約 1,062,737 件
https://w.atwiki.jp/kurotoko/pages/25.html
#contents *単品 **唯ちゃx三好x英美 唯ちゃの性格がよくわかるさんかくでいとのお話し ***余暇ほど素敵なものもない 午後三時十五分。 開放を目前にした三年教室のざわめきの中、~ 松島英美は、かなり久々なフリーの余暇に胸を躍らせていた。 両の掌で顔を包むように頬杖をつき、~ ほくほくとした笑顔で、担任が来るのを今か今かと待ち構えている。 「えへ」 やれ学園祭だやれ体育大会だとイベントが立て込んでいたため、~ ここ最近は放課後も拘束されっぱなしだった。 それらがようやくひと段落して、今日からはしばらく何の予定もない日が続く。~ 自分だけの何もない時間を、たっぷり満喫することができる。 何の用事も、誰からの誘いもない。 「えへへ」 多忙な毎日にさよなら。 ようこそ、同行者に気を遣わなくていい立ち読み。~ いらっしゃい、あんまり人に知られたくない趣味の買い物。 ~ 「っとと、」 前方右斜め四十度のあたりから、変なものを見る目を向けられていたことに気付き、~ 英美は笑みを引っ込め、なんでもない風の態度を装った。 が、今さらそんなことをしても、一人で満面の笑みを浮かべていたことを、~ 相手が忘れてくれるわけではない。 「やけに嬉しそうじゃない。これからなんかあるワケ?」 『バカなの?』と聞こえてきそうな表情で、クラスメイトの島岸真樹は小首を傾げた。 「うんにゃ、何にもないよ」~ 「じゃなんで?」 『バカなの?』と意訳できそうな問い掛けに、しかし英美は笑みを浮かべた。 「や、何にもない放課後なんて久々でさー」~ 「……ああ、そゆコト」 ここ最近の英美の多忙さは、もちろん島岸も知っていた。 加えて、島岸はサッカー部の部長でもあり、先日の唯がらみのイザコザについては、~ 口には出さないものの、若干の申し訳なさを感じているところでもある。 「ま、ゆっくり休――」 言いかけて、島岸は「あー……」と言葉を濁した。~ その前に一旦、島岸の視線が教室の外へ向いたことに、英美は気付かない。 「あ、センセー来た!」 そう誰かの声がして、それまでバラけて雑談していた少女たちはばたばたと動き出した。~ 島岸は正面へ向き直り、英美と島岸の会話もそこで途切れる。 担任が教壇に上がる。 止まり切らないお喋りも担任の声で徐々に引いていく。 「ま、ゆっくり休めたらいいわね」 喧騒が完全に止んでしまう前に、島岸はもう一度振り向き、そう言った。 ~ ~ ***そうは問屋が卸さない 松島英美が間抜け面をクラスメイトに目撃されて慌てていたその頃。~ 壁一枚を挟んだ向こう側では、対峙する二人の少女の間で、視線の火花が散っていた。 「こんにちは彩水さん。ここは三年の教室ですが……何の用事ですか?」 かたや二年、三好ゆたか。 「先輩こそ、迷子かなにかです?」 かたや一年、彩水唯。 「疑問文には疑問文で答えを返せと教えられてきたんですね、貴方は」 愛らしい笑顔を、冷ややかな無表情が見下ろす。 その視線の温度はいつもより三割ほど低い。 「冗談だったんですけど……心の狭んまい人ですねー……」 聞こえないよう、ぼそりと呟く。~ そっぽを向いた笑顔の裏、隠した歪みが口元に浮かび上がる。 「今何と?」~ 「いえいえ、ただの独り言ですし」 振り向いてニパッと笑顔。~ そんなことより、と前置き。 「なんで先輩がこんなトコにいるんです?」~ 「ど、どうだっていいでしょうそんなことは」~ 「そうですねー、どうでもいいです(自分から聞いてきたくせに)」 階段を上り、三学年の担任教師二人が連れ立って姿を現した。最後のHRを終えるべく。 廊下にたむろしていた、二つのクラスの生徒たちが、一斉に教室へ駆け込んでいく。~ その中には、二人の様子を眺めていた紗霧の姿もあった。残念そうな顔が扉の向こうに消える。 ~ 壁越しの教室内からは、放課直前で圧迫された活気の気配が感じられる一方で、~ 三年の生徒たちがいなくなったこの場所は、しんと静まり返っていた。 と言っても、静かなのは二人のいる廊下の付近だけで、他のフロアは既に放課後真っ盛りだ。 上の階からは文化部の物音が、北校舎からは一・二年生徒の騒ぎ声が、~ それぞれに少し遠くから響いている。 束の間の静寂の中で、窓際の壁に屈み込んだ唯が口を開く。パンチを放つ。 「ちなみにわたしは英美先輩を待ってるんですよ。一緒に遊びに行こうと思って」 “わたしは”の部分に、露骨にならない程度にアクセントを置く。~ 視線だけで、『それで先輩はどうなんです?』と問い掛ける。 ゆたかの答え次第では、放課後の英美の時間は唯のものだ。~ 「見回りです」とか「先輩に用事があるわけでは」とか、そういう言葉を期待する。 「わ、わわ私だってそうです……!」~ 「む」 ゆたかは意外なほど食い付いてきた。~ 振りほどくことにする。 「今日のところは譲ってくれませんです?」~ 「……何故ですか」 警戒度の高い声。望み薄。でも言う。 「だって、二人で誘っても先輩困っちゃうじゃないですか。そしたら三好先輩が――」~ 「拒否します。それなら貴方が諦めればいい話でしょう」 その語気の強さに強気を感じ、唯は歯噛みした。~ 頑固者はいざというときに強い。 「それに、私には彼女との約束があります。譲れません」~ 「え、うっそだぁ」 内心笑ってはいたものの、唯は動揺した。~ いつの間にそんなものを取り付けていたのか。ここしばらくの英美にそんな暇はなかったと―― 「本当です。二週間ほど前に、確かに」 ゆたかは心の中で、いつかの約束を思い出す。 『今度、一緒に遊びに行こうよ!』『……ええ、はい』~ 無邪気な笑顔。そっぽを向いて、赤い耳。 「あ、それって――」 その約束なら唯も知っていた。~ “二週間前”というキーワードで呼び起こされる、英美の嬉しげ自慢げに緩んだ顔。 しかし、しかしだ。その約束は、けっこう曖昧で、~ それをそんな今日行く約束をしましたみたいな風に言うなんて、この、この、 「それ別に今日行くって話じゃないじゃないですかー!」 唯は思わず立ち上がり、先輩の顔面を指差した。~ 先生、こいつズルしてました! 「な、な、なんで貴方が知っているんですか!?」~ ゆたかもモロ動揺する。 微妙に話が噛み合ってないことに、二人とも気付いていない。 ゆたかは別に『英美は今日は自分との約束がある』と言ったつもりではなく、~ 単純に二人だけの約束だと思っていたのに他人に知られていたことに驚いただけなのだが、 「英美先輩から聞きましたし! 先輩の卑怯者!」~ 「何故貴方にそんなことを言われなくてはならないんですか!」 この流れでは、この些細な誤解を正すことは不可能だし、~ 二人がそれに納得したところで、この喧嘩は収まりそうにない。 どうしようもない。 ~ ~ ***帰っていい? ……ダメ? 逃がしてくれない? 英美のいるBクラスは完全に沈黙していた。 放課の終礼が終わったにも関わらず、誰も教室を出て行こうとしない。~ 机に突っ伏している誰かの寝息が少しうるさい。 その理由はもちろん、少し前から廊下の外で繰り広げられる舌戦だ。~ 誰を巡って言い争っているのか、教師を含めたクラスのほとんど全員が理解していた。 全身に突き刺さるクラスメイトの視線に追い出されるようにして、~ 教室の戸を開け、英美はたった一人で廊下へと足を踏み出した。 ~ 「この際ですから言わせてもらいま……っ!?」 自分のターンとしてガッチリ説教を食らわす気でいたゆたかの言葉が止まった。~ この場面だけ見れば、ゆたかが唯を苛めているようにも見える。 「……うぷぷザマー」 いかにもそれらしく見えるように俯いたまま、唯が呟く。 「なんですか?」~ 「なんでも?」 まあまあと視界を遮るように二人の間に体を割り込ませて、~ とりあえずとばかりに英美はこう言った。 「一体どうしたの?」 とても軽率な言動だった。 「「こいつが!!」」 英美は心の中で、愛すべき一人の時間にさよならと言った。 ~ ~ **「褒め言葉よ」 ***「そうそう、新作が出たんですよ!」 ~ 三年教室での昼食の最中、夏希は突然そう叫んだ。 「そう。それはよかったわね」 あまりにも唐突だったせいで、紗霧の返答は冷え冷えとしたものになった。~ 言外に『意味が分からない』と言われたようなもので、夏希は一瞬言葉に詰まる。 が、気を取り直すように、失敗を誤魔化すように、夏希はそのまま話を再開した。 「えーとですね。コングのデザートフェスタが始まるんです。今日から」 「んぇ、ふぉうあの?」 真っ先に食い付いたのは英美だ。~ 現在その口が食い付いているのは購買で買ったピザパンだったが。 「春の新作が今日から販売開始だそうで。今回のはチョコがメインらしいですよ」~ 「それは気になるねー」 口を膨らませながら英美が相槌を打つ。~ 紗霧は興味なさげに黙々と食を進めていた。 「そんなら、今日あたり二人で行ってきたらどうさ?」~ そして、四人目からの声があがった。柚瀬吉佳だ。 逆向きに座った椅子を傾がせて揺らしながら、~ その右手でコングのフェスタに興味のあった二人をぴろぴろと指し示す。 「んですね、行きたいですね」 言い出した本人でもあり、元々から誰かを誘って行く気満々の夏希とは対照的に、~ 英美の反応は芳しいものではなかった。 「んー……」~ 「ありゃ、なんか忙しいですか?」 そんならしょうがない、とすこぶる諦めの早い夏希に、~ 英美は両手を合わせて頭を下げた。 「うん、ゴメンねーなっちゃん。今日はちっと部活の集まりがあって」~ 「無念ですが、それじゃしょうがないですね……」~ 「明日なら行けるけど、どうかな?」~ 「え、マジで? 行く行く!」 とんとん拍子で話はまとまり、二人は明日の放課後コングへ行くことを約束した。~ 明日に想いを馳せながら、夏希は意気揚々と教室を去る。 実はそこにいた五人目、生粋の辛党であった歩は、始終じっと黙ったままでいた。 ~ ~ ***「美味しかったわよ」 まだコートを手放せない、三月の朝。~ 微笑みながらそう言った紗霧の意図が掴めず、夏希は首を傾げた。 「へ……?」 とりあえず自転車から降りて、学園への道を紗霧と同じペースで歩き出す。~ 朝の登校中に紗霧を見付けたら、夏希はそこから学園までを一緒に歩いて通学することにしていた。 「だから、美味しかったわよ」 表情を崩さぬまま、さも何でもないことのように、紗霧は同じ言葉を繰り返す。 「だからえーと、何がでしょ」~ 「貴女が昨日言っていたことでしょう?」 数秒ほど唸ってから、おお、と思い当たる。 「あ、もしかしてコングのアレ食べに行ったんですか!?」~ 「気付くのが遅い。そう、美味しく頂いたわ」 昨日は興味なさそうにしていたけど、本当は気になっていたのか。 自分の出した話題に興味を持っていてくれたことは少し嬉しくもあったが、~ それよりも夏希の中では、残念な気持ちのほうが大きかった。 「なーんだ、それなら今日にでもみんなで一緒に行けばよかったのに」~ 「ふふ、ごめんなさいね」 紗霧は笑った。 このとき夏希が冷静であれば、自分と二人きりのときに『ふふ、ごめんなさいね』などという、~ 猫を被ったような台詞が出てくるわけがないと気付いただろうか。 その笑みの意味に気付かないまま、夏希はふと思い付いた疑問を口にした。 「そういや昨日っては、誰かと一緒に行ったんですか?」~ 「ええ、英美さんと」 ~ 一瞬の沈黙の後。~ 夏希は、とても動揺した。 「え……――」 微笑みの仮面の裏から、紗霧の視線がじいっと夏希の表情の変化を観察する。~ 夏希にはそんなことを考える余裕もなかった。 口を開き、閉じ、空を見上げ、目を閉じ、口を開き、明後日のほうを向き。~ 胸の内から湧き上がる得体の知れない感情をどう処理すればいいのか、迷い、迷い、迷い、 「なんてことだ!」 最終的にはとりあえず、頭の中にあった一番当たり障りのない言葉を叫んで、落ち着く。 そうしてようやく余裕を取り戻して、それから紗霧の顔を見ると、~ ~ ~ ***「うそ。」 そこには、確信犯的な微笑みがあった。 「この鬼畜!」 夏希はもう一度叫んだ。~ が、紗霧は勝ち誇り笑うだけだった。 ~ ~ **Amor! ***匿名希望の少女Aの書き込み ある日、ある先輩の家に遊びに行ったときのことなんですけど…… あたし、机の中から偶然先輩の日記を見つけちゃって、~ うっかり腕を広げたらなぜだか中身が見えちゃいまして、~ なんと驚き、思わずじっと見てたら文章を覚えてしまったのですよ。 偶然って怖いですね。マジで。 ~ ***2月6日 バレンタイン・デーが来週に迫っていることを、~ クラスメイトの話を聞いていて思い出した。 気の早い子たちが、誰に渡すだの義理がどうのと話に花を咲かせていた。 私には関係のない話だ。~ そもそも、バレンタイン・デーという日は、初めは―― などと暢気なことを言っていられたのは、去年までの話で。 今年は私も頑張ってみようと思う。~ あの子にだけは、負けてらいれない。 でなくとも、彼女たちからチョコの交換をねだられてしまったし。 ~ 差し当たって、明日はみちるさんに色々と聞かせてもらう約束を取り付けた。 別れ際、なっちゃんさんが『古河先輩の言葉は話半分に』と耳打ちしてきたけど、~ 普段からだらしのない人にそんなことを言われても説得力がない。 みちるさん以上に相談事をするのに適任な人なんて、私には思い浮かばない。~ 人の心配をする前に、自分の生活習慣をしっかりするのが先だろうに。 ~ AM10:00~ LALM西口 ~ ~ ***2月7日 みちるさんは南口にいた。 正門と言っていたので、南だと思っていたんだけど……~ 失敗は成功の母と考えておこう。 ともあれ、収穫は多かった。~ 義理は50円くらいのチョコでも大丈夫、というのは初耳だった。 とても経済的だ。 ~ しかし、初めのお店から出た後は、~ 経済的などという言葉とは全く縁のない一日になってしまった。 みちるさんの口車に乗せられてしまった気が少しするけれど、~ 『絶対喜んでくれますよ!』と言っていたので、信じても良いだろう。 ~ とは言え、出来れば他の意見も聞いてみたいところだ。 明日、なっちゃんさんを家に呼んだ。 遠慮のない意見にだけは期待出来るし、~ 万が一『似合わない』と言われてもそれほどは気にならない。それほどは。 もちろんそのときは、50円のチョコが5円になる可能性を示唆しておこうとは思う。 ~ ~ ***2月8日 予定通り、なっちゃんさんが遊びに来た。~ 彼女のほうから話を振ってきてくれて、非常にスムーズな情報収集ができた。 ~ 普段は料理をしない彼女ですら、今週末のためには準備をするのだと言う。 なっちゃんさんは、『そのためにある日』と言っていた。~ だから頑張れるのだと。 つまり、そんな日でもないと頑張れない、ということだろうか。 ~ 肝心の勝負服については、良くも悪くも期待通りの言葉を貰うことが出来た。~ 彼女は、褒め言葉とそうでない言葉の線引きをもっと厳しくしておくべきだと思う。 ~ ~ ***2月9日 参考書を買ってきた。 ほとんどは家にある物だけで間に合いそうだけど、~ 型を取る器具だけはどこを探しても見付からなかった。 明日はあれを買ってこなくては。 ~ ~ ***2月10日 英美さんの性格をすっかり忘れていたせいで、~ 危うく例年通りの土曜日になってしまうところだった。 彼女には感謝しないと。 ~ ともかく、当日の予定についてはこれでひと安心だ。~ 残る問題はひとつだけ。 明日は祝日。家でじっくり練習しよう。 ~ ところで、あの自信満々の顔……経験者の臭いがプンプンする。 ~ ~ ***2月11日 今日はチョコ作りと、駅前で買い物をしてきた。~ 包装のことをすっかり失念していたせいだ。 誰かと鉢合わせたらどうしようかと思っていたが、その心配は杞憂に終わった。 ということにしておく。 ~ けれど、教育は必要だ。 ~ ~ ***2月12日 今日は、やけに校内の空気が浮ついていた。 今年はバレンタインが土曜日なので、~ 休日会うような仲ではない相手には金曜に渡すしかない、というのが原因だ。 駅前は非常に混雑していたことだろう。~ 昨日のうちに買い物を済ませておいて本当によかった。 ~ 過半数の生徒にとっては、明日こそがバレンタイン当日。~ 今日にも増して騒がしい一日になるに違いない。 私も、昨日作っておいた分を渡す予定だ。 ~ ~ ***2月13日 下駄箱に溢れんばかりのチョコがあった。~ もちろん私ではなく、英美さんと唯さんの下駄箱にだ。 別に気にしているわけではないのに、二人から優しい目で見られた。~ せいぜい一月後のお返しを頑張ればいい。 ~ 知り合いに渡した義理チョコの味は好評だった。~ 来年はもうちょっと凝ったものに挑戦してみようと思う。 ~ 明日はいよいよ本番だ。~ 楽しい一日にしたい。 ~ 服 OK~ 靴 OK~ 下着 OK~ 掃除 OK~ シーツ OK~ 小道具 OK ~ ~ ***2月14日 記入なし ~ ~ ***2月14日 英美の手記 唯ちゃんからはハート型のチョコを貰った。~ 可愛いデコレーションが沢山してあって、食べるのがもったいなかった。 イチゴのソースがとっても甘かった。 ~ ゆーちゃんからは、アルファベット型のチョコを4つ貰った。 「O」「M」「A」「R」の文字がバラバラに入っていたんだけど、~ だから、たぶん「ローマ」だと思う。他に形になる英語がなかったし。 だけど、なんで「ROMA」なんだろう。~ そんなにローマ好きだったのかな。 ~ なっちゃんに聞いてみた。 ~ ~ ***2月14日深夜 英美と夏希の通話記録 「アール、オー、エム、エーですか」~ 「『ローマ』しかないと思うんだけど……」 電話の向こうから、カリカリという音がかすかに聞こえてくる。~ シャーペンを走らせている音だと気付いて焦った。 「あ、軽く聞いただけだから、そんな紙に書いてくれなくてもいいよ!?」~ 「いやほら、あたしも気になっちゃって」 マロー、ラモ、モーラ……ぶつぶつと悩む声。 でも、それくらいは私だって考えたんだ。~ 四文字しかないなら、意味の組み合わせなんてそんなに多くないもの。 「オマル?」~ 「おま……?」 ……。~ バレンタインの。チョコの。メッセージが。 「おまる」~ 「おまる?」~ 「って、知らないですか? ほら、小さい子供が――」~ 「いやいやいやいやいやないないないないないない」 知ってるけどそういうことじゃないよ。~ なんでおまる。変だよおかしいよ。ローマよりありえないよ。 混乱しているうちに、なっちゃんの追い討ち。 「お返しにはおまるが欲しいです、っていうメッセージをですね」~ 「そんなのなんに使うのよ!?」~ 「そりゃ、リビングとか人の目のある場所でおしっこするためでしょう」~ 「人の目の……誰かに見ら、みるられ」 ゆーちゃんが家の居間でパンツを脱いでアヒルのおまるに座ってゆーちゃんがんんって顔が赤いゆーちゃんがぶるぶるってゆーちゃんがゆーちゃんが 「いや、冗談でしょ!?」~ 「ってか、そもそも文字数が足りてなかったりします」 OMAR。~ うん。ユーが足りてない。ユー、ゆー、ちゃんが……? 「……もしかしてゆーちゃん、ホントにおまる欲しいのかなあ」~ 「え、いや、冗談だって言ったじゃないですか!?」~ 「でもユーちゃんが……」~ 「ありえないですってば」 一息ついてから、なっちゃんが言った。 「多分ですけど、答え分かりましたよ」~ 「ホント!?」~ 「マジです。でも先輩、あたしが答え言っちゃっていいんですか?」~ 「ん……」 確かにそれは、ちょっと待って欲しい。 てっきりローマしかないと思ってたけど、それ以外の答えがあるんだったら、~ せっかくゆーちゃんから初めて貰ったバレンタインのチョコなんだし、~ 頑張って自分で答えを見つけたい。 「やっぱり言わないで。もうちょっとだけ頑張ってみるよ」~ 「了解です」 とは言ったものの、もう何時間も悩んだ後だし、答えを見つける自信はあまりない。~ そんな私の心情を見透かしたかのように、なっちゃんが言った。 「あー。その、ヒントだけ言ってもいいですか?」~ 「出来れば、お願い……」 頑張るって言ったばっかりなのになあ。~ ほんとダメだ、私。 「ヒントそのいち。英語じゃないです」~ 「うんうん」~ 「ヒントそのに。ローマって、実はヒントになります」~ 「あ、完全なハズレでもなかったんだ」~ 「偶然かも知れませんけどね」~ 「うう……」~ 「そんで、ヒントそのさん……は、あー、ちょっと待ってください」 携帯を置き、なにかページをめくる音が聞こえる。~ それから十数秒後、 「インバートです」~ 「え?」~ 「どうしても分からなかったら、インバートです」~ 「ええと、その、」~ 「英語です。意味は調べるか誰かに聞くなりすれば、たぶん分かりますから」~ 「……うん、わかったよ」 たぶんだけど、意味を調べたら答えが分かってしまうような単語なんだろう。~ なんだか変なクイズみたいになってしまった気もするけど、とにかく助かった。 「うん、ありがとね、なっちゃん」~ 「いえいえ。それじゃ、今日はこのへんで」~ 「ん。それじゃね」 通話を終えて、私は四文字のアルファベットとの闘いを再開した。 ~ ~ ***チョコ内訳 紗霧 96個 うち憧れ94 本命2~ 手渡し11 下駄箱0 机に置いた紙袋53 夏希32~ 全学年からまんべんなく。~ クロコ。本命以外は知り合いに分配。 モモ 72個 うち憧れ71~ 手渡し1 机71~ 第二のカリスマ。手渡しは英美から。毎年めんどいから学校を休むのでした。 英美 65個 うち本命42~ 手渡し49 下駄箱7 机9~ 1、2年から多め。~ 本命の数が異常。恋多き女。チョコ大好きっ子。 吉佳 59個 うち本命5 残りは友チョコ~ 手渡し51 下駄箱5 机3~ モモのせいで数が減ったらしい。不憫。 唯 38個 うち本命2~ 手渡し23 下駄箱4 机11~ 母性の人とロリコンから多め。かいぐりかいぐり。うきゃー。~ 本命はもちろんあの2人。 小夜 29個 うち全て友チョコ~ 手渡し29~ ともだちいっぱい、そのに。 遥 のべ25個 うち本命1~ 手渡し24 机1~ 机に入れたやつが本命。誰だろうね。あたしが知ってるわけないっつの。 みちる 22個 うち全て友チョコ~ 手渡し22~ ともだちいっぱい、そのさん。 夏希 21個 うち本命6~ 手渡し20 机1~ 友達と教師陣からのみ。机に入ってたのは須磨川の本命。 五十鈴 13個 うち本命0~ 手渡し13~ 毒とか入ってねえだろうな……? ゆたか 6個 うち本命2~ 手渡し6~ 気にしてないですってば。 歩 5個 うち本命0~ 手渡し5~ 内気ちゃんですから。 ~ ちょっと多すぎたかもかも。~ 上位3人、おまえらどんだけカリスマなんだ。 三好さんがちょっと少なすぎたろうか。んーむ。 ~ ~ **せい……せいかつ! 思いついたのがこれだったんだからしょうがない。~ 風化しないうちに消化。 ***1 「はっ」 吐き捨てるように笑い、三好ゆたかはやれやれと首を振った。 「そんなの、そうそういるわけがないでしょう」~ 「それは分かんないよ。もしかしたら、」 足早に先を行くゆたかに追いすがり、松島英美が食い下がる。 晴れた日曜日。~ 駅前に遊びに来た二人は今、とあることで軽い言い争いをしていた。 「漫画の読みすぎです。お願いですから、常識で考えてくださいよ」~ 「そ……っ」 そこまで小馬鹿にされては、英美も黙ってはいられなかった。~ なにせ、今後の自分たちのセイカツにも直結する問題なのだから。 「そこまで言うことないと思う!」~ 「っ!?」 英美にしては珍しい大声に、ゆたかは驚き、~ また少し言い過ぎたかとも考えて、幾分か口調を和らげた。 「……なにも、一人もいないと言ってるわけじゃないですよ?」 ゆっくり言い聞かせるその口ぶりは、~ しかし今の英美には、聞き分けのない子供に対するもののように思えた。 「ただ、そこらを見渡してすぐ見付かるほど沢山いるわけじゃないと、」~ 「いるかも知れないじゃない、見てれば、そこらへんに――」 英美は不満顔で腕を広げ、休日で人の多いアーケードを示した。~ その手に釣られて往来を見渡したゆたかの目が、知った人物を見付けて動きを止める。 「あ」~ 「え?」 ゆたかの見ている方向に、英美も振り向く。~ そこには、 「あら、こんにちは」~ 「どもです。お二人とも」 仲睦まじげに寄り添う、閨織紗霧と伊織夏希がいた。~ 夏希のほうが寄り掛かるような体勢で、紗霧の腕を抱いている。 珍しくベタベタしてるなあと、英美はその光景を微笑ましく眺めた。~ 一方ゆたかは夏希の表情が芳しくないことに気付き、眉を潜めた。 「偶然ねー。二人で買い物?」~ 「いえ、これから映画館へ」 何の映画? へえ、そうなんだ。ところで―― 楽しそうに談話をする二人の傍らで、ゆたかは夏希へそれとなく目を向けた。 どこか様子がおかしい。~ 頬は赤いし、ぼんやりしているように見える。 体調が悪いのだろうか。と、ゆたかは思った。この時点では。 「何時からなの? まだ時間あるなら、昼ごはん一緒に食べない?」 昼食の話題に移り、ゆたかはそちらに意識を向けた。~ もう英美の機嫌も直っているようで安心だ。 「そうですね。ねえ伊織さん、何時から始まるんだったかしら」~ 「あー、何時でしたっけねえ」 そのとき紗霧が薄く笑ったのを見て、ゆたかは妙な違和感を覚えた。~ 何故だろう、と自問する。 「ちょっと待って頂戴ね。メモをしておいた筈だから」 自分の携帯電話を取り出し、何かしらの操作をする紗霧。~ 昼食は何にしようかな、などと考えるゆたかの目の前で、夏希の体がぶるりと震えた。 「っ……」 夏希は息を詰まらせ、俯いた。 何かに堪えているように体を硬直させて、~ それを周囲に気取られないよう、そ知らぬ顔でどうでもいい方に顔を向ける。 「一時間くらい余裕があればいいなー」 夏希の変調に、英美は気付いていないようだ。 それに相槌を打つ紗霧の表情からは、~ ゆたかが考えているようなことをしているようには、とても―― 「くす」 ゆたかを見て、紗霧が笑んだ。~ 「(ぬ……!?)」 なんだかとっても見下されたような印象を受けて、ゆたかはムッとした。~ が、紗霧はゆたかから既に視線を外していた。 本当に目が合ったのかどうかも疑わしいくらいの一瞬だったが、~ 気のせいだとは、何故か思わなかった。 「……見つかりませんね。すみません、確かメモしておいたと思ったんですが」~ 「ありゃ、困ったね」 いかにも申し訳なさそうに謝る紗霧に、英美もうーむと唸る。 「そうだ。伊織さんも確か、携帯にメモしていませんでした?」 紗霧がぱっと顔を輝かせる。 「え? え、あー、いやいや、そんなことはないと思いますが」~ 「いえ、確かにしていましたよ。覚えていますから」 殊更に慌てた様子で否定する夏希と、また妙に押しの強い口調の紗霧。~ ゆたかの疑心が深まる。 「とりあえず見てみたら?」 英美の一言で、夏希は自分のポケットやバッグの中を探した、が、 「んー、えーっと、おかしいな、携帯見つかんないや」~ 「んじゃあ、鳴らすよー」 何か言いかけた夏希の体が、一瞬だけ硬直した。~ 英美はそれに気付かない。 「やっぱりない?」~ 「たぶん、家に忘れてきたかも」 搾り出すような声に、英美は何を勘違いしたのか、 「そっか。まあ、携帯なんてなくても一日くらいなんとかなるよ。ね?」 などとフォローを入れ始めた。 二人の様子を見て、紗霧が無言で微笑んでいる。 「あ、あたし、思い出しました。確か、一時からだったはずです」~ 「ありゃ。それだと、ごはん一緒するのは無理だねー」 じゃあ早く、早く行きましょうと、紗霧の腕を引く夏希。 「そうだったかしら? もうちょっと時間があったような」 のんびりした調子で、紗霧は歩き出そうとすらしない。~ 英美のほうも、せっかく偶然会えたのに、すぐ別れることがひどく残念そうだった。 そこでようやく、ゆたかは口を開いた。 「念のため、早めに行っておいたほうがいいですよ」~ 「……そうですね、それじゃあ」~ 目に見えて安堵の表情を浮かべる夏希。~ 紗霧の表情に変化はなかった。ずっと笑みを浮かべていた。 ~ 去り際の紗霧と目が合って、ゆたかは少し寒気を覚えた。 ~ ~ ***2 「あの子なら……」~ 「なんです?」 ポツリと漏らした言葉に、夏希が食い付いた。 「三好ゆたかさんって、可愛い子よね」~ 「そうですねえ。……え? なんですか、また何かするんですか!?」~ 「さて、どうかしら」 紗霧はまた携帯電話を取り出し、何かしらの操作をした。 「……っ」 腕にしがみ付く力が強くなり、紗霧は笑みを深める。 どこかで何かが細かく振動する音が聞こえたが、~ 喧騒に紛れ、誰にも聞こえなかった。 ~ ~ **唯x英美AS ***1 朝のホームルームが始まるまでの数分は、1-Aへ遊びに行くのが戸部唯の日課だ。~ 学園祭の前からそうだったし、例えば自分の人間関係が著しく変化したとしても、これは変わらない。 ~ 1-Aの教室に入ってすぐ夏希の姿を見付け、唯はその背中に声を掛けた。 その襟元に手を突っ込みたくなる衝動に駆られるが、~ この前ほんとにびっくりしていたのでグッと我慢した。 「おはようさんです」~ 「はよーユイちゃん。今日も寒いねえ」 夏希は今、教室に着いたばかりのようだ。遥の姿はない。 ファー付きの白いダウンジャケットを脱ぎ、椅子の背もたれに引っ掛けると、~ 夏希自身もどっかと椅子に座り込んだ。夏希の目の前の席に、唯も腰を下ろす。 本当は二人とも窓際の暖房付近に立ちたいところだったが、残念ながら満席であった。 「バス使ってみたりとかどうです? むしろ逆に暑いくらいですよ」~ 「んー、それもアリなんだけどねえ。雪が降らない限りは自転車かなあ」 雪こそ降っていないが、朝の気温は氷点下にもなろうかという季節だ。~ 自転車での通学はそろそろ厳しいし、現に冬だけバス通学に切り替える生徒も多数いる。 だのに夏希は、気乗りのしない風ながら、自転車通学を止める気はなさそうだった。 「朝、起きられないですか?」~ 「いや、十五分の壁は厚いよ。マジ無理だよ」 マジ無理。ともう一度繰り返し、右手を枕にして、夏希は机の上に突っ伏した。 「ところでさ、」~ 「はい?」 それから顔を伏せたまま、ぽつりと小さな声で呟く。 「さっき英美先輩に会ったんだけど、元気なさそうだったよ」~ 「あ、」 唯が何も言えないでいると、~ 夏希は左手で自分の鞄を漁り、銀色の小さな鍵を取り出した。 「これ体育倉庫の。二階まだマット敷いてあるから、よかったら使っていいよ」~ 「……すいません、なんか」~ つまらなさそうな顔で差し出された鍵を、唯はありがたく両手で受け取った。 「あはは、いやほら、他人事だからさあ」 唯たち三人の関係を知った上でこんなことをしてくれている同級生は、~ そう言って力なく笑った。 ~ ~ ***2 『今日のお昼は、旧館まで来てもらえますか?』~ 『おっけー、わかったよ』 メールを出すと、英美からの返事はすぐに帰ってきた。 文面上はいつも通りであることが、唯の不安を余計に煽る。~ 電話にするべきだったかな、という少しの後悔が残った。 ~ 昼休みになると、唯はまず身支度を整えることにした。 体育館は全校集会以外では基本的に暖房を稼動させないので、ものすごく寒いのだ。 ダッフルコートに、ヘッドフォンタイプのイヤーウォーマー。手袋はいらない。~ アイビー柄の手提げに小さな弁当箱を入れ、コートのポケットには心中用の凶器をひとつ。 手早く準備をし、唯は教室を出て旧体育館へ向かった。 ~ 校舎を出て、寒風の吹きすさぶ渡り廊下に差し掛かると、~ 旧館入り口のガラス戸の向こうに松島英美が立っているのが見えた。 黒のジャケットを着込み、手元の携帯電話を開いたり閉じたり、俯いて所在なさげに突っ立っている。 唯はポケットから片手を出して、ガラス戸を押し開けた。~ それに気付いた英美が顔を上げる。 「あ……と、やっほー、唯ちゃん」~ 「どもです」 なるほど確かに、笑った顔にも元気がない。~ 唯にとってはもう見慣れた表情ではあるが、今日は特に陰が濃いように見えた。 そして、先ほど英美が一瞬だけ目を逸らしたのを、唯は見逃さなかった。~ 今日で三日になるが、自分はまだ微妙に敬遠されているらしい。少しだけ気分が沈んだ。 ~ 唯は上履きを脱ぎ、土間のようになったコンクリート床から、一段高いタイルの床に上がった。~ 木床の保護の問題から、通常の上履きのままでは館内へ入ることが出来なくなっている。 壁にずらりと並んだ棚には、横着者のシューズがいくつか放置してある。~ その棚の一番左上に、英美と唯は並べて上履きを入れた。 「えっと、今日はなっちゃんとか来ないの?」~ 「はい、今日は二人だけです」 唯の声が、思わず固いものになる。~ 何気なく訊いたつもりでも、英美の心情は聞き手にしっかり伝わっていた。 唯のメールにも、夏希や遥ももちろん来るものだと思って了承したのだろう。~ しかし唯は、今日だけは英美と二人きりになる必要があった。 「……ここは寒いですし、早く入りましょう」 「う、うん」 閉ざされた鉄扉のすぐ脇にある電灯類のスイッチを、唯が軒並み切り替える。~ 英美が氷のように冷たいドアノブを引いて、扉の片側を開け放した。 重苦しい音を立てて開いた扉の隙間から、二人はするりと中に滑り込んだ。 ~ 無人の館内は、ただ風が吹かないだけで、外と変わらないくらい寒かった。~ 日差しが入らないせいで、むしろ気温は外よりも低いくらいだ。 「冷たぁ……感覚なくなりそーです……」 床はまるで氷のように冷えている。~ 唯は足元から迫る寒気にぶるぶると震えながら、爪先立ちで飛ぶように歩く。 誰もいない運動場に、二人分の足音だけが響く。~ 四つの踵が床とぶつかり、ごつんごつんと音を立てる。 「どこで食べるの? やっぱり旧卓球部かな」 冷たさなど気にならないといった風にすたすた歩く英美の姿に納得のいかない思いを抱きつつ、~ 唯はポケットの中の右手で、家から持ってきたモノを弄んだ。 英美には聞こえない程度に小さく、それを包む紙がカサカサと音を立てる。 「えっと、実はですね。ナツさんから鍵を借りてきたんです」~ 「あ、それ二階の? うわー、あそこ入るの久々だよ」 ステージ脇の控え室には、螺旋を描く上り階段がある。~ が、諸事情により階段へ出る扉は施錠され、平時は二階へ上ることが出来ないようになっていた。 夏希に借りたのは、その螺旋階段に入るための戸の鍵だ。~ 色々と問題のある場所なので、鍵を貸し出すことは稀である。 「誰か来ないうちに、さっさと上がっちゃいましょう」~ 「だね」 ステージ左側にある控え室への扉を、英美が開く。~ 先に唯が入り、英美がそれに続いた。 ~ ステージ脇の控え室は、館内で一番に明るい場所だ。 運動をするためのスペースと違って、採光を考慮する必要がないため大きな窓があるのがその理由で、~ カーテンを開け放せば、昼時は南側からの陽光を存分に取り入れることが出来る。 とは言え、ステージ上に影響を及ぼさないよう、その窓は基本的に黒いカーテンに覆われている。~ 当然、今もそのような状態になっているので。 「暗っ」 入り口の扉を開けたままで押さえている英美を見て、わざわざ電灯を点けることもないかと判断。~ 唯は鍵を取り出し、部屋の隅にある螺旋階段へと向かった。 まず、唯のウェストより太い柱がでんと立ち、その周りをぐるぐると階段が上っている。 その階段の外回りを、落下防止の縦格子が一階の地面から天井までの全体を覆い、~ 階段の上り口にはドアノブの付いた格子戸がある。 直径三メートルほどの螺旋階段は、全体的に白のペンキで塗られていたが、~ 今やペンキはほとんど剥げ、また錆びしまっていて、白よりは茶褐色と言い表すのが正しいように見えた。 ドアノブだけがやけに新しいように見えるのは、カンヌキが錆び付いて動きが悪くなったため、~ つい最近に、鍵周りのみ改修を行ったためだ。 「えっと、鍵は、と……」 薄暗闇の中、唯が手元でかちゃかちゃという音を立てる。~ 金属が擦れる耳障りな音を立てて、二階倉庫へ続く唯一の扉は開かれた。 「これは閉めてったほうがいいよね?」~ 「あ、はい。お願いします」 英美が階段入り口の鍵を掛け直すのを見届けてから、唯はとんとんと階段を上ってゆく。 支柱の周囲を一度と半分ほど回ると、二階に到着する。 ~ ~ ***3 二階に上がってすぐ、唯はやはり閉じ切られていた黒いカーテンを開け放った。 南向きの窓は存分に光を取り込み、薄暗かった室内を明るく照らし出す。~ 電灯も備え付けてはあるが、この時間ならカーテンを開けるだけで十分に明るい。 ~ この部屋は、ステージの上のキャットウォークのための作業部屋だ。~ 普段は入ることも出来ないため、大して物も多くない。 一階にあったものと同じサイズの、南向きの窓と黒いカーテン。~ 舞台上に入るための引き戸と、中二階に出るための扉がひとつずつ。 部屋の隅には、学園祭くらいでしか使わない照明器具と、演劇部が使うであろう小道具の類。~ 誰かが置き忘れた工具箱。壊れた書き割りの基部。 最後に、夏希が勝手に一階の倉庫から持ち出した運動用のマットが、窓際の床に一枚敷いてある。 ~ 「わぁ」 遅れて階段を上ってきた英美が、部屋を見回して声を上げた。~ 唯にもその気持ちは理解出来る。二人とも、ここに入るのは夏以来だった。 「懐かしいねー」 当時に想いを馳せているのか、英美はどこか遠くを見るような目をしていた。~ 唯には、その懐かしむような表情が気に入らない。 「あの頃は楽しかった、とかって、なんかババくさいです」~ 「なんとっ!?」 やっぱり反応が鈍いな、と唯は思う。~ しかし、今はもうそんなことを気にしている段階ではない。 「それより、昼食にしましょっか」 窓際のマットに、まず唯が座り込んだ。~ 促され、英美もその隣に腰を下ろす。 少し、距離が遠い。 「あ、ここ、けっこう暖かいんだ」~ 「日が入りますし、狭いですからね」 二人は窓を背にして、お互いの間に弁当を広げた。~ 英美の弁当は自分の手作りで、唯は母親の手によるものだ。 「いただきます」~ 「いただきまーす」 英美はわざわざ手を合わせ、自分の作った弁当を拝んだ。~ かたや唯は、言いながら既に口の中にはカレーコロッケが入っている。 どこか遠くから、ボールの弾む音が聞こえてきた。 「早食い組かなあ」~ 「ですね」 ホイコーローを口に運ぶ。~ 冷たい白米を咀嚼する。 無言のまま、しばらく食事が進む。~ 会話が続かないのが不安になってきて、英美は口を開いた。 「やっぱりバスケが人気なんだね」~ 「ですね」 それで会話が止まる。頭の中で話題を探す。 他に誰かいれば大丈夫なのに、と英美は頭を悩ませた。~ 先日の行為が気になってしまって、唯と二人きりになると、うまく口が動かない。 居心地の悪そうな顔をしている英美を、唯は視界の隅に捉えていた。 「えと……双眼鏡、今もあるの?」~ 「あれはナツさんが回収しておいたそうです」~ 「そ、そっか」 次の無言は長かった。 じきに二人とも昼食を食べ終え、唯は箱を手提げに入れた。~ 英美はというと、デザートが入った小さなパックを膝の上に乗せたまま、固まっている。 ~ そろそろいいか。と考え、唯は醒めた顔で口を開いた。 ~ ~ ***ここが書きたかった 「メール」~ 「え、」 その一言だけで止める。~ 英美の表情が目に見えて強張った。 「メールが帰って来ないんですよね」~ 「な、なんで知って――」 小さく溜め息を吐いて、 「適当に言ってみたです」 「え、あ……」 既に泣きそうになっている英美を見て、唯は少しだけ表情を緩めた。 「先輩とは、昨日もう仲直りしたんじゃなかったんですか?」~ 「そ、そうだけど、そうなんだけど、」 英美が不安げに、唯の目を見つめてくる。~ どんなことを言って欲しいのか、唯にはよく理解出来た。 「……」 だから、唯は黙った。 英美が求めているのは、『友達からの慰め』だ。ただの友達からの。~ 今さらそんなことが出来るほど、唯は余裕でいるわけではなかった。 「やっぱり不安で、」 誰にも相談出来なかった事情を既に知られていたことで安心したのか、~ 英美が先ほどまで作っていた“壁”のようなものを、唯はもう感じなかった。 「その……」 大事な人の前以外では見せてはいけないような顔を、英美は今している。~ 例えようのない充足感と、それに付随する罪悪感。 唯の胸が、また苦しくなる。 ~ 「先輩。ちょっと頭貸してください」~ 「え? なに、なにか付いてた?」 手招きに応じ、英美が唯の眼前に頭を差し出す。 四つんばいになり、身を乗り出すようにした英美の頭を、唯は自分の胸に抱き寄せた。 「んっしょ」~ 「わ、ちょ、た、」 唯が、そのまま背中側に倒れ込む。 堪えようとすればそれも出来たはずだが、英美はそれをしなかった。 両肘を突いて体重を掛けないようにしながら、~ マットに仰向けに寝転ぶ唯の控えめな胸元に、英美は顔を埋めた。 「……」 顔を伏せ、黙ったままでいる英美の頭の上に、小さな手が載せられる。 「大丈夫ですよ、なんにも心配ないです」~ 「……うん」 唯が、優しく頭を撫でさする。~ されるがままに大人しく、英美は少しだけ肩の力を抜いた。 「(……さて)」 髪の匂いを胸いっぱいに吸い込んでから、~ 唯はついに右のポケットに入れてきたモノを取り出した。 包み紙を破き、ミルク色をしたその中身を取り出し、口の中に放り込む。~ 甘ったるい味が広がる。 凶器などとはおこがましい。~ それは、ただの飴玉だ。 「先輩、アメいります?」~ 「……飴?」 英美が顔を上げる。~ 唯は飴を舌に載せ、べーっと口を開けて見せた。 「じゃあ、食べる」~ 「了解です」 言って、唯は英美を抱え直し、横にごろりと転がった。 「わっ、と」 元から中央付近にいたせいもあり、二人の体はマットから半分ほどはみ出してしまった。~ マットの上とは違う、ひどく固くて冷たい感覚が英美の背中に広がっていく。 構わず、仰向けの英美に覆いかぶさったまま、唯は言う。 「さ、先輩、あーんしてください」~ 「ちょ、ええ? いやいや、」 英美は、すぐ目の前にある唯の顔から目を逸らした。~ 顔が近すぎる。正直、わりと恥ずかしい。 「早く開けないとあげませんよ」~ 「えええ」 このときの英美が何も期待していなかったかと言えば、そんなことはない。 この場所、この相手、この状況で、起こるかも知れないことについて想像が付かないほど、~ 英美はもはや純真無垢ではなかった。 「……あーん」 それでも彼女が瞼を落とし、口を心なし小さめに開いたのは、既に唯へ依存し始めていたからだろう。~ 先日の事件が、唯との精神的な距離を大幅に縮めてしまっていた。 そしてこの場合に限っては、英美は自分にこう言い訳することができる。~ 『そんなことをされるとは考えてもいなかった』と。 それが、唯の用意した逃げ道であるとも分からずに。 ~ 「ん、」 英美の口の中に丸いものが押し込まれ、甘いミルクの味が広がった。 何もされなかったことに、複雑ながらホッとしたのも束の間。~ 英美は、口の中の飴玉が妙に生温かいことに気付いた。 それがどういうことなのか考える前に、今度は英美の唇をなにか柔らかいものが覆った。 「ちょ、んんっ!?」 何か言いかけた口の中に、ぬるりと唯の舌が這入り込む。 今まで経験したことのない感覚に、英美はかなり混乱した。~ それに乗じて、唯の舌が英美の口腔内を蹂躙していく。 ~ ひどく長く感じられる数秒の後、唯はゆっくりと唇を離した。 「んふ」~ 「……ふ、ぁ」 英美がそっと瞼を開く。目の前には、まだ唯の顔があった。~ 反射的に英美はまた目を閉じ、顔を逸らした。 「ダメですよ。ちゃんと私のこと見てください」~ 「うう……」 両手を頬に添え、英美を強引に自分のほうを向かせる。~ 嗜虐的な色を湛えた笑みが、泣きそうな英美の瞳を見下ろす。 「アメ、食べたいです」 そうしてまた、唯が舌を伸ばす。~ 英美は口を開き、ただそれを受け入れた。
https://w.atwiki.jp/kurotoko/pages/24.html
#contents *単品 ***宿題忘れた! 朝。 「なっちゃーん! 宿題みして!」~ 「だめだこのばか」 ぱこーん、という音が響く。 丸めた大判の教科書を手で弄ぶ夏希は渋い表情をしていたが、~ 一方の遥は、叩かれ断られたにも関わらず、底抜けに明るく笑っていた。 「さっきリッチーにはみしてたじゃんか!」~ 「そりゃ10回中3回くらいまでは許すわ!」~ 「えー?」 教室内で雑談をしていたリッチーが二人へ苦笑いを向ける。~ 遥の宿題達成率が限りなくゼロに近いことは、周知の事実だった。 「他の人に見せてもらって答えだけ写すのも禁止な」~ 「お、おぉ……」~ 「途方に暮れた顔をするな!」 もう一度、丸めた地理で頭を叩く。 弾力性に富む教本のせいか、それとも叩かれた側の中身が空っぽだからか、~ 小気味のいい音がした。 「たまにはさー、自力でやってみたらどうよ?」~ 「そうは言うがなあ、大佐」 机に広げた自分のノートを見て、遥が呻いた。 「誰かに教えてもらうとかは? 須磨川さんとか数学得意だし、頼んでくるか?」~ 「やー、そんじゃ、なっちゃんおせーてくりよ」 今度は夏希が渋面になった。 「え、いやあたし教えるの苦手だし」~ 「そっかなー?」 遥は無理に頼むことはなかったが、~ 納得のいってなさそうな顔が、夏希の心に引っ掛かった。 「……じゃあ、今回はあたしが教えてやる」~ 「え、いいの?」~ 「外れてたら許せ」~ 「ぜんぜん!」 遥が夏希の席に座り、夏希はその隣に立って。~ 二人は数学の宿題に取り掛かった。 ~ ~ ***春隣 夏希が鍵を閉めたのに気付いて、遥は目蓋を上げた。~ 普段、二人は寝るときに部屋の鍵を閉めない。これは合図だった。 「……」 無言のまま、夏希は二段ベッドの下側に入り込む。~ 遥と目が合って、気まずげに顔を逸らした。 「しよっか」~ 「ん」 仰向けになった夏希の上に覆いかぶさり、遥は唇を重ねた。~ Tシャツの裾から手を差し入れ、夏希の胸をやんわりと揉みしだく。 「ん、ん」 口元、首すじ、耳元へ舌を這わせると、夏希は目を伏せた。~ 所在なげに投げ出された右手に左手を絡ませ、もう片方の手を夏希のショーツの中へ滑り込ませる。 それを待ち望んでいたかのように、すぐに夏希の左手も遥の内腿に伸ばされる。 「……、」 二人でこういったことをするとき、夏希は基本的に喋らない。~ また、どうしても必要な場合は小声で話す。 「ゆび入れるよー……?」 遥にはそれがいつも不思議だった。~ しかし特に問題もないので、夏希に合わせて小声でそう言った。 沈黙で肯定に代え、夏希は遥のショーツを後ろからずり下げた。~ 夏希が脱がしやすいように腰の位置を調整しながら、遥は指を動かし続ける。 「んひひ、今日も濡れ濡れだね」~ 「べつに……」 普段の振る舞いからはとても想像できないほど、遥の指は優しい。~ 膝立ちした遥のショーツを片手で脱がせながら、夏希は強いてゆっくり呼吸を繰り返した。 「いしょ」 遥は、ふくらはぎの辺りに残っていた自分の下着を完全に脱ぎ捨てた。~ そこで一旦手を止め、夏希のそれも自分と同じように取り払う。 夏希は自分のそれを隠すように片足を上げかけたが、再び遥の手が添えられるのを見て力を抜いた。くにくにと小さく蠢きながら、遥の指がやわらかな肉を割って沈んでいく。 遅れて、そっと夏希の指が遥の秘部に触れた。控えめに動く指に、遥の口から笑いが零れる。 「んっひはは、こそばいって。もっと強くしていいよぉ、この前みたいにさ」 無言のまま、夏希の指の動きが幾分か積極的なものに変わる。~ 遥の手と絡ませていたもう一方の手が離れ、遥のTシャツの中へ侵入していく。 「そそ、そんくらいで……ん、ちょうど」 体を小さく震わせながら遥は満足げに笑った。~ 夏希は仏頂面で、遥の薄い胸に押し付けた手に強く力を込めた。 ~ しばらくの間、そのままお互いの体を愛撫し続ける。~ 時折、思わずといった風に吐息が漏れると、片方は笑い、片方は眉間の皺を深くした。 遥の内股に愛液が垂れるようになる頃には、~ 二人ともすっかり息も荒くなり、顔を紅潮させていた。 「どうする? もういっちゃう?」~ 「……や、一旦ストップ。ちょい待ってて」~ 「???」 夏希はそう言い残して、半ば遥を押しのけてベッドから降りた。~ なすすべもなく、遥は疑問符だらけの顔で正座の足を両脇に崩した形で座り込んだ。 夏希は二段ベッドの梯子に足をかけ、自分の布団の枕元を漁っていた。~ 手を伸ばして、何かを探している様子と見て取れる。 「わり」~ 「え? え?」 小さく謝りながら、夏希は遥の元へ帰ってきた。~ 手に何かを持って。 「え、それなに? その、」 夏希はベッドに入り、遥と向かい合って座る。その手には小さな小瓶が握られていた。~ 瓶は茶色。蓋は白。ラベルが貼られておらず、市販品には見えない。 夏希はその小さな瓶の蓋を外すと、一気にそれを煽った。 「もしかして、それ――」~ 「く、ぁ……」 こみ上げる熱さに、夏希は思わず上半身を前に倒した。~ 体が熱い。腰が震える。そして、腹部には何か、何かおかしな感触がむくむくと―― 「触手が生える薬!」~ 「ちゃうわ!」 そんなものが生えてくるのは春咲遥ただ一人だ。今のところは。 嫌な予感に襲われ、夏希は自らの股間に手を伸ばした。~ 果たして、そこには無事に男性器と化した自らの突起があった。~ 自分の意思で動くような、あるいは自分の意思に寄らず動いてしまうようなものではない。 「うーん」~ 「なんだよ」 遥は無言で手を差し出した。~ 視線から意思を汲み取り、夏樹は中身を飲み干したばかりの小瓶を手渡す。 遥はその蓋を外し、上を向き、中身のないはずのそれを口の上で逆さにした。 「あーーーん」 小瓶をぶんぶんと上下に振ると、ぽたぽたと薬の残滓が零れ落ちてくる。~ 最後の一滴と思われるところまで振り尽くしてから、遥は小瓶の蓋を戻した。 そして、腰元に力を込めてふんふんと踏ん張り始める。 「んむ、んーーーむぐぐぐ」 顔を赤くしていた。必死だった。 「そんなに触手が恋しいか、オマエは……」~ 「一本くらい出てこないかな」~ 「包丁かなんか持ってきていいか?」 二人にとっては幸運なことに残念なことに、いくら遥が頑張って踏ん張ってみても、遥の股間から本来人間に存在してはいけない器官が発生する兆しは見られなかった。~ やはり数滴程度では効果が薄いのか、と夏希は適当に想像する。 「残念だね」~ 「同意を求めるな!」 雰囲気が台無しどころの話ではなかったが。~ そんな空気とは全く関係のないところで、夏希の男性器は先ほどから勃起しっ放しだった。 先ほど呷った怪しげな小瓶の中身には、当然のように媚薬効果も付属されている。~ 実のところ随分と興奮していた。そして、そろそろ我慢の限界でもあった。 「そろそろ諦めろ」~ 「ウワアー」 棒読みもいいとこの声をあげながら自らの布団に押し倒され、~ それから自らM字に脚を開きTシャツをまくりあげて、遥は恥ずかしげに笑った。 「にへへ」 腰の位置を調整しながら、夏希は内心で不可思議な感覚に首を傾げていた。 「……」 夏希が自分からこうして遥のことを押し倒していることに、~ 遥が今まさに夏希のものを受け入れようとしていることに、~ そして何より、そういった事実を自分がごく自然に受け入れていることに。 「いいよ」 あの人との行為ではあんなにも困惑し、躊躇し、右往左往していたというのに。 夏希は、ここでこうしていることが自分にとって最も自然なことであると、~ 確信めいた気持ちさえ抱いてしまっていた。 「入れるぞ」~ 「ういうい」 挿れやすいよう、両手を使って遥は自分の秘部を開いた。~ さすがに恥ずかしいのか、苦笑いを浮かべている。 くだらない掛け合いを挟んではいたが、遥の秘部はしっかりと濡れていた。~ その入り口に夏希が性器を押し付けると柔らかなピンク色がぴったりと吸い付く。 吸い込まれるように、夏希は腰を前に進めた。 「く、ぅ」~ 「んほー」 喜色満面の奇妙な喘ぎ声に突っ込む余力もあればこそ。~ 夏希は深呼吸をし、早々に訪れそうになった限界を意識の外へ追いやるので必死になっていた。 「な、んじゃ、こりゃ」 遥の膣内はまるで生き物のように蠢いていた。吸い付くような押し出すような、きつい感触だ。~ うねうねと動く肉が、夏希は動いてもいないのに快感を与えてくる。 「なーんか今日は調子がいいのさ」~ 「そういうレベルじゃないだろこれは……」 驚くべきは、それの半ば以上が遥の意思によって行われているという点だ。~ 人間はここまで自分の意思でこんな部分を動かせるものなのか、夏希は本気で疑問だった。 しかし、前回はこんな風ではなかったことを考えれば、結論は簡単に出る。 「(さっきの、薬か……)」 先ほど、ほんの少量だけ遥の体内に摂取されたあの飲み薬が怪しかった。目に見える変化はなくとも、今の遥の言うような『調子がいい』状態になるくらいなら十分ありえる。 しかし問題はそんなことより、夏希が今もなお性器への刺激を受け続けていることだった。~ 部位的には全く別の場所ではあるが、遥の手でしごかれているような錯覚さえある。 「ハル」~ 「なんだい?」~ 「ええと」 この変な動きをやめてくれ。出ちゃいそうだから。~ とは、プライドの問題で言い出せなかった。 代わりに何か気の紛れるような話を夏希は考えた。思わず萎えてしまうような話題を。 「豚のどこが好きだ?」 夏希は後悔するのはわずか十秒後のことだった。 「んーーー、色々あって迷うね」~ 「色々あるのかよ……」~ 「土……じゃなくて、ドリルちんこ!」~ 「他にどんな好きな部分があるのか真剣に聞きたくねえ!」~ 「よだ」~ 「うるせえ黙れこのバカっ!」 話の内容は酷かったが、お陰で夏希は気を紛らわせることができた。 「わかった。あんがと」~ 「うん。それで、他にはし――あんっ」 唐突に動き始めた腰が、遥の言葉を遮る。 「話を続けようとすんなっつーの」~ 「けど、なっちゃはむ」 『ナッチャハム』などという異国のムエタイ戦士のような愛称で呼んだわけではなく、~ 夏希の口で口を塞がれ、強引に喋りを中断させられていた。 「ん、えあ、はぷ……っんしし」 口を離すと、遥はいつも通りの顔で笑った。 「……」~ 「んっ、、あ」 構わず、夏希は無言で腰を振った。~ 少なくともそうしている間だけは、何も考えずにいられる。 首すじに吸い付き肉を食むと、夏希の背中に両手が回った。~ 抱き寄せる腕はあくまでも優しい。 「どーしたさー……?」~ 「いや、」 夏希はほんの少し、そう気取られないくらい短い時間だけ逡巡して、 「…………や、もう出そうなんだわ」 笑みを作って、そう答えた。 「おっけー、いいよ」~ 「ん」 二人はいよいよ無言になり、唇と唇を、胸と胸を、性器と性器を擦り合わせる。 「はっ……はっ……」 夏希がそろそろ限界だというのもあながち嘘でもなく。~ 腰の奥が痺れるような感覚に、夏希は動きをより速めた。 「っぅ、んっ」~ 「も、出るかも……ッ」 思いっきり奥まで押し込まれたものの先端から、堰を切ったように白い液体が吐き出された。~ 断続的に叩き付けられるどろりとしたそれを、遥は恍惚とした表情で受け止める。~ 「っぁ、ふ――」 それが完全に収まってから、遥と夏希はほとんど同時に体から力を抜いた。~ 夏希は小さくなった男性器を引き抜くと、ほとんど倒れ込むように遥の脇に寝転んだ。 「はあー……」~ 「おつかれちゃん」~ 「ん」 遥はにこにことした笑顔で、夏希の肩を労わるようにぽんぽんと叩いた。~ 夏希は何度か深呼吸をして荒れた息を整えると、むっくりと起き上がって、 「それ拭くから。垂れるとまずい」 傍らに置いておいた箱ティッシュを手に取り、遥の足の間に割り込んだ。 「あーやー、そんくらい自分でやるよ」~ 「任せてたらやんないだろ。ちょっと指入れるからな」~ 「ほいさっさ」 ついさっき自分で放出したそれを、今度は指で掻き出してティッシュの上に載せる。~ あらかた取り除いたら、今度はべたべたになった周囲をそっと拭う。 「ありがとさん」~ 「おう。それじゃ、そろそろ寝るから」~ 「ほいほい、おやすみちゃん」 その夜は何も考えずに熟睡できたことを、翌朝に目が覚めたとき夏希は喜んだ。~ が、寝坊した。 ~ ~ *連作 **落とし物は持ち主に届けてあげましょう ***落し物 便座に座ったまま脱力していた夏希は、ふと我に返り立ち上がった。三階から一階まで移動するには時間が掛かる。そろそろ教室に戻らなくてはならない。~ 手早く身だしなみを整えてから個室を出て、夏希は洗面所出入り口の扉を押し開けた。 「っ」~ 「あっと、すんませ」 普段あまり人気のない場所だったから、勢いよく開けすぎてしまった。夏希は目の前で立ちすくんでいる人に頭を下げようとして、それが顔見知りであることに気が付いた。 「あれ」~ 「どうも」 三好ゆたかだった。彼女はさっと脇に退き、夏希に先に出るよう促した。夏希は小さく頭を下げ、そそくさと外へ出て教室へと向かった。 「……?」 その後、個室に入った三好ゆたかは、とあるものを発見した。 ~ ~ ***言えないっ! 『北校舎三階西側のトイレに忘れ物をしていきませんでしたか?』 五時限目の授業後の休み時間、夏希は受信したメールを見て硬直した。慌てて愛用の手提げを確認してみると、うん、ない。アレが見当たらない。それは夏希の忘れ物で間違いない。~ しかし、ブツのことを考えると素直に『はい、それは私のものです』などとは口に出せない。 『いえ、あたしは特に。ところで、落とし物って何なんです?』~ 『何に使うものなのかは判別しかねているんですが、小型のマッサージ器のように見えます。スイッチを入れると球体部分が細かく振動するようです。色はピンク』 そんな詳細に説明しなくていいですよ! と心の中でツッコんでから、夏希はあることに気が付いた。~ 文面からするにこの三好ゆたか、自分で拾ったものが何に使用するものなのか分かっていないらしい。もし知っていればこんな冷静にはしていられないだろう。~ かと言って、『それはあたしのだ』と言えるようになるわけではない。夏希が頭を抱えていると、ゆたかから再度メールが送られてきた。 『ともかく、職員室前のボックスに入れておくことにします。ありがとうございました』 「(まてまてまてまてまってえええ!)」 ここで言うボックスとは、校内で発見した落とし物を入れておくためのボックスだ。シャーペン、教科書、ジャージなどと一緒にとんでもない物が入ることになりかねない。~ そんな物が職員室の前に置かれでもしたら、学園中がその噂で持ちきりになるだろう。全校集会も開かれるかも知れない。理事長からの一家言だって出そうなものだ。~ そんなことになったら回収のしようがない。断固阻止するべきだ。 『あ、いま落とした本人を発見しました。放課後にでも受け取りに行きます』~ 『本当ですか? よろしくお願いします』 頭の中で様々な言い訳をシミュレートしながら、夏希は放課後を待った。 ~ ~ ***知らぬは 放課後。 「失礼しまーす」~ 「ゆたかー。帰ろー」 拾得物をその手に持って夏希のことを待つゆたかのところへ、いつものように英美と唯がやってきた。 「あ、すみません。今日は少し用事があるので、よければ、」 自らの名前を呼ぶ声にゆたかが振り向くと、二つの顔が不可思議な表情を浮かべた。見れば、二人の目線はゆたかの手元に向けられている。 「……どうしました? これが何か、」 油の切れたブリキ人形のような動きで、英美が首を横に振る。あっという間に泣きそうだ。~ じりじりと後退る英美を庇うように、やはりイヤそうな目をした唯がその前に立った。 「それはこっちの台詞です。なんでそんなもの持ってるんです?」 ゆたかは内心、二人の反応に首を傾げた。 「ああ、これは一年生の落とし物です。これから夏希さんが取りに来る予定なので、すみませんが少し待っていただけると助かります」~ 「なっちゃんのなの!?」~ 「いえ、別の生徒のだそうです。夏希さんが代わりに届けてくれるそうで」 ようやく二人は何かに納得したかのように肩の力を抜いた。 「はあ……にしても、もう少し隠すなり何なりしてくださいよ。そんなものを堂々と校内で手に持ってるなんて、信じられないです」~ 「確かに校則違反と言えば違反ですが、こんな玩具のようなマッサージ器をムキになって隠す必要はないでしょう。携帯電話のストラップでもこういった機能の付いたものはありますし。彩水さんも同じようなものを持っていた記憶がありますが」~ 「そ、そんな機能の付いたの私持ってないです!」~ 「私にも見せていたじゃないですか。ライトだとか、赤いペンだとか」 ピントのずれた答えに、唯は数秒ほど硬直してから、 「……ブふッんむ!」 何か噴き出しそうになって、慌てて口を両手で押さえ込んだ。 「大丈夫ですか?」~ 「あハ、あーいえいえ何でもありません。ところで、ちょっと写メいいです?」~ 「はい?」~ 「実はその……マッサージ器? って、かなりのレア物なんですよー。お願いしますっ」 いそいそと携帯電話を取り出す唯。~ 少しおかしいとは思いながらも、ゆたかは右手に持ったそれを差し出す。 「はあ。では、どうぞ」~ 「あーいえいえ、そのままでお願いします。自分で持つと撮りにくいですし、ちゃちゃっと済ませちゃいますですから」~ 「そうですか?」 右手を出したままの姿勢で動きを止めたゆたかへ、携帯電話のレンズが向けられる。撮影結果を表示する画面には、右手に乗った例のブツとゆたかの顔の両方がしっかり収められていた。 「撮りますよー」 ~ ~ ***嘘は自然に 「あっ」 突然に横から携帯電話を取り上げられて唯が振り返ると、苦笑い顔の夏希がいた。いいところで邪魔をされた唯は、ぷくぷくと頬を膨らませて夏希を見上げる。 「むー」~ 「ごめんごめん、急いでるから」 取り上げた携帯電話を唯に返し、ゆたかから拾得物を引き取り手早くポケットに仕舞い込むと、夏希はさっさと二人に背を向けて教室から出て行ってしまった。 「……」 ゆたかは、この一連の流れに何か違和感を覚えていた。~ 急につまらなそうな顔になって黙る唯も、もうずっと前から廊下に避難していた英美が今になっておずおずと戻ってきたのも。現在進行形で何かがおかしい。 「彩水さん、ひとつお聞きしたいことが――」~ 「あ、用事を思い出しました。すみません、私お先に失礼しますね。それじゃ!」 文字通り、逃げるように唯も姿を消した。残ったのはゆたかと英美の二人だけ。 「先輩。ひとつお尋ねしたいのですが」~ 「あ、えっとね、うん、実は私も用事が」 英美は逃げ出した。 「すぐ済みます」 しかし腕を掴まれてしまった。 「先輩。先ほどの小型の玩具についてですが」~ 「う、うん」 英美は逃げ出そうとした名残でゆたかに背を向けたまま、ゆたかへ顔を向けようとしない。 「私は体の一部に押し当てて使うマッサージ器の類だと思っていたのですが、もしやあれはまた別の用途のある品物なのでしょうか」~ 「いや、それで合ってると思うよ、うん」 掴まれた手に力が籠もるのを感じ、英美の首が後ろを振り向きかけ、止まる。 「……」~ 「……」 双方動かず。数秒の沈黙。 「…………本当ですか?」 トーン低めの問い掛けに、英美の肩がびくりと震える。~ 英美は振り向かない。 「ほんとだよ?」~ 「そうですか?」 腕を掴んだまま、ゆたかは英美の前に回り込む。一歩、二歩、三歩。 「そうですとも」 腕を掴まれたまま、英美はゆたかに合わせて顔を逸らす。正面、左、後ろ。 「……」~ 「……」 ~ その膠着状態は、通り掛かった古河みちるが仲裁に入る十分後まで延々と続いた。 ~ ~ **ゆいちゃんがぎゅーっとなるおはなし 書いてたらいつの間にか流れ変わっちゃったヨ ***ボクの先輩 現代社会の科目を受け持つ教師は、しばし迷った末、やはり声を掛けないことにした。~ 目の前に、見るからに上の空で授業を聞いていない生徒がいても、それが普段から真面目な優等生であれば、まあ一度や二度であれば見逃してやろうという気にもなる。 それでも彼が声を掛けようかと迷ったのは、その『見るからに上の空で授業を聞いていない』状態が、たまにとは言え、かれこれもう一週間も続いているからだった。 ~ 三十路手前の男性教諭の心中も知らず、三好ゆたかは、今日も彼女へ想いを馳せていた。~ 三好ゆたかにとって唯一の、本当の気持ちを話せる特別な友達。 「(……友達)」 『友達』という言葉を使ったが、それなら同級生の古河のほうが余程その響きがしっくり来る。~ それに、ゆたかと英美は既に、三好ゆたかの判断基準では、普通の友達ならまずしないようなことをしてしまっている。ゆたかはもう、古河と英美を同列に扱うことなど不可能だ。 しかし、あちらがどう思っているかというのは、また別の話になる。ゆたかにとっての英美が特別でも、英美にとってのゆたかが同じだとは限らない。~ 例えば、英美が普段から周囲の友人にあんなことをしている、としたら? 「(まさか)」 努めて冷静に、吐き捨てるようにその可能性を棄却しようとして、否定できる要素に心当たりがないと気付いた。むしろ彼女の人気はそういった行為の積み重ねで出来上がった可能性すらある。~ しかし、もしそうだとしても、かといってどうしろと言うのか。 (『私は貴方にとってただの友達ですか?』)」 ない。ありえない。口に出して言えたものではないし、他意があってもなくても大問題だ。それくらいはわかる。 しかし、そうなると何でも話せるというのも正しくないのではないか。~ ならば自分はただの友達で、英美先輩は普通の友達にあんな―― 「(あ、)」 何故こんなことを考えているのか、何が嫌でどんな答えが出れば自分は満足なのかということに気付いて、ゆたかはそこで考えるのをやめた。~ あの人は自分のことをどう思っているのだろう。そればかりが頭を占め、今日も教師の声はゆたかの耳に入らなかった。 ~ ~ ***私のセンパイ 最近、二人の仲が怪しい。~ 唯がそう考え始めたのは、つい最近のことだ。 例えば昼休み、英美にメールを出してみると、こんな返事が返ってくることが多くなった。 『せーんぱい。お昼ご一緒しませんか?』~ 『ごめんねー、今日は先約があるの。また今度』 ~ あるいは放課後、教室まで出向いて誘ってみれば、 『せーんぱい。帰りご一緒しませんか?』~ 『今日は、えっと、』~ そこで英美はちらりと、隣に立つ三好ゆたかの顔色を窺って、彼女がムッとした顔で押し黙っているのを確認してから、やはりこの言葉を口にする。 『ごめんね、また今度』 ~ 英美の付き合いが悪くなった。~ それも単純に忙しいのではなく、唯より三好ゆたかを優先するようになったのが原因で。 おかげで唯は現在、折角の昼休みに独り屋上で菓子パンをパクつく羽目になっていた。放課後の予定がないせいで、午後の授業もすこぶる憂鬱だ。~ 昨日の特番のこととか、新しく買った可愛い服のこととか、話したいことがいくつもあるのに。満足いくまでゆっくり話をする機会すら、今の唯には与えられない。 転機はおそらく、先日の学園祭だろう。~ あの祭を終えてから、英美とゆたかの間に流れる雰囲気は、それまでとは明らかに違うものになっていた。何があったのかは唯には分からないが、何かがあったことだけは間違いない。 だからどうというわけでも、何かアクションを起こすわけでもない。ただ、今まで通りに英美と付き合えないということだけが、唯には残念だった。 唯は想像する。~ あの二人はこれから先、二人だけで昼食を食べたり、お互いの用事が終わるのを待ってから一緒に帰ったり、休日は映画を見に出掛けたりするんだろう。~ 彼女たちがどれだけ本気かによっては、もっと進んだことをするのかも知れない。笑い合って、手を繋いで、キスをして、抱き合って―― 「(んー?)」 英美とそういうことをするのが自分ではないことに、唯は自分でも驚くほどの不満を感じた。 屋上のフェンス越しに、遠く見下ろす中庭のベンチに見える、長い黒髪の後姿。~ それに寄り添うように座るあの先輩と同じような気持ちを、唯は少しずつ自覚し始めていた。 ~ ~ ***涙の訳 「うお、そろそろ肌寒くなってきましたねえ」 夏希は両の腕で自らの体を抱えた。ウォームパンツやオーバーニーを装着していても、ガードしようのない小さな隙間から、秋の冷気は入り込んでくる。~ 今日は特にいやな風が吹いている。乾いた秋風が巻き上げた埃が、夏希の頬をちりちりと擦った。 「え、まだ全然寒くないよ?」 かたや英美は、あろうことか木々もいよいよ裸になろうというこの時節に、膝上十五センチのミニスカで自慢の美脚を風前に晒していた。屋上を吹き抜ける寒風くらいでは、この高温動物に『寒い』という単語を言わせることもできはしない。 「普通は寒いんです、普通は」 右手で左腕を擦りながら、夏希はゆっくりと屋上を見渡した。~ 屋上へと上がる出入り口は、重い両開きの鉄扉だ。その上には、巨大な貯水槽。転落防止の背の高いフェンスがぐるりと取り囲む中には、長方形をした六つの花壇と、それを区切るように走るレンガの歩道がある。~白いベンチと、ゴミ箱と、からからと転がる空き缶と、誰かが投げ捨てたプリント。~ 立入禁止の北校舎屋上と違い、暖かな時期になるとここには沢山の生徒が集まる。春になれば花壇には様々な花が咲き、明るい笑い声で賑わうようになる。~ が、今はざっと見る限り、ここ南校舎屋上には、二人以外には誰の姿もなかった。それも当然、こんな寒い風の吹く日の放課後に、わざわざ体を冷やしに来る理由もない。 「ふーん。それじゃ、早く済ませて帰ろっか?」~ 「ですね、はい」 では二人は何故こんなところにいるのかと言うと、夏希は風紀委員として、英美はその付き合いで、放課後の巡回中であった。より正確には、英美はゆたかの付き合いで、と言うのが正しい。~ 南校舎屋上に、人の隠れられるような場所はほとんどない。屋上の一通りを見回って、念のため貯水槽の上を見上げてみたりして、それでおしまい。 「誰もいないね。行こ、なっちゃん」~ 「あ、ちょい。待ってください」 校舎内へ戻るろうとする英美を、夏希が呼び止めた。夏希は背の高いフェンスに張り付くように、中庭のほうを見下ろしている。 「あれって唯ちゃんじゃないですか?」~ 「え、どれ? どこ?」 南校舎の屋上からは、中庭と北校舎の教室がよく見える。言われて見下ろした視線の先、中庭に面する1-Cのベランダに、一人の少女が座り込んでいた。 「ほんとだ。どうしたんだろ」~ 「部活の帰りとかですかね」 部活の帰りに、わざわざ教室に戻ってきてベランダで体育座り? なんで?~ 納得できず頭を悩ませていた英美は、一つおかしなことに気が付いた。 「ね、唯ちゃん上履き履いてなくない?」~ 「……んん? 遠くてよく見えないけど、言われてみれば、」 だからなんなんだ? という二人の考えは、わずか数秒で打ち砕かれることになる。 「ね、ねえあれ」~ 「いや、ちょい、待て、」 唯の手が自身の両目を覆った。~ 手の甲を押し当て、目尻に向けて何かを払う仕草。それを何度も何度も繰り返す。目の中の何かを取り除こうとするかのように。何度拭っても拭いきれないとでも言うように。 それはまるで、泣いているように見えた。 「(唯ちゃんが泣いてる)」 そう思った瞬間、英美の胸中は荒れに荒れた。~ 動揺、怒り、悲しみ、恐怖……様々な感情がない交ぜになり、英美はただ絶句した。 「……美さん。英美さん?」 しかし、それはほんの数秒のこと。~ 夏希の声で我に返った英美は、弾かれたように駆け出した。 「っておおい!? どこ行くんですか!」~ 「唯ちゃんのとこ!」 追ってきた声に返事を返しながら、英美は屋上を駆け抜ける。夏希が慌てて足を動かし出した頃には、英美はもう扉に手を掛けていた。 「でも、あたしらに言ってないのにいきなり聞くのってどうよ!?」~ 「……っ」 扉を開け放したところで、英美の体が急停止する。~ ゆっくりと振り向いた英美の顔は、何かを堪えているかのようにひどく歪んでいた。 「いえあの、英美さ――」~ 「わかってる」 思い出すのは、ほんの数週間前、文化祭の準備期間に起きた事件のことだ。心無い生徒たちによる陰湿なイジメ。その標的にされた唯の、あの泣きそうな笑顔を、英美は一生忘れないだろう。~ 二度とあんな顔はさせない。そのためなら英美は、自分にできる全てのことをしようと思っているし、夏希もゆたかも、同じように思っていた。~ 『これからは、何かあったら私たちに頼ればいい』という言葉に、唯は嬉しそうな顔で頷いた。はずだった。 「わかってる、けど……っ」 ところが現状はどうだ。~ 唯はこうして放課後にただ独りで涙を流していて、英美たちは偶然それを目にするまで、彼女の身に何が起こっているか全く気付けなかった。いや、今だってまだ、自分たちは唯がどうして泣いているのかさえ分からずにいる。それが英美には、泣きたいほど悔しかった。~ だから、叫んだ。 「そんなの知らないっ!」~ 「おいいい!?」 目尻に浮かぶ涙を振り切るように、英美は再度駆け出した。~ 鉄扉をくぐり、階段の最上段で足を踏み切り、跳ぶ。一息に折り返しの踊り場へ着地し、壁に手を突き身を翻し、また跳躍。~ わずか数歩で一階分の距離を疾駆し、長い黒髪は三秒で夏希の視界から消えた。 「あ、え」 追いかけるのも忘れて、夏希はぽかんと口を開けた。まさか、自分が走り出す前に振り切られるとは思わなかった。~ が、いつまでも呆けているわけにもいかない。とにかくまずは事情を把握しないと。今のままでは、自分が介入できる問題か、そうでないかも判断できない。 「……あーもう!」 悪態を吐きながら、夏希も段を飛ばして階段を駆け下りた。 ~ ~ ***差 夏希のことを置き去りにして、英美は走った。十秒もかけずに一階まで駆け下り、南校舎を過ぎ、渡り廊下を抜けて、北校舎へと。~ そうして、あとは最後の角を曲がれば目当ての教室までほんの数十メートルというところで、 「英美さん?」~ 「み……ッ!?」 曲がり角の向こう側から、北校舎の巡回をしていた三好ゆたかが現れた。~ 彼我の距離は三メートルもなく、減速するには短すぎる。衝突を避けるため、英美は右足に力を込め、左側へ大きく踏み込んだ、が―― 「廊下を走らないでください!」 あろうことかゆたかは、両手を広げて英美の進路を塞ぎにかかった。それどころか英美の進行方向に半歩移動して、真正面から英美を受け止める姿勢を見せる。 「ったぁあわわごめーん!」 減速する暇もなく、英美は進行上に立ちはだかるゆたかに全身で突っ込んだ。~ 万全の体勢でそれを受けたゆたかだったが、英美を受け止めるにはいかんせん体格差と速度がありすぎた。英美の胸に顔を埋め、ゆたかはあっさりと足を浮かせた。 「ゎぶっ」~ 「ん……ッ」 強い衝撃で、ゆたかの体がくるくると横に回る。ゆたかは思わず身を竦め目を瞑ったが、予測していた痛みが体を打つことはなかった。~ 代わりに、なにかとてもいい匂いと、体を柔らかく締め付ける感触がある。 「……?」 不思議に思い、目を開けてみると、 「あぶ、あ、あぶなかったぁ……っ」 何かの間違いがあれば触れ合ってしまいそうな至近距離に英美の顔があって、ゆたかは、ものすごく動揺した。 「っっっ!?」 慌てて距離を取ろうとすると、足が空しく宙を蹴った。自分は英美に抱きかかえられているのだと、ゆたかはようやく理解した。~ 先ほどの事故の瞬間、衝突した勢いでゆたかを廊下に打ち倒してしまわないように、英美はゆたかの体に両腕を回し、しっかりと抱きしめていたのだ。 「……、」 今がどういう状況なのか分かれば、慌てるようなことは何もない。都合良く胸元で畳まれた手を使って英美を押し退けることもできそうだったが、ゆたかは黙って全身から力を抜いた。 「は、はは、あはは」 ゆたかの手に伝わるくらい激しく鼓動を打ち鳴らしながら、英美は乾いた笑いを漏らした。笑えない勢いで衝突したと思っていたし、実際あのままゆたかを突き飛ばしていたら、壁なり床なりにどこかしらを強くぶつけてしまっていただろう。~ こんなときに限って、英美の体は思うように動いてくれない。本当は今すぐゆたかの安否を確認したいのに、体はガチガチに固まっていて、両腕から力を緩めるのもうまくいかない。 「み、三好さん、だいじょうぶ、かな?」 代わりに訊ねたその声も震え、視線を下ろすこともできず、明後日の方向を向いている。~ 過剰な心配に反して、言葉はすぐに返ってきた。ただし、それは英美の望んでいた答えでなく、 「……“三好さん”?」~ 「ゆ、ゆたかさん、ああっじゃなくて、ゆたか!」 呼び方に対するただの文句だったが。 「ええ、大丈夫です。どこも痛めてはいません。ですから、そろそろ離していただけますか?」~ 「ご、ごめん、ごめんなさい!」 英美は両の腕から力を抜いて、ゆたかの体をゆっくりと下ろした。ようやく血が巡ってきて、体が思い通りに動くようになってきていた。~ 英美は、ああよかった、などと安心して肩から力を抜いて、 「――って、そんな場合じゃないんだよ!」~ 「ひゃぇっ」 ようやく自分が何をしていたのか思い出した。~ 勢いよくがっしりと掴まれた両肩に、ゆたかが小さく悲鳴をあげる。 「なななんですか」~ 「それが、さっき屋上で――!」 がらり、という戸が開く音がした。英美とゆたかのいる位置から、ちょうど教室二つ分くらい離れた位置にある引き戸だ。~ 二人がそちらを向く。教室から出てきた生徒と目が合った。 開いたのは一年Cクラスの戸で。出てきた生徒は一年、彩水唯だった。 「あ、」 初めに、それに気付いた英美が声を漏らした。 「え?」 視線につられて、ゆたかが後ろを向く。 「……」 二人の視線の先、英美が考えていたよりずっとまともな顔をしていた唯は、無言で背を向け、駆け出した。 「ちょっ、なん……っつ!?」 慌てて追いかけようとした英美の体が、一歩を踏み出したところで停止する。~ 振り向くと、英美の腕をゆたかが掴んでいた。 「な、なに?」~ 「いいえ、あの、なんでもないですからっ」 当惑した英美が問いかけると、ゆたかはパッと手を離した。自分でも何故そんなことをしたのか分からない、というような顔をして。~ 英美が前に向き直ったときには、もう唯の姿は消えていた。 ~ ~ ***安定しない前提 昨日の唯の様子を見ても安穏としていられるほど、英美は楽天家ではない。唯の身にまた何かあったに違いないと、英美はそう確信していた。~ が、ともあれ本人に逃げられてしまったのでは、何がどうなっているのか確認のしようもない。前回のこともあり、とりあえず翌日に夏希が唯の様子を窺うという方向で意見が一致し、三人はそのまま帰路についた。 しかし。 「普通?」~ 「んです」 翌日の昼休み。~ 英美、ゆたか、夏希の3人は生徒会室に集まっていた。唯のことを話し合うためだ。 「もう少し詳しく説明して頂けますか?」 二つ並べた長テーブルに、英美とゆたかが片一方に、向かいに夏希が一人座っている。昼食後に始まったこの会議は、まず午前中に唯を監視していた夏希の報告から始まった。~ 「はい。午前いっぱい観察しましたけど、おかしいところは全然なかった感じでですね」~ 「え? ええっと、ほんとに?」 そんな報告が上がってくるとは全く想定していなかった英美は、少し慌てた。 「ホントです。ヤなことがあった風もないし、すこぶるいつも通りでした。体育の時間なんかハルと一緒にものっそいハシャいでて、いつもより騒がしいくらいでしたよ」~ 「えええ……?」 仮説が揺らぐ。今回の報告を聞いて、唯の様子が変だと確信を持って事に当たろうと思っていたところが、初っ端から躓いてしまった。~ そんなはずはない、何か見落としがあるはずだと、英美は思う。 「く、靴は!?」~ 「クツ?」 藁にも縋るような顔で、英美が語気荒く訊ねる。 「靴! っていうか上履き!」~ 「んん? ……あ、ああー、はいはい」 その様子から、夏希はその質問の意図を正しく把握した。~ 唯が上履きを履いていなかったのは誰かに盗まれたからからじゃないかと、英美はそう言いたいに違いなかった。 「普通に履いてたと思います」~ 「じゃあ、新品とか借り物だったりとか」~ 「や、そこまではちょっと……」 しつこく食い下がる英美を見かねて、それまで黙っていたゆたかが口を開く。 「さすがにそれは難しいでしょう。買うのも借りるのも、一晩では」~ 「でも、それじゃあ」 英美は一旦そこで言葉を止めたが、 「……唯ちゃん、なんで泣いてたのかわかんないじゃん」 抑え切れなかったように、ぽつりと呟いた。 「……」~ 「…………」~ 「………………(ん?)」 沈黙が下りる室内で、ふと夏希の頭の中に閃いたものがあった。 「(唯ちゃん、なんで逃げたんだろ)」 例えば唯が本当に嫌がらせを受けていたとしても、あのタイミングで逃げる必要はないように思える。むしろ最も誤解を受けやすく、後々のことを考えると最悪の対応ではないだろうか。~ それこそ、目にゴミが入ったとでも言って誤魔化してしまえばいいはずだ。あの唯がそんなところで下手をするとは、夏希には思えない。英美の言うようなことが原因ではなく、自分たちはどこか勘違いをしているのではないか……? 「(たとえば、アレだ、ええと)」 仮説、逃げ出した理由がその場にいた誰かにあるとすれば。唯はなぜ逃げたのか。いや、誰から逃げたのか。~ 当時について、英美は『唯は意外なくらいまともな顔をしていた』と供述しているため、英美に顔を見られたくなかったという線もない。とすれば、他に考えられるのはひとつだけだ。 「(三好先輩)」 彼女が原因だとすれば全てに説明が通る。 そう、実は唯はゆたかと喧嘩していて―― 「へは」 夏希の口の端から漏れ出た奇声に、じっと床を向いていたゆたかの目が夏希の顔を写す。 「どうかしましたか?」~ 「や、さっぱりわけわかんねえなーと思って」~ 「? そうですか」 夏希は大きく背を反らし、両腕をぐぐっと伸ばす。その顔には、自分の突拍子のない推理にうんざりな表情を浮かべていた。~ なぜゆたかと唯が反目するのか。現時点では、夏希にはそんな理由に全く心当たりがなかった。なにせ唯は、勉強も運動も素行も人間関係も全てにおいて良好な状態を維持しているのだから。風紀委員三好ゆたかとして反目する理由は、一つもないはずだ。~ それでも敢えて、強引に理由をでっち上げるなら…… 「(ないない、ありえない)」 夏希にとっては、それこそ一番ありえない話だった。夏希の中の三好ゆたかという人物は『鉄の風紀委員』であり『無法者の天敵』であり、ただそれだけでしかないのだから。~ 夏希は自分の推理をあっさりと放棄し、また別の方向から今回の問題を考え始めた。 そして、三人目。~ 今日のほとんどの時間を黙りこくったままでいる三好ゆたかは、今回の問題についてどのように考えていたかと言うと。 「(………………あの、)」 誰にもそれを伝えないままに、三好ゆたかは限りなく確信に近いものを胸に秘めていた。~ その考えは驚くほどすんなりとゆたかの頭に思い浮かんできた。 「(あの目は、よく知っている)」 結局、現状を打破できるような解決策の出ないまま、昼休みは終了した。 ~ ~ ***久しぶりのいつもの 放課後。唯は三年教室のエリアにやってきていた。~ 昨日わけもわからず逃げ出してしまったことを、気にしていないわけではもちろんなかったが、やましいことがあるわけでもなし、早めに有耶無耶にしてしまうのがいいと考えたからだ。~ 英美のクラスは、どうやらまだHR中のようだった。 他の学年はどうなのか気になって、唯は窓の向こうに目をやった。~ 二年のクラスは、既にふたつほどHRが終わっているようだ。 「んん?」 向こうから誰かに見られているような気がして、唯は目を細めた。~ しかしこの距離では、唯の目では向こうの生徒の顔までは判別することができない。 「あ、と」 ガタガタと椅子の動く音が聞こえて、唯は目を前に戻した。BクラスのHRが終わったらしい。~ 確認のしようもないので、先ほどの視線はもう気にしないことにした。 「うおー! 終わったー!」 勢いよく戸が開き、背の低いツインテールの女子が飛び出してきた。 「って、おお、唯っちではないか!」 唯に気付いて親しげに笑いかけてきたその生徒は、唯とも顔見知りだった。~ すぐさま教室に取って返し、英美のことを呼んでくれる。 「松! 唯っちが待ってるよ!」~ 「え……!? ありがと鏡ちゃん!」 そんな短いやり取りのあと、英美はすぐ姿を現した。 「おつかれさまですっ」~ 「お疲れさまー」 昨日の一件のせいか、少しだけ表情が硬く見える。 「ごめんね、待った?」~ 「いえ、全然です。それより、」~ 「ね、唯ちゃん。もしよかったらさ、今日は一緒に帰らない?」 唯の言葉を慌てて遮るように、英美が言った。 「え……?」 心底から驚いた顔をして、唯は呆然と立ち尽くした。~ 英美のほうから誘われるのは、どれくらい久々のことだろうか。 「ほんとですかっ!?」~ 「う、うん」 自分から誘いに来たこともすっかり忘れて、唯は瞳を輝かせた。~ そして、英美の左腕にがばっと抱きつく。 「それじゃ、早く行きましょうっ。あ、持ち合わせは?」~ 「うん、大丈夫」 笑顔の裏に真意を隠し、英美は歩き出した。~ 彼女は、この機会に唯の様子を探る気でいた。 ~ ~ ***ほんとのこと 街を適当に回ったあと、二人はオープンカフェで一休みしていくことにした。 「先輩、寒くないですか?」~ 「むしろ暑いような。冷たいのでよかったかなー」 確かに昨日に比べればいくらか温かいが、暑いと言っていいほどではない。~ 風もそれなりに吹き回っているし、むしろ肌寒い日だと言えるだろう。 唯は温もったカップを両手で包むように持ち、チョコラテを一口飲み込んだ。 「……あの、さ」~ 「はい?」 どう言おうか迷っているのがあからさまに分かるような様子で、~ 英美は口ごもり、人差し指で頬を掻いた。 「えーと……最近、調子どう?」~ 「はあ」 どうと言われても。~ 唯は困った。困った末に。 「ぼちぼちです」~ 「じゃなくてほら、悩みがあるとか、嫌なことがあったとか、そういうその」 あっという間に言い方が直球になったが、唯にはさっぱり心当たりがなかった。~ 強いて言えば、英美の付き合いが悪いとかそれくらいで。 「んー……んぇっ」 空を仰いで悩んでいたら、巻き上がった埃が目に入った。~ 唯が目をこしこしと両手で擦る。 「ぅー」 一昨日切れたっきり、新しい目薬を買うのをすっかり忘れていたのだった。~ 今から買いに行けばいいよね、などと思っていた唯を、 「泣かないで」 そんな言葉とともに、英美が優しく抱きしめた。 「(んなにがどうして?)」 いつの間にか席を立った英美は、周囲の目も気にせず、お腹のあたりにある唯の顔を両腕で包み込んでいた。 勘違いしていた。~ 今日だけでなく、昨日も。 「なんでも話してくれていいんだよ。絶対助けになるから」~ 「???」 勘違いしていた。~ 涙だと思っていたのは目にゴミが入ったから擦ってただけで、~ 靴下なのは上履きを出すのが面倒だったからなんていう真相を、英美はすっかり勘違いしていた。 詳細はともかく、英美が何かを勘違いしていることだけは唯にも理解できた。できたが、~ 「せ、せんぱーい……あのですね……」~ 「ん?」 抱きしめる腕が温かい。聞き返す声が優しい。~ 久しぶりの、安心できる腕の中だった。 「その………………もごもご」 それから五分経ってから、唯はようやく英美の腕の中から離れた。 ~ ~ ***ということだったんだよ! その後、唯から涙と靴下についての勘違いを正された英美は、~ 翌日の昼休み、夏希とゆたかにも同じ説明を行った。 「というわけで、全部私の勘違いでした。ごめんなさい」 座ったままでぺこりと頭を下げた英美を、二人が宥める。 「何もなかったんだし、よかったってことで」~ 「そうですね」~ 「ごめんねー、二人とも」 夏希はすっかり解決気分で完全に忘れ去っていたが。 唯はなぜ逃げたのか。~ その理由が説明されていないことを、ゆたかだけが覚えていた。 ~ ~ **プールのあとって眠くなるよね ***日の当たらない部屋 「あずいーうおー」 ヘッドスライディングの要領で、遥は畳の上に飛び込んだ。 「なにを、負けるかっ!」 白衣を脱ぎ捨てた五十鈴がそれに続き、いそいそと畳に寝転がる。~ 擦り傷が嫌なのか、飛び込まないあたりが一般人である。 「うおー暑い!」 ごろごろと転がる二人。茶道室はそれほど広くもないため、すぐに衝突する。 「はうっ」~ 「んぶっ」 五十鈴の腹に遥の頭がめり込み、二人の動きが止まる。~ 片方は悶絶し、もう片方はまた転がり始めた。 「元気がいいのね~」~ 「暑苦しい」 続いて茶道室に入ってきたのは、いつにも増してダル顔の夏希と、 この四人の中で唯一の正式な茶道部員である小夜だった。 「なっちゃん、畳が冷たい!」~ 「おーうやばいな、新発見だぞハル。学会に発表だ」~ 「んんー、ピューマ賞はいただきか!?」~ 「おまえはサバンナで狩りでもしてきたのか……?」 ちなみにピューリッツァー賞でも間違っている。 脱ぎ捨てられた白衣を回収してから、夏希も壁際に座り込む。~ 小夜もすぐ傍に腰を落ち着けた。 「んー、涼しい」~ 「日が当たらないからね~」 エアコンのある職員室には敵わないまでも、 学園内でこの茶道室より涼しい場所はほとんどない。 夏希は鞄からスポーツ飲料のペットボトルを取り出した。 それをぐいと呷ると、そのまま壁を擦るようにずりずりと横に倒れていく。 「どうしたの?」~ 「今日の水泳が長距離でさあ」 水着の入ったサブバッグを枕代わりに、夏希は完全に横になった。~ すぐ傍に落ちた夏希の髪に、小夜が軽く指を通す。夏希はくすぐったそうに目を細めた。 「それなら、少し寝ていてもいいんじゃないかしら」~ 「んー」 元気に転げ回る二人を眺めながら、夏希はゆっくりと目を閉じた。 ~ ~ ***まくあい 「……ん!? 私の足が! 取られた!?」 遥と体をぶつけ合う遊びに飽きて振り向いた五十鈴は、~ 夏希が小夜の膝枕で寝ているのを見て、叫んだ。 「しずかにね~」~ 「ぬぐぐ……」 五十鈴は心底悔しそうだ。 「私だってあんまりやってもらったことないのにっ」~ 「だって五十鈴ちゃん、くすぐるんだもの」~ 「だって柔らかいんだもの」~ 「ほーん」 夏希の顔を覗き込みながら、遥は携帯電話をいじくっている。 「鈴やん、サッカーしに行かない?」~ 「なに? 私よりサッカーの好きなやつはそんなにいないよ?」~ 「よーし、これでメンツ集まったや。グラウンドいこっ」~ 「バッチコイ!」 サブバッグをリュックのように背負い、遥は茶道室を飛び出した。~ 五十鈴もそれに続く。 「ソッケルソッケル!」 と思ったらすぐに引き返してきた。 「はいこれ」~ 「ソッケリング!」 小夜に差し出された白衣を受け取り、謎の言葉と共に五十鈴は走り去った。 「……そっけりんぐ~」 夏希の髪を弄りながら、小夜はくすくすと笑った。 ~ ~ ***やわらたたかい 「ん?」 夏希が目を開けると、遥と五十鈴の姿が消えていた。~ やけに体がだるく感じる。 「起きた~?」~ 「寝てた?」 そう訊ねた自分の声がいかにも眠そうで、 夏希はどうやら自分が昼寝していたらしいことを自覚した。 「ぐっすり」~ 「二人は?」~ 「サッカー」~ 「今何時?」~ 「四時ね」~ 「これは?」~ 「ひざまくら~!」 夏希の位置からでは顔は見えないが、とても嬉しそうな声だった。~ 今にも『夢だったの』とでも言い出しそうな具合だ。 「んー」 意識を失う前と比べて格段に柔らかくなった枕に、夏希の起きる気がどんどん削がれていく。~ 首の位置を微調整して、夏希はまだ少し強張っていた体から完全に力を抜いた。 「まだ寝る~?」~ 「もうちっとしたら起きる……かも……?」~ 「は~い」
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/3117.html
「まったく卑しいやつめ!」 うろ覚えの知識で描かれた『MELTY BLOOD』のキャラクターが登場する同人ゲーム 『うろブラ/悪とか善さ』のバージョンアップ版に新キャラとして登場した霧雨魔理沙…の皮を被った別の何か。 他のキャラの名前がタツオだったりポキータだったりナイルだったりステファニーだったりする中で、 突然魔理沙……というかそれ以前にメルブラ関係ねえ! という盛大なツッコミ所を背負って君臨する。 ゲームプロローグによると、天狗に新聞で悪評(青白く光ってて不気味)を書かれたために、 地獄鴉の卵で作っていた温泉卵が幻想郷で売れなくなってしまい、外の世界に商売しにきたらしい。 そもそもこのキャラクターは、 「ダークでブラックな幻想郷・ 外道な魔理沙 を描かせたら東方界隈一」 と(悪)名高い同人サークル「 ウモ屋 (実際には『俺と海』氏の個人運営)」の二次創作に登場する魔理沙である (ニコニコでは「 東方変態四天王 」の一人として名を知られる)。 そもそも『うろブラ』は俺と海氏のサイトでかつて連載していた「うろ覚えろ!!月姫」の二次創作であり、 それ故にこの原作の垣根を超えた(悪)夢のコラボレーションが実現と相成ってしまった。 + ハートフルストーリー ハートフルボッコストーリー(キャラ大崩壊注意!) イオシスのPVにも出ました + 簡単なキャラクター像 外道。まず何よりもその一言。 楽しければ何でも良いという心情(ここだけは本物と同じであるが)で周囲を引っ掻き回す。 そして血も涙も愛も節操も無い(例外として一度だけチルノに哀れみを抱いた)。 橙に藍と紫どっちに付いていく?と質問して藍と紫を喧嘩させてみたり、 チルノを百円くれたら五十円やると騙してみたり、 スクープが無いかと探している文の前でそんな気もない癖に霊夢の服を破きながら襲ったり、 魔理沙へ同性という立場に葛藤しながらも不器用な好意を持つ(という作中設定の)アリスの前で、 霊夢を愛も無いのに関係を持った風に白昼からベッドで(以下略) こんなんでもぶちきれた霊夢以外にリンチされたり後ろから刺されたりといった報復は特に受けていない。 ここまでキャラを徹底的に破壊、若しくは酷い扱いをしていたりするがウモ屋を批判する東方ファンは稀中の稀である。 これは勿論「嫌なら見るな」「駄目だったら見なかった事に」の同人原則をファンがきっちり守っている事もあるが、 中には「魔理沙が特別好きじゃないが、この魔理沙はなんだか好きだわw」とさえ言ってしまう末期のファンもいる。 恐るべしウモ屋クオリティ。それとも東方同人界の自由さ故か。 むしろ「ここまで徹底的にやられたら笑うしかない」と言った所か。 「えーと難しいことはよくわからんが今回も大・成・功☆」 『うろブラ』での性能 他のウモ屋産東方キャラを呼んで攻めていく召喚タイプのキャラクター。 召喚コマンドを入力するとキャラクターのシルエットが次々にシャッフルされ、 スロットゲームのように目押しで召還するキャラを決める。 弱で比較的リスクの少ない仲間を召還、中で全てのキャラを召還、 強はゲージを少し消費する代わりにスローモーションになるので目押しがしやすくなる。 + 召喚キャラクター一覧 基本的にウモ屋の連載4コマ漫画シリーズ、『東方アクロバティカ』のキャラクター達で構成されている。 霊夢 「どう?わかってても避けられない霊夢の弾幕のお味は?」 相手に近付き、弾幕という名の暫烈拳で攻撃。 相手の顔を生まれ立ての地球のようにする勢いなため中々に強力。 ちょっと前までは魔理沙に良い様に弄ばれていたけど、大分精神的に強くなりました。 チルノ (五十円もらえる?五十円得!) ジャンプして茶色いソフトクリーム(あの人のものだろうか)を凍らせたものが先端に付いた木の棒で攻撃。 接近されると当たらない。常に鼻水を垂らしている。 この作品では彼女の知能は魔理沙でさえ可哀そうと思ってしまうレベルまで落ち込んでいる。 レミリア 「パチェの腹筋は私が破壊したいし。」 斜め上空に羽ばたいて飛び立つ。上手く連続ヒットすると高ダメージ。 純粋な目つきがかえって怖い。言う事やる事が子供ながらの残酷さ。 咲夜 「私はあなたのこと愛してるのに美鈴は私を愛してないの?」 時を止めてナイフを投げる。三頭身がデフォルトの東方アクロバティカでは珍しい高頭身。 一応紅魔館の常識人だが終止無口無表情。美鈴への態度が酷い。というか性欲の捌け口n(ry 女性相手なので槍満会(ヤリマンカイ)の会員ではない。 …なんか、寧ろこっちの方がアルティメットサディスティッククリーチャーな気がしないでもない。 パチュリー 「服を着ないと寒い…。」 毒薬を飲んで自殺。役に立たない。 何かにつけて魔理沙の空想の中で死なされたり「そこは死んどくべき」と言われるため、それに耐えられず自殺する。 最近服を着ないと寒い事を知りました。喘息持ちなので腹筋が凄い。 上半身裸という格好(下は穿いているのでスッパではない)のため、削除対象に引っかからないか心配だが、 本家の動画が無事だからセーフなんだろう。 美鈴 「咲夜さん…たまには私も愛されるほうでやりたいです…。」 歩くだけ。やっぱり役に立たない。真面目な話パチュリーよりこっちの方が危ない格好。 何故トップレスで股間に棒状のモノが生えたパンツ一丁なのかは咲夜さんに訊くと分かるかもしれない。 橙 「…………。」 回転して相手に体当たり。ダメージはそれなり。 魔理沙に良くいじめられ、藍と紫に大人の汚さを見る。 作中では無口キャラで何を考えているかはその無表情から判断するしかないが、一度だけ霊夢に対して「うぜッ」と心で思っているのが分かる。 妖夢 「妖夢ボールを投げたのが原因じゃないかと思うんだ…。」 100%肘が壊れる妖夢ボールを投げる。ダメージは一番大きい。 正直このキャラポジションとドカベンの里中智的な顔つきと体の故障が多いネタは後の作品以降は忘れられているのだが、何故今更なのか。 現在はトゥシャイシャイガールの主に振り回される常識人。 すいか 「お、おにいたん 萃香のおまたむずむずするの~~~」 ジャンプした後、地面を叩いて地面全体に地震を発生させる。 アルチューでヤニチューでヤクチューなビッチだよ!夫氏に見せられないよ! 槍満会(ヤリマンカイ)名誉会長を務める。 にとり 「科学的には間違ってない、人として間違ってるだけ。」 時限爆弾を設置。範囲が非常に広い。 某在阪テレビ局の マスコットキャラ のようなつぶらな瞳と厚いクチビル (河童だけにクチバシともとれる)がチャームポイントの常識人。 諏訪子 「あー早苗ー卵でたぁー!」 股間から垂れ流している卵で攻撃。リーチが長く、発生も分かりづらい下段。 卵生で野外で複数の男性にあれやこれやされた経験ありますけど家族思いでプラトニックラブ推奨のピュアケロッピです。 かいしんのいちげき(超必殺技}ではなんとかスパークの他に、地面からデモンベインの膝当てを召還して温泉を掘り当て、 旧地獄の皆さんを呼び出す。 瀕死時限定のかいしんのいちげきではなんとかハリアーを呼び出すことができる。 隙が大きく速度も遅いが、当たるとほぼ一撃必殺の弾を発射する。 勝利時にはアリスがやってくる他、 原作の魔理沙ステージではストロングなイチモツ像(謎の亡霊作)を祭る槍満会(ヤリマンカイ)の面々、 及びピュアピュアエイキッキとノーマルで常識人の死神が論争していたりする。 参考動画(魔理沙ステージは2 25~) MUGENでの魔理沙(うろブラ) お家氏による『うろブラ/悪とか善さ』仕様のものが存在。 MUGENの仕様のため妥協した点や未完成の部分があるものの、しっかりと作り込まれている。 何気に燃焼・電撃やられ、ブリス技にも対応。OPやEDも同梱されている。 AIはガンガン攻めてくるものがデフォルトで搭載されており、結構強い。 仄かに本家魔理沙の偽者としてのサプライズ出場・出演により、 公開当初からうろブラ勢としては恵まれた出番の多さである。 出場大会 + 一覧 シングル 電波的な彼女彼氏他のトーナメント 結果が全て!第5次良キャラ発掘トーナメント 画面ごちゃごちゃトーナメント オールスターゲージ増々トーナメント 東方凶悪キャラ全☆員☆集☆合トナメ MUGEN祭 大盛りシングルトーナメント 影慶主催愾慄流シングル大会 【MUGEN大祭】特盛りシングルトーナメント 東方永夜杯(おまけ) タッグ 本体はロバートナメ 今度は多分作品別タッグリーグ【やや珍しめ】 ヒューマン・トーチ杯カップリングコンテスト ふたたびのりものたいかい 大会であまり見ない男達と男女タッグ大会´PLUS ゲージ増々タッグトーナメント 新秋東方タッグ杯 魔法少女と騎士たちのバトルロイヤル 第4回遊撃祭 チーム 無茶?無謀?(第4弾) 作品別 成長 ランセレバトル 闇鍋パーティー 無茶?無謀?第5弾 『成長+大貧民』 あまり見ない作品別チームリーグ【やや珍しめ】 伝統の作品別トーナメント あまり(ry 大体作品別チーム大会 その他 主人公連合vsボス連合ランセレ勝ち抜き戦 第2回俺と俺の嫁が最強だトーナメント【嫁自慢トナメ】 満腹度0%残りHP1アイテムなしトーナメント お前ら魔界でやれチームトーナメント 打倒剣帝!無差別級大会 更新停止中 他人任せ大会 タタリフェスティバルッ!!-II ザ・中道 凍結 東方オンリーチーム別勝ち抜け大会 東方キャラクター別対抗トーナメント 成長トーナメントRe 削除済み 超弩級作品別Big Bangトーナメント 出演ストーリー 仮面ライダーMIOMEGA 岸辺ヨハンは派手じゃない 霧雨魔法店
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/2765.html
てぶくろ 登場人物 コメント ウクライナの民話。 登場人物 ニョロボン:おじいさん ハーデリア:犬 コラッタ:くいしんぼねずみ ニョロトノ:ぴょんぴょんがえる ミミロップ:はやあしうさぎ キュウコン:おしゃれぎつね ゾロアーク:はいいろおおかみ イノムー:きばもちいのしし リングマ:のっそりぐま コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/duelvideo/pages/846.html
【呼称】くろにい 【使用デッキ】(※:デッキ紹介あり) 2014 アドバンス魔轟神 ♯4 ♯6 2016 審判ライロ #14※ 【出演動画】パンデュエ! 【twitter】https //twitter.com/kurony9696 【備考】 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/2354.html
Ⅲ以降に登場する盾。 「鱗」という名前からなんらかの生物の鱗を使っているものと思われがちだが、 実際は金属片を鱗状に貼り付けた様を指してのものである。 これは金属をそのまま加工するよりも安価で作ることができる分、打撃にはやや弱くなる。 本編シリーズ 皮の盾に毛の生えた程度の守備力の場合が多いが、登場時期の早さと安価であること、 一部のキャラはこれ以上強い盾を装備できない(例として【ビアンカ】と【フローラ】)といった事情もあり、 それなりに、日の目が当てられている盾。 これ以降は鉄の盾など、目に見えて強い、そして高い盾が現れるので、 戦士キャラは節約して皮の盾を使うか、少しでも強化しておくかの選択を迫られる。 トルネコシリーズ 性能そのものは本編に準じているが、力を下げる毒を防ぐ能力がある。 なお上記の説明の通り、金属で作られた鱗なので錆びる。 1で防ぐのは【おばけキノコ】の毒だけなので注意。罠等の毒は防いでくれない。 なので、もっと良い盾があればキノコのいなくなる13階で捨ててしまって良い。 どうでもいいが、とても鱗状には見えない外見である。 2では毒全般を防ぐようになり、また毒も多彩になったので重要度が増した。 特に【マージマタンゴ】の毒は力と同時に速度も下げてくるので、後半でも出番はある。 もっとも、ちょっと強い盾があれば合成するのが普通なので、この盾自体の出番は少ないだろう。 3以降はリストラされたが、少年ヤンガスでは【こうらの盾】が毒を防ぐ能力を受け継いでいる。
https://w.atwiki.jp/wiki9_ra-men/pages/2940.html
食べた日:2009/1/16 『くろく』で、気まぐれ限定の「Wスープの濃厚醤油ラーメン」(850円)を。 09.1.16%20%82%AD%82%EB%82%AD%20W%83X%81%5B%83v%82%CC%94Z%8C%FA%8F%DD%96%FB%83%89%81%5B%83%81%83%93%2025%94t%96%DA.jpg 09.1.16%20%82%AD%82%EB%82%AD%20W%83X%81%5B%83v%82%CC%94Z%8C%FA%8F%DD%96%FB%83%89%81%5B%83%81%83%93%82%CC%92%86%8D%D7%83X%83g%83%8C%81%5B%83g%96%CB.jpg 今回は「鯖節+豚骨」と「鰹節+野菜」のWスープのラーメン。 これだけ聞くと、一見「別に珍しくないじゃん!」と思ってしまいそうですが、流石はくろくで、そんな普通には仕上げてはこず、今回のラーメンも奥が深い仕上がりです。。。 あくまでも「こってり」ではなく、「濃厚」というスープは、ドロッとした粘度の高い豚骨魚介スープ。 非常に濃厚なスープなのですが、不思議とクドさは皆無で、いくらでも飲めてしまうようなスープです。 この時点で、このドロッとした粘度は、油の乳化によるものではないだろうと推測 ( ̄∀ ̄*)ニヤリッ 店主に聞いたところ、この粘度は動物系によるものではなく、野菜をペースト状にした物を加えて出しているとのこと。 作るところを見ていると、甘露レードル一杯分くらい、ドロリとした野菜ペーストを加えていました。 麺は加水低めの中細ストレート麺。 最近は、豚骨魚介には太麺と合わせるお店が多いですが、くろくでは、濃厚豚骨系には細麺を組み合わせる場合がほとんどです。 具は鉄板焼きバラチャーシュー・デカメンマ・ザク切り白ネギ・小口ネギ・節粉。 特濃系の豚骨魚介のような粘度を誇り、かつ重たさのないスープは、かなり衝撃的でした。 豚骨の濃度は全然高くないそうなので、濃度を上げるのに、こういう方法もあるんだなぁと感心です、、、 これは私だけだと思いますが、くろくで食べると店主の圧倒的な想像力に感動のする反面、自分の発想力はホントちっぽけだなぁと少々自暴自棄になります(笑笑) 住所:仙台市宮城野区榴岡2-2-12 アーバンライフ橋本1F by hiro (2009年 25杯目) マイドッす。 今日、いただいてきました。 店主の腕前に感服すると同時に、私のお口と小腹の正直さに笑笑でした。 何って、私のお口と小腹はトンコツスープ全然得意じゃないんですが、なんとなくZUZU~なんとなくZUZU~なんとなくZUZU~、結局、スープ全部飲んでしまってたから。 店主とお話しできなかったんですが、hiroさん情報を見て、納得納得。ウンウン。 私にとっては、本能を再確認した一杯でした(笑)。 -- ちょび (2009-01-17 17 57 56) ちょびさん、まいど~です。。 かなり濃厚なのに飲みやすいという不思議で美味しいスープでしたね~。 私も年齢を重ねるにつれクドイのが苦手になってきたのですが、これはもちろんスープまで完飲でした! -- hiro (2009-01-17 20 14 03) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/3277.html
うろ覚えだから仕方ない 解説 のりもの大会でおなじみの郡民氏によるMugenでストリートファイターIIのCPU戦を うろ覚えで 再現してみた動画。 いろいろストⅡじゃなかったりするけど、うろ覚えならしょうがないよね! その後、続編の「SFC版?龍虎の拳 ロバートでプレイ」も投稿されている(こちらも本稿で解説)。 出演キャラクター&ボーナスステージ リュウ(操作キャラ) + ネタバレ注意 ダルシムはカレー好き 春麗は中国 ザンギエフはロシアの人 ケンはコンパチ性能 ブロックを壊すボーナスステージ 本田は若干メタボ ガイルは変な髪型 ブランカは電気ビリビリ バイソンのターンパンチはすごい 車を壊すボーナスステージ バルログは爪付けてた サガットはハゲ ベガはラスボス + そして難易度7へ…… ダルシムは色物 春麗は眩しいなぁ ザンギエフは飛び道具が苦手 ケンは昇龍拳が強い 積み重なったのを崩すボーナスステージ 本田の格闘スタイルは相撲 ガイルはやっぱり変な髪型 ブランカは目に優しい色 バイソンはボクシングする 車を壊すボーナスステージ バルログはヒョーとか叫ぶ サガットは飛び道具を撃ちまくり ベガは…あれ? なんか少し違うぞ? SFC版?龍虎の拳 ロバートでプレイ 今度はSFC版の龍虎の拳をMUGENで再現してプレイ。 SFC版なのにステージ移動デモがあったりとやっぱり何か違うけど、 うろ覚えだからと言わざるを得ない! 出演キャラクター&ボーナスステージ ロバート・ガルシア(操作キャラ) + ネタバレ注意 藤堂竜白は藤堂香澄と関係のある人物 ジャック・ターナーはデブで下品 ボーナスゲーム 氷柱割り リー・パイロンは拳法使い キングはレストランの用心棒 ボーナスゲーム ビール瓶切り中に挑戦者現る! ミッキー・ロジャースはドレッドヘアー ジョン・クローリーは軍人 ボーナスゲーム 超必殺技伝授 Mr.BIGはタコ頭 Mr.カラテは伝説の空手家 + そしてHARDモードへ…… 藤堂竜白は独自の流派を使う男 バイクで移動中、ひき逃げした ジャック・ターナーはバイカー 車で移動中、追突事故 ボーナスゲーム 氷柱割り 車で移動中、ACの砲撃を受ける リー・パイロンは回転する「やく師」 車で移動中、国家権力に殴り倒された キングは蹴り技が豊富 ボーナスゲーム ビール瓶切り ビールにはイカ ミッキー・ロジャースは兵器を売る運び屋 車で移動中、メタルスラッグにひき潰された ジョン・クローリーは元海軍士官学校の教官 車で移動中、車にひき逃げされた ボーナスゲーム 超必殺技伝授 Mr.BIGは組織のトップ、そして名前通りデカい 車で移動中、バイクに轢き殺されかけた Mr.カラテは仮面を付けた空手の達人 意外な所にいた最強の格闘王 関連項目 龍虎の拳 MUGEN リョウストーリーモード MUGEN 餓狼伝説 アルティメット待ちガイルのストリートファイト コメント ページ作成乙。これは面白かったw -- 名無しさん (2009-09-12 21 33 29) ストII以外でもうろ覚えネタやってほしいが、やはりこれはストIIならではのネタって気もする -- 名無しさん (2009-10-07 15 48 21) 自分でもこういうのやってみたくなるけど、今からじゃ二番煎じだよなぁ… -- 名無しさん (2009-10-07 16 27 08) 逆に考えるんだ、三番煎じ、四番煎じになる前の今がチャンスと考えるんだ -- 名無しさん (2009-10-07 23 09 01) ページ作成されていたのか、今見ると画質とか酷いな・・ 1年ぶりに何かやってみるか -- うpしたやつ (2009-10-10 05 12 48) うろ覚えではないけど龍虎でやってみたsm8484642 -- うpしたやつ (2009-10-11 21 02 14) ああ、ロバートの人だったのか…なんか納得した -- 名無しさん (2009-10-11 21 06 05) 出オチの一発ネタかと思いきや普通に名勝負ばかりで息を呑む面白さがあるな -- 名無しさん (2009-11-07 23 29 00) 続編どころか難易度アップ版があったとは知らなかった。早速見なくては -- 名無しさん (2009-11-08 11 26 50) ハード下きたね -- 名無しさん (2009-11-08 14 28 30) ついさっきまで見てたときにはまだ下なかったのに…何というタイムリー -- 名無しさん (2009-11-08 16 15 04) ボーナスゲームが全部凶悪すぎるw -- 名無しさん (2009-11-08 22 42 33) 次回はウォーザードに挑戦してほしいな -- 名無しさん (2009-11-09 01 01 40) 龍虎のボーナスゲーの無理ゲー吹いたwww次回やるなら初代サムスピとか見てみたいかな。 -- 名無しさん (2009-11-09 11 15 30) たたかうのりものたいかいの人だったのか -- 名無しさん (2009-11-14 21 34 57) これはひどいww -- 名無しさん (2010-04-27 21 08 24) 名前 コメント マイリスト
https://w.atwiki.jp/wiki9_ra-men/pages/2650.html
食べた日:2008/8/8 『くろく』で、気まぐれ限定の「クロク・スープカリィ ~麺仕立て~」(850円)を。 08.8.8%20%82%AD%82%EB%82%AD%20%83N%83%8D%83N%81E%83X%81%5B%83v%83J%83%8A%83B%81%60%96%CB%8Ed%97%A7%82%C4%81%60%20316%94t%96%DA.jpg 今回の限定はスープカリーをラーメンに仕立てた物です。 スープカリーラーメン自体は、スープカリーのお店でもたまに見かけますが、流石はくろくで、スープカリーはスープカリーでも、何と冷たいバージョンです! 器は冷されたガラス製の皿を使用しています。 そのビジュアルからも、“スープカリーラーメン”ではなく、“スープカリーを麺仕立てにした物”という雰囲気が伝わってきます。 スープは甘味の少ないビターなカレー味。 一口目は「ちょっと薄いかな?」と感じますが、二口目からはその旨味とスパイスによる刺激がジワジワと感じてきます。 スープを飲みたびに、口の中で感じる旨味と刺激がドンドン強まってくるので、非常に後を引きます。 麺もスパイシー! 08.8.8%20%82%AD%82%EB%82%AD%20%83N%83%8D%83N%81E%83X%81%5B%83v%83J%83%8A%83B%82%CC%83%5E%81%5B%83%81%83%8A%83b%83N%96%CB.jpg 麺はターメリックを練り込んだ黄色いストレート中太麺。 麺を噛むと、ターメリックのスパイシーな味わいが口の中に広がります。 ザクッとした歯ごたえの麺は、スープとの相性が抜群にいいです。 具は鉄板焼きバラチャーシュー・デカメンマ・オクラ・レタス(みたいなやつ)・ピューラーセロリ&ニンジン・小口ネギ。 セロリは元々あまり得意ではないのですが、くろくの限定でたまに出るこのピューラーセロリは、クセが少なく、非常に清涼感があり、今やすっかりハマっています(笑) これはかなり美味しかったです! 創作的な面白さと純粋な美味しさが、見事に合致した素晴らしい作品です。 今年も年末にやるであろう「気まぐれ限定大賞」への投票は「太陽のトマトつけめん」に決定!と思っていましたが、このメニューを食べ、マジ迷ってしまいます。。。 住所:仙台市宮城野区榴岡2-2-12 アーバンライフ橋本1F by hiro (2008年 316杯目) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/zinroonline/pages/25.html
村名 試合数 村人勝率 UNITY・花だらけの庭園 128 50.7 THE猫カフェ・にゃんにゃん会議 83 50.6 n村系列・driver 234 55.9 優しい街 837 56.2 深夜食堂 199 49.7 一期一会 141 56.7 CO2村 107 54.2 トム村 232 60.3 commune 72 43.0 ACADEMIA 62 45.1 闇に隠れし世界 101 50.4 美味しい村 209 53.5 カルラのみさき 79 55.6 12a猫やります 140 50.7 検索エンジン 161 58.3 今日も懲りずによっこら人狼 172 51.1 狼のなかの村 82 54.8 人狼教室 107 51.4 千香村 239 57.7 お米村 1012 52.7 気軽村 511 53.2 きゅっきゅ村 189 47.0 12A猫やろうぜ! 370 56.2 ピュア村 285 57.1 ディスボード 333 58.2 楽しい人狼をする村 78 61.5 ギギ村 71 61.9 かおりんごの家 115 65.2 酔いどれ美少女 141 53.9 12人の憩いの場 212 52.3 人狼パーティー 492 50.2 ※n村系列:本日は12A猫日和・明日もまた日は昇る・あったかスープ