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【サザーランド(ケイオス爆雷装備)】 コスト:280 耐久力:520 盾:なし 変形:無し 抜刀:無し DP:キューエル 特殊技能ファクトスフィア ランドスピナー 出展「コードギアス 反逆のルルーシュ」 その体を持ってしてもなお届かぬような巨大ランスを装備したサザーランド。 外見の迫力は十分だがこの機体、まともな飛び道具を装備していない。 代わりといっては何なのだが特殊なグレネード「ケイオス爆雷」を腰に収納している。 機動力、支援能力は純血サザーランドに分があるが格闘能力、一発にはこちらに分がある。 一癖も二癖もある機体スペックなので一見さんお断わり、玄人こそがこの機体の騎士にふさわしい。 メイン射撃《ケイオス爆雷》 [弾数:3発][打ち切りリロード][リロード:6.5秒][属性:実弾][よろけ][ダウン値:0.6][ダメージ:220(多段ヒット)] 腰からグレネードを取出し、敵前へと投げる。 放物線を描き飛んでいくグレネードは一旦相手を前に空中で急停止、実弾の雨を敵周辺めがけて降り注がせる。 長いプロセスを得て発射されるため回避されやすいがその攻撃範囲と破壊力は驚異の一言。 ランドスピナーによる地上ダッシュが主流のKMFにはひとたまりも無い。 壁際等相手の行動の自由を奪えるような局面で使うと当てやすい。 固まって行動している敵チームを巻き込んだり散らす分にも有効打になりうる。 足を止め大きな隙を晒す事と前方ステップorBDされるとあっさり回避される等欠点も多いが、 欠点があるからこそ愛着が沸くものだと僕は思います。 サブ射撃《スラッシュハーケン》 [属性:実弾][ダウン][ダウン値:1.5×2][ダメージ:20×2] KMFの基本兵装で両胸からアンカーを発射するケイオスサザーランド最後の平常心。 純血サザーランドと違いヒット時効果はスタンになっている。 このため近距離で当てると格闘による追撃が可能。 移動しながらの使用はできないがBD等の慣性を残しながら使えるので中距離戦でも頼もしい。 なお格闘の追撃に使うとヒット効果は通常よろけになる。 通常格闘《ランス》 [ダメージ:65→195] ランスで相手のつま先を潰すような突きを放ったあと脇腹に叩きつけるようにランスをぶつける。 人間にやってみたら痛そうである。 通常格闘ローカルルールに従い攻撃力が高い。 が、初段の独特な動作のせいか少々リーチが短い。 伸びも執筆するほどでもないので闇討ちとしても微妙。 これらの事を踏まえると近距離での後出し格闘に使う事になるだろう。 前格闘《粛清》 [ダメージ:150 ] 機体の心の臓、いわばコクピットに向かって容赦無く突進突きを放つ。 この渾身の突きが相手を貫くと相手は堪らず崩れ落ち、強制ダウンとなる。 特殊なやられ方も特徴的だがさらに特徴的なのはその突進力。 速度もさることながら非常に誘導力が高く突進距離も長い。 相手の視覚外から闇討ちすればとっさの判断は難しいだろう。 ランスが当たった瞬間に突進が止まるため特別カットされにくい、という事は無き。 横格闘《柄叩き》 [ダメージ:55→160 ] ランスの柄で横から叩き、間髪おかず敵機の頭目がけてランスによる突きを放つ二段技。 発生の早さがウリで接近戦の心強い味方。 ランスの柄自体がやたらと長いのでリーチも案外長かったりする。 そのうえ一段目後の隙も少なめでヒット確認が出来ていれば反撃は受けにくい。 フェイントや揺さぶりに使うもいいが我が身は低コスト、読み負けると痛い目を見る事になる。 特殊格闘《ムロフシ》 [ダメージ:170(多段ヒット) ] 相手に背を向けるようにランスを構えた後遠心力を活かしランスをフルスイングする。 発生は遅いが自機前方のほぼすべてをフォローする攻撃範囲を持つ。 そのうえ単発技にしては高い攻撃力を持っているので当たれば強力。 だが伸びが悪く当てられる状況もそうそう無いので封印安定。
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登録日:2019/04/21 (日) 22 50 22 更新日:2024/05/23 Thu 20 14 00NEW! 所要時間:約 75 分で読めます ▽タグ一覧 SF TRPG だいたいこいつらのせい まずは駒を作ろうか ウォーハンマー ウォーハンマー40K クリーチャー スペースオペラ ダークファンタジー ハイファンタジー ファンタジー プラモデル ボードゲーム ミニチュア モンスター 怪物 悪の組織 悪魔 所要時間30分以上の項目 所要時間60分以上の項目 異世界 神 邪神 闇堕ち 「渾沌(ケイオス)に永遠なる栄光あれ!」 画像出典:ウォーハンマー40K 日本語公式サイト「ギャザリング・ストーム」のページより ケイオス(渾沌)とはウォーハンマーシリーズに登場する渾沌の軍勢のことを指す。 全シリーズ通して人間や神々に対する最大の宿敵として立ちはだかる。 ウォーハンマーファンタジーバトル(以下FB)と続編のエイジオヴシグマ(以下Aos)、別シリーズのウォーハンマー40000(以下40K)では設定が一部共通している部分と異なる部分が存在する。 本稿は共通部分を先に紹介し、後にシリーズ別の紹介を行う。 ▽目次 概要 四大神コーン ティーンチ ナーグル スラーネッシュ 渾沌の領域(レルム・オヴ・ケイオス)コーン神の国土 ティーンチ神の迷路 ナーグル神の庭 スラーネッシュ神の宮 ケイオスディーモンコーンのディーモン ティーンチのディーモン ナーグルのディーモン スラーネッシュのディーモン その他 ウォーハンマーFBに登場する渾沌の軍勢 ウォーハンマーAoSに登場する渾沌の軍勢 ウォーハンマー40000に登場する渾沌の軍勢 概要 [部分編集] 異次元に住まう渾沌の悪魔。渾沌の禍つ神々である暗黒の四大神を中心とし、〈歪み〉より現実世界に侵攻してはその世界の法則をゆがめ、いずれは世界を渾沌世界に変異させようとしている。 渾沌の勢力は常に四大神が自分の領土を広げるために互いに争いあっている。場合よっては協力することも珍しくはない。 暗黒の四大神らは「レルム・オヴ・ケイオス」(渾沌の領域)にあり。物質世界に住む定命の者に、渾沌の領域を理解することなど不可能だ。 一方で、暗黒の四大神らにとって、われわれの暮らす物質世界は壮大なる遊戯のための盤面に他ならない。 永遠の戦争と殺戮が続く世界 ……。 ここを舞台に、彼らは他の暗黒神を出し抜き絶対的な優位を確立すべく、果てしなき遊戯を続けている。 ディーモンを始めとした「レルム・オヴ・ケイオス」の住人は、物質世界(現実世界)の住民の苦痛や恐怖といった精神的な感情エネルギーを糧とするため、知的生物が存在しないと現実宇宙に実体化を果たすことができない特徴を持っている。 ケイオスに堕ちた者や狂信者は大抵は下記の四大神のどれかに傾倒している。 中には四大神に傾倒せずに、禍つ神々全体を崇拝する〈分かたれざる渾沌〉と呼ばれる信者もいる。 彼らは自らの野望を実現させるためだけに行動を行う。力と実力のみが正義の世界で、そこに赦しや安らぎなどは一切存在しない。目的を達成するためならどんな手を使おうが自由であり、たとえ味方を騙し、犠牲にしても何も問題はない。 ケイオスの狂信者達は暗黒の神々にその力を認められると贈り物を賜り、長寿の生命力や肉体強化される変異等の力を得る。 目次に戻る 四大神 [部分編集] 画像出典:ボックスセット「レルム・オヴ・ケイオス:ラス・アンド・ラプチャー」(Realm of Chaos Wrath and Rapture)ボックスアートより ケイオスには4つの神が住まう。それぞれ違った特徴を持ち、互いに対立している。 [部分編集] コーン 【概要】 血と殺戮の神。支配・破壊・征服・殺害を欲する。スラーネッシュと対立している。 彼が象徴するものは、抑制のない暴力行為や、理性なき狂乱、戦場での流血である。コーンがもつ血への渇望は癒されることがなく、信者らを追い立てて武器を取らせ、彼の名において殺生をさせることを永遠にくり返す。 コーンの怒りや暴力は、御しがたい猛烈な力であり、味方にも敵にも等しく注がれる。コーンは蛮行や虐殺の光景を満足げに眺めており、さらなる狂乱行為に及ばせようと、角笛を混沌の荒れ野の全域に響かせるのだといわれる。 破壊と殺戮の限りが尽くされる時節には、荒れ野中にコーンの蛮声が鳴り響き、それを耳にしたあらゆる者が狂気に陥るのだといわれる。あらゆる混沌の神々の中でも、コーンは戦争と破壊に関しての最大の扇動者であり、絶え間なく信者らを鞭打って、世界中の都市や町から小村に至るまでを包囲させるのだ。 「血の神」、「闘争の王君」、「髑髏の収奪者」の異名を持つ。筋肉たくましく、黒鉄の鎧具足に身を包み、その顔は耳まで裂けた口を持つ、魔犬のような容貌を持つ。 真鍮の玉座に座しており、コーン神の横には巨大な両手剣が置かれている。そのひと振りは世界を二つに割り壊すといわれている。 画像出典:ウォーハンマー40K RPG「ブラッククルセイド トーム オヴ ブラッド」(Black Crusade The Tome of Blood) P7より 【特徴】 コーンは伝統的に、巨大な体躯をもつ人間型の姿をして、肌は鮮血のごとく赤々と描かれてきた。コーンが座す真鍮製の玉座は、頭蓋骨や血まみれの骨が山と積まれた天辺に置かれているが、これはコーン自身や信徒らが戦場で斃し、あるいは彼の名において殺害した者の記念品なのだといわれる。 コーンは装飾を凝らした板金の甲胄に身をつつみ、甲胄の表面はのたうつルーン文字や、苦悶に叫喚する大勢の顔に埋め尽くされているのだ。翼飾りが左右についた大ぶりな兜をかぶっており、おかげで歯を剥いた人外の顔は半ば隠されている。 コーンが好む武器は、最大限におびただしい流血を招くもので、すなわち巨大な剣、斧、巨大な刃物のついた棒状武器などである。コーンはあらゆる神格を敵視しているが、とりわけ “悦楽の王”スラーネッシュには、特別な嫌悪感を抱いている。 官能や享楽に傾斜したスラーネッシユの性向が、流血と暴力というコーンの信条と真っ向から対立するためであり、双方の信者たちは、機会あるごとに相手側を滅ぼそうとしているのだ。 コーンの最大の望みは、世界全土が炎に飲まれ、あらゆる海の水が血液に変わり、彼をたたえて頭蓋骨の塚が築かれる光景を堪能することだ。彼は行動の神であり、目下戦争に従事していない者は、誰であれ来るべき戦いの備えをしているべきという考えの持ち主である。 コーンは長期的な計画や戦略は欠いているものの、信者たちに様々な幻視を授けることで、強力な戦争兵器、それもとりわけ動力式の攻城兵器や、その他の巨大な戦場用兵器を造らせるのだ。 【信者の特徴】 コーンを崇拝するのは、ケイオス•ウォリアー(渾沌の戦士)、精神異常者、狂戦士といった連中だ。それ以外にも多くの者が、コーンの約束する大量の流血に時として惹きつけられる。 コーン神は戦場で血が流されることと頭蓋骨を捧げること以外のことを信者やディーモンに要求しない。信者やディーモンはただひたすら戦い続ける運命にある。 一人ひとりが残忍な殺戮者であり、禍々しき主人の注目を浴びようと、血を流し、獲物の頭蓋を集めることに必死である。FBのオールド・ワールドにおけるノーシャでは多くの部族が、コーンの呼びかける永遠の戦役に宗旨替えして、オールド・ワールドの沿岸に位置する村々を襲撃して日々を過ごしている。 また、時として、戦場の熱狂にとらわれた戦士がコーンの名の連呼を耳にして狂気を発症し、戦死者の血を自分の身全体に塗りたくっては奉仕させてもらうことを神に懇願し続けることもある。たいてい、そうした異常者は慄然とした戦友らによって殺されるが、なかには生き延びて混沌の荒れ野へと落ちて行き、コーンの軍勢に身を投じる者もいるのである。 【魔法に対する嫌悪感】 “血の神”は、 魔法の使用にはおよそ価値など認めておらず、信奉者らに呪文の使用を許可していない。 “觸髏の王”の本分は戦闘にあり、巧妙さや魔法にはないのだ。 このことから、信者たちはコーンがあらゆる形態の魔術を忌避しているのだと推量し、いつどこでも機会ある限り魔術師たちを殺戮しようと務めている。さて真相はというと、とにかく殺戮が行なわれる限り、コーンとしては満足なのだ。 コーンに身を捧げた魔術師は、知られている限り存在しない。ただし、だからといって信者が魔法武器を使うことまでが禁じられるわけではない。 とりわけ、以前の所有街を殺戮することによって入手された武器に関しては。 【信者の性格】 ほとんどの信奉者にとって、”血の神”に仕える道は単純明快なものだ。純然たる暴力にまい進し、殺戮と戦闘に身を投じればそれでよいのだ。 コーンは、巧妙さや秘密、言い訳といったものは一顧だにしない。そのため、従卒たちはおおむね文明から離れて彼の儀式に參加するのであり、隠れ集まって信仰するのではない。 彼らには本来、 盟友という関係はなく、単に殺しを行なう者同士として、敵に対するのと同じように味方同士で殺しあうことも珍しくはない。 逃げ出すことのできない者は、大量殺戮者や変質者と化し、人々が住まう都市や村々の路上をうろつきまわり、早口にわけの分からないことをまくし立てながら、時おり不明瞭にコーンへの賛辞をがなるのだ。 血の神の従卒らを擎退する目的でコーンの言説や行状を研究する魔導師や学者は、しばしば暴力と殺戮の思想に取り憑かれ、コーンの血まみれの手に鷲掴みにされるリスクを負う。また彼らは、血と頭蓋骨を掲げ、8の数字を神聖な数としている。 【制約】 コーンは奉仕者らに対して、いつでも可能なときには流血と殺戮をなすことを要求する。信者のほとんどは戦士だが、結果をあれこれ考えずにただ殺そうと考える者なら誰でも、”血の神”から祝福を授かることだろう。 コーンには一切の記念日がないが、信奉者らが特別に流血の多かった戦闘の日を祝うことも時にはある。 血がぶち撒かれ、骨がへし折られる音にまさる祈祷はないと心得よ。 コーンの従者を殺したとて一向に問題はないが、もしもそうしたなら、”血の神”に帰すべき名誉を祝わねばならぬ。 斃した敵から戦利品を奪うことは適切な行為だ。敵の頭蓋骨で身を飾り、敵の血を啜る者は、”髑髏の王”の寵愛を得ることだろう。 スラ一ネッシュの信徒らは退廃情弱の徒輩なり。彼奴らは時と場所に関らずに討たねばならぬと心得よ。 慈悲は心弱き者に属するなり。敵の助命は一切これを許してはならぬ。さもなくば、おのが身が”血の神”に召されるものと心得よ。 血の神に血を!髑髏の玉座に髑髏を! 【コーン教団】 戦争は人をコーン教団へと誘う。いかなる方法にせよ、戦いは全てこの暗黒の神の意思を反映する。 流血の雨や断末魔の叫び、 死臭は簡単にはぬぐえない体験である。一度でも戦いを体験し、死が目前に迫ったり、完全な暴力が栄光を得るのを目の当たりにした古参兵には変化が生じる。 そして数え切れない戦場を体験した者たちにとっては、戦争のひどさは直に理解できるものだ。これらの経験は、命の大切さ、そして戦いが絶対的に必要でなければそれを避けることの大切さを強調してくれる。 古参兵たちはいやいやながら、そして主君の命令か自分たちの土地を守るためにのみ、武器を取る。しかし、流血と虐殺に対して別の見方をする者たちもわずかに存在する。 戦いの記憶につきまとわれ、生来の剣才に溺れ、遺体から剥ぎ取った死者の眼球を覗き込んだりするような彼らは、自分が日常生活と戦争生活を両立させることができないことに気付いてしまう。彼らは殺戮欲求や、栄光を得るための機会である戦いへの渴望、自分の気概と能力を示すための機会に飢えている。 殺戮願望は変わることのない仲間であり、決して忘れることはなく、全 くなだめることはできない。そして、自殺衝動に駆られないごくわずかな者たちは、増大しつつある殺戮欲求のはけロを見つけなければならず、その探索の終わりには”血の神”が待っていることに気付く。 【シンボル】 コーンは多くのシンボルで知られている。 彼の信者たちは真鍮製の角の生えた髑髏をしばし用いるが、最も一般的なシンポルは、様式化された髑髏に似た、下に棒の付いているX型のルーン文字である。 彼の信者たちは自分の衣装や鎧を赤や黒、真鍮色で彩りたがる。 【FBにおけるコーン教団】 エンパイアには、組織化されたコーンの教団はほとんど存在しない。それはコーンが信者たちに殺戮と虐殺を期待しており、ライバル関係にある他の混沌教団の秘密主義を軽蔑しているからである。 彼はビース卜マンの間ではかなり強い影響力を持っており、「ケイオス・ウォリアー」(渾沌の戦士)の間ではさらに強い存在感がある。ほとんど存在しないコーン教団において、そのメンバーは8の倍数の人数になることが多い。 それは血の神にとって重要な神秘的数字なのである。コーン教徒たちは秘密神殿に集ったりせず、むしろ不浄なる地で遭遇するや互いに殺し合い戦いあう。 彼らはその地で、血を滴らせ敵を虐殺することで自分たちの“神”を讃えることができる。一部の混沌教徒たちは、彼らの神の影響力が最も強い古戦場跡や「ケイオス・モノリス」のある場所で集会を開く。コーンは信徒たちに絶えず殺しを行うよう期待している。 彼は自分の友人や仲間を虐殺する者たちを祝福し、行く先々で理不尽な破壊と虐殺を引き起こす者たちを昇進させるのである。コーンの命令はあまりにも大掛かりなものであり、信徒たちは彼の怒りを買わないように毎日殺し続けなければならない。 何にもまして、コーンは魔法を侮蔑している。自分の信徒たちにそれが発現することを嫌う。”血の神”は先見や策謀の神ではなく虐殺の神なのだ。 彼の専門は武器による殺戮であり、臆病な殺し方に頼ったりはしない。結果としてコーン教徒たちの大部分は呪文の使い手たちを虐殺するわけだが、彼らの価値を理解している別の者たちも存在し、彼らを混沌の武器や防具と引き換えに”闇の地”のケイオス・ドワーフたちに売り飛ばしたりする。 ティーンチ 【概要】 変化と魔法の神。策謀を好み、他者を計略にかけたり、意のままに操ったりすることを無上の愉しみとする。ナーグルと対立している。 「変化の神」、「大いなる策謀者」、「運命の構築者」の異名を持つ。 王者の威厳をそなえたおぞそましいティーンチは、自己の領域から魔法や運命の糸を手繰り、未来や過去のもつれを占うことで、世界を望むがままに操作しようとする。混沌の神々の中で誰よりも物惜しみしないのがティーンチであり、希求するあらゆる者に恵みをもたらすが、その代償は恐ろしく大きい。 ティーンチは虚言や言い訳の支配者であり、玉座の背後に潜む影の実力者であり、裏切りを引き起こす闍の取引や契約を支配する者だ。ティーンチは、混沌魔術の最大の源泉であり、多くの信者は黒魔導師や、オカルト主義者だ。 ティーンチに背を向けた者ですらが、彼を魔法の主要な源泉と見ているのだ。その肌は無数の人面に覆われ、彼自身の顔は上半身に張り付いていて首と呼ばれる部分はない。最も奇妙な姿を持つ神である。 あらゆる変化を引き起こすこと、渾沌の本質の一部である魔法そのものを司っている。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:ディサイプル・オヴ・ティーンチ 第2版」(battletome Disciples_of_Tzeench)P5 イラストより 【特徴】 ティーンチは、ばかでかい図体にひょろ長い手足のはえた人間に似た姿に描かれる。ティーンチには頭というものがなく、顔は直接胸に埋め込まれている。 左右の肩からは捻じくれた自在に曲がる”角”が一対伸びており、いずれも先端は奇怪な顔面になっている。ティーンチが何か話すたびに、左右の顔が賛意と反論をささやくために、紛らわしい上に気に障ることはなはだしく発言を聞き取ることも難しくしている。 とはいえ、ティーンチは変化の具象であるからして、望むままにあらゆる形態をとることができ、仮に姿を目撃したとしても、細部まで説明することは難しい。混沌の領域におけるティーンチの領域は、流動的で変わりやすく、時空がまるで熱せらた蝋であるかのように、伸びたり変形したりしているのだ。 ティーンチの真の目的を推し量ることは難しい。仮に世界の支配をもくろんでいるのだとしても、やりロがどうみても遠まわしだ。 またティーンチは、他人を手駒としておのれの計画を進めるやり方を好むようだ。ティーンチは、扱いかねるほど強力なパワーで定命者を祝福し、腐敗させることに喜びを感じる。 とりわけ、魔導師や司祭といった、魔法を使える者に対しては。一方、魔法の才能を持たない者に対しては、ディーンチは秘密の知識や、ライバルを蹴落とす方法といったものを餌にする。 ナーグルを顕著な例外として、ティーンチは他の混沌の神々を変転しやすい勢力とみており、ある程度放置して差し支えないと考えている。しかしナーグルは、”歪みの王”の目標に立ちはだかるよどんだ勢力なのだ。 よって、ティーンチの信者団はしばしばナーグルの一党と事を構える。 【信者の特徴】 配下たちもティーンチ神同様に魔法と陰謀に長けている。ティーンチとは恐るべき魔法の神だとあまねく認識されている。 あらゆる魔法使いにくわえて、自己の力を個人的な目的に利用しようとする者は、ティーンチと関わりをもつ。 ティーンチは、誰から呼びかけられようとも頓着しない。相手がファウス卜的な契約を結ぼうとする者であり、その者の意志と魂とひきかえに、魔法の力や洞察を得ようとするのである限りは。 【制約】 ティーンチの従者たちは変異しやすく予測が難しいため、理解することは困難を極める。しかしながら、ティーンチが一貫して信者たちに要求する事項も存在する。 この世で絶えないものは変化だけだ。変化に歯向えば、ティーンチは激怒すると心得よ。 魔法は変化の最大の力であり、機会あるごとにその技法を研究せよ。 ある土地とそこの住民に混沌をもたらすことは、変化を引き起こすことに他ならない。法と秩序の基礎は、時と場所を選ばずに打倒しなければならない。 いつでも、古いやり方を放棄して、新しい方法を採用せよ。 【ティーンチ教団】 希望。 人はそれを危険なものだとは考えないだろう。なぜなら人々にもっと努力したい、多くのことをよくしたい、非常に困難かもしれないが生きて行きたい、と思わせるものこそ希望だからである。 しかし、希望とはまた、変化への欲望でもある。すでに存在しているものを作り直したいという意思である。 希望は物事の秩序を蝕む。それは破滅の道へと下り落ちる妄想である。 ティーンチは自分の従僕たちに大きな力を与える。至極平凡な定命なる者が“歪みを作りし者”の祝福を受けて大きな力を持つ魔術師になることができる。 しかしそれらの恩恵は恐ろしい代価を要求するかもしれない。彼の信徒たちは変異と堕落によって変化してしまった、歪んだグロテスクな存在となるからである。 【シンボル】 その理由は明白であるが、ティ一ンチの手先たちは公衆の面前では決してそのシンボルを見せたりしない。その代わり彼らは青色やピンク色、暗褐色、紫色の鮮やかな衣装やローブを身にまとい、理解しがたい組み合わせによって毎日衣装を変える。 紫色の染料に金をかければ、これによって彼らは一目で互いを識別することができるのである。正式な儀式においては、彼らはけばけばしい模様入りのローブを身にまとい、自分たちの主人の狂気を讚えるのである。 【FBにおけるティーンチ教団】 禍つ神々”に帰依する全ての渾沌教団のなかでも、ティーンチの手先が最強であると思われている。スラーネッシュの信徒たちは自分勝手で自己満足のみを求める頽廃的な者たちであるし、ナーグルの手先は病と死を広め、コーンの信徒たちは暴力を推し進めるが、ティーンチの諸教団はエンパイアと人間社会を自分たちのイメージで作り直すという、明確な行動計画を持っている。 彼らは人間社会の転覆とその他のあらゆる宗教的ないし魔法的組織の打倒を任されている。彼らの目的は自身の権利も脅かしてしまうが、彼らがそれを成し遂げるために用いる手段はさらに恐るべきものである。 ティーンチ教徒たちは他の”禍つ神々”とも躊躇うことなく手を組む。もしもスラーネッシュ教団が彼らの利益により役に立ちそうならば、彼らはそれを創り出す。 この混沌教徒たちは公爵の宮廷から魔法大学校まで、政府のあらゆるレベルに侵食している。彼らは同時にシグマー教やウルリック教、またはシャリア教の司祭であるかもしれない。 幅広く広まった彼らは密偵や情報屋たちの広いネットワークを通して接触を取り続けている。ティーンチを信仰する者たちも同様に不穏な存在である。 全ての混沌教団はミュータントたちを分かち合っており、これらの集団の指導者たちはその献身的な奉仕を讚える名誉の証として何らかの混沌変異やそれ以外のものを帯びている。ティーンチは最も卑しくてむかむかとするミュータントたち全てを惹きつける。 “歪みを作りし者”のパワーと力を讚えるミュータントたちによって構成される。幸いなことに、これらの罪深き集団は隠れ谷や深き森に追いやられ、辺境をうろついている。 ティーンチの諸教団は9の倍数の人数になる傾向がある。 なぜなら“9”はこの汚らわしい神の聖数だからである。 他の”禍つ神々”の諸教団はより判りやすく、より広まっていると思われているが、ティーンチの諸教団は最大の人数を誇つている。それは大部分において、彼らがかなり多くの他の組織を操っているからである。 ナーグル 【概要】 腐敗と絶望の神。全宇宙全ての害毒と悪疫の創造主であり、生命と笑いを愛する。ティーンチと対立している。 「悪疫の大王」、「腐敗の尊王」、「害毒の大王」の異名を持つ。“悪疾の王”たるナーグルは、拷問の発明者、悪疾の父、腐敗の授け手といった顔も持つ。彼が喜びを感じるのは、いとしい死病を定命の者どもに広め、新種の疫病を生者らに贈り物として授けることだ。 病魔に冒された容貌とは裏腹に、ナーグルは異様なまでに強健で、不敬な生命力に満ちている。信者らにしても同じことで、全身これ腫れ物と化し、身体を蝕む細菌にやられ、肉体がことごとく痰や黒ずんだ血液に変わり果てながらも、以前より力強いようにすら思えるほどだ。 ナーグルは、倒錯したユーモアのセンスを持つ陽気な者として知られ、信者らには不健康な愛情や感謝の念をもって接するのだ。 意外なことだが、性格としては 「慈悲深い」 。疫病を受け入れるなら誰でも迎え入れる。 画像出典:baklaher氏によるファンアート「Nurgl」より 【特徴】 ナーグルは、疫病や穢れを通じておのが存在を世界中に広めようと努めており、願いといってはただ一つ、世界中を死や腐敗、死病が鼻腔をつんざく悪臭を漂わせる不浄な穴へと一変させることだけだ。ナ一グルはあらゆる不浄なものの中に美を見いだし、脈動する膿疱の光沢に随喜をおぼえ、手の内にあるあまたの病原菌の一つによって死を迎えた定命者の蝋人形めいた顔面蒼白さに歓喜雀躍する。 ナーグルは、あらゆる事物の内に潜んだ美質を覚醒させ、覆い隠された腐敗の驚異を白日にさらすことを、おのが責務と考えているのだ。“蝿の王”たる彼からすれば、美とはおのれの愛撫によって増進しうるものであり、その尊い手で触れることによって、世界を美化しようとしているのだ。 ナーグルはしばしば、醜悪なまでにぶくぶく肥え太った人間型の姿で描かれ、病によって緑色を呈した皮膚は傷や腫れ物、膿のにじみ出る膿疱によって惨状を呈している。腫れ上がったその顔で、ちらちら横目を投げかけては、時おりニタリと皮肉めいた笑みを浮かベ、舌を出すのだ。 あきれるほど長いその舌は、先細りのねじくれた顎までも届く。頭からは2本の巨大な角が伸びているが、いずれも黄ばんだうえに欠損があり、血や汚穢にまみれてもいる。 ナーグルはおのれの容貌に惚れ込んでおり、ディーモンにも彼の小型版といった者が多く見られる。ナ一グルは玉座に座したまま、従卒たちを愛撫し、毛づくろいをしてやり、愛情溢れる甘言をささやくが、同時に数え切れぬほどの面々の命を、おのが体重で押しつぶし、あるいは膿のしたたる手をぴしゃりと打ちつけることで奪っているのだ。 彼の領域は比類ないほど汚れきっており、世界中の汚水溜めや納骨の穴をひとつにまとめたかのごときものだ。ナーグルのおぞましい宮殿を目の当たりにした者は、もはや身綺麗にすることなど一生不可能だと感じて、世界を汚穢の穴だと見るようになる。ある意味それは正しいのだが。 【信者の特徴】 ナーグルの崇拝者は、死病患者や、虚無主義者、狂人からなる。恩寵を受けた信者やディーモンは腐った胞子や飛び出た内臓などの体が腐った状態になるSAN値直送のキモい見た目になってしまう。キモいは誉め言葉 最下級階層に生まれ、とうから汚穢と絶望にまみれて生きていたような連中だ。ナーグルが抱きとめるのは虐げられた人々や、忘れ去られた連中、そして生きていく術を選び取ることのかなわぬ面々であり、多種多様な祝福のいずれかを授けることで、暮らしぶりを高めてやろうと考えるのだ。 ナーグルの崇拝者には人間が圧倒的に多いが、スケイブンはそれ自身、不浄と腐敗そのものであり、ナーグルを親しみの目で見るうちに、中には格別な発心をして、種族の神である“角ありし鼠”をすら否定する者があるという。ナーグルは奇妙な安逸を信者らに約束し、腐れ病や疫病の患者たちに倒錯した友情を覚えさせるのだ。 ナーグルは清潔さを肉のキャンバスと見ており、絵の具を塗られる時を待っていると考えているのだ。体の内外が腐り始めているナーグルの手下たちは、すべての生ける者の成り果てを示唆している。 【性格】 ナーグルは信者たちから「愛情溢れる」神だと見られており、そんな信者たちの活動や陰謀に大いに関心を抱いている。特に目をかけられた信者たちは、最悪の疫病を授かり、酷い変異を起こして捻じ曲がった化け物と化すのだ。 ナーグルは詭弁をもちいて疫病を撒き散らす。信徒らにささやきかけて、機会あるごとに大衆に潜入させるのだ。 ナーグルは戦いを嫌悪しているわけではなく、重度の負傷や作物の被害、飲用水の汚染などを利用して新たな疫病を広める絶好の機会だと見ている。噂では、ナーグルが戦場の負傷者にささやきかけて、従うのなら永遠の命を―腐ったものだが―授けるのだという。 ナーグルは、癒し手や医者を祝福することを大いに誇りに思っており、疫病の真なる美しさを彼らに理解させる手助けをしている。この神は美そのものや美しいものを愛しており、そうしたものには真っ先に惹きつけられる。ナーグルは決して破壊を望まず、むしろ、秘められた病の驚異を開陳し、教え、増進させることを好む。 もちろん、ナーグルの性質からして、そうしたお気に入りの事物を腐敗させることになるのだが、それは望ましいことなのだ。なぜなら、ナーグルは艷やかな腐敗を、天然自然の美を増進させるものだと見ているからだ。 【制約】 ナーグルの信者に課せられる厳密な制約は数少なく、ひとえに求められるのは、世界中に疫病と絶望を広めることに尽きるといっていい。 彼の教義は、以下のようなものだ。 新たな腐敗の種を捜し求めよ。それは尊父ナーグルの祝福の象徴なのだ。 ナーグルの尽きせぬ愛をもって世界を教え諭すべし。神の賜物を出し惜しみせず、可能な限り多くの者と分かち合おうとせねばならぬ。 あらゆる物事に美を探し求めよ。もしも見つかったなら、それを祝うべし。 そして、美が見つけ出されたなら、ナーグルの祝福を分かち合うことでその美を完璧たらしめよ。 “歪みの王”の信者らは哀れむべし。絶美なるものを理解せぬ輩なれば。彼奴らには最大級の贈り物をさずけ、 そちが苦痛の真髄を分かち合わせねばならぬ。 【ナーグル教団】 人がなぜナーグルを受け入れるのかを想像することは難しい。この神は万物の腐敗の象徴であり、その最も恐るべき形である絶望の象徴だからだ。 疫病が共同体を荒廃させるとき、ナーグル尊父は笑い声をあげる。死者の骨から死肉が崩れ落ちるとき、ナーグルの悪臭が近くに漂う。 彼は都市に住む全ての人々が体験する苦痛であり、何か得体のしれないものが肉の中に根付き広がる際の恐怖であり、吹き出物が死臭を放つじくじくとした、傷になる際の恐怖なのである。 それなのにどうして、この最も汚らわしい神に救いを求める者がいるのだろうか?望みなきどん底だというのに。世界におけるナーグルの力と立場を理解するためには、人々が病気をどのように見ているのかを理解しなければならない。 疫病とは呪いである。地位の低い生まれであれ(大部分の疫病は一般人の間で始まるからである)、性格の欠陥であれ、何らかの欠陥を抱えている者たちにとって、病は苦痛である。 一層悪いことに、罹患者はその病気を他者に広げてしまう。罪深き者も罪なき者も同様にである。 罹患者に対処する唯一の方法は、彼らに不浄なる者としての烙印を押し、追放してしまうことだ。病気に対してのそうした見方は、“黒死病”の間に始まった。 この接触感染する病は都市から都市へと跳ね踊り、街全体を一掃し、田舎から人々を1人残らず消してしまった。それはあらゆる階級、あらゆる性別、あらゆる年齢の人々に襲いかかった。 それは残忍な殺し屋であり、エンパイアにはそれを止める力はなかった。歴史家たちはこの疫病を鼠のせいだとするが、この災厄の影響は世界の記憶に印を残しており、さらなる疫病の恐怖が今日までも病気に対する姿勢を変えてしまっている。 病気感染が発生すると、街は病気が拡大しないように罹患者を強制的に退去させる。さらに、病人たちは自分の病状を他者に警告するために首に鈴をつけなければならないと慣習法によって命令される。 健康な者たちが十分に逃げる時間を得られるようにだ。充分な数の鈴がない場合は、病人たちは共同体に近づく際に、「穢のうごぜえやす!」と叫ぶよう要求される。 それを怠ると、処刑の理由を与えてしまうのである。幅広く広まった敵意のために、人々は病気がたんに死を意味するばかりでなぐむしろ全くもって呪いなのだと信じてしまっている。 罹患者たちは家から追い出され、慈悲深い人から施される施し物に頼って、彷徨い歩かなければならない。彼らは疫病で死ななくても、大部分の者は極度に疲労したり、風雨にさらされたり、飢餓のために命を落としてしまう。 FBのオールド・ワールドおいてはシャリアの女司祭たちは病人に対する姿勢を和らげようと何世紀にも渡って懸命に活動を続けている。彼女たちの善行の結果は諸都市で見出すことができる。 彼女たちの努力のおかげで、疫病がより大きな共同体を襲った場合は病の流れが逸れるまで、そこは封鎖されることになる。そのような防疫線は新鮮な食料や水、その他の必需品の供給を妨げてしまうが、人々は少なくとも自分の家で死ぬことを許されるのである。 人々が自分の脇の下や股間に不健康なリンパ腺の腫れを見つけてしまったら、その時何ができるのだろうか?多くの者たちは金のかかる医者の助けや女司祭たちの優しい慈悲を求めることだろう。しかし、これらの選択肢を持っている者はほとんど存在しない。 というのも治療に金がかかるからだ。自分たちの運命がとざされ、回復の見込みがないことを理解した者たちの心に、絶望が花開く。 その後はパニックが続き、自分を助けることができるものなら何でも捜し回る。 これこそナーグルの教徒たちが足を踏み入れる時なのである。 ナーグルの代弁者たちは苦痛の終わりや病の進行の緩和を約束し、罹患者たちにその新たなる腐敗した姿を満足させてしまう。そしてエンパイアが取ってきた弱者に厳しい立場のために、人々が自分にできる方法なら何であれ満足してしまったとしても不思議ではない。 ナーグル諸教団はまさにエンパイアの正規の街道からも間道からも外れた、孤立した共同体で栄えている。人々の中には、“翁”の前で誓いを拒絶した者たちに彼の手が及ぶよう彼を宥め嘆願しよ うとして、この暗黒の神を崇拝する。そして、実際、そのような努力は上手くいくように思われる。 一時の間は。次第にいくつかの病気が発生し、人々は死に始め、そして破壤的な疫病が街を荒らし、この愚かな追従者たちを除いて1人残らず消してしまう。 【シンボル】 ナーグルの信徒たちの大部分はシンボルを身に着けないことにしているが、その代わり病的な緑色や黄土色、黄色といった“腐敗の王”の色を好む。 彼らがシンボルを用いる時、それはほぼ常に蝿のシルエットである。 教徒たちはしばしばフード付きのローブを纏い、その異形やその病気の惨状を隠す。 【FBにおけるナーグル教団】 ナーグルにはエンパイアに組織化された教団がほとんど存在しない。その代わり、病気にかかった者を駆り集め、彼らをその胸元に招きよせるのである。 現存するナーグル諸教団はエンパイアの諸都市に集まり、下水道やゴミの山の中で栄えている。彼らはそこで定命なる者の苦痛の源の近くで.冒浣的な儀式に参加することができる。 ナーグル諸教団はしばしば“腐敗の王”にとって神聖な数字である7の倍数の人数で組織される。 スラーネッシュ 【概要】 快楽と堕落の神。物欲、食欲、肉欲、支配欲、虚栄欲、怠惰欲の6つの欲望を具現化する。コーンと対立している。 情熱が形を取ったのがこの神であり、問題を解決することによる知的な満足感から、より低劣な充足にいたるまで、あらゆる快楽に肉体が与えられた存在なのだ。スラーネッシュの領域は、不満感や苦悩であり、定命者が切望するものをかなえるための奮闘である。 また、くすぐったさや、苦痛が具現化したものでもあり、つまりは定命者らのあらゆる体験の総合体なのである。渾沌の神々の中でスラーネッシュをどう位置づけるかにあたって、多くの者が力説するのは、誘いかける者や、性的な願望を充足させる者としての彼の役割だ。 だが、スラーネッシュは決して、たんなる低劣な快楽の源泉にとどまるものではない。もしもそうだとしたら、多くの人を堕落させることにあれほど大掛かかりな成功を収めることはできなかったはずだ。 スラーネッシュはむしろ、想像力をうずかせるのだ。彼は体験の具象であり、美術家や詩人の庇護者なのだ。 「快楽の主人」、「灰暗き皇子」の異名を持ち、四大神の中では一番若い。その容貌は美しく優雅で、官能的な神々しさを持つ。男性にも女性にもなれ、両性具有の姿を取ることもある。 【設定の違い】 40Kでは古代アエルダリ族の文明が堕落し、多くのアエルダリ族の欲望から誕生した神という設定となっており、 AosではFBの世界崩壊時に数多のアエルフの魂を喰らい肥大化し、現在ではアエルフの神々によって封印されている。 画像出典:baklaher氏によるファンアート「Slaanesh」より 【特徴】 スラーネッシュは審美眼に基づく快楽をもたらし、創造行為をなし自己の創造物から満足感を得るあらゆる人々に、大きなひらめきをもたらすのだ。スラーネッシュは、成功を約束することで定命者の想像の中へと道い進み、美術家たちにキャンパスに絵筆を走らせ、羊皮紙に向かってペンを取らせるための意欲を人為的に注ぎ込むのだ。 もちろん、そうした感受性の鋭敏さは、肉体の感覚にも波及する。精神的な願望に飽食することで、より邪悪でより奥底に胎動する衝動が搔きたてられるのだ。 スラーネッシュは、感覚を麻痺させることで、虜たちに渇望を植え付け、初体験のあの興奮をふたたび味わおうと、より奇異な体験へと走らせるのだ。芸術上の奮闘による快楽が色あせていくと、虜たちは肉体へと注意を移して、同等の興奮や快感を得ようとする。 いうなれば、”奪い取る者”のやりくちとは、滑りやすい坂道なのだ。この神の奥にきらめく快楽を探りあてるこごとに、あらたな情熱による高揚感を得ようとの切迫感が強まっていくのである。 スラーネッシュは、両性具有の人間型をしており、左半分が男、右半分が女となっている。混沌の他の神々とは異なり、スラーネッシュは罪深い美しさをそなえており、息を呑むほど整った姿に見えることも、正視に堪えない不自然な姿に見えることもある。 髪は波打つ純金のごとくにうねり流れ、それをつき破るかのように二本の黒ずんだ角が、額から生えている。光きらめく鎖帷子のシャツを着て、名状しがたい退廃と美しさを具え持つベルベットや宝飾品をちりばめている。 翡翠製の魔法の笏を右手に握っているが、スラーネッシュに言わせればそれは彼の財宝の中でも最高のものなのだそうだ。渾沌の虚空における彼の領域は広大にして豪奢なもので、そこでは信者やディーモンたちがはしやぎまわり、穢らわしいが至上の美食の並ぶ乱飲乱舞の饗宴に酔いしれるのだ。 スラーネッシュの従卒は例外なく性的魅力にあふれ、身震いするほど魅惑的だが、同時に、吐き気をもよおす渾沌変異や醜貌をそなえてもいる。 【信者の特徴】 普通の快楽ではなく、身を滅ぼすほどの欲求の具現を信者に求める。大蛇、すなわちスラーネッシュに長く仕えた者は、社会的な常識を投げやってしまう。 かつては目くるめく快楽だったものもありきたりに思えて、より異様で堕落した行為に目を向けることでしか、渇望を満たすことができなくなる。やがて、肉欲の極みであった行為ですらも輝きを失い、信者らはやむなく、甘美な苦痛に身を投じることで、とにかく何らかの感覚に浸ろうとするのだ。 退廃はやがて背徳へ、背徳はやがて異形へと変化していき、行き着く果てには、とほうもないうずきににもにた切迫感から何かを感じたい…。何でもいいから感じたい、と思うようになるのだ。 配下は美しい体を手に入れられるという。なお日本人基準では(ry。信者とディーモンは優美さを常に追い求め、堕落した行為を行う度に人間らしさを失っていく。 【性格】 あらゆる渾沌の神々の中でも、世界中で最も広く受け入れられているのはスラーネッシュだ。肉体の快楽にふけりながらも彼の名をロに出して祈らない者は多いが、そうした連中にしても結局は“悦楽の王”の注意を引くことになるからだ。 あらゆる階層の者をスラーネッシュは受け入れるが、ほとんどの信者は上流階級出身で、豪奢な暮らしに慣れきった連中だ。画家や詩人や楽士といった面々も、生を極限まで享受せよとの教えに創造的刺激を感じて、スラーネッシュに惹かれていく。 渾沌の他の神格の信者とは異なり、個々のスラーネッシュ教団はお互いに対して好意的な姿勢をとっており、より大規模なネットワークを築き上げることで、信者たちが新たな誘惑を試せるようにする。信者は、 人種や国籍に関わりなくスラーネッシュの神殿に迎え入れられるし、旅する信者が都市を訪れるたびに、 スラーネッシュ信仰の小集団が一つや二つはあって、快く迎えてくれるのだ。 人々が住む社会においてスラーネッシュの影響力が強い地点といえば、何より大都市である。また、FBのオールドワールドにおいてはティリアやエスタリア、ブレ卜ニアの貴族たちは、臆面もない耽溺をたたえる教義にとりわけ惹かれ、支配階級に堕落を広めている。 前述のような地域では、信者たちが昼間は信仰を偽ってシグマーやウルリック、湖の淑女、ミュルミディアらに忠実に仕える者のふりをして、持ち運び可能な秘密の祭壇を利用して、夜にはスラーネッシュをたたえる低劣な儀式を行なうものだ。尊敬を集める貴族や豪商、司祭といった面々にも、裏ではスラーネッシュの信徒という者は少なくないのだ。 【制約】 スラーネッシュが信者に求めるのは、ただひたすら享楽や快楽の追及にふけることであり、制約といえるものは極めて少ない。 スラーネッシュ信仰を長く続ければ続けるほど、信者は飽きっぽくなっていき、より胸糞の悪い倒錯した行為でなければ鈍磨した感覚には刺激にならなくなる。 以下は、スラーネッシュによる布告の例である。 体験を次々に重ねていくことは、それ自体が目的だといっていい。さあ、安全な日々の習慣から視野を広げて、スラーネッシュならではの全き快楽と苦痛に身をゆだねようではないか。 衆生の欲望に火をつけることで、スラーネッシュをたたえよ。身分や階級で人を区別してはならない。あらゆる者が、スラーネッシュの子たりうるのだからね。 あらゆる快楽がスラーネッシュに栄誉をもたらす。知的なものであれ、肉欲であれ、感覚を増進させるものなら、とにかくやってみたまえ。 【スラーネッシュ教団】 スラーネッシュの諸教団は数多く存在する。最も小さな田舎から最大の都市まで、どこででも見出すことができる。 神としてのスラーネッシュは、数え切れないほどの快楽を与え、苦痛はほとんど与えない。肉欲的行為の成就であろうが美しい十四行詩の作成であろうが、それはあらゆる夢を満足させてくれる。幻想家や夢想家、嫉妬深き者たちの守護神であるスラーネッシュは恐ろしいほどの人気があり、あまりにも多くのエリート層の魂を我が物にしている。 なぜスラーネッシュがそこまで人気があり、一般的な社会にそれほど強い影響を及ぼしているのかには多くの理由が存在する。道徳的な抑圧がおそらく最大の理由である。 画一的で自由のない宗教のせいで、多くの人々は神殿の命令によって抑圧されており、自分たちの生来の感性や衝動に合致しない生き方を強制されているのである。慣習によって支持されてきた受け入れやすい観念がこれに加わり、人は道徳や倫理的抑圧によって背負わされた社会を抱えているのである。 社会的制限だけが人々を混沌に向けてしまう唯一の理由ではない。FBにおけるエンパイアは地位の場所であり、階級の国であるが、これは変わりうる。 貧民にはその貧困生活から抜け出す希望がほとんどないことは真実であるが、完璧な肖像画を創り上げた芸術家は社会の最前線に踊りでることができるだろう。 同様に、成功した詩人は余生を快適に過ごすことができるであろう。しかし、そのような成功例は稀である。 さらにいえば、それは下落しやすい。ある男が1日で”女選帝侯”の寵愛の臣となることができても、翌日には絞首刑にかけられているかもしれない。 比較的裕福という点で貴族階級にゆっくりと侵食しながら台頭しつつある商人階級がこれに加わり、エンパイアは以前よりもいっそう社会的に複雑になっている。帝国文化の流動性を考えれば、人は多くのものを手にいれ、そして失うことになろう——全ては、自分の価値を他者に納得させるための財産、才能、能力を持っていることが基盤にあるのだ。 このことがプレッシャーやストレスを作りだし、成功することを——または生き残ることすら――強要された、多くの者たちはインスピレーションや助力をより暗い要素に求める。スラーネッシュは夢を満足させてくれるため、中には一番厳しい時期に彼に助けを求める者たちもいる。 そしてスラーネッシュ神は与えてくれる。彼が与えれば与えるほど、定命の者たちはもっとそれを欲しがる。 この“暗黒神”の誘惑を受け入れた芸術家は名作を描くためのインスピレーションを得るかもしれないが、“大蛇”の助力がなければ、二度とそれに見合う仕事を行なえないことに気付いてしまう。 そうしてますます、彼は彼の面倒がなければもはや立ち行かなくなるまでに”悦楽の君子”に自身を捧げてしまう。 【シンボル】 スラーネッシュのシ ンボルは男性の象徴と女性の象徴が汚らわでい形で結合したものであり、”奪い取る者”の両性具有的性質を讚えるものである。その儀礼や儀式においては顕著に象徴されるが、スラーネッシュの教徒たちは公の前ではそのような呪わしいシンボルをめったに見せびらかさない。 むしろ彼らは、 精巧に作られた奇抜で異質なデザインの宝飾品や淡い衣装、鮮やかなピンク色や緑色、深紫色が好まれる――を身に着けて、その頽廃的な性格を強調する。 【FBにおけるスラーネッシュ教団】 スラーネッシュの信徒たちは快楽主義の異常者であり、かなり最悪に近い人間たちで構成されている。彼らはサディストからマゾヒス卜まで幅広く存在する。 彼らはあらゆる倒錯的な悪徳、一瞬の解放感のためのあらゆること、その瞬間で自分たちが望むありとあらゆるものを満足させることにふける。 スラーネッシュの聖数は6である——彼の諸教団はしばしば6の倍数の人数を集める。 スラーネッシュの性的魅力を受け付けない者はいない。 彼は貴族も一般人も同じように誘惑する。“悦楽の王”はエンパイアからブレトニア、ティリアの大都市国家群、エスタリアの無骨な要塞宮殿に至るまであらゆる人々を誘惑する。 その邪悪な饗宴で、彼らは楽しめる限りの殺戮を行ない、よそ者をその醜悪な儀式に参加させ、そこで快楽を約束して彼らをじらし、究極的にはその賓客を最高潮に楽しませ、彼の人生を新たなる神に捧げさせる。 画像出典(各種アイコン):ウォーハンマー40K 日本語公式サイト「暗黒の千年紀」のページより 目次に戻る 渾沌の領域(レルム・オヴ・ケイオス) [部分編集] 【概要】 渾沌の禍つ神々が住まう世界……。それが〈渾沌の領域〉(レルム・オブ・ケイオス)だ。定命の者らが見る夢と悪夢が投影されたような世界で、暗く幻想的な世界として姿をなした。 〈常命の者〉が住まう物質世界とは異なり、ここでは時間も空間も意味をなさず、無形にして有形の世界なのである。 そしてここは彼らの家であると同時に戦場でもあるのだ。常に渾沌の神々が領域をめぐって争い続けており、1つの神が力を増せば、それ以外の神を制御できるエネルギー量が増える。 それはすなわち、〈渾沌の領域〉における支配する領域が増えるということだ。 各領域では神々の特徴を反映させた地形や風景が生成されている。しかし、その地形や風景は同じ光景を目にすることはなく、常に変化し続ける。 文字通りの渾沌を体現した世界であり、終わりなき戦いと変化が常に起こっている。 余談だが、ここに書かれている地図はイメージとして書かれたものであり、正確な地図ではない。何故ならばなら常に変化が起こっているためだ。 あくまでも”参考程度”の認識で見るといいだろう。(悪魔だけに) 画像出典:ウォーハンマーFB「アーミーブック:ケイオスディーモン第8版」(Chaos Daemons Army Book)P13 イラストより 【無形の荒野】 〈渾沌の領域〉は、物理的な次元ではない。それゆえに、〈渾沌の領域〉における“地形”とは、存在し、かつ存在しないものだ。 領域内におけるエネルギーが特定の暗黒神による制御を受けていると、そこはその神の“支配領域”としての性格づけがなされる。 したがってそこがその神の“国”となるのだ。他方、特定神による影響下にないエネルギー部分は〈無形の広野〉〈失魂原〉〈渾沌の深淵〉などと呼ばれている。 〈無形の広野〉は、いわば不規則なる渾沌の本質であり、定命の者からから流れこんでくる情念の波によって、常にその形を変動させている。 ここを視覚化すれば、深紅色の空のもと、コールタールの川が石化した森の間を流れる大地になるだろう。その先には、天を貫いてそびえる無終の螺旋階段があり、死体が敷きつめられた地面からは、骨の城と肉の砦が林立している。はるかなる地平線を見やれば、鮮やかな蛍光色の炎を灯す無数の柱が、まるで灯台のように立ち並んでいることだろう。 〈無形の広野〉とは、あらゆる夢と悪夢が溶け合い、混ざり合った世界だ。狂人の見る白昼夢と、暴走した想像力の持ち主が描く空想は、すべてこの〈無形の広野〉を映し出しているのである。 〈無形の広野〉は、フューリーたちの家だ。フューリーとは、理由のない恐怖や怯えといった感情から誕生するディーモンで、その創造に理由はなく、その頻度もまったく不規則である。 〈無形の広野〉にあって、フューリーは群れをなして深紅色の空を飛び回り、空腹に駆り立てられながら手近な餌を探しまわるという。 彼らが喰らうのは、悪魔にまだ吸収されていない新しい霊魂、定命の者らのさまよう魂である。 これらの霊魂は自分を守る手段を持たない。彼らは、幽霊のような姿とかすれた声、そして、限りなく原始的な自我と本能しか持ってはいないのだ。これら無力な魂を、翼魔たちは容赦なく狩り落し、貪り喰らう。 だがもしも、自分たちより強大なディーモンが魂のエネルギーを喰らおうと現れたら、フューリーたちは先を争って逃げてゆくだろう。〈無形の広野〉には、フューリー以外の住人もいる。 ここには、「上級悪魔」(グレーターディーモン)や「ディーモンプリンス」たちの治める小国が乱立しているのだ。 こうした小国の王たちは、ディーモンとしての力をつけ、他の悪魔や環境に対して、(多少ながらも)おのれの影響力を行使できるにいたった者たちである。 広野を見やれば、すべてがでたらめな大地の先に、まるで島のように立ち並ぶ建造物をいくらか見つけることができるだろう。現れてはすぐに消え去るような建物もあるが、中には、かの四大暗黒神と同じくらい“古い”ものもある。 とはいえ、これらの規模たるや、渾沌の四大至高神が治める領域に比べれば、情けないほどに小さいものでしかない。だが、それぞれの“小国”には、それぞれの創造主がおり、その性格を映した世界があり、広くは知られていない教義をかかげた小神殿や祠があるのだ。 中には、こうした“小国”が、固有のディーモンを産み出すことすらある。しかし、これらのディーモンはいずれも“短命”であり、ほとんどはフューリーに喰われてしまうのが関の山だ。 【神々の4領域】 〈渾沌の領域〉には各4つの領域が存在する。各々の領域は渾沌の4大神の性質を反映させた奇妙で険難なる世界だ。 [部分編集] コーン神の国土 【概要】 コーン神の国は、殺害と衝突を礎石とした、憤怒と流血の象徴である。なぜなら、あらゆる戦いとすべての征服がここにあるからだ。 〈血に浸されし大地〉が静寂に支配されることはない。そこでは真鍮で作られた無数の魔笛が甲高く響き、振るわれる鞭の鋭い音が轟き、武器と武器の激突音が鳴り渡る中、他ならぬコーン神の咆哮が常に全土を圧しているからである。 〈血の神〉、〈闘争の王君〉、〈髑髏の収奪者〉。この暗黒神は、実に様々な異名を持つが、その本質は同じだ。コーン神は憤怒の体現者であり、支配と破壊、征服と殺害を常に欲し、けして満足を覚えない。 筋骨たくましく、真鍮にふちどられた黒鉄の鎧具足にいつでも身を包むコーン神。その顔は、耳まで裂けた口を持つ、凶暴な魔犬のようだ。 コーン神の言葉は、冷めやらぬ憤怒の唸りであり、神の上げる憤激の咆哮は、かの国を絶えず満たす。〈血の神〉が鎮座する巨大な真鍮の玉座。 その下には、無数の髑髏が山と積まれている・・。彼に仕え、勝利した者たちが殺した敵の髑髏か、彼に仕え、敗北した者たちの髑髏だ。 コーン神の横には、強大な両手剣が置かれている。この邪悪なる神剣が引き抜かれる時、大いなる災厄がその後に続くであろう。一振りで世界を二つに割り壊すというこの魔神剣は、様々な名を帯びている。 〈破滅の運び手〉、〈戦争の切っ先〉、〈すべての終焉〉、〈血をすすりしもの〉などは、その一部でしかない。コーン神の厳かなる玉座の間を照らすのは、戦いから逃げた臆病者どもの魂を燃料とし、暗き炎を焚たき上げる巨大なかがり火だ。 コーン神の玉座の間があるのは他でもない、コーン神の居城たる〈真鍮の古城〉(ブラス・シタデル)の本丸である。〈真鍮の古城〉は、血を思わせる真紅の大理石に飾られ、鋸のような形の鉄壁に守られている。 この鉄壁は真鍮によって縁取られ、血まみれのスパイクによって周囲を飾られているという。城を囲む胸壁から眼下を見下ろすのは、「鋼鉄の守り魔」たちだ。かの番人たちに見つかった敵は、「発火せし金属」によってその存在を灼かれるであろう。 そして、〈真鍮の古城〉の堀を満たすのは水ではない。 そこに満たされているのは、時空を超えて集められた、コーン神へ捧られし犠牲者たちの煮えたぎる鮮血である。 堀の先には、乾燥してひび割れた平原が果てしなく広がり、戦いに敗れた者たちの骨がびっしりと敷しき詰められている・・。コーン神の統治せる「無終の荒野」だ。 血の海を渡り、骨の平原を駆けゆくのは、侵入者を探してうろつき回る、肉の猟犬「フレッシュハウンド」の群れだ。コーン神の敵がこの大地に足を踏み入れることあらば、その体内に流れる血の匂いすら嗅ぎ取って、フレッシュハウンドは獲物に追いすがるだろう。 彼らの追跡を逃れるすべはない。すべてが荒れ果てたこの国のどこかには、大地を二つに引き裂く巨大な谷、〈万死の渓谷〉(キャニオン・オヴ・デス)があるという。それは地平の果てまで続き、その深さは計り知れない・・。 この谷は、かつてコーン神が怒り狂ったとき、かの両手剣を大地に突き立てたことで作られたそうだ。 〈万死の渓谷〉は、しばしばわき出す鮮血によって満たされる。そこからあふれ出す血の洪水がコーン神の大地を洗い、首のない敗北者たちの骨を流してゆく現象が、〈深緋色の津波〉(ツナミ・オヴ・クリムゾン)である。その血量たるや想像をはるかに越えるものだ・・。 傷を負った宇宙の流す血が、〈万死の渓谷〉へ流れこむのだという説もある。 コーン神の国の最果てにあって、他領域との境をなしているのが、活火山の大山脈〈破滅の環〉(リング・オヴ・ドゥーム)である。コーン神が怒りの咆哮を上げるたび、〈破滅の環〉は大噴火して大地を揺るがし、灼熱の溶岩が大地を割く大河となって八方へ広がるという。 〈破滅の環〉の内側にあたる斜面には、コーン神の鍛冶場が林立している。鍛冶場の中で働くのは、コーン神の奴隷たちだ。彼らは、愚かにも眠っている間に殺された戦士たちの哀しきなれの果てだという。 〈破滅の環〉の上に広がる赤い空は、噴煙と、鍛冶場から立ちのぼる煙によっていつも黒い縞模様を作っている。〈破滅の環〉に立ち並ぶコーン神の鍛冶場は、神にとって重要な場所だ。 なぜなら、ここで永遠に作られる武器甲冑があってはじめて、コーン神の下僕たちは闘争を続けられるのだから。 ここには、ジャガーノートらを囲う場所もある。だが、それは牧場と呼ぶにはあまりにも恐ろしい代物だ。 そこは、定命の者たちが住まう世界に建つどの要塞よりも硬く厚い壁に阻まれ、コーン神の愛獣たるジャガーノートの大群が無造作に放りこまれている場所だからである。かくも厳重な防壁なくして、かの怒れる魔獣をひとところに閉じこめておくことなど、まず不可能だ。 内部では、ジャガーノートたちが互いの上下関係を決めるべく、常に力くらべをしている。頭突きをしあったり、互いを噛かみ合ったりなど、その方法は様々であるが、とにかくジャガーらは常に戦い合っているのだ。 〈破滅の環〉の外側にあたる斜面には、巨大な長城が延々と連なっている。「漆黒の御影石」(ブラック・オヴシディアン)でできたこの大防壁は、〈血の神〉の御領を攻めんとする愚か者たちを完膚なきまでに叩きのめすであろう。 ここでは「地獄の大砲」(インフェルナル・キャノン)が列をなし、コーン神の命令あらば、他神の領域へ戦火を打ち出す準備を万端に整えている。そしてこの長城では、血に飢えたコーン神の軍団が、戦いの時を今か今かと待ち構えてもいる。 〈血の神〉がひとつ唸り声を出せば、彼らは嬉々として城門を開け放ち、殺戮と戦いを他神の領域にもたらすであろう。 外に戦う敵がいなくとも、コーン神に従う無尽蔵の軍団はけして戦いを止めはしない。 血の渇望に駆り立てられられるまま、それぞれがおのれの同胞を相手どった殺し合いに酔いしれるだけのことだ。 なぜそのような事が許されるのか?答えは簡単である。それは戦争。 思考すらも停止するような破壊と流血の連続。それだけがコーン神の関心事であり、それこそがコーン神の存在理由だからだ。 誰が勝利し、誰が敗北するかなど、コーン神にとってはどうでもよい。どちらかが動けなくなるまで戦う。 とめどなく血が流され、敗北者の髑髏が捧げられる。それだけでよい。 それ以上もそれ以下も、神は欲さぬ。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:ブラッドバウンド 初版」(battletome khorne bloodbound)P7 イラストより ティーンチ神の迷路 【概要】 「ティーンチ神の迷路」は嘘と陰謀を編み棒とし、生なる魔力の糸によって紡ぎあげられた領域だ。 〈渾沌の領域〉の中でも最も怪奇にして理解に苦しみ、狡猾な罠が仕掛けられている場所として恐れられている。 〈水晶の迷宮〉(クリスタル・ラビリンス)は嘘と策略で作られた隠し通路が無数に伸びており、他の神々の領域にもその道が作られている。 ティーンチ神作り出されたの迷宮は根のように〈渾沌の領域〉全体に張り巡らされており、領域を保つ骨組みとなっている。 迷宮は守護するディーモンはいないが、奥に進むには危険が伴う。迷宮の壁は光だけではなく、入った者の思考よも映し出す。 移された思考は移す対象の本質をゆがめ、入り込んだ者の目的意識と熱意をゆがめ、狂気と絶望として跳ね返ってくる。 ”狂気がもたらす真の洞察”を身に着けた者だけが迷宮の奥に進め、自らの挫折という名の車輪で己の夢と野望をひき殺されて正気を失った者は永遠に迷宮をさまよい続ける。 迷宮の最深部にはティーンチ神が鎮座する〈概念の要塞〉(インポジブル・フォートレス)が姿を現す。 この要塞はいきなり姿を現れたと思ったら姿を消し、要塞の出入り口も常にそこにあり、そしてどこにもないのだ。 定命の者が〈概念の要塞〉を通ることはまず不可能であり、並大抵のディーモンですら困難である。 ティーンチ神に仕える賢き上級悪魔だけが難なく通行ができ、ティーンチ神が座す〈隠匿されし蔵書館〉(ヒドゥンライブラリー)へ参内出来るのだ。 蔵書館はあらゆる知識が無尽蔵に書物として記録され、それらは全て魔焔の鎖で封印されているという。 館内の回廊には決まった道はなく、各書物にはその内容を閲覧したくなる誘惑が仕掛けられている。 ひとたび書物の語る物事に魅入られてしまえば最後、ゆっくりと実存を失い、そのエネルギーは蔵書館の養分とされてしまう。 画像出典:ウォーハンマーFB「アーミーブック:ケイオスディーモン第8版」(Chaos Daemons Army Book)P9 イラストより ナーグル神の庭 【概要】 「ナーグル神の庭」は厄災と腐敗、生命力に満ち溢れた領域だ。名前こそ庭とついているが、危険な生物や植物が跋扈する恐るべき森林である。 そして、あらゆる害毒と感染症の故郷であり、むせかえる腐乱臭こそがこの土地の空気そのものだ。 「死のうちにこそ生あり。」生者が死に、腐りゆくまさにその時に新たな生が生まれる。他の生命を奪い、食らうことによって存続する。 上にあげた教えこそ〈腐敗の尊王〉にして〈害毒の大王〉であるナーグル神の教えであり、この庭の絶対唯一の掟なのだ。 丸々太った巨大蠅(ハエ)の群れが空を埋め尽くす中、地上に広がるのが〈滅びの庭園〉(ガーデン・オヴ・フライト)だ。 ここはまさに生命の宝庫とも呼べる場所で、淀んだ川や、あらゆる色のキノコ、半分悪魔の宿った樹木このがよどんだ空気を循環させている。 この陰鬱なる活気に満ち溢れた森林においてひときわ高くそびえたつ建物、それが〈腐乱の館〉(ディケイング・マンション)である。柱や壁は朽ち果てながらも決して崩れない巨大な牧師館で、おぞましい蔦と苔に覆われている。 ここにはこの庭の主である「ナーグル」神が住まう。かの神は御自ら〈鉄鍋〉(アイアン・コルドロン)と呼ばれる巨大な鍋に座り込み、日々新たな病原菌の創造に打ち込んでいる。 神自らが手塩にかけて想像した新たな病原菌は、〈悪疫の運び屋〉達によって種類が数えられ、まき散らされ、菌の死者数が数えられる。 この腐敗の庭はナーグル神が力を増せば、その分この庭の植物たちは活気づき、他の領域まで庭の汚濁が広まり続ける。 全ての領域が腐敗の密林に覆いつくされるその日まで。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:マゴットキン オヴ ナーグル 2版」(Battletome Maggotkin of Nurgle)P7 イラストより スラーネッシュ神の宮 【概要】 「スラーネッシュ神の宮」は、〈仄暗き皇子〉ことスラーネッシュ神の欲望が形となった領域だ。 他の神々は自らの領域に入り込まれるのは歓迎しないが、この「スラーネッシュ神の宮」だけは例外で、むしろ大歓迎され呼び寄せようとしている。 〈仄暗き皇子〉の国はその中枢たる〈快楽の宮殿〉(パレス・オヴ・プレッシャー)を軸に、六つの円環世界に分けられている。 六つの円環はそれぞれ六欲すなわち、物欲、食欲、肉欲、支配欲、虚栄欲、怠惰欲を表す。 魅了された定命の者にすれば、”天国”に見えるだろうがそれはうわべだけで、そこには恐ろしき”地獄”が待ち受けている。 奥にたどり着くには六欲を突破しなければならない。 〈物欲の円環〉(サークル・オヴ・アビディティ)は外縁部の円の領域で、見渡す限りの金銀財宝がこの世界を覆っているが、 誘惑に屈せばいつまでも黄金を数えては磨きを繰り返し、無数の柱に埋め込まれた美しい宝石に触れれば中に封じられた悪魔に食われてしまう等の物欲の罠が仕込まれている。 〈食欲の円環〉(サークル・オヴ・グラットニー)は二つ目の円の領域で、ワインの湖と豪華な料理が並べられた小島が跳ね橋で結ばれている。 料理やワインに一口でも手を付けたら最後、満腹という感覚は完全に失われ、ひたすら飲み食い続けるのだ。 肥大化した体の腹が裂け、半分消化したドロドロの食べ物と肉塊のシャワーと化したとき、最後の晩餐は死という形で終わるのだ。 〈肉欲の円環〉(サークル・オヴ・カーナリティ)は三つ目の円の領域で、妖艶なる乙女と端正なる少年たちが涼しげな草原を風のように歩く世界。 この者たちとかかわるものは愚かしい所業といえる。何故なら、”肉の恋人”たちの魅力は全て「嬲り(なぶり)魔」(デモネット)達が見せている幻惑でしかなく、 その体に触れた瞬間に、誘惑された訪問者は八つ裂きにされるだろう。 〈支配欲の円環〉(サークル・オヴ・パラマウンシー)は四つ目の円の領域で、あらゆる力が訪問者の思うがままになる世界。 軍事的権威を持つ者は地平線を埋めるほどの大軍勢に敬礼を受け、社会的権力を欲するものは自らの望む議会と民衆に迎えられる。 この世界では自らが神の如くの思うがままになるだろうが、その楽園を味わっていくうちに猜疑心を不安に駆り立たれ、やがては逃げられぬ檻となった自らの精神の中でやがて自滅するのだ。 〈虚栄欲の円環〉(サークル・オヴ・ヴァイングローリー)は五つ目の円の領域で、いばらを持つ美しい花々が咲き乱れる迷路のように入り組んだ巨大庭園となっている。 ここで訪問者は自分自身のかつての栄光や華々しい思い出をささやくそよ風に取り囲まれる。あらゆる成功や自分自身ですら知らなかった成功ですら称賛される声がささやかれる。 さざ波一つたてぬような池は、訪問者がかくありたいと願う理想の姿を自分自身の姿として映し出す。 自分自身への思い上がりや過剰な自身で足を踏み出すごとに、訪問者は本来とは違う道を進んでいきながらずぶずぶと地面に沈んでいく。 やがて、土中へと引き込まれた訪問者は、木々と草花の根に体を締め付けられ身動きが取れないままになる。 訪問者は最後、〈庭の子供たち〉が歌を詠いながら、訪問者自身の犯した失敗をあざけり、過去の成功すら失敗と言い換えた碑文を延々と書き連ねている光景を見ながら死んでいくのだ。 最後にして最も危険な円環の領域〈怠慢欲の円環〉(サークル・オヴ・インドレンシー)は六つ目の円の領域で、穏やかなる世界となっている。 天国を思わせる安らぎの子守歌と、優しく薫癒しの海に囲まれた無限なる浜辺が広がっている。疲れた魂を癒す最高の場所に見えるが、万が一でもここで休んではならない。 瞼を閉じれば最期、二度と目覚めることはないのだ。至福の眠りに落ちたまま、訪問者は死に、その存在は解体されていく。 これら究極の欲の魅惑に打ち克った者だけがスラーネッシュ神の鎮座する〈快楽の宮殿〉へと進むことができるのだ。 あらゆる人間の欲望を引き出して誘惑し、その罠にかかった者の魂を貪る。スラーネッシュ神の宮こそ恐るべき「欲望の底なし沼」なのだ。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第6版」(Codex Chaos Daemons)P17 イラストより 目次に戻る ケイオスディーモン [部分編集] 【概要】 暗黒の四大神に仕える従者の中で、最も恐るべきはケイオスディーモンたちだ。ディーモンは暗黒神自身の力を取り分けて独立させて誕生する別個体の生命体だ。 ケイオスディーモンは我らの世界にもたらされた神聖なる主の御意志 ( みむね ) を体現する者たちであり、ゆえに戦争を愛してやまないのである。 ディーモンは四大神の特質を現すようになっており、それぞれに特殊な能力を持っている。 レーザーをはじめとした光学兵器や銃弾といった攻撃は効かず、不可思議な抵抗力を持っている。逆に刃や鈍器といった物理攻撃や炎などの原始的な攻撃に対してはダメージを与えることができる。 彼らは不死身に近い存在であり、ディーモンが物質世界で肉体が滅びても精神体が戻るだけで完全に滅ぶことはない。 ディーモン自身にも意思があり、主である暗黒神に反抗することもある。しかし、反逆は絶対にできない。 なぜなら自身の力が主から取り上げられるとディーモン自身の意思や精神は〈歪み空間〉(ワープスペース)の潮流へと還っていく。 すなわち、彼らにとっての完全なる死を迎えることとなる。それゆえ主である暗黒神とディーモンには絶対なる主従関係が作られている。 ディーモンは各暗黒神の為だけに生き、大いなる目的の為に死んでいく。 渾沌の領域の境界が薄れし時、それは物質世界へと染みこんでくる。悪夢と恐怖が、我らの世界に解き放たれるのだ。 ケイオスディーモンはFB,Aos,40Kに共通して登場する。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第5版」(Codex Chaos Daemons)表紙イラストより 【ゲーム上の共通特徴】 ケイオスディーモンのミニチュアはAos,40Kと共通のものとなっている。 ベースの形は異なるので別シリーズで遊ぶ際はベースの付け換えが必要。 【ゲーム上の特徴(40K)】 コストの高さから少数になりやすい。能力は多彩なものの偏ったものが多く、組み合わせによって増えるものも多いので編成の際は組み合わせを良く考える必要がある。 デーモン全員が四大神の特性を再現するルールを備えているので得手不得手がある。また、その特性により射撃に対する耐性が高い。 ワープ空間から突如出現することを再現した特殊な初期配置を行うため、渾沌の名の通り予測困難な戦闘が展開される。 以下にケイオスディーモンのユニットを書いていく。 なお「スペシャルキャラクター」と書いてあるユニットは、公式に設定された「名ありキャラ」であり、対戦する際には同じスペシャルキャラクターを複数投入することはできない。 コーンのディーモン [部分編集] ブラッドサースター 憤怒の化身、髑髏の大公 「血に飢えしもの」の異名を持つコーン神の上級悪魔(グレーターディーモン)。数あるケイオスディーモンの中でも白兵戦に関しては最強の実力を持つ。 筋骨隆々とした巨体と背中に生えた翼で殺戮すべき次なる獲物を狩るために戦場へと進軍する。 真鍮と鋼鉄でできた鎧は赤熱するコーン神のルーンが刻まれ、魔術やサイキックに対して最高の防御力を持つ。 〈闘争の王君〉の激情が放つ熱の中で鍛えられた巨大な大斧は、あらゆる兵器を易々と両断する威力を誇る。 並ぶものなき戦闘技術、そして想像を絶するほどの強烈な流血への渇望。 「血に飢えしもの」たるブラッドサースターこそ、まさにコーン神の尽きることなき憤怒が具現化した存在である。 画像出典:ゲーム「ウォーハンマー40K FreeBlade」スプラッシュ画面より ブラッドレター・オヴ・コーン コーン神に仕えし凶戦士 コーン神に仕える下級悪魔。 暴虐と殺戮のためだけに作り出された存在であり、その膂力は人間を優に上回る。 主の性質を体現したかのように、皮膚は鮮血のように赤く、獲物を狙う両目は爛々と輝いている。 彼らの持つ〈地獄の刃〉は人間などいとも簡単に切り裂き、血に染まるたびに輝きを増すという。 余談だが、ビデオゲーム『Warhammer 40,000 Space Marine』では後半の雑魚敵を勤めている。 【ゲーム上の特徴(40K)】 設定で接近戦技能の高さであらわされており、並の人間が6面ダイスを振って4以上で命中なのに対して、ブラッドレターは3以上で命中させることが出来る。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)表紙イラストより ヘラルド・オヴ・コーン ブラッドレターの中でも最強を誇るコーン神の先触れ、それがヘラルド・オヴ・コーンだ。 彼らは指揮官として戦場に殺戮を齎すことに無上の喜びを感じるという。 【ゲーム上の特徴(40K)】 もっともポイントが安いHQ(司令官)枠。 地味ながらも強力なバフを持っている。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P36 イラストより ブラッドクラッシャー・オヴ・コーン 真鍮の騎士 ブラッドレターの中でも特に秀でた者がジャガーノートと呼ばれる魔獣に跨った騎兵。 ジャガーノートはコーン神のディーモンの中で最も獰猛であり、喰われることなく懐けたものだけがこの栄誉に浴することが出来る。 そんなジャガーノートの肉体は真鍮で、体内を流れる血液は炎である。 並みの火器ではその外殻を傷つけることすらできないだろう。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P39 イラストより フレッシュハウンド・オヴ・コーン 無慈悲なる魂の猟犬 臆病者を永久に追い続けるためにコーン神によって作り出された猟犬、それがフレッシュハウンドである。 「デモニックビースト」の一つである、フレッシュハウンドの執拗な追跡から逃げ延びることのできる定命の者は極めてまれだ。 そして彼らは獲物を仕留めると肉を削ぎ落とし〈歪み〉の中に消え、犠牲者の髑髏を主の居城へ持ち帰るという。 その凶暴性は定命の者だけでなく、上級悪魔すらも恐れるという。 フレッシュハウンドのもう一つの大きな特徴は、首から生えているようにも見える真鍮の首輪である。 この首輪は妖術を憎むコーン神の意志が込められており、卑劣なる魔術やサイキック攻撃を妨害するのだ。 【ゲーム上の特徴(40K)】 設定の通り、サイカーではないのにも関わらず妖術抵抗判定が行える珍しいユニット。 猟犬の名にたがわず、コーン神のディーモンの中では翼を持つブラッドサースターの次に足が速い。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P40 イラストより ブラッドスローン・オヴ・コーン 神聖なる虐殺の集合体 「ディーモンエンジン」の一つで、コーン神の鎮座する髑髏の玉座を模して造られた戦車。 スローン(玉座)の名を冠するこれは所有者が高い位にあることを証明するものに他ならない。 人間の用いるそれとは違い、このチャリオットに司令塔的な役割は求められていない。 搭乗するヘラルドは休む間もなくこの戦車を前進させ、さらなる祝福を授からんとするだろう。 伝説によれば、ブラッドスローンは刈り取られた髑髏の中でも臆病者の髑髏を燃料に駆動し、歴戦の勇士の髑髏は記念品として車体に埋め込まれるという。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P42 イラストより 【ゲーム上の特徴(40K)】 ヘラルドの耐久力とバフを増したような性能。 チャリオットのくせに移動できる距離は変わらない。 スカルキャノン・オヴ・コーン 地獄で造られし髑髏の大筒 血の神の玉座の足元にあるという骸骨で造られたと伝えられている〈髑髏の大筒〉。 地獄の炉で鋳造された機体に悪魔的な霊体とが合わさったこれは、二人一組のブラッドレターにより敵陣の真っただ中へ突撃させられる。 内部にはディーモンが封じられており、憤怒を敵に叩きつける。 スカルキャノンの行く手を阻む敵は棘だらけの車輪によって砕かれ、それでもなお生き残った者は噛み砕かれ地獄の業火で焼かれる。 そして物陰に隠れる臆病者には砲撃により骨の髄まで焼き尽くされるという。 【ゲーム上の特徴(40K)】 コーン神のユニットの中で唯一まともな射撃武器を有するユニット。 近接戦闘もこなせる。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P43 イラストより スペシャルキャラクター [部分編集] スカルテイカー コーン神の代理戦士 ブラッドレターのネームドキャラ。戦場において、スカルテイカーは道を阻む有象無象は斬り捨て、自らが定めた目標に向かってひたすら前進するという。 そして獲物にたどり着くと決闘の形をとり、相手に勝負を挑む。スカルテイカーに挑まれた戦士は楽に死ぬことはできない。 彼は獲物の四肢を圧倒的な剣技で切断し、地に伏すまで止めは刺さないのだ。 そうして倒れた戦士の頭を掴むと〈生贄の八言〉により肉を焼き尽くし、髑髏だけをもぎ取るという。 このようにして得た髑髏の多くはコーン神のものとなり、真鍮の城の装飾品となるが、真の決闘と呼ぶにふさわしい戦いぶりを見せた戦士の髑髏だけはスカルテイカーの手元に置くことが許され、その黒い外套に吊り下げられるという。 伝説によれば、このブラッドレターは誕生した瞬間に他のブラッドレターの首を刎ねたという。 それからというもの、好敵手を求めあらゆる場所に出現し、定命か不死かを問わずに無数の戦士を手にかけてきた。 そしてコーン神は八百と八十に加えて八の髑髏を刈り取ったとき、神聖なる処刑者としてこのディーモンに〈髑髏を奪いし者〉の称号を授けたのだという。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P37 イラストより スカルブランド 追放されしもの ブラッドサースターのネームドキャラ。スカルブランドは他のどの上級悪魔よりも忠実に奉仕し続け血と髑髏を捧げた者であることに違いはない。 だがティーンチ神はそんなスカルブランドの激しい闘争心に目を付け、ことあるごとに語り掛け、彼の自尊心を肥大化させたのである。 ある時、己が仕えるコーン神の関心が他のものに注がれたとき、あろうことかスカルブランドはコーン神に対して斧を突き立てた。 しかし、いかなるディーモンをも屠ってきたスカルブランドの一撃ですら、コーン神の鎧に薄皮一枚ほどの罅を入れれるだけであった。 この愚行に激昂した〈血の神〉はこの上級悪魔を拾い上げると、理性を全て奪い、〈真鍮の古城〉の頂から叩き落した。 無謀な反逆により追放され自我を失い、翼すら失ったこの上級悪魔はただ猛る憤怒に身を任せ、ありとあらゆる場所で破壊と殺戮を繰り返しているという。 【ゲーム上の特徴(40K)】 敵味方問わずに周囲のユニット全ての近接戦闘能力を上げる能力を持つ。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P35 イラストより カラナック 報復の猟犬 この三つの頭を持った猟犬は普段はコーン神の玉座の間を見張っているが、ひとたびコーン神の不興を買った者が現れれば、この悪魔はそれを始末するために狩りに出る。 三つの首はそれぞれ「空間」「時空」「思考」の三つの痕跡を辿る。 優れた技巧や技術を用いれば、「空間」と「時間」の追跡から逃れることは可能だが、「思考」の追跡からは誰も逃れることが出来ない。 カラナックの発する咆哮はブラッドレターやジャガーノートを始めとしたディーモンを呼び寄せ、やがて群れを形成し全てを破壊する巨大な津波となって獲物を追い詰めるだろう。 【ゲーム上の特徴(40K)】 ゲーム開始時に対戦相手のキャラクターを標的として選び、そのキャラクターとの戦闘時にボーナスを付ける能力を持つ。 画像出典:ArtStation「Karanak」Catherine O'Connor氏の公式イラストより ティーンチのディーモン [部分編集] ロード・オヴ・チェンジ 究極の変異をもたらすもの 「変化の主」の異名を持つティーンチ神の上級悪魔(グレーターディーモン)。大きな翼と細身の体、鳥の頭を持ち、神官のような衣服を着ている。 鉤爪の生えた手に持っている妖術師の杖に放たれるサイキックや魔法は、ケイオスディーモンの中でも最強の力を誇る。 強大な魔力はもちろんのこと、ほぼ無限に等しい魔法科学の知識と技量よも持ち合わせている。 その魔力の強さは、軽く呪文を唱えるだけで「定命の生物」は肉塊へと変り果て、軽く兵器に指をはじくだけで頑丈な装甲よも破壊できるほどだ。 そして「変化の主」の恐ろしさはこれだけではなく、相手を欺く「策謀」にも長けている。敵や仲間を出し抜き、同盟相手すら役に立たなくなれば裏切りの一撃を繰り出す。 ティーンチ神の〈果てしなき遊技〉の駒である彼は、盤上に神の計画を実行するために戦場に変異をもたらせるであろう。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:ディサイプル・オヴ・ティーンチ 2版」(battletome Daemons of Tzeentch) 表紙イラストより ヘラルド・オヴ・ティーンチ ピンクホラーの中でも強い魔力の才能を持つディーモン。それが、ヘラルド・オヴ・ティーンチだ。 ヘラルド・オヴ・ティーンチはピンクホラーから独立した存在として、ティーンチのディーモン軍勢を率いる。 強力な攻撃魔法や狡猾な幻想を見せるなどのソーサラーとしての実力も持つ。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P48 イラストより ピンクホラー・オヴ・ティーンチ まばゆき呪文の結び手 ティーンチ神に仕える下級悪魔。 〈緋色の怪異〉の呼び名を持つピンクホラーは、狂った笑い声をあげながら戦場を跳ね回り、魔法をまき散らす。 そして彼らの魔法が敵に炸裂しおぞましい変異をもたらすと、ピンクホラーの狂喜はさらに加速するのだ。 このピンクホラーの喧騒を止める方法はいくつかあり、そのうちの一つは何らかの手段で真っ二つにすることである。 そうすると二つに分かれた体はそれぞれ青く染まり、ピンクホラーと真逆の陰気な悪魔……ブルーホラーが誕生する。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P49 イラストより フレイマー・オヴ・ティーンチ 変容の炎を帯びしもの フレイマーはティーンチ神に仕えるディーモンの中でも最も奇怪な存在であり、定命の者の理解の範疇を超えた存在だ。 普段は重力を無視したかのようなふわふわとした動きで徘徊しているが、ふとした瞬間に機敏な動きで距離を詰め、その体から漏れ出す炎で敵を焼き尽くすのだ。 フレイマーの吐き出す火炎は現実のそれとは異なり、魔力をふんだんに含んでいる。 この炎を浴びた時の効果は全くもって予測不能であり、ある時は定命の者の魂を焼き尽くし、またある時は傷を癒してしまうという。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P50 イラストより バーニングチャリオット・オヴ・ティーンチ 天を焦がす滑空者 〈混沌の領域〉より飛来するこの戦車は、流星と見間違えられることがほとんどだが、その流星は大いなる戦の前兆だと信じられている。 バーニングチャリオットに乗ることのできる者は極めて少ない。 一つはエグザルテッド・フレイマーだ。 戦車の頂に陣取る彼らは普通のフレイマーに比べて多くの魔力を吸収し、より多くの魔炎を戦場にまき散らすという。 もう一つはヘラルド・オヴ・ティーンチだ。 彼らは自分で一からチャリオットの調教を行う忍耐力を持ち合わせていないので、エグザルテッド・フレイマーから"拝借する"という。 画像出典:ミニチュアモデル「バーニングチャリオット・オヴ・ティーンチ」ボックスプリントより スクリーマー・オヴ・ティーンチ 天空の捕食者 このエイにも似た魔法生物は、強い狩猟本能以外の感情は特に持ち合わせていない。 ひとたび戦いが始まれば、巻き起こる感情の爆発によりスクリーマーは戦場に引き寄せられる。 そして俊敏な動きで兵士の頭上を飛び回り、その体についた棘や牙ですれ違いざまに切り裂くという。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:ディサイプル・オヴ・ティーンチ 第2版」(battletome Disciples of Tzeench)P56 イラストより スペシャルキャラクター [部分編集] カイロス・フェイトウィーヴァー 双頭の悪魔、変化神の神官 ロード・オヴ・チェンジのネームドキャラ。ディーモンは決して変わることがなく、死ぬこともない……ふつうは。 この上級悪魔は、主の知的好奇心により〈無限の井戸〉という未知の領域に放り込まれてしまった。 その結果、カイロスの頭は二つに分裂してしまった。 この二つの頭により、カイロスは「過去」と「未来」を見渡す力を手に入れた。 代償として、「現在」を見ることが困難になってしまったが。 画像出典:ノベル「アーティテクト オブ フェイト」(Architect of Fate)表紙イラストより ブルー・スクライブ 変化神の審問官 ブルーホラーのネームドキャラ。かつてティーンチ神は、〈混沌の領域〉のほとんどを統べていた時代があった。 その支配は他の三神が結託した連合軍によって破られ、ティーンチ神のその巨大な体は吹き飛ばされた。 その時の衝撃により、ティーンチ神の力は呪文や詠唱の一節といった形になり、ありとあらゆる時空に散らばってしまった。 ブルー・スクライブは、その散り散りになったティーンチ神の力を発見し、記録にすることを目的に作られた二匹のブルーホラー、プ=タラスクとスクラタ=ブだ。 己の強大すぎる力を収集させるにあたって、ティーンチ神は工夫を加えた。 それは、この二匹の悪魔にそれぞれ限定的な知性しか与えず、さらに二匹が常に言い争うようにしたのである。 時に彼らの旅路は戦場にまで及ぶことがある。 片方が変化神の傘下とみれば、ブルー・スクライブは書き留めた膨大な魔術の中から呪文を読み上げその勢力の援護を始めるだろう。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P47 イラストより チェンジリング 変化神のペテン師 ティーンチ神の悪魔の中で、最も欺瞞の業に長けた者はチェンジリングだ。 チェンジリングは他のどんな者の姿になることができる。 ちっぽけな小動物から、見上げるような巨人まで……文字通り何者にも変化することが出来るのだ。 あまりに多くの姿を模倣してきたため、この悪魔は自分の元の姿を忘れてしまった。 他の者に化ける必要のない時には、長いローブにより己の姿を他者の目線から守っている。 しかし、主であるティーンチ神だけはチェンジリングの真の姿を覚えているという。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P46 イラストより 目次に戻る ナーグルのディーモン [部分編集] グレート・アンクリーン・ワン 「陽気なる汚濁」 「偉大なる不浄」の異名を持つナーグル神の上級悪魔(グレーターディーモン)。ひときわ高くそびえたつ膨張しきった巨体は、 腐敗した腸が飛び出ており、緑がかった肌の横痃(おうけん)からは腐ったナーグル神の子供が生まれるなど、醜悪極まりない見た目を持つ。 その巨体には、ほとんどの物理的攻撃や苦痛は全く効かない。強力なエネルギー兵器や魔法も瞬く間に再生する。 そして手に持っている巨大な疫魔の剣(プレーグソード)や、膿汁で満たされたドクロのフレイルで敵を肉塊と骨の破片に変える。 逃げようとする敵には「汚物の濁流」が吐き掛けられ、汚らわしいウイルスと蛆虫にまみれた大津波となって敵を押し流すのだ。 この名状しがたい怪物は悪魔の如き姿だが常に笑顔を絶やさない。驚くほどに深い父性愛に満ち、情にもろく、 自らの従者の活躍を自分の活躍のように喜ぶウォーハンマー界でも群を抜くぐう聖キャラである。(敵であることと不浄でキモいこと除けば) 深き慈悲と腐敗を持つ「グレード・アンクリーン・ワン」こそ、偉大なる尊父たるナーグル神の理想を体現したといっても過言ではない。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P52 イラストより ヘラルド・オヴ・ナーグル プレーグベアラーの中でも特に指揮能力に長けたナーグル神の軍勢のエリート。 並外れた毒性を持つ疫病や悪疫に耐え、更に戦士としての能力を持つ者だけが偉大なる尊父ことナーグル神からヘラルドとしての資格を得る。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P54 イラストより プレーグベアラー 「腐敗の聖騎士」 ナーグル神に仕えし下級悪魔(レッサーディーモン)。通称”疫病の運び屋”。単調な祈り越えと陰鬱な金の根とともに現れる彼らは、耳障りな疫病映えの羽音と共にやってくる。 重たげに足を引き釣りながら、「疫魔の剣」(プレーグソード)で切りかかってくる。痛みを感じぬ身体は薄い肌から臓物が露出し、膿み穢れた液体が滴り落ちてくる。 彼らはナーグル神の尖兵として戦うだけでなく、大いなるナーグル神のすべての病気や疫病、悪疫を一つ残らず数え上げようとしている”ナーグル神の勘定人”としての役目を持っている。 しかし、これらは永遠に達成不可能な仕事であり、常日頃からナーグル神は新たな病気や疫病を作り出しているからだ。 ブレークベアラーは「ナーグル神の腐れ病」によって命を落とした常命の者のエネルギーから生まれる。この疫病はナーグル神の生み出した悪疫の中で最も感染力が高い。 死にゆく者の体と精神を破壊しながらそのエネルギーを養分とし、不浄なる繭を形成する。そして、完全に成熟しきった時に彼らが誕生するのだ。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P58 イラストより ビースト・オヴ・ナーグル 「這い進む疫病の器」 ナーグル神の穢らわしき疫獣。彼らの主が持つ果てしなき“ひたむきさ”と腐敗の喜びが具現化した善意に満ちた悪魔。 彼らは他者に気前よく愛情を与え、その“お返し”として、他者からも愛情を与えてもらおうとしているのだ。しばしばビーストは、プレーグベアラーたちに寄り添って歩く。 ビースト・オヴ・ナーグルは巨大な怪物で、そのナメクジのような体を脈打たせたり、水かきのついたひれ足をばたつかせたりしながら、ぎこちなく戦場を這い進んでくる。 この毒々しい触手を用いて、ビースト・オヴ・ナーグルたちは新たに出会った“遊びのフレンズ”を深い愛情とともに優しく包みこむ。 盛大によだれを垂らしながら、のたうつ触手で次々と死の口づけをふるまった後、ビーストはその巨体で相手にのしかかり、毒の蒸気や麻痺性の粘液などを続けざまに浴びせかける。 この危険きわまりない突撃を受けた“遊びともだち”は、たちまちのうちに生命活動を停止し、沈黙するであろう。 君は毒々しくて腐ったナメクジのフレンズなんだね! “新しいフレンズ”が静かになり、その魂がなくなってしまったことをしばし残念がった後、すぐにこの“お遊び”に飽き、新たな“フレンズ”を探して飛び跳ねだすだろう。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P60 イラストより プレーグドローン 魔蟲に騎乗せし、プレーグベアラーの騎乗兵。高位のプレーグベアラーたちは、別名「プレーグドローン」の名で知られる。 深いな羽音を立てながら飛翔する巨大なハエは、尻にある針を使って敵兵に疫病の酸を注射する。 ナーグル神の園丁たちは、目にした者に恐怖と嫌悪を刻み付ける魔蟲、ロット・フライに騎乗して定命なる世界に侵攻するのだ。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P61 イラストより ナーグリング 「尊父ナーグルの壁蝨(ダニ)」 穢らわしいグレート・アンクリーン・ワンの中から生まれ出るナーグル神の子供たち。ナーグリングは筆舌につくしがたいほど穢らわしい汚物で構成された、小さな肉塊にすぎない。 だが、グレート・アンクリーン・ワンの内臓から拍動とともに滲み出してくる汁をすすりあげるうちに、やがてはナーグル神の小型版のような悪魔へと成長するのだ。 父たるグレート・アンクリーン・ワンにかまってもらいたくて仕方がないナーグリングたちは、その大きな肩に座って、ひっきりなしにお父さんの“撫で撫で”や“げっぷ”をおねだりしている。 またあるときは、この上級悪魔(グレーターディーモン)の足元を走り回り、小さな小さな“たからもの”を探しまわっている。 それは動物の死骸だったり、腐り果てた骨だったり、見事に成長したキノコだったりと、実に様々だ。 戦闘となると尖った歯と鋭い爪を備えたナーグリングの大群は、敵の体に一斉に群がり、かじりつき、引っかきまくる。 この小悪魔たちがつける傷はきわめて小さく、まず致命傷にはなりえないが、恐ろしいのはその後である。 たとえどれだけ小さな傷であろうと、ナーグリングに傷をつけられれば最後、彼らの持つ疫病や生体毒が犠牲者の体を蝕んでしまうのだ。哀れな犠牲者たちの肉体は、たちまちのうちに壊死を起こすであろう。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P59 イラストより スペシャルキャラクター [部分編集] ク=ガス 「疫病の父」 グレート・アンクリーン・ワンのネームドキャラ。かつてク=ガスは、大いなるナーグル神の肩に乗る、小さな小さなナーグリングでしかなかった。 だが、〈疫病の主〉であるナーグル神がこれまででもっとも強いウイルスにあふれた劇毒のスープを作り上げた時、ク=ガスはナーグル神の肩からピョンと飛び、〈鉄鍋〉(アイアン・コルドロン)の中へと飛びこんでその中のスープを飲みつくした。 〈鉄鍋〉の中から出てきたのは、腐敗の力を全身にみなぎらせた強大なるグレート・アンクリーン・ワンへと成長をとげていたのだ。ナーグル神は、こうして新たに作り出された上級悪魔と、その微笑ましく愉快な誕生の光景を見て、大いに喜び、満悦したという。 ク=ガスは重苦しい雰囲気をひきずる陰気な存在で、ナーグル神に仕える他の上級悪魔たちからすら、距離をおいている。 ク=ガスにとって、疫病の蔓延は、ただの“喜ぶべき恵み”ではなく、彼は注意深い疫病の観察者として振るまい常により強力な悪疫を、そして最終的には「究極の疫病」を再び作り出そうとしているからだ。 ク=ガスはさまざまな場所を周遊しながら、想像しうる限りのあらゆる材料や疫病を探し続けている。 特別に育て上げたナーグリングたちの抱える「神輿」(パランクィン)に座しながら、ク=ガスは宇宙を旅し、自分を作り出した「究極の疫病」のために必要な“荒廃と苦痛の適切な配合具合”を探求し続けているのだ。 ク=ガスは、戦場を臨床試験の場として活用している。新たに作り出した胞子やバクテリアの雲をまき散らし、あらゆる軍勢を一掃するのだ。 彼の体内で育ったナーグリングたちは、この偉大なる不浄を形づくる疫病の要素を持ち合わせており、しかもそれらの要素の配合具合は一体ごとにまったく異なっているという。 ク=ガスは疫病にまみれたナーグリングをひっつかみ、敵軍に向かって投げつける。 そして、それぞれの疫病が敵にどのような症状をもたらし、どのように蔓延してゆくかを、注意深い観察者の目で見守るのだ。 画像出典:ウォーハンマーFB「アーミーブック:ケイオスディーモン第8版」(Chaos Daemons Army Book)P49 イラストより ロティガス グレート・アンクリーン・ワンのネームドキャラ。気前の良い性格で、 ナーグル神の為に銀河中や定命の諸領域を旅する。 身体は脂っこく、腐肉の塊で出来ており、腹には痘瘡に囲まれた大きな口を開けている。大きな口には鋭くて壊れた歯がボロボロと生えている。 彼がひとたび現れると、手に持っている「グナルロッド」を用いた腐敗の魔法で、戦場に腐敗した疫病の嵐と腐敗の雨を巻き起こす。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P53 イラストより ホーティキュラス・スライマックス ヘラルド・オヴ・ナーグルのネームドキャラ。ナーグル神の庭園で最も偉大な庭師と呼ばれており、庭園内を巡回して病みし植物たちの手入れをしている。 「マルチ」と呼ばれるカタツムリに似たディーモンに騎乗している。マルチの後ろには「鋤(すき)」がついていて、マルチが進むことで庭園内の地面が耕されていくのだ。 彼は尊父ナーグル神の仔らの中でも仕事熱心だが、ユーモアが無く、尊父たるナーグル神からはその仕事っぷりに対してナンセンスなアプローチをとっている。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P57 イラストより エピデミウス 「ナーグル神の勘定頭」 ヘラルド・オヴ・ナーグルのネームドキャラ。エピデミウスは〈腐敗の尊王〉によって選び抜かれた勘定頭であり、また彼は全プレーグベアラーを取り仕切る〈七大疫病監督〉の一人である。 偉大なる〈疫病の大王〉であるナーグル神の生み出した輝かしく多彩な伝染病の症状や性質を記録し、目録化することを主な目的としている。 腐り果てた神輿(パランクィン)に座すエピデミウスは、ナーグル神の悪魔たちを押し分けながら進み、この宇宙にもたらされたありとあらゆる悪疫と苦痛を熱心に書き記してゆく。 だが、彼に課せられた務めは、おそらく永遠に終わりえないだろう。 なぜならばナーグル神は絶えず新たな疫病を作り出しており、またナーグル神に仕える奔放な悪魔の大群も、こうして新たに作られた素晴らしい疫病を蔓延させようという熱意に満ちているからである。 戦場に姿を現したエピデミウスは、プレーグベアラーや疫病蠅、ナーグリングの群れを率いて戦場へと進軍する。 そこで発生した偉大なる尊父が作り上げし腐敗と汚濁がどのように蔓延してゆくかをこと細かく調べ上げ、すべての疱瘡、吹き出物、そして苦痛を記録している。 エピデミウスが戦場で学び記した記録は、〈尊父〉ナーグルにとってきわめて興味深い資料となり、将来の実験や疫病の調合に大きく貢献するのだ。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P56 イラストより 目次に戻る スラーネッシュのディーモン [部分編集] キーパー・オヴ・シークレット 「誘惑をもたらすもの」 「秘密の番人」の異名を持つスラーネッシュ神の上級悪魔(グレーターディーモン)。忌まわしくも魅惑的でかつ官能的なスラーネッシュ神を体現したかの如く美しき悪魔。 美しき男性と女性の姿を併せ持っており、身長は常人の数倍高く、宝石のような美しい目と角で作られた美しい冠を持つ。 キーパー・オブ・シークレットは極めて多彩な個体が複数存在し、一つとして同じものは無い。 彼らはみな〈仄暗き皇子〉ことスラーネッシュ神の精神状態や詩的な創造などが形と成しているからだ。 戦闘となると、彼(彼女)らの力強き四肢は、彼らが─彼らの獲物が射程内に入った時に致命的な一撃で葬るためにのみ─そっと前進する時に物憂げに動く。 その美しくも妖艶な巨体が動き出すと、常人では不可能な俊敏な身のこなしで移動し、敵の内臓や手足を美しく芸術的に引きちぎる。 敵の希望をずたずたに引き裂き、敵に恐怖を植え付ける。そして敵の失意の中から情念のエネルギーを乳を吸うようにして搾り取る。 特に気高い理想を掲げる相手は彼(彼女)の格好の獲物であり、それを自らの欲望と自己満足のために引き裂き慰み者にしてしまう。 その魔性の美貌とは裏腹に、下劣なる本性を隠し持っているのだ。 輝かしい栄光から暗き失望へと転落し、欲望へと落とした魂を今日も「キーパー・オブ・シークレット」(秘密の番人)は〈仄暗い皇子〉に捧げるため貪り続ける。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:スラーネッシュのヘドナイト 第2版」(battletome Hedonites of Slaanesh)P6,P7 イラストより ヘラルド・オヴ・スラーネッシュ 数あるデモネットの中でも指揮官として軍勢を率いるスラーネッシュ神の軍勢のエリート。 彼女は他のディーモンプリンス達を快楽主義的な罠に陥れ、それらを新たな堕落の高みへと駆り立てる。 彼女らにとって、戦いはただ進行中のダンスであり、そしてヘラルドは振付家であり演技者として戦場へと赴く。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P63 イラストより デモネット 「快楽の乙女」 スラーネッシュ神に仕える悪魔の中で最も多い下級悪魔(レッサーディーモン)。スラーネッシュ神の一時の気まぐれを満たすべく生み出され、〈快楽の宮殿〉の宮廷人として、また彼の恋人として仕えている。つまりただのキャバ嬢。 デモネットの容姿は美しく、かつ官能的だ。その体つきは細くしなやかで、すらりと伸びた優雅な手足と、青ざめたきめ細かい肌を持つ。 更に、デモネットの体からは催眠性の香りが発散され、両性具有的な彼女らの魅力をなお効果的に高めるだろう。 彼女らは手を持たず、その代わりに長く機敏なハサミを備えている。このハサミを駆使してある時は優美この上ない愛撫をもたらし、またある時は死の両断をもたらす。 更に、スラーネッシュ神が望むならば彼女らを自らの領域外に解き放ち、自らの気に食わぬ醜い対象をすべて破壊しつくす。 時には戦士として、宮廷人とし仕えるだけでなく、敵を堕落させるための工作員として差し向けることもある。 魅惑的な数々の呪文を用いて対象となるターゲットの夢に現れ淫らな欲望におぼれさせるのだ。 ターゲットの欲望の実現や自己目標の達成などを約束し、偏執狂や誇大妄想や狂気に陥れる。そしてターゲットは自滅へと突き進む退廃の道へと堕ちていくのだ。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P65 イラストより フィーンド・オヴ・スラーネッシュ 「甘美なる死の芳香をもたらすもの」 催眠によって誘発された悪夢の中から選び抜かれ、〈歪み〉によって産み落とされたスラーネッシュ神の淫獣。 人類と爬虫類、そして昆虫の体を持ち、スラーネッシュ神の強欲によって一つの体が与えられた奇怪な合成獣だ。 彼らの動きは、信じがたいほど素早い。ハサミや尾で巧みにバランスを保ちつつ、淫獣は獲物めがけて超自然的なスピードで軽やかに戦場を走り抜け、飛びかかって敵をズタズタに切断する。 殺戮をくり広げるべく召喚されたフィーンドたちは、淫獣の歌をさえずり合いながら戦場を駆ける。その歌はメロディック・リフの凶悪な旋律と、激しい拍動のようなベース・ビートが複雑に織り交ぜられた、身の毛もよだつほどの不協和音である。 その歌は単なる音波のみならず、サイキック的な精神波すらも生み出し歌声が急激に音階や音程を変化させるたびに、敵の内臓は破裂し、眼球は潰れ、鼓膜は破れ、ついには脳が爆散するのだ。 まさに彼こそ某田武よも超えるウォーハンマー界最強の音痴である。 スラーネッシュ神の軍勢として赴かない時には、〈渾沌の領域〉にあるスラーネッシュ神の宮の中で徘徊している。 退屈しのぎとして、フィーンドたちはお互いを狩り合ったり、円環世界にある美しい浜辺や森の中をうねるようにして駆け抜けることもある。 獲物を見つけ出すと、フィーンドは攻撃と退却をくり返しながらどこまでも追跡を続け、じわじわと相手をなぶりものにする。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P68 イラストより シーカー 「スラーネッシュ神の疾き乗り手」 スラーネッシュ神の宮に徘徊している騎獣を駆るデモネット。スティード・オヴ・スラーネッシュとも呼ばれるこの怪物たちは、数百体ほど集まって大きな群れを作り、鮮烈な極彩色の平野を自由気ままに駆け巡っている。 騎獣である「マウント・オヴ・スラーネッシュ」、通称「マウント」とも呼ばれる彼女らは、俊敏で力強い怪物で、蛇のようにしなやかな彼女らの体は二本の長く引き締まった脚に支えられ、その脚力は猛烈なスピードを生み出す。 頭部は異様なほど細長く、小さくすぼまった口と眼が備わり、口先からは数メートルほど伸びる長い舌が突き出されて素早く揺れ動いている。 「マウント」は、スラーネッシュ神の自由奔放な心が具現化した存在だ。そのため、「マウント」の群れはスラーネッシュ神の国を自由に移動し、駆け抜けることが許されている。 時にデモネットが……あるいは滅多にないことだが、定命の者が……スラーネッシュ神の聖なる牧草地に忍びこみ、群れの中から一体のマウントを奪い去って、そのまま無事に逃げおおせることがある。 むろん、マウントを捕まえることはきわめて難しい。マウントは疲れを知らず、果てしなく駆け続けることができるため、捕まえようと追いかけられても、たちまち相手を振り切って逃げ去ってしまうからだ。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P66 イラストより シーカー・チャリオット 「栄えある破滅の乗り手」 マウントを馬車と繋いで走らせる恐るべき魔の戦馬車。快楽神の戦馬車は繊細さとは程遠い存在である。 見た目こそ繊細かもしれないが戦場の空気に不浄の色の渦の残像を残し、その鋼の車輪がたてる軋みの不協和音は拷問を受けるものの絶叫のように聞こえるという。 この戦馬車に立ち向かうのは武力と武力の衝突ではなく、精神の健全性を脅かすものとの意志力の戦いでもある。 騎乗したヘラルドたちはその刃物に引っかかった獲物に手を伸ばすがこれは慈悲をかけるためではない、その残虐な抱擁を受けた者は想像を絶する苦痛で責め苛まれ続けるより一瞬の苦痛による死のほうがよほどましだと気がつくだろう。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P67 イラストより インファーナル・エンラプチュレス スラーネッシュ神の悪魔にとって、定命の存在の魂を過剰への道に導くことは最大の喜びである。この手のことにかけての名演奏家がヘラルド・オヴ・スラーネッシュの亜種であるインファーナル・エンラプチュレスだ。 彼女らは楽師であり、妙に心地よい音、心を麻痺させる不協和音を奏でる。音楽を通して、膨大な感情をあっという間に伝えたり、単調で退屈な音に絞り込んで破壊的な効果をもたらすこともできる。 〈昏き貴公子〉の悪魔の軍勢が戦争に向かう時にのみ、彼女はオペラの如く高揚するのだ。 魅惑的な幻影に身を隠すインファーナル・エンラプチュレスは、戦争の恐怖の中で美を創造しようと努力する、芸術家たちを鼓舞するような存在である。芸術家たちの情熱を養うことで、悪魔は永遠に眠っていた偉大さを引き出し、芸術性を開花させるのだ。 まず芸術家の夢枕にヘラルドは現れ、悪魔はいつの日にか作曲しなければならない完璧な曲をその脳裏に吹き込む。例えばそれがきっかけで戦争が終わり帝国が統一されるような魅力的な音楽作品や兵士たちがその燃え上がる音を聞くためだけに何百万人もの兵士を行進させるような好戦的な軍歌だ。 こうしてエンラプチュレスが接触した者は夢幻状態になり、傑作のために飲食をも切り詰め、多くが飢え死にする。自分に課された美しい任務の重みに耐えかね、正気を失い訳の分からない状態になってしまう者もいる。 最終的に一人の音楽家だけが残ると、エンラプチュレスは本当の自分を明かす。その時になって本人はその傑作の完成のために、自らの肉体を楽器として捧げなければならないことを悟るのだ。 こうして捧げられた意志ある血肉で作られた楽器が死の琴線とされる。定命の存在の魂の欠片で琴が張られた堅琴は、純粋な高揚の叫びと生々しい苦痛を発し、聞く者の心身に響く音を奏でる。 不協和音のメドレーを演奏することで、エンラプチュレスは個々の筋肉および神経線維を操り、無秩序な調子で敵を躍らせ、その体を引き裂くのだ。あるいは、楽器は魂に響き渡る音を集中的に発し、もはや喜びを抑えることが出来ないほどに犠牲者の感情を生き生きとさせる。 神像がはじけて流血の雨を降らすまで。 〈昏き貴公子〉の軍勢が行進する時、インファーナル・エンラプチュレスが先頭に立つ。死の琴線に触れるたびに、デモネットは敵の隊列を駆け巡る、破壊的な音波を送る。 その気分次第で、敵は永劫の高揚の中での死か、絶望の苦痛かで死を迎えるのである。この嗜虐的な交響楽は、特に敵の魔術師の詠唱に破壊的なる効果を発揮し、彼らはエンラプチュレスによって奏でられる魂を奪う音色によって集中力を乱され、ヘラルドの悪魔なる仲間の餌食となるのだ。 画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Infernal Enrapturess」 商品画像より(2021/06/17閲覧) コントーテッド・エピトミ コントーテッド・エピトミは単独のデモネットではない。互いの存在に耐える能力で選ばれた、二人一組の戦士である。 二人の親密な絆は、スラーネッシュの宮殿から託された極めて貴重な魔法の遺物である。豪華な装飾に彩られた〈同化の鏡〉によって支えられている。 この財宝は物体であると同時に悪魔的存在でもあり、デモネットの要求に応じて分割された触手の上でくねくねと動く生きた構造を持つ。 伝説ではコントーテッド・エピトミの創生は、「ヴェンナタン」という古の匠に遡る。ヴェンナタンは水銀塗りガラスの技を極めようとし、彼の試作品の鏡はどれも富裕層や貴族によって争うように買い求められた。 スラーネッシュは後に続いた自己愛の流行を見て非常に興味をそそられた。長い人生が終わる事には、ヴェンナタンは同世代で最も裕福な職人となっていたのだ。 死の床で、鏡に映る自分の姿を誇らしげに見つめ、人生の多くの成功について熟考しているとき、スラーネッシュはガラス越しに手を伸ばし、〈捻じれたる鏡の神殿〉に彼を引き入れ、ヴェンナタンを永久に幽閉したのである。 脱出しようと必死になっていたヴェンナタンは、同化の鏡を発明した。これは過剰なエネルギーを吸い取る鏡で、暗黒神の力をもゆっくりと吸収するはずだったのだ。 不幸にも、その神器はスラーネッシュの虚栄心のあまりの強さによってすぐに打ち砕かれた。ただその威力を認めたスラーネッシュは、何十もの同じ道具をヴェンナタンに作らせて、独立して動くことができる半ば感情を有する骨格にそれらを結合させた。 こうして生まれたのがコントーテッド・エピトミである。伝説では、ヴェンナタンは今なおスラーネッシュの領域に閉じ込められており、彼の名を鏡の前で六回口にすると、スライサーガイストとなってヴェンナタンが現れその者を殺す、と伝えられている。 戦闘では、これらの神器は敵の類を見ない猛攻撃を取り込み、吸収するのだ。これに対抗できるのは逆にとても粗末な武器だけで、木製の剣はルーン文字の砲弾よりも効果的に破壊することができるであろう。 そのような鏡を見る事は、自分の最も強い恐怖と願望の反映に呪文をかけられ、その中に囚われてしまうことである。従者に先に殺されなければ、の話だが。 画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「The Contorted Epitome」 商品画像より(2021/06/17閲覧) スペシャルキャラクター [部分編集] マスク 「久遠の舞い手」 スラーネッシュ神に仕えし踊り手。かつてはスラーネッシュ神の寵愛を受けるほどの侍女であり、彼を歓喜させるほどの踊り手だった。 しかしある日、コーン神との戦いに敗れ去って退廃と恥辱を与えられて失意の底に沈んでいたスラーネッシュ神の心を癒そうと踊った結果、彼の逆鱗に触れてしまい、永遠に踊り続けなければならない呪いを受けてしまう。 以後は、彼女は定命の者たちが暮らす銀河や世界をめぐり、その舞踏を見た者すべてを魅了してゆく。 マスクの舞いが持つ誘惑の力はあまりにも凄すさまじいため、それを目にしてしまった者は、否応なくこの舞踏劇に加わってしまうという。 マスクが発散する絶頂と苦悶のオーラに圧倒された舞踏劇の参加者たちは、みずからの活力がつき果てるときまでそして最期の一息を吐き出すときまで、彼女の旋回や宙返りに死に物狂いでついてゆかなくてはならないのだ。 彼女のその踊りについていけるものは殆どいないが、唯一ハーレクィンの「ソリティア」との踊りの対決には敗北しており、そしてそれ以来、彼女は〈笑う神〉の従者らに対して復讐の機会をうかがっている。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオスディーモン第8版」(Codex Chaos Daemons)P64 イラストより シャラクシィ・ヘルベイン スラーネッシュ神の恩寵を受けしキーパー・オヴ・シークレットで、多くの上級悪魔を屠ってきた狩人でもある。シャラクシィは戦士の王、竜、巨大な悪魔や破壊の巨人なる暴君を己が手の誘惑に陥れたり、屠ってきた。 追跡者でかつ決闘者としての技を通じて、敵対する神々や軍勢のチャンピオンに戦争をもたらすことがシャラクシィの特権である。彼は単独行動を取ることが多く、定命の信奉者やデモネットでさえも、狩りの終局にはシャラクシィの速さについていけないほどである。 シャラクシィの戦い方のあらゆる側面は、最強の敵に対抗するために考案され、完成されてきた。永劫の間、スラーネッシュ神はコーン神と憎悪に満ちた敵対関係にあり、〈血の神〉を出し抜くためとあらば、かの〈昏き貴公子〉はいかなることであれ成し遂げようとするだろう。 時にシャラクシィは、勝手気ままなフィーンドの群れを連れて、野獣たちは軽く大きな足取りで進むリーダーに追いすがるのだ。狩りが終わりを迎える頃、シャラクシィは戦場中の注目を集めるほどの攻撃を繰り出し、スラーネッシュ神ならではの拒否のし難い、巧妙な言葉で相手を挑発する。 シャラクシィの信奉者たちは、後に続く大虐殺を目撃する事を願って生きている。いつの日かシャラクシィの刃が、自然の秩序を超越して存在する神獣の巨大な心臓を貫き、世界全体に渾沌の権威が証明されるだろうと囁く者もいる。 画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Shalaxi Helbane」 商品画像より(2021/06/17閲覧) シィル=エスキ 「復讐に燃える共謀者」 スラーネッシュ神の物思いの多くは、気まぐれに過ぎない。それとは対照的に、シィル=エスキの名で知られる悪魔は、個別の二者の恒久的な絆を示す。 悪魔「シィル・リュードタング」と悪魔の筆頭戦士「エスキ」のコンビがともに力を合わせて闘う。元々シィル・リュードタングは慰み者に執着しすぎたためにスラーネッシュ神の廷臣から拒絶され、エスキはスラーネッシュ神の闘技場で奴隷戦士として戦っていた。 シィルはエスキに目をつけて彼に知恵を与えていくと、その実力は見違えるほどに上昇し、闘技場で華々しい戦績を上げてみるみるうちに昇格していったのだ。しかし、シィルが嫉妬深い強敵に殺されてしまい、巨大なソウルグラインダーとして生まれ変わってしまう。 そんな中、エスキは献身的な犠牲を払い、シィルを救い出して元の姿に戻した。エスキはシィルの抱擁と偉大なるスラーネッシュ神の意志によって、エスキは悪魔の筆頭戦士として復活したのだ。 そして二人は、コーン神の軍勢が〈快楽の宮殿〉を襲撃した際にそれらを退け多大なる武功を上げた。そして、スラーネッシュ神自身から褒賞を授けられた彼らは、〈復讐に燃える共謀者〉として互いに完璧な歩調で戦うようになったのだ。 彼らを侮辱したら最後、その者に相応の報いがもたらされるであろう。 画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Syll'Esske The Vengeful Allegiance」 商品画像より(2021/06/17閲覧) 目次に戻る その他 [部分編集] ディーモンプリンス 不死なる〈統べるもの〉 定命の者の中でも、究極の褒章により不老不死の体を手に入れた者。 それがディーモンプリンスである。 大半の悪魔が暗黒神より生み出された存在であるのに対し、ディーモンプリンスは元は人間であり、そのころの精神や価値観を保っている。 そのため、定命の者を配下に支配欲の赴くままに現実世界を自らの領土にすることを好む。 一部の強大なディーモンプリンスは特定の地域で神として崇められているという。 しかし、上級悪魔は元人間という穢れた出自である彼らを常に見下しているという。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオススペースマリーン第8版」(Codex Chaos Space Marines)P56 イラストより ケイオススポーン 渾沌の信者が恩寵に耐えきれなくなってしまった成れの果ての怪物。ケイオスの信者や従者は、数多くの働きに対して気前よく恩寵を受ける。 しかし、その恩寵の内容は至ってはこの上なく気まぐれである。より頑丈な身体を得る者もいれば、腹の中心部に第三の眼を得る者もおり、その肉体的な変化は必ずしも有益なものとは限らない。 この恩寵を授かれば授かるほど渾沌のおぞましき影響力を受けやすくなり、肉体の変化に耐えきれなくなった信者はケイオススポーンへと変化してしまう。 その姿は奇怪なる肉塊ともいうべき醜き姿をしており、常にその姿を絶えず変化させている。役に立たない翼や、カニのような甲殻やハサミ、草のように突出したおぞましい目など、数々の奇怪な特徴を備えている。 ケイオスの信者や従者ならば誰しも、己が歩む魔道の先にはケイオススポーンへと変り果てる危険性があると悟っている。 どの個体も同じものは決して存在せず理性といった正気を失い、見るもおぞましき、そして凶暴極まりない怪物であることは言うまでもない。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオススペースマリーン第6版」(Codex Chaos Space Marines)P41 イラストより ケイオスフューリー 〈歪み〉に束縛されし奴隷 フューリーは〈混沌の領域〉に存在する魔力と感情のかけらが混ざって出現した悪魔であり、極めて脆く儚い存在である。 〈混沌の領域〉の中でも最底辺の存在とされる彼らは、暗黒神によっていとも簡単に従属させられるという。 フューリーの外見は、その従属している暗黒神に大きく影響を受ける。 例えば、コーン神に操られているフューリーは赤い肌であり、ナーグル神に仕えるフューリーはその身に疾病を宿すという。 画像出典:ウォーハンマー40Kカードゲーム「ダークミレニアム」(Dark Millennium card game)ケイオスフューリー カードイラストより ソウルグラインダー 破滅の蹂躙機械 悪魔と機械が融合したこの存在は、混沌の軍勢の先陣を切る穂先を務める。 ソウルグラインダーの持つ鋼鉄の爪と砲、そして口から放たれる純粋な魔力は強固な防壁を粉々に粉砕するだろう、 ディーモンは不滅といえど、現実世界で活動するための肉体を失うと彼らは何百年もの間苦しみを味わうという。 それを回避するために最も有効なのは死者の魂を捧げることである。 ソウルグラインダーは肉体を失った悪魔の魂が復活するために自ら束縛され、己に課せられたノルマを達成するために殺戮を繰り返すという。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオススペースマリーン第8版」(Codex Chaos Space Marines)P69 イラストより スペシャルキャラクター [部分編集] ベ=ラコォール くらやみの君主 ベ=ラコォールは最初にディーモンプリンスとなった定命の者であり、あまりに強大な力を持った異色の存在である。 彼はディーモンプリンスでありながら四大神と並んで信仰される存在であり、千を超える堕落した文明で崇められているという。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオススペースマリーン第8版」(Codex Chaos Space Marines)P71 イラストより 目次に戻る ウォーハンマーFBに登場する渾沌の軍勢 [部分編集] 【概要】 渾沌の軍勢は初代ウォーハンマーこと「ファンタジーバトル」の舞台となる世界を〈渾沌の領域〉にしようと画策している。渾沌を信仰する人間種族や獣人などの異種族といった多彩な人種が渾沌の軍勢に参加し、渾沌の神々の代理戦士として戦争に参加する。 彼らは複数の派閥に分かれており、それぞれ異なった特徴や文化を持っている。 【FBにおける渾沌の軍勢】 元々渾沌の世界の住人はウォーハンマー世界の種族・勢力ではなく、異次元から次元の狭間を通って侵入してくる異世界の勢力である。最初のきっかけは外宇宙からやってきた「旧き者」と呼ばれる超技術を持つ異星人に始まる。 彼ら「旧き者」は後に「オールドワールド」と呼ばれるこの星を、自分たちの過ごしやすい環境に改造するために、複数の月を浮かべ、地殻変動を起こして惑星を大改造していった。その際に爬虫類から作り上げた種族「リザードマン」を僕とし、下僕としてこの星にいた「エルフ」族達に魔法(魔力を利用した科学)を教え、鉱山技術や火薬の利用法を「ドワーフ族」達に伝えた。 しかし、着実に惑星改造を進める「旧き者」達に重大な危機が訪れる。人工的に浮かべた月の一つが事故により制御不能となり、北極圏に落下する。 重大な天変地異が惑星を襲うが、悲劇はその先にあった。 衝突のショックで次元の狭間が生じ、〈渾沌の領域〉と定命世界が繋がってしまい、そこから強力な魔力と共に「ケイオスディーモン」たちが押し寄せた。 「旧き者」たちはこの惨状を見ると、あっさりとこの惑星を放棄し、何処へと飛び去った。残されたリザードマンとエルフたちは、ドワーフとも力を合わせディーモン達と戦い続ける。 しかし、ディーモン達は魔力の風が北極から吹き続ける限り、無数の増殖をするかに見えた。 そこでエルフの大魔法使い達は、結束して結界を貼り次元の狭間を封印しようとする。 リザードマンたちの助けも有り、結界には成功するがエルフの偉大な魔法使い達はその結界に取り込まれてしまい、姿を消してしまう。かくして尊い犠牲によって次元の狭間は封印され、急速に魔力の風が減少すると、世界中のディーモンたちは自らの肉体を維持出来なくなり、消滅していった。 以後ディーモンたちはまだ魔力の風が濃い北極周辺では活動できるが、魔力の風が強く吹かない限り、大攻勢をかけることは出来ず、代わりに混沌の意志を継いだ北方人や獣人たちがその尖兵となっている。 ディーモンたちはケイオスの異次元に存在し、その意志は定命世界、命ある世界の蹂躙を目的としている。ディーモンたちはその意識を象徴する“純然たる渾沌”の力に束ねられているが、四大暗黒神と呼ばれる強大なディーモンが存在する。 しかし、四大暗黒神ほどではなくとも、強力な暗黒神たちも存在していた。 人類やウォーハンマー世界の人々にとって幸いだったのは、この暗黒神たちは世界の征服と同じくらい、お互いに憎しみ逢っており、お互いがお互いの足を引っ張り合うのが常だった。 暗黒神が互いに憎しみ逢う限り、彼らには世界を破滅させる力は無いかに見えた・・・。 ウォリアー・オヴ・ケイオス 【概要】 北方の野蛮人。 彼らは常日頃から殺し合いを行う生粋の戦士であり、暗黒神に仕える〈統べるもの〉に率いられ侵攻する。“終焉”の主、アーケィオンを中心とした部隊が構成されている。 混沌の戦士たちは、究極の褒章を授かるために暗黒神の名を掲げ進軍する。彼らが保有する魔獣にはオールドワールドで最も古い種族とされるドラゴンオウガの姿も見られるという。 〈禍つ神々〉の従者は、世界に終焉をもたらすその時まで休むことなく戦い続けるだろう。 画像出典:ウォーハンマーFB「アーミーブック:ウォーリアー・オヴ・ケイオス第8版」(Warriors of Chaos Army Book)P4 イラストより ビーストマン 許されざる者たち 【概要】 昼ですら真っ暗な森の中に住んでいる醜い獣人たち。彼らは他のあらゆる種族に対して憎悪を抱いており、そこから湧き出る怒りは返り血を浴びるまで収まることはないという。 ビーストマンの目標はただ一つ。ありとあらゆる法や秩序を破壊し、文明社会に奪われたものを全て取り戻すことだ。 画像出典:ウォーハンマーFB「アーミーブック:ビーストマン 第8版」(BeastMan Army Book) 表紙イラストより ケイオスドワーフ 【概要】 様々な地域を調査していたドワーフの一団が災害に巻き込まれ、生き残るために混沌の神々と契約した勢力。 長い帽子と縦巻きロールなお鬚が特徴。 WH世界のドワーフは魔法を使うと手足から石になってしまう呪いがかけられている。 そのため、普通のドワーフが魔法を行使することはないが、ケイオスドワーフは構わず使用するために彼らの魔法使いは石になった手足を補助するための機器を身に着けているという。 画像出典:ウォーハンマーFB「アーミーブック:ケイオスドワーフ 第4版」(Chaos Dwarf Army Book) 表紙イラストより スケイブン 堕とされし民 【概要】 渾沌の力を受けて誕生したネズミ人間。決して夢の国の住人ではない。ハハッ その昔、混沌の遺物(ワープストーン)に触れたネズミが変容して出来た種族。 地下に張り巡らされた彼らの帝国に住んでおり、知性に長け陰謀や兵器開発を好んで行う。 渾沌の信奉者達と群れることが多いが、決して渾沌信奉者ではない。自分達のために戦う利己主義の塊で、組んだ相手が使えないと判断するとすぐに裏切ってしまう。 画像出典:ウォーハンマーFB「アーミーブック:スケイブン 第4版」(Skaven Army Book)表紙イラストより ノルスカ 北方の略奪者 【概要】 オールドワールドの北方にすむ渾沌を崇拝する蛮族。獰猛で頑強な北方人は周辺諸国から略奪を行って生計を立てている。 戦争をこよなく愛する彼らは部族内でも我先に渾沌の神々から注目されようと残虐なる行為を行って恩寵を得ようよ必死に戦う。猟犬や巨大なるマンモスそして情け容赦なき恐るべき戦士たちを率いて南方に襲撃を行うのだ。 画像出典:ゲーム「トータルウォーウォーハンマー」Norsca KeyArtより 目次に戻る ウォーハンマーAoSに登場する渾沌の軍勢 [部分編集] 前作の舞台となった「オールドワールド」は完全に渾沌の領域になってしまったが、シグマー神をはじめとした神々が新しい世界(領域)で文明を築いており、それらの世界よも渾沌の領域に変えようと画策している。 前作のキャラクターが今作でも引き続き登場する。 エヴァーチョーズン 【概要】 数ある渾沌の軍勢をまとめ上げしものそれがエヴァーチョーズン(永久に選ばれし者)である「アーケィオン」のことである。 半神となり渾沌の軍勢をまとめ上げた「アーケィオン」は、かつてオールドワールドの軍勢を打ち破り、「オールドワールド」を我が物とした。 そして今度は、神々が住まう8つの領域である〈定命の諸領域〉を我が物にしようとしている。 エヴァーチョーズンの部隊は「アーケィオン」を中心とし、親衛隊「ヴァランガード」や強力な魔術師等で構成されている。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:エヴァーチョーズン 第2版」(battletome Everchosen)P12 イラストより 【主要キャラクター】 アーケィオン アーケィオンは〈高貴なる終末の総帥〉にして、〈暗き神々〉が諸領域の征服者に任じた者である。 エヴァーチョーズン(永久に選ばれし者)とも呼ばれ、彼が征服し奴隷とした者の数は莫大であり、肩を並べる者はない。 長き〈渾沌の時代〉において、勝利につぐ勝利を〈禍つ神々〉にもたらしたのは、彼の冷酷なる戦争の手腕と抗し難い力であった。 恐るべき「ヴァランガード」がその傍らを進軍し、「ゴーントサモナー」のおぞましき魔術がその指令に従う。 伝説的なデーモンの剣「諸王の殺害者」を佩き、三頭の魔獣「ドルガール」に騎乗して〈永久に選ばれし者〉は戦場の空をゆく。 アーケィオンの武勇には何者も匹敵し得ないがゆえに、彼と刃を交える愚か者は、すぐにも己が血潮で地を潤おすことになる。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:エヴァーチョーズン 第2版」(battletome Everchosen)P34 イラストより スレイヴ・トゥ・ダークネス 【概要】 前作の「ウォーリア・オブ・ケイオス」に当たる軍勢。〈禍つ神々〉を崇拝する元人間だった渾沌の戦士達。 渾沌の暗黒神を崇める定命の崇拝者たちは集結し、強大な軍団となってしばしば大征服を行う。暗黒の神々の恩寵を受け、肉体や精神の変異による強化を受けている。 自分の傾倒する〈禍つ神々〉である4大神のうちの一柱又は、〈禍つ神々〉全体からの注目を浴びるために、力あるものとの決闘や大虐殺を行い、実力を示す。実力を認められた戦士は、さらなる神々の恩寵を受けていく。 この鎧を纏った軍団の指揮官は暴君として王国を支配する戦士王となることを目論んでいるが、彼の最終的な目標は転生し強大なデーモンとなることである。しかし、数多くの恩寵を授かった戦士はやがて変異による肉体の限界を超え、ただの醜きケイオススポーンに成り下がってしまうことも珍しくない。 ブレイド・オヴ・コーン 【概要】 殺戮の神コーンに傾倒する残忍な殺戮の戦士。禍々しき主人の注目を浴びようと、血を流し、獲物の頭蓋を集める。 ブラッドバウンドと呼ばれるコーン神を崇拝する殺戮の戦士たちは、手当たり次第に敵を血祭りにあげて襲撃を繰り返す。 コーン神の軍勢には魔法使いはいない。なぜなら、魔法は“弱者が使う慰みの手段”として嫌っているからである。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:ブレイド・オヴ・コーン 2版」(battletome Blades of Khorne) 表紙イラストより ディサイプル・オヴ・ティーンチ 【概要】 変化の神ティーンチに傾倒する魔術の戦士。魔術はもちろんのこと、策略、陰謀、権謀術数を使いこなす滑稽さを持つ。 戦士はみな獣の顔や角などの変異を受ける。ティーンチの軍勢が行く地には、変化が訪れる。 人間の狂信者が、気まぐれな魔術の師にひたすら服従する中、上級魔術師やいたずらっぽいディーモンたちが、輝く魔力で空気を満たし、周囲の物を変化させていくのだ。 画像出典:Warhammer Community Webサイト「Faction Focus Disciples of Tzeentch」の記事(2018/05/22)より。 マゴットキン・オヴ・ナーグル 【概要】 腐敗の神ナーグルに傾倒する疫病の戦士。皆「ナーグリング」による変異によっておぞましい姿をしている。 体は腐敗し、臓物が出ており、触手が生えているが、彼らの体はあらゆる病や不快感、痛みが感じられなくなっている。 そのため腐敗の神の眷属たる彼らは、常人をはるかに超える耐久力を誇る。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:マゴットキン オヴ ナーグル 2版」(Battletome Maggotkin of Nurgle)P12 イラストより ヘドナイト・オヴ・スラーネッシュ 【概要】 欲望の神スラーネッシュに傾倒する快楽を求めし狂戦士。見た目はスラーネッシュの姿をかたどったかのように、 体の半分が男性、もう半分が女性になっている官能的で変態な姿をしている。 スラーネッシュの信奉者たちは、より強い快楽を求めて「慰み者」になる敵を探し、拷問などの卑劣な手で快楽を得る。 現在、スラーネッシュ神はアエルフの神々に捕らえられ、信者たちは神を探すためにさまよい続けている。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:スラーネッシュのヘドナイト 第2版」(Battletome Hedonites of Slaanesh)P31 イラストより ビースト・オヴ・ケイオス 【概要】 前作から引き続き登場。〈定命の諸領域〉に渾沌の魔力が入り込み、自然の生物が変異したビーストマン(獣人)の群れ。 凶暴な怪物たちは純粋な悪意しか持たず、暗黒神を称えながら〈定命の諸領域〉各地を衝撃する。 獣人の他にも、禍々しい姿を持つ巨大なモンスターや複数の生物が融合した「キメラ」まで多種多彩。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:ビースト・オヴ・ケイオス 第2版」(Battletome Beasts of Chaos) 表紙イラストより スケイヴン 【概要】 前作から引き続き登場。ウォーハンマー世界崩壊時に、新たに暗黒の神々に名を連ねた〈偉大なる角ありし鼠〉を信奉するネズミ人間の軍。 一応渾沌の軍勢に所属しているが、前作同様利己的な性格は変わらず同族ですら簡単に裏切る。「グレイシーア」と呼ばれる指導者階級と、「ヴァーミンロード」と呼ばれるディーモンがスケイヴン軍勢の統括を行っている。 同勢力内でも多くの氏族が存在し、実験生物を生み出す「モウルダー」氏族、錬金術に長けている「スクリール」氏族などが存在する。 画像出典:ウォーハンマーAoS「バトルトーム:スケイヴン 第2版」(Battletome:Skaven) P4イラストより 目次に戻る ウォーハンマー40000に登場する渾沌の軍勢 [部分編集] 「ああ、見よ。貪欲なる悪魔たちが、巨大な軍勢となって進むさまを!天は魔焔 ( まえん ) に焼かれ、荒廃した街を血の川が次々と押し流すであろう。神々の兵団は、行く手に立ちふさがる敵すべてを殺し、壊し、犠牲者たちの魂をむさぼり喰らいながら進みゆくのだ。」 宇宙を舞台に移した本作では帝国(インペリウム)および異種族(ゼノ)の各種族にとっての宿敵として描かれる。 FB,Aosとは異なり、スラーネッシュ神はアエルダリ族の 失墜 から生まれた設定となっている。 基本的にケイオスの信者は人間が中心で異種族の信者は少ない。 そのため、帝国の裏切り者や体の変異したミュータント、人体を機械化したサイボーグなど元帝国関係者が多い。 また、帝国は臣民に対してケイオスディーモンの存在は秘匿されており、無かった事にしようとしている。 本作の渾沌の軍勢はFBでいう「渾沌の荒野」にあたる「恐怖の目」と呼ばれる領域を中心に活動を行う。 画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ケイオススペースマリーン第8版」(Codex Chaos Space Marines)P54,P55 イラストより ケイオススペースマリーン(ヘレティック・アスタルテス) [部分編集] 「Death To the False Emperor!!」(偽りの皇帝に死を!!) 【概要】 人類を裏切り、渾沌に信仰を捧げたスペースマリーン。人類最高の技術と渾沌の魔術が融合した恐るべき敵手。 銀河の西側にあるアイ・オブ・テラー(恐怖の目)に拠点を構え、帝国にブラッククルセイド(黒き征戦)と呼ばれる渾沌勢力による大攻勢を幾度となく仕掛ける。 帝国の過剰に厳格な体制に耐えられなくなったものが裏切るものが多く、今でもケイオスに墜ちるスペースマリーンが後を絶たない。 皇帝を「偽りの皇帝」と呼び、暗黒の4大神の代理戦士として今日も人類の帝国を覆す恐るべき戦いに身を投じる。 他にも変異生命体や狂信者たちを配下に迎え入れている。 渾沌の神々に仕えし大逆者ケイオス・スペースマリーンについてはこちらを参照されたし。 画像出典:小説「Horus Heresy Slaves To Darkness」表紙イラストより 「汝、破壊がために破壊し、殺戮がために殺戮せよ」 その他渾沌の軍勢 [部分編集] 渾沌勢力は上記のケイオススペースマリーンやケイオスディーモンだけではなく、それらに手を貸す様々な軍勢も存在する。 常人の狂信者やおぞましき兵器を製造する技術司祭など、どの組織も恐ろしい暗黒神のしもべ達で構成されている。 「ダークメカニクス」 万機神(オムニシア)に使える信徒であったアデプトゥス・メカニクスが渾沌に堕ちた大逆者。 「ヘルフォージ」と呼ばれる工業惑星で混沌の軍勢の為の兵器を製造する。 渾沌の禍つ神々に祝福されし恐るべき魔動機(兵器)や武器を作りだす。 ホルスの大逆時に火星を中心としたアデプトゥス・メカニクスも「皇帝派」と「ホルス派」の2つに派閥に分かれて内戦が勃発。 その片方であるホルス派のアデプトゥス・メカニクス達が後にダークメカニクスとして大逆者たちに力を貸す。 「ケイオスナイト(大逆騎士)」 インペリアルナイトのケイオス版。「クエスター・トレイタリス」、「レゲネイトナイト」とも呼ばれてる。 「ケイオスカルティスト」 ケイオスに堕ちた武装した一般人の信者たち。 暗黒神にその実力が認められると、身体が変異する贈り物を賜る。 目次に戻る 汝、追記・修正を行う際は、その身を渾沌に捧げよ。さすれば〈禍つ神々〉から祝福を授かるだろう……。 (C) Copyright Games Workshop Limited 2021. GW, Games Workshop, Citadel, White Dwarf, Space Marine, 40K, Warhammer, Warhammer 40,000, the ‘Aquila’ Double-headed Eagle logo, Warhammer Age of Sigmar, Battletome, Stormcast Eternals, and all associated logos, illustrations, images, names, creatures, races, vehicles, locations, weapons, characters, and the distinctive likenesses thereof, are either (R) or TM, and/or (c) Games Workshop Limited, variably registered around the world. All Rights Reserved. △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] こめんとてすと -- (名無しさん) (2019-04-21 23 07 59) ウォーハンマー世界を遊戯のための盤面として弄び、他の暗黒神を出し抜くために果てなき遊戯を続ける……プレイヤーの事かな? -- (名無しさん) (2019-04-21 23 27 44) まさかのウォーハンマー ↑ ゲームマスターの事じゃね? 自覚はあります -- (名無しさん) (2019-04-22 09 57 17) スラーネッシュの宮の6つ目の領域が5と同じになってる -- (名無しさん) (2019-05-10 16 40 18) 「クリムゾンスローター」の文章が途中で終わってる -- 名無しさん (2020-09-19 15 15 18) もしかしてこれ、どの世界線でもケイオス対ケイオス間での戦いが発生してたりする? -- 名無しさん (2020-12-04 22 19 49) 一応書いてある通りだけど、基本はケイオスの神々同士は相争っているよ。ただし、現実世界に関心を向けることもあり、場合によっては現実世界への征服などを目的としてケイオスの神々が手を組んで戦うことも珍しくないね。 -- 名無しさん (2020-12-05 19 33 34) オルクとケイオスの関係ってどうなんだろう?オルク側はケイオスを良い喧嘩相手だと思ってそうだが、ケイオス側は正直関わり合いになりたくなさそう。 -- 名無しさん (2020-12-05 19 56 14) ↑ かなり昔のバージョンだとコーン信者のオルクもいた。今は、人生の悩みがないオルクは誘惑しにくいから、世界がオルクばっかりになったら神も弱体化しそう -- 名無しさん (2020-12-13 22 47 33) ケイオスって結構インテリだから、頭からっぽのオルクは根本的に相いれない存在。 -- 名無しさん (2020-12-16 19 39 48) 禍つ神々全体に帰依している勢力はどの神が指揮権を握ってるのだろうか? -- 名無しさん (2021-01-10 01 45 43) 最近はまたコーンのほうがわかりやすいからコーンに移動するオルクもちょくちょくいることになってる。あと分かたれざる渾沌はどの神も指揮権を握ってない代わりに加護もほぼないので他の神にちゃんと仕えてる連中からはタマなし扱いで実はなめられてる(その状態で指揮を取れるからアバドンはすごいんだが -- 名無しさん (2021-02-11 13 23 59) 混沌の四大神すらグレートゲームそっちのけで熱中するアメフトとは一体….… -- 名無しさん (2021-06-13 15 33 35) ブラッドボウルのことねw 戦争や征服そっちのけでアメフトに集中するとかどんだけお前らアメフト好きなんだよとw -- 名無しさん (2021-06-14 18 47 24) まじめに銀河を魔神から救いたいなら、ティラニドかネクロンに知的生命体をせん滅しかないという・・・オルクに勝たせてもティーンチぐらいは消せるか -- 名無しさん (2021-06-14 20 00 36) いっそのことブラッドボウル40Kも出ないかな?ティラニッドの扱いがどうなるか分からんけど。 -- 名無しさん (2021-06-17 20 02 19) ええっと、ケイオススペースマリーンが居る恐怖の目は現実宇宙にある一定の領域でそれはそれとして四大神の住む混沌の領域という別宇宙があるって認識でいいのか? -- 名無しさん (2021-07-30 00 26 32) ↑それであってるよ。現実宇宙とは違って〈渾沌の領域〉という別世界が別次元に存在し、〈恐怖の眼〉は現実宇宙と〈渾沌の領域〉を繋ぐ出入口にもなってる。下手したら40Kの世界からAosやFBの世界へとつながる可能性もあるという。 -- 名無しさん (2021-08-03 19 39 13) ええと、スラーネッシュが司る快楽というのは要するにエンジョイ エキサイティングという事だろうか? -- 名無しさん (2021-10-15 22 55 26) オルクの記事のケイオスを超えたカオスっぷりを読むと・・・ナーグルすら汚いけど、まとまってね?って思ってしまう -- 名無しさん (2021-10-15 23 32 31) ク=ガス、 -- 名無しさん (2021-11-18 01 43 19) ↑ミス、ク=ガス、今大変な事になってるらしいっすね… -- 名無しさん (2021-11-18 01 46 23) わざわざ7体のグレート・アンクリーン・ワンと主力軍更にパパから鉄鍋を直に持ち込む→総主長グィルマンの暗殺に失敗→「裂け目の戦争」というケイオス間のいざこざに不参加+モータリオンとの同盟維持→戦争不参加や鉄鍋が破損したことでロティガスから「パパが怒ってたよ」と言われグレートアンクリーンワンの地位を剥奪。現実世界への具現化が出来なくなった -- 名無しさん (2021-12-29 18 59 35) え、なんかその書き方だとモータリオンとの同盟がいけない事みたいに解釈できるけど、なんで? ナーグルの勢力が大幅に拡大したの、モータリオンのおかげでしょ? -- 名無しさん (2022-04-29 00 14 35) 現在の設定に詳しくないので、あくまで個人的意見ということで。ナーグル神は確かに下僕に慈悲深い神だけど、混沌の神だけあって気まぐれだし、何より自分の意に反した行動とられたら流石に激怒する。モータリオンがどうであれ、ナーグル神の呼び出しを無視したら懲罰は避けられない。まして上級悪魔がそんなことしたら存在抹消されても文句は言えないかと。 -- 名無しさん (2022-05-07 20 23 59) MTGとのコラボ企画でとりあえずアバドンの参戦が確定したみたいですね。あとコーン神の信徒が信仰に基づき殺戮を捧げる様をモチーフとしたインスタント「血の神に血を捧げよ!」も公開されてたけど「黒赤(配色がそれっぽいのはもちろんMTGでも一際によくも悪くも自分の望みを叶えることや自由を求める意志が強い2色の組み合わせなので、必然的に欲望のためなら流血も辞さないのうな最も血生臭い類の奴等はこの2色に列する者として扱われることがほとんど)」「このターンに死亡したクリーチャーの数だけコストが減る(言わずもがな殺戮の神。ご丁寧にコーン神の聖数「8」が不特定コストとして印されており最大8体まで生け贄を受け入れてくれる)」「今の手札を捨て、別の手札を引く(現状を維持するための秩序や理とは対極に位置する、今の在り方を歯牙にもかけず変容し推し測り得ぬ混沌。ご丁寧にドロー枚数も「8枚」」)「各対戦相手にダメージを与える(最早言わずもがな。こちらもご丁寧に「8点」)」と一目でわかるくらい見事にコーン神してて納得いきすぎて吹いた -- 名無しさん (2022-05-14 18 59 26) コーン神は敵味方問わずに流血をお望みになってらっしゃるのだ・・。MTGのスタッフがちゃんと元ネタの設定を知っているからこそ、カードの効果ににも敵味方問わない犠牲を必要としているのが反映されている。 -- 名無しさん (2022-05-15 11 09 58) Blood for the Blood god!! Skull for the Skull Throne!! -- 名無しさん (2022-07-04 09 11 22) メタ的には裏切る前との差別化だけど、なんでケイオスに堕ちるとみんなとりあえず角をつけるんだろう?オルクにすらトゲトゲ野郎って突っ込まれてるし -- 名無しさん (2022-07-27 17 55 14) 5人目の神マリスは無かった事になってるだっけな?問題児過ぎて魔界からも追放されたやつ。 -- 名無しさん (2022-10-17 09 15 30) ↑2 おそらくケイオス勢力がなぜトゲトゲ装飾をしているのかは、ケイオスの紋章を模しているのかと思う。トゲが八方面に出ているケイオスの紋章のように、鎧や武器を角やトゲで装飾しているのかと。 -- 名無しさん (2022-10-17 21 58 55) あれ装飾してるのかな?混沌の祝福で生えてくるのだとばかり。 -- 名無しさん (2022-11-02 00 06 32) 戦争と闘争だけに満たされたウォーハンマー世界において、コーンは真理だな -- 名無しさん (2022-12-26 19 38 02) このディーモンどもを自力で殲滅してしまうカタチアン(とその地元住民)とは一体…… -- 名無しさん (2023-01-18 09 27 43) 一言で言うと「宇宙の全知的生命体の敵」となるような勢力なのに、「ケイオス:知的生命体の想念から生じ、ありとあらゆる形の悪徳や退廃を好んでやまない“絶対悪”」「ティラニッド:進化・繁栄といった生命体の行動原理を極限まで突き詰めた結果、あらゆる環境に適応しあらゆる生体資源を糧として狙うようになった“絶対生物”」といった感じで差別化されてるのが面白く思う。 -- 名無しさん (2023-06-03 20 45 45) コーン神はとにかくバトルで相手が倒されればオッケーなので一番ニュートラル(?)な神と言えなくもない…みたいなことを外国wikiで見た. 善のパラディンだろうとジャンプのヒーローだろうと問題ないんだとか。そんな神のお気に入りの漫画は北斗の拳と聞いて草が生えたんだ -- 名無しさん (2024-01-04 03 55 15) 怒りのコーンVS喜びのスラーネッシュ、希望のティーンチVS絶望のナーグルより、脳筋のコーンVS策略と魔法のティーンチ、美のスラーネッシュVS醜のナーグルのほうがあってる気がする。あいつらから見れば些細なことだろうけど -- 名無しさん (2024-01-04 09 01 28) 墜ちるならどこがいい? -- 名無しさん (2024-05-23 20 14 00) 名前 コメント
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ノヴァグラップラー - エイリアン グレード〈3〉 ノーマルユニット (ツインドライブ!!) パワー 10000 / シールド - / クリティカル 1 自【V】【LB4】:あなたのメインフェイズ開始時、あなたの《ノヴァグラップラー》のリアガード1枚につき、あなたのダメージゾーンから1枚選び、表にする。 自【V】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、そのバトル中、このユニットのパワー+3000。 フレーバー:異形を取り込み、更なる混沌が生まれ出ずる!震えよ、ケイオス・ストリーム! 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 面白いと思う 2 (40%) 2 使ってみたいと思う 1 (20%) 3 弱いと思う 1 (20%) 4 強いと思う 1 (20%) その他 投票総数 5 コメント
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ウォリアー・オヴ・ケイオス アーミーリスト ロード 終焉 の主アーケィオン 685pt 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 アーケィオン 4(8) 3 3 3 4 1 2 1 7 ドルガール 8(16) 4 0 5 5 1 3 3 9 ユニット種別 モンスター・キャバルリー 制限: アーミーに迎えられるアーケィオンは1人まで。 初期装備: モルカルの鎧/王族殺し/破滅の帝冠/シーリアンの眼 スペシャル・ルール: 暗黒神のまなざし/神々に愛でられし者/混沌の剣/終末の軍馬 ケイオスドラゴンの父祖”ガルラーク 616pt 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 ガルラーク 6(12) 6 6 6 6 6 6 6 9 ユニット種別 モンスター 制限: アーミーに迎えられるガルラークは1人まで。 マジック: ガルラークはレベル4ウィザードだ。ティーンチ神の魔法体系からスペルジェネレイトせよ。 スペシャル・ルール: 混沌の意志力/恐慌/飛行可能/スカリィスキン(3)/ラージターゲット/ドラゴンソーサラー/ブレスウェポン/ガルラークの魂/主の刻印:ティーンチ神 絢爛たる”ジークワルド王子 425pt 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 ジークワルド 4(8) 8 3 5 4 3 8 5 10 ユニット種別 インファントリー 制限: アーミーに迎えられるジークワルドは1人まで。 初期装備: シールド/黄金の鎧/棘の剣 スペシャル・ルール: 暗黒神のまなざし/鋼鉄の意志/快楽神の寵児/究極の自己陶酔/主の刻印:スラーネッシュ神 太陽喰らい”コレック 605pt 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 コレック 8(16) 8 3 8 6 8 1 7 9 ユニット種別 モンスター 制限: アーミーに迎えられるコレックは1人まで。 初期装備: 星つぶし/嵐の鎧 スペシャル・ルール: ラージターゲット/心理ルール無視/スカリィスキン(4)/恐慌/雷の憤怒/いにしえなる者の誇り/嵐の先触れ 血化粧の女”ヴァルキア 410pt 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 ヴァルキア 4(8) 9 3 5 5 3 8 6 9 ユニット種別 インファントリー 制限: アーミーに迎えられるヴァルキアは1人まで。 初期装備: 悪魔の盾/スロウプニル/紅の鎧 スペシャル・ルール: 混沌の意志力/暗黒神のまなざし/飛行/恐慌/コーン神の妃/闘志鼓舞/コーン神の凝視 呪われし子”ヴァイリッチ 395pt 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 ヴァイリッチ 4(8) 5 1 5 4 3 5 3 8 ユニット種別 インファントリー 制限: アーミーに迎えられるヴァイリッチは1人まで。 マジック: ヴァイリッチはレベル4ウィザードだ。ティーンチ神の呪文体系のスペル6つすべてを知っている。 初期装備: ハンドウェポンx2(二刀流)/ケイオスアーマー/混沌の器 スペシャル・ルール: 混沌の意志力/暗黒神のまなざし/強大なる妖術師/主の刻印:ティーンチ神 ケイオスロード 210pt 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 ケイスロード 4(8) 8 3 5 5 3 7 5 9 ユニット種別 インファントリー 初期装備: ハンドウェポン/ケイオスアーマー スペシャル・ルール: 混沌の意志力/暗黒神のまなざし オプション 武器(いずれか1つ) グレイトウェポン 12pt 追加のハンドウェポン(二刀流) 8pt フレイル 8pt ハルバード 8pt 防具 シールド 10pt 主の刻印 コーン神 15pt ナーグル神 20pt ティーンチ神 10pt スラーネッシュ神 5pt 騎乗 ケイオスドラゴン 360pt ケイオススティード(バーディング装備) 24pt マンティコア 200pt デモニックマウント 50pt チャリオット 100pt ディスク・オヴ・ティーンチ 20pt ジャガーノート・オヴ・コーン 50pt パランクイン・オヴ・ナーグル 50pt スティード・オヴ・スラーネッシュ 25pt マジックアイテム 好きな組み合わせで合計100ptまで選べる。 混沌の褒賞 好きな組み合わせで合計50ptまで選べる。 編集
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目次 目次 ディーモン・オヴ・ケイオスのアーミースペシャルルール ディーモン・オヴ・ケイオスのアーミーリストロードロード1 ヒーローヒーロー1 コアコア1 スペシャルスペシャル1 レアレア1 ナーグルの魔法体系スペル スラーネッシュの魔法体系スペル ティーンチの魔法体系スペル ディーモン・オヴ・ケイオスのマジックアイテムマジックウェポン マジックアーマー タリスマン アーケインアイテム エンチャンテッドアイテム ディーモン・オヴ・ケイオスのアーミースペシャルルール スペシャルルール1:説明 上へ ディーモン・オヴ・ケイオスのアーミーリスト ロード ロード1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 初期装備: 魔法: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ ヒーロー ヒーロー1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 初期装備: 魔法: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ コア コア1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 ユニット規模: 初期装備: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ スペシャル スペシャル1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 ユニット規模: 初期装備: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ レア レア1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 ユニット規模: 初期装備: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ ナーグルの魔法体系 魔法体系の特性: スペル (基本スペル) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 上へ スラーネッシュの魔法体系 魔法体系の特性: スペル (基本スペル) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 上へ ティーンチの魔法体系 魔法体系の特性: スペル (基本スペル) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 上へ ディーモン・オヴ・ケイオスのマジックアイテム マジックウェポン マジックウェポン1:説明 マジックアーマー マジックアーマー1:説明 タリスマン タリスマン1:説明 アーケインアイテム アーケインアイテム1:説明 エンチャンテッドアイテム エンチャンテッドアイテム1:説明 上へ
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目次 目次 ウォリアー・オブ・ケイオスのアーミースペシャルルール ウォリアー・オブ・ケイオスのアーミーリストロードロード1 ヒーローヒーロー1 コアコア1 スペシャルスペシャル1 レアレア1 ナーグルの魔法体系スペル スラーネッシュの魔法体系スペル ティーンチの魔法体系スペル ウォリアー・オブ・ケイオスのマジックアイテムマジックウェポン マジックアーマー タリスマン アーケインアイテム エンチャンテッドアイテム ウォリアー・オブ・ケイオスのアーミースペシャルルール スペシャルルール1:説明 上へ ウォリアー・オブ・ケイオスのアーミーリスト ロード ロード1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 初期装備: 魔法: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ ヒーロー ヒーロー1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 初期装備: 魔法: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ コア コア1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 ユニット規模: 初期装備: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ スペシャル スペシャル1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 ユニット規模: 初期装備: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ レア レア1 xxxP 移 接 射 攻 耐 傷 敏 回 気 兵科 ユニット規模: 初期装備: スペシャルルール スペシャルルール1:説明 オプション 上へ ナーグルの魔法体系 魔法体系の特性: スペル (基本スペル) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 上へ スラーネッシュの魔法体系 魔法体系の特性: スペル (基本スペル) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 上へ ティーンチの魔法体系 魔法体系の特性: スペル (基本スペル) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 上へ ウォリアー・オブ・ケイオスのマジックアイテム マジックウェポン マジックウェポン1:説明 マジックアーマー マジックアーマー1:説明 タリスマン タリスマン1:説明 アーケインアイテム アーケインアイテム1:説明 エンチャンテッドアイテム エンチャンテッドアイテム1:説明 上へ
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毎夜、沫坂 蓮介はテレビ消さずに眠る。つけっぱなしで朝を迎え、早朝のニュース番組の音で目を覚ます。 居間のソファーで寝るようになってから、もうどれくらい経つだろうか。沫坂は疲れの残る身体を起こし、顔を洗うより歯を磨くより先に、まずテレビの音量を上げる。 そしてアナウンサーが読み上げるニュースに耳を澄ます。番組が終わるまで、沫坂はテレビから目を離さない。 ニュースが終わると、彼はコーヒーを片手に新聞を読む。政治や経済、スポーツ記事は読まない。事件、事故の面だけを読む。 何かを探すかのように、じっくりと全ての事件に目を通す。そして読み終えると、どことなく物足りなさそうに新聞をたたむ。 それからようやくシャワーを浴び、朝食をとり、身支度をはじめる。これが彼の朝である。 “あの夜”からずっと、沫坂 蓮介の日々はこんな感じだ。 その日は日曜日、立会人にとっても休日である。毎週日曜、沫坂は行きつけの小さな喫茶店に向かう。 愛車のキーを手にとって、沫坂は玄関の扉を開けた。 願いと報復のコズミック・ケイオス 左ハンドルの愛車を走らせ店に向かうとき、沫坂はその前にある小さな家を訪ねることにしていた。 冬枯れの並木道を抜けると、寂しげな空模様の下、わびしい風景の中にぽつんと建つ一軒の家が見えた。 緑色で可愛らしい、木造の家だった。沫坂は家の近くに車を停め、玄関の前まで向かうと、呼び鈴を鳴らした。 自然に囲まれた家というのは、春先だと深緑の中に溶け込むようで快適なのだろう。しかし冬はただ寒々しいだけだと、沫坂はこの家を訪れる度に思う。 そうこうしていると扉が開き、若い女性が姿を見せた。アーモンド色の長い髪に、雪のような白い肌が映える。 「お待たせ。行きましょうか」 首元のマフラーに顔をうずめて、クリームヒルド・ブライトクロイツは言った。 沫坂が立ち寄ったのは、クリームヒルドの家だった。クリームヒルドを助手席に乗せて、沫坂はエンジンをかけた。 二人を乗せた車は並木道を抜けて、町の方へと走っていった。 第十回トーナメントはクリームヒルド・ブライトクロイツの優勝で幕を閉じ、彼女――クリームヒルドは願いを叶えた。 「トーナメント立会人になる」という願いだった。なぜそんなことを願うのか、立会人になることにどんな意味があるのか、それは本人以外に知るところはない。 過程や背景はどうあれ、今の彼女は立会人である。仕事は沫坂から教わっていることと、まだ初立会を経験していないこと、重要なのはそれらの事実だけである。 「ブレンドコーヒーのホットとチーズケーキ。君はアイスティーとシュトゥルーゲルか?」 「ええ」 「じゃあ、以上で」 喫茶店に入った二人は、窓際の席で机をはさみ向かい合っていた。沫坂は慣れた様子ですらすらと注文し、承った店員が奥へと下がっていく。 毎週日曜の喫茶店は、沫坂とクリームヒルド、二人の習慣だった。日曜の午後、二人はこの店のこの席で、お互いにゆったりとした時間を過ごす。 お菓子を食べて、少しだけ会話を交わしたあと、二人はそれぞれは持ち寄った本を開き活字の世界に没頭する。 クリームヒルドは、この習慣が好きだった。絶品のシュトゥルーゲルに舌鼓をうち、穏やかなジャズの音色を微かに感じながら、思う存分知識の泉に浸かれるのだ。 心地よい静寂に包まれて、二人はいつも窓の外が暗くなるまで、その席で時間を過ごした。 二人の習慣が生まれたのは、クリームヒルドが立会人になった日からひと月ほど経ってからだった。 最初はデートの誘いかとも思ったが、沫坂に下心がないことをクリームヒルドは徐々に知っていった。 喫茶店で過ごすこの時間はもともと、沫坂と今は亡き親友・甲斐谷とのものだったのだ。 甲斐谷との話は聞かされていたから、彼との時間を忘れられず、他の誰かで再現しようとする気持ちは理解していた。 最初は同情から始めた習慣だったが、今ではクリームヒルドにとっても欠かせないものになっていた。 会を重ねていくと、男と女の関係ではなく、先輩と後輩という単純なものでもない、奇妙な関係が出来上がっていた。 「――ふぅ、終わった……。うーん、眼が痛い」 「読み終わったか。もうこんな時間だ、そろそろ帰ろう」 「そうだね……。ごめん、待たせちゃって」 「気にするな、本の虫め。会計を済ませてくる。車のとこにいてくれ」 クリームヒルドが本を閉じると、先に読み終えていた沫坂が言った。 気が付くと、窓の外に見えるのはもうすっかり夜の闇である。店内の客も、自分たちを残すのみとなっていた。 クリームヒルドは、この終わり際が苦手だった。楽しい時間が名残惜しいのは当然だが、それ以上に辛いのが、席を立つ瞬間の沫坂を見ることだった。 「……」 ほんの一瞬だけ、寂しそうな眼をするのである。それは、自分と同様にこの場を名残惜しむものではなかった。 楽しんでいたのは自分だけなのかと、クリームヒルドに思わせる眼だった。 胸中をかりかりと引っ掻くような、そんな沫坂の顔を見てしまうから、クリームヒルドは終わりの瞬間が嫌いだった。 町を抜けて、沫坂はクリームヒルドの家に向かって車を走らせる。 陽が沈み夜になると、クリームヒルドの家の周囲は完全な宵闇に包まれる。街灯もなく、わずかな月明かりと暗順応で小さな家を探すのだ。 しばらく走っていると、沫坂はふいにカーラジオのボリュームを上げた。ここでもニュース番組が流れていて、機械的なアナウンサーの声が車内に反響する。 アナウンサーは、都内で起きた猟奇殺人のニュースを読み上げていた。真剣な表情で耳をそばたてる横顔が、クリームヒルドの視界の端にちらつく。 やがてその事件の犯人が逮捕されたと伝えられると、沫坂はすこしだけ残念そうな眼をして、ラジオのボリュームを下げた。 アナウンサーの声が遠くなり、クリームヒルドは外を眺めながら口を開く。 「……ねぇ、聞いてもいい?」 「ああ」 「あなたの車に乗ると、ラジオはいつもニュースよね。音楽をかけるでもなく、ラジオを切るでもなく、絶対にニュースを流してる。 ただ流してるだけじゃなくて、真剣に聴いてて……何かを待ってるように、私には見える。なぜいつも、ニュースを聴くの?」 クリームヒルドは、沫坂の方を見なかった。沫坂も、前照灯の先だけを見つめている。 「ニュースを見て、聴いて、新聞を読んで……それで、探してしまうんだ。ヤツの姿を」 「……朝比奈 薫?」 「ヤツの痕跡を探して……探している間は、落ち着く」 呟くような声で、沫坂は答えた。 沫坂の右目と、親友を失う原因を作った男――朝比奈 薫。男子高校生、第十回トーナメント参加者、シリアルキラーなど、複数の肩書きを持つ悪魔。 そして、クリームヒルドが下した相手でもある。 クリームヒルドは理解した。朝比奈 薫の存在が、沫坂 蓮介のたった一つの生きる目的になりつつあることを。 「一生、恨み続けて生きていくの?」 「……」 朝比奈 薫を殺す。報復を行う。いつか来るその瞬間を目指して、沫坂は毎日をどうにか生きている。 だから、ニュースの中に朝比奈 薫を期待する。彼が、憎むべき存在がまだ生きていることを確かめたいから。自分の生きる意味がまだ失われていないと安心したいから。 日曜の午後だってそうだ。あの時間には、沫坂の幸せはない。まずいコーヒーとクリームヒルドで、無味乾燥な日々を耐え凌いでいるだけにすぎないのだ。 そんな姿が垣間見えるから、胸が軋む。そして、本人がどんな目的であれ、クリームヒルドにとっては、日曜の午後は何よりもの楽しみである。 だから、より一層辛い。 「いつかは、自分を解放してあげなきゃ……」 沫坂は、何も答えなかった。 枯れ木の並木道を通り、沫坂の車はクリームヒルドの家の前に到着した。 沫坂がエンジンを止めると、冬の冷気が車内をじわじわと蝕んでいくがわかった。 ふぅ、と白い息をはいて、クリームヒルドはシートベルトを外した。 「送ってくれてありがとう」 「ああ」 「帰ったらなにをするの?」 「テレビをつけて、風呂入って、酒飲んで……で、寝るかな」 「……日曜の夜は、いつもそう?」 「いや……毎日こんな感じだな」 ハンドルにもたれ、ぶっきらぼうに言う沫坂。クリームヒルドは、そんな沫坂の横顔をまじまじと見つめ、言う。 「時々ね、こんな想像をするんだ。日曜の午後、私はいつものようにあなたの車を待ってる。服を着て、化粧をして、ここで読む本をカバンに入れて……。 ……けど、いつまで経ってもあなたは来ない。自分の人生を見つけたあなたは、私の家には寄らずにそのままどこか遠くへ行ってしまうの。 ――そんな日がいつか来ることを、願ってる」 それは本心からの『願い』だった。クリームヒルドの、沫坂に対するささやかな願望。 幼い少女が夢に描くようなハッピーエンドを、彼女は隣に座る男の人生に願っているのだ。彼女の『願い』は、彼女が吐き出す白い息と共に、宙に溶けていく。 「……なぜそんなことを? 俺といるのはつまらないか……?」 「ううん、あなたとお茶を飲むのは本当に楽しい。私にはそれくらいしかないもの。でもあなたには、もっと他に幸せがある」 伺うような沫坂の声に、クリームヒルドは柔らかな声色で言葉を返す。これも、紛れもない本心の表出だった。 まだ知り合って日は浅いが、沫坂 蓮介という男がどういう人間なのか、クリームヒルドは把握していたつもりだった。 一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、こんなところで立ち止まって欲しくない、そう心から強く思うようになった。 きっと彼の中で、複雑な感情たちが渦を巻いているのだろう。 その渦に飲み込まれて、もがくしかできない状況なのだ。 クリームヒルドはそんな風に彼の心情を想像していた。 「……じゃあね。おやすみなさい。また来週」 「……ああ、おやすみ」 車を降りると、外は一層寒かった。白い手を小さく振って、クリームヒルドは家の中へと姿を消した。 彼女が帰ったのを見届けて、沫坂は車のキーを再びひねる。エンジンが動き出して、アナウンサーの事務的な声が車内を満たす。 車は、宵闇に沈んだ車道を走り出した。ラジオから流れる無機質なニュースが沫坂の耳朶を打つが、それらは音の羅列にすぎなかった。 いつかは、自分を解放してあげなきゃ…… 頭の中に木霊する、彼女の言葉。沫坂の脳内に、それ以外の音が入り込む余地はなかった。 トーナメントの長い歴史の中で、命を落とした者は決して少なくない。 大抵は参加者だし、運営側で亡くなった人間もいる。例えば、沫坂の親友の甲斐谷立会人もその一人である。 命を散らした彼らは、関東某所のとある霊園に納骨される。その所在を知るのは、トーナメント運営のなかでも限られた一部だ。 沫坂は、その限られた一部だった。第十回トーナメントで死亡した小早川 武人、そして甲斐谷がこの場所で葬られたことを知っていたし、ここを訪れることを許されてもいた。 沫坂はその日、初めて霊園に足を運び、甲斐谷の墓を参ることにした。 園内を少し歩いて、甲斐谷の墓を見つける。そこにはまだ真新しいが、しかしながら厳かな雰囲気を放つ墓石がどっしりと構えられていた。 「……よぉ、甲斐谷」 一言呟いて、沫坂は手桶の水を墓石に少しずつかけていく。 「嫁さんと同じところに入れなかったのは、残念だったな……。 ……俺に文句言うなよ。むしろこっちが文句言いてえくれーだ、クソ野郎」 しゃべりながら、花瓶に水を注ぎ、茎を切った花を差し込む。 「……こないだ、後輩に説教されたよ。結構胸にキた……あの子は俺よりお前より、きっと良い立会人になるだろうな。そう思うよ」 花を添えて、沫坂は甲斐谷の墓を見つめた。自分が話しかけているのは、ただの無機質な石である。 返事など返ってこないし、そこに自分の探す答えなどないことはわかっていた。わかっていたが、自然と口が動いた。 こうするしかなかった。昔から、いつも悩みや愚痴は甲斐谷に向かって吐き出してきた。自分の中に燻る思考や言語を、ほかの何にぶつければいいのか、知らないのだ。 だから、死しても甲斐谷を頼るしかなかった。物言わぬ石に話すしかできなかった。 「立会人として、先輩として、ひとりの男として……かっこわりーとこ見せてらんねーよ。 わかってんだ。俺もお前も……決着、つけねーとな」 待ってみても、甲斐谷が助言をくれることはもうない。ここからは、一人で答えを出さなければならない。 冷たく佇む墓石を前に、沫坂は理解し、そして決意を固めた。 これを行えば、もうあとの人生には何も残されていないような気がして、怖かった。 だから、決断できなかった。けれど、それでは何も終わらないし、変わらない。 自分も、甲斐谷も、そして朝比奈 薫も。こんな惨めな因縁からは、みんな解放されるべきなのだ。 たとえハッピーエンドでなくてもいい。もうここで、この混沌を終わりにしたい。 彼はようやく決断した。立会人としての、そして沫坂 蓮介という一人の人間としての、最後の闘い―― ――朝比奈 薫への『報復』を。 そうして、沫坂は甲斐谷の墓をあとにし、腹を決めた眼差しで、来た道を戻っていったのだった。 「クリームヒルド、君に立会をお願いしたい」 それから数日後、沫坂は人気のない廃デパートの屋上にクリームヒルドを呼び出し、彼女に向かってそう言った。 彼女は、すぐになんのことか察した。しかし、すぐには否定も肯定もしない。 遠くの景色に目をやると、ねずみ色の寒々しい空が町を覆っている。薄暗くて、息のつまりそうな印象の空模様は、まるで沫坂の結末を暗示しているかのようだ。 クリームヒルドはそんな風に感じてしまったが、決してそれを表に出さなかった。 朝比奈 薫の恐ろしさは十分承知しているし、沫坂はそれを自分以上に身にしみて理解していることもわかっていた。 不安を覚えないわけがない。だが、芽生えたものを表に出してはならない。 今はただ黙って受け止める――それ以外の態度は許されない。意見や反論は、そのあとである。 吹き込む冷たい風が、沫坂の吐く息を散り散りにした。 クリームヒルドの長い髪が風に揺れる。彼女は静かに、沫坂の言葉を待った。沫坂の瞳だけを見据えていた。 そして、沫坂が再び白い息を吐く。 「俺とヤツの結末を……見届けてくれないか」 クリームヒルドは、その『願い』に意見したりはしなかった。彼女はただ静かに頷いた。 「セッティングするわ」 それが、立会人・クリームヒルドの最初の立会いであり、沫坂のクリームヒルドに対する最初で最後の『願い』だった。 S県K市を騒がせていた不可解な連続殺人は、その年の冬に差し掛かると隣県にまで魔の手を伸ばし始めていた。 逮捕の危険を感じて場所を移した、ということではなかった。警察は相変わらず手がかりをつかめずにいたし、殺人鬼本人もそんな心配はしていなかった。 ただ単純に、殺人に貪欲になっただけである。その男は、週に必ず一人は殺さなければ満足できない身体になってしまっていた。 そして、そんな自分をもう抑えようともしていない――シリアルキラー、朝比奈 薫は。 I県南部、T市。その夜、学校から帰ってきた一人のある女子高生は、駅を降りてからずっと、だれかの不気味な視線を感じていた。 ねっとりと背中を這いずるような、形を持つ気配。振り返ってみても、宵闇が広がるだけで誰の姿もない。 女子高生は恐ろしくなり、多少遠回りにはなるが、なるべく人通りのあるルートを帰路に選んだ。 しかし、肌にまとわりつく得体のしれない恐怖――それは一向に消えない。それもそのはず、女子高生がすれ違う全ての人々が、中毒者のような虚ろな眼で浮かべているのだ。 誰ひとりとして、言葉を発さず、他者を見ようともせず、どこへ向かおうともしていない。ただ、ふらふらと歩いているだけなのである。 こんな光景を、彼氏のやるゲームの中に見たことがある。 なんだっけな、あれ。そうだ、バイオハザードだ、などと思いだして、それから女子高生は必死に、彼氏や家族、学校など楽しいことを頭に浮かべる。 頭の中を覆い尽くすように、楽しいことだけを考える。それでも、ほんの少しの恐怖でそれらはいともたやすく霧散する。 そのときだった。 「ねえ君、君だよ」 背中から、突然誰かに呼ばれて、女子高生の足は止まった。恐怖に凍りつき、動かなくなってしまった。 振り返ることはできない。怖くてできない。できないが、声の主が目の前に出てきてくれたので、その必要はなかった。 「こんばんは……。突然だけど、ケータイみせてもらえます?」 銀髪、勲章だらけの学ラン、左手に握るヨーヨー。女子高生を呼び止めたのは、朝比奈 薫だった。 薫はヨーヨーをしまい、代わりにカッターナイフを取り出した。カッターの刃をキリキリと伸ばして、女子高生の頬を撫でる。 女子高生は恐怖で顔を引きつらせ、叫ぶこともできない。町の人々は、そんな彼女に我関せずを決め込んで、みな通り過ぎていく。 言われるがまま、女子高生はスマホを薫に差し出した。 「ありがとう。君のお友達の連絡先が欲しいんです。すぐ済ませます」 言いながら、薫は女子高生のスマホの連絡先データを、赤外線で送信。自分のスマホで、それを受信する。 そして受信が終わると、女子高生のスマホをぽいと放り捨て、限界まで刃を伸ばしたカッターを、握り締めた。 「じゃあ悪いっすけど……見なかったことにしていただいて――」 薫が、カッターを女子高生の眼に向けて突き刺そうとした、その瞬間だった。 ぶすり、と凶器が肉を貫く音が響き、直後薫の右手に鋭い痛みが走った。 見ると、どこからか飛んできたクナイが、薫の右手に突き刺さっていた。 握っていられなくなって、薫は思わずカッターを落とした。クナイは、手の甲から刺さり反対側まで綺麗に貫通していた。 「……朝比奈 薫くん。お久しぶりね」 激痛に怯み、右手を抑えていると、別の女の声が薫の耳朶を打った。 薫が声の方を向くと、クリームヒルド・ブライトクロイツが、クナイをくるくると弄びながら、通りを歩いていた。 「……痛っ……てぇ……。……なんだっけ、あんた」 「君! ほら! はやく走って!」 もうひとりの別の声がすぐ近くから聞こえて、振り向く。パーカーにジャケットを羽織ったダボダボなスーツの男が、女子高生を逃がしていた。 名は上路 遊助。こんなナリでも一応はトーナメント立会人である。獲物を逃がされた怒りが、薫の中でふつふつと沸き上がる。 「なにしてんだ? お前……」 「うわぁーッ! ちょっ、ストップ! たんま!」 スタンドの右腕を発現させる薫と、ガチの焦りを見せる上路立会人。 クリームヒルドは、いともたやすく二人の間に割って入る。 「やめなさい。トーナメント運営の人間として、今日は君に良い話を持ってきたんだから」 「……はぁ?」 そう言うと、クリームヒルドは黒いコートの内側から、一通の赤封筒を取り出した。 薫の両目が大きく見開かれる。その封筒には見覚えがある。スタンド使いなら誰しもが夢に見る、魔法の世界へのチケット―― ――トーナメントの招待状である。 「ある男と闘って、もし勝ったら……あなたをもう一度トーナメントに参加させましょう」 クリームヒルドは赤封筒をぴらぴらとなびかせ、不敵な笑みを浮かべて言った。 翌日。クリームヒルド、上路、そして薫の三人は、とある廃デパートの屋上にいた。沫坂がクリームヒルドに立会いを頼んだあの場所だった。 屋上には、錆び付いた遊具や色あせた看板がそのまま放置されていた。それらを目にするたび、時代に取り残され、忘れ去られてゆく哀愁が胸に迫った。 まだ昼下がりの午後だというのに、屋上では太陽の暖かみは一切感じなかった。太陽の存在を疑うくらいに冷たく、そして薄暗い。 空も、足元のコンクリートも、遠くに見える町並みも、灰色だ。乾ききった寒風がびゅーびゅーと吹き荒れては、三人の肌に突き刺さるようだった。 薫は色あせたベンチに座り、ヨーヨーで遊んでいる。そんな様子をぼんやり眺めながら、上路が口を開いた。 「……なー、クリームちゃん。レンちゃんのために、なんでここまでするんだい?」 その隣で、クリームヒルドも同じく薫を眺めている。 「先輩は? 遊助先輩だって、協力してくれてるでしょ? なんでですか?」 「なんでって……そりゃあ、レンちゃんが好きだから」 「私も同じですよ」 クリームヒルドは上路の顔をみて、微笑んだ。上路は、彼女の言葉に嬉しくなった。 自分と同じように、沫坂 蓮介という男の良さを理解し、愛してくれている人がいる。それが嬉しい。 「しかし、もし朝比奈のヤツが勝っちまったら、いよいよオイラたちも不正に手を染めるわけだ……。ヤバイよなぁ……。ズェッテー、粛清されるよなぁ……」 「私は、先輩の命だけで勘弁してもらえるよう、上に掛け合ってみるつもりですけど」 「ひどいだろ! クリームこの野郎!」 すると、キィィと軋むような音を立てて、階段室の扉が開いた。 中から、いつもの学ランを身にまとった、沫坂が姿を見せた。沫坂はウォークマンの再生を止め、両耳のイヤホンを外した。 ヨーヨーで遊ぶ薫の姿を確認し、眉を吊り上げる。 「揃ったね……じゃー始めちゃおっか」 クリームヒルドは屋上の中心に立ち、二人をそれぞれ呼び寄せる。彼女を挟み、沫坂と薫は向かい合う。 その様子を、離れたところから上路が見守っている。 「えーと……じゃあ基本事項から行きましょうか。時間は無制限、武器の使用は可、戦闘区域はこの屋上の範囲内のみ。 フィールドからの長時間の離脱は逃走とみなし敗北とするので、トイレはいまのうちに。 どちらかが死亡、もしくは私が戦闘続行不可と判断した場合、その場で決着とする。降参するときはお早めにお願いします。両者、問題はありませんか?」 「問題ない」 「同じく」 沫坂と薫、二人は互いの瞳から目を離さない。鋭い眼光で抉るように睨む沫坂と、冷ややかな余裕を浮かべる薫。 うむ、と小さく頷いて、クリームヒルドは説明を続ける。 「続いて、決着時の獲得物について。沫坂 蓮介が勝利の場合、獲得物はありません。 朝比奈 薫の勝利の場合、次回トーナメントの出場権が与えられます。両者、問題は?」 「あー、それなんスけど……それだけじゃ足りないッスね。もう一個、要求してもいいですか?」 「なんでしょう?」 「アンタの命だよ、クリームヒルドさん。俺が勝ったら、アンタを殺す。切って、刺して、刻んで、潰して、砕いて、溶かして、アンタの肉と骨と魂を灼いてやる。 成仏なんかさせないよ? たとえ死んでも何度でも殺してやる。それでいいんなら、受けてやりますよ。この勝負」 あまりに横暴な要求と、脅嚇を目的とした言葉の羅列。それには、まず沫坂と上路が反応を示した。が、薫はそれを確認しようともせず、ただクリームヒルドの表情だけを注視してい る。愉しそうに。 薫は、クリームヒルドを思い出していた。前回トーナメントで自分を負かし、一縷の希望を断ち切った女。自分を闇に突き放した女であると。 「だって当然でしょ? 俺、この人に一回襲われてるし。トーナメント出場権はその分の慰謝料でしょ。 今日の分は別として、アンタをめちゃくちゃにしていい権利が欲しいんだよなぁ……。ちょうど昨日ひとり殺し損ねたとこだしねぇ……」 参加者だった女がなぜいま立会人をやっているのか、そんなことはどうだってよかった。あのときの恨みを晴らせればそれでよい、『報復』ができれば。 ただ、運営の人間をプライベートで殺すのはまずかった。そんなことをすれば、底の見えない謎の巨大組織を敵に回すことになりかねない。 欲しかったのは、保障された正当なる『報復』の権利だった。 「あっそう……。ま、そんなもんでいいなら全然構わないですよ、私は。では、確認も済んだところで――」 「クリーム!」 しかしクリームヒルドは、あっけらかんとして薫の要求を受け入れた。その態度は、薫の期待するものとは違っていた。 何事もなかったかのように話を続けようとするクリームヒルドを、沫坂が言い止める。 「……心配しなくていいんだよね? 私」 自分の瞳を覗きこむ相手に、クリームヒルドは一言だけそう言った。その相手――沫坂は、一瞬だけはっとしたような眼を見せた。 そしてそれをすぐにかき消して、力強い表情を浮かべる。再び、薫に向き直った。 「……朝比奈 薫。俺を覚えてるか」 「覚えてますよ。あんときの立会人さんだね? アンタもしつこいね」 「すまなかったな。だが、今日でそれも終わる」 「あぁ、たしかに」 皮膚ごと引き剥がすかの勢いで、氷のような風が二人の身体を打ち付ける。 しかし、二人の肌は寒さを感じていなかった。そんなものにいちいち反応する感覚は、残していない。 全ての感覚を一点に集中させ、備える。視覚も聴覚も、触覚も嗅覚すらも。全ては、この次の一瞬のために。 「お前を地獄の日々から解放してやる――死を以てな」 そして―――― 「アンタの生首でフットサルしてやるよ」 風に乱れる長い髪を無視して、黒衣の立会人は―――― 「クリームヒルド・ブライトクロイツ、立ち会わせていただきます」 ただ冷静に、それを切り落とした―――― 「はじめッ!」 ――――それぞれの『願い』を閉じ込めた、闘争の火蓋を。 それは、ほんの瞬く間だった。否、誰もがまばたきすらできない、本当に短い一瞬。刹那。 相対する沫坂、そしてそれを見届けるクリームヒルド、上路。三人は、火蓋が切り落とされたその瞬間に、朝比奈 薫の姿を見失った。 全ての光を受け付けない、完全なるどす黒い闇――薫のスタンドの“ガス”が、屋上全体に発生し、包み込んだのである。 (こいつ……いきなり!) 沫坂はバックステップで後方へ逃れ、手早く口元をハンカチで覆う。漆黒の中、他の者の姿は見えないが、おそらく立会人の二人も同じ行動を取っているはずである。 そう信じて、沫坂は薫の気配を拾おうと、視界を埋め尽くす“ガス”に集中する。 すると、“ガス”の中で反響するように、不気味に増幅された薫の声が、沫坂の耳を劈いた。 「……ガスの語源を知っているかい? フランドルでの“カオス”の発音が由来らしい。カオス――そう、“混沌”さ」 妖しく響く薫の声が、沫坂の全ての神経を逆撫でし、疲弊させる。 「――俺の“混沌(ガス)”と、アンタの“混沌(ケイオス)”……もうこの場所に、“秩序(ルール)”はない」 次の瞬間、沫坂のすぐ目の前に、薫のスタンドの手のひらが出現し、沫坂の顔を掴もうとひらいた。 沫坂は両の膝を深く落とし、上体を大きく反らしてそれを回避する。そして、それきりではなくカウンターを狙う。 「『コズミック・ケイオス』!」 叫びと共に、闇をかき消すかのように現れた、煌めく人型のスタンド――『コズミック・ケイオス』。 宝石のような装飾品を身にまとい、身体を描く螺旋模様が特徴的な、“渦”の騎士。 『コズミック・ケイオス』は、一瞬だけ現れた薫のスタンドの右腕にむかい、その拳を打ち放つ。 しかし、命中すんでのところで、薫のスタンドは再び“ガス”の中に姿を散らした。 空を切る拳。だが、沫坂の真の狙いはそこにあった。 「かくれんぼは終わりだ、朝比奈。薄っぺらいお前の“混沌”は、俺がもらってやる」 すると、『コズミック・ケイオス』の右腕を軸にして、気流が発生。フォークに巻かれるパスタのように、周囲の“ガス”がめきめきと右腕に巻き取られていく。 『コズミック・ケイオス』の“渦”を生み出す能力により――右腕を中心に発生した“渦”が、薫の“ガス”を引き寄せ、一点に集めたのである。 屋上を覆っていた闇は“渦”に飲み込まれ、元の景色が戻ってきた。クリームヒルド、上路、そして薫の姿を、沫坂は確認した。 「いくぜ!」 右腕にためた“ガス”を風に散らしつつ、沫坂は薫にむかって駆け出す。薫は、取り出したヨーヨーを沫坂に向かって繰り出した。 そのヨーヨーは、特注品だった。鋼鉄の軸を、カミソリの紐で回す凶器でシリアルキラー好みの凶器であった。 「喰らいなよ……!」 「遊んでんじゃねぇ!」 しかしスタンド使いに敵に対しては、その殺傷能力も有用性も、玩具の域を出ていなかった。 特注の殺人ヨーヨーは沫坂が空中に発生させた“渦”に飲み込まれ、あっさりと薫の手を離れた。 肉薄する沫坂の『コズミック・ケイオス』。薫もスタンドで応じようとするも、超至近距離までの接近を許してしまっている。ガードは間に合わない。 そしてみぞおちに突き刺さる、強烈な一撃。 「……ぐふッ!」 ストレートに入った拳に、思わず飛び出す、激痛の飛沫。そして沫坂の拳に残るは、勝利の感覚。 勝った。沫坂は確信した。 そしてそれは、立会人も同じだった。クリームヒルド、上路も、拳にぐっと力を込めて、弾き飛ぶ薫の姿を目に焼き付ける。 決着。わずか十秒ほどで、沫坂が殺人鬼を下した! 確信の理由は、『コズミック・ケイオス』の“渦”を作る能力である。確かに、スタンド自身の拳の威力も、生半可なものではない。 そのパンチを受け止めるのは、砲丸を受け止めるのと同じである。常人が耐えられるモノでは決してない。 しかし、『コズミック・ケイオス』の拳が危険な理由は、そこではなく“渦”なのだ。 “渦”は、空中だろうと肉体だろうと、なんにでも作り出すことができる。そして発生した“渦”は、沫坂本人がそうしない限り、決して消えることはないのだ。 肉体に産み落とされた“渦”は、筋肉や神経や血管を無慈悲に捻じ曲げ、肉体と骨を破壊し、肥大化し、そして最後は全身を飲み込んで強烈な圧力で押しつぶすだろう。 あとにのこるは、トマトソースと見紛う液状の肉である。“渦”はすべては飲み込み、すべてをさらっていく。生き残れる命は存在しない。 つまり『コズミック・ケイオス』に触れられた時点で、そいつはもうおしまいなのだ。たとえ何をしようとも、残り一分もない命なのである。 そのはずである。 「 ……フフフ、フフフ……」 しかし、『コズミック・ケイオス』の拳を受け止めたはずの、薫の不気味な笑みが、その確信を揺らがせる。 さらに、不可解なことも起きていた。 (……なに? なぜ、“渦”が……発生しない?) 考えるより先に、身体が動き出す。沫坂は、『コズミック・ケイオス』の拳を薫に次々に叩き込んでいった。サンドバッグのように、殴り、殴り、殴る。 肉を、骨を、臓器を、魂を押しつぶすように、殴る! だが、そもそも“それがおかしい”のである。もう触れたのだ、“渦”を作ればいい。それで終わる。わざわざ拳を叩き込む必要はない。 頭は冷静だった。すっきりと明瞭に思考ができているし、まとまっていた。だが、身体が言うことを聞いていない。暴走機関車のように、一直線に無意味な暴力に走っている。 そこで、ようやく沫坂は気がついた。自分の思考と行動が、かけ離れていることに。 (違う……発生しないんじゃない、俺自身が作ってないッ!) 「紹介して、やるよ……。これが、俺のスタンド――」 いつの間にか、見慣れぬ“白いガス”が、自分と敵を包んでいたことに。 「『ロード・トゥ・ディプレッション』……だッ!」 自分は最初から、殺人鬼の手の平の上で踊らされていただけだということに――――。 (『ロード・トゥ・ディプレッション』……? バカな、こんな能力は知らない! まさか、こいつ……こいつの、スタンドは……!) 殴り疲れて、ふっと全身の力が緩んだ。その瞬間を、薫のスタンド『ロード・トゥ・ディプレッション』は見逃さない。 拳を引いて、頑強な腕がめりめりとエネルギーを蓄え、放出の瞬間をいまかいまかと待ち構えている。銃口は、ぐったりと息を整える学ラン姿の無防備な男。 「あははははははははははははハハッハはははははは、お返しだよぉぉぉオォぉぉぉッッおおおおぉ」 (“進化”したというのか……!) ――――そして、引き金は引かれた。 「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ねェェェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」 そのスタンドは、白と黒が混ざり合った奇妙な甲冑を身にまとっていた。沫坂も、クリームヒルドも、それは初めて見る姿だった。 更によく目を凝らすと、“黒いガス”と、“白いガス”の二種類が全身からにじみ出ているのがわかる。 以前の『ディプレッション&ラジィ』のときは、見受けられなかったものだった。 逃げることを考え、普通に生きることを望み、藁にもすがる気持ちで藁を掴んでいたあの頃――あの頃の自分を、薫は殺した。 そして、殺人鬼という性を受け入れた。魂に巣食う混沌を、己の心臓としたのである。 善と悪、白と黒、平穏と悪意。住み分けることに必死だった『ディプレッション&ラジィ』は死に、その先に生まれたのが、白も黒も併せ持つ二面性の怪物。混沌の使者―― ――――『ロード・トゥ・ディプレッション』である。 本当の地獄とは、足を踏み入れていることにすら、気が付かせないものなのだ。 迫り来る『ロード・トゥ・ディプレッション』の拳。沫坂の身体は、勝手に目を閉じてしまう。あとは、全身を破壊されていくのを待つだけである。 ――しかし、いつまで待っても拳が届かない。自然と、沫坂はまぶたを開いていた。 淡く、暖かな光が広がっていた。薫も、クリームヒルドも、誰の姿もない。寂れた遊具も冷たい風も、ねずみ色の空もない。 真っ白で、優しい場所だった。 そして、そこには彼がいた―――― 「か、甲斐谷……?」 「よっ、沫坂」 ――甲斐谷は、沫坂を見てにこりと笑い、そしてくるりと踵を返した。沫坂に背を向けて、甲斐谷は果てなき空間をどこかにむかい、歩き出す。 置いていかれる、と焦ったが、沫坂は甲斐谷を呼び止めることはしなかった。自分勝手な甲斐谷の姿が許せなかったからだった。 「ふっ、ざけんなよ……! 勝手に、どこ行くんだよ、お前……!」 沫坂は、これまで腹に溜めていた甲斐谷への不満を、堰を切ったように次々と吐き出していく。 「いつも、ひとりで……勝手に決めやがって……! あんときだって、朝比奈のヤロウをハメたときだって……なんでお前、ひとりで先走った!? どうして俺に一言言わなかった!? なんで俺を頼らねーんだ! 後始末だけさせやがって……! ダチを手にかけるのがどんな気持ちかお前にわかるか? 俺の気持ちを考えたことがあんのか!」 声の震えをごまかすために、怒気を含ませていた。それが精一杯の抵抗だった。 それでも、込み上げた感情は塩水になって目元に吹き出した。零れないように堪えても、結局涙は頬を流れた。 「……ひでーよ。一人で勝手にいくな、そんなのずりーよ……」 ぼろぼろと溢れ出すそれを止めることはできない。涙でぐしゃぐしゃにして、しゃがれた声で沫坂は叫んだ。 「俺を置いて行くなよォッ!」 ――甲斐谷は、ゆっくりと沫坂に振り返った。そして哀しげな瞳で、精一杯の笑顔を作ってみせた。 その瞬間、沫坂の鼻からでろりと赤黒いものが流れた。生暖かい鉄の味が口いっぱいに広がって、沫坂はそれが鼻血だと気がついた。 学ランがみるみる破けていき、顔や腕や足に、殴打の痕や生傷がじわじわと浮かび上がっていく。遅れて、鈍い痛みも全身を駆け巡った。 立っていられなくなって、膝から崩れ落ちる。沫坂は、必死に顔を上げて甲斐谷の背中を追った。 しかし、既に甲斐谷の姿はなかった。代わりに、錆色に変色したフェンスと、コンクリートの冷たい地面がそこにあった。 暖かな光が消えていく。ねずみ色の分厚い雲が浮かび上がり、吹き込む冷たい風が沫坂の傷にしみる。 光が完全に引くと、そこは寂れたデパートの屋上だった。 気が付くと、沫坂は身体中から血を流しながら、空中にいた。 『ロード・トゥ・ディプレッション』の激しい殴打の末、空中に打ち上げられたのだと、ようやく思い出した。 重力に引かれて、宙を舞うボロ雑巾のような沫坂の肉体は、コンクリートの地面に落下。 位置エネルギーによるボーナスダメージもいただいて、沫坂は全身に力を込めることができず、ぐったりと動かなくなった。 薫はかちゃかちゃとナイフを弄び、クリームヒルドは顔色一つ変えず、立会人という役回りに徹している。 沫坂は思った。この状態では、クリームヒルドは続行不可能と判断し、勝負を終わらせるかもしれない。薫から命を守るため、その判断を早める可能性も高い。 それは、朝比奈 薫の勝利を意味する。薫の勝利は、クリームヒルドの殺害につながるし、この悪魔を再び世に解き放つということでもある。 それだけは、絶対に阻止しなければならない。 なにより、負けたくなかった。ここでまたこいつに負けるくらいなら、死んだほうがマシだと沫坂は感じた。 『報復』する、絶対に。甲斐谷の無念も、惨めな自分の人生も、ここで全て晴らす。 これまでハッピーエンドを奪われてきた、すべての人間の痛み――それを、一つ残らず叩き込む。 それができなきゃ、人生に意味などない。 絶対に勝つ。 「はぁー……っ、はぁーっ……」 身体に刻まれたダメージは、もうとっくに限界量をオーバーしていた。それは、沫坂自身が一番よくわかっていた。 おそらく、あと一撃……否、触れられるだけでもアウトだろう。肉体は、想像よりもはるかにあっけなく壊れる。それほどにもろい。もう持たない。 それでも、沫坂は残りの命を必死に燃やして、膝を立てた。地面に突っ伏して死ぬことだけは御免だった。 死ぬときは、立ったまま死ぬ。そのときは、目の前のクソガキも道連れである。沫坂は、ふらふらの身体を起こし、立ち上がった。 「レンちゃん……」 「……」 上路は、今にも泣き出しそうな顔で沫坂を見つめている。クリームヒルドは静かに、ただじっと沫坂の姿を目に止めていた。 何も感じていないわけではない。これを見て、何も感じない者などいない。だが、それを決して顔に出さない。 与えられた職務を全うする、それ以外のことは考えない――それが立会人だ。この時点で、クリームヒルドはほぼ完璧に、立会人の職務をこなしてみせていた。 「無駄だ……立会人さん。もう立ち上がるな……」 「……うっ、……ふぅーっ、ふーッ……」 「おとなしく寝っ転がっててよ……。アンタの死体はなるべく綺麗な状態で、ね? 遊びたいからさぁ……」 薫は、ナイフの先で指をつついて遊んでいた。これだけの状態に仕立て上げたのだから、その余裕は当然といえば当然だった。 が、予想できていないこともあった。 (……) 沫坂は瀕死のダメージを負ったことにより、肉体の活動レベルが低下し、思考が行動に追いついたこと。 そして、先ほどの“白いガス”の副作用で、沫坂の研ぎ澄まされた思考は極めて高い水準でフル稼働しているという、二つの事柄である。 『ロード・トゥ・ディプレッション』が新たに獲得した能力は、憂鬱を引き起こす“黒いガス”とは別に、“白いガス”も扱えるようになるというものである。 “白いガス”は、吸い込んだ者の狂気を引き起こし、暴走させる性質を持っていた。吸引した者は徐々に全神経が研ぎ澄まされていくような感覚を覚えるだろう。 そして、理性と肉体の欲求が離れ始め、理性は肉体のコントロールを失う。アプリオリな感覚にのみ従って動くようになり、最終的には人間に必要最低限の動きしかとれなくなる。 それが、狂気を司る“白いガス”である。 “白いガス”を吸引したとき、量をきちんと調節して吸えば、肉体に通常以上のエネルギーをみなぎらせることもできるし、脳内をクリアにすることもできる。 これは、覚せい剤を使用した状態によく似ていた。 (……こいつは、自分の身体を“白いガス”でフルスロットルにしてた……。今の殴打で終わらせるつもりだったんだ) この時間だけ、沫坂の思考は瀕死のそれとは思えないほど明瞭だった。これまで拾ってきた情報を元に、推測し、仮説を組み立てる。そして対応策を探す。 (この身体じゃ……次に近づかれれば終わりだ。カウンターは放てない……。自分から仕掛けるのも当然無理だ……。 “ヤツに触れず”、“待ち構えるようにして”、“一撃で仕留める技を決めなければならない”) 沫坂は、そのときあることを思い出した。“それ”は、以前一度組み立て、実現不可能として記憶の奥底に封印した、ある仮説だった。 埃かぶっていたその理論を、“白いガス”のエクストリームな覚醒作用のおかげで、思い出すことができた。 沫坂は思考する。もしこの状況をひっくり返すラストリゾートがあるとするなら――“それ”以外には考えられない。 だが、確実にできるかどうかが、わからない。その上、“それ”を行ったあと、どんな副作用が起こりうるのか到底見当もつかない。 スーパーコンピュータをもってしても、予想される被害をはじきだすのは不可能だ。 (確証はない、できない可能性の方が高い。だが……) ふぅ、と息を吐き出して、余力を振り絞り、『コズミック・ケイオス』を発現させる。これが、自分が使える最後の力だと沫坂は感じた。 そして、沫坂は“それ”を選択する。 (……全てを終わらせるなら、これで決めたい) 死にかけの肉体に、わずかな希望が宿る。力を取り戻した瞳で、薫を睨み据えた。 薫、クリームヒルド、上路が異変に気づく。死にかけの男の最期の足掻き――にしては、妙なエネルギーに満ちていた。 そして、最も妙なのはそのポージングだった。沫坂と『コズミック・ケイオス』は、両腕を前に突き出し、手の平を大きく開いていた。 こないでくれ!、と嘆願しているようにも見えなくはないが、絶対にそうではない。三人は確信した。 この男、最後に何かするつもりだ、と。 「ありっ、たけの……力で……捻じ…曲げる……」 そのとき、絶え絶えの息で、沫坂は何かを呟いた。そして、沫坂の前方の空間に、巨大な“渦”が発生した。 その“渦”は、これまで沫坂が生み出してきた“渦”とは、異なるものだった。 「なんだ……?」 「う、うわッ……! なんだ、この音……!」 ゴゴゴゴ、と地鳴りのような音が響き渡り、同時に金切り音に似た音が、薫とクリームヒルドたちの耳を劈いた。 その音は、沫坂の“渦”に起因するものらしい。見ると、“渦”は単なる気流ではなかった。ぐにゃぐにゃと、周りの風景を大きく捻じ曲げていた。 光を捻じ曲げ、音を捻じ曲げ、『コズミック・ケイオス』を中心にして、全く新しい力場が形成されている。クリームヒルドには、そう見えた。 そして、建物が強く振動する。べきべきとコンクリートの地面には亀裂が生じ、立っていられなくなった上路は膝を付いた。 普通じゃない。なにか、とんでもないことが起ころうとしている。上路は額に脂汗を浮かべた。 「や、やばい……! 退避だ、クリームちゃん!」 クリームヒルドは立ったまま、沫坂と薫だけを視界に止め、それ以外には反応を見せなかった。 「建物が崩落するぞ! クリームちゃん、逃げなきゃ!」 「先輩は行ってください。私は残ります」 「何言ってんの! ここが崩れるって――」 「私はこの勝負の立会人です! 二人の決着を見届けるまで、私は一歩も動かない!」 上路は、それ以上何も言えなかった。 コンクリートは砕け、フェンスはひしゃげ、遊具は潰れていく。耳を劈く音は次第に大きくなり、ついには会話ができないレベルにまで到達した。 物体にかかる負荷も雪だるま式に増幅していく。崩落は時間の問題だった。 それでも、クリームヒルドは動かない。 直接与えられた、この使命を果たすまで。あの人の『願い』が叶うまで。 「なん、だ……、あれは……」 そのとき、薫はあるものを目撃した。沫坂が発生させている巨大“渦”の中心に、穴が空いていた。 沫坂の頭部とほぼ同程度の大きさの穴が、空中にぽっかり空いているのである。それは、初めてみる光景だった。 まだ小さな穴だが、“渦”にかかるエネルギーが肥大していくにつれ、穴の直径も比例して大きくなっていく。 穴の向こう側は、真っ暗だった。そのため、空中に黒い円が浮かんでいるように見えた。 「空間と……時間を……捻じ、曲げる……。もっと、もっと大きく……」 「なに、してる……! やめろ……!」 まさか、この“渦”は時空間を巻き込んでいるのか? 背筋に冷たいものが走り、ぷつぷつと肌が粟立つ。薫は即断した。遊んでいる余裕はない、すぐに殺さなければならない、と。 薫は、沫坂目掛けてナイフを投擲する。しかしナイフは“渦”に引っ張られ、莫大な圧力を受けてすぐに塵と化した。 『ロード・トゥ・ディプレッション』の放出する“ガス”も、“渦”がすべてを吸引してしまうため、沫坂には届かない。 「~~~~~ッ!!」 ならば、近づいて直接叩くしかない。幸い、“渦”に多少引き寄せられはするものの、移動に問題はなかった。 沫坂との距離は十メートルほど。“渦”を回避して、一気に近づいて首を刎ねるのは難しくない。 薫は覚悟を決め、『ロード・トゥ・ディプレッション』を傍らに、崩れゆく地面を蹴った。 標的へは、残り八メートル、七メートル。薫は、“渦”の力場へ到達する。そのときだった。 「待っ……てたよ……お前が……近づくのを……」 「な……」 薫は、沫坂が小さくそう呟くのを、轟音のなかに確かに聞いた。 次の瞬間、沫坂と『コズミック・ケイオス』は両腕を左右に開いた。すると、“渦”の中心に発生していた穴が、突然グンとその直径を大きくした。 その大きさは、薫をまるまる飲み込んでしまうほどだった。 薫は駆け込むかたちで、穴の向こうへ足を踏み入れてしまった。 「なんだってェェェェッェェーーーーーーーーーーーーー!!」 そして沫坂は、薫を穴の向こうへ残したまま、両腕を交差させるようにして穴を閉じた。 「……やった、ぞ……甲斐谷……」 そう呟き、沫坂は気を失ってその場に倒れた。コントロールを失って、空中に発生した“渦”は急速に収縮していく。 ズェッテー、ヤバイ。その様子を見て、上路は呟いた。そして、沫坂に向かって駆け出していた。ぐったりと横たわる沫坂を抱え上げ、クリームヒルドを目掛けて走る。 「『エロティカル・クリティカル』!」 クリームヒルドも、薫が姿を消し、沫坂の勝利が確定すると、早々に立会人の職務を放棄して離脱を図る。 けたたましい轟音のなか、誰に聴かせるわけでもなくスタンドの名を叫び、近くに見える廃ビルに向かい、クナイを投げた。 クナイには、ワイヤーが巻きつけられている。クナイはありえない軌道を描いて、ワイヤーを伸ばしながらビルの壁面にむかっていく。 「長さ足りろ、足りろぉ~。お願いよ、足りてぇ~」 ――が、クリームヒルド達のいる建物とクナイが刺さったビルは、結構な距離があった。祈りも虚しく、ワイヤーの長さは僅かに足りなかった。 ぴんと張ったワイヤーに引っ張られ、クリームヒルドの身体は屋上から空中へ引きずられていく。 宙ぶらりんになりかけるクリームヒルドを、上路は全力疾走で追う。 「うおおおおおおおおおおおおおおおッ! がんばんべー!! オイラァァ!!」 上路は、走りながらに沫坂の身体をワイヤーで固定。フェンスを蹴って、クリームヒルド目掛けて跳んだ。 クリームヒルドが手を突き出して、上路はそれを必死の形相で掴もうともがく。そして、クリームヒルドは上路の手を掴んだ。 ワイヤーの巻き取りを開始し、三人の身体は建物と建物の間を舞う。さながら、それはサーカスの空中芸のようでもあった。 向かいの廃ビルが目前にせまり、クリームヒルドは適当な窓に狙いを定め、上路の手を離した。上路はエッ!?、とでも叫びたげな顔を見せたが、別に見捨てたわけではなかった。 若干アヤシイが、『エロティカル・クリティカル』は上路を“投げた”と判断してくれたらしい。上路と沫坂はスタンドパワーに引っ張られ、窓に命中。 薄いガラスを突き破って、内部へと転がり込んだ。 「はぁ、はぁ……もう、二度とごめんだ……」 ぐったりと横たわって、上路がはぁはぁと息を荒くしていた。 ワイヤーをつたって、クリームヒルドも遅れて到着。すると先刻までの屋上で、“渦”が行き場を失ったエネルギーを放出し、瞬間、廃デパートが粉々に吹き飛んだ。 壮絶な光景だった。クリームヒルドと上路は、ぽかんと口を開けて、時代に取り残された建物の結末を見届けた。 「あ、クリームちゃん。あれ、やんなよ」 「……え、やりたいですけど……。でもなぁ。本人聞いてないし」 「まぁいいじゃんよ。レンちゃん起きたらまたやってあげな」 「うぅむ……。じゃあ、まぁ……」 照れくさそうに頬をかいて、こほん、と小さく咳払い。 そして―― 「――――勝者、沫坂 蓮介!」 クリームヒルド立会人は美しい声で、高らかに勝者の名を示した。 朝比奈 薫は、どこかの空間を漂っていた。漂っていたという表現を使うのは、その場所には重力も、足付ける地面も、見上げる天もなかったからである。 自分の意思でどこかに進んでいけるわけではなく、駆け込んだときのエネルギーを使ってふわふわ流れているだけにすぎなかった。 音もなく、光もない。色もないし形もなく、ただただ真っ暗なだけだった。上も下も右も左もない。時間がきちんと流れているのかどうかもわからない。 わかっているのは、沫坂が生み出した“渦”のせいで、こんなことになってしまったということだけだった。 『コズミック・ケイオス』は時空間を捻じ曲げ、空間に穴を開けた。おそらく、沫坂自身も、穴の向こう側がどうなっているのかは把握していなかったはずだ。 きっと賭けだったのだろう、と薫は考えた。 薫自身も、空間と空間の、空間と時間の、時間と時間の狭間というべき、この謎めいた隙間に閉じ込められることになろうとは、全く想像していなかった。 もうきっと帰れない。ずっとここで、何もできないまま一人ぼっち。死ぬまでなにもできない。死ぬことすらできないかもしれない。 考えると、身体が震え、涙が止まらなくなった。 なんでだ、なんでこんな目にあわなくちゃならない。 ちょっと人を殺しただけじゃないか。 戦闘機の方がもっと何十倍も殺してるじゃないか。 しょうがなかったじゃないか。 だから、ここから出してくれ。 「……ううーっ、やだよ……やだよぉぉ……怖い、怖いよ……。ママ……ママァ……」 なぜ? なぜいまママを呼んだ? 俺が最初に殺した人間。 そうか。 おれはただ、おかあさんにたすけてもらいかっただけだったんだ 日曜日。昼前になってようやく目覚めたクリームヒルドは、ベッドから下りると、寝巻きのまま一階へ降りた。 オレンジジュースを一杯飲んで、トーストをかじりながら新聞を読んだ。 遅すぎる朝食を終えると、シャワーを浴びて、それが終わるとドライヤーで髪を乾かした。 今日着る服を吟味して、鏡の前で何度もファッションショーを開いた。 服を決めて着替えると、化粧を済ませた。素材がいいのでじっくりやる必要はなかったし、その経験もなかった。 ちゃっちゃと済ませて、本棚から今日読む本を選んだ。それをカバンに入れて、クリームヒルドは見るつもりのないテレビをつけた。 午後一時をすぎた。 呼び鈴は、まだ鳴らなかった。普段なら、もう車に乗っててもおかしい時間だ。 午後二時をまわった。 さすがにお腹がすいてきた。ボリュームたっぷりのシュトゥルーゲルを食べるので、日曜はトースト一枚で食事を済ませる。 いつもなら、この時間はホイップクリームをたっぷりつけたシュトゥルーゲルを楽しんでいる。 そして午後三時、クリームヒルドはテレビを消して、家を出た。 玄関を出ると、陽射しがとても心地よかった。 家の前に、彼の車はなかった。 寂しくおもいつつも、清々しい気持ちになって、クリームヒルドは歩き出した。 いつもの喫茶店は、徒歩だと少し遠かった。 願いと報復のコズミック・ケイオス おわり 出演トーナメントキャラ No.4783 【スタンド名】 コズミック・ケイオス 【本体】 沫坂 蓮介(マツザカ レンスケ) 【能力】 拳で触れた対象、または間接的に触れた対象に渦を発生させる ▼ 第10回トーナメント:決勝② No.6552 【スタンド名】 エロティカル・クリティカル 【本体】 クリームヒルド・ブライトクロイツ 【能力】 自分が投擲した物を絶対に命中させる ▼ 第10回トーナメント No.6136 【スタンド名】 ディプレッション&ラジィ 【本体】 朝比奈 薫(アサヒナ カオル) 【能力】 怠惰・憂鬱状態にさせるガスを発生させる ▼ 第10回トーナメント 一覧へ戻る 当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用を禁止します。 [ トップページ ] [ ルールブック ] [ 削除ガイドライン ] [ よくある質問 ] [ 管理人へ連絡 ]
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最新話 私の名は空条承太郎…一応、学者をやっている。そして、先ほどの娘は私の…私の娘、空条咲夜という。 あらすじ ある朝なかなか起きない父・承太郎を起こそうとした咲夜。 転校生が来た日から彼女の運命が回り始める。 解説 空条咲夜、空条承太郎が主役のストーリーで原作第三部から12年後が舞台。 なお、注意事項としてこの動画は殺人などのグロテスクな表現もあるため、視聴には充分に注意すること。 また、2008年の同名ストーリー動画とは作者が異なるので、内容はまったくの別物である。 このページは便宜上、作者の名前をページ名に含めることとなった。 登場キャラクター 空条家 空条承太郎・・・主人公のひとり。学者。一人称は「私」。30代。 空条咲夜・・・主人公のひとり。高校二年生。承太郎の養子(?)。ナイフの扱いが得意。 学校関係者 ロック・・・咲夜のクラスメイト。常識人。 トキ・・・咲夜のクラスメイト。常識人。 ジャギ・・・咲夜のクラス担任。 衣玖・・・咲夜のクラスメイト。文が好き(?)。 文・・・咲夜のクラスメイト。情報に敏感。 七夜・・・謎の転校生。咲夜のクラスメイトとなる。 コメント これからも期待してます -- 名無しさん (2011-04-23 23 35 36) おお!いつの間にかページが出来てたかGJ! -- 名無しさん (2011-04-30 20 54 37) ( Д )゜゜ ・・・ページが出来ているだと? 管理人さん有難うございますm(_ _)m これは製作を急がねば・・・ -- ケイオス (2011-08-13 20 09 44) 2008年の方とクロスしてくれ -- 名無しさん (2011-08-14 00 05 13) 名前 コメント
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282 :名無しさん:2016/04/24(日) 16 17 46 以前、シャドウランのクロスネタを投稿した者です。 20分から5スレほど一発ネタを投稿したいと思いますが、よろしいでしょうか? 283 :282:2016/04/24(日) 16 20 54 時間になりましたので投稿させていただきます。 一発ネタ「提督の憂鬱×ケイオスヘキサシリーズ」 浅草の道路を緩やかに走る軍用自動車の窓から、カーキ色の軍服に身を包んだ男が辺り一帯を細めた目で眺めている。軍人にしては少々痩せ気味のシルエットだが、高い背と怜悧な眼光がそれを補ってあまりある威厳を見せている。加えて手袋の五芳星(ドーマンセーマン)は彼が呪術将校の一人であることを、そして膝の間に立てた関孫六は中でも特別な存在であることを明言している。 その隣では個性がないのが個性のような副官が影も薄く畏まっている。影のごとき男の唯一の特徴と言えるのは、万物を嘲笑しているような化け猫の笑みだけだ。 「武僧警官がずいぶんと多いな。何かあったのか?」 軍人……加藤 保憲の視線の先には眼光鋭く警錫杖を握り、腰のホルスターに経典を収めた武僧警官(モンクオフィサー)の姿が見える。中には梵字の刻まれたジュラルミン盾に甲冑を思わせる防護袈裟(アーマーカーシャ)まで装備した機動羅漢隊(ライアットボーズ)までいる始末。米国も崩壊し平時となって久しい内地にはふさわしくない光景だ。北米に向かう前は防呪ジャケットを着込んだ制服警官が巡回している程度だったはず。日本に帰り着く前に、大規模な霊騒乱でもあったのだろうか。 「はい、陸海合同文化祭を真似た民間の例祭で空間想念密度が飽和してしまったらしく、霊祭化を起こして一騒動あったそうです。それで次の陸海合同文化祭で同様のことが起こらないようにと、尻に火のついた内務省が僧警の尻を蹴ったそうで」 副官……乱堂 然が嘲笑を浮かべたまま答える。同じ国庫から予算を奪い合う味方の不幸はとても甘いのだろう。事実、例祭に招かれたイタコ芸人が分霊を降ろしてしまったせいで武僧警官だけでは手が足らず近隣の寺社仏閣から応援を呼ばざるを得なかったという話は、彼の嗤いを実に深めた。 「民間の例祭と違って十分以上に想念密度には気を使っているんだがな」 疲れたような声音で加藤は答える。逓信省の陰陽師が打った式だろうか。視線を空に向ければ丁の字をまとった鳩の郵便式神が手紙をくわえて西へ東へと飛び交っている。 「これを奇貨として内務省が武僧警察をねじ込もうとしているのでは?霊的技術(サイテック)関係といえばまず軍に話がくるのは有名ですから」 民間の手に負えない霊障となれば軍に話がくる現状に内務省が血圧を上げているのは有名な話だ。それを受け同じく霊障対応に立ち後れた仏教界と手を組んで武僧警察(モンクポリス)を設立したのだが、先日の霊祭化でずいぶんなケチが付いてしまった。そこで軍の牙城である陸海合同文化祭で存在感を示すことで巻き返しを図っているのだろう。 284 :282:2016/04/24(日) 16 21 27 「アラモゴードの大穴から未だに”魔”が湧き続けているというのに、内地の連中は暢気なもんだ」 「”内務”省ですから、内ゲバも仕事のようなものでしょう」 ため息混じりに顔をしかめる吐く加藤に、毒のこもった皮肉で乱堂が答えた。この副官を得てから胃の調子が悪くて仕方がない。加藤の顔に一層の渋味が混じる。性格も悪ければ根性も悪い。 その上人が悪くて意地も悪い。何より悪いのがそのくせ有能極まりないという点だ。 隣の副官から窓の向こうへ視線を逸らすと、下半身だけの自働力車(オートリキシャー)が裕福そうな身なりの夫婦を乗せて併走している姿が見えた。夫婦の格好からして大陸系だろうか。 二人は高価な真空管式易算機で次の行き先を占うのに夢中だ。旦那が紙幣を差し込むと、紙幣の金魂を水晶球で読みとった自働力車は、九十九神の憑いた解析機関を急回転させながら右に曲がるレーンへと滑り込んだ。 自働力車の向こうでは猿だけのチンドン屋が多色刷りのチラシをまき散らす。経立の猿回しとは珍しいと思えば、真ん中で猿の群に指示を出すのはアルビノ猿の神使だった。 どうやらどこぞの山神の指示で都内に出稼ぎにきたらしい。 神仏も銭神金魂の前には形無しか。頭痛が痛いと加藤はうんざり顔で目を閉じる。故郷紀州の神々がお布施求めて人里で媚びを売っているところなんぞ想像したくもない。深い息をこぼすと、息吹法ですかと乱堂が笑った。副官の存在を無視して、加藤は拡声器から流れる歌謡祝詞(ノリトポップス)を背景に浅草の光景を眺める。 送霊線(ケーブル)の端子から漏れた霊気を啜ろうと集まる雑霊に、八百屋の親父が面倒そうに安っぽい除霊剤を振りかける。 車道では過積載の飛鉢が交通課の制服警官にキップを切られて、鉢を飛ばしていた輸僧独覚(トランスホーシ)が大声を上げて抗議中。 通りを歩くモボやモガは流行の鬼角をこれ見よがしに空に突き立てて、携帯している伝信呪符(テルズマン)に話しかける。 電波教徒(ラジヲニスト)はGE製霊界通信機で神託の周波数を探るのに夢中のようだ。 街頭テレビのお天気番組では託宣を受けた祈祷予報士(ウェザーシャーマン)がトランスしながら明日の天気を予言している。 裏通りの剃髪愚連隊(ボンズヘッドギャングスタ)は「仏契りで逝けている」踊り念仏を見せつけ合うのに忙しい。 「……東京も変わったものだな」 ……否、人の世はみな変わりゆくものよ 答えを求めない加藤の愚痴に、千年この地を見続けた将門公が笑った気がした。 285 :282:2016/04/24(日) 16 22 02 数日後。東京のある寿司屋の座敷では、日本を動かす奥の院と呼ばれる夢幻会の会合が行われていた。自律お茶くみ人形から渡された煎茶を啜り、嶋田総理は加藤が書き上げた「ケイオス・モノ監査報告書」に目を通す。 「想像以上にケイオス・モノ(1)は効果を上げているみたいですね。この調子なら北米の地獄穴も目処がつきそうです」 「これだけ費用がかかったのだから、そうでなければ困ります。ここまで建造費用が延びるとは思いませんでしたよ」 嶋田の声にしかめ面で辻大蔵大臣が答える。故アメリカ合衆国が残した最大の負の遺産「北米の地獄穴」「アラモゴードの大穴」と呼ばれる、史上最大の奈落墜ち(フォールダウン)を起こした原爆実験地跡(グラウンドゼロ)。そこを封じるために建築されたのが、これまた史上最大の建造物である超弩級卒塔婆「バベル型積層都市」だ。 もっとも、現在建築済みなのはケイオス・モノだけでケイオス・ジ(2)も建造途中。以降のケイオス・ヘキサ(6)まで設計図がやっとで、最後のケイオス・ドデカ(12)に至っては計画だけなのだが。 「正直、あの建材を考えたくなります……冗談ですよ?」 その理由は単純明快、莫大すぎるコストだ。大規模な都市を地下から天上まで十二層重ねた代物というだけで頭が痛くなるが、その上風水・鬼門・結界などなど呪的・霊的建築が多重多層に織り込まれている。後々に大問題になるとても、頑丈で手に入れやすく何より安い人柱有魂建材を考えたくもなろう。 加えて建築開始してからわかったことだが、各国それぞれが担当した設計部分が教義衝突を起こしてしまっていたのだ。お陰で異宗・異教拒絶反応から自壊しかけたケイオス・モノを立て直すために各国が多額の費用と人材をそそぎ込む羽目になった。最終的に東京市開発計画を設計した天才的シスコン辰宮洋一郎の手で、本地垂迹接合と聖人免神構造を駆使して安定化したのだが、そこにかかった費用を見るや某国金融庁長官の髪が一気に白くなったほどである。 「しかしこうなると、英国の案に同意せざるを得ませんね」 元々は多義に因果数分解可能でどの文化圏でも聖なる数字として用いられる12のバベル型積層都市で結界を張り、大穴を塞ぐのが「ケイオス計画」であった。しかし、この圧倒的コストの前には12のバベル型積層都市など夢物語もいいところで、列強各国も両手を上げざるを得なかった。そこで英国が新たに挙げたのが「ケイオス・モノ(1)、ジ(2)、トリ(3)での三位一体構造案(トリニティストラクチャープラン)」だったのだ。 この案に経済力で日本に劣る欧州枢軸は信教的にも賛成に周り、日本は計画の信仰方向がキリスト教側に大きく傾くことから難色を示していた。しかし、だからといって建造費用が安くなる訳でもない。そし日本にもてケイオス・ドデカまで作る金はない。銭神を拝んでも金魂に誓願してもどうにもならない問題だ。 「そもそもアメリカが原爆なんぞ作らなければ何事もなかったものを……」 誰かの愚痴が虚空へと溶ける。それを聞く夢幻会の面々も同意の苦い表情を浮かべている。 286 :282:2016/04/24(日) 16 22 33 事の始まりは、二度目の転生を果たした夢幻会が「ケイオス・ヘキサシリーズ」世界であると気づいた事だった。原作の歴史においては、有魂兵器(ヤップアーム)や呪詛暗殺(カースマーダー)等により大日本帝国は対米戦を優勢に進めていた。だが、国家を挙げての総力呪詛攻撃で空間怨念密度が飽和値を遙かに凌駕した結果、史上初にして最大の奈落墜ちを起こして歴史上の存在となってしまったのだ。 当然、原作を知る夢幻会がそんな事態を許すはずもなく、南洋の無人島で総力呪詛攻撃のシミュレーションを行い、総力呪詛攻撃で奈落墜ちが生じることを証明してみせた。さらにこの件に関して夢幻会は他国での奈落墜ちを防ぐため、意図的に情報を流出させた。 これにより仏枢軸がロンドンへの瘴気爆撃(ミアスマボミング)を取りやめたり、英国が地中貫通爆弾への怨霊弾頭(マレイスウォーヘッド)搭載を諦めたりしたのが、ただ一国米国だけがこれを利用した兵器の開発に着手するという斜め上の判断をしてしまった。 もっとも米国からすればある種当然の選択肢だった。これを兵器転用したところで被害をこうむるのは猿擬きの黄色人種だけだし、一つの島を堕とせる戦略兵器ならば今後の外交においても大きなアドバンテージとなりえる。それに何より、原作同様、いや原作以上の苦境に米国は立たされていたのだ。 海は艦魂制御の自律軍艦群が米艦隊を飲み下し、陸は空霊十二祈祷エンジン搭載の不死身の機怪「學天則」がアメリカンボーイズに絶望を刻み、空は空中式神母艦が放つ無数の無人航空鬼でワイルドキャットを揉み潰す。アメリカの国力も大統領の支持率も急降下を繰り返し、増えるのは死人の数ばかり。 過労と呪殺で倒れる官僚も急増の一途をたどっていた。 なお、一部夢幻会員の暴走のせいで、艦魂が艦隊をコレクションするような姿を、學天則はエッチなのはいけないガイノイドなデザインを、無人航空鬼はパンツじゃないから恥ずかしくない外観をしていたのはまた別の話であり、それを見たマトモな夢幻会員の胃と毛根に重篤なダメージを与えたのはこれまた関係のない話である。 かくして夢幻会の未来技術でブーストされた日本に対し、霊魂技術に大きく後れをとる米国には太刀打ちできる手段も技術もない。かつて技術と武器でインディアンを狩っていたアメリカは、今や霊魂技術と呪的兵器で日本に狩られる立場となったのだ。 だからと言って膝を屈しないのがヤンキースピリッツだ。何せここで膝を折ったら次の選挙に負けてしまう。かくして米国は「原罪爆弾(シン・ボンバ)」(略称:原爆)による奈落堕ち実験「トリニティ実験」に手を付けた。 原罪爆弾はプルトニウムで覆った呪物を聖別された爆縮レンズで超圧縮することで、蠱毒化により莫大に増幅された呪詛が核爆発で辺り一面にばらまかれる素敵な代物だ。 これの爆発を祝福儀礼済み核ダンパー多重隔壁で一定範囲に抑え込み、意図的に奈落堕ちを起こすのがトリニティ実験の内容だった。 実験地にはニューメキシコ州アラモゴード爆撃試験場、実験用原爆「ガジェット 」の呪物は虐殺されたナバホ族のトーテムが使用された。国内で奈落堕ちを起こすことには反対の声が政府内部からも多数見られたものの、大西洋では欧州枢軸に押され太平洋を日本に抑えられた当時の状況では他国の目を欺ける実験地が国内にしかなかったのだ。 かくして実験は行われた。「ナバホ族強制移住(ロング・ウォーク・オブ・ナバホ)の経路で」「虐殺されたナバホ族のトーテムを呪核に使用した」「怨念兵器である原罪爆弾」の実験が。 結果に関してはアメリカにとっては予想外の、夢幻会にとっては想像通りのものとなった。起爆と同時に発された衝撃怨波が祝福儀礼済みの核ダンパーで反射され、呪詛の再収束と蠱毒化を繰り返した挙句、周囲一帯の同位相怨念と類感共鳴し強制活性化。ついにはアラゴモードを含む周辺地域全てが飽和怨念密度を突破して、全部まとめて奈落堕ちしたのだった。 さらに奈落堕ちの大穴からはウェンディゴやサンダーバード、サスカッチなどなどの”魔”が溢れ出し、南部・西部を中心に米国中を暴れまわった。 米陸軍も州兵も必死に応戦したものの祝福儀礼済み水銀弾の数は足りず、従軍牧師による祈祷の効果もわずかなもの。むしろ死霊の数と怨念の量を増やして穴のサイズを広げるだけに終わった。 一方的に日本に殴られるばかりで役に立たないどころか、この事態を引き起こした政府に愛想をつかした各州は、独自の呪的防衛を開始した旧ユタ州(現ディザレット共和国)を引き金に独自の行動を開始。 かくしてアメリカ合衆国は歴史上の存在へとなり、現実から姿を消したのだった。 287 :282:2016/04/24(日) 16 23 09 「文句を言っていても仕方ありません。国内の宗教で三に関わるものはありますか?」 「各所に確認を取ったところ、神祇院からは天照・月読・素戔男の三貴子が、仏教界からは仏・法・僧の三宝が、正教会からは父・子・聖神の聖三者が挙げられています」 嶋田総理は止まった会話を再開するよう呼び水を投げかける。それに対し、内務省の人間から間髪入れずに回答があった。所管の僧警が不甲斐ない現状、自分たちが内務省の泥を拭うのだと十分以上に気合が入っている。 「では、それらを本地垂迹接合で組み込む形としましょう」 「「「いぎなーし」」」 イエズス会布教の際の大臼(デウス)=大日如来、本地垂迹思想の大日如来=天照大神、さらに神仏習合より生まれた三宝荒神を用いれば、三貴子・三宝をキリスト教と結びつけることは十分に可能だ。正教会の聖三者は三位一体思想と非常に近しいため、こじつける必要性すらない。 これで、三位一体構造で安くすませても問題なさそうだと場の空気が軽くなる。 「しかし設計段階のケイオス・トリはいいとして、建設途中のケイオス・ジや建設済みのケイオス・モノに組み込むとなると大事ですな」 が、誰かの重苦しい一言で再び空気がずしりと重さを思い出した。教義衝突で崩れかけたケイオス・モノを再設計して宗教観衝機構を組み込むのにどれほどのコストと手間を要したか。多少なりとも予算に関わる人間ならば考えるのをやめたくなる規模だった。 「まあ、愚痴を言ったところで費用が減るわけでもありません。バベル型積層都市を12棟建設するよりはずいぶんマシです。将来に禍根を残さないための必要経費と割り切りましょう」 重い空気を割り切りよい言葉で辻大蔵大臣が持ち上げる。泣いて神仏にすがろうとどうにもならない問題なのだ。泣いている暇があるなら少しでも動いて事態をマシにすべきだろう。 「そうなれば、次に必要なのは指揮を執る人間ですな」 「とは言ってもケイオス・モノを立て直した辰宮君以外に適任はいないでしょう」 確かに、本地垂迹接合及び聖人免神構造を発案・設計し、各国の人間を説き伏せて自壊しかけたケイオス・モノを立て直した立役者である辰宮洋一郎をおいて相応しい人間は他にはいないだろう。たとえそれが一秒でも早く仕事を終えて帰国し、妹である辰宮由佳理と好き放題イチャつく為であったとしても、その能力に疑いを抱くものはいない。 「では、ケイオス・モノ及びジへの三位一体構造及び本地垂迹接合組み込みの総指揮は辰宮君に任せると言うことで」 「「「いぎなーし」」」 かくして国家の一大事たる大仕事を終えて、妹由佳理との砂糖も逃げ出すような甘ったるい蜜月を堪能していた辰宮洋一郎は、再びの難行を押しつけられて渡米することとあいなった。 なお、泣いて駄々こね渡米を嫌がる洋一郎に辞令を渡しに行った加藤が辟易したり、兄との逢瀬を邪魔された辰宮由佳理が恨みのあまり生き霊と化して日本政府上層部の抜け毛の数を激増させたのはまた別の話である。 終わり 288 :282:2016/04/24(日) 16 27 11 以上です。お目汚し失礼しました。Wikiへの掲載はOKです。
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η - C H A O S. ◆エトゥケイオス (エト:干支、トゥ:盗賊) ○概要 シンケイオスと同じく、隣町でも新しく対奇跡獣勢力が出来、 幻想町制圧計画の難航を恐れたヴィオラがカルケイオスに次いで新しく立ち上げたケイオスの下部組織。 ヴィオラ曰く、「カルケイオスは参謀格・シンケイオスは突撃兵・エトゥケイオスは暗殺兵」との事らしい。 ちなみに全員オトギ種(十二支決めのおとぎ話が核となって誕生した奇跡獣)。 ちなみにシンケイオスは二人除いてあとはアヤカシ種、カルケイオスはタタリ種。 戦闘服は白基調のメイド服。メンバーごとに3種類のメイド服に分かれている。 ヴィクトリアンメイド(丈の長いワンピースが特徴の古いタイプのシンプルなメイド服) フレンチメイド(ミニスカートが特徴の装飾品が多いフランス風の派手なメイド服) 和風メイド(袴姿にメイドの白いエプロンが特徴の女給スタイルを模した大正時代の日本風のメイド服) 対奇跡獣勢力(ヴィリーム、ミラクルアイ、レンジャー、レイダーズ)と戦う時以外は 白マントと動物を模したヘルメット型マスク(パーマンが被っているアレ+東方原典の玉兎のヘルメットを足したデザイン)を着け、素顔を隠す。 ヘルメット型マスクは素顔を隠す目的の他に、両目のレンズ部分にはナノケイオスのテンマッド・カイマンスが開発した 特殊レンズが埋め込まれており、レンズを通して見るだけで疲労を回復可能(シンケイオスと違い、傷は癒えにくい)。 シンケイオスのペストマスクと同様、ミラクルマスクやヴンダーグラスの技術を転用して作られた。 戦闘時はマスクの額部分の小型ボタンを押す事で、東方原典の玉兎のヘルメットのようになり、 レンズが収納されて素顔が見えるようになり、戦闘力も上昇する(その代わり疲労は回復しない)。 全員体の首元に十二支を表す漢字(子/丑/寅/卯/辰/巳/午/未/申/酉/戌/亥)を意匠化された痣があり、 右手の甲(エトゥローブで隠れているため普段は見れない)にはケイオスのマークが刺青のように浮き上がっている。 ○アイテム カオスマホ シンケイオスと同じく、エトゥケイオスはこのアーティファクトを用いる。 カルケイオスやシンケイオスとの連絡にもこれを使う。 エトゥローブ エトゥケイオスの武器となる手袋。やはりヴィジョン・クリスタルが手の甲の部分に埋め込まれている。 両手の手のひらの部分から武器が取り出せる。必殺技を繰り出す際に手袋が光る。 【メンバー】 子:猛毒窮鼠 ヴェノイド・マウスク 丑:怪力闘牛 ストロイド・バファロスク 虎:財宝翼虎 トレイド・タイガスク 卯:吹雪雪兎 ブリジド・ラビスク 辰:包帯龍王 バンティド・ドラスク 巳:御柱大蛇 ポールド・コブラスク 午:剣客天馬 ソーメイド・ホースク 未:入道羊主 クライド・シープスク 申:手鏡猿公 ミラード・モンキスク 酉:超力鳥帝 エスペイド・バドスク 戌:轟音狂犬 シャウド・ドグスク 亥:魔盗野猪 ウィザイド・ボアスク 猫:火車化猫 ホイルド・キャスク 鯢:海賊鯨将 パイルド・ホエルスク 山羊:憂鬱山羊 メランコイド・ゴースク 猪:夢躁豚臣 マニッド・ピギースク 侵攻"潜"艦 ズーボート (Uボート(独の潜水艦)+ZOO(動物園)) 真っ黒な巨大チョウチンアンコウのような姿をした大型奇跡獣士。 ほかの大型奇跡獣士に比べると小型ではあるが、収納したものごと物質をすり抜け、 地面に潜ってどこにでも姿を現すことが可能。