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88title/no.79 瞳を閉じて 基地を出て、近くのアパートまで歩く。いつもの道のり。 そこへ最近、基地からアパートまでのその間に楽しみが加わった。 近所のガキどもの目隠し鬼からヒントを得たものだった。 子供の遊びはいつも変化する。 でも、変化しない遊びもある。 目隠し鬼。 それもその一つ。 最初はじゃんけんで負けた奴が目隠しをして、他の逃げた奴らの声だけを頼りに捕まえる。そして捕まってしまった奴が次の鬼になるのだ。 閉鎖的空間ならそれも楽しい。 とにかく「見えない不安」から脱出できるのだから、それだけでも自分とは違う人間を捕まえるのは安心する。 子供たちが楽しそうに遊んでいるのを見かけた。公民館の中できゃあきゃあ楽しそうな悲鳴をあげて逃げ回る子供たち。 それを見ながら栗原がボソッと言った。 「俺、そういやあんな遊びしなかったなあ・・・」 「栗さんしたことないの?」 神田は目をしばたたかせる。そう言えば、と栗原の子供の頃の話を思い出す前に、 栗原が妙なシナを作って言った。 「ああ・・俺、こう見えても子供の頃は可愛くて優しいか弱い男の子だったの」 「・・・栗~力抜けるわ」 そう言いながら神田は栗原の肩に手をかけて身体を半分に折る。 で。起き上がったとき神田の口から「遊び」の提案が発せられた。 「じゃ、やってみるか。ちょっと違うけど。さ、栗、目ぇつぶって」 「あん?」 目が細くなって神田を見る。 怒ってはいないが、疑っている目だ。 「だからさ。目ぇつぶってみなって」 「ここからまさか、目をつぶったまま帰るってんじゃあないよね?神田」 神田の目が丸くなる。 ・・・ご名答。さすがするどいなあ~と思った言葉は口にせず、 遊びなんだから、と笑ってみせる。 なんとか目をつぶった栗原の手を神田は取って歩き出した。 「おい、神田。手を取ったら遊びになんないじゃないか」 「いいのいいの。俺がナビね」 「むちゃくちゃ不安だな」 「そんないうなよ」 「・・・そろそろ四つ角だな。車は来てない様だが通行人は?」 「大丈夫だって。俺がちゃんと連れて帰ってやるから、あ、そこちょっと段差あるから」 「・・・」 「栗。目ぇ開けんなよ」 「・・・明日はお前だな」 「なんで?」 「なんでって・・・」 こんな、切ないことはない。 栗原は思う。 目をつぶって手を触れて、こんなに近くにいて、こんなに幸せで。 そう思うと、胸が苦しくなる。 引かれた右手を掴むその手が温かくて、安心する。 その温かい手の主が神田だということが、そう思わせる大きな要因だと、わかっている。 俺たちはちゃんと繋がっている。 だから。 自分だけ、こんなに切ないのは何故かくやしい気がした。 「明日は、お前だからな」 再度、念押ししながら切ない思いを押し込めて、閉じた瞼に力を込めた。 基地を出て、近くのアパートまで歩く。いつもの道のり。 アパートまでのほんの短い時間を楽しむ。 信じているから。 瞳を閉じて、お互いに繋がった手だけを頼りに。 ゆっくりとゆっくりと、二人で、これからもずっと。 2004.12.16 ゆう
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登録日:2020/10/18 (日) 20 58 00 更新日:2022/08/16 Tue 01 46 47NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 40代ホイホイ BARBEE BOYS Just_close_your_eyes √5 いまみちともたか エロい、もとい大人の歌詞 レイザーラモンRG 椿鬼奴 名曲 市川AB蔵 手羽あるある 昭和64年 甘えたい女vsただ甘えてくるのは許さないドS男 音楽 目を閉じておいでよ 顔は奴と違うから ほら いつもを凌ぐ 熱い汗と息づかい 「目を閉じておいでよ」とは、1989年にBARBEE BOYSが発表した楽曲。彼らの代名詞的な楽曲である。オリジナルアルバム√5に収録。某動画サイトで累計3000万回以上再生されており、1度は耳にしたことがあることと思われる。 【データ】 発売 1989年1月1日(BARBEE BOYS 11thシングル) レーベル EPICソニー チャート最高順位 オリコン週間ランキング8位、1989年度年間51位 セールス およそ16.8万枚 タイアップ 資生堂男性用整髪剤「TRENDY」CMソング(なお、CMには自ら出演) 【収録曲】 1.「目を閉じておいでよ」 [4 45] 作詞・作曲:いまみちともたか 2.「11 50」 [4 28] 作詞・作曲:近藤敦(KONTA) 【解説】 1989年1月1日ということで、世にも珍しい「昭和64年」リリースの楽曲となっている。昭和64年発表の楽曲は、この他に酒井法子の「ホンキをだして」しかない。 今作は彼らの5番目のアルバム√5(ルートファイブ)の先行シングルとして世に登場することとなった。なお、√5は平成改元後に発売されているので他の収録曲は平成元年リリースとなる。 BARBEE BOYSの他の楽曲と違わずKONTAと杏子によるツインボーカルのデュエット曲になっているが、男女で目を見つめて歌うような歌詞ではなく、エロい。 さらにサビ部分は男声パートのみなのでバランスは良いとは言えない。 カラオケで原曲キーで歌うのは、音が高すぎて至難の業である(これでもバービーの楽曲の中では難易度は低いほう)。 スナックなどでうまい人が歌うとすげー盛り上がる。 【誕生】 2007年に発売されたシングル集『蜂 -BARBEE BOYS Complete Single Collection-』の中でいまみちともたか(以下、イマサ)が以下のコメントを寄せている。 某スタッフが冗談で吐いた、という 「いーじゃねぇか、やらせろよ、目を閉じてりゃ アッつうまに終わっちまうからさ」というお下劣なフレーズを、 脳内にインプットさせておいたのだけど、 ある日突然それがこうなったわけだ。 1988年当時のバービーのマネージャーだった男性が、女性スタッフに対して言った一言が誕生のきっかけとなった。現代ではもちろんセクハラです。当時もセクハラです! 【世間への浸透】 オリコンチャート初登場10位。当時放送していた歌番組などで世に知られることになる。rバービーボーイズはその演奏技術の高さから生放送の歌番組ではかなり優遇され、ランキングがそれほど上位でなくともフルコーラスで披露することが多かった。 ラジオ番組でもよく聞こえてきたが、もっぱら夜10時以降が主戦場で朝や昼に流れることはあまりなく、たまに流れるとものすごくスタジオが微妙な空気になっていたのがとってわかった。 各地の中学校の「お昼の放送」では、曲をかけたいバービーファンの生徒と(内容がアレなので)阻止したい教諭側で毎回小競り合いが発生し、教諭側が強権で阻止するという現象が日本中で発生していた。 【時は流れて】 1992年のBARBEE BOYS解散後、コアなファンの間では歌い継がれていたが、世間的には表舞台で取り上げられることはほとんどなく、忘れ去られていった。 そして2009年、レイザーラモンRGがTX系「やりすぎコージー」の中で新ネタとして「市川AB蔵」という某歌舞伎俳優ぽいキャラクターに扮し、「新しい『あるあるネタ』を考えた」といってこの曲の替え歌『手羽あるある』を披露した。「手羽あるある早く言いたい」と歌いながら、肝心なあるあるは全く言わずサビが過ぎ、最終的にただ手羽先の食べ方を紹介するだけのカオスな内容だったが、これが周りの芸人の助けもあって世間に広まり、再び知れ渡ることになる。以降、RGは様々な80年代~90年代の曲で似たような形式の「〇〇あるあるシリーズ」を作り出している。 RGは次いで、同じく80年代J-POP好きの椿鬼奴と組み、目を閉じておいでよをバービーになりきりフザケ要素なしで歌って笑いが発生するという珍現象を発生させる。(*1) これまで、KONTAの高い音域のハスキーボイスと杏子の表現力豊かな(女性にしては)低音のツインボーカルはアマチュアのコピーバンドはたくさんいたものの、プロのモノマネタレント勢は避けて通った道であり、新鮮であり且つオリジナルへの敬意がしっかり受けて取れたのでバービーファンから高く評価され、さらにはバービーボーイズを知らない世代にも受け入れられ一気に世間に知れ渡ることとなった。 KONTAもこの動向を早くから好意的にとらえており、「おれの後継者はRG君でよい」という種のコメントを早くから出している。 現在、バービーボーイズは不定期に集結してライブを行っているが、毎回この曲の際はRGと鬼奴の功績がMCで触れられている。 なお本家のパフォーマンスは、解散して15年以上たっても、衰えるどころかさらに進化している。 冒頭でも触れたが、動画サイトでは本家が3000万回以上、RG&鬼奴のパフォーマンスも累計700万回以上の再生を記録。最近では海外からリアクション動画や「ギター弾いてみた」動画も投稿されている。 【11:50】 カップリング曲の「11:50」はオリジナルアルバムには収録されず、長らく眠っていた。 KONTAによる隠れた名曲で、バービーの楽曲はコード進行が特殊である曲が多いのが有名だが(*2)、これはその極みと言っても過言ではない。収録時、メンバー全員が譜面を読んで顔をポカンとさせたそうだ。作ったKONTAも、久しぶりに聞いた際に「あ、この曲書いたの忘れてたよ」と言ったらしい。 イマサによると、曲名は「いちいち困る」と読んでくれとのことである。 【余談】 2019年に音楽ナタリーが実施したアンケート「BARBEE BOYSファンが選ぶ好きなバービーの曲ランキング」で、目を閉じておいでよは7位にランクイン。 その場に立会っていたRGも「あ、1位じゃないんだ、意外だね」と言ってはいたが、6位より上にランクインした曲を見て納得していた。バービーには名曲が他にもいっぱいあるので興味のある方はご一聴していただけると幸いである。 “追記して” アニヲタの手が “修正して” 編集をなぞる △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント
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初出 『百合姫Wildrose Vol.2』(2008年7月発売) 収録 『くちびるに透けたオレンジ』(一迅社、2010年7月発売) あらすじ 希和子とアズサは従姉妹どうしで、恋人どうし。同棲もしている。しかし希和子はアズサがいつか、他の誰かに、自分がアズサにしたのと同じことをするのではないかと不安を抱えて暮らしている。恋の切なさ――独り占めしたい気持ち、相手が離れていく不安――を切々と描いた作品。 Amazonで購入
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イツモシヅカニワラッテヰル ―――『雨ニモマケズ』宮沢賢治 姉は自分より出来た人間だと、常に思っていた。 いや、より精確に言うのなら、オレは常に思い知らされてきた。 優等生という表現では足りない。姉は、人間なのに聖人だった。 だからオレは、生にしがみつかずに楽に死ぬべきだった。 脳深部コーラル管理デバイスのもたらす弊害を、オレは良く知っている。 激しい戦闘を終える度、姉の目は落ち着きなく、まるで痙攣しているようにあちこちに動いていた。 自分の生身の身体を確かめるように手足を動かして、汗で髪の毛が張り付いていることにも気づかず、ひきつった笑顔を浮かべる。 いつもの姉ではなかった。姉はいつも、窓から差し込む光のように優しく微笑む。自分がどれほど辛くても。 オレは、怖かった。恐れた。手術がではなく、己の頭の内側から体を蝕むコーラルを恐れた。姉はそれでいいと優しく言った。 代替技術による強化人間手術が開発されたと聞いた時、オレは志願した。これ以上、姉にすべてを背負わせるわけにはいかないと。 そして術後に、光を失った。 「脳や他の能力に異常は見られませんが、視神経に異常が発生しています」 「しかし、ACに繋げば視えるようになるんじゃないかね。ACには目がある」 「どうでしょう。一度やって見ましょうか」 車椅子で運ばれ、ACに繋がれる。 怖かった。全くの暗闇の中、オレはただ聞くことしかできない。 メカニックと医者がああでもないこうでもないと言うのが、罪状を読み上げ死刑に値するか否かを議論する裁判官の声のように聞こえた。 開けているのに、まるで牢獄に居るかのようだった。 そんなオレの手に手を重ねてきたのは、姉だった。 「大丈夫ですよ、ルシャール」 さらりとした髪の毛が、オレの顔を滑る。 そして、温もりが優しく抱きしめる。無意識のうちに、両手が姉を抱きしめ返す。 「私がついています。大丈夫」 まるで子供をあやすように、姉の手がオレの背中をさする。 それでも、オレはなにも視えなかった。 オレに適合するドナーがいるかどうか、という話を姉はしつこく上司に聞いた。 最初は同情してそれに付き合っていた上司だったが、姉はしつこすぎた。珍しく、上司を信用していなかった。 結局、オレは廃棄処分として安楽死するか、あるいは普通の社員として雇用されるために再教育を受けるか、ということになった。 結論は一週間後、それまでに決めてほしい、と。 それから毎日、姉は病室に来た。 その日も消灯時間ぎりぎりに息切れしながらオレの病室にやってきて、そのまま壁際に座り込んで、そして言った。 「ルシャールは、どうするんですか」 「どうもこうもねえだろ。無い頭で会社員でも目指すさ」 「聞き方が間違っていました」 ああ、嫌だ。 姉がこういう時は、ろくでもない。 この言葉で姉は、いつもろくでもないものを背負い込む。 そして、代償を支払う。 「ルシャール」 「やめろ……」 「あなたは」 「やめてくれ……」 「どうしたいんですか?」 「やめてくれよ!!」 大声を出した。 けれども、姉が驚いたような気配はない。 ああ、嫌だ。 なんでそこまで覚悟を決めているんだ。 オレは何一つまともに覚悟なんてできていないのに。 「いやです」 「なんでだ……なんでやめてくれない!? オレはもう、もう……いいんだ!! こんな目じゃなにも見えない、何一つ見えない、ACにだってもう乗れない!!」 「大丈夫です」 「大丈夫? 大丈夫ってなんだよ、なにがいったい、このザマを見てなにが大丈夫なんだよ? オレはもうダメなんだ、ぶっ壊れてまともじゃない、ゴミなんだよオレは!!」 「ルシャール」 「やめろって言ってるだろ!?」 「やめるもんですか!!」 体がびくっとした。 姉が怒鳴るのは何年、いや、何十年ぶりだろうか。 一緒に産まれてからこのかた、初めてだったかもしれない。 姉の怒鳴り声は、震えていた。 「………泣いてるのか?」 「ええ、泣いています。そして、怒ってもいます」 「なんでだよ、諦めてくれよ……もうこれ以上、姉ちゃんに迷惑かけたくねえんだよ……」 「私は迷惑をかけてもらっても良いんです。迷惑なんて思ってません」 「くそっ……だから嫌なんだ、それだから嫌なんだ」 「ルシャール」 「なんだよ」 そっと頬を撫でた手は、温かくて震えていた。 その時、思った。オレが死ねば、きっと姉はもっと報われるはずだと。 でもそれは、怖かった。恐ろしかった。 打ちっぱなしのコンクリートのようなのっぺりとしたグレイの死が、とても恐ろしい。 「あなたは、私の妹じゃないですか」 姉の声は震えている。きっと泣いているのだろう。 「ああ、そうだよ……」 オレの声もまた、震えている。泣いている。 怖くて、恐ろしくて。 自分が本当に情けなくて。 「姉妹だからなんだよ……ルルア」 その日は二人で泣いて、朝になると姉はいなかった。 あの時、オレが覚悟を持ってグレイの死を甘んじて受け入れると言っていれば。 あの時、涙も流さずに姉に対して毅然と拒絶の言葉を吐くことができていれば。 きっと、あんなことにはならなかったのだろう。 結論から言えば、姉は自らの利き目でもある右目をオレに提供した。 私物の近接戦闘用カーボンブレードと拡張マガジンを差した拳銃で上司と医者を相手に大立ち回りを演じ、無理やりオレの手術の場を設けた。 手術は成功した。麻酔で意識が混濁しているオレを見て、姉が泣いていたような気がする。たぶん、オレも泣いていた。 目が、世界が見えるようになった。ACにも乗れるようになり、廃棄処分や再教育は撤回された。姉は半年間の減給処分を喰らっていたが、満足そうだった。 しかし、姉はしっかりと代償を支払っていた。 二人でこなした仕事の後、姉はコクピットから降りてこなかった。 コーラルの脳の焼き付きと精神汚染は右目と視神経を廃棄処分予定の妹に提供するという予定外の工程を経たことで、より悪化していた。 オレのせいだ。 姉がなんと言おうと。 これは、オレのせいだ。 だからこそオレは、生にしがみつかずに楽に死ぬべきだった。 そう思った。今でも、たまに思う。 昏睡状態から目覚めた姉は、その夜、不思議なことを言った。 「誰かが、呼んでいる気がするんです」 「誰かって誰だよ」 「分かりません。でも、私を……」 姉は少し考えた後、にこりと微笑んで言った。 「私たちを呼んでいる気がして」 「なら今度は、そこに行ってみるのか」 「一緒に来てくれます?」 「……当然だろ」 今にも泣きそうになるのを堪えて、オレは笑おうとして、笑えなかった。 オレはアンタみたいに笑えない。そんな優しい人間になれなかった。アンタが、アンタが優し過ぎるからオレには無理だと。 だから、オレは精一杯に口端を釣り上げてやった。 「オレたちは、姉妹なんだからな」 次の日、オレたちは1隻の船と自分のACと、必要なものを奪って逃げた。 その後は知っての通りだ。オレたちはルビコン3なんていう辺境の惑星にいる。 大丈夫だ。今のオレは死ぬ覚悟も出来ている。片目を閉じれば、いつだって死が見える。 ―――時折、姉は人間に産まれるべきじゃなかった、と思う。 こんなにも出来た姉は、こんなにも優しい姉は、いつか人間の身では背負いきれないものを背負って、自分にあるものすべてを投げ打って、その代償を払うだろう。 血まみれになって体がどこか欠けてても誰かが助かっているなら、姉は静かに笑っているだろう。そうして、四肢が千切れ、内臓がいくつも失われ、最後には命も、魂までもを使い果たす。 だからもし、次に産まれることがあるのならば、姉は天使かなにかになればいい。姉だけで足りないのなら、オレを使って踏み台にしてくれたって良い。二人で一人前だ。帳尻は取れる。 姉はこの地で死ぬだろう。 静かに笑いながら、変わらぬ優しさを胸に、善人であろうとしながら、死ぬだろう。 オレは、それを見届ける。葬式をやって、墓穴を掘って、埋めて、墓石を立てる。 オレは、アンタの、ただ一人の妹だから。 関連項目 ヒアリング・ルルーアン ルルア オオグチ ルシャール
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難易度 楽曲Lv 消費AP EASY 5 17 NORMAL 11 19 HARD 14 21 EXPERT 23 24 開放条件 ユーザーランクを62にし、メインストーリー第5章10話で試合をする 楽曲情報 不二周助(C.V. 甲斐田 ゆき) 作詞:kyo 作曲:UZA CD情報 収録CD メディア 歌手 発売日 THE BEST OF SEIGAKU PLAYERS Ⅴ Syusuke Fuji シングル 不二周助 2002/08/07 eyes(※瞳を閉じて 心のまま 僕は君を想う(Instrumental Part.1)) 1stアルバム 2003/07/02 ここで僕らは出会ってしまった(※瞳を閉じて 心のまま 僕は君を想う~200タイトルメモリアルバージョン~) シングル 不二周助 手塚国光 2008/02/29 テニプリソング1/800曲!(はっぴゃくぶんのオンリーワン)-梅(Vai)-「参」 ベストアルバム Various Artists 2017/09/06 ※iTunes Store,Amazon等にてダウンロード可能
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納得物語 外伝 「スケッチブックを閉じて」 薄暗い部室に電気が灯り、そこで古泉は我に返った。 「相変わらずだな、描き出すと止まらない…。」 古泉「ケンシロ…。」 ケンシロ「何それ?」 無造作にスケッチブックを覗いてみると、そこには綺麗な女が描かれていた。 ケンシロ「いい女だな…、でもどうせ、綺羅祭壇の検閲が入るんだ、自由には描けないぜ。」 古泉「うん…、わかってる。」 ケンシロ「それでさ、古泉…。俺、学校辞めようと思う…。」 古泉「えっ…、何でだよ。お前が次期部長だって先輩も言ってたのに。」 ケンシロ「……、来る日も来る日も、綺羅祭壇を讃える絵ばっか描いてられるかよ…。」 ケンシロ「そりゃ、確かにここの部長になれば、コネも利いて一生安泰だ…。でも…。」 古泉「絵は自由な物、誰にも干渉されない…、だよな…。」 遠くの踏切の警笛がかすかに聞こえる。 ケンシロ「お前も来ないか…。」 古泉「ごめん……、まだやり残した事があるんだ…。」 ケンシロ「そっか…、でも、描き続けろよ。」 古泉「……、うん。いつか自由に絵を描けるように戦ってみるよ。」 部室のドアが開いて、女が入ってきた。 古泉「紫音…。」 紫音「ねえねえ!聞いた!?生徒会長選挙の立候補者、決まったみたいよ!」 いつのまにか古泉のスケッチブックは閉じられている。 表紙は汚れてボロボロになっているのは、古泉が心、イメージを真剣にぶつけた証だった。 終わり
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貸し切りの星空の下―― 彼女たちは一糸纏わぬ姿のまま、白く泡立つ波打ち際へと歩きだした。 この幸せな夢が覚めてしまわないように、しっかりと手を繋ぎながら。 ――しかし、波打ち際で……翠星石の足が止まる。 緊張した彼女の横顔に、どうしたのと訊きかけて、蒼星石は思い出した。 ここは普通の海ではない。様々な感情、無数の記憶が溶け込んだ海なのだ。 ただでさえ夜闇に包まれて不気味な水面が、一層、得体の知れない世界に思えた。 「……怖い?」 「怖くないなんて、強がりでも言えねぇです」 「そうだね。解るよ、その気持ち。ボクも、少しだけ怖じ気づいてるから」 なにが起きるか予想ができない事柄ほど、恐怖を煽るものはない。 二葉は言っていた。魂が『記憶の濁流』に洗われることで、記憶は失われるのだと。 それが真実であるなら―― 海に入った途端、彼女たちの記憶も、綺麗サッパリ洗い流されてしまうかも。 そして、街で見た、あの白い影のような曖昧模糊とした存在になり果てるとしたら。 再会できたばかりなのに、また離ればなれになるなんて、絶対にイヤ。 蒼星石の怖れが、繋いだ姉の手を、強く握らせる。 「気が進まないなら、止めてもいいんだよ」 言って、蒼星石は自分の台詞の白々しさに、自己嫌悪した。 翠星石を気遣った? 違う。土壇場になって足踏みしたのは、蒼星石の方だ。 『今』を失いたくなくて、お為ごかしを口にしただけ。 翠星石は……返事を紡ぐ代わりに、妹の手を引いた。 躊躇いがちな蒼星石の手を、いつも引っ張ってくれたように、力強く―― ~もうひとつの愛の雫~ 第21話 『瞳閉じて』 驚いた蒼星石が「ホントにいいの?」と念を押した。 そうすることで、思い留まって欲しかったのかも知れない。 全てが水泡に帰しかねない危険を冒してまで、海に入る必要がどこにあろうか。 二人でのんびり暮らしながら、やがて姉の『記憶のカケラ』が浜に漂着するのを、 じっくり待っていればいいのだ。彼女たちの父親が、そうしたように。 けれど、翠星石は翳りも憂いも迷いもない笑みで、蒼星石に答えた。 「蒼星石が一緒なら、私は、どんなことにも立ち向かえるですよ」 月明かりに照らされた彼女の笑顔は、とても美しくて―― 白い肌に残る睦みごとの刻印と相俟って、蒼星石の胸を、はしたなく高鳴らせた。 いつの頃からだろう、翠星石とひとつになることを、密かに望んでいたのは。 触れ合い、癒着し、どろどろに溶けて、混ざり合ってしまいたい……。 その望みが叶えられたのに、折角の幸せを手放すことなど、どうして出来よう。 説得するべく、開きかけた蒼星石の口に、翠星石の手が、そっと添えられた。 「蒼星石と暮らしてきた日々が、どんなにステキだったのか……私は知りたいです。 そして、もっと幸せな気持ちで、これからの日々を綴っていきたいですよ」 どんなことにも、リスクは付き物。 そう告げて、翠星石は妹の唇から、細い指を離した。 「……強いんだね、キミは」 昔から、そうだった。二人で歩き出すとき、先に立つのはいつも、翠星石。 蒼星石は、ただ手を引かれて、付いて行くだけで―― それなのに、楽しくて、嬉しくて……なにより、幸せだった。 手を繋いでいるときは、大好きな翠星石を、独り占めできたから。 或いは、蒼星石の引っ込み思案も、構って欲しい気持ちの裏返しだったのかも。 「解ったよ。ボクも、もう迷わない。姉さんと一緒に、どこまでも行くよ」 たとえ、その結末がどんなものであれ、後悔などしない。 目と目で語り合った二人は、繋いだ手に力を込めて、海に向かい始めた。 湿った砂を踏みしめる爪先を、白波が舐めていく。 思いの外、海水は温かくて、脚湯のように気持ち良かった。 腰まで海水に浸かると、姉妹は示し合わせて、屈み込んでみた。 身体中にこびり付いていた砂の粒が、肌をくすぐりながら、はらはらと落ちてゆく。 茨の棘と、姉の爪に付けられた引っ掻き傷が、ピリピリ浸みた。 その痛みは、あっと言う間に身体の奥まで染み込んできて、蒼星石の胸に、 置き去りにしてきた親しい人たちの、悲しみに暮れる顔を浮かび上がらせた。 多くの人たちに辛い想いをさせた悔恨は、少なからずある。 ……が、それらを『どうにもならない過去の記憶』として、 忘却の彼方に捨ててしまおうだなんて思わないし、その想い故か、 記憶が流れ出していくような変調は、待てど暮らせど現れなかった。 (沖に出なければ、何も起こらないのかな?) 『記憶の濁流』というくらいだから、よほど大きな潮流なのだろう。 こんな、岸から十数メートルの距離では、影響なんて殆ど無いのかも知れない。 蒼星石が、その考えを話そうとした矢先、握っていた姉の手が、するりと抜けた。 「ね、姉さんっ?!」 ビックリして振り向くと、そこに翠星石の姿は無く―― ひと抱えほどもある大きな卵が、波間を漂っていた。 まるで、ハンプティ・ダンプティの卵。幼い頃、姉と読んだ絵本が思い出された。 もしかして、この卵こそが、翠星石のなれの果てなのか? 解らない。でも、そうとしか考えられない。 蒼星石は波を掻き分け、必死になって縋り付いた。 「姉さんっ! しっかりしてっ! どうしてっ! なんで、こんなっ!」 喉が涸れるほど呼びかけながら、大きな卵を抱き上げて、浜を目指す。 ヤケに重たい。それに、やたらと滑りやすい。 万が一、落として割ってしまったら……どうなるのだろう? 息も絶え絶えになりつつ、漸くにして辿り着いた砂浜に卵を横たえるや、 蒼星石は真っ白な外殻に、ぴったりと耳を近付けた。 ……と、微かに、何かが聞こえた。それは、途切れ途切れで…… 小さな子が、啜り泣いている様子を、蒼星石に想い描かせた。 試しに殻をピタピタ叩くと、ほんの少し、内側からの音が大きくなった気がした。 「この中に、姉さんが? でも……どうしたら」 卵の殻は堅くて、とても素手で割れそうにない。何か、道具があれば―― そう思った直後、思い当たった。道具ならある。『庭師の鋏』が。 危険かも知れない。中に居る誰かを、傷つけてしまうかも。 「だけど、ボクは――」 どうしても、翠星石を取り戻したい。 だから、思い切って『庭師の鋏』を振り下ろした。 一撃。たった一撃だけ。それだけで、卵の殻に亀裂が走り、粉々に砕け散った。 散乱した殻は、更に細かく砕けて、浜辺の砂と混ざり合う。 そして…………胎児のように身を屈めた翠星石が、そこに居た。 「姉……さん?」 おそるおそる、投げかけられた声に、翠星石の撫で肩がピクリと微動する。 彼女は……両手で顔を覆って、啜り泣いていた。 「どうしたのさ。なんで泣いてるの?」 蒼星石の胸が、キュッと締め付けられて、息苦しくなる。 この胸の痛みは、翠星石の悲しみがもたらすものか。 それとも、得体の知れない、漠然とした不安を感じたため? 涙の理由を知りたい。ココロに生じた衝動が、後者の気配を匂わせている。 まさか、更に記憶を失ってしまったのでは―― 蒼星石は、おののく手を姉の濡れた頬に添えて、静かに向き直らせた。 「お願いだから、泣いてる訳を聞かせてよ」 「……蒼……星石」 その一言は、濾紙のように。 涙声ながら明瞭に囁かれた名詞が、蒼星石の不安を少しだけ漉し取った。 どうやら、会話もできないほど記憶を失ったワケではないらしい。 やや表情を和らげ、蒼星石は、姉の頬に貼り付いた濡れ髪を、指先で弾いた。 「ボクのこと、解るんだね?」 「忘れたりなんか……できっこないです」 二人の瞳が、ひたと繋がり合う。 頬に触れた蒼星石の手に、引きも切らさず、熱い雫が落ちてくる。 一体どこに、これほどの涙が溜め込まれていたのだろう。 翠星石は、一向に泣きやむ素振りを見せなかった。 「ちゃんと思い出せるですよ。なにもかも、全部」 「それって、『記憶のカケラ』を取り戻したってコト?」 「ううん……そうじゃないです」 じゃあ、どういうコトなの? 訊ねようとする蒼星石の機先を制して、翠星石は震える声で続けた。 「最初から、私は『記憶のカケラ』を失ってなんか、なかったのです」 「じゃあ、なんで再会したときに、ボクのことを忘れてたのさ?」 「それは――――」 潤んだ緋翠の瞳が、また……脇に逸れる。「蒼星石を、忘れたかったから」 「ウソ…………なんで?」 翠星石の想いが、また見えなくなって――それ以上、言葉が繋がらない。 幼い日に、ずっと一緒にいると、約束してくれた翠星石。 携帯電話の留守録で、蒼星石が大好きだと言ってくれた翠星石。 その彼女が、なぜ『蒼星石を、忘れたかった』なんて言うのだろうか。 悪い想像は、悪い連鎖しか生み出さない。 捨てられたような、惨めな気分が、どんどんネガティブに傾いでゆく。 気付けば、蒼星石の目頭は熱くなっていた。 「分かんないよ。どうして? 姉さんにとって、ボクは要らない子なの?」 「そんな! 違うです! そうじゃなくって――」 いつになく必死な声。 滲む世界の向こう側で、翠星石は真っ直ぐに、蒼星石を見つめていた。 「私は――――蒼星石のことが好きですよ。現在進行形で、大好きです。 でも……それは姉妹だからとか、親友みたいな関係の『好き』とは違う。 もっと、ずっと、ココロの深いところから込みあげてくる想いなのです」 それを言葉にするなら、ひとくくりに『愛』と表現できるかも知れない。 もしくは、恋心と。 今まで、蒼星石は正に、その恋心を抱いてきた。他ならぬ、実の姉に対して。 そして……翠星石にも自分と同じ気持ちを抱いて欲しいと、密かに願っていた。 本当は、願う必要すらなかったのかも知れないのに―― 「蒼星石のコトを想うと、いつも胸が苦しくて……でも、こんなの背徳的だし、 みんなだって、異常で不潔だと思うに決まってるです。だから――」 「世間体を気にして、自分の気持ちを欺こうとしたの? 封じ込めたかったの?」 バカみたい。小さく吐息して、蒼星石は告げた。「ホントに素直じゃないよね」 どれだけ翠星石を慕っていたか。特別な感情を抱いて接していたか。 彼女なら、わざわざ言葉に変えなくても、とっくに気付いてくれていると思っていた。 だが、それは蒼星石の独りよがり。お互い様の、どっちもどっち。 「ボクも、姉さんも……ホントに素直じゃなかった。気持ちは一緒だったのにね」 「それは……しゃーねぇですぅ。生きる事は、いろんな倫理に縛られる事ですから」 「うん。だけど、お互い、もう意地を張るのは止めようよ。 この世界にまで、あっちの世界の倫理を持ち込むのは、ナンセンスだよ」 姉妹だから。女の子同士だから。そんなの、恋愛を否定する理由にはならない。 倫理なんて所詮、集団の営みにおいて必要とされる、最低限のルール。 それ以上でも、それ以下でもない。 彼女たちにとっては、大好きという気持ちが結ばれない方が、絶対的に不幸だった。 『悲恋』を美しさの代名詞にするような世界なら、いっそ捨てても悔いはなかった。 「ボクは、ずっと……キミだけを想ってきた」 「……私も……ですぅ」 交わした言葉は、それだけ。足りない分は、仕種で充たせばいい。 瞳を閉じると、二人は隔てるもの全てを押し退けて……契りを結んだ。 二人の涙が溶け合って、砂浜に吸い込まれていった。 ~もうひとつの愛の雫~ 第21話 おわり 三行で【次回予定】 二人で、ひとつ。 生まれたときから、ずっと……それが当たり前だった。 互いに持ち寄った絆は、月夜の浜に結実し、やがて永遠へと昇華する。 次回 最終話 『永遠』-前編-
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662 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 18 16 19.45 ID LE+8wVl+0 5月21日 (試合終了後、ロッカールームへ引き上げる監督を囲み) ─岸田がまさかの・・・ 「・・・(目を閉じて小さく頷きながら)」 ─西も失点以上に苦しい投球だった 「フォアボールよ。一ぺん打たれると(その打者との対戦では)どうしても慎重になりすぎると言うか・・・球数も6回で120くらいやろ」 ─守備の時間が長いと攻撃の際の意識の切り替えが難しい? 「そうやなあ。それだけやないけど・・・。そういうこともあってバントもできん、けん制アウトで流れを向こうにやってしまった」 ─リリーフが打たれる場面も目立つ 「(枚数を増やして)負担は軽くしたんやけどなあ。追い越せんから(延長戦を見越して投げる必要があるので)しんどいよ」 664 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 18 25 49.94 ID KS7DQSH10 ★・・・(目を閉じて小さく頷きながら) 絶句系来た、来た!! 665 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 18 26 53.69 ID czdcb9Gv0 っ・・・(目を閉じて小さくしぼみながら) 666 TNMR SNJ sage 2011/05/21(土) 19 08 48.46 ID Bcis6Jp30 …(目を閉じて何も見えず) 668 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 19 14 42.44 ID zrxruX730 オリ・岡田監督、打線のミスに「そら、流れも変わるわ」 http //sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/headlines/20110521-00000033-spnavi-base.html 打てへんから、しゃあない……。 (7回に無死の走者を出したが無得点)バントもできへんし、けん制アウトやろ。そら、流れも変わるわ。 (点が入りませんが?)4番やろ……、4番が打つか、打たへんか、この差は大きいよ 669 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 19 14 45.23 ID KS7DQSH10 「・・・(目を閉じて小さく頷きながら)」と「(うつむいて何も答えず)」はどう違いますんかな 670 MTD SIK sage 2011/05/21(土) 19 15 55.10 ID Zq99lpod0 眼をとじてあなたの腕の中 気をつけてこわれそうな心 ガラスの林檎たち 671 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 19 19 14.03 ID gDC3n+WL0 (目を閉じて小さく頷きながら) その先は察しろというか、それだけよ 672 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 19 37 14.10 ID i8xm6K2J0 669 それ(周囲が聞き取りづらい言葉を残し姿を消した。)も忘れたらアカンと思う 描写系どん語も豊作とちがうか 673 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 19 49 10.65 ID cBSauc1J0 どん語の豊作度と(所属チームの)暗黒度が比例してる気がするんや、疲れかな 674 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 19 58 42.62 ID K5Ip833P0 そらそうよ、そんなん?(経緯(しらんの?なんも知らんねんなぁ(笑) 675 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2011/05/21(土) 20 02 49.27 ID yxaZs0AV0 673 それ普通やんか
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ぼくらはみんな閉じている 題名:ぼくらはみんな閉じている 作者:小川勝己 発行:新潮エンターテインメント倶楽部SS 2003.05.20 初版 価格:\1,500 小川勝己初の短編集。一作として手抜きの感じられない恐怖小説集と言っていい。そう言えば小川勝己はさほど量産作家とも言えない。手抜きなどはこれまでも全くしていないか。 この本の感想を書こうとして、少しこの小説集のジャンルを考えてしまった。最初に恐怖小説集とぼくは書いた。そう恐怖小説という言葉が最も当て嵌まるのだ。 江戸川乱歩という作家を思い出させる少し湿気とじめついたざわめきを感じさせる恐怖小説。読者の心理の裏側にすーっと入ってくるような鋭利な刃物の切れ味。そうした効果を生み出しているのは、この作家がこだわる文体の変化だ。作品によって縦横に変化させる文体。時にはパンクに、時には大時代に。 力作長編である『撓田村事件』が横溝正史へのオマージュであったとするなら、この短編集は江戸川乱歩へのオマージュと取れはしないだろうか。 乱歩はホラー作家だったろうか。『鏡地獄』『屋根裏の散歩者』『人間椅子』……うん。ホラー作家の一面はやはりあると思う。とりわけあれら傑作短編の書き手。本書ではそうした乱歩の恐怖小説作家の面に迫る気迫のようなものが感じられる傑作集であると思う。 基本的には人間が壊れてゆく話ばかりである気がする。この作家の本はすべてそこに軸を置いていると言ってもいいけれど。それを独特の雰囲気でじわじわと描いてゆくのが巧い。ストーリー・テリングの確かな手応えを感じさせる。 この本を閉じる頃には、人間の心の壊れてゆく様を沢山体験させられているはずだ。大抵の人は、足元を掬われるだろう。日常のすぐ隣に潜んでいるありあまる恐怖の数々に。 (2003.06.27)
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貸し切りの星空の下―― 彼女たちは一糸纏わぬ姿のまま、白く泡立つ波打ち際へと歩きだした。 この幸せな夢が覚めてしまわないように、しっかりと手を繋ぎながら。 ――しかし、波打ち際で……翠星石の足が止まる。 緊張した彼女の横顔に、どうしたのと訊きかけて、蒼星石は思い出した。 ここは普通の海ではない。様々な感情、無数の記憶が溶け込んだ海なのだ。 ただでさえ夜闇に包まれて不気味な水面が、一層、得体の知れない世界に思えた。 「……怖い?」 「怖くないなんて、強がりでも言えねぇです」 「そうだね。解るよ、その気持ち。ボクも、少しだけ怖じ気づいてるから」 なにが起きるか予想ができない事柄ほど、恐怖を煽るものはない。 二葉は言っていた。魂が『記憶の濁流』に洗われることで、記憶は失われるのだと。 それが真実であるなら―― 海に入った途端、彼女たちの記憶も、綺麗サッパリ洗い流されてしまうかも。 そして、街で見た、あの白い影のような曖昧模糊とした存在になり果てるとしたら。 再会できたばかりなのに、また離ればなれになるなんて、絶対にイヤ。 蒼星石の怖れが、繋いだ姉の手を、強く握らせる。 「気が進まないなら、止めてもいいんだよ」 言って、蒼星石は自分の台詞の白々しさに、自己嫌悪した。 翠星石を気遣った? 違う。土壇場になって足踏みしたのは、蒼星石の方だ。 『今』を失いたくなくて、お為ごかしを口にしただけ。 翠星石は……返事を紡ぐ代わりに、妹の手を引いた。 躊躇いがちな蒼星石の手を、いつも引っ張ってくれたように、力強く―― ~もうひとつの愛の雫~ 第21話 『瞳閉じて』 驚いた蒼星石が「ホントにいいの?」と念を押した。 そうすることで、思い留まって欲しかったのかも知れない。 全てが水泡に帰しかねない危険を冒してまで、海に入る必要がどこにあろうか。 二人でのんびり暮らしながら、やがて姉の『記憶のカケラ』が浜に漂着するのを、 じっくり待っていればいいのだ。彼女たちの父親が、そうしたように。 けれど、翠星石は翳りも憂いも迷いもない笑みで、蒼星石に答えた。 「蒼星石が一緒なら、私は、どんなことにも立ち向かえるですよ」 月明かりに照らされた彼女の笑顔は、とても美しくて―― 白い肌に残る睦みごとの刻印と相俟って、蒼星石の胸を、はしたなく高鳴らせた。 いつの頃からだろう、翠星石とひとつになることを、密かに望んでいたのは。 触れ合い、癒着し、どろどろに溶けて、混ざり合ってしまいたい……。 その望みが叶えられたのに、折角の幸せを手放すことなど、どうして出来よう。 説得するべく、開きかけた蒼星石の口に、翠星石の手が、そっと添えられた。 「蒼星石と暮らしてきた日々が、どんなにステキだったのか……私は知りたいです。 そして、もっと幸せな気持ちで、これからの日々を綴っていきたいですよ」 どんなことにも、リスクは付き物。 そう告げて、翠星石は妹の唇から、細い指を離した。 「……強いんだね、キミは」 昔から、そうだった。二人で歩き出すとき、先に立つのはいつも、翠星石。 蒼星石は、ただ手を引かれて、付いて行くだけで―― それなのに、楽しくて、嬉しくて……なにより、幸せだった。 手を繋いでいるときは、大好きな翠星石を、独り占めできたから。 或いは、蒼星石の引っ込み思案も、構って欲しい気持ちの裏返しだったのかも。 「解ったよ。ボクも、もう迷わない。姉さんと一緒に、どこまでも行くよ」 たとえ、その結末がどんなものであれ、後悔などしない。 目と目で語り合った二人は、繋いだ手に力を込めて、海に向かい始めた。 湿った砂を踏みしめる爪先を、白波が舐めていく。 思いの外、海水は温かくて、脚湯のように気持ち良かった。 腰まで海水に浸かると、姉妹は示し合わせて、屈み込んでみた。 身体中にこびり付いていた砂の粒が、肌をくすぐりながら、はらはらと落ちてゆく。 茨の棘と、姉の爪に付けられた引っ掻き傷が、ピリピリ浸みた。 その痛みは、あっと言う間に身体の奥まで染み込んできて、蒼星石の胸に、 置き去りにしてきた親しい人たちの、悲しみに暮れる顔を浮かび上がらせた。 多くの人たちに辛い想いをさせた悔恨は、少なからずある。 ……が、それらを『どうにもならない過去の記憶』として、 忘却の彼方に捨ててしまおうだなんて思わないし、その想い故か、 記憶が流れ出していくような変調は、待てど暮らせど現れなかった。 (沖に出なければ、何も起こらないのかな?) 『記憶の濁流』というくらいだから、よほど大きな潮流なのだろう。 こんな、岸から十数メートルの距離では、影響なんて殆ど無いのかも知れない。 蒼星石が、その考えを話そうとした矢先、握っていた姉の手が、するりと抜けた。 「ね、姉さんっ?!」 ビックリして振り向くと、そこに翠星石の姿は無く―― ひと抱えほどもある大きな卵が、波間を漂っていた。 まるで、ハンプティ・ダンプティの卵。幼い頃、姉と読んだ絵本が思い出された。 もしかして、この卵こそが、翠星石のなれの果てなのか? 解らない。でも、そうとしか考えられない。 蒼星石は波を掻き分け、必死になって縋り付いた。 「姉さんっ! しっかりしてっ! どうしてっ! なんで、こんなっ!」 喉が涸れるほど呼びかけながら、大きな卵を抱き上げて、浜を目指す。 ヤケに重たい。それに、やたらと滑りやすい。 万が一、落として割ってしまったら……どうなるのだろう? 息も絶え絶えになりつつ、漸くにして辿り着いた砂浜に卵を横たえるや、 蒼星石は真っ白な外殻に、ぴったりと耳を近付けた。 ……と、微かに、何かが聞こえた。それは、途切れ途切れで…… 小さな子が、啜り泣いている様子を、蒼星石に想い描かせた。 試しに殻をピタピタ叩くと、ほんの少し、内側からの音が大きくなった気がした。 「この中に、姉さんが? でも……どうしたら」 卵の殻は堅くて、とても素手で割れそうにない。何か、道具があれば―― そう思った直後、思い当たった。道具ならある。『庭師の鋏』が。 危険かも知れない。中に居る誰かを、傷つけてしまうかも。 「だけど、ボクは――」 どうしても、翠星石を取り戻したい。 だから、思い切って『庭師の鋏』を振り下ろした。 一撃。たった一撃だけ。それだけで、卵の殻に亀裂が走り、粉々に砕け散った。 散乱した殻は、更に細かく砕けて、浜辺の砂と混ざり合う。 そして…………胎児のように身を屈めた翠星石が、そこに居た。 「姉……さん?」 おそるおそる、投げかけられた声に、翠星石の撫で肩がピクリと微動する。 彼女は……両手で顔を覆って、啜り泣いていた。 「どうしたのさ。なんで泣いてるの?」 蒼星石の胸が、キュッと締め付けられて、息苦しくなる。 この胸の痛みは、翠星石の悲しみがもたらすものか。 それとも、得体の知れない、漠然とした不安を感じたため? 涙の理由を知りたい。ココロに生じた衝動が、後者の気配を匂わせている。 まさか、更に記憶を失ってしまったのでは―― 蒼星石は、おののく手を姉の濡れた頬に添えて、静かに向き直らせた。 「お願いだから、泣いてる訳を聞かせてよ」 「……蒼……星石」 その一言は、濾紙のように。 涙声ながら明瞭に囁かれた名詞が、蒼星石の不安を少しだけ漉し取った。 どうやら、会話もできないほど記憶を失ったワケではないらしい。 やや表情を和らげ、蒼星石は、姉の頬に貼り付いた濡れ髪を、指先で弾いた。 「ボクのこと、解るんだね?」 「忘れたりなんか……できっこないです」 二人の瞳が、ひたと繋がり合う。 頬に触れた蒼星石の手に、引きも切らさず、熱い雫が落ちてくる。 一体どこに、これほどの涙が溜め込まれていたのだろう。 翠星石は、一向に泣きやむ素振りを見せなかった。 「ちゃんと思い出せるですよ。なにもかも、全部」 「それって、『記憶のカケラ』を取り戻したってコト?」 「ううん……そうじゃないです」 じゃあ、どういうコトなの? 訊ねようとする蒼星石の機先を制して、翠星石は震える声で続けた。 「最初から、私は『記憶のカケラ』を失ってなんか、なかったのです」 「じゃあ、なんで再会したときに、ボクのことを忘れてたのさ?」 「それは――――」 潤んだ緋翠の瞳が、また……脇に逸れる。「蒼星石を、忘れたかったから」 「ウソ…………なんで?」 翠星石の想いが、また見えなくなって――それ以上、言葉が繋がらない。 幼い日に、ずっと一緒にいると、約束してくれた翠星石。 携帯電話の留守録で、蒼星石が大好きだと言ってくれた翠星石。 その彼女が、なぜ『蒼星石を、忘れたかった』なんて言うのだろうか。 悪い想像は、悪い連鎖しか生み出さない。 捨てられたような、惨めな気分が、どんどんネガティブに傾いでゆく。 気付けば、蒼星石の目頭は熱くなっていた。 「分かんないよ。どうして? 姉さんにとって、ボクは要らない子なの?」 「そんな! 違うです! そうじゃなくって――」 いつになく必死な声。 滲む世界の向こう側で、翠星石は真っ直ぐに、蒼星石を見つめていた。 「私は――――蒼星石のことが好きですよ。現在進行形で、大好きです。 でも……それは姉妹だからとか、親友みたいな関係の『好き』とは違う。 もっと、ずっと、ココロの深いところから込みあげてくる想いなのです」 それを言葉にするなら、ひとくくりに『愛』と表現できるかも知れない。 もしくは、恋心と。 今まで、蒼星石は正に、その恋心を抱いてきた。他ならぬ、実の姉に対して。 そして……翠星石にも自分と同じ気持ちを抱いて欲しいと、密かに願っていた。 本当は、願う必要すらなかったのかも知れないのに―― 「蒼星石のコトを想うと、いつも胸が苦しくて……でも、こんなの背徳的だし、 みんなだって、異常で不潔だと思うに決まってるです。だから――」 「世間体を気にして、自分の気持ちを欺こうとしたの? 封じ込めたかったの?」 バカみたい。小さく吐息して、蒼星石は告げた。「ホントに素直じゃないよね」 どれだけ翠星石を慕っていたか。特別な感情を抱いて接していたか。 彼女なら、わざわざ言葉に変えなくても、とっく気付いてくれていると思っていた。 だが、それは蒼星石の独りよがり。お互い様の、どっちもどっち。 「ボクも、姉さんも……ホントに素直じゃなかった。気持ちは一緒だったのにね」 「それは……しゃーねぇですぅ。生きる事は、いろんな倫理に縛られる事ですから」 「うん。だけど、お互い、もう意地を張るのは止めようよ。 この世界にまで、あっちの世界の倫理を持ち込むのは、ナンセンスだよ」 姉妹だから。女の子同士だから。そんなの、恋愛を否定する理由にはならない。 倫理なんて所詮、集団の営みにおいて必要とされる、最低限のルール。 それ以上でも、それ以下でもない。 彼女たちにとっては、大好きという気持ちが結ばれない方が、絶対的に不幸だった。 『悲恋』を美しさの代名詞にするような世界なら、いっそ捨てても悔いはなかった。 「ボクは、ずっと……キミだけを想ってきた」 「……私も……ですぅ」 交わした言葉は、それだけ。足りない分は、仕種で充たせばいい。 瞳を閉じると、二人は隔てるもの全てを押し退けて……契りを結んだ。 二人の涙が溶け合って、砂浜に吸い込まれていった。 ~もうひとつの愛の雫~ 第21話 おわり 三行で【次回予定】 二人で、ひとつ。 生まれたときから、ずっと……それが当たり前だった。 互いに持ち寄った絆は、月夜の浜に結実し、やがて永遠へと昇華する。 次回 最終話 『永遠』-前編-