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「ぐっ……うう……」 膾切り、という表現が近いだろう。 全身に大小の切り傷を負いながら、メリアは慈斬を見上げていた。 メンダシウムから『殺すな』と命令を下され、今のところ慈斬はその命令を忠実に実行していた。 戦闘とすら呼べない、一方的なリンチ。 それでも、メリアの心は折れていなかった。 「山田さん……!」 と、メリアは慈斬に訴える。 「自分を取り戻して……! メンダシウムなんかに、負けないで……!」 (安っぽいなぁ) 腕を組みながら見物していたメンダシウムは、つまらなさそうに息を吐いた。 (呼びかけるほど友情深めてないでしょ君たち♧) メリア・スーザンと山田浅悧に接点は無い。あるはずがない。 メリア・スーザンは、メンダシウムがこの殺し合いのために作った魔法少女だからだ。 それ以前の経歴など存在しない。故に山田浅悧と接点があるはずもない。 (失敗したかもなぁ♧) とさえ、思う。 メリア・スーザンは正義を愛する。そう設定したせいで、今この状況でも山田を説得しようと言葉をかけ続けている。 まるで壊れたラジカセのように。 (配分を間違えたかな。もっと葛藤とか欲しいんだけど。これじゃあただのロボットだ。そんな奴、曇らせても楽しいかな……♧) 廃棄するか、とメンダシウムは悩んだ。 せっかく曇らせるためにあにまん市に降り立ってティターニアともバトルを展開しているが、そこまでする旨味が無いような気もしてくるのだ。 (他のプレイヤーにもちょっかいをかけたいしね。さっさとネタバラシをしてしまおう) 「メリア、どうして君はそこまで愚直なんだい♦」 「どういう意味……?」 「その正義の心の源泉はどこだい? 君のオリジンはどこにある?」 「そんなの……」 語ろうとして、メリアは口を閉ざした。 思い出せない。 断片すら無い。 (いや、今は戦闘中。それに、敵の言うことに耳を傾けるなんて) 「無いんだろ、記憶♠」 断定的なメンダシウムの言葉に、メリアは虚を突かれた。 「メリア、君には記憶が無い。戦う理由が無い。切欠が無い♧」 「な、何を言って……」 「君はね、私の分身に過ぎない。君の名前も日課も人格も——私が設定した架空の産物だ」 そんなはずはない。 メリアは否定しようとした。自分は確かに生きた人間だと主張しようとした。 どれだけ体が痛んでも、どれだけ切り刻まれようと、それだけは否定しなければならない。 嘘だ。私には確かに記憶がある。お前の言っていることは出鱈目だ。 そう主張しようとして、しかし、舌が張り付いたように動かない。 否定するだけの材料を脳から掻きだそうとしても、何も出てこない。 玉座の間で魔法王から殺し合いを宣告され、廃ビルにワープし、天城千郷に襲われ、ティターニアと山田浅悧と合流し……。 その前は。 殺し合いが始まるその前は。 日課で人助けをしている、という知識はある。 その人助けは、いつどこで誰と何を何故どのようにしていた? 思い出せない。 否、無い。 生まれる前が無いように、メリアには殺し合い以前の記憶が、無い。 「嘘……」 メリアは、膝から崩れ落ちた。 慈斬は表情を変えずに、メンダシウムはやや楽し気な様子でそれを見下ろした。 「私……私は……」 私は誰? 「さて、ネタバラシも出来たところで、廃棄するか♧ 私の意思で君なんかいつでも消せるが……せっかくだし、後の展開に繋いでおこう」 慈斬、メリア・スーザンを殺せ。 命じられた通りに慈斬が動く。 血塗れの脇差を持ったまま、メリアの首を狩るべく刃を振り下ろし。 「ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! 俺様大復活!」 周囲を破壊の嵐が襲った。 ビルを支えていた支柱がへし折れる。 タイルが捲れ上がり、塵となっていく。 破壊を巻き起こした張本人、全身から高密度の魔力を放出した天城千郷は、吹き飛んだメリア、浅悧、メンダシウムに向けて獰猛な笑みを向けた。 「んん? 剣持った奴はどこ行った? そんでお前はどちら様?」 「私の名前はメンダシウム♡ 運営側の魔法少」 その言葉は途中で途切れることになった。崩落した瓦礫に呑み込まれ、千郷の耳には入らなかったのだ。 「ガハハハハハハハハハハハハハハハハハ! まぁいいや! まだまだ俺様は、ぶっ壊す!」 千郷の一撃は、元々ティターニアとメンダシウムを始めとする魔法少女の戦闘によってダメージを蓄積していた廃ビルにトドメを指すことになった。 爆破解体をされたように、ビルそのものが崩れていく。 落下してくる瓦礫を魔力で弾きながら千郷は笑い続ける。 「ガハハハハハハハハハハハハハハハハ……うん?」 自分の前に、うさ耳をつけた魔法少女が立っている。 「ヒャハハハハハハハハ!」 「ガハハハハハハハハハ!」 二人は、どこか通じ合ったものがあったのか、互いに近づきあう。 千郷の上に落下する瓦礫は、千郷が纏う高密度の魔力によって塵になる。 慈斬の上に落下する瓦礫は、瞬時に切り刻まれ破片になる。 「俺様の名は天城千郷。魔法少女名なんか必要ねぇ! この世全ての破壊者、天城・デストロイヤー・千郷様だ!」 「慈斬」 ティターニアの正義も、メリアの混乱も、メンダシウムの計画も、全てを押しのけて、破壊者と処刑人は互いに名を交わし合い——激突する。 いくら夜間と言えど、学生街にも人は居る。 車を走らせていた者たち、繁華街から遠征してきた不良たち、このエリアに居を構える市民たち。 彼らは、廃ビルが倒壊していく様を目撃し、ある者は叫び、ある者は少しでも遠くに逃げ出し、ある者はスマホを向けた。 「なぁ、あれ、なんだろ?」 「え、どれ?」 一人の若者が空を指差す。 若者の友人が指の方向にスマホを向ける。 「…………人?」 倒壊するビルから、飛び出した二つの影が、落下するのではなく、上へ上昇していく。 一人は鎧を纏い、大剣を担いでいる。 一人はタキシードを纏い、手から紐が伸びている。 月を背景に、二人の魔法少女は空中で相対する。 「メンダシウム」 と、ティターニアは言った。 「認めるわ、あんたは——割と厄介な敵だわ」 「おやおや、まだその程度の認識なのかい♦ 随分と自信家じゃないか♡」 「私としても不本意なのよ。——今からたくさんの人に迷惑をかけることになる」 「何をするつ——」 「『マジカル・ストラッシュ』!」 非殺傷設定の極太ビームが地上へ向かって放たれる。 夜の中でもなお輝くその光は見物者の目を光で塗りつぶす。 「うおっ、眩しっ!」 「ねぇ、何の光? 人体に有害だったりしない!?」 非殺傷設定のマジカル・ストラッシュは、一般人に影響は無い。 倒壊した廃ビルとその周囲は光で覆われ、直撃したメンダシウムは消滅する。 そのまま地面に降り立つティターニア。 「君は一体何者なんだ?」 「映画の撮影? それとも、さっき繁華街で買ったドラッグの幻覚かしら?」 「ははーーん、なるほどこれがバーチャールというやつじゃな」 「君可愛いね、てかLINEやってる? 私の愛玩奴隷にならな——ぐはぁ!」 人込みに混じっていた、新たに出現したメンダシウムの腹部に大剣が突き刺さる。 そのままティターニアは大剣を持ち上げる。 両断したメンダシウムは粒子となって消滅する。 「うわぁあああああああ、殺したぁあああああああああっ!」 「でも、消えちゃったわよ」 「ははーん、これがイルミネーションというやつじゃな」 「『マジカル・ストラッシュ』」 横薙ぎに光の大剣を払う。 「うわっ、また眩しい!」 周囲の人間たちは苦情を言うがティターニアは意に返さない。 大剣を一周させた後は、そのまま無造作に斜め後ろに投げつける。 静かに近づこうとしていたメンダシウムは首を刎ねられて消滅する。 それを見届けるティターニアの首に紐が纏わり——その前にメンダシウムの顔を、ティターニアの掌が覆う。 マジカル握力によって顔を軋ませたメンダシウムは恍惚の悲鳴を上げる。 「あんた、魔法はまぁ大したもんだけど、同格以上との戦闘経験少ないでしょ。——いい加減、パターンが見えてきたわ」 「……くくく、言葉責めも乙なもんだね♡」 「それに、どう? 片っ端からマジカル・ストラッシュで魔力を消し飛ばしまくってるから、せっかくあんたが、事前に周囲にばら撒いていた魔力が消し飛んで困ってるんじゃない?」 「っ!?」 「言ったでしょ、パターンが見えてきたって。このフロアと隣のフロアと見せかけて、実はビル全部掌握してましたって、展開をやったんだから。次は、ビルだけじゃなく周囲一帯掌握してましたってやっててもおかしくなかったからね。念のため、周囲一帯はマジカル・ストラッシュで殺菌したわ」 「……く、くく、中々やるじゃな」 「あんた、メリアが本体とかくそどうでもいいこと言ってたけれど、本当にくそどうでもいいわよね。 だってあんた、脅威でも何でもないんだから。 あんまり周囲に迷惑かけずに、魔法少女の存在を公に秘密にした状態で戦うと厄介なだけで——その辺の制限取っ払えばどうとでもなるわ」 「……これは、随分と見くびられたものだね♡ 知っているかい、君が私にかまけている間に、君の仲間がどうなったかを……♠」 「その口ぶりからして生きてるってことよね? 死んでたら、あんたの性格なら死んでしまったと表現するはずだもの」 「……さて、どうだろうね♧」 「図星突かれて誤魔化してんじゃないわよ。まぁいいわ。とにかく、これで『メンダシウムはティターニアより格下』って既成事実は作れたし、もうあんたは用済みね。 次はもう少し強い戦力連れてきなさい」 ぐしゃりと、メンダシウムの顔を文字通り『握り潰した』ティターニアはふぅと息を吐く。 (よっしゃ、言ってやった、言ってやった……! ざまぁみろ!) 表情は平静を取り繕いながら、内心で勝利のガッツポーズを決める。市内最強ティターニア。基本的にめちゃくちゃ負けず嫌いである。 (さて、この次の反応は——) ふ、とティターニアの足場が消失する。 鎧に包まれた体がどこまでも落下していく。 (予想通りだわ。強い魔法少女ほどプライドが高い。キャラをガチガチに固めてる奴ほど、その傾向がある) メリア・スーザンはメンダシウムの本体ではない、とティターニアは看過していた。 戦闘の中で読めてきたメンダシウムの性格ならば、本体でも何でもない人物を本体と詐称した可能性は大いにある。反運営側の魔法少女を混乱させる魂胆なのだろう。 (たぶん、本体は別の場所に居る。分身の大元、分身より遥かに強い本体が) そして今、ティターニアは本体が待ち構える空間に向かって落下していると理解していた。 このままティターニアに勝ち逃げを許すはずがない。 格の違いを見せるために、次は本体自ら向かってくる。 (望むところだわ、返り討ちにしてやる) 魔法王に斬りかかることが出来なかった。もしもう少し勇気があれば殺し合いが開始する前に止められたかもしれない。 悔しさを胸に、ティターニアは落下を続け、 「っ!?」 ガン、と大剣を岸壁に突き刺し、落下を中断した。 眼下に想像だにしなかった光景が展開されている。 (あれって……ガーゴイル?) 身長4メートル程の、悪魔を模した石像。似たようなエネミーは倒したことがある。ティターニアからすれば、大した敵ではない。 それが、大群となってティターニアを待ち構えている。 10や20といった数ではない。 100,200……否、もっともっと多い。 1000,2000……まだまだ足りない。 「お、大人げない……!」 「おいおい、勘違いしてもらっては困るよ、ティターニア♦」 一匹のひと際大きなガーゴイルの背に乗ったタキシードの少女が、楽し気に笑う。 「彼らは全て——私の魂を分け与えて生んだ存在さ♦」 「あんたが、本体ってわけね……」 「まぁ、この段階で嘘をつき続けても仕方ないだろうね。そうさ、初めまして、私の名はメンダシウム。ここは、魔法王のお城の一画、私に与えられた塔の内部さ」 「え、ここあにまん市の外なの?」 「ああ、安心してくれ。呪いは発動しないように根回しはしている。 鬱陶しい魔力消費倍増の制限も、その他あらゆる制限も解除されている。 互いに本気で——どちらが格上か決めようじゃないか♡」 「こ、この負けず嫌いめ……」 (くそっ、煽りすぎたわ……) だがやるしかない。 ティターニアは剣を引き抜くと同時に、ガーゴイルの軍勢へと斬りかかった。
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ゼニメンダルダル メダル型メダロット(ZDD) 登場作品 R ゼニメンダルダル 機体説明 使用メダロッターメダロットR 機体性能メダロットR 機体説明 メダルをモチーフにしたメダロット。 ただしメダルといってもメダロットの「メダル」ではなく、我々が世間一般で使う硬貨の「メダル」である。 頭部は大きなピカピカの金貨、右腕は沢山の銀貨、左腕も沢山の銅貨、脚部は銭貨の孔にケーブルが通され銭が連なった蛇腹状になっている。 パーツ名もお金に関係するものばかり、まさに銭、ぜに、ゼニ! 硬貨の価値は変わりやすいのか、各パーツからは格闘 射撃の変動攻撃を繰り出す。 パーコレに登場しないメダロット。 使用メダロッター メダロットR メダロットR メダロットRパーツコレクション 無し 機体性能 メダロットR 「ゼニメンダルダル」(男) 頭部 カネモーケント ZDD-01 装甲 成功 威力 回数 能力 行動 効果 40 12 28 5 変動 なぐる ウィルス 右腕 サイフット ZDD-02 装甲 成功 威力 充填 熱量 能力 行動 効果 35 11 30 1 6 変動 うつ ウィルス 左腕 メイコイーン ZDD-03 装甲 成功 威力 充填 熱量 能力 行動 効果 35 30 11 6 1 変動 ねらいうち バグ 脚部 ゲニガッター ZDD-04 装甲 推進 機動 格闘 射撃 索敵 隠蔽 能力 タイプ 35 35 58 14 14 23 28 火薬 多脚
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ハチメンダイオウ(八面大王) 日本の民話に登場する妖怪。 オニ(鬼)の一。 長野県に伝わる。
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ローメンダキルニセイ(ローメンダキル二世) 指輪物語に登場する王。 関連: カルマキル (父) ヴァラカール? (息子) 別名: ミナルカール
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学生街、とある廃ビル、3階。 気絶した千郷を三人で見張りながら、ティターニア、メリア、浅悧は情報交換を行っていた。 「つまり、天城千郷もゲームには乗ってないのね」 「……私もよく分からないんですけど、その、戦いたい、じゃなくて、破壊したい……? そういう欲求が強いみたいで。ただ、自分から襲う気は無い感じですか」 「でもスーザンさんに激ヤバの剣振り下ろしてたわよね? あれは?」 「あ、メリアでいいです。あれも、殺しにかかった、っていうより、その——エネミーを独り占めしたかったみたいで」 「……普通に意味わかんないんですけど、エネミーってチーム組んで狩る方が効率的ですよね」 「あー、山田さんにはまだ教えてないけど、そういう風には考えない魔法少女もたまにいてね。エネミー倒せば魔力の足しになるし、強いエネミーを倒せば、場合によっては一気に大量の魔力を獲得できるじゃない? だから、単独でエネミーを狩りたがったり、本当に酷いときは、自分以外がエネミーを狩るのを邪魔する厄介なのもいるのよ」 「天城千郷もそのタイプってことですか……?」 未だ千郷は気絶から目覚めない。先ほど浅悧が調べたときは、奥歯が一本折れていた。 こんな大人しそうな中学生が可哀そうにと浅悧は思うが、ティターニア曰くビルごと消し飛ばすほどの一撃を人に向けようとしていたらしいので、自業自得とも思う。 (分からないな。どうして人にそんな暴力を向けられるんだろう?) 浅悧は剣道部だ。今は休部中だが、それでもエースと呼ばれる程度には研鑽してきた。 いくら防具で固めていようと竹刀で叩かれれば痛い。自分が痛いということは、自分が叩いている相手も痛いはずだ。 竹刀で人は死なない——と、言うつもりはない。 死亡事故だって発生している。竹刀だって凶器に成り得る。 だから、分からない。 ビルごと消し飛ばすような一撃を、人に振り下ろされるようなメンタルを。 (こんな、大人しそうな子が……) 偏見かもしれないが、教室の片隅で文庫本でも読んでいそうな、大人しそうな女の子だ。 とても、ティターニアやメリアの言うような危険人物には見えない。 (あるいは、この子も私みたいに……) 夢遊病。 今眠っている(というか気絶している)少女にとっては、変身後の自分は全くの別人なのかもしれない。 浅悧がそうであるように。 ——鉄パイプを他人に振り下ろせる人物が、自分と地続きなはずがないのだから。 「……とりあえず、今後の方針なんだけど。私のマンションに行かない? 冷蔵庫に魔力草が幾つか残ってるし、私の教え子が何人か向かってて合流できるかもしれない」 ゆくゆくはそこを拠点にしてゲームをひっくり返したい、とティターニアは拳を握った。 (不思議……魔法の国の王様に呪いをかけられて、殺し合いを強制されてるって、すごく絶望的な状況なはずなのに……先生と一緒だと安心できる) 本当に、すぐに合流できたのは幸運だったと、浅悧は思う。 ヒャハという声がどこかで聞こえた——ような気した。 (この人、凄い……) と、メリア・スーザンは思った。 ティターニアと情報を交換しながら、メリアは自分を救った魔法少女が学校の先生で、魔法少女暦18年の大ベテランということが分かった。 メリアも魔法少女になって、何年も経つが、自分より経験豊富な魔法少女というのは頼りがいがある。 (……あれ? 私、いつから魔法少女だったっけ?) ふと、疑問にかられて記憶を探ってみたが、まったく思い出せない。 (……さっきあんな危ない目に遭ったからかな。もう少し落ち着いたら思い出すかも) 自分が思っている以上に動転しているようだ。やれやれ、これでは先が思いやられる。 私、メリアは正義の行いが好きで、悪を憎む、趣味が人助けの正統派魔法少女なのだから。 ティターニアのように、私も他の人を助けないと。 だってそれが私だから。 「魔力草ですか……あれ、激マズですよね」 「文句言わないの山田さん。大丈夫よ、マヨネーズかけまくれば何とか食べれるんだから」 「マヨネーズかけまくったもの美容的にも健康的にも食べたくないんですけど……まぁ、そんなこと言っている場合じゃないのはわかりますけど」 (魔力草……知らないけど、そんなに不味いんだ? でも、人助けをするためなら、それくらいは我慢しないとね) どうせなら、私の好きな食べ物であるあれみたいに……。 私、好きな食べ物って何だったっけ……? (まぁ、そんなの考えても、今この状況で食べられないもんね。じゃあ思い出すのは後回しでいいよね) ——メリア・スーザンには好きな食べ物も、嫌いな食べ物も設定されていない。 とある魔法少女の分身は、未だ自分の正体に気づかない。 「よーし、それじゃあ行きますか。二人とも私のマンション着いたら仮眠を勧めるわ。変身している間は一週間ぶっ通しで起きてても問題ないけど、何かのきっかけで変身が解除された時にその場で寝落ちすることもあるから。マジで意識飛ぶわよ」 まぁそんなに長時間もこんなゲーム続けさせないけど。 そう言って、ティターニアはフロアの出口へ向かって歩き出す。 むにゅ。 と、靴裏から柔らかい感触が伝わり、ぎゃっ! とティターニアは慌てて右足を上げた。 ——いつからそこに居たのか、首輪を嵌めたタキシードの少女が寝そべっている。 「え、嘘!? ごめんなさい! あの、痛くなかった? 悪気があったわけじゃないから……」 「謝る必要はないよ、ティターニア……♦」 むくりと少女は起き上がる。 そして静かにナプキンを取り出すと、上品に顔を拭う。 「ふむ、参加者による顔踏みプレイ……悪くない♡ ただ、もっと強く踏んでくれて良かったのだよ? 私の顔が醜く歪むくらい強く……♡」 「……えっと、その、怒ってはいらっしゃらない?」 「まさか、悦んでいるのさ♡」 「……そうですかお怪我がないようでなによりですでは私はこれで失礼します私の醜態を冗談で流していただきありがとうございます以後こういったことのないように反省し善処していきますね」 早口で定型文を呟くとティターニアは千郷を背負い、浅悧とメリアにアイコンタクトでさっさとここから出ようと合図する。 突如現れた変態に思考を停止していた二人もようやく我に返り、三人の魔法少女はそくそくとフロアから出ようとする。 「待ちたまえよ、ティターニア♦」 ティターニアは冷や汗をかきながら嫌そうに振り返った。 変態に名を把握されている。 殺し合いとはまた別種の、されど同レベルに危険な状況にティターニアは警戒を強める。 「あの、何か……?」 「私も魔法少女さ。名を、メンダシウム♦」 聞いたことのない名だった。 (まぁ、魔力的に魔法少女なのはわかってたけどさ) 「魔法少女ティターニア。貴女もプレイヤーでしょ?」 「いや、違う……♧」 (あれ、非参加者にゲームのこと話すと死ぬんだっけ? あれ嘘? もしかして私ミスった?) もしかしてペナルティ触れちゃった? と顔を青白くさせるティターニアに 「私は運営側……魔法王の配下の者だ♦」 メンダシウムは楽し気に言った。 「————」 一瞬で、ティターニアの空気が切り替わる。 どこかコミカルさを漂わせていた表情が、熟練の戦士の表情に切り替わる。 「——何の用?」 「何、ちょっとしたテコ入れさ♦ このままだと私の望まない展開になりそうなのでね♧ せっかく殺し合いを開いたんだ、最高の展開を観たいだろ?」 それを聞いたティターニアは、抱えていた千郷を浅悧の方へ投げる。 難なくキャッチした浅悧は先生? と問いかけた。 「——山田さん、メリアと天城千郷を連れて逃げなさい。できるだけ遠くに、できるだけ早く」 「先生、私も戦います!」 「ティターニアさん、私も……!」 「——駄目よ。こいつの相手は私が『全力で』やるわ」 「っ……!」 全力。 それは、遠回しに浅悧とメリアが居ると足手纏いになるという宣言だった。 短くない時間を共に過ごした浅悧はそれを理解してしまう。そして、市内最強ティターニアの全力戦闘に自分は付いていけないことを。 「……先にマンションへ向かってます!」 「で、でも山田さん、ティターニアさんを一人残しては……!」 「いいの、メリアさん! 先生は最強だから、絶対負けないから……!」 メリアの手を引き、浅悧はフロアを出ていく。 振り返ることも、ティターニアに激励を送ることもない。 彼女の教え子である山田浅悧は知っているからだ。 抜けているし誤魔化すことも多いし作るテストも誤字脱字が酷い、正直人としては色々残念だけど——実力は本物だ。 ティターニアが負ける。そんなことは、天地がひっくり返ってもあり得ない。 もはや信仰に似た思いを抱えて、浅悧は少しでも距離を取ろうとする。 ティターニアが遠慮なく本気を出せるように。 手を引かれながら、メリアもまた悩んでいた。 正義の魔法少女として、あの場に留まって一緒に戦うべきだったのではないかと。 足手纏いは百も承知。けれど、それでも、メリア・スーザンの『設定』なら、あの場で逃げずに戦う方が……。 (それに……) 現れた変態タキシード運営魔法少女。 何故か彼女には、強烈な既視感があるのだ。 初対面のくせに、自分は彼女を知っている。 何故か、知っている気がする。 メリアは未だ、残酷な真実に気づかない。 残ったティターニアは大剣を床に突き刺し、両掌を柄頭に載せる。そして、メンダシウムが二人を追うのを防ぐように、逃げて行ったフロアの出口を通せんぼするように立ち塞がる。 それを、メンダシウムは楽し気に眺める。 「……いやにあっさり逃がさせてくれるじゃない? 私と二人きりになりたかったのかしら?」 「君とのプレイは楽しそうだからね……♦」 「へぇ、ありがとうと返しておくわ。それで、具体的にメンダシウム、貴女は何を狙っているのかしら? 最高の展開……どうせろくでもないんだろうけど、一応聞いてあげるわ」 「ふふ……どんな風に責められるか事前に知らない方が愉し——!?」 恍惚とした表情で語ろうとするメンダシウムの眼前でティターニアが拡大する。 (しまった、一瞬で距離を!?) 「マジカル・ストラッシュ!」 大剣が光り輝き——超至近距離で極太のビームが放たれる。 メンダシウムの視界が光で包まれ、圧倒的な破壊の奔流が全てを塗りつぶした。
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魔法少女ティターニアは、学生街のとあるビルの屋上に立っていた。 「魔法王……」 その声は、怒りで震えている。 「よくも私の教え子を……」 殺し合いを宣告された最初の場所で、ティターニアは何人もの自分の教え子や顔見知りを発見していた。 付き合った期間に濃淡はあれど、いずれも大切な者たちばかり。 (なのにどうして、私は動けなかった……!) ティターニアの魔法、『魔法の大剣からビームが撃てるよ』。あまりにもシンプルでされど強力な魔法。 普段のティターニアなら相手が魔法王といえどもビームをぶちかましたはずだ。 実際そうしようとはした。 けれど、ビームどころか大剣さえ出現させることが出来なかった。 結果、ティターニアは何も出来なかった。 みすみす殺し合いを宣告され、あにまん市に飛ばされて、ようやく戦闘態勢だ。 遅い。 (私は……臆した) 魔法王に対して、素手で勝てないと理解し、戦おうとしなかった。 結果、教え子たちは市内に散り散りとなり、今こうしている間も命を散らしているのかもしれない。 ティターニアが恐怖に抗い、実力差を気合で埋めて魔法王を倒していれば……。 否、気合で埋まらなかったにしてもティターニアの特攻に賛同する魔法少女が多く出たかもしれない。 ティターニア一人では無理でも、他の魔法少女たちも協力してくれれば。 あるいはティターニアに誰も賛同せず、無為に殺されたとしても。 見せしめとして処刑されたとしても。 教え子たちに勇気を与えることはできただろう。 けれど、ティターニアは何もしなかった。 (まったく、みんなの師匠とか、あにまん市最強とか煽てられてもこの体たらく。私は、私がくだらない女だってこと、誰よりも理解してる) 教え子がテンガイに殺されたときも、守ることも仇を取ることも出来ず。 部活の顧問として面倒を見ていた山田浅悧が暴力事件を起こしたときも夢遊病の兆候に気が付けず。 才能に溢れていたアレヰ・スタアにも逃げられ。 他にも諸々、数えきれないくらいの失敗が、ティターニアを構成している。 元々、ティターニアが魔法少女になったきっかけだって、いじめっ子に復讐するためだ。 そのいじめも、いわゆる学園ドラマで展開されるような壮絶で悲惨ないじめではなく、近所の一歳年下の女の子にいつも揶揄われ、取っ組み合いになってボコボコにされたという何というか、当時9歳ということを考えても、情けないとしか言いようがないものだった。 色んな魔法少女になったきっかけを聞いてきたが、年下の女の子にやり返すためという理由は未だ聞いていない。 結局いざ魔法少女になってみればちょっとしゃれにならないくらい身体能力が向上していて、こんなパワーで人間殴ったら死ぬだろと理解できたので、いじめっ子への復讐は出来ていない。 そのいじめっ子も今は魔法少女をやっているのでいつか決闘と称してボコボコにしてやると暗い欲望を抱いている。槍より剣の方が強いということを心に刻んでやるのだ。 我ながら小物すぎて情けなくなるが、それがティターニアの本質だから仕方ないのだろう。 「さて、どうするべきかな……」 教え子が心配だ、という想いがある。 けれど、教え子にはティターニア流戦闘術を叩き込んでいるので、大丈夫だろうという考えもある。 それより、最初の会場に居たハスキーロアのような幼い魔法少女を保護するべきか。 あるいは、34人の魔法少女が一斉に殺し合えば、街がただで済むとは思えない。 だから、街の人々を魔法少女の殺し合いから守るという選択もある。 教え子には任せておけないような強くて凶悪な魔法少女……あのくそテンガイのような輩を始末して回る……という案もある。 ティターニアはしばし悩み。 「よし、全部やるか」 馬鹿を晒していた。 戦術はともかく、戦略を考えることは苦手だ。教師としても毎回定期テストの前に慌ててテスト範囲まで進めることに定評がある。 「とにかく視界に入ったものを順番に片づけて行きましょう」 まずは深夜の学生街のパトロールだとティターニアは両足に力を込め跳躍しようとしたところで 「先生!」 背後から声をかけられた。 「山田さん」 頭からうさみみを生やした魔法少女、【山田浅悧】が安堵した表情でこちらに近づいてくる。 「よかった……私、すごく不安で……」 「山田さん、無事で良かったわ……」 師匠と弟子が即座に合流できる。それは何という幸運か。 二人は固く抱きしめ合う。 幸先が良い、とティターニアは思う。 このペースで教え子を見つけていけば、きっと誰も死なずに帰れるに違いない。 ヒャハ、という声が聞こえた——ような気がした。 ◇ 学生街、とある廃ビル。 魔法少女、メリア・スーザンは膝を抱え俯いていた。 突如宣告された殺し合い。 呪いをかけられ、自分より遥かに強い魔法少女たちと戦わされる。 しかも首魁は、魔法の国の王様と来た。 コンビニバイトが本社の社長と喧嘩をするようなもので、どう考えても勝てるはずがない。 そういった絶望が、感謝や正義の行いを好むメリア・スーザンを俯かせる。 「けど……」 と、メリア・スーザンは顔を上げた。 「ここでじっとしていても、しょうがないよね」 矛盾や悪を憎む正義の魔法少女がメリア・スーザンだ。 きっと他にも正義の魔法少女はたくさんいるはず。彼女たちと協力すればきっと魔法を倒せる……ことは無理だとしても、逃げることくらいなら出来るはず。 「私は魔法少女なんだから、立ち上がらないと……」 あの日、魔法少女になった日から、メリア・スーザンは正義のために……。 「………………あれ?」 私はいつ、魔法少女になったんだっけ? 何故か、いつ、どんなきっかけで魔法少女になったのか、メリアは思い出せなかった。 (……まぁいいや! そんなの、今重要なことじゃないし、それより他の魔法少女と合流を……) 「ガハハハハハハハハハ! 俺様登場!」 突如メリアの前方の壁が吹き飛んだ。 ぎょっとしてメリアは座り込んだまま後ずさりする。 現れたのは、背の高い大人だ。 白い修道服を纏い、後ろに後光を浮かべている。 それだけなら大人しそうな貞淑そうな印象を与えるが 「お! 第一村人発見! おいお前! 俺と戦え!」 豪傑……いや、餓鬼大将。外見とはあまりに異なるギャップに、メリアは戸惑うしかなかった。 「え、え、え? な、何でですか?」 「あぁ? 俺様が敵を倒してスカッとしたいに決まってるからだろ? よくわからねー爺さんに命令されて苛々してんだよ! どうした? 早く襲って来いよ!」 「いや、襲わないですし……私、殺し合い、乗ってないですし……」 「え、それって選べるのか!?」 「ま、まぁ私は乗りたくないし、殺しも……なるべくしたくないです」 「そっかぁ……まじか、殺し合いだから全員襲ってくるもんだと思ってたぜ……。やる気ねぇやつをこっちから襲いかかって追い回すのもちょっと違うしなぁ……」 明らかにテンションを下げ始める修道服の魔法少女。 (……正義の、じゃないけど、第一印象より危険な奴じゃないのかも……) 「なぁ、エネミーとかその辺にいなかった? 今夜はそれ破壊してすっきりするわ」 「え、エネミーですか……」 勿論心当たりはない。が、エネミーは魔法少女共通の敵であり、それを破壊してくれるというなら、この修道服の魔法少女はメリアの味方だ。 「あの、私も一緒にエネミー退治を」 「あぁ!? 俺様の獲物獲ろうとしてるんじゃねぇぞ!」 (しまった、藪蛇だった……) 「俺様のエネミーは俺様のもの! お前のエネミーも俺様のもの!」 修道服の魔法少女はそう言うと、さっと右腕を掲げる。 ギャギャギャギャギャ! と電流をスパークさせるような音が響き、修道服の魔法少女の手には、光の剣が出現していた。 (光を収束させて……違う、あの剣は……) ただの光っている剣、ではない。 エネルギーを出せる魔法を持つがゆえに、メリアは眼前で展開された光の剣がどういう代物か理解してしまう。 (なんて高濃度な魔力……こんなの振り下ろされたら、私が……いやこのビルごと吹き飛ぶ……!) 「俺様の名は天城千郷! 全てをぶっ壊す、魔法少女だ!」 かくして、破壊の剣が振り下ろされ—— 「——はしゃぎ過ぎよ、お嬢さん」 メリアを守るように立ったのは金髪碧眼、青いドレスの騎士だった。 彼女は黄金の大剣で破壊の剣を受け止め、余裕の笑みを浮かべ 「ってうおおおおおおおおおおおおおっ!? 重い重い重い!? ちょ、やばい、あんた、どれだけ過剰に魔力込めてるのよ! こんなもん屋内で振り回すな馬鹿!」 余裕は一瞬で崩れ、額に汗を浮かべながら、必死の形相で破壊の剣を受け止め続けるティターニア。 「ぎゃははははは! やるじゃねぇか! 俺様の破壊の剣を正面から受け止めるとは! こんなに破壊しがいのある奴は久しぶりだ! 俺様の名は天城千郷! 魔法少女名なんか必要ねぇ! 全てを破壊する女、天城ちさ」 「マジカルアッパー!」 「ぐはぁーっ!?」 隙を突いたティターニアのアッパーが千郷の顎にクリーンヒットし、脳をシェイクする! 衝撃で垂直に打ち上げられた千郷に、ティターニアは駄目押しの追撃を行う! 「マジカルドロップキック!」 修道服に包まれた腹部に、ティターニアの両足が突き刺さる。 身体をくの字に曲げたまま天城千郷は砲弾のように吹き飛び、ビルの壁に叩きつけられる。 壁を破壊しながら隣のフロアを跨いで倒れ込む千郷は、既に意識を失っていた。 変身も解除され、制服を着た、小柄で大人しそうな女子中学生の姿に戻る。 「……ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」 肩で息をしながらティターニアは何とか呼吸を整え 「……私の名前はティターニア。魔法王を倒すために戦っている、正義の魔法少女よ」 大人の余裕に満ちた笑みを浮かべて、メリアに手を差し伸べたのだった。 ◇ 魔法国の首都、霊都エメラルド。 その構造は何故か、日本の地方都市に酷似している。ただ一つ違う点は、中央に聳えるはAタワーではなく、魔法王の城が聳え立つ。 上空に暗雲が立ち込める様子は、まるで魔王の城のようだと人々は噂する。かつては暗雲などめったにかからず、快晴の中で白亜の城が照らし出されていたのだが。 魔法王の城内部。 北の塔、談話室。 そこには、四人の魔法少女がテーブルを囲んでいた。 漆黒の肌に黄金の魔法陣を刻み、黒山羊の角と蹄を持つ、正しく人外という容貌の魔法少女、名をパンデモニカ。その正体は——正真正銘の、悪魔である。 青色の作業服と目元まで隠れるキャップ、ケモ耳と尻尾を生やした魔法少女、名をああああ、その正体は——温泉巡りが趣味の15歳、本名は不明であり、以前とある魔法少女に人間としての名前を聞かれた際には、「あ」とだけ答えている。その眼はデスマーチを超えたサラリーマンのように澱んでいた。 クラシカルメイドスタイルを華麗に着こなす麗人、名をオートクチュール。その正体は——魔法少女衣装専門の仕立て屋、魔法の国生まれ魔法の国育ちの生粋の魔法少女、本名を若麻績裁華という。優雅に椅子に腰かけながらその手は超高速で裁縫をしていた。 フリルが少な目なこと以外は正統派そのものといった外見の魔法少女、名を熾店長オシウリエル。その正体は——天才女詐欺師、鷺島鷽。その舌は、魔法王でさえ騙してのける。 テーブルには一つの水晶が安置されている。 そして、その水晶からはSFの立体ビジョンのように映像が浮かび上がり……遠く離れたあにまん市で行われている魔法少女のバトルロワイアルを映し出していた。 パンデモニウムは殺し合いを楽し気に眺め、熾店長オシウリエルもポーカーフェイスの微笑を浮かべて参加者の饗宴を見守っている。 オートクチュールも笑顔を絶やすことなく裁縫を続け、ああああはキャップの中からおどおどとした視線を他の三人に向けていた。 「あ、あの……サーセン」 「どうしたああああ?」 パンデモニカがああああの言葉に反応する。それだけでああああはびくりと身体を震わせた。 「何か面白いことを思い付いたのか?」 「いや、えっと、そーじゃなくてですね、あの、あたし、ここにいていいんすか? 皆さんと違って、ただの雑用なんすけど」 「もちろん大歓迎だ。頭数が増えればそれだけ面白いことが増えるしな」 刹那的享楽主義のパンデモニウムは、とにかく面白いことを優先する。 雑用として運営で働きだして1週間になるが、ああああは既にパンデモニウムの性格は把握していた。 状況を的確に把握できない奴から死んでいく。それを、あの【マンション】でああああは痛いほど理解していた。 「あっ、駄目だ、思い出してきたっ、オオカワウソ、オオカワウソ、オオカワウソ! あいつのせいであたしがどんな目に遭わされたかっ、あああああ畜生畜生あいつ、あたしを盾にして命がけの偵察させておまけに非常食に……! 命からがら逃げだしたのに何であたしはこんな目に、何でまたあいつと関わる破目に!」 籍を切ったように溢れ出す元雇い主への呪詛。それをパンデモニウムは楽しそうに眺め、オシウリエルは 「ククク……駄目だねぇ……」 と、笑った。 「駄目っすか? 何が駄目なんすか? あいつマジであたおかだから本気で関わりたくねぇ、あいつと関わりたくないって理由でデスゲームで優勝目指せるくらいマジで関わりたくねぇんすよぉおおおおお! 何で分かってくれないんすか!」 「駄目駄目……ああああ君……欲望の解放のさせかたがへたっぴさ……! ああああ君が、求めてるのはオオカワウソから逃げることじゃない……」 そう言って、オシウリエルは水晶に映し出された映像に指を向ける。 「ああああ君が、求めているのは……オオカワウソを始末すること……! それでこそ、今後の人生の励みになるってものさ……!」 「それができたら苦労しねぇっすよあいつ際限なく増えるんすよ悪夢かっての」 「ククク……それは普段の話……。ここは、デスゲーム……! オオカワウソの増える量は一定さ……! 普段は無理でも……デスゲームなら……確実に始末できる……!」 「…………マジすか」 ああああの澱んだ目に希望の光が戻る。 「今までの雪辱を、倍返しにできるんすか!」 「ああ……可能だとも、ああああ君……さぁ、オオカワウソがどうなっているか見物しようじゃないか……!」 オシウリエルに促され、ああああは水晶を覗き込む。 そこにはオオカワウソがあにまんマンションに入ろうとしているところであり、 一気に嫌悪感が増大したああああは現在の状況を忘れて、思わず談話室の床に向けて唾を吐いた。 勢いよく吐き出された唾は——床に寝っ転がっていたメンダシウムの顔に命中する。 (な、なんだとぉおおおおおおおおおおおおおおお!? い、いつからそこにってかやべぇ、殺される殺される殺される) メンダシウムは、タキシードのポッケから優雅にナプキンを取り出し、顔面についた唾を拭った。 「雑用からの唾攻め……悪くない♡」 満足したのか、メンダシウムは颯爽と立ち上がる。 そして既に土下座を決めているああああの背中を踏みつける。 「ふーむ……雑用を踏みつけても、当たり前すぎて満足感は薄いな……♠」 必要なのはギャップだよねぇと肩を竦めながら、メンダシウムはああああの背中から足を降ろす。 「さて、私の分身ちゃんはどうしているかな……♦」 映像を見上げる、メンダシウムは、自身の分身、メリア・スーザンを見つけ——同行者を確認し、眉を顰めた。 「良くないなぁ……♧」 「何が良くないんだい?」 パンデモニカの言葉に、メンダシウムは首を振る。 「よりにもよって合流者はティターニアか……♧ 彼女と一緒にいると絶望する姿は中々見られないかもしれないと思ってね……♧」 「そうかな? 頼りになる同行者が死んだりしたら、そのギャップで絶望はより深くなるんじゃないかい?」 「パンデモニカ……君、分かってるじゃないか♡ 後で私の部屋に来なさい♡ じっくりと私を調教させてやろう……♡」 「んー、面白そうだけど殺し合い観てたいからパスで」 けらけらとパンデモニカは笑う。 「だが、メリア・スーザンは私の分身体。このままティターニアと同行し続ければ——きっと、彼女について行けずに死ぬことになる♧ それも、彼女の胸の中でね♧」 面白くないなぁ、とメンダシウムは唸った。 「はっきりいって、メリア・スーザンのスペックでは生き残ることは不可能。だからこそハイペースで地獄を感じて欲しいのだけど……♦」 顎に当てを当て考え込むメンダシウム。 そして、何かを決意したのか、よしと頷いた。 「ちょっと行ってくる♦」 「ど、どこへっすか」 と土下座を解除したああああが訪ねる。 メンダシウムは妖しく笑った。 「あにまん市……♡」
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ローメンダキルイッセイ(ローメンダキル一世) 指輪物語に登場する王。 関連: オストヘア (父) トゥランバール (息子) 別名: タロスタール
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ヒャルメンダキルニセイ(ヒャルメンダキル二世) 指輪物語に登場する王。 関連: アルダミア(2) (父) ミナルディル? (息子) 別名: ヴィンヤリオン
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シチメンダイテンニョ(七面大天女) シチメンテンニョの別名。
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親カテゴリ:動物 出現戦地 傭兵 - × 進化 進化ユニット 進化1 進化2 進化3 進化4 進化5 進化6 進化7 ユニット名 ケイブベア ビッグケイブベア ラージケイブベア ヒュージケイブベア エノーマスケイブベア イメンスケイブベア トレメンダスケイブベア ランク G+ F E- D B- SS- X 進化要求経験値 44,630 72,250 217,590 334,470 累積 基本データ 説明 恐れを抱くほど超巨大なケイブベア。 詳細 成長タイプ ランク STR AC DEX HP 耐性 属性 服従Lv 購入 売却 精神 麻痺 毒 特攻 魔法 ブレス 戦士型 X ? ? ? ? 0 0 0 0 0 0 木 51 ?文 476文 特殊能力 技名 種類 対象 属性 説明 2回攻撃 複数回攻撃 2回 無 2回連続で攻撃する。 3回攻撃 複数回攻撃 3回 無 3回連続で攻撃する。 参考ステータス ステータス Lv.10 Lv.20 Lv.30 Lv.40 Lv.50 Lv.60 Lv.70 Lv.80 Lv.90 Lv.100 最小 最大 最小 最大 最小 最大 最小 最大 最小 最大 最小 最大 最小 最大 最小 最大 最小 最大 最小 最大 STR AC DEX HP 経験値テーブル(累計) 技使用率 Lv101(230回) 技名 使用率(%) 1回攻撃 59.1 2回重攻撃 37.0 3回重攻撃 3.9 コメント (ログはこちら) 超進化()ユニットの代名詞 - 2013-07-26 17 02 46