマリルだがその声はマリルとは似ても似つかない物だった。するとマリルの体はゆっくりと変形していく。他のポケモンへの変装を得意とする黒と赤の色のポケモンは間違いなくイッシュ地方の「ゾロアーク」だ。 「(おいおいwこんな所に場違いな雑魚が居たらイリュージョンを疑うだろう普通w)」ゾロアークは心の底からこの浅はかで間抜けな敗北者を笑っている。それ以外にも四方から聞こえてくる笑い声にタブンネに向けられる侮蔑とも哀れみとも取れる視線。これらはタブンネを心的に痛めつけるこれ以上に無い物だった。 その後トレーナーの回復の薬と自身のさいせいりょくで回復したタブンネだが傷ついた自尊心までは治せないのであった。 回復の薬と自身のさいせいりょくで回復したタブンネは癒えない心の傷を感じつつも辺りを見回した。するとさっきまで三種類あったタブンネへの視線は二種類に減っていた。 タブンネへの明らかな軽蔑の視線を向けるものとタブンネ等興味がないと言わんばかりに無関心なものの二種類だ。 自己紹介が終わって解散し、各自思いのままに過ごしているがタブンネは誰にも話しかけられなかった。タブンネが近付こうとするとまるで汚物でも見るかのような目で見られるか、タブンネ等そこに存在しないかのように全く気にも留められないかの二種類しかない。 どうすれば良いのか分からないタブンネにボーマンダが話しかけてきた「(イリュージョンすら警戒しない軽率な判断、悪の波動一撃で沈められる貧弱な肉体、下級のドラゴンすら落とせそうに無いひ弱な技・・・よくもまあ今まで生きていけたものだ。その天運に感謝するがいい)」 そう言うだけ言ってボーマンダは去っていった。タブンネは悔しく思った。ボーマンダに冷凍ビームの一撃でも放ってやりたいと。 だがそれが出来ない事はタブンネ自身がわかっていた。自分が冷凍ビームを撃とうとするよりも早くボーマンダの逆鱗がタブンネを引き裂であろうと。タブンネから視線を外してはいても、殺気は常に向けられているのだ。 タブンネが立ちすくんでいるとトレーナーが全員集合するように呼びかけた。これから試合があるのでメンバー3名を指名するとの事だ。 どうせ自分は選ばれないだろうと考えていたタブンネだが、どう言う訳かメンバーに選ばれてしまった。後の2名はあのバンギラスとガブリアスで、タブンネは先鋒で可能な限り敵を消耗させると言う役割らしい。トレーナーが気合の襷を渡してタブンネにそう言説明した。 周りのポケモン達は意外にも反対する気配が無い。タブンネにはそれが何故なのか分からなかった。自分が弱くても後の2名でカバーできると言う事なのだろうか?何れにせよ断る事は出来ない。タブンネは何にせよ自分の役割を果そうと意気込むのだった。 目的地までの移動中ははモンスターボールの中で過ごす。しばらくすると、どうやら目的地に着いたらしく、双方同意の下、試合が始まったようだ。タブンネは予告どおり先鋒として呼び出される。 相手方のポケモンは頭部から炎を燃やし、腰には金の装飾品のような物を付けている猿のようなポケモン、ゴウカザルだった。俊敏性に優れ、物理特殊問わず高い攻撃力且つ豊富な技のレパートリーを誇り、その器用万能さから多くのポケモンの立場を失わせている罪作りな存在でもある。 ゴウカザルの手札は豊富で何をやって来るのか分かり難い、そしてそれが強みでもある。だがタブンネは大方ゴウカザルの手を予測出来ていた。格闘タイプ最高峰の技であるインファイトが来るだろうと。 ポケモンの技にはタイプ一致と言うものがある。餅は餅屋と言う言葉があるように、ポケモンと技のタイプが同じなら威力が上がる仕組みだ。タブンネは耐久力には優れているが、流石にタイプ一致の弱点を受けるとひとたまりも無い。故にゴウカザルはタブンネにインファイトを撃って来るだろうと言うのがタブンネの予想だ。 そこでタブンネは電磁波を使う事にした、自分は気合の襷を持っているので一発は耐えれるだろう、そこで相手を麻痺させてゴウカザルの利点の一つである機動力を低下させておこうと言う判断だ。 素早さが勝るゴウカザルは当然の如くタブンネの先手を取る。そして拳には凄まじい勢いが付いていた。予想通りのインファイトだった。 タブンネは思わず目をつぶりそうになるが、引かなかった。自分には気合の襷がある。大ダメージを受けようとも倒れる事は無いだろう。一発耐えてせめて電磁波だけでも叩き込もう。そう思い、タブンネは攻撃を受ける。 次の瞬間ゴウカザルの拳がタブンネの腹部を直撃、ふっくらした肉に拳がめり込み、タブンネに激しい痛みが襲う。だがタブンネは必至に踏み止まろうとする。「(きあいのタスキがあるのよ。一発は耐えれる筈)」 そう信じていたタブンネだがどう言う訳か踏み止まる事が出来ない。「(え・・・なん・・・で・・・?)」自身の状況が理解できないタブンネ。きあいのタスキを持っている筈なのに、耐える事が出来ず、意識が遠のいていく。 錐揉み回転しながら吹き飛ばされるタブンネにトレーナーの顔が視界に入る。その顔は笑いを堪えるのに必死だった。 タブンネはようやく理解した。気合の襷と言うのは、ポケモンが攻撃を耐えると、破壊されてしまう物だ。だがこの襷は破壊される気配が無い。タブンネは偽者を掴まされていたのだった。 タブンネが意識を取り戻すと、既にトレーナーの家だった。試合はトレーナー曰くタブンネが倒れた後、バンギラスが砂を起こしつつゴウカザルを麻痺させ、その後ガブリアスが相手のポケモン全員を倒してしまったのだとか。 目が覚めたタブンネは自分に偽者の気合の襷を掴ませたトレーナーへの怒りなどよりも、サポートすら出来なかった事への激しい罪悪感に襲われ、思わずバンギラスとガブリアスの元へ急ぎ、謝罪する事に決めた。幸いにも二人はまだ寝ておらず、戦利品なのか木の実を食べていた。「ミィ・・・ミィミィ(ごめんなさい・・・私何の役にも立てませんでした。)」そう言って頭を下げるタブンネ。試合に勝ったとは言え、自分は明らかに足を引っ張ってしまった。また袋叩きにされても文句は言えないだろう。 そう思っていたタブンネだが、意外にもバンギラス達が攻撃してくる気配は無い。タブンネが顔を見上げるとバンギラスは今にも吹き出しそうな顔をしていた。「(いやw・・・別にお前になんか期待していなかったしw・・・なあ相棒?)」そう言ってガブリアスの方を向く。 「(・・・・・・)」ガブリアスは黙ったままタブンネを見つめている。そしてふとタブンネに詰め寄ってこう言った。「(・・・気にするなこれがプロとアマの差だ。)」 そう言ってガブリアスは去っていった。その後にバンギラスも続く。タブンネは最早戦闘用ポケモンとすら見られていなかったのだった。
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可愛いと思ってタブンネを飼い始めたが、うちのタブンネは食い意地が張っていていけない。 数時間おきに腹をすかせて「ミッ!ミッ!(ご飯ちょうだい)」とつきまとって来る。 餌を与えれば与えただけ食う。自分で加減がわからず食いすぎて腹を下したりする。 所かまわず漏らした下痢便の始末をするのは俺だ。 タブンネの方はちっとも恐縮せず感謝も示さず、汚れた尻をシャワーで洗ってやっている間も、 ちょっとお湯が熱いと振り返って「ミッ!」と文句を言ったり、飽きて来ると俺の手を払って逃げようとする。 今日も食いすぎて下痢をしたタブンネをバスルームに連れて行こうと抱き上げると、 「ミッ!」とむずかって暴れ俺の腹をしたたか蹴ったので、とうとう俺もキレた。 タブンネをバスルームに投げ込んだ。浴槽に後頭部をぶつけるタブンネ。 これまで体罰を受けたことがないので、痛む頭を押さえながら「?」と俺を見上げる。 「汚いんだよ、おまえは!」 そう言って熱湯シャワーをタブンネの全身に浴びせる。 「ミッ!ミッ!」と鳴きわめき、熱湯から逃れようと狭いバスルームを這い回るタブンネ。 シャワーを止めると怒ったように「ミッ!」と俺を睨みつける。 「この豚、俺を家来だとでも思ってるのか」とムッとした俺は、タブンネのぽっこりとした腹を蹴りつける。 「ミギィ!」 体を丸めたタブンネの耳を、触角を踏みつけ踏みにじる。 バスルームの隅に追い詰めて蹴りまくる。 するとタブンネはまたドドドッと軟便を垂れた。 「糞を垂れるな!」 濡れてまとまりやすくなった尻尾を、汚れた尻穴に詰め込む。 「ミィッ!ミヒッ…!」 半分くらい詰め込むと尻尾は安定して脱けなくなった。 タブンネは下腹部をヒクヒク震わせている。 そのままタブンネの手足を一つに縛り、庭のオボンの木に吊す。 道行く人間やポケモンが「やあ、ウンコタレのタブンネだ」と指さして笑う。 初めはぐったりとしていたタブンネだが、やがて首を伸ばして手近のオボンの実を食い始めた。 おいおい、おまえの尻穴は塞がっていて排便できないんだぞ。食って平気なのか? タブンネの食欲に呆れつつ、俺は家の中から成り行きを見守る。(終) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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とある森にかわいい女の子のタブンネがお父さんと2人で住んでいました。 お母さんはタブンネが今より小さかったころに死んでしまったらしいのですが、 タブンネは献身的なお父さんの愛情を一身に受けて何不自由なく暮らしていました。 しかし、この恵まれたタブンネにはどうしても我慢できないことがありました。 それは、お父さんが森のポケモンにペコペコしていることです。 タブンネはまだ子供なのであまり体はおおきくありませんが、 お父さんは大人なので森に住むポケモンの中ではそれなりに大きい方です。 でもお父さんは森で他のポケモンとすれ違うと頭を下げたり道を譲ったりして、 タブンネにもそうするように必死に横目で合図するのです。 それを見るたびタブンネはお父さんに失望し、腹立たしく感じるのでした。 この森で頂点にいるのがローブシン一家です。 ボスのローブシンはお父さんより大きく、強そうなことはタブンネも分っています。 しかし、配下のドテッコツはだいたいお父さんと同じぐらいの大きさで、 下っ端のドッコラーに至ってはその半分ぐらいの身長しかありません。 それにも関わらず、お父さんはドッコラーにさえもペコペコして、 唾を吐きかけられてもニコニコ笑って反抗しようともしないのです。 昔はタブンネもお父さんのことが大好きで尊敬していたのですが、 外を歩くたびにこんな光景を見せられて今ではすっかりお父さんを嫌っています。 タブンネはお父さんから一人で出歩くことを禁止されていたため 木の実集めなどの仕事はお父さんにまかせっきりでしたが、感謝などしていませんでした。 たまに叱られることがあっても心優しいお父さんのおしおきなどたかがしれていたので 反省などする様子はまるでなく、お父さんのことをますます軽蔑するようになるのでした。 ある日、タブンネは言いつけを破って一人で外へ出て、夜になって戻ってきました。 するとお父さんはこれまでとは打って変わってタブンネを厳しく叱りつけたのです。 タブンネは内心びっくりしたのですが、お父さんを舐めきっていたので聞き入れません。 必死で訴えかけるお父さんを無視して木の実を食べて眠ってしまいました。 その日からタブンネは説得するお父さんを無視して一人でどこかへ出かけるようになりました。 しばらくすると、タブンネの体つきが少しずつしっかりしてきました。 どうやら巣を抜け出してどこかでトレーニングをしているようです。 お父さんはそんなタブンネを心配して色々問いただそうとしましたが、ダメでした。 強引に聞き出そうとするとタブンネは暴れ出して巣じゅうのものを壊してしまうのです。 いつの間にかタブンネはお父さんの手には負えなくなっていました。 それにしてもタブンネは一体何のためにトレーニングなんてしているのでしょう。 ある日の夜中、タブンネがのそのそと寝床を抜け出し巣から出て行きました。 これまでになかった新しいパターンです。どこへいくのでしょうか。 森のなかをドスドスと歩くその顔には随分と気合が入っているようです。 たどり着いたのはこの森で一番強いと言われるローブシン一家のすみかでした。 なんと、タブンネはローブシン一家をやっつけるつもりだったのです。 入口では見張りのドッコラーが立ったままでうとうとしています。 タブンネは自信満々な表情でドッコラーを一瞥すると、渾身の力を込めたパンチを ドッコラーの顔面に打ちこみました。が、ドッコラーにはまるで効いている気配がありません。 それどころか、ドッコラーはいまだ夢の世界にいるようでした。 タブンネは一瞬焦ったような表情になりながらも鼻をフンとならして距離をとりました。 どうやら突進するつもりです。体を丸くして重心を低くし、みぃぃと叫びながら走りだします。 ドン、と大きな音がして直撃を喰らったドッコラーが後ろにごろりと一回転しました。 タブンネは肩で息をしつつ得意げな顔をして、倒れているドッコラーに対してなにやら喚いています。 しかし、ドッコラーは何事もなかったかのようにのそっと起き上がりました。 そしてタブンネを睨みつけます。今ので完全に目が覚めたみたいですね。 一方タブンネは信じられないといった表情で呆然としています。 それもそのはず、タブンネは水を混ぜた砂でドッコラーより大きい山を作って 体当たりでその山を崩す練習を何日も何日も繰り返していたのです。 きっと、ドッコラーも砂の山のように粉々になると思っていたのでしょう。 よっぽどさっきの攻撃に自信があったんですねぇ。馬鹿ですねぇ。 ドッコラーは地面にペッと唾を吐いて眉間にしわを寄せながら近づいてきます。 タブンネは一瞬たじろぎながらもみぃみぃと声をあげて威嚇している様子。 このタブンネは子供とはいえドッコラーよりは少し背が高いようです。 それにしても、タブンネがすごんでも全然怖くないですねぇ。ドッコラーも半笑いです。 タブンネはそれが気に食わなかったらしく、さらに不満そうに何やら喚いています。 次の瞬間、ドッコラーの強烈なパンチがタブンネの顔面にめり込みました。 ミギャーーーーーーーーーーーッ!!! タブンネは大きく吹き飛び、耳をつんざくようなどぎつい悲鳴を上げながら 顔を押さえてゴロゴロとのたうちまわっています。 きっと今までこんな痛い目にあったことなんてないんでしょう。 顔面からありとあらゆる汁を垂れ流しながらうぎぃうぎぃと醜く鳴き喚くタブンネちゃん。 あんなに大きく振りかぶったパンチを喰らうなんてノロマすぎますねぇ。 本当に戦うつもりで来たんでしょうか。 しばらくして悲鳴がやみました。タブンネは顔を地面に伏せたままです。 きっと頭の中で今の状況を整理しているのでしょう。頭の回転が悪いですねぇ。 それとも練習でつちかった自信(笑)とやらを粉々に打ち砕かれて絶望しているのでしょうか。 その間にもドッコラーはタブンネとの距離をどんどん詰めていきます。 自慢の聴覚(笑)が足音を捕えたのでしょうか。タブンネははっと顔を上げます。 そんなタブンネちゃんの視界に真っ先に入ったのはドッコラーのつま先でした。 パチンッと爽快でなんとも心地よい弾ける音が夜の森にこだましました。 タブンネは不思議そうにみっ?みっ?と鳴いています。突然右目が見えなくなったからでしょう。 痛覚が麻痺しているのでしょうか、必死で右目を両のおててでまさぐっています。 赤黒い血でべとべとになった両手を左目で確認したタブンネが再び悲鳴を上げました。 ドッコラーはそれを見て腹を抱えてゲラゲラ笑っています。 パニックに陥ったタブンネが大きな悲鳴を上げて暴れまわったものですから、 すみかで眠っていたドテッコツとローブシンが目を覚まして出てきてしまいました。 ドッコラーはすぐさま近寄って兄貴分の彼らに何かを伝えているようです。 事情を把握したのか、ドテッコツがタブンネの胸倉をつかんで持ち上げてしまいました。 タブンネは必死で抵抗するのですが、足は空回りし、手はドテッコツに届きません。 ドテッコツはそれを見てにやにや笑っています。その気持ちはよくわかりますねぇ。 タブンネの顔がみるみる真っ赤になってきました。首が絞まっているのでしょうか。 違いました。これはどうやらタブンネが怒っているようです。まるで立場が分ってない様子。 なんとタブンネがドテッコツに向かってペッとツバを吐きかけました。強気ですねぇ。 怒ったドテッコツはタブンネの顔面に頭突きを喰らわせたうえ地面に叩きつけます。 哀れタブンネ、ものすごい勢いで顔面から地面にぶつかったようでそれはもうひどい有様です。 顔じゅうに小石がめり込んで傷まみれ、歯は半分以上抜け落ちています。 声にもならない悲鳴を上げて転がりまわるタブンネをドテッコツが踏みつけます。 文字通り必死で手足をばたつかせるタブンネの小さな体からミシミシと音が聞こえてきます。 お父さんと同じぐらいの大きさだからとドテッコツを侮っていたのでしょうか、 残った左目を見開いてまたもや信じられないという表情をしています。 たまにお父さんに叱られたときのビンタなんかとは全然威力がちがいましたね。 それにしても、うつ伏せの状態で背中を押しつぶされては息ができないのではないでしょうか。 その通りでした。タブンネの抵抗も次第に弱まり、ヒューヒューと苦しそうな音が聞こえます。 ドテッコツはにやりと笑みを浮かべてさらに力を込めていきます。 遂にバキッと何かが砕ける音がしました。背骨でしょう。 同時にタブンネの頭と両の手足が一度ビクンと持ちあがり、ドサリと地面に落ちました。 タブンネは完全に意識を失っており、顔面がピクピク痙攣し口からは泡が出ています。 次に頭を踏みつぶしてタブンネに止めを刺そうとするドテッコツを、ローブシンが一喝しました。 どうやら、このローブシンはふんべつがあるポケモンのようです。強者の余裕でしょうか。 ドテッコツはしぶしぶ上げた足を下ろし、ローブシンについてすみかにもどって行きました。 ドッコラーも、タブンネにおしっこをひっかけてから、どこかへ行ってしまいました。 タブンネが目を覚ますと、そこは見慣れた自分の巣の中でした。 さっきのはタブンネの夢だったのかというと、そうではありません。 いなくなったタブンネを心配して探しに来たおとうさんが、倒れているのを見つけてくれたのです。 タブンネの有り様と言ったらそれはもうひどいものです。 背骨は完全に砕けており、寝返りすら打つことができません。 また、右目はぐちゃぐちゃに潰れ、もう二度と開くことなんてできないでしょう。 あんなに可愛らしかった顔もぱんぱんに腫れあがって完熟トマトのようになっています。 自分が間違っていたことを知ったタブンネは涙を流してお父さんに謝りました。 同時にお父さんがこの森の上下関係をよく理解していることも知りました。 そしてこれまで一人で歩いているときに彼らに出会わなかった幸運にも感謝しました。 あれほど勝気で自分勝手だったタブンネもすっかりしおらしくなってしまったんですね。 お父さんはそんなタブンネの頭を優しくなでて慰めてあげています。 しばらくして、いつのまにかお父さんはいやしのはどうを使えるようになっていました。 きっと可愛い娘のために一生懸命練習したんでしょうねぇ。 お父さんの献身的な介護にタブンネも心から感謝しているようです。 右目はもうどうしようもありませんが、他は日に日に良くなっている様子。 タブンネもなくしていたお父さんへの尊敬の気持ちをとりもどしたのでしょう。 でも、これにて一件落着、というわけにはいきませんでした。 お父さんは動けなくなったタブンネのためにこれまで以上に頑張って木の実を集めていました。 介護疲れもあるでしょうが、かわいい娘のため。お父さんは全く苦に感じていませんでした。 しかし、先日の一件でこの親子は森じゅうからすっかり目をつけられてしまったのです。 これまではローブシン一家とすれ違っても、頭を地面にこすりつけておけば唾を吐きかけられる ぐらいだったのですが、あの日以来徹底的に痛めつけられるようになってしまいました。 他のポケモンたちもそれを見てお父さんタブンネを見かけるたびに暴力を振るうようになったのです。 また、せっかく集めた木の実を横取りされたり、踏みつぶされたりもするようになりました。 お父さんはやめてくれと涙ながらに懇願するのですが、昔のように見逃してなどもらえません。 抵抗するそぶりをみせようものならローブシン一家に告げ口され、ドテッコツに暴行されるのです。 そもそも抵抗しようとしたところでタブンネが勝てる相手を探すほうが難しいぐらいですが……。 もうどうしようもありません。お父さんに出来ることは黙って暴力を受け入れることだけです。 しかしどうしようもないとはいえ、娘のために木の実集めをやめるわけにはいきません。 お父さんは寝る間も惜しんで木の実集めをするようになりました。 毎日毎日木の実集めと娘の介護。そのうえ他のポケモンたちから浴びせられる暴力。 お父さんはどう考えても一杯一杯だったのですが、娘の前ではそんなそぶりはみせません。 しかし、夜中にあまりの痛みと疲れに耐えかねて一晩中うめき声を上げ続けたりすることがあります。 それを聞いてタブンネはまた涙を流して心の中でお父さんに謝り、反省するのでした。 タブンネはタブンネらしく生きていかないとだめなんだ。 もしも元気になってまた外を歩けるようになっても、絶対に他のポケモンには歯向かわない。 頭を地面にこすりつけて生きることを許してもらわないとだめなんだ。 わたしたちはこの世界で一番価値のないポケモンなんだ――― タブンネはすっかりタブンネの生き方を理解したみたい。 相手に媚びるわざを次々に覚えるのもそれゆえなんでしょう。 でもどうやらこの心得、普通はもっと小さい頃に痛い目にあって覚えることらしいです。 甘やかされて育ったせいでしょうか、普通よりずいぶん気づくのが遅くなってしまいました。 そしてそのせいで普通よりずっと痛い目にあったみたいですねぇ。 ま、もしまた外を出歩くようなことがあったら、苦労すると思うけど、頑張ってね。おしまい。 名前 コメント すべてのコメントを見る