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(最終更新 ver.1.4.x+) 基本データ 特徴 さとり系の役職 基本データ 陣営 村人陣営 占い結果 村人 霊能結果 村人 奇術結果 さとり(例外有り) 覚醒結果 猩々 夢語結果 さとり 勝敗カウント 人 夜投票 それぞれ カラー [さとり系] 特徴 本来は不可能な場面における対話を可能にする能力を持つ村人陣営の役職です。 さとり系の役職 さとり イタコ 件 猩々 囁騒霊 吠騒霊 念騒霊
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地霊殿のぼっち少女 愛称 古明地さとり さとり 基礎パラメータ 店員熟練度 LV 001 HP 0095 P 00 料理 X 防犯 X 接客 F⁺ 武力 004 器用 000 知略 008 生産 F 清掃 F⁺ 輸送 F 蒐集 000 社交 006 感性 000 仕入 F⁺ 指揮 D 開発 F⁺ 特性 スキル 不器用 指導者 役立たず さとりへの心証 妖 仙 獣 神 天 主 光 魔 武 私が店長です 精 星 人 霊 地 従 闇 機 賢 不器用―モノ作りには向いていませんが、溢れるパワーを別のことに使えるといいですね 指導者―メンバーに指示を出すのが得意です。『指揮』に向いてそうですね 役立たず―役に立ちません。すべての技能が低下しますが、雇用コストが安いです スキル名 部門 効果 条件 消費P 貧弱体型 基礎 HP+5~10% ? 10 一般体型 基礎 HP+5~?% Lv40? 10 ???? 基礎 ? ? ???? 基礎 ? ? ???? 基礎 ? ? ???? 基礎 ? ? ???? 基礎 ? ? ???? 基礎 ? ? ???? 基礎 ? ? 妖怪料理 料理 作成数倍増率3~?% 料理E⁺ 接客E⁺ 料理修練 料理 料理スピード+5~?% 料理E まかない 料理 休息時回復+2~?% 料理C 防犯修練 防犯 盗人サーチ&ダメージ+1~10% 防犯E 鉄壁防御 防犯 盗人属性からのダメージ-1~? 防犯C 妖怪接待 防犯 お客サーチ&ダメージ+4~40% 接客D⁺ 清掃D⁺ ???? 接客 接客D⁺ 仕入D⁺ 接客修練 接客 お客サーチ&ダメージ+1~10% 接客E 10 精神防御 接客 お客属性からのダメージ-1~? 接客C 賢者の技 生産 作成数倍増率3~?% 生産E⁺ 指揮E⁺ ???? 生産 生産D⁺ 仕入D⁺ 生産修練 生産 生産スピード+5~?% 生産E 10 連続生産 生産 素材消費キャンセル2~?% 生産C 清掃秘伝 清掃 器用+4~?% 料理D⁺ 清掃D⁺ 清掃修練 清掃 毛玉サーチ ダメージ+1~10% 清掃E 10 清潔防御 清掃 毛玉属性からのダメージ-1~ 清掃C 輸送秘伝 輸送 武力+3~?% 生産E⁺ 輸送E⁺ 輸送修練 輸送 入手可能アイテム増加+1~?% 輸送E 10 荷物防御 輸送 出張時のダメージ+1~? 輸送C ???? 仕入 輸送B 仕入B ???? 仕入 仕入B 指揮B 仕入修練 仕入 蒐集+5~?% 仕入E 10 レア発見 仕入 レア入手力+2~?% 仕入C 王の指揮 指揮 [全体]お客サーチ ダメージ+1~10% 指揮E⁺ 開発E⁺ 30 ???? 指揮 指揮D⁺ 開発D⁺ 指揮修練 指揮 [全体]経験値+1~5% 指揮E 20 経費削減 指揮 コストダウン率-2~?% 指揮C 25 ???? 指揮 指揮D⁺ 開発D⁺ ???? 開発 生産B 開発B 開発修練 開発 作成数倍増率2~?% 開発E 10 奇計炸裂 開発 クリティカル率+1~?% 開発C 名前 コメント
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概要 製作者:裏鍵 カリスマ!トラウマ! 探知大好きな私にはたまらねぇぇぇ コンセプト 読心により手札覗放題 &(劣化)トラウマカード満載でうはうは カードリスト リーダーカード 名前 体力 回避 決死 属性 怨霊も恐れ怯む少女 古明地さとり 19 3 3 妖怪 地霊殿 ~ スペルカード Lv 呪力 名前 攻撃 迎撃 命中 性質 基本能力 1 1 想起「妖童餓鬼の断食」 2 1 3 拡散 1 1 想起「二重結界」 1 0 4 拡散 1 2 想起「仏の御石の鉢 -砕けぬ意志-」 3 0 3 集中 1 3 想起「恐怖催眠術」 3 2 4 拡散 2 3 想起「胡蝶夢丸ナイトメア」 2 2 4 拡散 防壁(1) 2 3 想起「フォービドゥンフルーツ」 4 0 3 拡散 誘導弾 2 3 想起「未練未酌宴」 2 1 6 拡散 防壁(1) 2 4 想起「吸血鬼幻想」 4 2 4 通常 3 6 想起「月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)」 4 3 5 通常 防壁(1) 高速移動(1) 低速移動(1) 3 5 想起「波と粒の境界」 5 2 5 通常 ~ サポートカード Lv 呪力 名前 配置 1 1 想起「サーヴァントフライヤー」 スペル 2 3 少女さとり シーン 2 2 想起「春の京人形」 リーダー 3 3 恐れ怯まれる少女 リーダー ~ イベントカード Lv 呪力 名前 使用 1 1 読心術 充填 1 2 想起「離剣の見」 戦闘 2 3 想起「神隠し」 充填 2 4 トラウマ喚起 充填 3 4 想起「百万鬼夜行」 充填 ~ 協力カードリスト サポートカード Lv 呪力 名前 配置 協力者 1/1/1 6 意識と無意識の境界 シーン 紫/こいし
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「なぁさとり、今日は…」 「また貴方はよからぬ事を考えてるのね」 「…最後まで喋らせてくれよ」 地霊殿の主。彼女が持つ不思議な能力。「心を読む程度の能力」で会話の度に心を読まれ、こんなやり取りをするのだ 「今回は何?「(さとりの耳に息を掛けてみたい)」?くだらないことばっかり考えてるのね。貴方は」 「いやいや。お恥ずかしい」 ちょっと口から言いにくいことがあると、まずさとりを呼んで、心を読んでもらう。 そしてそこで了解をもらうと、それを行動に移したり移されたり。 先日は「ちょっとさとりの唇をプニプニしたい」というのを果たした。 なんだかんだでとんだバカップルである。 「別にやってみてもいいわよ?そんなことなら」 口では興味があまり無さそうだが、本心では凄くワクワクしている。 ○○に今、「なんでニヤニヤしてるの?」と言われるまで気が付かなかった。 ○○は当然心が読めないので、さとりがニヤニヤしていても、なぜニヤついているのかは分からない。 「じゃあちょっとやってみるよ」 「「(さとりの反応が楽しみ)」か。そんなたいした反応は…っあぁんっ!」 意外な反応に○○が唖然としてると、さとりが○○の心を読む 「はぁ。心で分かっていても、やられると反応が違って困るわね… で、何?「(うわ。予想外の反応だ。さとり凄いかわいいなぁ)」…何考えてるのよ」 「あんまり心を読むなよ恥ずかしい。ちなみにまたニヤニヤしてるぞさとり」 「…コホン「(喘ぐさとりが愛らしいなぁ)」…いや、もう。何考えてるのよぅ」 「そして語尾が嬉しそうだな」 「そ、そんなことないわよ。で、この続きは~と」 ここでさとりの動きが止まる ついでに自然と口元が緩む 「どうした?僕の心を読んでるんだよな?」 「い…いや、読んでないのよ?たまたま読んでないだけ。たまたまよ。たまたま」 この動揺。 心が読めなくとも心を読んだことが分かる。 「じゃあ代わりに僕がさっき心の中で思ったことを口にしてやろうか?」 「ちょ…ちょっとまって!心の準備が…」 「こんな愛くるしいさとりと、キスしたいなぁ」 ○○が言ったと同時くらいに、さとりの顔が赤くなっていく。 「あのさ、さとり。僕は心が読めないから返事をしてくれないと…っぅん!?」 突然さとりが○○に抱きつき、キスをした。 数十秒。時間が流れ、口を離したさとりが言う 「これが、返事よ。私の大好きな○○。「(僕も…)」っと。この先を私が言うのもなんだから、行動で示してくれるかしら?」 今度は違った悪戯っ子のような笑みを浮かべ問う。 「僕も大好きだよ、可愛い可愛いさとり。僕の返事を受け取ってくれる?」 「もちろんよ」 そうさとりが言った直後に○○がさとりの唇に自分の唇を重ねる 先ほどより長い時間が流れる 「(いつ外そうかタイミング無くなったなぁ)」 「(この唇をいつ外そうかな?ですって?ずっと離さなくてもいいのに)」 さとりの心に浮かんだと同時くらいに○○を強く抱きしめ、更に強く口付けをして舌を進めさせる さとりは心に思うとすぐに行動に移すタイプらしい。いや、○○に対しての時だけかもしれないが。 「(はぁ。心を読まれたなぁ。)」 さとりが口を離す。 「ぷはぁ。心を読まなくても、そうするつもりだったわよ」 「そうか。僕は心を読めないけど、さとりの事は分かるよ。そこそこね」 「じゃあ今私が何を思ってるか言ってみて?」 「「(○○の事が、大好き)」かな?自惚れな気もするけどきっとそう思ってるはず」 「大正解。貴方の心の中にも「(さとりのことが好き)っていう気持ちが浮かんでるわ」」 再び長い口付けが始まる… この事が猫から烏へ。烏から鴉へと渡り、幻想郷に砂糖たっぷりな新聞がばら撒かれたのはまた別の話。 うpろだ1424 ─────────────────────────────────────────────────────────── 中庭に人間が倒れていた。 旧地獄を管理するようになってからというもの、人間どころか妖怪にさえまともに会っていなかった。 最近になって、人間が二人ほど殴り込みをかけてきた程度である。 それが突然、なんの脈絡も無しに、私の日常は急変して…… 「あなたは……何?」 「えーと、俺は○○っていうんですけど……ここどこですか?っていうか俺こんな場所にいたっけ?あれ?」 「…………」 どう見ても人間である。 何をどうすれば人間がこの庭にいきなり出現するのだろうか。 いや、人間だけではなく、たとえ妖怪だって同じだ。 どうにもまともな入り方をしてきたようには見えない。 初めての事態に、私は動揺していた。 「あの、聞いてますか?あのー、すみません、あのー」 「……聞いているわ。私はここに住んでいる古明地さとり。状況が把握できていないのは私も一緒だから、 まずは落ち着いて、館の中で少し話をしましょう」 彼を館の中に招き、事情を聞き出す事にした。 何かを企んでいるようなら、すぐにでもここから追い出すか、火炉にでも放り込んでやろうと思った。 そう、私の「能力」ならば、どんな悪巧みも隠し通す事はできない。 ……しかし、驚いたことに彼に対して私の能力は通用しなかった。 彼の心の声はうまく聞き出す事ができなかったのである。 妹の前例もあったため、それほど動揺はしなかった。 ただ、ちょっぴりだけ、この人間と関わることに対して不安になった。 「それでですねー、俺はいつものように散歩を……あ、俺、早朝の散歩が日課で、というか趣味なんですけどねー、 犬の散歩してる人とかに……ってそうじゃなくて、いつものように歩いていたら急に眩暈がして、急性の貧血かー!? とか思う間もなく倒れて、というか俺は別に貧血持ってないからよくわからなかったんだけど、 今思ってみると貧血じゃなくてただ目の前が暗くなっただけというか、とにかく気付いたらここにいて、 凄い大きいお屋敷とかあるからびっくりして……あ、このお茶おいしいですね!ずずずずずずずずずず^q^」 ……前言撤回。 私がわざわざ心の声を聞き出す必要も無かった。 この人間は私が聞いてない事まで良く喋る。 彼の無駄話を要約すると、早い話が、何もわからないという事だった。 ただ、彼が人間だというならば一つの可能性が浮上する。 ――神隠しである。 地上ではよく神隠しで幻想郷の外の人間がこちらに入ってきていたように思える。 この地底だって幻想郷には違いないのだから、何もおかしい事は無い……はずだ。 「……というようなルートの散歩コースなんだけど、その通り道にはこんなお屋敷無いし、さとりさんみたいな美人もいない…… あ、変な事言ってすいません、でも、近所にこんなに猫もいないし、あ、俺、犬より猫派なんだけど、今住んでるアパートが……」 彼の話すことはもうほとんど聞いていなかったが、私はこの後彼をどうするかについて考えていた。 人間を捕って喰うような習性は無かったし、かといってわざわざ外に連れて行ってあげるほどの義理も無い。 ……そうだ、神隠しの事ならば、地上の住人が詳しいに違いない。 そう思った私は、前に地上に遊びに行ったという妹が次に地霊殿に寄るのを待つ事にして、その短い間だけは彼の面倒を見ることにした。 * * * そうして、妖怪と人間の奇妙な二人暮し(+ペット多数)は始まった。 いや、実際はそんなに奇妙なものでもなかった。 彼も前は一人暮らしをしていたらしく、家事炊事などで手伝える部分を手伝ってくれたために、単純に生活が楽になっただけとも言えた。 ただ、大きく変わったのは、私の生活の中に他人と会話をする時間が増えたという事だ。 話の内容は、日常会話に始まり、この世界の事、地底の事、私の能力の事、お互いの出生話など……。 自分のペットとさえ、こんなになって話すことは無かった。 私がいろんな話をするたびに驚いたり笑ったりとコロコロ変わる彼の表情が、ちょっとだけ面白かった。 その際に、彼は歯に衣を着せない物言いをする。 気になった事はストレートに聞いてくるし、褒める部分はベタ褒めする。 私が料理と作るたびに「凄い、マジで美味しい!俺一生さとりの飯がいいや!」とか言うし、 私が猫と遊んでいると「今のさとりの顔凄い可愛かった!ちょっともう一回笑ってみせて!」とか言われて、 ……その、正直照れる。 今までこんな経験が無かったから、自分でも驚くくらいドキドキしてしまう。 ただ、ちょっといやらしいというか、そんな事までわざわざ言ってくるのは、その、どうかと思う。 彼との生活で、私の胸の鼓動は高鳴ってばかりだった。 そしてその日常は、決して嫌なものではなかった。 ――朝起きて、彼に会うことが楽しみ。 ――今日はどこで、どんな話をするのだろうか。 それは本当に、今まで感じることの無かった不思議な感情。 ……そう、私は知らずのうちに彼に恋をしていた。 自分でも無意識のうちに他人との交わりに飢えていたのかもしれない。 不思議な闖入者の存在は瞬く間に私の心に溶け込み、蝕み、依存症さえ引き起こしているかのようだった。 そんな中でも、ただ一つだけ気掛かりだったのは、そう、彼がいつか外の世界に帰ってしまうという事だった。 * * * 外の世界には彼の生活があったはずだし、帰してあげるのが道理だ。 もちろんそれは彼にとって一番良いことであり、私のわがままで地獄に縛り付けておくなんてもってのほかだ。 そんな事実とは裏腹に、私は少しでも彼と一緒にいたくて、離れたくなくて…… 私は、○○と…… * * * 私が彼を好きになればなるほどその懸念は膨らみ、ある日、ついうっかり口に出してしまっていた。 「……へ?外の世界?」 「そう。前も言ったように、外に帰る方法は有ると思うわ。次に妹が帰ってきた時にでもあなたは……」 「帰らないよ」 「……外に、って、え?今なんて言ったの?」 「だから、俺は外には帰らない」 「で、でも、あなたは……」 「ここには俺の好きな人がいる。だから帰らないよ」 「あ……ぁ……」 こんな時にまで、○○は…… 「ま、また、そんな事を言って。あなたは普通の人間なのよ?それがこんな異世界に、ましてや地獄みたいな所にいるなんて、 普通ならあってはならない事よ……。こんな忌まわしい所にずっといるなんて、あなたにも良くないし、その……」 彼が外の世界に帰る理由を取り繕うごとに、その本意とは違う言動に、自ら傷つき、私の身体は張り裂けそうになってしまって…… 「さとりがいない世界のほうが、俺には良くない」 「っ……!!」 彼の真っ直ぐな言葉に、不安や心配なんて事はどこかへ飛んで行って、私は彼に本音を吐き出していた。 「私だって…………私だって○○のいない世界なんて嫌よ!!もっと○○と話がしたい!!もっと触れ合いたい!! もっと……あなたと暮らして…………っ!?」 気付くと、私は彼に強く抱きしめてられていた。 今までで一番○○を近くに感じで、心が一つになってしまったみたいで、 本当に、本当に嬉しくて、涙がとめどなく溢れてしまって、 ――その中で、気付いた。 「さとり……君の事が好きだ」(好きだ) あぁ、そうだったのか。 「君と、ずっと一緒にいたい」(一緒にいたい) 私の能力が効かなかったんじゃない。 心の声は聞こえていたんだ。 ただ、彼は最初から、思ったこと……本心をそのままに話し続けていたんだ。 つまり、○○は、心の底から私のことを………… 「私も好き…………大好きよ、○○」 * * * ある日、いつかの巫女と魔法使いが地霊殿を尋ねてきた。 「おーっす、遊びに来たぜ!」(何か珍しいものはないのぜ?) 「邪魔するわね」 「あら、いらっしゃい。今お茶を淹れるわ…………そっちの黒白は自重しなさい」 ガチャ…… 「ん?珍しい、さとりにお客さんか?」 「あなたは……」 「彼は○○。私の……」 「さとりの夫だ。どうだウチの嫁さんは。ちょっと性的なくらい可愛いだろう?」(性的なくらい可愛いだろう?) 「……思ったことをそのまま話すのはやめなさい…………ばか」 うpろだ1427 ─────────────────────────────────────────────────────────── 楽しかった外界旅行も明日で終わりだ。 「じぇっとこーすたー」に乗って歓声を上げていたお燐も、 かぼちゃの帽子をかぶってはしゃいでいたお空も、 人ごみに戸惑いながらも楽しそうだったこいしも、疲れて眠っている。 私の大切な恋人である○○も、隣の布団で寝息を立てている。 けれど私は、眠れなかった。 ○○。二人きりだったとしても一つ布団で寝るほど深間ではないけれど、 私のことをとても愛してくれている。 そんなにも近いからこそ、その心はしっかりと読み取れてしまう。 本人は気付いていないかもしれないけれど、 元いた世界に戻ってくれば嫌でも色々なものが心の表層近くに浮かび上がってくる。 友達、家族― 「帰って来れないくらい遠くにいるけど、一緒に歩いてくれる人がいるから」 と言って私を紹介した彼を、案じながらも祝福して送り出してくれたご両親。 暮らした町並み、お気に入りの景色。想いを伝えられなかった、初恋の人。 この旅の間、私の第三の眼は、そんな彼の記憶を一つ一つ映していた。 心を読まない、という選択肢はない。 私達の種族にとって、心を読むのは呼吸することに等しい。 今は閉ざされたこいしの眼だって、いつかきっと開けるようになる。 どんな記憶でも、どんな心の動きでも、私は読むことをためらったりしない。 けれど普段のように、読んだ内容を相手に―○○に、伝える気にはなれなかった。 ○○の「そこまでよ!」な妄想をちょっと赤面しつつもからかい半分で咎めるのとは違う。 望郷の念を指摘したら、○○はきっと、「そんなことはない」と言うだろう。 それは私の言葉を否定するためではない。私が心を読めることぐらい、○○にもわかっている。 ○○が、自分自身に言い聞かせるために。故郷を懐かしむ気持ちを、振り切ってみせると私に伝えるために。 それでもきっと、その言葉を口にする時の○○の心は、幾分悲しみや寂しさを含んでいることだろう。 だから私は、このことについて口を開かなかった。 ○○のそうした想いを、消し去ったり忘れさせたりすることはできない。 それらの記憶も、私の好きな○○を形作っているものだからだ。 けれど、私は。 ○○の外界の思い出を読むたびに、彼を私の側に縛り付けてしまうことが、本当に彼の幸せなのか、迷ってしまう。 布団を抜け出ると、私は自分と○○の布団をくっつけた。 枕に頭を乗せると、さっきよりも近くに○○の顔が見える。 今は少しでも、彼に近づいていたかった。 「ん……」 ○○が薄く目を開く。しまった、起こしてしまったろうか。 ○○は、黙って自分の布団の裾を持ち上げ、境目近くにいた私に小さく手招きした。 目覚めているのか、寝ぼけているのか。 心を読んでそれを確かめるのも忘れて、私は彼の胸に飛び込んだ。 しっかりと私を抱きしめてくれる、○○。 時々彼は、心を読めるわけでもないのに、こんな風に私の心を満たしてくれることがある。 やはり半分くらい眠っていたのか、○○はすぐにまた眠ってしまった。 私はその身体を離さないようにきつく抱きしめ返す。 抱えていた不安が解けていくのを感じながら、私も眠りに落ちていった。 新ろだ82 ─────────────────────────────────────────────────────────── ここは幻想郷の地下、地霊殿。 さとりが地上から忌み嫌われてるというもんだから 俺でよかったら友達になるよって事で それからよく遊びに行くようになった。 さとりは両手で頬杖をつきながらこちらをじぃぃーっと見ている。 「な、なんだよ。」 「ホントに貴方も物好きですね。」 「そうかな」 「こんな地上の人にとってはジメっとした空気で居心地悪いでしょうに」 「まあ、慣れたよ。しょっちゅー来るようになったせいだけどさ」 そういう日が続いて数ヶ月。 「おーい、○○~」 遠くから呼ぶ声、ホウキにまたがった魔理沙がこちらへ近づいてくる 「よっと、今日はいい天気だしたまにゃどっか遊びにいかねーか?」 「悪い魔理沙、今日も用事があるんだ」 「ん、また地下か?」 「・・ああ良く分かったな」 「まあ、よく出入りしてるって耳にするからな」 「なるほどな、まあそういう訳なんだ、すまんな」 「・・お前~まさかとは思うが・・」 ニヤニヤとした顔で顔を近づけてくる 「な、なんだよ」 「あの地霊殿の主に惚れてんじゃねーか?」 「な・・!」 「あっはは、赤くなってやんの」 「・・お前な。」 「まあ冗談だ、気を悪くするな。じゃあなー今度は予定あけとけよ~」 そう言いながら、またホウキにまたがって去っていった 「(俺は・・・そう・・なのか?)」 そういう風に考えた事がなかった。 最初は不憫に思って友達になろうと言ったが、 確かにその相手が心を読める妖怪なら よほどの物好きじゃないと中々言える言葉ではない。 それに、俺はただ不憫に思って同情したからではなく 一緒に居れば楽しそうと思ったから。 そう、今は彼女と一緒に居て楽しい。特に何もすることはないけど そばに居るだけで楽しい。いつしかそう思うようになっていたんだ。 これってやっぱり・・。 ああ・・そうだったのか・・ ・・やばい。今この状態でさとりに会うと読まれてしまう・・。 知ってしまった気持ち。 気づいてしまった好意。 知られてはならないと思った。 知られるとどうなる? 軽蔑? いやもともと人間をよく思ってないかもしれない、 そこでそういう事を知るとどんな事を言われるか分からない。 いずれにしろ今の楽しい関係が終わる事は間違いない。 それは嫌だ。 でも、今のこの状態では会えない。 会いたい。でも会うわけにはいかない。 そうだ、 この気持ちが治まるまで会わなければいいのだ。 そうするしかない。 きっと一時の感情だ。そのうち冷める。 しばらく忘れればいいんだ・・。 ―――1ヵ月後 だ、だめだ・・忘れるどころか離れれば離れるほど 日が経てば経つほど気持ちが強くなってゆく。 あーチクショウー 会いたい。今すぐ会いたい。 俺はどうすればいい?誰か教えてくれ・・ ――――――――― 「(・・彼、急に来なくなったけど、どうしたのかしら)」 3日に1度は遊びにきてた○○が、突然こなくなってから1ヶ月。 地上で何かあったのかしら・・。 私がなにか彼を傷つけるような事を言ったとか・・? ・・いえ、それはないわね。 彼が最後に来た時の心にはそのような部分は無かった。 むしろ、また明日も来るつもりだったくらい。 急に飽きた、と考えてもやはりそれも不自然。 いえ、、そうであって欲しくない・・。 ガタ 「さとり様?どこへ行くんですか?」 「地上。」 「え、、えぇーーー!?」 「お燐、その間、留守番お願いね」 「は、はぁ。い、行ってらっしゃいませ・・」 こういうのはペット達に任せればいいのに どうして自分で行こうと思ったのかしら・・。 でもそれはすぐに自分で理解した。 ・・いち早く心を読みたい。読んで確かめたい。 そう、彼が地上に居る間に私を嫌うような何かを聞かされている可能性があった。 人に嫌われるのは慣れているはずなのに、 私は彼に嫌われるのを怖れている。 彼にだけは嫌われたくない。 友達になろうって言ってくれたときの彼の心の中、今でも覚えてる。 彼は本当に仲良くなりたいと思っていた事に私は既に興味を抱いていた。 彼の心の中はいつも温かかった。一瞬たりとも私を嫌わなかった。 そればかりか、一緒に居て楽しいとまで考える程の変わった物好きさん。 そんな彼が周りの言葉に影響されて私を嫌うだろうか? 違うと信じたい。だから確かめたい。それを、今すぐ。 私は眼の力を頼りに探し回った。 ・・・ ここですね・・。 彼は自分の部屋で寝ていた。でも酷くうなされているようね・・。 さっそく心を読んでみる。 ・・しかし彼の心がうまく読み取れない え、どういう事? 彼の心に強いプロテクト反応。 読まれたくない彼の強い心が無意識のうちに張られているのでしょうか・・。 そこまでして・・知られたくない事なの・・?○○・・。 ・・無意識・・?妹と同じ・・? この感じは・・ ―――――――― ここは、どこだ・・? あたり一面真っ白な世界。 「○○、聞こえますか?○○」 聞き覚えのある声が聞こえる。 俺がずっと聞きたかった声だった。 「さとり・・?」 「どうしてここに?って、ここ何処だ?」 「ここは貴方の夢の中。」 「くそ、またあんたの夢か。。ほぼ毎日じゃねーか・・」 「○○・・ひとつ聞いていいかしら?」 「な、なんだよ」 「貴方は私の事をどう思ってるんですか?」 「・・どうって、、どうせもう読んでるんだろ?」 「いいえ。ここは夢の中だから、貴方の心の中。 つまり貴方がここで言わないと私には伝わらないわ」 「夢の・・中なら、言ってやるよ・・よく聞いてろよ、言うからな」 「はい。」 「俺は、俺はあんたが好きだ。大好きだ。もう、何度も夢に出るくらいあんたを想ってる でもこの気持ちを知られたくなかったんだ。あんたに、さとりに 心を読まれるわけにはいかなかった。だからずっと会わないようにしていた。 あんたに・・あんたに嫌われたく無かったから! それだけじゃない。どうせ伝えるならせめて先に心を読まれずに言葉で伝えたかった。 それが出来るなら嫌われてもおそらく後悔はしなかった。 確かに心の中は真実だ。でも、それで伝えても駄目なんだ・・。駄目・・なんだ」 ポロポロと溢れる涙。 ずっと溜まっていたものが全て吐き出されるように、 伝えたかった言葉と同じように、涙が零れ落ちる。 全て伝えた。夢の中だけどスッキリした。 そう思った時・・ ・・!? さとりが近づいてきて俺を抱きしめて口を重ねてきた。 「ん・・」 「・・ありがとう○○。私もすっきりしたわ」 「・・・さとり」 もう1度口を重ねる。 今度はこっちからだ。 「ん、ちゅ・・○○・・私も・・好き・・大好き・・ん・・」 「・・愛してる・・さとり」 さとりの肌の感触、唇の感触、匂い、掛かる息 夢とは思えない程にさとりを感じた。 ――――――――― 目が覚める。 自分の部屋の布団の中。 その腕の中にはさとりが居た。 俺の腕はさとりをずっと抱きしめていた。 彼女もずっと俺を抱きしめていた。 目が合う。 言葉より先に唇を重ねた。 夢の中のキスと同じ味がした。 「・・ごめんなさい。貴方が心を開かないから夢の中で無理やり聞いちゃった」 「・・そんな能力も、あったのか?」 「いえ、貴方と同じ布団で寝て、傍で貴方を感じれば会えると思っただけ」 「・・そうなのか」 「貴方の気持ち、ちゃんと聞けたわ。嬉しかった・・」 「俺もだ。夢の中とはいえ、自分の意思で思いを伝えれた。 それに、嫌われるどころか受け入れてくれた。これ以上嬉しい事なんてない」 「嫌うわけないじゃない、まったく・・」 そう言ってさとりは俺の鼻の頭にキスをする。 「どうして貴方が妹と同じ感じがしたのかやっと分かったわ」 「・・こいしと?」 「ええ、あの子は嫌われない為に自ら心を閉ざしたの。」 「第三の眼の事か。。」 「ええ、貴方は人間だからそんな眼は元から無いけど、 あの子の考え方が貴方と似ていた。だから私は分かった。だから信じれた。」 「俺が怖れてる事を、か」 「・・私も貴方に対しては貴方とあの子と同じ気持ちだったわ」 「・・・。」 「地下の連中、心配してないか?」 「ん・・今日はずっと一緒にいる」 「そうか。」 「なあ、さとり」 「はい」 「愛してる」 「・・私も」 その日、二人は一日中愛を確かめ合った。 「さとり様・・帰り遅いね、おりん」 「・・そうだね、おくう。」 一方、地霊殿では鴉と猫のすすり泣く声が響き渡っていた。 新ろだ165 ─────────────────────────────────────────────────────────── ※補足 "~"は○○の心の中としてみてください。 今日はクリスマス、恋人同士が祝う至福の一時。 舞台は人気の無い丘の上。そこに二人で寄り添って座っている青年○○と少女さとりがいた。 「今日は本当に楽しかったわ、ありがとう○○。」 「さとりが楽しんでもらえて何よりだよ。」"さとりの楽しそうな顔も見れたし。" 「もう………ばか////」 俺とさとりはクリスマスデート中人気の無いこの丘の上を見つけてしばらくそこで談笑していた。 「……ごめんなさい、○○」 「え?」 「本当はもっといい場所があったのに、私の能力の所為で行くことができなくて…」 そう、幻想郷はクリスマスなだけあって村の方もイルミネーションとかが出来てたりして、デートスポットとして絶好の場所だったのだが俺達はあえて避けた。 さとりは心を読む程度の能力を持つ妖怪。 人のいる場所に行くと嫌でも心を読んでしまう。 ましてや今日はどこもかしこも人が多い。そうなると心の読む量が多すぎてさとりの頭がパンクしかねない。 だから俺達は人の少ない場所を探し、ここを見つけ俺達なりにクリスマスの最後を飾ろうと思った。 でも、さとりにとってそれは俺への罪悪感として出てしまったのだろう… 「私の能力の所為で…こんな能力無かったら……もっと…もっと○○と色んなところ行けたのに……!!」 「さとり…」 「え……」 気が付いたら俺はさとりを抱き締めていた。 「大丈夫だよ…。俺は、さとりと一緒ならどこでもいいから…」"だから悲しそうな顔、しないでくれ" 「○○……ごめん、なさ………ごめ、なさ………」 …なにも好きで能力を得たわけじゃない。 さとりだって普通にデートしたかったはずだ。 でもそれも無理だとわかりきっている事、言いたくても言えなかった本心。 泣きながら謝り続けるさとりが泣き止むまで俺はずっと抱き締めていた。 しばらくして…。 「…落ち着いた?」 「ぐす…うん。」 「さっきも言ったけどさ、俺はさとりといれればそれでいい。場所なんて関係ない、俺は古明寺さとりの側にいたいんだよ…。」"…今、恥ずかしい事言ったかな俺……?" 「うん…ふふ、今のすごく恥ずかしかったでしょ?」 「ああ、今更だがすごく恥ずかしい…。」 「でも…嬉しい……。」 「……なんか渡すタイミングが悪くなったかな。」"プレゼントの事すっかり忘れてた…" 「?…あ、この前言っていたやつね。」 「ああ、もらってくれるか?」"さとりの為に必死になって選んだんだぜ" 「もちろんよ、中身は何かしら?」 「まあ、見てのお楽しみ。…あと大事な話があるんだ。」"驚いてくれるかな…" 「…これ……」 「さとり…俺と……結婚…してくれないか。」"さとり…愛してる。" 「………はい、喜んで。」 人気の無い丘の上で、二人はゆっくりと唇を重ねた。 新ろだ221 ─────────────────────────────────────────────────────────── ちらちらと雪が舞う。 あたりを染め上げる白、肌を刺すような寒さが幻想郷の冬を語っていた。 隣に目を向ければそこには一心に降る雪を目で追う彼女の姿。 とはいえ寒いものは寒いのだろう。厚着はしているものの時折身体を震わせている。 「さとり、大丈……」 「大丈夫。平気よ」 「……最後まで言わせてくれよ」 身を案じて声をかけようとしたが先に返答されてしまった。 心を読む程度の能力。 わかってはいるのだが、なんというかずるい。 しかもそれも読まれていたようで、さとりは優しく微笑むとこっちに身体を寄せてきた。 「こうすれば寒くないでしょう」 「だから、ずるいってば……」 優しい微笑みのはずなのに意地悪な笑みにしかみえないのは俺が気にしすぎだからだろうか。 身体を俺に預けたままクスクスと笑うさとり。 そんなさとりに憮然としまま再び目を降る雪に向ける。 「なあ、別に雪なら旧都でも見られるだろう?」 ――なら同じじゃないか? どこで見ても。 「そうでもないわ」 さっきのようにずるいと思うこともしばしばある。 だっていうのに、こんな風に会話と会話の間が飛ぶのが普通に感じている辺り俺も慣れてきてるんだろう。 いい傾向なのかどうかわわからんが。 にしても同じじゃない、か。 それの意味するところを漠然と考えて……あんまりといえばあんまりな考えに至り、思わず苦笑をもらしてしまった。 すると急にくいっと袖を引かれた。 つられるようにしてそっちを見るとそこには今度こそ意地悪な笑みを浮かべたさとりがいた。 「……なんだよ」 「言ってほしい?」 「だから、なにをだよ」 「言ってほしい?」 「うぐっ……」 だからこういうところがずるいんだ! そんな心の叫びも読んでいるだろうにさとりはニヤニヤと笑うのをやめない。 しかも言ってほしい? って聞くって事はつまりさっき俺の考えが当たりということで。 そう思うと顔に急激に熱が集まってくるのが分かる。きっと俺の顔は今頃真っ赤だろう。 ああもうどうすればー!? と、おろおろと狼狽するしかない俺だったがさとりはそれで満足したのか、全身で俺に抱きついてきた。 ぎゅっと身体を密着させる。そして 「だってここには、貴方がいるもの」 その言葉に返すような言葉をあいにくと俺は持ち合わせていない。 だから行動で示した。 俺もまた全身でさとりを包み込むように抱きしめる。 お互いの熱が、冬の寒さから守ってくれる。 そのままどれくらいたったのか。どちらともなく顔をあげ、見つめあう。 多くの言葉はいらない。本当は俺がさとりを、さとりが俺を想い合うだけで十分。 それでも言葉がほしい時がある。 今日、この日が何の日か。幻想郷には本来ないイベントだけど彼女には教えてある。 だからこの場で一番ふさわしい言葉を、言おう。 俺とさとり。 どちらともなく口を開き、タイミングは寸分の狂いも無く。 「「メリークリスマス」」」 そう言って、俺達はキスを交わした。 新ろだ230 ─────────────────────────────────────────────────────────── 地霊殿での午後のティータイム。 こいしは留守にしており、お燐とお空もさとりのお使いで出かけているので、○○とさとりの二人きりだ。 「さとり……何読んでるの?」 「ん……この間地上で仕入れてきたのだけど」 さとりが手にした本の表紙を見ると、○○には見覚えのあるタイトルや絵柄が目に入った。 自分のいた世界―幻想郷の外から地上経由で入ってきた漫画だとわかる。 さとりとはまた違った形で第三の眼を持つ妖怪の少女と、不死の青年の冒険譚だ。 「ああ、懐かしいな。俺も外にいた頃読んだことあるよ(紅茶飲みながら読むものではない気もするが)」 「そうかしら?私はあまり気にならないけど」 そう言ってさとりは本をテーブルに置くと、砂糖壷から取り出した角砂糖を自分の紅茶に沈めた。 口に出さない思考に対して返事がくることに○○も慣れつつあるため、当たり前のように会話が進む。 「『いつか、きっと君を人間にしてあげるよ』……か。ねえ○○」 「なんだい?」 温かな紅茶を啜りながら、○○はカップごしにさとりを見た。 今しがた投下した角砂糖がゆっくり溶けていくのを眺めながら、視線を合わせずにさとりが問いかけてくる。 「○○は、私が普通の人間だった方がよかった?」 唐突に投げかけられたにしては深遠な質問に、○○は少し考え込んだ。 さとりは心を読む妖怪である。 (最初は……やっぱり考えが筒抜けだってこと、落ち着かなかったな) それは恐怖や嫌悪というよりは、戸惑いであったけれど。 (でも心を読むってことは、読み手の方にもそれを受け入れる強さが要るってわかってきて) さとり自身や妹のこいしと関わるうちに、その戸惑いも薄れていって。 (だんだん、そんなさとりの強さに惹きつけられて) やがて、ただの人間だということを差し引いても相手の心を読み取るのはさっぱりだった○○がさとりの好意に気付いたとき、 晴れて二人は恋人同士になった。 「……人間じゃないところも含めて惚れたわけだし、今のままのさとりのことが好きだよ」 そう口にしたところで○○は、そこに至るまでの思考がそのまま答えになっていたことに気付いた。 慣れたとはいえ、まだ時々こんなことになってしまう。 さとりはと言えば、頬杖を突いて○○の方をにこにこと眺めている。 「ありがとう、○○」 「さとりは、人間になりたいとか思ったことある?」 「どうかしら。そうね、もしもの話だけれど、私が人間になったとしたら―心を読めなくなったら」 ふと遠くを見るような目をすると、さとりは自らの第三の眼を撫でた。 「きっと、とても心細いでしょうね。人間で言えば、突然目も耳も使えなくなったみたいに。 それに、それまで私を恐れていた者が、力を失ったのを知ってこれ幸いと襲ってくるかもしれないわ」 顔を上げ、優しく透きとおった目で○○を見つめる。 「もしそうなったら……守ってくれ、なんて言わないけれど、最後まで側にいてくれる?」 仮定とはいえ、自分の存在そのものとも言える力を失う話をしているのに、さとりの声に恐怖は感じられない。 けれど○○はその視線に、わずかに縋るような色が混じるのを見た気がした。 それは、○○に間髪入れずに答えを紡がせるのに十分なものだった。 「当たり前だろ(でも、少しでも……さとりを守れるように、なりたいな)」 「そう。そんなに想ってくれるのなら……人間になって、貴方と同じ時間を生きるのも良いかもしれないわね」 「ああ……」 普段は意識することもないけれど確かに待ち受けている、十中八九さとりを置いて死の先へ行くことになるという未来。 さとりの言葉が想起させたその事実が、○○の顔に悲しげな表情を浮かばせる。 (そうか、寿命が違うんだものな。でもさとりの時間を縮めさせるぐらいなら、俺が―) 「無理はしないでね。私も、今のままの貴方を好きになったんだから。それに」 さとりは微笑んだ。心の強さ、○○への愛情、年月を経た妖怪の凄み、諸々を溶かし込んだような、艶然とした笑み。 ○○は、そこから目が離せなかった。 「貴方と一緒なら、例え命を落としてもかまわない。ええと……そう、夕に死すとも、というやつかしら」 そこまで言うと、さとりは妙に重たくなってしまった雰囲気を振り払うように立ち上がった。 「さ、晩御飯の支度をしましょうか。そろそろ皆帰って来そうですし」 「……そうだね、手伝うよ」 立ち上がり、ドアに向かおうとした○○に、さとりが手を差し出す。 ぎゅっと、○○はその手を握る。 手を繋ぎ、二人は寄り添って歩き出した。 その夜。 「あれ、さとりは?」 夕食の後から見えなくなっていたさとりの行方を、○○は居間にいたこいしとお燐に訊いてみた。 「あ、おにーさん、さとり様ならお部屋だけど……」 「○○さん、お姉ちゃんのこと、そっとしといてあげてね。久しぶりにはまった漫画みたいだから」 こいしは困ったよう顔で笑いながらそう言った。 「ほら、中身を知ってる人が近くにいると、お姉ちゃん先の楽しみがなくなっちゃうかもしれないから」 例えば、これからさとりが読もうとしている部分のストーリーを近くで思い出したりすると、 有効範囲内なら第三の眼がそれを読み取ることになり、オチがわかってしまう、ということらしかった。 昼間話している時は、○○が細かな話を思い出したりしなかったから良かったものの、 下手をすれば昔読んだ内容を強制的にさとりに伝えてしまうことになりかねないわけだ。 「普段なら新しく入ってきた本は、大丈夫なようにまず最初にお姉ちゃんが読むんだけどね。○○さん、あの漫画読んだことあるんでしょ?」 「危なかったなあ……ちょっと待った、昼間さとりが読んでたのってかなり最初の方だったような」 ○○の記憶が確かならば、あの作品は結構な長さのはずだった。 「そうだねえ……あたいとお空が頼まれたお使いって、 あれの続きを最終巻まで買ってくることだったんだけど、結構な量だった気がするよ」 「読み終わるまでさとりと会えないのか……何日かかるんだろう」 「あ、いたいた。○○ー!」 途方に暮れた○○の名を、お空が呼んだ。 「さとり様からね、伝言だよ。 『続きが楽しみだけど○○に会えないのは嫌だし、徹夜で頑張って読みきるから、先に休んでて』って」 「休んでて、って言われてもなあ……」 最後まで読み通すのであれば結構な時間がかかるはずで、 その後さとりが休むのであれば、○○が起きる頃に眠ることになり、結局一緒に過ごせなくなってしまう。 それはそれで、○○は少し寂しい気がしていた。 しばらく考えた末に、ぽんと膝を打つ。 「よし決めた。俺も何か徹夜して、さとりが読み終わったら一緒に休むことにする」 「……うん、お姉ちゃんもその方が喜ぶんじゃないかな。せっかくだから皆で何か遊びましょ?」 「はーい、私大富豪がいい!」 「あたいは人生ゲームがいいなあ」 ……こうして、主が漫画に熱中している間、恋人と妹とペットはゲーム大会を開催するという、 地霊殿のいささか不健康な夜が更けていくのだった。 新ろだ292 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○、お茶が良い?それとも珈琲の方が良い?」 私の問いに彼は少し考えた後珈琲と答えた。 だが彼は答えを口には出してはいない。何故答えを知り得たのか。それは私の忌むべき力、人の心を読める力の性である。 この力を持ったばかりに私に対する風当たりは酷いものであった。人間、果ては妖怪にまで疎まれる程である。 生まれて一度もこれを快く思った事など無い。が、この○○だけは別だった。 ○○、一見するとごく普通の人間なのだが――地下に普通の人間がいる事自体普通では無いのだが――しかし彼は問題を一つ抱えていた。 先天的な病気なのか、後天的に生じた障害なのか。それは私の知る所では無いのだが、彼は声を出す事が出来なかった。 心を読める、そんな力を持ったと知った時彼は酷く驚いていたのを私は良く覚えている。 こんな反応をされるのはもう慣れている。が次に彼が心で思った事は予想外であった。 君は凄い、ならこれは分かる?、人と話が出来てとても嬉しい、君ともっと会話がしたい。 私に対する賞賛、そして嬉々とした言葉。恐れや侮蔑はあれど、このような言葉が出てくるとは驚きだった。 話を進めていく内に彼の地上での話も聞くことが出来た。 声が出せないそれは嫌と発する事が出来ず、反論も出来ず、他者に都合の良い解釈をされる。上の世界は自分には生き辛い世界だったと。 話終わると彼の目には涙が浮かんでいた。私はハンカチを彼に渡すと 「しばらくここに住んでみない?貴方が良ければの話だけど」 何故こんな事を言ったのかは良く覚えていない。あの時から惹かれていたのだろうか。 少し考えた後彼は首を縦に振り。お願いしますと心の中でつぶやいた。 こうして○○はしばらく地霊殿に滞在する事になった。 その間、どこへ行くにも私は彼に付いて回った。私の力抜きではまともにコミュニケーションを取れないからだ。 私を必要としてくれる○○、誰からも必要とされなかった私。私が彼に好意を抱くのにそう時間はかからなかった。 珈琲の入ったカップを彼の前に置くと、彼と向き合うように私もイスに座った。 美味しそうに珈琲を飲む○○、私は彼にある質問をしてみる。 「ねぇ、ここに住んで一ヶ月程経つけど…地上に帰りたいと思った事は無い?」 すぐに一度も無いよ、と返事が帰ってきた。 「そう…両親の事とか恋しいと思わない?」 これはすぐに返事が返って来なかった。目を伏せ、少し考えているようだ。 恋しいと思う、けれどもうこれだけ時間が経っているなら死んだと思っている筈。 何よりもさとり抜きでの生活は考えられない。 「……最後の部分、私は人と話をする為に必要という事なの?それとも…」 言うより早く、違うそう意味ではなく、ずっと傍にいて欲しい。地上に帰るにしても君も一緒に連れて行きたい。 そう返事が返ってきた。彼の顔が仄かに赤みがかっている。 私もその返事の性で顔が真っ赤になってしまった。飼っている連中が見ているのならきっと囃し立てられるだろう。 何とも言えない雰囲気が場を支配してしまっている。 「………あ、珈琲もう一杯いる?」 何か一言をと思って出た言葉がこれだった。 さとりのいれた珈琲なら何杯でも。彼がそう答える。 「馬鹿」 「でも…そう言ってくれる相手がいるっていうのは嬉しい事ね」 言える相手がいて僕も嬉しいよ。また彼が。 クスっと少し笑うとまた私は部屋を後にした、愛しの彼に珈琲をいれてあげる為に。 新ろだ350 ─────────────────────────────────────────────────────────── 猫のお燐を膝に乗せながら部屋で本を読んでいると、扉の開く音。 何事かと思って見ると、トレイを持った○○だった。 「……何をしているの」 「お、お茶をおもちしました」 ○○が持っていたトレイのカップを二つ、たどたどしい手つきでテーブルに置く。 言動を見る限り、話に聞く地上のメイドの真似事をしているらしい。 そういう事はしなくていいと言ったのに、とお燐を撫でながら思う。 しかし、よくよく考えてみればこれは好機なのかもしれない。 ○○が私に近づいてくる事はあまりない。私以外とは仲良くやっているのに。 初めは私の能力を恐れているのだろうと思い、諦めていた。 しかし、ふと彼の心を読んだとき、別の理由である事が分かった。 私がこの地霊殿の主である事から、自分の事を構っている暇も無いくらいに忙しいと思っているらしい。 その為、私に迷惑がかからないように距離を置くようにしている、という彼なりの気遣いらしく、私を恐れている訳ではないらしい。 恐れられていないならば、私も彼と仲良くなっておきたい。素直で良い子なのは見て分かる。 ただ、機がやってこなかった。 その彼が、自ら私に近づいてきている。 それに、せっかくの彼の好意を無碍にするのは気が引ける。 「……ありがとう」 私が言うと、少しはにかんだような笑顔で会釈したあと、そのまま立ち去ろうとする。 もちろん、このまま終わらせる訳にはいかない。 「一緒に飲みましょうか」 私が言うと、○○は驚いたような顔で振り向いて、首を横に振った。 彼からしてみれば当然の反応なのだろうか。 しかし、私からすればその反応は納得がいかない。 「……飲まないの?」 「僕の分がないから……」 「じゃあ、カップが二つあるのは何故かしら?」 と、聞くと○○は私の膝の上にいる、二又の尾を持つ黒猫をじっと見つめた。 なるほど。 「お燐の分も入れてきてくれたのね」 「うん」 「なら、言うべきだったかしら。お燐はお茶飲めないのよね、猫舌だし」 「にゃ!?」 お燐が尻尾を立てて抗議を申し立ててくるが、身体を撫でて宥める。 それでも尚、にゃあにゃあと鳴くので無視する事にした。 言いたい事があるなら人の姿になればいい。心は読めるが、猫の言葉では私には通じない。 私は猫ではないから。 「あ、そうなんだ……」 「余ったお茶が勿体ないわ。だから、一緒に飲みましょう」 「で、でも……」 「従者は主の言葉に忠実でなければならないのよ」 ○○が何を考えて躊躇しているのか、心を読む必要も無いくらいに分かる。 メイドの真似事で、主と飲むべきではないと考えている。 しかし、ここは地霊殿。地上とは違うルールが存在する。 主は私なのだから、ルールを決めるのは私である、としておこう。 ……○○が首を傾げている。言葉が難しすぎて理解出来なかったようだ。 一人で空回りしていたような空気になり、少し恥ずかしい。 「えぇと、あなたは私の言うことを絶対に聞かなくてはダメなのよ」 「……そうなの?」 「あなたのご主人様は、今は私でしょう?」 「うん」 「ご主人様の言うことは絶対なのよ。だから、一緒に飲みましょう?」 「え、あ、うん……」 釈然としていない様子だが、納得はしてくれたようだ。 膝の上の黒猫が未だに何かを訴えてきているらしいが、私の心には届かないので身体を撫でておく。 まぁ、お燐がお茶を飲める事は知っているが、今回は機が無かったという事にしてもらおう。 カップを持ち、口に運ぶ――前に味を期待させる香りが鼻腔を擽る。カップを覗くと、濁りの無い紅色の液体がゆらゆらと揺れている。 お茶、と言うよりは紅茶だった。やはり、地上の紅魔館のメイドが元らしい。 別段、嫌いでもないので気にはしない。 今度こそカップを口に持っていく。 「どう……ですか?」 紅茶を喉に通して、カップを皿の上に戻す。 そして、心配そうな表情の○○を見据える。 出来る限り、優しい笑みを浮かべながら。 「……美味しいわ」 そう言ってあげると、○○はぱっと嬉しそうな表情に変わった。 心がざわつく。今まで弱々しく刺激されていたある欲求が、急に強い衝撃を受けて暴れまわる。 一度目を瞑って深呼吸。乱れた精神を統一する。主として、情けない所を見せてはいけない。 心を落ち着けた所で、目を開ける。 私の一言が嬉しかったらしく、眩しいくらいの笑顔で紅茶を飲んでいる。 あぁ、もう。愛しい。 精神統一なんてただの気休めだった。気を抜いてしまえばすぐに頭に手が伸びそうになる。 頭を撫でてあげたい。それだけなのだけれど、彼の頭に手を置いた瞬間に主としての風格が崩れる気がしてならない。 彼の前だけでならばそれでも構わないのだけれど、膝の上には不貞腐れているお燐がいる。 お燐には見せられない。 ある意味、お燐が最後の防壁となっている。お燐がいなくなったとしても、空やこいしが部屋に入ってくるかもしれない。 空はともかく、こいしに見られるのだけは避けなければならない。恥ずかしいどころではない。 でも、紅茶は美味しかったのだから、彼の頭を撫でてあげたい。 そう。これはご褒美。だから、彼に触れる事は断じておかしな事ではない。主として当然のこと。 むしろ、問題なのは褒める事もしない主。主としてではなく、心持つべき者としてやり直すべきだと思う。 その時、お燐が私の膝から飛び降りた。 仕事でも思い出したのかと思って、視線で後を追うと、扉の前で一度振り返る。 もちろん、目が合った。 『さとり様も何だかんだで○○とじゃれ合いたいんですね』 お燐が、心を通じて私に言ってきた。 違う。断じて違う。私は○○から美味しい紅茶を頂いたのだから、それに対する褒美をあげなければならない。しかし、それを言っても彼は首を振るだろうし、それに言葉だけでは誠意が無い。主としてあるべき姿に加えて、生きとし生ける者として当たり前の誠意を示す必要がある。その為に、欲の無い彼に対して頭を撫でてあげる事で、彼に対する私の愛情を示す事が出来るのだし、何より私のペット達が私より○○と仲が良いというのが気に食わない。だから私は彼ともっと仲良くなりたいので頭を撫でる。 ハッとして、我に返ると、お燐はニヤニヤしながら私を見ていた。猫なのに。 私が咄嗟に顔を逸らして、ようやく部屋から出て行った。 恥ずかしい。とてつもなく恥ずかしい。 先ほどの仕返しと言う事なのだろうか。今度膝の上に乗ってきたら倍にして返してやろう。 まさか他人に心を読まれる事がこんなに恥ずかしい事だなんて思いもしなかった。 川があったら飛び込みたい。こいしがいたら泣きつきたい。 お燐がいなくなり、部屋は私と○○の二人だけになってしまう。 ○○は訝しげに私を見ている。どうやら、今の私は顔が赤いらしい。 頭を撫でて気を逸らす。念願が叶ったというのに、感慨なんて全く無かった。 「そ、外に出たらどうかしら?」 「えっ?」 一人にして欲しい、とまで思ってしまう。少し心を落ち着けたい。 ○○と二人きり。ゆっくり話が出来る、本来ならば喜ぶべき一時。しかし、お燐のせいでどうすればいいかわからなくなってしまっている。 また機会はあるのだろうか。その機会はいつになるのだろうか。 分からないから、もっと一緒にいたい。しかし、今は一人にして欲しい。 「ずっと中にいては不健康だわ。たまには外に出て思いっきり遊んできなさい」 ついにはこんな言葉まで出てしまう。気持ちとは裏腹の言葉。だけど、私の気持ちそのままの言葉。 心を読む側が、こんなに心を乱されるのは情けないかもしれない。しかし、落ち着けるには時間が必要。 ○○もまだ私と一緒にいたいのだろうか。何だか寂しそうな目で私を見ている。 そんな目で見ないで欲しい。罪悪感に心が支配される。 しかし、次の言葉で我に返る事になる。 「じゃあ、さとり様も外に出ないと」 その発言は、私の心を抉るには充分すぎた。 昔はこいし共々、外に出ていた。 心を読むという事が、どれほどまでに他人の内側を土足で上がりこみ、暴れまわり、汚される事なのかも知らずに。 それに気付いた時は、周囲は私たちを敵とみなしていた。 私は人と接するのをやめる事で何とか心まで壊れるのを回避できた。 しかし、こいしは耐えられなかった。心を閉ざし、人に認知される事を避けた。 今は改善されてきているが、初めは私が相手でさえも変わりなかった。 「あ……ごめんなさい」 表情に出てしまっていたのか、○○が謝ってくる。 責めている。何気ない一言が私を傷付けてしまった、と自分を責めている。 「気にしてないわ。だからあなたも気にしないの」 「で、でも……」 こんな言葉で話が終わるとは思わなかったが、やはり終わらない。彼は先の言葉を言おうとする。 しかし、それ以上は言葉にならなかった。目に涙を溜めて、俯く。 外で私に対する周りの目を知ったのだろう。彼が聞いた話では、やはり私はあまり好ましく思われてはいないらしい。 だからこそ、余計に自分の軽率さを責めているのだろう。 なんて声をかけてあげればいいのか分からない私に、○○はぽつりと呟くように先の言葉を紡いだ。 「心を読まれるから近付くなって、言われた」 「……仕方の無いことね」 「どうして? 心読まれたからって、さとり様はひどい事しないのに」 「それは……」 「さとり様は、本当は優しいのに、みんな……」 そこまで言ったところで、彼の目からとうとう涙が溢れた。 零れる涙を拭おうともせず、真っ直ぐに私を見つめながら。 この環境に慣れてしまった私の代わりに、泣いている。 自分の事でもないのに、自分の事のように嘆いている。 「――――」 椅子から降りて、小さな身体を抱きしめる。 私の為に泣く必要なんかない。 その涙は、私のような妖怪に流すべきではない。 「……○○」 「……っ……」 抱きしめる腕に力を込める。 ようやく、私の背中に手を回して、胸に顔を埋めてくれた。 「……ありがとう。でも、大丈夫よ」 まだ嗚咽を漏らす○○の頭を優しく撫でながら、語りかける。 「確かに、私は恐れられているかもしれない。人妖、両方に」 彼の腕に力が込められる。 そんなことない、と否定する彼の優しさに愛しくなる。 「でも、ここのペットたちは皆、私を慕ってくれている。私の事を分かってくれている」 ○○が顔を上げて、涙で赤く腫れた目で見つめてくる。 自分も、と訴える様子に微笑ましくなる。 「もちろん、あなたもよ」 彼はまだ誰にも開けられずに、自分の心に閉まっておきたい事が無いから。 だから分からない。心を読まれるという事が、心ある者にとってどんなに恐怖であるか。 だからこそ、私の為に泣いてくれる。優しすぎるが故に。 「私には、あなたたちがいるから大丈夫」 そして、その優しさに甘えてしまう私。 私に抱きしめさせてくれる、唯一の人間。 言葉だけでは物足りなくなり、自分の心を伝えるように一層強く抱きしめた。 彼の涙が止まるまで。 どれくらいの間そうしていたのだろうか。 胸の中の嗚咽が聞こえなくなった事に気付き、○○の顔を覗き込む。 泣き疲れたのだろうか。安らかな表情で、規則正しい寝息を立てていた。 起こさないように抱き上げて、椅子に戻る。 私の為に泣いてくれたその優しさに、私は何を返せるのだろうか。 「…………」 ――まだ、考えなくていい。 この子がいる限り、返す機会はいくらでもあるのだから。 今はただ、この子と一緒に歩んでいこう。道を踏み外さないように、しっかりと手を繋いでいけばいい。 ふと、テーブルの上のカップが目に入った。 それを手に取って口へと運ぶ。 既に冷めていたが、私の心を温めるのには充分だった。 新ろだ393 ───────────────────────────────────────────────────────────
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さとり1 19スレ目 547 旧うpろだ1424 「なぁさとり、今日は…」 「また貴方はよからぬ事を考えてるのね」 「…最後まで喋らせてくれよ」 地霊殿の主。彼女が持つ不思議な能力。「心を読む程度の能力」で会話の度に心を読まれ、こんなやり取りをするのだ 「今回は何?「(さとりの耳に息を掛けてみたい)」?くだらないことばっかり考えてるのね。貴方は」 「いやいや。お恥ずかしい」 ちょっと口から言いにくいことがあると、まずさとりを呼んで、心を読んでもらう。 そしてそこで了解をもらうと、それを行動に移したり移されたり。 先日は「ちょっとさとりの唇をプニプニしたい」というのを果たした。 なんだかんだでとんだバカップルである。 「別にやってみてもいいわよ?そんなことなら」 口では興味があまり無さそうだが、本心では凄くワクワクしている。 ○○に今、「なんでニヤニヤしてるの?」と言われるまで気が付かなかった。 ○○は当然心が読めないので、さとりがニヤニヤしていても、なぜニヤついているのかは分からない。 「じゃあちょっとやってみるよ」 「「(さとりの反応が楽しみ)」か。そんなたいした反応は…っあぁんっ!」 意外な反応に○○が唖然としてると、さとりが○○の心を読む 「はぁ。心で分かっていても、やられると反応が違って困るわね… で、何?「(うわ。予想外の反応だ。さとり凄いかわいいなぁ)」…何考えてるのよ」 「あんまり心を読むなよ恥ずかしい。ちなみにまたニヤニヤしてるぞさとり」 「…コホン「(喘ぐさとりが愛らしいなぁ)」…いや、もう。何考えてるのよぅ」 「そして語尾が嬉しそうだな」 「そ、そんなことないわよ。で、この続きは~と」 ここでさとりの動きが止まる ついでに自然と口元が緩む 「どうした?僕の心を読んでるんだよな?」 「い…いや、読んでないのよ?たまたま読んでないだけ。たまたまよ。たまたま」 この動揺。 心が読めなくとも心を読んだことが分かる。 「じゃあ代わりに僕がさっき心の中で思ったことを口にしてやろうか?」 「ちょ…ちょっとまって!心の準備が…」 「こんな愛くるしいさとりと、キスしたいなぁ」 ○○が言ったと同時くらいに、さとりの顔が赤くなっていく。 「あのさ、さとり。僕は心が読めないから返事をしてくれないと…っぅん!?」 突然さとりが○○に抱きつき、キスをした。 数十秒。時間が流れ、口を離したさとりが言う 「これが、返事よ。私の大好きな○○。「(僕も…)」っと。この先を私が言うのもなんだから、行動で示してくれるかしら?」 今度は違った悪戯っ子のような笑みを浮かべ問う。 「僕も大好きだよ、可愛い可愛いさとり。僕の返事を受け取ってくれる?」 「もちろんよ」 そうさとりが言った直後に○○がさとりの唇に自分の唇を重ねる 先ほどより長い時間が流れる 「(いつ外そうかタイミング無くなったなぁ)」 「(この唇をいつ外そうかな?ですって?ずっと離さなくてもいいのに)」 さとりの心に浮かんだと同時くらいに○○を強く抱きしめ、更に強く口付けをして舌を進めさせる さとりは心に思うとすぐに行動に移すタイプらしい。いや、○○に対しての時だけかもしれないが。 「(はぁ。心を読まれたなぁ。)」 さとりが口を離す。 「ぷはぁ。心を読まなくても、そうするつもりだったわよ」 「そうか。僕は心を読めないけど、さとりの事は分かるよ。そこそこね」 「じゃあ今私が何を思ってるか言ってみて?」 「「(○○の事が、大好き)」かな?自惚れな気もするけどきっとそう思ってるはず」 「大正解。貴方の心の中にも「(さとりのことが好き)っていう気持ちが浮かんでるわ」」 再び長い口付けが始まる… この事が猫から烏へ。烏から鴉へと渡り、幻想郷に砂糖たっぷりな新聞がばら撒かれたのはまた別の話。 19スレ目 561 旧うpろだ1427 中庭に人間が倒れていた。 旧地獄を管理するようになってからというもの、人間どころか妖怪にさえまともに会っていなかった。 最近になって、人間が二人ほど殴り込みをかけてきた程度である。 それが突然、なんの脈絡も無しに、私の日常は急変して…… 「あなたは……何?」 「えーと、俺は○○っていうんですけど……ここどこですか?っていうか俺こんな場所にいたっけ?あれ?」 「…………」 どう見ても人間である。 何をどうすれば人間がこの庭にいきなり出現するのだろうか。 いや、人間だけではなく、たとえ妖怪だって同じだ。 どうにもまともな入り方をしてきたようには見えない。 初めての事態に、私は動揺していた。 「あの、聞いてますか?あのー、すみません、あのー」 「……聞いているわ。私はここに住んでいる古明地さとり。状況が把握できていないのは私も一緒だから、 まずは落ち着いて、館の中で少し話をしましょう」 彼を館の中に招き、事情を聞き出す事にした。 何かを企んでいるようなら、すぐにでもここから追い出すか、火炉にでも放り込んでやろうと思った。 そう、私の「能力」ならば、どんな悪巧みも隠し通す事はできない。 ……しかし、驚いたことに彼に対して私の能力は通用しなかった。 彼の心の声はうまく聞き出す事ができなかったのである。 妹の前例もあったため、それほど動揺はしなかった。 ただ、ちょっぴりだけ、この人間と関わることに対して不安になった。 「それでですねー、俺はいつものように散歩を……あ、俺、早朝の散歩が日課で、というか趣味なんですけどねー、 犬の散歩してる人とかに……ってそうじゃなくて、いつものように歩いていたら急に眩暈がして、急性の貧血かー!? とか思う間もなく倒れて、というか俺は別に貧血持ってないからよくわからなかったんだけど、 今思ってみると貧血じゃなくてただ目の前が暗くなっただけというか、とにかく気付いたらここにいて、 凄い大きいお屋敷とかあるからびっくりして……あ、このお茶おいしいですね!ずずずずずずずずずず^q^」 ……前言撤回。 私がわざわざ心の声を聞き出す必要も無かった。 この人間は私が聞いてない事まで良く喋る。 彼の無駄話を要約すると、早い話が、何もわからないという事だった。 ただ、彼が人間だというならば一つの可能性が浮上する。 ――神隠しである。 地上ではよく神隠しで幻想郷の外の人間がこちらに入ってきていたように思える。 この地底だって幻想郷には違いないのだから、何もおかしい事は無い……はずだ。 「……というようなルートの散歩コースなんだけど、その通り道にはこんなお屋敷無いし、さとりさんみたいな美人もいない…… あ、変な事言ってすいません、でも、近所にこんなに猫もいないし、あ、俺、犬より猫派なんだけど、今住んでるアパートが……」 彼の話すことはもうほとんど聞いていなかったが、私はこの後彼をどうするかについて考えていた。 人間を捕って喰うような習性は無かったし、かといってわざわざ外に連れて行ってあげるほどの義理も無い。 ……そうだ、神隠しの事ならば、地上の住人が詳しいに違いない。 そう思った私は、前に地上に遊びに行ったという妹が次に地霊殿に寄るのを待つ事にして、その短い間だけは彼の面倒を見ることにした。 ※ ※ ※ そうして、妖怪と人間の奇妙な二人暮し(+ペット多数)は始まった。 いや、実際はそんなに奇妙なものでもなかった。 彼も前は一人暮らしをしていたらしく、家事炊事などで手伝える部分を手伝ってくれたために、単純に生活が楽になっただけとも言えた。 ただ、大きく変わったのは、私の生活の中に他人と会話をする時間が増えたという事だ。 話の内容は、日常会話に始まり、この世界の事、地底の事、私の能力の事、お互いの出生話など……。 自分のペットとさえ、こんなになって話すことは無かった。 私がいろんな話をするたびに驚いたり笑ったりとコロコロ変わる彼の表情が、ちょっとだけ面白かった。 その際に、彼は歯に衣を着せない物言いをする。 気になった事はストレートに聞いてくるし、褒める部分はベタ褒めする。 私が料理と作るたびに「凄い、マジで美味しい!俺一生さとりの飯がいいや!」とか言うし、 私が猫と遊んでいると「今のさとりの顔凄い可愛かった!ちょっともう一回笑ってみせて!」とか言われて、 ……その、正直照れる。 今までこんな経験が無かったから、自分でも驚くくらいドキドキしてしまう。 ただ、ちょっといやらしいというか、そんな事までわざわざ言ってくるのは、その、どうかと思う。 彼との生活で、私の胸の鼓動は高鳴ってばかりだった。 そしてその日常は、決して嫌なものではなかった。 ――朝起きて、彼に会うことが楽しみ。 ――今日はどこで、どんな話をするのだろうか。 それは本当に、今まで感じることの無かった不思議な感情。 ……そう、私は知らずのうちに彼に恋をしていた。 自分でも無意識のうちに他人との交わりに飢えていたのかもしれない。 不思議な闖入者の存在は瞬く間に私の心に溶け込み、蝕み、依存症さえ引き起こしているかのようだった。 そんな中でも、ただ一つだけ気掛かりだったのは、そう、彼がいつか外の世界に帰ってしまうという事だった。 ※ ※ ※ 外の世界には彼の生活があったはずだし、帰してあげるのが道理だ。 もちろんそれは彼にとって一番良いことであり、私のわがままで地獄に縛り付けておくなんてもってのほかだ。 そんな事実とは裏腹に、私は少しでも彼と一緒にいたくて、離れたくなくて…… 私は、○○と…… ※ ※ ※ 私が彼を好きになればなるほどその懸念は膨らみ、ある日、ついうっかり口に出してしまっていた。 「……へ?外の世界?」 「そう。前も言ったように、外に帰る方法は有ると思うわ。次に妹が帰ってきた時にでもあなたは……」 「帰らないよ」 「……外に、って、え?今なんて言ったの?」 「だから、俺は外には帰らない」 「で、でも、あなたは……」 「ここには俺の好きな人がいる。だから帰らないよ」 「あ……ぁ……」 こんな時にまで、○○は…… 「ま、また、そんな事を言って。あなたは普通の人間なのよ?それがこんな異世界に、ましてや地獄みたいな所にいるなんて、 普通ならあってはならない事よ……。こんな忌まわしい所にずっといるなんて、あなたにも良くないし、その……」 彼が外の世界に帰る理由を取り繕うごとに、その本意とは違う言動に、自ら傷つき、私の身体は張り裂けそうになってしまって…… 「さとりがいない世界のほうが、俺には良くない」 「っ……!!」 彼の真っ直ぐな言葉に、不安や心配なんて事はどこかへ飛んで行って、私は彼に本音を吐き出していた。 「私だって…………私だって○○のいない世界なんて嫌よ!!もっと○○と話がしたい!!もっと触れ合いたい!! もっと……あなたと暮らして…………っ!?」 気付くと、私は彼に強く抱きしめてられていた。 今までで一番○○を近くに感じで、心が一つになってしまったみたいで、 本当に、本当に嬉しくて、涙がとめどなく溢れてしまって、 ――その中で、気付いた。 「さとり……君の事が好きだ」(好きだ) あぁ、そうだったのか。 「君と、ずっと一緒にいたい」(一緒にいたい) 私の能力が効かなかったんじゃない。 心の声は聞こえていたんだ。 ただ、彼は最初から、思ったこと……本心をそのままに話し続けていたんだ。 つまり、○○は、心の底から私のことを………… 「私も好き…………大好きよ、○○」 ※ ※ ※ ある日、いつかの巫女と魔法使いが地霊殿を尋ねてきた。 「おーっす、遊びに来たぜ!」(何か珍しいものはないのぜ?) 「邪魔するわね」 「あら、いらっしゃい。今お茶を淹れるわ…………そっちの黒白は自重しなさい」 ガチャ…… 「ん?珍しい、さとりにお客さんか?」 「あなたは……」 「彼は○○。私の……」 「さとりの夫だ。どうだウチの嫁さんは。ちょっと性的なくらい可愛いだろう?」(性的なくらい可愛いだろう?) 「……思ったことをそのまま話すのはやめなさい…………ばか」 20スレ目 504 うpろだ82 楽しかった外界旅行も明日で終わりだ。 「じぇっとこーすたー」に乗って歓声を上げていたお燐も、 かぼちゃの帽子をかぶってはしゃいでいたお空も、 人ごみに戸惑いながらも楽しそうだったこいしも、疲れて眠っている。 私の大切な恋人である○○も、隣の布団で寝息を立てている。 けれど私は、眠れなかった。 ○○。二人きりだったとしても一つ布団で寝るほど深間ではないけれど、 私のことをとても愛してくれている。 そんなにも近いからこそ、その心はしっかりと読み取れてしまう。 本人は気付いていないかもしれないけれど、 元いた世界に戻ってくれば嫌でも色々なものが心の表層近くに浮かび上がってくる。 友達、家族― 「帰って来れないくらい遠くにいるけど、一緒に歩いてくれる人がいるから」 と言って私を紹介した彼を、案じながらも祝福して送り出してくれたご両親。 暮らした町並み、お気に入りの景色。想いを伝えられなかった、初恋の人。 この旅の間、私の第三の眼は、そんな彼の記憶を一つ一つ映していた。 心を読まない、という選択肢はない。 私達の種族にとって、心を読むのは呼吸することに等しい。 今は閉ざされたこいしの眼だって、いつかきっと開けるようになる。 どんな記憶でも、どんな心の動きでも、私は読むことをためらったりしない。 けれど普段のように、読んだ内容を相手に―○○に、伝える気にはなれなかった。 ○○の「そこまでよ!」な妄想をちょっと赤面しつつもからかい半分で咎めるのとは違う。 望郷の念を指摘したら、○○はきっと、「そんなことはない」と言うだろう。 それは私の言葉を否定するためではない。私が心を読めることぐらい、○○にもわかっている。 ○○が、自分自身に言い聞かせるために。故郷を懐かしむ気持ちを、振り切ってみせると私に伝えるために。 それでもきっと、その言葉を口にする時の○○の心は、幾分悲しみや寂しさを含んでいることだろう。 だから私は、このことについて口を開かなかった。 ○○のそうした想いを、消し去ったり忘れさせたりすることはできない。 それらの記憶も、私の好きな○○を形作っているものだからだ。 けれど、私は。 ○○の外界の思い出を読むたびに、彼を私の側に縛り付けてしまうことが、本当に彼の幸せなのか、迷ってしまう。 布団を抜け出ると、私は自分と○○の布団をくっつけた。 枕に頭を乗せると、さっきよりも近くに○○の顔が見える。 今は少しでも、彼に近づいていたかった。 「ん……」 ○○が薄く目を開く。しまった、起こしてしまったろうか。 ○○は、黙って自分の布団の裾を持ち上げ、境目近くにいた私に小さく手招きした。 目覚めているのか、寝ぼけているのか。 心を読んでそれを確かめるのも忘れて、私は彼の胸に飛び込んだ。 しっかりと私を抱きしめてくれる、○○。 時々彼は、心を読めるわけでもないのに、こんな風に私の心を満たしてくれることがある。 やはり半分くらい眠っていたのか、○○はすぐにまた眠ってしまった。 私はその身体を離さないようにきつく抱きしめ返す。 抱えていた不安が解けていくのを感じながら、私も眠りに落ちていった。 少女さとり~Readme~(うpろだ165 21スレ目 506) ここは幻想郷の地下、地霊殿。 さとりが地上から忌み嫌われてるというもんだから 俺でよかったら友達になるよって事で それからよく遊びに行くようになった。 さとりは両手で頬杖をつきながらこちらをじぃぃーっと見ている。 「な、なんだよ。」 「ホントに貴方も物好きですね。」 「そうかな」 「こんな地上の人にとってはジメっとした空気で居心地悪いでしょうに」 「まあ、慣れたよ。しょっちゅー来るようになったせいだけどさ」 そういう日が続いて数ヶ月。 「おーい、○○~」 遠くから呼ぶ声、ホウキにまたがった魔理沙がこちらへ近づいてくる 「よっと、今日はいい天気だしたまにゃどっか遊びにいかねーか?」 「悪い魔理沙、今日も用事があるんだ」 「ん、また地下か?」 「・・ああ良く分かったな」 「まあ、よく出入りしてるって耳にするからな」 「なるほどな、まあそういう訳なんだ、すまんな」 「・・お前~まさかとは思うが・・」 ニヤニヤとした顔で顔を近づけてくる 「な、なんだよ」 「あの地霊殿の主に惚れてんじゃねーか?」 「な・・!」 「あっはは、赤くなってやんの」 「・・お前な。」 「まあ冗談だ、気を悪くするな。じゃあなー今度は予定あけとけよ~」 そう言いながら、またホウキにまたがって去っていった 「(俺は・・・そう・・なのか?)」 そういう風に考えた事がなかった。 最初は不憫に思って友達になろうと言ったが、 確かにその相手が心を読める妖怪なら よほどの物好きじゃないと中々言える言葉ではない。 それに、俺はただ不憫に思って同情したからではなく 一緒に居れば楽しそうと思ったから。 そう、今は彼女と一緒に居て楽しい。特に何もすることはないけど そばに居るだけで楽しい。いつしかそう思うようになっていたんだ。 これってやっぱり・・。 ああ・・そうだったのか・・ ……やばい。今この状態でさとりに会うと読まれてしまう・・。 知ってしまった気持ち。 気づいてしまった好意。 知られてはならないと思った。 知られるとどうなる? 軽蔑? いやもともと人間をよく思ってないかもしれない、 そこでそういう事を知るとどんな事を言われるか分からない。 いずれにしろ今の楽しい関係が終わる事は間違いない。 それは嫌だ。 でも、今のこの状態では会えない。 会いたい。でも会うわけにはいかない。 そうだ、 この気持ちが治まるまで会わなければいいのだ。 そうするしかない。 きっと一時の感情だ。そのうち冷める。 しばらく忘れればいいんだ・・。 ―――1ヵ月後 だ、だめだ・・忘れるどころか離れれば離れるほど 日が経てば経つほど気持ちが強くなってゆく。 あーチクショウー 会いたい。今すぐ会いたい。 俺はどうすればいい?誰か教えてくれ・・ ――――――――― 「(・・彼、急に来なくなったけど、どうしたのかしら)」 3日に1度は遊びにきてた○○が、突然こなくなってから1ヶ月。 地上で何かあったのかしら・・。 私がなにか彼を傷つけるような事を言ったとか・・? ……いえ、それはないわね。 彼が最後に来た時の心にはそのような部分は無かった。 むしろ、また明日も来るつもりだったくらい。 急に飽きた、と考えてもやはりそれも不自然。 いえ、、そうであって欲しくない・・。 ガタ 「さとり様?どこへ行くんですか?」 「地上。」 「え、、えぇーーー!?」 「お燐、その間、留守番お願いね」 「は、はぁ。い、行ってらっしゃいませ・・」 こういうのはペット達に任せればいいのに どうして自分で行こうと思ったのかしら・・。 でもそれはすぐに自分で理解した。 ……いち早く心を読みたい。読んで確かめたい。 そう、彼が地上に居る間に私を嫌うような何かを聞かされている可能性があった。 人に嫌われるのは慣れているはずなのに、 私は彼に嫌われるのを怖れている。 彼にだけは嫌われたくない。 友達になろうって言ってくれたときの彼の心の中、今でも覚えてる。 彼は本当に仲良くなりたいと思っていた事に私は既に興味を抱いていた。 彼の心の中はいつも温かかった。一瞬たりとも私を嫌わなかった。 そればかりか、一緒に居て楽しいとまで考える程の変わった物好きさん。 そんな彼が周りの言葉に影響されて私を嫌うだろうか? 違うと信じたい。だから確かめたい。それを、今すぐ。 私は眼の力を頼りに探し回った。 …… ここですね・・。 彼は自分の部屋で寝ていた。でも酷くうなされているようね・・。 さっそく心を読んでみる。 ……しかし彼の心がうまく読み取れない え、どういう事? 彼の心に強いプロテクト反応。 読まれたくない彼の強い心が無意識のうちに張られているのでしょうか・・。 そこまでして・・知られたくない事なの・・?○○・・。 ……無意識・・?妹と同じ・・? この感じは・・ ―――――――― ここは、どこだ・・? あたり一面真っ白な世界。 「○○、聞こえますか?○○」 聞き覚えのある声が聞こえる。 俺がずっと聞きたかった声だった。 「さとり・・?」 「どうしてここに?って、ここ何処だ?」 「ここは貴方の夢の中。」 「くそ、またあんたの夢か。。ほぼ毎日じゃねーか・・」 「○○・・ひとつ聞いていいかしら?」 「な、なんだよ」 「貴方は私の事をどう思ってるんですか?」 「・・どうって、、どうせもう読んでるんだろ?」 「いいえ。ここは夢の中だから、貴方の心の中。 つまり貴方がここで言わないと私には伝わらないわ」 「夢の・・中なら、言ってやるよ・・よく聞いてろよ、言うからな」 「はい。」 「俺は、俺はあんたが好きだ。大好きだ。もう、何度も夢に出るくらいあんたを想ってる でもこの気持ちを知られたくなかったんだ。あんたに、さとりに 心を読まれるわけにはいかなかった。だからずっと会わないようにしていた。 あんたに・・あんたに嫌われたく無かったから! それだけじゃない。どうせ伝えるならせめて先に心を読まれずに言葉で伝えたかった。 それが出来るなら嫌われてもおそらく後悔はしなかった。 確かに心の中は真実だ。でも、それで伝えても駄目なんだ・・。駄目・・なんだ」 ポロポロと溢れる涙。 ずっと溜まっていたものが全て吐き出されるように、 伝えたかった言葉と同じように、涙が零れ落ちる。 全て伝えた。夢の中だけどスッキリした。 そう思った時・・ ……!? さとりが近づいてきて俺を抱きしめて口を重ねてきた。 「ん・・」 「・・ありがとう○○。私もすっきりしたわ」 「・・・さとり」 もう1度口を重ねる。 今度はこっちからだ。 「ん、ちゅ・・○○・・私も・・好き・・大好き・・ん・・」 「・・愛してる・・さとり」 さとりの肌の感触、唇の感触、匂い、掛かる息 夢とは思えない程にさとりを感じた。 ――――――――― 目が覚める。 自分の部屋の布団の中。 その腕の中にはさとりが居た。 俺の腕はさとりをずっと抱きしめていた。 彼女もずっと俺を抱きしめていた。 目が合う。 言葉より先に唇を重ねた。 夢の中のキスと同じ味がした。 「・・ごめんなさい。貴方が心を開かないから夢の中で無理やり聞いちゃった」 「・・そんな能力も、あったのか?」 「いえ、貴方と同じ布団で寝て、傍で貴方を感じれば会えると思っただけ」 「・・そうなのか」 「貴方の気持ち、ちゃんと聞けたわ。嬉しかった・・」 「俺もだ。夢の中とはいえ、自分の意思で思いを伝えれた。 それに、嫌われるどころか受け入れてくれた。これ以上嬉しい事なんてない」 「嫌うわけないじゃない、まったく・・」 そう言ってさとりは俺の鼻の頭にキスをする。 「どうして貴方が妹と同じ感じがしたのかやっと分かったわ」 「・・こいしと?」 「ええ、あの子は嫌われない為に自ら心を閉ざしたの。」 「第三の眼の事か。。」 「ええ、貴方は人間だからそんな眼は元から無いけど、 あの子の考え方が貴方と似ていた。だから私は分かった。だから信じれた。」 「俺が怖れてる事を、か」 「・・私も貴方に対しては貴方とあの子と同じ気持ちだったわ」 「・・・。」 「地下の連中、心配してないか?」 「ん・・今日はずっと一緒にいる」 「そうか。」 「なあ、さとり」 「はい」 「愛してる」 「・・私も」 その日、二人は一日中愛を確かめ合った。 「さとり様・・帰り遅いね、おりん」 「・・そうだね、おくう。」 一方、地霊殿では鴉と猫のすすり泣く声が響き渡っていた。 22スレ目 173 うpろだ221 ※補足 "~"は○○の心の中としてみてください。 今日はクリスマス、恋人同士が祝う至福の一時。 舞台は人気の無い丘の上。そこに二人で寄り添って座っている青年○○と少女さとりがいた。 「今日は本当に楽しかったわ、ありがとう○○。」 「さとりが楽しんでもらえて何よりだよ。」"さとりの楽しそうな顔も見れたし。" 「もう………ばか////」 俺とさとりはクリスマスデート中人気の無いこの丘の上を見つけてしばらくそこで談笑していた。 「……ごめんなさい、○○」 「え?」 「本当はもっといい場所があったのに、私の能力の所為で行くことができなくて…」 そう、幻想郷はクリスマスなだけあって村の方もイルミネーションとかが出来てたりして、デートスポットとして絶好の場所だったのだが俺達はあえて避けた。 さとりは心を読む程度の能力を持つ妖怪。 人のいる場所に行くと嫌でも心を読んでしまう。 ましてや今日はどこもかしこも人が多い。そうなると心の読む量が多すぎてさとりの頭がパンクしかねない。 だから俺達は人の少ない場所を探し、ここを見つけ俺達なりにクリスマスの最後を飾ろうと思った。 でも、さとりにとってそれは俺への罪悪感として出てしまったのだろう… 「私の能力の所為で…こんな能力無かったら……もっと…もっと○○と色んなところ行けたのに……!!」 「さとり…」 「え……」 気が付いたら俺はさとりを抱き締めていた。 「大丈夫だよ…。俺は、さとりと一緒ならどこでもいいから…」"だから悲しそうな顔、しないでくれ" 「○○……ごめん、なさ………ごめ、なさ………」 …なにも好きで能力を得たわけじゃない。 さとりだって普通にデートしたかったはずだ。 でもそれも無理だとわかりきっている事、言いたくても言えなかった本心。 泣きながら謝り続けるさとりが泣き止むまで俺はずっと抱き締めていた。 しばらくして…。 「…落ち着いた?」 「ぐす…うん。」 「さっきも言ったけどさ、俺はさとりといれればそれでいい。場所なんて関係ない、俺は古明地さとりの側にいたいんだよ…。」"…今、恥ずかしい事言ったかな俺……?" 「うん…ふふ、今のすごく恥ずかしかったでしょ?」 「ああ、今更だがすごく恥ずかしい…。」 「でも…嬉しい……。」 「……なんか渡すタイミングが悪くなったかな。」"プレゼントの事すっかり忘れてた…" 「?…あ、この前言っていたやつね。」 「ああ、もらってくれるか?」"さとりの為に必死になって選んだんだぜ" 「もちろんよ、中身は何かしら?」 「まあ、見てのお楽しみ。…あと大事な話があるんだ。」"驚いてくれるかな…" 「…これ……」 「さとり…俺と……結婚…してくれないか。」"さとり…愛してる。" 「………はい、喜んで。」 人気の無い丘の上で、二人はゆっくりと唇を重ねた。 22スレ目 192 うpろだ230 ちらちらと雪が舞う。 あたりを染め上げる白、肌を刺すような寒さが幻想郷の冬を語っていた。 隣に目を向ければそこには一心に降る雪を目で追う彼女の姿。 とはいえ寒いものは寒いのだろう。厚着はしているものの時折身体を震わせている。 「さとり、大丈……」 「大丈夫。平気よ」 「……最後まで言わせてくれよ」 身を案じて声をかけようとしたが先に返答されてしまった。 心を読む程度の能力。 わかってはいるのだが、なんというかずるい。 しかもそれも読まれていたようで、さとりは優しく微笑むとこっちに身体を寄せてきた。 「こうすれば寒くないでしょう」 「だから、ずるいってば……」 優しい微笑みのはずなのに意地悪な笑みにしかみえないのは俺が気にしすぎだからだろうか。 身体を俺に預けたままクスクスと笑うさとり。 そんなさとりに憮然としまま再び目を降る雪に向ける。 「なあ、別に雪なら旧都でも見られるだろう?」 ――なら同じじゃないか? どこで見ても。 「そうでもないわ」 さっきのようにずるいと思うこともしばしばある。 だっていうのに、こんな風に会話と会話の間が飛ぶのが普通に感じている辺り俺も慣れてきてるんだろう。 いい傾向なのかどうかわわからんが。 にしても同じじゃない、か。 それの意味するところを漠然と考えて……あんまりといえばあんまりな考えに至り、思わず苦笑をもらしてしまった。 すると急にくいっと袖を引かれた。 つられるようにしてそっちを見るとそこには今度こそ意地悪な笑みを浮かべたさとりがいた。 「……なんだよ」 「言ってほしい?」 「だから、なにをだよ」 「言ってほしい?」 「うぐっ……」 だからこういうところがずるいんだ! そんな心の叫びも読んでいるだろうにさとりはニヤニヤと笑うのをやめない。 しかも言ってほしい? って聞くって事はつまりさっき俺の考えが当たりということで。 そう思うと顔に急激に熱が集まってくるのが分かる。きっと俺の顔は今頃真っ赤だろう。 ああもうどうすればー!? と、おろおろと狼狽するしかない俺だったがさとりはそれで満足したのか、全身で俺に抱きついてきた。 ぎゅっと身体を密着させる。そして 「だってここには、貴方がいるもの」 その言葉に返すような言葉をあいにくと俺は持ち合わせていない。 だから行動で示した。 俺もまた全身でさとりを包み込むように抱きしめる。 お互いの熱が、冬の寒さから守ってくれる。 そのままどれくらいたったのか。どちらともなく顔をあげ、見つめあう。 多くの言葉はいらない。本当は俺がさとりを、さとりが俺を想い合うだけで十分。 それでも言葉がほしい時がある。 今日、この日が何の日か。幻想郷には本来ないイベントだけど彼女には教えてある。 だからこの場で一番ふさわしい言葉を、言おう。 俺とさとり。 どちらともなく口を開き、タイミングは寸分の狂いも無く。 「「メリークリスマス」」」 そう言って、俺達はキスを交わした。 22スレ目 737 うpろだ292 地霊殿での午後のティータイム。 こいしは留守にしており、お燐とお空もさとりのお使いで出かけているので、○○とさとりの二人きりだ。 「さとり……何読んでるの?」 「ん……この間地上で仕入れてきたのだけど」 さとりが手にした本の表紙を見ると、○○には見覚えのあるタイトルや絵柄が目に入った。 自分のいた世界―幻想郷の外から地上経由で入ってきた漫画だとわかる。 さとりとはまた違った形で第三の眼を持つ妖怪の少女と、不死の青年の冒険譚だ。 「ああ、懐かしいな。俺も外にいた頃読んだことあるよ(紅茶飲みながら読むものではない気もするが)」 「そうかしら?私はあまり気にならないけど」 そう言ってさとりは本をテーブルに置くと、砂糖壷から取り出した角砂糖を自分の紅茶に沈めた。 口に出さない思考に対して返事がくることに○○も慣れつつあるため、当たり前のように会話が進む。 「『いつか、きっと君を人間にしてあげるよ』……か。ねえ○○」 「なんだい?」 温かな紅茶を啜りながら、○○はカップごしにさとりを見た。 今しがた投下した角砂糖がゆっくり溶けていくのを眺めながら、視線を合わせずにさとりが問いかけてくる。 「○○は、私が普通の人間だった方がよかった?」 唐突に投げかけられたにしては深遠な質問に、○○は少し考え込んだ。 さとりは心を読む妖怪である。 (最初は……やっぱり考えが筒抜けだってこと、落ち着かなかったな) それは恐怖や嫌悪というよりは、戸惑いであったけれど。 (でも心を読むってことは、読み手の方にもそれを受け入れる強さが要るってわかってきて) さとり自身や妹のこいしと関わるうちに、その戸惑いも薄れていって。 (だんだん、そんなさとりの強さに惹きつけられて) やがて、ただの人間だということを差し引いても相手の心を読み取るのはさっぱりだった○○がさとりの好意に気付いたとき、 晴れて二人は恋人同士になった。 「……人間じゃないところも含めて惚れたわけだし、今のままのさとりのことが好きだよ」 そう口にしたところで○○は、そこに至るまでの思考がそのまま答えになっていたことに気付いた。 慣れたとはいえ、まだ時々こんなことになってしまう。 さとりはと言えば、頬杖を突いて○○の方をにこにこと眺めている。 「ありがとう、○○」 「さとりは、人間になりたいとか思ったことある?」 「どうかしら。そうね、もしもの話だけれど、私が人間になったとしたら―心を読めなくなったら」 ふと遠くを見るような目をすると、さとりは自らの第三の眼を撫でた。 「きっと、とても心細いでしょうね。人間で言えば、突然目も耳も使えなくなったみたいに。 それに、それまで私を恐れていた者が、力を失ったのを知ってこれ幸いと襲ってくるかもしれないわ」 顔を上げ、優しく透きとおった目で○○を見つめる。 「もしそうなったら……守ってくれ、なんて言わないけれど、最後まで側にいてくれる?」 仮定とはいえ、自分の存在そのものとも言える力を失う話をしているのに、さとりの声に恐怖は感じられない。 けれど○○はその視線に、わずかに縋るような色が混じるのを見た気がした。 それは、○○に間髪入れずに答えを紡がせるのに十分なものだった。 「当たり前だろ(でも、少しでも……さとりを守れるように、なりたいな)」 「そう。そんなに想ってくれるのなら……人間になって、貴方と同じ時間を生きるのも良いかもしれないわね」 「ああ……」 普段は意識することもないけれど確かに待ち受けている、十中八九さとりを置いて死の先へ行くことになるという未来。 さとりの言葉が想起させたその事実が、○○の顔に悲しげな表情を浮かばせる。 (そうか、寿命が違うんだものな。でもさとりの時間を縮めさせるぐらいなら、俺が―) 「無理はしないでね。私も、今のままの貴方を好きになったんだから。それに」 さとりは微笑んだ。心の強さ、○○への愛情、年月を経た妖怪の凄み、諸々を溶かし込んだような、艶然とした笑み。 ○○は、そこから目が離せなかった。 「貴方と一緒なら、例え命を落としてもかまわない。ええと……そう、夕に死すとも、というやつかしら」 そこまで言うと、さとりは妙に重たくなってしまった雰囲気を振り払うように立ち上がった。 「さ、晩御飯の支度をしましょうか。そろそろ皆帰って来そうですし」 「……そうだね、手伝うよ」 立ち上がり、ドアに向かおうとした○○に、さとりが手を差し出す。 ぎゅっと、○○はその手を握る。 手を繋ぎ、二人は寄り添って歩き出した。 その夜。 「あれ、さとりは?」 夕食の後から見えなくなっていたさとりの行方を、○○は居間にいたこいしとお燐に訊いてみた。 「あ、おにーさん、さとり様ならお部屋だけど……」 「○○さん、お姉ちゃんのこと、そっとしといてあげてね。久しぶりにはまった漫画みたいだから」 こいしは困ったよう顔で笑いながらそう言った。 「ほら、中身を知ってる人が近くにいると、お姉ちゃん先の楽しみがなくなっちゃうかもしれないから」 例えば、これからさとりが読もうとしている部分のストーリーを近くで思い出したりすると、 有効範囲内なら第三の眼がそれを読み取ることになり、オチがわかってしまう、ということらしかった。 昼間話している時は、○○が細かな話を思い出したりしなかったから良かったものの、 下手をすれば昔読んだ内容を強制的にさとりに伝えてしまうことになりかねないわけだ。 「普段なら新しく入ってきた本は、大丈夫なようにまず最初にお姉ちゃんが読むんだけどね。○○さん、あの漫画読んだことあるんでしょ?」 「危なかったなあ……ちょっと待った、昼間さとりが読んでたのってかなり最初の方だったような」 ○○の記憶が確かならば、あの作品は結構な長さのはずだった。 「そうだねえ……あたいとお空が頼まれたお使いって、 あれの続きを最終巻まで買ってくることだったんだけど、結構な量だった気がするよ」 「読み終わるまでさとりと会えないのか……何日かかるんだろう」 「あ、いたいた。○○ー!」 途方に暮れた○○の名を、お空が呼んだ。 「さとり様からね、伝言だよ。 『続きが楽しみだけど○○に会えないのは嫌だし、徹夜で頑張って読みきるから、先に休んでて』って」 「休んでて、って言われてもなあ……」 最後まで読み通すのであれば結構な時間がかかるはずで、 その後さとりが休むのであれば、○○が起きる頃に眠ることになり、結局一緒に過ごせなくなってしまう。 それはそれで、○○は少し寂しい気がしていた。 しばらく考えた末に、ぽんと膝を打つ。 「よし決めた。俺も何か徹夜して、さとりが読み終わったら一緒に休むことにする」 「……うん、お姉ちゃんもその方が喜ぶんじゃないかな。せっかくだから皆で何か遊びましょ?」 「はーい、私大富豪がいい!」 「あたいは人生ゲームがいいなあ」 ……こうして、主が漫画に熱中している間、恋人と妹とペットはゲーム大会を開催するという、 地霊殿のいささか不健康な夜が更けていくのだった。
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Tさとり No.281 タイプ:こころ/あんこく 特性:トレース(相手と同じ特性になる) HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 100 95 95 95 95 50 ばつぐん(4倍) しんとう ばつぐん(2倍) はがね いまひとつ(1/2) げんそう いまひとつ(1/4) あんこく/ことわり こうかなし おばけ コスト:150(コスト技の威力:100) Tさとり 覚える技 覚える技 さとり 参照
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加入条件 解説 能力スキル ステータス コメント 加入条件 地霊殿後半でさとりを倒す 解説 種族:妖怪 地霊殿の主を務める覚の妖怪。心を読む能力を持ち、地底では忌み嫌われている。お燐とお空の飼い主。 さとり使用時に限り、勝利時のメッセージが「精神的に勝利した」に変わる。 味方を補助するスキルが揃っているマスター。敵からのダメージや状態異常を軽減し、さらにヒールを使える事からサポートに特化していると言える。 特にリフレクションは敵からの魔法をノーダメージで敵に跳ね返すというもので、魔法偏重のモンスターには大きな脅威になりうるため有効。 モンスターが死なないよう補助を掛けながら回復も行う戦い方が主流。 能力 スキル 名称 系統 消費MP 範囲 属性 説明 習得条件 通常攻撃 物理 0 単体 殴 ヒール 魔法 3 単体 回復 HPを回復 アンチマジック 魔法 11 単体 強化 魔法攻撃を受けるダメージが50%下降持続時間4T エナジーボルト 魔法 3 単体 魔 エレメンタルシールド 魔法 13 単体 強化 火・水・雷の指定した属性の耐性を2段階上昇する 加護の風 魔法 19 全体 強化 抵抗が50上昇持続時間6T リフレクション 魔法 9 単体 強化 2ターンの間、魔法攻撃を反射する ハイパートリガー 魔法 11 単体 強化 誘発が50上昇持続時間4T アーマーブレス 魔法 11 単体 強化 物理攻撃を受けるダメージが50%下降持続時間4T 矢の風 魔法 19 全体 強化 命中が30上昇持続時間6T ウエポンブレス 魔法 11 単体 強化 物理攻撃の与えるダメージが30%上昇持続時間4T ステータス Lv HP MP 攻撃 防御 魔法攻撃 魔法防御 速度 回避 1 5 10 15 20 30 40 50 60 476 141 165 0 192 40 50 0 70 570 158 188 0 219 40 50 0 80 668 174 209 0 243 40 50 0 90 99 880 200 245 0 285 40 50 0 コメント Lv80 668-174-209-0-243-40-50-0 -- 名無しさん (2013-01-04 14 54 10) Lv99 HP880 MP200 攻撃245 魔攻285 速度50 防御0 魔防40 回避0 -- 名無しさん (2013-01-04 22 47 34) 名前 コメント
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分類 キャラスレ民 コテ/トリップ ◆SATORI//rw Twitter SATORINHAgSATORINHAg 凶器使い さとり厨 セイバー 属性 悪 筋力 B 魔力 E 耐久 C 幸運 D 敏捷 B 宝具 B 精神 D ・・・さとりの悪口を言われたらすぐ崩れる。 技能(英霊独自の保有スキル) 発狂 ・・・バーサーカー状態になるが、ステータスは変化しない。ガードをせず、攻撃特化な戦闘スタイルになるだけであり、逆に弱体化しているとも言われている。これは怒りの臨界点を超えた時に強制発動されるが、さとり関連の事でしか、今のところ使われたのは見られていない。 宝具 カッター ・・・さとり厨愛用の武器である。シンプルであるが、殺傷能力は純粋に高く、意外と強力。 ランク B 種別 刃 レンジ 1 最大捕捉 1 まとめ 危険。 23の都内工学系大学生。一留。 さとりをさとり様と慕っている。さとりが異常なまでに好きであり、さとりを虐める者にはぶち切れる。さとりを虐めるAC厨とは仲が悪いが、レイタに関しては諦めているらしい。 以前、避難所で周りの迷惑考えずAC厨と激しい戦いを繰り広げた。その時の書きこみ抜粋。 141 名前: ◆SATORI//rw[sage] 投稿日:2011/05/17(火) 21 35 22 ID zr4hj0hA0 [2/15] やっぱAC新でくれマジで 見えないところでかいいてろクソホモ 143 名前: ◆SATORI//rw[sage] 投稿日:2011/05/17(火) 21 38 46 ID zr4hj0hA0 [3/15] ツイッターならブロックしてるからまだ良いんだよ いちいちなんで神経逆なですることか組んだよ マジで射命丸の羽全部毟って両手両足からっと揚げてやりたくなる 144 名前: ◆SATORI//rw[sage] 投稿日:2011/05/17(火) 21 40 58 ID zr4hj0hA0 [4/15] あーもう雛パル文共食いさせあえれば永久機関完成だよ 妖怪なんてすぐ再生するんだし 149 名前: ◆SATORI//rw[sage] 投稿日:2011/05/17(火) 21 44 20 ID zr4hj0hA0 [5/15] 三回くらいやられるとさすがに切れたくなる 雛に全裸でポールダンスさせてその後集団レイプさせたくなるくらい ついでにころあいを見てパルスィも投下 全員妊娠確認するまで犯し続けさせる 152 名前: ◆SATORI//rw[sage] 投稿日:2011/05/17(火) 21 46 21 ID zr4hj0hA0 [6/15] 霊太とか言われてもいい パルスィの頭部だけ切り離して生かして自分の身体が剥製にされるシーンを延々見せてやりたい気分 瞼はあらかじめ切除しておきます 154 名前: ◆SATORI//rw[sage] 投稿日:2011/05/17(火) 21 48 28 ID zr4hj0hA0 [7/15] 150 ならほんと死んでくれ、実際に会う機会があったら最低でも殴る 気分しだいではさみで滅多ざしにする 157 名前: ◆SATORI//rw[sage] 投稿日:2011/05/17(火) 21 51 12 ID zr4hj0hA0 [8/15] 156 分かった、はさみ2~3個用意しとくわ 後できればバイクできてくれ、沢山傷つけたいから 159 名前: ◆SATORI//rw[sage] 投稿日:2011/05/17(火) 21 54 27 ID zr4hj0hA0 [9/15] てかACコテ付けろNG入れるから 出なきゃ虐待レスしないか死ね などなど、真のマジキチと言えば彼のようなものを意味するのかもしれない。 しかし普段は性欲の塊であり、さとりの抱き枕、同人誌などを大量に持っている。しかしさとり以外のものも沢山あり、ヤれれば誰でも良いらしい。まさに性欲の塊。
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Nさとり タイプ:無 スキル1.怨霊も恐れ怯む少女(Lv25or進化時習得) 全ての属性のスペルが属性一致扱いの威力になります。 スキル2.心を読む程度の能力(進化時習得) ターン開始時、相手のスペルを6個コピーします。コピーは戦闘中で1回しかできません。またスペル攻撃時に効果抜群だった場合、与えるダメージが1.3倍になります。 重複弱点(3倍):なし 弱点(2倍):闘 抵抗(1/2倍):なし 重複抵抗(1/3倍):なし 無効:霊 種族値・同タイプ比較 無 HP 攻撃 防御 特攻 特防 速度 合計 Nさとり 100 95 85 95 85 85 545 Hさとり 85 110 95 110 95 50 545 Tさとり 90 95 95 100 105 60 545 スペル スペル名 属性 分類 威力 命中 消費 詳細 Nさとり テリブルスーヴニール 闇 特殊 80 100 10 30%の確率で、相手の特防を1段階下げます。 初期 カメラシャイローズ 樹 特殊 100 100 20 使用したターンのみ、回避率が1.2倍になります。 15 考察 基本評価 スペルコピー 全一致スキルという非常に面白い性能を持つコダマ。 相手のスペルに依存した戦いになるが、S85と決して遅くはなくハマれば止まらなくなる。 初期技のカメラシャイローズも威力消費ともに優秀で、回避上昇のおまけつきと申し分ない。 スキルが進化時習得ということもあり、対戦で使うだけならレベル上げがほとんどいらないという手軽さもある。 最大の魅力は「自らのスペル、戦術そのものが自らにとって致命的となりうる」コダマ全てに対してメタを張れる、対処能力の高さと言える。 これによってPT全体の対応能力が高まるため、特定のコダマに対するメタコダマを入れる枠を節約することができる。 運用方法 耐久は少し低いため、初手出しか死に出し安定。もしくはぬえゾウを持たせ、相手が不一致サブウェポンなどを撃ってくる時などを見計らって降臨させる。 選出するときは相手のPT構成をしっかり確認することが重要で、何も考えずに出すとどうしようもなくなることが多い。 以下に、理想的な対面(主なもの)を記す。 樹弱点のコダマ カメラシャイローズで弱点が取れ、回避上昇で回避ゲーに持ち込むこともできる。 コピーするスペルを気にする必要がないのでその点でも安心である。 鈍足~中速神、霊コダマ まずこちらから一方的に一致弱点で殴れることが強み。 並の耐久なら確実に2発、火力をあげれば確一も夢ではない。 大妖精系統 こちらから確実に先制がとれ、レインボーミストを撃ち込むことができる。 T/Hさとり 旧時代のトラウマスペルの数々をS85から繰り出す様はまさにトラウマ想起である。 Hカナ 威力100確定装備スキル消しの夢消失をほぼ確実に先手で撃ちこめる。 秋姉妹系統 異常障壁でほぼ役割を奪え、一致抜群で落とすこともできる。 その他サブウエポンの豊富なコダマ その豊富なサブを全て一致で撃てる。弱点を突かれない方が稀である。 BP振り 基本はHS振りだが、火力に振っても面白い。 火力に振る場合は初期技を活かすためにC振りが一般的か。 対策 まずさとり系統すべてにいえることだが、全一致スキルを消すと火力はかなり落ちる。スキル消し持ちや豊姫カードを持っていこう。 コピーさせる相手はサブウエポンを持たない鋼などが良い。 また、耐久はそれほどでもないので、高速高火力コダマで一気に片付けてしまうのも良い。 装備候補 速度上昇装備:確実に先手を取りたいとき。 回避上昇装備:カメラシャイローズとの相性がいい。にとりカードなら最大回避値脅威の132である。 ぬえ・マミゾウカード:殴り合いで確実性を持たせたり、受け出しをしたい場合に。 コメント欄 名前 コメント欄設置と共に、少し加筆させていただきました。 - 名無しさん 2013-04-20 18 34 06
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Hさとり タイプ:無 スキル1.怨霊も恐れ怯む少女(Lv25or進化時習得):全ての属性のスペルが属性一致扱いの威力になります。 スキル2.サードアイ(進化時習得):スペルの命中率が少し上昇します。(1.1倍) 重複弱点(3倍):なし 弱点(2倍):闘 抵抗(1/2倍):なし 重複抵抗(1/3倍):なし 無効:霊 種族値・同タイプ比較 無 HP 攻撃 防御 特攻 特防 速度 合計 Hさとり 85 110 95 110 95 50 545 Nさとり 100 95 85 95 85 85 545 Tさとり 90 95 95 100 105 60 545 スペル スペル名 属性 分類 威力 命中 消費 詳細 Hさとり テリブルスーヴニール 闇 特殊 80 100 10 30%の確率で、相手の特防を1段階下げます。 初期 カメラシャイローズ 樹 特殊 100 100 20 使用したターンのみ、回避率が1.2倍になります。 15 うろ覚えのディスカーダー 理 変化 - 100 20 相手のスペルを2個封じます。このスペルは属性の影響を受けません。 20 うろ覚えのトリップワイヤー 鋼 変化 - - 15 相手の周りに自動で攻撃する人形を設置します。相手がコダマを交代する度、交代後のコダマに最大HP÷6の固定ダメージを与えます。2回ダメージを与えると効果がなくなります。 30 うろ覚えのマイナスK 氷 変化 - 80 50 相手を凍らせます。 35 うろ覚えの浄化の魔 神 物理 80 100 20 30%の確率で、相手の複数の能力を1段階下げます。 40 うろ覚えの夢想転生 無 物理 60 100 30 使用したターンのみ、回避率が200になります。戦闘中で1回しか使用できません 60 うろ覚えのミスルトガーデン 樹 変化 - - 40 3ターンの間、相手のHPとVPを最大値の1/12だけ吸収し続けます。自分または相手のどちらが交代しても、継続します。 禁呪 考察 基本評価 旧玉神楽で猛威を奮ったトラウマスペルを多数搭載したコダマ。 Tさとりと違いこちらは補助技メインだが、攻撃種族値はさとり系統で一番高い。 注目株はうろ覚えのミスルトガーデン。 H大妖精と違い、弱点は闘しかないので安定しやすい。 運用方法 初手は基本ミスルトを使う事になる。 ミスルトで延命力を高めたら、ワイヤー張ったりマイナスKで後続への交代を安全にしたり。 BP振り HBorHD。ミスルト効果でかなり硬くなれる。 対策方法・苦手なコダマ やはりというべきかなんというべきか、本家ミスルト使いのH大妖精と相対するのはできるだけ避けたい。 あちらの方が速く、催眠も持ち、ミスルトを撒けたらまだ良いが撒けずに眠らされたらあとは低火力技でいくら殴っても後のお祭りガーデニング選手権が始まる。魔王が匠、さとりは肥料。 そもそも鈍足という弱点は拭いきれないので、催眠積み型コダマは全体的に苦手。永琳や妹のこいしもあまり相手したくない。 弱点は一つっきりのため属性補完はしやすいが、自身が絡め手を使用する割りに絡め手に弱いところが多い。 また、スペル封印された日には完全に機能停止する。 鈍足なので基本先攻を取られてミスルトを封印される。一輪、S、T鈴仙、Nルナチャを選出画面で見たら出さないのが吉。神玉、ぎらてぃなは鈍足同士なのでやや微妙なラインではある。 またくるみ、芳香、N明羅、非想天則などVP回復能力を持つコダマはミスルトで疲弊させることがほぼ不可能であるため苦手な部類に入る。 これらの苦手なコダマが居ない場合にHさとりと出会った時の心得としては わざわざ弱点を突くために闘コダマに交代して一致格闘スペル打つなぞという愚行をしないことである。 というのも大概は控えに霊コダマが存在するためである。2ターン分の吸収の後の無駄打ちのVP消費は洒落にならない。 幽々子系統などのVP消費増大させるコダマだった場合はなおさらである。 そんな危険を犯すくらいなら一致の等倍で殴る方が遥かにマシである。 装備候補 聖カード:ミスルトで高まる耐久をより上げる事ができる。 命中/回避上昇装備:マイナスKやシャイローズとの相性がいい てゐor華扇カード:アタッカー運用する場合に。意表をつくことができる。 追加効果発動率上昇装備:ほぼ浄化の魔専用だが、ステータス減少の期待値が高まる。