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あなたが思うより愛していた 止まらない 届けたい 生まれたての恋が あなたの心へ 走り出したけど 気付かない 届かない きまぐれなあなたは ゆらゆら 涼風 すれ違う恋 「キミが恋だなんて...」あなたは笑う 結ばれないまま 夏が終わる ホントはもっと 甘えたいのに なぜ?ウラハラに強がってしまうんだろう? 可愛くないよね とろけたい ダメみたい 不揃いな二人は 合わないことなど 分かっている でも... 揺るがない 忘れない あの夏の私は あなたが思うより愛していた きらきら 思い出 叶わない恋
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あなたが世界を変える日 【著者名】 セヴァン カリス=スズキ 【読んだ日】 2006/3/16 【ページ数】 65 【およそかかった時間】 15 【感想など】 地球サミットで12才の少女が語った伝説的なスピーチ。 この少女がわたしと同じ年の生まれであることを知って、同じ世代が同じ時期に考えることの違いに驚愕した。わたしは12才のとき何やってただろ。。 彼女は特別かもしれないけど、お金がたくさんあるわけじゃない、有名人だったわけじゃない、想いが世界すら変えることがあるんだから、言葉や日々思っていることって大事だなと思った。
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あなたにほし【登録タグ Dolly あ 初音ミク 曲】 作詞:Dolly 作曲:Dolly 編曲:Dolly 唄:初音ミク 曲紹介 遥か彼方に寄せて、書きました。(動画紹介文より) 歌詞 (piaproより転載) あの夜から 見慣れたままでいた 果てない黒と 靡く灰色 ほんの少し 目の悪い僕には それすら隠れて見えた 手をかざせば 当たり前のように 指から零れた淡い光 知られぬように 微かに溶けた 何時かの手紙のように 陰る月明かり 伸びた影法師 ひた隠しにした街灯が 今更僕を照らしたって 何のためになんだ 分からない 君も同じだろう? いつか笑った君が いつの日か 忘れた空に 折々の星と思い出が 架る橋も無いような 涙の海に溶けた 陽の中でただ零した 愛しけやし 徒ごとひとつに 星の数だけ 失くしてきたの 美しく映るように 彼は誰と 呟き近寄った 暗がりの僕と 明くる日の帳 きっと今更 顔は見せないで 目を向けられもしないで かかる道も狭に 掠れた足跡 辿り方を忘れたのなら 「どれほどよかったでしょう」 なんて溶けていく心は 寄る辺は 君も同じだろう? いつか願った君が 仰のけた その瞳に 探してた 星の欠片は あの日僕が流した 虹彩越しの彗星 灯の中でただ零した いつまでも 朝は来ないと 星の数だけ 失くしてきたの まだ見ぬ貴方の為に 再上演 幕が下りて 僕たちは 明日を捨てた 瞼について離れない 花火の残像だけ 薄れゆく 夜半の星は 揺蕩えど 僕らの先へ 宛てなく 剥がれ落ちた 銀幕の裏側 いつかまた 目覚めるなら 然許りと思いそめたら 星の数だけ 取り戻していこう あの日のままでいるから 星の数だけ 心尽くだけ 癒えない言ばかりが消えた コメント 名前 コメント
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リスクを取る必要はありません。 彼は、良い道路後の事項天国を配したストレート星を行ってきました。 きれいな鳥が日を越える大きな星は、多くの、オリジナルの鬱蒼とした森林、雄大な山々、滝、銀河日の星から来たあなたようにぶら下がっ。 これは壮大な世界である。 しかし、最近ではなく、全ての強いが乱れていない、が叫んで、発音されているすべての動物、最も中心的な場所よりひどい異常直接轟音、どこでもレンガ、妖精の魔法ガスと霧共通蒸散を聞いた。 最も重要 ファンイェジン、古代より、御聖体へのご訪問を導 くように星海、すべての精神にスターが星から来たあなた大幅にタッチすると、選択肢を横に振った、非表示にするには何もありません、来極端もっと恐ろしい。 血液彼は強かったが、また、戦闘を通じて、昇華を切っているので、その威厳を崇め、神は疑うことができます。 この碑ああのシールです。ファンイェため息が、今の記念碑の形成に深い空を残して、緩いシー星から来たあなたルし、地球上に登場しました。 明らかに最後の長いの下部、そしてこの作品の抑制をシールしない、もはや秘密、すべての秘密は表示されませんすることができます。 碑文が知らない だけで、個々の単語かろうじて認識できる、ファンあなたがたは見て、それは、法律の最終的な道路に代わって、皇帝であるにかかわらず、過去と現在の彼らは、同じであるここに仕事で弾圧。 ディ?ワードのダオ」、またそれがヴァンテージ?ワードの後に太陽のセントの後にあまりにも陰の母であるが、その言葉は、単純に示すものではあ 星から来たあなた http //www.buydvd.jp/dvd-12116.html りませ道路のシールの種類、共振する道路、ゴロゴロエコーは、バンコマイシンは破壊されない。 風にの山雨、誰もが完全にこの場所を破壊するシールは、地球の秘密の中心が生まれることを知って
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……なんだろう。最近どうもよく頭が痛くなる。おねえさんが最近よく出かける。それと関係があるのだろうか。……何を考えているんだ。関係のあるはずがない。……私は、どうしたんだ……。 こういうときは人形を見るにかぎる。今にも動き出しそうなたくさんの人形は、私の心をほっとさせてくれた。……そうだ。充分に食べられ、充分に眠れる。これ以上何をのぞむことがあろうか。人形は、食べたくも眠たくもならないのかな……。 棚には私を模した人形もある。私が始めて人形棚を見たときにはすでに並んでいた。おねえさんは実に早く人形を作るんだな、と感心したのをよく覚えている。 ……この人形、実際にどれぐらい私に似てるんだろうか? たしかとなりの部屋には鏡がある。人形を持っていけば、比べることができる。しかし、おねえさんに家の物には触るなと言われている。……さからったらどうなるか? いや、何を考えてる。そうじゃない、私は人形が取りたいんだ。ひかくしたいんだ。さからったときのことじゃなくて……いや、そもそもおねえさんに禁じられていて…… ! 気づくと私は、口元に人形を加えていた。しまった、これはまずい。戻さないと…… ? これは……確か、写真? 私と……この女性は? 人形のうらにしゃしん? わたしと、女性? ??? ………… 「シャッターチャーンス!」 「わっ!」 「ふふ、アリスさん激写です」 「いきなりなんなの!」 「この写真によると、アリスさんは本を読んでますねー。タイトルはー、『記憶……?』その後は影になって読めません! 残念」 「目の前にいる本人に聞こうって言う気にはならないの?」 「頼んで教えてくれそうならぜひそうしたいですね」 「お生憎様。人間だろうが天狗だろうが、非礼を礼で返すほど私はお人よしじゃないわ」 「そうは思えないですけどねえ」 「……なによ」 「さあ、なんでしょう?」 「言いたいことがあるならねえ、はっきりと「はいっ!」 アリスの言葉を遮るように、目の前に写真が差し出された。 「これ……私? 笑ってる……」 「そうです。半年ぐらい前のですかね。今はアリスさんちょっと怒ってました。皺がこう眉間にぐわっと寄って」 「……」 「笑うのもそうですけど、怒るのも大事ですよ。それから、泣くのも。どれも感動してるってことですからね。そう言った瞬間を探し求める、これぞ記者魂ってやつですね」 「支離滅裂よ。結局、何が言いたいの」 「……私があげた写真、大切にしてくれてます?」 「全く、最初からそう訊けばいいのに。どうだったかしら。人形の後ろにでも放り込んでおいた気がするわ」 「ふふ。それは安心です。撮った甲斐があります」 「ところで、私はその笑っている写真を撮ってもらった覚えがないのだけど……」 「ととと盗撮ちゃうわ!」 「まだ何も言ってないわよ。……ま、いいわ。私は忙しいから、じゃあね」 「てっきり怒るかと思ったのに……ええと、あっちは確か紅魔館。何冊か本を持ってたし、図書館に用があるのかな?」 「おねえさん、こんにちは!」 「はい、こんにちは。食事、水……オーケー。水が残り二週間分ってところかな……次来るとき持ってこないと」 「おねえさん!」 「はい?」 「いつもご飯とお水、ありがとう!」 「な、何よあらたまって……」 「物をもらったらお礼を言うものだよ!」 「じゃあなんで今まで言わなかったの」 「ありがとうの安売りはよくないの」 「結構深いこと言うのね、あんたは」 「ほんとはわすれてただけだけどね!」 「……一瞬見直した私が馬鹿だったわ。さて、じゃあ今日も演りますか」 「じゃかじゃーん、じゃかじゃんじゃんじゃんじゃーん」 「いやそういうの要らないから」 「そう?」 「そうよ。……さて、今日の主演人形は……」 (わくわく) 「この子です!」 「!」 「さて、この子は誰でしょう?」 「まりさだー!」 「その通り!(ふふ、短期間で作ったとはいえ出来は最高級よ)すごいぞー、かっこいいぞー!」 「まりさ、かっこいい!」 「そして助演は……」 (どきどき) 「お友達の子供達でーす!」 「! …………」 「?(受けが悪いわね。人数が足りてなかったかしら)……続いての助演は……」 (…………) 「やさしいおばさんです!」 「!!」 「あれ……?」 「……う……お、う……あ」 「ど、どうしたの」 「う、お、おばさん……おばさん、会いたいよう。お、……おともだちと、……あそびたいよう。」 「ちょ、ちょっと」 「うわーーーーーーーーーーーーーーーーん! おばさーーーーーーーーーん! ああああああああーーーーーーーーーーん! あうううう……うああううう……うううううう、うっ、うっ、うっ、うあーーーーーーーーーーん」 (……そうね) 「あう、あっ、あっ、あうううう、あーーーーーんうあぐっ、ぐ、ひぐっあうう……」 (寂しくないわけ、ないじゃない) 「……ごめんね」 「お、お、おねえさん、んんん……あったかいよ、ん、ん、おばさんも、よく、まりさ、だっこしてくれ、た……」 「……会いましょう」 「う……あ、ん、ん?」 「おばさんに、会いましょう」 「……でもおばさん、こない」 「私が今から連れてくる。必ずすぐに戻ってくる。……だから、待ってて」 「……」 「……」 「……って……しゃ……」 「?」 「いってらっしゃい! ……大好きな人がお出かけするときは、こういうんだよね」 「……うん。いってきます、まりさ」 初めてそう呼んだ。 ただの人間が情に絆されると碌なことにならない。彼らは大抵非力であるからだ。――しかし、彼女なら――魔法使いの、彼女なら――アリス・マーガトロイドなら―― 「……お久しぶりです。(……声を潜めて)」 「! マーガ(……トロイドさん! 私は、私は……)」 「(積もる話は後で。……この家の周りは随分と不逞の輩が多いこと。苦労なされたようで……)」 「(そうなんです、何度もあの子のところへ向かおうとしましたが、監視が、尾行が……)」 「(わかります。正面から出るのは無理です。なので上から行きます。私に掴まってください)」 「(ええっ、上から!? 上からとは……)」 「(いいから掴まってください!)」 「(きゃっ……う、浮いてる……)」 「(このまま行きます)」 「(えっ、そっちは壁……ああっ!! ……?)」 空に舞い上がった二体の肢体は、存分に夜風を浴びて、その衣を棚引かせた。 「抜けました。もう普通に喋っても大丈夫ですよ」 「え、あ、あ、壁は……? 浮いて……飛んで……?」 「壁はすり抜けました。浮いてるのは私の魔法です。飛んでるのは私が魔法使いだからです。他に質問は?」 「…………あの子は、まりさはどうしているんですか」 アリスはほほ笑んだ。 「敵わないなあ」 速度をあげ、うっとおしい雲を突き切るほどの勢いで、一人の女性の想いを載せて魔法使いは飛ぶ。 「……おばさん……ぐすっ、」 「……さ」 「!」 「ま……さ」 「お、ば……」 「まりさ!」「おばさああん!」 扉を開くや否や、まるでそれがなかったかのように、一人と一匹は走って寄り添った。 「……」 「おばさああああん、おばさあ、ああん!!!」 泣きわめくまりさに対し、ただじっと抱きしめる様子がアリスの目には印象的に映った。 ――だが、いつまでも感傷に浸ってる程彼女は人間的ではない。 「……お邪魔して申し訳ありません。貴女のことを前に少し調べさせていただきました。貴女は、魔理沙の……」 「昔の話です」 「……」 「血縁でもないのに……馬鹿な女と思うでしょう。でも、貴女も女なら、わかりませんか」 「おばさん、おばさん……」 「女性だからなのかはわかりませんが……今は少し、わかります。まりさは、いい子です」 「っ、おねえさん、ありがとう……。あ、ありがとうの安売りしちゃった。てへっ」 まりさがほほ笑む。アリスもほほ笑む。 それから幾許かの余韻を経て、二人は目を合わせる。 「……まりさを、私に預けていただけませんか?」 「……はい。……はじめから、そうお願いするべきだったんです。私は、心のどこかで、この子を……まりさを手放したくないと思っていた。せめて自分の目の届くところにおいておきたいと思った。……今度こそは、そうしたいと思っていた。でも違うんです。それは大人の勝手。あの子は……魔理沙は、少し急ぎ過ぎたけど、自立したんです。……私はそれを認めきれなかった……近所の人々よりも、霧雨家の人々よりも、誰よりも…………」 「おばさん、まりさよくわからない……あたまわるいから」 「あなたは優しい子よ。それだけで充分なの。魔理沙だって……いや、あなただから、あなた自身が、それでいいの。あなたは他の誰でもない、誰の変わりでもない、やさしいまりさなの」 「(ずいぶん冗長で、不格好な表現ね……伝えたいことはわかるけど)」 まあ今だけはそれも悪くないかな、とアリスは心の中で付け加えた。 魔法使いは夜空を飛ぶ。なぜではない。どうしてではない。もともとそういったものであり、理由は後から付いてくるのだ。今回の彼女のケースは、夜遅くなったのと、気分がいいからだ。 「最後に一晩だけ一緒に、か……」 アリスはほほ笑んだ。……今日はよく笑っている気がする。 「人間ね。実に人間。余韻に飢えてるのね。でも、今夜の空は荒れそうだから、それもいいでしょうね。不安な天気の夜は、母親は子を寝床で宥めるものよ」 こうして独り言つ自分も実に人間。そんなことはわかっている。わかっていても止められない。しかし、こういうときがたまにはあってもいいではないか。 (……まりさが家に来たら、新しい帽子でも作ってあげようかな。今のは結構ボロボロだったし) (あ、リボンを新調するのもいいな。ちょうど大きな生地が余ってたのよねえ) (それから、それから……) 想像を膨らます少女には、豪雨さえも小鳥のさえずり程度にしか聞こえてこない。無意識に魔力の層を敷き、雨粒を弾くことができるアリスほどの魔法使いになると、尚更である。 「おばさん」 「なあに?」 「たくさん雨ふってるね」 「そうねえ……風も強いみたいだし。そう言えば昨日から雲行きが怪しかったわねえ……」 「おばさん」 「なあに?」 「雷、うるさいね」 「まりさにはおへそがないから、雷も大丈夫よ」 「おばさん」 「なあに?」 「……なにか、いる」 「……へ?」 「なにか、いる。いるよお。おばさん」 「お化けなんていないわよ。寝ぼけた人が見間違えたって、よく言うじゃない」 「ちがう。ちがうよお。いる。あ、あ」 「まりさ、なにを……!」 「う、あ、あ」 「……誰」 まりさをしっかりと、守るように抱きかかえ、上体を揚げる。 ―――― 「誰なの! 出てらっしゃい!」 「お、おばさん……」 「まりさ、黙ってて!」 「でもおばさん! おばさんの腕が、腕がないよおおお!!!」 「あ……ぎゃああうっ!!!」 紅色の小球が描く曲線を、稲光が一瞬露わにした。その先には、指に激しく痙攣を起した腕――血線を描いた『筆』――が、暗闇でも輪郭のはっきりした、なにものかに咥えられぶらついていた。 「あ、う、あ……よ、よう……」 雨は更に激しさを増し、鋭い稲光が夜空に轟く。 「ようか……」 (僕知ってるよ! 急に大雨を降らして、家に閉じこもってる人間を襲う妖怪がいるって!) 「ゆぎゃあああああああああああ!!!」 「まりさ! 大丈夫よ、まりさ! ……今度は、今度こそは何があっても離すものですか!!」 「オッス、オラ魔理沙!」 「コンニチハ、私は博霊霊夢。ではさようなら」 「なんだよ、つれないなあ」 「いきなり気持ち悪い挨拶をする人間に釣られたくはないわね」 「挨拶もそろそろ新規開拓すべきと思ってな。温故知新してみた」 「微妙に使い方を間違えてる気がするけど……で、今日はどういった大義名分で、他人の家の軒下で図々しく茶をすするのかしら」 「下見」 それだけ言うと魔理沙は再び箒に乗って、ゆっくりと奥に進んでいった。 「家主をほっぽいて上がりこむ人がありますか……ったく」 「それでー、拙宅は今日の宴会にふさわしい場所だったでしょうか?」 霊夢がお茶を渡しながら訊く。魔理沙がお茶を受け取りながら答える。 「うむ、広さも充分、貯蔵してある密造酒も充分。よきに計らえ」 「あんた、勝手に何見てんのよ」 「茶がうまいのう」 「……誤魔化すこともしなくなっちゃ、人間としてお終いね。どうせ化け物だらけの場所で生活してるんだし、妖怪にでもなったらどう?」 「よしてくれよ。私ほどの影響力がある妖怪じゃあ、いつ博霊の巫女の標的になるかわかったもんじゃない」 「腕が鳴るわ」 「鳴るな。……霊夢、妖怪と言えば、珍しく妖怪を単品で撃墜したそうじゃないか」 霊夢は些か不自然に宙を眺め、それから思いついたかのように答える。 「神社の敷居内で騒いでたから黙らせただけよ。……ちょうど雷で鳥居が一つ壊れて、腹が立ってたし」 「そうか」 「そうよ」 「……」 「……」 「『普段凶悪だったり、へそ曲がりな人間がちょっといい事をすると、途端にすごく善良そうに見える現象』、いやこの場合幻想かな……」 「何が言いたいのよ」 「お、空飛ぶアリスだ」 魔理沙が空を指さす。 「また意味もない嘘を……あ、ほんとだ」 「降りてきそうにないな。仕方ない、こちらから出向くか」 「永遠にさようなら」 「確実にまた今度」 そう言い始める頃に箒にまたがり、言い終わる頃には鋭い初速で飛び出していった。 「おうアリス。元気か」 魔理沙はアリスのすぐそばで静止し、箒から手を放し腕を組んだ。 「あんたの顔を見るまでは元気だったわ」 「はっはっは。元気みたいだな」 「魔理沙もいつもに増して元気ね。馬鹿みたいに」 「後ろにいらんものつけるな。でもまあ、いつもより元気ってのはあってるな。なんせ、今日は大宴会だからな」 人間めいた話をするには、人間めいたふるまいをしなければならない。その真正は全く証明されていないにもかかわらず、異を唱える者は不思議と少ない。彼女たちもそうであった。一人は『種族』魔法使い、一人は『職業』魔法使い。似通っていて、微妙に異なる彼女らが選択した人間性、人間的ふるまいは――歩くことである。 「……」 「……」 「彼女は、厳しかったの?」 先に口を開いたのは、意外にもアリスだった。 「ああ。ずいぶん扱かれたな。……でも、褒めるものうまかった。こう、ぎゅっとな、熱い抱擁をなだな……」 腕の中で微笑んでいるまりさの顔がアリスの頭をよぎった。 「わかるわ」 「わかるか。……親と随分揉めたときも、ずっと庇ってくれてたなあ。『教育係風情が……』って下りの親父の言葉にはキレそうになったもんだ」 「最後まで庇ってくれたんでしょう」 「ああ。……結局は私が堪え性がないせいで、家を飛び出しちまって、それっきりになっちまったんだけどな」 「馬鹿ね。昔から」 「うるせえ。……」 「……」 「……実はそれっきりじゃなくて、一度こっそりと実家の近くまで戻ってみたことがあるんだ」 「へえ。恋しくなったのは両親? それとも彼女?」 「無論後者。そのときにはもう、離れに引っ越しててな、……事実上霧雨家を追い出されてて、会いに行くには好都合だったんだが、かなり後ろめたく思ったね」 「その百万分の一でもいいから、私にも後ろめたく感じて欲しいものね」 「……お前、今日はやたらと話の腰を折るな」 「そんな気分なの」 「そうか。じゃあ気にしないことにする。んで、まあそれでも会いたいって気持ちが強かったから、門を叩いたんだ」 「どうだったの?」 「顔を合わすなりおもいっきりぶたれたよ。貴女の意思はそんなものか、決めたのなら二度と帰ってくるな、ってね」 「いい気味ね」 「ああ、そう思う。おかげでここまで辿り着けた。……でも思うんだよ。私と同じで、おばさんも迷ってたんじゃないかなあって。迷ってたけど、必死で迷ってないふりをしてたんじゃないかなあって」 「人間はそうかもね。特に、歳を取ってくると」 「なあ、アリス」 魔理沙が歩を止めて、アリスの方を向く。アリスも一歩送れて歩を止めて、魔理沙の方を向く。 「お前も、そうなんじゃないか?」 「……」 「なんとか言えよ」 「私は、彼女から相当な額の金銭を受け取った。受け取りっぱなし、ってのは、性に合わないから、きちんと代金分の世話は……」 「永琳は何て言ってた」 「!」 「パチュリーから本を貸して貰うのは骨が折れただろう」 「……貴女みたいに盗んだりはしないからね」 「話を逸らすなよ。紫、慧音、文……他にもいろいろ聞いてるぞ」 「……」 「お前、どうして全部一人で背負いこもうとするんだ。そりゃあ、あいつ等は他所者を好んで助けようとしたりはしない。でも少しなら、退屈しのぎや面白半分かもしれないけど、少しなら手を貸してくれる。その少しを借りて、なんとかすればいいじゃないか」 アリスはまりさを説き伏せていた彼女の姿を思い出した。……今の魔理沙とは状況も、言葉も、意味も全く違っている。それゆえ、我慢がならない。 「よくもまあ、長々と……。言えば言うほど陳腐になるってことを知らないの? ますますあんたが嫌いになったわ」 「ああ、私だって大嫌いだぜ。大嫌いだから、どんなことを言うと効果的な嫌がらせになるかもよく知ってる。……ところで私は、天邪鬼なところがあってな」 溜息。 「……負けた」 「勝った。では改めて。まず、私には何ができる?」 「最後の記憶の衝撃が強すぎるから、無理して思い出させようとせず、引き出された記憶に対してなるたけ自然な対応をすること……薬師の受け売りだけどね」 「なんだよ、結局私がはじめに言ってたことと同じじゃないか」 「『面倒なことを考えずに、自然にやればいい』だっけ? ……認めたくないけど、今回ばかりはそういうことになるわね」 「結局他の奴らも、適当に振る舞えばいいってことか。……なんか、大きな回り道をした気分だぜ。幻想郷の端から端まで一週分ぐらい」 「同感だわ」 「お」 「あ」 二人が正面を向くと、いつの間にか扉が目の前にあった。 「歩いてるとどうも距離感が掴めないな」 「……職業病、とでも言うのかしら?」 「いい表現だ。さて、今日の主役を連れ出しに行くか」 今日は楽しいことがある。楽しいこと……なんだろう。しゃしんを見てからというもの、そこにうつっている女性のことばかり気になっていたが、そのもやもやも吹き飛んでしまった。なにがあるんだろう、たのしみだなあ。 「ただいまー」 「誰の家だと思ってるの」 おねえさんと……変なぼうしをかぶった人が家に入ってきた。 「おお。本当に私にそっくりだな。可愛いぜ」 変な人はずかずかとわたしのほうにきて、わたしをもちあげた。 「そうねえ、可愛げがあるってところ以外は、そっくりねえ……はい、まりさ」 おねえさんがわたしのあたまの上になにかをのせた。 「お揃いだぜ」 へんな人がじぶんのぼうしをゆびさした。 「これで、身なりは元通り。後は―― 「えー、一番、神奈子。脱ぎます! ……早苗が」 「え、ちょ」 たじろいだ早苗を、背後から構えていた諏訪子がキャッチし、早苗が驚いて背後に気を取られている隙に神奈子が文字通り神速で早苗の肩に手をかける。 「やめ、やめ、わーーっ!!」 みるみるうちに身ぐるみを剥がれていく早苗に、ある者は好奇の目を向け、ある者は掌で思わず目を覆う(しかし、指の隙間からバッチリ見ている)。 そしてある者は、遠くで酒をちびりちびりと嗜みながらぼうっと眺めている。 「あら魔理沙、駄目じゃない。馬鹿騒ぎが起こってるのに、肝心の馬鹿がこんなところで酔いどれてちゃ」 「逆だな。賢い私は、馬鹿騒ぎなんかに巻き込まれない」 そう言って魔理沙はぐい、と酒を書き込み、ぷは、と大袈裟に息を吐いた。 「……結局実家には行かなかったの?」 「ああ。実家をぶっ飛ばすよりも、宴会開いて大酒飲んで騒ぐ方が霧雨魔理沙らしいからな」 「騒いでないじゃない」 「ん……ああ、そう言えばそうだな。霊夢、お前頭いいな」 「あんた、酔ってるわね」 「ふふ。騒いでくるぜ」 てんぐさん……ふみさんのおててはいがいとごつごつしてた。 「おお、思ったよりモチモチですね。被写体に触れるということの重要性を感じます……なんですか、レミリアさん。その物欲しげな眼は」 「お嬢様、これの体液はお身体によくないかと……」 「違うわよ。普通に触ってみたいの」 「渡しませんよお。『たーべちゃうぞー』ってオーラが出てますもん」 あれっ、うえにすいよせられる? 「独占禁止法に抵触したので、没収とのこと」 ふりむくとひらひらのひと……ゆかりさんがすきまからからだをはんぶん出していた。おててにすこししわがおおい……あっ、いたっ。いまつねった、つねったこいつ。 「ねえ、それこの兎と交換してくれない?」 おいしゃさん……えいりんさんが、ちいさなうさぎさんをもってゆかりさんにていあんした。うさぎさんはぐったりしてうごかない。……ひどい。 「いーーーーーーやっほおぅ!」 うわっ! 「あら、取られちゃった……乱暴ねえ。魔法を使うと、がさつになるのかしら」 「……心外だわ」 ぱちゅりーさんがぼそっとつぶやいた。そのとおりだとおもう。こんなにへんなやつは、まほうつかいといえどもひとりだけ。そいつは―― 「魔理沙! そんなに乱暴に扱わないで!」 そう、まりさ。わたしとおなじなまえ。 まりさはおねえさんのいうことをきかないで、わたしをかたてにかかげてぶんぶんぐるぐるとびまわっている。 「いいぞー魔理沙、もっとやれ!」 「魔理沙さんは相変わらずですね」 「魔理沙、楽しそう……」 まりさ。まりさ。まりさ。たくさんのひとが、そういっている。……たくさんのひとにかこまれて。いっしょにわらって。まりさ、まりさとよばれたからわたしはまりさで………… ――― わたしは。わたしは、まりさ。 「魔理沙! いい加減にしないと撃ち落とすわよ!」 「へっへー、この麗しき霧雨魔理沙様をうっちおとせるかなー?」 まりさは、みんながすき。だれといてもたのしい。 「あれっ?」 「あっ! 何てことするのよ、いきなり手を離すなんて!」 「ち、違う、そいつが自分から飛び降りたんだ! 冤罪だ!」 でも、いちばんすきなのは。 「言い訳はいいわよ! ……まりさ、怪我はない?」 『おねえさん』 まりさはそう言うと、アリスの胸に顔をうずめた。 「ま、まりさ?」 おねえさんに、おばさんに、おともだちに、みんなにおそわったんだ。 「……みたい」 「痛い? どこか痛むの?」 すきなひとには、とびっきりのえがおで。 「人形劇……観たい」 「え……?」 その場の全員の動きが止まる。近くはアリス、遠くは霊夢まで。 「おいまりさ、今何て……」 おねえさんのおなまえ。ずっとおしえてくれなかったけど、まりさはちゃんとおぼえてるよ。 「アリスおねえさんの人形劇がまた観たいな」 ― ―― ――― 「「うおおおおおおおおおおーっ!」」 「思い出した! 思い出したのか!」 「よかった……!」 叫び、喚き、唸り、叩き、頷き、呟きなどなど一切の音が集まり、一瞬にして響めきが作りだされた。続いて飛び、跳ね、歩き、走り、果ては転がるなどの躍動も伴い、喧々囂々と止めどなく続く。 そんな中、酔いがすっかり冷めた魔理沙は、ただ茫然と俯いているアリスの肩に手をかけた。 「アリス! よかったな、アリス! ……!」 「そ、そんなに大、声出さなくても、聞こえて、てるわよ、馬鹿魔理沙……」 魔理沙は振り向きながら、独り言のように呟く。 「お前の今の顔の方が、よっぽど間抜けだぜ。くしゃくしゃで皺がれて、見られたもんじゃない」 突如、萃香が奥から巨大な樽を持って現れた。 「さあさあ、皆の衆、ご注目あれ。愛でたい席にはまりさが似合う。そして目出度い席には美酒が似合う! ここに有るは博霊神社の奥底に眠っていた超度級秘蔵の酒!」 今まで傍観者に徹していた霊夢の顔色がみるみるうちに焦燥の色に染まっていった。 「ちょ、ちょーーーっ! それは、それは魔理沙にも見つからないように結界に結界を張り巡らせて貯蔵しておいた、云百年の年季がついたお酒!」 「うむ、霊夢、説明御苦労さま」 「す、萃香。それを」 「無論、飲む」 「そ、そんなの駄「さすが霊夢! 私たちにできないことを平然とやってのける!」 「え、え」 レミリアが咲夜に目くばせした。 「そこにシビれる、あこがれるぅー……と、こんなもんでどうでしょうか、お嬢様」 「素敵よ、咲夜」 「す、素敵じゃなーい!」 「いやーとっても大きな樽酒ですね。割る前に写真撮っときましょう」 「わ、割らない割らない!」 「あ、もし良かったら、チョップで割りましょうか? 気を込めると、すごく綺麗に割れるんですよ」 「西瓜割り、もとい西瓜斬りで鍛えた腕を振るうとき。それは今!」 「真っ二つにするとお酒も零れちゃうんじゃない、妖夢?」 「だ、駄目だこいつら……早く何とかしないと……」 霊夢の目が騒ぎの中心に佇むアリスに向けられた。周りの騒々しさと比較すると、まるで台風の眼のようにまりさを抱えておとなしくしていた。 「あ、アリス。あんただけが頼り。この酔っぱらいどもに何か言ってあげて……」 アリス、と霊夢が発した瞬間、皆の注目が一斉にアリスに向けられた。 「……確かに、勿体ない」 「うん! うんうんそうそう!」 「こんなに皆が盛り上がってるのに、美酒だけでは勿体ないわ。ここは一つ、美酒に加えて、不肖アリス・マーガトロイドがとっておきの人形劇をご披露いたします!」 「「「「「おおーーーっ!」」」」」 「そうそう……ってちっがーう!! 馬鹿! 馬鹿! みんな馬鹿!」 「霊夢!」 霊夢の傍で、爽やかな声がする。振り向くと、爽やかな顔をした魔理沙がいる。爽やかな魔理沙は、爽やかな声で、爽やかにこう言った。 「あきらめたら?」 「あーもう! 好きにしなさーーーーーーい!」 両の手指をすべて使っても足りないほどの役者たちを、人形遣いはいとも容易く躍らせる。声亡き骸の前で何度も練習した演舞。それは、すべてこの幸福な瞬間のために。 十の指に滑らかに連動した人形たちは、飲み、歌い、踊る人々に負けず劣らず饒舌に振る舞う。 ここにいる人形達は、そのすべてが宴会の参加者の移し身。人形遣いの織り成す個性が、観客の心を酔わせ、心の酒気で博霊神社が一杯に埋め尽くされる。 劇の特等席は、人形劇を一番好きな者のために。 劇の主演の座は、人形師を一番好きな者のために。 終演の時まで、彼女たちの笑顔が尽きることはなかった。 ――そして、これからも、きっと。 お疲れ様でした。 いろいろ不満な点は残っているのですが、とりあえずこの辺りで皆様にお披露目したいと思います。今後多少加筆修正することがある……かも。 今回の実験的試み(ほぼ自分用メモ) 会話文と地の文をほとんど混ぜないようにした(どちらかを密集させる) 二つの時系列を並行して列記した(流れが追いにくいかも……) ウザいぐらいキャラの言い回しを仰々しくした ! とか ? とか …… とか ― とか(約物?)の使い方をいろいろ凝ってみた できる限り説明臭くなくして、二度読んでようやく意味がわかるぐらいを目指してみた(最後の魔理沙とアリスの会話で台無しかも……) 頑張って書きました。時間かかりました。自分の作品の中では、最も長いです。 相変わらず陳腐なレトリック、可読性に乏しい行間、個性の死んだキャラクターのオンパレードで、及第点には程遠い出来です。それでもプロットを練り、構成を考えて書くこと自体が楽しいと再認識できたのはよかったと思っています。 感想ください。批評をください。辛辣でも構いません、むしろ大歓迎です。一字一句逃さず、皆さんに楽しんでいただける文章を書く肥やしとさせていただきます。 では。 ゆっくり視点っていうのが新鮮でした。ああ、ゆっくり視点のネタは使って見たいなあ。霧雨家のこととかいろいろ深いストーリーがあって楽しめました。バカな俺はあんまり理解できてなかったんですけどねw -- 名無しさん (2008-10-05 13 00 11) ゆっくりまりさのパートは、平仮名ばかりなのに加え、まりさが言葉足らず過ぎて、情景の表現が非常に難しかったです。そのせいで、会話に頼り切ってます。……それと、東方原作に寄り過ぎかも。まりさが充分に愛でれてません。……猛省。 -- Jiyu (2008-10-05 22 50 10) 名前 コメント
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痛み残して この身体 私はあなたを忘れたくない にじむ景色の中ずっと あなたを見つめてる 少し背の高いあなたの横顔 見つめる私に気づくとあなた いたずらな目をして私を見るの 『ん?どうした?』って 分かってる癖に もぅ いつからか揃うようになった歩幅 合わせてるのは一体どっち? 同じように2人の気持ちも すれ違わずにいられたらいいのにね いつもいい加減 その場だけの言葉 その場だけのやさしさ それでも喜んでしまう いつまでも変わらない心 私ばかり 飲み過ぎた時の気まぐれ電話 2人を繋ぐ僅かな光を 大切に大切に大切に思ってる いつも待ってるよ いつまでも待つよ 元気でやってる?それならいいよ 大きな心であなたを思えたら楽なのに 2人は別々の世界に生きるの 少年の様な瞳で 少しだけ大人になったあなた そして私もそう 現実に疲れたら またここで会いましょう 私はあなたの夢 そしてあなたは私の夢 私を掴んだ手も あなたの熱い身体も 確かにそこにあって 同じ時間を過ごしたの 頼りない思い出でなく せめて痛みを感じていたい 痛み残して この身体 私はあなたを忘れたくない にじむ景色の中ずっと あなたを見つめてる いくつも傷を数えて刻んだ日々 私はあなたを忘れられなかった 冷たく横を吹きぬけた 風にあなたを 呼んだ いつも待ってるよ いつまでも待つよ 元気でやってる?それならいいよ 大きな心であなたを思えたら楽なのに 私は大人になれない 小さな心は あなたを感じてる 痛み残して この身体 私はあなたを忘れたくない にじむ景色の中ずっと あなたを見つめてる
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※オリキャラ警報。あと長いです。 ――気がつけば、私は一人だった。 虫や花を摂り、草原に佇み、枯草を床にする。それを繰り返した。 昨日は風が強かった。一昨日は曇っていた。一昨々日は……雨が降っていたような気がする。 それより前は――よく覚えていない。私は一昨日より前には存在していなかったのかもしれない。 夜が来た。月は輝き、風が満ちている。今日も変わらず過ごし、変わらず眠る。――はずだった。 僅かに、本の僅かだが、風向きが変わった。私はなんとなしに風上に振り返った。 「あら」 その先には、羽根のない、小型の妖精を連れた奴がいた。夜分の来客は初めてである。当然だと思う。眠りながら動くことはできないのだから。 「傷だらけなのに、やけに落ち着いてるのね。……白痴にでもなったのかしら」 そいつは私を拾い上げ、様々な方向から私の身体を観る。そして。 「……」 私を抱えたまま、その場を去った。 こいつの腕の中はなかなか温かく、心地よい。……今日はここで眠るとしよう。 目を覚ましてみると、前にいた景色のどれとも似つかない場所に運ばれていた。身体中が何やらむずむずする。どうやら何かを貼り付けられているようだ。 背後に気配を感じた直後、身体が宙に浮き上がる。体を掴まれながら、なんとか振り向いてみせると、昨日私を連れて帰った奴が佇んでいた。 「何もしないから、大人しくしなさい」 言われなくても、そうするつもりだ。 そいつは規則正しく凸凹した坂道を登り、色の違う壁を綺麗に引き剥がし(はじめから壁が剥がれていたのかもしれない)、私を高台の上に乗せた。目と目の高さが、こいつとだいたい同じになる。 「あなた、名前は覚えてる?」 なまえ? なんのことやらわからない。私が黙っていると、 「名前ってのは、他人からなんて呼ばれているかのこと」 そうなのか。だったら私には名前がない。こいつはなんと呼ばれているのだろう。聞いてみた。 「……あなた如きに名前で呼ばれる筋合いはないわ」 では適当に呼ぶとしよう。ええっと―― 「自己紹介のときに喧嘩を売るのが趣味なの?」 よく意味がわからなかったが、『おばさん』では気に食わなかったらしい。何となく響きが良かったので個人的には気に入った呼び方なんだが。だったら―― 『おねえさん』 「! ……まあ、それでよしとしときましょう。あなたも名前が要るわね。私がぴったりの名前をつけてあげる。……世界中、どんな言葉よりもぴったりの。いい、あなたの名前は――」 「まりさー、こっちにきなさい」 『おねえさん』の声のした方に私は向かった。 私に何の用だろう。 「食事にするわよ」 おねえさんは私を拾い上げ、高台(『椅子』と言うそうだ)の上に載せる。黄色の液体、葉っぱ、色の濃い肉など様々なものが収まった器が私の目線に映る。これは……食べられそうだ。 おねえさんが私のすぐそばの椅子に座る。 「さ、食べるわよ」 そう言うとおねえさんは先の丸い棒で黄色の液体を掬い、私の口元に寄せた。食べろということらしい。棒を加えると、じわりと熱さが口に広がった。美味かった。 「ゆっくりしていってね!!!」 「おーっ、まりさ来たかー」 「ゆっくりだ、まりさだ」 まりさはにんきものだよ! いっつもみんなにかわいがってもらってるんだ! きょうはおっかけっこしてあそんだ! きのうははしりまわってあそんだ! おとといはかけまわってあそんだ! そのまえは……おぼえてなーい! まりさは、みんなからまりさって呼ばれるの! さいしょにだれかが「まりさだ」って言って、それからみんな、まりさ、まりさって呼ぶようになったの! だからまりさはまりさなの! 「まりさー、なでなでさせてー」 「いいよ! ゆっくりなでてね!」 「よ~しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよく来たぞまりさ。三個か? 甘いの三個欲しいのか? いやしんぼめ!」 「べつにほしくないよ!」 「次わたし、わたしがなでる」 「私が頭にのっけるー」 「ゆっくり順番待ってね!!!」 にんきもの! にんきもの! たのしいよ! まりさがわらうと、みんなもわらうんだ! 「あー、そろそろ帰らないと、妖怪に襲われちゃう」 「妖怪なんて、本当にいるのかなあ」 「慧音先生がいるじゃない」 「いや、あーいうのじゃなくて……大人が言ってるような、頭からガブリと人間を食べるってやつ」 「僕知ってるよ! 急に大雨を降らして、家に閉じこもってる人間を襲う妖怪がいるって!」 「私もしってる! 真っ黒な目玉の妖怪がいるって!」 「このロリコンどもめ!」 「どれもうさんくさいなあ。まりさは知って……るわけないか」 「なんだとー! ばかにしないでよ~!」 「じゃあ、知ってるの?」 「しらない!」 「……だめだ、こりゃ」 「ねえねえ、本当に早く帰らないと怒られちゃうよ」 「ん、ああ。そうだな。じゃあ、また明日な、まりさ。まりさもちゃんとおばさんのところに帰るんだぞ」 「うん! ゆっくり帰るよ!」 「いや、早く帰れよ」 「うん! ゆっくり早く帰るよ!」 「……もういいや。じゃな」 「またね!」 「おばさん、ただいま!」 「おかえりなさい。ご飯できてるわよ」 「わーい!」 「ご飯の前に、砂を落して綺麗にしましょうね」 まりさはこの人にごはんを食べさせてもらってるの! それにいっしょにねむったりもしてるんだよ! 外から帰ってきたら、きれいにもしてくれる! まりさ、この人大好き! 「まりさ」 「なに?」 「明日はね、楽しいことがあるのよ」 「えーなになに!?」 「それは明日までの秘密……はい、綺麗になった。さあ、ご飯にしましょう」 「ご飯だー!」 まりさしあわせ! いまとってもゆっくりしてるよ! この広くて、やけに整っている場所はおねえさんの住処らしい。『家』と言うそうだ。おねえさんは私に食事を与え、自分も食事を済ませた後、家から出て行った。しばらくしたら帰ってくる、家を歩きまわるのはいいが物に触らないこと、外に出ないこと、とのことだ。 私は一人になった。居る場所以外は、今まで通りのことだ。なので今まで通り、適当にそこらをうろつくことにした。 家にはたくさんの物が規則正しく並んでいた。四角いもの、丸いもの、曲ったもの、真っ直ぐなもの、色が濃いものそうでないもの。およそ外では見られないものばかりが、外よりずっと狭いこの場所に敷き詰められていた。それらの中に昨日おねえさんと一緒にいた小さな妖精があった。昨日見たもの以外にも、たくさんの妖精がそこには置かれていた。……昨日は飛び回っていたが、今日は一向に動く気配がない。死んだのだろうか。……動いているところをまた観てみたい。なぜだかふとそう思った。 「お嬢さん、どちらまで? よろしければお送りしましょうか?」 彼女が腕をゆっくりと掲げると、その軌跡に混沌とした空間が現れる。 「……相変わらず、趣味の悪いこと」 「あらあら、どこが?」 「全部よ」 「ずいぶんご機嫌斜めね」 「こうも頻繁に茶化しに来られたら、そりゃあね」 「それは心外だわ。悼む心は人妖問わず尊いものよ」 「単なる契約の遂行よ。料金分は働く、それだけ」 「ふぅん」 「気味の悪い笑みね。流石、云百年も生きてる妖怪ね」 「笑わないよりはずっとましよ。笑うことすなわち自己の崩壊。笑わない、ってことは、自己が希薄か、あるいは全くないということで……」 「……もう行くわ」 「ん。永琳は今留守だから、先に『お仕事』してくれば?」 「……!」 「ふふ。虚を突かれた顔も素敵ね。じゃあね、アリス」 「ただいま、まりさ。泥棒は来なかった?」 泥棒? 「ああ、わからないならいいのよ。……。まりさ、私はしばらく奥の部屋……向こうの方で、本を読……向こうの方にいるから、騒がしくしないで、ここで大人しくしておきなさい」 『部屋』、やら、『本』、やらよくわからないが、動かずに静かにしていろということだろう。 去り際におねえさんが何か呟いていたが、よく聞こえなかったので気にしないことにした。 「まりさ」 「ん~あと五分」 「何をいってるの。起きなさい。ご飯できてるわよ」 「ゆ! ご飯!」 「本当に単純ねえこの子は……」 「おいしい?」 「おばさんのご飯はいつもおいしいよ!」 「そう、そう。よかった。……まりさ、昨日の話だけど」 「?」 「やっぱり覚えてないのね……。えと、今日はね、里の外から人形師さんがやってくるの」 「にんぎょーしさん?」 「ええ、小さな人……んんと」 「妖精さん?」 「ん、まあそんなものね。とにかく見に行けばわかるわよ」 にんぎょーしってどんな人かな? たのしみ! お出かけするときは、まりさ、おばさんにだっこしてもらうんだ! おばさんのうでの中、らくちんで、あったかい! ゆっくりできるよ! 「まりさ!」 いっつもあそんでるみんながいた! 「みんな、まりさが来たよ!」 「来た! まりさ来た! これで勝つる!」 「みんな、今日はまりさも一緒に人形劇を見るのよ」 「? どういうこと、おばさん?」 「ふふ、まあここに座っ……座る……? ま、まあ、ここでじっとして待ってなさい。じきにわかるわ」 「まりさ、ゲキチューはシゴ禁止だぜ!」 「そうそう、まりさいつもうるさいから、特に気をつけろよ!」 「わかったよ!!!」 「うるせえ!」 おばさんがわらってる! なんでだろ? なんだかまりさもおかしくなってきた! ふふ! 「……もし」 「はい、何でしょう」 「霧雨家の使いの者です」 「!」 「少々お時間をいただけるでしょうか……」 「……はい。まりさ」 「…………(なに、おばさん?)」 「まだ喋っててもいいのよ。それと、息は止めなくていいのよ」 「ぷっは! くるしかった! なに?」 「ちょっとおばさん向こうでお話してくるから、ここで待ってなさい」 「おばさんはにんぎょーげきみないの?」 「すぐ戻るから、ね?」 「はーい」 「そろそろだぞ」 「あの人、キレーなんだよなあ」 ……ゆゆっ。たのしみー。 「あ、来た……!」 「来た! アリス来た! これで勝つ「お前さっきからうるせえよ!!」 「……静かに」 「はい」 「始まるぞ」 「お辞儀するときに目が合わないかなあ」 「……あれっ? 何か驚いてるぞ?」 「アリスさんでもあんな顔するんだ……」 「まりさ、お前の方見てないか?」 「(そーなのかな?)」 「まりさが知り合いに似てるとか」 「まっさかー」 「あっ、人形が出てきた。一、二、三……今日は八体だ」 「前より多いね」 「ほら、いいかげんみんなだまらないと……」 「うん……」 「……」 ……? …………! !! !!!!! ……! !! …………すごいすごい!!! 妖精さん、たくさんうごいてきれいきれい!」 (ま、まりさ! 黙れ!) 「うわーっ! うわー!! すげー!」 (駄目だ、聞いてない) (口ふさげ!) 「わ、わわっ! とんだ、とんだ!」 (こいつ口でけえよ!) (お前そっちから引っ張れ! 俺はこっちからやる!) 「むぐ、ぐ……?」 (あの小賢しい饅頭のような魔理沙的物体は……何なのかしら? ……ハッ、いけないいけない。集中しないと。人形遣いとして、こんなところでの失敗は許されないわ) 「『まりさ』のことですね?」 「そう呼ぶこと自体、今後は控えられた方がよろしいかと」 「……」 「だいたいはお察しの通りです。霧雨家は例の生物の出没にかなり困惑を覚えております。何せ、魔理……もとい、『彼女』とあれはあまりにも似すぎている」 「まりさを、どうしろと?」 「もともとはあれも妖怪の一種でしょう。野に還してやるのが自然の理かと」 「追い出せということですね?」 「結果的に、そういうことになるという解釈もできますね」 「あの子は、妖怪の巣食う土地で生きていけるような強い子ではありません。それは貴方にもわかるでしょう。あの子に死ねと仰るのですか」 「……『彼女』はここにはいない。いまさら昔の事を蒸し返されては困るのです。現に、『彼女』の話題がちらほらと湧きつつある」 「世間体、ですか」 「…………」 「あの子のときも、貴方達はそうだったんじゃないですか。あるべき姿を勝手に決めて、それを子供に押し付けて……」 「今日はこの辺りにしておきましょう。……こちらとしては手荒な真似はしたくない。また来ますので、いい返事をお待ちしてますよ」 「……」 「……おばさん、どうしたの? ないてるの?」 「まりさ!? いつからそこに……ぶほっ!」 「あはっ、おばさんが変なのー! 泣きながら笑ってる」 「あのー、いろいろとお伺いしたいことはあるのですが、とりあえずこの饅頭を私の頭からどけてもらえませんか?」 「あのね、まりさにんぎょーげきすっごくたのしくて、かんどうして、口をおもいっくそひっぱられて……」 「……ということなんです」 「なるほど(人間らしい、馬鹿げた話ねえ)。あれ……いや、あの子は確かに魔理沙に瓜二つですね」 「おばさーんアリスおねえさーん、こっちで妖精が飛んでるよー」 アリスは口の両脇に手を当てて、遠くにいるまりさに向けて軽く叫んだ。 「それチルノだからピチューンしときなさーい」 「はーい」 「あたいったら、ネタキャラね!」 ピチューン 「魔理沙……さんのことをご存じで?」 「ちょっとした腐れ縁です。……で、どうなさるおつもりで?」 「里を出て少しした場所に、空家が何軒かあります。そこに匿おうかと」 「ひとまずそうするのが賢明かもしれませんね」 「マーガトロイドさん。お願いがあるのですが」 「……応えられる範囲であれば」 「まりさのために、たまにでよろしいですから人形劇を見せていただけないでしょうか。お金はもちろんお支払いします」 「……」 「あの子はいつも幸せそうですが、こんなに喜んでたのは始めてなんです……私には、わかるんです。どうか、お願いします」 「アリスおねえさんのにんぎょーげき、またみたいな!」 二人の会話が聞こえようもない距離にいるまりさは、跳ねまわりながらそう叫んだ。 (……間が悪いこと。いや、この場合は良いのかしら) 「わかりました。そういうことなら」 私に以前とまた同じ、繰り返しの日々が訪れた。もっとも今回は少し様子が違う。一番大きな違いはおねえさんの存在である。おねえさんは私に多くの物の名前を教えた。そのおかげで家にある物をどう呼ぶか、はだいたいわかるようになった(それがどういうものかは未だにわからずじまいなのだが……)。おねえさんは食事も時間がくれば私に与えるし、凍えずに眠れる場所も確保してくれる。今まで以上に景色が移り変わりに乏しくなったが、生きていくには充分だった。 私は今日も、変わらず朝の食事、いわゆる朝ごはんを食べている。おねえさんの膝の上に乗り、口の中に食物を運んでもらう作業だ。 「まりさ」 おねえさんが私を呼びかけ、私は見上げる。 「今日、出かけるから。夕方には帰るわ」 私はこく、と頷いた。 おねえさんは出かけるときは、決まって朝ごはんの時間に私にそれを伝えた。そして朝ごはんが終わると、居間を出てから二番目の部屋に入り、しばらくして恰好が変わって出てくる。そして外に出ないように、物に触らないようにと一通り私に注意をしてから家を出るのである。なぜ外に行くのだろうと考えたこともあったが、面倒になったのですぐにやめた。おおかた、いろいろな物を調達しに行っているのだろう。これだけたくさんの物が家にあるわけだし、そう考えるのが理にかなっている。 私は今日も多くの物を見、一瞥し、眺め、凝視していた。気になるのはやはりあの妖精……いや人形だ。以前私が眺めていたら、おねえさんが名前を教えてくれた。 よくわからないが、何か惹きつけられるものが人形にはある。人形はおねえさんを小さくしたような形で、服と呼ばれるいろんな種類の布を上に羽織っている。いろんな姿かたちがあって、見ているのはいい暇つぶしになる。人形の置いてある棚の横には、たくさんの小物が並べてある。光る粒粒に長短ある布きれ、模様が描かれた球など、名前もまだわからないものばかりだ。その中で私は白くて長い布きれが一番のお気に入りだ。人形に被せるのには大きすぎるから、おそらくはさみというもので切る予定なのだろう。 人形がゆらりと宙を舞う。緩急ある全身の動行は躍動感を雄弁に表現し、精緻に作り込まれた手足は麗しさを率直に描写する。静止しそうで、しかしてとめどなく彼女らは踊る。やがて背中から一本の光筋が差し込み、彼女らは肩を落として演舞を終えた。 「やあ、見事見事。墓石の前でも役者が一流なら映えるもんだ」 演舞の主催者は息を撫で、背後からの来訪者に目をやる。 「ずっと覗き見してた割には堂々と出てきたわね」 「人聞きの悪いことを。私だって参りに来たんだぞ」 ほれ、と言って柄杓が突っ込まれた水桶を揚げる。 「……里の人間、とはみなしてるってことね」 「いや、これは私の独断だ。俗に言うお忍びってやつだな」 「……」 墓石に近づき、水をかける。 「余計なことは言うつもりはない。私が好きでやってることだ」 「……」 「……」 「あれは持ってるか。形見のつもりで渡した」 「人形棚の横で飾りになってるわ」 「そうか……被り物はついに見つからんかったが、お前さんなら新しく作れるだろう、アリス」 「ええ……そのつもりよ」 「このいえひろいね!」 「まりさ、今日からあなたはここに住むのよ」 「?」 「……ここでご飯を食べて、ここで眠るの」 「わかったーがいはくだ!」 「……そう、外泊。……まりさ……」 「??」 「一人でも……大丈、夫?」 「ひとり?」 「おばさんはね、自分の家に帰らないといけないの。でもまりさは、ここにいなければいけないの。でも、おばさんね、毎日会いに来るから。一人なのはちょっとだけだから。だから……」 「……」 「まりさ…………」 「………………わかった! おるすばんだ!」 「そう、お留守番……お留守番……頑張って……」 「おばさん、なかないで。まりさ、いい子でここにいるから」 「うん……本当にあなたは、小さい頃のあの子みたいで………………」 「アリスおねえさんだー!」 「はいはい、アリスおねえさんですよ(棒読み)」 「マーガトロイドさん、来ていただいてありがとうございます」 「構いませんよ、お仕事ですし。では準備するので」 「はい。まりさ、おねえさんの邪魔にならないように向こうの部屋で一緒に遊ぼうね」 (……この調子じゃ頻繁に会いに来てるみたいね。いつまで周りにばれずにいられることか……。まっ、関係ないか。準備準備) 「またもやアリスおねえさんだー!」 「はいはい、アリスおねえさんリターンズですよ(棒読み)」 「今日もお願いします……」 「懲りずにアリスおねえさんだー!」 「はいはい、帰ってきたアリスおねえ……ってあれ? おばさんはどこかしら?」 「これ!」 「ん?」 『霧雨家に感づかれたようで、しばらくここには来られそうにありません。本日分のお代に併せて、当面の分をお支払いさせていただきます。厚かましいようですが、余ったお金でまりさの生活に必要なものを整えていただけると助かります。急なことゆえ、礼を失する対応になってしまい大変申し訳ありません……』 「おばさんきのうここにきて、これだけおいてアリスおねえさんにわたすように、って言って帰っちゃったの。まりさ、字よめない。おねえさん、よめる?」 「読めるわよ。……この袋にお金が入ってるのかな」 「重たいよ、そのふくろ」 「……これだけあれば、半年はアリス劇場見放題ね。……はあ。困るのよね、こーいうの」 「おねえさん、こんにちはー!」 「相変わらずあんたは元気ね。しばらくぶりだけど、特に心配はなさそうね」 「しんぱいないよー!」 (ご飯もちゃんと決められた量を食べてるし、水も大丈夫ね。知能が低そうに見えて、意外と後先を考えられるみたいね) 「きょうはどんなおはなしなの?」 「今日は、小生意気な空飛ぶ巫女が美しい大自然を破壊し尽くすお話よ」 「たのしそう!」 「……冗談よ」 (とはいったものの、そういう破天荒な話にせざるを得ないくらいネタがないのよね。……まあ、これだけ短期間に多くの劇をやれば脚本が足りなくなることなんて目に見えてたわけだけど。次来るときには何をしよう……) 「ゆっ?」 「はあ。あんたは悩みがなさそうでいいわねえ。あんたみたいなのを使えたら……!」 (その手があったか! ふふ、これは受けるぞお!) 「おねえさん、すごくうれしそうだね。ぶっちゃげ、ちょっとキモい」 「……ハッ!」 (何で私が夢中になってるのよ……これは仕事よ、仕事……確かにネタは浮かんだけど、ここまで大袈裟に喜ぶことでもないじゃない……) 「さ、さ、じゃあそろそろ今回の劇をはじめまーす」 「それじゃあ、また今度、一週間後ぐらいかな、多分」 「おてんきわるいから、ゆっくり早く帰ってね!」 「どっちなのよ。……そういえば、最近雲が多いわね。台風でも近づいてるのかしら……」 下に続きます。 あなたが笑うまで・下 名前 コメント
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木曜劇場 あなたがしてくれなくても 共通事項 基本の放送時間…木曜22 00~22 54 絨毯の上に KIRIN、SUNTORY、JP ゆうちょ銀行、アサヒビール、FUJIFILM、SECOM、doda、Zespri KIWIFRUIT、indeed インディード 以外カラー表記 備考 COMPLETE 固定スポンサー Daiwa House LION KOSE NISSAN レイク P G TCB(東京中央美容外科) SUNTORY(2023年5月~23年6月) 2023年4月13日 ♯01[新](22 00~23 09) 1’00”…KIRIN(キリンビール)(0’30”扱い) 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、TCB(東京中央美容外科)、バイエル 2023年4月20日 ♯02 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、アサヒビール、TCB(東京中央美容外科)、SUNTORY、JP ゆうちょ銀行 2023年4月27日 ♯03 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、アサヒビール、TCB(東京中央美容外科)、SUNTORY、宝くじ(PT) 2023年5月4日 ♯04 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、SUNTORY、TCB(東京中央美容外科)、KIRIN(キリンビール)、FUJIFILM 2023年5月11日 ♯05 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、SUNTORY、TCB(東京中央美容外科)、KIRIN(キリンビール)、SECOM 2023年5月18日 ♯06 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、SUNTORY、TCB(東京中央美容外科)、KIRIN(キリンビール)、doda 2023年5月25日 ♯07 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、SUNTORY、TCB(東京中央美容外科)、KIRIN(キリンビール)、FUJIFILM 2023年6月1日 ♯08 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、TCB(東京中央美容外科)、SUNTORY、Qoo10、宝くじ(PT) 2023年6月8日 ♯09 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、KIRIN(キリンビール)、TCB(東京中央美容外科)、SUNTORY、Zespri KIWIFRUIT 2023年6月15日 ♯10(22 15~23 09) 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、indeed インディード、TCB(東京中央美容外科)、SUNTORY、Zespri KIWIFRUIT 2023年6月22日 ♯11[終] 0’30”…Daiwa House、LION、KOSE、NISSAN、レイク、P G、indeed インディード、TCB(東京中央美容外科)、SUNTORY、doda 2023年6月29日 あなたがしてくれなくても特別編【あなたと出会えてよかった…】 1’00”…KIRIN(キリンビール)(ロゴは1’30”仕様) 0’30”…Daiwa House※、LION※、TCB※(東京中央美容外科)、KOSE※、NISSAN※、SUNTORY、レイク※、P G※
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あなたがいないなら何もいらない 第1話 嵐の前の静寂 あなたがいないなら誰もいらない 第2話 饗宴の始まり あなたがいないなら何もいらない 第3話 腥い夜陰の中 あなたがいないなら何もいらない 第4話 絢爛たる渇望 あなたがいないなら何もいらない 第5話 飛翔する我欲 あなたがいないなら何もいらない 第6話 龍虎相対する あなたがいないなら何もいらない 第7話 酔余と悲憤と あなたがいないなら何もいらない 第8話 頑是なき龍虎 あなたがいないなら何もいらない 第9話 シャム猫の弁 あなたがいないなら何もいらない 第10話 権力欲の彼方 あなたがいないなら何もいらない 最終話 龍虎相打たず
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あなたと握手を 第一話 あなたと握手を 第二話 あなたと握手を 第三話 あなたと握手を 第四話 あなたと握手を 第五話 あなたと握手を 第六話