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- ざ・ちぇんじ! オススメ度:★★★ 書いた人:氷室冴子 最初は山内直美の漫画からでしたw 「なんて素敵にじゃぱねすく」と一緒で これもありえない話です 男装して宮中にはいりこむなんてねぇ(゜ー゜;Aアセアセ このお話の面白いところは お転婆なきら姫が好きな人と出会って女の子らしくなっていくさまと 引っ込み思案なきらくんが頼れる男の子になっていく 二人の成長ですかねw まつり★ 戻る コメント 名前 コメント
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2回目の投稿です。愛でゆ分あり。小ネタです。 拙い文章ですが一つお手柔らかにお願いします。 『『ゆっきゅりしちぇっちぇね!きゃわいくってごめんにぇっ!!!』』 仕事が終わり家路を行く男の前にそれは飛び出してきた。 一匹は赤まりさ、もう一つは赤れいむというゆっくりの中でも非常にスタンダードな種類。 希少種や飼いゆっくりと違い、旺盛な繁殖力で急速に個体数を増やし、 人間の生活圏に入り込むようになって数年の歳月が経った今となってもはや日常の光景であった。 さて、飛び出してきた赤ちゃんまりさとれいむは俺の行く手を塞ぐ形で、 叫ぶように一気に自らの主張をせんっげん!した。 『おにいしゃん!おにいしゃんはゆっくちできりゅひちょなのねぇ!』 『まりしゃにはいわなきゅてもわかりゅじぇ! おにいしゃんはゆっくちできりゅおにいしゃんだきゃら、まりしゃたちにあみゃあみゃくれりゅんだじぇっ!?』 『ゆうう、さしゅがれいみゅのいもうちょのまりしゃね!おにいしゃんあみゃあみゃさんだけじゃなきゅ、 れいみゅたちをかいゆっくちにしてゆっきゅりーしたいっていってりゅよ!』 『ゆっへぇん!どうじぇんだじぇ、れいみゅおねぇちゃん! まりちゃわかっきょいいおちょうしゃんときれいーっなおきゃあしゃんのこじょもだきゃらとうじぇんなのじぇ!』 ……いきなり現れて一方的に好き勝手なことをまくし立てる饅頭に、 怒りを通り越してため息が出てくる。 一体のこの驚異的なまでの自己都合解釈はどこから出てくるのか。 頭を中身を見てみたいものだが、餡子しか出てこないのは明らかだ。 さしずめかわいい自分達を寵愛すればお兄さんもきっとゆっくり出来ると考えたのだろう。 男は消沈気味にゆっくり達に話しかけた。 「ごめんな、俺はお前たちに興味はないんだよ。だからせがんだってあまあまもお家もあげないよ。 ゆっくり理解したらお家に帰るんだよ」 男は小さなゆっくり二匹に諭すように返事をした。 するとゆっくり達は先ほどの満面の笑みのまま、たっぷり1分ほど硬直した後反論を開始した。 『ゆう?なにいっちぇるのじぇ? まりしゃがきゃわいいきゃらってしょんないじわりゅなこちょいわなくていいのじぇ?』 『しょうよ!いきゅられいみゅたちがゆっきゅりしちぇるからっちぇ、 しっとしちゃだみぇだよ!ゆふううん』 駄目だ…完全に話が噛み合わない。 虐待お兄さんならこの時点で虐死確定だ。 だが、男はいくらゆっくりといえど、無益な殺生は望まない人間だったため、 登場即死亡フラグは回避された。 「なあ、お前達」 男はゆっくり達の些細な変化を見逃さず質問を始めた。 「お前達のお父さんとお母さんはとてもゆっくりした親みたいだけど、今どこにいるの? 子供だけで出歩いちゃ危ないって習わなかった?それにあんよが震えてるよ?」 『ゆっ!?ゆうう!ちぎゃうよ?ちぎゃうよ?こりぇはあんよしゃんのとりぇーにんぐで、 おきゃあしゃんたちはごはんしゃんさがしぃにいっちゃんだよ?』 『ゆっ!ゆゆゆ!そうじぇ!おっ、おとおしゃんたちはあみゃ…あみゃあみゃとりぃにかりしゃ…かりしゃんにい…いっちゃのじぇ!』 「そうか、親が永遠にゆっくりしたから、怖いけど勇気を振り絞って人間に餌をもらって、 あまつさえ飼ってもらおうとしたんだな?」 震えながら三文芝居を演じる二匹に、男はさらりと結論を言った。 『『ゆ¨う¨う¨う¨!どぼじぢぇまりしゃ「れいみゅ」のかんぎゃえがわがりゅに¨よ¨お¨おおっ!!!』 『ゆきゅり…たくしゃんかんがえちゃのにいぃ…』 『きょわいのじぇ!おにいしゃんえすぱーしゃんだじぇ…ゆううっ!』 どうやら生きる糧を得るために考え抜いた虎の子の作戦だったようだ。 それを瞬間的に読まれてしまって、 賢明な野良ゆっくりならすーぱーせいっさいタイムを恐れて逃げ出すタイミングであったが、 子ゆっくり達は心を読む男に恐怖して、しーしーを漏らして震えるだけであった。 『ゆ!?きょないでにぇ?ここりょをみちゃうきょわいおにいしゃんはこにゃいでにぇ!?』 『ゆんやああああ!!きょわいのじぇええ!まりちゃおうちかえりゅー!!!』 近づく男にゆっくり達は断末魔の悲鳴を上げる。 男が手を伸ばすと、二匹は勢いよくおそろしーしーを噴出させた。 しかし、ゆっくり達の恐怖とは裏腹に意外な事を男は口にした。 「あーもー分かったよ。今あまあまないから俺の部屋で食わせてやる。ほら、手に乗りな。」 『…ゆ?ほんちょうなにょ?』 『あみゃあみゃたべれりゅにょ?』 「ああ、そうさ。お前達がちゃんといいつけを守るならな。」 ぱああっと苦虫を噛み砕いたような顔が一気に穏やかな笑みに包まれる。そう、まるで後光を拝むように。 次の瞬間二匹の幼いゆっくりは、勢いよく男の手に飛びついていた。 男は赤ゆ達を風呂場へ連れ込むと早速路上生活で汚れた体を洗い始めた。 『ゆんやー!みじゅさんはゆっくちできにゃいー!』 『きょわいのじぇええ!おねえしゃーん!!』 「ふははは!水責めだー!覚悟しろー!」 洗面器に薄く張った砂糖を溶かしたぬるま湯で洗っているので、 皮が破れて死ぬなんてことはない筈だが、やはり水は恐ろしいらしい。 あまあまな水だと説明してようやく泣き止んだ。 がぶがぶ飲もうとする赤ゆ達をあやしながら引き上げ、 ベビーパウダー替わりに肌全体に小麦粉をうっすらまぶして優しく払い落とした。 まだちょっと薄汚いが、これで部屋に匂いが付く心配はなくなった。 赤ゆは成長著しいので、1カ月もすれば飼いゆっくりと遜色ない容姿になっているだろう。 男ははやる赤ゆを制止しながら、紙皿に夕飯の残りとチョコレートを僅かに入れた。 『ゆんやああ!はやきゅむーちゃむーちゃしたいのじぇぇ!』 『まりちゃ!おにいしゃんのまなーしゃん!』 姉れいみゅの一声で我慢の限界寸前だったまりちゃが思いとどまる。 あらかじめ「まなー」を守らなければゆっくりできなくすると忠告しておいたので、 野良としてはなかなか優秀なゆっくりだと男は確信した。 男が「おたべなさい」を宣言すると、二匹は皿に突撃して、ゆん生初めての極上の味に酔いしれた。 『ゆっ!ゆうう!?うみゃうみゃー!しっ、しししっ、しあわしえええっ!!!』 『ううう!うみゃうみゃだじぇー!しししししししあわしえええっっ!!!』 赤ゆ達はゆれしーしーを漏らしながら、目に涙を浮かべながら無心に食事に貪りつく。 『はっふ、うめっ!これめっちゃうめっ!』 なぜめっちゃうめだけ赤語が抜けるか謎だが、 存在そのものが理不尽の塊なので気にしないことにする。 たらふく食べて満腹になった赤ゆ達は、ゆゆっ!と短い声を上げた。 『ゆっ!れいみゅむーちゃむーちゃしちゃらうんうんしちゃくなってきちゃよ!』 『ゆん!まりちゃもうんうんしちゃくなったのじぇ!もうすぎゅうんうんしゃんもっきょりでりゃんだじぇ!』 『ゆん!まりちゃ!おねぇちゃんといっちょにすっきゅりしようねぇ!ゆっきゅりでいいよ!』 『わかっちゃよ、れいみゅおねぇちゃん!』 『じゃあいきゅよー!』 『れいみゅちょ!』 『まりちゃの!』 『『すーぱーうんうんたいみゅはじまりゅよ!!』』 「あっ、こらっ!フローリングにうんうんするんじゃない!」 男は口では怒ってはいたが内心はそうではなかった。 職場と自宅の往復だけが日常だった男にとってどういう形であれ、 久しく忘れていた穏やかな気持ちをわずかでも感じることができたからだ。 「ほらお前たち、ご飯が終わったら寝る時間だぞ」 男はバスタオルを畳んで作った即席のベッドを男の布団の枕元に置き、 赤ゆ達を寝かしつけた。 『おにいしゃん。あしちゃもゆっくちしようにぇ!』 『おにいしゃん!まりちゃたちおにいしゃんのこちょおとおしゃんってよんぢぇいい?』 「はいはい分かったよ。今日から俺はお前たちのお父さんだ。明日もゆっくりしような。」 男はまんざらでもない様子で答えた。 「明日からトイレの場所とかいろいろお勉強させるから、しっかり休んでおくんだぞ」 『ゆう!おべんきょしゃんぎゃんばりゅ!』 『おべんきょたのしゅみなのじぇ~』 赤ゆ達はこれからずっと続くであろう幸せな生活を信じ、 心地よいまどろみに落ちていった。 翌朝。 その幸せは唐突に終わりを告げた。 「あ…やっちまった…」 原因は男だった。 なんてことはない。いつものように目覚ましに手をかけ起きた。 ただ一つ違ったのは、男の足の着地点にゆっくりがいたということだけである。 小豆色の潰れた物体に男はため息を漏らす。 「俺の昨夜の労力は…ガラにもないことするもんじゃないな…」 男はそう呟くと、バスタオルで赤ゆごと足を拭き取ってゴミ箱へ捨てた。 都会に住むゆっくりは常に外敵に怯え、ゆっくりらしいゆん生を送ることなく死んでいく。 しかし、運良く人間に拾われたゆっくりにも、絶対にゆっくりしたゆん生が保証されるわけではない。 そう、これはそのほんの一例に過ぎないのだ。 完
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初投稿です。 虐待ほとんどありません。善良で厨スペックなゆっくりだらけです。 ゆっくりが喋りすぎです。主にゲロ袋。 おうたネタで考えていたのにどうしてこんなことになってしまったんだ。 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをうたうために。 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをつくるために。 「ゆゆーん!きのこさんがこんなにあつまったよ!」 「おさ、このきのこさんはたべられる?」 「いいえ、それはどくきのこよ。でもまざらないようにあつめてちょうだい」 「ゆっくりりかいしたよ!」 晩秋。 冬篭りを前に、巣穴を整備し、食料を集める。ゆっくりが最もゆっくりしていない時期。 このゆっくりの群れは、優秀なぱちゅりーを長とし、既に十分な量の備蓄を備えていたが、 今年の冬は長引きそうなことと、越冬に失敗した他の群れを受け入れる体制を整えるため、 普通の群れであれば2年は食いつなぐことができるほどの食料を集めていた。 れいむがやってきたのは、そんな群れである。 「ゆっ?みなれないれいむがいるのぜ?」 れいむに声をかけたのは、おぼうしに山のように茸を積んだまりさであった。 力が強いのだろう。自分の体積以上の茸を抱えながら、動きが鈍る様子もない。 「あら、すっごくとかいはなれいむね」 好色そうな声を上げたのはありす。れいむを美ゆっくりと見るやたちまちこうだ。 そのありす自身もゆっくりの基準からすれば相当な美ゆっくりである。 「ゆっくりしていってね!」 れいむが声をかけると、たちまち群れのゆっくりが集まってきた。 「うわあ……すごくゆっくりしたれいむだよぉ……」 子ゆっくりはおろか、つがいがいるであろう成体ゆっくりすられいむに見とれている。 真っ白でもちもちとした肌、キューティクルのかかったすべらかな髪、 燃えるような赤と純白のコントラストが美しいおりぼん。 飼いゆっくりですらここまでの美ゆっくりはそうはいない、まさに完璧なれいむだった。 「むきゅ、ようこそれいむ。わたしたちはあなたをかんげいするわ」 温和そうな長ぱちゅりーが、れいむを出迎えた。 しかし、れいむはこの群れの態度に不思議そうな顔をする。 これほどに統率の取れた群れにしては警戒心が薄すぎる。 見ず知らずのゆっくりに対し、これほど無防備な群れをれいむは知らない。 「どうして?ってかおをしているわね」 そんなれいむの胸中を見透かしたかのように長ぱちゅりーが言った。 「ごめんなさいれいむ。あなたがくることはきのうからしっていたのよ」 ぱちゅりーが言うには、この群れは非常に遠くまで哨戒を置くことで外敵に備えているらしい。 彼ら独自の手旗信号のようなものを使い、情報を素早く伝達する。 これにより、ゆっくりの足でなら1日もかかるような距離まで警戒域を広めているのだそうだ。 れいむは、そのネットワークにより、悪意の無いゆっくりであると認識されていた。 「もうすぐふゆさんがくるよ。そのあいだ、れいむをここでゆっくりさせてほしいよ」 「むきゅ、それはかまわないわ。でも……」 「はたらかざるものくうべからずなのぜ」 厳しい口調で言うのは補佐役のまりさ。長の口から言いづらい、辛辣な意見を言う役目を担っている。 「かりはどうなのぜ?そのきれいなあんよではしりまわれるのかだぜ?」 「かりはとくいじゃないよ。ここまでくるのもたいへんだったよ」 「なら、やくそうのちしきはある?たびをしてきたんでしょう?」 「ちしきはあるけど、ぱちゅりーほどじゃないよ」 「これだけのびゆっくりならありすのおよめさんになってもいいわよ」 「すっきりーはできないよ。ほら」 れいむが少し顎を上げると、そこには何もなかった。ぺにぺにも、まむまむも。あにゃるも。 古い種の中には、そういったゆっくりが稀にいる。 「あにゃるがないのぜ?これじゃうんうんができないのぜ!」 「うんうんはしないよ。ごはんもたべないよ」 れいむは古代種の中でも、特に起源に近いゆっくりのようだ。 生物としての苦しみと無縁な一方、赤ちゃんやむーしゃむーしゃしあわせーといった 生きているからこその幸福からも遠い。とてもゆっくりしていて、ゆっくりしていないゆっくり。 「めずらしいわね。ぱちぇもはなしにはきいていたけど、みるのははじめてだわ」 「ごはんをたべなくても、はたらかないわけにはいかないのぜ、みんなにしめしがつかないのぜ。 れいむはなにができるのぜ?」 「おうたを」 「ゆ?」 「れいむはおうたをうたうことができるよ」 補佐まりさは失笑した。 歌であればたしかにれいむ種が得意とするところであるが、所詮歌は歌にすぎない。 おちびちゃんたちをゆっくりさせる役には立つかもしれないが、 そもそも子供を生まない古代種に子守ができるとも思えない。 幸いにも食事をせずとも良いそうだし、春になったら群れから追い出すしかないか…… そんなことを考えているうちに、れいむのおうたが始まった。 一時間ほどたっただろうか。 補佐まりさは泣いていた。 群れを守るために戦った勇敢なまりさ。 しんぐるまざーでありながら立派に子供を育てきったれいむ。 生まれながらにれいぱーの疑いをかけられた悲劇のありす。 らんしゃまとの大恋愛を成就させたちぇん。 仲間の敵を取るために剣鬼と化したみょん。 智謀の限りを尽くし群れを育てたぱちゅりー。 歌に乗せてれいむの口から紡がれる数々の物語が、場にいるゆっくりをすっかり虜にしていた。 「ゆぐっ……ゆぐっ…………とっても、とってもとかいはなおうただわあああああ」 もとより感情豊かなありすは、大声を上げて泣いている。 子ゆっくり達は、涙の他にちーちーを漏らした形跡もある。 群れが襲われるシーンは、幼いゆっくりには刺激が強すぎたようだ。 長として、いつだって冷静なぱちゅりーも、体を震わせて涙をこらえている。 「そうだったわ……ふゆごもりは、たいくつだったのよ」 ややあって口を開いたぱちゅりーは、かつての冬篭りを思い出したかのように言った。 「くらいおうちのなかで、いつなくなるかわからないごはんをたべて…… でも、ことしのふゆさんは、そうじゃないみたい。ね?まりさ」 「ゆぐっ……すごくゆっくりしたおうただったよ…… これならふゆのあいだじゅうきいていたいぐらいだよ……」 「ありがとうまりさ。これでなんのもんだいもないわね。では……」 改めて、長ぱちゅりーは、群れの皆に聞こえるほどの大声で。 「ようこそれいむ。わたしたちはあなたをかんげいするわ」 れいむを受け入れた。 れいむが群れに来てから数日がたった。 餡子のどこにそれほどの記憶を蓄えているのだろう。 れいむは夜ごとに新しいおうたを歌い、それを聴くゆっくり達は 様々な世界、様々なゆっくりに思いを馳せて眠りにつくのが習慣になっていた。 もっとも、生物ゆっくりの記憶力では、三日ごとに同じおうたを歌っても気づかなかっただろうが。 事件が起こったのはそんな時である。 哨戒にあたっていたゆっくりから、れみりゃの大群が群れに向かっているという報告があった。 遅くとも、明日には群れまでたどり着くだろう。 群れは騒然となった。 しかしそこは統率の取れた群れ。決して恐慌状態とはならず、ただちに対策会議が開かれた。 れみりゃ達の移動速度、こちらの群れの規模からして、群れを破棄して全てのゆっくりが逃げることは不可能。 下された決断は、あまりに悲痛なものだった。 子ゆっくりや、にんっしんっ!しているゆっくりは今夜のうちから群れを離れ、 れみりゃとは別方向に逃げ、身を隠す。 残ったゆっくりは、そちらへれみりゃが向かわないよう、誘導しながら迎え撃つ。 戦えるゆっくりは、襲い来るれみりゃに対して約二倍。 各個撃破を心がけたとしても、戦況は絶望的であった。 哨戒のために散っているゆっくり達を急いで召集しても、間に合うのはわずかだろう。 「おさ!ゆっくりいそいでかえってきたみょん!」 そう言って巣に飛び込んできたのは、手旗の中継をしていたみょん。 れみりゃ襲撃の報を伝えた後、急いで戻ってきたのだ。 「むきゅ……おつかれさま。みょん。……ちぇんは……?」 長ぱちゅりーが聞いているのは、れみりゃの第一発見者となったちぇんのことだ。 「さいごのれんらくは……いちびょうでもれみりゃをくいとめる、だったみょん…… それと、『らんしゃま、だいすきだよ』とつたえてほしいって……」 「ちぇん……ちぇえええん……」 泣き崩れるのは、ちぇんのつがいだったらん。 「ないているひまはないわ。らんもおちびちゃんたちといっしょににげるのよ」 「……ちぇんのかたきをとる。わたしのちからなられみりゃにもひけをとらない」 れみりゃ以上の希少種であるらんなら、確かに実力はれみりゃを超えているだろう。 しかしそれは一対一での話である。 「だめよ。らんのおなかにはちぇんのこどもがいるわ。そのいのちをまもることこそがらんのつとめよ」 らんを欠いては更に戦況が不利になるのは分かっている。しかし、ぱちゅりーにはこれが最善だと思えた。 「れいむ。あなたもおにげなさい。きゃくじんをまきこむわけにはいかないわ」 「れいむには、みとどけるぎむがあるよ。それにれいむはしなないから」 一体どれほどの死を見届けてきたのか。古代種の小憎らしい表情からは窺うことができない。 「そう……なら、つたえてほしいわ。わたしたちが、ゆうかんにたたかったことを。 れみりゃとたたかった、すごくゆっくりしたむれだったことを」 「わかったよ。ずっとずっとうたいつづけるよ。 れいむだけじゃなく、おちびちゃんたちもかたりつづけるよ」 「ふふ。まいにちおなじはなしをきいていると、うんざりしてしまいそうだわ」 どっと場が沸く。 死を目前に控えているとは思えない、明るいゆっくり達。 ゆっくりとは本来明るい気質であるはずなのだ。 悲劇が日常と化し、辛い現実にいつしかゆっくりを忘れてしまっていた彼らに、 ここ数日間でそれを思い出させたのは、他ならぬれいむであった。 想像とは、生きるための活力を与える糧たりうるのだ。 翌日。 れみりゃとの前面戦争を前にして、広場に皆を集めたぱちゅりー。 「みなのもの、ただのひとりもかけることなく、よくぞつどってくれtゆぴぃ!」 舌を噛んだぱちゅりーに、笑ったのは若いまりさたち。 「ゆふふ、なれないことばをつかわなくても、いつもどおりにしゃべってくれればいいよ」 「むきゅ……こほん。みんな、よくあつまってくれたわ。たいへんなことになったわね。 あいてはとてもおそろしいれみりゃ。たたかったら、ぶじにはすまないわ。 れみりゃのはねは、ゆっくりできないはやさでとんでくるためにあるし、 するどいきばは、ゆっくりのかわなんてかんたんにつきやぶってしまう。 つかまったがさいご。あんこをぜんぶすいとられてころされてしまうわ」 淡々と述べられる恐ろしい言葉は、誇張ではない確かな現実。 「でも、わたしはしっている。れみりゃだってけっしてむてきではないことを。 はねをもがれ、ぶざまにちをはうれみりゃのすがたを、わたしはしっている。 ゆうかんなゆっくりのただのいちげきで、ないてかえったれみりゃもいる。 かてるとはいわない。けれど、たたかうことはできる。 かくれているこどもたち、まだうまれてもいないおちびちゃんたち。 あのこたちをまもることが、あなたたちにかせられたしめいであるのなら」 一息。 「さいごまでたたかいぬくことが、ゆっくりできるゆいいつのほうほうだとしりなさい! しんだゆっくりは、そこにいるれいむが、えいゆうとしてずっとかたりつぐわ! しぬことはこわいことじゃない。えいえんにゆっくりすることなのよ!」 「「「ゆっくり!!ゆっくり!!ゆっくりしていってね!!!」」」 「よろしい!それでこそゆっくりよ!ゆっくりのためならしすらいとわない、 ほんとうにゆっくりしたゆっくりにあなたたちはなれたのよ! あなたたちはしぬわ。でもゆっくりはえいえんだわ。つまり――あなたたちもえいえんなのよ!」 「こほん――こほん」 慣れない大演説のためか、すこし青ざめたぱちゅりーが、木の洞を利用した天然の櫓の上で咳き込んでいる。 「ぱちゅりーはむれのだいじなずのうだよ。みんながいなくなったら、おちびちゃんだけになってしまう。 こどもたちをみちびくために、いっしょににげたほうがよかったとおもうよ」 れいむはそう言うが、ぱちゅりーはかぶりを振る。 「れいむ。さっき、ぱちぇがしたをかんだとき、わらったゆっくりがいたわね」 「まだおとなになったばかりのまりさたちだね。のんきなものだよ」 「かれらは、まっさきにれみりゃにとびかかるやくなのよ」 「それじゃあ……」 「ええ。かくじつにしぬわ。まんがいちすらない。かくじつにしぬためだけのやくわり。 きのう、このことをきいたとき、きっとかれらはくるしんだとおもうわ。 ぱちぇをうらんだかもしれない。まりさじゃなくて、わたしのくちからつたえたから。 ほんとうにつらいことをいうときにはまりさにはたよらない。おさであるぱちぇがいわなければならない。 でも、きょう、ここにきたとき、かれらはわらっていたわ。 しをうけいれたのよ。 さっきもいったとおり、おちびちゃんはとてもとてもだいじ。 でも、ゆっくりのあしたのためにたたかうせんしも、おなじようにかけがえのないたからなの。 そんなたからにしねというとんでもないげすゆっくりのぱちぇが――おめおめといきていていいわけがないわ」 いつもの温和なぱちゅりーではない。瞳には決意の炎が燃えている。 「ぱちぇはいくわ。れいむはここでみていて。あますことなく、すべてを、そのめで、みていて」 「れみりゃだあああああああああああ!!!!」 決戦の幕は切って落とされた。 若く、まだ体が十分に大きくないゆっくりがまずれみりゃに飛びかかる。 もちろん敵うわけもなく、あっさりと渾身の体当たりを止められ、その身に牙を突き立てられる。 「ゆぎゃあああああ!!!」 「ゆぎぎぎぎぎ……」 「ゆっゆっゆっゆっ……」 急激に中身を吸われ、たちまちしぼんでいく年若いゆっくり達。 だが、捕食活動を行っている時こそれみりゃに隙が生まれる。 間髪入れず、力の強いゆっくりがれみりゃの羽に取り縋る。 バランスを崩したれみりゃは地面へと落ち、体当たりの集中砲火を受けて潰される。 無論これは運の良い場合。 ゆっくりを捕まえたまま飛び上がり、石や死骸を落として攻撃してくるれみりゃもいる。 空からの攻撃に無力なゆっくり達は、たちまちその数を減らしていく。 「やめてえええ!!」 「ばでぃざのあんよがああああ!」 「つぶれるうううううう!!」 予想通り、戦況は極めて不利であった。 「んほおおおおお!!」 本能により肉体の持つポテンシャルを全て解放し、いきり立ったぺにぺにを武器として戦うありす達。 幾本ものぺにぺにを無造作に突き立てられ絶命するれみりゃ。 しかし、れいぱーとしての力を解放したありす種であっても、捕食種相手では分が悪い。 たとえ攻撃力が同等であっても、機動力の差はやはり致命的だ。 「う~☆ぷっでぃんみたいでおいしいんだどぉ~♪」 カスタードを中身に持つありす種は、れみりゃにとっては好物だったのだろうか。 優先的に狙われたありす種の部隊は、れいむに求婚したありすを除いて全滅していた。 「そろそろねんぐのおさめどきかしらね」 一撃でれみりゃの中枢餡を貫いた自慢のぺにぺにを引き抜きながら、ありすは呟いた。 眼前には三匹のれみりゃ。 「う~☆たべちゃうぞ~♪」 「んほおおおお!」 正面の一匹の突進に合わせ、ありすも走る。 互いの速度を利用して、今まさに噛み付かんとするれみりゃの口内に、一気にぺにぺにを突き刺す。 ぺにぺには見事中枢餡を破壊し、れみりゃは動かなくなった。 だが、その代償として、牙を突き立てられ、ずたずたになったぺにぺに。 もう中枢餡に届くほどの剛直は望むべくもない。 あと、二匹。 「あまあまぁ~♪」 れみりゃがありすに齧り付いた。カスタードを吸い上げられるありす。 だがありすは怯まない。噛み付かれたそのままの体勢で、ありすはれみりゃの眼球にぺにぺにを突き立てる。 「う゛ぁぁぁ~!でびりゃのきゅーとなおめめがあああ!!!」 やはり先ほどの威力はない。これではれみりゃを殺すには至らない。 それでもありすは不敵に笑った。 「すっとろいことしてんじゃないわよ、このいなかものがああああ!!!」 信じられないことにありすは、カスタードを吸われながら、さらに精子餡を吹き上げた。 自身が喰えるだけの容量を超えたカスタードの流入に、れみりゃの体は耐え切れず四散した。 大量の中身を放出し、ほどんど皮だけの饅頭になったありす。 しかし、まだ生きている。死ぬわけにはいかない。 あと、一匹。 残ったれみりゃはまだ子れみりゃであった。 それがれみりゃにとっては不幸であり、ありすにとっては幸運だった。 たった今目の前で四散したのは母。衝撃的な光景が、子れみりゃの動きを一瞬だけ止めた。 それゆえ、即座にありすにとどめを刺すことができなかった。 それが命取りだった。 「んほおおおおお!!!!」 這うような動きであったが、ありすはれみりゃに覆いかぶさることができた。 ほとんど中身が無いとはいえ、皮もそれなりの重量物。 子れみりゃではそう簡単に振りほどくことはできない。 ありすは、残されたカスタードの全てを使って、小刻みに振動を始めた。 もう考えるだけのカスタードも残されてはいない。最期の最期、本能に刻み込まれた行為。 レイプ。 最早見る影もないほど細く、傷だらけのぺにぺに。 けれども、そこにはありすの残ったカスタードが全て詰まっている。 ありすが全てそこにいる。 「まぁんまぁ~!!こあいどぉぉ~!!!」 子れみりゃのまむまむに、ありすのぺにぺにが出入りする。 れみりゃの肌が黒ずんでいく。 びくん、とありすの体が跳ねる。 「う゛ぁぁぁー!!」 ありすの最期の生命の灯を受け取ったれみりゃが、痛々しいまでの悲鳴を上げる。 後には、皮だけのありすと、枯れた茎を生やした黒い塊が残っていた。 みょんも勇敢に戦っていた。 木の枝を振り回し、空中のれみりゃのあんよを傷つけていく。 だが深手にはならない。その上れみりゃ達以上にこちらは疲弊していく。 仲間は次々と倒れ、みょん自身も投石により傷を負う。 (らん、ごめんだみょん。ちぇんのかたきはとれそうにないみょん) 抵抗できないことを確認したのか、一匹のれみりゃがみょんに近づく。 これまでか――みょんが覚悟を決めたそのとき。 「うあっ!?」 れみりゃの体が大きく吹き飛ばされ、木の幹に激突した。そのまま中身を吐き出し、動かなくなる。 これほどに力のあるゆっくりに、みょんは一匹だけ心当たりがあった。 「まりささまがきたからには、もうだいじょうぶなのぜ」 長の補佐役も務める、群れで一番の力持ちのまりさであった。 れみりゃを吹き飛ばすほどの力を脅威と捉えたのか、れみりゃ達はまりさを囲んで円陣を組む。 「みょんもさいごまでたたかうみょん……」 「けがにんのみょんはそこでみているのぜ。まりささまのつよさをおもいしるがいいのぜ」 そう言って、まりさは自身を取り囲むれみりゃに突撃する。 直線的なまりさの攻撃は、れみりゃが少し飛び上がれば回避されてしまう。 「かかったのぜ!」 しかしれみりゃが攻撃を回避した瞬間、まりさは垂直に跳んだ。 真下からの強烈なヘッドバット。れみりゃは体勢を崩したまま上空へと打ち上げられる。 そして落ちる直前に先ほどの体当たり。吹き飛ばされたれみりゃは木の枝に突き刺さり、そのまま絶命した。 れみりゃ達とてただ黙ってやられているわけではない。 距離をとることが不利になると判断し、一気にまりさに襲いかかる。 まりさの皮膚に、何匹ものれみりゃが牙を突き立てる。 このまま餡子を吸い出せば、一瞬で絶命させることが可能だろう。 れみりゃ達は己の勝利を確信した。 「まりさ!」 次々とまりさに群がるれみりゃの群れ。 れみりゃに囲まれ、まりさの姿は見えない。 きっと中では、生命の源たる餡子を吸い出され、無残な姿になっているのだろう。 みょん自身も傷口から餡子を流しながら、せめて一矢報いようと木の枝をとってれみりゃの塊に歩み寄る。 そのとき、みょんはある違和感に気づいた。 長すぎる。 れみりゃの吸餡力は強力で、これほどのれみりゃに囲まれればとっくにまりさの餡子は吸い尽くされているはずだ。 しかし、れみりゃは依然としてまりさにまとわりついたまま。しかも、れみりゃの塊は少しずつ動いている。 みょんは目をこらした。そして見た。 変わらぬ姿で、れみりゃの塊の中心にいるまりさを。 「うー!うー!」 すさまじい筋餡の力で、れみりゃに吸引を許さないどころか、牙を抜くことすら禁じているその姿を。 れみりゃの塊は、いや、まりさはずーりずーりしながら少しずつ移動している。 れみりゃはそれになすすべもなく引きずられているのだ。 向かう先は――川。 「やめるみょん!まりさがしんでしまうみょん!」 みょんは泣きながら、まりさにまとわりつくれみりゃを打ち据え、貫く。 それでもまりさは歩みを止めない。 「うごくんじゃないのぜ。それいじょううごいたらみょんのあんこさんがぜんぶでてしまうのぜ」 「やめるわけにはいかないみょん!」 「しつこいのぜ!けがにんはおとなしくしてろといったはずなのぜ!」 一喝。そして。 「みょんはあのれいむといっしょにまりささまのかつやくをちびどもにつたえるのぜ……」 れみりゃを抱えたまま、まりさは跳躍し、川へと飛び込んでいった。 「…………また……またみょんがいきのこってしまったみょん……」 みょんの悲痛な声は、川の音にかき消されていった。 熾烈な戦いを生き残ったれみりゃ達は、最も大きい巣へと集まっていた。 美味な子ゆっくりや赤ゆっくりが隠れていると踏んでのことである。 「あまあまをだすんだどぉ~♪かくれてもむだだどぉ~♪」 巣の前に敷かれたバリケードを容易に破壊し、巣の奥へと続くれみりゃ達。 そうするうちに、少し広い場所に出た。 群れが会議を行う際に使う場所で、昨日の会議もここで行われた。 そこに、長ぱちゅりーはいた。 「あまあまをかくすとためにならないんだどぉ~♪」 れみりゃの中でもリーダー格と思われる、一回り大きいれみりゃが脅しをかける。 「むきゃきゃ。どうためにならないというのかしら?」 「うー☆たべちゃうぞー♪」 ぱちゅりーの挑発に、少ない語彙ながら明確な殺意をもって応えるれみりゃ。 「ていのうなれみりゃごときが、もりのけんじゃであるぱちぇをたべようというの? あにゃるがおちゃをわかすわ。やれるものならやってごらんなさい。 ほら。みんなひとくちずつ。えんりょはいらないわ。みんなでおわけなさい」 口の減らないぱちゅりーに、業を煮やしたれみりゃがその牙を突き立てた。 その瞬間れみりゃの口内に広がる極上の甘味。 「なんだかんだいって、れみりゃのことがこわかったんだどぅ~☆」 苦痛を味わったゆっくりは甘味を増す。 「こいつもいってたんだどぅ~☆みんなでたべてしまうんだどぅ~☆」 だが、それは決してれみりゃに対する恐怖ではない。 「むーしゃ!むーしゃ!」 ぱちゅりーを極上の甘味たらしめていたもの、それは―――― 「うっ!なんだかくるしいんだど!?」 「これどくはいってりゅぶふっ!?」 「くるしいどぉ~!たすけるんだどぉ~!!」 毒キノコ。 ぱちゅりーは、集めていた毒キノコを、全て食らっていたのだ。 ひとかけらであっても致命的な毒。 身を焼く苦しみの中、クリームを吐くことすらせず、れみりゃと対峙した長ぱちゅりー。 確かにその身は甘くなっていた。猛毒を孕む地獄の甘味に。 「どうしてもいくのか?むれをたてなおすのをてつだってほしいところだが……」 「きめたみょん。みょんはれいむといっしょにちぇんとまりさのことをつたえるみょん」 大きな傷跡をもつみょんは、らんに出立の挨拶をしていた。 春。 れみりゃの襲撃の後、子供を産んだらんは、ぱちゅりーの後をついで群れの長となった。 かつては血気にはやるところもあったが、冬の間じゅう長となるための勉強をし、 今ではぱちゅりーに勝るとも劣らない知恵を身に付けている。 「ちぇんももうあのおうたをおぼえちゃったんだねーわかるよー」 子ちぇん。ちぇんとらんの愛の結晶は、冬を超えて立派な子ゆっくりにまで成長していた。 「まいにちまいにちおなじおうたでうんざりなんだねー」 「まりさはなんどきいてもあきないのぜ。おやじはさいこうにゆっくりしていたのぜ」 だぜ口調の子まりさは、補佐まりさの子。 力は強いし、頭も回る。将来は親同様優秀な補佐役になるだろう。 「おばさんがれいぱーとしてなをのこすのはふくざつなきぶんよね」 求婚ありすには子供こそいなかったが、その遺伝餡は継承されているようだ。 冬篭りの間、れいむは毎日同じおうたを歌っていた。 勇敢だったゆっくり達の戦いの歌を。 残されたゆっくり達の、命の歌を。 子ゆっくり達が、その餡子に刻み込んでしまうほどに。 すっかり雪の融けた山の景色。 悲しいこともあったけれど、命のリレーは確かに繋がっていく。 新たな命が生まれ、新たなおうたが生まれた。 「それでは、れいむはゆっくりしゅっぱつするよ。 みょんなみちづれができたけれど、きっとゆっくりできるよ。 じゃあね、みんなゆっくりしていってね」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをうたうために。 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをつくるために。 挿絵:全裸あき
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妖怪の山の秋も深まる頃。 あの……何とかいうオリキャラ達によって季節の恵みがもたらされ、 美しく彩られた木々の茂りは、山肌を赤や黄色の暖色に染め上げていた。 その中をゆっくりと跳ねていく、なぜか山に棲みついているゆっくり一家。 「ゆゆ~ん! おやまさんがすごくゆっくりしてるよ!!」 舞い落ちる紅葉を眺めて感嘆の唸りを上げるのは、大きな親まりさ。 その横で親れいむは、周囲の落ち葉を拾っては口に収めていく。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 涙を流して天を仰ぐれいむ。 人間や妖怪にとっては見て楽しむものである紅葉も、ゆっくりにとっては美味しいごはんらしい。 ぴょこぴょことついて来た沢山の小さな子ゆっくり達も、紅葉の先端をかじったり、 二匹で引っ張り合って千切ったりして食べている。 「ちあわちぇ~!」 「おかーしゃん、このはっぱしゃんとってもゆっくちしてゆね!」 「ゆっくちきれいだよ!!」 「ゆ!これはね、もみじさんっていうんだよ! とってもゆっくりできるはっぱだよ!!」 「もみじしゃん? れいみゅたちみたいにかわいいおにゃまえだね!」 「もみじしゃん、まりしゃたちをゆっくちさしぇてくれてありがちょう!!」 ちなみにこの山に同名の某妖怪がいるが、もしも彼女が任務中であり、その機嫌が良くなかったなら、 なんかムカつく一家の存在を嗅ぎ付けて直ちに殲滅していた可能性は否めない。今はこの幸運に感謝すべきだろう。 ともあれ、紅葉がとっても気に入った子ゆっくり達は、辺りを埋め尽くす落ち葉の海に飛び込んで、 思うさま食んだり、包まって遊んだりし、存分に紅葉狩りを楽しんでいた。 「ゆゆっ! このあかいろ、れいみゅのおりぼんみたいできれいだね♪」 「とっちぇもゆっくちできゆよ! いっぱいあちゅめようね!」 「まりしゃのもみじしゃんがいちばんきれいだよ!!」 特に、赤色の強く出ている紅葉が気に入ったようだ。子ゆっくり達は競うように、より赤い紅葉を探して辺りを駆け回る。 秋の景観の中で楽しそうに遊ぶ子供達を、親まりさと親れいむは満足げに見つめている。 「ゆゆ~ん、とってもゆっくりしてるね・・・」 「もうすぐふゆだから、いまのうちにおそとでたくさんゆっくりしようね!」 「ゆ! そうだね、ふゆごもりのごはんをいっぱいあつめようね!」 「こどもたちにまけないようにしないとね!」 そして両親もまた、周囲の落ち葉を集めては頬に貯め始めた。 今日は冬篭りのための食糧を確保しに、文字通りの「紅葉狩り」へとやって来ていた。 木の実やキノコなど、他の食べ物は一通り集めて巣に貯蔵済みである。 余裕の出来た両親は、冬篭りの準備の仕上げとして、観賞を兼ねて紅葉を集めることにしたのだ。 子供達の小さな遊び場に干渉しないよう、なるべく離れた所から紅葉を拾っていくまりさとれいむ。 日が暮れる頃には、一家が遊んでいた一帯は土色の山肌が露出し、まりさとれいむの頬はパンパンに膨れていた。 「おちびちゃんたち! そろそろさむくなってくるからゆっくりかえるよ!」 「あつめたもみじさんはもてるだけもってかえってね!」 「「「「「ゆっくちわかっちゃよ!!」」」」」 子ゆっくり達は特に赤味の強い数十枚を厳選し、れいむ種は小さな頬の中にぎゅうと収め、 まりさ種はそれに加えて帽子の中に仕舞いこんだ。帽子からはみ出した紅葉が素敵だと親に褒められ、頬をも紅葉のように染めて喜んだ。 一家が巣へと帰り着く頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。 この一家の巣は、倒れた木の幹である。枯れ果てた幹は大きな空洞となり、住むにはちょうど良かった。 周囲は深い雑草に覆われ、天敵にも見つかり辛く冬もなかなか暖かい。自慢のおうちであった。 「「「「「ゆっくちただいましちゃよ!!」」」」」 「ゆっ! それじゃあおちびちゃんたち、あつめたもみじさんをだしてね!」 「「「「「ゆっくちわかっちゃよ!」」」」」 貯め込んだ紅葉を次々に吐き出していく一家。親れいむと親まりさの吐き出したそれは、小山を形成するほどの量だった。 その脇に、一際色彩の強い子ゆっくり達の集めた紅葉が小さく盛られている。 子ゆっくり達は、それぞれ自分が取った中で一番赤い葉っぱを見せ合って、互いに自慢していた。 「ゆゆ! いままであつめたぶんとあわせて、ごはんはこれでじゅうぶんだね!」 「みんなおつかれさま! これでゆっくりふゆがこせるよ!」 「「「「「ゆゆゆ? ごはん??」」」」」 一斉に頭に疑問符を浮かべる子ゆっくり。 朝おうちを出発した時点では、親達から「ゆっくりできるたべものをあつめにいく」と説明を受けてはいた。 しかし子ゆっくり達が紅葉を集めていたのは、コレクション的な意味合いが強かったのだ。 たからものにしようと思っていた真っ赤な紅葉をごはんだと言われ、子供達は悲しくなって来てしまった。 「ゆ・・・まりしゃのもみじしゃんをたべないでね!!」 「れいみゅもみじしゃんたべちゃくないよ!! ゆえぇぇ~~~ん!!」 「ゆっくちしたたからもにょだとおもっちぇたのいぃぃぃぃ!!」 「ゆゆ!? どうしてそんなこというの!! ごはんたべないとゆっくりできないでしょおおぉぉぉぉ!!」 せっかくのおいしいごはんを泣いて食べたくないと言う子供達に、親れいむは困惑する。 この秋に産まれた子供達は冬篭りが初めてなので、冬に飢える恐ろしさを理解していないのだ。 親まりさも同様に一瞬戸惑ったものの、すぐに子供達の気持ちを理解してやる。 まりさはれいむに比べて子供っぽい所が多く残っていたので、共感出来る部分があったのだ。 「ゆっくりわかったよ! みんながあつめたもみじさんはたべなくてもいいよ!!」 「「「「「ゆゆっ! ほんちょう?」」」」」 「でもおかあさんたちがあつめたぶんはしっかりたべてね! おなかがすくとゆっくりできないよ! みんながごはんをたべすぎずにゆっくりしていれば、みんなのもみじさんはたべなくてもすむよ!!」 「ゆっくちりかいしちゃよ!」 「ありがちょう! おかーしゃんだいしゅき!」 「すーり、すーり♪」 紅葉を食べないことを許してくれた優しい親まりさに群がり、すりすりを始める子ゆっくり達。 子供達に囲まれてとてもゆっくりした親まりさの顔を、親れいむが少し寂しそうな笑顔で眺めていた。 れいむの表情を察したまりさは、慌ててれいむに駆け寄りすりすりをしてあげる。 子供達もそれに追従し、一家揃ってのすりすり大会が始まる。れいむもとてもゆっくりすることが出来た。 それからしばらく親同士が巣の奥でゆっくりしている間に、子供達はたからものの管理に取り掛かった。 山状に積まれた紅葉を、これはれいむの、これはまりさのとそれぞれ選り分けていく子ゆっくり達。 一箇所に集約されていた色彩が次第に床に広がっていき、まるで真っ赤な絨毯を敷いたかのようだ。 「ゆゆ~! とっちぇもきれいだよ!」 「もっちょいっぱいひりょげようよ!」 「とってもゆっくちちたおうちになゆにぇ!!」 子ゆっくり達は手分けをして、おうち中に紅葉の絨毯を敷き広げていった。 跳ねた時に起きる風で飛ばされないよう、一枚一枚しっかりと床に押さえつけていく。 自分達の集めた紅葉が足りなくなると、両親の集めた分の山から特に赤くて綺麗な物を引っ張り出してくる。 やがて床に敷き終えると、次は壁に取り掛かる。大きな子れいむが小さな子まりさの踏み台となり、 壁の高いところまで紅葉をぎゅっぎゅっと押し付ける。湾曲した壁面に美しい壁紙を張り終え、子ゆっくり達は深い満足に浸っていた。 「ゆゆ~、ゆっくちがんばっちゃよ!」 「すごくゆっきゅりしたおうちになっちゃね! これでふゆもゆっきゅりしゅごせゆよ!!」 「ゆゆ! なんじゃかこのゆかしゃん、ぽかぽかしてあっちゃかいね!」 「ゆ!? ほんちょうだ!」 晩秋の冷たい空気に満ちた巣の中で、子ゆっくり達は不意に暖かさを感じた。 色は体感温度に影響を与える。青などの寒色は涼しげに感じ、赤などの暖色は暖かに感じるのだ。 思い込みの強いゆっくり達にはその効果が特に強く働き、赤い絨毯は暖房に近い役割を果たしていた。 すごい発見をしたと、子ゆっくり達はぴょこぴょこはしゃぎまわっている。 床と壁を埋め尽くしたとなると、次に気になるのは天井だ。しかし子供達だけでは天井まで口を届かせるのは難しい。 「ゆっくちおかーしゃんたちをよびにいきょうね!」 「ゆゆっ! しょうだね! れいみゅたちのすてきなおうちをみしぇて、おかーしゃんをびっくりさしぇりゅよ!」 「きっとよりょこんでくれゆよ!」 何匹かの子ゆっくりが、ぴょこぴょこと笑顔で巣の奥に跳ねていく。 「はやくはやく!」と興奮した子供達に連れられ、なんだなんだと親れいむと親まりさが出て来る。 そして真っ赤に染められた部屋を見て、「ゆゆ~!」と揃って驚愕の声を上げた。 「みちぇみちぇ! れいみゅたちがゆっくちがんばってもみじしゃんをはっちゅけたの!」 「すごいよおちびちゃん! とってもきれいだよ!!」 「あにょねあにょね!もみじしゃんのうえにいりゅと、ぽかぽかすりゅんだよ!!」 「ゆ・・・? ほんとうだね! ぽかぽかあったかいよ!!」 「これでゆっくりふゆがこせるよ!! かしこいこどもたちをもったれいむはしあわせだよ!!」 最初に見た時は食べ物を粗末にして……と思ったれいむだが、この暖かさの代償ならば安いものだ。 子供達の素晴らしい発明に、感動の涙を流す親れいむと親まりさ。突然泣き出してしまった両親に、 「ゆっくちしちぇね?ゆっくちしちぇね?」と慌てて声をかける無垢な子供達に、親達は笑みをこぼす。 「しょれでね、てんじょうしゃんにももみじしゃんをくっちゅけたいの!」 「まりしゃたちをおかーしゃんたちのうえにゆっくちのしぇてね!」 「ゆゆ! そうだね!」 親達から見ても、絨毯と壁紙の色の映えに対し、天井の地味さは気にかかるところだった。 しかも天井には、雨漏りする穴が空いていた。あの穴はいつか塞ぎたいと思っていたところだったのだ。 子供達はお母さんの上に飛び乗り、更にその上でも肩車(?)を形成し、天井にも次々と紅葉を貼り付けていった。 そして一面が紅葉に埋め尽くされた、とてもゆっくりとした空間が完成した。 「ゆっくりかんせいしたね!!」 「ゆっくちできちゃよ!」 「ゆゆ~ん! こりぇでしゃむいひもゆっくちできゆよ!」 「あちたはおうちでゆっくちしようね!」 飛び跳ねて喜ぶゆっくり一家。しかしやがて、子ゆっくりを眠気が襲う。 夜更かしして今までしたことのないような重労働をやってのけたのだ。疲労が溜まっていたのだろう。 疲れた子ゆっくり達は次々に跳ねることをやめ、その場で眠りについていく。 そんな子供達の頑張りを祝すように、親達もそれに寄り添って目を閉じた。 翌朝。ゆっくりの目覚めは遅い。 おうちの入口から差し込む秋の日差しに、子まりさが一番に目を覚ます。 「ゆっくいしていっちぇね!!」 元気にピョーンと飛び跳ね、大きな声で朝のあいさつ。 そんな子まりさの目に飛び込んで来たのは、いつもと様子の違うおうちの内装だった。 「ゆ? ゆ?」 少し戸惑った後、夕べの突貫工事を思い出す。そうだ、まりさたちみんなでおうちをゆっくりさせたんだ。 しかし、昨晩の薄暗い中で味わったようなワクワクした感じは無い。 そう、薄暗い月明かりの中だったから色がはっきりと見えず、この異常な事態に気付かなかっただけなのだ。 朝の陽光が照り返るおうちの中を満たすのは、最早単なる「色」と化した紅葉の、毒々しいほどの赤、赤、赤。 「ゆ、ゆ・・・どうちたの・・・にゃんかへんだよ・・・」 ゆっくりの目には、人間と同じ「赤」「緑」「青」の三種の色覚がある。三原色のうち緑か青が目に入ってきた時、 それらの色は三種の色覚全てを刺激し、一つの刺激を受けすぎないようバランスを取っている。 しかし赤は別だ。赤は「赤」の色覚しか刺激せず、その偏りは脳に緊張や興奮を生み出す。 つまるところ赤とは、最もゆっくり出来ない色なのだ。 ヨーロッパの拷問方法で、人間を赤い色で埋め尽くされた部屋に閉じ込め、精神錯乱に陥らせるというものがあった。 この子まりさは、自らにその拷問を行ってしまったのだ。 「ゆ・・・・ゆえぇぇぇぇぇん!! おうちがゆっくちできにゃいよおぉぉぉぉぉ!!」 赤色から受ける恐怖に、子まりさはとうとう泣き出してしまう。 泣き声を受け、慌てて飛び起きる親まりさと親れいむ。他の子ゆっくり達も寝ぼけまなこをぱちぱちし始める。 「まりさ! いったいどうしたの!!」 「おかーしゃあぁぁぁぁん!! おうちがまっかにゃのぉぉぉぉぉ!!」 「おちついてね!それはきのうみんなでもみじさんをはりつけたからだよ!」 「ゆ、でも・・・でもまりしゃまっかっかはいやにゃにょおぉぉぉぉぉ!!」 もう紅葉など見たくないと言わんばかりにぎゅっと閉じられた子まりさの両目から、大粒の涙がぽろぽろと漏れてくる。 この子まりさは、昨晩の作業でも最も張り切っていた一匹だ。突然の心変わりに親達はおろおろとするしかない。 しかしやがておうちの中を見回す内、そこがもうゆっくり出来ない場所になっていることを知った。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ!?」 「なにごれ゛!! なんだかぜんぜんゆっぐりでぎないよ!!」 「めがいだいよ!! あんこがぎもぢわるぐなっできだよ!!」 「ゆびゃあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 苛烈に目に突き刺さる色彩の暴力に、親まりさと親れいむは紅葉がゆっくり出来ない葉っぱであることを即座に認識する。 親達の狼狽に、まだうとうととしていた他の子ゆっくり達も次第に事態を認識し始める。 「ゆぅぅぅぅぅ! なんじぇこんにゃこちょになっちぇるの!!」 「ゆっくちしにゃいでもみじしゃんをはがしょうね!」 「やめちぇね! れいみゅたちががんばってちゅくったおうちだよ!! こわしゃないでね!!」 「じゃあどうじゅればいいにょぉぉぉぉぉぉぉ!?」 「紅葉を剥がせば良い」という、両親すらも今のパニック下では考えられなかった解を冷静に導いた子まりさの意見も、 せっかく貼った物を剥がすのは勿体ないという子れいむの下らない意地によって打ち砕かれる。 「ゆゆ? れいみゅのおりぼんがにゃいよ!?」 一匹の子まりさが、近くにいた子れいむを見て叫ぶ。 「ゆ? にゃにいってゆにょ? れいみゅはちゃんとおりぼんしてゆよ!」 「うしょちゅかないでね!! おりぼんちてないれいみゅはゆっくちできにゃいよ!!」 「ゆ、ほんちょうだ! ゆっくちできないれいみゅはやっちゅけりゅよ!!」 次第に周囲の何匹かの子まりさ達も子れいむににじり寄っていき、ぽいんぽいんと体当たりを始めた。 赤ちゃんの攻撃でも、同じ赤ちゃん同士ならかなりの衝撃だ。何故襲われるのか理解出来ないまま、子れいむは痛めつけられていく。 それは単に、背景の赤に溶け込んで子れいむのリボンが極めて見えにくくなっていたというだけのことなのだが。 しかし鮮やかな赤色に囲まれて興奮状態にあった子まりさ達は、注意して見ることもせずすぐに攻撃行動へと移ったのだ。 それに子れいむへの攻撃に集中している間は、赤い部屋の恐怖に怯えなくて済む気がしたのだ。 「やめちぇね! ゆっくちやめちぇね!」 「ゆ! まっちぇね! ゆっくちできにゃいゆっくちはちゅぶしゃないといけにゃいんだよ!!」 「やめちぇねぇぇぇ!! れいみゅちゅぶれたくにゃいよぉぉぉぉ!!」 「まっちぇね! にげにゃいでね!」 パニくっていた親も、ようやく子供達の間で起きていた異変に気付く。 いじめられていた子れいむは、餡子を吐きながらも必死におうちの外へと跳ねていく。それを興奮状態で追いかける子まりさ達。 一歩巣の外に出てしまえば、そこはまだ青々とした雑草の生い茂る草原だ。 しっかりリボンをつけた子れいむを見て、子まりさ達はハッと我に返る。 「ゆゆ? れいみゅどうちたの? けがしてりゅよ!」 「どこかでこりょんじゃったにょ?」 「ゆっくちあんこはいたらだめだよ! ゆっくちできにゃくなゆよ!」 「ぺろぺろしちぇあげゆね! ゆっくちうごかにゃいでね!」 「ゆぅ~・・・ゆぅ~・・・」 今まで自分達がいじめていたのは、リボンの無い、ゆっくり出来ないれいむだ。 目の前のれいむはリボンが付いている。だから今まで起きていたこととは関係ない。 子まりさ達の餡子はそう結論付け、突然現れた手負いの姉妹を全力で気遣い始めた。 しかし、そんな事情は子れいむには全く解らない。コロコロと変わる子まりさの態度に、子れいむは恐怖を覚えて震えていた。 そして一連の様子を後ろから見ていた親まりさにも、子まりさの暴力には正当性が認められなかった。 赤い部屋の効果で興奮状態にあった親まりさは、ぴょんぴょんと跳ねて姉妹をいじめる悪い子供をお仕置きしに向かった。 「ゆっ!」 「ゆぴゃっ! おかーしゃんにゃにしゅるの!!」 「まりしゃをふまにゃいでね! ゆっくちどいちぇね!」 「うるさいよ! おまえたちがいじめたせいでれいむがけがしちゃったんだよ!」 「にゃにいっちぇるの! まりしゃたちはれいみゅをいじめてにゃいよ!」 「しょうだよ! おりぼんのないゆっくちをこりゃしめようとしてただけだよ!」 「なにいっでるの!! おりぼんのないゆっぐりなんでごごにはいないでじょ!!」 「ゆっ、でみょしゃっきはたしかに・・・」 「いいわげじないでねぇぇぇぇぇ!! いもうとをいじめるこどもはゆっぐりつぶれでね!!」 「いやぢゃよぉぉぉぉぉぉ!! まりしゃちゅぶれたくにゃいいぃぃぃぃ!!」 「おかーしゃんどうちちゃったにょおぉぉぉぉ!?」 容赦なく子まりさ達を押し潰しにかかる親まりさに、子れいむの恐怖は増すばかり。 見兼ねた親れいむが親まりさの髪の毛を引っ張って押し留め、子まりさ達は何とか一命を取り留めることが出来た。 子れいむはほっと一息。しかし押し潰されていた子まりさ達は多量の餡子を口からひり出し、既に虫の息だった。 「なんであがぢゃんをづぶしぢゃうの!!」 「ゆっ、だっであのこどもたちはいもうとをいじめでだがら・・・」 「だがらっでづぶすごどないでじょ!! みんながわいいあがぢゃんなんだよ!!」 「げすなごどもにはおじおぎがひつようでじょぉぉぉぉぉ!? なんでぞんなごどもわがらないのおぉぉぉぉ!?」 いつもはとっても仲良しな両親までもが喧嘩を始めてしまい、巣の中に残っていた子ゆっくり達は大泣きしている。 しかし段々と巣の中も居辛くなってくる。目が刺激を受け続けるということもあるが、暖かすぎるのだ。 冬の気配を感じさせた昨日に比べて、今日は若干気温が高くなっている。 暖色に包まれた家の中では、体感温度が余りにも高すぎるのだ。子ゆっくり達の小さな体は、涙と汗でべちょべちょに溶け出している。 「ゆぐっ! にゃんだかべちょべちょすゆよ!!」 「じぇんじぇんゆっくちできにゃいよ!! れいみゅもおしょとでりゅ!!」 「まりしゃも!! ゆっくちとけちゃくにゃいよ!!」 結局、一家総出でゆっくり出来ないおうちから避難する形になった。 みんな疲れた表情で草むらの中を這っていき、あの拷問部屋から一歩でも離れようと必死だ。 傷付いた子まりさ達はもう自力で這うことが出来ないので、親れいむの頭に乗せられている。 汗にまみれた子ゆっくり達は、体中を土で汚しながら進んでいった。 「ゆぅ・・・・おかーしゃん、まりしゃおにゃかしゅいたよ・・・」 「れいみゅもごはんたべちゃいよ・・・」 「おかーしゃん、ゆっくちごはんちょうだいね!!」 「ゆっ・・・・じゃあたべにいこうね」 近くの餌場を回るゆっくり一家。しかし冬の備蓄の為に、ほとんどの食べ物は取り尽くされてしまっている。 僅かばかりに残された食べ物をちまちまと食べても、一家が満腹になるには程遠かった。 これから春まで過ごすのに充分な食糧が、巣の中にたんまりと貯蔵されているのだ。両親はもう狩りなどする気は無かった。 シーズンの終わりに向けて散り続ける紅葉だけがたっぷりと山道を覆っていたが、一家はそれを見たくもなかった。 もうお昼も近いのに、みんなお腹の中にろくに物を入れていない。 辺りの枯れかけた雑草をはむはむと噛みながら、子ゆっくり達は目に涙を浮かべている。 「むーちゃ、むーちゃ・・・こんなくささんをむちゃむちゃちてもゆっくちできにゃい・・・」 「おいちいごはんがたべちゃいよ・・・ちあわしぇーしちゃいよ・・・ゆっ・・・ゆっ・・・」 いつもはお母さんがキノコや果物をくれて、とてもゆっくり出来るのに。 ゆっくりさせてくれるはずだった紅葉さんに追い出されて、ごはんすらも食べられない。 餡子を吐き出しそうなストレスが涙となり、子ゆっくり達の目から零れ出した。 「ゆぅ・・・まりさ、やっぱりおうちにかえらなきゃだめだよ」 「あのおうちはもうゆっくりできないよ! まりさかえりたくないよ! あたらしいおうちをみつけようね!!」 「おうちにかえらないとおなかがへってゆっくりできなくなっちゃうよ! ごはんはぜんぶいまのおうちにあるんだよ! あたらしいおうちをみつけてもごはんはないんだよ!!」 「ゆ、ゆぅぅぅぅ・・・」 そうなのだ。 こうなれば四の五の言っている場合ではない。頑張った子供達には可哀想だが、紅葉を剥がす他無いのだ。 両親は空腹に泣きじゃくっている子供達に毅然と向き直った。 「みんな、ゆっくりおうちにかえろうね」 「「「「「ゆゆ!? やだよぉぉぉぉぉ!! かえりちゃくないぃぃぃぃ!!」」」」」 「ゆっくりきいてね! おめめをつぶってかえればゆっくりできるよ! まっかなおへやをみなくてすむんだよ!」 「みんなもこのままゆっくりできないのはいやだよね! もみじさんをゆっくりはがそうね!!」 「「「「「ゆゆゆ・・・ゆっくちりかいちたよ・・・・」」」」」」 子供達も考え直し、覚悟を決める。一番大事なのはゆっくりすることだ。 いくら綺麗な宝物とはいえ、そのためにゆっくり出来なくなってしまっては元も子も無いのだ。 ゆっくりさせてくれない紅葉さんは、早くどこかに捨ててしまおう。 そんな事を思いながら、再び真っ赤なおうちへと引き返していくゆっくり一家。 おうちに近付くに従い、子ゆっくり達は次々と固くまぶたを閉じていく。 「ゆっ・・・れいむ、そろそろついた?」 「ゆぅ、ゆっくりみてみるよ・・・」 全員が目を閉じていたのでは、おうちに入れたのかどうかすら解らない。 この中では比較的平静を保てていた親れいむが、おうちまでの距離と方向を確認するために薄目を開ける。 おうちである空洞の木は目の前に横たわっている。内側からわずかに覗く毒々しい赤色が、れいむの餡子を刺激する。 「あとすこしまえにすすめばおうちにはいるよ・・・ゆっ?」 と、そのうっすらとした視界の中に何か飛び込んで来るものがあった。 それは沢山のゆっくりありす達。れいむ達の一家の近くに住んでいるありすの一家だった。 親ありすが一匹に、十匹近い子ありすを連れている。親ありすはとても理知的で、山に関する色んな事を教えてくれた。 その教育が行き届いた子ありすも、親に似て賢くて優しく、子まりさや子れいむにはとても良い遊び友達になっていた。 頼りになるありすたちが来てくれて、荒んでいた親れいむの心はすっきりと癒される思いだった。 「ありすたち? ゆっくりしていってね・・・」 「はろはろ~ん! ゆっくりしていってね!! ふゆごもりのあいさつにきたわよ!!」 「まりしゃたちともちばらくあそべなくにゃりゅわね!!」 「ふゆしゃんがいなくなゆまでゆっくちちていってね!」 「「「「ゆゆっ、ありしゅたちがいりゅの!?」」」」 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!!」」」」」」 大好きなありす達の声に元気付けられ、一斉に目を開いて飛び跳ねるまりさとれいむの一家。 赤いお部屋が少しぐらいゆっくり出来なくても今は気にならない。みんな巣の前で思い思いにすりすりを始める。 そうだ、と思いつく親まりさ。頭の良いありすなら、おうちがゆっくり出来ない理由を知ってるかもしれない。 ありすに頼ることで、少しでも自分達のパニックを収めたかった。 「ゆ! あのねありす、おうちのなかがね・・・」 「ゆゆっ! なんだかすてきなないそうになってるわね!!」 親まりさに言われるより早く、巣の中の異変に気付く親ありす。 しかしそこには、まりさ一家が味わうような恐怖や混乱の感情はない。 親ありすの声を聞いた子ありす達も、ぞろぞろと巣の中に入っていく。子まりさや子れいむはそれを心配そうに見ている。 「ゆゆ~! にゃかにゃかとかいはね!!」 「とっちぇもゆっくちちたいいおうちよ!」 「すてきなこーでぃにぇいとね!! こんどありしゅたちもまねちたいわ!!」 「これってまりさたちがやったんでしょ? すごいわ!!」 「ゆ、ゆぅ~~ん・・・」 いつも驚かされてばかりだったあのありすを驚かせ、更にすごいと褒められた。 素直に喜ぶべきなのか、まりさ一家は複雑な表情を浮かべていた。 それにしても、ありす達は真っ赤なおうちに居ても何だか平気みたいだ。やっぱりありすは特別なんだろうか。 ありす達と一緒なら、このおうちでもゆっくり出来るかも知れない。話によっては、ありす達も一緒に越冬に誘おうか…… 「ゆぅ・・・にゃんだかぽかぽかしゅゆわね!」 「ひーたーをきゃんびしちぇるのにぇ! とっちぇもとかいはだわ!!」 「ゆっゆっ・・・なんだかあちゅくなってきちゃわ・・・」 「ゆゆぅ、しょれにまっかないろをみていたらどきどきしてきちゃわね・・・」 安心して眺めていたまりさ一家だが、段々と様子がおかしくなってくるありす達に不安を覚え始める。 「ゆゆゆ・・・・にゃんだかもやもやしてきちゃよ・・・」 「ま、まりさぁ・・・ありすすっきりしだぐなっでぎだわ・・・」 「ゆっ!? な、なにいってるのありす!?」 おうちの中を見回していたありす達が、巣の外にいる一家の方にゆっくりと振り返る。 その理知的だった顔立ちを醜く歪ませていたのは、真っ赤な色彩のもたらした狂気。 ありす達は全然平気などでは無かった。赤色の与える興奮が、ありす種の秘める巨大な性欲のタガを外したのだ。 まりさ一家は全員ビクリと震え、逃げ出すのに数瞬の遅れを取る。それで全ては決した。 「まままままままりさぁぁぁぁぁぁ!! このからだのほてりをしずめてぇぇぇぇぇ!!」 「ゆぅぅぅぅぅ!? ありずどうじだの゛!! ゆっぐりじでねぇぇぇぇぇ!!」 「まりしゃぁ!! いっしょにしゅっきりちようねぇぇぇぇぇ!!」 「れいみゅでもいいわよ!! とかいはのてくでちゅっきりしゃしぇてあげりゅわぁぁぁぁぁぁ!!」 「ふたりいっぺんでもいいにょよ!! のっかるのがいいにょ!? のっかるのがいいにょ!?」 「ふゆのさむさにゃんて、ふたりのあいのほのおでとかちつくちちゃいまちょうねぇぇぇぇ!!」 「ちゅっきり!! ゆっくちちゅっきりゆっきゅりちゅっきりーーー!!」 「「「「「ゆゆゆゆ!? ありしゅ! やべでねぇぇぇぇぇぇ!!」」」」」 豹変したありす一家は狂気のままに、しかし手際良くまりさ一家を襲っていった。 甘い匂いのする粘液を撒き散らしながら、親まりさに激しく頬をこすりつける親ありす。 空腹と疲労で動けない親まりさは、なすすべなくその柔らかい頬を犯されていく。 親れいむが涙を流しながら親ありすの髪を引っ張り、「やべでね!やべでね!」と叫ぶ。 が、親ありすは左右の頬を別々に揺さぶるという高等テクニックを繰り出し、まりさとれいむは両方同時に強姦されてしまった。 子供達も負けてはいない。餡子を通じて代々受け継がれるものなのか、皆すっきりのやり方を体で理解していた。 子まりさも子れいむも、すっきりなんて知らない。「すっきりー!」というのは水浴びをして綺麗になった時に言うものだ。 しかし今、親友である子ありすからされている「すっきり」は、見た事もない体液を塗りたくられる全くすっきり出来ないものだ。 「やべでね! ゆっぐぢやべでねぇ! いちゅものありしゅにもどっちぇよぉぉぉぉぉ!!」 「んほおおぉぉぉぉぉぉ!! しょんなぷれいもありにゃのね!! まりしゃしゅてきぃぃぃぃ!!」 きめ細やかでしっとりとしていて、一緒にすりすりすると凄く気持ちよかった子ありすのほっぺた。 それが今は粘液に覆われ、「きもちいい、ぎもぢいい」と言って擦り付けられても子まりさは気持ち悪いだけだ。 みんなより一回り大きな姉ありすは、子まりさ二匹に同時に圧し掛かり、小さくかわいらしい帽子を押し潰しながら身体を揺すっている。 振動さえ伝われば絶頂に至るゆっくりの交尾においては、時にこのような無法の体位も罷り通ることとなる。 「「「やだやだ!! こんにゃのやだよおぉぉぉぉぉぉ!! しゅっきりちたくにゃいぃぃぃぃぃ!!」」」 「んほほほぉ!! れいみゅたちのしまいあい、とっちぇもときゃいはだわ!!」 「ありしゅたちにもしょのぎもぢよさをわげでねぇぇぇぇぇ!!」 「こうなっちゃらみんにゃでしましょうね!! しまいどんがっしぇんよぉぉぉぉぉ!!」 子れいむをそれぞれ犯しながら、それらを一箇所に押しやっていく三匹の子ありす。 子れいむの姉妹同士がそれぞれ振動を与え合うことで、三匹分の振動が細かく加えられ、振動も三倍となる。 更にその子れいむ達に接している子ありす達に反響する振動を加算し、最終的に全員に伝わる振動は六倍。 六匹分の快感を全員で共有するという大業を、子ありす達は子供の遊び感覚でやってのけたのだった。 「まりしゃああぁぁぁ!! まりしゃのおきゅちとっちぇもあまあまよ!! いつみゃでもなめりゃれゆわぁぁぁぁ!!」 「んむううううう!! んぶ!! うぶぶぶぶぶ!!」 「うふふふふ!! ありしゅのすてきなふぁーすとちゅっちゅ、まりしゃにあげちゃったわぁぁぁぁ!! ごうふんずるぅぅぅぅぅぅ!!」 正面に向き合い、顔面をぶつけ合いながら振動を加えるタイプのすっきりを選択した子ありす。 頬を擦るような繊細な動きは出来ないものの、頑なに閉じられたまりさの唇を舌を使って巧みにこじ開け、 口の中、身体の内部から大胆に振動を加える。子まりさの餡子はぷるぷると前後左右に揺さぶられ、未知の快感を生み出していた。 いつもはごはんを食べる時も上品だった、子ありすの素敵なおくち。子まりさは度々ぼーっと見とれることもあった。 まりさのふぁーすとちゅっちゅは、いつかありすに捧げようと思っていた。その念願が果たされた結果が、今だ。 子まりさの顔をだらだらと涙が伝っていく。それが潤滑油となり、スムーズな子ありすの動きをサポートしていた。 数々の激情が絡み合い、やがて場全体のボルテージが最高潮に達する。 「あああああまりざああぁぁぁぁぁぁ!! ずっぎり!! ずっぎりずるわよぉぉぉぉぉぉ!!! づいでにれいむもねぇぇぇぇぇ!!」 「いやあああぁぁぁぁぁ!! ばりざずっぎりじだぐないのおぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「やべでぇぇぇぇぇぇ!! どぼじでごんなどごずるのおぉぉぉぉぉぉぉ!!?」 「まままままままりしゃあぁぁぁぁ!! こっちもしゅっきりししょうだよぉぉぉ!!」 「んほほほっ、おねえちゃんも!? ありちゅもちゅっきりしゅるよぉぉおおおぉぉ!!」 「こっちもしゅっぎりじぞうよ!! このれいみゅよしゅぎるのおぉぉぉぉぉぉ!!」 「やべぢぇねぇぇぇぇぇぇ!! れいみゅちゅっきりじだぐないよぉぉぉぉぉぉ!!」 「まりしゃのおぼうじべちゃべちゃにじにゃいで!! これじゃゆっぐぢでぎないぃぃぃぃぃぃ!!」 「れいみゅおねーちゃんとごんなごどじだぐないにょにいぃぃぃ!! ゆっぎゅりおざえにゃいでぇぇぇぇぇ!!」 「ありしゅやべでぇぇぇ!! しゅっぎりちたらあぶにゃいの!! あぶにゃいの゛ぉぉぉぉぉぉ!!」 「い~いぃぃぃい? おちびちゃんだぢぃぃぃぃぃぃ!! みんなでながよぐずっぎりじまじょうねえぇぇぇぇぇぇ!!」 「おかーしゃんわかっちゃよぉぉぉぉぉぉぉ!! いぐっ、ありしゅいぐよおぉぉぉぉっ!!」 「しぇ、しぇーのでいぎまじょうね!! しぇ、じぇじぇじぇじぇじぇーのおぉぉぉぉぉぉぉ・・・」 「「「「「「「「「「「すっきりー!!」」」」」」」」」」」 瞬間、訪れる静寂。ありすもれいむもまりさも、みな一様の幸福に満ちた表情で絶頂、すっきりを迎えた。 ここまではゆっくりの本能的な反応である。その後の明暗ははっきり分かれ、犯されたまりさやれいむからは蔓が伸び始める。 ただでさえ小さく、また空腹に苦しんでいた子ゆっくり達は、赤ちゃんに餡子を吸い上げられるとたちまち干からびて死んでしまった。 ポツポツと実っていく、出来損ないの赤ちゃん達。みな意識が形成されると同時に、母体と共に朽ち果てた。 親まりさと親れいむも同様。疲労困憊だった所に親ありすの激しいすっきりである。 にんっしんっに耐えられるだけの体力は最早残ってはいなかった。 「あ・・・ありずぅ・・・・どぼじで・・・・・・・」 「いっじょに・・・ゆっぐじじだがっ・・・・」 すっきりの余韻に浸りうっとりとしていたありす一家が我に返ると、目の前に広がっていたのは地獄と見紛う光景。 黒ずんだまりさ一家と、それらの頭から枯れ落ちた、小さな赤ちゃん付きの何本もの蔓の山であった。 理性が飛んでいる間の事を、ありす達は覚えていられない。理性だけがありすの自我を形成しているのだ。 その自我を成す理性が全て吹き飛んだ間の事を、その餡子の一体どこが記憶していられようか。 「ゆ? ま・・・まりしゃたち!? いっちゃいどうじだの゛ぉぉぉぉぉぉ!!」 「ゆぇぇぇぇぇん!! にゃんでこんにゃことになっちぇるのぉぉぉぉぉ!?」 「もっちょれいみゅとあしょびたかっちゃのにぃぃぃぃ!!」 「ゆぐ・・・ゆぐ・・・まりしゃぁ・・・ありしゅのふぁーすとちゅっちゅあげちゃかった・・・」 「いったいどぼじでごんなごどになったのぉ・・・まりさ・・・れいむぅ・・・」 ありす一家は深い悲しみに沈む。とても仲良しだったゆっくりの一家が、突如として非業の死を遂げたのだ。当然である。 その理由は解らないが、大人である親ありすには死体の様子を見て何となく察することは出来る。 これはゆっくりがにんっしんっに失敗した時の死体。きっと恐ろしい強姦魔に襲われたのだ。ありすは身震いした。 しかしこのような時でも感情に任せて泣いてばかりいないのが、ありす種の強さでもある。 「ゆっ・・・このままなきがらをのざらしにはしておけないわ」 「おかーしゃん、ゆっくちどうしゅるの?」 「つらいけど、たべてあげましょう・・・それがゆっくりのくようになるのよ」 「ゆぅ・・・わかっちゃよ・・・ゆっ、ゆっ・・・ゆえぇぇぇぇ・・・・」 「むーちゃ、むーちゃ・・・ちあわちぇ・・・」 その余りの甘さに、反射的に口を衝いてしまった「ちあわちぇ」。 だが子ありす達にとって、こんなに幸せでない食事は生まれてからしたことがなかった。 ありす達が黙々とまりさ一家の死体を口に収めていく様子は、まさに人間で言う葬式のそれである。 やがて全てを食べ終えたありす一家は、紅葉でコーディネイトされたまりさ一家のおうちへと入っていく。 「このとかいはのおうちも、すむゆっくりがいなくなっちゃったのね・・・」 「にゃんだかしゃびしぃよ・・・」 「しゅごくもっちゃいにゃいね・・・」 「しょうだ、このまましらにゃいだれかにこわしゃれるぐりゃいなら、ありしゅたちがすもうよ!!」 「すごくゆっくちできるおうちだよ!! まりしゃたちのぶんもゆっくちしてあげちゃいよ!!」 「ゆ、そうね・・・みんなでまりさやれいむたちのおもいをとげてあげましょう・・・」 実際、そこはかなりゆっくり出来る場所だった。暖色効果でとても暖かいし、食糧がとにかく沢山ある。 単に弔いという口実だけでなく、元の巣に戻るよりもこちらの方が越冬に有利だ、という現実的で冷酷な判断も働いたのかも知れない。 しかし、近くに正体不明の強姦魔がいるかも知れないというリスクを跳ね除けたのは、やはり友愛の情からだったろうか。 とにかく、この持ち主を失ったおうちにはゆっくりありすの一家が住むことになった。理性を飛ばすトリガーと共にだ。 ところで紅葉というものが赤さを失うにはどの程度かかるのだろうか。 巣の内側を覆い尽くす紅葉は、子ゆっくり達の頑張りによって押し葉に近い状態となり、保存は良好である。 もしも春までその彩りが保たれるのだとすれば。冬を越したゆっくり達が友達の一家に会いに来た時、 そこに待っているのはきっと不幸だ。 終わり このSSに感想を付ける
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もりのけんじゃ(苦笑)とちびれいむ 55KB 虐待-普通 自滅 野良ゆ 自然界 後半やりすぎたかも ・読みやすさのため、ゆっくり同士の会話文で漢字を用いていますが 全匹が餡子脳なのであんまり気にしないでね! ・「幻想郷」なる単語が出てきますが、巫女さんが弾幕や飲み会してるあの世界の話ではないです。 ・前半ゆっくりしすぎました。◆5章からすっきりー展開頑張りました。 はじまりはじまり。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆1 -赤れいむ、とても恐い思いをする- 生まれてまだ3日のゆっくり赤ちゃん、 ちびれいむは早くも迎えた死の恐怖に震えていました。 いいえ、ゆっくりの群れ全体が死の予感に怯えていました。 秋も終わりかけだというのに、冬篭りの為の群れの食料が尽きてしまったのです。 話はごくごく簡単で、 ボスのゆっくりまりさが「なんだかお腹が減ったのぜ!」という理由で 秋の間にみんなで集めたドングリ、キノコ、花びら、 その他の食べ物全てを昼寝のついでに食べてしまったのです。 汚く食い散らかされた残飯が広場のそこかしこに転がっていました。 「どおして食べ物しゃんが全部なくなっぢゃったのぜぇぇ!?」 ボスまりさは騒いでいたけど、本人……本ゆっくりにも理由は良く分かっていました。 自分がアホだから。 しかし自らの誤りを認めてはボスの威厳が揺らぎます。 群れのれいむ達やありす達もこれから新たに食料を集めるかどうかを 騒々しく相談し合っていますが、どう考えても不可能な事は分かりきっていました。 そもそもボスまりさが食べきった備蓄さえ1ヶ月ほどかけて群れ全体で集めたものなのです。 いくらゆっくりの鈍感な耳でも、冬の近づく音ははっきりと聞こえていました。 ここは成体ゆっくりが数匹、幼体ゆっくりは十数匹ほどの小さなコロニーでしたが 冬眠状態にならず動くゆっくり達には、冬の間も多くの食料が必要となります。 この危機的状況下において、リーダーは的確な判断を下しました。 「おちびちゃん達がいると、まりさ達の食べ物さんまで取られちゃうね!」 そう言うが早いが、その秋肥りした体に似つかわしくない軽やかな跳躍をして 近くで騒いでいた赤ん坊まりさを簡単に潰します。 そしてにんまりと歯茎を出して微笑んで、他の成体ゆっくり達を見回しました。 突然のボスまりさの凶行に唖然としていたゆっくり達は、 ボスまりさの顔に張り付いた笑顔と、決して笑っていない目を向けられて 慌てて我が子達の方を向きます。 「それもそうだね! おかーさんの邪魔するならゆっくりいなくなってね!」 「お、おちびちゃん達は春さんが来てからゆっくり産めばいいね!」 「つ、次はもっとりっぱなとかいはベイビーが欲しいわ!」 先ほどまでゆっくりぷれいすだった森の広場は、あっという間に子殺し会場。 幼体ゆっくり達はあらんばかりの叫び声を出しましたが殺戮は止みません。 優しかった母親に戻ってもらおうと、甘えた鼻声を出した子ありすは ボスまりさ直々に食い殺されました。 子ども達はただ1匹を除いて死に絶えます。 そう、岩の陰で完全に眠りこけていた小さな赤れいむだけが生き残ります。 「ゆぅ? ちょうちょさん? すーやすーや……」 彼女はとにかく眠くて、何が起きているのかよく分かりませんでした。 地面に小さな餡子の染みがいくつも出来て、荒い息をつく親達だけが残った後で ボスまりさは大きくゲップをしながら宣言します。 「おちびちゃん達はすっかりいなくなったぜ! これで冬さんが来てもたくさんゆっくり食べ……」 そこでようやく気付きました。 赤ん坊達が減ったからと言って食料の蓄えが増えるわけではありません。 食料倉庫は空っぽなのです。 群れの全滅は確実でした。 他のゆっくり達もその事実に気付きます。 「おぢびぢゃああん!!」 「どぼじでみんなおめめ飛び出しぢゃってるのぉぉ!?」 「だれがママのあがちゃんつぶしぢゃったのぉぉ!?」 混乱と後悔と現実逃避に陥ったゆっくり達がボスまりさを睨みますが、 ボスは笑顔のまま、内心は大いに焦って 何か重大な事を考えているかのように周囲を見渡しながら 母親達と目を合わせないようにしていました。 そして、岩陰で生き残った赤れいむに気付きます。 「こ、このおちびちゃんもいなくなれば、まりさ達の食べ物さんは、 き、きっとたくさん来てくれるのぜ?」 ボスまりさは誰にともなく言い訳をしながら、赤ん坊に擦り寄ります。 ただならぬ雰囲気にようやく目を覚ました赤ちゃんれいむ。 寝ぼけ眼できょろきょろすると、周りには今朝まで楽しく一緒に遊びまわっていた 他の赤ゆっくりや子ゆっくり達の残骸が散らばっていました。 「ゆきゃぁぁ!?」 すっかり眠気の覚めた幼いれいむは恐怖に震えることしか出来ません。 ボスまりさは相変わらずにやついた笑顔と 全く笑っていない目で赤ん坊の方へゆっくり進みます。 そうしてヒステリックな呼吸音と共にボスまりさが大きく口を開けた瞬間、 紫色の太い紐のような物がその血走った目の前を掠めました。 同時に、青ざめたままのちびれいむは高く空に上がります。 「おやめなさい」 静かな声が森の広場に響きました。 ◆2 -ぱちゅりー、ゆっくり登場する- いきなり空中に投げ出された赤ん坊れいむは ボスまりさに殺される寸前だったというのに、自分の置かれた状況を冷静に把握していました。 「おそらをとんでゆー!!」 あまり把握していませんでした。 お空でふわふわしているのも楽しいけれど、この高さからどうやって着地しようかな、 ゆっくりと赤ちゃんれいむが考え始めたちょうどその時 その小さな体はふんわりとした布に柔らかく落とされます。 「大丈夫?」 自分のお尻の下から声が聞こえて、ちびれいみゅは驚きました。 1匹のゆっくりぱちゅりーが自分の下にいるのです。 いや、ゆっくりぱちゅりーの帽子の上にちびれいみゅが乗せられていたのです。 紫色のもみあげが、赤ん坊の丸く小さな体をそっと撫でました。 心配そうな声で、その成体ぱちゅりーが赤ん坊に話しかけてきました。 「ぱちゅりーのお帽子さんは柔らかいから、ゆっくりできると思うけど」 「しゅごーくゆっくちできるよ!」 ちびれいみゅは嬉しそうに飛び跳ねます。 飛び跳ねるごとに柔らかな帽子の生地に包まれて、赤ちゃんれいむはとても幸せな気分になりました。 ぱちゅりーは安心して、むきゅうと息をつきます。 「いっだいなんなのぉぉ!?」 殺そうとした赤ん坊が空に飛んだと思ったら、突如新たなゆっくりが現れて 状況変化についていけず少々思考停止に陥っていたボスまりさが、 とりあえず自分が無視され続けているという事だけは理解して激昂しました。 目を血走らせたまりさに少し怯みながらも ぱちゅりーは静かな声色を変えず、体を揺すって笑います。 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくり同士が出会った時の友好的な挨拶をするぱちゅりーに 群れの成体ゆっくりたちも脊髄(そんなものがあるかどうかは疑問ですが)反射のレベルで 元気に挨拶を返しました。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 先ほどまでの恐慌状態をすっかり忘れたかのように にこやかに微笑むゆっくり達。 ボスまりさも今度は本当ににっこり笑いました。 ちびれいむも、帽子の上で嬉しそうに大人たちの真似をします。 「ゆっくちしていってね!」 あれほど興奮していたボスまりさはなんだか怒り疲れ、 大きく音を立てて排泄し、 たっぷりうんうんをした後の疲れだけを感じて秋の日差しの中で眠りこもうとします。 他の成体達はその様子を見て、そういえば今日はまだおトイレさんしてなかったよ、と思い出し 一斉にぶりぶりと糞をしてお昼寝の続きを始めようとしました。 ゆっくり達全体に和やかな雰囲気が漂ったのを察し、ぱちゅりーは慌ててもみあげを振り回します。 「あなた達、周りをご覧なさい」 広場を見渡して、大人ゆっくり達は再び叫びだしました。 「おぢびぢゃああん!!」 「どぼじでみんなおめめ飛び出しぢゃってるのぉぉ!?」 「だれがママのあがちゃんつぶしぢゃったのぉぉ!?」 最後に絶望的なボスまりさの声が響きました。 「みんなで集めた木の実さんが全部なくなっでるのぜぇぇー!?」 先ほどは眠ろうとしていたボスまりさは、新入りの……多分、新入りでしょう、 見慣れないゆっくりぱちゅりーの方を向いて甲高い声で 「こいつのしわざだぜ! ボスは見てたのぜ!」 と叫びました。 一斉に親ゆっくり達は憎悪を込めてぱちゅりーを睨みます。 誰がこの弱そうな紫色のゆっくりを殺すか、群れの中で無言の譲り合いが行われます。 ちびれいみゅもこの場の異様な雰囲気に感化され、とりあえず叫んで跳ねだしました。 「そうだよ! れいみゅもみてたよ! ゆきゃぁー!」 「少し黙ってなさい、おちびのおばかさん」 ぱちゅりーは自分の頭の上から飛び落ちそうなほど跳ね回る赤れいむを その長いもみあげで器用に押さえつけながら、気だるそうに呟きました。 そしてゆっくり顔を横に振りながら 「こんなにたくさんのおちびさん達を潰すなんて すぐ疲れちゃうぱちゅりーにはとても無理よ。 それに食べ物さんを全部食べるのも無理。 もし、やろうとしたってそこの大きなまりさに簡単に負けちゃうわ」 と口を動かしました。 ゆっくり達は言葉に詰まりました。 ボスまりさ自身も、こんな紫もやし(と言うにはずいぶん丸いけれど)が 群れのみんなにちょっかいを出そうとすれば すぐに自分が体当たりで潰してやったであろう事は分かっていました。 けれど、可愛い大事な赤ちゃん達はみんなぐちゃぐちゃになっているし 冬ごもりの為の食べ物はすっかり無くなっているし ぱちゅりーには怪我一つ無いのです。 ゆっくり達は混乱しきっていました。 その時、赤ん坊れいむが群れの気まずい雰囲気を意にも介さずぱちゅりーの帽子の上で跳ねながら 「あのね! れいみゅがみつけたんだけどね! おひさまがゆっくちしずんでるよ!」 と叫びました。 成体ゆっくり達がはっとして柿さんの色に染まった空を見上げます。 「ほ、本当ね! ママとゆっくりお家に帰りましょうね!」 一匹の親ありすがそう明るく、傍らにいたはずの赤まりさに呼びかけたけれど そこには餡子の破片と破れた帽子しかありません。 「ゆっぇぇぇぇ!?」 我が子の死体を見て驚愕したありすが、弾みで破裂音と共に糞を噴射します。 成体れいむ達やボスまりさも、信じられないと言う顔で周囲の惨状に悲鳴を上げて うんうんを盛大に漏らしました。 「どぼぢでぇ!? れーむのおぢびぢゃ」 「しつこいわよ」 ぱちゅりーがやや怒ったように横槍を入れました。 そして、なんだか喉の奥に粘液が絡まったような不安な咳を何度もしてから 荒い息を整えて群れのゆっくり達に話しかけます。 「とりあえず今夜はどうするつもりなの? ぱちゅりーはどこかでゆっくり休みたいのだけど…… そう言えば、栗さんをちょっとだけ持っているわ」 そっと赤れいむを降ろして、大きく分厚いふかふかの帽子を外すと その中にはゆっくり達が大好きな栗の実がごろごろと詰まっていました。 群れのゆっくり達は狂喜しました。 いつもなら栗などというご馳走は、落ちていてもその実を覆う棘で 口唇やお尻が傷つけられて食べられず 例え中身が転がり出ていても、大抵はリスやタヌキと言った他の動物に食べられてしまうからです。 おちびちゃん達のことなど忘れて大騒ぎしながら栗を食べるゆっくり達に微笑み ぱちゅりーは首……というか胴体をかしげました。 「あなた達のゆっくりぷれいすに招待してくれる?」 栗の粒をくーちゃくーちゃと噛みながら、嬉しそうにボスまりさ達は声を上げます。 「ゆっくりしていってね!」 赤れいむも群れの一員としてぱちゅりーに何か挨拶をすべきだとは思ったのですが 大人達が邪魔で栗に近づく事すらできず、両目に涙を一杯溜めて震えていたので 何も言えませんでした。 ◆3 -ボスまりさ、元気な虫さんをおおいに食べる- 群れの巣は茂みの中に木の葉を敷き詰めた簡素なものでした。 ドーム部分の作りも簡単で、外敵が壊そうとすればあっけなく壊れる程度のものでしたが ちょうど夜風の当たらない場所に隠してありゆっくり達には寝心地のいい場所でした。 だいぶ木の葉の絨毯が湿っていますがまだまだゆっくり眠れます。 新入りのぱちゅりーもすっかり気に入った様子で巣の隅に潜り込みました。 「「「明日もゆっくりしようね!」」」 ゆっくり達は声を掛け合い、お互い擦り寄って肌で暖めあいながら眠りこけました。 しかし、赤ちゃんれいむはいつものようには眠れません。 色んな事が一度にありすぎて、眠るには少し気が高ぶりすぎていました。 そんな落ち着かない気分で赤れいむがもそもそとしていると 「むきゅー? しーしーしたいの、おちびちゃん?」 と、ぱちゅりーが小さな声で話しかけてきました。 ちびれいむはすっかり嬉しくなって、ぱちゅりーの丸いアゴの辺りに軽く体当たりしました。 するとぱちゅりーは少し口からクリームを吐いて、苦しそうな声を出したので ちびれいむはびっくりして目を白黒させて 「おねーしゃん、びょーきなの?」 と聞きました。 ぱちゅりーはまた何度も咳き込みながら、自分は病気ではなくてちょっと体が弱いだけだ と言おうとしたが声になりません。 赤ん坊れいむは心配して、ぱちゅりーの頬に自分の体をぐいぐいと押し付けました。 「すーりすーりしゅればだいじょうぶだよ!」 しばらくちびれいむが体を動かしていると、まだ苦しそうな音だけど、ぱちゅりーは息をし始めます。 なんだか安心して、ちびれいむはそのまま眠ってしまいました。 「むきゅう、ありがとう……だいぶ良くなったわ」 そうして大事な秘密を打ち明けるように、ぱちゅりーは眠りこけた小さなれいむの耳元で そっと囁きました。 「おちびちゃん、あなたは神さまになるのよ」 朝。 まだ太陽が昇って間もない頃、ぱちゅりーは深く眠っている赤れいむを もみあげでそっと持ち上げて帽子の上に載せ、 みんなを起こさないようにゆっくりと巣の外に出ました。 ゆっくりと草むらを進むぱちゅりーと赤れいむに、朝露の粒がぱらぱらと落ちます。 まだ夢の中にいた赤ちゃんれいむは、身を裂くような寒さに体を震わせて 大きくクシャミをしました。 「あら、起きちゃったかしら?」 ぱちゅりーがゆっくり歩きながらそう聞くと、赤れいむはぴょこぴょこ跳ねて 「まだねてたいのにどーちておこしゅの!? れーみゅはだいじなおちびちゃんなんだよ!」 とぷくぷく膨らんで抗議しました。 でも、本当に心から怒ったわけではなくて、 ぱちゅりーに構ってもらいたいから怒ったのでした。 そんな赤れいむの気持ちを察したのか、ぱちゅりーはのんびりと口を開きました。 「まぁ少し黙って乗ってなさい、おちびのおばかちゃん。 いつもそんなに威張っててお母さんに怒られないのかしら?」 それを聞くと赤れいむは小さな目に涙を一杯溜めて、 赤くなって震えました。 「おかっ……おかーしゃん……おかーしゃんっ……」 「そいつの母親はボスがせいっさいっしたのぜ」 いつの間にかぱちゅりーのすぐ横に、草を隔ててにやけた顔のボスまりさがいました。 「あらまぁ、それはどうして?」 驚いた様子も無く、相変わらずゆっくりした口調でぱちゅりーが頭上に聞くと ボスまりさはせせら笑うように下唇を突き出しました。 「どうしてって、そいつの母親はでいぶだったからだぜ。 ボスさまに逆らったら即せいっさいっなのぜ?」 赤れいむは帽子の上から飛び出しそうな勢いでボスに喚きます。 今度は本当に怒っていました。 「おかーしゃんはぜんぜんでいぶじゃながったもん!! ばかぼすがおかーしゃんで何度もすっきりーしようとちたから おかーしゃんが嫌がって逃げようとしたんだもん!!」 「おとーさまに逆らうのぜぇ?」 ボスまりさの額に青筋が浮かぶのを見て、 ぱちゅりーが頭の上で泣き喚くちびれいむをすかさず押さえつけて言います。 「そうね、きっとボスさんの言う事が正しいんだわ。 このおちびちゃんはまだ小さくて何も分かっていないのね」 「分かればいいんだぜっ♪」 赤れいむは怒って怒って、すぐにもぱちゅりーの帽子から飛び降りようとしましたが いくら草さんがあってもこの高さから落ちると結構痛そうだな、 と思ってやめにしました。 代わりにぱちゅりーの帽子を噛んで破ってやろうとしましたが、 ふかふかのお帽子さんは小さなれいむの歯ではとても噛み切れなかったのでした。 機嫌の直ったボスまりさは、今度はぱちゅりーを追い越してその前に立ち塞がり 膨れ上がって威圧しはじめました。 「で、こんなお日さまの上がったばかりに おちびちゃんを連れて一体何の用なのぜ? おちびちゃんはまりさの大事な緊急用あまあ、いや大事なおちびちゃんなのぜ」 「むきゅー……むきゅぅ……すぐそこよ、ボスさん」 ボスまりさが時々軽く小突いてくるので、すこし息を苦しそうにしながら ぱちゅりーは紫の太いもみあげでボスまりさの後ろの大きな木、 つまりぱちゅりーの前の大きな木を指しました。 「ゆっ? ただの木さんなのぜ」 「そうかしら」 そう言ってぱちゅりーは近くにあった少し長い枝を器用に拾い上げ 両方のもみあげでしっかり持って、幹の少し上の方をこすり始めました。 ボスまりさはぽかんとした顔でその様子を見ていましたが、 赤ちゃんれいむにはその顔がおかしくてさっきの怒りも忘れてしまって 嬉しそうに跳ねだしました。 「れーみゅもやりゅー!!」 「いま落ちたら本当に潰れるから、かなり黙ってなさい。おちびのおばかさん」 ぱちゅりーがちょっと恐い声で言いながら、精一杯伸びて木の幹をこすっていると その枝の先からぽとん、と緑色の小さな虫が落ちてきました。 緑色の小さな虫はひっくり返って、わさわさと手足を動かしています。 ボスまりさは飛び上がって喜びました。 「カナブンさんなのぜ!? ぷりぷりしてておいしいのぜ!」 飛び上がった勢いで地面に顔から激突して、 砂利が口の中に入るのも構わずボスまりさはコガネムシを食べました。 まあカナブンもコガネムシも似たようなものです。 食べている最中にもたくさん虫が落ちてきます。 「私達は普段すごくゆっくり寝ているから、虫さん達が集まる場所に なかなか気付けないの。 でもよく見れば森の木さんには所々、色が濃くなってる部分があるわ。 そこは何故かベトベトしてて、夜中や朝早くには虫さんが集まるのよ。 多分ぱちゅりーは虫さんにとってのゆっくりぷれいす的な何かではないかと にらんでいるのだけど」 ぱちゅりーが帽子の上のちびれいむを撫でながら誰にともなく口に出しましたが ボスまりさは次々落ちてくる虫を食べるのに精一杯で聞いていませんでした。 赤れいむは黙ったまま、ぱちゅりーが何を言っているか分からないけど 群れの大人達が誰も気づかなかった『かり』の方法を知っているのだと気付いて 感動に震えていました。 「すごーくゆっくりできたぜ! せっかくだからお前達にもたっくさん分けてあげるのぜ!」 虫の手足や羽をプッと吐いて、嬉しそうにボスまりさが叫びます。 顔に付いたカミキリムシの硬い羽を拭い、オサムシの手足をもみあげで拾って 帽子の上のちびれいむにわけてあげつつ ぱちゅりーは冷たい声で言いました。 「たっぷり食べたわね」 「たっぷり食べたぜ! お前はなかなかゆーしゅーな新入りなのぜ! ボスの奥さんにしてあげるのぜ!」 虫で膨れ上がった体の下から、ぺにぺにを充血……充餡させて ボスまりさが食後のすっきりを始めようと近づきましたが ぱちゅりーはさりげなく枝の尖った方を突きつけて遠ざけました。 「それよりも、まりさは新鮮な虫さんを食べたのって初めてではないかしら?」 ぱちゅりーの相変わらず冷ややかな声に ボスまりさはひとまずぺにぺにから思考を離して記憶を辿り始めました。 そう言えば自分はこの短くも長いゆん生で、新鮮な虫さんというのを食べた事がない。 自分が生まれたのは夏さんの始まり頃で、虫さんはそこら中にいたけれど お母さんやお父さんがくれたのはよく噛まれた柔らかいペーストだったし、 ゆっくりまりさ自身で捕まえられたのはほとんど死にかけのセミさんやコオロギさんだけだった。 あいつらだって美味しかったけれど、いま食べた虫さん達はもっと身がぷりぷりしてて 口の中ではじけそうだった。 この極上のゆっくりタイムをさらに豪華にしたいなあ。 そこで思考が完全に終わりました。 ボスまりさはにっこりと顔を歪ませ、凸型の生殖器を誇示し始めます。 「ゆゆぅ~ん ゆゆぅ~ん とにかくすっきりしたいのぜぇ~ん」 ぱちゅりーはため息をつきながら、枝で軽く相手のぺにぺにを突いて小さく呟きました。 「新鮮な虫さんって、体を食い破って這い出てくるのよねぇ」 「ゆぅっ!?」 聞き捨てならない一言に、ボスまりさの全神経が聴覚に向けられました。 ぱちゅりーは鼻歌を歌うように言葉を続けます。 「だってそうでしょう? 私達ゆっくりって、お水さんを飲みすぎたらすぐ体がぶよぶよになるもの。 あれはお水さんが体から出たがっているのよ。 ましてやあんなに元気に動く虫さんなんて……ああ、恐くて言えないわ」 「どっどうなるのぜ!? ゆっくりせずに教えるのぜ!」 もう、ボスまりさは『すっきりー』どころではありません。 「言わなくても分かるでしょ? 助かる方法は……そうね、ここに来る途中にあった池さんに飛び込んで お腹の中の虫さんを全部溺れさせることね」 「そっそんな事したら皮がふやけきっちゃうのぜ!」 「もちろんそうならない為に、石さんをたくさん飲み込んで、体を硬く強くして飛び込むのよ。 ほら! ひょっとして、お尻の辺りがむずむずしてきたんじゃないの?」 確かにそうでした。 お腹一杯になったまりさは、ぺにぺにもさることながら お尻の辺りもなんだか何かが出そうになっていたのでした。 「ゆっくりしてる場合じゃないのぜぇぇー!!」 そう叫ぶが早いがくるりと向きを変え ボスは一目散にひょこひょこと池を目指して駆け出しました。 もちろん道端に落ちている石ころを次々に口の中へ放り込む事は忘れずに。 ぱちゅりーはしばらくむきゅむきゅと頬を掻いていましたが 横の茂みに向かって明るく話しかけました。 「もう大丈夫よ。ボスさんはどこかへ行ったわ。 たぶん池に飛び込むのが恐くてずっと悩んでいるでしょうけど」 その言葉を聞いて、ごそごそと音を立てて群れのゆっくりありす種やゆっくりれいむ種達が 恥ずかしそうな笑顔で草の陰から顔をのぞかせました。 群れの皆はしばらくお尻をぶつけ合って何か相談していましたが やがてありすが前に出ました。 「ボ、ボスまりさにぶたれなかった朝は初めてよ。 む、群れ唯一のとかいはを代表して、ゆっくりお礼を言うわ」 顔を真っ赤にして一気にそれだけ言うと、ありすはキャッと叫んでうつむいてしまいました。 ぱちゅりーは笑ってゆったりともみあげを回しながら 「まだまだ虫さんはたくさんいるわ。 ゆっくり別の木さんを探しましょ……大丈夫、ちゃんと噛めば食い破られないわよ」 とみんなを先導して、そこで果たして虫がたくさん集まった木を見つけ ちょっと早めの朝ごはんをします。 そうしてみんなで連れ立ってお池へ水を飲みに行って 池に飛び込むか飛び込むまいかでゆんゆん唸ったあげく疲れて二度寝しているボスまりさを れいむ達とありすに引っぱたいて起こしてもらい 「虫さんは『この大きなまりさの中で冬眠します』って言ってたわ。 春さんが来れば一斉に出てくるんじゃないかしら。むきゅー」 と脅してから口に詰め込まれていた石ころを取り除いてあげたのでした。 ボスはがたがた震えっぱなしでしたが、うんうんをすると落ち着いたようです。 巣に戻った群れのみんながゆっくり息をついて朝のお休みに入る頃、 ぱちゅりーは少し疲れた様子で(なにしろ朝早くから動きっぱなしでしたからね) 「みんなにお話があるのだけど聞いてくれるかしら?」 と、大事なことを打ち明けるように、群れの輪の中心に座りました。 ◆4 -ぱちゅりー、げんそうきょうを語る- 帽子の上にずっと座っていた赤れいむを降ろして、ぱちゅりーは静かに話し始めました。 「ゆっくり思うに、私たちはすぐに『永遠にゆっくり』してしまいすぎるわ」 ずっとぱちゅりーの顔を見つめていたありすが顔を激しく縦に振ります。 これまで何匹もの仲間が、雨が降っただの、食べ過ぎただの、ちょっと転んだだので 餡子を体中から出してしまったのです。 可愛いおちびちゃん達も産んだ端からカラスやなにかが原因で死んでしまいました。 「ゆっくりするのはとてもいい事だけど、 少なくとも私が今までに見てきた永遠にゆっくりした子達のお顔は みんな痛くて悲しそうに歪んでいたわ」 それを聞いた親れいむは昨日まで一緒にいたおちびちゃんを思い出して おんおん泣き始め、隣に居た別の親れいむまで泣いてしまいました。 ぱちゅりーはしばらく黙って泣き声を聞いていましたが ボスまりさが段々イライラしてきたのを感じて言葉を続けます。 「それに、私たちが見つけるゆっくりぷれいすはいつも すぐにゆっくりできなくなってしまうわ」 ボスまりさは興奮して大声を出しました。 「普段ボスがゆってる通りだぜ! 今のおうちだってもういち、にぃ、いち、にぃ……いちにぃをいっぱい繰り返して作ったのぜ! あんなにいたありすだって1匹だけになってしまったのぜ!」 ぱちゅりーは興奮をなだめるようにもみあげを上下に振りました。 「おうちが壊れたり、雨さんが入ってきた時以外でも れいぱーや乱暴者や、けんかのせいでゆっくりぷれいすが台無しになることもあるわね」 「そうだよ! でいぶのおちびちゃん達はすぐママにわがまま言って 全然ゆっくり出来ないからぺしゃんこ……『ゆっくり』させてあげたよっ!」 さっき泣いていた2匹とは別の大きな成体でいぶが、にかにかと笑いながら声をあげました。 この賢そうなゆっくりぱちゅりーとお近づきになりたかったのです。 でも紫色の丸いゆっくりは、でいぶから視線を外して晴れた空を見上げました。 「それに、もうじきに冬さんが来るわ。 冬さんはゆっくりゆっくりして、いつまでもお空にいるから私達は寒くてお外に出られない。 そこで一つ考えがあるの」 ぱちゅりーの言葉が終わらないうちに、ボスまりさが叫びます。 「普段ボスがゆってる通りだぜ! 今すぐとっとと食料さんを集めにいくのぜ! みんなで力を合わせるのぜー!!」 「それはちょっと違うわ」 ぱちゅりーが静かに言いました。 「これから越冬用の食料を集めて、おうちをもっと丈夫にしても 私たちはすぐに食べ物を自分だけのものにしようとしたり、 ゆっくり寝やすい場所を取り合ってしまうでしょうね」 みんなは気まずそうにお互いの顔を盗み見ました。 ぱちゅりーは気にせず続けます。 「でも、それは仕方のない事なの。 私たちゆっくりの、ゆっくりした生き方は変えられないわ。 色んな群れのリーダーさんが、みんなをぶったり踏んだりして 無理矢理言う事を聞かせようとしたのを見たけれど結局はムダだったわ。 むきゅー。 リーダーさんのせいで全然ゆっくり出来ないし、リーダーさんのいない所でズルをする子が出るのよ」 ボスまりさやでいぶはなんだか急に大事な用事を思い出して 首をかしげてどこか遠くの雲を見る事に熱中しました。 「だから、みんながゆっくりできる大きな目標を決めましょう。 お腹が鳴るからたくさん食べたり、威張りたいからお洒落をするんじゃなくて もっと立派なゆん生の目標よ」 みんなは、この紫の帽子さんの言っていることはよく分からないけれど 何かとても大事なお話だと感じて黙って聞いていました。 「みんなで『げんそうきょう』に行くのよ」 「げんそーきょー?」 熱心に聞いていたけれど、中身にはついていけないでいぶが とりあえず聞こえた単語を復唱してみました。 ありすが鋭く睨みます。 「でいぶは黙ってなさい! ぱちゅりーが『げんそうきょう』のお話をしてくれるのよ。 さ、続けて」 少し上気した顔で、ぱちゅりーは深呼吸しました。 まるでこの演説の時のために何度も練習したかのようでした。 「そう、『げんそうきょう』よ。 あまあまが食べ放題で、キノコさんは全部おいしくて、 タヌキさんもカラスさんもイノシシさんも私達に優しくて、 ふかふかで乾いた葉っぱさんがたくさんあって、春さんがずーっとゆっくりしてて…… そしてとてもとても大きな、私たちゆっくりを全部混ぜたようなゆっくりがいるの。 その大きなゆっくりは、私達のおかーさんのおかーさんの……全てのゆっくりのおかーさんを産んだゆっくりなの。 おかーさんより優しい大きなゆっくりと一緒に、そこで好きなだけゆっくりできるのよ。」 みんなは我慢し切れずに一斉に声を上げました。 「『げんそーきょー』にはボスが真っ先に行くのぜ!」 「でいぶの場所でしょお!? もう決まったよぉ!?」 「とかいっぽくないけどのすたるじっくな響きだわ!」 「れいむも混ぜてぇぇぇ!」 「れいむが1番ね! れいむ!」「れーむに決まってるでしょお!?」「れいむだよぉ!」 「・・・・・」 ぱちゅりーは近くで黙り込んで俯いているちびれいむを少し心配しながら、 にこにことしてもみあげで口を覆いました。 「でも、げんそうきょうには悪い子は入れないのよ。 その大きなゆっくりは…『ゆっくりかみさま』って言いましょうか。 ゆっくりかみさまは1匹1匹のゆっくりを見て、この子はげんそうきょうへ入れてもみんなと仲良くできるかな、 って全部お決めになるのよ。 すぐワガママを言ってしまう子は無理でしょうねぇ」 「ま、まりさ様は心優しいのぜ?」と周りのゆっくり達に話しかけているボスを無視して みんなはワガママばかり言っていた自分のゆん生を思い出し始めました。 ぱちゅりーは畳み掛けるように言います。 「しかも、ゆっくりかみさまに選ばれなかった悪い子は、『じごく』へ連れて行かれるの。 そこではごはんさんなんてちょっともなくて、いつもうるさくて、 とても寒くて、地面さんはトゲトゲで、ゆっくり出来る瞬間なんて無いわ…… 他の子のごはんを奪ったり、すぐに威張ったり、お母さんに口答えしたり、 自分の子どもを大事にしなかった子は全員『じごく』へ行くの」 「いやよ! ありすも『げんそうきょう』へ行くんだわ!」 たまらずありすが叫びだします。 みんなも口々にげんそうきょうでゆっくりしたいと言い始め、広場は騒々しくなりました。 ぱちゅりーはケホン、と咳払いをしてみんなを黙らせます。 「あなた達、周りをご覧なさい」 さっきはゆっくりお休みする事だけを考えていたので、 広場に帽子や乾いた餡子がこびりついているのにみんなは全く気付いていませんでした。 昨日死んでしまったおちびちゃん達の残骸です。 悲痛な声でれいむが叫びました。 「どぼじ」 「うるさい」 だいぶ疲れた声でぱちゅりーが口を挟みます。 「このおちびちゃん達はみんな永遠にゆっくりしてしまったわ。 でも悲しがる事は無いの。 ゆっくりかみさまに運ばれて『げんそうきょう』に行けたのよ。 本当に永遠にゆっくりしているんだわ。 おちびちゃん達のゆん生は私たちよりずっと短い分、悪いことを全然していないから」 親れいむ達はぽかんと口を開けてぱちゅりーを見ていました。 「だけど、あなた達は別。 冬さんに備えてとは言え、おちびちゃんを潰すなんて凄く悪いことよ」 みんなの視線を集めている事に満足しながら、下を向く赤れいむをもみあげで抱き寄せ ぱちゅりーはこの演説を締めくくります。 「だから私たちはこれから良いゆっくりになりましょう。 そして『げんそうきょう』へ行けるような良いゆっくりかどうかを、 このおちびちゃんに決めてもらいましょう。 何も知らないおちびちゃんこそ、その役目にふさわしいわ」 みんなはその言葉を聞いて大興奮。 小さなれいむに詰め寄り、自分が『げんそうきょう』に行けるかどうか 唾を散らしながら聞きましたが、赤ちゃんれいむはずっとうつむいて黙ったままです。 さすがにぱちゅりーも、とても心配して赤れいむのほっぺを何度も舐めました。 「さっきからおとなしいけど、どうしたのかしら? もしかして毛虫さんに刺されたの?」 しばらくの沈黙の後でおそるおそる、赤れいむがぱちゅりーを見上げます。 「……ぱちゅりーが『かなり黙ってなさい』ってゆったの。 虫さんを取る時に。」 ひそひそ声で呟くと、ぱちゅりーは思わず涙としーしーが出るほど笑ったのでした。 「おちびのおばかさん! あなたはやっぱり、げんそうきょうにふさわしいゆっくりだわ!」 ◆5 -ゆっくりの群れ、越冬に成功する- あのぱちゅりーの演説から1週間、群れのゆっくり達は一生懸命働きました。 ぱちゅりーが教えてくれた、枝を使ってトゲトゲの中の栗を出す方法。 木の肌に向かってみんなですーりすーりしていると、中で眠っていた虫さんが湧き出てくる方法。 苦くて食べられない葉っぱでも、落ちている柿に付ければおいしく食べられる方法など 色んな新しい知識を使って、群れは冬に備えて食料を集めなおしました。 れいむ達がせっせと働いている横にやってきたぱちゅりー。 「ゆっくちしてにゃいではやくごはんさんあつめてね! ゆっくりしすぎちぇると『じごく』ゆきだよ!」 少しは舌が回るように育った赤ちゃんれいむが、ぱちゅりーの帽子さんの上で今日も元気に声を上げます。 「分かってるわよ! そんなに飛び跳ねてぱちゅりーの帽子さんを汚さないでちょうだい!」 ありすが怒っても、赤れいむは「べぇーっ」と舌を出して笑うばかり。 でも、ぱちゅりーが 「ふざけてばっかりいると、あなたが『じごく』で酷い目に遭うのよ」 と叱ると小さなれいむは大慌てでありすとぱちゅりーに謝まるのでした。 群れのゆっくりぷれいすだった、木の葉を敷き詰めたトンネルは 「この作りだと雨さんが降ると漏れるわね……今まで降らなかったのが奇跡だわ」 「そいつぁ気がつかなかったのぜぇー!」 という1時間に及ぶ議論の末に捨てる事となりました。 ぱちゅりーと赤れいむが山をちょこっと登ると、ボスまりさが土を掘って 深くて大きな穴を作っているところでした。 かなり深くて、穴の入り口のトンネルからはボスの大きな帽子しか見えません。 「まぁ! 素敵なゆっくりハウスだわ!」 とぱちゅりーが褒めると、 「ボスさまはこう見えてもボスなのぜーっ」 ボスまりさは穴の中から大声で答えました。 赤ちゃんれいむがきゃらきゃら笑いながらおだてます。 「そのちょーしだよ! ボスさんは『げんそーきょー』ゆきだよ!」 「本当なのぜ? じゃあもうゆっくり寝るのぜ」 ボスが満足して眠りだそうとしたので、 ぱちゅりーは慌てて赤れいむを2回ほど紫のもみあげで打ってから注意しました。 「まだまだよボスさん。その大きさじゃあなたしか入れないわ。 そんな自分勝手なゆっくりは『じごく』ゆきよ。ねえ、おちびちゃん」 「しょーだよ! ボスさんは『じごく』ゆきだよ!」 「それはイヤなのぜぇぇん!?」 ボスはあっという間に眠気が覚めて、大きな体と口にくわえた棒で穴を広げだしました。 その様子を見て安心したぱちゅりーは、穴から少し離れたところで赤ちゃんれいむを帽子から降ろして 少し厳しい口調で言いました。 「ばかなおちびちゃん。そんな風に簡単にげんそうきょう行きを決めたら みんなゆっくりしすぎてしまうわよ。 よっぽどの時じゃないとそんな事は言っちゃ駄目」 「で、で、でも、いいことをしたらげんそーきょーにいけりゅって」 「ばかね! げんそうきょうに行くのは最後の最後よ。 それまでは、いつもみたいにゆっくりするのは駄目」 「ゆぅぅ……」 それまで見た事の無い厳しいぱちゅりーの顔を見て 赤れいむはゆっくりできないよと思いましたが口には出しませんでした。 もじもじしている小さなお饅頭を見て、ぱちゅりーは顔を緩めました。 「大丈夫よ、おちびのおばかさん。 とりあえず『じごく』行きって言えばいいだけよ」 「ゆっゆー!」 「もの分かりのいい子は『げんそうきょう』へ行けるわ!」 そして2匹は、もみあげを繋いで ありす達と一緒に新しいおうちに敷く葉っぱを探しに出かけました。 冬の始まり。 ボスまりさが急いで掘ったとは言え、なかなかゆっくり出来る新しいゆっくりぷれいすで 群れのみんなは肌を温めあっていました。 細い一本道のトンネルで内部もあまり広いものではなかったのですし 穴の入り口から冷たい風が流れてきていましたが冬の間にゆっくりするならこれで十分です。 隅っこにはご飯もたくさん溜まっていました・・・・・・が、 ボスがこっそり多く食べていたので残りは少なくなっていました。 小さなれいむは潰されないように、ぱちゅりーの帽子の中に潜り込んで一日中眠りこけていました。 何の前触れもなく、でいぶが怒鳴ります。 「さぶいよ! ぜんぜんゆっくり出来ないよ! ばかなのボスさん! 木の実さんはでいぶが全部貰うからね!」 狭い穴の中で何日もゆっくりしているだけで退屈だったのです。 ボスまりさはせいっさいっしようと思いましたが、ゆっくり達がすっぽり入る狭い穴の中 上手く動けずに「ゆゆゆ……」と唸るだけでした。 ボス自身も寝ているのに飽き飽きして、横のれいむですっきりーしたかったのですが ぱちゅりーがさりげなく置いた石がちょうどお尻の穴に入ってしまって そっちが気になってすっきりーどころではありません。 しかも巣穴はぎゅうぎゅう詰めです。 「わがままを言うと『げんそうきょう』でゆっくり出来ないわよ!」 ありすの怒る声が小さな寝床にキンキン響き渡ります。 「昔、人間さんのお婆さんと一緒に暮らしていたの」 ぱちゅりーが呟きました。 険悪だった群れの雰囲気がほどけ、みんなは一斉に (と言ってもその場で方向転換しか出来なかったのですが)ぱちゅりーへ目を向けました。 「そのお婆さんはだいぶゆっくりしていて、あまあまをたくさんくれて、 色々な事を教えてくれたわ。 良い人間さんは神さまに連れられて『ちぇんごく』へ行けるんですって。 ちぇんがいっぱい住むところなのかしら……」 ボスまりさは鼻を鳴らしました。 「人間さんは大抵ちぇんが好きなのぜ。他のみんなの事は嫌いなのぜ」 「ぱちゅりーもそう思って、『ちぇんごく』なんてイヤって思って、 その時なんとなく『げんそうきょう』って言葉を思いついたの。 『ちぇんごくはイヤよ! ぱちゅりーはげんそうきょうへいくのよ!』って怒ったら お婆さんは手を叩いて喜んで、私も一緒にげんそうきょうへ行くよって言ったの」 目をつぶって、ぱちゅりーは静かに呟き続けます。 「そのお婆さんはゆっくりしてたの?」と隣の成体れいむが聞くと 「ぱちゅりーよりもゆっくりしてたわ。 でも、ゆっくりしすぎて、夏さんが来た時にずーっと横になってたの。 『ぱちゅりーちゃんより先にげんそうきょうへ行くよ。ごめんねぇ』って言うの。 いくらぺーろぺーろしても具合が良くならなかったわ。 ある日ぱちゅりーが、お友達もげんそうきょうへ連れて行きたいって言ったら お婆さんは『待っちぇるよぉ』って言ってゆっくり眠っちゃったわ。 いくら起こしてもあまあまをくれなかったから、きっと永遠にゆっくりしたのね。 それからぱちゅりーはお婆さんのおうちを出て、たまたまここに来たの」 ぱちゅりーは巣穴の上を見て、懐かしそうに答えます。 突然でいぶが目をキラキラさせて、ありすの耳元で叫びました。 「ぱちゅりーのお友達だからでいぶも人間さんにたっくさんあまあま貰えるね! ゆっくりしてる場合じゃないよっ!」 そして、入り口近くのれいむを押しのけ、「痛いよ!」という抗議に耳も貸さず でいぶはゆっくりハウスの外を目指します。 「何してるの」 ぱちゅりーのどうでもよさそうな声に反応して元気に振り返り、 でいぶは朗らかに、だけどバカにしきったように答えました。 「『げんそうきょう』を探してお婆さんにあまあま貰いに行くんでしょぉぉ!!」 その言葉に、群れのみんなも反応します。 「ボスさまが一番乗りだぜ!」「れいむも行くー!!」 「れーむもだよ!」「れいむ忘れちゃやだぁー!!」 狭い入り口に一斉に詰めかけ、葉っぱと枝で作った覆いを壊し ぐいぐい押し合いながら冬風の吹くお外へ駆け出すゆっくり達。 ゆっくりぷれいすの中には唖然としているぱちゅりーとありす、 それに無理矢理起こされた赤れいむが残されました。 ありすは何故か満足そうに体を揺すり 「あのいなかもの達は全員『じごく』行きね! ありすは違うけど」 と、ぱちゅりーの方を横目で見ました。 ぱちゅりーは何も言わず眉間のあたりを掻き、壊れてしまった入り口を直し始め 行きがけにボスまりさ達が残していった糞を片付け始めます。 ありすはそれを見てますます満足そうに都会がどうの、げんそうきょうがどうのと言い 赤れいむは、げんそうきょうのベッドさんはよく動くんだな、と寝ぼけながら ぱちゅりーと一緒に入り口を直しました。 ありすは口をヘの字に曲げて、壁の方を向いてしまいました。 その日の夕方、冬の冷たい風が吹き始める頃。 直し終わった入り口のそばで、ぱちゅりーが荒い息を整えてお夕寝を始め 赤れいむが紫色のもみあげをつたって大きな帽子の中に入ろうとしていると すぐ近くに何か鼻息の荒い生き物が近づいてきました。 「ゆっ? ありしゅ、どーちたの?」 赤れいむは慣れた仲間の匂いにきょとんとして振り返りましたが、すぐに後悔しました。 母親のいない小さなれいむにも優しくしてくれたありす。 そのお腹部分からは大きなキノコみたいなものが生えていました。 「んほぉぉぉぉぉ! ぱちゅりぃぃぃぃ!!」 「ゆきゃぁぁぁ!!!」 ありすと赤ちゃんれいむの耳障りな声で、ぱちゅりーは重い瞼をなんとか開けました。 「やっと二人っきりよほぉぉん! すっきりしたいわぁぁん!」 血走った目で見つめられ、ぱちゅりーは顔をしかめます。 「おちびちゃん、言ってあげなさい」 赤ちゃんれいむはぷくーっと膨らんで「れいぱーはでていっちぇね! 『じごく』ゆきだよ!」 と言おうとしましたが、凶悪なぺにぺにの大きさにしーしーを漏らしてしまい それどころではありませんでした。 「いなかものはどいてねぇっ!」 狭い巣の中で、ぺにぺにを振り回して赤れいむを潰そうとするれいぱー。 とっさに赤ちゃんの前に出たぱちゅりーの右目に、ぺにぺにが刺さりました。 「む゙ぎぃっ」 「まにあっくだわぁぁん!」 ぱちゅりーの悲鳴も気にせず、れいぱーが腰と言うかお尻を前後に激しく揺すり その度にぱちゅりーの口から白いクリームが漏れます。 狭い巣の中なので十分に動けませんが、それでも一突き一突きが凄まじい力です。 小さなれいむは顔を真っ赤にして泣きながら怒りました。 「どおちてこんにゃことするにょおおお!?」 「ありすもぱちゅりーとゆっくりしたかったのよ! そしたら出来たの! 愛よぉ! 愛の奇跡よほぉぉ!」 律儀に質問に答えたれいぱー(ゆっくり達は基本的には親切なのです。ズレていますが)は 自分のクリームをぱちゅりーの中に注ぎ込もうと一瞬腰を引きました。 その一瞬を見逃さず、小さなれいむはれいぱーの長いぺにぺにに飛び掛り 今まで出した事の無い力で噛みました。 ぱつん。 短く高い音と同時に、ぺにぺにに充填されていた大量のクリームが吹き出します。 「ゆっべぇぇぇ!?」 「ありすなんて『じごく』ゆきだよ!」 溢れたクリームを浴びた、真っ白な赤ちゃんれいむが涙目で叫びます。 ほぼ6割の体内クリームが漏れてしまったれいぱーありす。 少しでも取り戻そうとクリームと土が混じって茶色になった地面を舐めますが ぺにぺにからはどんどん漏れて行きます。 「お、おちびちゃん、ありすは、ぱちゅりーを喜ばせてあげようと……」 「『じごく』ゆき! 『じごく』ゆきだもん!」 へつらったように笑うありすに、ちびれいむは何度も跳ねて残酷な判決を下します。 ぱちゅりーは体を痙攣させながら残った左目で2匹を見ていました。 「いやよぉ! ありすはゆっくりし続けるのよ、ね、お願い、あんなに遊んであげたのよぉぉぉ……」 「ありすは『じごく』ゆぎ!! にどとゆっくりできない『じごく』ゆぎぃ!!」 ありすの懇願をかき消す大声が巣穴に響き渡りました。 愕然としたありすが恐怖に怯えた顔のまま地面に崩れます。 まだ息を荒くつかせながら、クリームまみれの体でぱちゅりーの右目を舐める赤れいむ。 ゆぐゆぐ泣く小さな声に、ぱちゅりーは静かにかすれた声で言いました。 「本当に、ぜひゅ、ありがとう、おちびぢゃん」 でも小さなれいむは、お礼の言葉なんて聞きたくありませんでした。 「れ、れ、れいみゅも、なかまごろしだから、『じごく』ゆきなの?」 「それは・・・・・・」 「たぁっ、たっ、たぁぁ!!!!」 ぱちゅりーが何か答えようとした瞬間、外から騒々しい声がゆっくりぷれいすの穴まで響きました。 「タヌキさんなのぜぇぇぇぇっっ!!」 鼻水をたらし涎をたらし舌をたらしたボスまりさ、それから遅れてでいぶとれいむ達が ゆっくりにしては物凄いスピードでこちらに向かってきました。 「ゆぴっ!?」 驚いた赤れいむに、壁にもたれかかったぱちゅりーが必死な声で言います。 「枝さんを真っ直ぐぐわえて入り口で膨らむのよ! はやぐ!」 赤ちゃんれいむはびっくりしすぎてなんだかよく分かりませんでしたが ぱちゅりーの言うとおりに巣の奥にあった枝を構えてぷくーっと膨らみました。 ゆっくりぷれいすの入り口にある尖った枝と赤れいむを見て ボスまりさは慌てて飛び跳ねにブレーキをかけたために、お尻が尖った石に引っかかって 皮が破けて餡子の線が地面に数十cmもついてしまいました。 「何してるんだぜぇ!? 早く入れるんだぜぇー!?」 そんな悲鳴をあげながら、お尻のまだ破れてない部分でずーりずーりと巣にじり寄るボスまりさ。 「ボスさまを早ぐ入れるんだぜドチビィィ!!」 必死の形相で叫ぶボスに、赤れいむはかたかた震えだしますが「ぞのままよ!」と ぱちゅりーの声に従って一生懸命その場でぷくーっと膨らみ、棒で威嚇し続けました。 すぐ後ろから、でいぶとれいむ達が言い争いながら全力でゆっくり走ってきます。 「どぼぢでタヌキさん怒ってるのぉぉぉ!?」 「でいぶがタヌキさんのおうちでうんうんしたからでしょお!?」 「れいむだってタヌキさんのごはんさん食べたくせにぃぃ!!」 「ボスさんがタヌキさんにぷくーってしたのがいけないんだよ!」 お互いに罵りあいながらも、一直線にゆっくりぷれいすを目指しています。 「タヌキしゃん、ゆっくりしてね! おねがいね! おねがっ」 一番足の遅いれいむが黒いタヌキに噛まれ、ぽいっと投げ捨てられてゆん生を終えます。 「おちびちゃん、おうちの奥へ!」 ぱちゅりーが寝転んだまま叫び、赤れいむも枝を捨ててトンネルを転がってぱちゅりーの傍へ駆け寄りました。 地面のクリームはもう乾き始めています。 恐慌状態のでいぶとれいむ達は巣の前で倒れているボスまりさを思いっきり突き飛ばし 一度に中に入ろうとしましたが入り口のトンネルは狭くてぎゅうぎゅうに詰まってしまいました。 「ぶぱっ!」 2匹同時に入ろうとしたれいむ達が、仲良くおしくら饅頭しあって餡子を吐きます。 「入れでぇぇぇ」「入れでぇぇぇ」 ぐいぐいと押し合いますが、あまりに同時にピッタリと入り込んでしまったため 前にも後ろにも動けません。2匹は巣穴の奥に叫びます。 「「ぱちゅりぃぃぃ! たずげでぇぇ!!」」 外からはでいぶの悲痛な叫び声が聞こえてきました。 「ぱちゅりぃぃぃ! なんとかしてよねえええ!!」 我慢できなくなって、赤ちゃんれいむは泣きだしました。 「ぱちゅりーがたいへんにゃんだよ! そんなにうるさかったらゆっくちできにゃいよぉ! おばちゃんたちは『じごく』ゆきだよぉ!!」 じごく行き。 永遠にゆっくり出来ない世界。 死よりも絶望的な想像をして、ゆっくり達の悲痛な声が山に木霊しました。 「れいむは『げんそうきょう』に行くのぉぉ!!」 「でいぶはゆっくりしたいだげなのにぃぃぃ!!」 「ゆっぐりしたいぃ! 『じごく』行きやだぁぁぁ!」 小さなれいむは力いっぱい怒ります。 「『じごく』ゆきにゃにょぉぉっ!」 ―しばらく後。 もうお外はすっかり夜になり、山に静けさが訪れます。 でも、冬の夜だと言うのに巣穴は全然寒くありません。 2匹のれいむが入り口のトンネルの途中でぴったりと挟まって風を防いでいるのです。 「ゆぅぅぅぅ……」 片方のれいむが息も絶え絶えになって体を震わせようとしますが 空ろな目ではそれすらも上手くできませんでした。 きっとこのまま、春さんが来るまで風と雪からゆっくりぷれいすを守り続ける事でしょう。 巣穴の近くにはボスまりさの帽子が転がっているはずですし、 でいぶの残骸と糞も転がっているはずです。 タヌキさんはもうどこかへ行ってしまいました。 でもそんな事は気にせず、赤ちゃんれいむはぱちゅりーのお目目をぺーろぺーろし続けました。 「むきゅう……むきゅう……ありがどう、だいぶ良くなったわ」 ぱちゅりーは蒼紫色の唇で微笑もうとしますが、すぐにクリームを吐いてしまいました。 赤ちゃんれいむは泣き腫らした顔で、でも明るい声で元気付けるようにぱちゅりーに言います。 「み、みんな、えーえんにゆっきゅりしちゃよ? ぱ、ぱ、ぱちゅりーは『げんそうきょう』にいくんだよね? ゆっくりかみさまと、おばーしゃんにあえりゅね!」 にっこり笑うちびれいむ。 「バカなチビ。無理に決まってるでしょそんなこと」 死に掛けのぱちゅりーが物凄く暗い左目で赤れいむを睨みました。 あまりに怖い声だったので、小さなれいむはしーしーを漏らす事も出来ず ぺーろぺーろしようとした舌をだらんと出したまま固まります。 歯軋りをしながら、まるで赤れいむこそがゆっくりさせてくれない原因であるかのように ぱちゅりーが呻きました。 「『げんそうきょう』なんてぱちゅりーの考えたウソっこの場所よ。 お婆さんはきっと『ちぇんごく』に行っちゃったんだわ」 そう言い切ると、舌を出した間抜けな顔の小さなれいむを紫のもみあげでパシンと叩きます。 とても弱い力でしたが、赤れいむには今までぱちゅりーにされたどんな事よりも痛みました。 ぱちゅりーは壁に寄りかかったまま真っ暗な巣穴の中で叫びます。 「だってぱちゅりーは、お婆さんのおうちでいっつも遊んでばかりだったもの! お婆さんが苦しいよって言ってる時も、『はやくあまあまちょうだい!』ってわめいてたのよ!? 新聞さんをわざわざ運んであげて『ゆっくりかんしゃしてね!』って威張ってたの! なんて悪いゆっくりなの! お婆さんは、ぱちゅりーの事が嫌いだったのよ!」 右目の痛みとはなにか別の痛みで、ぱちゅりーは悲鳴をあげます。 「それにお婆さんはぱちゅりーがゆっくりしようとする度に怒ったわ。 いいじゃない、どこでうんうんしたって。 ぱちゅりーがしたくなった場所でうんうんするのよ。 ぱちゅりーが食べたくなった時にあまあまを貰えるはずなのよ。 気に入らない野良ゆっくりを踏んでいじめて笑ったっていいはずよ。 なのに『そんなんじゃ、げんそうきょうへ行けないよぉ、悪い子はじごくに連れてかれるよぉ』 って意地悪言うの!」 小さなれいむも、豹変してしまったぱちゅりーをがたがた震えて見上げる事しかできません。 「もし本当にげんそうきょうがあるとしたら、 ぱちゅりーはそこに住んでるゆっくり達を全員ぶってやりたい気分だわ。 その子達はみんな、大うそつきのずるっこさんだからよ。 幸せにゆっくり生きて、心配事も無くゆっくり笑っていなければ げんそうきょうへなんか行けないわ。 きっとれいむやまりさとご飯さんを奪い合う事もなくて、 なんだかほわほわした気持ちの時に好きなだけおちびちゃんを作る事もなくて、 みんなの邪魔ばっかりするおちびちゃんを潰すこともしなくて、 いばりたい時もおとなしくして、たくさん食べたい時にはガマンしてたのよ。 そんな事が出来るのは大うそつきのずるっこさんだけよ。 どうしてそんな子達がとくべつ扱いなの!?」 そこまで一気に言うと、自分の言葉に興奮したぱちゅりーは 息を苦しそうに吸いながら、赤れいみゅに身体を撫でるよう頼みました。 小さなれいむはぱちゅりーが何に怒ってるのかよく分からなくて、怖くて泣きながらすーりすーりしました。 「それに、げんそうきょうの大きな大きなゆっくりなんてのに会ったら、 ぱちゅりーは大声で文句を言ってやるわ。 どうして雨さんが降るたびに体が溶けないように産んでくれなかったの? どうしておちびちゃん達がみんな元気になれるように産んでくれなかったの? どうして冬さんの寒さで凍えないように産んでくれなかったの? どうして他のゆっくりの事を思いやれるように産んでくれなかったの? どうしてぱちゅりーたちが生きてる間にたっぷりゆっくりさせてくれなかったの!? 永遠にゆっくりしちゃった後でご褒美をあげますって言われても そんなの全然嬉しくないわ! まるでおやつを見せびらかして、でも結局分けてくれない意地悪な子みたい。 ゆっくりかみさまってそんなに……」 喉の奥に粘ったクリームが絡み、ぱちゅりーは激しく咳き込もうとしましたが 咳き込むための空気も吸う事が出来ず、顔がもはや黒い紫色になって苦しそうに震えました。 赤れいむが泣きながら心配しますが、なんの役にも立ちません。 文字通り身を振り絞り、ぱちゅりーはおちびちゃんを怒ったように睨んで 掠れた甲高い声で続けます。 「いま言った事もウソよ。 だって『げんそうきょう』なんてぱちゅりーが考えた言葉だもの。 ぜひゅ……ひっ ひっ…… うれしいのもウソなら、怒っているのまでウソなんだわ。 どこまでぱちゅりーはゆっくりできないの!」 泣いているのか笑っているのか、妙な声色でぱちゅりーは呟きました。 「みんなを騙した悪いゆっくりは、じごくへ落ちるのよ」 赤れいむはどうしていいか分からなくなって とてもこんがらがった頭で精一杯考えました。 窒息しかけて青黒くなっているぱちゅりーに、上ずった声で言います。 「ぴゃ、ぴゃ、ぴゃちゅりーは『げんそうきょう』ゆきだよ」 ぱちゅりーは本当に驚いた顔で小さなれいむを見下ろしてから 急にその顔をみるみる赤く歪ませその太いもみあげを巻いて、小さなれいむを潰れないように、 でもとても力強く抱きしめました。 もう息は落ち着いて、弱々しいものでした。 「ちょっとの餡子さんしか入ってない、考えなしのおちびのおばかさん。 いつかお婆さんに会ったら、『ぱちゅりーはとってもゆっくりしていました』って言ってね。 うれしいけど、ぱちゅりーのじごく行きはたぶん変えられないわ。 それでもぱちゅりーは永遠にゆっくりする……いいえ。 もう二度とゆっくり出来なくなる前に、一つだけ良い事をするの」 あまりに耳元で囁かれたので、赤ちゃんれいむの体は ぱちゅりーの熱い息と涙とクリームで湿ってしまいましたが そんな事には2匹ともお構いなしに体を寄せ合いました。 そしてゆっくりと体に巻かれたもみあげが解かれ、ぱちゅりーが自慢のふかふか帽子を外した時 小さなれいむにはこれから何が起こるか分かっていました。 そして何があろうと自分がそれをやり遂げ、冬さんを見送り、春さんを迎えるのも分かりました。 れいむのおかーしゃんのいとこのおかーしゃんのそのまたおかーしゃんのともだちから 延々とゆっくり達の中身のどこかにそのやり方は伝えられてきたのです。 「さあ、おたべなさい」 ◆6 「おせーよグズここまで喋んのに何日かかってんだ」 春の午後に俺は青空市場で糞饅頭に出会ってイライラが最高潮に達したところ つれて帰った部屋の中でダラダラと興味ない話をされて怒りが腰に来ていた。 「れ、れいむは、それで、にんげんさんにあって」 「そんで?」 「れ、れいむは、ゆっくりかみさまにはこばれて、ぱちゅりーのおばあさんに」 「それ百万遍聞いたわボケ。 どう聞いても死んだって言ってんだろその婆さん」 「れ、れいむは、それで『げんそうきょう』に」 だからそんなもん無ぇって自分の話の中で言ってんじゃねえか。 イライラが足元を覆い全身を満たしたのでれいむの艶のない黒髪を引っ張り持ち上げる。 自重で饅頭の肉餡子がだらんと垂れ下がり皮膚が突っ張るらしくて痛いらしくうるさい。 「あハーイ♪ハーイ♪ハイハイハイハイ♪」 俺は極めてリズミカルにゆっくりデブれいむの肛門へぶっといボールペンを突き刺す。 やっべこのペンもう使えねー。 「やべでぇぇぇ! うんうんでぢゃうぅぅ! ぱぢゅりーがくれたぐりーむさん出ぢゃうぅ!」 「いやそれが狙いだから。お前に発言権とかないから。」 ハイハイハイハイ! 強くそして優しく四つ打ちを刻む俺。 テクノ知らないけど強弱のリズムと時々ねじ回す動作が超効くみたいで れいみゅ(苦笑)ちゃんは舌を突き出して喘いでやがる。 うっわ洋物AVよりきめぇなっつーか三次元のアヘ顔って引くわー とか思いながら、ここで俺は慈悲の心なるものを呼び起こして手を止める。 「やべてね! おがーしゃんいやがってるよ! やべてぇ!」 机の上で泣き叫ぶ赤豆ども。 道端で会った「おばーさんのところにゆっくりつれてってね!」とか言い出した脳無しれいむに 野良まりさのチンコ突っ込んでみた結果がこれだよ。 ちなみに使い終わった野良まりさは川に投げた。 そうだ! こいつの餡子をガキゆっくりに食わせたらどうなるかな? 賢い2号ちゃんが生まれたら売れるかな……バカ共にはかなり売れるな、うん。 さっきから「おがーしゃん! おがーじゃんがぁぁ!」とか ビャービャー泣いてた赤まりさをつまんで俺は冷酷に言う。ブサイクの罪でまりしゃは死刑! 赤まりさはびゃーぴゃー喚く。 生きてる事が罪だなこいつら。 そいつの姉の小さなれいむちゃんはどこかへかくれんぼ中で妹を助けに来ない。 ゲスゆっくりを始末するというのは趣がありますなぁ。 机の上でゆっくりとライターで尻を炙ると気持ちの良い声を出して赤まりちゃは暴れる。 ケツにボールペンつっ込んだままの母れいむがうつ伏せになって尻を上げて 「だ、だいじょうぶだよ! おちびちゃんはわるいことしてないから、 ゆっくりかみさまにのって『げんそうきょう』へいけるよ!」 と励ます。 おいおい死ぬの前提かよクソ母が。 「なワケねーだろ!」 と俺は赤まりさのくりくりした両目にシャー芯を突っ込み折る。 この小さなゆっくりサイズの目玉に正確にブッ刺すのは意外と技術が要るのだ。 「おでぃびちゃあああああん!!」 れいむは通算9回目(今のまりさは12番目の末っ子だ)の悲鳴を上げ、赤ちゃんもそれに呼応する。 部屋のどこかに隠れている子れいむも我慢しきれずビビリ声出してアンサンブル。 「ゆっぐい、ゆっぐいかみしゃまなんちぇいないよぉ・・・」 目玉を刺された赤まりさが絶望の声音で母に恨みを述べて事切れる。 母れいむはまーた泣き出してうるさいが、あまりに悲痛な声に俺の心はマジで動く。 「大丈夫だ、神は存在する」 ゆぎゃゆぎゃ泣き叫ぶ親れいむの姿に胸が痛くなって、 ボールペンを引き抜いた俺はつい優しい言葉をかける。 きょとんとした顔の親れいむがこちらを見上げたのを確認してから 俺は隅っこに隠れていた子れいむの揉み上げをそっと掴んで引っ張り出して びっくりして焦ってぴこぴこ動くそいつのもみあげを2本とも思いっきり千切った。 「はい、ミロのヴィーナス」 「おがあしゃああん!」 「おちびぢゃんがああああ!!」 相変わらずうるさいガキれいむは舌を全部出して助けの声を求めるのだ。 うわー生き物の舌ってこんな長いんだなーとか思ってると 「にゃにしちぇるのぉぉぉ!?」 と相変わらず楽しい合いの手を入れてくれる親れいむ。 見て分かんねーのか。 神の再臨だ。 先ほど引き千切ったガキゆの揉み上げの傷口から ぐちぐちぐちぐちと餡子が漏れてやがるので、俺はそこにありったけの爪楊枝を 両方から軽く刺してやる。 おちびちゃんは叫ぶと顎が動いて痛みが倍増するのをやっとご理解したようで 目を血走らせ歯を食いしばって激痛に対抗中。 賢いね。 おかげで顔の横に合計50本も爪楊枝が刺せたよ。 「千手観音」 「にゃにしちぇるのぉぉぉ!?」 あんなに見たがってた神様なのにつれないなー。 それじゃ地獄へ落ちて当然だね。 喚くだけの親れいむと違い、歯を食いしばって震えちゃって 健気に痛みに耐えてる子れいむちゃんはとっても偉いので あまりにいじらしくて俺はその爪楊枝の千手をわさわさしてやる。 「ゆきゃぱぁー!!!!!!」 あ、なんか新しい叫び声出た。 新しい声は出たけどひくひく震えて、ゆん生の限界みたいだ。 というわけで俺は爽やかに、子ゆっくりの髪の毛を掴んで頭皮ごと引き剥がす。 むりむりむりむりぃっ! 今のは擬音だったのか……それともれいみゅの叫びだったのか…… 僕にはよく分かりません。 よく分かんねーけど綺麗に頭皮が剥げました。 禿げました? 右目も一緒に取れてやたらキモい。 脳みそ餡子を露出して寒天の左目だけがまだ体に残って 身体の両端からいっぱいの爪楊枝をぶるぶるぶるぶる痙攣させて それでもまだガキゆは生きちゃってる。 だって餡子はまだ全然こぼれてないもんねー! そこで俺は頭皮をゴミ箱(口に枠を嵌めて改造したありす)に投げ、 子れいむの残った左目もぶちぶちと引っ張って取ってやり 半円形にくぼんだ目の部分にティッシュを詰め込み、 ふるふる震える餡子を漏れないようにしてやる。 これならあと10分は持ちこたえるな。 「サモトラケのニケ」 「おでぃびぢゃああああんっ!?」 うるせーよ。 俺はぱちゅりーの物真似をしてやって、れいむを少しでも慰めようとする。 「むっきゅぅぅぅ~~ん! 『ぐぇんすぉうきょう』へいくのよぉぉ~ん」 「ぱちぇはそんなに変なお顔じゃにゃかったも゙ん!! ぱちぇはそんな変な踊りで喋んないも゙ん!!」 「ほうら、ぱちゅりーのもみあげさんよぉん? ブーラブラ♪」 「ゆっきぃぃぃぃ!!」 モストマスキュラーポージングの俺にれいむちゃんはブチギレ。 ぷくーっどころじゃなくて歯茎を露出して怒っちぇるよのお顔。 マジで死ねよ。 でも生きとし生けるものに愛を抱く俺は決してこいつを殺さないのだ。 殺さない代わり、また吼えようとして口を開いたれいむちゃんの左右の奥歯に 出産箱から取り出した最後の2匹である赤まりさと赤れいむを詰める。 「ゆっきゃー! おにーさんさっきのぽーずまたやっちぇ!」 「おかーしゃんのおくちのにゃか、ゆっくちできゅりゅよ!」 ハイハイ超萌え。 何にも気付いてないバカ赤ん坊どもと違って親れいむはさすがに分かったようだ。 「おめーが歯を食いしばったらこいつら両方死ぬからな。 俺は置いただけだから。 噛み殺すのはお前自身がやっちまう事なんだぞ。 あとガキ殺しは『じごく』行きだから俺より酷い鬼どもにたっぷり反省させられる。 『じごく』行きの親がいるガキも一緒にじごくで反省会だ」 れいむの真っ赤だった顔が未来の罪に真っ青になり すっかり固まってくれちゃって作業をやりやすくさせる。 ぶにぶにとした唇を引っ張ってむりやり上下縫い付けてやる。 「ありぇっ? まっくらになっちゃよ!」 「こわいよぅおかーしゃん!」 「むぎゅー!? ゆぐっ、ゆぐぅぅー!!」 はい、ぷっくりれいむの完成。 「萎んだら大事な赤ちゃんを潰しちゃうぞー?」 注意してやるが、でっかく顎を開いてる親れいむはそのうち疲れて歯を閉じるかもしれない。 「ゆぶぶぶぶぶっ・・・・」 目を剥いて、縫われた唇の痛みに耐える親れいむ。 お口の中から精一杯の声が聞こえます。 「せみゃいよー! みゃみゃー!」 「もうやだおかーしゃんのところかえるぅ!」 大☆爆☆笑! もう一度俺はサービス。 「むっきゅぅぅ~~ん! ぱちゅりーがひとつだけいいコトするわぁ~~ん」 ぶちゅっ。よぉれいむ! 今回の子どもの味はどうだい? ちゃんと喋れよ。 3日後、待望のお外の散歩で野良ありすにすっきりーさせられたれいむはぷっくりとお腹が膨らむ。 オレンジジュースを注いだら縫い付けられてべろべろになった唇もすぐに治りやがったので 全く生命力が強いのか弱いのか分からない。 ちなみにその3日間は足部分を焼いた父野良ありすをゆっくりゆっくり万力で潰して皮を剥いで反応を楽しんでた俺。 「ゆっ! ゆゔぅっ! うばれないでね! ゆっくりひっこんでね!」 餡子がきれいにふき取られた机の上で体を曲げ、 涙目の親れいむの尻の奥から小さく赤ゆが出始める。 それでもこのれいむは決して絶望しないだろう。 良い事をすれば『げんそうきょう』へ行けると信じている。 いくら砂糖水を飲んでも、いくら子殺しをしても、いくら人の机の上でうんうんをしても、 良い行いで最後の時にゆっくり神さまが来てくれると思い込んでいる。 赤ん坊が生まれる度に「こんどこそゆっくりするよ!」と期待して 無理だと分かりきっているのに数日間のゆっくりタイムを味わう。 助けを求める子ども達を『かみさまとゆっくりできるよ!』とか全くトンチンカンな方向で励ます。 自分でついた嘘を自分で信じている。 それが地獄なのに。 糞穴からウンコと粘液にまみれた紫色の丸いのが転がり出て俺は思わず笑う。 遺伝子もなんもない饅頭にこんな芸当が出来るとは! れいむはすぐさまぺーろぺーろとそのベチャベチャの紫ゆっくりを舐め 周りの糞と粘液を舐め取って呼吸できるようにする。 そしてようやく自分の産んだ赤ん坊の種類に気付く。 地獄だ。 ぷるぷる体を震わせ、初めて見る世界にびっくりして目をまん丸にしてきょろきょろする赤ん坊。 うんうんぺにぺにしーしーまむまむおうち宣言ゲス地獄。りきゃいできりゅ? そして俺が神だ。 こいつらゆっくりの地獄に救いの糸を垂れ給う救いの御手。 「むっきゅー! ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」 生まれたての小さなぱちゅりーが、引きつった笑顔の母親とにこやかな俺に希望の声をあげる。 自分がこれからしあわちぇーになってゆっくちできりゅと何の疑いも無く信じる明るい希望の声だ。 頬を指先でつんつんしてやると、ゆきゃゆきゃくすぐったそうに笑う赤ん坊ぱちゅりー。 「よ、よかったね! おにーさんのおかげでゆっくりできたね!」 横目で俺の表情を伺いながら早口ではしゃぐ親れいむ。 寛大な神はこいつら親子をしばらく殺さない事に決めて誰にも聞こえないように呟く。 可哀想な、可哀想なゆっくり。 (終わり) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ・もしかしたら、「このゆっくりぱちゅりー賢すぎるよ」 という人もいるかもしれません。 でも全然賢くないんです。 なぜなら本当に賢いゆっくりは、生まれた瞬間に絶望して 飛び降り自殺でもしているはずですからね。 ・前作で「ゆっくりがリュックサックなんて背負えるわけないだろ?」 と色々な方に叱られたので、自分なりに絵を描きました。 文章の書き方が悪かったのだと反省しております。 ヘタッピのみが可能な二次元のイリュージョンをご覧下さい。 いなかもの落書きスレ1263210872956.jpg あれ、ひょっとして「もみあげを触腕みたいに動かして物を操作する」って一般的ではないのかな? っていうことはオリジナル設定だね! 取ったらべんしょうきんね! 嘘です。 過去作:ふたば系ゆっくりいじめ 610 目指せ、ゆっくりユートピア トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る チェンジングでぱちゅりー生まれたのは神の悪戯か?(何の神かは知らないがwww) っていうか、こんなゴミ饅頭を1日相手にできるほど時間的余裕があるのは、人としてどうなの、お兄さん? 作品としても中途半端。 壮大なストーリーかと思ったら、ほぼ夢落ち同然だし。 ゆっくりの日常(笑)かと思ったら、れいむの話が懲りすぎだし。 虐待の話かと思ったら、6章(終)だけで、しかも詰まんないし。 結局、何を伝えたいのか分からない作品。 絵の方が上手いからSS辞めて、ゆ虐絵師の方が向いているかも? (少なくとも長編は向いてない) -- 2018-02-20 04 42 52 お兄さん寛大すぎるだろjk -- 2013-12-17 03 52 08 TANUKI最古ー -- 2013-04-14 06 07 28 最悪の〆だった。せっかく面白かったのに叩かれるのにビビッタのか 無理やり突っ込んだ落ちのせいで駄作以下になっている。 5まではそれなりにスジが通ってるのに6で何もかも台無し 脈絡がない、カタルシスもない、文章に見せるものもない上に 終わり方も"俺たちの旅はコレからだぜ"ENDとか最悪だよ。 -- 2013-01-31 00 07 00 人間が出てくるまではなかなか面白かったのに、その後れいみゅは知能が残念なDQNに捕まっちゃいました!ちゃんちゃん! では話にならんよー -- 2013-01-29 21 09 18 ↓全員がそうとは限らないだろうに ここでは愛で派とゲス虐待派が多かっただけで、 自分の考えてたのと違うから分かってないとか 素晴らしい餡子脳ですね -- 2012-09-17 21 14 16 5章までは赤れいむのにストレスマッハで我慢に我慢を重ねて 6章でようやくスッキリできるかとおもいきやまたも生き残るれいむ ちゃんと潰すか致命的な不具にしてくれないとゆっくり出来ないよ!! あと赤れいむ愛で愛でな5章まででいいとか言ってる馬鹿がいるが これは1~5章までのストレスを6章で一気に発散させようってうSSだからね 5章まで終わったら只のクソなんだよーわかってねー -- 2011-07-15 04 51 56 6章がゆ虐SSにするために無理矢理つけた感があってホントいらんわ 良作と思ったのに最後がこれじゃなんかなあ -- 2011-01-20 03 23 18 終了間際まで大作の予感を感じてたんだが…残念 -- 2011-01-19 16 05 55 6章はカスだが5章まではゆっくり抜きにしても素晴らしい文章力。 スティーブンキングのドラゴンの眼を彷彿とさせる。 字書きになったほうがいい。6章はカス。 -- 2011-01-16 10 43 17 5と6にまったく脈絡が無さ過ぎ。駄作乙 -- 2010-11-28 04 50 28 ゆ虐にするために無理矢理つけた感がプンプンの6章 -- 2010-11-03 00 48 04 最後の人間いらなかった -- 2010-10-15 20 15 06 6章酷い -- 2010-08-13 10 15 52 人間がいらんな 5で終ってれば良かったのに何で蛇足な続きを作ってしまったんだろ 途中までは面白かったのに最後の最後で気分が悪くなったわ -- 2010-07-06 04 38 32 人間うぜぇ -- 2010-06-25 16 39 52
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壱 弐 参 極 極+ 極(UR) 名前 [えんじぇる]とろ弁天 (えんじぇる とろべんてん) セリフ 壱 「恋の矢を撃ちまくるぅー♪」 弐 参 極 極+ 極(UR) 解説 了法寺に舞い降りた(落ちてきた?)、NEW弁財天様。芸能の神様であり、歌と踊りが得意。 レアリティ 必要法力 攻 防 知 壱 SSR 33 5570 4390 4340 弐 6080 4790 4740 参 6870 5230 5170 極 8650 5700 5630 極+ 18000 11950 11800 極(UR) 術式名 属性 MAX Lv 効果 専:狙わず撃ち 光 10 味方単体の攻防アップ 極 専:超愛乱れ撃 光 10 味方単体の攻防アップ お邪魔戦術式 発動率 攻撃力アップ 中 極 敵HPダウン 高 備考: ※このカードは、【極】まで進化させた後、進化アイテムカード『快進の宝珠』との進化によって、 【極+】(SSR)にすることができます。 ※このカードは【極+】まで進化させた後、進化アイテムカード『天進の紫宝珠』との進化によって、 【極】(UR)にすることができます。 illust. とろ美
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サイアムローズダガーほしいよー(*´ω`*) 今のところ男の子キャラしか動かしていません。 名前 職業 生産 コメント ちぃずさん(※) 槍龍ハイランダー 錬金LV32(ポーション) ハイランダーになりました~。楽しいですっ。コロ武器実装まだかなー。寂しがり屋かつチキンです。狩りに誘うと簡単にホイホイできます。いけめんな相方さんがいます⌒☆ギルクエ2-2は詰みであります!必殺クエが好きです。コインとハンマーでフラグ立てます。 れい ブレ 錬金LV32(食べ物) 只今生産でしか動かしてませぬ ※残念ながら名前ではありません
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2200円れいむ(後編) 15KB ・駄文注意 ・色々な作者氏のネタを使ってます、ご容赦を ・ 『ふたば系ゆっくりいじめ 346 2200円れいむ(前編)』を見ないとちんぷんかんぷんです ・重ね重ね申し訳ありません 2200円れいむ(後編) ペッパーあき 四日目。 朝 「たっだいま~」 「ゆっ!おかえりなさいおにいさん!!」 朝食を買いに行っていたお兄さんが帰ってきた 時刻は9時、少し遅めの朝食だ。 「おにいさん、なにをかってきたの?」 「れいむの大好きなあまあまさんだぞ~」 も う お わ か り だ ろ う 。 「ポンデさんだ!!」・・・パチィッ!!「カッ!!」 「なにやってるの?」 「いや・・・なんでもない・・・・・」 昼 「これは困った・・・・」 山の中腹にて、愛車のランボルギーニ・オワタがエンストしてしまった。 ランボルギーニなのに、エンストしてしまった、ぷんぷん!! ここから目的地までは、徒歩で行くには多少遠すぎるし 車も少し休ませておきたい。 今日はキャンプ場に行って、自然の中で苦しむゆっくり達をれいむに 見せてあげようと思ったのだが・・・・・仕方ない。 そう思いながらフラフラしていると、なんだか面白そうな群れを見つけた。 一匹のまりさを中心に、集まる数百のまりさ達。 皆、水上に浮かんでおり 葉っぱで中二っぽい眼帯をしている奴や、 草を銜えていかにも「俺!カコイイ!」モードの奴などもいる。 ゆんゆん言っている内容を聞くと、どうやら御一行は 川下にあるのうかりんの畑を奪い、果ては人間の群れの征服(笑)まで目論んでいるらしい。 「ゆっゆー!まりささまかいぞくだん!!しゅっこうなのぜー!!」 ここは川だ。 「おにいさん・・さすがにあれはないよ・・・」 「ああ、気が合うな、人間なら黒歴史モノだぞ」 「ゆっくりでもくろれきしさんだよ・・・・」 出発した途端にバランスを崩して海のもくず(笑)となっていくまりさ達を横目に 陸路でのうかりんの畑に向かう事にした。 川を下った所で出迎えてくれたのは 公務ゆっくりを排出することで有名な「国営実験農地」の看板と 「見学者はこちら」の矢印。 フェンス越しに中を覗いてみると なんともおいしそうなのうかりんと野菜・・・・・・ なんともおいしそうな野菜とのうかりんが見えた。 「よしれいむ!!ここに入るぞ!!」 「はたけさんだね!なんだかゆっくりできそうだよ!!!」 そうしてホイホイと施設に挿入っていったお兄さん達は手早く受付を済ませ、 のうかりんの下へ。 の「ゆっくりしていってくださいね」 れ「ゆっくりしていってね!!!!」 お「それより俺と一時のランデヴーを楽しまないかい?」 ま「ここのおやさいさんはまりさがいただいていくんだぜ!!」 ド「三つの山が一つになる・・・・」 それぞれの思惑が交差する中、状況は動きを見せ始めた・・・!! ガッ「なにするんだぜ!!おろsポイッゆわーい!おそらぶっ!ガリガリガリゆぎゃぁあああ!!!」 侵入してきたまりさをコンポストで潰すまでの時間、僅か五秒。 ・・・・のうかりん、オソロシス。 のうかりんの話によると、この畑の肥料の八割方がゆっくりで賄われているらしい。 その話を聞いた途端に、れいむが「もっとゆっくりしたかった・・・」と言い出したので放置 十分後にチョップすると意識が戻った。 なにやら巨乳のおねえさんに会ってきたんだとか 一度は逝ってみたいもんだ・・・・・ 余談だが、まりさ種が大量に溺死し上流から黒い水が流れてくることが 年に数回あるそうで、地元では「餡流水」と呼ばれ、親しまれているそうな。 五日目。 朝 少し垂れ下がりながらも、すくすくと伸びている緑。 そして、今にも目覚めんばかりに小刻みにプルプルと震えている数個の実。 緑・・・もとい茎の根元には、本来いるであろう筈の親の姿は無く 白く濁った水の入ったビーカーがある。 (れーみゅは、ゆっくち、うまれりゅよ!) そんなことでも思っているのであろうか、 まるで生まれ落ちた後には、絶対にゆっくり出来る未来があるというのを 確信しているようなそんな顔をしている。 プルプル・・プル・・・ (ゆゆ・・もうしゅぐだよ・・・きゃわいいれいみゅが・・・・) プチッ・・・ 「きゃわいいれいみゃがうまれちゃベチャ!ぶゆうっ!??」 生まれ落ちて僅か一秒、ゆん生初の痛みを味わったれいみゅは目を白黒させる・・・紅白なのに。 普通、実ゆっくりが落ちる時には、落下点におぼうしや軟らかい草などを敷きつめる だが、れいみゅが落ちたのは硬い鉄の床。 なぜなら、ここは加工所の一室だから、 ここではゆっくりをゆっくりさせるつもりなんて端からないから。 ゆっくりは痛みや恐怖を受けることによって、味に深みやコクが増す。 これは、涙を流す為に体内で餡子が活性化し、水分を作るということに起因している。 甘くなるのはその時の副作用とでも言えようか。 何不自由なく育ってきたゆっくりの餡子がパサパサしていて不味いのはこの為だ。 「ゆ”・・・ゆえーん!どぼぢでごんにゃごとじゅるにょおおおお!!?」 プチッ・・プチッ・・・・ベチャ! 「ゆっくちしちぇいっぶぇ!!」「ゆゆーん!まりじゅえ!!」 れいみゅが泣き喚いている間にも、次々と生まれ落ちる姉妹達、 皆が皆、泣き喚いているところに、生まれて初めてのあの言葉が聞こえてきた。 「ゆっくりしていってね!!!!」 「「「「「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!!!!」」」」」 「・・・・・ゆ?おきゃーしゃん?どきょにいりゅにょ?」 その言葉に反応するかのように、鉄の箱の一面が開く。 「おちびちゃんたち!こっちにきてね!!」 赤ゆっくり達は、疑いもせずにその言葉に従う、だって絶対にゆっくり出来る筈だから。 「そのうごくゆかさんのうえにのってね!!」 従う、なにせ初めて「ゆっくりしていってね!!!!」と声をかけてくれた相手の言葉だから。 「「ゆっきゅりー!!」」 「「すぃーしちぇるよ!!とっちぇもたのしいよ!!」」 ベルトコンベアの上、未知の感覚に酔いしれ、歓喜の声をあげる。 少々ゆっくりしていない速度で進むベルトコンベアは、遂に終点を迎え・・・・ 「おにいさん!!ゆっくりしていってね!!!!」 「なんだ、もうおっきしてたのか」 「そんなことよりおうどんたべたい!!!」 渾身のギャグをスルーされた・・・ だが今はそんなことどうでもいい。 「・・・はぁ?」 「おうどんたべたい!!!」 とかなんとか言いながら キリッ!とした顔でぽいんぽいん飛び跳ねているのがウザイので一応蹴ってみる。 ドゴムッ!!「ぶふぅっ!!・・・・おうどんたべたい!!!」 いつに無く強気・・・というか発作でも起しているのだろうか? 流石のお兄さんもこれには折れて、棚を漁りだす。 「しゃあねーな・・・あ、あったあった『ゆゆこ印の○朗うどん~吸引力の落ちない唯一つのうどん~』だ」 お湯をかけてたったの三分!目の前にはまるで触手のように動く無数の麺!! ・・・そしてからめとられるれいむ。 ガチャ!!「退避!!」バタン!! 「うわあああああああああ!!!!」 「これ食用じゃなくて虐待用だった・・・ごめんにぇ」 昼 「がごうじょばいやああああああ!!!」 「フーハハ!絶望しろ!!それが我の力になるのだァ!!!」 といっても、れいむを挽いて潰して粉々に粉砕死に逝くわけではない。 「粉砕されるのはれいむの同族だけだ、大喜びだろう。」 「よろこぶわけないでしょおおおおおお!!?」 「ナレーション読むなよ」 「おもいっきりくちにだしてたでしょおおおおおお!!!!」 てへりこ☆ 農村の中にそびえ立つ場違いな建物。 定期的にトラックで搬入されてくるゆっくり達の悲鳴が心地よく、 加工所だと知らずに自らおうち宣言をしにくるゆっくりが微笑ましい。 『月刊ONI−SAN』でのなりたい職業、辞めた職業ランキング共に一位の職場でもある。 なんでも、繁殖部署、育成部署に充てられたお兄さんは全員辞めてしまうとか。 「おお、ここだ『ゆっくり調教Gコース:赤ゆ揚げ饅頭製造工程ライン見学』」 「ばんぶるびぃぃぃ!!ばんぶるびぃぃぃ!!?」 「こねえよそんなもん」 ・・・・・・ポロッ・・コロコロ・・・・ 「ゆっ!ころころしゅりゅよ!!」 終着点の先は坂道、白い粉が常に吹き出ており、転がる赤ゆっくりを真っ白にしていく。 「ころころしゃんはゆっくちちてるにぇ!!」 「まりしゃがいちびゃんにょりなんだじぇ!!」 滑りがよくなった赤ゆっくり達は、その勢いを止める事無く、 黄色い液体の中へと突っ込んでいく。 ピチャ!バチャチャ!!! 「ゆう?」 普段のゆっくりは 「おみずしゃんはゆっくちできにゃぃいいい!!」などと言うが、 実は赤ゆっくりは「水」の危険性は理解していない なぜなら「水」は飲むものであり、体を綺麗にしてくれるものだからだ。 遺伝的に恐怖するのは「雨」だ。 「ぺーりょぺーりょ・・ちちちちあわちぇええええ!!!!」 「ゆっきゅりぃぃぃぃいいいい!!!!」 初めての食事、良すぎる食事、もうこのゆっくり達は野生では生きていけない、 これが最初で最後なのだから、生きていく必要もないが。 「ゆ・・・?・・くち・・・ゆ・・!!」 異変が起き始めた 「・・!!ゆ”・・!!??・・・・」 体に異常は無い、だが、声が出ない。 先ほど飲んだ「黄色い水」が、口内に膜を作ったのだ。 そして身動きが取れない、「白い粉」が「黄色い水」を程好く吸収したからだ。 前方に、待ち焦がれた親の姿が見える、本当の親ではないが。 そして開口一番。 「くずのおちびたちはそこでしんでね!!」 「おお、ぶざまぶざま」 「ゆっくりできるとおもったの?ばかなの?しぬの?」 「そんなめでみないでね!!きしょくわるいよ!!」 罵声の応酬・・・・ゆっくりできない 声も出せぬ、身動きも取れぬ赤ゆっくり達は、静かに涙した、 笑顔を貼り付けたまま。 ガコッ!!ウィイイイイイイイ!! しかし、状況は待ってはくれない。 世界が傾いていく、少しづつ、滑り落ちていく、そして、真っ逆さまに・・・・・ ベルトコンベアで運ばれてきた赤ゆっくり達に小麦粉を塗し、 とき卵が入ったトレーの中に落とす。 勝手に動いて体中に染み込ませてくれるので、非常に効率的だ。 そして、動かなくなったところで周囲にあるモニターに成体れいむが映る 恐らく、ゆっくりできないことを言っているのだろう。 「おちびちゃんたちとってもかわいいね!!!」 しかし、この通りさっきかられいむはごきげんだ。 ここが製造工程ラインである以上、結末は決まっているのに。 ガコッ!!ウィイイイイイイイ!! 機械の作動音と共に、トレーが傾いていく そして、パチパチといい音を立てている油の中へ・・・・・・ ・・・・・・ジュワアアアアアアアアアアアアアア!!!!! 「「「「「「「ぎゅべぇ!!?・・・・・・!!!!ゆ”!!・・・・!!?」」」」」」」 「ゆんやああああああああああああ!!!??」 「ヒャッハァアアアアアアアアアアア!!!!!!」 因みに、この時だけ特設スピーカーから中の音が聞こえる、加工所クオリティ。 「ほ~られいむ~あまあまだぞ~」 「だべだぐないっでいっでるでじょおおおおお!!!」 「こんなにいい顔してるんだぞーこいつらだって食べて欲しかった筈さ!」 『ゆっくり調教Gコース:赤ゆ揚げ饅頭製造工程ライン見学』 見学費:一人1500円・ゆっくり無料 お土産に、赤ゆ揚げ饅頭をプレゼント! お申し込みは年中無休、田舎加工所まで! 田舎工場広報係広報係長 六日目。 朝 「今日が最後だな」 「ゆんゆん」 「どこ行きたい?」 「どこもいきたくないよ」 「じゃあ俺が決めるぞ」 「いってもむだだとおもってたよ・・・」 れいむは・・・今日をなんとしてでも生き延びる事を考えていた。 明日の朝にはお兄さんが迎えに来る、元の生活に戻れると信じて。 「ダーツの旅~どんどんぱふぱふ!!・・・シャッ!!!」 野球で言うアンダースローのフォームで市内地図の拡大コピーへ投げる。 海に刺さったら海中へ行くのだろうか? ガッ!!「・・・・はい!研究所にけってーい!」 「めいきょうしすい・・・めいきょうしすい・・・」 昼 ピロリロピロリロ 「いらっしゃいませー」 「あのーすいません、ゆうかにゃん売ってますか?」 「oh・・・・crazy!!」 「yukkurisiteittene!!!!」 「I like susi! I love tuna!」 「Me too!」 辿り着いた研究所は、 真昼間だというのに暗雲が立ち込め、薄闇に包まれて禍々しいオーラを放つ 壁面は蔦に覆われ、鉄製の門は錆付いている。 「廃墟」や「幽霊屋敷」という名がしっくりきそうな場所だった。 「ここ・・・まだ使われてる筈なんだが・・・・・」 多少ビビリながらも、門に手をかける。 キィィィィィィィィィイイ・・・・・・ガガッ! 「「Holy shit!!!!」」 音的に駄目だ、そしてあまりにもバイオな雰囲気に 図らずも英語になるお兄さんとれいむ。 「兎に角・・・入るぞ、中は意外と普通かも知れん」 「ふらぐさんをたてないでね・・・・」 ガチャ・・ 薄暗い廊下。 終わりの見えない闇。 唯一の光は緑色光のライン。 謎の水音。 くぐもった様な声。 甲高い声。 そして、どこからか、感じる視せnバタン! 「はい、駄目でしたー」 「さすがにこれはやめたほうがいいよ・・・・」 「ほぅ・・・なら、れいむが帰るというならお前を残して俺は帰る れいむが帰らないというのなら、俺も帰らない」 「ふぇあじゃない・・・・のはいつものことだね、いくしかないならいくよ・・・」 「そうか、じゃあどうぞ一匹で行ってくれ!」 「どぼじでぞうなるのぉぉぉぉぉおおお!!?」 「帰らないとは言ったが、行くとは言っとらん!!!」 「もうやだおうちかえる!!」 「そうか!!それなら(ry なんやかんやで結局一緒に中に入ったお兄さん達。 入るときこそ躊躇ったものの、入ればどうと言う事は無い、ゆっくりしかいないのだから。 「しかしここのやつら・・・みんな寝てるな、なんかの実験か?」 ・・・ずりずり 「お?」 とあるガラスケース、その中にいる何の変哲も無いれいむがこちらに寄ってきた。 「ゆっくりしていってね!!!!」 「・・・・・・・・・・・・・」 「なんだこいつ?喋れないのk ボ ッ !! うおおおおおおおおお!!!?」 「ゆびいいいいいいいいいいいい!!?」 口から目が出てきた・・・いや、あそこが口だと誰が言った!!! さらに、目の少し下に新たに目!!・・・これがクリーチャーだ!!! 「逃げるぞ!!ここは危険すぎるっ!!!」 元来た道がわからない、我武者羅に走るしかない。 そして目の前にはまた見た目は普通のれいむ、口もある、だが油断はできない・・・!! 「いってこい れいむ !!」 「ジュブブシギデギデデべ!!!!」 「ゆんやああああああああ!!!!」 やはり普通では無かった・・・・・ 背後から聞こえてくる ドドドドドドドドドドドドドド!!! という音。 明らかにゆっくりの移動音ではない、こんな走り方をするのは 「ゆっくりしていってね!!!!」 あんなのまりさじゃないやい!! 「腐海に帰れぇえ!!そしたら死んでねぇっ!!!」 ふわふわふわ・・・・ 「エクスペクトパトロォナァァァァアム!!!!!」 「ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」 「デコピン!」 「ゆぴい!・・・はじめてしっつしんっをゆういぎにつかってたのにぃぃぃぃい!!!」 「放置していくという手もあるんだぞ!あるんだぞ!!!・・・・生贄・・・・」 「おとりにしようとかかんがえないでねえええええええ!!!??」 「「もうやだ!おうちかえる!!!」」 夜 プロジェクトは無事に成功した。 そして俺は、この成功によって一気にエリートコースへと躍り出た。 つい一週間前までとは大違いだ、そう、一週間前・・・一週間前? なんだったっけ?なにかを忘れてるような・・・・・・ 「おにいさん?どうしたの?」 「えっ!?・・ああ、いやなんでもないよ」 この子はゆうかにゃん 今日、ペットショップで購入してきた俺の飼いゆっくりだ・・・・ 飼いゆっくり?・・・・・・一週間前・・飼いゆっくり・・・・・・れいむ!!! そうだ、完全に忘れてた・・・友人にれいむを預けたんだった・・・・ 道理で家にゆっくりフードがあったわけだよ・・・というか、流石に気づけよ・・・・ まあいい、どうせ死んでるだろうし、明日電話でも掛けるか。 七日目。 朝 プルルルルルルルプルルルガチャ 「はいよ、・・・・・へぇ・・・・はあ・・・・・うんうん・・・・そうか・・・・じゃあまたなー」 「おにいさん?どうしたの?」 「おう、丁度いいとこに」 「ゆう?」 「お前、捨てられたぞ」 「・・・・・・・・・・・・ゆ?」 「三つ選択死をやろう 1・俺に飼われる だが、今までと違って手加減はしないが 2・野良になる 生まれたときから飼いゆっくりのお前には厳しいだろうが 3・感想になる 少し前は串刺し方式だったんだが、今は轢き潰すらしいぞ さあ、選べ」 「ゆうぅぅぅぅ!!!れいむは!!れいむばあああああ!!!」 「へっ・・・へあっ・・・・・・」 「「ベークショイ!!」を”え”ら”ふ”よ”!!!!」 「ゆ?」「え?」 おしまい かなりの実験作・・・・・ いや、本当にすみませんでしたとしか 今回登場した海賊団は、一応『末っ子れいむの帰還』の子供に当たる世代です どこまでも設定使わせてもらいました はてさて、難航しているようですがコンペはどうなることやら ついでに、この作品のおまけを書こうかなとか思ってます 零武VS武裏馬裏鎖・・・・・・ 過去作 『ふたば系ゆっくりいじめ 300 顔面胡椒』 『ふたば系ゆっくりいじめ 302 壊れてしまったドスまりさの話』 『ふたば系ゆっくりいじめ 308 ユックリンの笛吹き』 『ふたば系ゆっくりいじめ 320 一般道とロードローラー』 『ふたば系ゆっくりいじめ 328 コンポストの中のゆん生』 『ふたば系ゆっくりいじめ 346 2200円れいむ(前編)』 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 元飼い主のお兄さんは、何故れいむを飼っていたのかわからないくらいれいむに思い入れ無いな。 前提条件の崩れた作品はツマンナイ。 所々のアイディアは面白いのに。 -- 2018-02-01 15 31 43 選択死wwwwww -- 2012-08-16 18 48 14 holy shitwwwwwwwwww -- 2012-08-16 18 46 55 ヒャッハーさいっこーのSSさんだぜぇ!!もっとSSさんかいてね!! -- 2012-06-19 21 35 23 最後www -- 2011-08-17 21 23 38 オチワロタwwwww -- 2010-09-16 10 10 20
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・39℃の熱で書き上げるって新鮮だね。 ・ドスまりさは漢字を使えるという設定 ・元ネタはSTALKER shadow of chernobyl」というゲームの作中に登場する「Brain boil(brain scorcher?)」というもの。 ・「やる夫ブイリ」という分かり易い、やる夫SSがあるのでそちらをご覧になるとニヤッとできるかもしれない。 ・舞台は下記のような正方形の不自然な森で、正方形より外は住宅街という事を了承してほしい。 ? ← __ 住宅 | | 住宅 住宅 | | 住宅  ̄ ̄ 住宅 「ゆゆ!きょうもかりにいってくるよ!れいむはおちびちゃんたちをよろしくね!」 「ゆっくりわかったよ!いってらっしゃいまりさ!きをつけてね!」 「「ゆっくりいってらっしゃい!おとーさん!」」 まりさは森の木の根元に穴を掘って棲んでいる。この森にはドスまりさ率いる群れが存在しており、まりさもその一員である。 まりさには番のれいむと、子まりさ、子れいむという家族を抱えている。一家を養う為に狩りに行くが、全てを一家の為に納める訳ではない。 ドスまりさがやってきたのは、ゆっくり自身が大昔としか認識できない2ヶ月前のことである。 どこから来たのかはさっぱり分からなかったが、ドスまりさはその力と知識を用いて群れを徐々にまとめ上げていった。 ドスまりさは弱者救済、群れの存続の為に狩りをして得た食料の内の2割程度をドスまりさに上納する制度を作り上げた。 最初の内は反発も大きかったが、これが狩りができなくなったゆっくりや病弱なぱちゅりー、シングルマザーを救う為の保険制度と知るとゆっくり達は納得した。 その内、いわゆるでいぶと呼ばれる存在が出てきた。 「れいむはしんぐるまざーなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!かわいそうなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! だからごはんさんもらってとうぜんでしょおおおおおおおおおおおお!!!はたらかなくてとうぜんでしょおおおおおおおおおおおおお!!!!」 ドスまりさはこれを不正受給と見なして、群れから追放する処分を下した。 「ゆぅ…残念だけどれいむはゲスだよ。自分さえ良ければ他のゆっくりがゆっくりできなくても構わないと思うクズだよ。 そんなれいむはゆっくりしないで早く出て行ってね。群れから追放だよ。これはドスの命令だからね。」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!? でいぶはじんぐるまざーさんなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!いじわるしちゃだめでじょおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「わかるよー、れいむはこどもをたてにすきほうだいやるげすなんだねー」 「まったくいなかもののれいむね…はじをしるべきだわ!」 「ゆぅ…れいむはあんなげすになりたくないよ…」 「それ以前に赤ちゃん達は何処にいるの?ドスはれいむの赤ちゃんを見かけたことが無いよ。凄く変な事だよ。」 「どぼぢでみんなじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!? ゆっぐじじないでぜんいんじねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」 激昂したれいむがありすに向かって、その大きい図体で体当たりをする。 「ゆああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 「ゆべぼっ!!…い、いだいいいいいいいいいいいい…とかいはじゃないわああああああああああああああああああああああ!!!」 「ゆっ!ゆっくりを殺そうとするれいむを追放するのは止めたよ!」 「ゆゆ!さすがどすだね!れいむがかわいそうなしんぐるまざーなのをようやくりかいしたんだね!じゃあごはんとあまあまちょうだいね!たくさんでいいよ!ゆっへん!」 「わからないよー!どうしてついほうしないのー!?」 「どす!ありすにひどいことをしたんだよ!れいむはれいむのことをゆるせないよ!」 「いだだ…どすはどうしてあんないなかもののかたをもつのよおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「みんな、ゆっくり落ち着いてね。れいむの追放処分は撤回するよ。代わりに死刑にするよ。」 「ゆ゙っ!?」 「「「ゆっ!!!」」」 「ど、どぼぢででいぶがじななぐぢゃいげないのおおおおおおおおおおおおおおおおお!?でいぶはがわいぞうなじんぐるまざ「今更遅いよ。れいむに子供がいないのはもう分かってるんだよ。」」 ドスまりさは2mはある巨体で、でいぶにのし掛かり潰した。 「ゆぶべっ!!!……」 「ゆふぅ…ゲスが死んでよかったよ。あのご飯さんは動けないゆっくり達を養うためなんだよ。ズルい事したらドスは容赦しないよ。皆はゆっくり理解してね。」 「「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」」 「どすはやっぱりとかいはだわぁ~!」 「わかるよー!げすをせいさいしたどすはいだいなんだよー!」 「れいむはどすみたいなゆっくりとけっこんしたいよ!」 「ゆふふ…て、照れるからやめてねみんな…」 結局、でいぶに子供はいなかった。正確にはいたが、まともに世話をしなかった為に黒ずんで死んでいた。死体はれいむの巣の奥にあったが、行方不明となった番のまりさの死体も発見された。 ドスまりさははゲスを制裁してまわった。その殆どが群れから離れる事を拒む為に、主に潰し殺していた。それからは平穏が続いた。 そして現在。 「ゆ!ちょうちょさんまってね!…がーじがーじ…ゆっくりげっとだよ!ごちそうだよ!」 冒頭のまりさは森の中で狩りを続けていた。 「ゆゆ!きのみさんもげっとだよ!おはなさんもげっとだよ!いもむしさんも!…ゆぅ…でもすくないよ…」 ドスまりさの群れは森で暮らす内に、草花や虫を乱獲したことによって食糧難に陥っていた。 『草花は勝手に生えてきて、虫はどこからかゆっくり達に食べられに来るもの。』と考えていた事が原因だった。残念な事にドスまりさも、その考えを持っていた。 まりさはしばらく森を走りまわったが、木の実や花も虫もあまり捕れなかった。しかも、その内の2割をドスまりさに上納しなくてはいけない。 そうなると家族を養うにはかなり苦しくなる。しかし、ドスが作った制度は絶対で収穫物を誤魔化せば、いつか必ずバレて制裁を受ける事になる。 それは実にゆっくりしていないし、まりさ自身もこの群れの一員である事を誇りに思っていた。だから破る訳にはいかない。それは他のゆっくり達も同じである。 「ゆぅ…どすにそうだんしないといけないよ…」 狩りを終えたまりさは、ドスまりさの元へと向かった。上納ついでに収穫物が著しく減少していることを相談するつもりなのだ。 まりさは『ゆっ!ゆっ!』と間抜けな掛け声を出しながら跳ねた。そしてドスまりさがいる丸太を積み上げた、小屋のような巣に到着する。 この小屋はドスまりさが、自身の大きな体と舌で自作した巣である。ドスが棲むに最適でないこの森に来た理由も分からなかった。 何故ドスまりさがこの森に棲む事にしたのか、まりさは食糧事情の相談ついでに尋ねてみることにした。 「ゆっ!ゆっ!…どす!しょくりょうをおさめにきたよ!」 「ゆ!いつもありがとう!まりさのお陰で群れのみんながゆっくりできるよ!」 「ゆぅ…そのことについておはなしがあるんだけど…」 「何?どんなお話か聞かせてね。」 「ゆぅ…むしさんがさいきんになってぜんぜんとれなくなったよ…おはなさんもきのみさんもまえよりすっごくすくなくなっちゃったよ…」 「ゆ…続けてね…」 「ごはんさんがへったらゆっくりできなくなっちゃうよ…れいむもおちびちゃんもなにもいわないけど、まえよりすごくやせたきがするよ… おちびちゃんもぜんぜんおおきくならなくなってきたし…このままじゃえいえんにゆっくりしちゃうことになるよ…」 「…よく理解できるよ。実はちぇんもありす達からも同じ事を言われたよ。ドスはそれについて今考えてるよ。少し待って欲しいよ…」 「ゆっくりりかいしたよ…ところで、どすはどうしてここにきたの?みんなふしぎがってるよ?」 「それは…実はドスもよく分からないんだよ。前も森に棲んでいたんだけど、ある日人間さん達がやってきてドスに何かしたよ。 ドスは段々眠くなってきて、気付いたらこの森にいたんだよ。それで何となくこの森でゆっくりしていこうって思ったんだよ。 どうしてドスがここに来たのか、それはドス自身もよく分かってないんだよ。きっと運命なのかもね。」 「うんめい?うんめいってなあに?」 「ゆーん…説明が難しいけど、決められたものってことかな。ドスがここに来るのは最初から決まってたってことだよ。」 「ゆゆ!ろまんてぃっくさんだね!」 「そうだね!とってもロマンティックさんだね!」 「「ゆはは!」」 ドスまりさとまりさが笑っていると、そこにれいむが走ってやってきた。 「ゆぅぅぅぅぅ!どすぅぅぅぅ!!きいてきいてええええええええ!!!」 「ゆゆ!?どうしたのれいむ!?」 「れいむ!ゆっくり落ち着いて話してね!」 「ゆはぁ…ゆはぁ…ご、ごはんさんがぜんぜんないんだよ!ぱちゅりーたちも、けがしたみょんもごはんなくてとってもよわってるよ!」 「ゆ…みんなのご飯さんが少ないから、動けないゆっくりとかのご飯はますます少なくなっちゃってるんだね…」 「どすうううううううううううううううう!!なんとかしてよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!このままぱちゅりーたちがしんじゃうなんていやだよおおおおおおおおお!!!」 「ゆゆ!どす!まりさからもおねがいだよ!どうにかしてごはんさんふやさないと、まりさたちもよわっちゃうよ!まりさたちまでうごけなくなったら、むれのみんながしんじゃうよ!」 「ゆーん…ゆーん…ドスはもう少し時間が欲しいよ。明日の朝までに考えておくから、二人とも待っててね!必ず答えを出すよ!」 「「…ゆっくりりかいしたよ!」」 ドスまりさは眉間に皺を寄せながら、ずっと『ゆーん』と唸っていた。まりさとれいむはそれぞれの巣へと戻っていった。 「…ゆっくりただいまだよ!」 「おかえりなさいまりさ!」 「「おかえりなさいおとーさん!」」 「きょうはちょうちょさんときのみさんと、おはなさんだよ!ゆっくりたべてね!」 「ゆ!きょうはごちそうだね!おちびちゃんたちはおとーさんに、ゆっくりおれいをいおうね!」 「「ゆっくりありがとうおとーさん!!」」 「ゆふふ…じゃあ、ゆっくりいただきますをしようね!」 「「「「ゆっくりいただきます!!」」」」 「むーしゃむーしゃ…しあわせー!…おちびちゃんはちょうちょさんをもっとたべてね!」 「むーしゃむーしゃ…しあわせー!ゆ…でもおとーさんががんばってとってきたんだよ…れいむはおはなさんだけでもゆっくりできるよ?」 「むーしゃむーしゃ…しあわせー!まりさもきのみさんでゆっくりできるよ!おとーさんはちょうちょさんたべてゆっくりしてね!」 「むーしゃむーしゃ…しあわせー!…おとーさんがそういってるんだから、おちびちゃんたちはえんりょしないでたべてね!」 「「ゆ…でも…」」 「おちびちゃんたちよくきいてね!おとーさんもおかあさんも、おちびちゃんたちにはゆっくりおおきくそだってほしいんだよ! おちびちゃんたちがゆっくりしてると、おとーさんもおかあさんもとてもゆっくりできるんだよ!だからえんりょしないでたべてね!」 「まりさ…おとーさんのいうとおりだよ!おちびちゃんたちはえんりょしないでたべてね!」 「ゆ……ありがとうおとーさんおかあさん…ゆっくりむーしゃむーしゃするよ…」 「ゆ!まりさおおきくなったら、おとーさんみたいにかりのめいじんになるよ!そしたらおとーさんとおかあさんをいっぱい、おなかいっぱいにさせてあげるよ!」 「ゆっくりきたいしてるよ!だからえんりょしないでたべてね!」 「「ゆっくりいただきます!むーしゃむーしゃ…し、しあわせー!!!」」 「「「「ゆっくりごちそうさまでした!!!」 「ゆゆ…まりさこっちにきてね!」 一家が少ない食事を終えると、れいむがまりさを外へと引き連れて何やら話し始める。 「ゆ?どうしたのれいむ?」 「ゆぅ…さいきんごはんさんがすくないよ…れいむはかりをしないからわからないけど、なにかあったの?」 「ゆ…さいきんになってごはんさんとれなくなっちゃったんだよ…でもどすにそうだんしたからだいじょうぶだよ!」 「どすはなんていってたの?」 「まだかんがえてるさいちゅうだけど、あしたのあさにどうするかこたえをだすっていってたよ!」 「ゆ…ほんとうにだいじょうぶかな…れいむなんだかしんぱいだよ…」 「どすがついてるんだからだいじょうぶだよ!…それにどすのかんがえをきかないうちは、まりさたちじゃどうしようもないよ…」 「たしかにそうだね…じゃあゆっくりあしたまでまつよ…」 「ごめんね…まりさがもっとしっかりしてればよかったんだけど…」 「ううん、まりさのせいじゃないよ。れいむよくわかってるよ。これはしかたないことなんだよきっと。」 まりさとれいむは今後に不安を抱きつつ、ドスまりさの答えを聞く翌日の朝を迎えた。 「ゆゆ!じゃあいってくるよ!」 「いってらっしゃいまりさ!」 「「いってらっしゃいおとーさん!」」 家族に見送られながら、まりさはドスまりさの巣へと『ゆっ!ゆっ!』と跳ねていった。既に巣の周りには多数のゆっくりが居て、何やら騒がしい。 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!…なんだかきょうはゆっくりがいっぱいだね…」 「ゆゆ!まりさおはよう!」 「おはようれいむ。きょうはなんだかゆっくりがいっぱいだね。」 「どすがごはんさんがへっちゃったもんだいにこたえをだすっていったのが、みんなにもれたらしいよ。」 「もうどすはこたえをだしたの?」 「ううん、これからだよ。」 まりさとれいむが喧騒をBGMにやり取りしていると、ドスまりさが巣からついに出てきた。ガヤガヤと騒ぐゆっくり達を一蹴する。 「みんなゆっくり聞いてね!ご飯さんが少なくなってる問題をどうにかする為にドスは沢山考えたよ!」 「わからないよー!はやくおしえてよー!」 「はやくいうみょん!もうせっぱつまってるみょん!」 「むきゅぅ…ぱちゅはおなかすきすぎてしにそうよ…はやくかいけつしてちょうだい…げほっげほっ…」 「はやくするんだぜ!まりささまはなんでもしてやるのぜ!えんりょしないでいうのぜ!」 「みんな落ち着いてね!この森のご飯さんは…もう殆ど無いよ!」 「そんなのしってるみょん!」 「ゆっがああああああああああああああ!!まりさはむれのやくにたちたいのぜ!どうすればいいのかはやくいうのぜ!」 「お願いだからゆっくり落ち着いてね!ドスは問題解決の為に、森の外に出て食料を調達してくることを決めたよ!」 「ゆゆ!?」 「も、もりのそと!?」 「もりからでたことなんていちどもないみょん…みんなもでたことないみょん…」 「ま、まりささまはべつにこわくないのぜ!」 「みんな森の外に出た事がないのは知ってるよ!怖いのも分かるよ!でも外に出てご飯さんを掻き集めなくちゃ、みんな死んじゃうよ!」 ドスまりさの言葉に、ゆっくり達の喧騒は再度止んだ。ドスまりさが言葉を続ける。 「ドスは…この群れから離れる訳にはいかないよ!ドスがいなくなったら群れは崩壊しちゃうよ…とても危険だけど、誰か外に行って食料を調達して欲しいよ…」 「ゆ…でも…ゆ…わかったみょん!みょんがいくみょん!」 「あ、ありすもいってあげてもいいわよ!べつにむれのためじゃないからね!」 「ゆっへっへ!まりささまにかかればごはんさんなんて、あっというまにあつまるのぜ!まかせるのぜ!」 「わかるよー!ちぇんもいくよ!ぱちゅりーたちをたすけたいよ!」 「むきょぉ…ありがとう…みんな…」 勇敢な者が何匹か現れ、森の外に出ると言った。まりさは少し考えてから言った。 「ゆぅ…まりさは…まりさは…まりさもいくよ!れいむをゆっくりさせたいよ!おちびちゃんたちもゆっくりさせたいよ!みんなよろしくね!」 「ゆっへっへ!よろしくなのぜまりさ!」 「ありすとゆっくりごはんさんあつめましょうね!よろしくね!」 「よろしくだみょーん!」 「わかるよー!かぞくあいなんだよー!よろしくねー!」 「ゆっ!取りあえずこれで十分だと思うよ!みんなはバラバラにならないよう、ゆっくり気を付けて行ってね!危ないと思ったらすぐに戻ってきてね!」 「「「「「ゆっくりりかいしたよ(みょん)!」」」」」 「むきゅぅ…みんな…みんなほんとにありたいわ…ゆぐっ…ゆぐっ…」 「わからないよー、ぱちゅりーなかないでねー」 「ちぇんはいなかものね…うれしなきしてるのよ…そっとしておいてあげるのがとかいはよ!」 「わかるよー、ちょっとしんぱいになっちゃったんだよー」 結局、群れの大半は沈黙したまま残った。未知に対する恐怖からである。 しかし、恐怖に打ち勝ち5匹のゆっくりが名乗りを挙げた。内訳はみょん、ありす、だぜまりさ、ちぇん、まりさである。 5匹が外に出るべく、森の中を跳ねてまわりあと少しで森から出られる部分に辿り着いた。 「ゆはぁ…ゆはぁ…ちょ、ちょっときゅうけいするみょん…」 「そ、そうね…さすがにあるきすぎたわ…」 「わ、わかるよー…そ、そとはとおいんだね…」 「ゆへぇ…ゆへぇ…まりささまもきゅうけいするのぜ…」 「ゆふぅ…そうだね…ここまでとおいとつかれるね…」 ゆっくり達は呼吸を荒くし、砂糖水の汗を流している。ここでありすが何か異常を訴えた。 「ゆぅ?ゆぐぐ…な、なんだかあたまがいたくなってきたわ…ゆぎぎ…」 「だいじょうぶかみょん?きっとつかれちゃった…ゆぐっ!?…な、なんだみょん!?みょんのあたまもいたくなってきたみょん!」 「わぎゃぎゃ!…ちぇ、ちぇんもいたくなってきたよー…いたいよー…」 「ゆぎぎ…まりささまもなんだかいたくなってきたのぜ…がまんできるけどいたいのぜ…」 「まりさもなんだかくらくらしてきたよ…ねむねむのときみたいだよ…」 皆が頭痛に苛まれていると、最初に頭痛を訴えたありすが突然叫び始めた。 「ゆぎぎ…ゆゆ!?れ、れみりゃだあああああああああああああああああああああああああ!!!」 「れみりゃいやだみょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」 「わがらないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!れびりゃどごおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「お、おちつくんだぜ!れれ、れ、れみりゃなんてままま、まりささまがやっつけてややや、やるのぜ…!」 「れ、れみりゃああああああああああああああああああああ!?…ゆ!?み、みんなゆっくりおちついてね!れみりゃなんてどこにもいないよ!」 まりさが指摘すると、皆は辺り一面を見回した。 「…ゆゆ?ど、どうしてれみりゃいないのよ…」 「みょ、みょーん!へんなじょうだんはやめるみょん!びっくりしたみょん!」 「わかるよー!ちぇんはすごくこわかったんだよー!」 「ゆふぅ…まりささまにかかればれみりゃなんていちころなんだぜ!いてもいなくてもかわらないのぜ!」 「…ありすどうしちゃったの?つかれちゃったの?」 「ち、ちがうわよ!…ほんとうにいたのよ…おかしいわ…」 「おかしいのはありすだみょん!」 「ゆがーん!…そ、そんなあああああああああああああああ!!」 「わからないよー!ふたりともやめてねー!」 れみりゃの件で揉め始めたありすとみょんを、ちぇんが止めに掛かった。二匹の仲裁をしていると、ちぇんが突如苦しみ始めた。 「わかるよー、ふたりともおとなげない…わぎゃぎ!?わぎゃ!わぎゃぎゃ!!」 「ちぇ、ちぇん!?ど、どうしたのよおおおおおおおおおおおおお!!?」 「ちぇええええええええええん!ゆっくりするんだみょん!」 「わぎゃ!わぎゃぎゃあああああああああああああああああああああ!!…わぎゃ…わ…」 「ど、どうしたのぜ!?」 「ちぇんになにがおきたの!?まりさしんぱいだよ!」 「……」 「へ、へんなじょうだんはやめなさいよ!とかいはじゃないわ!」 「……」 「ちぇんおきるんだみょん!よだれもふくんだみょん!…ちぇえええええええええん!!」 「……」 「あ、ありすがわるかったわよ!だからおきてちょうだい!…おねがいだがらおぎでえええええええええええええええええええええええええええええ!!」 「ちぇんおきるんだみょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!」 「どうしたのぜええええええええええええええ!!ちぇんおきるのぜえええええええええええええええ!!」 「ゆわわ…ゆわ…ちぇ、ちぇんどうしたの…おねがいだからおきようよ…ありすもあやまってるよ…みんなしんぱいしてるよ…」 「…」 ちぇんは白目を剥き、舌をダランと口から涎と共に出して死んでいた。ありす達は薄々ながら死んでいる事を理解していたが、完全に受け入れようとまではしなかった。 ちぇん以外のゆっくり達が慌てていると、ちぇんはブルブルと震えだし言葉を発した。 「ワギャグ…ユグリ…」 「ちぇ、ちぇん!?よかったわあああああああああああああああ!!ありすがわるかったからもうあんなじょうだんはやめてねええええええええええええ!!!」 「しんぱいしたみょん!おどろかさないでほしいみょん」 「じょ、じょうだんなのはまりささまはさいしょからしってたのぜ!のっかってやっただけなのぜ!」 「ゆふぅ…ちぇんがなにもなくてよかったよ…」 「ユグリ……ユヒャヒャヒャヒャ!!ユグリ~~~!!!」 「ちぇんどこいくみょん!」 「なんだかちぇんのようすがおかしかったよ…」 「きっとおじけづいたのぜ…?」 「…ありすはなにかちがうきがするわ…」 「ちぇんはいなくなったけど、まりささまたちはすすまなきゃいけないのぜ!すすむのぜ!」 ちぇんは不気味な笑い声を出しながら、森へと戻っていった。 まりさ達は後を追う事をせずに、そのまま外を目指して歩みを再開した。食糧事情を解決する為に…全ては群れの為である。 4匹はちぇんを追う事もなくひたすら進み、ついに外へと到着する事が出来た。4匹は住宅街を目の前に、道路の上で驚いていた。 「ゆわああああああああああ!!そとのせかいがこんなにとかいはだなんてありすしらなかったわああああ!」 「すごいんだみょん…もりがごみみたいにみえてくるみょん…」 「すごいのぜ…そとがこんなにひろいだなんて…おもってもみなかったのぜ…」 「…なんだかまりさたちがちっぽけにおもえてきたよ…」 道路に立ち尽くしていると、だぜまりさが苦しみ始めた。 「ゆぎぎぎゃあああああああああ!!?な、なんなのぜ!?あ、あんこさんがかきまわされるような…のぜえええええええええええええええええええ!?」 「ど、どうしたのよまりさ!?とかいはじゃないわ!ゆっくりして…ゆっく…ぎぎゃああああああああああああああああああああああああ!!」 「みょおおおおおん!?ふたりともどうしみょぎゅぎゃあああああああああああああああああああああ!!!」 「ど、どうしたの!?み、みんなおちついて!ま、まりさどうすればいいの…どうすればいいのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」 「ゆぎぎゃああああああああああああああああああ!!………ぐぎ…ユグヒヒヒヒ…ユグリ!ユッグ!ユヒヒヒヒヒ!」 「お、おねがいだからまりさどうすればいいのかおしえてね…まりさ…まりさ…どうすれば……あたま…ふらふら…ねむ………」 ありすが涎と舌を垂らし、目を有り得ない方向にギョロギョロと動かしながら森へと戻っていった。 まりさは意識が薄れゆくなかで、皆が苦しむその光景と音を黙って聞いているしかできなかった。 「ユハハハハハハハ!!ユグーリ!ユグリィ!!ユヘヘヘヘヘヘ!!ユッヘー!」 「ぎぎぎ………グヒャヒャヒャヒャヒャ!!グヒャ!グヒャヒャ!ユッグヒ!ユッグヒィ!」 「(みんな…どうしちゃったの…まりさもなんかへんだよ…もう…もう…おきてられ…な…い…)」 だぜまりさとみょんが、ありすと同じように涎と舌を垂らし、目をチグハグに動かしながら森へと帰っていくのをまりさはじっと見ていた。 まりさの意識はそこで途絶えた。まりさが意識を取り戻すと、辺りにみょん達はおらず。いつの間にか夜になっていた。 「ゆぅ…よくねたよ……ゆ!?み、みんな!?ど、どこいっちゃったの!?…ゆゆ!?も、もりにもどっちゃったの!?」 まりさは原因不明の強い不安を、焦燥感を感じた。このまま外に行くべきか森に戻るべきかと、まりさは悩んだ。 「どうすればいいの…まりさは…まりさは……」 『危ないと思ったらすぐに戻ってきてね!』 ドスまりさの言葉を思い出し、まりさは森に戻る事を決断する。 「まりさは…まりさは…まりさはもりにもどるよ!」 森へと戻る為、まりさはひたすら跳ねた。森の入口から少し過ぎた辺りで悲鳴が聞こえた。 「ゆんやあああああああああああああああああああああああ!!たちゅけちぇええええええええええええええええええええええええ!!」 「ユグーリ!ユグーリ!ユヒャヒャ!」 「あ、あれは…みょんと…あかちゃんまりさ?」 「たちゅけちぇええええええええええええええええええ!!だれきゃああああああああああああああああ!!」 「ユグリイイイイイイイイイイイ!!イヒヒハハハハハハハ!!ガージガージ!グーシャグーシャ!」 「いちゃいいいいいいいいいいいいいいいいい!!やめちぇええええええええええええええええ!!おきゃあしゃんたべにゃいぢぇええええええええええええええ!!!」 「ガージガージ!グーチャグーチャ!!」 「ゆぎいいいいいいいいいいいい!!…ゆっ…ゆっ…どうちちぇ…こんにゃひぢょいこちょ…しゅるにょ…おきゃあ…しゃん…ゅ…」 「ユヒ…ユヒヒハハハハハハハハハハ!!!!ユッグー!ユッグイー!」 「ど、どうなってるの…?なにがおこってるの…?」 まりさ達と道を共にしたのとは別のみょんが、赤まりさを食い殺したのだ。 頭皮を食い剥がし、歯をノコギリのように横に滑らせながら背中を切断し、後は手当たり次第に赤まりさを噛み千切った。 しかも話しを聞いている限り親子の様だ。結局、みょんはまりさに気付く事もなく森の何処かへと消え去っていった。 「どうして……ゆゆ!?れ、れいむたちがしんぱいだよ!ゆっくりしないでいそぐよ!」 まりさは家族が待っているであろう巣へと跳ね出した。『ゆっ!ゆっ!』と間抜けな声も、この時ばかりは焦りの声にしか聞こえない。 まりさは家族達の待つ、巣の前まで来て呆然とした。枝葉を集めた結界と呼ばれる偽装が破壊されていたのだ。まりさは慌てて巣の中に駆け込む。 「れいむううううううううううううううう!!れいむううううううううううううううううううううう!!」 「ゆゆ!まりさあああああああああああああああああ!!!」 「「おとーさあああああああああああああん!!」」 「れいむぅ…ぶじでよかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「まりさがぶじでよかったあああああああああああああああああああああ!!」 「「おとーさんこわかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「まりさどこいってたのおおおおお…れいむたちしんぱいしたんだよおおおおおおおおおおおおおお!!」 「ゆ!ごめんね!おそとにごはんさんあつめにいってたんだよ!れいむにいうのうっかりわすれてたよ…」 「そういうことははやくいってほしかったよ…れいむとってもしんぱいしたんだよ…」 「ゆっくりごめんね…ところでれいむ!なにがあったの!?けっかいさんがこわされてるよ!なんだかもりのようすがおかしいよ!」 「わからないよ…ちぇんがいきなりけっかいさんをこわしたんだよ…ようすもおかしかったよ…よだれもだらだらしてて、いえのなかにはいろうとしたんだよ!」 「だ、だいじょうぶだったの!?」 「だいじょうぶだったけど…ちかくをとおったぱちゅりーにちぇんがかみついたんだよ…れいむはおちびちゃんたちとしずかにおうちさんにいたら、ちぇんはどこかにいっちゃったよ…」 「ぱ、ぱちゅりーはどうしたの!?」 「…しんでたよ…くりーむさんがいっぱいちらばってたよ…」 「そ、そんな…」 「まりさ!れいむたちこれからどうすればいいの!?」 「ゆぅ……そうだ!どすのところにいってみるよ!きっとどすがなんとかしてくれるよ!」 「で、でもおちびちゃんたちをつれてそとをあるけないよ…」 「おとーさん、まりさおそとでるの?」 「やだ…やだよ…れいむおそとでたくないよ…おかーさんといっしょにいたいよ…こわいよ…」 「ゆ…じゃあれいむたちはここにかくれててね!どすのところにはまりさだけでいってくるよ!」 「そんなことより、まりさはれいむたちといっしょにかくれようよ…おそとはあぶないよ…」 「だめだよ…このことを、どすにつたえないと…だめだよ…」 「…ゆっくりりかいしたよ…れいむたちはここでまってるよ…だから…だからかならずむかえにきてね!」 「「れいむ(まりさ)たち、おとーさんのことまってるよ!」」 「…ゆ!それじゃあいってくるよ!」 「「「…ゆっくりいってらっしゃい!!!」」」 まりさは巣に家族を残して、ドスの元へと跳ねていった。向かう途中に家族とは別のれいむと出会った。目をチグハグに動かし、舌と涎を垂らしている…あれと同じだった。 「ユグリィ!ユグリィ!」 「れ、れいむ?ゆ、ゆっくりこんばんわ…ま、まりさはいまどすのところにいくとちゅうだから…ま、またこんどね!」 「ユグリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」 「ゆああああああああああああああああああ!!やめてええええええええええええええ!!おっかけないでええええええええええええええええええ!!!」 下手な言い訳が通じる訳もなく、れいむはまりさに突進してきた。まりさはそれから逃れるようにして、ドスまりさの元へと跳ねていく。 ドスまりさの巣へと到着して異様な光景を、まりさは目の当たりにした。ドスまりさが所々から餡子を漏らしつつ、向かってくるゆっくりを踏み潰してまわってるのだ。 「ど、どうなってるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「ユグリイイイイイイイイイイイ!ユグリヒャヒャヒャヒャ!!!」 「死ねええええええええええええ!!ゆっくりしないで死ねえええええええええええええええええ!!!」 「ち、ちがううううううううううううううう!まりさはまりさだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 ドスまりさが、まりさに向かって突進してきたのだ。そして飛び跳ねた。まりさはそこで目を瞑り、自らの死を覚悟して家族に戻れないことを心の中で詫びた。 グシャッという音が辺りに響いた。まりさは自らを死んだと思いつつ、うっすらと目を開けた。そこにはドスまりさによって潰されたゆっくり達がいた。背後からドスまりさに声を掛けられる。 「まりさ!まりさはまりさなの!?本当にまりさなの!?」 「ゆ…ゆううううううううう!?ま、まりさいきてるうううううううううううう!…ゆゆ!まりさはまりさだよ!いったいどうなってるの!?」 「分からないよ…外に行ったありすとみょんとまりさが帰ってきたんだけど、様子が変で気がついたら他のゆっくりに噛みついて殺してたよ…」 「ど、どうしてそんなことに!?ほ、ほかのゆっくりは!?」 「どずうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!」 「あ、ありす!!」 「ありす落ち着いてね!ゆっくりしてね!」 どうしてとドスまりさに尋ねたとき、酷く慌てたありすがやってきた。このありすは探索隊とは別のありすである。 「ゆはぁ!ゆはぁ!…もりが、もりがこんなになってるから、ありすはぱちゅりーとそとににげようとしたの! そしたら…さきにそとにいってたれいむたちが…ぱちゅりーを…ゆぐっ…ゆんやああああああああああああああああああああああああ!!!」 「お、おちついてね…ありす!」 「外に…外に何かあるんだよ…きっと…確かめなくちゃ…」 「どす!?そ、そとはあぶないよ!ちぇんもみょんも、まりさもありすもみんなおかしくなっちゃったよ!」 「それでも…ドスはドスとしての責任を取るために確かめなくちゃいけない気がするよ…」 ありすが泣き喚いている裏で、まりさとドスまりさが会話をしていた。その時に何処からか別の『声』が聞こえてきた。 『我が元へ来い。お前の望みは分かっている。』 「ゆ!?な、なにこれ…あたまのなかからきこえるよ…」 「…ドスも聞こえたよ…行かなくちゃ……ドスは何処に行くべきか…なんとなく分かるよ…」 「…まりさもいくよ!どすひとりにあぶないことはさせないよ!けがもいっぱいしてるし!」 「危ないからダメだよ!ドスはドス一人で行くよ!」 「だったらなおさらひとりでいかすことなんてできないよ!まりさはれいむとおちびちゃんたちと、やくそくしたんだよ!ぜったいにかえってくるって!」 「…それじゃあ残るべきでしょ!」 「できないよ!てぶらでかえってくるなんてできないよ!まりさはかりのめいじんなんだよ!みんながおかしくなったげんいんを、とめてからじゃないとかえれないよ!!」 「…ゆ………分かったよ…まりさはドスの帽子に乗ってね。」 「ど、どこいくの!?あ、ありすはいやよ!どこにもいかないわ!おそとはあぶないってさっきいったでしょお!くるっちゃうのよ!!」 「それでもドスは行くよ。ありすはドスのお家さんに隠れててね…必ずドスが迎えに行くから…」 「まりさもいっしょにむかえにいくよ…だからまっててね…」 「ゆぐううううううううううううう…ぜったいきてちょうだいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!やくそくよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 『我が元へ来るのだ。お前の望みを叶えよう。我が元へ来い。』 「ゆ…どす!しゅっぱつだよ!」 「分かってるよ!しっかり掴まっててね!」 ドスまりさは大きく跳ねて地面を揺らしながら、南へと向かった。なぜ南なのかはドスまりさにも、まりさにも分からなかった。 やがて森を抜けて道路に出ると目の前に4階建てはあるだろう、屋上に大きなスピーカー、1階部分に大きなシャッターの付いた建物が目に付いた。 「…まりさ、外に出たゆっくりは皆おかしくなったんだよね?」 「ちぇんもありすもそうだったし…さっきのありすもそういってたよ…」 「今気付いたんだけど、どうしてドスとまりさだけは何ともないの?」 「…ゆ!?……どうしてだろう…ぜんぜんわからないよ…」 『我が元へ来い。お前の望みはもう少しで叶うぞ。』 シャッターが開き、導かれるようにしてドスまりさと帽子の上のまりさは中へと入っていった。中の床一帯が、大型リフトで出来ている。 リフトはそのままドスまりさ達を載せて上へと動き出した。リフトの駆動音が辺りに響く。 「ゆゆ!?なにこれ?おそらとんでるみたい!」 「…なんだかゆっくり出来ない気がしてきたよ…まりさは気を付けてね…」 「ゆ…ゆっくりりかいしたよ…」 リフトが『3F』と大きく刻印された鋼鉄の扉の前で止まった。何かのロックが外れるように、扉は引き戸のように開いていった。 ドスまりさは意を決して入り込む。その際、まりさもドスまりさの帽子からようやく降りる。二匹は開いた扉に吸い寄せられるようにして部屋に入っていった。 部屋の中には白髪の白衣を着た初老の男が、だだっ広い部屋にポツンと居た。男は口を開き、息を吸い込み言葉を発した。 「ようこそ、ゆれいん・ボイルへ。」 「…おじさんはにんげんさん…だよね?」 「おや、どうしてまりさがここに居るのかな?」 「そんな事はどうでもいいよ!おじさん何か知ってるでしょ!」 「何か…というよりは、全てを知っているぞ。」 「おしえてね!まりさしりたいよ!」 「それはまりさ君が使う言葉じゃないよ。」 「ゆ…」 「じゃあドスが代わりに質問するよ!おじさんはどうして外に出たゆっくりが、みんなおかしくなったか知ってるね!」 「ああ、知っているよ。」 「どうしておかしくなったか、ちゃんと答えてね!」 「ドスまりさ君、それは君の群れが外に出ようとしたからだ。」 「それじゃ答えになってないでしょ!ちゃんと答えてね!群れが大変な事になってるんだよ!」 「…ゆれいん・ボイルというのを知っているか?」 「ゆれいん…何のことだかさっぱりだよ!」 「ゆれいん・ボイルとはゆっくりの精神を汚染し、狂気に駆り立てる音波発出装置の事だ。機械の中に47匹分のドスの中枢餡が詰まっている。」 「「ゆ゙っ!?」」 「ど、どうしてそんな物があるの!?」 「我々が研究に研究を重ねて開発したんだ。ゆくゆくは、ゆっくりが民家に不法侵入しないように調整を加える。ゆっくり避けといった物に利用するつもりだ。」 「どうして…どぼぢでごんなひどいごどずるのお…」 「君達はすぐそれを言う。何か不都合があると、どうして酷い事をするんだと憤怒する。私はそれが大嫌いだ。 …ゆれいん・ボイルに当てられたゆっくりには、キラーマシーンとなってもらいイナゴのようなゆっくりの群れを殺戮する。 なぜならば食糧難に陥るような群れは、最早群れとして機能していないも同然だからだ。その群れは他所に移れば、同じようにして食料を食い荒らすだろう。 それを阻止する為の、群れを壊滅させる為のゆれいん・ボイルだ。イナゴのように荒らして回るゆっくりは、この世界には不要だ。 食料が必要になり外に出ようとするならば、問答無用でキラーマシーンになる。食料が無いのに外が危ない事を知れば、共食いが始まる。 もっとも逃げる為に森から外へと逃げ出すという行為は予測してなかったがね。私とした事がうっかりしていたよ。すまんね。」 「そんな…ドスはそんな事しようと…」 「しようとしただろう?外に出て行って食料を掻き集めてこようと提案したのは誰だ?言っておくが、それについて我々は細工をしていないよ。」 「ゆっ…」 「ど、どす?どうしてだまっちゃうの…まりさたちゆっくりしたかっただけなのに…」 「ところでドスまりさ君は、どうやってこの森に来たか覚えているかね?」 「ゆっ!?ドスは…違う森で人間さんに何かされて…」 「気付いたらここにいたという訳だな。君はその時にガスで眠らされ、装置を中枢餡近くに埋め込まれたのだよ。 その装置は君の潜在意識をコントロールするものだ。ここの場所を知っているのも、群れから離れようともしなかったのも、 逆に君が群れから離れたがらなかったのも、全て君に埋め込まれている装置から発せられた音波によるものだよ。」 「ど、どうして知ってるの!?」 「装置はレコーダーと発信器の役割も果たしている。君が何を食べ、何を見聞きしたかまで分かるようになっている。」 「じゃあどうじで乱獲を禁止ざぜながっだのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?おじざんがやっでぐれでだらドズの群れはゆっぐりじでだよおおおおおおおおおおおおお!!!」 「これは実験段階に過ぎないからだ。装置は完璧ではなく、いくつか機能しなかったり不具合を有していたりする。 我々はデータを集めて、それを一つ一つ手直ししていく。地道な作業だがこうするしかない。 それとドスまりさ君。君があの森に来る前…違う森にいたときも、君は我々の実験に協力してくれたよ。」 「ゆ゙っ!?ど、どういう事なの!?」 「あの時は惨憺たる結果だった。群れを纏め上げたと思ったら、君は何を思ったか群れのゆっくりを殺し始めたんだ。 群れは全滅し、実験は中止になった。結局は装置に不具合が見つかってね、手直しした物を君に埋め込んだんだ。」 「そ…そんな…」 「ゆっ!まりさからもしつもんがあるよ!ほかのゆっくりは…ざんねんなことになっちゃったのに、どうしてどすとまりさだけはだいじょうぶなの?」 「ゆれいん・ボイルはドスまりさには効かないようにしている。 ドスまりさを集めるのは非常に大変な手間と金が掛かるから、できるだけ再利用の方向で動いている。 …まりさ君の場合は将来、ドスまりさになる素質があるからだろうね。だから効かなかったんだと思うよ。」 「群れは…群れはどうなるの…」 「今の群れは一匹残らず死ぬよ。まりさ君の家族もね。運良く生き残っても、あの森には越冬できるだけの食料も無いだろうから、死ぬ。」 「ゆええええええええええええええええええええ!?そ、そんなああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 「質問は以上でよろしいかね?それでは、ドスまりさ君には実験の手伝いを続行してもらおう。」 「ふざけるな…ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああ!!殺す!殺してやるうううううううううううううううううううううううう!!!」 「ど、どすうううううううううううううううううううううううううう!?」 男の目の前まで、ドスまりさは迫った。その姿はまりさが見た狂気のゆっくりと瓜二つだ。 「…何をする気かね?」 「お前を…殺じでやるううううううううううううううううううううううううう!!ゆっぐりじないで死ねええええええええええええええええええええ!!!」 「どすううううううううううううううううううう!!どうしたのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」 「…愚かだ。君は本当に愚かだよ。君に埋め込まれた装置によって、君は私を含む人間を殺す事はおろか、かすり傷一つ負わすことも出来ないんだ。」 「そんな訳あるがあああああああああああああああああああああ!!…ゆううううううううううううううううううう!?どうして体が動かないのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「ドスまりさ君。次は上手くやりなさい。君がここに来た経緯も忘れて上手くやりなさい。最初の君が食糧難で人里に降りて、協定を結ぶよう言った事も忘れなさい。 それによって人間に最初の群れを全滅させられたのも忘れなさい。二度目に群れのゆっくりを自ら殺した事も忘れなさい。三度目の今回も忘れなさい。 何度も言うようだが、次こそ上手くやりなさい。装置の不具合があっても、君がしっかり考えていれば群れは死なずに済む。しかし、残念ながら今言った事も忘れてしまうんだ君は。」 ガスがどこからか流れ込み始め、部屋中に充満していく。 「やべろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!ドズを放ぜええええええええええええええええええ!!!!」 「それは無理な相談だ。君は装置に影響されて動かないようになっている。ここに不具合が出たら、流石に私も焦るがね。」 「ゆぅ…れいむ…ごめんね…おちびちゃん…ごめんね……もっとゆっくりさせてあげたかったよ…」 「まりさ君。家族の事を想っているんだね、辛いだろうね。」 「つらい…よ…ねむ…い…よ…」 「しかし安心してくれて大丈夫だ。君の記憶はすぐに消し飛び、どこか見知らぬ森へと放たれるだろう。 そこでドスとなるまでゆっくりしていなさい。我々が君を回収してドスまりさ君のように実験に協力して貰うからね。」 「いや…だ…まりさ…れいむたち…わす…れ…たくない…よ…………」 「放ぜええええええええええええええええ!!放ぜえええええええええええええええええええええ!!放ぜええ…放……………」 「作業班!対象は眠りに落ちた!急いで装置の解析を行おう!」 「「「「はい!」」」」 二匹は寝息を立てる事もなく、深い眠りに落ちた。男が言葉を発すると4人の白衣を着た男女が現れて、何やら物々しい機械を準備し始めた。 「げほっ…私はラムネは好きだが、ラムネのガスというのは苦手だねぇ…」 「それ以外だと人間に影響出ちゃうんで…すいません。」 「しかし…我々のスポンサーが、ゆっくり愛護団体と環境保護団体というのも奇妙なものだな…」 「…作り物でもいいから、幸せが欲しいんでしょう。彼等は得てして成功に至る過程が、失敗以外の何者でもない事を知りません。いいえ、知ろうとしません。」 「まぁ、いいじゃないか。ゆっくりによる生態系の破壊も止められるんだから。」 ドスまりさが解体され、装置が外されると不具合部分を調整して、ドスまりさに埋め戻された。 まりさとドスまりさは別々のトラックに乗せられると、どこか見知らぬ地へと旅立っていった。 … 「ゆ………ゆー?…ここは何処なんだろう…なんだかゆっくりできそうなきがするよ…」 「ゆわああああああああああああ!!どすだあああああああああああああああああああああああああ!!」 「ゆ?ドスはドスだよよろしくね!」 「ゆ、ゆ、ゆわあああああああああああああああい!どすがきてくれたよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「(ゆ…なんだかこの群れの長にならなくちゃいけない気がしてきたよ!ドス頑張るよ!)」 「ゆゆーん!どすさえよかったら、れいむたちのむれのおさになってほしいよ!」 「ゆ!今度は上手くやるよ!ゆっくりよろしくね!れいむ!」 「ゆぅ?こんどはって?」 「ゆ?…何だろうドスにも、よく分からないよ…」 FIN 後書 ・感想、批判、指摘コメントはヘコむが役に立つのでどんどんしてほしい。 ・てs◆iFtPUQz3VI という者ですが、何か命名してくれると嬉しい(ロシア的な感じだと尚嬉しい!)。 今まで浪人や思い込み、SUMOUなど書いたが個人的にはどれもイマイチだと感じている。 やりたい事を表現できない感じで、ストーリーとして作れないことにもんどり打っている。 これからも図々しいようですが頑張って書かせて頂きます。 推敲しろという声が多いように思えたので、投稿時間はかなり延びますができるだけ質の良い作品を創れるように頑張ります。 ありがとうございました。 >579 :ゆっくりななし種:2010/07/16(金) 20 11 53 ID 0P7JB56k > anko1970 浪人 > オーソドックスなゆ虐が好きなんでゆっくりできた > お礼にこいつを持っていってくれStalker > っパン・缶詰・ダイエットソーセージ・ウォッカ・VinterVC スパシーバブロー!アイラブヴィンター! でも、後ろにサっちゃんがいるのはどうしてだい? >761 :ゆっくりななし種:2010/07/31(土) 16 43 27 ID 0iysKK8o > anko2082 思い込み > てことは、金や宝石にも変化させられるわけか?糞袋が砂金袋に見えてきたぞw > …もし自由自在にゆっくりの中身を変質させる方法が開発されて、その技術が行き渡ったらどんな社会になるのやら。そういう話も読んでみたい。 ちょっと考えてみます。完成するかどうかは分かりませんが、構成を練って考えてみます。 >762 :ゆっくりななし種:2010/07/31(土) 17 25 53 ID wMyVVmgg > anko2082 思い込み > 博士の喋りと切り口が独特で面白かった > 漆原教授でイメージしちゃって台無し(自爆)になったのは秘密だ 博士の口調は書いてる途中で、自分でも何言ってんだか意味不明になってたのは秘密です。 というか、名前書いてないせいで10作品未満扱いされてたのね。無理もないですね、名前なきゃ分からないし…すいませんでした。
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『れいむ』 18KB 愛で 制裁 愛情 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス 現代 試しに愛でてみた ・登場人物は一人と三匹だけです。 ・一応愛でのつもり ・でもせいっさい! ・10KBくらいにしたかった…… れいむはついさっき生まれたばかりだった。 しかし、その表情は曇っていた。 「おちょしゃん……おきゃしゃん……」 いるはずの両親を探す。しかし、四方八方上下左右の全てを見回しても家族はいなかった。 あるのは何か黒い柱と、その上に自分がさっきまでいた茎、そして黒ずんだ姉妹がいた。 「ひっぐ、ひっぐ……ゆぴゃぁぁああああああああ!!! ゆっぐちしたいよぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」 ついにれいむは泣き出してしまった。無理も無い事であろう。 すると、何か物音がした。 れいむが振り返るとそこにはれいむより高いところに大きな頭があった。 「ゆ、ゆぴゃぁ!! きょわい……ゆ?」 高所から見下ろされる恐怖に泣き出すところだったが、暖かくて優しい何かが自らを触れた事で落ち着いた。 それは大きな頭がのっかっている台だった。 いや、台ではない。生物の身体である。 僅かだけ継承された記憶があるれいむは、それが生物の一部である事をなんとなく理解した。 「だ、だれにゃの? れいみゅのおきゃあしゃんは? おとおしゃんは?」 恐る恐る聞く。 大きな生物は困ったという顔をした。 「ごめんよ、僕にもわからないんだ。 ただ、気付いたら僕の家の前に君の成っている茎が落ちていてね」 嘘は言っていないようだった。 そして、この生物はれいむの命の恩人であるという事がわかった。 「れいみゅの、いもうちょたちは?」 「それもごめんよ、急いで準備はしたんだけど、君以外はもう手遅れだったんだ」 れいむが助かったのは、茎の根に一番近かったからだった。 他の姉妹は、栄養供給が間に合わなかった。れいむの一個前の姉妹も、もう少しと言うところで力尽きてしまったらしい。 現在、れいむは親から受け継ぐはずの記憶が極端に薄い。 知っているだろう知識もあまりなく、自分がれいむという種である事以外は動物的本能しか備わっていない。 それはおそらく、茎が出来てから間も経たぬうちに折られたせいだろう。 大きな生物……人間の男が用意した市販の餡子で代用したせいで、親から受けるべき記憶を含む餡子が継承されず、ほぼ白紙に近い状態となったらしい。 記憶の継承がないせいで、親がどんなゆっくりかもわからない。 れいむがれいむである以上、片方はれいむであろう。 姉妹は種がわかる前に死んでしまったようで、そこから推測する事は出来ない。 「れいむ、さしでがましいけれど、もしよければ僕の子として生活しないか? まぁ、飼いゆっくりと飼い主という間柄にはなるけど」 「かいゆっくち?」 「そう。まぁ簡単に言えば家族になろう、ということなんだけど」 男は伺いを立てる。 れいむの答えは決まっている。いや、それ以外にない。 「なりゅ! れいみゅ、『かいぬし』しゃんの『かいゆっくち』になりゅ!」 それを聞いた男は笑顔になる。 「ああ、よろしくれいむ。ゆっくりしていってね」 「ゆぅ? ゆっくちちていっちぇね?」 「そう、君たちゆっくりの挨拶だよ。さ、言ってみて。ゆっくりしていってね」 「ゆっくちちていっちぇね!」 「そうだ、上手だぞーれいむ」 「ゆっくち! ゆっくち!」 はじめて聞く言葉だったが、れいむはその言葉を言い合うだけでとても気分よく……そう、ゆっくりできた。 れいむが生まれて少し経った。 飼い主は少し厳しいながらもれいむにもわかる愛情を与えてくれている。 れいむはそれに応えたくてよく無茶をするようになった。 「ゆぴゃあああ!!」 「ああもう、だから動き回っちゃだめだと言ったのに」 今回は飼い主について回って仕事を貰おうとしたら、床においてあった油や醤油のボトルにぶつかった。 「だっちぇ、かいぬししゃんのおてちゅだいが……」 「それはれいむがもっと大きくなってからな。怪我しないか心配する身にもなってくれ」 「ゆぅう、わかっちゃよ」 れいむは活動的で落ち着きが少しばかり足りていなかったが、聞き分けはとてもよかった。 ほぼ白紙だったせいだろうか、難しい事でなければ教えればすぐに覚えたし、覚えれば忘れはしなかった。 ゆっくりは何か特別な事が無い限り飾りをはずすのを極端に嫌がるが、それもこのれいむは抵抗が無く、よく洗いに出している。 そんあれいむも赤子言葉が抜け、子供サイズとなったある日、飼い主の家の窓に大きめのゆっくりが二匹やってきて喚いていた。 「かいぬしさん、なんだかれいむににてるいきものさんがいるよ」 「あーなにかうるさいと思ったら野良ゆっくりか」 「のらゆっくり?」 れいむは今の今まで自分の同族を見た事がなかった。 飼い主が言うには、野良というのは基本的に人間に良いものではないらしい。 基本的に、というからには一部は違うのだろうと思ったが、外の野良ゆっくりは多分悪い方だろうなと思う。 「野良は人の家に上がって『おうち宣言』と言ってその家をのっとろうとするのさ」 「それはゆるせないね」 「だからまぁ、いろいろ対策もあるらしいんだが」 飼い主はとりあえず入り込まれないように板を用意してから窓を開けた。 すると大声を張り上げた。 「ここはれいむとまりさの――」 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!」 何かを言い終わる前に飼い主はゆっくりの代名詞である台詞を言う。 これを言われるとほとんどのゆっくりは反射的に応えてしまうのだという。 「ここは僕とこのれいむのゆっくりプレイスだよ、れいむとまりさはゆっくりしないで出て行ってね」 おうち宣言される前におうち宣言をしてしまう。対策法の一種である。 「そのおちびちゃんはれいむのおちびちゃんだよ! だからここはれいむのゆっくりぷれいすなんだよ!!」 予想もしない反論だった。 飼い主も同じ面持ちだ。 「どういうことだい?」 飼い主は問いただす。 「そのこはれいむとまりさがすっきりー!してできたこなんだぜ! だからこのいえはまりさのゆくりぷれいすなんだぜ!!」 飼い主は呆れた。言ってる事が何一つ変わっていないのだ。 すると、れいむが一応距離を置いた位置から質問する。 「にひきがれいむのりょうしんなの?」 普通ゆっくりは同族を「人」で数えるらしいが、このれいむは飼い主から自身の数え方は「匹」と教わっている。 その程度の違いは、目の前の二匹にはあまり関係ない話だが。 「そうなんだぜ。まりさとれいむじゃおちびちゃんをそだてられそうにないから、にんげんにそだてさせることにしたんだぜ」 ゆふん、と胸を張るように仰け反る親まりさ。 「にんげんにしてはよくやってくれたよ。おちびちゃん、こんなにんげんはさっさとせいっさいしてやって、おかあさんとゆっくりしようね!」 れいむを救った人間をコケにする親れいむ。 前にテレビで見た、別の鳥の巣に自分の巣の卵を置いて育てさせる方法と同じなんだろうとれいむは理解した。 れいむは飼い主を見る。 「僕はこいつらを家に入れるつもりは無いよ。もしもれいむがこいつらと行きたいというなら無理強いはしない。 本当かどうかはどうあれ、もしもその方がゆっくりできそうだというなら、それでもいい」 飼い主は冷静だ。 飼い主がこの二匹に倒されるなどと言う事は万に一つも無いだろうというのはれいむにはわかっている。 しかし、こいつらは自身を自分たちの子であるという。 たしかに、極々僅かながらにそんな気がしないでもない、という気持ちがある。 多分これは親なんだろう。 「ゆ? それにしてもおちびちゃんがすくないね! かくれてないででてきてね! すぐでいいよ!」 れいむは他にも子供がいるんだろうと喚く。 おそらく茎に成っていた残り三匹の姉妹の事を言ってるんだろう。 「悪いけど、あの子たちは死んじゃったよ。栄養が足りなくてね。 せめてもう少し栄養が与えられていればね……」 飼い主は心底残念そうに事実を伝える。 すると二匹の汚い表情が更に醜悪になった。 「れいむのおちびちゃんをころしたなああああ!!! なんでちゃんとせわできないのぉぉぉおおおお!!?」 「ゆるせないんだぜ、このゆっくりごろし!!!!!!」 れいむは驚いた。 言っていることの意味がわからなくて驚いた。 飼い主はそのまま放置したって構わない自分と姉妹を、律儀に世話しようとしてくれていたのだ。 結果的に姉妹は死んでしまったが、この場合罵倒されるべきは栄養もままならない我が子を、いつ来るか知れない人間に任せようとした自分たちであるだろうに。 「おちびちゃん、はやくこっちにきてね! このゆっくりごろしはゆっくりできないよ!」 「おいにんげん、さっさとこのじゃまなものをどかすんだぜ! おちびちゃんははやくこんなゆっくりごろしのにんげんからはなれるんだぜ!」 れいむは決心した。 「おまえたちみたいなのはれいむのおやなんかじゃないよ」 こんな礼儀も身の程も弁えない者とは一緒にいたくはない。 例え生まれた時は恋焦がれた親だとしても、こんな醜悪な存在には近付きたくは無い。 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉおお!!!!」 もう見るに耐えない泣きっ面。 れいむは気持ちが悪くなった。 そんなれいむを飼い主は優しく手に包んで持ち上げていた。 「ゆっくりわかったんだぜ! おちびちゃんはにんげんにせんのうされたんだぜ! ゆるせないんだぜ!!」 洗脳……されてないとは言い切れないだろう。 現にれいむはゆっくりらしさが少々乏しい。 餡子が繋がって生まれたゆっくりならば、『ゆっくり』という言葉を様々な意味で使う。 たとえば『ゆっくりりかいしたよ!』や『ゆっくりいそいでね!』などだ。 これらは『よくわかった』、『はやくして』という意味になるゆっくり独特の言葉だ。 だがれいむにはそれがない。 更にれいむは飾りへの執着もまったくと言っていいほど無い。 飼い主がこっちの方がいい、といえば別の飾りを躊躇無くつけられるだろう。 だが、そもそもを正せばそれはこの親がしっかりと餡子の記憶を分け与えなかったからだ。 だかられいむははっきりろいう。 「れいむはこのかいぬしさんのかぞくだよ! おまえたちみたいなのがおやだなんて、しんじられないよ! いもうとたちをころしたゆっくりころし? ばかいわないでよね! かいぬしさんがいなかったらいまごろれいむもしんでたよ! そもそもおまえたちがあんなことしなかったら、いもうとたちだってしなずにすんだんだよ! でも、こんなおやのもとでそだったら、おそかれはやかれしんじゃってたかもね!」 れいむは生まれて初めて他者を罵倒した。 それはとても『ゆっくりできない』ことだった。 罵倒するれいむの表情は暗い。一言言うだけでとても気分が悪い。 こんなゆっくりできない言葉を何も感じずに言い続けられる目の前の野良ゆっくりの頭の中がわからない。 「ゆ、ッぎぃいいいいいいいいいいいいい!!!!!」 れいむが言い終えて一間空け、突然親れいむは奇声を上げた。 「ばりざあああああ! あんなのはれいぶのおじびじゃんじゃない! あんなくずざっざどづぶぜええええええ!!!!!」 「いわれるまでもないんだぜ! だまってきいてればすきほうだいいってくれたんだぜ! うんでやったおんをあだでかえすようなゆっくりできないがきはせいっさい!してやるんだぜえええ!!!」 れいむは涙を流した。 わかっていながらも、ここまで汚いものが親だとは思いたくなかった。 こんなものから産まれた自分。さっきもこいつらと同じような事を言った自分。 そんな自分を、飼い主は軽蔑してしまっただろう。 「それがお前の答えでいいんだな」 そっと、飼い主の手がれいむを包む。 生まれたばかりの頃と同じ、とても暖かくて気持ち良い……そう、これこそが親の温もりだ。 「ぶぼぉ!?」 飼い主は飛びかかろうとしたまりさを叩き落とし、れいむともども外へ放り投げた。 「ゆぶぇ?!」 「ぶびょる!」 顔面から地面に落ちる。幸いな事に歯はほとんど折れていないようだった。 飼い主はれいむをそっとテーブルの上に乗せて外に出た。 「このまま帰るっていうなら何もしないけど?」 飼い主は一応、れいむの親であることも考えて、出来るだけ穏便に事を済ませたい。 さすがに目の前で殺処分などできるはずもない。 こんなのでも同族、しかも親が殺されるところなど、優しいれいむは見たくないだろう。 「ふざげるなぁぁぁあ……まりざがまげるはずないんだぜぇえええ……。 いままでだで、にんげんはまりざがとおるどみちをあけてにげていっでだんだぜぇぇ……!」 それはただ汚いおまえたちに近付きたくないからだろう、と言おうかと思ったがやめた。 おそらく無駄だろう。 この手のゆっくりは言葉を喋るだけで会話は通じないものだ。 相手にするだけ心身に悪い。 そもそもれいむほど会話が成り立つゆっくりはそういない。 飼い主は溜め息をついてまりさとれいむを捕まえる。 「ゆぐぃいいいい! いだいいいいい! はなぜええええええええええ!!」 「はなぜ! せいっざいじでやるがらはなぜええええ!!!」 もう聞く耳は持たない。 飼い主は別にゆっくりを痛めつける趣味は無い。だから殺生をするつもりはない。 飼い主は窓を閉める。 れいむには、こいつらをもう会えないくらい遠くに捨ててくると行って待たせる。 飼い主は三重にしたゴミ袋に二匹をぶちこみ、ダンボール詰めにした後、近くの山へ車で行って二匹を投げ捨ててきた。 二匹は最後まで悪態をついて追いかけてきたが、ゆっくりに人間が、ましてや車に追いつけるはずも無かった。 山に捨てたのは、街で人間に殺される頃の無いように、というせめてもの情けだった。 帰ってみるとれいむは大分消沈していた。 無理も無い。あのような醜悪な存在が親だと知ったのだ。ショックも大きいだろう。 飼い主は何も言わず、ただれいむをやさしく手に乗せてゆっくりとなで続けた。 れいむも、温もりに包まれながらまどろみの中に意識を落としていった。 暫く後、大人と呼ぶに相応しいまでに大きくなったれいむは、今日は飼い主のために庭で草むしりをしていた。 あれから公園デビューを果たして友達も得た。 飼い主との仲も良好で、今れいむは本当に『ゆっくりしている』。 ふと、玄関の方で物音がした。 れいむは飼い主の言いつけどおり、いつでも逃げられるよう準備をしつつその音の正体を探りに行った。 そこには―― 「お、おじび、ぢゃん……」 「ゆっぐ、ゆっぐじざぜろぉ……」 いつぞやの野良ゆっくりがいた。 「なにかようでもあるの?」 「おぢびぢゃん、おがあざんを、ゆっぐりざぜで……」 みすぼらしい姿だが、これがあの日、自分の親だといったゆっくりだというのは理解できた。 なんと酷い姿だろう。髪は大分抜け落ちて禿げ上がり、片目は無くなって飾りはボロボロだ。 大分古い傷も多い。よく生きていられたと感心してしまうくらいだった。 だが、抱いた感想はそれだけ。 れいむは二匹の存在そのもには無関心だった。 「いやだよ。かいぬしさんにいわれてるよ、のらのゆっくりはきけんなばあいもあるからかいぬしさんがいるばあいいがいはちかづくなって。 だかられいむにちかよらないで、『ゆっくりしないで』さっさとどこかにいってね」 「ご、ごのげずはぁぁぁ、うんでやっだおんもわずれでぇぇぇ……!!!」 「うんでやったおん? すてられて『ゆっくりできなく』なりかけたのはしってるけど、おんをうられたおぼえはないよ」 「ばりざどでいぶがいながっだらおばえはうばれで――」 「それをしんじゃったいもうとたちにもいえるの? うまれるまえに、ほかでもないおまえたちのせいで『ゆっくりできずに』しんだいもうとたちに」 「それはあのにんげ――」 「おぼえてないんだろうからもういちどいうけど、かいぬしさんがいなかったられいむはしんでたよ。 おまえたちはかいぬしさんにおれいをいうたちばなのに、せきにんをなすりつけるなんて『ゆっくりしてない』ね」 ゆっくりできない、ゆっくりしてない、ゆっくりが最も嫌うという言葉で責め立てる。 もうれいむに目の前のゆっくりを親と思う気持ちは無い。 れいむの親は飼い主である男性だ。 彼も、れいむにそう思ってもらえることをとてもよろこんでいる。 だかられいむは、目の前のゆっくりには何も思わない。そこらに転がる石と同じにしか見ていない。 二匹はれいむが自分たちを見る冷たい目に恐怖した。 その目は、人間たちが自分たちを見る目と同じなのだ。 汚らしい汚物を見るような目。邪魔だと言って蹴り飛ばしたあの目。近付いてきて唾を吐きかけたあの目。 あの『ゆっくりできない』目と同じ目で見ているのだ。 あれだけゆっくりできない道を長い時間をかけてやってきたのも、すべてはこの家を、れいむを盾に手に入れる事。 しかし、許しを請えば子供として迎えてやろうと思っていたれいむに、遥か下の存在であると目で言われてしまった。 二匹は絶望した。 そして、もう感情の糸が切れ、れいむを襲い殺そうとしたその時―― 「ゆが?!」 「おぶぅ!」 二匹は何かに捕まり、いつぞやのように三重に重ねた大きなゴミ袋の中に放り込まれ、更に物置前のゴミ箱に投げ込まれた。 「れいむ、大事無いか?」 「だいじょうぶだよ。ゆっくりごめんなさい、いいつけをやぶって、のらにちかづいちゃったよ……」 「気にするな、れいむがとどめておいてくれなかったら進入されてたかもしれないからな」 この家の主、れいむの飼い主が帰ってきた。 飼い主はさっきの二匹がおそらくれいむの親だというのは気付いている。 それを承知でれいむに聞いた。 「あいつら、どうする?」 「かいゆっくりやにんげんさんにきがいをくわえそうなのらゆっくりは『さつしょぶん』するんだよ」 「れいむ、いいのか?」 「いいもわるいもないよ。それにれいむのおやはかいぬしさんだけだからね!」 満面の笑顔。そこに嘘はない。 れいむは本当にあの二匹を親とは思っていない。 飼い主はそれを聞いて、安心した、と言い、ゴミ箱から二匹の入ったゴミ袋を取り出す。 「ゆぐ、ぐぞにんげん……ご、ごろじでやる……!」 「ぜいっ……さい、だよ……!」 飼い主を確認した二匹は、まだなお汚い言葉を吐き続ける。 飼い主はそれに一切耳を貸さずにゴミ袋の口を持ち、地面に置く。 そして足を振りかざす。 「ゆ?! ゆあああ! やべで、やべでええええええええええ!!!!」 「やべるんだぜ! やべ、やめ、やべじぇええええ!!!!」 ただの鳴き声。そして泣き声。 もうそんなものは届いてはいない。 「やめぶべ?! ばぶぉ、ぎゅが! じにだぐべ、ないびゃ!!!!」 「ぐぞにんげぶぉ! やじゃべ?! ごべんなざぶう! ゆるびゅで!!?!?」 飼い主は黙々とゴミ袋を潰していく。 さすがに大人となったゆっくりを潰すとなると袋一枚程度では敗れてしまう可能性がある。 聞くところによるとゆっくりの中身はゆっくりにしかわからない臭いがするという。 そんな臭いがついたものを近くに残してれいむにいやな思いはさせたくない。 だから家から出て踏み潰した。 一分ほど満遍なく踏み潰し、袋がピクリとも動かなくなったのを確認して飼い主はゆっくり専用のゴミ回収箱に袋を捨てた。 これでもうれいむをおびやかすものはなくなった。 正直、まさか本当に戻ってくるとは思わなかった。 飼い主はれいむを抱き抱えて庭の片隅へ行く。 そこには小さな山があった。 れいむの姉妹の墓である。 今日はこの姉妹たちの命日であり、れいむが産まれた日。 飼い主はれいむの姉妹たちを救えなかった事を謝罪し、そのかわりにれいむだけはしっかり天寿を全うするまで育てると墓前に誓った。 「かいぬしさん、『なでなで』してほしいよ!」 「ああれいむ、今日はお前の誕生日だからな。お願い事は何でも聞いてやろう。 おまえの大好きなものも今日はいっぱい――――」 れいむは幸せだった。 生まれはたしかに不幸だったかもしれない。 しかし、今はこうして幸せに生きている。 その事に関しては、あの親と名乗っていた野良ゆっくりに感謝の意を感じてはいた。 もしもあの時、真っ当に更正していたのならば、例えみすぼらしい姿であっても、受け入れていいとも思っていた。 飼い主はれいむを甘いと言っていたが、それだからこそれいむだ、とも言った。 れいむはこの後六年の間、飼い主からの愛情をたくさん受け、とても『ゆっくりした』笑顔で天寿を全うした。 その遺骸は、亡き姉妹と同じ場所のすぐとなりに、丁重に葬られた。 終 ダメ!ぜんぜん生かせない! オチがどうしてもしっくりきません。どうしたらいいんでしょう。 愛したいのに愛しきれない! ボキャブラリの問題以前……なれないことしないでゆ虐してろってことなんでしょうかね。 anko1241 ゆっくり教材Vol.1『野良に憧れるれいむ』 anko1257 ゆっくり教材Vol.2『大人になれないまりさ』 anko1272 ゆっくり教材Vol.3『ゆっくりありすの注意点』 anko2390 ゆっくり教材Vol.4『ゆっくりぱちゅりーの弱さ』 anko1246 特集『ゆっくりに脅かされる農家』 anko2426 ゆっくり研究所 anko2430 ああ、無情。 anko2433 ゆっくりは繰り返す anko2439 ゆっくりがいる日常。 anko2421 生きてるのは知ってるけどそれが何か? anko4106 ゆっくり教材Vol.5『ペットとちぇんと野良と飼い主』