約 3,996,826 件
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/11347.html
14 名前:ゲーム好き名無しさん (アウアウT Sa01-xRNj)[sage] 投稿日:2016/07/28(木) 22 44 26.33 ID ak2PhI5Pa [1/2] スレ立て、集計おつ 挨拶代わりにひとつ。版権二次創作ネタなので注意 その時は、版権キャラクターをモチーフにしたPCを使って遊んでいた 全員同じ作品のキャラだったから、NPCも同じキャラだった その作品にはaとbというキャラがいて、どちらも女性キャラで対立・憎み合っている関係だった ケンカップルとか言われて二次創作では百合もよくあったけど、好き嫌いははっきり分かれていた PLのAは、そのキャラaを使ってたんだけど、やはりというかaとbの百合創作が大嫌いとかで、それを明言してもいた しかしGMがNPCでbを出してきて、更にaのルームメイトという設定にしていた bは、aとは敵対しているが目的が一致するからと言ってaの手助けをし、ツンデレっぽい発言もあった (あんたの為じゃないんだから!……あんたを殺すのは私なんだから、生きて帰ってきなさいよ!と言って赤面する、など) Aは初めは黙っていたけど、そのうち明らかに機嫌が悪くなった 自分もさりげなく空気を変えようとしていたけど、GMの描写に勝てる筈もなく… Aはそこからラストまで不機嫌なまま終わり、アフターには出ずに帰った GMに何故あんな展開にしたのかと聞くと、まさかあそこまで嫌いとは思わなかったよwと笑っていた 自分はそこまで苦手な二次創作って無いものだから、何がいけなかったのかわからないけどもやもやして終わった 機嫌が悪くなったとはさらっと書いたけど場の空気は本当に最悪で、みんな察して途中からほとんど無言だった 困った人、というか困った事の話でした 15 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイW 813c-xRNj)[sage] 投稿日:2016/07/28(木) 22 46 00.63 ID 5wIC2iE10 何がいけなかったのか、っていうのは、誰がいけなかったのかって事です 16 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ 7acb-UbOe)[sage] 投稿日:2016/07/28(木) 22 50 32.85 ID 4+dTU8a00 そりゃ不機嫌になるのは良くないけど事前に明言しててGMがその態度じゃAは悪くないと思いたい つーか誰がいけないのはハッキリしてるだろうGMだよ 17 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイW 813c-Y0VN)[sage] 投稿日:2016/07/28(木) 22 55 04.32 ID nD63Mz8e0 [1/2] GMに何故あんな展開にしたのかと聞くと、まさかあそこまで嫌いとは思わなかったよwと笑っていた まさかあそこまで嫌いとは思わなかったよwと笑っていた 笑っていた 情状酌量の余地なし GMが悪い 18 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイW 813c-Y0VN)[sage] 投稿日:2016/07/28(木) 22 57 09.77 ID nD63Mz8e0 [2/2] 二次創作の捏造カップリングということを一旦忘れて 「嫌いだと明言したはずのものをGMが積極的に取り入れてくる」 ってところを見れば何がまずいかわかるだろうな ともあれ乙 20 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ 2d17-Sije)[sage] 投稿日:2016/07/28(木) 23 17 18.55 ID J1tyzBOw0 嫌いだと言ってるのに振ってくるGMが困 敵に楽勝したいとか、俺のPCに惚れてる女以外出すなとか、 ただのワガママなら聞く必要ないが…アブノーマル趣味を嫌いと言われたら遠慮するのが普通 GMがab好きでどうしてもやりたかったなら、やる前に宣言するべきだし 21 名前:ゲーム好き名無しさん (アウアウT Sa01-xRNj)[sage] 投稿日:2016/07/28(木) 23 17 38.16 ID 0mYASm2Pa [2/2] 困かどうかという点については一応議論の余地があると思うが、 誰が困かっていったらGM一択だよ。Aは被害者じゃねえか 単純に「これは嫌い」って言ってることをやってる(やらせてる)んだから全責任がそこにある それもまあ、PC同士の絡みでbのPLがそういう方向に動いてしまった、というのならまだ分かるが、 GMがNPCとして配置してそういう描写するってのは言い逃れできんよ。Aに対する嫌がらせ目的と言って問題ないレベル 22 名前:ゲーム好き名無しさん (アウアウT Sa01-xRNj)[sage] 投稿日:2016/07/28(木) 23 27 08.62 ID ak2PhI5Pa [2/2] 18で納得しました 確かにこれはGMが悪いな……感覚が麻痺してたよ、我ながら怖い ありがとう 23 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイW 7973-Y0VN)[sage] 投稿日:2016/07/28(木) 23 39 15.71 ID O2XKTVAK0 二次創作設定だけじゃなく版権キャラを出すのも嫌がる人は一定数いるからな 知った上で出して方向修正も出来なかったGMが悪い 24 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイW 79a0-Y0VN)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 00 59 26.13 ID 1MqWq0sw0 22 あのな、ハッキリ言うと今回のGMがやったことは悪意あるハラスメントなの 本気で悪意無かったら笑ってなんかいねぇ。君に「どうしよう?」って相談しとるわ 「全くこの程度で大袈裟な」ってよくセクハラ親父が言うだろ? そういうこったよ 25 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ 745b-oK17)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 01 12 29.54 ID PbI0/+dW0 何が悪いかわかった報告者はこれで良し。空気を換えようとしていたし。 GMに地雷属性で苦しむ出来事があることを願っておこう。 32 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエT Sa01-xRNj)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 15 41 03.00 ID 4bNoCf1TaNIKU 俺的には不機嫌魔神と化し居座り続けたA氏もかなりのもんだと感じるけどな さっさと「嗜好がここまで違うと楽しめません退席失礼します」でいいだろ 33 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエ Sr69-Y0VN)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 15 51 30.65 ID 7Mpy1Hv8rNIKU [1/2] 席を立たないなら困行為を我慢しろ、という意味ならまったく賛同できない 34 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエ KK7f-Ruvr)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 17 17 17.74 ID wbX5DHSUKNIKU 個人的には版権キャラでTRPG遊ぶてのが理解出来ないかな たまに見掛けるけど 35 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエ 407c-n/e8)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 17 21 36.50 ID K9X9G89w0NIKU 周囲も 14みたいに空気の悪さを察するだけで明らかな困であるGMを止めなかったようだし、 そこで退席したら「あいつ一人が我慢すれば済む話だったのに暴れてセッションを台無しにした困A」 として 14に報告されていた未来が見える ので、 32には俺も不賛成 36 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエ b72b-znwT)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 17 23 15.26 ID acFLBGka0NIKU サンプルキャラで遊ぶと思えば…まあ理解できないが 好きな作品で微妙な描写やられたら「飛影はそんなこと言わない」な気分になりそうだ 37 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエ 7a5b-oK17)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 17 23 41.77 ID TkH6c5u/0NIKU その楽しさが理解出来ないって事なら、「既存キャラクターを“演じる命題”として受け取ってチャレンジする」とか、「ネタとして(=他人に見せる事を意識して)」とかは見たし個人的にも分かるな 38 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエ 11a1-oK17)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 17 38 03.95 ID fA1Ni2oG0NIKU うちだとPCに版権キャラ使用ってのはあまり見ないが NPCが特定の版権キャラコピーだったりシナリオ内容が 特定の版権作品の展開がベースだったりするの多いな 設定やストーリーはそのシステムの世界観やシナリオの都合で 変更されるので元ネタと完全に同一のキャラや展開になるわけではないが) 39 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエW 7c5b-xRNj)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 17 43 59.22 ID lYSUiHUC0NIKU [1/2] うちだと版権キャラPC割と多いけど、結局真面目にやると「イメージ先」ぐらいだなあ そもそも登場する世界感が違うんだから完全マッチなどするはずもなく、演じる上で「版権キャラ」ではなく「そのキャラ」になってくね 基本的に外観や性格の説明をさっくりやる、ぐらいだろうと思ってる まあ 14のGMは全く無関係に困だけどな… 47 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエ 813c-oK17)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 22 03 18.30 ID uzz5Wdej0NIKU [2/2] 今回はネタ振りという形のないものだけど、 困スレまとめみてると、犬嫌いの人に犬けしかけた なんて報告もあったしなあ。 困は基本的に人の嫌がることしかできない。 48 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエ dd3c-U0xO)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 22 10 26.78 ID gNi6JndC0NIKU 困「人の嫌がることは進んでやろう!!」 50 名前:ゲーム好き名無しさん (ニククエW 7c5b-xRNj)[sage] 投稿日:2016/07/29(金) 22 43 20.00 ID lYSUiHUC0NIKU [2/2] 47 TRPGと無関係に根本的にまともに付き合いたくないタイプだよなあ 他人が嫌がってるのにそれを尊重しない、自分の好みを基準にして「別にいいじゃん」ってやってくる はっきり言って付き合い方を見直さざるをえない 51 名前:ゲーム好き名無しさん (ワッチョイ e03c-oK17)[sage] 投稿日:2016/07/30(土) 02 11 36.20 ID vgFezfYd0 [1/2] 47 「食わず嫌い的なアレだろうから、実際に触れ合えば好きになる」とでも思ったんだろうか>犬嫌いの人に~ どうやっても無理なもんがあるってことを理解しないバカ、結構いるんだよなあ スレ440
https://w.atwiki.jp/25438/pages/2576.html
※リクエスト じゃあ 律と澪の縁日での昔話とか ◯唯「澪ちゃんを夏祭りに誘ったら断られた」紬「それはね……」 唯「こうやって会うのも久しぶりだねー、ムギちゃん」 紬「えぇ、夏の間はフィンランドに帰ってたから。はいこれお土産」 唯「えっ、何かな~」 紬「ふふっ、後からあけてみて。それでこっちはどうだった? 何か変わったことはあったかしら?」 唯「そうそう聞いてよムギちゃん。一昨日澪ちゃんを夏祭りに誘ったら断られちゃったんだ」 紬「うーん。それは……澪ちゃんにも用事があるだろうから仕方ないんじゃない?」 唯「私もそう思ったんだよ。でもさ、和ちゃんが一昨日お祭りで澪ちゃんを見たって」 紬「えーっと……」 唯「ねっ、酷いでしょ」 紬「澪ちゃん誰かと一緒だったって?」 唯「りっちゃんと一緒だったんだって。それなら私も誘ってくれてもいいのに」 紬「あぁ、それはね……」 唯ちゃんの誘いを澪ちゃんが断った理由は簡単。 二人だけで夏祭りに行く約束をしていたから。 二人だけで? うん。二人だけで。 澪(唯が誘ってくれたのは嬉しいけど、今日は律と二人きりがいいんだ) 澪(ママに着付けてもらった着物、綺麗って言ってくれるかな…) 澪(そろそろ来てもいい時間だと思うんだけど…あっあれ) 澪「律、こっちこっち!!」 律「おっ、澪」 澪「遅かったじゃないか」 律「時間通りだろ」 澪「ううん。三分遅刻だぞ」 律「チェッ、細かいな」 澪「本当に律はルーズなんだから」 律「まぁまぁ、お祭りなんだから細かいことは抜きにして楽しもうぜ」 澪「それもそうだな。それじゃあ何から見て回ろう?」 律「澪は何が見たい?」 澪「私アレ食べたいんだ。リンゴ飴」 律「ほほう」 澪「それと焼きトウモロコシだな!」 律「私は粉物を食べたいな」 澪「お好み焼きとか焼きそばとかか?」 律「うん」 澪「じゃあさっそく見て回ろうか」 律「あっ、忘れてた」 澪「どうしたんだ?」 律「澪、着物で来たんだ」 澪「あぁ、どうかな?」 律「とっても似合ってるよ。じゃあ行こうぜ!」 澪「///」 律「澪?」 澪「な、なんでもない」 澪(タイミングずらして言うなんてズルいじゃないか 澪(こっちにも心の準備というものがあるんだぞ!) きっとこんな感じで二人のデートは始まったの。 デートなの? ええ。女の子が二人きりで出かけるんだもん。デートに決まってるじゃない。 そうなんだ。 澪「うん。やっぱり祭りといったらこれだな」 律「そうか~? 私はやっぱりこっちだと思うけど」 澪「お好み焼きは祭りじゃなくても食べられるけど、リンゴ飴は祭りじゃないと食べられないだろ」 律「そういうものかな」 澪「そういうものなんだ」 律「まぁ澪がそう言うならいいけどさ」 澪「ん? 今日の律はやけに物分かりがいいな」 律「そ、そんなことないぞ」 律(なんだか今日の澪は可愛く見えるんだよな…‥) 律(気のせい、だと思いたいが) あれ、りっちゃんも意識してるの? うん! ほぼ両思いなんだね。 うん。そうだといいわ~。 えっ。 じゃあ、続けるね。 あっ……うん……。 律「あれやろうぜー」 澪「射的か。私はいいから、律だけやってこいよ」 律「んじゃあ、やってくる」 澪「うん」 律「おっちゃん、1回」 おっちゃん「500円だよ」 律「はい」つ500yen おっちゃん「5回撃てるから、頑張って」 律「はーい」 澪「どれ狙うんだ?」 律「どれが欲しい」 澪「えっ」 律「せっかくだから狙ってやるよ」 澪「それじゃあ、あれがいい」 律「う~ん。あのぬいぐるみか~」 澪「無理なのか?」 律「ああ。あれは下で固定されてる気がする」 澪「それじゃあその二つ右の狼の置物は?」 律「うん。あれなら大丈夫そうだ」 澪「がんばれー」 律「おう、任された」 澪(片目を閉じて狙いをつける律、ちょっとだけカッコいい) 澪(あっ、撃った……揺れたけど落ちないか) 澪(また撃った。同じ場所を狙ったのか……でも落ちない) 律「う~ん。難しいな」 澪「無理なら他のでも」 律「いや、ここまで来たら引き下がれないから」 澪「……そうか」 澪(三発目……あっ、外れた。律、悔しそうだ) 澪(四発目……あたったのに、また揺れただけ) 澪(最後の一発……律、頑張れ) 律「ここだ!!」 澪「当たった……落ちそう、あっ、落ち…………………ない」 律「……」 澪「律?」 律「おっちゃん、もう一回」つ500yen おっちゃん「あいよ」 りっちゃん意外と諦めが悪いからね~。 でも、それだけじゃないと思うの。 へっ。 澪ちゃんの前でカッコいいところ見せたかったのよ。 そうかな? きっとそう! (……あれっ、これってそもそもムギちゃんの妄想じゃなかったっけ?) 澪「ありがとう。宝物にするよ」 律「澪は大袈裟だな」 澪「2500円の置物だからな」 律「あぅ……」 澪「そんなに落ち込むなよ。ほら、鯛焼き奢ってやるからさ」 律「澪……ありがとー」ダキッ 澪「うわっ、唯みたいに抱きつくな!!」 律「やっぱり澪は優しいなー」 澪「そんなんじゃないぞ。ただ……」 律「ただ?」 澪「嬉しかったから」 澪「せっかくだからおみくじでも引いていくか」 律「いいぞ」 澪「大吉こい!」つ200yen 律「私はなんでもいいや」つ200yen 澪「……」 律「……」 澪「大吉だ!」 律「私も!!」 澪「ひょっとしたら大吉しか入ってないのかもしれないな」 律「あぁ、最近の神社だとそういうところもあるみたいだ」 澪「だとしても、ちょっと嬉しい」 律「うん」 和ちゃんは大凶だったって。 えっ。 珍しいからってわざわざ写メとって送ってくれたんだ。ムギちゃんも見る? うん。 ほら、これ。 本当だ。私、大凶なんて都市伝説だと思ってた。 私も。 今度いい霊媒師さん紹介してあげようかしら? えっ。 厄祓いが必要だと思うから。 澪「待ち人、遅れるがやがてくる。恋愛、勇気を持って一歩踏み出すことが大事」 律「恋愛、気づけばすぐそこにいる。一つの不注意が取り返しのつかない喪失につながる恐れあり」 澪「……」 律「……」 澪(勇気を持って一歩踏み出す……) 律(気づけばすぐそこにいる……) 律・澪「あのっ!」 澪「あっ、律からでいいよ」 律「いやいや、澪からで」 澪「うんと、じゃあさ。ちょっと葉桜でも見に行かない」 律「葉桜?」 澪「うん。春に花見に行っただろ。あそこだよ。今は葉っぱだけだけど、ライトアップされてて綺麗らしいんだ」 律「あぁ、いいよ」 澪「本当にライトアップされてるんだな」 律「うん。なかなか綺麗だ」 澪「でも、やっぱり花がないと少しさみしいな」 律「……」 澪「律?」 律「な、なんでもないよ」 澪「そうなのか?」 律「……うん」 澪「なぁ、律」 律「ん?」 澪「好きだ」 律「えっ」 澪「律のことが、好きだ」 律「あっ……うん……」 澪「……」 律「……」 澪「ご、ごめん! 変なこと言って。忘れていいから」 律「そうじゃない」 澪「えっ」 律「さっき言おうとしたんだ。桜の花は咲いてなくても、ここに花があるじゃないか、って」 澪「りつ……」 律「私には似合わないと思って言わなかったけど、私は澪のことそう思ってる」 澪「それじゃあ……」 律「あぁ、澪……」 澪(律の目がまっすぐ私の目を見つめてる。真剣そうな律。かっこいい) 律(澪の目、とっても綺麗だ。ずっと私のこと好きでいてくれたんだな……) チュ 澪「なぁ、律」 律「なんだ」 澪「私、幸せだ」 律「……私も」 澪「ふふふっ」 律「なぁ、澪」 澪「なんだ」 律「手、繋がないか」 澪「うん」 律「……」ギュ 澪「……」ギュ こうして二人の夏祭りは終わったの。 ふぅ……。澪ちゃん良かったねぇ。 ええ。二人が結ばれて本当に良かったわ。 うんうん。本当に良かったよ。 明日二人に詳しい話を聞かなきゃ。 (私の妄想なんだけど、いいのかしら……) 唯「という話を昨日してたんだ」 澪「///」 律「///」 紬「澪ちゃん、りっちゃん?」 澪「ち、違うぞ。そんなのでたらめだ。律は目があった瞬間ビビってキスなんてできなかったんだから」 律「おい、澪!」 澪「あわわわわ」 紬「ふふっ、だいたい合ってたみたいね」 唯「ねー」 澪「///」 律「///」 紬「あっ、そうだ。そのお祭りっていつまでなのかしら?」 唯「うーんと。確か今日までだったと思うけど」 紬「じゃあ唯ちゃん。二人で行かない? 私焼きそば食べてみたかったの~」 唯「うん。行く行く!」 紬「それじゃあレッツゴー」 ドタドタドタ 律「行ったな」 澪「……うん」 律「まったくムギには参るよ。なぁ、澪」 澪「……」 律「澪?」 澪「……今度はちゃんとして欲しい」 律「えっ」 澪「今度はムギの妄想みたいにちゃんと……して欲しいんだ」 律「///」 おしまいっ! 戻る
https://w.atwiki.jp/rozen-yuri/pages/360.html
根拠のない言葉を伝えるわけにはいかない。 その言葉を発するとどれほどの責任を負わなければいけないだろう。 私の発言が彼女の人生を左右する。 そんなはずはない、だって彼女と私はなんの関係もないのだから。 ──ありがとう。君にお礼を言いたかったこと。 あぁ、抜けるような青空だ。私の心とは裏腹にも。 「詩人じゃないか」 どうやら声に出ていたらしい。蒼星石がニヤニヤしながらこっちを見ている。 その笑い方は私の特権でしょう、と頬を突いてやる。 「君はそれでいいの?」 目的語を省略するのは日本人の悪い癖だ。しかし、この場合は一つしかないので敢えて言わないのだろう。 「まぁね。楽しそうだしねぇ」 「真紅のことは?」 そこは省略しないのか。敢えて直球で尋ねてきた蒼星石を少し睨む。 「もう、いいのよ」 彼女は私を覚えていない。いくら私を説いてみせても以前の私たちには戻れない。 「彼女が離れたくないと泣いていたとしても?」 蒼星石の表情をちらりと伺うがそこからは何も読み取れない。 私が言うのもなんだがポーカーフェイスというのも面倒臭いものだ。 「嘘よぉ」 「本当」 「…………」 「本当だと言ったら?」 君はどうするの。その蒼星石の口調は私を試したいらしい。 真とも偽ともできない命題とは。かのデカルトもお手上げであろう。 「本当だとしたら……」 私を忘れた恋人が私と離れたくないと泣いている。もしそれが本当ならば。 「変わらないわぁ。何も」 怪訝な表情で眉に皺を寄せる蒼星石の額を一つ弾いた。 「私が誰かのために自分のしたいことを止める人間だと思う?」 その言葉を聞くと、蒼星石はフッと軽く鼻で笑った。 「そうだね。君はそういう人間だ」 彼女につられて私も鼻でフッと笑った。ドイツに発つまで後二日。 旧約聖書にあらわれるアダムとイヴが食べた知恵のみはリンゴであるらしい。 「だからリンゴを食べると賢くなると言われてるですよ」 「ねぇ、翠星石」 「聞いてないですし」 リンゴを剥いていた翠星石は真紅の呼び掛けにナイフを止めてこちらを振り向いた。 「何ですか真紅」 「貴女、以前私に水銀燈止めろと言ったわね」 ドイツ行きの話らしい。確かに言ったので、こくりと頷いた。 「そして、そうすれば水銀燈が思い止まると言ったわね?」 再び首を縦に振った。 「何故?」 「何故?、ですか?」 真紅の問いの意味が分からなくて思わずおうむ返ししてしまった。 「確かにこの何週間かで私と水銀燈はとても仲良くなったと思うけれど、ただの友人よ?」 「えぇ、まぁ……」 「水銀燈は友人に止められたからってやめるような意志の弱い子には見えないわ」 「まぁ、確かに頑固ですねぇ」 「じゃあ、何故?」 ギクリと心臓が鳴った。 あの時はそう思ったから軽く言ってしまったが、真紅は自分と水銀燈が恋人関係にあったのを忘れているのだ。 「何故?」 心底不思議そうにこちらを見る真紅に声がつまる。 水銀燈から告げないでと言われているのだ。なのに勝手に告げる訳には行かないだろう。 「私には言えない理由?」 「いえ、そんなことは……」 「じゃあ、教えて」 ググッと詰め寄ってくる真紅に思わず体を引いた。 どうするかかなり思案したが、ため息を一つ吐き、真紅に向かい合った。 「それはですね」 「……」 「水銀燈から直接聞きやがれです」 「………………はぁ?」 「翠星石には荷が重くてとても言えんです。水銀燈に直接聞いてほしいです」 翠星石は申し訳なさそうに、しゅんと肩を竦めた。 真紅はまだ不満そうな表情だったが、浅くため息を吐いて、分かったわ、と呟いた。 もう会わない気でいたが、明日起ってしまうと考えると、もう一度だけ逢いたくなってしまった。 コンコンと病室をノックする。しかし、何も返ってこない。 おかしい、いつもならすぐに真紅の声が聞こえるのに。 「真紅?」 ドアをそっと開けながら首だけで覗き込む。やはり、返事はない。 「寝てるのぉ?」 起こさないように静かにドアを閉め、ベッドに腰かけた。 少しだけベッドが軋んだが、起きる気配はない。 「……真紅?」 まるで眠り姫だ。 夕日に照らされた美しい金の髪は痛むことを知らず、陶磁器のように白く滑らかな肌に整った顔パーツ。 前髪をそっと掻き分け、形の良い額を露にする。 「思い出して……」 床に膝を付き、柔らかい頬のラインをなぞる。 美術家に描かれたような長い睫毛。瞳を閉じているとそれが一層際立つ。 「私を……」 布団からはみ出ていた手をそっと包み込むと真紅の温もりが伝わってくる。 「全部、全部……お願い、言って、今までみたいに……」 「何を?」 眠っている真紅から突然声が聞こえ、私は思わず顔を上げた。 次の瞬間、真紅は体を起こしこちらを見つめていた。 「寝てたんじゃ……」 「騙すような形でごめんなさい。でも、どうしても知りたかったことがあるの」 「真紅……」 「教えてちょうだい。私は何を忘れているの?貴女の何を……」 バン、と心臓に響くほど壁を叩いた。拳が痛んだが、それよりも真紅の言葉をどうしても遮りたかった。 「そんなに教えて欲しいなら教えてあげるわよ」 そう言いながら、真紅の手首を押さえつけ、シーツに縫い付けた。 「な、っ……」 何かを言おうとしたその口を強引に口で塞ぎ、深く舌を絡めとる。 「ん、……はっ」 口を離すと、真紅は酸素を求めて大きく口を開いた。 「まさか……」 「これで分かったぁ?私達の関係」 手首を相変わらず拘束したまま、舌だけで首筋をなぞる。 「や、やめ……」 「やめない」 そう断然し、形のよい鎖骨をなぞる。 「っ……待ちなさい!」 真紅の服のボタンに手をかけたとき、大きな制止の声が入った。 「血が出てるのよ」 そう言いながら私の左手を握った。 見てみると先ほど壁を叩いたときについたらしい小さな傷から少し血が出ていた。 「看護婦さんを呼んで……」 「いいわぁ、このくらいなら絆創膏あるし」 そう言って、真紅の手を振り払おうとしたが、その手に強く力が入り、それができなかった。 「ねぇ、水銀燈。確かに私の記憶はないわ。でも、それでも貴女が良いと言うなら私は貴女とそういう関係でも……」 それ以上続けようとする真紅の唇に人差し指で触れ、それを制し、首を振った。 「違う。真紅は私に同情してるだけ」 「違っ……!私は本当に貴女が……」 「真紅!!」 今までで一番大きな声を出したためか、真紅はビクリと肩を揺らした。 「真紅、一時の感情で動いちゃダメよぉ」 強情で頑固で女王様気取りで我が儘で、そして誰より優しくて──。 「おばかさぁん……」 真紅が手術室で戦っていたときに呟いた言葉を投げ掛ける。 私の頬と真紅の頬に同じものが流れる。これは涙なんかではない。 「その感情は私に同情してるだけよぉ……」 「違う……!お願い、信じて水銀燈……私は、っ」 真紅の頬に手を当て、先ほどとは違う優しいキスをする。それ以上、真紅が言葉を紡がないように。 蒼星石にはああ言ったが、実際に言われれば立ち止まりたくなる。私は弱い人間なのだ。 「貴女は本当におばかさぁん……でも、でも、そんな貴女だから、私は……」 目から大粒の涙が流れる。それをあまり見られたくなくてベッドから降り、背中を向けてドアに向かう。 「そんな貴女を……、」 「待って、水銀燈!」 ──ありがとう。 そう呟いてドアを閉めたが、声にならなかった声は彼女に伝わったのかは分からない。 ただ、この鉄の扉で遮られた私たちはもう二度と逢わないのだろう。 そんな気がした。 続く 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/83452/pages/7379.html
…… ガチャッ 和「失礼するわね」 唯「あ、和ちゃ~ん♪」モグモグ 律「おう和!どうしたんだ一体?」ズズー 和「練習しているのかと思ったら、ティータイムの真っ最中なのね……」 澪「は、はは……。それで、軽音部に何か用?」 和「ええ、最近室内外を問わず熱中症になる人が増えているから、生徒会でも各クラブへ注意に回ってるの。このプリントに熱中症対策について書いてあるから、部長は目を通しておいて」 律「りょ~かい」 和「あとこれは澪に頼まれてた先週の模試の解説ね」 澪「わざわざ持って来てくれたのか?ありがとう」 和「これは唯に頼まれてた数学のノートのコピー。ちゃんと授業は聞かないとダメよ?」 唯「えへへ、いつもスイヤセン」 和「これは梓ちゃんに頼まれてた本ね。『絶対に成功するバストアップ術』……頑張ってね?」 梓「あ、ありがとうございます。……って、こんなの頼んでませんよ!?」ガーン 和「ノリ突っ込みもこなせるなんて……やはり逸材ね」 梓「意味分かりませんって!あと唯先輩、くっつかないで下さい!」 唯「もう~、あずにゃんってばおっぱい小さいの気にしてたの~?私が揉んで大きくしてあげるよ!」 梓「ひっ!?さ、触らないで下さい!」 紬「あらあらまあまあ!」キラキラ 和「ふむ、これで用事は済んだことだし私は戻るわね?」 澪「あ、待って和!せっかくだから和もお茶して行かないか?」 和「え?でも……」 律「遠慮なんかすんなって。ささ、座った座った」グイグイ 和「もう……」 紬「和ちゃんも紅茶でいいよね?ショートケーキもどうぞ♪」カチャッ 和「ありがとうムギ。それじゃいただきます」 紬「召し上がれ♪」 和「……ん、美味しい」 紬「うふふ、良かった」 唯「……」ジーッ 梓「唯先輩、何見てるんですか?」 唯「いや~、和ちゃんのケーキ美味しそうだなって」 澪「さっき同じの食べたじゃないか……」 唯「てへへ……」 和「いいわよ、唯。一口あげるわ」 唯「えっ、いいの!?」 律「何だ何だ?和は唯には甘いな~?」 和「まあ小さい時からの付き合いだからね。ほら、食べていいわよ」スッ 唯「ありがとう和ちゃん!よいしょっと」プスッ 和「!?」 唯「はむっ。ん~、イチゴ美味しい~♪」 和「……」プルプル 唯「ん?和ちゃん、どうかしたの?」 和「何でケーキの一口って言われてイチゴを狙うのよ!?」ペチーン 唯「あいたーっ!?」 和「全く、常識で物事を考えなさい!イチゴはケーキの頂上よ?魂なのよ!?」 唯「えっ、でも和ちゃんケーキのイチゴくらいでガタガタ言うなとか、常識を疑えとか言ってたような……」 和「今はそんなことどうでもいいの。唯、基本的なことよ。自分がされたら嫌なことは人にはしない……分かるわよね?」 唯「はっ!?」ガーン 和「イチゴを取られちゃったら悲しいのよ?泣いちゃうのよ?人を悲しませるようなことは、絶対にしてはいけないわ」 唯「ご、ゴメンなさい和ちゃん!私、私間違えてた!」 和「反省してる?」 唯「してるよ!本当にゴメンなさい!許して和ちゃん……」ウルウル 和「……ふふ。分かってくれればいいのよ」ナデナデ 唯「あ……。えへへ、和ちゃんは優しいね」 和「ほら唯、ご褒美……ってわけでもないけど、もう一口あげるわ。あ~ん」 唯「あ~……んっ。美味しいよ和ちゃん!」モグモグ 和「ふふ、よかったわ」ニコッ 澪「……」 梓「……」 律「……何も言えねえ」 紬「アメとムチの政策ね!」 …… 和「ちょっと律、ジュース買ってきてくれない?」 律「おう、分かった!」 和「オレンジジュース。急いでね?」 律「オッケー、じゃあ行ってくる……って、ナチュラルにパシらせようとするなよ!?」ガーン 和「あら、自然な流れだと思ったのに」 律「まあ、あまりにもサラッと言うから流されそうになったのは認めよう」 和「仕方ないわね……はい、お金」 律「そういう問題じゃないし、奢らせる気だったのかよ!?」 和「もう、わがままねえ律は」 律「いや……わがままとかいう問題じゃない気がする……。でもまあ、私ものど渇いてるしなあ」 和「丁度いいじゃない、私の分も一緒に……」 律「いや待て!それだったら和が行ってもいいじゃないか」 和「そうかしら?」 律「そうだろ」 和「しょうがない、それじゃあ公平にジャンケンで決めましょう」 律「ジャンケンか。それなら公平だな」 和「でしょう?勝負ごとは公平にやらないとね」 律「よしそれじゃあ行くぞ!最初はグー、」 和「ちょっと待って律」 律「何だよ?」 和「このまま始めるのはあまりにも不公平だわ」 律「え、何で?」 和「だって『ジャンケンで勝負』というルールを作ったのは私よ?律がそのルールに納得したとはいえ、私の決めたルールに従って決まった決定に律が不満を漏らさないとも限らない」 律「それはないから安心してくれ」 和「ダメよ、勝負は完全に公平じゃないと納得できないわ」 律「……私にどうしろと?」 和「私はジャンケンというルールの大枠を作ったわ。なら、あとの細かいルールを律が決めればいいのよ」 律「なるほど。じゃあジャンケンは一回勝負だ」 和「ええ、分かったわ」 律「よっし。それじゃあ負けた方が二人分のジュースを買ってくるってことで」 和「ちょっと待って律。あなたはどこまで傲慢なの?」 律「えっ何で!?」 和「確かに大枠のジャンケンは私が決めたわ。だから細かいルールを作る権利は律にある」 律「だから私は……」 和「そう、だから律は一回勝負というルールを決めたじゃない。それに付け加えて負けた方が何をするだの決めるのは越権行為と言えるわ。不公平よ」 律「そんな細かいことまで考えるのか!?」 和「当然よ。後から揉めるのはゴメンだからね」 律「だったら残りは和に任せるよ」 和「それはダメ。また不公平感が出てしまうわ」 律「だったらどうやって決めるんだよ……」 和「またジャンケンをすればいいのよ」 律「ええ?」 和「ジュースを買いに行くという役割を決めるためのジャンケンという大枠を私が決め、一回勝負というルールを律が決めたわ。そして次の詳細なルールもジャンケンで決める」 律「……」 和「そのジャンケンに勝った方が詳細なルールを決めるということよ」 律「凄くシンプルなはずなのに、妙に難解な取り決めになってきたな……。まあいいや、とにかくジャンケンをすればいいんだろう?」 和「待ちなさい律」 律「まだ何かあるのか……?」 和「確かに詳細ルールはジャンケンで決めようと言ったけど、私は律から同意を得てはいないわ」 律「心配しなくても反論はしないって」 和「だったら尚更ジャンケンは出来ないわね」 律「何でさ」 和「いい?役割を決めるために公平なジャンケンという提案をした私に対して、一回勝負というルールは律が決めたわ」 和「そして、さらに詳細なルールを不公平感が出ないよう決めるために私がジャンケンをしようと決めた。となると、そのジャンケンのルールを決める権利が律に発生すると思わない?」 律「そろそろついて行けなくなってきた……。というか、これって無限ループじゃね?」 和「そう?」 律「だって詳細を決めるためにジャンケンまたジャンケンってなれば、キリがないだろ」 和「だったらどうやって決めるのよ。私は勝負事は完全に公平じゃないと納得しないわよ?」 律「それは……」 和「それは?」 律「……」 和「……」 律「私が行って来ます……」 和「あらそう?何だか悪いわね」 律「絶対そう思ってないだろ……はあ、何かどっと疲れた」 和「じゃあ……はい。ちょっと温くなっちゃってるけど、ジュースあげるから元気出しなさい!」 律「持ってんじゃねーか!」 …… 澪「和、何してるんだ?」 和「あら澪。丁度よかったわ、パンツ何色?」ピラッ 澪「ひゃわあああっ!?な、何すんだ!?///」 和「また縞パン……可愛いけど、ちょっと子供っぽいわよ?」 澪「う、うるさいなあ!それより何なんだよいきなり!」 和「え?澪ってパンツを見せびらかして興奮するタイプじゃなかったっけ?」 澪「私そんな変態じゃないよっ!?」ガーン 和「でも一年のライブの時に……」 澪「わーっ、わーっ!昔のトラウマを引っ張り出さないでくれ!」 和「……」 澪「うう……」ブルブル 和「……本当は好きなんでしょう?見られるの」 澪「!?」 和「ほら、正直になりなさい?ふふふ……」 澪「の、和……?怖いよ、近づかないでぇ……」ビクビク 和「怖がらないで。ほら……」 澪「あっ!?そ、そこは……はうぅ///」 和「……とかどうよ?」 紬「採用」 澪「ねえよ」 …… 紬「和ちゃ~んっ」 和「あらムギ。今帰り?」 紬「うん。和ちゃんが歩いているのが見えたから、走ってきちゃった」 和「唯たちはいないの?」 紬「私は用事があったから少し残ってたの。待たせたら悪いから、皆には先に帰ってもらっちゃった」 和「そっか。ムギは優しいのね」 紬「えっ!?ふ、普通のことだと思うけど……///」 和「そういうことを普通に出来るから優しいのよ」ナデナデ 紬「あ……えへへ」 和「何だか嬉しそうね?」 紬「うん、私あんまり頭を撫でられたりとかされないから……」 和「なるほど」 紬「あの、和ちゃん。よかったら一緒に帰らない?」 和「そうなんだ、じゃあ私は生徒会に行くね」 紬「ええっ!?」ガーン 和「冗談よ。一緒に帰りましょうか」 紬「も、もうっ!和ちゃんったら……」 和「せっかくだし、どこかに寄って行きましょうか?」 紬「いいの!?是非っ!」フンス! 和「まあ私は帰るけどね」 紬「ひどっ!?」ガーン 和「冗談だってば」クスクス 紬「和ちゃんの意地悪!もう知らないっ」プイッ 和「あらあら、拗ねちゃった」 紬「……」プクーッ 和「ほっぺ膨らませちゃって……子供みたいね。ほら、行きましょう。皆待ってるわよ」 紬「え?」 唯「お~い、ムギちゃ~ん!」 梓「お疲れ様です」 律「おっ、和も一緒か」 紬「みんな……どうして?」 澪「ムギに気を使わせちゃうと悪いから、外で待ってたんだ」 唯「よし、みんな揃ったしアイスを食べに行こう!」 梓「またですか……」 律「いいじゃないか、暑いし。ほれほれ行くぞ~っ」グイッ 梓「引っ張らないで下さい!」 澪「おいおい、あんまり急ぐなよ……。ムギも和も早く行こう、置いて行かれちゃうよ」 和「ええ。ほら、ムギ」ギュッ 紬「あ……うん♪」 …… 和「……」 和「疲れたわね」 和「ちょっと働きすぎよね、私。歴代生徒会長の中でも一二を争う仕事量じゃないかしら?」 和「このままだと、きっと私は過☆労☆死してしまうわ」 和「休養は大切よね」 和「そういうわけで、お休みなさ~い」モフッ 憂「……」 和「……」 憂「あの、和ちゃん?」 和「な~に、憂ちゃん?」 憂「憂ちゃんって……///えっと、そこは私の膝の上なんだけど……」 和「ああ、気にしなくていいわ」 憂「和ちゃんの台詞じゃないよ~……」 和「柔らかくてあったかいから、心休まるわ……」グリグリ 憂「ちょ、顔押し付けないで!///」 和「それじゃあお休み、憂」 憂「もう……和ちゃんてば」 和「……すう」 憂「……」 和「……」 憂「えへへ、和ちゃん……♪」ナデナデ 唯「あ~っ!」 憂「ひゃっ!?お、お姉ちゃん?大声出すと和ちゃん起きちゃうよ」 唯「憂と和ちゃんだけずる~い!私も私も~♪」ガバッ 和「ん……唯?」 唯「えへへ~、和ちゃ~ん♪」ギュウッ 憂「お、お姉ちゃんずるい!私も!」ギュウッ 和「あらあら……仕方ない子たちね、まったく」 __ _ , ....... ´ `..'...., , ´ ヽ / 、 、 ヽ ,. / | ヽ ', ', / | |' ; | ', , ,' ,| | |. ヽ | ヽ , , ,' | | ├-' , |' , '., |. ,' | | 」|', |', | ヽ| .', ヽ | | /| |´.` ヽ | v 彡二ミ | , -、 ,' ',,' ', | ,,ニミ ヽ | い け |/| /( ^ ', , | .', K P ', .` ヽこノ. ll. | / ', / ,' '., ヘ ..i ヽノ|| ̄ !!======゙゙ レ __ / , ヽ .ヾ===.゙゙ ´ イ ', <終わり! ', _, /.| ', ' ,  ̄ ,/. | 人 | ` 、 /. .| / ` ` _ ´ | ∧| | ヽ | -, --__ ___.ノ /./ ,_ -イ´./ ( - 、 , --‐_/ / /´ | `ー‐‐ ' ´ / / | /´ | | / 戻る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1250.html
第52話 バカは風邪をひかない キョン「ふぇっくし! あー、クソ。風邪ひいたかなぁ……ゴホゴホ」 長門「毎晩、夜中に裸で外に出るからそういうことになる」 キョン「やってねーよ! ってお前また……」 長門「早く開けて。寒い」コンコン キョン「いつも勝手に窓から俺の部屋に上がりこむなと言ってるだろうが」 長門「毎回窓を割られないだけありがたいと思うべき」 キョン「そんなヤツいないだろ……」 長門「実は身近にいる」 ~~その頃生徒会室では~~ 会長「へっくし!」 喜緑「あ、会長風邪ですか?」 会長「いや、なんかいきなりクシャミが出た」 喜緑「こういうときは裸で暖めあうのがいいんですよね!。とりゃっ!」ガバッ 会長「それは雪山で遭難したときだろうが」 喜緑「会長の風邪ならわたしに好きなだけうつしていいですよ~」 会長「無理だろ、なんとかは風邪をひかないというしな」 喜緑「愛は風邪をひかない、ですね。だからわたしの愛で治してあげます」 会長「本当に風邪をひきそうだからやめてくれ」 喜緑「手始めとしてまず一緒に風邪をひきましょう。さっ、会長も脱いで脱いで~」 会長「だーっ! やめたまえ!」 ~~再びキョンの家~~ キョン「うー、寒気がする」ブルブル 長門「寝てて。わたしが何か食べられそうなものを作る」 キョン「いいのか?」 長門「スッポンと、うなぎと、にんにくと、赤マムシのエキスと……」 キョン「そんなやたらと精のつく食べ物はいらん」 長門「それならわたしの力で治すしかない」 キョン「お前、そんなことできるのか?」 長門「まずは風邪の予防接種注射を」 キョン「もう遅い」 長門「じゃあ上着を脱いで。聴診器で調べる」 キョン「本当にわかるのか? お前」 長門「……心臓の音がしない。お亡くなりになりました」 キョン「するだろ!」 長門「でもドクッドクッってエッチな音がしてるだけ」 キョン「それが心臓音だ」 長門「あー、これが……どおりでときどき不整脈になるのか……」 キョン「冗談でもやめてくれ」 長門「えーと、あなたの病気はガンです。お薬飲んでお大事にしてください」 キョン「勝手に人をガンにするな!」 長門「情報操作は得意」 キョン「やるなよ! マジで頼むから!」 長門「そろそろお医者さんごっこも飽きてきた」 キョン「……お前の宇宙的パワーに期待した俺がバカだったよ。ゴホッ」 長門「わたしの力で即座に治すこともできる」 キョン「それができるならすぐやれよ」 長門「ただし2分の1の確率で死ぬ」 キョン「それは嫌だな……」 長門「逆に考えるんだ。2分の1で回復すると」 キョン「寝てれば100%治るから」 長門「それにしてもあなたが風邪をひくなんて」 キョン「意外だったか?」 長門「風邪をひかないように、毎晩あなたの部屋の窓を開けて換気しておいたのになぜ……」 キョン「この風邪はお前のせいかっ! ゴホッゴホッ」 ~~次の日~~ 長門「風邪は治った?」 キョン「ああ、なんとか治ったよ」 長門「それもこれも昨日のお医者さんごっこのおかげ。わたしに感謝すべき」 キョン「ば、ばか! その話をするな!」 ハルヒ「へー、あんた昨日学校サボってそんなことしてたんだぁ……」 長門「服を脱がしたり体を触ったりしただけ、気にしないで。いつものこと」 ハルヒ「……へぇ~」ゴゴゴゴゴゴゴ キョン「ああぁぁぁ……いつものパターンか……」 ~バカは死んでも治らない~ 完 第53話 嫉妬するバカ みくる「長門さん、ここにお茶置いときますね、 今度は少しぬるめに入れときましたから、早めに飲んでくださいね」 長門「朝比奈みくる」 みくる「は、はいっ」ビクッ 長門「やっと二人きりになった……」 みくる「ビクゥ……な、何かご用ですかぁ……?」 長門「……見て」 みくる「うわっ! なんですかその胸!」 長門「思いっきり大きくしてみた」 みくる「なんかものすごくバランス悪いですよ……」 長門「情報操作は得意」 みくる「パットを大量に詰めるのは情報操作じゃないと思います」 長門「あなたの胸囲より2センチ大きくしてみた。かわいい?」 みくる「うーん……かわいいとかよりもちょっと変ですよぉ……」 長門「乳がでかいと言うこともでかくなる、か……」 みくる「そ、そそそそそういうことじゃないですっ! 長門さんは元のままですごくかわいいって言いたかったんです。ほ、ほんとです!」 長門「そんなこと言われなくても、自分がかわいいことはわかっている」 みくる「はぁ、すいませんでしたぁ……」 長門「ふぅ、胸が大きいと肩が凝る」 みくる「もうパット外したらどうですか」 長門「そうやってすぐわたしを出し抜こうとする……」 みくる「ご、ごめんなさいぃっ」 長門「む、これはすごい発見。机の上に胸を置くと楽。ノーベル賞もの」 みくる「ノーベル賞はないと思いますよ。みんな結構やってるし……」 長門「あなたのいう『みんな』にはわたしが含まれていないのはどういう意図?」 みくる「そんなつもりじゃなかったですぅ……ごめんなさいぃ」 長門「別にうらやましくなんかない」 みくる「そ、そうですか……」 長門「別にうらやましくなんかない」 みくる「わかりましたから繰り返さないでくださいよぅ……」 長門「あ……パットが取れない」 みくる「あー、ブラに無理矢理パットを詰めるからですよ~」 長門「ううぅ、このままじゃ一生SOS団のマスコットキャラとして定着してしまう」 みくる「むしろどこかでそれを望んでいませんか?」 長門「そんなはずはない。わたしはあなたのように涼宮ハルヒにいじくられるキャラではない」 みくる「じゃあ、なぜこのブラが接着剤で接合されているんでしょうか」 長門「ブラとプラモデルを間違えただけ」 みくる「だけってレベルじゃねえぞですぅ……」 みくる「はい、取れましたよ」 長門「ふぅ……やっと肩の荷が下りた」 みくる「もう変な遊びしないでくださいね」 長門「ズズズ……お茶が冷めてる。ぬるいお茶を出すのが未来流の作法か……」 みくる「はいはい、すぐ入れなおしますよぉ……」 長門「胸が大きいとその分脳に血が回らないというから仕方ない」 みくる.。oO(ま、まだ言ってる~) 長門「でも……わたしはこの大きさなのに……頭が悪いのはなぜ?」 みくる「そ、そんなことないですよ~、長門さんはえーっと……そんなことないですよ~」 長門「……そう」 みくる「……う」 長門「そうか、わたしの胸は遠近法で小さいように見えてたけど、実は超巨乳だったということか。わーい」 みくる「うわぁ……バカだぁ……」 ~もし長門が巨乳だったら~ おわり ~~~~~~~ このフラッシュが元ネタのおまけです。 長門おっぱい http //www.youtube.com/watch?v=BIAsKQqwZo0 嫉妬するバカver1.1(53話のおまけ) 長門「……わたしはこの大きさでとても満足している。ペタペタ」 みくる「突然なんですか」 長門「気にしないで。あなたに話しかけているわけではない。独り言」 みくる「はぁ……」 長門「わたしの胸は決して小さすぎると言うほどのものではない。ペタペタ」 みくる「……」 長門「ごく平均的。一般的な高校生一年生はこんなもの」 みくる「……」 長門「乳のでかい人間は人の話をシカトする法則」 みくる「え、いや、独り言って……そ、そうですよね。長門さんはそんなに小さくないですよね」 長門「あなたのように胸が重いと動きづらくなる」 みくる「そ、そうですか」 長門「服もサイズが合わなくて大変」 みくる「でも長門さん、いつも休日でも制服着てますよね……」 長門「……ぐす」 みくる「あわわわ、ご、ごめんなさい。泣かないで」 長門「胸が大きいと肩が凝る」 みくる「そ、そうです、そうです、肩が凝るんですよ。た、大変だなぁ~」 長門「胸が大きいと年を取った時に垂れる」 みくる「そ、そうなんだぁ、う、うわぁ嫌だなぁ~」 長門「最近は貧乳ブーム。胸の大きさは必ずしもアドバンテージではない」 みくる「そ、そうですよ~、胸が大きいからって嫌がる男性もいるみたいですし……」 長門「……下手な同情をしろとは言っていない」 みくる「ひぃぃぃ! 長門さん怖いぃ……」 第54話 クリスマス・バカ 喜緑「かーいちょ~」ズドドドドドドド 会長「……」サッ 喜緑「ズデン!ドカッゴロゴロゴロゴロー!!ザクッ!!ピュー あ~ん、かわさないでくださいよ~」 会長「毎回、君の突進で突き飛ばされてケガをしているわけにはいかないんでな」 喜緑「そのあと、いつも治療してあげてるじゃないですか」 会長「ケガで動けない私にナース服で迫ってくるのは治療のつもりだったのか。てっきり嫌がらせかと思ってたぞ」 喜緑「だって、会長がお医者さんごっこしようっていうんですもの」 会長「言ってない!」 喜緑「真偽のほどはあとで体で確かめあうとして……会長、今夜はお暇ですか?」 会長「今日はクリスマス・イブだからな。絶対言ってくると思ってたぞ……」 喜緑「そんな……ホテルのスウィートまでとっててくれたなんて」 会長「勘違いするな。今年のイブは私は忙しいのだ」 喜緑「そうですよね! わたしと一緒に過ごさないといけないんですもの」 会長「違う。君と遊んでいる暇は無いと言ったんだ」 喜緑「そんな……会長がわたし以外の女と過ごすなんて……」 会長「ああ、そうだ。そうだから構わないでくれたまえ」 喜緑「やだもう冗談ですよ~、会長ったらご冗談がお上手なんだから~。」 会長「私は嘘などつかない。冗談は嫌いなたちでね」 喜緑「あ~、わかった~、お母さんを女に入れちゃダメですよ~。当然わたしも家族の一員として……」 会長「違う。君と同じくらいの年頃の女の子と二人で過ごす予定なのだ」 喜緑「会長すいません、情報の伝達にそごうが発生したみたいなんですけど~」 会長「していない。君が感じたままの通りそのままの意味だ」 喜緑「え? そ、そそ、そうだったんですか……」 会長「ああ、だから君も仲のいい友達とでもクリスマスを祝いたまえ」 喜緑「あ、そ、そうですね~、あはは、そういえばそんなこと言ってました~、バカだから忘れてました」 会長「そうか、ではお互いメリークリマスだな」 喜緑「は~い、よいお年を~」 喜緑「ただいま……」 朝倉「ゲリークリスマース!」パーン 長門「めくります」ピラッ 喜緑「……」 朝倉「あら? どうしたの? なんか自販機の下に10円落としたような暗い顔してるけど」 喜緑「なんでもない」 長門「今日は星矢。楽しむべき」 朝倉「性夜でしょ。もっと盛り上がらないとお隣さんからの苦情が来ないじゃなーい」 喜緑「ごめん……」 朝倉「それより見てみてー、わたし達からのクリスマスプレゼントー!」 長門「大きなつづら。きっといいもの」 喜緑「あ、ありがとう……でもわたし何にも用意できなかったんだけど」 朝倉「いいから開けてみて開けてみて」 喜緑「え、でも……」 長門「いいから。あなたが確実に喜ぶものが入っている」 喜緑「……」ガサゴソ 喜緑「………!!! え……、え……、嘘……、そんな……いいの?これ……」 長門「いつもいい子にしているあなたへサンタさんからのプレゼント」 喜緑「う、うぅ……あ、ありがとう、ありがとう有希、涼子……」 朝倉「いいってことよ、ね?有希?」 長門「こんなことくらい晩飯前」 朝倉「あら、用意したのはわたしなのよ?」 喜緑「ありがとうサンタさん、これからもわたしはいい子でいます。本当に……」 会長「……ふがむぐ……むぐー!(こらー!これはどういうことだー!縄をほどけー!)」 喜緑「うふふ、ダメですよ。ケーキは後ですからね」 会長「むぐーむぐー!(どういうことだね、朝倉くん! 話が違うー)」 朝倉「プレゼントが暴れださないように手錠もしないとね」カチャリ 長門「それより早くご飯ー」 喜緑「じゃあ、あらためまして」 長門・朝倉・喜緑「メリー・クリトリス!」チーン 会長「むぐー!(こらー!この縄ほどけー!しかもてめえらそんな言葉綺麗にハモってんじゃねー!)」 めがーっさクリスマス アンドハッピニョロイヤー! ~HAPPY END~ 第55話 妹はバカじゃない 長門「あれ? 彼はいないの?」ガラッ キョン妹「あー、有希だー。こんにちは」 長門「とても礼儀正しい。彼の妹にしてはよくしつけが行き届いている」 妹「でも有希はしつけが悪いんだね~、窓から入ってきちゃダメだよー」 長門「わたしはいいの。彼はどこ?」 妹「あー、キョン君はねー。今お風呂入ってるところー」 長門「あなたは一緒に入らないの?」 妹「うんー、前は一緒に入ってたんだけどね~、なんかねぇ、最近キョン君が入りたくないって言うから」 長門「それはかわいそう。きっと女としての魅力を感じなくなったせい」 妹「えー、そうだったんだぁ……ヒドイなぁ~」 長門「最後に一緒に入ったのはいつ?」 妹「んー、一年くらい前だったかな~」 長門「中3まで一緒だったのね。ちょっと待ってて、今メモを取る」 妹「うっわぁ~、準備周到だねぇ~」 長門「それで彼のおちんちんはどんな感じだったか思い出せる?」 妹「えーっとね~」 ~~マッガーレを聞きながらお待ちください~~●<マッガーレ!!~ 長門「いいことを聞いた。とてもためになった」 妹「有希、鼻血ふきなよー」 長門「いい子のあなたにいいこと教えてあげる」 妹「なになにー?」 長門「彼のベッドの下には……このようなものが隠されている」 妹「あー、エッチな本でしょー?知ってるよそんなのー」 長門「……知っていたとは……うかつ」 妹「うかつなのはキョンくんじゃない? ねえ、このお姉さんは何してるの? なんで裸なの?」 長門「そういう質問は彼にしてあげるととても喜ぶ。覚えていて」 妹「わ~、そうなんだ~」 キョン「何してやがるんだコラー!」ガチャッ 長門「ッチ! さらばだ」ピュー! 妹「わぁ~、有希忍者みたーい」 ハルヒ「お前も窓から入ってきたようなヤツとまともに対話するな」 妹「ねえ、キョン君、このお姉さんたちは何してるの? なんで裸なの?」 ~それはね、お前を食べるためさー!~ 完 第56話 バカ人生 古泉「今日は人生ゲームを持ってきました」 キョン「おー、懐かしいな。これっていろんなバージョンがあるんだよな」 長門「……チラッ」 古泉「これは昭和おもひで劇場バージョンといって結構高くてレアなヤツなんですよ。ようやく入手できました」 長門「……チラチラッ」 古泉「……えーと、(……彼女も誘ってあげたらどうですか?)」ヒソヒソ キョン「(えー、でもあいつにルールとか教えるのは大変だぞ……)」ヒソヒソ 長門「じー……」 古泉「(ほら、とうとう効果音を声に出し始めました。ああなるとウザいこと極まりないですよ)」ヒソヒソ キョン「(仕方ねえなぁ……) な、なあ、長門も一緒にボードゲームしないか? 二人でやるより三人のほうが楽しいと思うんだ」 長門「坊主とゲイ夢? ああ、なるほどそういう趣味……」 古泉「違いますよ、長門さん。なんで僕の方を見るとすぐにゲイを発想するんですか?」 長門「いい。二人の恋路を邪魔するなんてとてもわたしにはできない」 キョン「じゃあ、お前はやらなくていいよ」 長門「……え」 古泉「(ちょ、ちょっと……いいんですか?)」ヒソヒソ キョン「(いいよいいよ。あいつがやりたくないって言ってるんだし、無理に誘うことは無いだろ)」ヒソヒソ 長門「………ポロッ…ポロッ」プルプル キョン「(う、うわ……泣き声をこらえながら涙流して泣いてる)」 古泉「(一番堪える泣き方ですね)」 キョン「(そんなにやりたいなら素直になればいいのに……)」 長門「………ポロポロポロ」プルプル キョン「長門、お願いだから一緒にやってくれよ、な?」 長門「……グス。……いい。わたしはどうせもう邪魔だから」 古泉「僕からもお願いします。僕たちは長門さんと一緒に遊びたいんです」 長門「……どうしてもっていうなら……グス。仕方が無い。暇つぶしに付き合ってあげなくも無い」 キョン「もうちょっと素直になれって」 長門「……プン」 古泉「ではまずルールを説明しますね」 長門「ルールとは、英語で規則という意味。それくらいはわたしでもわかる」 古泉「そうでしたね。ではこのゲームにおけるルールを説明しますね」 長門「人生ゲームというくらいだから、スタートはマンションの一室に転送されるところから始まる」 古泉「そんな始まり方は長門さんだけです。とりあえずこのゲームではこの『ふりだし』というところから始まります」 長門「もろ出し……たしかにあなたたちはそこから始まったかもしれないけどわたしは……」 古泉「これは『スタート』だと思ってください。ここからスゴロクのように始まっていきます」 長門「宿六のように始まると」 古泉「スゴロクです」 キョン「あくまで長門のボケを冷静に対処してるな……」 古泉「最初の所持金は10000です。ここからボードの指示に従ってお金が増減します」 長門「……わたし今日7円しかもってない。困る」 古泉「ええ、ですからこれは架空のお金です」 長門「カカロット……貧乏そう」 古泉「違います。悟空のお金じゃありません。仮想の金銭です」 長門「南無阿弥陀仏……」 古泉「火葬じゃありません」 長門「この中央のルー大柴みたいのは何に使うの?」 古泉「ルーレットですよ。ここで出た数字の分だけ進むことが出来ます」 長門「ブーン、ワープで~」 古泉「ワープはダメです。ちゃんとマス目を一歩ずつ進んでください」 古泉「それからプレイヤーはみんな職業につかなくてはならないんですが、 大きく分けて2通りあります。専門職かサラリーマンです。 専門職はギャンブル性が高く、サラリーマンは手堅く安定しています」 長門「職業に宇宙人製アンドロイドがない……」 古泉「残念ながらそれはありません。ですがどちらかというと専門職になるんじゃないでしょうか」 長門「そう。それで職についたらどうすればいいの?」 古泉「そしたら給料日のマスに止まるごとに職ごとに決められたお給料をもらいます。 マス目の指示に従ってスゴロクを進めていき、最後に全員がゴールした時点で最も所持金の多い人が勝ちです」 長門「理解した。……もう一回最初から説明が必要だということを」 古泉「はぁ……」 キョン「次からメモしろよ」 長門「一回聞けばわかる」 キョン「わかってないから問題なんだろ!」 古泉「ではもう一度ルールを説明します」 長門「ルールくらい知ってる。カレーを作るとき入れる」 古泉「それはルーですね。僕が言ってるのは……」 …… … キーンコーンカーンコーン 古泉「下校時間が来てしまったようです……」 キョン「結局遊べなかった……」 長門「それもまた人生」 ~人生すなわちそれゲーム~ by竹田翔●<マッガーレ ─ 完 ─ ~~~~~~~~ 56話おまけ キョン「ほら、何してるんだ。早く帰るぞ」 長門「じゃんけん」 キョン「はぁ?」 長門「じゃんけんぽん」 キョン「え……あ、ぽん」 長門「勝った。パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」 古泉「これはまた懐かしい遊びですね」 長門「途中までこれで帰る」 古泉「僕もご一緒しますよ」 キョン「えぇー……これで帰るってどんだけ時間がかかるんだよ……」 長門「文句いう人は入れてあげない。古泉一樹と帰るからいい」 キョン「あ、ちょ、ちょっと待てよ。やらないとは言ってないぜ?」 長門「グ・リ・コ・ー・ゲ・ン」 キョン「そんなんありかよ~。そこは普通グリコじゃないのか?」 長門「そこはゲームだから言い出したもん勝ち」 おしまい 第57話 アホバカ日誌 キョン「あ、コホン。長門、チケットあるんだけど今度の日曜一緒に映画に行かないか?」 長門「ゲイ画?」 キョン「ほんとゲイ好きだなお前……。映画だよ映画。ムービー」 長門「ムーミン谷は今冬眠中」 キョン「映画だっつの。普通の映画」 長門「理解した。B級映画」 キョン「先を読みしすぎだ……。たしかにB級っぽい雰囲気の映画だけどさ……」 長門「あなたがピンク映画以外に興味があるとは」 キョン「観た事ねえぞ、そんなもん」 長門「……もしかしてこれってデートに誘ってるつもり?」 キョン「う、うるせー、ほっとけ。行きたくないんならいいんだぜ」 長門「行く行く。女房を質に入れてでも行く」 キョン「えらく古い慣用句知ってるな、お前」 ~~日曜日~~ キョン「あー、ごめんごめん。待った?」 長門「遅い、罰金」 キョン「ハルヒみたいな言い方だな」 長門「あなたの好みに合わせてみた」 キョン「そんな好みはねえよ。いつも通りにしてろって。そ、その方がいいからさ」 長門「……なぜそこで照れる?」 キョン「さ、さぁ、映画館に行こうぜっ! 今日は俺のおごりだぞっ!」 長門「?」 長門「映画といえばやっぱり煎餅。バリバリ」 キョン「そんな音の出る物食うな。ポップコーンやるからこれにしてろ」 長門「モグモグ。ところでこれはどんな映画?」 キョン「ああ、これは高校生同士の青春を描く純愛映画だって聞いたけど」 チャラリラリラリン~ キョン「お、始まった」 ジャンジャジャーン デンデロデロデロ~ン ──ウホ泉一樹の冒険episode83── 主演:ウホ泉一樹 キョン「ぶほぁっ!」 長門「ほう……これが青春純愛映画。興味深い」 キョン「な、なんだこりゃぁー!」 ウ……ウ、ウ・ウ・ウホウホ・ウホホホン♪ ウ・ウ・ウホウホ・ウ・ホホンホン♪ てれってれってれっててててんてん♪ 素直にウホと~い~え~な~い君も~ アナルを出して~ ゲイのまじな~い テドドンビーム ぶっかけてあげるわ~♪ キョン「帰ろう」 長門「待って。何かおかしい」 キョン「おかしいのはこの映画だ。んん!? なんだ!? 椅子が離れない! クソ! どうなってやがる!」 長門「何者かによって椅子に特殊な情報操作がなされている。 この映画が終わるまで席を立てないようになっている」 キョン「な、なんだってー!!」 ~~~~~~●<アッー ウホ泉「うー、アナルアナル」 今アナルを求めて全力疾走している僕は高校に通うごく一般的な超能力者。 ただ、しいて違うところをあげるとすれば、 男のケツに興味があるってことかな~。名前はウホ泉一樹。 そんなわけで僕はとある高校生を尾行しているのだ きよん「ふんふふーん」 ウホ泉「うほっ、いいアナル……」 アッー>●~~~~~~ キョン「お、俺が出てる! しかも古泉にアナルを狙われている! な、なぜ!?」 長門「あなたにこんな趣味が……」 キョン「違う! 俺はこんなの出た覚えはねえんだ!」 長門「シッ! ここからがいいところ……ゴクリ」 キョン「頼む……そんな真剣に見ないでくれ……」 ~~~~~~●<この映画は『機関』の提供でお送りします。 ウホ泉「どうして僕はアナルにしか興味が無いんだろう……」 きよん「おかしくねえって」 ウホ泉「きよんたん!?」 きよん「誰だってそんな気分になることはあるさ。みんな口には出さないだけだ」 ウホ泉「そうかな……。でもうちの学校にはなぜかアナルに棒を差し込む部活もないし、 他の男の子達はみんな同性に興味が無いみたいなんだ。 僕は男達が裸で互いの汗を舐めあうような、ごく当たり前の高校生活が送りたかっただけなのに……。 どこかで間違っていたのかな……」 きよん「なかったら作ればいいんだぜ」 ウホ泉「ウホ?」 きよん「部活だよ! アナル部!」 ウホ泉「そ、そんな手が……」 きよん「まず俺は部室を確保するからお前は男達を洗脳してくれ」 ウホ泉「うほほーん!」 明日の暮らしとアナルを見つめる。『機関』>●~~~~~~ キョン「最初にお前が言ってたゲイ画がまさか現実になるなんて……」 朝倉「気に入ってくれたかしら?」 キョン「あ、朝倉!? まさかお前がこの映画を……!」 朝倉「だってあなたの観ようとしてた純愛映画って本当につまらないんですもの。 高校生同士が付き合ってチューしてラブラブ……。退屈すぎて呆れたわ」 キョン「それがいいんじゃねえか! わざとそういう映画を選らんだんだよ!」 長門「なぜ?」 キョン「え、い、いや……その……」 朝倉「そんな映画で長門さんを退屈させるわけにはいかないでしょ」 長門「感謝する」 キョン「俺はこの映画が非常に苦痛なんだが」 朝倉「長門さんが面白ければあなたはどうでもいいわ」 長門「朝倉GJ」 キョン「てめぇ……。それよりこれはどうやって作ったんだよ。なんで俺が出てるんだ」 朝倉「結構作るの大変だったのよ。特に合成CG、合成音声、 映像特殊加工を施すのに本当に苦労したんだから。主に山根君が」 キョン「ほとんど人に作らせたのかよ。ひでぇな」 朝倉「ちなみにこの映画は3時間びっちりあるから最後まで見てね」 キョン「長すぎる……」 ~~~3時間後…… きよん「ウホ泉、お前は知らないだろうけど、実は男はみんなすべからくホモなんだ。 いろんなヤツが実はお前のアナルを気にしている。 世界はお前のケツを中心に動いていたといってもいい。お前のケツも動いていたしな。 みんな、お前のアナルを特別な存在だと考えていて、実際そのように行動していた。 お前が知らないだけで、ホモの嫌いな女子なんて存在しないんだよ」 ウホ泉「うほほほーん!」 きよん「ウホ泉……俺実はアナル萌えなんだ。 いつだったかのお前のお尻に刺さったにんじんはとっても似合っていたぞ」 ウホ泉「アッーーーー!!」 ~~Fin~~ キョン「や、やっと終わった……」 長門「待って。またなんか始まった」 ジャーンジャジャジャジャーン!! ──尻をたずねて3000里── 主演:ウホ泉一樹 キョンたん 監督:喜緑江美里 キョン「二本立てかよ!」 長門「お得」 このあと実は3本立てであることに気づくのは3時間後のことだったとさっ。 めがっさめがっさ 第58話 ご飯もまともに作れないバカ 喜緑「今日はわたしの料理当番ね」 朝倉「あ、わたしは今日外食する予定だからいいわ」 長門「わたしは月食だからいい」 喜緑「ダメよ二人とも。逃げようったってそうはいかないわ」 長門「そもそも料理当番などというものは存在しない」 朝倉「いつもわたしが作ることになってるじゃない」 喜緑「なんとなく作ってみたくなったのよ」 朝倉「なんとなくで死にたくはないんだけど」 喜緑「わたしだって本気だせばおいしい料理の一つくらい作れるって~」 長門「チョコレート作るときに洗剤混ぜた女が何をいうか」 喜緑「あ、あれはわざとだも~ん」 朝倉「余計たちが悪いわ」 長門「とにかくいらない」 喜緑「うん、それ無理」 朝倉「人のセリフとらないで」 喜緑「試食係は必要でしょ。それがあなた達がここにいる理由。信じて」 長門「人のセリフとるな」 喜緑「何言ってもだ~め。この部屋はわたしの情報制御空間なの! ジャーン!」シャキーン 朝倉「やられたわ……。最初からわたし達に選択権を与える気はなかったみたいね」 長門「喜緑江美里空間……黄緑色でキモイ」 喜緑「大丈夫よ。この料理本のレシピどおりに作るから。きっとうまくいくわ」 長門「それ、料理の本じゃなくてサバイバル本」 喜緑「同じようなものじゃない」 朝倉「全然違うわよ……」 喜緑「えーと、弱火で10分ってことは……強火で2分くらいでいいわね」 朝倉「そういうものじゃないでしょ。そのくらいわからないの?」 長門「ええ? そうなの?」 喜緑「いいのいいの。胃に入っちゃえば結局おんなじだから」 朝倉「次からあなたの分のご飯は全部生で出すわよ……」 喜緑「毎日お刺身ばんざい!」 長門「いいなぁ……」 喜緑「あとは……えーとお肉を200g……『g』ってなに?」 朝倉「グラムでしょ」 長門「ガンダムに決まってる」 喜緑「有希の言うことを信じるわ。200ガンダムね」ボチャンボチャン 朝倉「有希のバカ! もう既に肉じゃない何かを入れてるじゃない!」 長門「だってつい……」 喜緑「つっくりましょ~つっくりましょ~、なになになに~がでっきるかな~」ボチャンボチャン 長門「今入れたぬめぬめした紫色の物体はなに?」 朝倉「なんだろう……。あめふらし? 少なくとも食べられそうなものじゃないわね……」 喜緑「あれ? これなんだろ? えーい、入れちゃえ。迷ったら前に進むのよ」ドボドボドボ 朝倉「前を見て進んでよね……」 長門「進化の可能性も何もあったものじゃない」 喜緑「んっふふー、あとは仕上げに●●●●●を入れて完成っとー」 朝倉「ついに伏字を入れ始めた……((;゚Д゚)ガクガクブルブル」 長門「終わった……」 喜緑「出来ました~」 朝倉「うわっ! 臭っ!」 喜緑「ダメよ~、ちゃんと鼻センしないと食べられたものじゃないから」 朝倉「そんなもの出さないでよ」 長門「そもそもその料理は何?」 喜緑「何だろう……。ねえ、何に見える?」 朝倉「せめて自分で把握してよね……」 喜緑「ピキーン!! 食らい~やがれー!ビュン!」 朝倉「料理を投げないでよ!」 長門「ダメ、口をあけたら……」 朝倉「ドカッ ふぐっ! んがっぐっぐー!」バタリ 長門「あ……朝倉涼子……」 喜緑「まずは一人……ふふふ」 長門「まさかあなたは最初からこのようになることを知って……」 喜緑「そんなことないわよ、きっとおいしいんだから」 長門「一口くらい味見をしてから言え」 喜緑「あ! UFOだ!」 長門「え!? どこどこ!? 宇宙人どこ!?」 喜緑「隙あり!ヒョイ」 長門「……うかつ」ドサッ 喜緑「おわった……ついに完成したわ。えーっと……肉じゃが? そういうことにしておくわ」 ~~~次の日~~~ 喜緑「か~いちょう! 今日の家庭科で作ったお料理食べてくださ~い」 会長「いらん。それに今日は君のクラスは家庭科の授業などなかったはずだろ」 喜緑「会長ったらそんなことまで……わたしのことはなんでも知ってるんですね」 会長「そうじゃないといつ殺されるかわかったものじゃないからな」 喜緑「いいから一口だけでも食べてくださいよ~」 会長「本当にいらん。どんな毒を入れられるかわかったものじゃないからな」 喜緑「あ……そうですか……。そこまで信用されて無いんじゃしょうがないですよね……」 会長「信用しろという方が無理が無いかね?」 喜緑「せっかく会長のためだけに頑張って作ったのになぁ……。ジワ」 会長「な、泣いても無駄だからな!」 喜緑「あはは、わたしきっと将来だんなさんにも手料理食べてもらえないんだろうな……グス」 会長「あー、もうわかったわかった。食べればいいんだろ食べれば」 喜緑「じゃあ、この肉じゃがらしき物、絶対おいしいんで食べてくださいっ」 会長「らしき物という発言が気になるが……どれ、一口もらおうか」 喜緑「わ~い(ふふっ、これを食べて気を失った会長を保健室に連れ込んであれやこれや……)」 会長「モグモグ……うむ、うまいうまい」 喜緑「え……普通に食べてる……」 会長「ん? どうかしたかね?」 喜緑「い、いいえ~。あ、あれぇ……おっかしいなぁ……一日置いたら変化したのかな?……パクッ」 会長「うん? 喜緑くん? どうしたんだね? 急に顔色が……」 喜緑「……うぐぅ」バタリ 会長「喜緑くん!? おーい、喜緑くん! うわっ、目を開けたまま気絶してる! 衛生兵ー! 衛生兵ー!」 ~生徒会会長の舌はメガトン級のバカ~ ~~~●<わかめ!~~ 58話おまけ 喜緑「会長、わたし決めました」 会長「おお、そうか。やっと辞表を出してくれるのか」 喜緑「いやーん、会長ったらいじわるぅ~」ポカポカ 会長「ははは、いつでも辞めていいんだぞ~」 喜緑「わたし、お料理教室に通うことにしました」 会長「ほほう、適当主義の君にしては感心だな」 喜緑「わたしの手料理を残さずに食べてくれたのは会長が初めてです。 それからわたし、お料理を作ることの喜びに目覚めました」 会長「食わなきゃ殺す勢いなんだから仕方ないだろ」 喜緑「いえ、本当は食わせてころ……いや、なんでもないです」 会長「何をする気だったんだ……」 喜緑「今度はちゃんとした肉じゃがを作りますね」 会長「ちょ、ちょっと待て! じゃあ、あの肉じゃがはなんだったのかね!?」 喜緑「もっとわたしのお料理がうまくなるまで、他の子の手料理食べちゃダメですよ」 会長「そんなこと言われなくとも……」 喜緑「え?」 会長「私に手料理を作ってくれるのは君しかおらんだろう」 喜緑「えっへへー」 あー、もう見てらんないにょろ…… 第59話 バカチタレ! 長門「わたしは実は天才だった」 キョン「どうした急に? バカが進行したか?」 長門「金持ちになった」 キョン「な、なんだって!? どこからかっぱらってきたんだよ。返してきなさい!」 長門「盗んでいない。ちゃんと稼いだ」 キョン「どうやって稼いだんだよ」 長門「10万の元手を10倍以上に増やした」 キョン「ほう。いくらになったかわかるのか?」 長門「……ニ万五千円くらい?」 キョン「減ってるじゃねえか! 10万の10倍なら100万だろ」 長門「1+1が200になるプロレスラー特有の計算法を使った。10倍だぞ10倍!」 キョン「それ100倍だろ」 長門「とにかくその10万円を使って、まず最初に宝くじを買った」 キョン「ギャンブルじゃねえか。ちっともまともじゃねえよ」 長門「なんとこれが大当たり。100万円になった」 キョン「す、すげーな」 長門「普段の行いがよかったから。神様はきちんとわたしを見てる」 キョン「神様はいないってこったな」 長門「こうして手に入れたお金は次の投資先へとつぎ込んだ」 キョン「次はなんだ?」 長門「競馬」 キョン「文字通り馬鹿か」 長門「大丈夫、絶対鉄板の馬券を買った」 キョン「そんなものあるかよ……」 長門「予想は見事に的中、これがその証拠」 キョン「おお! 当たってる!、中山9レース、有馬記念。ディープインパクト複勝」 長門「これで元手を増やして次に向かったのは……」 キョン「一円も増えてねえから!1.0倍だ!」 長門「今度は株を購入してみることにした」 キョン「まさか野菜の蕪を買ったなんて、バカなこと言わないよな」 長門「そこまでバカじゃない」 キョン「そうか、すまん」 長門「わたしが買ったのは切り株」 キョン「前言撤回」 長門「100万円全部つぎ込んだ」 キョン「どんだけの切り株だよ!」 長門「10年後には立派な大木となってさらに10倍の資産に……」 キョン「ならねえよ!」 キョン「ところで元手の10万はどこからもってきたんだよ」 長門「心配ない。すぐに返す(10年後)」 キョン「俺の貯金通帳がー!!」 ~株上がれー~ 完 第6部最終回 第60話 もし長門がバカだったら・改 長門「大変なことが起きた」 キョン「なんだ」 長門「2006年になったばかりだと思っていたのに、もう年末」 キョン「遅すぎる」 長門「そんなことはどうでもいい」 キョン「本当にどうでもいいのか?」 長門「突然わたしが犬になってしまった」 キョン「また前の猫語のときみたいに俺を騙そうっていうのか……もう騙されねえぞ」 長門「前のときは嘘だったけど、今回は本当。見て」ピョコン キョン「おわっ! 頭に犬耳が生えてる! 触ってもいいか?」 長門「一回100万円」 キョン「たけーよ」 長門「わたしが払う」 キョン「本当にいいのかそれで?」 長門「……今日は特別無料サービス」 キョン「す、すごい……本物だ……。本当に犬耳が生えてる」 長門「あぁん……くすぐったいにゃん」 キョン「それは猫だろ」 長門「飛べない犬はただの犬だ」 キョン「それは豚」 長門「そこは『このメスブタめ』と突っ込んでほしかった……衰えたか」 キョン「俺はお前専属のツッコミ役じゃねえ」 長門「どうしよう」 キョン「どうしようって言われてもな……」 長門「とりあえずこれからどうやって過ごそう」 キョン「せっかくだからしばらく犬みたいに過ごしてみたらどうだ?」 長門「じゃあ、さっそく。お手」 キョン「ワン。ポン ……って違う。それは俺のセリフだ」 長門「だってあなたのあだ名は犬の鳴き声っぽい」 キョン「キャンじゃねえ!」 長門「ちんちん出して」 キョン「そんな芸は犬でもやらんわ」 長門「そんなこといったら犬に失礼」 キョン「俺には失礼じゃないのかよ!」 長門「どうやらこの病気はどんどん進行しているよう。 徐々に体が犬の物へと変わっていく。このままではあと数時間で完全な犬になってしまう」 キョン「おいおい、ふざけてる場合じゃないんじゃないか」 長門「このまま行くといつの日にか叶姉妹のようなスタイルに……」 キョン「ならんならん」 長門「……また犬化が進んだ。今度は体毛が大量に生えてきた」 キョン「そうか? さっきとあんまり変わって無いように見えるが」 長門「股の辺りに黒いちぢれ毛が生えてきた」 キョン「それ違う」 長門「疑うなら見せるけど?」 キョン「見せるな」 長門「うれしい。だって今までずっとツルツルだったから」 キョン「そんなこと俺に告白するなよ」 長門「これでわたしも大人っ!」 キョン「もっと女子高生らしい恥じらいというものを持て」 長門「これからは堂々とAVを借りられる」 キョン「ダメだから! そういう基準じゃないから!」 長門「と、そんなこんなでふざけているうちに……」 キョン「どうした?」 長門「シッポも生えてきた」ピョコ キョン「あ~あ……今回は本当にヤバイな……」 長門「このまま本当に犬になったらどうしよう……」 キョン「ならないようになんとかすることを考えようぜ」 長門「もしそうなったらあなたの家で飼ってくれる?」 キョン「いやぁ、うちはもうシャミセンがいるからなぁ。無理だろうな……」 長門「……くぅ~ん。シューン」 キョン「そんなに落ち込むなって(あぁぁ! くそぅ! かわいいなぁもう!)」 長門「どうする? アイフル」 キョン「いや、だから飼えないって」 キョン「とにかくハルヒにこんなところ見つからないようにしないとな」 長門「そう。もし見つかった日には、見世物として全国を行脚する毎日……」パタパタ キョン「なぜそこでうれしそうにシッポを振る?」 長門「どうせわたしはどこかの知らない男性に拾われて、 毎晩体に塗られたバターを舐めさせられるような生活に身を落とすだろう……」 キョン「すぐバター犬を想像するな」 長門「そんな生活だけは……嫌」パタパタ キョン「だからシッポを振るな」 長門「そうならないようにわたしを飼ってワン」パタパタ キョン「とりあえず今は最後まで諦めずに、元に戻ることを考えようぜ」 長門「わかった。今から隣の家の犬に挨拶してくるワン」 キョン「だから今からうちで飼われる準備をするな」 ~~1時間後~~ 長門(犬)「ハッハッハッ!ワンワン!」 キョン「うわっ! ついに完全に犬になっちまった」 長門(犬)「まだぎりぎりで言葉が通じるワン」 キョン「あぁぁぁ……お前がこのまま完全な犬になっちまったらどうすりゃいいんだ……」 長門(犬)「大丈夫。これからは『もし長門が犬だったら』で続けるから。 会話もワンワンだけでいいから、作者もとても楽そうだと喜んでいるワン」 キョン「タイトルの心配してるんじゃねえよ!」 長門(犬)「犬になっても知能はたいして変わらないワン。 どうせやることといったらあなたと遊ぶことくらいだワン」 キョン「お前はそれでいいのか?」 長門(犬)「わたしは構わない。涼宮ハルヒの観察なんてわたし以外でも出来る」 キョン「そういうものじゃないだろ……やっぱりそれはまずい」 長門(犬)「わたしが死んでも代わりはいるもの」 キョン「長門……」 長門(犬)「今のセリフが言えてとても幸せ」 キョン「そういえば綾波オタクだったなお前」 長門(犬)「わたしは一生あなたに飼われる人生でもいい。あなたさえ迷惑でなければ……」 キョン「長門……俺はそんなの嫌だ。 お前はペットなんかじゃない。俺にとって大切な…… 大切な仲間なんだ。友達なんだ。お前はやっぱりお前しかいないんだよ。 代用品なんかじゃきかない。唯一無二の存在なんだ。 ペットなんかにできるかよ!」 長門(犬)「そう。やっぱり元に戻った方がいい?」 キョン「当たり前だろ。でもその方法がわからないんじゃ……」 長門(犬)「……本当は原因も戻し方もわかってた」 キョン「な、なんだって!? お前俺のことからかってるのか!?」 長門(犬)「あなたが飼ってくれないなら戻るしかない。ちぇ~」 キョン「ちぇ~じゃない」 長門(犬)「原因は阪中の飼っていたルソーの逆恨み。あいつの霊に取り憑かれたワン」 キョン「それって……逆恨みじゃねえだろ。お前が殺したんじゃねえか」 長門(犬)「そうともいう。とにかくいち早くなんとかしないとワン」 キョン「どうすりゃいいんだ?」 長門(犬)「朝比奈みくるをここに呼んで。彼女の協力が必要だワン」 ~~~ みくる「それで……どうしてわたしは巫女さん衣装なんですかぁ~?」 長門(犬)「特に意味は無いワン。ちょっとその格好が見たかっただけ。もう帰っていいワン」 みくる「ひどっ!」 キョン「犬になっても性格は変わらんな、お前……」 長門(犬)「情報操作開始。パーソナルネーム長門有希(犬)の構成情報の変更を申請する。 ウー、ワンワワワン、ワオーンワンワンワンワワワン」 キョン「犬語でいいのかよ」 長門(犬)「今のはでたらめ。犬語とかそんなもの信じてるのは、よっぽどのバカワン」 キョン「急いでるんだろ! 早くやれって!」 長門(犬)「だって、お股の毛がまた無くなるの嫌なんだもん……」 キョン「そんなこと気にすんな!」 ~~●<アオーン、ウホホーン~ 長門「……うまくいった」 キョン「おお! 元に戻ったー! 耳もシッポもなくなったー!」 みくる「よかったですね~長門さん」 長門「めでたしめでたし。そしてまたツルツル……」 キョン「それでルソーの霊はどうなったんだ? ちゃんと成仏したのか?」 長門「もう大丈夫。二度と他の人間へ憑依したりはしない」 キョン「そうか……。でも今回の原因はお前にあるんだぞ。 一番かわいそうなのはルソーなんだからな。あとでちゃんとルソーのお墓参りしろよ」 長門「安心して。ルソーはちゃんとあなたに乗り移った」 キョン(犬)「てんめえぇぇぇぇ! 適当な仕事してるんじゃねえワオーン!!」 長門「ちんちん出して」 ~~忠犬バカ公~~ ──完── 第6部 もし長門がバカだったら・改 おしまい 第7部へつづく
https://w.atwiki.jp/akatonbo/pages/3337.html
ニートじゃない 作詞/90スレ195 ニートについて本気出して 調べてみたんだWikipediaで そこで見た定義は 驚くべきものだったんだ 「年齢15~34歳、卒業者、未婚であって、家事・通学をしていない者」 年齢15~34歳 年齢15~34歳 年齢15~34歳 俺は今年で35 ニートなんかじゃない 俺は今年で35だから ニートじゃねえよ 俺は無職
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4006.html
「そうか、菊はそうやって、本家様の力になりたいのか」 「…はい、兄様」 兄の龍鬼は、こちらの話を黙って聞いてくれた その上で、しばし考え込み……告げてくる 「わかった。ただ、それだけでは、若を支え続けるには難しいだろう。表の仕事も、見つけるように」 「……表の、仕事?」 「あぁ。表立ってやっているのは、本家様。だが、我ら分家の人間は、表立ってはそちらを行ってはいけない」 だから 表向きの仕事も用意すべきだ 兄は、そう言ってきた 「…表向き…」 「伯父はセメント工場を経営しているし、叔母はお好み焼き屋をやっているだろう?何でもいいんだ。裏の仕事に感づかれぬよう、振舞っていられれば」 「……わかりました」 こくり、頷く ……そうか、表向きの仕事を考えておかないと駄目か それも、考えておかなければ 分家に生まれた者としての役割 自分は、それを果たすのだ その為ならば、どんな努力でも重ねていこうではないか ちょこん、と 店の奥に用意してもらった椅子に腰掛ける紫苑 じっと、働いている菊の様子を眺める 「ねーねー、店長さ~ん!」 ………… 「…ん…?何、か…?」 「こないだ、お気に入りのスカートが風で飛んでちゃってさ~。見つけられなくて…何か、いいスカートない?」 何て、言うか…… 「……じゃ、これ……」 「きゃー、かっわいー!試着してみるね~!」 ……その 「どう?似合ってる?似合ってるよね?」 「………ん」 「やっぱりぃ?じゃ、これ買っちゃうね~!」 「…お買い上げ、感謝」 …え~と どこからコメントすればいいのか、突っ込めばいいのか その光景に、紫苑は悩む 「店長さ~ん!此間、通りすがりの紳士っぽい人が「あなたのソックスは、このソックスハンターが頂いたあぁあ!!」とか言って、靴下スられちゃって……新しいの買いたいんだけど」 「それ、通報、した方がいい………色、赤、好き?」 「わぁ、赤い花柄で可愛い!じゃ、これと……せっかくだから、靴も新しいの買いたくなったかも。お勧めある?」 「…ん……それに、合わせるなら……」 先ほどから、てきぱきと接客をこなしている菊 前髪で目元が見えないほの暗い印象にも関わらず、女性客達は遠慮なく、菊に声をかけている そして、その客らに、菊はごく普通に対応していて まるで、一人一人の好みを全て把握しているかのように、無駄なく、スムーズに要望に答えていっていた 「紫苑ちゃんだっけ?ビックリした?」 声をかけられ、一瞬、びくりとする紫苑 顔をあげれば、店のバイトらしい女性が、にこにことこちらを覗き込んできていた 確か……花房 御幸とか言っていたか 菊と同じか、それより若干年上に見える 「…そうね。正直根暗な印象してたから。こんな店やってるなんて、想像もつかなかったわ」 「あはは、そうだよね~。私も、最初会った時は、こんな素的なブティックやってるなんて想像できなかったし」 ブティック「カナリア」 ここが、菊の職場だった 女性向けの衣料品を扱っている店 ……しかも、そこの店長らしい そう言えば、あの大量の女物の服 菊は、「サンプル」と言っていた …あぁ、なるほど 服を仕入れる際にでも、業者からもらった物だったのか、とようやく納得した 「…繁盛してるのね」 「此間、また雑誌に載せてもらったから、そのせいもあるんじゃないかな~。その分、菊っちが忙しくなるんだけどね」 「……あんたは、忙しくないの?」 「誰も、私に「服見繕って」とかって言ってくれないんだもの」 御幸の言葉に頷きつつ、視線を菊へと戻す紫苑 「ねー、ジャケット欲しいのジャケット!いかしたデザインのない?」 「……ミナ、には……黒が似合うから、これ…」 「てんちょー!このスカートに合うカーディガンとかないかな?」 「…ん……英国風デザイン………同じく、英国風デザインの物を……」 「私さー、ロリータファッションに挑戦したいの!で、頭の天辺からつま先まで、フルコーディネートよろ!」 「…了解……予算、は?」 …忙しく、女性客の要望に答えている菊 本当、恐ろしく手際がいい 客の要望に合っていて、なおかつ、その客によく似合った物を、予算以内に収めて見繕ってやっている これは、経験故なのか、それとも、一種の才能なのか 菊と出会ったばかりの紫苑には、ピンと来ない 「あ、あの………その。み、店先のマネキンのコーディネート…気に入っちゃって…あ、あれと同じ物、ありますか?」 「…ん……どれ…?」 「あ、あの、ま、真ん中の」 「……ん、まだ、ある……御幸、お願い……」 「はいは~い、今行きま~す……じゃ、紫苑ちゃん、また後で話そうね~」 菊に呼ばれ、ぱたぱたとそちらに向かう御幸 入れ替わりに、菊がふらふら、紫苑に近づいてくる 「…退屈?」 「いえ、退屈はしてないわ」 「……なら、いいが」 本音だ、退屈はしていない よくもまぁ、あれだけ我侭な要望にも答えられるものだ、と心底感心してるから 「ま、とりあえず。「ブティックの人攫い」には注意しとくのね。こう言う店が、あいつらのテリトリーだろうし」 「……試着室で、人をさらう、あれ?」 「そう、あれ」 なるほど こう言う職種だから、その都市伝説くらいは聞いていたか 「…あれ、も、都市伝説?」 「そうよ。人攫い系都市伝説だけで揃った人攫い組織なんかもあるって聞くしね」 紫苑は、菊と出会ったあの場所からあまり動いた事がない為、詳しくは知らないが それでも、近年語られる都市伝説繋がりで、知識だけはある …奴らにとって、こう言う店は格好の狩場だ 「……大丈夫」 「?」 「もう、そう言う被害者は出さない」 え?と 思わず、菊を見つめる紫苑 「もう」、と、菊はそう言った それは、つまり この店で、かつて、「そう言う事件」があった、と言う事で 「……また、若に迷惑かける訳にはいかないから」 淡々と、続ける菊 それは、小さな後悔と 同じ事は繰り返さないという、決意 「…今度、気配を感じたら……先に、沈める」 ぼそぼそ、そう口にした、瞬間 前髪が、ゆらりと揺れて……菊の目が、見えて その奥にある、深い闇に けれど、その更に奥にある、光に ぞくり、と、悪寒すら、感じた まるで、その瞬間だけ 雰囲気が、ガラリと変わったような…… 「店長さ~ん!ワンピース!ワンピースが欲しい!合コンで彼氏ゲットの為に!!目立てる奴を!!」 「……ん…なら、この金ラメミニスカートのを……」 ふら、と また元の根暗な雰囲気に戻り、客に呼ばれてそちらに向かう菊 一瞬の、あの雰囲気に 紫苑は、菊の中の、底知れない闇を見たような錯覚を覚えて 「……まったく。どうして、普通の契約者を見つけられなかったかしらね、私は」 と 小さく、誰にも気付かれぬよう、ため息をついたのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 死ねばよかったのに
https://w.atwiki.jp/wktkwktk/pages/99.html
翌朝。 僕は久方ぶりに、ヒナタやカエデのポケモンたちと共に穏やかな時間を過ごすことができた。 淡雪が降り出しそうな寒天の下、マフラーを首に巻かれたワニノコとピッピが追いかけっこしている。 庭に設えられた人工池では、ヒトデマンから進化したスターミーとパウワウが半身を浸している。 そして僕の隣では、それなりに立派な体躯のハクリュウが、時折僕をチラ見しながらトレーニングに勤しんでいる。 僕たちは初対面のはずなのに、なぜ意識されているのか解せなかった。 「ピィ」 吐いた息は白く凍り、立ち上っては消えていく。 「ぴぃっぴぃ~」 ピッピが僕の背中に駆け込んでくる。 すぐにワニノコがやってきて、僕の顔色を窺いながら、 「がうがう!」 卑怯だぞ、と言いたいのだろう。 なるほど、背後のピッピは可愛らしい舌をちろちろと見せてワニノコをからかっている。 ハナダシティのショッピングモールにいた時とは、形勢が少々逆転しているようだ。 「ピィカー」 ほら、遊んでおいで。 背中を押し出してやると、ピッピは元気よく駆けだした。 「がうっ!」 ワニノコがすぐさまそのあとを追う。 逃げて、追いかけて、捕まえて――その終わりのない反復に飽きは来ないようだ。 微笑ましい光景に目を細めていると、 「ぱうぱうー」 パウワウが僕を呼んだ。 隣のスターミーも僕に向けてコアを点滅させている。 お誘いはありがたいが、水、氷タイプ以外のポケモンがこの時期に水浴びするのは自殺行為に等しい。 「チュウ」 遠慮させてもらうよ。 そう伝えると、パウワウは残念そうに「ぱうー……」と鳴いて、尾ひれでぱしゃぱしゃと水面を撫でた。 ぴり、と近くの空気が震えた。 わずかに身を逸らす。間髪いれず、僕の体左半分があったところに、群青色の尻尾が打ち下ろされた。 見上げれば、爛々と目を光らせたハクリューが、鼻息荒く僕を睨み付けていた。 「ピィカ、ピィカチュ」 危ないな。 トレーニングをするのは君の勝手だが、 他のポケモンを巻き込んだり、エリカの綺麗な庭を荒らしたりしてはいけないよ。 僕の意図が伝わらなかったのだろうか、二撃、三撃と、ハクリューは攻撃をやめない。 「チュ」 僕は窘めるのを諦めた。 何が気にいらなくて暴れているのか知らないが、若気の至り、というやつだろう。 雰囲気を察知したらしいワニノコがこちらに駆け寄ってきて、ハクリューの尾にしがみつく。 「がうっ、がうがうっ!」 ハクリューは「邪魔だ」と言わんばかりにワニノコを打ち払った。転がったワニノコに、ピッピが駆け寄る。 まったく、どうして若いドラゴンタイプのポケモンはこうも驕慢なんだろうね。 君はドラゴンタイプのポケモン以外は全て矮小で貧弱だと思っているんだろうが、 いい機会だ、必ずしもそれが正しくないということを教えてあげるよ。 「ウォフッ」 物理攻撃が当たらないことに痺れを切らしたハクリューが、口の端に青い炎をちらつかせる。 "龍の怒り"、か。 僕が躱すべく軸足に力を込めた、その時だった。 「ピカチュウー? どこにいるのー?」 縁側から近づくヒナタとカエデの姿を見て、急遽、予定を変更する。 荒療治になるが仕方がない。 僕はハクリュウの顔面の真正面に飛び込み、上顎に肘と、下顎に膝を叩き込んだ。 強制的に閉じられた口の中で、ぼん、と"龍の怒り"が爆発する。 小さな爆風に煽られ、宙で一回転して着地、波打った毛並みを整えてから、僕は主に駆け寄った。 二人の位置からは、ちょうど茂みが邪魔をして、ぷすぷすと黒煙を吐いて目を回すハクリューを見ることができない。 「ここでみんなと一緒に遊んでたのね」 ヒナタの微笑からは、昨日まで失われていた瑞々しい活力を感じることができた。 昨夜は久方ぶりに、ぐっすりと眠ることができたのだろう。 カエデが胸を張って言った。 「ほら、あたしの言った通り、庭にいたじゃない」 「勝ち誇ることじゃないでしょ。あのね、ピカチュウ。 今からちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」 ヒナタの表情に、うっすらと不安の影が落ちる。 僕は訝しみながらも、 「ピッカァ」 ヒナタの肩に飛び移った。 いつか、ピッピを虐めていたワニノコの監督を任せたように、 「チュー」 目を醒ましてからも暴れるようなら再教育してあげて欲しい、とスターミーに依頼しておく。 人工池の片隅で、彼女は眠そうにぴこぴことコアを点滅させた。 部屋に着くと、片目に傷を負った白猫がヒナタの浴衣にくるまって眠っていた。 「あの、ペルシアンさん?」 ヒナタが怖々尋ねる。ニャースは細く目を開けると、偉そうに首を擡げて言った。 「待ちくたびれたニャ。 大事な要件があると言って呼び出した割には予定時刻を大幅にオーバーしてるのニャ」 「ごめんなさい」 しゅん、と項垂れるヒナタ。 僕は過保護であると自覚しつつも、 「ピィカ、チュウ」 責めるならヒナタに見つかりにくい庭にいた僕を責めるんだな。 あと彼女に敬語を使わせるのはやめろ。 彼女はポケモンに対する礼儀を忘れたりはしない。 「わ、分かったニャ。ヒナタちゃん、ミャーのことは呼び捨てでいいニャ。あと敬語もやめるニャ」 「あ、えっと、はい……じゃなくて……分かったわ」 「でも、ひとつだけお願いがあるんだニャ」 「?」 「ヒナタちゃんには、これから何があっても、ミャーのことを"ペルシアン"と呼んでほしいんだニャ。 間違っても"ニャース"とは呼ばないでほしいのニャ」 ヒナタは困惑した表情で言った。 「え、だってペルシアンはペルシアンでしょ?」 「ヒナタちゃんはいい子なのニャ~」 ニャースは感涙した。 その様子から察するに、ニャースを昔から知っている人間のほとんどは、 彼がペルシアンに進化した今になっても変わらずに「ニャース」という呼称を使っているのだろう。エリカが良い例だ。 ニャースの嗚咽が収まるのを待ってからヒナタが言った。 「ペルシアンは、どんなポケモンの言葉も分かるのよね?」 「愚問だニャ。ミャーに分からない言語は古今東西存在しないニャ。 ミャーにかかれば新種ポケモンの言語も三日とかからずに自分のものにできるのニャ」 「ピカチュウの言葉も?」 「無論だニャ」 ヒナタは腰のベルトからボールを外して、僕をちらと一瞥してから尋ねた。 「……ゲンガーの言葉も?」 「余裕だニャ」 ヒナタが新たに手に入れたハイパーボールと、その中のポケモンについて、 僕はこれまで存在を知りつつも、特別に意識を払わないようにしてきた。 ヒナタは意図的に、僕の視界からハイパーボールを(あるいはハイパーボールの中のポケモンの視界から僕を)遠ざけようとしていた。 今朝にしても、ヒナタとカエデがポケモンを庭に解放したとき、あのハイパーボールだけは展開されなかった。 ヒナタは僕のもとに屈み込んで語り出した。 「あたしね、ピカチュウと離れ離れになった後、シオンタウンに行ったの。 それでね………」 僕は彼女が辛そうに紡ぎ出す一言一句に耳を傾けた。 要約すると以下の通りになる。 ヒナタはシオンタウンのポケモンタワーで、一匹のゲンガーに襲われた。 それを助けてくれたのは元四天王であるキクコだった。 キクコはゲンガーがヒナタを襲った理由について、 ヒナタと近しい人、或いはポケモンに、ゲンガーの核となる霊魂が強い恨みを持っているからだと言い、ゲンガーの記憶を読み取った。 果たしてそこに刻まれていたのは、ピカチュウに殺されたギャラドスの断末魔だった。 「最初はピカチュウがギャラドスを殺すなんて、有り得ないと思ったわ。 でも、お父さんのポケモンで、ポケモンリーグにも出場したことがあるピカチュウなら……」 言葉が掠れて、聞き取れなくなる。 「ピィ」 ニャース、翻訳を任せてもいいかな。 彼の首肯を確認してから、僕は言った。 「チュウ、ピカチュウ」 結論から言おうか。それは事実だ。 僕はゲンガーの前身となるギャラドスを殺した。 僕が殺めたギャラドスは一匹だけだから、彼のことはよく記憶している。 サトシと共に初めて挑んだポケモンリーグの最終戦で、当代チャンピオンの切り札が彼だった。 「………」 ヒナタは悲痛な面持ちでペルシアンの翻訳を聞いていた。 僕は追憶を続けた。 ――『"雷"だ。止めを刺せ、ピカチュウ』―― 酷薄な命令。瀕死のギャラドス。 己のポケモンを口汚く罵る当代チャンピオン。 躊躇は無かった。僕はサトシを信じていた。 轟音と閃光のあとで、ギャラドスは黒煙を燻らせながら崩れ落ちた。 その記憶をそのままヒナタに伝えれば、 僕がギャラドスを殺めた原因は、必然的に命令を下したサトシということになる。 僕はハイパーボールの中にあるポケモンに語りかけた。 ヒナタに真実を話すにあたって、少し、脚色することを許して欲しい。 「ピィ、ピィカチュ」 僕は、僕の一存で"雷"を落としたんだ。 本来なら攻撃をやめておくべき状況で、僕は緊張と興奮のあまり、無抵抗のギャラドスを嬲った。 「っ」 ヒナタが唇を噛む。 これで良かったのだ、と僕は自分を納得させた。 再びヒナタの心に芽生えた父親を信じる気持ちを、彼女自身の手で摘ませてはいけない。 「ピィ……?」 失望したかい? 不意にヒナタは僕の両手を取って、激しく横に首を振った。 「違うわ。そうじゃないの。 キクコおばあさんの話が本当だったことはショックだけど、 それでピカチュウのことを嫌いになったりなんかしない!」 ヒナタ……。 その言葉で僕がどれだけ救われるか、君は気付いていないんだろうね。 「あたし、キクコおばあさんと約束したの。 もしピカチュウに再会したら、その時に、ゲンガーをピカチュウと会わせること。 ゲンガーの中にいるギャラドスの霊を成仏させるには、それしかないって言われたの」 ヒナタが開閉スイッチに触れる。 指はかすかに震えていた。 「だいじょうぶ、ピカチュウ?」 「ピィカ」 僕は頷いて見せた。 閃光。果たして召喚されたゲンガーは、実に温厚そうな、柔らかい鳴き声を響かせた。 「うー!」 当惑を禁じ得ない。 ゲンガーからは、僕への恨みや、憎しみといった感情が、一片も感じ取ることができなかった。 彼の瞳に映っているのはむしろ、初対面のポケモンに対する緊張と、久方ぶりに外に出ることを許された喜びの色だった。 ヒナタがゲンガーの耳と耳の間を撫でながら言った。 「ゲンガー、もう一人のあなたを呼び出してくれる?」 「うー……」 瞑目。瞬間、この部屋に満ちていた暖気が冷気に変わった。 再び開いた瞼の奥から、ルビーの原石のような暗い赤色の瞳が僕を鋭く睨み付ける。 ……主格をスイッチしたのか。 僕はニャースに、これからの会話をしばらく翻訳しないよう釘を刺してから、赤い瞳を見つめ返した。 「ピィカ、チュウ」 久しぶりだね。ギャラドス、いや、今はゲンガーと呼んだ方がいいのかな。 冷たいゲンガーの思念が頭の中に流れ込んでくる。 ――そんなことはどうでもいい―― だろうね。 さて、君の魂が安らかなものとなるように僕たちはこうして対峙しているわけだが、 どうすれば君の魂を鎮めることができるんだろう? ――そうだな―― ゲンガーは口を三日月の形に裂いて笑った。 ――死んでもらおうか。お前は俺を殺した。俺がお前を殺せば、それで命の遣り取りは等価になる―― いいだろう。 僕がそう答えると、ゲンガーは訝しむように片目を眇めた。 「ピィカ、ピィカチュー」 僕の死でかつて君を殺した罪を贖えるなら、僕は抵抗せずに命を差しだそう。 ただ、ひとつ、いや、ふたつ条件がある。 ひとつめは、数日の猶予。 君も知ってのとおり、ヒナタはもう一度、父親に会いに行こうとしている。 そして僕は彼女に同行することになっている。僕を殺すのは、全てが終わってからにして欲しい。 ふたつめは、ヒナタへの助力。 彼女の周りには危険が多い。タイチやカエデ、彼らのポケモンが心許ないとは言わないが、 それでも数多の戦闘経験を引き継いでいる君は、ヒナタの大きな戦力となる。 僕が死んで君の魂が鎮まったあとで、もし君に少しでもヒナタへの忠心が生まれているなら、 彼女が十分に強くなったと思うまで、この世に留まり、彼女を支えてあげてはくれないだろうか。 ――くだらねえ―― 僕は首を傾げた。 ――初めっから、お前に復讐する気なんかねえよ。そんな気はとうの昔に失せてやがる―― 何故だい、と尋ねると、ゲンガーは不愉快さを隠そうともせずに答えた。 ――俺がお前に殺された時、当時の主は俺の遺骸を淡々とポケモンタワーに埋めて、ただの一度も参りにこなかった。 だが、俺がお前を殺せば、お前の主は一生、お前が死んだ時の悲しみを忘れないだろうからな―― 僕の主、じゃない。僕たちの主だよ。 ――黙れ―― ゲンガーは顔を背けて、 ――俺がまだこの体の支配権を握っていたとき、俺は生前強いられていた戦い方を披露して、この子を何度も苦しませた。 この子がギャラドスの頃に俺を服従させていたクズとは正反対のトレーナーだってことを理解してからは、 ……その、なんだ、少しは俺の力を貸してやってもいいと思うようになった―― それじゃあ、君はこれからもヒナタのポケモンでいてくれるんだね。 ――消えたくなったら勝手に消えるさ。 もっとも、今じゃあのヘタレがこの体の支配格だ、消える時にはそいつの許可がいるがな―― ヘタレというと、ボールから出たばかりの、温厚そうな鳴き声の持ち主の方かい? ――俺が"うーうー"なんて無様な声を上げると思うか?―― いいや。 そうか、君が消えるには彼の許可が要るのか。 いいことを聞いたよ。後で彼に君がずっとヒナタに忠誠を誓うよう頼んでおこう。 ――てめぇ、やっぱりぶっ殺す!―― 僕はペルシアンに「和解した」とヒナタに伝えるように頼んだ。 「話し合いは終わったみたいだニャ」 今にも僕に飛びかからんとしていたゲンガーの肩に、ヒナタがそっと手をかける。 話し合いの雲行きにずっと胸を痛めていたのだろう。 「ピカチュウのこと、許してくれたの?」 元レベル91にして凶悪ポケモンの名を欲しいままにしたギャラドスの霊は、 ぷるぷる震えながら強張った笑顔を作り、愛らしさの欠片もない声で「うー」と鳴いた。 「……ありがとう」 ヒナタがゲンガーを背後から包み込む。 それがスイッチになったのか、ゲンガーの瞳から、赤い光が徐々に失われていった。 「チュー」 最後に、君を殺した時からずっと言いそびれていたことを言うよ。 彼の命令だったとはいえ、君に"雷"を落として本当にすまなかった。 君が僕を許してくれても、僕は自分が犯した罪を忘れない。 数秒の静寂のあと、 「うっうー」 瞬きしたゲンガーの瞳に、既にギャラドスの面影は無かった。 ゲンガーの鳴き声が聞こえたのだろうか、それまで部屋の外で待機していたカエデが入ってくる。 みんなの様子を見にいかない?という彼女の提案で、僕たちは庭に戻ることになった。 午前中、他のポケモンが思い思いに憩うのを眺めながら、僕はずっと、 彼が支配格と主格を交代する直前に残した思念について考えていた。 ――生きろ―― 死ぬな、ではない。彼は僕に、生きろ、と言った。 彼は恐らく、僕の余命が残り少ないことに気付いていた。 その日の夜。大広間での話し合いの末、セキエイ高原の探索が可決された。 出立時刻や動員に関する細々としたことが決まったあとで、 シゲルおじさまは、それまで蚊帳の外にいたあたしに語りかけた。 『ヒナタ、酷なことを強いてるのを承知で頼む。 セキエイ高原の探索に、同行してくれないか』 『はい』 あたしのきっぱりとした返事に、シゲルおじさまを含めた一同はとても驚いていた。 ただ一人、マサキ博士だけを除いて。 「ピカチュウに聞いてたんじゃないか。 あの人、ポケモンと話せるんだろ?」 バクフーンの背中の炎に手を翳して暖を取りながらタイチが言った。 「そういやピカチュウはどこにいるんだ?」 「ついさっき、部屋を出て行ったきり見てないわ。 多分、マサキ博士がいる庵にいるんじゃないかしら」 同じくカエデも炎に手をかざしつつ、 「どうしてそんなことが分かるのよ?」 「だって、昨日の夜もそこに行ってたみたいだから」 「何のために行ってるかヒナタは知ってるわけ?」 「そこまでは……」 世間話程度だと思いつつも、ほんの幽かな胸騒ぎを覚える。 「ところで、俺たちの件、ちゃんと親父たちに進言しといてくれたんだろうな?」 「ちゃんと言ったわ」 「反対、されなかった?」 あたしがセキエイ高原にタイチとカエデの同行も認めるように頼んだとき、最初、大人たちは断固としてそれを反対した。 『動員数は最小限に絞ってある。あいつらを連れていくことはできない』 『足手まといになるのは見えているのでござる』 『心配しなくても、ヒナちゃんのことはあたしたちが守るわ』 あたしは我を通すために、卑怯な手を使った。 「二人を連れていかないなら、あたしも行きません、って言ったら渋々折れてくれたわ」 けど、本当にこれで良かったのかしら、と思う自分がいることも確かだった。 もし本当にポケモンリーグがシステムの本拠地だった場合、配備されているのは精鋭中の精鋭で、 ランカークラスのトレーナーとも対等に渡り合えるレベルだろう、とシゲルおじさまは言っていた。 そして何よりも懸念すべきは、システム側に属している可能性がある現四天王の連中だ、とも。 システムのトレーナーは、ポケモンを殺すことを厭わない。 一度ポケモンバトルが始まれば、確実にどちらかのポケモンが重傷を負うか、息絶える。 そんな危険極まりないところに、カエデとタイチを連れて行ってもいいのかしら。 「まーた一人で考え込んでる」 「悪い癖だよな、まったく」 タイチとカエデが顔を見合わせて笑う。 そしてあたしの思考を何もかも見透かしていたかのように、 「俺も、カエデも、ヒナタの力になりたいから同行するんだ。 確かにセキエイ高原やポケモンリーグなんてところは、 ランカーでもなければ、パーフェクトホルダーでさえない俺たちが行くようなところじゃない。 危険だってことも重々承知してる。でも、俺たちが一緒にいかなけりゃ、その分、ヒナタの危険が増すことになるんだぜ」 「タイチ……」 「はいはい、あたしの前では甘い空気禁止。 ヒナタはこう考えればいいのよ。 あたしはママが心配だから同行する。タイチくんは、お父さんが心配だから同行する。 これだとあんたが変な罪悪感感じる必要ないでしょ? ま、実際はバカヒナタのことが心配だから着いていってあげるんだけどねー」 本当にありがとう、と言おうとした矢先に、 「次にヒナタは大袈裟にお礼を言う」 なんてタイチが言ったものだから、あたしは咄嗟に言葉を呑込んで咽せた。 「おいおい、何咽せてんだよ」 「図星だったんじゃない? 今のヒナタ超受けるわ」 カエデは一頻りあたしを笑ってから、お風呂に入ってくる、と言って立ち上がった。 ちなみにあたしは大広間の会議が長引く可能性を考えて、早めにお風呂を済ませていた。 結局は昨日よりも早く終わって、意味は無かったんだけど……。 「お風呂から出た後は、そのまま部屋に戻ってるから。 ヒナタもあたしがいないのをいいことに、いつまでもタイチくんの部屋でイチャイチャしたらダメよ?」 「カ、カエデ……!」 流石に怒ろうとした時、既にカエデは鼻歌を響かせて部屋から遠ざかっていた。 「もうっ」 「やれやれだな」 タイチは全然困った風に聞こえない調子でそんなことを言う。 あたしはバクフーンの揺らめく炎越しにタイチを見つめた。タイチもあたしを見つめていた。 気恥ずかしさに耐えて、視線を交錯させつづける。 「夢じゃないんだよな」 「何が?」 「昨日の夜のこと」 あたしの中に、小さな悪戯心が生まれた。 「夢かもしれないわよ」 するとタイチはちっとも動じずに、 「夢なら、もう一度現実にしてやるまでさ。俺はヒナタのことが、」 「ゆ、夢じゃないわ。昨日の夜のことは、現実よ」 「良かった。なんか俺、お前の返事聞いてから直後の記憶が曖昧でさ。ちょっと不安だったんだ」 「ふうん、そうだったの……」 記憶が曖昧な原因がピカチュウであることを、あたしは秘密にしておこうと決めていた。 あの子だって、何も悪気があってタイチを失神させたわけじゃない。 「なあ、今からそっち行ってもいいか」 「えっ」 タイチは返事も聞かずにバクフーンをまわりこむと、あたしのすぐ傍に腰を下ろした。 「……カエデが言ってたこと、もう忘れたの?」 「今は二人きりなんだぜ」 「昨日の今日ですぐに調子に乗るんだから」 でも、あたしがすぐに調子に乗るタイチを好きになったのも事実だった。 今、ここにはあたしとタイチの二人きり。 カエデはお風呂、ピカチュウはマサキ博士のところにいて、昨日のような邪魔は入らない。 エリカさんのお屋敷は広くて、誰がどこで、何をしているか把握している人は誰一人としていない。 「ヒナタ、ほんの少し、目を瞑っててくれないか」 「……うん」 未知の感覚に、体が震えた。 瞼を閉じる。暗闇の中で、あたしはタイチを待った。 時間の流れがいつもより遅くなる。 けど、いつまでたってもあたしの望む感触はやってこなくて、 「いつまで目を瞑ってたらいいのよっ」 耐えきれずに、瞼を開いた。 するとタイチは身を引いて、「悪い、また今度な」と言った。 「……どうして?」 不可解なタイチの行動に、得体の知れない不安が胸に押し寄せる。 あたしが緊張しすぎていたから? それとも、今更になってあたしに魅力を感じなくなったから? 想像は悪い方に膨らむばかりで、自信を喪失しそうになったその時、 「こういうのはやっぱ、ヒナタの親父さんの一件が片付いてからにしよう」 ああ、片付いて、は言い方が悪いな。一段落ついてから、だな」 「だから、どうして?」 「今こういうことをするのは、なんつーか、卑怯な気がするんだ。 ヒナタは昨日、俺に好きって言ってくれたけど、 あれは、流された感じもちょっとはあるだろ? この一件が終わって、ヒナタが本当に落ち着いた時に、改めてヒナタの気持ちを聞かせて欲しい」 心からあたしを大切にしようとししてくれているタイチの優しさが嬉しいのと、 タイチに好きと言ったのは、その場の勢いに流されたからじゃないと説明したいけどできないもどかしさで、 「……ばか」 あたしは常套句を口にしていた。 「な、なんでバカって言われなくちゃならねえんだよ」 「……ばか」 「お前な」 呆れるタイチを置いて、部屋の外に出る。 後ろ手に障子を閉める直前に、 「おやすみなさい」 「あ、ああ。おやすみ」 暗く冷たい廊下を歩くにつれて火照っていた体が冷めていく。 部屋には、誰もいなかった。 ひんやりとした布団に潜り込む。 眠気はなかなか襲ってこなかった。 明日セキエイ高原に発つことや、お父さんにもう一度会うことを意識しはじめると、目は冴えるばかりだった。 ピカチュウの温もりを探しても、手に触れるのは冷たい布団の感触だけ。 その時に感じた寂しさが、隙になったのかもしれない。 その夜、やっと眠れたあたしが見たのは、これまでにもう何度もあたしを苦しめてきた悪夢だった。
https://w.atwiki.jp/wktkwktk/pages/98.html
翌朝。 僕は久方ぶりに、ヒナタやカエデのポケモンたちと共に穏やかな時間を過ごすことができた。 淡雪が降り出しそうな寒天の下、マフラーを首に巻かれたワニノコとピッピが追いかけっこしている。 庭に設えられた人工池では、ヒトデマンから進化したスターミーとパウワウが半身を浸している。 そして僕の隣では、それなりに立派な体躯のハクリュウが、時折僕をチラ見しながらトレーニングに勤しんでいる。 僕たちは初対面のはずなのに、なぜ意識されているのか解せなかった。 「ピィ」 吐いた息は白く凍り、立ち上っては消えていく。 「ぴぃっぴぃ~」 ピッピが僕の背中に駆け込んでくる。 すぐにワニノコがやってきて、僕の顔色を窺いながら、 「がうがう!」 卑怯だぞ、と言いたいのだろう。 なるほど、背後のピッピは可愛らしい舌をちろちろと見せてワニノコをからかっている。 ハナダシティのショッピングモールにいた時とは、形勢が少々逆転しているようだ。 「ピィカー」 ほら、遊んでおいで。 背中を押し出してやると、ピッピは元気よく駆けだした。 「がうっ!」 ワニノコがすぐさまそのあとを追う。 逃げて、追いかけて、捕まえて――その終わりのない反復に飽きは来ないようだ。 微笑ましい光景に目を細めていると、 「ぱうぱうー」 パウワウが僕を呼んだ。 隣のスターミーも僕に向けてコアを点滅させている。 お誘いはありがたいが、水、氷タイプ以外のポケモンがこの時期に水浴びするのは自殺行為に等しい。 「チュウ」 遠慮させてもらうよ。 そう伝えると、パウワウは残念そうに「ぱうー……」と鳴いて、尾ひれでぱしゃぱしゃと水面を撫でた。 ぴり、と近くの空気が震えた。 わずかに身を逸らす。間髪いれず、僕の体左半分があったところに、群青色の尻尾が打ち下ろされた。 見上げれば、爛々と目を光らせたハクリューが、鼻息荒く僕を睨み付けていた。 「ピィカ、ピィカチュ」 危ないな。 トレーニングをするのは君の勝手だが、 他のポケモンを巻き込んだり、エリカの綺麗な庭を荒らしたりしてはいけないよ。 僕の意図が伝わらなかったのだろうか、二撃、三撃と、ハクリューは攻撃をやめない。 「チュ」 僕は窘めるのを諦めた。 何が気にいらなくて暴れているのか知らないが、若気の至り、というやつだろう。 雰囲気を察知したらしいワニノコがこちらに駆け寄ってきて、ハクリューの尾にしがみつく。 「がうっ、がうがうっ!」 ハクリューは「邪魔だ」と言わんばかりにワニノコを打ち払った。転がったワニノコに、ピッピが駆け寄る。 まったく、どうして若いドラゴンタイプのポケモンはこうも驕慢なんだろうね。 君はドラゴンタイプのポケモン以外は全て矮小で貧弱だと思っているんだろうが、 いい機会だ、必ずしもそれが正しくないということを教えてあげるよ。 「ウォフッ」 物理攻撃が当たらないことに痺れを切らしたハクリューが、口の端に青い炎をちらつかせる。 "龍の怒り"、か。 僕が躱すべく軸足に力を込めた、その時だった。 「ピカチュウー? どこにいるのー?」 縁側から近づくヒナタとカエデの姿を見て、急遽、予定を変更する。 荒療治になるが仕方がない。 僕はハクリュウの顔面の真正面に飛び込み、上顎に肘と、下顎に膝を叩き込んだ。 強制的に閉じられた口の中で、ぼん、と"龍の怒り"が爆発する。 小さな爆風に煽られ、宙で一回転して着地、波打った毛並みを整えてから、僕は主に駆け寄った。 二人の位置からは、ちょうど茂みが邪魔をして、ぷすぷすと黒煙を吐いて目を回すハクリューを見ることができない。 「ここでみんなと一緒に遊んでたのね」 ヒナタの微笑からは、昨日まで失われていた瑞々しい活力を感じることができた。 昨夜は久方ぶりに、ぐっすりと眠ることができたのだろう。 カエデが胸を張って言った。 「ほら、あたしの言った通り、庭にいたじゃない」 「勝ち誇ることじゃないでしょ。あのね、ピカチュウ。 今からちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」 ヒナタの表情に、うっすらと不安の影が落ちる。 僕は訝しみながらも、 「ピッカァ」 ヒナタの肩に飛び移った。 いつか、ピッピを虐めていたワニノコの監督を任せたように、 「チュー」 目を醒ましてからも暴れるようなら再教育してあげて欲しい、とスターミーに依頼しておく。 人工池の片隅で、彼女は眠そうにぴこぴことコアを点滅させた。 部屋に着くと、片目に傷を負った白猫がヒナタの浴衣にくるまって眠っていた。 「あの、ペルシアンさん?」 ヒナタが怖々尋ねる。ニャースは細く目を開けると、偉そうに首を擡げて言った。 「待ちくたびれたニャ。 大事な要件があると言って呼び出した割には予定時刻を大幅にオーバーしてるのニャ」 「ごめんなさい」 しゅん、と項垂れるヒナタ。 僕は過保護であると自覚しつつも、 「ピィカ、チュウ」 責めるならヒナタに見つかりにくい庭にいた僕を責めるんだな。 あと彼女に敬語を使わせるのはやめろ。 彼女はポケモンに対する礼儀を忘れたりはしない。 「わ、分かったニャ。ヒナタちゃん、ミャーのことは呼び捨てでいいニャ。あと敬語もやめるニャ」 「あ、えっと、はい……じゃなくて……分かったわ」 「でも、ひとつだけお願いがあるんだニャ」 「?」 「ヒナタちゃんには、これから何があっても、ミャーのことを"ペルシアン"と呼んでほしいんだニャ。 間違っても"ニャース"とは呼ばないでほしいのニャ」 ヒナタは困惑した表情で言った。 「え、だってペルシアンはペルシアンでしょ?」 「ヒナタちゃんはいい子なのニャ~」 ニャースは感涙した。 その様子から察するに、ニャースを昔から知っている人間のほとんどは、 彼がペルシアンに進化した今になっても変わらずに「ニャース」という呼称を使っているのだろう。エリカが良い例だ。 ニャースの嗚咽が収まるのを待ってからヒナタが言った。 「ペルシアンは、どんなポケモンの言葉も分かるのよね?」 「愚問だニャ。ミャーに分からない言語は古今東西存在しないニャ。 ミャーにかかれば新種ポケモンの言語も三日とかからずに自分のものにできるのニャ」 「ピカチュウの言葉も?」 「無論だニャ」 ヒナタは腰のベルトからボールを外して、僕をちらと一瞥してから尋ねた。 「……ゲンガーの言葉も?」 「余裕だニャ」 ヒナタが新たに手に入れたハイパーボールと、その中のポケモンについて、 僕はこれまで存在を知りつつも、特別に意識を払わないようにしてきた。 ヒナタは意図的に、僕の視界からハイパーボールを(あるいはハイパーボールの中のポケモンの視界から僕を)遠ざけようとしていた。 今朝にしても、ヒナタとカエデがポケモンを庭に解放したとき、あのハイパーボールだけは展開されなかった。 ヒナタは僕のもとに屈み込んで語り出した。 「あたしね、ピカチュウと離れ離れになった後、シオンタウンに行ったの。 それでね………」 僕は彼女が辛そうに紡ぎ出す一言一句に耳を傾けた。 要約すると以下の通りになる。 ヒナタはシオンタウンのポケモンタワーで、一匹のゲンガーに襲われた。 それを助けてくれたのは元四天王であるキクコだった。 キクコはゲンガーがヒナタを襲った理由について、 ヒナタと近しい人、或いはポケモンに、ゲンガーの核となる霊魂が強い恨みを持っているからだと言い、ゲンガーの記憶を読み取った。 果たしてそこに刻まれていたのは、ピカチュウに殺されたギャラドスの断末魔だった。 「最初はピカチュウがギャラドスを[ピーーー]なんて、有り得ないと思ったわ。 でも、お父さんのポケモンで、ポケモンリーグにも出場したことがあるピカチュウなら……」 言葉が掠れて、聞き取れなくなる。 「ピィ」 ニャース、翻訳を任せてもいいかな。 彼の首肯を確認してから、僕は言った。 「チュウ、ピカチュウ」 結論から言おうか。それは事実だ。 僕はゲンガーの前身となるギャラドスを殺した。 僕が殺めたギャラドスは一匹だけだから、彼のことはよく記憶している。 サトシと共に初めて挑んだポケモンリーグの最終戦で、当代チャンピオンの切り札が彼だった。 「………」 ヒナタは悲痛な面持ちでペルシアンの翻訳を聞いていた。 僕は追憶を続けた。 ――『"雷"だ。止めを刺せ、ピカチュウ』―― 酷薄な命令。瀕死のギャラドス。 己のポケモンを口汚く罵る当代チャンピオン。 躊躇は無かった。僕はサトシを信じていた。 轟音と閃光のあとで、ギャラドスは黒煙を燻らせながら崩れ落ちた。 その記憶をそのままヒナタに伝えれば、 僕がギャラドスを殺めた原因は、必然的に命令を下したサトシということになる。 僕はハイパーボールの中にあるポケモンに語りかけた。 ヒナタに真実を話すにあたって、少し、脚色することを許して欲しい。 「ピィ、ピィカチュ」 僕は、僕の一存で"雷"を落としたんだ。 本来なら攻撃をやめておくべき状況で、僕は緊張と興奮のあまり、無抵抗のギャラドスを嬲った。 「っ」 ヒナタが唇を噛む。 これで良かったのだ、と僕は自分を納得させた。 再びヒナタの心に芽生えた父親を信じる気持ちを、彼女自身の手で摘ませてはいけない。 「ピィ……?」 失望したかい? 不意にヒナタは僕の両手を取って、激しく横に首を振った。 「違うわ。そうじゃないの。 キクコおばあさんの話が本当だったことはショックだけど、 それでピカチュウのことを嫌いになったりなんかしない!」 ヒナタ……。 その言葉で僕がどれだけ救われるか、君は気付いていないんだろうね。 「あたし、キクコおばあさんと約束したの。 もしピカチュウに再会したら、その時に、ゲンガーをピカチュウと会わせること。 ゲンガーの中にいるギャラドスの霊を成仏させるには、それしかないって言われたの」 ヒナタが開閉スイッチに触れる。 指はかすかに震えていた。 「だいじょうぶ、ピカチュウ?」 「ピィカ」 僕は頷いて見せた。 閃光。果たして召喚されたゲンガーは、実に温厚そうな、柔らかい鳴き声を響かせた。 「うー!」 当惑を禁じ得ない。 ゲンガーからは、僕への恨みや、憎しみといった感情が、一片も感じ取ることができなかった。 彼の瞳に映っているのはむしろ、初対面のポケモンに対する緊張と、久方ぶりに外に出ることを許された喜びの色だった。 ヒナタがゲンガーの耳と耳の間を撫でながら言った。 「ゲンガー、もう一人のあなたを呼び出してくれる?」 「うー……」 瞑目。瞬間、この部屋に満ちていた暖気が冷気に変わった。 再び開いた瞼の奥から、ルビーの原石のような暗い赤色の瞳が僕を鋭く睨み付ける。 ……主格をスイッチしたのか。 僕はニャースに、これからの会話をしばらく翻訳しないよう釘を刺してから、赤い瞳を見つめ返した。 「ピィカ、チュウ」 久しぶりだね。ギャラドス、いや、今はゲンガーと呼んだ方がいいのかな。 冷たいゲンガーの思念が頭の中に流れ込んでくる。 ――そんなことはどうでもいい―― だろうね。 さて、君の魂が安らかなものとなるように僕たちはこうして対峙しているわけだが、 どうすれば君の魂を鎮めることができるんだろう? ――そうだな―― ゲンガーは口を三日月の形に裂いて笑った。 ――死んでもらおうか。お前は俺を殺した。俺がお前を殺せば、それで命の遣り取りは等価になる―― いいだろう。 僕がそう答えると、ゲンガーは訝しむように片目を眇めた。 「ピィカ、ピィカチュー」 僕の死でかつて君を殺した罪を贖えるなら、僕は抵抗せずに命を差しだそう。 ただ、ひとつ、いや、ふたつ条件がある。 ひとつめは、数日の猶予。 君も知ってのとおり、ヒナタはもう一度、父親に会いに行こうとしている。 そして僕は彼女に同行することになっている。僕を殺すのは、全てが終わってからにして欲しい。 ふたつめは、ヒナタへの助力。 彼女の周りには危険が多い。タイチやカエデ、彼らのポケモンが心許ないとは言わないが、 それでも数多の戦闘経験を引き継いでいる君は、ヒナタの大きな戦力となる。 僕が死んで君の魂が鎮まったあとで、もし君に少しでもヒナタへの忠心が生まれているなら、 彼女が十分に強くなったと思うまで、この世に留まり、彼女を支えてあげてはくれないだろうか。 ――くだらねえ―― 僕は首を傾げた。 ――初めっから、お前に復讐する気なんかねえよ。そんな気はとうの昔に失せてやがる―― 何故だい、と尋ねると、ゲンガーは不愉快さを隠そうともせずに答えた。 ――俺がお前に殺された時、当時の主は俺の遺骸を淡々とポケモンタワーに埋めて、ただの一度も参りにこなかった。 だが、俺がお前を殺せば、お前の主は一生、お前が死んだ時の悲しみを忘れないだろうからな―― 僕の主、じゃない。僕たちの主だよ。 ――黙れ―― ゲンガーは顔を背けて、 ――俺がまだこの体の支配権を握っていたとき、俺は生前強いられていた戦い方を披露して、この子を何度も苦しませた。 この子がギャラドスの頃に俺を服従させていたクズとは正反対のトレーナーだってことを理解してからは、 ……その、なんだ、少しは俺の力を貸してやってもいいと思うようになった―― それじゃあ、君はこれからもヒナタのポケモンでいてくれるんだね。 ――消えたくなったら勝手に消えるさ。 もっとも、今じゃあのヘタレがこの体の支配格だ、消える時にはそいつの許可がいるがな―― ヘタレというと、ボールから出たばかりの、温厚そうな鳴き声の持ち主の方かい? ――俺が"うーうー"なんて無様な声を上げると思うか?―― いいや。 そうか、君が消えるには彼の許可が要るのか。 いいことを聞いたよ。後で彼に君がずっとヒナタに忠誠を誓うよう頼んでおこう。 ――てめぇ、やっぱりぶっ殺す!―― 僕はペルシアンに「和解した」とヒナタに伝えるように頼んだ。 「話し合いは終わったみたいだニャ」 今にも僕に飛びかからんとしていたゲンガーの肩に、ヒナタがそっと手をかける。 話し合いの雲行きにずっと胸を痛めていたのだろう。 「ピカチュウのこと、許してくれたの?」 元レベル91にして凶悪ポケモンの名を欲しいままにしたギャラドスの霊は、 ぷるぷる震えながら強張った笑顔を作り、愛らしさの欠片もない声で「うー」と鳴いた。 「……ありがとう」 ヒナタがゲンガーを背後から包み込む。 それがスイッチになったのか、ゲンガーの瞳から、赤い光が徐々に失われていった。 「チュー」 最後に、君を殺した時からずっと言いそびれていたことを言うよ。 彼の命令だったとはいえ、君に"雷"を落として本当にすまなかった。 君が僕を許してくれても、僕は自分が犯した罪を忘れない。 数秒の静寂のあと、 「うっうー」 瞬きしたゲンガーの瞳に、既にギャラドスの面影は無かった。 ゲンガーの鳴き声が聞こえたのだろうか、それまで部屋の外で待機していたカエデが入ってくる。 みんなの様子を見にいかない?という彼女の提案で、僕たちは庭に戻ることになった。 午前中、他のポケモンが思い思いに憩うのを眺めながら、僕はずっと、 彼が支配格と主格を交代する直前に残した思念について考えていた。 ――生きろ―― 死ぬな、ではない。彼は僕に、生きろ、と言った。 彼は恐らく、僕の余命が残り少ないことに気付いていた。 その日の夜。大広間での話し合いの末、セキエイ高原の探索が可決された。 出立時刻や動員に関する細々としたことが決まったあとで、 シゲルおじさまは、それまで蚊帳の外にいたあたしに語りかけた。 『ヒナタ、酷なことを強いてるのを承知で頼む。 セキエイ高原の探索に、同行してくれないか』 『はい』 あたしのきっぱりとした返事に、シゲルおじさまを含めた一同はとても驚いていた。 ただ一人、マサキ博士だけを除いて。 「ピカチュウに聞いてたんじゃないか。 あの人、ポケモンと話せるんだろ?」 バクフーンの背中の炎に手を翳して暖を取りながらタイチが言った。 「そういやピカチュウはどこにいるんだ?」 「ついさっき、部屋を出て行ったきり見てないわ。 多分、マサキ博士がいる庵にいるんじゃないかしら」 同じくカエデも炎に手をかざしつつ、 「どうしてそんなことが分かるのよ?」 「だって、昨日の夜もそこに行ってたみたいだから」 「何のために行ってるかヒナタは知ってるわけ?」 「そこまでは……」 世間話程度だと思いつつも、ほんの幽かな胸騒ぎを覚える。 「ところで、俺たちの件、ちゃんと親父たちに進言しといてくれたんだろうな?」 「ちゃんと言ったわ」 「反対、されなかった?」 あたしがセキエイ高原にタイチとカエデの同行も認めるように頼んだとき、最初、大人たちは断固としてそれを反対した。 『動員数は最小限に絞ってある。あいつらを連れていくことはできない』 『足手まといになるのは見えているのでござる』 『心配しなくても、ヒナちゃんのことはあたしたちが守るわ』 あたしは我を通すために、卑怯な手を使った。 「二人を連れていかないなら、あたしも行きません、って言ったら渋々折れてくれたわ」 けど、本当にこれで良かったのかしら、と思う自分がいることも確かだった。 もし本当にポケモンリーグがシステムの本拠地だった場合、配備されているのは精鋭中の精鋭で、 ランカークラスのトレーナーとも対等に渡り合えるレベルだろう、とシゲルおじさまは言っていた。 そして何よりも懸念すべきは、システム側に属している可能性がある現四天王の連中だ、とも。 システムのトレーナーは、ポケモンを[ピーーー]ことを厭わない。 一度ポケモンバトルが始まれば、確実にどちらかのポケモンが重傷を負うか、息絶える。 そんな危険極まりないところに、カエデとタイチを連れて行ってもいいのかしら。 「まーた一人で考え込んでる」 「悪い癖だよな、まったく」 タイチとカエデが顔を見合わせて笑う。 そしてあたしの思考を何もかも見透かしていたかのように、 「俺も、カエデも、ヒナタの力になりたいから同行するんだ。 確かにセキエイ高原やポケモンリーグなんてところは、 ランカーでもなければ、パーフェクトホルダーでさえない俺たちが行くようなところじゃない。 危険だってことも重々承知してる。でも、俺たちが一緒にいかなけりゃ、その分、ヒナタの危険が増すことになるんだぜ」 「タイチ……」 「はいはい、あたしの前では甘い空気禁止。 ヒナタはこう考えればいいのよ。 あたしはママが心配だから同行する。タイチくんは、お父さんが心配だから同行する。 これだとあんたが変な罪悪感感じる必要ないでしょ? ま、実際はバカヒナタのことが心配だから着いていってあげるんだけどねー」 本当にありがとう、と言おうとした矢先に、 「次にヒナタは大袈裟にお礼を言う」 なんてタイチが言ったものだから、あたしは咄嗟に言葉を呑込んで咽せた。 「おいおい、何咽せてんだよ」 「図星だったんじゃない? 今のヒナタ超受けるわ」 カエデは一頻りあたしを笑ってから、お風呂に入ってくる、と言って立ち上がった。 ちなみにあたしは大広間の会議が長引く可能性を考えて、早めにお風呂を済ませていた。 結局は昨日よりも早く終わって、意味は無かったんだけど……。 「お風呂から出た後は、そのまま部屋に戻ってるから。 ヒナタもあたしがいないのをいいことに、いつまでもタイチくんの部屋でイチャイチャしたらダメよ?」 「カ、カエデ……!」 流石に怒ろうとした時、既にカエデは鼻歌を響かせて部屋から遠ざかっていた。 「もうっ」 「やれやれだな」 タイチは全然困った風に聞こえない調子でそんなことを言う。 あたしはバクフーンの揺らめく炎越しにタイチを見つめた。タイチもあたしを見つめていた。 気恥ずかしさに耐えて、視線を交錯させつづける。 「夢じゃないんだよな」 「何が?」 「昨日の夜のこと」 あたしの中に、小さな悪戯心が生まれた。 「夢かもしれないわよ」 するとタイチはちっとも動じずに、 「夢なら、もう一度現実にしてやるまでさ。俺はヒナタのことが、」 「ゆ、夢じゃないわ。昨日の夜のことは、現実よ」 「良かった。なんか俺、お前の返事聞いてから直後の記憶が曖昧でさ。ちょっと不安だったんだ」 「ふうん、そうだったの……」 記憶が曖昧な原因がピカチュウであることを、あたしは秘密にしておこうと決めていた。 あの子だって、何も悪気があってタイチを失神させたわけじゃない。 「なあ、今からそっち行ってもいいか」 「えっ」 タイチは返事も聞かずにバクフーンをまわりこむと、あたしのすぐ傍に腰を下ろした。 「……カエデが言ってたこと、もう忘れたの?」 「今は二人きりなんだぜ」 「昨日の今日ですぐに調子に乗るんだから」 でも、あたしがすぐに調子に乗るタイチを好きになったのも事実だった。 今、ここにはあたしとタイチの二人きり。 カエデはお風呂、ピカチュウはマサキ博士のところにいて、昨日のような邪魔は入らない。 エリカさんのお屋敷は広くて、誰がどこで、何をしているか把握している人は誰一人としていない。 「ヒナタ、ほんの少し、目を瞑っててくれないか」 「……うん」 未知の感覚に、体が震えた。 瞼を閉じる。暗闇の中で、あたしはタイチを待った。 時間の流れがいつもより遅くなる。 けど、いつまでたってもあたしの望む感触はやってこなくて、 「いつまで目を瞑ってたらいいのよっ」 耐えきれずに、瞼を開いた。 するとタイチは身を引いて、「悪い、また今度な」と言った。 「……どうして?」 不可解なタイチの行動に、得体の知れない不安が胸に押し寄せる。 あたしが緊張しすぎていたから? それとも、今更になってあたしに魅力を感じなくなったから? 想像は悪い方に膨らむばかりで、自信を喪失しそうになったその時、 「こういうのはやっぱ、ヒナタの親父さんの一件が片付いてからにしよう」 ああ、片付いて、は言い方が悪いな。一段落ついてから、だな」 「だから、どうして?」 「今こういうことをするのは、なんつーか、卑怯な気がするんだ。 ヒナタは昨日、俺に好きって言ってくれたけど、 あれは、流された感じもちょっとはあるだろ? この一件が終わって、ヒナタが本当に落ち着いた時に、改めてヒナタの気持ちを聞かせて欲しい」 心からあたしを大切にしようとししてくれているタイチの優しさが嬉しいのと、 タイチに好きと言ったのは、その場の勢いに流されたからじゃないと説明したいけどできないもどかしさで、 「……ばか」 あたしは常套句を口にしていた。 「な、なんでバカって言われなくちゃならねえんだよ」 「……ばか」 「お前な」 呆れるタイチを置いて、部屋の外に出る。 後ろ手に障子を閉める直前に、 「おやすみなさい」 「あ、ああ。おやすみ」 暗く冷たい廊下を歩くにつれて火照っていた体が冷めていく。 部屋には、誰もいなかった。 ひんやりとした布団に潜り込む。 眠気はなかなか襲ってこなかった。 明日セキエイ高原に発つことや、お父さんにもう一度会うことを意識しはじめると、目は冴えるばかりだった。 ピカチュウの温もりを探しても、手に触れるのは冷たい布団の感触だけ。 その時に感じた寂しさが、隙になったのかもしれない。 その夜、やっと眠れたあたしが見たのは、これまでにもう何度もあたしを苦しめてきた悪夢だった。
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/7320.html
62 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 18 08 39.40 ID ??? オンセ/PLはA~Dの4人 OP GM:君たちは酒場にいる。看板娘がいつもの様に元気を与える笑顔で注文をとりにくるよ。 A:いつも可愛いね。今度デートしない? B:じと目でAを見て机の下で足を思いっきり踏みつける。その後に笑顔で注文 看板:本当に仲がいいんですね。とか、くすくす笑いながら陽気な声でマスターに注文を告げるよ。 何かすることある? A&B:じゃあ看板娘とマスターに飯食いながら、なんか仕事になる話はない?と聞く。 GM:特にないと答えるね。 A B:じゃあシーン切っていいよ。 GM:じゃあシーン切るね。翌日看板娘は無残にレイプされた上に殺された。ミッション失敗。 全員:なんだってー! GM:能動的に探ればわかったんだけど(素) A:いつも通りの笑顔って言ってたじゃないのさー(ぶーぶー) GM:ストーカーに合ってるけど、そういう苦労を表に出さない看板娘の演出をしてみました。 ALL:ふ、ふ、ふざけんなああああああ! 演出とセッションどっちが大事なんだよ…… 64 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 18 11 23.67 ID ??? 62 CとD涙目wwww 67 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 18 15 35.19 ID ??? CDは何やってたんだよw 地蔵だったのか? 68 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 18 16 30.27 ID ??? 65 ごめん。書くの忘れてた。 CとDは次のシーンからのスタートだったの。 69 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 18 19 11.83 ID ??? 報告でも放置されたCD涙目www 70 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 18 23 07.28 ID ??? 62 演出はGMの自由だと思うが、この場合PLは「セッションの導入であるにも関わらず 問題の発生が見えない、これはNPCが問題を隠しているに違いない、しつこく聞いてみよう」 と判断しなきゃならなかったのか?…OPでセッション終わったのは救いだったかもな 71 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 18 25 24.59 ID ??? 猫を拾わないとセッション終了を思い出した 72 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 18 49 27.04 ID ??? というか序盤でミッション失敗してよくそのまま終われるな 対面じゃないからか? 73 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 19 21 50.99 ID ??? 1プレイしか出来ないコマンド総当りゲームか。しかも選択肢が提示されてない。 74 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 19 25 43.85 ID ??? しかもあっという間に終わる。 これは新しい。 75 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 19 36 38.39 ID ??? 仕切り直しとかしなかったんかな? 76 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 19 38 34.27 ID ??? 62 確かにひどいんだが、お前さんの書き方のせいで、楽しそうな鳥取にしか見えんw 真面目な話すると、気がつかないで少女死亡なら殺人犯探し。 気がつけばストーカー探しのシナリオにするだけでいいじゃないか。 77 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 19 40 35.09 ID ??? やっぱ時代は受動判定だよな 78 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 19 48 54.32 ID ??? じゃあ受動判定でシミュレートしてみるか (前略) A&B:じゃあ看板娘とマスターに飯食いながら、なんか仕事になる話はない?と聞く。 GM:特にないと答えるね。 A B:じゃあシーン切っていいよ。 GM:ちょっと待って。ダイスを振ってみて。 A B:(コロコロ) GM:んわかった。じゃあシーンを切ります。翌日看板娘は無残にレイプされた上に殺された。ミッション失敗。 (中略) GM:受動判定で成功してりゃわかたんだけどなぁ PL:結構良い出目だったっじゃないのさー(ぶーぶー) GM:看板娘になるくらいの娘だから苦労を悟らせないんだよ。まあ、クリティカルしなきゃ無理だね ALL:ふ、ふ、ふざけんなああああああ! 79 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/01(火) 19 53 15.73 ID ??? ダイス振ったときに気づくしかないな スレ324