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ブラックマトリクス BLACK/MATRIX 00キボートス島 黒き翼 プロデヴォン教団 天使十審将 サイファーパンク ヴェローナの街 インセスト その他 ドラマCD BLACK/MATRIXご主人様 大邪神の鎧を纏う大罪人 アンゲルス教団 その他 BLACK/MATRIX2悪魔 人間 コメント フライト・プランが制作し、NECインターチャネルが販売を行うSRPGのシリーズ。 BLACK/MATRIX 00 キボートス島 ピカチュウ♂:カイン ドレディア♀:マティア ネイティオ♂:ヨハネ シェイミ:二コ ヌケニン:フリエ神父 黒き翼 ゾロアーク♂:アベル エムリット:ルカ ボーマンダ♂:ザイオン ミカルゲ♂:アラギ イノムー♀:ウンダ ヌマクロー♂:ソリュウ プロデヴォン教団 エルレイド♂:クレイス・ラディオン ジャローダ:グリシナ・ウーデン ジラーチ:リプサリス・サファイア グレイシア♀:カルディア エーフィ♀:ステイエン 天使十審将 ムクホーク♂:ベイル・ペレンデール エレキブル♂:レッド・ムフロン チルタリス♂:テリオス・セントギルダ ムウマージ♀:ルビエル・ビッグホーン トドゼルガ♂:ホワイトフェイス サイファーパンク ダゲキ♂:エクサル ゴチルゼル♀:ダリア エアームド♂:ヴァルトス ヴェローナの街 トゲチック♀:シリア マネネ♀:プラン ソーナノ♂:フライ オクタン♂:クッタ インセスト キレイハナ:リリス オオタチ♂:キロタ チラチーノ♀:レア その他 アルセウス:メフィスト サーナイト♀:ダーナ ドラマCD ドダイトス♂:イベックス バタフリー♀:ロベリア オオスバメ♂:ラス フライゴン♂:セフ BLACK/MATRIX ご主人様 ミミロップ:ドミナ ルカリオ:クレージュ ラプラス:プラハ ゴチミル:プリカ オンバーン:ゼロ 大邪神の鎧を纏う大罪人 トゲチック:アベル ガチゴラス:レブロブス マニューラ:ガイウス アーケオス:ピリポ フーディン:ヨハネ ムウマージ:ルピルピ アンゲルス教団 ドンカラス:教皇 トゲキッス:ルカ ドクケイル:ユダ クロバットorオンバーン:バアル その他 アーケン:パルタ BLACK/MATRIX2 悪魔 アブソル:レイジ サーナイト:ギルヴァイス ジュカイン:ヴィディア ハハコモリ:パージュ クチート:ユーニ 人間 ゴチム:アンジェラ メガアブソル:ジーナ・ローズ コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 BLACK/MATRIX ご主人様 ミミロップ:ドミナ ルカリオ:クレージュ ラプラス:プラハ ゴチミル:プリカ オンバーン:ゼロ 大邪神の鎧を纏う大罪人 トゲチック:アベル ガチゴラス:レブロブス マニューラ:ガイウス アーケオス:ピリポ フーディン:ヨハネ ムウマージ:ルピルピ アンゲルス教団 ドンカラス:教皇 トゲキッス:ルカ ドクケイル:ユダ クロバットorオンバーン:バアル その他 アーケン:パルタ BLACK/MATRIX2 悪魔 アブソル:レイジ サーナイト:ギルヴァイス ジュカイン:ヴィディア ハハコモリ:パージュ クチート:ユーニ 人間 ゴチム:アンジェラ メガアブソル:ジーナ・ローズ -- (ユリス) 2016-05-08 15 10 21 Wikiのシステム上、タイトルに半角スラッシュを使うと特殊な処理をおこなってしまうので、 ページタイトルを少々変更させていただきました。 -- (管理人) 2011-04-27 23 19 58
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BLACK/MATRIX 概要 ストーリー 登場人物 特徴 評価点 問題点 総評 余談 BLACK/MATRIX AD 概要(DC) 特徴(DC) 評価点(DC) 賛否両論点(DC) 問題点(DC) 総評(DC) BLACK/MATRIX+ 概要(PS) 特徴(PS) 評価点(PS) 問題点(PS) 総評(PS) 余談(PS) その後の展開(PS) BLACK/MATRIX 【ぶらっくまとりくす】 ジャンル シミュレーションRPG 対応機種 セガサターン 発売元 NECインターチャネル 開発元 フライト・プラン 発売日 1998年8月27日 定価 6,800円(税別) 判定 なし ポイント 善悪の逆転したダークな世界シビアなストーリーシステムもシビア BLACK/MATRIXシリーズ:1 - 2 - ZERO - OO 概要 『BLACK/MATRIX』シリーズ第1作。フライト・プラン制作のSRPGとしても第1作。 シナリオは漫画原作者のビトウゴウ(*1)、キャラクターデザインは土屋杏子(*2)。 当時、SSではギャルゲーの移植を主にしていたNECインターチャネルとしては異色の作品である。 ストーリー 我々が「悪」と呼んでいる物が…「善」と呼ばれる善悪が逆転した世界。この世界の人間は、白き鳥類の羽を持つ者と、黒き蝙蝠の羽を持つ者に二分されており、黒き羽の人間は支配階級として、白き羽の人間を奴隷として使役していた。 遥か昔、地上は大悪神ゴッドによって支配されていた。ある時、大天使メフィストフェレスは大善神サタンの旗の下、ゴッド率いる白き羽の大邪神達に戦いを挑んだ。戦いは666日続き、ついにゴッドは倒れ、大邪神達も封印された。これが創世記戦争として語り継がれる神話である。 そして現在。黒き羽の人間はその立場を確固たるものとするため、自分達を大天使メフィストフェレスの子孫と、逆に白き羽の人間は敗れた大邪神の子孫なのだと語り継いでいた。 白き羽の少年アベルは重傷を負って記憶を失い、自身のご主人様のことすら思い出せなくなっていた。そんなアベルのご主人様は黒き羽でありながら彼を対等に扱っており、意識の戻らないアベルを献身的に看病していた。目覚めたアベルはご主人様とリハビリに励んでいたが、ある日のこと、この世界を支配するアンゲルス教団の人間がアベルを連行しようとする。ご主人様のアベルに対するあまりに奴隷らしからぬ扱いが、異端審問官に目をつけられたのだ。そこでご主人様はアベルを「愛している」と訴えてしまう。この世界では「愛」は最も重い罪。それを口にしたご主人様はいずこかへと連れ去られ、アベルはゴルゴダの牢獄へと連行された。絶望の淵に立たされたアベルだったが、自身も知らない謎の力を発動したことを機に、獄中で出会った囚人らと共に脱獄。ご主人様を救い出すべく、アンゲルス教団に戦いを挑むのだった。 登場人物 + 大罪を背負う者たち アベル(CV なし) 本作の主人公。白き羽の少年。ある出来事によって記憶を無くす。その後はご主人様とリハビリに励んでいたが、異端審問官によって連れ去られたご主人様を助け出すべく旅に出る。 象徴する大罪は「平等」 レブロブス(CV 堀秀行) アベルが牢獄で出会った屈強な戦士。通称「レブ」。物心つく頃から闘技場で剣闘士として戦わされていたが、自由になるために主人を殺し、投獄された。 象徴する大罪は「自由」 ガイウス(CV 塩沢兼人) 「疾風のガイ」の異名を持つ元義賊。200人以上の権力者を殺してはその財産を貧しい者達に与えていた。自身の生い立ちにより、本当の正義を追い求めている。 象徴する大罪は「正義」 ピリポ(CV 結城比呂) アベルが投獄された牢獄の看守。裕福な家で育った黒き羽の少年だが、身体が弱く気も小さいため、他の看守に苛められている。アベルが発動した謎の力によって白い羽になるが、同時に体も健康になる。 象徴する大罪は「弱者」 ヨハネ(CV 青野武) 牢獄で出会う老人。大神官という畏怖される立場だが、権力争いに破れて投獄された。アベルに興味を持ち、同行して一行の知恵袋となる。 象徴する大罪は「人権」 ルピルピ(CV 井上喜久子) ヨハネを師匠と慕う邪道騎士(後述)の少女。明るく活発なムードメーカーだが、身につけた「悪魔の鎧」の所為でその命は残り少ない。 一見、「七つの大罪」を象徴するキャラではないが…。 マルコ(CV 折笠愛) レジスタンス「白き羽解放革命戦線」に所属する少年。最初に「大邪神の鎧」を装着したことから「奇跡の少年」と呼ばれている。 象徴する大罪は「友情」 + ご主人様候補 七つの大罪「愛」を象徴する者。いわゆるヒロイン候補で、ゲーム開始時に選んだ一人がヒロインとなる。 ドミナ(CV 日髙のり子) 服装こそ過激だが、清純タイプの正統派ヒロイン。通常版やPSベスト版のパッケージを主人公と共に飾っており、本作の顔役とも言える。 プリカ(CV かないみか) ご主人様候補最年少で、主人公を「お兄ちゃん」と呼ぶ所謂ロリキャラ。 クレージュ(CV 嶋方淳子) スポーツ系ご主人様で、ボーイッシュな性格のボクっ娘。 ミシェット(CV 宮村優子) わがままな性格の小悪魔系女子。 プラハ(CV 山崎和佳奈) 姉御肌の最年長ご主人様。キツい口調だが根は優しい? ゼロ(CV 伊藤健太郎) 男性ご主人様。コマンドを入力すると出現する隠しキャラ。 特徴 聖書をモチーフとしつつも善悪を完全に逆転させたダークファンタジーな世界観。 いわゆる「強欲」「怠惰」「嫉妬」「暴食」「憤怒」「色欲」「驕り」の「7つの大罪」がこの世界では「7つの美徳」と呼ばれ、美徳・善行とされる。逆に「愛」「平等」「自由」「正義」「弱者」「人権」「友情」はこの世界では「7つ大罪」と呼ばれる。 同様に「天使」「悪魔」の概念も逆転しており、我々の世界の聖書などで語られる天使は悪魔や邪神と。逆に悪魔や魔王と呼ばれる存在は天使と呼ばれている。 他にも「邪悪」という言葉は「慈愛」「優しさ」と言ったようなニュアンスで使われており、この点でも現実と正反対の価値観であることがうかがえる。 この世界の人間は生まれながら背中に羽を持ち、天使的な白鳥の羽を持つ「白い羽の人間」と悪魔的な蝙蝠の羽を持つ「黒い羽の人間」が存在する。 白い羽の人間は奴隷階級であり、支配階級である黒い羽の人間達に使役され、虐げられている。 主人公・アベルは白い羽の人間で、黒い羽のご主人様(ヒロイン)の奴隷である。しかしご主人様はアベルを奴隷として働かせる事は無く対等に接し、一人の人間として愛している。 異端審問官の前でアベルを「愛している」と発言してしまった為に(*3)連れ去られたご主人様を助け出すべくアベルは旅に出るが、次第に黒い羽の人間と白い羽の人間の全面戦争となっていく。 前述の「7つの大罪」と「7つの美徳」も大きなテーマとなっている。「愛」のご主人様、「平等」のアベルの他、「自由」を得る為に戦っていたレブロブス、「正義」を信じる義賊のガイウスなど、仲間達はそれぞれの「大罪」を象徴し、悪しき世界でそれぞれの理想を追い求めて行く。 逆に敵の幹部達は「美徳」を象徴する者達である。自分より美しい者を認めない「嫉妬」のユダ、金と権力で街を支配する「強欲」のマモンなど、現実の価値観からすればいかにもな悪役キャラだが、この世界では賛美の対象であり、「大罪」を背負う主人公達とは対照的な存在として対峙する事になる。 前述の通り、世界観は聖書をモチーフとしており、「ソドムとゴモラの町」「ノアの方舟」「モーセの海割り」「バベルの塔」など有名な記述がストーリーに多数盛り込まれている。 作中で語られる大邪神、大天使はもちろん登場人物の名前も聖書縁のものが多い。主人公のアベルからして「カインとアベル」から取られている。つまりカインも存在する訳だが…。 ヒロインとなるご主人様はゲーム開始時に選択し、第一章はご主人様の家でリハビリと言う形でキャラメイクを行う。 ご主人様は最初から選択可能な5人と隠しキャラを含めた計6人。 リハビリ内容はマキ割り、掃除、狩りなどのミニゲームや読書など色々あり、行動によってパラメーターが上昇する。 街に出るとストーリーが進行する。選択しなくとも1年が過ぎると強制的に街に出る羽目になる(*4)。 システム面では、魔法の使用と武器改造にBP(ブラッディポイント。一般的なRPGのMPに相当)を消費するのが特徴。 戦闘で敵に武器でとどめを刺した時や戦闘終了ボーナス等で入手することになるため、入手方法は一般的なRPGのお金の概念に近い(*5)。 名前通り、敵から抜き取った血液であり、魔法や潜在能力を開放するには人間の血を触媒として使う訳である。この辺りもまた本作のダークな世界観を印象付ける事に一役買っている。 本作ではHPがゼロになったキャラはその場に倒れて「死亡」状態となる。この状態でも魔法やアイテムで蘇生が可能。倒れているキャラに更に攻撃を加えると白骨化する「死滅」状態となる(*6)。こうなるとシステム上のみならず本当に死亡扱いになり、蘇生も不可能(*7)。 町の探索は、カーソルを操作して話しかけるNPCなどを指定するシミュレーション形式となっている。 武器改造は入手した武器にBPを入れる「剣血」により行う。これを「儀式」と呼ぶ。 入れたBPの値に応じて引き出される潜在能力(いわゆる追加効果。必殺技的なものもある)が決まっており、魔法を発動させる・経過時間毎にHP回復などがある。 潜在能力はいずれも悪魔の名前を冠しており、主にソロモン72柱から用いられている。 全ての潜在能力を解放した武器は「凝血」が行える。「凝血」した武器は以降は潜在能力が変更不可になるがパラメーターが大きく向上する。 戦闘は高低差のある3Dマップでのターン制。 ターンとは別に各ユニットが行動する度に時間が1時間ずつ経過し、経過時刻により魔法の威力が増減する。 魔法の威力は各属性ごとに「午前は強めで午後は弱め」「普段は弱めだが特定の時刻のみ威力倍増」などバイオリズムが設定されており、例えば光属性の1時に闇属性の魔法を使うと次は闇属性の2時になる。 これにより味方の魔法使用時には威力が高くなるように、敵の魔法使用時には威力が低くなるようにするという戦略性が求められる。 ストーリーが進むと魔法とは別に大量のBPと行動力を消費する「鎧召喚」という高威力・広範囲攻撃が登場する。 使用するには「大邪神の鎧」か「悪魔の鎧」を身につける必要があり、鎧に宿る悪魔や大邪神の力を開放する。効果範囲や威力は各キャラ固有。 敵にも「悪魔の鎧」を身につけた「邪道騎士」が登場し、後半では敵も「鎧召喚」を使ってくる。終盤は「大天使の鎧」を纏った敵幹部との戦いもある。 大邪神、悪魔の鎧はストーリー上も重要な役割を持つ。 これらの鎧は装備者が羽を毟り取り、その付け根から血を吸われ続ける事を代償に力を与える。文字通り命を削る鎧な上、一度着たら死ぬまで脱げない呪いの鎧と言って良い。しかし選ばれし者が着た場合は、命は削らずより強大な力を与えると言う。主人公や仲間が「大邪神の鎧」を身に付ける際にはそれぞれのドラマが描かれ、また、とある邪道騎士の仲間は終盤で重要な役割を果たす。 悪魔の鎧はサブキャラに装備可能。但し、装備変更が出来ないのは勿論、ユニットのグラフィックも汎用の邪道騎士になってしまう。 難易度はノーマル・アドバンスドの2つがあり、アドバンスドは戦闘が難しい反面、独自要素がある。 評価点 手ごたえのある戦闘 基本はシンプルなターン性だが、武器の潜在能力や魔法バイオリズムを上手く使うといった戦略性がある。 レベルアップは戦闘終了時に任意のキャラに経験値を振り分ける方式。レベルアップで得られたポイントは更に任意のステータスに割り振ることができるため、育成の自由度は高い。 自由加入のサブキャラも多い(*8)ため、お気に入りのキャラに特化して育てるも、サブキャラ一切育てずメインキャラだけで挑むも自由。 素の状態で魔法を使えるキャラが少ない分、武器の潜在能力も使いこなせれば魔法と同様に様々な効果がある。 特に武器交換の潜在能力は、敵の持つ強力な武器を入手することができるので重宝する。 アドバンスドモードでは、自由戦闘での入手経験値が10分の1になるかわりに、通常では倒せない強さの敵ユニット撃破(*9)、レアアイテム集めや裏パラメータ確認可能(*10)を使った育成など、やりこみ要素は多い。また、最終戦闘はノーマルモードと異なる演出がある。 世界観 上述の通り、善悪が完全に逆転した世界観で、ストーリー展開も暗いのだが、独自性がありプレイヤーを物語に引き込む魅力がある。また、天使や悪魔・宗教関係の元ネタを知っているとより楽しめる。 強者が正しく弱者は淘汰されるのみと言う弱肉強食が摂理とされる。また、最も軽い刑罰がその場で死刑なのもシビア(つまり死よりも重い罰が存在すると言う意味である)。 悪行が良いこととされている世界なのだが、やっている内にそれほど悪い世界でもない気もしてくる。ソドムとゴモラの町も超資本主義と超社会主義となっていて明暗両方描写されていたりなど、単に善が悪を倒してハッピーエンドにはなっていない。 暗いだけではなく仲間と共に強敵に立ち向かう、迷いを振り切ってパワーアップする、と言った燃えるシチュエーションも盛り込まれている。ご主人様を救う力を得る為に主人公が羽を捨てるシーンなどは特に熱い。 何かとツッコミをさせられるガイウス、復讐日記を持ち歩くルピルピなど、思わず笑ってしまうシーンも幾つかあり、暗い世界の冒険の清涼剤となっている。 尤も、そんなキャラ達にも容赦の無い運命が待ち受けているのだが…。特にルピルピはムードメーカーでありながら設定が重い。 キャラメイクを兼ねた第一章はご主人様とのほのぼのとした生活が描かれるため、第二章以降の本編との反動が大きい。 土屋杏子によるキャラクターイラストは評価が高い。 混沌とした音楽(と曲名) バッハの曲「BWV542」を大幅にアレンジした「¥54,200」やドラム音の激しい「Chain Smoker」や、チェケラッチョなボイスが入った「検問」など、混沌とした音楽(と曲名)は本作の世界観を上手く表現している。 ストーリーはフルボイスであり、声優も有名声優を多数起用している。 上記の主要人物を見て頂くだけでもベテランや実力派声優が揃っていることが分かるだろう。無論、記述していない悪役や脇役にも有名声優が多数。 問題点 システムの解説不足 剣血は武器にBPを1刻みで255まで入れることができるが、発現する潜在能力の種類や数値は武器毎に異なる。入れたBPによっては発現しない場合やマイナス効果の場合もあり、確認が大変。 剣血については高BPを入れた武器に低BPの潜在能力を発現させたい場合、一度入れたBPと同じBPを消費してリセット(浄化)し、再度必要なBPを入れなおすため手間がかかる(低BP ⇒ 高BPは追加の剣血だけで済むのだが)。 魔法バイオリズムも属性表示は時計の飾りが光るだけで、バイオリズム自体が表示されず、何時に威力が高い(又は低い)のか、使うまで分かりにくい。 そのため、戦闘システムを理解・確認するには攻略本や攻略サイトを見る必要がある。 やや厳しいお金とBPの管理 他作品のように入手したアイテム等を売却して資金の足しにすることができない(捨てることしかできない)。 すこし資金に余裕が出来て装備を揃えたいと思った頃にたどりつく街が、物価が定価の数倍という「強欲の街」。 中盤ではあるサブキャラを仲間にして出撃させることで入手金額増加という救済措置はある。 剣血による試行錯誤が必要にもかかわらず、BPは戦闘で武器攻撃による死滅と戦闘終了ボーナスによる入手、終盤での高価なアイテムによる補充しか主な入手手段がない。 与えたダメージの半分のBPを吸収する潜在能力を持つ武器もあるが、攻略情報なしでは気づくのが困難(*11)。 一部の強力な特殊能力をもった武器を手に入れるための手順は非常に複雑かつ大変。攻略情報なして取れたプレイヤーはいるのだろうか。 世界観・ストーリー 最初に選ばなかったご主人様は全く本編に登場しない。 徹底してダーク且つハードな世界観なので苦手な人には向かないだろう。 終盤 最終章はメインキャラの1人が死亡による離脱、サブキャラ一切出撃不能、お店や自由戦闘がないため、メインキャラの育成・アイテムの状況によっては詰むこともありうる。 ストーリー展開上、キャラメイクと最終章とエンディングしかご主人様が登場しない。 ご主人様にそこまで思い入れできるか、というと短い第一章だけでは少々返答に困る。もちろん、その間もその行為がどれだけ問題があるとされていたか、というのを実感し続けるが。 その為、他のご主人様候補を仲間に出来るDC版以降ではあえて好きなキャラをご主人様に選ばず、仲間として育てるプレイヤーも多い。 そしてハッピーエンドは無い。展開もかなり重く、鬱展開と言う人も少なくない。 + ネタばれ注意 最後は世界が崩壊する中、今まで共に戦ってきた仲間達を1人ずつ自分の手で殺さなければならない。 そして世界は滅び、主人公とご主人様以外全員が死ぬ。2人は新世界のアダムとイブとなり、終了。 リメイクではエンディングが追加されたが、いずれもグッドエンドには程遠い。但し、DC版には救いのあるエンディングが用意されている。 アドバンスドモードでは、戦闘内容によってクリア後の称号が幾つもあるのだが、どれが最高なのか・各称号取得条件を含めて不明である(*12)。 総評 雑誌の表紙を何度も飾ったことや発売元からキャラゲーと思われがちだが、世界観や戦闘などゲーム本編はきちんと練られている。 後述の移植版があるものの今でもサターン版を愛好しているユーザーがいる位である。 「神や光属性、それを信奉する人間のような一見すると正義側が悪玉、それに虐げられる側が物語の主役」という善悪メタ構図の強い世界観は、2010年頃には創作界の巷に氾濫・定番化するが、90年代後半はそれが芽から伸び育つ時期だったと言える。本作も当時のアンチテーゼとして異彩を放ち、直に触れた人々には小さからぬインパクトを残した作品の1つである。 ただし、肝心のシステムの解説や表示に不十分な点が多く、世界観以外の点でも人を選ぶ作品となってしまった感は否めない。 余談 本作は当初、初回限定生産とされていた。 本作が発表された時期が、サターンの後継機であるドリームキャストが発表された時期と重なった。そのため「需給のバランスが読めないので確実にほしい人は予約をするように」と各ゲーム雑誌の紹介記事で呼びかけていた。 しばらく経ってから再販された。ゲーム内容は同じだが、パッケージの絵が変更された。 なお、攻略本は隠しご主人様(ゼロ)の出現条件が初版では非公開とされていたが、重版では公開されている。 隠しとはいえ、ゼロが男性である点に疑問を持つ人がいると思うのだが、攻略本のインタビューによると、これは原作者が「頭にロールパンのついたご主人様(プリカ)を俺のために描いてほしい」とキャラクターデザイナーに依頼したところ、「男のご主人様を出させてくれれば描く」といった流れでできたものである。 本作の各種アンソロジーでは、作家にもよるが、ゼロをご主人様とした題材は結構多め。反面、クレージュをご主人様とした題材はあまり見られなかった。 移植版として、『BLACK/MATRIX AD』と『BLACK/MATRIX+』がある。いずれも移植の際に変更された要素が多く、リメイクに近い。詳細は下記参照。 開発元のフライト・プランは『BLACK/MATRIX』シリーズの他に『サモンナイト』シリーズ等SRPGを多く手掛けている。 BLACK/MATRIX AD 【ぶらっくまとりくす あどう"ぁんすど】 ジャンル シミュレーションRPG 対応機種 ドリームキャスト メディア GD-ROM 2枚 発売元 NECインターチャネル 開発元 フライト・プラン 発売日 1999年9月30日 定価 6,800円(税別) 廉価版 ドリコレ2002年10月31日/2,800円(税別) 判定 なし ポイント シナリオの追加アニメも追加ハッピーエンドも追加 概要(DC) 『BLACK/MATRIX』のリメイク版。イラストレーターがつちやきょうこ氏からそえたかずひろ氏に変更された他、ストーリーがSS版とは所々異なっている。 特徴(DC) イベントシーンは背景と立ち絵で進行する。また、セルアニメーションのムービーと言った演出が追加されている。 主人公のアベルが音声の出ない一部のイベントを除いて喋らないのは無印と同じだが、アニメ内では僅かに音声付きのセリフがある。担当は神谷浩史氏。 余談だが神谷氏は次回作『2』でも主人公役(ナレーション)として参加している。『OO』でも主人公のライバル的キャラ役を務めており、シリーズの常連となっている。 多くのマップはSS版から構造が変わっており、SS版とはまた違った戦術を求められる形となっている。 町パートも一新され、主人公を直接操作してマップを探索するRPG方式になった。 第一章も同様であり、ご主人様の家やその周囲を直に見て回れる。 評価点(DC) ストーリーがSS版から加筆修正されている。 描写が細かくなった事で、SS版では謎のままだったり説明不足だった部分にも補完が為されている。 パンデモニウムの街に行く前には仲間達の掘り下げをメインとした章が追加されており、しかも2ルートに分岐するのでイベント量も多い。後述するご主人様候補を仲間にできるのも主にこの章。 マルチエンド化に伴ってか最終盤の展開はSS版と大分異なり、ラスボス戦も殆ど別物となっている。 第一章の充実化。 第一章のリハビリ生活はミニゲーム選択式のSS版、PS版とは異なり、ミニゲームやミニイベントをこなすだけではなく育成シミュレーション形式になっている。 内容は格段に充実し、結構な長期間でご主人様との甘い生活を楽しむことができる。隠しイベントも多数。 SS版は期間も短く、ご主人様の印象が薄くなりがちだったが、今回はこれによってご主人様への思い入れが湧きやすく、救出へのモチベーションを高める事が出来る。 ご主人様のキャラの掘り下げにも繋がっており、特に清楚なイメージだったドミナは年相応に砕けた一面も見せてくれる。 条件を満たせればなんと2年目に突入する事も出来てしまう。 ご主人様候補がストーリー中に登場するようになった。 選ばなかったご主人様候補は無印では一切登場しなかったが、今回は本編に登場する。敵対したり、仲間になったりなど、ストーリーにも絡んでくる。 ルート分岐があったり二者択一だったりで、一度に全員を仲間にすることはできない。また、キャラによっては仲間にする条件がノーヒント。 ご主人様候補は仲間になるとメインキャラ相当の扱いになり、要所要所で登場する。キャラも立っており、ご主人様に選んだ時では見られないような一面や、活躍のシーンもしっかり用意されている。 男装の邪道騎士として登場するクレージュ、牢獄の獄長としてボスを務めるプラハ(*13)、立場上の関係で過激な普段着ではなくナース服で仲間になるドミナなど、いずれも印象的な形で登場している。 中でもプリカは肉屋から動物を逃がしていた罪で投獄されたと言う斜め上の設定となっている。そのくせ本人の好物がハンバーグなのもまた微笑ましい。加入時のイベントも必見。 但し、死亡(死滅)すると他のサブキャラ同様にロストする。しかしクリアまで生存せればエピローグに登場するので、なんとか死なせないようにしたい所。 マルチエンドになった。 SS版では重苦しいエンディングが1つのみだったが、今回は複数のエンディングが用意された。但し、いずれもハッピーエンドとは言い難い。 崩壊しかけている世界で主人公は最後の選択を迫られる。SS版ではどれを選んでも同じだったが…。 + ネタバレ 主人公には二種類の支配者のどちらかになる権利が与えられる。一方、死亡したご主人様を生き返らせるには世界を滅ぼすかもしくは自分や仲間達が死ぬかしなければならない。そんな中で「自殺する」「ゴッドになる」「サタンになる」「教皇を倒す」「ご主人様を諦めて平凡に暮らす」から選ぶのだが…。 「自殺する」は支配者になる権利を放棄し、世界とご主人様の両方を救う為に自らの命を差し出すと言うもの。しかし仲間達が主人公の身代わりを申し出た為、敵の化けの皮が剥がれて戦闘となり、結局なし崩し的に世界は崩壊して自分とご主人様以外全員死ぬ。SS版とほぼ同様の展開である。 「ゴッドになる」は主人公自身の意志で世界を滅ぼし、ご主人様と共に新世界を作ると言うもの。主人公自身が世界崩壊を望む為、主要キャラ以外のサブキャラは全員敵に回る。サブとはいえ味方を殺さなければならない。そして主人公に賛同して力を貸してくれた主要キャラも試練の為に結局は殺すことになり、やっぱり最後は世界崩壊。 「サタンになる」は主人公が新たな王となって現在の世界を存続させると言うもの。了解の上で大邪神の鎧を着た仲間達と正々堂々戦い、倒し、世界の未来を託される。そして新たなサタンとなり、ご主人様を花嫁として迎える…だけなら世界崩壊エンドよりハッピーエンド寄りなのだが、最後は主人公の邪悪な笑いで終わる為後味が悪い。 「教皇を倒す」はご主人様は諦めるが、せめて世界の支配者である教皇を倒して、この悪しき世界を変えようと言うもの。一部のメンバーが離脱すると言う違いはあるものの、結局それで敵の化けの皮が剥がれて「自殺する」と同じ展開に。 「平凡に暮らす」は他のご主人様でも見つけて奴隷に戻ると言うもの。世界崩壊は起こらないが、今まで戦ってきた意味を放棄し、ご主人様を殺しておきながら何の気兼ねもしないと言うもので、やはり後味は悪い。 ここまでなら評価点に書くべきではないかもしれないが、本作はそれに加えて通常の世界崩壊エンドの後に後味の良い結末が追加されている。 世界が滅び去り、主人公とご主人様が新たなアダムとイブか、二人のアダムになる。と言う結末自体は変わらないが…。 + ネタバレ 「新しい世界の神にも友達は必要だ」という創造主の判断により、死んだはずの仲間達全員と、敵対者の中で主人公達に理解を示していた一部の者達が無事に戻ってきて主人公と再会を果たすというシーンが追加されている。 世界が滅びた事には違いは無いが、主人公とご主人様以外の人間は善人悪人問わず全て死に絶える無印に比べると遥かに救いのある結末である。 後に発売されたPS版にはエピローグが存在せず、後味の良い結末を迎えられるのはDC版の特権となっている。 演出の強化 無印では戦闘時同様のマップとユニットでイベントシーンを作っていたのに対し、今回は同社の『サモンナイト』と同じ形式に。 また、イベントスチル、アニメムービーの追加によって演出が強化されており、ストーリーの没入感はより強まった。 何故か戦闘開始時の勝利条件とバトルタイトルの表示が血の付いた脅迫状(*14)のような画面になっており、よりダークで混沌とした雰囲気を強めている。 賛否両論点(DC) 第一章の仕様変更について 内容が充実したのは確かだが、その分SS版等に比べてパラメーター管理が複雑化。思うように主人公の初期ステータスを鍛えるのが難しくなった。 隠しイベントの条件も厳しいものが多く、情報無しで2年目に入るのは至難の業である。 また、主人公のアイテムの食べ方がシュール。どんな料理や食物(虫も)でも一口で頬張る為、不気味、面白いと意見が分かれそう。皿に乗っている料理なら皿ごとである。 問題点(DC) ビジュアル面 アニメムービーの採用の為か、アニメーターでもあるそえた氏がイラストレーターに起用されているが、これが少々不評である。 メインキャラは元に近いデザインだが、ザブキャラ達が揃いも揃って、原作とは似ても似つかないデザインになっている。それでいてユニットのグラフィックはそのままなので違和感が激しい。 特に酷いのはパリティと言うキャラ。元が金髪で緑の服なのに、新デザインは青髪でピンクの服と、似せる気がまるで感じられない。 ザコ敵の顔もユニットとの乖離が珍しくなく、しかも整った顔立ちや美形が多かったつちや版に比べると異様に濃い顔ばかり。 アニメもクオリティはそこまで高くはなく、作画、構図、演出も所々変な個所がある。シリアスなシーンなのについ笑ってしまうような出来になっている場合も。 総評(DC) キャラデザインやアニメのクオリティに難色を示す意見は多々あるものの、シナリオの加筆に演出の強化、ハッピーエンドの追加と総合的な充実度ではSS/PS版とは比べものにならない『BLACK/MATRIX』の「完全版」と言って良い。 BLACK/MATRIX+ 【ぶらっくまとりくすくろす】 ジャンル シミュレーションRPG 対応機種 プレイステーション メディア CD-ROM 2枚 発売元 NECインターチャネル 開発元 フライト・プラン 発売日 2000年12月14日 定価 6,800円(税別) 廉価版 ベスト版 2002年3月7日/2,800円(税別) 配信 ゲームアーカイブス 2009年12月24日/600円 判定 なし ポイント DC版準拠でSS版に近いハッピーエンドは没収 概要(PS) 『BLACK/MATRIX』の二度目のリメイク。その名の通り、SS版とDC版を「クロス」させたような作品となっている。 特徴(PS) キャラクターデザインがSS版のつちやきょうこ氏に戻り、イベント画面もSS版と同じ形式に回帰した。 その一方でストーリーやマップはDC版に準じており、SS版とDC版をミックスさせたようなリメイクとなっている。 DC版から登場した、戦闘前の脅迫状演出も健在。 ただし、戦闘BGMが一部入れ替わっていたりと、細かい変更点も多々ある。 DC版のようなセルアニメは無いが、新規のムービーが追加されている。OPも完全にオリジナルである。 第一章の形式もSS版同様のミニゲーム選択方式に戻った。 ただ、選択の方法や内容が若干変わっており、SS版に回帰しきったとも言い難い。 探索パートはDC版同様のRPG方式。 評価点(PS) DC版のそえた氏のデザインが不評だったので、つちや氏の再起用はファンを喜ばせた。 イラストもSS版の使い回しではなく、PS版用に新たに描き起こされている。 DC版の加筆修正されたシナリオをSS版のビジュアル、演出で楽しめるのは、SS版が好きだった人には大きな評価点と言える。 イベントシーンの豪華さは薄れたが、ユニットキャラがチョコチョコと歩き回るイベントシーンはそれはそれで好評である。 問題点(PS) シナリオ、演出の削除。 ストーリーはDC版に準じているが、アニメムービーやイベントスチル、一部のイベントなど削られた箇所も多く、それを補う新要素も殆ど無い為、ストーリーが所々説明不足になってしまった。 特にアベルの兄・カインやファウストについては完全に謎の存在で終わってしまっている。 第一章はDC版はおろかSS版からもイベントが削られており、物足りなくなっている。 キャラの顔グラフィックから表情の変化が無くなっている。声優の熱演もあるので感情移入しにくい訳ではないが、他機種版をプレイした人には物足りなさが否めない。 エピローグまで削除されている。 エンディングはDC版同様のマルチエンドだが、ハッピーエンド的なエピローグが無くなっている。 その為、例えトゥルーエンドでも後味良く終われなくなってしまった。描かれていないだけで、エピローグの展開はその後でちゃんとあったと解釈出来ない事も無い(*15)が、描写が無い以上PS版のシナリオはそこで終了である。 また、何故かトゥルーエンドの最後に表示される「GAME END」の文字がどう見てもバッドエンドにしか見えない。一方、バッドエンドである「平凡に暮らす」の結末ではグッドエンドにしか見えない明るい表示になっている。逆ではないだろうか。 確かに前者では世界は崩壊し、後者は悪しきままとは言え存続しているのでそれを示しているのかもしれないが、それにしても少々理解に苦しむ。 細かい点だが、ジャケット裏のスクリーンショットの中に本編に無いシーンがいくつかある。 総評(PS) SS版をベースにDC版の要素を加えた、「クロス」したブラックマトリクスである。しかしエピローグを始め削除された要素も多く、両者の良いとこ取りとは言い難い出来である。 とは言え、当時主流ハードであったPSのソフトと言う事で、ブラックマトリクスの認知度を高める事に大きく貢献したのも間違い無いだろう。 余談(PS) 本作と『OO』はゲームアーカイブスで配信されていたが、2010年12月24日で配信終了となっている。今からプレイしたければ現物を手に入れるしか無い。 その後の展開(PS) 本作発売から2年後、PS2用ゲームソフト『BLACK/MATRIX 2』が発売された。『2』とはあるが本作とは繋がりは無く、「シナリオ工房 月光」がシナリオを担当した事もあり、作風が大きく変わっている。 旧約聖書をモチーフとした独特の世界観だった本作に対し、悪魔の住む魔界、天使の住む天界、そして人間界というある種王道の世界観となり、魔王の弟である主人公が魔界を取り戻すべく、侵攻してきた人間軍やそれを背後から操る天使軍に戦いを挑むという判りやすい内容となっている。 別メーカーだが、後に出た『魔界戦記ディスガイア』とはその設定上、共通点が多い(*16)。 しかし、主にバッドエンドルートにおけるダークな展開はやはり『BLACK/MATRIX』であると思い出させてくれる。 戦闘画面の3D化、ヒロイン毎のシナリオ分岐、全てが丸く収まるハッピーエンドといえるルートがあるなど独自要素を持つ一方、ボイスやムービーが一切無い簡素さや、ストーリーの短さと言った問題点も多い。 2002年には、本作の神話で語られた時代よりも遥か過去を描いたとされる『BLACK/MATRIX ZERO』がGBAで発売された。 絵柄はポップに様変わりしているが、内容やシステムは本作を色濃く受け継いでいる。 その後、2004年には『ZERO』を大胆にリメイクした『BLACK/MATRIX OO』がPSで発売。詳細は当該記事を参照されたし。
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キャラクター ストーリー BLACK/MATRIX+
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BLACK/MATRIX TRPG 「たとえ、それがどんな罪だとしても――」 善と悪が逆転した世界。 その世界には、聖戦の勝利者の子孫であるこの世界の支配者『高貴なる黒き羽』と、敗北者の末裔であり奴隷として扱われる『下賎なる白き羽』のみが存在していた。 我々の呼ぶ悪徳の支配するこの世界で、最も罪深き『七つの大罪』を犯した者たち。 彼らの作り出す物語の行く末は、果たして――。 B/MTRPGルール B/MTRPG用ライフパス B/M用語集 BLACK/MATRIX TRPG テストキャンペーン(休止中) GM:青葉楓 【コメント投稿】 名前 コメント
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BLACK/MATRIX OO 【ぶらっくまとりくす だぶるおー】 ジャンル シミュレーションRPG 対応機種 プレイステーション 発売元 NECインターチャネル 開発元 フライト・プラン 発売日 2004年5月13日 定価 7,140円(税5%込) 配信 ゲームアーカイブス 2010年2月10日/600円(税5%込) 判定 なし ポイント 国内最後のPS作品ライトになったデザインしかしその内容は紛れも無い『BLACK/MATRIX』相変わらずの独特且つ難解なシステムHANG UP! BLACK/MATRIXシリーズ:1 - 2 - ZERO - OO 概要 特徴 システム 評価点 問題点 総評 余談 概要 『サモンナイト』シリーズで有名なフライト・プランが開発していたダークファンタジーSRPG『BLACK/MATRIX』シリーズの一作。 GBAで発売された『BLACK/MATRIX ZERO』のリメイク作であり、システムとストーリーに大きく手を加えられている。 説明書のプロローグによると『BLACK/MATRIX』の遥か過去の物語であるとされているが、明確な繋がりは語られない。 現時点の『BLACK/MATRIX』シリーズの最終作であり、日本で発売された最後のPS用ソフトでもある。 特徴 前述の通り、『ZERO』のリメイクなのだが、大まかな舞台設定と登場人物が引き継がれているだけでストーリーそのものは別物と言っても良いほどにアレンジされている。メインキャラも何人も追加されており、設定自体が変わっているキャラも多数。 今回も根幹の設定は異なるものの、従来のシリーズ同様に登場人物の多くが背中に羽を持つ世界観となっている。 この世界の人間は白い羽の天使、黒い羽の悪魔、羽を持たないヒトの三種類の人間が存在している。古の大戦で勝利した天使が組織した「プロデヴォン教団」が現在の世界を支配しており、羽の無い弱き人間は教団にすがって生きている。大戦に敗北した悪魔は地下に逃れ、時折地上に出て悪事を働いているとされる。 教団が支配するという世界構造は『1』に。天使、人間、悪魔の三種族設定は『2』に近い。 主人公カインは羽の無い人間の少年だったが、ある事件から背中に羽を得る(*1)。そして、その能力故に教団に連れ去れた幼馴染のマティアを助け出す為に旅立つが、それはやがて世界を揺るがすうねりへと発展していき、カインも自身の真実と対峙していく。 世界を支配する教団に連れ去られたヒロインを救う為、主人公の少年が旅立つ。…という冒頭は『1』を踏襲したよう流れだが、本編は全く異なった展開となっている。 主人公のカインを始め、アベル、ルカ、ヨハネと言った『1』の登場人物と同じ名前のキャラも数人登場するが、特に関係は無いとされる(*2)。 但し、ストーリー上の役割やキャラ毎の関係性などは『1』をプレイした人ならニヤリと出来るものが用意されている。また、トゥルーエンドでは意外な名前が登場する。 キャラクターデザインは『BLACK/MATRIX 2』以前のつちやきょうこ氏ではなく『ZERO』と同じく高野裕紀氏が担当。 公式では『ZERO』は劇場版、『OO』はテレビ放送版と言ったような位置付けとされている。 システム 基本的な戦闘システムは旧作を踏襲しているが、『1』のシステムをほぼそのまま用いていた『ZERO』(*3)と異なり、本作は独自要素が多い。 今回はBP(Blood Point)が存在せず、一般的なマジックポイントと同じPP(Phantom Pain)を消費してスキルを放つ。 それに伴い、旧作で可能だった武器の「儀式」「潜在能力」は廃止され、代わりに後述の「ペインリング」と言う新システムを導入している。 また、今回は倒れたユニットは即消滅する為、蘇生は出来なくなった。ザコ敵など死亡扱いになる場合に白骨化する演出は健在。 「ペインリング」と「ペインキラー」 ストーリーが進むと「ペインリング」と言う指輪を入手するようになる。指輪に秘められた魔法を放てる他、「ペインキラー」と言う存在を召喚する事が可能。召喚とはあるが、『1』の鎧召喚やサモンナイトシリーズの召喚獣などとは全く異なった仕様になっている。 「ペインキラー」は召喚すると一定CT(コマンドターン)の間、場に留まらせる事が出来る。しかし召喚するだけでは何の役にも立たず、下記の「リングコマンド」を駆使する必要がある。 各リングにはPPを消費して使う「スキルコマンド」と、強力だが一度使うと戦闘終了までそのリングは使えなくなる「リングコマンド」が存在する。 スキルコマンドは使う度に熟練度が上昇していき、習得すればリング無しでも使えるようになる。 特定キャラはリングが装備できないが、(敵味方問わず)周囲のキャラの持つスキルを使用、習得する「ラーニング」が可能。 ペインリングは「独立型」と「依存型」に分類され、独立型はPPを消費する事でそのリング単体で「リングコマンド」が使用可能。依存型は対応したペインキラー召喚中のみ「リングコマンド」が使える。 但し、独立型のリングコマンドの実行には行動力が2必要。 ペインキラーの召喚には召喚系ペインリングが必要。そのリングの「リングコマンド」を発動するとペインキラーが召喚される。 召喚中、ペインキラーの残り滞在CTを消費する事で、対応した依存型リングのリングコマンドが使用できる。 評価点 ダークで独特な世界観とハードなストーリーは健在。 絵柄は『サモンナイト』寄りのポップなデザインになっているが、ブラックマトリクスらしい暗く独特の雰囲気は損なわれていない。 『1』のように善悪の概念が逆転しているような事は無いものの、天使は高圧的で独善的な者が多く人間や悪魔を見下している上に、天使内でも羽が2枚以外に生まれた者は「規格外」として蔑まれる。逆に悪魔も確かに好戦的で流血沙汰の絶えない種族だが、どちらかと言うと奔放な性質で、仲間意識も強い。どちらが善だ悪だと測れる訳ではなく、単純な勧善懲悪にはならない構図となっている。 ストーリーは『2』『ZERO』と違ってフルボイス。悪魔特有の病気「渇き」に苦しむルカ、インセストと呼ばれる子供達の扱い、生ける屍パスカ、そしてカインの封じられた過去など陰惨な展開や描写が多く、絵柄が変化してもこれがブラックマトリクスなのだと痛感させられる。 一方、それらの暗い展開に時には打ちのめされながらも懸命に立ち向かって行く主人公達の姿や、軋轢を乗り越えて絆を深める仲間達と言った熱い展開も多数用意されている。 仲間達のやり取りは微笑ましく和むものが多く、温泉イベントや変人親父のクッタなど笑い所もあり、ただ暗いだけのストーリーにはなっていない。 エンディングは5種類+αだが内容は多種多様。 ヒロインを助け出して無事に生還する王道のグッドエンドもあれば、主人公が仲間を皆殺しにする鬱エンドもある。 + また、ある条件を満たすと… 敵味方問わず全員が無事に生還するハッピーエンドを迎える事も出来る。しかもほぼ全員分の後日談まで語られ、とてもブラックマトリクスとは思えないほど読後感の良いエンディングとなっている。 しかしその条件の一つに上記の鬱エンドを一度観ると言うものがあり、辿り着くまで順風満帆とは行かない。 果てはミニゲームにハマり過ぎて目的を忘れると言う冗談のようなエンドもある。 もっとも、最後にはしっかりオチがつくが。スタッフ曰く、このエンディングも「あり得る世界ではあるんです」との事。 但し、条件はミニゲームの完全制覇と、かなり厳しいものとなっている。 相変わらず手ごたえのある戦闘 慣れるまでが厳しいが、ペインリングを使いこなせるようになれば従来とは違ったゲーム性を楽しむ事が出来る。 ペインキラーやリングコマンドだけではなく、リングのスキル自体にも様々な能力があり、幾つもの戦法が取れる。 召喚時やコラボレーション攻撃(*4)時には大がかりな演出がある上、リングから機能に応じて電子音声のような英語アナウンスが流れる。実にユニークで格好良い演出となっている。 なお、音声は本場の外国人声優によるものである。アナウンスにもしっかり意味があり、フライト・プランの公式サイトでは一つ一つについて解説もされていた(アーカイブ) 敵の思考パターンも強化されており、こちらが一定距離まで近づかなけば移動しなかったり、アイテムや回復を状況に応じて使い分けたりと、手強くなっている。 但し、中には強力過ぎるリングもある。詳しくは後述。 サーカスに行けば様々なミニゲームが楽しめる。 『1』のリハビリを彷彿させる、どこかシュールな演出も健在。猛獣使いに失敗すると、ライオンのライダーキックで倒されるのもまた可笑しい。 過去作のキャラも何人かゲスト出演している。あの高速回転する疾風の義賊も再び…!? 本筋以外にも自由行動中のイベントも豊富。雑記帳には面白可笑しい書き込みが追加されていき、各キャラの意外な一面が垣間見える事も。 ボーナスシナリオも多数用意されており、中には戦闘が発生したりエンディングに影響を及ぼすものもある。 BGMも『2』のような無難な曲調ではなく、『1』を彷彿させるこれまた混沌としたラインナップである。 クリア後は一部の要素を引き継いで周回プレイが可能。 エンディングに応じて特典のペインリングが手に入る。ラスボス戦限定の最強のペインキラーを召喚するリングや不死身になるリングなどチート級の性能を誇るものもある。 問題点 ペインリングのシステムが難解であるにもかかわらず説明書に詳細な解説がない。本編中に解説してくれることもない。 各リングの説明文も判りにくいので、どのリングがどのペインキラーに対応しているかすら分かり辛い。 ペインキラーは「女神」「羊」「吟遊詩人」など、名前とは別の呼び名があるのだが、基本的にこれで対応するペインキラーを判別するしかない。一応、「紳士」=「ジェント」、「暴君」=「テュラント」など、割と分かり易い名前は付いているのだが、種類を覚えていないうちにこれだけで判断するのは厳しい。 その上、依存型リングには回りくどいヒントしか書かれていない。例えば「王に忠誠を誓う紳士」と書かれているリングは「王」であるバクトウスと「紳士」であるジェントに対応、「吟遊詩人」のラプソドスには「詩」もしくは「詩人」と書いてあるリングが対応、など。やはり慣れないうちは分かりにくい。 熟知してしまえばさほど難しい訳ではないのだが、そこまでの道のりが長い。それを補う意味で公式サイトで詳細な解説がなされていたが、現在のようにゲームハードから公式オンラインマニュアルにすぐアクセスできる時代ではないことを考えるとまだ不親切である。説明書があるのだから、ちゃんと解説して欲しかったところ。 そもそも召喚系ペインリングはなかなか手に入らない。Aランクは特定のボスが落とすのだが、どれもチャンスは一度きりである。Sランクは4個中2個は必ず手に入るが、3個目はクリア特典、4個目は敵専用なので入手不可である。 試しにリングコマンドを使ってみた結果、突然響く「Hang Up(*5)」に混乱させられたプレイヤーも多いだろう。 説明書は厚いが、その殆どはキャラクター紹介である。 なんと作中の登場人物の殆ど全員が紹介されている。しかも主人公やヒロインなどの主要キャラは2ページ。それ以外の仲間や敵、サブキャラまで1人につき1ページ丸々使って紹介している。載っていないのはほんの2~3人程度である。 キャラクターを大事にするのは結構だが、そこにページを割く前にシステムをしっかり解説しておくべきだろう。 一部ペインリングが強過ぎて、バランス崩壊を招いている。 コラボレーション攻撃「コンフェション」をSランクペインキラーと行うと、SRPGでありながら全体攻撃が可能である。複数回使えるとそれだけで敵が殲滅できてしまう。 Sランクペインキラーは特定キャラしか召喚できず、パーティー内では主人公カインと終盤に仲間になるベイルのみが使用可能。つまりベイルが仲間になって以降はコンフェションで無双が出来てしまう。 ただし、コンフェション発動に必要なリングは取得可能な3個のうち強制入手は1個のみで、あとの2つは取り逃す可能性はある。 また、ベイルが仲間になるのはかなり大詰めになってから。更に最終章で召喚系ペインリングを奪われる為、無双が出来る戦闘は限られている。 一部の謎は最後まで解けず、あるエンディングは続編を意識していたりとやや消化不良感がある。 ヨハネ、ヴァルトス、ダーナなど最後まで正体不明のキャラも多い。 天使十審将もその名の通り10人存在するのだが、本編中はその半分の5人しか登場しない。 同社の『ドラゴンシャドウスペル』には一部、本作との関連を仄めかす描写があるが、結局の所明確にはされていない。 総評 ライトになった見た目とは裏腹に、そのハード且つ混沌とした内容は紛う事なき『BLACK/MATRIX』である。 一方、生き生きとしたキャラ描写によってダークなだけではない熱さも兼ね備えており、シリーズの中でも取っ付き易い部類に入る。 しかし今回もシステムが難解且つ説明不足で、『1』同様世界観以外でも人を選ぶ点は否定できない。そこもまた、媚びないブラックマトリクスらしさと言うべきかもしれない。 余談 本作と『1』のPS版『BLACK/MATRIX+』はゲームアーカイブスで配信されていたが、2010年12月24日で配信終了となっている。 ミニゲームには過去作のキャラがゲスト出演している。中でも「チラシ配り」には『2』からアンジェラとユーニがボイス付きで登場しているのだが、そもそも『2』はナレーションを除いてボイスが無かった為、彼らの声を聞ける唯一の機会でもある。 しかもアンジェラは『2』では一言も喋らなかった為、台詞も唯一のものとなっている。 本作中に登場するサーカス団は「ネキンターカネル団」と言うが、これをアルファベットで書くと「Nec interchanel」となり、そこの団員の名前も「フライ」と「プラン」。本作の発売元、開発元の社名にそれぞれちなんだ小ネタである。
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BLACK/MATRIX OO Part25-264 264 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/19(火) 06 21 35 ID q6YVVMLy0 用語説明、登場人物紹介いきます。 <天使> 「慟哭の555日戦争」に勝利し、地上の覇権を握る。 白い二枚の羽根を持つ者以外は、<規格外>と呼ばれ蔑視される。 その裏で天使の先祖返りと思われる、エンブリオンという白い化け物の存在を隠し続けている。 十審将と呼ばれる力のある天使を頂点に、ヒトと「プロデヴォン教団」を組織している。 <悪魔> 「慟哭の555日戦争」に敗北後、いずこへと身を隠す。 その凶暴性と、理性をなくしヒトの血と髄をすする「渇き」という病のため忌み嫌われている。 <ヒト> 羽根を持たない、力の弱い種族。 まれに「インセスト」という様々な想いを感じとる力を持つ者が存在し、なぜか教団に集められている。 <慟哭の555日戦争>の経緯 遥か昔、天使と悪魔が手を組んで、「倒立樹計画」を打ち立てた。 その計画はインセストを必要とし、最初のインセストであるグレイヘンが利用されることとなった。 グレイヘンの夫であった天使メフィストは異形化し、たびたび計画の邪魔をした。 「白い悪魔」による邪魔のせいで天使と悪魔は苛立ち、その感情が戦争の火種になった。 <ペインリング> 人間の本質部分・意志である「核神」を収める魂の器。 ゲームシステムのミソでもあり、いろいろな力を秘めている。 <世界樹> 大地を支えるのみならず強いエネルギーを持つ巨大な木で、世界の数ヶ所に生息している。 265 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/19(火) 06 24 09 ID q6YVVMLy0 <登場人物> カイン:主人公であるヒト。ヨハネに拾われるまでの記憶がない。破滅的な夢に悩まされている。 マティア:カインと暮らしている。グレイヘンの再来と言われるほど強い力を持つインセスト。 ヨハネ:カインとマティアの保護者。灰色の羽根と仮面をつけた天使。メフィストの友人。 アラギ:インセストを探す悪魔。禁じられたペインリングを持ち出したため、幼馴染であるルカとザイオンに追われている。 ルカ:悪魔その2。「渇き」に冒されつつあることは、ザイオン以外の仲間には知られていない。 ザイオン:悪魔その3。ルカが好き。 エクサル:反教会組織「サイファーパンク」の一員。 そのリーダーであり命の恩人でもある悪魔・ヴァルトスを尊敬しており、彼から預かった小刀を大事にしている。 ステイエン:僧兵。インセストである弟のために教団で働いている。 クレイス:ステイエンの上司。ヒトの身でありながらその力は強く、悪魔討伐隊を指揮する。 ベイル:六枚の羽を持つ十審将の一人。 カルディア:ベイルに使えている。ステイエンの姉。 シリア:四翼の天使。ベイルの妹であるが、インセストを犠牲とする実験に耐えられず離反中。 リリス:シリアを姉と慕うインセスト。教団に囚われている。 10章+6種のエンディングをまとめる予定です。 まとめやすくするために情報を前後させるところがあります。 311 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 12 08 ID holgkLx30 第一章 全ての始まり カインたち三人はキボートス島で穏やかな日々を送っていた。 ニコやフリエ神父といった他の島民は、ヨハネ、メフィストのような<規格外>と関わることをよしとしなかったが、 それでもマティアは病気のメフィストのために歌を歌いに通っていた。 ある日、ふいにマティアの歌声が途切れたことを不審に思ったカインは、メフィストの元へ向かう。 そこにはマティアをさらおうとするアラギの姿があった。 様子を見に来たヨハネ、アラギを追うルカとザイオンの介入もあり、その場は無事に収まった。 「何かあったら教会へ行くように」と言い残し、ヨハネはアラギを追う。 しかし、その後マティアが熱に倒れてしまう。 言いつけどおり教会に連れて行こうとするところを、再びアラギに襲われマティアをさらわれてしまう。 ヨハネ不在の今、フリエ神父を頼るため、カインは再び教会へ向かうことにした。 一方アラギは、悪魔討伐の任務によりキボートス島に来たベイルに殺される。 マティアを保護したベイルは、彼女がインセストだと気づく。 ベイルはフリエ神父と、彼に会いに来たカインに、この娘を教団の保護下に置くこと、 他の悪魔を追っている天使が合流したら、一緒にこの島を発つということを告げた。 別れの挨拶をするようにとのフリエ神父の計らいで、カインは教会の裏口からマティアに会いに行く。 その途中、天使グリシナに傷を負わされ、身を隠していたルカに出会う。 ルカの手当てをしたカインはグリシナに見つかり、異端者としてその命を奪われる。 暗闇の中、カインはメフィストの声を聞く。そして――― 目を覚ましたカインの背中には、白い翼が生えていた。 周りには大勢の人が倒れており、その中にはあのフリエ神父の姿もあった。 何が起こったのか分からないカインに対し、ニコは「化け物、あの時死ねばよかったんだ」と罵る。 この惨状を見たグリシナは、カインが生きていたことに訝りつつも、再び彼を殺そうとする。 戻ってきたヨハネとカインはグリシナを倒し、その顔に傷をつける。 騒ぎを聞きつけたベイルは猛るグリシナをおさえ、マティアを連れ飛び去っていく。 その後、教会の追及を逃れるため、何よりマティアを救うため、カインとヨハネは旅に出た。 312 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 12 58 ID holgkLx30 第二章 大陸にて ヴェローナの街に着いたカインとヨハネは、反教会組織<サイファーパンク>のメンバーになり、情報を得ようとする。 しかし、正式なメンバーになるには三年はかかると言われ、仕方なくその場を去る。 もうすぐ教団の教えを書いた本が配布されるそうなので、教団関係者が集まるそのときに聞き込みをしようと目論む。 露骨に怪しい二人はステイエンに疑われるが、エクサルが間に入りその場を切り抜ける。 今この街は「渇き」に狂った悪魔の噂で持ちきりだということ。 そのために悪魔討伐部隊が出向いているということをエクサルから聞いていると、再びルカとザイオンに出会う。 カインとヨハネを追っていたステイエンは、悪魔二人と一緒にいる現場を見て問答無用で襲い掛かる。 彼女は倒したが、その後現れたクレイスの強さの前に、五人は逃げることを余儀なくされる。 エクサルはサイファーパンクについて、リーダー・ヴァルトスに認められればすぐに入団できると語り、その場を去った。 詳しく話をするためにエクサルを探すと、彼は任務のために地下空洞にいた。 噂の悪魔らしき人物を追っていると、この化け物がうじゃうじゃしている場所にたどり着いたらしい。 化け物は「インセストを探せ」という誰かの命令に従っていたという。 その話に反応するルカとザイオン。 彼らの話によると、あの化け物はパスカといい、悪魔の死体をもとに作られたらしい。 かつて彼らを使役したという<古の大悪魔>の力は今、ペインリングとなって残されている。 その禁じられたパスカのペインリングを奪っていったのがアラギである。 地下空洞の奥に現れたアラギに、「ペインリングを返せ」と襲い掛かるルカ達。しかしそれを一人の少年が阻む。 彼はカインと瓜二つの容貌と悪魔の翼を持ち、名前をアベルといった。 カインを知っており、メフィストのペインリングをその手に持つアベル。 何故かカインとヨハネ、マティアに激しい憎しみを表し、「お前はオレが殺す」とカインに告げ、アラギと共に去っていった。 二人が去った後、ヨハネはルカとザイオンにお互いの目的のため共同戦線を持ちかける。 カイン達はインセストであるマティアを救うため、ルカ達はインセストを追いアラギにたどり着くために。 情報の交換と最低限の協力を約束した後、カインは「翼が痛い」と言い残し、その場に倒れた。 313 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 13 36 ID holgkLx30 第三章 少女の祈り インセストを教会から奪い、アラギから保護しようと行動するカイン達だが、なかなかうまくいかない。 そんな折、教会を化け物が襲っているとの噂が流れる。 カイン達が向かったその先にいたのは、リリスを助けようとするシリアと、白い化け物だった。 健闘むなしく白い化け物<エンブリオン>に連れ去られるリリス。 怪我をしたシリアの代わりにそれを追うルカだったが、リリスを助け出したのはまたもやベイルだった。 リリスの言葉から囚人のようなインセストの扱いを聞き、憤るベイル。 怒りそのままに僧兵を殺そうとしたベイルを止めたのは、「誰にも代わりなんていない」というマティアの言葉だった。 ときおり強い残虐性に支配されるなど、「渇き」の発作に苦しむルカ。 そんなルカを心配するザイオンのところにアラギが現れる。 アラギはザイオンに、本人と<適合>するインセスト、リリスの血と髄があればルカの病気は治ると吹き込んだ。 ザイオンはそのときの会話から、アラギは<幽葬の地下通路>という、戦争のときに悪魔が利用した天然迷路にいるのではないかと断じる。 シリアを加えそこへ行くと、アベルとアラギの他に、アベルによって教団施設から助け出されたレアというインセストがいた。 一行に対しペインリングを発動させようとするアラギ。そこにアラギ復活の報を聞いたベイルが乱入する。 お互いの存在に驚くベイルとシリア。 ベイルは病気も貧困も一切の苦しみのない世界をインセストの犠牲で作り出す計画を立てており、 シリアはそれに耐えられずベイルのもとを離れたのだった。 決定的に袂を分かつ兄妹二人。その隙に逃げるアラギ。 カインは翼の痛みを感じ続けていた。 314 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 14 14 ID holgkLx30 第四章 それぞれの決意 あるとき、ステイエンは天使兵に乱暴されそうなリリスを見咎める。 しかし、これは廃棄処分が決まったインセストであり、死を伴う最終実験の後解体されると告げられる。 「弟も実験が終われば帰される」と思っていたステイエンは、その事実に思わずリリスをつれて走り去る。 そこへ「少女を助けてほしい」という書き込みを見たカインたちが現れ、リリスを助けてくれたことに感謝される。 結果的に教団を裏切ることになってしまい、戸惑うステイエン。そんな彼女にクレイスが剣を向ける。 自分を打ち倒したステイエンをカイン達のもとに送り出すクレイス。 カインが見た書き込みは、教団の非道に罪悪感を感じたクレイスのものだった。 衰弱した状態から回復したリリスから、マティアを助けてほしいと頼まれる。 ヨハネ、ルカ、ザイオンをおとしにして残りのメンバーはマティアを探す。 マティアの想いを感じ取ったリリスの導きにより、カインはマティアのもとへ進んでいった。 その頃、マティアはリングにカインの無事を祈り続けていた。 優しい心を映せば癒しの力を、憎しみの心は破壊の力を。リングに映ったインセストの心によって力を得るという、そのリングに。 侵入者の知らせを聞き、以前ベイルに殺されそうになった僧兵がマティアを逃がす。 ようやく再会できた二人だったが、その間には鉄格子が横たわっていた。 カインは壊そうと奮闘しているところを、ベイルとクレイスに見つかり、弓兵に射殺すよう命を出される。 マティアはカインに願いをこめたリングを託し、一人兵士の前に立ちふさがろうとする。 ベイルはマティアを後ろに下がらせ鉄格子を壊し、直々にカインに戦いを挑んだ。 負傷したというヨハネ以外が合流し、ベイルを退けたとき、突然十審将・ホワイトフェイスが現れる。 <規格外>を嫌う彼は「何をしに来た」と問うベイルに対し、「汚れた血が絶えるのを見届けに来た」と告げ、 自分が<規格外>に行った猟奇的実験をほのめかしたりしてベイルを挑発する。 十審将同士が争えば、辺り一面焼け野原になる。 そのような事態を避けるため、クレイスはステイエンに緊急用の脱出路を教え、自分は二人を止めるためその場に残った。 「今手を出せばお前の処罰は免れない」とベイルをなだめるも、聞き入れられない。 妙な術を使いベイルを亡き者にしようとするホワイトフェイスだったが、そこに他の十審将が介入する。 禁じられた私闘を行ったため、ベイルはサンバルテルミに幽閉されることとなった。 315 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 14 52 ID holgkLx30 第五章 砕ける心 ヨハネの負傷により、自分のことしか考えていなかったことを反省し、無力感を味わうカイン。 怪我をしているのにどこかへ消えたヨハネをみんなで探す最中、 ステイエンは留守番をしていたリリスに、「自分が戻ってこなかったら渡すように」と一通の手紙を預ける。 それはカルディアから弟の危機を知らせるものだった。 待ち合わせ場所に向かったステイエンだったが、わざとカルディアに弟の情報を流したグリシナに、人質として捕らえられる。 「ベイルと家族、どちらかを選べ。家族を選ぶならお前の命と引き換えに助けてやる」 ベイルを慕っていたグリシナは、自分なりのやり方で彼を守ろうと、傍で仕えるカルディアを試す。 手紙を受け取ったカイン達はカルディアから事情を聞き、かわりに取引場所へ向かう。 その広場では、ステイエンとその弟、グリシナ、十審将レッド・ムフロンが待ちうけていた。 グリシナが自分を憎んでいると知っているカインは、「自分を殺すかわりにみんなを助けてくれ」と持ちかける。 お言葉通りに嬲るレッド・ムフロン。 しかし、どこからかやって来たアベルが「オレが殺すまで死ぬな」とカインを癒し、他の皆はその隙に人質を取り返す。 退こうとするレッド・ムフロンの言葉を無視し、あくまでもカインを殺そうとするグリシナを打ち破る。 愛していたグリシナを殺されたレッド・ムフロンは、怒りで力を解放する。 そこにヴァルトスが現れ、マティアから託されたペインリングを使うように促す。 その力でレッド・ムフロンを退け、ヴァルトスにその力を<特例>として認められたカイン達は、 サイファーパンクの一員として改めてインセストを救出する任務に当たるのだった。 パスカの気配を感じ、ルカは一人でアラギのもとに赴く。 ル同胞を殺し、死を軽んじ、戦士の誇りを失い変わってしまったアラギを嘆くルカ。 そんなルカに対し、アラギは自分のところへ来い、俺達ならうまくやれると呼びかける。 言い合いを続ける二人の周りには、いつしか教会の兵士が集い始めていた。 ますます酷くなっていくルカの「渇き」に対し、何もできないことを歯がゆく思うザイオン。 ルカの病を治すしたい一心でリリスに手をかけようとするところを、エクサルに見られてしまう。 理由を求める一同に、「俺が渇きに狂った悪魔だから、自分が生きるためにリリスを殺そうとした」と告げ、どこかへと去ってしまう。 悪魔に殺された妹とリリスを重ねるエクサル。 リリスを殺そうとしたザイオンを、素直に許せないシリア。 こうして皆はバラバラになった。
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BLACK/MATRIX OO Part25-264 264 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/19(火) 06 21 35 ID q6YVVMLy0 用語説明、登場人物紹介いきます。 <天使> 「慟哭の555日戦争」に勝利し、地上の覇権を握る。 白い二枚の羽根を持つ者以外は、<規格外>と呼ばれ蔑視される。 その裏で天使の先祖返りと思われる、エンブリオンという白い化け物の存在を隠し続けている。 十審将と呼ばれる力のある天使を頂点に、ヒトと「プロデヴォン教団」を組織している。 <悪魔> 「慟哭の555日戦争」に敗北後、いずこへと身を隠す。 その凶暴性と、理性をなくしヒトの血と髄をすする「渇き」という病のため忌み嫌われている。 <ヒト> 羽根を持たない、力の弱い種族。 まれに「インセスト」という様々な想いを感じとる力を持つ者が存在し、なぜか教団に集められている。 <慟哭の555日戦争>の経緯 遥か昔、天使と悪魔が手を組んで、「倒立樹計画」を打ち立てた。 その計画はインセストを必要とし、最初のインセストであるグレイヘンが利用されることとなった。 グレイヘンの夫であった天使メフィストは異形化し、たびたび計画の邪魔をした。 「白い悪魔」による邪魔のせいで天使と悪魔は苛立ち、その感情が戦争の火種になった。 <ペインリング> 人間の本質部分・意志である「核神」を収める魂の器。 ゲームシステムのミソでもあり、いろいろな力を秘めている。 <世界樹> 大地を支えるのみならず強いエネルギーを持つ巨大な木で、世界の数ヶ所に生息している。 265 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/19(火) 06 24 09 ID q6YVVMLy0 <登場人物> カイン:主人公であるヒト。ヨハネに拾われるまでの記憶がない。破滅的な夢に悩まされている。 マティア:カインと暮らしている。グレイヘンの再来と言われるほど強い力を持つインセスト。 ヨハネ:カインとマティアの保護者。灰色の羽根と仮面をつけた天使。メフィストの友人。 アラギ:インセストを探す悪魔。禁じられたペインリングを持ち出したため、幼馴染であるルカとザイオンに追われている。 ルカ:悪魔その2。「渇き」に冒されつつあることは、ザイオン以外の仲間には知られていない。 ザイオン:悪魔その3。ルカが好き。 エクサル:反教会組織「サイファーパンク」の一員。 そのリーダーであり命の恩人でもある悪魔・ヴァルトスを尊敬しており、彼から預かった小刀を大事にしている。 ステイエン:僧兵。インセストである弟のために教団で働いている。 クレイス:ステイエンの上司。ヒトの身でありながらその力は強く、悪魔討伐隊を指揮する。 ベイル:六枚の羽を持つ十審将の一人。 カルディア:ベイルに使えている。ステイエンの姉。 シリア:四翼の天使。ベイルの妹であるが、インセストを犠牲とする実験に耐えられず離反中。 リリス:シリアを姉と慕うインセスト。教団に囚われている。 10章+6種のエンディングをまとめる予定です。 まとめやすくするために情報を前後させるところがあります。 311 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 12 08 ID holgkLx30 第一章 全ての始まり カインたち三人はキボートス島で穏やかな日々を送っていた。 ニコやフリエ神父といった他の島民は、ヨハネ、メフィストのような<規格外>と関わることをよしとしなかったが、 それでもマティアは病気のメフィストのために歌を歌いに通っていた。 ある日、ふいにマティアの歌声が途切れたことを不審に思ったカインは、メフィストの元へ向かう。 そこにはマティアをさらおうとするアラギの姿があった。 様子を見に来たヨハネ、アラギを追うルカとザイオンの介入もあり、その場は無事に収まった。 「何かあったら教会へ行くように」と言い残し、ヨハネはアラギを追う。 しかし、その後マティアが熱に倒れてしまう。 言いつけどおり教会に連れて行こうとするところを、再びアラギに襲われマティアをさらわれてしまう。 ヨハネ不在の今、フリエ神父を頼るため、カインは再び教会へ向かうことにした。 一方アラギは、悪魔討伐の任務によりキボートス島に来たベイルに殺される。 マティアを保護したベイルは、彼女がインセストだと気づく。 ベイルはフリエ神父と、彼に会いに来たカインに、この娘を教団の保護下に置くこと、 他の悪魔を追っている天使が合流したら、一緒にこの島を発つということを告げた。 別れの挨拶をするようにとのフリエ神父の計らいで、カインは教会の裏口からマティアに会いに行く。 その途中、天使グリシナに傷を負わされ、身を隠していたルカに出会う。 ルカの手当てをしたカインはグリシナに見つかり、異端者としてその命を奪われる。 暗闇の中、カインはメフィストの声を聞く。そして――― 目を覚ましたカインの背中には、白い翼が生えていた。 周りには大勢の人が倒れており、その中にはあのフリエ神父の姿もあった。 何が起こったのか分からないカインに対し、ニコは「化け物、あの時死ねばよかったんだ」と罵る。 この惨状を見たグリシナは、カインが生きていたことに訝りつつも、再び彼を殺そうとする。 戻ってきたヨハネとカインはグリシナを倒し、その顔に傷をつける。 騒ぎを聞きつけたベイルは猛るグリシナをおさえ、マティアを連れ飛び去っていく。 その後、教会の追及を逃れるため、何よりマティアを救うため、カインとヨハネは旅に出た。 312 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 12 58 ID holgkLx30 第二章 大陸にて ヴェローナの街に着いたカインとヨハネは、反教会組織<サイファーパンク>のメンバーになり、情報を得ようとする。 しかし、正式なメンバーになるには三年はかかると言われ、仕方なくその場を去る。 もうすぐ教団の教えを書いた本が配布されるそうなので、教団関係者が集まるそのときに聞き込みをしようと目論む。 露骨に怪しい二人はステイエンに疑われるが、エクサルが間に入りその場を切り抜ける。 今この街は「渇き」に狂った悪魔の噂で持ちきりだということ。 そのために悪魔討伐部隊が出向いているということをエクサルから聞いていると、再びルカとザイオンに出会う。 カインとヨハネを追っていたステイエンは、悪魔二人と一緒にいる現場を見て問答無用で襲い掛かる。 彼女は倒したが、その後現れたクレイスの強さの前に、五人は逃げることを余儀なくされる。 エクサルはサイファーパンクについて、リーダー・ヴァルトスに認められればすぐに入団できると語り、その場を去った。 詳しく話をするためにエクサルを探すと、彼は任務のために地下空洞にいた。 噂の悪魔らしき人物を追っていると、この化け物がうじゃうじゃしている場所にたどり着いたらしい。 化け物は「インセストを探せ」という誰かの命令に従っていたという。 その話に反応するルカとザイオン。 彼らの話によると、あの化け物はパスカといい、悪魔の死体をもとに作られたらしい。 かつて彼らを使役したという<古の大悪魔>の力は今、ペインリングとなって残されている。 その禁じられたパスカのペインリングを奪っていったのがアラギである。 地下空洞の奥に現れたアラギに、「ペインリングを返せ」と襲い掛かるルカ達。しかしそれを一人の少年が阻む。 彼はカインと瓜二つの容貌と悪魔の翼を持ち、名前をアベルといった。 カインを知っており、メフィストのペインリングをその手に持つアベル。 何故かカインとヨハネ、マティアに激しい憎しみを表し、「お前はオレが殺す」とカインに告げ、アラギと共に去っていった。 二人が去った後、ヨハネはルカとザイオンにお互いの目的のため共同戦線を持ちかける。 カイン達はインセストであるマティアを救うため、ルカ達はインセストを追いアラギにたどり着くために。 情報の交換と最低限の協力を約束した後、カインは「翼が痛い」と言い残し、その場に倒れた。 313 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 13 36 ID holgkLx30 第三章 少女の祈り インセストを教会から奪い、アラギから保護しようと行動するカイン達だが、なかなかうまくいかない。 そんな折、教会を化け物が襲っているとの噂が流れる。 カイン達が向かったその先にいたのは、リリスを助けようとするシリアと、白い化け物だった。 健闘むなしく白い化け物<エンブリオン>に連れ去られるリリス。 怪我をしたシリアの代わりにそれを追うルカだったが、リリスを助け出したのはまたもやベイルだった。 リリスの言葉から囚人のようなインセストの扱いを聞き、憤るベイル。 怒りそのままに僧兵を殺そうとしたベイルを止めたのは、「誰にも代わりなんていない」というマティアの言葉だった。 ときおり強い残虐性に支配されるなど、「渇き」の発作に苦しむルカ。 そんなルカを心配するザイオンのところにアラギが現れる。 アラギはザイオンに、本人と<適合>するインセスト、リリスの血と髄があればルカの病気は治ると吹き込んだ。 ザイオンはそのときの会話から、アラギは<幽葬の地下通路>という、戦争のときに悪魔が利用した天然迷路にいるのではないかと断じる。 シリアを加えそこへ行くと、アベルとアラギの他に、アベルによって教団施設から助け出されたレアというインセストがいた。 一行に対しペインリングを発動させようとするアラギ。そこにアラギ復活の報を聞いたベイルが乱入する。 お互いの存在に驚くベイルとシリア。 ベイルは病気も貧困も一切の苦しみのない世界をインセストの犠牲で作り出す計画を立てており、 シリアはそれに耐えられずベイルのもとを離れたのだった。 決定的に袂を分かつ兄妹二人。その隙に逃げるアラギ。 カインは翼の痛みを感じ続けていた。 314 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 14 14 ID holgkLx30 第四章 それぞれの決意 あるとき、ステイエンは天使兵に乱暴されそうなリリスを見咎める。 しかし、これは廃棄処分が決まったインセストであり、死を伴う最終実験の後解体されると告げられる。 「弟も実験が終われば帰される」と思っていたステイエンは、その事実に思わずリリスをつれて走り去る。 そこへ「少女を助けてほしい」という書き込みを見たカインたちが現れ、リリスを助けてくれたことに感謝される。 結果的に教団を裏切ることになってしまい、戸惑うステイエン。そんな彼女にクレイスが剣を向ける。 自分を打ち倒したステイエンをカイン達のもとに送り出すクレイス。 カインが見た書き込みは、教団の非道に罪悪感を感じたクレイスのものだった。 衰弱した状態から回復したリリスから、マティアを助けてほしいと頼まれる。 ヨハネ、ルカ、ザイオンをおとしにして残りのメンバーはマティアを探す。 マティアの想いを感じ取ったリリスの導きにより、カインはマティアのもとへ進んでいった。 その頃、マティアはリングにカインの無事を祈り続けていた。 優しい心を映せば癒しの力を、憎しみの心は破壊の力を。リングに映ったインセストの心によって力を得るという、そのリングに。 侵入者の知らせを聞き、以前ベイルに殺されそうになった僧兵がマティアを逃がす。 ようやく再会できた二人だったが、その間には鉄格子が横たわっていた。 カインは壊そうと奮闘しているところを、ベイルとクレイスに見つかり、弓兵に射殺すよう命を出される。 マティアはカインに願いをこめたリングを託し、一人兵士の前に立ちふさがろうとする。 ベイルはマティアを後ろに下がらせ鉄格子を壊し、直々にカインに戦いを挑んだ。 負傷したというヨハネ以外が合流し、ベイルを退けたとき、突然十審将・ホワイトフェイスが現れる。 <規格外>を嫌う彼は「何をしに来た」と問うベイルに対し、「汚れた血が絶えるのを見届けに来た」と告げ、 自分が<規格外>に行った猟奇的実験をほのめかしたりしてベイルを挑発する。 十審将同士が争えば、辺り一面焼け野原になる。 そのような事態を避けるため、クレイスはステイエンに緊急用の脱出路を教え、自分は二人を止めるためその場に残った。 「今手を出せばお前の処罰は免れない」とベイルをなだめるも、聞き入れられない。 妙な術を使いベイルを亡き者にしようとするホワイトフェイスだったが、そこに他の十審将が介入する。 禁じられた私闘を行ったため、ベイルはサンバルテルミに幽閉されることとなった。 315 :BLACK/MATRIXOO:2006/09/22(金) 21 14 52 ID holgkLx30 第五章 砕ける心 ヨハネの負傷により、自分のことしか考えていなかったことを反省し、無力感を味わうカイン。 怪我をしているのにどこかへ消えたヨハネをみんなで探す最中、 ステイエンは留守番をしていたリリスに、「自分が戻ってこなかったら渡すように」と一通の手紙を預ける。 それはカルディアから弟の危機を知らせるものだった。 待ち合わせ場所に向かったステイエンだったが、わざとカルディアに弟の情報を流したグリシナに、人質として捕らえられる。 「ベイルと家族、どちらかを選べ。家族を選ぶならお前の命と引き換えに助けてやる」 ベイルを慕っていたグリシナは、自分なりのやり方で彼を守ろうと、傍で仕えるカルディアを試す。 手紙を受け取ったカイン達はカルディアから事情を聞き、かわりに取引場所へ向かう。 その広場では、ステイエンとその弟、グリシナ、十審将レッド・ムフロンが待ちうけていた。 グリシナが自分を憎んでいると知っているカインは、「自分を殺すかわりにみんなを助けてくれ」と持ちかける。 お言葉通りに嬲るレッド・ムフロン。 しかし、どこからかやって来たアベルが「オレが殺すまで死ぬな」とカインを癒し、他の皆はその隙に人質を取り返す。 退こうとするレッド・ムフロンの言葉を無視し、あくまでもカインを殺そうとするグリシナを打ち破る。 愛していたグリシナを殺されたレッド・ムフロンは、怒りで力を解放する。 そこにヴァルトスが現れ、マティアから託されたペインリングを使うように促す。 その力でレッド・ムフロンを退け、ヴァルトスにその力を<特例>として認められたカイン達は、 サイファーパンクの一員として改めてインセストを救出する任務に当たるのだった。 パスカの気配を感じ、ルカは一人でアラギのもとに赴く。 ル同胞を殺し、死を軽んじ、戦士の誇りを失い変わってしまったアラギを嘆くルカ。 そんなルカに対し、アラギは自分のところへ来い、俺達ならうまくやれると呼びかける。 言い合いを続ける二人の周りには、いつしか教会の兵士が集い始めていた。 ますます酷くなっていくルカの「渇き」に対し、何もできないことを歯がゆく思うザイオン。 ルカの病を治すしたい一心でリリスに手をかけようとするところを、エクサルに見られてしまう。 理由を求める一同に、「俺が渇きに狂った悪魔だから、自分が生きるためにリリスを殺そうとした」と告げ、どこかへと去ってしまう。 悪魔に殺された妹とリリスを重ねるエクサル。 リリスを殺そうとしたザイオンを、素直に許せないシリア。 こうして皆はバラバラになった。