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タグ 編集/ 神知者なゆたの辻講座 ■ 2 名前: なゆた 2001/06/23 10 02 32 アルコスの街角で、木箱に乗った愚者曰く 「真理を教えよう!真理を! 我と思わんものは我が徒となるがよい! さすれば愚かなる俗世を忘れ、 賢者のみが手にする安寧を得られよう!」 彼に見向くものは誰もいない。 ※このスレッドは、グローランサにおける様々な命題を、なゆたが勝手に規定したものです。けしてオフィシャルではありませんが、私の世界はこれらの規定に沿って運営されています。ただし、キャラクターがそれを知っているわけではないので、プレイヤーの概念情報として扱ってください。 ■ 3 名前: なゆた 2001/06/10 03 44 32 2 探索論再演基礎講座1:再演と再認知 神知者なゆたの探索論再演基礎講座1 さん 2000年 09月 11日 23時 23分 11秒 ■再演と再認知 もっとも一般的に見られる「再演」は、各種カルト教義に見られる礼拝行為であろう。神聖カルトにおける礼拝では位の高い信徒にそれぞれ相応しい役割が与えられ、神の偉大な行為が劇として演じられることが多い。神を演じるのは通常その神殿の責任者であり、倒されるべき敵として本当に敵カルトの信徒が強制的に参加させられることもある。 礼拝の参加者はおおまかに3通りのランクにわけられる。平信徒と呼ばれる者たちは正式な入信者ではなく、カルトの支持者もしくは入信者の子供らである。彼らはこの劇を遠巻きに見ることになる。つぎに、入信者たちは聖別されたエリアでこの劇を見る。彼らの役目は神の行為の成功を祈ることである。そして最後は劇の出演者達で、この中にはカルトの司祭が必ず含まれる。 この区分は地位的な区分だけではなく、実際に魔術的な影響が異なる。平信徒の目にはこの礼拝はただの劇として見えるだけである。しかし入信者たちにはあたかも神の行為を実際に見ているかのように感じられ、また神の心の躍動や落胆が、自分のことのように感じられる。祖霊崇拝の色濃く残る部族社会ではこれが部族や氏族の一体感を高め、社会的な団結力を生み出している。 さらに、劇に参加した者たちは、それぞれが与えられた登場人物として実際に行為を為してゆく。それは台本通りでもあり、そして自分の意志でもある。遠き日、遠き時、神が行ったことを、己の心に刻み込むのである。 祝詞を読み上げる、問答を行うなど、大規模な劇や儀式を催さないカルトでも、行われていることには共通点がある。それは神やカルトが行った「行為」を讃えることであり、すなわち過去の事象の再認知である。 優秀な生徒諸君はもうお気づきだと思うが、「再演」とは「再認知」であるということを私はこれから講義するわけである。 ■ 4 名前: なゆた 2001/06/14 22 46 30 3 探索論再演基礎講座2:認知の種類と強度 「認知」とひとことでいっても、実はその範囲は広く、質もさまざまである。 たとえば君がこの講義を聞いている。もちろんこの中にもいくつもの認知が発生する。君が私の講義を聞いて「なるほど」と思う、もしくは「違う」と思う、それ自体も認知だし、ただ声が聞こえているというのも認知である。ここにいたという記憶、この講義に出席しようという意欲、これらもすべて認知であろう。 しかしこのような「こころの動き」にともなう認知はほんのささいなものでしかない。椅子に君のぬくもりが残る。これは次の着席者に君のことを知らせる――本人が意識するかどうかは関係ない。君の動かした椅子は次に触れたものによって移動させられる。君が机に収めたが故に。これは君の存在の痕跡であるし、他の者が意識するしないに関わらず、君の存在は認知されている、ということになる。 まずここまでで「意識する認知」と「意識しない認知」があるということは理解できたかと思う。 次にそもそも「意識」というものを問うとどうなるか。一般にはひとつづきのPOWの明滅として捉えられるわけだが、ひとつづきの最低単位として1POWと規定するならば、その総計値はグロランサ全体の魔力量にはるかに及ばないことが証明されている。 ダークマターの候補としてあげられる筆頭はやはりマナである。POWの集合体が神という極大において1POWと相似的な現象を見せることを考えると、マナの集合体がPOWを極大値として相似的な影響を与えるというのは考えうることであり、実際に検証した報告もなされている(資料e2032参照)。 このことから1POWに及ばぬマナ、もしくはPOW化していないMPにも認知能力があると想定され、以下の実験を行った。 CaseA 箱の中に猫を入れる。部屋の中に箱を置き、無作為の人物を抽出し、箱の中の猫について10題の問いを行う。 CaseB 部屋の中を猫が10分間歩き回ったあとにCaseAと同じ条件で検証する。 このとき部屋の中の魔力量を調整し、横軸mpxとすると、回答の正解率yとの相関は・・・ (中略) 以上3例の主題実験と2例の補完実験によると、マナの認知への影響は地上界では1POW/77Manaと近似される。 これは、平均的なマナ密度である1Mana/1GL^4から考えると、世界全体としての認知の総量は、POWを保持する霊体よりもマナの影響のほうがはるかに大きいという結果である。 もちろんこれは平均をとった場合であり、より多くのPOWが集中し、マナの密度の薄い我々の生活圏においては、認知の大部分は生物が占める。 次回講義においては、認知の分布偏向の種別と、その影響について講義する。 ■ 5 名前: なゆた 2001/06/10 03 46 59 2 世界定義シリーズ-1:生物が死ぬということ=肉体とPOWが分離すること 神知者なゆたの世界定義シリーズ-1 さん 99年 10月 17日 00時 42分 08秒 ■生物が死ぬということ=肉体とPOWが分離すること。 通常完全生物が死ぬ瞬間には肉体的苦痛によりMPが0になり意識を失う(ただしその逆―意識を失ったからMPが0になる―ということはない)。そうでなければ死んだ瞬間にみな精霊として活動を始められてしまうことになる。 肉体から切り離された精霊は意識を失ったまま漂い、MPの回復とともに衝動的な欲求に突き動かされて、自らの定められた死地へ向かう(移動は3次元的ではない。精霊界の深いほうへ移動してゆく)。 しかしその状態でも肉体と精霊のつながりは完全に絶たれたわけではない。肉体的能力の高い存在ほど現実界の引き止める力は強い。すなわちルールに示されたように、いずれかの能力値が0になるまで地界にたどり着くことはできない。 肉体を焼く、回復不能なほど損傷させるならば、必然的に能力値は失われ、死者の精霊はすみやかに定められた場所にたどり着くことができる。 これはまた、死者をすみやかに弔わなければ、その精霊に様々な影響があることを意味している。長い時間精霊界を放浪していた死者の霊は、様々な精霊の影響を受けて変質しているかもしれない・・・。 ■ 6 名前: azatoth 2001/06/10 22 24 26 5 面白いシリーズが始りましたね azatoth さん 99年 10月 18日 12時 27分 27秒 面白いシリーズが始りましたね。 より話をわかりやすくするために 「いずれかの能力値が0になることによって、 初めて肉体からPOWが切り離され、 生物は死んだことになる。」 という文章を追加してはいかがでしょうか。 ■ 7 名前: なゆた 2001/06/10 03 49 23 2 世界定義シリーズ-2:魔力の濃度と精霊にとっての地上界 神知者なゆたによる世界定義シリーズ-2 さん 99年 12月 17日 02時 44分 26秒 ■魔力の濃度と精霊にとっての地上界 世界は魔力で満ちている。 これは比喩的な表現ではなく、計測できないほどの微量ではあるが、あらゆる空間にはMPが空気のように満ちているのである。 生命はその中で多量の魔力を凝縮した存在である。POWは一方通行の浸透圧を持った袋だと考えればよい。袋の口を開けてMPを放出したならば、袋は周囲からMPを吸収し、ふたたび膨らんでゆく。 魔力の濃度は場所によってさまざまで、地上界ではほぼ均一だが精霊界では深い場所ほど濃い。英雄界ではさらに濃いだろう。つまりMPの回復速度はこういった場所では速くなる可能性がある。逆に極度に魔力を消耗した土地では、いつまでたってもMPが回復しないこともある。 MPを包むPOWもまた魔力の一形態である。肉体という器がなければ、その薄皮は周囲の空間に溶け出してゆく。このため肉体を失った(もしくはもともともたない)存在は、そのPOWの大きさに応じて、より魔力の濃度の高いところで暮らしたがる。これが精霊界の深いところにほどPOWの高い精霊がいる理由である。 精霊が地上界に姿をあらわすというのは非常に消耗する行為であり、時間とともにMPを失い、さらにはPOWさえも失ってゆく。呪縛呪付は精霊に肉体のかわりとなる器(場所)を与える。ニンフの依代やゴーストの取り付いた場所なども呪縛呪付の役目を果たしているといえる。 ■ 8 名前: なゆた 2001/06/10 03 52 11 2 世界定義シリーズ-3:魔力保存の法則 神知者なゆたによる世界定義シリーズ-3 さん 99年 12月 22日 18時 19分 56秒 ■魔力保存の法則「学院のこどもたちへの解説」 POWやMPと呼ばれるものはいったいなんなのか。その本質は存在そのもの、世界そのものだともいえるが、ここではその解明は他に譲り、POWとMPの関係について記す。 POWとMPは本質的には同じ物である。POWは密度の濃い魔力の固体であり、MPは水のような流体であると言える。さらに世界は薄いMPで満たされている。これは空気のようなものであり、便宜上「マナ」と呼ぶ。 POWはMPを内部に蓄積することができる。通常POW1ポイントにつきMP1ポイントを内包する。蓄積したMPが消耗した場合、POWは周囲からマナを吸収し、MPを再生産する。この速度はイェルムの運行に依存し、24時間でちょうどいっぱいになる。また自然再生ではなく人為的にMPを送り込むことで、POWの2倍まではMPを保持できることも確認されている。 POWをMPに変換することは比較的簡単に行える。これを「POW下位変換」と呼ぶ。代表的な例では魔道呪文の≪切開≫があり、これはPOW1ポイントをMP1D6ポイントに変換する。実験で確認されているもっとも高い変換効率はPOW1ポイントあたりMP10ポイントであり、研究者によればこれが限界点とされている。 MPをPOWに変換するというのは一般社会ではタブーとされている。研究者間では「MP上位変換」と呼ぶ。これのもっとも代表的な例は信仰である。神のPOWがどこからもたらされるのか考えてみるがいい。神が単独で獲得している?そんなはずはない。神は信徒の捧げるMPを己のPOWとすることで、その存在を強大たらしめているのだ。 この変換効率は神のPOWと信徒の比率からは1000対1と推定されるが、実験では5000対1で成功した報告があるだけである。 世界の魔力総量は混沌による働き以外では変動しない。これは計測可能であり、我が研究所では常時観測している。POW下位変換とMP上位変換ではどちらのケースでも多量のマナが発生することが確認されている。もしロスのない変換が行われたとするならば、その値は100対1に近似する―― ■ 9 名前: なゆた 2001/06/10 03 54 19 2 世界定義シリーズ-4 :生殖-その神秘と意味するもの- 神知者なゆたによる世界定義シリーズ-4 さん 99年 12月 23日 18時 03分 32秒 ■生殖――その神秘と意味するもの 「MP上位変換」のもうひとつの代表的な例が生殖である。あらゆる生命はその基本機能としてPOWの再生産を行えるということである。 母体のMP回復量と新規個体のPOWに相関関係がないことは確認されているので、再生産された初期の生物はマナからPOWへの変換を行っているか、もしくは物質からPOWへの変換を行っていることになる(物質とPOWの転化に関しては≪切開≫の講義を参考にすること)。 ただしこれには転生説という反論がある。すなわち死して精霊となったものが再び肉体を得て生まれてくるというものである。確かに転生という現象は確認されるものであるし、これによらねば地界は死者であふれてしまうというのである。 私的な見解を述べれば特定の個体の魂が直接転生するというのは希少なケースであると思われる。個体としての魂がPOWであるならば、通常の出生ではPOWはマナの状態まで分解され、その個性は保持されない。 死者の霊が分解されるというのは社会的に理解を得にくい概念である。ほとんどの宗教は死後の世界を認めており、そして神の信徒としての生を全うしたものに永遠の安息を約束している。 魔力保存の法則が示すのは、転生も永遠の安息もありえないという事実である。物質が常にPOWに転化されつづけたとするならば、世界は最後にはすべて死者の霊となってしまう。 死者は地界へ行く――これは事実である。 だとするならば、地界には死者がマナへと分解される本当の死がまってるということでしかなかろう。 ■ 10 名前: なゆた 2001/06/10 03 55 09 2 世界定義シリーズ-5:霊魂言論Ⅰ進級課題 神知者なゆたによる世界定義シリーズ-5 さん 99年 12月 25日 01時 31分 59秒 ■霊魂言論Ⅰ進級課題 1.個体の記憶はPOWによるものかINTによるものか。魔術的な例を示して推論せよ。 2.1の結果を踏まえ、生物がINTもしくはPOWを失ったばあい、それぞれどういった状況におかれるか論述せよ。 以上 提出期限 聖祝期/第二週/神の日 ■ 11 名前: azatoth 2002/03/28 21 20 58 10 ある学生の答案用紙 ■霊魂言論Ⅰ進級課題 【問1】.個体の記憶はPOWによるものかINTによるものか。魔術的な例を示して推論せよ。 INTによる記憶とは、肉体的感覚に対する物理的記憶を脳が保持するものと定義することができる。 視覚刺激は目という肉体器官を通して認識され、神経を通して伝達される。 これは電気的な信号として感知できるが、脳内をめぐり解析される。 脳内で認知された電気的刺激は過去の刺激のパターン記録(記憶)と照合され、純粋な肉体的衝動としての感情に変換される。 これを意識体が感知することで漸く、POWによる記憶に繋がる。 POWによる記憶とは、祈祷師の幽体離脱などに見ることができるように、肉体という器を離れても記憶を保持することが可能なものである。 しかしこの場合、何によって情報は感知され、何によって記憶の保持はなされるのか。 それは学生の身である私には推論以上のことはできないが、恐らく周囲をPOWや漏れ出るMPの触覚で感知し(映像情報として認識しているつもりでも実際は異なるのではないか)、現状周辺に関する情報だけが意識上に残っていることをPOWの記憶と呼ぶべきなのではないか。 こうした微妙な書き方をしている理由は、おそらくPOWの記憶は時間を超越するものと私が考えているからである。 POWはそのPOWが接触した過去の記憶全てと、未来の記憶全てを有しているのではないか。 そして認知している現状周辺の情報のみが「現状情報」として認知され活性化しており、過去の記憶はさかのぼるほどに緩やかに休眠化していっているのではないだろうか。 よって私はINTによる記憶とPOWによる記憶は全く異なるものなのではないかと推論する。 また、したがって一般的に言う「記憶」とは、INTによるものとPOWによるものが混同して認識された概念といえるのではないか。 【問2】.1の結果を踏まえ、生物がINTもしくはPOWを失ったばあい、それぞれどういった状況におかれるか論述せよ。 INTを失った場合、肉体的思考能力が欠落することになる。 これは通常の人間の場合は、外的刺激の一切を失うことである。 これにより外界を認識できなくなった個体のPOWは、自己消滅(霧散)していくことになるのではないか。 POWは世界への存在を定義するものであるとも言える。 よってPOWを先に失った場合は、世界への錨を失った状態となり、肉体の崩壊が始まるものと推測される。 肉体の崩壊が終了する前に、次なる宿主が現れるか、元の宿主に帰還しない限り、その肉体は崩れ去る。 記入者名、不明。 ルーンの本質の嘘 ■ 2 名前: なゆた 2001/07/29 13 50 01 昨日のプレイ(RQ1500:第八話)でもそうだったけど、ついつい、「それがルーンだ」とかいってしまうことがある。 グローランサ関連のサイトを見て回っていると、そこでも「実はルーンとは・・・」とか、「ルーンの獲得とは・・・」、「実は神とは・・・」という解説によく出会う。それを自分に照らして恥ずかしくなる。 神知者への警鐘とは、すべてこれを見越したものだ。 ルーンとグローランサについて知ったかぶりをするよりも、世界を描き出し、生活を描き出し、人間を描き出さなくては。 それがルーンクエストだ<知ったかぶりT_T グローランサへのアプローチ ■ 3 名前: なゆた 2001/07/27 12 29 41 グローランサを読み解いていくと、ひとつの謎掛けにいきつく。 それは神知者であり、啓発であり、神話であり、歴史であり、ドラゴンである。 「真実とは何か」 これは陳腐な問いだろう。この謎掛けの本当の意味を理解せぬものには。 「ルーンとは何か」 こう問うてもいい。これに「ルーンとは、こういうものだ」と答えるのなら、あなたは謎掛けに辿り着いていない。 わかりやすく問うなら、 「グローランサに魔法はあるのか」 これがよいかもしれない。ここで前の二つの質問に戻り、その意味をはかりなおせばよい。 マスターはこうしたグローランサを描き出したいと思っている。 断章 再演論最終稿 だが私がいままでの事例を見る限り、理解しがたい、そして抗いがたいひとつの真実がある。それは「信じられたことが本当のできごとになった」のではない――「本当のできごとが判明した」にすぎない――ということである。 はたしてこのふたつが本質的に同じことではないかというご批判はあろうかと思う。確かにこれを検証する術はなく、私は反論する結果を持ち合わせていない。しかしこればかりは己の中から溢れ出る言葉を押しとどめることはできない。研究者としてではなく、探索者として。 そう、再演することとは「己の思い通りに」世界を編みなおすことではない。世界は、そして英雄たちは、苦しみ悶えながら、いつか「本当の世界」を生み出そうとしている――まるで、何かに憑かれたかのように――。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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【BEASTBIND TRINITYオンライン用キャラクターシート】 【基本情報】 キャラ名 :辻堂 なゆた(つじどう・なゆた)/魔の名:月の子(ムーンチャイルド) プレイヤー名:電波王 年齢:24/性別:女/カヴァー:執事 スタイルクラス:アタッカー プライマリ:ヴァンパイア(ダンピール)/セカンダリ:レジェンド(伝説の英雄) 種別:吸血/概念 初期人間性:43 【ライフパス】 出自:闇の抱擁/死(恐怖) 邂逅:ウォーレン・レイク/恐怖 エゴ:独りになりたくない 変異 40:空に蝙蝠が舞う/20:瞳が暗い所で光る/0:血の臭いを漂わせる 【能力値】 【肉 体】 【技 術】 【感 情】 【加 護】 【社 会】 基本能力値 【6】 【8】 【5】 【2】 【6】 能力値B 【3】 【4】 【2】 【1】 【3】 アーマー値 【6】 【7】 【9】 【8】 【6】 戦闘能力値 【白兵値】 【射撃値】 【回避値】 【行動値】 元値 【8】 【7】 【4】 【10】 修正値 【8】 【7】 【4】 【12●】 最大FP値:39 【アーツ】 名称 種別 Lv タイミング 判定値 対象 射程 コスト 効果 魔獣化 自動 1 マイナー 自動成功 自身 なし 3 魔獣の姿となり、データが変更される アレナ展開 自動 1 メジャー 自動成功 場面 シーン 0 アンノウンマンをエキストラ化 ストライクフォーム 自魔 1 常時 自動成功 自身 なし 0 攻撃のダメージに+【最も高い能力値B】し、セットアップで魔獣化可能となる。 万物の打倒者 自動 1 判定直後 自動成功 単体 シーン 愛 対象の判定の達成値を-20する。1シナリオに1回まで。 魔獣の殺意 自動 1 ダメ直前 自動成功 自身 なし 1 ダメージロールに+1D6。 宿命の血 自動 1 常時 自動成功 自身 なし 3 【技術】+1、【社会】-1。「種別:吸血」の相手に与えるダメージ+【技術B】 英雄伝説 自動、魔獣 1 常時 自動成功 自身 なし 0 《魔獣化》の間、「種別:攻撃」の効果+1d6。《魔獣化》コスト+1(計算済) 英雄宝具 ア 1 常時 自動成功 自身 なし 4 レジェンダリィガン選択 伝家の宝刀:銘刀 ア 1 常時 自動成功 自身 なし 2 銘刀所持 ビーストブレイク 攻撃 1 メジャー 自動成功 自身 なし 2 ダメージ+【技術B】した攻撃 チェイスブレード なし 1 効果参照 自動成功 単体 なし 2 攻撃の間、相手のガード値を-10扱いできる。白兵武器の射程内に相手が居ないとならない チェイスバレット なし 1 判定の直前 自動成功 単体 なし 2 対象のドッジ達成値-3。射撃武器の射程内に相手が居ないとならない 鏖殺のメソッド なし 1 セットアップ 【技術】 単体 シーン 4 対象の【社会】+5を目標に情報収集を行い、成功すると種別限定アーツ&アイテムを、種別を無視して使用可能 飢えし凶獣 なし 1 常時 自動成功 自身 なし 0 《魔獣化》の間、ダメージ+「Lv+1」d6。《魔獣化》コスト+「Lv」(適用済) 勝利へのフラグ なし 1 メジャー 自動成功 自身 なし 4 任意の【基本能力値】をシナリオの間+2。【FP】を4点失う。シナリオ一回 再生殺し なし 1 効果参照 自動成功 単体 シーン 1 対象にダメージもしくはBSを与えた際に宣言。シーン中、対象は「種別:回復」のアーツを使用できなくなり、対象が「種別:吸血」なら受けるダメージに+5する 悲劇の英雄 なし 1 常時 自動成功 自身 なし 3 攻撃にクリティカルすると、ダメージ+【技術】する。BSを受けるたびに【FP】を5点失う ファストセット なし 1 ムーヴ 自動成功 自身 なし 2 マイナーアクションをムーヴアクションで使用できる 【装備品】常備化ポイント=14 名称 種別 判定値 攻撃力 ドッジ G値 A値 行動値 射程 備考 レジェンダリィガン 武器(射撃) 【射撃値】+1 シーン 英雄宝具。人間性を3点消費する事で、範囲に攻撃可能 銘刀 武器(白兵) 【白兵値】 至近 伝家の宝刀(常備化ポイント15) アンチマジックコート 防具 なし なし 0 なし 3 -1 なし 「感情」「加護」属性のアーマー値は+4。常備化ポイント12 バイク 乗り物 【白兵値】 13● シーン 常備化ポイント2 【一般アイテム】常備化ポイント=16 名称 タイミング 効果 思い出の品 イニシアチブ 所持している「絆の数」d6【FP】回復。シナリオ一回。常備化ポイント2 アクセスコード 判定の直前 【技術】で情報収集。人間性2点消費。常備化ポイント5 特殊弾(吸血)×3 マイナー 「種別:吸血」の対象に対して、アーマー値-10して攻撃できる。常備化ポイント3×3 【設定】 「なりたて」の吸血鬼であり、元は普通のOLだった。 満月の夜に、とある強力な吸血鬼が戯れに「娘」にした上で、自分を追わせるために武器を与えた。 その武器は、銀色の拳銃と銀製の刃。 勉強熱心な性格で、判らない事はその場で調べないと気が済まない性格。 メイドではなく執事を目指しているのは、メイドに対してアニメ的な偏見があるため、らしい。 男っぽい口調をしているのも、男装するのも、吸血鬼に襲われた際の陵辱の記憶からの逃避の一貫。 そのため、一見すると強い女性だが、殻の内の精神は脆い。 メガネをしているが、眼が悪いわけではなく、人間の時の習慣を残しているだけである。 【セッションボーナス】 【成長記録】 2013/4/25 経験点30点使って作成 【特記事項】 【コンセンサス一覧】 (是非やられたい5~NG1でどうぞ。3なら相手次第、と言う事あたりでしょうか) [洗脳]4-[改造]4-[尿意]3-[排便]1-[妊娠]2-[ふたなり]2-[和姦]4-[羞恥]4- [触手]3-[幼女]3-[獣姦]3-[近親]3-[同性]3-[寝取られ]1-[強姦]3-[流血]2- その他推奨・NG事項:
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私達は午後六時、急に降りだした夕立から逃げるように、私とみなみちゃんは公園のベンチへと駆け込んだ。 ここはベンチに屋根があって、空き缶やガムの包みといった小さなゴミがまばらに落ちている。 「ひゃー」 「ゆたか……大丈夫?」 「うん……さっきまですごくお天気よかったのに、急にくるんだもん」 「ちょっと、濡れちゃったね」 私とみなみちゃんは頭を肩を濡らしてしまっていた。予期せぬ事態。晴天かと思っていたら急に雨雲が浮かび始めて、 私達は何の準備をする間も与えられないうちに、この大降りの雨に見舞われちゃって、ちょっとばかりテンパって、 とりあえずこの公園へと駆け出してきたんだ。屋根のあるベンチだけど、雨粒は地面を跳ねて小さな飛沫になっている。 肩を濡らした事と、もう陽が傾きかけた事、加えて11月ということで、私は少し肌寒さを感じていた。 「ゆたか、寒いの?」 「うん、ちょっとね。みなみちゃんは寒くないの?」 心配そうな顔で、私を見つめるみなみちゃん。水に濡れた黄緑の髪が、濁った光の雫を垂らしていた。 「私は平気……でもゆたかは」 「もうちょっとでみなみちゃんのおうちだったのにね~。ちょっとでも止んでくれたら、すぐに帰れるのに」 私はみなみちゃんの言葉を遮るように喋った。もとい、遮った。私の身体の事もあって、みなみちゃんは必要以上に 私の事を心配してくれる。それは嬉しいんだけど、すごく申し訳無かった。雨に濡れただけじゃ私は大事はないから 気遣いの空気を作らせない事で、自分は大丈夫だとみなみちゃんに思わせたかった。 「私が本屋で雑誌選びに時間かけちゃったから、ごめんね」 「それは……関係ない。降られるのは運の問題だから。……そうだ、雑誌は濡れなかった?」 「え、うーん……大丈夫……じゃ、なさそう」 私は困ったような笑みを浮かべた。雑誌をいれた紙袋は半分以上湿っていた。 みなみちゃんはポケットからハンカチを取り出すと、私の髪から落ちて頬に垂れた雨粒を、そっと拭ってくれた。 その行動に、私の胸は強く高鳴った。ただしそれに、身体が弱い私にダメージを与えるような痛みは無かった。 (まただ――何度みなみちゃんに優しくされても、ドキドキが止まらない……) きっと私の頬は、ぽっと染まっているに違いない。みなみちゃんは何も言わないけれど、柔らかな微笑みで返してくれる。 この日学校を終えた私達はすぐに校門で待ち合わせをして、商店街へ短いデートをしていた。 今日はいつもとは違い、みなみちゃんの家の近くの商店街で買い物をすることにした。いつもは私の家の近くだった。 そこでアクセサリーショップに寄ったり、本屋に寄ったり、帰りはみなみちゃんの家の近くの駅で別れる……予定で。 何の前置きも無しにデートって言っちゃったけど、その通り私とみなみちゃんは……恋人同士になっていた。 (私、みなみちゃんのことが好きなの――) それは三ヶ月前のこと、夏の終わりが近付く頃に自分の想いを半泣きでみなみちゃんに伝えた私。 いつものみなみちゃんからはちょっと想像できない驚いた顔を見せて、それから私と同じく赤面をすると、 返事の代わりにそっと抱き締めてくれたみなみちゃん。私は喜びと切なさで胸が疼き、倒れそうになった。 (私がゆたかをずっと守るから) 二人の想いが通じ合ったその帰り道、私の手を優しく握って歩くみなみちゃんがそう言った。 私は嬉しくもあり、悔しくもあり。私はみなみちゃんにこれまででも守ってもらってばかりだったから。 恋人同士になったとはいえ、私達の間ではそれほど大きな変化は起きなかった。一緒に遊びに行くのを「デート」と呼んだり、 前よりも連絡をする事が多くなったり、一緒にプリクラを撮るときにちょっとばかり身体の触れる面積が多くなったり、 ……週に一度のデートでは、最後に必ずキスをするようになったり。 (ゆたか……いい?) 自分の部屋で初めてのキスを思い出すと、今でもどうしようもないくらいもやもやした気持ちになって、私は布団に潜り込む。 小鳥が啄ばむような、唇と唇がそっと触れるだけの優しいキス。私達はそれだけで、お互いにゆでだこみたいになる。 それから何度か唇を重ねてきたけど、いつも腫れ物に触るかのような優しいキス。私は十分満足だった。 それは数え切れないほどってわけじゃないけど、キスなんて一度や二度じゃないのに、何度やっても恥ずかしい。 みなみちゃんも同じみたいで、私達は赤面して、ドキドキして、キスして、離れて、ドキドキして、赤面して、の繰り返し。 それからちょっとの間をおいて、みなみちゃんは照れが混じった柔らかな笑顔で私に (ゆたか……好き) と言ってくれる。ただそれだけが何よりも心地良くて、みなみちゃんの恋人でいられる喜びを一番に感じる瞬間だった。 (私も、好きだよ。みなみちゃん) 私達はデートの途中、何度か手を繋ぐ。繋ぎっぱなしじゃないのは周囲の視線を気にしているからなんだけど、 (みなみちゃん、みんなが見て……) (いいから) 私が少しみなみちゃんに追いつけなかったり、疲れが出たりしたときには、私をリードするようにしっかり握ってくれる。 そのときのみなみちゃんの握った手の強さは、周囲の視線なんか全く気にしてくれない強さと頼り甲斐があった。 それが私には……少しばかり悲しかった。それは、恋人同士の手の繋ぎ方じゃない。守る人と守られる人の繋ぎ方。 つまり、私はみなみちゃんに世話をかけているだけ。それを自分で感じるたびに少し辛くなって、でも安心する自分がいて。 私達は恋人同士だけど、友達の間で聞くような、ラブラブだとかイチャイチャだとか、そんな感じじゃない。 みなみちゃんがそんな感じだったらそれはそれで不自然だけど、もしかしたら女の子同士だからかなって穿ったりもして。 結局恋人同士になってもキスをするようになった以外は、前と何も変わらなくて。大きな変化を望んでいるわけじゃないけど、 それはつまり、友達同士のときにもあった私が一方的に守られる立場であることを継続していくということでもあった。 もっときちんと触れ合うなら、恋人同士のように触れ合いたい。みなみちゃんの手に、私からも愛情を込めて触れたい。 今なら触れられるかもしれない。大降りの雨を眺めるみなみちゃんの横顔から、その白くて細い指先に視線を移す。 (よかった。私の手、冷たくなってなくて……) 自分からみなみちゃんの手に触れるなら、暖かな手で愛を示したい。私の手は、それをするに小さくて物足りないけど……。 私の左手がそっと少しづつ、震えながらみなみちゃんの右手に近付く。少しづつ距離が縮まる事に、私の気持ちが昂ぶる。 保健室に向かうとき、デートの途中、人ごみの中、みなみちゃんから手を繋ぐときは安心して触れられるのに、 自分からとなっただけで、どうしてこんなに緊張するんだろう。それでも私はみなみちゃんに触れたくてたまらなかった。 やがて私の指先がみなみちゃんの指先にぴっと触れると、みなみちゃんはピクンとわずかに横顔を動かした。 みなみちゃんの手は冬服の袖に半分だけ隠されていて、私は袖から出ている指に探るように、すりすりと指を擦りつける。 横目でちらりと見たみなみちゃんの頬はピンク色に染まって……私はそんなみなみちゃんにさらに触れたくなった。 「……!」 私の指が、みなみちゃんの冬服の袖に侵入する。そのまま指先をみなみちゃんの手の甲で、文字を書くように動かせる。 そんなことを言葉もなく、雨の音を聞きながら続けていた。みなみちゃんは目を閉じて、その温もりを感じているみたい。 触れている面積は本当に少しだけの小さな世界なのに、しかもいやらしいところに触れているわけじゃないのに、 私達はそれだけで気恥ずかしさともどかしさ、少しの心地良さに昂ぶっていることを、お互いに感じ取っていた。 ここが私の触れたい限界点、もとい触れられる限界点なのかもしれない。物足りなさは適度なスパイスだった。 でも、みなみちゃんはどうなんだろう? もっと私に触れたい? 指先だけで足りているかな? やがて、私の指からみなみちゃんの感触が消え――なかった。一瞬離れたその手はまた、包み込むように私の手を握った。 みなみちゃんと別々の空間にいても、目を閉じるだけで思い出せる、いつもの温もりだった。 でもやっぱり、みなみちゃんは足りてないのかも。いつまでもこの手と唇だけの関係じゃ、いけないのかもしれない。 * 雨はさらに大降りになって、単なる天気雨かどうか判断する事はできなくなった。 「雨……止まないね」 「あ」 「どうしたの?」 みなみちゃんは携帯電話を取り出すと、慣れた様子でどこかに電話をかける。 どうして早めに気付かなかったんだろう。数分後には高良先輩のお母さんが、車で迎えに来てくれた。 この公園はみなみちゃん家の近くにあるんだから、当然だった。その近くには高良家があったから。 みなみちゃんによると、この日みなみちゃんの家にはみなみちゃん以外誰もいないらしくて。 そこで、近くの高良家に電話をして、迎えに来てもらったらしく。どのみち今夜はみなみちゃん、高良家に泊まる予定だったみたい。。 私とみなみちゃんは少しだけ雨の中を走って、車へと乗り込んだ。 (あ!) このまま高良家に行けば、みなみちゃんを降ろしたあとで私はそのまま駅まで送ってもらえる。 でもそれは、今日はもうみなみちゃんとお別れになる、ということだった。まだ大事なことを済ませていない。 (キス……しておけばよかった) 車の後部座席に座っていた私は、そっと自分の唇に触れた。改めて自分が、あのキスの虜になっていると気付いた。 それにあの指の触れ合いの後だから、尚更おさまりがつかない。みなみちゃんはどう思ってるんだろう。 「それにしてもすごい降っちゃったわね~、洗濯物取り込むの大変だったのよう」 「帰ったら……手伝います」 「たぶんおおかたのことは今ごろ、もうみゆきがやってくれてると思うのね。今日はつかさちゃんが遊びにきてねえ」 「つかさ先輩がですか?」 私がたずねた。 「そうなのよう。こないだみゆきがつかさちゃん家に泊まりに行ってからすごく仲がよくて、まるで恋人みたい。 今日はつかさちゃんがお泊りの予定だったんだけど、そういえばみなみちゃんに伝えるの忘れてたわ。ごめんねえ」 「いえ……じゃあ今は高良先輩と柊先輩の二人きり……」 「そうなのよう。二人で一緒にお夕飯を作るんだって、みゆきってば柄にもなく張りきっちゃってね」 かがみ先輩やおねえちゃんが一緒ならともかく、つかさ先輩がひとりでお泊りなんて、珍しかった。 いや、高良家のお泊り事情はよく把握してなかったんだけど、おねえちゃん達のいつもを見れば……。 「今日はいつもより盛りあがっちゃうかもねえ。よかったらゆたかちゃんも泊まっていったら~?」 「えっ、あの……私」 「ゆたかは、その……」 「私は全然いいわよう。みゆきやつかさちゃんも喜んでくれるかもねえ。ていうか泊まっていって~」 イエス以外の返事はなさそうだった。私をみなみちゃんはお互いの顔を見合うと、クスッと笑い合った。 よく考えたら、高良家に泊まるのは初めてで……あとでおうちに電話をいれなきゃ。 それに、まだしてなかったキスができるかもしれないし……。 「そういえばみなみちゃんもゆたかちゃんもビショビショねえ」 「あ……ゆたか、お風呂借りてく?」 「うん、ありがとう」 「二人とも身体冷えちゃったしねえ。そういえばみゆきとつかさちゃん、シチューを作るそうよ」 「みゆきお姉さんのシチューは……美味しいです」 「時間も時間だし、私もお腹ペコペコ~。あ、そうだわ。二人とも一緒にお風呂はいっちゃいなさい。その方が早いし」 ……。 「「えっ?」」 私達を乗せた車はちょうどいいタイミングで、みなみちゃん家に到着した。 * 私達は返す言葉が見つからないまま、高良家の玄関を潜った。そこには、エプロン姿の高良先輩とつかさ先輩。 「いらっしゃい、みなみさん。あ、小早川さんも一緒だったんですね」 「みなみちゃん、おじゃましてるね。こんばんは、ゆたかちゃん」 みなみちゃんはおじゃまします、と呟く。私もおじゃまします、と頭を下げた。すでにシチューのいい匂いが……。 「今日はゆたかちゃんも泊まっていくのよう。思いがけず、賑やかになったわねえ」 どうやら私はもうお泊まり確定になっていたらしい。高良先輩やつかさ先輩もにこやかに迎え入れてくれた。 「じゃあ、二人とも早いうちにシャワー浴びちゃいなさい。そのままじゃ風邪をひくわよう」 「そうですね。では私は着替えを用意しておきますね」 「ゆたかちゃんには、みゆきの小さい頃のものを用意しておいたほうがいいわねえ」 きた……私とみなみちゃんは、顔を合わせることができなければ、お互いに言葉をかける事もできない。 「みゆきとつかさちゃんはお風呂まだだったわねえ」 「はい、後で一緒に……けふんけふん。私達は後ほどいただきます」 私がみなみちゃんの後を追うようにして、二人は脱衣所へと向かった。少しの距離と、緊迫した空気。 どうしよう……それって、みなみちゃんに私の、裸……を見せるってことだよね? 友達同士ならそんなに珍しくないことなんだろうケド……相手はみなみちゃんだし。好きな人だし。恋人だし。 お友達とお風呂に入った事が無いなんてことはなかった。そのときだって別に恥ずかしいとも思わなかった。 でも今は事態が違う。みなみちゃんだってきっと平気じゃない。さっきからずっと重々しい雰囲気を出してる。 タオルを巻いておけばいいよね? 私の貧弱な身体なんか、みなみちゃんは喜ばないだろうし。 ……って、喜ぶとかどうかの話じゃないし、みなみちゃんはそんな女の子なんかじゃないし。 (べ、別にそんなエッチなことなんかじゃないよね。女の子同士ならフツー、フツー……) みなみちゃんがまだ『友達』だったころなら大丈夫だったかと言われたら、それはないんだろうケド……。 「ゆたか……」 「な、なに?」 「制服……洗うから、そのまま洗濯機に入れて」 「う、うん……」 重い足取りでついに脱衣所にたどり着いた。私が先に服を脱いで、お風呂場に入る事になった。 脱衣所の扉の向こうには、みなみちゃんが立っている。タオルを着れば、そんなに恥ずかしいこともないかも。 衣服を洗濯機に放り込むと、私は身体にバスタオルを巻いた。私の身体にはちょっと大きいタオルだった。 起伏のない緩やかな曲線――そんなことを考えても仕方ないから、私はみなみちゃんに声をかけるとお風呂場に入った。 「わ、広……」 やっぱりお金持ちのおうちのお風呂は一味違う。実家のお風呂と比べても三倍も四倍も大きい。 あえておねえちゃん家のお風呂と比較しなかったのは察してほしいところ。 湯船からお湯を救って頭から浴びると、冷えた身体に熱が伝わって、心なしか緊張も解れてくる。 「ゆたか、入るね」 そういうとカラカラとお風呂場の扉が開いて、身体にタオルを巻いたみなみちゃんが入ってきた。 湯気でかすかにしか見えなかったけれど、少し伏目がちに恥ずかしがっているのがわかった。私以上に緊張してるのかも。 「私、友達とお風呂に入るの初めてだから……」 「そうなんだ? じゃあ私が初めてだね」 「うん……修学旅行とかで、クラスメートとは入った事はあるけど……」 「じゃあちょっと緊張しちゃうかもね。それに」 「それに?」 「私、友達じゃなくて……その……恋人だから」 そういうと、お風呂場に沈黙が走る。どうして自分から気まずくなるような事を言っちゃったんだろう。 「あ、頭洗っちゃおうかな」 「あ。シャンプーハット、ここにある……」 「ありがとう。でも大丈夫だよ」 「そう、じゃあ」 みなみちゃんは近くにあったポンプを一、二回押すと、自分の手の平にシャンプーを出した。 「私、洗ってあげる」 「えっ……う、うん。ありがとう」 みなみちゃんの手が私の髪に触れて、それを動かすたびにツインテールを解いた髪に泡が立っていく。 まさか洗ってもらえるとは思わなかった。みなみちゃんはまた、私のことを思ってここまで? 撫でるような優しいタッチで頭を洗われていく。少しこそばゆかった。私は泡が入らないようきゅっと目を瞑る。 「あとでみなみちゃんも洗ってあげるね」 「うん……これ、みゆきお姉さんのお気に入りのシャンプーなんだ」 「そういえばすごくいい匂いがするね。どんなシャンプーなの?」 「海外から取り寄せた、ココナッツ成分の……トリートメントも同じ種類で、髪がサラサラになる」 「高良先輩、髪長いのにすごく綺麗だからね~みなみちゃんも結構サラサラしてるし」 「ゆたかの髪も……柔らかい。触ってて、気持ちいい」 「わ、私も気持ちいいよ……」 また気まずくなってしまった。みなみちゃんはシャンプーを洗い流すと、今度はトリートメントをとり、同じように洗った。 「ありがとう。すごく気持ちよかった」 「そう、じゃあ今度は」 「私が洗ってあげるね」と口にしようとしたときだった。 「背中、流してあげる」 「えっ! だ、大丈夫だよみなみちゃん」 「任せて」 いくら背中とはいえ、これ以上みなみちゃんに肌を見せるのは恥ずかしかった。水着とかで見られてる部分のはずなのに。 私はもう反論せず、座ったまま身体に巻いたタオルを軽く解くと、無防備な背中をみなみちゃんに晒した。 きっと背中まで真っ赤になってると思ったんだけれど……。 「ゆたかの背中……白くて綺麗」 ボディソープの泡が付着したタオル越しに、みなみちゃんの感触が伝わる。 「ふあ……」 「……! ごめん、ゆたか。痛かった?」 そうじゃない。恥ずかしさで敏感になったのかもしれなかった。みなみちゃんの手が這うように動くたび、妙な心地良さ。 私が首を横に振ると、みなみちゃんはさっきよりも優しい動きで背中を洗ってゆく。 私の背中とみなみちゃんの手の間にある境界線のタオルの感触が消えたような気分。直接触れられてるような……。 「ふぅ……んっ……」 「ゆたか、大丈夫?」 「なんでもないよ……ちょっとくすぐったいかな?」 きっとこのボディーソープも良い物に違いなかったけれど、それを話題にする余裕はなかった。 ただ恥ずかしく、ただ気持ち良い。好きな人にされているからか、久しぶりに誰かにされたからかはわからなかった。 ふと考えた。みなみちゃんは背中まで流してくれた。優しさから? もしかして私にもっと触れてみたかった? 髪が柔らかいって言われたときは嬉しかった。頭を洗われたときも、そして今も、確かに気持ちが良い。 私も、みなみちゃんに触れてほしがってる……? 背中だけじゃなく、この気持ち良さがもし全身にきたら……? (そんないやらしいこと考えちゃダメ……みなみちゃんがせっかく、優しくしてくれているのに) 公園でみなみちゃんの手に触れたときは、たしかにあれで満足したような気分だった。本当はそうじゃないとしたら。 あのときと今とでは状況が違う。そのせいで私はずいぶん欲張りになったのかな? 今は身体がたくさん触れるだけのきっかけがたくさんある。みなみちゃんが触れさせてくれるかは別として。 そもそもまだ私は、本当にみなみちゃんに触れてほしいのかわからない。みなみちゃんが触れたいのか、もだけど。 背中にかけ湯をして、泡が洗い流された。今度こそは私が、みなみちゃんを洗ってあげる番だった。 「みなみちゃんの髪、本当にサラサラだね。毎日しっかり梳いてるんだね」 「髪が短いから……手間がかからない。ゆたかみたいに可愛い髪形はできないし」 「みなみちゃんの髪型、好きだよ。かっこいいし……って、女の子にこんな褒め方しちゃったら」 「ううん。嬉しい。ゆたかが喜んでくれるなら、私はこのままでいる」 「昔からこの髪型なの?」 「うん。なんとなく、飾ったりいじったりは向いてないと思って」 「私は髪型が子供っぽさに拍車をかけてるみたいで、変えちゃおうとしても全然似合わなくて」 「私と同じ……ゆたかも、今のままで良い」 「うん!」 ようやく、普通と呼べる会話ができる。シャンプーもトリートメントも洗い流して、ついに背中になった。 「じゃ、じゃあみなみちゃん……背中……」 「あ、うん」 みなみちゃんのタオルが解かれて、真珠のような白さを持った背中が露わになった。水に濡れて光沢が増している。 「綺麗……」 「ゆたか、恥ずかしい……」 「で、でもみなみちゃんも同じ事いったんだからね!」 「……ふふっ。そうだった」 タオルにボディーソープを染み込ませて泡立てると、私はゆっくりとみなみちゃんの背中を洗い始めた。 タオル越しでもわかる。シルクのようになめらかな肌触り。予想通り、みなみちゃんの身体は綺麗だった。 「こうしてたまに一緒にお風呂に入るのも楽しいかもしれないね」 「うん……できればまた入りたい」 「そうだね」 「ゆたかは……私と入ってイヤじゃない?」 「全然イヤじゃないよ。だってお風呂にはいるだけだもん。最初はすっごく緊張してたけどね。でも女の子同士だし。 恋人同士って考えてたら、ちょっと恥ずかしくなっちゃうかもだけど、みなみちゃんはいつも通り優しくしてくれるし」 「!」 「こんな風に背中を流しあいっこするのも、すごく楽しいし。たまにおねえちゃんとしてるんだけどね」」 「ゆたか、ごめんね」 「えっ」 突然のみなみちゃんの謝罪に、私はタオルの動きを止めた。ごめんね? 「私、優しくなんかない……いけないことずっと考えてた。もっとゆたかに触れたいと思ってた」 「みなみちゃん……?」 みなみちゃんの右手は、タオルの裾を強く握って震えていた。暴力的な衝動を抑えているみたいに。 「みなみちゃん……でも私達、もう何度も触れ合ってるし、今だってこうやって」 「違うの……だから私は、これ以上制限できなさそうな自分がイヤで」 その声は震えていて、僅かに怒気がこもっていた。でもその怒りは、私に向けられてはいないってすぐにわかった。 みなみちゃんの言葉は口数が少ない分、時折しっかりとした力が込められている。私はそれに何度も助けられた。 「制限できないって……その……」 「さっきだって、ゆたかの髪を洗っているうちに肩に触れたくて、背中にも触れたくて、あまりにも綺麗だったから」 「う……」 「こんなに可愛くて、大好きで綺麗なゆたかの身体に、もっとたくさん触れたいって思ってた。必要以上にでも。 今の私の汚い手で綺麗なゆたかに触って、汚しちゃうかもしれないのに。でもゆたかに触れて、ゆたかに触れられて、 もっと触れられるかもとか考えてしまって、でも調子に乗りすぎて、ゆたかに拒絶されたらどうしようって思って」 拒絶? 私が? みなみちゃんは私にもっと触れたいって。 みなみちゃんの手が汚い? こんなに綺麗で、いつも私の事を気遣って優しく触れてくれる、私の大好きなこの手が? 「ゆたかに公園で手に触れられたとき、すごく嬉しかった。ゆたかも触れたがってるって思って、その気持ちが嬉しくて。 でもきっと、ゆたかの気持ちは私の気持ちとは違うから。好きな人に触れたいって気持ちでも、別のものだから」 そうだったんだ……私は少し、安心したような、どこか恥ずかしくも、嬉しい気持ちが込み上げるのに気付いた。 みなみちゃんも同じだったんだ。触れたいとか、触れてほしいとか、そういうことをずっと考えていたんだ。 ……さっきまでの私と同じように。たぶん大きさや方向は違うんだろうけど、お互いにもっと相手を求めていたんだ。 それは普段、言葉数が少ないみなみちゃんが、ここまで自分の本心を話してくれちゃうくらい。 「ゆたか、ごめんね」 「みなみちゃん……」 みなみちゃんが苦しんでいる。自分だけ、邪な事を考えていたんだって自分を責めている。 私の事を心配してくれるその分、自分のことが許せなくなっているんだ。私はイヤだなんて少しも思わないのに。 だったら、その必要は無いんだよ? 私は心の中なら一瞬だって、みなみちゃんを拒絶する気なんてなかった。 私がみなみちゃんを助けてあげなきゃ。元々、私も正直になりきれなかったこともいけなかったんだから。 最初は、本当に私はもっとみなみちゃんに触れたいのかわからなかった。でも今なら、はっきりとよくわかる。 (みなみちゃんに触れてほしい……手のひらだけじゃなくて、唇だけじゃなくて……) 相手に触れたいって思う事がいやらしいことかな? 私達はお互いに触れ合いたいって思っているのに。 確かに私の身体は、触れるには小さくてつまらない身体だけど。こんなに触れたいって言ってくれる人がいるし。 私はその人に一番に触れてほしいって思っているのに……だからみなみちゃんは、自分を責める理由は何もない。 「みなみちゃん“も”、私に触れたいの?」 「うん……えっ?」 「だったら、同じだよ」 私は再び、みなみちゃんの背中を洗う事を再開した。大好きなものに触れてるんだから、できるだけ優しく。 「ゆ、ゆたか」 「その……身体が触れるだけっていうなら、私だってみなみちゃんに触れたいし、触れてほしい。できれば全身。 でも私、こんな小さくて、身体も弱いし、触れるのが躊躇われるような女の子だから。すぐに心配かけちゃうし。 だからみなみちゃんが触れてくれるのが嬉しくて。手を繋いでくれるのが嬉しくて、わざわざ悲観的に見てたけど……。 でも当然だよね。手を繋いでるのが嬉しいときから当たり前だった。好きな人に触れたいって思うのは当たり前。 みなみちゃんが私の事好きだって思ってるなら……私に触れたいと思うし、私も、そう思ってほしい……かな」 自分で言っててとても恥ずかしい。私は俯いたまま両指を絡めて、みなみちゃんの言葉を待った。 「ゆたか、本当に……」 「わ、私ってば、いやらしいかな?」 「……ううん」 顔は見てないけれどわかる。みなみちゃんはきっと微笑んでいる。いつもみたいに、私だけに向けてくれる笑顔で。 それがわかると、私も同じように微笑んだ。それはみなみちゃんも気付いているに違いなくて、それが嬉しくて。 「でも、実際に触れ合うって、ど、どうすれば……」 「う……ゆ、ゆたか」 「なあに?」 「抱き締めて……いい?」 「……うん」 * みなみちゃんの背中を洗い終えると、私達は向かいあって立っていた。 まだタオルを巻いていたとはいえ、改めて身体を見られるとすごく恥ずかしい。でもそれはおあいこだった。 抱き締め合ったりするだけなら、私達は今までに何度だってやっていた。私が想いを伝えたその日だって。 でも今は服を来ていない。直接密着する場所も、状況の恥ずかしさも段違いにエッチなものになっている。 みなみちゃんは両手を私に伸ばすけれど、どんな風に抱き締めればいいかわからないらしい。手は空中を泳いでいる。 いつもみたいにすっと優しく私を引き寄せて、包み込むように抱き締めるということが、しにくくなっているみたい。 「あ……待って、みなみちゃん」 「うん」 「これ……脱ぐから」 私の全身が真っ赤なのは、きっとのぼせたせいじゃない。震える手でそっと身体に巻いたタオルを外してゆく。 みなみちゃんは恥ずかしくて私を直視できないらしく、斜めに視線を落としてタイルの濡れた床を見つめていた。 「これならいっぱい触れられるから、みなみちゃんも脱いで?」 「う、うん……」 みなみちゃんは恐る恐る自分のタオルに手をかける。そのとき、視線がそっと私の身体へと向かった。 恥ずかしい……羞恥で涙がこぼれそうになる。みなみちゃんの目の前で生まれたままの姿になった私。 でも私はその半面、みなみちゃんに全てを見てほしくて、どこも隠さずに震えながら俯いたままだった。 みなみちゃんも脱ぎ終わったみたいだけれど、私はその身体を見つめることができなかった。自分だけで精一杯だった。 少しだけ涙を浮かべて、私はきゅっと目を閉じていた。生まれてから今までで一番恥ずかしかった。 「ゆたか……かわいい」 「や、やっぱり子供っぽいよね……」 「ううん、そういうことじゃない」 「ごめんね、抱き心地の悪そうな身体で……私」 言葉の途中で、私の身体はすっと抱き寄せられる。途端、少しの冷たさのあとにゆっくりと伝わってくる体温。 私達はなにも遮るものがない身体同士で、二つでひとつだったかのように、全身ぴったりと触れ合っていた。 身体が溶け合っていきそう。このまま二人で液体になって、交わりあっていきそうな気分だった。 みなみちゃんの心臓が高鳴っているのを感じる。私もそれは同じで、二つの鼓動は同調するように動いている。 「み、みなみちゃん」 「ゆたか……温かい」 「そうだよ、だってお風呂入ってたんだもん」 ロマンの欠片もない正論に、私達はくすっと笑いあった。それで結構余裕ができたのかもしれない。 身長差がだいぶあるから、みなみちゃんの胸に顔をつける形になった。みなみちゃんの両手は私の頭に回されている。 時折、私の髪に撫でるように触れてきて……私はみなみちゃんの背中に回した手にぎゅっと力を込めた。 身体に残る水滴と、少しづつ滲み出てきた汗はさらに、私達をくっつけてゆく。胸とお腹が、足と足が触れ合って……。 みなみちゃんの身体は思っていたよりも細くて……私達はお互いに全身を調べ尽くそうとしているかのようだった。 触れ合うって、こんなに素敵な事だったんだ。ただ肌と肌が寄り添うだけで、愛情をダイレクトに感じる。 私達はしばらく何も言わずに抱き合ったままで、恥ずかしさよりも今は喜びで満ち溢れていた。 「ゆたか」 「ん……」 「気持ち良いよ」 「私も。でもどうしよう……」 「なに?」 「くせになっちゃうかも」 ただ抱き合うだけがこんなに気持ちよかったなんて。それは、相手がみなみちゃんだからなんだろうケド。 「何度もしちゃったら……私」 「みなみちゃん?」 「いつかは、もう二度と離したくなくなる」 ようやく今の私達がお互いに満足のいくふれあいにたどり着けたみたいだった。二人とも、幸せな顔してるだろうから。 たぶん、もっと触れ合うこともいつかはあるんだろうけれど……今はこのままで、時間が止まってほしいくらい。 そういえば、今日はまだやっていない事があることを思い出した。 「ねえ、みなみちゃん」 「なに、ゆたか」 「キス……して」 * 高良先輩とつかさ先輩の作ったシチューは格別だった。特に高良先輩のお母さんはすごく美味しそうに食べていた。 「おかわりはありますから、たくさん食べてくださいね」 「こんなときにお父さんってば、残業だなんて大変ねえ。今日は女の子だらけで盛りあがりましょうね」 私とみなみちゃんは、微笑み合ってシチューに口をつけた。シチューの温かさが尚更頬を緩ませる。 「そうしていると二人とも、まるで姉妹みたいに仲良しねえ」 「そうですか? えへへ、照れちゃいますね」 私は頬を染めて頭を触る。本当は恋人同士です、なんていうことはまだ口にできないけれど……。 それに、実の事を言うと二人の関係はまだ誰にも話していなくて、私達だけのトップシークレットだった。 「だって車の窓から見てたんだけど、二人ともベンチで手を繋いだりしてて……可愛かったわよう」 「えっ……!」 私とみなみちゃんの身体がピシッと石化する。高良先輩とつかさ先輩も、スプーンを止めていた。 見られてた? 結構、恥ずかしいところなんですケド……でも、恋人同士だとは思われてないみたい。 高良先輩はつかさ先輩に何かを耳打ちしてる。つかさ先輩はうんうんと頷いていた。 「だから二人でお風呂に入ってもらえば、もっと仲良くなれると思って~。お風呂は楽しかった?」 「「は、はい……!」」 今度は二人揃って背筋をピンと立てる。高良先輩の二度目の耳打ち、つかさ先輩の二度目の頷き。 「じゃあ今度はみんなでお風呂に入りましょうねえ」 「わあ、楽しそうですね~」 と、答えてはみたんだけど……内心は焦っていた。一緒にお風呂がイヤなんじゃなくて……ね? 高良先輩とつかさ先輩は、ふたりそろってニコニコと、私とみなみちゃんに微笑んでいる。な、何だろう? 「ゆたかちゃんのお父さん……じゃなくておじさんには連絡を入れておいたから、今夜は遊びましょう~」 それから高良先輩とつかさ先輩のお風呂を待って、トランプ的な物で一通り盛りあがって……気付けばもうおやすみの時間。 高良先輩とつかさ先輩は一緒のお部屋で寝るみたい。手まで繋いで、すごく仲良し……うらやましい、かな? お客様用の部屋で二人きりになると、急にお風呂場のことが思い出されてどうしようもない気持ちになった。 どうして今になって、こんなに恥ずかしく……私の身体、みなみちゃんに全部見られ……。 顔を合わせる事ができない。私は枕を掴むと、顔をぎゅっと押しつけた。みなみちゃんが不思議そうに見ている。 そういえばみなみちゃんの身体を見る事ができなかった。全身で感じてはいたけれど、ちょっと悔しい……。 「ゆたか……」 「なあに? みなみちゃん」 「明日の朝……また、お風呂に入ろう」 「うん!」 でも、世界一お風呂を好きになりそうな予感。 * (あら、四人は別々の部屋で眠るのねえ。みゆきもつかさちゃんも、みなみちゃんもゆたかちゃんも、 お互い仲良しでお母さん、ちょっと寂しいわね……お父さん遅いし、私は今夜もひとりで寝るのかしら。 でも、四人とも声には気をつけてねえ。一応防音処理はしてあるんだけど、やっぱり心配だし~。 みなみちゃんとゆたかちゃんは奥手そうだから、一緒にお風呂なんて雰囲気づくり協力しちゃったけど、 みゆきとつかさちゃんはともかく、みなみちゃんとゆたかちゃんはいつ本当のことを話してくれるのかしらね。 いつでもいいから待ってるわね~お母さん応援しちゃうから。まだまだ先にはなると思うけど~。 私もひさしぶりに、お父さんとお風呂入っちゃおうかしら。でも……あの人遅いし、待ってたら……寝ちゃい……) コメントフォーム 名前 コメント みな×ゆた・を、ゆかりさんの存在感 が上回りましたね!心眼ッスね? -- チャムチロ (2012-09-18 12 18 44) ぐはぁっ………バタッ 萌え死ぬ………ゆかりさんGj! -- 名無し (2010-03-09 07 39 51) ゆたか可愛い -- 名無しさん (2009-04-25 08 09 41) ある一線の上を寸分違わず、越えずに、しかも完全に一線に乗せる描写が見事すぐます。 -- 名無しさん (2009-01-18 22 15 21) 此のみなゆた 純情過ぎてかなり萌える -- ラグ (2009-01-18 12 35 43) いろんな意味ですごすぎる。みなゆた描写が今まで見たなかで一番うまい。ファンになりました! -- 名無しさん (2008-08-31 15 27 30) 破壊力が抜群すぎる -- 名無しさん (2008-02-22 12 35 18) 純情奥手なみなゆた萌えwww -- SKK (2008-01-16 20 43 33)
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▼ 資料 █ 繪師: すがはらなお █ 繪師(英文): Nao Sugahara █ 網站: ささきかおるWEBサイト http //homepage3.nifty.com/purple-sights/ █ 繪畫特徵: ▼ 作品 █ 漫畫: いけない好奇心 █ 雑誌: █ 商業CG: █ 同人CG: ▼ 其他
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なゆた置き場 つむぎの素材置き場。
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Yahoo!JAPANのトピックスの最上段には、『台風4号 房総半島に上陸』とあった。 その文字をクリックし、中の記事を表示する。台風情報の概要と、進路予想図と、関連記事リンク。 ここまで見て、こなたはため息をつく。 「はぁ。どーしてわざわざ週末に台風が来るかなぁ」 平日に来たら、学校が臨時休校になるかもしれないのに、ということだ。学生にはありがちな発想だが、 不謹慎な発言である。 窓には、雨を伴った強風が吹きつけている。そして時折、雷の轟音が、窓を越えて部屋の中に伝わる。 (けっこー近いね。こりゃPCの電源切ったほうがいいかな) そう思ってこなたは、インターネットのブラウザを閉じ、パソコンの電源を切った。もし使用中に停電 でも起こったり、雷が原因でパソコンが壊れたりしたら大変だ、という考えが浮かんだのだ。 そうするとこなたは、暇を持て余してしまう。今日は日曜、明日は祝日。普段なら徹夜でネトゲ、と いうところだが、今パソコンの電源を切ってしまった。――深夜アニメの時間まではまだ3時間ある。 それまで一旦寝るのもいいか。…いやでもそれは死亡フラグ。ならここでまさかの勉強?→却下。 「ひまだなぁ~」こなたは、ベッドに寝転がり、そうつぶやいた。 その時、部屋のドアを誰かが弱々しくノックするのが聞こえた。こなたは起きて返事する。 「あれ?ゆーちゃん。もう寝たと思ってたけど、どうかした?」 「あ、あのね、こなたお姉ちゃん、…今日、一緒に寝ていい?」 目を少し潤ませて、ゆたかはこなたに聞いた。こうかはばつぐんだ! 「え、ど、どしたの?部屋にカヤキスレビタ(黒い悪魔)でも出た?」 「えっと、…こんなこと言ったら笑われちゃうかもしれないけど、その…、雷とか、怖くて…。」 ゆたかは、うつむいて、顔を赤くしながら恥ずかしそうに言った。アニメなら、顔の周囲に汗かなにか が飛んでいるように描かれていることだろう。 これを見たこなた、ゆたかの願いを断ることができるはずはなかった…はずなのだが、そこで同時に 意地悪な心が生まれてしまったようだ。 「ゆーちゃん、―――もし私が、だめって言ったらどうする?(ニヤニヤ)」 「ええっ!?そんなぁ~…お願いだから、今日だけだからぁ!」 本気にしたゆたか、涙目になりながらこなたの肩を掴んで、揺さぶりながらお願いした。 「うわわわわかったから、一緒に寝てあげるから、そんな強く揺さぶるのはヤメテ~」 「ゆーちゃんてさ、ホントかわいいよね」 一緒の布団の中で、まだ時折鳴っている雷に怯えているゆたかを見ながら、こなたは言った。 「…か、かわいい?」 「うん。子供っぽくってさー、なんか、放っておけないっていうか、こう――」 「むーっ、子供っぽいとか言わないでよーっ!」 こなたの発言を遮って、ゆたかは頬を膨らませて怒って見せるが、こなたはゆたかの頬を指で突きながら 「おやおや、雷が怖くて一人で寝れない、って泣きついてきたお子様は、どこの誰でしたかな~?」 と、ゆたかの再反撃を不能にする手で応戦した。 「おやすみー、ゆーちゃん」 ゆたかがおやすみモードに入りつつあることに気づいたこなたがそう言うと、ゆたかは目を閉じたまま、 寝息のような音に交えて、こなたおねえちゃん、おやすみなさい と小さく言った。 でも、こなたの目はむしろ冴えてしまった。今ぐらいがこなたの活動時間帯なのもあるが、加えて (あうぅ、ゆーちゃんの寝顔…可愛いなあ!しかもこんな至近距離で!独り占めしちゃうのはもったい ないな。写メでも撮っておきたいぐらい…あ、でも撮るときの音でゆーちゃん起きちゃうか。かくなる 上は、できるだけ鮮明に記憶にとどめておくこととしようか) という思考が働いた、というのも大きかった。 とりあえずこなたは、間違って手を出したりしないよう自制しながらしばらくゆたかの方を見つめて いたが、そのうちに防御不能の『やつ』に屈し、寝息をたて始めた。 少し開いていた部屋のドアが、そっと閉まる。部屋の外には、ガッツポーズをする男の姿があった。 そうじろう「俺の人生って、勝ち組だよなぁ…!」 翌朝。風がまだ残るものの、天気は回復して空には青空が戻り、朝の光でゆたかは目を覚ました。 しかし、隣にいたはずのこなたの姿はそこにはなかった。代わりに、カタカタと軽快な音が聞こえる。 「こなたお姉ちゃん、もう起きてたんだ。早いね」 「あ、ゆーちゃん起きたんだ。おはよー。」そう言って、こなたは一旦パソコン画面に目をやった。 「いやー、結局夜中のアニメ見逃しちゃって。で、しょうがないからそれからネトgふぁ~あ」 こなたがあくびを終えたのを見て、ゆたかが一言、こなたに言った。 「こなたお姉ちゃん、ありがとう」 いきなりそう言われたこなたはきょとんとして、そしてもう一度あくびをした。 【Fin】 コメントフォーム 名前 コメント やだもう、ニヤニヤしちゃう☆ -- 名無しさん (2011-04-13 06 10 25) やばい・・・めちゃくちゃ萌える -- 名無しさん (2010-04-23 16 52 16) よし、そうじろう俺と代われ。 それにしても萌えるよなこのシチュ。もうね、頼られるのが嬉しいっていうか 小動物みたいなところがたまらんっ!自分もこんな妹希望 -- 名無しさん (2008-06-04 19 34 37)
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その場は、静かで厳粛だった。そして、呼吸すら躊躇われるほどに空気は張り詰めていた。 泉こなたと田村ひよりはそれぞれ定められた位置に着席した。 こなたとひよりは互いに向き合うように、こなたに寄り添うようにそうじろうが、ひよりに 寄り添うように八坂こうが座る。さらに、二組の横、二組ともを見据える位置に、桜庭ひかる パトリシア・マーティン、宮河ひなたの席があった。将棋に例えるなら、こなたとひよりが 対局する棋士の位置、ひかるたちが記録係の位置に座っていることになる。 こなたとひよりは一切の言葉を発さず、静かな気迫を漲らせた。それこそ大一番を控えた 一流棋士のように。 事実、彼女たちはこれから対決を迎えようとしていた。その勝負に金品は一切賭けられて いない。だからこそ、彼女たちはそうではないものを賭ける。――プライドを。 体操、絵画、料理――『美』を競うものは、優れたものはあっても絶対的な基準で以って その優劣を決定することはできない。彼女たちが競うものもその類であった。 ひかるたちははその審査員である。これから競うものに精通していて、かつ偏見なく審査を できる者は彼女たちくらいしかいない。 「デハ、これより究極と至高の対決をハジメマス」 こなたは究極を目指し、ひよりは至高を目指す。究極と至高そのものに優劣の差はない。 しかし、それをこれから決めなければならないのだ。 「究極と至高のエロドウジン対決、今回のテーマはみなゆたデス」 彼女たちはあくまで真面目である。 「まずは究極のみなゆたをお願いシマス」 先攻・究極のみなゆた 二人きりの保健室。白いベッドに横たわるゆたかを、みなみは愛しそうに見つめた。 「大丈夫かい、ゆたか」 「うん、少し休めば――それより、お姫様だっこは恥ずかしかったよぉ」 ついさっき、みなみはゆたかをそうして運んできたのだ。思い出したゆたかは赤面する。 「自分で歩くことくらいできるのに」 「私がそうしたのは……ゆたかを抱きたかったから……」 「みなみちゃん……?」 うろたえるゆたかに対し、みなみは真剣な眼差しで答える。これは冗談ではないと。 「抱くだけじゃない、もっと欲しい」 ゆたかの答えを待たず、みなみは口付けをした。眠れるお姫様を目覚めさせるキス。 「もっと、ゆたかが欲しい」 「欲しいって……何をすればいいの?」 ゆたかは何を言われても従うつもりでいた。その身を賭して自分に尽くしてくれる王子様に。 「わからないなら、ただ私のすることを受け入れてくれればいい」 「うん……私を、みなみちゃんにあげる」 ゆたかは潤んだ上目遣いでみなみを見つめた。それは他の誰にもできない、純粋で小さな ゆたかだけが体現できる可愛らしさ。 みなみはゆたかのそんな目が好きだった。いつも自分を見上げてくる瞳。無邪気に慕って くれる純真さ。ゆたかに恋心を抱くのは、みなみにとってとても自然なことだった。 「きれいなところ、全部見せて」 ゆたかの体を起こして衣服を全て脱がせ、自分も一糸纏わぬ姿になる。 「きれいだよ、ゆたか」 病弱さを示すように手足は細く、しかし可憐だった。申し訳程度に膨らんだ胸の先端には 小さな桜色の突起。そして、女の子の部分はまだ子供のままであり、きれいに縦のすじが 入っているだけ。一切の穢れを知らない少女の身体がそこにあった。 「そんなに見られたら、恥ずかしいよ……」 ここにきてゆたかはさらに赤面した。手で胸とあそこを隠そうとしたが、その手をゆたかに 押さえつけられ、そのままベッドに押し倒された。 一瞬、ゆたかの身体が強張ったが、すぐにそれを解いた。王子様の愛を受け入れるために。 「好きだよ」 「私も」 二度目の口付け。ゆたかを虜にするためのキス。みなみの舌がゆたかの口内に進入した。 強引に舌をねじ込み、唇を、舌を、歯茎を、ゆたかの味を貪る。口内を蹂躙され尽くした ゆたかは、涙目になりながらもみなみの行為を受け入れた。 「はぁっ……キスってこんなに……」 「これから、もっとすごくなるから」 ゆたかの胸の小さな膨らみ。仰向けになってしまえばみなみのそれと何ら変わらない。その 先端を口に含んだ。押さえつけた手はとっくに解いている。 「ひゃっ! なんかこれ……ムズムズするよぉ……」 「それは気持ちいいっていうことだから」 みなみの言葉通り、ゆたかはそこにやってきた刺激を快感だと認識した。 「うわぁ……おっぱい、吸われて気持ちいい……」 「こっちはもっと気持ちいいよ」 乳首を吸ったまま、みなみの左手の指はゆたかの割れ目をなぞった。ぷっくりと膨らんだ 割れ目の、まずは表面だけを優しく撫でる。 「ふわああ! ……な、なにこれ……」 「大丈夫、安心して」 はじめてそこを触られたゆたかには、ある種の恐怖感があった。しかし約束どおりみなみを 受け入れるために身体の力を抜いた。 今度は割れ目を開き、その内側を指でなぞった。 「あっ、いやっ、あぁっ!」 ゆたかの反応が大きくなってきた。その小さな身体を震わせて喘ぎ声をあげる。 まだ幼い少女の表情は羞恥と快楽に彩られて、それでも可愛らしさを失っていない。 「あんっ……だめだよ、わたし……変になっちゃうよ……」 「見せて、ゆたかが変になったところ」 出血まで至らないように気をつけながら、みなみは指を挿入した。はじめはゆっくり、 じわじわと激しくしていきながら、ゆたかの中をかきまわす。 「あぁ……んぁあっ……なんか、来るっ……」 「恐れないで。受け止めて」 みなみは三度目のキスをした。今度は、お姫様に勇気を与えるキス。これからやってくる 感覚を、恐れず受け入れるための勇気を。 「あっ、やっ、ふぁっ、ああっ……」 その時が近づいていた。ゆたかは小動物のように震えながら、ただみなみに抱かれている。 「ふぁああっ、あっ、あぁっ、もう、もうだめええええええっ!!」 絶頂がやってきた。ゆたかのその小さな身体が、はじめての感覚に震えた。 顔立ち、身長、胸、性格、どれをとっても子供そのもの。そのゆたかが今、初めてイった。 その危ういまでの美しさに、みなみは酔いしれた。 「はぁ……はぁ……」 虚空を見つめながら息を整えるゆたか。その唇を、四度、みなみの唇が塞いだ。 「んあっ……ゆたか……もっと、欲しい」 みなみこそが、ゆたかの虜になっていた。四度目のキスは、忠誠のキス。 「もっと、させて」 「うん、みなみちゃんに、もっとしてほしい……」 王子様は、お姫様を寝台に横たえたまま、さらなる愛を与えた。 「オー! ユタカがエロいデス!」 「うむ、小早川がいかにロリかをアピールしたうえで、その小早川を乱れさせることで 普段のあどけなさとのギャップを引き出している」 「王子様とお姫様に例えて二人の役割をわかりやすくしてあるのですねぇ~」 パティ、ひかる、ひかげがそれぞれの解説および感想を述べた。 「おお、審査員にも好評だぞ! さすがこなただ!」 審査員の反応にそうじろうは歓喜する。 「今回のみなゆたは歩く萌え要素であるゆーちゃんの萌えの部分を徹底的に強調することで エロさを表現することを主眼としました。そしてみなゆたの基本はマリみてのスール関係に も似た尊敬と慈愛。それを王子様を無邪気に慕うお姫様と、お姫様に心を開く寡黙な王子様 に例えることで攻め受けの関係を自然に演出しています」 「みなゆたの親友関係を応用した王道というわけだな」 ひかるのコメントにこなたは満足げに肯いた。 「そのとおりです。そして極めつけは保健室。学校という場で唯一ベッドのあるこの部屋は エロイベントの宝庫。どんな状況からでもエロシーンに移行することができるため、一切の 不自然さを感じさせません」 こなたの解説に、審査員の賞賛が続く。 「さすがはコナタ、ロリの扱いは心得てマスね!」 「私もひかげちゃんを愛してあげたくなっちゃったわぁ」 こなたはほくそ笑みを浮かべた。田村ひよりなど恐るるに足らない。 この究極のみなゆたに勝てるわけがない。こなたは勝利を確信していた。 「くっ、ひよりん……」 こうは歯噛みした。こんなものを出されたら、いくらひよりでも―― 「ふっふっふ……これでみなゆたを究めたというのなら愚かしいですね、泉先輩」 ひよりの表情に一切の焦りはない。むしろ嘲りが含まれているようにさえ見えた。 「なんだと!?」 「負け惜しみを……」 そうじろうは動揺。こなたは怒り。それぞれの感情を込めてひよりを見据える。 「泉先輩は肝心なことを見落としているっス」 「見落とし?」 ひよりの宣言に審査員の誰かが反応した。 「ハッタリだ! 究極のみなゆたのどこに欠点があるというんだ!」 「説明するよりも、まずは至高のみなゆたをご覧いただきましょう」 後攻・至高のみなゆた 手を繋いでいた。何も言えず、ただ手を繋いでいた。 何て言えばこの気持ちが伝わるのかわからなくて、ただ手を繋いでいた。 愛しい人を見つめてみた。彼女もこちらを見つめている。 繋いだ手から、絡めた視線から、気持ちが伝わればどんなに楽だろう。 (せっかくゆたかが来てくれたのに) みなみはゆたかを自室に招き、ゆたかはそれに応じた。しかし、ここに来て何をやったかと いえば、ただ手を繋いでいるだけ。一言も交わさないままに。 言わなければ伝わらない。でも何て言えばいいのかわからない。 言ってしまったら嫌われるかもしれない――みなみの手が震えた。 いや、勇気のない私を、ゆたかは嫌ってしまうかもしれない――みなみの身が竦んだ。 「みなみちゃんと友達になれたのって、みなみちゃんがハンカチ貸してくれたからだよね」 「うん……」 「みなみちゃんのこと名前で呼べなかったとき、私のことゆたかって呼んでくれたよね」 「うん……」 みなみには、ゆたかがそんなことを言ってくる理由がわからなかった。 「いつもみなみちゃんから勇気をもらってるから、今度は私が頑張るんだ」 ゆたかはみなみを真っ直ぐ見つめた。 「私、みなみちゃんのこと好き」 もう片方の手を繋いだ。指と指を絡めあう、いわゆる恋人繋ぎ。 その手から、視線から、ゆたかの想いが伝わってきた。ゆたかはみなみが好き。みなみは ゆたかが好き。その想いもきっと伝わっている。でもそれで満足してはいけない。 「私もゆたかのことが好き」 手には手で。目には目で。言葉には言葉で応える。そして―― 「ゆたか」 唇には唇で。二人の唇が重なり合った。 繋がった数だけ、想いが伝わる。それならば―― 「もっと、ゆたかと繋がりたい」 素肌と素肌で。一糸纏わぬ姿で。 ゆたかをベッドにエスコートして座らせると、みなみもその隣に座った。肩を抱き、もう 一度キスをした。 「ゆたか、抱きしめていいかな?」 「うん、もっと抱きしめてもらいたい」 その華奢な身体が折れてしまわないように、優しく抱きしめる。ゆたかもみなみの背中に 腕を回し、二人で抱き合うと、互いの胸が触れ合った。 「わ、私の方が小さい……」 ゆたかもほとんど無いも同然なので実際にはみなみの被害妄想なのだが、とにもかくにも みなみはそれだけ胸のことでコンプレックスを抱えていた。 ゆたかもゆたかで困っていた。一体どうすればいいのかわからずに……。 「私もそんなに大きくないよ……」 ゆたかはみなみの手をとって、自分の胸を触らせた。好きな人に胸を触られているという 事実にゆたかは感じ入ってしまう。みなみもまた、ゆたかの胸の感触と表情に魅入られてた。 「ゆたかは可愛いから。でも私は」 「みなみちゃんだって可愛いよ」 ゆたかはすかさず言い返した。 「みなみちゃんは優しくてカッコいいけど、やっぱり可愛いもん。私はその……そういう ところも全部含めて、みなみちゃんのこと好きだよ」 ゆたかのことを好きになってよかったと思った。澄んだ瞳で見つめてくるゆたかを、 心から愛しいと思った。 もう一度、ゆたかにキスをした。 「ゆたかのこともっと抱きたい。いいかな」 ゆたかは肯いて、自らベッドに横たわる。 「みなみちゃんの好きにして。みなみちゃんになら何をされてもいいから」 みなみも肯いて、ゆたかに覆いかぶさり、しかし体重を預けることはしない。 キスをしながら、掌でゆたかの肩を撫でた。さらに腕、胸、脇腹、太股、ゆたかの全身を 愛撫する。特に胸を撫でるときに反応が大きくなる。 「ん……みなみちゃん……」 名前を呼ばれて、少しだけ愛撫を強くした。文字通り腫れ物に触るように、細心の注意を 払いながら。 「んっ……んんっ……」 みなみはゆたかを優しい目で見つめる。 ゆたかはみなみを潤んだ目で見つめる。 もう一度、キスをした。 「もっと触っていい?」 「私も触るよ。みなみちゃんにも気持ちよくなってもらいたいから」 「うん」 互いの大事なところに手をあてがう。好きな人が自分のそこを触っていると思っただけで、 二人とも胸が高鳴った。 「みなみちゃん……んっ……私、気持ちいいよ……」 始めは穏やかに、徐々に激しく。くちゅくちゅと音がなる。 「ゆたか……もっと、して」 もっと気持ちよくなってもらいたい。二人の心は一緒だった。 「んふっ……みなみちゃん、もっと……きっ……気持ちよくなって」 それは、もっと気持ちよくなりたいという懇願でもあった。 「あぁっ……はあっ……ゆたかも……っ」 愛してもらっているから、気持ちよくなりたい。 愛してあげているから、気持ちよくしてあげたい。 「好きっ……んんっ……みなみちゃん、好きだよっ……」 「私も……好き、ゆたか、好きっ」 あまりの快感に思わず目を閉じそうになって、それでも愛しい人を見ていたくて、必死で 目を開けた。その怪しく美しい目つきが、互いを魅了する。 「わ、わたしっ、気持ちよすぎて、もう……」 「私も……もうすぐだからっ……ゆたかっ……」 愛撫していないほうの手を繋いだ。恋人繋ぎで。 心が伝わる。気持ちが伝わる。身体が繋がっている。 二人を阻むものはなにもなく、心のままに高まっていった。 「みなみちゃん、わたし、もうだめ、みなみちゃんっ、みなみちゃんっ、みなみちゃんっ!!」 「ゆたか、わたしも、いく、いくっ、あああああっ!!」 あまりの快感に押し流されそうになって、互いに離れないように強く手を握り、唇を重ねた。 しばらくそのまま抱き合って、愛を交わした余韻に浸っていた。 「ありがとう……私を好きになってくれて」 病弱な自分をいつも助けてくれる。いくらお礼を言っても足りないくらい感謝してる。 「お礼を言うのは私のほうだよ」 些細な悩みなど吹き飛ばされてしまう。どれだけゆたかに救われてきたことだろう。 ありがとうなんて何度言っても足りない。それでも―― 『ありがとう』 何度でも言う。こうして二人が繋がっているのだから。 「オオ……」 「むぅ……」 「あぁ……」 審査員は言葉をなくし、恍惚の表情で至高のみなゆたに見入っていた。 「ご好評いただいたようでありがとうございます。さて、今回の至高のみなゆたは『伝えること』 をテーマにしています。気持ちを伝えるには言葉が必要。言葉でなくても気持ちは伝わる。無口 で無表情な岩崎さんと明るくて表情豊かな小早川さんを対比することで一見矛盾する要素を両立 させました」 そして、ひよりは当てつけるようにこなたの方を見た。 「百合における基本は女の子が心で繋がっていること。今回はそれを『思いやり』という形で 表現していますが、重要なのは『愛する』ことではなく『愛し合う』こと……攻めだとか受け だとかそんなものは副次的なものでしかないっス!」 「くっ……」 今度はこなたが悔しそうに歯噛みした。 「なるほど、究極のみなゆたはゆたか萌えとしては出来がよくてもみなゆた萌えとなると カップリングとしてのアピールが足りないな」 「し、しかし究極だって『王子様とお姫様』って形でカップリングをわかりやすく表現して いるだろう!?」 「それに、私の方だって思いやりを忘れてない。保健室にゆーちゃんを運んできたんだから」 ひかるのコメントにそうじろうとこなたが反論する。究極が劣勢気味なので必死だった。 「それなら聞きますが、泉先輩……たった今保健室に運ばれてきた人間に激しい運動になる エッチを迫るのが『思いやり』っスか!?」 「うっ……!」 こなたに反論は残されていない。そこでもう勝負は決まったも同然だった。 「審議の結果が出たのよぅ」 「究極のエロ同人は岩崎に攻めさせることで小早川の萌えを強調した。対して至高のエロ同人は 岩崎と小早川の個性を際立たせつつ百合の本質をより深く表現した」 「よってこのショウブ、至高のエロドウジンの勝ちとしまス!」 「……っ」 敗戦の悔しさに、ひよりに負けたという悔しさに、こなたは深くうな垂れていた―― 「……あんたら、何やってんのよ……」 呆れ顔のかがみが呟いた。 かがみより年上の者も数人いるのに十把一絡げで『あんたら』扱いされてしまうあたり、 かがみの心境が窺える。 「美味し○ぼごっこ」 「なら料理で勝負しろよ」 「料理が得意なの私くらいしかいないからさぁ」 「いや、私が言いたいのはそういうことじゃなくて」 「かがみちゃん、こなたのキャラは演技だからね。いくらオレでも娘を山岡みたいに育てたり はしないよ」 「いや、ですからね」 突っ込み所が多すぎて、頭が痛くなってきた。 「でも負けて悔しいのはホントだよ。だから次は協力して」 「何を協力しろと」 もちろん、協力するつもりなど一切ないのだが。 「次の対決のテーマはかがつかなんだよね。だから絡みのシーンを」 「誰が絡むかっ!」 「ちなみに柊は次回のゲスト審査員だ。担任命令」 「なっ……そんな横暴な」 「次は君のために勝つよ、かがみん!」 「私のためになんかならんわぁ!!」 人類がエロ同人を求める限り、究極と至高の勝負はまだまだ -続かない- コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- ノーコメントとコメントしに来ました。 (2013-04-26 00 38 34) 究極の百合が完成したらオールカップルで発表するのかな? -- 名無しさん (2011-04-30 02 31 21) 笑った。(^O^)あははは こなたがひより×パティを、ひよりがこなた×かがみをやったらどうなるのだろう・・・ -- 名有りさん (2009-06-30 20 04 54) 百合しんぼは、続くべき -- 名無し (2009-06-30 13 57 08) つ、続けよぉぉぉ!!……て叫んじゃったじゃないスかww -- 名無しさん (2009-02-08 15 58 43) おまえらなぁ・・・www っていう感じで楽しかったです。 続いてもいいかもですー^^ -- taihoo (2008-08-09 22 38 44) 最高!!GJw -- 名無しさん (2008-03-21 05 23 16) 続かねえのかよ!!? 最高だから ぜひ続編希望! むしろシリーズ化希望! -- 名無しさん (2008-02-07 17 16 22) これはなんというカオスwwwww -- 将来ニートになるかも (2007-10-12 20 27 59) 何なんだ、このシュールさはwww 第2回目の対決希望。 一人真面目に突っ込むかがみん萌え -- 名無しさん (2007-10-07 20 55 09) しょーもない。非常にしょーもない。こんなしょーもない言い争いを真剣にする姿に、惚れたw是非、続いて欲しいなぁ・・・w -- 名無しさん (2007-09-24 19 29 49) 続かないのかwこういったものに皆が真剣に取り組むさまが、たまらなく可笑しいww ぜひ続いてくれw -- 名無しさん (2007-09-24 01 24 39)
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『元気』。 その言葉の意味は、日本人なら誰でも知っている。 小学生ですら知っている。 だが今春から高校生になった小早川ゆたかの場合……知識として意味を「解って」はいるが、身をもって「感じた」ことはない。 ゆたかがこれまで生きてきた15年程度の短い期間内にも、「子どもは風の子、元気な子」という有名なキャッチフレーズを耳にする機会は数え切れないほどあった。 実際、屋外でエネルギッシュに遊ぶ子どもの姿は、季節も場所も問わず目撃することができる。 しかし、同じ子どもであるはずのゆたか自身は……外遊びを楽しんだ記憶をほとんど持たない。 友人たちがプールでの水泳や雪だるま作りに大はしゃぎしている間、『元気』に欠けるゆたかだけはいつも布団の中で孤独を噛み締めていた。 (それでも) 保健室のベッドの上で、ゆたかは、ひとり、決意する。 (今年こそは、違うんだから!) 窓の外のグラウンドへ視線を向ければ、クラスメイトたちが楽しげにサッカーボールを奪い合っている様が見える。 ゆたかは、その輪の中に加わりたいという衝動を抑えきれない。 体育の時間が始まる直前、運動着に着替えている最中にいきなり襲いかかってきた頭痛はどうやら一過性のものだったらしく、こうして横になっていたら10分も経たずに治まってしまった。 新学期が始まった当初こそ、一度ダウンしてしまえば最低半日は起き上がることができなかったのだが、最近はやけに調子がいい。 こうして好ましい方向に変化しつつあるのは、きっと普段仲良くしてくれている仲間たちの影響だ。 みんなが当たり前のように持っている『元気』が、当たり前の存在ではない自分の中にもついに生まれようとしている……そんな予感が、ゆたかの胸を灼く。 「先生、あの」 保険医の天原に、おずおずと声をかける。 「ダメですよ」 先手。 どこか落ち着きなさげな様子を見ていれば、相手がこれから言わんとすることは容易に想像できる。 「無理はいけません」 せっかく起こした上体は、白い手により再びベッドに張り付けられた。 「私……だいじょぶ、です。ほら、さっき熱を計ったけど、35度8分しかなかったじゃないですか」 「高いのも困るけど、低いのも考え物ねぇ」 「むぐ」 「今のあなたは、体の免疫力が弱まってるんです」 ゆたかの両眉が「八」の字を描く。 「顔色も悪いままだもの。気持ちは分かるけど、がまん、がまん」 「……あと、どのぐらい寝てればいいですか」 少し拗ね気味に、ゆたかは口を尖らせた。 「最低でも、この体育の時間だけは休んでください」 「そんなぁ」 「病状を悪化させて早退するよりはマシだと思いますけど」 「はうぅ……」 今度は泣き出しそうな顔。 感情のおもむくまま目まぐるしく表情を変えるこの1年生を、天原は好ましく思っていた。 彼女は保健室の常連ではあるが、どんなに体調の悪い時でも、自分から「早退したい」と言い出すことは決してない。 手練手管を用いてズル休みを企てる不届きな学生が多い中、学校という場を純粋に愛し、病弱ながらも一日一日を大切に生きようとする健気さは、瞠目に値する。 ついでに付け加えるなら、あどけない寝顔が……もう最っ高にかわいい! 天使のような、という形容を用いても決して誇張ではない表情を独占している間、天原の心は安らぎっぱなしだ。 「さあさあ。遠慮せずに、死んだように眠ってもらって結構ですから」 「うう、縁起の悪い言い方はやめてくださいよう」 ゆたかが顔の青白さをますます深めたその時、誰かが控えめにドアをノックする音が響いた。 「…失礼します」 やはり控えめな挨拶と共に入ってきたのは、保険委員の岩崎みなみだった。 体調を崩したゆたかを保健室に連れて来るのは、大抵の場合みなみの仕事である。 学校内ではいつも連れ添っている仲良しの2人だが、互いの性格は見事に対称的だ。 ゆたかの考えていることはそのまま顔に表れるが、みなみは逆に感情を面に出さない……と言うより、出せない。 自分の内面を他人に伝えるのが苦手であり、それゆえに常時寡黙である。 よって保健委員会の内輪では不名誉にも「冷たくて近づきがたいヤツ」というイメージを付与されてしまっているが、それはあくまで一見の印象であって(天原も最初のうちは「なんか付き合いにくそうな子ですねぇ」と思っていた)、実際は誰よりも深い思いやりの持ち主なのだ。 みなみの仕事ぶりは常に実直で、かつ献身的。 まだ顔を合わせてから数ヶ月しか経っていないものの、天原はいつのまにか、みなみに全面的な信頼をおくようになっていた。 「あら、どうしたの?」 「確認…するために」 何を?という疑問は、天原もゆたかも発しない。 先ほど体調不良の生徒を保健室に送り届けた保健委員が、少し時間を置いてから再度戻ってくる理由といえば、ひとつしかない。 「ごめんね、みなみちゃん。私やっぱり、体育はできないみたい」 「そう…」 「もう少し休めば、次の授業には出られるようになると思います。体育の先生と担任には、そのように伝えてください」 「…分かりました」 みなみは、必要最低限の言葉しか口にしない。 今回も、聞くべきことを聞いた後はさっさと退室しようとする。 「失礼しまし……」 「みなみちゃん!」 一礼してドアを閉めようとしたみなみを、ゆたかが病人らしからぬ大声で呼び止める。 自分のために手間を費やしてくれた相手に、陳謝と感謝の言葉をそれぞれ一言ずつでも贈っておきたかったのだ。 「何」 「あ、あの、えっと、ごめんね、また、迷惑、かけちゃって」 「……保健委員の仕事だから……」 「でも、サッカーやってる途中なのに邪魔しちゃったみたいで」 「気にすることはない。私の出番は…次の試合」 みなみがそう言い終えるのとほぼ同時に、窓ガラスを突き破って鋭いホイッスルの音が聞こえてきた。 それにつられて、保健室内の3人は一斉にグラウンドを見る。 「最初の試合、終わったかしら」 「そのようです……行かなくては……」 「色々ありがとう、みなみちゃん!」 「……いや」 「試合、頑張ってね」 「……失礼、しました」 みなみは伏し目がちに、保健室を後にした。 面と向かって礼を言われたり応援されたりすると、どうしても照れてしまう…… 「先生。外、見ててもいいですか」 ほどなくして、グラウンドの中央に最初のチームとは別の男女が集まってきた。 さらにしばらくして、そこにみなみの姿も加わる。 「横になったままなら、構わないですよ」 「ありがとうございます」 寝顔鑑賞の機会が断たれたのは残念だが……憧れに輝く瞳でみなみの活躍を見守る様もまた、かなり微笑ましい。 的確なパス、意表をつくフェイント、力強いシュート、みなみは今日も絶好調だ。 みなみちゃんは凄いな、やっぱり。 あーあ、私もあのぐらい『元気』になれたらなぁ…… そりゃ、前に比べれば私も少しはマシになってきたけど…… でも、みなみちゃんに比べたら、まだまだだ。 背丈だって、相変わらず全然伸びていない。 どんな教科のどんなテストだって、いつも私よりみなみちゃんの方が高得点だ。 ……私は、全てにおいてみなみちゃんに負けている。 それなのに、みなみちゃんは私に優しい。 分け隔てなく友だちとして振舞ってくれている。 そういう余裕のあるところも、凄い。 凄いよね、敵わないよね。 どうして、みなみちゃんばかりあんなに恵まれてるんだろう。 私だって、『元気』さえあれば。 日の当たる場所で活躍できるのに……! 「小早川さん?」 急に表情を曇らせたゆたかに、天原が声をかける。 返事はない。 「どうしました? また気分が悪くなったんですか?」 「せんせい……」 今度は蚊が鳴くような声が返ってきた。 「はい?」 「おなか、いたい」 「まあ!」 「早退、しても……いいですか?」 断る理由を、天原は持たない。 1時間目が終わって、本日最初の休み時間がやって来た。 「オオウ、ヒヨーリ。また遠い目になてマースヨ?」 「はっ!」 「て言うか、スゴークいやらしー目つきデース。カブキチョーのお店を渡り歩く中年エロオヤジみたいネー」 パトリシアにからかわれて、田村ひよりはようやく気付く。 己が無意識のうちに腐っていたことに。 「……とほー。表現がエグいね、パティさん」 ひどい言われようではあるものが否定することもできず、ひよりは臍を噛む。 ゆたかとみなみがいくら仲睦まじい様子を見せつけようとも、世間の大多数はそこに「友情」以外のものは見出さないだろう。 だが、常に漫画のネタを捜し求めているひよりの場合は違う。 彼女の眼鏡を通して見る2人の背景には、どうしても百合の花が繚乱してしまうのだ。 「マア、ヒヨリがドリーミィになる気持ちも分かりマース。ユタカとミナミのカラミ、ベリーベリースウィート!」 「しーっ! 絡みって言うな、はしたない」 「じゃ、マグワイ……」 「もっとヤバいっつーの!」 「ウープス、ニポンゴむずかしデース」 「いや、そういう言葉を知っている方がおかしいから」 教室の片隅でそんな生暖かいやり取りが繰り広げられていることにも気付かず、ゆたかとみなみは黒板掃除の仕事をせっせとこなしている。 今日はみなみが日直なのだが、「いつもお世話になっているから」という理由で、ゆたかが手伝いを申し出たのだ。 「……ううー」 届きそうで届かない位置にある二次方程式に向かって、ゆたかは精いっぱい腕を伸ばす。 あと3センチ……いや1センチ指が長ければ、なんとか消すことができるのだが。 「あ」 サッと、魔法のように目標が消えた。 ゆたかが消したわけではない。 やったのは、みなみだ。 みなみが、ゆたかの背後から、無言で黒板消しを走らせたのだ。 昨日の保健室で味わったものと同質の苦味が、胸の中に広がっていく。 「ご、ごめんね。私チビだから、あんまり役に立てなくて……」 ゆたかは、振り返りざま頭を下げた。 「……いい。もともと、私の仕事だから」 ゆたかの目元は至って涼やかだ。 こういう目で見つめられるのには慣れているし、ゆたかの外面と内面が別物であるということも重々承知している。 なのに。 その「クールさ」が、今日に限っては単なる「冷酷」にしか感じられないのはなぜだろう。 「あまり……無理はしないほうがいい」 「え?」 「昨日、早退して……その後、だいじょうぶだった?」 「うん、帰ってから今朝までぐっすり眠ったから。もう全然へーき」 「それでも……病み上がりは体調を崩しやすいから……気をつけて」 「……ん」 分かってる。 みなみちゃんは、優しいだけ。 決して、見下したり哀れんだりしているわけじゃ…… 「4時間目に、また体育がある」 淡々とした口調で、みなみが言う。 「昨日はサッカーだったけど、今日はドッヂボール」 「あ……そうだったね、確か」 「激しく動き回る競技ばかり続いている。今回も休ん……」 「やるよっ!」 みなみが最後まで言う前に、ゆたかは勢い良く答えていた。 「ちょっとぐらい運動しても、平気だもん」 「だけど……」 「本当にだいじょーぶだって!」 ガッツポーズをとり、覇気をアピールする。 挑むような視線で、みなみを射抜く。 それが自分に心配をかけまいとしての虚勢ではないかと疑うみなみもまた、ゆたかの顔色をじっくりと確認する。 2人を包む時間が、しばし、流れを止めた。 「……分かった」 みなみの微かな首肯が、再び時を動かす。 「でも、少しでも気分が悪くなったらすぐに言って」 「心配ないよ!」 ゆたかは、にっこりと笑った。 柔和な表層の向こうに、薄く野心の色が透けている笑顔だった。 だが、それを見るみなみの無表情が崩れることはない。 4時間目。 太陽の照る下、校庭の砂塵を無駄に巻き上げながら、ゆたかは大い体育を楽しんでいた。 いつだったか体育館の中でドッヂボールを行った時と同様、体育教師はゆたかを外野に配置しようとしたが、当のゆたか本人がそれに異を唱えた。 「外野は前にもやりました! 今度は内野がいいです!」 おいおいマジかよ、という陰口が周囲から聞こえるのも構わず、ゆたかは己の主張を貫き通した。 その結果が、今の状況だ。 ゆたか側の陣地に残っているのは、ゆたか自身、ひより、とある男子の合計3名。 対して、敵側は唯一みなみを残すのみ。 そのひとりを、3人はどうしても倒すことができない。 この3対1の構図が出来上がるまでに、ゆたかは何度も心地良いスリルを味わっていた。 飛んでくるボールを、かわす。 ただそれだけの単純な動作の繰り返しが、ゆたかには面白くて面白くてしかたがなかった。 避けるたびに、自分の身が意外と敏捷であったことに驚く。 そして、普段はマイナス面として捉えていた背の低さが、ここでは逆に狙いのつけにくさという利点として機能していることに、喜ぶ。 敵も味方も次々と倒れていく中で、ゆたかは意外なしぶとさを発揮していた。 流れる汗を拭うのも忘れ、肩で息をしていても全く苦しさを感じないほど、今のゆたかは幸せだ。 昨日の不本意な早退も、今日の『元気』を養うためのものだったのだと考えれば、無駄ではなかった。 「このおっ!」 ゆたかチームの男子が、外野からまわされたパスを豪速の弾丸に変えてみなみに打ち込む。 「……っ!」 ずばん。 少年の全力は、少女の両手が小気味のいい音と共に難なく吸い込んでしまった。 「うそ、だろ……あがっ!」 目を疑う暇もなく、彼は猛反撃の餌食となる。 みなみの投げるボールは、試合序盤に比べれば流石に勢いを鈍らせつつあるものの、それでもまだ常人の反射神経を上回るほどには強烈だ。 残り、2人。 倒れた男子の傍から、ひよりの方へとボールが転がっていく。 「……恐るべきは岩崎さん、だね」 真正面から立ち向かったところで、玉砕するだけだ。 ならば奇策で勝負をかけるしかないだろう。 「ぬふふふふふ」 羽団扇をあおぐ孔明のごとく不敵に微笑みながら、ひよりはゆっくりとボールを拾い上げ……すぐ横に立つゆたかの方を向いた! 「はぁーい、パスいくよパス」 「え、え? ええっ?」 戸惑うゆたか。 そりゃそうだ、内野から内野にパスなんて手、聞いたこともない。 「ほーらほら投げるよ、いち、にーぃの……」 慌てふためきながらも、ゆたかは顔の前に手を構える。 しかし、当然ひよりはそちらの方へボールを投じるつもりはない。 真の標的は、センターラインの向こうで、ゆたか同様呆気に取られているであろう…… 「さぁんっ!」 急激な勢いで腰を半回転させ、持てるエナジーの全てを右腕に注ぎ込み、さらに (WRYYYY! 勝ったっ! どうだこの目くらましはっ! 死ねい!) そんなセリフを頭の中で叫んで、ひよりは一世一代の投擲を行った。 「……甘い」 「あ、あれ?」 「……せいっ」 「ごぶぇ!」 小細工は、相手の油断の上に立って始めて効果を奏するもの。 常に冷静沈着な相手には、通用しない。 「やれやれ……だぜ」 そう言い残して、ひよりは崩れ落ちた。 ざわついていた周囲が、一斉に口をつぐむ。 誰にとっても意外な展開だった。 クラスで1、2を争うアスリートと、クラスで最もか弱い存在が、何の間違いか対峙してしまっているのだ。 だがコート内の当人たちだけは、まるで「こうなって当たり前」とでも言いたげな顔をしている。 ……絶対に狙わないようにしていたら…… …………最後まで残ってしまった………… …………………どうしよう………………… もちろん、みなみちゃん相手に勝てるとは思ってない。 でも、せっかく最後まで残れるようにがんばったんだもん。 結果はどうあれ、せめて、私だって『元気』になれるってことだけは……知ってほしい! ひよりと男子が外野に去るのを見送ってから、ゆたかはボールを手に取った。 直射日光を浴びすぎたせいで、頬が燃え出しそうなぐらい熱い。 足元もふらついている。 だが、そんなことは最早どうでもいい。 これは、長い期間を待ち続けて、ついに掴んだ貴重な機会。 ならば悔いの残らぬよう、自分の全てをぶつけるだけだ。 「私、本気で投げる。だから、みなみちゃんも……」 みなみは答えない。 珍しく動揺しているようだった。 みなゆた喧嘩もの 2話に続く コメントフォーム 名前 コメント
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【登録タグ お トマ豆腐 曲 猫村いろは】 作詞:トマ豆腐 作曲:トマ豆腐 編曲:トマ豆腐 唄:猫村いろは 曲紹介 既出の題材を用いてしまったことで、パクりともとられかねない状態を嘆いた歌。 歌詞 やろうとしたら 既出でしたね 偶然の一致だね おまはやSAD パクリじゃなくても似てることで オリジナリティ損なうのYOUNG どうにかして 自分だけが正義だから 懲悪やめられない 本人がどうってことなくても 援護射撃手強い ググってよかったよね 既出の題材 使わないで済んだよね パクリとか言われずに ほんとうに安堵 やろうとしたら 既出でしたね 偶然の一致だね おまはやSAD パクリじゃなくても似てることで オリジナリティ損なうのYOUNG どうにかして 何でもすぐdisったりして 思い込みが激しい 無駄な抵抗ね スキ突かれて 反撃されかねない 無視するのが一番で 変なイライラ しないように余裕持とう 逆にもしパクリなら 光栄ね ふぉふぉふぉ... 自分のに似てる題材使用 発見して気違う自惚れGUY パクってなくても似てるだけで パクリ認定したがるSEE ah... オリジナルだと言い張ってる事より 遥かに人気なのが気に入らない オマージュだとしてあなたなら 何て指摘できますか? 逐一何かと比較され ○○(なになに)っぽいなどと言われるNET ピッタリ重なるアイディアは 同じ感覚持つ証 「既出の題材」題材に した動画はない でも伸びそうにNIGHT だけどオリジナル発案した 題材が既出だった この悲しみを歌にしちゃう それがト豆 (作者本人より記載) コメント 名前 コメント