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許しません…ロボットを壊していいのは、ロボットだけなのですよ!! エルネスティ・エチェバルリアが自身の専用機として開発した幻晶騎士。銀鳳騎士団の旗機でもあり、エルがこれまでに入手した知識と、発明した技術が投入されている。日本人としての記憶を持つエルの意向から、鎧武者を象った外観をしており、頭部も怒りの形相を浮かべた仮面が取り付けられている。背中から伸びる四本の副腕「執月之手(ラーフフィスト)」を備えた姿とその仮面の形相から、敵からは「鬼神(鬼面の死神)」の異名で呼ばれている。魔力転換炉にはエルが撃破した大型魔獣「陸皇亀(ベヘモス)」と「女皇殻獣(クイーンシェルケース)」の素材を利用した「皇之心臓(ベヘモス・ハート)」と「女皇之冠(クイーンズコロネット)」が搭載されており、他の幻晶騎士と比較にならない程の高い魔力出力を誇る。また、推進機関として可動式の「魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)」を装備。高出力とジェット推進の合せ技により、イカルガは幻晶騎士単体での飛行が可能な初の機体となった。普段は莫大な出力の大半を、飛行可能な程の機動力に回しているため、これを攻撃に振ると桁外れの火力を出すことができる。大出力・高火力を有する反面、あまりにも複雑かつピーキーな機体へと至ってしまったため、従来の制御機構では追いつかず、小型の魔導演算機が複数搭載され、エルによる直接制御と、エルの前世を反映したキーボード状の操鍵盤による操作によって初めて運用が可能となる。その性質上、性能をフルに発揮できるのはエルただ一人のみであり、「地上最高の戦闘力を持つ、史上最高の欠陥機」とも呼ばれる機体に仕上がった。 スペック 漢字表記 斑鳩 異名 鬼神 分類 幻晶騎士 生産形態 ワンオフ機 全高 11.2m 重量 21.6t 動力 魔力転換炉、皇之心臓、女皇之冠 推進機関 魔導噴流推進器 開発者 エルネスティ・エチェバルリア 所属 フレメヴィーラ王国 所属部隊 銀鳳騎士団 パイロット エルネスティ・エチェバルリア 初登場作品 Knight's Magic 第52話「鬼神降臨」(2012年8月2日投稿) パイロットプロフィール エルネスティ・エチェバルリア 現代日本から異世界への転生者。年齢16歳(大西域戦争時)。通称は「エル」。背丈は小柄で、容姿も女性と見間違うほどの美少年。前世では「倉田翼」というプログラマーの青年であり、同僚から「最終防衛ライン」と呼ばれ、幾つもの修羅場で重宝されてきた程の腕前の持ち主であったが、交通事故に遭い命を落とし、剣や魔法、そして幻晶騎士という巨大ロボットが存在する別世界の人間へと生まれ変わった。フレメヴィーラ王国のエチェバルリア家で誕生した彼は前世の記憶・知識を引き継いでおり、日本ではプラモデル製作などを趣味としていたため、異世界で本当に巨大ロボットが運用されていることに驚愕・歓喜し、その騎操士になるべく鍛錬と努力を重ねていく。ただし、前世の記憶を引き継いでいる事は当人が「特に重要ではない」という理由で明らかにしていない。 CV 高橋李依 武装 銃装剣(ソーデッドカノン) 剣と魔導兵装として使用可能な複合武器。剣内部に紋章術式を刻んだ銀板と触媒結晶を内蔵しており、レバーを切り替える事で法撃と格闘戦双方で用いることができる。 斧槍(ハルバード) 長柄武器。原作小説では執月之手で左右1本づつ装備しているが、アニメでは未使用。 執月之手(ラーフフィスト) 背部に装備した四本副腕、あるいは四本副腕に装備された遠隔誘導兵器を兼ねた拳。腕と拳は銀線神経を織り込んだワイヤーで接続されており、内蔵された魔導噴流推進器により射出して自由な操作が可能。 アルスマでは… チーム戦 惑星Ziにて、キャプテン・ファルコンの使用したキャラクターカプセルから現れた。直後、銃装剣(ソーデッドカノン)から最大出力の法撃を放ち、ZOとマジレッドを消滅させ、撃墜した。
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ジンのこと。 第二次魔道大戦(イカルガ内戦)で多大な戦果を上げた功績でこう呼ばれるようになった。 六英雄とは別物。
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《開眼者イカルガ》 開眼者イカルガ R 光文明 (6) 進化クリーチャー:メカサンダー 8000 ブロッカー 武装進化-光のクロスギアをクロスしている自分のクリーチャー1体の上に置く。 クロスギアをクロスしている自分のクリーチャーの、攻撃できない効果は無効になる。 作成者:氷月 クロスギアをクロスしている自軍は疑似《ダイヤモンド・ソード》状態に。 進化元にはできないが《マキシマム・ディフェンス》の効果との相性は良い。 フレーバーテキスト DMO-21 「武雷編(エクストラ・フォース)第1弾」作:エウブレウス「さぁ!今こそ武器を取り、共に闘おうぞ!」---開眼者イカルガ 収録セット DMO-21 「武雷編(エクストラ・フォース)第1弾」 参考 武装進化
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天下の大侠イカルガ・ゼム(テンカのオオライ~) p e 属性 火 コスト 36 ランク S 最終進化 S レベル HP 攻撃 合成exp 1 ? ? ? 70 1,879 1,983 ? 最大必要exp 63,204 No. 1369 シリーズ イカルガ Aスキル ブラッディソード 敵のHPを大きく吸収する(?%) Sスキル アブソリュート 解答を見破る(?turn) 売却価格 ? 進化費用 - 進化元 大盗賊イカルガ(A+) 進化先 - 入手方法 進化 備考
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イカルガ 愛称:イカルガ 称号:まだなにもなし。 種族:ルーンフォーク 年齢:起動より12年目 性別:女 穢れ値:― 外見:それなりに整っている顔、緑の黒髪と言うかむしろ緑の長髪。 双眸は髪と同じ碧色。スタイルも悪くは無い。 だが覆面&全身黒一色のニンジャスタイルが全て台無しにしている気がする。 ついでに05/02の冒険で下着を着けてないと言う事が判明。 経歴 【未だ叶わない夢がある】【毒を食べた事がある】【五人以上の兄弟姉妹がいた】 プロフィール ルーフェリアより更に東国、名も無き集落にて生まれたルーンフォーク。 各ジェネレータがそれぞれの役職を持って居り、彼女は《諜報》を基にしたジェネレータより生まれた6人目であった。 しかし、過疎化の進む集落はそろそろおとり潰しの憂き目に遭おうとしていたため、それぞれ散り散りになってしまう。 同期に生まれた妹である『サキ』を連れ、よく立ち寄っていた流れ者の冒険者である男戦士についてフリーランスの冒険者をしていたりした。 だが、とある仕事からケチが着き…ある女マッドサイエンティストの陰謀に嵌められその戦士は戦死、そしてイカルガ、サキ共に心身共にボロボロにされてしまった。 11あったレベルも既に1まで下げられ、改めて冒険者の店に登録する事にしてみた彼女の明日はどっちだ。 追記-装備品を買ったら金が無くなったので路上生活中。 本人より 「妹のためにも…頑張るでやんすよ!」 これまでの軌跡 +セッション&GMB投入履歴 日付 セッション名 GM 経験点 報酬 名誉点 成長 同行者名簿 05/01 【昼卓】冒険者たちと家出少女 なんばんさん 1080 916 15 筋力 クララベル ナイアレイア ガレオス ダフネ 05/02 【夜卓】おいしいご飯をたべるため vol.7 リスペクト 孝也さん 1180 1562 11 生命力 オルソナート ソリット アヤノ アルザス 05/03 【夜卓】狼の森 ルクさん 1130 1720 17 器用度 ウーサー ウサビッチ ルビー ガレオス クララベル 同行した(覚えている)PCへの感情(3回以上同行で記載) PC名 字名 抱いている感情 コネクション NPC名 字名 GM 関係 名誉 感情 シーラス・ポーレン Swindさん 顔見知り 5 喰えない爺さんでやんした。 プレイヤー:suryker 登録タグ:
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天下の大侠 イカルガ・ゼム コスト 36 レベル 1 MAX 進化元 大盗賊 イカルガ (A+) 進 化 素 材 - - ランク S HP ? 1,879 進化先 - - - MAX Lv 70 攻撃 ? 1,983 進化費用 - - - No.1369 Aスキル ブラッディソード 敵のHPを大きく吸収する 売却価格 ? - - 編集 Sスキル アブソリュート (7) 解答を見破る 入手方法 クリスタルガチャ(S出現イベント期間限定)、進化 個別データ 備考
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思いっきりネタバレシリーズです。 斑鳩とななどらのネタかぶせです。 簡単なキャラ紹介を先に。 シンラ:ナイト(男) 男の詳しい外見なんてどーでもいいですよね? カガリ:白ヒーラー(女) 脳内で衣装を黒ワンピに変換してください。 ヴァイス:白ローグ あれはきっと男装の女性 シュヴァルツ:黒ローグ あれはきっと(ry chapter1 [理想 ideal] 「大丈夫……いつかきっと、分かり合える日が来る」 「そして遠い未来へ、命は受け継がれるから……」 俺は汗だくになって跳ね起きる。いつもの夢だ。あの手術を受けてからこの かた、毎晩のように見る、あの夢。分かり合える? 馬鹿馬鹿しい。この戦い は、俺たちと奴らの生存競争だ。人間がいままさに市場へと運ばれていく牛に 憐憫を感じるのは、その牛よりも自分のほうが絶対的に立場が上であり、牛の 運命のすべてを自分が握っていると確信しているからだ。牛と人間の立場が対 等であれば、そこには勝利感と達成感以外には存在し得ない。ましてや、分か り合うなど。 「Activation confirmed. おはようございます、シンラ」 いつもどおり、まるで感情のこもらない「おはようございます」が投げかけ られる。 「いま何時だ、シュヴァルツ?」 「+1762.3、現地における24時間表記では0506です」 「朝か。ヴァイスと、カガリはどうしてる」 「ヴァイスは警戒斥候中。0515帰投予定、現時点での任務成功率は99.76%。 カガリ女史は就寝休養中。ramp指数に基づく戦闘活動効率の規定値を維持す るconscienceの回復まで、期待値で3042.5秒」 「あと2時間は寝かせてやってくれ。それから、コーヒーを頼む」 「了解。睡眠増強剤放出まで5秒。放出完了しました。ついては、提案なので すが」 「分かってるよ」。いつものお説教だ。俺はシュヴァルツから熱い缶コーヒー を受け取りつつ、思わずうんざりした声を出してしまう。 「この2,592,000秒での統計ですが、シンラとカガリ女史が休息前に性交渉を 行うほうが、カガリ女史の回復率に112.6%の向上が見られます。シンラも101.6% の効率向上が確認されました。以上のデータに基づき、operation controlとし て毎休息前3482秒以内での性交渉を推奨します」 寝起きの缶コーヒーを飲んでいた俺は、思わずむせ返った。 「あ、あああアホか。そんなに毎晩毎晩もたねえっつーの」。しかも時間指定 つきかよ。3482秒……1時間弱? いやいやいやいや、違うぞ、何か問題が違 う。こいつらと話してると、どうも感覚が狂う。 「そのようなものなのですか? 平均的な成人男子のデータをもとに計算した のですが」 「あのなあ」。そこで俺は違和感の原因に行き当たった。「まず、何より、だ。 嫁入り前の娘が、性交渉を推奨だの何だの、そんな言葉を淀みなく口にするな っての」 「その指摘と、任務効率との間には、有効な相関が認められな」 「いいから俺の話を聞け。俺のメンタルを管理するのも、お前らの任務のはず だな? 俺は、実際の中身がどうであれ、年端もいかない小娘相手に、スイー ツなシモネタで盛り上がりたくはないんだ。オーケー?」 「了解しました、シンラの言語処理野に効率低下を確認。今後、慎みます」 「遠まわしに馬鹿にされた気分だ」 「いえ、直接馬鹿にしました」 「おま」 「ヴァイスが帰投。0515をもって警戒斥候に出ます。ご武運を」 ツッコミを入れる隙もなく、シュヴァルツが薄明の森へと姿を消す。圧倒的 な質と量を誇る敵ですら、彼らを見つけるのは至難の技だ。俺の目で探して見 つかるはずもない。俺は缶コーヒーの残りを確認しながら、近くの切り株の上 に腰を下ろし、何とはなしにため息をついた。 まったく、タケハヤも同じ思いをしてるんだろうか。あのアイテルって女も、 どこかシュヴァルツやヴァイスに似たところがある。エメル総指揮官とアイテ ルを中心としたチームが造り上げたハイブリッド戦闘生命体なのだから、性格 が似ているのはある程度まで予想できるが。 326 名前:イカルガ[sage] 投稿日:2009/03/18(水) 23 38 23 ID d47zzsJW 俺たちは、地球に侵攻してきた異星生命体である「竜」との戦いにおける切 り札として生産された、人造兵士だ。とはいっても、ベースはあくまで人間だ し、俺自身、普通の人間として育ってきた記憶はある。偽造記憶である可能性 は否定しないが、そこを疑っても仕方ないだろう。偽だろうが、本物だろうが、 俺の記憶は俺のものだ。人造兵士であろうがなかろうが、俺は俺であるように。 この人造兵士の第一号になったのが、いまや人類戦士の二つ名で呼ばれるよ うになったタケハヤ。彼は竜の遺伝子を体内に取り込むことで、文字通り人間 を超越した。その代償は大きかったが、彼が踏み出した一歩によって、押され っぱなしだった人類は巻き返しを始めている。 俺はタケハヤと同じ、第一世代の人造兵士に相当する。俺にも竜の遺伝子が 投入されているが、タケハヤのような大御所クラスの竜ではない。俺は人類が なし得る限界程度であれば容易に超越できるし、そこらの竜に遅れをとること もあり得ないが、本当にヤバイどころが相手となるとタイマンは到底不可能だ。 だからこそのチームだが。 カガリは、第二世代の人造兵士になる。第一世代での数多くの失敗をもとに 理論化された生産工程によって、彼女らの世代は高い生存率と適応率を見せて いる。身体にかかる負担も低いようで、潜在的には俺よりもタフだ。ただ、微 妙な差とはいえ爆発力に欠ける。 ヴァイスとシュヴァルツは、第三世代――あるいは、完全に新世代の戦闘生 命体だ。第一世代・第二世代で得た教訓をもとに、人間のもつ生物としての弱 点を補うように、野生生物の遺伝子が配合されている。生存率と適合率はきわ めて高く、自己繁殖も可能とあって、戦争が超長期戦になった場合における決 定力として期待されている。 しかしまあ、いくら野生生物の遺伝子を配合したからって、猫耳娘が量産さ れるってのはどういう理屈なんだろうか。お偉さん方は、文化統計的に見て親 しみやすい外見を構築することで、既存の人類種からの忌避反応を低減させる 必要があったとか何とか言っていて、実際に彼・彼女らが登場するプロモ映像 は熱狂的なファンはついている。憑いている、に近いくらいに。 ヴァイスはその手のプロモ映像の収録に参加したこともあるそうで、綺麗に 化粧して水着を着た写真を見せられたことがある。戦車とは男性の性的願望を 具現化した兵器であり、それゆえに陸戦の主力となり得たのだと論じた軍事科 学者が大昔にいたそうだが、してみるとその議論はそこまで完璧には間違って いないということか。アホらしいことこの上ないが、そのアホらしさを大真面目に 追求して大金まで投じてしまえるのがエメル総指揮官の総指揮官たる所以かも しれない。 彼女は、信じられないくらい、既存の価値観や習慣に固執しない。自分は人 間ではないと言わんばかりに。その果断さが、人類の生存を維持してきた。 ともあれ、いずれの世代にしても、普通の人間たちや、あるいはエメル総指 揮官にとってみれば、俺たちは鉄砲玉以上の何かではない。俺たちは、人間で ある以前に、武器なのだ。 けれど俺たちにとってみれば、それはなんら語るべき問題ではない。武器で あろうが何だろうが、俺たちは俺たちの命を生きている。だから、俺たちはた だの武器ではない。武器は死なない。俺たちは死ぬ。死ぬために、俺たちは生 きる。生きねばならない。 もしかしたら、俺たちの戦いは無為に終わるかもしれない。俺たちの夢も、 理想も、中途で破れるかもしれない。だが、それならばそれでいい。理想が実 現されなかったからといって、理想そのものが朽ちるわけではない。俺たちが 死ぬことによって生きる、そのことで、理想は誰かの手に委ねられるだろう。 だから、俺たちに悔いはない。生きている今も。死ぬその寸前にも。 327 名前:イカルガ[sage] 投稿日:2009/03/18(水) 23 42 07 ID d47zzsJW 「シュヴァルツから入電。敵の偵察部隊を発見したとのこと。現状では0717に コンタクトします。誤差プラスマイナス15%」 「カガリが起きる前に接敵する可能性は?」 「16%強。無視できる数字ではありません。1時間以内の活性化を提案します」 「寝起き悪いんだよなあ、あいつ。仕方ない。最低活動保障のラインで起こし てくれ」 「了解。1726.8秒後、およそ30分で覚醒パルスを発信します」 「シュヴァルツには敵部隊のトレースを続けさせろ。ヴァイス、戻ったすぐで すまないが、もういちど斥候に。他の部隊がいないか、確認を急げ」 「アイ・サー。シンラはどうします?」 「俺は、とりあえずコーヒーを飲み終えることにする」 「了解。では、ご武運を」 ヴァイスが音もなく走り去っていった。俺は手元の缶コーヒーを一息であお ると、タバコを取り出して火をつける。何を悠長なことをと言われそうだが、 チームの一人が動けない状態でバタバタあがいても仕方ない。 黒いシンプルなワンピースに身を包んだカガリは、ハンモックの上で静かな 寝息をたてている。戦場にいるという緊張感は、まったく感じられない。でも それは、俺たち全員に言えることだ。正直、任務を達成して本部に戻り、そこ でマスコミのフラッシュを浴びてマイクを突きつけられるときのほうが、よほ ど緊張する。 俺は半分ずり落ちていた彼女の毛布をかけなおしてやる。30分に満たないと はいえ、少しでもちゃんと眠らせてやったほうがいい。彼女が目覚めたら、野 営を畳んで戦闘の準備を進めねばならない。だがそれまでの間、彼女の寝顔を 見守る時間があってもいいだろう。秒で数えるような時間だとしても。 無意識のうちに、ため息が出た。俺はタバコを地面でもみ消すと、武器の点 検を始めることにする。 装備をひととおり点検して、野営の片付けに手を付け始めた頃、カガリが目 を覚ました。ハンモックの上でしばらく虚ろな目をしていたが、俺が戦闘準備 をしていることに気がつくと、のそりとハンモックから降りる。 「おはよう。だいたい30分くらい前、シュヴァルツが敵の偵察部隊を発見した。 現在もトレース中。ヴァイスは周辺の索敵。ヴァイス、報告を」 「異常ありません。敵偵察部隊は単体での行動であると判断します」 インカムからヴァイスの落ち着いた声が聞こえる。シュヴァルツと違って、 ヴァイスはわりとファジーな報告をよこす。緊急時にはありがたい。 「わかった、シュヴァルツに合流しろ。ランデブーポイントの予測は?」 「46-85です。野営地から23分前後」 「了解、油断するなよ。シュヴァルツ、敵のデータを送ってくれ」 インカムのマイクをオフにする。カガリはまだぼんやりしていた。俺は焚き 火をかき回して、地面に埋まっている缶コーヒーを掘り起こすと、カガリに投 げてよこす。 「ありがと。こんなもの、どこにあったの?」 「ここから30分くらい歩いたところにあるコンビニの自販機で買ってきたそう だ。ヴァイスが手に入れた」 「コンビニ? 自販機? そんなものがまだあるの?」 「ここはそういう場所ってことだ」 カガリはちみちみとコーヒーを啜っている。 「コインを入れて、ボタンを押したら、熱いコーヒーが出てくる。これだって ひとつの理想よね。敵は、やっぱり、人間?」 「多分な」 「イヤになるわ」 カガリは一息でコーヒーの残りを飲み干すと、荷物をまとめ始めた。俺は焚 き火を消し、自分の荷物を背嚢に放り込む。 「敵の装備確認。通常装備の歩兵1個小隊です。対竜装備は確認できず」 インカムからシュヴァルツの声が聞こえる。 「了解、46-85で待ち伏せを仕掛ける。俺たちも移動を開始する。武運を」 「ご武運を」 今日も長い一日になりそうだ。俺たちは背嚢を背負いなおすと、山道を歩き 始めた。 → イカルガ chapter2
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統制機構vsイカルガ連邦。 人類同士による、術式を用いた初めての戦争。 関連エピソード ジンはこの戦争で多大な戦果を挙げたため、イカルガの英雄と呼ばれるようになった。 ノエルはこの戦争の焼け野原の中で、記憶喪失の状態で発見され現在の家に引き取られた。 バングの顔の傷はこの戦争の最中にジンによってつけられたものらしい。 テイガーはこの戦争中に瀕死の傷を負ったが、ココノエに改造され命をとりとめた。
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鵤 峰聖(イカルガ ホウセイ) ■性別 両性 ■学年 1年 ■所持武器 国家権力 ■ステータス 攻撃:0 防御:1 体力:5 精神力:0 FS:19 ■FS名 情報処理能力 無意識への干渉~影落~(エイラク) タイプ: 付与型 効果: 完全操作 相手フェイズの最初に行動させる 複数:130 範囲+対象: 同マス(敵全員):1.2倍 時間: 1ターン:1倍 時間付属: 死亡非解除 :1.2倍 非消費制約1: 敵女性にのみ有効:0.8 非消費制約2: スタメンだと使用不可:0.8 消費制約: 自分死亡:55 FS: 19 発動率:102% 能力原理 敵の無意識に自分の意識を干渉させ、短い間ながら完璧に操ることができる。ただし、干渉するには死んで霊体にならねばならない。また、なぜか女にしか干渉することができない。 キャラクター説明 つい最近転校してきた、転校生。別にあっちの転校生ではなく、普通の転校生である。親が警察官僚であることもあり、ちょっと偉そう。将来の夢は警察で、既に警察庁で何度か働いたことがあるとかないとか。毎日家に帰ると、朝から録画したニュース番組をずっと観ている。
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chapter2 [試練 Trial] 俺たちの潜入しているH国は、人類側にとって重要な脅威となっている国家 だ。少なくともエメル総指揮官はH国を蛇蝎のように嫌っているし、それには それだけの理由もある。 H国を制圧した竜は、自らを人類の解放者であると宣言した。ヘイズという 名のその竜は、他の竜たちと異なりフロワロを撒き散らすこともなく、また自 分に従う人間には寛大な態度を示した。結果、H国では竜と人間の「共棲」が 成立し、ときおり下級の竜が暴走して人間を襲うことこそあれ、H国はヘイズ の統治により平和を維持するどころか、以前よりも発展しつつある。なにしろ 和平派の人間たちは旧国連軍を主体とした人類防衛戦線に加わるよりはH国へ の亡命を志すし、そういった亡命者をH国は拒まなかった。ヘイズはH国の人 間たちに未知の技術を惜しみなく与えており、ついこの前もH国では新技術に 基づいた人工衛星の打ち上げ実験が行われたばかりだ。 竜の中にも宥和派が存在するという事実は、竜と戦う人間たちの士気に確実 な悪影響を与え続けている。現状ではヘイズ以外の竜は人間に対して殲滅戦争 を宣言しているが、本当にこれが未来永劫続くのか、竜との交渉は不可能なの かという疑問を、H国の平和は掻き立て続けた。 エメル総指揮官の方針は簡潔だ。人類の裏切り者であるH国は滅びるべし、 プロパガンダ攻勢で人類の統一的抵抗を破綻させようとするヘイズに死を。 とはいえ、防衛戦線側はH国と戦争をしているわけではない。エメル総指揮 官はそれを強く望んでいるが、そんなことをすればただでさえ権力闘争と民族 間のゴタゴタで揺れ動き続けている防衛戦線は簡単に崩壊するだろう。 「敵は竜」。その一言が、何千年にも渡って共食いを続けてきた人類を、かろ うじて団結させるに至ったのだ。その剣が同じ人間にも向けられるとなれば、 かつて大国に抑圧され続けてきた少数民族・宗教グループは、迷うことなく防 衛戦線を離脱するに違いない――たとえその先に各個撃破と殲滅戦しかなかっ たとしても。 彼らも、同じなのだ。彼らもまた、彼らなりの理想の器を持ち、その器が満 ちることがなかったとしても、悔いることはない。そのことを、エメル総指揮 官は理解できない。 とはいえ、俺個人がH国の方針に対して何を思うかといえば、「胸糞悪い」 以外に言葉はない。あいつらは竜と共棲しているのではなく、ただ単に、竜の おめこぼしに預かっているだけだ。その関係は、支配と被支配でしかない。そ んなものを指して生きているなどと言えるか? 彼らは生きているのではなく、 飼われているのだ。小屋に詰め込まれた鶏のように。これが平和だというなら、 人類が作ってきたありとあらゆる強制収容所は、みな平和だったということに なる。阿呆め。 だが、カガリは迷いを抱いている。彼女はもともとH国の人間で、最初の侵 攻のなかで両親を殺された結果、流れ流れて今の場所にいる。たとえそれが見 せかけの平和であったとしても、かつての同胞たちが安らかに暮らしているの であればそれを無碍にはできないという思いは、彼女の中に確実に存在してい る。祖国の安寧と繁栄が目に見える形で彼女の前に現れているいま、その感慨 が深まっているとしても不思議ではない。 彼女の迷いは、わからなくもない。俺たちが任務を遂行し続ければ、H国は 他国同様にフロワロの咲き誇る荒野に変じるだろう。戦いの中で何十万、何百 万という人間が死に、勝利したとしても復興には百年単位での年月が必要にな る。司令部はH国におけるプロパガンダ戦略によって毎秒0.3人の人的損害が 発生していると計算しているが、目に見えないところで滑り落ちていく砂粒を どんなに思ったところで、目の前で起こるカタストロフを肯定するのは難しい。 ましてやそれが、友もいれば親族もいる土地となれば。 敵の偵察部隊との戦闘は一瞬で終わった。ヴァイスとシュヴァルツは指向性 EMPグレネードの投擲と同時に完璧な待ち伏せを仕掛け、瞬きひとつの時間で4 人を地に這わせる。俺は20メートルを一歩で踏み込み、最初に無線機を背負っ た男を右拳で殴って昏倒させると、その隣に立っていたベレー帽の男――おそ らく指揮官――を左手の理力楯で張り倒す。楯で殴られた男は水平に吹っ飛ぶ と、木の幹に身体を打ちつけて地面に転がった。ちょいとやりすぎたが、死に はしないだろう。 俺が次の一歩を踏み出す前に、ヴァイスとシュヴァルツが残った4人を片付 けた。鮮やかなものだ。得意のナイフを抜かずとも、彼女たちの戦闘能力はま るで侮れない。 カガリが倒れている指揮官に歩み寄り、容態を確認する。彼女はちょっと首 を振ると、目を閉じて精神を集中させた。かざした手がほのかに光る。 「シンラ、やりすぎよ、これ」。手をかざしながら、カガリがぶつぶつと文句 を言う。やっぱりやりすぎだったか。でもほら、死にはしないじゃないか。 「あたしがいなかったら死んでたっていうのは、死ななかったうちにカウント しないでほしいんだけど」 俺の心を見透かしたようにカガリが文句を言う。へいへい。 「接敵情報の漏洩は確認できません。定時連絡用ダミー・プログラムのインス トールを行います。インストール完了。露見まで期待値で98.36分」。淡々と シュヴァルツが事後処理を行っている。 「ヴァイス、カモフラージュコートを射出。ずらかるぞ」 「了解。射出まで3秒、退避を。射出。カモフラージュコート完了しました」 地面に倒れた兵士たちの上に、光学的な迷彩が塗膜されていく。ペイントを 塗りたくるともいう。シュヴァルツは近くの下藪を切り払ってペイントの上に 撒き散らした。原始的だが、こういうのはその程度で十分だ。敵が熱探知して くるような状況ではない。サーモビジョンを搭載した戦闘ヘリで山狩りをし始 めるようなら、そのときはそのとき。 俺たちは駆け足で山道を移動し始める。目的地までは、まだまだ遠い。 俺たちがこんな益体もないピクニックを何週間も続けているのには、当然だ が理由がある。H国は民主制国家だったが、実態は一党独裁と血縁主義による 事実上の封建社会だ。政治の中枢は大統領府だが、大統領を動かしているのは H国を影から支配し続けているフィクサーだ。俺たちはそのフィクサーに直接 面会し、エメル総指揮官とのチャンネルを作るべく派遣された。 フィクサーが住んでいるのは、山奥の一軒屋だ。先方と最低限のコンタクト はできているらしく、目的地までたどりつければ、そこから先はフィクサーの 私兵と戦って血路を切り開くような真似をしなくてもいい、とは言われている。 そこまでの道のりがあまりに遠いというだけで。 その後も何度か偵察部隊や、ときには小規模な攻撃部隊との戦闘になったが、 俺たちはなんとか切り抜けることに成功した。そして、夕闇に沈もうとしてい る瀟洒なコテージを見つけたころには、H国に侵入してから2ヶ月が経過して いた。 「シンラ、まもなく目標地点の哨戒空域です。IFFを発信してください」。 シュヴァルツに促されて、俺は背嚢から小型の通信機のようなものを取りだ し、スイッチを入れた。先方から送られてきたこの機械は、簡単に言えば先方 にとっての敵か味方かを識別するための電波を発するものだ。IFFがオフにな ったまま敷地に入れば、連中は容赦なく最新鋭の攻撃部隊で俺たちを狙ってく るだろう。勝てないとは思わないが、そんな無駄な苦労は御免だ。 「IFF波発信を確認。こちらの通常通信チャンネルに入電あります」 「念のため防壁のレベルを上げろ。防壁が上がり次第、つないでくれ」 「防壁展開完了、つなぎます――ようこそ、人類戦士の諸君。門は開けてある。 車の一台も出してやりたいところだが、時勢を鑑みて失礼させていただくとし よう。そこから門までは直線距離で1キロもないはずだ。お茶を用意しておく」 通信は唐突に切れた。 「直線距離で1キロとか言ったか、今」 「言ったわね……」 「それで、俺たちの目の前には立派な渓谷があるんだが」 「古い衛星写真によると、上流・下流とも5キロ先まで橋はありません」 「わかったよ、久々の空の旅だ。ヴァイス、抑制回路の部分遮断を申請。シュ ヴァルツ、バックアップしてくれ。カガリ、俺の背嚢を頼む。乗り心地はお前ら でなんとか工夫しろ」 「抑制回路の部分遮断を受理。解放まで10秒」 「精神負荷の共有回路をオープン。安定化効率に全体の機能の15%を投入」 「乗り心地ってさあ。じゃあ今回はあたしが背中。それ以外は認めないから。 もう足は絶対にイヤ」 「共有回路を起動中は運動性能が低下しますので」 「あたしが背中」 「飛行途中での落下の危険性が」 「あたしが背中」 「人が集中してるときに、観覧車の座席取りみたいなことで揉めるなお前ら。 カガリが背中、ヴァイスはすまないが足にぶら下がってくれ。シュヴァルツは 俺が抱えてく。オーケー?」 「えええええええじゃあたしが」 「了解しました、ありがとうございますシンラ」 「結局、私はまた足なんですね」 「ねえシンラ、二人を両手で一人ずつ持つとかダメなの?」 「俺の空力特性のこともちょっとは考えてくれ」 「計算によると、効率低下は1.3」 「黙れ。翼部展開するぞ、離れろ」 俺は意識を集中して、自分の内側にいる竜に向き合う。奴らの持つ大きな翼 を頭の中に描き、それが自分の背中にも生えている様子を想像する。ツン、と 鼻の奥が熱くなるのを感じる。大丈夫、暴走には程遠い。 次の瞬間、バサリと音をたてて巨大な羽が俺の背中に生えた。軽く眩暈がす る。シュヴァルツがこめかみに手をあてているのが分かる。彼女は生体通信を 介して俺の精神的負荷を分散させているのだ。たかが翼を生やす程度でこれな のだから、あのタケハヤの負荷を分散処理するアイテルがどれほどの苦痛に耐 えているのか、ちょっと想像ができない。タケハヤがどれほどのものを押さえ 込んでいるかに至っては、想像すらしたくないが。 俺はシュヴァルツを俗に言うお姫様抱っこでかかえこむ。カガリがジト目で 見ているのが分かるが、そういう場合じゃないだろ、お前。俺が軽く姿勢を下 げると、カガリは背中にしがみついた。 「テイクオフ。ヴァイス、カウントしろ」 「了解、テイクオフまで3秒。3、2、1」 ゼロ、の声と同時に俺は両足で地面を蹴ると、翼を大きく羽ばたかせた。ヴ ァイスが人間離れした跳躍力をみせて、俺の両足を掴む。わずかにバランスを 崩したが、2、3回羽ばたくうちに安定を取り戻した。 「くっそ、やっぱり3人は重いぜ」 「前回に比べてシュヴァルツの重量が増加していますので当然かと」 「な、なな、そ、増えたってほど」 「700g強も増量しておいて、太っていないとは言わせません」 「ささささっき多めに水分補給したからであって! 正味534gのはず」 「なんだ、ちゃんと増えてるんじゃん」 「でででででもカガリさんだってそれを言ったらキログラム単位で」 「シンラ、その子だったらここから落としても生きてるわよね?」 俺は無言で飛行速度を上げる。打ちつける気流の激しさに、女どもは一斉に 口を閉じた。女三人集まれば姦しいってのは誰が考えたんだ。 1分ちょっとの空の旅の後、俺たちはコテージの門にたどり着いた。玄関ま で飛んでいくってのもありだが、最低限の礼儀は守ることにしよう。俺たちは 外交使節でもあるんだから。面倒なことこの上ないが。 玄関先で翼を畳んだ俺を、執事らしき男が出迎えた。異形の姿を見ても、取 り乱す風はない。俺が自分たちが防衛戦線の使者であることを改めて告げると、 男は黙って俺たちを邸内に迎え入れた。 コテージは豪華なつくりで、H国の上層部が貯えてきた資産の膨大さをうか がわせる。カネになどほとんど意味のなくなった世界ではあるが、それでもカ ネの威力が通じる部分はまだまだ多い。 俺たちは和室と洋室がつなぎになった、不思議な客間に通された。カガリは 「由緒正しい成金趣味ってやつね」とか呟く。そういうことは、思ったとして も口にだしちゃいけないぜ、カガリ。俺も思ったけど。 しばらく待つと、和室の襖が開いて、フィクサーが姿を現した。生体通信の 秘話回線をオープンする。 『虹彩パターンのスキャン完了。照合。フィクサー本人である確率は86.7%』 『武装は確認できません。本人の身体能力も脅威レベルは無視可能』 『オーケー、この回線を維持しろ。以後圧縮言語を使え』 『アイ・サー』 俺は席を立つと、フィクサーが伸ばした手を取って固く握手を交わし、改め て着席する。 「ようこそ、老いぼれの終の棲家へ。だいたいの話は聞いているよ」 「我々の計算では、この国の体制が維持されることで、毎秒0.3人の死者が発 生していると測定しています。あなた方の平和と安寧は、他の人間の血によっ て購われている。そのことを、どう思われますか」 「悪いが、どうとも思わないな。21世紀生まれの君らは知らんだろうが、儂ら が若いころには、『アフリカでは2秒につき1人の子供が死んでいます』とかい うCMがテレビを賑わしていたよ。毎秒0.5人だ。その悲惨は、先進国の平和と 安寧のために無視され続けた。毎秒0.3人ならば、我々はなかなか大した努力 をしていることにはならんかな?」 「人類の旧弊を支持することが、現在の弊害を擁護することになると?」 「では君たちは旧弊を背負っていないとでも言うつもりかね? 『敵は竜』と は、大いに結構。儂らは『敵は帝国主義者』と習い、次に『敵はファシズムと 民族主義』と習い、その舌の根も乾かぬうちに『敵はアカ』と習ったものだよ。 君たちもまた、人類がかつてそうであったように、敵を敵と認めること以外 では結束できずにいる。君たちのやろうとしていることは、どんなに控えめに 言っても、人殺しに過ぎん。儂らの咎が、人殺しがあたかも存在しないかのよ うに振舞っていることだとすれば、君らは自分たちの手で人を殺して、それを 自由のための戦いと称している」 「我々は竜と戦っています。人ではない」 「ではこの国で竜との戦争を始めるか? その戦争を始めるという決断は、人 殺しをするという決断とどこが違う」 「どんな犠牲を払ってでも、ここで戦わなかったら、人類はいずれ全滅します。 よもやこの国の現状が永久に続くなどとは思っておられますまい」 「永久に続く国家など存在しない。永久に続く種も存在しない。なぜ人類が絶 滅してはいかんのかね? この竜の試練を乗り越えても、人類はいつか必ず滅 びるだろう。生物とはそういうものだ」 「俺は……まだ人類が滅びてほしくない。あなたは、もう滅びても構わないと 思っているのかもしれない。けれど俺たちは、そう思ってはいません」 「ハッ、本音が出たな。君らにしても、結局は人類が犯してきた過ちを繰り返 す烏合の衆の一員に過ぎんということだよ。儂も含めてな。人類はいつだって、 己と『己たち』の主張を信じて、その正しさを認めさせるために殺しあってき たのだ。 よいかね、平和や自由の形は、人の数だけある。だから人はそれぞれの平和 や自由を求めて、殺戮者となる。君もまた、自由を求める殺戮者となるか?」 『シンラ、エメル総指揮官から入電』。シュヴァルツが脳裏に耳打ちをする。 『10秒待ってもらえ』 「もしそれが必要なら、俺は殺戮者になりましょう」 『ダメです、強制オープン――シンラ、こちらエメルだ。新しい任務を発行す る。ただちにその空域を離脱、チームβ4と合流しろ。以後の行動はβ4に従 え。以上――回線遮断されました』 「そうやって愚行を繰り返すのか?」 「では、あなたは愚行を繰り返さないのですか?」 沈黙が落ちた。ヴァイスがエメル総指揮官からの最優先命令を執行しろと煩 く騒ぎ立てるが、彼女にはβ4の動向を調査させることにする。 「賢く生きるのも結構。あなたが仰るように、平和や自由の形は、人の数だけ あるのでしょう。だから、賢く生きる道だって否定はしない。 でも俺は、人間ってのは本質的に愚かなのだと思っています。愚かさを棄て た人間など、人間ではない。この戦争は、人類が体験したあらゆる戦争と異な る戦争です。人間が人間であること、その意味を問われている。ならば俺は、 人間として、愚かでありたい」 「そうして、気合と根性だけを武器に、マシンガンが待ち構える丘の上を目指 すのかね――と、ちょっと失礼する」 気がつくと、執事が電話を持ってフィクサーの横に立っていた。電話ごしに、 なにやらボソボソと討論をしているのが聞こえる。 『シュヴァルツ、通話傍受。唇も読め』 『実行中。通話の傍受はできましたが暗号プロトコルが解読できません』 『なんだと?』 『人類のテクノロジーには、相当する暗号化技術がありません』 『竜の移転技術か。唇を読めるか』 『シンラ、嫌な予感がする』 『非科学的なことを言うな、カガリ。根拠を示してくれ』 『根拠は、あたしのカン。シンラ、今すぐ動いたほうがいいわ。たぶん、もの すごく切羽詰った時間勝負になる』 『ヴァイス、シュヴァルツ、カガリの観測を再計算しろ。最優先だ。急げ』 『読唇結果を報告。防衛戦線に所属する小隊の侵入が確認された模様です』 『β4だ。ヴァイス、β4との通信をオープン』 『自閉モードです。アクティブ反応なし』 『じゃあなぜバレた』 『こちらの自閉モードを感知できる警戒網が完成していると思われます』 『シンラ、急がないと』 『落ち着け、カガリ。β4はそう簡単にやられる連中じゃあない。ヴァイス、 本部に緊急連絡。β4は敵に感知されていることを報告しろ』 『7秒前から実行中。通信途絶。遠距離生体通信にジャミング』 『つながるまで繰り返せ。ただしあくまでカガリの観測の再計算を優先しろ』 『アイ・サー』 「状況が変わったようだ、勇者殿。君との対話は非常に興味深かったが、どう やらこれ以上の話し合いは無駄なようだな」 「……何と?」 「哀れな。君たちは捨て駒ということだよ。我々の哨戒網が、君たちのお仲間 を洋上に発見した。竜反応だけでなく、フロワロシード反応が認められている。 ここから先は儂の推測だが、君たちのお仲間は我が国の寒村にでも上陸して、 そこの住人を皆殺しにし、フロワロを撒き散らすつもりではないのかな」 「馬鹿な。そんなことをしたら……」 「エメルならば、やる。もちろん儂らはことのすべてを衛星から記録させても らうが、そんなものは捏造だと言い張るつもりだろうな。そして、たとえH国 においても竜の脅威は存在すると宣伝する。おおかた、君たちのお仲間は、竜 に変装する力でも持っているのではないのかね?」 『シンラ、β4は擬態化に特化した偵察・特殊工作部隊です。まさか』 『うろたえるな。相手のペースに乗せられてどうする』 「では、あなたはどうされるつもりなのです」 「答える義務はないが、答えよう。何もしない。我々は、君たちが薄汚い工作 をする証拠を手に入れる。君らは、我々の竜との宥和が完全ではない証拠を手 に入れる。状況はイーブンだ。ならば無理に人外の戦士たち相手に戦う必要は ない。こちらにばかり無駄な損耗が積み重なる。 さあ、行きたまえ。君たちがここでできることは何もない。せいぜい、儂を 殺す程度だ。だがエメルのことだ、儂を殺せばこの国がより深く竜に支配され ることくらい分かっている。儂の暗殺命令は出ておらんだろう?」 「ヘイズに通報すれば、俺たちも含めて、侵入したチームは助からないでしょ う。あなたこそ、こんな事態になったのに、なぜ通報しないのです」 「これが儂にとっての自由と平和だからだよ、戦士どの」 「あなたは、この状況に対して『何もしない』と言う。ではもし、今から起こ ろうとしている非道を止める者がいたら、それをどう評価しますか」 「馬鹿だな。長生きできんタイプの馬鹿だ。だが、確かにそういう馬鹿こそが 人類の希望なのかもしれん。君の言うとおりにな」 『ヴァイス、シュヴァルツ、本部およびβ4との連絡タスクを最低レベルに置 け。周辺警戒に全力を投じろ』 『アイ・サー』 『シンラ! いったいどういうつもりなのよ!』 『話は後だ。動くぞ』 「わかりました。彼らの上陸予想地点を教えてください」 「おやおや、君は敵国の人間だ。儂がそんな軍事機密を言えるはずがなかろう。 さあ、帰られよ。楽しいひと時を感謝する。君らの車は裏の駐車場に動かして おいた」 「感謝します」 俺は席を立った。しぶしぶという様子で、カガリも立ち上がる。ヴァイスと シュヴァルツはそもそも着席していない。 『シンラ、説明して。何をどうするつもりなの』 コテージの玄関に歩きながら、カガリが生体通信で俺に訴える。 『初期の任務を続行する。それだけだ。お前のカンは正しかったよ。急がなく てはならない』 『ちょっと、ぜんぜんわけわからないわよ。説明してよ』 『あの老人は、軍事機密は教えられないと言った。だがこの国には軍隊はない。 存在するのは、あくまでも軍事力を持った警察隊だ。だから軍事機密があり得 るとすれば、それはかつて他国の軍隊が駐屯していた場所ということになる』 『だからどうするのよ』 『今からそこに向かってβ4の作戦を阻止する』 『はぁ!?』 『シンラ、それは重大な軍法違反です。承認できません』 『落ち着けよ。俺たちはβ4と合流しろという命令を受けた。それ以前の命令 は、現地のフィクサーとのパイプ作りだ。以前の命令を遂行するにあたって最 も効率がよいのが、β4を撃退することだ』 『しかし以後の行動はβ4に従えと』 『β4との連絡は取れていない』 『承服できません。シンラの議論は、ただの言葉遊びです』 『シンラ……残念だけど、あたしも賛成できない。そりゃあ、この国の人を守 ってくれるのは、嬉しい。あたしも、できるなら、そうしたい。でも、かとい ってそんな……』 『いいか、エメルのプランはそんな単純なものじゃないんだ。β4は間違いな く竜に擬態して作戦を実行する。その作戦が実行されれば、エメルにとってみ ればそれはそれで問題はない。とはいえそのままなら、老人の言うとおり、分 け前は半々だ。 だがもし、H国に侵攻しようとした竜を、たまたま現地にいた防衛戦線の部 隊が撃退したとなったらどうなる? エメルはH国ですら竜の危機に瀕してい るという証拠を手に入れ、さらには防衛戦線の正しさも示すことができる。こ れならば第1世代のチームを2個も投入する理由が分かる』 『……ずいぶん幼稚な自作自演ね。でも彼女ならやる、か』 『し、しかし、その推測には裏づけがありません』 『本部に問い合わせても、本部は絶対にだんまりだ。俺たちが勝手に想像して、 勝手に行動するという状況以外、許されないからだ。自作自演の証拠はできる 限り減らさなくてはいけない。 それに、だ。仮にβ4を俺たちが看過したとして、俺のプランを実行した場 合と、どちらが有効だと思う』 『そ、そ、それは……』 『シンラのプランのほうが論点が整理されています。不確定要素が多すぎて有 効度は計測できませんが、トータルで概算すると戦線への寄与度は高いと判断 します』 珍しくシュヴァルツが曖昧な表現を使う。 『ただし、シンラのプランを採用した場合、我々が軍規違反に問われるのは必 然です。本部に帰投すれば軍籍剥奪のうえ、重罪に処せられるでしょう。かと いって孤立無援での活動は不可能です。それでも実行しますか?』 『孤立無援にはならない。うまくやれば、あの老人が俺たちをサポートしてく れる。防衛戦線とは縁切りになるが』 『シンラ……あなたって、本当に馬鹿。定期的なメンテナンスなしに、あなた は生きていられないのよ? それはあなたが一番よく分かってるはずじゃない。 それに、あなたはエメル総指揮官のプランだなんだとか言ってるけど、要す るに、この汚い工作が気に入らないんでしょ? 罪のない人間を殺してでも政 治的有利を確立しようなんてのは絶対にイヤだってことなんでしょう? でも さ、あなた、そんな意地のために死ぬの? そこまで馬鹿なの? 死んだらも う竜とは戦えないのよ?』 『メンテナンスがなくても、1年くらいならやれる。その間にヘイズを殺せば いい。秘密裏とはいえこの国の中枢部と手を組めるんだ。やってやれなくはな いだろう。ヘイズを叩いた後は、俺に脅迫されて渋々ってことにすれば、エメ ルもお前らを悪くは扱うまい』 『……分かった。あたしは乗る。でも、あなたに脅迫されたからじゃない。あ たしは、あたしの意思で、あなたの作戦に乗るわ。こんな子供じみた謀略で何 の罪もない人たちが死ぬだなんて、あたしには耐えられない。そこまで人間の プライドを虚仮にされたくない』 『馬鹿だな、お前も。ヴァイス、シュヴァルツ、お前たちは拒否していいんだ。 なんとか俺たちだけでもやってみる』 『私たちも討議をしました』 『シンラのプランに賛同します』 『私たちは元来、あらゆる命令に優先して、シンラの命令に従えと言われてい ます。今回のシンラの命令は、危険ですが理不尽ではありません。また最終攻 撃目標がヘイズであるというならば、いっそう従わない理由がありません』 『私たちは、ベストを尽くし、武運を祈るだけです』 『やれやれ、俺たちは阿呆の群れってことか。今さらだが先が危ぶまれるな』 『指揮官が指揮官ですから、やむをえないと考えます』 『遠まわしに馬鹿にされた気分だ』 『かなり直接的に馬鹿にしました。罵倒語辞典のインストールを行うことを推 奨します』 『まったく』 『ねえ、話がまとまったところで質問なんだけど、β4の襲撃にどうやって間 に合わせるの? 空を飛んでも間に合わないと思うんだけど』 『間に合うさ。空を飛べば』 『シンラ単独であれば確実に間に合いますが』 『何で俺一人で行くんだよ。ありえないだろ。ほら、そこにクルマがある。暖 気も済んでるようだな。ヴァイス、シュヴァルツ、操縦を頼む。俺たちはカー ゴに入る』 裏の「駐車場」には、VTOL式の小型輸送機がエンジンを回していた。執事が コクピットから降りてきて、俺たちに一礼する。 5分後、俺たちは亜音速で空を飛んでいた。この速度ならばβ4の移動に間 に合うはずだ。 隣を見ると、カガリが緊張した表情で虚空を睨んでいた。ここから先は、地 獄への片道切符だ。俺は膝を強く握り締めているカガリの手に、自分の手を重 ねる。僅かに、カガリの瞳が緩んだ。俺は躊躇せずにカガリの唇を奪うと、彼 女をたっぷりと味わう。カガリも俺の背中に手を回し、情熱的に接吻に答えた。 1分近く、そうやってお互いの暖かさを確認しあっただろうか。さすがにそ こから先に進むには、状況が状況だ。名残惜しい気持ちはあったが、どちらか らともなく唇を離す。 「……この世の中の命、意志、存在、すべてのものにはちゃんと存在理由があ る。不要なものなぞ存在しない。そう、父親に教わったわ。 あたしは、どうしてもエメル総指揮官の方針に納得できない。彼女にとって、 あたしたちは必要のない存在だって言われてるみたいで。よっぽど竜のほうが 親近感を持てるわ。少なくとも、あいつらはあたしたちを必要としてるんだか ら。餌として、ね。これって、元H国の人間ならではの危険な思想かしら」 「そうでもないさ。最大の問題は、エメルは現場の意識との間にズレがあるこ とを認識できてないってことだ。戦略そのものは、間違ってない。だが戦略を 形にするのは、現場の人間だ」 「信用してるのね、彼女のこと」 「総指揮官だからな。信用しないわけにはいかない」 「信用してるのに、命令に従わないの?」 「あの爺さんの言うとおりさ。平和や自由の形は、人の数だけある。平和と自 由を守りたいと思う気持ちに変わりはない。だからといって、自分の平和と自 由を棄てる奴が、どうして他人の平和と自由を守れるんだ」 カガリは短く笑った。 「あなたって、エルネストみたい」 「誰だそれ」 「ただの独り言――『もしわれわれが空想家のようだといわれるならば、救い がたい理想主義者といわれるならば、できもしないことを考えているといわれ るならば、何千回でも答えよう、そのとおりだ、と』」 「そんな馬鹿がいたのか」 「ええ。じゃあ、アレイダはちょっと眠るわ。ヴァイス、到着予定時刻の15分 前には起こして」 『イエス、メム。良い夢を』 カガリは目を閉じると、すぐに眠りに落ちた。誘眠剤が放出されたのだろう。 しかし、エルネストとやらが誰かは知らないが、似たようなことを考えた奴 がいるというなら、俺もきっとそいつと同じような末路を辿るのだろう。エル ネストの前にも同じような道を辿った奴はいるだろうし、彼もその前例の存在 を薄々知りつつ、己の最期に向かって全力疾走したに違いない。 歴史に学ばない愚者と笑うなら、それもいい。俺にとっては関係のない評価 だ。ただ、俺は最後まで走らねばならない。それ以上でも、以下でもない。そ れが、俺にとって、生きるということなのだから。 → イカルガ chapter3 ← イカルガ chapter1