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ユリア達のことについて考えていた。 昨日された話。まだ、返事は考えていない。 そもそも、世界を救えって言われても、まともに実感がわかない。 何で俺が? 俺は何か特別なのか? そんなはずはない。魔法も下の下、力もそこそこ。そんな普通の男だ。 じゃあ、何故姫はあんな話を……あんな話? あれ、どんな話だったっけ? つい昨日のことなのに、思い出せない。 記憶にもやがかかっているようだ。何なんだ、一体? 「おいっす。珍しいね、ヒロト君が休みに学校にいるなんて」 「あ、ノアさん。いや、これには結構深い事情がですね?」 「こーら。学校では先生って呼べって言ってるでしょ?」 「休みに先生も何もないっすよ」 「……ん? あれ、君……?」 「へ? なんすか?」 「いや、でも……ああ、なるほどバグか……シナリオが……」 「の、ノアさん?」 「ッチ、クソ。なるほどな。こりゃ時系列まで弄らなきゃ……ああ、こっちの話。 ところで、見た感じヒロト君疲れてるみたいね。少し休んだ方がいいわよ?」 ノアさんにそう言われた途端、急激な眠気が襲ってきた。 昨日何かあった気が……するのに。考えごとが……あった……ような…… 「もしもし、私だ。ったく、あれほど……には気をつけろって何度も…… ハイハイ、言い訳は後。さっさと処理……」 最後に、ノアさんが誰かと電話しているのを聞きながら、俺は深い眠りに落ちていった。 (結構メタな話なバグがあった設定で、先生達組織が改竄。租借シナリオ第2話 - 1.二日目:朝に戻る)
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分類 その他 愛称 緑さん、ガンガアリス Twitter midoristmidorist 兵庫県在住の高専生。留年に脅える日々が割と続いていたようだ。 天則勢。 Phアリス使い。ガードが固いと評判だが、練newによく割られているようである。 ホモ疑惑あり。しかし天則同様受けに回る事が多い。うらさいのあまりのキチガイ振り(ホモ的な)にはさすがの彼もガードしきれないと恐れている。 関西の天則大会に出場経験があり、ていたすとは顔見知りである。 天則勢では良識人であり、ツイッターではフォロワーも700人以上と多くの者たちに慕われている。
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【検索用 みていたる 登録タグ NMKK UTAU み ミテ 曲 重音テト】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ゲスト 作曲:ゲスト 編曲:ゲスト イラスト:mitei 唄:ミテ、重音テト(ガイドボーカル) 曲紹介 曲名:『みていたる』 NMKKがゲスト名義で発表した楽曲 歌詞 (動画より書き起こし) 馬鹿正直に朽ち果てた貴方の影を纏ってんの 人間の中身は人間だ 誰も彼も嘘をつくの 違法じゃないから大丈夫 成長過程を丁重に って自由を勝手の免罪符として振り回す 負傷 無常 宛ら狭間 いくら大きくても強くても無力なの リスク増やさず きつく縛らず 良き人で在るため 泣き寝入り続けて崩れていた 心神耗弱 情状酌量 ふざけてるんだろか 満身創痍 安心そうにしやがってさあ 盲信 放任 正気じゃねえな 良心 消失 どうりでな もういい もういい どうでもいいよ もういい もういい どうでもいいからな 尖れば売れる 折れば廃れる 盗れば釣られる 煽てりゃ逝ける 馬鹿正直に打ち明けた貴方の影を辿ってんの でも私の中身は 逆さの形見は見つからないままで 角ばった掃除機に詰められた貴方は彼方に飛んでった もう基地から逸れて道から外れて はぐらかしました 囚われても誤魔化せる まあいっそ埋葬 還そうよ もうきっと 嫉妬 みっともないな 悔しいの 否 卑しいの 否 虚しいの 奥ゆかしいのさ 神経衰弱 人生不始末 浮かれてるんだよな 怪しい話や 正しい形はないらしいから 常時 喪心 論理じゃないの 放心 増進 どうしてさ もういい もういい どうでもいいよ もういい もういい どうでもいいからさ 壊されても拘れる ほら改装 改造 替えようよ またじっとヒットを待ってるのか 続けるの 嫌 綴れるの 否 潜れるの 皆 進めていくのに 苦しいの 否 苦しいの 否 苦しいの 否 苦しいはずだろ 苦しいの 否 苦しいの 否 苦しい暮らしが寂しいよ 貴方は彼方 宛ら狭間 私の形を見て語り出せ 心身相殺 人生無自覚 揺るがぬ事実だよ 斬新 三振 見られるように仕上がってさあ 更新 送信 笑気欲しいから 精進 傷心 どうしても もういい もういい どうでもいいよ もういい もういい どうでもいいわ 人生推察 認識不可能 憑かれた世界では もう正しい話も 正しい形も見つからないのだ 仁義も倫理も信じられぬけど 因子の認知は必要でさ もういい もういい どうでもいいけど 戻ってこないかな コメント 名前 コメント
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ていたらくの作品を読む 作者概要 あとでここに記載 作品一覧 七難を隠していけ
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みていたる【登録タグ み ゲスト ミテ 曲 重音テト】 作詞:ゲスト 作曲:ゲスト 編曲:ゲスト 唄:ミテ、重音テト(ガイドボーカル) 曲紹介 イラスト:mitei 歌詞 (動画より書き起こし) 馬鹿正直に朽ち果てた貴方の影を纏ってんの 人間の中身は人間だ 誰も彼も嘘をつくの 違法じゃないから大丈夫 成長過程を丁重に って自由を勝手の免罪符として振り回す 負傷 無常 宛ら狭間 いくら大きくても強くても無力なの リスク増やさず きつく縛らず 良き人で在るため 泣き寝入り続けて崩れていた 心神耗弱 情状酌量 ふざけてるんだろか 満身創痍 安心そうにしやがってさあ 盲信 放任 正気じゃねえな 良心 消失 どうりでな もういい もういい どうでもいいよ もういい もういい どうでもいいからな 尖れば売れる 折れば廃れる 盗れば釣られる 煽てりゃ逝ける 馬鹿正直に打ち明けた貴方の影を辿ってんの でも私の中身は 逆さの形見は見つからないままで 角ばった掃除機に詰められた貴方は彼方に飛んでった もう基地から逸れて道から外れて はぐらかしました 囚われても誤魔化せる まあいっそ埋葬 還そうよ もうきっと 嫉妬 みっともないな 悔しいの 否 卑しいの 否 虚しいの 奥ゆかしいのさ 神経衰弱 人生不始末 浮かれてるんだよな 怪しい話や 正しい形はないらしいから 常時 喪心 論理じゃないの 放心 増進 どうしてさ もういい もういい どうでもいいよ もういい もういい どうでもいいからさ 壊されても拘れる ほら改装 改造 替えようよ またじっとヒットを待ってるのか 続けるの 嫌 綴れるの 否 潜れるの 皆 進めていくのに 苦しいの 否 苦しいの 否 苦しいの 否 苦しいはずだろ 苦しいの 否 苦しいの 否 苦しい暮らしが寂しいよ 貴方は彼方 宛ら狭間 私の形を見て語り出せ 心身相殺 人生無自覚 揺るがぬ事実だよ 斬新 三振 見られるように仕上がってさあ 更新 送信 笑気欲しいから 精進 傷心 どうしても もういい もういい どうでもいいよ もういい もういい どうでもいいわ 人生推察 認識不可能 憑かれた世界では もう正しい話も 正しい形も見つからないのだ 仁義も倫理も信じられぬけど 因子の認知は必要でさ もういい もういい どうでもいいけど 戻ってこないかな コメント 名前 コメント
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ヨッシーアイランド攻略 逃げ場がなくて、道がつながっているので、前に高い店が続いているとよけられない場合もある。右と左の分岐点でどちらに進むかで勝負の決め手になるかもしれない。相手の店に止まらないようにしようとしてもどうしてもとまってしまう。株をうまくつかおう。 ツアーで出てくる敵 ヨッシーのワクワクおさんぽツアー 出現敵 ヨッシー、ヤンガス、ルイージ ふたたび冒険へ!伝説のヒーローツアー 出現敵 マリオ、キノピオ、クリフト コメント 情報があれば書いてください。管理人は喜びます。 名前 コメント
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葦は見ていた 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)掩《おお》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)野|伊太夫《いだゆう》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)[#6字下げ] ------------------------------------------------------- [#6字下げ]一[#「一」は中見出し] 五月はじめの朝四時ごろ、―― 熊井川は濃い霧に掩《おお》われていた。まだあたりは薄暗く、どちらを見ても殆んどみとおしはきかない。川岸には葦《あし》が茂っていた、葦は岸から川の中まで、川の中の七八間さきまでも生え、それが川上にも川下にも続いている。岸は狭く、すぐ堤に接し、その堤は十尺余りの高さであるが、土質が脆《もろ》いので、絶えずぱらぱらと土が崩れていた。特にひとところ、その崩れのひどい処《ところ》があり、そこには段々に土が窪《くぼ》んで、人の登りおりした跡が出来ていた。 風は少しもなかった。霧は動いているのだが、ほんの僅かに動いているだけで、よくよく眼をとめて見ないとわからないくらいだった。 そこは川の彎曲部《わんきょくぶ》であった。観音寺の丘陵の端をまわった川が、大きく右に曲り、そこにひろい淀《よど》みをつくっている。葦はそのひろい淀みにびっしりと生え、そして互いの葉を重ねあっていた。――川波に根を洗われるためだろう、葉の茂みは絶えず(ごかすかに)ふるえ、その白っぽい濃緑の葉は霧粒で濡れていた。 一羽の鵜《う》が飛び去った。川下から川上へ、霧が濃いのでかたちもおぼろだし、むろん翼の音もしないが、その飛びかたで鵜だということがわかった。 堤の上から一人の若い女がおりて来た。 あの段々に窪みの出来ているところから、灌木《かんぼく》の枝につかまりつかまり、危なっかしい恰好で下へおりて来、そこでまわりを眺めやった。年はもう二十一か二くらいであろう。髪のかたちや着物の着かたで、水商売をしていたらしいことが想像される。小麦色の細おもてに、眉が濃く、眼尻のあがった、いかにも勝ち気らしい顔だちであるが、小さい肩や、そこだけ緊って肉づいた腰つきなどに、洗練された嬌《なま》めかしさと色気が感じられた。 女は蒔絵《まきえ》の文筥《ふばこ》を持っていた。その文筥はかなり古びたもので、結んだしで紐《ひも》も太く、その紫の色もすっかり褪色《たいしょく》していた。 女は振向いて堤の上を見、それから川の向うを見た。遠くを見るときには、その眼が細くなり、眉間《みけん》に皺《しわ》がよった。やがて、――女は地面の上に文筥を置いた。そこは、絶えず堤から崩れる土で、少しばかり高くなっている。女はその高くなった処へ文筥を置き、それから着物の裾をからげて帯に挾《はさ》んだ。下からは水色の縮緬《ちりめん》の二布《ふたの》があらわれたが、女はさらにその二布をからげ、左右の端をしっかりと結び合せた。すると彼女のしなやかな、すんなりとかたちのいい脛が、膝のところまで剥《む》きだしになった。 「これでいいかしら」女は呟《つぶや》いた、「ほかにしようがないわね、まあいいわ」と女は頷《うなず》いた、「あんまり恥ずかしい恰好になりさえしなければいいんだから、――これでいいわ」 女は帯をしらべ、着物の衿《えり》を直した。右手の小指で鬢《びん》の毛を掻《か》きあげ、川の上下をうかがうように見た。 空がやや明るくなり、霧が動きだした。 女はそっと草履をぬいだ。霧で濡れた地面に、素足が冷たそうである。女は草履をきちんと揃《そろ》え、川のほうへ向けて汀に置いた。それから静かに川の中へ入っていった。――初めに水の中へ足を入れたとき、彼女は身ぶるいをして肩をちぢめた。しかし躊《ためら》うようすはなかった。ひと足ずつ静かに、爪尖《つまさき》で底をさぐりながら、葦の間を進んでいった。葦たちは彼女に押し分けられて傾き、さやさやと葉ずれの音をたて、彼女の手がはなれると大きくはね返って、こんどはがさがさと騒がしく揺れた。 葦の間をぬけ出たとき、女の躯《からだ》はずぶっと腰まで水に浸った。そこから深くなっているのだろう、のめりそうになり、両腕を振るのが見えた。 女はそこでちょっと立停った。霧の動きがしだいに早くなり、女の姿が薄くなったり濃くなったりする。それからまもなく、女はまた進みだした、川心に向って、――水は腰から胸のあたりまであがった。濃い霧の条が来て、いちど女の姿をすっかり隠した。次に見えたとき、女は殆んど首まで浸っていたが、そのとたんにふっとその首も水の中に沈んだ。そこに水の輪ができ、静かに輪がひろがった。 まもなくまた女の頭が見えた。沈んだ処から四五間川下で、ばしゃばしゃと水を叩き、はっはと短く喘《あえ》いだ。そして、いちど沈んだかと思うと、もっと川下でもういちど頭が浮いた。それはかなり早い速度で川下のほうへと流されていたが、もう霧に遮《さえぎ》られてよくは見えなかった。 「計さん」女の声がした、「計之介さん」 それは水を含んだ口から出る声であった。つづいて「かぼっ」という水音がし、もうなにも聞えなくなった。 空はますます明るくなり、風立って来た。風は川上のはうから静かに吹きはじめた。そちらから順々に葦が揺れて来るので、吹いて来る方向がわかった。すると、霧はにわかに巻きたって、条になり渦になり、川下のほうへと流れはじめた。川岸の夏草も、堤の灌木《かんぼく》の茂みも、びっしょりと霧粒のために濡れた。 汀に置かれた草履も、あの文筥も濡れていた。――葦たちは、まるでいまの出来事を互いに囁《ささや》き交わすかのように、片向きに揺れてはさやさやと葉ずれの音をたてていた。 [#6字下げ]二[#「二」は中見出し] 明くる朝の午前五時まえ、―― 観音寺の丘の上で、杉丸東次郎が藤吉計之介の来るのを待っていた。そこは寺のうしろにある平らな丘で、晴れていれば、前方には寺の大屋根や鐘楼を越して、城下町と城のある鶴ヶ岡の森が見えるのだが、濃い朝霧が視野を掩《おお》っているため、寺の屋根も鐘楼もおぼろにしか見えない。丘のうしろは雑木林の繁った斜面で、その下は熊井川の流れである。熊井川は観音寺の丘陵の北端をまわり、大きく迂曲《うきょく》して、そこにひろい淀《よど》みをつくっており(これも晴れていれば)その淀みや、対岸の街道や林野が眺められるのであるが、いまは川そのものさえ、灰白色の帷《とばり》に遮《さえぎ》られて見えなかった。 「いやだめだ、もうとうていむだだ」東次郎は首を振りながら呟いた、「思いきってやるほうがいい、さもなければ武士として破滅するばかりだ、思いきってやるほうが友情だろう」 彼は丘の向うを見た。 空が明るくなり、静かに風が出て、さっと霧が巻きあがった。東次郎は刀の下緒を外し、それを襷《たすき》にかけると、ふところからたたんだ晒《さら》し木綿を出して、しっかりと額に汗止めをした。そのとき観音寺の鐘が鳴りはじめた。 「時刻だな」と彼は呟いた、「いよいよそのときか、――」 東次郎は袴《はかま》の股立《ももだち》をしぼった。 鐘楼は丘のかげにあるので、それほど音は高くないが、鐘の響きは濃霧にともって長く、一音、一音がおもおもしく、長く尾をひいて、城下町のほうへと鳴りわたっていった。 東次郎はふと眼をそばめた。向うの、丘の登り口に人の姿が見えたのである。霧のためにはっきりしないが、藤吉計之介にまちがいはない。――彼は刀の目釘《めくぎ》をしめし、草履をぬいで足袋はだしになった。 計之介は走って来た。 東次郎は足もとを眺めやり、それから、刀の柄《つか》に手をかけて、走って来る計之介のほうを見た。計之介は三間ほど先で停った。 計之介は蒼《あお》い顔をしていた。頬骨の出た、ひどく窶《やつ》れた顔が、走って来たあとなのに蒼白く、そうして激しく喘《あえ》いでいた。 「こっちはいいぞ」と東次郎が云った、「待っているから早く支度をしろ」 「それには及ばない」 計之介は刀を抜いた。 「支度をしろ」と東次郎が云った、「そんな恰好で勝負ができるか」 「なに、――なに、きさまくらい」 計之介は身構えをした。 「だめだ」東次郎は首を振った、「そんな恰好で勝負ができるものか、ちゃんと支度をしなければおれはやめる」 そのとき鐘が鳴りやんだ。最後に撞《つ》かれた一音が、ゆっくりと、余韻を残して消えた。その消えかかる余韻のなかで、計之介が叫んだ。 「これでもか」 そして彼は斬り込んだ。 刀をふりかぶり、足場も計らずに、ただ真向から斬り込んだ。東次郎は左へ躱《かわ》しながら刀を抜いた。計之介は踏み止り、振返るとすぐに突を入れた。東次郎は右へ駆した。計之介はまた斬りつけた。こんどは上段から打ちおろし、それを返して横に払った。 「よせ、藤吉」と東次郎が叫んだ、「きさま気でも狂ったのか」 計之介はまたとびかかった。東次郎は横へ身をひらきながら、すばやく計之介の足を(自分の足で)すくった。計之介はのめっていって転倒した。彼の手から刀が飛んだ、彼は倒れたまま起きようともせず、みじめな声で叫んだ。 「斬れ、杉丸、斬ってくれ」 東次郎はこっちから眺めていた。 「斬ってくれ、斬らないのか」 東次郎は刀を鞘《さや》におさめ、身支度を解いた。そして、濡れた足袋をぬいで草履をはき、足袋は懐紙に包んで袂《たもと》へ入れた。彼はそのあいだも計之介から眼をはなさず、やがて、草むらの中から計之介の刀を拾いあげると、静かに近よっていって呼びかけた。 「起きろ、人が来るとみっともない、起きてわけを話せ」と東次郎は云った、「いったい、どうしたんだ」 「おれは斬られたかった」 「起きて話せ」 「おれは斬られるつもりで来たんだ」 「さあ、起きて刀をしまえ」と東次郎は云った、「果し合をしずに済めばそれに越したことはない、さあ起きてちゃんとしてくれ」 計之介は起きあがった。東次郎が刀を渡すと、立って、顔をそむけたまま鞘におさめた。 「おれは恥ずかしくって死にたいんだ」 「ひと言だけ云え」東次郎が云った、「なにがあったんだ」 「あいつが、――逃げた」 東次郎は黙って次を待った。 「昨日の夜明けまえに」と計之介が云った、「おれが眼をさましたら、あいつはもういなかった」 「――慥《たし》かにか」 「有るだけの金と、あの漢鏡がない」と計之介は云った、「金のほうは僅かだが、漢鏡が家宝で、高価だということを知っていた、それが無いんだ、――おれは昨日、一日じゅう捜しまわった、だがあいつはどこにもいない、もう逃げたことは確実だ」 東次郎は歩みよって、計之介の肩へ手を置いた。 「危ないところだった」東次郎は云った、「よかった、藤吉、よかったよ、天の助けだ」 「おれは恥ずかしい、ただもう恥ずかしい」 「うちへゆこう」と東次郎が云った、「うちへいって朝飯を食おう」 「ゆける筈はないじゃないか」 「ゆけなくってさ」と東次郎が云った、「いま藤吉は恥ずかしいと云った、しかしそれはちがう、恥ずかしいというのは昨日までの藤吉だ、いまの藤吉には恥ずかしいことなんかありゃあしない、いっしょにゆこう」 「有難いが、それだけはできない」 「おれはつれてゆくよ」 「それは残酷だ」と計之介は云った、「あれだけの醜態をさらして、ほかの人たちはともかく、深江さんの前へ出られる道理がない、それはあんまり残酷だ」 「いっしょにゆこう」東次郎は云った、「腫物《はれもの》を切開するときには、思いきって、一遍にやるものだ、なし崩しにやっても痛みが減りはしない、恥ずかしいおもいも一遍にしてしまえ、そうすればさっぱりするよ」 計之介は不決断に頷《うなず》いた。 「さあゆこう」と東次郎が云った、「おれがうまくやるよ」 二人は歩きだした。空はすっかり明るくなり、風のために、もう霧も殆んど吹きはらわれていた。丘の下り口までゆくと、朝の光りをあびた城下町の向うに、鶴ヶ岡の森と、城の天守閣が爽やかに眺められた。 二人は坂をおりていった。 [#6字下げ]三[#「三」は中見出し] 二人は辻町にある杉丸の家へいった。 東次郎は百二十石の納戸役で、家族は母親と、娶《めと》ってまのない妻と、深江という妹の三人であった。 「休暇を三日もらってあるんだ」と東次郎は云った、「今日は特別だから、ひとつ酒をつけてゆっくりしよう」 東次郎がみみうちをしたとみえ、みんなの態度はごく自然で、他人行儀なようすは少しもみせなかった。妻女とは初めて会うのだが、その妻も旧知のようにふるまった。 酒はなごやかに進んだ。 深江が給仕に坐った。彼女は二十歳になる、躯の小柄な、まる顔の健康そうな娘、笑うとかなり大きな八重歯が見える。それが恥ずかしいのだろう、笑うときには必ず、手の甲を返して口を掩った。 ――ばかだね、隠すことはないじゃないか。 東次郎はたびたび云った。 ――八重歯は愛嬌《あいきょう》があっていいものだ、おまえの顔は八重歯の見えてちょうどいいくらいなんだぜ。 ――だって大きすぎるのよ。 と深江は(口を掩いながら)云うのであった。 ――わたくしのは八重歯ではなくって、鬼歯みたようなんですもの、恥ずかしいわ。 計之介と深江とは、五年まえに婚約していた。計之介のほうに事情があり、このところ二年以上もこの家へはよりつかなかった。そのため深江は二十という年になってしまったのであるが、――彼女のようすには変ったところはなかった。計之介にはそれが、むしろ呵責《かしゃく》であったが、しかしうれしさも大きかった。彼女に少しも変ったようすがなく、まえと同じように受け容《い》れてくれるのをみて、彼は強い自責と深いよろこびとを、二重に感ずるのであった。 食事が終ると、計之介は別れを告げた。 「明後日ゆくよ」と東次郎が云った、「そのときすっかり話を聞こう」 計之介は頷いた。東次郎は玄関まで送って出た。 「松野老へはおれが知らせよう」東次郎は云った、「召使などもおれがなんとかするから、まず藤吉はゆっくり寝ることだ」 計之介は眼をそむけながら頷いた。 「松野老がどんなに喜ぶことか」 東次郎は呟くように云った。殆んど独り言のようであった。計之介は東次郎の顔を振返って見て、それから玄関を出ていった。 藤吉の家は、屋敷という処にあった。 計之介が帰って一刻ばかりすると、家扶《かふ》の松野|伊太夫《いだゆう》が、二人の下僕をつれて来た。松野は父の代からの家扶であるが、半年まえに自分から暇を取り、親類の家に寄食していたものであった。――計之介の居間へ、戻った挨拶に来たとき、松野は泣いた。 「杉丸さまからうかがいました」と松野伊太夫は云った、「あのときは無礼なことを申上げましたが、どうぞお赦《ゆる》し下さいますよう」 計之介は頭を垂れた。そして低い声で云った。 「勘弁しておくれ、私はやり直すからね」 松野は「はい」といった。 「私は立ち直ってみせる」と計之介は云った、「きっと立ち直ってみせるよ、きっとだ」 計之介の眼からも涙がこぼれ落ちた。 臨時に雇った二人の下僕をさしずして、松野が家の中をきれいに片づけた。家財道具も殆んどなく、家じゅうが荒れ放題になっていた。それをきれいにし、さしあたり入用な物を買いいれた。金は杉丸が都合してくれたらしい、あとで「残ったから」といって、二両ほどの金を計之介に渡した。 中一日おいて東次郎が訪ねて来た。 そのときはもう、松野の老妻も戻っていたので、つつましく酒肴の膳《ぜん》を拵《こしら》え、昼食を共にしながら話した。 計之介はすっかり話した。話す必要もなくまた話せないことはべつにして、できるだけありのままに告白した。 藤吉の家は五百三十石の中老で、父の舎人《とねり》は側《そば》御用を勤めたこともあり、酒も煙草も口にしたことのない、謹直な人であった。計之介は一人息子だったが、決してあまやかされるようなことはなかったし、生れつき温和《おとな》しく、頭のいい子で、藩校ではよく褒賞を与えられた。――杉丸東次郎とは精心館で知りあった。東次郎は計之介より一つ年長で、精心館道場では俊秀といわれていた。計之介はついに彼に及ばなかったが、それでも上位の中軸くらいまでは使ったし、ときには東次郎と三本に一本くらいの勝負をすることもあった。 二十歳前後から、彼にはふしぎに人望が集まって、「やがて国老になるだろう」などという評が広まった。父が側御用を勤めたし、国老三席のうち、一つは中老から選出される定めなので、無根の評ではないが、そんな年ごろでそういう人望の集まることは、彼自身にはかなり重荷に感じられた。 ――そんなことを気にするな。 東次郎は、しばしば彼を励ました。 ――世評なんて勝手なものだし、国老になったっていいじゃないか、国老になったって悪くはないぜ。 ――よしてくれ、おれは静かに暮したいんだ。 計之介は学問が好きだった。できることなら一生、静かに学問をして暮したかった。 二十三歳のとき、彼は深江を妻に欲しいと申し込んだ。東次郎は妹の気持をきいてから承知し、婚約がまとまった。深江は十五歳だったが、彼女はおくて[#「おくて」に傍点]らしく、躯つきも気持もまだ子供のようであった。 ――二年ばかり待ってやってくれ。 と東次郎が云い、計之介は承知した。 彼が二十五になった年、母が死に、続いて父が江戸で死んだ。計之介は父の葬儀のために江戸へゆき、そこで女と知りあった。 女は柳橋の芸妓で、名をおひさ[#「ひさ」に傍点]といい、もう二十二歳であった。計之介は亡父の友人の催してくれた宴席で彼女に逢い、そのあと、彼女に求められて、一人で隠れて逢いにいった。 ――もう一度だけいらしって。 と、おひさ[#「ひさ」に傍点]はせがんだ。 ――お国へお帰りになれば、もう一生おめにかかれないんですもの、ね、もう一度だけ。 それがたび重なった。江戸という都会が珍しく、芸妓あそびというものが珍しく、そして初めて知った女であった。計之介は女のつよい情に惹《ひ》かれた。決して嫌いではなかったし、はなれ難い気持もあったが、結局はあそびであり、江戸にいるあいだのことだと思っていた。 彼は七十日を済ませて帰国した。別れに逢ったとき、おひさ[#「ひさ」に傍点]は泣きとおした。 ――どうしてもあなたが忘れられない、いっそ死んでしまいたい。 女は声をあげて泣き、幾たびも彼の腕を噛《か》んで、その自分の歯の痕《あと》へ狂ったように頬ずりをした。 帰国してからまもなく、彼は無名の手紙で料亭へ呼びだされた。新京橋に近い、「源宗」という料理茶屋で、いってみるとおひさ[#「ひさ」に傍点]であった。彼女はすっかり窶れて、病人のようにみえた。彼女は計之介を見ると哀れに笑い、肩をちぢめながら云った。 ――どうぞ叱らないで下さい。 ――どうしたんだ。 彼にはわけがわからなかった。 ――お願いですから叱らないで。 おひさ[#「ひさ」に傍点]は彼にしがみつき、そして激しく泣きだした。 [#6字下げ]四[#「四」は中見出し] 計之介はちょっと黙った。 「それは知らなかった」と東次郎が云った、「そうか、江戸からやって来たのか」 計之介は暫く黙って、それからまた話し続けた。 おひさ[#「ひさ」に傍点]は江戸をぬけ[#「ぬけ」に傍点]て来、この城下の木花町で芸妓になった。彼に逢おうとは思わなかった、ただ彼のいる土地に住みたい一心だった、と云った。 ――でも一度だけおめにかかりたかったので、思いきって手紙をさしあげたんです。 おひさ[#「ひさ」に傍点]はそう云って微笑した。 ――これで気が済みました、いちど逢えたし、同じ土地にいられるのだから本望です、もう二度と御迷惑はかけませんわ。 おひさ[#「ひさ」に傍点]は本気だったろうか。 「それはわからない」と計之介は云った、「本当にそれっきり逢わないつもりだったか、それとも、そうするほうが男をもっと惹きつける、ということを知っていたためか、どっちともわからない、ともかく、――その後おひさ[#「ひさ」に傍点]から呼びだしは来なかった」 しかし計之介のほうから逢いにいった。 逢いにゆかずにはいられなかった。初めておひさ[#「ひさ」に傍点]によって女を知り、僅かな期間ではあるが繰り返されて、それがどんなに強い誘惑であるかわかっていた。そのうえ、江戸をぬけて来た女の、ひたむきな、思いつめた気持もあわれであった。 ――これで本望だ。 こんな田舎の城下町で芸妓になって、それでも同じ土地にいられるから本望だという。おひさ[#「ひさ」に傍点]の言葉は彼の心を刺し、彼の心をつかんだ。 ――いらしってはだめよ。 おひさ[#「ひさ」に傍点]は云った。計之介が逢いにゆくたびに、おひさ[#「ひさ」に傍点]はそう云うのであった。 ――土地が狭いからすぐ噂《うわさ》になります、これっきりいらっしゃらないでね。 計之介もそうしようと思った。深江に対しても気が咎《とが》めた、深江は十七になり、ずっと娘らしくなっている。いっそ深江と結婚してしまおう、そうすれば女を忘れられるかもしれない、彼はそうも考えた。すると却《かえ》って執着が強くなった。おひさ[#「ひさ」に傍点]の身についた、男を夢中にさせる技巧にか、――そうかもわからない。しかしそれ以上に、女の思いつめたすがたが、あまりに哀れでいじらしかった。馴染のない土地の座敷で、田舎客を相手にうたったり踊ったりしている姿を想像すると、もうそれで、逢いにゆかずにはいられなくなるのであった。 ――こんどこそ、これっきりよ。 おひさ[#「ひさ」に傍点]はそう云った。とんど来たってもう逢わないとも云った。しかも逢う度数は増してゆくばかりであった。 ――こんなことをしていてどうなるの。 ――そのうちに飽きるさ、大丈夫だよ。 ――そうね、どうせ御夫婦になれるわけじゃないし、そのうちには飽きるかもしれないわね。 ――そうだとも、二人ともきっと飽きてくるよ。 そして二人の仲はさらに深くなった。 「もう半年もしたら、本当に飽きて別れたかもしれない」と計之介は云った、「しかしそのとき、まわりで二人の仲が評判になり、松野がしきりに意見を云いはじめた」 「松野はおれのところへ相談に来た」と東次郎が云った、「おれはもう少し待てと云った、もうやむだろうから、もう少し黙っているがいいと云ったんだ」 「松野はそれができなかった」と計之介は云った、「もう金がなくなりかけていたんだ」 伊太夫は金のことは云わなかった。杉丸家に聞えては済まない。家中《かちゅう》の評にのぼっても、家名に瑾《きず》がつくからと云った。それからの二人はそれまでの二人とは違ってきた。みんなが睨《にら》んでいる、みんなが仲をさこうとしている、もうおおっぴらには逢えない。二人はそう思い、隠れて逢うようになった。それが二人をもっと強くむすびつけた。世間の眼を忍ぶことで、お互いへの愛情も、快楽への誘惑も激しくなり、一日も逢わずにはいられないようになっていった。 計之介も女も借金が嵩《かさ》んだ。 彼は松野に云えない金を借りてまわり、おひさ[#「ひさ」に傍点]は彼の気づかないところで借金をつくった。いうまでもない、二人は世間の眼を忍ぶために、却って世間の噂を高めるような結果になった。――給銀が払えないので、松野は召使たちに暇をやり、三人いた家士たちもつぎつぎに去った。 父の舎人が死に、彼があとを相続したので、もうなにか役に就くじぶんであった。しかしなんの沙汰もない、おそらく女との噂が邪魔をしているのだろう。役に就かなければ(中老の家格に変りはないが)食禄《しょくろく》は三分の一減らされる。生活はぎりぎりまでゆき詰った。 「そのとき女がうちあけたんだ」と計之介は云った、「はじめは泣くばかりで、どうしても云わなかったが、おれがせめにせめたら、――もうこれで逢えない、自分はほかの土地へくら[#「くら」に傍点]替えしなければならないのだと云った」 計之介は初めて女の借金を知った。 江戸から来て一年半ばかりの期間に、女は背負いきれないほどの借金をつくっていたし、もう延ばせない期限が来ていた。金を返すか、他の土地へくら[#「くら」に傍点]替えするか、どちらかにしなければならなくなっていた。 ――よし、金をつくろう。 計之介は云った。 ――その金をきれいにすれば、おまえの躯は自由になるんだろう。 ――そうして江戸へ帰れと仰《おっ》しゃるの。 ――金をつくってからだ。 ――あたしをくら[#「くら」に傍点]替えさせて。 ――おれに金がつくれないと思うのか。 ――お願だからくら[#「くら」に傍点]替えをさせて。 そんなに遠い処ではないからくら[#「くら」に傍点]替えしても逢えないととはない。むしろ土地が離れるから、気兼ねなしに逢えるだろう。おひさ[#「ひさ」に傍点]はそう云った。しかし彼にはそうはできなかった、彼のために江戸をぬけ、彼のためにそんな借金を負わせて、それで黙って見ていられるものではなかった。 彼は松野に無断で、家にある書画やめぼしい道具を売った。 松野は怒った。父の代から仕えていて、温和しい一方の、忠実で勤直な彼が怒った。 ――私はお暇を頂きます。 松野はふるえながら会った。計之介は勝手にしろと云った。 ――その代りなにも云うな。 松野はなにも云わなかった。松野は意見らしいことはなにも云わずに、妻と二人で出ていった。そして、計之介は一人になった。 「おれが松野にそうしろと云ったのだ」と東次郎が云った、「そうして暫くようすをみるがいいと」 「いまになればわかるが、あのときは頭が狂っていた」と計之介は云った、「よし、それならこっちもゆくところまでいってやれ、どうなるものか、――」 そうして彼は女を自宅へ引取った。 [#6字下げ]五[#「五」は中見出し] 二人だけの生活が始まった。 それは激しい消耗の生活であった。男は世間から棄てられた怒りと絶望とを、女と歓楽に溺《おぼ》れることで忘れようとし、女は男をそんな境遇に追いとんだ自責から、もっと深い快楽を男に与えることで償おうとした。たしかに、計之介にはそう思われた。女の飽くことを知らないような求めや、焦燥や、強烈な歓喜と陶酔の表現は、しだいにその度を高め、昂進《こうしん》するばかりであったが、同時に(どんなに狂的な快楽のなかでも)いつも罪の呵責《かしゃく》と赦しを乞う涙をともなっていた。 ――あたしが悪いのよ、あたしがあなたをこんなにしてしまったのよ、ごめんなさい、堪忍して、堪忍して。 おひさ[#「ひさ」に傍点]は身悶《みもだ》えをし、声をあげて泣くのであった。計之介はそれをやめさせようとし、ときにしばしば女の口を塞《ふさ》いでどなりさえした。 ――やめろ、やめてくれ、こうなったのは誰の責任でもない、もしなにが悪いかというなら、それは二人がめぐりあったことだ。 ――それだけは仰しゃらないで。 ――悪いとすればそのことだというんだ。 ――あなたは情なしよ。 ――おまえが自分を責めすぎるからだ。 ――あなたは薄情者よ、あたしはそのことをどんなに有難く思っているかしれないのに。 おひさ[#「ひさ」に傍点]は云った。 ――あたしは自分がどうなってもいい、あなたとめぐりあえたことがあたしにはうれしい、あたしにはそれがなにより有難いことだわ。 そして女は絶えいるように泣いた。 これらのことは計之介は話さなかった。お互いの身も心も灼《や》きつくすような日夜のことは、話しようもなかったし、話す必要もなかったからである。……生活はまったくその日ぐらしになった。計之介は家じゅうの物を売った。女は着たきりで、髪道具も持っていなかった。彼はまえにめぼしい物をすっかり売ったので、残ったのはたいてい恥ずかしいような品ばかりであった。しかしどんなに些少《さしょう》でも、それが銭になる物なら片端から売った。 ――もう少しよ。もう少し。 女は苦悶《くもん》の声をあげながら叫んだ。 ――あたしもうすぐに出てゆくわ、だからもう少しのあいだ堪忍して。 だが、おひさ[#「ひさ」に傍点]は出てはゆかずに、自分が稼《かせ》ぐと云いだした。いっしょに江戸へゆこう、江戸なら充分に稼げるし、あなたも肩身のせまいおもいをせずに暮すことができる。いっしょに江戸へゆきましょう、そう云ってくどきはじめた。 ――さもなければ、あたしたち餓死をしてしまうわ。 ――おまえは餓死がいやか。 ――あなたを餓死させられると思って。 ――ゆきたければおまえ一人でゆけ、おまえ江戸へ帰りたいんだろう。 ――あなたには女の気持がわからないのね。 ――一人でゆけ、おれはいやだ。 家の中はからになった。もう屑屋《くずや》でもなければ買わないような物ばかりで、それを売るのもおひさ[#「ひさ」に傍点]の役になった。すると或る日、おひさ[#「ひさ」に傍点]が一面の古鏡を捜しだして来た。 ――それは売れないんだ。 と計之介は云った。 ――それは古くから藤吉に伝わっている家宝で、代々この家の主婦の持つものになっている、祖母から母へ、母から、……そうだ、それはおまえに渡されるものなんだ。 ――あたしにですって。 ――おまえがおれの妻なら、当然それはおまえに伝わるものだ。 おひさ[#「ひさ」に傍点]は珍しそうに、それをうち返し眺めた。それは青銅で鋳た八花形の手鏡で、直径四寸ばかり、裏に竜の浮彫があった。 ――ずいぶん古いものらしいわね。 ――漢鏡というから、千年以上も昔のものだろうね。 ――では、たいそうな値段でしょう。 ――よく知らないが、売るとすれば相当なものらしいよ。 おひさ[#「ひさ」に傍点]は魅せられたように飽かずその鏡を眺めていた。そして深い溜息《ためいき》をつき、やがてさもさも惜しそうに、元の匣《はこ》の中へしまった。 ――あたしには勿体《もったい》ないわ。 ――おまえのものなんだよ。 ――こんな尊い高価な物なんて、あたしなんかには勿体ないことよ。 おひさ[#「ひさ」に傍点]はそれを元あった場所へ戻した。 「それはいつごろのことだ」と東次郎が訊《き》いた。 「つい二十日ばかりまえだ」 「そしておれが来たんだな」 「初めて杉丸が来た」と計之介が云った、「おれは杉丸の顔を見たとき、いよいよこれでけり[#「けり」に傍点]がつくだろうと思った」 そのとき彼は初めから逆上していた。 東次郎は穏やかに話そうとした。東次郎はがまんできるだけがまんし、もうそれ以上がまんができなくなって来たのであった。しかも東次郎は穏やかに話すつもりだったし、辛抱のできる限り穏やかに話した。けれどもこちらが逆上しているので、たちまち声が荒くなり、互いに言葉がするどくなった。 ――意見めいた口をやめろ、本心を云ったらどうだ。 計之介が嘲笑《ちょうしょう》して云った。 ――おれに女と別れろというのは、おれのためではなく、女と別れさせて、おれを自分の妹といっしょにさせるためだろう。 ――深江の名を出すな、深江の知ったことではない。 ――深江さんとおれとは五年まえから婚約がある、それは家中でたいていの者が知っている、女のためにそれがこわされては面目にかかわるから。 ――黙れ、黙れ藤吉。 東次郎は叫んだ。 ――きさまそんなにも卑しくなったのか、あの女のために、そんなにも卑しい人間になったのか。 ――女がどうしたって。 ――相手がどんなに卑しい女だからって、自分まで卑しくなるとは情けないやつだ。 ――その言葉は赦せないぞ。 ――卑しいと云ったからか。 ――女を誹謗《ひぼう》したからだ、取消せ。 ――いやだと云ったらどうする。 ――念には及ばない、決闘だ。 すると東次郎は冷笑して云った。 ――決闘などと云う気持ぐらいはまだ残っていたんだな。 ――いやとは云わさんぞ。 ――場所と時刻を云え。 ――あさっての朝の五時、観音寺の丘で会おう。 [#6字下げ]六[#「六」は中見出し] 「その明くる朝、――杉丸の来てくれた、明くる朝のことだ」と計之介は云った、「眼がさめてみると女がいない、手洗いにでもいったか、起きて朝の支度でもしているのかと思ったが、いくら待っても音もけはい[#「けはい」に傍点]もしない、ふっと気がついて、女の夜具をさぐってみた、するとそれがすっかり冷たくなっている、おれは逃げたなと直感した、それまでそんなことは考えもしなかった、女が逃げるかもしれないなどということは、爪の尖《さき》ほども疑ったことはなかった」 それにも拘《かかわ》らず、彼は「女が逃げた」と直感した。 ――だがそんなことはある筈がない。 計之介は自分の直感をすぐにうち消した。たぶん金でも都合しにいったのであろう、自分でそう思いなだめて、苛《いら》いらしながら待っていた。もちろんおひさ[#「ひさ」に傍点]の帰るようすはない、午後になると矢も楯《たて》も堪らず、彼は木花町へでかけていった。そして女の住込んでいた家や、出先の茶屋を(外聞も忘れて)訊きまわった。女はどこにもいなかった。計之介は酒を飲んだ、馬子や人足などのいる店で、いやな匂いのする酒まで飲み、悪酔いをして、家へ帰るとそのまま酔いつぶれた。 「眼がさめたのは夜半すぎだろう、夢のなかで思いだしたらしいが、眼がさめるとすぐに漢鏡のことに気がついた」 「なかったんだな」 「なかった」と計之介が云った、「捜しにゆくと匣だけはあったが、中の漢鏡はなくなっていた、もう疑うまでもない、逃げたということがはっきりわかった」 それは計之介に残された、たった一つの金めな品であった。伝来の家宝であり、高価に売れることも女は知っていた。 「あいつはおれを搾《しぼ》れるだけ搾った」と計之介は云った、「そうして、もうおれから搾るものがなくなり、家名の存続も危なくなったので、それだけは残しておいた鏡を持って逃げたのだ」 「まえの晩、――」と東次郎が云った、「深江のことが話に出たからではないか」 「いや、深江さんのことはまえから知っていたんだ」 もう話すことはなかった。 「おれは自殺しようと思った」 「それ以上のことをしたよ」と東次郎が云った、「藤吉は約束どおり観音寺の丘へ来た、そして事実をありのままにうちあけた、これは勇気がなくてはできないことだ」 東次郎は二つの盃《さかずき》に酒を注ぎ、「いっしょに持ってくれ」と云った。 「この経験を活かしてくれ」と東次郎は低い声で云った、「藤吉の経験したことは、そうざらにあるものではない、たいていの者ならそれでまいってしまうと思う、――しかしおれは藤吉を信ずる、藤吉は必ず立ち直るだろうし、そのときにはこの経験が大きな価値をもつだろうと思う、たのむよ」 計之介は眼を伏せていた。東次郎の言葉を心に刻みつけるかのように、じっと眼を伏せて聞き、それから、いっしょにその盃の酒を飲んで、やはり下を見たままで云った。 「深江さんは堪忍するだろうか」 「わからない」と東次郎が云った、「これまでなにも云わなかったから、堪忍しているのかもしれない、このあいだの朝のようすではそう思えるが、本心がどうだったかは訊いてみなければわからないと思う」 「それなら訊かないでくれ」計之介は云った、「そのときが来たらおれが自分で訊くよ、もしもそのときまで、あのひとが待っていてくれたらだけれど、――」 東次郎は彼の眼を見て頷いた。 藤吉計之介は立ち直った。東次郎が予想していたよりはるかに早く、確実に、――立ち直った計之介は以前の彼ではなかった。女とのことが起こるまえは、彼は温和しくて学問好きなお坊ちゃんであった。厳格には育てられたが、一人息子の気弱さと、恥ずかしがりやな性分がめだっていた。それがすっかり変ったのである。顔つきにも態度にも、内にひそめた力感と、芯《しん》の強さがあらわれ、言葉つきなどもはっきりと明白になった。――それはちょうど、重患から恢復《かいふく》した者が、まえよりもずっと健康になるような例に似ていた。 明くる年の二月、計之介は中老の席につき、深江と結婚した。彼はべつに謝罪めいたことは云わなかったし、深江にも彼の過失を咎めるようすはなかった。 結婚して二年めに長男の小太郎が生れ、一年おいて二男の杉之助が生れた。そのとき、計之介は妻に云った。 「男の子が二人あればいい、もう子供は生まないことにするよ」 深江はそうでございますかと答えた。彼女には良人《おっと》がなぜそんなことを云うのか、そのときは見当もつかなかったのである。しかし日の経つにしたがって、良人がしぜんでない方法をとるようになり、それがいつまでも続くので、不審に耐えられなくなって訊いた。 「あなた本当にもう子供は生まないおつもりなのですか」 「おまえは冗談だとでも思っていたのか」 「どうしてですの」と深江は云った、「それは男の子が二人いれば不足とは申せませんでしょうけれど、この二人がまちがいなく無事に育つという証拠もございませんわ、いつ一人が欠けるか、いいえ二人ともとられるようなことになるかもしれないではございませんか」 「そんな心配をしたらきりがない」と計之介は云った、「私は一人っ子だが無事に育ったからね」 「もちろん譬《たと》えに申上げたのですわ」と深江は云った、「でも、そんな譬えはべつにしても、藤吉家くらいの身分でしたら、子供が三人や四人あってもおかしくはないと思うんですけれど」 「計算してみたことがあるか」 「計算ですって」 「五百三十石という食禄で、どれだけの生活をしなければならないか、ということをさ」計之介が云った、「子を生んで育てることは、日雇人足にもできるだろう、しかし成長した子供をどうする、日雇人足なら馬子にしても駕籠舁《かごかき》にしてもいい、だが武家ではそうはいかない、どんなに貧しくとも、武家では子供を馬子や駕籠舁にすることはできない、――おまえにもそれだけはわかるだろう」 深江は頭を垂れた。 「藤吉家を相続するのは一人、あとは養子にゆくか、さもなければ部屋住で一生を終るよりほかにしようがない」と計之介は云った、「もっと大身なら分知ということもできるが、五百三十石の中老では不可能だからな」 深江は寒けにおそわれたように、肩をそっとちぢめた。計之介は云った。 「子供は二人でたくさんだよ」 [#6字下げ]七[#「七」は中見出し] 計之介は三十五歳のとき江戸詰になり、中老のまま留守役監事という役についた。知れているとおり留守役は藩の外交官で、監事はその事務を統轄する役目だった。仕事はごくじみちであるが、藩政の全般を知るのに適した位地であるため、後年彼には非常に役立ったようである。 江戸詰の任期は三年であるが、役付きになったために、計之介は江戸に六年いた、このあいだに国許《くにもと》へ二度帰ったが、そのたびに、彼の人柄が変ってゆくのを、周囲の者ははっきりと認めた。躯もがっちりと固肥りになり、顔つきには意志の強さと、一種の威厳さえあらわれだした。帰国すれば杉丸東次郎と会い、二人だけで食事をするのが例であったし、そのときはうちとけたようすで、いかにも楽しそうにするのだが、しかもなお、身分の差というものが歴然と感じられるのであった。 「みごとに立ち直ったものだ」と東次郎は深江に云った、「もうまちがいはない、彼はきっと国老になるぞ」 かつて予想された評が、しだいに家中ぜんたいの輿望になっていった。 留守役監事を六年勤めた彼は、側用人にあげられて、二百石加増された。側用人はむずかしい役で、どう勤めても悪くいわれやすい。藩主と重臣の間に立つから、些細《ささい》なことでもすぐ批判のたねになる。肉跡的にも精神的にもつねに負担が大きく、よほど健康で頭がよくなければ勤まらなかった。 側用人になったとき、彼は名を頼母《たのも》と改め、長男の小太郎に計之介をなのらせた。彼はその役をみごとに勤めた。江戸でも国許でも評判は上々で、特に藩主の信任が篤《あつ》く、しばしば褒賞されて刀や衣服を賜わった。そうして四年、いよいよ国老になるときが来ると、彼は躯の不調を理由に退職の願いを出して、家中の人たちを驚かした。 城代家老は殆んど終身であるが、江戸と国許を通じて、次席以下四人の家老は五年が任期になっており、一人は中老から選ばれるのである。ちょうどその中老の交代する年になって、頼母は退職願いを出したのであった。周囲の者も思いとまるように云い、藩主からも特に慰留の沙汰があったが、彼はどうしても辞意をひるがえさなかった。 ――躯の調子が悪いので、このままでは充分な御奉公ができない、将来お役に立つためにも、二三年お暇を頂いて健康をとりもどしたい。 こう云ってついに職をしりぞいてしまった。 もちろんそれは口実で、杉丸東次郎だけには本心を語った。 「私は順調に出世しすぎた」と頼母は云った、「これまでは幸い不評も買わずに済んだが、このまま国老になれば必ず反感をもたれる、私にはそれが眼に見るようにわかるんだ」 「そうかもしれない」と東次郎が云った、「しかし次の交代は五年さきになるよ」 「そうらしいな」 「五年のあいだ情勢が変らずにいると思うのかね」 「どうだかな」と頼母は云った、「交代国老を待っているとすればその点も考えるだろうが、私は五年も遊んでいないつもりだよ」 東次郎は頼母の顔を見た。頼母は微笑しながら頷いた。 「そうなんだ」と頼母は云った、「杉丸だけにうちあけるが、私は城代が望みなんだ」 東次郎は圧倒されてものが云えなかった。 ――たいした人間になったものだ。 と東次郎は心の中で呟いた。 ――だが、本当にこの男は城代になるかもしれぬぞ。 頼母の隠居生活が始まった。長男の計之介は十五歳、二男の杉之助は十三歳になっていた。頼母は殆んど子供には無関心で、藩の文庫から書物を借り出しては読み耽《ふけ》り、また草鞋《わらじ》がけで弁当を持って、領内を丹念に歩きまわったり、熊井川へ魚釣りにでかけたりした。城代家老を覘《ねら》ってなどというそぶりは些《いささ》かもみえない、それは誰の眼にもまさに保養している人の姿であった。 九月になったばかりの或る日、―― 頼母は熊井川へ釣りにでかけた。そこはまえにもいちど来たことがある、観音寺の丘陵をまわった流れが右へ大きく曲って、かなり広い淀みをなしており、汀から川の中までびっしりと葦が茂っている。――頼母は萱笠《すげがさ》をかぶり、腰には脇差だけ差して、袷《あわせ》の着ながしであった。堤からおりたところは、脆《もろ》くなった堤の土が崩れるため、ひとところ高く、水の中へと突出ている。彼はそこを選んで釣竿の支度をした。 秋の朝のやや冷たい風が吹いていた。 頼母の釣りは魚を釣るのが目的ではない。安逸のふうを人に(もし見られたばあいには)示せばいいので、釣ることにはなんの興味もないのであった。釣糸を垂れた彼は、竿を足もとの土に突き立て、自分は堤の斜面へ腰をおろした。 風の渡るたびに、葦は片方へなびき、黄ばみはじめた葉と葉が、さわさわと乾いた音をたてた。 まもなく三寸ばかりの鮒《ふな》が釣れ、続いて三尾かかった。そうして、また竿を土に突き立てようとしたとき、土の下でつかえる物があり、さらに強く突くと、なにか割れるような手答えがあった。どうやら箱でも埋まっているらしい、――彼は竿で土を掘ってみた、するとはたして文箱のような物が出て来た。 「たしかに文箱だ」と頼母は呟いた、「こんな処にどうしてこんな物を埋めたのか」 箱には紐《ひも》が結んであった。腐ってぼろぼろになっているため、触るとすぐに千切れたが、箱を結んだ紐だというととは、金具があるのですぐにわかった。箱もすっかり腐朽しているけれども、ところ斑《まだら》に漆や蒔絵《まきえ》の残っているのが見えた。 風が来て、さっと葦がそよぎ渡った。 頼母は蓋をあけてみた。中に手紙が入っていた。彼はそれを取出して、丁寧にひろげていった。ずいぶん古いらしい、紙は茶色になって、糊《のり》のために貼《は》り付いている。巻きほぐすにしたがって、貼り付いた部分が剥《は》げたりまた裂けたりした。そのうえ書いてある仮名文字も(それはあまり上手でない女の筆跡だったが)水のため滲《にじ》んでいるので、判断できない部分が多かったが、ひろいひろい読んでゆくと、左のような意味のことが書いてあった。 ――けいさま、あたし死んでゆきます。 書きだしにはそうあった。 ――あたしが死ぬ気になったのは、今夜のお二人の話を聞いたからです。けれどもそれだけが理由ではありません、本心を云うといまが死ぬときだと思うからです。 あたしはいま身も心もよろこびと幸福でいっぱいです。あたしはあなたとめぐりあい、こんなにも愛しあうことができました。あたしも身についたものをぜんぶして、義理を欠き、生れた土地を去ってあなたお一人により縋《すが》りましたし、あなたもあたしのためにお家やお名を忘れ、なにもかも棄てて下さいました。 ――あたしの心にもからだにも、あなたの愛情がまだ火のように熱く燃えています。あたしは人が三度生れて来たよりもよけいに生き、もっと深いよろこびと幸福を味わいました。あたしはいま、――こんなにも強く愛しあった人がほかにいますか、と叫びたいような気持です。この幸福な、燃えるようなよろこびが消えないうちに死にます。かがみ[#「かがみ」に傍点]を黙って頂きますが、これをあなただと思って、いっしょに抱いてゆきたいのです、どうかおゆるし下さい。 ――ああけいさま、あたしが死んでゆくいま、どんなにうれしく仕合せな気持でいるか、あなたにわかって頂けるでしょうか。……いまあなたはよく眠っていらっしゃる、観音寺の鐘が二時をうちました。ではこれでお別れ致します。けいさま、さようなら。 終りに名が書いてあるが、字がすっかり滲んでいて読めなかった。頼母は「ふん」と鼻をならした。 字もうまくないし文章も拙《つたな》い。だが、そこには恋のよろとびが凱歌《がいか》のようにうたってあった。それは恋の陶酔のなかで死んでゆく女の、歓喜と勝利の叫びといってもよかった。 ――頼母はなにか思いだしたろうか、いや、なにも思いだしたようすはない、彼は軽侮の眉をしかめた。「よろこびと、幸福か」と彼は云った、「ふん、これを書き遺《のこ》して死んだんだな、――どんな女か知らぬが、ばかなことをしたものだ」 頼母はその手紙を投げ捨て、もういちど釣竿を土に突き立てた。 風が渡って来て、葦が片向きに、葉をそろえてなびき揺れた。さわさわと乾いた音をたてながら、――葦たちはなにか囁きあっているようであった。十八年まえの或る夏の早朝、濃い霧の中であった出来事と、いま頼母が手紙を投げ捨てたことについて、……風がしきりに渡り、葦はさわさわと鳴りなびいていた。 頼母は堤に腰をおろし「城代」をものにする計画を、たのしげに考えはじめた。 底本:「山本周五郎全集第二十五巻 三十ふり袖・みずぐるま」新潮社 1983(昭和58)年1月25日 発行 底本の親本:「面白倶楽部」 1954(昭和29)年9月号 初出:「面白倶楽部」 1954(昭和29)年9月号 ※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
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トロデーン城 もっとも簡単なステージ。ルートも単純だが、逃げ場もないために、相手と真っ向勝負になってしまうため、銀の店などを作りまくられてしまうと、マークを取りにいけない場合がある。そうなった場合チャンスカードにかけてみるのも良いかもしれない。 このステージをツアーでやった場合 トロデーンで遊んでーんツアー 出現敵 スライム、ももんじゃ、キノピオ いっしょにたんけん!お宝はっくつツアー 出現敵 ビアンカ、デイジー、ハッサン コメント 情報があれば書いてくれると管理人は喜びます。 ふむ。いたストDSですか。 -- おかか (2010-03-04 18 41 32) そうです。どうも。 -- タービィ (2010-03-05 11 36 33) 名前 コメント
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月を見ていた 収録作品:ファイナルファンタジーXVI[PS5] 作詞・作曲・歌:米津玄師 編曲者:坂東祐大 概要 綺麗な月だな…ジル… ファイナルファンタジーXVIのテーマソング。シンガーソングライター・米津玄師氏が手掛ける初のゲームソングである。 ピアノとストリングスのドラマチックな旋律に乗せて、主人公・クライヴとヒロイン・ジルの想いと関係性が歌われる一曲。 インタビューや対談において、米津氏は「クライヴには幸せであってほしい」と感じつつ、彼の背負った業もしっかり残さなければいけないという考えを語っている。 クライヴは物語の中で、“人が人として生きられる場所”を作るために過酷な運命の中戦い続けたキャラクターである。 彼がとった手段は結果的に世界のため・自由のためではあるが「世界と多くの人々に混乱を巻き起こし、大罪人と呼ばれるような行為」であり、彼自身もそれは理解していた。 そういったクライヴの行いや心情と向き合い、単純に浄化を感じるものだけではなく、彼が負う責任・後ろ暗さも曲に込められている。 なお歌詞の中の「私」「あなた」といった表現はクライヴとジルの事だが、それぞれどちらを表しているかは特に限定していないとのこと。 作中で使用されるのはエンディングのムービーシーン。 米津氏はプロデューサーの吉田直樹氏から曲が流れるシーンの指定をされており、そのシーンのためだけに作曲された。 ゲームのエンディングで流れるならばドラマやアニメ等と同じポップソングの作り方ではいけない(*1)とし、インタビューで以下のように語っている。 ですが、今回はゲームの曲であり、この曲が流れるシーンまでに、プレイヤーはすごく長い時間を使ってたどり着く。 さらに、自分で操作することによって、その世界にどんどん没入している状態なので。 その物語に似つかわしいものは何かということを限界まで考え、外に向ける割合をできる限り少なくしていきました。 そういう意味でいうと、ポップスとしては不誠実かもしれませんが、いままで50:50で作ってきたものを、今回は90:10くらい、物語に対する比重を大きくする作りかたをしました。 そういう作り方であるため、「できることなら、『FF16』というゲームを通して聴いてほしいと思いますね」と続けている。 『月を見ていた』という曲名も物語に寄り添ったものであり、曲の構成要素としては一番最後、ゲーム制作終盤の段階で決められたものらしい。 公式動画はトレーラーの他、ゲームのムービーシーンを編集したスペシャルMVが米津氏のYouTubeチャンネルで公開されている。 ゲーム本編のネタバレを多分に含むため、視聴の際は注意されたし。 過去ランキング順位 みんなで決める2023年の新曲ゲーム音楽ランキング 86位 歌詞 別窓開きます インタビュー記事 米津玄師インタビュー 「『月を見ていた』は『FF16』というゲームを通して聴いてほしい」 別窓開きます 「月を見ていた」インタビュー 別窓開きます 関連リンク 月を見ていた 特設ページ 関連動画 FINAL FANTASY XVI テーマソングトレーラー / 米津玄師『月を見ていた』 「FINAL FANTASY XVI」× 米津玄師「月を見ていた」Special MV【ネタバレ注意】Kenshi Yonezu - Tsuki Wo Miteita - Moongazing 米津玄師 × 吉田直樹 -月を見ていた 対談 [前編] Kenshi Yonezu × Naoki Yoshida – Moongazing TALK [Part 1] 米津玄師 × 吉田直樹 -月を見ていた 対談 [後編]【ネタバレ注意】 Kenshi Yonezu × Naoki Yoshida – Moongazing TALK [Part 2]
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このページはこちらに移転しました 愛していたい 作詞/タマムシ winter night キミは白くただ輝くだけ、眩い光を放って消えた 僕の記憶ごと…。 消さないで my memory 愛だと知った基調な時間 とまらなかった僕の感情 捨ててしまったprideは 遥か遥か土のした モノクロでもわかる この景色 他が色を失ってもキミだけは代わらない 失うものがないなんて 卑屈な態度が 可愛らしい 愛していたい 愛していたい 愛していたい