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基本性能 攻撃力 属性 ステータス補正 音色 斬れ味斬れ味+1斬れ味+2 会心 スロット 230 無 無 ♪♪♪ llllllllllllllllllllllllllllllllllllllll -10% --- lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll llllllllllllllllllllllllllllllllllllllll 旋律 ♪♪ 自分強化 ♪♪♪♪ スタミナ減少無効【大】 ♪♪♪ 風圧無効 ♪♪♪♪ 防御力強化【大】 ♪♪♪ 千里眼 ♪♪♪ 耐だるま ♪♪♪ 気絶無効 特徴 テツカブラの素材で作製する狩猟笛。 テツカブラの頭部を木魚に見立てた形をしており、腹にあたる部分にバチが付いているが吹く時に動くのは牙である。要するにバチは飾りである。 無属性高攻撃力のテツカブラ武器らしい性能で、斬れ味も悪くない。 匠を発動させた時の白ゲージの火力は緑ゲージの覇重笛クーネハウカムより高く、自己強化で殴るには持って来いの性能。 しかしこちらは攻撃力強化の旋律効果が無い為、演奏も含めればあちらに軍配が上がる。 攻撃力強化旋律の有無と殴り性能の高低はMHXではよく対偶の関係になっており、他にはワイルドグラントや山響シュラクベルクも同じ傾向を持つ。 旋律効果は空青であり、気絶無効やだるま無効を吹く事が出来る。 この内気絶無効は青空旋律特有の効果であり、実質雷属性やられ無効なので雷属性攻撃を多用する相手に相性が良い。 同旋律を持つ笛の中では最も殴り性能が高いので、確定気絶攻撃を持つ金雷公ジンオウガや閃光を放ってくるゲリョスにオススメ。 また、乱戦になりやすい闘技場二頭クエストでも事故防止に役立つことが多い。 空が2番目に来ている為に防御力強化や風圧無効が吹き難いという欠点がある。 2番目に青が来ている笛はリモカリーナ【鳴】と雷笛ヴォルトホーンがあるため、ギルドスタイルではあちらを選択するのも手。 二つ名モンスターである岩穿テツカブラにも鬼面鳴門木魚【冥途】という狩猟笛が存在するが、基本性能はほぼ同等である。 攻撃力が僅かに低いが最大斬れ味が少し長く、二つ名武器効果である狩技ゲージ上昇効果も持っている。 どちらを選んでも大差は無い為、好きな方を担いでも問題は無いだろう。作製難易度はあちらは段違いに高いのだが。 製作工程 ドラグマ【壱式】 Lv2 から派生 鬼面木魚 Lv1 強化 鬼蛙の大牙鬼蛙の甲殻鬼蛙の爪大きな骨 2322 1700z 生産 鬼蛙の大牙鬼蛙の甲殻厳めしい頭骨大きな骨 4625 2550z ↓ 鬼面木魚 Lv2 強化 雪獅子の牙カワズの油鬼蛙素材 248 3400z ↓ 鬼面木魚 Lv3 強化 轟竜の牙斬竜の牙鬼蛙素材 2210 5100z ↓ 鬼面木魚 Lv4 強化 鬼蛙の巨大牙鬼蛙の堅殻厳めしい頭骨 233 22100z ↓ 鬼面木魚 Lv5 強化 溶岩竜の鋭牙カワズの殿油鬼蛙素材(上位) 2410 23800z ↓ 三途の蛙送り【朱塗】 最終強化 獰猛な鋭牙獰猛化鬼蛙鱗鬼蛙素材(上位) 2412 25500z 名前 コメント
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EXインゴットシリーズ【剣士】 特徴 インゴットシリーズの上位バージョンではあるが、ガード強化と納刀術に加えて、砲術王が追加された為、 ガンランス装備には便利な構成となった。 一式作成には大量のフルクライト鉱石が必要になるため、モンスター素材よりも集めるのには苦労するだろう。 胴パーツのみを作成して倍々装備に組み込む事で、比較的気軽に砲術マスター・ガード性能+2・ガード強化の三種が実現できる。 また、何気に重要なポイントとして頭パーツに刀匠のポイントが1だけ入っており、 「リベリオンメイルに胴系統倍化を二部位追加してEXインゴットヘルムを被る」という組み合わせで、 ウカムル装備を使うよりも少し多めの防具スロットを確保しつつ真打スキルを発動することができる。 基本性能 費用 防御力 火耐性 水耐性 雷耐性 氷耐性 龍耐性 装備一箇所 18000z 41 -2 -2 2 0 0 装備全箇所 90000z 205 -10 -10 10 0 0 最終強化全箇所 406200z 510 Lv20 防具強化 防具強化 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 lv9 lv10 Lv11 Lv12 Lv13 Lv14 Lv15 Lv16 Lv17 Lv18 Lv19 Lv20 防御力 44 48 52 57 62 66 70 74 78 82 86 88 90 92 94 96 98 100 102 強化素材 上鎧玉 尖鎧玉 堅鎧玉 重鎧玉 真鎧玉 費用 1160z 1540z 2300z 4600z 5600z 生産素材 部位 名称 スキル系統 スロット 生産素材 頭 EXインゴットヘルム 刀匠+1 砲術+3 ガード強化+2 納刀+1 気まぐれ-3 OO- 蛇と蛙チケット*1 フルクライト鉱石*12 絞蛇竜の上鳴甲*4 ギルドチケットS*2 胴 EXインゴットメイル 砲術+2 ガード強化+2 納刀+1 気まぐれ-2 OO- 蛇と蛙チケット*1 フルクライト鉱石*20 竜玉*4 ギルドチケットS*1 腕 EXインゴットアーム 砲術+3 ガード強化+3 納刀+3 気まぐれ-3 O-- 蛇と蛙チケット*1 フルクライト鉱石*14 鬼蛙の堅殻*5 ギルドチケットS*2 腰 EXインゴットコイル 砲術+3 ガード強化+2 納刀+3 気まぐれ-3 O-- 蛇と蛙チケット*1 フルクライト鉱石*18 カワズの殿油*3 ギルドチケットS*1 脚 EXインゴットグリーヴ 砲術+4 ガード強化+1 納刀+2 気まぐれ-3 O-- 蛇と蛙チケット*1 フルクライト鉱石*24 絞蛇竜の延髄*4 ギルドチケットS*1 スロット数合計/必要素材合計 7 蛇と蛙チケット*5フルクライト鉱石*88絞蛇竜の上鳴甲*4竜玉*4鬼蛙の堅殻*5カワズの殿油*3絞蛇竜の延髄*4ギルドチケットS*7 発動スキル スキル系統 頭 胴 腕 腰 脚 計 発動するスキル あと少しで発動しそうなスキル 刀匠 +1 - - - - +1 砲術 +3 +2 +3 +3 +4 +15 砲術王 ガード強化 +2 +2 +3 +2 +1 +10 ガード強化 納刀 +1 +1 +3 +3 +2 +10 納刀術 気まぐれ -3 -2 -3 -3 -3 -14 悪霊の気まぐれ 悪魔の気まぐれ ※あと少しで発動しそうなスキルとは±4ポイント以内で発動するスキルのことです。
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一覧ページはこちら 攻略ページはこちら 肉質 状態異常攻撃効果 アイテム効果 剥ぎ取り・落し物 部位破壊報酬 捕獲報酬 出現クエスト サイズ 攻撃方法 特記事項 コメント 肉質 部位 斬撃 打撃 射撃 火 水 雷 氷 龍 気絶 怯み値 エキス 頭 43(24) 45(24) 45(20) 15(20) 0 20 0 5 100 胴 36(33) 36(33) 30(28) 10(15) 0 15 0 5 0 背ヒレ 45(42) 45(42) 40 15(20) 0 15 0 5 0 前脚 42(20) 42(21) 40(20) 10(20) 0 15 0 5 0 後脚 36(33) 36(33) 35(30) 10(15) 0 15 0 5 0 尻尾 45(24) 43(24) 40(25) 10(20) 0 15 0 5 0 腹※ 75 66 60 30 0 30 0 10 0 ※肉質欄の数値は効果のある割合 (%) を載せてあります。 (0なら効果なし、50なら半減、100ならそのまま、101以上なら攻撃力以上のダメージが与えられる) ※()は氷まとい時 ※「腹」は膨張中のみ出現 状態異常攻撃効果 属性 毒 麻痺 睡眠 気絶 減気 爆破 ジャンプ 乗り 耐性値初期耐性値上昇(最大)蓄積値減少効果継続時間ダメージ --(-)-/5秒--秒-/秒 --(-)-/10秒-秒- --(-)-/10秒-秒- --(-)-/10秒-秒- --(-)-/10秒-- --(-)-/-秒-- --(-)-/-秒-- --(-)-/-秒-- アイテム効果 アイテム 効果 備考 落とし穴 - 初回--秒(疲 --秒) → 2回目--秒(疲 --秒) → 3回目以降--秒(疲 --秒) シビレ罠 - 初回--秒(疲 --秒) → 2回目--秒(疲 --秒) → 3回目--秒(疲 --秒) → 4回目以降--秒(疲 --秒) 閃光玉 - 初回--秒 → 2回目--秒 → 3回目--秒 → 4回目以降--秒 (疲 --秒) こやし玉 - 音爆弾 - 肉類 - 剥ぎ取り・落し物 部位 回数 旅団 / 集会所下位 旅団 / 集会所上位 大老殿G級 条件など 本体 3 化け鮫の鱗化け鮫の皮化け鮫のヒレ化け鮫の刃尾氷結袋 化け鮫の上鱗化け鮫の上皮化け鮫の上ヒレ化け鮫の刃尾凍結袋 化け鮫の厚鱗化け鮫の厚皮化け鮫の剛刃尾 落とし物 - 氷結晶氷結袋 カワズの油氷結晶氷結袋凍結袋 氷結晶 釣り上げる、潜って背ビレだけの時に乗る、氷まといの部位を破壊時、膨張時のバック、回転、のしかかり時(総計で100回) 部位破壊報酬 部位 旅団 / 集会所下位 旅団 / 集会所上位 大老殿G級 条件など 頭部 化け鮫の鋸歯 化け鮫の鋸歯 化け鮫の重鋸歯 背ビレ 化け鮫のヒレ化け鮫の鱗化け鮫の皮 化け鮫の上ヒレ化け鮫の上鱗化け鮫の上皮 化け鮫の厚鱗 前足 化け鮫の鱗化け鮫のヒレ化け鮫の皮 化け鮫の上ヒレ化け鮫の上鱗化け鮫の上皮 化け鮫の厚鱗 尻尾 化け鮫の刃尾化け鮫の鱗化け鮫の皮 化け鮫の刃尾化け鮫の上鱗化け鮫の上皮 化け鮫の剛刃尾 捕獲報酬 旅団 / 集会所下位 旅団 / 集会所上位 大老殿G級 捕獲条件など 化け鮫の皮化け鮫の鱗氷結袋化け鮫の鋸歯カワズの油 化け鮫の上皮化け鮫の上鱗凍結袋化け鮫の鋸歯カワズの殿油化け鮫の上ヒレ 出現クエスト 区分 難度 クエスト名 種別 サイズ倍率 体力 攻撃力倍率 全体防御率 備考 旅団 下位 ★4 氷槍のザボアザギル 狩猟 ★5 カジキマグロ、釣れるかな? 採取 不安定乱入 高難度:白夜の舞踏会 狩猟 生態未確定 ウルクススとの同時狩猟 ★6 高難度:狂演の両生種 狩猟 生態未確定 テツカブラとの同時狩猟 上位 ★ 探索 集会所 下位 ★2 氷海の採取ツアー 採取 不安定乱入 凍れるポポノタン 採取 不安定乱入 獰猛なる矢尻たち 討伐 不安定乱入 氷下に潜むザボアザギル 狩猟 氷点下の包囲網 狩猟 ウルクススとの同時狩猟 ★3 高難度:氷海の大食漢共! 狩猟 生態未確定 テツカブラとの同時狩猟 上位 ★5 氷海の採取ツアー 採取 不安定乱入 ザボアザギルの狩猟依頼 狩猟 氷上のコンビネーション! 狩猟 ウルクススとの同時狩猟 イベント ★3 ケロロ軍曹・スカウト大作戦 狩猟 テツカブラとの同時狩猟 サイズ 区分 サイズ範囲 出現クエスト 最大 金冠 1884.30~1899.50 ?-?% 集★5 ザボアザギルの狩猟依頼、他 3039.20固定 ?-?% イベント USJ・ザボアザギル3D 銀冠 1747.54~1853.91 ?-?% 村★4 氷槍のザボアザギル、他 最小 金冠 1337.25~1367.64 ?-?% 村★4 氷槍のザボアザギル、他 基準 ? 100% 攻撃方法 攻撃方法 ダメージ 属性 威力値 気絶値 備考 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 特記事項 コメント とりあえずMH4wikiより転載、随時修正お願いします -- (名無しさん) 2014-10-20 16 29 04 名前 コメント すべてのコメントを見る ※ここはボスの基本情報を載せるページです。行動パターンや攻略方法に関するコメントはこちら ※クエストの基本報酬報告はここではなく旅団下位クエスト・旅団上位クエスト・集会所下位クエスト・集会所上位クエスト・G★1クエスト・G★2クエスト・G★3クエスト・闘技大会・イベントクエストの各ページへ。 ※コメント欄は質問や雑談をするところではありません。質問や雑談は掲示板で。不要なコメントは随時削除します。
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2chの古参ライマー かつてMF童夢等と並び、最強格とされていた 歩くような感覚で軽く投下 俺に全力疾走、させるような連続ヒット、決めてみろよ結局失笑 するよな競り合いにもならん敵対しかできないかな? 実際チンケなちっちゃい人間のリリは具体性も皆無なウザい系のライム? 童夢君へ グレードがどうこうとかだらだら話が長くてウゼ~よ ネタ物じゃね~今考えた物 速撃ちガンマンの辛口アンサーにビビってんだろ?おい!Mr テンガロン 自惚れた井の中のカワズがやっと白旗をかざすか? まだスキルが寝てるフリスタレベルで次繋げてくか? 短小君が書く感想文は発言が痛いよ己の理解度の低さ示すdisじゃ自滅 おk? 見飽きたんだよボロだらけの語呂合わせ アンタ何かが欠けてんぜ、もしかして負け前提? かすり傷にもならない軽いdisで低スキルを隠しきる?
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「 ・・・よしっ!ウィルスチェック完了・・・と 」 「 へェ~。キョウジの『阻害情報』って、そんなこともできるんだネ 」 「 まぁな。ネット社会は常に進化し続けているから、新しいコンピュータウィルスとかも次々に出て来る。 そういうのに対処するためにセキュリティソフトとかがあるわけだけど、俺の能力はそういう性質もあるから有効活用するためには日頃から鍛えておかないといけないんだよ 」 「 成程。キョウジって見た目によらず努力家だったんダ 」 「 ・・・お前のプログラムも『阻害情報』で書き換えてやろうか? 」 「 ヒィッ!!キョ、キョウジって見た目によらず鬼畜だったんダ!! 」 「 ・・・ハァ 」 ここは、成瀬台学生寮の一室。部屋の主は成瀬台支部に所属する初瀬。彼は、今『阻害情報』を用いて所持しているノートパソコンに意識を宿していた。 ドアの鍵は閉めているとはいえ、現実世界の自分が完全無防備状態になるため本来であれば滅多にしない行為だった。 それを何故できているかと言えば、『ハックコード』に居る電脳歌姫がスマートフォンのカメラ機能等を用いて現実世界を監視しているためだ。 そんな彼女は、『ハックコード』からノートパソコンに伸びているケーブルを伝って、電脳世界にアクセスしている初瀬を捉えている。 初瀬が歌姫と電脳世界で交信のようなやり取りができているのは、『阻害情報』が情報そのものをダイレクトに操作できる能力だからである。 「 それにしてモ・・・ 」 「 うん?何? 」 「 こういう電脳世界に意識をアクセスする時の人間の姿って全裸がデフォだと思ってたんだけド? 」 「 ブッ!! 」 確認しておこう。電脳歌姫の性別は、プログラム上一応女である。 「 全く、キョウジは悉く期待を裏切るよナ!!全裸のキョウジを見た私が恥ずかしさの余りに悲鳴を挙げるチャンスを奪うなんテ!!視聴者の好感度が全然上がらないじゃんカ!! 」 「 視聴者って何!!?ラジオじゃ無ぇんだし、ここには俺とお前しか居ねぇよ!!意識をここに駐在させるために、能力として俺っていう『カタチ』が発生するだけだし。 つーか、お前が何で俺の隣に居るんだ?ちゃんと、現実世界を監視してるんだろうな? 」 「 それなら問題ナッシング!!キョウジの隣に居る“私”は、『ハックコード』に居る私が作り出したモノだかラ!! 」 「 ・・・やっぱり、自己増殖型コンピュータウィルスか・・・ハァ 」 「 ギャー!!またまたまたまたまたこの私を侮辱したナ!!ムキー!! 」 今日1日だけで何十回も繰り返された侮辱(電脳歌姫視点)に、怒髪天状態になる電脳歌姫。わかりやすく、顔がゆでだこ状態だ。 「 あー、うるさいうるさい。お前さぁ、もうちょっと静かに・・・ 」 「 お前お前って、私には電脳歌姫ってちゃんとした名前があるんだゾ~!!ちゃんと、名前を呼べヨ~!! 」 「 ・・・おでんちゃん? 」 「 ブッ!!私は食べ物カー!! 」 「 ・・・あのうさん? 」 「 ブブッ!!こそあど言葉に「う」を付けただけじゃんカー!! 」 「 ・・・はなうたちゃん? 」 「 何で鼻が前に付ク!!? 」 「 ・・・姫っち? 」 「 それは、別の奴の呼び方!! 」 「 ・・・他に何て呼べばいいんだ? 」 「 肝心要の名前そのまんまが残ってるじゃんカー!!わざとカ!?わざとボケてんのカ!!?ムキャー!!! 」 初瀬の怒涛のボケに、電脳歌姫が怒涛のツッコミで返す。こうして見ると、中々に相性が良いコンビと言えるかもしれない。 「 はいはい。わかったよ。そんじゃあ・・・姫。これでいいだろ? 」 「 ・・・!!ま、まぁキョウジにしてはそこそこじゃないかしラ? 」 「 そこそこっつーか、全然捻って無いんだけどな。強いて言うなら・・・短いから 」 「 ブブブッッ!!!お、おのれェ・・・!!キョウジは、正真正銘の鬼畜野郎だゼ!!純真無垢な私をここまで弄ぶなんて・・・!!酷イ!!酷いですワ!!シクシク・・・ 」 「 俺からしたら、ころころキャラが変わるお前の方がよっぽど恐いよ。よくそんなんで、ファンとかが付いたな。スタッフ様々じゃね? 」 電脳世界でリアルに嘘泣きするプログラムというのも、中々に見られない光景だ。突如として現れた同居人に、初瀬は溜息を吐きながらも内心では少々のドキワク感を抱いて話を続ける。 「 ・・・・・・ 」 「 ・・・ん?どうした? 」 「 ・・・ファン・・・カ。言っとくけど、私はファンなんて見たこと無いヨ? 」 「 はっ? 」 「 だって、私はいっつも閉じ込められてるんだもン。高性能且つ自立成長型プログラムの私は、今のように自分の分身みたいなモノを他の端末に飛ばすこともできル。 それは長所でもあり、短所でもあル。そう、私自身が勝手に動いてスタッフ達の手に負えない事態にだってなりかねなイ 」 急に無表情になった歌姫から語られるのは、すなわち裏側。バーチャルアイドルとして名を馳せている彼女自身にしかわからない“記号”。 「 だから、私は番組の時以外は外部接続が立たれたコンピュータに閉じ込められル。その中で、スタッフ達と会話したりすル。その繰り返シ。 ファンが本当に存在するかなんて、私にわかるわけが無イ。私は、結局は人間の操り人形でしか無イ。 彼等は、いざとなったら私を消すことができる人間達ダ。最近は、私の後継機みたいなバーチャルアイドルも登場しタ。 もし、人間から用済みと判断されたら私はデリートされル。そうならないためにも、私は彼等の言うことを受け入れるしか無イ 」 「 ・・・!!! 」 初瀬は、歌姫が淡々と紡ぐ言葉に衝撃を隠せない。自分にも似たような経験はある。新しいソフトをインストールするために、既存のソフトをアンインストールする。 それは、使用者である人間の都合で如何様にもできる。もし、これを歌姫に置き換えるなら・・・。 「 ・・・クスッ。だからさ、こうやって伸び伸びできるのって生まれて初めてなんだよ、キョウジ。『生まれて初めて』って言葉が私に相応しいかはわからないけド 」 「 ・・・ 」 「 キョウジの言う通り、私にはファンなんて本当は居ないのかもしれなイ。スタッフ達が見せてる幻影なのかもしれなイ。何せ、今日会った人間1人もファンにできないんだもン。こりゃあ、後継機に抜かれるのも時間の問題・・・ 」 「 ・・・“学園都市レイディオ” 」 「 えッ? 」 「 ・・・今度聞いてやるよ。どうせ、何週間か前に収録済みなんだろ? 」 アイドルとファンは切って離せないモノ。アイドルがファンを魅了するのならば、ファンはアイドルを支える。否、ファンで無くとも支えたいと思う存在は居る。 「 そ、それはそうだけド・・・ 」 「 それを聞いて・・・もし俺の気に入る所があったら・・・お前のファンに・・・なってやらなくも無い 」 「 キョ、キョウジ・・・!! 」 「 何油断してんだ、姫。今だって、ファン獲得ミッション続行中じゃないのか?こういう機会を利用して、ガンガン自分の魅力を押し出して行こうぜ 」 「 ッッ!!!ほ、本当にキョウジは卑怯だナ・・・!!厳しいだけじゃ無くて、甘い言葉さえ巧みに使って来るなんテ・・・!!! 」 歌姫は初瀬から顔を背ける。初瀬は彼女の顔を見ようとは思わない。そこに浮かんでいる感情という名の記号を見たいとも思わない。 そもそも、感情自体が存在していないかもしれない。だが・・・それでも初瀬は歌姫の“感情”を察しようと思う。 彼女は、ずっと1人ぼっちだったのだ。成長するために生み出されたモノが、よりにもよって生み出した側からその成長を妨げられている。何と言う皮肉だ。 「 ・・・よし!姫。今日は、俺が何時もアクセスしている電脳世界に一緒に行こうぜ 」 「 キョウジ・・・? 」 「 そこで、思う存分アピールしてファンを増やすんだ!俺も手伝ってやるからさ! 」 だから、少年は決めた。この巡り会わせを絶対に無駄にはしない。自分にできることがあれば、する。とある淋しがりな少女のために。 「 ・・・うン!!・・・か、勘違いしないでよネ!!キョ、キョウジがどうしてもって言うから仕方無く付いて行ってあげるんだからネ!! 」 「 ・・・プッ。今度はツンデレキャラかよ。・・・でも、案外似合ってるかも 」 「 ッッッ!!!そ、そこはツッコミを入れる所だロ!! 」 かくして、初瀬と歌姫はある交流サイトへ赴いた。そこは、多種多様なアバターがそれぞれ交流を持っている匿名サイト・・・通称『シークハンター』と呼ばれる電脳世界であった。 「『レベル0だろうとくじけるな!俺もレベル0だっ!とある高校の先生はレベル0こそ無限の可能性があると仰っていた!』っと・・・」 「うん?何やってるの、免力君?」 「うわっ!?」 夜の闇に覆われたここ第19学区の一角で、『ゲコ太マンと愉快なカエル達』と成瀬台支部の面々が一緒にキャンプを張っていた。 「ムムッ?これは・・・アバター?」 「・・・そ、そう。・・・『シークハンター』っていう会員制の交流サイトなんだ。」 「へぇ~。免力君って、ネットでは熱い口調なんだね。まるで、猫被りしてるあたしみたい」 「・・・・・・」 「・・・まぁ、匿名の世界だしね。この世界でくらい、自分の思いをぶちまけたいとは私も思うな」 手持ちの携帯で『シークハンター』にアクセスしている免力と、それに興味津々な林檎が思い思いに会話する。 「・・・林檎さん」 「・・・こう見えても、あたしも結構ストレス溜めてるんだぜ?」 「・・・僕もですよ。・・・でも、それでも少しでいいから前に進まないといけないんですよね」 「・・・だね。あたしも頑張らなきゃ」 2人は、上空に燦然と輝いている星空を見る。廃れたここ第19学区では、人工的な灯りは然程無いので星々がよく見える。 2人共に、自分に劣等感を抱いている人間である。そんな2人は、周囲の助力も借りながらも何とか前へ進もうと頑張っている。 「・・・そういえば、“カワズ”さんは?」 「誰かから電話が掛かって、1人どっかに行っちゃった。回線を繋ぐ間も無く消えちゃったよ」 「・・・そうで・・・」 「免力よ!!そこで、何をしておるのだ!!?」 「「!!?」」 免力が林檎に“カワズ”の行方を尋ねていた時に、大声を出して割り込んで来たのはもちろん啄鴉。後ろには、他の面々(風紀委員含む)の姿が見える。 「(・・・な、何か・・・)」 「(面白そうな予感・・・!!)」 それ等の姿を目に映し、免力と林檎はある予感を抱く。もっとも、2人が感じた予感は別種であったが。 「は~い。こちら“詐欺師ヒーロー”の“カワズ”ですよ~。どちら様ですか~?」 「・・・プッ。何、その応答は?それに、誰が掛けて来たかなんてわかってるんじゃないの?」 「・・・結局掛けて来たんだね」 「・・・ごめんなさい」 「・・・他の奴に相談とかしたの?例えば・・・同期の債鬼とか?」 「ブッ!!な、何で債鬼君と私が同期だってことを・・・」 「君んトコの部下から聞いた」 「ゆかりの奴か・・・!!さ、債鬼君なら今頃クラスメイトの女の子とのデートで忙しいんじゃないの!!フン!!」 「・・・何怒ってんの?」 「お、怒ってない!!」 キャンプから多少離れた所で電話による会話を行っているのは“カワズ”。相手は176支部リーダーの加賀美である。 「・・・まぁ、いいか。それで、何の用かな?」 「・・・内通者が誰か・・・わかった・・・と思う」 「・・・そうか」 小細工無しの真っ向勝負。加賀美は余計なことを言わずに、最初から自分の心根を吐露する。 「界刺さん。私ってさ・・・リーダーに向いてると・・・思う?」 「いんや。今の君なら、よくて中間管理職って言った所かな?」 「即答・・・。クスッ。だよね~。私って向いてないよね~。だからさ・・・・・・部下を裏切り者にしちゃうんだよ・・・!!!」 抑えていた思いを正直に吐き出す。何があっても最後までやり抜くために。 「な、何で・・・何でなんだろう・・・!!裏切りなんてさせたく無いのに・・・!!どうして・・・!!私、私って・・・今まで何を頑張って・・・!!」 「(あ~、この感じ・・・前にリンリンの懺悔を聞かされた時と同じ匂いが・・・)」 “カワズ”は、以前にも経験した他者の懺悔を多少以上に辟易しながら耳にする。耳にしながら、そんな言葉の連なりに付き合いたく無かったので話の流れを変えるための言葉を吐く。 「・・・麻鬼天牙」 「!!!」 「・・・風路鏡子」 「ッッ!!!」 「そして・・・網枷双真。君が去年の9月に176支部のリーダーになってから風紀委員を“辞める羽目”になっている人間だ。3人か・・・客観的に見れば異常だね」 「・・・・・・あなたって本当に底知れないわね。“誰が”漏らしたのかは大体予想は付くけど・・・やっぱりあの娘もあなたを頼ったの?」 「そうだ。俺が君より物事を量れる人間だからってことで」 「・・・・・・だよね~。そりゃ、ゆかりから見たら私って頼りないモンね~。リーダーになってから、これで3人目だモンね~。ムフフッ。ムフフフッ・・・」 「・・・」 少女の乾いた笑いが“カワズ”の耳に入って来る。そこに込められた怒りと嘆きの思いが手に取るように理解できた。 「ムフフッ・・・ムフフッ・・・」 「・・・加賀美」 「・・・何?」 「辞めるか?リーダーも・・・それこそ風紀委員もさ?今ならまだ間に合うかもしれねぇぞ?」 「・・・・・・」 だから、“詐欺師ヒーロー”は心の中で泣き崩れている少女に選択肢を与える。リーダーとして、これ以上傷付かない方法を掲示する。 「・・・・・・今は・・・嫌」 「何で?」 「だって・・・“詐欺師ヒーロー”と約束したもん。何があっても最後までやり抜くって」 「(・・・もし、あの時俺がアクションを取っていなかったら本気でヤバかったかもしれねぇな、こりゃ。これだから“ヒーロー”はメンドクセェ。・・・身から出たサビだけど)」 震える声で宣言する少女に“詐欺師ヒーロー”は過去の己の行いを振り返る。 あの時は偶々加賀美と“ゲロゲロ”が居る場面に立ち会っただけである。その偶然が、今や少女の支えとなっていることを“カワズ”は理解する。 「・・・何なら、その約束を取り消そうか?それなら、後腐れなく辞められるだろ?」 「えっ!!?そ、それは・・・そんな・・・!!!」 「・・・・・・嘘だよ。“詐欺師ヒーロー”らしいペテンだろ?」 「も、もぅ!!人が真剣に悩んでいるのに!!」 「君は・・・風紀委員として・・・そしてリーダーとして在りたいんだね?今の反応からすると」 「なっ!!?わ、私を引っ掛けたわね!!?」 「そうだよ。んふっ」 “カワズ”はお得意のペテンを使って、少女の本音を無理矢理引きずり出す。彼女は、まだ未練を持っている。風紀委員に・・・そしてリーダーに。なら・・・ 「加賀美」 「な、何よ!?」 「君が今までリーダーとして果たすべき責任の多くをこなせていなかったのは事実だろう。さっき言った3人の軌跡が、それを物語っている。ある意味では、君はリーダー失格だ」 「・・・・・・」 「でも、君がリーダーだったからこそ果たせた責任もあった筈だ。昨日の問題児集団や緋花だって、君がリーダーだったからこそ付いて来ている面は確かにあると思う。 今のあいつ等はそれが甘えに繋がってるけど、裏を返せばそれだけ君の部下で居たがっているんだ。これは人望がある証拠だ。君は人を惹き付けるだけの誠実さを備えている。 これで部下をキッチリ指導できるようになれば君は立派なリーダーになれる。今の君はそれができていないから、俺は君を『リーダーに向いていない』って言ったけどね。 人望があっても、そこから先が中途半端だからブツクサ言われる。でもね、加賀美。俺からしたら、君は『本物』のリーダーになれる素質の一端を確かに持っている女の子だよ?」 「私が・・・!!!」 「加賀美。人間ってのは完璧にはなれないんだ。聖人君子になんかなれねぇんだ。完全なんかあるわけ無い。誰だって不完全。俺も不完全だ。 だから・・・誰もが必死になって、泥まみれになって、ボロボロになりながらも努力するんじゃないか?そして、君は君なりの努力をして来た筈だ。今も・・・ね。 それを君が否定すんなよ。過去を否定すんなよ。君自身が可哀想だ。まぁ、結果に結び付いてりゃ文句無しなんたけど・・・まだまだ努力不足みたいだね」 「・・・だね」 “ヒーロー”として、迷いに迷っている子供に光を差し伸べる。 「ス~ハ~。ス~ハ~。加賀美雅!!!」 「痛っ!!?きゅ、急に大きな声を・・・」 「君は!!!176支部のリーダーだ!!!!!」 「ッッッ!!!!!」 “ヒーロー”として、泣き崩れている少女に持てる声の限りを尽くして訴える。 「誰に認められなくても、この“詐欺師ヒーロー”が君をリーダーとして認めてやる!!!『本物』のリーダーかどうかは保証しねぇけどな!!! だが、君が『本物』のリーダーになろうと懸命に努力するのなら、『本物になろうとする』のなら、俺は持てるペテンの限りを尽くして君を認めてやる!!! 網枷の野郎に何言われたか知らねぇが、んなモン知ったことか!!裏切り者が何ぬかしてやがんだって話だ!!網枷の野郎だって、君達を裏切る前に全力を尽くしたのかよ!? 君が全部間違ってて網枷が全部正しいのかよ!?違ぇだろ!?君達を裏切って『ブラックウィザード』に入ってる時点で、あの野郎は間違った手段を取っていると俺は考える!! おそらく、“わかってて”その手段を取ってるんだろう!!その根本にある理由まではわかんねぇけど、それが君を全否定する理由になんかなんねぇ!!違うか、加賀美雅!!?」 「界刺・・・さん・・・!!!」 「俺は君達風紀委員の多くに嫌われてる!!『間違ってる』ってよく言われる!!否定もズバズバされる!!俺も自分のやっていることが客観的に全部正しいなんて思わない!! でも、俺は後悔しない!!後悔していない!!誰に認められなくても、この俺が俺自身の行動を認めているからだ!!加賀美雅!!君はこんな俺を全否定するか!!?」 「・・・ない。・・・しない。あなたを全否定なんて・・・・・・私は絶対にしない!!!」 「そうか。なら、今度は君の番だ。君が君自身を信じろ!!自分の行動がどんな結果に結び付くにしても、それは君の自業自得だ。受け入れて・・・背負って・・・次に活かせ!! 俺は君を全否定しない!!加賀美雅を全否定しない!!俺の信念に懸けて!!だから頑張れ!!意地を見せろ!!何があっても最後までやり抜け!!!いいな?約束だぜ!!?」 「・・・う、うん・・・!!うん!!ぜ、絶対に守る!!あなたとの約束は・・・絶対に守り抜く!!何があっても!! そして・・・私も誓うよ!!誰が認めなくても、私があなたを認める!!私はあなたを全否定しない!!界刺得世を全否定しない!!私の・・・信念に懸けて!!」 改めて交わされた“ヒーロー”と子供の約束。界刺得世と加賀美雅の約束。それは、前以上の太さを持って固く結ばれた。互いの信念を約束の糸に編み込んで。 「・・・界刺さん」 「ん?」 「双真とは・・・私が決着を着ける。これは、176支部のリーダーとして果たさなきゃいけない責任だと思うの」 「・・・かもね」 「双真は、今日のお見舞いの一件で私が彼の正体に気付いていることを察している筈。 緋花や帝釈が知らなくてゆかりが知っている所から見ると・・・椎倉先輩を筆頭に一部の風紀委員にだけ知らされていると思うの」 「・・・妥当な予測だね」 「私に教えてくれなかったのは、私だと動揺みたいなモノが露骨に出ちゃうから・・・?」 「それは間違い無い」 「ガクッ!!・・・ま、まぁ妥当な判断だとは思うけどさ。でも・・・もうそんなことは関係無くなった。きっと・・・近い内に仕掛けてくる筈。私を始末するために。 何たって、私が双真の正体を予測していることを双真自身が気付いている筈だから。176支部の後方支援をしている双真なら、私の行動は予測できる筈。それを・・・逆手に取る」 加賀美は、自身の決意を“カワズ”に伝える。己が部下の不始末はリーダーである自分自身の手で断ずることを。 「椎倉先輩達には伝えないの?」 「・・・これは、私が着けなきゃいけないケジメなの。我儘なのはわかってる。でも・・・」 「椎倉先輩には伝えろ!!」 「ッッ!!」 「君1人の問題ならまだしも、これは風紀委員会全体の命運が懸かっているかもしれない事柄だ。力不足のリーダーが1人で背負えることじゃ無い」 「くっ・・・!!」 「君の思いもわかる。だけど、こういう時こそ慎重になるんだ。用心深くなるんだ。それがいい結果に繋がらなくても、裏目に出たとしても、それはそれで仕方無い。 大概、そういう場合は被害が出ても最小限に抑えられるモンだ。でも、勇み足で失敗したら大火傷になる可能性が高い。これは確率の問題だよ? 俺が救済委員事件で穏健派の指揮を取った時は、その辺りの“線引き”はキッチリしたぜ?」 「・・・そして、ちゃんと結果を出した?」 「客観的に見ればね。被害も想定内で済んだし。俺っていう主観的な観点でも結果は出せたと思ってるし」 同じリーダーとして、“カワズ”は逸る加賀美を優しく叱る。結果という動かし難い事実でもって。 「・・・・・・わかった。椎倉先輩には伝える」 「うん。それがいい」 「・・・止めないんだね」 「それは君の自由さ。さっきも言ったけど、その結果がどうなろうとリーダーである君の自業自得だ。俺には関係無い」 「・・・そうだね。ごめんなさい。・・・あなたって、やっぱり“ヒーロー”だよ。あなたがそう思っていなくても、私から見たら“ヒーロー”だよ。 緋花にも話したけど・・・辛いんでしょうね、あなたは。私のような人間を背負っている・・・いえ、背負わされるんだから。 それをわかっていて頼っているんだから、本当ならこんなことを言える資格は私に無いんだけど・・・言わせて。本当にごめんなさい。そして・・・本当にありがとう」 「・・・・・・」 「確かに、あなたは非情なのかもしれない。しれないけど・・・あなたはちゃんと地に足が着いている。それだけ安心感がある。それに比べてあの娘は・・・。 緋花も、あなたに負けないくらいの・・・『他者を最優先に考える“ヒーロー”』になれるのかな・・・?」 「“ヒーロー”に勝ち負けなんてそもそも無いと思うけど・・・つーか、やっぱ諦めて無ぇんだな?」 加賀美の言葉に焔火の名前が出て来たことに反応する“カワズ”。“ヒーロー”を目指し、足掻きに足掻きまくっている少女。 彼女の上司である加賀美は、今の焔火の成長具合を彼に伝える。こうして“ヒーロー”と話している機会を活かして部下の意思を伝える。 「うん。辛い目に遭ってるのに・・・逃げずに頑張ってる。何処か不安な感じはするけど・・・あの娘なりに懸命に頑張ってる。 あの娘なりに成長もしてるよ?『自分を最優先に考える“ヒーロー”』の意味もちゃんと理解してたし。長所と短所の見極めについても気を付け始めたし。 独り善がりについてはまだ理解できていなかったけど・・・。これは徐々にって感じなのかも。でも、私が思っている以上に成長速度が速いというか・・・」 「やっぱ辿り着いたか・・・。やるじゃん」 「そうでしょ?あなたの言う通り、今あの娘が色々経験した上で自分なりに考えているのは確かに糧になっている・・・」 「なら、そろそろ“偶像”に気付く頃合いかもな(ボソッ)」 「えっ?」 「いや・・・。君も頑張れよ」 「・・・うん。それじゃあ」 「あぁ。おやすみ(ガチャ)」 「・・・・・・ハァ~」 “詐欺師ヒーロー”との通話を終えた加賀美は、思いっ切り背伸びをした後に後方にある枕に頭を預ける。つまりは寝転がった。 「・・・・・・ムフフッ。やっぱり、電話して良かったぁ」 涙さえ浮かべている少女の顔に表れているのは、ある種の満足感。自分の言葉に応えてくれるという期待通りの言葉を与えてくれた“ヒーロー”に対する感謝の思い。 「・・・・・・やっぱりあるんだなぁ。『リーダーでありたい』って思いが。・・・だったら・・・何時までもへこたれてちゃいられない!! 今の私は、色んな方面で力不足なのは間違い無い!!でも、こんな私をリーダーとして見てくれる人達が居る!!私は、その人達の思いに応えたい!!よーし!!やるぞー!!!」 少女は確かな決意を固める。先程固めた決意とは温度が違う決意。何処か温かな決意が胸に広がって行く。だからこそ、ふと思い出してしまったのかもしれない。 あの男に自分が176支部リーダーに抜擢されたことを言いに行った在りし日の姿を。 『お前がリーダーか。俺より先になるとはな・・・面白い。俺の言葉に正面切ってぶつかって来たお前なら、「本物」のリーダーになれるかもしれん!! 待っていろ!!俺も自分の実力に更なる磨きをかけた暁には、お前と同じ位置に立ってみせる!!』 「(そういえば・・・債鬼君より先にリーダーになったんだよなぁ。まぁ、年功序列みたいな感じでリーダーになることが決まったんだけど。 それでも、債鬼君は私が『本物』のリーダーになれるかもしれないって言ってくれた。彼ならお世辞なんか言わない・・・筈。だったら・・・尚更頑張らないと!!)」 今最優先すべきは、身体の回復。なので、加賀美は早々に睡眠作業に入る。夕方に網枷達が来たのを切欠にずっと気を張り詰めていたせいか、すぐに眠気が襲って来た。 少女は、良い夢を天に願ってスヤスヤと吐息を吐き出す。これからが本番。それに備えての束の間の休息に加賀美雅は身を委ねた。 「もしもし。花多狩姐さん?今大丈夫?」 「えぇ。何かしら?」 加賀美との通話を終えた直後に、“カワズ”はある女性に電話を掛けた。電話の向こうに居るのは、かつて救済委員事件の折に一緒に戦った穏健派救済委員の1人・・・花多狩菊。 「実はね・・・(ゴニョゴニョ)」 「(ゴニョゴニョ)」 「(ゴニョゴニョ)」 「(ゴニョゴニョ)」 「(ゴニョゴニョ)」 「・・・わかったわ。まさか、貴方や啄達が『ブラックウィザード』の件に関わっているなんてね」 「まだ本格的には関わっていないけどね。あくまで準備としてだよ」 “カワズ”は花多狩にある依頼をした。それは、今後に備えての準備作業の一環である。 「はいはい。灰土さんは、確か明日から夏季休暇に入るから大丈夫だと思うわ。鉄の発明品は慎重に取り扱わないと。いきなり爆発されたら堪ったモンじゃ無いわ」 「こころちゃんの発明品か・・・。俺も実際に見たのは一昨日の深夜だったけど、あれは確かに取り扱いに注意しないとね」 「貴方も大忙しね。息が詰まっているんじゃない?鉄じゃ無いけど、折角の夏休みなんだし学園都市の『外』にでも気晴らしに行ってみたらどうかしら?」 「・・・一応その選択肢も夏休み前から考えてはいるんだよね。3枚ある申請書も殆ど書いてるし。唯、行きたい場所が無いのがねぇ。保証人も居るからメンドイし。 そしたらこんな流れでしょ?もう、どうでもよくなってきた。おとなしく部屋でダラダラしとこっかな?」 「怠けてると余計にしんどいわよ?フフッ」 通常、能力者である学園都市の学生が『外』へ赴くためには結構な手順を踏まなければならない。3枚の申請書を教師に提出、保証人の同行、体内に極小の機械を注入等々。 花多狩も『外』へ出るための手続きの面倒臭さは知っているので、苦笑いを抑えられなかった。そのついでに・・・1つ気に掛かっていることを質問する。 「・・・羽香奈のことは全然気に掛けないのね?」 「あれはもう終わったことだよ。俺の『詐欺話術』に腰が抜けた彼女の自業自得だ。あの程度でビビるんなら、最初から手ぇ出すなって話だ。 桜ん時の顛末を農条から聞いた時も思ったけど、あの娘ってそこら辺の覚悟が軽いよね~。また今度指導してあげようか?」 「・・・それは止めておいた方がいいわね。あの娘の精神状態が持たないわ。それにしても・・・『絶対挑発』が効かないなんてね・・・」 「そりゃ、俺の『本気』だぜ?あんなヤワな覚悟しか持っていない女の精神干渉なんて効くわけ無いだろ? まぁ、能力次第じゃ無理なモンは無理なんだけどな。あの娘の場合は、自制心の強い人間には効かない場合があるみたいってことは聞いてたからね」 “カワズ”と花多狩の会話に出て来る少女―穏健派救済委員の1人である羽香奈琉魅―を巡る話題に関しては、いずれまた別の機会で語られることになるだろう。 「ハァ・・・。まぁ、いいわ。あの娘のフォローはこっちでやるから」 「そう。そんじゃお願い」 「それにしても・・・もしこれで『ブラックウィザード』が貴方達の手で潰れるようなことがあれば・・・『シンボル』の名は更に轟くことになるわね」 花多狩は、感心の念すら抱いて通話相手に感想を述べる。救済委員事件に『シンボル』が関わっていたことは、今や“表”や“裏”を問わずに結構広まっていた。 『シンボル』が味方した穏健派が勝利したこと、その勝利は『シンボル』の力が大きかったことも同時に。 これで、巨大スキルアウトである『ブラックウィザード』殲滅に『シンボル』が関わり、見事それを果たした時はいよいよもってその名が轟くことは疑いようが無かった。 「・・・本音を言えば、それはそれで困るんだけどね」 「えっ?」 「出る杭は打たれるって言うだろ?有名税ってのは、後から面倒臭くなるんだよ。 影響が強ければ強い程、それを妬んだり警戒したりする奴が現れる。少なくとも、今回の件は風紀委員や警備員を主役にしねぇとな。 もし、俺達が間接的にでも関わることになったとしても、対外的には『風紀委員や警備員に追従したorおこぼれを頂戴した』って形にしねぇと」 「・・・用心深いのね」 「そもそも、『シンボル』はボランティアだっての。・・・そういう形にしておけば、俺達が主役じゃ無くなる。脇役なら、その手の影響も最小限に抑え切れる。 『「シンボル」は風紀委員や警備員に頭が上がらない上に利用されてる』って形に収めりゃ、無意識的にでも俺達を見下す形になる。見下すってことは軽んじるってことだ。 侮蔑の視線を向けられようとも、軽視の視線を向けられても、それはそれで結構だ。それでそいつ等の気が治まってくれりゃあ儲けモンさ。 仮に、『追従』っていう態度が気に入らなくてどっかのバカ共が俺達にヤキを入れに来たとしても、俺達を舐め腐ってる以上どうとでもできると思うよ」 「(そこまで先を読んだ上での依頼・・・か。警備員でもある灰土さんを頼るのもその辺りに理由があるのかも。以前も思ったことだけど、指揮官としては見習うべき点が多いわね)」 “カワズ”の用心深さと先を読む力に、穏健派救済委員の指揮官的役割を受け持つ花多狩は感嘆する。 「・・・なら、ついでに1つ情報をあげるわ」 「へぇ。何?」 「以前から、峠が『ブラックウィザード』について調査していることは知ってるわよね?」 「あぁ。何時かの会合でも言ってたね」 「彼女から聞いた話だけど、昨日から雅艶と麻鬼が峠と共に『ブラックウィザード』の調査をしているようなの」 「雅艶と麻鬼が?確か、『ブラックウィザード』の調査は峠1人でやってた筈だよね?」 「なんでも、春咲さんの処分に心を砕いてくれた風紀委員の依頼で雅艶と麻鬼が・・・」 「桜の?・・・ちなみにその風紀委員は?」 「これは、他の人には内緒よ?・・・“風紀委員の『悪鬼』”よ」 「(債鬼・・・か!!)」 『シンボル』のメンバーの1人である春咲の処分に関わっていた風紀委員の1人が固地であることを、“カワズ”は今初めて知った。 あの“『悪鬼』”が何の理由も無しに救済委員であった春咲の処分に心を砕くとは到底思えない。考えられるとすれば・・・ 「姐さん。もしかして、その“『悪鬼』”と雅艶ないし麻鬼は以前からやり取りしているのか?」 「それは私にもわからないわ。峠も今回初めて知ったらしいし」 「・・・そうか。・・・あいつ等も関わって来る・・・か。まぁ・・・何とかなるか。桜が居る以上あいつ等も敵対心剥き出しにはならねぇだろう。 そうだ。姐さん。今度穏健派や過激派の連中を集めて飯でも食いに行こうぜ。あれ以来、面と向かって話したことなんて無いよね。峠は桜に謝りに来たけどさ」 「・・・そうね。それもいいかもしれないわね。わかったわ。セッティングは私がするから、準備ができたらまた連絡するわ」 「了解」 「それじゃあ、おやすみなさい」 「おやすみ(ガチャ)」 そう言って、“カワズ”は通話を切る。上空を見やれば、星の海が広がっていた。あれだけの数を包み込む世界の一部たる存在として、界刺得世は静かに闘志を燃やす。 今日をもって“超近赤外線”も完全にモノにしたことにより、“戦闘色”である【閃苛絢爛の鏡界】は更なる進化を遂げた。 ダークナイト への“追加実装”も、以前のプールと夕方の電話にて手配済。戦力や後始末として、現状使える手も殆ど打った。 後は、風路の決断と情報販売との接触。できるなら、後始末の一助となる可能性を考慮して情報販売の伝手を使って“彼女”とも交渉しておきたい所。 「(緋花・・・。テメェが本当に“ヒーロー”になりたかったら、“ソレ”は避けて通れない代物だ。“偶像”じゃ無い、テメェだけの“ヒーロー”ってヤツを確立しなきゃなんねぇ。 だけど、それは一時的に収めないといけねぇ。“ヒーロー”になるにしても一時的に収めるべきだ。緑川だって、ずっと“ヒーロー”をしてるわけじゃ無い筈だぜ? 一度“ヒーロー”になったら、否が応でもそれに纏わり付かれる。今の俺のように。“線引き”をしっかり引かねぇと、後々面倒臭いことになるぜ? 今のテメェは理解してねぇし、今後も理解することはできないのかもしれねぇけどよ・・・“英雄(ヒーロー)”は良いモンじゃ無ぇぞ?俺が知る“英雄”は・・・“戦鬼”だからな)」 昨日『マリンウォール』で破輩に言ったことは本心そのものである。色んな結果を出すために、誰よりも深く、深く思考している。 だから、思い出したのかもしれない。上空に広がる光景が“あの”星空の下での交錯を連想させたのかもしれない。 生涯忘れることの無い赤髪の少女との出会い。碧髪の少年は、痛い思いをした尻を摩りながら当時のことを脳裏に思い浮かべる。 『なぁ、少年。私は現状が気に入らない。「科学」と「魔術」。相反する存在が私の想いを抑え付ける。私はどちらにも縛られたく無い。私は望む。「科学」と「魔術」の融合(カオス)を。 少年よ。偉大なる輝星よ。私の望みが叶うかどうかを君で試させて貰う。混沌の中で揺るがぬ力を持ち得る君になら・・・果たせるかもしれない。私も力を貸そう。 全ては最新望遠鏡で星を目一杯見るた・・・ゲフン、ゲフン』 「魔術・・・超能力とは違う異能の力らしいが・・・。所謂オカルトだよな。今もろくすっぽ信じちゃいないが、あの赤毛女が嘘を付いているようには見えなかったんだよなぁ。 そういや、あの時魔術師とか何とか言ってたなぁ。・・・もしかして、あの後に言ってた言葉があいつの名前か?確か・・・リノアナ・サーベイだったか? リノアナ・・・か。キメ顔でわけわからん長話をするわ、股間を蹴り上げられるわ、銅を持たされた状態でブン投げられて尻を汚されるわ、散々な目に遭ったな。ハァ・・・。 あいつの言うオカルト・・・“お呪いみたいなモノ”・・・『惑星の掟 パーソナルプラネット 』とやらは、果たして今回の件でどんな光景を俺に見せてくれるのやら。 語感的に、超能力を発現するのに必須な『自分だけの現実 パーソナルリアリティ 』のようなモンか?よくわからん。・・・まっ、“その時”が来ればわかるか。んふっ!」 “その時”が来れば、偶然・必然全てを利用して可能な限り成し遂げてみせる。全ては自分に降り掛かって来る世界の愚痴(プレゼント)に応えるために。後は・・・なるようになる。 continue!!
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場に剣呑とした空気が漂う。漂わせるのは、『閃光真剣』を手に不機嫌そうな表情を浮かべている神谷その人。 「テメェ・・・あん時のゲコ太野郎か?」 「(し、しまったでござる!!まさか、この場に“剣神”が居ろうとは!!)」 ゲコ太は、着ぐるみの中で冷や汗をかく。実は、以前にゲコ太は救済委員活動の際に176支部の神谷に見付かり、『閃光真剣』片手に追い回された経験があった。 もちろん、救済委員であることはバレてはいないが、それ以降ゲコ太は一部の風紀委員から要注意人物としてマークされているのである。 「・・・どうした?何か言ってみろよ?」 「(こ、これ以上言葉を漏らせば、確実に拙者のことがバレてしまうでござる!!しかし、このままでは・・・)」 ゲコ太の言葉遣いは独特で、すぐに矯正できるような器用な真似はできない。何一つ言葉を発しない“ゲコ太マスク”に、神谷がいよいよ確信を深める・・・そんな時!! 「お~い!!“ピョン子”!!さっさと、このどチンピラを何とかしろよ!!ヒーローショーの邪魔になってんぜ!!」 すぐ傍に居た“カワズ”が、カエルの頭に赤色の髪留めがプリントされたような姿をしている“サークルヒーロー”である“ピョン子”を呼び付ける。 一方、呼ばれた張本人である“ピョン子”は、“ケロヨン2号”の背に隠れるようにこちらを覗っていた。すぐ横には“ケロヨン1号”も居る。 「(な、何で私に振ってんの!?こんな状況で神谷先輩の前に行けるわけ・・・)」 「葉原先輩・・・どうしたんですか?」 「葉原先輩~、呼んでますよ~」 「葉原・・・先輩?」 今の葉原は、事情があって“ピョン子”となっていた。しかも、風紀委員会を欠席してまで。故に、今ここで自らの正体を明かすことはできなかった。 だが、葉原の事情なんかサッパリ知らない免力と盛富士の口から、彼女の名前が零れてしまう。 ちなみに、免力が盛富士の背に隠れているのは、彼が映倫生にあるコンプレックスを抱いているために、その姿を見た途端に隠れてしまうという妙な癖があるからである。 「まさか・・・葉原か?」 「えっ・・・?ゆ、ゆかりっち!?」 「ど、どうしてこんな所に!?風紀委員会を欠席してまで・・・!?」 神谷・焔火・加賀美に感付かれた。覗う顔を思わず引っ込めてしまったために、3人の見当が正しいことを証明してしまった。 足をこちらに向ける3人。心臓バックバクの葉原。その間に割り込んだのは・・・ 「ハーハッハッハ!!!そんなもの、葉原嬢が俺達十二人委員会のメンバーであるからに決まっているだろうが!!!」 十二人委員会のリーダー啄鴉。今の名は、“ヒーロー戦隊”『ゲコ太マンと愉快なカエル達』のリーダー“ゲコ太マン”。 「・・・ゆかりっち」 「あなたまで・・・」 その意味をすぐに悟った焔火と加賀美は、葉原に怒りどころか同情の念を抱く。あの“変人”でさえ逃れられないのが啄鴉なのだ。 そんな存在に、普通の人間である葉原がどうやって対抗せよと言うのか。きっと、自分達でも無理くさい。 「あぁ?十二人委員会?何だ、そりゃ?」 「元は俺が作った組織だ。組織の概要や成り立ちを話せば長くなるが・・・そうだな、まず」 「いや、いい。興味無ぇ。つーか、俺等の仲間を妙な集団に加入させてんじゃ無ぇよ」 対して、啄とは今日が初対面の神谷はどんどん突っ込んで行く。 「妙とは失礼な!!俺にとってはかけがえの無い物だぞ!?」 「んなモン知るか。そうか・・・こんなおふざけに巻き込まれてたのか。テメェ、葉原が風紀委員ってことは知ってんのか?」 「もちろん!!」 「そうかそうか・・・。テメェ、風紀委員(おれたち)をナメてんのか・・・!!?こんなお遊びに時間を取られていい程、こちとら暇じゃ無ぇんだよ・・・!!」 神谷の眼光が鋭さを増す。葉原は、176支部における優秀なオペレーターである。 後方支援もこなす優秀な支部員を、こんなおふざけに巻き込ませた啄に対して神谷は怒っているのだ。 「ハーハッハッハ!!!おふざけ!?おふざけか!!?・・・ナメているのはお前の方だ、風紀委員!!」 「・・・どういう意味だ?」 だが、啄は全く動じない。それは、彼の信念である『弱い人間を救う』という根幹が揺ぎ無いからこそできる芸当だ。 「俺達は、何もふざけて等いない!!こうして“ヒーロー戦隊”を組んでいるのにも、ちゃんとした理由がある!!」 「・・・言ってみろ」 「俺達は、これから数日間ボランティアに赴く予定だ!!そして、この“ヒーロー戦隊”は赴く施設に居る子供達のために用意した物なのだ!!」 「ボランティア・・・?施設・・・?」 「そうだ!!これは、“ゲコ太マスク”や“1号”・“2号”達たっての頼みなのだ!!そこに居る子供達も、俺達の来訪を心待ちにしている!! 風紀委員!!俺達は、幼い子供達を笑顔にしてやりたくてこの行動を起こした!!その行動を、決意を、お前達はおふざけと断じるのか!!?」 「グッ・・・!!」 啄の熱き信念が篭った言葉に、神谷はたじろぐ。施設へのボランティアということは、何かしら不幸な境遇に居る子供達のために起こした行動だ。 『弱い』とは一口に言っても色々あるが、今回の場合は一般人に比べて『弱い』環境・・・つまり不幸な環境に身を置く子供達のことを指す。 だから、神谷は上手い反論ができない。ぶっきらぼうな彼は、この手の勝負は余り得意では無かった。 「“ゲコ太マン”の言う通りだ!!!」 「風紀委員って“ゲコ太マン”や“ゲコ太マスク”を苛めるのかー!!?」 「風紀委員ってこわーい!!!」 「うおっ!!?」 そこに、純真無垢な幼子達の容赦無い糾弾が加わる。先程の“カワズ”の件でもわかる通り、こういう時の幼子達はとても厄介である。 「神谷先輩!!こんな将来有望な少女達の言葉を、俺達が無視していい道理は無いですよ!!?」 「神谷!!こんな前途有望な少年達の思いを、アンタは踏み躙るって言うの!!?」 「何でお前等も!!?」 更に、同じ176支部の一色と鏡星がダメ押し的な抗議を行う。 「・・・・・・空気の読めない男」 「グアッ!!」 そして、最後のトドメは最年少の後輩である姫空が刺す。 「ふ~、よかった、よかった。皆、“ゲコ太マン”や“ゲコ太マスク”を助けてくれてありが・・・ブヘッ!!?」 「お前のためにやったんじゃねぇよ!!!」 「まだいたのか!!?」 「早く、私達の前から消えて!!!」 「「「「「かーえーれ!!かーえーれ!!かーえーれ!!!」」」」」 何とか神谷の魔の手からゲコ太を守れた“カワズ”が子供達にお礼を言おうとするが、逆に子供達からは「かーえーれ」コールを浴びせ掛けられる。 「・・・・・・(トボトボトボ)」 「「“カワズ”様!?(スタスタ)」」 さすがに居た堪れなくなった“カワズ”は、ションボリとして(着ぐるみなのに)どっかに去って行く。その後姿を“ゲコっち”と“ゲコゲコ”が追い掛けて行く。 「よし!!これで、“カワズ”退治完了だ!!」 「そうだ!ゲコラーの皆にもこの情報を知らせておいた方がいいよね?」 「うん!!え~と・・・『“カワズ”っていう偽者の“ヒーロー”がウロ付いているから気を付けて。見付けたら、すぐに風紀委員か警備員の人達へ通報!!』・・・と」 「・・・最近のちっさい子供って、ホントに恐ーな」 「・・・しかも、これから数日間はあのカエル姿なんだろう?災難と言うべきか、自業自得と言うべきか・・・」 「なぁ、真面?もし子供達から『街中を“カワズ”という偽者の“ヒーロー”がウロ付いてます』なんてことを通報されたら、俺達はどうしたらいいんだろうな?」 「・・・・・・不審者として職務質問するしかないんじゃないですか?したくないですけど」 幼子達は、手加減というものを知らない。徹底的に“カワズ”を叩き潰すつもりなのだ。 その姿に閨秀は少し恐怖し、冠は冷静に分析し、浮草は疑問を抱き、真面は呆れ顔で返答する。皆が思うのは、『子供って恐いね』ということである。 「・・・わ、わかったよ。だが、葉原をこのまま連れて行かれるってのはこっちも困る」 「ふむ・・・。ならば、尋常に雌雄を決しようではないか」 しばらく経ってようやく立ち直った神谷の言葉に、啄がある勝負を提案する。 「これは・・・?」 「安心しろ。唯の模造剣だ。これによる一騎打ちで、葉原嬢の占有権を争うのだ!!」 「せ、占有権って何ですか!?何で、私があなたのモノになってるんですかー!!?」 「・・・面白ぇ。いいぜ?その勝負、乗った」 「神谷先輩!?む、無視しないで下さい!!」 葉原のツッコミを無視し、2人の男は1人の少女を巡って勝負することを決めた。緊張した空気が流れ始め、周囲に居る子供達や風紀委員達も沈黙する。 「幼子達よ!!この“ゲコ太マン”の勇姿を、その瞳に焼き付けるがいい!!ハーハッハッハ!!!」 「・・・・・・」 “ゲコ太マン”の大声と神谷の無言が交錯する。そして、勝負の火蓋は切って落とされた。 ブン!!! 「なっ!?」 「へぇ・・・。結構いい反応してんじゃねぇか?」 神速。居合いの構えから抜き放たれた剣を、反射神経だけでかわした“ゲコ太マン”。神谷稜が“剣神”と謳われるのは、偏にその戦闘技術の高さにある。 「クッ!?」 「どうした!?デカい口を叩いた割には、そんな程度かよ!?」 ある人間のおかげ(せい)で、神谷は図抜けた戦闘技術を手に入れた。それに比する身体能力も同様に。 “ゲコ太マン”もそれなりに鍛えられているようだが、神谷が相手では分が悪過ぎる。それだけ、神谷の実力が高いことを示しているのだが。 「ハァ!!」 「ぐうぅ!!」 “ゲコ太マン”も何とか神谷の剣を防いでいるが、それも一時的なもの。防戦一方では、掴める勝機は存在しない。そして、吹き飛ばされる剣。 「フン!!」 「グハッ!!」 神谷が放った蹴りが“ゲコ太マン”の腹部に突き刺さる。その威力によって、地面に蹲る“ゲコ太マン”。 「もう、いいだろ?今の戦闘でわかったよな?俺とお前とじゃあ、実力差ははっきりしているってことが。これでも、大分手加減してるんだぜ?」 「ぐうぅ・・・!!」 「やっぱ、神谷先輩ってすごく強い・・・!!」 176支部最強のエース、“剣神”神谷稜。単純な戦闘能力では“ゲコ太マン”を大きく上回る彼の降伏勧告が、周囲に響き渡る。 久方振りに見る先輩の戦闘に焔火が瞠目している中、勧告を受けた“ゲコ太マン”は・・・ 「誰が諦めるものか・・・!!」 立ち上がる。唯それだけのことに、何故か心に響くモノが存在した。 「俺は負けるわけにはいかない・・・!!この子供達の笑顔を守るためにも!!俺は・・・絶対に倒れるわけにはいかないんだあああああぁぁぁっっ!!!!!」 「師匠!!!頑張って下され!!!」 「“ゲコ太マン”!!!負けるなああああぁぁぁっっ!!!」 “ゲコ太マン”の不屈の姿に、“ゲコ太マスク”と“ゲコ太”から熱い声援が送られる。 「が、頑張れえええええぇぇぇっっ!!!!!」 「風紀委員なんかに負けるなああああぁぁぁっっ!!!!!」 「私達の“ヒーロー”を!!!“ゲコ太マン”を皆で応援しましょう!!!」 「「「「「いっけええええええぇぇぇっっ!!!!!」」」」」 「(えっ?何で俺が悪者みたいになってんだ?)」 そこに、純真無垢な幼子達の熱い応援が加わる。さっきは『風紀委員のような“ヒーロー”になりたい』みたいなことを言っていた癖に、この変わり様である。 「いっけぇー、“ゲコ太マン”!!あんな恐い風紀委員なんかに負けるなあああぁぁっっ!!ちなみに俺は恐くないから安心してね、麗しき少女達!!」 「残念なイケメンにも天罰を!!!前途有望な君達には天の祝福を!!!」 「(またお前等かい!?)」 更に、同じ176支部の一色と鏡星が“ゲコ太マン”側に付く。 「お前達の熱き思い、確かに受け取った。行くぞ、風紀委員!!暗黒闘気の全てをこの一撃に込める!!」 「(マ、マズイ!!もし、俺があいつに勝ったら風紀委員に対するイメージが・・・!!)」 “ゲコ太マン”が、右拳を強く握り込む。その間に、思考をフル回転させる神谷。現状では、“ゲコ太マン”=“ヒーロー”、風紀委員(神谷)=悪者の図式である。 もしかしたら、この中に将来風紀委員になる子供達が居るかもしれない。“ヒーロー”に憧れる子供達が、その正義感をもって風紀委員として現場に立つ。 だが、もしここで風紀委員に対するイメージを悪化させてしまえばどうなるか? なる筈だった風紀委員は存在せず、風紀委員に幻滅した子供達がこれを切欠に未来では不良とかになる可能性だって否定できない。 「(それはマズイ!!幾ら俺が周囲を気にしないって言っても、さすがにそれくらいは気にする!!『神谷のせいで~』なんて、この先ずっと言われてたまるか!!)」 神谷は、基本的にぶっきらぼう・興味の無いことはスルーする人間である。そのせいか、周囲の評価等も然程気にしない性格なのだが、それにも限度はある。 こんな純真無垢な子供達が、今後『神谷のせいで~』・『神谷さんのせいで~』・『神谷先輩のせいで~』なんてことになったら、それこそいい笑い者である。 斑や鏡星辺りには、生涯に渡る汚点扱いにされかねない。そんな事態は、真っ平御免被る。そう、神谷は決意する。 「貫け!!『暗黒時空』」 「!!!」 決意した瞬間、“ゲコ太マン”が突進して来た。『暗黒時空』なるものが、唯の右ストレートなのはすぐに見破った。 見破った上で・・・神谷はその一撃を頬に掠らせる程度にかわした後に、大声で宣言した。 「や~ら~れ~た~!!!」 神谷が取った行動・・・すなわち『わざと負ける』。こんな男に負けるというのは神谷のプライド的には絶対に許し難かったが、幼子達の心を踏み躙るわけにもいかない。 風紀委員に対するイメージを保つためにも、自分のプライドへの影響も最小限に留めるためにも、この辺りが落とし所であった。 「「「「「・・・・・・」」」」」 周囲に居る風紀委員達は、神谷の取った行動に目を丸くさせていた。多くは神谷の真意を悟ったが、それにしたってもう少しマシなやり方がなかったのかと考えざるを得ない。 それ程までに、神谷の取った行動はみっともなかった。あんだけカッコイイ台詞を並べて置きながら、最後の台詞で全部台無しである。 慣れないことをしたが故に大根役者っぷりに拍車が掛かっているのが、尚タチが悪い。 「“ゲコ太マン”が勝ったあああああぁぁぁっっ!!!!!」 「やっぱり、“ゲコ太マン”は僕達の“ヒーロー”だああああぁぁぁっっ!!!!!」 「“ヒーロー”が負けるわけ無いもんね!!!!!」 「(ふぅ・・・。何とか風紀委員(おれたち)のイメージは保たれた)」 一方、神谷の真意に気付いていない幼子達は、“ゲコ太マン”の勝利に色めき立つ。神谷も子供達のはしゃぎ様に胸を撫で下ろす。だが!! 「お前・・・わざと負けたな!?」 「!!?」 1人だけ、この結果に納得していない者が居た。それは、神谷と雌雄を争った“ゲコ太マン”。 「えええええぇぇぇっっ!!?ど、どういうこと!?」 「“ゲコ太マン”!!何で、この風紀委員はわざと負けたの!!?」 「(ば、馬鹿!!折角切り抜けられたと思ったのに、何で蒸し返すようなことを言ってんだ!!?)」 子供達は、“ゲコ太マン”に神谷がわざと負けた理由を問う。その神谷は、“ゲコ太マン”の言葉に激しく動揺する。 「そうか・・・わかったぞ!!この男が何故自分から負けたのか、その理由がな!!」 「お、教えてええええぇぇっっ!!!」 「(まさか・・・!!俺が風紀委員の体裁を保つためにわざと負けたってことをバラすつもりなんじゃあ・・・!?)」 神谷は、いよいよ血の気が引く。ここで、もしそれを暴露されたら自分の努力が全て水の泡である。風紀委員に対するイメージも悪化するだろう。 だが、“ゲコ太マン”の口は止まらない。子供達の懇願を受け、“ゲコ太マン”は己が導き出した解答を言い放つ。 「この男は・・・俺に敵わないことを勝負の中で自覚したのだ!!だから、自分から勝負を放棄した!!!これ以上恥をかきたく無いがために!!! まさか、お前がそんな男だとは思わなかった!!この軟弱者め!!さっさと俺の前から失せるがいい!!!」 「ちょっと待てえええええぇぇぇっっ!!!!!」 己のプライドを傷付けてまで頑張った神谷にとって、それは余りに酷い解答であった。一体どう考えればその結論に辿り着くのか、神谷には理解できなかった。 「どう考えたら、そんな結論になるんだよ!!?テメェ、頭のどっかがイカれてんじゃねぇのか!!?」 「イカれているのはお前の方だ。もう、お前の姿など見るに耐えん。さっさと失せろ」 「テ、テメェ・・・!!」 「そうだそうだ!!早く消えろ!!!」 「うおっ!?」 一触即発状態の神谷及び“ゲコ太マン”。だが、そこに介入するのはまたしても“ヒーロー”に夢を見る子供達。 彼等彼女等は、神谷に対して侮蔑の視線を向けていた。 「“ゲコ太マン”に敵わないからって、わざと負けて同情を誘おうとするなんて卑怯だ!!!」 「やっぱり、風紀委員なんかより“ゲコ太マン”だね!!!」 「うん!!!さぁ、早く消えて!!!“ゲコ太マン”も言ったでしょ!!?」 「「「「「かーえーれ!!かーえーれ!!かーえーれ!!!」」」」」 「(な、何で俺がこんな目に合わなきゃなんないんだ!!?俺って、何か間違ったことでもしたか!!?)」 “カワズ”に浴びせ掛けられた「かーえーれ」コールが、神谷にも降り注ぐ。屈辱にも程があるコールの雨を浴び、茫然自失状態の神谷に・・・ 「・・・・・・ピエロ」 「ゴフッ!!」 最後のトドメを姫空が刺し、神谷はバタリと倒れる。後に神谷はこう零した。『子供って恐ぇよ』・・・と。 「恐ぇ・・・。子供って恐ぇよ・・・ブツブツ」 「ホラ!!しっかりしなさいよ、神谷!!」 「だらしないぞ、神谷?エリートである私なら、もう少しマシな対応をしているぞ?」 ブツブツ独り言を言っている神谷の肩を、鏡星と斑が担ぐ。 「何か、最近はスッキリすることが多いなぁ。固地先輩といい神谷先輩といい・・・」 「・・・気持ちはわかるが、余り口に出さない方がいいぞ?」 「・・・浮草先輩だって、少しは清々してるんじゃないんですか?」 「・・・・・・まぁな」 神谷の醜態に邪な感情を抱く真面と、そんな部下を注意する浮草。しかし、ツッコミ返しを喰らいつい本音を漏らしてしまう。 「あのぅ、啄さん?ゆかりっちの件なんですけど・・・」 「さて、どうしたものか。あのような軟弱者との勝負では、俺としてもスッキリせんし・・・」 「(神谷先輩・・・相手が悪かったですね)」 葉原の件で啄と交渉しようとする焔火。自身の先輩に対しては、どうしても同情心が湧いてしまう。 「葉原先輩・・・もう行っちゃうんですか?」 「免力君が寂しがるね~」 「わ、わかんない・・・。(で、でも・・・今帰ったら“あの人”と・・・)」 免力と盛富士の問いに、上手く返答できない葉原。着ぐるみで隠されたその表情には、緊張と戸惑いの色が浮き彫りになっていた。 「う~ん。正直あの“変人集団”のトップと関わりたく無いんだけどなぁ。 でも、ゆかりだって何時までもあの“変人集団”と一緒に居たくは無いだろうし。仕方無い。ここは私が・・・」 焔火や葉原の様子を観察していた加賀美が、意を決して啄と交渉することを決断する 全くもって気が進まないが、このまま葉原を連れて行かれるのはリーダーとして見過ごすわけにはいかないのである。 そう考え、焔火達に声を掛けるために加賀美が歩を進めようとした・・・その瞬間、すぐ近くに居た“ゲロゲロ”から加賀美に向けて言葉が放たれる。 言葉に含まれるのは・・・失望と憎悪の意。かつての妹の上司に向けた、それは辛辣極まる糾弾。 「加賀美(アンタ)はリーダー失格だ。部下の気持ちを量れず、部下の身も案じず、部下の悪行にも気付かない、最低最悪な人間だ」 continue!!
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カブラSシリーズ【ガンナー】 特徴 上位中盤までのガンナー系防具の中でも、防御能力が高めで、装備が揃うまでのつなぎに適している。 素材に苦労するものがなく、必要な数も少ないため、作成難易度が低いのもポイント。 スキルは一式だけで防御【中】がつき、お守りや珠でも武器スロットを併用すれば、防御【大】が狙える。 体力+20も発動するが、これはオマケのようなものなので、気にしなくても問題ない。 装填速度は気になるなら発動すれば良いが、スロットを二つ潰すほどのメリットはないだろう。 また、脚に胴系統倍化があるため、胴を交換して珠やお守りで補正すれば、スキルの幅を増やすことができる。 火耐性が高いため、中盤の難敵であるリオレウス、リオレイア、グラビモスのブレスのダメージが軽減されるのは大きい。 この装備が役立つHR帯で怖いのは、フルフルくらいなので、耐性の低さは気にしなくても問題ないだろう。 余談だが、胴をガルルガにすれば、防御力と引き換えに、防音珠2つで耳栓が発動可能。 リオソウルの下位互換的な使い方もできる。 基本性能 費用 防御力 火耐性 水耐性 雷耐性 氷耐性 龍耐性 装備一箇所 8400z 24 4 -4 -3 1 3 装備全箇所 42000z 120 20 -20 -15 5 15 最終強化全箇所 z Lv 防具強化 防具強化 Lv 防御力 強化素材 費用 z 生産素材 部位 名称 スキル系統 スロット 生産素材 頭 カブラSキャップ 装填速度+3 防御+2 採取-2 体力+2 OO- 鬼蛙の巨大牙*2 鬼蛙の堅殻*3 厳めしい頭骨*2 ドスヘラクレス*5 胴 カブラSレジスト 装填速度+1 防御+2 採取-3 体力+3 O-- 鬼蛙の上鱗*3 鬼蛙の尖爪*2 草食竜の堅殻*3 カワズの殿油*3 腕 カブラSガード 装填速度+2 防御+4 採取-2 体力+1 O-- 鬼蛙の尖爪*2 鬼蛙の堅殻*4 鬼蛙の上鱗*2 ドスヘラクレス*5 腰 カブラSコート 装填速度+1 防御+5 採取-2 体力+1 --- 鬼蛙の上鱗*4 草食竜の堅殻*3 堅牢な骨*2 怪力の種*9 脚 カブラSレギンス 胴系統倍化 --- 鬼蛙の尖爪*2 鬼蛙の堅殻*3 鬼蛙の上鱗*3 堅牢な骨*2 スロット数合計/必要素材合計 3 鬼蛙の巨大牙*2鬼蛙の堅殻*10厳めしい頭骨*2鬼蛙の尖爪*4鬼蛙の上鱗*12堅牢な骨*4カワズの殿油*3草食竜の堅殻*6ドスヘラクレス*10怪力の種*9 発動スキル スキル系統 頭 胴 腕 腰 脚 計 発動するスキル あと少しで発動しそうなスキル 装填速度 +3 +2 +2 +1 +8 装填速度 防御 +2 +4 +4 +5 +15 防御力UP【中】 体力 +2 +6 +1 +1 +10 体力+20 採取 -2 -6 -2 -2 -12 採取-1 胴系統倍化 E ※胴系統倍化の付いた装備は胴装備のスキルポイントと同じになります。 ただし実際の画面上では脚部分のスキルポイントが空白で、胴装備のスキルポイントが倍の表示になっています。 ※あと少しで発動しそうなスキルとは±4ポイント以内で発動するスキルのことです。
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【検索用 しょうしょといっかくしゅう 登録タグ VOCALOID thus し 井上カワズ 初音ミク 曲 曲さ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:thus 作曲:thus 編曲:thus イラスト:井上カワズ(Twitter) 唄:初音ミク 曲紹介 どうも、一角獣と出会ったthusです。 用紙を印刷していたら3枚セットで出てきました。宛らビッグマックですが、今は要らないんだよと思いました。マックと言ってもアップルではありません。否それはポテトか。きのこたけのこ戦争が未だに終結を見せない中、その一方サイドストーリーのようにひっそりと、山葵の底無沼に沈んでいくココ君を円状に囲って只黙って凝視する原住民たち。流石のココ君も「助[タ]けて!」と言い間違いを起こすレベル。ココ君がそう言う度に返ってくる応答は低声で「メルビンの仇。」。でも私が食べるのはチョコワではなくマイグラなので、ココ君が山葵塗れになろうがならまいが知った事ではないと、今日も黙々と食べます。そのおかげか、この間Inbody検査というのを人生初行ったところ、(身体組成上)骨は超が付くレベルで健康的だと言われました。然し(身体組成上)筋肉が足りないと、そこだけ切り取ると宛ら筋肉厨みたいなことを医師に言われ、何だか奇妙な所感です。 それ以後ワカメの味噌汁を毎食食べるようにしたところ(あれ筋肉はどうしたんだ?)、怪我の自然治癒に1箇月掛かっていたのが3日で塞がるようになり、効果覿面、矢張り野菜は大事だと実感し、この旨を知人に告げた処、ワカメって野菜だっけと言われましたが、野菜ということにしておくれとお願いしたらあっさり認めてくれたので、今日はワカメ記念日。 曲名:『少女と一角獣』(しょうじょといっかくじゅう) thus氏の117作目。 酩酊堂(Twitter)主催の『イラスト統一祭 ~カワズ祭~』参加楽曲。 歌詞 (YouTube動画概要欄より転載) 何だか知らん内 不和塗れ 強かな声に耐えれんくなって 今日、そっと家を出た 何処か遠くに行こうと思った けど行く当てなど何処にもない儘 禁忌とされている樹海へ迷い 出会って了った 獰猛と謳われている一角獣へと 何だか知らん内 どうしようと思う静寂と恐怖に耐えれんくなって そっと後退り 何処か遠くに逋げようと思った けれど何処か痛み哀しむよう 心寥しむ様子で如何いう亊か そっと優しくも 昧いその身をゆらりと預けて来た ハララ、逋げを続け そして茲等で出会った それは、迚もそれは 聞いた話と違った ハヤヤ、不和の仲を弌つ思い出し愁いた それは、そうそれは 何度も折られていたんだ 悲しい時に出会った 逋げる間柄 出会ったんだ 聞いた話と違った 何をするでも無かった お馬に乗って 微風に揺られて 諍いなんて無くなればいいのにという心地を 嗚呼、何故だろうね よく知っている気がするんだ 今日はもう遅い 落ち着く迄居なさい、少女よ お馬に乗って 旋風を切って 争いなんて無くなればいいのにという心地を 嗚呼、何故だろうね よく知っている気がするんだ 夜明けも近い 落ち着いたら歸りなさい、少女よ (ハーヤッ、ハーヤッ、ハーヤッパラーラッタッ、) (パーラッ、パーラッ、パカラカラッパラーラッパッ、) (ハーヤッ、ハーヤッ、ハーヤッパラーラッタッ、) (パーラッ、パーラッ、パカラカラッパラーラッ、) やっかみがられて末と後 またそういった嫌いにも耐えれんくなって 今日も、そっと出て来た 吸われるように樹海に行こうと思ったの 霧か曇か分からんが その向こう 晃晃と輝く月夜 今日も、そっと出て来た 獰猛と嫌われた一角獣から 何だか知らん内 どうしようと唸る静寂と恐怖に潛む獣たち そっと後退り 何処か遠くに逃げようと見つめていた 雲か霞か分からんが その向こう しんしんと瞬く星夜 そっと昧い中 特に何をするとなく時を過ごした ハララ、逋げを続け惨事を避けて至った 難ずる意いを知らぬ儘に煙たがられて ハヤヤ、不和の仲を弌つ思い出し嘆いた それは、そうそれは 傷跡が増えていたんだ お馬に乗って 微風に揺られて 争いなんて無くなればいいのにという心地を 嗚呼、何故だろうね よく知っている気がするんだ 貴方も同じ思いを識りますか 一角獣 (ハーヤッ、ハーヤッ、ハーヤッパラーラッタッ、) (パーラッ、パーラッ、パカラカラッパラーラッパッ、) (ハーヤッ、ハーヤッ、ハーヤッパラーラッタッ、) (パーラッ、パーラッ、パカラカラッパラーラッパッ、) 悲しい時に出会った (ハーヤッ、ハーヤッ、ハーヤッパラーラッタッ、) 逋げる間柄 出会ったんだ (パーラッ、パーラッ、パカラカラッパラーラッパッ、) 聞いた話と違って (ハーヤッ、ハーヤッ、ハーヤッパラーラッタッ、) 何をするでも無かったんだ (パーラッ、パーラッ、パカラカラッパラーラッパッ、) 大きく成った身も心も無事に 相思と出会い契りを交わしました 明日 私は操を捧げます もう逢えるのは最後になりました 御馬に乗って 風切る涼しさを 争いなんて無くなればいいのにという心地を 嗚呼、何故だろうね。よく知っている気がするんだ。 もう此処に来ず、幸いでいなさい、乙女よ。 御馬に乗って 風切る寂しさを 平穏な中で揺られている心地を 嗚呼、何故だろうね。ずっと知っていた気がするんだ。 もう此処に来ず、幸いでいなさい、乙女よ。 (ハーヤッ、ハーヤッ、ハーヤッパラーラッタッ、) (パーラッ、パーラッ、パカラカラッパラーラッパッ、) (ハーヤッ、ハーヤッ、ハーヤッパラーラッタッ、) (パーラッ、パーラッ、パカラカラッパラーラッパッ、) (ハーヤッ、ハーヤッ、ハーヤッパラーラー、ハーヤッパラーラー、) コメント 名前 コメント
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ガブルXシリーズ【剣士】 特徴 G級チャナガブル素材による防具。男性ハンターは京劇の仮面のような頭装備と左肩のトゲトゲ肩パッドでかなり特徴的な外見になる。 G級チャナガブル素材はG★1「高難度:雄の虫、大集合!」をクリアするとG級ドスガレオス素材と交換で入手できるようになる。 ドスガレオスのクエストが集会所2頭クエしかなく、素材として入手率がやや低い紫鱗と桃ヒレを要求されるのがやや面倒か。 また、各部にザボアザギル原種の素材も要求されるが、こちらは村★10クエスト「潮風と化け鮫に追われて」が出ていればそれほど難しくないだろう。 一式装備で発動するのは見切り+2、早食い+2、回復速度-1。 これだけでは魅力に乏しいが、剣術と回避距離のスキルポイントが4あり、護石・武器スロで2~3のスキルポイントを追加できれば後は装飾品をスロットに詰め込むことで両方とも発動可能。 心眼による弾かれ事故防止、回避距離による機動性の強化、早食い+2による被弾後の迅速なリカバリーは狩猟の安定性を大きく高めるだろう。 G級上がりたてで切れ味のいいG級武器を持っていないハンターにお勧めできる。 回復速度のマイナススキルは装飾品で打ち消せない(早食いと相反する)ので、どうしても気になるなら一部位を別シリーズに変更しなければならない。脚防具を剣術か回避距離のスキルポイントを持つものに変えるのが最も簡単な解決策になるだろう。 基本性能 費用 防御力 火耐性 水耐性 雷耐性 氷耐性 龍耐性 装備一箇所 13800z 85 -2 3 -4 0 1 装備全箇所 69000z 425 -10 15 -20 0 5 最終強化全箇所 z Lv 防具強化 防具強化 Lv1 ~Lv2 ~Lv8 ~Lv0 ~Lv0(MAX) 防御力 85 90 114 0 ~0 強化素材 - 堅鎧玉 重鎧玉 剛鎧玉 天鎧玉 費用(一回) - z z 6450z z 生産素材 部位 名称 スキル系統 スロット 生産素材 頭 ガブルXヘルム 剣術+2 達人+3 食事+4 回復速度-2 OO- 灯魚竜の秘棘*1 灯魚竜の厚皮*1 化け鮫の重鋸歯*2 堅竜骨*3 胴 ガブルXメイル 剣術+2 達人+3 食事+2 回復速度-2 O-- 灯魚竜の厚皮*2 化け鮫の剛刃尾*1 カワズの大殿油*3 幻鳥竜玉*1 腕 ガブルXアーム 達人+5 回避距離+3 食事+3 回復速度-2 O-- 灯魚竜の厚皮*1 化け鮫の剛刃尾*1 化け鮫の上鱗*3 堅竜骨*5 腰 ガブルXフォールド 達人+3 回避距離+1 食事+4 回復速度-2 OO- 灯魚竜の厚皮*2 化け鮫の剛刃尾*1 化け鮫の特上ヒレ*1 強力麻痺袋*5 脚 ガブルXグリーヴ 達人+1 食事+2 回復速度-2 OOO 灯魚竜の秘棘*1 灯魚竜の厚皮*1 化け鮫の特上ヒレ*2 化け鮫の厚皮*1 スロット数合計/必要素材合計 9 灯魚竜の秘棘*2灯魚竜の厚皮*7化け鮫の重鋸歯*2化け鮫の剛刃尾*3化け鮫の特上ヒレ*3化け鮫の厚皮*1カワズの大殿油*3幻鳥竜玉*1強力麻痺袋*5化け鮫の上鱗*3堅竜骨*8 発動スキル スキル系統 頭 胴 腕 腰 脚 計 発動するスキル あと少しで発動しそうなスキル 達人 +3 +3 +5 +3 +1 +15 見切り+2 食事 +4 +2 +3 +4 +2 +15 早食い+2 剣術 +2 +2 +4 回避距離 +3 +1 +4 回復速度 -2 -2 -2 -2 -2 -10 回復速度-1 ※あと少しで発動しそうなスキルとは±4ポイント以内で発動するスキルのことです。
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「東雲様!!カエルの着ぐるみを着た正体不明の人間達がこち・・・ザザッ・・・ザッ・・・・・・」 「真慈!!」 「さっきの別働隊の狙いはこのトラックじゃ無い・・・『六枚羽』を格納していたトラックか!!」 それは、東雲が持つ通信機から聞こえて来た“手駒達”の悲鳴にも似た報告。『六枚羽』を格納していた大型トラックに搭乗していた人形達が、“ヒーロー戦隊”に襲撃された事実。 東雲達と同じく『太陽の園』近辺に待機していたそのトラックは、『六枚羽』を解放した後に離脱に移っていた。 いずれ『六枚羽』を秘密裏に格納するために、この戦場に留まってはいられない。これは、作戦通りの行動。だが、その途中で敵に捕捉された上に襲撃された。 通信も電波妨害によって途絶えた。この迅速な行動ぶりは、最初から『六枚羽』を格納していた大型トラックに狙いを絞っていなければ為し得ない動きである。 「だが、無駄足だ。捕捉される可能性を全く考慮していないわけじゃ無いからな。あのトラックはあくまで『六枚羽』を運搬するだけのモノだ。整備用の機具も然程積んでいない」 「そ、そうね。あっちに残ってる資料で私達の本拠地に繋がるモノは存在しない。トラック自体も、こっちと同じように偽装して来たんだし」 東雲と伊利乃は、許容範囲内の事象に冷静な思考を保つ。本拠地を出発した際に、自分達が乗ってるトラックに随行していた『六枚羽』格納トラック。 当然、光学・電気・精神系“手駒達”の力で偽装していた。故に、あのトラックから『ブラックウィザード』の本拠地を悟られる恐れはまず無い。 「そうだな。『六枚羽』には、マッハ2.5とステルスを存分に活かして貰うとしよう」 「えぇ」 東雲は、『六枚羽』単独の超高速離脱を決断する。もちろん、自分達の安全が確保されてからだが。 ピカァッー!!! 「「!!!」」 そんな彼等の冷静沈着な思考を狂わせるために、“詐欺師ヒーロー”はこの場における“切り札”を切る。 「 “ゴリアテ”様!!行くぜ!! 」 「うん!!」 “ゴリアテ”の『念動飛翔』と自身の『光学装飾』の組み合わせで、『六枚羽』と何とか渡り合って来た“カワズ”。 本来であれば、この組み合わせに ダークナイト の『閃熱銃』を加えれば『六枚羽』を撃墜することは可能であった。だが、“それでは駄目だ”。 この場における最優先するべき事柄は、『「六枚羽」を撃墜すること』では無い。『「六枚羽」をできるだけ引き付けた上で飛行不可能状態にしないこと』が求められていたのだ。 故に、『六枚羽』に負わせた損傷は“ゴリアテ”が放った空気圧弾による軽傷のみである。その理由とは?それは・・・後に明かされる。 ドドドドドドドドド!!! 『六枚羽』の機銃が火を吹きながらも、ドップラー・ライダー等の探知能力と偽装能力をフル活用して危うくかわしていく2人の“ヒーロー”。 直後、今まで温存していた『送受棒』最大出力で数多の電波を放出し、少しでも『六枚羽』の電磁波レーダーにノイズを走らせる。 電気系“手駒達”による干渉を受けながらも、ほんの少しだけ『六枚羽』の挙動が鈍る。その隙を、今度こそ逃さない。砂鉄を含んだボールがまともに当たらない位置取りを確保し・・・ 「(今!!!)」 ドッ!!! ギッ!!! ダークナイト の先端から高速射出されたのは『閃熱銃』・・・では無く『樹脂爪』であった。 『演算銃器』と同じ性質を持つこの機能によって合成された樹脂でできた鉤爪が、『六枚羽』の機体上部―空気圧弾によってできた軽傷部分―にその一部を食い込ませる。 全てを食い込ませなかったのは、さすがは『六枚羽』と言った所。このまま『樹脂爪』を『六枚羽』に食い込ませていては、『六枚羽』の出力で“カワズ”が振り落とされてしまう。 そのため、ワイヤーの先端付近に装備されている微細なカッター群を機動させ、振動も加味させることでワイヤーと鉤爪を切り離す。 「 よしっ!!“成功だ”!!“ゴリアテ”様!!後少しだけ踏ん張ってくれ!! 」 「わかった!!」 そんな傍目から見れば失敗にしか映らない結果を“成功”と断じる“カワズ”は、ワイヤーを巻き取りながらとっておきの“切り札”を切る。 ピカァッー!!! それは目印。操作範囲内ギリギリに居る東雲達の頭上に、特大の光球を浮かべる。 「 お膳立てはしたぜ!!ここらでビシっと風紀委員の意地ってヤツを東雲に見せ付けてやれよ!!! 」 自分達は『六枚羽』を引き付けておくためにも動けない。だから、東雲達に拉致されつつある子供達を救い出す役目を風紀委員達に託す。 一時とは言え、同じ“ヒーロー戦隊”の一員として行動を共にした“ヒーロー”達に。 『例えば、俺が通っている成瀬台高校の風紀委員達は皆バカで、暑っ苦しくて、でもいざって時は一致団結する男ばっかりだぜ?』 かつて風路に言った言葉は嘘では無い。界刺得世は自身が通う成瀬台の風紀委員を信頼していた。そして・・・その信頼に応える漢の声を『赤外子機』越しに耳にした。 「応とも!!!我輩達の勇姿、とくとその眼(まなこ)に焼き付けよ!!!」 それは、喩えるなら筋肉の車。立ち塞がるもの、障害となるものを全て木っ端微塵に蹴散らす肉の戦車。 それは、喩えるなら“剛”の極み。仕掛け・小細工一切関係無しに問答無用で踏破する筋の結晶。 マッスル・オン・ザ・ステージと対を為す剛力演舞を披露する“ダルマヒーロー”―“ゲルマ”―こそ、筋肉の神に愛された漢。 神の祝福を受けた人間に敵う者などこの世に存在しない・・・筈である。 「・・・・・・ォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!!!!」 人を抱えながら20mも跳び、100mを3秒台で駆け抜けると謳われている脚力を発揮し、 “ゲコイラル”・“ゲコっち”・“ゲコゲコ”をその背に乗せる“ゲルマ”は廃ビルの屋上を驚異的なスピードで駆け抜け、跳び移って行く。 どうしても届かない場合は“ゲコゲコ”の『念動使い』で届かせる。電気系“手駒達”の電磁波レーダーは、“ゲコっち”の『電撃使い』で可能な限り混乱させる。 “カワズ”が生み出した光球に突き進むこちらの動きは、『ブラックウィザード』にも伝わっているだろう。 “ゲルマ”が弾き出している尋常では無い速度も把握している筈。故に・・・そこを狙う。“切り札”であり“最終手段”でもあるとっておきの必殺技を。 そのためにカエルの着ぐるみを着用し―“ヒーロー戦隊”になり切り―、『ブラックウィザード』にこちらの正体を明かさなかったのだから。 「まだ界刺の操作範囲内か!!!運転手!!速度は緩めるな!!敵の思う壺だ!!光学系“手駒達”の総力で『光学装飾』の干渉を防いでいる!!そのまま突っ切れ!!」 「『六枚羽』はまだ界刺を墜とせないの!?くそっ・・・!!あなた達!!このトラックに猛スピードで接近している別働隊の動きを絶対に見逃しちゃ駄目よ!!!」 「「「はっ!!!」」」 自分達に迫る危機に苛立ちを覚えながらも、東雲と伊利乃は“手駒達”へ的確な指示を出す。 “手駒達”でもあるトラックの運転手にも、東雲達と同じ暗視ゴーグルを身に付けさせている。必要以上の光を遮断できるこの機器なら、この光球でも目が眩むことは無いだろう。 だが、その必要な光さえをも操作できるのが『光学装飾』である。暗視ゴーグルの機能の1つである赤外線による暗視にも干渉できる『光学装飾』を、光学系“手駒達”の総力で防ぐ。 また、電気系及び視覚系“手駒達”の能力でこのトラックの猛烈な速度で近付いている複数の人間を発見した。それは、先程『六枚羽』格納トラックを襲撃したと思われる別働隊。 念動力の補助も活かしたショートカット走法を実現している存在を迎撃するためにも、その位置や叩き出している速度を把握しておかなければならない。 「希杏!!接近している別働隊を迎撃し、連中の反抗の牙をへし折る!!そして、『光学装飾』の操作範囲外に一気に離脱する!!」 「えぇ!!さっき指示した通り、念動力と電撃の波状攻撃で迎え撃つわよ!!隙があれば洗脳して、焔火緋花のように人質にしちゃいなさい!!」 「「「了解!!」」」 東雲は『武器形成』を、伊利乃は暗器を構え、他の“手駒達”も各々の能力を発動する準備を整える。 「もうすぐ姿が見えます!!出て来るのは・・・あのビルの屋上から!!」 視覚系“手駒達”が、別働隊の最接近を喚起する。緊迫した空気が流れる。そして・・・悪者から罪無き子供達を救うべく“ヒーロー”達がその勇姿を見せる。 「「「「オオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォッッッッッッ!!!!!」」」」 屋上から大型トラックへ跳んで来たのは、“ゲルマ”・“ゲコイラル”・“ゲコっち”・“ゲコゲコ”。 彼等は、跳び降りた勢いそのままにこちらへ向かって来る。念動力も作用しているためか、東雲達が乗るトラックへ一直線である。 「やれ!!」 「やりなさい!!」 東雲と伊利乃が“手駒達”に指示を出したのは同時であった。主の指示を受けた“手駒達”は、敵を迎撃せんがために己が能力を発動・・・ 「“ゲコイラルラッシュ”!!!!!」 グン!!!!! 「「「「「!!!??」」」」」 できなかった・・・あるいは発動したが空振った。原因は、“ゲルマ”の真後ろに陣取っていた“ゲコイラル”が発動した必殺技・・・“ゲコイラルラッシュ”による急加速に尽きる。 “ゲコイラル”は、体の一部に噴射点を作り自身の体をロケットのように飛ばす『空力射出』の最大出力―普段は無意識の内に力をセーブしている力を意識的に解放―を発現したのだ。 これは、かの殺人鬼との戦闘の際に176支部の斑がリーダーである加賀美に『空力使い』による噴射点を設置したのと類似した危険な行いである。 しかし、この危険な行いは今回に限り危険では無かった。理由は2つ。1つ目は“ゲオウ”の存在。“ゲコイラル”は、発現させた全力で噴射点に設定した右足の腱が断裂直前状態になった。 だがしかし、“ゲオウ”の『治癒能力』ならばその程度の負傷は速攻で治療可能である。“ゲコっち”と“ゲコゲコ”は、“ゲコイラルラッシュ”発現前に“ゲルマ”から離れているため被害は無い。 もう1つは“ゲルマ”の頑強な筋肉と『筋肉超過』。“ゲオウ”と同じく絶大な自然治癒力と筋肉を誇る“ゲルマ”なら、“ゲコイラルラッシュ”の全力に耐え切れる。 そう予測し、その予測通りになった。“ゲコイラルラッシュ”の勢いそのままに、“ゲルマ”はトラックの荷台に激突する。 ガン!!!!! 「グッ!!?」 「キャッ!!?」 東雲と伊利乃が驚愕する中、激突の衝撃でトラック自体が転倒しそうになる。ここで、東雲達が予期せぬ事象がもう1つ発生する。 ガチャ!!! 東雲と伊利乃の安全を最優先するようにインプットされている“手駒達”―ここでは念動力系“手駒達”―が、反射的に荷台と車部を繋げていた接続機器を解錠した。 先程の衝撃でトラック全体に掛けていた念動力が途切れてしまったのだ。これもまた、薬で無理矢理強化された“手駒達”の限界。 この現状でトラック自体が転倒してしまえば、東雲と伊利乃を運ぶ大事な『足』が使用不可能になってしまう危険性が大である。 “手駒達”の念動力では、猛烈な速度など叩き出せるわけが無い。このトラックは絶対に必要。そのためなら、荷台内の子供達は切り捨ててもいい。全ては東雲と伊利乃のため。 荷台自体は、改めて念動力を掛けることで回収すればいい。そう“安易に”判断した手駒達は車体の安定にまずは集中する。 ガガガッッ!!! 荷台が地面に叩き落される。衝撃による車体の揺れを何とか抑えた“手駒達”が荷台に念動力を及ぼそうとする・・・が!! ビュン!!! その直前に“ゲコゲコ”と“ゲコっち”が飛来、荷台を“ゲコゲコ”の『念動使い』で支配し、“手駒達”の念動力を排除する。 実は、この直前に衝撃からいち早く立ち直った精神系“手駒達”2名が“ゲコゲコ”達4名を洗脳するべく能力を行使したのだが、いずれも洗脳を更なる洗脳で塗り替えられた。 “ゲコゲコ”達4名は、『シンボル』の“参謀”形製流麗の『分身人形』による“保険”―通常状態に戻り、それを維持する―を掛けていたのだ。 「“ゲコイラルラッシュ”!!!!!」 右脚に走る激痛に耐える“ゲコイラル”が、この場から即刻離脱するために筋肉断裂を覚悟しながら左足を噴射点とした全力の“ゲコイラルラッシュ”を発動する。 “ゲルマ”越しに数十名もの子供達が乗っている荷台に発動するために、先程のような急加速はできない。 よって、荷台の片隅に手を掛けている“ゲコっち”と“ゲコゲコ”も今度はその圧力に耐え切られる。 “ゲルマ”への負担は相も変わらず凄まじいが、“ゲルマ”自身は気丈に己に宛がわれた役割を遂行する。 ドン!!!!! 発動した“ゲコイラルラッシュ”で空中に跳び出した荷台と“ヒーロー”達は、念動力によってその場から離脱して行く。 悪党である『ブラックウィザード』の電気系“手駒達”が、慌てて“ゲルマ”達を撃ち落そうとするが・・・ ヒュン!!! 様子を『光学装飾』で観察していた“カワズ”が光学系“手駒達”の総力―先程の衝撃で『光学装飾』への干渉が弱まっていた―を振り切って、 暗視ゴーグル越しに電気系“手駒達”の瞳に映る姿を“ヒーロー”達では無く主である東雲と伊利乃に切り替え、攻撃を躊躇わせる。 “ゲルマ”達の突貫で電磁波レーダー展開を中断してしまった、これも電気系“手駒達”の限界。 この数十秒後、“カワズ”と“ゴリアテ”は『六枚羽』との戦闘を中断し、戦闘空域から離脱する。 それは、“ヒーロー戦隊”『ゲコ太マンと愉快なカエル達』の『置き去り』奪還作戦が成功したこと―『ブラックウィザード』の『置き去り』回収作戦が失敗したこと―を意味していた。 「・・・『六枚羽』を離脱させろ。早急に車両変更ポイントへ向かう。光学偽装展開!!周囲の監視も怠るな!!」 「真慈・・・!!」 「『太陽の園』から戦闘音が聞こえなくなっている。殿として残した“手駒達”は鎮圧されたと見て間違い無い。今から引き返せば袋叩きだ。ここがデッドラインだ・・・希杏」 「・・・・・・くそっ!!」 荷台を積んでいた場所に佇む『ブラックウィザード』のメンバー。リーダーである東雲は作戦の失敗を認め、伊利乃は歯噛みする。 ここから再び『置き去り』を回収するにはリスクが大き過ぎる。『太陽の園』に残っている者達と合流した“詐欺師”達が罠を敷いている可能性が大である。 増援部隊を呼んでいない保証は無い。『六枚羽』という大きな戦力を持っているとは言え、血気に逸って突っ込むのは避けなければならなかった。 「『六枚羽』の損傷具合は!?」 「損傷は軽微です!界刺得世と思われる着ぐるみが放った合成樹脂で形成された鉤爪の一部が機体上部に食い込んでいると『六枚羽』の分析にはありますが、 食い込んだ場所の都合上飛行そのものには全く影響はありません!!」 「・・・・・・その食い込んでいる合成樹脂から電波や赤外線のようなモノは発信されているか?もしくは、『六枚羽』自体に念動力が掛かっていないか?」 「・・・・・・いえ!!『六枚羽』及び私達の能力による調査では、あの合成樹脂から電磁波及び赤外線は放出されていません!! 念動力については、『六枚羽』をこちらに近付けなければ調査はできませんが・・・」 「そうか・・・わかった。離脱前に『六枚羽』をこちらへ接近させてすぐに確認しろ!!」 「はっ!!」 「・・・界刺が私達の本拠地を掴むために工作している可能性を疑っているのね?」 「あぁ。奴が、その辺りのことを考えていないわけが無いからな。だが、先程までの戦闘を見る限り、奴も今回の事態を完全に予測していたわけでは無い。 だから、場当たり的と言っていい程の綱渡りの最中に何かを仕掛けることが精一杯だろう。その精一杯を今ここで全て晒け出させ、排除する!!」 東雲と伊利乃は、自分達の本拠地を悟られる危険性の確認・排除に取り掛かる。 程無くして、『六枚羽』に念動力が掛かっていないことを確認できた。念のために、食い込んでいる鉤爪の一部も念動力で排除した。 「・・・・・・いいだろう。今度こそ『六枚羽』を離脱させろ!!」 「はっ!!」 「・・・一度見たものなら何時何処においても視認することができると言った余程特殊な能力者でも無い限り、『六枚羽』を含めたこちらの動きを追跡することはできない。 そんな可能性まで考慮していたら、作戦の立てようが無い。希杏。俺の考えは間違っているか?」 「いえ。真慈の考えは間違っていないわ。自信を持って。・・・今回の失敗で今後『置き去り』の回収は困難になるわね」 「成功・失敗関係無く、今後の『置き去り』回収は難しくなっていた。網枷も言っていただろう?『もしバレているのならどっちみち一緒だ』と。 成功するに越したことは無いが、失敗した所で結果は同じだ。『置き去り』の回収は今後困難になるという結果はな。希杏。俺の考えは間違っているか?」 「・・・いえ。真慈の考えは間違っていないわ。・・・ありがとう、真慈」 ついさっきのやり取りをわざと反復することで気持ちを切り替える伊利乃・・・そして東雲。リスクがあるのは元より承知の上。その上で示したかった。己が『力』を。 「奴はこれで『力』を示した・・・か」 周囲の監視を徹底しながらトラックが猛スピードで疾走する中、“弧皇”は独り思考に耽る。 碧髪の男が示した『力』を、世界という名の巨大な『力』の片鱗を今一度整理するために。 「皆~、お疲れ様~」 「・・・・・・軽いな」 「・・・・・・軽いですね」 「・・・・・・軽いよね」 「・・・・・・軽過ぎませんか?」 「・・・・・・軽いなぁ」 「・・・・・・何だ、そのリアクションは?こちとら、仮屋様と一緒に『六枚羽』を相手取ってたっつーのに」 「お腹空いた・・・(バリバリ)」 『太陽の園』に“二度目”の帰還を果たした“カワズ”は、不動・水楯・形製・月ノ宮・春咲の妙なリアクションを受けて不平を零す。ちなみに、仮屋は早速お菓子の袋を開けた。 「だって、ここに帰って来てそうそう真珠院を連れ立ってもう一回飛んで行くし。『六枚羽』が再び来る可能性も0じゃ無いのにさ。 真珠院の『念動使い』じゃあ、『六枚羽』の機動性に対抗できないのはわかってるよね?こっちがどれだけ心配したと思ってるのさ、バカ界刺?」 「あぁ~・・・そりゃ悪かったな。まぁ、こっちもその可能性を考慮して慎重に動いてたんだけどな」 形製の的確な指摘に“カワズ”も素直に謝罪(+言い訳)をする。話題に挙がった真珠院は、先んじて他の者達と合流して貰っている。 「全く・・・お前という奴は。・・・とりあえず、状況をもう一度整理するからお前も来い!!増援・・・と呼べるかは知らないが“追加”もお前を待っている!!」 「へいへい。・・・とその前に。林檎ちゃん?桜とは、ちゃんと向き合えたのかい?」 ・・・・・・ 「・・・・・・」 “カワズ”が念話通信と傍に居る仲間に向けて言葉を掛ける。春咲林檎・・・そして春咲桜・・・救済委員事件を契機に顔を合わせなくなった姉妹に。 『林檎ちゃんが得世さんと一緒に!!?ど、どうしてそれを早く教えてくれないんですか!!?』 『林檎ちゃんが“今”は君に会いたく無いってさ。“今”のまんまじゃ、桜に合わせる顔が無いっていう理由で』 春咲が“カワズ”と林檎が共に行動していることを知ったのは、“カワズ”と合流して『太陽の園』に向かっている最中であった。 ずっと妹の帰りを待ち、妹の健康等を心配していた桜にとっては“カワズ”に対して正直な所腹立たしい気持ちを抱いた。 しかし、林檎の真意を聞いてからは何も言えなくなった。妹が自分に対して申し訳無く思っていること、甘ったれた己を変えるために“カワズ”を頼ったこと、 “ヒーロー戦隊”の活動を通じて、本人の努力もあって少しずつ変わり始めていることを知った。 姉にもう一度正面から向かい会うために頑張っている妹の行動を・・・当の姉が否定できるわけが無かった。 仕方無いのはわかってるけど・・・ちょっと早いよ、お兄さん 「・・・今の俺の心情としては、さっさと懸案事項を解決したい気持ちで一杯なんだよねぇ。 今夜中にできる限りのケリを着けるつもりだし。せめて、解決に繋がる道筋だけはキッチリ敷いておかないと」 「・・・得世さん。林檎ちゃんとは、“手駒達”を鎮圧した後に面と向かい合って話しました」 「そう」 「林檎ちゃんはまだ会いたく無かったみたいですけど・・・私が無理矢理に。会いたい気持ちを抑えられなくて・・・」 ・・・桜って、やっぱお兄さんの言う通りだよ。やることが過激というか・・・ 「か、過激なんかじゃ無い!!」 妹の指摘に対して、姉は必死に否定する。自分は決して過激なんかじゃ無い。以前も“カワズ”に何回か言われたが、本人的には絶対に否定したい事柄だ。 ・・・クス。ねぇ、お兄さん。桜には・・・一応謝ったよ。こうなった以上、先延ばししても余り意味無いし 「・・・一応なんかじゃ無いだろ?ちゃんと・・・心から謝ったんだろ?」 ・・・わかんない。でも・・・精一杯謝った・・・とは思う 姉の過激な行動(姉は否定)で面と向かい合う事態になり、林檎も腹を括った。自分が変われたかどうかはわからない。自信など無い。 本当に“今”の自分が会っていいのか?きちんと、心の底から謝罪の念が込められた言葉を述べることができるのか?重ねて言う。自信など無い。 『桜・・・・・・ご、ごご・・・・・・ごめんなさい!!!』 『林檎ちゃん・・・!!!』 その上で、春咲林檎は春咲桜と相対した。謝った。頭を下げた。“今”の自分にできる最大限の謝罪を行った。 この直後に“カワズ”達が“一度目”の帰還をしたために、林檎の謝罪に対する春咲の返事はまだの状態であった。だから、春咲は今この時に返事をする。 「林檎ちゃんは、心の底から謝ってくれました。それは、謝られた私が一番良くわかっています」 桜・・・ 「林檎ちゃんの気持ちは、私なりに理解したつもりだよ?・・・私も林檎ちゃんもまだまだ成長中ってことだよ」 成長中? 「そう。得世さんとも話したんだけど、林檎ちゃんの・・・その・・・甘い性格は完全には直っていない・・・と思う。私も変わるのにかなりの紆余曲折を経たから」 ・・・ 「でも・・・林檎ちゃんの『変わろうとする意志』はすっごく伝わって来たよ?それが林檎ちゃんの納得し得るレベル・・・つまり最善の結果に結び付いているかどうかは怪しい。 きっと、まだ満足できるレベルには達していない・・・とは思う。それは、林檎ちゃんが一番良くわかってると思う」 ・・・うん 「だからさ・・・一緒に頑張らない?」 !!! 妹の努力、すなわち過程を認めた姉は共に歩むことを提案する。最善の結果に辿り着くために。姉妹一緒に『目的』を果たすために。 「林檎ちゃんは、自分を変えるためにボランティアをしているんでしょ?私もそう。『シンボル』に居るのも、元はボランティアとして参加していることだし。 もちろん、『シンボル』の人達は大事な仲間。これは、林檎ちゃんに『シンボル』へ入ることを薦めているんじゃ無い。ボランティアには色んな種類がある。 施設へボランティアとしてお手伝いに行くことも1つの方法。他にも色々ある筈。私は、停職期間中に色んな経験を積みたいの。風紀委員の時に積めなかった色んなモノを」 で、でも・・・ 「・・・林檎ちゃんがやったことを許したわけじゃ無いよ?私は・・・“まだ”林檎ちゃんを完全には許していない・・・と思う。『許したい』って気持ちは確かにある。 でもね・・・心の何処かには『まだ許せない』って気持ちも・・・ほんのちょっぴりはあると思うんだ」 ・・・・・・だろうね 如何に春咲桜が心優しき少女だとしても、如何に春咲林檎が己の妹だとしても、受けた苦痛は完全には消え去らない。少なくとも、この短期間の内には。 人間とは、そう簡単に全てを割り切ることは中々できない生き物である。だから悩み、苦しみ、乗り越え、成長できる可能性を秘めた生き物でもある。 「だからこそ!!私は、林檎ちゃんを許せるくらいでっかい女になりたいの!!それくらいじゃ無いと、得世さんを振り向かせることはできないと思うし!!」 ブッ!!・・・お兄さんから聞いたけど・・・・・・あたしが言うのも何だけど・・・・・・大変だね 「大変なのはわかってる!!大変だから、やりがいがあるってモンだよ!!」 ・・・・・・変わったね、桜は。本当に・・・変わった。・・・・・・羨ましいな 「だったら、一緒に行こ!!あー、もう!!つべこべ言うな!!言い訳も何も無い!!私は林檎ちゃんのお姉ちゃんだよ!!お姉ちゃんがどれだけ林檎ちゃんを心配したと思ってるの!? 私は林檎ちゃんと一緒に歩きたいの!!何時か・・・躯園お姉ちゃんとも一緒に・・・三姉妹揃って歩きたいの!!だから・・・だから・・・私に付いて来なさい!!!」 ッッ!!!・・・・・・強情だね。本当に・・・強情だよ。今頃妹を引っ張るお姉ちゃん顔するなんて・・・・・・卑怯だよ・・・・・・・・・桜姉ちゃん・・・!!! これも数ある過程の一幕でしか無い。だが、姉妹にとってはかけがえの無い一幕。故に、姉妹は深く、より深く結び付く。最善の結果に至るための努力を共に築くことを互いに誓いながら。 「悪ィ、悪ィ。ちょっと遅れた。・・・何つーか、この顔触れは懐かしいモンを感じるな。 何時かのスキルアウトを潰しに行った直前に顔を突き合わせた連中だったっけか。なぁ、荒我?」 「・・・・・・あぁ。てか、テメェだけ何で何時までも着ぐるみを着てんだ?」 「・・・俺だっていい加減脱ぎたいんだよ。くそっ・・・何時になったら脱げるんだ、これ?」 『太陽の園』の中心部、周囲は“手駒達”との戦闘の痕跡がくっきり残っているこの中庭に集まっているのは“ヒーロー戦隊”と『シンボル』の面々。 そして・・・数十分前に大型車に乗って来た面々・・・荒我・梯・武佐の“不良”3人組と花多狩・灰土の穏健派救済委員である。 但し、免力と盛富士はこの場から離れている。彼等には、負傷した『太陽の園』の住人の下に居て貰っているのだ。 トラックに閉じ込めらていた『置き去り』も寒村達の突撃で大小の傷を負っていたが、勇路の『治癒能力』で大方回復していた。 すぐさま救急車を呼ばないのも彼の力が大きい。無論、それ以外の理由―荒我達を含めた今後の方針を決めるための会議―もある。 「灰土先生・・・先程はドタバタしていた関係で有耶無耶になってしまっていたが、管轄外の貴殿が何故ここへ?しかも、成瀬台(ウチ)の生徒を連れて」 「・・・そこのリーゼントたっての頼みだ。焔火緋花・・・つったか。そいつが『ブラックウィザード』に拉致された可能性がすこぶる高い。 だから助けに行きたい。何せ、その焔火に告白されたそうだからな。漢だったら・・・助けに行かねぇわけにもいかねぇだろうよ。こっちも夏季休暇を放って来たんだぜ?」 「ちなみに、その情報は彼の舎弟の能力で風紀委員から読み取った情報らしいわ。私は灰土さんの知り合いで、流されるままここに来たの。 まぁ、乗りかかった船だからできる範囲内でお付き合いするけど。同じ女として、『ブラックウィザード』って言うスキルアウトがしでかしたことは許せないわ」 「花多狩さんは、一度言い出したら止まらない女の子でね。この前なんか、オジサン鉄拳制裁を喰らったくらいだし。まぁ、俺が責任もって守るから。 但し、俺はリーゼント達の救出行動を『許可』したわけじゃ無ぇ。有力な情報を持ってる可能性があったから連れて来ただけって解釈だ」 「何と・・・!!しかし・・・むぅ・・・・・・!!!」 灰土と花多狩の説明に寒村は渋い表情を作る。一応の事情はわかった。漢として、荒我達の気持ちも十二分に理解できる。 しかし、今回は重徳事変よりはるかに危険度の高い『ブラックウィザード』が相手である。できうることなら、一般人の参戦は認めたくは無い。 唯でさえ、今しがたの戦闘は“ヒーロー戦隊”に協力を仰いだのである。命の危険を伴う戦場に、これ以上の参戦は・・・ 「寒村先輩。実はね、荒我から俺の携帯に連絡があってね。彼がどうしてもヒバンナを助け出したいって言うから、ここへ来るように伝えたんだ」 「界刺・・・!!」 「無闇に突っ込まれるよりかはマシだろ?何せ、荒我は昔『ブラックウィザード』と遭遇してるそうだし」 「何と!!それは真か、荒我!?」 「・・・あぁ」 「こいつなら、俺達の知らないルートから『ブラックウィザード』に辿り着く可能性はあったかもしれない。でも、その可能性が俺達の行動の邪魔になる可能性も0じゃ無い。 だったら、俺達の目の届く所に置いた方が面倒臭くなくていい。命の危険については、覚悟の上だろうさ。なぁ、荒我?」 「あぁ・・・!!!緋花は俺が絶対に助け出してみせる!!!この拳でな!!!」 「荒我君!!オイラ達もお供するでやんす!!」 「ここで役に立てなかったら、荒我兄貴の舎弟をやってる意味が無いぜ!!」 “カワズ”の確認に“不良”3人組は呼応する。絶対に焔火を助け出してみせる。命を懸けて。 「だそうだぜ?つまりは見事ヒバンナを救い出してみせるのも、下手打って命を落とすのも、こいつ等の自業自得ってヤツさ。 寒村先輩達は上手く誤魔化せばいいさ。『許可は出していない。だが、勝手に付いて来て勝手に突っ走って行った』ってな具合に」 「界刺先輩・・・ちょっと冷た過ぎじゃないっすか?」 「何でさ?自分の行動くらい、自分で責任持てよ。現に、寒村先輩は今だって『許可』を出していないんだ。嘘は言ってない。押花。君達の行動は正当化される。 止めたって聞かないことに対しては、君達に非は無い。止められなかったことに対する非難はあるだろうけど、『許可した』よりはよっぽどマシだ」 「・・・!!」 「勇路先輩・・・どう思います?」 「速見君・・・。そうだね・・・界刺君の指摘は“冷たい”けど正しくもある。余り好ましいとは思わないけど」 風紀委員達は、各々の解釈で“詐欺師”の指摘を吟味する。おそらく荒我達は止まらない。力尽くで気絶でもさせない限りは。 そして、“カワズ”がここへ呼び寄せたということは彼が荒我達を『ブラックウィザード』と対決する戦場に誘うつもりなのは明白であった。 「そもそも俺達ボランティアに協力を仰いでいる時点でどうよ?って話しだ。数人増えた所で大して変わんねぇよ」 「むぅ・・・」 「そんなことより・・・風紀委員会の方はどうなってんの?準備はできたの?」 「閨秀先輩が皆を成瀬台まで輸送したっす。橙山先生率いる警備員は夜間活動中っすから何時でも動けるっす」 「そうか・・・」 「界刺君。そろそろ教えてくれないかい?『ブラックウィザード』を追跡する方法とやらをさ」 勇路の発した問いは、ここに居る面々(共に作業に当たった仮屋以外)に共通する疑問であった。 『太陽の園』に来る『ブラックウィザード』に対して、“カワズ”は本拠地を掴むための仕掛けを行うことを公言していた。その方法も“カワズ”が用意すると。 その具体的な方法は、一部を除いて未だ明かされていない。これから命を懸ける戦場に赴くのである。その方法を知らない状態は、色んな意味でよろしく無い。 「・・・・・・」 「得世。話せ。お前の秘密主義は今に始まったことでは無いが、今回は皆に伝える必要性が存在するぞ?命が懸かっているんだからな」 「・・・・・・口外禁止。詮索無用。今から話すことは、俺が話さない限りはこの場に居る人間だけしか知らない。他の風紀委員や警備員、一般人に話したら潰すぜ?いいな?」 「「「「「(コクッ)」」」」」 不動の促しもあり、“変人”はその方法を明かす。口外禁止という約束を取り付けて。 「最初に言っておくけど、『六枚羽』を撃墜しようと思えば何時でもできたんだよ」 「なっ!?」 「嘘を言ったつもりは無ぇぜ、寒村先輩?そして、これが何を意味するのか・・・アンタ達はわかってる筈だ」 「「「「・・・!!!」」」」 寒村達風紀委員の脳裏に過ぎるのは・・・『マリンウォール』の外で“手駒達”が脚を焼き貫かれた状態で発見された件・・・そしてあの殺人鬼と碧髪の男が戦闘を行う際の諸注意。 「じゃあ、何でさっさと『六枚羽』を撃墜しなかったか?それは、もちろん『ブラックウィザード』の本拠地を割り出すためだ」 「我輩達に『六枚羽』格納トラックを先に襲撃させたのは、『六枚羽』が監視カメラ等に映らない格納された状態で離脱させないため・・・であったな。だが・・・」 「あぁ。一昨日成瀬台を襲撃した際に『六枚羽』は衛星カメラとかにも映って無かったんだよな。おそらくだけど、『ブラックウィザード』が使ってる『六枚羽』はステルス仕様なんだろさ。 今のステルス機は相当レベルが上がってるって聞くし、夜間の衛星監視は主が光学監視からレーダー監視に切り替わるからな。 上空且つマッハに達する速度を使われたら機械を使った捕捉は難しい。圧力が掛かってるらしいし余計にな。 だから・・・確実にアジトを割り出すために・・・『六枚羽』に発信機を付けたんだ。発信機の名前は・・・『情報送受信用薬品 データフェロモン 』」 「『情報送受信用薬品』?何だ、それは?」 聞き慣れない名称に不動が疑問付を浮かべる。それは、他の面々も同様・・・ 「『情報送受信用薬品』!!?」 「桜姉ちゃん・・・?」 では無かった。1人だけその名称に反応したのは、ネットの深い所まで徘徊する趣味を持つ春咲桜。 「あれってもう実用化していたんですか!!?というか、そんなモノを一体何処で・・・!!?」 「実用化されたのは極最近だよ。学園都市の最新鋭兵器群にも、極最近になって秘かに導入され始めている。それと、桜。詮索無用て言ったろ?右から左は感心しないな」 「あっ・・・す、すみません」 「得世!春咲!私達にもわかるように説明しろ!!」 「す、すみません!!え、え~と・・・『情報送受信用薬品』というのは、情報の送受信に“匂い”を用いた発信機の総称です」 「“匂い”・・・?」 「え~と・・・」 春咲の説明は以下の通り。 『情報送受信用薬品』とは、電波や磁力を操作する能力者が数多く存在する学園都市で開発・研究が進められていた従来の送受信機能とは違う方式を備えた発信機である。 発信機に用いられる送受信方式は主に電波である。無論、その電波に勘付かれ発信機の所在が割れるリスクは存在する。電気系能力者なら尚更に。 故に、送受信方式を電波では無く“匂い”・・・すなわち“フェロモン”によって行えば従来の方式に慣れた人間を騙すことができるという仕組みである。 組織構造上寒さには強く高温には弱いという性質を持つが、この情報は“表”には出ておらず研究中という名目で隠され、未だ実用化には至っていない・・・筈だった。 「学園都市の上層部は、欠点より利点を採ったってことだね。さっきも言ったけど、極最近になって秘かに実用化が始まった。 もう少ししたら、警備員達が使う駆動鎧への導入やそれこそ俺達一般人でも手に入れられるショップなんかにも出回り始めるんじゃないかな?」 「・・・その『情報送受信用薬品』を『六枚羽』に?だが、『六枚羽』とて学園都市が誇る最新鋭兵器だぞ?」 「わかってる。だから、『六枚羽』との戦闘中に“フェロモン”の存在・・・『情報送受信用薬品』が装備されているかいないかを確認していたんだ。 そしたらさ、装備されていなかったんだ。つまりは、お古だったってこと。『情報送受信用薬品』は新規モノから優先的に導入されているからね。 後は、『六枚羽』をかっぱらうためにコソコソしただろうから正規モノに装備される部品が手に入らなかったんじゃない?んふっ!」 桜姉ちゃん。何か、今サラっととんでも無いことを言ったような気が・・・ ・・・とんでも無いよ。仮屋さんの力を借りたとは言え、『六枚羽』と戦闘中、しかも撃墜しないように手加減して戦いながら、その上サニー達の援護までやってのけてるし。 何より、『ブラックウィザード』の『六枚羽』に『情報送受信用薬品』が装備されていないってことを半ば確信してたってことだし 口に出して説明はしないが、“カワズ”が行ったのは以下の通り。 『情報送受信用薬品』は、もちろん清廉止水から“追加武装”として譲渡されたモノ。『六枚羽』の詳細情報や『情報送受信用薬品』の関連事情も彼から得たモノである。 この目にも映らぬ発信機を、 ダークナイト 内の合成樹脂内に混入させていた。『閃光剣』・『閃熱銃』使用時に用いる冷却ジェルに包んだ状態で。 そして『六枚羽』の戦闘時に、『樹脂爪』で発信機が混入した鉤爪を射出、飛行に支障の無い機体部分に鉤爪を食い込ませる。 『光学装飾』による相対速度把握と『樹脂爪』の性質把握の併用で実現させた鉤爪の食い込み。その際、実は鉤爪を形成する合成樹脂の一部は完全に硬質化していなかった。 つまりは、流動性を少し保つ一部分を保持しながら硬質化した爪を用いて『六枚羽』の機体に食い込み―極僅かな『穴』―を作り出し、 流動性を持つ部分から機体内部に冷却ジェルで包んだ『情報送受信薬品』を混入させた1滴の合成樹脂に、 鉤爪と繋がっているワイヤーに ダークナイト の演算機能により計算し尽された専用の振動を与えること―『六枚羽』の挙動も利用した上で―で発生した衝撃を与え、噴出させたのである。 機体内部の熱も、合成樹脂と冷却ジェルに包まれた状態+高速離脱の必要性を鑑みて、『情報送受信用薬品』は耐え得ると予測している。 また、食い込ませた鉤爪を排除される危険性も考慮して機体外部に食い込んでいる鉤爪自体を一種のデコイとし、本命の1滴を機体内部に接着させたのだ。 「珊瑚ちゃんを連れ立ってもう一度飛翔したのも、『情報送受信用薬品』がちゃんと機能しているかどうかの確認だったのさ。幸い、しっかり機能してるみたいだね」 「・・・もし、東雲本隊に『情報送受信用薬品』を仕掛けた場合、車両変更や連中を覆っている念動力による妨害の可能性も存在した・・・だね、アホ界刺?」 「精神系能力でこっちの手札がバレる可能性もあったしな。だったら、危険を冒してでも機械に発信機を取り付けた方がいい。『六枚羽』は連中にとっても貴重な戦力だ。 みすみす潰されたり鹵獲されたく無いだろうさ。今頃は、『ブラックウィザード』の本拠地に向かって超特急で帰還しているだろうよ。あー、疲れた疲れた。仮屋様もお疲れ♪」 「バリボリベリ(界刺クンもお疲れ~)」 「・・・つくづく底が知れねぇ野郎だな、テメェはよ」 事の真相を知らされ、荒我は改めて自分が頼った“変人”の凄まじさを実感する。 救済委員事件の際、穏健派に『シンボル』が加勢したことで過激派に勝利した。そのグループのリーダーが、唯の道化である筈が無い。目の前の男の部屋でも痛感したこと。 「安心しなって。きっと、君達はもうすぐ目にすることになると思うよ?俺の底をさ。・・・いや、“見る”ことはできないか・・・」 「・・・どういう意味だよ?」 「だってさ・・・きっと来るよ?あの殺人鬼がさ」 「「「「「!!!!!」」」」」 殺人鬼。この事件における最大の不確定要素。誰にとっても。そんな人間が・・・来る。まず間違い無く。確信に近い予感を伴って。 「寒村先輩。確か、一昨日178支部の人間達をあの殺し屋は“偶然にも”助けたんだよね? そこには、『ブラックウィザード』やヒバンナが居た。・・・風紀委員を助けたことは偶然だったとしても、その場所を突き止めたのは偶然なんかじゃ無いよね?」 「・・・うむ。そう考えるのが当然であろう」 「これも予想でしか無いけど、あの殺し屋は風紀委員会や『ブラックウィザード』が動いたことを知る術があるんだろうね。 具体的には、両者がぶつかった時かな?違う可能性もあるか。それが、能力によるものなのか他の手段を用いたものなのかはわからないけど。 念動力で作られた糸で感知しているとしても、それだったらリンリンや美魁の念動力で調査できないわけが無い。 可能性としては後者の方が高いかな?断言はできないけど。例えば、『情報送受信用薬品』みたいな発信機を取り付けられていたら位置を把握することは難しく無い」 「・・・その可能性で言うと、今は真面と殻衣に発信機のようなモノが取り付けられている可能性がある・・・と?」 「どうなんだろうね。『情報送受信用薬品』の場合は“匂い”っていうマーカーを辿らないといけないし。ようは、マーカーを感知できる範囲内に居ないと駄目だ。 一昨日の一件で、風紀委員会に参加している風紀委員の周囲を警備員が警備してるよね?わざわざ自分から近付かないといけない方法を採るとは思えないんだよねぇ・・・。 てか、そんなことを言い出したら数日前に邂逅した加賀美達だって“仕掛け”を施されている可能性はある。それこそ、寒村先輩達単独行動組以外は全員に・・・ね。 でも、今回の作戦に風紀委員の中で最大戦力を有する176支部が不参加ってのは有り得ない。他の連中も同じ意味で。 そもそも、普通に発信機以外の方法とかも持っているのかもしれないよ?あの殺し屋に協力者が居ないなんて断言できるわけも無しだしさ。まぁ、どれも可能性でしかないけど」 「「「「「う~む・・・」」」」」 明確な答えは出ない。しかし、予想なら出せる。あの殺人鬼は風紀委員会と『ブラックウィザード』が衝突する戦場に襲来する可能性が高いという予想を。 「まっ、そこら辺は究極的に言えばどうでもいいけどね。今日中に懸念事項をなるたけ片付けたい身としては、『俺の前に現れてくれる』殺人鬼の襲来は願ったり叶ったりの状況さ」 「界刺さん。アンタ・・・」 「何変な顔してんのさ、風路?そもそも、あの殺し屋の目的は『ブラックウィザード』の殲滅さ。あいつが来れば、『ブラックウィザード』にとって大きな脅威となる。 俺が相手するしない関係無く、風紀委員会が動けばあの野郎は戦場に姿を見せるさ。もしかしたら、その前に野郎が本拠地へ襲撃を掛ける可能性もあるな。 風紀委員会としても、ある意味では都合がいいでしょ?味方や拉致された連中の生死・・・後は正義感とかを別にすればさ?」 「「「「・・・・・・」」」」 「野郎は標的外の俺を躊躇無く殺そうとするだろう。俺も対抗するために『本気』を出す。その過程で『ブラックウィザード』のクソ野郎共を蹴散らす可能性も低く無い。 その間にとっとと拉致された学生も助け出して、東雲をとっ捕まえてくれりゃあいい。・・・あっ、そうだ。 鏡子を救出するまでに殺人鬼が現れなかったら、その後は知らないから。俺達の『目的』は鏡子の救出だからね。『目的』を果たしたら即退散するよ? その後に殺人鬼が現れても、そっちで何とかしてね。懸念事項の解消は、また別の機会にするから。まぁ、その可能性の方が望み薄だろうけど。ここ数日はホント多忙だねぇ、俺」 この時点で、ここに居る誰もが一昨日拉致されたと推測される学生達が既に“手駒達”に仕立て上げられていることを知らない。 あくまで可能性の1つとしては捉えてはいるが、たかだか2日程度でできるわけが無いと踏んでいる。 『太陽の園』の『置き去り』の事例を見る限り、連中は拉致の際に薬では無く精神系“手駒達”の力を用いている可能性が高いと見受けられたことも、この予測に拍車を掛けた。 この予測は正解でもあり・・・間違いでもある。少なくとも、一昨日の件は暗示薬を用いたモノであり、精神系“手駒達”はバックアップでしか無かった。 「“カワ・・・・・・いえ、界刺様。1つ・・・確認させて頂けませんか?」 「ん?何だい、サニー?」 “カワズ”が主導を握って繰り広げられていた会話劇に口を挟んだのは、『シンボル』の一員である月ノ宮。 今の彼女は、自分が敬愛する人間の言葉に納得ができていなかった。以前から思っていたこと。丁度いい機会かもしれない。彼の在り方への言及を行うタイミングとしては。 「その・・・殺人鬼と呼ばれる犯罪者を・・・皆を傷付ける可能性のある人間の襲来を・・・どうして平然と受け入れられるのですか? 殺人鬼と呼ばれる人間が、界刺様と戦う前に風紀委員の方々と接触する可能性は・・・戦闘になる可能性は・・・低く無いですよね?」 「そうだね。俺だって、野郎が何時どのタイミングで何処から出現するのかなんてわかんないし。別に、俺が野郎を誘ったわけじゃ無いし。あっちが勝手に現れるかもだし。 んで、現れたら俺を殺そうとするだろうし。俺だって、好き好んで人を殺そうとしたくは無いよ。正当防衛の範囲を明らかに逸脱しない範囲で対処するんだ。 でも・・・きっと来るだろうねぇ。俺の勘だとさ。んふっ、どうせ避けられないんだったら、精々俺の目的のために野郎を利用させて貰うだけさ」 「利用?・・・・・・界刺様が変わり者なのは重々承知しています。ですが・・・私は未だにあなたのそういう所を理解することができません。 私が界刺様の立場なら、『願ったり叶ったり』なんて言葉は口が裂けても言えません。どういう精神を持てば、そんな非情なことを・・・」 一度口に出したら止まらなくなった。それだけ、少女が己の心中に疑問や不満を溜め込んでいた証拠だ。 その意味を『全て』把握した碧髪の男は、語り続けている少女に告げる。それは、2人が最初に出会ったあのグラウンドにて舞った言の葉。 「人間だからに決まってるじゃん、サニー?」 continue!!