約 186,395 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2487.html
ゆっくり罵倒 うちに帰るとゆっくりが強盗に来ていた。 「ゆっ! ゆっくりにげるよ!」 キッチンでジャガイモをくわえていたまりさが、ぴょんと飛び上がって、もそもそ走っていく。 バカヤロ誰が逃がすか。俺はダッシュしてまりさを飛び越え、縁側に先回りした。 割られていたガラスの代わりにガラガラッと雨戸を閉める。 あーあちくしょう、これ実害じゃねえか。侵入だけなら許してやらんでもないと思ったのに。 実刑判決だな。執行猶予なし。 「ゆうっ! しめられちゃったよ! しかたがないね、ゆっくりあやまるよ!」 またピョンと跳ねたまりさが、俺を見てニコニコと笑いかけた。 「おにいさんごめんね! まりさははんせいしてるよ、ゆっくりゆるしてね!」 ピキキッ。 いかん、温厚なつもりが。 これはけっこう……クるわぁ。 「あぁ? なんだこのお調子もんが、それで許されると思ってんのかバカアホ短足ふくれ饅頭」 「ゆゆっ!? ゆるしてくれないの?」 「ったりめぇだ誰が許すかトンチンカンのアンポンタン! 藪にらみのへっぴり虫のインチキお化けのぶちゃむくれーのスットンキョーのデブ饅頭!」 「でぶっ!? まっまりさでぶじゃないよ! ゆっくりおこるよ!?」 またピョンと跳ねると、まりさは涙を浮かべてぷぅーっと膨れ上がる。 ゆっくり怒りのポーズだ。すかさず俺は怒鳴る。 「うるせえバーカ何がデブじゃないだこれだけボヨボヨならデブ以外の何もんでもねえだろうが!」 「ゆうっ? ゆゆゆゆ」 「デーブデブデブ脂肪の子! 太った中身はあんこっこ! 三段腹の怪生物!」 「ゆぐあああ、まりさでぶじゃない、でぶじゃないいい!」 ぷひゅるるる、と潰れてから、のてんばたん、のてんばたんとまりさはもだえる。 その鼻面に顔を突きつけてさらに怒鳴る。 「デブだしトンマだしノロマだド畜生! 田舎くさい土饅頭がダサボロい古帽子かぶって似合うと思ってんのかエセ生首の低脳団子!」 「だだだだだっ、ださくないいいぃぃぃぃ!!! まりさのおぼうしはさいこうのおぼうしなのぉぉ!!」 お、真っ赤になってわめきだした。そうだそうだ、ここがツボだった。 「お帽子お帽子素敵なお帽子真っ黒お帽子なんの色? あ・ヘドロ色♪ あ・ゴミの色♪ あ・葬式の・服の色♪」 ぺしぺしぺしぺし。帽子をはたいて歌ってやると、狂ったようにゴロゴロころがった。 「うだうな゛あぁぁぁぁぁぁ!!! おぼうしのへんなうだうだうなああぁぁぁ!!!」 「お帽子お帽子素敵なお帽子真っ黒お帽子なんの色? あ・燃えちゃった♪ あ・おコゲ色♪ あ・臭くて汚いうんうん色♪」 「やめろ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!!? ぞんなうだ、なじなじなじなじぃぃぃぃぃぃ!!!」 「真っ黒まりさのお帽子は 昔々のお婆ちゃん しわしわばばあのお帽子だ かぶるとばばあだ、ババまりさ」 「ばばばばばばば、ばりざばば゛あじゃないよ゛ぉぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!?」 半狂乱で喚き立て、跳ね狂い、唾を飛ばす。 俺はにんやり笑って、正面から言う。 「ばば・まりさ☆」 「ばばあじゃないぃ!」 「ばばあ。おばばまりさ。しわしわクシャクシャ口臭い」 「くざぐ゛ないいぃぃぃ!!」 「鼻がない。耳もない。ないない尽くしない尽くし。ゴロゴロ転がるボールまりさ」 「なぐな゛いっ! なぐないのぉぉぉぉ!!!」 ぐっ、と腰を据えたかと思うと、猛烈に激怒した風情でぶるぶるぶるぶる震えながら怒鳴った。 「服も着てないパンツもはかない、エプロンもなければ箒もない。貧乏まりさ、ないないまりさ」 「ふっ、ふぐっ? ふぐってなに?」 目を白黒させるまりさを、すかさず嘲笑。 「服って何って? 服を知らないんだ。やぁーいやぁーい、バカまりさアホまりさ何にも知らないオタンチンまりさ! 服ってのはなぁーこれだよこれ!(バフバフ)見りゃわかんだろなんでわかんないんだっとにゆっくりはバカで愚かで無知でスカタンでアンポコリンでオッチョコチョイでメンチボーでアンガラモンガラでブッポーソーだなアッチョンブリケ!」 「あんがらっ! ぶりっ! ぎゅあああああああああ!!!!」 鬼のように目を吊り上げて、口をグワッと全開にして、とにかく何か言い返そうとした途端―― ぶっちーん、とまりさのこめかみが弾けた。途端に、ぶりゅーっと餡が噴出する。 「ゆ゛う゛っ!?」「うおっ!?」 まりさ本人だけでなく俺も驚いた。まりさの横顔から噴水のように餡が吹き出ていく。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、だめっあんこざんっでちゃだめっ!」 餡子を止めようと思ったのか、そわそわっ、とまりさはせわしなく左右を向いた。 しかしそれで遠心力がついてしまって、かえってビュッビュッと餡が勢いを増した。 「ゆ゛を゛゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!? とめてとめでどめで! おに゛いざんあんこどめでぇぇ!」 びょびょっ、と俺に近づいて、まりさは哀願した。しかし悪いが、俺はまったく逆のことを考えた。 「あーんこあんこ、あんこはうんこ、うんこがぴゅー! まりさがぴゅー! うんこまりさがぴゅっぴゅっぴゅー!」 「ゆがあああああ!!! ばりざはうんごまりざじゃない゛いぃ゛い゛ぃ゛!!」 びゅびゅー。 「や゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! おに゛いざんや゛めろ゛お゛お゛、あんごでぢゃうでじょおおおお!!?」 「うーんこまりさは真っ黒まりさー、中身も帽子もうんこっこー」 「う゛んごじゃなあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い!!!」 それがまりさの遺言だった。 激怒とともにブシャアアアアと餡子が噴いた後は、急にまりさは空ろな顔になって、ヘタヘタと崩れてしまった。 帽子の下で、くぼんだ眼窩の中の目玉を左右別々の方向に向けたまま、「う゛ う゛ん う゛ ゆ」とつぶやいている。 どうやら、激怒により餡圧が高まりすぎて破裂した挙句、餡子欠乏に陥ったらしかった。 俺は、畳一面の餡子とガラスの破片を避けながら、雨戸をカラカラと開け、マイルドセブンエクストライトに火をつけた。 「ふぅ……」 そして、次から外で罵倒しようと心に決めた。 =============================================================================== 罵倒マジで難しいです。すぐ子供言葉になってしまう。 「機関銃のように罵声を浴びせる」ことのできる人がうらやましい。 YT 過去作品 その他 エレベーターガール そ その他 変身 そ ゆっくりいじめ系27 幻想鉄道の動物対策 虐 機 霊夢×ゆっくり系2 博麗神社の酒造り 虐 料 その他 諸君私はゆっくりが好きだ そ 美鈴×ゆっくり系2 ほんめーりん×ゆっちゅりー甘甘水責め 虐 そ その他 FireYukkuri そ ゆっくりいじめ系187 終端速度 虐 家 無 永琳×ゆっくり系11 八意永琳のアルティメット・サイエンス 虐 そ ゆっくりいじめ系264 幻想郷のみにくい生き物 虐 ゆっくりいじめ系281 冬眠ゆっくりの子守唄 そ 環 性 家 ゆっくりいじめ系312 乙女よ、森はまだ早い 虐 性 無 ゆっくりいじめ系345 ゆっくり塊魂 虐 ゆっくりいじめ系1044 ゆっくりと共同生活 虐 家 ゆっくりいじめ系1052 ゆっくりとガチバトル そ 魔理沙×ゆっくり系4 ゆっくりの身の程 ゆっくりいじめ系1285 ゆっくり夢幻 驚異のマイクロゆっくり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5104.html
ゆっくりinホテル 初SSです。色々見苦しい点があるかとも思いますが、どうかご容赦ください。 キリウム 作 俺は普通の兄さん。 ホテルのパートをしながら暮らしてる。 さて、ホテルのタオルやパジャマの乾燥のために1階にあるリネン室に来た。 いつものようにドアを開けると・・・ 「ゆっくりしていってね!!」 という無駄に元気な間の抜けた声が聞こえてきた。 声のする方を見るとゆっくりまりさとれいむ、そしてその子供であろう赤まりさが7匹ほど、そして何故かゆっくり橙とゆっくり藍がいる。 よく見ると橙と藍はやせ細り怪我もしている。 それに対してまりさとれいむ達はブクブクと肥っていて気味が悪いったらありゃしない。 「ゆゆっ、おじさん。ここはれいむたちがみつけたおうちだよ。さっさとでていってね!!」 とれいむが言うのに合わせて 「そうだぜ、じじいはおかしもってきてさっさとしねだぜ!!」 とまりさも暴言を吐く。 とりあえず、まりさとれいむが邪魔だったので軽く蹴飛ばし洗濯物の乾燥を始める。 なにやら足りない頭で必死に俺に向かって暴言を吐いてるが気にしない。 それよりも橙と藍が気になったのでテーブルの上に乗せてこっそり話を聞いた。 「わかるよー、たすけてくれるんだねー」 と橙がこっちに涙目で訴えかけている。 「何があったんだ?詳しく教えてくれたら助けてやらんこともないが・・・。」 と俺が言うと 「実はカクカクシカジカで・・・。」と藍が説明してくれた。 訳はこうだ。 近くに巣を作って暮らしていた橙と藍は、急にやってきたまりさとれいむに巣を奪われた。 それだけならまだしも暴力で従わせて、奴隷扱いしてるらしい。 「分かった。それなら助けてあげよう。」 そう言って俺は足元をうろついているまりさとれいむを見た。 「ゆっ?やっとおかしくれるきになったかだぜ!?」 のん気にお菓子のことだけを考えてたのだろう。涎を垂らしているまりさ。 俺は手が汚れないように気をつけながらまりさを持つと、乾燥機の側面に当てた。 「ゆっ?温かいだぜ〜。」等とほざいている。 これから起こる苦しみに全く気がつかない。 しばらく当て続けていると 「ゆっ・・・あついだぜ!!はやくはなすんだぜ!!」 とこっちに命令してきた。それを無視してさらに当て続ける。 「ゆ゛ぎゃあああぁぁ、ま゛りざのあじがああぁぁぁl」 大声で叫ぶが乾燥機の轟音でほとんどかき消されていく。 『ピッピッピーッ!!』と乾燥終了のアラームが鳴る。 それと同時にまりさを乾燥機から離す。 白目をむき、涎を垂らし、犬のようにハッハッと息をしてる。 まぁ、これくらいでは気も狂わないし死にもしないだろ。 そう思ってまりさの底の部分をみると赤く爛れていた。 低温やけどのせいだ。これでしばらくは歩けないだろう。 「よぐもまりさをぉぉぉ!!」とれいむが俺に体当たりをしてきたがかわして捕まえる。 そして、赤ゆっくりとともに壊れた洗濯機の中に入れる。 この洗濯機は蓋が開いてるにもかかわらず脱水が可能になってしまった危険な洗濯機だ。 俺はまりさを片手でつかむと洗濯機の中が見えるように瞼を強制的に手で開けさせながら洗濯機の脱水ボタンを押した。 ゆっくりと洗濯機が動き出す。 「ゆっ?たのしー。」 「ぐるぐるまわるよー。」 「ころころころがるよー。」 等と好き勝手に戯言をほざく。 『ヴィー・・・・』 モーター音が大きくなるとともに回転数がどんどん上がっていく。 「ゆっ、ゆっ、かべにくっつくよ、れいむたちをゆっくりたすけてね。」 といってる。まだ分からないのか・・・。 さらに回転数が上がる。 赤ゆっくり達は声すら出してない。おそらく何匹かは死んでるだろう。 「はやくれいむたちをそこからだすんだぜ!!ださないとようしゃしないんだぜ!!」 と必死に俺に威嚇するまりさ。だからそんなもん、痛くも痒くもないって・・・。 回転数がほぼ最高地点に到達。 赤ゆっくりはあんこをすべて外に吐き出してしまったらしく皮だけの状態で回り続けてる。 「ゆぎゅううぅぅぅ!!れっ、れいむのあんこが・・・!!」 とれいむが言っている。おそらくあんこが皮ぎりぎりまで外側に出てきてるのだろう。 「も゛う゛や゛べでええぇぇぇえぇ!!れいむをかえすんだぜええぇぇ!!!!」 とまりさが絶叫する。さすがに強制的に見せてきてるせいか少し精神的におかしくなってる様だ。 「も゛っど・・・ゆっぐりじた・・・ぶにゅうううぅ!!?」 「れいぶぅぅぅぅ!!!!????」 最期の言葉を言い終わる前にれいむは体から餡子を出し切って死んだ。 そこで俺は洗濯機のスイッチを切った。 回転が止まって残ったのは赤ゆっくりとれいむの干からびた皮だけだった。 「あ・・・あひっ・・・れいぶ・・・ばりざぁ・・・あひっ・あひっあひっあひl」 とまりさは壊れたように笑い続けている。 そこに置いておくのも邪魔くさかったのでまた乾燥機に押し当てる。 こんどはその汚れた面だ。 「ゆぎぃいぃぃぃぃぃぃ!!」 豚のような悲鳴を上げながら眼を口をその顔面のすべてをケロイドに変えてゆく。 『ピッピッピーッ!!』 乾燥終了。そして整形完了。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ・・・。ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛・・・。ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ・・・むごぉ!!。」 顔を焼かれた状態から嘔吐しようとしたのだろう。 だが唇がケロイドで完全にくっついているため餡子が出てくることはなかった。 もういいか・・・。そう思った俺はまりさを巨大な排気口の前にそっと置いた。 しばらくはその場所で踏ん張り続けたまりさだったが吸い込まれて中の巨大なファンで細切れになりそのまま奥に消えていった。 「これで、悪いゆっくりはいないよ。安心して帰りな。」 俺は橙と藍に言ってあげると仕事を再開した。 「あ、あの・・・お礼がしたいんですが・・・。」 と藍が言ってきた。 「お礼?お礼なんていいよ。」 俺は目線のみ藍の方向に向けながら仕事をする。 何度も断るがそれでも執拗にお礼をしたいと言ってくる。 まぁ、ゆっくり2匹ぐらい飼ってもそうたいした出費はないしいいか。 仕事が終わりタイムカードを押しながらそんなことを考えた俺は 橙と藍を連れて家路につくのだった・・・。 想像以上に疲れましたw 暇があれば他にも作りたいなぁ。 ゆっくりってどうしてあんなに加虐心をあおるんでしょうかね? このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3060.html
ゆっくり射的 今日はお祭りの日。 いろいろな出店がある。ゆっくりにちなんだ店も今では珍しくなくなった。 ゆっくり焼きや冷やしゆっくり、水上まりさ釣りやカラーゆっくりなどもある。 もちろん普通の店もある。微妙に高い焼きそばとビールを買って花火でも見たいな、と思ったがそうもいかない。 俺も店を出してるからだ。その名も『ゆっくり射的』。 類似店がないからか、そこそこ盛況だ。ほら、また少年がやってきた。 「お兄さん!あの写真本物?どうやったらもらえるの!?」 写真とは射的の景品のことだ。あるスジから譲ってもらったり買ったりした。盗撮なんかじゃないヨ? 「おうともよ!あの写真は正真正銘の本物だ。むこうにゆっくりがいるだろ? アレを撃って、当たったら1点だ。点数に応じて写真をあげよう。簡単だろ、やってくかい?」 人里では妖怪に憧れる者も少なくはない。時に恐怖の象徴ともなるが、惚れこんでしまうものもいるという。 滅多に姿を見れない大妖怪ともなると、一部ではものすごい人気だという。 そういう人気の高い妖怪や、なかなか写真に撮られない(要するに写真自体が少ない)妖怪は高得点を出さないともらえない。 逆に人気があっても写真の枚数が多い妖怪などは簡単にもらえるようになっている。そのへんはお客の頑張り次第ということで… 「やるやる!いくらなの?」 「1回100円で弾は10発。 赤ゆっくりに当たるとどこでも1点。親ゆっくりは目と口に限り1点だ。それ以外は点数にならないぞ」 そう、この射的、的となるのはただのゆっくりではない。植物型にんっしんっ!をしたゆっくりなのだ。 頭に赤ゆっくりを生やした親を剣山で固定する。それを少し離れた所から狙い撃つというものだった。 ルールを説明するとお兄さんは少年にライフルを渡す。もちろん本物ではない。 「じゃあ撃っちゃってよ!」 「よーし、狙い撃つぞー!」 第一射。親ゆっくりに命中! 「いだいぃぃぃぃぃぃっぃい!どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 「「「おがぁしゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」 「お、なかなかやるな。でも親のほっぺただから点数にはならないぞ」 「くっそー、ところでお兄さん、レミリアの写真は何点でもらえるの?」 「レミリアか、えっと、5点だな。あと9発ある。がんばれよ」 実はこの射的、そこそこ難しい。親が少しでも痛みから逃れようと動く。頭上の赤ゆっくりも動く。 ただでさえ小さい的が動くのだ、10発全部はずれということもよくあることだ。 「次は当てるよ!」 第2射。はずれてしまった。 しかしゆっくりからするとはずれははずれで怖いものだ。何せ自分の近くを弾が飛んでいくのだから。 ゆっくりにとってはどちらにせよ地獄だった。 その後少年は6発はずしてしまった。 「お兄さん!難しいよこれ!」 「んー?じゃあちょっとサービスな」 そう言ってお兄さんは親ゆっくりを剣山に深く差しこむ。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!でいぶのあんよがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「これで親は動かない。がんばれよ」 「ありがとうお兄さん!」 第9射。サービスのおかげか赤ゆっくりの眉間(?)に命中し、それを吹き飛ばした。 「でいぶのあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「「おにぇえちゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」 「もっちょ、ゆっきゅりしちゃかっちゃ…」 「どぼぢでごんなごどずるの!?でいぶのあがぢゃんがえじでね!!」 「うるせーなー。少年、次は親の口に当てちゃってよ。黙らせたら特別に4点あげるよ」 「えっ!?本当にいいんですか、やっちゃいますよ!」 「ゆっぐりじでないででいぶのあがぢゃんなおじでね!!ぞれどだべものももっでぎでね!!」 本当にうるさい饅頭だ。当然今自分が置かれている状況なんざ理解してないんだろうな。 そして第10射。口には当たらなかったが。 「でいぶのづぶらなおべべがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「「みょうやだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!おうぢぎゃえりゅぅぅぅぅぅぅぅ!!」」 まだ生まれてすらいないのにどこに帰るってんだ。それはともかく。 「お、目か。特別に2点だ!おめでとう!じゃあ写真はこのなかから選んでね」 合計3点。なかなかいいスコアだ。写真も中堅妖怪ならあらかたそろっている。 「うーん…」 「いいのがなかったのかい?それならもう1回やって、2点以上とれたらレミリアってのはどうだい?」 「いいの?じゃあもう1回やるよ!」 「あいよ、また10発な」 「あ、お兄さん、僕もやる!」 「俺も俺も!」 「私も!」 ゆっくりの悲鳴が集客効果も果たしてくれたようだ。 「よしよし、みんなルールはわかってるな?しっかり狙えよ!」 「やべるんだぜぇぇぇぇぇぇぇ!!ばりざのがわいいあがぢゃゆべっ!?」 「まりざ?どうじだの?みえないよ!?」 「まとなんだねーわかるよー」 「ごんなごどずるなんでいながもの、の?ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 「サービスしといたぞ。動かないうちに当てろよー」 「むきゅ…むきゅ…」 「あ、あのぱちゅりー弱ってる!」 「むぎゅぅぅぅぅぅぅ!やべでっ!あがぢゃんじんじゃうぅぅぅぅぅ!」 お客さんも俺も、そしてゆっくりも楽しい時間を過ごせましたとさ。 舞台裏ならぬ屋台裏 「このまりさはもう駄目だな」 赤ちゃんも全部落ちたし、目も口もぐちゃぐちゃだ。 「こんなのでよかったら食べるかい?」 子供たちはくれるものなら、と喜んで食べてくれる。さぞや甘かろう。 おっと、こいつの分を補充しないとな。店の裏手にいる手伝いの虐待お姉さんに声をかける。 「新しいゆっくり用意してー!」 頼まれたお姉さんは大きな箱の中から適当にゆっくりを取り出す。 「今回はれいむか、それと…」 今度は『繁殖用』と書かれた箱の中からありすを取り出す。 「はいありすちゃん、このれいむとすっきりー!しようね」 「はぁはぁ、おねえさん、とかいはのありすはもうすっきりー!したくないよ…」 なんだって繁殖用にレイパーありすを使わなかったんだろと思いつつ、注射器を手に取る。 当然ありすの言うことなんかにいちいち耳をかさない。 「あんたは黙って私の前で汚らしく交尾してればいいのよ」 媚薬をありすに注入する。だんだんと息遣いが荒くなってきた。 手から離したとたんにれいむにとびつくありす。 「れいむかわいいよおおおおおおおおおおおおありすがあいしてあげるからねええええええええええええ!!」 「おねーさんたすけて!れいむゆっくりできなくなっちゃううううううううううう!」 「何事も経験だ、GO!」 「ああああああああああああああああああああ、ずっぎりー!」 「とかいはのありすはいっかいじゃまんぞくできないわ!もっとあいしあいましょれいむうううううう」 「お前はもうおわりね。また出番が来たら出したげるからまってなさい」 「ありすまだすっきりしてないのにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」 ありすを箱に詰めなおした頃にはもうれいむの頭から赤ゆっくりが生えていた。 そういう薬を使ってるからね。おお、ご都合主義ご都合主義。 「ゆ!?もうあかちゃんできたよ!ゆっくりしてないね!でもかわいいよ!」 「亜阿相界、今のうちによーくかわいがってやりなよ。もうすぐゆっくりなんてしてられなくなるから」 「おねーさんなにいってるの?これかられいむたちはとってもゆっくりするんだよ?ばかなの?しぬの?」 「へいへい、そりゃーゆっくりした話ですこと」 適当に流しながらそのれいむを店の表へ持っていく。 「ゆゆ~♪おそらをとんでるみたい~♪」 「はい着地ー!どーん!」 「どぼじでごんなごとずるのおおおおおおおおおおおおお!でいぶのあんよがああああああああ!ゆっぐりでぎないいいいいいいい!」 剣山に突き刺されるれいむ。まあ動かないという意味ではとてもゆっくりしてるよ、うん。 「あ、このぱちゅりーももう駄目ですね。新しいの持ってきますね」 そういってお姉さんはまた店の裏に戻って行った。 あとがき ゆっくりんピース?なにそれおいしいの? 俺も射的したい。チルノの写真欲しい。 byまふ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/712.html
※この物語は虐待お兄さんの平凡な日常を淡々と綴っています。過度な期待はしないでください。 ※また親から3メートルは離れてみてください ※fuku1868 ゆっくり腹話術(後) の続きともとれますが、話としては独立しているのでゆっくり腹話術を見ていなくても普通に見れます ※他の方々の作品のネタを一部お借りしています。 私はある日の夜、一匹のトマトサイズ程の子ゆっくりを連れて家へと帰ってきた。 帰り道に虐待したゆっくり一家の生き残りだ。 短い時間でさっぱり虐めるのも良いが、長い時間をかけてこってり虐めるのもまたおつなのだ。 私は子ゆっくりを服の懐にしまったまま、前にゆっくりを飼った時に使っていた飼育セットを押入れから取り出した。 とりあえず必要なのは、と取り出したのは加工所製の透明な箱並の強度をもつ水槽だ。 西瓜を二玉入れることができるほどの大きさだ。 「さて、と」 私はその水槽に懐に入れていた子ゆっくりを入れてやった。 懐にしまったまま結構動いたせいか、子ゆっくりれいむは目を回していた。 構わず私は晩飯の焼き鳥を取り出した。 串から肉を一片抜くと、それを目を回している子れいむの前に置いてやった。 しばらしくして子れいむが正気になると、水槽越しに目に入った私に向かって 「ゆぅぅぅぅ!! ちねぇ!! おとうしゃんをひどいめにあわちたにんげんはちねぇ!!」 などと罵声を浴びせてきた。 新参の虐待お兄さんや速効型虐待お兄さん、または稗田家九代目当主ならばこの時点で子れいむを殺していただろうが、 私はこの後控えている計画のことを思うと、怒りというよりも憐れみしか浮かばなかったので、無言で目の前の焼き鳥を指し示してやった。 「食え。お前の飯だ」 「……ゆっ?」 言われて気づいたのか子れいむは目の前の焼き鳥を注意深く観察した。 「れいみゅのごはん?」 「そうだ」 「…………たべちぇ、いいの?」 「いいんだ。お前の親と約束したもんな。お前をゆっくりさせてやるって」 そう言ってやると子れいむは警戒しながら、恐る恐るといった様子で焼き鳥の端をわずかに齧った。 「────ゆゆっ!? おいちぃぃぃぃ!!」 歓喜の声。 それもそのはず。野生で生きてきたゆっくりにとって、人間の食べ物など最上級のご馳走に違いない。 子れいみは完全に警戒を解いたのか、それとも私の存在が頭から消えたのか、二口目からはガツガツと焼き鳥を口に入れていった。 「む~しゃ、む~しゃ、ちあわせ~」 と喜びの涙まで流していた。 私はその様子を焼き鳥を食べながら眺めていた。 やがて目の前の焼き鳥を食べ終えた子れいむは、ようやく自分が水槽の中に入れられていることに気づいた。 「ゆっ? これにゃに?」 「それは今日からお前のおうちだよ」 「ゆっ!? れいみゅのおうち!?」 「そうだ。今日からお前はそこでゆっくりするんだ」 「わ~い、れいみゅのおうち~」と跳びはねる子れいむ。 「でも、その前に……」 私は子れいむを水槽から取り出した。 「ゆっ? はなちてね! れいみゅはれいみゅのおうちでゆっくりちゅるんだよ!」 流石に親をいためつけた私を完全には許していないのか、必死に抵抗する子れいむ。 だがそんなもの、私の加虐心を煽るだけだ。 「大丈夫だよ。れいむを綺麗にしてあげるんだよ」 「れいみゅのきれいに?」 「そうそう」 言い聞かせながら私は子れいむを抱えて水桶へとむかった。 奥底の食器を取り出し、水桶の水を入れてやると、そこへ子れいむを入れてやった。 「ゆっ~♪ ちべた~い♪」 その冷たさが心地よいのか子れいむははしゃいだ声をあげる。 私は皮が溶けないように注意しながら、指の腹でゆっくりの体を水を使って軽くこすってやる。 この程度の軽い洗浄でもゆっくりの汚れはわりと落ちるのだ。 子れいむはその間ずっときゃっきゃと喜んでいた。 洗浄を終えると子れいむを再び水槽へと戻してやる。 「今日はもうおやすみな、れいむ。また明日もゆっくりしような」 「ゆっ♪ れいみゅはゆっくりしゅるよ!」 もう私への警戒が解けたのか、子れいむは明るい声で私に返した。 流石の餡子脳と言うべきか。 つい一刻前に家族を失ったというのに。 まずはそのような生活を四日続けた。 基本的に水槽からは出さないが子れいむにとっては広くて問題ないようだった。 毎日三食、私の食事の一部をあげたし毎晩水洗いもしてやった。 水槽の中には一日ごとに新しい玩具も入れてやった。 野生の頃とはまるで違うゆっくりとした生活を、子れいむは完全に堪能していた。 かつて家族を痛めつけた私に全幅の信頼を寄せてもいるようだった。 「さて、と」 四日目の夜。子れいむの寝顔を見ながら私は〝本来の飼育〟へ移行させることを決めた。 ちょっと考えてみて欲しいことがある。 地上一メートル地点から地面に落ちても、さほどのダメージはないだろうが、 地上二千メートルから地表にたたきつけられた場合、そのダメージはどうなるだろうか? 五日目の朝、子れいむが目を覚ますと水槽の中は昨晩と様変わりしていた。 「ゆっ~、おはようおにいしゃん……きょうもゆっくり……、ゆっ……?」 水槽の底面が、一面割れたガラス片によって埋め尽くされていたのだ。 「ゆっ? なんだかおうちがきらきらしていりゅよ?」 それを見て子れいむはどうやら喜んだ様子で水槽内を跳ねはじめた。 「ゆっ、ゆっ~♪ きれいなれいみゅのおう────ゆ゛ぅぅぅぅぅ!?」 当然、体の底面をガラス片で切った。 「いちゃいよぉぉ、いちゃいよぉぉ!!! ゆっぐりできないよぉぉぉ!!」 ボロボロと涙を流しながら、ゴロゴロと水槽内を転がる子れいむ。 そんなことをすればもちろん、体のあらゆるところをガラス片で切ることになる。 「ゆぎゃぁぁぁぁ!? いちゃいよぉぉ!! なんでぇぇぇ!?」 わけもわからず痛みに苦しみ号泣する子れいむ。 切り傷からは餡子が滲み出ていた。 全身切り傷まみれになったところで、ようやく底面に敷き詰められたこれが痛い原因だと理解した子れいむ。 まるでゆっくりできない。どうすればいいだろうかと周りに視線を向けると 「ゆっ? ちっちゃいおうちがあるよ!」 水槽の隅にいつの間にか置かれている小さな小屋を見つけた。 それはゆっくり用の犬小屋のようなもので、昨晩子れいむが寝ている間にガラス片とともに設置されたものだ。 「ゆっ、あそこならゆっくりできるよ!」 なるべくガラス片で体を切らないように注意しながら小屋へと向かう子れいむ。 なんとか切らずに小屋の中に入ってみると、そこには斜面となった床があった。 だがガラス片は敷き詰められていない。 「ゆっ~、ここならゆっくりできるよ~」 斜面を登り小屋の奥へと入る子れいむ。 斜面を転がりおちないように注意しながら、ようやく痛みから解放された安心からか、再び眠りへと落ちていく子れいむ。 そうなると当然、斜面を転がり落ちる。 高いところから転がることによってさっき転がり回った時よりも更に強い勢いでガラス片の絨毯を駆けることになった子れいむ。 スパスパと体を切り刻まれる痛みで眠りから覚醒する。 「ゆ゛っ゛ぐり゛い゛!!!」 先程よりも更に強い痛みにボロボロと涙を流す子れいむ。 その一部始終を見ていた私は、そこでようやく子れいむの前に姿を現した。 「よう、れいむ起きていたのか」 「ゆっ!? おにいしゃん、これはなんなの!?」 「それか? 綺麗だろ? もっとれいむをゆっくりさせてやろうと思ってな」 「なにいっちぇるの? こんなものいちゃくてゆっくりできないよ!」 頬を膨らませてぷんぷんと怒りを示す子れいむ。 それによって切り傷からは更に餡子がもれ出ているのだが、本人は気づいていない。 「ゆっくりできない? そんなことないだろう?」 「ゆっくりできないよ! おとうしゃんとやくしょくしたんでしょ!? れいみゅをゆっくりさせる、って!」 「そうだよ、だから私なりにゆっくりさせようとしてるんじゃないか」 「なんどもいわしぇないでね? れいみゅはゆっくり────」 いい加減煩いので水槽に蹴りをぶちこんだ。 加工所製の水槽はこの程度では壊れない。 水槽越しとはいえ目前の暴力に唖然とする子れいむ。 「黙れよクズ饅頭。お前は私の庇護下にあることを忘れるなよ?」 「ゆっ……ゆっ! なにいってるの! さっさとれいみゅのおうちをもとに────」 今度は蹴り飛ばす。 部屋の端まで吹っ飛ぶ水槽。 荒れ狂う水槽内部。飛び交うガラス片。 当然その奔流に巻き込まれた子れいむは切り刻まれる。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ゛ぐ……ゆ゛っ゛ぐり゛ざぜでえええええええ」 近づきひっくり返った水槽を元に戻してやると更に傷の増えた子れいむが滝のような涙を流していた。 「いいか? お前には文句を言う権利などない。いや、あらゆる権利はお前には無い」 水槽から取り出してやり耳元でそう囁きかけると、私は小麦粉を水で溶かしたものを子れいむの傷に塗ってやった。 ゆっくりの傷薬のようなものだ。 これで子れいむの傷を治してやる。死なないようにまた苦しませるために。 その間も子れいむは何かを喚きそうだったが、指を喉奥に突っ込んでやったり、頬を少しちぎってやったら黙った。 子れいむの応急処置を終えると、もう一度子れいむを水槽の中に入れてやる。 その際またもやガラス片で底面を切った子れいむ。痛みに顔をしかめる。 こんな水槽ではすぐに死んでしまうと思われるが、その回避のためにセーフハウスであるゆっくり小屋を水槽に取り付けた。 もっとも、眠ったり力を抜けば転がり落ちる仕様のためゆっくりすることなど出来ないが。 水槽の中に入れてやったところで私は子れいむに朝食を与えてやる。 「ほれ」 入れてやったのは昨晩、里の食事亭からもらってきた生ゴミだ。 「……ゆっ?」 不思議そうにしている子れいむに私は説明してやる。 「朝食だ。食え」 「ゆっ!? なにじょうだんいってるの! はやくれいみゅにごはんもって────」 ズダン、とその場に、畳を踏み抜くかと思われる強さで足を叩き付ける。 それでさっきの恐怖が蘇ったのか黙る子れいむ。 「さっきお前にはあらゆる権利がないと言ったばかりだが? いくら言ってもそれ以外にお前の飯はない」 押し黙る子れいむ。 だが目の前の生ゴミには口をつけようとしない。 当然だろう。つい昨晩まで夢のようなご馳走を口にしていたのだ。 野生の頃でさえ口にしないようなものを、肥えた舌が受け付けるはずもない。 だが私はそれより上等なエサを与える気は毛頭ない。 何も食べない子れいむを放って私は勤めに出た。 夜。 いつもは昼飯時も家に帰って食べていた私だったが、今日は一回も家に戻らず仕事が終えてから家に帰った。 水槽を見てみると生ゴミには一切手をつけられておらず、衰弱しきった子れいむがいた。 「ゆっ、おにいしゃん……。ごはん、ちょうだい……」 か細い声で懇願する子れいむ。 あれからまた動き回ったのか新しい切り傷まで体に出来ていた。 私は死なれても困るので、子れいむを水槽から取り出してやり、水の入った皿を目の前にだしてやった。 「飲め」 そう言うと子れいむは、何も口にしないよりはましか、と水皿に舌を伸ばし、飲んだ。 「ゆぐっ!? がらぁぁぁぁぁい!! なにごれぇぇぇぇ!!!」 ただし、子れいむに与えたのは塩水だ。 外の世界に詳しい知り合いの妖怪によれば、この塩水の濃度は外の世界の〝海〟とやらと同じ塩分濃度らしい。 「おにいしゃん、なんてもののましぇるのぉぉ!!」 どこにそんな元気があったのか抗議をする子れいむ。 私はその子れいむを掴むと塩水の中に沈めてやった。顔面は水上に出るが。 「ゆ゙ーーっ゙!!! いぢゃぃぃぃぃぃ!! ゆっぐりぢだいぃぃぃ!!」 切り傷に塩水が染みるのだろう。 たっぷり十秒ほど沈めてから引き上げてやる。 「お前には、文句を、言う権利は、無い」 そう真正面に向かって言ってやり、もう一度塩水に沈めた。 「いぢゃいぃぃぃぃ!! わがりまぢだぁぁぁ!! もんぐいいまぜん! だがらだぢげでぇぇぇ!!」 子れいむがそう叫んでからたっぷり二十秒程してから引き上げてやる。 手ぬぐいで体を拭き「ゆっ! いちゃい、いちゃい、もっとやちゃちく────ごべんなざいぃぃぃ!!!」 ゆっくりの傷薬で切り傷を塞いでやると、再び水槽に入れてやる。 「言っておくが、そのエサを食べないと新しいエサは無いからな。腐る前に食べろよ」 そう言ってやったのに、翌日の夜までそいつは生ゴミを口にしなかった。 燃費の悪い子れいむは昨晩叫んだためか、すっかり体力を失い、皮は薄くなり中の餡子が透けていた。 流石に死なれては困る。 私はゆっくりを片手に持つと、もう片手の箸で生ゴミをつまむと子れいむの口元まで持っていってやる。 だが子れいむは頑なに口を閉ざして食べようとしない。 なるほど、そこまで強情になるというのなら、もうこの手しかないな。 私は台所から果物ナイフを持ってくる。 「…………ゆっ? おにいしゃん、それでなにす────」 子れいむの頬を果物ナイフでかっさばいた。 「ゆ゛ーーーーーーっ゛!?」 そして出来た頬の裂け目から、生ゴミを突っ込んでやり、吐き出さないようにしっかりと口と頬を押さえつけ飲み込ませる。 子れいむは少ない体力で生ゴミを吐き出そうと暴れるがそんなものは徒労だ。 やがて生ゴミを飲み込んだ。 「くちゃいよぉぉ!! おいちくないよぉぉ!! ゆっくりできないぃぃぃ!!」 口を離してやるとわんわんと泣き叫ぶ。 煩い。 「れいむ。早く残りも食べないともう片方の頬も切るぞ」 「ゆっ!? ごべんなざい、ごべんなざい、だべまずだべまずぅぅぅ!!」 水槽に戻してやると、ようやく食べる気になってくれた子れいむが、腐った生ゴミの残りを食べ始める。 水槽の外まで臭ってはたまらん、と私は完全防臭の蓋を水槽にすると自分の食事の準備を始めた。 その後、虐待お兄さんが食事を終えても、就寝にはいっても、子れいむは生ゴミを食べ終えてなかった。 暗い真夜中、泣きながら生ゴミを咀嚼する子れいむの頭の中にはかつての幸せな生活が蘇る。 だがその生活に戻ることは、未来永劫決してない。 ────────── あとがきのようなもの ゆっくりを飼うことになったら~、というシチュで考えた108通りあるうちの一つです。 ごめんなさい、うそです。本当は26通りぐらいです。 他に作者が書いたもの:ゆっくり合戦、ゆッカー、ゆっくり求聞史紀、ゆっくり腹話術(前)、ゆっくり腹話術(後) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/444.html
注意 この話には俗にいう「良いゆっくり」と「悪いゆっくり」が出てきます またゆっくりをペットとして飼っている人が出てきます そういうのが嫌いな人は読まない方がいいかもしれません また、まだ虐待的な描写もありません あと東方キャラも出てきます そこも注意 「ひゃっはー!!勝手に人の家に入ろうとするような屑は消毒だぁ!!」 「ゆゆっ!!」 「ゆっ!!にんげんだよ!!ゆっくりできないよ!!」 「ゆゆ、おにいさん!ゆっくりしていってね!!」 「だが断る」 プチン!! 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ま゛り゛さ゛のあか゛ち゛ゃんがあ゛ぁ!!」 「さぁーて、次はどの子を潰そうかなぁ?」 「ゆゆ!?まりさはわるくないよ!!わるいのはこのこたちだよ!!このこはころしていいからまりさはゆっくりたすけてね!!」 「お゛か゛あ゛ぁーん゛!?!?」 「どぉじでぞんな゛ごとい゛う゛の゛ぉお!?!?」 「そうかそうか、じゃあ悪い子供から潰してあげよう」 「れいむ!にげて!!」 「れーむおねえちゃん!!れーむもいっちょにゆっちゅりちたいよ!!」 「だめだよ!!れいむだけでもゆっくりしていってね!!」 「おねえちゃん!!どおちてみじゅにおちょすのお!?」 「あ!!…あーあ、川に落としやがった…ま、いいや、どうせ助からないだろうし!!」 「そんなことないよ!!あのれいむはれいむのぶんまでゆっくりしてくれるよ!」 「うるさいよ!!れいむはおかーさんをたすけるためにゆっくりにんげんにつぶされてね!!」 「まあ、親子共々つぶすんだけどね、そぉい!!」 「どぉじでぇ!だすげてく゛れ゛るん゛じゃないの゛ぉお゛!?!?」 「れいぶー!!べいむのぶんまでゆっぶげっ!!」 「ゆゆゆっ!おねえちぁーん!!!」 「よお、れいむ、お早いお目覚めだったな」 俺の飼っているれいむがいつもより起きるのが遅いと思ったら急に叫びだした、またあの夢を見たのか 「ゆっ、ゆっ、ゆっ…」 あーあ、また泣き出しちゃったよ 「どうした?また怖い夢でも見たのか?」 「お、おにいざん!!こわいよ!!ゆっくりできなかったよぉお!!」 「あぁ、大丈夫だ、俺がいる間はお前は守ってやるから、な?」 「う、うん、ゆっくりできるよぉ…」 このゆっくりを飼い始めたのはちょうど1年ほど前だ 庭で草むしりをしていたら家のすぐそばの小川の岸でぐったりしていたところを発見、保護したのだ 自分はゆっくりは嫌いではない、だからと言って必要以上に溺愛したりもしない ただ、害を加えるゆっくりには断固とした態度で制裁すべきだとは思っている れいむの家族は人間の家に侵入しようとして石でガラスを割ったところを人間に見つかり攻撃された 親に裏切られ、死ぬかと思ったが姉に川に突き落とされたことで何とか助かったらしい 最初は自分と目を合わせようとしない、餌を出しても食べようとしない、毒見しても食べようとしないので無理やり口移しで飲ませた なにもただのゆっくりにそこまでしてやる理由はなかった ただの偽善とか独善だったのかもしれない ただ、このれいむは回復した後俺を慕ってくれるようになった、最初のころはゆっくり独特の傲慢さも目立った。 俺が仕事から帰ってきた直後に 「ゆゆっ!!おにいさんおかえりなさい!!いのちのおんじんのおにいさんはきょうもれいむのいえでゆっくりさせてあげるよ!!」 とか言ってきたときは本気で殺したくなったがその場は押さえ、ゆっくり関連の本を読んで何とかしつけることに成功した そしてついに先週、飼いゆっくりの最高峰「ゆっくりゴールドバッチ」を手に入れた 最初は怪我が治るまで世話してやろうと思ったがれいむの願いで餡子を食べたこともある今ではそれなりに大切な相棒になってきている 「じゃ、俺は仕事に行ってくる、お前は何か用事があったっけ?」 「ゆゆっ?、わすれたのおにいさん!きょうはおさのいえでゆっくりしゅうかいのひだよ!!」 「すまん、忘れてた、じゃあ先に出てくれ、帰ったときに俺がいなかったら外の小屋で待っててくれ」 「しっかりりかいしたよ!!じゃあ、ゆっくりいってくるね!!」 ゆっくりしゅうかいとは里の長の飼いゆっくりが始めた飼いゆっくり達の会議のことである 会議といってもどこのゆっくりが亡くなった、そうしきをひらこう。とか やせいゆっくりがはたけをあらしてたよ、おお、おろかおろか。とか そんな話を各地区の代表が集まって話をするらしい そして俺は役場で仕事だ 外の世界から来た自分に幻想郷で生活ができるのかという不満があった だが識字率の決して高くないここでは漢字も読み書きでることが重宝され、里の役場で書類整理の仕事をしている あと学生時代の経験を生かして河童と外のコンピューターをいじくるのもいい副収入になっている 今日のゆっくり集会もいい感じにゆっくりできた そうれいむは思いながられいむは帰り道の途中で捕まえたトンボを食べていた お兄さんはいつもおいしいごはんを作ってくれる、だが万が一のことも考えて自分で餌を取ることもやめてはいない お兄さんもそれは理解していてご飯の前に今日はどれくらい食べるかと聞いてくれるので外で食べすぎてお兄さんを心配させることもない 「ゆゆっ!おにーさん!れいむがかえってきたよ!中に入れてね!!」 すぐにドアが開いた、今日はお仕事は早く終わったらしい 「おう、お帰り、俺はこの後酒場で飲みに行くけどお前も来るか?」 「ゆ…きょうはすこしつかれたからおにーさんのおうちでゆっくりするよ!ごはんはそとでたべたからきにしないでいいよ!!」 「そうか、わかった、棚の中にゆっくりフードがあるから腹が減ったらそれを食べてくれ」 酒場はみんなが優しくしてくれるから大好きだでもゆっくりを料理するしその声が聞こえてくることがあるから気分が乗らない日は行きたくない それはお兄さんも知っているからそれ以上はいってこない 周りの人間は目つきが怖いとかいうけどこのお兄さんは本当にいい人だ、この人に飼われて良かった 男が「じゃあ行ってくる」といって戸を開く ゆっくりが「ゆっくりきおつけてね!!のみすぎはだめだよ!!」と返事 「わかってるよ」と言いながら戸を閉め、鍵をかける男 道路わきの茂みの中からその光景を見る一対の目があった 続く? おまけ ゆっくりバッチについて 飼いゆっくりには飾りにバッチをつける決まりがある(飾りがないゆっくりには新しく髪飾りをつける) 最初のころはただの飾りだったが今ではブロンズ、シルバー、ゴールドの3種類のバッチがある。 ブロンズ これはただ人が飼っているゆっくりであることを証明するだけの飾りである 虐待お兄さんが一時的に甘やかすためだけに一時的につけることもあるのでこのバッチの付いているゆっくりは躾がなっていないことが多い そのため通常他人の飼いゆっくりを攻撃することは器物損壊に当たる犯罪だがブロンズバッチのゆっくりは被害をこうむった場合殺しても罪にならない シルバー ある程度人間と暮らすためのルールを覚えたゆっくりにつけられるバッチ、普通に可愛がりたい場合は最低でもこれがないといけない なお、ペットショップで売られる餡子増量型ゆっくりは無条件で付けることができ、通常のゆっくりもペットショップで試験を受けることで付けることができる ゴールド 最高のペットゆっくりにつけられるバッチ、このバッチをつけられたゆっくりは飾りのないゆっくりでもゆっくりと識別し攻撃しないなど、ゆっくりの常識を超えた行動ととることができる 当然試験も厳しい このバッチをもったゆっくりは労働力としてもある程度貴重でゆっくりを働かせているところではゆっくりの教育係として重宝している そのためこのバッチを持ったゆっくりがほかの所に出稼ぎに行くこともある ちなみに最低条件に「飾りのないゆっくりでもゆっくりと識別」することがあるがこれは過去に起きた事件に由来する 過去に起きた事件について 里周辺に住むあるゆっくりの群れが人里の飼いゆっくりのことを 「人間を飼いならし、おいしいものを独占する悪いゆっくり」として飼いゆっくりに対して執拗な攻撃を仕掛けてきた事件 その手口は飼いゆっくりの飾りを盗んでしまうというもの そのため飼いゆっくりによる飼いゆっくりの殺害が続出した だが飼いゆっくりの飾りをつけたゆっくりが人間に餌をねだった挙句つかまったため事件が発覚 その後飾りがなくても識別可能なゆっくりの育成、人間が区別できるように焼印によるマークによりゆっくりによるゆっくり殺害は激減、事件は沈静化した 現在でも飾りをなくしたゆっくりがゴールドゆっくりか里の人間に焼印を見せながら助けを求めることがある ちなみに加工所で売られている予備飾りをゆっくりの餡子で特殊加工することで飾りをなくしたゆっくりも社会復帰ができる ちなみに後に造られた飾りの方が優位性が高いため同じ飾りをもったゆっくりが現れて混乱が起きることはない あとがき どうも、セインでございます 飼いゆっくりに起きた悲劇…的なことを書こうとしたらまだ悲劇は起きませんでした…ごめんなさい 幻想郷は識字率が低い 幻想郷の文化レベルは戦国時代から江戸時代程度だと思ったのでこういう設定を作りましたが実際江戸時代の識字率は高かったらしいです… それにけーねが寺子屋で授業してたりAQNが本書いたりしているので識字率は高いのかも…ごめんなさい 8月10日 2339 セイン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1826.html
「盲導ゆっくり」(前編) 「ゆ!!まりさはこっちだよ!!ゆっくりついてきてね!!」 「あぁ、そっちだね。わかったよ」 目を瞑ったままのお兄さんが、黒い帽子をかぶった金髪のゆっくり―――ゆっくりまりさについていく。 その足取りはスムーズではあるが、どこか普通とは違う。そんな違和感を感じさせるものだった。 草原に近い道を抜け、小さな門をくぐり、庭の中央を抜けて、まりさとお兄さんは立ち止まる。 「おうちについたよ!!ゆっくりかぎをあけてね!!」 「ちょっと待ってくれな」 まりさが家の玄関にたどり着いたことを告げると、お兄さんは既に手の中に握っていた鍵で解錠し、扉を開いた。 その後も、まりさの先導に従って家の中にあがりこむ。 ここまでくればもうまりさの案内は必要ない。かれこれ10年も暮らしている家だから。 「おつかれさま!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりするよ。あ、ちょっと待ってな。お前に食べ物をもってくるからね」 「ゆ!!おにーさんありがとう!!ゆっくりまってるね!!」 まりさに繋がった紐を手放すと、お兄さんはゆっくりと台所へ向かう。 お兄さんの目線と同じ高さにある戸棚の扉を開けると、手探りで何かを探し始めた。 目当てのものを探り当てると、それをもってまりさのいる部屋へと戻り、手馴れた動作で袋を破ってその中身をまりさに与えた。 「ほら、お食べ」 「ゆっ!!くっきーだね!!ゆっくりいただきます!!」 はふはふと、獣のようにクッキーを貪り食うまりさ。 とてもゆっくりした、とても幸せそうな表情だが――― 「むーしゃむーしゃ♪しあわせー♪」 ―――その表情は、お兄さんには見えていない。 お兄さんは、いつも真っ暗な世界の中にいた。 朝目覚めてから、夜眠るまで。一日中、何をする時も、彼は暗黒の世界の中にいた。 目の前に誰がいて、誰がいなくて、何があって、何がないのか。彼は視覚以外の情報でそれを探るしかない。 いつからこうなったのかは、良く覚えている。 その日までは、普通に全てが見えていたのだから。 しかし、ある日突然……彼は、光の届かない世界で生活することになった。 そんな彼の補助をするのが、盲導ゆっくりであるゆっくりまりさだ。 盲導ゆっくりは、盲導犬と同じように視覚障害者を安全に快適に誘導するものである。 利点や欠点はいろいろあるのだが、一番の利点は言葉が通じること。 犬以上に意思疎通が容易であり、訓練次第では盲導犬以上のレベルの高い補助が期待できる。 その分訓練には時間を要するのだが、それは今後の研究で改善されるだろう。 「ゆーん♪ゆっくりおいしいよ!!」 「美味しいか。それはよかった」 お兄さんはクッキーを頬張るまりさの帽子を脱がし、頭を撫でてやる。 まりさは嫌がる素振りは見せず、お兄さんに撫でられながらクッキーを食べ続けた。 「おにいさん!!まりさはおにーさんのおかげでとてもゆっくりできるよ!! これからもゆっくりしていってね!!まりさがゆっくりさせてあげるからね!!」 「あぁ、ありがとう。ゆっくりさせてもらうよ」 盲導ゆっくりと付き合っていくコツは、とにかくゆっくりさせてやることだ。 家に帰ったら食べ物を与え、ゆっくりさせる。夜には風呂に入れてやり、清潔にしてやることも必要だ。 面倒に思えることだが、こうした毎日の積み重ねによって更に忠実な盲導ゆっくりとなる。 盲導ゆっくりは、自分をゆっくりさせてくれる人を全力でゆっくりさせようとするのだ。 そんなお兄さんとまりさの微笑ましいやり取りを、2匹のゆっくりが丘の上から眺めている。 盲導ゆっくりとは別のゆっくりまりさと、ゆっくりぱちゅりーだ。 窓ガラス越しに見る家の中の様子は、とても見づらい。 だが、家の中のまりさがとてもゆっくりしていることだけはわかったようで、まりさは地団太を踏みながら叫んだ。 美味しい食べ物を与えられ、頭を撫でられ、快適な室内でゆっくりしているのが羨ましいのだろう。 「ゆっ!!あいつだけずるいよ!!まりさもゆっくりしたいのに!!にんげんのたべものがたべたいよ!!」 まりさは、人間の食べ物が普段食べている雑草とは比べ物にならないくらい美味しいということを知っていた。 一度だけ道端に落ちていた煎餅を食べた事があり、そのときの衝撃は今でも餡子脳に焼きついたままだ。 「むきゅ!!でもにんげんのいえにはいるのはきけんよ!!ゆっくりできないわ!!」 ぱちゅりーの忠告はもっともなものだ。 事実、まりさの仲間も人間の家を襲撃した事があったが、一家根絶やしにされ二度と帰ってこなかった。 だからまりさは慎重になる。策なしに飛び込むのは、人間に殺されるために行くようなものだから。 「でもいいほうほうがあるわ!!むきゅん!!」 「ゆっ!?ほんとう!?ゆっくりおしえてね!!」 胸を張るぱちゅりーに、まりさは詰め寄る。 ぱちゅりーはにやっと微笑みながら、自慢げに説明を続けた。 「むこうのまりさといっしょにいるニンゲンは、じつはめがみえないのよ!!まちがいないわ!!」 「ゆっ!!そうなの!?」 ぱちゅりーは、先ほどまでのお兄さんとまりさの様子から、お兄さんの視力が殆どないことを察知していたのだ。 それに気づいていなかったまりさは、意外な事実に驚きの声を上げる。 「だからむこうのまりさといれかわっても、ニンゲンはきづかないわ!!」 「ゆっ!!すごいよ!!さすがぱちゅりーだね!!」 「むきゅきゅん!!むきゅん!!」 まりさは、これ以上ない名案だと思った。 あの人間の目が見えないのであれば、向こうのまりさと入れ替わっても気づくわけがない。 見たところ、向こうのまりさは弱そうだ。ひとりで外に出てきたときにやっつけて、そのまりさになりすませば…… 人間にまったく気づかれることなく入れ替わり、毎日思う存分ゆっくりする事が出来る。 今、幸せそうにゆっくりしている“あの”まりさが、自分になるのだ! 「ゆっへっへ!!それならゆっくりできるね!!あいつだけゆっくりするなんてずるいもんね!!」 まりさは、その家へと跳びはねていく。早速、例のまりさを待ち伏せするのだろう。 そんなまりさを、ぱちゅりーは無言で見送った。 植木の陰に隠れて、まりさは盲導まりさが家から出てくるのを待っている。 葉と葉の隙間からじっと玄関の扉を凝視し始めてから、かれこれ30分が経過した。 「ゆっ!!はやくでてきてね!!ゆっくりしすぎだよ!!ぷんぷん!!」 すぐに姿を現すだろうと思い込んでいたまりさにとって、この待ち時間は苦痛でしかなかった。 その苦痛の原因を、家から出てこない盲導まりさに押し付ける自己中心的な思考は、ゆっくりの典型である。 「もうおこったよ!!さっさとでてきてね!!」 お兄さんの家に怒鳴り込もうと、草の陰から飛び出した……その時。 玄関の扉の下。そこのゆっくり用出入り口から、盲導まりさが出てきた。 「ゆっくりいってきます!!」 どうやらお兄さんに買い物を頼まれたらしく、単独での外出のようだ。 頭に紐がつながれておらず、その代わりに飼いゆっくり最高ランクであるゴールドバッジと、盲導ゆっくりであることを示すプレートが帽子に固定してある。 プレートが斜めにくっついているのは、お兄さんの目が見えていない証拠だろうか。 盲導まりさはゆっゆっ♪と歌いながら、里の市場へと向かい始めた。 が、そんなビッグチャンスをまりさが逃すわけがない。 「ゆっ!!ゆっくりとまってね!!」 「ゆゆ?ゆっくりしていってね!!まりさはゆっくりできるひと?」 突然の呼びかけに、盲導まりさは立ち止まってゆっくり流の挨拶をする。 まりさは挨拶を返すことなく、大きな口を開けて盲導まりさに飛び掛った。 「おまえはいままでゆっくりしすぎたよ!!こんどはまりさがゆっくりするばんだよ!!」 「ゆゆっ!?なにをするの!?ゆっくりやめてね!!」 まりさは、盲導まりさの帽子をすばやく取り去ると、それを咥えたまま丘の上へと駆けていく。 「ゆっ!!まりさのぼうしをかえしてね!!ぼうしがないとゆっくりできないよ!!」 いくら訓練を受けた盲導ゆっくりとはいえ、帽子を失うことは怖い。その恐怖は克服できないのだ。 必死の形相で、盲導まりさは帽子を奪ったまりさを追いかける。 「ゆっへっへ!!まりさにおいつくわけないでしょ!!ばかなの!?」 「ゆっくりまってね!!まりさのぼうしをかえしてね!!ゆっくりとまってよおおおおお!!!」 下品に笑いながら丘を登るまりさ。それを追う盲導まりさの目には、大粒の涙が浮かんでいる。 両者とも体格がほぼ同じなので、一度開いた差を縮めるのは困難だ。 それでも盲導まりさは必死に追い縋り、少しずつ2匹の距離は狭まってきている。 盲導まりさの目に、一層力がこもった。 「ゆっ!!ゆっくりおこったよ!!まりさはぼうしをはなしてゆっくりしんでね!!」 あと一歩というところまで迫ったとき、盲導まりさは大きく飛び上がった。渾身の力を振り絞った体当たりである。 しかし、その体当たりはあっさり回避されてしまい、ぶるんと身体を震わせながら何もないところに着地した。 その隙を、このまりさは見逃さなかった。 「ゆっくりしつこいよ!!ゆっくりしね!!」 丘の上から、丘の下へと。盲導まりさを突き飛ばす。 上から下へ。ファンタジーの塊であるゆっくりも、物理の原則には逆らえない。 重力に引っ張られるまま、盲導まりさは坂をごろごろ下り始めた。 「ゆびあああああああああ!!!どまっでええぇええぇぇええええ!!!」 「ゆひゃひゃ!!ゆっくりしんでね!!まりさがゆっくりするからね!!」 ゆっくりは総じて転がりやすい体型なので、一度勢いがついたら止まらない。 盲導まりさが丘のふもとまで転がっていく様を、まりさはゲラゲラ笑いながら眺めている。 そして…… 「いびゃっ!?」 運が悪いことに、盲導まりさは大木に正面衝突し……餡子を吐き出して、動かなくなった。 「ゆっへっへ!!まりさをゆっくりさせないのがいけないんだよ!!あのよでゆっくりこうかいしてね!!」 丘の上から本物が死ぬ様を見ていたまりさは、器用に舌を使って本物から奪った帽子を被った。 まりさは、玄関の前にやってきた。 扉の下にあるゆっくり専用の出入り口から、勢い良く家の中に飛び込む。 「ゆっくりかえってきたよ!!」 「あぁ、おかえり。かなり早かったね」 お兄さんは、奥の部屋のベッドに腰掛けていた。 まりさは彼の顔を見上げるが、お兄さんは目を閉じたまま開こうとしない。 どうやら、ぱちゅりーが言っていた事は本当らしい。これなら、自分は存分にゆっくり出来る。 そう確信したまりさに、お兄さんは問いかけた。 「さぁ、買ってきたものを出してくれるかな?」 「ゆ!?かってきたもの?なにそれ!!ゆっくりできるの!?」 浅はかな発言だった。ここは無理やりにでも、お兄さんの会話に合わせるべきだった。 それを思いつかないあたり、まりさの餡子脳はある意味とてもゆっくりしていた。 「ん?何言ってるんだ?さっき買い物を頼んだだろう?帰ってきたってことは、もう買い物を済ませたんじゃないのか?」 「ゆっ!?ゆゆゆ?………ゆっくりわすれちゃったよ!!」 このまりさ、別にお兄さんの話に合わせたわけではない。本当に忘れたと思っているのだ。 買い物を頼んだ?頼まれた覚えはない。でもお兄さんは頼んだといっている。 あれ?そうだっけ……そういえば頼まれような気もする―――という具合である。 本当は買い物など一度も頼まれてないのに、まりさの頭の中では頼まれた買い物を忘れてしまったということになっているのだ。 「おいおい、君らしくないなぁ。いつもならしっかり買い物してきてくれるのに」 「ゆゆゆ…ゆっくりごめんね!!それよりまりさをゆっくりさせてね!!」 「……え?」 お兄さんは、まりさの言葉を聞いて固まってしまった。 何かまずい事を言ってしまったのだろうか?と、まりさはちょっとだけ不安になった。 だが、偽者だと気づかれてしまったのではないか、という考えはそこにはない。 だって、この人間は目が見えないのだから。一生偽者だと気づかないまま、自分をゆっくりさせてくれる存在なのだから。 その思い込みが、まりさの思考を停止させていた。 「ゆゆ?どうしたの?ゆっくりさせてね!!まりさはゆっくりしたいよ!!」 「……しょうがないな。で、お前は何がしたいんだい?」 呆れたような声で、お兄さんはまりさに問いかける。 まりさはぱあっと嬉しそうな顔をして、明るい声で答えた。 「おかしがたべたいよ!!おかしをよういしてね!!」 「そうかそうか、でもお兄さんは何も見えないからお菓子を用意できないんだ。自分で取りに行ってくれるかな?」 「ゆっ!?し、しょうがないね!!ゆっくりじぶんでとりにいくよ!!」 お兄さんに指差された方向―――台所へ、まりさは跳ねていく。 台所が、人間の食料が保管されている場所だということは知っているが、自分の目的のものがどこにあるかはわからなかった。 来た道を引き返して、不機嫌そうにお兄さんを見上げるまりさ。 「おかしはどこなの?ゆっくりわからないよ!!」 「え?わからない?おいおい……今日の昼に教えたばかりだろう?」 「ゆ?ゆゆゆゆゆ……?」 どうやら、本物の盲導ゆっくりはお菓子の場所を教わっていたらしい。 「うーん、ここまでダメになるなんて……別の盲導ゆっくりに変えてもらおうかな」 「ゆ!?ゆっくりやめてね!!おかしのばしょをおもいだしたよ!!だからまりさをおいださないでね!?」 さすがの低脳饅頭も、お兄さんの言葉に込められた不穏な雰囲気は読み取れたようだ。 せっかくゆっくりできる環境を手に入れたのに、追い出されてしまっては全てが水の泡になってしまう。 まりさは咄嗟に取り繕って、再び台所へと向かった。 お兄さんにはああ言ったが、結局のところまりさはお菓子の場所が分からない。 自分の視界に入る小さな扉などは全て開き、中に潜り込んで漁り放題漁ったが…… 見つかるのは缶詰やインスタント食品など、お菓子でないばかりか自力で封を開けることもできないものばかり。 結果として、まりさは頭上の戸棚に収まったお菓子を見つけることは出来なかった。 そこに戸棚があることすら、気づかなかった。 「まりさ?どうだ?お菓子は美味しいかい?」 「ゆ!?ゆ…ゆゆゆゆ、ゆっくりおいしいよ!!しあわせー♪」 「あぁ、それはよかった。あとで出かけるから、そのときまでゆっくりしてなさい」 隣の部屋からのお兄さんの呼びかけに、まりさは慌てて答えを返す。 もし、ここでお菓子が見つからなかったことを言えば、ここを追い出されてしまうかもしれない。 それだけは避けたかったまりさは、お菓子を見つけたフリをすることにした。 「ゆっくりするね!!………ゆぅん…」 そのあと、しらみつぶしに台所の中を探して回るが、結局お菓子は見つからなかった。 お兄さんに連れられて―――ではなく、お兄さんを連れて里の市場へと向かうまりさ。 まりさの頭には盲導ゆっくり用の紐が固定されており、その紐の端はお兄さんの左手が握っている。 最初、頭に巻きついた紐が窮屈で嫌がったまりさだったが、 「別のゆっくりに変えてもらおうかな……」 の一言であっさり受け入れることにした。 里の市場に到着する頃には、まりさは自らの頭を締め付ける紐の存在をすっかり忘れてしまっていた。 「えーと、まずは……八百屋だな。まりさ、いつもの八百屋に連れていってくれるかな?」 「ゆ?やおや?それってゆっくりできるの?」 「ん?忘れたのか?またかよ……今日はどうしちゃったんだ?」 本物の盲導ゆっくりなら、八百屋の場所を覚えているはず。 だが、当然ながらこのまりさは覚えていない。八百屋なんて言葉自体、初めて耳にしたものだ。 「ふぅ、しょうがないな。どこでもいいから、お野菜が売られてるお店に連れてってくれ」 「ゆっ!おやさいがあるところにいくんだね!!ゆっくりりかいしたよ!!」 まりさは視界を上のほうに保ったまま、大通りをぴょんぴょん跳ねて進み始めた。 紐を握った手を引かれて、お兄さんもそのあとをついていく。 「ゆっ!ゆっ!おやさい!おやさい!」 まりさは気づいていなかった。自分が野菜がどんなものなのかを知らない、という事に。 今まで人間の畑など襲った事がないまりさは、野生に存在する質素な雑草は知っていても、人間が作った野菜は見た事がないのだ。 当然ながら、八百屋は見つからない。あっても気づかない。3メートル離れたところにある八百屋の前を、躊躇いなく素通りする。 それどころか、まりさは市場の外へ……まったく見当違いの方向へ向かっていた。 「ゆっ!!ゆっくりみつからないよ!!」 「そんなはずはないさ。お野菜を売ってる店なんて、沢山あるよ」 そう、一般人向けに開かれた市場なのだから、野菜を売ってる店が目に入らないほうがおかしいのだ。 でも見つからない。まりさは、見つけられない。八百屋が分からない。野菜が分からない。 そしてとうとう人里から抜けてしまい、周りには建物も人も何もない……大きな木々に取り囲まれた場所まで来てしまった。 「ゆああぁぁぁぁぁああぁん!!!どおじでえぇええっぇえぇぇ!!!おやさいがみづがならいいいいいぃぃぃいぃ!!!」 「………はぁ」 お兄さんは大きなため息をつくと、まりさの頭に繋がった紐をくいっと引っ張った。 「もういい。帰ろう」 「ゆっ?おうちでゆっくりするの!?」 まりさの泣き顔が、一瞬で笑顔に変わった。 変なところを連れまわされたが、やっとおうちでゆっくりできる―――大方そんな風に考えているのだろう。 「そうだね。まりさも今日は調子が悪いみたいだし」 「ゆっ!?ゆ、ゆゆっゆゆ、ゆっくりごめんね!!まりさちょうしがわるいんだよ!!あしたはゆっくりできるから――― 「いいからいいから。気にしないで、今日はもう帰って休もう」 まりさは自分が捨てられてしまうのではないかと思い、大慌てで弁解するがお兄さんはそれを制した。 ここまでの道中ずっとしかめっ面だったお兄さんは、やさしい言葉と共にまりさに微笑みかける。 それを見て、まりさは確信した。 このバカな人間は、ずっと自分をゆっくりさせてくれる。 目が見えない。それだけじゃない。この人間はバカだ! これだけ失敗を重ねても、自分が偽者だということに気づかない。 ゆっくりでも気づくのに、この人間は気づかない。バカなの?死ぬの? (ゆっへっへ!!このにんげんはばかだね!!まりさはとてもゆっくりできるよ!!) まりさは、これから未来永劫自分をゆっくりさせてくれるであろうお兄さんを連れて、来た道を戻っていった。 (続く) 作:避妊ありすの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/150.html
前 「ゆっくり~」 ゆっくりアリス五匹姉妹の冬支度は万全の一歩手前。 積み上げた餌は十分、入り口を封鎖する資材も、ふかふかの寝藁も不足ない。ただ一つ、ともに冬をすごす友達だけがいなかった。 「とかい派としては、去年みたいにゆっくり友達とすごしたいわ!」 「うん、例えばまりさが友達になりたいと言うなら、なってあげてもいいかしら」 「私も、特別にいっしょにすごしてあげても……」 そんな言葉を交わしてにんまりと笑っている。 去年、ずっと人に飼われていたゆっくりれいむとまりさが、大きくなったからという理由で捨てられた。 二匹にとって、赤ちゃんの頃から人の暖かい家でゆっくり過ごすのが冬のすごし方。冬ごもりの仕方も分からず、迫りくる冬に怯えて泣いていたのを優しく保護したのがこのアリス姉妹だった。 多種への人恋しさに鬱屈していたアリスたちにとっても、願ったり叶ったり。 れいむとまりさにとっても、沢山の姉妹が急にできたようで楽しく過ぎていく冬の一時。れいむは淡い恋心を抱いていたまりさとの二人きりの時間が減ったことに若干の不満があったものの、アリスのとかい派のお話を聞きながらゆっくり過ごす時間に満足していた。 それに、まりさとはアリス姉妹が寝静まった後にこっそり会話することができた。 雪が解けたら、二人で暮らせるところを探そうね。 そうだね、ここはアリスがいるから本当のゆっくりはできないからね。 楽しく未来の計画を話し合う二匹。語りだすと夢中になってしまう。ついつい、その声が大きくなるのも気づかないほどに。 翌朝、れいむは重圧の息苦しさで目を覚ます。 目の前にアリス姉妹二体。その重みが、自分を壁際に押し付けている。 「ありすううう、やめでええええええ!」 絹を裂くような声に振り向くと、まりさに三体がのしかかっていた。 いずれも、ゆっゆっと上気した息を吹きかけて、れいむたちの悪寒をいやがおうもなく高めていく。 「ぐるじいよ、ありす。ゆっぐりどいでね!」 昨日までのアリスなら、ゆっくりごめんねと退いてくれた。でも、このアリスたちは口をすぼめて笑うだけで何もしてくれない。 そのうち一匹が、口を押してれいむに囁く。 「とかいだと、こんなときは黙っているのがルールよ。私たちも外れを引いてがっかりしているから、ゆっくり静かにしてね!」 アリスは何を言っているんだろう。 だが、その意図は次のまりさの悲鳴であからさまとなる。 「ゆっぎりやめでええええ! まりさは、まだこどもうみだぐないのおおおおおお」 三匹がその体を押し付けまりさの感触を楽しみながら、一斉に責め立てていた。 「なにじでるのおおおお、ありすうううう!!」 れいむは動けない体で精一杯の弾劾。 だが、自らに体をのせるアリスの重みに言葉が途切れる。 「れいむううう、黙っていてねといったよね! でも、そんな反抗的な態度で気をひこうとするれいむがぎゃわいいいいいいい!!!」 「ゆぎいいいいいいいいいい!!!」 自らもまた行為の被害者となるれいむ。 いやいやと、首を振ることも許さない強烈な圧力、欲情の振動。 「ずっぎりー!」 視界の端で、早くもすっきりさせられてしまうまりさ。 「ゆぐううう、はじめてのすっきりはれいむとぎめでだのにいいいいい!!!」 繁殖までを試みていないアリスの性交に、まりさの死を覚悟していただけにれほっとするれいむ。 「んほおおおおおおお、すっきりー!」 同時に自分の体ですっきりしていくアリス姉妹。 怖気が全身に走り、まりさと同じ涙がぼろぼろとこぼれるのは止められないものの、死んではいないことに希望を見出そうとするれいむ。 それが、この冬の終わりまで楽しむためのアリスの奸智とは気づかずに。 「アリスを満足させるために、経験をつんでおこうとおもったまりざがいじらしいのおおおおお!!!」 おいおいと泣き崩れるまりさの上に完全にのしかかるアリス。 れいむが、自らのこの冬の運命に気がついたのは、苛立たしげな目の前のアリスの言葉だった。 「ゆっくりしないで早く終わってね! まりさは、次はありすの愛をうけたいんだよ!」 「しばらく、れいむで我慢していてね!」 言い争いながら自分の体を貪るアリス。 れいむの瞳に残っていた光が、ゆっくりと消えていった。 「ゆふうううう」 その光景を思い出してため息がもれるアリス姉妹。 「まりさがアリスたち全員を好きだと言ったときはびっくりしたね!」 「うん、でもまりさらしいね。ありすは都会派だから、ゆっくり許してあげるよ!」 「れいむだけまりさから嫌われてかわいそうだったね」 「だから、れいむ相手してあげたアリスは優しいね!」 「れいむはすごく喜んでくれたね」 アリス姉妹の中では、そういうことになっている。 本来、そのプライドを踏みにじったり人為的な発情がない限り、ほとんどの種に対して好意的で世話好きなアリス種。それだけに、まりさとれいむの失言がもたらした反動はすさまじいものだった。 「あれから、まりさたちはどうしたっけ?」 「あれ? ……忘れちゃったよ!」 姉妹が忘れている二匹の顛末。 雪解け前に精神的に仮死状態を迎えてしまったれいむとまりさ。ゆーゆーと泣き続けるだけで、抵抗のない力の抜けた体は一向にアリスを満足させることができなかった。ついには雪原に捨てられてるが、そこでアリスから解放されて何とか精神を復活させる二匹。地吹雪の中、二匹は朦朧としながら幸せに飼われていた記憶を頼り、かつてペットとして暮らした家へと歩いていく。 だが、懐かしい家から聞こえてきたかつての飼い主とその腕に抱かれた新しいペット、赤ちゃんゆっくりの歌声を聞いて、二匹はすべての終わりを悟り、仲良く氷の塊となってその家の軒先で死に絶えることになる。 もちろん、アリスたcは自分たちがこんなに幸せなのだから、あの二匹も幸せにどっかで暮らしているだろうと信じていた。 そしてまた、今年も冬ごもりを忘れた可哀想なゆっくりをちゃんとしてあげよう、と。 「今年はだれかしら!」 アリス姉妹が一筋のよだれをそれぞれ垂れ流したときだった 「ゆっくりしていってね!」 例のゆっくりまりさがアリスの巣へ暢気に転がり込んでくる。 「ま、まりさっ!」 色めき立つアリスたち。すぐに涎を隣の姉妹にすりつけて隠匿し、それぞれまりさから視線を外す。 「何しにきたのよ、まりさ! アリスたちは忙しいのよ!」 ツンケンとしたいつもの反応を、まりさまったく気にしない。 ただ、アリスたちが発情期を迎えていないことを確認してその前に躍り出る。 「当然だけど聞いてアリス。まりさはアリスのことが大好きだよ!」 「ぶっぱあああああ!」 派手な音はアリスたちが鼻から餡子を噴出した音。 どれだけ興奮したのだろうか、はっはっと犬のような息をだして、まりさを見つめ返す。 「な、なにを突然いうのかしら!」 言いながら、へろんと顔を緩ませるアリス。 まりさは慣れたもので、用意していた言葉を続けていた。 「でも、この中で特に大好きなアリスがいるよ! 今、プレゼントするからそっと目を閉じて!」 目を閉じてのプレゼント。 その言葉に、アリスたちは昇天寸前だった。 「知っているわ、とかいだと皆こうするの!」 何があるんだろうと興奮しながら、一斉に目を閉じるアリスたち。 まりさは、にんまりと笑って行動に移った。 一時間後、目を閉じ続けたアリスはようやく気がつく。 何か、おかしいと。 まりさ、照れているにしてもシャイガールすぎるだろう、と。 そうして揃って目を開き、叫んだ。 「アリスのご飯があああああああ! まりざ、どごなのおおおおおお!!!」 当然、まりさの姿も影も形もなくなっていた。 「れーむう、すごいでしょ!」 件のまりさの誇らしげな声が響く。 そのハート型の瞳が映し出すのは、一匹のれいむ種。 ただ、一見してほかの霊夢種とはまるで違う。 ほっそりとした頬、艶やかで手入れの行き届いた頬、これまで日にさらされたことすらなさそうな白い肌、魅惑的な唇。 すべてにおいて、美しいゆっくりれいむだった。 まりさが入れ込むのも仕方ないほどに。 ぱちゅりーを、ご近所のれいむ一家を、アリスたちを騙したその動機。 それはすべて、この美れいむの要求を満たすため。 「そうねえ」 美れいむは気のない返事をしながら、まりさの家の内部を見て歩く。 その後を、恋する少年の面持ちでついてくまりさ。 「まあまあね、一冬ぐらいだったらここで越してあげてもいいわ」 「う、うれしいよ! まりさ、かわいいれいむと二人きりにすごせて幸せだよ!」 まりさの鼻の下がでろんとのびていた。 ようやく、苦労が報われた。 まりさが、美れいむの要求を叶えるために犠牲にしたゆっくりは、前述のゆっくりだけではない。親しいゆっくりはほとんど罠にはめて始末済み。この巣だって、近所の大家族を人間に処理してもらったものだ。 そんな怨嗟の声が木霊してもおかしくない住処で、まりさは夢見心地。美れいむとすっきりする姿を考えているのだろうか、まりさの下の寝藁がじっとりと湿りだす。 だが、美れいむは静かに首を振っていた。 「二人きりじゃないわよ」 その言葉の意味を問い返すよりも先に、入り口から騒々しい声が聞こえてきた。 「ゆゆ、なに?」 慌てて振り向くまりさが見たのは、こちらへ駆けてくる五匹の小さなれいむたち。 わらわらとかけてきて、美れいむに声をかける。 「お母さん、ここが新しいおうちなんだね!」 「ふーん、広さはそこそこだね!」 「でも、中身が貧乏くさいね!」 好き勝手言うが、まりさは最初の台詞の衝撃で、後の台詞が耳に入っていない。 「……え、れいむ、子供いたの!?」 「いるわよ」 やっとの思いで、その問いを口にするが、美れいむは気にしたふうもなく頷く。 まりさは混乱しつつも、何とか新しい家族を受けようと覚悟を決める。そうでなけらば、美れいむとは暮らせそうにないからだ。 「ゆ! まりさも家族が増えて嬉しいよ! これからはまりさがみんなのお父さんだね!」 にっこりと子供たちにほほえみかける。 しかし、子供はまりさの顔を見て、口の端をつりあげていた。 「お父さん? なんでおじさんをそんな呼び方しないといけないの!」 「れいむのお父さんは、もっとゆっくりしていたよ!」 「れいむのお父さんは、こんなブサイクじゃなかったよ!」 「こんなウサギ小屋でゆっくりしているおじさんが冗談いわないでね!」 散々だった。 初対面で、ようやく苦労して言えた挨拶に、返ってきた心無い言葉たち。 まりさはぷるぷると震えて怒りを飲み込もうとする。 変わって芽生えたのは、美れいむと過ごす甘い時に暗雲がたちこめたその不安。 だが、まりさの衝撃はここで終わらない。 「ここが、れいむたちの新しいおうちだね!」 「子供とまごが暮らすには、ちょっと狭いし、品が無いね! でも、とくべつにいてあげるよ」 さらに入り口から姿をあらわしたのは老ゆっくりまりさと老ゆっくりれいむ。 言葉からすると、どうやら美れいむの両親らしい。 「なんで、ごんなにぐるのおおおおおお!?」 困惑がついつい口をつくまりさ。 美れいむが、そんなうろたえるまりさを見て眉をひそめた。 「もしかして、まりさはれいむの大切な家族を邪魔にしているの? 心がちいさいゆっくりなんだね」 「ゆぐううう! そ、そんなことないよ、びっくりしただけ!」 慌てて言いつくろうまりさ。 これも、美れいむを迎えるには必要なこととはらをくくる。 巣の真ん中に仕切りでもつくって、美れいむとまりさの部屋、それ以外の部屋とわければいいかと思っていた。 「あの窪みあたりを、あのにやかけたまりさの場所にしようね!」 「そうだね、いやらしいまりさはそこから勝手にでちゃだめだよ!」 まりさの思惑に反して、美れいむの家族たちにどんどん先手を打たれていく。 「そんなの、だめだよ! このおうちはまりさのものだからね!」 一応、反撃にでるのだが…… 「こいつはこうやって、冬の間はれいむたちをいじめるつもりなんだね……」 「ゆっくりが人間にいじめられるのは、こんな自分勝手な家宣言をする馬鹿ゆっくりのせいだよ!」 「おなじまりさとして、恥ずかしいよ!」 「こいつ、じぶんが恥ずかしくないのかなあ?」 「ゆっくりしねばいいのに!」 「お母さん、こいつに何か変なことされてない?」 何倍もの言葉のカウンターが返ってきただけだった。 まりさはもう胸が一杯で何も言えず、指定された窪みに治まって寝藁をかき集めて丸くなる。 もう、今日はひどく憂鬱で何もする気が起きなかった。 なんで、こんなことにと悲しんでいると、美れいむがそろそろと近づいてくる。 「ゆっ!? どうしたの、まりさといっしょにおやすみするの!」 もう、天から垂らされた糸とばかりに美れいむにすがりつく。 しかし、美れいむは何も言わずまりさの傍にくると、その身をまりさへぶつけた。 「ゆぐううう!?」 痛みはなかった。ただ、考えもしなかった攻撃に動転して、まりさはころころと転がり、さかさまになってようやく止まった。 「家族のみんなが寒がっているの。まりさは寒くても大丈夫だよね!」 その言葉が合図なのか、れいむ一家が一斉に動き出した。 まりさの領域付近に散らばって、寝藁をくわえるなり自分たちの方へ輸送を開始。みるみるうちに、まりさの寝床は土がむき出しの寒々とした肌触りになってしまう。 今の時点でも木枯らしの風は芯に響くほど寒い。 「まりざのぶんだけでも、がえじでえええええ!!!」 言いながら、あまりの惨めさにまりさは泣き出していた。 「お母さん、あいつ泣いているよ!」 「面白いね、けど気持ちわるいよ!」 「おじさん、黙るかゆっくりしんでね!」 やはり返ってくるのは混ぜ返す子供たちのはやし声だけ。 美れいむは両親と丸くなって、われ関せずと眠りについていた。 まりさはもう、一家と口を聞きたくなくて黙り込む。 一家が指定した窪みは、凍える風が吹き付ける場所。 その寒さに身を震わせながら、昨日までの美れいむの温もりを夢見ていたことを思い出し、声もなく泣いていた。 深夜、あまりの寒さに目を覚ますまりさ。 あたりは暗がりで、子供たちの寝息がすやすやと聞こえてくる。 幸せそうな寝息に若干の憤りを覚えて、ますます眠れなくなるまりさ。 見上げれば、入り口に差し込む朧月。 その光の優しさだけがまりさの心を癒してくれる。 と、その光を横切る影があった。 「ゆ?」 息を殺してつぶやく。 確か、あの横顔は…… 「れいむうううう」 美れいむのものだった。 今、れいむは一人で外にでていった。二人きりで話すなら、今だ。 ごとりと、まりさの中で消えかけた情念が目を覚ます。 音をたてて家族に邪魔されないよう、れいむを追って外へ。 まわりを見渡すと美れいむの後姿が森の木の傍に。何をしているのかは、月影に隠れてよく見えない。 そもそも、まりさはそんなことは気にしなかった。 ただ、れいむの傍に近づきたい。 その思いで走り出し、そして歩みを止める。 「ぷっはあああああ」 「ちゅ……ぱ……はああ、かわいいよ、れいむ」 木陰の向こうに、ゆっくりまりさがいた。自分より大きな帽子を被り、自分よりも不敵な顔立ちで美れいむの唇を吸っている。 その大きなまりさは、そっとれいむの耳に唇をよせ、耳をはむはむと甘がみしながら囁く。 とはいえ、静まり返った森の夜。 息を潜めるまりさの耳にもそのやり取りは入っていく。 「ねえ、あいつはいつ追い出すんだぜ?」 「ゆううう、あんっ……その、ゆっくり追い詰めて家出させるつもりだったけど」 見たこともない艶やかな表情で大まりさに応じる美れいむ。 まりさはうなり声を吐き出しそうになる唇を、懸命に抑えていた。 「けど、どうしんだぜ?」 「あなたにこんな形で会うのが切ないの! 今ちょうど寝ているからゆっくりころしてね!」 「ふふふ……おお、こわいこわい」 甘い声で囁きあう二人。 だが、会話の内容は自らの殺害計画。 逃げなければ。口惜しさや怒りよりも、今まりさの心を占める恐怖。 はやく、誰かのうちに逃げ込んで、みんなに話そう。こんな醜悪なやつらは追い出してもらおう。 ……でも、誰かこの近所にいたっけ? みんな、消えてしまっているか、まりさをひどく恨んでいるはずだ。まりさ自身がれいむを迎え入れる準備をするためにしでかした背信によって。 知識を分け隔てなく教えてくれるぱちゅりーを、ときどきお裾分けをくれたれいむ一家を、困ったことがあるとすぐに駆けつけてくれたアリス姉妹を、そして、同じように自分に親切だった森のゆっくりたちを。すべて、まりさは利用して排除してしまった。 そのことに気づいて、まりさは震えた。 こんなことのために、なんていうことをしてしまったのだろう。恋という熱病からさめ、ずしりとのしかかる罪悪感。 そのため、反応が遅れた。 「ゆぎいいいいいいいい!」 後ろからの二体分の体圧。 思わずあがる悲鳴に振り向く美れいむたち。だが、まりさの方をみてほっと一息。 大まりさがにやにやと笑いながら話しかける。 「お義父さん、ありがとうだぜ」 「のぞきみするへんたいをみては、はうっておけないよ!」 老れいむと老まりさの得意な声。 さらに奥から子供たちも姿をあらわす。 「お父さんー♪」 先ほどまでの憎たらしさはどこへやら、かわいらしい声で大まりさにだきつき、散々に甘えてから、地に伏せたゆっくりまりさを省みる。 「あいつ、ゴミくずのくせに自分のことをお父さんと呼べっていったんだよ!」 「ほんと、おぞけが走ったよ!」 「あいつみたいなブサイクの子供なんて、とんでもないよ!」 口々に言い立てると、その大まりさの顔に渋面。 ゆっくりとまりさの傍によると、押さえつけられたその鼻っぱしらに飛びかかった。 「勘違いしたばかは、ゆっくりしね!」 飛び散る餡子。 その重量に、まりさの皮はあっけなく破れる。 月夜に放物線を描く自らの血肉を見ながら、まりさは薄く笑った。 本当に、勘違いして、バカだった。 死ぬのは当然なんだ。 人に迷惑をかける前に死ねばよかった。 そのことにようやく気がついて、びゃひゃひゃと壊れた自分への笑い声が口をつく。 「ゆゆ!? こいつ笑っているよ! ばかなの!?」 「気持ち悪いよ! ゆっくりしね!」 続く大まりさのすさまじい衝撃をうけ、まりさは体中の餡子が噴出すのを感じながら、意識が暗転していった。 うっすらと、まりさの視界に光が戻っていく。 まりさは、ずたぼろの体で放置されていた。 だが、まりさその体をぴくりとも動かせない虚脱感で、死に至るほんの少し前まで生かされていることだけが、何となくわかった。 もう、ただ死を待つだけ。 そのかすれゆく視界を横切る影があった。 それは五つ。 「まりさったら、恥ずかしがって家にこもるなんてシャイね!」 「遠慮しないで、その場でアリスへの愛をプレゼントしてくれてもいいのにね!」 口々に言い合いながら、かつてまりさのものだった巣穴に向かっていくのはアリス5姉妹。 うきうきしたアリスの歩調は、やがてその巣穴に消えていく。 そのアリスの声は、近くの虫の声すら消えていくまりさの耳に、なぜかはっきりと聞こえてきた。 「ああ、まりさがれいむの格好をして沢山いるよ!」 「小さいれいむの形をしたまりさもいるね!」 「熟女のれいむっぽいまりさもいるよ!」 「かっこいいまりさも、美人のれいむ的なまりさもいる!」 それらの声に、怯えきった美れいむの声がこたえた。 「なに言っているの!? まりさはもう……」 しかし、理屈を全部言わせるアリスではない。 「まりさ、アリスのためにここまで準備してくれたんだねえええええええええ!」 「んほおおおおおおおおおお、だからまりさだいすきいいいいいいいい!!!」 「みんな、春になるまで、一日50回はすっきりさせてあげるね!!!」 「さっそく、いぐよおおおおおおおおほおおおおおおおお!!!」 「や、やべでええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」」 「こどもはやべでぐだざいいいいいいいい!!!」 「こどもだからいいのおおおおんほおおおおおおおおおお!!!」 泣き声、うめき、悲鳴、嬌声。 様々な絶叫が渦巻くかつてのまりさの家。 やがて、すべてが嗚咽交じりの嬌声と、心の底からの嬌声にとけていき、高みにのぼりつめるなり、再び地獄の入り口へと戻っていく。 そんな騒々しい葬送曲に贈られて、まりさはいつしか息絶えていた。 その死に顔は、なぜかすっきりしたものだった。 あとがき どうも、小山田です。 今回はひたすらすっきりーをテーマにしてみました。 次はすっきりできそうもないので外した部分ですが、よければどうぞ。 おまけ 「むきゅう、むきゅう」 暗がりのなか、ぱちゅりの静かな声が響いている。 「ゆぐぐぐぐ!」 応えるように悲鳴をあげるのは、その足元。 ぱちゅりが産み落としたばかりの赤ちゃんまりさが、母のぱちゅりーに踏まれて大きく形がたわんでいる。 歯磨きチューブを余さないよう端からしぼりあげるように、片側によった赤ちゃんの中身。それももうすぐ、弾けそうになっていた。 「おがあざん、やめでええええ! つぶれるううう、まりさ、しんじゃうよおおおお!」 「そのためにやっているのよ。お姉さんのように死んでね」 パチュリーの言葉通り、周囲には踏みにじられた子供の死体。 「いやああ、ぶべべげべっ!」 今、最後の子がその後をおった。 その死を見届け、パチュリーの顔に浮かぶ微笑。 よかった、これでまりさは戻ってくる。問題は、全部消えた。 ぱちゅりーは望まぬ子らを産み落とした後、しばらく呆然と見ていた。 が、ぱちゅりーの半端に聡明な思考は一つの仮説をつくりだしてしまう。 この子がいなけらば、まりさとやりなおせるのではないか、と。 こうして、無慈悲に効率的にわが子の命を終わらせていったぱちゅりー。 よかった、これで幸せになれる。 けれど、パチュリーの思考を越える事態が起こっていた。 このほっぺたに流れる温もりはなんだろう。 この心の奥を潰してしまいそうな想いはなんだろう。 わからない、それより今はただ眠い。疲れた。 ぱちゅりーはわが子の死体が散乱する巣穴で静かに寝息を立て始めた。 その姿を見届けて、去っていくゆっくりの影が一つ。 ぱちゅりーと結ばれる予定のゆっくりまりさだった。 あれから、まりさは必死にぱちゅりーへ感じていた愛情を思い起こし、ぱちゅりーを許そうと努力した。 やはり愛しているのだ。 子供たちだって、面倒を見てもいい。自分の子供だと思い込もう。 固い決心をして再びやってきたパチュリーの住処。 だが、目撃したのはわが子をほほえみながら潰していくぱちゅりーの姿だった。 鬼女。 まりさの脳裏にそんなことが浮かぶと、もう耐えられない。 ここにいてはいけないと、まりさの本能が告げていた。 そうして、ここを出たらすぐに引っ越そう。こことは違う、ここのことを思い出せないぐらい遠くに。 まりさは振り返る。 そこにはすやすやと餡子にまみれて眠るぱちゅりの姿。 さようなら、パチュリー。 小さな声で言い残し、まりさはパチュリーの前から姿を消す。 二匹は、二度と会うことはなかった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5117.html
その1から見ることをお勧めします 「てーてーてれてーてーてーてーてーてーてーてれてーてーてーてーてー(フワラリングナイト)」 既にゆっくりを4匹を手にかけた俺は上機嫌で次のステージに向かう ここまでは全て計画通り、 誤算といえば3匹目と4匹目のゆっくりを虐めるのに少し時間をかけてしまった事だ。 なあに、残り時間はあと2時間半もある。余裕、余裕 ―――1階 居間――― 「さてさてゆっくりした子達はどこかな~(笑)」 さっきからなんとなく気配はする、気配はするが姿は無い。 だが呆気なく見つけても面白くないので正攻法で探してやる 「それにしても散らかし放題だなー」 あちこちに散らばった家具や雑誌がゆっくり達が俺の家でどれだけ好き勝手にゆっくりしていたかを 物語っていた 俺はなんとなく落ちていた漫画を拾おうとした、すると・・・思わず頬が緩んでしまった。なぜなら 「れいむとまりさ見ーっけ!!」 「ゆあっ!!?」 そう俺は見つけたのだテレビ台の下に隠れているゆっくりを、 暗くてよく見えないが親れいむ1匹、赤れいむ2匹、赤まりさ1匹といったところだろう すると急に親れいむが笑い出した 「ゆっゆっゆ!!ここならおじさんもこれないでしょ!!」 そうか、 俺が言ったのは 「3時間経つまでに見つけたゆっくりを片っ端からゆっくりできなくする」 と通常のかくれんぼとは大きく異なる このゆっくり達は見つかってもいいから俺の手の届かないところでゆっくり制限時間までやりすごす。と まあ、その餡子脳でどこまで計算できてるか知らんが 「ゆ!しょうだね!ばかなおじしゃんはそこでゆっきゅりみてちぇね!!」 「じゅうたいばっかのばかないきものだにぇ!!」 「まりしゃたちをゆっきゅりできにゃくするなんてじゅーねんはやいんだよ!ばきゃなじじいはゆっきゅりちんでね!!」 「ばーきゃ♪ばーきゃ♪」 「ばーきゃ♪ばーきゃ♪」 「ばーきゃ♪ばーきゃ♪」 ほう人間様様に馬鹿コールとは・・・ いや、だがなかなか侮れん、 テレビの台なんて少し動かしでもすればいいのだが、間違って赤ゆっくりを潰しかねない それに棒状の物でひきずり出すというのも面白みに欠ける。 俺は楽しくゆっくりを虐めたいんだ!! 「ゆっゆっゆ!れーむたちのすごさがわかったらさんかいまわってわんとほえるんだよ!!」 くっ!!饅頭のくせにどこでそんな事覚えたんだ・・・ん?・・・おお!!! 「はっはっはっは!!少し待ってなクソ饅頭共!!」 そう言うと俺は急いで2階に駆け上がった!! 「ゆっふっふ!れーむのおそろしさにおじけづいたんだよ!!」 「おかあしゃんすごーい!!」 勝手に言ってな、もうじきその大好きなお母さんがした軽はずみな発言でゆっくりできなくなるからな! 俺は必死でこぼれ出る笑みを抑えながら2階の物置部屋へと入っていった。 そう、俺はある物を探しにきたのだ 「おーあったあった、懐かしいなーおい」 そして俺はそれを段ボール箱に詰め1階の居間へと一直線で向かった ―――1階 居間――― 「待たせたな!餡子ブレイン共!!」 俺は戻ってきた段ボール箱を小脇に抱えて そして期待に胸膨らませながらテレビ台の下を覗いてみる 「律儀な奴等だ、本当に待ってやがった・・・って、ん?こいつら寝てる?」 「ゆー・・・ゆー・・・」 俺がいなくなって緊張の糸がほぐれたのだろう、俺がこの部屋から出て行った時と同じ場所で寝息をたてている なんとも微笑ましい光景だろう、まあ俺の顔からはどす黒い笑みしか出てこないが。 これから起こることを想像しながら俺は例の物を段ボール箱から取り出す それは今子供達の間で再ブームが巻き起こっている注目の玩具、超高速回転ゴマこと「ベイ○レード」だ!! 俺はベイをセットしテレビ台の下をめがけて・・・・ 「ゴーシュゥゥゥト!!!」 勢い良く発射されたベイはするりとテレビ台の下に潜り込む!! いやー子供の時こうなるとテンション下がったよなー(笑) 「ゆ!ゆっきゅりちていっちぇね!」 お、子れいむが起きたようだ。ラッキー 「ゆ?ゆっきゅりちていっちぇね!!」 ヒュオオオオオオオオオオ 「ゆっ!ゆっ!ゆっきゅりちていっちぇね!!」 ヒュオオオオオオオオオオ 「ゆっ!!ゆっきゅりちちぇないこだにぇ!!」 ヒュオオオオオオオオオオ 「ゆうううう・・・・!むぢじないでにぇ!!」 ヒュオオオオオオオオオオ 「ゆぐ!!ゆっくりちちぇないこはゆっくりちね!!」 ヒュオオオオオオオオガガガッ!!! 「ゆびゅおおおおおおおおおお!??」 じびじびびびびびいびびびびびいびびびび!!! 「ゆっぎゅりやめちぇねええええ!!いぢゃいよおおおおお!!」 じばばばばばばばばっ・・ガっ・・ガ・・・・しゅるるるる 「ゆぎゅ・・・!ゆっぎゅ・・・り・・じた・・・けっかがこ・・りぇ・・・だ・・よ」 俺はテレビ台の下を覗き込む そこには餡子まみれのベイと皮がズタズタになっている赤れいむが転がっていた 「あれ?死んじゃった?早いなー次はガ○アドラグーンでいこうとしたのに」 「ゆああああああ!!?でいぶのあがぢゃんがああああああ!!?」 おお、母れいむも目を覚ましたらしい それを皮切りに次々と赤ゆっくりが目を覚ましていく 「おかあしゃんな~に?」 「おかあしゃんのしぇえでめがしゃめちゃったんだぜ~」 「みんなああああ!!でいぶのあがぢゃんがあああああああ!!」 「ゆ・・・?どこにもいにゃいよー?」 「なにいっでるのおおおおお!!ごごにいるでじょおおおおおおお!!」 「ゆ!ちぎゃうよ!しょれはあまあましゃんだよ!!おかあしゃんどきょでみちゅけたのー!」 くっくっく、赤ゆっくりが気づかないのも無理は無い、 先程のベイによってゆっくり同士が判別しあう為のリボンもズタズタなのだ、 赤ゆっくりの少ない餡子じゃそれが兄弟だと言っても分かるまい。どうみてもあまあまさんだしな よし!ダメ押しで 「それはねー、お母さんが赤ちゃんに黙ってあまあまさんを食べようとしているんだよー」 「ゆっ!?じゅるいよおかあしゃん!!」 「まりしゃたちにもわけるんだじぇ!!」 赤ゆっくり達は次々と元赤れいむを咀嚼し始める 「どうじでぞんなごどずるのおおおおおおお!?」 「むーしゃ、むーしゃ! ちあわちぇー!!」 「うっめ!めっちゃうっめ!!」 「ゆああああああああ!!でいぶのあがぢゃんがああああ!!」 他の種より母性本能がたかいれいむの事だ、精神的なダメージは計り知れないだろうな 「ゆうう!!おいちかったー!」 「こりぇでまたゆっくりできるじぇ!」 「あああああああ・・・・」 「やあ、君達!ゆっくりしてるかい!?」 「ゆ!まけいにゅのおじちゃんだー!!」 「ゆっゆっゆ!しゃんかいまわってわんっていいたきゅなっちゃの!?ばきゃなの!?」 完全に勝った気でいるなこりゃ、まあいいけど。ほらほら後ろでお母さんムンクみたいになってるぞ 「君達にプレゼントがあるんだよ!受け取ってくれるかな!?」 プレゼントという単語で赤ゆっくり達は目を輝かせる 「ゆ!ぷりぇじぇんと!?」 「はやきゅっ!はやきゅちょうだいにぇ!!ぐじゅはきりゃいだじぇ!!」 「まけいにゅのくしぇにきがききゅね!!れーみゅたちのどれいにしてやっちぇもいいよ!!」 『ゆっゆっゆっゆっゆ!!!!』 そんな赤ゆっくり達は無視してベイをセットする。 「どうしたの!?りぇーむたちのことばがわかりゃないにょ!?ばかにゃの?ちぬの?」 「ぐじゅでのりょまでまけいにゅなんてどれいでもいらにゃいよ!!」 『ゆっゆっゆっゆっゆ「ゴオオオオシュウウゥゥゥウト!!」 俺のが放ったベイは魔法の様にテレビ台へ吸い込まれていく 「ゆゆっ!なんかきちゃよ!!」 「ゆ~♪とっちぇもきりぇいだよ~」 「ゆ!ゆっくりちてにぎゃああああああああああああ!!」 「あがぢゃあああああああん!!!」 「じぇんじぇんゆっぎゅりでぎにゃいよおおおおおおお!!」 容赦なく赤ゆっくりの皮を削るベイ、やっぱガ○アドラグーン強ええ 「ゆ!!りぇーむはまりしゃのためにゆっきゅりたてになっちぇね!!」 「まりじゃひどいいいいいいいぷばっ!!びゅるうううううううう!!!」 お?あの赤まりさ赤れいむを盾にしてやがる。やっぱりまりさは生まれたときからクズなんだな 母れいむにいたっては・・・・直視に耐えない顔してるぞ 「ゆ!!まきぇいにゅはさっさとかわいいまりしゃをたしゅけるんだじぇ!!」 ぶはっ!俺に助けを求めてるよwww 「いやー、助けてあげたいのはやまやまだけどその頼み方はどうかなあ?」 「いいからさっさとまりしゃをたしゅけるんだじぇ!!このぐじゅ!!!」 すかさずもう一個のベイをゴーシュート 「ゆううううう!!おべがいじばじゅうう!!ばりじゃをだじゅげてくだじゃいいいいいいい!!」 その顔は涙やら鼻水やら良く分からん液体やらでひどい有様だ 多分嘘泣きだろうけど 「ばりじゃはうすぎたにゃいぶたでしゅううううう!!だがらだじゅげてくだぢゃいいいいいいい!!」 「駄目、15点。グズまりさはゆっくりしてから出直してきてね!」 そう言い放つと俺は3つ目のベイをシュートした 「ゆうううう!!まりじゃのがわいぢゃがわぎゃらないなんでせんすのにゃいまげいにゅゆげおおおおおおおおおおおおおお!」 ベイが赤まりさの後頭部をとらえた、スカッと爽快!! ぶぢっぶぢぶぢ!! 「ゆびょああああああ!!ばりじゃのがわいいかみのきぇぎゃああああああ!!」 髪の毛がベイに巻き込まれて何本かちぎれてる、つくづく軟弱な生き物だな。 「グズで負け犬なまりさはゆっくり死んでね!!」 今のはもちろん俺である 「ゆがああああああ!!わがりまじぢゃあああああばぎぇいぬでいいでじゅうううううう!!だがらだじゅげてえええええ!」 「負け犬は負けているのがお似合いさ!そこでゆっくりボロ雑巾になってね!」 そう言うと俺は4つ目のベイを赤まりさにロックオン! 「ゴオオオオシュウウウウトオオオオ!!!」 「ゆぎゃあああがっ!――――――――」 ベイは大きく開いた赤まりさの口の中へ入っていった 勢いのついたベイはそのまま赤まりさの口内を切り刻む 「ごえええええええええ!!あああおおおおおおおお!!!!」 「おがああがががっがあっががががっがっががががっが」 何かおかしいなと思ったらこいつはう段がしゃべれねえんだwww 口閉じたら口内ミンチだしな、 「も・・・っど・・ゆごあがあががっががっががあがががああがっが!!!」 あーあ、ゆなんて言ったらそらそうなるわ 「ゆがあああああ!でいぶのあがぢゃんをがえぜええええええ!!」 唐突に親れいむが俺の脚に突っ込んできた ちょっとよろけちまった、それにしてもまだいたんだなこいつ 「うがああああ!!おまえなんがじねえええええ!!」 目が血走っている、おおこわいこわい でもこのまま放っておくと自殺しそうなので メロンとかを包んでいるあの網(フルーツキャップというらしい)で親れいむを包んで紐を通しハンガーに吊るしておいた 「がああああ!!おろぜえええええええええ!!」 テレビ台の下は餡子だらけなので蟻がたかる前にちりとりとモップで回収する、親れいむは無視。 でもあんまりうるさいのでちりとりに集めた赤ゆっくりの残骸やホコリや虫の死骸などを全部親れいむの口にぶち込んだ 「ほら、お前の子供だ食え(?)」 「ゆごおおおおお!!がほっ!!がほっ!!おぐええええええ!!」 親れいむは当然咳き込んだり吐き出そうとしたりするのでホッチキスで口をとめる 「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛」 親れいむはなんとか我が子(の亡骸)を吐き出そうと身をよじっている、美しい家族愛だな。関係ないけど そんな親れいむを尻目に俺は次の場所へと足を運んだ 残りゆっくり 12匹 残り時間 2時間15分 まだまだ続く ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― こんにちわHILOです。 これが2作目となりますが改めて見直してみたらテンポ悪かったですね、すんません 本当は3話位で完結させようとしたんですけど・・・・ それとベイ○レードについて説明不足というご指摘がありましたので修正しました とりあえずこのSSに目を通して頂きありがとうございます。 今後とも _,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_-''" `> ゆ・・・!ゆっくりできないよ! <ヽ  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ :__ _____ ______ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、:_,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7´ .. .、ン、: rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/≧- -─==', i :r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! Σiヾ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i | :!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' i (◯), 、(◯) | .|、i .|| :`! !/レi' (◯), 、(◯)Σ'i !て ,rェェェ、 ". 「 !ノ i | :,' ノ !'" ,rェェェ、 "' i .レ',.く |,r-r-| . L」 ノ| | : ( ,ハ |,r-r-| 人! :||ヽ、 `ニニ´ . ,イ| ||イ| / :,.ヘ,)、 )>,、_`ニニ´_,.イΣハ ル` ー--─ ´ルレ レ´: その3 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4299.html
以下、注意書き。よく読んでおいてください。 ※ハーフ、厨、死なないゆっくりがでます。俺設定、他人様の設定を含みます。とんでもなく読みづらいです。 ※実在の人物、団体、地名とは全く関係ありません。無いったら無いです。不幸になる人間が出ます。 ※まだはじめなので直接的な虐待はありません。むしろ虐待から趣旨がずれています。 ※読んでて気分が悪くなったら読むのを中止してください。 以上です。どう見ても核地雷です。本当にありがとうございました。 読まないことお勧め、これ最強。 投棄場に保管していただければ幸いです。 魔法が廃れ、剣と科学がこの世界を支配していた。 この地には人と幾ばくの野生生物とゆっくりが密接に存在していた。人の祖はあるとき地上に降臨したと言われるが定かではない。 動物も同じだった。だがゆっくりだけは違った。 世界にまだ魔法が存在していた頃、一人の狂える魔法使いが『始まりのゆっくり』と呼ばれるものを生み出したのだという。 その魔法使いが何故生み出したのか、何を為そうとしたのかはわかっていないが、伝え聞くことが真実ならばゆっくりは生物ではないということになる。 誰にもそれが真実であるということを証明できないが、虚実であることもまた証明できない、よってゆっくりは魔法物体、略して魔物と呼ばれている。 ゆっくりは言語を用いて人と多く関わってきた。文化を持たないがそこそこ賢く、貧弱でありながら生きて来た実績がある。だが所詮は人とは違うもの、 価値観の違いからの衝突、食料を巡っての争い、その大半は人の勝利で終わるが人間にも多少の被害は出ている。人とゆっくりの溝は 決して浅くはない。ゆっくりは旧き友であり、仇敵でもあった。 だがそれは人同士でも同じこと。集落から始まり、国を興し、隣国と戦争が起きるのは必然であった。人の歴史は戦とゆっくりとの争いに 彩られていた。 その世界に存在する王国『ユートルダム』は土地は肥え、海にも大きく開けており、とても豊かな国であった。 だがそのせいで隣国からは格好の標的にされた。代表的なのは、雪と氷が国土を占める北の共和国『キューズ』、 かつて世界全土を征服していた旧魔法時代の王の末裔を名乗る帝王の支配する技術先進国でもある西の帝国『テンペスト』の二国である。 幸いなことに二国は犬猿の仲であり、同盟を組むことも共同戦線を張ることもなかった。そして王国にはその豊かな国土に支えられた 屈強な兵団を抱えていることから侵略国を悉く退けてきた。その度に多くの英雄の武勇譚が詩人に謳われ、国民に勇気を与えた。 国はいつまでも安泰であり、人々は心ゆくまで平和を謳歌し、それは永遠であると信じていた。 だが人々が信じたものは陶器が地面が落ちるように、粉々にそして簡単に砕け散った。 キューズとテンペストがありえないことに同盟を組んだのだ。こうして攻めている間に国を攻め取られるという後顧の憂いがなくなり、 ユートルダム侵攻に多くの戦力をつぎ込むことができた。こうして歴史に類を見ない、大地を血に染めた戦争が始まった。 結果を言えば王国は勝利した。だがそれに喜ぶものは誰もいなかった。敵の二国の足並みがそろわず、この調子で行けば王国が勝てるはずだった。 だが二国は負傷兵も駆り出し、文字通り総力戦を行った。双国ともに相手よりも劣ることを嫌い、意地で戦争をしていたと思われる。 王国は防衛線であったことも手伝って、これを退けた。辛勝とも言えぬ勝利だった。勝ち得たものは少なく、二国との講和を条件に 支払われた賠償金、わずかな物資、技術。残ったものは荒れ果てた領地と疲れきった国民、そして兵力を大幅に減らした見るも無残な兵団だけだった。 そこで持ち上がった問題が早急な復興が必要であることだった。二国よりも早くに国を立て直さなければ、また戦争が起きたら負けは確実、 なのだが防衛線で失った国民が多すぎて立て直すには長い時間が必要であった。 当時の国王は頭を抱えていた。国を立て直すには時間が要るがそれでは王国の滅亡は時間の問題、それを打開する策を求めて 毎日、臣下と会議を行っていたのだが芳しくなかった。 二国と親交を深め、戦争を起こさせないというものは当然却下された。贈り物をしてそれを戦争の道具にされれば滅亡を早めるだけであり、 そもそも二国は信用ならざる相手であったからだ。 二国の仲を瓦解させ、争わせるという「二虎共食の計」を用いるというもの。だがこれも却下された。材料がないことも挙げられるが、 失敗すればこちらに攻め入る絶好の口実を与えることになってしまう。 かくなる上はこちらから攻め、相手に決定的な被害を与えるものもでたが、これはもう策などではない。王国には遠征を行える余裕はない。 もう打つ手はないと諦めの雰囲気が会議室内を支配していた。 その時、歴史は動いた。 この窮地を救った救世主として構成にまで語り継がれ、今でも王国の者ならば誰もが知っている人もゆっくりも関係無くだ。 それは一匹のゆっくり、「ぱちゅりぃ」であった。 その日、王は夢を見た。真っ暗な世界に一筋の光がさし、光はどこまでも明るく世界を照らす夢。天啓であろうか、王はなんとなく 馬で遠乗りに出かけることにした。護衛を二人だけつけて、活気の無い城下町を抜け、地平線まで見える平原で馬を休めた。 そして小高い丘の上でぱちゅりぃと出会った。王はただのゆっくりに声をかける王に驚いている護衛を無視し、ぱちゅりぃと話をはじめた。 『ぱちゅりぃに一つ提案があるわ』 ぱちゅりぃは挨拶もそこそこに王にある提案をした。それはゆっくりが敵国同士の同盟を解消させてこの国の窮地を救う。そのかわり、ゆっくりを国に 迎え、安全を保障してもらいたい、といったものだった。普通だったら笑い飛ばして話はそこで終わりだろう。だが王は笑わず、黙って話を聞いていた。 話が終わり、そこではじめて王は口を開いた。 「国に入ってなんとする?貴様らはどうやって生活するつもりだ」と。 ぱちゅりぃは答えた。土を耕し、作物を作る人の手伝いをしていくつもりだ、と。確かに今は猫の手も借りたい状況にある。ゆっくりは非力であるが、 力を合わせればそれなりのことはできるのだという。 その後のことは事を成してから話し合おうと、一ヵ月後またここで会う約束をしてぱちゅりぃは去っていった。 王はそれほど期待はしていなかった。だがこれは負けても何も失わない賭けとも呼べない、あるべき状況に戻るだけの単純なもの。それにこの状況を 打開できる策もないのだ。藁に縋る思いで王は待つことにした。 それから一ヵ月後、王は何もしなかったわけではないが、何かができたわけでもなかった。国の危機は現実味を増し、ますます王城には諦めの空気が 漂っていた。だが先日、キューズ、テンペストに送り込んでいた密偵から報告があった。二国ともにゆっくりによって食料を荒らされ、軍備もままならぬ とのこと。捕らえられたゆっくりはそれぞれキューズに、テンペストに命令されてやったと言っていた。疑うのが当たり前なのだろうが二国の仲は 薄氷の上に成り立つ同盟で繋がっていたに過ぎず、それはいとも簡単に崩れ去った。二国は国の安定に力を注ぐことに集中せざるをえなかった。 約束通り、王は小高い丘に現れた。百騎の騎士を従えて。ぱちゅりぃは既にそこにいた。こちらも数え切れない数の仲間を連れていた。ぱちゅりぃは 前に進み出て王に約束を果たすことを要求した。王は要求を呑むほかなかった。騎士に命じればこの程度のゆっくりなど造作もなく蹴散らすことができるだろう。 だが約束を違えることに意味があるのだ。この世界に神というものは存在しない。王こそが神であり、父であり、絶対なのだ。その王が虚言を用いることが 民に知られれば信頼を失い、国は傾き弱体化する。相手がゆっくりといえど約束を反故にはできなかった。王は開き直ることにして、こうなれば徹底的に やってしまおうと考えた。 その日のうちに王は演説を行い、ゆっくりを国民として迎えることを国中に伝えた。これには重鎮を含む、多くの国民が反対した。だが王はこれを聞き入れず、 勅命であると従わせた。国を見限り、他国に渡る民もいたが王はこれを咎めなかった。人々は王は狂われたのだと囁いた。 やがてゆっくりの農耕が始まったが問題が多発した。労働が過酷だと不満を垂れるゆっくり、収穫しても税として徴収されることに憤るゆっくり、 だがそれらは全て、他の農民と同じ条件であり、従わぬのならどこへなりとも行けと追い出した。それでも大半のゆっくりはここに残ることを選択した。 自然で生きていた頃よりも死亡率が下がったことも事実なのだ。 ゆっくりを迎えたことにより、キューズ、テンペストからは憎い敵として認識されていた。かつての国力を上回る力を取り戻したユートルダムは二国に これまでの礼も込めて戦争を仕掛けた。これらを難なく落とし、属国化させた王国はこの大陸一の強国になった。 このときにはゆっくりに対する人々の意識は変わっていた。やつらは便利な道具だ。うまく使えば生活が楽になる、と。 ゆっくりの数は国民の数と大差なかったがその大部分が奴隷以下の待遇を受けていた。そんな中で国を揺るがすほどの事件が起こった。 とある領主の息子が一匹のゆっくりと恋に落ちたのだ。しかもそのゆっくりはあのぱちゅりぃの子であった。 その出会いは偶然、あるいは必然であったのか。 領主の息子はその日、鹿狩りに出ていた。彼は馬の扱いに長けていたため、供の者たちを置き去りに一人はぐれてしまった。さらに運悪く雨が降ってきた。 どこか雨宿りできるところはないかと行き着いたのが洞窟であった。その洞窟は生来から体が弱かったため、働くことのできない子のためにあのぱちゅりぃが 用意したものであった。もちろん、中には子ぱちゅりぃが既にいた。それが出会いであった。 はじめは貴族の方と一緒の場所にいるのは恐れ多いからとぱちゅりぃは出て行くつもりだった。だが領主の息子はゆっくりが水にぬれると行動不能になり、 命に関わることを知っていたのでそれには及ばないと断った。 洞窟の入り口付近で外を眺めることで時間を潰していたがそれに飽いた彼は中に目を向けてぱちゅりぃが震えていることに気づいた。 ぱちゅりぃは寒くて震えているわけでも体調が悪いわけでもなかった。ただただ怖かったのだ。母から何度も言われたことが頭の中で何度も響いていた。 『人間は恐ろしく強い。その中でも貴族と呼ばれるものの怒りを買えばゆっくりなど簡単に殺されてしまう。だから近づくな』 逃げることを封じられ、広くもない洞窟で隠れることもできないぱちゅりぃは自分をどうにでもできる者の視線に怯えていた。 それを彼は雨のせいで下がった気温で寒くなり震えているのだと勘違いをした。ならば暖めてやろうと彼はぱちゅりぃを抱え込んで羽織っていたマントで 包み込んだ。いきなり掴みあげられたぱちゅりぃは恐怖で声も出せずにされるがままになっていた。誰だって死にたくはない。自分はここで死ぬんだと 信じたくはなかったぱちゅりぃはしばらく固まり、目を閉じていたが次の行動がいつまでたっても訪れないぱちゅりぃは恐る恐る目を開けると 顔を覗き込んでいる彼と目があった。 ゆっくりに興味があった彼はぱちゅりぃと会話をしてみた。親からゆくゆくは跡を継ぐのだと勤勉に励まされ、対等に話をできるものがいなかった彼にとって 興味の対象であった。最初こそ、恐怖を抱いていたぱちゅりぃであったがぱちゅりぃもまた孤独に苦しんでいた。こうして彼らは飽きることなく雨がやむまで 会話を楽しんだ。その後も彼は屋敷から抜け出してはぱちゅりぃに会いに行き、屋敷の中にいるだけでは知ることのできなかったことをぱちゅりぃから 教わったり、お礼に彼の馬に相乗りさせたりした。ぱちゅりぃもたびたび自分に会いにきて真剣に話を聞いてくれ、褒めてくれる。そして世界の広さを 教えてくれる彼に感謝していた。こうして彼らの中は急速に発展していった。 だがある日彼らのことは領主である父にばれてしまい、それは国王の耳にも届いた。王は彼らを王城に招き、その恋を諦めるように説得するつもりだった。 だが逆に彼らの強い愛情に心打たれ、婚姻を認めた。領主は王に考え直すように提言したが王はあの夫婦に子は望めぬのだからそこで途絶える。 そうしたら貴公のもう一人の子息に家を継がせれば良いではないかと言った。領主は王への忠誠に厚い人物だったので渋々ながら受け入れた。 そうなればぱちゅりぃは貴族の家に入ることになり、その母であるあのぱちゅりぃも貴族と同等の権利を持つことになった。今まではゆっくりのことに ついてはぱちゅりぃに一任されていたがその権利はその家に帰属することになった。 改めて国に仕えることになったぱちゅりぃはゆっくりであることを理由に今まで何の褒賞も受けられなかったが国に救った実績を考えれば 英雄と讃えられてもおかしくはないのだ。こうしてぱちゅりぃは王の「ゆっくりといえどその忠誠は誠天晴れ」といくつかの褒美とともに “偉大なるゆっくり”の称号を賜った。 その後平和な日々は続き、ゆっくりを国に迎え入れてから三十余年。ぱちゅりぃはこの世を去った。ゆっくりの寿命を考えれば長生きというには 長すぎる生涯であった。 領主も次の年に亡くなり、ぱちゅりぃと夫婦になった嫡男が跡を継いだ。 歳に加え、病を患った王は自分の死期が近いことを悟っていた。床に次代の王となる王子を呼び、ゆっくりと協力して国を栄えさせよ。ゆっくりは 人を新しい道へと導いてくれるだろう。と遺言を残して崩御された。ゆっくりを国に迎えた「狂王」、国を一つにまとめた「英雄王」、 さまざまなあだ名をつけられた王は齢八十にしてその生を終えた。 王が変わっても民の暮らしに変化はなかった。だが重大な、そしてあってはならないことが起こった。 あの領主の夫婦の間に産まれるはずのない、産まれてはならない男児が産まれたのだ。そして領主の弟が兄である領主一家を捕らえ、屋敷の塔に 幽閉したとの知らせが王に届いた。王はすぐに書状を記し、それを届けさせた。 届け先は領主の弟であった。彼は王からの書状が届いたことを不審に思った。てっきり、肉親、仕えるべき家へ背いた罰として騎士が派遣され、 自分を討ちに来ると思っていたし、その覚悟もあったからだ。彼はその書状に目を通した。内容は以下の通りだった。 “その方の所業は上の者へ背く行為であり、ひいては余へ刃を向けたことであると言える。だが人とゆっくりとの間に生まれた怪物が貴族として 家を継ぐことを防ぎ、そのような者がいることが民に知れ渡り、混乱に至る前に阻止した行為は余への忠誠として受け止めた。そのすばやい英断を 讃え、その見返りとしてその方をその地の領主を任ずる。” そのうち自分が新しい領主になるだろうと考えていたが子が産まれたことでそれが無くなると怒りの感情を抱いただけで深くは考えてはいなかった男は 軽率なことをしたと後悔していたのだ。 反逆の徒から一転して領主へと変わった男はその内容を理解したとき、安心して力が抜けた。 領主へと任じられた新領主はまずはじめに治めている土地の民に自分が新しい領主であることを告知。次に“偉大なるゆっくり”の権力である、 国内の全てのゆっくりを農耕へと使用する権利を各地の農民に売り払った。この権利はゆっくりの国民として正当に扱われることを保障するものであったのだが 辛いだけで実入りの少ない仕事であった。このようなものは売ってしまおうと考えていた男はまたも深く考えてはいなかった。 それはすぐに王の耳へと届き、王はまた書状をしたためた。 “貴公のしたことは民の暮らしをより良くするための第一歩となるだろう。その功績を讃え、勲章を授与する。” その書状をすぐに使いの者に届けさせた後、王は玉座の間に座り、笑った。 王はゆっくりが嫌いだった。理由は特になかったがあえて言うのならば総てであった。そのゆっくりを父王が国に迎え入れたときは 父は本当に狂っていると思った。だが先代の王の政策を取り消すこともできずに頭を悩ませていた。だがあの男のおかげで万事解決である。 ゆっくりを農耕の道具とすれば、さらに国は栄え、父の遺言にも従うことにもなる。 王は生きてきた中で最も大きな声で笑っていた。 人は豊かにゆっくりは苦しむ。 その政策は王が代わっても変わることなく続き、百年続いた。 そんな世界の中、長く伸ばした赤い髪を後ろでまとめ、農作業に精を出している青年がいた。 この青年を中心にこの物語は始まる。 ~あとがき~ 色々あってぶっ壊れました『オマケ』です。 ご覧の有様だよ!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3220.html
近年、ゆっくりを扱うペットショップは増え 躾の行き届いたゆっくりは高値で取引されていた。 ブリーダーにより一般的な社会常識を叩き込まれたゆっくりから うんうんやしーしーをしないゆっくりまでペット業界の競争は更なる転機を迎えていた。 『ゆっくりは人語を話すから虐待される』 これは、ゆっくり加工場ペット開発部の愛と虐待の記録である。 「ふがふがふが・・・ふがふほほほふ・・・!」 円筒状の耐熱ガラスに囲まれた実験槽の中には、バスケットボールサイズのゆっくりれいむがいる。 このれいむには歯が一本もない。 最近、歯が抜かれたか溶かされたかしてまだ痛むのだろう。 狭い実験槽の外を遮る耐熱ガラスにしきりに体当たりをしたり喚いている。 「ふがふがふっふふー!ふひひひひふぼふぼぉ!」 (れいむの歯を返してね!それから馬鹿なジジイは死んでね!) 確かにこれなら人の神経を逆なでするような暴言を吐くことはあるまい。 だが、ペットとしての最低条件である可愛さが決定的に足りない。 実験槽の外には白衣を着た男が首を左右に振り、隣にいる作業服の男に合図を促すと コクリとうなずいて赤いスイッチに手をかけた。 キュイィィイインっとモーター音が鳴り響き、実験槽の床が開くと幾重も刃のついたプロペラが覗いて回転を始める。 歯なしれいむは、回転する刃の危険性を察知しその場でポインポインっと跳んでかわそうとするが 当然、着地で刃に切り裂かれた。 外側から見ると、それはまるで大きなミキサー 本物のミキサーであるなら一思いに数秒で餡子と化すところだが、刃はれいむの足部分を切ると一旦回転を止める。 「ふがふひひぃー!」 数秒おいて、また刃は回転し今度はぺにぺに付近まで切り裂く。 「ふひ!ふひ!ふfheiadca・・・!」 ゆっくりと、甘い餡子に加工されるれいむ。 姿を完全に失うと、実験槽に取り付けられているポンプから餡子がチューブを伝ってどこかへ流れていく。 再び実験槽の上部が開き、ゴロンゴロンっと1匹のゆっくりまりさが転がり落ち 先ほどまでれいむがいた位置に落下する。 「・・・・・・!」 (ゆべっ!) このまりさは、産まれる前の実ゆっくりの段階で口内をハンダゴテで焼かれており しゃべることも食べることもできない。 そんな、まりさが成体サイズまで成長していることには秘密がある。 頭頂部に蓋がついていて、そこへ生ゴミなり有機物をいれることで燃料補給が可能な 一応は商品化が有力視されているホープだ。 「・・・・・・!・・・・・・!」 (ここはどこなの!まりさをゆっくりおうちにかえしてね!) 涙目いっぱいでガラス越しに男たちに目で訴えかけている。 白衣の男は腕を組んで、しばらく考え込んでいた。 確かに犬や猫が人語を解していたら憎たらしいだろうが、かといって泣き声一つあげずに ただジッと飼い主を恨めしそうに見ていたら到底、愛でられまい。 燃料補給に頭頂部に蓋がついているというのもどうにもグロい。 それを誤魔化すために帽子を被っているまりさ種を選んだが結局は失敗だったようだ。 「・・・・!・・・・!」 (まりさをどうするつもりなの!まりさはいいゆっくりだからたすけてね!) ぴょんぴょんっ! 白衣の男の様子を伺っていた作業服の男が赤いボタンに手を掛けた。 その時、白衣の男が作業服の男の前に待て!と手で制する。 「・・・?・・・・!」 (ゆゆっ?ゆっくりしていってね!) まりさは精一杯自己アピールをするためピョンっと跳んで 昔ながらのあの”ゆっくりしていってね!”の動きをする。 もし、れいむと一緒であったなら綺麗に決まったであろう。 白衣の男が作業服の男に何かを伝えると、作業服の男はハッと何かに気がついて 青いほうのボタンを押す。 すると実験槽の上部の蓋が開き、そこからウィィィンっと機械音を響かせながらアームが伸びてきた。 そのアームはまりさのお帽子を掴むと、左右に振って 被っているまりさだけをはたき落とす。 「・・・!・・・・!・・・!」 (やめてね!まりさのお帽子をとらないでね!やめてっゆべ!) 成体サイズのまりさの帽子は人間も被ることが出来る。 巷ではこのまりさのお帽子がブームで、饅頭商品以上に人気があった。 更に、どんな素材よりも水に浮くという特性で水上スキー用の板代わりに お帽子を足にはめる水上スキーヤーも少なくない。 ただ水に浮くだけでなくスィーっといったお帽子だけがもつ爽快感があると言うのだ。 お帽子の回収作業が終わると 先ほどのれいむの同じように地面からプロペラが出現し、まりさもゆっくりと餡子となった。 実験槽は再び空になり、上部の蓋が開くと今度は数匹のゆっくりが転がり落ちてくる。 「ゆー!、ゆーゆーゆー!」 「「「ゆーゆーゆー!」」」 成体サイズのゆっくりれいむに、その子ゆっくりが3匹。 白衣の男は、これだ!っと今までとは表情を変えた。 人語を解さないからといって、それだけでは愛玩動物にはなりえない。 この「ゆーゆー!」いう泣き声なら新商品となりうる、そう確信した。 その時、子ゆっくりの1匹がしゃべりだした。 「おかーしゃん、れいみゅはいつまでゆーゆーいってればいいの?」 バリバリバリッ その子れいむの体内から突如放電が始まる。 「ゆびびびびびび!」 「おちびちゃんたち、ゆーゆー以外しゃべっちゃだめだよ! しゃべると、ビリビリしてゆっくり出来なくな・・・ゆびびびびび!!」 「ゆー!ゆゆゆー!」「おかーしゃん、おねーちゃんゆっくり・・・びびびびび!」 親れいむ1匹と、子れいむ2匹は心臓の役目をする餡子中枢が電気ショックで停止し 白目をむいて舌ダランっと垂らし、泡を吹いた。 それから、今度は先ほどよりも強い電気ショックがバチンッと実験槽の外まで聞こえると 親れいむは息を吹き返した。 「ゆ・・・ゆーゆー・・・」 子れいむ2匹にもバチンッと電気ショックが起きるがまるで反応がない。 何度もバチンッ、バチンッと続くうちにプスプスと黒煙があがり、とうとう黒ずんでしまった。 親れいむと子れいむは2匹に寄り添って 「ゆー・・・」「ゆゆー・・・」っと泣いている。 体内に埋め込まれた機械が、「ゆー」以外の発声を行うと拷問のような電流を流し罰を与える。 そして心臓停止(中枢餡子の機能停止)を感知すると、それを心臓マッサージの要領で蘇生させるメカニズムだ。 このまま商品として出荷されることはなく、あくまで世代を重ねて「ゆー」以外をしゃべらないゆっくりを作ることが目的である。 このシステムは排泄を行わないゆっくりを作る途上で考案されたが 心臓停止するたびに仮死状態でうんうんやしーしーを垂れ流してしまうためお蔵入りとなってしまった。 うんうんをして電気ショックで心停止し漏らし、蘇生した瞬間に結局センサーにお漏らしと認識されて電流を流されて それは酷い拷問だったそうだ。 虐待が目的でないため職員はすぐに助けようとしたが、いかんせん電流が流れっぱなしなので手が出せず 死んでは生き返りまた死に生き返っては結局死ぬというサイクルを待つしかなかった。 白衣の男は、再び腕を組んで考え込むと 親れいむが成体にしてもサイズが不自然に大きいことに気づく。 しもぶくれなのは元々だが、それにしても一際膨らんでいるのだ。 「ゆー・・・ゆー・・・」 親れいむが子れいむを舌で舐めてあげている。 本当は「ぺーろぺーろ」とか「すーりすーり」と声に出して言いたいのだろう。 「ゆっ?ゆゆ!?」 親れいむの産道が開き、ポーンっと子れいむが飛び出てくる。 ガラスの内側に当たると跳ね返り転がり、黒ずんだ子ゆっくりがクッションとなった。 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆーゆー!」 「ゆー!」 電流が流れる機械は手術によって、埋め込まれているもので生まれたばかりの子れいむには内臓されていない。 「ゆゆ?ゆっくちちていっちぇね!」 親や姉が、自分の挨拶に返事をしてくれない事で子れいむは不安がりもう一度挨拶をした。 「ゆーゆー!」 「ゆゆーん!」 親と姉は精一杯の返事をする。 「ゆっくちちぇいっちぇね!ゆっくちちぇいっちぇね!」 「ゆゆーん!」 「ゆー!」 「ゆ!どうちて、ゆっくちちてくれにゃいの!ぷんぷん!」 「ゆー・・・」 「ゆー!ゆー!」 「れいみゅのおやなら、ゆっくちちぇくれるはずだよ!ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆー・・・」 「ゆゆー・・・」 「ゆーしかいえにゃいの?ばきゃにゃの!」 「ゆ・・・」 「ゆゆ・・・」 「ばきゃはれいみゅのおやなんかじゃないよ!ゆっくちちんでね!」 「どぼじでぞんなごどをいぅのぉおお!」 「ゆ!?ゆゆー!」 とうとう、親ゆっくりが「ゆー」以外をしゃべってしまった。 バリバリバリバリ 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ・・・ゆー・・・ゆー・・・」 そして、放電によって白目をむいてグッタリと心停止する。 「ゆ!きょわいよぉおお!へんなゆっくりはちねー!」 「やめてね!れいむがおかーさんに変なこというからゆっくりできなく・・・びびびびびび・・・!」 子れいむの方も放電が始まり泡を吹く。 数秒してバチンッと音がすると、親れいむは蘇生するが、子れいむは泡を吹いたまま動かない。 バチンッバチンッと音が続いて、先ほどの2匹の子れいむ同様に黒煙を噴きながら黒ずんでしまった。 「へんにゃゆっくちはちねー!ちねー!」 子れいむは親ゆっくりに体当たりを始める。 「やめてね!おかーさんに触ると危な・・・びびびびびび!」 「ゆっ?・・・びびびびび!」 放電した親れいむにに体当たりしたため、子れいむも感電してしまった。 幸い直接体内からではなく体外から感電したため絶命にはいたらない。 しかし、バチンッ!っと親れいむの蘇生が始まると傍にいた子れいむも感電し 「ゆびゃ!」っと悲鳴を漏らした。 「ゆゆ・・・おちびちゃん・・・おかーさんからはなれ・・・びびびびび!」 「たちゅけ・・・びびびびび!」 バチンッ 「ゆびゅ!」 度重なる、心停止の連続で親れいむはとうとう息を吹き返さなくなった。 バチンッ 「ゆぴゅ!」 バチンッ 「ゆぴゃ!」 バチンッ 「ゆびゃ!」 感電し続ける子れいむも親れいむから離れる前に電気が流れるので逃げることが出来ず 一定の間隔で悲鳴を漏らす。 バチンッ! 「ゆびっ!」 バチンッ! 「ゆっ・・・!」 バチンッ! 「ゆ・・・!」 バチンッ! 「・・・」 やがて、悲鳴はやんだ。 白衣の男は作業服の男に赤いボタンを押させたかったが、体内に機械が入っている事を考え 青いボタンを押させた。 過去の作品 ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ! ゆっくりいじめ系1254 赤ちゃんを育てさせる ゆっくりいじめ系1261 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくりいじめ系1297 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくりいじめ系1466 ゆっくり贅沢三昧・後編 ゆっくりいじめ系1467 まりさの皮を被ったアリス ゆっくりいじめ系1468 肥料用まりさの一生 ゆっくりいじめ小ネタ222 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 ゆっくりいじめ系1532 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりいじめ系1580 ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス ゆっくりいじめ系1673 ゆっくりクアリウム ゆっくりいじめ系1715 ゆっくりトイレ ゆっくりいじめ系1735 ゆっくりれいむと白いお部屋 ゆっくりいじめ系1743 プラチナまりさとフリーすっきり権 ゆっくりいじめ系1761 ちょっとしたイタズラ ゆっくりいじめ系1905 あったかいゆっくり 作者:まりさ大好きあき