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お兄さんに引き渡された子供は怯えていたただ2匹はまだ余裕かましていた「さて、では殺すね」 「ゆ?劣った種族の人間が何言ってるの?ばかなの?死ぬの?」 「そうだぜクソ人間なんてったって魔理沙には最終兵器があるんだよ?このエクスカリバーが」そう言ってそんなに尖っていない鉛筆を取り出してきた「うわー強そうだなーわかった奴隷になるよ(棒)」「ゆっへっへそうしないとこれでクソ人間ぐらいひと刺しだぜ」すっかり罰を受けにきたのを忘れたらしいまあ好都合だが俺はそうやって油断させておいたそしてすぐさま奪ったついでに帽子も「ゆゆっ?クソ人間何するんだぜ!早くお帽子さんとエクスカリバーを返すんだぜ!そうしないと殺すよ?」返事は帰って来ない そしてお兄さんは帽子びりびりに破いた「ゆわぁぁぁぁぁ!!まりしゃのお帽子さんがぁぁぁぁぁ!!」「·····」霊夢は黙って見ていた「おい!!クソ人間!!!!もう殺してやるぅぅぅぅぅ!!!!!」そう言って突進していったもちろん全然効かない「ゆゆっ何でぇぇぇぇぇ!?ゆわぁぁぁぁぁ!!なんでだぜ!?なんでだぜ!?」「黙れ」パーン!!お兄さんのビンタが炸裂した「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!いぢゃいいぢゃいいぢゃいよぉぉぉぉぉぉ!!霊夢!助けてくれだぜ!」魔理沙は霊夢と一緒に戦えばこんな人間すぐやっつけられ、群れに報復できて里を乗っ取れると思っていた だが霊夢は予想を裏切った ドーン!ポスっポスっポン「ゆ?霊夢?なんでだぜなんでだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」「1人で勝てないゲスはしねえぇぇぇぇぇ!!」 「ふーん なら霊夢は勝てるかな?」「ゆ?当たり前でしょ?霊夢は最っ強なんだよばかなの?死ぬの?」また同じように突進してきたもちろん全然効かない「ゆぅぅぅ!!こんのっ!こんのっ!!こんのぉぉぉぉぉぉっ!!!」「ん?それで本気なの?俺に1人で勝てないならここの全員敵に回すことになるよ?」「ゆ?ゆ?ゆ!?ゆぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?」「ゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃぃぃぃ!!」どうやらプライドが崩れたのと全く効かないので狂ったらしいただ 数分後には息を切らしながら戻っていたそして数分後には死ぬだろうと言うものを食らわしてやった『ゆ?ゆ?何で?何で最強の霊夢が負けたの?何でこうなったの?そうだすべての原因は魔理沙だ魔理沙が勝てないから霊夢はやられたんだくそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!魔理沙めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』「魔理沙ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」霊夢は最後に魔理沙を恨みながら死んでいったさて次は子供だだけど子供は雑に潰していった3分後···さてこいつで最後か「ま 待ってだぜぇぇぇぇぇ魔理沙を殺すとおとーさんとおかーさんに殺されるよぉぉぉぉぉぉだからやめてねぇぇぇぇぇ!!」「おかーさんは死んでるけどね」「何でなのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぶっ!?」さて後は魔理沙だけか ん,そうだこいつは山に捨てよう!「魔理沙安心しろお前だけは怪我させずに山に戻してあげる!」「ゆ?本当かぜ?」「ああ」魔理沙はその瞬間最高の喜びを感じた シュルッ 気づくとリボンがほどけていたこれで手として使うこともできない「ゆ?何でなのぉぉぉぉぉぉ!!お兄さん約束が違うんだぜなんでリボンさんほどくのぉ!」「約束は守ってるよだってまだ怪我はさせてないだろ?」その瞬間魔理沙は直感したどういう目的かをだが時既に遅しもう山の方に飛んでいた「お空をとんでるみたべっ! ゆ?ここはおやまさん!ついに生きて戻ってきたのぜ!また群れに入るのぜ!」まだ魔理沙は気づいていない帽子がないことに「ゆ?あそこに群れだぜ!おーい」パ「ん魔理沙?」ア「都会はな魔理沙の声だわぁぁぁぁぁん!!」「魔理沙どこなの?」「魔理沙どこぉぉ」「魔理沙ー」「ゆ?ここにお帽子のないゆっくりがいるよ?」「ほんとだわ帽子のないゆっくりだわ」「ゆ?」「魔理沙ーすっきりしましょうねぇぇぇぇぇ!!」「嫌だあぁぁぁぁぁすっきりーすっきりーすっきりー」数分後あとには茎のはえた黒ずんだだけだった 完
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Aから B、 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり~!(霊夢! 私お手伝いするよ! ちょっと聞いて!)」 「はいはいうるさいわね。今忙しいんだから離れなさいよ。今日の宴会は地下の奴らまで来るんだから、たくさん酒がいる分早く用意しないといけないのよ」 博麗神社にて、博麗霊夢が自らの顔を模してリボンを付けた生首に飛び掛られ、 うざったそうに眉を顰めている。 その生首の名はゆっくりと呼ばれている、幻想郷に突如出現した謎の物体だ。 ゆっくりは涙目で霊夢に飛び掛り続ける。 「ゆっくりしていってよ~!(私の話聞いてよ!)」 「ゆっくりできないっての」 霊夢は胸の辺りまで飛び跳ねてくる涙目のゆっくりを手で払い、 これまで行なってきた宴会の準備の作業を再開する。 「霊夢~、酒の用意は万全だぜ~」 「おつまみの準備もできたわよ」 霊夢の友人である魔理沙とアリスが声をかけながら近寄ってくる。 二人の背後には霊夢と霊夢のゆっくりの関係のように、 魔理沙とアリスの二人に対し、それぞれの特徴を持ったゆっくりがそれぞれ一匹ずつ飛び跳ねている。 「霊夢のところのゆっくりって本当に甘えん坊ね」 「そうなのよ……。こいつときたら私が忙しいことを知ってるのにこうして擦り寄ってきて……うざったいったらありゃしない」 霊夢は若干苛立ちを交えながら吐き捨てる。 「私のとこのもかまって欲しがりだが、霊夢のところはとびっきりだな」 「あれ? どうかしたのゆっくり」 「なんだ? ゆっくり同士で話し合いでもするのか?」 魔理沙とアリスのゆっくりがぽんぽんと跳ね、霊夢のゆっくりに近寄る。 霊夢のゆっくりに対して説得を試みているのだろうか。 少女達が若干期待しながら成り行きを見守る。 「ゆっくり! ゆっくり! ゆゆう!(どうかしたの? 主人と痴話喧嘩でもした?)」 「ゆっくり~! ゆゆゆ!(もしかして女の子の大事な日? タンポン貸してあげよっか? それとも貴方はナプキン派?)」 「ゆゆっくり!(何でもないよ! 向こうに行ってて)」 「 「 ゆ~!(あ、ちょっとこら!) 」 」 けれど、二匹が声をかけたにもかかわらず、霊夢のゆっくりは尚更霊夢に引っ付く。 魔理沙が「駄目だこりゃ」と頭を抱えた。 「私の言ってることがわからないのかしら……まったく」 「ゆっくりの方だって私達の言葉を喋れないんだから、私達の言葉なんてわからないのかもな」 「とはいっても……私が忙しいことぐらい見てわからないの? ……まったく、何を考えていることか知ってみたいものだわ」 「う~ん、『腹減った! 仕事してないで飯よこせ!』だとか、『もっと私を優しく扱え! かまえ!』みたいな感じなのかな? それにしてはちょっと様子がおかしいけどな」 「ま、後でさとりにでも聞いてみることにするわ」 霊夢は淡白な様子で答えた。 今日は地下の妖怪達も来る。彼女達はゆっくり達とは初の顔合わせになる。 そのときに心を読む程度の能力を持つさとりに聞けばいいだろうと考えた。 「ゆっくりしていって――(霊夢~――)」 「ほら、邪魔よ」 ばしっと、霊夢は飛び掛る自らのゆっくりを手で払いのけ、おつまみを乗せたお盆を持っていった。 ◇ 幻想郷に突如出現した動く生首、ゆっくり。 ゆっくり達は幻想郷の有名人達の顔を模して潰した生首のような姿をいるが、 それ以外の生態は謎に包まれており、どこから来たのか全くの不明で、 「ゆっくりしていってね!」と鳴くことから「ゆっくり」と名づけられたこと以外は誰もわからない。 けれど、そんな謎の存在ゆっくり達にもある一つの共通点があった。 それはその顔のモデルになった人間や妖怪、果ては妖精にひどく懐くということだ。 モデルとなった少女達は自らの姿を模した謎の生き物が擦り寄ってきてどう扱えばわからず、 とりあえず放置する者、仲良くなって共に暮らす者、非常食としてとっておく者と様々だった。 そして先ほどの霊夢のゆっくり。 霊夢の神社の庭にある日いきなり出没し、まるで親に出会った迷子のごとく霊夢にひたすら懐いた。 霊夢は退治するべきか放っておくべきか迷ったが、特に悪さをするわけでもないので放置することにした。 そして今では霊夢とゆっくりが奇妙な同棲生活を行なうこととなったのである。 ◇ 「乾杯!」 「「「かんぱ~い!」」」 今夜の宴会は非常に賑やかなことになった。 博麗神社の庭では人間、妖怪、妖精、鬼、天人、神、様々な種族が入り乱れて、 派手に豪快に呑めや歌えやの大騒ぎ。 これまで特に交流がなかった面々も酒の力で互いの距離感が近くなり、飲み比べでその度量を認め合っていった。 そして宴会が進むに連れて、次第に気が合う者同士でいくつかのグループに分かれていく。 酒に強く騒ぎ立てる者達、お喋りに興じる者達、少し距離を置いて自分のペースで飲む者達。 皆が皆、自由に酒と場の雰囲気を楽しんでいる。 そんな中、ある一角が周りの目を引いた。 「ゆっくり!(お酒最高!)」 「ゆっゆっ! ゆっく、ゆっくり!(あっ! それ私の! 返してよ! 主に口移しで!)」 「あ~う~(ねぇ、野球拳しようよ!)」 「きゃなこ~ん(うちら脱ぐものが殆ど無いじゃん。そもそも手が無いからジャンケン出来ないし)」 ゆっくりである。 ゆっくり達が庭の端の方に陣取って、集まり、酒宴に興じている。 ゆっくり達はころころ、ぽてぽてとその丸い体を転がし、 飛び跳ねながら、口しかないのに器用に酒を注ぎ、呑み、つまみを食す。 そんな生首たちの酒宴の様子を、幻想郷の少女達は伺っていた 「あいつらって、ゆっくり達って本当に何者なんでしょうね?」 妖夢が周囲に聞かせるように呟いた。 「特に何かをしでかすわけでもないですし、それどころか私の場合何故か仕事を手伝ってもらったこともあるんですが」 彼女はゆっくり妖夢に自らの庭師の仕事を手伝ってもらっているので感謝の気持ちもあるのだが、 妖夢自身はゆっくり妖夢の事を何も知らない。 「ゆっくりねぇ……新種の妖怪って感じでもないわね。あんな感じで私達の姿に似せているのは一種の擬態かしら? ……まぁ似てないし、何者かわからないけど、放っておいても無害だし別に大丈夫じゃない?」 パチュリーが「どうでもいいし」と付け加え、興味なさげに冷めた表情で妖夢の質問に答える。 ゆっくりパチュリーは図書館の本を読むだけで、特に何もしてこなかった。 いてもいなくても関係がないのなら、毛玉のようなどうでもいい存在だ。 「私のところのゆっくりは何だか年中ゲラゲラ笑ってうるさいから迷惑なのよね~。もう少しおとなしくして欲しいんだけど」 うどんげが唇を尖らせながら不満げに呟く。 魔理沙はニヤリと悪そうに笑いながらうどんげの方を向いた。 「そんなに邪魔なら兎鍋にすればいいじゃないか。うどんげのゆっくりだから兎みたいだし。何なら今から捌くか?」 「共食いみたいなんで勘弁して……。私の姿を真似ているものが食べられていい気はしないし」 「そうか、それはありがたい。うどんげがゆっくりの代わりに酒の肴に捌かれてくれるなんて」 「何でそうなるのよ!」 うどんげがばんと床を叩いて突っ込む。 「だけどゆっくり達って本当に賑やかね。う~う~鳴いてて、私達には何喋ってるかわからないけど」 「何を話してるのかな?」 腕を組んで考え込むレミリアと首を傾げるフランドール。 彼女達の言葉に反応して、魔理沙がぽんと手を叩いて注目を集める。 「そういえばさっき霊夢と同じ話をしたんだよ。『ゆっくりって何を話しているのかな』って」 「へ~、やっぱり『お腹すいたよ、ごはんちょうだい』とか、『あそんで~』とかかな?」 「いや、言葉が通じないことをいいことに命令形で話しているのかもしれないわ。『飯』『風呂』『寝る』」 段々と皆が魔理沙の話に注目を集めていく。 『ゆっくり達はどのようなことを話しているのか』 それが宴会に参加している者達の興味の中心となった。 普段は「犬や猫が何を話しているかどうでもいいようなものだろ」と興味なさげに言うような者達でさえも、こっそりと耳を傾けている。 何故ならゆっくりは自分達の姿を真似ているのである。 自らに関係がありそうなことなら多少の興味はあるというものだ。 ◇ 「すいません遅れました。それと灼熱地獄跡地での炉の仕事が滞っていて、お燐とお空は残業で来れません。こいしも今日はちょっと連絡が付かなくて――」 「お、さとりじゃんか――そうだ! おまえいいところに来たな!」 魔理沙はやってきたさとりの顔を見るなり、何かを企むような顔で擦り寄って手をとる。 突然手を握られたさとりは何事かときょとんとしながら魔理沙の目を見る。 「な~さとり~、おまえ『ゆっくり』って知ってるか~」 「『ゆっくり』……ですか。地上で最近話題になっている、幻想郷の少女を模した饅頭顔の生首のことですね。私はまだ見たことはありませんが、それがどうかしました?」 「実はちょっと頼みがあるんだけどさ~」 「『さとりにゆっくりの考えていることを読んでもらおう』ですか。貴方、私の事を通訳か何かと勘違いしていませんか? ……してますね」 さとりがその座った目をより細めてジト目となり、呆れながら言う。 「いいじゃないかよ~。減るもんじゃないし~。お願いさとりちゃ~ん」 「馴れ馴れしいです。それに酒臭い。酔っ払いは突拍子もないことを考えるから苦手です」 「だったらなんでこんな場所来てんだよ~。ホントは誘われて嬉しいんだろ~。うりうり~」 「想起『二日酔いの朝』」 「ぎゃあああああああああああ!! 酔いで空が落ちてくるぅぅぅぅ!!」 トラウマを蘇らせた魔理沙が頭をぶんぶん振りながら痛みにうなされる。 調子に乗った結果馬鹿を見た小娘の醜態に、周りからゲラゲラと笑い声が上がった。 「でも私も興味あるわね。悪いけど貴方、ゆっくり達の通訳お願いしてもいいかしら?」 「ね~、貴方心を読めるんでしょ~。だったらやってみて~」 そんな衆人達を掻き分けてきたレミリアと、彼女に手を引かれたフランがさとりに対してお願いする。 普段だったら恐怖の対象であるさとりの読心も、酔っ払いの席では誰も気にしない。 思ったことがすぐ口から出るためだ。 とはいえ、さとりは気軽に能力を行使するように頼まれて若干気が引けてしまう。 能力によって疎まれた過去を持つ彼女は、その扱いに関しては誰よりも慎重だ。 「え~と……貴方達、もしゆっくりの心の中が仮に「ご飯よこせ~。この召使いめ~」みたいな感じで貴方達に対して過度に偉そうだったりしたらどうするんです?」 「 「 今夜のおつまみにする 」 」 即答だった。周りを見れば他の少女達もうんうんと頷いている。 さとりが心を読む間も無かった。 素面の状態でもゆっくり料理をやりかねない彼女達。 酔っ払って自制心が効かなくなった今では、何か失礼があったらゆっくり達はおつまみの刑は免れないだろう。 「……やっぱり駄目です。動物は喋れない分欲求に正直ですから、あまり夢や幻想はもたないであげてくださいね」 さとりはそう言い残すと彼女達から離れた。 不満げな声が挙がったが、ここで捕まったら面倒なことになる。 こういった場合は別のグループに入るのが一番だ。 さとりはキョロキョロと周りを見渡しながら、その場を離れた。 ◇ 「いいところに来たじゃないの、さとり。相変わらず遅れてくるわね」 さとりが辺りをうろうろとしていると、縁側で座っている博麗霊夢に声をかけられた。 反応して霊夢の顔を見ると、頬がほんのりと赤く上気している。酒によるものであろう。 けれども何か気がかりなことがあったのか、いつもよりも酔いのまわりが悪いように見える。 「こんばんは、霊夢さん。色々あって遅れてすいません」 「別にそれぐらいで謝らなくていいわよ。ところでアンタって意外と宴会好きよね~」 「まぁ、それなりには」 さとりはしれっと答えたが、実際にはそれなりどころではない。 さとりは実のところ、宴会が大好きである。先ほど魔理沙に言われたことは図星であった。 さとりは心を読む程度の能力が他人に嫌われるとあって、基本的に表に出たがらないが、 宴会にはよく参加する。 酔っ払い同士なら頭の中が空っぽであり、なおかつ考えるよりも先に口が働く。 皆が心を読まれることを気にするような状態ではないため、さとりのことを疎まない。 そのためにさとりだって楽しめる。酒は潤滑油なのだ。 「ところで【いいところに来た】とはどういう意味です?」 「あのさ、【ゆっくり】って何者か、話には聞いてる?」 「えぇ、一応は。最近幻想郷に突如出現した動く生首のことですよね。そのゆっくりがどうかしました?」 霊夢が背後を振り向きつつ指を示す。すると霊夢の姿を模した生首が蕩けるような顔をして、 「ゆ~♪ ゆ~♪(霊夢~♪)」と声を出しながら、霊夢の背中にすりよっている。 どうやらあれが動く生首ことゆっくりなのだろうと、さとりは推測する。 「こいつが、ゆっくりが何を言いたがっているのか教えて」 「どういうことです?」 「ゆっくりは【ゆっくりしていってね!】に関することしかいえないから、わけがわかんないの。それに私のゆっくりときたら、何でかしらないけど暇さえあったら私に引っ付いてくるのよ」 「へぇ……それはそれは」 「それだけならまだいいけど、よりにもよって宴会の準備で忙しい時にくっついて来てうざったかったの。私がいくら言っても聞かないし……」 霊夢はうんざりとした顔で言う。 さとりは霊夢から事情を聞いた。 ゆっくりは突如博麗神社の庭に現れたこと。霊夢に対して親のように懐くこと。 霊夢が邪険にしてもかまわず向かってくること。 そしてつい先ほども宴会の準備があったのに引っ付いてきてきたこと。 「はぁ、そんなことがあったんですか」 「だから、さとりのその読心でゆっくりが何考えてるのか教えて。何であんなことをしたのか知りたいし、な~んか妙な気分なのよね~。私の勘が騒ぐっていうか」 さとりは一瞬「失敗した」と思った。 面倒ごとから逃げて来たのに、逃げた先で更に面倒なことに巻き込まれてしまった。 またどうにか理由をつけてこの場を後にしようかとも思った。 だが―― 「ゆ~♪ ゆっくりぃ~♪(ん~♪ 霊夢大好き~♪)」 さとりはゆっくりの心の中の、霊夢に対する好意を感じた。 どうやらあの生き物には言葉が通じないがゆえに、その溢れんばかりの好意が上手く伝えられないようだ。 それを霊夢は上手く受け取ることが出来ていないのだろう。何だか微笑ましい。 さとりは何となく、少しくらいだったら想いを伝える手伝いをしてあげてもいいと思った。 「わかりました。やってみます」 言うが早く、さとりはゆっくり霊夢の顔を覗き込む。 それに反応して、ようやくゆっくりはさとりに気付き、上目遣いで見つめる。 「こんばんは」 「ゆっくりしていってね!(小五ロリだ!)」 「………………」 さとりの動きがピタリと止まり、辺りの空気が凍る。 「あれ? さとりどうかしたの?」 「いえ、何でもありません。軽いかるちゃーしょっくとでもいいましょうか……」 さとりは頭を振って気を取り直して再度ゆっくりに近寄り、声をかける。 「私の名前は古明地さとりっていうの。私は貴方の言葉がわかるわ」 「ゆ~! ゆっくり! ゆぅ~!(私と話が通じるんだ! すげ~)」 「ねぇ、貴方はどうして霊夢――自分の主人にそこまでかまってもらいたいの? さっきだって宴会の準備の邪魔をしたって聞いたけど、それは本当なの?」 「ゆっくり! ゆぅぅ~! ゆっくり!(え~と、だったらちょっと説明するね。あのね、話すと長くなるんだけど~)」 「ふむふむ――」 さとりはゆっくりと会話をする。 どうやらゆっくりは人語を話せないが、人語を理解することは出来るようだ。 さとりは読心の能力を持つため、本来はゆっくりは声を出す必要がないのだが、 ゆっくりは思ったことがすぐ口に出る性質があるのか、声を出して喋ってくる。 それをさとりは聞き続けた。 「――なるほど、よくわかったわ」 「ゆっ!(どもね!)」 さとりが得心を得た。くるりと霊夢の方を向く。 「で、何だって?」 「え~とはい、何でもこの子は、霊夢さんのお手伝いをしたかったそうです」 「お手伝い?」 「そうです。お手伝いです。普段お世話になっている霊夢さんのお手伝いをしたかったのだけど、何をすればいいのかわからなかったそうです」 擦り寄ったり甘えることによって邪魔ばかりしていたと思っていたゆっくり。 そのゆっくりの真意が手伝いをしようとしていたなどとは、意外な答えに霊夢が驚く。 「霊夢さん、一ついいですか?」 「何よ」 「霊夢さんはその子に好かれているのはわかりますか?」 「う~ん、ゆっくりときたら暇さえあれば甘えてくるからそんな気はしてたけど……けど、私はこいつに対して特に可愛がってやったりとかしてないわよ。なんでこんなに好かれるのかさっぱり」 「そうですね、例えるなら霊夢さんのことを好いている方達、紫さんや魔理沙さんなどに対して、霊夢さんは特別可愛がったりしていますか?」 「いいえ。まったく。それどころかよく弾幕ごっこでドツく」 「それだけですか?」 「まぁ……その後よく一緒にお酒を飲むけどね」 「それと同じですよ。霊夢さんのさっぱりとした人柄にみんなが集まるんです。この子は『霊夢大好き! 霊夢と一緒にいたい!』という気持ちが溢れかえっています。裏表のない霊夢さんが大好きだそうです」 「でも、今日は邪魔してきたと思ってぞんざいにあつかったし、嫌われてもおかしくないんじゃないの?」 霊夢が反論するかのように答える。 「ゆっくり~ゆっくり~(そうでもないよ。霊夢がそういう人だって知ってるし、そういったところ含めて好き。さっきだって、忙しくなくなったら私が甘えててもどかしたりしなかったし)」 「霊夢さんがそういった人だということはわかっているそうです。だから大丈夫だと。そういったところを含めて好きだそうです。それに忙しくなくなったら、ゆっくりが甘えてきたときにされるがままにしてたそうじゃないですか」 「え~と、それはあれよ。酒の席でつまらないことでイライラするのも嫌じゃない。だからちょっとくらいならいいかなと思っただけよ。ホントに邪魔だったらどかすわ」 霊夢がばつの悪そうな顔をしてそっぽを向く。 「ゆっゆっゆっくり(それと、宴会の準備邪魔してごめんね。忙しかったのに)」 「宴会の準備の邪魔をしてしまったことについてはこの子も申し訳なく思っています。忙しいところにかえって邪魔をしてしまったと、反省をしているようです」 「そうなの?」 「ゆ~ゆ~(そだよ。ごめんね)」 霊夢がゆっくりの方をちらりと見る。その目には若干の戸惑いがあった。 霊夢は基本的に人妖に好かれるさっぱりとした気質を持つが、 あまりこういった類の、子が親に向けるような愛情を受けたことはない。 どういった反応をすればいいのか戸惑うその様子は博麗の巫女というよりも、 一人の少女のそれであった。 「霊夢さん」 「な……なによ」 「霊夢さん、そんなに肩肘を張らなくても大丈夫ですよ。この子は自然体の霊夢さんが好きなようですから。それに私個人としては子供や小動物に優しい霊夢さんっていうのは気持ちが悪いです。霊夢さんって子供の飴玉とか奪いそうですし」 「おい」 「確かに熱心に好かれると、時にはうざったくなってしまったり、どうしても手が離せなくなってかまえなくときがあるのはしょうがないでしょう」 「無視すんな」 「ですが――」 さとりの突如真剣味を増した声に霊夢が気圧される。 普段のさとりは基本的に根暗だ。 けれどペットや、言葉の喋れない存在に関わるとこのような真摯な性格になる。 だてに地霊殿の主はやっていない。 「ですが自分を好いてくれる相手には、どうか無下に扱うようなことはしないであげてください。嫌われるのは簡単ですが、好かれるようになるのは難しいです」 さとりがふっと、自嘲するようなため息を吐きながら言った。 「まぁ、私は霊夢さんなら大丈夫だと思いますけどね。その姿を見ていると」 さとりは縁側に座る霊夢と、その隣に並びながら霊夢に寄りかかるゆっくりを見る。 ゆっくりの顔はとても幸せそうだった。 愛する母に抱きつく子供のような安心感を醸し出す至福の表情だ。 こんな顔をすることが出来るような者は滅多にいない。 なんだかんだいって普段霊夢がゆっくりにたいして世話を焼いていることが伺える。 「え~と、これはその、あれよ。あんまり駄々をこねてて五月蝿かったから、こうすれば黙るからこうしただけよ」 「はいはい。わかりました」 さとりはにこやかに笑いながら霊夢に言った。 霊夢はさとりのそんな姿を見て、自らの頭をわしゃわしゃと掻き毟る。 「あ~もう、この話はもうおしまい!」 そう言うと霊夢は自らのゆっくりを膝の上に乗せた。 上に乗ったゆっくりは即座に目を輝かせ、口元がわぁっと開き、幸せ一杯の顔をする。 「ゆっくりしていってね♪(霊夢大好き♪)」 「……まったくしょうがないわね。こういうことはたまにしかやってあげないから、あんまり忙しいときに引っ付いてくるんじゃないわよ」 「ふふふ……」 「それとさとり、アンタもさっさと酒飲みなさい! 宴会で素面が真面目なこというんじゃないわよ!」 「はいはい。わかりました」 悪態をつきながらゆっくり霊夢を膝の上に乗せる霊夢。彼女の心の中は妙なこそばゆさで一杯だった。 さとりはその微笑ましさに思わず頬が緩んでしまった。 ◇ 「ところで貴方、最後にひとつ聞いてもいい?」 さとりがこれで時分の役目は終わったと思いその場を離れる前、 ゆっくりに対して感じた素朴な疑問があった。最後にそれを聞いていこうと彼女は考えた。 「ゆ?(どしたん?)」 「貴方達って何で幻想郷の女の子の姿をしているの?」 「ゆっくり――(それはね――)」 ◇ ザッザッザッと、さとりは霊夢とそのゆっくりから足早に離れた。 ゆっくり達が幻想郷の少女達の姿をしている理由。 それ自体はある意味「わかりやすく」「微笑ましい」理由だったが、 決してモデルとなった少女達には口外できないものであった。 霊夢に対しては上手くぼやかしてきたが、このままだとボロを出しかねない。 今日は日が悪い。さとりは一刻も早く帰ろうとする。 けれど―― 「すげ~!! ねぇねぇ、あたいのゆっくりがどんなこと考えてるか教えてよ~」 「私のゆっくりは! 私のゆっくりは!」 「な、何ですか貴方達!?」 気が付けばさとりの周りには観衆が集まっている。 一度は撒いたのに、愚かなことにも再度捕まってしまった。 先ほどのさとりによる一連の光景は中々変わった見世物だったため、皆の興味を引いた。 そのために少女たちは離れたところから見学していたのだ。 そしてさとりの手腕に感心した少女たちは、今度は自分の番だと引っ付いてきたというわけである。 「どうせだからさとりにみんなのゆっくりが何考えてるか教えてもらおうよ~!」 「いいね~!」 「もう決定だね~!」 「そ~なのか~そ~だよね~そうするっきゃないね~」 「私のゆっくりだから、きっとさぞかしカリスマ溢れた台詞を言ってるのでしょうね」 「えと……あの……ちょっと待って……」 皆が勝手に話を進めている。徒党を組んだ酔っ払いは手が付けられない。 彼女達は期待の篭った視線をさとりに向けた。さとりは思わず気圧される。 場の雰囲気に完全に飲まれていた。 「ち……ちょっと席を外しま――」 どうするべきか、逃げるべきかとさとりが迷い、 取り敢えず先ほどと同じように逃げようとその場から背を向けた瞬間、 何者かに肩の辺りをガシッと捕まれた。 「今度は空気嫁よ」 「ひぃっ!」 気配もなく近寄ってきた衣玖が能面のような笑顔でさとりに呟いた。 ギリギリと、衣玖の指がさとりの肉付きの薄い肩に食い込み、 さとりの顔が青ざめる。 「頑張ってさとりちゃ~ん!」 「いけいけ~!」 「さとり~! 愛してるよ~! ちゅっちゅさせて~!」 前門の衣玖、後門の酔っ払い。 いや、周りを囲まれた今となっては四面楚歌。 さとりに選択権はなかった。断れば何をされるかわからない。 「わかりました! わかりましたよ! 行って来ます!」 こうなったらどうしようもない。上手く誤魔化すしかない。 さとりは普段あまり出さない大声を上げると、ゆっくり達が集まる場所に向かった。 とてとてと歩いてゆっくり達の集まりに近寄る。 するとゆっくり達は皆何者かに対して首を傾げる。 「みんな、こんばんは」 さとりはゆっくり達に向かって声をかける。 けれどもその音量は小さく、雰囲気も暗い。 外の世界の歌のお姉さんとはかけ離れている。 「ゆっくりしていってね!(小五ロリだ!)」「ゆっくりしていってね!(ロリだ!)」 「ゆっくりしていってね!(小五だ!)」「ゆっくりしていってね!(ちっちぇ~!)」 「ゆっくりしていってね!(スモック着せたくなるね!)」「ゆっくりしていってね!(ハァハァ!)」 「ゆっくりしていってね!(ほっぺ柔らかそう!)」「ゆっくりしていってね!(エロ同人朗読させたい!)」 ゆっくり達は対称的に元気よく、 歌のお姉さんに向かう子供達のような天真爛漫な姿でさとりに挨拶を返す。 どうやらさとりは歓迎されているようだ。 ゆっくり達はさとりに対し、どうかここでゆっくりしていって欲しいと言っているのかもしれない。 はやし立てた少女達はそう考えながらワクワクしながらその光景を見守った。 ============================================ 「ゆゆっくり! ゆっくりしていってね! ゆっくり~! ゆゆっ!(私達の正体は元【毛玉】なんだよ。ほら、紅魔異変のとき道中で弾を撃ってくるアレね。弾幕で打ち落とされた毛玉たちが、自らを打ち抜いた少女に惚れて、自分もその子に近づきたいって願って願って、その子になりたいと思った他の毛玉と毛玉トーナメントして勝ち残ったら毛玉の神様が願いを叶えてくれたんだ) 「ゆっくりしていってね~(私は霊夢にぶち抜かれたときにそのかっこよさに惚れて、一生この人についていこうって決めたんだ! 競争率がめっちゃ激しかったけど、こうなったらもう最高だよ! 霊夢ってあれでなかなか面倒見がいいから、一緒にご飯を食べることも出来るしお風呂にも入れる。お布団にもぐりこんで抱き枕にしてもらえることだって出来るんだよ!) 「ゆゆゆっくり~! ゆっくりしていってね!(霊夢って本当に可愛いよね~。何気にスタイルいいし、睫毛長くて鼻筋が通っててまさに女の子っていう顔してるし、髪の毛はさらさらでイイ匂いだし、体はしなやかで触り心地最高だし、そして何よりもあの性格がたまんない。あの子結構子供っぽいところがあって愛嬌があるんだよ。無防備な寝顔とかみてるとつい襲っちゃいたくなるんだよね~。パァンされるからやらないけど。そうだ知ってる? 霊夢って自分では見えないところにほくろが三つあってね~――)」 ============================================ 「え~とね、今日はみんなに聞きたいことがあって来たの。突然だけど、皆は主人のこと好き?」 「ゆっくり~(いやマジ大好きだね、魔理沙。もう結婚してくれって感じ)」 「ゆゆ~(天然系の巨乳箱入りお嬢様最高!)」 「むきゅ~(病弱少女っていいよね。看病の名目でいつか色々したいよぅ)」 「ゲラゲラゲラ(元新参ホイホイだと……私は一向に構わん! ウサ耳ブレザー万歳!)」 即答である。 ゆっくり達は目をキラキラと輝かせ、我先にと大声で主張する。 「えっと……どんなところが好きなの?」 「ゆっくり!(魔理沙って実は意外と寂しがりなんだよね~。えっへっへ~)」 「ゆゆ~(私のモデルって実は生娘なんだよねぇ……。考えてもみれば箱入りのお嬢様なのにすぐ死んじゃったから。そのくせ自分のとこの庭師には経験豊富な大人の女を演じているのに、演じ切れていないのが微笑ましいっていうか、性経験が無い庭師だからバレずにすんでいるのが可愛らしいというか)」 「ウサウサ(私の主人も中々純情なところがあってさ~。いや~、マジでムラムラくるわ~)」 「わかるよ~(無垢な猫耳ロリたまんねぇ……色々いけない遊び教えたくなるよ……)」 「よいぞっ!(性的な意味で)」 「じゃお~ん(中華まん! 中華まん! おっきい中華まん二つ!)」 「あたいったらゆっくりね!(幼女のもち肌最高! ぱねぇ!)」 「あ~う~(※R-18映像のため、さとり第3の目によるフィルターがかかりました)」 「ちんちん(○んちん)」 さとりは一気呵成にまくし立てて来るゆっくり達に対していくつか相槌を打ち、 それぞれの話を聞きいれた。 「え~そうなんだ――うんうん――へぇ――わかったわ。それじゃあ、私はこれで失礼するわね」 するとさっと少女達の方に戻ってきた。 「皆さんすごく好かれていますよ」 さとりは一拍間を置いて、にこやかに笑いながら言った。 「あれでわかるとはすごいな……」 「どんな感じ?」 「私のゆっくりは何だって?」 「百聞は一見にしかずです。ちょっと待って下さい」 さとりはゆっくり達の方を向くと、少女達に存分に甘えるように呼びかけた。 ゆっくり達は散らばって、それぞれのモデルとなった者のところに近寄っていく。 ぴょこぴょこ、ぽよんぽよん、ぱたぱた。 皆の表情は太陽のように輝いている。 「これが答えです。この子達が何者であってもいいじゃないですか。可愛がってあげてください」 さとりはいい笑顔だ。 「私のゆっくり、いつも庭師の仕事を手伝ってくれてありがとう」 「みょ~ん!(ちーんぽ!)」 「ちょっと、う~う~言うのやめなさいっていってるでしょ!」 「う~♪ う~♪(ロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリさいこぉぉぉ!!! WU~!WU~! WRYYYYYYYYYYYYAAAAAAAAAAAAA!!!」 「えへへ、くすぐったいよぅ」 「ゆっくりしね♪(フランちゃんウフフ)」 抱き合う妖夢とゆっくり、レミリアとほっぺプニプニの柔らかさ比べをするゆっくり、フランにちゅっちゅするゆっくり。 それらを初めとして、少女達が自らに擦り寄るマスコットのような物体と仲良く触れ合っていた。 「それでは私はこれで。今日は少し早めに帰らせてもらいます」 さとりはそんな美しき光景に背を向けて、神社の外に向かってスタスタと歩いて行った。 「え~、さとりってばまだ全然酔っ払ってないじゃん。ゆっくりしていけよ~」 「それは……いえ、何でもありません。少し身体の調子が悪いので」 「きっと酔っ払いの頭の中を見て酔っ払ったんだ~」 「キャーこのスケベ~!」 「え……えぇと、はいそういうことです」 さとりはばつが悪そうにしながらも帰ろうとする意思は変えないようだ。 ふとさとりが霊夢と膝枕されるゆっくりをちらりと見た。 ◇ さとりは無言のまま博麗神社を後にする。 今日は家に帰ったら早くお風呂に入ってお燐とお空を撫でて寝よう。なでなでふにふにしよう。 そんなことを考えながら早く帰ろうとすると、目の前には三つの影が現れた。 「うにゅ~(フュージョンしたい! フュージョンしたい!)」 「おりんりんらんどはっじまっるよ~(お○ん○んらんどはっじまっるよ~)」 「こいこがれるようなゆっくりがしたい!(余計な詮索はするな)」 ゆっくりだ。それも三匹。 お空、お燐、こいしの姿をしたゆっくり達だ。 ぽよんぽよんと飛び跳ね、さとりの方に向かってくる。 さとりはさっと身を翻して別の方向に向かって走る。 走って走って、その場から離れようと―― ぽむっ。 何かがさとりの胸の辺りにぶつかって来た。 柔らかい。 さとりは思わずそれを受け止め、抱きかかえてしまう。 ………… ………… ………… さとりが恐るおそる視線を下に向けると、 薄紫色のショートヘア。 ジト目。 ハート型のカシューチャ。 そう―― さとりの姿をしたゆっくりが! 「さっとりしていってね!(さとり!さとり!さとり!さとりぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!さとりさとりさとりぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!古明地さとりたんの紫色ショートの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! ZUN絵のさとりたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! 緋想天則に出演させたいよさとりたん!あぁあああああ!かわいい!さとりたん!かわいい!あっああぁああ! えっちな同人誌もたくさん発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!ゲームなんて現実じゃない!!!!あ…同人誌も動画もよく考えたら… さとり ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ちれいでぇええええええん!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のさとりちゃんが私を見てる? 表紙絵のさとりちゃんが私を見てるぞ!さとりちゃんが私を見てるぞ!挿絵のさとりちゃんが私を見てるぞ!! 動画のさとりちゃんが私に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!私にはさとりちゃんがいる!!やったよダディ!!ひとりでできるもん!!! あ、同人誌のさとりちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああん神主さまぁ!!う、うにゅほお!!おりぃいいいいいいん!!!こいしぃいいいいい!! ううっうぅうう!!私の想いよさとりへ届け!!目の前のさとりへ届け!)」 ◇ 「イヤアアアアアアアアアあああああああああああああああああああ!!!!!」 ◇ 「さとりったらいきなり帰ろうとしたり、突然叫んだり、一体どうかしたのかしら?」 「ゆっくりしていってね!(んほおおおおおおおおおお! 霊夢のおっぱいあたってるぅぅぅ!! マジいい匂いサイコォォォォォォ!!!)」 霊夢はヘヴン状態のゆっくりを抱きかかえながら首をかしげた。 いい話だった。そしてオチに吹いたww -- 名無しさん (2009-08-26 19 01 04) 一切の自重のないそのオチとその覚悟、僕は敬意を評する!! 取り合えずゆっくりゆゆこ(もしくはゆーびぃ?)とは良い酒が飲めそうだ。 -- 名無しさん (2009-08-26 19 29 22) 正直なんて物じゃねえ。本能の赴くままかw 解らないままの方がいいこともあるんですね、わかるよー ゆっくりと同じこと考えてたから、これから天子に押し潰されに逝ってきます -- 名無しさん (2009-08-26 19 51 05) ゆっくりの正体の個人的予想 ・パチュリーの魔法実験で生まれた ・永遠亭の実験で誕生した ・妖精? ・どこからともなく現れた饅頭 毛玉が元になったとかは全く思いつきませんでした -- 名無しさん (2009-08-26 20 14 02) やはり三天王の一角は伊達じゃないな……!(褒) -- 名無しさん (2009-08-26 21 12 19) A-パートでほのぼのし、このパートで吹いたww -- 名無しさん (2009-08-27 20 04 30) ここで落とすとはwww -- 名無しさん (2009-09-11 20 48 33) あれ…作品は違えど 私 は こいつらとゆっくりできる んだ… -- 名無しさん (2010-02-26 05 34 04) ゆっくりスケベww -- 名無しさん (2011-09-21 08 56 33) WRYYYYYYYYYYYYAAAAAで吹いたwww -- 名無しさん (2013-01-19 17 01 01) 名前 コメント
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各キャラ紹介文 プチゆっくり ここは ちいさな かわいらしい プチゆっくり たち を ほかんする ページ すれを やさしく いたわる しょうえね せっけい だよ! ゆっくり かわいがってあげてね!!! _人人人人人人人人人人_ _,,_ > ゆっくりしていってね! < -'' \ ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ | ;ノ´∨\_,. -‐ァ _ __ _,.!イ,.ヘーァ'ニハ'ヽ、ヘ,_7 r , -`―'- 、イ、 . rー''7コ|_,‐"リ´V、!__ハ イi イ人ルレ ン、 !イ´,'イ ノヒソ _ ヒンY.i ! /ヒン__ ヒン)| i、| ( ,ハ" ヽノ ノ人 (" ヽノ " []ノ i ,)、 .ヘ,、)― ‐'´''レヽ ー―――'レル' _,,_ -'' \ | ;ノ´∨\_,. -‐ァ _ __ _,.!イ,.ヘーァ'ニハ'ヽ、ヘ,_7 r , -`―'- 、イ、ノ rー''7コ|_,‐"リ´V、!__ハ イi イ人ルレ ン、!イ´,'イ ノr=- r=ァY.i ! /r=- r=ァ | i、| これで満足か? ( ,ハ" ー=‐' "ノ人 (" ー=‐' "[]ノ i ,)、 .ヘ,、)― ‐'´''レヽ `ー―――'レル' +プ.プチゆっくり1 プ.プチゆっくり1 ■プチゆっくり ■おお、こわいこわい ■いっしょに泣くプチゆっくり ■プチゆっくりのむーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー!! ■ぷち霊夢とタイ焼き ■就寝 ■泣く ■怒る ■笑顔 ■ウインク ■キモんげ ■みんなで就寝 ■みんなのふれあい ■なめなめ ■KEEP OUT ■プチゆっくりとタイ焼き ■横取り ■横取り その2 ■横取り その3 ■グレたプチゆっくり霊夢 ■レミリアとプチゆっくり ■2段ゆっくり ■プチアリス ■ヲタ ■プチプリズムリバー三姉妹 ■三原則 ■愛娘 ■特訓 +チ.プチゆっくり2 チ.プチゆっくり2 ■縮小版 ■縮小版ブラック ■ミニ ■プチ秋姉妹 ■ミニキャラ姉妹 ■MT姉妹 ■マッスル・トレーサー ■プチゆっくりVSにちょり ■新・クリーチャー ■プチ鈴木山蝶子 ■プチリリー ■プチレミリア ■柱の男 ■Myぶーむ ■八頭身 ■ゲラゲラゲラ ■どんな気持ち? ■小尻 ■箕条晶 ■縮小版お燐&お空 +ゆ.プチゆっくり3 ゆ.プチゆっくり3 ■ペルソナ3 ■饅頭ライダー ■やわらか戦車 ■エビフライ ■スイーツ ■合体 ■いっぱい食べて大きくなりました ■車の代わり ■静葉舗装 ■草むしり ■ぃゃゃゎ(ボコスレより) ■スザク ■ルルーシュ ■月光蝶 ■プチパチュリー ■ハト帽子 ■静葉逮捕 ■縮小版みすちー ■一緒にお菓子を食べませんか? ■アンパンマン ■聖剣伝説 ■車のオモチャ ■餅!? ■ロックマン ■ミニ姉妹でゲラゲラゲラ +っ.プチゆっくり4 っ.プチゆっくり4 ■ちび橙にデレデレな藍しゃま ■プチルーミア ■お断りします ■媚びるプチ秋姉妹 ■プチみすちー ■プチ橙 ■ドス黒い感情 ■マトリックス ■魔理沙の独占 ■弾幕はパワー ■うるさい黙れ ■パン ■ののワさん ■首輪付き ■松岡修造 ■ょぅι゛ょ(全部小文字で会話するスレ) ■0080 ■全員集合 ■ちびゆっくり ■プチリグル ■チョコボみすちー ■アーマード・コア ■北斗の拳 ■グスタフVSトキ ■クリスマス ■プチヤマメ ■捕まった宇宙人 ■八頭身風 +く.プチゆっくり5 く.プチゆっくり5 ■おうちができたよ!!! ■ゆっくり育ってね!!!○グロウアップ ■行け!我が眷族達 ■ちびゆっくりのごはんとり ■ヴィクセン ■フォックスアイ ■ゆっくり魔理沙と霊夢 ■昇龍拳 ■チャーハンつくるよ! ■土曜夜の龍魚の怒り ■穣子とネタ帳 ■プチゆっくりプレゼント ■ミニ着ぐるみさくや ■プチ大ちゃん ■プチリリー ■プチ映姫 ■キャプ翼体型閻魔○こう見えた ■プチ小町 ■プチ映姫とプチ小町 ■プチパルスィ ■プチ萃香とプチ勇儀 ■プチ綿月姉妹 ■プチ秋姉妹とプチ綿月姉妹 +り.プチゆっくり6 り.プチゆっくり6 ■縮小版咲夜さん ■さいたま ■プチきめぇ丸 ■プチ咲夜 ■幽香さんと天子 ■プチお空とお燐 ■プチ古明地姉妹 ■プチさとり一家 ■東方風神録セット ■東方地霊殿セット ■東方永夜抄セット ■東方緋想天セット ■静HARD ■プチ神奈子 ■プチ諏訪子 ■縮小したら許されるとでも思ったか? ■ソッコーマン ■プチパチュリー ■プチ荒ぶるグリコのポーズ ■プチ荒ぶる秋のポーズ ■穣子が拡声器 ■ケロケロスワッチ ■プチ藍 ■温泉プチルーミア +も.プチゆっくり7 も.プチゆっくり7 ■フィーバータイム終了のお知らせ ■プチナズーリン ■プチ小傘 ■プチ一輪&雲山 ■プチブロントさん完全版 ■うまか姉妹 ■プチ幽々子 ■プチヨコサクさん ■どどんまい ■格の違い ■イモウマ状態 ■プチ白蓮 ■プチ寅丸 ■プチ村紗 ■プチぬえ ■東方星蓮船セット ■プラモデル ■流石の私もそれは引くわ ■ミニミニ魔理沙 ■AA表示環境チェック +ゆ.プチゆっくり8 ゆ.プチゆっくり8 ■ミニミニ魔理沙とミニミニ霊夢 ■霊夢の私服 ■体育座り ■星空 ■ダブル魔理沙でゲラゲラゲラ ■可動船長ムラサ ■落ち着け永江 ■雨宿り ■ごろ寝 ■溢れ出る親父臭 ■扇風機 ■Ex静葉 ■タクシー ■ちいさなてるよ ■ゲラゲラ穣子 ■サッカー ■モンスターエンジン ■たわしずはストラップ ■というお話だったのサ ■ドラグノフ ■自動的にHARDする銅像 ■タモリア ■秋魔超神 ■支援ジャー ■プチ三妖精 ■さよなら三月また来てサニー ■ゆったり ■こいし・てるよ ■でかピース ■卓上妖夢 ■お座りうつほ ■立ち上がりうつほ ■諏訪子熟考 ■プチリリーとごじゃえもん帽 各キャラ紹介文 プチゆっくり
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妖夢は茶のおかわりを持って客間へ入った。 朝から延々映姫の説教が続いている。一体何度目だろう。妖夢は毎度の光景にウンザリしながら茶を注いだ。 「ですから貴方もそろそろ転生を考える時期ではないかしら。いつまでも此処に居ても仕方ありませんよ。もっと先を考えないと。」 「山田様~、私まだそんな年じゃないです~。」 「ヤマザナドゥです。千年経っても覚えられないのですか?」 「妖夢~、お菓子は~?」 「もうありませんよ。一刻経って無いのにアレ全部食べてしまわれたんですか?」 「足りないわ~。お腹空いたわ~。」 「西行寺さん、人が話をしているときに…」 「山田様~、さっき食べたの美味しかったですよね~。ゆっくりと言うんです~。お茶請けにぴったりなんですよ~。タダだし。」 「ヤマザナドゥです。貴方は人の名前を…」 「最近は里のお菓子も美味しいんですよ~。」 「そんな事より貴方の将来を考えなければなりません。妖夢さんもいらっしゃい。貴方にも話す事があります。」 「妖夢~、お菓子買ってきて~。せっかく山田様がいらしたんだから~、お持て成しは誠心誠意で~。」 「そう、貴方は少し人の話を聞かな過ぎる。」 こんなのに付き合ってられない。妖夢は逃げる事にした。 「それじゃあ買ってきます。下界のお菓子ですね?時間掛かりますよ。」 用を済ませた妖夢が白玉楼さして飛んでいた。まだ日は高い。 するつもりの妖夢だったが、直ぐに済んでしまった。元々菓子を買うだけなのだ。 白玉楼に帰れば映姫の説教がまっている。早く帰る程説教は長くなる。妖夢は河原の辺で時間を潰す事に決めた。 「とはいっても遅くなれば理由を聞かれるし、なんて言おう。」 言い訳を考える。 「菓子が売り切れていたので無理を言って作ってもらいました、でいいや。」我ながら名案だと一人頷く妖夢。 名分が捏造出来たので思う存分ゆっくりしようと、川傍の大岩に横になって河原の風景を眺める。 「山田様が本名呼ばれるの嫌がるって知ってるのに、幽々子様は連呼するんだから。」 風が心地良い中、妖夢は物思いに耽る。 「いい加減愛称で呼んであげれば良いのに。山田様も頑張って考えたんだろうし。ヤマダナドゥだっけ?ヤマダジャゾゥ?」 彼岸の住人のネーミングセンスは分からない。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 唐突にあげられた大声に、妖夢は身を起こした。見れば草むらからゆっくりの集団が出て来るところだ。 「なんだゆっくりか。」 「ゆっくりしていってね!」 妖夢はゆっくりに興味など無い。無視して横になる。 「「「ゆっくりしていってよー!ゆっくりしていってよー!」」」 寝転んでるんだからゆっくりしてるに決まってるじゃない。妖夢は思ったが、うるさいので改めてゆっくりに向き直る。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさが五・六匹群れを成している。 「私はもうゆっくりしてるよ。そっちはそっちでゆっくりしててね。」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 ゆっくりしているという言葉に満足したようだ。ゆっくりたちはのろのろと河原へ向かった。どうやら水を飲みに来たようだ。 そのうち帰るだろう。妖夢はまたまた寝転んだ。ゆっくりというのもみょんな生き物だ。本当に生き物なんだろうか? 幽々子が食べたがるからたまに捕まえてくるが、妖夢自身には言語を解するものを食するのに抵抗があった。 「ゆっくりしていってね!」 一匹のゆっくりれいむが菓子の入った紙包みに気付いたらしい。近付いてくる。 「これはあなたには関係無いものだよ。ほらみんなのところに戻りなさい。」 「ゆっくりしていってね!」 その声に反応したゆっくりが次々に集まってくる。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「これは駄目だよ。幽々子様のお菓子だから。みんな水飲んだら帰りなさい。」 妖夢はゆっくりたちに諭そうとするが、余計に騒ぎ出した。飛び跳ねて喚き出す。 「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」」」 「お菓子」という単語に反応したようだ。どうやらゆっくりはある程度言葉が理解出来るらしい。 妖夢は無駄な説得をする羽目になってしまった。 「駄目だよ。お使いで買ってきたんだから。」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 いい加減妖夢は苛々してきた。こんなのはほっておいて別の場所に行こう。空を飛ぶべく、紙包みを手に取る。 「ゆっくりしていってよー!」 「あっ!」 いっぴきのゆっくりれいむが紙包みに体当たりを仕掛ける。紙包みが手から落ち、岩の上に菓子が散らばってしまった。 「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」」」 ゆっくりは満面の笑みで一斉に菓子に群がる。 流石の妖夢も腹が立った。なんという自分勝手な生物だろう。 妖夢は躊躇せずゆっくりに蹴りを加えた。 「ゆっ!」「ゆぶっ!」「ゆーっ!」 全匹蹴飛ばすと、妖夢は散らばった菓子を拾い集める。 蹴散らされたゆっくりたちは痛みに身悶えていたが、そのうち起き上がると妖夢に体当たりを仕掛けてきた。妖夢は呆れ返る。 此奴等は、何をどうすればどうなるという予測が付かないのか?これで自然で生きていけるのか?まあ所詮饅頭か。 饅頭。饅頭ね。手元の紙包みを見る。「幽々子様のお菓子」と言ったが、別に私が食べられないわけではない。 だけど家に帰るまでこれはお使いの品物であって、食べて良い物では無い。今日は色々あってお腹が空いた…。 足に当たってポコポコ跳ね返るだけのゆっくりを見ながら妖夢は考えた。 一回食べてみようか。でもやっぱり人っぽい顔してるしなあ。でも山田様も食べてたし。 それはお使いに出る少し前の事。お茶請けに小さなゆっくりが沢山入った器客間に持ってきて、妖夢は尋ねた。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「今はこんな物しか無いんですが、やっぱりこれ食べたら罪になるんでしょうか?」 映姫はゆっくりを手に取り、笑って答えた。 「ゆっくりに限らず、どの動物にも等しく命はあります。植物でさえも。それを食べる事が罪に値するとしたら皆餓死するしかありませんよ。」 「ゆっくりしていってね!」 「誰でも、どの生き物でも、他の生命を糧にして生きているのです。それは罪というよりも生き物の業と言ってよいでしょう。」 「ゆっくりしていってね!」 「大事なのはそれを正しく認識する事。そして己の糧となるものに感謝の念を持つ事。」 「ゆっくりしていってね!」 「『頂きます』『ご馳走様』という言葉はそういった意味も含んでいるのです。」 「ゆっくぶぶぶっ!」 「なるほど。感謝する事が大事なのですね。」 納得した妖夢だったが、たっぷり時間を掛けながら少しずつゆっくりをねじ切る映姫の手つきと表情には、感謝の念は微塵も見えなかった。 閻魔様がシロと言ったんだし食べちゃおう。妖夢は一番小さいゆっくりれいむを掴み上げた。一番始めに妖夢の菓子に気付いたゆっくりだ。 「ゆっ♪」 何か勘違いしたゆっくりが楽しそうな声を上げるが、妖夢の口が迫ったところで、自分が食べられる事に気付いた。 「ゆっくりしていってよー!ゆっくりしていってよー!ゆっくりしていってよー!」 驚いたゆっくりれいむに呼応するかのように他のゆっくりも声を上げる。 「「「ゆっくりしていってよー!」」」 口に入る直前で妖夢の手が止まる。ゆっくりたちは一瞬安堵の顔になった。 妖夢は先程の会話を思い返した。そうそう、ちゃんと言わないといけない。 「頂きます。」 言うが早いか額にかぶりつく。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛!」 「「「ゆっくり…!」」」 目を見開いて苦悶の表情を浮かべるゆっくりれいむに、他のゆっくりは為す術もない。 「漉餡かあ。私は粒餡派なんだけどな。」 不平を述べながらもゆっくりを食す妖夢。だが十分の一も食べる前に口の中が甘ったるくなってきた。人間の頭程もある饅頭では致し方ない。 本来食べ物を残すのはいけない事だが、まだ生きてるし構わないだろう。妖夢は食べかけのゆっくりを地面に降ろした。 「…ゆーっ!…ゆーっ!」 目を見開いて荒い息を上げている。額が少し欠けたぐらいだから大丈夫だろうと妖夢は判断した。 「ご馳走様。」 感謝の念を忘れずに言う。生きている本人に言うのだから効果覿面に違いない。 「ゆっ…ゆっ…ゆっくり…ゆっくりしていってね…!」 涙をこぼしながら苦悶するゆっくりれいむに、妖夢は流石に悪い気がした。お土産に捕まえていこうと思ったが、逃がしてやろう。漉餡だし。 「ほらほら、ここにいるとみんな食べちゃうよ。」 「ゆーっ!」 妖夢の言葉を聞くや回りのゆっくりたちは一目算に散っていった。少し遅れて頭を囓られたゆっくりれいむが跳ねてゆく。 ようやく落ち着く事が出来ると、妖夢は再び寝転んだ。 「さてと。私もゆっくりしよう。」 「やっぱり捕まえておいたほうが良かったかな。」 微睡みながら妖夢は先程の事を考えていた。 幽々子の食費で白玉楼のエンゲル係数は90%の大台に達していた。菓子を買うぐらいならゆっくりでも与えたほうが家計に優しいのは明白。 しかし妖夢は思い直した。それは庭師の心配する事じゃないだろうと。 その時また草むらが揺れた。 なんでみんな私がゆっくりするのを邪魔するんだ。嫌な顔をして起き上がる。 今度はさっさと追い払ってしまおう。いう事聞かなかったら切り捨ててやる。 草の間から顔を出したのはゆっくりみょんだった。 「斬ってやる。」 妖夢はゆっくりみょんが大嫌いだった。 妖夢に似た格好をしているそれは、他のゆっくりと違って卑猥な言葉を叫ぶ。 それを初めて目にしたとき、そばの紅白や白黒や、幽々子まで大爆笑したものだ。まるで妖夢本人が言ったかのように。 以来、妖夢はゆっくりみょんを手当たり次第殺戮してきた。この世からゆっくりみょんを全て消し去らんとするかの如く切り捨てた。 だから最近はあまり見なくなったのだが、生き残りがいたらしい。 さあ斬ろう。だけど他にも仲間がいるかもしれない。少し様子を見てからのほうが良いかな。妖夢はそんな事を考えながらゆっくりみょんに近付いた。 「ゆっくりしていってね!」 妖夢は驚いた。ゆっくりみょんにもまともな言葉を話すものがいたとは。じっくりと見てみる。 ゆっくりみょんが一匹。草むらの傍でじっと見ている。その傍に…妖夢の半霊とよく似た物体がいた。 その物体は妖夢の半霊とほとんど同じ形をしていた。ただ大きさが違う。ゆっくりみょんとほぼ同サイズだ。そして顔がついていた。 「ゆっくりしていってね…?」 妖夢が無言だったのでやや警戒の色を見せてゆっくりみょんが繰り返した。 「うん…ゆっくりするよ。」 取り敢えず答える。するとゆっくりみょん(半人)とゆっくりみょん(半霊)は嬉しそうな顔をした。 「ゆっくりしていってね!」 半霊と交互に飛び跳ねる。 ああ、ゆっくりみょんにもまともな奴がいたんだ。妖夢は感激した。 安心の顔をうかべて近付いてきたゆっくりみょん(半人)を妖夢は膝に抱き抱えた。ゆっくりみょん(半霊)がみょんのそばにふわふわと付いてくる。 「あなたこの辺に住んでるの?仲間とかは?」 「みょん?」 「まあ答えられるわけ無いか。」 妖夢の予想に反して、みょん(半人)は一定の方向に向き直った。みょん(半霊)も同じ方を向いている。 「あっちから来たの?」 「みょん。」 「あなた、私の言葉分かるのね!」 「みょん!」 なんて賢いんだろう!流石は私に似たゆっくりだ。自讃を混ぜつつ妖夢は感激した。 半人半霊双方の頭を撫でてやる。 「ゆっくりしていってね!」 「はいはい。ゆっくりします。」 妖夢とみょんは川の流れなど見つつ、ゆっくりした時間を過ごした。 そろそろ時間になる。妖夢は帰ろうと立ち上がった。 膝から降ろされたみょんがそばの紙包みに目を止める。食べ物だと気付いたらしい。じっと見ている。 「残念だけどこれは上げるわけにはいかないの。」 「みょん!」 一発で理解出来たらしい。私に似てなんて行儀良くて賢くて可愛いんだろう!巫女や魔法使い似のゆっくりと大違いだ。妖夢は自讃と中傷を交えつつ感激した。 みょんは我慢していが、腹が減ったのだろう。残念そうな顔は隠しきれない。 妖夢はそんなみょんがいじらしく感じられた。 「ねえみょん。うちに来る?今は上げられないけどうちに来れば分けて上げるよ。帰りもここまで送ってあげる。」 「みょん!」 「じゃあ行こっか!」 妖夢は右手にみょん(半人)を抱え、左手に紙包みと剣を持って飛び立った。みょん(半霊)は妖夢の半霊が押していった。 場合によってはこの子を飼っても良い。というか飼いたい。これだけ物わかりが良くて賢くて可愛ければ幽々子様も許してくれるだろう。 巫女や魔法使いにこの子を自慢してやりたい。そんな事を考えながら妖夢は帰り道を急いだ。 妖夢が白玉楼に戻ると、泣きながら西行妖に灰を撒き散らす映姫と、その横で灰を頬張る幽々子がいた。 妖夢はなるべく見ないようにして通り過ぎようとした。 妖夢の姿を認めた幽々子が近付いてくる。 「お菓子!お菓子!」 「こんなところでなんですか。西行寺家の名が泣きますよ…。お茶入れるから客間で待ってて下さい。」 妖夢は厨房に行き、みょん(半人)を下に降ろした。 「少し待っててね。今用事を済ませるから。」 「みょん!」 妖夢は菓子と急須が載った盆を持って客間へ向かった。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 客間に入った妖夢は盛大な声に迎えられた。なぜかゆっくりが五・六匹数珠繋ぎになってテーブルの上にいる。その一匹は額が欠けていた。 「妖夢~、お土産がいらしたわよ~。小町さんも~。」 「ゆぶぶぶぶぶ!」 「「「ゆ゛っく゛り゛い゛い゛い゛い゛い゛!」」」 幽々子の向かいに小町が座っている。その隣で映姫は憮然とした表情で押し黙っている。幽々子がゆっくりを頬張っている。ゆっくりたちが恐怖に身を縮めている。 「小町さんが~、ゆっくりを~、お土産に~、持ってきてくれたの~。」 はあそうですか。妖夢は呟いた。 「さあ映姫様、帰りましょう。」 「私は休日なのですからどうしようと勝手でしょう。大体貴方仕事はどうしたのですか。」 「あたいは上司から映姫様家に帰して休ませてこいって言われて来たんです。だからこれも仕事のうちですよ。」 「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」」」 ゆっくりは幽々子に命乞いするのは無駄だと思ったのだろう。映姫に向かってしきりに叫んでいる。 「貴方にとって直属で最高位の上司はこの私『四季映姫・ヤマザナドゥ』でしょう。」 「ヤマジャナドゥ?」「シャバダバドゥ?」「シュビドゥビドゥ?」「シュヴァルツシルト?」「狂乱の銀河?」 名前を聞いたゆっくりたちが微妙な反応を見せた。山田はそれに向かって殺意に充ち満ちた視線を送りつつも、最大限の努力で平静を保った。 「正当な理由が無ければ私より下位の者にそんな権限は…」 「でも映姫様は今日は休みなんですよ。だからあたいは今日の最高位者に命じられるままに行動してるだけなんです。」 仕事しないと怒られちゃいます、抗議するならそっちに言って下さい。との小町の言に映姫は不満げだったが、やがて渋々頷いた。 「…わかりました。今日のところは帰りましょう。」 「そうですか~。もっとお話ししたかったんですけど~。残念です~。妖夢~、お見送りしましょう~。」 そういう事か。妖夢は納得した。幽々子様は何か手を打ったのだろう。ひょっとしたら小町様と示し合わせているのかもしれない。 詳細は分からないが説教が終わるのは妖夢にとっても喜ぶべき事だった。 賢いみょんも見つけたし今日はついてる。妖夢はほくそ笑んだ。 「それではまた近いうちに…。」 妖夢と幽々子は門の上で二人を見送った。二人の姿が十分離れたところで幽々子が口を開いた。 「小町さんが、山田様は休日中も人里を徘徊してるって心配していたのよ。 最近ゆっくりの裁判が多いらしくて、それはそれは沢山の裁きがあるらしくて。 何でもゆっくりは余り邪気が無い割に全部地獄行きになるから山田様は心身共に堪えていたそうなの。 休日くらい家でゆっくりさせてあげたいって、小町さん言ってたのよ。それ口実にして仕事さぼりたいって。だから使いを出しておいたのよ。」 はあそうですか。呟いた妖夢は二人の去って行く方を見やった。並んで飛んでいる二人はどことなく楽しげだ。 突然幽々子が大声を上げた。 「ヤマダアアアアアァァァァァーーーーーッ!」 屋敷に逃げて行く。 あの方は一体何をしたいのだろう。長年仕えている妖夢にも幽々子の本心は分からない。 映姫は戻ろうと藻掻いていたが、小町に手を引かれて次第に見えなくなっていった。 「そうだ、みょんにお菓子をあげないと。」 妖夢は急いで屋敷に戻る。 庭に降り立ち客間を見ると、幽々子の姿が見えない。てっきり土産のゆっくりを躍り食いしていると思っていた妖夢は客間に上がってみた。 テーブルの上にりぼんや帽子が散乱している。 「あの女もう食い尽くしたのか…。」 妖夢は主の食欲に呆れ返りながら厨房へと向かう。 「みょん、お待たせ。…幽々子様、それは…!」 「もぐ(妖夢、どうしたの?)」 妖夢が指さした先には、幽々子に食らい付かれたみょん(半霊)と驚愕の表情をしたみょん(半人)があった。 「もぐもぐ(綿飴美味しいわ~)。」 みょん(半霊)は既に安らかな表情をしていた。 みょん(半人)は白目を剥いてガクガク痙攣している。 妖夢も衝撃にみょん(半人)と同じ表情になっている。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 みょん(半人)の口からはひたすら叫びにもならない声が漏れていた。 おねえちゃんはどこなの?おねえさんはだれなの?なんでみょんを食べてるの?なんで何も見えないの?なんでまっ暗なの? みょん(半人)はわけの分からない事態にただ震えていた。そのうち暗闇の中に幽かに光のようなものが見え始めた。 あの光のところに行けばゆっくり出来る。みょん(半人)はそんな気がした。 もう少しで届く。なんて暖かい光なんだろう。みょん(半人)の意識は陶酔のうちに消えていった。 「ちっ、ちちち、ちーんぽっ!」 「なっ!」 「もぐ(あらあら)。」 叫び声を上げるとゆっくりみょん(ちんぽ)は、痙攣状態から一変して走り出した。 ぐるぐると幽々子の回りを周回し、妖夢の前まで来て飛び跳ねる。その姿は先程までの賢そうな雰囲気は見られない。 幽々子がみょん(半霊)を食べ終えるとみょん(ちんぽ)は落ち着きを取り戻した。知性は取り戻せなかったようだが。 「ちちちちーんぽっぽ!!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 「あらあら妖夢ったら。」 あれは貴方が食べるつもりだったのね。ご免ね妖夢。半分になっちゃったけど。 「ちーんぽっ!」 妖夢の頭を撫でながら幽々子は言った。 自分で食べたかったのね。貴方に似たゆっくりですものね。その瞬間妖夢の剣がみょん(ちんぽ)を切り裂いた。 「ちんぽっ!?」 ゆっくりみょん(ちんぽ)は瞬時に絶命した。 幽々子は真っ二つになった饅頭を拾って妖夢に差し出す。 「はい妖夢。ゆっくり召し上がれ。」 妖夢はしばらく放心していたが、やがてそれを受け取って食べ出した。甘い味が口に広がる。 「どう?妖夢。」 「幽々子様~。柏餅…美味しいです~。」 涙を浮かべて饅頭を頬張る妖夢を、幽々子は愛おしげな目で見つめていた。 翌日、楽園の裁判所ではゆっくりの魂がそれぞれの法廷に溢れかえっていた。 今まで個別に行われてきた裁判を簡略化し、迅速にする措置が成されたのである。 一番広い法廷ですら、何百ものゆっくりの魂で床も見えない程になっていた。 ゆっくりは魂になっても口々に何か喚いている。職員達はそれをウンザリした目で眺めている。 やがて大きな音と共に扉が開け放たれた。 一瞬で静粛に包まれた法廷の中、映姫は大股で歩み、壇上に登り、高らかに宣告した。 「我は楽園の最高裁判長『四季映姫・ヤマザナドゥ』である!! これより十王裁判の判決を行う!! 被告!! 『ゆっくり』!! 被告!! 『饅頭』!! 判決は 地獄!! 地獄だ!! 地獄地獄地獄地獄地獄地獄!! おまえたちはゆっくりだ だがゆっくりさせぬ!! 穴に落ちるおむすびのように地獄行きだ!! 八熱地獄で舞い 八寒地獄で苦しめ!!」 (なんだ!! えーき様 やればできる子だったのじゃあないか) このSSに感想を付ける
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A 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり~!」 「はいはいうるさいわね。今忙しいんだから離れなさいよ。今日の宴会は地下の奴らまで来るんだから、たくさん酒がいる分早く用意しないといけないのよ」 博麗神社にて、博麗霊夢が自らの顔を模してリボンを付けた生首に飛び掛られ、 うざったそうに眉を顰めている。 その生首の名はゆっくりと呼ばれている、幻想郷に突如出現した謎の物体だ。 ゆっくりは涙目で霊夢に飛び掛り続ける。 「ゆっくりしていってよ~!」 「ゆっくりできないっての」 霊夢は胸の辺りまで飛び跳ねてくる涙目のゆっくりを手で払い、 これまで行なってきた宴会の準備の作業を再開する。 「霊夢~、酒の用意は万全だぜ~」 「おつまみの準備もできたわよ」 霊夢の友人である魔理沙とアリスが声をかけながら近寄ってくる。 二人の背後には霊夢と霊夢のゆっくりの関係のように、 魔理沙とアリスの二人に対し、それぞれの特徴を持ったゆっくりがそれぞれ一匹ずつ飛び跳ねている。 「霊夢のところのゆっくりって本当に甘えん坊ね」 「そうなのよ……。こいつときたら私が忙しいことを知ってるのにこうして擦り寄ってきて……うざったいったらありゃしない」 霊夢は若干苛立ちを交えながら吐き捨てる。 「私のとこのもかまって欲しがりだが、霊夢のところはとびっきりだな」 「あれ? どうかしたのゆっくり」 「なんだ? ゆっくり同士で話し合いでもするのか?」 魔理沙とアリスのゆっくりがぽんぽんと跳ね、霊夢のゆっくりに近寄る。 霊夢のゆっくりに対して説得を試みているのだろうか。 少女達が若干期待しながら成り行きを見守る。 「ゆっくり! ゆっくり! ゆゆう!」 「ゆっくり~! ゆゆゆ!」 「ゆゆっくり!」 「 「 ゆ~! 」 」 けれど、二匹が声をかけたにもかかわらず、霊夢のゆっくりは尚更霊夢に引っ付く。 魔理沙が「駄目だこりゃ」と頭を抱えた。 「私の言ってることがわからないのかしら……まったく」 「ゆっくりの方だって私達の言葉を喋れないんだから、私達の言葉なんてわからないのかもな」 「とはいっても……私が忙しいことぐらい見てわからないの? ……まったく、何を考えていることか知ってみたいものだわ」 「う~ん、『腹減った! 仕事してないで飯よこせ!』だとか、『もっと私を優しく扱え! かまえ!』みたいな感じなのかな? それにしてはちょっと様子がおかしいけどな」 「ま、後でさとりにでも聞いてみることにするわ」 霊夢は淡白な様子で答えた。 今日は地下の妖怪達も来る。彼女達はゆっくり達とは初の顔合わせになる。 そのときに心を読む程度の能力を持つさとりに聞けばいいだろうと考えた。 「ゆっくりしていって――」 「ほら、邪魔よ」 ばしっと、霊夢は飛び掛る自らのゆっくりを手で払いのけ、おつまみを乗せたお盆を持っていった。 ◇ 幻想郷に突如出現した動く生首、ゆっくり。 ゆっくり達は幻想郷の有名人達の顔を模して潰した生首のような姿をいるが、 それ以外の生態は謎に包まれており、どこから来たのか全くの不明で、 「ゆっくりしていってね!」と鳴くことから「ゆっくり」と名づけられたこと以外は誰もわからない。 けれど、そんな謎の存在ゆっくり達にもある一つの共通点があった。 それはその顔のモデルになった人間や妖怪、果ては妖精にひどく懐くということだ。 モデルとなった少女達は自らの姿を模した謎の生き物が擦り寄ってきてどう扱えばわからず、 とりあえず放置する者、仲良くなって共に暮らす者、非常食としてとっておく者と様々だった。 そして先ほどの霊夢のゆっくり。 霊夢の神社の庭にある日いきなり出没し、まるで親に出会った迷子のごとく霊夢にひたすら懐いた。 霊夢は退治するべきか放っておくべきか迷ったが、特に悪さをするわけでもないので放置することにした。 そして今では霊夢とゆっくりが奇妙な同棲生活を行なうこととなったのである。 ◇ 「乾杯!」 「「「かんぱ~い!」」」 今夜の宴会は非常に賑やかなことになった。 博麗神社の庭では人間、妖怪、妖精、鬼、天人、神、様々な種族が入り乱れて、 派手に豪快に呑めや歌えやの大騒ぎ。 これまで特に交流がなかった面々も酒の力で互いの距離感が近くなり、飲み比べでその度量を認め合っていった。 そして宴会が進むに連れて、次第に気が合う者同士でいくつかのグループに分かれていく。 酒に強く騒ぎ立てる者達、お喋りに興じる者達、少し距離を置いて自分のペースで飲む者達。 皆が皆、自由に酒と場の雰囲気を楽しんでいる。 そんな中、ある一角が周りの目を引いた。 「ゆっくり!」 「ゆっゆっ! ゆっく、ゆっくり!」 「あ~う~」 「きゃなこ~ん」 ゆっくりである。 ゆっくり達が庭の端の方に陣取って、集まり、酒宴に興じている。 ゆっくり達はころころ、ぽてぽてとその丸い体を転がし、 飛び跳ねながら、口しかないのに器用に酒を注ぎ、呑み、つまみを食す。 そんな生首たちの酒宴の様子を、幻想郷の少女達は伺っていた 「あいつらって、ゆっくり達って本当に何者なんでしょうね?」 妖夢が周囲に聞かせるように呟いた。 「特に何かをしでかすわけでもないですし、それどころか私の場合何故か仕事を手伝ってもらったこともあるんですが」 彼女はゆっくり妖夢に自らの庭師の仕事を手伝ってもらっているので感謝の気持ちもあるのだが、 妖夢自身はゆっくり妖夢の事を何も知らない。 「ゆっくりねぇ……新種の妖怪って感じでもないわね。あんな感じで私達の姿に似せているのは一種の擬態かしら? ……まぁ似てないし、何者かわからないけど、放っておいても無害だし別に大丈夫じゃない?」 パチュリーが「どうでもいいし」と付け加え、興味なさげに冷めた表情で妖夢の質問に答える。 ゆっくりパチュリーは図書館の本を読むだけで、特に何もしてこなかった。 いてもいなくても関係がないのなら、毛玉のようなどうでもいい存在だ。 「私のところのゆっくりは何だか年中ゲラゲラ笑ってうるさいから迷惑なのよね~。もう少しおとなしくして欲しいんだけど」 うどんげが唇を尖らせながら不満げに呟く。 魔理沙はニヤリと悪そうに笑いながらうどんげの方を向いた。 「そんなに邪魔なら兎鍋にすればいいじゃないか。うどんげのゆっくりだから兎みたいだし。何なら今から捌くか?」 「共食いみたいなんで勘弁して……。私の姿を真似ているものが食べられていい気はしないし」 「そうか、それはありがたい。うどんげがゆっくりの代わりに酒の肴に捌かれてくれるなんて」 「何でそうなるのよ!」 うどんげがばんと床を叩いて突っ込む。 「だけどゆっくり達って本当に賑やかね。う~う~鳴いてて、私達には何喋ってるかわからないけど」 「何を話してるのかな?」 腕を組んで考え込むレミリアと首を傾げるフランドール。 彼女達の言葉に反応して、魔理沙がぽんと手を叩いて注目を集める。 「そういえばさっき霊夢と同じ話をしたんだよ。『ゆっくりって何を話しているのかな』って」 「へ~、やっぱり『お腹すいたよ、ごはんちょうだい』とか、『あそんで~』とかかな?」 「いや、言葉が通じないことをいいことに命令形で話しているのかもしれないわ。『飯』『風呂』『寝る』」 段々と皆が魔理沙の話に注目を集めていく。 『ゆっくり達はどのようなことを話しているのか』 それが宴会に参加している者達の興味の中心となった。 普段は「犬や猫が何を話しているかどうでもいいようなものだろ」と興味なさげに言うような者達でさえも、こっそりと耳を傾けている。 何故ならゆっくりは自分達の姿を真似ているのである。 自らに関係がありそうなことなら多少の興味はあるというものだ。 ◇ 「すいません遅れました。それと灼熱地獄跡地での炉の仕事が滞っていて、お燐とお空は残業で来れません。こいしも今日はちょっと連絡が付かなくて――」 「お、さとりじゃんか――そうだ! おまえいいところに来たな!」 魔理沙はやってきたさとりの顔を見るなり、何かを企むような顔で擦り寄って手をとる。 突然手を握られたさとりは何事かときょとんとしながら魔理沙の目を見る。 「な~さとり~、おまえ『ゆっくり』って知ってるか~」 「『ゆっくり』……ですか。地上で最近話題になっている、幻想郷の少女を模した饅頭顔の生首のことですね。私はまだ見たことはありませんが、それがどうかしました?」 「実はちょっと頼みがあるんだけどさ~」 「『さとりにゆっくりの考えていることを読んでもらおう』ですか。貴方、私の事を通訳か何かと勘違いしていませんか? ……してますね」 さとりがその座った目をより細めてジト目となり、呆れながら言う。 「いいじゃないかよ~。減るもんじゃないし~。お願いさとりちゃ~ん」 「馴れ馴れしいです。それに酒臭い。酔っ払いは突拍子もないことを考えるから苦手です」 「だったらなんでこんな場所来てんだよ~。ホントは誘われて嬉しいんだろ~。うりうり~」 「想起『二日酔いの朝』」 「ぎゃあああああああああああ!! 酔いで空が落ちてくるぅぅぅぅ!!」 トラウマを蘇らせた魔理沙が頭をぶんぶん振りながら痛みにうなされる。 調子に乗った結果馬鹿を見た小娘の醜態に、周りからゲラゲラと笑い声が上がった。 「でも私も興味あるわね。悪いけど貴方、ゆっくり達の通訳お願いしてもいいかしら?」 「ね~、貴方心を読めるんでしょ~。だったらやってみて~」 そんな衆人達を掻き分けてきたレミリアと、彼女に手を引かれたフランがさとりに対してお願いする。 普段だったら恐怖の対象であるさとりの読心も、酔っ払いの席では誰も気にしない。 思ったことがすぐ口から出るためだ。 とはいえ、さとりは気軽に能力を行使するように頼まれて若干気が引けてしまう。 能力によって疎まれた過去を持つ彼女は、その扱いに関しては誰よりも慎重だ。 「え~と……貴方達、もしゆっくりの心の中が仮に「ご飯よこせ~。この召使いめ~」みたいな感じで貴方達に対して過度に偉そうだったりしたらどうするんです?」 「 「 今夜のおつまみにする 」 」 即答だった。周りを見れば他の少女達もうんうんと頷いている。 さとりが心を読む間も無かった。 素面の状態でもゆっくり料理をやりかねない彼女達。 酔っ払って自制心が効かなくなった今では、何か失礼があったらゆっくり達はおつまみの刑は免れないだろう。 「……やっぱり駄目です。動物は喋れない分欲求に正直ですから、あまり夢や幻想はもたないであげてくださいね」 さとりはそう言い残すと彼女達から離れた。 不満げな声が挙がったが、ここで捕まったら面倒なことになる。 こういった場合は別のグループに入るのが一番だ。 さとりはキョロキョロと周りを見渡しながら、その場を離れた。 ◇ 「いいところに来たじゃないの、さとり。相変わらず遅れてくるわね」 さとりが辺りをうろうろとしていると、縁側で座っている博麗霊夢に声をかけられた。 反応して霊夢の顔を見ると、頬がほんのりと赤く上気している。酒によるものであろう。 けれども何か気がかりなことがあったのか、いつもよりも酔いのまわりが悪いように見える。 「こんばんは、霊夢さん。色々あって遅れてすいません」 「別にそれぐらいで謝らなくていいわよ。ところでアンタって意外と宴会好きよね~」 「まぁ、それなりには」 さとりはしれっと答えたが、実際にはそれなりどころではない。 さとりは実のところ、宴会が大好きである。先ほど魔理沙に言われたことは図星であった。 さとりは心を読む程度の能力が他人に嫌われるとあって、基本的に表に出たがらないが、 宴会にはよく参加する。 酔っ払い同士なら頭の中が空っぽであり、なおかつ考えるよりも先に口が働く。 皆が心を読まれることを気にするような状態ではないため、さとりのことを疎まない。 そのためにさとりだって楽しめる。酒は潤滑油なのだ。 「ところで【いいところに来た】とはどういう意味です?」 「あのさ、【ゆっくり】って何者か、話には聞いてる?」 「えぇ、一応は。最近幻想郷に突如出現した動く生首のことですよね。そのゆっくりがどうかしました?」 霊夢が背後を振り向きつつ指を示す。すると霊夢の姿を模した生首が蕩けるような顔をして、 「ゆ~♪ ゆ~♪」と声を出しながら、霊夢の背中にすりよっている。 どうやらあれが動く生首ことゆっくりなのだろうと、さとりは推測する。 「こいつが、ゆっくりが何を言いたがっているのか教えて」 「どういうことです?」 「ゆっくりは【ゆっくりしていってね!】に関することしかいえないから、わけがわかんないの。それに私のゆっくりときたら、何でかしらないけど暇さえあったら私に引っ付いてくるのよ」 「へぇ……それはそれは」 「それだけならまだいいけど、よりにもよって宴会の準備で忙しい時にくっついて来てうざったかったの。私がいくら言っても聞かないし……」 霊夢はうんざりとした顔で言う。 さとりは霊夢から事情を聞いた。 ゆっくりは突如博麗神社の庭に現れたこと。霊夢に対して親のように懐くこと。 霊夢が邪険にしてもかまわず向かってくること。 そしてつい先ほども宴会の準備があったのに引っ付いてきてきたこと。 「はぁ、そんなことがあったんですか」 「だから、さとりのその読心でゆっくりが何考えてるのか教えて。何であんなことをしたのか知りたいし、な~んか妙な気分なのよね~。私の勘が騒ぐっていうか」 さとりは一瞬「失敗した」と思った。 面倒ごとから逃げて来たのに、逃げた先で更に面倒なことに巻き込まれてしまった。 またどうにか理由をつけてこの場を後にしようかとも思った。 だが―― 「ゆ~♪ ゆっくりぃ~♪」 さとりはゆっくりの心の中の、霊夢に対する好意を感じた。 どうやらあの生き物には言葉が通じないがゆえに、その溢れんばかりの好意が上手く伝えられないようだ。 それを霊夢は上手く受け取ることが出来ていないのだろう。何だか微笑ましい。 さとりは何となく、少しくらいだったら想いを伝える手伝いをしてあげてもいいと思った。 「わかりました。やってみます」 言うが早く、さとりはゆっくり霊夢の顔を覗き込む。 それに反応して、ようやくゆっくりはさとりに気付き、上目遣いで見つめる。 「こんばんは」 「ゆっくりしていってね!」 「………………」 さとりの動きがピタリと止まり、辺りの空気が凍る。 「あれ? さとりどうかしたの?」 「いえ、何でもありません。軽いかるちゃーしょっくとでもいいましょうか……」 さとりは頭を振って気を取り直して再度ゆっくりに近寄り、声をかける。 「私の名前は古明地さとりっていうの。私は貴方の言葉がわかるわ」 「ゆ~! ゆっくり! ゆぅ~!」 「ねぇ、貴方はどうして霊夢――自分の主人にそこまでかまってもらいたいの? さっきだって宴会の準備の邪魔をしたって聞いたけど、それは本当なの?」 「ゆっくり! ゆぅぅ~! ゆっくり!」 「ふむふむ――」 さとりはゆっくりと会話をする。 どうやらゆっくりは人語を話せないが、人語を理解することは出来るようだ。 さとりは読心の能力を持つため、本来はゆっくりは声を出す必要がないのだが、 ゆっくりは思ったことがすぐ口に出る性質があるのか、声を出して喋ってくる。 それをさとりは聞き続けた。 「――なるほど、よくわかったわ」 「ゆっ!」 さとりが得心を得た。くるりと霊夢の方を向く。 「で、何だって?」 「え~とはい、何でもこの子は、霊夢さんのお手伝いをしたかったそうです」 「お手伝い?」 「そうです。お手伝いです。普段お世話になっている霊夢さんのお手伝いをしたかったのだけど、何をすればいいのかわからなかったそうです」 擦り寄ったり甘えることによって邪魔ばかりしていたと思っていたゆっくり。 そのゆっくりの真意が手伝いをしようとしていたなどとは、意外な答えに霊夢が驚く。 「霊夢さん、一ついいですか?」 「何よ」 「霊夢さんはその子に好かれているのはわかりますか?」 「う~ん、ゆっくりときたら暇さえあれば甘えてくるからそんな気はしてたけど……けど、私はこいつに対して特に可愛がってやったりとかしてないわよ。なんでこんなに好かれるのかさっぱり」 「そうですね、例えるなら霊夢さんのことを好いている方達、紫さんや魔理沙さんなどに対して、霊夢さんは特別可愛がったりしていますか?」 「いいえ。まったく。それどころかよく弾幕ごっこでドツく」 「それだけですか?」 「まぁ……その後よく一緒にお酒を飲むけどね」 「それと同じですよ。霊夢さんのさっぱりとした人柄にみんなが集まるんです。この子は『霊夢大好き! 霊夢と一緒にいたい!』という気持ちが溢れかえっています。裏表のない霊夢さんが大好きだそうです」 「でも、今日は邪魔してきたと思ってぞんざいにあつかったし、嫌われてもおかしくないんじゃないの?」 霊夢が反論するかのように答える。 「ゆっくり~ゆっくり~」 「霊夢さんがそういった人だということはわかっているそうです。だから大丈夫だと。そういったところを含めて好きだそうです。それに忙しくなくなったら、ゆっくりが甘えてきたときにされるがままにしてたそうじゃないですか」 「え~と、それはあれよ。酒の席でつまらないことでイライラするのも嫌じゃない。だからちょっとくらいならいいかなと思っただけよ。ホントに邪魔だったらどかすわ」 霊夢がばつの悪そうな顔をしてそっぽを向く。 「ゆっゆっゆっくり」 「宴会の準備の邪魔をしてしまったことについてはこの子も申し訳なく思っています。忙しいところにかえって邪魔をしてしまったと、反省をしているようです」 「そうなの?」 「ゆ~ゆ~」 霊夢がゆっくりの方をちらりと見る。その目には若干の戸惑いがあった。 霊夢は基本的に人妖に好かれるさっぱりとした気質を持つが、 あまりこういった類の、子が親に向けるような愛情を受けたことはない。 どういった反応をすればいいのか戸惑うその様子は博麗の巫女というよりも、 一人の少女のそれであった。 「霊夢さん」 「な……なによ」 「霊夢さん、そんなに肩肘を張らなくても大丈夫ですよ。この子は自然体の霊夢さんが好きなようですから。それに私個人としては子供や小動物に優しい霊夢さんっていうのは気持ちが悪いです。霊夢さんって子供の飴玉とか奪いそうですし」 「おい」 「確かに熱心に好かれると、時にはうざったくなってしまったり、どうしても手が離せなくなってかまえなくときがあるのはしょうがないでしょう」 「無視すんな」 「ですが――」 さとりの突如真剣味を増した声に霊夢が気圧される。 普段のさとりは基本的に根暗だ。 けれどペットや、言葉の喋れない存在に関わるとこのような真摯な性格になる。 だてに地霊殿の主はやっていない。 「ですが自分を好いてくれる相手には、どうか無下に扱うようなことはしないであげてください。嫌われるのは簡単ですが、好かれるようになるのは難しいです」 さとりがふっと、自嘲するようなため息を吐きながら言った。 「まぁ、私は霊夢さんなら大丈夫だと思いますけどね。その姿を見ていると」 さとりは縁側に座る霊夢と、その隣に並びながら霊夢に寄りかかるゆっくりを見る。 ゆっくりの顔はとても幸せそうだった。 愛する母に抱きつく子供のような安心感を醸し出す至福の表情だ。 こんな顔をすることが出来るような者は滅多にいない。 なんだかんだいって普段霊夢がゆっくりにたいして世話を焼いていることが伺える。 「え~と、これはその、あれよ。あんまり駄々をこねてて五月蝿かったから、こうすれば黙るからこうしただけよ」 「はいはい。わかりました」 さとりはにこやかに笑いながら霊夢に言った。 霊夢はさとりのそんな姿を見て、自らの頭をわしゃわしゃと掻き毟る。 「あ~もう、この話はもうおしまい!」 そう言うと霊夢は自らのゆっくりを膝の上に乗せた。 上に乗ったゆっくりは即座に目を輝かせ、口元がわぁっと開き、幸せ一杯の顔をする。 「ゆっくりしていってね♪」 「……まったくしょうがないわね。こういうことはたまにしかやってあげないから、あんまり忙しいときに引っ付いてくるんじゃないわよ」 「ふふふ……」 「それとさとり、アンタもさっさと酒飲みなさい! 宴会で素面が真面目なこというんじゃないわよ!」 「はいはい。わかりました」 悪態をつきながらゆっくり霊夢を膝の上に乗せる霊夢。彼女の心の中は妙なこそばゆさで一杯だった。 さとりはその微笑ましさに思わず頬が緩んでしまった。 ◇ 「ところで貴方、最後にひとつ聞いてもいい?」 さとりがこれで時分の役目は終わったと思いその場を離れる前、 ゆっくりに対して感じた素朴な疑問があった。最後にそれを聞いていこうと彼女は考えた。 「ゆ?」 「貴方達って何で幻想郷の女の子の姿をしているの?」 「ゆっくり――」 ◇ ザッザッザッと、さとりは霊夢とそのゆっくりから足早に離れた。 ゆっくり達が幻想郷の少女達の姿をしている理由。 それ自体はある意味わかりやすく微笑ましい理由だったが、 決してモデルとなった少女達には口外できないものであった。 霊夢に対しては上手くぼやかしてきたが、このままだとボロを出しかねない。 今日は日が悪い。さとりは一刻も早く帰ろうとする。 けれど―― 「すげ~!! ねぇねぇ、あたいのゆっくりがどんなこと考えてるか教えてよ~」 「私のゆっくりは! 私のゆっくりは!」 「な、何ですか貴方達!?」 気が付けばさとりの周りには観衆が集まっている。 一度は撒いたのに、愚かなことにも再度捕まってしまった。 先ほどのさとりによる一連の光景は中々変わった見世物だったため、皆の興味を引いた。 そのために少女たちは離れたところから見学していたのだ。 そしてさとりの手腕に感心した少女たちは、今度は自分の番だと引っ付いてきたというわけである。 「どうせだからさとりにみんなのゆっくりが何考えてるか教えてもらおうよ~!」 「いいね~!」 「もう決定だね~!」 「そ~なのか~そ~だよね~そうするっきゃないね~」 「私のゆっくりだから、きっとさぞかしカリスマ溢れた台詞を言ってるのでしょうね」 「えと……あの……ちょっと待って……」 皆が勝手に話を進めている。徒党を組んだ酔っ払いは手が付けられない。 彼女達は期待の篭った視線をさとりに向けた。さとりは思わず気圧される。 場の雰囲気に完全に飲まれていた。 「ち……ちょっと席を外しま――」 どうするべきか、逃げるべきかとさとりが迷い、 取り敢えず先ほどと同じように逃げようとその場から背を向けた瞬間、 何者かに肩の辺りをガシッと捕まれた。 「今度は空気嫁よ」 「ひぃっ!」 気配もなく近寄ってきた衣玖が能面のような笑顔でさとりに呟いた。 ギリギリと、衣玖の指がさとりの肉付きの薄い肩に食い込み、 さとりの顔が青ざめる。 「頑張ってさとりちゃ~ん!」 「いけいけ~!」 「さとり~! 愛してるよ~! ちゅっちゅさせて~!」 前門の衣玖、後門の酔っ払い。 いや、周りを囲まれた今となっては四面楚歌。 さとりに選択権はなかった。断れば何をされるかわからない。 「わかりました! わかりましたよ! 行って来ます!」 こうなったらどうしようもない。上手く誤魔化すしかない。 さとりは普段あまり出さない大声を上げると、ゆっくり達が集まる場所に向かった。 とてとてと歩いてゆっくり達の集まりに近寄る。 するとゆっくり達は皆何者かに対して首を傾げる。 「みんな、こんばんは」 さとりはゆっくり達に向かって声をかける。 けれどもその音量は小さく、雰囲気も暗い。 外の世界の歌のお姉さんとはかけ離れている。 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 ゆっくり達は対称的に元気よく、 歌のお姉さんに向かう子供達のような天真爛漫な姿でさとりに挨拶を返す。 どうやらさとりは歓迎されているようだ。 ゆっくり達はさとりに対し、どうかここでゆっくりしていって欲しいと言っているのかもしれない。 はやし立てた少女達はそう考えながらワクワクしながらその光景を見守った。 「え~とね、今日はみんなに聞きたいことがあって来たの。突然だけど、皆は主人のこと好き?」 「ゆっくり~」 「ゆゆ~」 「むきゅ~」 「ゲラゲラゲラ」 即答である。 ゆっくり達は目をキラキラと輝かせ、我先にと大声で主張する。 「えっと……どんなところが好きなの?」 「ゆっくり!」 「ゆゆ~」 「ウサウサ」 「わかるよ~」 「よいぞっ!」 「じゃお~ん」 「あたいったらゆっくりね!」 「あ~う~」 「ちんちん」 さとりは一気呵成にまくし立てて来るゆっくり達に対していくつか相槌を打ち、 それぞれの話を聞きいれた。 「え~そうなんだ――うんうん――へぇ――わかったわ。それじゃあ、私はこれで失礼するわね」 するとさっと少女達の方に戻ってきた。 「皆さんすごく好かれていますよ」 さとりは一拍間を置いて、にこやかに笑いながら言った。 「あれでわかるとはすごいな……」 「どんな感じ?」 「私のゆっくりは何だって?」 「百聞は一見にしかずです。ちょっと待って下さい」 さとりはゆっくり達の方を向くと、少女達に存分に甘えるように呼びかけた。 ゆっくり達は散らばって、それぞれのモデルとなった者のところに近寄っていく。 ぴょこぴょこ、ぽよんぽよん、ぱたぱた。 皆の表情は太陽のように輝いている。 「これが答えです。この子達が何者であってもいいじゃないですか。可愛がってあげてください」 さとりはいい笑顔だ。 「私のゆっくり、いつも庭師の仕事を手伝ってくれてありがとう」 「みょ~ん!」 「ちょっと、う~う~言うのやめなさいっていってるでしょ!」 「う~♪ う~♪」 「えへへ、くすぐったいよぅ」 「ゆっくりしね♪」 抱き合う妖夢とゆっくり、レミリアとほっぺプニプニの柔らかさ比べをするゆっくり、フランにちゅっちゅするゆっくり。 それらを初めとして、少女達が自らに擦り寄るマスコットのような物体と仲良く触れ合っていた。 「それでは私はこれで。今日は少し早めに帰らせてもらいます」 さとりはそんな美しき光景に背を向けて、神社の外に向かってスタスタと歩いて行った。 「え~、さとりってばまだ全然酔っ払ってないじゃん。ゆっくりしていけよ~」 「それは……いえ、何でもありません。少し身体の調子が悪いので」 「きっと酔っ払いの頭の中を見て酔っ払ったんだ~」 「キャーこのスケベ~!」 「え……えぇと、はいそういうことです」 さとりはばつが悪そうにしながらも帰ろうとする意思は変えないようだ。 ふとさとりが霊夢と膝枕されるゆっくりをちらりと見た。 ◇ さとりは無言のまま博麗神社を後にする。 今日は家に帰ったら早くお風呂に入ってお燐とお空を撫でて寝よう。なでなでふにふにしよう。 そんなことを考えながら早く帰ろうとすると、目の前には三つの影が現れた。 「うにゅ~」 「おりんりんらんどはっじまっるよ~」 「こいこがれるようなゆっくりがしたい!」 ゆっくりだ。それも三匹。 お空、お燐、こいしの姿をしたゆっくり達だ。 ぽよんぽよんと飛び跳ね、さとりの方に向かってくる。 さとりはさっと身を翻して別の方向に向かって走る。 走って走って、その場から離れようと―― ぽむっ。 何かがさとりの胸の辺りにぶつかって来た。 柔らかい。 さとりは思わずそれを受け止め、抱きかかえてしまう。 ………… ………… ………… さとりが恐るおそる視線を下に向けると、 薄紫色のショートヘア。 ジト目。 ハート型のカシューチャ。 そう―― さとりの姿をしたゆっくりが! 「さっとりしていってね!」 ゆっくりの想いB
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概要ゆっくり茶番 ゲーム配信 言動野良パーティーに対する悪態 自演による擁護 生放送内にてフレンドいじめ(個別記事あり) 配慮に欠けたタイトル トラブルを起こした時の対応 罹患していると考えられる病気 概要 御尊顔 別名義 トーリス・ロリナイティス、本田菊 など ゆっくり動画製作者 モンスターハンター、マインクラフト、地球防衛軍などPvEのゲームを好む プレイスキルは低く、基本的に野良パーティやフレンドに頼って攻略していくスタイル game8の地雷掲示板から知られるようになった(現在は閉鎖済) ゆっくり茶番 茶番の時は立ち絵を並べるだけで動くことがほぼ無く、クオリティは低い キャラクターの背景ぐらい切り抜いてあげたらどうだろうか ゆっくり実況 ゲームの実況ではなく、ゲームと全く関係のないパーティー内の雑談などを垂れ流す動画 3日坊主のため、どの実況も序盤で終わっている。 ゲーム配信 前述の通りでソロプレイでの限界は早く他のプレイヤーに依存する形のため上達することもなく見ごたえはあまりない。 モンハンを例にした流れ 申し訳程度のダメージ ⇩ ⇧ 攻撃をもらう ⇧ ⇩ ⇧ ⇧ 回復 長時間安全な場所でウロウロして味方に押し付け 本人の貢献度基準は 微火力0死>>>高火力n死 となっているため 救援で代わりにタメージを出してもらっているにも関わらず、毒を吐く場面が見受けられる。 トップへ 言動 自分を棚に上げていくスタイルで批判される原因 野良パーティーに対する悪態 41 50~ このメンバー終わってんなぁ…だって閃光弾は無いわ、回復道具無いわ…せんこうだーーん!終わった… 自演による擁護 【集】ゆっくり暁 @0kd6ajatuki 親友に裏切られました その親友にツイートで公開処刑されました LINEの内容全部公開されてました 名前隠されていても自分だとわかる内容でした 私にも悪いところありましたが 一応何度も謝ったですが 許して貰えてません その親友とは十年以上の付き合いでした 堀尾聡史 @horiosa0928 返信先 @0kd6ajatukiさん 親友なのに晒すとかないわぁまじありえんそんなやつ親友じゃないよなぁ https //archive.vn/9HNHA 堀尾聡史 @horiosa0928 https //youtu.be/idkUtWLnDgU 集え戦士のモンハンうぷ主は暁ことトーリス………らしいぜ 12 17 PM - 25 Mar 2016 https //archive.is/v3Oz8 堀尾聡史 @horiosa0928 https //youtube.com/watch?v=vKC5RLK4Sn4 feature=youtube_gdata_player モンハンで暁担当です☆ 6 30 AM - 17 Sep 2013 https //archive.is/8jKMj 生放送内にてフレンドいじめ(個別記事あり) 問題の生放送、未だ当事者への謝罪は無し 詳しくは→生放送内でのイジメ配信 配慮に欠けたタイトル 台風19号 2019年10月12日午後7時頃より伊豆半島に上陸し、日本列島に多大な被害をもたらした台風で 数日前よりニュース等で危険性を報道されていた程の台風であり、備える人も多数いた程 そこにゆっくり暁本人が同日17 47より「台風19号美味しいよ モグモグ」というタイトルで配信を始めた 現在はタイトル変更済み 生放送→https //youtu.be/lHeH_SmXq5o 言論統制 自分に意見する人はブロック&削除、通報すると公言している。 「ゲームの音量が大きくて声が聞こえづらいです」「誤字してます」 などの意見は全部アンチとみなされ削除対象となる。 この頃は批評に対して素直に反省し次に活かすコメントも残している(2017/07/01) アンチを過剰に気にする姿勢は昔からの様子 トラブルを起こした時の対応 https //archive.is/xHt4R https //archive.is/9UQYj https //archive.is/kUn7F LINE、twitterブロック、ゲームフレンド削除 https //archive.is/bgkOd 追求されるとTwitter等で「迷惑かけて申し訳ございません」「自●します」 具体的に自分の何がどう悪かったのかはおそらく理解しておらず、トラブった肝心の相手とは話し合わない、謝らない。 自●や自傷を自身に対する批判を封殺するための武器にしている節があり批判の原因となっている その後新たにフレンドを集い、精神病ゆえに上記の行動を繰り返す。 トップへ 罹患していると考えられる病気 現在診断書等のはっきりしたソースは無し 魚拓『いままでの経緯と うつ病について 私が喧嘩や口悪い理由』 https //archive.is/Mhkjk 写っているオランザピン錠5mg「杏林」の効果・効能より 統合失調症 双極性障害(躁鬱) + ヤブ医者? 記憶喪失と自殺願望が激しい日々 記憶喪失のほうはうつ病 か 若者何とか?って病気の症状ににてた どちらにしろ ストレス 病院は28日に行くですが 前に、いったとき何ともないで返された気がするが https //archive.is/NtS2T 病院行きました 記憶無くなるわ、気分が落ちすぎて 大変なんですよねと伝えた 薬飲んでも戻らない お医者さんから回答 いつもの薬飲んで下さいね のみ ヤブ医者め https //archive.is/ZCm90 支離滅裂な言動 自分の意見を持てて発言できる人を排斥し、一人に対し多勢で戦争をけしかけようとした人間がリツイートする内容ではない。 記憶障害 ツイートに記憶がない、消えた等の発言が見られるが、別れたFさんの件を2年弱覚えていた事から疑惑が残る。 さらなる疑惑 4年近く前のドラゴンズドグマでの喧嘩を覚えている。 元? トップへ
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※幻想郷はすでに外界(特に日本アルプスの近く)にさらされているとの設定でお読みください。 ※他の人の設定・パロディが多いです。そういうの嫌いな人注意。 「こんにちは。ゆっくりしていってください。」 その図書館の主、ゆっくりぱちゅりーが言った。 祖父いわく、今はゆっくり種と共生を始めて100年がたつという。 祖父は「あんな害獣と共生?駆逐の間違いじゃないのか?」とも言った。 さて、ゆっくり種は基本山中に住んでいる。 そのことについても祖父は「きっと人間を殺そうとしてんだよ」という。 祖父は、現役の農夫だったころゆっくりの駆逐を成功させたメンバーの一人であった。 幻想郷の人里にはゆっくりがいなくなった。 森にも川にもいない。ゆっくりは絶滅した。 そう思っているときに日本政府が「ゆっくりとの共生」を政策として打ち出したせいで祖父はキレてしまったのだ。 ちなみにゆっくりを1匹殺したせいで祖父は監獄生活を謳歌している。 「…そんな矛盾があったんだけど、そのことについての本はありませんか?」 私はゆっくりぱちゅりーに尋ねる。 「ああ、でしたらこの本がいいでしょう。差し上げますよ。手書きの原稿ですから読めないかもしれませんけど…」 彼女は主に人向けのゆっくりについての本を書くことで生計を立てている。 図書館には彼女の本で2棚埋まっている。3年くらいしか物書きはやってないらしいが、この量を書けるとは。 きっとその金がだぶついた部分を彼女以外の本の購入に当てているのだろう。献身精神がうらやましい。 …話がずれたが、その原稿は彼女の最新の本、「ゆっくりの歴史」の原稿だった。 「ありがとう。あとこの二冊借りていきますね。」 手早く手続きを済ませ、我が家に帰っていく。 「…さて、次の本は久しぶりに恋愛小説で…」 去り際に聞こえた彼女のハスキーな声で、彼女がどういう内容で書くかは大体想像できた。 せっかくもらったんだ。脳内の矛盾をただすために読むんじゃなくてゆっくりを理解するために「読破」するんだ! そう思って私は寝ころびながら丸い文字に目を通し始めた。 {~第一章 魔法の森のゆっくり~ 私は伝聞でしか知らないが、魔法の森はゆっくりのすみかにちょうど良かったらしい。 山の上で生まれ、山で育った私たちとその祖先には理解もできない話だが。 さて、代々私の家系に著書のネタを持ってきてくれたきめぇ丸(126)さんによると、 「森は強権者が独裁する地域だった」そうである。 彼女は新聞屋をやっていたので、このことは山のゆっくりにはすぐ伝わった。 この本の執筆に関して、きめぇ丸さんに当時の記事をいただいたので、ご厚意に甘えて載せさせていただく。} へぇ…まず祖父が駆逐したゆっくりと今いるゆっくりとは違うってことか。 あときめぇ丸さんは意外といい人だなあ。新聞の押し売りがなければ。 そう思い、次のページへと目を向ける。 {野蛮な森のゆっくり ※連載小説でないことを断っておく。 私きめぇ丸は、人里に新聞のネタを採集しに行った際に、魔法の森を通った時、森のゆっくりの虐殺による人民統制を目撃した。 以下がその写真である。 (筆者注:原典にはここに大量のゆっくりみょんを虐殺するゆっくりまりさの写真が貼ってあったのだが、全年齢向けの本であること、現在生きている上の二種類への冒とくとなることを考え白ぬきにしていることをご了承していただきたい。) 私はオフィスまで死にかけたゆっくりみょんを運び、事情を聞き出した。 彼女が言うには、 「巨大なまりさがみょんのコミュニティに襲いかかってきたれみりゃを追い払った」 「その際にリーダーが死んだのでそのまりさがリーダーになった」 「まりさは『ぜい』というものとして毎日食料を貢ぐことを全員に強制した」 「リーダーは絶対なので一生懸命働いた、貢がずに処刑されたものもいた」 みょんはここまでは普通だという。すでにおかしいと思うが。 言葉通り、さらにおかしいことが起きるのだが。 「ある月のない夜に、まりさとありすが逢引きをしていたら、次の日からリーダーまりさがありすをすべて処刑し始めた」 推測するにリーダーの息子だったのだろうが、それなら一家根絶でいいだろうに。 このみょんはその時の処刑役を任されたが、リーダーは高笑いしていたという。 「とんでもないものをリーダーにしてしまった」 「このままじゃあまりさ以外のみんなが死んじゃう」 「山には憎しみあわないゆっくりがいる」 それを知っていたみょんは夜に逃げ出し今に至っている。 (ちなみに写真のみょん種一斉処刑は逃げ出した1日後に始まった。 リーダーまりさの「1匹足りない」という言葉を盗み聞けたので間違いない) 怪奇ゴシップにも思えるかもしれないが、これは事実である。 これを読んでいる皆さんも、地上に買い出しに行った時には魔法の森には近づかないでほしい。 (原典:文文。新聞 分家 315号 (太陽暦で)1912年3月11日) 原稿と本の体裁上、上の一記事分しか載せられないが、この後に、れいむ種、ちぇん種、ゆかり種、さくや種と(難癖をつけられての)虐殺が続きこれでもともといたのはまりさ種とぱちゅりー種しかいなくなったという。 そして救出されたみょんの願いもあってきめぇ丸さんが一人でリーダーまりさを陥落させたらしい。ゆっくり史上最初の事件である。 (ただし人間からの虐殺は前に存在する。それらは地上のゆっくりが悪いので入れないことにする)} きめぇ丸さん本当にいい人。押し売りがなければ。 それと森のゆっくりと言われているやつらのあさましさがよくわかった。 祖父が殲滅したのはこいつらだろう。 ページを進めよう。 {次にあった事件は1952年の「青い石」事件である。 れいむ種の家族が人間の住み家にあがりこみ、放射性元素(ただし推測。私の学者仲間には有毒ガスというのもいる)でできた石を巣へと持ち込んだ。 ゆっくり唯一の臓器「あんこ」を放射線に侵され、居候のまりさが脱走して逃げた以外は巣で全滅し、そのまりさは「ゆっくりできない死臭」を振りまいているせいで投石による殺害が行われた。また好奇心の強いありす種が巣に入って死亡した。 その後巣は「ゆっくりできない場所」として成体まりさが封印し、近づかないようにさせたが、投石部隊と見張りは既に放射性物体になっていたので殺害され、ループが長く続いた。 森のゆっくり単体としてはこれで事件はなくなる。 ちなみにこの後1年後駆逐される。 さて次の章は水辺のゆっくり編とさせてもらおう。} なるほど。 危険物の危険の程度がわからないというのだろうか。 放射線特有の恐怖というか。 今日は眠いので続きは明日にしよう。 続く =========================================== ゆっくりの歴史を創作してもいいんじゃないかと思い。 「いじめスレ」と「愛でスレ」に同じ題材で 投稿しようとしたのが間違いだった。 もったいないので二つを混ぜて投棄場にうp。 青い石事件は「ゆっくりいじめ系149 ゆっくりと青い石_前」が元ネタです。 正直最初からまともなSSを書こうと思わんほうが良かったかも。 続き ===================================
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これは投棄場の ゆっくりの歴史 森のゆっくり編 の続きです。 歴史と言いながら俺設定、パロディが満載です。 そして投棄してるからには虐待が皆無です。 それが気に入らない人はお戻りください。 ちなみに今回は大概のSSで死んだゆっくりの帽子をかぶると 「おまえとはゆっくりできないよ!ゆっくりしね!」 とほざき始めるので、その理由の脳内保管を文章化した感じです。 さて、続きだ。「水辺のゆっくり」と銘を打たれていたが、川のゆっくりと言ったほうが正確か。 幻想郷に海はない。紅魔館のほとりにいれば某知恵足らずの妖精やカリスマならぬカリデカな館の主に駆逐されてしまうだろう。 ゆっくりも学習能力はある。 { 水辺に棲むゆっくりのもっとも恐怖したもの、それは辻斬りだった。 事実、辻斬りは毎年現れ、ゆっくりが駆逐されるまで続いた。 初めに辻斬りを始めたのはみょん種だった。 「ゆっくりしていってね!!!」と大声で叫んで近くのゆっくりを足止めし(地上のゆっくりには「ゆっくりしていってね!!!」というと本能的に挨拶を返す習性がある)ゆっくりとは思えない速さで真っ二つに切り裂く。人間のいう辻斬りそのものであった。 彼(もともと人間に家族を殺された父親役のゆっくりであったそうだ)は自分に勲章として死臭のついた髪飾りをはぎ取り、カチューシャにしていたようだ。 川辺のゆっくり達は死臭を感じると出来る限りの避難をした。 しかし無駄だった。本能に従い叫んで殺された。 辻斬りのみょんは天寿を全うした。その年の11月のことだった。} へえ、祖父が言ってた「死臭がするゆっくりは殺される」というのはここから来てるのか。 しかし毎年ってことは模倣犯がいたのか。 {その後は模倣犯が大量に現れた。 共通するのは「群れではゆっくりできなかったゆっくり」というところである。 最初に模倣したのは「おれまりさ」というまりさ種の変種であった。 一人称が「俺」であるがために偽物扱いされて爪弾きを受けていた。 (後述するが、最初に地上に降りたまりさの一人称は「俺」である。普通の地上まりさが偽物) 私怨が強かったらしく、周辺のまりさ、れいむをすべて虐殺した。 その際命と引き換えに放った「ゆっくり奥義 ますたーすぱーく」はおれまりさを怒らせるとこうなるということで現場にいたゆっくりに畏怖の念を感じさせた。 その後、おれまりさは仲良くなる…と思いきやありす種の提案で殲滅された。 不憫である。 後にふらん種、れみりゃ種、ありす種が毎年川辺で辻斬りの模倣をしては殺された。 そしてこれが地上のゆっくりが言っていた「死臭のするゆっくりはゆっくりできなくなるから殺す」という本能に従っての行動に繋がったのだろう。 (ちなみに私の先代は地上のゆっくりの解剖本を出していたのだが、その51Pにこんな記述があった。 「地上のゆっくりに死んだゆっくりの飾りの臭いを嗅がせると、餡幹部(人間でいう脳幹のようなもの)が沸騰する」 沸騰を続けると餡幹が融けて死ぬ=ゆっくりできなくなるということだろうか。 先代の本ではそこは解明されていなかった。) さて、次章は私たち山の上のゆっくりの歴史を紹介する前に、私たちと地上のゆっくり、及び人間との戦いを紹介しようと思う。} なるほど。地上のゆっくりは自己中心的だから殺してしまうのか。 ぱちゅりーさんたちは大丈夫なのだろうか。 それにしても水辺のありすは許せない。 全部川に落ちて死ねばいいのに。 それと・・・ゆっくりとゆっくりの戦い?聞いたこともないが。 そう思ってページを進める俺であった。 あとがき---------- 今回短くてすいません。 水辺のゆっくりはほとんど人間に屠殺された先行があるから 事件一つしか書けなかった。 このシリーズはあと上のゆっくりや人間との戦い、山のゆっくりの歴史、あと何かもう一ネタとエピローグの 1~3回で締めくくられると思います。 あ~家族のPCだからリビングにあるから 頭の中にあるゆっくり大虐殺の文が 書き表せない。 書いたら確実にパソ禁食らう。
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ここはゆっくり霊夢の家族が住んでいる巣 お母さん霊夢を中心に5匹ほどのゆっくり霊夢の子供達が中むつまじく生活している。 このお母さん霊夢は成体で、繁殖をしても黒ずんで朽ちることなく無く今も娘達を優しく守っている。 この平和なゆっくりの巣に発情させたゆっくりアリスを放り込んでみた。 だらしなくよだれを垂らしながら「ゆっゆっゆっくりしていってねええええええええ!!!」とわき目も振らずにお母さん霊夢に突進するゆっくりアリス。 がっちりとゆっくりアリスに押さえ込まれたお母さん霊夢、すぐさま交尾が始まった。 「ゆ゛っ……ゆ゛っゆゆっ!!!」苦しげなお母さん霊夢。 小刻みに震え、切なげな声を出すゆっくりアリス。 娘霊夢たちはわけもわからずガタガタ震えることしか出来ない。 そして「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」と一際大きなお母さん霊夢の声、交尾が終わったようだ。 頭から茎を伸ばしながらもこれでゆっくりできると一安心のお母さん霊夢、だがそこで終わりではなかった。 すぐさま連続して交尾に移ろうとするゆっくりアリス、さすがのお母さん霊夢も「ゆ、ゆっくりしようよ!!!」と危険を察したのか娘達をかばいながらあとずさる。 「れ、れいむううううううううううううう」飛びかかるゆっくりアリス、交尾を終えたばかりで体力を失っているお母さん霊夢が逃げられるわけも無く、再び行われる交尾。 2回目の交尾が終わり、茎ももう一本生え息も絶え絶えなお母さん霊夢、だが発情したゆっくりアリスはお母さん霊夢が朽ちないことが分かると更に交尾をするためにお母さん霊夢に飛びつく。 そうして繰り返される交尾。 発情期のゆっくりアリスの持久力は凄まじく、勢いは衰えることは無い。 お母さん霊夢は限界が近いのか「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」と朽ち果てる前に出すような異様な声を時折出すようになってきた。 ただならぬ気配を感じたのか「ゆ゛っぐり゛や゛め゛でえ゛え゛え゛え゛え゛え゛」と娘霊夢達が泣きじゃくる。しかしゆっくりアリスは小刻みに身体を動かし交尾をやめる様子は全く無い。 何度交尾があったかわからなくなった頃、もう母体が限界に近いので、ゆっくりアリスを巣から引っ張り出す。 ようやく解放され、巣には平穏が戻った。 残されたのは「ゆ・・・ゆ・・・」とうつろな目で体中から大量の茎を伸ばすお母さん霊夢。 そして、ただただ泣く事しか出来ない娘達である。 やがて生まれてくる大量のゆっくり霊夢の赤ちゃん、その数は50匹を越えている。 ゆっくりアリスの襲来という酷いことがあったにせよ、家族がいっぱい増えて「みんなでゆっくりしようね!!!」「家族が増えてたのしいね!」と赤ちゃんや娘はおおはしゃぎしている。 お母さん霊夢も回復し「みんなゆっくりしていってね!!!」と満面の笑みである。 だが問題が発生する、巣が狭すぎるのだ。 生まれたばかりの赤ちゃん霊夢は小さいにせよ数が多い、元々は家族がゆっくりできたであろう広い巣も今では学校の教室くらいの人口密度になっている。 しかし巣の広さはまだ何とかなる方であった。 食糧の問題は更に深刻であった、赤ちゃん霊夢は食欲旺盛で「おなかすいたよ!」「ごはんがたべたいよ!」と大合唱。 お母さん霊夢とお姉さん霊夢が必死になって虫や木の実などを集めてきても「まだたりないよ!」「おなかすいたよ!」と焼け石に水状態である。 しかし、どんなにお母さん霊夢達が頑張っても集められる食料の量には限界があり、一部の赤ちゃんゆっくり達は食べ物が手に入らず「ゆ…ゆ…」とうめき声を上げることしかできずに衰弱していった。 更に赤ちゃんゆっくり達は成長スピードが早く、1週間も経つ頃には生まれたときの3倍以上の大きさになり、巣はラッシュ時の駅構内のような大混雑になっていた。 しかし、満足に餌が食べられなかった赤ちゃんゆっくりは身体も小さくもう巣の隅の方でぐったりしているだけになっていた。 そこで起こるのが体の大きな赤ちゃんゆっくりによる共食いである、生まれてからずっと空腹状態の赤ちゃんゆっくりにとって弱ったゆっくりは最早餌にしか見えていなかった。 お母さん霊夢達が巣の外へ餌を探しに出ているタイミングを見計らい、弱ったゆっくり達の元へ集まる赤ちゃんゆっくり達。 「ゆっくり食べられてね!」この言葉が引き金となり共食いが始まった。 「ゆっくりやめてね!ゆっくりやめてね!」必死に命乞いをするがそんなものが聞き入れられるはずも無く、捕食されていく弱ったゆっくり。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」 「うっめ、メッチャうめ!」 「ゆ゛っ゛ぐ゛り゛じだがっ゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「うまうまー」 巣に帰ってきたお母さん霊夢が見たのは以前より少しだけ広くなった巣、床や壁に飛び散った大量の餡子、そして数が減った赤ちゃんゆっくり達であった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 お母さん霊夢の慟哭がこだまする。お姉さん霊夢達も何が起きたのかを理解したのか涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして震えている。 「どお゛じでぞん゛な゛ごどずる゛の゛?」 「み゛ん゛な゛でゆ゛っ゛ぐり゛じよ゛う゛っ゛でい゛っ゛だの゛に゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 お母さん霊夢の叫びが赤ちゃん霊夢達に向けられる、そして赤ちゃん霊夢達は自分たちが取り返しがつかないことをしてしまったと気づいた。 「お゛があ゛ざん゛ごめ゛ん゛な゛ざい゛い゛い゛い゛い゛」 「み゛ん゛な゛ごめ゛ん゛な゛ざ゛い゛」 涙を流しながら謝罪の言葉を口にする赤ちゃん霊夢達、巣ではゆっくり霊夢達の鳴き声が一晩中続いた。 3日後 あの惨劇を乗り越え、ゆっくり霊夢の家族はより一層強い結びつきとなり、巣は家族がゆっくりできる環境になっていた。 赤ちゃんゆっくりの数が減り、残ったゆっくり達も満足な量ではないが皆で分け合い、生きていくのに必要な量の餌は確保できるようになっていた。 「今日もみんなゆっくりしようね!!!」 お母さん霊夢の声がゆっくりの巣に響く。 今回はお母さん霊夢のおかげで共食いがあったにせよ巣は平和になった。 第2段階として明日にでも再び発情したゆっくりアリスを巣に放り込み、限界ぎりぎりまで繁殖をさせる予定である。 更にゆっくりの数が増え、今回共食いをした赤ちゃんゆっくりはどういった行動を取るのか、ゆっくりの知能ではどうなるかは想像に難しくない。 しかしお母さん霊夢が居る限り巣の平穏は保たれるであろう。 最終的にはゆっくりアリスに最後まで繁殖をさせ、お母さん霊夢を朽ち果てさせる計画である。お母さん霊夢が居なくなった後、大量の赤ちゃんゆっくり達がどうなるか大変興味深い。
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「ゆっくりしていってねーゆっくりしていってねー」 別にゆっくりが言っているわけではない、ここはゆっくり加工所 牛や馬の厩舎のようなつくりの中で、ここ幻想郷で現れた謎のイキモノ ゆっくり種を加工するところだ ゆっくりたちは驚くことに「生きている饅頭」とでもいうもので 食事や生殖を行い、しかしその体はあんまん肉まんクリームまんなどの饅頭である 「「ゆっくりしていってね!」」 多重音声で答えるゆっくりたちに野菜クズや草などを与える ここはゆっくり霊夢、魔理沙、アリスなどを混成で育てるという場である 広さは10畳程度、地面は土でところどころに鶏を育てるような小屋がある 屋根と網で囲いがしてあるのは内部の逃走を防ぐ役割の他空から迫る捕食種のゆっくりレミリアに対する処置である 数人の男たちがそういういかにも動物の餌を振り撒きつつ、口にする言葉は 「ゆっくりしていってねーーゆっくりしていってねー」 念仏を唱えるように続けるとゆっくりたちがそれに続いて 「ゆっくりしていってね!」とつづけながら撒かれる餌に飛びつく 「うわっ」 そのうちのある男が足元に当たったものを見つけて飛びのく 金色の髪のゆっくりが地面に突っ伏している 「これはゆっくりアリスか、死んでるぞ」 持ち上げると、その顔は強張っており口からぼろぼろと土がこぼれる 「おおこわいこわい」 側に居たゆっくり霊夢と魔理沙が目を細め、体を寄せ合うと なんともうさんくさい表情でそんな言葉を吐く 「こいつどうしたんだ?」 普通、動物を飼ってる厩舎などでは死んだ動物の死因を突き止めるのは人間の仕事だが ゆっくり種の場合は他のゆっくりに聞けば返ってくる、その点は楽だ 「とかいはだから、ほどこしはうけないんだってー」 「あんたたちよくそんなのたべれるわね、とかいってたぜ」 「都会派?なんだそりゃ」 くだんのゆっくりアリスを持ち上げ見てみれば随分とほおがくぼんで髪などの色艶も悪い するとふたたび「おおこわいこわい」をはじめた2匹をぽんぽーんと蹴り飛ばし 年かさの男が近づいてきた。 2匹は「ぷんぷん」と怒ったが少し遠くに餌を投げるとすぐ忘れたように追っていった。 「ゆっくりは死んだやつあざけるのが腹がたつがやー」 少し年かさの男は訛っている 「アリズは外で知恵をづけっど、それにとらわれるんだなや、餌のえりごのみしやる」 「そうなんですか」 「動物のながには鳥とかのう、野性のもんをかおーとすっと、出される餌くわんとしんでしまうやつもおるけどのお、なんかそゆのとはちがうみたいやの」 訛りは幻想入りした日本語のため、分かりにくい部分もあるが 彼は元猟師、要するに習性か、プライドとでも言おうか、ゆっくりアリスは他のゆっくりたちより自分が特別でないと気が済まないという種であるらしい それでも孤立して暮らしていくには種として脆弱過ぎるため群れなどを利用するわけだが ある程度バラバラの群れを渡るようにして暮らせる野生ならともかく、いや野性でもそうなのかもしれないが 自分を精神的上位に置くという、そんなことを気取ってみても少なくともこの場では餌も居場所も一律のものが与えられている、群れはこの厩舎内のすべてのゆっくりでひとつで野性でもゆっくり種にどれだけの格差をつくりだせるものか、その結果現状を否定しつづけるうちに衰弱して死んでしまうようだ 「こいつら全部ココ生まれだぞ?どこから都会派なんて概念を知ったんだ?」 「つっても親は野性のもんやろ?親が教えたんかもしれん、そうでなくてもカラスはカーとなくげんどもな、ハハハ」 他方に餌をやりに行っていた、比較的がっちりした体型の男がゆっくりアリスを抱えて脇に挟んでと合計3匹ほど抱えて来る 「ありすはとかいはだもの、とくべつあつかいはなれてるわ、えすこーとはまかせるわ」 ゆっくりアリスはなんだか口々に若干甲高い声で喋っているが 解せず男は言う、ゆっくりは言葉は通じるが考えが狭く自分勝手で会話は疲れる 「どうします?アリス種はまた数を減らしてるみたいですよ、餌を食わない以外にどうも喧嘩を売って殺されたり、発情時の危険を知ってるらしい成体にやられるようですが」 「うーん、ここは自然から獲ってくるのではなく、できるだけ自然に近い味のゆっくりを人の手で育てられないかということでやってる厩舎だからなあ、だから種別もばらばらでやってるわけだし」 いわゆる地鶏ならぬ地ゆっくり(じゆっくり?)だろうか ふとゆっくりアリスを踏んだ男が見やると 用意した障害物の切り株や小屋の影に数匹の金色の影が隠れたのが見える ああ、と何か理解してがっちりした体型の男に抱えたアリスらを離すように目線を送り 答えてその持って来られたゆっくりアリスが放たれる 他のゆっくりが「うめ!めっちゃうめ!」などと餌に夢中なのに対して 「まあ、わたしはべつにどうでもいいんだけど、わたしのどこにそんなみりょくがあったのかしら、まったくわからないわ、ふふふ」 と誰ともなく自慢?をしているようだ もちろん食べるのに夢中で相手にしているゆっくりは居ない その3匹以外のゆっくりアリス以外は・・・ 餌も食べずじっとりとその3匹を見てる。苦渋の表情を浮かべたのは人間である 「同士打ちもするようだな、こりゃ」 「すみません」 がっちりした体型の男はその身を縮めてしまう ゆっくりアリスを踏んだ男はいいよと返しながらそのがっちりした男に向かって述懐する 「野性でもあの旺盛な繁殖能力でゆっくりアリスの数が少ないはずだ、ゆっくりアリスの群れの外からの視点が、いわゆる群れの思考の凝固を防いでいるようなところもあるんだろうが 脆弱なゆっくりなのにこんなに群れに馴染まない性質をもつとは頭が痛いな ゆっくりパチュリーなんざこんな実験段階の厩舎にまわってこないし こりゃあ、発情で全部ゆっくりアリスになるとかの状況の前にゆっくりアリスが死滅してしまうぞ・・・ゆっくりアリスだけ餌を特別にやるとか何か考えないと」 「さすが元学者さんはゆっくりに詳しいですね」 がっちりした体型の男が賞賛の言葉をかける、元学者という男は頬を掻くが じっとゆっくりアリスを観察しながら年かさの猟師の男が言う 「いや、それはあかんやろ」 「そうですか?」 「いくらゆっくりでも特別扱いしたら不満に思う、フリだけで本当は皆と同じものしか食わさないとしてもなあ 牛や鶏でもそうなんだから、ゆっくりがそうでないという保障もねえや そういうことばっかりめざいといような生ぎもんだしな あとゆっぐりありすはどうもこうやって飼ってる以上は増えないようだど?」 元学者の男は目を見張ってゆっくりアリスを見やる ちょうどまださっきの特別扱いされたと思っている3匹のゆっくりアリスが 誰にも聞かれてない自慢を、ほぼ涙目になりながら続けているおかげでほかのゆっくり種はともかく、ゆっくりアリスは全部動かずにじっとり目線を送り続けている、すばやく数を数える 「本当だ、減ってるけど増えてない、ゆっくりアリスは繁殖すると子が全部ゆっくりアリスになるとか5分5分じゃなくて半分以上の子がゆっくりアリスになるというけど」 「普通は動物っていったら取れる餌が多くなって増えすぎるもんだが ゆっぐりありすはどうも取れる餌が少なくなると、群れを圧倒するために増えるよだな なんともはや」 どうもゆっくりアリスは、自分のためだか意図せずか、自分で自分で命綱のはずの群れの生態バランスを崩しにかかりすらするらしい 元学者という男があきれたようにゆっくりアリスを見やる そろそろ、三匹のゆっくりアリスたちは無視を続けるほかのゆっくり種に偶然をよそおって体当たりし注目を向けさせようとしているようだ、返り打ちにあって踏みつけられた。 「なんでこいつら野性で生きていけるんだ」 思わずこぼした言葉にがっちりした男が身を縮めながら答える またゆっくりアリスが減らないかと気が気でないようだ 「たぶん人間の顔と言葉を持つからだと思います。熊とかでも歌いながら歩くと襲われないといいますし、で妖精や妖怪が避けるのは・・・」 男は大柄な体をさらに縮めて言葉を続ける 「たぶんその人間のなかでも特別な顔に似てるからではないかと・・・」 学者の男は肩をすくめる たいてい妖怪同士が繰り広げる弾幕勝負は死と隣り合わせの幻想郷の神秘、娯楽だが それに参加できる数少ない人間、その人間の顔をぎゅっと潰して中途半端に膨らませるとゆっくりたちの顔になる、どうも本人たちは不本意のようで口にするのも失礼なようだが それでゆっくりたちが生き残ってるというなら、毒蛙のふりをする無害な蛙や毒蛇のふりをする無害な蛇のようなものだろうか 「わしも猟師の仕事があがったりじゃけん、でかせぎにきとるんよ たいていの動物は人間の声で逃げるでの」 思考の海に沈みかけた元学者の男に別方向から声がかかる 「おーいまたやってるぞー」 男が瞬間で思考から戻り、顔を上げ声の元にいく 「ここはれいむのおうちだよ、じゃましないでね!」 「またやったか」 厩舎の端に餌やりの全員、総員6名がそろっている それほどの事件とは 「おまえら言っただろ、それはダメだって」 「あそこはダメになったからここにしたんだよ?ゆっくりでていってね」 主張によると場所を変えたからいいだろうということらしい そこには通称十分育ったお母さんゆっくりこと、ゆうに1m以上の大きさのゆっくり霊夢が半分ほど土に埋まって鎮座していた。 絵面はどうもユーモラスだが、またやらかしたこととはその掘った穴のことだ 「ここでは穴を掘るのはやめてくれと言っただろう」 「しらないよ!ぷんぷん、あかちゃんたちがゆっくりするためにひつようなんだよ、れい むのうちだよ!ゆっくりさせてね!」 「お前が産んだ子は加工されて居ないよ、それは未熟だから代理母を頼んだだけなのに」 「ゆ?わかんない、ここはれいむとあかちゃんたちのいえだよ!」 「ていうか3日前に来たやつだろコイツ、まあ大した母性本能だな」 話は平行線である 元学者の男だけが無言でその様子をみていた。 なんとそのゆっくり霊夢は今も土を食べて穴を掘っているのだ 「はぐはぐはぐ、むーしゃむーしゃ」 「掘るんじゃねえ!」 職員の全力の蹴りが飛ぶ そういえば食事をえり好みするくせに排泄をしないゆっくり種は、代わりにありえないほどの回復能力を持ち、形態としては単細胞生物や植物に近いと永遠亭の研究結果があるが 「ていうか、こいつら餌って土でもいいんじゃねーの?」 「いや、まあ一応は食料となるもの以外を食わせると回復力も味も落ちる一方なんだがな、そもそも普通は口にしようとしない」 さっきまで餌やりをしていた立場からすれば土などを食われてもということだ 土を穴を作るほど食うなどミミズのようである 「どうも子供が居ると一定の場所、巣を求める性質のようです。」 「熊とかといっしょだなや、しっかしそんなしょっちゅう穴も掘っとれんだろに」 「大きい固体ですからね、ココ育ちで経験は無いはずですが・・・本能でしょうか」 一人の男がボロ布を手に巻いて無造作に穴掘りを続けるゆっくり霊夢の下に手を突っ込む 「ゆっくりさせてねッ!!がじ!」 「あーこれだけ大きいと流石に噛まれると痛いねー」 そんなことを言いつつ何事も無く、口を取っ手か何かのように基点にして担ぎ上げると穴から出す。皆心得たもので数人で踏みつけて穴に戻るのを阻止する 「れ゛い゛む゛のおうちーーー!あかちゃんたちがーー!」 「「ままー」」 「あーはいはい、とりあえずもう穴はやめろよ何度やっても無駄だ」 足蹴だ、蹴飛ばすように足で穴からちび霊夢たちを蹴り出す。 「ぷんぷん、おにいさんはゆっくりできないよ、ゆるさないよ」 「あーはいはい、その頭で明日まで覚えてられるなら憶えてろよ、俺は今日はこれで上が りだ、メンバーかわんねえのに誰の顔も覚えたことなんてねえだろ」 「ひどいごとされると顔憶えるが恩義はすぐに忘れるみてーだなや、犬猫と逆や」 「回復能力が高く雑食だから恩義で懐くより利用に頭が向いてるんだろ」 ボロ布を巻いた男に声がかかる 「噛まれて平気なんですか?」 「あーどこまで大きくなってもこいつら噛む力は人間並みだから、普通そんなに噛む力が 強い動物は口がアゴから出てて噛むのを得意とする形状してるだろ、犬とかな こいつらは人間の言葉を話せる代わりにそのへんが弱いのよ、だから餌も食い散らかす 本来は虫とかの一口大の大きさのものを丸ごと食べるか、柔らかい草木をむしりとるよ うに食うんだ、それしか出来ないというのだろうがな」 「だが餌をいちいち一口大に切り刻んでというのは手間がかかる」 「動物が硬い獲物をぐうときは首をこっ、こうやって捻ってちぎるんだども、こいつら首ねえしなあ、顔が地面にめりごんじまう、ハハハ」 「ゆっくりが信条だから食事も楽しむようだしな、むーしゃむーしゃしあわせーってか」 「鼻がないから噛んでも長時間保てないとかも聞きます」 「とりあえず食事のことはいい、この穴だ」 皆はしげしげと穴を眺めた。 太い穴には小さな横穴が掘ってあって、そこに小さなゆっくりがおさまっていた。 小さなゆっくり霊夢が食べて掘ったらしい、このおうちとやらは完成すれば、入り口から直径一メートルの穴が続き奥で小さな分岐がいくつかある、キツネなど巣のようになったはずだ、聞くところに寄ればそういう動物の巣などを怒鳴って追い出し占有するとも聞く 動物だけじゃなく人間の家すらそれをするらしい とりあえずゆっくりを全部巣穴から放り出し、目の前の問題としてはこのゆっくりの巣穴は埋め戻しが困難なことだ、掘った土が無い 「野性だと口に含んで吐き出して掘るそうですが、それをしないのは餌が十分あるからでしょうね、捕食種も居ないから体力が落ちても襲われる心配がないというのもあるでしょう、どうしますか」 「あーあのへんな道具屋の一輪車とやらを買えばよかったー」 「結構手間ですよ、もう何回目でしょう・・・」 「やれやれ・・・」 ほおっておけば厩舎が崩れかねない、穴に落ちてごく小さな種が潰れて死んでも困る そもそも一定のテリトリーなどを許せば、排除行動も行うだろう 前提とした厩舎のつくりになってないという人間側のミスの問題もあるだろうが・・・ ずーんと暗い空気のなる人間をよそ目に一匹のゆっくり魔理沙が巣穴に飛び込んだ 「ここはまりさのおうちだよ!でていってね!」 「ちがう!れいむの!」 相撲取りが太ってると強いという論理でゆっくりの大きな個体は強い 体全体の押しつぶしや体当たりは、その個体より小さな個体はほぼ圧倒する その分大きくなるほど動きは鈍くなる、高く跳ねることはできないし小回りも効かない 足が無いからふんばりが効かず動物や人間などを押し倒すことなど不可能だ、よほど地面に伏せている、寝てるなどと身を低くしているところに押しつぶしを食らえばそれなりにダメージはあるだろうが しかしどこまで行っても体は饅頭で攻撃法もそれ以外無い、飛び跳ねる足音?も相当響く野性では動物はそれで存在自体を避けるようだ つまり、どんなに大きくてもやっぱり人間に足蹴にされて簡単に排除されてしまうわけだ 「いたいよ!せっかくまりさのおうちになったのに」 「あーおら!貴様自分で掘るのはダメでも他人の掘ったのを奪えばいいって腹だな」 「おにいさんがんばってね!れいむのおうちをまもって!」 「あー!!守らねーよ!ここは埋める!誰の家にもしねえ!」 「小屋もあるけど体が入らないのか、もっと大きな小屋が要るのかなあ」 「これ以上おっぎな家となるとぉ、牛が飼えるようになるぞハハハ」 「この場所では無理ですね、この大きさのゆっくり霊夢はまだ3匹くらい居る、元は交配用の処分物を幼児種の育成にもってきたのにどんどん大きくなって」 「餌がいいのかねえ、それとも運動が足りないのか」 「こいつら成長はしても肥え太るというのは聞きませんけどね」 ふと会話は止まり、視線はずっと無言の元学者の男に集まった。 彼はここの責任者だった。 「・・・」 元学者の男は考え、そして端的に言った。 「ここの育成は問題があるから最初からやり直す」 他の五人からはため息とともに嘆息の声が漏れた。 「そして自然のままに育てるという目的は果たされていないため、全部商品にならない 品質のため全処理を行う、撤収」 巣穴はなんと手近な小屋をひっくりかえして突っ込むというぞんざいな方法で埋められ 「れいむのおうちがー!」「まりさたちのおうちがー」などという被害の声を無視し 人間は全員が厩舎から出て行く 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくりはさようならもそんな言葉だ 人間皆が哀れみの表情を浮かべているのに気づかない 夜はほどなくして訪れた。 厩舎の明り取りに程度しか開かないはずの天窓部分が全開に開き 人間の声がさっきの地ゆっくりたちの厩舎の天井からする 「はい、う゛っう゛ーはい、う゛っう゛ー」 薄い天井を歩き回る人間の足音にいぶかしげに天井をみやるゆっくりも居るが 大抵は睡眠欲のほうが勝って眠りに入る、すっかり警戒心を失っているのだ それに人間でない子供のような舌足らずの声が返る 「う゛っう゛ー♪」 ここで俯瞰してゆっくり加工場全体を見てみよう 加工場は広く、その施設の中でも鉄の骨組みに編んだツタなどの網で数本の木を丸ごと包んだ、巨大な鳥かごのような施設がある その鳥かごは四方八方に腕のようにトンネルが厩舎の格施設の天井に繋がっているようだ。これが現代ならそのようなものを空調の配管などと答えるところだが空調などではない、そのトンネルは直径一メートルを越えた太さで金属の網製だからだ 「「う゛っう゛ー♪う゛っう゛ー♪」」 処理が開始される 捕食種ゆっくりレミリアが食べるのは他のゆっくり種 加工場では加工に回されないゆっくりをトンネルをつたってその厩舎に行って食べる 要するによほど特別に育てられてる種でないかぎり他ゆっくりの処分に使われてた。 これは工場部の逃走したゆっくりの駆除などにも使われているシステムだ やっと地ゆっくりたちが天井からやってくる天敵に気づく 「まりさはみないこだね?ゆっくりしていってね」 「なあにーれいむねむいー」 「とかいはのありすはりゅうこうにびんかんよ、と・ともだちになってあげてもいいわ」 「「ぎゃお~たべちゃうぞ~♪」」「「う゛っう゛~♪」」 ゆっくりたちは夜目が利かないらしく気づかないようだ もう天井を埋め尽くすほどゆっくりレミリアの大群が存在するのに よたよたぽとんと、とても他の鳥と比較するには無様な様子でゆっくりレミリアが降りる そこにゆっくり魔理沙が近づいた。 「しんがおか?ここはうまくはないがたべものもあるし、ゆっくりしていってね!」 「がぁお~♪う゛っう゛~♪いただきまーす」 「えさはにんげんがもってくるんだぜ?」 会話は成立せず、ゆっくり魔理沙のもちもちのほっぺは半分欠けた。 「むーしゃむーしゃ、う゛ーでりしゃーす♪」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛な゛なんでこんなことするのお゛ーーーー!?」 「おいっしーよ、まりさおいしー♪」 ここに至っても双方にコミニケーションは無かった。 再び牙か八重歯だかの見える口でゆっくりレミリアがゆっくり魔理沙の頬にかぶりつく 「や゛め゛でぇぇぇぇたべないでーーー!ゆっくりできないよお゛ーーー!」 振りほどくようにゆっくり魔理沙がその場で身を翻すと、伸びたほっぺがぶちんと切れた。 「まりざのほっべち゛ぎれ"たあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 ぽろぽろとみずみずしく光る餡子が落ち、すかさずゆっくりレミリアが舌で舐め取る 「もーぐもーぐ、しあわせー!う゛っう゛ー♪」 「まりさしあわせじゃないー!ゆっくり゛できない゛ーーーーーー!」 目の幅涙を流しながら訴えるゆっくり魔理沙の声は無視されて今度は帽子が奪われる ゆっくりレミリアには、いわゆるゆっくり種の特徴、飾りを食べ残す種も居るが 「むーしゃむーしゃ、おつなあじーう゛っう゛~♪」 このゆっくりレミリアは好き嫌いが無いらしい 「やめ゛て、やめ゛て、やめ゛て、やめ゛て」 その後も会話は成立しなかった。 頭が欠け、目が片方欠け、口が半分になるころには声も出なくなり ゆっくり魔理沙はすべてゆっくりレミリアの食事となってゆっくりと腹?に収まった。 そんなことが厩舎の全域で起こっていた。 巨大なゆっくり霊夢は数匹のゆっくりレミリアにたかられ、バラバラ千切られ 逃げ回っていた小柄なゆっくり魔理沙はちょうどジャンプの頂点で噛みちぎられ落ち 口八丁でゆっくりレミリアに取り入ろうとしたゆっくりアリスは会話を解されず 「とかいはのありすにはあ゛りえないよー」などとのたうちまわりながら食われ 小屋に逃げ込んでも、小屋はこの処理を前提にして壁が丸ごとない構造 そもそもゆっくりが入れる小屋にゆっくりレミリアが入れない道理もなく 小屋に逃げたゆっくりは小屋で二人きりゆっくりと捕食されることになった。 厩舎の乱痴気騒ぎはそれだけでなく、必死で背中に子供を隠そうとするあまり押しつぶし殺してしまう母親や、危機に瀕して本能が目覚め、自滅必至の幼生種に交配を強要するゆっくりアリスや「うふうふふ」などと友か親かの死滅に現実逃避し笑い続けるゆっくり魔理沙など ゆっくり朝日が昇るころには全ての種が、文字通りゆっくり消えてなくなった。 「はい、う゛っう゛ーはい、う゛っう゛ー」 天井が叩かれるとゆっくりレミリアはよたよたと飛んで鳥かごの自身の厩舎に戻る 大抵のゆっくりレミリアは夜行性、太陽で消えてなくなるなどという種も居るが太陽は苦手で共通している、が苦手とするわりに遮光の程度は木陰に居る程度でかまわなかったり日傘があれば大丈夫だったりもするのでそのへんはゆっくりらしくぞんざいな作りである 「う゛っう゛~おなかいっぱーい♪」 「はいはい、おじょーさま巣に帰ってね、おねむの時間だよー」 ゆっくりレミリアの飼育員が処理に使った個体全ての帰還を数で確認し天井を閉じた 厩舎には大量の食べかけの饅頭のかけら、そして帽子やリボンなどの飾りが落ちている 朝出勤した別の職員が熊手などでそれもかき集め、他の捕食種ゆっくりゆゆこやゆっくりレティなどの食料とするのだ、そしてしばらくの時間が流れる 「ここがれいむのおうちなんだね」 「そうだよ、ここが新しいおうちだよ、ゆっくりしていってね」 「うんゆっくりしゅるよ、ゆっくりちていってね」 小さなゆっくり霊夢は手のひらからぴょんと飛び、その場所がひとめで気に入った。 母親が居ないという異常事態が依然存在するはずだがゆっくりブレインは忘却を選択 板張りの床に遊具、彼女にぴったりの大きさの小さなおうちに水のみ場 そこに同じくらいの大きさの黒い帽子のゆっくりが近づいてきた。 「ままーままーまりさのままはどこー」 「ゆゆ!あなたはゆっくりできるちと?」 どうも同じく幼いまま親から離されたゆっくり魔理沙のようだ 「ゆ?れいむいがいのゆっくり?ゆっくりちていってね!」 「ゆ?だれ?あ!ゆっくりちていってね!」 本能に刻み込まれたゆっくりしていってねは舌足らずでも通じあいきゃっきゃと騒ぐ 幼くストッパーの親も居ないゆっくりブレインには危機感の三文字は遠いことだ 「名づけるならば幼稚園方式、またの名を紅魔館方式」 腕組みしてつぶやく職員の横から次々に厩舎に放たれるゆっくり種は全部幼生体のみ 処分に対しては上の許可が下りたが厩舎は拡張が効かなかった。 そこで敵が居ない、餌が豊富という厩舎の状況を逆手に取って厩舎を広くできないならば小さなゆっくりたちを飼えばいいという考えである この第一陣以外に同じような幼生体ゆっくりを継ぎ足し継ぎ足し追加し成体になった個体からじゅんぐりに加工に回すという育成計画である 「ありしゅはありしゅだよ、ゆっくりしようね」 「いいよれいむとゆっくりしようね」 職員の一人がふとつぶやく 「これが牛とかならこんな簡単に処分というのは無いでしょうね」 「ゆっくりのサイクルの早さがあればこそだな、抱えるほどの大きさとなるとそれなりに 時間がかかるものだが茎式の出産では即座に喋れる個体が出来る」 「どうだか、外では狩りもせんと肉を食えるていうからのぉ・・・」 ふとある個体が彼女らにとってはとてもとても広い厩舎の端に、板の下に違和感を感じた。 「おにーしゃーんおにーしゃん、れいむのおうちのここへん」 「ここって?どう変なんだい?」 期せずしてその職員は数ヶ月前に同じ厩舎でゆっくりアリスを踏んだ元学者の男だった。 「おこえがしゅるのーへんだよーきょわくてゆっくりできないよー」 「はいはい、おい食事を与えて集めろ前に穴があった所だ、埋めたぞ?・・・それに声?」 さあ食事だよーと餌が撒かれる、餌やりの文句は 「ゆっくりしていってねーーゆっくりしていってねー」 「ここか」 数人の職員がその厩舎の端の板に集まり、がっちりした体型の一人が板に耳を当てる 「しますね、なんか声します。」 「あー?なんだなんだ一体、こりゃ恐怖物語の一説か?」 手早く板が外されると円形にそこだけ色の違う土が見える その色の違う土の一部がなんだかもこもこと動いてる 「ぷは!おそとだーすっきりー」 「すっきりー」 ゆっくりのあらゆる状態を見てきて慣れている職員でもぎょっとしたのはその土から出てきたゆっくり霊夢?が輪をかけて異常な姿をしていたかだ 「おじさんたちはごはんをもってきてくれるひとだね、れいむはおなかすいたよごはんもってきてね、れいむはゆっくりできないよ」 「れいむもこんなのばっかりたべてたからべつのものがたべたいよ、れいむのぶんもはやくもってきてね」 「泥団子だ」 職員のつぶやきが正解である、そこには赤いリボンを付けた黒髪の・・・ゆっくり霊夢型の泥団子が鎮座してゆっくり霊夢のように喋っていた。 「ぷんぷん、れいむはどろだんごじゃないよ、しつれいしちゃう」 「ゆ?」 片方の個体が片方の個体を太陽の下でしげしげと見やる、泥団子である 「よごれてるよ?れいむがきれいにしてあげるねぺーろぺーろ」 「あは、くすぐったいよ」 「あーなんだ汚れてる・・・だけだ・・・よな?」 舌まで砂色の片方のゆっくり霊夢が、もう片方のゆっくり霊夢を舐める さらさらと舐められたゆっくり霊夢からは砂が落ちて下からはもちもちの真っ白な饅頭皮ほっぺが・・・出てこなかった。舐めても舐めても泥の塊 「おおおおおかしいよ、れいむのかおおかしいよ?」 「ななななんんなのれいむのかおなんなの?」 「ちょ、ちょっと穴を見てください、あ?うあ!」 穴を覗き込むと相当深い、別の職員が底に手を突っ込むと肩まで入っている 最後のあ!はあちこちに支道があるようでそれを踏み抜いて職員がつまづいた声 そして掘った土は無い 「君たちいったいどうしたんだい?」 分からなければ本人?に聞いてみればいい、ゆっくり飼育の基本である そして聞いたところによると 夜に眠っているとう゛っう゛ーと唸るへんなのが来てお母さんがおうちで塞がっていたおうちに押し込んで土を食べて食べてといわれたので食べまくっているとそのうち静かになった。 どうやらあの処分の前の日に穴を掘った一メートル越えのゆっくり霊夢の子だったらしい ゆっくりレミリアから守って親が土の中に生かしたようだ 「余計なことを・・・」 「れいむたちどうなったの?」 「俺が聞きたいよ」 時間的にはその処分から1ヶ月が経っている 次の計画の実行のために厩舎には板が張られといろいろやってるうちにどうやら土の中という環境に馴染んだ固体になったようだ、話からすると土だけじゃなくミミズなども食べていたということらしいが子供の個体というのが環境の適応能力の柔軟性を持たせたのか これがホントの地(面の下で生きられる)ゆっくり 「まあ要らないな」 「れいむいらないこじゃないよ?!」 どっかの3姉妹の定型句か 「2匹居るのは好都合だ永遠亭行きだな」 「えいえんていってなあに?」 「ゆっくりできるところだよ、ああゆっくりできるだろうさ、死なない人間が相手だ」 「ここじゃないところでゆっくりできるんだね?ゆっくりしていってね」 無邪気に笑う、名づけるとすれば泥団子霊夢2匹は早々に退出される 「穴は板を張れば全然大丈夫です」 「なら予定通りに育成が始められるな」 加工場の本当の地ゆっくり育成はこれからである 泥団子霊夢が永遠亭でどうなるのかそれはまた別の話 byアンバランス このSSに感想を付ける