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今日 - 合計 - PANDORA MAX SERIES Vol.5ごちゃちるの攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時39分36秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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PANDORA MAXシリーズリンク 機種 タイトル 概要 判定 PS PANDORA MAX SERIES Vol.1 ドラゴンナイツグロリアス 「1980円の超大作」第1作。手堅くまとまった王道RPG。 なし PANDORA MAX SERIES Vol.2 死者の呼ぶ館 ホラーADV。シナリオはともかく、システムデータくらい作ってくれ。 ク PANDORA MAX SERIES Vol.3 ラビッシュブレイズン 第1作と世界観を共有するギャグRPG。 なし PANDORA MAX SERIES Vol.4 Catch! ~気持ちセンセーション~ 恋愛ADV。ロード地獄。それといい加減システムデータを作れ! ク PANDORA MAX SERIES Vol.5 ごちゃちる おまけゲームのキャラ達が主役のファンディスク的存在。前4作品のデータ補完も。 なし PANDORA MAX SERIES Vol.6 ONI零 ~復活~ 『ONI』新作が1980円で登場も、シリーズ打ち切りでシナリオは投げっぱなしに。 なし 関連作品 ONIシリーズ シリーズ概要 株式会社パンドラボックス(現・シャノン)のゲームブランドであり、完全新作で、やり応え十分のゲームソフトを1980円でリリースするというコンセプトに基づいて開発されたシリーズである(Wikipedia参照)。 1,980円(税込2,079円)という価格設定だが、これは同時期の一般的なPSソフトよりも非常に安い。 当時のソフトの定価は5,000~6,000円程度が普通で安くとも3,000円、ディスク複数枚組のソフトなどは7,000円近い事も珍しくは無かった。 ドラゴンナイツグロリアスと同年発売のソフトを例に挙げると、『モンスターファーム2』と『サルゲッチュ』が定価6090円、『クロノ・クロス』がディスク2枚組で6,800円、『ファイナルファンタジーVIII』がディスク4枚組で8,190円である(全て税込)。 しかし、既にそれよりも安いSIMPLE1500シリーズがリリースされているため、「前代未聞の安さ」という訳では無い。 シリーズ共通の仕様として「コンバート」というシステムが存在し、同シリーズソフトのセーブデータを読み込む事で、レアアイテムの入手や隠しサブイベントの発生などさまざまな特典を獲得することが可能である。 「5作品ごとに5本のソフトを収納可能なボックス仕様のソフトを出す」という構想が早い内からあったようで、実際に第5作はその仕様の限定版が発売された。 しかし、その次の第6作でシリーズは終了。シリーズ全作を買い揃えると、1本だけボックスの外にぽつんと置かれるというなんとも寂しい事になってしまった。 6作とも2009年8月26日よりゲームアーカイブスで配信中。 いずれの作品にも「おまけ」のメニューが存在しており、プレイヤーのファンレター掲載コーナーやミニゲーム、コミカルな短編ADV「ごちゃちる」などが収録されていた。 この「ごちゃちる」のキャラクター達をメインにしたゲームがシリーズ第5作として発売されている。 「おまけ」メニュー内には発売予定の作品を紹介する「予告」が収録されていたのだが、中には予告されたものの諸々の事情で未発売に終わった作品もいくつか存在する。 『リストラの朝』 中年サラリーマンの大河原泰造(46)は、平成不況の煽りを受けリストラされてしまう。そこで会社への復讐として手製の爆弾を仕掛けることを試みるが、なんと会社は既にテロリストに占拠されており…というストーリーのADV。シリーズ開始当初から第5作として発表されていたが、第5作はボックス仕様の限定版を出すことになり、雰囲気が合わないだろうという事で見送られ、そのまま結局お蔵入りになった。 ゲームは未発売に終わったが、大河原はこっそりミニゲームのキャラクターとして出演している。また、ゲーム部分もほぼ完成していたらしい。 『闇の蛹』 シリーズ開始当初から第6作として発表されていた。 記憶喪失の何者か(「私」という一人称で語られる)が主人公のADV。予告ムービーは、窓の無い薄暗い密室で目覚めた「私」が、謎の昆虫の成長記録が書かれた日記帳を発見するというものだった。脱出ゲームのようなジャンルの作品になる予定だったのだろうか。 「縦横無尽に張り巡らされたトリックを、あなたは解くことができるか…」「真実が見えてくればくるほど、きっとあなたは後悔し、絶望する」「あなたの元にとっておきの恐怖を…」といった紹介がなされており、不気味な雰囲気が強調されていた。 しかし、シリーズの途中から予告ムービーが簡素なものになり、また発売日も未定に。この時点で既に雲行きの怪しさはあったが、やはり未発売に終わった。 『ラビッシュブレイズン2』 タイトル通りシリーズ第3作の続編。新キャラクターのイラストなどもムービーに映っていたのだが、結局その後音沙汰は無かった。 もっとも、予告ムービーの極端な短さや未着色で線画のみのイラストなど、未発売になりそうな雰囲気は既に漂っていたが…。 『ONI零~流転~』 シリーズ第7作になるはずだった作品。この作品のみ「予告」メニューで紹介されたものではなく、第6作のエンディング後に予告ムービーが収録されていた。『ONI零』のみならず過去の『ONI』シリーズのキャラクターが集結するなどファンに期待を抱かせる内容だったが、結局うやむやになってしまった。
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今日 - 合計 - PANDORA MAX SERIES Vol.6 ONI零 ~復活~の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時39分36秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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PANDORA MAX SERIES Vol.3 ラビッシュブレイズン 【ぱんどらまっくすしりーずぼりゅーむすりー らびっしゅぶれいずん】 ジャンル RPG 対応機種 プレイステーション 発売元 パンドラボックス 発売日 2000年4月27日 定価 1,980円(税別) 配信 ゲームアーカイブス2009年9月24日/600円 判定 なし PANDORA MAXシリーズリンク 概要 特徴 評価点 問題点 総評 余談 概要 「1980円の超大作」がキャッチコピーであった「PANDORA MAXシリーズ」の第3作。 第1作『ドラゴンナイツグロリアス(ドラグロ)』の舞台の国の隣国で起こった事件という設定の物語である。 キャッチコピーは「パンドラが総力を結集したRPG」「コミカルRPG」。 メモカ1枚に付き1つしかセーブできないのも相変わらず。 とはいえ前作と違ってストーリーは一本道であり、エンディングも1つしか無いので、この点は特に問題ではない。 特徴 PANDORA MAXシリーズの『ドラゴンナイツグロリアス』『死者を呼ぶ館』のデータをコンバートすることで一部変化する。 会話は×ボタンで早送りができる。 セーブはイベント中もしくはワールドマップでSTARTボタンを押すか、ダンジョン内のセーブポイントで行う。 CDを読み込む事でアイテムを生成できるシステムや、2つの武器を合成して新アイテムを生み出すシステムもある。 評価点 ゲームバランスはかなり見直された。 敵ごとの特性も描き分けられている為、2周目でもそれなりに歯応えのある戦闘が楽しめるようになっている。 3作目にしてようやくメッセージの早送り機能が搭載された。 同じ世界だけあってドラグロに登場したキャラが多数登場する。 ラスボスよりも強い隠しボスや『死者の呼ぶ館』のデータをコンバートした場合のみ出現する隠しダンジョンなど、隠し要素もそれなりに揃っている。 問題点 致命的なシナリオ 本作の世界では、「勇者」が職業と認められており、あちこちの村に勇者がいるという設定が強調されていた。パッケージにも「勇者になってモテモテだぜ!」「主人公は今、勇者を目指す!」というコピーが踊っている。 しかし本編では、その勇者を目指すという目的は早々と忘れ去られ、以後「勇者」という単語自体殆ど出てこなくなってしまう。パッケのコピーは詐欺に近い。 コミカルRPGと銘打たれているが、ギャグはファミコン時代によく見かけた「RPGをパロった漫画」レベルのものばかりで、社長の飯島健男(現・多紀哉)も攻略本で「ベタな展開」と発言したほど。 ボスや重要人物との会話中、決まって主人公が余計な事を言い、仲間にぶん殴られたり魔法で吹っ飛ばされたりという展開になる。もう「またかよ!」と叫びたくなるほど。おかげで会話のテンポは悪く、グダグダである。 それまでまったく聞いた事の無かった設定やキャラが唐突に沸いて出てきて、主人公が「こいつの事は有名だから俺も知ってる」と発言するという、超展開がしょっちゅう起こる。 ある中ボスを倒すと再び立ち上がり戦闘になるのだが、勝手に1ダメージを受けて死ぬ(*1)。 終盤、ヴィクトール伯爵という人物が国王を操って狩りを行わせていた事が唐突に発覚し(例によって伏線まるで無し)、「最後の決戦だ!」と叫ぶ主人公。それまで行き当たりばったりに冒険してきたのに、「最後の」と言われても…。 その直前に勇者を代行しなくてはならなくなった原因である失踪した兄がみつかったからともとれる。が、この時点まではその点について特にはっきりさせていない。 ヴィクトールは倒されるとモンスターに変身するのだが、変身後の名前は「変身ヴィクトール」。更に倒すと何の説明も無く復活する(外見変わらず)。復活後の名前は「復活ヴィクトール」…手抜きもいいところである。 ラスボス戦直前になって、説明台詞のオンパレードに。 「聖水が無いと苦戦する敵」についての情報が手に入るが、実は聖水は絶対に入手できない。 メモリーカード1枚につきセーブデータを1つしか作れないのは変わらず。 PS1ゲームの常として、システムデータが存在せず、本編のセーブデータと兼用になっている。 総評 PS末期のソフトとしてはシステム面はそれなりの出来になったが、シナリオはかなり悪い。 ただ、PANDORA MAXシリーズの一環として楽しみたい人にはオススメできる。 余談 同シリーズ第5作目『ごちゃちる』にはミニゲームなどで得た資金を使って前四作までのセーブデータを補完する機能があり、見ていないエンディングを見たことにしたり、アイテムの数を増やしたりすることができる。が、『ラビッシュブレイズン』との連動においては辞典に関してある不具合を発生させることがある。 まず、この連動機能では辞典の項目を直接埋めることはできず、また、この機能により未入手だったアイテムの所有数を1以上にしただけでは辞典の項目は埋まらない。この機能によって入手したアイテムをゲーム中で使用するなり装備した時点で辞典の項目を埋めることが出来る。 しかし一部アイテムではこれをしても辞典の項目が埋まらず、こうなると後でゲーム中に同じアイテムを入手しても辞典の項目が埋まらなくなってしまうのである。
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PANDORA MAX SERIES Vol.2 死者の呼ぶ館 【ぱんどらまっくすしりーずぼりゅーむつー ししゃのよぶやかた】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 プレイステーション 発売元 パンドラボックス 発売日 2000年1月20日 定価 1,980円 配信 ゲームアーカイブス2009年8月26日/600円 判定 クソゲー ポイント エンディング水増しメッセージスキップ無しバグあり必要性疑問視な百物語 PANDORA MAXシリーズリンク 概要 特徴 ストーリー 問題点 評価点 総評 余談 概要 「1980円の超大作」がキャッチコピーであった「PANDORA MAXシリーズ」の第2作。 第1作の『ドラゴンナイツグロリアス』とは違い、ジャンルはホラーアドベンチャーだが、同時期に作られていたためか、欠点もほぼ同じである。 特徴 シナリオは当時パンドラボックスの社員であり、過去には『ブレイブサーガ』などを手掛けた大池叙子が執筆。 『学校であった怖い話』のスタッフの作品であることを宣伝文句にしていたが、発売後に「シナリオは別の人です」と発表された。 前作や『学校であった怖い話』を手掛けていた飯島健男(現・多紀哉)は一部の隠しシナリオのみを執筆している。 前作同様、一定時間選ばないでおくと別の展開になる選択肢が登場する。 「百物語」 おまけメニューにあるもので、100本の短編怪談が収録されていて、ランダムで再生される。全話読むと任意で再生できるようになる。 達成度はエンディングナンバーからパーセンテージ表示に変更。 ストーリー 不動産会社で働く貴方は別荘を売り込むためにツアー客を連れて人里離れた森へ入り込んだ。 しかしいつまでたってもそれと思える建物は見つからず、やがて洋館にたどり着く。 陽も暮れてきたため一行はその館に一晩だけ世話になる…つもりだった。それが恐怖の始まり。 不気味な館と住人。何かを隠した客。失踪、死体、狂気…森からは出られず怪異が続く。 はたして貴方は謎を解き生き延びることができるだろうか。 問題点 システム面 初期出荷のソフトに不具合がある。 特定の結末を見ようとするとセーブ画面に行く途中で画面がフリーズするため、その結末を迎えたことはセーブできない。 UIの問題 エンディングは複数あるが、進行データとシステムデータは共用でファイルは一つだけ。 ADVでよく行われる「分岐点でセーブし、エンディング後ロードして別ルートへ」という手法が使えない。エンディングは隠し含めて28種類もあるのに。 途中セーブはあるが、これも最初に作ったセーブデータを上書きするのみ。終盤の分岐を埋めるためだけに、シナリオの最初から再プレイすることになる。 その上メッセージスキップも早送りも無い。○ボタン連打で一応疑似的な高速化は可能だが…。 とは言え隠しシナリオを見るのに必要な条件は「達成率100%にすること」ではなく「全ての結末を見ること」ではある。 シナリオ面 終盤を除きほぼ一本道 ラストに影響する選択肢もなくはないが、冒頭の公園のシーンと、夕食前の行動以外は、基本的にどの選択肢を選んでも同じ文章・展開になる。 恐怖の表現は、文章ではなくグラフィックでワッと脅かすものばかり。 本当に怖いのはある人物のアップが突然表示される時くらいである。 「百物語」が露骨な水増し話かベタ怪談ばかり。 最も短いエピソードはなんと2行しかない。文章を読んでいる時間よりもオープニングのエフェクトを見ている時間の方が長い。 何しろこのシナリオ、パンドラボックス全社員が一人につき四話前後持ち回りで書いたものだからである。当然、その方面が不得手なスタッフも居る訳で、そう言う人にも無理矢理書かせたのだからこうなるのも当然である。 ゲーム内のミニゲームも、修学旅行の夜の如く唐突に始まってシナリオには影響しない。 内容は4種類あるが、どれもわざわざゲーム内で時間をかけるほどのものではない。UNOや神経衰弱等ルールが完成しているものなので、遊べなくはないが。 評価点 メインのシナリオそのものは一応評価されている。 また、コンバートすることにより発生するシナリオは、『学怖』を髣髴とさせるいい意味でぞっとさせる作品となっている(*1)。 前作では全く無かったムービーやキャラボイスも僅かながら導入されている。 ムービー自体はあまり無いが、スキップも可能。 総評 評価点にあるように、メインシナリオの出来は悪くはない。 音楽や人物のグラフィックも一定以上の水準ではあり、「ホラーアドベンチャー」としての雰囲気は、十分に値段以上のものを味わえると言えるだろう。 しかしながら、ユーザーインターフェースの劣悪さに終始ウンザリさせられてしまう。マルチエンディングを採用しておきながらスキップ機能すらないというのは、同時期の他作品と比較してもお粗末に過ぎる。 展開が大きく変わるポイントが終盤に集中しているのも相まって、再プレイの意欲が削ぎ取られてしまう。 シナリオの評価と格別な定価の安さを考慮しても、アドベンチャーゲームとしては駄作と言わざるを得ない。 余談 PS2ではまともにプレイできない。ミニゲーム、移動、セーブ画面とあらゆるところでフリーズする。 ソフトを会社に送れば修正版に替えてもらえ、また後に修正版も出たが本数は少なく中古市場では滅多に見かけない。 ソニーのサイトにもばっちりリスト入りしている。 同じPANDORA MAXシリーズの後発作品でこの不具合に関して呼びかけがあり、セーブデータの修正機能を持っていたりもする。 ゲームアーカイブスで配信されており、勿論こちらは修正版なので、興味がある方はこちらでプレイしてみるとよろしいかと。 一般的なADVのように主人公はゲーム中で立ち絵が無く、ある場面で目が隠れた姿が映る程度である。その為、本作中で素顔を直に見る機会はないが、『ONI零 ~復活~』では彼の前世が顔出しで登場する。 パンドラMAXシリーズの中ではあまり売れなかった方だが、『Catch! ~気持ちセンセーション~』や『ごちゃちる』よりは売れていた模様。 ちなみにシリーズ内で売り上げが高かったのは残る『ドラグロ』『ラビッシュブレイズン』『ONI零』の三作。やはりRPGの方が人気であった。
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PANDORA MAX SERIES Vol.2 死者の呼ぶ館 part73-571,575 571PANDORA MAX SERIES vol.2 死者の呼ぶ館sage▼2022/11/04(金) 15 19 02.58ID F0RKibzm0[1回目] 登場人物 【秋山圭介】……名前変更可の主人公で、不動産屋の新入社員。館に来てから、自分が『雅経』となりある巫女と駆け落ちする夢をよく見る。 【佐倉葵】……森の中の館に夫と二人だけで住んでいる美しい女性で、圭介の夢の中の巫女そっくりの姿をしている。 【佐倉聡】……館に住む老人で、妻の葵の身の回りの世話などを一身に行っている。 (ツアー参加者) 【一条省吾】……表向きには雅経と巫女の橋渡しをしつつも実際は巫女に横恋慕しつつ出世のため御門とも通じていた『家隆』が転生している。 【植田舞子】……一条のガールフレンドで霊感が強く、『幽霊の出る館』の噂を聞いて一条と共にツアーに参加した。 【遠藤直樹】……一条の大学の神田教授の助手で、行方不明になる彼の死を信じることで本当に死んでしまい全員生存EDに行けなくなる。 【神田美沙】……神田教授の娘で遠藤の婚約者だが、大学教授の娘と聞いても信じられないくらい神経質で情緒不安定で迷惑な人である。 【緒方浩二】……可愛がっていた長女の可奈を事故で失ってから次女のみどりを可奈だと思い込んでいるが、本筋には殆ど関わりが無い。 【緒方可奈】……緒方の娘で本当は妹のみどりなのだが上記の姉の事故があってから口をきかず、持つ人形をみどりと名付けている。 ……時は平安、迷いの森と呼ばれし深く険しき森ありけり。 人、物の怪の棲まいし森ぞ言ひて近寄らず。 ………されど、いづれの時にかこの森に分け入りし男女あり。 森に入りし男女、ただひたすらに奥へ奥へと走りぬ。 ……この男、連れたる女子と夫婦の契りを交わし、家を捨て父母を捨てはるか安住の地を求めて逃げ出さむと欲す。 ……この女子、時の御門に望まれし巫女なり。 なれば、御門の怒りひとかたならず天に届かんばかりなり。 男、女子をかばいつつ森の中を逃げ惑ふ。 ここは……物の怪の棲まいし、人食いの森…… ここは……常世と現世の狭間にありし、帰らずの森…… この森に入ったが最後、生きて人の世に戻れると思うなや愚かなりし人間どもよ…… 俺は晴れた平日の昼下がりに、公園のベンチに座ってぼんやり空を見上げていた。 「自然に囲まれた閑静な場所に、家を買いたいというお客様がいらっしゃるんだ。全部で6名様だ。明日、現地へご案内してくれ。 その中には大事な取引先(一条グループ)の方もいらっしゃる。くれぐれもヘマするんじゃないぞ。こいつは泊り込みの仕事だぞ! なんせ目的地は、山奥の森の中だからな!でも、現地に行けば管理人もいるから安心していいぞ」 言いようの無い憂鬱さに苛まれていたが、俺はとにかく待ち合わせ場所の駅前広場へと向かった。 (※1) ※1 前作のデータをコンバートしていると選択肢次第で『一条すみれ』という取引先の娘に会って告白されて館に招かれるも、 「お嬢様に悪い虫が付かないように」という執事によって館のトイレに閉じ込められてバッドEDになります。 主人公の名前も『坂上』となり、そのトイレでは『細田』なる人物が既に息絶えているという『学校であった怖い話』ネタです。 誘いを断ってもその娘が客の一行だったため問題になり、怒ったお嬢様によって社長に殴り殺されるというやはりバッドEDになります。 駅前広場に着いて間もなく、高級品を見に纏った男と活発な女のカップルに出会った。 「へ~え、この人があたし達を例の館に案内してくれんの……?」 男の方は我が社の取引先たる一条グループの一条省吾で、女の方は植田舞子といい予定されている6名の客の内の二人だった。 「ねぇ、早く出発しよ~よ」 (※2) 植田さんの言った通りこの二人以外の参加者もすでに集まっており、俺達7名は電車にのって現地の駅へと向かった。 ※2 選択肢によってはここで三人だけで出発し、森の中で見てはいけないものを見てしまうバッドEDとなります。 その場合は森の伝説も、かつて駆け落ちした男女が息絶えた『心中の森』となって設定ごと変わります。 572PANDORA MAX SERIES vol.2 死者の呼ぶ館sage▼2022/11/04(金) 15 21 11.53ID F0RKibzm0[2回目] 【一日目】 三回も乗り換え何時間も揺られてやって来た別荘の最寄り駅は、無人どころか駅があるのが不思議なくらい寂れた所だった。 「この辺りの村は、ずいぶん昔に廃村になったと聞いています。寂しげな雰囲気がするのもそのためでしょうなぁ…」 その上、本当ならとっくにここまで迎えに来ているはずの別荘の管理人は来る気配すらない。 会社に連絡しようにも携帯電話は圏外で公衆電話すらないため、俺達はやむなく持参の地図に従って別荘に直接向かうことにした。 俺達はしばらく別荘への道を歩いたが、地図どおりに進んだ道はなぜか別荘に着く前に不気味な森に突き当たって途切れていた。 「…この森の中を進むんですか?」 迂回するとなると倍の時間がかかるため皆も乗り気だったが、この森はまるでそれ自体が意志を持っているような異様な雰囲気があった。 「この辺…すごいわ。霊よ、霊。それも悪霊!生者に恨みを持った悪霊が、あたし達を狙ってるわ」 霊感が強いという植田さんが騒ぐのを聞きながら森の中を進んだ俺達の前に、やがてある荘厳な館が姿を現した。 こんな森の奥に不自然に開けた空間があって、そこに何のために建てられたのか立派な洋館(もちろん目当ての別荘ではない)がある。 一方でお客様達はみんなこの美しい洋館を褒めそやしており、俺もまた恐怖を感じつつこの館から目を離せなかった。 「…ここの方に別荘の場所を御存知ないかお尋ねしましょう。そのついでに、少しでも休む場所を拝借できないかも交渉してみましょう」 やがて館の扉が開き、中から一人のしわがれた老人が出てきた。 「あなた方、森に惑わされましたね。とにかく、中にお入りください。もうすぐ日が暮れます。日が暮れてから森を抜けるのは、 とても危険です。今夜は、我が家で休まれるといいでしょう。別荘をお探しなら、明日にでもゆっくりと探すといい。 ここいらの森は人食いの森とか帰らずの森とか呼ばれていて、森へ入り込んだ旅人を惑わす妖怪の仕業だという古い言い伝えがあるんです。 信じられませんか?いいんです。つい数年前までは、私もそう思っておりましたから…今、二階に部屋を用意しますのでお待ちください」 俺はそこまですることは……と断りかけたが、結局は皆の疲れも限界にきており佐倉と名乗ったその老人に従い館に入ることになった。 「…まことに申し訳ありませんが、我が家に電話は置いてないんですよ。明日の朝になれば私も一緒に行って道をお教えしましょう」 電話もできない上に佐倉老人は俺が手伝いをしようとすることすら許さず、とにかく今日は休むよう皆に言い付けた。 「……そうそう。大切なことをお伝えするのを、忘れるところでした。あの部屋にだけは、絶対に近付かないでください。いいですね…? 例え何が起ころうとも、絶対にあの部屋にだけは近付いてはいけません。これだけは守ってください。お願いいたしますよ………」 階段の下にある扉を指して厳命した佐倉老人は、部屋の支度をするため二階へ上がっていった。 「あの部屋はヤバいわよ。強い霊気を感じるわ。まるで、悪霊の巣窟って感じね」 扉が気になったがそれ以外の所も、館の中は老人一人で維持していると思えないほどすばらしく手入れされた家具と調度品ばかりだった。 やがて再び降りてきた佐倉老人は、そこで煙草に火を付けようとした一条さんの手を血相を変えて押さえつけた。 そして強い口調で館内の禁煙を言い渡した佐倉老人は、さらに出発の時に返すといって一条さんの煙草とライターまで没収してしまった。 「まことに申し訳ありません。この館では、火の取り扱いに細心の注意が必要なのです」 その後、俺達は一条さんと遠藤さん・植田さんと神田さん・緒方親娘・俺一人の四部屋に分かれて二階の部屋で夕食を待った。 やがて夕食となり全員で食堂に集まったが、俺はそこにいた一人の美しい女性を見るなり心を奪われてしまった。 「紹介がまだでしたね。私の妻の葵です」 佐倉老人と二代は歳の離れていそうなこの女性が彼の妻という事実に、俺は最低限の挨拶を返すくらいしかできないほどの衝撃を受けた。 「この館にお客様が来るなんて何年ぶりかしら…?私はこの館から出られないので」 「寂しくなどあるものですか。こんな美しい家で毎日美に囲まれて暮らしているのですから。特に、私の妻は最高の美ですからな」 人妻に胸をときめかせるなどあってはならないことだが、俺はもう葵さんのことで頭が一杯になっていた。 だがしかしそれ以上に、この葵さんに関して恋慕では済ませきれない複雑な何かを感じてもいたのだ。 そうして俺は明日の朝8時の出発を皆に告げつつ、葵さんのことだけではない漠然とした不安を感じつつも部屋で眠りに就いた。 573PANDORA MAX SERIES vol.2 死者の呼ぶ館sage▼2022/11/04(金) 15 22 17.33ID F0RKibzm0[3回目] 【二日目】 翌朝、俺は突然部屋に訪れてきた一条さん・植田さん・神田さんに叩き起こされた。 なんでも同衾を禁じて部屋を別にされた遠藤さんと神田さんが佐倉老人の目の届かない森で夜中に逢引きしようとしたところ、 佐倉老人に見付かってしまった神田さんが夜の森は危ないと止められたせいで待ち合わせ場所に遅れてしまったらしい。 さらに朝までそこで待っていた神田さんの所に遠藤さんは現れず、一条さんの部屋にも帰っていないままらしい。 俺達は錯乱している神田さんを宥めつつ館の外に探しに行こうとしたが、そこで慌てた緒方さんと鉢合わせた。 なんでも可奈ちゃんまでが突然いなくなってしまったらしく、緒方さんもまた俺達とは別に可奈ちゃんを探すという。 やがて二人を探して森に入った俺は何か地面から生えたものに躓いてしまったのだが、それはよく見ると……ミイラと化した人の手だった! これを掘り出してみるとやがて手だけではなく服を着た全身のミイラが出てきたのだが、いつの間にかそこに神田さんが立っていた。 「これは、直樹さんなのよ!ねぇ、返事をしてよ!直樹さん!!約束したじゃない…!私をひとりぼっちにしないって!」 一日で遠藤さんがミイラになるはずがないと説得しても神田さんは耳を貸さず、怒りで発狂して暴れた末に失神してしまった。 なんとか神田さんを連れて館に帰っても彼女は部屋に鍵をかけて籠ってしまい、助けを呼びに館を出ようにもなぜか森からは出られず。 佐倉老人にそれとなく聞いてみると、意外な答えが返ってきた。 「……思い起こせば、私もあなた方と同じように森で迷ってこの館に辿り着いたんです。この館も調度品も、ここにあるものは全て妻の物です。 私個人の持ち物などほとんどありません…ちょうど、今のあなた方と同じですよ」 呆然としながら部屋に戻る俺の前に、部屋からあの葵さんが声をかけてきた。 「秋山さん、今日は元気がありませんのね……なにか、つらいことがあったのでしょう?」 葵さんにミイラを発見したことを告げると、病弱な彼女には刺激が強すぎたのか何かに耐えるように青白く小刻みに震えていた。 「……いいえ、違うんです。秋山さんは、少しも悪くありません。いつものことです…ですから、どうか気になさらないでください」 俺はそんな葵さんを二階の部屋まで送ってから、昨日とはうって変わって空席の多い寂しい夕食を終えてから再び眠りに就いた。 【三日目】 佐倉老人が死んでいる姿……という悪夢を見て飛び起きた俺は、当の佐倉老人の悲鳴を聞いて階段へと駆け付けた。 すると昨夜の悪夢の通り、階段下のホールに足を滑らせて落ちた佐倉老人の死体があった! 「ジジイが一人死んだくらい、どうってことないだろ。あんなヨレヨレになるまで長生きしたんだ。思い残すことなんてないだろうぜ。 問題は………この死体をどうするか。葵………さんにも、知らせないといけねぇし……とりあえず、ジイサンの部屋に運ぶとするか」 なぜか異常に落ち着いていた一条さんと一緒に佐倉老人の部屋に遺体を寝かせると、植田さんまでもが意味深なことを言い出した。 「この人が死ななかったら、代わりに圭介が死んでいたかもしれないっていうのにさ…知りたい……?そんじゃあ、教えてあげてもいいけど… 葵さんに聞いてみる?彼女が一番、その理由を知ってるからよ…あたしにはわかるの。この館に来て、霊感が強くなってるからね」 俺はその言葉を信じ、佐倉老人の死を伝える必要もあるため葵さんの部屋を訪ねてみた。 しかし葵さんは夫の突然の死を聞いてもなぜか動揺を見せず、それよりも昨日と同じく何かを恐れるような反応を見せるままだった。 「今は、まだ言えません。もう少し時間をください……」 葵さんと別れて遺体のあったホールに戻ると、すぐに異変に気付いた。 佐倉老人の落下した場所から綺麗に血溜りが消えていた……だけでなく、さらには佐倉老人の部屋からも遺体が消えていたのだ! 「佐倉のおじいさん、きっと…食べられちゃったのよ…間違いないわ。佐倉のおじいさんを殺したのは、あの女よ……! ついて来ないでよ!……あたし、これから大事な用があるんだから。いいわね?もし、ついてきたりしたら…………殺すわよ」 かつて佐倉老人が一条さんから没収したライターを拾ってから植田さんを追い掛けたが、すでに彼女の姿は無い。 そのまま一階でなぜか開いていた玄関の扉を閉めようとした時、館の外からいきなり矢が飛んできた! 外れたものの明らかに俺を狙った何者かを追って森に入ると、この状況が館に来てからよく見るあの夢に似ていることに気が付いた。 574PANDORA MAX SERIES vol.2 死者の呼ぶ館sage▼2022/11/04(金) 15 23 14.73ID F0RKibzm0[4回目] 「巫女よ……!夢占にて末の世界を知る者よ、夢占の洞穴へ戻りたまへ……今ならば、御門も許してくれましょうぞ。巫女よ、戻られよ!」 「我、戻らじ。この者とともにありてこそ、我が身、我が心、我が命なり!」 「我が心は、決して変わらぬ。この者と夫婦となるためならば、家などいらぬ……!」 「……ならばやむなし。矢を持て……!」 「…………我が妻よ!」 「ま、まさ…つね様……我は……あなた様を…………お待ちしています…………この地で…………あなた様を、ずっと………… されば……早く、ここへ来てくださいませ……我の……そばへ……」 やがてなんとか気を取り直して館に戻った俺に、葵さんが意を決したように話しかけてきた。 「…今すぐ、あなた一人で逃げてください。私に残された時間はあとわずか…今なら…あなた一人だけなら、なんとか逃すことができます。 手遅れにならぬうちに、この館からお逃げください……私、あなたを死なせたくありません。そして…あなたが助かるには、 この館から逃げるしか方法がないのです。あなただけなんです。私が…逃してあげられるのは… 明日の朝を、館の中で迎えてはいけません。早く逃げないと、あなたも…聡さんのように………私、そんなの耐えられません」 だが、俺一人で逃げることなどできない。 逃げるなら生きている皆も、もちろん葵さんも一緒だ。 「今は……こんなことを言う時ではないのかもしれない……でも…葵さん……あなたさえよかったら、俺と一緒に来てくれませんか?」 「…わかりました。どこまでやれるかわかりませんが………やってみましょう」 やっと葵さんと心が通じたと思ったその時、いきなり一条さんがその場に怒鳴り込んできた。 「マイが……いなくなった…………おい、圭介!テメーがマイを隠したんだろっ!さぁ……マイを出せよ!」 激昂して話の通じない一条は、なんと葵さんに刃物を突きつけて人質に取ってしまった。 植田さんの居場所など知らない俺は咄嗟に彼女が開かずの間にいると答えたが、そもそもあの扉は入ろうにも開きはしない。 しかし信じられないことに、強引に入ろうとした一条の手を扉が食べるようにして取り込んでしまった! 「…扉を開ける術は、ただ一つ……火を使うのです」 一条のライターを使って火を近付けると扉は避けるように開き、やがて暗闇の中に地下への階段が見えた。 「この階段を降りれば、あなたはこの館の秘密…そして、この私の秘密を知ることになります」 覚悟を決めて地下への階段を降りた俺が目にしたのは、植物の根が複雑怪奇に絡み合って張り巡らされ壁となった空間だった。 「ここが館の中心。『サクラ』の間です。樹齢数千年という桜の古木。根は、すべてその古木のものなのです」 よく見ると、あるのは根だけではなく……枝や瘤などのように干からびた人間の身体が混じっている! 「あの者達は…みな、この木に捧げられた供物なのです。この木に供物を供える巫女。それが………私…」 桜の古木に生気の何もかもを吸い取られ土に還ることもなく生き続ける供物の中には、あの佐倉老人の姿もあった。 「…聡さんは、巫女である私の世話をするためにこの木が選んだ『夫』という存在。『夫』も、また供物の一部。次の『夫』が選ばれると 同時に、その生命をこの木に捧げなければならない。千年の昔から変わることなき、『巫女』と『夫』のそれぞれの…役目…………… 千年前の…あの時、私は死ぬ運命にありました……ですが、死の間際に恋人と誓った約束をどうしても守らねば…… という強い念が残りました。その念はすぐに願いとなり、その願いを迷いの森の主である桜の古木が聞き入れたのです。 …この時以来、私は古木とともに存在しました。今の私は、この古木によって生かされているのです。 つまり……この者達は、私への供物でもあるのです。例え人と同じ姿形をしていても、この身を人とは呼べません」 既に自分が雅経であると気付いた今、俺の葵への想いに迷いは無かった。 「うれしい…私……これで、ようやく…………」 575PANDORA MAX SERIES vol.2 死者の呼ぶ館sage▼2022/11/04(金) 15 26 39.04ID F0RKibzm0[5回目] その時、根の間から姿の見えなくなっていた一条がいきなり現れた。 「ようやく、時が満ちたな。夢占の巫女よ……!」 「一条さん……いえ、今は『家隆様』(※4)とお呼びした方がよろしいか…?」 「我は、どちらでもかまわぬ。今の我は、家隆でもあり省吾でもあるのだからな。 ……あの時、我は確かに雅経へ向けて矢を放ったはず……だが、その矢はすべて葵殿の身体を貫いていた…… あの後…巫女を射殺してしまったことを御門に激しく咎められ、はるか西国へ下り、生涯をその地で終えた。無念の思いをいたまま…な。 こんなことになったのは全部、雅経を射殺せなかったからだ。この次は、絶対に失敗しないぞ…………ってな。 もう…これ以上、失敗するわけにはいかねぇんだ。いい加減あきらめて、俺に殺されてくれよ」 飛びかかってきた一条はなんとか撥ね退けたが、やがてそこに植田さんまでが現れた。 「……あたしね、この館と取引したんだ。館は新しい『巫女』を望んでいた。あたしは大事な『ショーゴ』をアンタに取られたくなかった… お互いの利益が一致したってわけよ。アンタは館に捨てられたの!もう、いらないのよ!! あたしはアンタと…そして圭介を殺して、新しい『巫女』になるのよ!!…ショーゴ?あなたは、あたしの『夫』になるの」 「いけません…!『巫女』は延々と供物を呼び続け、『夫』は『巫女』の世話をしながら生気を吸われてしまうんですよ。 そうやって、甘い言葉をかけておいて館は人を手懐けるんです!!私の時だって、供物が人間だなんて館は教えてくれなかった」 「俺は…嫌だ。お前はマイじゃない。俺の知ってるマイは…そんなんじゃない。嫌だ…た、助けてくれ!」 館に同調し根を操る植田さんに、俺達は成す術なく取り込まれるかに思えた。 「彼女を止めるには、古木の呪縛を解くしかありません。火を使うのです……大丈夫です。まだ、諦めないでください」 一瞬視界に何かが見えたかと思うと、それはどこから現れたのか発狂するあまり館に放火する神田さんの姿だった。 たちまち『サクラ』の間は炎に包まれて館による呪縛も解かれたが、葵はすでに観念し炎に身を委ねようとしていた。 「ああ、君は約束どおりここで待っていてくれた。俺は…あの時から、ずっと後悔していたんだ。俺と交わした約束のせいで、 君の輪廻の輪を閉ざしてしまったことを…ここで君を残して逃げたりしたら、俺はまた後悔することになる」 「…そうだ。秋山さんの言う通り、早く…逃げるんだ……私は…まだ死ねないのですよ。『夫』の引継ぎが完全に行われるまで、 死ぬことは許されないのです…葵に会えて、私は幸せだった。葵を連れて逃げてください。早く……!」 「葵さん……俺は、あなたともっと一緒にいたい。あなたを…もっと広い世界へ連れ出してやりたいんだ…それが…前世で果たせなかった 俺の夢だから……一緒に…来てくれますね?逃げる時は、佐倉さんも一緒です。俺は…もう後悔したくないんです」 俺は根の間から佐倉老人を引き摺りだし、葵を支えて崩壊する『サクラ』の間を飛び出した。 しかし驚いたことに、必死で逃げる俺達の後ろから植田さんを抱える一条もが走って追いかけてきた。 「俺達も逃げるところなんだ。俺…昨夜からなんか頭がボーッとしててさ、今日何をしていたのかさっぱりわからねえんだ」 そして俺達は炎上し崩壊する館からなんとか抜け出し、外で緒方さん親娘とも再会することができた。 さらに驚いたことには森で彷徨っていたという遠藤さんまでが姿を現し、おかげで神田さんも落ち着きを取り戻していた。 「…館が燃え落ち、桜の古木の力が消えたのでしょう。今の森に、人を惑わせる力はありません」 全てが終わり、俺は改めて葵に一緒に生きていく決心を伝えた。 あれから皆は元の生活に戻り、佐倉老人は『故郷へ戻る』と言って去って行った。 俺のそばには葵がいるが、桜の古木が消えてしまったので、その命がいつまで続くかはわからない。 だから…いつ別れの時が来ても後悔しないですむように、葵と過ごすこの一瞬を大切にしたい。 完 EDはバッドを含め複数ありますがこれ以外は一人か少数で脱出するEDに過ぎないので、全員生存で葵と共に生きるベストEDを書きました。 なお全てのEDを見ると出現する前日譚の外伝2では、佐倉老人が本当は一条の大学での友人で神田教授の教え子だったことがわかります。 伝説の研究のために森に入った所で館に迷い込み、そこで葵(と桜)に魅入られて新たな『夫』となる際に記憶も失ってしまったようです。
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PANDORA MAX SERIES Vol.5 ごちゃちる 【ぱんどらまっくすしりーずぼりゅーむふぁいぶ ごちゃちる】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 プレイステーション 発売・開発元 パンドラボックス 発売日 2000年10月19日 定価 通常版 1,980円限定版 2,980円(共に税別) 配信 ゲームアーカイブス2009年10月28日/600円 レーティング CERO B(12才以上対象)(*1) 判定 なし PANDORA MAXシリーズリンク 概要 特徴 世界観 ストーリー システム 評価点 問題点 総評 余談 概要 PANDORA MAXシリーズの第五弾。 同シリーズにオマケとして収録されていたショートストーリーの世界を基に一本の作品として世に出された。 シナリオは『ドラゴンナイツグロリアス』に続いて飯島健男(現・飯島多紀哉)氏が手掛けている。 初回限定版には前4作の攻略本である『連動の書』が同梱されている。 特徴 世界観 オマケ要素の頃からそうだが、非現実と現実的な毒が融合した様がメルヘンタッチで描かれている。日本の俗世で言うシュールである。 無邪気さと自由奔放さからエグイ展開もおきる。現実世界に対する容赦ないツッコミがファンタジーの住人の日常トークに込められていることもあるし、無毒そうなタッチで実のところスプラッターな展開がおきていたりもする。 話が横にそれていってずれた着地をしたり、相手が固定された性格(立場)なのをいいことに都合のよい展開にもっていったりしてもなんとなく許されるという形で話が進行する。 ストーリー ちるちゃん(*2)によりそんな奇怪な世界へ召喚された主人公(=プレイヤー)。彼女が言うには村が危機に陥っており、それを救うためには勇者を召喚し伝説の7つの楽器を集めてもらう必要があったのだという。 しかしストーリーが進むとちるちゃんが召喚したのは異世界の馬鹿だとか村のみんなの楽器をちるちゃんが売り払っただとかときな臭い話が聞ける。 システム オーソドックスなアドベンチャー。マップを移動して会話をしたりアイテムを入手したり時にミニゲームをこなしてストーリーを進行させていく。 プレイヤーとちるちゃんが一緒に冒険しているという建前だが、トークにおいてはプレイヤーである主人公にキャラ(特徴)はない。 ちるちゃんが話を引っ張ったり面倒ごとを押し付けたりしてたまに主人公が相槌を打つという形をとっている。 尚、主人公の名前はプレイヤーが設定するが、ちるちゃんには勝手に変な名前で呼ばれてしまう(*3)。 漫画喫茶にてゲーム内貨幣と引き替えに前四作までのセーブデータの補完ができる。可能なのはアイテムの入手やオマケ要素のフラグ回収など。 前四作はユーザビリティがひどく、周回でフラグを回収するのがひどい手間であったりプレイすること自体が困難な場合すらあった。そのためオマケ要素を見るにはこのシステムを利用するのが一番である。 ちなみにこの機能でデータを補完した後にごちゃちるのデータが自動でセーブされるようなことはない。つまりデータ購入後にロードしなおすことで資金を減らさずに利用できる。 評価点 トランプやシューティングをはじめオリジナリティの高いミニゲームが随所に用意されている。 成績がゲーム内貨幣に直結する物もいくつか存在する為、やりこむ価値はある。 その場で軽くプレイするものもあれば、ストーリー仕立てのステージ制になっているものもあり、バリエーションに富む。 コンバートすると、そのゲームの世界観をモチーフにしたバージョンのミニゲームを遊ぶ事ができる。ミニゲームによってはキャラがごちゃちる風に書き直されていたりして、非常にシュール。 ちるちゃんに惚れている瓜坊のブッチを操作して仕事(クイズ)に挑戦するモードもある。ジャンルは幅広く、歯ごたえがある。 こちらもコンバートによって過去作関連のクイズにも挑戦できる。出題者もその作品のキャラがごちゃちるタッチになって登場する。 アイテムの数も多く、それを元に更なるアイテムの入手が可能となっていてコンプリート要素の楽しみもある。 釣りや料理店で作れるメニューなどが該当。集めたアイテムに対してのコメントが笑いを誘う。 いつものおまけに収録されているショートストーリーの『ごちゃちる』は5本も収録されている。もちろん、全て新作。 映画館ではシリーズの他作品の宣伝や『ドラゴンナイツグロリアスVSラビッシュブレイズン』というお祭り作品が見れる。 後者は本編とは別のおまけ要素でありながら今作の目玉の一つでもある。タイトル通り『ドラゴンナイツグロリアス』と『ラビッシュブレイズン』のキャラが共演するADVとなっている(*4)。シナリオは主人公を選択するオムニバス形式で、シナリオを進めると新たなキャラでプレイできるようになる。 舞台となる「ごちゃ村」の住人達は個性豊かで、彼らとのやりとりも楽しい。 ちるちゃん達の邪魔を(しようとしていつも失敗)する小悪党、プレイヤーには全く理解できない鳴き声で話す動物系キャラ達、ちるちゃんの傍若無人な振る舞いを優しくたしなめたり力ずくで止めたりする教育者的な存在、自らの発言の意味すらわからない程のおバカ…等色々。 一度ストーリー上でのEDを迎えてもゲームの再開は可能。エンドレスでプレイを続けられる。 問題点 シリーズの宿命だがロードが遅め。 それでも前4作に比べると1周で終えられる事、ストーリーよりミニゲームがメインのためそれほど気にならない。ただし同じミニゲームを何度もやりたい時は説明をその都度見なければならない事も。 セーブしてからゲームに戻りたい場合、「セーブしました」のメッセージが出て次の画面に進む為の○ボタンを押す→再びメモリーカードを読み込み「セーブしますか?」の質問が出る→「いいえ」を選ぶ事でようやく戻れる、という謎の手順が必要。 『ドラゴンナイツグロリアスVSラビッシュブレイズン』の内容が、ある意味「同人臭漂う」内容のため、人によっては受け入れられない可能性も。 シナリオ担当は『ラビッシュブレイズン』の和田慶子氏が担当。その為、『ドラグロ』部分に関しては特にその印象が強い。『ラビッシュブレイズン』部分に関しても本編に比べると違和感が無い訳ではない。 原作の設定を変更していたり、独自の設定も少なくなく、なおさら同人っぽさが出てしまっている。これはこれで有りと受け入れられれば問題は無いのだが。 『ラビッシュブレイズン』は本編終了後だが、『ドラグロ』はどのエンディングでもないパラレルな設定(*5)になっている点も一因か。『ドラグロ』の設定上、トゥルーエンドの続きではお祭り作品にし辛いという事情もあるのだろうが。 システム上仕方ない事だが、料理図鑑のコンプリート特典を貰った後はレストランへ行く意味がほぼ無くなってしまう。 繁華街にはディスコがあるが、ここに入っても中が荒れ果てており、特にイベントは無い。 ショートストーリーの一つにこのディスコを舞台としたものがあり、そのラストでディスコが破壊されてしまう。荒れ果てているのはその所為なのだろうが、わざわざ立ち寄れるスポットとして用意する意味が感じられない。 総評 ミニゲーム集兼データフルコンプ用のソフトと言った趣だが、ユーザビリティは悪くない。値段を考えれば頑張っている方である。 相変わらず遅めのロードはひっかかるとはいえ、同シリーズの他の作品に欠陥が多いことを考えると、次回作『ONI零 ~復活~』を除けば最も完成度が高いとも言える。 余談 この通り、決して完成度は低くなく、データ補間機能の便利さからシリーズユーザーは買って損の無い作品だが、ゆる過ぎるイメージの所為か導入会での評価は散々だった。ゲームがつまらないという話ではなく、見た目から「こんなもの売れるの?」という意見が多かったとか。 実際の所、完成度に反してシリーズでは『Catch! ~気持ちセンセーション~』と並んで売れなかったらしい。
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PANDORAとは 管理人yu-kaが製作する小説・ゲームのタイトルです。 趣味で作っている程度のものですが、 他人に公開した時点で著作権は発生しています。 今後、このサイトで小説やゲームを公開していく予定です。 あくまで趣味ですので、深くつっこまないでくださいm(_ _)m 編集@yu-ka 注意! 2007年10月現在、サイト編集中のため、 たくさんのページがメンバーでないと見れない状況です。 どれか一つでも作品が公開できるor公開カウントダウンに入ったら ちゃんとしようと思ってます; あくまでこのサイトは製作のためのサイトなので、 公開用はまた別ということでご理解お願いします。
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PANDORA MAX SERIES Vol.6 ONI零 ~復活~ 【ぱんどらまっくすしりーずぼりゅーむしっくす おにぜろ ふっかつ】 ジャンル 和風RPG 対応機種 プレイステーション 発売元 パンドラボックス 発売日 2001年3月22日 定価 1,980円 配信 ゲームアーカイブス2009年11月11日/600円 レーティング CERO B(12才以上対象)(*1) 判定 なし ONIシリーズリンク PANDORA MAXシリーズリンク 概要 物語 特徴・評価点 問題点 総評 余談 概要 和風RPG『ONIシリーズ』の一作であり、『PANDORA MAXシリーズ』の最終作。 平安時代を舞台に人間との共存を望む妖魔「隠忍」と、役小角率いる「五行軍」との戦いを描く。 シナリオはONIシリーズでは初めて飯島健男(現・飯島多紀哉)氏が自ら手掛けている。 物語 西暦880年。妖魔と呼ばれる、人を襲い、喰らう存在が世に蔓延り、恐れられていた。しかし超人的な力を有する仙人・役小角(えんのおづぬ)が率いる「五行軍」による妖魔狩りで妖魔達は次第にその姿を消していき、たまに人里に降りてきては悪さをする程度となっていった。しかし妖魔達にも人との共存を願う心優しき者達がいた。彼らは人間には忌み嫌われ、妖魔からも異端とされながらも自らを「隠忍(おに)」と称し、理解ある人間たちとともに隠れ里「しじまの里」を作って平和に暮らしていた。 主人公・司狼丸はしじまの里で平和に暮らしていたが、ある日、幼馴染の外道丸と沙紀と山の祠に遊びに行った際、誤って里の結界を守る鏡を割ってしまう。 結界が破られた里を五行軍が襲撃し、隠忍達の殆どは殺され、一部の者は捕らえられた。父・天地丸に連れられて司狼丸達三人は辛くも里を脱出し、 安住の地を求め当てのない放浪の旅に出るのであった。 それから8年後、退魔師となった司狼丸達は、やがて日本の命運を賭けた戦いに巻き込まれていく。この時はまだ自身を人間だと思っていた司狼丸だが、彼こそが後に全ての退魔士に恐れられ、隠忍一族の救世主となる最強の隠忍「時空童子」なのである。 特徴・評価点 ありそうで案外少ない純和風RPG、実在の人物もけっこう絡んでくる。重い境遇にありながら時にコミカルに、時にシリアスに、時に熱く展開するキャラクターやストーリーは飯島氏の持ち味が良い意味で出ており、なかなか好評。 実は当初は『死者の呼ぶ館』『Catch! 気持ちセンセーション』の大池叙子氏が本作もシナリオを担当するはずだったのだが、疲労で倒れた為に世界観設定に関わっていた飯島氏が一から書き直したという。 大池氏のシナリオはあまり良くない評価も散見された為(特に『Catch!』)、元のシナリオは定かでは無いが結果的に良い方向に転んだと見える。 キャラクターデザインは神谷順氏(*2)。隠忍のデザインが従来のガン〇ム風とも例えられる無機質なものから、極めて生物的な印象となった。 そもそも隠忍の設定を考えれば生物的なデザインが妥当なはずなのになぜ今までは無機質なものだったのか?これはシリーズ初代が発売されたガンダムが流行していたため「そっちのほうがウケがいいんじゃね?」という大人の都合によるもの。実際それでヒットしたのだから間違った判断ではなかったのだろうが、本作のデザインが本来の形に近いものと言える。デザイン自体も好評。 登場人物も実に多彩。美男美女から醜悪な怪物、ひょうきんなコメディリリーフなど多種多様なキャラが登場する。 神谷氏は本作の仕事の後に退社している。その後、パンドラボックスが倒産したのかはっきりしない時期が続くようになってからは前職について触れなくなった。 神々の解放、交渉によるステータスアップなど一風変わったシステムを盛り込んでいるのも特徴。 神々は様々な場所や物に宿っており、ダンジョンや民家の特定のポイントを調べると解放する事ができる(*3)。また、ほとんどのアイテムに個別の神が宿っており、店で購入すると解放する。 本作は段(レベル)アップによるステータス上昇は無く、代わりに「徳」というポイントが貯まる。これを消費して解放済みの神と「神交渉」を行い、ステータスを上げるのである。神によって上がるステータスが異なる為、キャラの成長にも戦略要素がある。 また、神交渉ができない代わりに戦闘中に「神降ろし」(いわゆる召喚魔法)を使用できる神も存在する。 神は100種類を軽く超え、コンプリートは至難の業である(但し、下記の問題点にあるようにコンバートが必要)。 「退魔仲介所」と言う場所で依頼を受けるサブイベントもあり、ボリュームもなかなか。 サブイベントながら、依頼で関わる事になる人々や敵対する妖魔のエピソードはどれも凝った作りであり、その悲喜劇は考えさせられるものになっている。 『アークザラッドシリーズ』のように、主人公の行動次第で依頼の結果と報酬額が変化する要素もある。 コンバートで出現する依頼では過去作にまつわるネタがふんだんに盛り込まれている。『死者の呼ぶ館』については設定上同作の物語そのものとも関わりがある。 『ラビッシュブレイズン』『ごちゃちる』の依頼に至っては、元が元だけに本編のシリアスさをぶち壊すほどのギャグ演出が用意されている。 『ドラゴンナイツグロリアス』と『ラビッシュブレイズン』は元がRPGなだけあり、原典のキャラを神降ろしで召喚可能になる要素もある。 『ごちゃちる』までほとんど変わり映えしなかったUIを大胆に変更。 本作は『ごちゃちる』以前のようなADV要素が無い事と、純和風の世界観という事もあってか、ウィンドウ、カーソルなどの画面構成や演出が完全に独自のデザインになっている。 その結果、パンドラMAXシリーズでどことなく漂っていたチープさ、低予算感が無くなっており、一つの作品として十分なクオリティを感じさせる。 また、CD媒体になった事でシリーズ初の主題歌付きオープニングムービーも収録されている。 いわゆるアニメやCGムービーとは違うが、本作の雰囲気をよく表現した味のあるムービーとなっている。 OPテーマ『WHY?』はまさかの英語歌詞の和風メタルだが、歌詞の内容はしっかり本作のテーマに合致したものになっており、曲の雰囲気も本作とマッチしている。EDテーマも同様。 問題点 戦闘中に行動するたびにいちいち読み込みが入りストレスの元となる。 これは敵味方共に、通常攻撃を含むあらゆる動作に伴ってロードが入る為非常にテンポが悪い。 それでいて作業的な戦闘を強いられるゲームバランスなのが辛い。特にラストバトルの連戦を乗り切るにはかなりの段が必要なので、相応の経験値稼ぎが必要。 しかしそれ以外ではロードが短くスムーズに動作する。メニューの呼び出しやマップ切り替え、さらにイベントですら…。 ちなみに飯島氏はこのロードの遅さという自社作品の問題点をサイト存在時にコメントで認めていた。 エンディングが尻切れトンボ 一応、五行軍との戦いには決着は付くが、その後のオチが投げっ放しである。 + ネタバレ 激闘の末、役小角を倒した司狼丸。しかし黒幕が開いた地獄門は塞がらず、そのまま謎の力で司狼丸達はどこかに飛ばされてしまう。ひとまず戦いは終わった為、司狼丸は約束通り巫女の神無を迎えに行く。…が、彼女の村は無人の廃村となっており、しかも最終決戦から既に50年が経過していた事が判明。その後の母・鈴鹿の開き直った大笑いでそのままスタッフロールに入る。 再会を約束した仲間達などの伏線ブン投げのなんとも消化不良のエンディングである。その後、主人公達が時空を旅するという内容の次回作『ONI零 ~流転~』の予告ムービーが入り、実は本作は続き物であった事が明かされる。 しかし、結局製作されることはなく「流転するのは主人公達ではなく『ONI零』というゲームの方だった」という笑えないオチがついた。 コンバートシステムのせいで、パンドラMAXシリーズ前5作のデータを全部冒頭でコンバートしていないと神様開放・依頼制覇共にコンプリートできない。 コンバートで追加される要素では、それら作品のキャラがゲスト出演したりと言ったファンサービスもあるので、シリーズを通してプレイしているユーザーには一概に否定できるものではない。無論、本作から始めたユーザーには辛いが。 戦闘BGMが1曲しかない。雑魚戦もボス戦もラスボス戦も全部同じ曲。終盤で変わる、ラスボスだけは専用曲という事すら無い。 一方でBGM総数は58曲と、一曲一曲は短めとはいえ生半可なフルプライス作品以上の曲数、曲自体も作品の雰囲気に合った良曲揃いである。 「放浪感を出すためには行く先々で毎回BGMが変わったほうがいいだろう」ということでフィールド・イベントBGMを優先した判断だったのだろうか?にしても偏り過ぎな気はするが、ともかくBGMにおいても手抜きはされていないということである。 周回プレイは無い。 過去のパンドラMAXシリーズは周回プレイ前提で、1周は10時間掛からない。というコンセプトで作られていたが、今作はストーリーのボリュームが通常のRPG並にあり、寄り道要素も充実して長く遊べる反面、2周目以降に引き継いでプレイする事が出来なくなった。 1周だけで長く遊べるとは言え、ストーリー進行によって取り返しのつかなくなる要素が多い本作では神々や依頼のコンプリートが非常に難しくなっている。結果として続編は出なかったとは言え、コンバートを前提にしているならやはり周回プレイはあって然るべきだっただろう。 総評 RPGとしては手堅い出来。「パンドラMAXシリーズ」はいまひとつチープさが拭えない印象の作品が多かったが、本作はONIシリーズの独特な雰囲気と、神谷氏の美麗なイラストのお陰もあってか安っぽい印象は無い。 実際のところ、シナリオのボリューム・クオリティは充分でサブイベントも豊富であり、やりごたえは同時期のフルプライスRPGにも決して劣るものではない。 それでいて定価はシリーズ恒例の1980円なのだから、値段以上の価値は間違いなく保証できる。 しかし、ラストが投げっぱなしというのはやはりいただけない。続編が立ち消えになってしまった事自体はこのゲームの問題では無いにしても、単独作品としてみてもおかしくない程度に話をまとめる事は出来た筈である。全体的に重く、救いの無いストーリーであるだけに、ED後の消化不良感と虚無感は尚の事大きい。出来はとてもいいだけに、その点だけが惜しまれる作品である。 余談 これまでのシリーズ作品と違いEDを迎えた後にセーブが出来ない。その為サイト上でユーザーから「次回からのコンバートにはどう対応するのか」という問い合わせが出た。それに対する返答はラストバトル直前にあるセーブポイントでのデータがコンバート対象となるというもの。結局続編は出なかったが。 PANDORA MAXシリーズお馴染みのおまけモードではいつものようにシリーズ他作品のPVを見る事ができるのだが、項目名が従来は発売予定作品の紹介を含めた「予告」であったのに対し、本作では過去作の紹介に留まる「ラインナップ」であり、どことなくシリーズ最終作である雰囲気が漂っていた。 『流転』の予告ムービーが収録されていた事から、終わらせるつもりは無かったようだが。 恒例の『ごちゃちる』ショートストーリーも本作収録分が最終回となった。 『ごちゃちる』では「チルがブッチに噛み付いて吸血」という鉄板ネタがあったのだが、本作収録分は「ブッチに噛みついた動物は皆ブッチ化する」事が明らかになり、今まで散々ブッチから吸血していたチルが「もうあんたに関わらない」と叫んで逃げ出すというオチだった。 最終回になったのは結果的な話のはずなのだが、このように元々のオチ自体「看板とも言えるお馴染みのネタをやめる」という本当に最終回のような内容になっている。上記のラインナップの件と言い、薄々予感はしていたのだろうか。 「ONIシリーズの新作」と言うこともあり、ファンの期待も大きく、売り上げもパンドラMAXシリーズの中では最高の15万本以上を記録した(*4)。攻略本の売れ行きも快調だったとの事。 この事は当時の公式サイトの日記でも語られており、「人並みにご飯も食べれるようになった」など、経営が悪化していたパンドラボックスにとっての希望となり得るほどの快挙だったようだ。 本作の好評を受けて『ごちゃちる』以前の過去作の売り上げが伸びたり、ONIシリーズ旧作リメイクが現実味を帯びたりとかなりいい流れにはなっていた模様だが、それでも持ち直すには至らず、パンドラMAXシリーズは本作で終了。公式サイトは2003年頃までは存続していたが、やがてパンドラボックスは2007年に「シャノン」に名を変えるまで休眠状態となる。 本作の小説版のシリーズ化、漫画化の話すら持ち上がっていたようだが、残念ながらどれも実現する事は無かった。 本作はONIシリーズでも有数の鬱展開を誇る。一例を挙げると、 冒頭、五行軍により主人公たちの故郷である「しじまの里」が襲撃を受け、壊滅する。その際、仲間の外道丸の両親は強大な敵にプライドを捨てて命乞いをし、主人公たちが逃げる為の時間を稼いでくれる。が、敵のあまりに不遜な態度に逆上。転身して戦おうとするが一撃で倒され、その場で喰い殺されてしまう(しかも断末魔と共に咀嚼音まで聞こえてくる徹底ぶり)。 天地丸は五鬼羅衆と呼ばれる敵達の戦いの際司狼丸たちを庇い、息子や義理の子供たちの目の前で喰い殺されてしまう(ご丁寧に一枚絵あり。ぼかされているが、非常に凄惨。そしてまたしても生々しい咀嚼音が…)。それを見た司狼丸は怒りから隠忍に転身し、半ば暴走状態に陥り五鬼羅衆数人を惨殺する。 安倍晴明の実家に五鬼羅衆が襲撃した際、戦いの中で転身した司狼丸は再び暴走。その場にいた安倍晴明の両親を殺害してしまう(やっぱり一枚絵付き。しかも二人分)。 五行軍から神無と両親を妖魔の力が封じられる七色水晶の谷にかくまおうとするが、そこで神無の両親は五行軍に寝返ろうとする。しかしその後に両親は五行軍に殺される。 但し、神無の両親は元々、神無の不思議な力を見せ物にしていた守銭奴であり、プレイヤーが全く好感を抱けない人物であった。また、あっさりと消滅させられる感じなので残酷描写も無い。 元々これまでのONIシリーズは、開発元のパンドラボックスと発売元のバンプレストの間に意見の相違があった。主人公達の変身した姿が特撮ヒーロー然としている事や、ストーリーが勧善懲悪の冒険活劇である事は発売元の意向である。従って本作は「開発元が本来やりたかったONIの形」とも言える。 また、飯島氏は以前からONIのシナリオを書きたい意思はあったものの、いつも別の仕事が入ってしまって書きたくても書けなかったらしい。その為、本作は当人曰く「本当にやりたかったONIの世界であり、そして古くは『抜忍伝説』や『藤丸地獄変』の流れを汲む飯島ワールドにどっぷりとつかった作品」との事である。 後に一応の新作『ONI零 ~戦国乱世百花繚乱~』が発売されたが…、もはや何も言うまい…。 飯島氏は2018年に「Nintendo Switch向けに和風ファンタジーと洋風ファンタジーの製作を始めた」という、ONIシリーズの新作の開発とも思える発言をしていたが、後に「『ONI』の新作を開発するにはパブリッシャーになってくれる企業が必須」という旨の発言をしており、現状では『ONI』の新作を作っている訳ではない模様である。 …こっそりR15ぐらいの描写があったりする。幼馴染の沙紀が香珠月姫に転身するとB地区が…隠忍の部分だけど。唯一の攻略本には、でかでかと高解像度で描かれているので気になる人は購入して下さい。 + 参考画像 この子が こうなる(低画質でスマン) また、『復活』と上記『流転』を繋ぐ様なライトノベルがエンターブレインから刊行されているが、こちらでも更なる鬱展開が待っていた。著者は本編と同じ飯島氏でイラストも神谷氏が担当。…表紙や口絵はふつーのラノベなので注意。なお、こちらにもチラッと香珠月姫のB地区が…。 + 以下、小説版のネタバレ極大、見たい人だけ。 冒頭、「天地丸」と名乗る男が自分の村を滅ぼした兄貴分の彩蔵と戦う。…あれ?一作目に同じような名前の人物がいたような…。 その後、本編の最終決戦からエンディングまでの流れを、ゲーム版とは微妙に違う展開で描く。最後は未来に飛ばされると言うオチは同じ。 一方、現代では外道丸は司狼丸の姉の伊月を助け、司狼丸達を探す旅に出る。その途中に二人は結ばれ、やがて子供が生まれる。その後、たまたま訪れた神無の住んでいた村で成長した彼女と合流。妖魔に騙された村人に生贄にされかけていたので助ける。 外道丸達の旅に神無も同行する事になるが、その直後、先ほどの妖魔がまだ生きていた事が判明し、外道丸が単身で妖魔を殲滅しに行く事に。しかし村で待っている間に別の妖魔がやってきて、伊月が天地丸に「使うな」と言われていた隠忍の力を使って倒したが、その現場を村人に見られ、妖魔と間違われて村人たちに無残に殺される。しかも子供は妖魔の子として谷の川底へ投げ捨てられている。 伊月が惨殺される一部始終を見せられていた神無は余りに惨過ぎる惨状から失明 精神が不安定に。その後意気揚々と戻ってきた外道丸が見たものは、集団で襲われ無抵抗のまま殺された伊月の死体。やったのが村人たちだと解り、隠忍ではなく妖魔としての鬼に転身し、村人全員を惨殺。一緒にいたのに何もしなかった(出来なかった)神無すら殺そうとしたが、彼女が失明している事と、子供がいない事に気付いてそのまま子供を追って谷に飛び込む鬼・外道丸。その後、神無はただ一人、目が見えない身でありながら司狼丸を探す旅に出る。 ちなみに、この外道丸が人間に絶望するくだりは『流転』の予告にそれらしきシーンが存在する。 何も知らない 出会わない司狼丸は自分と神無の息子を名乗るイケメン最弱優男だが不死身の退魔師「高野丸」と出会う。この男は首を落とされる描写があり、しかも首をくっつけるシーンに挿絵あり。その後、川に投げ落とされた外道丸の息子=冒頭の天地丸が現れ、高野丸の首を落とし(生きているが)、鈴鹿に重傷を負わせ、司狼丸をも殺そうとする。 かと思いきや、本編の黒幕が更なる強敵を連れて現れ、やがて司狼丸は再び時間跳躍をする。その後、次刊へ続くような展開のまま終わるが、次刊はタイトルだけ発表されて刊行されずやっぱり未完。 一方、司狼丸を兄と慕う晴明が司狼丸に刃を向け、鈴鹿が司狼丸に対して「晴明に殺されろ」と告げられるダイジェストがあったり。 どうやらこの『零』でシリーズを完結させるつもりだったのか、最強の隠忍=旧作との関わりを持たせようとしていたらしく、天地丸は1作目主人公、高野丸は2作目主人公なのである。時空童子の名前らしく、時空を飛んで全て廻る予定だったのだろうか。確かに『流転』の予告ではそれを仄めかす事が語られていたが。 実は1作目の主人公の父は「じくう」という名前である。とはいえモブの村人の台詞で1度出ただけの名前だったが…。 尚、当初の予定ではこの小説は弓弦と晴明をメインに据える予定だったが、ゲームの方ではこの2人は人気が無く、逆に小説では殆ど出番が無い予定だった外道丸が司狼丸に次ぐほどの人気を獲得していたため、急遽プロットを全面的に書き直したとの事。
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PANDORA MAX SERIES Vol.1 ドラゴンナイツグロリアス 【ぱんどらまっくすしりーずぼりゅーむわん どらごんないつぐろりあす】 ジャンル アドベンチャーRPG 対応機種 プレイステーション 開発・発売元 パンドラボックス 発売日 1999年11月18日 定価 1,980円(税抜) 配信 ゲームアーカイブス2009年8月26日/600円 判定 なし PANDORA MAXシリーズリンク 概要 ストーリー システム 評価点 問題点 総評 余談 概要 「1980円の超大作」がキャッチコピーであった「PANDORA MAXシリーズ」の第1作。 RPGのシステムとアドベンチャーゲームのシステムを融合した作品である。 シナリオはパンドラボックス社長であり、『ラストハルマゲドン』『学校であった怖い話』などで有名な飯島健男(現・飯島多紀哉)が執筆している。 ストーリー カグランテス王国の誇る無敵の騎士団「ドラゴンナイツ」。竜を駆るこの騎士団に入隊することは、この国に生まれた男性全ての憧れであった。 国の片隅にあるボーヘイム村に住む少年・ダイクは、入隊試験の受験を許される15歳を迎え、王都へと旅立つことになった。試験の合格率は0.3%。果たして彼を待ち受けるものとは… システム 本作は主にアドベンチャーモードで進み、ゲームの進行に伴いRPGモード、ミニゲームが登場する。 アドベンチャーモード キャラクターの立ちグラフィックと画面下部のメッセージウィンドウにより構成されているモード。 キャラクターのセリフではない地の文では全画面に文字が表示される。 RPGモード 見下ろし型の画面で、チビキャラを操り、ダンジョンを探索する。ボスを倒したり出口に辿り着く以外にも「一切敵を倒さず脱出する」「制限時間以内に指定のアイテムを全て入手する」などの課題を課せられる事も。 敵と接触することにより戦闘が発生する。ただしRPGモードでは敵の姿は見えない。 ダンジョンの大きさが総じて小ぶりなので、合わせて敵との遭遇率そのものは高め。シンボルエンカウントとはなっているが実際はほぼランダムエンカウントと同様である。 ストーリー展開 本編は4つの章に分かれており、それぞれの章で構成が異なる作りになっている。 第1章…主人公・ダイクの旅立ちの章。プレイヤーの選択で展開が細かく変化する。最初のダンジョンである洞窟が用意されているが、必ずしもクリアする必要は無く、展開次第では無視したり洞窟自体が話題に上がる事無く次の章に進む事もある。 第2章…試験の登録を行った後、試験開始までを「首都ハルキリアス」で過ごす。ダンジョンは無く、戦闘の機会も殆ど無いが、ここで取った行動が後々影響を及ぼす事も。 第3章…ドラゴンナイツ入隊試験の章であり、本作のメインとなる。筆記試験→実地試験→自由行動→筆記試験…のサイクルを繰り返して進む。 最終章…ドラゴンナイツ入隊を賭けた最終試験に挑む。分岐は殆ど無い一本道の展開となる。 自由行動 ストーリーやダンジョンの合間に拠点となる街「首都ハルキリアス」を探索する。行き先を一覧から選ぶ形式なのでチビキャラは操作しない。 ショップでは装備やアイテムの売買の他、アルバイト(ミニゲーム)をする事ができる。ミニゲーム内容は店によって異なる。 カジノ、3D迷路と言ったミニゲームの他、絵描き屋や詩人館と言った一風変わったプレイスポットも存在する。 条件を満たせばヒロイン候補や仲間とデートする事も可能。 ヒロイン候補はメンバー内外合わせて5人で、デートイベントをこなす事で個別エンディングのフラグが立つ。それ以外の仲間は個別エンディングこそ無いが、キャラを掘り下げる様々なイベントが用意されている。 試験 第3章では筆記試験と実地試験を繰り返して進行する。一つでも不合格となればそこでエンディングを迎える。 試験のシステム上、メンバー5人のうち筆記試験には代表者2人が、実地試験には不参加の1人を除いた4人が参加する。主人公が参加する試験は選択可能で、両方に出る事も、片方だけ出る事も、サボる事も可能。但し、参加すればするほど評価は上がり、逆にサボってばかりいると最悪バッドエンドも有り得る。どちらの試験にも固定メンバーが1人ずつ居る。 筆記試験はドラゴンナイツに関する四択問題に答える。メインストーリーを読むだけでは殆ど分からないので、ファンクラブ(*1)に行って勉強しておく必要がある。 実地試験はいわゆるダンジョン。上述したように、試験毎に何かしらの課題が設定されている事が多い。 戦闘システム 戦闘はアドベンチャーモードでのイベント、またはRPGモードで発生する。 戦闘はターン制。ターンの最初に戦闘に参加するキャラクターの行動を選択し、それに従って戦いが繰り広げられる。 ただし行動の順序は各キャラクターの「素早さ」によって決定される。 通常攻撃には「縦切り」「横切り」「突き」の三種類があり、武器によって得意な攻撃方法が違うので注意が必要。 特技(魔法または技)はTP(テクニカルポイント)を消費して使用する。 魔法は敵を攻撃するものから味方を助けるものまで様々なのが特徴で、特技は通常攻撃との組み合わせによって発動。そのため魔法と違い前のターンの行動によって使用できる特技が変化する。 その他のコマンドは「道具」「防御」「逃げる」。一般的なRPGとほぼ同じ内容だが、「逃げる」についてはコマンドを選んだキャラクター1人だけが逃げるので注意。全員が逃走に成功するか、一人以上逃げた状態で他のキャラが戦闘不能にならないと逃走扱いにならない。 評価点 ストーリーの評価が高い。 飯島氏が嘗て手掛けてきた濃ゆい作品の数々に比べると異例と言える王道の中世ファンタジーであるが、失敗と成功を一セットにしながら徐々に進んでいく展開は、オーソドックスながら劇的に仕上げられている。 狂言回し役の妖精プリルも、プレイヤーの興味が減らないように上手く立ち回っており、展開にソツがない。 特にストーリーの熱さには定評がある。「死んだ1人息子のために、36歳という他の者達と比べて圧倒的に高齢になってから(普通は受験可能年齢に達してすぐ受ける)、過酷なドラゴンナイツ試験に挑む」ボーボを筆頭に、理由が明かされないまま女人禁制となっている理不尽な掟に挑む仲間の女性キャラの存在や、因縁の相手に実力を認められるラストバトルなど。 キャラクターの描き方が丁寧。 メインストーリーは勿論だが、デートイベントを行うことで本編では語られない仲間達の事情が少しずつ明らかになっていき、そのキャラについて更に深く知る事が出来る。 ボーボやチコなど男性キャラともデートができる上、物語に意外な深みを加えてくれる。 出番の少ないサブキャラがサブイベントに登場したりと、意外な所で掘り下げが行われているケースもある。デート中に思わぬキャラと遭遇する事もあり、ファンクラブの会長や詩人館の詩人と言った普段は会話する機会の無いキャラとのイベントもある。 徹底した憎まれ役のビリーにも、外伝で新たな旅立ちを描いたフォローがあるなどキャラクターを大切にしているゲームである。 尚、飯島作品では珍しく本作の正規EDルートでは人が誰も死なない(*2)。これは当時、「最近のゲームはよく人が死ぬ」と考えていた飯島氏が「誰も人を殺さずにいかに感動させるか」を意識した為との事。『BURAI』『龍騎兵団ダンザルブ』等で仲間を死なせ過ぎた事に批判があった事も影響している模様。 ゲームバランスも良好。また手間隙をかけている。 設定上、世界最強のリリス(*3)が仲間になるが、ハンデとして手錠付き鉄球をつけている。その為にスピードにマイナス補正がかかるので行動順が遅く、武器にはなるが性能が良いとは言えない。しかも本人もよく離脱する…等々のデメリットがあり、最強設定とゲームバランスが不整合を起こさないようにしている。 豊富なエンディング エンディングは25種類と、数多く用意されている。グッド・バッドといった表裏のエンディングを除いても、多くのエンディングが用意されているのは魅力。 本作にゲームオーバーは存在せず、戦闘で負けたり試験に落ちると現状に応じたエンディングに移る。 ドラゴンナイツになれなかった場合のエンディングも様々で、ヒロインの働く酒場に就職して都一の名店にまで繁盛させる、故郷に帰って事業を立ち上げる、犯罪者に身を落として死刑になる、夢オチなど、数々の人生が主人公を待っている。 細部まで気を遣った作り込み。 ストーリーに直接関係ない施設には、ミニゲームが用意されている 各種店舗でのアルバイト(酒場のウェイターゲームなど)、カジノのスロット・ブラックジャック・ポーカー、公園の3D迷路、スラム街での乱闘、などなど…。 二周目以降は一周目の負けバトルにも勝利できるようになる。新しい展開やエンディングに派生することも。 特にリリスとは戦う事も出来るが、世界最強だけあって一周目ではまず手も足も出ない。しかしそれすらも主人公が強くなれば勝ててしまい、専用のEDまで用意されている(*4)。 5人の女性キャラとは恋愛イベントも用意されている。 試験合格後、トゥルーエンドルートに進まず且つヒロインの誰かと親密になっていた場合はそのヒロインとのエンディングを迎える事ができる。ヒロインエンドに限り、スタッフロールの背景が変化する演出もある。 新品の値段が1980円と安価 この手の作品の場合、細部の作りこみが浅くて粗も多いという、安さを言い訳にしたような出来の悪い作品も多かったりするが、本作では細部にわたり、きちんと丁寧に作っている。 前ターンの影響を受ける特技、単純に正解の選択肢を選べば良いわけではないクイズがあるなど、なんとかして独自性を出そうとという意気込みが感じられる。 問題点 ストーリーは試験だけで終わる。これは意図されたもの(後述)だが、物足りなさが否めないのも事実。 トゥルーエンドも正に「俺達の戦いはこれからだ!」と言う形で終わる。 終盤には仲間達がそれぞれのドラゴンを相棒にしたり、強大な敵の存在が明らかになったりとストーリーが大きく動き出し、主人公達の新たな旅の始まりが描かれるが、そこで物語は終わってしまう。ラスト付近で急に真実を語ったり伏線を張り出したかと思いきや終了する為、中途半端な印象に。 エンディング直前にある生き物に名前を付ける事が出来るが、その直後にゲームが終了する為、ほぼ無意味。 ドラゴンの生態など、世界観設定が緻密に作り込まれているのだが、それが活かされているのはせいぜい筆記試験程度と、半ば死に設定のような格好に。これも後述する路線変更の関係である。 ストーリー展開そのものにも好みが分かれる部分がある。 熱いだけにクサい部分がある。「己の中に漢を宿す」「ホンモノ」等。 ストーリー上の都合だが、ラスボスにあたるキャラが存在しないのもRPGとしては物足りなさがある。 ラストダンジョンの入り口で主人公一人で戦うボスが居り、これが一応のラスボスではある。ボスも主人公にとって因縁の相手である為、シーン自体は盛り上がる。 しかしあくまで試練の一つであり、その後でラストダンジョンの探索が始まり、以後もしばらくストーリーが続く為、あまりラストバトルという感じはしない。BGMもそれまでの中ボスと同じなので雰囲気も今一つ。 過去の飯島氏の作品とは毛色が異なるため、飯島作品の古くからのファンからは「インパクトが弱い」という意見もあった。 グラフィックや演出が地味。 特に戦闘パートはSFC時代のRPGを彷彿させる。ドット絵自体はそれなりに描かれていはいるが、当時の作品としても前時代的である。 メイン、サブ問わずアドベンチャーパートに登場するキャラにはほぼ全員に立ち絵があり、酒場の客やショップの店主にまで個別の立ち絵が用意されている。 しかし量が多い為か、メインキャラは概ね問題無いものの、サブキャラの立ち絵には低いクオリティのものがある。 また、ムービーやキャラボイスは一切無い。これはまだシリーズ一作目と言う事もあって予算が無かった為である。 基本的には良好なゲームバランスなのだが、詰めの甘さも見られる。 魔法に比べて特技が使い難い。手間がかかるわりに効果が薄い。 勿論パーティー編成の都合で、魔法が使えない(あるいは魔法が苦手な脳筋ばかり)場合は重宝するが。 本作に限った話ではないが、レベルなどの引継ぎあるため、二周目以降の敵は基本的に弱い。 但し、上述したリリスなど、周回プレイを前提とした強敵等は存在する。前の周で負けてバッドエンドになってしまった為、周回プレイで強化してリベンジすると言った楽しみ方もある。 しかし逆に「○○に負ける」というエンディングも存在する為、強くなり過ぎて負けるのが難しくなり、エンディングコンプリートの障害になってしまう事も。 エンディングの中には非常にあっさり終わるものものある。 例えば試験に合格しつつトゥルーエンドルートに進まなかった場合のノーマルエンド。せっかく本作の最終目的であるドラゴンナイツになれたのに主人公のモノローグが少し入るだけで味気ない。ヒロインの誰かと親密になっていればその後でやり取りが入り個別エンド扱いになるが、該当キャラがいないとそこで終わってしまう。 試験の最後にある二択を迫られ、一方を選ぶとトゥルーエンド、もう一方を選ぶとこちらのエンディングに分岐する。しかしトゥルーエンドに進まない場合の選択も一つの答えであり、それを選んだなりのエピローグがあっても良かっただろう。 ヒロインのうち三人には破局するバッドエンドが存在するのだが、いずれも文章はマイナーチェンジである。 メッセージスキップが無い。 飯島氏によると、選択肢以外にも細かい行動で主人公の隠しパラメーターが変化し、それに応じて微妙にメッセージが変わっていく関係上、既読か未読かの判定がほぼ不可能になってしまったからだと言う。同じ行動を取ったはずなのに違う展開になるなど、『学怖』のようなフラグ管理された作品とはまた違った意味での「何度も遊べるゲーム」を目指した結果だそうだが、氏自身も「何度も遊ばせるための気力を削ぐ一面も持ちあわせてしまった」と認めていた。 しかし無理に既読スキップでなくとも、他のRPGでもよく搭載されているようなボタン押しっぱなしのメッセージスキップでも良かったはずである。 『死者の呼ぶ館』でも搭載されず、『ラビッシュブレイズン』でようやく×ボタンの押しっぱなしでメッセージスキップが可能になった。 1つのメモリーカードに1箇所しかセーブできない。 エンディングは25種類もあるのに、1つ見るたびに必ず最初からやり直す羽目になる。 周回プレイを前提としたゲームでは、その場合普通はプレイデータの他に「システムデータ」を用意する事が多い。この点はPANDORA MAXシリーズを通して改善されなかった。 上述した通り周回によりレベルが上がっていると見るのが難しくなるEDもある。 物語終盤で、ある仲間の秘密が明らかになる。 判明後はそのキャラへの見方はおろか、そのキャラ自身も印象をがらりと変えてしまうため、判明前のキャライメージを気に入っていたプレイヤーからは否定的な意見もあった。 嘘か本当か、公式サイトの掲示板には「怒ってディスクを割った」という書き込みもあった。 上述した通り、物語の最終局面で主人公がある質問をされるのだが、その質問に対する2つの選択肢の内ある一方を選択するとトゥルーエンディングに到達する。 しかし、このエンドには展開が一種類しか存在せず、それまでに(最終局面に到達できる範囲で)どういう行動を取ったとしてもほぼ反映されない。 仮にお気に入りのキャラとのイベントを進行させていたとしても、真EDにそれらを反映した描写はナシ。マルチエンディングであるだけに残念がられた。 一応、ヒロインの一人だけは真EDに影響するようになっている。他のキャラとも真EDルートの途中にイベントが挟まる程度の描写はある。あくまで途中のイベントだが。 総評 作りこみは決して手抜きという事は無く、おおむねどの要素も冒険せず実に手堅く組まれている。ストーリーや世界観も王道ながら分かりやすく纏められており、多くの選択肢とマルチエンディングによって好奇心を刺激する事に成功している。 一方、グラフィックや演出に漂う低予算感、不親切なユーザーインタフェースなど、魅力を打ち消してしまうような問題もある。この辺りが「良作」ではなく「佳作」と呼ばれる所以である。 PANDORA MAXシリーズにおいても第一弾だった事もあり、まだまだ地味な部分も目につくが、総合的な完成度は1980円の安さには見合わないと断言できるほど高い。ゲームアーカイブスでも配信されて(中古で買った方が安上がりだが)いるため、興味があればプレイしてみるだけの価値はある。 余談 シナリオの初期案は(製品版の)正規ED後の主人公達の旅を描く内容だったが、それでは普通のRPGになってしまう為に敢えて前日譚的なストーリーに変更したとの事である。本作のトゥルーエンドが中途半端だったり活かされていない設定が多いのはその為である。 その為、相当数のプロットが破棄されたと言う。妖精のプリルが人間になる展開もあり、実際に『ラビッシュブレイズン』収録の設定資料でそれらしきラフを見る事ができる。 トゥルーエンドで存在が明かされる敵勢力も本作では名前が出てくるだけだが、当初のシナリオでは「飯島キャラ」らしいキャラクターが続々登場する予定だったとか。 パンドラボックス代表・飯島健男は当時、本作のジャンルについて「あくまでRPG」と明言していた。ゲームアーカイブス配信時にも「アドベンチャーRPG」と名乗っている。それが近年、一部では批判の的になった。 しかし「ドラゴンクエストシリーズ」で知られる堀井雄二もRPGとADVの違いを「パラメーター的な成長の有無」と述べており、この定義に従えば、飯島による「本作はRPG」との主張は極々普通の主張である。 ちなみに「パラメーター的な成長の有無」というと、育成SLGも同様なのでいまいちピンとこない人も多い。しかし、育成SLGの始祖『プリンセスメーカー』は、製作者である赤井孝美が『ドラクエ』を簡略にした「動かないRPG」と明言しているなど、育成SLGはRPGを源流にした親戚と言うべきジャンルである。と言うかドラクエのヒット直後は成長要素さえあれば『頭脳戦艦ガル』等のように猫も杓子も「RPG」を名乗っていた。 TRPGより先にCRPGが有名になった日本では勘違いされがちだが、本来RPGとは「冒険(アドベンチャー)要素のあるSLG」として誕生したものである(*5)。なので、一見アドベンチャーゲームな作品がRPGを名乗っていても問題は無い。ゲームブック版ドラクエをRPGでは無いと言う人はいないだろう。逆に言えば「パラメーターの成長=RPG」と言うのも日本人の感覚なのだが…(*6)。 シリーズ三作目の『ラビッシュブレイズン』とは世界観を共有しており、本作の舞台であるカグランテス国の隣国を舞台としている。本作キャラも一部登場。 同じRPGと言う事もあってか、本作からデータコンバートで引き継げるアイテムが多い。 尚、コンバートでアイテムを引き継ぐ条件は「それまでのプレイで一度でも手に入れた事がある」ことなので、コンバート時に当該アイテムを所持していなくても良い。