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- Not yet 1:2011年3月16日「週末Not yet」Not yet 2:2011年7月6日「波乗りかき氷」Not yet 3:2011年11月16日「ペラペラペラオ」Not yet 4:2012年5月30日「西瓜BABY」Not yet 5:2013年9月25日「ヒリヒリの花」Not yet *
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大島優子・北原里英・指原莉乃・横山由依 4人が織り成すAKB48の超最強ユニットともいえる彼女達のプロジェクトが遂に始動! 1stシングル「週末Not yet」でオリコンウィークリーチャート1位、 2ndシングル「波乗りかき氷」で同チャート1位を獲得。 3rdシングル「ペラペラペラオ」で同デイリーチャート1位を獲得。 4thシングル「西瓜BABY」で同チャート1位を獲得。 ★Not yet公式サイト http //columbia.jp/notyet/ ★AKB48公式サイト (大島・北原・横山) http //www.akb48.co.jp/ ★HKT48公式サイト (指原) http //www.hkt48.jp/ ★太田プロ公式サイト http //www.ohtapro.co.jp/ ■メンバーブログ ├大島優子 http //ameblo.jp/oshima-y/ ├北原里英 http //ameblo.jp/kitahara-rie/ └指原莉乃 http //ameblo.jp/sashihara-rino/ 【 Media 】 テレビ ▼OA情報▼ ★7/29(日) スペースシャワー TVプラス「Not yet スペシャル」 ※Not yet ミュージックビデオ特集 ▼Not yet初のレギュラー番組『ヨンパラ』がDVD化決定!! 2011年10月~2012年3月にTBSで放送した人気番組『ヨンパラ』待望のDVD予約開始 『ヨンパラ』とは、AKB48の人気ユニット「Not yet」の4人のメンバーが、 その人気ゆえスケジュールが合わずに4人同時に揃えないのを完全に逆手にとり 『じゃあ同じ時間に4人のいる4つの場所を中継でつないで、同じゲームでバトルさせちゃえッ!』 という「なんでもあり」のゲームバトル番組! ★2012年7月27日発売 DVD-BOX1(Vol.1~4セット)¥8,316(税込)/DVD Vol.1/2/3/4 各¥2,079(税込) ★2012年9月14日発売 DVD-BOX2(Vol.5~8セット)¥8,316(税込)/DVD Vol.5/6/7/8 各¥2,079(税込) ●発売元/TBS、●販売元/フェイス ★商品内容詳細はコチラ↓↓↓(フェイスWebサイト内) http //columbia.jp/notyet/ban_dvd.html 合計 - 今日 - 昨日 -
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Not yet メンバー 名前 年齢 身長 体重 B W H カップ 更新日 横山由依 28 158 74 60 86 2011/06/27
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Not yet メンバー 大島優子:北原里英:指原莉乃:横山由依 #blogsearch
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Not Yet ◆Z9iNYeY9a2 ← 「行ったようだね、アリスは」 ◇ 既に視界には何も映らず、聴覚も何も捉えないはずの無の中。 これが死というものなのだろうかということを考えた。 ―――これでいいの? 終わりたくなどない。 だが今更何ができるというのだろう? まどかを守ることも救うこともできず、美国織莉子に敗北したまま命を終えた。 だが、死は絶対に覆ることはない。 魔女となった魔法少女達が決して元に戻ることがなかったように。 ――――諦めていいの? ……… いいはずが、ない。 たとえそれが、如何に世界の理に反した想いであったとしても。 それでも、決して諦めることはできない。 だから、ふわふわとした意識の中強く願う。 奇跡。 そんなものにでも縋ってやる。 どれだけ醜悪な想いであっても、どれほど重い罪であったとしても。 まどかのためなら全て背負える。 だから。 (もう少しだけ―――もう少しだけでいい) この身に、生が欲しい―――――――――!! 己の内に、強く熱い何かが生まれ出て。 その瞬間だった。 右も左も、自分の形すらも分からぬ闇の中で、二つの輝く瞳が映った。 人ではない生物。 巨大な翼と6本の足を持った、まるで魔女のような姿の何か。 醜悪にも思える外見だったのに、その時の私にはとても神々しいものに見えた。 その巨体に、静かに手を伸ばす―――ように感じられる動きをして。 昏い闇の中で、自分すらも保つことができなかったほむらを、さらに深い闇色の何かが包み込んだ。 ◇ アリスは去り、生者は一人としていなくなった室内。 黒猫は静かにその体毛を白く変化させる。 瞳は赤く輝き、耳からは別の耳と思しき物体が現れる。 そして背中の円状の模様がパカリと開き、中から取り出されたのはしろがね色に輝く球。 「ふぅ、さすがに窮屈だったよ」 ほむらの死体の傍で球をかざす黒猫、もといキュウべえ。 「少し時間を取られすぎたかな。今からはっきんだまを向こうに転送するのは間に合いそうにないね。 仕方ない、ここでやるしかないか」 と、キュウべえは球をかざし。 「あとは頼んだよ、アクロマ」 ここではないどこかにいる一人の人間に向けて、そう呟いた。 ◇ はっきんだま。 それはディアルガ、パルキアに続くもう一匹の伝説の竜、ギラティナの力の一端が収められたもの。 元々ギラティナの力は世界に歪みが生じた時にそれを世界の裏側から修正する役割を担っている。 その力の断片を会場に配置しておくことで、会場の結界の安定化を促せるというアクロマの仮説の元で参加者の支給品に混ぜられたものだ。 この仮説が問われた段階では、ギラティナ自身を捕獲する術がなかったため、あくまでもその力ははっきんだまを利用することで代用してきたのだ。 しかし。 アクロマの手によって再現された、神々の力をも御する拘束具、あかいくさりが完成し。 そして数時間前に判明した一つの要素によって、ギラティナを捕獲する術が整った。 あとはタイミング。 それを引き起こすために必要な、膨大なエントロピーが発生する瞬間。 ほむらの死によって、それが成り立った。 「アクロマ、来るよ!」 「準備はできています」 バトルロワイヤルの会場ではないどこか。 あるいはあの結界の外、とでも言うべき場所。 その一角に、インキュベーターとアクロマはいた。 見つめる先にあるのは、不安定になり歪みを生じさせる空間に少しずつ開いていく巨大な穴。 そしてその奥から見える、ギラリとこちらを覗く瞳。 戦意を露わに、それは開いた穴へと向かって一直線に入り込み。 ――――ピシェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア 轟く咆哮と共に、キュウべえとアクロマの目の前の空間に潜り込んできたその巨体。 灰色の体に長い体、6本の足、そして巨大な漆黒の翼を持った異形の生命体。 それはディアルガ、パルキアの伝説が伝えられしシンオウ地方においてもほぼ伝承が残っていないとされたいわば記録から封印されたポケモン。 はんこつポケモン、ギラティナ。 「ゴガァ!!」 ギラティナは敵意はそのままに、その口に透き通った、しかしひとたび吐き出されれば多くのものを焼き払うだろう波動を放出せんと構え。 「今だよ!」 「赤い鎖、発射」 しかしそんなギラティナを前にして尚も焦ることなくアクロマは冷静に自分の成すべきことをする。 手に持った機器を操作したその途端、ギラティナの立っていた地面から赤い色の鎖が顕現。 その体をがんじがらめに縛り上げる。 その口腔から吐き出そうとしていた竜の波動はあらぬ方向に吐き出され壁を打ち崩す。 しかしその身に絡みついた鎖は解けることはない。 暴れまわる度に地響きが鳴り、それだけ鎖はギラティナの体を無力化するかのように締め上げる。 「―――――――ギィァアアアアアアアア」 それでも最後の抵抗とでも言うかのように、その体に闇を纏わせて姿を消そうとする。 シャドーダイブをもって鎖を抜け出す、ないし破壊しようとしているのだろう。 だが。 ―――――ォォォォォォ その体が消え去る寸前、遠くから轟くような鳴き声と共にギラティナに向けて膨大なエネルギーが衝突した。 時間が歪んで感じられるようなものと、空間を引き裂かんとするようなものの二つの力。 シャドーダイブを使うために無防備に近い状態を晒していたギラティナにそれを受け止めるだけの態勢を取ることはできず。 そのまま抵抗するように一度吠えた後、地に蹲り沈黙した。 「うまくいって助かったよ。アカギ、感謝するよ」 この場にはいないはずの相手に向けて感謝を述べるキュウべえ。 そしてアクロマは動かぬギラティナへと駆け寄り、あらかじめ設置してあったらしい多くの機材のケーブルを繋いでいく。 「では、後のことは私がやっておきましょう」 「そうだね、それじゃあはっきんだまを回収するとしよう。転移装置、起動頼むよ」 「了解しました」 ◇ ギラティナを捕獲する術がなかった理由。 それはインキュベーターが貼った干渉遮断フィールドによるものだった。 このフィールドに守られている間は如何なる干渉も遮断する。 それは例え神のごとき力を備えたギラティナであっても例外ではない。 もしこれを力技で破ろうとするならば、それを遥かに超える力が必要となる。 故にディアルガ、パルキア、そしてはっきんだまの存在を感知したギラティナであっても手出しできない状況にあったのだ。 しかし、これはこちらがわからの干渉も遮断してしまうという不都合があった。 それは回収したエントロピーを分散させないための術であったのだが、もしこれを解除してしまった場合、会場の結界そのものを消すことになってしまう。 結果、ギラティナの干渉を弾く一方でこちらがわからも手出しできないという拮抗した状態が続いていた。 だが、あのガブリアス達の発生させたエントロピーでワームホールを発生させるという現象が発覚したおかげで、会場の結界を消すことなくギラティナをこちら側に呼びこむ術を見出すことができた。 すなわち、ギラティナを通すことができるだけのワームホール。 それを作りうる程の因果を備えた参加者の死と同時に、こちら側にギラティナを呼び寄せる。 それを起こせる者の一人はキュウべえ自身が目をつけていた参加者、暁美ほむら。 あとは彼女が死ぬまで気長に待つつもりだったが、ここで美国織莉子に敗れてくれたのは幸いだった。 全てが順調に進んでいた。 「…私たちを差し置いて何をやってるのかしら?」 そんなキュウべえとアクロマのいる室内に現れたのは一人の少女。 桃色の髪を左右に縛った、中学生くらいの年の女の子。しかし纏っている衣装はまるでどこかの騎士のような姿。 「おや、アーニャかい。どうしたんだい?」 アーニャ・アールストレイム。 シャルルの直接の部下にしてこの殺し合いの儀式の協力者の一人。 「シャルルや私達には何の連絡もなく大きなことをしてるみたいだから、少し様子を見に来ただけよ」 「すまないね。ことは急だったものだから、連絡する暇がなかったんだ」 「少しは互いの連携も意識してくれないと困るわよ。 あなた達の世界の最終兵器にエントロピーの回収機能を結びつけたのは誰だと思ってるの?」 「そのことには感謝してるよ。だから今回のような時も今後は気を付けるさ。本当だよ」 無表情なまま、悪びれているのか分からぬ表情でそう告げるキュウべえ。 「正直なところ、シャルルは全面的にあなた達の話を信用してるみたいだけど、私としてはまだ懐疑的なのよね。 あなたの言うエントロピーなんてものが本当に存在してるのかってところとか」 「そこは視覚的に観測できるものじゃないからね、仕方ないよ。 それでもこの殺し合いで参加者達の行動、そして死を通して回収されていくエントロピーは最終兵器を通して認識できるはずだよ」 最終兵器。 それはかつてカロス地方という場所で王が作り上げたもの。 本来は命を落とした一匹のポケモンを蘇らせるために作られたはずのそれは他の誰でもない王自身の手で全てを滅ぼす最悪の兵器へと形を変えていた。 王の悲しみを怒りへと変貌させる。 まるで希望を絶望に変異させるかのように、その想いを移り変わらせて。 ここにあるのはそれと同じ機能を持ったものだ。 動力を多くのポケモンの生体エネルギーとして起動するそれは、曲がりなりにも死者を蘇らせるという奇跡を成し遂げている。 では、ここにさらに純度の高いエネルギーを注ぎ込めば、一体どのような奇跡が起こせるだろうか。 例えばエントロピー。インキュベーター自身が回収することを目的としている、宇宙の熱力学的死を回避するために不可欠なもの。 本来ならばそのようなものを回収する機能など最終兵器にはもたらされてはいない。 だが、ポケモンのいない世界には他にも様々な奇跡を起こしうるものは存在している。 その一つに聖杯、というものがあった。 万能の願望機。如何なる望みも叶えうると言われる奇跡の釜。 セイバーやバーサーカーのようなサーヴァント、そしてイリヤスフィール達のいたような世界にあるものだ。 無論それも本物ではない。あくまでも限りなく本物に近い機能を持った贋作の一つだ。 それを解析し、その魔術的な作りをエデンバイタルの力をもって再現、最終兵器に転用することで今のエントロピー回収装置とすることができたのだ。 「こればっかりは信じられない、というならシャルルのことを疑うのと同義になってしまうけど、それでも君は信用できないかい?」 「…確かにそれもそうね。私が悪かったわ」 「大丈夫さ。最終兵器がエントロピーの回収さえ終えれば、僕達の目的は完遂される。 今僕達にできるのは、それを確実にするためにこの殺し合いの儀式を達成させることさ」 ピョコ、とアーニャの肩に乗り上がるキュウべえ。 それを特に何の反応をすることもなく、アーニャはただじっと無表情で見つめるだけ。 「回収準備、整いました」 そんな時、アクロマがキュウべえに呼びかける。 はっきんだまを回収する準備が整ったということだ。 肩に乗っていたキュウべえは、反対側から飛び降りてアクロマの足元まで駆け寄る。 「よし、それじゃあ座標を合わせて――――ちょっと待って」 と、アクロマが装置を起動させようとしたその時、何かに気付いたキュウべえが待ったをかけた。 ◇ 「…まさか、こんなことが起こり得るなんてね」 それは会場内、黒猫に擬態していたキュウべえの目の前。 暁美ほむらの物言わぬはずの躯の胸が、静かに上下している光景があった。 「ソウルジェムを砕かれたはずの彼女がどうして」 そう、暁美ほむらは息を吹き返している。 未だ意識こそないものの、その生命はまだ終わりを告げてはいなかった。 死んだことは紛れもない事実。しかし生き返るような要素が暁美ほむらにあっただろうか―――― 「まさか、はっきんだまと暁美ほむらのエントロピーを通したことで、何かしらの現象が起きた、ということなのか?」 原理も何も分からない。ただ分かるのは、これが自分たちにとってイレギュラーな事態であるということ。 「一応彼女も回収して何が起こったのか調べる必要がありそうだ。 もしはっきんだまが原因で起こった現象だとするなら、何か重要な存在にもなるかもしれない」 もしかすれば彼女自身もっと有用な使い方があるかもしれない。 彼女自身、あるいは彼女に起こった現象自体に。 「アクロマ、はっきんだまと一緒に暁美ほむらの回収もお願いしたい。頼んだよ」 キュウべえの、何もない虚空に対する呟きに反応するかのように空間に小さな歪が生まれ。 やがて暁美ほむらとはっきんだまの姿はその中に掻き消えていった。 「さて、それじゃあこっちはこっちで適当に動くとしようか」 その数分後、一軒の民家から黒猫が一匹飛び出していく。 飛び出した部屋には何もない。 ただ、ほんの僅かに汚れたベッドが残っているだけ。 ◇ 「はっきんだまからキュウべえ君の作る魔法少女達の持つソウルジェムと同じ反応が検出されています。 どうやらはっきんだまにこの少女の命とでも呼ぶべきものが収められているようですね」 「さすがにこれは僕にも想定できなかったよ」 「それで、どうされるのですか?」 「とりあえず念のため拘束しておいた上で、目が覚めるまで待って話を聞いてみようと思う。 もしかしたら彼女自身に何か使い道があるかもしれない」 「了解しました。では念のためあかいくさりを一部預けておきましょう」 「頼むよ。 そういえば、ギラティナを呼び寄せた時に何か変わったことはなかったかい?」 「…それがですね。やはりあれほどのポケモンを降臨させたことで会場に張り巡らせた調整機器に強い負荷がかかってしまいまして。 特に制限装置が一部故障してしまったようなのはまずいですね」 「ふむ…。直せそうかい?」 「次の放送までには予備の装置に切り替えられるはずです」 「じゃあ頼んだよ。儀式の進行に支障をきたす事態が起こらないようにはこっちでも調整しておくから」 「分かりました。お願いしますね」 ◇ 暁美ほむらに起こった現象。 キュウべえ達はほむらの持つ膨大なエントロピーを媒介として、ギラティナを招き入れ捕獲した。 その存在を文字通り縛り上げることで。 それがほむらとギラティナの間に小さからぬ繋がりを作り出してしまったのだ。 そしてその繋がりを元にあかいくさりがほむらの霧散しかけていた魂そのものも繋ぎ止めた。 今、ほむらの魂ははっきんだまに収められている。ギラティナの力の一端が収まった球はほむらのソウルジェムの代用品となったのだ。 インキュベーターであってもその発生を読むことができなかったのは仕方のないことだろう。 彼自身もエントロピーによって発生しうる奇跡の可能性を全て認識しきれているわけではないのだから。 しかしここで一つ、誰も気付いていないことがある。 ギラティナと深層的な部分において繋がりを持ったほむら。 魂をも留めたそれは、また別の部分においても繋がりをもたらしていた。 それは、ギラティナとの感覚。 視覚、聴覚といった感覚の一部がはっきんだまとの繋がりを通して共有されたこと。 意識を失った彼女の感覚が、ギラティナとも共有されてしまっていたことに誰も気付いていない。 無論意識のないほむらにそれらを認識することがあったかどうかは怪しい。 あるいは目が覚めた時にはほとんどのことを忘れている可能性すらあるだろう。 ただ一つ言えること。 それはじっと地面に横たわるギラティナは、アクロマとキュウべえ、そしてアーニャの会話の一部始終を聞いていたということ。 最終兵器のこと、制限装置の不調のこと、それ以外にも、ギラティナがあかいくさりに拘束されて以降の会話の全てを。 薄く目を開くギラティナの瞳の奥に、一瞬闇色の何かがドクリ、と通り過ぎていったことに、誰も気付いていない。 【暁美ほむら 蘇生(主催者側にて回収)】 【?????/一日目 夕方】 【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:健康?、あかいくさりによる拘束 [服装]:見滝原中学校の制服、まどかのリボン@魔法少女まどか☆マギカ [装備]:はっきんだま(ほむらのソウルジェムの代用品)@ポケットモンスター(ゲーム)、あなぬけのヒモ@ポケットモンスター(ゲーム) [思考・状況] 基本:??????? 最終目的:“奇跡”を手に入れた上で『自身の世界(これまで辿った全ての時間軸)』に帰還(手段は問わない)し、まどかを救う。 [備考] ※はっきんだまにほむらの魂が収められており、現状彼女のソウルジェムの代用品とされています。 ギラティナを制御しているあかいくさりによってその生命が間接的に繋ぎ止められている状態です。 ※バトルロワイヤル上においては死亡扱いとなっているため次の放送では名前を呼ばれます。 ※ギラティナと感覚が共有されており、キュウべえ達の会話を聞いていた可能性があります。 ※バトルロワイヤルの装置には最終兵器@ポケットモンスター(ゲーム)をインキュベーターが改良したものが使われています。 ※アクロマがギラティナを捕獲しその力を解析しています。 ※現在ロワ会場での一部制限が機能しなくなっている可能性があります。 ※会場のどこかを黒猫(キュウべえ)が徘徊しています。 127 少女よ立ち向かえ―進撃の狂戦士 投下順に読む 129 帝王のココロ 時系列順に読む 130 魔法少女は絶望と戦いの果てに 126 憎悪-Badblood mind 暁美ほむら 135 Guilty Girl 美国織莉子 132 虚の中の道標 アリス 138 Saver of Revenger 124 閃光の真実と深淵の影 キュゥべえ 135 Guilty Girl アクロマ
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大島優子 2013/10/29 19 35 Trick or treat!!!Going to mischief ) 大島優子 2013/9/26 20 29 Notyetデイリー1位ありがとう!ヒリヒリの花〜イベント楽しみ〜
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【就寝Not yet】(作詞:@prfmshr113) 数日は寝てないぜ! 目のくまが酷いぜyeah! 早く寝たいな布団の中で♪ 体が臭いんだぜ! 風呂にも入ってないんだyeah! あともう少しで布団で寝れる日がくるよ…
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Not yet(前編) ◆X8NDX.mgrA 新たな来訪者から少し時間の経ったラビットハウス。 店内では、朝食を終えた女子三人が雑談をしていた。 笑い声こそ起きないが、それでも時折明るい声が響いている。 唯一の男子である風見雄二は、少し離れた席で、二階から拝借した紙とペンを使いメモを取っていた。 情報をまとめて整理しておくことは、決して無駄にはならない。 それに、ただ防衛に徹しているだけではなく、殺し合いを打開する方法を考えたいという気持ちがあった。 「やはり情報が少なすぎる……」 DIO、針目縫、キャスター……要注意人物。 平和島静雄、花京院典明、ジャン=ピエール・ポルナレフ……DIOの『肉の芽』に操られている可能性がある人物。 衛宮切嗣……越谷小鞠殺人事件の容疑者だが、現時点では保留。 蒼井晶……モデルをしており、かなり性格が悪いらしい。殺し合いに乗っても不思議ではない。 このように、現段階で判明している危険人物を、危険度の高いと思われる順に並べて書いてみた。 しかし、疑惑も含めても、その数は八人。第一回放送で呼ばれた死者の数を考えると、殺人者はこれよりも多いはずだ。 雄二はもう何度目になるか、明らかな情報不足を意識した。 同時に、足りないのは情報だけではないとも感じていた。 師匠、日下部麻子の言葉を思い出す。 ――とにかく本を読め。そして気になったことは試せ。 ――それが生きた知識となって、オマエを生かす糧になる。 その言葉通り、雄二は大量に本を読み、そして経験を積み、大量の知識を獲得した。 しかし、今現在その知識を活かせているだろうか。 遊月の話すカードゲーム『WIXOSS』など、知識のないものについては考えても仕方がない。 逆に言えば、既に得ている知識をこの場で活かせなければ、それは雄二の落ち度になる。 雄二は、これまでの人生で手に入れた、生きた知識で雄二自身と、この少女たちを守らなければならないのだ。 「風見さん、ちょっといい?」 「……ん、どうした?」 気付くと、雄二の周りには遊月たちがいた。 談笑していたときの雰囲気とは違う、真剣な面持ちだ。 話を切り出してきたのは、遊月だった。 「ちょっと気になったんだけど。 警察とか軍隊とか、助けに来てくれないのかな?と思って」 「警察?」 チノがテーブルに置いたコーヒーカップを手に取りながら、雄二は聞き返した。 遊月はその反応に勢いづいて、手ぶりを交えて意見を述べ始めた。 「私やチノやリゼさん、風見さんも、突然いなくなったら、親が心配して警察に連絡するよね? しかも何十人も一斉に消えてるんだから、神隠しとかってニュースで騒がれそう。 だから、皆で安全な場所に身を隠していれば、救助隊が来るんじゃないかと思ったんだけど……」 遊月はそこで言葉を切って、どうだろう、と言いたげな視線を雄二に向けてきた。 聞いていたリゼとチノも、期待するような視線を向けてきた。 軍隊に所属していた者としての意見を聞きたいのだろうと、雄二は解釈した。 外部に救助を頼る。誘拐も同然のこの状況では、誰しも考え付くことだ。 しばし考え込んでから、雄二はこう答えた。 「現状では来ない可能性が高いな」 「え、どうしてですか?」 驚きの声を上げたのはチノ。思わず発したのだろう、口もとに手を当てていた。 雄二は微笑ましく思いながら続けた。 「ここまで大がかりな計画だ。繭も失敗を防ぐための手段は講じているはず。 そう簡単に、殺し合いの情報が外部に漏れるような愚行を犯すとは思えない」 ここまではいいか、と目で確認する雄二。 冷静沈着なその態度に、女子たち全員が頷いた。 「――そうだな、いい機会だ。主催者である繭の力を確認しておこう」 「繭の力、って?」 「とりあえず座れ」 雄二が促すと、遊月たちはいそいそと対面の席に着いた。 講義を受ける学生のように、やけに真面目な顔つきだ。 「まず、繭の力が途方もないことは全員理解しているだろう」 雄二の問いに、再び全員が頷いた。 このバトルロワイアル・ゲームの主催者が持つ力。 それは、七十人以上の人間(人外の存在もいるらしいが)を誘拐できる組織力。 また、無人島を所有し、幾つもの施設を造設、あるいは移設することができる財力。 相手が普通の少女でないことは、容易に想像がつく。 「ただ、それだけならまだ常識の範疇を超えない。 世間には総資産が数百億を超える人物もいる。彼らの道楽趣味と考えることもできなくはない」 この悪趣味なゲームに、どこか雄二は既視感があった。 そして放送の内容を思い出す中で気付いた。これはまるで本で読んだコロッセオだと。 コロッセオ。ローマ帝政期に建造された円形闘技場。 コロシアムの語源ともなったそこでは、何人もの剣闘士と何百匹もの猛獣が、血生臭い戦闘を繰り広げた。 ローマの市民は観客となって、悪趣味とも言える娯楽を楽しんだと伝えられている。 この状況と似ているではないか。 繭が観客で、参加者は剣闘士と猛獣。 殺すか殺されるかの勝負を繰り広げるさまを、繭自身が楽しんでいるとしたら。 この殺し合いは、繭にとって単なる娯楽に過ぎないのだ。 「……そんなのって」 不意に遊月が呟いた。そして次の瞬間、テーブルに両手を叩き付けて音を鳴らす。 身体をびくりと震わせるチノとリゼ。 間髪容れず、遊月は怒りを隠そうともせずに言った。 「つまり、この殺し合いって、繭が不思議な力を使って開いた道楽ってこと!?」 「落ち着け」 雄二は咄嗟に立ち上がり、遊月の肩を掴んだ。 僅かに息が荒くなった遊月に対して、リゼとチノは拳をぎゅっと握りしめながら、悲しむように目を伏せていた。 三人とも怒りの感情がある。その表し方が少し違うだけだ。 「……現状ではそう判断するのが妥当だと、俺は思う。 もちろん新しい情報が手に入れば、より詳しい考察もできるだろう。 ただ、目的もそうだが、重要なのは繭の力が財力や権力に留まらないという点だ」 繭は、雄二の常識では説明できない力を行使している。 それも、単なる娯楽にしてはやりすぎ、と言ってもいいほどに。 「例えばこのカード。これは明らかに、単なる道楽の範疇を超えている」 雄二は腕を遊月たちの前に出して、腕輪にはめ込まれたカードを指した。 魂を封じることができる、魔術が絡んでいると予測される不可思議なカード。 加えて、懐から赤と青、そして黒のカードも取り出して、見せた。 望むだけで食べ物や飲み物、果ては武器まで出てくる、物理法則を一切無視したカード。 これらの存在からも、主催者が非科学的な、雄二の常識を外れた力を有しているのは確実だ。 「更に言えば、繭は時空すら超える可能性がある」 しかもその力は、雄二が当初想定していたよりも遥かに大きいのだ。 ラビットハウスでの情報交換の際に、参加者間での常識の食い違いがあったことを思い出す。 チノとリゼで連れてこられた時期が違う? ――どちらかの記憶違いかもしれない。 承太郎は一九八七年から呼ばれたらしい? ――これも記憶違いだろう。 ジャンヌ・ダルクやジル・ド・レェといった史実の人物がいる? ――同姓同名か、あだ名と考えるのが普通だ。 世界的な大企業の名前や、世間を騒がせたニュースが浸透していない? ――たまたま世情に疎い人間ばかり集まったのだろう。 『記憶違いや偶然』で片付けるには、こうした食い違いが多すぎた。 折原臨也が提唱した『異なる世界』と『異なる時代』という発想が、これらを解決した。 オカルトを信じない人物なら一蹴したかもしれないが、雄二は既に魔術の存在を知り、スタンドが顕現するのを目の当たりにしている。 繭が『異なる世界』『異なる時代』から参加者を集めたという発想は、驚きこそすれ、可能性として考えない理由は皆無だ。 そして、この発想が正しければ、繭は時空を移動する技術を持つことになる。 ここまで聞いた遊月は、愕然とした表情をしていた。 「時間や空間を超える、って……そんなの」 信じられない、と言おうとした遊月だが、その言葉は続かない。 チノやリゼとの会話で、大人気モデルの浦添伊緒奈や蒼井晶の名前を出したところ、知らないと言われているからだ。 何も言えず、遊月は押し黙った。 「信じられないのも無理はない。だが、可能性は高い」 それは形容するならば、人智を超越した、神にも等しい力。 常識的に考えれば、風見雄二という一個人に太刀打ちできるはずもない。 ましてや戦闘経験すらない遊月やリゼ、チノといった少女たちは、尚更だ。 ふと、雄二は疑問に思った。では、少女たちは何のために参加させられたのか。 (参加者選びに繭の意図が介在していることは間違いない。 ならば、戦闘経験のある人物と、そうでない人物を混ぜる意図とは――) 雄二の脳裏には、先程のコロッセオの例えが再び浮かぶ。 DIOや針目縫、キャスターといった殺人に忌避のない者が、誰彼かまわず食い殺す猛獣であるならば。 空条承太郎や蟇郡苛のような力ある者は、その猛獣と殺し合う剣闘士の役割を期待されているのだろうか。 となると、弱者に分類されるであろう、少女たちは。 (さしずめ猛獣の餌、か) 優勝を狙う参加者にとっての格好の標的。 あるいは殺し合いを加速させるための、単なる数合わせ。 もしこの想像が正しければ、白羽の矢が立った少女たちは、ただひたすらに不幸だ。 雄二は歯噛みしたい衝動に駆られた。 無力な子供を集めて不本意な戦闘を迫り、ときには薬も使い、殺人機械を作り上げる。そんな輩を、雄二は繭以外にも知っている。 そう、あれは――。 「あの、風見さん?」 「話の続きは?」 「っ……すまない、別のことを考えていた」 チノたちの呼びかけで、雄二は我に返った。 思索にふける内に、本題から脇道にそれてしまったことに気付いた。 少女たちが招かれた理由は、今すぐに考えても意味がない。 「……繭が時空を超越しているという話だったな。 それについての情報は不足しているから、考えることは保留にする」 現状を打開するために必要なのは、まず情報。 時空を超える手段を知ることができれば、そこから現状を打開する術も思いつくかもしれない。 ただし、その手段がまだ不明である以上は考えても意味がない。 「本題はここからだ。超越した力を持つ繭も、おそらく万能ではない」 え、と三人が口を揃えて発した。 ここまで力の大きさを強調されていながら、万能ではないと言われれば、それは驚くだろう。 順を追って理由を説明するために、雄二は別の観点から話し始めた。 「繭は制限時間を七十二時間だと言っていた。つまり三日間だ。 これはゲーム感覚で、タイムリミットを付けたかっただけかもしれない。 だが、もしかすると『三日間で殺し合いを終わらせたい』のかもしれない」 雄二は白のマスターカードに、殺し合いのルールを表示させた。 ここに設定された多くは、殺し合いを円滑に進めるために必要なルールだ。 魂を封じるカードによって、殺し合いから逃れられないことを思い知らされる。 禁止エリアによって、参加者の行動範囲を狭め、また移動ルートの選択肢を減らすことで、参加者同士が出会いやすくなる。 「終わらせたい、って?」 「俺はこう考えている。 この島には、悪趣味なゲームの存在を外部から感知されないための技術が働いている」 この殺し合いには、爆弾や銃火器も凶器として支給されている。 もし、参加者がそれを使った瞬間を、島の外界から認識されてしまえば、間違いなくどこかの機関が捜査を試みるだろう。 殺し合いの主催者からしてみれば、そうした事態の対処は面倒に違いない。 となれば、外部から感知されないように手段を講じているはずだ。 「そして、その技術は、およそ七十二時間しか効力を発揮できない」 三日間という制限時間は、イコール技術の限界だ。 例えば、島全体を覆い隠すように光学迷彩が展開されていて、そのバッテリーが七十二時間しかもたないとか。 あるいは、魔術で殺し合いを隠蔽する何らかの偽装工作をしているが、それが三日で解けてしまうとか。 具体的な手段はさておき、繭が制限時間を設けた理由としては理屈が通る。 「制限時間を設定してから技術を取り入れたのか、その逆か、は不明だが……。 先にも言った通り、殺し合う様子を見て楽しみたいだけなら、制限時間を設ける必然性は低い。 おそらく、外部から感知されないための技術が先にあって、それから制限時間を設定したのだろう」 雄二はそこまで話し終えると、手元のカップの中身を飲み干した。 チノが作りすぎたミルクココアは、コーヒーに比べると、とても甘い。 「なるほど……」 「分かるような、分からないような……?」 「それが、繭が万能じゃないって話とどう繋がるんですか?」 納得したように頷くリゼとは対照的に、チノと遊月は首を傾げていた。 中学生にするには言い回しが難解だったかと反省したが、生憎この話はまだ終わらない。 雄二は新しいカップに口を付けてから、更に話し続けた。 「繭は、殺し合いを高みから眺めて楽しんでいる。 しかしその一方で、やたらと殺し合いを加速させるための措置が見られる」 禁止エリアは言わずもがな。 見せしめや魂を封じるカードは、早々に覚悟を決めさせるため。 更には、食べ物や飲み物が出るカードでさえ、疲労を回復する食事に必要以上の時間を割かせないようにするため、と考えられるのだ。 そして事実、殺し合いはかなりの速さで進行している。 「この事実、おかしいとは思わないか?」 「え?」 円滑なゲームの進行とは、言い換えれば短期間でのゲームの終結だ。 これがゲームだというのなら、三日と言わず、何日でも何か月でも続ければいい。 長く続けば続くほど、いろいろな展開が見られるはずなのに、繭はあえて三日間でゲームオーバーにしようとしている。 雄二はそこに理由を見出した。 「これが道楽だとしたら、早く終われとは思わないはず、ってことか?」 「そう、その通りだ」 リゼの言葉に、雄二は頷いた。 殺し合いの観察を娯楽としている者が、早期決着を望む理由は何か。 「こう考えれば辻褄が合う。 繭は殺し合いを楽しみたい反面、繭自身に、殺し合いを隠匿する技術、つまり――」 雄二は言葉を切ると、手元のミルクココアを飲んで喉を潤した。 そして、疑問符を浮かべている遊月たちに、雄二は自分が出した答えを提示した。 「――『三日間以上、殺し合いを進行させる能力がない』のだと」 「あっ……!」 リゼが気づきの声を上げた。チノも驚いた顔をしている。 これこそが、雄二が繭は万能でないと考える理由だ。 「俺は、繭が開いたこの殺し合いに、協力者がいると考えている。 その協力者が、この舞台や、殺し合いを隠蔽する技術を用意した、としたら」 繭にいくら力があろうと、この殺し合いは一人で作り出すには規模が大きすぎる。 そう考えた雄二は、協力者の存在を思い浮かべた。 例えるなら、武器商人のようなものだ。殺し合いを企画した繭に技術を提供して、見返りに金銭を貰いでもしたのかもしれない。 元軍人であり、特殊工作員も務める雄二は、そうした裏稼業が存在することも承知している。 このような殺し合いに関与していても、全く不思議ではない。 「繭自身は、その技術を知らない……?」 「知らないか、知っていても繭は使えないか、だな」 繭による技術ではないとすれば、繭が扱える可能性は低い。 扱えるなら、その技術を永続的に作用させて、殺し合いをより長期間、継続させることができるのだから。 それが出来ないからこそ、繭は制限時間を設けた。 「繭は殺し合いを隠匿する技術を持たず、だからこそ三日間の制限を設けた。 そう考えると、見えてくるのは――」 「もういいよ!」 雄二が結論を言い終えるよりも速く。 つい先程と同じように、バシンという音が店内に響いた。 勢いよく机を叩いた遊月を見ながら、チノとリゼは驚いて言葉を失っている。 「要は繭に圧倒的な力があって、脱出は難しいってことでしょ!?」 遊月は雄二に強い口調で言い放った。その意見は、単純だが正しい。 雄二の考えを言い換えるなら、繭には『三日間は殺し合いを進行できる』確信があるということになる。 認めたくはないが、警察や軍隊が救助に来る可能性は限りなく低い。 しかし、それよりも気になるのは、遊月がどこか焦っているように見えることだ。 「遊月さん、落ち着いてください」 「チノはどうしてこの状況で落ち着けるの!?」 その会話で、雄二は遊月が余裕を失っていることに気付いた。 考えられる要因は一つ。元からの不安に加えて、雄二の考察が不安を煽ったのだ。 雄二は己の失敗を恥じた。 「万能じゃないとか協力者がいるとか、そんなことより具体的に繭を倒す方法を考えなきゃ意味ないじゃん!」 その通りだ。遊月の言葉は的を射ていた。 そもそも繭が万能ではないというのも、単なる憶測でしかない。 可能性と推論を次々と積み上げたところで、どうなるというのか。 雄二自身、その点を指摘されることは覚悟していた。 しかし、雄二には決意があった。 「確かにそうだな。繭を倒す方法を考えることは必要だ。 そして、現状ではそれは難しい。情報不足も甚だしいからな」 それまでと何ら変わらない、真剣な目つきで。 遊月を正面に見据えたままで、雄二は己の決意を告げていく。 「だが、ここで折原や誰かが来るのを待って、情報交換をしてから考察を始めるのでは遅すぎる」 遊月が少したじろぐ様子を見せた。 チノとリゼは雄二を見つめて、じっと話を聞いている。 「救助が来るまでじっと待つのも選択肢だ。 ただ、それでは自分自身は何もしていない。受け身のままだ」 雄二には、救助を待つという方針を否定するつもりはない。 しかし、例えば地震が起きたとき。火山が噴火したとき。 そうした緊急時に命を救うのは、まずは本人の行動ではないか。 急いで高台に登ったことで、津波に飲み込まれる危機を回避した、というような話は誰しも耳にしたことがあるだろう。 そのとき、危機を回避した人は、少なくとも受け身ではなく行動した。 行動しても被害に遭遇する人はいるだろうが、何も行動せずに助かる人は少ない。 行動ありき、なのだ。 「俺の推論は、机上の空論といえばそれまでだ。 それでも、脱出の糸口を掴むきっかけになるかもしれない。 『可能性がないかもしれない』からといって足を止めていては、物事は進展しない」 殺し合いというこの緊急時でも、重要なのは行動することだ。 雄二は、この場で行動しなかったことを、終わってから後悔したくなかった。 何も出来ないまま、既に何人も死んでいるという事実が、雄二の中の何かを駆りたてていた。 「何もしないで終わるくらいなら、間違っていたとしても行動を起こした方がマシだと思わないか?」 それを聞いて、何か感じるところがあったのだろうか。 遊月は無言のまま、腰を席に下ろした。 「……ごめん」 「俺も徒に不安を煽るべきではなかったと反省している。 ところで、先程話しそびれた俺の考察を、最後まで聞いてくれるか」 沈黙を肯定と受け取って、雄二は話し始めた。 僅かな可能性を試すことが、いずれ実を結ぶことを願いながら。 「殺し合いを隠蔽する装置は、この島のどこかに仕掛けられているかもしれない、という話だ――」 ■ 紅林遊月は、同席者に気づかれないように、そっと溜息をついた。 これでいいのかと、このままでいいのかと自分に問い続ける。 シャロを探しに行くべきだったのでは? 頼れる男性に任せるのではなく、自分も動くべきでは? そんな自分への問いに、遊月は答えを出せないでいた。 現在、ラビットハウスには女子三人だけがいた。 遊月とチノが同じテーブルに座ってコーヒーを飲んでいる。 リゼは一人、コーヒーカップを洗いに行っていた。 殺し合いを隠蔽する装置、それがこの島の中にあるという考察を語った雄二は、隣家まで探索をしに行っている。 既に、ラビットハウス内は全員で調べ尽くしていた。 何か異変があればすぐに駆けつける。そう言って雄二は店を出た。 雄二の考察は、遊月に小さくない衝撃を与えた。 ここが外界から隔離された場所である、という予感はあった。 『殺し合いに勝ち残らなければ、願いが叶わないんじゃないか』 ここに来て、そんな嫌な予感を抱いたことを思い出す。その予感は、より悪質なものへと変化した。 『例え殺し合いに勝ち残らなくても、ここから脱出することはできないんじゃないか』 雄二の考察は、遊月のそんな不安を大いに煽った。 もちろん希望も示された。 殺し合いを隠蔽する装置を破壊することで、外界と連絡が通じるかもしれない、という推測だ。 それでも、待つばかりでは救助される可能性はないと、ほぼ断言されたようなものだ。 嫌でも気が滅入る。 香月と二度と会えないかもしれない。そんなネガティブな思考が、鎌首をもたげてくる。 それは嫌だ。遊月はずっと、香月と一緒になることを夢見てきた。 もしかしたら二度と会えなくなるかもしれないなんて、絶対に嫌だ。 嫌だ、いやだ。会いたい。 抑えつけていた感情が、考えないようにしていた想いが、噴出しそうになる。 「あの、遊月さん」 そんなふうに、不安に押し潰されそうになっていたからだろうか。 「遊月さんには、兄弟っていますか?」 「……え?」 不意の質問に、遊月は返事に詰まった。 「あぁ、うん……いる、けど。それが?」 「私には、本当のお姉さんじゃないけど、姉がいるんです」 それは、口下手なチノという女の子の、少し婉曲的な話題提起だった。 そのことは、すぐに頭が理解した。 「この島にいるんです……ココアさん」 どこか陰のある表情を見て、チノの感情を察することもできた。 姉と慕う、ココアという女の子が近くにいないことが、寂しいのだ。 「へえ、そうなんだ」 自分と同じで不安なのだと、そう思った。 似た気持ちを抱えていた身としては、素直に共感することができた。 「どんな人なの?そのココアさんって」 遊月の質問に、チノは少し恥ずかしそうに答え始めた。 ラビットハウスに住み込みで働いていること。ウサギが大好きなこと。コーヒーの味が分からないこと。 ゆっくりと紡がれていく人物像は、明るく自由奔放なトラブルメーカー。 聞いていた遊月は、自分とは似ても似つかない、と思った。 ちょっと声が似ていると言われたときは、驚いた。 「いつもココアさんは私のことを妹扱いして……」 話は次第に、チノとココアの関係に踏み込んでいった。 偶然の出会いにしては、随分と良好な関係を築いている、と遊月は感じた。 口調こそココアのことを呆れているように聞こえるが、明らかに喜んでいると分かる声。 話を聞いているだけでも、仲の良さが感じられた。 「それも親しくなってからじゃなくって、初対面のときからなんですよ」 そんな二人を想像して、遊月はつい嫉妬してしまった。 チノとココアの、仲睦まじい様子が想像できたから。 「ことあるごとに姉アピールしてきますし。 私がシャロさんみたいな姉が欲しかった、って言っただけでショックを受けたこともありました」 そして、遊月は少しだけ不満を覚えた。 本当は嬉しいくせに、そういう態度を取らないチノに。 「ちょっとしつこいくらいですよ」 「ふうん……」 話を聞く限り、ココアはチノにかなり積極的に好意を向けている。 チノはその好意に戸惑いながらも、受け止めようとしている。 もしこれが男女だったなら、と遊月は考えた。 今までにいくらでもある、甘酸っぱい青春ラブストーリーの出来上がりだ。 (私もそのココアさんみたいに、積極的に行けたら……) 次に、もし遊月と香月の関係がこうだったなら、と遊月は考えた。 今よりも積極的に、遊月が好意を伝えていたなら。 おそらく、遊月が奇跡に願いを託すことはなかっただろう。 他人の願いを踏みにじることも、願いが反転する恐怖に怯えながらバトルすることも、なかっただろう。 それに比べれば、チノとココアの二人は、なんて幸せな環境だろうか。 二人は同じ屋根の下で、少しの不安もなく、仲良く平和に暮らしているのだから。 きっといつかは絶対、チノはココアの好意を受け止める。 幸せになることは確定しているようなものだ。 そう、遊月と香月の関係とは違って――。 (……なに考えてるんだ、私) そこまで妄想して、遊月は自己嫌悪に陥った。 他人が仲良くしているのを羨む、嫉妬深い自分を見てしまったからだ。 (こんなのは止めよう) 嫉妬に囚われてもいいことなんてない。 必死に自分の中の情けない部分を消そうと、遊月は頭をぶんぶんと横に振った。 しかし、結果としてその気持ちは消えなかった。 チノが遊月の様子に気付かないまま、話し続けたからだ。 「たまに、ちょっとだけうっとうしく感じることもありますし……」 その言葉に、遊月は一瞬言葉を失った。 どうして、まっすぐに好意を向けるココアを否定するのか。 嫌がっている訳ではない。顔を見れば分かる。 嫌がっているのなら、そんな嬉しそうに顔を赤らめて話すはずがない。 「どうして――?」 素直に受け入れればいいのに。 喉の奥から飛び出しかけたその言葉は、リゼの言葉に遮られた。 「まぁ、ココアは感情をストレートに伝えすぎだよな」 いつの間にか食器洗いを終えて、戻ってきていたらしい。 カウンターの中でコーヒーカップを拭きながら、リゼがやれやれという様子で言った。 遊月は再び、言葉を失った。 どうしてそんなに呆れたふうに、人の感情を笑えるのかが分からない。 ――遊月はまっすぐすぎる―― 脳裏に甦るのは、想い人の声。 確か、ウィクロスの対戦をしていたときの声だった。 これを言われた直後に、遊月は『まっすぐで何が悪い』と強く言い放った。 まっすぐで、何が悪いのだろうか? その答えは未だに出ていない。 「まっすぐすぎるのも困りものです」 このとき、チノは遊月の地雷を踏んだ。 逆鱗に触れたと表現してもいい。遊月がピンポイントで悩んでいたことを、そのまま口にしたのだ。 チノに悪意はない。 それでも、チノの言葉は、遊月の胸にちくりとトゲを刺した。 「――っ!」 思うように好意を伝えられない人だっている。 遊月はまさにそうだ。肉親である香月に好意を伝えれば、世間から白い目で見られることは分かっている。 それでも遊月は、香月を誰でもない、自分のものにしたいと考えている。 倫理観と純粋な感情の狭間で、揺れ動いている。 だから、まっすぐ自分の感情を伝えられるココアが羨ましい。 そして、そのココアの感情を恥ずかしいという理由で否定してしまうチノが――。 (……まただ。これじゃ、シャロさんのときと同じ) 遊月は頭を抱えた。 数時間前にも似たような罪悪感に苛まれたことを思い出す。 その場の感情に任せて、感情を暴走させていては、また喧嘩別れのような苦い気持ちを味わうだけだ。 必死に理性で感情を押し込めようとする。 必死に抑えなければならないほど、今の遊月には余裕がなかった。 「遊月さん、どうしたんですか?」 「……なんでもない!」 遊月は椅子を倒すくらいの勢いで、席を立った。 椅子が音を立てたことで、遊月に視線が集まる。 「っ……」 チノとリゼ、木組みの街に住む少女は、どこまでも穏やかで。 願いを叶えるために、他人の願いを潰す闘いがあることなんて、想像もしたことがなさそうで。 そんな二人と話していると、遊月はどうしても、自分の在り方がひどく歪んだように思えてしまう。 理解していたはずのそんな事実を、改めて突き付けられた気分だった。 「……私は、まっすぐにしか進めないんだと思う」 ぽつりと呟いて、遊月は店の外へ出ようとした。 目的があるわけではない。今はこの場所から、少し離れていたかった。 いたたまれない気持ちが回復するまで。 「遊月さん!?」 その足取りが、少しふらついたからだろうか、チノが心配したように声を上げた。 それでも振り向くことはせずに、遊月は扉へと向かう。 「えっ……」 遊月の手が触れる前に、扉が開いて、小気味よい音が来客を告げた。 少し驚いて、扉の前から離れる遊月。 しかし、その顔はすぐに安堵の表情に変わる。 扉の前には、背の高い学ランの男が立っていたからだ。 その男は、遊月を見ると、ほんの少しだけ微笑んでこう言った。 「よう、紅林。無事だったか」 ■ 針目縫は不愛想な仮面の下で、笑みを隠せない。 うまくラビットハウスに入ることに成功した。中にいたのは遊月も含めてウサギが三匹。 「承太郎か。どうした?駅に向かったんじゃなかったのか」 否、四匹だ。縫が到着したすぐ後に、風見雄二という少年が現れて声を掛けてきた。 どうやら承太郎はこの少年とも接触していたようだ。 少女たちよりは強いらしいが、所詮は人間。縫の敵ではない。 「その道中で針目縫に襲われた。奴と戦闘したが逃げられてな」 一人だけで行動している理由は、ちゃんと考えてあった。 雄二をはじめとするラビットハウスの面々は、あっさりとそれを信じた。 「衛宮はなぜか逃げ出したよ」 「そうか……それで、どうしてここに戻って来た?」 「針目がここに来ていたら不味いと思ってな」 承太郎の側に立ち、ここに来た理由を捏造する。 本当の目的は、遊月を血祭りにあげること。そして、承太郎の悪評を広める行為をすること。 更に、繭の情報があるかどうかも確かめたい、と縫は考えていた。 「なるほど。だがどうやら杞憂らしいぞ。この通り、針目縫はまだ来ていない」 そう言いながら、雄二は遊月の肩を抱くと、席に連れて行った。 「さて、WIXOSSのルールを教えてくれないか。そういう約束だったろう」 「え……そうだっけ?」 困惑した様子の遊月を無理矢理座らせると、雄二は縫を見た。 「承太郎もどうだ?もしかしたら繭を打倒する切り札になるかもしれない」 「そうかなぁ……?」 遊月は半信半疑といった様子で、雄二の顔を見る。 一方の雄二は、とても真剣な眼差しをしている。 縫は変なやつだと感じながら、承太郎らしくぶっきらぼうに断った。 「いや、俺はいい」 ピルルクからルールを聞いた限り、WIXOSSというのはただのカードゲームだ。 現状で覚える必要はないと、縫は判断した。 返事を受けて雄二は、そうかと答えただけで、再び遊月と向き直った。 「って、そんな真面目な顔されると困るなぁ」 「安心してくれ、こういうゲームは普段やらないが、覚えることは苦手ではない」 「いや、そうじゃなくて……まあ、いっか」 遊月は雄二にカードゲームを教え始めた。 カードの現物が無いらしく、遊月は紙に書いてルールを説明している。 雄二は熱心に頷きながら、同じように紙にメモを取っていた。 縫はそれを見ながら、大した連中じゃないのかもしれない、と判断を下した。 (もう少し様子を見て、情報がないようなら血祭りかな♪) 物騒なことを考えながら、縫はもう二人のウサギを観察した。 二人は仲良くカウンターの中にいた。 「じゃあ、私がコーヒー淹れるよ」 「あ、リゼさん、コーヒーなら私が……」 「いいって。それより遊月の説明を聞いた方がいいんじゃないか」 遊月と雄二のテーブルを指しながら、ちゃかすように言うリゼ。 少しばかりふて腐れた顔で、チノは席に戻ろうとしない。 「私にやらせて下さい。ラビットハウスの代理マスターですから」 年齢に不相応なくらい大人びた言葉を受けて、リゼは微笑んだ。 「はは、わかったよ。じゃあ一緒にやろう」 縫は手近にあった椅子に座りながら、そうした様子を見ていた。 誰一人として、縫のことを警戒していない。 狩りを今まさに行おうとしている縫の目の前で、ウサギたちは騒いでいる。 あまりに馬鹿らしいこの空間をそろそろ壊そうかと、立ち上がりかけたそのとき。 「そうだ遊月、二階にメモを忘れてきたから、取ってきてくれないか」 雄二のその言葉で、縫は上げた腰を元に戻した。 メモ。雄二は確かにそう言った。 「承太郎に見せるために書いたものだ。一番奥の部屋にある」 「え、忘れ物?……分かった」 真面目な表情をして、階上に向かう遊月。 その様子を不審に思いながらも、縫はこれを絶好の機会と捉えた。 まず血祭りに上げるのは、生意気にも逃走してみせた遊月。これだけは決めていた。 座席を立ち、自然な動作で階段へと足を運ぼうとした。 (一番奥の部屋に行き、遊月を殺してメモを奪う。それから――) 「承太郎、遊月が戻ってくる前に、見せたいものがある。 このラビットハウスの裏で、繭に繋がるものを見つけたんだ」 丁度そのとき、雄二がこう言うと席を立った。 縫はすぐさま反応した。第一目標はあくまで帰還すること。繭に繋がる手段があるなら、それは知っておくべきだ。 しかもメモに取れないものとあれば、重要度は上がりそうなものだ。 はやる気持ちを押さえたまま、店の外へと出た雄二を追いかける。 雄二が店と隣家の間にある細い道の入口に立ち、承太郎を手招きした。 「こっちだ。少し狭いから、承太郎が先に行ってくれ」 「ああ」 言われた通りに、縫は細い道に入った。 この時点で、縫は不審を抱きつつあった。繭に繋がる重要な手がかりがあるなら、どうして最初から見せようとしない? もしかして罠。その考えが浮かんですぐに、縫は振り向いた。 「っ!」 しかし、雄二の方がコンマ数秒早かった。 背後から聞こえた銃声に、縫はその場に膝を着いた。 着かざるを得なかったのだ。両手両足の感覚が、急に途絶えていた。 「あは……」 「無駄だ、関節を貫いた。すぐには動けない」 冷徹な声が細い道に響く。雄二は縫を罠に嵌めたのだ。 強引ではあるが、立派な背後からの奇襲。全てばれていたと知り、縫は今度こそ、笑いを抑えきれなかった。 「あははははは!!!」 「なっ――!?」 突然響いた声に、雄二は戸惑いの声を上げた。 可愛らしい女性の声で笑う、学ランの男がそこにいた。 「あははははははははっははははは!!!!! このボクが撃たれたくらいで動けなくなるって、本当にそう思ったの?」 縫はすっくと立ちあがる。そして腕をぐるぐると回した。 振り向くが、雄二は言葉も出ないようだ。 数時間前に出会った、西部劇じみたガンマンもそうだった。 銃撃を胸に食らっても再生する縫のことを見て、驚いていた姿は、中々に滑稽だった。 「だとしたらご愁傷さま☆」 目の前にいるクールな少年の頬には汗が垂れていた。 異常な光景を見ながら、その銃口は確かに縫の心臓を狙っている。 所詮はただの人間。でも、そこだけは評価してあげようと、縫はいつもの笑顔を浮かべながら思った。 「ボクのことは遊月ちゃんから聞いてるんでしょ?」 縫は、もはや意味を無くした変装を解き、普段通りの少女の姿に戻った。 そして身の丈ほどもある鋏を懐から取り出して、雄二へと突き付けた。 「キミじゃあボクは――」 雄二が銃を撃ちながら後退し始める。 「た」 縫は鋏で弾き、例え食らっても意に介さない。 「お」 雄二は銃を片手に持ち、空いた手で懐から何かを取り出した。 「せ」 縫は走り、あと数歩で首を刈れる位置まで迫る。 「な」 雄二が取り出したものを投げつけてきた。 「い」 縫は鋏でそれを叩き切ろうとした。 「☆」 瞬間、オレンジ色の不細工な人形が目に入る。 それが何かを理解する前に、爆風が縫を飲み込んだ。 ■ ラビットハウス裏の細い道を出たところで、雄二は縫の一撃を食らった。 大きな鋏を横に一閃。鮮血がシャツを濡らす。 「が、はっ……」 結論から言えば、ジャスタウェイで縫を倒すことは叶わなかった。 雄二は右ひざを着いて、斬られた右肩を押さえながら、縫のことを見上げた。 くるくると余裕の表情で鋏を回す縫に、外傷らしきものは一つとして存在しない。 「びっくりしたぁ。今の爆弾だったんだ。まぁ意味ないんだけどね♪」 正確には、外傷はつい一分前までは存在していた。 爆風による火傷と、破片による裂傷。そうした怪我は、雄二の目の前でみるみるうちに治癒していったのだ。 蟇郡から変身や再生力については聞かされていたが、その異常さに雄二は舌を巻いた。 「目的は、虐殺か?」 「うーんと、情報も欲しかったんだけどね。 さっきのメモはブラフみたいだし、いーらない♪」 何がそんなに可笑しいのか、縫は終始ニコニコしながら雄二をいたぶっていた。 おそらく、少女たちが出てくるのを待っているのだろう。 爆弾は幸運にもラビットハウスの壁を破壊しなかったが、その音と振動は届いているはず。 小屋から出てきたウサギを狩るつもり、とでもいうのか。 「趣味が悪いな」 「人を騙すような人間に言われたくないなぁ♪」 どうにか時間を稼いで妙案を思いつきたかったが、現実は非常である。 縫の苛烈な攻撃に、雄二はナイフ代わりに使用していたアゾット剣を取り落とした。 それを見た縫は、アゾット剣を勢いよく蹴り飛ばした。 あらぬ方向へ飛んでいく剣を、雄二は絶望的な表情で眺めた。 「銃はあっちに転がってるし、もう手はないかな?」 「……現状把握の協力に感謝するっ!」 しかし、諦めるわけにはいかない。 雄二はその一心で、もう一つのジャスタウェイを握りしめた。 使いどころを誤れば、とうとう武器が一つもなくなる。 「じゃあ、死んじゃえー☆」 鋭く振り下ろされた鋏を間一髪で避けると、雄二は再びジャスタウェイを投げつけた。 縫は当たり前のように、返す刃で爆弾を真っ二つに斬った。 爆発はなんらダメージを与えていない。 (万事休すか――?) そのとき、銃声が響いて、縫の身体が倒れた。 雄二ではない、その銃を撃ったのは――リゼ。 雄二が上を向くと、紫色の髪の毛が窓からちらりと覗いていた。 ラビットハウスの上階から、縫の頭を狙った狙撃だった。 「…………」 雄二は倒れた縫を注視しながら、アゾット剣とキャリコを回収した。 縫を殺せたとは思えないが、倒れたということは、ダメージがあったということ。 どこに命中したのか、雄二には見えた。 (おそらく瞳――化け物だが、そこを狙えば可能性はあるか?) 深く考える間もなく、縫は立ち上がった。 その眼からは血の涙が流れ、顔は笑っていても、瞳の奥は決して笑ってはいない。 雄二は覚悟する。これまでよりも苛烈な攻めが来ると。 そして再び、小さな戦端は開かれた。 「あははっはははははは!!!!」 ■ 承太郎は腕組みをしながら、戦車に揺られていた。 運転しているのは、つい数刻前に知り合った神父・言峰綺礼だ。 目的地はラビットハウス。針目縫が襲撃する可能性がある場所として、承太郎が指定した。 縫が遊月に変身していたということは、縫は遊月と出会い、情報を引き出したということ。 ――でもね。ボク、もっと面白いことを思いついちゃったよ―― 承太郎の脳内には、縫の声が再生される。 縫は遊月から、ラビットハウスに参加者がいたことも聞いているはずだ。承太郎への意趣返しとして、彼らを殺害するかもしれない。 そう考えたからこそ、承太郎はDIOや衛宮切嗣よりも、縫を優先した。 「衛宮切嗣を追わなくてよかったのか」 「ああ。針目の件が片付いてから、改めて話を訊けばいい。 ……それとも、あんたには衛宮にこだわる理由でもあるのか?」 もちろん、承太郎と綺礼は最低限の情報交換はしてある。 お互いの知る参加者と、今までに交流した参加者の名前を交換し合った。 綺礼とポルナレフが既にDIOと遭遇、交戦していたことも聞いた。 衛宮切嗣については、手段を選ばない傭兵であるという以上の情報はなかったが、綺礼の語り口からは、言外に気にしている様子が感じられた。 承太郎はそのことを追求したのだ。 「……いや。忘れてくれ」 綺礼は答えず、ただ戦車を走らせ続ける。 尋ねた承太郎としても、無理に問い詰めるつもりはなかった。 綺礼は八極拳を習得しており、あのDIOに不意打ちとはいえ一撃を見舞ったと聞いた。通用しなかったらしいが。 強い上に主催に反抗する意思もある、貴重な仲間だ。 下手なことを訪ねて関係を悪化させることはしたくなかった。 「もう少しで着く頃合いか?」 「ん……ああ。そろそろだぜ。あの角を曲がれば見える」 石畳を踏み鳴らしながら、神威の車輪が曲がり角を疾走する。 すると、承太郎の目に二つの人影が映った。 一人は学生服の男。そして、もう一人は最悪の可能性。災厄の権化だった。 「針目、縫……!」 遠目にも銃火が視認できた。戦闘は既に始まっている。 そして、どうやら雄二が傷を負い劣勢らしいことも判断できた。 それを確認すると、承太郎はすぐさま運転席の綺礼に向けて叫んだ。 「言峰、ヤツを轢き殺せ」 「了解した」 綺礼が手綱を操って、戦車のスピードを加速させた。 その速さはこれまでの比ではない。 征服王が乗り回した神威の車輪が真価を発揮すれば、十秒も経たない内に、戦闘の起きている地点に到達するだろう。 ピンク色の化け物を鋭く見つめながら、承太郎は厳しい戦闘の予感に拳を握りしめた。 ■ 「わぁ、あれで轢かれたら大変!逃げなくっちゃ――」 遠くから、牛たちが凄まじい勢いで駆けてくるのに、いち早く気づいたのは縫だった。 目を凝らすと、御者台に承太郎らしき姿が見える。 このままここにいれば、再戦は確定。疲労も増すだろう。 内心でイライラを溜め込んでいた縫は、逃げの一手を考えることにした。 しかし、そうは問屋が卸さなかった。 「――逃がすと思うか!」 「もう、うっとうしいなあ!」 敵わないと分かっていながら立ち向かってくる雄二に、縫は苛立ちを覚えていた。 動こうとする方向に銃弾を放ち、行動させまいとしつこい。 縫は余計な邪魔をされないように、雄二を一刀の下に切り伏せようとした。 「何もできないクセにっ☆」 このとき、縫は普段よりも冷静さを欠いていた。 戦車が轢き殺さんと迫っている状況。承太郎の偽物として悪事を働くという目論見の失敗。 これらが僅かに縫の思考を乱したのだ。 とりあえず殺そうという雑な気持ちで振り上げた鋏は、雄二の脳天を割るために振り下ろされることはなく。 次の瞬間、腕を取られた縫は、地面に組み伏せられていた。 雄二の呟きが頭上から聞こえてくる。 「骨はあるのか……つくづく理解に苦しむ生き物だな」 生命戦維と融合した人間の特徴は、常人離れした身体能力と、頭部を破壊されても再生するほどの生命力である。 生命戦維の人工子宮で育った針目縫も当然、そうした特性を持つ。 この殺し合いでは、制限こそかけられているが、ホル・ホースの銃撃を胸に食らっても回復したことから、その異常性は分かるだろう。 しかし、決して異常なばかりではない。 人間と同様に心臓が機能している。血液は体内を巡っている。脳も骨も存在する。 そうした身体構造が人間と同じなら、『関節技』が通用するのだ。 「っ……」 鈍い痛みが縫の身体に走った。 関節を極められていることに気付いたのは、その数秒後。 今まで縫は、力で抑え込まれることはあっても、技で抑え込まれることはなかった。ゆえに、関節技から逃れる方法を知らなかった。 無論、縫がその力を発揮すれば、数秒で解ける拘束ではある。 「なに、あの速さなら、ほんの少し押さえていれば充分だ」 しかし、雄二もそのことは考慮していたらしい。 戦車が走り来る方向をじっと眺めながら、それでも縫の関節を極めた姿勢を崩さない。 そして数秒後、縫が力ずくで拘束を解くよりも早く、戦車が眼前に迫ったところで、雄二は飛び退いた。 「うわー☆」 とても轢かれる寸前に上げるとは思えないほど明るい声で、縫は戦車に蹂躙された。 時系列順で読む Back 反吐がでるほど青い空 Next Not yet(後編) 投下順で読む Back 反吐がでるほど青い空 Next Not yet(後編) 131 お話をするお話 香風智乃 145 Not yet(後編) 131 お話をするお話 風見雄二 145 Not yet(後編) 131 お話をするお話 天々座理世 145 Not yet(後編) 131 お話をするお話 紅林遊月 145 Not yet(後編) 139 弓兵なき戦場 空条承太郎 145 Not yet(後編) 139 弓兵なき戦場 言峰綺礼 145 Not yet(後編) 139 弓兵なき戦場 針目縫 145 Not yet(後編)
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Not yet(後編) ◆X8NDX.mgrA ラビットハウスのある部屋の窓際。 そこでリゼは、眼下で行われている戦闘を、固唾を飲んで見守っていた。 近くにはチノと遊月が、同じように緊張した面持ちでいる。 雄二から渡されたメモを改めて見ながら、リゼは最終防衛線としての自分の役割を確認した。 「それにしても、あれが針目縫だったとはな……」 数分前、承太郎がラビットハウスに帰還したとき、リゼはそれが縫の変装だとは想像もしていなかった。 気付くことができたのは、雄二のおかげだった。 遊月とWIXOSSの話をしているフリをして、実際には今後の行動について指示していたらしい。 承太郎と雄二が店を出た直後、遊月がすぐにそのメモを見せてきた。 内容は大きく分けて三つ。 《承太郎は縫の変装であること》 《雄二が縫を誘き寄せて倒すこと》 《リゼはチノと遊月を守って欲しいこと》 メモを見た瞬間の、リゼとチノはひどく困惑した。 遊月との情報交換で、縫が変装できることについては聞いていたものの、実際に変装した承太郎を見たとき、何の疑問も抱かなかったからだ。 三人の中では最も長く一緒にいたチノは、とりわけ驚いていた。 「どうして風見さんは分かったんでしょう……?」 「うーん……?」 「とりあえず、風見さんを信頼してみよう」 三人とも、承太郎が縫の偽物だと、にわかには信じられなかったが、冷静沈着な雄二の言葉を信用することにした。 そして、銃声や爆音が響き、戦闘が始まったことを確認すると、二階へと逃げた。 窓から様子を見る限り、雄二と縫の実力差は大きかった。 「な……銃撃を食らってピンピンしているぞ!?」 「……化け物ですね」 リゼもチノも、無意識に声が震えていた。 縫は大きな鋏のような武器を振り回し、それは雄二の身体に幾つもの傷を付けていた。 対する雄二はキャリコで応戦するが、たとえ傷を与えてもすぐに回復するため、決定打を与えられなかった。 いわゆるジリ貧だ。リゼは雄二のために、何かできないかと考えた。 「拳銃はあるけど……」 呟いて、カードから黒光りする拳銃を取り出した。 リゼは軍人の娘だ。銃を撃ったこともある。 同年代では、こうした経験を持つ人は少ないことも理解していた。 チノや遊月には、縫を狙撃することはできない。この場で拳銃を撃てるのはリゼだけだ。 (自分にしか、できない――) そう考えた瞬間、手に持った拳銃が、最初に手に取ったときよりも、更にズシリと重くなったように感じた。 窓の外では、雄二がシャツの肩の辺りを血に染めて、縫と相対している。 手からはキャリコがなくなり、代わりにアゾット剣が握られていた。チノから貰っていたジャスタウェイは、一つ使ったため残りは一つ。 初めて戦闘らしい戦闘を見るリゼでも、雄二が劣勢であることは理解できた。 援護射撃をしなければ。そんなプレッシャーがリゼを襲う。 ――自分のためには引き金を引けなくても構わない。だが、他人のためなら迷わず引き金を引ける男になれ。 そのとき、脳裏に甦ったのは、雄二から言われた言葉だ。 この言葉があったからこそ、リゼはチノやココアたちといった仲間を守るために、拳銃を撃つ『覚悟』を決めることができた。 「風見さん……」 今、雄二は武器を駆使しながらも、確実に窮地に追い込まれている。 雄二はリゼにとって頼れる存在であると同時に、大切な仲間の一人でもある。 それを助けるために、リゼは銃を撃たなければならないと、自分に言い聞かせた。 「死んじゃえー☆」 「はっ!?」 窓の外では、笑顔の少女が鋏を振り上げていた。 あまり長い時間、考えている猶予はない。 リゼは焦りながら拳銃を構えた。狙いを少女の頭に定めようとする。 「く……動かれると狙いが……」 ぴょこぴょこと、妙に身軽に動く縫に照準を合わせることは、狙撃用の銃ではないベレッタでは困難だった。 しかし、雄二の投げたジャスタウェイを両断したとき、縫の動きが一瞬だけ停止した。 (――っ、今だ!) もはやリゼに躊躇はなかった。 銃声と共に飛び出した9mmパラベラム弾が、狂気の笑いを浮かべた縫の瞳を貫いた。 被弾した勢いで、頭からぐらついた縫は、そのまま地面に倒れた。 「うわっ、と」 「リゼさん!大丈夫ですか」 「当たったの!?」 反動で倒れそうになるリゼのことを、チノと遊月が支えた。 ベレッタは反動が比較的少ない銃とリゼは聞いていたが、それでもやはり、少女が撃つには衝撃が強い。 腰が抜けそうになるのを堪えながら、覚悟を決めた少女は答えた。 化け物に一撃を加えたことに、少しばかりの誇らしさを覚えて。 「……命中だっ!」 「でも、もう立ち上がってます……!」 「なんだって!?」 リゼは驚愕を顔に浮かべながら、窓に飛びついた。 倒れていた化け物は、血の涙を流しながらも笑んでいる。 狂ったような笑い声を上げながら、鋏を振り上げて雄二へと躍りかかった。 「そんなっ……!」 「風見さんは武器を手にしたみたいですが……」 不安そうなチノの言葉に、リゼは何も言えなかった。 そうして、手に汗を握りながら戦闘を眺めて数分が経ったころ。 「あれ……牛です!」 「こっちに向かってる……このままじゃ、二人にぶつかるぞ!」 焦るリゼたちの目の前で、縫は奇妙に明るい声を上げながら、戦車に轢かれていった。 三人は口を開け、頬を引きつらせながら、それでも戦場を見守ることにした。 ■ 戦車が目の前を駆け抜けた直後、雄二は縫の姿を見失った。 二匹の神獣『飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)』による蹂躙走法は、航空機の爆撃にも匹敵する高火力だ。 雄二はその事実を知らないが、見ただけでも威力が並外れていることは理解できた。 挽き肉になったかとも一瞬考えたが、まさか銃で撃たれても回復する化け物が、牛に踏まれた程度で死ぬとは思えない。 また狂人じみた声で笑いながら、急襲してくるはずだ。 「風見!針目は何処へ行った!?」 「承太郎か。奴は確かに轢かれたはずだが、姿がない」 周囲を見回していた雄二は、御者台から降りた承太郎たちと合流した。 承太郎と共に近づいてきた神父は、言峰綺礼と名乗った。 雄二も同様に名乗り、縫の居場所を捜索することにした。 「逃げるだけの時間はなかったはず……まさか、戦車の下に?」 「Moooooooooooooooooo!!!!!!」 「なっ!?」 雄二の予感が正解だということは、叫び声によって証明された。 二頭の神牛の片方、その首が斬り落とされていた。 相方を殺害されたもう一匹の神牛が、怒りの叫びを上げたのだ。 「もー、うるさいなぁ☆」 縫は全身に、蹄に蹂躙された跡が残っていた。 それでも、少しだけ不満げに眉を下げてはいたが、相も変わらぬニコニコ顔だ。 鋏に付着した血を払う動きからして、身体に支障があるようには見えなかった。 「さっきぶりだね、無能なヤンキーの承太郎くん」 「てめぇ……」 「いやーまさか牛に轢かれるなんて思いもしなかったなー。 それであんまり痛かったから、つい一匹殺しちゃった!ごめんねー。 こういうの戦車(チャリオット)って言うんだっけ? そういえばさっきのホウキ頭さんも、シルバーチャリオッツ!とか馬鹿みたいに叫んでたよね」 全く悪びれない様子で、承太郎に向けて挑発する縫。 雄二には、まるで承太郎の総身からオーラが放たれているように見えた。 単に危険人物を警戒しているだけではない、怒りのオーラが。 「空条承太郎は、針目に仲間を殺害されている」 「……そうか」 綺礼の説明に納得しながら、雄二は戦況を確認した。 手持ちの武器はアゾット剣とキャリコ。キャリコの残弾は半分以下にまで減った。 三対一で数の上では優位に立っているが、縫の化け物さ加減を考えると、優位と思わない方が良い。 相手に実力を行使させずに、戦略的に戦うことが必要だ。 そう考えた雄二は、承太郎と綺礼に話しかけた。 「承太郎、話がある」 「風見。傷は大丈夫なのか」 雄二の全身、肌が見える部分にはいくつもの切り傷がついていた。 更に肩口には浅くない傷があった。そこからの出血は止まっていない。 念のために、早めに処置をした方が良いだろうが、それをしている余裕はなかった。 雄二は顔色を変えもせずに答えた。 「いたぶられただけだ。行動に支障はない。 それよりも、奴の弱点は目だ。目を潰せば、数十秒は動きが止まる」 雄二は思い出す。縫が目を銃弾で貫かれた後、回復するまでの時間は、他の部位――関節や四肢など――を貫かれたときよりも長かった。 再生能力は脅威だが、急に視力を失えば行動は大幅に制限される。 その隙を突いて更に攻撃を加えることが可能だと、雄二は淡々と述べた。 「ふむ、どう目を狙うかが問題だな」 「そうだな。下手な攻撃ではすぐに回復される。 至近距離で目を狙うのがいいだろうが、そう簡単ではない」 「……ならば、私がその役目を負おう」 雄二と承太郎が話していると、綺礼が唐突に話に入って来た。 「いいのか?奴は相当な化け物だが」 「隙くらいは作れるだろう。その機を逃すな」 綺礼とつい先程あったばかりの雄二は、綺礼が戦闘するところを見ていない。 それは承太郎も同じらしく、意外そうな顔をしていた。 雄二が綺礼の身のこなしを改めて観察すると、僧服の下には確かに鍛えられた筋肉があることが分かった。 戦闘能力があることは自負しているのだろう。 「ねぇ、作戦会議は終わったのー?」 縫は強者特有の余裕の表れか、話し終えるのを待っていたらしい。退屈そうに鋏をくるくると弄びながら歩いてくる。 無言のまま、雄二と承太郎、綺礼はラビットハウスを背にして縫と相対した。 そして、僧衣に付いている十字架に触れながら、綺礼が縫へと告げた。 「貴様の相手は私が務める」 ■ (どうしよっかなー?) 縫は考えていた。 神威の車輪で轢かれたダメージは、ほぼ回復した。 先程まで考えていた通りに逃げの一手を打つか、元々の目的である虐殺を行うか。 この場の全員を殺すだけの余力はある。 乱暴なやり方は嫌いではないし、目指しているのは優勝なのだから、殺害を躊躇う理由もない。 しかし、承太郎を罠に嵌める目論見が外れたことが、少し心残りだった。 (何か鼻を明かせること、したいなぁ) 縫をコケにした承太郎と遊月は言わずもがな、爆弾を投げてきた雄二や、銃弾を瞳に命中させたリゼ。 彼らにも報復はしたいところだ。 気晴らしも兼ねてラビットハウスを襲うつもりが、即座に正体がばれたせいもあって、苛立ちの種は増えるばかりだった。 誰か、苛立ちをぶつけて発散する相手が欲しかった。 「貴様の相手は私が務める」 当然、こんな言葉をかけられたら、遊びたくなる。 何も縫は、正攻法でしか戦えない脳筋ファイターではない。 必要とあれば、変装もするし操り人形も使う。分身して襲うことも可能だ。 そんな縫が、綺礼と相対することになって、使うと決めたのは、この島に来て遊月から奪ったカード。 「神父さんってなんだか人殺してそうだよねー」 「針目縫。ジャン=ピエール・ポルナレフを殺害した懺悔ならば、神父として聞こう」 茶化すような縫に、真顔で返す綺礼。 その表情に、今まで同行してきたポルナレフを殺害された、怒りや悲しみのような感情は見られない。 もちろん、例えあったとしても、縫は全く意に介さない。 そんなことより、ストレス発散がしたいだけなのだ。 「もー、なんかボクの会う男の人は不愛想な人ばっかり! 懺悔なんてどうでもいいけどー、神父さんの心をちょっと覗かせてよ!」 そう無邪気に言いながら、縫は青色のカードを取り出し、ルリグ・ピルルクの特殊能力を発動させた。 相手の願望を覗き見る、ピーピング・アナライズ。 それは、不愛想な神父の本性を曝け出させてやろうという、縫のちょっとした遊び心だった。 ■ 心を覗く。その言葉の意味を、綺礼は即座には理解できなかった。 そして、頭が意味を理解するよりも早く、綺礼は悪い予感に襲われた。 縫がかざしたカードから、魔力にも似た力が漂うのを感じ取る。 「ピーピング・アナライズ」 攻撃の類ではない。となれば幻惑か精神操作か、と考えたが、身体に異変が起こることはなかった。 不審に思いながらカードを凝視すると、そこには少女が描かれていた。 おとぎ話に出てくる妖精か何かをモチーフにしたのであろう姿。 その少女の双眸が、奇妙な光を発しているのだ。 「ほらほら、神父さんの願いはなんなの?言ってよピルルクちゃん!」 カードに向けて、煽るように話しかける縫。 ピルルクと呼ばれたカードの中の少女は、淡々と告げた。 「彼の願いは――色々あるわ」 「そうなの?じゃあ、ぜーんぶ言っちゃおっか♪」 ピルルクはじっと綺礼を見つめながら、言葉を選ぶようにして述べていく。 少女の表情から感情の機微を察することは難しく、平坦な声は機械のようにも聞こえた。 「――ごく普通の、人並みの幸せを経験すること――」 「なにそれ、割りと普通なんだね」 綺礼の心臓が、ドクンと不自然に脈打った。 けらけらと笑う縫を視線で捉えながらも、綺礼はカードの次の言葉に耳を傾けてしまう。 理性は聞くべきではないと訴えている。本能は聞くことを求めている。 「――自分自身の空虚を埋める方法を探すこと――」 「黙れ……」 綺礼は心の奥底を覗かれている感覚に、言いしれない嫌悪感を覚えた。 承太郎や雄二では察することはできない。覗かれている本人だからこそ分かる、気持ち悪さ。 カードの少女ピルルクは、巷の心理テストや占いのように、おふざけに適当なことを述べているのではない。 確かに綺礼の根底にある願望を、言い当てているのだ。 「それからそれからー?」 本当に願望を覗き、それを述べているのであれば、綺礼はそれを看過できない。 確かに、綺礼は己の空虚を埋めるために試行錯誤してきた。 いくつもの系統の魔術を学び、ある程度まで修得しては別の系統を学ぶことを繰り返した。 父に師事を受けた八極拳は、実践の中で独自の人体破壊術にまで昇華させた。 神への信仰、功徳を積み重ね、それでも埋まらない自身の欠落したモノを、綺礼は知りながらも認めようとはしなかった。 「そして――」 第四次聖杯戦争において、衛宮切嗣に執着したのは、自身と同じように空虚な存在であった切嗣が、答えを見つけたと考えたからだ。 そして、その答えは見つけられないまま、この殺し合いに巻き込まれた。 「彼の根源的な願望は――」 しかし、もし綺礼自身の奥底に眠っている願望を告げられてしまえば。 綺礼が無意識下で目を背けていた、生来の性質に等しい願望を告げられてしまえば。 これまでの全ての努力が、空虚を埋めるための試みが水泡に帰す。 その確信が、綺礼にはあった。 「――極限状態における、人間の本性、魂の輝きを見ること」 告げられた言葉を、綺礼はもはや聞いていなかった。 「ん~?それってどういうこと?」 この願望だけは、認めるわけにはいかない。 「分かりやすく言うなら、他人が苦しんだり、必死になったりしているところを見てよろこ――」 それは、決して許されない願望なのだから。 「黙れッ!!!」 轟、と大気が唸ったかと思うと、次の瞬間には綺礼の拳が縫の胸部を捉えていた。 ラビットハウスの女子たちは勿論、承太郎も、雄二も、縫でさえも、綺礼が大地を踏みしめた後の動作を視認することは敵わなかった。 縫と綺礼との距離は四歩。 相対するが刀と拳ならば、先に届くは刀が道理。 しかし、綺礼は震脚からの『活歩』という八極拳の歩法により、氷上を滑走するが如き移動で彼我の間合いを詰めたのだ。 そうして抉り込むように撃たれ、めり込んだ拳の威力には、それまで余裕を崩さなかった縫も、顔を歪めて吐血した。 刹那の後に、縫の身体は後方へと吹き飛び、煉瓦造りの家屋へと激突した。 「…………」 ひらひらと、青いカードが綺礼の足元に落ちた。 心を乱す原因となったそれを拾おうともせず、攻撃を直撃させた綺礼は、苦々しい顔をしていた。 先の剛拳は、相手が常人ならば胸を貫いて余りある威力だった。激情に駆られながらも、その技は正確に心臓を打ち据え、肺腑を砕いた。 だというのに、綺礼には、針目縫を殺害した確信が微塵もなかった。 今しがた出来た瓦礫の山を、綺礼は注意深く見つめ、そして瞠目した。 「……そんなっ!?」 背後のラビットハウスから、悲鳴に近い女の声が聞こえる。 口を開くことこそしないが、綺礼とてその驚愕は同じ。否、我流の殺人拳を見舞った綺礼の方が、より多大な衝撃を受けていた。 他でもない針目縫が、ふらふらと揺れながら、それでも突き立てた鋏で身体を支えて立っていたのだ。 「……成る程。DIOと比較しても遜色ない。 承太郎、君があそこまで警戒した理由が理解できた」 この瞬間、綺礼は縫を最優先で殺すべき相手として理解していた。 聖堂教会の代行者として、異端を排除する活動をした経験のある綺礼にとっても、縫は異常な存在だった。 回復力、耐久力、どれをとっても人間の領域外だ。 縫の次なる動きを警戒していると、隣に承太郎が並んだ。 「言峰。あいつを倒せるか?」 「殺すつもりの一撃だった、と言っておこう」 厳しい顔で、承太郎の言葉に返答する綺礼。 言外に倒すのは難しいと述べた綺礼に対して、自身も戦闘を繰り広げた承太郎は何も言わない。 承太郎自身も、縫の超人的な強さを理解しているからだ。 二人の元に、銃を構えた雄二が駆け寄った。 「やはり積極的に目を狙おう」 「ああ」 「了解した」 三人は首肯を交わすと、まず綺礼が前に出た。 八極拳は超近接格闘。距離の遠い相手には『活歩』のような手段もあるが、まずは近づかなければ技を当てることも叶わない。 「行くぞ」 再び胸部への打撃が放たれることを警戒して構える縫に、綺礼が選択したのは前方への跳躍。 ふわりと空中を跳び上がる姿に虚を突かれ、縫は一瞬反応が遅れた。 そして、達人ならばその一瞬で事足りる。 「何処を見ている」 綺礼は縫のヒラヒラした服の腰の辺りを掴むと、自らが空中前転する勢いで、肩、後頭部と掴んだ手を移動させていき、地面に叩き付けた。 流れるような投げ技『天頭墜』。 食らった縫は、叩き付けられたうつ伏せの姿勢そのままで、ポカンと口を開けていた。 その状態のまま、雄二のキャレコが数発撃ち込まれる。 「……あはっ」 縫は撃たれた反動でビクン、ビクン、と痙攣しながらも、数十秒後には立ち上がった。 そこにすかさず綺礼が技を見舞い、これが避けられると、代わりに承太郎のスタンドによる一撃が直撃した。 また立ち上がる縫。今度は綺礼も承太郎も攻撃を外すが、雄二の銃撃が胸を貫いた。 隙を生じない三段構えといったところか。 三人の連携は、驚くほど上手くかみ合っていた。 「あはははっ」 しかし、そのような戦術を駆使しても、縫は一向に倒れなかった。 何度となく拳打を食らい、銃弾で貫かれても、その顔から笑顔が消えることはなかった。 やがて綺礼たちに疲労が出始めたころ、縫はこう呟いた。 「まさか、ただの人間がここまでやるなんて、ちょっとだけ誤算だったかな~」 呟きながら、綺礼の打開を跳んで避け、承太郎のスタープラチナを躱し、雄二の銃弾を叩き落とした。 連携が鈍ったのではない。縫が本気を出したのだ。 そのことは、実際に相対して戦闘している三人自身が一番よく分かっていた。 「もう出し惜しみはやめるよ」 そう宣言した縫は、一転して攻勢に回り始めた。 まず、綺礼の技がほとんど当たらなくなった。どの技をどんなタイミングでかけても、簡単にあしらわれるようになった。 何度も食らったのはこのためか、と綺礼は唇を噛んだ。 「あははははっ!!!」 次に、雄二の銃弾も回避されるようになった。 綺礼はこの短時間の戦闘の中でも、雄二の射撃の腕前を高く評価していた。 綺礼や承太郎の動線を阻害することなく、かつ的確に目を狙って撃つというのは、並の腕前ではない。 その銃撃が回避されるとなれば、一体どのような攻撃なら当たるのか。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!」 その答えは、スタープラチナだ。 一つの拳が避けられようと、別の拳を当てればいいという思考に基づく、単純明快な連打(ラッシュ)が、縫の身体をしばしば捉えていた。 しかし、それも決定打には至らない。 吹き飛ばされた縫の姿は、さながら紙でできた人形か何かのようで。 綺礼は眉をひそめた。何かをしようとしている。 「ボクにここまでのダメージを負わせたお返し、あげるね♪」 両腕を肩の高さまで上げた姿勢で、ストンと地面に着地した縫。 その異常性さえなければお姫様にも見えそうな姿を、綺礼はただ見つめ続ける。 「mon mignon prêt-à-porter(モンミニヨン・プレタポルテ)♪」 可愛らしい声でそう告げた次の瞬間、縫の分身が出現した。 同じ姿の少女が六人。くるくると回りながら、驚愕する綺礼たちを囲んだ。 「どう?これで数の有利はなくなったよ?」 ニコニコと。 「さあ、皆でパーティーをしようよ」 ケタケタと。 「鮮血と臓物に彩られた真っ赤なパーティー」 楽しそうに。 「場所はラビットハウス」 愉快そうに。 「主催はボクで、お客さんはここにいる皆!」 笑う。笑う。笑う。 「まずはお客さんに飾り付けを手伝ってもらわなきゃ――ねっ!」 声を立てて笑いながら、六体の化け物が一斉に、綺礼たちに襲い掛かった。 ■ 「オラァッ!!」 承太郎は一つの分身をスタンドで捕らえると、その身体を力任せに引き千切った。 普通の人間には困難な芸当でも、スタープラチナの桁外れなパワーにかかれば、普通の服を割くのと同じように千切れる。 ペラペラな身体は、やはり耐久力では本体に劣るらしい。 本体もこれだけ簡単に引き千切れれば楽なんだが、と承太郎は考えた。 (しかし……何がしたい?) はっきりしないのは、縫がこのような行動をする理由だ。 分身を含めた縫は、承太郎たち三人だけを標的にしている。ラビットハウスの店内にいる、非力な少女たちを狙おうとはしていない。 存在を知らないはずはない。雄二と戦闘になっていた以上、縫は殺意を抱いてあの店に入ったはずだ。 それなのに、今この場で遊月たちを狙わないのはなぜか。 (分からねえ……狙われたらそれはそれで困るが、な) 三人は、ラビットハウスに入られないように戦闘していた。 扉の前に近づこうとする縫を、優先的に追い払う。数の上で劣勢なのもあり、戦況は非常に危うい状態だった。 承太郎は、雄二をしようとした縫の一体をむんずと掴んで、自分の元へ引き寄せた。 殴って吹っ飛ばしてから、鋭い視線を周囲に向ける。しかし、分身が交錯する状態では、本体だけに狙いが付けられない。 「てめえ、何が目的だ!」 苛立つ承太郎は、再び一体の縫を殴りつけながら問いかけた。 これで本体だけが反応してくれれば、と期待するが、なんと五つの口が同時に開いた。 「「「「「うーん、それを言ったら面白くないでしょ?」」」」」 まともに答えるつもりはないらしい。承太郎は再び周囲を確認した。 現状、五体の分身のうち、雄二と綺礼が二体ずつ引き付けており、もう一体は少し離れた場所にいた。 その一体が、勢いをつけて跳躍すると、ラビットハウスの屋根に立った。 「っ……てめえ!」 やはり遊月たちを狙うつもりはあったようだ。 帽子の向きを直した承太郎は、屋根の上に向けてスタンドを放った。 隆々たる筋肉での一撃は、縫にひらりと躱された。しかし承太郎は諦めず、次の一撃を見舞おうと試みた。 「あれれー?いいの、まっすぐ向かってきて?カッコいいー♪」 背後から奇襲されることは考えていない。雄二と綺礼が対処してくれると信じているからだ。 事実、綺礼が分身を拳で吹き飛ばす音は、背後から何度も聞こえてきた。 雄二による銃声も同様に、長い間を置かずに何度も響いていた。 二人は必死にラビットハウスを守ろうとしている。ならば承太郎は、頼れる仲間に背中を預ける。 そんな承太郎の行動に、縫は煽るように問いかける。 「だけど、まっすぐすぎると――」 明らかに挑発であると理解できた。それでも承太郎は、スタンドの勢いを止めることはしなかった。 走ることを止めては、絶対に拳は届かないからだ。 「オラアァッッ!!」 ポルナレフを殺された怒りが、心の力までも強くする。 ブチのめす。その激情を拳に乗せて、承太郎は化け物の顔面を殴らんとした。 「――罠に嵌まっちゃうぞ☆」 その瞬間、承太郎の視界から、縫の姿が掻き消えた。 同時に、攻撃対象を見失ったスタンドも消えた。 「承太郎、後ろだ!」 「オラァッ!!!」 すぐ背後から聞こえた雄二の声に、承太郎は自分が振り向くより早く、スタープラチナを放った。 「オラオラオラオラ――っ、いない!?」 幾人ものDIOの刺客を殴り倒してきたラッシュは、しかし、縫を捉えずに空を切った。 承太郎は振り向いたが、そこに縫はいない。 「ぐああああっ!?」 「どうした、風見!」 承太郎が視線を横にずらすと、雄二が天を向いて声を上げていた。 といっても猛々しい鬨の声ではない。むしろ苦しげな声だ。それは次第に、凶暴なものへと変化していく。 「じょう、たろ……おおおおおおおおおっ!!!」 「何っ!?」 承太郎は白く染まり凶暴化していく、雄二と綺礼の姿を見た。 二人の背後には、分身が消え去り一人きりとなった縫の笑顔が見えた。 口に手の平をかざして、アハッと笑っている。 「ゴメンね、この二人、ボクがちょっと洗脳しちゃった☆」 「洗脳だと……!?」 そんな搦め手まで使えるのかと驚いていると、雄二と綺礼が腕を押さえてきた。 がっしりした体つきの二人に抑えられ、承太郎もすぐには拘束を解くことができない。 その間に、縫は悠然と近づいてきて、承太郎の額に手を置いた。 必死にもがく承太郎は、頭の中に何かが侵入してくる感覚に襲われた。 脳内に糸が入り込んでいくような、生々しい感覚。 「承太郎くん、君も洗脳させて貰うよ!」 この言葉が聞こえるか聞こえないか、といったところで、承太郎の意識はいよいよ朦朧としてきた。 ――壊せ――暴れろ――壊せ――暴れろ―― ――ラビットハウスを――安住の小屋を―― ――暴れろ――壊せ――暴れろ――壊せ―― 脳内に響く声。それは破壊を強制してくるものだった。 承太郎はその声を、自然と受け入れていた。とてつもない衝動に襲われていた。 破壊する。壊滅させる。ラビットハウスの全てを壊す。 「オラァ!」 手始めにドアを蹴破った。承太郎に次いで、雄二と綺礼も店内に入る。 店内を滅茶苦茶にしろ、そう響く脳内の声を、承太郎は自然に受け入れていた。 雄二が椅子を投げて、綺礼がテーブルを叩き割り、承太郎が食器の入った棚を倒す。 破壊の限りを尽くせという言葉通りに、三人は抗うことなく従った。 しかし、次の命令に、承太郎の動きが止まった。 ――殺せ――殺せ――遊月を殺せ―― ――刺し殺せ――殴り殺せ――撃ち殺せ―― ――惨たらしく殺せ――痛めつけて殺せ―― それを聞いた承太郎は動けない。否、動かない。 雄二と綺礼は辺りを見回してから、二階へ向かおうと歩き出した。 それでも承太郎は動かない。ポケットに手を突っ込み、淡々と語り始めた。 「俺は――この空条承太郎は、いわゆる不良のレッテルを貼られている」 ■ 破壊活動を店の外で見ていた縫は、動かない承太郎に不審を抱いた。 店内に入ると、何やらブツブツと呟いていた。 「ケンカの相手は必要以上にブチのめすし、能無しの教師には気合を入れてやる」 近付くと、そんな言葉が聞こえてくる。縫は嫌な予感に襲われた。 「だが……仲間を傷つけること……まして殺すことは絶対にしない……それは『悪』だからだ」 まさか、洗脳が解けている?ここまで短時間で解けるはずはない。 「そんなことをしたら、俺は自分自身を許せねぇ」 現に雄二と綺礼の洗脳は解けておらず、二階に向かおうとしている。 しかし、承太郎からは反抗する意思が感じ取れた。 「たとえ洗脳されていたとしてもな!!!」 承太郎はスタープラチナを発動させ、自らの脳から僅かに出た糸を、一瞬で抜いた。 縫は驚きで目を真ん丸にした。承太郎が振り向いて、縫を指さした。 「改めて理解したぜ……てめーは正真正銘、吐き気のする邪悪だ!」 縫は驚愕と屈辱に顔を歪めた。 鬼龍院羅暁が纏流子を洗脳した際、流子は己の意思で洗脳に抗い、断ち切ることに成功した。 承太郎もまた、仲間を殺さないという強い心が、洗脳に抗ったのだ。 ほつれた糸を抜き取るくらい、精密動作性の高いスタープラチナには雑作もない。 針目縫の『精神仮縫い』は、ここに敗れた。 (これは予想外だなぁ……) 承太郎は洗脳された二人のことも抜糸した。二人は頭を押さえて呻いているが、洗脳は完全に解けていた。 こうして、数十秒も経たない間に、縫は圧倒的優位な状況を失っていた。 洗脳が失敗した以上、三人は同じ轍は踏まないように行動するはずだ。となれば、戦闘は今まで以上に面倒になり、長引いていく。 「俺がてめーという邪悪を裁くぜ」 「ゴメンだね!」 縫は後ろ向きに跳び、店内から勢いよく出た。 承太郎は眼光鋭く、超然と歩いて出てくる。縫はじっと承太郎の動作を注視しながら、次の策を考えた。 (とりあえずもう一回、数の差を作ろっかな!) 「それじゃ、モンミニヨ……なあぁっ!?」 分身を作ろうとした直後、縫の身体を衝撃が襲った。 その衝撃は、疲労した身体にはあまりに強烈で、縫はぶっ飛んで行った。 縫に体当たりを食らわせたのは、誰あろう『飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)』――神威の車輪を担う、一頭の神牛である。 「……お前、どうして」 「Mooooooooooo!!!」 もはや二頭で大地や空を駆け回ることはできないと悟り、神牛は悲しみに暮れた。 征服王イスカンダルの戦車(チャリオット)として、二匹揃って駆けた過去に思いを馳せた。 そうして数分後に立ち直り、憎むべき敵が棒立ちになっているのを見たとき、怒りのあまり突進することを抑えられなかったのだ。 「……そうか、相棒をやられたお返しってことか」 承太郎の言葉に、神牛は短く啼いた。 ■ ラビットハウス前での戦闘から離脱した縫は、再び市街地を歩いていた。 肩を落としながら、よろよろと力なく。それでも口もとには笑顔を忘れずに。 「あぁ~疲れた~」 いかに生命戦維といえども、長時間の戦闘を繰り広げたために、疲労は蓄積されていた。 特に、牛の強烈な突進を二度も食らったのが、相当なダメージになっていた。 支給品を確認すると、食料カードは殴られて吹っ飛ばされたときの衝撃で落としてしまったようだと分かった。 食事は絶対必要なものでもないが、あるに越したことはない。 「まっ、誰かから奪えばいっか☆」 食事については思考を打ち切り、自らに課せられた制限について考えた。 元々の身体能力に課せられた制限に加えて、『モンミニヨン・プレタポルテ』と『精神仮縫い』にも制限が課されていると判明した。 前者は作れる分身の数。その気になれば十体も二十体も作れるが、それではかかる疲労が乗算的に増していく。 無理せずに作れる数は五体が限度だと分かった。 「もー、制限かけすぎだよ。男三人を操ろうと思ったら、その技も制限されてるなんて!」 それは、鬼龍院羅暁が本能寺学園の生徒たちを洗脳した際に使った技だった。 『精神仮縫い』――人間の脳を生命戦維で縛りつけて、強制的に支配する技術。 縫のスタンスを考えると厄介極まりない技だが、実はこの殺し合いの主催者である繭により、ある制限が課されていた。 その制限とは、生命戦維を脳に侵入させるには、侵入させたい相手の頭に、直接触れていなければならない、というもの。 更には時間制限もある。十分もすれば洗脳は解け、元の精神に戻ってしまう。 「ほんっとうにムカつく!!」 繭による制限は、縫のポテンシャルを封じているも同然だ。 勝手に呼び出して勝手に制限をかけて殺し合わせて。縫の怒りは更に増したといってよい。 「……でも、洗脳を自力で解かれたのは、予想外だったなぁ」 『精神仮縫い』で洗脳して、ラビットハウスを破壊させたのは気まぐれだった。 ウサギがのうのうと暮らしていた場所が破壊されていく経過を見るのは、なかなかに愉快なものではあった。 しかし、縫は悠長にやりすぎた。 遊月を殺す機会はあったのに、承太郎たちを上手く洗脳できたことで欲が出てしまった。 より遊月が苦しみ、絶望しながら死んでいくように、承太郎たちに遊月を嬲り殺させようとしたのが、全ての失敗だった。 「失敗失敗☆」 しかし、悩んでも仕方ない。 この先も固執しすぎない程度に、遊月の殺害は視野に入れておくことにした。 承太郎に成りすまして悪事を働くことも忘れていない。 ただし、成りすますのは綺礼や雄二、あるいは女子たちでも構わないとも思い始めていた。 「これからどうしよっかな~」 ラビットハウスから離れたことによって、行動の方針を一旦失った縫。 当てもなく歩き続ける化け物は、その果てに、何を見るのか。 【G-6/市街地/一日目・昼】 【針目縫@キルラキル】 [状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、繭とラビットハウス組への苛立ち [服装]:普段通り [装備]:片太刀バサミ@キルラキル [道具]:腕輪と白カード、黒カード:不明支給品0~1(紅林遊月が確認済み) [思考・行動] 基本方針:神羅纐纈を完成させるため、元の世界へ何としても帰還する。その過程(戦闘、殺人など)を楽しむ。 0:どこへ向かうか考える。 1:紅林遊月を踏み躙った上で殺害する。 ただ、拘りすぎるつもりはない。 2:空条承太郎は絶対に許さない。悪行を働く際に姿を借り、徹底的に追い詰めた上で殺す。 ラビットハウス組も同様。 3:腕輪を外して、制限を解きたい。その為に利用できる参加者を探す。 4:何勝手な真似してくれてるのかなあ、あの女の子(繭)。 5:流子ちゃんのことは残念だけど、神羅纐纈を完成させられるのはボクだけだもん。仕方ないよね♪ [備考] ※流子が純潔を着用してから、腕を切り落とされるまでの間からの参戦です。 ※流子は鮮血ではなく純潔を着用していると思っています。 ※再生能力に制限が加えられています。 傷の治りが全体的に遅くなっており、また、即死するような攻撃を加えられた場合は治癒が追いつかずに死亡します。 ※変身能力の使用中は身体能力が低下します。少なくとも、承太郎に不覚を取るほどには弱くなります。 ※疲労せずに作れる分身は五体までです。強さは本体より少し弱くなっています。 ※『精神仮縫い』は十分程で効果が切れます。本人が抵抗する意思が強い場合、効果時間は更に短くなるかもしれません。 ※ピルルクからセレクターバトルに関する最低限の知識を得ました。 ■ 遊月はただただ呆然と、ラビットハウスの店内を見つめた。 生き残ったテーブルは二つ。少ない調度品は殆どが壊された。窓ガラスも割れていない部分の方が少ない始末だ。 隣にいるチノとリゼを見ると、遊月と同じ気持ちの顔をしていた。 「すまない」 「面目ねぇ」 「申し訳ない」 深々と頭を下げる雄二。帽子で目元を隠す承太郎。じっと目を閉じる綺礼。 縫の『精神仮縫い』で洗脳された三人の男たちは、ラビットハウスの店内を荒らしまわったのだ。 荒らされたのは店舗部分だけであり、上階のチノやココアの部屋などには被害は及ばなかったので、遊月たちは怪我していない。 しかし、その代わり店の部分は壊滅的な状態だった。 「仕方ありません、悪意はなかったんですから……」 「チノ……」 代理マスターは冷静だが、にじみ出る悲壮感は隠せていない。 カウンターの中で、虚ろな目で壊れたコーヒーミルをずっと回し続けるチノの姿は、どこか哀愁が漂っていた。 「おんぼろ喫茶店がボロボロ喫茶店になっただけです……」 「上手いな」 「風見さん!チノも、反応に困るから!」 チノの痛々しい自虐と、雄二の空気を読まない賞賛にリゼが突っ込みを入れた。 暗くなりかけた雰囲気を打ち消すかのように、リゼがフォローに入る。 「ま、まあ全員生き残ってよかった。 今後どうするかは、そろそろ流れるはずの放送を聴いてから決めないか?」 「そうだな。俺としては情報交換もしたいところだ。 特に言峰神父。針目と対等に渡り合えていた貴方の話は、是非聞きたい」 真面目に戻った雄二が、この場の主導権を握ろうとした。 ごく自然に、情報交換の流れにしようとしている。 「私の話か?」 「そうそう、凄かったよ神父さん。まるで映画の格闘シーンみたいで」 腕を振って再現しようとした遊月はしかし、目を見開いた綺礼に、腕をぎゅっと掴まれた。 そして、令呪が刻まれた右手の甲をじっと見つめて、綺礼はこう呟いた。 「……やはり令呪か。こんなものまで支給されていたとはな」 「あの、これが何か……?」 疑わしげな遊月の言葉に、綺礼はしばし考えてから全員に語りかけた。 「……休憩しながらでも、魔術について、私の知る限りのことを教えよう。 風見雄二、君の持つアゾット剣についても、その一般的な使用法を教えておく」 「魔術について、か。願ってもない」 その言葉に誰より驚き、誰より喜んだのは雄二だった。 表情の変化は乏しいものの、声の調子がやや上向きになっていた。 「私としては、あの青いカードについて訊きたいことがあるのだが……詳細を知る者はいないだろうか」 遊月の心臓がドキリと跳ねた。 綺礼に対してピーピング・アナライズを使用したのは縫であり、遊月ではない。 だから責められることもないと考えていたが、いざ屈強な男性を前にすると、自分から言い出すのは躊躇われた。 すると、承太郎がカードをかざして見せた。 「このカードだろう。あのとき願望がどうのと言っていたのは」 「承太郎。拾っていたのか」 「まあな」 カードの中には、確かにピルルクがいた。 能力を使ってすぐだからか、ぐっすり寝ているようだ。 チノやリゼは可愛いものを見る目で眺めていたが、遊月はそんな気にはなれなかった。 人の心を覗く、それがどれだけ重い行為か、自身に使われ、また自身でも使った遊月は深く理解していた。 雄二が承太郎からカードを受け取る。 「これは……遊月の言っていた『WIXOSS』のカードじゃないか?」 「あぁ、うん。そうだよ」 「喋るとは聞いていなかったがな……おい、何か言ったらどうだ、ピルルク」 「…………」 だんまりか、と雄二は息を吐いた。そして遊月に手渡した。 遊月はそっとピルルクを手に取ると、ポケットにしまい込んだ。 「これのことは、あとで話すよ」 問い詰めるような綺礼の視線にそう返すと、綺礼はひとまずは追及を避けてくれた。 遊月は話を変えようと、雄二に気になっていたことを尋ねてみた。 「そういえば風見さん、どうして針目の変装を見抜けたんだ?」 「ああ、その話か。針目は承太郎が衛宮切嗣を疑っていたことを知らない。聞いていたとしても、その理由までは知らない。そうだろう?」 遊月は最初にここに来たときの会話を思い返して、首肯した。 承太郎の衛宮切嗣への不信感は、具体的な説明はされなかった。 「……そういえば、『心を許すな』とは言われたけど、その理由までは聞いてないや」 「承太郎は衛宮切嗣を殺人犯ではないかと疑っていた。 その彼が逃走したんだ。『なぜか逃げ出した』と言うのはおかしい。 承太郎が本物なら、少なくとも、「やはり奴が怪しい」くらいのことは言うだろうと思ったんだ」 よく分かってるぜ、とでも言いたげに頷く承太郎。 それに、と雄二は付け加えるようにして言った。 「戦闘を繰り広げたにしては、随分と学生服が綺麗だったからな」 おお、と声を上げるラビットハウスの店員二人。 そうでなくても、ここにいる全員が、雄二の鋭さに感心していた。 ただ、話題を振った遊月だけは、どこか陰のある表情を見せていた。 (はぁ……) 遊月は複雑な心境で、現状を振り返った。 どこかにあるかもしれない、殺し合いを隠蔽する装置のことも。 圧倒的な強さを披露して逃げていった、針目縫という凶悪な敵のことも。 強大な力を持っていることしか分からない、諸悪の根源である繭のことも。 (まだ、なにも解決していない) このままで大丈夫なのか。 この島から生還することができるのか。 漠然とした不安が、遊月の胸中には暗雲のように立ち込めていた。 【G-7/ラビットハウス/一日目・昼】 【香風智乃@ご注文はうさぎですか?】 [状態]:健康、ショック [服装]:私服 [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(10/10) 黒カード:果物ナイフ@現実、救急箱(現地調達)、チャンピオンベルト@グラップラー刃牙、グロック17@Fate/Zero [思考・行動] 基本方針:皆で帰りたい 0:情報交換を兼ねてラビットハウスで休憩。 1:ラビットハウスの店番として留守を預かる。 2:ここでココアさんたちを待つ。探しに行くかは相談。 3:衛宮さんと折原さんには、一応気をつけておく。針目さんは警戒。 4:承太郎さんが心配。 5:お店、どうしよう……。 [備考] ※参戦時期は12羽終了後からです。 ※空条承太郎、一条蛍、衛宮切嗣、折原臨也、風見雄二、紅林遊月と情報交換しました。 ※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。 ※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。必要に応じて他の参加者にも伝える可能性があります。 ※紅林遊月の声が保登心愛に少し似ていると感じました。 【天々座理世@ご注文はうさぎですか?】 [状態]:健康、精神的疲労(中) [服装]:メイド服・暴徒鎮圧用「アサルト」@グリザイアの果実シリーズ [装備]:ベレッタM92@現実 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10) 黒カード:不明支給品0枚 [思考・行動] 基本方針:ゲームからの脱出 0:情報交換を兼ねてラビットハウスで休憩。 1:ここで友人たちを待つ。 2:外部との連絡手段と腕輪を外す方法も見つけたい 3:平和島静雄、キャスター、DIO、花京院典明、ジャン=ピエール・ポルナレフ、針目縫を警戒 [備考] ※参戦時期は10羽以前。 ※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛、空条承太郎、一条蛍、香風智乃、紅林遊月と情報交換しました。 ※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。 ※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。必要に応じて他の参加者にも伝える可能性があります。 【紅林遊月@selector infected WIXOSS】 [状態]:口元に縫い合わされた跡、決意、不安 [服装]:天々座理世の喫茶店の制服(現地調達) [装備]:令呪(残り3画)@Fate/Zero、超硬化生命繊維の付け爪@キルラキル [道具]:腕輪と白カード、赤カード(18/20)、青カード(20/20) 黒カード:ブルーアプリ(ピルルクのカードデッキ)@selector infected WIXOSS [思考・行動] 基本方針:叶えたい願いはあるけれど、殺し合いはしたくない 0:情報交換を兼ねてラビットハウスで休憩。特に魔術の話を注意して聞く。それから……。 1:シャロを探し、謝りたい。 2:るう子には会いたいけど、友達をやめたこともあるので分からない……。 3:蒼井晶、衛宮切嗣、折原臨也、針目縫を警戒。 [備考] ※参戦時期は「selector infected WIXOSS」の8話、夢幻少女になる以前です ※香風智乃、風見雄二と情報交換をしました。 ※ピルルクの「ピーピング・アナライズ」は(何らかの魔力供給を受けない限り)チャージするのに3時間かかります。 【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】 [状態]:疲労(中)、右肩に切り傷、全身に小さな切り傷 [服装]:美浜学園の制服 [装備]:キャリコM950(残弾半分以下)@Fate/Zero、アゾット剣@Fate/Zero [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10) 黒カード:マグロマンのぬいぐるみ@グリザイアの果実シリーズ、腕輪発見機@現実、歩狩汗@銀魂×2 [思考・行動] 基本方針:ゲームからの脱出 0:情報交換を兼ねてラビットハウスで休憩。特に魔術の話を注意して聞く。 1:天々座理世、香風智乃、紅林遊月を護衛。3人の意思に従う。 2:入巣蒔菜、桐間紗路、保登心愛、宇治松千夜の保護。こちらから探しに行くかは全員で相談する。 3:外部と連絡をとるための通信機器と白のカードの封印効果を無効化した上で腕輪を外す方法を探す 4:非科学能力(魔術など)保有者が腕輪解除の鍵になる可能性があると判断、同時に警戒 5:ステルスマーダーを警戒 6:平和島静雄、衛宮切嗣、キャスター、DIO、花京院典明、ジャン=ピエール・ポルナレフ、針目縫を警戒 [備考] ※アニメ版グリザイアの果実終了後からの参戦。 ※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛、空条承太郎、紅林遊月と情報交換しました。 ※キャスターの声がヒース・オスロに似ていると感じました。 ※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。 ※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。必要に応じて他の参加者にも伝える可能性があります。 [雄二の考察まとめ] ※繭には、殺し合いを隠蔽する技術を提供した、協力者がいる。 ※殺し合いを隠蔽する装置が、この島のどこかにある。それを破壊すれば外部と連絡が取れる。 【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】 [状態]:疲労(大)、胸に刀傷(中)、全身に小さな切り傷、針目縫への怒り [服装]:普段通り [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)、噛み煙草(現地調達品) [思考・行動] 基本方針:脱出狙い。DIOも倒す。 0:体力が回復するまで、情報交換を兼ねてラビットハウスで休憩。 1:その後、これからの行動を決める。 2:平和島静雄と会い、直接話をしたい。 3:静雄が本当に殺し合いに乗っていたなら、その時はきっちりこの手でブチのめす。 [備考] ※少なくともホル・ホースの名前を知った後から参戦。 ※折原臨也、一条蛍、香風智乃、衛宮切嗣、天々座理世、風見雄二と情報交換しました(蟇郡苛とはまだ詳しい情報交換をしていません) ※龍(バハムート)を繭のスタンドかもしれないと考えています。 ※風見雄二から、歴史上の「ジル・ド・レェ」についての知識を得ました。 ※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。 【言峰綺礼@Fate/Zero】 [状態]:疲労(中)、全身に小さな切り傷 [服装]:僧衣 [装備]:神威の車輪(片方の牛が死亡)@Fate/Zero [道具]:腕輪と白カード、赤カード(18/20)、青カード(17/20) 黒カード:不明支給品0~1、各種雑貨(ショッピングモールで調達)、不明支給品0~3(ポルナレフの分)、スパウザー@銀魂 不明支給品1枚(希の分)、不明支給品2枚(ことりの分、確認済み) [思考・行動] 基本方針:早急な脱出を。戦闘は避けるが、仕方が無い場合は排除する。 0:体力が回復するまで、情報交換を兼ねてラビットハウスで休憩。魔術について教える。 1:その後、これからの行動を決める。 2:DIOの言葉への興味&嫌悪。 3:希への無意識の関心。 4:私の、願望……。 [全体備考] ※針目縫が落とした持ち物は、風見雄二と紅林遊月が回収しました。 ※ポルナレフの遺体は、ラビットハウス二階の部屋に安置されています。 ※ポルナレフの支給品及び持ち物は、言峰綺礼が全て回収しました。まだ確認していないものもあります。 ※神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)は、二頭のうち片方の牛が死んだことで、若干スピードと火力が下がりました。 時系列順で読む Back Not yet(前編) Next 退行/前進 投下順で読む Back Not yet(前編) Next 退行/前進 145 Not yet(前編) 香風智乃 150 記憶の中の間違った景色 145 Not yet(前編) 風見雄二 150 記憶の中の間違った景色 145 Not yet(前編) 天々座理世 150 記憶の中の間違った景色 145 Not yet(前編) 紅林遊月 150 記憶の中の間違った景色 145 Not yet(前編) 空条承太郎 150 記憶の中の間違った景色 145 Not yet(前編) 言峰綺礼 150 記憶の中の間違った景色 145 Not yet(前編) 針目縫 149 killy killy MONSTER