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【元ネタ】三国志演義 【CLASS】ランサー 【マスター】 【真名】呂布 【性別】男性 【身長・体重】207cm・100kg 【属性】混沌・悪 【ステータス】筋力B 耐久B 敏捷B 魔力E 幸運D 宝具D 【クラス別スキル】 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 【固有スキル】 騎乗:A 騎乗の才能。幻獣・神獣ランクを除くすべての獣、乗り物を自在に操れる。 一気呵成:A 攻撃すればするほど勢いを増す。ターン経過毎に命中率が増していくスキル。 仕切り直し:C 戦闘から離脱する能力。 また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。 単独行動:A マスター不在でも行動できる。 ただし宝具の使用など膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。 【宝具】 『方天画戟(ファン・ティエン・ホワ・ジー)』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:6人 中国に伝わる戟の一種。呂布が愛用していたため、宝具にまで昇華された。 相手が6人までならば、それぞれの敵に十全に近い力で戦うことができる。 【解説】 三国志において最強の英雄。 彼とその愛馬は”人中に呂布あり、馬中に赤兎あり”と称されるほどの傑物。 特に有名なのは、張飛、関羽、劉備の三兄弟と互角の勝負をした"三英戦呂布"であろう。 その武力とは裏腹に知力のほうは芳しくなく、物欲や性欲に負け裏切りを起こすことが度々あったようだ。 自身の武勇を立てることを生きがいとしてきた彼だが、最期は劉備に裏切られ処刑されることになる。 【出演SS】 マスターV教授(+フラット君)のサーヴァント講座 三時限目
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【元ネタ】史実 【CLASS】ライダー 【マスター】 【真名】武霊王 【性別】男性 【身長・体重】196cm・101kg 【属性】混沌・善 【ステータス】筋力C 耐久D 敏捷D 魔力C 幸運D 宝具A 【クラス別スキル】 対魔力:D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 騎乗:B 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。 【固有スキル】 カリスマ:C 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。 カリスマは稀有な才能で、小国の王としてはCランクで十分と言える。 話術:C 言論にて人を動かせる才。 国政から詐略・口論まで幅広く有利な補正が与えられる。 変装:D 変装の技術。 列国に知られる王でありながら、一人の使者として変装して秦国に潜入し、 その長短を直に観察し、秦王と謁見して言葉を交わした逸話が残っている。 【宝具】 『胡服騎射(コォフー・チィシャ)』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:800人 かつてライダーが率いた、趙を軍事大国に成長させた弓騎兵団をサーヴァントとして現界させる。 召喚されるのはいずれもマスター不在のサーヴァントだが、 それぞれがE-ランク相当の「単独行動」スキルを保有し、 最大20ターンに及ぶ現界が可能。 この軍団の中にはライダーがスカウトした有能な教士も含まれており、 教士達に師事することで、ライダー陣営の者にE~Dランク相当の 「騎乗」、「弓術」を覚えさせることが可能。 【解説】 中国戦国時代の趙の騎兵王。姓は嬴。氏は趙。諱は雍。在位紀元前326年-紀元前298年。 趙の家系の中ではじめて王と追号された人物である。 若い頃から人高馬大で勇気と力量は抜群、更に聡明さも持ち合わせており、 趙軍には機敏さが欠けるということに目を付け、遊牧民族の騎兵制を取り入れようとした。 しかしその為には当時の中華のスカート状の服を、遊牧民のズボン状の服(胡服)に 変えなければならなく、その事は叔父の公子成から反対されてしまう。 遊牧民を蔑視するのは当時の中華では当然のことであった。 しかし、武霊王は粘り強く叔父を説得し、遂には「胡服令」を伝達し、 騎兵軍を作り上げ、趙を軍事大国に成長させた。 こうして、馬は戦車を牽くものという常識を覆し、騎兵を取り入れたことは後の中華全土に広まり、 兵制と軍服に大きな影響を残した。これが「胡服騎射」の逸話である。 王位を子の恵文王に譲った後も主父と名乗り、実権を握っていたが、 その最期は息子達の王位継承争いに巻き込まれ餓死するというものであり、 これを司馬遷は「後継を逡巡したことで天下の物笑いとなった」と厳しく評価している。 【コメント】 キングダム読んでて思いついた。知力も行動力も高く、冒険心豊かな有能な革新者でありながら 優しさ(甘さ)故に悲劇的な最期を迎えるという、主人公性は充分。 名に含まれる「霊」は中華では侮蔑的な意味らしいが、個人的には充分な名君であったと思う。 軍勢宝具は、数も質もイスカンダルのそれに大きく劣るが、その殆どが「弓兵」でもあるので、 最大補足レンジは王の軍勢ともタメを張る設定。 イスカンダルの軍勢が「全員が掛け値なしの英霊」ならば、 武霊王の軍勢は「少数が掛け値ありの英霊」といったところ。 武霊王の威名に連れられてサーヴァントとなったが、 彼らの殆どは英霊の座に招かれてはいない。 とはいえ、一般人とは比べるまでもなく強力な個体の集団であることは間違いなく、 準英霊と言ったところ。 軍勢召喚系の宝具は多くあるが、その中でもイスカンダルのそれが最強だって設定。 適正クラスはライダーとアーチャー。
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【元ネタ】史実 【CLASS】アーチャー 【マスター】 【真名】プトレマイオス 【性別】男性 【身長・体重】182cm・78kg(第1、第2再臨)/210cm・142kg(第3再臨) 【属性】秩序・中庸 【ステータス】筋力B 耐久A 敏捷C 魔力A 幸運A++ 宝具A+ 【クラス別スキル】 対魔力:B 単独行動:A 陣地作成:A+ 霊基情報保存:A 【固有スキル】 救済のカリスマ:A 救済者(ソーテール)と呼ばれたプトレマイオス一世の、独自のカリスマ。 血なまぐさい前半生に比べて、彼の後年は慈悲に溢れた治世を行っていたという。 分割思考(王):A アトラス院の分割思考と似て非なるもの。 訓練によって身につけた技術ではなく、そのようにプトレマイオスは生まれついた。 必ずしも神秘を必要としない能力であるため分かりにくいが、現象としてはある種の超能力に近い。 叡智への接触:EX 自らの宝具たるアレクサンドリア大図書館にアクセスすることで、保存されている自らの霊基情報を取得し、変換する。 これによって、プトレマイオスは最適な姿と能力で敵を迎撃することが可能である。 【宝具】 『月は知らず、久遠の光(ファロス・ティス・アレクサンドリアス)』 ランク:B++ 種別:対城宝具 レンジ:0~50 最大捕捉:100人 ファロス・ティス・アレクサンドリアス。 ギリシャ語では『ΦΑΡΟΣ ΤΗΣ ΑΛΕΞΑΝΔΡΕΙΑΣ』。 世界の七不思議にも数えられる『アレクサンドリアの大灯台』は、実に五十六キロ先の 相手を探り当てることも、海岸線の船を焼くことも可能だったという。 サーヴァント・プトレマイオスが宝具として扱うのは、この大灯台の要となる「鏡」である。 若かりし頃のイスカンダルとの征服行で手に入れた鏡は、あらゆるエネルギーを強烈な光と熱に変換する。 普段は鎧の内側に仕込んでおり、後に神官団を組織することになるプトレマイオスの生来の魔力を喰らうことで、強烈な光の奔流を放つのである。 アルキメデスの宝具『集いし藁、月のように燃え尽きよ』と似て非なる宝具。 『王の書庫(ビブリオテーケ・バシレイオー)』 ランク:A+ 種別:結界/対軍宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:100人 ビブリオテーケ・バシレイオー。 ギリシャ語では『ΒΙΒΛΙΟΘΗКΗ ΒΑΣΙΛΕΙΟΥ』。 プトレマイオスとその息子が協力してつくりあげたという、アレクサンドリア大図書館を召喚する。 ただし、この宝具によって召喚されるアレクサンドリア大図書館は、当時のプトレマイオスがアトラス院と協力することによってつくった「もうひとつのアレクサンドリア大図書館」と合一したものである。 賢者の石と同じフォトニック結晶の樹木が生えて、アトラス院の知恵を味方全員に与え、同時にその防衛機構を使って敵を攻撃する。 アトラス院の知恵を与えられたものは、一時的に高速思考・分割思考状態を付与・増強される。 これはアトラス院の錬金術師が持つのと同じ、未来視的な状態である。 『灰燼の叡智』 ランク:EX 種別:対史/対城宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人 ソーテール。 ギリシャ語では『ΣΩΤΗΡ』。 厳密には、第三宝具ではなく『王の書庫』と『月は知らず、久遠の光』の二重融合宝具である。 『王の書庫』に眠るアトラス院の情報を、『月は知らず、久遠の光』によってすべて魔力の光に変換して放出するというもの。 プトレマイオスの体中に結晶の樹木が絡めついて、彼を固定。その後、光を更に拡大するための結晶レンズを複数生み出し、プトレマイオスというサーヴァントを砲門の一部につくりかえてしまう。 アレクサンドリア大図書館が最後に燃え落ちたという伝承から生まれるその光は、人類史を熱量に変えた、かのビーストの光と本質的に同じものである。 ただし、前提から分かるように、この宝具の使用は『王の書庫』へのアクセスを不可能にしてしまい、『月は知らず、久遠の光』さえも破壊し、さらにプトレマイオス自体の霊核も砕いてしまう。 つまりは、三重の壊れた幻想トリプル・ブロークン・ファンタズムである。 ソーテールとはプトレマイオスの二つ名であり、救世主、救済者、守護者という意味。全身全霊で守ってきた叡智の何もかもを燃やし尽くすその瞬間にこそ、真なる救済は現れる。
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前ページ次ページデジモンサーヴァント 「はあはあ……」 俺は走る。 無我夢中で。 気がついたら、俺は何故かこの姿になっていた。 気がついたら、俺はリアルワールドにいた。 気がついたら、俺は見たことも無い機械を手に持ち、何故かそれの名前を知っていた。 人間たちが、俺を恐れている。 恐れていない人間たちは、他のデジモンたちと連携して、俺を捕まえようとする。 彼らは俺に呼びかける、「危害を加えるつもりは無い」と。 それを聞き、止まろうとして、突如として正面に現れた鏡のような物体に俺は突っ込んでしまった。 その日、一人の究極体が錯乱状態で都内を彷徨い、突如としてその姿を消した。 分かっているのは、我々の呼びかけに反応し、止まろうとしたことだけである。 俺がサイバードラモンと出会った方のデジタルワールドから来たのか、賢と出会った方のデジタルワールドから来たのか……。 ひょっとしたら、どちらでもない全く別のデジタルワールドから来たのだろうか? 真相は闇の中だ……。 秋山リョウ 第一節「ナイト・オブ・ザ・ミョズニトニルン」 視界が晴れると、そこは草原だった。 そこには、さっきまでいたリアルワールドのそれとは明らかに違う服を着ている人間たちがいる。 自分が召喚した者を見て、ルイズは戸惑った。 漆黒の鎧をまとい、マントを羽織った、目の前の存在に。 他の生徒たちは、メイジを召喚したのかと、どよめく。 だがルイズは、何となくではあるが、目の前にいるのは人外ではないかと思った。 「ここは何処だ? 教えてくれ」 彼が声を発し、それにルイズは自然と応えた。 「ここは、トリステイン魔法学院よ」 「聞いたことが無いな……。俺は……アルファモン。君の名は?」 「ルイズよ」 「ルイズか……。ルイズ、俺は、何故ここにいるんだ?」 何故か憔悴しているアルファモンを落ち着かせようと、自分が召喚したと告げようとした直後、隣にいるコルベールに遮られた。 「ミス・ヴァリエール、他の生徒たちを待たせてはいけません。先に契約を済ませてください」 コルベールに促され、ルイズは渋々先に契約を済ませることにした。 「ごめんなさい、事情は後で話すから」 アルファモンに謝罪し、コントラクト・サーヴァントを詠唱して、口付けした。 アルファモンは驚くより先に、凄まじい熱さを額に感じ、思わずうめく。 その額には、純白のルーンが刻まれていた。 「い、今のは!?」 「大丈夫、ルーンが刻まれただけよ」 その日の夜、ルイズは自室で、アルファモンにこの世界のこと、サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントについて、アルファモンに教えていた。 アルファモンは、自分がルイズによって召喚され、そしてあのときのキスで使い魔になったことを知る。 落ち着きを取り戻したアルファモンは、不思議とその事実を受け入れていた。 究極体である彼に、ルーンの洗脳効果は効かない。 彼は自分の意思だけでそれを受け入れた。 ルイズは、今度は問い質した。 何処から来たのか、何者なのか、そして召喚された時に手に持っていたものは何かを。 アルファモンは、淡々と答える。 「俺は、こことは違う別の世界から来た、「デジモン」という人外の存在だ。そして、これに関しては「デジヴァイス」という名前以外全く分からない」 「別の世界から来た!?」 「そうだ。俺はデジタルワールドと呼ばれるデジモンたちが住む世界から、人間たちが住むリアルワールドに迷い込み、そこで君に召喚された」 「そうなの……」 そして、アルファモンはルイズにデジヴァイスを手渡した。 驚くルイズを尻目に、アルファモンは続ける。 「これを君に」 「いいの?」 「何となくだが、君が持っていた方がいい気がするんだ」 そう言って、アルファモンは更に続けようとするが、思いとどまった。 広場から、女子寮へと行く際、違和感を感じた。 ルイズだけ、歩いていたことに。 何故ルイズだけ歩いていたのかを聞こうとしたのだ。 (俺は今、聞いてはいけないことを聞こうとした……) 気を取り直し、アルファモンはそっと話題を変えた。 「ルイズ、使い魔とは、何をすればいいんだ?」 「使い魔には三つの役目があるの。感覚の共有に秘薬の材料の調達。そして主の身を守ること」 ルイズの説明に、フムフムとうなずくアルファモン。 ルイズは試しに目を閉じる。 そこには、アルファモンを見上げながら両目を閉じた自分の姿が移った。 「感覚の共有は可能みたいね」 「秘薬の材料の調達だが、俺はこの世界に来たばかりだから無理だな。そして最後の一つ……、俺にうってつけ、だな」 「あなた、強いの?」 「あまり嬉しくはないが、強い」 そう言って、アルファモンはうつむく。 悪いことを聞いてしまったと勘違いしたルイズは、思わず謝りそうになったが、アルファモンに先手を打たれた。 「君は悪くない。悪いのは、勝手に感傷に浸った俺の方だ」 アルファモンはそう言って立ち上がり、ドアに手をかける。 「何処へ行くの?」 「散歩も兼ねて、学院内を探検してくる。安心しろ、逃げたりしないさ」 夜の学院を、アルファモンが歩き回る。 アルファモンは、学院の内部をある程度見てまわったところで食堂に入り、小さな人形たちが踊る光景を目の当たりにする。 アルファモンにとって、それは不思議以外の言葉が当てはまらない光景だった。 「魔法で動いているの、か?」 アルファモンを尻目に、アルヴィーたちは踊り続ける。 彼らの踊りをしばらく眺め、やがて飽きてきたアルファモンは食堂を出ようとした。 しかし、背後に気配を感じ、右腕を振り回しながら物凄い勢いで振り向く。 そこには誰もいない。 よく見ると、ネズミが月明りに照らされていた。 「ネズミか」 そう言い残し、アルファモンは食堂を出た。 アルファモンの足音が徐々に遠くなる。 聞こえなくなった直後、ネズミは暗がりへと逃げた。 直後、そこから人のようなものが現れる。 「空白の席の主……、まさかこの目で見れようとはな。我(われ)がオスマンの使い魔となりて百と五十年。これだから人間の側にいるのは止められぬ」 平時はネズミに化け、モートソグニルと呼ばれる、オールド・オスマンの使い魔。 七大魔王が一人、リリスモン。 「弄りがいがなさそうだから、代わりにルイズの方を弄ってやるかの」 リリスモンは月明りに照らされながら微笑んだ。 次回、「アイ・アム・ナッシングネス」まで、サヨウナラ…… 前ページ次ページデジモンサーヴァント
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※時間的には原作のランサー襲撃後凛と話し合った後の場面ぐらいだと思ってくだちい 一息ついたところで、セドナはさらりと爆弾を投下した。 「そうね……ではせろー、おふろにいれてくださらない?」 「――――え゙?」 驚愕とも確認とも、或いは呻き声ともとれる言葉を出したのは、キャスターを除く三人の誰であったろうか。 キャスターの口にした事に、一瞬その場の空気が凍り付き―― 「……な、何を言ってんのよキャスター。霊体化出来るサーヴァントにそもそも入浴なんて必要ないでしょうが、ええ」 誰よりも早く答えを返したのは遠坂凛であった。 少しどもりながら、しかして周囲(主に二人)を圧する気を放ちつつセドナの発言に釘と言うか杭を突き刺す。 しかしセドナは大層気持悪そうに赤黒い血糊の着いた髪に触れると、 「返り血が付いた髪を洗わないなんて、気持悪いと思わなくて? それに一度日本のお風呂ってどんなのか入ってみたいんだもの」 と、可憐な笑みを浮かべ言った。 はぁ、と凛は溜め息を一つ付き、心底呆れたような表情を浮かべる。 「だからね、私が言いたいのは――――何でわざわざ衛宮君を御指名したのかしら」 ぎろり、という擬音がよく似合う視線を士郎に振り向け、びくっ、と少年が一瞬震えた。 まさしくは猫に睨まれ窮する鼠と言ったところか。 「あら、自分のマスターと離れて行動するなんてサーヴァントにあるまじき仕儀。使い魔不覚悟も良いところ。 それに私は見ての通り手が不自由だから、誰かに洗って貰う必要がありますの。 でもね、同じ女だからといって、敵となる魔術師に御髪(おぐし)を預ける気はありませんわ」 そう言いセドナは包帯で巻かれた両の掌を凛に見せながら、士郎へと寄りかかるようにして、顔を見上げた。 ちょうど猫や犬が主人に甘えるそれのように、その顔を少年の胸に擦りつける。 「だからせろー、わたくしのすみずみまでを、あなたのてできれいにしていただきたいの」 ただし少女が顔に浮かべた甘えの笑み、そして猫なで声で口にした言葉はその外見にそぐわぬひどく妖艶なものだった。 その甘い言葉遣いに、士郎の頭は真っ白となる。まこと少年は蛇に睨まれた蛙の様相を呈していた。 「――――な、なにを」 「何言ってんのアンタは!」 顔を真っ赤にしながら、ダン、と凛はちゃぶ台を叩いて士郎の言葉を遮るように咆哮した。 「あら、せろー。なにかいのししがうなっておりますわよ」 「……猪って。それに遠坂は猪突猛進じゃなくて、どっちかと言うと悪知恵を働かせるタイプだと思うぞあべしっ!?」 最後まで言い切らないうちに、凛のガンドが二人に降り注ぐ。キャスターは何時の間にか士郎を盾にして、 それを完璧に防いでみせると、しくしくと泣き真似をしながら叫ぶ。 「まァ、非道いッ! 何て野蛮な魔女! せろー、しっかりなさってせろー!」 「盾にしたのはアンタでしょーが!!」 どうでもいいが早く助けてくれ、と少年は心底思ったのであった。 士郎→セドナ 凛→きみのすきなサーヴァント(さーばんと)をいれてね! 煩悩を抑えきれなかった結果がこれだよ! あとセドナが士郎を呼ぶ時「せ」ろーなのはイヌイット発音だけど、しぇろーかも知れない。 ひらがななのは甘えの表現です。親に海に捨てられたセドナは、士郎の見てないとこで「さむい、さむいよ……せろー」といつも震えてるんです。多分。
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磨耗した英霊サンタクロース 「わしは・・・・飢えて死ぬ子供の前で、殺戮の刃に倒れる子供の前で、炎に焼かれた子供の前で、ただ玩具を握り締めるだけの道化じゃ」 「子供たちを救うことも出来ず、ただ己に課された役割のみに動く、それが守護者じゃというのなら、わしはそんなものになりたくなぞなかった・・・!」 サンタ「神───というものが存在するなら私の声を聴け!」 サンタ「何故私が守りたいと…大切にしたいと思う未来への希望を貴方はこうも残酷に奪っていくのか…!?」 サンタ「私は空虚な玩具を握り締め、後何回泣いたら…どれだけ絶望すれば許されるのか…!?」 サンタ「よかろう…ならば神よ!貴様に代わり私が新世界の神となろう!」 サンタ「悲しみの無い世界!子供達が安心して生きられる世界!無垢な世界を!」 サンタ「掃き溜めの世界を希望で消し去ろう…そのためにィィッ!貴様らを殺し聖杯を我が手中に納めるッ!!」 空中要塞に向かうサンタと橇に乗るドンキ、トリスタン 要塞の迎撃を辛くも避け、近づいたが鹿とサンタが倒され墜落しそうになる。 墜落しているドンキとトリスタンに向かった要塞から強力な炎の魔術が放たれる 要塞から迫る炎に飲み込まれそうになるが、トリスタンがドンキを番えて要塞に突入させる 「・・・・後は頼んだぞ!ドンキーーーーー」 トリスタンは炎に飲み込まれて消滅する 「この絶望に満たされたセカイに、泣き叫ぶ子供らに、今こそ救済を――――!!」 『豚肉飛び散る精肉場(シュティレ・ナハト)』――――ライダーの保有する、八頭の聖なるトナカイが牽引する橇に乗っての蹂躙走法、ライダーの保有する、最大の攻撃手段。 聖別された雪と豚肉を撒き散らしながら疾走する八頭のトナカイは、立ち塞がるあらゆるものを打ち砕かずにはいられない。 「駄目だメリー、下がってくれ!! 下がるんだ、頼む!」 士郎は、傷ついて動けない自分を守って立ち塞がった自らのサーヴァントに、懇願するように叫んだ。 「嫌ですよ、士郎。もう、独りぼっちになるのは嫌だもの……」 「……メリー」 互いを庇い合うかのようにして迫り来る破壊の橇を見上げた二人の姿に、 寒い冬の中で、打ち捨てられた路地裏で、銃弾の飛び交う戦場で、ライダーがずっと見つめ続けてきた子供たちの面影が重なった。 「迷いも甘さももはやあの糞塗れの聖夜に捨てた! もはや目の前にいかなる英雄や怪物が立ち塞がろうとも知ったことではないと決めた! いかなる戦場の熱をもワシの凍りついた魂を溶かすことなど出来ぬというのに…………!!」 それなのに……。 「っ、ぅオオオオおおおおおぁあああああああああ!!」 ライダーの橇は、呆然と見上げたメリーの目の前で止まっていた。 「これが、ワシの末路か……」 呆れ混じりに笑い、ライダーは、メリーの握った包丁に深々と突き立った自らの腹を見た。 余りに滑稽すぎて笑おうとすれば、ごぼりと、喉の奥から血反吐が溢れて来る。 「ごめんなさい、ライダー……あなたが、あの時のサンタクロースだったのね……」 少しずつ真っ白になっていくライダーの視界の中で、小さな少女が泣いているのが見えた。 残る力を必死に振り絞って、ライダーは、泣きじゃくる少女の頭に、そっと手を置いた。 「いいんじゃよ。ワシはサンタクロース……泣いている子供に、ワシが最後に送ってやれる、クリスマスプレゼントだよ」 少しずつ薄れていく血潮に塗れたライダーの姿は、まるで彼が本来在るべきと願われていたかのように、赤く染まっていた。 深々と雪が降り注ぐ音がする。どこかで、聞き慣れた鈴の音が聞こえてくる。 『ねえねえ、お爺ちゃん、サンタクロースって、本当にいるの……?』 どこかで、懐かしい声が聞こえてくる。 気がつけば、彼の意識は、あの、懐かしい故郷の暖炉の側に座っていた。だから、自分はこう答えてやるのだ。 『ああ、そうだ。サンタクロースはいるよ。おまえが、良い子にしていれば、きっとサンタクロースはプレゼントを持ってきてくれるよ』 その時、自分は何と答えただろうか。薄れていく意識では思い出せない。 「ああ……ワシに、泣いている幼子を見捨てておけるわけがないと、分かっていたのにな……どこで……どこから……ワシは……間違……って…………」 そして、最後に残された最強のサーヴァントは、光に包まれて、消えた。
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「なかなかに楽しませてもらったぞ、道化。だが貴様の仮面は剥がれた。 素面に戻ってはもはや狂うこともできまい。この茶番も幕引きだ」 黄金のサーヴァントの背後の空間が歪み、二十を超える宝具が取り出される。 それらはまっすぐに切っ先を老騎士へと向け、主の命を今か今かと待っていた。 「雑種には過ぎた代物だが……我を楽しませた褒美だ。 わが財の刃にかかって果てることを許そう」 「くっ!こんな時に……」 凛は苦々しく呟いた。とはいえ、ほんの数刻前までの彼女ならばまだ希望はあった。 彼女を守る老騎士―――ライダーのサーヴァント『ドン・キホーテ』はかの英雄王の天敵といっていい。 現実すら侵食する彼の妄想は、相手がより強い幻想に生きる者であるほど強力に作用する。 現に過去の二度の戦闘では、一度目は相手が高層ビルの巨人たちと戦っている隙に逃げ仰せ、 二度目は繰り出された宝具のことごとくが的を外れ、あるいは暴発した。 しかし今回ばかりはそうもいかない。ドン・キホーテを英雄たらしめていたその宝具も、 あらゆる幻想を錆付かせる強力な固有スキルも、すべて先ほどの戦闘で失われていた。 ―――『破戒すべきすべての符(ルールブレイカー)』 あらゆる魔術・神秘・契約を無効化するその宝具は、それでも英雄王の手から放たれれば ライダーに届くことなく地に落ちる筈だった。 しかし、先ほどの間桐慎二の捨て身の一撃により、その刃はライダーの胸に確かに穿たれた。 ルールブレイカーが破戒したのはマスターとの契約ではなく、老騎士の『狂気』。 己が伝説の騎士であるという妄想。彼が騎士である為の『誓い』を木端微塵に打ち砕いた。 夢から醒めた騎士はもう騎士ではなかった。一度現実に気付いてしまえば、もう妄想の世界には帰れない。 自らの妄想に周囲を巻き込む彼の能力は、このとき完全に失われた。 夢の跡に残ったのは、アロンソ・キハーナという一人の男と、年老いた痩せ馬だけだった。 「ライダー……」 主を守るように立つライダーの背に向けて、凛が躊躇いがちに何かを言いかける。 振り向いたライダーと眼が合い、そして―――彼女は決心した。 「ライダー。あの金ぴかと戦って、できるだけ時間を稼いで」 事実上の死刑宣告とも取れるその命令に 「仰せのままに、わが主よ」 ライダーは満足げに頷き、そう宣言した。 それを聞くと凛は振り返ることなく大聖杯のもとへと駆けていった。 「ク……カハハハハハハハ!捨て駒にされたか!つくづく滑稽だな。道化!」 英雄王の嘲笑に、老騎士は静かに首を振った。 「我がマスターは命令に令呪を用いなかった。何故か解るか?アーチャー」 「それが何だというのだ」 「この命令を私自身が望んでいた。ということだ」 そう、ライダーは自ら捨て駒となることを望んだ。 だからこそ、凛は彼を切り捨てることができたのだ。 「貴婦人のために命を賭けることは、騎士の誉れであるからな」 「ハッ、何を言うかと思えば、どうやらまだ夢の中のようだな!」 「夢か……そうだな、ずっと夢見てきたことだ。」 それは痛ましい夢だった。 孤独な老人の狂った妄想だった。 偽りの名を名乗り偽りの敵と戦った。 だがそれでも、偽りの騎士であったとしても、 世の不正を正さんとしたその理想は――― 男が幼いころに憧れた『騎士道』は――― ――――――けして偽りではない。 「我が願いは叶えられた。もはや夢を見る必要はない。 守るべき主。この世で最も強大な敵。感謝する。私は今、真の騎士となった」 ヒイィィィィイイイイイン 老騎士に呼応するように甲高く嘶いて、痩せ馬が前に進み出る。 「ありがとうロシナンテ。もう少しだけ付き合ってくれるかい?」 かつて彼は、「すまなかった」といった。 長い旅にずっと付き従ってくれた友に、馬鹿な妄想に付き合わせてしまってすまない、と自らの夢を否定した。 そうではかった。あの時、死の淵でサンチョに言うべきだったのは、謝罪の言葉などではなかったのだ。 只一言「ありがとう」と、お前のおかげで私は騎士たりえたと従者をねぎらってやればよかった。 それでも友は主を騎士として葬った。彼もまた狂ってしまったのだという人もいる。 だが老騎士は信じたかった。あの馬鹿げた旅路が友にとって、真実価値の在るものだったのだと。 「ありがとう、サンチョ」 今はもう届かない。それでも呟かずにいはられなかった。 「さっさと来い、茶番は見飽きた」 痺れを切らした英雄王が空中の剣を構える。 ロシナンテに跨った老騎士はランスを掲げると高らかに宣言した。 「我こそは伝説の騎士、ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ!! この世すべての悪を、討ち滅ぼすものなり!!」 ランスを構え、痩せ馬の腹を蹴る。 彼の騎士道において、最初で最後の疾走が今、始まった。 眼前には三十にも及ぶ宝具の群れ、只のひとつでもライダーの身をかすめれば それだけで身体が消し飛ぶであろう力を秘めた宝具の雨の中を 年老いた痩せ馬が駆け抜ける。決して疾くはない。老いた馬の脚では 次から次へと射出される宝具をかいくぐることなど出来はしない。 しかし―――――― 「馬鹿な!?何故当たらぬ!」 ――――――錆付いた幻想(ラスト・ファンタズム) 失われたはずの老騎士の固有スキルが、今確かに発動していた。 正気を得たことで潰えたはずの彼の騎士道は、彼が真の騎士となったことで甦ったのだった。 「ならば!」 宝具の雨は痩せ馬に狙いを定める。ライダーのスキルは騎乗物にまでは及ばない。 ロシナンテは遂に膝を屈し主を放り出した。しかし、遅すぎた。痩せ馬は老騎士を英雄王の眼前にまで運んでいた。 かつて征服王の英霊馬すら成し得なかった偉業を、只の老いぼれた痩せ馬が成し遂げたのだ。 「うおおおおおおおおおおお!!」 「チィッ!!」 二対のサーヴァントの腕が交差する。 老騎士のランスと英雄王の剣。 その胸に届いたのは―――――― 「……カハッ!」 血を吐いたのは老騎士のほうだった。 その胸には英雄王の乖離剣が突き刺さっている。 幻想はより強い幻想によって打倒される。 天地を切り裂いた『最強の幻想(ラスト・ファンタズム)』は 老騎士の『錆付いた幻想(ラスト・ファンタズム)』に打ち勝ったのだ。 「……夢から醒めたか?騎士よ」 王の問いに老騎士は穏やかに笑って答えた。 「……ああ、いい夢だった。また…観たい……ものだなぁ……」 「安心しろ、お前は偉大な騎士だった。王であるこの我が保障しよう」 老騎士は嬉しそうに頷くと、光の粒となって消えていった。 こうして、騎士道に憧れ、騎士道を演じた男は、遂に自らの騎士道を完遂した。 それを狂気と、愚かな妄想だと人は言う。しかし彼の騎士道は確かに何かを守ったのだ。 その答えはこの戦場の先、大聖杯の間にて出されることとなる。 ……To be continued
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「―――そう、穂群原学園だ。被害は甚大……そうだ。不発弾の爆発でそうなったということにしよう。では、そのプランに沿って頼む」 事後処理を行う教会のスタッフに電話で連絡をした後、神父である男は受話器を置いた。 そして、教会の入口に目を向ける。そこにはスーツ姿の女性が立っていた。 「良く来てくれた。バゼット・フラガ・マクレミッツ」 「お気になさらずに、言峰綺礼」 聖堂教会の人間と、魔術協会の人間、決して歩み寄らない両組織の人間が邂逅した。 「―――前回の聖杯戦争は陰惨を極めた。殺人鬼がマスターとなり、本来の監督役であった私の父は死亡、そしてあの大火災、 秘密裏に行われるはずの戦争が世間にこうまで被害を与え、神秘の隠匿という大前提を崩壊させる寸前まで行われたことは、実に憂うべきことだ」 言峰は首を振り、悲観した風に締めくくった。 「君にはこの聖杯戦争で前回のように狼藉を働くマスターとサーヴァントを狩る事に協力してもらいたい」 「ええ、私もそのつもりで来ました」 言峰の言葉に、バゼットは快く応じた。 ―――バゼットは気づかない。言峰綺礼が彼女の令呪が刻まれている左手を見ていることを。 「私はアサシンを召喚しました。彼ならマスターの情報を集める事にも、危険な存在の排除にもうってつけでしょう」 「アサシンか、それは好都合なサーヴァントを召喚したものだ」 満足げに頷く言峰は―――決定的な一言を口にした。 「ああ、ところで『それ』のことだが」 「?」 バゼットの視線が、言峰が指差した先、祭壇の上の十字架に向けられる。 何の変哲も無いホーリーシンボルに、バゼットは首をかしげた。 その隙を、言峰綺礼が見逃すはずも無い。 一瞬で黒鍵の刃を顕現させると、女の左腕を穿ちにかかる。殺気に気がついた女が振り向いたときにはもう遅い。 バゼットの表情、驚愕と哀哭がない交ぜになったそれを見て、言峰綺礼は嗤った。 「ああ、そうだ。その表情が見たかった」 言峰の奇襲は完璧に近い。もし、この場にバゼットの味方である第三者がいたとしても、普通の人間では対応すらできないだろう。 ―――あくまで、普通の人間ならば。 ドアを金槌で叩くような音がした瞬間、鉛弾は直線の弾道を描き飛んでいく。 教会の扉を撃ち抜いた一発の火線は、即座に刃物を持つ腕に命中した。 防弾機能と防護の術式が編まれた僧衣は大した威力でも無い銃弾を通さなかったが、衝撃まで殺しきることはできず、黒鍵は甲高い音を立てて床に転がり、言峰はバゼットに体勢を立て直させる暇を与えた。 バゼットは、奇襲を仕掛けてきた本人を見やりながら、距離を取る。 「念のため、鍵穴から中を覗いておいて正解だったな」 銃撃した当人は素早く扉を開けて入り、ポツリと呟いて銃口を神父に向けた。 「―――ク。暗殺者の英霊相手に騙し討ちは分が悪かったか」 獣のような笑みを浮かべる神父にアサシンは無言で銃を撃つ。銃創が神父の額に穿たれ、仰臥して斃れた。 「……」 無言で立つバゼットの額には冷や汗が浮かんでいた。 それはアサシンを奪われそうになる程、自分が弱いことに気がついたからだ。 言峰がかつてと比べて更に研鑽したのか、そうでないのかは、バゼットに知るよしもない。しかし、これだけは言える。 言峰にはバゼットと戦う意思があり、自分には言峰と戦う意思が無かった。 だから、簡単に騙され、殺されかけた。アサシンがいなければ、自分は早々に脱落していた。 その事実に、屈辱と恐怖が涌き上がってくる。 「バゼット、退くぞ」 アサシンの言葉にようやくバゼットは我に返った。 正当防衛だったとはいえ、自分達は監督役を殺害したのだ。早々に立ち退かなければ厄介なことになる。 「まだ調べたいことはあるが、諦めろ。下手をすれば敵が増えかねない」 「……ええ、確かに」 アサシンの先導でバゼットも教会を出る。一度だけ振り向いて言峰の遺体を見やった。そしてすぐに踵を返すと、教会を出ていった。 誰もいなくなった教会で、しかし動くモノはあった。 言峰綺礼の遺体、その額の穴から湧き出るように吹き出す物体―――黒い汚泥は、ゆっくりと言峰綺礼の傷口を埋めていった。やがて完全に傷口が塞がった時、今まで死体だった『何か』が立ち上がった。 「突然の危機を想定し、常に警戒を怠らず、引き際も素晴らしい。良いサーヴァントを引き当てたな。バゼット・フラガ・マクレミッツ」 笑う。それは嘲笑か、それとも祝福の笑みか。立ち上がった死人は、澱んだ眼で背後の空間を見た。 「それだけに手に入れられなかったことは惜しい。が、『お前』から見ればどうだ。手こずる相手か」 返ってきた言葉を聞き、言峰は笑いを深めた。 それはおぞましい、全てを冒涜するような笑みだった。 衛宮邸の茶の間。普段は明るい声が響く茶の間で、しかし現在は緊張が支配していた。 黒衣のキャスターは掌を由紀香の頭にかざし、精神を集中させて何かを詠唱している。 それが終わり、琥珀色の双眸を開いたキャスターに、マスターである士郎が期待を込めて口を開いた。 「キャスター、何とかできそうか?」 「……残念だけど、無理ね。これをやったのは現代の魔術師じゃ無い。これは宝具によるものよ」 その言葉に沈黙が陰鬱な物に変わる。キャスターの眼前には犬の耳が生えた由紀香の頭があった。 学校での戦闘後、一行はこれからをどうするべきかで話をした。 ともかくも遠坂凛が説明をする事になり、その場所として衛宮士郎が自分の家である衛宮邸を提供した顛末だ。 遠坂凛の口から出てくる説明に、それを聞く者達は驚く以前に呆然としていた。 魔術。 サーヴァント。 聖杯戦争。 いずれもライトノベルやアニメのような話であり、そしてそれが現実である事は先程の光景で証明されている。おまけに、自分達はそれに無理矢理な形で関わらせられようとしていることを聞かされた。 「大体は分かったが……とにかくもこれをどうにかして貰えないだろうか」 鐘は自分の背中から生えている翼を手に取って引っ張った。 由紀香の耳は帽子を被れば何とかなるだろうが、鐘の翼や楓の手足は誤魔化しようが無い。これでは日常生活を送る事すら出来ないだろう。 遠坂凛と衛宮士郎は、キャスターに解呪を依頼した。 ―――だが、芳しくは無かった。 「分かっていることは、これをしているのは魔術では無く宝具。それも相当に霊格の高い宝具によるもの。本来の担い手ならともかく、私に手が出せるものじゃないわ」 「それなら、遠坂がやったみたいにこの令呪でキャスターをパワーアップしたらどうだ?それなら……」 士郎の縋るような言葉に、キャスターは首を横に振った。 「出力が足りないとかそういう話じゃないの……わかりやすく説明するわ。ねえ、貴女」 話を黙って聞いていた少女にキャスターは話しかける。 「は、はい。何ですか?」 由紀香の視線を真っ直ぐ覗き込むキャスターは、口を開いた。 「何か、おかしな気分はしないかしら。例えば、できるはずの無い事をできたとか、それとも、あるはずの無い記憶を持っているとか」 「あの、そう言えば、何か変なことが。私の名前は三枝由紀香って言うんですけど、他にも名前がある気がするんです。それから、そのもう一つの名前の持ち主のやったことも覚えているような気が……」 「そういえば、アタシも操られてた時に何か夢みたいなもの見てた気がするな」 思い出したように言う楓に、鐘も反応した。 「……お前もか?蒔の字。私も何か戦うような夢を見ていた気もするが」 「ああ、それそれ。伽和羅(かわら)身につけて、剣持って戦うんだよ。自分の事じゃない筈なのに、妙にリアルな夢でさ」 その言葉に、キャスターはふうと溜息をついた。 「……本人の精神と、外部からの精神、つまりはその宝具によるものが、融着している。下手に引き離したら本来の精神にも悪影響が出るかも知れない」 キャスターの分析に、士郎は歯を食いしばって呻いた。 「……そんなことを、三人はされたのかよ」 「今は冷静に解決策を考える時よ。士郎」 怒りを募らせる士郎を宥めるキャスターだが、その表情は固い。楓が慌ててキャスターに詰め寄る。 「ちょ、ちょいまち。じゃ、このままこの姿で生きていけってのか?」 キャスターは無言でおもむろに楓の腹部に手をかざし、口を開いた。 「少なくとも姿はどうにかなると思うけど。貴女達が持っている以上、ある程度は自分で運用できる筈だから」 「ほ、本当?う~ん。戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ……」 由紀香が手を合わせ、拝むように念じた。すると、犬耳が髪の中に吸い込まれるように引っ込み、見えなくなる。 「おお、戻ったぞ。由紀香!」 「えっ……本当!戻ってる!」 鐘の言葉に手鏡を覗き込んだ由紀香は、自分の頭上から犬耳が綺麗に消えていることに歓声を上げた。 「強く念じれば、元に戻るのか」 「よし!メ鐘、アタシらもやってみよーぜ!」 そのまま、二人して手を合わせて念じる。 「「戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ」」 二人で目を固くつぶって、一心不乱に唱えている姿は危ない新興宗教のようでなかなか不気味だったが、効果はあったらしい。 楓の手足は人間のそれに戻り、鐘の背にあった翼もうっすらと消えていった。 「「戻ったー!!」」 「これで少なくとも、外見はどうにかなるという事が分かったわね」 冷静に呟くキャスターの隣に座る士郎は、暫くつぐんでいた口を開いた。 「キャスター、聖杯なら三人の身体を完全に戻すことができるのか?」 士郎の言葉に、今しがた喜び合っていた三人が視線を向けた。 「聖杯が言葉通りの物なら、ね」 事も無げに言うキャスターの言葉で、衛宮士郎は表情を決意に固めた。 「……なら俺が聖杯を手に入れて、三人の身体を元に戻す」 その言葉に、三人は驚愕し、由紀香が真っ先に口を開く。 「待って、衛宮君!聖杯戦争って危険なんでしょ?」 「承知の上だ」 「承知の上だって、お前……分かってんのかよ。バカスパナ!」 「いくらなんでも、無茶だ。考え直せ」 楓に続き、鐘も士郎を止めるが、士郎は首を横に振る。 「もう、俺は巻き込まれているんだ。キャスターのマスターとして。今更引き返す道なんて無い」 士郎は淡々と話を続ける。 「俺は聖杯なんていらない。キャスターが使う分と、三人が元に戻るために使う分さえあればそれでいい。」 「だが!校舎をあんな風にしてしまう連中が相手なんだぞ?」 「なら、尚更だ。サーヴァントに敵うのがサーヴァントだけなら、俺が聖杯を手に入れるしか無い。それしか氷室達の身体を元に戻す方法が無いのなら、それを選ぶのが当然だ」 士郎の言葉に、その場の全員が言葉を失った。 この少年は、知り合いとは言え他人のために戦うと、剣の一振りで鉄筋造りの校舎を焼くような怪物達の闘いに身を投じると言ったのだ。 三人のいずれもがなにか言おうとしてやめた。この少年が戦って、聖杯を手に入れてくれれば自分達は元の日常に帰れるという考えを誰もが抱き、 すぐにそれが少年を死地に追いやることである事に気がつき、そんな考えを抱いた自分が醜くて仕方が無かった。 悲壮な雰囲気が漂った空間は、一人の少女が立ち上がったことで、沈黙が終わる。 「じゃあ、私は帰るけど、衛宮君。話したいことがあるからちょっと来てくれない?」 優等生の皮を脱いだらしい遠坂凛は、こちらの方が素であろう態度で士郎を呼んだ。 「正直なところ、私も聖杯で叶えたい願いは無いのよ」 凛の言葉に、士郎は驚愕した。 「じゃあ、何だってこんな闘いに参加したんだよ。俺みたいに偶然召喚したわけじゃ無いんだろ?」 「まあ、それは置いといて。聖杯を三枝さん達のために使うって本当?」 真剣な顔で聞く凛に、士郎は少したじろぐも、はっきりと答えた。 「ああ、そうしようと思う」 「キャスターはそれでいいの?」 凛の言葉にもキャスターはいつもの感情の起伏に乏しい表情を変えなかった。 「士郎に従うわ」 「そう。それなら約束して。どちらが最後まで残って、聖杯を手にしても、三枝さん達のために使うと」 「本当か!?」 万能の願望機を、自分と同じく他者のために使う人間がいたことに、今度は士郎が驚いた。 「別に深い意味は無いわ。ただ冬木の管理者として、こんな風に一般人を好き勝手されて気に入らないだけ」 「えっ、遠坂ってそんなに偉い人だったのか?」 「衛宮君、どれだけこっち側のものを知らないのよ……」 士郎の無知に、凛は額に指を立てて首を振った。 「とにかく、三枝さん達のことはできるだけ他のマスターにもばれないようにしましょう。宝具を取り出せない以上、先手を打って彼女達を攻撃しようなんて連中がいないとも限らないわ」 「とりあえず、当面は犯人のサーヴァントとマスターの捜索だな。分かった。遠坂ありがとう」 「お礼はいいわ。いずれ戦う相手だもの……ああ、そうそう」 「なんだ?」 「……やっぱりやめといた方がいいわね。それじゃあ、衛宮君、キャスター。また戦う日までね」 そう言うと、遠坂凛は怪訝な顔をした士郎とキャスターを残して去って行った。 家路についた凛は、既に自宅である遠坂邸の正門前に立っていた。 「そりゃそうだ。万が一のことを考えれば、綺礼には連絡しない方がいいわね」 遠坂凛は独り言を呟きながら、先程自分の頭に浮かんだ考えを反芻する。 ―――教会による三人の保護。 一瞬浮かんだ考えは、すぐに否定された。教会は正義の味方では無い。巻き込まれた人間の記憶を消して日常に返すぐらいのことはするだろうが、それは神秘を秘匿するという仕事をしているにすぎない。 おまけに現在の監督役は魔術協会とも繋がっているあの兄弟子だ。 もし協会にでも知られたら、三人の身柄がどうなるかわかったものではない。 宝具を身に宿した一般人だ。最悪、保護という名の実験材料化なんてこともありうる。 衛宮士郎は、家に人を招くことを躊躇しないような殆ど一般人、注意を払っておけば問題は無いだろう。 キャスターにしても、その衛宮士郎に忠実らしい。多分、大丈夫だ。 「問題は、明確なルール違反を犯したサーヴァントとマスターか」 一般人を操って他の陣営を襲わせる。神秘の漏洩にも繋がりかねないそれは、冬木の管理者としても遠坂凛としても許せそうにない。 「これでますます負けられなくなったわね。バーサーカー」 「◆◆―――◆」 凛は霊体化している従者に話しかけた。聞こえてきたのは相変わらずの唸り声だが、同意しているらしい。 「じゃあ、帰りますか。明日からが大変よ」 決意を新たに凛は玄関から自室へと向かった。 それは一見したところでは何の変哲も無いワンボックスカーだった。 誰が知るだろうか。それを根城にしている二人の内の一人が、人間では無いことを。 『……宝石は、まだあるわね。でもバーサーカーの維持にも使うから、今度は少し多めに……』 車内に積み込まれた機材から聞こえるのは、現在遠坂邸にいる少女の声だった。 敵マスターの声はかなり鮮明に聞こえる。技術の進歩を感慨深げに実感していたサーヴァントは、車に近づく気配を察知し、銃を手に取る。 召喚当初に所持していた狙撃銃ではなく、現代で用意したサブマシンガンである。 一定のリズムで叩かれる車のドアに、アサシンは銃口をそのままに、ただ口を開いた。 「バゼットか」 「ええ、戻りましたアサシン」 そのまま車内に入ってきた自分のマスターに、アサシンはようやく銃を下ろした。 「現在、遠坂凛は家の中だ。狙撃地点は幾らか確保しているが、学校があの状態になったのは痛いな」 「行動のパターンが読みにくくなりますからね。それでも、聖杯戦争である以上彼女が外に出ないことはあり得ない。仕留めるにはその時です」 ああ、とアサシンが首肯する。 「バーサーカーは燃料を食い荒らすアメリカ車のようなものだ。ガソリンタンクが空になれば自ずと停車する」 アサシンの中でバーサーカー陣営の攻略法は既に出来上がっているらしい。 敵の工房がある筈の遠坂邸の情報を得るために盗聴器という科学の産物を使う提案をしたのはアサシンだ。 魔術師らしく、科学との縁が薄いバゼットにとっては不安が残る提案だったが、それの有効性は目を見張る物がある。 魔術的な要塞は、英霊の気配遮断と魔力を欠片も有しない機械装置には無力だった。 遠坂を初めとする陣営の情報を断片的にでも手に入れることができるアドバンテージは大きい。 車内に設置した機械を操作しているアサシンを見ながらバゼットは召喚直後の彼の台詞を思い出していた。 『俺は弱い英霊だ。多分殴り合いならマスターの方に分がある。だが、負ける気は無い。協力してくれ』 アサシンは確かに弱い英雄だ。パラメーターの殆どがEランクという脆弱さは、この戦争に参加したサーヴァント中最弱だろう。 それでもバゼットはアサシンを恐ろしい英霊だと思う。彼は弱いが、それは決して弱点になり得ない。文明の利器を惜しげも無く使い、その力を利用し、更に発揮する。 自分の弱さを知っているという事は、自分の持つ機能と性能を理解しているということだ。 執行者として数多の魔術師を狩ってきたバゼットにとって、もし相手取るならアサシンのような輩がもっともやりにくい。反面、味方にできればこれほど頼もしい相手もいなかった。 バゼットはアサシンについて不満は何も無かった。ただ問題があるとすれば。 「ほら、各種機器のマニュアルだ。読んで覚えろ」 アサシンが手渡した分厚い紙の束に、バゼットは僅かに身じろぎした。 「こ、これら全てを覚えるのですか……」 はっきり言って、バゼットは細かい操作が苦手だ。当然機械に関しても同じ事が言える。 「アサシン。魔術師という物は機械の扱いが不慣れでして……」 「じゃあ、練習して苦手を克服すべきだろう。俺にしても機械の扱いは専門家というわけでは無いんだ。バゼットにもできるようになって貰わなければ困る」 一分の隙も無い正論に、バゼットはなすすべも無くマニュアルを受け取った。 「戦いは情報の有無で幾らでもひっくり返る。そのあともまだ勉強して貰うことはあるからな」 聖杯戦争が終わるまでにどれだけの学習をさせられるのか、想像したバゼットは溜息をついた。 夜の繁華街は、会社帰りのサラリーマンや水商売に関わる人間で賑わっていた。 その中で、変わった装丁の本を持つ少年が虚空に話しかける。 「ライダー、これで冬木の大体の場所は回った。何か質問はあるかよ?」 『ない。しいて言えば、儂の最終宝具が使える場所が少ないな。こうも建物が密集していては』 返ってきた言葉に、慎二は再び問いを口にした。 「そんなに強力な宝具なのか?」 『うむ。もっとも、それを一度使えばしばらくは大幅に弱体化するという欠点もある』 「そうか、対策を考えておかないとな」 間桐慎二に魔術回路は無く、よってサーヴァントに供給できる魔力も無い。 しかし、本人が保有する魔力炉心と宝具によって魔力は普通に戦う分には全く困ることは無い。 最終宝具も多少無理をすれば放つことができるというのが本人の弁だ。 「勝てる。勝てるぞ。ライダー、そして僕とお前の願いを叶えるんだ」 『勝てるのでは無い、勝つのだ。儂は負けぬ』 一種傲岸とも言える強気な答えに、慎二は召喚時の光景を思い出していた。 『関羽雲長、騎乗兵の位を得て顕現したり―――喜べ。貴様らの勝利よ』 蟲倉の蟲を全て吹き飛ばしそうな豪風と共に出現したサーヴァントは、不遜な態度で周囲を見回した。 その眼光が、肩で息をしている召喚した本人に向かう。 「お前が儂を呼んだのか?」 「待て!よ、呼んだのはそいつだけど、マスターは僕だ」 多少震え声で話す慎二に、ライダーは一瞥すると、口を開いた。 「よろしい。この戦いに参加するには、かりそめとは言えマスターは必要。お前をマスターと認めてやる」 思いっきり下に見られながらも、こうして間桐慎二の聖杯戦争はスタートした。 「そこでだ、お前の宝具は……」 その時、肩同士が触れ合う衝撃を感じる。 「何だ。テメエ?」 話に集中する内に、人にぶつかってしまったらしい。振り返ると、明らかにチンピラ然とした男が立っていた。 「何独り言ブツブツ言ってんだ。電波かアァ?」 慎二の態度が気にくわなかったのか、チンピラはますます突っかかってきた。 チッと舌打ちして、小声で背後のサーヴァントに声をかける。 「ライダー、お前の戦闘力を見るぞ。こいつを半殺しにしろ」 虚空からの声は、慎二にのみ小声で伝えた。 『嫌じゃ』 「ハ?」 サーヴァントの声色は先程までと少しも変わらず、ハッキリと拒絶した。 「何言ってるんだよ。ご主人様のピンチだぞ!?」 『鶏を捌くに牛刀は用いぬ。この程度の輩に力を奮うなどしたくない』 なおも言い募ろうとした慎二だったが、側頭部への火花が出るような衝撃に受身を取る暇も無く昏倒した。 「バーカ!気持ち悪いんだよ。間抜け!」 大笑するチンピラは、倒れた慎二を何度も踏みつけた。周囲の人間も巻き込まれることを恐れてか、手を出そうとはしない。チンピラはそのまま慎二の懐に手を入れ、財布を抜き取る。手際からして慣れているのだろう。財布から一万円札を全て抜き取ると、そのまま去って行った。 「何で助けないんだ!この大馬鹿野郎!!」 ようやく立ち上がった慎二はビルの間にある路地裏に入り込むと、思い切りライダーを怒鳴りつけた。 実体化したライダーは、涼しい顔で慎二の怒鳴り声を聞いている。慎二が怒鳴り疲れて肩で息をすると、口を開いた。 「馬鹿たれ、あの程度の輩を退けられぬようでは仮とは言え、儂のマスターたる資格など無い」 「な、なんだとお……」 顔を紅潮させる慎二は、その時手に持っている物に気がついた。 サーヴァントを隷従させる偽臣の書、これは無理な命令で無い限り、サーヴァントを御することができる物。 歪んだ笑みを浮かべて、慎二がそれを手に取ろうとしたとき、ライダーの低い声が響いた。 「それで使える命令はせいぜい一回。こんなくだらん事に使う気か?」 その言葉に、一気に頭が冷える。確かにそうだ。こんなことに使うべきでは無い。 だが、殴られた痛みと受けた屈辱は自身を苛む一方だ。 「畜生……」 その時、壁に立て掛けてある『ある物』に気がついた。 その男は、街の鼻つまみ者だった。 自分より弱い人間をいたぶって、自分が強いと錯覚する感覚を愛していた。 必然的に中学生の時から恐喝で金を稼ぎ、一時の遊興の代価に当てた。 文字通りの街のダニのような人間だが、かと言ってヤクザになろうとも思わず、このまま一生を人から金銭を脅して手に入れて中途半端に生活できると本気で思っていた。 先程の少年からくすねた戦利品を数えているとき、後頭部に痛撃が走るまでは。 余りの痛みに意識を手放しそうになるが、後ろを振り返ったときに顔面を靴のような物で蹴られて、意識は無理矢理繋ぎ止められた。 「よくもまあ、やってくれたね。まずはさっき僕からくすねた金を返して貰おうか」 首筋に突き出された鉄パイプを前に、その男は今まで自分が傷つけた人々がしてきたように、地面に這いつくばって、こくこくと頷いた。 「ようやった。やられればやりかえせばよいのだ」 相変わらず尊大な態度でライダーは慎二を(一応は)褒めた。 「やかましい!大体僕に何かあったらどうするつもりだってんだよ!」 「その時はその時よ。どのみちあの程度できなければ、お前は死ぬだけだ」 あっさりと自分が死ぬと断じたサーヴァントは、もう一度霊体化する。 『さて、屋敷に帰って鋭気を養うとするか。なあ、マスター』 「帰るのかよ」 『儂を呼んだ場所で休めば、儂の魔力も戻りやすい』 「……わかったよ。その代わり今後は僕の指示に従えよ」 『だが断る。悪手を打とうとすれば、当然儂は拒否するぞ』 「そこは、承諾するところだろうが!!」 傍目から見れば、慎二一人でギャーギャーと騒いでいるようにしか見えない主従は、そのまま夜の街を家路についた。 第三話まで書くと、やっぱり自分が長編書いてるんだと実感が湧いてきます。 何とか書き上げましたが、本音を言えばひむてんで出てくるようなネタギャグの数々を書きたいです。 以下、没小ネタ ~凛が三人娘に聖杯戦争の概要を説明したあと~ 「―――以上が聖杯戦争の概要よ」 誰もが黙っている中で、一人が口を開いた。 「あのさ、ちょっといいか?」 蒔寺楓がしきりにキャスターの方を向きながら、凛に尋ねた。 「何かしら。蒔寺さん」 「遠坂がさっき言ってた英霊だけどさ。いや、分かってるぞ。霊なんて全部プラズマで説明できる嘘っぱちだし、アタシは平気だし、大丈夫だし、だけど、本当に、本当に、本当にキャスターさんって……ゆ・う・れ・い??」 楓の縋るような問いかけに、キャスターはきょとんとしながら答えた。 「?ええ、そうよ。私は一度死んだことがあるもの」 ―――時が止まった。 「勝利への脱出!」 「蒔の字、人の家の障子を突き破るんじゃない!」 蒔寺楓、心霊耐性E(超ニガテ) 実際に書いてみたかったのですが、話の雰囲気上どうしても割愛せざるを得ませんでした。 今後はギャグも入れてみたいなあと思います。それでは皆様ご機嫌よう。
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【元ネタ】ヘイヴォールとヘイドレクのサガ 【CLASS】バーサーカー 【マスター】 【真名】ヘイドレク 【性別】男性 【身長・体重】184cm・73kg 【属性】混沌・狂 【ステータス】筋力B 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運D 宝具A 【クラス別スキル】 狂化:B 全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。 【固有スキル】 追撃:D 離脱行動を行う相手の動きを阻害する。 相手が離脱しきる前に、一度だけ攻撃判定を得られる。 蛮勇:B 後先を省みない攻撃性。 同ランクの勇猛効果に加え、格闘ダメージを向上させるが、 視野が狭まり冷静さ・大局的な判断力がダウンする。 無窮の叡知:A この世のあらゆる知識から算出される正体看破能力。 使用者の知識次第で知りたい事柄を問答末に叩きだせる。 ただし、この技能は狂化しているため魔剣の支配下で無いと使用出来ない。 【宝具】 『囁く凶刃(ティルフィング)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1人 意思を持つ、勝利と破滅を招く全てを斬り裂く魔剣。 鞘から抜くことにより、持ち主の心身を支配し、Aランク相当の狂化と戦闘続行スキルを与える。 たとえ持ち主が倒れようと、魔剣そのものが破壊されない限りティルフィングは滅びず、 魔力供給を失っても数日間現界し続け、次なる使い手を求める。 この宝具を使用する者はバーサーカーのサーヴァントとして扱われる 非常に美しい剣で魅入られる者が後を絶たない魔性の芸術品。 【解説】 北欧神話、魔剣ティルフィング物語の主人公の一人で、先祖スヴァフルラーメの呪いの剣を受け継いだ狂王。 兄を殺し、敵を滅ぼし、敵が居なくなれば味方を殺す狂戦士でありながら、 同時に明晰な頭脳を持ち、変装したオーディンとの知恵比べではその難題全てに答え、正体を見破り後一歩まで追い詰めた。 最期はオーディンの放った暗殺者の手に掛かり、その生涯を閉じた。 【イメージイラスト】 ヘイドレク① ヘイドレク② 【出演SS】 世界一賢いバーサーカー マスターV教授(+フラット君)のサーヴァント講座 四時限目 私立穂群原学園新任教師たち 李書文のトラぶる道中記 北欧神話のオーディン(笑)の事がよく分かる話 ウソ企画 Fateと月姫とらっきょのクロスオーバー Fate/Another Servant Heavens Feel 2
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キャラシート【としあきの聖杯戦争TRPG】 【クラス】 【真名】 【容姿】 【願い事】 【その他】 【英雄点】点(ステ点・スキル点):令呪0画消費 【HP】5/5 【筋力】E :1 【耐久】E :1 【敏捷】E :1 【魔力】E :1 【幸運】E :1 【スキル1】 00点: 【スキル2】 00点: 【スキル3】 00点: 【宝具】『』() 1/1 【ランク・種別】ランク: 種別: レンジ: 最大捕捉: 【効果】 +2019/01/01版 泥 【CLASS】 【真名】 【異名・別名・表記揺れ】 【性別】 【身長・体重】cm・kg 【髪色】 【瞳色】 【スリーサイズ】// 【外見・容姿】 【属性】 【天地人属性】 【その他属性】 【ステータス】筋力: 耐久: 敏捷: 魔力: 幸運: 宝具: 【クラススキル】 スキル名 スキル効果 【固有スキル】 スキル名 スキル効果 【宝具】 『宝具名(ルビ)』 ランク: 種別: レンジ: 最大捕捉:人 宝具説明 【Weapon】 『武器名』 武器説明 【解説】 サーヴァントについての解説。 +絆Lv 【キャラクター詳細】 キャラせつめい 【パラメーター】 筋力 ■■■■■:C 耐久 ■■■■■:EX 敏捷 ■■■■■:E- 魔力 ■■■■■:A+ 幸運 ■■■■■:A 宝具 ■■■■■:EX 【絆Lv1】 身長/体重:cm・kg 出典: 地域: 属性: 性別: 一言説明 【絆Lv2】 来歴せつめい 【絆Lv3】 サーヴァントのスタンスせつめい 【絆Lv4】 ○スキル名:ランク スキルせつめい 【絆Lv5】 「宝具名」 ランク: 種別: レンジ: 最大補足: ほうぐるび ほうぐせつめい 【「クエスト名」をクリアすると開放】 こまかいせつめい +絆礼装 礼装名 レアリティ Cost HP ATK ☆4(SR) 9 100 100 効果 ベアトリーチェ(ライダー)装備時のみ、 +20の質問 質問1 真名と現界年齢と性別を教えてください 「」 質問2 身長と体重を教えてください 「」 質問3 出身地を教えてください 「」 質問4 好きな色、自分を象徴するような色はありますか 「」 質問5 特技はなんですか 「」 質問6 好きなものはなんですか 「」 質問7 嫌いなものはなんですか 「」 質問8 天敵とかいますか 「」 質問9 属性について教えてください 「」 質問10 現代での生活について自由に話してください 「」 質問11 貴方の宝具、乗騎、戦術について自由に話してください 「」 質問12 貴方の外見について自由に話してください 「」 質問13 ざっくりとあなたの性格を教えてください 「」 質問14 自分の日本での知名度をどう思いますか 「」 質問15 貴方の適合クラスを教えてください 「」 質問16 聖杯にかける望み、あるいは聖杯戦争参加の経緯を教えてください 「」 質問17 親しい人間について自由に話してください、空欄でも構いません 「」 質問18 自分のマスターをどう思いますか、空欄でも構いません 「」 質問19 理想のマスター像を教えてください。それに対して今のマスターは何点ですか 「」 質問20 なにかこちらに質問はありますか 「」 今回はありがとうございました。あなたの望みが叶うことを願います +セリフ集 ●サーヴァント名 一人称: 二人称: マスター: キーワード : : 召喚 「」 レベルアップ 「」 霊基再臨 「」 「」 「」 「」 戦闘セリフ 戦闘開始 「」 「」 スキル 「」 「」 カード 「」 「」 「」 宝具カード 「」 アタック 「」 「」 「」 EXアタック 「」 宝具 「」 ダメージ 「」 「」 戦闘不能 「」 「」 勝利 「」 「」 マイルーム会話 「」 「」 「」 「」 好きなこと 「」 嫌いなこと 「」 聖杯について 「」 絆Lv.1 「」 Lv.2 「」 Lv.3 「」 Lv.4 「」 Lv.5 「」 イベント 「」 誕生日 「」