約 55 件
https://w.atwiki.jp/moedra/pages/349.html
【どうしたんだい? まさかアタシでは興奮しないって趣味じゃないだろう? 初めて のガキじゃあるまいし、何ほけっとしてんのさ?】 『……あ、の? 俺が相手を、する? って』 ワケがわかったようなわからないような混沌とした様子のヴィストに、ノーラはしてや ったりと言わんばかりに爆笑した。 【アッハハハハハハハハ! だ か ら。言ったじゃないさ……アタシの相手をしても らうって。その股ぐらにぶら下げてる棒切れでねぇ? まったくもう、ニブイったらあり ゃしない! アハハハハハ】 傑作だと言わんばかりに笑いたくる藍の竜に、ようやくしてやられた、という正常な怒 りがヴィストに我を取り戻させた。 『あんたッ……! 最初から俺と戦うつもりはなかったんだろう?』 【んー? 戦うなんて一言も言った覚えは無いがねぇ?……まぁ、ある意味そうなるか もしれない。アタシとのまぐわいに耐えられなければあの世イキだからね】 ノーラの切り返しに冷たいものを感じ取り、ヴィストの背筋が再び引き締まった。妻の 手前も重なりムスコは完全に縮みあがってしまい、とても行為に及ぶ所では無い。なんと も言えない気まずさで顔をしかめる彼の様子に竜は苦笑した。 【あー、そうかいそうかいうっかりしてたよ……大きさを合わせないと】 瞬間、藍色の巨体が収束した。 【それも、オマエさんの一番大好きなカラダでね】 『!!……す、スーフィ……いやノー、ラ?』 強烈な既視感に一瞬ヴィストは妻と疑ったほどに……獣脚類の特徴を残す下半身に、や や蜥蜴人に近いデフォルメをされた上半身の組み合わせ。体色の違いと角のある無しなど、 細部を除けば完璧に孫の変身をノーラは再現していた。 【これならアンタも役に勃つだろう?……フフフフフ】 ……グジュ。 腰を淫らにくねらせ、局部の収縮を見せ付ける藍の竜。 『ううっ……くそっ』 自身の正直な反応に彼は呻いた。散々貪りながらも飽きることも無い妻のカラダが、似 て異なる新鮮な魅力をもって訴えかけてくる。ましてや濡れた欲望を露に魅せられては自 然と勃ち上がってくるモノがあるのは仕方の無い事だった。 【あ、へぇ……お、おばはさめぁ……だめれすぅ、それはわたひのれすぅ……】 魔力が抜けてきたのか、ろれつの回らない声でスーフィの抗議が聞こえる。沸き起こる 罪悪感にヴィストはむしろホッとして身を委ねた。しかしそれは甘い考えだったのを思い 知ることになる。 【いいじゃないかい減るもんじゃなし。後上手くいけばいつもの10倍たくましい雄にし て返してやるよ】 【? じゅ……倍? れすか……】 【ああ、今の旦那は少々物足りないだろう? だからアタシが鍛えてやるのさ。いいか い。これはオマエを思っての事なんだよ……】 (物足りないだと?……余計なお世話だ! 後それ絶対嘘だろう!) ノーラのうさんくさいほど神妙な諭しをヴィストは力一杯糾弾した……あくまで心中で。 無論賢い妻が引っかかる筈が……。 【あ、は。嬉し……よろひく、おねがいしまぁはす……】 (んな、アホな) あっけなく良識の後ろ盾を失い、あまりのバカらしさにヴィストはもうどうでもよくな ってしまった。思わず天を仰いで何かに許しを請うと……手持ちの武器ごと全てを投げ捨 て咆哮する。 『うぉおおおおお! も、もうシラネェゾおおぉおおお!』 彼はむしる様に衣服を脱ぎ、限界まで膨れ上がった己が欲棒を掲げて肉の罠に飛び込ん で行った。 グチュ!……グチュグチュグチュグチュ! 『ハァ!……うっ! おおおおおっ!……』 今までに無い腰使いと獣欲をノーラはたやすく受け止め、心中でこうひとりごちる。 (さてと。ここからさ……鬼が出るか蛇が出るか……あんっ、この場合は少し違うか ね? ……っうん) 雌の喘ぎをあげながらも、彼女の情欲に濡れた瞳の奥はあくまでも計算高い竜だった。 ズチュッ! ズチュッ! 【ウッ!……フフフフ。なるほどぉ、っんんっ……スーフィにもこうやって激しくして たんだねぇ……おぅ】 『ま、まだこんなもので済むと思うな、よっ!……ハアッ、孫イッ、以上にいやらしい 動きしやがってっ!』 余裕を装いつつ確実に高ぶりつつあるノーラの瞳を食い入るように睨みながら、ヴィス トも責めを激しくする。憤りから燃え盛っていた欲情は、いつしか純粋な獣欲にとって変 わりつつあった。妻によく似た抱き心地ながら、結合した肉の動きは明らかに異なる狡猾 な――雄をしゃぶりつくそうとする意図をもって淫らに彼を扇動している。 グチュッ! ジュブッ! ジュボッ! 体液がしぶくほど激しいピストンも竜の肉穴はやすやすと呑み込み味わっては吐き出す。 肉棒が僅かな瞬間に幾重もの肉の舌にもみくちゃにされる感触は急速に雄の歓楽を陥落さ せていった。 『アッ!……あああぁアアア!!……』 ビュグググッ! 【おうっ。いいねぇ……これが人の、人の若い子種……】 のけぞりながら最初の射精を迎えたヴィストは、そのまま腰を振り続けていた……いや 正確には続けさせられている事に気が付いた。その元凶は目前の瞳であると看破したがも う遅い。 『くっ……しまっ……ああっ!』 【ハァハァ……今更気が付いたのかい? 竜の瞳をまともに見ちゃいけないのは常識だ ろうに……もうアタシの体から逃げられないからねぇ……ほぉら】 ジュボッ……。 ノーラの体が淫らな音と粘液を残してヴィストから離れると、そのまま後ろを向いて尻 尾を上げる。いわゆる獣の交尾の姿勢に彼の体は操られるように従った。 ジュブブブ……ジュチュッ! ジュチュッ! 『うあ!……くそおうっ! い、言う事を……うあああああっ』 再び激しいピストンを開始した己が体に悲鳴を上げながら、ヴィストは再び昂ぶってく る射精のうねりに侵食されていった。 【おおうっ! いいよ、いいよぉ……さぁ……何発出してくれるかい? フフフ、最も 出なくなるなんて事は無い、けどさ……生きている間は】 『なあっ……そんな、あ!ああああああっ!』 ビュクビュクビュクッ! 『がっ……ああっ、さっ、さっきより、い、イイイッ?』 【以前からすこぉーしずつ魔術で改造していたからねぇ。でなきゃスーフィのカラダにだ って耐えられない筈さ。覚えがあるだろう?】 初回より明らかに勢いと時間を増した絶頂に、たまらず彼は喜びの声を上げる。命を搾 り取られる残酷な処刑と認識しながらも、それを受け入れ始めている自分に抗えなかった。 蕩けていく意識の奥にまで、ノーラの囁きが染み込んで来る。 【まだまだもっと激しく……濃くていやらしくなるんだよ……さぁたっぷりとお寄越し!】 ビュビュビュビュビュビュ……。 『かっ……はっ……ガァアア』 もはや声すら満足に出せない領域までヴィストは達して、達し続けた。体内の決定的な 何か致命的に精となって流出してイク。このままでは竜の言うとおり、自分は雄としてこ の上ない死に方をするのだろう。後にスーフィを残して……。 (!!……ナニを馬鹿なっ……) 度し難い怒りが急激に湧き上がり、彼の体に意志の動きが宿る。腰の動きはそのままに ……片手でノーラの下腹をなぞるとそのまま延長にある肉芽をしごきあげた。 グォオオッ! 【なっ! 何をするんだいっ! イッ…そんな、激しくっ……百年ぶりな……ヒッ!】 ありえない事に……途端に彼女の声が乱れた。ヴィストはすかさず空いた手で結合部を なぞると、愛液で滑った指先を……竜の肛門へと無理やり押し込む。 グジュ……。 【そ、そんなトコっ! お、およしよっ! 汚いじゃないかい、アアッ……】 竜の喘ぎが別次元のモノに……明らかに余裕を無くした羞恥に悶える成分を含んでうね る。正気と勝機を見出したヴィストはさらに追い討ちを掛ける。 『クッ! ……ケダモノ、同士じゃこんな所は可愛がってもらえなかっただろう?…… こんなに、こんなに無防備に晒しているんだからなっ! このハァハァ、汚くていやらし い、トコを』 グリュグリグリグリュ。 【あっ! 調子に、の、乗るんじゃないよ、アッ……!!】 突然の陵辱にうろたえていた竜の肛門がギュッと締まる。それは彼女にとって決定的な ある衝動を意味していた。 【ア……ちょ、お、おおお待ち! このままじゃ……】 『出ちゃうかな? いいや! まさか誇り高き竜の賢者様が矮小な人間の前で……イタ スわけないよなぁ? ……孫とは違って、ね』 【こ、この……人間! まさかスーフィにも……たっ、ただじゃすまさない、よっ…… ヒッ! アアッ……】 失態の予感に震える声をさらに煽るヴィスト。重ね重なる屈辱に竜の喘ぎに怒りがこも る。が直接どうこうする余裕は既に無い様だった。 グリュ。 『タダじゃすまさないのはこっちの方だって、なっ!』 焦りと腰の動きを激しくするノーラに気を良くした彼は、さらに指を深く押し進めた。 人間で言えば丁度膣裏にあたると思われる直腸壁をすり潰すように圧迫してやる。それは 排泄をこらえる苦痛とは正反対の喜悦を竜に与えたらしく、混乱した喘ぎと叫びが洞窟内 にこだました。 【は、あ……い、ぃイイッ! いい加減に、おし……】 『ぐふぁっ……んっ!』 竜の尾が彼の首に巻きつき乱行を阻止しようとするが、挿入した指先をねじ込む様に 突き進み、子宮のコリコリとした感触に辿り着くとあっけなく束縛は解けた。操られるま ま精を注ぎ込むヴィストのイチモツの先端が、刺激にせりあがって来た最奥の肉穴に一層 吸い付けられる。 グリュグリュ。 【が、ア……こ、こんあッ! に、人間の……だってされた事ないのにさ!……アッ、 あアッ、ああああ……】 異質な未知の快楽に震える藍の鬣が一瞬大きく逆立ち――。 『そぉら! 止めだ竜め……イッ、ちまえっ!』 グリュグリュグリュ! 【な、アアアぁっ! なんてコト、だい……! ん、んんーッ!!】 ガアッ! グァアオオオオオゥーッ!! 『んん……がッ、吸われ……締ま、るっ』 聞く者の意識が飛ばされそうな咆哮に全身を震わせて、ノーラは絶頂に達した。黒水晶 の瞳孔を目一杯開き、結合部はもはや狡知とは程遠い本能に任せた雌の収縮を繰り返す。 その口は恥も外聞も無く雌の喜びを謳い続け、それが途切れた時堕ちた賢者はぐったりと 腰を落とした。 『はぁ……ハァア……ははっ。やっ 犯ってやったぜ……どう、だ?』 ジュボ……ゴボボボッ……。 快哉を叫びながらヴィストは己自身を引き抜いた。結合部からは愛と精の混合が淫らな 音と共に噴き出すが、思ったよりも少ない事に一瞬拍子抜けする。しかし触れていた竜の 下腹、その微かな膨らみで理解した――ほぼあまさず注ぎ込んだ雄としての本能的な満足 感に酔う。 【し、信じられない……こ、こんなにイイ……アタシが言うのもなんだが、ね……全く 人間ってのは、恐ろしいよ……アタシの旦那様以外はこ、ここまではイカないのにねぇ】 コトが済んだ後の余韻を全身で味わいながら、満足そうにノーラも返す。その声には年 経た竜らしき傲慢めいた気取りはどこにも無く、雄を享受できた喜びに溢れていた。 『お、思い知ったか……俺の勝ち、だ……あ れ ?』 立場を変えながらの陵辱とも言える交わりでありながら……どこか睦言めいた囁きを楽 しんでいたヴィストの視界は急速に暗転する。 『あ……そう、か。ハハハ、俺は……』 彼自身の決定的な何かが空になった認識と共に、意識が崩れ落ちていく。不思議と苦痛 も恐怖も無かった。 (もう、終わっていたんだな……) とっくに限界を超えた命。無理やり動かしていた竜の呪縛は自ら断ち切ってしまった。 もうヴィストをこの世に繋ぎ止めるものは何も無い。例え彼女でも。 【あ!……アナタっ!……】 (ご、めんなスーフィ……できるなら、おまえと……欲しかったな) 未練はある。だが何故かすがりつこうとは思わなかった。奇妙な安堵感に包まれながら、 こうするのが正しいという確信を持って、ヴィストは今の自分を受け入れる。 ――大丈夫だ。心配無い。 もはや見ることすら叶わない妻を安心させようと、ヴィストは最後の力を振り絞って笑 った。 『だ……いじょう……少し休め、ば……愛して、る』 なんとか間に合った、そう思った瞬間彼の人生はあっけなく幕を閉じた。 ―― ――――虚無。 ―――――――それが形を成し。 ―――――――――――そして。声。 『……アナタ』 (ん――なんだ? オレ、は。おれは俺は……) 虚無に還った筈の意識。ヴィストという名前のそれは、全く唐突に世界に孵ってきた。 『いい加減起きないとお仕事に遅れますよ?……今日は……』 (今日は……何だ? ああ――の日だったな?) 『ってマズイっ! でないと……』 慌ててヴィストは跳ね起きた。目覚める寸前までナニを、何かシテいたような重大なこ とになっていたような気がするが思い出せない。恐らくナニかしらろくでもない悪夢でも 見ていたのだろう、彼は結論付けて一気に気持ちを切り替えた。 『お目覚めですか? もう。ずっと待っていたんですから』 寝台から身を起こした目の前には、見慣れた我が家の風景と朱鷺色の安らぎ。妻の微笑 みが彼を出迎える。 『すまないな……少し遅れるが仕度を頼む』 『もうできていますよ。フフッ……あの仔ったらはりきっちゃって朝から頑張ったんで すから。ちゃんと褒めてあげて下さいね?』 『ああ……全くあの元気は誰に似たんだかな。ん?』 (あの 仔? ああ、そうかいや何だ誰だ?) ヴィストは自然に口から漏れた言葉が信じられなかった。知っている筈で知らない筈の フレーズに一気に思考が混濁する……がすぐに寝覚めの悪いせいだろうと頭を振って疑念 を追い払う。 『あなた?』 『ああ? あ……行こうか。あの仔は、――はどこだ?』 訝しげに伺うスーフィを手で制したヴィストはまたもや混乱する。――の名前も忘れる とは年だなと苦笑するが、疑念を追い払うことはできなかった。 ――忘れるワケが無い。 『――、お父さんが起きたわよ? そろそろ仕度なさい』 『はぁーい』 子供らしい無邪気な声が足音と共に迫ってくる。しかしヴィストにはその源を確認する 余裕は無くなっていた。気のせいか視界すらぼやけてきた気がする。 ――そもそも、知らないのだから。 (くそっ! 黙れっ……) 冷酷かつ残酷に意識を苛む一つの声に彼は頭を抱えた。へたり込んだその体に小さな、 柔らかい何かが触れる。 『パパ? ねぇ。大丈夫?』 『ん? ……いやちょっと寝過ぎて頭が痛いだけだ。――は優しいな』 幼い思いやりにも笑って誤魔化せ――無い。理不尽な意識の混濁は明確な苦痛となって ヴィストの視界と思考を切り崩していった。こらえきれず悲鳴を上げようとした時――。 【大丈夫だよ】 いつの間にか周囲を包む虚無の中。柔らかい声に癒される。 (誰、だ……) 【ごめんね。どうしてもパパに会いたくて……ちょっと早くでてきちゃった】 (パパ?……お前は、いや俺の――クッ) ヴィストは呻いた。また先程の苦痛がぶり返し始めそうになるのを感じる。しかし額に 当てられた小さな柔らかい手が、それをあっさりと封じてしまった。 【いいんだよ。思い出さなくても……だって、ね】 声は少しだけ寂しげに、儚げに。 【――はまだ……生まれてないの。名前はまだ、ないんだから】 (そうか……そうなんだな) ようやくヴィストは理解した。声の主、いつになるかはわからないが必ず出会うであろ う愛しい者を。今は名前さえ呼んでやれないがせめて――彼は精一杯父親らしさを込めて 呼びかけた。 『ああ、パパはお前が生まれてくるのを楽しみにしているよ』 【うれしいっ。いっぱい、いーっぱい抱っこしてね? いろんな所に連れて行ってね】 『あぁ。お前には見せたいものがたくさんあるんだ。早く生まれておいで……パパとマ マも頑張るからな』 とちょっと微妙な表現に互いの苦笑が虚空に響いて……溶ける。次への覚醒が近い事を ヴィストは悟った。存在が希薄になる感覚に己を任せつつ、とりあえずの別れを告げる。 『じゃあまたいつか……な。それまでいい仔にしているんだぞ』 【うんっ! あ……待って】 年相応の寂しそうな声の調子が、少しだけ慌てたものになる。 【……あの……いつかね。パパのお皿を割ってしまうかもしれないけど……あんまし怒 らないでね】 ヴィストは声に出さず笑った。多分この事は覚えていないし、自分は確実に怒るのだろ う。それでも、それでも心に刻み付けておこうと誓う。 『あぁ……お尻を叩くのは止めにしておくよ……』 その語尾は、彼の意識ごと虚空に溶けて、完全に消えた。 ――そして。再び竜の巣。 【……さて、後はオマエしだいさスーフィ。煮るなり焼くなり好きにおヤリ】 敢えて短く、言葉で孫娘を突き放すと竜の賢者は元の巨躯を翻して外へ消えた。 【う、嘘……】 スーフィの目前に力なく横たわる――最愛の夫。一糸纏わぬその肉体には生気の欠片も 感じられない。その近くに足取り重く彼女は身を寄せた。 【ああ……こ、こんな……】 変わり果てたヴィストの姿に、スーフィは混乱の極みにあった。喘ぐ様に息継ぎをしな がら、彼の肉体を凝視する。 (あなた……ごめんなさい) 祖母の言葉を思い出し気を引き締めると、彼女は震える口を開き……そっと夫の肉に口 を付けた。 クチャッ……。 ――熱い。 それがヴィストが己の肉体に感じた最初の感触だった。 クチュ。クチャッ、クチャ…… 未だ視界は霞のまま、体の一部が咀嚼されているのを彼はぼんやりと知覚する。 【あ、あぁ……アナ、タっ……】 粘ついた音の協奏に、魂を搾り出したような熱く、切ない喘ぎ声が重なった。それはヴ ィストに取って何よりもかけがえの無い――彼女。 (ああ、そうだ。スーフィ……) 自身に圧し掛かる愛しい重み。何度と無く重ねた肌触り。それらを道標に彼の体は急速 に感覚を取り戻しつつあった。 【ああああっ……もう、これ以上は……】 まだ意識と感覚のズレはあったものの、切羽詰った妻が心配になり彼は思い切って目を 見開いた。 【スー、フィ? 一体ナニを、何をやっているん、だっ……うくっ!】 締め付けを増した肉のあぎとがヴィストを一層責め苛む。彼の体に圧し掛かり、息も荒 く貪りを続ける雌がそこにいた。 【ア、ナタっ……よ、よかったっ……!】 【ぐあおおっ!!】 途端に脱力したスーフィに押し潰されて彼は悲鳴を上げる……が思ったよりすんなりと 彼女を受け止めることが出来た。本来なら骨が折れていてもおかしくないのだが。 (ん……なんだかヘンだぞ……) 首を支点にして妻を抱き起こすとヴィストは改めて妻の様子を確認し、驚愕に喉を鳴ら した。 (お、おい!……いったいナニと……ヤってるんだ? ……いや) 【お、俺は、ダレダ……】 ――最初に理解した状況は妻が交わっているという事。 ――そして。いや、しかし。 ――その局部は見たことも無い鋼の鱗を伴っており……しかも延長上にあるのはどう考 えても自分のカラダであるはずがそれもまた異質の――彼はひたすら混乱するばかりだっ た。 【スー、フィ! なぁ! スーフィ!】 ぐったりと目を閉じた彼女の安否も気にはなったが、とにかく状況を誰かに説明しても らいたくてヴィストは抱き抱えたその体を揺さぶった。 【ンッ……ああ、あっ、アナ、タ……】 【頼む教えてくれっ!……俺は何がどうしてどうなって……こう、なってるんだ!】 彼が妻の視界に翳したのは、甲の部分がまるで鎧のような鱗を纏った青く輝く……竜の 手だった。動揺を忠実に再現してわななくそれに、彼女の朱鷺色の手がやさしく重なる。 【あぁ……素敵です。想っていた通りでした……大丈夫です。大丈夫ですから】 愛しくてたまらないとばかりにゆっくりとヴィストの手、たくましい二の腕、そしてマ ズルの突き出た顔をなぞるスーフィの手。それは彼の輪郭を持ち主に伝え、不思議に動揺 を鎮めていった。 【俺は……なんだ、な】 【はい。おばあさまが仰ってました。私の相手が竜ならば……エルダーの方々も文句は 言えまいと】 彼女のオッドアイが後ろめたそうに閉じられる。 【その為には……アナタが竜に変わるためには一度ヒトとして死ななくてはならないと。 交わりの間、おばあさまはずっと自身の精を送り込んでいたのだそうです】 (なるほどな……タダではすまない、か) 交わる前にノーラが言った台詞を思い出し、ヴィストは苦笑する。同時に鼻から漏れた 吐息は焼けた鉄の匂いがした。 【でも姿形は変えられても命が芽吹くかどうか、アナタがアナタのままでいられるかど うかは……正直賭けでした。ですから】 彼と繋がるスーフィの膣がキュッと締まる。 【私が、精を送り込んで覚醒させろと言われました。それが一番いいだろうと】 【おまえの体なら忘れようが無いしな……すまない。相当消耗しただろうに】 【いえ……アナタの為でしたらいくらでも命を削りま……んんっ】 お互いに声無き笑いを交わした後、二頭の竜は静かに口付けしながら、束の間の休息に 沈んでいった。 ――そして月の昇る頃。 【上手くイッタ様だね?】 外で様子を伺っていたのだろう、ノーラが洞窟内に姿を現した。その眼は同族の誕生を 心から喜ぶ慈愛に満ちている。 【ああ。おかげさまで、な。このありさまだ】 既に感づいていたヴィストは口を僅かに歪めて笑いを表現した。表情が作りにくいのは、 慣れだろうと彼は再び苦笑し、妻の支えを感じながら起き上がる。 【ま、ついておいで……とりあえず自分の姿を見ておかないとね】 踵を返した竜の賢者に従い、ヴィストもゆっくりと後に続く。慣れない四足歩行にやや ふらつきながらもなんとか外に出る事が出来た。 【これは……】 歩く事しばし。近くの湖畔に導かれたヴィストは、己が姿を水鏡に映し唸った。 ――腹を除く全身を青鋼の装甲が覆い。 ――顔は厳ついながらも、威圧感の無い気だるげな翡翠の瞳が自分らしい。 そして。 【これが……俺の?】 ――まるでメイスの如く、装甲が集積した強靭な尾。 【そうさね。この鋼の尾がアンタの竜としての象徴さ。覚えがあるだろう?】 傍らからノーラの楽しそうな声。 【ああ……】 彼の尾に宿るのはかつての愛杖――全てを『撹乱する』概念付与の魔力。しかしその威 力はケタ違いである事は容易に実感できた。おそらく竜の吐息も魂も思うがままに掻き乱 し、打ち破る事ができるだろう。 【いくら人間が作ったヘナチョコ棒でも、使い慣れたのが一番だろうからね。おせっか いかもしれないけど、移させてもらったよ】 【ヘナチョコは、余計だ……いや、ありがとう】 己を、いや守りたいものを守り抜ける力。力強く一振りするとヴィストは礼を言った。 その傍らではスーフィが静かに身を寄せている。彼女の頼るべき居場所はそこだと言わん ばかりに。 【さてと……覚悟は決まったようだし、仕上げといこうかい】 【仕上げ?】 またナニかをヤるのかと、恐怖と期待が半々の声音で応じる彼の様子に二匹の雌竜は可 笑しそうに顔を歪めた。 【んー? ハハッ。まぁソッチの方は後でたっぷりイタすとしてだ。まずは新しい名前 だよ、ナ・マ・エ】 【お、俺の……?】 【お、おおおばあさまっ! だめですコレは私のですっ! ……えと、そのですね、人 間から完全に変わる為に必要な儀式なんだそうです。私もさっき聞いて驚いたんですが】 【アタシも、そうしたからね……しっかり考えな。まぁ、元自分の名前を入れとくと馴 染みがいいかもね】 ノーラ。 リューノゥーラ。 ……ノーラ。 (そうか。そういうことか) 竜の賢者の名前を反芻し、ヴィストは、いや鋼の竜は納得の溜め息を付いた。そして、 決める。 ――いや、既に決まっていたのかもしれない。 【ヴィストリュア】 その響きが自分に染み込んでいくのを確認し、彼は、ヴィストリュアという鋼の竜は天 高く咆哮する。 【鋼尾のヴィストリュア、かい。良い言霊だね……おめでとう。ヴィストリュア。藍の 賢毛の名において歓迎し承認するよ】 ノーラの神々しい声音に打たれ、雄竜は頭を垂れてそれを受け入れる。例えるならそれ は人間で言う騎士叙勲の風景に似ていた。新しい生と言う使命を与えられた誕生の時。 【お誕生日、おめでとうございます。アナタ】 【ありがとう、スーフィ】 妻の祝福の言葉にも今度は後ろめたさも無く――ヴィストリュアは笑った。そんな夫の 顎の下に鼻先をこすりつけて甘える朱鷺色の竜は、フッといたずらっぽい笑みを浮かべる。 【そうそう。今度は私にもおめでとうをくださいな?】 【ん?なんだ? まさか……おまえも?】 【残念。はずれです。ウフフフフッ】 顔を紅潮させて、スーフィは己の下腹に眼を細めた。 【私というより……この仔に、ですけど】 【んなっ……】 地肌が赤くなる程狼狽する雄竜にノーラが追い討ちをかける。 【ハッハッハッ! なった途端にデキるなんてよっぽど相性がいいんだねぇ? 父と仔 の誕生日が一緒ってのも傑作だ。いや縁起がいいことこの上ないよ】 (俺を介抱している時に……いくらなんでも偶然すぎ) 【……でもないか】 ヴィストリュアの思考がその口から零れ落ちる。何故かわからないが既に決まっていた 様な気がした。彼は精一杯父親らしさを込めて、妻の下腹に呼びかける。 【おめでとう。パパはお前が生まれてくるのを楽しみにしているよ】 ――新しい二つの命を、頭上の輝きはただ静かに祝福していた。 【三十路旦那鋼尾談 了】 感想 あなたの作品 大好きです -- 名無しさん (2008-07-14 12 00 52) 面白かったです 続きが見れるとは思ってもみませんでした(´・ω・`)ノシ ここまで来ると子供のその後が気になってしまいます(爆) -- 名無しさん (2008-07-19 20 48 08) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/moedra/pages/348.html
『はぁいアナタ……あ~んっ♪』 『あ、あ~ん』 愛妻から差し出された木さじ一杯。その旨みを心行くまで堪能してから嚥下し、ヴィス トは苦笑まじりに諭す。 『うん……美味いっ。けどな……その』 (一口ごとにそれじゃ、いつまで経っても食事が終わらないぞ?) 手料理を妻が夫に手づから食べさせる。新婚夫婦によくある仲睦まじい光景だ。 ――そう。食事に時間と愛情がたっぷり掛かるのは、良くある事。 ――ただし。 妻が人間より遥かに強靭な竜の場合は……なんというか、その非常に稀有な光景と言え るかもしれない。 『その……なんですか? あっ……』 妻の黄色と赤、左右色違いの瞳がたちまち潤み始める。不用意な発言をヴィストは悔い たがもう遅かった。 『味付けが濃すぎましたか? 健康に良くないって言うし……あぁ! そういえば昨日 もお肉だった! 飽きますよねきっとそうですよね!そういえば胡椒を入れ過ぎたかもし れないし後それから』 尻尾をしゅんと垂らして自虐的妄想に突入する彼女に、ヴィストは深く溜息をつく。連 れ添ってまだ間もないとは言え、この悪癖は止めようが無い事は早々に悟っていた。 下手にフォローしようとすれば大喜びで負の方向へ燃え下がる為、ある程度気の済むまで やらせておくのが一番なのだ。 『せっかく番(つがい)になれたのに、家事も満足にこなせない私なんて私なんて……』 俯きながら器用にも床に尻尾で『の』の字を書き始めた竜の仕草を確認して、ヴィスト は穏やかに声をかけた。 『スーフィ、森の巡回に行ってくるから弁当を』 途端に彼女の顔と尻尾がぴょこんと跳ね上がる。全身を覆うつるりとしたきめ細やかな 朱鷺色の肌が、彼女の奮起を示して微かに色艶を増していた。 『はいただいま今すぐ作りますから待っててくださいねっ♪』 先程の汚名返上とばかりに、藍色の鬣を振り乱して台所へ突撃していく妻を背後に溜息 一つ。ヴィストは装備の準備を始めた。何ががぶつかったり、落ちて割れたらしい音は聞 かなかった事に……。 (あぁ。今割れたのはアリタ製の湯飲みだぞ……まぁいいか安……安物だし) 聞かなかった事にはできなかったが、実際スーフィはよく尽くしてくれている。なれな い魔法で身体つきを人間に近づけているだけでも大変な負担だろうに、仕草や振る舞いま で真似ようと一生懸命だ。無粋な例えだが彼女への借金は一生掛けても払いきれない額に なっていそうである。 (一度元の姿で羽を伸ばさせないと……今度お気に入りの場所へ連れて行くとするか) 警備の巡回ルートからは外れているが、今度仕事にかこつけて妻を連れて行こうとヴィ ストは決めた。今日にでも安全を確認しておくとしよう。たまに無粋な密猟者がキャンプ をしている事があるからだ。竜といえど幻想種相手の装備には油断禁物――精神を侵食す る彼女の魔眼も、自分同様訓練を積んだ彼らには通じない。 『はぁい。アナタ。お弁当です……よ?』 雑考に耽ってしまった様で、気が付けばスーフィに怪訝そうに覗き込まれていた。彼女 の疑念が際限ない心配に変わる前にヴィストは慌てて取り繕う。 『いや、お前の……綺麗な瞳の事を考えていたんだ……なんてな』 『もうっ……いやですぅアナタ恥ずかしい……朝から変な気分になっちゃいますぅ』 いやんいやんと可愛らしく悶えつつ妄想に突入した妻に苦笑しながら、ヴィストは荷物 を背負って周囲を見渡す。得物――魔法の戦杖は手に。その他の装備は全て背嚢にある。 肝心要の愛妻弁当も確保。昨晩から乱れた寝台の上にも忘れ物は――。 『おや?』 あった。といってもなくても仕事には全く差し支えない、と思う代物。けれど風呂に入 る以外は肌身離さず身に着けている簡素な真鍮のペンダントだ。妻とくんずほぐれつした際 に鎖が切れたらしく、蓋が開いて内に刻まれた文字が見えていた。 "二十歳の誕生祝に――父より" 『親父っ……! そうか……そうだったっけ』 ヴィストは内心のむず痒い苛立ちに耐えかねて呻いた。 『アナタ、このペンダントがどうかしたんですか?』 スーフィが止める暇もなくそれを手に取った。こういった事には驚くほど察しがいい。 『お誕生日?っていうんでしょうか。の贈り物……ですよね』 『あぁ。もう十年も前に親父から貰ったんだ……もう十年だ。十年経っちまったんだ』 気が付かずにとんだ間抜けを演じていた。いや気が付かないフリをして安寧を貪ってい たのかもしれないとヴィストは自身を静かに糾弾した。同時にそんな自分を情けないとつ くづく思う。 ――出世に背を向け、この仕事に就いた時から覚悟はしていた筈だったのに。 『もう十年……と言うと……あっ、ああっ♪』 合点がいったらしく、スーフィがぽんとかわいらしく手を打つ。 『今日がアナタの三十歳のお誕生日なんですね?』 『……そうなるか』 ヴィストの口から押し出されるような言葉。どうしようもない重さが妻の祝福を封じて しまう。少しして懐疑の問いがそれに変わった。 『どう、したんです? 人間は生まれた日を祝うものなんでしょう?』 『すまん。その……ありがとう。いや俺がバカだったんだ。実際こんな小さな事で気に 病む方がおかしいふっ……!』 ――戦慄と柔らかい感触がヴィストの口を捕らえた。夫の愚痴を手で塞いだ妻の眼は。 (や、ば、い。本気だ?) 普段は押さえ込んでいる筈の魔眼の魔力が燃えるような光としてスーフィの双眸を彩っ ていた。同時にその頭部から左右に張り出した角が微かに放電しているのが分かる。 『……アナタ』 『は、はぃいいい?』 『さっきからおかしいですよくないです。何をいじいじしてるんですか』 精神を犯してでも聞き出してあげますと竜の視線が告げる。健気で献身的な彼女とは思 えない過激な行為だが、これも自分の事を案じての必死さ故の事だとヴィストは悟ってい た。 ――また彼女も悟っているのだろう。夫を捕らえているこの小さな気の迷いは…・・・う やむやにするのはあまりにも大きすぎると。 そう思った時。ヴィストの呪縛はあっけなく解けた。 『すまない。俺は……話したと思うが人間社会ではそれなりの地位に就く事もできた。 でもそれを蹴ってまで好き勝手にここで暮らしてきたんだ』 身体の力が抜けて近くの寝台に崩れ落ちる――のを柔らかい感触がそっと支えてくれる。 いつの間にか隣に滑り込んだスーフィに寄りかかって、彼は封じていた重い何かを吐き出 していった。 『三十歳……っていうのは人間じゃ中堅というか、親父に言わせれば真の意味で一人前 になってしかるべき歳だ。家庭を持って地位を築いて、一族を、ひいては社会を支える責 を本格的に担う』 『でもアナタはそういうのがお嫌いなんでしょう? 地位や名誉なんて何の意味もない ものだと』 『いや上手くいえないが……もう若いから、未熟だからと言い訳できないんだ。子供で いたいって訳じゃないぞ。とにかく何かしら確固たるものを築かなくてはならない歳なの に、自由気ままに生きてきた自分にそれがあるのかって……怖くなったんだ』 母親に慰められる子供の様に。妻に身を預けて頭を撫でられながらヴィストは最後の言 葉を吐き出した。ひどく惨めで辛い気分なのに悪くはなかった。すっきりした。 『まぁ例えるなら三十歳ってのは熟れ時の果実だ。もいで齧った時甘いか苦いか……さ しずめ俺は後者だな』 恥ずかしくなって自嘲で締めくくった彼の口はまたしても塞がれる。 くちゃっ。ちゅっ……。 『む……むふっ……んんんっ』 甘く痺れるような一時がヴィストの痛みを癒した頃、ようやくスーフィは口付けから解 放してくれた。 『わたしがいます』 『スー、フィ?』 『……わたしがいるじゃないですか。アナタがわたしを勝ち取ったんですよ』 いつもの様にべそをかくのではなく。静かに微笑みながら雌竜は泣いていた。 『ス……』 『アナタの三十年は、私では足りませんか?』 スーフィの言葉に今度はヴィストが口を塞がれる番だった。唖然とした彼の表情を見て クスッと笑うが、その瞳は恐ろしく真剣な色を湛えている。 『アナタがこの森に来なかったら……雄竜に犯されかけた私を助けてくれなかったら、 私と番になれませんでした』 ともすれば傲慢とも言える力強い自信。竜族独特の威厳をスーフィは体現していた。初 めて見る妻の一面にヴィストは後悔に近い感情を覚える。 ――いかに彼女を軽く見ていたかに……否。自分の人生を侮っていた事に。 『自身の魔力に怯えるだけだった私を……救い出せませんでした』 視線を交わすだけで相手の精神を破壊する竜の魔眼。実に二百年もの間スーフィを縛り続 けたそれを、理由は不明だがヴィストは受け止める事が出来た。いい練習相手ができたおか げで、その猛威は徐々に持ち主の意に沿うようになって来ている。 『私の二百年はアナタのものになったんです。それでも……足りませんか?』 気高き竜が誇らしげに微笑む。深い吐息と共にヴィストは笑った。 『俺には……重すぎて。潰れそうだからな……これからも一緒に支えてくれないか?』 『ええ……アナタ』 一人と一頭はどちらとも無く唇を軽く合わせていた。貪りあうのではなく、あくまでそ れは誓約の厳かさを持って互いを繋ぐ。暫く静寂がその場を支配した。 ――そして。 ムニュ。 『お、おい? そこは、そんな所おっ、ああっあああっ』 心地良い脱力感から一転、股間をまさぐる快感にヴィストは狼狽し悶絶した。的確にツ ボを抑えた妻の愛撫を受け身体の一部に力が漲ってくる。 『さっき、御自身の事を苦い果実と仰いましたよね』 甘い囁きが熱く、彼の耳元に吹き付ける。 『でも、麦酒みたいに苦くて美味しいものもあります。特にアナタのが……うふ』 逆らう間もなく竜に押し倒された。脚には何時もの如く彼女の尾が巻きついていて、 そのまま鮮やかな手付きで衣服の間から勃起を導き出される。早々と絶頂へ肉薄する快感 と共に、熱い喘ぎが意識に染み込んできた。 ――だから、飲ませてくださいな。 『うっ……スーフィ』 ニュパッ……チュパッ。 拘束した獲物を手際良く全裸にすると、雌竜はいそいそとその股間を味わい始めた。灼 熱の快楽がイチモツに巻き付きくまなく濡らしていく。 『あふ……もうこんなになられて……嬉し……ちゅっ』 初見では十中八九清楚な印象を持たれがちなスーフィだが、この方面に関してはかなり 情熱的だ。台所でも風呂場でもお構いなしに求めてくる程で、ヴィストは本気で自分の寿 命を心配した事がある。ちなみに抵抗しても押し倒されるので全くの無駄なのだが。 グチュッ、ジュルジュル……。 『だ! も、でそ……あ、あああっ』 ムスコに巻きつき巧みに扱きあげる舌の快楽。会陰の奥からせり上がってくる熱い塊を 感じヴィストは悲鳴を上げる。昨晩から今朝に掛けてたっぷりと搾り出されたはずの精が、 今回もあり得ない量で放たれる事は確信していた。 スーフィの技巧もあるのだろうが、竜の魔力かナニかが自分の身体を作り変えているの ではという恐怖を禁じえない。だがそれも悪くは無かった。 『チュパッ……我慢はお体に毒ですよ……遠慮なさらずに濃いのをたっぷり……んっ』 ギチュッ! ジュルジュルジュルッー! 一旦離した舌を肉棒にきつく巻きつけ、一気に引き抜く苛烈な止め。だがそれは限りな い慈愛と奉仕の精神に満ちていた。その刺激が倒錯的な激しい喜びを生み、ヴィストの理性 は完全に溶け落ち――。 『うアぁっ!、アッ! あああああッ!』 ビュグググググ……! 絶叫と絶頂に震えるヴィストのイチモツから弾ける様に精が脈撃ち出され、待ち受ける雌竜の 牙口へと吸い込まれていった。 ビュク……ビュビュッ。……ゴクン。 『むふぅ……うむぅん……ジュル』 ひとしきり欲望を受けると雄を優しく口腔で包み込み、頬を窄めながら最後の一滴まで 吸い取ろうと喘ぐスーフィ。その眼差しは純真で淫らな色を湛え、早くも次を欲していた。 『はぁん……アナタ。次は、ココに……ね? 』 我慢しきれないとばかりに射精の余韻にひくつく肉棒に雌竜は跨って来た。ここまで来 たらもう止められない。 『ちょ、待てし、仕事が』 『仕事? ウフフ。これも、雄のおシゴトですよ。フゥ……』 ……クパァッ。 ヴィストの抗議もむなしくスーフィは腰を落としていく。秘部の飢えた淫肉が左右に開 いて涎を垂らしているのを確認しつつ彼は観念した。 (あぁ。また一日――か) おそらく昼までは咥えこんで離してくれないだろう。そして回復した頃は夜でそしてま た……いつものパターンではあるが――しかし。 『盛り上がってるトコ、邪魔するよ』 『!?!?』 スグチュッ!! 『! き、きゃああ、ああっ!……あんっ』 突然で唐突な闖入者に腰を抜かしたスーフィのおかげで、見事に合体を果たした若夫婦 の視線の先――食卓に"彼女"はいた。 『朝からお盛んなようだねぇ。結構結構』 『あっ、おっ、おおおお、おばあさまっ!』 『元気そうで何よりだよ。スーフィ♪』 そういってウインクするのは腰まで緩やかに伸びた髪と同色の、藍のローブを緩やかに まとった初老の婦人――というとやや違和感が生じる。美女が外見は殆ど年をとらないま ま老成したような魅力を彼女は全身から発散させていた。 (ううっ……お、おばあさまってか……なるほどな) 妻自慢の祖母にして、古竜からも一目置かれるという竜の賢者。それが変じた姿という ならこうなるだろうと理屈抜きでヴィストは納得し感心した。その余裕は次の一言であっ さりと粉砕されたのだが。 『悪いんだけどさ、早いとこ一発済ませてもらえないかねぇ』 『!!!!』 『なんならアタシが手伝ってあげようか? まぁ下見ってのも悪くないしねぇ。ウフフ フフフ』 『『いいいい、いえいえ結構です!!』』 にやにやしながら服を脱ぎつつにじりより始めた彼女の様子に、一つがいは慌てて交尾 を解いたが遅かった。 『うっ! ウウウウッ』 ビュルビュビュルッ! ――雄は基本的に精を早く放つのが本能である。のでつまりそのやむを得ないというか、 引き抜く際の刺激にヴィストはあっけなく情けなく達してしまい……。 ……ベチャ。 『おや? まあ、よく飛んだものだね』 『え……お、おばあ、さま?』 そのイキつく先はよりによって最接近したおばあさまの顔だったりしたわけで。つまる 所誇り高き竜の顔に思いっきり"ブッかけた"状態に、加害者はムスコ共々大いに縮み上が った。 『あ、あの申し訳ないすみません生まれてきてすみませんから妻の命だけは』 『んー?……んんっ。濃くてイイ味じゃないか?』 何故か妻の体にひしとしがみついて命乞いをする人間に特に怒ることも無く。竜の賢者 は自らの顔についた冒涜を味わって目を細くした。 『人間にしてはなかなか強そうだね。それに度胸も悪くない。お楽しみの最中に入って きたアタシに対して、動じるでも無し恥らうでも無しときたもんだ』 『いや、十分驚いたけど、年相応の竜ならば警備装置をすり抜けて不思議じゃないしな。 それに恥ずかしくても逃げ場が無いからここにいるだけなんだ』 もう開き直れるだけ開き直ったのが功を奏したか、ヴィストはいつもの調子を取り戻す ことができた。最もスーフィからもらった予備知識で話ができる相手だと踏んではいたの だが。 『賢毛と称えられるアタシに対する不遜なまでのその態度。いいねぇ。気に入ったよ。な んでアタシのところに連れてこなかったんだい ?スーフィや』 祖母から唐突に話を振られた雌竜が、その朱鷺色の体躯を鮮やかにしながらしどろもど ろになる。 『あ、あああの申し訳ありませんおばあさま! もしエルダーの方々に知れたらご迷惑 が掛かるかと……でも本当は一族の皆に紹介したいぐらい素敵な方で例えばお風呂で体を 丁寧に洗って下さったりご飯の後片付けも手伝ってくれるとかそれから交尾の時はもちろ ん相性は最高で前から後ろから』 『あーはいはい。もうノロケはその辺にしときな。十分わかったからさ』 尻尾と手足をバタバタさせて必死に暴走……アピールする孫竜を手を振って止めると、 賢毛の二つ名を持つ竜は真剣な眼差しでヴィストを捉えた。 『さて。アタシがここに参上した理由はね……ちょいとアンタに来てもらおうと思ってさ。 委細後ほど。異存は無いね?』 人間の姿をしていてもその瞳は紛れも無く竜のそれであり。迫力に押されたヴィストは 頷くしか選択肢が無かった。 『じゃあ決まりだ。とっとと支度おし。 あ、服はそのまんまでもいいけどさ……何か しらエモノは持っていった方がいいかもねぇ』 何が起こるかわからない、という言外の示唆を感じ取り、ヴィストは愛用の魔杖を手に 取り、大急ぎで服を身に着けた。他にも装備を整えたかったが年経た竜はその時間さえ惜 しい様子で彼を急き立てる。 『ほら人間、そんな余計なオモチャはいいさね』 一刻の猶予も無いと言わんばかりの勢いで、彼女はヴィストの手を強引に引いて玄関へ と向かって行く。先刻までの余裕は影を潜め……焦っている、もしくは浮かれている様な らしくないその態度にスーフィは目を丸くして見入っていた。 『スーフィ! 何を呆けてるんだい? お前も来るんだよ!』 『は、はい! ただいま!』 実に慌しい様相で3人は――正確には2頭と一人は玄関をくぐって外へ出た、その刹那 の瞬間。 『――う?』 『は、わ?』 一名を除き視界と思考が混乱する。なぜならそこは見慣れた野菜畑では無かったからだ。 ちょっとした大聖堂クラスの広がりを持つ洞穴に世界が一変していた。 『ようこそ人間。アタシの巣に竜以外を入れたのはアンタが初めてさね』 『――空間連結? 嘘だろ?』 落ち着きを取り戻したヴィストは思わず後ろを振り返った。案の定我が家の扉は跡形も 無い。長大な距離を繋ぐ魔法は理論上可能なのは知っていたが、それを事も無げに実行す る竜とはナニモノなのかと彼は戦慄を禁じえなかった。このような相手と本当に人間は戦 えていたのだろうか。 『ふふん。まぁさすがに驚いてもらわないと立つ瀬が無いってもんだわさ。安心おし。 思ってるほど気軽にできる芸当ではないからね……さ、ちょっとアタシから離れていてく れるかい?』 『あ、ああ……』 『アナタ、まだ下がって下さいな。おばあさまは大きいですから』 内心を見透かすような竜の言葉に再度背筋に冷たいものを感じながら、促されるままに 距離を取ったヴィストは次の瞬間再度驚愕した。今度は声すら出ない。 【フシュルルル……あーあーあー。アタシの言ってる事がわかるかい?】 頭の中に響くような声もしくは意思。それは瞬時に彼の視界を占めた藍色の巨躯――竜 の体から発せられていた。スーフィと異なり角は無いものの、美しい豊かな鬣が頭頂から 背筋に波打ち、その両側には優雅に折り畳まれた一対の翼が玉座の背飾りの如く掲げられ ている。それはヴィストの想像を越えたモノであり、理屈ぬきで畏敬の念を抱かせるに十 分な姿だった。 『あ、お、"おばあさま"……なの、か?』 彼が何とか搾り出せたのは一言だけだった。眼下の人間の様子に竜は満足げに頷く。 【あぁ。さっきと同じくアタシだよ。何かおかしい所でもあるかねぇ?】 『いや……その、綺麗だ……と思う』 ヴィストが我知らず漏らした感想に、彼女は黒水晶の如き瞳を嬉しそうに細めた。それ を見てようやく彼の意識が認識に追いつく。 (確かにスーフィと似ている……意外とかわいいもんだな) 【えへへ。おばあさまは一族の中でも屈指の魅力的な雌と謳われています。私のこの鬣 もおばあさま譲りなんですよ】 彼の背後、気配の揺らぎに聞きなれた妻の声――否、思念に振り返ると、変身を解き四 足歩行に戻ったスーフィが嬉しそうに微笑んでいた。彼女の真の姿を見るのは久し振りだ が、体が比較的小さい事と特徴的なオッドアイなどを除けば、祖母の血を引いていると改 めて納得できる。 【発情期はおばあさまに求愛する雄が多くて大変なんです。ここだけの話、いつぞやは エルダーの方もお忍びで来られてそれはもう情熱的に腰を……】 【こらこら!滅多な事を言うもんじゃ無いよ】 内容に若干問題があるが、我が事のように誇らしげに語る孫娘を慌てて嗜める祖母。極 めて微笑ましい光景に、ヴィストは竜に抱いていた頑なな何かがほぐれていくのを心地良 く感じていた。 【全く……以前はこんなにはしたない仔じゃなかったのにさ】 溜め息をつく祖母の視線が突如ヴィストを急襲した。 【……誰の影響だろうねぇ?】 『い? お、おオお俺か? いやそのチガ……うよな? スーフィ』 彼の弁明が尻切れトンボになったのは、男いや夫としてパートナーとして……妻にアレ でナニなイロイロな事を教えたりした為である。無論勉強熱心な彼女に請われての事であ り、決して無理強いした覚えは無かった。 (頼む。そう言ってくれ!) 援護を求める夫の悲痛な視線に、スーフィは持ち前の察しの良さで素早く応じた。 【はい。妻のたしなみとして色々教えて頂きました……家事はまだまだですけど、こっ ちはもうおばあさまにも負けませんよ】 【ほう。た し な み ね。……モノは言い様ってかい。んん――?】 (逆効果だって! これじゃまるで俺が) じり、と祖母の鋭い視線と鼻先を顔面に突きつけられ、ヴィストは生きた心地がしなか った。このままではいたいけな娘にいかがわしい調教を施した、特A級戦犯にされてしま う。しかも種族を越えたド級にアブノーマルな感じで。おそらく人間からも竜からも弁護 士のなり手はいないだろうと思われた。 【ふぅ……全く問題の多い事だよ……そう人間。問題はアンタなのさ】 『……俺か』 別の意味で背筋が冷えたのは、首を戻した祖母の声が年経た竜のそれに変わった為とヴ ィストは追認した。雰囲気の変化を察して傍らのスーフィからも笑みが消える。 【単刀直入に言うよ人間。アンタ達の事がエルダーの連中にばれた】 竜の賢者は重々しく眼下の夫婦に最悪の事実を告げた。 【え――そん、な……ど、どどどどうしましょよよよよ】 おろおろと夫と祖母を交互に伺うスーフィを尻目に、ヴィストは自分でも驚くほど驚い ていなかった。できるだけ先延ばしにしておきたかったその時がついに来たと言うだけの 事――と冷めた自己分析を終えると、柄じゃないなと自嘲気味に苦笑する。そんな彼に藍 の竜は感心した様に目を細めた。 【ますます気に入ったよ。人間にしておくには本当に……本当にもったいないね】 『ヴィストだ……いい加減に名前で呼んでくれると嬉しい。できればそちらの御名も頂 戴したいんだが』 【ほうほう。そういやすっかり自己紹介を忘れていたよ。まぁ滅多に使ったことが無い しね。アタシの名は"リューノゥーラ"、ややこしいから……ノーラとでも呼んどくれ】 『何だか人間みたいだな……じゃあノーラ、焦らさずどうしたらいいか教えて欲しい。 俺達に残された時間と選択は?』 事が事だけに遠慮などせずヴィストは竜に問いかけた。 【正直あまり無いね。エルダーの連中はあんたらを審問にかけたがっている。いや正確 にはスーフィをだ。まぁ……形だけで"脆弱な下等種族と通じ、竜族らしからぬ生き方を した"件で有罪は事前確定、罰としてよってたかって慰み物にされるのがオチだろうね。 ヴィスト、あんたはよくて即死ぬか、趣味の悪いヤツに犯され殺されるかのどちらかさ】 『俺はともかく、かわいい孫の悲惨な末路をよく平気で語れるな』 冷えた鉄のように冷徹なノーラの宣告にヴィストは思わず噛み付いてしまった。無論彼 女は悪びれた様子も無く切り返す。 【あたしら竜はこういうモンだからね。他の種族にどうこう言われる筋合いは無いよ。 それに人間だって同じぐらい残酷さ。異教の神を拒んだからって村人全員嬲り殺しなんて ……よくあるじゃないか?】 心なしか錆を帯びた竜の言葉にヴィストは反論できなかった。実際彼女も孫の事を案じ ているのを言外に悟ったからだ。それに互いに種族の品性をどうこういっても仕方が無い。 問題は如何にこの窮地を脱するか。彼は傍らの妻を一瞥すると切り出した。 『何か考えがあるんだろう。竜の中でも賢者として称えられるあんたならな』 【当たり前さね……ただし覚悟おし。どのみちタダでは済まないんだよ】 ここで初めてノーラの瞳が殺気めいた何かを帯びる。しかヴィストは怯まなかった。先 程と同じく予測してしまっていた死刑宣告をそのまま受け入れる。 【ヴィスト、この場でアタシの相手をしてもらうよ。竜を娶るに相応しい強さがあるか を見定めるためにね。アタシを満足させる力がなければあの世行き。異存は無いね?】 『力を重んじる竜族らしいやり方だな……それしかないだろう』 (俺だけが死んで手打ちになる……か) 圧倒的な絶望に押し潰されまいと、彼は奥歯を強くかみ締めた。 【……いい覚悟だ。じゃあとっとと始めるよ】 ノーラの翼が風も無く洞窟いっぱいまで拡がり、押し包もうとする様な威圧感をヴィス トに叩き付けてきた。精神が吹き飛びそうになるのに逆らいながら彼は確認する。 『スーフィはきちんと守ってくれるんだよな?』 【言われるまでも無いさ。まぁ、一応そのぶら下げてる貧弱な棒切れであがいてみるん だね。もしかしたら……かもしれないよ】 ヴィストは手にした唯一の得物――全てを『撹乱』する魔法の戦杖を意識したが、確か に竜の前ではただの棒以下にしか思えなかった。つまるところ――完全な手詰まり。 【ではさっそく頂くとするかね……アンタの――】 ノーラの全身が獲物に襲い掛かるソレを見せて撓んだ時だった。 【ああっ! あァあアアァあああああーっ!】 【!!!!】 『んなっ……』 ギュアオオオォオォオオオオオ! 錯乱した思念と咆哮を上げながら、朱鷺色の体躯がヴィストを守るかのように割って入 った。そのまま目の前の祖母を見据えてカッと目を見開く。 【ご、ごごごめんなさいおばあさまこの人だけはこの人だけはダメ! だから! だか らァアアアアアアアーッ!!】 スーフィは相手を快楽で破壊する魔眼の力を全開にして、最も向けたくない相手に叩き 付けた。抵抗力の高い同族には効果は無いとされているが、それさえ打ち破る程の決死の 覚悟が魔力の嵐となって空間すら歪ませて行く――しかし。 ブシャアアアアッ! 【ウッ!……ヒッ、ひぎいぎいギィイイいいいいーッ!!】 人間なら快楽死する程の絶頂と恍惚に苦悶しながら、股間から大量の潮を撒き散らして 崩れ落ちたのはスーフィの方だった。全身を痙攣させながらのた打ち回り、相次ぐ追い討 ちに悶え続ける。 ギュィオオーッ! ギュアオッ!ギュアオオオッ! 『スーフィっ! 大丈夫か!』 【……ア、あなあなだっ、た、助けタダズケてぇい、あ逃げで! へ、へっ? い、い ぎぎぎぃイッ!】 『ぐあっ!!』 跳ね飛ばされない様に注意して介抱を試みたヴィストの手が触れた途端、スーフィの体 が一際大きい絶頂に撥ねて彼を弾き飛ばす。 『ウッ……ああっ! す、スーフィいいいっ……』 受身を取り損ねて転倒した意識の中、朦朧とする妻の姿に無力感に苛まされながらもヴ ィストは必死に手を伸ばした。 【オイタが過ぎるよスーフィ。しばらくそこで反省しておいき……っておやおや、そん な脳みそはもうないかね】 頭上からどこまでも冷徹な竜の声が降って来る。凍てつく霜のようなそれはヴィストに とっては火に油だった。 『孫を手にかけるとは正気かあんたはァアアアッ!』 彼は全身を焼き尽くしそうな、生まれて初めての激昂をノーラに叩き付ける。悲壮な死 の覚悟や恐れなど跡形も無く吹き飛んでいた。そんなものがどうだというのだろう。もし もの事があればタダでは済まさないという理屈抜きの確信に突き動かされて間合いを詰め る。 『答えろ竜! スーフィに何をした! どうすれば元に戻る!』 【別に何もしちゃいないさ……アタシはね。この仔は跳ね返った自身の魔力を浴びてる だけ。ほっときゃ元に戻るだろうよ】 相変わらずの調子で返すノーラに苛立ちを抑えられないまま、ヴィストは再度杖を握り 締めひとりごちる。 (死ねない――) 強い確信があった。自分が死ねばスーフィは何度でも祖母と矛を交えるだろう。そして ――結局は夫婦仲良くあの世行きなのだ。 (しかしどうしろっていうんだ?) 決意だけが空回りして踏み出せずにいる彼をノーラの視線が舐めまわす。先程の様に襲 い掛かるそぶりも見せず佇んでいるのは余裕か、それとも何かを待っているのか。その表 情が笑いをこらえるかのように歪み、ついに言葉を吐き出した。 【あっはははは。いい顔になったじゃないかい? 雄はこうでなくちゃダメさね。自己 満足で命と伴侶を見捨てるヤツに、孫娘は渡せないからねぇ】 『な、何を……』 唐突に殺伐とした雰囲気をかなぐり捨てた藍の竜に、ヴィストは困惑しながら問いを続 けようとしたが――。 【ウフフフフ、では仕切りなおしだよ。……かわいい孫娘に免じて先攻は譲ってやるか ら、とっととかかってお い で】 ……クチャッ。 蕩けた口調で仰向けになり、濡れ蠢く秘部をさらけ出したノーラに思考もろとも停止さ せられたのだった。 つづく
https://w.atwiki.jp/moedra/pages/229.html
累計 - 今日 - 押掛女房朱鷺色恋記(♀竜×♂人間、♀竜×♂竜、Transformation) ↓三十路旦那鋼尾談(♀竜×♂人間、Transformation) 龍根奇話(♀龍×♂人間、自慰、Transformation) 竜神恋譚(♂龍×♀人間) 竜育(♀竜×♂人間、輪姦)
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/768.html
分岐 名前 Rank 基本防御 非物理 強化時[合成時]追加スキル ◇│ イオニアンガード 9 798 --- [雑草魂Lv10{体力Lv10 コンボマスターLv10 覚悟Lv10}] 合成 12000fc 冥護晶体x1 堕猿面x1 禁龍氷角x1 堕鳥砲x2 │◇│ イオニアンガード 極 12 1098 --- --- 強化 40800fc 百鬼真鉤爪x2 妖婦真羽衣x2 女神華紋ゴム殻x1 堕猿神酒x1 │◆ イオニアンガード 醒 15 1489 --- --- 強化 169600fc 百鬼真兜x2 闇神ノ真柔毛x2 堕猿鋼尾x2 剛真丹x1 付加スキル一覧 雑草魂Lv10
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/793.html
分岐 名前 Rank 基本防御 非物理 強化時[合成時]追加スキル ◇│ デームート 7 686 --- [ナイトオブライオンLv10{アクロバットチームLv10 おおげさLv10 【B】ヘイト低下抑制Lv10 カリスマLv10}] 合成 9700fc 餓爬紋鎧x2 猿神骨x2 猿神力鎧x1 闇神ノ柱片x1 闇神ノ石蹄片x1 │◇│ デームート 極 11 1092 --- --- 強化 16000fc 餓爬電磁紋鎧x2 堕猿力骨x1 堕猿面x1 闇神ノ柱x1 闇神ノ石蹄x1 │◆ デームート 醒 15 1648 --- --- 強化 169600fc 餓爬高電紋鎧x2 堕猿硬骨x2 堕猿鋼尾x2 闇神ノ邪眼晶x1 闇神ノ真水晶x1 付加スキル一覧 ナイトオブライオンLv10
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/486.html
分岐 名前 Rank 切断 破砕 貫通 非物理 強化時[合成時]付加スキル ◇│ タプファーカイト 7 0 444 0 --- [ブレイブリーハートLv10{復讐への憤怒Lv10 ふんばりLv10 乱戦時攻撃力Lv10}] 合成 9700fc 餓爬裂牙x2 餓爬銛x1 猿神力鎧x1 闇神ノ鎧x2 闇神ノ双角x1 │◇│ タプファーカイト 極 11 0 664 0 --- --- 強化 16000fc 餓爬電磁銛x2 餓爬電磁鱗x1 堕猿面x1 闇神ノ天鵞絨鎧x1 闇神ノ双歪角x1 │◆ タプファーカイト 醒 15 0 778 0 --- --- 強化 169600fc 餓爬高電磁銛x2 餓爬高電紋鎧x2 堕猿鋼尾x2 闇神ノ真水晶x1 闇神ノ邪眼晶x1 付加スキル一覧 ブレイブリーハートLv10
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/324.html
分岐 名前 Rank 基本防御 非物理 強化時[合成時]付加スキル ◇│ 対属性バックラー 1 99 火◎氷◎雷◎ 神◎ --- 合成 350fc ジュラルミンx1 木霊病布x1 │◇│ 抗属性バックラー 4 275 火◎氷◎雷◎ 神◎ ガード範囲Lv10 強化 2800fc 龍種紋鎧x1 コーティング剤x1 龍種角x2 焔獣肩鎧片x1 炎妖殻x1 │◇││ 防属性バックラー 6 398 火◎氷◎雷◎ 神◎ --- 強化 4160fc 堕龍角x1 猿神大尾x1 堕猿面片x1 堕鳥面x2 女神羽衣x1※抗属性バックラー、バックラー 序から派生 │◇│ 剛属性バックラー 8 524 火◎氷◎雷◎ 神◎ 覚悟Lv10 強化 8800fc 堕猿大骨x2 神蝕皇ノ盾x1 堕龍火牙x1 雷騎面盾x1 虚神強靭維x1 │◇│ 剛属性バックラー 極 11 715 火◎氷◎雷◎ 神◎ 状態異常蓄積Lv10 強化 16000fc 堕龍炎纏ヒレx2 炎騎神針x1 堕猿面x1 雷騎鬼面盾x1 虚神月鋼x1 │◆ 剛属性バックラー 醒 15 1075 火◎氷◎雷◎ 神◎ --- 強化 169600fc 堕龍劫炎ヒレx2 炎騎真針x1 堕猿鋼尾x2 雷騎硬鎧x1 虚神真機核x1 付加スキル一覧 ガード範囲Lv10 覚悟Lv10 状態異常蓄積Lv10
https://w.atwiki.jp/loghorizon/pages/301.html
名称:鋼尾翼竜(ワイヴァーン) レベル:42~50 ランク: 出現場所:高所 ◆解説 高地に生息する亜竜族の魔獣。翼が極端に発達しており、〈鷲獅子〉を凌駕する飛行速度を誇る。滑空の勢いのまま繰り出される尾の一撃は雷光をまとい、獲物に深手と変調を与える。基本的に群れで棲息しており、不用意に戦いを眺めば無事では済まない。 アイテム モンスター 用語 冒険者 システム サブ職業 召喚術師 地名 口伝 組織 クエスト 典災 職業 大地人 ゾーン 種族 妖術師 武士 守護戦士 神祇官 施療神官 暗殺者 古来種 盗剣士 武闘家 事件 吟遊詩人 特技 付与術師 森呪遣い 航界種 ダンジョン
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/537.html
分岐 名前 Rank 切断 破砕 貫通 非物理 強化時[合成時]付加スキル ◇│ リトクリーヴ 1 0 0 110 --- [攻撃態勢Lv10{近接攻撃力Lv10 防御力Lv-10}] 合成 100fc 購入 │◇│ 鋭リトクリーヴ 6 0 0 340 --- JGST回復Lv10 【B】ブラッドアーツ強化Lv10 強化 4160fc 赤蝕狼ノ紅玉x1 妖婦刃x1 赤蝕狼ノ牙x2 妖婦高彩柔毛x2 │├◇││ 錐槍リトクリーヴ 11 0 0 593 --- --- 強化 16000fc 聖母貴天輪x2 戦鬼電呼体x1 赤蝕狼ノ重鎧篭手x1 妖婦鋭踵骨x1 祭祀大牙x1 │││◆││ 徹錐槍リトクリーヴ 15 0 0 695 --- 滅私の同調Lv10{受け渡しバースト化Lv10 ガード被ダメージLv-10} 強化 169600fc 聖母輝閃骨x2 戦鬼雷電大牙x2 赤蝕狼ノ万里眼x2 妖婦壮麗柔毛x1 祭祀黄金紋羽x1 追加スキル一覧 攻撃態勢Lv10 JGST回復Lv10 【B】ブラッドアーツ強化Lv10 滅私の同調Lv10 │◇││ 穿槍リトクリーヴ 12 0 0 613 --- 【B】スタミナ自動回復Lv10 強化 40800fc 暴喰晶体x1 戦鬼竜閃門x1 禁猿雷神鎧x1 強化 40800fc 戦鬼竜閃門x1 禁猿雷神鎧x2 │◆ 徹穿槍リトクリーヴ 15 0 0 695 --- 捨身の魂Lv10{【B】近接攻撃力Lv10 【B】ガード被ダメージLv-10} 強化 169600fc 飾百鬼荒縄x2 雷鬼鋭角x3 飾餓爬大鱗x2 堕猿鋼尾x1 飾天狐ノ千里眼x1 追加スキル一覧 攻撃態勢Lv10 JGST回復Lv10 【B】ブラッドアーツ強化Lv10 【B】スタミナ自動回復Lv10 捨身の魂Lv10
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/653.html
分岐 名前 Rank 破砕 貫通 非物理 強化時[合成時]追加スキル ◇││ クロガネ狙撃型 1 0.88 0.88 --- [オラクルLv2] 合成 350fc 黒鉄x1 隕鉄片x1 備考 初期所持購入(600fc):最初から │├◇││ シロガネ狙撃型 3 1.50 1.50 --- スタミナLv2 強化 664fc 低密度感応波受容体x1 隕鉄片x1 │││◇││ シロガネ狙撃弐型 6 2.72 2.72 --- スタミナLv4 ハーフスタンスLv10{防御力Lv10 近接攻撃力Lv10} 強化 4160fc 高密度感応波受容体x1 工具鋼x1 夜叉手甲片x1 夜叉兜片x1 │││◇││ シロガネ狙撃参型 8 3.58 3.58 --- アスリートLv4 強化 8800fc 超密度感応波受容体x1 ジュラルミン鋼x1 炎鬼兜x2 鬼切牙x2 夜叉牙x1 │││◇││ シロガネ狙撃極型 11 4.74 4.74 --- スタミナLv6 全力攻撃Lv4 強化 16000fc 超密度感応波受容体x1 虚兵耐衝体x1 魔狼灼銀牙x2 焔獣超硬殻x1 炎騎獄面盾x1 │││◆││ シロガネ狙撃醒型 15 5.56 5.56 --- スタミナLv10 強撃巧者Lv3{全力攻撃Lv3 アスリートLv3} 強化 169600fc 飾竜帝大鎧x2 木霊真ゴム殻x3 戦鬼雷電重鎧x2 堕猿鋼尾x1 炎騎真血晶x1 付加スキル一覧 オラクルLv2 スタミナLv2 スタミナLv4 ハーフスタンスLv10 アスリートLv4 スタミナLv6 全力攻撃Lv4 スタミナLv10 強撃巧者Lv3 │◇│ クロガネ狙撃小鈴 4 2.00 2.00 --- オラクルLv4 射撃の心得Lv10{オラクルLv10 銃特殊行動阻害無効Lv10} 強化 2800fc 黒鉄x1 工具鋼x1 夜叉手甲片x1 夜叉兜片x1 │◇││ クロガネ狙撃鳴鈴 7 3.28 3.28 --- 消音Lv4 [オラクルLv4 射撃の心得Lv10] 合成 9700fc 黒鋼x1 ジュラルミン鋼x1 炎鬼牙x2 氷鬼兜x2 虚神砲x1 強化 7760fc 黒鋼x1 ジュラルミン鋼x1 炎鬼牙x1 鬼切牙x2 夜叉牙x1 │◇│ クロガネ狙撃威鈴 11 4.74 4.74 --- オラクルLv6 レーザーマスターLv10 強化 16000fc 黒曜鉄x1 虚神魔重砲x2 幻影竜兜x2 禁王飾輪x1 虚兵機蝕装甲x1 │◇│ クロガネ狙撃号鈴 13 5.20 5.20 --- 狙撃の心得Lv10{レーザーマスターLv10 消音Lv10} 強化 52000fc 黒曜鉄x1 聖母貴閃骨x2 神蝕翁ノ蒼月輪x2 騎士硬鎧x1 女神真血晶x1 │◆ クロガネ狙撃哭鈴 15 5.56 5.56 --- オラクルLv10 三拍子Lv3{オラクルLv3 体力Lv3 スタミナLv3} 強化 169600fc 黒晶鉄x1 虚神豪腕x2 幻影真甲x2 禁王駆動晶x1 虚兵真赤輝核x1 付加スキル一覧 オラクルLv2 オラクルLv4 射撃の心得Lv10 消音Lv4 オラクルLv6 レーザーマスターLv10 狙撃の心得Lv10 オラクルLv10 三拍子Lv3