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3. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/05(金) 20 34 45.36 ID WB/9Np2o http //blog.livedoor.jp/kbmt/ 21. 落ちたな 2008/09/08(月) 21 33 52.15 ID M.fpC.AO セレン「な…な……死んだ?」 リン「えぇ……この目で見たわ…」 セレン「ケラケラケラケラケラケラ」 リン「!?」 セレン「では…命令をスイコウするまで…」 ツカツカツカ… リン「待って!!ダメ!!いっちゃダメ!!テルル!!」 22. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/08(月) 21 37 39.77 ID M.fpC.AO セレン「ぐ………ぐぁぁ……や……め………て」 リン「テルル!!テルル!!!」 セレン「く…………壊…れ……る」 ―――――――― ニトロ「…………さぁてと」 ニトロ「そろそろやろうかな…………エクササイズ」 コキッコキッ… ニトロ「最近対価が割に合わないような気がしますが……まぁいいでしょう……ギギッ」 23. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/08(月) 21 37 47.82 ID 7Ihf1kko 落ちたな ついでに判別のために酉だけ適当に付けておいてくれ 24. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 21 39 00.69 ID M.fpC.AO これでいいかな 28. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 21 43 38.53 ID M.fpC.AO ハロゲン市 早朝5 12 天候 晴 皇子「日が昇り始めたな…嵐も去った…」 クロム「市民は無事東側へ退避させました」 クロム「ですが本当に西から奴は来るのでしょうか?」 皇子「ネオンがそう言っていた…癪だが今は信じるしかない…」 兵士「申し上げます!西から一人!真っ直ぐこちらへ向かってくるのが見えます!」 クロム「…………」 皇子「きたか……みな…臨戦態勢だ!!」 29. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 21 50 11.65 ID M.fpC.AO ニトロ「………でかいねぇ……大昔はこんなんじゃなかったんだけどねぇ」 ニトロ「なぁんか……読まれてたみたいですね…臨戦態勢じゃないですかギギッ…」 ニトロ「吾が輩の性格をご存知な方がいるようだ…これは……面白くなりそうですねぇギギッ」 ――――――― 西側城門上 部下「みな……奴とまともに戦ってはならぬ!砲撃を直撃させることを考えろ!」 兵士「はっ」 部下「…あと少しで射程内だ……狙いを定めよ…!」 30. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 21 52 36.72 ID M.fpC.AO ザッザッザッ… ニトロ「………………」 ――――――― 部下「もう少し引きつけるんだ……あと10歩……9……8」 部下「7…6…5…4…3………2…1……」 ニトロ「やぁ!人間諸君!いい朝だね!!こんな朝は体操から始めるのがいいらしいって!!別の世界の奴に聞いたんだけど―」 部下「うっ…うてぇぇぇ!!!!」 32. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 21 54 50.52 ID M.fpC.AO ドンドンドン!!!ドンドンドン!!! ドカーンドカーンドカーンドカーン!!! 部下「やったか…!」 ヒューーーー……… ニトロ「人間さんは火薬の使い方がうまいねぇ…ちょっとの間にこんな威力あげるなんて…ギギッ……吾が輩達がいなくても勝手に自滅しそうだね」 部下「なっ………こんなものでは撃退できないと思っていたが無傷とは……!!みな!城内に入れ!!」 ニトロ「さっきの続きなんだけどね、聞いた所によるとラジオ体操ってのがあって、これが目覚めにいいらしいんだって。1日のコンディションがよくなるんだって!」 ダッダッダ!!! 兵士「うわぁっ!!来たぁっ!!」 ニトロ「よく覚えてないけど、試してみるよギギッ」 33. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 22 02 03.54 ID M.fpC.AO ニトロ「ラジオ体操第一〜!」 ガッガッガッ!! 兵士「の、登ってきたぁぁぁぁっ!!!!」 ニトロ「まずは腕を広げて〜!!手を横に動かす運動〜!!」 ニトロ「おいっちに」 ザクッ 兵士「ぎゃ」 ニトロ「さんっし」 シュプッ 兵士「んぎゅ!」 ニトロ「にーに」 ザクッ 兵士「ぐゃぁぁ」 ニトロ「さんっし」 ザクッグシュッ 34. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 22 09 55.68 ID M.fpC.AO ニトロ「次に両手を大きく伸ばす運動〜!!だっけ」 ザクッザクッザクッ!!! 兵士「ひぃぃぃ!!助けてくれぇぇぇ!!」 シュパッ! 部下「ま…まさか城壁を登るなんて…!!」 ニトロ「続きまして〜腕を伸ばす運動〜!!あれ?まいいか」 サクッ…サクッ…ザクッ!! 兵士「ぎゃぁぁぁぁ」 ニトロ「屈伸〜!!……おいっちに…」 兵士「今の内だ!逃げろ〜!」 36. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 22 23 41.59 ID M.fpC.AO ニトロ「にーに……って逃げたらスタンプあたりませんよ!!」 ダッダッダ! 兵士「ひぃぃぃ」 ガシッ ニトロ「参加賞で顔面にスタンプを差し上げます」 バキィッ! ニトロ「あらら…折れちゃった…ギギッ」 ニトロ「引き続きまして〜…ラジオ体操第二〜」 部下「くそっ……化け物め!!この爆弾砲で…!!」 ドン!!ドカーン!! ニトロ「イタタ……!至近距離はやっぱ痛いねぇ……君には特大スタンプを押してあげよう!ボールペン貰えるといいねぇ〜」 バキョッ! 部下「ぶぺが」 37. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 22 29 39.69 ID M.fpC.AO ニトロ「深呼吸〜〜吸って〜〜吐いて〜!!」 ビュー!!ドコーン!! 兵士「ぎゃぁぁぁぁ」 ニトロ「吸って〜吐いて〜!」 ビュー!ドコーン!!! 兵士「ぐぁっ!」 ニトロ「ふぅ……なかなかいい朝を迎えることができました。新しい朝が来た〜絶望の朝〜だ!悲しみに怯え苦しんで〜大空〜仰げ〜♪っと歌詞に自信ありませんがギギッ」 ――――― 皇子「精兵達よ………すまぬ………よく引き入れてくれた……」 皇子「彼等の死を無駄にするな…!!着火の準備だ!」 42. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 22 49 32.71 ID M.fpC.AO ニトロ「さぁてと…体も慣らしたことだしささっとやっちゃいますか」 ツカツカツカ… ニトロ「誰もいませんね〜吾が輩に恐れをなして逃げてしまったんでしょうかギギッ」 兵士「対象が爆破エリアに侵入しました」 ニトロ「水浸しじゃないですか…ん…火薬のにお――」 ドドドドコーン!!ドカーン!ドカーン!!ババババ!! ドキャンドキャン!!!ドドドドコーン!!!! 皇子「………頼む……!」 ドドドドコーン!!!ドカーン!! シュゥゥゥゥ………… 44. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 22 56 35.68 ID M.fpC.AO 皇子「……………」 シュゥゥゥゥ………… モクモクモク……… ニトロ「………………」 兵士「粉塵で視認できません」 皇子「………!」 ニトロ「新しい朝がきた〜絶望の〜朝だ〜苦しみに生きることを嘆き〜脳味噌ぶちまけて[ピーーー〜♪」 兵士「ばっ…―ぎゃ」 メキメキメキ ニトロ「ヤバかった……ヤバかったよ………死ぬかと思ったよ………吾が輩死ぬかと思ったよ」 皇子「そ…そんなっ!」 ニトロ「腹の辺りもげちゃいまたよ…吾が輩が衝撃に弱いのを知っていましたねぇ…さぁどうしてやろうか」 45. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 22 57 59.08 ID M.fpC.AO ピー入ったwwwwww ○ね ね 47. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 23 10 40.89 ID M.fpC.AO ニトロ「……ここの頭みぃつけたギギッ」 バッ! 皇子「くっ…!」 ニトロ「まずは貴様の脳味噌からぶちまけてあげますギギッ」 クロム「プロテクトオブギルティ!!」 バチィ! ニトロ「く……魔法使人がいらっしゃいましたか…」 クロム「皇子!安全な場所へ!!私も長くは持ちませぬ!」 皇子「私も戦う!!」 ニトロ「魔法使人に魔族のガキを植え付けりゃ楽しいことになるんだがなぁギギッ」 クロム「あなたは大切な御身!!いずれ新たな王道を築くお方!!ご自重ください!!」 48. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 23 16 39.50 ID M.fpC.AO 皇子「………だがっ!!」 クロム「早く!!ぐっ…!」 ニトロ「ギギッ…対魔族魔法は所詮上級魔族には長くは持ちませんよ」 皇子「わ…わかった!!」 クロム「くっ……!!」 バチィ…バチィ ニトロ「薄くなってきたねぇ…あと少しだねぇ…特別の奴をお前に植え付けてやるよ……植え付けられたら最期…お前は魔族を孕んで育てるんだからねぇギギッ」 クロム「くそぉ………」 ガチャァァン!! ニトロ「ギギッ」 男「お……おりゃぁぁぁ!!!!」 ザクゥッ!!! 50. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 23 17 26.52 ID M.fpC.AO 49 お疲れ様です 感謝します 52. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/08(月) 23 24 37.42 ID M.fpC.AO ニトロ「私の装甲を貫くとは…」 男「や…やったか!?」 ニトロ「ノンノン…あなたの頭が吹っ飛ぶことになりました」 パァン!!! ニトロ「あらっ!?」 女「ふぅ…防御魔法…間に合ったみたいね…」 男「あ…あぶねぇ……」 63. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 09 32 47.81 ID 7gi1q2AO 52は私じゃなくて吾が輩ね 間違えた 64. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 11 13 46.96 ID 7gi1q2AO ニトロ「全く…あと少しで弾け飛ぶところだったのに」 男「や…やべぇ……防御魔法がぶっ壊されるぞ!!」 女「に…!逃げて!保たないわ!!」 男「くっ……!動いたらやられる!!」 ニトロ「ギギギッ」 クロム「バム!!!」 ドコォン!! ニトロ「ギッ…!!」 クロム「今の内にそこから離れて!!」 ニトロ「どーいつもこいつもぉ……!!」 65. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 11 14 46.19 ID 7gi1q2AO 男「うわっ…!!」 ドテッ 女「男君!!」 ニトロ「アタタ…やたら強力な攻撃魔法ですねぇ…とりあえずこのガキを殺しますね」 男「あわわわわ……!!」 ネオン「らぁっ!!!」 バキィッ!! ネオン「もういっちょ!!」 ザキィッ!! ニトロ「うギギギッ……!!」 ネオン「やっぱこの程度じゃダメか!!」 ニトロ「あなた方の戦法は不意打ちしかないんですか?」 バキィッ! ネオン「ぐぁっ!!」 66. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 11 15 48.72 ID 7gi1q2AO ドサァッ!! ネオン(くっ防御しても吹っ飛ばされるとはな…!) ニトロ「いい加減にしてください…怒りますよ?」 ダッ クロム「ネオン…!」 ネオン「聞こえないふりをして聞け…お前…魔法使人なら魔縛魔法陣の張り方を知ってるよな」 ネオン「この先の広場で張るんだ…おそらく10分くらいしか動きを止められないが…その間に衝撃を与える準備をする」 ネオン「爆破で殺れるかと思っていたが予定変更だ…俺が奴を引き留めて誘導する…五分で作れ」 67. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 11 17 19.00 ID 7gi1q2AO クロム(わかった…!) クロム「すまぬ…私は逃げさせてもらう!」 タッタッタッタ ニトロ「あーあ…ま、後でゆっくり頂きますがギギギッ」 ネオン「真っ黒野郎!俺が相手だ!!おらぁっ!!」 ガンッ! ネオン(と…止めやがった) ニトロ「なかなかいい剣筋ですが……見切れないことはありませんよ」 男「くっ!!くそぉ!」 バチバチバチ!!(錬成) 男「むっちゃくちゃ鋭くしてやったからなぁ!!」 ビュンッ! ニトロ「遅い!!…な!!?」 ザクゥッ! 68. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 11 18 09.01 ID 7gi1q2AO ニトロ「な…なんだお前の剣はぁぁぁぁ!?」 男「親指が飛んでったぜ――ぎゃ」 バキィッ!! ニトロ「吾が輩の指を持ってくとは…!そうか貴様錬成魔法の使い手だな!?鉄の構造を組み替えてここまで鋭く…!!予想外だ!」 ネオン「どこ見てんだ真っ黒野郎!!!くらいやがれ!」 ダッ! ドコーン!!(爆弾砲) ニトロ「ぐギィッ!!」 ニトロ「く……猿共がぁっ!!ビクティムオフ!!!!」 ピーー!!!!チュドーン!!! 69. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 12 00 11.68 ID 7gi1q2AO ネオン「くっ!!!」 男「うわっ!!」 女「ディフェンディル*!!」 *一点攻撃を無効にする、標準防御魔法 バチバチバチィ!! 男「さ…サンキュー……!危なかった…!」 女「守りは私に任せて!!」 ドカーン!! 兵士「うわぁぁぁ!!」 ニトロ「昔から貴様らは集団戦法が得意だったっけなぁ……あんときもはめられてやられちまったがぁ……ギギギッ」 ニトロ「おめーらは殺します!!さっき逃げた奴も罠を張ってるんだろう…!吾が輩がわからぬと思ったか!!」 ネオン「じゃあいかせねぇよ!ここで氏ね!!」 ガギィン!カン!カン!! ニトロ「…っ流石は剣の玄人ですねぇ…腕を二本使わせるとはねぇ…」 ネオン「ならこっちも二本だ!!どうする!腕が四本必要だな!!」 シャキィン 70. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 12 39 14.97 ID 7gi1q2AO ニトロ「腰に挿してるもう一本は飾りじゃなかったんだねぇ…でも安心してください、足使いますからギギッ」 カン!!ガンッ!! ネオン「くそっ……やるじゃねぇか…!!」 男「す…すげぇ戦いだ…!入り込む隙間がない…!」 ガキィン!!ガッガッガッ!! ネオン「絶対いかせねぇ……絶対あっちにいかせねぇ……」 ニトロ「行くなって言われると行きたくなるじゃないですか…あなたですね吾が輩の性格を知っているのは」 71. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 13 37 01.62 ID 7gi1q2AO 男「でっ…でもっ加勢しなきゃ…!」 ダッ 男「おらぁぁぁぁ!」 ニトロ「邪魔です」 ゲシィッ!!(蹴り) 男「うわぁぁぁ!」 女「男君…!弱い……!」 男「ゲホッ…ゲホッ…うわぁぁぁ……血がぁぁ」 女「もうっ…!リキュア…!」 ボワッ…! 男「ご…ごめん……それにしても全身刃物野郎なんて…勝てんのかよ……」 72. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 13 38 13.53 ID 7gi1q2AO ガッガッガッ!!ガキィンガキィン!! ネオン「くそっ………!!」 ニトロ「なかなかやりますねぇ………ですがぁ…!」 スパァッ!! ネオン「うぐっ……!」 ニトロ「あらら浅傷ですねぇ…よくかわしましたねぇ」 ネオン「ヤバいぜ……全く……こんなとこに来るんじゃなかったぜ………」 ニトロ「ふふん…久しぶりに吾が輩の血が沸きましたよ…さぁ!内臓を地面に晒しなさい!!」 73. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 13 39 48.15 ID 7gi1q2AO 女「男君!いくわよ!!ヴィクイック*!!」 *対象のスピードを上げる魔法、中級魔法、燃費は悪い 男「えっえっ……う、うわわわわわわ!」 ビュンッ! ニトロ「まずは生きたまま胃の内容物を………」 ネオン「…………バカめ」 ニトロ「………!?」 ビュンッ! ザシュッ!!(右脇腹貫通) 男「う……わわわわ…!」 ネオン「男!!!下がれ!!」 ニトロ「小癪なぁ…………!」 ネオン「おらぁっ!!」 ドン!ドカーン!!(爆弾砲)(右脇腹命中) 男「うわぁっ…!」 ニトロ「ギュギッ……ギィィィィィ!!!」 76. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/09(火) 14 56 15.24 ID 7gi1q2AO ネオン「どうだ……!効いただろう!!」 ニトロ「ギュギッ……ゆ、許さん!!許さん!!細切れにしてやる!!細切れにしてやる!!」 ブシュッ(刺さった剣を引き抜く) プシューー…! ニトロ「ふんっ!!」 バキィッ!! 男「う…嘘だろ…あれを折るなんて…!?」 カランカラン… ニトロ「すぅ………」 ニトロ「頃すっ!!!!!!」 ダッ! ネオン「ちぃっ!!まだ動けるのかよ!!」 ガキィン!!(剣を弾く) ネオン(なっ弾きやがった!!) 77. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/09(火) 14 57 56.89 ID 7gi1q2AO カランカラン… ネオン(ちっ…一本だけじゃっ…!) ガッガッガッガッガッガッ!!! ニトロ「うらうらうらうらうらうらうら!!!うらぁっ!!!」 ネオン「くそがぁっ…!!」 ガッガッガッガキィン!ガキィン!! ザクッ!!!!(右肩貫通) ネオン「ぐ…ぐぁぁっ!!!」 ニトロ「どうしたぁどうしたぁ?さっきまでの威勢はどうしたぁ?」 ギチギチギチ(刺さった手を捻る) ネオン「ぐ………うぐぐ……!」 ニトロ「そこのガキども!次はてめぇらの番だそこを動くなよ!!」 79. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/09(火) 16 13 46.27 ID 7gi1q2AO 男「ネオンさん…!!」 ニトロ「こいつが細切れになるところを見ていなさい…いいですか?」 ネオン「だからよそ見すんじゃねぇって言ってんだろ!」 カチャッ ドカーン!!(右脇腹至近距離で直撃) ネオン「ぐはっ…!!」 ドサッ ニトロ「ギチギチギチ……!!ギィィィィィ……!!ギィィィィィ!!」 女「ネ…ネオンさん!!今手当てします!!」 ネオン「かはっ……くそっ…全身大火傷だ………」 女「ひ…酷い…私の回復魔法じゃ…」 ネオン「死ななきゃ…それでいい……時間は稼げたはずだ……」 80. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 17 54 10.84 ID 7gi1q2AO ニトロ「ぐっ……!!ぐぅぅぅ!!」 女「り…リキュア!」 ボワッ… ネオン「とにかく……広場に連れてってくれ…奴が動き出す前に……」 男「この体で……!」 ネオン「いいから……早く言うとおりにしろ……魔法のおかげで皮は剥がれねぇみたいだし……」 女「は…はい!」 ニトロ「に……逃がすかぁぁ……!!!」 男「くっ…女!頼んだ!!」 ドン!!ドコォン!!(爆弾砲) ニトロ「ギギッ……!!傷口ばかり狙いやがってぇ!!」 カチャッ(ネオンの落とした剣) 81. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 17 55 11.03 ID 7gi1q2AO 男「やってやる!!蛮勇でもやらないよりかはマシだ!!女!!逃げろ!!!」 バチバチバチ(錬成) ニトロ「ギチギチギチ………甘くみるなガキぃ……吾が輩は最上級魔族だ……素人が吾が輩に勝てる確率は0です……」 男「う…うらぁぁぁぁぁっ!!!」 カキィン!! ニトロ「剣では吾が輩には勝てんギギッ」 男「くそっ……くそぉぉぉっ!!」 女「ダメ!!男君逃げてぇぇ!!」 ニトロ「しぬぇ!!」 リン「男君伏せて!!!」 ズガーン!! 82. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 17 55 37.00 ID 7gi1q2AO 女「リンさん!!」 リン「早くその重傷患者をどっかやりなさい!」(ネオンの爆弾砲所持) ニトロ「グギギ………!!また新手ですか…」 男「う…うわぁぁぁ」 タッタッタッタ リン「もう一発!!!」 ドン!!!ドカーン!!! ニトロ「ギィィィィィ!!!」 ドカァッ!! リン「今の内よ!!早く!!」 タッタッタッタ…!! …………パラパラ… ニトロ「…………ギチギチギチ」 83. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 17 56 43.51 ID 7gi1q2AO 下層中央広場 女「はぁっ…はぁっ……」 クロム「ネオン!?大丈夫か!?」 ネオン「あぁ………なんとかな……魔法陣は?」 クロム「できた!あとは奴を中に誘い込むだけだ!」 男「はぁっ…はぁっ…死ぬかと思った……!」 女「リンさん…どこにいたんですか…?」 リン「話はあとよ…………きたわっ!!」 ……………… ザッザッザ… ニトロ「ギチギチギチ……予定変更だぁ……この中にいるやつら全員一人ずつ切り刻んでやる……契約違反じゃないから問題はない…残虐さがちょっとあがるだけだ」 リン「あれだけ撃ったのにまだ歩けるなんて…」 87. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 20 52 36.46 ID 7gi1q2AO ニトロ「頃す…頃す……てめぇらまとめて生きたまま脳味噌と腸引きずり出してやるからなぁ」 ザッザッザ… クロム「入った…!!」 ガチーン!! ニトロ「ギギッ……魔縛魔法陣かっ……また懐かしいものを………」 ネオン「今の内だっ!!何か衝撃翌与えるもん持ってこい……!!!」 ニトロ「ギチギチギチ……!!」 男「どれくらい保つんだよ……!?」 クロム「私は対魔族魔法は専門外だ!…この分だと4分が限界だ!」 男「火薬は全部使ってしまったんだろ!?」 パリーン!! クロム「爆弾砲の弾をかき集め……れ……ば……」 88. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 20 53 49.72 ID 7gi1q2AO 女「あいつ……破っちゃったわよ!?」 ネオン「なっ…」 ニトロ「この程度で吾が輩を止めようなど笑止!笑止!笑止!」 クロム「ばか……な……対魔族魔法だぞ………」 ニトロ「どーせ教科書の中身通りやったんでしょう、世の中教えられたことが絶対とは限らないんだよ?お嬢ちゃん?ギギッ」 ネオン「奴の急所に爆弾砲を撃ちまくれ!それしかない!!」 ニトロ「ギチギチギチ…させませんよぉ」 バッ…! ネオン「……!!」 バコォッ!! ネオン「ぐふぅっ!!!」 ニトロ「まだ殺しませんよ……地獄の苦しみを与えてからです」 89. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 20 55 54.73 ID 7gi1q2AO ネオン「ぐはぁっ…」 ドサッ…ボトボトボト… ニトロ「吾が輩を虚仮にした罰ですよ」 バッ……!! 男「う……うわぁぁ」 バキバギバギッ 男「あ………かはっ………が…」 ニトロ「今のは何本か骨が砕ける音ですねぇギギッ」 90. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/09(火) 21 14 18.12 ID 7gi1q2AO 女「男君っ!!!!」 ニトロ「ギチギチギチ!!まだ殺さねぇよぉ…まだなぁ」 女「よ、よくも……男君を!!!」 男「お…女……やめろ……」 女「男君…!!」 ニトロ「ギチギチギチ!!」 クロム「私がやる!!はぁぁぁぁ!!!バックェフ*!!!」 *強力な爆破魔法 攻撃魔法が得意なクロムなどが使える カッ!!ボーーン!!!!! ニトロ「ギィィィィィ!!」 ニトロ「………ギギッ………ハズレ………」 クロム「な………な……そんな……」 ダッダッダ! ニトロ「お嬢ちゃんそんなに死にたいのかなぁ?」 91. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 21 23 02.15 ID 7gi1q2AO クロム「ひっ………」 ドカーン!! ニトロ「ギィィィィィ……ガハッ……またぁ不意打ちかよぉ…」 皇子「クロム!!」 皇子「君を死なしてしまったら私は一生悔いを残してしまう!そんなことは―」 ピーー!!!ドカーン!! 皇子「うわぁぁぁ……!!」 ガラガラガラ… クロム「皇子!!!」 92. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 21 28 52.04 ID 7gi1q2AO ニトロ「こんな時に奇麗事を並べる奴は大昔に絶滅したと思ったがぁ…まぁだいたとは…天然記念物だなぁこりゃ」 クロム「皇子をっ…!!バックェ―!」 バッ(口に手を) ニトロ「こんな至近距離で唱えちゃお嬢ちゃんも死んじゃうよねぇ〜」 クロム「……!!」 ドスッ!! クロム「あ…」 ドサッ… 女「クロムちゃん…!!!」 ビュンッ!! ガキョッ!! ニトロ「ギギッ…一体何人いるんだぁ…?」 94. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 21 35 50.98 ID 7gi1q2AO セレン「…………」 ニトロ「ん……お前は…上級魔虫じゃないか…なんのつもりですか?ギギッ」 セレン「わからない………」 リン「テルル!!来てくれたんだ……」 ―――――――― リン「行かないで!!テルル!!」 セレン「やめてやめてやめてやめて……」 リン「…………!」 セレン「お姉ちゃん……やめて………頭が……痛い……」 リン「テルル!!?」 バンッ リン「いたっ…」 セレン「私をテルルって呼ばないで…私はセレン……」 95. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 21 42 32.52 ID 7gi1q2AO ダキッ… リン「いっちゃダメ……いっちゃダメ………!!あなたに…人殺しなんか…!」 セレン「……………」 リン「私達は……!2人で……復讐を遂げるんだって…」 セレン「……………」 リン「どうして……どうして………こんなことに……」 セレン「時間を………」 リン「……え……」 セレン「私の中で何かが戦ってる……」 ツー… リン(涙………) セレン「考えさせて……リン…」 ガチャッ… 96. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 21 47 38.63 ID 7gi1q2AO タッタッタッタ…… リン「……テルル…………」 どどどどーーーーーん!!!! リン「な……なに……!?」 リン「女ちゃん………!!男君………!!」 ――――――― ニトロ「魔虫といえど……魔族と同じじゃないか……何がお前をそうさせた…?」 セレン「………わからない………」 ニトロ「……?」 セレン「だけど……何かあなたを……やらなきゃ……」 ニトロ「いいでしょう………人間の面を被った虫さん」 97. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 21 53 56.39 ID 7gi1q2AO リン「テルル…!!!」 セレン「私は……セレン………虫……」 バッ…!! バキッ!!ドンッ!!! ニトロ「ギギッ……ギギッ…!!!虫けらが吾が輩に刃向かうなど……!!」 ドンッ!!ドンッ!!! 男「あ…あれは…………クロムが撃ち落とした………」 女「男君…しっかり…!」 男「大丈夫だ……あばら骨が…何本が……ぐっ……」 バンッ!バンッ!バンッ! ニトロ「虫のくせに……やりますねぇ……!虫の意識なのかわかりませんが…」 98. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 21 58 27.39 ID 7gi1q2AO セレン「ケラケラケラケラケラ」 バンッ…バキッ… 女「リンさん…闘ってるのは…」 リン「私の双子の妹……だったものよ……」 女「寄生されたんですか…」 リン「今の内に…男君を連れて早く安全な所へ……」 ニトロ「くっ…面倒ですね…ビクティムオフ!!」 100. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 22 03 51.91 ID 7gi1q2AO ピーーーーーー!!!ドドドドドド!!!! ガラガラガラ!!(瓦礫) 女「きゃぁぁぁ!」 リン「くっ……!!」 ドカァッ!! リン「ぐっ……あ……」 女「イタタ……足が………り!リンさん……!私達の盾になって……!」 リン「早く………逃げなさい……あなた達は…まだ死んだら……」ガクッ 女「リンさん!リンさん!!」 男「早く…離れるんだ……」 102. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 22 07 40.96 ID 7gi1q2AO ニトロ「あらら……かわされましたか……」 セレン「ケラケラケラケラケラ…」 ニトロ「ギチギチギチ…」 バキッ!バンッ!バキッ! ドドドドドド!! セレン「…………!」 ニトロ「らぁっ!!!」 ザクッ!!! ニトロ「綺麗なお肌に傷がつきましたよ」 セレン「…………!!」 ドンッ!! ニトロ「ギィィィィィ……ギッ…やりましたね……」 103. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 22 14 33.52 ID 7gi1q2AO バシュッ! ニトロ「ギギギギッ!!腕もーらい!!」 セレン「くっ………」 ニトロ「あなたは虫の癖に強いですねぇ……何が力を増幅させてるのか知りませんが…害虫は駆除しなくては」 セレン「やぁっ!!」 ヒュン!! ニトロ「ギギッ!!惜しいねぇ…うらぁ!!」 ザクッ!!! ニトロ「片足もーらい!!」 セレン「………はぁ…はぁ…」 ニトロ「ギギッ…もう終わりだねぇ…」 105. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 22 25 48.37 ID 7gi1q2AO セレン「くっ……!!」 ダッダッダ!! ニトロ「まだ何をするのかなぁ?」 ダッ ニトロ「しねぇっ!!!」 シュッ! ニトロ「……ちっ!!」 ガシッ!! ニトロ「な……!?離せ!!」 セレン「ダラダラダラダラ…」 ニトロ「なっ…何を吐いている!?」 セレン「TNT…」 ニトロ「どこでそんなものを!!?」 セレン「さっき……」 ニトロ「離せ!!くそっ!!」 カッ……… ドコーーーーーーン!!!!! パラパラ……… 106. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 22 33 37.39 ID 7gi1q2AO ――――――― ―――――― バシャ…バシャ…… 女「男君………しっかり……」 男「くそっ……足は大丈夫か…?」 女「うん……大丈夫……」 ドコーーーーーン!! 女「!!!!」 男「だ……まさか……勝ったのか…?」 107. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 22 38 28.28 ID 7gi1q2AO バシャ……バシャ…… 女「誰か……来る…」 ニトロ「ギギッ…どうやらご期待にお応えられなかったようですね」 男「……………」 ニトロ「ギギッ……危なかった…危なかったよ……さすがに死ぬかと思ったよ……やばいよ…」 女「そ……そんな……」 ニトロ「さぁてお前たちをやってからじっくり全員殺してやる…ギギッ…」 男「くそっ…」 バシャッ… ニトロ「もう吾が輩を殺せる手段は無くなったみたいですね…」 109. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 22 46 49.26 ID 7gi1q2AO 男「女………」 男「…………」 女「わ…わかった……」 ニトロ「もう体ボロボロなんですよねぇ…正直あなた方がここまでやるとはねぇ」 コポコポコポ… ニトロ「危なかったですよぉ…だけどもう火薬も何もないしねぇギギッ」 コポコポコポ… ニトロ「ギギッ…では大人しく切り刻まれてくださぁい」 111. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 22 53 13.24 ID 7gi1q2AO コポコポコポ… 女「し…シールドホール*!!」 *球体のエネルギーシールド ブォン!! ニトロ「最後のあがきですかぁ…?無駄ですねぇ」 コポコポコポコポコポコポ…… バシャッ…バシャッ… ニトロ「こじ開けてあげましょうギギッ…」 女「……フレイム!!!!」 ポッ……ドカーーーーーーン!!!!!!! ニトロ「ギッ…………ば…………ばか………な…………!!!!」 ニトロ「ギィィィィィ!!!―――――」 113. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 22 56 20.69 ID 7gi1q2AO 男「くっ………」 女「…………っ!!!」 パリーン!!! 女「きゃぁぁぁ!!」 ―――――――――― ハロゲン市の戦いは魔族ニトロの消滅によって幕を閉じた
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449. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 18 33 09.54 ID kJuU5sAO 第三章は「神都炎上」の予定でしたが変更しました。 ――――――――― ●第三章「初めての始まり」 できすぎていた。 タンタル軍の侵攻と呼応するかのようにアボガドロ帝国領海に侵攻してきたカリホルニウム軍。 この侵攻によりプルト市に駐留していた後軍は 海上防衛に割かれることとなり 嵐もあいまってハロゲン市は事実上孤立無援と化したのだ。 そして、タンタル領へ向け南侵していた皇弟ニッケル軍は壊滅、南征軍大将のニッケルは戦死。 死体はベンゼンの皇宮前広場に曝されていた…と。 偶然…?偶然だと言うのか? いや…明らかに我々兄弟を抹[ピーーー]るための布石だ。 思えば最初から何かがおかしかった… もしかしたら自分もそうなっていたかもしれない。 アルゴンは、得体の知れぬ実体のない力に怒りと畏れを感じた。 450. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 18 54 52.36 ID kJuU5sAO アルゴンはもともとはあまり人を疑うことは好きではない。 だが、国家の皇族となれば 権力の中枢の魑魅魍魎に身を晒し その悪しき人間の業とも言うべき現実を目の当たりにしなければならず 上に立つものとして懐疑心は我が身を守るためには必要なものとして自覚はしていた、が やはりどこか自分の性には合わない気がしていたのだった。 今回の一連の事柄は明らかに我が身に矛先が向いている。 この身分である以上幾度か命は狙われてきたが 取るにたらないものだった。 しかし今回は違う。 命を狙う者は自分の身近な所に存在し策略を張り巡らし、現に弟は戦死…いや殺されたとみていい。 アルゴンの懐疑心は絶頂に達していた。 しかし、自分が懐疑心の下に動かずただ殺されるのを待つのも嫌だった。 ならば、こっちから仕掛け、その陰険な手段を使っているやつを見つけてやる。 …そう考えた。 そして思い出していた…。 死んだ弟のことを…。 451. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 19 14 00.56 ID kJuU5sAO ――――――― 1ヶ月前… ―アボガドロ帝国 ベンゼン 「アルゴン皇子がご帰還なされたぞぉー!早く道を開けろ!!」 ワァー!ワァー! 誰もが羨むような勇壮な騎馬隊の先頭にアルゴンはいた。 アルゴン(半年振りのベンゼン…か) ベンゼンに入城したアルゴン一行の騎馬隊は 城民が並ぶ長い街路を抜け ベンゼン主城の巨大な門を抜け 宮門前で停止した。 アルゴン「皆長い行軍ごくろうだった。家に帰ってゆっくり身体を休めてくれ」 「ハッ」 アルゴン「さて…」 452. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 19 37 16.95 ID kJuU5sAO 父上にことの報告をしなくては… …とても気が重かった。 ガシャッ 白馬から降りて 出迎えの臣下のただ並べたような麗句を受け流し 宮城入ろうとした すると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた クロム「皇子」 アルゴン「クロム…半年振りか」 クロム「皇子、キュリ市*の視察はいかがでしたか?」 アルゴン「皮肉か?特に何もなかったさ、ただ一日中何もすることなく郡護太守の接待につき合ってただけだ」 クロム「…そうですか…」 アルゴン「父上から遠ざけられてるのは嫌でもわかるよ」 アルゴンは不満そうな笑みを浮かべた。 確かに、最近皇帝の嫡子という身分にも関わらず 郡市の視察や前線への補給など ベンゼンの外での雑務が多い。 453. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 21 44 32.95 ID kJuU5sAO このようなことになったのは八年前 アルゴンとニッケルの生母 エステル皇妃が避暑地で何者かに殺害されたことに始まる。 正室の皇妃が亡くなったことにより一年後、喪があけた次の日に皇帝クレゾール・コバルトは 新たな正室を迎え入れた。 と、言ってもその新しい皇妃とは前皇妃在世にも度々親密な関係を持っており 臣の間では、新しい皇妃との正式な婚姻のために前皇妃を謀殺したとか 前皇妃を妬んだ新皇妃が暗殺しただの囁かれてはいたが 噂でしかなく、とても公に語れるものではない。 無論、前皇妃が何者かに殺されたなど公表できるはずもなく 民衆向けには突然の病死ということにしていた。 そして一年後… 新しい皇妃との間に男子が生まれる。名をアルキルとした。 皇帝はアルキルを寵愛し 前妻との子供のことなど無関心であった。 そして、やがてアルゴンとニッケルを遠ざけ始めた…。 邪魔だと言わんばかりに 454. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 21 56 14.62 ID kJuU5sAO クロム「ふつつかなことを聞いて申し訳ありません……わ、私にできることがあればなんなりと言ってください」 アルゴン「気にしないでいいよ、クロム」 クロム「………はい」 アルゴンの不満そうな笑みが消えたのでクロムは一応の安心を得た。 あの顔で行けばまたなにやらいざこざが起こると思ったからだ。 しかし、あまり意味のない心配ではあった。 するとまた後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。 オゾン「おっ、アルゴン皇子、ご無沙汰だねぇ」 アルゴン「…!オゾンか。久しぶりだな、城に何か用か?」 オゾン「な〜に言ってんだよ、今日君がベンゼンに着くって聞いたからわさわざこうして出迎えに来たんじゃないか」 455. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 22 28 33.42 ID kJuU5sAO オゾンとは所謂竹馬の友だ。 小さい頃からアルゴンの遊び相手兼勉強仲間だった。 度々、弟と三人で城の外に出ては狩りをしたり 馬に乗って駆け回ったり 権力を盾に街でいたずらをしていた。 勉学ではオゾンの方が若干上で 剣術や軍学ではアルゴンが上であった。 現在はその才能を買われ若くして アルゴンの直臣兼内政官として活躍している。 アルゴン「そうか、てっきり出迎えなんかには来ないと思っていたが」 オゾン「おいおい、僕はそんなに薄情じゃないよっ」 クロム「あの…さっきから聞いてたら……えっと…」 オゾン「あ、オゾンだよ、よろしくねお嬢ちゃん。確かアルゴンの魔法使人だっけ?」 クロム「アルゴン皇子の魔法使人クロムです。あ…オゾンさん、皇子にタメ口で話してますけど」 アルゴン「いいんだ、こいつは。許してある」 クロム「そ、そうですか…」 オゾン「まさかアルゴンにこんな趣味があったなんて…ww」 アルゴン「おいっ!ちがっ…違うぞ!」 456. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/19(月) 22 41 47.92 ID kJuU5sAO オゾン「照れなくていいよっwwけどこんな少女を側に置いておくなんて抜け目ないなぁ〜ww皇子様は」 アルゴン「おいっ!違うけど周りに言うなよ!変な誤解もたれたら困るだろ!」 オゾン「へっへ〜どうしよっかな〜」 クロム「………」 皇子のさっきまで疲れていた顔が…。 やっぱり友といる方が皇子は楽しいのでしょうか…。 何だろう…変な気持ち。 アルゴン「ふぅ…。とにかく今から父上に視察の報告をしてこなくてはならないんだ。オゾンまた後でこの件について話し合おう、クロムはここで待っててくれ、用を頼みたい」 クロム「はい」 オゾン「人の趣味に突っ込む気はないから安心しなよ」 アルゴン「…………」 457. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 09 54 51.32 ID o4ufmIAO ――――― ツカツカツカ… 「お帰りなさいませ、皇子」 アルゴン「あぁ」 「皇子、陛下がお待ちです」 アルゴン「わかってる」 やはり何か気が重い。 父子であるはずなのに会うのが億劫だ…。 まだ、城の外で周遊していたほうがよかったとも思えてきた。 と、玉座の間に続くホールを歩きながら考えていると 階下のカーテンから呼び止める声がした ニッケル「兄上!ご帰還なされたのですか?」 アルゴン「あぁ。ニッケル、お前も戻ってたのか」 ニッケル「はい。昨日、賊の討伐から戻りました」 アルゴン「そうか、ご苦労だったな」 ニッケル「兄上こそお疲れでしょう、どうかゆっくり体を休めてください」 いつもと変わらない弟。 兄思いのいい弟である。ニッケルもアルキルが生まれてから 肩身の狭い思いをしていた。 だがアルゴンよりかは近くに置かれていたのは 皇帝がニッケルにまだ愛着があるからだろう。 ただいつもと変わっている所があるとすると… アルゴン「……ニッケル、どうして昨日戻ったのに甲冑をきて城内にいるんだ」 458. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 11 23 35.22 ID o4ufmIAO ニッケル「あ…えっと…これはね…」 アルゴン「また賊の討伐を命じられたのか」 ニッケル「…うん、まぁそんな所だよ」 アルゴン「……ニッケル……いやなんでもない」 ニッケル「?」 アルゴン「また…後でな」 ニッケル「わかった」 アルゴン「………」 ニッケルが普段見せないような曇った顔している時は 何かを隠している時だ 兄としてそうとは知っていても 何故かそのときだけは 聞けないような気がした 近侍「アルゴン皇子、王がお待ちです」 アルゴン「お待ち…?」 近侍「はい」 待っている?除け者にしている私を… そんなことあるはずは…あの父が… 父に対する絶望に似た憎悪の中に少しばかりの期待が湧いたが 自らの無意識が掻き消した 459. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 19 01 12.67 ID o4ufmIAO そして 玉座の間に入る華美な鉄の扉を開けた。 ギギッ ツカツカツカ サッ アルゴン「アルゴン、ただいま帰還いたしました」 両手を組む帝への礼の姿勢を取り 帝の返答を待った コバルト「面を上げよ、アルゴン」 顔を上げ、玉座を仰ぎ見る。 宝飾に飾られた椅子に座る者の表情をまずは見た 帝という立場が作り上げた眉間の皺が少しだけやわらんでいる気がした。 アルゴンは期待した。 460. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 19 30 24.77 ID o4ufmIAO コバルト「大義であった」 アルゴンは少し心が震えた 労りの言葉をかけて貰ったのは何年振りだろう ついに…父が アルゴン「あ、有り難き御言葉…」 コバルト「*キュリ市の様子はどうであった」 *ベンゼンより東方に位置する郡都 アルゴン「はっ……我らが帝国の威勢と*治により民は歓喜し、皆帝の威光を称え歌い踊っております」 *政治 父を喜ばそうと誇大した。 実際は重税と兵役などにより 民は餓え、一部の地方郡官はまるで自分の世界の欲を満たすかのように 毎夜、酒宴を開き酒池肉林を実行していた。 アルゴンが視察に来ると手のひらを返したように平服し、 誠実な地方官を装っていたが アルゴンは事前に現状は知っていた。 だが、見てみぬふりをした。 別に賄賂だとか請願されたとか逆襲を恐れたわけでもない ただ……見たくなかった 腐った物を見たくなかった 地方郡都の全てがそうでないにしても これは、紛れもなく腐敗である 461. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 19 56 01.16 ID o4ufmIAO 地方政治の腐敗は国家の根の腐敗 根が腐った大木は いずれ外郭だけを残し朽ちる ましてや中枢も… それをあえて言わなかったのは 父への小さな復讐心だったのかもしれない コバルト「そうかそうか、我が治はそこまで行き届いておるか」 と、言っても顔は笑っていない いつものことだと言わんばかりに アルゴン「ただ…一つ申し上げるなら…」 コバルト「何だ、申してみよ」 アルゴン「このところ他国への戦が多いような気がいたします、民は穀物の刈り取り時期にも徴兵され、少なからず不平を申しております…ここは戦の数を減らすべきではないかと」 帝の眉間にまた皺が蘇った コバルト「儂はお前のそのような所がいけすかんのだ!民のため民のためなどと!民はこの国の物だ!つまり儂の物だ!」 コバルト「民も国家の領土拡大のためならその心血を惜しみなく捧げてくれておる!我がアボガドロ帝国が世界を統べるためだ!民を労りすぎる貴様にはやはりこの覇業を任すことはできぬ!」 言い終わると座に腰を深く据え直し 眉間の皺がまた緩んだ 463. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 20 53 06.88 ID o4ufmIAO アルゴンは言ったことを後悔した…。 任せられないと言った つまり後継者にするつもりはないと言うことを直接聞かされたのだ アルゴンは皇帝などという雁字搦めの為政者の地位にあまり興味はなかったが ならなければならないなら潔く受け入れるつもりだった。 しかし、いざ言われてみると 何故かその地位に執着する自分がどこかにいるのだろうか 急に焦りを覚えた コバルト「エステルのいらぬ所ばかり受け継ぎおって……全く困った女だ。まだ儂を苦しめるか」 冷や汗が噴き出した 母が…侮辱されてる… こいつ…… すると脇の柱から白髪の若い男が出てきた オキシ「陛下…そろそろ本題に入りませんと、午後の昼食会に間に合いません」 コバルト「そうだったそうだった」 アルゴン(本題…?) 467. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 21 36 50.96 ID o4ufmIAO コバルト「オキシ、そちが説明いたせ」 オキシ「かしこまりました」 このオキシという男 名を、オキシ・カイザフという 若くして六老臣に推挙され 主に城内の警備・宮中政務を任命されている 綺麗な顔立ちをしているがどこか掴みどころのないやつだ オキシは壁にかけてある大陸図を指し オキシ「えーコホン…簡潔に申しますとハロゲン市が我らに併合を申し出てきました」 アルゴン「ほ、ほんとうか!?」 コバルト「ついにハロゲンの商人どもも我らの前に膝を屈したというわけだ、ハッハッハ」 なるほど…だからか…。 オキシ「あの城郭都市を相手にしていたら兵を無駄に失っていたでしょう、実に幸いなことです。時に、ハロゲンの市長が無血開城の代わりにと要求を突きつけてきました」 アルゴン「要求…」 468. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/01/20(火) 21 40 55.67 ID GmSz0QMo wktkが止まらないw 1 勉強はうまくいってるか? 469. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 21 54 53.28 ID o4ufmIAO オキシ「ハロゲン郡の郡護太守の選定はハロゲンの者から選び任命はその場で皇族に行って貰いたい、とのことです」 アルゴン「馬鹿な、そんな要求を呑んだのか!?」 オキシ「はい。勿論です。」 アルゴン「な………」 郡護太守の選定は裁任官と呼ばれる職種のものが 表面上公平的に行うものである。 その地位に相応しいと裁任官が判断し国家への忠誠を無二の者を 皇帝に推挙し、許が下りれば正式に任命される。 その際太守の家族はベンゼンに身柄を預けられることになる。 この要求は裁任官と皇帝の許を飛ばして直接任命すると言うことだ。 まして、皇族自ら出向くなど危険極まりなく 例え任命したとして謀叛の可能性は拭いきれない 父上のいつもより綻んだ顔はそのためか…! いや、まてっ… アルゴン「まさか……」 オキシ「えぇ、帝がお待ちしていたのはそのためで御座います」 470. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 21 59 25.95 ID o4ufmIAO| aa2(c){ 468 br()正直なところセンター終わって気が抜けてます br()目標点にも届かなかったので br()ちょっと落ち込んでおります… br()浪人…………か br()} 471. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 22 19 22.62 ID o4ufmIAO コバルト「アルゴン、お前にハロゲン市の太守選任に命を授ける!異存はあるか?あるならここで申せ」 異存もへったくれもないのは重々承知していた… 拒否権はない アルゴン「……………」 アルゴン「……其の命慎んでお受け致します……」 皇帝の顔は父とは呼べない不確かな笑みに満ちていた。 再び礼の姿勢を取った そして顔を上げるとまたいつもの顔を戻っていた アルゴン「一つ…宜しいでしょうか」 コバルト「なんだ」 アルゴン「…魔法使人の同行をお許し下さい」 せめてもの自己防衛であった コバルト「許そう、出立は三日後だ。それまで体を休めよ」 アルゴン「かしこ…まりました」 オキシ「無事をお祈りいたしますよ、アルゴン皇子」 何故かその言葉の真意がこの男から掴めない… アルゴン「では…これにて…」 シュタ、ツカツカツカ コバルト「アルゴンよ」 472. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 22 26 35.53 ID o4ufmIAO コバルト「無事帰還できたなら、久しぶりに鷹狩りにでも行くか」 アルゴン「は………はい!」 何故だかこの一言で父への憎悪は半減した 父に認めて貰いたい自分がいたのだろうか でも…わからない 自分も…父の考えている事も… どうして…どうして… もう還らないと踏んでいるからそんな言葉が出るのか でもあの言葉には温もりがあった わからない…わからない… この命を完遂できればわかる きっと今度こそ…… 今度こそ…… 473. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 22 58 38.12 ID o4ufmIAO 玉座の間から出たとき 変な高翌揚感に満ちていた ???「皇子…!申し訳ありません!」 この声は……モニア…! モニア「も、申し訳ありません…!私は反対したのですが…!」 六老臣の紅一点、モニア・カヴコール 政務の傍らアルゴンの守役として仕え、幼少時代からアルゴンの側にいた 年はおそらく50近くだが その気品は年を忘れさせる 現在は六老臣として国政の中枢に参加 主に外交を担当する アルゴンの数少ない理解者であり、親代わりであった アルゴン「………いや、いいんだ。モニア、私は大丈夫だ」 モニア「ですが危険過ぎます!つい先日まで敵地だったところに行くなど!私目が交渉して参りますのでどうかご辛抱ください…。ニッケル様に加えアルゴン皇子まで危険な場所に行かせるのは…」 アルゴン「ニッケルが危険なところだと?どういうことだ」 474. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 23 17 25.90 ID o4ufmIAO モニア「……知らないのですか!?」 アルゴン「そこらの賊の討伐が危険だと言うのか」 一間置いたあと、モニアは重そうな口を開けた モニア「いえ、ニッケル様は……タンタル侵攻軍の*総将を任命され今日出陣なさるのです」 *総大将 な……ニッケルが……総将…… そういえばさっきニッケルに会ったとき甲冑を身に着けていたのは…… 愕然とした そして色んな感情と嫉妬に似た何かが頭を交錯した ガチャッ(甲冑の揺れる音) ニッケル「兄上……黙っていて申し訳ありませんでした……」 アルゴン(に…ニッケル………) ニッケル「兄上を差し置いて私などが軍の総将とは…兄上を前にして…とても…とても…言えませんでした…、お許しくださいっ!」 アルゴン「………」 わからない……何が何やら…… ニッケルが……父上は……何を考えておられるのか…… 475. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/01/20(火) 23 17 29.60 ID GmSz0QMo 1 個人的な意見だが、今はやっぱり勉強に集中した方がいいと思う 思うように点が取れなくて落胆するのは分かるし、気が抜けるのも分かるんだが、ここで踏ん張らないと本当に取り返しが付かなくなるぞ こっちに力を注いでおいて肝心の受験でいい結果が出なかったんじゃ元も子もないわけで 476. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/20(火) 23 31 53.10 ID o4ufmIAO 475 ご心配どうも とりあえず明日、予備校で今後の方針を立てようと思うので たくさんの更新は今日ぐらいまでだと思います。多分… ですが、第一志望にははっきり言って二次では届かないことになりそうです… 後期の小論文で一発逆転を狙っていますが それもどうだか…。 明日検討しなければわかりませんが… でもこれ書いてるとストレス発散になるので、うーん。 なのでかなーり今複雑な心境であります 477. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 00 08 36.64 ID o5i7fgAO ニッケル「しかし…私は総将には兄上が適任だと思っております…代われるのなら…今すぐにでも…」 とにかく…何か激励の言葉でもかけなければ 自身すら見失いそうだった アルゴン「ニッケル……お前もその年なら軍を率いる経験も必要だ。私ではなくお前が任命されたんだ、ちゃんとその任を全うして来い」 私ではなくお前……か 皮肉を言ったつもりはなかったが… ニッケル「は…はい!」 アルゴン「…そうだ、これを持って行け」 思いついたように脇差しを取り出し アルゴン「この短刀は母上の形見だ…。きっとお前を護ってくれるはずだ」 ニッケル「よ、よろしいのですか!?兄上」 アルゴン「あぁ構わない、次に会った時に返してくれればいいさ…その効用に驚いて欲しくなってもやらんがな」 ニッケル「あ…有り難く…!!では出陣の時刻なのでこれで」 モニア「ニッケル様…どうか御自重下さいませ…」 ニッケル「わかってるよモニア!」 タッタッタ モニア「ご武運を…」 遠のいてく弟が今生の別れのような気がしたのに気づくのは後のことであった 481. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 09 57 51.58 ID o5i7fgAO アルゴン「……モニア、いつ決まった」 モニア「一昨日でございます…」 アルゴン「……ニッケルなら大丈夫さ。……総将がそんな易々と討ち取られるわけもない」 そう…何を心配しているんだ。 まだ死んだわけでもない。 でも…代われるのなら代わりたいさ 自分の方が総将の任を弟よりも遂行できるはず… でも父上はニッケルを総将にした 何かわけがあるんだ、そうさ、そうに違いない 深い訳が。 モニア「ですが…皇子まで…」 アルゴン「血を流すことなく城が手に入るなら喜んで出向いてやるさ…、それに…」 アルゴン「皇族を殺して奴らにメリットとなることはない、むしろ開城して併合されるほうが帝国との貿易もしやすくなる。ただ関税権はこちらが握ることになりそうだが」 モニア「そう…ですね、しかしご自重をするに越したことはありません」 アルゴン「あぁ、わかっているさ…。」 モニア「皇子……一つ、お伝えしておきたいことが御座います」 アルゴン「…?」 482. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 10 07 51.99 ID o5i7fgAO モニア「私が、ニッケル様が危険だと申し上げたのにはわけがございます」 アルゴン「…なんだ」 モニア「先日、私め自らタンタル国に最後の勧告をしに王に謁見した時に―」 ―――――――― ザァーーーー… ガラガラガラガラ(馬車の音) モニア「雨足が酷くなりましたね」 供「昨日から降り続いているようです」 供「しかし、外交官ではなく直接王自らお会いになるのは、やはり六老臣様であるからでしょうな」 モニア「だといいわね…」 ガラガラガラガラ…バシャッ 供「着いたようです」 ガチャッ 兵士「モニア・カヴコール殿、お待ちしておりました。王がお待ちです」 483. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 11 08 13.13 ID o5i7fgAO モニア「…………」 供「どうかなされましたか?」 モニア「…血の臭いがしない?」 供「いえ、特に何も感じませんが」 モニア(恐らくここで十人近く死んでるわね…それに、松明があるのに炎の光など掻き消すような深い暗さ…) ギギッ… 兵士「どうぞ中へ、地面がぬかるんでいるので足元にお気をつけください」 モニア「…勧告のための使者をここまで出迎えなさるなんて正直なところ意外でした」 兵士「我々は貴国とは違いますので…。…いや、今のはお忘れください」 モニア「……」 モニア(甲冑の胸辺りに大きな刺し傷のあと…みた所この位置でこの大きさの穴だと普通なら死んでいるはず…。出迎えの兵士の甲冑を壊れたままにしておくのは、我々に対する冒涜かそれとも…。それにみたところ城内の警備がほとんど手薄…) ツカツカツカ… 兵士「供の方はここまでです」 484. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 12 33 54.16 ID o5i7fgAO 外交の使者はその国の内部の視察官と言っても過言ではなく 訪問先の国の兵隊や王宮内、臣下の言動・思慮の水準などありとあらゆることを見聞するのは各国では常識であり 使者を迎える国も権力や統制力、文化の誇示のために あらゆる礼節を尽くしや過剰な絢爛豪華な見せ物を用意するなど 自国の強固さを見せつけるのだが アボガドロとタンタルは事実上敵対国家であり まして、降伏せよとの勧告の使者など 普通ならば斬り捨てられることもあるだろう しかしあえて六老臣を最後通告の使者としたのは 現在のタンタル王は慈愛に熱く名君と名高い人物と評判であり使者を斬ることはないとふんだからであるのと 帝国側の配慮でもあった。 兵士「王宮内への武器弾薬の持ち込みは禁止です、この棚に所持している武器を置いてください」 モニア(ここでも2人ほど…、王宮で何かあったのか…) カチャ…カチャ モニア「これで全部です、護身用の短刀だけですが」 兵士「……わかりました…貴殿を信じて身体を調べるのはやめておきます」 兵士「では、どうぞ。こちらです」 485. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 13 01 01.57 ID o5i7fgAO ガチャッ ……… 王宮内だというのに…なんて暗さだろう 中央の道に松明が定間隔で並び奥まで続いているが それはまるでこの世の闇への道標の如くあり 蝋燭の炎がホール中央に数十本無造作に置いてあっても まるで闇に吸い込まれるように 蝋燭としての役目を為していなかった 背筋に旋律が走った こんな不気味な気持ちになったのは初めてだ 畏怖… 視覚より感覚的なものがそう告げた 兵士「この奥が玉座の間でございます、では私はこれで…引き継ぎはリチューム様がいたします」 リチューム「お初にお目にかかります、リチュームと申します。王の側近を務めております、以後お見知り置きを…」 暗さでよく顔は見えないが 若いということはわかった しかし恐らくこれから完全に敵対する者に対してお見知り置きとは… モニア「モニア・カヴコールです」 手を差し出した リチューム「あ…すいません、私潔癖症なものでして…握手は控えさせて貰っておりまして…その、どうしてもと言うなら」 モニア「………ならば結構です」 何やら不快な男だ…。 リチューム「立ち話もなんですから、歩きながらにしましょう」 486. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 13 19 25.93 ID o5i7fgAO スタスタスタ… モニア「一つ宜しいでしょうか」 リチューム「なんなりと」 モニア「どうして、このように王宮を暗くしているのでしょうか」 リチューム「…それは我が主タンタル王が王宮で使う燃料を少しでも城下の貧しい民に分け与えるためでございます、とても慈悲深く、情け深い…我が主君は誠の名君であります。決して蛮人の野心などには屈しません」 聞いた以上のことを喋るのか…こいつは… しかしこれは外聞向けの可能性もある。 モニア「それにしては、城下の灯りは少なかったように見えましたが」 リチューム「………」 数歩の間、沈黙が訪れた リチューム「まだ十分に行き渡っていないのでしょう、いずれ行き渡るようにしますのでご心配なく」 モニア「もう一つ…」 リチューム「どうぞ」 モニア「最近王宮内で何か争いでもあったのでしょうか、先程の扉の金具に血がついておりましたが」 リチュームのカンテラの光に照らされた顔が一瞬引きつったように見えた リチューム「いえ…何も。おおかた侍女が指を挟んで怪我でもしたのでしょう。申し訳ありません、不快なものをお見せしてしまい…」 モニア「いえ、構いません」 モニア(……血の臭いが濃くなってる…この男からも…) 488. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 20 23 25.58 ID o5i7fgAO モニア「諄いようですがもう一つ」 リチューム「………」 モニア「僭越ながら、私は大国の使者として参上いたしました。貴国の王は客人や使者には心を尽くして迎えると耳に挟みましたが、このような陰鬱とした所に迎えるのがそちらの国の使者に対するもてなしですか」 リチューム「…………」 モニア「門前まで迎えにきてくださったのはよいとして、民のためとはゆえ死霊の館のような内装のままにしておくのはいささか理解しがたい物がございます。それに先程の血痕といい…つまり貴国の王の評判とは尾ひれにあらぬ魚が絡みついた程度のようなものでございましょうな」 少々傲慢とは言えこれは外交の上での弁舌戦である ここで挑発に乗ればその程度の臣、つまりその程度の国家であるということだ 王に謁見する前に相手の国の程度を知る いわば前哨戦 リチューム「では逆にお尋ねしたい」 キッ…… リチューム「どこの国に侵略者の使者を厚くもてなす国がありますか?」 リチューム「あなた達はタンタルの鉱山資源を奪うためにきたのでしょう、それに過去の一時、自分達の領土だったからと言って我が物顔で我々を見下すのは少々傲慢が過ぎますな」 489. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 21 55 58.56 ID o5i7fgAO モニア(………冷や汗が止まらない…この男の纏う空気が…変わった…?) リチューム「あなたが何をしに来たか大体検討はつきます」 モニア「………」 リチューム「全てを奪われたくなければ速やかに軍門に下り我らの忠実な僕になれ…と、さしずめ言ったところでしょうか」 モニア「…我らも人の子です、軍を差し向ける前に全てを差し出せば誰も血を流したり、略奪したりはしないでしょうし、過去の遺恨も全て洗い流しましょう……」 リチューム「そう言って覇権国家に膝を折った者達の末路を我々が知らないとでも?」 モニア(………) モニア「その口で言えますか?あなたが仕える慈悲深き名君も近頃領土戦争に凝り出したようじゃないですか。やたらと隣国に出兵なさってますが?…あなた達もその覇権国家となんら変わりありませんよ」 リチューム「ふっ……ふはははははっ」 モニア「!?」 リチューム「これは失敬。確かにそうかもしれませんね。ですが…昔の版図を取り戻すためです…我が主君が世界を統べるために」 モニア「…!?…タンタルの最大版図はとうに越えているはずです。それに世界を統べるなどと…それでは…大昔の…」 リチューム「失礼…今のはお忘れください…私の戯れ言でございます」 490. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 22 18 51.31 ID o5i7fgAO いや、今のこの男の目は戯れ言を言うような生やさしい目ではなかった。 隙あらば食らいつこうという目だ サッ リチューム「こちらが王の間でございます、粗相のなきよう…」 帝国の使者に向かって粗相のなきようとは… ガチャッ…ギィィィィ そのときモニアは見た 扉についた血痕が床にかすかに赤い曲線を描いてることを しかし動揺してはならない… 間の中を見回した 王の間であるにはあまりにも薄暗かった 左右に臣下とおぼしき者が数名と 奥間に座すのは恐らくタンタル王 ……タンタル王の横に立っているあの黒い大男はなんだろうか…? スタスタスタ…スタッ モニア「アボガドロ帝国六老臣モニア・カヴコール、コバルト皇帝から直々に使者として遣わされここに参りました」 タンタル王「ギギギギ……」 モニア「……!?」 タンタル王「そちが六老臣であるか」 薄明かりでよくは見えないが 黒い王衣を纏い髭を蓄えこの地方独特の貴金属をあしらった冠をかぶっている モニア「はい…早急ですが本題に入らせていただきます」 正直なところこの空間に長居はしたくなかった 横に並ぶ臣下はまるで息をしていないようでさながら蝋人形である 暗く底抜けの闇が天井に広がり 生者を飲み込まんとしているように感じられた それに……なんだ…… 血の臭いどころではない 死臭がする、そして獣の臭い 墓場ではないか…ここは… 491. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 22 45 16.19 ID o5i7fgAO モニア「私は降伏を勧めに参りました」 王はかすれた息を大きく吸い タンタル王「そ、そなたで5人目でああるなな、よ、余はクドいものが嫌いじゃ」 モニア「帝は六老臣である私を直々に遣わすという最大限の誠意を見せました…名君と名高きタンタル王ならばその誠意汲めぬはずはないと思われますが、いかに…」 タンタル王は座したままピクリとも動かず口だけで答えた タンタル王「貴様等は自分達が世界で一番強いと思っておるのか?ただ椅子に座り血統の良し悪しのみでふんぞり返る者の指先一つで国が滅ぶのが強いと思っておるのか?」 モニア(いきなり……何を言って…) タンタル王「所詮降伏したところで再び迫害が始まるだけだ。100年前からの因縁はそう易々と消えるものではない!愚であり貪である、貴様等がのさばる時代はすでに幕引きだ!」 モニアは見つけてしまった… 後ろの大男の口に合わせて王の口が動いていることに タンタル王「これが我々の答えだ!!」 492. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/21(水) 23 32 29.94 ID o5i7fgAO その瞬間、間中央の松明に炎が灯され間全体をオレンジ色に染めた すると暗闇に覆われ見えなかった壁に吊されたものが… モニア「ひっ………」 さっきまでモニアに随行していた供達の無惨な死体であった ある者は目を抉られ耳と鼻を削がれ ある者は下半身が食いちぎられていた モニア「あ……あ……」 タンタル王「愚と貪の皇帝に伝えよ!来るならいつでもこいと!!いずれ貴様等の立ってる場所も我らの物になるであろう!!そして次からの使者は少々荒っぽく迎えるだろうとな!!ギチギチギチギチ!!!」 「ハーハハハハッ!!」 モニアは逃げた… 狂ってる…!なんだ…!あれは! 横に広間が見えた ザッザッザッ 「ギチギチギチギチ!」 モニア「はっ…はっ…魔族…!?城内にっ…!」 タッタッタ… 正面入り口まできた… そこにはさっきの若い男がいた リチューム「どうかしましたか?モニア殿…?」 モニア「はっ…はっ…お前達…一体…!」 リチューム「何かよくないものを見たようですね。…先程預かりました武器と、帰りの馬車でございます。どうぞ帰路お気をつけてお帰りくださいませ」 モニア「………!」 リチューム「……。あぁ申し訳ありません、供の方は―」 リチューム「お返しできませんので…」 あとで短刀の鞘から抜いてみるて人間の血と思しきものがべっとりとついてかたまっていた 493. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 00 00 25.39 ID mYCiP6AO ―――――― モニア「そのあと皇帝にことの次第を伝えました所、酷く激昂いたしまして…即座に軍を起こされニッケル様を総将に任命したのです…」 アルゴン「………モニア…それが本当ならば、今タンタルで何が起こっている」 モニア「…王の身辺に病でも発生したか、王が精神的に乱れているか…いえ、そんなもので片付けられるものではありません…!あれは無機の威力でした、少なくとも人間の発するものではなかったと思います」 アルゴン「魔族……を見たんだな」 モニア「えぇ…でも見間違いかもしれません…何分自失しておりましたから」 アルゴン「わかった…、モニアが言うならば事実であろう。ニッケルには…」 モニア「いえ…申しておりません…とても…」 アルゴン「あぁ…言わなくていい、いらぬ不安を煽るだけだ」 しかし今から危険だからという根拠が薄い事実で 起こした軍を出陣前に解軍するのは不可能だ タンタルとの因縁なんてどうでもいい…ニッケル……無事に戻ってこい! そして、住民が見送る中、帝国軍約八万がタンタル国へ向け首都ベンゼンを出陣した 先鋒軍約三万と中軍二万、後軍三万 ニッケルは、先鋒軍にいた ニッケル「兄上……心配は無用です…父上も、見直してくれるはずです」 母の形見の短刀を懐にしまい 空を見上げた 雲一つない快晴であった 494. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 13 19 10.58 ID mYCiP6AO アルゴン「モニア…弟に何かあればすぐに伝えてくれ……教えてくれてありがとう」 モニア「かしこまりました…しかし、任務も全うできず逃げ帰った私めにその言葉はあまりにもったいのうございます…」 アルゴンはこの雲一つない青空が 今から起きようという現実を 隠しているような…そんな気がした ――――――
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601:1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/04(水) 19 32 09.22 ID wXMh6kAO これは里美と立場が逆ならば切らずに待っていてくれるという確信が かけ直すということをせずに電話をそのままにさせたのかもしれない そのときどうしてか涙は出なかった。 特に悲しさも感じなかった。 自分の中にそれを遥か上回るものがあったからだろう。 里美が電話に復帰するまでおよそ五分かかった 里美「……ごめんね…。少しすっきりした。唯、何か用があって私に電話したんじゃない?」 そういえば… しかし夢のことなんてこの状況で言えるわけもなかった。 唯「あ、いいの。大丈夫だから。里美も…」 なんて言えばいいのか一瞬戸惑った 里美「こんなんだけどさ、何か悩みがあれば聞いてあげるから。じゃね」 その声はいつもの里美の声に少し戻っていた 携帯電話を置き時計を見る。 電気が消えたままの薄暗い部屋の中で 何かを思い出しそうな自分がいた。 602 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/05(木) 16 31 15.33 ID iea6OUAO ――――――― 加治木家 諒輔の部屋 23 15 加治木「うぁ~……」 ドサァッ(ベッドに寝転んだ) なんかとても長い1日だった気がする… あのあと警察署に連れてかれて 2人別々にだいたい2時間ぐらい怖そうな刑事さんに説教と犯人についてあれこれ聞かれた 犯人は顔を隠していたので詳しくは答えられなかったが かなり異常なやつであることは確かだった そして親を呼ばれ……うん。 警察署の中はかなりごたごたしていた それはそうだろう、すでに4人おそらく同一犯に殺されているんだ 警察のメンツもあるのだろう かなり偉そうな人も出入りしていた。 そして帰宅…明日も行かなきゃならないらしい… 学校から自宅謹慎するよう言われてたので何も問題ないけど… ピリリリリリッ 電話が鳴った。八木からだ 603 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/05(木) 18 44 39.46 ID iea6OUAO 八木「カジ…?」 加治木「ん?どうした?」 八木「大丈夫だった?」 2人別々になったあと会ってはいなかった。 加治木「あ、うん…なんか食堂でご飯奢ってもらったし」 八木「え…俺なんもなかったぞ」 加治木「そんなことよりどうしたんだよ」 八木「ん、あぁ…」 八木「電話の男のこと言った?」 加治木「あっ」 完全に頭から抜けていた。 それと助けてくれた男のことを忘れていたことも今思い出した 八木「やっぱりカジもか」 加治木「そっちも?」 八木「あぁ」 加治木「でもどうしてだろ…、八木に言われるまで完全に忘れてた」 八木「わかんない。でもさ…今気づいたんだけど…」 加治木「……?」 八木「電話の声とビルにいたやつの声…似てないか?」 そういえば…あの透き通った低い声… 頭の中で思い出してみた。 あのとき感じた感覚…確かに似ている。 八木「俺の推測ではさ…、電話の男と助けてくれた男は同一人物で、しかもどこかで俺達のことを見てた」 加治木「うん、俺もそう思う。でもなんで俺達なんかつけてたんだ?それに通り魔とはグルではなさそうだし…なんで助けてくれたんだろう」 八木「さぁ……。」 604 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/05(木) 19 08 03.81 ID iea6OUAO 八木「でさ…もう一つ…あるんだけど」 加治木「推測?」 八木「うん」 加治木「電話の男が超能力者とか言うんじゃないだろうね」 八木「惜しい!俺の考えではあの男は魔法使いだと思う。むしろこれを推したい」 加治木「はい?」 八木…何を言っているんだ 魔法使いなんているわけないじゃないか… 八木は興奮気味に、 八木「見ただろ!?あの男が現れたら、ほら!通り魔のナイフが弾け飛んだりさ」 加治木「それだけじゃ魔法使いなんて言えないよ、石投げたんじゃない?それもすごいけど」 八木「いーや、じゃあ俺達の記憶が消えてたり通り魔のやることを言い当てたりしたのはどう説明すんだよ!」 いつものインテリっぽい八木には見られないような剣幕だ 加治木「た、確かにそれだと説明できるけどさ、どうしたんだよ?八木が魔法なんて言うとは思わなかったよ」 八木は少し興奮を抑えて言った、 八木「俺さ…今すごいワクワクしてるんだ」 加治木「ワクワク?」 605 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/05(木) 22 34 58.40 ID iea6OUAO 八木「…俺さ、子供の頃から魔法使いになりたかったんだ」 八木の声はウキウキした喋りの中に真剣さがあった。 本気で言っているようだ 加治木「…」 そしてしんみりした声で、 八木「でも歳とるとさ、子供の頃は目輝かせてあると信じていても、現実みはじめて非現実的だって言う。俺はそれがなんか嫌でさ、今まで信じてた…けどどこかで有り得ないと心のどこかで思ってて…」 八木「で、今日の事件だよ!超能力者でも魔法使いでもなんでもいい!あれは絶対超科学さ!俺達はそれを目の前で見たんだ!実在したんだよ!それで今興奮してる」 加治木「……でもさ、まだそうと決まったわけじゃ」 八木がこんな夢みる少年だとは思いもよらなかった。 どこか子供じみたところは昔からあったけど、 もう高1にもなってあまりにガキっぽすぎる 八木「じゃあ説明できるのかよ」 加治木「うーん……」 確かに想像を超えることはあった が、超能力っていうのはさすがに無理矢理じゃないか しかしそれを自分の今ある知識では説明できなかった 仮定ばかりになってしまう 606 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/05(木) 22 52 57.16 ID iea6OUAO 八木「説明できないだろ?」 加治木「うん…まぁ…」 八木「でさ、あの番号の紙持ってる?」 もう一度電話をかけるつもりらしい。 確かズボンのポケットに入れたはず…… なかった。どこにもない 上着にも、どこにも 加治木「ない、なくしちゃったかも…。けど絶対ズボンに入れたはずなのに…」 八木「……やっぱり!消したんだよ、魔法で」 加治木「………」 話題を逸らすことにした。 加治木「それより飯山はいいのか?殺された安田って飯山の友達だろ?」 八木の声が急に小さくなった 八木「うん…、メールで伝えてからそれっきり。電話も出てくれないし、相当ショックだったんだろな。って慰めにもいけないしな、謹慎中だし」 加治木「そっか…」 八木「あ、そうだ。明日学校臨時休校だってさ」 加治木「え?ほんと?」 八木「例の通り魔が真鍮の生徒ばっか狙うからだってさ」 加治木(結構簡単に休校にしちゃうもんなんだ…) 八木「俺もあと5人に伝えなきゃなんないし、学校から電話きてないの?」 加治木「親はなんにも言ってない」 八木「ふぅん…ま、明日警察署でな」 加治木「わかった、なんか違和感あるけど…」 電話を切った。 そして再びベッドに仰向けになって 天井の蛍光灯を見つめていると ふとあの娘のことを思い出した。 加治木(大丈夫かな……) そのまま目を瞑り、 疲れもあってかすぐに眠りについた 607 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/05(木) 23 25 43.17 ID iea6OUAO ――――――― 寝たくなかった。 寝ればまた夢の中であのおぞましい光景を見せつけられ 思い出したくもない現実を自らの記憶の中に 蘇らせてしまうような気がしたからだ。 それがなってしまえば自分が正気を失ってしまうような そんな強迫観念にとらわれていた。 ベッドの上で体育座りをして朝を待つことにした。 一体自分は何なのだろう 数日前まで思いもよらなかったようなことが頭の中を駆け巡り唯を苦しめる 何かを思い出そうとする自分と それを拒む自分がいる どちらが本当の自分なのか… しかしどちらにも共通しているのは どちらも絶望的な孤独感を内包していることだ これは恐怖であり、思い出させることを躊躇させる しかし今はなにがなんだかわからない、 とは言えないほど唯は何かぼんやりしたものが見え始めていた うつむいた顔をあげ 暗い部屋の中にある蛍光色の時計を見る 『0 01』 そのとき、なにやら身体が温かくなったような気がした そして、少しずつ意識が遠のいていく………… ……… …。 608 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/06(金) 19 08 23.00 ID wHlQm6AO 意識の朧気の中、最後に現実に見たのは 体を纏う青い螺旋状の線… ―――――――― 眼前にまどろう深淵すら見えぬ闇雲は 自分の悲しみの深さをそのまま反映したよう… しかし、今日はいつもと違った 闇の中に無限と思える天井から青い光を放つ糸のようなものが垂れ下がっている その青い光は夢であるにも関わらず 温かみを帯びていた 見ていると糸の中ごろでプツンと切れ 床ともわらぬ場所にまとまって落ちた それがかたまり、宙に浮き、小さな人の形になるまで おそらく10分ぐらいしたであろうか しかしそれを見ているのに退屈は感じなかった むしろそれが夢なのだと思った そしてそれが人の輪郭を綺麗に作ったとき 女の声を発した。 (はじめまして…私はあなたの記憶とあなたを纏う僅かな魔力から生まれました) 夢…。夢だからかなんの疑問も感じなかった その妖精らしきものは続けて (すぐにあなたの前に現れたかったんだけど、術師の記憶を忘却させる術のせいで少し時間かかっちゃったの。でも完全ではなかったから、あなたは悪夢を見た。いえ、あなたは自らそれを思い出そうとして意識下である夢として見せたんでしょうね) 609 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/06(金) 19 42 02.57 ID wHlQm6AO 唯はその妖精みたいなものが放つ言葉を理解し 反問する理性をもつことができていた 唯(誰……?) (簡単に言えばあなたを助けるために生まれた…ってとこかしらね) 唯(助ける…?…何から?) その妖精は含み笑いをし、 (ふぅん…あなたにはまず最初から説明しなきゃダメみたいね) (いいわ。体の形も維持できるようになったし、あなたが私を外に出して) 唯(……出す?) (そっ、起きたあと私の形を強くイメージして呪文を二回復唱して。好きな形イメージしていいけど、倫理上許される形にしてよね) 少し戸惑った。夢なのに驚くほど意識は鮮明である。 しかし妖精みたいなものが言うことは唐突かつ突拍子もないことだったので、理解を鈍らせた。 唯(あなたの言ってることがよくわからないんだけど…) 仮に夢だとしたらこの問いはあまりにもおかしいが それほどこの状況は現実味を帯びていたということだ 610 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/06(金) 20 59 51.77 ID wHlQm6AO (それを説明するからとにかく現実に出してって言ってるの。あぁもう…やっぱり心だけじゃ難しいのかしら) 唯(もし…失敗…したら…?) (その時は何もわからず毎日悪夢に苦しむことね。もっとも、何回でもできるからいいんだけど……ってそうじゃなくて!いい!?何が起こっているか知りたかったらヴィヴィラスって二回唱えなさい!発音難しいからね、一つめのヴィは高めで2つ目のヴィは低く―) 唯(なんでここで言ってくれないの?) (………。あのね…、多分ここで言ったことを全部覚えられないと思うの。ただでさえ夢という意識が薄い空間なんだから、目覚めた時には綺麗さっぱりでしょう。この呪文と私の言ったことさえ覚えてくれればいいの。私、二度同じこと言いたくないし) 唯(へぇ……そうなんだ、ヴィ…ヴィヴィラス…?) (アトムでは具現化という意味よ) 唯(アトム……?) (正式な発音はムを伸ばすんだけどね。アトムゥって。まぁそんなことはどうでもいいから、目覚めさせるわよ?いい?) 唯(わ…わかった…。ヴィヴィラス…ね) パチン 妖精が指を鳴らす動作をすると 辺りの闇が青く照らされた 床には今まで見えなかったが 2つの胴体のない髑髏が転がっていた ――――――― 611 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/06(金) 23 54 57.94 ID wHlQm6AO はっ…! 時計を見ると4時 そんな長い時間寝てたっけ… 辺りは静かだった。 唯(変な夢………) ベッドから降りて電気をつけた 蛍光灯の光が点灯する 唯(あっ……そういえば夢の中で何か言われたっけ…?) 唯(確かヴィヴィラス…って唱えると…) でももし変なことが起こったら嫌だな… どうしよう…。 ベッドに腰掛けて少し考えることにした。 覚えているのは呪文と妖精みたいなものの姿だけ。 残虐な夢ではなかったにしても、意味不明な内容だったのは同じである。 疲労した心が今一歩踏み出すのを躊躇させていた (今何が起こっているのか…) もちろんこのどこから来るのかわからない心の苦しみや 毎晩見るようになった悪夢の原因が知りたい。 でも…それを知ってしまったらどうなってしまうのか 知ってしまってよいのだろうか。 とても迷っていた。 夢の話に迷うなんて馬鹿げてるように思えるが 彼女は真剣である。 ―――――――― 意を決したとき、日の出が始まっていた 部屋に太陽の光が差し込み影をつくった 615:1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/07(土) 18 06 49.96 ID WtwTH2AO どうせ夢の話だ、 何も起こらなければそれはそれでいいじゃないか 何か悪いことが起こっても、何が起こっているのかわかったほうがいい 目をつむり、夢に出てきたものの形を強く想像し 覚えていた呪文を唱えた 唯「ヴィヴィラス…ヴィヴィラス……」 ……………。 何も起こらない… やっぱり夢は夢か…。 バカみたい…。 そのままベッドに倒れ込み うつ伏せになって寝てしまった。 ―――――――― ファァァッ…… (魔力が思ったより弱まってたから時間かかっちゃった) ………… (あれれ?寝ちゃったの?) (もう、せっかく美しい登場の仕方だったのにぃ) …………。 唯「ZZz……」 (起こすのもかわいそうね…) 616 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/07(土) 21 23 43.20 ID WtwTH2AO ―――――――― 翌朝7 13 唯(………………) 唯「………」 母「唯~ご飯できたわよ~降りてらっしゃーい」 母の一声で目が覚めた。 目を開け、辺りを見回す 枕は濡れてない 唯(怖い夢じゃなかった……) わるい夢は見なかった。 なにか少し心が軽くなったような気持ちだ でも、あの変な夢はなんだったのだろう 唯(妖精なんているわけないし、やっぱり夢は夢だよね。少し期待して損しちゃった) 顔を洗い、髪をとかし 窓を開けて外の清々しい空気を入れる。 そして制服に着替えたところで気づく 唯(確か今日学校休みだったっけ…) 制服を脱いで部屋着に着替えた 617 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/07(土) 23 12 36.26 ID WtwTH2AO 唯「おはよー」 母「あら?ちゃんと眠れた?」 唯「うん、今日はちょっとよくなった」 母「そう。じゃ朝ご飯食べちゃって」 リビングに入るといつも朝ご飯を食べながら朝刊を読む父はいなかった 先に仕事にいったようだ 席につき食パンとサラダを食べながらテレビをつけた。 もちろんやっているのは、 「現在までなんの罪もない女子高生3人と通り魔を捕まえようとした男性が残忍なまでの通り魔の毒牙にかかり命を落としました」 ピッ 「県警察は有狩警察署に捜査本部を設置し1500人体勢で犯人の行方を追っています」 「全く!警察は一体何をしていたんでしょうか!警察がちゃんとしていればまだ未来のある子供も正義感溢れる男性も命を失うことはなかった!国家権力が―」 ピッ 「犯人が使ったと思われるナイフはイタリアで製造されている軍事用のアーミーナイフであり、刃渡り25センチ以上あります。現在までに十万本以上が全世界に輸出されており犯人の特定には至らず…」 ピッ 「現場周辺の小中、高等学校は生徒の安全のため時間割りを切り上げたり集団下校をさせるなどしていますが、生徒が三人殺害された真鍮高校は今日は臨時休校となり―」 ピッ 618 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/08(日) 19 16 43.10 ID F1vslYAO 「…た通り魔を追った20代の男性は犯人の逆襲にあい現場から200mほど離れた路地裏で刺殺死体で発見されました。なお刺殺された男性とともに通り魔を追った地元高校の男性2人は奇跡的に軽傷で済み…」 台所を片付けた母が席についた。 母「ほんと世の中物騒になったわねぇ」 母「通り魔に狙われてるのって真鍮高校の女子らしいじゃない…お母さん心配で心配で…当分外出控えなさいよ」 唯「うん…。今日は家で勉強してるよ」 テレビはひっきりなしに死んだ人達の将来の夢や 卒業文集を放送している。 亡くなった人達に今一番同情しているかもしれない。 母「早く捕まってほしいわねぇ……」 唯「ごちそうさま~」 食器を片付けながら今日何をしようか考えた。 勉強…はあんまりする気はない。 とあれこれ考えてると ガッシャーン(食器を落とした) 唯「きゃっ!」 破片で裸足の小指部分が少しキレた 母「唯!大丈夫?なにボーっとしてるの」 キレた部分から血が滲み出てきた… 唯「うっ……いたっ…」 足の痛みと頭痛が同時に起こった。 まただ…血をみると… 母「どうしたの?大丈夫?」 母が背をさする。 唯「う…うん…少し休む…」 619 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/09(月) 17 01 59.58 ID PFVOi2AO 母「やっぱり医者に看てもらったほうがいいんじゃないかしら…」 バタン 唯(またベッドに逆戻り…) 母に冷えピタと頭痛薬を貰いまたベッドに入った。 天窓から外の明るい青空が見える。 雲一つない快晴のようだ。 しばらく目を開けて耽っていた。 すると…! 空中で光が線を描いて浮いている 明るいはずなのにその光ははっきり見えた。 唯(!?) そしてその光は目の前まで降りてきて 人の形となった。 唯(な……なに……!) (改めて…はじめまして。リ……いや、今は唯ちゃんでいいかな?) しゃ…喋った!? その光は輪郭を整え ついに、さっきまで見ていた青空のような青い髪、水色の布を纏った小さな女の子になった 小さな南の島の水のような色の羽も背中から生えている 見覚えがある…! これは自分がイメージしていた……! まだ夢が続いているのか、と何故か冷静に考えることができた (さっ、起きて!今、何が起こってるのか説明してあげる) 620 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/09(月) 17 57 34.27 ID PFVOi2AO 唯「なに?なんなの?これって夢なの?」 その妖精みたいなものは笑いながら (ウフフ…夢なんかじゃないわよ、これは現実!全ては今起きてるの!) 唯「………あ……え?」 たった今、非現実的なことが目の前で起こっている。 小さな人間が飛び回っているのだ。 しかし、夢で見ていたからだろうか 恐怖は感じなかったし、どこか慣れている自分がいた 唯「あ、あなたは一体…何?」 (あなたを助けるためにここにきたの、…ってこれ二回目…。ま、安心して。あなたの一応味方みたいなもんだから。あ、名前を聞いてるんだったら、私は今名前はないからが好きなのつけていいわよ) 唯(よく喋るなぁ…) 唯「妖精…ですか?」 (うーん近いような近くないような…。ま、今こんな姿だし一応妖精ってことでいいわ。ってあなたが具現化したんでしょ、この姿に。私自身のこと聞いてるんなら今から説明するから) かなり饒舌な妖精のようだ。 するとどこからともなく紙芝居の額が出てきた (絵つきのほうがわかりやすいでしょ?じゃはじまりはじまり~♪) 唯「ま、待って!」 (ん?) 唯「一体何がなんだか…、全然状況が飲み込めないんですけど…」 (ま、無理もないわね。いきなり目の前にわけのわかんない妖精が現れてさぁ状況説明しまーすじゃ飲めるものも飲み込めないわよねぇ、うんうん) 唯「その…あまりにも、なんて言うか…」 (じゃあ、まずは簡潔に概況を言いましょう) 621 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/09(月) 18 12 04.84 ID PFVOi2AO (あなたはこの世界とは別の世界の住人で、ある理由によって命を狙われています。ってとこかしら) 唯「え…」 (ま、その狙ってる奴はまだこっちにこれないから当分は安心していいよ) 唯「……」 (わかってない顔ね……。でもそのうちある程度記憶も戻ってくるはずだし) 唯「…私が見た悪い夢と何か関係が?」 (……。その夢はあっちの世界のあなたが見た光景を断片的にフラッシュバックさせているの。あっちの世界のあなたがね) 唯「…その夢で…殺されてた人って…その世界の私のお父さんとお母さん…?」 (……やっぱり少しずつ記憶が戻ってるのね。その通り、あれはあなたの父母よ。) 唯「………なんとなくだけど…そんな気がしてた…」 (……。とにかくあなたにわかってて貰わなきゃならないことを手短に話すから、紙芝居見ててね。はい、べっこう飴) 唯「あ、ありがとう」 622 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/09(月) 19 55 58.69 ID PFVOi2AO 「はじまりはじまり~♪」 ササッ(なんかクレヨンでかかれた地球みたいな絵) 「今、科学文明が発達したこの世界とは別に魔法といわれる力が存在するアトムという世界があります」 ササッ(なんかクレヨンで書かれた人達) 「その世界には魔法使人と呼ばれる人々が存在し日夜、魔法の研究や軍隊に従軍して戦ったり、国に雇われて生活している人など様々な人達がいます」 「そしてあっちの世界、アトムでは、あなたはその魔法使人だったの。つまりあなたは魔法が使えます。ここまでで質問は?」 唯「なんで世界が2つあるの?」 動きがピタッっと止まった。 「……えーとね………それは…多分時期が来ればわかると思うわ」 唯「……魔法って今私使えるの?」 「残念だけどあなたは記憶を忘却する魔法がかけられてるからある程度は練習して思い出すしかないわ」 唯「…その魔法って誰にかけられたの?」 (結構ずけずけ聞いてくるわね) 「……それはまたあとで。しかもあなたは魔力をかなり消耗しているから今現在は使うのは無理ね」 唯「その魔力が回復するには?」 「特定の食物を摂取するか、休息を取るか…もしくは……」 唯「もしくは……」 623 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/09(月) 20 25 12.50 ID PFVOi2AO 「…知りたい?」 唯「うん」 ちょっともったいぶりながら、 「…あのね…異性と契りを交わすの」 唯「ちぎり?」 その妖精は少し頬を赤らめて、紙をめくった ササッ(チョメチョメする男女の図) 唯「………」 「つ、つまり、性行為をして相手の体液を自分の体内に入れるわけ///。これが最も効率よくかつたくさん魔力を蓄積できる方法なの」 衝撃的な話である。 唯「………///」 ササッ(チョメチョメする男女の図2) 「これに愛が加わればそのパワーは絶大!まさに!まさに!最終奥義みたいな!北信愛(?)みたいな!」 拳を握り締め力説する妖精。 唯「………、そ、それじゃあ魔法使人って女の人ばかりじゃない?」 「確かにね、アトムにいる魔法使人の八割は女性よ。男性もいるけど、かなーり大変らしいし」 ササッ(地図) 地図の真ん中あたりを指差し、 「続けましょうか。そしてあなたが生まれたのはここケトンって言う国。あなたのお父さんはこの国に仕える魔法使人でした」 624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/10(火) 00 19 31.09 ID r.S7mG2o 青いつなぎを着て公園のベンチに座っている 男性の魔法使人の姿は街の風物詩である。 625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/10(火) 03 16 20.35 ID vkX7scA0 624こいつ・・・・・・できる・・・! 626 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/10(火) 10 39 34.91 ID zQqkoIAO 唯「ケトン…?」 「そう、ケトン王が君臨する王政国家ね。ここら辺は今は特に知らなくてもいいわ」 唯「ねぇ…」 「?」 唯「どこまでが本当のことなの?」 「全部」 唯「全部?」 「そうよ、全部事実」 唯「………」 「………」 唯「…続けて」 「………。信じてないわね。…わかった、魔法がどんなものか見せてあげる」 「右手のひらを頭より高い所に掲げてみて」 言われた通り掲げた。 「そのまま手のひらを見ててね」 と言うと、その妖精は唯の腕に掴まった。 すると、手のひらから青白い湯気と細かな光が立ち上り 空中で光がパチパチとはじけた 「これが魔法の原型よ。まだ魔力が乏しいからこの程度だけど、練習すれば皮膚が火傷するぐらいの爆発になるわ。どう?信じた?」 唯(なにか…見たことあるような…) 頭のどこかでこの小さな光景を見たような気がした。 しかし、そんな気がするだけで 覚えているわけではない。 唯「う…うん…」 「よかった、じゃ続けましょう」 かざした手を下ろし手のひらを見つめた。 自分の中で何かが起こっていることを改めて実感せざるをおえなかった 627:1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/10(火) 15 52 41.40 ID zQqkoIAO あー…また長くなってしまいそうだ… 628 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/10(火) 16 40 43.08 ID zQqkoIAO こんな簡単にこの世界の常識を考え改めなくてはならないとは思ってもみなかった。 魔法や呪術の類を信じていなかった自分がまさか魔法使いだったなどと。 あまりにもできすぎである。 妖精は続けて、 「あなたはその魔法使人の娘だった。しかし、ある術師…仮に悪い魔法使人としましょう。その悪い魔法使人はなんらかの理由で行く度々に魔法使人を*おう殺し、あなたの家まで辿り着いた。そして―」 *おう さつ 皆殺しの意 鹿 殺 金 その時ある言葉が思い出され とっさに口から出た。 唯「世界を…統べる者…」 「………!。驚いたわ。あなたの口からその名がでるなんて。少しずつ記憶が戻ってるのね」 唯(何でだろ…何故か覚えてる…夢で…かな) 「そう、世界を統べる者。正体不明、目的不明の人物。そいつがあなたの父母を殺した」 唯「…………」 『世界を統べる者だ…』 パチパチ……! 「……!!」 みると唯の身体中から尋常でない白煙が立ち上っている。 唯「うぐっ………」 胸を締め付け息を詰まらせるような憎悪の感情が心の奥底から沸いてくる。 なにか…憎しみだけが心の中に蘇っているようだ。 「……止めて!早く!」 629 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/10(火) 18 03 48.59 ID zQqkoIAO バチバチ…! ―――――― 「な……なんなんだお前は……!?」 「……死ぬ前に教えてやろう……」 「世界を統べる者だ」 「……かはっ……千年も前に死んだやつがなぜここに……ぐっ」 「答える義務はない」 ……バキッ ………………… ………… ―――――― 唯「…うぅ……っ……」 「こっちを向いて!!」 パチッ! 唯「…あっ」 妖精の叫びで我に帰った。 「………。あなたはまだ不安定なんだから…。いきなり踏み込んだ話ししちゃった私も私だけど…」 (それにしてもどこからあんな力が……これじゃ完全に…) 唯「ゲホッゲホッ……」 急に湧いた憎悪のあとに残ったのは、…喪失感、虚無感。 自分の分からないところで自分の分からない憎悪が湧く、 しかしそれはどこかでぼんやりとわかってるのだ。 自分自身に言いようのない怒りがわいた。 唯「……私は……私は……なんなの!?一体!?別の自分がいるみたいで…!」 「………」 「あなたはその世界を統べる者があなたの親を殺す所をみた。それは強烈に、鮮烈にあなたの頭に焼き付き、記憶を忘却したにも関わらずあなたに夢として見せつけてるの、あなた自身がね。」 630 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/10(火) 18 49 45.36 ID zQqkoIAO 「その時一緒にいたケイと言う魔法使人があなたの記憶を忘却したんだけど、どうやら時間もなかったし焦っていたんでしょう、術が不十分だったの」 唯「…………」 「そして内なるあなたは世界を統べる者に対して果てしない憎しみを抱き、未だにあなた自身にその憎しみを伝えている。ってとこかしら、あなたの記憶を辿ると」 唯「………私はどうしたらいいの?」 「それは自分で決めること。あなたは親御さん達の犠牲を払って生き延びたの。…復讐を果たすなりこの世界で生きるなり好きなようにすればいい。ただ…」 唯「……ただ?」 「……さっき話したケイっていうのがあなたをこの世界に転生させたんだけどね、その時あなたもケイも気づかなかったみたいね。その世界を統べる者が転世の*とびら…つまりあなたが通ったこの世界と繋がるとびらなんだけど…」 *門+去+皿のとびら。携帯の変換じゃ出ませんでした。門のとびらの意 「そのとびらに近づいた時、とっさにそいつが所有する魔族を放り込んだの…。つまり、あなたと一緒にこの世界に来てしまった可能性があるの。全く…抜け目のない奴よ…。」 唯「魔族?」 「そっか……そこからか…」 「魔族って言うのはこの世界で言う人語を喋るちょっと頭の弱いバケモノのことよ。その世界を統べる者は恐らく魔族使い…。要するにそのバケモノがもしかしたらあなたを狙ってるかもしれないってこと」 唯「バケモノならこの世界ではすぐ人にバレるんじゃ?」 「………そのはずだったの」 631 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/11(水) 16 05 06.81 ID 5OkdmsAO ササッ(人間2人ととびらの絵) 「あなたが転生のとびらを通ってこの世界に来るときに、世界を統べる者が魔族をムリヤリとびらの中に入れたってさっき言ったわよね」 唯「…うん」 「人間同士が同時に通るならまだしも、人間ではない魔族と人間が同時に通るとなると話は別。この世界とアトムはいわば一心同体。 自分と同じ顔、体格、性格の人物がどこかにもう一人いると思った方がいいわね、性格は環境によって千差万別するけど。 転生のとびらを通るということはその相手世界の自分になりかわると言っても過言ではないわ。 つまりこっちの世界に魔族という身体は存在しないから、とびらを通ってもその魔族の受け入れ先は存在しないの。ただ、同じ心魂をもつ者は存在するかもしれない、いわばこの世界の仏教でいう輪廻みたいなものかしら」 唯「……じゃあ…」 「おかしなことになるわね」 唯「………」 「あなたは櫻井唯というこの世界の身体とすんなり入れ替わるはずだったの。この場合の入れ替わりって言うのは、櫻井唯の心とあなたの心を融和して櫻井唯の身体で過ごすってことなんだけど、 受け入れたほうの記憶や心理状態が優先されるから、一応ここでは櫻井唯として過ごすことに…」 唯は眉をしかめた。 唯「………???」 「…難しい…?」 唯「……えっと、ちょっとまって……そうだとすると元の私の身体は?」 「それは、この世界とアトムとの狭間、転生のとびらの中にちゃんと存在してる。でも…」 632 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/11(水) 17 18 32.71 ID 5OkdmsAO 「その異常なことの影響によって、通常起こるはずの心魂の融和が中途半端になってしまったのよ。本当は魔族がとびらを通らないようにしてあるんだけど…」 「だから、あなたは櫻井唯に入れ替わる…はずだったんだけど、文字通り心と身体が入れ替わってしまった。あなたがこうして日常の記憶があるのは櫻井唯の身体だったから。過去の記憶が蘇ってきているのはケイの術が世界を越えてまでは永久に効力を持ち得ないからよ」 一瞬の沈黙のあと、 唯「じゃあ…じゃあ元の…自分は?」 「狭間にいるあなたの身体に入った可能性が大よ。そうだとすると…最悪の場合どこかに出てしまう可能性がある。と言うより最悪の事態すらわからない状態なの、何が起こるかわからないわ」 唯「そ…そんな…」 妖精はつづけて言う 「遠回りになっちゃったけど、その時一緒に入った魔族は幽離して自分と同じ、つまりこちらの世界の自分にムリヤリ入ったようなの。あなたを狙う可能性がある、と言うよりそうするでしょうね」 唯「ま、まって!…受け入れたほうの記憶が優先されるならどうしてまだ私を狙おうとするの?」 「それはおそらく魔族の方も入れ替わったんでしょう。悲しいかな、魔族に転生してしまった人がいるようだわ。身体は人間だから日常生活に支障はないはず、でもいずれボロを出すでしょうね」 唯の頭がだいぶこんがらがってきた。 唯「つ、つまり…私はその魔族って言うのに命を狙われていて、元のこの体の持ち主は行方不明…」 「そんなところかしら」 唯「………」 633 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/11(水) 19 43 30.91 ID 5OkdmsAO この身体が自分のものではないと聞かされて、はいそうですかと受け入れられる人はどれくらいいるだろうか…。 しかし唯は違和感を感じないとは言えない心地ではあった。 確かになにか、自分がいるべき場所にいないような浮き立った気持ちがしていた。 それはこの話を信じるには十分だったのかもしれない…。 唯「……ただ殺されるのを待ってなきゃいけないの?」 「そこで私があなたを助けるの」 唯「どうやって?」 ササッ(魔法の絵) 「私があなたに魔法を思い出させて、その魔法で敵を撃退もしくは、倒す!ビビーって」 唯「…た…倒せるの?」 「結局は倒さなきゃダメなの!倒して私が心魂を元の体に戻す魔法をかけるから…(こんなのしか使えないけど)」 唯「直せるの!?じゃあ私達も元に戻せば…」 「片方の身体のみで戻せば死ぬわよ」 唯「え…」 ササッ(また2人の絵、片方バケモノ) 「要するに、片方の身体が行方不明のまま心魂を戻せば、片方の心魂は帰る場所を見失うの。行方知れずの心魂は呼び戻せるけど、行う術者は戻す場所を知らないから結果的に心魂を失った身体は腐り、帰る場所を失った心魂は世界の狭間で永遠に意識を持ったまま朽ちることもなく無限を生きることになるわ。死んだほうがマシかもね」 ゾクッ… 「どうせ魔族なんてどうなってもいいから言ってるんだけどね(本当は入れるはずなんかないんだから)」 「そこでぇっ!私があなたを特訓するために遣わされたってわけよ!おわかり?あーゆーあんだーすたんど?」 唯「ポカーン……」 634:1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/11(水) 20 34 17.78 ID 5OkdmsAO ほんとうはどぅーゆーだがあえて間違えていることにしておこうと思う …。 635 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/11(水) 23 22 38.55 ID 5OkdmsAO 唯「誰に遣わされたの?」 「さぁ」 唯「知らないの?」 「うん」 唯「………どうして?」 妖精みたいな少女は空中を一回転して目の前に降り、 「フフッ、そういえばまだ私のこと話してなかったわね」 ヒュッ 「私のような者はアトムでは祖龍子(ドラコ)と呼ばれているわ。いわば世界の傍観者。神とまではいかないけど、世界の行く末を見守り、たまぁに気紛れで人間に知恵を貸したりしてるの。地域によっては結構神として崇められてるのよ!」 唯「へぇ~、すごいね~」 よくわからないけどすごそうだ。 「でね、まぁ積もる歴史を語るのはまた今度で…、どうして誰に遣わされたかわからないって言うのは…」 唯「うんうん」 「わからないの」 唯「えっ…わからないの?」 「うん。だってそんなのもう超感覚的なことだから。なんとなくあなたを助けにいかなきゃ、って感じよ、もう。言うなれば……祖龍子は世界と一心同体みたいなところあるから、世界があなたを助けるように遣わしたのかもねっ!」 唯「?」 世界が私を…? 「ん~…今のは漠然すぎるかもしれないからあんまり深く考える必要はないわよ」 何か急に話が大きなったようだ 唯「んー……、そういえば…えっと…えっと…」 質問をしようと思ったが相手をなんて呼べばいいのか一瞬迷った。 妖精は悟ったのか、 「名前?祖龍子に識別固有名なんてないから好きなようにつけていいわよ」 唯「…じゃあ…えーと…」 「かわいい名前がいいなー」 少し考え、頭にとっさに浮かんだ名前にした。 唯「じゃあ、ナトリーで!どう?かわいいでしょ?」 636 :1◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/11(水) 23 40 13.88 ID 5OkdmsAO 話をまとめる能力が乏しいため 相当説明がくどくなってしまいました。。。 申し訳ない。 要するに 地球世界⇔転生のとびら⇔アトム世界 しかし、地球世界からアトム世界へは転生することなく地球世界の身体のままゆけます 制約がかかるのはアトム世界から地球世界だけです これはアトム世界には魔族や魔法があるためで これを筒抜けにすると 地球世界が大変なことになっちゃうからです ですから、地球世界が発展し科学文明が発達したということは……おっと。 てか今どのくらいの方が見てくださっているのでしょう… 淡々と投下しておりますが 644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/12(木) 18 42 50.94 ID cVsej4w0 ノ 保守いらないから書き込まないだけかと 頑張ってくだしあ 645 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/12(木) 20 44 04.78 ID fh6bmcAO 「!?」 唯「…?、ダメかな?」 「べ、別に私は構わないけど…いいの?」 唯「何が?」 もちろんこのときの唯の頭には母の名だという認識はない。 ただ唯の頭に微かに残っていた…という程度のものである。 「ううん…何もないわ、いい名前ね。それで何かしら?」 (…自分の母の名と気づいたときどうするのかしら……) 唯「確かあ…ナトリーは私の記憶から生まれたって言ってなかったけ。それってどういう意味かなって」 ナトリー「…覚えてたの!?」 唯「うん」 ナトリー「ええとね…」 ナトリーが問に答えようとしたその瞬間、 コンコン(ドアを叩く音) 母「唯、入るわよー」 唯「!……ちょ、ちょっと待って!!」 唯「ナトリー!ど、どうするあなたを見たらお母さん…!」 ナトリー「大丈夫、大丈夫」 ナトリーは焦る様子もなくただ頷く。 母「どうかしたの!?」 ガチャッ 646 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/12(木) 21 44 05.36 ID fh6bmcAO 642-644ありがとう。 最初はネタとして始めた話ですが 自分でもこんなに膨らむとは思ってもみませんでした。 おそらくとても長いお話になってしまいそうです…。 まだ物語全体の中でも恐らく3章まででも全体の何分の一かもわからないくらいです。 この方向性でよかったのかどうかは分かりませんが いつか大団円で締めくくれるよう お付き合いのほどよろしくお願いします。 647 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/12(木) 22 03 12.21 ID fh6bmcAO 唯「わっ」 唯「…待ってって言ったのにどうして入ってくるの!」 母は部屋を一通り見回し、 母「ご、ごめんね。最近何かと物騒だから、唯に何かあったのかと思っちゃって」 唯「もうっ……」 母「何を言いにきたっていうとね、お昼食べるんでしょ?下に用意してあるから調子が良くなったら食べなさいよ」 それだけを言うと母はドアを閉め下に降りていった。 そうかもうそんな時間か。 時計を見ると12時を過ぎていた。 唯「あービックリした!」 ナトリー「どう?ずっとここにいたけど気づかれなかったでしょ」 唯「どういうこと?お母さんには見えてないの?」 ナトリー「そういうこと。魔力を持たない者には私を視ることはできないの。少しでも魔力を持っていれば見れるんだけどねっ」 ナトリー「多分これからあなたと行動を共にすると思うから、この方が便利でしょ?」 唯「なんか……」 ナトリー「?」 唯「すごいっ!」 ナトリー「え?」 唯「こんなの…こんなの…すごすぎるよ!」 急に心がこの非現実に興奮し始めた。 自分が魔法使いで他人には見えない妖精と一緒に過ごすなんて 小さな子供なら一度は夢みることだ。 それが今、まさに起こっている。 実感するほどに胸が高鳴る心地がする 648 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/12(木) 22 54 47.36 ID fh6bmcAO ナトリー「そ…そう?」 唯「うん!」 ナトリー「…まぁ何にせよ、笑った顔が見られてよかったわ」 ナトリーは初めて唯の笑顔を見た。 恐らく唯の方も久しぶりに笑えたようだ。 有り得ない未知の願望が目の前に出現し、それを実感するとき人は自然と笑うのかもしれない。 ナトリー「話を戻すけど、」 ササッ ナトリー「本来私達、祖龍子が現世、つまり地上に現れるには魔力を媒体とする必要があるの。」 ナトリー「その際に魔力を持つもの、あなたのような人に憑き、会話をするには相手の心の記憶を取り込むことが必要となってくるわけ」 唯「なんで?」 ナトリー「まず相手の思想、言語を知らなきゃ会話できないでしょ?それに、相手が悪い奴だったりしたら困るじゃない」 唯「うん」 ナトリー「後は記憶を共有することによって相手を知ることができるの」 ナトリー「つまり、祖龍子の心魂、魔力、記憶を合わせることによって現世に存在できるわけ。ってここまで言っちゃっていいのかしら…」 喋りすぎである。 唯「なるほど。でも魔力なんてどこから…」 ナトリー「あなたを護っていた防御魔法よ」 649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/13(金) 01 55 52.68 ID ZdzFP36o シリアス怖いよー 650 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/13(金) 19 57 30.30 ID EJWhiIAO 649このあともグロい描写が多少あると思うよ~(^O^) 651 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/13(金) 21 39 10.89 ID EJWhiIAO 唯「防御…魔法?」 ナトリー「そう、しかもとても古く、そしてとても単純で、かつ術者の意思が力となりやすい魔法よ。あなたのお母さんが死ぬ間際にあなたを助けるためにかけたの」 唯「………」 ナトリー「俗に言われる言い方が螺旋円ね。それがあなたの身体と心にかけられて、さらに世界を越えてもまだ持続している。これって相当すごいことよ?」 ナトリー「これがなかったらあなた自身の微量な魔力に頼らならければならなくなって、私があなたの前に現れるにはさらに二年くらい伸びていたでしょうね。感謝しなきゃ」 唯「…そうなんだ……」 そうか、夢の中に出てきたあの人が…。 ナトリー「その魔法が単純だったからこうして魔力を媒体にできたの、運よかったって言ったらあれだけどさ―」 ぐ~… 唯「あっ…//」 ナトリー「…あらら、ちょっと話過ぎちゃったかしら。お昼食べてきたら?」 唯「う、うん…//」 12 40 ――――――――― 652 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/14(土) 00 11 54.39 ID 5ERhuMAO 同日午前10時20分ごろ 清々しくカラリと晴れ、 まさに洗濯物日和となった午前のとある閑静な住宅街 加治木家の門前に壮年の男性2人が乗った警察の車両が止まった。 更なる通り魔についての情報を聴取するために 警察がよこしたのだった。 一応任意という形だが断れもせず 半ば強制といった感じだろう。 さらにこの通り魔に面と向かい会話まで交わしたのは加治木・八木の少年2人のみであるから 警察もこの2人から搾れるだけ 情報を搾りたいのであろう。 玄関先まで警察の車両で迎えにきたのは 通り魔が口封じに2人に危害を加える恐れがあるためである。 それにこの事件のために増員され 人員に余裕が出たからでもあろう。 事実、昨晩は家の前には警備員がいた。 車の中で刑事っぽい人が テレビで1500人体制と言ってるが本当は800人ぐらいで、犯人を威圧するためだとか、 犯人に繋がる物がほとんどなく、捜査が進んでいないから君達が頼みの綱、 とかいろいろ話してくれた。 警察署に着くと入り口は報道陣でごった返していた。 その後ろには報道車両がわんさか停まってる。 刑事っぽいおじさんが、 入り口はまずいから地下から入ろうか。 と言って地下の駐車場から入ることになった。 653 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/14(土) 00 13 43.11 ID 5ERhuMAO 細かいけど修正… 情報を搾りたいのであろう× 情報を搾りたいのである○ 654 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/14(土) 11 41 35.36 ID 5ERhuMAO 車から降りて中に入ると おじさんに200円渡され、これで好きなもの飲んでていいから少し待っててくれんか。 と、待合室で待つように言われた。 待合室に入ると数人のスーツを着た人が椅子にもたれ掛かるように寝ていた。 おそらく深夜組の人達だろうか…。 そして紙コップ用と缶の自販機が数台置いてあり、 基本的にどれも100円であった。 一分ほど悩んだ末、サイダーとコーヒーにし パイプ椅子に座り、熱いコーヒーを啜りながら音量を小さくしてテレビをつけた。 ピッ 「現在有狩警察署前から中継です。」 加治木(あっ…すぐ前だ…) 「事故現場では現在もブルーシートがかけられ、警察関係者が出入りし………献花台にはたくさんの故人を思わせるものが……」 もし殺されていたらあそこにも自分の写真が置かれていたかと思うと背筋がゾッとした。 「記者会見で発表された犯人の様相は身長170cm、黒のパーカーに黒のニット坊で痩せ形ということですが……心辺りのあるかたは下記の電話番号へご連絡ください」 ガチャッ 八木「あっ、カジ!」 加治木「…シーッ!」 八木「あ…ごめ…」 八木はすぐ隣に座るなり、 八木「またカジだけおごってもらってるじゃん…」 何も貰えなかったようだ。 加治木「じゃあこれまだ飲んでないからあげるよ」 しょうがないのでサイダーをあげた。 655 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/14(土) 16 53 38.94 ID 5ERhuMAO 八木「昨日は眠れた?」 加治木「まぁね」 八木「そっか。俺なんて夜の12時まで起こられてて、しかも全然眠れなかったから…この通り…」 よくよくみると目の下にクマができてた。 さらによくみると昨日の服のままだ。 どうやらそのまま寝たらしい。 加治木「………」 八木「…どした?サイダー飲みたかった?」 加治木「…すごいよ……」 八木「何が?」 加治木「…ヤギがだよ」 八木「………どこが?」 八木には自覚がないようだ。 それが加治木の嫉妬心を少しばかり煽ることになった。 加治木「…あんな殺人鬼を追える勇気にだよ…」 八木は特に気にする素振りもせず、 八木「カジも追いかけたじゃん、それもすごいと思うよ。同じだって」 加治木「…全然同じじゃないよ。俺はヤギについていっただけ。立ち向かっていったのもヤギ。俺震えてただけだもん」 八木「………」 加治木「……こんな話するのも変だけどさ、俺達中学のとき差なんて無かったのにさ、どうしてこんなに違ってしまったんだろってたまに思うんだ」 差がなかったという辺りになにか変な自尊心が見え隠れするのに自分では気づいていた。 八木に対する嫉妬の表れなのかもしれない。 八木はメガネの位置を戻し、 八木「確かに…俺は里美に出会ってから変わったかもしれない。でもさカジも女が出来れば変われると思うよ」 加治木「……やっぱり?」 八木「うん」 656 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/14(土) 20 53 28.04 ID 5ERhuMAO 加治木「……そっか…」 八木「俺だってさ、正直昨日の夜は怖くて怖くて眠れなかったんだよ。あの時はたまたま頭真っ白になってさ…うん…。だからあんまし自慢なんかできないよ」 ガチャッ 刑事さん「おう、じゃあちょっとこっちきてくれんかね」 八木・加治木「は、はい!」 温厚そうな刑事さんに連れられ 会議室みたいなところに通された。 好きな席に座るよう促され 席に着くと早速2人くらいの人がきて前の席に座った。 見るからに結構疲れているようだ。 「ごめんな、昼過ぎまでには終わるから」 トントン 北条「えっと、私がこの事件を担当してる北条と…こっちが武田ね。」 武田「よろしく」 軽く雑談したあと、すぐに本題に入った。 2時間くらい、犯人について覚えていることはないか、や 何か他に気づいたことはなかったかなど ありとあらゆることを聞かれたが、 ほとんどは昨日と同じことだったので そのまま同じことを答えた。 658 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/14(土) 21 29 20.40 ID 5ERhuMAO 北条「いやね、ほんとのところ全然犯人の目星がつかなくてねぇ。頼りは君達だけなんだ。もっと何か気づかなかったかい?」 八木「いえ、話したことが全部だと思います」 北条さんは白髪混じりの頭をかきながら、 北条「そうかい…いやー困った困った…。」 武田「これだけじゃ犯人を特定するのは不可能そうですね…。鑑識からも新情報が出てきてませんから…」 2人とも肩を落とし顔を落としてしまった。 何も有力な情報を提供できない自分達がなんだか申し訳なく思えてきた。 武田「君達の話では犯人はかなり危険な性格、かつ残忍、そして快楽で殺人を行うようだが」 加治木「はい…相当危ないやつでした…」 武田「こういうやからは必ずと言っていいほど殺人を繰り返すんだ。顔を見られたと勘違いした通り魔がもしかしたら君達を狙うかもしれないからね」 北条「事が収まるまで我々が警護に当たるから一応は安心してくれ。学校も我々が送迎するよ。それ以外は外出を極力控えてほしい」 八木「わ、わかりました」 北条「おっと、もうこんな時間か。腹減ったか?」 加治木「えぇまぁ…」 そう言うと、ポケットから紙を二枚取り出し、 北条「この食券で好きなもの食っていいぞ。下の食堂にいっておばちゃんにこれを渡せばいい」 八木「あ、ありがとうございます…」 北条「飯食い終わったら外にいる警察官に家に帰してくれって言えばいいからな、ガハハハ」 北条「武田、じゃ俺は仮眠とるからなんかあったら起こしてくれや」 武田「はい、わかりました」 背広を肩に掛けて北条さんは部屋からでていった。 659 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/14(土) 21 55 11.11 ID 5ERhuMAO 武田「じゃ、私も失礼するよ」 ガタッ 八木「あ、あの、武田さん!」 八木が立ち上がって いきなり今日一番と思われる大きな声を出した。 武田「なんだい?」 八木「どうして通り魔は真鍮高校の女子ばかりを狙うんですか」 武田さんは少し困った顔をしたあと、 武田「多分、真鍮高校の女子に何か怨みがあるんじゃないかな。バカにされたとか、過去に真鍮高校の女子のせいで何か被害を被ったとか。私達もその線を今洗っている最中さ」 武田「君達の話では、人違い、と犯人は言ったようだから、おそらくは個人への怨みの線が濃い可能性があるね。」 八木「もしそうなら、なんで無関係の人達を殺すんですか!?」 武田「……。君は正義感が強いみたいだね。私も様々な事件を見てきたよ。全く無関係の人が短絡的な犯人の動機によって殺されるのをね。」 八木「………」 武田「世の中にはそういうおかしな奴がいっぱいいるんだよ。だけど君達。正義を盾にした蛮勇っていうのは時として正義でもなんでもないんだ。命は一つしかないんだから、今度からはこれを肝に銘じて危ないことはするんじゃないよ」 そういうと、部屋を出て行った。 八木はなんだかおさまりが悪そうな顔をしている。 661 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/14(土) 22 24 31.25 ID 5ERhuMAO 加治木「…ヤギ、飯食いにいこ」 八木「……あぁ」 捜査本部が置かれているため たくさんの人が行き交う警察署内を掻き分け なんとか食堂に辿り着いた。 メニュー表を見回すと、有狩名物カレーおかゆなるものが。 怖いものみたさで2人ともこれにし 番号札を貰って空いてる席についた。 八木「………」 加治木「………大丈夫かよ」 八木「なぁ…カジ。なんか忘れてない?」 加治木「なにが?」 八木「……やっぱな。助けてくれた男のこと」 加治木「…あぁっ!!」 完全にまた忘れてた。いや、もはや忘れるとかそんなんじゃなく頭から消えていた。 加治木「一応あとで言いにいこうか?」 八木「無駄だよ。さっきの待合室まで覚えていて、しかもメモまで握ってたのに刑事さんが入ってきた瞬間から忘れてたんだ。今から言いに行ってもまた忘れるだけさ」 クシャクシャになった紙を机に出した。 加治木「………」 まさか…そんなことが…。 662 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/14(土) 22 59 49.81 ID 5ERhuMAO 八木「……やっぱ魔法か超能力だよ。俺達はその超科学にかかってるわけさ。すごいことだよ!」 さっきとは一転、八木の表情は明るくなっていた。 加治木「………魔法……」 加治木(魔法があれば櫻井唯ちゃんに、あんなことやこんなことを…) 八木「なににやけてるんだよ。まさか!、魔法でエロいこと考えてた?」 八木のこの勘の鋭さは一体なんなのだろうか。 「98番と99番の番号札でお待ちのかた~」 加治木「お、俺がとってくるよ!」 ―――――――― 県内某港 プルルルル…!ピッ 「もしもーし」 「久しぶりだね、龍造寺くん」 「…へぇー、しばらくお話ししないうちに日本語が上手になったね」 「フフッ日本語は言語の中で難とされているけどそんなに大したことはなかったよ」 「へぇー。それで、何の用かな」 「ちょっと日本に用があって今空港まで来てるんだけど、迎えにきてくんないかな」 「また革命ごっこの連中に武器の流しかい?」 「まーそんなところさ。で、順調かい?そっちは」 「今探してる最中だよ。でも探してる最中に結構面白そうな子を見つけてね、今どうしてやろうか考えてるとこ」 「あんましやる気が感じないなー、まぁいいや、迎えに着てね、じゃ」 ツーツー… (はぁー、久々の接待かぁ…) 663 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/15(日) 00 11 44.07 ID WoM/8wAO ――――――― 足戸町のある家 12時34分 「もうっ!すぐそこのコンビニに行ってくるだけって言ってるじゃん!」 「危ないんだから!言うこと聞きなさい!」 「五分で帰ってくるから!」 ガチャッ!タッタッタ… 「もう…!晩ご飯抜きにするんだからね!」 タッタッタ… (そこら中に警察がいるんだから大丈夫!心配性なんだからお母さんは) バッ! 「あ……っ」 「あれあれ~?外に出たらダメなんじゃなかったのかな~?悪い子だね~ギチギチ」 「た…たすけっ…や…!」 ザギッザクヅ!! プシュュゥゥ!! ドサァッ 「まーたハズレだよ、まっ、いいんだけどさ~ギチギチギチ…楽しいからね~」 「なーんか目的があったようななかったよーなぁ…まっいいか~、その内思い出すさ俺!頑張れ俺!」 ――――――――― 664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/15(日) 00 48 50.92 ID oV6ILaAo 支援。 つか、国公立まであと2週間だろうから、そっちがんばれww 665 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/15(日) 18 32 20.72 ID WoM/8wAO 664そうですね。控えめにします 666 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/17(火) 16 32 35.13 ID JAWO/oAO 有狩警察署 食堂 モグモグ…カチャッ… カレーおかゆなるものを無言で食べる2人。 一体この異色な組み合わせの食べ物について何を話せばいいのか 考えさせなくしてしまう食べ物だった。 やめとけばよかった、とは言えないし、そこまでまずくもない。特徴と言えばご飯部分にかかる謎のたまごふりかけである。 これを表現する言葉が浮かばない。 半分食べたところでやっとスプーンを置いた…。 加治木「…………」 八木「…………」 加治木「……まぁ……うん……いいんじゃない?」 八木「……誰だよ考案したやつ。ドロドロのものとネチャネチャのもの混ぜて何がしたかったんだよ。しかもなんだよこのふりかけ、なんか意味あんのかよ」 加治木「俺は…悪くはないと思うけどさ…。発想は悪くないけど何かを見失ってる感じはするなぁ…」 八木「不味くはないのが腹立つ…」 タダで食べさせてもらってるのもあって ぶつくさ言いながら?2人とも残さず食べた。 食べ終わった後、どうせやることもないのでもう少し食堂にいることにした。 加治木「……さっきの話だけどさ、魔法はちょっと現実離れしすぎじゃない?もっと…こうさぁ…いつの間にか催眠術にかかったとかさぁ」 八木「そんな都合のいい催眠術なんてないよ」 加治木「でも一種の洗脳状態にすれば人に話すという行為をしようとすると話せなくしてしまうことができるらしいけど」 八木「じゃあなんで俺達では話せるんだ?それにそんな催眠をかける暇があったか?」 667 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/17(火) 18 50 38.89 ID JAWO/oAO 確かに…。 催眠術にしてはあまりにも都合がよすぎる。 しかもあの状況で催眠をかけるならどうやって? ならば通り魔が…?いや、あの男の行動からみてグルではない…。 やはり、魔法という答えが一番適当かもしれない 加治木「………」 八木「魔法にせよ催眠術にせよ、その男がなにか知ってるのは違いないよ。よし、俺達でその男を捜そうぜ!」 加治木「えっ…。ってか…ヤギなら犯人を捜そうって言うかと思った」 八木「ムリだよムリ!昨日の俺達思い出して見ろよ、全然勝ち目なかったじゃん。まだ死にたくないし」 八木はあの男になら勝てると思っているのだろうか 加治木「大体どうやって捜すんだよ。俺達当分軟禁状態だよ?」 八木「そんなの一日中見てるわけじゃないんだから隙をみて抜け出せばいいんだ。」 加治木「しかも捜すにしたってもし通り魔に見つかったらさ…」 八木「見つからないように行動すればいいんだ」 加治木(んなむちゃな…) 八木「…なんかさ、今この機会を逃すと一生出逢えないような気がするんだよ」 加治木「なにに?」 八木「この世界の常識を打ち破ってくれるようなものにさ」 加治木「憧れてんだっけヤギは。でもガキっぽすぎじゃない?」 八木「カジは夢がないよ」 確かに、現実的だとはたまに言われるけど…。 自分も男だから気持ちはわからないでもないが あるかどうかも分からないものに命をかけるヤギにはさすがに共感できなかった。 668 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/17(火) 19 40 39.70 ID JAWO/oAO 加治木「俺だって…少年の心ぐらい……ブツブツ…」 八木「じゃあ俺一人でやるよ」 八木はちょっと怒ったような声で言った。 こう突き放されるとしがみつきたくなる性格の加治木は まんまと八木の計略にはまったのかもしれない。 だんだん心が傾いてきた。 八木は昔からこういう性格の加治木をうまいこと操っていたのだった。 おもむろに席を立つ八木 それを制止するように、 加治木「……ヤギさぁ」 八木「なんだよ」 加治木「その男の顔知ってんの?」 八木「あ…」 そこまでは考えていなかった。 どっちにしろ加治木が必要じゃないか。 加治木「俺がいないとダメじゃないか」 八木「…………」 加治木「しょーがないなーわかったよ、付き合うよ。でも通り魔に出くわしたらヤギを生け贄にするからな」 八木「…生け贄は困るよ…。よし、じゃあ早速街をうろついて…」 ガタンッ その時食堂の入口のほうで誰かが駆け込んできて 「足戸町で通り魔発生!ガイシャが出てる!動けるものは至急現場に向かってくれ!!」 食堂は一気に騒然となった。 669 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/18(水) 00 04 30.07 ID fmAzz.AO 「くそっ!またかっ!」 「周辺の封鎖はできてるんだろうな!」 「なにやってたんだ!巡回班は!」 そして… 一気に人が外に出て行った。 残ったのは加治木と八木だけである。 加治木「……ヤギ」 八木「………。多分やられたのはまた同じ高校のやつだろう」 加治木「………許せないよな」 許せない…それは当たり前だ。 ちょっと不自然な言葉である。 八木「………」 加治木「…とりあえずさ、どうやって帰ろうか?警察の人みんな忙しくなったみたいだし」 八木「歩いて帰ろう」 また何を言ってるんだ八木。 たった今通り魔があったばかりだぞ? そのぶっ飛んだ答えに少し呆気にとられた。 八木「今俺達に構ってる暇なんてないだろ?しかも今あの辺りは厳戒体勢だろうから大丈夫でしょ」 この冷静沈着な八木に少し困惑した。 ふっ切れてしまったのだろうか 加治木「と、とりあえず受け付けの人に俺達が帰ること伝えておこうよ」 八木「あぁ」 670 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/18(水) 15 29 11.83 ID fmAzz.AO ―――――――― かわって櫻井家―13 04 ヒュルルル…(飛んでる) ナトリー「あら、お母さん出かけちゃったみたい」 唯「そうみたい」 キッチンの机の上にはお母さんお手製のミートスパゲティがハンカチをかけて置いてあった。 それをリビングに持って行き少し遅めの昼食をとった。 ナトリー「お母さんいないから気兼ねなく話せるわね。ん…?この変なものなぁに?」 唯「テレビのチャンネル。あれ?知らないの?」 ナトリー「うん。こういうものまでは知らなくってさ。で、テレビってなに?」 ナトリーがチャンネルに腰かけると、 ピッ ナトリー「うわっ!」 昼ドラ「―うしてのりおさんに付きまとうの!?私知ってるわよ!あなたがのりおさんの子供を昔―(略)」 唯「今喋ってるあれがテレビ。そのリモコンで好きな番組を見られるの」 ナトリー「へぇー…テレビってなんかすごいこと言うのねぇ」 唯「昼ドラだからね…」 ピロリロリン!ピロリロリン! ナトリー「あっ、なんか文字が出たぁ」 ナトリー「FLSニュース速報…?足戸町連続通り魔事件で五人目の被害者。刺された少女(17)は即死……」 唯「…!?」 671 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/18(水) 17 19 23.11 ID fmAzz.AO ナトリー「なにこれ?」 唯「…………」 ナトリー「……。どうしたの?急に黙っちゃって?」 唯「また近くで人が殺されたみたい…」 ナトリー「……お知り合い?」 唯「さぁ、そこまではわかんないけど、知ってる人かも…」 近所で17歳の女性と言えば 唯には数人見当があった。 ナトリー「こっちの世の中も物騒ねぇ。真っ昼間から女の子が暴漢に襲われるなんて」 唯「……うん」 殺されたのがもしかしたら知り合いかと思うと 急に食べ物が喉を通らなくなってしまった。 当然と言えば当然かもしれない 昼ドラ「殺してやるぅ!殺してや…プツン」 ナトリー「………テレビって怖いわぁ……」 「えー、この時間はドラマ「七人の妻」の予定でしたが予定を変更いたしまして、足戸町連続通り魔事件についてお送りいたします」 ナトリー「えー」 672 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/18(水) 21 56 40.87 ID fmAzz.AO 671どうでもいい訂正 予定を変更× 番組内容を変更○ 気づいたとこだけ訂正していきます 673 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/19(木) 00 11 51.02 ID TPCL1kAO 「今日午後12 40分ごろ、足戸町南区の住宅地で足戸町に住む地元高校に通う17歳の女性が通り魔に襲われその場に駆けつけた警察官によって死亡が確認されました。」 ナトリー「……へぇー…こんなことまで喋るのかぁ」 「現場に残こされた凶器から一連の通り魔事件と同一犯とみて県警は捜査を進めています。これでこの連続通り魔事件の被害者数は5人にのぼり、戦後最悪の連続通り魔殺人事件となりました。」 「また、近隣にご在住の方の外出は極力控えるようお願いします。そして女性の方は特に独りで出歩くことはやめてください。繰り返しお伝えします。今日午後……」 ナトリー「…このテレビってのは、周りで起きたことを自動的に話してくれるの?」 唯「なんていうか…まぁそうなんだけど」 ナトリー「ふぅーん。話を聞いて察するに女の人が狙われてるのね?」 ナトリーは考える人のポーズになり 慌ただしく喋る人間が写っているテレビ画面を見つめながら言った。 唯「うん…。私と同い年くらいの女の子ばかり…」 ナトリー「なんだか臭うわね」 唯「何が?」 ナトリー「ちょっと気になることがあってね。この殺人鬼についてもっと情報はないの?」 情報といってもテレビはそんな詳しいことまで報じないし… あっ、インターネットならなにかあるかもしれない! 唯「ま、待ってて。今ノートパソコン持ってくる」 ナトリー「ノート…パソコン?」 674 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/20(金) 12 35 43.72 ID yDTjtQAO そう言うと、食べかけのミートスパゲティをラップしてキッチンへ持って行ったあと すぐさま二階にいき、 タッタッタ…ガタンッ…ガタンッ なかなか真新しいノートパソコンをもって戻ってきた。 カチッ…ビュィーン… ナトリー「へぇー…これがノート、パソコンねぇ…何か書いてあるの?」 唯「そのノートじゃなくて…。多分ノートのように薄いからノートパソコンなんだと思うけど…。これでね、通り魔についての情報を色々と見ることができるの」 ナトリー「これでねー…ふーん…まさに文明の利器ね」 ナトリーは不思議そうに、この文明の利器を眺めた。 カチャカチャカチャ… 唯「足戸町連続通り魔事件……と」 唯「えっと…とりあえず詳しそうなとこは…これかな」 ―足戸町連続通り魔事件 6月13日、足戸町商店街で地元高校に通う女子高生が帰宅途中に何者かに刺殺されたのを皮きりに 同月14日、有狩町の繁華街で女子高生2人が何者かに刺殺され さらに逃走した犯人を追いかけた県内の大学に通う20代の男性も犯人に刺殺された。 また、一緒に犯人を追いかけた地元高校に通う男性2人は軽傷だけで済んだ。 一連の犯行が同一犯と断定したのは 犯行に使われた凶器がどれも イタリアで製造されたサバイバルナイフであり また、殺害方法が一貫して相手の頭部をナイフで突き刺して殺害するからである。 (追走した男性は胸部を刺された) 675 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/20(金) 18 19 35.58 ID yDTjtQAO また15日にも犯行が行われ 地元高校に通う足戸町の女性が殺害された。(続報がはいりしだい追加) 憶測ではあるが、被害者の女性はいずれも真鍮高校に通う女子高生であり 犯人は真鍮高校に通う女子生徒に恨みを持つものの可能性が高い。 またとおりざまに頭蓋骨にナイフを突き立てられるほどの力から 犯人は相当な腕力をもつものと思われる。 だが犯行現場に犯人のものと思われる遺留品が全くなく 周辺の防犯カメラにも写っていないため 警察は犯人の特定に至っていない。 犯人の身体的特徴は 身長170から175cmの20代の男性 犯行当日黒のニット帽に黒のパーカーを着用し 灰色のズボンを履いていた。 痩せ型で言動から精神に異常があるものとみられる。 犯人に似ている人物を発見または聞いたときには 決して近づかず、最寄りの警察に通報してください。 唯「………どう?」 ナトリー「13日と言えばあなたがこの世界にきた日ね」 唯「つまり……」 ナトリー「もしかしたら、犯人の中身は例の怪物かもしれないわ」 唯「………と、という事は……私が…狙われてるってこと!?そんなっ!?」 ナトリー「推測でしかないけど、恐らくはあなたの顔を知らないわ。もし仮に知っているなら他の人を殺さなくて済むもの」 唯は複雑な気分になった。 ナトリー「多分知っているのは女性で、あなたぐらいの年齢ということだけかしら。これから判断するなら」 ナトリー「もしくは知っていたが記憶を失った。または曖昧になっている。それかあなたを知っていると仮定するなら、この行動からは快楽で殺人をしていると見れるわ、または探すうちに殺人に快感を覚え中毒になっているか…ね」 676 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/20(金) 18 50 45.96 ID yDTjtQAO ナトリー「でもまだ卓上の空論よ、決まったわけじゃない。まぁどちらにせよ用心してあまり外に出ない方がいいわね」 唯「……うん。でももしそいつが怪物だったら…どうしたら…私殺されちゃうの…?」 黙って殺されるのも家に隠れてるのも唯には嫌だった。 平穏な日常の生活にいきなり現れた自分に向けられているかもしれない理不尽な死。 これは恐怖以外の何物でもない。 ナトリーは小さな腕を組み自信満々そうに ナトリー「私が殺させないわよ。そのために来たんだから。」 唯「どうするの…?」 ナトリー「あなたを強くする」 唯「強く…?」 ナトリー「要するに、そこいらの殺人鬼なんかに負けないようにすること」 唯「…私格闘技なんかやったことないんだけど…」 ナトリー「だぁれが腕力で負かすなんて言ったのよ。魔法よ魔法!」 唯「魔法…」 ナトリー「そして最終的にはこの世界にきている魔族をその魔法で倒す!」 唯「………。……たっ倒すの!?」 ナトリー「もちろん、誰かが葬らなきゃ。あなたの力量ならたぶん倒せるはず!たぶんね」 唯(たぶん…) ナトリー「まぁ35%くらいの確率だけど、その通り魔が魔族ね。違ったら違ったで捕まえればいいんだし」 677 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/20(金) 20 36 53.82 ID yDTjtQAO 唯「………」 ナトリー「結局はあなたが、人間だろうと魔族だろうとそいつを倒せる力があればこれ以上の犠牲はなくせるわ。その力があなたには備わっているはず」 唯「……私が………」 魔法なんてものが存在し それを自分が使えるなんて 昔の自分が聞いたら声をあげて喜ぶだろう。 ナトリー「でも…あなた自身が決めることよ。好きな方を選んでいいわ。もしかしたらあなたの人生を180度変えることになるかもしれないもの」 唯の中では答えはすでに決まっていた。 唯「私…やってみる」 ナトリー「後悔はしない?」 唯「うん!」 はっきりと答える唯の表情は真剣そのものであった。 ナトリー「じゃ…練習は明日からね」 唯「なんで?」 ナトリー「あなたはまだ微量の魔力しか有していないし、ある程度の魔力がないと練習するにも何もできないしね」 唯「そ…そうなんだ…」 ナトリー「それより、まずは相手が本当に魔族かどうかを少なからず確かめる必要があるわ。この、ノートパソコンにある軽傷で済んだ男2人。もしかしたらやつの顔を見ているかもしれない」 唯「顔?」 ナトリー「魔族と心魂が融和したら外皮や顔面になんらかの異常が出てくるはずなの。例えば目が真っ黒になったり鼻が伸びたり…ま、必ず何かしら異常があるはずよ。外面で判断するにはそれしかない」 唯「へぇー」 ナトリー「その子達が何かしら異常があったのを見たなら魔族である可能性は飛躍的にあがるわ。まずはこの2人に会ってみましょ」 唯「会うって…名前もわからないのに?」 678 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/21(土) 00 26 16.88 ID Exl0W2AO ナトリー「心当たりはない?」 唯「うーん………」 ナトリー「わかった。とりあえず魔法の練習を優先していきましょ。あなたもできるだけ情報を探ってみて」 唯「わかった。……あのさぁ」 ナトリー「?」 唯「あなたって言う呼び方やめない?せっかく私が名前をつけたんだからナトリーも名前で呼んでよ」 ナトリー「そうねぇ…。いいコミュニケーションにはまず気軽に呼びあえるってのは必要かしら…。わかったわ、じゃあ唯ちゃんでいい?」 唯「ちゃんは…」 ナトリー「じゃ、唯さん」 唯「さんってなんか堅くない?」 ナトリー「唯殿」 唯「ふざけてない?」 ナトリー「アハハ、じゃあそっちが決めてよ」 唯「唯、でいいよ、もうっ」 ナトリー「それじゃ…唯、明日からがんばろうね」 唯「あ、うん…//」 ナトリー「でさ、このノートパソコンって言うの部屋に持っていける?」 唯「大丈夫だけど、何するの?」 ナトリー「ちょっと文明の利器とやらをこの手で触れたくて、ね」 唯「?」 こうして、祖龍子ナトリーの下で魔法の修行をすることになった唯。 果たして、先に警察が通り魔を捕まえるのか 唯が先に捕まえるのか…どちらであるかはまだわからない…。 だが、いずれにせよ、被害者は出続けている。 679 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/21(土) 11 48 36.01 ID Exl0W2AO 世界観がむちゃくちゃでかくなってきた~(^o^) 広げた風呂敷畳めるのかこれ~ 何章で終わるんだろか~ 果てしないわ~ まだ群雄割拠ぐあいも出してないに~ ある程度テーマ性を持ちたいんだが 思ってたより結構難しいのね、これ 680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/21(土) 12 27 28.93 ID 4oFAnl.0 どうやって最初に繋げるのかwktkしてる自分がいる 時期が時期だから余計にこんがらがりやすいのかもよ 681 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/21(土) 14 05 26.13 ID Exl0W2AO 680こんがらがる、と言うより あれもこれもとやりたいことがありすぎて 最終的にきちんと風呂敷を畳めるのか? っていう不安がありまして… もちろん、話や設定に矛盾が生じないようにするのに 頭こんがらがってますが… 682 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/22(日) 01 15 28.05 ID ygppywAO ━━━━━━━━┓ 目をおおってしまうような残酷な殺人事件が起こった町の空は 皮肉にも雲一つなく、 まさに初夏を思わせるようなものであった。 警察署を出た2人は、 事件のあった有狩町の商店街を通って家路につくことにした。 八木の予想通り、道にはパトカーが何台も止まり テレビ局、野次馬、背広を着た人が何人もブルーシートのかかった事件現場に群がっていた。 しかし八木曰わく、足戸町で再び事件が起こったため 残っているのは昨日の四分の一にも満たないという。 警察の検問を通り 有狩商店街を抜けた。 確かに、そこら中で屈強そうな警察官が三人行動でパトロールしている。 まさに蟻の這い出る、這い回る隙はない。 そして、 足戸町商店街に差し掛かったとき… 加治木「あ……!」 加治木の目線の先は町の小さなおもちゃ屋だった。 八木「カジ、どした?」 加治木「今あの中に入っていったの…」 八木「誰?知り合い?」 加治木「あの男だ!」 八木「!?」 加治木「あの後ろ姿…多分間違いない!俺に話しかけてきた男だ!」 そのおもちゃ屋はメルヘンという店名で 加治木が産まれる前からここで営業している。 店頭のガラスケースには子供の好奇心をくすぐるようなプラレールの模型が組み上げられ 幼少の加治木はこの模型を見たいがためによくここを通っていた。 現在は、幼児用玩具からゲーム機まで幅広く取り揃えている。 683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/22(日) 01 15 51.98 ID yxgp9jA0 681畳めない風呂敷がないように やりたいこと一つずつでも盛り込んでいってたらいつかは必ず終わらせれるから 気にせずじゃんじゃん書いていけばいいと思うよ 読んでるこっちとしては新しいことがわんさか出てきてwktkが止まらないんだからw 684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/22(日) 02 18 43.74 ID qyPUpdYo 679まぁ、すえながくよみますよ~。 だがいまはべんきょうしろww 685 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/22(日) 22 30 38.25 ID ygppywAO 683-684ありがとう。 応援してくださるのはとても嬉しいです。 と、言うわけで勉強もせにゃならんので あんま更新できませんが 以前に書いた、アトム全土の地図があるので晒します。 国境線が引かれてませんが また今度、引かれているものを晒しますので… お待ちのほどをばhttp //imepita.jp/20090222/794400赤い点がその国の王都または支配者の居城であります。 全土でだいたいアフリカ大陸ぐらいの大きさでしょうか 世界観は無駄におっきくしたほうがやりやすいので…ね 686 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/23(月) 23 11 40.01 ID TI3k3sAO スラリとした体型と黒が混じった茶髪…ほぼ間違いない。 しかし、こんなに簡単に見つけてしまうとは思いもよらなかった。 ましてやまだこの近辺にいたなどと。 とりあえず何をしているのか、ガラスケースから見つからないように店内を覗きこむことにした。 男はカウンターにいる髭を生やした店長らしき人と話しているようだ。 「すいません、ラドンクエスト8って置いてありますか?」 店長「あー、ラドンクエスト8ね。実は発売日延期しちゃったんだよ。発売日未定になってるからいつ店頭に並ぶかはわかんないんだ、ごめんね」 「そうですか…」 「じゃあ何か他に面白そうなロールプレイングゲームってないですか」 店長「うーん…そうだね、今売れてるのはこれなんだけど…」 だいたい五分くらい店長と話し込んだあと、やっと会計までいった。 八木「何買ってるんだろう…」 加治木「ロールプレイングゲームって聞こえた」 八木「へぇー…ロープレ買うのかぁ…へぇー…」 八木は男の一挙一動をとても興味深そうに見つめていた。 男が会計を済まし店から出てくると2人は近くの物陰に隠れ男の様子を窺った。 端から見て怪しい2人が警察に職務質問をされなかったのは奇跡といっていいだろう。 男は大通りの方へ向かっていった。 687 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/24(火) 21 19 51.69 ID D/8HwoAO 八木「カジ、どうする?」 加治木「どうするって…どうしようか?」 八木「俺は後をつけるよ」 加治木「だ、大丈夫かよ!?」 八木「もちろん。ここで逃したらもう見つかんないかもしれないしな」 八木「それにしても…、カジの言うとおり格好良さそうな奴だな。あれは結構モテるタイプだろうなぁ」 加治木(………) そして、後をつけはじめて五分ほど経つと、 男が大通りに入る直前に家と家の小さな道に入っていくのが見えた。 2人もそれに続き、さらに後をつけてゆくと少し古い家屋が立ち並ぶ住宅街にポツンと広がる 小さな駐車場に出た。 車が五台止まれるほどの小さな駐車場である。 両側には古めかしい木造のアパートがまるで駐車場を覆うように建っていて、 そのためか晴天にも関わらず少し薄暗かった。 2人が駐車場に出たとき、前を歩いていた男はいなかった。 八木「しまった!まかれた!」 加治木「…あの時点でバレてたかもね」 あの時点とは大通りではなく住宅街に入っていったときである。 八木「はぁ…せっかく何かすごいことがわかるかと思ったのに…」 八木は肩を落とし見るからに落胆を表情に表していた。 加治木「そう落ち込むなって。やっぱり相手も―」 「すごいことってなんだい?」 2人の後ろから声がした。 それは言うまでもなく…。 追っていた男の声だ 689 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/24(火) 22 44 09.77 ID D/8HwoAO 八木「う、うわぁぁぁっ!!」 加治木「うぁっ…ぁ…!」 あまりに驚いたため 2人とも腰を抜かし真新しいコンクリートの上に尻餅をついた。 「酷いなぁ…。僕に用があるのは君達のほうだろ?でも…フフッ、あんな分かりやすく後つけられたのは君達が初めてだよ」 その男は稀にみる爽やかな笑顔で座り込む2人を見て、穏やかな口調で言った。 その包み込まれるような雰囲気に2人の警戒の紐は意図せずに緩み始め、 緊張の糸も緩んだのか顔がにやけてきた。 「さっ、立って」 すると、脚に力が急に入り すくっとすぐに立ち上がることができた。 八木「あ…あの…あなたは…」 「今日はあんまり時間がないんだ。わざわざつけてもらって悪いんだけど質問はそれぞれ一つまでにしてもらえないかな?」 なんなのだろう、この余裕は。 つけられたことに怒るどころか 笑顔で、2人の質問に答えるというのだ。 2人は全くの予想外な事態に困惑し顔を見合わせた。 相手が時間がないのに質問を受けると言うのだから、 2人は急いで頭を張り巡らして疑問を探し始めた。 「ギブアンドテイク、もちろん僕も君達に質問をする」 これもまた意外であった。 そして優しい抑揚で、 「君達の名前はなんて言うんだい?僕は龍造寺銀(しろかね)(藤原頼道みたいな抑揚)。フフッ、変な名前でしょ」 龍造寺「それで君達は?」 八木「……八木拓哉……」 加治木「……加治木諒輔」 龍造寺「よろしく、八木くんに加治木くん」 全く相手の意図が掴めないでいた。 しかし、その龍造寺銀と名乗る者の包容力のある声に2人は主導権を完全に握られ 相手のペースにはまっていた。 691 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/25(水) 18 47 58.84 ID w1JFSYAO 受験は一通り終わったので やっとこちらに注力できます 応援して下さった方々ありがとうございました 692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/25(水) 19 34 14.30 ID .Dz.q2so お疲れ様 良い結果が出るといいな 693 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/26(木) 00 42 46.51 ID PjT0JwAO 龍造寺「さっ、人と待ち合わせてるんだからさ、早くしてよ」 と、急いでる動作をして、白いシャツから覗く高級そうな腕時計を見ながら言った。 何故か2人の中に急がなかればならないという気持ちが生じ、 (相手の雰囲気がそうさせたのか) 焦った加治木が珍しい八木より先に喋った。 いきなりの展開に加治木の頭は整理しきれなかったのだろう もっと重要なことがあるはずなのに 自分の頭の奥底に沈んでいた最も単純で純粋な疑問を言った。 加治木「…ど、どうして櫻井唯って娘を捜してるんですか!?」 八木(カジっ…!?えっ…それっ!?) フッ 一瞬あの笑顔が消えた。 そしてすぐに元の笑顔に戻ると、 龍造寺「ふぅん…、うーん…まぁ簡単に言えば、必要だからかな」 加治木「…必要って…どういうことですか?何に必要なんですか!?」 龍造寺「…それは答えられないな。もし答えても君はそれを知ってどうするんだい?君はその娘を知らないのはずなのに。それとも…知っているのかな?」 加治木「…い…いえ…」 知っているとは言えるはずもない。 相手の言うとおり、この質問は自分が櫻井唯を知っているから聞いたのだと取られるだろう。 それに気づけるほど加治木の頭は回っていなかった。 だが何も言わずニコリと微笑み、 龍造寺「それなら聞かないほうがいいよ。じゃ次ね」 と言うと、八木の方に顔を向けた。 固まっていた八木は溜まったものを吐き出すかのように、 八木「あなたは超能力者ですか?…それとも魔法使いなんですか?」 龍造寺「え?」 加治木(…えっ!?) 八木「だって僕達が誰にも龍造寺さんのことが言えなくなったり、通り魔が事件を起こすことを予知したり、通り魔に襲われたときだってナイフが何もないのに飛んでいったり…」 八木「普通の人間にはできないことをあなたはやったってことは、あなたは何か超越した能力を持っているってことじゃないんですか!?」 一瞬場が静まり返った。 694 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/26(木) 09 00 30.10 ID PjT0JwAO 珍しい× 珍しく○ 695 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/26(木) 13 22 17.35 ID PjT0JwAO 龍造寺「…………」 龍造寺「ふっ…あははっ」 八木「………」 龍造寺「何を言い出すかと思えば、ふふっ、僕が魔法使い?超能力者?」 いきなり笑いだした相手に対して八木はただ真剣な表情で相手を見ていた。 龍造寺「まさか、そんなストレートに聞いてくるなんて、正直思いもしなかったよ。君達は純粋なんだね。うん、やっぱり気に入ったよ」 八木「………?」 龍造寺「おっと、もう時間だね。…超能力者か、魔法使いか…それは君達の目で判断するといい」 そう言うと、左手の人差し指と親指で輪っかを作り顔の位置までもってきて、 龍造寺「また会うことがあれば…、そうだね、また質問に答えてあげるよ。じゃあね」 ブシュー!! 輪っかの中に男が息を吹くと 穴から青い煙が勢いよく吹き出して あっという間に男を包み込み 次の瞬間には男はそこにはいなかった。 あっけにとられた2人はただ呆然と立ち尽くし 消えゆく煙をただ眺めるだけであった。 加治木「…………」 八木「…………」 八木「なぁ……カジ」 加治木「……ん?」 八木「奇術師っていう選択肢もでてきた」 加治木「…え?」 八木「……いや…なんもない」 加治木「……どうする?」 八木「……とりあえず俺んちに行くか?近いし」 加治木「通り魔は?」 八木「大丈夫だろ」 加治木「そうだな」 2人は終始無言で来た道を戻ることにした。 696 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/26(木) 20 49 56.27 ID PjT0JwAO (物陰) 龍造寺(ふぅ…さすがに瞬間移動はできないから、煙に巻くぐらいしかできないけど…) 龍造寺(それにしても……、右側の彼はもしかしたらもっと仲良くなれるかもね、フフッ…楽しみ) ━━━━━━━━━ 少し時間を進める。 ―緑青空港 ツカツカ… 龍造寺(………) 龍造寺銀は空港で待ち合わせている人を探していた。 国際便が多いこの空港は、多種多様な人間がせわしなく行き交い 人を見つけるのには苦労するかと思われていた、が 目のいい龍造寺はすぐに待合い席に座る目的の人を見つけた。 どうやら携帯ゲーム機で遊んでいるようである。 龍造寺「やっ」 その人物は龍造寺の顔もみずにゲームに没頭していた。 「…遅いぞ。あんまり遅いからさっき買ったゲームがもうラスボスまで行っちゃったじゃないか」 龍造寺「ごめんごめん、ちょっとした用事があってさ。お詫びに、これ買ってきたんだ」 「ラドクエか?」 初めて顔をあげ、龍造寺の顔を見上げた。 龍造寺「ラドクエ8は延期だってさ。代わりにこれで我慢してよ」 「ふぅーん…龍造寺くんのおみあげだし、ありがたくやらせてもらうよ」 龍造寺「じゃさ、車用意してあるから、とりあえず外に出ようよ」 「うん、わかった」 2人は歩きながら話をした。 スタスタ… 龍造寺「しばらく見ないうちに…うん、なんかかわいらしくなったね」 「そうか?世辞であれ本音であれ正直なところあまり嬉しくはないな」 かわいらしいと言ったのは服装ではなく、顔を見てだ。 化粧はしていないがこの人物は誰がどうみても女性のような顔立ちであり、女性の声だった。 しかし、毛糸の帽子で髪を隠し少年のような男装をしているため端から見れば男子に見えるであろう。 何故そんなことをしているのか? 龍造寺「ふふっ…体は正直なんだね」 「一年振りに再会したのにまたからかうのかい君は」 697 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/26(木) 22 46 50.59 ID PjT0JwAO 龍造寺「ごめんごめん」 龍造寺「それよりあのしかめっ面のボディーガードはどうしたんだい?クビにしたの?」 「いや、今日は僕はプライベートってことにしてあるし彼等にも休暇をやったんだ。ま、実際はうまいこと逃げたんだけどね」 龍造寺「へぇ、でも一国の宰相の息子がいくら日本の治安がいいからって単身で来るのはまずいんじゃないかい」 「構わないよ、身分証やパスポートなんて簡単に偽造できるし。何より、僕らを相手にできる奴がこの世界にいるかな?」 龍造寺「いないね」 「だから大丈夫さ」 正面出入り口をくぐり外へ出ると、 入り口の正面にそびえ立つ前衛的すぎるおかしな時計台は16時20分を指していた。 龍造寺「あっちの方に車用意してあるから」 「一国の宰相の家族を送迎するのだからそれなりの車だよね」 龍造寺「もちろん。でも運賃は君の国もちで…ね。借りるのも君の国の名前使ったし」 「そんなことだろうと思ったよ」 龍造寺「フフッ、僕の財布じゃ無理だからね」 出た場所から三分ほど歩いた道路脇に 黒光りしたリムジンが停車して 車の隣には運転手が扉を開き2人が来るのを待っていた。 698 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/27(金) 00 51 46.51 ID .MXQVIAO ガチャッ 「有狩ロイヤルホテルへ」 運転手「かしこまりました、ここからでしたらお時間30分ほどになります」 龍造寺「はい、お願いします」 「さて、と」 車に乗り込むなり、カバンからゲーム機を取り出し車内に付属しているモニターに接続してゲームをし始めた。 カチカチ… 「今すんごい強いボスが現れてさー、すんごい苦戦してるんだよねー。もう五回目の挑戦なんだ」 龍造寺「へぇ~、君をそんなに手こずらせるなんて結構難しいんだ?」 「ん、まぁね。でも簡単に進められてしまうのもなんか興醒めじゃない?僕は困難な道を乗り越えるのが好きだからさ~」 カチカチ…バン!バン!ピロリロリ~ 龍造寺(相変わらずゲームが好きだな~……) 「…あの女だけど」 龍造寺「…」 「今は探さなくてもいいよ、当面は適当に泳がしておく。こっちの世界に来ているのは確かだし、焦ることもないさ」 龍造寺「わかった。でもいずれは…でしょ?」 カチカチ…カチカチ…ズバーン!エレメンタルフォース! 「……僕達の新しい世界に必要だから、もちろん…ね。あっ、くそぉ、回復追いつかないや」 龍造寺「フフッ、楽しみだねぇ。」 パキューン!パキューン! 龍造寺「そういえば、ニュース見た?」 「うん、飛行機の中で。通りで街中にポリスが多いわけだ」 龍造寺「あの犯人…モンスターだよ」 「………モンスター狩りは勇者に任せるよ。魔王は勇者が現れるのを待ってるんだからさ」 699 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/27(金) 11 20 47.03 ID .MXQVIAO 龍造寺「フフッ、勇者なんか本当に現れるのかな」 「現れるさ。そして魔王を倒しにくるよ」 龍造寺「君倒されるの?」 「僕も黙ってやられるつもりもないけどさ。でも…倒されてしまうなら僕は黙ってそれを受け入れるつもり」 龍造寺「はてさて…主人公はどっちなんだろうね」 「それは、より楽しんだほうさ。自分を楽しめた方が主人公」 ピコピコ、パキューン 龍造寺「そういえば勇者の素質がありそうな子をみたよ」 「へぇ~。でも最初のステージでやられなきゃいいね。最初のボスにやられてたら僕もつまんないし」 龍造寺「一回GAMEOVERになりかけてて僕が救ったんだけどね」 「ふぅーん、ま、最初のプレイにはよくあることだよ。僕も救済キャラがいなかったら―」 龍造寺「それで、僕はこれからどうすればいいかな?」 「君の部屋はもう取ってあるから数日は僕と行動を共にしてよ。それからまた何をするか決めるからさ」 龍造寺「おーけぃ」 バーン!チャラララ~ 「うあ゙ぁ~またやられた~!!もうっ!今の装備じゃ無理だよこれ!」 700 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/02/27(金) 20 55 41.93 ID .MXQVIAO 一呼吸ついて腕と脚を伸縮し コントローラーを床に投げて 手元のボタンを押して窓を全開に開けた。 車窓からはビルが立ち並ぶビジネス街が見え スーツ姿の人々が右往左往とせわしなく歩いている。 それはいわば蟻の行列のよう 行き交う人々を冷たい眼で見つめ、呟くように、空に言うように、言った。 「三年前にここに留学しにきてから思ってたよ。少しも変わらない。いや、むしろ悪くなっているかもしれないね」 龍造寺は、なにが?とわざと問うた。 「見てみなよ、外にいる奴らはみんな目が死んでいる。まるで意思をもたない脱け殻が操られて動いているみたいだよ」 「ただ毎日同じことの繰り返しで嫌にならないのかな」 その言葉には侮蔑も含まれていた。 「人間の知性の根源でもある、冒険心や好奇心はどこにいったんだろう。この下らない社会構造の歯車の人生を全うして果たして彼等は何が残る?子孫?そんなもの猿だって残せる。結局は欲を満たす金や女を貪るだけ貪り、死ぬんだ。ほんとにそんなもので満足なのか?」 「宝とも言える子供の頃に持ち得た冒険心新しい物に対する感動は、周りを見渡せる身長と情報社会が掻き消してしまった。文明が追求した人類のための快適さは同時に人間の大切な部分を削ぎ落としたんだ。これは変えなきゃいけないよね」 龍造寺「あぁ、もちろん」 「ありとあらゆるところを見渡せるこの世界においては冒険という言葉は死語かもしれない。もはや宇宙や海底や密林の奥地にしかこの言葉が通用しないかもしれない。」 「初めて、歩いて知らない場所にきたときの高揚感。信頼できる仲間とともに目標を達成したときの達成感…。他社とは違う大きな力を手に入れた時の優越感。僕は彼等にもう一度その純粋な気持ちを思い出してほしい。そして冒険してほしい…、あわよくば自分の限界を知って潔く死んでほしい」 「そのためなら僕は魔王になるよ、どんな汚い手も使う、どんなひどいことだってする」 龍造寺「彼等は変わってくれるかな」 「大丈夫さ、みんな主人公になることを望んでるんだ。こんな宗教と欲と金で凝り固まった醜い世界なんかすぐに忘れるさ」 「そう…この世界を剣と魔法のファンタジー世界を作り変える。失った冒険心、好奇心を取り戻してもらう!」
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117. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 04 42.00 ID 7gi1q2AO この戦いで タンタル軍 約30000人死亡 (推定数) アボガドロ帝国軍 約8569人死亡 (市民含む) ハロゲン市の下層は浸水復旧の目処立たず ハロゲン市市長は二日後、井戸の中で死体で発見 この虐殺劇はタンタル軍の評価を一段と下げることになった 118. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 08 25.87 ID 7gi1q2AO ―――――― リン「女ちゃん…女ちゃん…」 女「……………」 女「……ここは…」 リン「私の家よ…、男君は街の病院で入院してるわ」 女「……終わったんですか?」 リン「えぇ………なんとかね」 女「そうですか……リンさんも…」 リン「気絶してたみたい、瓦礫が盾になって爆発には巻き込まれなかったわ」 119. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 17 19.08 ID 7gi1q2AO 女「よかった………」 リン「何があったの?どうやってニトロを…」 女「男君がね…」 ―――――――― 男「女………聞いてくれ、いいことを思い付いた」 男「俺の腕で水を分解する…凄い力を奪うから…回復魔法をかけていて欲しい…」 女「それで…どうするの?」 男「水素を大量に発生させるから魔法で圧縮してくれ…」 男「そのあと防御魔法で俺達を護ってくれ…そのあと近づいてきたら火をつけてくれ…」 女「わ…わかった……」 120. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 20 22.99 ID 7gi1q2AO 女「ま、もっと慌てた口調だったけどねww」 リン「ふふっww」 女「……そのあとは覚えてません…無我夢中で…」 リン「無理もないわ…」 女「リンさんの妹さんは…?」 リン「見つからないの…」 女「?」 リン「何も残っていなかったの……」 女「そうですか……」 121. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 24 57.92 ID 7gi1q2AO 女「他の人は……」 リン「今…」 皇子「女……よくやってくれた……感謝する」 女「皇子様……」 皇子「……感謝してもしきれぬ……君達がいなければ罪のない市民が殺されていた」 女「そんな……みんなのおかげですよ……///」 皇子「すまぬ、事後処理が山積みでな…とにかく今夜司令部にきてくれ、簡単な戦勝祝をする」 122. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 27 25.78 ID 7gi1q2AO 皇子「では失礼する」 ガチャッ リン「……男君のお見舞いにいく?」 女「は…はい」 ――――――― コンコン… どうぞ ガチャッ 男「おぉっ…女!!」 123. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 28 13.78 ID 7gi1q2AO 今日はこれでおしまい 明日でおわれるかな 126. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/09(火) 23 31 13.64 ID HeYAlP.o 乙 どんな終焉を迎えることやらな・・・ 128. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 39 55.99 ID 7gi1q2AO なんか質問あったらこったえっるよ 130. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 47 25.34 ID 7gi1q2AO 126 終焉ではなく始まりです>< 能力か、しばしまて 131. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/09(火) 23 53 48.51 ID 7gi1q2AO 男 右腕に導師の魔翌力が宿った分子で構成された腕を有する、物質の構造を変える能力をもつ、剣の腕はあまりよくない 女 魔法使人、主に守護魔法を得意とする。敵を攪乱する魔法も少々。発展途上で、力は弱い アルゴン アボガドロ帝国の皇太子。剣の腕はなかなか、カリスマ性あり クロム 魔法使人。攻撃魔法を得意とす、物体の大きさを変えたり、場所を変えたりするのが得意。なかなか優秀 132. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 00 00 51.12 ID wzMEbIAO リン 身体能力は高い、ある程度の武器は扱える。エロい身体 ネオン 剣の玄人。伝説の剣士。剣の腕前はトップクラス、二刀流だが主に一本。おっさん セレン 上級魔虫、身体から虫特有の脚を出し攻撃したりする。未知数、頑丈で肉を喰らい体を回復できる ニトロ 最上級魔族。悪魔。全身をくろづくめで、体中が切れ味するどい刃物。むっちゃ強い、衝撃に弱かったり天の邪鬼だったりする おばさん 不明 134. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 00 02 13.70 ID wzMEbIAO まぁこんなもんかな んじゃおやすみ 質問とかわかんないことあったら書いといて 135. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 00 04 39.08 ID wzMEbIAO あと絵とか大歓迎 136. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/10(水) 00 13 52.71 ID 0tiSkLgo 134 おつかれ それぞれの年齢 あと男の精液でしか魔翌力が回復しないって事は 魔法使いは女のみ若しくは男からの性転換後の女のみって事でおk? それと今回の戦場の舞台となったアボガドロ帝国とタンタル,ハロゲンの 軍事力,経済力,兵力とかも知りたい 137. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/10(水) 00 42 37.73 ID Lc.ZS6AO このスレ立てるまえに同じ内容のスレ立ててたよね? 女じゃなくて幼馴染みだったけど 147. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 09 27 24.55 ID wzMEbIAO 136 魔翌力はある程度は自然回復します 精液での回復力は一気に満タンになる感じ、もしくはそれ以上 男の魔法使人もいますが女の方が魔翌力が多い おおよその年齢 男:18 女:17 アルゴン:18 クロム:17 ネオン:35 リン:20 セレン:20 ニオブ:28 ビスマス:32 ニトロ:? おばさん:44 148. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 09 45 37.79 ID wzMEbIAO 136 アボガドロ帝国 軍事力:強大 兵器も多数所持 経済力:多くの港を有し商業にも力をいれ経済力は高い 兵力:最大動員兵数20万 タンタル王国 軍事力:ここ数年で増強 経済力:内地なのでそこまで高くはないが鉱山を多く有する 兵力:8万 ハロゲン市 軍事力:守備のための弾薬多数 経済力:交易の街として栄えたため高い 兵力:8000 149. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 09 46 12.61 ID wzMEbIAO 137 うけたんでもっかい建てたらここまできてしまったww 150. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/10(水) 11 38 49.68 ID ToCBCyEo また時間あったら絵を描きたいな。 作者さん乙。 希望なんだけど、戦闘場面になると想像力が追いつかなくなってくるアホのために、 今度書くときは立ち位置とか、どっちの腕がどっちの腕を掴んだとかの描写があるとうれしい。 あと、作者のモチベーション下がると絶対途中で終わるので 読み手が多少なりとも感想書くといいかもね。 あと、ここはsage進行のがいいのかな? 151. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 12 00 51.49 ID wzMEbIAO 150 全くその通りだ 場面を事細かに表現すると文字も多くなるし ごちゃごちゃするかもと思って簡略してたけど 伝わらないんじゃ意味がない これからは気をつけます、はい 別にsageでもどっちでもいいと思う 絵楽しみにしてます 153. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 20 28 30.47 ID wzMEbIAO 女「男君大丈夫だった!?」 男「あぁなんとかな…痛いけど」(ベッドで寝てる) クロム「おはよう…1日くらい気絶してたみたいだけど」(お見舞い) 女「クロムちゃんこそ…ケガは」 クロム「ちょっと魔翌力の使いすぎで体がだるいけどね。…何が起こったか男君から聞いた。よくやった!」 男「まぁ中学の理科で習ったことが役にたった感じかな」 クロム「うむ…あそこの水も電流が通りやすかったらしい、あとうまく圧縮できたことが破壊力に繋がったみたいだ」 女「ほんっとギリギリだったんだから!!一度に三つの魔法使うなんて!」 154. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 20 29 08.18 ID wzMEbIAO クロム「うむ、では私は用があるからこれで。後で戦勝祝をやるから上層に来てくれ、では」 男「あぁ……」 ガチャッ 男「リンさん…死んだかと思いましたよ」 リン「こうして生きてるわよ?」 男「よかったです…。あの…妹さんは…?」 リン「…………」 女「男君」 男「あっ…すいません…」 リン「いいの…実はね、話しておきたいことがあるの…」 155. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 20 30 06.78 ID wzMEbIAO 女「話しておきたいこと…?」 リン「私…みんなに嘘ついてたの…実は私はここの出身じゃなくて、タンタルの出身なのよ…」 男「それが…?」 リン「私…タンタル王国の王女なの」 女「???」 リン「戸惑うのも無理はないわ……私、国を追われてここにきたの…妹と一緒に」 男「クーデター?」 リン「いいえ…そんなことじゃないわ…、突然現れた奴に国の中核を取って代わられた感じね」 女「つまり……」 158. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 20 34 12.95 ID wzMEbIAO リン「今のタンタルの政府は本物じゃないの」 リン「…しかも…タンタルの民は気付いてない、王がいつのまにか変わっていることに…」 リン「そして、その突然現れた奴らに私の家族はみんな殺された…家臣も……私は殺される所を見たわ…でも次の日にはみな普通に生きていた…何事もなかったように」 男「………」 リン「今回のことでようやくわかった…、虫に死んだ体を操られていたってこと…」 女「…………」 リン「難を逃れた私と妹は殺されることを恐れて国を逃げた…その何者かに復讐を誓って……」 159. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 20 35 09.16 ID wzMEbIAO リン「国を出て…とりあえず、ある人物捜すためこの人が集まるハロゲン市に住みだしたの…双子であることを怪しまれないために、私は城内に、妹は城下に別れて住むことにした」 女「ある人物?」 リン「子供のころ噂で聞いたんだけどね…フラーレンっていう大魔法使人*…ずっと昔にタンタルに仕えてたって…その人に助けを求めることにしたのよ」 *魔法使人の更に上、王に準ずる位。数人しかいない。魔族もビビる 女「大魔法使人……フラーレン……」 リン「でも…そんな人なかなか見つかんない…やっと情報が集まりだした時に…この戦争で…妹を………」 160. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 20 42 53.74 ID wzMEbIAO リン「もう……王族は私だけ……でも私は必ずタンタルを取り戻す……一人でも……。」 リン「あ………ごめんなさい…こんな暗い話で…どうしても伝えときたくて……あなた達になら…ね」 男「リンさん!俺達もそのフラーレンっていうやつを捜すの手伝うよ!!」 リン「そんな…あなた達にはやることがあるんでしょ?」 女「でも、その人なら何か知ってるかもしれません。私達が知りたいことを。確かそのフラーレンっていう人、多分父の友人だったと思います」 161. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/10(水) 20 45 27.17 ID 0tiSkLgo 王女じゃなく王妃の方がいいんでは? 162. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 21 16 39.35 ID wzMEbIAO 161 間違えた これじゃおかしいな 王の娘ってことで 163. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/10(水) 21 17 47.70 ID 0tiSkLgo 162 なるほど 皇女の方が良いかもね 164. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 21 20 55.72 ID wzMEbIAO いや合ってる 王の娘=王女 王の妻=王妃 リンは王女です 165. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 21 23 19.74 ID wzMEbIAO 163 皇女だと皇帝の娘 タンタルは王国なので王政 167. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 21 30 44.48 ID wzMEbIAO リン「そうなの?」 女「えぇ…昔家に来ていました……だいぶ若く見えましたが…」 リン「あの人はもう齢100を越えてるらしいから…。とにかくありがとう。あなた達がいればすぐに見つかりそうな気がする」 男「じゃそろそろ上に行くか。イテテ…」 女「ごめんね…魔法じゃ内部の骨まで完治できなかったの」 男「いいよいいよ、どうせすぐ直るから」 リン「当分夜の営みはお預けねww」 女「もうっ…!リンさんったら!///」 168. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 21 31 20.43 ID wzMEbIAO リン「そうなの?」 女「えぇ…昔家に来ていました……だいぶ若く見えましたが…」 リン「でもあの人はもう齢100を越えてるらしいから…。とにかくありがとう。あなた達がいればすぐに見つかりそうな気がする」 男「じゃそろそろ上に行くか。イテテ…」 女「ごめんね…魔法じゃ内部の骨まで完治できなかったの」 男「いいよいいよ、どうせすぐ直るから」 リン「当分夜の営みはお預けねww」 女「もうっ…!リンさんったら!///」 169. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 21 42 44.51 ID wzMEbIAO ――――――― ???「邪魔な奴は始末した…ハロゲン郡の郡護人*になりたいなどほざきおったからな」 *郡を守護する役職、郡内の軍事を皇帝から任される ???「二重スパイなど邪魔なだけだからな…」 ???「ビスマスの死体が発見された」 ???「奴め……失敗したのか…」 ???「まぁいい…この都に戻って来るだろうからその時に…」 170. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 21 59 20.21 ID wzMEbIAO ―――――― 上層 広場 皇子「みな…よく戦い抜いてくれた……まず、死んだ戦友に黙祷を捧げよう」 「………………」 皇子「………。戦勝祝と銘打ったがこれは敗北でもある。城下の市民がみな虐殺されてしまった…私の責任でもある。恨む者は恨んで構わぬ」 「……………」 皇子「市の商業地帯が浸水してしまったこともあり、辛勝とも言えぬ戦いだった……」 皇子「だがここにいるものは生き残った…今日はその祝いだ……みなゆっくり休んでくれ」 「わーーーーー!!!」 「生き残ったんだぁぁぁ!!!」 171. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 22 10 29.08 ID wzMEbIAO 「わーーーー酒だ〜〜」 皇子「……………」 兵士「皇子…報せが入りました…」 皇子「…………そうか…」 皇子「今日は皆に報せなくていい…」 クロム「皇子…」 皇子「弟の死体が見つかった…首都の皇宮前で晒されていたと」 クロム「皇宮前でとは……」 皇子「首都に敵国の者が入り込んでいることを知らしめたかったのだろう……これは大問題だ」 172. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 22 18 35.22 ID wzMEbIAO 皇子「すぐにベンゼン*に凱旋せねばならぬ…」 *アボガドロ帝国首都 クロム「罠では…」 皇子「いずれにせよ、父上にことの経緯を説明せねばならぬ…」 クロム「ここの郡護人はどうしましょうか…、本来は皇子がここで正式に任命するはずだったのですが…」 皇子「臨時に首都からオゾンを呼んだ、彼にここの臨時郡護人になってもらう。後は復旧が済み次第ハロゲン議会で代表を選出してもらおう」 174. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 22 26 37.95 ID wzMEbIAO 皇子「もちろん君にも同行してもらうよ」 クロム「はい、もちろんです!」 皇子「あと…彼らにも来てもらおう…会わせたい者がいる」 クロム「よろしいのですか?」 皇子「あぁ…彼らは別に首都へ入れても構わんだろう。とにかく明日ここを発つ、事後処理はここの役人に任せておけばいい」 クロム「ネオンは…?」 皇子「仕方がない……本意ではないが約束だ…後で権利書を渡す…」 175. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 22 35 57.19 ID wzMEbIAO クロム「正直なところ…今回の御帰還はかなり危険が伴うかと…。私を狙ったのも帝国の隠密部隊です…。ハロゲン市に少数で皇子を郡護人任命に向かわせ、着くやいなやタンタル軍の侵攻、さらに援軍も出さぬとは皇子をはめている者がいるとしか…」 皇子「私はそれを確かめにいくのだ…、策略を張り巡らしているものを突き止めなければならぬ」 クロム「ですがここはハロゲン市に止まり、敵の動きを見るべきでは?」 皇子「それでは謀叛の兆しありと、敵の思う壺だ」 176. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 22 46 11.57 ID wzMEbIAO 皇子「虎穴に入らずんば虎児を得ずというではないか」 クロム「わかりました…私が命にかえて皇子をお守りいたします」 皇子「すまないな…」 ―――――― 女「さすが交易の街ね!色んな食べ物があるわ!!」 男「もう食べらんねー……」 リン「流石ね…食糧庫を開け放つなんて、ハロゲンの役人もたじたじよww」 女「男君………これからどうしよっか?」 男「ここにいても始まんないからなぁ…そのフラーレンっていうの捜しにいこうか?」 女「そうねぇ…」 クロム「楽しそうだな」 女「あっ、クロムちゃん」 クロム「君達はこれからどうするのだ?行く宛でもあるのか?」 177. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 23 01 53.13 ID wzMEbIAO クロム「ないなら、皇子が一緒にベンゼンへ来ぬかとおっしゃっておるが?」 女「でも…私達フラーレンっていう人を捜すことに…」 クロム「大魔法使人のフラーレンか?それなら今ベンゼンにいるはずだ」 リン「ほ、ほんとに?」 クロム「あぁ、どこかに行っておらねば居るはずだ」 リン「でも…首都に入るには権利書が…」 クロム「それなら…ほら、先ほど皇子が書いてくださった」 女「おぉぉ…初めてみました…」 クロム「断る理由はなくなったな。明日ここを発つから準備をしておいてくれ」 男「あ…あぁ」 178. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 23 02 52.47 ID wzMEbIAO あぁ…終わんなかった… 明日で終われるかな? 181. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/10(水) 23 18 32.85 ID wzMEbIAO ちょっと言葉の繋がりが変かもしれないけど 頭がごちゃごちゃで推敲してないからなんで勘弁… 流れを掴んでもらえたらいいよ 186. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/11(木) 12 36 45.71 ID sOscEcAO ――――――― 世界を統べる者の居城(旧タンタル城) 世界を統べる者「…………」 幹部のような者「奴め…侵攻作戦が失敗し、三万の兵士を全滅させたどころかその上ニトロまで失うとは……当分他国への侵攻が困難になりましたな…」 世界を統べる者「そういうことだ…、我が計画が遅延する事態となってしまった」 賢そうな者「ご安心くださいませ…世界を統べる者様…私がすでに手を打っておきました」 世界を統べる者「いかに…?」 187. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/11(木) 12 38 55.22 ID sOscEcAO 賢そうな者「六老臣*の一人をこちらにつかせました…いずれ内部から瓦解していくことでしょう…その時に我が軍で侵攻すれば……」 *アボガドロ帝国の皇帝を直接補佐する臣の名称、現在六名在位。軍事、行政、司法、土木、財政、宗教・魔法をそれぞれ交代で担当、六角は関係ないよ! 世界を統べる者「フフフ…よくやったぞ…褒めてつかわす」 幹部のような者「…ヒヒッ……すでに数名、私の直属の部下が首都内部に潜入しております…、指示を出せばいつでも首都を戦場にできまする」 世界を統べる者「……楽しみにしておるぞ、ハッハッハ」 188. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/11(木) 12 39 21.70 ID sOscEcAO ―――――― ハロゲン市 夜 ???「…………頭だけになってもまだ生きているのかい?」 セレン「パク……パクパク…」 ???「哀れな格好だねぇ…どれ、元に戻してやろう…タンタル国の王女様…」 セレン「………」 ヒョイッ ???「…………」 タッタッタ… 189. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/11(木) 12 40 23.26 ID sOscEcAO ―――――― 翌朝 皇子「市長が死体で見つかったか」 兵士「額を銃で撃たれ即死のようです…」 皇子「………奴が裏切っていたのは濃厚だな…、あとで埋葬してやれ」 クロム「検問せずによろしいのですか?まだ市内に潜伏している可能性が」 皇子「この手際のよさならもうすでにここを去っているだろう、無駄だ…」 皇子「よし、みな準備はできたか?ではベンゼンに向けて出発する!予定としては4半日で到着することになるだろう」 190. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/11(木) 12 40 46.95 ID sOscEcAO 男「…………」 女「なにうかない顔してるのよぉ?まだ胸が痛いの?」 男「いや…おばさんが…」 女「………いつまでもくよくよしてたらおばさんも悲しむよ?」 男「そう……だな…」 ギュッ リン「ここは元気なのにねww」 男「うわっ!!やめてくださいよ!///」 女「リンさん!」 リン「あらww妬いてるの?」 女「もうっ!///」 191. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/11(木) 12 46 41.45 ID sOscEcAO ネオン「よくやったなぁお前ら、特にこの可愛いお嬢ちゃん」 女「うわっ…びっくりした…!あの、火傷は?」 ネオン「あんたのおかげで重傷にならずに済んで、ほら、歩けるぜ!」 リン「なんていう生命力…」 ネオン「無様なとこ見しちまったなぁ…この借りはいずれ返すぜ、じゃ俺は馬に乗ってくから」 男「………生きてたんだ……」 女「私さすがに死んだと思ってたのに…」 リン「さっ行きましょ!もう先頭行っちゃったわよ」 男「よっしゃ!行くか!」 192. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/11(木) 12 50 00.10 ID sOscEcAO 第ニ章「ハロゲン市攻防戦」 完 第三章「神都炎上」へ続く 194. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/11(木) 12 51 32.33 ID sOscEcAO とりあえずこれで一回打ち止め 三章は人がいっぱい出てくると思います 次回更新未定 質問があればどうぞ 197. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/09/11(木) 13 07 51.21 ID /MgcMBc0 乙 次回は受験が終わってからになるのかな? 198. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/09/11(木) 15 05 54.83 ID sOscEcAO 197 そうなるね
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311. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 17 21 39.53 ID NMN2hQAO 今日は休みなのでSSでも 本筋には特に関連はありません 暗い話の中に少し穏やかな話でもと…… かるーい気持ちで 312. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 19 05 24.12 ID NMN2hQAO すんません、遅れました 完全パラレル世界です 自分でも雰囲気を忘れないために軽い気持ちで書いたので… 314. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 19 09 47.51 ID NMN2hQAO ハロゲン市 宿舎 太陽が天辺にくる少し前の時間… さらっと晴れた青い空がとても気持ちよく ふいっとした海風が心地よい、そんな日… おや… 女「ねぇねぇ、クロムちゃんはいつもその服着てるの?」 クロム「うん…皇帝様から直々に賜った物だから…。べ、別にずっと着ているわけではないぞ。あと四着替えもあるし、洗濯もしている」 女「へぇ〜…でもそれ、結構地味だよねぇ」 クロム「………そ…そうか?あんまり考えたことはないけど…」 女「そうだ!!せっかくハロゲンにいるんだからさ、今から下の商店街見に行かない?クロムちゃんに似合いそうなお洋服見つけたんだ〜ww」 クロム「……うーん……でも…やることが…」 アルゴン「行ってくればいいじゃないか、クロム」 315. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 19 14 08.57 ID NMN2hQAO クロム「うわっ…皇子っ!!?」 アルゴン「雑用は他の者に任せればよい、せっかくこんないい天気なのだから外に出ないのはもったいないぞ?」 クロム「はっ…はぁ…」 女「決まりだねっ、早くいこいこっ!!」 クロム「…うん、でも…今はこの服しか―」 アルゴン「…少年従者の服ならあるぞ?似合いそうなものを持ってこさせよう」 クロム「…少年従者*!?」 少年従者…アルゴンの身辺の世話をする少年達のこと 316. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 19 18 03.28 ID NMN2hQAO ――――お着替え―――― 女「あははははっwwクロムちゃん男の子みたいww」 クロム「…………」 女「あぁ…ごめんごめんwwぴったしじゃん」 クロム「変じゃ…ない?//」 女「ぜーんぜんwwむしろ可愛さが増したかなww」 クロム「そ…そうか」(まんざらでもない) アルゴン「…………」(ちょっと笑ってる) 女「じゃ、いこっかwwクロムくんww」 アルゴン「………くっ」(堪えきれず吹いた) クロム「…………」(不安になり始める) 317. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 19 25 37.18 ID NMN2hQAO 門を出てしばらくは 中層までなだらかな坂になっている テクテクテク クロム「そういえば男はどうしたの?」 女「あ〜なんか、「俺は今日から釣り吉三平になる」とか言ってネオンさんと釣りに行っちゃった」 クロム「釣り吉三平?」 女「あぁいいのいいの、気にしないでww」 318. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 19 32 27.52 ID NMN2hQAO その頃、港では… ネオン「なんでぇこりゃ、朝から張り付いてんのに全然かかりゃしねぇな」 男「さっき昆布みたいの釣りましたよ」 ネオン「ありゃお前釣ったんじゃなくて引っかかったんだよ。女と同じさ…餌付けてんのに本命じゃなくて昆布みたいな―」 グイグイ 男「ネオンさん!!引いてますよ!竿竿!!」 ネオン「おうよ…竿にばっかひっかか……ってきてるじゃねぇか!?」 319. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 19 40 16.25 ID NMN2hQAO ネオン「こりゃでけぇ!!」 グイグイ…! 男「すごい竿がしなってますよ!!折れたりしませんよね!!?」 ネオン「ばっかろう!!俺の竿はなぁ…!!食いついてる最中に折れたりなんかしねぇんだよ!!最後までイクんだよ!!」 男「すごい……竿の力点を知り尽くしてる!これは釣られた魚の運の尽き…!!つまりおいしく頂いてしまいますということ…!」 リールもない世界…そこには釣り人の技量が全てである 海を支配する魚と陸を支配する人間とが糸を介して 互いに命を懸け、闘う、それが釣りである グイグイ…!! ネオン「くっ……やるじゃねぇか……魚さんよぉ…!!」 320. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 19 47 32.22 ID NMN2hQAO その時一筋の光をネオンは見た 熟練の剣士がその研ぎ澄まされた感覚により見える隙 魚の隙…竿の力…そう、ここしかない、ここで一気に ネオン「でやぁぁぁぁぁぁ!!!」 ざぱぁぁっ!! 死闘を演じ敗者は敵前に晒されることになる つまり、死。 相手に優位な場所にほおりだされる 負けた身を晒すほど戦士に屈辱的なことはない 男「ネオンさん!!!」 ざっぱぁぁぁん!!! 321. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 19 51 00.01 ID NMN2hQAO ネオン「……………」 プカプカ……… 男「ネオンさん!!!大丈夫ですか!!」 ネオンは何が起こったのかわからなかった ただ身の危険を本能的に感じたのだろう とっさに言い放った ネオン「泳げないんだ、助けてくれ!」 323. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 21 15 27.93 ID NMN2hQAO 女「はぐれないようにしなきゃ………あれ?クロムちゃん?クロムちゃ〜ん?」 クロム「ここにいるぞ」 女「あっ、ごめん…ちっさくて見えなかった……」 クロム「…………」(複雑な心境) 女「はぐれないように手繋いでいこっか?男の子にしか見えないから変じゃないでしょ?」 クロム「そ……そうだな」 女「じゃ、離しちゃダメだぞ〜クロムくんww」 クロム「…………か、からかうなっ」 324. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 21 22 28.88 ID NMN2hQAO クロム「あ………!!」 女「えっと確かこっちの方に……」 グイグイ…(手を引っ張る) クロム「あれっ!あれ!」 女「ど、どうしたの…急にテンションあがって?ん」 タッタッタ すると急に手を離し、色とりどりの果物が積み上げてある店の前に行って 奥の大事そうに入ってる果物を指して クロム「これ、レモンリンゴ*だ!」 レモンリンゴ*…レモンの酸っぱさとリンゴの甘さが絶妙に合わさったオレンジ色の果物。そのままでもいける 325. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 21 35 42.39 ID NMN2hQAO 女「レモンリンゴ…ってそれ超高級果実じゃん!食べたことあるの?」 クロム「うん、子供の頃…魔法使人になった時母上に一度だけ食べさせてもらったことがあってな、もう一度食べてみたいと思っていたんだ」 女「へぇ〜、でも多分これすごい高いよ。すごい偉そうな箱に入ってるもん…」 と、いかにもな箱にしまわれている果物に見入っていると店の奥から威勢のよさそうなおじいさんが現れた 店主「おっ、いらっしゃい。おやおや…可愛らしいお嬢さんとお坊ちゃんじゃなぁ」 女「あっ…どうも」 クロム「…………」(まんざらでもない) 326. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 21 41 02.84 ID NMN2hQAO 女「あの…すいません、これ………」 店主「あぁそれなぁ、今日仕入れたんじゃ。なかなか希少で入荷したのは一年振りじゃわい…買うのかい?」 女「えっと………」 クロム「い、いくらですか?」 店主「あぁ、えっとなぁ…だいたい520000モル*じゃな」 モル…この世界の通貨単位、アボガドロ帝国周辺の国はこの通貨を使う。1モルは約一円 327. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 21 54 15.49 ID NMN2hQAO クロム「52万………」 店主「子供が買えるもんじゃないよ。どうじゃ?こっちのミカンにしとかんか?」 クロム「次はいつ入荷するんでしょうか」 店主「あぁ〜そうじゃなぁ、それ自体わしのコネで手に入れたもんじゃしな、次の貿易船が来るのは3ヶ月以降じゃし…しかもあるかわからんぞ?」 クロム「そうですか…」 店主「ちなみにじゃが、他の店じゃまず売っとることはないだろうなぁ。どうじゃ?こっちのミカンにせんかえ?」 328. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 22 02 57.21 ID NMN2hQAO 女「そんなに欲しいの…?」 クロム「…………」(少し俯いて) クロム「…もう一度……もう一度母上を思い出してみたくてな…」 女「…そっか…。…でも私達の手持ちじゃとても買えないし…」 店主「……なんかわけありかね」 店主「そうじゃなぁ……坊ちゃん達の可愛らしさに免じて……」 クロム「……………」 329. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 22 28 45.55 ID NMN2hQAO 店主「坊ちゃんを少しいじっ…ゲホッゲホッ!」 クロム「えっ……」 店主「あぁすまん、そうじゃなぁ……なんかうまいもんを食わしてくれたら代わりにそれをあげようかのぉ」 女「そ、そんなのでいいんですか!?」 店主「あぁ、最近妻に先立たれてまともなもん食っとらんのじゃ…だから―」 クロム「わかりました!!ちょっと待ってて下さい!!」 タッタッタ 女「あっ、ちょっと待ってよ!!すいません…後で戻ってきます…」 330. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 23 13 40.92 ID NMN2hQAO かわって港… ガリッガリッ ネオン「………」 男「…………」チラッ ネオン「なんだ」 男「何してるんですか……」 ガリッガリッ ネオン「竿を作ってる」 男「半裸で……」 ネオン「奴は戦士を辱めたんだ……必ず報いてやるさ……」 ガリッガリッ 331. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 23 21 07.68 ID NMN2hQAO 男「なんであんな見栄きっちゃったんだろうなぁ…、なんか…こう…自分の腕に釣り人の魂が宿った気がしたんだけど…」 ガリッガリッ ネオン「気のせいだろ」 男「あながち気のせいでもない気がするんだけど…」 ネオン「なんかやれる気がした時にそのまま実行するのはいいことだ。だが女にそんな自分以上のもんを―」 グイグイ 男「きたきたきたぁっ!!!」 ネオン「なっ…お前俺より先に釣る気か!?」 グイグイ 男「これは…なかなか…!!」 333. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 23 36 53.60 ID NMN2hQAO その時、男の腕に何かが降りてきた気がした かすかな感覚、触れたか触れないかそんな些細な気 何かが見えた気がした 男「うぉぉぉぉぉっ!!!」 目の奥には相手を引きずり出し 相手を自分の土俵に晒す優越に浸る自分が見えていた 見えていた… 見えていた……… ざっぱぁぁぁん!!!! 334. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 23 42 54.73 ID NMN2hQAO ガリッガリッ ガリッガリッ ネオン「なかなかいい目つきになってきたなお前、戦士の目だ」 ガリッガリッ 男「戦士の魂を汚された、必ずあいつを引きずり出す」 ネオン「いい心掛けだ…恐らく同じ敵だ……奴は自らの土俵を知り尽くしてる…こっちも命を懸けないとあいつを釣れない」 男「甘かったです…命がけの闘いを甘く見ていました…負けるべくして負けたんです…」 335. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 23 49 13.58 ID NMN2hQAO ネオン「敵は俺達を生かした…戦士としてこれ以上の屈辱はないが、もう一度命を懸けて向かってこいということだろう」 ガリッガリッ ネオン「よしっ…できた」 ヒュンヒュン ネオン「しなり具合もいい…バチック竹*はそう簡単には折れんぞ」 バチック竹…固い竹の仲間、そこら辺に生えてる 男(まるで剣を構えているみたいだ……) ネオン「精神統一…………」 ガリッガリッ 男「俺も……!!あんな風に……!」 336. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/11(土) 23 50 57.40 ID NMN2hQAO SSのつもりが…… まぁそんな長くないので明日あたりに終わると思います 338. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/12(日) 14 01 49.87 ID 1Tdc9UAO ネオン「奴にはミミズみたいな貧相な餌じゃ釣り針の奥深くまで食いつかないだろう」 ネオン「もっとこう……口をおっきく開けて頬張りたくなるような餌を……」 男「見てもいないのにそこまで魚のことを……」 ネオン「……ちょっくら探してくるぜ」 と、走って商店街の方に行った ガリッガリッ… 男「できた…!!ネオンさんより早く釣り上げてやる!!見てろよぉっ!!ビッグウェーブを巻き起こしてやるぜぇっ!!!」 ヒュンヒュン…!! バキィッ!! 男「……………」 339. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/12(日) 21 48 42.68 ID 1Tdc9UAO かわって… 女「クロムちゃん!!どうすんの!?あのおじいさんの好きな物も聞いてないのに」 クロム「大丈夫、あの顔を見たらピンときた。母の味だ、母の味…母の味に飢えておるのだ」 女「その母の味はどうするの?」 クロム「あ……」 女「やっぱし…」 340. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/12(日) 22 31 16.53 ID 1Tdc9UAO リン「あら……2人とも、お買い物?」 女「あ、リンさん」 女「えっと…そのかくかくしかじかで…」 リン「へぇ……レモンリンゴを貰うために何かおいしいものを…」 クロム「でも…よく考えたら私…料理したことなくて…」 女「私も…」 リン「ん〜そうねぇ…じゃぁ私が作ってあげよっか?今日は特に何もないし」 クロム「えっ……いいんですか?」 リン「うん、結構料理には自信あるのよ?」 女「よかったぁ…リンさんに会えて」 341. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/13(月) 11 45 45.74 ID TJ8c5QAO 超遅筆で申し訳ない…… 344. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/13(月) 14 58 12.36 ID TJ8c5QAO ――――― リン「じゃあまずは食材の調達ね」 女「リンさんの手料理ってどんなんだろう…」 リン「そして…重要なのは料理をする場所」 リンの指差す方向に何やら洒落た店が… クロム「………マグネ料理店…?」 赤レンガの壁と青い屋根…黄緑色のドア、窓から操り人形が何体もぶら下がっているのが見える あまり料理を出すような建物には見えない… リン「ここのマスターとは仲がよくってね、厨房を貸して貰うわ」 と言って建て付けの悪そうな小さなドアに入っていった クロム「……不気味な人形…」 女「…」 345. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/13(月) 16 30 27.13 ID TJ8c5QAO カランカラン… ドア上部についてる鈴が鈍く鳴った 女「うわぁ…」 店先に入るとまず肉の焼けるいい臭いがした そして辺りを見回すと、なかなか。外の陰湿な外見とは裏腹に洒落た店である ズラッと並んだカウンターには人が何人か座って談笑していた でも店の人がいない… と、リンさんが下を向いて誰かと喋っている リン「ね、この通り!少しでいいから厨房貸してくれないかな?」 よく見てみると身長が120ぐらいしかなさそうな小太りの男がそこにいた もみあげから顎まで髭をたくわえてる、いかにもマスターな感じだ 身長以外 マスター「で、でもねぇこれから夜の仕込みしなくちゃねぇ、いけないんだよねぇ」 346. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/13(月) 16 41 30.43 ID TJ8c5QAO リン「仕込み?そんなの後でもできるわよ。じゃああれ奥さんにバラすけどいいの?」 明らかに脅しだ。 クロム「リンさん、別にそんな…」 リン「いいから、大丈夫よ。とても仲いいんだから」 リン「もうあれやってあげないわよ?いいの?」 マスター「そ…それは…」 マスターの苦い顔が段々欲に満ちてニヤニヤし始めたのを私達は見てしまいました。 リン「ちょっと奥行きましょうか、あ、あなた達は待っててね」 マスターは小刻みに震えていました あれは怯えなのか悦びによるものなのか… そのあと、店の奥から鞭の音とリンさんの罵声とマスターの悦びに満ちた悲鳴が聞こえたのは内緒です ―――――― マスター「しょうがないですねぇ、今日だけですよぉ?」 クロム・女「…」 リン「じゃあ取り掛かりましょうか」 347. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/13(月) 18 32 47.50 ID TJ8c5QAO ベージュのエプロンを結びながらリンさん、 リン「まずは…そうね、食材の買い出しに行って貰おうかしら」 と言って、紙にさらさらと買うものを書き上げて渡してくれた リン「それくらいならあなた達の手持ちで足りるでしょ」 さすがリンさん、所持金まで見抜くとは… リン「それじゃ支度に入るわ」 そして頭巾をかぶり、料理器具の選別を始めた。 ――――――― 店を出て… クロム「なんかリンさんに悪い……」 女「でもなんかリンさんすごい料理作るのうまそうだし、本人も作りたそうだったし」 クロム「でもあの2人の関係って―」 女「あ、あ、クロムちゃん紙になんて書いてあるの!?」 あえてマスターの話題は伏せた 348. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/10/14(火) 02 23 28.91 ID iEbiNHQo こんな皇女イヤwwww 349. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/14(火) 09 33 58.12 ID CV7G6AAO 348 パラレルだからww 近所の薬局で四本入りカロリーメイト10箱1100円おいしいです^^ 350. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/14(火) 09 58 37.20 ID CV7G6AAO クロム「えっと…何々……」 クロム「キャベツ…ハロゲン豚のベーコン…鶏挽き肉…トマト…ダージリン……」 女「ロールキャベツかな?リンさんこんなの作るんだぁ」 クロム「チーズ……炙りイカ……枝豆……地酒…」 女「ストップストップ!!!ちょ、ちょっと待って!なんか後半酒の肴みたいになってんだけど!?って、これパシリじゃん!?」 クロム「なるほど…炙りイカはそこに……」 女「え!?納得しちゃうの!!完全ロールキャベツの流れに炙りイカっておかしいでしょぉ!!」 クロム「とりあえず何か考えがあるのかもしれない、言われた通りにしましょう」 女「う………うん…」 パシリであった。 351. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/14(火) 18 30 15.77 ID CV7G6AAO ガチでやばくなってきた… SSすらさっさと終わらせれねぇ…… 化学ヤバすぎです^^ 鬼畜です^^ 心頭滅却モードに入んないと… 1日に一項書けるかどうかです… 352. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/10/14(火) 18 37 02.72 ID bIAhngAO 学業優先なんだから無理しないでくれよ のんびり待ってるから 353. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/10/14(火) 21 45 33.40 ID 7tm9BgDO 352に全面的に同意 本業を忘れちゃ駄目なんだぜ? 354. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/15(水) 12 22 16.26 ID TQPpt.AO うん…そうするよ… 全く申し訳ない 355. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/10/15(水) 14 46 38.65 ID wRjiGfwo 化学を極めないと男の能力が宝の持ち腐れじゃないか 356. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/10/15(水) 17 54 23.14 ID 4GHABZgo 319で釣りのハイパーセミオティクス思い出した 357. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/15(水) 20 57 02.44 ID TQPpt.AO 確かに、化学はロマンだ だから化学を得意にすることに決めた 化学さえできりゃ受かると自分に言い聞かせ… ハイパー…? 358. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/15(水) 21 18 30.09 ID TQPpt.AO ガヤガヤ… クロム「まずはキャベツ……っと」 女「なんかなぁ……」 クロム「あ、ここなら」 おっちゃん「はいらっしゃい!!なにかぁお探しでぇお客人!?」 甲高く絶妙なかすれ声、俗に言う市場のおっちゃんである。 その洗練されたかすれ声は長年喚いていたことがわかる。脳に響く おっちゃん「うぉっ、可愛い嬢ちゃんに可愛い坊やかい!!今日はおつかいかいな!?」 女「えぇ、まぁ…あの…」 おっちゃん「いわんでえぇ、いわんでえぇ!!わしにゃ何が欲しいんか顔みりゃすぐにわかるんや!!」 クロム「…」 おっちゃん「なんや、信じてへんのか!?当ててやるから驚くなやぁ!!………」 ジロジロ おっちゃん「…見えた!!唐辛子やろ!!」 女「え……ちが」 おっちゃん「図星やろ!!わしにはわかっとるんやて!!はい唐辛子!!」 ドサァッ!! 360. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/18(土) 18 15 31.07 ID 9DAUNsAO 女「う、うわぁぁっ」 おっちゃん「じゃあ5200モルね!!毎度ありぃ」 新手の押し売りだった。 女「どうしよう…、こんなに唐辛子ばっかり…」 クロム「キャベツの代わりにこれを巻くのはどうでしょうか」 女「それ本気で言ってる?」 クロム「いえ」 ネオン「おっ、こんなところで何してるんだ?」 女「あっ、ネオンさ…きゃぁぁぁぁぁ」 ユッサユッサ… ブヨブヨ… 女「そ、そ、それっ…それ…」 ネオン「あぁ、これね。釣りの餌」 クロム「海老蚯蚓ですね、綺麗な水にしか住めない夜行性のミミズ。本気の釣り人が本気の釣りに使うといわれる高級餌……現在は希少生物指定を受けて捕獲は禁じられているはずですが…」 女「く、詳しいんだね……」 361. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/18(土) 18 35 57.95 ID 9DAUNsAO クロム「まぁ、生物学の授業で図鑑の生物はほとんど頭に入れてありますから」 女はたじろいだ ネオン「よーく知ってるな。まぁ外見はちょっと気色悪いがな。んで今からこいつで好敵手(とも)とやり合ってくる」 クロム「ほう……あなたが友と認めるほどの奴ということは、よほどの者なのでしょう。骨ぐらいは拾ってあげますよ」 ネオン「あぁ……好敵手は俺の餌を待っている。くくっ…こいつらも今か今かと待ちわびてるぜ」 ブヨブヨ…(臨戦態勢の動き) 女(なんの話だろう……。。) クロム「健闘を祈ります」 ネオン「あぁ……もし帰ってこれたら…」 クロム「………」 ネオン「……いや、今は止そう……じゃあな」 ザッザッザッ 背を向け戦場へと歩き出す戦士(釣り人) その背中は何かもの悲しさを漂わせていた それは友を釣るという罪悪感に似たものなのか 再び還ることが叶わないかもしれない鬱蒼とした不安なのか それは彼のポシェットみたいな虫かごに入った彼等が知っている 362. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/10/20(月) 21 01 21.60 ID O9uvZ2wo ユッサユッサ… ブヨブヨ… 凄い気持ち悪いものを想像してしまった 363. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/21(火) 12 02 07.16 ID XXyX5QAO 362 中年男のち… 365. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/10/26(日) 21 34 16.78 ID xNbPfEAO すいません…多忙によりSSは中断させてもらいます。 でもキャラの方向性がぼんやりとですが掴めてきた気がします これは完全にパラレルなので本筋には全く絡みません 第3章はだんだん固まってきました 口語だけでは表現しきれないので主観的な文章も織り交ぜていくつもりです 369. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/05(水) 22 44 32.41 ID GenSNAAO http //blog.m.livedoor.jp/dqnplus/c.cgi?id=1189039 うーむ… 370. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/05(水) 23 10 47.48 ID 8yTPmFso どったの? 371. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/05(水) 23 24 35.68 ID GenSNAAO 考えることはみんな同じだなぁってな クロムは全然これとは違うけどww センターまであと約70日だな… 二次やる時間ねぇぞちくしょう こうなったらセンター8割で二次無視… 372. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/09(日) 18 11 38.50 ID Y6odx/co こうなったら真のパウワに目覚める事を期待して遊びまくるんだ 373. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/10(月) 11 15 53.54 ID O7IDdoAO 模試が散々でした 死にそうです… 300点後半でした 目標700です… こうなったら行けるとこまでいってやんよ 志望校?知るかボケ 372 パプワ? ? 374. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/10(月) 12 19 45.54 ID Bow0H9go 大丈夫だ まだ伸びれると考えるんだ 初めから800とかだったら「うは俺サイキョwwwwwwwwww」見たいなこと考えて勉強ほっぽってたかもしれなかったと考えるんだ お前は伸びる子だ、大丈夫だ 375. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/10(月) 18 27 14.31 ID O7IDdoAO 374 う…うん! まだ2ヶ月あるしね(2ヶ月しかないけど) 人生で始めて胃が痛くなったよ! チクチクするね 浪人という二文字が頭にちらついてるよ… やだよ一年間も無駄にするの… 376. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/10(月) 18 44 45.86 ID ldW99QDO 375センター試験で判定Eでも志望校受かったやつもいるんだ 二ヶ月でもやる気次第でいくらでも伸びる 体調に気を付けてがんがれ 377. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/10(月) 23 07 59.19 ID O7IDdoAO 376 うん やれるとこまでいって玉砕覚悟の所存であります 時間ある時に書いたものだが http //imepita.jp/20081110/825210 一応アボガドロ帝国周辺図だ 少し見にくいかも 丸い点は郡市、郡の中心だね 市名がそのまま郡の名前になってます ハロゲン以西の大十国は話に絡むか不明ですが 十の国が群雄割拠してます オレンジは山岳です 現時点ではカリホルニウムとは交戦中であります あと主な戦場と解説 全滅と書いてありますがもちろん兵士が全員死んだのではありませんのでww 物語の進行によって地図が変わるかもしれないのでご了承 378. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/10(月) 23 21 36.55 ID O7IDdoAO 緑の線がアルゴンの弟の南伐ルートとアルゴンがハロゲンへ向かうルートです タンタル国はアルケン山脈の盆地にあり、鉱物資源が豊富であります アルケン山脈は険しい山であり 文字通り歩いて通るのは困難です カリホルニウム国とアボガドロは敵対関係です 両者はローレン国とも仲悪いです ベンゼンはベンゼン平野の中央部に位置し なかなか豊かな土地です ピクリンは本筋にはあんま絡まないでしょう こうしてみると軍団長のような者軍は強行軍ですね かなり無茶してます マレインは本筋に絡むか不明 以上 379. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/11(火) 00 25 12.03 ID mruhfYAO あ、オレンジの線がタンタル軍ね ちなみにタンタルは例の事件以降マレインに出兵したりして両者はかなり険悪です タンタル以南、ベンゼン以北にも土地はあります、省きましたが 本当は河川も書きたかったけどごっちゃになるしくどくなるのでやめた… これで位置関係が掴めてもらえたら幸いです。 あとの詳しい情報は物語上で語られるかと みえにくかったら遠慮なく言ってください 380. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/11(火) 12 15 49.58 ID cNrWb52o ここまで元素名で統一するのも、すごいなww 有名(化学やってない文系レベルで)な元素名があまりないのもすごいがww 381. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/11(火) 12 19 37.43 ID RQ3N08go 一応張っとく ttp //blog.livedoor.jp/geek/archives/50757123.html 382. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/11(火) 13 09 19.22 ID mruhfYAO 380 有機化合物とか人物名も混じってるけどなww 381 よく118も書いたよなぁ 384. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/11(火) 17 28 20.25 ID mruhfYAO 裏を返せば有名な元素名は人物名とかに使うってことですよ どうせ地名ですから原子番号100前後の無名の放射性物質で十分なんです でも語感が良ければ使うかもね 386. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/12(水) 10 33 23.62 ID NPDE7lUo 細かい設定は嬉しいが労力の使いどころがwwwwwwww 387. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/12(水) 12 34 18.70 ID SJQF3.AO 386 勉強中にモヤモヤしてるほうがあれだから一回吐き出した方がいいかな、と 30分しか使ってないから大丈夫ww 多分… 388. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/16(日) 16 36 11.71 ID dE969cAO センター七割ってやっぱきついよなぁ… 数学?Bかなりきついです…60取れりゃいいかな 化学はだいぶコツ掴んできました 物語と化学を一緒に考えることで物語の話も思いついたり、化学用語も結構すんなり覚えれるようになりました 我ながらよかったと思います さて…まだ先の話だけどスレタイ… このままでいいかな? 恐らく題名から相当逸脱した展開になると思います 題名を見て来られる人の期待にはあまり答えられないかもです… まぁそのギャップがいいのかもしれませんが… どうでしょうか?どうでもいいかもしれませんが 389. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/17(月) 02 17 42.91 ID v5bwo1E0 俺はこのままで良いと思うが てか、スレタイってパー速だと変えられるの? それとも、立て直すのか? 391. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/17(月) 22 18 25.74 ID fvw4BJko 発想の転換で本編終了後に発生するであろういちゃいちゃエピソード(子供が欲しいの)を 幕間劇として使うんだ 392. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/19(水) 14 57 38.78 ID 4QNw0.AO 391 なるほど。 考えときますww てか我ながらよくこんなに伏線散りばめまくったなぁ… 回収すんの大変だww 三章はゴチャゴチャしてるので織り交ぜていくのが大変…ww でもせっかくここまできたし、見てくれている方もいるので できる限り期待に応えていきたいです、はい あ、勿論勉強:妄想、9:1でやるようにしてます それにしても寒い… 393. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/19(水) 17 55 31.25 ID pCFmPIco 東京らへんだっけ? 明日今季最高の寒波らしいぞー 394. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/19(水) 21 01 11.08 ID 4QNw0.AO 393 いや、北陸です 396. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/24(月) 18 29 47.56 ID lobmu6AO 愚痴っていいか…? 数?Bマジで意味不明すぎる なんだこれは なんだこれは 数?Aが中学校数学に思えてきたぞ 397. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/24(月) 18 53 20.77 ID 2t8nAnco 数Bはやる気しないよな 数?は微積の基礎くらいしかわかんね 399. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2008/11/26(水) 19 47 47.46 ID EKYAYVIo 396 微積で泣いてる、公務員試験勉強中の俺 ていうか、複素数関数が無くなったのに泣き言言うな!(泣) 400. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2008/11/26(水) 22 10 07.44 ID kwEmkUAO 399 複素数関数ちょっとやってみたがあれ鬼畜だな 一番意味わかんなかった 微積は…… まだ手つけてないwwwwww
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536. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/26(月) 16 07 10.21 ID VyKu7oAO 長くなりましたが535から 第三章の本筋になります 537. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/01/26(月) 17 09 49.62 ID PPYp6mEo ジョバンを読み直して来ないと 538. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/26(月) 18 24 03.47 ID VyKu7oAO 制服を着て、髪をとかし、今日の授業の確認… 何でだろう…やる事がわかってる… あれ…?なんでそんなこと考えてるんだろ… 寝ぼけてるのかな… 多分、夢があんまりリアルだったから混同してるんだ ここは私の家だし 自分は学生だから学校に行かなきゃなんない 当たり前のこと…なのになんで違和感を感じるんだろ… タッタッタッタ… 唯「おはよー」 父「なんだ、今日はすぐに起きれたじゃないか」 母「さっ、顔洗ってご飯食べちゃいなさい」 唯「はーい」 確か…お母さん…祥子って名前だっけ… テレビ『…であり、依然としてレアメタルの採掘権を巡る紛争が続いているダザに国連軍の介入も……』 父「全く…資源戦争ってのはきりがないな…」 母「あなたの会社もその…レアメタルとかいうのを扱ってるんでしょ?大丈夫なの?」 父「あのあたりとは取引してないから安心していいよ」 539. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/26(月) 23 05 52.05 ID VyKu7oAO 唯「いっただきまーす」 美味しい!なんでだろ いつも食べてるのに 父「唯、学校の方はどうだ?もう彼氏なんかできちゃったのか?できても許さんがな」 唯「う…ううん、そんなの全然ないよ!」 父「まぁそれならいいんだがな」 唯「ふつうに今の生活が楽しいから別にそうゆうのはいらないかなーって」 父「ははっ、聞いたか母さん」 母「誰に似たのかしらねぇ。あら?もう学校に行く時間じゃない?」 唯「あっ!まずい!行かなきゃ!」 ガタッ 唯「いってきまーす」 父「ふぅ…まぁ健全に学校生活を送ってくれればいうことはないさ」 母「あなたも会社にいく時間じゃない?」 父「うぁっ!朝から会議だったの忘れてた!」 母「はい、スーツ仕立てときましたよ」 父「お、気が利くじゃないか」 母「うふふふ…いつもでしょ」 ―――――――― 540. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/01/27(火) 00 40 55.76 ID IxWtnTYo 538 最初の5行は 1のリアル報告で疲れてるのかと思ったww 541. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/27(火) 13 50 55.74 ID iPzF4.AO 知ってるけど確か学校へは… 考えながら歩いていると道の向こうから自分を呼ぶ声がした 里美「唯ーおはよー」 確か…中学からの友達の神山里美…だっけ? 結構めんどうみがいい性格だからいつも頼ってたっけ… 唯「あーおはよー」 里美「今日英語のテストあるけどちゃんと勉強してた?」 唯「あっ…」 里美「やっぱし…」 ジーッ 唯「…………」 里美「どうしたの?今日の私の顔どこか変?」 唯「いや何も…」 里美「とりあえず学校ついたら、少しはやっておいたほうがいいよ。点数低いとまたあの英語の先生にぐちぐちいわれるし」 唯「そ、そうだね」 歩きながら里美といろいろ喋った 話題がすぐ浮かんでくる でも…なんか違和感… そして校門の近くまできたとき 男性「あっ、あの!」 あれ?誰だっけ 里美「なんですか?」 男性「あ、あの唯さんに…こ、これを…お願いします!」 と、言うと学校へ走っていった 唯「これ…は」 542. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/27(火) 15 27 27.98 ID iPzF4.AO 里美「唯、またじゃない?これで何度目?」 唯「さぁ…5人くらい?」 里美「くらいって…それはそれでちょっとかわいそうだけど…。でも今時ラブレターだなんてねぇ」 唯「全然気にしてないから大丈夫」 里美「ちょっとは気にしてあげたほうが…。唯は可愛いからもてるもんね。でも彼氏欲しいとか考えてないんでしょ?」 唯「うん。今楽しいからそんなのいらないかなーって」 里美「へぇー、なんかもったいないね」 封筒を開けてはみたけど どうしても中身は見れなかった 口では気にしないと言っても相手にとても悪い気がしてしまうからだ そんな気持ちを少しでももたないために読まないでおく と、言うが捨てるのも可哀想なので保管場所にいつも困ってしまう… 唯(…でもなんか一瞬ドキドキしてた自分がいた…今日の自分はおかしい) 学校に着いた いつもの風景だ なんら不思議なところはない 男子生徒「あっ、唯ちゃんおはよー。そろそろメアド教えてくんないかなぁ」 唯「メアド…?あぁ、また今度ね」 男子生徒「じゃー帰りどっか遊びに行かない?」 唯「それもまた今度ね、用事あるし」 里美「…相変わらず人気ねー」 543. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/27(火) 20 41 35.82 ID iPzF4.AO 唯「人気、っていうのかな?」 里美「…ま、いいけど…」 ―――――――― キーンコーンカーンコーン はぁー… 教室の隅で窓の外を眺めながら耽ってるのは、加治木諒輔(仮名)のちの男である。 「カジ〜英語の答案見せてくんない!?」 男「ん…いいよ」 と、自分がやってこなかった宿題を他人の答案を見てやったことにしようとするよくいるやつ…八木拓哉 中学から男と同じテニス部でなかなか一緒にいることが多い 八木「おぉっ助かった!後で返すよ!」 八木「ってどうした?元気ないぞ」 男「飢えてる」 八木「朝飯食べてきてないのか?」 男「いや…もういい」 ガラガラガラ 544. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/27(火) 21 13 24.12 ID iPzF4.AO {遅筆ですいません… 物語の本筋にはあんま絡まないと思いますが(過去編なので) 戦いばかりだとあれなのでクッションという感じで読んでいただければと思うております 547. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/27(火) 22 02 22.53 ID iPzF4.AO 里美「おはよー」 八木「おーっす」 里美「拓哉、昨日メール返し忘れてるよ」 八木「あっわりぃ、えーっと…英語のテスト勉強しててさ…忘れてた」 里美「どーせゲームして寝てたんでしょ、もう」 八木「うわバレてる…」 見てわかるとおり2人は付き合ってる 中学三年にどっちかが告白して付き合いだしたらしい テニス部キャプテンだった八木とバスケ部キャプテンだった飯山(里美)…お似合いだと思う…正直羨ましすぎる こんなことならキャプテンになっておけばよかった… 先生「よーし朝礼始めるぞ〜」 そして今日も同じ日が始まる つまんないとは言わないけど、心のどこかで期待してる… 〜休み時間〜 八木「カジ、サンキュー助かった!赤てんは回避できそう」 男「ちょっと購買行かない?弁当作るの忘れたんだよね」 八木「自分で作ってたのか」 男「それで弁当代浮かしてるんだ」 八木「マメだなぁカジは」 八木は飯山と付き合うまでは 結構大人しいタイプだった それで波長が合ったのか、自分と意気投合して今日にいたるんだけど… バスケ部のキャプテンと付き合うことになったと聞かされたときは驚いた かなーり美人だったし、勉強も出来てたし、スポーツは言うまでもなく。 だからかなり嫉妬してしまった 八木だけが進んでしまうことに 550. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/28(水) 19 53 29.57 ID AazCCEAO と、そんなことを考えてたのは昔の話 今は少し、小さかったな…と自省してる でもやっぱり小さな嫉妬は消えなかった ――――――― ―購買いくための渡り廊下 八木「ん?あれ…」 男「どした?」 八木「ほらこっから見えるだろ?階段の影に2人いる」 確かに、離れ校舎の階段の影で男女が2人話し合ってるのが見える 八木「あれ、櫻井(唯)と山本じゃないか?」 山本と言えば一個上の二年生で この高校のバスケ部のエースで有名だ。 イケメン、スポーツ万能、勉強できる、という三種の神技を備えた最強野郎だ ああいうのを勝ち組って言うんだろうな… 八木「ちょっと盗み聞きしていこうぜ」 男「見つかったらヤバいだろ」 八木「もしかしたらこの学校の風紀を乱すことをするやもしれないから、ちゃんと見張ってないと」 風紀乱すって…真っ昼間からそんな… 551. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/28(水) 20 08 30.88 ID AazCCEAO ガサッ 八木「よし、この位置なら…」 昔は俺が引っ張る側だったのにいつの間にやら… まぁそんなことは置いておいて… 八木「いい話のネタになるかもしんないだろ、あの櫻井なら」 ここからなら話も聞こえる と、八木がポケットから四角い手鏡を取り出した 八木「じゃじゃーん、てーかーがーみー(ダミ声)」 八木「これで頭を出すことなく何してるかを覗けるんだ〜(棒)」 男「手鏡なんか持ってるのかよ」 八木「里美のだよ」 男(…………) 男「山本は知ってるんだけど、櫻井って?」 八木「はぁ?見たことないの?」 男「うん」 八木「……マジか。1―Dの櫻井唯と言えばほとんど知ってるぜ。なんてったって、すげー可愛いのに男がいないっていうんでみんな狙ってんだよ。他校からも付き合ってほしいって言ってくるやついるくらいだぜ」 男「へぇ〜」 八木「その櫻井があの女が途切れないと有名な(強調)山本と2人でいるんだからいい話のネタになるだろ」 男「知らなかった…」 552. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/28(水) 20 24 51.60 ID AazCCEAO 八木「ちなみに里美と櫻井は友達なんだ」 はいはい、そうかよよかったな いちいち里美の名前を出すことによって俺が精神的ダメージを被っていることにいい加減気づいてほしい… 結構ガラスのハートなんだぜ… ――――――― 山本「……じゃあさ帰りにカラオケでも行こうよ。俺が驕るからさ」 唯「えーと…その…それもごめんなさい」 山本「なんか用事でもあるの?」 唯「いや…そんなんじゃなくて…」 ―――――――― 八木「これは意外…まさかあの山本先輩がふられてる?」 男「俺にも見せて」 手鏡を奪い取り、その美男美女とやらを見てみた 男「!」 男(…………) 何かが体を突き抜けた 電撃?弓矢?槍?形容のしようがない熱いものが突き刺さり 体の血液を熱した 八木「おーい」 今まで一目惚れは何度かしてきたがこれは違う! 生物的直感…? 一目しただけで興奮してしまった…つーか勃った… 八木「どうやら風紀を乱すようなけしからんことはしてはいないみたいだけど、これはこれでいいネタだな」 男「う…うん」 553. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/28(水) 20 42 05.12 ID AazCCEAO ――――――― 山本「俺じゃ…ダメかな?」 唯「いやっ、そんなんじゃないよ!山本先輩はカッコいいし、素敵だと思う、でも…その…まださ…」 山本「…わかった、いきなり呼び出したりしたのは悪かったよ。ごめん。少しずつお互いに距離縮めていこう、よかったら今度試合観に来てよ。いい場所用意しとくからさ」 唯「あ…うん…」 山本「ごめんな、じゃ」 唯「あ…!山本先輩…!一応…メルアドだけ…」 ――――――― 八木「うまいなー、一歩引いて相手に悪気をもたせてメアド交換か。まぁあのルックスだからできる技だけど」 男「……………」 男の心の奥底で沸々と湧き上がるものがあった 熱いもの…さっきのとは違う… 八木に昔抱いていた感情に似ていた 言語化するとしたら…「嫉妬心」 ―――――― 山本「ありがと、また後でメールするよ」 唯「う…うん…」 タッタッタッタ 唯「…………はぁ」 こんなのばっかり… また悪いと思ってちゃんと断れなかった… 相手の気持ちばっかり考えてるからかな… キーンコーンカーンコーン ――――――― キーンコーンカーンコーン 八木「あっ!!やべっ!!次理科じゃん!」 男「うわっ!購買いけなかった!」 タッタッタッタ… 554. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/28(水) 23 05 53.83 ID AazCCEAO 唯の視界に違う方に駆けてゆく二人組の男が入った どうやら聞かれちゃったようだ 唯「…………」 トクン… 唯「あれ…なんで私ドキドキしてんだろ…」 ――――――― ―理科室 先生「と、言うわけでハロゲン物質は強い酸化作用をもち―」 八木「そこ先週もやっただろ…なぁ、カジ?…カジ?」 加治木(男)「ボー…」 八木「カジ!どうした!具合でも悪いのか」 加治木「ん…あぁ…いいんじゃないかな」 八木「なにがだよ。なんでボーっとしてんだ?」 加治木「いや…さぁ…俺のエレメントハートがラブリーでエクスタシーなんだ」 八木「悪かった、日本語で頼むよ」 加治木「これが恋ってやつなのかな…」 八木「誰に?」 加治木「……さっきの」 八木「櫻井唯!?」 2m以内に聞こえるような声で数人こっちを見た 先生もチラッと見たが無視して授業を続けた 加治木「ばっか!声でかいよ!」 八木「ごめんごめん…、でも櫻井は無理だろ。さっきの見ただろ?あの完璧超人山本でさえ断られてんだぜ?」 加治木「まぁ、そうなんだけどさ…、無理とか無駄とかそういうもんじゃないと思うよ、恋は」 八木「純情だなぁ」 555. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/28(水) 23 24 46.02 ID AazCCEAO 加治木「お前にはわかんないだろなぁこの気持ち、あんなにいい子をさぁ…」 目線を向ける先は勿論飯山里美 もくもく黒板を見ながらノートにうつしている 先週と同じところなのに…。 やっと誰かが間違いを指摘して正しい授業内容に戻った 八木「羨ましい?」 加治木「別に」 ぶっちゃけ羨ましい そりゃそうだろ、あんなのとヤりたい思春期男子なんて星の数ほどいる 八木「里美ってああ見えて…」 八木が耳元で囁いた。 誘惑の呪文だ! 八木「巨乳なんだ」 加治木「へ…へぇ…そ、そりゃあよかったなぁ、あ、ああ見えて巨乳なのか、う、羨ましくなんか…」 この時頭の中である等式が並んだ 巨乳を知っている=裸を見た?契りを交わした 信じたくはないが事実だろう あんな…あの…清楚そうな…女子が… 目の前にいる…こいつと…世の中なんて理不尽だよ 加治木「羨ましいです」 八木「だろ?だったら櫻井みたいな高嶺の花なんかより身近なユリでも探した方がいいぜ」 556. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/28(水) 23 36 40.81 ID AazCCEAO だけどもし…手遅れにでもなって… 誰かが… 加治木「……だけど、やっぱあきらめらんないよ、簡単には」 八木「まぁ、諦めろとまでは言わないけどさ、相当望み薄だぜ?そうだ!後で里美経由で聞いてやろうか?好きな奴がいるか」 加治木「いたらどうするんだよ」 八木「諦めろ」 先生「コルァ!!授業中に私語は禁止だと言っただろうが!」 ―授業後 先生「加治木、八木、罰として放課後理科室の掃除していけ」 八木「私語くらいでそんな…、他にも…」 先生「じゃあクラス全員に宿題を上乗せしようか?ん?」 選択の余地はなかった 実際一番うるさかったのは自分達だったが… 557. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/29(木) 01 03 09.79 ID iMc/9QAO ―放課後理科室 八木「はぁ〜…今日掃除当番いないからってなぁ」 加治木「うん…まぁ…いいんじゃない?」 八木「いつまで上の空でいる気だ。ほら、目を覚ませ」 そういえば今日はずっとあの娘のことばっか考えてたな… 全然何にも手に着かない… どうやったら思いを伝えられるのだろう… どうやったらあの娘と… まさか自分がこんなことになるとは思いもよらなかった ガラガラガラ 里美「拓哉〜待ってるんだけど」 八木「おっ、いいとこにきた」 里美「どしたの?」 八木「…櫻井は今日一緒じゃないのか?」 里美「先帰っちゃったよ」 八木「そっかぁ、でさ、櫻井って好きな人とかいるの?」 飯山はちょっと八木を睨みつけた そりゃそうだろう…ストレートに聞きすぎだって 八木「や、違うって!カジがどうやら櫻井に惚れちまってさぁ」 加治木「わ、わ!なんでバラすんだよ!!」 里美「へぇ、そうなんだぁ。唯に好きな人ねぇ……。うーん…」 いるのか…いないのか… 里美「わかんない。昔はいたらしいけど今は全然そういうの聞かないし。唯を好きな奴はいっぱいいるけどー」 わからない…って… 一番反応に困るじゃないか… 558. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/29(木) 14 37 36.54 ID iMc/9QAO 里美「でも唯はそういうのに興味ないみたいだけどね」 八木「そういうことだよカジ、男にあんま興味ないんだと」 加治木「うーん…」 けれどそんなことだけじゃ諦めきれるわけがない 相手のことをほとんど知らない自分が言うのもなんだけど ほとんど知らないからこそ、自分の中で根拠のない希望がある もしかしたら…とか考えたくなる、人間なんてそんなもの そういうことにはやたらポジティブに思考が働く この2人を見てると不思議に 羨望と希望が同時に湧いてくる これがもしかしたら原動力なのかもしれない 八木「そういや、あの完璧超人山本先輩が櫻井にデート断られてたぜ」 里美「うん、聞いた。唯、本当は嫌だったらしいんだけど、相手が可哀想だからってメアド教えちゃって。そういう期待持たせたら余計可哀想なのにね」 加治木「ふーん…」 そうか。相手を想いすぎちゃうタイプか これは自分の中で好感度UP 里美「それで唯に一目惚れしたの?加治木くん」 加治木「いや…まぁ…一目惚れって言うか…その…」 里美「伝えといてあげようか」 加治木「い、いいよ…!あっちもいきなりじゃ困るだけだし」 里美「…私が言うのもなんだけど、……加治木くんはかなり難しいんじゃないかな…その、成功確率が」 ザクゥッ!! 加治木にクリティカルダメージ!! そんなストレートに言わんでも… わかっちゃいるけど夢ぐらい見たっていいじゃないかぁぁぁ… 変な冷や汗が出てきた 559. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/29(木) 16 54 45.55 ID iMc/9QAO 八木「うん、まぁ落ち込むなよ。当たって砕けろだ。何事も挑戦さ」 加治木「砕けんのかよ」 この上から目線 少しではあるが加治木の慎ましやかなプライドを煽った 加治木「八木はいいよな…」 ちょっと前まで同じレベルだったやつが 今、人間的にも生活充実度的にも優越している 身近にこんなにも劣等感を自覚させてくれる奴がいるなんて さぞ精神衛生上悪いだろう だから、自分もそこにいきたい…! 優越感を味わいたい! と言うのが加治木の根底にあるのかもしれない それが悪いとは思わないが この根底に沈殿しているものが 櫻井唯に対する思いを単なる優越感の道具に仕立てているのではないかと自問してしまうようだ。 しかしそれは深く考えすぎなのかもしれない 純粋な気持ちであることに変わりはないのだから… しかし、八木にコンプレックスを抱いているのは確かだ 八木「じゃ、先帰るな」 里美「唯にもやんわりと色々聞いておいてあげるから〜」 加治木「あ…うん」 ガラガラガラ 理科室に差し込む斜陽の光が とても冷たく感じたのは久々かもしれない 離れてゆく足音と共に2人の笑い声が人のいない学校にこだまする 里美「今日拓哉んちに泊まってもいい?」 八木「えぇ〜またやんのかよ。次の日大変なんだぜ」 (ハハハハハ…) 酷い劣等感に苛まれながら ゴミを集めて箒を片付けて学校を後にした 561. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/29(木) 21 59 32.28 ID iMc/9QAO ―帰路 とは言っても、どうやって話しかける機会をもつか まずはそこからだ 他クラスだしな… なんとかして相手にまずは認識してもらわなきゃ 加治木「漫画とかだと帰り道でばったり遭って…んなわきゃないか」 現実は甘くはない 加治木「そうだ…雑誌でも買ってくるか」 帰り道の商店街にある小さな本屋へ向かうことにした 加治木(もしかしたら本屋でばったり…) 着いた。 店内をとりあえず見渡す。 いない。当たり前である 週刊誌を手に取りとりあえずパラパラめくる 内容が頭に入ってこない 「ねぇ、君」 加治木「…………」 「ねぇ、今僕の目の前に立ってる君だよ」 加治木「え?」 振り返ると爽やかそうな青年がこっちを見ていた 少し年上か、なかなかいい面をしている 「君、*真鍮高校の生徒だよね?」 *2人が通ってる高校(しんちゅう) 加治木「はい、そうですけど」 「いきなりでゴメンね、実は探してる人がいるんだけど」 と言うと似顔絵を見せてきた 「この人を探してるんだ。心当たりないかな」 加治木(………櫻井唯!?) 忘れるはずもない。まさに櫻井唯だった でもどうして… 加治木「いや……知りません。この娘がどうかしたんですか?」 562. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/29(木) 22 10 06.79 ID iMc/9QAO {とりあえずしらばっくれた するとその若い男は眉間にしわを寄せ 「いや、昔の知り合いでね。そうか、知らないならいいんだ」 「あ、もしわかったらこの番号に電話を頼むよ」 メモ用紙にかかれた番号をうけとった。 するとすぐに姿を消した br() br()加治木(………なんなんだろ…) br() br()明らかに学生ではないし… br()一体誰なんだろうか… br()しかもなんで櫻井唯を探してるんだ? br() br()変なモヤモヤを抱いたまま週刊誌を買い家路についた br() br()―――――――― br()} 563. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/29(木) 22 25 16.29 ID iMc/9QAO 家に着くとすぐに部屋に入り ベッドに寝転んだ 加治木「はぁ〜……」 溜め息がでる こんなのは初めてだ これが恋の病なのか 今頃八木と飯山は… 「はぁ〜〜………明日休みかよ…」 そのあと飯を食べて風呂に入ってそのまま寝た だが興奮してあまり寝つけなかったのは言うまでもない ――――――― ところ変わって櫻井家 唯「ただいま〜」 母「おかえりなさい、ご飯できてるわよ」 唯「は〜い」 ―――――― テレビ「では次のニュースです、今日16時30分頃○○県○○市で通り魔事件がありました。被害に遭った10代の女性は突然通り合わせた20代の男性に頭部をサバイバルナイフでひとつきにされ搬送先の病院で死亡が確認されました。現在県警察はこの通り魔の男性を捜索し―」 母「あなた…これ近所じゃない?」 父「そうみいだな…唯、気をつけろよ。夜中に絶対外に出歩くんじゃないぞ」 唯「はーい」 母「でもこれ夕方じゃない。怖いわねぇ」 564. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/29(木) 23 08 50.95 ID iMc/9QAO 唯にはこのなんの変哲もない家族団欒の時間がとても大切なもののように思えた 理由など説明するまでもないが どこか、失ったものがまた手に戻ったようなあの感覚… 唯「おやすみなさーい」 寝支度を済ませ布団に入った なんだ、いつもと同じじゃないか でも…朝のあの変な感じはなんだったんだろう 別の人の家にきたような奇妙な感覚 そうか…きっと寝ぼけてたんだ…そう…おかしな…夢…… ――――――― ……………… ……… 女「お父さん料理うまくなったね」 ヘリュウ「ハッハッハ!言うようになったな!」 唯(…………ここは…あれは……私………?) ナトリー「私の出番がなくなっちゃうわね」 唯(…………誰だろう……温かそうな人………) 女「私もお料理勉強しようかなー」 ヘリュウ「俺が修行させてやるよ!」 ナトリー「あなた、お料理三つしかできないのに教えられるの?」 ヘリュウ「多分大丈夫だ!」 唯(………どうして懐かしいんだろう………) 565. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/30(金) 00 04 49.86 ID l69Y82AO バタン!! ヘリュウ「誰だ!?」 「あれはどこだ」 唯(………!!) ヘリュウ「ヤバいなこいつは……」 ヘリュウ「ナトリー!!女を連れて地下室に隠れてろ!」 ナトリー「わ、わかったわ!!」 「答えぬのなら、殺す」 ダッ…!!ガタン……!!! 抵抗虚しく大男に頭を鷲掴みにされ宙吊りにされた ヘリュウ「うぐぅ……!!」 唯(…なに……これ……ダメ!!やめて!!!) 「あれをどこにやったか言え、さもなくば頭を潰す」 ヘリュウ「やれるもんならやっ……ブピュッ!!」 バキィッ!ドサァッ!! 一瞬だった。頭が砕け散って内容物がそこら中に飛散した 唯(あ………あ…………) 女「キャアアアアア!!!」 地下室から悲鳴が…… 地下室から女が走って出てきた 唯(私が……地下室から………ダメよ!!危ない!!) 視点が地下室に変わった。 魔族「へっへっへ……」 得体の知れない化け物に犯されている女の親らしき人がいた さっきの穏やかな顔はこの世の狂気をはらんだような表情に変貌していた… ナトリー「いや…いやっ…たすけっ……」 自分の方に手を伸ばし助けをこうている そのとき、夢の中だからだろうか… あろうはずのない言葉が浮かびとっさに声がでた 唯「お母さん……!!」 ナトリー「うっ…いやっ……いやぁぁぁぁ!!」 その瞬間首が飛び、目の前に転がってきた その顔は歪んでいた 唯「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」 566. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/30(金) 16 39 21.86 ID l69Y82AO ――――――― バッ 唯「……はっ……はっ……」 なんて恐ろしい夢だったんだろう。 それでいて現実みたいに生々しく、自分の中で様々な感情が交錯していた。 まるで夢じゃないみたいだ… 唯「うっ……うっ……うう……」 急に感情が高ぶり涙が出てきた。 えづきと涙が一緒に出てくる。 苦しい…胸が締め付けられるように苦しい バタン 父「どうした!?唯!?」 パチッ(電気をつけた) 唯「うっ………うぅっ……グスン」 母「泣いてるじゃない!?怖い夢でもみたの?」 父「急に叫び声が聞こえたからびっくりしたぞ」 唯「だい……大丈夫……だから…グスン…」 見慣れた父母の顔をみたことに安心してまた涙が溢れてきた。 とても強い喪失感がまだ涙を止めなかった 母「ほんとに大丈夫?」 唯「う……うん……起こしてごめんなさい…」 父「謝ることなんかないぞ、てっきり空き巣が入ったのかと思ったけどな。まぁ何事もなくてよかった」 父は窓の施錠を確認しながら言った。 567. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/30(金) 17 20 26.76 ID l69Y82AO 空き巣× 泥棒○ 568. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/30(金) 17 56 00.59 ID l69Y82AO 唯「大丈夫だから…おやすみなさい」 パチッ(電気を消した) 怪訝そうな顔で2人は部屋から出て行った。 部屋の中の暗さがいつも以上に限りのない闇に感じ 天窓から漏れ出た淡い月光が孤独感をさらに募らせた 涙が止まらない どうしてだろう… どうしてこんなに寂しいんだろう… どうしてこんなに胸が苦しいのだろう… お父さん……お母さん…… 枕に顔をうずめた。 言いようのない感情の高ぶり この感情の高ぶりの出どころがわからないもどかしさが彼女をさらに苦しめた そして枕を濡らしたまま、いつのまにか眠りに落ちた… 569. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/30(金) 21 41 38.26 ID l69Y82AO 次の日の朝 起きて鏡をみたら目が真っ赤になっていた。 唯「うわぁ…今日休みでよかった。こんなのじゃ学校いけないし…」 メールを確認すると2通着信していた。 一通目 唯「山本先輩……」 本文:(絵文字略) 「昨日はいきなり呼び出したりしてごめん。 唯ちゃんの(中略) お詫びといったらなんだけど 今度俺の先輩がやってる舞台のチケット貰ったから よかったら何人かで見に行かない? 返事待ってるよ」 唯「…………」 二通目 唯「里美からだ、なんだろう」 本文: 通り魔のニュースみた? あの刺されたのうちらと同級生らしいんだけど誰か知ってる!? 唯「え…誰だろ…」 確か頭をサバイバルナイフで刺されて… 頭の中にあの夢が鮮明にフラッシュバックされた 唯「うっ……ケホッ…ケホッ………」 ダメだ…!あの夢を思い出しちゃ……!! 570. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/30(金) 21 47 56.71 ID l69Y82AO だが思い出さないでおこうとすればするほど 記憶は鮮明さを増し、あのおぞましい光景が頭の中で投影機みたいに 一瞬一瞬映し出される。 母「ど、どうしたの!?唯」 母が駆けつけた 唯「ちょっと……気分が悪いだけ……だから」 母が唯の額に手を当てた 母「……熱があるんじゃない!?」 確かに体は熱を帯びていた。 一晩泣き明かしたせいだろうか とりあえず今日は外出せず家で休むことにした。 571. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/30(金) 22 40 01.92 ID l69Y82AO ちょっと暗い話が続きます… それにしても二次創作ではなく 完全オリジナルでやるのは結構大変ですね 自分の中で画ができあがっていてもそれを完全に表現するのはかなり難しい 小説…奥が深い それと最近噂のベルセルクを読みました 魔族とかあたりの設定は少し似てるなぁ 面白かったです 参考にしたいと思います 572. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/01/31(土) 23 46 57.55 ID nV5YFOUo いつか来る明るい未来を夢見て、暗い話も耐え忍ぶぜ 573. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 00 02 24.93 ID CzwfiwAO ―――――― 加治木家 翌朝 ピリリリリリッ 加治木「もしもし」 八木「あっ、カジ今起きた?」 加治木「あぁ、うん」 八木「今日暇?」 加治木「まぁね」 八木「だったらちょっと買い物に付き合ってくれない」 加治木「何買うの?」 八木「服。里美がちゃんとした服買えってうるさいからさ」 加治木「…………」 加治木「わかったよ」 八木「じゃ10時に足戸駅前な」 加治木「うん」 特にやることもないし行くことにするか。 でも飯山が家に泊まってたんじゃぁ…いいのかな ―――――――― 足戸駅10 03 八木「おーいカジ!こっちこっち」 八木は茶色のパーカーを着ていつもはつけない黒縁のメガネをかけてた。 会う度に思うが、中学の頃よりはかなり外面の雰囲気は変わってる 正直なところ別に服を買わなくてもいいんじゃないかと思ってしまうくらいだ 人間きっかけがあれば変われるもんなんだなぁ… 加治木「あれ?飯山は?」 八木「ん?里美がどうかしたか?」 加治木「あ、なんでもない…」 八木「もしかして聞いてた?」 加治木「学校に響いてたぞ」 八木「あちゃー…でも昨日は泊まってないから安心しろよ」 574. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 00 34 55.49 ID CzwfiwAO 安心って、何に安心するんだ。 八木の余裕綽々の笑顔が少し憎たらしくなる自分がどこかにいた。 やっぱり八木は自分とは違う立場にいる。 悲しいことにこれがステップアップしたものとの違いなのだ。 八木「こっから有狩駅まで歩いていこう」 足戸駅から有狩駅までは大体徒歩10分くらいの距離だ。 有狩駅周辺は最近大きなショッピングモールができ さらにその周りにも若者向けのお店が建ち並んでいるため この辺りでの若者の街になっている。 八木のお目当ては街の中にあるらしい 八木「カジ知ってる?昨日この辺りで通り魔事件があったの」 加治木「や、知らないけど。どこで?」 八木「足戸駅前の商店街の入り口辺り。パトカー見なかったの?うじゃうじゃ止まってたけど」 加治木「そういやパトカーすごい鳴ってたね」 八木「でさ、その刺された子がどうも俺らと同級生らしい」 加治木「うそっ!?誰だよ」 八木「もしかしたらだけどさ、同じクラスの安田じゃないかって」 安田…確か同じクラスで結構ルックスはよかったような… わりと真面目で通ってて男子の人気も高かった でもあんまり話したことなかったなぁ 加治木「無事だったの?」 八木「いや、サバイバルナイフで頭をザクリ。即死だってさ」 575. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 10 11 08.08 ID CzwfiwAO 加治木「え……ほんとかよ…」 八木が聞いたニュースによると 16時30分頃、足戸商店街の入口付近で帰宅途中の(仮に)安田が 友達2人と別れたあと後ろから20代くらいの男に襲われた。 まだ夕方だったので目撃者も何人かいたらしく 目撃者の証言では犯人は有無も言わさず後ろから斬りかかり サバイバルナイフを頭に突き刺した 安田はサバイバルナイフが頭につきたったまま倒れ、搬送先の病院で死亡確認 犯人は何事も無かったようにその場から逃走 現在も犯人は依然逃走中らしい 加治木「おいおいじゃあまだこの近くにいるってことじゃないか」 八木「だから周り見てみろよ、警官がいっぱいいるだろ?」 辺りを見回すと確かに青い制服の警察官がよく目に留まる しきりに無線で誰かと連絡をとっているようだ 八木「まぁこれだけ警官がいるんだから通り魔もここじゃ無理だろ」 加治木の頭にある人物が浮かび上がった そういえば昨日変な男に櫻井唯のことを聞かれたっけ そのことを八木に話すと 八木「怪しいな。しかし真鍮高校までわかっているのなら学校の近くで張ってればいいのに。なんでカジに聞いたんだろう」 加治木「いやわかってないからじゃない?」 576. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 11 17 48.92 ID CzwfiwAO 八木「まぁどっちにしろ聞く限りじゃ変だな。スカウトかもしれないけど」 加治木「スカウトなら名前ぐらい知ってるでしょ。相手櫻井の絵しか情報ないみたいだし」 八木「それで番号まで貰ったわけか。かけてみた?」 加治木「怖いからかけてないよ…」 八木「そうかぁ、じゃあ後で公衆電話からかけてみない?」 加治木「え、やめようぜ…何が起こるかわかんないじゃんか」 そうこう話しているうちに八木のお目当ての店に着いた ガラス張りの店内はなかなかオシャレな感じである 今日はセールらしく、結構混んでいた ――――――― 有狩町某喫茶店12 45 加治木「まさか2時間もいるとは思わなかったよ……足が棒…」 八木「いやーありがとうカジ、付き合ってくれて。目当てのやつ買えたよ」 八木「お礼に今日は昼飯おごるからさ。…あ」 (you got a mail) 八木の携帯が鳴った 八木「……………やっぱり殺されたのは安田だ」 加治木「………」 八木「明日は全校集会だな」 加治木「…」 八木「里美にも教えてやんないと」 八木はカチカチとメールを打ち始めた 一方加治木はメニューで顔を隠し動揺をごまかした。 とりあえず、無難な値段のハムサンドイッチにし 八木も同じ物にした そして三分もしないうちに注文したものがテーブルに揃い 少しだけ遅い昼食を食べ始めた
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衆院選の投票前にチェックしておきたいサイトまとめ 連日ニュースを賑わしている、日曜日の衆院選。テレビの電源を付けるころにはニュース番組も終わっている、という人も多い昨今ですので、投票の判断基準になりそうな選挙情報サイトをまとめてみました。 選挙に関して、まだ情報不足だな、と感じる方は以下からご覧ください。 日本版ボートマッチ[YOMIURI ONLINE] 設問に答えると、どの政党の政策に、どの程度合っているかがわかる。設問数は25。 候補者データベース[asahi.com] 名前、読み仮名、経歴などから候補者を検索できる。 毎日ボートマッチ(えらぼーと)[毎日.jp] こちらも、設問に答えによってどの政党の政策に近いかがわかる。設問数は20。 参院選2010[NIKKEI NET] 特集記事を中心に掲載。マニュフェスト一覧は政策別にリンク。 マニフェストマッチ[Yahoo!JAPAN みんなの政治] 7つの分野の政策を選択すると、自分の考えに近いマニュフェストを公表している政党がわかる。 e国政[ザ・選挙] 候補者個人の政策などを、本人による動画で紹介。 未来を選ぼう 衆院選2009[Google]住所や候補者名を入れて検索すると、該当選挙区や投票所が地図で表示。未来のためのQ A「5つの質問」への回答を動画で見られる「YouTubeチャンネル・日本の政治」も。 ニコニコチャンネル「政治」[ニコニコ動画] 各政党・候補者の動画を配信中。 Twitterと政治(α)「国会議員」[viaVENTURE VIEW] Twitterアカウントを持っている国会議員のPOSTを一画面に表示。「#senkyo」など選挙関連のハッシュタグ一覧も。
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495. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 13 34 46.18 ID mYCiP6AO 宮殿から隊列が群を為して南へ向かうのが見えた アルゴン「モニア…弟に何かあればすぐに伝えてくれ……。教えてくれて感謝する」 モニア「かしこまりました…しかし、任務も全うできず逃げ帰った私めにその言葉はあまりにもったいのうございます…」 アルゴン「…………」 アルゴンはこの雲一つない青空が 今から起きようという現実を 見えなくしているような…そんな気がした… ―――――― ○城内の茶店 オゾン「17ぁっ!?」 クロム「声が大きいです…」 オゾン「何食べてたらそんな小さくなるのさ…?」 クロム「さぁ…でも、私生活では問題ありませんから」 オゾン「問題ありありだって!さらわれちゃうよ、こわーいおっさんに!僕が言うのもなんだけど、その方面の趣味の方が黙っちゃいないと思うぜ…その容姿は」 クロム「問題ありません、すでに何人も返り討ちにしてますし、一般人にやられるようでは皇子の魔法使人は務まりませんから」 オゾン「へぇ〜……ま、いいんだけどさ」 ズズッ… オゾン「…うまいなこれ」 496. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 14 10 10.50 ID mYCiP6AO オゾン「…あいつに仕えてみてどうだい?」 クロム「……。」 オゾン(あ…) オゾン「あぁ!ごめんごめん、アルゴン様ね」 クロム「…とても温かい方です…私のような者にさえ気を使ってくださったり、民の事をいつも考えていたり…それに…」 オゾン「それに…?」 平静を装っているが、耳が紅潮するのを見逃さなかった! オゾン(ははーん…) アルゴン「こんなところにいたのか」 オゾン「おわっ!!?」 アルゴン「?…クロム、さっきの話、ここで構わないか?」 クロム「…は、はい」 クロムの耳はいつも通りになっていた。 アルゴン「ハロゲンが併合を申し出てきた」 オゾン・クロム「!?」 オゾン「こいつは驚いたね、利権にしがみついた頑固者達だと思ってたけど」 アルゴン「そして開城の代わりに皇族が出向き群護人を*市政者から選任することを要求してきた」 *ハロゲン市の自治集団、主にハロゲンの大商人で構成されている クロム「…つまり、皇子がその命を受けて私に魔法使人として従軍を…」 アルゴン「その通りだ」 オゾン(回転はえー…) クロム「もちろんお受けいたします。しかし…」 オゾン「ニッケルもタンタルへ出陣したし、前妻の兄弟を首都から引き離してそのままアルキンを正統後継者にしようって魂胆じゃないの?」 アルゴン「…………」 オゾン「または…外征先で消すか」 アルゴン「父上はそんなことをする方ではない!!」 オゾン「あ………ごめん…言い過ぎた…」 497. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 16 57 10.42 ID mYCiP6AO どうしてかその時のアルゴンには腹立たしかった 実の息子を[ピーーー]はずがない… でも、あの父ならありえなくない… 幻想 かもしれない 最後の一言も 嘘 かもしれない でも、信じたかった嬉しかった わからない…わからないんだ オゾン「じょ、じょーだんだよ!でもさ…念の為に注意は怠らないほうがいい…」 アルゴン「……わかってる…怒鳴ってすまなかった」 アルゴン「………クロム…三日後の朝出立する、用意をしておけ」 クロム「は…はい!」 アルゴン「それとオゾン」 オゾン「なんだい?」 アルゴン「ハロゲンで何かあったら準備をしておいてくれ」 オゾン「準備…?」 アルゴン「わかるだろ?」 オゾン「あー……了解了解」 三日後 わずかな者達が見送る中 アルゴン率いる1500騎が 朝の冷たい空気の中 ハロゲン市へ向け出発した 500. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/01/22(木) 19 05 29.20 ID I9modMY0 そういや魔族が魔法使人に孕ませたらその子供はどっちになるんだ? まさかちょ(ry おっと誰か来たようだ 501. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 19 09 07.25 ID mYCiP6AO ―――――― ハロゲン市 城外 クロム「…ここにいらっしゃいましたか」 アルゴン「………」 アルゴンがいたのは死んだ兵士や市民を集団埋葬する仮墓地 戦争で死んだ数千の死体はとても埋めきれるものではなく まだそこら中に積み上げられ 水を含んだ死体は腐敗し 悪臭を放っていた 本来は燃やすべきなのだが 死体の湿気が燃焼を妨げていた… アルゴン「ニッケルも…」 クロム「……」 アルゴン「ニッケルも…こうなったのか」 クロム「……情報が事実ならば…私も間違いだと信じたいです」 アルゴン「部下も大勢死んだ…そして敵も…城下の人間も……」 クロム「………」 アルゴン「これが私のせいだとしたら、これからもこのようなことになるのか?」 クロム「……わかりません…」 一人で穴を埋めるアルゴンは あまりにも悲哀に満ちていた 自分が今回の戦争で失った全ての命を背負おうとしているかのようだ… クロム「ですが…皇子は一国の皇子!このようなことで毎回悔やんでおられては皆が迷ってしまいます!ここは―」 アルゴン「わかってる…わかってるさ…ただ、救えた者を救えなかったというのは…私も……いや、よそう。クロム、この土を埋めたら行くから先に行っていてくれ」 502. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 19 11 39.09 ID mYCiP6AO 500 おっと、それについてはおいおい説明します 503. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 19 42 32.18 ID mYCiP6AO クロム「…わかりました…お急ぎください…皇子」 アルゴン「………」 ザクッ…ドサッ… ザクッ…ドサッ… 父上…あなたは……やはり…… 我々を[ FONT color=#00ed0 ピーーー /FONT ]ために…… だとしたら…あなたは… やってはならないことをした あなたを許さない… 私も…ただ黙っているつもりはない 私は…母上…を得た… ――――――― 女「どうしよう…このままベンゼンまで徒歩…?」 リン「馬がもう余ってないんじゃしょうがないわね…誰かのを頂こうかしら」 男「リンさん、いくらなんでも泥棒はまずいですよ」 とは言っても…乗り物なしじゃきついよなぁ…… ん…?小さな女の子… 子供「あの…」 女「ん?どうしたの?」 子供「お父さんを…看病してくれて…あ、ありがとう…」 おそらく女が戦争中に怪我人の安置室にいたとき 看病していたうちの一人の子供であろう 服のいたるところが破け血がついていた 女「あ…あぁ…お父さん大丈夫だった?」 子供「死んじゃった…昨日…」 少女の目はずっと泣いたのであろうか 赤くなっていた 女「………ごめんね…助けられなくて…」 男・リン「…………」 505. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 20 06 06.79 ID mYCiP6AO 女「…お名前は?私は女」 マリィ「マリィ……」 女「マリィ…ごめんなさい…」 と言ってマリィを抱きしめた リン「わたしに何も言う権利はないけどあなたは頑張ってた、あれ以上は無理よ、あまり自分を責めちゃダメよ」 女は泣いていた マリィ「お姉ちゃん…私はもういっぱい泣いたから大丈夫だよ」 マリィ「お父さん…最期にお姉ちゃんにすっごい感謝してたの…、あんなに人がいっぱいいたのに一生懸命お父さんを看てくれて…」 女「………」 マリィ「それでね…お母さんがお返しにって…」 後ろから女性がのった荷台つきの馬車がきた。 こちらを向くと会釈して マリィ母「夫がお世話になりました…。これからベンゼンに向かうとお聞きしたので、これしかお礼にできるものはありませんが…」 506. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 21 40 32.04 ID mYCiP6AO 馬二頭と黒い簡素な荷台を繋ぐいたってシンプルな馬車である 毛並みがそろい鍛え抜かれ引き締まった馬脚 立派な馬だ… 素人目にも素晴らしい馬だとわかる。 マリィ母「うちの夫はね運送屋をやってたから、馬に関しては飛びきりうるさくてねぇ…、自分で大事に育ててたの…。あなたに使ってもらえるならきっとあの人も喜ぶと思うわ」 女「そ、そんな大事なものいただけません…!」 マリィ母「いいのよ、まだ三頭いるから。それに…長旅なんでしょう?」 マリィ「わたしもお姉ちゃんに使ってほしい!」 女「……わかりました…ありがたく使わせてもらいます」 泣いた目をこすりながら マリィを向いて言った 女「…マリィちゃん強いのね、私なんかお父さんいなくなっちゃったとき3日も泣きっぱなしだったの…、あなたはお姉ちゃんより強いから……辛いときがあっても大丈夫!」 マリィ「うん!大丈夫!」 そして、さりげなくマリィの手におまじないを書いた 女「これは…お礼ね」 マリィ「……?」 マリィの母に再三お礼をいい私達は集合場所に向かった 一人の少女が何故あそこまで強くなれるのだろう 罪悪感と自責の念が心の中に渦巻く 自分がもう少しでも頑張ればまだ助けられた命があったかもしれない 悲しむ人が減ったかもしれない あの状況でもそれを考えられたなら… 男「渡りに馬っていったとこかな」 リン「私が前に乗るわね」 女「…………」 507. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 21 53 54.67 ID mYCiP6AO {ザクッ… アルゴン「ふぅ……」 アルゴン「行くか……」 ――――――― クロム「皇子が食糧と弾薬と軍資金をそちらに寄付するそうです」 市政者「これは…感謝いたします……、それで群護太守の件ですが…」 クロム「皇子が中央から臨時に仮群護人を呼んだのであとはその方の指示に従ってください」 市政者「そ、それでは…要求と違…」 クロム「ならば我々を[ FONT color=#00ed0 ピーーー /FONT ]なり煮るなりお好きにしてください。この要求は市長のほぼ独断だとお聞きしております…あなたも…そうなのですか?」 スチャッ(後ろの兵士が武器を構える) 市政者「は…はは…いやだなぁ…違いますよ」 クロム「ならばあなた達の蔵に大切にしまってある金銀財宝を少しは街の復興に役立てたらどうです?」 市政者「は……ははは」 クロム「街を守りきれなかったことはまた改めて謝罪に来ます」 br() br()スタスタスタ… br() br()アルゴン「………」 br() br()クロム「皇子…」 br()} 509. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/22(木) 22 35 11.27 ID mYCiP6AO 市政者の前に立つと 何を思ったが頭を下げ アルゴン「すまなかった…!!」 クロム「!!?」 市政者「え…あ…!?」 兵士「!!!」 市政者「頭をおあげください!」 クロム「何をやっておられるのですか!?」 兵士達の間に動揺が走った。 主君が…帝国の皇子が頭を下げたのだ! あり得るわけがない、あってはならない! アルゴン「私の…失態で多くの人命が奪われた…すまない…」 クロム「皇子!!何を考えてるんですか!?例え皇子に全ての責任があっても頭を下げるなんてことをしてはいけません!!」 市政者「…アルゴン皇子を責める者などいませんよ、むしろ守り抜いて貰ってみな感謝しておるくらいです……」 アルゴン「………」 市政者「今のは見なかったことにしますので…どうかお顔をあげください」 アルゴン「…………」 数秒頭を垂れたままだったが ゆっくり姿勢を元に戻した その顔に何か決意めいたものが見えたのに気づいたのはクロムのみであろうか 511. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/23(金) 00 40 29.60 ID H6S1eEAO そのあと、アルゴンは市政者に事後処理などを伝達し、ハロゲンをあとにした。 ベンゼンを出たときとは比べものにならない人達がアルゴンの背に声援を送った。 アルゴンは複雑だった。が、どこかで感じたことのあるこの高翌揚感…安心感… しかし、思い出せないでいた… これは…どこか負の感情を秘めているような気がしたからかもしれない パカパカ… アルゴン「クロム……すまなかったな…」 クロム「皇子……あなたというお方は……先に謝っておきます。ほんとうに…ほんとうに…バカです!」 アルゴン「バカでいいさ…今は……」 ―――――― ガラガラガラ ボーー… 女「………」 リン「女ちゃん…いったいどうしちゃったの?」 男「さぁ…さっきからこの調子だけど…、おぉーい」 ブンブン(顔の前で手を振る) リン「いい加減あきらめないと、先に進めないわよ?頑張ってたんだからそれでいいじゃない。それ以上を求めるのは新たな後悔を招くだけじゃないかしら」 女「………」 女「………男君……私達…初めて会ったときどんなんだったっけ…?」 男「なんだ?いきなり?うーん……あんま覚えてないなぁ」 女「私は少し思い出してきた…」 ――――――― 約二年前―ケトン国 郊外(地図参照) 女「えぃっ!!」 513. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/23(金) 12 55 14.61 ID H6S1eEAO ボワッ…! ヘリュウ「うおっ!さすがは我が娘だっ!ハッハッハ!」 女、14歳 ヘリュウは女の父 ケトン国に仕える数少ない男性の魔法使人 今行っているのは、術者を中心に対角線上に掲げられた紙を同時に燃やす訓練である ※基本的に*対象魔法とは一方に対して放たれることが最も効果的であり簡単である *対象に向けての魔法 故に、対角線や多方向に多数存在する対象に対しては 威力が弱まるか、術者の力量によっては失敗することがある ちなみに、自分の正面で一方方向かつ一点集中のとき その魔法は最大(術者の魔力?100%)の効果をもたらす 拡散も可能であるが、もちろん 拡散の大きさに比例して威力は弱まる 一番困難とされるのは全方位攻撃だが それはまた今度にしよう 魔法使人入門編「対象魔法」より 514. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/23(金) 16 18 27.24 ID H6S1eEAO 513 「さすがは我が娘だ」× 「さすがは俺の娘だ」○ 我がじゃなんかあれだもんね… 515. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/23(金) 16 47 08.54 ID H6S1eEAO 女「やったー!お父さんの修行のおかげだねっ!」 ヘリュウ「嬉しいこといってくれるじゃねーの!このこのっ!」 女「えへへへ…」 ヘリュウ「こりゃあ将来大魔法使人になっちまうかもなぁ!よっし今日は一通りの呪文を覚えたご褒美に俺が晩飯を作ってやるよ!好きなもの食わしてやるっ!」 女「ほんとっ!?」 ヘリュウ「あぁほんとうだとも」 女「じゃああれ!あれがいい!ご飯をカリカリまで焼いて餡掛けのせたやつ!」 ヘリュウ「わーった!わーった!」 ポツポツ… ゴゴゴゴゴ… ヘリュウ「雨…?こりゃあ嵐になりそうだな…女、道具まとめて家に戻るぞ!」 女「はーい!」 ヘリュウ「…………」 ヘリュウ「…………嫌な色の雲だ…」 あの頃は あらゆるものが魅力的に見えて 世界の全てが愛しくみえた だが、現実は全てを奪った まるで最初からなかったみたいに… ――――――― ザァーーー… 516. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/23(金) 17 06 18.03 ID H6S1eEAO ヘリュウ(まずいな…どんどん風が強くなってやがる…) 女「お父さんのお料理おいしー!」 ヘリュウ「だろー?ナトリー、窓ちゃんと全部閉めてあるか?」 ナトリーは女の母 ケトン国王女の侍女として仕えている とても温厚で聡明な母… 女はとても大好きだった ナトリー「大丈夫よ。ウフフ、18までで使える呪文を全部マスターしたんですって?」 女「うん!」 ヘリュウ「すごいだろ〜」 ナトリー「なら、ケトンの魔法使人任用試験を受けさせてみたら?」 ヘリュウ「ばっか、こーんな田舎国の魔法使人で終わる珠じゃねぇよ、うちの娘はっ」 ナトリー「へぇーどうするの?」 ヘリュウ「…もう少し鍛えたらアボガドロに仕官させる!」 ナトリー「本気なの?あなた、あそこの倍率すごいわよ?全国から秀才とか神童と呼ばれてる人が何千と受験してその中でたった数人しか受からないっていうじゃない」 ヘリュウ「大丈夫だよ大丈夫!なんたって俺の娘だからな」 517. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/23(金) 21 00 47.30 ID H6S1eEAO ナトリー「もう、あなたったら…」 ヘリュウ「ハッハッハ」 女「ハッハッハ」 ザァァァァァッー… ガタッガタッ… ヘリュウ「ナトリー、やっぱり少し外を見てくるよ」 ナトリー「あ、気をつけて――」 ピシャァァァッン!!ガガガガッ 女「きゃぁっ!」 雷鳴があたり一面に怒号のように響いた ヘリュウ「ち、近いぞ!」 ドンドンドン…!(ドアを叩く音) ヘリュウ「…!?」 こんな嵐の中に…誰だ 家族に一瞬の緊張が走った 最近魔法使人が襲われる話を聞いていたからだ。 さすがは使人、すぐに臨戦態勢に入った、が ???「わしじゃ〜開けてくだされ」 518. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/23(金) 21 32 34.09 ID H6S1eEAO ヘリュウ「そのお声は…*ケイ導師」 *第一章の導師 ガチャッ ヘリュウ「どうしたのですかこんな嵐の中」 ケイ「いや〜びしょ濡れじゃわい。すまんが少し火に当たらしてもらえんか?話はそれからじゃ」 ナトリー「ど、どうぞ、こちらに…」 その魔導師は暖炉の前まで行くと腰を下ろしてため息混じりにぶつぶつ言うと、暖炉の火が一気に燃え上がった 間違いなく魔法使人だ! 女の好奇心はその、魔導師にありきたりな魔導服を纏った老人に注がれた 深く刻まれた手の皺 今まで何を見てきたのだろうかという穏やかな瞳 蓄えた白髭 女はぼーっとみとれていた ケイ「うお〜さむいさむい…ん?おおっ、君は女ちゃんじゃな?大きくなったのお」 女「おじいさんと会ったことあったっけ?」 ケイ「そうかぁ…君は小さかったからのぉ、覚えておらんのも無理はないわい」 ナトリー「導師、毛布です」 ケイ「あ〜心配ご無用、話が終わったらすぐに出て行きますから」 ヘリュウ「それでなんですかお話とは?」 ケイはナトリーに目配せした ナトリー「あっ…女ちゃんは隣の部屋で遊んでて」 女「はーい」 519. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/23(金) 22 01 59.09 ID H6S1eEAO バタン… 女「…………」 女(…私はもう子供じゃないんだから!) このままじゃ面白くないと思った女は 丁度壁に隙間が空いているところに耳をあて隣の部屋の声を聞こうとした。 雨の音が邪魔だけどかすかに話し声が聞こえる… ケイ「ふぅ〜それにしても…すぐ大きくなってしまったのぉ〜」 ナトリー「育ち盛りですから」 ケイ「まぁ、本題に入ろうかの……この付近で魔法使人が殺害された」 ピシャァァァッン!!ゴゴゴゴゴ… ケイは古めかしい地図を取り出し指をさした ケイ「昨日ケトン国の首都で魔法使人が3人殺された、どれも爪を剥がれ、顔の皮膚も剥がれとった…おそらく拷問されたんじゃろう」 ヘリュウ「………」 そして地図をなぞりながら ケイ「何を探っとるのかはわからんが、一連の魔法使人殺害と同一人物じゃろう…、それで殺害された場所を辿ってくとじゃな、この付近に来る可能性がある」 ヘリュウ「それを教えにきてくれたのかい?」 ケイ「そうじゃ、付近の魔法使人の家にも回って避難を呼びかけておる」 ナトリー「何かうつ手はないのですか?これではやられっぱなしではないですか」 ケイ「…………ここだけの話しじゃがな……あの大魔法使人が動かれたのじゃ」 ヘリュウ「ほんとうか!?」 ケイ「他言してはならんぞ」 ―――――― 女(大魔法使人…) ―――――― 520. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/24(土) 00 56 16.10 ID 6RA2iEAO ヘリュウ「大魔法使人が直々に動いたなら解決は早そうだな。……で、そいつはなにもんなんです?単独犯、それとも複数?」 ケイ「今んところは詳しいことは分からんが、それなりの腕を持った使人が何人もやられておるからなかなかの手練れじゃろ。それに、これは複数犯の可能性は薄いじゃろなぁ、複数なら目撃されとってもいいはずじゃ」 ケイ「目的も依然不明じゃが、魔法使人に相当な怨恨があるとみえる。拷問をしとるということは何かを探しておるのか、はたまた趣味か……情報が少なすぎじゃわい」 ナトリー「怖いですね…」 ケイ「とりあえず、すぐに荷物をまとめて西へ向かってくだされ、他の使人達との合流場所を用意しておる」 ヘリュウ「わかりました、すぐに準備し――」 ガラガラガラ…!!ドーーーーン!! ケイ「!」 ヘリュウ「!!」 彼等が反応したのはすぐ近くに落ちた雷ではない 異様な気配… 嵐でかき消されてはいるが確実に家の外に何かが存在している それも途轍もない何かが それは、女も感じていた 使人としてというより第六感的なものだろう 女(………なに…やだ……嫌な感じ……) ヘリュウ「導師…連れがいるのか」 ケイ「まさか…わしは単独行動じゃ」 ヘリュウ「じゃあ家の外で突っ立ってるのはなんだ」 ケイ「………最悪じゃの…」 ヘリュウ「ナトリー、女を連れて地下に隠れてろ。いいな、絶対にでるな」 521. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/24(土) 15 20 33.01 ID 6RA2iEAO ナトリーが部屋を出るのを見ると すぐに入り口のドアを睨んだ ヘリュウ「導師…もしや後をつけられたんじゃ?」 ケイ「気をつけてきたつもりじゃが…もしそうならすまんのぉ…」 ヘリュウ「…何体いると思います?」 ケイ「おそらく…五体と術者が一人じゃな……魔族使いかの」 ヘリュウは自分の感覚を研ぎ澄まし状況を見据え この場でどう動くのが最良か模索した そして… ヘリュウ「守る戦いは得意ですか…導師?」 ケイ「………慣れとるよ」 この速決した判断はそれなりの実力を持った魔法使人であるからだろう 瞬時に敵との力量の差を察知し 自分の置かれた状況と、最善の行動を理解した しかし、その最善の行動すら 場合によっては死ぬ可能性があるものだった ――――――― ガチャッ ナトリー「女ちゃん!ここは危ないから地下室に…―」 部屋を見回したが女はいない… …足元を見ると部屋の入り口に女が横たわって震えていた ナトリー「ど、どうしたの!?大丈夫!?」 女「……怖い…なにかとても恐いの…」 ナトリー「お父さんと導師様がいるから大丈夫よ…さぁお母さんと安全なところに」 女「う…うん…」 522. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/24(土) 15 51 20.14 ID 6RA2iEAO コンコンコン… 雨音混じりに響くこの無機質な木音は不気味さを通りこして恐怖だった ヘリュウは相手の情報を少しでも探るためと ノックをしてきた相手への返答として聞いた ヘリュウ「どなたですか」 「……………」 答えはない ただ恐怖を煽るためなのか… もう一度聞いた ヘリュウ「こんな嵐の中誰ですか」 数秒のあと ドアの向こうから若い男の声ではっきりと聞こえた 「あれはどこだ」 また数秒、間があく なんのことだ…? 導師も首を傾げるだけだ 523. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/24(土) 17 11 09.07 ID 6RA2iEAO そしてまた 「あれはどこだ」 心当たりはない…一体何のことだ…?意味のない言葉で相手を油断させるにも意味不明すぎる と、その時… 「きゃぁぁぁぁ!!」 地下から悲鳴が聞こえた! ヘリュウ(ナトリー!?) ドスン!! ドアが打ち破られた そこには、黒いゴツゴツした鎧を纏い能面的な鉄仮面をつけた大男がいた 部屋の中を見回し、また 「あれをどこへやった」 ケイ「貴様の目的はなんじゃ!一連の魔法使人殺害は貴様じゃろう!」 「…………」 無表情の仮面の奥で口元が歪んだ 「魔法使人…か…奴らのせいで統一世界の実現が……実現が………」 ヘリュウ(統一世界…?何を言ってるんだこいつは!?) 524. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/24(土) 20 21 21.95 ID 6RA2iEAO 「奴らをこの世から抹消し、せかいを…統べねばならぬ……言わぬなら……吐かせる…までだ…」 ダッ!! ヘリュウ(はっ…速い…!!) ――――――― 地下室の中には先客がいた 暗闇の中に浮かぶ青い目が4つ ナトリー「あ……あ……」 魔族1「……雌2匹、片方はガキだぜ」 魔族2「ギッギッギ…喰う前にヤっちまうか…ギギギッ」 魔族1「じゃー俺ガキのほう!ギギギッ」 ナトリー「女!後ろに下がってて…!」 女「お…お母さん…」 魔族1「ギギギッ…親子愛ってかぁ?…すぐに何も考えられなくしてやるぜぇ」 その時女は初めて魔族を見た 人間とは似て非なるその形その思考 14歳の少女にはこの現実は受け入れがたかった さっきまで家族で楽しく夕食を食べていたのに… どうして… ナトリー「わ、私も魔法使人の端くれです…防御陣ぐらいなら…!」 ナトリーはエプロンポケットから小瓶を取り出し中に入った聖水を床に撒いて呪文を唱えた すると青く光る螺旋状の線が2人の周りを囲んだ 魔族2「ギギギッ…そんなものでいつまで防げるのかなぁ?……ん?」 螺旋状の線が包んだのは女一人だった 525. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/25(日) 00 18 54.76 ID ZCWmvkAO {ナトリー「女ちゃん…これであなたは大丈夫なはず…」 この防御陣は広範囲、守る物体の数、媒とした聖水の量、効力により 持続時間、対物理攻撃力、対魔力が増減する br()よって少しでもナトリーは女を守るために br()守る対象を少なくした br()それは2人を守りきれることに確信が持てないのと br()少しでも女に危害が加わる可能性を減らすためであった br()とっさの判断のため、まだ方法があったかもしれないが br()女の安全を一番に考えた方法だった br() br()魔族1「娘を生かすために自分を犠牲にするたぁ…ギギギッ」 br() br()ナトリーは貯蔵していた薪を手に取った br() br()魔族2「それで戦うのか、なめんじゃねぇぞ」 br() br()女「お母さん…!ダメだよ!そんなのやだよ!!」 br() br()ナトリー「早く!いまのうちに外へ出なさい!!裏口から出てそのまま止まらず走って!!」 br() br()女「………ヤダ…!ヤダぁっ!!」 br() br()ナトリー「お母さんは大丈夫だから早く!!」 br() br()温厚なお母さんが今まで見せたことないほど顔が怒っていた br()このまま出て行ったらどうなるんだろう br()お母さんがいなくなっちゃう… br()そんなのヤダ…! br()でも…恐い!逃げたい! br() br()いつの間にか足は階段をかけあがっていた br()つまずくことなく… br() br()ナトリー(……ヘリュウ…ごめんなさい…) br() br()ナトリーは薪をその場に捨て立ち尽くした… br()闇の中に押し倒され br()服を引き裂かれ、辱められた br()声を出すわけにはいかない br()女が振り返らないために… br()} 526. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/25(日) 00 35 12.59 ID ZCWmvkAO 裏口から出るには台所を通らなくてはならない 女「はぁっ…はぁっ…」 少し動いただけなのに息がきれそうだった 恐怖と悲しみが疲労となって極限まで体にのしかかる ヘリュウ「ぐぁぁっ…!!」 女(お父さん…!!) 自然と足は父がいる居間へと向かっていた 居間を覗くと 血だらけの父が大男に首を掴まれ持ち上げられていた その側にはさっきまでの食卓の上に横たわっているケイ導師 女の受けたショックはどれほどだろうか… 10歳と少しの少女にはあまりに刺激が強い光景だった ヘリュウ「な……なんなんだお前は……!?」 「……死ぬ前に教えてやろう……」 「世界を統べる者だ」 女(世界を統べる者…!!) ヘリュウ「……かはっ……千年も前に死んだやつがなぜここに……ぐっ」 世界を統べる者「答える義務はない」 バキッ ヘリュウの首はいとも簡単にへし折られ その場に崩れ落ちた 親の死ぬ音を聞いてしまった 女「うぁ…あ……あ……や……やぁ……」 あまりの恐怖を目前に 言葉が出なかった 527. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/25(日) 00 52 33.25 ID ZCWmvkAO あまりに理不尽な暴力 なにもしていないのに ただここで暮らしていただけなのに 大男はこちらに気付いた 仮面の隙間から見える顔がほくそ笑んでいる 「……見つけたぞ……」 「クハハハハッ」 動けない…圧倒的な恐怖に呑まれ 体が金縛りにあったようだ 「我が悲願………成れり!」 ケイ「…*ベリュサ!!!」 *強力な閃光で敵の視覚を一時的に奪う バシュッ! 「うっ…!!」 目をあけた時には2人消えていた 「…内臓を潰したつもりだったがまだ動けたか」 ――――――― ザァァァァー! ○女の家から300mほど離れた地点 女「あ……あ………あ…」 ケイ「だ、大丈夫かい?」 女「お、お父さんが…!お母さんももた助けなきゃ…!!」 ケイ「いいかい、よく聞くんじゃ」 ケイ「今から君を異世界に飛ばす!それから君の今の記憶を弱める!今のわしにできることはそれだけじゃ!」 ザァァァァー! ピシャァァン! 導師が女の頭に手を当て 呪文を唱えた ケイ「これは完全ではない、だが少しはマシになったはずじゃ」 女「導師様……何が……」 導師は答えず 雨に濡れた土に魔法陣を書き始めた 528. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/25(日) 01 14 53.25 ID ZCWmvkAO ケイ「こちらの世界とあちらの世界を繋ぐ、君はあちらの世界の住人になるんじゃ!」 女「あちらの世界…?」 ケイ「科学文明が発達した世界じゃ、居心地は悪いかもしれんが我慢しておくれ」 魔法陣を書き終え 土に手を付きまた呪文を唱え始めた ケイ「ちぃっ…!もうきづきおったか…!!」 女「私…どうすれば…?」 ケイ「当面はその世界の住人として住んでおればよい!ほとぼりが冷めたらわしが迎えにゆく!」 どしゃぶりの雨の向こうから人影がこっちに向かってきた 手に何か持っている ケイ「見ちゃいかん!!!」 それはヘリュウとナトリーのものだった 「また邪魔をするのかお前達はぁ!!」 ケイ「異次元の門よ…我が契約に基づき…貴世へといざないたまえ…契約者の名はケイ・リンドバーク……」 すると魔法陣の空中が裂け扉が現れた ケイ「開門!!」 ゴゴゴゴゴゴゴ…… ケイ「いいかね、君は死んではならん…もしかしたら親のことを思い出すかもしれんが、気を強くもつんじゃ。さすれば新たな道が現れるやもしれん!」 女「わ…わかんないよぉ……」 ケイ「時間がない…早くその門の中に入るんじゃ」 529. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/25(日) 01 27 47.32 ID ZCWmvkAO 世界を統べる者「止せ!!」 ケイ「貴様の思い通りになぞさせてたまるか…!」 世界を統べる者「老いぼれがっ…!ならば!*メオンラグラシア!!」 *物質を原子レベルまで分解する魔法。習得難度S ズヴァヴァヴァ!!! 大男の腕から放たれた紫の光線は導師の腕をもっていった ケイ「ぐぁぁっ!!」 女「導師様!!血が…」 ケイ「早くゆけい!!門が閉まるじゃろが!儂が盾になるから早く!」 「次は外さぬ!!メオンラグラシア!!」 ケイ「*アンチスペル!!」 *対抗呪文。島マナ2 531. 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/01/25(日) 02 03 51.87 ID o0okCY6o 1 そういえば今後の方針ってどうなった? このまま受験勉強と平行して書き続けるのか? 532. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/25(日) 09 30 50.73 ID ZCWmvkAO 531 多分 533. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/25(日) 11 52 29.07 ID ZCWmvkAO 門の奥は闇 まるでそこには何もないというような無の世界が広がっていた この無の中に自分が入るなんて考えただけで恐怖で足が凍った 自分をその中に投げ込む勇気はない バチィッ! ケイ「ぐぅっ…!!」 ザッ もうすぐそこにいた 能面的な仮面の大男が 女「うぁ…あ…」 世界を統べる者「無駄なあがきだ…」 手には生々しい首があった ケイ「見てはならん!…は、早く入るんじゃ!闇を畏れてはならん!」 恐い…目の前にあるものも恐い… どうして…どうしてこんなことに…… 世界を統べる者…こいつが来たから…こいつが全部を奪ったんだ 恐いけど憎い 許さない… その時、女を囲んでいた螺旋状の線が女の足に絡みつき 扉へと動かした 一歩…一歩… 世界を統べる者「待て!鍵よ!!」 大男が手を伸ばした時には 女の体は扉の闇の中に吸い込まれていた そして扉は閉まり、パッと消えた 「……わかっているだろうな、老いぼれ」 534. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/25(日) 12 06 29.80 ID ZCWmvkAO 「また…私の邪魔…をする…のか貴様等…は」 ケイは膝をつき観念したように頭を垂れた ケイ「お前みたいなよくわからん者に若い芽を摘まれるのを見るのは…もうコリゴリじゃからのぉ…ゴホヅ」 「言い残すことはそれだけか、爺」 ザァァァァー……… ズヴァヴァヴァ!! ザァァァァー…… ――――――― 何だろう…この感じ… 無と自分が溶けて一体になる感じ… 手も足もないみたい…ただ感覚だけが残ってるみたい… あ…光が… 私がいる…?でもなんだか違う… 違う服を着てる… なんだか温かい…眠く……なってきちゃった…… ―――――――― 535. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/01/25(日) 12 52 17.69 ID ZCWmvkAO ―――――― カチッ ジリリリリリリ うるさいなぁ… 眠い目をこすりながらアザラシ型の目覚まし時計をみた 6 50… 「あっ…」 ここは……初めてみたのに知っている。 自分が今どこにいるのか知っている そして、今から何をすればいいのか頭にぼんやりと浮かんできた 「唯〜朝ご飯できたわよ〜、起きなさーい」 下から声が聞こえた、あれは母の声だ。 当たりを見回す… このアザラシの目覚まし時計…お父さんに水族館で買って貰ったやつだ… 教科書が山積みになってる木でできた学習机…中学生になったときおばあちゃんに買ってもらった… みんな知らないのに知っている 見たことないのにいつも見ていた 「夢…?」 今見ているのが夢…?さっきまでのが夢…? とにかく学校にいかなきゃ }
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577. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 11 28 30.99 ID CzwfiwAO サンドイッチを頬張りながら八木がうつむき加減で話し始めた 八木「実はさ里美と安田は小学校からの友達だったんだよね…」 加治木「そっか…」 自分には返答のしようがなかった 八木「里美悲しむだろな…」 加治木「…………」 あえて沈黙で返した。 自分にはどうすることもできないし 里美の名を頻出する八木にちょっとした怒りを覚えたからでもある 八木「でさ、さっきの話だけど。公衆電話からこの番号にかけてみない?」 加治木「まだいってんのかよ…、もし危ないやつだったりしたら」 八木「公衆電話からじゃわかんないし、もしかしたら犯人かもしれないじゃん。もし犯人なら警察に事情話せばいい。違うならそのままでいいしな」 加治木「うーん………、わかった……」 食事を済ませ、公衆電話を探した 携帯電話が普及しているため公衆電話が減っていることもあり 探すのに少し苦労したが やっとテナントビルの脇にあるのを見つけた 578. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 12 07 48.47 ID CzwfiwAO {ガララッ 加治木「ほ、ほんとにやるの…?」 八木「もち」 八木「俺がやるから」 八木は財布からテレホンカードを取り出し 番号が書かれた紙を見ながらボタンを押した プルルルルル…プルルルルル… ダイヤル音が公衆電話の空間に響く 加治木(だいじょうぶかな……) 八木も少し緊張しているようだ まばたきが多くなってきた ガチャッ 「もしもし」 若い男の声だがどこか低い声 あの男だ! 八木「あ…あ、あの…」 「どなたかな?どこでこの番号を手に入れたんだい?」 八木「あ、あなたこそ誰なんですか!?」 八木の声が甲高く空回りして 明らかにテンパっている 男の優しい問いかけの声が八木をおもったより緊張させたようだ 「…………」 相手の声が一瞬止まった 八木が沈黙を打ち破るように言った 八木「もしかして、今ニュースでやってる通り魔じゃないですよね!?」 加治木(おぃぃっ!それはあまりにも唐突でしかも直球すぎじゃないか!?相手にもさすがに失礼じゃ…) 「フフッ」 受話器の向こうから吹き出すような笑い声が聞こえた 「僕が通り魔だってw?なんの根拠があるんだい?」 八木「こ、根拠は無いです!ただあなたが怪しいと言う人がいるので!」 br()} 579. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 12 45 58.87 ID CzwfiwAO 「それは困ったなぁ…うーん……」 少し唸ったあと、 「じゃあ僕の疑いが晴らせればいいんだね?」 八木「え?」 どうやって?と言わんばかりの顔で2人は顔を見合わせた 「君達公衆電話にいるんでしょ?」 八木「……はい…」 これはまだ予想できる範囲であるので大して驚くことでもない、が 「後ろ見てみなよ」 また2人は顔を見合わせガラス越しの街並みをみた 街は歩行者天国なので人が行き交っている すると、道の反対側 丁度公衆電話の向かい 黒のパーカーを着てニット帽を深く被った男が道の左側から歩いてくるのが見えた 手に何か持っている 右から歩いてくるのは… 真鍮高校の制服を着た女子2人 まさか…!! 男が手にしているのはナイフ そのすれちがいざま 断末魔のような悲鳴が聞こえ 一瞬のうちに女子高生2人は地に臥していた 頭にはナイフが突き刺さって 道は赤く染まった 八木「ばっ、馬鹿やろう!!」 受話器に向かって八木が叫んだ 「これで疑いは晴れたはずだよ、じゃ加治木君にもよろしく言っといて」 ガチャッ…ツーツー 加治木「ど、どうする!?」 八木「犯人を追おう!今路地裏に入ってくのが見えた!」 580. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 14 58 49.06 ID CzwfiwAO 何を言ってるんだ八木は… 何か八木に言おうとしたとき 八木はすでに飛び出して追いかけていた 加治木「あ、八木…あーもう!」 とりあえず八木の後を追った あまりにおかしなことが有りすぎて何から考えればいいのかをまずは走りながら考えた どうしてあの男は通り魔が起こることがわかったんだろう しかし今の状況からだけでは推察することは不可能だ とりあえずこれは後回しにして 八木は本気で通り魔を捕まえる気なのか? 相手はナイフ持ってるかもしれないんだぞ? 何が八木をそこまでさせるんだ? この疑問を八木の背中にぶつけてみた 加治木「おいっ!!相手はナイフ持ってるかもしれないんだぞ!危ないよ!!」 八木「でもさ!これ以上あいつ野放しにしたらまた誰か殺されるぞ!しかも俺達が捕まえたらヒーローじゃん!」 どうやら八木は今犯人を捕まえてこれ以上犠牲者を出させないつもりらしい、が 加治木は八木の返答に複雑な気持ちを抱いた 加治木(…いつからあいつはあんなかっこよくなっちまったんだよ) 八木は電話の相手のことなど忘れたみたいにただ前を走っていた お互いの距離は3mくらいなのに加治木には途方もなく離れているように感じた 路地裏のビルが並ぶ小さな十字路にさっきの犯人が走っているのが見えた 581. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 15 56 07.71 ID CzwfiwAO 加治木「あっ、あれだ!!」 八木「誰か他にも追いかけてるぞ!」 50m先に犯人を追いかける若い男性がいた 八木「三人がかりなら…!」 加治木「右に曲がったぞ!」 犯人が右の更に細い道に入り先の男性も後を追った 八木「確かあの路地裏は行き止まりが多いから追いつめられるかも!」 そして2人は犯人が曲がった路地に入った 八木「!!」 路地に入ってすぐの道の真ん中にさっき追っていた男性が胸にサバイバルナイフを突き立てられ 仰向けに倒れていた 素人目にもすでに死んでいるとわかるぐらい口から血を吐き 辺り一面に血液が飛散していた 加治木「八木!!いっちゃダメだ!!」 さすがに恐怖で足が止まった 加治木「俺達にどうこうレベルじゃないよ!!警察を呼ぼう!」 八木「………ッ」 八木は一瞬戸惑ったような表情をした。 そして冷静さを取り戻したのか道にへたり込んだ 582. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 17 17 22.06 ID CzwfiwAO 八木「はぁはぁ………と、とにかく救急車呼ぼう」 加治木「ゲホッ…いや、ダメだよ。もう死んでる…」 八木「……人ってこんな簡単に死んじゃうのか…」 死体を前にして何故か冷静でいられる自分達がいた。 疲れのせいか恐怖をすでに味わったからなのか。 とりあえずポケットから携帯を取り出し警察に連絡し場所を伝えた。 警察がすぐに向かうそうだ。 八木「はぁ…はぁ…でもなんであいつ通り魔がヤるのを知ってたんだ…?」 やっとその疑問に八木が辿り着いた 加治木「……通り魔とあの男はグルなんじゃないかな…わかんないけど…」 八木「やつ最後に加治木君によろしくって言ってたぜ?名前言ったのか?」 火照った身体の背筋が少し寒くなった。 あの男に名前を言った覚えもないし、 どうしてあの場所に自分がいたことがバレてるのか。声を発してはいなかったはずだ 見られていた?例えそうだとしても何の意味が? 八木「…見たか?さっき殺された女子高生」 一瞬だったのと八木をすぐに追ったためちゃんと見ていなかった。 八木「真鍮高校、しかも隣のクラスの女子だ。見たことある」 加治木「…………通り魔の狙いは真鍮高校の女子?」 八木「恐らくな、何が目的かはわかんないけど、もし電話の男が通り魔とグルなら…ヤバいぜ、櫻井」 583. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 17 53 35.79 ID CzwfiwAO 確かに… グルと仮定するなら狙いは櫻井で、 櫻井の容姿がわからないから真鍮高校の女子を次々と殺しているのか? いや、あの櫻井の絵を見ると顔はわかっている じゃあ単なる無差別…? グルじゃないのか? うーんわからん 加治木「あのさぁ…さすがにいきなりあの人を犯人扱いするのは尚早じゃない?」 八木「重要参考人くらいにはなるだろ。これではっきりした」 「ギチギチギチ」 八木「カジ、なんか言った?」 加治木「いや」 「なぁんだおめぇら…ガぁキじゃねぇか」 八木「……………」 ザッザッ 黒い影がこちらに近づいてくる 今いる路地裏はビルに挟まれているため日中なのに夕方のように暗い 2人に動揺が走った 「おれを追っかけてきたのが運の尽きだな。そういう正義面してるやつみっとイライラすんだ」 通り魔だ…!手にはナイフを握っている… まずい!殺される! 加治木「あ……あ………あわわ……」 加治木(…八木っ…!に、逃げるぞ!!) 八木の肩を掴み相手に聞こえない最大の大きさで叫んだ だが、八木はすくっと立ち上がり相手に向かって言い放った 584. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 20 46 24.49 ID CzwfiwAO 八木「な…なんで彼女達を殺したんだ!!彼女達がいったい何をしたって言うんだ!?」 加治木(いやいやいや!真っ当な意見だけどさ、時と場合によるだろ!!明らかにヤバそうな相手だぞ!) 通り魔の男は少しキョトンとしたようだった すぐに笑い出し 「ギチギチギチ………単なる人違いだよ、運が悪かっただけだ!別に理由なんてねぇよ!!」 八木「……こいつっ……!!」 「なんだぁ?お前にゃ関係ねぇだろぉ?」 ナイフをもう一本取り出し両手でもった 「安心しろぉよ、今楽にしてやるからよぉ。その正義面した顔をなますぎりにしてやるよぉ」 加治木「逃げろっ!!早く!!」 通り魔はサバイバルナイフを向けこっちに突っ込んできた。 八木「うっ、うわぁぁっ!!」 ヒュン 通り魔はナイフを八木の頭めがけて突き出したが 間一髪しゃがみこみ、八木の頭をかすめた。 「ギギッ…」 八木はしゃがみ込むと同時に通り魔の脚に蹴りをいれ通り魔の体勢を崩し転倒させた 加治木「八木!倒れてる隙に早くっ!!こっちへ!」 「ギギッ……小癪なぁぁっ!!」 が、通り魔の振った刃の先端が膝をかすめ 立ち上がろうとした八木はまた倒れてしまった 585. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 23 43 32.99 ID CzwfiwAO ファンファン…(パトカー) 通り魔「ギッギッギ…今からてめぇの顔の皮ゆっくり剥いでやろうと思ったがぁ…お時間がねぇみてぇだな…」 通り魔「しょうがねぇから簡単におめぇの頭ぶっつらぬいたあと後ろで震えてる育児なしもぶっ殺してやるよぉ」 八木「うぁっ…ぁっ…」 加治木「ひっ…あっ…あ…」 2人は恐怖で動けなかった 蛇に睨まれた蛙の如く そして少し後悔していた… 行き過ぎた行動に 今から横に横たわっている死体みたいになってしまうと思うと 恐怖で頭が真っ白になり 歯がガタガタし始め、身体が小刻みに震えだした 通り魔「後悔しろぉやぁっ」 通り魔の男は八木にまたがりナイフを振り上げ 八木の頭めがけて突き刺した ガキン! だがナイフはいつのまにか空を回り 地面に音をたてて落ちた 2人も驚いたが一番驚いたのは通り魔自身かもしれない 586. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/01(日) 23 59 42.40 ID CzwfiwAO 通り魔「な、なんだぁっ!」 辺りを見回すが誰もいない 一体何が起こったんだろう… 「上だよ上、通り魔さん」 ビルの非常階段の脇に誰かがいる 「あらら…間に合っては…いないみたいだね」 通り魔「誰だぁっ!?」 「そんなことよりいいのかい?そろそろ逃げ場無くなっちゃうけど」 通り魔「………ちぃっ!」 通り魔は片方のナイフを収めると素早く立ち上がり ビルの狭間の暗闇に消えていった 八木も加治木もその助けてくれたらしい人の方を向いたまま硬直していた 命の危機から助かった体がそのまま何も考えられず止まってしまったようだ 「いいかい君達、時として無謀な勇敢というのは全てを失うことだってあるんだよ」 透き通った声が思考停止した頭にすんなり入ってきた 「勇敢なのはいいことだけど自分の力量も知らずに相手に向かうのはよくないな」 八木「あ…あなたは…」 八木がやっと喋ることができた 「そんなことはどうだっていいことだ。今は命が助かったことを素直に喜ぶほうが大事だと思うよ。大切にしなよ、一つしかないんだから」 そう言うと非常階段を上に登っていき見えなくなった 590. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/02(月) 19 21 40.78 ID 9r/xu.AO 助けてくれた男が見えなくなった直後に 現場にパトカーが2,3台到着し 2人はすぐに保護されて 警察で事情聴取を受けた そして親も呼ばれてこっぴどく怒られた さらに1日停学処分にもされ(精神カウンセリングという名目で) 10時には家に帰されたが さらに家でも怒られた だが2人は電話の男のことはあえて言わなかった…。 いや、そのことが頭からすっぽり抜けていた、と言うのが正しいのかもしれない ―――――――― 「た…助けてっ…!いやぁ……!!!」 「うぐぐっ……に…逃げろっ…!!ギャッぁ」 唯「…やめてっ……やめてったら!」 闇の中に苦しむ2人の姿 どこか見覚えのある顔は もはや見る陰すらなく 強張り恐怖の顔のまま固定していた 唯「どうしてこんなものを見せるの…!!なんで…なんで…」 ただうずくまって泣くしかなかった。 夢の中であるはずなのに その空間は冷たく質感があった 昨日の夢と同じ…いやもっと酷い 酷くなっている 心が締め付けられて壊れそうになる 「…世界を統べる者…」 能面的な仮面をつけた黒鎧の男 こいつが殺した こいつが全てを奪った 心の中の自分がそう呟く 591. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/02(月) 23 30 16.33 ID 9r/xu.AO もう一人の自分が側にいて 悲しそうな顔で自分に言う 「お父さんとお母さん…殺されちゃった…」 唯「そんなの私知らない!」 続けて言う 「仇討ってよ…ねぇ…」 唯「どっかへ行って!!そんなの関係ない!」 「……これはあなたの記憶よ…あなたは知っている…」 唯「…何を…!?こんなの知らない!」 「………見て…」 もう一人の自分が右を指差した そこにはさっきの見覚えがある人が首だけになってテーブルの上に置いてあった 「あれはあなたの最期の記憶……よほど強烈だったようね……」 唯「……いやっ……いやぁっ……!!こんなの……!!」 「ほら…あなたの感情はまだ覚えてる…あの時の絶望とも言える悲しみ…理不尽な暴力に対する憎しみ……ほうら…思い出してきたでしょ」 唯「うぁ……ぁ……っ」 ―――――――― 櫻井家17 28 母「唯!唯!」 目を開けるとそこには母の顔があった まばたきすると目から涙が溢れた 母「大丈夫?すごい魘されてたけど?」 唯「う……うん……」 母「昨日からずっとじゃない?お医者さんに見てもらう?」 唯「いいの…大丈夫…だから…」 母「そう…?ほら、涙で枕が濡れちゃって。代わりの枕持ってくるからね」 592. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/02(月) 23 46 56.30 ID 9r/xu.AO 寝ながら泣いていたようだ 昨日と同じ夢が、だんだん鮮明になってきて そして現実感が増してきた 唯「………」 何かを思い出して来ているような… しかしなんのことだかわからない さらに悲しみという感情が自分の中に確かなものとしてある 唯の心境は複雑極まりない状況であった 悲しみはあるのにそれが何から発せられるものなのかがわからないのだ 夢の中の残虐な光景に悲しみはあった気がするのだが いまいち確信はもてない 自分の中で何が起こっているのだろうか… 母が新しい枕を持ってきた アザラシの時計を見る もう五時すぎ… あまり寝たくはなかった またあの光景が夢の中に現れるような気がしたからでもあり それを思い出してしまうかもしれない恐怖もあったからかもしれない 唯「*下でテレビみててもいい?」 *部屋は二階 母「え、えぇ…いいわよ」 母は目が赤くなっている娘を見てちゃんと寝てなさい、とは言えなかったようだ 593. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/03(火) 00 01 32.90 ID 9FcLGIAO 薄暗くなったリビングにいき テレビをつけた 夕方のニュースの時間だ 「……有狩町の有狩駅前で通り魔事件が発生、現場から中継でお送りしていみす」 唯「すぐ近くだ…」 「現在わかっている情報では近所の真鍮高校に通う女子生徒2人が通り魔の男性にサバイバルナイフのようなもので刺され2人とも死亡が確認されました!即死のようです」 映像には見覚えのある街並みと 野次馬の山、テープで仕切られた中に警察がたくさんいた 「今日は休日だったので人がたくさんいたことから…あ、はい…ただいま入った情報によると犯人が凶器に使ったナイフが先日の足戸駅前での事件で使われたナイフと同一であることが鑑識の調べでわかりました!」 カメラは舗装された道に染み込んだ大量の血痕を映した ズキン 唯「……いたっ……」 血をみた瞬間頭に痛みが走った 「あ、さらに…現場から逃走した犯人を追いかけた男性がここから200mほど先の路地で犯人にナイフを胸にさされ死亡したようです!!続報がはいりしだいまたお伝えします」 594. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/03(火) 00 02 42.41 ID 9FcLGIAO していみす× しています◎ 595. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/03(火) 12 42 34.38 ID 9FcLGIAO {コメンテータ「白昼堂々とは…警察は一体何をしていたんでしょうね?あの事件以後、事件があった周辺は警戒を強化していたはずですが、これは怠慢としかいいようがありません。全く国民の税金は―ピッ」 チャンネルを変えた。 「午後12時50分ごろ有狩駅前で通り魔が―ピッ」 「警察の責任を追求する声もあり―ピッ」 どれも同じニュースだ。 真鍮高校の女子生徒… もしかしたら知っている人かも… そういえば里美にメール返してなかった。 なにか知ってるかもしれない br()というよりとにかく里美と何か話したかった。 br()今の唯の心の状態ならそれが普通かもしれない br()} 596. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/03(火) 18 36 24.33 ID 9FcLGIAO あまり推敲せずに書いてるので 若干読みにくかったり文章や流れがおかしいところがあると思いますが なにぶん文才が乏しいもので わかりにくいとは思いますが できるだけわかりやすく書こうと思うのでよろしくお願いします と、何度もこんなこと書いてますが 携帯で書くのはかなり書きにくいのです。。 携帯小説書いてる人はわかるかと思いますが 全体の見通しがしにくく流れが掴みにくいので 構成がしにくいのです…(自分だけかもしれませんが…) 早くPC買ってキーボードでちゃっちゃと書きたい 以上チラ裏でした ちなみに本編(3章)ですが 4章のネタを考えるための時間稼ぎでもあり 主人公達のキャラを深めようというためのものでもあり 物語の柱となる部分に触れるところでもあります そして各々の感情の動きもいれ 物語に深みを出そうと思った次第でありますが かなり変かもしれません… 許して。 あと男、女ではあまりにも記号的であり 感情移入しにくいので(自分の中で) 名前を入れてみました もしかしたらこのままでもゆくかもしれないし 元に戻るかもしれません 不評であればじきに元に戻します 長くなりましたが 自分なりにオリジナリティを追求していくつもりなのでよろしくお願いします 599. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/04(水) 17 55 30.50 ID wXMh6kAO 部屋に戻って里美に電話をかけようとしたとき ピリリリリリッ(着信音) 唯(……登録してない…誰だろ…?) ピッ 唯「もしもし…」 山本「あっ、櫻井?おれ、山本」 唯「…山本先輩ですか?なにか……」 山本「ニュース見た?通り魔の。それで櫻井大丈夫かなーって心配になって」 唯「…あ、ありがとう」 山本「それで前送ったメールの話なんだけど―」 唯「ごめんなさい…今風邪ひいてて…今度でもいいですか?」 山本「あー…うん、わかった。身体大事にね」 ピッ 唯「はぁー…」 まだ頭がズキズキしている。 でも誰から番号聞いたんだろ… 一息ついたあと改めて里美に電話をかけた 600. 1 ◆DlyW/s8ibQ 2009/02/04(水) 19 14 21.37 ID wXMh6kAO プルルルルッ…プルルルルッ… 里美「……唯?…」 その声はとても元気がなかった。 唯「……里美…大丈夫?」 里美「…唯の方こそ大丈夫?いつもの唯の声じゃないよ」 唯「……」 自分も少し声が枯れぎみなことに今気づいた。 唯「…ニュース見たんだ。それで…里美は大丈夫かなって」 里美「……」 里美は黙っていた。何か泣いているようだ 電話の向こうですすり泣く声が聞こえる 里美「……(安田)尚美が殺されたんだって…通り魔に…」 唯「………」 尚美と言えば里美と同じクラスで仲のいい友達だった。 何回か会ったことあるけど結構人当たりのいい人だった。 そっか…もういなくなっちゃったのか…。 唯「仲良かったもんね…」 唯「…もしかして…今日殺されたちゃったの…?」 里美「…昨日だけど…、もしかして今日も…?」 唯「うん…有狩駅前で。また真鍮の女子が殺されたんだって…」 どうやらずっと泣いていたようでニュースは見ていなかったらしい そのことを告げるとわっと泣き出した。 泣き止むまで電話を耳にあてたまま待つことにした。