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基本ルール:8人の合計体力9の3人以下チーム DP制限とかはないです 【チーム編成:家族関係にあるキャラの組み合わせ】 これはゆるゆるの設定なので、剣トラとコルドのような幻の養子縁組もOK この組み合わせはいいの?みたいなのは合体杯コメ欄286以降参照もしくは本スレで 失格にするためのルールではないので、よほど無理がない限りは許可したいと カスタム:パワアルボ天使刻印禁止 DBSMLの制限キャラはカスタム枠5まで アラレと超ナマズは制限かけるほどでもないので7枠までOKでいいんじゃないかと 最終戦:家族といえるキャラがいないヤムチャさん 会場はこちら http //www.castily.com/video/2008031221555218 http //www.castily.com/video/2008031223023909 チーム名:親子揃って…\(^o^)/キレンジャイ!\(^o^)/ 変身:ON 備考:表記はキレンジャイ!でいいですw 1番手 キャラ名:孫悟空(後期) 形態:SSJ3 カラー:1 Zアイテム:攻撃アップ1、気力アップ3、ライトボディ、亀仙人の修行 思考タイプ:ブロリー 2番手 キャラ名:アルティメット悟飯 形態:無し カラー:2 Zアイテム:攻撃アップ1、気力アップ3、救世主、ライトボディ、クイックチャージ 思考タイプ:天津飯 らいつべ大会は思いっきり趣味や冒険に走る癖が治らないwでも反省はしないw つーかこの親子B1B2UB似すぎ。強い筈なのにAIがしょっぱいのも似すぎ。 過去の自分に勝てないのも似s(ry チーム名 孫と大会出てみた キャラ名:悟飯 少年期 形態:SS カラー:2 Zアイテム:亀仙人の修行 底力! 激怒! 本気! 気合! ライトボディ 思考タイプ:フリーザ キャラ名:バーダック 形態:通常 カラー:2 Zアイテム:気力アップ2 必殺アップ2 防御アップ2 救世主 思考タイプ:ブロリー チーム名:宇宙最強の兄弟 変身:ON キャラ名:フリーザ 形態:第一形態 カラー:1 Zアイテム:防御アップ3 気力アップ3 必殺アップ1 思考:天津飯タイプ キャラ名:クウラ 形態:最終形態 カラー:1 Zアイテム:攻撃アップ2 必殺アップ1 気力アップ3 救世主 思考:天津飯タイプ あえて第一形態フリーザで出てみる。 これが吉と出るか凶と出るか。 チーム名:パオズ山から 2008遺言 変身:ON キャラ名:孫悟飯(少年期) 形態:SSJ カラー:1 Zアイテム:気力アップ2、必殺アップ3、亀仙人の修行 思考タイプ:フリーザ キャラ名:孫悟空(中期) 形態:SSJ カラー:2 Zアイテム:攻撃アップ1、気力アップ2、キビトの秘術、救世主、必殺アップ1 思考タイプ:孫悟空 チーム名:ガキを探して地球巡り キャラ名:バビディ カラー :1 Zアイテム:攻撃アップ2 気力アップ1 達人の気弾 ライトボディ 亀仙人の修行 思考タイプ:クリリン キャラ名:魔人ブウ(善) カラー :1 Zアイテム:攻撃アップ2 防御ダウン1 気力アップ2 必殺アップ2 救世主 ライトボディ 思考タイプ:餃子 ゆ、油断さえしなければ・・・き、貴様なんか・・・ キャラ名:孫悟空(中期) 形態:スーパーサイヤ人 カラー: 3 Zアイテム:ライトボディ 気力アップ1 必殺アップ2 攻撃アップ3 思考タイプ:悟空タイプ キャラ名:アルティメット悟飯 形態:なし カラー:1 Zアイテム: 救世主 亀仙人の修行 気力アップ2 必殺アップ2 思考タイプ:天津飯タイプ チーム名:爺も孫も多重残像拳 体力3、3、3で合計9 キャラ名:孫悟空(少年期) 形態:通常 カラー:1 Zアイテム:防御アップ3、気力アップ2、ライトボディ、ブロリーの輪 思考タイプ:天津飯タイプ キャラ名:孫悟飯じいちゃん カラー:1 Zアイテム:気力アップ2、精神コントロール、キビトの秘術 思考タイプ:フリーザタイプ キャラ名:パン 形態:通常 カラー:2 Zアイテム:気力アップ2、防御アップ2、救世主、キビトの秘術 思考タイプ:天津飯タイプ ●チーム名:合体親子 変身:ON 1番手 キャラ名:孫悟天 形態:ゴテンクスSSJ1 カラー:1 Zアイテム:気力アップ2、攻撃アップ3 必殺ダウン1、ライトボディ、ドラゴンスピリット 思考タイプ:トランクス 2番手 キャラ名:孫悟空(後期) 形態:スーパーゴジータ カラー:1 Zアイテム:救世主、気力アップ1、必殺アップ1、気合!、激怒! 思考タイプ:天津飯 キャラ名:セル 形態:パーフェクト カラー:1 Zアイテム:限界突破、気の完全コントロール、ドラゴンハート、ミラクルマスター、蜃気楼 思考タイプ:セル チーム名:ロンリーウルフ キャラ名:ヤムチャ 形態:なし カラー:3 Zアイテム:超再生細胞 体力超強化 戦神 気の完全コントロール 限界突破 鬼神 レジスタ 思考タイプ: 家族計画杯 一回戦 キレンジャイ! × VS ○ 孫と大会出てみた 宇宙最強の兄弟 × VS ○ パオズ山から 2008遺言 ガキを探して地球巡り × VS ○ ゆ、油断さえしなければ・・・き、貴様なんか・・・ 爺も孫も多重残像拳 × VS ○ 合体親子 準決勝 孫と大会出てみた × VS ○ パオズ山から 2008遺言 ゆ、油断さえしなければ・・・き、貴様なんか・・・ ○ VS × 合体親子 三位決定戦 孫と大会出てみた ○ VS × 合体親子 最下位決定一回戦 キレンジャイ! × VS ○ ガキを探して地球巡り 宇宙最強の兄弟 × VS ○ 爺も孫も多重残像拳 最下位決定下から三位決定戦 ガキを探して地球巡り × VS ○ 爺も孫も多重残像拳 最下位決定戦 キレンジャイ! ○ VS × 宇宙最強の兄弟 決勝戦 パオズ山から 2008遺言 ○ VS × ゆ、油断さえしなければ・・・き、貴様なんか・・・ 優勝 そして第二部へ… パオズ山から 2008遺言 特別戦 パオズ山から 2008遺言 × VS ○ 公式セルパーフェクト 特別戦2 パオズ山から 2008遺言 × VS ○ ロンリーウルフ 順位結果 1パオズ山から 2008遺言 2ゆ、油断さえしなければ・・・き、貴様なんか・・・ 3孫と大会出てみた 4合体親子 5爺も孫も多重残像拳 6ガキを探して地球巡り 7キレンジャイ! 8宇宙最強の兄弟
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登録日:2009/12/30 Wed 09 26 28 更新日:2022/11/05 Sat 21 58 55NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 し_あ_わ_せ しあわせ島 しあわせ草 よ〜ぉ_でででん_でででん_でででんでん_はぁ! アイテム オコジョさんは関係なし キーアイテム ジャジメント ドーピング パワプロクンポケット パワポケ 中毒 曖昧さ回避 植物 草 薬物 超能力 風来のシレン 麻薬 1. パワプロクンポケットシリーズに登場する重要アイテム。 初登場は6裏。 しあわせ島に自生する植物で、作中グラフィックでは紫色の花を咲かせている。 服用すると様々な効果があるが、太平洋戦争〜現在にかけてまで実験中でまだ全貌は分かっていない。 最初は太平洋戦争時にしあわせ島を駐屯地にしていた旧日本軍が目を付けたのだが、終戦後その実験データがドイツ軍に横流しされジャジメントへと受け継がれた。 旧日本軍の基礎研究では ・身体能力の驚異的な上昇 ・強度の中毒性と禁断症状 ・人種や生物による効果差 が報告されていた 日本人やトカゲには効果があったが、原住民やドイツ人には効果無し。 BB1軍にはどっかで見たような外国人選手が混ざってたりしたので、アメリカ人辺りにも効果ありそう。 効果と中毒性は濃度で調整可能。 当然リスクを増すほど驚異的な身体能力を得られるが、死ぬこともある。 【パワポケ6】 BB団が武器生産の傍ら、しあわせ島に送られてきた強制労働者で人体実験を行っている。 労働者には告げず飲食物にエキスを混ぜることで、身体能力向上と慢性中毒を引き起こしデータを収集していた。 実験体の中には体格をそのままに150kgのバーベルを上げたり、銃弾を見切る者がいたが彼等は既にしあわせ草無しでは生きられない体になっている。 被験者にはペラを稼いで島を出る際に初めて実験が明かされ、「定期的にしあわせ草を送る代わりに島のことを黙秘する」という取引を突き付けられる。 拒否しても死ぬだけなので了承せざるを得ないが、島を出た者はその高い身体能力で生活には困っていないらしい。 ルートによってはここで主人公は反乱を起こし、しあわせ草で強化された仲間達と共にBB団に立ち向かう。 だが後作品から正史はとしおくん撃破なので、メカ亀田は現在も活動している。 BB団崩壊時にデータはジャジメントに送られ、ドクターのレポートは桧垣東児に強い影響を与えた。 ヘルガの語った「停滞した人類の新たな進化」はポケ10において超能力者という形で実現する。 余談だが主任研究者のドクターことジーラー・ジェンキンスは、しあわせ島での研究結果を元に大成して未来では偉大な科学者として有名になっている。 ルート次第で主人公はヤギとチョメチョメして責任を取るハメになるのに、美人の奥さんも貰ったらしい。 【パワポケ8】 禁止薬物に指定されるほどヤバい代物となっている。 大神ホッパーズの選手にやっぱり秘密裏で投与されているが、しあわせ島に比べて微量なため深刻な副作用はでていない CCR隊員にも中毒や副作用を起こさないよう計算して投与されていた。 そりゃサイボーグ説を置いといても主人公があんなんなるわ。 【パワポケ10】 ジャジメントの箱庭として親切高校で実験が行われている。 ドクターのレポートに感銘を受けた桧垣によって任意の薬物実験の他、水道水に混ぜるなどの手法で投与。 閉鎖的とは言え高校での実験なので、さすがに濃度を薄めて中毒症状は出していない。 「身体能力強化」から「超能力の覚醒」に重点を移しており、正史では大江和那と天月五十鈴が能力に目覚めている。 (五十鈴は検査に非協力的で能力の結末も曖昧なため、状況から判断した桧垣の推測だが) 親切高校以外にもジャジメントの実験施設は存在しており、武内ミーナは噂程度に情報を得ていた様子。 また北乃先輩のイベントで、車坂監督がしあわせ島と思われる事件について語る。 【パワポケ11】 従来薬品の10倍程度の割合で超能力に目覚めるが危険性も増した「ハピネスX」が開発されている。 ランダムイベントではポケ6でしあわせ島にいた倉刈仁志が登場。 深刻な中毒症状により「野球が好き」という思い以外は曖昧で、自分の名前すら忘れかけている。 ルートによってはホームレスになったり死亡する。 【パワポケ14】 アメリカ軍が備蓄していた大量のしあわせ草エキスを、ジャジメントのマゼンタとルチアが強奪。 世界大会編で、ジャジメントが拉致した超能力者や魔球・魔打法に目覚めた子供達に投与され、発生したマナがドリームマシンのエネルギー源として使われていた。 【消費アイテム】 ポケ6以降は消費アイテムとして持ち込みやイベントでの入手が可能。 禁止薬物をプレゼントしてくれる彼女ってどうなのよ。 効果は使ってみるまで分からない。 体力が微回復から特殊能力獲得、怪我完治や経験点マイナスまで幅広い。 プラス効果が多く持ち込みコストが低いので、初っ端に使ってセンス○等が付けば儲けもの。 ポケ7初期ROMでは特殊な手順で使うと「登録選手の能力がサクセス中の選手に反映される」というバグがある。 つまりつよくてニューゲーム状態で、GB版2の転生を一切のデメリット無しで何度でもできる感じ。 野生のトカゲ(としおくん)に効果あったので、他の生物でも実験が行われていそう。 ポケ12時点では肉食フナムシや巨大ゴキブリなどそれっぽいのの他、超能力を持ったドラゴンもいる。 ちなみに、いずれも裏サクセスに登場した奴ら。 余談だがBB団の成果をジャジメントが継いだのは、BB団がジャジメントの下部組織だったため、 BB団員すらそのことは知らなかったようだが、崩壊時の様子からヘルガは知っていたと思われる。 2. チュンソフト制作「風来のシレン」に登場するアイテムの名称。分類はその名の通り「草」である。 飲むとシレンのレベルが1上昇する、純粋なプラスアイテム。レベルが上がった直後に飲んだ方がお得であるのは言わずもがな。草投げの杖に入れてパーティのレベル上昇を図るも良し、よくきき草と草受けの杖を併用して大幅なレベルアップを行うも良し。 異種合成が登場した『2』からは武器や盾に合成させることができ、『2』と『アスカ見参!』では倒した時や攻撃を受けた時に経験値がもらえ、『3』以降では合成した武具の基本値が上昇する。 敵に投げても同等の効果があるため危険ではあるが、序盤で吹き飛ばしの杖と一緒に手に入れば、あなぐらマムルにしあわせ草を投げてどうくつマムルにレベルアップさせ、吹き飛ばしの杖を使って倒す、なんてことができる。序盤であればレベルの上昇量はそちらの方が大きい。 上位互換アイテムの天使の種ほどでは無いにせよ、性質上一歩間違えると比較的取り返しのつかないことになりがちなアイテムであるため、 一つ目の彼が出て来るフロアで、盾に山びこを合成していない場合、草受けを探す前にいっそ飲んでしまったほうが良いかもしれない。 追記・修正をお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] シレンシリーズでこれ飲んで幸せになったと思ったことはほとんどない。敵にぶつけたときの方が結果的に幸せだったと思うくらい -- 名無しさん (2014-01-26 20 28 05) ゲイズのことかぁー!! あいつのせいでラセン風魔投げたのは苦い思い出 -- 名無しさん (2014-01-26 20 39 32) し あ わ せ -- 名無しさん (2015-02-13 13 58 29) やべえ シレンもパワポケも大好きなのにこれ見てしあわせ草が共通してることに気付いたわ(名前だけで全くの別物だけど) -- 名無しさん (2015-10-07 00 15 38) 名前 コメント
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【名前】 しあわせ湯 【読み方】 しあわせゆ 【登場作品】 仮面ライダーリバイス 【詳細】 「五十嵐家」の営む銭湯店舗。 五十嵐家の自宅も兼ねている。 お客さんは多い。
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パワプロクンポケットシリーズに登場する重要アイテム。 初登場はパワポケ6の裏サクセスしあわせ島編。 しあわせ島に自生する植物で、作中グラフィックでは紫色の花を咲かせている。 服用すると様々な効果があるが、太平洋戦争〜現在にかけてまで実験中でまだ全貌は分かっていない。 ポケ6以降は消費アイテムとして持ち込みやイベントでの入手が可能。 効果は使ってみるまで分からない。 体力が微回復から特殊能力獲得、怪我完治や経験点マイナスまで幅広い。 この植物についてはいろいろと語りたいのだが、話すと長くなるので詳しいことは「パワポケ考察 Wiki*」などで調べたほうがいい(ただし、自己責任で)。 因みに他のパワポケの裏サクセスにもしあわせ草は登場していてハタ人間編と秘密結社編では合成用の素材アイテムとなっている。 本作では蓬莱編で八意 永琳が作るとある薬の材料として使われているということを永遠亭の地下施設で明らかになる。 余談だが、「風来のシレンシリーズ」にもその同じ名前のアイテムが登場する。効果はシレンのレベルが1上昇する、純粋なプラスアイテムである。
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『しあわせ家族とお姉さん2』 32KB 愛で 不運 日常模様 野良ゆ 現代 独自設定 続きます。 「こんにちは。ゆっくりしていってね」 「「ゆっくりしていってね!」」 「「「「「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!」」」」」」 お姉さんとの初めての交流から二ヶ月ほど経ち、 ゆっくり達は警戒する人間への確認の挨拶から、普段のゆっくり同士が使う挨拶へと自然に変わっていった。 特に赤ゆっくりたちは、親ゆっくりの許しを聞かず、表情も見ないで甘え倒しにすりよってくるくらいである。 「おねーしゃん! しゅーりしゅーりちゆよ!」 「れいみゅ、おうたがじょーじゅになったよ! ゆっくちきいちぇにぇ!」 「おねーしゃんのかみ、いちゅもぴーかぴかだね!」 「ゆぅーん! たくしゃんゆっくちしよーね! ゆっくち!」 少しだけゆっくりしていない顔の優しいお姉さんが来ると、暖かい雰囲気がさらに暖かくなる。 その光景を見て、父まりさと母れいむはしあわせーな顔をして、眼を細めた。 お姉さんはいつもと同じく指を巧みに使って、赤ゆっくりとスキンシップを図っていく。 「ゆあっ! おねーさん! ゆっくりしていってね!」 金網フェンスの穴から戻ってきた子れいむは、お姉さんの姿を見るやいなや、お姉さんの足に思いっきりぶつかっていった。 しゃがんで、赤ゆっくりたちを指であやしていたお姉さんは、子れいむの衝撃くらいではびくともしない。 子れいむは、お姉さんを信頼しきっていた。 全力で体当たりしても、その大きなお姉さんの身体にはすこしも通用しないことを。 甘えた時に草や泥の汚れがついたって、お姉さんは怒ったりしないことを。 遠慮せずに接した方が、お姉さんは嬉しく思って笑っていることを。 子れいむはもう一度体当たりしようと距離をとり、力をためてから前に跳び跳ねた。 お姉さんは足に命中する前に両手で受け止めて、そのまま自分のひざに子れいむを乗せる。 「れーむはおねーさんとすーりすーりするよ!」 子れいむはそこから器用にひざから腕へ、腕から肩にぴょんぴょんと跳び移っていく。 一見すぐに落ちそうなものだが、子れいむのバランスの良さはたいしたもので、最近は飛び乗り方も様になってきて、そんな心配はどこ吹く風だ。 もっとも、落ちた時はお姉さんが助けてくれると、子れいむは確信しているが。 「れいむ。とってもゆっくりしてるね」 「ゆうっ! おねーさんもゆっくりしてるよ! すーりすーり!」 子れいむは、お姉さんとほっぺをすりあわせた。 お姉さんの指で触られるのも好きだが、今は直接のすーりすーりが一番のお気に入りだ。 顔がすぐ近くにあって、まるでゆっくり同士がするようにすーりすーりしている気持ちになる。 それに、お姉さんのほっぺはとっても暖かくて、最高にゆっくりできるのだ。 お姉さんとれいむはお互いにゆっくり顔で笑った。 「今日はなにをしていたの?」 「おねーさんがおしえてくれた、ふーわふーわさんをあつめてたよ!」 お姉さんは、ゆっくりプレイスの奥にある段ボールを見る。 組み立て家具用の大きめの段ボールを、春先に子れいむが見つけて家族で押して運んで来たものだ。 おそらく団地のゴミ収集場から持ってきたもので、 お姉さんは団地に入ると人間がたくさんいるから、ゆっくりできないよと言ったきりである。 親ゆっくりが段ボールの底に枯れたはっぱを敷きつめて、 その上に干した草を敷いて、 さらに何日かで取り換える新しい葉を置いているのが、このゆっくりプレイスの段ボール小屋である。 その小屋中に白いわたが、好き放題にちらかっていた。 「おねーさんがきたから、ゆっくりしないでもどってきたよ!」 「綿の実、たくさんあつめたんだね。さすがれいむ」 「もっとほめてね! たくっさんっでいいよ!」 ゆっくりは水気、とりわけ雨にはめっぽう弱い。 お姉さんはもうすぐ梅雨の季節になるので、綿の木の実の特徴と使い方を教えていた。 元から古いタオルが一枚あるものの、橋の下では直接の雨を凌げるだけで、長期的な雨への準備には不足していた為だ。 綿はまだ使わないので母れいむが隅っこに片付けていたものだが、 子れいむが口で運んで吐き出した後、誰かがちらかしたのだろうか。 「んんー……まあ、まりさ達と一緒に片付けるように、あとで言うか……」 「もっとおおきいこえでもいいよ!」 褒められて上機嫌の子れいむに今言うのは気がひけたのか、独り言をつぶやき、足の下に視線を落とした。 姉れいむに感心している赤れいむ。自分もすーりすーりしたい、と甘える赤れいむ。 姉れいむに習って、足に小さく体当たりを仕掛ける赤まりさがいる。 「うん。じゃあ、みんなで『おそらをとぶ』やつやろっか?」 「ゆわぁー! たくちゃんでいいよ!」 「おちょらちょぶの、とっちぇもゆっくちだね!」 「しょんなこちょより、あみゃあみゃさっさとよこちゅのぜ!」 「しょうよ! はやきゅれいみゅはちあわちぇー、ちたいの!」 赤ゆっくりの意見が割れた。 お姉さんが来る時、お菓子を持っていないことはたびたびあった。 そのたびに親ゆっくりがしっかり言い聞かせているので、こんなことは今までなかったのだ。 お姉さんは来れば必ず満足するまで遊んでくれるので、赤ゆっくりもそれで良いと考えていた。 お姉さんに文句を言っているのは、 よくよく見ればこのあいだ熱中症にかかり、永遠にゆっくりしかけた赤ゆっくり二匹である。 母れいむはショックを受けて目と口を開けたまま震えている。 子れいむはお姉さんの肩の上で眉をひそめて、赤まりさ達を見降ろしていた。 「おちびちゃんたち、元気になってよかったね」 「れいみゅはもっともっとげんきになりちゃいの! おねーしゃんはおばかしゃんだにぇ!」 「はにゃちをきけにゃいぐじゅは、まりしゃのあみゃあみゃおいちぇ『おちごと』いきゅのぜ!」 「んんー……オレンジジュースあげ過ぎたかな」 どうやら知らないうちに、赤まりさたちはゲス化が進んでしまったらしい。 「おちびちゃんたち、なにいってるのぉぉぉ!」 母れいむの声が合図になって、お姉さんの肩から、子れいむが落ちた。 肩からに腕にかけて落下し、そのまま腕から跳んで赤まりさ達に向かっていく。 子れいむの顔は、お姉さんを侮辱されたことと、母にショックを与えたことに対する怒りで溢れていた。 その時、父まりさが悠然と子れいむと赤まりさ達の間を遮るようにして立ちはだかった。 「いちゃい!」 「ゆじぇっ!」 父まりさは、自分のおさげで赤れいむと赤まりさをはたいた。 赤ゆっくりたちにとって初めてのことで、なぜ父が自分達を叩いたのか、信じられない様子だった。 「おとーしゃ、なにしゅりゅの!」 「まりしゃのほっぺ、ひーりひーりしちゃったのじぇ!」 「おちびちゃんたち。すこしもゆっくりしてないよ!」 「ゆがっ!」 「ゆびゅ!」 不満を表そうと、『ぷくー』をやりかけた赤ゆっくりに、父まりさは大きな声で言い放つ。 __ゆっくりしていない。 ふざけたり、急いで帰ったりするときに、自分達でたまに使っている言葉。 しかし赤ゆっくりたちにとって、まるで初めて聞いた言葉のように響いた。 ゆっくりしてるはずなのに、ゆっくりしていない。 それはどういうことなのだろうか、すぐには分からなかった。 「れ、れいみゅたち、ゆっくちしちぇるよ……?」 「ゆぐ……ゆっぐ……お、おとーしゃ、こわいのじぇ……」 自分達の『ぷくー』などとは比べ物にならない、父まりさの厳しい眼差しと態度に、赤まりさなどは涙を溜めて、しーしーをもらしそうなくらい萎縮して震えている。 「おねーさんは、みんなでゆっくりできるようにしてくれてるよ! だから、みんなゆっくりしてたよ! おちびちゃんたちが、ゆっくりしてないことをいうと、みんなゆっくりできないよ!」 赤れいむと赤まりさはゆっくりと考え始める。 みんながゆっくりできない風景をなんとなく思い浮かべて、ぶるっと震える。 「おとうさんもゆっくりできないよ!」 「ゆんやぁぁ!」 「ゆびぃぃぃ!」 強くて、優しい父まりさがゆっくりできないようなことを、自分達がしてしまったのだ。 それは、赤ゆっくりにとって経験したことのない何よりの恐怖だった。 「おとーしゃ……ごべんなしゃい!」 「まりしゃ、あやまりゅのじぇ……だからゆっくちちようね!?」 「おとうさんにいわないよ! おねえさんにいってね!」 「おねーしゃん……、ゆぐっ……ごべんなしゃい……」 「ゆっくちしてにゃい、まりしゃたちがぐじゅで、わがままゆっくちだったのじぇ……」 赤まりさと赤れいむは、地面に顔を擦り付けて謝った。 お姉さんは、最初から最後まで微笑みながら事を見守っていたが、赤ゆっくりたちの言葉に満足しているようだった。 「うん、いいよ。気にしてないよ」 赤ゆっくりは顔を上げてお姉さんを見て、しばらくしてから父まりさの方を向く。 父まりさはゆっくりしていた、優しい顔に戻っていた。 さきほどの恐怖はどこかへいってしまったのか、すぐに父まりさの方に跳んでいく。 「おとーしゃん! ゆっくちしてりゅよぉぉぉ!」 「まりしゃも、ゆっくちちていい!?」 「ゆぅ! ゆっくりごめんなさいできたね! えらいよ!」 赤まりさ達はひとしきり甘えた後で、すぐ近くで待っていた母れいむの方に寄っていく。 反省していることを思いつくまま言いながら、お母さんとすーりすーりし合う。 家族愛に満ちた光景を一歩引いた所で眺めていたお姉さんは、感嘆のため息をついて子れいむを見た。 「うーん。叱る時は叱る。さすがまりさね」 「れーむのおとーさんだよ! とうっぜんっだよ!」 「まあ、根は善良だろうし、心配ないかな。……あのおちびちゃん、いつもはどんな感じなの?」 「いもーとたちはとってもなかよしだよ! たまーに、わがままゆっくちになるよ!」 「……そっかそっか。別に今日、分からなくてもいいんだ」 「ゆーん? そうなの?」 「いつかは分かるもんよ。……嫌でもね。分かる日が必ず来る。……それに」 お姉さんはしばらく目を伏せて意味ありげに考え込んで、 「それに生意気言うのが、おちびちゃんの仕事よ。……ねー? れいむ」 かつて子れいむがお姉さんにしていたことを揶揄して、にやにやと笑った。 「ゆゆー……もうそんなことしないよ。れーむはおねーちゃんなの! いつまでもおびちちゃんじゃないよ!」 「それなられいむ、次からは妹たちに教えてあげられる? 自分勝手に怒るのはお姉ちゃんらしくないよー?」 「ゆっくりまかせてね!」 「よしよし。なら安心だ……さて」 お姉さんは 『はい! 注目注目!』とゆっくり家族たちに声をかけて、意識が集まるのを待った。 「もうすぐ、雨さんがたくさんふるようになるから、雨さんに濡れたらすぐに巣穴に戻って身体をふくようにね。 その時、お父さんとお母さんに拭き残しがないか、ちゃんと見てもらってね?」 「「「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!」」」」 赤まりさと赤れいむだけは、お姉さんの言葉に返事をしなかった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ゆっくりは、雨にとても弱い。 遮蔽物のない所で雨に打たれては、ひとたまりもない。 濡れた部分から発生するカビも恐ろしいものである。 都会で暮らすゆっくりにとっては、心ない人間に次ぐ天敵と言ってもいい。 それでも、直接触れない湿気などにはある程度耐性をもつ。 保存剤、安定剤の入った饅頭よりも、活動している生饅頭の方がカビにくい、というのは、 ちょっとしたミステリーである。 ここのところ数日ほど、雨が降り続いている。今日も朝から今まで同じ空もようだ。 橋の下、階段の裏側に置いてある段ボール箱には雨は届いていない。 しかし周囲の草や空気中から、湿気を吸って表面は濡れている。 段ボールの中では、ゆっくり家族たちが身体をくっつけて雨に耐えていた。 二日三日ほどはそこから見える景色に、いつ太陽の光が差し込んでくるのか、わーくわーくと待ち望んでいたが、 現在のゆっくりプレイスにそんな余裕は見られなかった。 「ゆぎぎぎぃ……ゆぐうぅぅぅ……!」 「ゆっぐち、ゆっぐちでぎないのじぇ……!」 段ボール箱の狭いスペースで、赤れいむと赤まりさがのたうちまわっている。 2匹の皮の表面には、ところどころ緑青色のカビが生えていた。 「ゆぐあぁぁぁ! かびしゃんとれにゃいよぉぉ!」 「どーなっぢぇりゅのぉぉぉ! まりじゃのすーべすーべのほっべぇぇぇ!」 普通であれば、カビのついた皮はすぐに古くなり、新しい皮が作られていく。 よほどの老ゆっくりか、実ゆっくりでもなければ、カビの繁殖速度よりは代謝が上回り、体内の餡子まで蔓延ることはない。 長い期間の雨、まだまだ幼い赤ゆっくりだということも原因のひとつではあるが、 それよりも十分に皮の水分を取り除かなかったことが他の赤ゆっくりたちとの命運を分けた。 お姉さんの注意をろくに聞かず、親ゆっくりたちに皮づくろいをしてもらわずに濡れたままにして、 おちびちゃんたちだけでゆっくりした結果が、これである。 「おちびちゃん……ゆっくり、ゆっくりなおってね……」 「ゆうぅっ……!」 カビが一度生えてしまうと、できることは少ない。 父まりさと母れいむは、2匹に対してぺーろぺーろもすーりすーりもできず、気休めの言葉をかけることしかできずにいた。 子れいむはどうしたらいいか分からず、ただそばにいる妹たちと身を寄せ合って震えている。 「ゆっぐぢ……? ゆっぐぢちでないで、だじゅげでね!」 「ばやぐやむのじぇぇ! ごのぐぞあ゙め゙ぇぇぇ!」 「ゆあ……だいじょうぶ、だいじょうぶだからね……」 「もうすぐあめがやむよ! ぽーかぽーかできるよ!」 注意を払ってさえいたのなら避けられたトラブルである。本来、皮についたカビ程度なら、陽に当たって乾けば治る。 しかし、カビが餡にまで回れば、自然治癒はもう見込めない。 それよりも、一度ゆっくりプレイスにカビが蔓延れば、 その居住区は、清潔に保った成ゆっくりでもカビへのリスクは跳ねあがる。 赤ゆっくりや、子ゆっくりにもそれ以上に影響を及ぼすのは言うまでもない。 「がびじゃんなぐぢぇぇぇ! ばや゙ぐじりょぉぉぉ!」 「れ゙ーみ゙ゅゆっぐぢでぎな゙い゙ぃぃぃ!」 「ゆぅ……まりさ……」 「れいむ……」 れいむの表情は不安で頼りなく揺れていた。 お姉さんのアドバイスで溜めていた、草わたも少なくなってきている。 カビのはえた赤まりさ達があっちこっちに転がり回るので、段ボール内の空気も良くない。 ゆっくり達には見えないが、カビの胞子も飛散して漂っているだろう。 __このままではいけない。でも、どうしたらいいかわからない。 「れいむ。だいじょうぶだよ」 まりさが落ち着いた声でれいむを励ます。 自信過剰な傾向があるまりさ種の中で、父まりさは必要以上に自慢や主張をするゆっくりではなかった。 その控え目な態度から、周りのゆっくりはまりさを弱くて頼りにならないと見下していたが、 れいむは自分にはない冷静な判断と、いざとなれば思い切った行動をとれるゆっくりだということを、 小さい頃からよく知っていた。 「ゆっくりするよ! みんないっしょっ! だよ!」 父まりさは、頭を前に振って帽子を取ると、口でくわえて逆さに置き、苦しんでいる赤れいむ達に声をかける。 「おちびちゃんたち、おとうさんのおぼうしにはいってね! あめさんがあがるまで、ゆっくりすーやすーやしていいよ!」 「……ゆ、ゆぅ……おとーしゃん……」 「まりしゃ……ゆっくちしたいのじぇ……」 「おとうさんといっしょにすーやすーやしよう! ゆっくりできるかな?」 動き疲れて疲労が色濃くなった赤れいむと赤まりさが、のそのそと這うようにして父まりさの帽子に転がりこんだ。 生まれて間もない頃、赤ゆっくりたちは父まりさの帽子の中で過ごしていた。 れいむが茎から生み落とす実ゆっくりを、まりさが残さず受け止めて、愛情を込めて育てていた時期がある。 その天井を見る光景が、赤れいむたちには懐かしく感じられた。 「おとーしゃんのおぼうち……ゆっくちできりゅよぉ……」 「ゆー……あったきゃいのじぇ……」 れいむもその時のことを思い出して子守唄を歌い始め、まりさが帽子をゆっくりしたリズムで揺らす。 カビのせいで昨日も今日も眠れなかった赤れいむと赤まりさは、安心感からすぐに眠りについた。 まるで初めて帽子の中で眠った時のように、何の不安も感じさせない、ゆっくりした笑顔でいる。 周りを見れば、子れいむと妹たちも、寄り添っていつの間にかすーやすーやしていた。 先ほどの喧騒とはうって変わって、今は小さな寝息と雨の音だけが響いている。 ひさしぶりの静寂が、ゆっくりプレイスに訪れていた。 「おちびちゃんたち、ゆっくりねちゃったよ……」 「うん」 「れいむもすーやすーやしよう? ながいあめさんで、ゆっくりつかれてるよね?」 「うん、そうだね……」 れいむは改めて、まりさの存在の大きさを確認していた。 自分だって充分に眠れていないのはずなのに、疲れている素振りは見せず、優しく言葉をかけてくれている。 まだお互いに、子れいむと子まりさだった時から今もずっと、まりさは変わらない。 「まりさ。……ゆっくりありがとう」 「どういたしまして! れいむ。……ゆぅ?」 れいむはまりさに頬を寄せて、すーりすーりをした。まりさもそれに応える。 いつもの自然なすーりすーりではなく、まるで初めて頬と頬を合わせた時のような初々しいすーりすーりに、 れいむもまりさもしばらくの間、夢中になった。 「……ずーっとずっとゆっくりしようね」 「うん。ずーっとずっとゆっくりするよ!」 見渡せば愛しい家族がすやすやと眠っていて、目の前には世界で一番好きなゆっくりがいる。 どんなにゆっくりできないことも、いつだって乗り越えてきた。 これ以上に嬉しいことがあるだろうか。 れいむとまりさは幸せを確かめるように、すーりすーりやちゅっちゅを繰り返していたが、 なにやら物音がしたので慌てて止めた。 見れば、カビに侵された赤ゆっくりの入った帽子が、かすかに揺れている。 しーしーの音とともに、逆さまになった帽子の底がじわりと濡れて、したたり始めた。 すぐに、しーしー独特のにおいが立ち込める。 二人は顔を見合せると、ちょっと笑って離れた。 「おちびちゃんたち、あかちゃんのときをおもいだしたのかな?」 「ゆうっ! すぐにきれいにしてあげるよ!」 まりさは、大切な帽子が汚れたことは少しも構わず、濡れた寝床を拭くために草を口でくわえようとする。 その時、まりさの帽子が大きく揺れて傾いた。 「まりさ……まりさ!」 「ゆーん? どうしたの……ゆあああっ!」 くわえた草が、ぽとりと落ちた。 それとおなじように、横になった帽子から転がって、そのままになっている赤ゆっくりが見えた。 うつ伏せの赤れいむ。仰向けの赤まりさ。 どちらもカビの生えた饅頭の皮はそのままに、しーしーを垂れ流した姿で、白目をむいて口端から泡を吹いていた。 「ゆ……くぎ……」 「……じぇ……」 「おちびちゃぁぁぁん! しっかりしてぇぇぇ!」 「ゆぅ……!」 その痙攣しながら苦しんでいる様子は明らかに先ほどの症状とは違っていた。 水分の取り過ぎか、激痛や恐怖によるものなのかは父まりさには判別できないが、 カビの影響なのは疑いようがなかった。 「ゆっぐじじで! ゆっぐじでないよおおおぉぉぉ!」 「おちびちゃん……」 透明な泡は、次第に餡子の混じった色になって、口から吐き出されている。 「まりさ……?」 心配な表情で赤ゆっくりを見ていたまりさが、ふいっと視線を外して、入り口から雨の降る茂みを睨んだ。 その真剣な眼差しに、雨に対する敵意はない。 ただ、静かな決意と覚悟が見て取れた。 「どうしたの……? まりさ」 「にんげんさんに、たすけてもらうよ! 『だんち』までいけば、にんげんさんがいるよ。 おねえさんとおなじ、ゆっくりできるにんげんさんをつれてくるよ!」 団地までは雨と濡れた地面に容赦なくさらされる。 連日続いたせいか、雨足はそこまで強くない。まりさ種は帽子のあるおかげで、急に振り出す雨には他の種に比べて強い。 しかし濡れた地面に、直接身体をつけて跳ねていくことに変わりはなく、そこに種による違いはない。 ものの数分で動けなくなり、その後はじわじわ足から融けていき、苦しみながら死ぬだけだろう。 「……まりさ」 「『だんち』にはかならずつくよ。それに『だんち』につくまえに、にんげんさんとあうかもしれないよ!」 まりさは、団地までたどり着くことを確信している。 運が良ければ、その前に人間と出会うかもしれないことも考えている。 赤ゆっくりを助けてくれる人間を連れてくることも疑っていない。 しかし、そこにはまりさ自身を考慮していない。 ゆっくりできない人間に何をされるか分からないし、雨のため、元通りの身体には戻らなくなる可能性が高い。 当のまりさはそのことは語らず、心配をかけさせまいと明るくふるまった。 「まりざぁ……!」 「おちびちゃんたちは、まりさがまもるよ。 それまで、ここはまかせるからね。……ゆっくりりかいしてね!」 「まって! ゆっぐりじでいっで……いがないでよぉ……ばりざぁ……」 「れいむ。だいじょうぶ。かならずもどるよ……こんなあめにまける、まりさじゃないよ!」 まりさはあえて、自信たっぷりにそう言った。普段とは違い、眼を細めて自信たっぷりに笑って見せるのだ。 そうして逆さに転がっている帽子をくわえて被り直そうとすると、 段ボールの外が妙に暗く、雨の音も遠いことに気が付いた。 まりさは不思議に思い入り口に立って様子を見ようとすると、唐突に上の方から声が響いた。 「雨、夕方には上がるってさ。明日はたぶん晴れるよ」 大きな黒い傘を差した、お姉さんがそこにいた。 いつもここに来る時履いている運動靴もズボンの裾も、濡れて汚れている。 「「おねえさん!」」 「雨が続いたからね。……様子を見に来たんだ」 「おねえさん! おちびちゃんを、おちびちゃんをおねがいします!」 「がびざんで、ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙んでず! だずげでぐだざい゙ぃ゙!」 「んんー……落ち着いて。ほら、替えのタオル」 お姉さんは、乾いたタオルを母れいむと父まりさに被せる。 「とりあえずまりさ。その帽子は雨で洗って、あとで乾かそう。ゆっくりには気になる匂いでしょ?」 人間には多少古くなった砂糖水に思えても、 ゆっくりにとってはしーしーやうんうんのにおいは耐えがたいものである。 「その前に、まずはこの子たちを診るんだけどさ」 「は……やぐっ……にん……げ……」 「たす、けろ……のじぇ……!」 「やっぱカビたか……んんー」 お姉さんは2匹の全身をざっと見てから、 もう一度手で支えて角度を変えて、カビている部分をチェックする。 「おねえさん……おちびちゃんたち、ゆっくりなおる?」 「体力はともかく、カビた皮はなおしにくいかな。……たいした問題じゃないけど」 心配そうなまりさにそう答えて、 お姉さんはカバンをまさぐり、そこからパックのオレンジジュースと小麦粉の袋を出した。 「ざっざど……なおぜぇぇぇ……!」 「ごの……ぐぞ……ゆ゙っ?」 悪態と暴言を止めるように、オレンジジュースの入ったストローを突き出して、 数滴、赤まりさと赤れいむの口の中に入れた。 「オレンジジュースは万能じゃない。カビた部分は取り除いて、小麦粉で皮を作って埋めないと。 治すんじゃなくて修復に近いから『痛み』はしばらく残ると思う。後で文句言わないでね」 「ゆげっ!?」 「ゆぎぃっ!?」 オレンジジュースを含ませたストローの先で、カビた部分を手際よく削いでいく。 その姿は、和菓子に飾りの模様を付ける職人のようだ。 「い……い゙でぇぇ!」 「い゙じゃぃ゙っ! ゆっぐりやざじぐぅぅ!」 「だから無理だって、カビてるんだから。ゆっくりおとなしくしててね。 カビはあと数か所あるし、それに周囲の皮も削ぎとらなきゃ穴はふさげない」 お姉さんは、さらにカビていた部分の周りも削り始めた。 「ゆ゙がぁ! に゙ん゙げ……お゙ね゙ーざん゙! もっどやざじぐぅ! じでぐだざい゙ぃ゙ぃ゙!」 「あ゙な゙ぼごだら゙げにじな゙い゙でぇ゙! ばり゙ぢゃ゙のぎれ゙い゙な゙がら゙だぁ゙ぁ゙!」 「オーバーだなー……オレンジジュースで痛みは和らげてるし、そんなに深い所までカビてないよ?」 「ぞごばだめ゙っ゙! だめ゙っ゙! だめ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙っ!」 「れ゙い゙み゙ゅのざわ゙っぢゃい゙げないどござわ゙っでる゙ぅ゙ぅ゙!」 なんだか小さい時、初めて歯医者さんに行った時みたいだなぁ。と感想を漏らし、 お姉さんはざっくりと治療を続け、ゆっくりプレイスに阿鼻叫喚の声は響き渡っていた。 夜になり、雨が上がる頃には痛みも和らいだが、 しばらくは雨を見るたび、赤れいむと赤まりさはこの時の痛みを思い出して叫んだのであった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「「「「ゆ~♪ ゆゆっゆっゆ~♪ ゆ~ゆゆ~♪」」」」 ゆっくりプレイスに、歌声が響き渡る。 小鳥のさえずりとはまた違う、母れいむに教えてもらった音程とリズムは、 ある種類の人にはとても不快に聞こえ、苛立たせる。 ある種類の人にはとても安らぎを覚え、つい微笑んでしまう。 子どもの歌う、少し外れた歌声に似ているものだ。 「まあまあね。れーむのつぎくらいにはうまくなったわね!」 「かりは、まりさのほうがじょうずだじぇ! つぎはとんぼさんでもつかまえてくるのじぇ!」 赤ゆっくりから子ゆっくりに成長した子れいむの歌は、 ゆっくりの水準からいっても上出来で、聴くゆっくりをしあわせーにするほどだった。 カビで死にかけた子まりさも子れいむも、同じく大きく育っている。 素直に褒めないところや出来ないことを簡単に言うところをみるに、精神的なところはまだまだ成長していないが。 聴き入っていた父まりさは、歌が終わるころには眠りについていた。 元々狩りから戻ってきたお父さんを労おうと、子れいむ達がやろうと言い出したことで、 最近は、狩りから戻ってひと寝入りする前に歌ってもらうことが日課になりつつあった。 「ゆふふっ……おとーさん、すーやすーやしちゃったよ……」 「れーむたちのおうただもん。とうっぜん! でしょ!」 「ゆわぁぁー……れーむもすーやすーやしたくなってきたよ……」 子れいむのうち何匹かは、そのまま父まりさのそばに行き、軽くすーりすーりをすると、 お昼寝をするべく、うとうとし始めた。 正午をだいぶ過ぎ、日差しも弱くなってきた。お昼寝には絶好の時間である。 子れいむと子まりさの2匹は、狩りの練習でもしようと勝手にゆっくりプレイスの外に行こうとしていた。 その2匹を注意したいのか、ついて行きたいのか、一番成長の遅い子れいむがぴょんぴょんと後を追う。 まりさたちが金網フェンスの穴を潜ろうとした時、急に付近が薄暗くなる。 振り返ると、お姉さんが立ったまま覗き込んでいた。 「おお、元気元気。……しばらく見ないだけで、すっかり大きくなったね」 「ゆげぇ! にんげ……おねーさん……!」 「きゅ、『きゅーけーじかん』で、こ、ここにきたのじぇ……?」 「そうだよ。まだまだ暑いってほどじゃないね。……外の方が休める」 前回の痛みをともなった治療の影響もあり、子れいむと子まりさの顔は引きつっていた。 あのとき以来、お姉さんに会う時はいつもこんな感じである。 「おねーさん! ゆっくちしていってね!」 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 一番小さい子れいむが、元気よく挨拶をすると、 すーやすーやしかけていた子れいむたちも声を揃えた。 「おねーさんのかみのけ、とってもきれいでゆっくりしてるよ!」 「かみかざりも、きらきらしててすてきね!」 「すーりすーり! きょうもたくっさんっ! あそぼうね!」 他の子れいむ達は、揃ってお姉さんに甘えたり、褒めたりしてすり寄っている。 その光景は、いつからか2匹にとって面白くないものに変わっていた。 「れーむのおりぼんさんのほうがすてきでしょ!」 「まりさのぼうしさんにはかなわないのじぇ!」 ゆっへん! と自慢をする二匹。 善良なゆっくりなら、過剰に自画自賛はしない。 その態度が余計な敵意や害を運んでくることを、いつの間にか覚えるものだ。 「んー……そうね。今日もみんな、とってもゆっくりしてるよ。おうたも上手だったよ。れいむ達」 「ゆがー! れーむのことだけほめなさいよ……!」 「れーむ、ぐずなにんげんはむしするんだじぇ」 ぷりぷりと怒るれいむを、まりさが軽くたしなめる。 「まりさとれいむがゆっくりできているのはあたりまえなのじぇ。ぐずなにんげんにきいてもいみがないじぇ」 「ゆー。……それもそうね! だめなにんげんにいくらいってもだめね!」 そう言って、お姉さんに聞こえないように小声で話をする。 実際、お姉さんの髪飾りは、とてもキラキラしてゆっくりしたものに見えているのだが、 お姉さんの髪飾りをつまらないものと言い切ることで、自分達の溜飲を下げて満足したのだ。 「そうだ。れいむ……お姉ちゃんれいむはどこに行ってるの?」 「おかーさんといっしょに、おはな……じゃなくって! ゆぅ……」 「か、かりにいってるよ!」 「そうそう! かりがうまくなりたい! っていってたよ!」 慌てて答える子れいむ達。しかし、いけないことをごまかそうする様子ではなく、 何か楽しみにしているものをあえて隠そうとしているようだ。 「狩り、ね……そうか。じゃあ、少し待たせてもらおうかな」 そう言って、入り口にある区画を遮る低いフェンスに腰かけると、カバンからサンドイッチを取りだした。 「今日は、あまあまがあるよ。……みんな揃ったら食べようか」 ゆほぉぉぉぉ! と子ゆっくり達から歓声が上がった。 その声で一瞬父まりさが眼を開けたが、 子ども達とお姉さんの姿を認めると、またゆっくりとすーやすーやに入りだした。 子れいむ達は食事中のお姉さんを邪魔しないよう、たくさん声をかけたり、遊びに誘ったりはしない。 別にそんなことでお姉さんは機嫌を損ねないし、 あまあまを減らしたり無くしたりされないことは分かっている。 あくまで信頼しているお姉さんへの、子れいむ達の思いやりである。 「……どうしたの? まだあまあまはあげられないよ?」 しばらくすると子まりさと子れいむが無言で寄って来た。 お姉さんに対する親しい様子は見て取れない。ぷくぅーをする一歩手前といった表情だ。 「あまあまは、れいむがとくっべつ! にむーしゃむーしゃするのをがまんしてあげる!」 「おかーさんとおねーちゃんがかえってくるのを、ゆっくりまつのじぇ! べっつにっ! おねーさんのことをまってるわけじゃないのじぇ!」 敵意はないようで、好いてはいないが嫌っているわけでもない。 今まで家族を悲しませたことは無かったし、あまあまをたまに振る舞い、時には命を助けてくれたりもした。 まりさ達の気持ちをあえて表すなら、 たまに見下したり、からかったりはするが、基本的には無関心、無関係でいたいといった感じだろう。 「……いもーとたちをゆっくりさせるなら、ゆっくりここにいてもいいわ!」 「まりさたちは、あまあまがむーしゃむーしゃできればそれでいいじぇ」 「ふぅん……、そうなのかー」 お姉さんは少し感心した様子で、思いっきり伸びをすると、草むらに座った。 この姿勢の方が、子れいむたちと遊びやすいし、何より一緒に遊ぼうというお姉さんの意思表示でもある。 子れいむたちが待ちかねたようにお姉さんに跳ね寄るちょうどその時、 金網フェンスの穴から母れいむと姉れいむが帰って来た。 「ただいまー! ……おねーさん! ゆっくりまってたの!?」 「おかえりれいむ。ご飯を食べて、ゆっくりしてたよ」 姉れいむは騒がしく声を立て、嬉しそうにぴょんと跳ねた。 すっかり美ゆっくりになった外見から、まだまだ相応の落ち着きは備わっていないようだ。 「ゆぁ! ……み、みた?」 「んん? なに?」 姉れいむは後ろに何かを隠していた。 ゆっくりの、それも成ゆっくりになりたての姉れいむのサイズでは、隠しきれるものではないが、 ちらっと見た限り、花飾りのようなものとしか判別できない。 お姉さんは特に聞いたり見たりはせず、その場の流れに沿って座ったままにしている。 姉れいむは気づかれていないと思い、安心して息を吐いた。 「ゆゆー、みてないなら、なんでもないよ! ……めをとじて、『て』をまえにだしてね! りょうほうでいいよ!」 「んん……こう?」 お姉さんは言われるままに眼をつむり、両手を差し出した。 ゆんしょ! ゆんしょ! と声が徐々に近付いてくる。 そのまま、手のひらに姉れいむが乗ったようだ。成ゆっくりにしてはまだまだ軽めで、楽に乗せていられる。 「そのままゆっくりもちあげてね! ……ゆわぁー。おそらをとんでるみたいー♪」 「ええっと……。新しく考えた遊び?」 れいむが、これくらいでいいよ! と言ったので、お姉さんは手を掲げるのを止める。 手の高さはお姉さんの頭と同じくらいで、 姿勢を正した座り方から、ちょうど神様にお供え物を捧げるような格好になっていた。 「めをあけてね! れーむからの『ぷれぜんと』だよ!」 ゆっくりと眼を開くと、姉れいむのきらきらした顔が視界に跳び込んでくる。 お姉さんの頭には、花輪が乗せられていた。 「いつもゆっくりさせてくれて、ありがとう! おねーさん!」 姉れいむは成ゆっくりになっても変わらない、元気一杯な笑顔を見せた。 アジサイの花びらをあしらった冠はかなりの出来栄えで、人間が作るものと遜色ない。 青紫や赤紫、薄い色も濃い色も規則性なく散りばめられていて、花を束ねる部分も器用に結ばれていた。 ゆっくりの口だけでこれほどの物を作るのに、根気も時間もいっただろう。 「おお……! って本当にすごいなこれ……」 「おかーさんにつくりかたをならったよ! おかーさんははなかざりのめいっじんっ! だよ!」 手で触ると、見た目よりもずっと頑丈な作りだったようで、思わず素の嘆息が漏れた。 フェンスに巻きついたつるを使い幾重にも束ねてあって、簡単にはほつれそうにない。 「……素敵なプレゼント、ありがとう。れいむ」 「ゆうっ! どういたしまして!」 拍手の代わりに、周りから子れいむ達の歓声が上がった。 母れいむは花飾りを見て、誇らしげに笑っている。親から子に伝えられるうちのひとつを伝えられて、とても満足そうに。 父まりさもいつの間にか起きていて、自分の子どもの成長に眼を細めている。 「さあ、少し早いけどおやつにしようか? 今日はビスケットがあるよ」 「ゆっ! いもーとたち! はっぱさんをもってきてね。 いちまいずつでいいよ!」 興奮する子れいむ達をなだめ、指示をとばす姉れいむ。 子ゆっくり達がはっぱを揃えるまでに、手際よく母れいむと父まりさの分の葉をすでに用意して待っている。 「おねーさん! きょうはれいむがびすけっと、ぐーりぐーりするよ!」 「じゃあ、任せるよ。お願いね」 「うん! ……ゆうぅぅぅ、はあぁぁぁ……」 空手の瓦割りよろしく、三つのビスケットを前に、精神統一をはかる姉れいむ。 気合いが入り過ぎなんじゃないか、とはあえて突っ込まないお姉さん。 少しの間があり、やがて 「……っせーっの! ゆあぁ! ゆえぃ! ゆおぉ!」 掛け声とともに3度、跳ねた。三つのビスケットは正確に中心を打たれ、 それぞれ大まかだが4等分に割れた。 歓声が上がり、はにかみながら応じると、お父さんお母さん、妹たちと順番に並べていく。 不足があれば子まりさ子れいむが口を出すので、なるべく等分に分けることも忘れない。 おやつを食べる時の号令は、普段はお姉さんか父まりさ、母れいむがしていたが、 3人とも目配せをして、姉れいむにお願いしていたので、それに応じる形になった。 「ゆゆ~……では! ゆっくりいただきます!」 「「「「「「「「ゆっくりいただきます!」」」」」」」」 昼下がりのすーぱーむーしゃむーしゃタイムが始まり、 次々にしあわせー! と連呼される光景を、お姉さんは微笑んで眺めている。 口寂しくなったのかパックのオレンジジュースを飲み始めると、姉れいむが声をかけた。 「おねーさん、どうぞ!」 袋に入ったままのビスケットが1枚、差し出される。 お姉さんは、人間が草や土に食べるものが触れると嫌がることを特に教えてはいない。 今までの昼食や、おやつを持ってくるときの様子や心の動きを読み取って配慮したのである。 「あら……? れいむの分はどうしたの?」 「れーむはさっきたべたよ。きょうはおねーさんにゆっくりたべてほしいよ……!」 配るとき、少し舐めた程度のことを言っているのであれば、随分と謙虚な姿勢だった。 姉れいむは催促というより、何か大切な願いを聞いて欲しいような面持ちで返事を待っている。 お姉さんは困り眉を上げて一息つくと、姉れいむの頭をぽんぽんと撫でた。 「んん~……すっかりお姉ちゃんだね。れいむ」 「ゆへへ……そう? そうかな……」 先ほどの真剣な表情はどこへいったのか、とたんに緩んだ表情を見せる。 「まだまだ、できないこともあるけど……おねーさんがほめてくれると、れーむはうれしいよ!」 「そうね……とってもゆっくりできるお姉さんになったあなたに、これをあげる」 そういって花の冠の下、いつも付けている髪留めを外した。 ちょっとした装飾が施されている白い髪留めを姉れいむに見せると、前髪を分けるようにして付けてあげる。 「ゆわぁぁ……! ぴかぴかのかみかざり! おねーさん! い、いいの? れーむがもらってもいいのっ!?」 お姉さんは返事をする代わりに、にっこりと笑った。 「ゆううっ! すっごくにあってるよ! おねーちゃん!」 「ゆ! ゆっ! ぴかぴかして、きれいだねー!」 「おねーさんみたい……とってもゆっくりしてるよ!」 口ぐちに褒める妹たちに、姉れいむは反応しなかった。 声を出さず、すぐに跳ねまわることなく、ただ震えている。 その瞳は髪留め以上にきらきら輝いて、いつもと違う前髪を気持ちよさそうに眺めている。 やがて全身をきゅっと縮めると、 まとまった髪がわずかでも崩れないように、小さく跳ねて喜びを表すのだった。 「「どぼじでぇぇぇぇ!?」」 同じく震えていた子まりさと子れいむも、口端についたビスケットを飛ばしながら声を上げた。 前々から目を付けていたお姉さんの髪飾りが、今は姉れいむに付けられている。 __自分の方がゆっくりしてる! だから貰えるのはまりさのはずなのに! __自分の方がゆっくりしてる! だから似合うのはれいむのはずなのに! お姉さんを多少なりとも認めていたことはすでに皮の外。 その餡子より黒い気持ちは、またたく間に皮中をかけ巡り、 次にお姉さんが髪飾りを付けて来た時、どうやって奪ってやろうかと考え出すのだった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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『しあわせの味』 歌詞 しあわせの味はどんな味かな 甘いか辛いか渋いか酸(す)いか 甘いが近いと思うけど なにかがたりない 欠けている そう あたたかさ あのとき食べた みんなでかこんだばんごはん しあわせになるのみんなが願う それならみんなが知ってるはずさ しあわせの意味を知っている 一体なにがしあわせか ああ ここにある 手のひらにある なんでもなかったこの日々さ
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うそとしあわせ【登録タグ minzoo う 初音ミク 曲】 作詞:minzoo 作曲:minzoo 編曲:minzoo 唄:初音ミク 曲紹介 minzooさんの8曲目 歌詞 (ニコニコ動画より転載) まっすぐ そこ みえる わたりの先でさ それが 邪魔をしてるから 見えなかもね あ すぐ そこ 獲る 螺 から 延べ 袖が 邪魔をしてるから (奈落) 黄色い花咲く 小道を開くと 黄色い花束 小さく小さく揺れた ア ル 子 見 エ 名 モ 影 ヲ 待 ツ 理 ノ 火 身 ト 見 エ ル 十 言 イ 寝 ル 黄色い花咲く 小道を 流 悪 等 唖々 黄色い花束 小さく小さく見えた あぁ ねぇ 嘘と知らなくて 君を二度も捨てた あぁ僕はきっと遠く 消えたくなってもう一度 今を 嘘としあわせを 君を二度も捨てた あぁ僕はきっと遠く 消えたくなって貰えばいいさ まっすぐ そこ みえる わたりの先でさ それが 邪魔をしてるから 見えなかもね あ すぐ そこ 獲る 螺 から 延べ 袖が 邪魔をしてるから (奈落) 黄色い花咲く 小道を開くと 黄色い花束 小さく小さく揺れた ア ル 子 見 エ 名 モ 影 ヲ 待 ツ 理 ノ 火 身 リャ 見 エ ル 十 言 イ 寝 ル 黄色い花咲く 小道を 流 悪 等 唖々 黄色い花束 小さく小さく見えた あぁ ねぇ 嘘と知らなくて 君を二度も捨てた あぁ僕はきっと遠く 消えたくなってもう一度 今を 嘘としあわせを 君を二度も捨てた あぁ僕はきっと遠く 消えたくなって貰えばいいさ あぁ僕は きっと遠く β版歌詞 + 歌詞を表示する まっすぐ そこ みえる わたりの先でさ それが 邪魔をしてるから 見えなかもね あ すぐ そこ L 等 から 延べ 袖が 邪魔をしてるから 黄色い花咲く 小道を開くと 黄色い花束 小さく小さく見えた ア ル 子 見 エ 名 モ 影 ヲ 待 ツ 理 ノ 火 身 ト 見 エ ル 言 イ 寝 ル 黄色い花咲く 小道を 流 悪 等 黄色い花束 小さく小さく揺れた あぁ ねぇ 嘘と知らなくて 君を二度も捨てた あぁ僕はきっと遠く 消えたくなってもう一度 今を 嘘としあわせを 君を二度も捨てた あぁ僕はきっと遠く 消えたくなって貰えばいいさ まっすぐ そこ みえる わたりの先でさ それが 邪魔をしてるから 見えなかもね あ すぐ そこ L 等 から 延べ 袖が 邪魔をしてるから 黄色い花咲く 小道を開くと 黄色い花束 小さく小さく見えた ア ル 子 見 エ 名 モ 影 ヲ 待 ツ 理 ノ 火 身 リャ 見 エ ル 言 イ 寝 ル 黄色い花咲く 小道を 流 悪 等 黄色い花束 小さく小さく揺れた あぁ ねぇ 嘘と知らなくて 君を二度も捨てた あぁ僕はきっと遠く 消えたくなってもう一度 今を 嘘としあわせを 君を二度も捨てた あぁ僕はきっと遠く 消えたくなって貰えばいいさ あぁ僕は きっと遠く コメント 作製乙です。もっともっと評価されるべき。独特なリズムが最高です。 -- 名無しさん (2013-01-10 14 40 08) きれい -- 名無しさん (2013-01-10 17 50 11) 伸びてないのが理解不能 -- 名無しさん (2013-02-21 10 43 26) 名前 コメント
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【検索用 しあわせのうた 登録タグ 2020年 VOCALOID あめのむらくもP し 初音ミク 曲 曲さ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:はれのむらくもP 作曲:はれのむらくもP 編曲:はれのむらくもP 唄:初音ミク 曲紹介 曲名:『しあわせの唄』(しあわせのうた) はれのむらくもPのVOCALOID二作目。 歌詞 (piaproより転載) ねぇ調子はどうですか?こちら変わらず 嫌なことあったり 良いことあったり あの駅のパン屋さんのフランスパンが 美味しかったから また買いたいな Ah 欲しかった物 今は買えるし そこそこ幸せに Ah 生きているのに 生きているのに 朝起きて 仕事行って帰る なんだこれ なんだこれなんて 思ったりする Ah 友達の近況報告聞くたび 嬉しくなったり 寂しくなったり 朝テレビで流れる嫌なニュースで 悲しくなったり ならなかったり Ah 夕飯はなに 食べようかなって 見上げたお月さまさま 輝いてんのに 輝いてんのに 帰宅して 風呂入って思う なんだこれ なんだこれなんて 迷ったりする Ah 欲しかった物 今は買えるし そこそこ幸せに Ah 生きているのに 生きているのに 朝起きて 仕事行って帰る 幸せな毎日だけれど 泣いたりする ああ お腹すいたなぁ コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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『しあわせ家族とお姉さん3』 23KB 制裁 不運 戦闘 ゲス 現代 独自設定 続きます。 *注意を記載させて頂きます。 ・推敲は重ねましたが、誤字脱字があるかも知れません。 ・タイトルの通りお姉さんが出てきたりします。オリキャラ苦手な方は要注意を。 ・この3から終わりまで、軽い不幸では済まされない描写があります。 愛で好き要素のある方は心が痛むかもしれません。(愛で側で書いてある部分もありますが) あらかじめご了承ください。 雲がひとつふたつ、夕暮れの空に動いている。 それは夏の前、とてもゆっくりした情景を作っていたが、 ゆっくりプレイスから少し離れた草むらで、ごそごそと蠢く影が二つ。 影は、お菓子の袋をゆんせゆんせと引きずっていた。 「まりさ、これからなにをするの? ゆっくりおしえてね!」 「れーむ、かみかざりのこと、まだあきらめてないのじぇ?」 「……あたりまえよ。でも、このあまあまぶくろ、もってきていいの? あとでおとーさんにおこられない?」 だいじょーぶ、だいじょーぶと、自分の皮より薄っぺらい言葉をかけて、心配するれいむをなだめる。 この子まりさ、自信だけはたっぷりである。 「いくらまりさでも、あのにんげんから『うばいとる』のはむずかしいのじぇ。 ……でも、『もらう』のはかんたんだじぇ!」 「ゆ~う?」 「だ、か、ら、このあまあまぶくろなのじぇ! どれでもいいから、ぐーりぐーりしてわるのじぇ。 にんげんにみせて、ぴかぴかのかみかざりと『こーかん』してもらうのじぇ!」 言うまでもなく、お菓子の袋はお姉さんが持ってきたものだ。 そもそもお姉さんの用意したお菓子と、お姉さんの身につけている髪飾りでは交換が成り立たないし、 家族とお姉さんのために袋を開ける姉れいむと、 髪飾りをもらうために袋を開けるまりさ達では、意味合いがまるで違う。 姉れいむが何か見返りを求めてそうしていたのではないことを、まりさ達には分からないのだ。 「おねーちゃんにできて、まりさにできないはずはないじぇ」 「なるほどね。ゆっくりりかいしたわ!」 「ぐーりぐーり……ぐーりぐーり……」 さっそく、ビスケットに狙いを定めて潰しはじめた。 姉れいむがほんの子ゆっくりだった時とは違い、まりさ達は子ゆっくりの平均以上は大きい。 その体格でビスケットを割るのはそれほど大変なことではなかった。 しかし。 「「どぼじでやぶれないのぉぉぉぉ!」」 しょせんは子ゆっくりである。 お菓子を割ることはできても、袋を破ることは難しい。 もともと、ゆっくりでも開けられるように、お姉さんが梱包に細工をしてあったのだが、 それも母れいむや父まりさの力でしか容易に開けられない程度の細工でしかない。 「「ゆっくりやぶれてね!!」」 足の部分で押さえて、口で引っ張る父や母のやり方を真似たが、何度か挑戦してもらちが開かない。 互いに口でくわえて、二人がかりで思いっきり引っ張ると、ようやく開いた。 「ゆはぁ……ゆはぁ……あとはおねーさんに、みせるだけね……」 「これで……かみかざりは……まりさたちのものだじぇ……」 乱暴に開けられた袋から粉々になったビスケットがちらばる。 それは食べる人たちや分けることを考えず、ただ砕いただけの破片だった。 「ゆっくりもとにもどすよ……ゆうっ?」 「……あまぁっ!? あまいのじぇ! なにこれぇ!?」 こぼれた粉を袋に入れようとして口に含んだビスケットから、 いままで食べたことのない甘みが広がった。 試しに一回、もう一回と舐めてしまえば、 当初の目的を忘れ、いくつか封を切ったビスケットや飴に夢中で食べ始める。 「めっちゃうめえ! まじうめぇ!」 「うめっ! うめっ! これめっちゃうめっ!」 その大きな声に気がついて、次にあまったるい匂いに引き寄せられて、 災厄はすぐ近くまで忍び寄って来ていた。 * * 「ゆっくりおじゃまするよ!」 「なんだか、いいにおいがするのぜ!」 「わかるよー! あまあまのにおいだねー」 ゆっくりプレイスに、野良まりさ2匹とちぇん1匹がやって来た。 突然の来訪に子どもたちは戸惑い、母れいむにぴったりと固まって震えている。 友好的な素振りのない粗暴な雰囲気に、父まりさは威嚇のぷくぅーをしていた。 「ここは、れいむたちのゆっくりぷれいすよ! ゆっくりしないでかえってね!」 「おお、こわいこわい」 「あまあまがあるなら、おとなしくよこすのぜ!」 「らんぼうはおたがい、ゆっくりできないよー。わかるねー?」 まりさ種2匹とちぇん種1匹は、にやにやと薄く笑っている。 対して父まりさは、懸命にぷくぅーを続けている。 後ろにいる母れいむも目に砂糖水を溜めながら同じように威嚇している。 その家族の後ろに、大ざっぱに喰い千切られたお菓子の袋があった。 飴も、せんべいも、食べ物が無くなった時に食べる保存食も、ご褒美としてあげるための甘いビスケットも、 袋の空いているもの、封を切られていないものとそれぞれに散らかっている。 普段なら、新聞紙を上に敷いて隠してあったものだ。 勝手に食べていた子まりさたちを母れいむが見つけて、 叱っていたところに野良ゆっくりがやってきたのだ。 ゆっくりプレイスには、甘いお菓子の匂いや、果物を砂糖で煮詰めたような匂いがただよっていた。 「いたいめみるまえにさっさとするのぜ!」 「ちぇんたちは、だんだんゆっくりできなくなってきたよー! わかるねー!」 3匹は等間隔に横に並んでいる。 一対一で劣勢になっても、すぐに他を援護できる構えだ。 戦力といっても、 れいむ種が同じサイズのゆっくりと戦って勝つ見込みがあるのは、同じれいむ種かぱちゅりー種くらいで、 母れいむも姉れいむも、戦えばやられるだろう。 向こうは野良まりさ2匹とちぇん。どちらも狩りが得意な傾向のある、俊敏なゆっくり種だ。 父まりさはぷくぅーと解いて、じりじりと後ずさった。 正面から戦えば負けるだろうし、子ゆっくりを引き連れて逃げることも難しい。 __言われる通り残ったあまあまを渡して、帰ってもらおう。 父まりさはそう判断した。 今回のことで味をしめて、何度もここへ奪いに来るなら場所を移そう。 歯噛みをして、頭を下げようとしたその時、 子まりさが皮を張って前に出た。 「あまあまはまりさたちのだじぇ! うせるのじぇ! ぐずぐずしてると……!」 自信たっぷりなどや顔で言い終わる前に、野良まりさのおさげで勢いよく叩かれた。 父まりさにされた時とは違う、ただ痛いだけの暴力。 生まれて初めて、悪意ある暴力に出会った子まりさは、皮の底から震えあがった。 「……ゆ、ゆ? ゆうぅ?」 「おちびちゃん、いままでたいせつにそだてられたんだねー……」 「でも、どうやってもゆっくりできないこともあるの、ぜっ!」 「ゆぎゃ! い゙ぢゃ゙い゙い゙ぃ゙ぃ゙!」 野良まりさが頭を横に振って、帽子のつばを子まりさに当てた。 人間で言えば鼻の所を鋭打され、丸めた紙が吹き飛ぶようにころころ転がっていく。 その光景を見て、野良ゆっくりたちは大げさに面白おかしく笑うのだった。 「さっさとあまあまをよこすのぜ。……いまならいたいめみびゅ゙ぅ゙ぅ゙!?」 一瞬の隙をついて、父まりさが横から野良まりさに体当たりしていた。 子どもを傷付けられたことと、反撃の瞬間が合致したのである。 野良まりさは横合いから、思い切り身体を叩きつけられて転がった。 「こ、このじじぃぃ!」 もう一匹の野良まりさが跳びかかるが、父まりさはその場所から後方へ身をかわし、 その場でよろけた野良まりさに、そのまま再度跳ねてぶつかった。 「ゆぐっ……! まりささまにかてるとおもっでぶぅ゙ぼぉ゙!?」 攻撃の手を緩めず、仰向けに倒れた野良まりさにのしかかる。 ゆっくりのあごの下、 底部と違って柔らかく、重要な器官のある部分を潰すいきおいでもう一度大きく跳ねた。 「ゆ゙ぎぇ゙ぇ゙ぇ゙!? ま゙、ま゙、ま゙づの゙ぜぇ゙!」 「ゆっくりしね」 命乞いの言葉を無視して、止めの一撃を加えようとジャンプする構えを見せて__ 父まりさはそれを中断した。 視界の向こう、れいむと子ども達のすぐそばで、ちぇんが笑っていた。 「かぞくがたいせつなんだねー……わかるよー」 ちぇんは横目で母れいむと子どもたちを見ながら、眼をきゅっと細めた。 他のゆっくり種より鋭い歯をカチカチと鳴らせて、震える子ども達のすぐそばで口を大きく動かす。 「ちぇんも、かぞくはたいせつだよー。でも、ほかのはどうでもいいよー。わかってねー」 「れいむ……おちびちゃん……」 「じね゙ぇ゙!」 後ろから、もう一匹の野良まりさに体当たりされる。 父まりさは何もできず前に転がり、のしかかりから自由になった野良まりさに踏みつけられる。 さきほど父まりさがやっていたことを、今度は2匹ががりで自分が受けることになった。 「ゆ゙っぐりじな゙い゙でじ゙ね゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙!」 「まりささまにっ! かてるわけっ! ないのぜっ! このくそじじぃぃぃぃ!」 「ゆんやぁぁ! お゙どーざあ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!」 「じん゙ぢゃ゙ゔ! じん゙ぢゃ゙ゔよ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!」 「お゙ね゙がい゙じま゙ず! ゆ゙っ゙ぐり゙や゙め゙でぐだざい゙!」 尊敬する父まりさが少しずつ潰されて形が変わっていくのを見て、子どもたちは声の限り叫んだ。 「ゆっへっへ……きけないおねがいでごめんねー!」 「まりささまにさからう『ごみくず』は、せいっさいっしてやるのぜぇぇぇ!」 「ごみぐずじゃな゙い゙よ゙お゙お゙ぉ゙ぉ゙? お゙どーざんはごみ゙ぐずな゙んがじゃな゙いいぃ!」 「どぼじでぇぇぇ! れ゙ーむ゙だぢ、な゙んに゙も゙わ゙る゙い゙ごどじでな゙い゙で゙しょぉ゙ぉ゙!?」 悲痛な声に、攻撃されて激昂していた気分も良くなったのか、野良まりさはお互いに笑った。 さらに執拗な追い打ちを加えようと、再び跳びあがろうとする。 「やめてください……ゆっくりおねがいします!」 「やめなさい! このくそごみくずども!」 ちぇんの横を悠然と通り過ぎて、姉れいむと子れいむが声を上げた。 「あまあまはもっていっていいですから……おとーさんをたすけてあげてください!」 「おとーさんを、いまからすこしでもぐーりぐーりしたら! あまあまはれーむがぐーりぐーりしてやるわ!」 状況に動じず、落ち着いた素振りを見せる2人は、態度こそ対照的だが父まりさを案じていた。 野良たちは顔を見合わせて、どうしてやろうかと相談し始める。 そのしばらくの間も、姉れいむと子れいむは少しも表情を変えることなく、敵を見据えていた。 「まりさのきがすんだら、このへんでかえったほうがいいねー。わかってねー……」 「まりさは、あまあまがむーしゃむーしゃできればそれでいいのぜ」 「……ごみくずども! せいっせいっ! はこのへんにしてやるのぜ!」 やがて、あまあまが無事にもらえるならそれに越したことはない、という結論に至ったようだ。 「ねんのため、ゆんじちはとるけどねー……まりさ!」 「ゆいぃぃっ!? おそらをとんでるみた……いやああぁぁ!」 ちぇんは素早く子れいむのおさげを噛むと、思いっきり野良まりさの方に放り投げた。 野良まりさは訓練された犬のように口でキャッチすると、咥えた口端で薄く笑った。 「そこのぴかぴかしたおかざりのついたれいむもいっしょにきてもらうよ……わかるねー」 「れいむには、あまあまをはこんでもらうのぜ! さっさとふくろにつめこむのぜ!」 「かってなこというなぁぁぁぁ! ゆっくりおろせぇぇぇ!」 ぶんぶんと顔をふり、おさげをふる子れいむを、姉れいむはじっと見ている。 まるで自分が口で捕らえられたように、痛みをこらえている表情でいた。 「こわがらなくていいよー。……あまあまをはこんで、うたでもうたってもらったら、 すぐにこのちびといっしょにかえれるよー」 「ぐずぐずすると、まりさのくちがとじるのぜ!?」 「わかりました。ゆっくりしないで、じゅんびしますから……!」 姉れいむには、野良まりさ達のゆっくりしない雰囲気からなんとなく予感があった。 この場所には帰ってこれない、もうみんなには会えないかもしれない。 そんな悲しい予感があった。 「いもうとだけは、つれていかないでください。……おねがいします」 「おねーちゃん!? ……こんなくずに、ついていっちゃだめよ!」 「れいむは『けなげ』だねー……わかるよー」 「はぁぁぁ!? まりささまにさからうのぜ!? ちぇん! まりさ!」 「ここに、おちびちゃんを『おいていけば』いいんだねー? じゃあ、それがどういうことか、ゆっくりわかれよー……!」 ちぇんの目が、また細く歪んだ。 れいむが、そのどす黒い意図にいち早く気づき、制止の声を発する前に。 ちぇんが、悪意ある命令をまりさに下す前に。 まりさの口が、子れいむの身体を噛みちぎり、半分になった身が落ちる前に。 「やめろぉぉぉぉ! くそごみくずどもぉぉぉぉ!」 先ほど叩かれて転がっていた、子まりさが叫んだ。 * * 「おやが『ごみくず』だと、やっぱりこどもも『ごみくず』なのぜ。ぜんっぜん! かしこくないのぜ」 「そのままねてれば、ゆっくりできたのにねー……わからないよー」 子まりさは震えていた。 叶うなら逃げ出したい。助けてほしいと叫びたい。 いま実際に目の当たりにしている暴力と悪意、その二つとも縁のない世界に今までいたのだ。 それは、絶対にこのゆっくりプレイスに混じってはいけないもので、 混じる原因を作ったのは愚かな自分だということを認識し始めた。 「れーむ。おねーちゃん……まりさがまもるんだじぇ!」 「ゆっへっへ……まあ、ちょうどいい『きばらし』になるのぜ!」 「みんなしゃべらないで、うごかないでねー。ちぇんもなにもしないよー」 ちぇんは冷淡なため息を吐いて、子れいむをくわえている野良まりさに目配せをした。 下手な真似をすれば、いつでもゆん質を始末できる構えである。 「まりささまにかったら、ゆんじちもあまあまもかえしてやるのぜ! おちびちゃん!」 「……れーむも、おねーちゃんも! おまえらのせいでゆっくりできてないのじぇ! みんなをゆっくりできなくするやつは……まりさがせいっさいっするよ!」 言葉と同時に、子まりさが跳びかかった。 俊敏な動きは父ゆずりで、辛抱が足りず上達しない狩りの腕もようやく追いついてきた、子まりさの体当たり。 「……ゆぶっ!」 だが軽い。 ぶつかって来た時に合わせて、野良まりさがほんの少し皮を張るだけで、 子まりさは逆に転がって傷付いた。 すぐに身体を立てなおし、再び向かっていく。 「ぎゆっ! ……ゆぐっ!」 野良まりさは自ら攻撃の手を加えることはなかった。 子まりさに何をやっても無駄だという絶望を味あわせるまで、反撃だけを繰り返した。 「……まだやるのぜ? じじいよりあたまわるいのぜ」 ゆふー、ゆふーと繰り返し息を吐く、草や土まみれになった子まりさを見て、 野良まりさは侮辱するよりは憐れむように言った。 「おま゙えなんが……ま゙りざがぶっごろじでや゙る゙ゔゔぅ゙!」 砂糖水を目にためて、子まりさはさっきよりだいぶ鈍った動きで、まっすぐ向かっていく。 野良まりさが憎らしいほどゆっくりした動きで、迎撃の構えを見せる。 子まりさは、突然子れいむをくわえている野良まりさの方に向きを変えて跳んだ。 そしてその頬にかじり付いたのである。 「ゆっ!? いだい゙い゙ぃ゙ぃ゙!?」 「れ゙ーむ゙を゙はな゙ずのぜえ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙! くぞま゙り゙ざぁ゙ぁ゙ぁ゙!」 ただゆっくり傍観していた野良まりさは、抵抗もできずに声を上げた。 その拍子に、子れいむがふり落とされる。 「……まりさ!」 「れいむ! いまのうちに……」 横から、さっきまで対峙していた野良まりさに体当たりされる。 たかが子ゆっくりにしてやられた軽い敗北感と、 そのままほっぺを噛みちぎられそうなまりさを助けるため、 力加減は一切なく、子まりさには身構える間もなかった。 「ゆ゙べっ゙……」 子まりさは金網のフェンスにぶつかって一度跳ねた。 正面から潰された形になり、なめらかには転がれずに這いつくばった姿勢になる。 「りぇ……む……おねー……ちゃ……、に…………」 餡子を吐き出しながら、子まりさはその後も何かうめくようにつぶやいていたが、 やがて動かなくなった。 「おお……あわれあわれ」 「まりさ? ……ゆあああああ!? ま゙り゙ざぁ゙ぁ゙ぁ゙!?」 ただ一人、その場で叫んだ子れいむを、野良まりさが再び口にくわえる。 「だれ゙がだずげでぇ゙ぇ゙ぇ゙! お゙ね゙がい゙だがら゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙! れ゙ーむ゙の゙ぜい゙で、ばり゙ざじん゙じゃ゙ゔよ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙! ぞん゙な゙の゙い゙や゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!」 「……なんだかしらけたのぜ、さっさとかえるのぜ」 「れいむはあまあまぶくろをもってねー。もちきれないのはちぇんがもつよー……」 姉れいむは言われるままにお菓子の入った袋を口でくわえて、野良まりさたちについていく。 「どぼじでぇぇぇぇ!? どぼじでだずげでぐれ゙な゙い゙の゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙! お゙どーざん゙! お゙がーざん゙! に゙ん゙げん゙ざぁぁぁん!」 なおも泣き叫んで助けを求めている子れいむに、姉れいむが追いついた。 何か話そうとして、ちぇんを見て言いつぐむ。 やがてお菓子ぶくろを落として、子れいむに頬を寄せてすーりすーりをした。 この状況に不似合いな、ひどくゆっくりしたすーりすーりだった。 「おねえちゃん……」 「まりさがいってたでしょ? おねーちゃんと、れいむをまもるって。 おねーちゃんもれいむをぜったいっ! まもるよ。だから、ゆっくりあんしんしなさい!」 そう言って、姉れいむは眼をつむるくらい細めて『ににっ』と歯を見せて笑い、 顔中砂糖水まみれになっている子れいむに、いつもの笑顔を見せた。 まりさは助からない。暗に姉れいむはそう言っている。 これ以上うるさく騒ぎ立てれば、自分を含めた家族も危ないことを気づかせようとしている。 子れいむはそう察して、眼をふせた。 「ゆ゙っ゙ぐり゙り゙がい゙じだ゙よ゙っ゙……!」 口をへの字に結んで、涙がこぼれないように目を閉じる。 その顔を見て、姉まりさは満面のゆっくり顔で応えた。 「ゆゆー……いいこいいこ! じゃあ、おねーちゃんもいっしょにいくからね!」 姉れいむは元気よく跳ねて、野良たちのあとに続く。 子れいむは野良まりさにくわえられたまま、微動だにせず運ばれていく。 「れいむ……おちびちゃん……」 「「おかーさん!」」 母の声に、2人とも反応した。 子れいむの顔は、涙と口から洩れそうになる弱い言葉をこらえるために息を必死に止めているかのようだった。 姉れいむは申し訳なさそうに、母にだけ分かる程度に軽く頭をさげる。 「おねーさんがね……すごくゆっくりしてるのに、ゆっくりしてないようにわらうとき、 どんなきもちだったのか……いま、ちょっとわかったよ」 姉れいむは、髪飾りを確かめるように顔を一度振って、 ゆっくりらしくない、困り眉の表情で笑って見せた。 * * 「仕事終わったよー。……れいむ?」 お姉さんが帰って来たのは、それからたくっさん時間が経過したあとだった。 いつもの『ゆっくりしていってね!』の挨拶が無いので、怪訝な顔をしている。 それもすぐに、形の歪んだ父まりさとうつ伏せのまま動かない子まりさを見て真剣な目つきに変わった。 「「「「「お゙ね゙ーざん゙!」」」」」 「……なにがあったか、教えてくれる?」 お姉さんはぐったりしている子まりさを助け起こして、 上を向かせながら周りのれいむ達に聞いた。 「おねえさん……まりさと、おちびちゃんが……」 「お゙どーしゃん゙ん゙……ゆぐっ……ゆ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙」 「ゆびぃぃぃぃ! つれてかれちゃったよぉぉぉ!」 「ばりざああぁぁ! ゆっぐぢなお゙っでぇぇぇぇ!」 堰を切るかのごとく一斉に、叫び声がゆっくりプレイスに響き渡った。 母れいむはうめくように泣き、子れいむたちは声を上げて泣いている。 お姉さんは一瞬、姉れいむが連れ去られた方に身体が動いたが、 すぐ近くに寝かせてある子まりさを見ると、首を振って向き直した。 「……どうして今日に限って、何も持ってないかな……!」 苛立ちを紛らわせるようにカバンの横を二、三度叩いて、周囲を見回す。 金網フェンスの隅にあるはずのお菓子はそこに無く、代わりに封の切ってある袋が散らかっている。 「ここにあまあまの残りはない? 全部持って行かれちゃった?」 「ゆ、ゆぅ……! さがしてみるよ…!」 子まりさが吐き出した餡を、土と混ざっていない部分だけすくって、口に戻してやる作業を繰り返す。 気休めにしかならないが、他に大した手当てもできない。 体内の餡糖値がこのまま低下すれば、いつ死んでもおかしくない状況だ。 「おねーさん! あめがたくっさんっ! あったよ!」 「どれ!? ……もらうよ!」 子まりさたちが開けられなかったものが残っていたのか、 フルーツ味の飴が4つ。子れいむたちがそれぞれ探してきた。 お姉さんは飴を受け取ると、封を切って一気に口の中に入れて、 氷を歯で砕くように、ガリガリと噛み始める。 しばらく咀嚼をすると、子まりさの口の中にゆべっと流し込んだ。 続いて父まりさにも少量だが、飴を細かく溶かしたものを与えた。 「おねえ、さん……」 父まりさはうつろな目でお姉さんを見た。 潰れた口から弱々しく息を吐きながら、子まりさを案じているように見える。 「しゃべらないで! ……ゆっくりしてて。 ひとまずこれで大丈夫! 必要なもの揃えてくる!」 言うが早いか、お姉さんは駆けだしていった。 よほど急いでいたらしく、カバンも取り落してそのままになっている。 確かにお姉さんの言うとおり、父まりさは意識を取り戻し、 子まりさも顔色も幾らかは良くなって、ときおり小さく震えて中枢餡に反応を示していた。 __もしかしたら、みんな助かるかもしれない。 子れいむ達は、そんな風に思いながら祈りを込めて口と目を閉じた。 連れて行かれた子れいむから習うように、 涙がこぼれないようにしてお姉さんをじっと待っていた。 * * その後のお姉さんの行動は早かった。 少し距離のあるコンビニや大型販店には目もくれず、 すぐ近くの団地から誰かにお願いして調達してきたらしく、 使いかけの小麦粉やオレンジジュース、ぜんざいの缶詰めを両手に抱えて戻って来た。 すぐにオレンジジュースをまりさ達に飲ませて、小麦粉で修復を始めた手際の良さは、 とっさの判断として優れていたといえる。 「んんー……缶切り、借りるの忘れてた。うっかりしてたよ」 ぜんざいの缶詰めを手に取って、困ったように目を細めた。 姉れいむ達の安否が気がかりなのか、普段よりも声に元気がなかったが、 一応の落ち着きを見せて、微笑む余裕はあるようだった。 治療に使った物を全部カバンに入れて、母れいむたちに声をかける。 「じゃあ、れいむ達を探しにいってくる。ここをお願いね」 「おねえさん……」 父まりさが、先ほどよりははっきりした口ぶりで応えた。 お姉さんは、父まりさに声をかけた訳ではなく、 元々母れいむたちに、子まりさと父まりさをよろしくと頼む趣旨だったのだが、 当の負傷ゆが答えては意味がない。 「おねえさん……ま、まりさをつれていって……」 父まりさは身体が潰されていたものの、中枢餡が無事だったため、すぐに回復した。 数日、狩りを休めば元通りになる程度のケガだが、まだ消耗は著しい。 咳をしながら、呼吸を整えながら、父まりさは続けた。 「あの、ちぇんたちは……かりをしているときに みたことがあるよ…… えものを『よこどり』したり、たっくさん、えさをとったり。あまりゆっくりできないゆっくりだよ…… おうちはわからないけど、だいたいのばしょならわかるよ……だから」 「分かった分かった。いいよ」 父まりさの言葉を途中で遮り、両手で抱え上げる。 「では改めようか。まりさは私と一緒に、れーむ達を探すから……ここをお願いね?」 「「「「「ゆっくりりかいしたよ! おねーさん!」」」」」 いつもの返事に、しかし並々ならぬ意思を込める家族。 こん睡状態の子まりさがその声に反応したのか、一度頷くように震えた。 * * お姉さんは時々大きな声で、ゆっくりしていってね! と叫び、 周りにゆっくりがいないか確かめながら走った。 もちろんその時は、つい返事を返してしまう父まりさの口を閉じさせながら。 団地の周りはゆっくりの巣が多くあるのに、不思議と返事は一度も帰ってはこなかったが、 まりさの的確な誘導もあって、れいむ達はすぐ見つかった。 まりさもお姉さんも何も言わなかった。 お姉さんは、体を投げ出すようにして座り込んだきり、れいむ達をぼんやり見続けている。 姉れいむはゆっくりプレイスに戻るために、ここまで無我夢中で来たからか、 土や餡子で汚れていて、皮の至る所に傷があり、体内の餡が滲み出そうになっている。 髪飾りは留めてあった髪ごと、かじり取られたような跡が残っている。 その痛々しい額から、茎が何本も伸びていた。 茎の先に実ゆっくりは生っていない。数本の茎を形成するだけで養分が尽きたのか、 今は茎もしおれて黒ずんでいる。 子れいむは姉れいむほど目立った傷もなく、土や餡子で汚れてもいない。 同じく黒くなった茎が生えているが途中でかじり取った跡があるので、 姉れいむがきれいにしようとしたのかもしれない。 「ゆっ……ゆっ……! ゆっ……!」 父まりさは、姉れいむから生えた茎の一本をくわえると、ゆっくりと丁寧に引き抜いた。 かつて姉れいむが生まれたとき、最愛のゆっくりにそうしたように。 新しい家族が増えた時の幸せな様子はなく、まりさは黙々と作業を繰り返した。 お姉さんは、れいむ達の薄く開いている目を手で覆って閉じさせる。 最期の瞬間まで、子れいむを案じていたのかような姉れいむの表情も、 苦しみ抜いた上で意識を断たれたような子れいむの歪んだ表情も。 今は眠りについているように穏やかに見えた。 「小麦粉があるから、あとで傷を直すよ……このままじゃ痛そうだから」 「ゆっくりおねがいするよ……。 ゆっ……! ゆっ……!」 続いて子れいむの千切られた茎を、根元から引き抜いて、 まりさは後ろにいるお姉さんに呟いた。 「れいむは、おねえさんのことが、とってもすきだったんだよ」 お姉さんの顔が悲しげに曇って、その顔を手で覆ってから首を振る。 「いつもおねえさんのはなしをして、おねえさんみたいになりたいって…… だから、おねーさんにゆっくりつれていってほしいよ……れいむも、そのほうがよころぶよ」 浅黒く色の変わった姉れいむが、髪飾りをあげた時のような笑顔を見せることはもうない。 髪飾りも、その周囲ごと失われている。 「そう……わかった」 「おちびちゃん。おとうさんとゆっくりかえろう?」 まりさは、れいむ達に声をかけた。 死んだゆっくりは、とても軽い。 お姉さんなら、父まりさも含めて、何とか運んでいくことはできるはずだ。 しかし、お姉さんは何も言わなかった。 まりさが子れいむに帰ろう、と話しかけ、 姉れいむを運ぶのではなく、連れていくようにと言われて、 それに習うようにした。 「じゃあ……そろそろいこうか。れいむ」 「おねえさん」 まりさは不意にそう言って、手を伸ばそうとするお姉さんを制止させる。 「おねえさん……まってね! もうすこしだけこのまま…… ゆっくりまってね! もうすこしだけ、ゆっくり……」 まりさは震えていた。 れいむ達の顔色が、匂いが、肌に触れた感覚が、発している静寂が、 もうまりさには嫌というほど分かっているのに、改めてそれを実感させられる。 この時まで何とか保っていた、どんな善良ゆっくりにも劣らないまりさの冷静さは失われ、 目に溜めた砂糖水とともにじわりとこぼれた。 「ゆわああああぁ! ごめ゙ん゙ね゙え゙え゙! ま゙も゙っ゙であ゙げら゙れ゙な゙ぐでごめ゙ん゙ね゙え゙え゙え゙! だずげであ゙げら゙れ゙な゙ぐっ゙でごめ゙ん゙ね゙え゙え゙え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙! ゆわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙!」 まりさは今まで我慢して来た感情のまま、泣き叫び続ける。 お姉さんはその間、姉れいむが這って来た道のさらに遠くを眺め続けていた。 _______________________________________________
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『しあわせ家族とお姉さん4』 29KB 虐待 不運 戦闘 ゲス 現代 独自設定 続きます。 「ゆっくりただいま! もどってきたのぜ!」 「「「「まりさ、ゆっくりおかえりー」」」」 帽子をゆんせゆんせと引きずりながら、まりさが狩りから帰って来た。 すっかり野良ゆっくり達にやられた傷も癒え、その大きさは父まりさとさほど変わらない。 「きょうは、おとーさんよりはやかったね!」 「ゆっ? おとーさんは?」 「もうすぐもどってくるのぜ。まりさときょうっそう! してたのぜ!」 「まりさ、おぼうしさんどうしたの?」 「おぼうしさんないと、ぽーかぽーかしすぎてゆっくりできないよ!」 同じく成ゆっくりになったばかりのれいむが心配している。 昼下がりでもまだまだ暑いので、 帽子を被らずにいるといつぞやの熱中症にかかるかもしれないということだろう。 しかし、まりさは首を振ってため息をついた。 「ばかなの? れいむ。……ぼうしのなかをよーくみるのぜ!」 まりさが帽子を倒すと、どっさりと木の実が溢れた。 ゆわぁー! とれいむ達の歓声が上がる。 薄むらさきの実や赤黒い実。主にお姉さんの教えてくれた食べやすい実が多数で、 葉っぱはまりさが選定したらしく、一様に青々として柔らかそうだ。 「ゆぅっ! れいむもかりがうまくなりたいよ! こんど、ゆっくりおしえてね!」 「……かりはまりさにまかせて、れいむはおうちの『おしごと』をしてればいいのぜ!」 まりさにしては遠回しな断りを聞いて、がっくりーとうなだれるれいむ。 少し残念そうに、しかしすぐに明るく振る舞った。 「……そうだね! ゆっくりりかいしたよ! まりさ!」 れいむ達はその話題から離れるように、 もっともっと家事がうまくできるようになりたい、お母さんより上手におうたが歌えるようになりたい、 などと自らの至らない部分を言い合う。 足りない所があるのに、狩りの技能を教わるなんて父にも母にもまりさにも失礼だ、 というところがれいむ達の考えでまとまっているようだ。 そのやりとりを、ばつの悪そうに口ごもって聞いているまりさ。 「……れいむには、れいむにしかできないことが、たっくさん! あるのぜ。 だから……ゆっ! おとーさんがかえってきたよ! うたでもうたってほしいのぜ!」 言葉こそ乱暴なものの、そこには家族をゆっくりさせようとする姿勢がある。 その意識が、小生意気な子まりさを口ぶり相応なゆっくりへと成長させた。 * * 「ゆぅぅ、おねーさんにいいたいことがあるよ」 ゆっくりからすれば大きなその背中を見て、声をかけた。 いつものゆっくりプレイスの片隅に、お姉さんはきらきらして尖ったものを手に持って、 地面に穴を掘っているのが分かる。 その音だけがはっきり聞こえる。静かな夜だった。 「まりさもれいむも、ゆっくりはんせいしてるよ……まりさがばかだった。ほんとうに、くずだったよ。 おねーさんのすごいところ、おねえちゃんのやさしいところ、まりさはぜんっぜん! わかってなかった」 身体は重くてうまくしゃべれないが、なぜか一息に話すことができた。 「……あなたはよく頑張った。あなたも、誰かのためにゆっくりできるゆっくりね…… あの子も、この子たちも」 その一言で、全て救われた気持ちになる。 でもそれは一瞬で消えて、嬉しい涙も、それからの言葉も、出したいのに何も出てこない。 もう子ゆっくりではない。今ならどんな声をかけるべきか、考える。 __あの子って、誰のことだろう。この子っていうのは、なんとなく分かる気がするのに。 「んんー……昔飼っていた、ゆっくりの話は……確かあなたはその時聞いてなかったっけ」 お姉さんの語る、飼いゆっくりの話は覚えていない。 しかし、なんとなくお姉さんはお姉さん自身を責めているようだった。 自分がお菓子をあげなければ、自分の髪飾りをあげなければ。 そんな風に考えていると、思った。 でも、お姉さんをいたわる言葉が出てこない。 「……れいむは? おねーちゃんは?」 「ゆっくり待っててね。……もうすぐ出来るからさ」 お姉さんは何かの感情を押し殺して、我慢して、黙々と土を掘っている。 お姉さんの傍に、れいむも姉れいむもいた。 こんなに近くにいるのに、今まで気がつかなかったのは何故だろう。 眠っているようだが、いつもと違って身じろぎもしないし寝息も聞こえない。 その皮は透き通るように真っ白で、まるで2人によく似た饅頭のようだった。 姉れいむがいつも付けていた髪飾りがないので、よく似たそっくりさんのようにも思える。 あの時は髪飾りのことなんて忘れていた。れいむ達を助けるだけで良かったのだ。 もし叶うなら、その後でおねえさんに、『ゆっくりしてるねー!』と褒めてくれれば言うことはなかった。 れいむと姉れいむの周りには茎が何本か転がっていて、 そこから何故か、とても恐ろしくて残酷な想像がまりさの餡子を駆け巡った。 姉れいむが苦しそうに消えて、れいむが泣きながら消えて、 どこにもいなくなってしまう。 そんな風景が、実際に目の前で起こっていた。 「おねーさん! あなさんをほらないでね! れいむがきえちゃう! おねーちゃんがきえちゃうよ!」 「そうだよね。ひど過ぎるよね。……どうしてこうなっちゃったんだろうね?」 お姉さんのきらきらした物を持つ手が止まると、姉れいむもれいむも、先ほどと同じように目を閉じたままの姿に戻った。 穴はすでに塞がって、土を盛るように被せてある。 「お前を助けないで、れいむ達を探しに行けば助かったかもね」 「……ゆ、ゆぅっ?」 ふいにお姉さんの静かでゆっくりした雰囲気が、変わった。 こんな餡子が凍りつくような冷淡な声を、聞いたことがない。 「お前が死なせたんだよ。……でも、お前はそうじゃないと思いたいんだろう?」 「お、おねーさん……ど、どうしてそんなこというの……?」 「どうして? この子達もそう言っているよ? お前も聞けばいいじゃないか」 その途端、れいむと姉れいむが目をぎょろっと見開いた。 「くずないもーとのせいで、いつも、めいわくだったよ……!」 「じゃまするだけで、れーむもたすけられない、くずまりさ!」 2人は罵声を浴びせながら、這うようにして近づいて来た。 いつの間にか皮はどす黒く変色して、眼も餡も落ちくぼんでしまっている。 逃げようにも、足底を焼かれてしまったように、跳ねることができない。 やがて寄り添うようにくっつかれてしまい、 身動きもできなくなると2人は歯を剥き出しにして笑うように口を開けた。 お姉さんが、きらきらして尖ったものを振りかざして狙いを定める。 「「「おまえがゆっくりしねばよかったよ!」」」 「ゆわぁぁぁぁ!?」 跳ね起きて、辺りを見回す。 さきほどと同じゆっくりプレイスの風景が目に馴染み、急速に焦点が合った。 周りには、寝息を立てているれいむ達がいて、父まりさも母れいむもそばにいた。 「ゆはー……ゆはー……ゆっ、ゆっ」 慌てて口を閉じて、静寂を取りつくろう。 まりさは一息ついて、砂糖水を飲み込もうとしたが、すっかり口の中は乾いてしまっていた。 段ボール小屋からのそりと這い出る。まだ体の餡子は眠っているようにとてもだるい。 フェンスの隅をみると、お墓があった。お姉さんが作った、れいむと姉れいむの墓。 土が盛ってあり、れいむ達が集めたきれいな石や、花が供えられている。 __れいむも、おねえちゃんも、まりさのせいでしんだ。まりさがよわかったから。 お姉ちゃんと同じようにはできないかもしれない、 でも自分なりのやり方でお父さんとお母さんを支えて、れいむ達を守る。 2人がそうしたように。 「おねーちゃん。れいむ。……かぞくは、まりさがぜったいっ! まもるよ。だから……」 許してほしい、という声は砂糖水ごと飲み込んだ。 「ゆっくりあんしんして、みまもっていてほしいよ……」 まりさは暗闇から、空の上のゆっくりプレイスを眺めて祈り続ける。 その表情は昼の時とはうって変り、父まりさの穏やかさを思わせた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆっくりおじゃまするよ!」 「あまあまがあるなら、まりささまにさっさとよこすのぜ! ゆっくりしないで、はやくでいいのぜ!」 夏ももうじき終わる日の昼下がり、野良まりさ2匹がやって来た。 憎たらしいくらいゆっくりした顔でふんぞり返っている。 「ゆんやぁぁぁ! ゆっぐぢできないいいぃぃぃ!」 「どぼじでまたきたのぉぉぉ!? も゙ゔびどい゙ごどじな゙い゙で゙ぇ゙ぇ゙!」 れいむ達は震えあがった。 あの時の出来事は深く中枢餡に刻み込まれていて、ゆん生が終わるまで忘れそうにない。 それに加えて、今日は父まりさが狩りに出かけてしまっているのだ。 「まりさたち……たっくさん、ゆっくりしていくのぜ」 ゆっくりできない矢面に立ったのは、まりさだった。 野良まりさに臆することなく、口ぶりには余裕すら見える。 「ゆぅ? こいつ、いつかのちびまりさだよ!?」 「ゆへぇ~……いたいめにあって、すこしは『よのなかのきびしさ』をしったかおしてるのぜ!」 軽く感心しておどけている野良達を見てまりさは、歯を見せて笑った。 「ゆー……おぼうしさんに、すごくゆっくりしたかみかざり、ついてるのぜ。 それとそっくりさんなかみかざり、まりさはしっているのぜ」 「そっくりさんもなにも、これはれいむがつけてたおかざりだぜ。……おばかさんはなおってないの?」 「ばかだってこと、きづかせちゃってごめんねー!」 「ゆっくりできるうたをうたうれいむだったのぜえ…… このおかざりも、ゆっくりしててまりさごのみだったのぜ?」 そう言って野良まりさは、飼いゆっくりの色バッジのように帽子に付いている髪留めをれいむの家族に見せびらかした。 「……おねーちゃんは、かみかざりと、なにを『こーかんこ』したのぜ?」 「ゆっぷぷ! 『こーかんこ』だって!?」 「よーくきいてね! おこちゃままりさ! ……これは『もらった』のぜ!? おうたをうたったあと、かえるときにこのまりささまにくれたのぜ!?」 「ばかなの? ちびまりさ? しぬの?」 「ゆゆー、なるほど。 ……それは、しらなかったのぜ」 姉れいむが、お姉さんからもらった大切な髪飾りをあげるはずがない。 よほどの理由がなければ、あの髪飾りを手放すはずがない。 『なにかとこーかんこ』したわけではなく『ただであげた』? 家族と、お姉さんと、自分の次に大切な髪飾りを? まりさは目をふせて、口端だけを上げて低く笑った。 つられて野良まりさ達も笑う。 知らないゆっくりが見れば、それはまりさ同士が笑い合うとてもゆっくりしている光景に見えただろう。 まりさの笑いは止まらない。 あまりに理不尽で、残酷で、滑稽で、一方的な野良まりさの話は、 姉れいむの大好きだった世界とは、まるで違った世界の出来事であってくれたように思えた。 それが、少しだけまりさを安心させた。赤ゆっくりの薄皮ほども面白くない話を、笑い飛ばすことができる。 そして、あとは体内の餡子中に湧きあがる感情に身を任せるだけだ。 「……しらないはなしは、もうたくさんだぜ。……くそごみくずども」 「ゆぅ? なにぶつぶついってるの? ちいさくてきこえないのぜ?」 「ばかなの? しぬの゙びゅ゙っ゙……!?」 全身を縮めて溜めていた力を一気に解いて、髪飾りをつけていない野良まりさにぶつかる。 不意をつかれた野良まりさは構える間もなく跳ねとばされた。 「ゆっ? ……ぜっ? まりさ?」 「そのかみかざりは、いまでもずーっと…… れいむおねーちゃんのだぜ。 だれかのためにゆっくりできるれいむにって、おねーさんがくれたのぜ……!」 姉れいむを失った悲しみが、未熟だった自分への悔しさが、 目の前にいる餡子袋たちを前にして、今やっと噛みしめて感じられていた。 「だから、まりさにもおまえらなんかにも、ぜったいっ! にあわないんだぜ! かえせ……! さっさとかえせぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」 まりさが悲痛の形相で跳びはねた。 その勢いと気迫に押されて、野良まりさが引いたところに覆いかぶさる。 そこから体勢を維持して何度か押し潰すだけで、勝敗は容易についたのだが、 まりさにはただ一つの髪飾りしか見えていなかった。 取り返そうとして、髪飾り目がけて素早く歯を合わせる。 「ゆぎゃぁぁ!! ま゙りざのきらっきらのお゙ざげがぁぁぁ!!!」 野良まりさが顔をよじって逃れようとしたため、狙いが下にずれた。 右のおさげを含む前髪がぶちぶちと大量に喰い千切られる。 それを横にゆべっと吐き捨てて、もう一度噛みつこうと歯を向けた。 「やっ、や゙め゙ろ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!」 「……ゆっ!?」 野良まりさが帽子で防ごうとして抵抗した時、偶然にも髪留めがまりさの眼を掻いた。 眼から額、帽子にかけて裂けた傷から、すぐに餡子が滲む。 額から薄く餡子が流れ、傷付いてまぶたの方までたれて筋を作り、帽子はつばの所まで裂かれてしまった。 この幸運に、野良まりさは思わず笑みを浮かべたが、すぐに愕然とした。 本来ならば、普通のゆっくりならば、激痛にのたうって地面を転がり回るはずである。 当のまりさは多少のけぞっただけで、今だにのしかかった姿勢を止めていない。 「おねーちゃんの……かみがざり、がえ゙ぜよ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙……!」 「ゆひぃっ!」 野良まりさは、ぼたぼたと皮に滴り落ちてくる餡子と、 その上で痛みを堪えているとはとても思えない表情で見降ろしているゆっくりに、餡子の底から怯えた。 まりさは野良まりさの帽子についている髪留めに噛みついて、勢いよく帽子の周囲ごと引き剥がす。 「な゙に゙じでる゙のぉぉぉぉ!? おぼうじざんぼろっぼろになったら、ゆ゙っ゙ぐり゙でぎな゙い゙でしょ゙お゙お゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!」 顔に傷を付けられても微動だにしなかったまりさが、 わずかに身じろぎをしただけの野良まりさにふり落とされる。 流れ続ける餡子も気にせず眼を閉じて、髪留めを含んだ口が、誇ったように笑っていた。 「まりさを……まりささまを、ほんっきでお゙ごら゙ぜだな゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙! ごの゙ごみ゙くずぅ゙ぅ゙ぅ゙!」 あまりにもあっけなく転がって、横向けのまま動かないまりさに、怒りが膨れていく。 しかしその怒りは、まりさを踏み潰して晴らすことなく萎縮することになる。 れいむ達が、周りを囲んで睨みつけていた。 ぷくぅーなど介さない無言の威圧に、野良まりさは思わずたじろぐ。 「ゆぐぐ……! なにみてんだぜぇぇぇ!? まりささまにせいっさい! されたいのぜぇ!?」 恫喝する野良まりさに対して、れいむ達は怯えて震えているものの、決意を込めた視線を外さない。 いくら弱いれいむ種といっても、戦おうとする数が揃えば野良まりさに勝ち目は薄い。 少しでも身体に傷を負えば、そのまま餡子まで一緒に潰される運命だ。 「ばりさ……。もうごごばゆ゙っぐりでぎないよ……」 先ほど跳ね飛ばされた野良まりさが、すがりつくように言った。 体当たりの衝撃か、転がった時に石にでもぶつかったのか、前歯が砕けている。 「まりさ……!」 「ゆ゙っ゙……ゆ゙っぐりじないで……にげるよ……」 髪留めを奪われた野良まりさはまだ何か言いたそうに、未練がましくれいむ達の方を一瞥したが、 すぐに眼を伏せて、寄り添っている野良まりさを支える。 ぎこちなく並んで、ゆっくりプレイスから去ろうとする野良二匹。 一方は髪や帽子をずたずたにされ、もう一方は口と歯を潰されている。 どちらもゆっくりライフに重大な支障をきたし、これからは満足にゆっくりすることはできないだろう。 この時、制裁を加えようと思えば、あっという間に野良まりさ達を物言わぬ餡子にすることができた。 しかし、れいむ達は何もしなかった。 制裁をする際に、少なからず被害が出る。姉れいむと子れいむはきっとそれを望んではいないだろう。 そんな思いが餡子をよぎったし、何より、 「「「「「「ばりざぁあぁぁぁ!」」」」」」 「さわがしいのぜ……ゆっくり……きこえてる、のぜ」 何より、傷付いたまりさには手当てが必要だった。 「ゆっくりなおすよ!」 「れいむたちにまかせてね!」 すぐにれいむ達は、まりさを仰向けにした。 お姉さんが傷付いたまりさ達に施したやり方を真似たのだが、 この体勢は、餡子流出を防ぐことができる処置としては最適である。 「ぺーろぺーろするよ!」 「まりさ、いたくないからね。 ゆっくり……ゆっ!?」 母れいむが裂かれた部分をぺーろぺーろしようとして、愕然とした。 確かに傷は舐め続ければ塞がるが、それはまりさの片眼を塞ぐことと同じだ。 元のように直すということが前提なら、裂かれた片眼と帽子はゆっくりにはどうすることもできない。 「おかあさん? ゆっくり……しないで、はやくしてほしいのぜ……」 「ゆ、ゆぅ……ち、ちょっとまってね!」 良い案が思いつかない母れいむを見て、まりさは安心させるように微笑んだ。 「まりさのおめめさんは、もうゆっくりひらかないのぜ。……だからぺーろぺーろしていいのぜ」 「なにいってるのぉぉぉぉ!? おめめさんみえなくなったらゆっくりできないでしょぉぉぉぉ!!」 それを聞いて、まりさは少し困った顔をする。 母れいむにいくつか伝えたいことがあるのだが、上手く餡子の中でまとまらない。 とにかく、一番大事なことだけを声に出した。 「かみかざり、おねーちゃんのところに……かえして、あげてね……」 まりさはそれだけ言い切ると、満足したように口元を緩める。 かたわらに置いておいた白い髪飾りを確認して、ゆっくり息を吐くと、 まりさの意識はそこで途切れた。 * * 「おはよう。まりさ」 「……おねーさん」 眼を覚ますと、すぐにお姉さんの顔が見えた。どうやら膝の上に仰向けに寝かせられていたらしい。 帽子は無くなっていたが、特に気に留めなかった。 「眼の傷、痛む? まぶたが切れてただけだから繋げておいたんだけど……いつもの通り見えてる?」 「……みえるよ」 まだぼやけている片側の視界のことを、お姉さんには言わなかった。 慣らすように周りにいる母れいむや父まりさ、妹れいむ達を見る。 家族達にいくらか笑顔が戻っていたが、まだ心配そうだった。 お姉さんの表情はいつものままだったが、少しだけ自信が無さそうに思える。 やや間があって、そっと手に持っていた帽子を見せてくれた。 「ごめんね、これ以上は直せないんだ」 「……いや」 まりさの帽子は目立たないように黒い糸で縫い合わせてあり、破けた所を隠すためか白いリボンでその中心を留めてある。 元々の帽子に巻いてある白いリボンの装飾と同じ系統の色と形で、 よほど近くから凝視されない限りは、まりさ種の帽子にリボンがもう一つ飾られているようにしか見えない。 「……このおぼうしさんは」 帽子を頭に乗せられると、さらに目深にかぶってしまう。 お姉さんならきっと、冷やかしはしないと分かっていても、今の表情をお姉さんに見られるのは、恥ずかしかった。 家族達は、見れば笑ってくれる。でもそれはもう少しゆっくりしてからにしたい。 この表情が収まって、この気持ちをもう少し噛みしめたあとで。 お姉さんの膝の上からのそりと這い出る。まだ体の餡子は眠っているようにとてもだるい。 フェンスの隅をみると、お墓があった。お姉さんが作った、れいむと姉れいむの墓。 土が盛ってあり、お菓子と共にれいむ達が集めたきれいな石や、花が供えられている。 「……まえのおぼうしさんより、ずっといいよ」 そこには白い髪飾りが置かれていた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「どんなに『えっとう』がたいへんでも、こんなにたくっさん! あつめすぎなのぜ……」 ゆっくりプレイスの保存用の食糧置き場。 狩りをしている父まりさと母れいむが、まだ帰って来ていないのを確認した後で、 山のように積まれた木の実や草を眺めながら、まりさは呆れていた。 「ゆうっ! きっとたくっさん! ひつようなんだね!」 「おとうさんのいうことだから、まちがいないよ!」 当然のことながら越冬には膨大な食糧が必要で、 個体の数や大きさから予測を見誤り、春を待たずに餓死してしまう家族や、 そもそもの準備が遅く、冬までかかってしまったりする家族が多い。 ここの家族はまりさ達の狩りの技量とお姉さんのアドバイスもあり、 どれが保存に適していて、よりたくさん採れるものかを判断する時間を省けた。 そのため他のゆっくり達よりは、随分早めに越冬の準備を終えることができたと言える。 「『えっとう』がおわってはるさんがきても、たくっさん! のこりそうなのぜ……」 れいむ達は遠足前日の園児さながら、転がったり、おさげを左右に振って待ちきれない様子である。 まりさもぶつぶつ言いながら積まれた食糧を懐疑的に見回しているが、越冬に関しては甘くみている。 もう立派な成ゆんとはいえ、知らないことは身と皮でもって経験するしかないのだ。 それもまた、大切な体験として餡子に刻まれ、親になって子へと引き継がれていく。 「おとうさんとおかあさんは__」 「あのじゅんびと__」 「ゆふふっ……まりさは__」 まりさの後ろで、なにやられいむ達がおさげをひそひそさせて話をしている。 「『いちにんまえ』になったれいむたちを、おいっわい! をするんだって! れいむきいたよ!」 「おいっわい! はすっごくゆっくりできそうだね!」 「れいむはね! いつもかりをしてくれるまりさをおいっわい! するよ!」 お祝い。 越冬の準備が終わったこと、れいむ達の成ゆんを祝福すること、まりさ達の労いも含めているのだろう。 それにしてもこのれいむ達、まる聞こえである。 「ばかなの? れいむ。『さぷらいず』がだいじなのぜ。……まりさにきこえてたらいみないのぜ」 「「「「どぼじできこえてるのぉぉぉぉ!!??」」」」 ゆがぁーん! と口を開けてショックを受けるれいむ達。 本当に聞こえてなかったと思っていたのだろう。 まりさは意地悪く口端を歪めていたが、やがて軽快に笑いだした。 「……おいっわい! まで、まりさはすーやすーやするのぜ」 「ゆうっ! ゆっくりおやすみー!」 「まりさがゆっくりできるように、おうたをうたうね!」 「いや、おとうさんとおかあさんが……きてからでいいのぜ……」 まりさは連日の狩りで疲れが溜まっていた。 それは父まりさも同じだろうが、越冬の準備も佳境に入った頃には要領よく休むことを少しずつ覚えて来た。 誰よりも早く帽子を一杯にすることは、そこまで重要ではないのだ。 毎日の成果と、採る物の種類や質をなるべく変えないことの方が、 越冬にはよほど大切だと餡に染みて理解していた。 狩りが上達しても、まだまだ父まりさにはかなわないわけである。 父まりさよりも狩りが上手くなりたい。 尊敬する父まりさを越えてみたい。 その想いは越冬の狩りをすればするほど、まりさの餡子の中で大きくなっていった。 いつかの話ではない。 冬を越えた春、あるいは夏には、まりさ自身の成長と、父まりさの衰えからそうなっていくだろう。 だからまりさは、この越冬の準備が終わる前に父まりさから自分を認めてほしかった。 衰えた父まりさに勝つことは、したくなかった。 それならば、ゆん生で一度も父まりさに勝てなくてもいい。 強く大きいままの背中を思い出して、目指し続けるだけだ。 狩りの速さ比べや、採ったもの勝負を連日挑んでいたのもその為だったのだが、 もうじき狩りもできなくなる。 なら、春になったら、たった一度だけ狩り勝負をしてもらおう。 それで勝っても負けても、父まりさに直接挑むのは終わりにする。 いや、それなら越冬前に最後の狩りを__ まりさのまどろみは、そこで散った。 周囲の茂みから、ゆっくりできない足音と気配を察知したのだ。 * * 「見てくださいよ。ゆっくりいますよゆっくり」 「ゆっくり? ……ああ本当だ。ここにゴミが集まってるって通報だったんだけどなぁ」 薄い水色の作業服を着た人間が二人、ゆっくりプレイスに入って来た。 若い清掃員と、中年の清掃員が、立ち止まって話をしている。 「ゴミ集めでゆっくりが留守ん時に、見つけたんすかね?」 「とりあえず、ゆ駆除の人に連絡しとくから君は撤去始めちゃって」 「あ、分かりましたー」 中年の男が小走りで元来た道を戻っていく。 完全に見えなくなると、若い男はため息をついた。 「あー……、俺も電話休憩してぇわ……」 「「「「ゆっ、ゆっくりしていってね!」」」」」 わずかな期待を込めて、れいむ達は挨拶をした。 まりさは人間を見上げて睨んだまま、何も言わなかった。 「仕事すっから、どいてろよ?」 「ゆ、ゆっくりしていってください!」 なおも食い下がって、一番小さな妹れいむが笑顔を見せる。その顔は満面の笑みではなく、挨拶もぎこちない。 これから何が始まるのか分かっていたが、それでも諦めたくなかったのだろう。 人間は返事代わりに大きな掃除バサミを振って、ゆっくりを散らす。 れいむ達の願いもむなしく、若い清掃員は集めたものを蹴り壊し、ゴミ袋にどんどん放り込んでいく。 まりさが溜めた木の実も。 寝泊まりをしていた段ボールも。 雨の時に使う傘も。 お皿に使っていた葉っぱも。 例外なく掃除バサミが引っ掴み、無くなっていく。 やがてお菓子がたくさん入っている袋を見ると、苦々しく舌打ちをした。 「……ったく。飼わねぇんなら、やるなっての」 お姉さんが越冬用と春用に丁寧に仕分けした、お菓子の入った袋も、 乱雑にゴミ袋に詰めていく。 「「「「どぼじで……!」」」」 「れいむ!」 まりさの鋭い声に、れいむ達は意識を戻した。 「おとうさんとおかあさんに、つたえてくるのぜ。ここは……」 __ここは、もう駄目だ。 場所や見知った思い出にあまりこだわりのないまりさにも、ゆっくりプレイスへの愛着はあった。 姉れいむやれいむに対して、いまだ後悔し続けて執着するのもまりさである。 だから、その言葉は口にしたくなかった。 それに、人間の持つ、きらきら光ったハサミ。 父や母に話として聞いてはいたが、恐らくこれが父と母の以前のゆっくりプレイスを奪い、 姉れいむの姉妹を残らず死なせたのだ。 この人間ではない。しかし同じような種類の人間が、また家族のゆっくりプレイスを奪おうとしている。 「……なにしてるのぜ!? さっさとにげるのぜ!」 人間に対する恐怖も怒りも隠さずに、れいむ達に向かって叫ぶ。 二度と味わいたくない喪失感がじわじわと中枢餡を蝕んでいき、叫ばずにはいられなかった。 その言葉を待っていたかのように、金網フェンスの穴へとび跳ね始めるれいむ達。 まりさは人間を見上げながら、ずーりずーりと金網の方へ後退していく。 幸い、人間は片付けに集中していて背中を向けている。 ゆっくりに対して無関心なのか、あまり気に留めていないようだった。 「ああ? なんだこりゃ……ゆっくりの、墓か?」 人間はようやく半分ほど作業を終えると、隅にあるれいむの墓に視線を落とす。 手にもったハサミをカチカチと握り鳴らして黙っていたが、 やがて供えられた髪飾りや花、積まれた石を靴で払ってしまった。 まりさは、その光景を最後まで見ていた。 盛り上がった土が、あっという間に踏み固められた様を。 餡子中が熱かった。 れいむ達の墓や場所を、ただの思い出として割り切りたくないのに、ここから逃げることしかできないのだ。 だからまりさには止められなかった。 横から跳び出した、一番小さな妹れいむを。 「やめてください!」 悲痛な声が、あの時の姉れいむ達と重なる。 まるで中枢餡に刻み込まれた記憶を、再体験しているように。 「そこには、おねーちゃんと、れいむがゆっくりしてるんです!」 震える体で勇気を絞り出し、立ち向かう姿。 「しんぶんさんも、かささんも、はっぱさんも、 にんげんさんがゆっくりできないものなら……れいむがかたづけますから!」 砂糖水を眼にためて、訴えかける姿。 「おねーちゃんとれいむのおはかさん、ごわざないてぐだざい……!」 その涙をこぼさないように、自分より強大なものを見上げる姿。 「……うっせーよゴミども。これ以上ゴミ増やすんじゃねー」 人間の掃除バサミの持つ手が少し振り上げられる。 眼の前にいる妹れいむは、人間を見たまま微動だにしない。 人間はそのまま横に手を払った。 全力ではないが、ゆっくりに当たれば皮が切り裂かれ、中の餡子が飛び散る速度である。 妹れいむは瞬間、眼をつむる。その直後衝撃と共に弾き飛ばされた。 一回転して転がり、仰向けで止まる。 想像していた痛みはない。むしろ質の違う鈍痛に妹れいむは違和感を覚える。 こんな温かい痛みが、あの冷たそうなハサミからくるようには思えなかった。 「ばかなの? れいむ。さっさと……おきるのぜ」 妹れいむが眼を開くと、ふわりと漂っている金色の糸が、何本も視界に入ってくる。 よく見れば、短く舞い散った髪と共に、まりさが人間と対峙していた。 「ゆああっ!……まりさ!」 「さわがしいのぜ! ……ゆっくりきこえてるのぜ」 横目で妹れいむの方に向き、軽快に笑うまりさ。 「さっさとおとうさんとおかあさんに、つたえてくるのぜ。ここは…… ……ここはまりさにまかせるのぜ!」 「まりさ……でも」 妹れいむは言葉を濁した。 背中越しに見るまりさの周りには、金色の髪がいくつか散らばっていて、 ところどころに皮の表面と餡子が付着している。 「……ばかなの? れいむ?」 いつもよりずいぶん優しく、妹れいむに話しかける。 妹達がすーりすーりをしたとき、きまぐれにすり返す時のような、穏やかさがあった。 まりさには、あまあまを手に入れたり自分がゆっくりするためなら、 他の物は切り捨ててもいいと考えていた時期があった。 今は違う。 あの時は力が足りなかった。守ることはできなかった。 でも今は間に合うし、救えるかもしれない。 狩りが上手くなるよりも、父を越えることよりも、もっと大切なことがある。 __それこそ、自分に必要なものだ。 まりさは人間に向けて歯をむき出し、にぃっと不敵に笑う。 そしてすぐに、自信たっぷりに言い切った。 「……ぐずなにんげんにやられる、まりささまじゃないぜ」 それ以上、行けとも来いともいわないまりさに、妹れいむも無言で応える。 すぐに金網フェンスをくぐる気配を感じると、まりさは声をあげた。 「ぐずにんげん! あんなのろのろさんな『すぴーど』じゃあ、まりささまにはあたらないのぜ!」 「何言ってんだ? ……どうみてもかすり傷には見えねえぞ?」 まりさの言葉に、人間は眉をひそめるだけだった。 掃除バサミを振ると、餡子と皮の一部が地面を叩き、その後に餡子まみれの金髪が落ちてくる。 「ゆっくりって痛みに弱くなかったか? それとも桁外れに鈍くて、もう少しあとで痛みを感じるんだったっけか?」 「……ぐずにんげんも、あとでゆっくりできなくなるのぜ? 『かいゆっくり』にてをだしたから、おねーさんにおこられるのぜ?」 「ああ? お前、飼いゆか?」 まりさは自分の帽子を見せびらかすように、人間の前で振って見せる。 ゆっくりに対してあまり詳しくない男も、掃いて捨てるほど多いれいむ種とまりさ種の特徴くらいは知っていた。 確かに帽子には、恐らく人間の手で付けられた白いリボンが、1つ多く飾られている。 「……いや、嘘だな。銅バッヂねえし。元飼いゆっくりか、そのお姉さんの気まぐれってとこだろ」 まりさは跳ねることなく、ずーりずーりと人間の傍を通り過ぎる。 たっぷり時間をかけて、姉れいむとれいむの墓があった場所に立つと、 人間の方に向き直ってげらげらと笑った。 「ゆぷぷっ……ぐずなにんげんは、りかいするのもおそいのぜ。 まりささまのかれいなわじゅつ! にまんっまとひっかかったのぜぇ!」 まりさの言葉が人間を激昂させるためのものだったのなら、はたしてそれは成功した。 人間の掃除バサミの持つ手が握り締められて、そのまままりさに振り降ろされる。 地面が抉れるほどの一撃は、帽子から足の底部まで達し、 切り裂かれたというよりも、鉄の板の先で削り取られたようにぽっかりと空いている。 血液よりも粘性のある餡子が、しばらくしてからどろっと溢れ始め、まりさは呻いた。 「ゆ……っ!」 「ばーか。やっぱゆっくりって救いようのない馬鹿なんだな」 抉れた傷は範囲が広い分、中枢餡までは届かなかった。 じきに出餡多量で意識を失い、命も手放すことに違いはないが、 即死しなかったことは、まりさにとって最悪の偶然だった。 「まりさ? ……ゆあああああ!? ま゙り゙ざぁ゙ぁ゙ぁ゙!?」 妹れいむが叫びながら跳ね寄って来た。 遠くまで行っていなかったのか、ゆっくりプレイスの外で待っていたのか。 おそらくはまりさが上手く逃げおおせた後で、合流するつもりだったのだろう。 「……れ……ぃ、む?」 「ばりざぁ゙ぁ゙ぁ゙! ゆ゙っ゙ぐり゙! ゆ゙っ゙ぐり゙じでえ゙ぇ゙ぇ゙ぇぇ!」 泣いている妹れいむを見て、まりさはわずかに困ったような表情を見せる。 何しに来た。 と言おうとしても、声が出ない。 早く逃げろ。 と言おうとしても、もう声も出ない。 怒ろうとしても、なんだか怒る気にもならない。 姉れいむ達と同じように、自分のことを悲しんでくれているのだ。 父まりさと母れいむが子ども達を想うように。 姉れいむが家族とお姉さんを想うように。 自分のことを想ってくれている。 それが、どうにも自分には不似合いな気がして怒るに怒れず、 すでに感覚もないのに、皮がむずむずしてくすぐったいように思えたところで、 まりさは意識を放した。 「まりさ!? ま゙りざぁ゙ぁ゙ぁ゙!」 少し困ったような表情を張り付けて、まりさの顔は浅黒く変わっていく。 ゆっくりしか感じることのできない、死の匂いが漂い始める。 「……よ゙ぐも゙、ま゙りざを!」 れいむの形相は、まりさを案じていた時とは一変していた。 知能を持たない動物ならば、これほど悲痛な顔は見せないだろう。 この世界で人間とゆっくりだけが、そこから憎悪を滲ませるのだ。 「おま゙えなんが……れ゙いぶがぶっごろじでや゙る゙ゔゔぅ゙!」 「勝手に盛り上がってろよ……ゴミどもが」 れいむの体当たりに、人間は待ち構えて蹴りを合わせる。 口から餡子を吐き出しながられいむは転がり、それでも人間に向かっていく。 人間は靴に付いた餡子と砕けた歯の欠片を見ると、忌々しく舌打ちをして掃除バサミを構えた。 「ゆ゙っぐりじね゙え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙! くぞにん゙げん゙ん゙!」 「靴をよごすんじゃねーよ」 下から掬いあげるようにハサミを振るうと、ちょうど鼻と片目の所にふた筋の傷が走り、 妹れいむはその勢いで跳ね上げられ、小さな放物線を描いて落ちた。 痙攣を何度か繰り返すと、完全に動きが止まる。 「あ、……どうでしたか?」 「ゆ駆除の人、近くで作業してたからすぐ来れるって」 大きな箒を持って来た年配の清掃員が、見るなり顔をしかめる。 掃除もまだ半分と言ったところで、ゆっくりが餡子を撒き散らして転がっている。 「おいおい、ゴミの撤去と清掃だけでいいぞー?」 「……すいませーんっす」 すぐに掃除ばさみで妹れいむをつまむと、まりさと一緒に隅の方へ追いやる。 二人の清掃員は効率よく片付けを終えると、そのまま帰って行ってしまった。 越冬の準備も終え、成ゆんになったれいむ達のお祝いの用意をしていた母れいむ。 まりさへ越冬用の結界の作り方を教えたら、自分を越えて成長したと褒めようとしていた父まりさ。 れいむ達に呼ばれて急いで家路につき、家族がゆっくりプレイスで見たものは、 人間に棒のような物で貫かれてもうめき声ひとつ出さず、 どう考えてもゆっくりできない音がするタンクの中に放り込まれる、まりさと妹れいむだった。 _______________________________________________