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「喋りが無駄に長いのっていわゆるDL防止ってヤツですよね でも僕にこさうんどでDLして音源切って曲保存してあるんですよね ごめんなさいでも本当に面白いと思うしそのスタンスは芸人顔負けだと思うんだよなぁ これからも応援してるんでそのねちっこいフロウと しつこい根性でFINAL X-2-2-2-2くらい作ってほしいなぁ、なんて」 言ってもまだがきんちょじゃなーい? そう思ってたら大きいかも 重要なのは韻じゃなーい? そう思う 俺もそうしましょ 住んでる場所が近所じゃなーい? 横浜確かに遠い場所 金は流派R持ちでいいんじゃなーい? そうしましょったらそうしましょ <verse1> キミがニコ動のニコラップでヒットソング作るMCアリカ? 再生数が凄いらしいね ちょっとアイデア少し貸して もしかしてDISがいいのかな 僕もこうしたらランキング入るかな まぁ正直どうでもいいよね 面白さは到底追い越せん んんん間違いない キミに立ち向かったら恥かいちゃう 書き足すとすればそうだな土俵もベクトルもなにもかもがちがーう 俺ら人気の理由がある オファーかかった流派-R ネット現場で客沸かす(ワラ こっちはこうして踏む場数 <hook> フラッシュバック おお ゆうしゃよ しんでしまうとは なさけない バックパック 詰め込みな『ラップ入門』に『RAPBEAT』 ブラックアウト めのまえが まっくら に なった ! アイムバァァァァック 誰も待っちゃいねぇ ていうかワッチャネイム 今日も平和さ <verse2> 分かった、分かったよ寂しいんだろう? もう十分人気だよ。 ただし エンターテイナーでありアーティストじゃない背伸びのびのび太 以上 韻に重きを置かない。その主張には俺は同感だよ でもどう考えても ピエロじゃないなら 母~♪つまりおかんが激怒 オーディエンスはカスか?ならば らっぷさん 踊る阿呆になるさ MCアリカあーそーぼっ! 流派のオファーを無視すんなよなっ! 俺ら人気の理由がある オファーかかった流派-R ガンジャやってちゃ捕まるから 道化演じ作ったRap? <hook> フラッシュバック おお ゆうしゃよ しんでしまうとは なさけない バックパック 詰め込みな『ラップ入門』に『RAPBEAT』 ブラックアウト めのまえが まっくら に なった ! アイムバァァァァック 誰も待っちゃいねぇ ていうかワッチャネイム 今日も平和さ フラッシュバック おお ゆうしゃよ しんでしまうとは なさけない バックパック 詰め込みな『ラップ入門』に『RAPBEAT』 ブラックアウト めのまえが まっくら に なった ! アイムバァァァァック 誰も待っちゃいねぇ ていうかワッチャネイム 今日も平和さ
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太鼓さん次郎創作譜面集Aです。10曲とも配布しました(音源配布は白曲のみ[3曲]) 再生順序 1146 しんでしまうとはなさけない![BPM174/★×9] 1147 Beauty of truth[BPM180/★×7] 1148 ハッピー!ラッキー!ラブリーDAY![BPM150/★×8] 1149 ラはらきすたのラ[BPM118/★×8] 1150 言葉のエメラルド[BPM142/★×8] 1151 てきれいきなレイディ[BPM115/★×7+] 1152 キミだけの魔法[BPM91/★×7] 1153 キラキラしちゃえ![BPM168/★×8+] 1154 SAMBISTA[BPM150/★×8] 1155 東京リアルワールド[BPM150/★×9]
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簡易評価 https //egg.5ch.net/test/read.cgi/streaming/1595029754/681 リゼ・ヘルエスタ G 登録者 35.6万人 https //www.youtube.com/channel/UCZ1xuCK1kNmn5RzPYIZop3w 発声は喉声なので基本響きが薄い 音感のミスはそこまでない リズム感はオリの奴は大してのれてないしグルーヴも無い棒歌唱。滑舌の悪さから来るリズム感の悪さもある だがグループで歌唱している音源は比較的マシで、基礎もH勢と比べてマシなので個人的にはGだと感じた 参考音源 ソロ歌唱 ハッピーエンドをはじめから グループ歌唱 しんでしまうとはなさけない! soldier game
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おおくぼ るみ カバー曲一覧 曲名 収録・音源 他ボーカリスト KISSして Twinkle Voice~声の贈り物~ Give a reason clubDAM企画『あにそんボーカル』 クノイチでも恋がしたい EXIT TUNES PRESENTS 半熟少女 hanjyuku girls しんでしまうとはなさけない! EXIT TUNES PRESENTS 半熟少女2 明坂聡美 そばかす clubDAM企画『あにそんボーカル』 空も飛べるはず Twinkle Voice~声の贈り物~ 今井麻美,加藤英美里,ささきのぞみ,佐藤聡美,白石涼子,宝木久美,南條愛乃,朴璐美,渕上舞,松本梨香 春の小川 ツキウタ。3月[女]桃崎ひな(CV.大久保瑠美)「春待ち息吹は君恋し」 ポーカーフェイス EXIT TUNES PRESENTS 半熟少女2
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義理なさけ 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)詰《なじ》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)[#8字下げ] ------------------------------------------------------- [#8字下げ]一[#「一」は中見出し] 梅雨があがって、にわかに日光がぎらぎらしだすと、庭にありとある花草や樹々がいっせいに活気をもりかえし、じっとしてはいられないというように枝も葉もぐんぐんと伸びはじめる。良左衛門には一年じゅうで最も好きな季節であった。単衣の裾をはしおり、菅笠をかぶり、朝から菊畑へおりてせっせと土いじりをしていた彼は、ようやく快いつかれを覚えだしたので、腰を伸ばしながら立ちあがった。 ――ひとやすみするか。喉も渇いていた、しきりに熱い茶がほしい、良左衛門は道具をそこへ置き、手をはたきながら内庭のほうへはいって行った。すると、ちょうどそのとき、しず[#「しず」に傍点]江という若い小間使が、人目を憚るような身ごなしで、廊下を小走りに奥の間のほうへ来るのをみつけた。なんの用があるんだ。奥の間には良左衛門と甲子雄の部屋しかない、そこへの取次は家士の役目で、小間使などのでいりは常から禁じてある。良左衛門は不審に思って、眼を細めながら見やった。……しず江はそれに気付かぬとみえて、すばやく前後を見まわして、甲子雄の居間へすべるようにはいった。 良左衛門は足ばやに内庭をよこぎり、広縁へあがる、とたんに部屋の中から戻って来たしず江と顔を見合せた、しず江はあっと云った、息の止まるような表情をしたが、ごめんあそばせと云ってすりぬけてゆこうとした、良左衛門はその肩をつかんだ、そして部屋の中へ押しいれると、うしろ手に障子をぴったり閉じた。 「なにをしにまいった」 「…………」しず江は崩れるようにそこへ坐った。 「ここは女どものまいるべきところではない、それは知っておるであろう、なんの用があってまいった、申せ」しず江は黙って平伏していた。そのかたちは「なにも申しあげられません」というかたい意志を表白していた。良左衛門は部屋の中を見まわした、北がわの小窓の下にある甲子雄の机の上に一通の封書が置いてあった。 「動いてはならんぞ」 そう云って封書を取って来た。おもてに若旦那さまとあり、裏にはしず[#「しず」に傍点]とだけ書いてある、良左衛門は封を切った。文言は短いものであったが、内容はまったく良左衛門を愕かせた、それには甲子雄が近く嫁を迎えるという話をたしかめ、自分との約束をどうしてくれるかと詰《なじ》ってある、そして最も重大なのは次の数句だった。……今日までは包みおり候もわたくし身ごもりましてはや三月にござそろ、この事よくよくお考えのうえ奥さまをお迎えあそばすよう、それによってしず[#「しず」に傍点]にも思案ござそろ。そこまで読んで来たとき、しず江がとつぜん前跼みになった、しかし良左衛門はすばやくその肩を押え、娘の右手をとってぐっと捻じあげた、しず江の手からばたりと懐剣が落ちた。 「ばかな事をする、うろたえるな」 「……申しわけがございません」しず江は両手をついてわっと噎びあげた。良左衛門は手紙を封に入れて坐り、ややしばらく、しず江の泣く姿を見まもっていたが、「悪いようにはせぬ、仔細を申してみい、甲子とはいつ頃からのことだ」「…………」「ずっと以前からか」しず江はかすかに頷いた、「身ごもっておるということに間違いはないのだな、よし、……そのほうに云うことはない、出来てしまったことは取返しがつかぬし、嫁取りまえにわかったのがせめてものことだ、決して悪いようにはせぬから、当分は誰にも知れぬよう身を慎んでおれ」 「どうぞ、若旦那さまをお叱りあそばしませぬよう」しず江は涙に濡れた眼をあげて訴えるような声で云った、「みんなわたくしが悪いのでございます、どうぞ若旦那さまをお叱りくださいますな、おねがいでございます」 「おまえがそれを心配することはない、ただ、むやみな者に知られぬよう慎んでおれ、愚かなまねをしてはならんぞ」 「……はい」しず江は涙をぬぐってしおしおと立ち去っていった。 中山良左衛門は小田原藩大久保家の江戸屋敷年寄役で、八百石の御納戸奉行を勤めていた。夫婦のあいだに甲子雄という子が一人あり、その春ふとした緑で主家の分家にあたる大久保出羽守家の用人、佐伯靱負の娘と縁談がととのい、近日うちに結納のとりかわしをするというところまで進んでいた。……甲子雄は二十四、佐伯の娘は二十ですこし年は長けているが、ひじょうな美貌とぬきんでた才芸とで、園生という名はこちらの屋敷まで聞えていた。 [#8字下げ]二[#「二」は中見出し] 困ったことになった。良左衛門はそこに坐ったまま、しばらくは立つことも忘れて考えこんだ。妻の八重は昨年の夏から病床にいた、丈夫なからだなら相談もできるが、いまこんな悪い話を聞かせることはできない。甲子雄は幼いじぶんからすなおな子供で、気持も明るく性格もきびきびと濁りがなかった。ひと頃は学問に熱中していたが、この数年は武芸に興味をもちだして、中条流の小太刀では家中ゆびおりの名をとっている。――こんな不埒なことをしているけぶりは微塵もなかったが、否、それが親の盲目というものかもしれぬ。 良左衛門はその年になってはじめて、わが子の心を見はぐったように思い、淋しさと腹立たしさとに身がふるえた、なによりも気にいらなかったのは、蔭でそういう事をしておきながら、佐伯との縁談を黙って承知した点である。そんな不心得者とは知らなかった。もう土いじりどころではない、彼はすぐに着替えをして、老職大久保玄蕃の家をおとずれた。玄蕃が佐伯との縁談の仲人だったので、理由を語って謝絶して貰うためだった。 甲子雄はいつものとおり元気に御殿をさがって来た、風呂の中では朗詠などをやっていた、良左衛門はその屈托のないのに呆れ、昼からの立腹を更に煽りたてられた。夕食が済んでからすぐ、彼は甲子雄を自分の居間へ呼んだ。 「碁のお相手ですか」そんなことを云いながらはいって来た甲子雄は、父のけわしい顔つきをみて驚いたようすだった、彼はしかし明るい眉をしてしずかに坐った。良左衛門はするどくその面を睨んでいたが、やがてしず江の手紙をとり出して投げやった。 「それを読んでみい」 「はい」甲子雄は封書をとりあげ、おもて裏をうちかえして不審げに父をみたが、すぐに中の手紙をぬきだして読んだ。……彼の表情はみるみる変った。二十四歳になる今日まで、良左衛門はわが子の顔にそういう表情のあらわれたのを曽て見たことがなかった。 「甲子雄、覚えがあろうな、覚えがあるか」 甲子雄は手紙をしずかに巻き、封へ入れて押しやりながら父を見あげた。 「父上、この書面はどうしてお手にはいったのですか」 「さような事はどうでもよい、覚えがあるかと訊いておるのだ」 「お言葉を返して恐れいりますが父上」甲子雄は押し返して云った、「どうして是がお手にはいったかをお聞かせください、誰かがお見せ申したのですか、それとも自身お手にはいったのですか」 「しず江が自分でそのほうの部屋へ持ってまいった、それをわしがその場で押えたのだ、そればかりではない、当人の口からも聞き取ってある、……これでもそのほう申しひらきができるか」 甲子雄は口をつぐんだ。彼には云うべき言葉がなかった、身に覚えのないことである。そう云ってもまるで夢のような話だった、彼は小間使の美しい顔を思い、手紙に書いてある文字の意味を思った、すべてが突然で、あまりに連絡がなくて、まるで印象がばらばらだった。みんな嘘です、そういうのは簡単である、しかしそれだけで父が信用するだろうか、もし小間使とつき合せられたとして、たしかにそういう事情があったと云われたとき、それをうち砕く言葉が自分にあるだろうか。 「返答のないのは覚えがあるからだな、甲子雄、男は男らしくしろ、覚えがあるのかないのかどうだ」 「……唯今は申しあげられません」 「どうして云えぬ、是ほど判然としてもまだ云えぬか、うろんなまねは赦さんぞ」 「うろんではございません」甲子雄は父をはっきりと見あげて云った、「わたくしにはわたくしで考えもございます、決して父上の御名を辱《はずかし》めるような事は致しません、しかし一度しず江に会いたいと存じます、その上で仔細を申しあげます」 「その必要はない、しず江の事はわしが始末をする」 「父上……」彼は膝をのりだした。 「佐伯との縁談も断わったぞ」良左衛門は声をふるわせながら云った、「そのほうも当年二十四歳になる、改めて小言を云わずとも善悪はわかる筈だ、八重は病床にいる、……父ひとりでかような心配をしたことだけ忘れるな」 「申しあげます、父上、しず江に会わせてください、ぜひとも会わなければならぬのです、おねがい申します」 「……会ってどうしようというのだ」 [#8字下げ]三[#「三」は中見出し] 「話したい事があるのです、訊きたいことがございます、どうか一度だけ会わせてください、父上おねがいでございます」 「甲子雄……」良左衛門は冷やかに云った、「おまえはお国詰めになる筈だ、四五日うちには小田原へ立てるよう、わしから御老職に願ってある、うろたえたまねをすると家名にかかわるぞ」 甲子雄は蒼白めた顔で父を見あげていた、良左衛門のほうが却ってたじろいだ、彼はふと眼をそむけながら、呟くように云った、「…かね[#「かね」に傍点]にそう申してみろ」甲子雄は会釈をしてすぐに立った。 かね[#「かね」に傍点]というのは婢頭で、十五年もこの屋敷に勤めていた。年も四十にちかい、母が病床の人となってからは一手に家政のきりもりをしているが、奥にも表にもなかなか重しの利く存在だった。……かね[#「かね」に傍点]は会わないほうがよいと云った、「お会いになっては事がもつれます、旦那さまとかね[#「かね」に傍点]で悪いようには致しません、どうぞこの事はこれきりでお忘れあそばせ」 「ばかなことを云ってはいけない」己はなにも知らないのだ、そう云いかけたが、甲子雄はここでもまたそれが云えなかった、「当人のおれに責任のあることだ、これは己としず江とのふたりの責任なんだ、父上やおまえだけで解決することがらではないんだ」 彼はどうしても会うと云い張った。かね[#「かね」に傍点]はそれでもならぬとは云えないので、 「ではお仏間においであそばせ、かね[#「かね」に傍点]がつれてまいりますから」 「きっとだぞ」念を押して彼はそのまま仏間へはいった。かなり待たせてから、ようやくやって来たかね[#「かね」に傍点]はひどく慌てていた、「若旦那さま、しず江がみえなくなりました」「……なに」「書置きを遺しております、着替えを持って出ましたようで、出奔したものと存じます」 「書置きはどうした」 「ただいま旦那さまにさしあげてまいりました」 甲子雄は立って、「すぐ宿元へ人をやれ」と云いすて、走るように父の居間へいった、良左衛門はそれを読み終ったところだった。「……父上」 「あれは出奔した、そのほうに呉々も詫びておる」 「それだけでございますか」 「ゆくえは捜してくれるな、その時が来れば詫びにまいる、と……それだけだ」良左衛門は書面を置いて、深く息をつきながら叩くように云った、「哀れなやつだ」 宿元へ人をやったがもちろんしず江はいってはいなかった。召使の者はたいてい小田原の人間なので、その点を折り返し調べさせたが、しず江は早くから両親がなく、遠い縁者がいるだけで、おそらく江戸うちに身を隠しているのだろうということだった。そういうごたごたした事が片付かぬうちに、甲子雄に国詰めの沙汰がさがった。それで心をのこしながら、彼は家士二名と下僕をつれて江戸を立った。 佐伯との縁談を父がこわしたことは、さして重大ではなかった。園生という娘の才媛の名はかねて聞いていたけれども、かくべつ妻にしたいという執着があったわけではない、それよりもいま甲子雄のあたまのなかはしず江のことでいっぱいだった。……彼女は三年まえ十五歳で小間使にあがった。眼の大きな、ふっくらとした顔だちで、笑うときにできる片笑窪《かたえくぼ》が云いようのない可憐な感じを与えた。婢たちを奥へでいりさせなくなったのは母が病みついてからで、そのまえにはしず江がよく来た。食事のしらせや茶のときにはきまって彼女がそう云いに来た。甲子雄はそれほど意にとめていたのではないが、しかし彼女を見ることは好きだった、しず江を見るとなんとなく心がゆるやかに温かくなるような気がした。……或るとき母が、父にむかってこんなことを云っていた。――あれはめずらしく心ざまのやさしい娘です、気に張りもあります、ああいう娘を娶る良人はきっと出世をしますよ。ほんの茶話であったが、聞いていた甲子雄はなるほどそうかもしれないと思った。 甲子雄はそういう風に彼女をみていた、それで父からあの手紙を見せられたとき、愕いたことは云うまでもないが、すぐに是にはなにか理由があると思った。彼にとっては根も葉もないぬれぎぬであったけれど、相手がしず江だけに、どうしてそんな大胆なことをしなければならなかったかということが知りたかった。そしていちばん強く脳裡にうかんだのは、あれはこの甲子雄を想っていたのではないか、ということだった。 [#8字下げ]四[#「四」は中見出し] 小田原へ着いた甲子雄は、ひとまず城中二の曲輪《くるわ》の長屋に落ち着いたが、間もなく願って城下に家を貰って移った。かくべつ役目はなかったので、若侍たちに中条流の手ほどきをするのと、三日にいちど登城するほかはからだがあいていた。それで菅沼小七郎という櫓番を勤める男にさそわれて釣りをはじめた、生れてはじめて釣り竿を持つのだが、城下近くに早川、酒匂という好い釣り場があり、魚も多かったのですぐにその面白さと味を覚えこんだ。 そうしているあいだにも、しかし彼はしず江のことが絶えずあたまにあった。佐伯との結納のとりかわしがさし迫っているとき、それをうちこわすような事を敢てしたのは、彼女が甲子雄を愛していたからではないか。甲子雄を他人に取られたくないという、思い詰めた、一途な考えから、前後を忘れてあんな大胆なことをしたのではないか。……そう思うといろいろな事に解釈がつく、そして望みどおり佐伯と破談になったと聞いて、こんどは自分のした事の重大さに気付き、いたたまれなくなって家出をしたのであろう。それに相違ない、しかしそんならなぜ、もっとはやくその気持を伝えなかったのか、娘のひとすじな気持を察すると、いじらしくなるだけ、それだけ、甲子雄は歯痒かった。母上もあのように御贔負だった、身分の違いということだって動かすべからざるものではない、世間に例のないことではないのだ、あの時あれほど大胆なことができるなら、もっと前にそれだけの勇気が出せた筈ではないか。 考えるだけ考えて、結局おもうのは一度しず江に会いたいということだった。そして彼女の心をたしかめたうえ改めて妻に迎えてもよいと思った。けれども江戸の家からはかね[#「かね」に傍点]が「まだしずの行衛は知れない」という手紙を一度よこしたきりで、夏を過ぎてもなんの知らせもなかった。……そして秋八月になると主君加賀守が参覲のいとまで帰国し、小田原城下はにわかに活気だってきた。 江戸から来た供のなかに、中小姓で矢野伊太夫という若者がいた。甲子雄とは親しく往来していた間柄なので、帰藩の騒ぎが落ち着くと歓迎の小宴を催すことになった、「それなら川原の菊屋がいい」菅沼小七郎が場所をきめた。それは早川の川原に臨んでいる料亭で、箱根へゆく客の宿もする、小七郎は釣りの往き帰りにたびたび寄ってなじみだった。 矢野はほかに三人ほど同僚をつれて来た。甲子雄も菅沼のほかに勝田、鹿野という若侍をさそった。座敷は川にのぞんだ二十畳敷で、瀬の音が部屋いっぱいに流れこんでくるし、昏《く》れゆく箱根、足柄の山々を一望に眺めるいい席だった……顔のそろったのは黄昏《たそがれ》まえで、みんな改めて名乗り合うまでもない間柄だったから、たちまち賑かな酒になった。灯がはいってからは座が一層うきたってきた、年頃もおなじぐらいだし、血気ぞろいで、酒はすばらしくはずんだ。鹿野安二郎は少し酒癖があるので、甲子雄はときどき、「おい鹿野、やりすぎるとまたしくじるぞ、今夜はあばれないようにしろよ」そう声をかけた。 「今夜はだいじょうぶです、なにしろ御師範がいるから、へたにあばれると捻られる、なま酔い本性たがわずですよ」安二郎はいい気持そうに笑っていた。彼は甲子雄から中条流のてほどきをして貰っているひとりだったのである。 「おい中山、貴公にちょっと話がある……」矢野がふと思い出したように、盃を持ってそばへやって来た、「貴公うまいことをしたぞ」 「……なんだ」 「あの佐伯の娘なあ、貴公と縁談がまとまりかけてだめになった」 「なんだ、よせよそんなつまらぬことを」 「ところがつまらなくないんだ、出羽侯の家中でずい一の才媛とよばれ、ずばぬけた美人と評判だったが、どう致しましてあれから間もなくばけの皮がはげて大変なことになった」酔っているから無遠慮だった。伊太夫はぐっと仰った盃を甲子雄にさしながら、「貴公との縁談が不調になると間もなく、あの娘は某侯の……これは云わぬ……某侯の家中で林……いやこの名も遠慮しよう、つまりさるところへ興入れをした、ところが五十日と経たぬうちに、あの娘に不義の証拠があらわれてそっくりそのまま実家へ送り戻しさ」 「そんな、ばかなことが」 「ばかな事じゃない、相手は佐伯の家のさむらいで、二年も前からの関係だというその証拠までちゃんと押えられたんだ」甲子雄はいっぺんに酔いのさめる気持だった、伊太夫は自分のことを誇るようにそう云った、「貴公あぶないところだった、中山は運がよかったと江戸では評判だぞ」 [#8字下げ]五[#「五」は中見出し] かくべつ執着のある娘ではなかった。しかしいちどは結納のとりかわしをしようとした相手である。甲子雄はその話を聞いて、自分が幸運だったと思うよりも、園生というその娘の不幸な身の上が哀れだった。ほんとうの仔細はわからないが、自分の屋敷の家士とまちがいがあったというのは恐らく事実だろう、ふたりの恋は許されなかった、そして娘はその恋を秘めて他家へとつがなければならなかった。そこには哀れな事情があるにちがいない、そうなるまでには、女も男もどんなにか苦しんだことだろう。甲子雄にはまずそれが考えられた。そして人間にはなんと多くの、それぞれのいのちがあることだろうと思った。 「恐れいりますが、どなたさまかちょっといらしって頂けないでしょうか」 座敷の障子をあけて、この家の女のひとりが顔をだした、菅沼がふりかえった。 「なんだ、なにか用か」 「いまおつれさまが向うで」と女は離れのほうへ眼をやった、「……うちの女中をつかまえて無理を云っていらっしゃるんです、まだ来たばかりで慣れない女中ですし、たいそうお酔っておいでなさるので、わたくしどもには手が出せません、可哀そうですからどなたかいらしって……」 「誰だそんな悪さをするやつは」小七郎はいならんでいる顔を見まわした、「いけない中山さん、鹿野ですよ」 「鹿野はいるだろう」甲子雄もすぐに見まわしたが、そこにいないのは安二郎ひとりだった。 「また癖がでたんですよ、あなたでなければおさまりません、いってください」 「めずらしくおとなしいと思えばよそを稼ぐか」甲子雄は苦笑しながら立った。 廊下を帳場とは反対のほうへまっすぐにゆくと、二間ほどのわたりがあって、川原の上へさしかけに造った離室に通ずる。女に案内されてわたりまでゆくと、もう安二郎の喚きたてる声が聞えた。……甲子雄はしずかにはいって行った。安二郎は大あぐらに坐り、ぐたぐたに酔った肩をつきあげながらわけのわからぬことを喚いている、それと斜交《はすか》いに若い女中がちいさく身を縮めていた、見ると右手をしっかり安二郎に掴まれているのであった。 「おい鹿野こんなところでなにをしているんだ、さあ、向うへいって呑まぬか」 「うるさい、拙者はいま詮議ちゅうだ」 「また癖をだしたな、なんの詮議だ」 「この女が」と安二郎は掴んでいる手を叩いて、「この女がわれわれの座敷のようすを窺っていたんだ、われわれの話を立ち聞きしていたんだ、だからいまその詮議を」「ばかげたことを云うな」甲子雄はふきだしながら、掴んでいる女中の手を放させようとした、「陰謀の集まりではあるまいし、聞かれて悪いような話はしておらぬ、つまらぬことを云わないで向うへゆこう」 「いやだ、詮議が済まぬうちは動かん」 「いいからこの手を放せ、おい、己は怒るぞ」逆に捻ったので、安二郎は女の手を放した、そのとき甲子雄は女中の顔を初めて見た、そしてあっと云った。 「おまえは、……しず江ではないか」 女は身を縮めたまま、逃げる隙を窺っていたようにぱっとはね起き、ものも云わずにわたりのほうへ走っていった、甲子雄は逃さなかった、廊下のかかりで追いつき袖をとってひき戻した。 「なぜ逃げる、おれは捜していたんだぞ」 「どうぞ、どうぞお放しくださいまし」 「放さない、聞きたいことを聞くまではどんなことがあっても放さない、どうしておまえは」 菅沼小七郎がそこへやって来た。 「どうしました中山さん」 「ああちょうどいい、向うに鹿野がいるからつれていってくれ、拙者はこの女にすこし話がある、ちょっと中座をするからとみんなに伝えて置いてくれ」 「承知しました」小七郎はこの場のようすが唯事でないのをみてとった、「あとはいいようにします」 「たのむ」と云い捨てて甲子雄は女の腕をとり、ほとんどひき立てるように廊下をまがっていった。 [#8字下げ]六[#「六」は中見出し] 夜風はもうはっきりと秋だった。星明りで、川原はかなり遠くまで眺めがきいた、淙々たる瀬音を縫って虫の鳴声がしきりだった。……菊屋の庭つづきを川原まで来て、甲子雄は足をとめながらふりかえった。 「それを知っていた……おまえがそれを知っていたというのか」 「はい存じておりました」しず江は俯向いたまま低いこえで云った、「わたくしの従姉が佐伯さまへご奉公にあがっています、その従姉からお嬢さまのお噂はうかがっていました、それで……若旦那さまとの御縁談がまとまっては大変だと思ったのです、そういうお身持の悪い方をお迎えあそばして、もし若旦那さまのお名に関わるようなことができては大変だと思ったのです」 「それであんなことをしたのか、あんな思いきったことを……」 「御結納が迫っていますし、わたくし愚かでございますから、ほかに思案がございませんでした、また事実を申しあげては、佐伯さまのお嬢さまの悪口を申すことになります、従姉の話は嘘ではないと存じましたけれど、それだけで、御大身のお嬢さまに瑾《きず》をつけるようなことは申しあげられません、……それでわたくし、あんなばかな事を致しました」 佐伯の娘の不身持を知って、甲子雄との縁談をこわそうと考えたしず江の、いかにも娘らしい一途な遣り方が、甲子雄にはいまいじらしく哀れに諒解された。ほかの者ならもっと別な方法があったかもしれない、しかし彼女の小さな胸にうかんだ思案はそのひとつきりなかった。事は急ぐ、しかも決定的でなければならない、そこでしず江は自分の恥を賭けてああいう思いきったことをしたのだ。 「わたくしの愚かな仕方のために、若旦那さまがお国詰めにおなりあそばしましてから、しず[#「しず」に傍点]もすぐおあとを追ってここへまいりました、松田の近くに遠い親類がございます、いちどそこへ身を寄せましたうえ、先月の末から菊屋へ働きに出ておりました、若旦那さまが、ときおり菅沼さまとお立ち寄りあそばすのを、知っておりましたから、そして、いつかその折があったら、おめにかかってお詫びを申しあげるつもりでおりました」 「ではさっき立ち聞きをしていたというのはほんとうだったのだな」 「はい、佐伯さまのお嬢さまの話をうかがったときは、わたくし、これでやっとお詫びのしるしができたと、うれしゅうございました」 しず江はそっと袖口を眼に当てた。甲子雄はその可憐な姿をみて、いきなり抱きしめてやりたい衝動をさえ感じた。 「ではさっき、なぜ逃げようとしたんだ」 「なぜでございますかしら」しず江は泣き笑いのような表情をした、「わたくし、自分でもわかりません、ただ恥かしくて、夢中でございました」 「なんだ」甲子雄は明るく胸の晴れたこえで高々と笑った、それから改めて云った、「よくわかった、詫びるどころか、こちらが礼を云わなくてはならぬ、いや礼のほかに聞いて貰いたいことがあるんだ、……しかし今夜はそうしている暇はない、あした改めて来る、あしたの晩にまた来て話そう」 「でもお詫びがかないましたのですから、わたくしは……」 「それよりもっと重大な話だ、そのためにおまえを捜させていたくらいなんだ、いいか、あしたの晩もういちど会おう、忘れずに待っていてくれ、わかったな」 「はい、……では、お待ち申しております」 「約束したぞ」甲子雄はつとしず江の手を握った。娘は身を縮めるようにしたが、そのまるい豊かな胸は大きく波をうっていた。 しかし、その明る夜、甲子雄がたずねて来たときには、もうしず江は菊屋にはいなかった、そして次のような手紙が甲子雄に宛てて残されていた。 [#ここから1字下げ] お心にそむき申しそろ、今宵お越しあそばされてなに事の仰せあるやは僭上ながらおよそお察し申し上げそろ、川原にてのお言葉の端々、うれしくもったいなく血も消ゆるばかりにて、身の果報にひと夜泣き明かし申しそろ、なれどもしず江はおなさけにあまえることはかなわずそろ、おなさけにあまえては己が身のため御縁談をこわし候ようにあいなり、義理あい立たぬ仕儀と存じ申しそろ。なにとぞしず[#「しず」に傍点]のことはお忘れあそばし、一日も早く江戸へおたち帰りのうえよき奥さまをお迎えあそばすよう、蔭ながらお家百年のご繁昌をお祈り申しあげそろ。 [#ここで字下げ終わり] 甲子雄は読み終るとすぐ帳場へゆき、松田の近くにあるというしず江の親戚の家をたずねてそこを出た。そして菅沼小七郎に馬を借り、夜道をかけて松田へむかった。甲子雄にとって、おまえのほかによき妻があると思うか。会ったらまずそう云おう、馬を駆ってゆく彼の頭はそのことでいっぱいだった。道草にはもう露がおりていた。……たずねゆく家に、しかしはたしてしず江はいるであろうか。 底本:「感動小説集」実業之日本社 1975(昭和50)年6月10日 初版発行 1978(昭和53)年5月10日 九版発行 底本の親本:「羅刹」操書房 1947(昭和22)年6月 初出:「羅刹」操書房 1947(昭和22)年6月 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
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「これから死を迎える人の心構えについて教育する本はたくさんあるけど、周りの人がどう過ごせばいいかを教育する本はない」 もうすぐ死んでしまう人が言っていた。 私にできることがあるかもしれない。 周りのひとへ。 こまっていたら、読んでください。 ①ビデオを撮ること ビデオは無条件に、今の幸せを映して、無条件に残してくれる。 ②いっこありがとうを言うこと。 書くのではなく、照れるのではなく、目を見て声にして、真面目に本人に伝えること。 「今、生きていてくれてありがとう。」 ③書き留めておくこと。 もどかしい、自分の気持ちを書きとめておくこと。 誰に渡すものでもなく自分のためのもの。 私たちはこの気持ちを忘れてしまうから。 ④伝えること どうしようもない不安を、大事な人に伝えること。 「助けて」ではなく、「同じ思いをしないでほしいから、お父さんを、お母さんを、恋人を、子どもを、大事にしてほしい」その素直な気持ちを伝えてほしい。 今のあなたが一番、みんなを幸せにできる。 ⑤自分の夢を教えてあげること。 聞けたら、とっても幸せなきもちになれる。 ⑥お葬式の話に耳を傾けること 逃げないで。にげないで。 聞いてほしい。 ⑦あなたがやりたかったこと。 名前 コメント ⑧このなかで、自分にできそうなことをひとつでも やってみること。
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Recipe023 おねいちゃん よね ウララー エー シーナ ジル タカラ ドクウォル ノル フュシャ フラメル モナカイ 作品 爺 門番二人組 実際に読む(リンク) 概要 毒男昔話 &アトリエG紹介 レシピ追加 無 登場キャラ 登場 よね ドクウォル モナカイ ジル シーナ フラメル 門番二人組 タカラ おねいちゃん ウララー エー フュシャ ノル 元ネタ解説 224 モナカイ「人生は箱入りのチョコレートのようなものじゃ。」 映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」の名セリフの一つより 234 ジル「おお勇者シーナよ、また練炭を調合するとは情けない!」 ゲーム「ドラゴンクエストI」で、プレイヤーが死んでしまってコンティニューするとき言われるセリフ「おお ゆうしゃよ!しんでしまうとは なさけない!」のパロディ。よく考えたら凄いセリフである。 51 フュシャ「なあにかえって免疫力がつく」 東京新聞が2005年11月24日の筆洗に書いた名文(迷文?) 「キムチは最近、寄生虫卵騒ぎで不評だが、なあに、かえって免疫力がつく。」より。 ちなみに寄生虫は人体に重篤な感染症を及ぼす事も少なくないことが知られている。人類の歴史は食の安全の追求でもある、妥協点はない。
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4 01~5 00 革命君 4 01 ドロボウナイトトリック 4 01 ボーナスステージ 4 01 能く在る輪廻と猫の噺 4 01 夜もすがら君想ふ 4 01 Sexy Sexy, 4 01 学校の怪談 THE DAY 4 01 僕のヒーローアカデミア 閻魔さまのいうとおり 4 02 かいしんのいちげき! 4 02 影踏みエトランゼ 4 02 ドラえもん-アコギアレンジ 4 02 星野源 街に背く 4 02 弱虫モンブラン 4 02 GO!!! 4 02 NARUTO magnet 4 02 PLATONIC GIRL 4 02 赤点先生 4 03 金曜日のおはよう 4 03 ドクハク 4 03 ルカルカ★ナイトフィーバー 4 03 死んでしまったのだろうか 4 04 ダンスダンスデカダンス 4 04 フィクサー 4 04 Ice breaker 4 04 Ice breaker 4 04 onvocal Over Soul 4 04 real Emotion 4 04 倖田來未 いろは唄 男性目線 4 05 仮面ライダークウガ! 4 05 仮面ライダークウガ! ECHO 4 05 三味ぐ-シャミジャミ- 4 05 少年ハート 4 05 交響詩篇エウレカセブン ピースサイン 4 05 僕のヒーローアカデミア プラチナ-Acoustic ver.- 4 05 カードキャプターさくら 徒花ネクロマンシー 4 06 おちゃめ機能 FULL 4 06 怪盗・窪園チヨコは絶対ミスらない 4 06 ジェヘナ 4 06 だから僕は音楽を辞めた 4 06 ヨルシカ トリノコシティ 4 06 piano.ver 恋色病棟 4 06 最強○×計画 4 06 すもももももも ヒビカセ × ECHO 4 06 マッシュアップ モチベーション 4 06 ウィーニーウォーカー 4 07 ミリオンダラードリーマー 4 07 SUN 4 07 星野源 ディストピア・ジパング 4 07 夢をかなえてドラえもん 4 07 ドラえもん vivi acoustic ver 4 07 米津玄師 my sweet heart 4 07 東京ミュウミュウ お気に召すまま 4 08 オノマトペテン師 4 08 オノマトペテン師 4 08 onvocal 廃墟の国のアリス 4 08 バレリーコ 4 08 レアドロ☆KOI☆恋! 4 08 Bi☣hazard 4 08 過食性 アイドル症候群 4 09 君色々移り 4 09 恋をしよう 4 09 LIP×LIP(内山昂輝・島﨑信長) デリヘル呼んだら君が来た 4 09 LOSER 4 09 命のユースティティア 4 10 恋 Full ver. 4 10 星野源 しんでしまうとはなさけない! 4 10 ファッキン・フライデー 4 10 Butter-fly-Acoustic Ver.- 4 10 デジモンアドベンチャー FIRE!! 4 10 デジモンフロンティア 羞恥心 4 11 羞恥心 ヒトリノ夜 4 11 ポルノグラフィティ 文学少女インセイン 4 11 Platinum 4 11 カードキャプターさくら 命ばっかり 4 12 カミカゼバトル 4 21 空色デイズ 4 12 グレンラガン 竹取オーバーナイトセンセーション 4 12 Bad ∞ End ∞ Night 4 12 brave heart 4 12 デジモン Track 4 12 Zzz 4 12 日常 クノイチでも恋がしたい 4 13 残酷な天使のテーゼ 4 13 エヴァンゲリオン 冒険でしょでしょ? 4 13 涼宮ハルヒの憂鬱 リビングデッド・ユース 4 13 米津玄師 NANIMONOにも成れないよ 4 13 神のまにまに 4 14 トーキョーゲットー 4 14 もってけ!セーラーふく 4 14 らき☆すた 恋愛サーキュレーション 4 14 化物語 帝国少女 4 15 パノプティコン 4 15 真夜中の微笑み 4 15 他人事の音がする 4 15 シャリューゲ 4 16 修羅場-Single Ver- 4 16 続・溝ノ口太陽族 4 16 天体戦士サンレッド2期OP ヒビカセ 4 16 恋愛裁判-Piano Ver.- 4 16 Hacking to the Gate 4 16 STEINS;GATE 消せない罪 4 17 鋼の錬金術師 サヨナラメルト 4 17 男歌詞ver. シュガーソングとビターステップ 4 17 血界戦線 Butter-Fly 4 17 デジモンアドベンチャー No Logic 4 17 3月9日 4 17 完全感覚Dreamer 4 18 ONEOKROCK~BandEdition~ 突撃前夜のダンス 4 18 ハンマーソングと痛みの塔 4 18 break the chain 4 18 仮面ライダーキバ Q 4 18 帰巣本能 -少年 by the mile- 4 19 逃走本能 4 19 ミラクルペイント 4 19 BLOODY STREAM 4 19 ジョジョの奇妙な冒険 Mrs.Pumpkinの滑稽な夢 4 19 3331 4 20 君はできない子 4 21 リンネ 4 21 ワールドイズマイン アナザー 4 21 ALI PROJECT 4 21 月蝕グランギニョル このピアノでお前を8759632145回ぶん殴る 4 22 シークレット カクレンジャー 4 22 忍者戦隊カクレンジャー 星屑ユートピア 4 22 また 君に恋してる 4 22 オリオンをなぞる 4 22 TIGER BUNNY clock lock works 4 22 オルゴール.ver KnifeLife 4 22 影炎≒Variation 4 23 孤独の果て 4 23 脱げばいいってモンじゃない! 4 23 皆殺しのマジック 4 23 快晴 4 24 ラブ・ドラマティック 4 23 かぐや様は告らせたい 右肩の蝶 4 24 DE-Pression 4 24 onvocal 334人の敵 4 24 ゴシップ 4 25 ゴシップ 4 25 onvocla 卑怯戦隊うろたんだー 4 25 SuperDrive 4 25 onvocal キズ 4 26 雪、無音、窓辺にて。 4 26 涼宮ハルヒの憂鬱 OVERLAP 4 26 遊戯王 コインロッカーベイビー 4 27 古書屋敷殺人事件 4 27 今宵、月が見えずとも 4 27 ポルノグラフィティ 拝啓ドッペルゲンガー 4 27 プロトディスコ 4 27 ホウキ雲 4 27 CRAZY 4 27 CRAZY 4 27 onvocal IMAGINARY LIKE THE JUSTICE 4 27 Party Junkie 4 27 月光潤色ガール 4 28 スカイクラッドの観測者 4 28 Steins;Gate ダンスナンバーを共に 4 28 毒占欲 4 28 妄想感傷代償連盟 4 28 感電 4 29 米津玄師 天体観測 4 29 BUMP OF CHICKEN フラジール 4 29 flying 4 29 テイルズオブエターニア カゲロウデイズ 4 30 arrange.ver さようなら、花泥棒さん 4 30 終末じゃない 4 30 ちがう!!! 4 30 透明人間 4 30 東京事変 宵々古今 4 31 宵々古今 4 31 onvocal ラプンツェル 4 31 onvocal 恋愛勇者 4 31 FLY ME ME TO THE MOON 4 31 新世紀エヴァンゲリオン 深海少女 4 32 Acoustic Guitar 地球最後の告白を 4 32 Dear 4 32 サリシノハラ 4 33 サリシノハラ 4 33 acoustic ver. サリシノハラ 4 33 アコギバンドカバー Re birth 4 33 Yield 4 33 Sound Horizon アイのシナリオ 4 34 シザーハンズ 4 34 シザーハンズ 英語歌詞版 4 34 ターゲット~赤い衝撃~ 4 34 デジモンアドベンチャー02 ELECTRICAL COMMUNICATION 4 34 3月9日 4 34 piano.ver 輝夜の城で踊りたい 4 35 ラブライブ 深紅の薔薇にくちづけを 4 35 onvocal 夢であるように 4 35 テイルズオブデスティニー Black Cherry 4 35 flos 4 35 flos 4 35 onvocal エイトリアム 4 36 ギラギラ 4 36 シブヤVSシンジュク "FREESTEEZ" 4 36 ヒプノシスマイク 世界寿命と最後の一日 4 36 ノイジーラバーソウル 4 36 Blue Bird 4 36 Shangri-La 4 36 蒼穹のファフナー 色彩 4 37 Fate ヴェノマニア公の狂気 4;38 sakura 4 38 エウレカセブン 厭世輪舞曲 4 39 ロミオとシンデレラ アナザー 4 39 StarDust 4 39 Sound Horizon Starry Heaven 4 39 Tales of Symphonia コネクト 4 40 魔法少女まどか☆マギカ シザーハンズ 4 40 アコギver 聖少女領域 4 40 ローゼンメイデン はじめてのチュウ 4 41 キテレツ大百科 世界に一つだけの花 4 41 SMAP アゲハ蝶 4 41 ポルノグラフィティ 前前前世 4 42 RADWIMPS 深海シティアンダーグラウンド 4 43 創聖のアクエリオン 4 43 創聖のアクエリオン ロスタイムメモリー 4 43 glow 4 43 God knows... 4 43 涼宮ハルヒの憂鬱 Time Judged 4 43 仮面ライダーOOO 月のワルツ 4 44 アンノウン・マザーグース 4 45 明けない夜のリリィ 4 45 神曲 4 46 ゲームスぺクター2 4 47 ヨンジュウナナ 4 47 ヨンジュウナナ 4 47 Acoustic Arrange.Ver イージーデンス 4 48 こちら、幸福安心委員会です。 4 48 初音ミクの消失-DEAD END- 4 48 迷子の僕に-Acoustic Guitar- 4 48 異国人形館殺人事件 4 49 春雷 4 49 Acoustic Arrange.Ver バッド・ダンス・ホール 4 49 ハロ/ハワユ 4 49 rain stops, good-bye 5 40 アコギver Change me 4 51 エルの絵本-笛吹き男とパレード 4 52 Sound Horizon きみのかみ 4 52 onvocal ラットが死んだnew words 4 52 ピエロ 4 53 -Acoustic ver- China Blue 4 53 Z・刻をこえて 4 53 機動戦士Zガンダム ヲズワルド 4 53 からくりピエロ:アナザー 4 54 終末のミュートロギア 4 54 ネトゲ廃人シュプレヒコール 4 54 good night 4 55 硝子の少年 4 56 Kinki Kids ひよこと天秤 4 57 無辜のあなた 4 58 システマティック・ラヴ 4 59 ワールド・ランプシェード 4 59 人間が大好きなこわれた妖怪の唄 5 00 東方 Ark 生誕祭ver. 5 00 Sound Horizon
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【検索用 EXITTUNESPRESENTSKagaminextfeatかかみねりんかかみねれん 登録タグ kuma(alfred)CD CD CDE CDコンピレーション DATEKENCD Dixie FlatlineCD HoneyWorksCD JunkyCD NeruCD P.I.N.A.CD irohaCD nyanyannyaCD じーざすPCD のりPCD ひとしずくPCD ぶーたCD もじゃCD やま△CD ゆうゆCD れるりりCD アゴアニキPCD オワタPCD カラスヤサボウCD ゴムCD シグナルPCD 全国発売 卓球少年CD 悪ノPCD 暴走PCD 水野悠良CD 田中BCD 銀サクCD】 + 目次 目次 CD紹介 曲目DISC1 DISC2 リンク コメント ひとしずくP やま△ Dixie Flatline Neru 悪ノP カラスヤサボウ オワタP シグナルP nyanyannya れるりり もじゃ P.I.N.A. iroha kuma(alfred) HoneyWorks ゴム じーざすP 田中B cosMo(暴走P) アゴアニキP ゆうゆ のりぴー 水野悠良 Junky 卓球少年 銀サク DATEKEN ジャケットイラスト:ぶーた 発売:2017年12月20日 価格:¥3,200(税別) 流通:全国 レーベル:EXIT TUNES CD紹介 CD名:『EXIT TUNES PRESENTS Kagaminext feat. 鏡音リン、鏡音レン』(エグジットチューンズ プレゼンツ カガミネクスト フィーチャリング かがみねリン、かがみねレン) 「鏡音リン・鏡音レン」の発売10周年を記念したコンピレーションアルバム。 今作の為にiroha(sasaki)、ガルナ(オワタP)、じーざす(ワンダフル☆オポチュニティ!)、DIOS/シグナルP、ひとしずく×やま△の伝説のリン・レンマスター達が書き下ろした楽曲を収録! ボーナストラックとして音声提供者の声優「下田麻美」がカバーした楽曲も収録 数量限定の封入特典として人気イラストレーターの△○□×、Yおじが描くアクリルストラップ(4種ランダム)が数量限定で封入。 曲目 DISC1 Welcome to the Mirror Sound s Kingdom / ひとしずく×やま△ feat. 鏡音リン、鏡音レン 書き下ろし ジェミニ / Dixie Flatline feat. 鏡音リン、鏡音レン 脱獄 / Neru feat. 鏡音リン 悪ノ召使 / mothy_悪ノP feat. 鏡音レン ジャバヲッキー・ジャバヲッカ / カラスヤサボウ feat. 鏡音リン、鏡音レン イカサマ⇔カジノ / ひとしずく×やま△ feat. 鏡音リン、鏡音レン パラジクロロベンゼン / ガルナ(オワタP) feat. 鏡音レン チェインゲーム / DIOS/シグナルP feat. 鏡音リン、鏡音レン 書き下ろし エンプレス=ディスコ / nyanyannya feat. 鏡音リン 聖槍爆裂ボーイ / れるりり×もじゃ(大柴広己) feat. 鏡音レン ロストワンの号哭 / Neru feat. 鏡音リン レッド・パージ!!! / P.I.N.A. feat. 鏡音リン、鏡音レン リンリンシグナル / DIOS/シグナルP feat. 鏡音リン、鏡音レン 炉心融解 / iroha(sasaki) feat. 鏡音リン スキキライ / HoneyWorks feat. 鏡音リン、鏡音レン DISC2 しんでしまうとはなさけない! / じーざす(ワンダフル☆オポチュニティ!) feat. 鏡音リン、鏡音レン 厨病激発ボーイ / れるりり feat. 鏡音レン 深海シティアンダーグラウンド / 田中B feat. 鏡音リン 鏡音レンの暴走 / cosMo@暴走P feat. 鏡音レン よっこらせっくす / アゴアニキ feat. 鏡音リン 天樂 / ゆうゆ feat. 鏡音リン 右肩の蝶 / のりぴー feat. 鏡音レン 師匠なフタリ / じーざす(ワンダフル☆オポチュニティ!) feat. 鏡音リン、鏡音レン 書き下ろし ハウトゥー世界征服 / Neru feat. 鏡音リン、鏡音レン メランコリック / Junky feat. 鏡音リン 誰でもいいから付き合いたい / 卓球少年 feat. 鏡音レン いろは唄 / 銀サク feat. 鏡音リン 夜明けのシステム / iroha(sasaki) feat. 鏡音リン 書き下ろし 鏡音ミリオンランキング / ガルナ(オワタP) feat. 鏡音リン、鏡音レン 書き下ろし <Bonus Track>蜜月アン・ドゥ・トロワ / DATEKEN feat.下田麻美 リンク 特設サイト amazon コメント おおおおリンレン来たーッ! -- 名無しさん (2017-09-05 00 39 32) リンレンも盛り上げて欲しい!! -- レン廃の人 (2017-09-05 17 55 59) 絶対買う!リンレンファイトぉー!!!!! -- 名無しさん (2017-09-05 19 28 55) リンレンの10周年も盛り上げたいなぁ!!!! -- 名無しさん (2017-09-05 21 06 21) 今回はVocalogemeniとかVocalotwinkleの続編ではないみたいだね。今度こそ下剋上入ってほしい。無理かなぁ? -- humeiP (2017-09-11 10 13 57) 特設サイトにBESTって書いてるから続編ではないと思う -- 名無しさん (2017-09-11 14 43 34) 「ココロ」が無いのは一体… あと鏡音10周年記念アルバムってのはこれとは別に出るのかな? -- 名無しさん (2017-10-18 22 28 38) せーのって聞こえた気がしたんだけど・・・。 -- 名無しさん (2017-10-22 16 42 56) オワタさんの書き下ろしか・・・なんか気になる。てかNeruさん3曲収録とかすげぇw -- 名無しさん (2017-10-30 17 38 59) 初音ミクと同じくほとんどベストアルバムに入った曲で被ってるけど、ベストアルバムに入ってない曲も少しあるし、書き下ろし曲もミクのアルバムよりも多いのでこっちの方が良いと思いました。 -- humeiP (2017-11-05 00 59 32) リンとレンで別々にアルバムを作ることはできないのかな? -- 名無しさん (2017-12-11 11 24 13) リンが多いのは既存曲の数とか見ても仕方ないでしょ -- 名無しさん (2017-12-11 21 22 50) 既存曲の数が書き下ろしに何か関係が?というかレンのソロで入れられるのが7曲しかないと思ってるんですね -- 名無しさん (2017-12-12 00 00 39) 「夜明けのシステム」いいね! 流石iroha氏、期待を裏切らない素晴らしい曲だ! -- 名無しさん (2017-12-21 21 54 17) 絶対買う! -- 名無しさん (2017-12-22 22 01 58) 発売日に届いた!ポスターとか缶バッジとかも良かったけどCDめっちゃ良かった!チェインゲームが一番印象に残った -- Allen (2017-12-23 09 36 54) 買ってからだいぶたつけどいまだに聞いてる!ほんと10周年おめでとうって感じ・・・(←今更)特典がポスターしか手に入らなかったのが悔しいいいいい大事に飾らせてもらってます♥ -- レン廃 (2018-08-12 19 40 12) HoneyWorksの「y」の部分が「w」になってて草 -- humeiP (2018-10-03 07 48 55) 書き下ろしの曲が好きです。 -- 名無し (2020-11-25 20 05 00) 名前 コメント
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執筆日 2009年9月18日 備考 らき☆すたSS第16回コンクール(お題『夢』)大賞作品。 一応これで通算2勝目、と言うことになります。でも伝えたい真理だけをまっすぐに伝えるスタイルは変わらないしこれからも変えないから、票がついて来ようがこまいがあまり関係はないのかもしれません。でも何気にうれしいです(笑)。 出品した時から少し加筆と構成を加えてあります。 ゆめ[夢] ①睡眠中に,体験しているかのように感じる現象. |はかないこと.→~のまた~ ②将来の‐理想(希望)。とりとめのない空想。 (デイリーコンサイス国語辞典より) 私の夢って何だろう。そんな漠然とした疑問を私が持ち始めたのは、私が彼女たちの夢を初めて聞いた時からだった。 明けない夜が来ることはない Ⅰ. あれは高校3年生の秋、確か木曜日だったと思う。担任の黒井先生は或るホームルームの時間に、私たち生徒に1枚の紙切れを配った。ツルツルした白いB5のコピー用紙の表題は“進路希望調査票”。その文字を目にした瞬間、私は軽い目眩を覚えた。提出期限は来週火曜日まで。行きたい大学と学部を5つまで書いて提出せよとのことだ。要するに自分の夢(さて、夢とは?)を考えてそれに合った大学を書けということである。 ホームルームを終えて、私はかがみとつかさ、みゆきさんに尋ねた。 「みんな決まってんの?」 「当たり前だ、一応法学部で進学希望よ」 「私は医学部で進学希望を出しますよ」 「私はちゃんと料理の勉強をしようかなって思ってるんだ」 「はぁ……かがみは弁護士志望かぁ……みゆきさんは医師?つかさは調理師?」 「そうね……私は弁護士かどうかは分からないけど、法曹界に入りたいのは確かよ」 法曹界か。私はダークグレーのレディースのスーツをビシッと着こなして堂々と法廷に立つキャリアウーマンのかがみを妄想して萌えた。特に意識していたわけでもなかったのに、何故か髪型はツインテールから長い1本のポニーテールに変わっていた。昔はともかく今のかがみは意外とポニーテールの方が似合うと思うのだが、ツインテールの由来を知っているが故にかがみには今まで言い出せずにいる。 「私は外科医になりたいと思っています。昔お世話になった先生がいて、ずっと憧れていましたから」 なるほど、そういうきっかけがあってみゆきさんは医師を志したわけだ。ブラックジャックみたいな名外科医になるんだろうか、ああもちろん合法の、だが。 今の世の中、ナース服コスプレなんてのは次元を問わず世間に溢れかえっていると言ってしまって差し支えないだろうが、考えてみたら白衣コスなんてあんまりお目にかかったことがないような気がする。 確か昨年のことだったが、生物の実験の時間に、制服の上に染み一つない白衣をまとったみゆきさんは、無駄に色彩の強い陵桜学園のセーラー服だけを着ている時よりも博学さに磨きがかかっているように思われた。着る人の職業を記号として表すのが制服だと現代文の授業に出てきたが、むしろみゆきさんの白衣は彼女の魅力を引き出してくれるだろう。 「私は……自分の料理で人を笑顔に出来たらいいなって。美味しそうに料理を食べてくれてる顔を見るだけで、すごく頑張れるんだよ」 確かに、ゆーちゃんがうちに来てからは一時期より頻度はやや減ったとはいえ、私も日常的に料理をする立場だからその気持ちはよくわかる。 長いトックブランシェを目深に被り、先ほどのみゆきさん同様に真っ白いエプロンをかけて同じく真っ白い調理服を着こなして厨房に立てば、つかさはもうヨーロッパのどんなコンクールに出ても金賞を取れそうである。美人シェフとしてテレビで取り上げられたら、私たち3人が友人代表として絶対出演してやるんだ。かわいらしい実力派料理人と、やり手の弁護士と、評判のいい名医と、あと、何だろう。 私は将来、一体何になっているのだろうか。考えたこともなかった。前に見たアニメに、文化祭の前日が繰り返されるとか、夏休みの2週間を延々とループし続けるといったシナリオがあったけれど、私もまた同じように高校生活が永遠に続いていくものだと、根拠もなく思い込んでいたのである。 それではピーターパン・シンドロームそのものではないか。自分はいつまでも大人にならない少年のようにモラトリアムな時間を過ごし続けることで未来を回避したいという幼稚な考えに浸かって生きてきたのだと、みんなの夢を聞いた私は悟ったのであった。 私の夢って何だろう。そんな漠然とした疑問を私が持ち始めたのは、私が彼女たちの夢を初めて聞いた時からだった。 返す言葉も立場もなかった私がそれから彼女たちと何を話して、何を思いながら家に帰ったのか、私はもう覚えていない。 Ⅱ. 夢とは一体何で、一体どうやって決めるのか。そんなことを明確に知っている人はいるのだろうか。今思えば黒井先生に聞けば良かったのかもしれないが、でもやっぱり「適当に決めた」だの「気がついたら教師になってた」だの、いい加減なことを言われそうな気がする。そう考えれば私の判断――お父さんに進路についての相談を持ちかけるという選択は至極真っ当で、それは他の家の常識がまず通用しない泉家においても例外ではなかったらしい。少なくとも私はそう考えたいと思う。 その日、晩ご飯を食べ終わった私は、さも何事もなく平然とした様子を装ってお父さんに話しかけた。 「お父さんってさ」 「ん?」 「進路どうやって決めたの?」 「進路なぁ……迷ってるのか?」 「うん、何やったらいいか分かんないんだよね……」 せっかくお父さんにバレないように表情も声色も入念に取り繕って話しかけたつもりだったというのに、あっさり見抜かれてしまったらしい。このお父さんには何もかもお見通しなのだろうかと思うことがたまにある。 「ん、まあそんなこったろうと思ったよ。お父さんも別に大したことなかったしさ」 「そうなの?」 「ああ、一応志望校決めたのは今のこなたよりは早かったけど……まあ、でも大した差はないかな。ちょうど高3の夏休みだったと思うけど」 「お父さんも早く決めるように発破かけられたわけ?」 「いや、明確に決めるように促されたことはないけど……ちょっと進路決めるきっかけがあったんだよ」 「へぇ……きっかけ、ねぇ」 私には未だにそのきっかけが訪れていないのだが。 「ああ、その時の担任の先生がな、平塚先生って国語の先生だったんだけど……ヨイショするつもりはないけど、素晴らしい先生だった。いい加減な性格の俺に、文学の何たるかを懇々と語り聞かせてくれたよ。普通の先生なら嫌になって俺のことなんか放っておくもんなんだけどさ。 まだ大衆文学しか知らなかった俺に、本当の、本物の文学とは何なのかを教えてくれたんだ。何時間も、何日もかけてな。仕事だってあっただろうし、俺にだって本当は勉強しろって言わなきゃいけない立場だったのにさ。 だからさ、夏休みが終わった時に自然に決心したよ。俺はこの平塚先生みたいに、本当の文学の面白さや素晴らしさをより多くの人に伝えたいってな。だから、絶対に国語教師になって、生徒たちにあの頃の自分と同じ素晴らしい体験をさせてやりたいと思った」 「それで小説書き始めたわけ?」 「まさか。そんなすぐに小説が書けたら、みんな小説家になってるよ。前にも言わなかったかな……お父さん、昔教師を志してたって。高校生になっても文学なんて全然分からない自分に後悔したりもしてさ、子供たちにはもっと幼いうちから質の高い文章に触れて欲しいと思ったから、小学校の国語の先生になろうって」 「中学校とかじゃなくて?」 「中学生は部活だ何だって、やっぱり忙しいだろ?高校生にもなったら、本をよく読む子は放っておいても読んでるし、読めるほど賢くない子は正直言って全然読まないし教えたってあんまり意味がない。もっと若いうちから、読書の習慣をつけて欲しいからね」 「でも結局教師にはならなかったじゃん。それはなんで?」 「そりゃあ、今の仕事やってるからだけども……大学入ってから、目の色が変わったように色々読んだよ。愛とは何なのか、人間は何のために生きるのか、その答えが知りたかったから教養過程で哲学も勉強したし。スタンダールの『赤と黒』で人間の欲望について考えたり、ドストエフスキーの『罪と罰』みたいな歪んだ思想も目にすることになった。後々にうっかり大賞取ってプロになってから原稿落としそうになった頃は、サン=テグジュペリの『夜間飛行』でプロの厳しさを学んだ。日本の小説だったら……夏目漱石は入門者向けの『吾輩は猫である』は大爆笑したし『坊っちゃん』も楽しかったけど、『こころ』は高校の授業はもちろん大学生になっても何度読んだってわかったような気がしないし。『明暗』は未完だったのに、今の恋愛小説より遥かに味わい深くて素晴らしい小説だと思った。芥川龍之介には世の中の虚しさや人間の醜さを教わったし太宰治には……」 「お、お父さん?」 正直、今の作家の半分以上は全然分からない人たちだった。アニメのキャラクターの方がたくさん覚えていそうな気もするが、お父さんはそっち方面だってちゃんと覚えているから恐れ入る。 「ああ、ごめん、久々につい熱くなったなぁ……要するに、文学と言えば純文学のことだった時代があったってことを知ったんだよ。今はもっとくだらないのも素晴らしいのも、いろんな本が出てるけどさ。 でもそんな世の中だと、なかなか面白いと思う小説には出会えないから、ここらで一念発起して自分が素晴らしいと思える小説を書いてみよう!って思ったんだよな。それで、ついでに応募してみたらアッサリ大賞。もちろん運もあったんだろうけどさ。 とにかく、プロにならないかって言われて、俺もけっこう迷ったよ。でも後先考えない身の振り方はできないから、教員免許取るまで待ってもらって、それからデビュー。 だから、実はお父さんはに昔の目標通りの人生を生きてるわけじゃないさ。そんなのは何かの拍子に変わってしまうことだってあるからな。でも何も目標がなかったら、どっちに向いて歩けばいいかも分からんだろう?そうじゃなくて、途中で方向転換するにしても、やっぱり自分が今どこを向いて歩くかくらいは決めとかなきゃいけないってこと。別にきっかけは何だっていいんだよ。 例えば、こなたはなんで今文系に進んだ?」 「うーん、かがみ達が文系行くって決めたから私も、って感じかな」 「まあ、そんなもんだよな。お父さんだって数学Ⅲ・Cと物理の授業が嫌で文系にしたんだぞ?あとかなたについて行ったっていうのもあるけど」 「ウソぉ?そんな適当に決めてたの?」 「ああ、本当だよ。文系って意外とそうやって理系から逃げてくる人は今でもいるだろ?」 それはみさきちのことを言っているのだろうか。いや一般論だよね、と私は思い直した。 「ま、お父さんだってあんまり偉そうなこと言えるクチじゃないけど、とりあえず今現在どこに向いて進みたいかってことは決めとかなきゃならんしなあ。あ、そうだ」 「ん、なに?」 お父さんは急に話を変えた。私もそれを追う。 「例えば今のアニメって、アニメの放送だけじゃなくてCDとかグッズとかフィギュアとかとんでもない数が出てるだろ?俺たちはそれに見境もなく投資してるわけだけど」 「うん、確かに色々とお金使ってはいるよね」 「そのお金、一体どこに行ってしまったか知りたいと思わないか?どうやって俺たちオタクから儲けを出してるのか、どんな商品がどれくらい売れたらどれくらいの利益が出るのか」 「おおっ!!それは投資家として是非とも知りたい!」 言われてみれば何も知らないまま大金をつぎ込むのはあまりに惜しい!これは勉強すべきかもしれない。 「だろう?じゃあ、どんな商品を出してどんな風に宣伝すればファンの心を掴めるかも勉強してみたいか?」 「どうやったら大ヒット商品が企画できるかとか?」 「そうそう、近いな。俺たちオタクがどんな手段で騙されてるか、楽しませてもらってるか、全部分かるぞ」 これは面白そうかもしれない。何も考えずに闇雲に投資するよりも遥かに。 「じゃあ経済学部か経営学部かな。そこら辺をお勧めしとくよ」 「そっか、ありがとね」 「いやいや、まあ、たまには親らしいところも見せとかなきゃな。いつまでもこなたに娘離れ出来てなーい!なんて言われちゃたまらないからさ」 ニヤッと笑いながらそう言うお父さんの顔を、私は直視することが出来なかった。少しだけ、お父さんを見直したかもしれない。 Ⅲ. ほんの僅かな自分の未来像が見えてきた。普通に考えればお父さんの話は説得力に欠ける話だったのに、不思議と自分の中に一筋の光が差し込んだような気がした。 「ゆーちゃーん、今ちょっといいかな?」 「ん、いいよっ」 私はもう1人の家族であるゆーちゃんに、恥を忍んで話を聞いてみることにした。自分より年下でまだ1年生のゆーちゃんが私より先に志望校を決めていたりしたらもっと落ち込むかもしれないけれど、ここはもう腹をくくることにしよう。 「ゆーちゃんはもう志望校とか決めた?」 「いやいや、実は全然考えてないんだ。まだ高校入って半年しか経ってないし、今から大学受験のことばっかり考えてるのも面白くないし……でも今のところ文学部に惹かれてるかなぁ。どうしたの?」 「いやあ、今すっごく進路に迷っててさ。自分が何やったらいいのか、まだ全然分かんないんだよね」 言った自分が思うのも何だが、えらく大層な物言いである。 「ゆーちゃん確か絵本作家になりたいんだったっけ?」 「うん、そうだよー。こないだ田村さんに初めて絵本作ってもらったのもお姉ちゃん見てくれたよね」 「うん、氷姫の本だよね。ゆーちゃんとみなみちゃんがモデルになってるやつ」 「そ、そんなんじゃないってば!」 ゆーちゃんが顔を真っ赤にして反論してきた。あんまりからかうと肝心なことが聞けなくなりそうな気がしたから、私は一言お詫びを入れてから、ゆーちゃんの夢についての話を聞くことにした。 絵本作家っていうか、今から考えれば童話作家っていった方が正しいかな、と前置きして、ゆーちゃんはゆっくりと話し始めた。 「私たちが小さい頃にさ、石川の実家の方に『しょうぼうじどうしゃじぷた』って絵本があったの覚えてる?」 「えーと、オンボロのジープが火事の時に活躍する話だっけ?」 「そうそう。普段は小さなじぷたよりも他の最新型の消防車や救急車ばっかり注目されてるのに、山火事になったら誰も火を消せなくって。でも狭い山道を駆け上がれるじぷたは大きな山火事を消して人々を救うことが出来た、っていうお話なんだけどね」 「あったねぇ。昔ゆーちゃんあの本大好きだったの覚えてるよ」 「うん、今でも好きだよ。もっと大きくなって分かったんだけど、私、小さくて非力なじぷたと自分を重ね合わせてたみたいで。誰にだって得意なことや人より優れてるところがあって、それを磨けばみんなの役に立てるんだって、ずっと信じてた。 だからかな、じぷたのことを思い出すと、身体が弱くてみんなと同じことが出来ない自分のコンプレックスが少し和らぐような気がしたんだよね。絵本のおかげで励まされたっていうか、助けられたっていうのかな。自信がついたよ」 「そうなんだ……」 「だから私は、まあ、絵本で子供たちを救うなんて御大層なことは言わないけど、でも絵本を通じて少しでも子供たちの力になれたらいいな、って思ってる」 そう答えるゆーちゃんの大きくてくりくりとした碧[みどり]色の瞳は、大きな自信に満ち溢れていて、私はそのまぶしさに目がくらんだ。思わず部屋の奥に視線を外すと、勉強机の片隅には、普通あまり女の子が好みそうにないジープのモデルカーが置かれていた。 私が、これといって特別なことが出来るわけでもない私が、生まれて初めて守りたいと思った存在だったゆーちゃん。いつの間にか、彼女は自分だけの夢をしっかりと見据えることが出来るようになっていたらしい。まだ将来の夢さえも満足に決められないような私よりも遥かに先を行っているじゃないか。 ゆーちゃんが大きく成長したことが私は嬉しかったけれど、ただ喜んでいるばかりではない愚かな自分に気付いて私はものすごく気分が悪くなった。こんなことを考えている場合ではないのに。 私は、参考になったよ、とゆーちゃんにお礼を言って自室に戻った。案の定、というべきか、さっきよりも心なしか身体が重かった。 Ⅳ. 自分の部屋のベッドに寝転がって、私は壁掛け時計を上下逆さまに見た。4時35分?いや、10時過ぎといったところか。木曜日の10時台なんて見る番組なかったよなあ、と私はつぶやいた。このままで居ると風呂にも入らずに寝てしまいそうだったので、私は勢い良くベッドから跳ね起きた。 スクールバックの中のクリアファイルから件[くだん]の“進路希望調査票”を取り出して勉強机の真ん中に置き、私はこないだ買ったLAMYの黄色いシャーペンを片手に(アニメのキャラクターが使っていて人気が出た奴だ)、そいつとにらめっこしてみる。 こいつはきっと、向き合う相手によって態度を豹変させるのだろう。かがみ達のような確固とした希望・願望のある人間に対してはまるでその意思表明をさせてくれるかのように振る舞うくせに、私みたいな曖昧な人間にの前は徹底して立ちはだかろうとする。 一応ある程度の社会保障があるとはいえ、世の中というのは本当によく出来ている。時代が変わって新しい職種が登場しても所詮はノーミル・ノーミール、すなわち働かざる者食うべからず、なのである。そりゃあ株やら何やらで儲けている人もいるけれど、それにしたって元金つまり資本金が何百万もいるわけだし、株についての勉強もしなきゃいけない。しかもリスクの方が大きいうえに日常生活でも株価が気になって仕方がないというのなら、株で食べていくというのも実は精神的に大変なのかもしれないと思う。 宝くじに当たりたい、と以前みさきちは言っていたが、3億円もの大金を手に入れてしまったらみさきちでなくとも正気を保てなくなる自信はある。以前そんなドラマもあったが……とにもかくにも、不健全な方法でお金を稼ごうという心構えそのものがいけない。真剣に考えねば、と私は再びこの厄介な対戦相手に向き直った。 私のやりたいことは何なのかというよりも、私が自分自身をどうやって活かせるかを考えないといけない。自分のやりたいことが世の中に仕事として用意されていると思うな、とよく言われるように。 だからこそ私は迷っているのだ。自分の長所というものが分かっていない。そういうところは自己PRの苦手な古典的な日本人そのものだな、と思った。 私は自分の部屋にある電話の子機を手にとって、使い慣れて覚えてしまった番号にダイヤルした。まだ夜も遅くないから、怒られはしないと思うけど。 『もしもし?』 「ああ、かがみ?遅くにごめん、今大丈夫?」 『大丈夫よ。どうしたの?珍しいじゃない、こなたからかけてくるなんて』 「いや、進路希望に迷っててさぁ、何書けばいいか分かんないんだよね」 『やっぱりか……アンタのことだから、何書くんだって思ってはいたけど』 「うん……みゆきさんは聖人君子すぎて逆に何か諭されそうだし、つかさはあんなんだし」 『アンタ、せめて建て前でもマシなこと言いなさいよね。まあいいわ、どうしたのよ。洗いざらい話してみなさい』 「いや、自分のやりたいことがまだ見つからない以上、自分の何を活かして職に出来るかなぁなんて考えてたんだけどさぁ、どうも見当たらなくて」 『なんだ、もっと酷いかと思ったらもうそこまで到達してたのね』 「え?」 『もっと根本的なところから説教しなきゃなんないかと思ってたけど、そこまで来たんならもうほとんどゴールよ』 「え?なんで?」 『じゃあ聞くけど、社会経験がロクにない私達が今すぐに何かの職に就けると思う?』 「いや、思わないけど……」 『でしょ?それでいいのよ、高校生なんて書籍そんなもんなんだから。何を伸ばせばいいか分かんないっていうんならね、逆に選択肢を広げるために大学を目指すっていうのはどう?』 「選択肢を広げる?」 『そうよ。“選ばれなかったなら選びに行け”なんて本末転倒な妄想を押し付ける気はないけどね、就職試験や面接で何度も合格すれば、それだけ未来だって選べるんだし。選ばれるに相応しい大学に入って、選ばれるに相応しい人間になるために自分を磨く。それがこなたが大学でやるべきことだと思うわ』 「自分を磨く、かぁ……」 『そう。難しく考えなくてもいいのよ。私も力になるから、まずは自分が一番見聞を広げられそうで、あと就職の行き先が一番バリエーション豊富な学校と学部、考えときなさい』 「うん、分かった。こないだもらってきたパンフレットいくつか見てみるよ」 『じゃあ、また明日ね。予習もちゃんとやっときなさいよ。じゃあお休みね』 「うん、わざわざありがとね。お休み」 向こうが何も言い残していないことを確認して、私は電話を切った。そうか、選択肢か。ならば私の知っている限りでは……。 私は進路希望調査票にシャーペンで薄く大学名と学部名を書いてみた。明確な志望校を決めかねているからこそたくさんもらってきた大学のパンフレットをもう一度読み直してみた。この学部なら私の選択肢がぐんと広がると思った学部をいくつも下書きして、私は進路希望調査票を再びクリアファイルに挟んで片付けた。 人生の中でいつ変わるともしれない“未来”について決めるなんて、馬鹿馬鹿しいことだとは分かっている。でもこの世の道理に昏い人間は、一応にしても目の前を照らしてくれる物がないといけないのだと倫理の時間に言われた。仏教の考え方らしいが。 今の私が何になりたいか、何をしたいかが分かっていない以上、いざ行動を起こしたくなった時に学歴も知識もないのではこの社会では使い物にならない。人から選ばれ期待されないようでは夢もへったくれもないし、夢で飯なんて食えやしない。かがみが言いたかった真意は正直分からないけれど、私は勝手にそう解釈してしまうことにした。 そうだ。人生はいくらだって変えられるし、何かを始めるのに遅すぎるなんてことはあんまりない。でもあまりに回り道ばかりしているわけにもいかないのだ。やり直しの効く人生だからこそ、出来ればやり直さず後悔もせずに生きよう。そう思えば自然とラクな気持ちになってきた。少なくとも私に限って言えば、一直線に決められたレールを歩くだけが人生ではないのだ。 うん、これでいい。私は浮気症で、一つの目標を目指してまっすぐ生きることはまだできないけれど、だからこそ私は誰かに選ばれ求められたらそれにいつだって応えられるような人間にならなきゃいけない。大学とは本来自分を磨き上げて有能な人物にしてやるべく通うところで、、就職で有利になるように高学歴を得るためだけに行く場所ではないのだ。 自分を磨く。スポーツ漫画やバトル漫画に出てきそうなよくあるそのフレーズと未来の私自身に、私は何故か期待感を隠せないでいた。 窓の外では、夏の終わりを告げる鈴虫が鳴いて、自分たちがその手で掴み取る未来に向けての、長い戦いの始まりを知らせている。 Back to Novel of T