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二つの足音が、響く。 一方は赤髪に長身の神父、ステイル=マグヌス。 「何だい、神裂。日本から帰って来たと思えばこんな書棚に呼び出して……」 もう一方は、極東の聖人、神裂火織。 「すいません、ステイル。ですが、この事実をあまり広めたくはないのです……」 そしてここは、聖ジョージ大聖堂の地下の一角に広がる書庫。表の歴史を国が管理するように、“裏”の歴史を管理し、次代へつないでいく為の施設……なのだが、今現在は埃にまみれた本の巣窟と化しており、今はとあるシスターさんが管理を任されている次第だった。 人の気配を鋭敏に映すこの空間を神裂が選んだのは、それだけこの会話を内緒にしたいのだろう、と思うステイルに、神裂は語り出す。 「あなたは、『時越え』の術式を知っていますか?」 「『時越え』……ねぇ。机上の空論という意味でなら、吸血鬼よりも疑わしい存在であることは、心得ているよ。 十分です、と前に置くと、いきなり神裂は核心を突いた。 「その術式が、もしも机上の空論でないとしたら……?」 「!?」 「確かに、一部に伝わる『時越え』の術式は机上の空論です。人間には決して扱えない魔力量を必要とする、絶対的で決定的な不可能。ですが、それは人間に限った場合だとしたら?」 「ちょっと待ってくれ、意図が読めない。だから、人間にはそんな術式は使えないはずで―――」 瞬間、ステイルも自分の言葉に答えが眠っていることに気付いた。 それを見透かしたかのように、神裂は言う。 「そうです。永遠の寿命を持ち、それに応じるだけの魔力を有し、かつ扱える理性を持った存在………」 「うふふ、不幸だー……」 所変って学園都市。相も変らず不幸な少年、上条当麻は現在、クラスの3バカ(デルタフォース)の裏切り者2名+姫神+吹寄にたかられていた。 理由は、上条がつい3日前までイタリアに居たことにある。 「くそぅ、キオッジアの傷も治ったと思ったら土御門にイタリア旅行(という名の宗教戦争)をばらされるし、青髪以下男子におみやげをねだられるし、吹寄はクラスの分は何が良いか投票するし、姫神からは視線で責められるし、……不幸だー……」 そうこうするうちに話は進み、彼等クラス代表はここ、第14学区へと来ていた。海外からの留学生が集まるこの学区には、世界中の本物の料理、民族衣裳、家具などがそろっていて、おみやげの偽装にはぴったりという訳だ。街を行きかう人も国際色豊かで、半分は外国人ではないだろうかと思う程に多い。 (もっとも、本物な分値段も張るんだけどなー……) 重い溜息をはいた瞬間、金髪グラサンの土御門ががっしりと肩を掴んできた。 「何だか聞き捨てならないことを思っていないかにゃー、カミやん?」 「い、いえいえ!?」 あわてて表情を戻すのと同時、反対の肩に青髪が組み付く。 「カミやん、おみやげは期待してもええんですよね?イタリアのおみやげなんて何があるか知らへんけど、とりあえずむやみに高そうなチョコ辺りで妥協してやらんこともないでー?」 「テメェ……」 思わず殴りそうになっていた上条を制したのは、吹寄の良く通る声だった。 「下らないものに気を引かれている予算は無いわ。多数決による上条へのペナルティはもう決定しているのだから」 「う……それは本当に予算に収まるのでしょうか吹寄様……」 「当たり前でしょう。そもそも、貴様がちゃんとしたものを買ってくれば良かったのよ」 「さりげに論点がずれてる!?」 ぎゃあぎゃあと騒ぐ4人に、ふと。 「そういえば」 後ろにいた姫神が頬に指を当てて視線を彷徨わせ、思い出したように問い掛けた。 「「「「………?」」」」 「あの抽選の景品は。2人1組の北イタリア旅行だったはず。……上条君は。誰と行ったの?」 「え……?それは……姫神さんの勘違いではありませんでせうか?」 「間違い無い。私は。この間まであの学校にいたから」 「……え……と…」 ずい、と至近距離に詰め寄られて言葉に困った所で、上条は気付く。 血の涙を流さんと構えている青髪ピアスと、手をボキボキと鳴らしている吹寄と、その背後で全てを知ってニヤついている土御門の存在に。 結局、おみやげ予算が1.5倍になりました。 (く……このままではインデックスの分の予算までも……!!) 結構深刻に食費の心配をする上条のことなど一切無視して、上条以外のメンバーによるおみやげ選びは進んでいく。 今彼等がいるのは、地中海風の白壁の建物に囲まれた地区。……といっても、学園都市の技術による精巧な模造品であり、白い壁は風雨に長年さらされたことでしか出せない筈の“砂っぽい白さ”を完全に再現していた。 「いやー、本場のはこんなに高いとは思わなかったにゃー」 「まぁ、予想の範囲内ではあるわね。あとは小萌先生の分を……」 「ちょっと皆。上条君が。暗いのだけれど」 「ええんですて姫やん。カミやんにはこれくらいの不幸は味わってもらわへんと」 「ステキな友情をありがとうよ、青髪ィ……!!」 再び乱闘に突入しようとしたところで、先を歩いていた吹寄の足が止まった。 その理由を上条が問いかけようとして、彼も理解した。 「貴方……誰なの?」 彼女の視線の先には、一人の少年がいて。 ―――素直に、宝石のようだと思った。 日本人にはない、スラリと延びる足。制服の先から覗く、周囲の壁と融け合いそうに白い肌。それらを全て差し置いて、ルビーのように輝く髪が見る者の心をさらっていく。 ファッションにそこまでの知識が無い上条にも、染めていないと何故か分かってしまう、深い深い紅の髪。無造作にハネているはずのそれが、宝石のように美しいのだ。 そんな少年は、これまた爽やかな笑みを浮かべると、こちらの一団に歩み寄って来る。 そして、とある少女の前にひざまずくと、 「貴女が好きです。結婚してください」 柔らかく手を取り、姫君に誓う騎士のようにそう、告げた。 そのとある少女とは、 「え。と。君は……?」 顔を真っ赤にしてかろうじて声を出す、姫神秋沙。だった。 「「「「―――ッッッ!!!」」」」 彼らの行動は、迅速。 目の前のアホ男に対し、クロスカウンター一閃。 ただし、手数が3倍。 「「「珍しく意見が合うわね(じゃにゃーか)(いますなぁ)、3バカぁぁぁ(*1)!!!」 姫神が何らかのリアクションを取るより早く、名も知らぬ謎の少年は彼方へと吹き飛んだ。 20分後。 「にゃー、かみやんを差し置いてここまでアホ抜かす奴がいるとは思わなかったぜい……」 と、土御門が謎の少年に迫れば、 「いいえ、この男には私が鉄拳を下すわ」 と吹寄が土御門を押し退けて少年の前に立ちはだかり、 「べ、ベルちゃん!?」 と、偶然居合わせた可愛らしい声の担任教師による助け船を経由してようやく、 「始めまして。アベル=V=スカーレットと言います。美しい貴女のお名前は……?」 ごちん。 上条の拳で黙ったアベルと名乗る少年を囲み。とある喫茶店で尋問が始まっていた。
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ア行 有冨春樹(ありとみはるき) カ行 学園都市研究発表会 甘味栄華(かんみえいが) 草壁優美(くさかべゆみ) ケミカロイド計画 サ行 桜井純(さくらいじゅん)(未編集) ジャーニー スタディコーポレーション(未編集) タ行 幽体拡散(ディフュージョンゴースト) ハ行 フェブリ マ行 斑目健治(まだらめけんじ)(未編集)
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―――――――前回までのあらすじ! 常盤台のバカルテットと共に行動を共にしていた私、罪木瞳。 訪れた向日葵だらけの植物園!しかしその地下には曰くつきのお金の山が埋まっている事が判明! 植物園を守るため!…あと出来ればお金をちょろまかす為。 人それぞれの意思と思索が交錯するとき、物語が始まる―――! ~~~~~~~~とある猫娘達の日常 向日葵の上でぐだる~~~~~~~~~~ 「………………………………………(さて…勢い余って飛び出して来たは良いけど…)」 こちらの目的は向日葵畑を守る事。 あんな見事な風景を無粋な事情の犠牲にする訳にはいかない。 お金の噂を聞きつけてやってきた賊みたいだし、精々スキルアウトとか性質の悪い研究者風情だろう。 そう思って私一人でも十分と高をくくって出てきたわけだが… しかし、どうにも予想と違う人達を相手にしなくてはならないらしい。 こちらへ向かってきている二人は…どうみても子どもではない。 大人って事は、スキルアウトや能力者集団とかじゃない…?研究者って風情でもないし…。 しかしこちらへ向かってくる二人の更に後方にはさらに何人もの気配が控えているようだ。 学園都市の大人でアレほどの規模を持つものと言えば… 「………………………………………(警備員…?いや、それにしちゃあ物々しい)」 それに今回の件は別段警備員が動くような物では無いはず。少なくとも今の時点ではだ。 仮に学園都市側がこの件を把握していたとして動き出すには早すぎる。 こういう案件は秘密裏に潰すのが上のお家芸だし、警備員を動かすのは最悪の手だろう。 つまりあれは事情が表に出る前に事態を収めに来た刺客って事だろう。 そういえば視歩から聞いたことがあったっけ?確か… 『警備員の中には秘密裏に事件を解決する部署があってね。まぁ、解決と言う名の口封じなんだけど…』 記憶の海を探り、情報を引き出そうと試みる。 まだ二人だけのデバッカーだった頃、いろいろな事を教えてくれた視歩との話の中で聞いた筈。 そして思い出す。―――まるでドラマか何かみたいだけど、そう前置いて得意げに話してくれた知識。 「………………………………………(COU…だったかな。警備員の中でも特殊な案件を扱う部署)」 思い描いた情報を基にあちらから向かってくる二人を視れば、その情報は正しい物であると証明できた。 迷いの無い歩みでこの植物園を目指す彼らの心を探れば任務だの情報統制だの口封じだの物騒な言葉が乱れ飛んでいた。 …あんな連中が直々に回収に来るだなんて…職員の心を読んでもお金の出所までは分からなかったけど。 様子を鑑みるにどうやら相当マズイお金みたいね、これは。 そしてこちらへ向かう二人は目当ての植物園の入り口に立ち塞がるように立つ私に気付くのだ。 …逃げ場は無い。私だけでも彼らをどうにかやり過ごさなければならない。 いや、どちらかと言えば今回は私がどうこうするって訳でもなさそうだ。 文字通り私はやり過ごすまでが仕事。解決に関しては相応しい役どころが居る。 (何だかんだとあそこであの四人に出会ったのはこれの為だったのかもね。…メタ過ぎる視点だけどさ) いよいよ以ってシュマゴラス的なサムシングじみてきた私の思考だ。 まぁあれはあれでかわいいから大歓迎である。…かわいいよね?シュマちゃんかわいいよね? 「あっれれぇ?何か情報に無い子が居るみたいなんだけど?」 雑多な思考回路を纏め上げて、視線をゆっくりと上げ相手を見据える。 ―――視界を繋げ。瞳を合わせろ。この二人だけでは無く、後ろに控える全ての人間の心を読め。 能力の使用に際して視神経とそれに連なる脳が微かに火花を散らす錯覚に陥る。 他人が見るならば今の私の目が普段以上に青白く澄んでいる様子が分かるだろう。 …この植物園へと向かってきたであろう全ての人間と視界を接続した。 正直十人以上繋ぐと頭が痛いんだけど四の五の言ってられない状況下の為、我慢をする事にしよう。 目を向けるまでも無く伝わってきた情報を頭の中で反芻する。 先頭を歩き、私の姿におどけた様な感嘆の声を浮かべる男はカラフルな蝶ネクタイの目立つ灰色のスーツの男だった。 …名前は『尾振仔猫』か。もう一人は… 「目撃者って事ですね。どうしますか、隊長?」 『葛木実鼬』と。残りの気配は全員後ろの方に控えている。 この二人が隊長格か…。というか、今隊長って言ってたし。 でも心を読む限り、後ろに控えているのはCOUのメンバーでは無いようだ。 あくまで情報統制の為の人手として臨時で任務に借り出された一般の警備員なのだろう。 その証拠に後ろの連中はどんな任務かも知らされていない様ではないか。 この調子なら先頭の二人さえ抑えてしまえば事は済みそうである。 「こんな子どもに手を下すのはかわいそうだよねぇ。…まぁ、いつも通り貴女が処理しちゃってよ」 改めて意識の分量を目の前の二人の方に偏らせる。 後ろに動きがあったときの為に最低限の演算力はそれぞれの相手に割り振った上でだが。 そして今の発言からして命を奪う気は無い、と捉えてよいらしい。 しかしどうやら口を封じる為に私に危害を加える気はある様だ。 証拠とばかりに、了解ですと葛木の方が歩み寄ってくる。おっと、私を取り押さえる気か…。 彼女の動きをよく観察する。あ、よく見たら飴玉加えてる。甘いもの好きらしい あまりに場違いな能天気過ぎる着眼点かもしれないが能天気なのは生まれつきである。 という訳でトレースオン!舐めてるのはチュパ○ャップスのソーダ味か…。 私としてはプリン味が好きだったりする。ちなみに前に焔がどこからか持ってきたか分からないキャンディ。 その名も『焼き鳥味』!はい、二度と来るなといいたくなる味だった事は言うまでもない。 というか、仮にも朱雀と呼ばれる能力者がもってきて良い味ではないだろ、これ。 あ、朱雀だからこそ焼き鳥なのか。そんな洒落はいらんのですよ。屁のツッパリじゃなくてさ。 更に能天気な思考が頭を駆け巡るが、そんな場合でもなかった。 最も、能天気であろうと完全にこちらをタダの子どもと見くびっている相手の動きなんて、見て無くても当たる筈も無いけど。 慢心とも取れる思考を振り払いもせずに私は足に力を込める。 動かない私を見て葛木は疑いもせずに手を伸ばし… …そして、私を取り押さえんと伸ばされた手は空を切った。 既にそこに私の姿は無く、間合いは先程と変わらないほどに離されていた。 完全に予想外という顔で私を見やる葛木の表情は中々に気分が良い物だ。 目論見や策略がうまくいくと気持ちがいいのと似たような心理だな、等と自己分析をしてみる。 混乱から素早く立ち直った葛木は、ふんっと鼻を鳴らすように笑うと再始動する。 油断のパーセンテージが減ったその動きも、次に狙うところが分かっていれば大した脅威でもない。 「…ふぅん。ちょ~っと子どもらしくない動き…ねっ!」 どこをみている!貴女の太ももです! …これ言わせるなら視歩の方がいいか。属性的にも太もも的にも。 そろそろデバッカーのメンバーにデミ○リを加えるべきだという直訴文を考えながら身構える。 そして再び伸ばされた手も難なくかわし、再び間合いを取る。 動きを見る限り訓練は受けているのだろうが、超人的な動きが出来る風でもない。 こちとら日々命懸けで生きるのに必死なのだ。潜ってきた死線の数は年の差を凌駕してもまだ余りある。 心を読むどころかそもそも動きが目で捉えられないような敵と相対しなければならない日常。 そんな経験を思い出せば、その動きでは捕まる道理は無い。 捕獲しようとする手を繰り返し回避し、身を翻すと同時に不適に笑って見せた。 相手を追い詰めるのに直接手を出す必要など無い。 自らの目論見がうまくいかない、それだけの事で人は余裕を無くす生き物なのだ。 そして逆にこちらの目論見は順調に達成されつつある。 何度繰り返しても捕まらない私に業を煮やしてか、舌打ちを鳴らされた。 もう少し、もう少しだけ追い詰めれば催眠術を捻じ込む隙が出来そうだ、と意気込む。 「こいつ…!いいかg「子どもと鬼ごっこをするのも結構だけど…少し待ってもらえるかい?」 しかしその目論見はもう一人によって邪魔される事になる。 追い詰められていた葛木を嗜めるように尾振が口を挟んだ。 (ちっ…あと少しで戦闘不能に出来たのに。それに…どうにもこの男…) なかなかどうして鋭いらしい。流石は一つの組織の頭と言うべきか、この場合組織と言うより部隊なのかもしれないけれど。 葛木と追いかけっこをしている私を見て、どうやら私の素性を少し察したらしい。 そもそも隠す気も無いし、どうせばれたとしても表の身分だけだ。問題は無いだろう。 恐らく見咎められたのは腕輪…もとい、腕輪にあしらわれた『CD』という意匠だろう。 これは私達の組織、チャイルドデバッカーの証。 最もこれ自体は非合法組織ではない『表側』のメンバーも付けている物で、裏メンバーに限った物では無い。 私達も表向きの身分はチャイルドデバッカーと言う『置き去り出身の子ども達を社会復帰させる団体』のメンバーと言う事になっている。 籍を置いていると言うだけで、リーダーとして視察へ向かう事のある視歩を除けば他のメンバーはその団体へと参加する事は無いのだが。 しかしこの身分は私達を守る隠れ蓑となっているのもまた事実。 相手が誤解してくれる分には存分にしてもらおう。 どれだけ探ろうと見つかるのは表側に残された書類上だけの名前、と言った次第である。 「チャイルドデバッカー、確かその腕輪の意匠はその証だったね」 その事実に気付き面白くも無さそうに嘆息する尾振。 つまらなそうな表情の意味は心を読まずとも推測できる。要するに同類ゆえにやり辛いという事だろう。 中々どうしてよく考えてるようで対峙するこちらからすれば厄介極まりない。 何も考えない相手って言うのもそれはそれで厄介なのだけれど、それはそれだ。 そしてその厄介な敵を改めて見やる。つま先から頭の先までしっかりと観察して、思う事は一つ。 (…それにしてもこの男…随分冴えないな。見た目だけならダメなおっさんの典型例なんだけど…) わーお、マダオだねマダオ。まるでダメなファッションセンスのおじさん。 何かって服のセンスと言うか、チョイスとか色々と残念なのだ。 本人は気に入っている様だが、周りはお察しと言った具合だ。 (こういうまともじゃない連中ほど、何故か気が抜けるようなズレ方をしてるんだよねぇ) 人の事言えないだろうという様々な方向からの声無き声を受けている気がする。 お前ら全員サトラレか!あ、私がサトリだったわ。元ネタ的にもさとりでしたわ。 …あぁいや、そんな個人的なところまで言う必要も何も無いんだけどさ。 どうにもこういう時に限ってどうでもいい所に目がつくのは悪癖だ。 「チャイルドデバッカーって…確か置き去りの保護とかをしている集団じゃありませんでした?」 葛木が言葉を挟む。言葉の意味は、なぜそんな集団のメンバーがこんな所で私達と対峙しているのか? そういう類の発言だったようだ。事情を知らない人からすれば当然の疑問ではある。 しかし言葉だけを受け取るなら、その通り。表であろうと裏であろうとそれは変わらない。 最も、裏のメンバーの仕事は警備員や風紀委員におおっぴらに話せない内容であるが。 表側の活動は学園都市からの正式な認証を受けた公式グループである、という後ろ盾を有している事もあり 外敵からの危害と言うのはシャットダウン出来ている。 加えて朱点ら表側のメンバーも最低限の戦闘技能を有しており、視歩が雇ってきた砕華や華石と言った用心棒も居る。 特にこの二人の実力は折り紙つきだ。その辺の雑魚では傷一つ付けられはしないだろう。 もちろん裏側には裏側のコネがある。そこらへんの外交を取り持っているのは全て視歩であるけれど。 いや、最近はメアリがその位置に就く事も多いか。あのメイド、更に出来るようになったな…!じゃなくて。 我が組織で一番の歪みを抱えていたメアリではあるけど、その歪みが解消された今彼女はかなり有能な存在として重宝されている。 その歪みが解消される際には、一騒動どころではない騒ぎになった物だけど。それはまた別の場所で語るとしよう。 「所謂、僕達と同じ秩序側の人間って事だ。下手に手荒にしないのが身の為って訳よ」 そう、どちらもまともでは無いとは言え秩序を守る側であるのは変わりない。 もっともそれはあちらからの視点。私達からみれば同類でも何でもない訳だけど。 裏デバッカーに限っては秩序を壊す側である訳だけど、それが知れればさらに敵対を煽るのは必至。 わざわざ知らせる事もないし、そもそも私には伝える手段が無いからそれ以前の問題か。 「って言っても、捕まりませんよ?後ろの連中呼んで大勢で捕まえたほうが早くないですか?」 おっと、思わぬところでピンチが…なんて冗談だ。 むしろ大勢で来てもらった方がとても都合が良い理由がある。 「………………………………………(来い……一網打尽にしてやる)」 これから訪れるであろう一瞬の攻勢に緊張を覚えた。 否、これは正常な緊張であり有益な緊張だ。適度の緊張はパフォーマンスを向上させる。 唯でさえ私の持つ最大の攻撃手段である催眠術は私自身の精神状態にも大きく左右される。 そしてそれ故に、今の私の状態はベストだ。程よい緊張と、適度の昂ぶり。 能力の精度も強度も申し分ない。この調子なら後ろに控える有象無象など一秒で全員行動不能に出来る。 それほどに後ろの連中は平和な心を持つ人物達の様だし。 心を、それも人の最も醜く弱い心を覗き見る私の力は催眠術と相性が良い。 そしてそれは心の綺麗な人物こそが標的となり易いのは言うまでもない。 …これは聞いた話だが、私の力で心を覗かれた人物には心理的圧迫が生じるらしい。 この圧迫感は私が心を覗く強度に比例し増していく。 これらの要素を組み合わせる事で私は催眠術を行える。 その威力は折り紙付き、精神の弱い人間であれば一瞬で行動不能に陥る。 という訳で来るならこい!対空技の準備はばっちりである。 飛び道具で煽って近寄ってきた相手に昇竜、基本だよね! 「いや、それはやめておいた方がいいね。何となく嫌な予感がする」 …ガンガード戦法ですかそうですか。 しかし、どうにもうまくいかないことに遺憾を禁じえない。 むしろこっちの心を読まれたんじゃないかというピッタリのタイミングでの静止に少し肩透かしを食らう。 しかし大した勘だと思う。やっぱり何かしらの長という物は危機察知能力も問われるのだろうか? 視歩も視歩でとんでもなく勘が働くタイプだし、案外的を射ているのかもしれない。 「でも、そしたらどうするって言うんですか?」 慎重を貫く隊長に業を煮やしたのか指示を仰ぐ葛木。 確かにもう少し何か動きを見せてくれたほうがこっちも嬉しいのだけど…。 心を読むまでもなく慎重な行動を信条とするタイプなのが伺える。 リスク回避と言う奴だろう。視歩も度々言葉にするワードであり、耳に馴染んでいる。 私は基本的に受け身な戦法しか取れないので、攻めて来てくれないと手の出しようが無い。 言葉での説得や揺さぶりも私には無理な話だし。 「…どうやら子どもながらに話し合いは出来そうと見るよ、僕は」 話し合い、と来たか。一応言葉に偽りはなく、互いの利害によっては取引も出来そうである。 そしてあちらの要求は予想通り向日葵畑の地下に眠る大金の様だ。 しかし要求通り大金を差し出したとしても、こちらの目的は向日葵を守る事であるからして素直にハイと頷くわけにもいかない。 …どちらにせよ話し合いは出来ないけれど。私は交渉をする言葉を持たないし、譲る気も無い。 (でも、私一人でどうにかって言ってもな…手札が少なすぎてどうしようも) 話し合い(物理)と言うわけにもいかないし、そもそもそうするのなら最初からしている。 こんにちは、死ね!をやるのは私には合わないキャラだろう。 ふと後ろを振り返る。―――ま、一人じゃあ何にも出来ないのは最初から分かってた事だし。 時間は私が稼ぐから、あとはみんなに任せるとしよう。 他のデバッカーのメンバーがいるなら兎も角、非戦闘員の私しかいない今の状況でこの連中に戦いを挑むのは拙い。 できれば皆には戦い以外の平和な解決を考え出して欲しいところだけど…。 私みたいなのは普段が殺伐としすぎていてそういう発想があんまり浮かびにくいんだよね。 ん?普段散々能天気な事をみんなでしておきながら何を言ってるんだって? …それはそれ、これはこれ。別にいい案思いつかなかっただけとかじゃないよ! …もし仮に、戦いが避けられない状況になったら私が頑張らなければならない。 そう考えると私が先行して時間を稼ぎつつ、敵情を分析するべきとの判断で私が出てきたわけだ。 面倒なことにそんな意思を他のみんなに伝える手段がまるで無いことが私の短所である。 電話とか持ってても話しようが無いしねぇ。言葉がないと不便な物である。 幸いなことに私が植物園を飛び出す際、察してくれている様子を見せた人物が一人いた。 金束、特に主人公オーラの強い彼女なら何とかしてくれるだろう。 金束、そして銀鈴、銅街、鉄鞘。彼女らが何かの解決策を示せるよう、時間を作るのが今回の私の役目。 どうやらそういう事らしいので、解決役は素直に譲る事にしよう。 最も、手札が無いのはあの四人も同じなんだけどね。…心配は要らないだろう。 こういう場面で流れを引き寄せられるのが主人公の条件って奴だしね。 ~~~~~~~~~~~~~~~ 繋いだ視界に文字が浮かぶ。実のところ文字が浮かぶって言うのはイメージにしか過ぎないんだけど。 私の能力はその殆どが視覚に順ずるものだ。とは言うものの実際に目で見ている訳では無く、脳で見ているらしい。 よって目隠しをされたり真っ暗な場所でも能力は何の影響も無く使うことが出来る。 そしてここからが私の能力の最も分かりにくいシステムと言うか、仕様なのだが… …まるで無駄に視点変更システムとかつけてしまったADVゲームの様な仕様。 いや、意味なんて無いよ?単に言いたかっただけで私の半分は構成されている。 『って、気付いたら罪木が居ないんだけど…まぁ、あの子の事だし放っておいてもいいか』 はい、この文章。これは今現在植物園内の一角に居る金束が思考していることだ。 しかし今、金束は私の視界内に存在していない。 通常私が能力を発揮するには対象を視界内に捉えておく必要があるのだが、例外が存在する。 視界内に居る対象へと集中し、その対象を見る事へと演算能力の内の数%を割り振ることで対象を『凝視』することが出来る。 さて、この凝視状態になった対象に対してなのだが…この状態だと私は対象と視界を繋げることが出来るのだ。 視界を繋ぐ、と言ってもピンとこないだろうが要するにだ。 自分が見ている視覚情報に加えて対象が見ている視覚情報、この二つを平行して情報として脳で処理できるのだ。 これはあくまで私の私的感覚に過ぎないが、複数の視界を持つと言うのはマルチモニタを見ている感覚だ。 『何だか妙な話になってきたのう…。ひとみも無事ならいいんじゃけど』 はい、これは金束と一緒に居る銅街の思考である。 これも金束と同じく視界内に存在しない人物であるが、凝視によって視る事を可能としている。 言ったとおり、私に出来るのは視界の接続であるので、それはつまり凝視している対象の思考自体は読むことが出来ない。 今回の場合思考を読めているのは金束、銅街、銀鈴の三人。 つまり今視界を貸していただいているのは、鉄鞘である。私は彼女を通して三人の思考を読んでいる。 『ともかく、お金を取りに来たお馬鹿さん達を追い返しちゃえばいいのかなぁ』 おいおーい、銀鈴さん。いきなり物騒な手段に頼ろうとする手段はどうかと思うぞー? …人の事いえないけど、私。ちなみに私が最初に閃いたのは視歩に何とか連絡を取って丸投げ、である。 我ながらトンデモな無責任さだが迷惑なんて掛けてなんぼである。 『確かにきさめの言う通り、それが一番手っ取り早い気はするなぁ』 あっ、銀鈴が思ったままの事を口にしたらしい。 このままではいきなり戦闘行為が結論として出かねない!これだから喧嘩っ早い奴は! …ちなみに心を読む限りあの四人の中で一番危ない性格をしているのは銀鈴である、 次点で鉄鞘かな。常識人である鉄鞘と、駄々をこねる子どもの鉄鞘が共存する性格…。 うーん、今度女たらしの視歩にでも紹介して口説かせてみるべきかもしれない。 どちらかと言えばデバッカーの人に多い独特の精神構造をしているし、鉄鞘。 二重人格三重人格当たり前!そしてその負担は全て視歩に向かう!なむさん! 『正直戦闘行為は避けたかったけど…私達素人だし。でも四の五の言ってられる場合じゃないか…!』 次は金束の思考。こっちはこっちで戦闘を避ける意思はあるようだけど、状況に押されて揺らいでいるようだ。 というか、そんなに切羽詰った状況だと思われているのだろうか? …なになに?ああ、なるほど。 どうやら鉄鞘が私の匂いを追った結果、知らない二人組みと対峙していると知ったと。 そんでもって丁度植物園に届いた手紙―――貴女の植物園に埋まる物を頂に上がります―――の話題が直前に上がったこともあり… 『早く向かわないと…!罪木の奴が危ないかも…!』 私が決死の覚悟で時間稼ぎをしていると思っちゃった訳ですね、はい。 実際はそんなことも無かったりする。一度向こうが話し合う気になってくれたならこちらもそれに乗ずるだけ。 互いが話し合いをする気があるならお互いに危害を加える気もあるはずが無く。 それはともかく出来ればこちらに来て欲しくない所だ。 尾振達には存在がまだ知られていない四人だ。このまま手札として伏せておきたいし、出来れば四人で平和的解決方法を考え付いて欲しい。 『……………………!』 そんな私の願いが届いたのかどうかは分からないが、もう一つの視界内に映る三人の動きが止まる。 どうやら鉄鞘が何か発言したらしい。三人の心を読む限り制止を掛けたようだ。 『あー…確かになぁ。なんや真面目な話やったから柄にもなく物騒な事考えとったかも知らんわ』 ふむ…。鉄鞘の発言はどうやら『そんなやり方は私達らしくないのです!』とかそこ等辺だろうか。 多分そう遠くない物であろう事は想像がつく。あの鉄鞘の事だし、それくらいは言ってのけるだろう。 …出会ったばかりの身の発言では到底無いだろうが、そこはそれ。 私は能力の都合上、他人に対する理解が異常に早いのだ。 それ故かそもそもの私の性格上の問題なのか、他人との距離感を量りかねる事も多々ある。 踏み込むのを躊躇してしまうとかじゃなくその逆。他人に踏み込み過ぎて引かれる事とか日常茶飯事だ。 『…そうね。危ないからこそ焦ってちゃダメだわ。戦わずに済むならそれが一番なんだから』 何にせよ、鉄鞘の発言のお陰で皆が思い留まってくれたのは何よりだ。 やっぱり学生たる物、平和的に争いとは無縁の性格をするべきだよね~。 …はいそこ!どの口が言うとか言わないの! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ さて、恐らくいつも通りの雰囲気に戻ったであろうバカルテットの様子を伺いながら、私はうんうんと頷いていた。 鉄鞘のファインプレーのお陰でどうやら事はそれなりに予想通りに運びそうである。 「………………………………………(そうそう、殺伐とした雰囲気じゃ物騒な案しか浮かばない)」 そういう訳でも雰囲気改善をしてくれた鉄鞘と金束にはお礼を言いたい。 平和的な案が浮かぶまでは何とかして私が時間を稼ぎますので。 「罪木さん?どうかしましたか?」 おっと、余所見をし過ぎてて声を掛けられてしまった。 ちなみに今私は背後の植物園にいる皆と視界を繋いで会話を把握している。 こういう時便利なのは言うまでもない。気持ち的にはラジオを聴きながらのながら作業。 ……我ながらいいご身分だよねぇ、これ。 「………………………………………(なんでもないよ。続けるね?)」カキカキ そして二つ目のちなみに、目の前の尾振たちとの交渉に当たって使用している手段は… 『わたしたちのもくてきとしゅちょうについて』 ――――筆談である。言葉を話せない以上、こういう手段に頼るしかないのである。 「というか、何故に全部ひらがな?」 抑揚の無い、とても印象に残りづらい喋り方で突っ込まれる。 仕方ないのである。何を隠そうこの私、漢字書けません! ……いや、冗談でもなんでもなくだ。そもそもひらがなですら覚えたのは割と最近だったりするのである。 施設時代は読み書きなんて教えてくれなかったし、視歩に連れられ外に出た後も結局学ぼうとしなかったからだ。 最も、普通に暮らしていれば読みの方は多少なり覚えていく物だが、書きは今までさっぱりだったのである。 まぁまぁと葛木を諌めつつ説明を続行する。 私達の主張は唯一つである。向日葵を守ること、それだけだ。 …あくまでそれは私達の主張であり『私』個人としてはお金をちょろまかすことが出来れば万々歳だが。 それを口に、もとい文字に出したところで反感しか買うまい。自粛! 『しょくぶつえんのひまわりをまもりたい。おかねをごういんにほりかえされてはこまる』 という訳でこれが主張の全てである。 このくらいなら聞いてくれてもいいじゃない、と視線に込めてみた。 ―――――笑顔で返される。いやいや、もう少し考えてくれてもいいじゃないの? 「なるほどなるほど。子どもらしくない子だとは思ったけれど、中々どうして子どもらしい主張じゃないか」 馬鹿にされてるなぁ、と思いつつも仕方ないとも思う。 私自身、あんまりに子どもらしい馬鹿な主張だと思うけど… 残念ながら妥協する気は無い。私の人生は妥協だらけだからこそ、妥協はしない。 自分の意思で決めれるうちは、妥協などしてはいられまい。 『あいにくこどもなんでね。わがままのためにはだきょうしない』 「ひらがななのに使ってる言葉は普通に大人と同じなのね…なんかシュールだわ」 うるさい、かっこよく決めてるところに真っ当なツッコミを入れられても困る。 そういう正論を言われるとさらにボケ返すくらいしか選択肢が無いではないか。 「まぁまぁ。しかし罪木さん?こちらとしてもあのお金は回収しないと不味いんだ」 何故かは、賢い君なら分かるよね?と問いかけられる。 如何にも。先ほど銀鈴は彼らを追い返せばいいのでは無いかと言ったが、それでは一時的な解決にしかならないのだ。 ここで彼らを追い返し、向日葵を守ったところでだ。 この植物園にお金が埋まっていることがもし外に漏れれば、どうなるか。 想像に難くない。こいつら以上に粗暴で強引な連中がお金を問答無用で回収しに来るだろう。 …平和的解決を望むとは、そういう意味も含んでいたのだ。 「ですから、早い所回収させてもらいたいんですよ―――と言っても聞く気は無さそうですね」 その通りです!諦めるのは最後の手段ですらない、存在しない選択肢だ。 ならば最後まであらゆる手段で時間を稼がせてもらおう。 『そのとおり。どうやってでもあなたちをひきとめさせてもらう』 ふむ、中々どうして私らしくなくかっこよく啖呵を切ったものだ。 普段では中々出ないような言葉だぞーこれは。自分の意思を出すことの少ない私にとって新鮮な文句の羅列。 少なくとも後ろの四人が、あの主人公達が道を拓くまで私が先に諦めるわけにはいくまい。 なに、あの四人の事だ。私がそこまで頑張らなくたってすぐに最高の結末を持ってくるだろう。 それを信じたからこそ、私は彼女らに視歩と同じモノを視たのだ。 彼女らを信じる心と、視歩を信じる心は同じモノ。だからこそ―――何とかしてくれるさ、彼女らなら。 「ふむ…そういわれると手を出すのを躊躇せざるを得ないけど…」 何か、僕達を引き止める方法でもあるのかい?と問いかけられる。 …うーむ、脱いで引き止められるならそうしてやりたい位だが、如何せんこの二人にロリコンの気は無いようで。 となれば面白い話の一つや二つ、いや無理じゃん。 言いながら私が服を脱いだら誰かが飛んできそうだなと思った。 主に紅い人と朱雀さんとか視歩とか。最後の一人だけ理由が違うけど。 しかし実行に移すわけにもいかない。都条例に逆らうほどの度胸は無いのである。 CERO:CかDくらいでとどめておかねばならない。 となれば、仕方がない。約束を守りつつ彼らを止めるには――― 「………………………………………(さて、取り出したるは秘密のお薬~!じゃなくて、この愛用ペンダント)」 私が常に身に着けているペンダント―――ファンシーな目玉の意匠が施されている―――を胸元から取り出した。 見た目のイメージ的にはミレニア○アイである。全然ファンシーじゃないって? いやほら、ペガ○スが使ってたモンスターはファンシーだったじゃない。 とまぁ、周りからはあんまり好評でないこの瞳ペンダント(仮)だが、ただのペンダントではない。 中には様々なギミックが隠された素敵道具なのだ!…はい、嘘です。 ただ、ペンダントの中身にライトが内蔵されていて、光の強さとか色とか調節できる代物である。 さて、これを何に使うかと言うと… 『くずき、このぺんだんとをみてて?』 どっちに試すか迷った末に葛木の方にした。 ………葛木!キミに決めたっ!………はい、特に意味は無いです。 ほら、ポ○モンもリメイクとか次々作られてるし、盛んな様だからここらで捻じ込んでおこうかと。 「ナチュラルに呼び捨てなのはスルーした方がいいんですかね、これ」 「子どものすることだからね。気にしたら負けだよ」 そう、子どものする事は多目に見てあげるのが大人の甲斐性ですよ。 というか、基本的に私は誰であろうと呼び捨てだし。粉原クンは何だかそっちのが響きがいいからである。 声は平坦だが、目線が胡乱になりつつあるのを見ると案外人間性はちゃんと備えている様に見える。 あと彼女が密かに抱えている悩みを覗き見るとすごく親近感を得られるのは私だけでは無いだろう。 『胸が小さい人だって需要あるからだいじょ「おっと手が滑ったー」 尾振の目に触れる前に紙を破られてしまった。触れてはいけない話題だったらしい。 いや、知ってたけどね?そういうところをあえて狙っていく冒険心溢れる私の話術であって決して私の趣味とかではない。 「瞳ちゃんとやら。お姉さんをからかうと痛い目を見るよ?」 はいごめんなさい。そんな目で見ながら平坦な声で怒らないでくれ。 胸が小さいのは私だって同じなのだからそこまで言わなくてもいいじゃない。 「…ちょっと待ちなさい。瞳ちゃん、あなたは幾つ?」 相も変わらずの平坦さで尋ねられる。 隠す理由も無いので正直に答えるとする。―――12歳、ぴちぴちの小学生ですよ~ 「…………………………ふむ」 な、なんだが舐めるように視られてるな。 どこを見てるのか心を読まずとも分かるあたり隠す気はなさそうである。 「…確かに、幼いとは言えその年頃なら普通は膨らみ始めてるでしょうね…」 ―――何が?ん、胸か?胸の事なのか?……思い返してみる。 私の周りの女の子はどうだ?視歩は普通にでかいし、血晶赤はもっとでかい。 焔は論外だし、芙由子もスレンダーではあるけれど小さくは無い。 そして香も実はああ見えて成長が著しい。…あれ、これ詰んでね? 「…あ、いや…そうよね。まだ先はあるわよね…」 平坦な声は変わらずも何だか慰められたでござる。 わっ、私は先があるけど貴女はもう成長終わってるでしょ! 「むっ、そもそも私はそれを気にしてなんか…」 そんな不毛な話(自分で不毛って言わせるなと誰かに声を大にして言いたい)を続けていると横槍が入った。 横で先ほどから黙っていた尾振からである。 「君達何だかんだで相性良いんじゃないかい?初対面とは思えぬ通じ愛ぶりだけど」 おい、その誤字は洒落にならないからやめい。 横を見ると私と同じ非難の眼差しを向ける葛木の姿が。 案外ホントに気は合うのかも知れない。事が終わったらそれとなくメアドを聞いておこう。 「…で?そのペンダントが何か?」 ああ、そうだった。 とりあえず面白そうな見世物で足を止めてやろうと言う魂胆だった。 そういう訳でこちらのペンダントにご注目。 こちらのライト内蔵型ペンダントのスイッチを入れ、チカチカと点滅させると… 「………………………………………(いっせーの、それっ!)」 ―――そして、その心の隙を突く。 微かながらも平和的に話し、気を緩めたことで生まれた隙。 もちろんをこれを突き、意識を奪う事も出来なくは無いが、今はそれをする場面ではない。 となればその心の隙間をどう利用した物か。―――あ、思いついた。直前の話題に即しようではないか。 「んっ…!眩暈が―――――えっ」 …絶句、と言うのが相応しいリアクションか。 とりあえず分かりやすく幻覚的なサムシングを見せてみる事にした。 今彼女の目に映っているのは先ほどと変わらぬ光景、ではなく。 ある一点だけ現実と異なる光景である。有り体に言うと私の体の一部分が大きく見えているのである。 …ん?何処の事かって?察してくださいお願いします。 「な…なっ…。た、確かにそこに膨らみが…」 ふらふらと私に近付いてくる葛木。少し青ざめた顔に何だか優越感。 すぅ、と自然な感じで伸ばされた手が向かう先は私の胸。目に見えて大きくなったそれに手を伸ばし… ―――――すかっ 「あっ…………」 「………………………………………(……………)」 そして、当然の事ながら触れるはずもなし。 だって幻だし。実際には無いし、実際には無いし、実際には無いし! 「………………………………………(自分でやったことで自分でダメージ負うとか何やってんだ私…) 二人揃って膝を落として絶望したのポーズ。 やっぱり胸の話題は禁止!誰も得してない上に二人揃って瀕死になってるから! 「あ、元に戻りましたね。……ごほんっ、今のは一体?」 今更平常心な感じに戻っても手遅れだと思いますよ、葛木さん。 とまぁ、興味を惹くという目的は達成できた上に自分の想像以上に時間と無駄な傷を稼げた。 その証拠と言うべきか、となりで尾振の方が怪訝な表情で私達二人を眺めていた。 理由は明白、今のやり取りは尾振からすれば葛木と私が勝手に落ち込んだようにしか見えなかっただろうしね。 「いま、何があったんだい?僕にはさっぱりなんだけど…」 「え、今彼女のむn……いえ、身体の一部分が肥大化していたのですが、お気づきにならなかったのですか?」 わざわざそんな風に言い直さなくたっていいじゃない。 あ、いや一応男の人相手だから気を遣ったのか。そこらへん大人の対応である。 「僕の目にはそんな事実は無かったけどね…胸の大きさなら正直大差はな 「セクハラですか?セクハラですね?訴えますよ?」 「…過剰反応しすぎじゃないかい?罪木さんもそうおも…ああいや、何でもない」 わざわざそんな余計な批評を付け加えなくてもいいのだよこの男め。 いや、大差ないのであれば未来に可能性のある私の勝だ!…何かすごく空しいんですが。 『さいみんじゅつってやつだよ。てじながわりにはなったでしょ?』 「なるほど、見世物としては十分だったし、まんまと時間を稼がれてしまった訳だ」 何だかんだと最後まで見ていってくれた辺り付き合いは良い様で何よりだ。 気付いてみればかなりの時間を稼げている。具体的には約一万文字程度の時間である。 「………………………………………(というか、まだ金束たちの話は進んでないのか!早くキテー、早くキテー!)」 これ以上時間を稼ぐネタなんて思いつかないんですけど! 虎の子の催眠術まで疲労しちゃった上に無駄に精神的ダメージ負ったんですけど! …というかさっきから思ってるんだけど、これ何時まで私の視点で続くの、ねえ? 普通こういう時、視点が金束達に移って進むモンじゃないの? わざわざ他の主人公にゲスト出演してもらってるんだからあちら主観で進まなきゃダメじゃん! …え?基本的にこの私主役のお話は全編私の視点だって? いやいやいや、なんでさ。『心読めるんだからそれ使ってゲストにセリフを使わせなさい』? それは何か?私がわざわざあの四人から離れてこっちに来ちゃったのが悪いと申すか。 そもそも私の能力ってそんなに万能な読心能力じゃないって言ってるでしょ! 負の感情が絡んでないと効果が無いって言ってるのに酷使しすぎぃ! …わかったわかった。ちゃんと最後までモノローグしますよ! さぁて、ここからが私のモノローグの真骨頂…あれ、何かカンペ(天の声)が。 なになに…『今回はもう時間十分なので続きは次回に続く』? まさかの尺切れ!?考え付く限り夢オチに続く最悪のオチのつけかただろこれ! いやいやせめて何かうまいシメの言葉とか考える時間をくだs ~~~~~~~~~~~次回 恐らくは単純な結末(仮)に続く~~~~~~~~~~~ 次回予告のような何か 「えっ、地下に眠ったお金を掘り起こす!?」 「そう、私達が守るべきは向日葵であってお金じゃないわ。なら…」 「お金を掘り起こして渡してしまえば良い、そういう事ですね~」 「じゃが、それをすると向日葵が…って話じゃなかったんか?」 「ええ。普通の手段なら、ね。でもここは普通じゃない街。普通じゃない手段だってあるって事よ」 「普通じゃない?」「手段?」 「そうよ、私達は能力者。なら、能力者らしい平和的解決をしてやろうじゃないの!」 ―――――無駄にいろんな事に顔を突っ込んできた私達だからこその、コネを使ってね――― ~~~~~~~~~~一方、裏側では~~~~~~~~~ 「…てめぇ、何者だ。てめぇも連中の仲間か?」 奮闘?する瞳達の裏で、事態は静かに動いていた。 裏路地の一角、そこを一人の女性が歩いていた。眼帯を着け、ぼさぼさの髪を無造作に放った様な風貌だ。 「いいや。残念ながらその逆、今に限っちゃ君の味方かな」 その女性に声を掛ける人物が一人。 そちらも女、それも少女と呼べるような幼げな声だった。 「味方…?………あぁ、そういやその首輪どっかで…」 首につけられた黒い首輪は、幼い少女の見た目には似つかわしく無い禁忌的な香りを漂わせる。 その首輪の上をみれば超えに違わぬ幼げな顔。そう、それはまぐれも無く少女だった。 「そうそう。今回の件、私達の仕事が絡んでるみたいだからね。無関係って訳にはいかないのさ」 女性と少女の視線が交錯する。眼帯に隠された義眼と、猫の様な瞳が絡み合う。 殺気はあれど敵意は無い女性と、殺気も敵意も感じられない少女の二人。 「チャイルドデバッカー、だったか。そういや、今回の件には置き去りが絡んでやがったなぁ」 決して交わりそうに無い二人、されど二人は出会うべくして出会う。 最速の黒猫と最即のトリガーハッピーの二人が結託することになるのは、あくまで必然だった。 「ああ。私としても見過ごせない事でね。…貴女の噂は良く知ってるよ。子ども達ごと射殺られちゃあ堪らないからね」 片や事件の首謀者を皆殺しにするために。 「なるほどなぁ!そりゃあ道理だ。私は殺すしか能が無いからな。正直助かるさ、関係ない子どもを射殺ったらどやされちまうしな」 片や囚われの子供たちを助けるために。 「そういう事。子ども達を守るって意味でも協力させてもらうよ。狼森さん?」 目的も在り方も何もかもが違う二人が交わる時―――物語の真実が動き出す
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キューポッシュ 御坂美琴/ねんどろいど 白井黒子 発売日:6月30日/2月28日 常盤台のレールガン、キューポッシュに登場! うごいてたのしい ポケットさいずのキュートなふぃぎゅあ「キューポッシュ」。 シリーズ第12弾はTVアニメ『とある科学の超電磁砲S』より、 学園都市に7人しか居ないLEVEL5 (超能力者) の1人「御坂美琴」が登場です! ここを編集 2010年10月放送開始。とある魔術の禁書目録の続編。第3作にとある魔術の禁書目録Ⅲが、劇場版に~エンデュミオンの奇蹟が、オムニバスに~超電磁砲Sがある。 http //www.project-index.net/ 監督 錦織博 原作 鎌池和馬 シリーズ構成 赤星政尚 アニメーションキャラクターデザイン 田中雄一 助監督 神保昌登(7話~) プロップデザイン 高瀬健一 キーアニメーター 加藤裕美、柳隆太 美術監督 黒田友範 色彩設計 安藤智美 撮影監督 福世晋吾 CGディレクター 川端玲奈 特殊効果 向井吉秀 編集 西山茂 編集助手 坪根健太郎 音響監督 蝦名恭範 録音調整 鈴木裕幸 音響効果 長谷川卓也 録音助手 眞下のぞみ 音楽 I ve sound/井内舞子 アニメーション制作 J.C.STAFF 脚本 赤星政尚 水上清資 浅川美也 砂山蔵澄 コンテ 中津環 福田道生 神谷智大 十文字糾 二瓶勇一 須間雅人 矢島サコ美 川面真也 徳土大介 大上相馬 小竹歩 神保昌登 錦織博 演出 中津環 湖山禎崇 神谷智大 神保昌登 則座誠 榎本守 川面真也 徳土大介 綿田慎也 小林浩輔 小竹歩 池端隆史 作画監督 田中雄一 木本茂樹 柳隆太 木宮亮介 ふくだのりゆき 加藤裕美 宮田奈保美 柴田志朗 さのえり 中本尚 中村直人 門智昭 佐野隆雄 錦見楽 吉田尚人 野田めぐみ 佐野恵一 高澤美佳 ゆうが 佐野真 たむらかずひこ 竹森由加 松浦里美 古池敏也 飯塚晴子 沼田誠也 山本篤史 長谷川亨雄 高原修司 出野喜則 山吉一幸 清水勝祐 雨宮英雄 渡辺敬介 徳田賢朗 柳瀬雄之 飯飼一幸 高橋賢 ■関連タイトル とある魔術の禁書目録II Blu-ray BOX 初回限定生産 とある魔術の禁書目録 版権イラスト集 とある魔術の禁書目録 頂点決戦 特典アイテム付きビジュアルブック キューポッシュ 御坂美琴 ねんどろいど 白井黒子 ねんどろいど 御坂美琴 グリフォン インデックス 1/8スケールPVC塗装済み完成品 とある魔術の禁書目録II DVD-BOX オリジナル劇場版鑑賞前売券付き初回限定生産 フリーイング 御坂美琴 バニーVer. 1/4スケール PVC製塗装済み完成品 ペンギンパレード 神裂火織 1/8スケール PVC塗装済み完成品 カプセルQフロイライン「とある科学の超電磁砲」 Blu-ray とある魔術の禁書目録II 第1巻〈初回限定版〉 「とある魔術の禁書目録II」O.S.T 1 「とある魔術の禁書目録II」アーカイブス1 OPテーマ 川田まみ「No buts!」CD+DVD初回版 EDテーマ 黒崎真音「Magic∞world」CD+DVD初回版 figma とある魔術の禁書目録II インデックス グッドスマイルカンパニー 御坂美琴 1/8スケールPVC塗装済み完成品 廉価版 とある魔術の禁書目録 DVD-BOX1 フィギュア・ホビー:とある魔術の禁書目録 原作小説 鎌池和馬/とある魔術の禁書目録 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Blu-ray 魔女見習いをさがして Blu-ray「どうにかなる日々」Blu-ray Happy-Go-Lucky Edition 初回限定生産 Blu-rayDisc付き 『ラブライブ! スーパースター!!』「始まりは君の空」【みんなで叶える物語盤】 BEM~BECOME HUMAN~豪華版Blu-ray Blu-ray 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 10th Anniversary Compact Collection Blu-ray ぐらぶるっ! 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Great Journey ウルトラマンゼロ Blu-ray BOX クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Blu-ray BOX 初回生産限定版 小林さんちのメイドラゴンBlu-ray BOX ゆゆ式Blu-ray BOX スペシャルプライス版 とーとつにエジプト神 Blu-ray 直球表題ロボットアニメ 全話いっき見ブルーレイ 未来ロボ ダルタニアス 一挙見Blu-ray VOL.1 シュヴァルツェスマーケン 全話見Blu-ray ワールドトリガー一挙見Blu‐ray VOL.1 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 魔王プレイボックス 初回生産限定 トータル・イクリプス 全話見Blu-ray Blu-ray Cutie Honey Universe Complete Edition 夜ノヤッターマン 全話いっき見ブルーレイ こみっくがーるず Blu-ray BOX 初回生産限定 Blu-ray 幼女社長 むじなカンパニーセット 初回生産限定 ログ・ホライズン 円卓崩壊 Blu-ray BOX 七つの大罪 憤怒の審判 Blu-ray BOX I Blu-ray 水樹奈々 NANA ACOUSTIC ONLINE 『Dr.STONE』2nd SEASON Blu-ray BOX【初回生産限定版】 魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編 Blu‐ray BOX 今井麻美 Winter Live「Flow of time」 - 2019.12.26 at EX THEATER ROPPONGI - Blu-ray盤 Blu-ray 仮面ライダーゼロワン ショートアニメ EVERYONE'S DAILY LIFE 仮面ライダー一挙見Blu-ray 1号 2号・V3編 仮面ライダー一挙見Blu-ray X・アマゾン・ストロンガー編 スーパー戦隊一挙見Blu-ray 1975-1981 スーパー戦隊一挙見Blu-ray 1982-1986 半妖の夜叉姫 Blu-ray Disc BOX 1 完全生産限定版 裏世界ピクニック Blu-ray BOX上巻 初回生産限定 Levius レビウス Blu-ray BOX【期間限定版】 スーパー戦隊 学研の図鑑 江口寿史美人画集 彼女 アニメディスクガイド80's レコード針の音が聴こえる necomi画集 PHONOGRAPHIC フルーツバスケット アニメ2nd season 高屋奈月 Illustrations 2 彼女、お借りします TVアニメ第1期 公式設定資料集 ドラゴンボール 超戦士シールウエハースZ 超シールガイド ガンダムアーカイヴス『ガンダムビルドシリーズ』編 Angel Beats! 天使画集 Angel Diary PANZER FRAULEIN 野上武志画集 【陸編】 Angel's cage るび様画集 Sweet Dream はすね画集 画集 制服Girl's▼コレクション もりょ作品集 異世界ファンタジーのキャラクターコレクション 劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」公式ビジュアルBOOK アイドルマスター シャイニーカラーズ イラストレーション ワークス VOL.2 Blu-rayDisc付き 八十亀ちゃんかんさつにっき 10 特装版 あんさんぶるスターズ! Ready For Star 2巻 缶バッジ付 Switch エーペックスレジェンズ チャンピオンエディション New ポケモンスナップ -Switch 【PS4】BIOHAZARD VILLAGE PLAMAX 聖戦士ダンバイン サーバイン ノンスケール PS製 組み立て式プラスチックモデル スーパーミニプラ 無敵ロボ トライダーG7 3個入りBOX 魔道祖師 前塵編 完全生産限定版 HGUC 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Ξガンダム MG 機動戦士ガンダムSEED モビルジン 1/100スケール カンチ 青 ノンスケール ABS&ダイキャスト製 塗装済み完成品 ☆赤ver 魔女の旅々17 ドラマCD付き特装版 クリストファー・ノーランの世界 メイキング・オブ・インターステラー BEYOND TIME AND SPACE 時空を超えて るるぶアズールレーン からかい上手の高木さん15からかいカレンダーカード付き特別版 「武装神姫」原案イラスト集 ALLSTARS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 17 キャラクターブック付き限定版 とある科学の超電磁砲T OFFICIAL VISUAL BOOK Aqours 5周年記念アニメーションPV付きシングル「smile smile ship Start!」【BD付】
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H23.5.23 21 45 5月19日、休みだったので下の娘と2人でお出かけしてきました。 行き先は「姫路セントラルパーク」です。 小さいときに行った事があるようだが、記憶には残っておりませんのでおいらも楽しみです。 ではどうぞ。 12時過ぎ到着 平日なのでほとんど人いませんでした やはり子供はテンション上がってました 良かった良かった^^ お気に入りのアンパンマンの汽車に乗ってご機嫌の図 これもお決まりの乗り物、じわじわと小銭が削られていく~>< サファリバスに乗って猛獣ゾーンへ 子供は喜んでおりました お次は歩いて動物とふれ合えるゾーンへ ウサギの様な生き物だが何か違う・・。 お次は鳥ゾーン、色んな種類の鳥がいました こんな感じで4時間ほど満喫して帰りのバスへ あー楽しかったと^^ 上の子も連れて行きたかったのですが、なにぶん平日なのでダメでしたのです。 次回は夏休みにでも連れて行ってあげるかな。 こうやって子供とお出かけは、ほんと仕事とか忘れて楽しめるので良いですね~。 あー次はどこ行こうかなっと。 いいですね~私も早く色々と連れまわしたいです。夏休みよかったら合流しますか~www - やすり 2011-05-23 23 56 10 合流いいすね~^^ですがおいら平日しか休みがないんですよね>< - ナオ 2011-05-24 07 53 51 たしか土日でもこんぐらいやったような・・・・。しかし、いいパパさんしてますなー - レオp 2011-05-24 22 01 31 そんなに少ないの・・、がんばってんなセントラルw - ナオ 2011-05-24 22 52 14 名前
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある学園の執事喫茶 プロローグ 「カミやーん。執事決定にゃー」 土御門が唐突に部屋にきたと思ったら 最初に言われたセリフがこれである。 「……は?」 さすがに意味がわからないといった感じで聞き返す。 「だから執事だぜい。メイドさんの男バージョンだにゃー」 妹の舞夏が聞いたら軍隊仕込みっぽい本気拳が飛んできそうなセリフだ。 だが、今はそれを気にするどころではない。 「いや、だから何で俺が執事なんだよ!しかも誰にお仕えするんでしょうかご主人様!?」 「……カミやん、ご主人様といっていいのは女の子だけだにゃー」 げんなりした顔で土御門はこたえる。しかしその返事は求めていない。 「そこじゃねー!なんで俺が執事なのかの答えを言えよ!」 土御門はカラカラと笑うと答えた。 「もちろん一端覧祭のうちらのクラスの出し物が執事喫茶だからだぜい。カミやんいなかったから勝手にきめたにゃー」 「……執事喫茶になったのはまだいい。なんでこの私めが執事なのでしょう。」 と、うんざりとした感じで聞き返したところ、土御門の目がサングラスの奥でギラリと光った感じがした。 「……カミやん、しっとるか?一端覧祭は一応学校の宣伝をし、生徒を集めるという目的もあるにゃ」 それは知っている。それゆえあの常盤台中学ですら一部の開放をするくらいなのだ。 「それと俺が執事になることに何のつながりが?」 上条がなおもうんざりと質問すると土御門はサングラスの中心を中指で押し上げながら言った。 「もちろん、カミやんの能力をフル活用するためだぜい。」 「……幻想殺しと何の関係があるのかさっぱりわからないんですが?」 「幻想殺しじゃない。」 土御門は真剣な口調になって答えた。その威圧感に少しひるむ。 しかし、そっちじゃないとはどういう意味だろうか。 上条も真剣になった。なんせ相手が土御門だ。 自分が知らないうちに魔術に関係することにまた関わっているのかも知れない。 「幻想殺しじゃないとすると何だ?」 そんな上条に向かって土御門は答えた。 「もちろん……カミやん病にきまってるにゃー!」 上条は無言で右拳を握り締め土御門を殴り飛ばした。 本当に右手は便利だ。目の前の馬鹿野郎を殴り飛ばすのには。 「つまり俺が執事をやれば来年女の子が大量に入ってきてうっはうは!薔薇色の学園生活!が目的!?あほだろうちのクラス!」 上条が絶叫する。殴り飛ばされた割りには元気な土御門が相変わらず軽い感じで答える。 「にゃー。ついでにフラグ立てて放置されてる子がくるだろうから、そのおこぼれゲットだぜい。」 上条は両手をわなわなと震わている。 「そんな都合よくいくか!てか硬派上条さんにフラグなんてありませんよ!」 「にゃー……自覚なしか。まあ、冗談だにゃー。半分は。」 「半分かよ!?残り半分は何だよ!」 「執事みたいな仕事をするときに起こる不幸見学だぜい。さらに迷惑かけられた女の子に優しくすることでフラグをゲット!」 「いっぺん死ねー!」 夜はふける。馬鹿達の絶叫で。デルタフォースは一人足りなくてもその戦力に申し分はないようだ。 クラスでの決定にはさすがに逆らえず。 土御門元春プロデュースで上条当麻は執事としての振る舞いを土御門舞夏に叩き込まれていた。 とてもスパルタだった。 (まあ、あれだな。せーの。不幸だー) 彼は知らない。本当に大変なのはこれからだということを。 そして一端覧祭当日。とあるお嬢はとある学校の前にいた。 「ここがアイツの学校……」 彼女のバックの中には小型ながら超高性能の最新のデジタルカメラが入っていた。 まだ撮られた写真の数は0。 長い一日が始まる。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある学園の執事喫茶
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+※商品数が10個以上あるので隠しています、情報を見る際は+をクリックして表示させて下さい。 とある科学の超電磁砲S iPhone5カバーシール 御坂美琴 とある科学の超電磁砲S iPhone5カバーシール 御坂美琴 発売日 :2013年9月25日 発売 商品情報 ・本体サイズ:56×120mm とある科学の超電磁砲S iPhone5カバーシール 美琴&黒子 とある科学の超電磁砲S iPhone5カバーシール 美琴&黒子 発売日 :2013年9月25日 発売 商品情報 ・本体サイズ:56×120mm とある科学の超電磁砲S とあるゲコタのもふもふスマホケース とある科学の超電磁砲S とあるゲコタのもふもふスマホケース 発売日 :2013年7月31日 発売 とある科学の超電磁砲 iPhone5ケース iPhone5対応 新型アイフォン スマートフォン用 IPH-029 アイフォン5ケース とある科学の超電磁砲 iPhone5ケース iPhone5対応 新型アイフォン スマートフォン用 IPH-029 発売日 :2012年11月3日 発売 とある科学の超電磁砲 iPhone5対応 iPhone5ケース IPH-016 翌日出荷*土日以外とある科学の超電磁砲 iPhone5対応 iPhone5ケース IPH-016 発売日 :2012年11月2日 発売 HAKUBA キャラ iPhone 4S ケース レールガン 発売日 :2012年8月20日 発売 HAKUBA キャラ GALAXY S2 WIMAX ケース レールガン 発売日 :2012年8月20日 発売 HAKUBA キャラ XPERIA HD ケース レールガン 発売日 :2012年8月20日 発売 HAKUBA キャラ XPERIA HD ケース レールガン 発売日 :2012年8月20日 発売 HAKUBA キャラ ARROWS μES ケース レールガン 発売日 :2012年8月20日 発売 HAKUBA キャラ MEDIAS LTE ケース レールガン 発売日 :2012年8月20日 発売
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作詞:デッドボールP 作曲:デッドボールP 編曲:デッドボールP 歌:初音ミク、鏡音リン 翻譯:pumyau 某個娼婦的戀情 為了討生活 每天讓男人擁抱 裝做很有感覺的樣子詐取他們 視線前方的妳也是個娼婦 張開雙腿 讓人弄濕臉頰 總是爬滿蝨子的黃色床單 還有蒼蠅聚集 渴求黑色的血 化了膿的這裡 將梅之毒發散出去 虐殺男人們 世界上所有的星星啊 請放過這罪行吧 抱過我的客人啊 就等著長滿紅疹全身潰爛吧 從房間的帳子中傳出的那聲音也是演技吧 好想逃出這跟豬圈沒兩樣的地方 在瘋掉之前 一次兩枚 直接來的話三枚 用嘴巴清乾淨的話要四枚 每天五個人 這樣做一個月 得到的卻只有六枚 兩人牽著手翻過山頭吧 乘上列車 往海邊的街道去吧 雖然說被黑色的鎖及白色的粉束縛住 除了夢想之外什麼都做不到 世界上所有的風啊 帶來海潮的芬芳吧 在栗子花盛開的這房間中 長出來的果實也是歪七扭八 在賽河原上忽然想到 這條河會流到哪兒去呢 今天也是堆著石頭 祈求著總有一天會流出海 翻譯:yanao 每天為了生活 而被男人擁抱 裝做很有感覺似地搾取著 視線前方的妳 同樣也是娼婦 雙腿大張、面頰濕透 總是滿是跳蚤的 黃色床單 成群的蒼蠅 渴求著穢黑的血 就從發膿的「這裡」 潑灑出梅之毒 將男人們凌虐致死吧 在這世上所有的星星啊 請當作沒看見這份罪吧 讓全部抱過我的客人們啊 往那充滿紅色膿皰的腐敗盡頭走去吧 在房間簾幕深處中響起的 那個聲音是妳在演戲對吧 好想從這像是豬圈般的地方逃出去 在發狂之前 一個晚上的話兩枚 直接來的話三枚 如果要用嘴巴清乾淨的話就要四枚 每天要五個人 這樣要做一個月 得到的是僅僅的六枚 兩人手牽著手 越過了山丘 坐上火車 朝海邊的城鎮出發吧 ---雖然是被黑色鎖鏈與白色粉末所束縛著 除了作夢之外什麼事情都不能做就是了 在這世上所有的風啊 請把海潮的氣息遞送過來吧 在栗子花怒放盛開的房間 從中而生的果實也是歪扭不堪 在賽之河原之上突然想到 這條河究竟會流向何處呢? 盼望著有一天能夠流入大海 今天也在此處推疊著石塊
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H22.11.27 2 00 本日はネタもあまり無く、息子の釣り風景でもどうぞ。 おいらの息子は4歳です。 当然俺の血を引いているんだが、釣りが好きみたいです。 手作りの竿を作ってもらって、上機嫌で釣っているの図 いきなり大きなメバルをゲット!! 結局3匹ゲットにて、家で煮付けに。 こんな感じに出来上がりましたとさ^^ 俺の好きな事に、子供が興味を持ってくれるのはとてもありがたい事です。 明日も釣りにいこうかな~♪ うわ~めっちゃ憧れる!その場で取った魚食べたりしたい - バブル 2010-11-28 19 16 32 みんなで蛮・・・いや、○島行きましょう! - バブル 2010-11-28 19 17 09 この辺は都会には負けれんね^^ - ナオ 2010-11-28 20 31 28 バブちゃん行こうかw 我が家は土曜日のエコー検査で息子と確定しました!楽しみですwww - やすり 2010-11-28 23 18 33 カマーンww男の子おめです^^楽しいですよ子供。 - ナオ 2010-11-29 00 38 10 名前
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ジェリコ ルシェヒーラー♂ ケイト 緑ナイト♀ (共に名前は公式ちびキャラトークから) 前半の投下分は長い上にエロありません。 「……納得いかん」 「私に言われても困るのですが」 憮然とした表情で吐き捨てられた言葉に、青年は困ったように笑った。 カザン市街、とあるギルドが拠点として使う大型の屋敷の一室で、二人の男女がボードゲームに興じていた。 男の方はルシェの青年。褐色肌の顔に、温和を絵に描いたような柔らかい表情を浮かべている。対比のように白い長髪を後ろで束ねており、一見でのイメージは「紳士的な若者」といったところか。 女の方は、淡い緑色の美しい髪の持ち主だった。今は不機嫌そうに顔をしかめているものの、長い睫や肉感的な唇、すっきりとした顔の造形は、遠目にも美人と分かる。 そして二人は共通して「落ち着いた雰囲気」の持ち主であり、物静かに盤上の駒を見やるその様は絵画の一種のようですらあった。 だが、実際は緑髪の女性――ケイトが放つピリピリとしたオーラによって、二人しかいない屋敷の空気は非常に物々しい。 盤上どころか実際に戦でもしているかのような剣呑さである。 そしてケイトの不機嫌な理由は実に単純なものであった。 「確かにハントマンと言えど休息は必要だ、今日まる一日をそのまま休日としたお前の提案は非常に嬉しいし感謝もしている」 「はぁ、恐縮です……」 「そしてモモメノ様が街を見て歩きたいと仰った事に不平がある訳でもない」 元々から欲の少ない御方だ、少しわがままを言って下さるくらいが丁度いいんだ」 「はい」 「そして私とは別に行動なさっている事も、認めたくはないがお察しできる。私とて自分が行楽の付き合いに向いてない事は分かっている」 「まぁ、人には向き不向きがありますから」 「だが、だがな……」 「だが、どうしました……?」 言葉を切り、俯いて肩を震わせ始めたケイトに対し、ルシェの青年――ジェリコは恐る恐る問うた。 そして訪れる、爆発の時。 「なぜモモメノ様は、よりによってあの大たわけ者を付き添いに選ばれるのだーーー!!!」 屋敷中に響き渡った大声に、屋根にとまって憩う鳥達は驚き、一斉に飛び去っていった。 ケイトは元々ハントマンではなく、小さな国の王女モモメノに仕える護衛騎士兼お目付け役だった。 竜の脅威に晒される世界の中で、我関せずと保守的で排他的な国王に反発し、城を飛び出したモモメノを追って、このカザンに辿り着いたのである。 国へ帰ろうと促しても、「ハントマンになる」と首を横に振って譲らないモモメノ。 しかし「誰かを救いたい」と願うモモメノは、そのための具体的な方法を全く知らなかった。 そして騎士としての生き方しか知らないケイトも勿論、自国の権威が及ばないカザンではなす術もなく……。 二人が途方に暮れていた時に手を差し伸べたのが、他ならぬジェリコと、その相棒である黒衣のローグ、ヤック(ケイト曰く「大たわけ者」)であった。 ハントマンのギルドを立ち上げたばかりだと言う二人の厚意に甘える形で、ケイトとモモメノはそのギルドに籍を置く事となったのだ。 とりあえずモモメノの衣食住の心配が無くなったケイトは、不本意ながらも自国に定期的に書状を送り、今のハントマン生活を続けていた。 「不本意ながらも」とはいえ、ケイトはむしろ今の生活に「慣れ」以上の好意的な感覚を見出していた。 ジェリコはヒーラーという職に違わぬ物腰柔らかな男で、必要以上の詮索をせずケイトとモモメノを受け入れ、気を使ってくれている。 ヤックは、ジェリコが「親友ですよ」と言うのが信じられないほど粗野な男ではあったが、その言動には一本芯が通っており、決して悪人ではなかった。 自国ではケイト以外家族にすら心を許さなかったモモメノも、下心なく良くしてくれるジェリコとヤックには次第に心を開いていった。 ――ここまではいい。 ケイトにとっての問題は、モモメノがヤックに対して「明らかに仲間意識や友情以上の何か」を抱き始めてしまった事だ。 もちろんケイトは生真面目で実直な性格ではあったが、他人そういう色恋沙汰に関して口出しをするほど無粋でもない――と、ケイト自身は思っていた。 だが、本音と建前には天地ほどの差があった。 騎士としての義務感だけではなくモモメノを妹のように大切にしているケイトには、将来モモメノが寄り添うであろう殿方の理想像というものがあったのだ。 (理知的だが勤勉で、それを気取らない優しさと快活さを備え、武力と財力を併せ持った……) ほとんど娘の幸せを願う親のような心境だが、もちろん、ヤックはケイトが抱く「モモメノの伴侶理想像」には程遠い。 妙な危機感を覚えるケイトをよそに、モモメノは順調にヤックに懐いており、それがケイトを余計に苛立たせていた。 そしてケイトが何より気に入らないのは――当のヤックも「まんざらでもねー」ってオーラを出している事だった。 ケイトとて聖人君子ではない。自分の中の「薄汚い手でモモメノ様に触んな指数」がぶっちぎりに高い事も自覚している。 自分によく懐いてくれていたモモメノが他の誰かと仲良くなる事に少なくからず嫉妬を抱いていたのかもしれない。 そしてジェリコの提案によって休日となった今日を利用し、モモメノはヤックに街の案内を頼む形で散策に出掛けてしまった。 もちろん、出発直前までケイトは渋ったが、モモメノの「大丈夫……」→ヤックの「心配すんなっての」→ジェリコの「主のご希望じゃないですか」の3連コンボによって渋々折れたのだった。 当然、折れたからといって納得したわけではなく、自分と同じく屋敷に取り残されたジェリコを気晴らしのボードゲームに付き合わせ、これ幸いと愚痴を吐き出して今に至るのであった。 「心配でならんのだ……あいつがモモメノ様をいかがわしい賭場などに連れ出したりしていないかと」 何度目かもしれぬ溜息をつくケイトに、ジェリコはやんわりと笑って答えた。 「大丈夫ですよ。ヤックは悪ぶってはいますが、本当に純粋で子供のような男です。『いかがわしい場所』なんて、むしろ私の方が詳しいくらいですよ」 「む、お前がそう言うのであれば……私がこれ以上悪く言うわけにもいかんのだが」 「えぇ、ぜひ大目に見てやって下さい。それと……」 「うん?」 何事か、と顔を上げれば、そこにはいつも通りのジェリコの笑顔があった。そしてジェリコはその表情を崩さず、 「チェックメイトです」 「んな!?」 ケイト頓狂な声を上げつつ盤上に視線を落とす。 愚痴を言いつつもしっかりと戦略立ててゲームを進めていたつもりだったが、ジェリコがいつの間にやら巧みな運びで勝利を決定的にしていた。 今からどの駒を動かしたとて敗北は免れないだろう。 「むぅ、私の負けか……ジェリコ、もう一回だ!」 「はい、そうしましょう」 嫌味を感じさせない笑顔と口調で、ジェリコはてきぱきと駒の配置を変え始めた。 そして、生来の負けず嫌いから何とか勝利をもぎ取ろうとゲームだけに集中し始めたケイトの奮戦むなしく、ジェリコは涼しげに全勝したのであった。 ◆ ◆ 「……むぅ、参ったな」 きょろきょろと辺りを見回しながら、ケイトは今日何度目かの――しかし、今までとは全く意味合いの違う溜息を吐いた。 幾度も幾度もジェリコにゲームを挑み、ありとあらゆる戦術で勝ちを得ようとしたものの、ジェリコは事も無げにその全てを打ち破ってしまった。 ふと我に返り、ボードゲーム程度で熱くなりすぎたと恥じるケイトに、ジェリコはこれまたいつも通りに微笑みで「いえいえ」とだけ返した。 妙に気恥ずかしくなり、「散歩に行ってくる」とジェリコに言い残したケイトは、そのまま街へと逃げるように出掛けていったのだ。 だが、カザンという国はケイトが思っている以上に広く複雑な場所だった。 多少の滞在で慣れたと思っていたケイトだったが、気恥ずかしさで闇雲に歩き回っていたおかげで、全く見知らぬ界隈にまで来てしまっていたようだ。 「人気の多い場所からも外れてしまったようだし、どうすればいいんだ」 辺りは窓の少ない無骨な建物が連なる薄暗い通り。 人の気配もなく、国の中にありながら物騒な空気を漂わせるその場所に、ケイトはぶるる、と身を震わせた。 早くこんな場所からは離れたい――そう思い、ケイトが来た道を戻ろうとしたところで、人の気配すらなかった路地に声が響いた。 「もし……そこのご婦人」 聞き慣れない声だった。 ケイトが振り返ると、今しがたまで誰の気配もなかった通りの真ん中に、フードを目深に被った壮年と思しき男の姿があった。 フードに遮られ、目は隠れているが、それが逆にケイトに薄ら寒いものを感じさせる。 努めて冷静を装い、ケイトは男に答えた。 「何か?」 「道に迷ってしまったようでして、大きな道までで構いませんので案内をお願いできれば、と……」 「む、申し訳ない……恥ずかしながら私も道に迷っているのだ」 「左様でしたか、それは失礼を……」 言いながら、男が顔を持ち上げた。 ケイトは何とはなくそれを見やり……、 ――男のフードの内から覗く、妖しい光を放つ赤い瞳と視線がかち合った。 「……っ!?」 その瞬間、ケイトの目に映る風景がぐにゃりと曲がった。次第に視界が明滅していき、意識が遠くなっていく。 薄れゆく意識の中、ケイトが最後に見たものは――フードの男の口元が、下卑た笑みを浮かべている事だった。 (この男、魔法の心得が………) 不覚を取った悔しさに打ちひしがれながら、ケイトは意識を手放した。 ◆ ◆ 次にケイトが目を覚ましたのは、オンボロな小屋の中だった。 木造で、柱や床のあちこちが朽ちている、今となっては打ち捨てられたらしい古めかしい小さな小屋。 (やはり、縛られているか……) 身動きが取れない――両腕は後ろ手に拘束され、両脚も丈夫なロープで縛られており、寝転がる体制のままで起き上がることも難しい。 苦戦しながらも視線を巡らせると、小さな窓の外は夕日に染まる朱色。 自分はどれだけの間、意識を失っていたのだろうか――そう思っていると、意識を失う直前に聞いた声が、ケイトの耳朶に触れた。 「お目覚めか?」 先ほどとは全く雰囲気の違う声に、肩越しに背後を見やったケイトは思わず息を呑んだ。 くたびれた椅子に腰掛けるフードの男……そしてその周囲には、一目見ただけで「そういう人種」と分かる、だらしない身なりの男達がニヤニヤと笑いながらケイトを見下ろしていた。 「貴様、何者だ!」 ケイトは男達を睨みつけ、怒鳴りつけた。 どういう人種かなど、ほとんど分かりきってはいたが、それでも気丈に振舞っていなければ、戦いとはまた違う恐怖に呑まれてしまいそうだった。 フードの男は、そんなケイトの心中を知ってか知らずか、面白そうに答えてみせる。 「商人さ。上玉の女を飾り立てて金持ちに売り払う、ちょいと特殊な商いだがね」 ――やはりか。 世界中を覆い尽くす滅びの花フロワロ。 その影響で物資の流通が滞り、経済的にも混乱が起こっている昨今、そういった手軽に大金を得られる「商い」に手を染める者が少なからずいる。 (まさかカザンで、しかも自分が被害に遭うなど思ってもみなかったが) そこらの軟弱な男よりは力量があるつもりだったが、自分を戒める拘束は思いの外強靭で、力ずくでの脱出が不可能のようだ。 どうしたものか、とケイトが思案を巡らせていると、それを打ち切るかのようにフードの男が告げた。 「だが、飾って提供すればいいってものでもないんだ。お客様に失礼がないよう、愛玩動物の躾をしないとな」 男にとっては何気なく放たれた一言だったが、ケイトはその言葉に全身の血が引くのを感じた。 騎士として生きてきたケイトも女を捨てたわけではなく、もちろん「そういう事」に関しての知識はあった。 そしてその知識があったが故に――ケイトは今すぐにでも悲鳴をあげてしまいたい衝動に駆られる。 「お前さんがどれくらい勉強熱心かにもよるが……まぁ、男を見ればすぐに股を開くぐらいにはしておこうか」 そこでケイトはようやく気が付いた。 フードの男の周囲にいる有象無象は、ただ何の目的もなく集まっている訳ではないのだと。 モモメノの為ならば命を捧げることも恐くない――そう思ってきたケイトは今、まったく別の恐怖に屈しようとしていた。 誇り高き騎士の仮面が剥がれ、明らかな怯えの色を宿し始めたケイトを見やったフードの男は、満足そうに笑って、片手を掲げた。 「犯っちまいな」 『いやっほぉー!』 それと同時に、周囲にたむろしていた男達が喜色満面でケイトに迫っていく。 「いっ、いや……!」 何とか逃れようと身をよじるケイトだが、完全に動きを拘束されている今の状態では、這うことすらままならない。 いよいよ目に涙を浮かべ始めたケイトに、集団の中の一人が服を剥ぐために手を伸ばす。 逃れるように目を硬く閉じたケイトを見やった男が下品に笑いながらケイトの衣服に手を掛けた瞬間、小屋の中に悲鳴が響き渡った。 「ぎぁああああああああああ!!??」 「えっ……?」 ――ただし、男の。 状況が飲み込めないケイトは閉じていた目を開き、そこで目にした光景でますます状況に混乱する事になる。 ケイトに触れようとした男が弾かれたように床へ倒れこみ、ケイトに触れた手を押さえながら苦痛の表情でのたうち回っていた。 「熱ぃよ、痛ぇよぉ……!!」 のた打ち回る男の掌が、まるで劇薬に触れたかのように焼け爛れている。 異常に気付いたフードの男が、声を荒げて立ち上がった。 「女ぁ! 貴様何をしやがった!」 (こっちが訊きたいくらいだ…!) ケイトは、恐怖とはまた別に意味合いで泣きたくなる。なぜ自分はこうまで災難に巻き込まれるのか。 混乱でざわつく小屋――次の瞬間、またもや状況が一変する。 頑丈なドアが乱暴に蹴り開けられ、それに巻き込まれた男が一人、間抜けな声を上げながら床に倒れた。 小屋の中にいる者達の視線が集中するなか、長身の男がゆっくりと部屋に踏み込んできた。 絶句する男達を前に、実にゆったりと部屋に踏み込んだ男は、そのまま歩を進めてケイトの傍らにしゃがみ込んだ。 「ギリギリでご無事みたいですね、ケイトさん」 その男の正体を認めた瞬間、ケイトは激しい安堵と共にその男の名を呼んだ。 「ジェリコ……!」 「はい、ジェリコですとも」 拠点でくつろぐ時と変わりのない、温和を絵に描いたような柔らかい笑顔。 ケイトはそこで気が付いた――自分に触れようとした男の掌は、ジェリコが自分に毒素の鎧を纏わせることで遠ざけられたのだと。 仮にも犯罪集団である自分達の前で、あまりにも堂々と居座るジェリコに、我に返ったフードの男が唾を散らしながら怒鳴りつけた。 「な、な、何だ貴様は!」 ジェリコは焦ることなく悠然と振り返ると、にっこり笑って頭を垂れた。 「あぁ、ノックも無しに失礼。こちらに知り合いがお邪魔していると小耳に挟んだもので」 そういう事を訊いてるんじゃねぇ――と言いかけたフードの男は、一礼して持ち上がったジェリコの顔を見て硬直する。 この時、ジェリコがケイトに背を向けていたのは幸いだったのだろう。 そのジェリコの表情を見なかったおかげで――ケイトはジェリコの笑顔にも「種類」があることを知らずに済んだのだから。 「――失礼」 短く告げたジェリコが、ケイトの顔にばさりと自分の上着を被せた。 「わっぷ!? なんだこれは、おい、ジェリコ!」 ジェリコの意図が分からないケイトは必死で身をよじってみるが、すっぽりと顔を覆ってしまった上着は、手を使わないと外れそうになかった。 一人悪戦苦闘するケイトを他所に、ジェリコの身体が滑るように動き、手にしていた棍が振るわれる。 ぼきゅ、と生物的に嫌な音がした時には、その棍はフードの男の喉を潰していた。 「げ、ぎゅ……!」 魔法の詠唱すらままならず、フードの男は喉を抑えて床に崩れ伏す。命に別状はないだろうが、しばらくは呼吸も難しいだろう。 少なくとも直接的な戦闘とは縁遠そうな男が見せた動きに、いよいよ人さらい達が狼狽し始める。 「こんなにも沢山の方々で知人のもてなしを……これはもう是非御礼をしないと」 笑顔は変わらずとも、身の回りの空気を徐々に剣呑にさせていくジェリコ。 ――鈍い打撃音が、一対多数の変則マッチにとって代わる。 ◆ ◆ ケイトが拘束を解かれ、視界を元通りにされたのは、小屋の外に運び出されてからだった。 気が抜けたのか、ケイトはそのまま腰を抜かしてしまい、今はジェリコにおぶさりながら帰路についている。 腰を抜かした時もそうだったが、ケイトはジェリコにおぶさってからは一層顔を真っ赤にして俯いていた。 「本当に、すまない。助かった……」 これで何度目かも分からないケイトの言葉に、ジェリコはいつも通り、温和を絵に描いたような柔らかい表情で「いえいえ」とだけ返した。 「なかなか帰ってこないので心配してたんですよ。街の人に聞いたらあなたが曰くありの道に入っていったって言うもんですから」 「うぅ、言い訳のしようもない」 騎士としてこんな情けない姿を見られたくない、というケイトの意思を汲み、ほとんど人が通らない道を選んで歩くジェリコ。 女とはいえ人一人を背負っても全く歩調が乱れないジェリコの背中で、ケイトはその肩幅が広い事に今更のように気が付いた。 「ありがとう……」 「いえいえ、どういたしまして」 ジェリコの表情は見えなかったが、おそらくはいつもと変わらず柔らかく微笑んでいるのだろう。 礼を言っても一方的に肩透かしをくらっているような気分になったケイトは、どうにか自分の感謝の念を分かってもらおうと、静かな決意と共に言葉を紡いだ。 「なぁ、ジェリコ」 「はい、なんです?」 「礼がしたいんだ」 「あはは、お礼なら何度もお聞きしましたよ、それで十分です」 「いや、どうにも気が済まんのだ」 ――そうとも、騎士も働きによって主君が御褒美を下さるものだ。 生真面目で不器用な女騎士は、自分の感謝の気持ちを何かの品物で形として贈ろうと考えたのだった。 「私をあのような不貞の輩から救ってくれた事に、本当に感謝しているんだ。欲しい物あらば何でも言ってほしい。私にできる範囲ならばどのような金品でも構わない」 「はぁ……」 「普段は無欲だが、お前にだって欲しいものはあるだろう。是非私に用意させてほしいんだ」 背負われているにも関わらず、どんと胸を張るケイト。 その意気込みを背中にびしびしと叩きつけられるジェリコは、苦笑しつつ「欲しい物、ですか……」と呟いた。 「では、一つお願いしましょうか」 「おお、お前にも欲しいものがあるんだな! 是非聞かせてほしい!」 ずい、と肩越しに身を乗り出してジェリコの顔を疑うケイト。 ジェリコはいつもと表情を変えることなく、静かに告げた。 「あなた」 ――この間、たっぷり数十秒。 ケイトは、わくわくと期待に満ちていた笑顔のまま硬直していた表情を徐々に崩れさせる。 「え……………………???」 人さらいに囲まれた時など比較にもならないパニックを起こしているケイトに向かって、ジェリコは困ったように笑いながら続けた。 「欲しいもの、と言われましても……あなた以外には特に思いつきませんので」 「わ、わ、わ、わわ私が…って、どういう……」 わたわたとうろたえ始めたケイトに、ジェリコは「あぁ、予想通りの反応だなぁ」などと思いつつ答える。 「どういうって、まぁそのままの意味ですが――あぁ、無理にとはいいません、忘れて下さって結構」 やんわり笑い返して、そのまま前を向いてしまうジェリコ。 ケイトは顔に差す夕日でもごまかしきれないくらいに顔を赤く染め上げ、先ほどの姿勢の良さもどこへやら、再びジェリコの背に顔を埋めてしまった。 そのまま、奇妙な沈黙が続くこと数分。 ジェリコが肩越しに振り返り、ケイトを真っ直ぐに見つめて一言。 「………いけませんか?」 いつの間にか笑顔ではなく、真摯な表情へと変貌していたジェリコ――その視線を真っ直ぐに受けたケイトは、 ジェリコの肩に頭を預け、小さく「不埒者だ、お前は……」とだけ呟いた。 すっかり赤くなってしまった耳と、肩にしがみ付いた手が僅かに強くなった事が、何よりも分かりやすい答えだった。 窓から差し込む夕日で鮮やかな朱色に染まる拠点は、それ以外いつも通りだった。 ジェリコ、ヤック、ケイト、モモメノ――4人がそれぞれ決めたテリトリーに、自分の探索用の道具や私物、嗜好品を、個性がよく分かるレイアウトで配置している。 ――ジェリコのテリトリーは出入り口の最も近く。 彼の本分を示す薬学や医学、魔法書の類がジャンルごとに整頓され、配置されている。 薬物の調合などで少々雑然としているスペースの存在が、ジェリコらしいといえばらしかった。 ――ヤックのテリトリーはキッチン台に隣接した食器棚の手前。 探索に使う道具や武具と、趣味で収集しているボトルシップが一緒くたに散らばっている。 食事で食器を出すのに邪魔だから整頓しろ、と何度も声を荒げた経験がある事を、ケイトは思い出していた。 「あの、ジェリコ……」 寝台が4つ連なる就寝部屋からは、女性のテリトリー。 ――道具保存用の空き宝箱付近がケイトの空間。 ジェリコ以上にすっきりと整頓された空間には、鎧や剣、盾など必要最低限の品しか置いていない。 密かな愛読書である恋愛小説のシリーズが探索用バッグの奥深くに隠されているのは、ケイトにとって最大の秘密だ。 ――窓や入り口からは見えることのない安全な一画こそが、(ケイトが定めた)モモメノのテリトリーだった。 「王家の者にとって最低限の身嗜みを」と、ケイトが自国から持ち出してきた衣服の影響か、保有スペースは4人の中でも一番大きかった。 それにも関わらず整頓されているのは、こまめに折を見てケイトが整えているからだろう。 竜を狩り――ぶちまけられる臓物や気色の悪い血液に塗れ、怨嗟の言葉を浴びせられ、心身共に疲弊してカザンに帰還した時、この屋敷の変わらぬ部屋の景観こそが、平穏への到達を最初に教えてくれた。 戦闘でモモメノに被害が及ばぬよう、ジェリコやヤック以上に神経をすり減らすケイトにとって、この拠点に入る安心感は、誰よりも顕著にあったのかもしれない。 だが、今のケイトには、そんな安心感を覚える余裕すら許されなかった――背中に柔らかな衝撃を感じた瞬間から。 「ジェリコ、その……」 ケイトは戸惑いながら、旅仲間である青年の名を呼んだ。 腕は動かせない――それら全てを包み込むように、ジェリコが自分を抱き竦めている。 苦しさは感じないが、払い除けようとしてもその拘束は思いの外強く、またジェリコが動く気配もなかった。 「もう、か……?」 艶やかな髪に顔を埋めるジェリコに問いかける。 うなじのあたりに生温かい息がかかったような気がした。そして返ってくる短い答え。 「えぇ、我慢できません」 それを聞いたケイトに軽い衝撃がはしった。 ――ケイトが知るジェリコという男は、礼節を弁えたどこまでも紳士的な人物だ。 モモメノはもとより、ケイトはこの拠点でドアノブに触れた経験がない。それは誰あろうジェリコが、出入りを目敏く見つけて先回りし、ドアを開いて待っているからだ。 ケイトが、自分には婦人への気遣いの類は不要だ、と何度言っても、ジェリコは困ったように笑うだけで、次にはまたドアに先回りしているのである。 同じように、食卓に着くときも女性陣の椅子を引いたり――モモメノとケイトがそのタイミングを同じくした時にはモモメノを優先するものの、それと同時に申し訳なさそうな顔をしている事も知っている。 そんな、王宮の執事に召抱えても問題なさそうな男が、「我慢できない」と言い切ったのだ。その衝撃たるや、魔物の攻撃で混乱したモモメノに鞭でシバかれるくらいのものがある。 その言葉の意味を裏付けるように、回された腕の力が強くなったような気がした。 「普段のお前からは、考えられない……」 力なく呟いたケイトの背後で、ジェリコは薄く笑った。 「普段の私、ですか」 可笑しそうに揺れる声が聞こえると、ケイトを抱き締める力が消え去り、代わりに彼女の身体はふわりと浮いていた。 花嫁を抱き上げるようにケイトを易々と抱え上げたジェリコは、そのままつかつかと食卓を横切り、寝室へと入っていく。 その足が向かうのは自分の寝台――自分の匂いが染み付いたその空間に、ジェリコはケイトを横たえた。 「せめて風呂に――」 「普段通りって仰いますけどね」 心の準備のための時間稼ぎを――遠まわしな小賢しいセリフを言おうとしたところで、ジェリコがそれを切って捨てる。 顔は相変わらず笑顔のままだったが、そこに抗い難い圧力が含まれている事に、ケイトは初めて気が付いた。 ジェリコは笑顔ひとつでケイトの自由を封じ込めて、続ける。 「ご存知ですか? 私は普段の態度で自分の本性を隠してるんですよ?」 身を起こそうとするケイトに覆い被さりながらも、ジェリコの独白は続く。 「本当の私は衝動的で、独占欲が強くて、目的の為には手段を選ばない、性根の腐りきった男です」 ケイトの頬に、男らしく大きな掌が添えられる。 熱い――すくなくともケイトにはそう感じられた。その掌に同調するように、ジェリコの言葉にも熱が入り始める。 「この肌に私以外の誰かが触れるなんて、考えたくもない。あなたに牙を向ける竜どもを、何度くびり殺してやろうと思ったことか」 「ジェ……」 何かを言おうとしたが、それはジェリコに唇を塞がれ、言葉になりきらなかった。 問答無用に女を黙らせる、荒々しい口付け。 最初は強くついばむだけだったそれも、ケイトが大人しくなると共に、深く重なりあい、やがて口内にその食指を伸ばし始めた。 じゅるじゅるとわざとらしい音をたてて唾液を啜り、また逆に自分の唾液を相手へ送り込む。舌先で歯列のひとつひとつを丹念に愛撫し、お預けをくらう舌には、時折思い出したかのように絡み付いて、からかうように焦らす。 息継ぎもそこそこに、彼女の口を貪る。一方的で容赦も加減もないその口付けは――ジェリコ自身が言う通りの、彼の本性を如実に表しているかのようだ。 時折、重なる唇の隙間から唾液が溢れ、ケイトの口まわりをずるずるに汚していくが、彼女はそんな事を気にしている余裕などなかった。 満足に息ができず、また苛烈な攻めもあって濁りだすケイトの意識。 普段はひとつの隙もない光を宿すケイトの瞳が徐々に蕩けだすのを見計らい、ジェリコは彼女の平服である白いセーターの裾に手をかけ、肌着のシャツごと一気にたくし上げてしまった。 まるで菓子の包み紙を剥ぐかのようにあっさりとした動き、その包装の下には――男にとっては菓子よりも甘美な代物が眠っていた。 ――ぶるん、と…… 擬音をつけるならそれ以上に適切なものはない。 そもそも何かで表現しようとすること自体が無粋に思えてくるような、極上の柔らかさを持つ肉の果実が、勢いあまってふるふると揺れる。 騎士として厳しく鍛えても決して女性らしさを失うことのない豊かな乳房が、ケイトの清廉さを表すかのような純白のブラに窮屈そうに収まっていた。 ちぅ……、と可愛らしい音で締めくくって互いの唇が離れる。 「あ、ジェリコ……」 唾液の橋がぷつりと切れるのを見るともなしに見ながら、ケイトは数分前からは考えられないほど甘ったるい声をあげた。 とろりと垂れ下がってしまった目と同様に、意識まで蕩けさせられてしまったのか、下着を晒す自分の痴態を気にかける余裕すら見受けられない。 「すご、すごかったぁ……キス、が…あんなに、いやらしいなんて」 そもそもケイトはキス自体が初めての経験だった。 恋に恋する、というほどではないが、誰にも明かしていない趣味の恋愛小説を読みふけって、そこに遠まわしな表現で書かれた「やらしい行為」を夢想するのが関の山だ。 キスは激しいものでも舌を触れ合わせるくらいで、愛しい異性と交わすそれはとても甘いもの――それが今までのケイトの認識だった。 一番甘いのはケイト自身の認識に他ならなかった。 激しさは頭がくらくらするほどの酸欠じみた気分にさせられ、『甘い』という点は事実だったのかもしれないが、そのレベルは段違い。 ケイトが身を以って体験したその甘さは、砂糖や果実のような甘さ、という表現が子供っぽく思えるような――例えるならばドロドロに煮詰めたシロップが近い。 要するに匂いをかいだだけでむせ返ってしまいそうな、ドロッドロでグッチャグチャの甘さだったのである。 丹念に丹念に、それこそ実際に十数分ほど費やして、ケイトの少女めいた幻想を打ち砕いたジェリコは、自分の唇をちろりと舐め回し、そして抜け抜けと普段通りの笑顔をケイトに向けた。 (意識がはっきりしない内に「剥いで」おきますかね……) 微妙に邪悪に笑ったジェリコは寝台の上に座りなおすと、投げ出した両脚の間に、ケイトの身体を捕らえるように抱き起こした。 「ジェリコぉ……」 切なげに睫を震わせるケイトの唇を、笑顔で再び塞ぎにかかる。 余韻を刺激するかのように、小鳥がついばむようなキスを繰り返しながら、ジェリコはケイトの背に回した手で、彼女の裸体を守る最後の砦を実にあっさりと崩落させた。 未練がましく纏わりつく紐を、腕を通して完全に取り剥がす。 「綺麗、ですね……」 素直な感想が口を割った。 普段は無骨な鎧に隠れ、日の光に晒されることのない、白い肌。ミルクを溶かし込んだかのようなそれは陶器にも例えられるほど美しい。 その瑞々しく豊かな丸みに反して、頂にある桃色の吸い口は、ぽつんと控えめに存在していた。 普段、厚手のセーターを押し上げるほど自己主張が強い乳房は、女性らしく魅力的な丸みと重量感を備えていたが、決して過度ないやらしさを感じさせなかった。 それは形云々の問題もあったが、一重にケイト自身の凛とした雰囲気が強くはたらいているからなのだろう。 だが、その魅力が健康的なものであったにせよ色香に溢れるものだったにせよ、ジェリコには全く関係のないことだった。 ジェリコが欲したのはケイト自身――たとえこれが魔乳だろうが貧乳だろうが適乳だろうが、彼自身の欲望には何の影響も与えなかったに違いない。 期待に身を震わせながら顔を下げたジェリコは、その豊かなふくらみを下から一気に、べろりと舐め上げた。 「ひぁ、ん……!」 舌に重たい抵抗感を感じつつ、持ち上げるようにして舐め上げる。 舌が撫ぜる位置が徐々に上がっていき、それが桃色の先端に触れるかどうかといった瞬間、ジェリコは素早く顔を引いた。 支えを失った彼女の乳房が、ゆさりと重たげに揺れる。 「あう、ぅ……」 熱いぬめりが乳房を這い回り――しかし、敏感な頂には触れずに引っ込められる。 経験は無いにせよ、その先の感覚に対する期待があった――ケイトが切なげに鳴いて視線を下ろすと、自身の乳房に顔を埋めてにこやかにこちらを見やるジェリコがいた。 「……!!」 あまりの気恥ずかしさに、できる限りの力を込めてジェリコを睨みつけるが、その顔の手前に自分の乳房が重たげに揺れていては、非難めいた視線も、滑稽にさえなってしまう。 「失礼、あまりにも可愛らしいので悪戯してしまいました」 ジェリコは顔がにやけそうになるのを堪えながら嘯き、みたびケイトの身体を抱え上げた。 ケイトが自分に背をもたれるような体勢にし、ついでのように味気ないズボンを彼女の脚からひっこ抜く。 ジェリコは、下に一枚を纏っただけの状態になったケイトを満足そうに抱き締め直した。 「あ、恥ずかし、い……」 また元の調子に戻って赤くなってしまった顔を両手で覆い、ケイトはいやいやと身をよじる。 「お前だって、嫌、だろう? こんな、ごつごつした、熊…みたいな、身体……」 「熊、ですか……」 腕の中で悲壮さを漂わせたセリフを反芻しながら、ジェリコは改めてケイトの裸体を眺め直した。 ごつごつした、熊のような身体――どう謙遜すればそんな表現が出てくるのか、疑問である。 剣術の鍛錬や度重なる行軍で引き締められたケイトの身体は、その影響での小さな青アザや擦過傷などはあったものの、むしろそれが無ければ存在自体が冗談であるかのように完璧だった。 無駄な肉など一切なく引き締まった、熊というよりは豹に近い、しなやかな体躯。 それを維持しながら、胸や尻はあらゆる女性が羨むほど、豊かながら整った肉付きをしており、黙っていれば彫像と言われても信じてしまいそうな造形美が完成していた。 だがジェリコは、「豹のようだ」と自分が抱いた感想とは少しばかり違った意向を口にした。 「熊はいけませんね、私が……兎に変えてさしあげます」 「うさ、ぎ……?」 自嘲気味に自分を罵ったケイトの頭上で疑問符がチークダンスを踊る。 兎とはまた――愛らしくはあるが、そんなイメージが自分にないのは、他ならぬケイト自身が一番自覚していた。 「わたしを、うさぎに……変える、のか………?」 訝りながらこちらを見つめ返すケイトに、ジェリコはサディスティックな笑顔をちらつかせながら答えた。 「えぇ、兎さん……季節構わず情欲を持て余して発情しっぱなしの可愛いケダモノに、ね……」 爽やかな笑顔から飛び出したエグいセリフに、ケイトはますます赤らめた顔を俯ける。 そのいじらしい仕草を見やったジェリコは満足げに微笑んで、彼女のへの侵略を再開した。 ケイトが祖国で所属していた王国近衛騎士団は、やはり国の規模に比例したささやかなものだ。 ただでさえ男がほとんどのむさ苦しい騎士団にあって、ケイトの存在は際立ったものだと言えた。 その清廉な美貌もさることながら、内気なモモメノが自ら父に願い出て護衛騎士に召抱えるなど、やはり人を強く惹きつける何かを持っていた。 騎士の鑑と言える立ち居振る舞いや、弱きを助け強きを挫く正義感、そしてそれを振りかざすに足る力量を備えたケイトは、事実上、騎士団の要となる存在だった。 ケイトが騎士として頭角を現すにつれて民間人からの騎士団入隊希望者が増え、また在籍する女性騎士達はケイトを目標として、おろそかになりがちだった鍛錬にも真面目に取り組むようになった。 そんな、ケイトに憧れる国の人々は――今の彼女の姿など想像したこともなく、これから先にすることもないに違いない。 カザン共和国のとある屋敷の中、寝室で鎮座したベッドの上で、ケイトは秘所を覆う薄布一枚という刺激的な格好で、ひとりの男の腕の中に納まっていた。 恋する乙女のように顔を赤らめ目を蕩けさせ、しかし乙女というにはいささか悩ましく、ケイトは―― 「ジェリコ、っ……ん、ふ……ぅ……」 色香の過ぎた香りを漂わせながら身体をよじらせていた。 そして、ケイトを弄ぶように愛するのは、彼女の旅仲間であるルシェ族の青年――ジェリコ。 ジェリコはケイトの背に密着し、艶やかな髪に幾度も口付けを降らせながら、彼女の胸元に寄せた掌を――触れることなく、ゆらゆらと宙空に彷徨わせていた。 「ん……んぅ……」 ケイトが先ほどから漏らす吐息が声になりきらないのも、この奇妙な「寸止め」が原因だった。 触れるか触れないか、空気の薄膜一枚を隔てた微妙な位置で、ジェリコの掌が蠢く。 まるでその悩ましいフォルムをなぞるような、触れそうで触れない遠まわしな愛撫。 その拷問まがいの薄い快感に耐えかねたのか、ケイトがじわりと涙目になりながら言葉を震わせた。 「ジェリコ、こんなの…やだぁ……」 「いやだ? どう嫌なんです?」 返ってくるのは、楽しげな問いかけのみ。目の前の治療士は「こういった状況」ではここまで変貌するのか、と軽いショックを受けながら、ケイトは泣く泣く自分の望みを吐露する。 「ちゃんと、ちゃんと……触って」 半泣きになりながら、ジェリコの掌に自分の手を重ねて、自分の乳房へと押さえつける――否、押さえつけようとした。 だが、腕に力を込めて踏ん張るジェリコの大きな掌はぴくりとも動かすことができなかった。 自分ではだめなのだ、ジェリコでないと――この大きくて温かい掌でないと、気持ち良くなんてなれない。 まるで幼子のように必死なケイトを見やるジェリコは、薄く笑いながら彼女の耳に口を寄せた。 「どこを触ってほしいんです?」 吐息交じりに耳元で囁かれ、ケイトは羞恥に打ちひしがれながら口を開く。 「わたしの、わたしのぉ……む――」 「胸っていうのはナシですよ。そんなムードもない言い方じゃ冷めちゃいます」 なけなしの勇気を振り絞った言葉さえ途中で切り捨てられ、ケイトの退路がなくなった。 胸じゃなければ――言葉自体に心当たりはあるが……それを言えというのか、幼稚だが直接的な、あの言葉を。 だが、言わなければジェリコは何時間でも、この拷問のような「寸止め」を続けるだろう。 この拷問から抜け出すため――という建前の下、快感を求める欲望に屈したケイトは、今にも泣き出しそうな震える声で、告げた。 「おっ、ぱい……」 してやったり――ジェリコは満足げに笑いながら、次の工程へと移る。 もう少し、もう少しで――苦労して積み上げた砂の城を自らの足で踏み崩すような、あの例えようもない快感が得られるのだ。 ジェリコは気持ちの昂ぶりを必死で抑えて、再びケイトの耳元で囁いた。 「おっぱい、おっぱいですか……」 わざと羞恥心を煽るように、いたぶるような楽しげな声色で――ケイトの耳朶をくすぐる、トドメの言葉。 「ケイトさんの――えっち」 「……っ!」 ――ぽろり、と ついに、ケイトの目尻から大粒の涙がこぼれ落ちた。それは頬を伝って、ジェリコの手にぽつりと落ち着く。 一度限界を超えてしまえば、涙は続けざまにぽろぽろとこぼれる続けた。 それに伴うかのように、ケイトが今まで羞恥で押さえ込んでいた感情が――ついに爆発した。 「いい……えっちで、いいから……はしたない女って思ってもいい、からぁ……」 しゃくり声で途切れ途切れに、しかし止めどなく、ケイトは自分の望みをぼろぼろと零す。 「もう、イジワルしないで、ちゃんと……気持ち良くして、ジェリコぉ……」 (あぁ、これで心置きなく――) ジェリコは自分の身体が震えるような高揚感を、確かに感じ取っていた。 これでいい――理性だの建前だの、そんなものを全て取り払った丸裸のケイトこそが、ジェリコの欲したもの。 ケイトの震える肩を掴み、自分の方へ向き直させたジェリコは、普段のそれよりもいっそう温かく――春の日差しのように微笑んで、ケイトに情熱的なキスを降らせた。 ◆ ◆ 「あぁ……ジェリコ、すごいの、すごいの……」 宵闇が支配し始めた空の下、灯りも点っていない屋敷の暗闇に、ケイトの甘い泣き声が響き渡る。 その合間にはピチャピチャと淫猥な水音が添えられており、屋敷に充満する性の香りを強めていた。 ジェリコは、その引き締まった左腕をベッドとケイトの背の間に差し入れて細い腰を抱き、その豊かな双丘を思うさま愛していた。 唇と同様にジェリコのキスを待ちわびた桃色の突起に、さんざん待たせた償いをするかのような熱烈な口付けを施していくと、その度にケイトは肩をわななかせて、切なく鳴く。 「あん…やぁ……っ!」 唾液でべっとりと濡らし、それを拭うように舌先でこね回し、痺れるほど強く噛んだかと思えば、ちぅ…と優しく吸い上げて―― ケイトもすっかり身体の固さがなくなり、素直に快感を受け止めていた。花の蕾のような唇を割って響く声も、蜜のように甘く蕩けている。 ――だが、 「ひぁ、あ……あぁ、ん……っ!」 彼女の声に含まれる艶は、いくら期待に染まっていたとはいえ、あまりにも濃さが過ぎた。 何故か――それは、ジェリコが彼女も気付かないほどあっさりと、かつ自然に、空いた右手で未開の花園を開拓し始めていたからからだった。 文字通り「最後の砦」となった白い薄布も既に取り払われ、今やケイトは完全に生まれたままの姿となっていた。 誰にも晒されることのなかったデリケートな場所に手をあてがい、陰核をぐりぐりと押しつぶしながら、残りの指で秘唇をなぞる。 まだ、どの男も受け入れた事のないその場所は、しかしすぐ後に踏み入るであろう男の熱を想い、とろとろと愛液を吐き出しながら薄く開いていた。 (……(たぶん)処女なのにコレですか、随分と想像力が豊かなようだ) 軽くこじ開けるように、指を少しだけ侵入させてみると、うねってその指にしゃぶりつき、熱烈な歓迎を見せるケイトの「オンナ」。 しかし同時に、抗いがたい緊張があるのか、肩も硬直させてしまっている。 不用意に時間をかけるのは逆効果と踏んだジェリコは、ねぶり回していた乳首を一際強く吸い上げ、引っ張り上げるように口を離した。 「ぁあ……!」 ちゅぽん、と気の抜けた音がして、ケイトの豊かな乳肉がタプタプと弾んだ。 ジェリコの愛撫にいちいち可愛らしい反応を見せるケイト――その姿がまたジェリコの加虐心をゆさぶる。 だが、ジェリコはそれを辛うじて抑え込んで彼女の両脚に割って入ると、腰にまわるベルトの留め金に手をかけた――出番を待ち望んだものが、解放される。 臍につかんばかりに反り返った、長大で荒々しい肉の幹が、肌着ごと引きずり下ろされたズボンの内から現れた。 それをもろに直視したケイトは言葉を失いながら息を――そして、僅かに湧き出した唾を飲み込んだ。 窮屈な拘束から放たれた赤黒いそれは、熱く蕩けた女の柔肉を欲し、びくびくと猛り狂っている。 「す、ご……ぃ……」 遠い記憶――無邪気に外を飛び回っていた幼い頃、父と一緒に風呂に入った時に見た父のそれは、幼心にも強烈なインパクトを残していた。 だが……、とケイトは身を震わせる。今、目の前で張り詰めるそれは、そんな幼いころに定着した潜在意識下のインパクトさえ容易に粉砕する、凶悪な代物だ。 その肉の凶器の切っ先をケイトの割れ目に押し付け、ジェリコは彼女の顔を真っ直ぐに見つめた。 その表情は笑みではなく、この屋敷までの道中で彼女を欲した時の、真摯に引き締まったもの。 「いきますよ」 よく通る声で告げられた、確認の言葉――それで我に返ったケイトは焦るように、咄嗟に言葉を返す。 「あ、あの……ジェリコ――!」 「なんです?」 真顔で返事をされ、ケイトは言葉に窮してしまった。 きまりの悪そうに視線を泳がせる顔は羞恥と快楽によってほんのりと赤くそまっており、その口が紡ぐべき言葉はなかなか出てこない。 少しばかりの間、脚をもじもじ手をもじもじ肩をクネクネと一人ダンスを披露していたケイトだったが、意を決し――た、と思ったらまた視線を外す。 律儀に待つジェリコが少々ジト目になってきたところで、ケイトはようやく何かを決心したかのように、ガチガチに緊張していた身体の力を抜いた。 胸の前で手をもじもじと合わせ、顔をこれ以上ないくらい真っ赤に染めて、上目遣いで―― 「初めてだから、その――優しく、な………?」 ――ガッシャーン、っとな。 そんな音が立ったかどうかは分からないが、少なくとも表面上は表情を変えることなく頷いたジェリコの理性は、大きな打撃を受けて木っ端微塵に砕け散っていた。 己のポーカーフェイスの才能を全力で褒め称えながらも、内なるジェリコはボタボタと赤い液体を垂れ流す鼻を押さえながら悶えていた。 普段は一点の隙もない高潔な女騎士が、純愛系エロ小説のテンプレートじみた言動を素でやらかしたのだ。これを見て揺らがない男はゲ●かイ●ポくらいのものだろう。 (ああああぁぁぁ、そんなギャップを見せられたら我慢できるわけがくぁwせdrftgyふじこlp;) 今すぐにも叫びだしたい衝動を抑え、ジェリコは(表面上だけは)優しく微笑み、ケイトに応えた。 「もちろんです。でも――最初だけは加減しません。最初の痛みは、私があなたを女にする大事な証なんですから、忘れさせませんよ」 一息に言い終えたジェリコは、これまで抑えこんできた自分の欲望を全て解き放ち――ケイトの処女を奪った。 「あ、あああああああああーーーーーっ!」 いくつもの感情が混ざり合った、大きな心のうねりを伴う悲痛な声が、屋敷の薄暗闇に満ちていく。 身体的には完成していても、刺激される事がなかったゆえにきつく閉じたままだったケイトの膣は、侵入してきた熱い肉塊を強く締め付ける。 それは拒絶によるものではなく――自分自身を強くジェリコのものに擦りつけて奥へ奥へと煽動するような動き。 長らく待ちわび、ようやく会えた愛する者への抱擁に似た、熱烈な歓迎だった。 だが、文字通り身を裂かれるような痛みに塗れるケイトに、それを感じ取る余裕はない。 一気に奥まで突き入れられたジェリコのペニスはあまりにも大きく、痛くて苦しくて、それでも、その痛みを待ちわびていた自分もいる。 苦しい、愛おしい、狂おしい――色々な感情がぐるぐると混ざり合って、それは大粒の涙になってぽろぽろと零れ落ちた。 「いたいよ、いたいよぉ……っ!」 ケイトは目をきつく閉じて痛みに耐え、助けを求めて腕を宙に彷徨わせる。 その様を見やり、ジェリコはクッションに沈んでいた彼女の上半身を抱き起こし、背から回した手で彼女の後頭部を押さえるようにして強く抱き締めた。 「ケイトさん、あなたの純潔を奪って、その痛みを与えたのは私です、この私ですよ」 ジェリコは一言一言を区切って、ケイトに聞こえるようはっきりと告げる。 その肩に頭を預け、ケイトは泣きじゃくりながら何度も何度も頷いた。 「分かりましたね? 忘れませんね?」 「うん、うん……!」 必死に返事をしながらジェリコにしがみ付くケイトは、腹を圧迫するような苦しさに耐えかねたかのように仰け反り、彼の背中に爪を食い込ませた。 ジェリコは背中にピリピリとした痛みを感じながら、それを呑み込まんばかりの快楽を下腹に感じ取っていた。 ――情けないが、あまり保ちそうにない。自分の理性がなくなる前に…… ケイトの艶やかな髪を慈しむように撫でていた手を下ろし、ジェリコは静かに片手で印を切った。 「それなら――もう、辛くて痛い時間は…終わりです」 あやすように囁いたジェリコは、規律正しい印で大気中のマナを集めたその手で、ケイトの腹――臍の下あたりを、優しく撫でた。 「あ、ぅ……?」 痛みに溺れていたケイトは、自分に触れるジェリコの掌からにじみ出る温かな感覚に気が付いた。それはじわりと体内に染み込んでいき、膣の中の痛みを徐々に取り払っていく。 ジェリコの手に収束した治癒のマナが、ケイトの体内に染み込んで細胞を賦活させ、痛みを取り除いているのだ。勿論、所有の証となるのだから、処女膜の再生などの無粋はない。 じくじくとした痛みが、母の腕の中のような優しい温かさに包まれて消え去ると、頑なに強張っていたケイトの身体の力が抜けていく。 「もう、痛くありませんか?」 頬を伝った涙の跡を拭い去りながら尋ねるジェリコに、ケイトはようやく、笑顔で頷くことができた。 「よかった……。それでは、もう我慢しませんよ」 言いながら、ジェリコはケイトのしなやかな身体を抱き直すと、一度だけ、激しく彼女を突き上げた。 「ぁあんっ!」 ケイトの唇から漏れ出した声は、彼女が見知らぬ誰かのもののように甘く蕩けきっていた。体内に打ち込まれた鈍い感覚に、ケイトは白い喉を晒して仰け反った。 「これでようやく――」 ジェリコの、喉から絞り上げるような声が響き――そこでようやく、ケイトはジェリコにも理性を保つ余裕がないのだと理解した。 「もう、手順も儀式もいらない………あなたを悦ばせて、めちゃくちゃにしたい」 迷いもなく自分の全てを欲するジェリコを目の前にして、ケイトの胸を得体の知れぬ燻りが焼いた。それは、海の潮が満ちるようにじわりじわりと全身に広がっていく。 ケイトは衝動のままに、ジェリコの唇にむしゃぶりついた。 自らの意思で舌を差し込み、ただ求めるがままにジェリコの口内を舐めまわし、粘膜を啜る。 ひとしきり堪能した後に離れたケイトの顔は、ひどく淫靡になっていた。口のまわりは唾液にまみれ、瞳は媚薬でも飲まされたかのように蕩け、呼吸が荒い。 ジェリコの欲望の炎が、じりじりとちっぽけな理性を燃やし尽くそうとする中で、ケイトは一言だけ告げた。 「………きて」 ――それが、トドメ。 一匹の獣となり果てたジェリコは無造作にケイトを押し倒し、がむしゃらに腰を叩きつけはじめた。 屋敷に再び、ケイトの大きな声が響き渡る――ただし、先ほどのものと同じ人物とは思えない、艶と幸福感を孕んだ声で。 それから後の二人は、まさにつがいの獣だった。 手も足も指まで絡め合い、互いの口を貪りながら腰を振りたくる。 「あぁ、は、ぁんっ……じぇりこ……! そこぉ、そこ、すごいよぉ……!」 普段の理知的な姿など見る影もないジェリコの荒々しい攻めを受けながら、ケイトはうっとりと顔をゆるめて鳴き続ける。 すらりとした長い脚は彼の腰に絡みつき、もっと奥へと誘うように抱き締めており――ジェリコもそれに応じるように、攻めを苛烈にしていく。 「ケイト、ケイト……!」 ジェリコもまた、普段から身に纏う理知的な紳士という仮面を脱ぎ捨て、本能が促すままにケイトを求め、ケイトに自分を与える。 幾度も幾度も彼女の膣をえぐり、子宮口を小突いて、マーキングをするように膣内に射精し――それでもまだ足りない、とばかりに腰をふり、舌を絡めあう。 向かい合っての交わりを堪能すれば、今度は獣のように交わり犯し合った。 四つん這いになったケイトの背にのしかかり、思うさま腰を叩きつける。 獣のような体勢で犯されるケイトは、その背徳感や羞恥も手伝い、さらに身体を仰け反らせ、存分に乱れた。 重たげに揺れる乳房をこねるように揉みしだき、ケイトの耳に、首筋に、肩に、跡をつけるように口付けていく。 「じぇりこ、すき、だいすきぃっ! もっと、してぇ……ぁ、はぁっ……いっぱい、いっぱいぃ……っ!」 身体を支える両腕が力を失い、突っ伏したような体勢になっても、ケイトはジェリコを求め、ジェリコもそれに応えた。 完全に理性を失ったジェリコは、射精している途中も休まず腰を振りつづけて、ケイトを限界以上の絶頂に押し上げる。 「ぁ……ふぁっ、いくぅ……いくいく、いっくぅぅぅぅぅう!」 僅かな時間にオンナとしての性の悦びを覚えたケイトは、何度もそれを味わい、はしたなく貪り尽くして、幾度も身を震わせ絶頂に達した。 「しゅごい、おなかぁ……ちゃぷちゃぷって、あ、ぁんっ……またっ、いぐぅぅぅっ!」 ――時計が八つ鳴る頃には、ケイトは汗と精液と愛液に塗れ、身体に力を入れることができなくなっていた。 それでも膣はジェリコを求め、己の膣内を抉り続ける肉棒に絡みつき、優しく愛撫する。 「……しゅき、じぇりこ……しゅき……だいしゅきぃ……」 ――時計が九つ鳴る頃には、ケイトはとりとめの無い求愛の言葉を垂れ流し続けながら、それでもジェリコを求めていた。 ジェリコもまた荒い息をつくのみで、言葉を発することもなく、それでも腰の動きを止めることはなかった。 「んぉううぅっ! あひっ、ん、んお゛っォォ……あぁあ゛あ゛あ゛あぁぁ……!」 ――時計が十鳴る頃には、ケイトは既に言葉を発する理性を失い、白目を剥いて舌を突き出し、獣のように喘いでいた。 無駄な肉など一切存在しない腹は、内側に放たれたジェリコの精液のみでぽっこりと膨らんでいる。 「ケイ、ト……あい、して……いるん、だ……」 朦朧とした意識の中で、ジェリコは呟く。 最後の方はほとんど記憶がない。疲れ果てた身体は、のろのろと前後運動を繰り返すのみ。 「か、は……っ」 びくりと身体を震わせ、ジェリコはケイトの中へ精を放った。 「……っ!」 喘ぐ声も枯れ果てたケイトだったが、それでも身体に注ぎ込まれる熱を感じ取り、ぴくりぴくりと身体を震わせる。 ジェリコが何度目とも知れぬ射精をし、同時にケイトが何度目とも知れぬ絶頂を迎える――それを皮切りに、ついに二人は同時に意識を手放し、柔らかなベッドに沈み込んだ。 汗と涙と唾液と精液と愛液と――あらゆるものに塗れながら、疲れ果てた二人はそれを拭うこともできず、深い眠りに落ちていく。 寝息で僅かに上下する二人の身体――その場には、むせ返りそうなほど濃い性臭が渦巻くのみ。 二人の熱だけで上昇しきった屋敷の室温が冷めるには、かなりの時間がかかりそうだった。 ――そして、 夢の世界へ旅立った二人が当然気付くことはなかったのだが――二人が眠る屋敷のドアは薄く半開きになっており、その隙間から室内の様子を見やる二つの瞳。 「な、なぁ……モモメノ………………(ごくっ)」 「ん、なに………ヤック………(ぽっ)」 大人達のスんゲェ見本を何時間にも渡って見せ付けられた少年少女が、今まさに危険極まりないゴールインをしようとしていた。 → とある女騎士の油断