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診断 日本神経学会のALS治療ガイドライン2002では次のようになっている。 厚生省神経変性疾患調査研究班診断基準 El Escorial 改訂Airlie House 診断基準 厚生省神経変性疾患調査研究班診断基準 1992年厚生省特定疾患神経変性疾患調査研究班(萬年徹代表)は診断基準を作成した。そして神経変性疾患に関する研究班(田代邦雄代表,疾病対策研究会)は最近それを改変し,以下の新しい筋萎縮性側索硬化症の診断基準を作成した。この診断基準を満たすならば,ほぼ確定診断と見なされる。日常診療に利用されるべき診断基準である。 1.神経所見 1)球麻痺所見:舌の麻痺,萎縮,線維束性収縮,構音障害,嚥下障害 2)上位ニューロン徴候(錐体路徴候):痙縮,腱反射亢進,病的反射 3)下位ニューロン徴候(前角細胞徴候):筋萎縮,筋力低下,線維束性収縮 2.臨床検査所見 1)針筋電図にて(1)高振幅電位,(2)多相性電位 2)神経伝導検査にて(1)運動・感覚神経伝導速度は原則正常,(2)複合筋活動電位の低下 3.鑑別診断 1)下位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:脊髄性進行性筋萎縮症 2)上位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:原発性側索硬化症 3)脳幹病変によるもの:腫瘍、多発性硬化症など 4)脊髄病変によるもの:頸椎症、後縦靱帯骨化症、椎間板ヘルニア、腫瘍、脊髄空洞症、脊髄炎など 5)末梢神経病変によるもの:多巣性運動ニューロパチー、Lewis-Sumner 症候群、ポリニューロパチー(遺伝性,非遺伝性) 6)筋病変によるもの:筋ジストロフィー,多発筋炎など 7)偽性球麻痺 [診断の判定] 次の1─5 のすべてを満たすものを,筋萎縮性側索硬化症と診断する. 1)成人発症である 2)経過は進行性である 3)神経所見で,上記1)─3) のいずれか2 つ以上がみられる. 4)筋電図で上記の所見がみられる. 5)鑑別診断で,上記のいずれでもない. El Escorial 改訂Airlie House 診断基準 厚生省の診断基準では診断基準を満たすものを確実例と考えている。しかし,早期に本症を診断し,治療的研究をおこなうためには,病像が十分に完成しない段階,あるいは運動ニューロン系が荒廃しない早期に診断できることが望まれる。そのため,診断確実性にグレードをつける試みが世界的に工夫されてきた。 1990年スペインALS協会(ADELA)では以下のような臨床所見に加え,筋電図,神経伝導速度と画像所見からの情報を加えて,臨床的診断確実性を四段階に区分した.これはさらに1994 年改定され,世界神経学会(WFN)のEL Escorialの診断基準として広くみとめられてきたものである。その後,1998 年世界神経学会運動ニューロン疾患研究委員会はEl Escorial の診断感度を上げる必要があるとして,Airlie House 会議(米国)においてBR Brooks のもとに意見を集約し,以下の基準を提唱するにいたった。 1.上位運動ニューロン障害の所見があること 2.下位運動ニューロン障害の所見があること 3.発症から少なくとも6~12 ヵ月を越えて悪化していること 以下のような所見があるとき,そしてこれらがALS 以外の疾患,高齢などによって説明できないばあいは,筋萎縮性側索硬化症の診断とは相容れない。 1.感覚障害 2.括約筋障害 3.自律神経障害 4.前方視路異常 5.パーキンソン病にみられる運動障害 6.アルツハイマー病にみられる認知障害 ALS 診断基準に先立ち,まず以下のA が存在する。 A 1 下位運動ニューロン変性の証拠が臨床的,電気生理学的,または神経病理学的検査によって明らかである. A 2 臨床的所見から上位運動ニューロン変性が明らかである.そして, A 3 障害身体部位内(たとえば右上肢)で,あるいは他の部位への症状や症候の進行性拡大を病歴あるいは神経検査によってみとめる. それと共に以下のB が欠如することが必要である。 B 1 上位あるいは下位運動ニューロン変性の所見が他の疾患や病態によるという電気生理学的,病理学的証拠がある。 B 2 観察された臨床・電気生理学的所見が,神経画像検査によって他の病態によるという証拠が示される。 診断基準 1.臨床的に確実な筋萎縮性側索硬化症(clinically definite ALS) 身体3部位において上位運動ニューロンと下位運動ニューロン障害の臨床所見があると。 2.臨床的に可能性大な筋萎縮性側索硬化症(clinically probable ALS) 少なくとも身体2部位において上位・下位運動ニューロン障害所見があり,さらにここの下位運動ニューロン障害のレベルよりも頭側において上位運動ニューロン障害所見があること。 3.臨床的に可能性大であり検査所見で裏づけられる筋萎縮性側索硬化症(clinically probable-laboratory-supported ALS) 臨床的に上位・下位運動ニューロン障害所見が身体1部位にのみみとめるか,身体1 部位に上位運動ニューロン障害所見があるばあいで,かつ2肢で,少なくとも神経根あるいは神経支配が異る2筋以上において,針筋電図で急性脱神経所見をみとめ,神経画像検査やその他の検査によって他疾患を除外できるもの。 4.臨床的に筋萎縮性側索硬化症の可能性あり(clinically possible ALS) 身体1部位のみに下位と上位運動ニューロン障害所見をみとめるか,もしくは下位運動ニューロン障害のみを身体2部位以上にみとめるものである。または上位運動ニューロン障害よりも頭側で下位運動ニューロン障害所見があるものの,第3の臨床的に可能性大であり検査所見で裏づけられる筋萎縮性側索硬化症(clinically probable-laboratory-supported ALS )がここでは満たされないものであるが,他疾患は除外できているものと規定する。 5.臨床的に筋萎縮性側索硬化症疑い(clinically suspected ALS) 純粋な下位運動ニューロン障害を呈するものであり,筋萎縮性側索硬化症の臨床研究を目的とするグループとして適さない。よって世界神経学会EL Escorial 改訂ALS 診断基準からは除外する。
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治療 現在ALSの治療法は確立していない。 しかし、ALSの進行を遅延させ、延命効果を発揮するものとしてリルゾールのみが日本では唯一認可されている。現在治験段階のものや、研究段階の治療法が多く出てきており、今後に期待される。 ― リルゾール ー 対症療法
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ALSの病理 脊髄の側索(上位運動ニューロン)の萎縮と、前角(下位運動ニューロン)の運動神経細胞数の現象と残存細胞の萎縮とリポフスチン顆粒の蓄積が見られるが、後索は正常。またBunina小体が見られる。これは細胞内にHE染色で赤く染まる顆粒状封入体の事で、ALSに特徴的だが、意義はわかっていない。 ALSの画像MRIで錐体路が高信号を示す事がある。
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは? 脊髄・延髄の運動神経を中心とした変性疾患で、主な症状は 筋萎縮、筋力低下 球麻痺 筋肉の線維束性収縮 錐体路症状 となっている。本人の意識は清明で、知能も障害されないのが特徴的である(ただし、例外が存在する)。症状は進行性で、進行の速度は個人差がかなりあるものの予後不良で、人工呼吸器をつけない場合発症から5年以内に歩行困難、呼吸不全をきたす。 ALSの発病率は10万人当たり0.4~0.9人で、有病率は10万人当たり2~7人。やや男性に多く、グアム島や紀伊半島に多いとされているが、地域差そのものは少ない。 どの年齢でも発症しうるが、50~60歳代での発病が最も多い。
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ALSの症状 初発症状としては、 1、上肢遠位部の筋萎縮 2、球麻痺 3、下肢の筋萎縮 で始まるものに分けられる。上肢遠位部の筋萎縮で始まるタイプが多い。 具体的には ・ハシが持ちにくい ・腕や足が上がらない ・重いものが持てない ・歩きにくい、よく転ぶようになる などが初期症状として起こることが多い。球麻痺で始まるタイプでは話しにくい、食べ物がのみ込みにくいという症状からくることが多い。進行すると、起きるのも困難となって寝たきりになる。さらに、呼吸筋の筋力低下が起こると呼吸困難、水や食べ物の摂取も不可能となる。 他の症状としては、 ・強制笑い,強制泣き ・流涎(よだれ) が見られる。これらが患者のQOLの低下を招く場合も多い。 また、ALSでは以下の症状が「ほとんど出ない」のも特徴となっており、これらは陰性4徴候と呼ばれる。 ・感覚障害 ・眼球運動障害 ・膀胱直腸障害 ・褥瘡 病気に対する不安やストレスから不眠やうつになる患者もいる。ALSには直接関係しない症状だが、注意が必要である。
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鑑別診断 ALSには様々な類似疾患が存在し、診断の際にはこれらを除外することが重要となる。 日本神経学会が出しているALS治療ガイドライン2002の中では、「症候から筋萎縮性側索硬化症と鑑別診断が必要な病態」として様々な疾患が挙げられている。 以下に代表的な疾患とその簡単な概要を列挙した。 1)脳梗塞 2)脳腫瘍 3)球脊髄性筋萎縮症、Kennedy-Alter-Sung病 4)平山病(若年性一側上肢筋萎縮症) 5)慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 6)Lewis-Sumner病(Multifocal motor neuropathy with conduction block) 7)頸椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy) 8)多発性硬化症(multiple sclerosis) 9)脊髄性進行性筋萎縮症(spinal progressive muscular atrophy;SPMA) 脳梗塞 脳血管障害のひとつ。脳の血管が詰まることで血液が流れなくなるため、その先の脳細胞に酸素や栄養素が届かず脳細胞が壊死する。 脳梗塞の症状は、以下のようになっており、これらが突然、あるいは少しずつ進行する。 ― 手足の片麻痺 ― ろれつが回らなくなったり言葉がうまく出なくなる ― まっすぐ歩けなくなる ― ぼんやりする 脳梗塞は頭部MRIやCTで病変部を確認することができる。 脳腫瘍 脳にできる腫瘍。様々な種類があり、色々な部位に発生するため症状も一様ではない。発生部位によって局所症状として視野欠損や難聴、運動麻痺、言語障害などを伴うことがある。 これも、頭部MRIやCTなどの画像で確認することができるものが多い。 球脊髄性筋萎縮症(SBMA:spinobulbar muscular atrophy) Kennedy-Alter-Sung病 通常成人男性に発症する、遺伝性下位運動ニューロン疾患。 主症状として以下が挙げられる。 ―四肢近位部優位の筋力低下、筋萎縮 ―球麻痺(顔面、舌の筋力低下、筋萎縮など) また、女性化乳房など軽度のアンドロゲン不全症や耐糖能異常、高脂血症などを合併することもある。上位運動ニューロン徴候はみられない。 本症の臨床診断は、遺伝歴が明確で、特徴的な神経筋症候及び、女性化徴候を呈していれば比較的容易であるが、これらが不明瞭で鑑別診断が困難な場合も少なくない。血液検査でのCK高値、筋電図での高振幅電位などの神経原性変化、あるいは筋生検での慢性の神経原性などの検査所見が診断の参考となる。 確定診断のためには、遺伝子診断によりアンドロゲン受容体遺伝子内CAGリピート数の異常伸長の有無を調べることが必要となる。 (http //www.nanbyou.or.jp/sikkan/017_i.htm参考) 平山病(若年性一側上肢筋萎縮症)) 20 歳前後の若い男性に多く,前腕,手の筋萎縮,姿勢時振戦をみる。 数年で進行は停止する。頸部過屈曲の反復による下部頸髄の微小外 傷による良性の病態と考えられる。 (http //www.neurology-jp.org/guidelinem/neuro/als/als_03.pdf参考) 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 (CIDP:chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy) 対称性に運動、感覚が侵される多発性根神経炎で、上下肢の遠位部または近位部に脱力と感覚障害が起こる。 症状としては、以下のようになる。 ―四肢の健反射の消失あるいは低下 ―左右対称性の手足の脱力や筋力低下 ― 足に力が入らなく、転びやすい ― 手の脱力のため物をうまくつかめない ―感覚障害 ― 手足のしびれ ― ピリピリする痛み 時に脳神経も障害され、舌・咽頭節麻痺、顔面節麻痺、ごく稀に呼吸麻痺がおこることもある。 検査所見としては、下記のようになる。 脳脊髄液(CSF):軽度の蛋白増加を認め、時に軽度のリンパ球増加を伴うこともある。 電気生理学的検査:運動神経の伝導速度の遅延がある。 神経生検:炎症細胞浸潤と脱髄、オニオンバルブ形成、軸索変性が見られる。 ALSでは感覚障害は通常起こらないため、鑑別診断の際に重要な所見となる。また、伝導速度の遅延もALSでは起こらない。 Lewis-Sumner病 (Multifocal motor neuropathy with conduction block) 全身の末梢神経が慢性的に障害され、進行性に筋力低下が進行する疾患。 CIDPと異なり、感覚障害を生じないのが特徴で、ALSと非常に良く似ているが、ALSと異なり、髄液検査でタンパクの上昇、神経伝導速度検査でconduction blockなどの特徴的な異常を認める。 また、免疫グロブリン大量療法、免疫吸着療法などの治療が行われる。 頸椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy) 頸椎の変形(頸椎症)に伴い、変形した骨や軟骨が脊髄を圧迫し、ALSと同様に四肢の筋力低下などをきたす。 ALSに比較し、しびれなどの感覚障害、膀胱直腸障害(尿や便がでにくいなど)を伴う場合が多いのが一般的。逆に、顔面や首の筋力低下や嚥下障害、呼吸機能障害を認めることはほとんどない。 画像診断が有効で、頸椎MRIで、頸髄の圧迫・変性が認められることにより診断される。 治療として椎弓形成術などの手術を行う。 多発性硬化症(multiple sclerosis) 中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患。白質に多数の脱髄巣が散在し、グリア線維の増加が見られ、瘢痕・硬化する疾患である。原因は不明。増悪と寛解を繰り返すのが特徴。 北方の寒冷地に頻度が高い。また、欧米では高く、アジア諸国では比較的低い頻度となっている。 主な症状に以下がある。 ―眼症状 ―視力低下 ―複視(MLF症候群) ―脳神経症状・脳幹症候 ―顔面神経麻痺 ―三叉神経痛 ―眼球運動障害(Ⅲ、Ⅳ、Ⅵの障害) ―眼振(注視性) ―構音障害 ―嚥下障害 ―小脳症状 ―脊髄症状 ―感覚障害・・・後索障害、錯感覚、しびれ感 ―運動障害・・・四肢の痙性麻痺、筋力低下、錐体路障害 ―精神症状 ―膀胱直腸障害 診断ではMRIが非常に有用で、脳に多数の斑状の所見が見られる。脊髄でも同様に斑状病変が見られる。また、髄液検査では、急性期にはリンパ球増加、蛋白質の軽度増加が見られる。 脊髄性進行性筋萎縮症(spinal progressive muscular atrophy;SPMA) 脊髄の前角細胞の変性による筋萎縮と進行性筋力低下を特徴とする下位運動ニューロン病である。ALSと異なり、下位運動ニューロン障害のみが見られる。 主な相違点としては、 ―球麻痺を欠く ―発症年齢が比較的早い ―進行が緩徐
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検査 ALSの診断のためには、ALSに類似した疾患の除外診断が必要である。 ALSの類似疾患には治療法があるものも多く、治療可能であった疾患をALSと診断して見過ごしてしまうことを避けなければならない。 したがって、ALSの診断では、他の疾患を除外することが非常に重要となる。 (針)筋電図検査(EMG - electromyograph) 筋線維が興奮する際に発生する活動電位を記録する検査。 筋肉に針状の電極を刺し、活動電位をグラフにする。 ALSの場合、 ―神経原性変化(high amplitude、long durationなど) ―脱神経所見(positive sharp wave、fibrillationなど) などが認められる。 具体的には、神経の障害が疑わしい部位で電位の振幅が大きくなり、多相性電位が現れるなどが認められる。 末梢神経伝導速度 末梢神経の伝導の速度と活動電位を調べる。末梢神経に障害がある場合には、伝導速度が遅くなったり(伝導速度低下)、活動電位が弱くなったり(振幅低下)する。 ALSでは末梢神経そのものは障害されていないため、伝導速度は運動線維・感覚線維ともに正常であるが、筋萎縮が起きている場合に活動電位の低下が見られることがある。 徒手筋力検査(MMT - Manual Muscle Testing) 徒手によって人体中の主要な筋肉の筋力を判定する検査法。 どの程度筋力が低下しているかを評価するのに用いられる。 血液検査 ALSでは一般的に異常を認めない。 他の疾患の可能性を除外するために検査を行う。 髄液検査 これもALSでは一般的には異常を認めない。 他の疾患の可能性を考慮して行われることがある。 画像診断 MRIやCTをしても、ALSでは何も異常を認めないのが普通である。ALSを疑った場合には、他の疾患の可能性がないかを検索するために用いられる。
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鑑別診断 ALSには様々な類似疾患が存在し、診断の際にはこれらを除外することが重要となる。 日本神経学会が出しているALS治療ガイドライン2002の中では、「症候から筋萎縮性側索硬化症と鑑別診断が必要な病態」として様々な疾患が挙げられている。 以下に代表的な疾患を列挙した。 脳梗塞 脳の血管障害のひとつで、脳の血管が詰まることで血液が流れなくなるため、その先の脳細胞に酸素や栄養素が届かず、脳細胞が壊死する。 脳梗塞の症状は、以下のようになっており、これらが突然、あるいは少しずつ進行する。 ― 手足の片麻痺 ― ろれつが回らなくなったり言葉がうまく出なくなる ― まっすぐ歩けなくなる ― ぼんやりする 脳梗塞は頭部MRIやCTで病変部を確認することができる。 脳腫瘍 脳にできる腫瘍で、様々な種類があり、色々な部位に発生するため、症状も一様ではないが、発生部位によって局所症状として視野欠損や難聴、運動麻痺、言語障害などを伴うことがある。 これも、頭部MRIやCTなどの画像で確認することができるものが多い。 球脊髄性筋萎縮症(SBMA:spinobulbar muscular atrophy) Kennedy-Alter-Sung病 通常成人男性に発症する、遺伝性下位運動ニューロン疾患。 主症状として以下が挙げられる。 ―四肢近位部優位の筋力低下、筋萎縮 ―球麻痺(顔面、舌の筋力低下、筋萎縮など) また、女性化乳房など軽度のアンドロゲン不全症や耐糖能異常、高脂血症などを合併することもある。上位運動ニューロン徴候はみられない。 本症の臨床診断は、遺伝歴が明確で、特徴的な神経筋症候及び、女性化徴候を呈していれば比較的容易であるが、これらが不明瞭で鑑別診断が困難な場合も少なくない。血液検査でのCK高値、筋電図での高振幅電位などの神経原性変化、あるいは筋生検での慢性の神経原性などの検査所見が診断の参考となる。 確定診断のためには、遺伝子診断によりアンドロゲン受容体遺伝子内CAGリピート数の異常伸長の有無を調べることが必要となる。 (http //www.nanbyou.or.jp/sikkan/017_i.htm参考) 平山病(若年性一側上肢筋萎縮症) 20 歳前後の若い男性に多く,前腕,手の筋萎縮,姿勢時振戦をみる。 数年で進行は停止する。頸部過屈曲の反復による下部頸髄の微小外 傷による良性の病態と考えられる。 (http //www.neurology-jp.org/guidelinem/neuro/als/als_03.pdf参考) 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 (CIDP:chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy) 対称性に運動、感覚が侵される多発性根神経炎で、上下肢の遠位部または近位部に脱力と感覚障害が起こる。 症状としては、以下のようになる。 ―四肢の健反射の消失あるいは低下 ―左右対称性の手足の脱力や筋力低下 ― 足に力が入らなく、転びやすい ― 手の脱力のため物をうまくつかめない ―感覚障害 ― 手足のしびれ ― ピリピリする痛み 時に脳神経も障害され、舌・咽頭節麻痺、顔面節麻痺、ごく稀に呼吸麻痺がおこることもある。 検査所見としては、下記のようになる。 脳脊髄液(CSF):軽度の蛋白増加を認め、時に軽度のリンパ球増加を伴うこともある。 電気生理学的検査:運動神経の伝導速度の遅延がある。 神経生検:炎症細胞浸潤と脱髄、オニオンバルブ形成、軸索変性が見られる。 ALSでは感覚障害は通常起こらないため、鑑別診断の際に重要な所見となる。また、伝導速度の遅延もALSでは起こらない。 Lewis-Sumner病 (Multifocal motor neuropathy with conduction block) 全身の末梢神経が慢性的に障害され、進行性に筋力低下が進行する疾患。 CIDPと異なり、感覚障害を生じないのが特徴で、ALSと非常に良く似ているが、ALSと異なり、髄液検査でタンパクの上昇、神経伝導速度検査でconduction blockなどの特徴的な異常を認める。 また、免疫グロブリン大量療法、免疫吸着療法などの治療が行われる。 頸椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy) 頸椎の変形(頸椎症)に伴い、変形した骨や軟骨が脊髄を圧迫し、ALSと同様に四肢の筋力低下などをきたす。 ALSに比較し、しびれなどの感覚障害、膀胱直腸障害(尿や便がでにくいなど)を伴う場合が多いのが一般的。逆に、顔面や首の筋力低下や嚥下障害、呼吸機能障害を認めることはほとんどない。 画像診断が有効で、頸椎MRIで、頸髄の圧迫・変性が認められることにより診断される。 治療として椎弓形成術などの手術を行う。
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鑑別診断 ALSには様々な類似疾患が存在し、診断の際にはこれらを除外することが重要となる。 日本神経学会が出しているALS治療ガイドライン2002の中では、「症候から筋萎縮性側索硬化症と鑑別診断が必要な病態」として様々な疾患が挙げられている。 以下に代表的な疾患を列挙した。 脳梗塞 脳の血管障害のひとつで、脳の血管が詰まることで血液が流れなくなるため、その先の脳細胞に酸素や栄養素が届かず、脳細胞が壊死する。 脳梗塞の症状は、以下のようになっており、これらが突然、あるいは少しずつ進行する。 ― 手足の片麻痺 ― ろれつが回らなくなったり言葉がうまく出なくなる ― まっすぐ歩けなくなる ― ぼんやりする 脳梗塞は頭部MRIやCTで病変部を確認することができる。 脳腫瘍 脳にできる腫瘍で、様々な種類があり、色々な部位に発生するため、症状も一様ではないが、発生部位によって局所症状として視野欠損や難聴、運動麻痺、言語障害などを伴うことがある。 これも、頭部MRIやCTなどの画像で確認することができるものが多い。 球脊髄性筋萎縮症(SBMA:spinobulbar muscular atrophy) Kennedy-Alter-Sung病 通常成人男性に発症する、遺伝性下位運動ニューロン疾患。 主症状として以下が挙げられる。 ―四肢近位部優位の筋力低下、筋萎縮 ―球麻痺(顔面、舌の筋力低下、筋萎縮など) また、女性化乳房など軽度のアンドロゲン不全症や耐糖能異常、高脂血症などを合併することもある。上位運動ニューロン徴候はみられない。 本症の臨床診断は、遺伝歴が明確で、特徴的な神経筋症候及び、女性化徴候を呈していれば比較的容易であるが、これらが不明瞭で鑑別診断が困難な場合も少なくない。血液検査でのCK高値、筋電図での高振幅電位などの神経原性変化、あるいは筋生検での慢性の神経原性などの検査所見が診断の参考となる。 確定診断のためには、遺伝子診断によりアンドロゲン受容体遺伝子内CAGリピート数の異常伸長の有無を調べることが必要となる。 (http //www.nanbyou.or.jp/sikkan/017_i.htm参考) 平山病(若年性一側上肢筋萎縮症) 20 歳前後の若い男性に多く,前腕,手の筋萎縮,姿勢時振戦をみる。 数年で進行は停止する。頸部過屈曲の反復による下部頸髄の微小外 傷による良性の病態と考えられる。 (http //www.neurology-jp.org/guidelinem/neuro/als/als_03.pdf参考) 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 (CIDP:chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy) 対称性に運動、感覚が侵される多発性根神経炎で、上下肢の遠位部または近位部に脱力と感覚障害が起こる。 症状としては、以下のようになる。 ―四肢の健反射の消失あるいは低下 ―左右対称性の手足の脱力や筋力低下 ― 足に力が入らなく、転びやすい ― 手の脱力のため物をうまくつかめない ―感覚障害 ― 手足のしびれ ― ピリピリする痛み 時に脳神経も障害され、舌・咽頭節麻痺、顔面節麻痺、ごく稀に呼吸麻痺がおこることもある。 検査所見としては、下記のようになる。 脳脊髄液(CSF):軽度の蛋白増加を認め、時に軽度のリンパ球増加を伴うこともある。 電気生理学的検査:運動神経の伝導速度の遅延がある。 神経生検:炎症細胞浸潤と脱髄、オニオンバルブ形成、軸索変性が見られる。 ALSでは感覚障害は通常起こらないため、鑑別診断の際に重要な所見となる。また、伝導速度の遅延もALSでは起こらない。 Lewis-Sumner病 (Multifocal motor neuropathy with conduction block) 全身の末梢神経が慢性的に障害され、進行性に筋力低下が進行する疾患。 CIDPと異なり、感覚障害を生じないのが特徴で、ALSと非常に良く似ているが、ALSと異なり、髄液検査でタンパクの上昇、神経伝導速度検査でconduction blockなどの特徴的な異常を認める。 また、免疫グロブリン大量療法、免疫吸着療法などの治療が行われる。 頸椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy) 頸椎の変形(頸椎症)に伴い、変形した骨や軟骨が脊髄を圧迫し、ALSと同様に四肢の筋力低下などをきたす。 ALSに比較し、しびれなどの感覚障害、膀胱直腸障害(尿や便がでにくいなど)を伴う場合が多いのが一般的。逆に、顔面や首の筋力低下や嚥下障害、呼吸機能障害を認めることはほとんどない。 画像診断が有効で、頸椎MRIで、頸髄の圧迫・変性が認められることにより診断される。 治療として椎弓形成術などの手術を行う。
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imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 現時点でALSの診断基準に盛り込まれている唯一の検査法が、針筋電図検査です。針筋電図検査による脱神経の所見は、筋萎縮や筋力の低下がはっきりしない段階でも捉えることができる場合があり、これにより頸椎症では説明できない範囲にまで脱神経の所見を認めれば、ALSが疑われます。しかし、針筋電図検査はあくまでも下位運動ニューロンの障害を捉える検査であり、これのみで診断できるものではありません。 一方、上位運動ニューロンの障害を捉える試みはまだ発展的段階にあります。上位運動ニューロンの変性を示す指標として以前から試みられている方法の1つに、中枢性運動神経伝導時間(CMCT)の測定があります。しかし、すべてのALS患者でCMCTの延長が認められるわけではありません。また、最近に開発された手法としては、3T-MRIにおける拡散テンソル画像(DTI)を用いてのトラクトグラフィによる錐体路の描出があります。これは、脳内の特定の神経線維の走行を画像化するものですが、ALS患者ではこの描出が不良であることが多く認められます(図3)。ただし、これもまたすべてのALS患者で認められるわけではありません。CMCTの所見とトラクトグラフィの所見も完全には一致しないことから、両者ともに、その診断における感度と特異度については、まだ今後の検証が必要とされています。 ALSの進行を抑制する治療薬として、リルゾールがあるということです。リルゾールは、神経毒性を有するグルタミン酸の神経系における放出抑制などにより神経細胞の保護作用を示す薬剤であり、米国神経学会の勧告では下記の患者への適用が推奨されている*ことからも、早期診断による早期の治療開始が求められます。*米国神経学会の勧告では、下記の1)~4)を満たす患者への適用を推奨するとされている。 1)World Federation of Neurology(WFN;世界神経学会)の基準(他の原因によって進行性 筋萎縮となった場合は除く)で“definite”または“probable”であること 2)罹病期間が5年未満であること 3)努力性肺活量が理論正常値の60%以上であること 4)気管切開未実施例であること