約 140,942 件
https://w.atwiki.jp/bananathinking/pages/17.html
※ニコニコ動画において、KBC×東方では「東方クラッシャーシリーズ」等のタグが付けられる。 ※作品数が多いのでサムネは表示していません。 ある程度、再生数の多い作品はタイトルの横に注目!!または大注目!!!と色文字で書いています。 ※見落としもあるかもしれません。 『KBC×東方』って? →代表作は、こちらやこちらやこちらです。 あ か さ た な は ま や ら わ 英数字 あ行 原曲あいうえお順 芥川龍之介の河童 ~Candid Friend 【KBC】たぴぱんの唄【にとり】 【東方】天皇陛下のクラッシャー~Crushed Keyboard【にとりの唄】 明日ハレの日、ケの昨日 明日タピオカの日、スピンの昨日 アリス→デレ KBC→デレ 運命のダークサイド 運命のダークラッシャー【運命のダークサイドMAD】注目!! ウサテイ クラテイ(ウサテイ-クラッシャーver.) クラテイ(ウサテイ-クラッシャーver1.1) クラルド【クラドル+ドナドル】 フラドル 夢の狂宴祭【フラドル+クラドル+ドナドル】 クラッシャーREMIXウサテイMAD注目!! タニテイクラッシャー(タニテイ+キーボードクラッシャー クラッシャーでウサテイ クラドル 【フラドル+キーボードクラッシャー】注目!! お嫁にしなさい キーボード氏になさいお嫁にしなさいMAD注目!! ドナルドクラッシャーしなさいっ! か行 株式会社ボーダー商事・社歌 株式会社タピオカ商事社歌 神々が恋した幻想郷 ドイツ人達が恋したタピオカパン 神さびた古戦場 ~ Suwa Foughten Field 神さびたキーボード ~ Crasher Foughten Field 患部で止まってすぐ溶ける~狂気の優曇華院 ドイツでニコカラ ~ 狂気のキーボードクラッシャー 患部で止まってすぐ破壊 狂気のキーボードクラッシャー注目!! うどんげでとっととスピン!!! ドイツで変調して叫びまくり~狂気の全音域一斉攻撃 ドイツで止まってすぐ壊す ~ 狂気のキーボードクラッシャー大注目!!! 【ニコ麻呂比較⑤】ドイツで止まってすぐ壊す~狂気のKBC を踊ってみた注目!! 狂気のキーボードクラッシャーを狂気の俺が歌ってみた ドイツで逆転して同時再生~狂気のキーボードクラッシャー ドイツで止まってすぐ壊す(逆再生)~-ャシッラクドーボーキの気狂 ドイツで止まってすぐ壊すを×2にしたら耳レイプ動画になった。 ドイツのカオス ドイツで止まってすぐ壊す~狂気のキーボードクラッシャーを踊ってみた注目!! 恋色マスタースパーク 【東方鍵打砕】胡麻色キーボードスパーク きゅうり味のビールを飲めばいいよ! 早速きゅうり味のビールをクラッシャーに飲んでもらった きゅうり味のポテトを食えばいいっすよ!【東方クラッシャー】 ケロ⑨destiny 胡麻⑨destruction 胡麻⑨destruction(修正版) 究極焼肉レストラン!お燐の地獄亭! 究極鍵盤クラッシャー!お燐のキーボード! 行列のできるえーりん診療所 鍵盤☆革命注目!! 3革命を比較してみました 稲田姫様に叱られるから 天皇陛下様に叱られるから【稲田姫様に叱られるからMAD】 さ行 最終鬼畜妹フランドール・S K・Bクラッシャーは何者なのか? with ビートまりお(最終鬼畜一部声とか)注目!! 最終鬼畜全部クラッシャー注目!! 【東方】最終鬼畜妹フランドール・S+全部声+KBC 【東方】最終鬼畜妹フランドール・S+全部声+KBC(まりお増量Ver たみ☆ふる巫女大注目!!! K.B.クラッシャーは倍数なのか?最終鬼畜倍数キーボード・S注目!! キーボードクラッシャーが最終鬼畜組曲・Nを歌ったようです 最終鬼畜マリオ+キーボードクラッシャー低音重視カオスmix(仮) K・Bクラッシャーは何者なのか?最終鬼畜妹フランドール・S MAD注目!! K・Bクラッシャーは何者なのか? + 鍵・盤・決・壊 M.X.ドナルドはお爺さんでクラッシャーなのか?最終鬼畜妹フラン(ry注目!! 最終混沌ドナルドクラッシャー・D キーボードクラッシャーが最終鬼畜組曲・Nを歌ったようです 【カラオケ】K.B.クラッシャーは何者なのか【ニコカラ】 最終鬼畜ミックス K・Bクラッシャーはウイルスにかかったのか?最終手段禁断のサイト 死体旅行 独逸旅行 少女綺想曲~the Dream Duel キーボード綺想曲 ~ Dream crash少女綺想曲MAD注目!! 少女幻葬 ~ Necro-Fantasy 少年鍵葬 ~ Keybord-Fantasy 少女さとり 少年KBC 信仰は儚き人間の為に 信仰は儚き天皇陛下の為に た行 大妖精の為のルーネイトエルフ 【MAD】キーボードエルフ チルミルチルノ キーボード砕け散ルミルチルノ注目!! チルノのパーフェクトさんすう教室 【東方クラッシャー】 チルノのパーフェクトさんすう教室 - TAPIOCA Mix注目!! キーボードクラッシャーのさんすう教室【東方クラッシャー】 天空のグリニッジ 天空のガチムチグリニッジ 東方スイーツ! ~鬼畜姉妹と受難メイド~ 東方ドイーツ!~鬼畜クラッシャーと受難キーボード~ 遠野妖怪前線 独逸鍵盤前線 な行 ナイト・オブ・ナイツ ドイツ・オブ・クラッシャー注目!! クラッシャー・オブ・キーボード注目!! ネイティブフェイス ネイティブ倍数(ネイティブフェイス×倍数を語るクラッシャー)注目!! ネイティブクラッシュ【ネイティブフェイスMAD】注目!! 人形裁判~人の形弄びし少女 クラッシャー裁判~鍵盤の形壊れしキーボード人形裁判MAD クラッシャー裁判を耳コピしたです人形裁判MAD ネクロファンタジア キーボードファンタジアネクロファンタジアMAD注目!! 【ニコカラ】キーボードファンタジア【弾幕付】 【無限】キーボードファンタジアネクロファンタジアMAD【ループ】 鍵・盤・決・壊(キーボードファンタジア+弾・幕・決・壊)注目!! 【歌ってみた】キーボードファンタジア【練習中w】 ねこ巫女れいむ きーくられいむB UltraShort.Ver キーボードクラッシャー は行 ひれ伏せ愚民どもっ! ひれ伏せキーボードクラッシャー!【ドイツ在中の愚民】注目!! 封じられた妖怪 ~ Lost Place 封じられた破壊 ~ Lost Crasher 【キーボードクラッシャー×東方地霊殿】 ま行 魔法少女達の百年祭 破壊少年達の百年祭(KBC×東方紅魔郷) 魔理沙は大変なものを盗んでいきました クラッシャーは大変なキーボードを破壊していきました大注目!!! クラッシャーは大変なキーボードを壊してきました〜倍速.ver〜注目!! クラッシャーは大変なキーボードを破壊してきました〜スローver〜注目!! クラッシャーは大変なキーボードを破壊していきました 逆再生注目!! クラッシャーは大変なキーボードを破壊していきました-2009 FULL EDIT-注目!! クラッシャーは大変な言葉様アンチでした 破壊者は大切なキーボードを壊して4分割して輪唱していきました 悪ノリキーボードクラッシャー 『キーボードクラッシャーは大変なアレを盗んでいきました』 ビブラート魔理沙は大変なものを盗んでいきました キーボードクラッシャーは大変なryを歌ってみた? クラッシャーは大変な逆転をして同時再生していきました DJクラッシャーの悪ノリsong もう歌しか聞こえない もうタピオカパンしか食べてない や行 幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble タピオカぱんさんぶる【疾走あんさんぶるMAD】 妖怪の山~Mysterious Mountain 【MAD】タピオカの山 ~ Mysterious Crasher 勇儀の唄 【東方地霊殿】勇儀の唄(仮)をKBCに歌わせてみた。 妖魔夜行 Crasher's Go Through the Night妖魔夜行MAD注目!! ら行 月時計~ルナ・ダイアル 【MAD】胡麻時計~セサミ・ダイアル(KBC×東方紅魔郷) 緑眼のジェラシー キーボードクラッシャー - 緑眼のジェラシー 霊知の太陽信仰 ~ Nuclear Fusion 独逸の破壊信仰~Keyboard fusion~ わ行 英数字 Help me, ERINNNNNN!! 【東方クラッシャー】 Help me, ERINNNNNN!! - TAPIOCA Mix注目!! sweet little sister 東方VocalBGM with KBC ―Sweets Time― 【U.N.オーエンは彼女なのか?】注目!! Sweets Time sweet little crasher【スキマクラッシャー】 taboo tears you up crasher tears you up -K・Bクラッシャーは何者なのかⅡ-注目!! クラッシャーでオーエンアレンジ taboo tears you up taboo tears you up -お前のババァは倍数MIX- U.N.オーエンは彼女なのか? クラドル 【フラドル+キーボードクラッシャー】 K.B.クラッシャーは芸が広いのか?【東方クラッシャー】注目!! 当ページの訪問者数 本日 - 人 昨日 - 人 合計 - 人
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/46.html
予想外な事が立て続けに起こる日というのは、あるものだ。 それが良きにつけ悪しきにつけ。 夏実にとってその日最初の予想外は、男達にナンパされた事だった。 ホンキートンクの買出しで出かけた、その帰りの事。 数人の若い男達にいきなり周囲を囲まれ、声をかけられた。 「よぉ姉ちゃん、今暇?」 「俺等と良いコトして遊ぼうぜ」 夏実は買い物袋を提げているのだから、普通なら暇に見えるわけがない。 これは、ただの切り口に過ぎない。 どの道彼らは、問答無用で夏実を拉致して犯して捨てる気なのだ。 目の前にいるのは、そういう男達だと知れた。 夏実は、自分で言うのも悲しい話だが、貧相な体型をしている。 だから街を歩いていても、男に声をかけられた事など無かった。 生まれて初めてのナンパがこれでは、人生を呪いたくもなるものだ。 だが、彼女にとってその日二度目の予想外が起こった。 「……私の連れに何か御用でしょうか?」 もう春も深まって、日中は暑さすら感じる日があるというのに、 足元まですっぽり覆うような黒衣を纏った優男が、傍を通りがかった。 その奇異な服装に、ナンパ師達も一瞬呆気に取られる。 だが、夏実はその男に見覚えがあった。 男はナンパ師の一人に視線を投げかける。 極めて温厚そうな、柔らかな眼差し。 だがその視線を受けたナンパ師は、途端に寒気を覚えた。 「お……おいっ、帰るぞ!」 「はぁ? 何言ってんだよお前、こんなヒョロい男にビビってんじゃ……」 「良いからっ!!」 その視線に向こう側に『死』そのものの恐怖を読み取ったナンパ師が 他の仲間達を半ば無理矢理引っ張って連れて行き、結局夏実は事なきを得た。 「お怪我はありませんか、ホンキートンクのお嬢さん」 「あ、ありがとうございます……赤屍さん」 そこからは、予想外の連続だった。 予報には無かった通り雨に降られた事も予想外なら、赤屍と相合傘になる事も ……というより、赤屍が傘を出した事そのものが、予想外だった。 「……おや、雨ですね」 「本当だ。私、傘持ってきてないや」 雨脚は秒速で強くなっていく。雨宿り出来る場所も、パッと見た限り見当たらない。 赤屍は空に向かって手を突き出すと、にっこりと微笑んだ。 「お貸ししましょう。赤い傘(ブラッディ・アンブレラ)」 まるで夜中に布団の中で思いついたギャグのようなネーミングを伴って、 赤屍の右手の掌から、瞬く間に傘が出現した。 骨組みや持ち手の部分まで真っ赤な、何とも悪趣味な傘だった。 せっかくメスはちゃんと白銀色に生成出来るのだから、 傘ぐらい普通の色にしてやれば良いものだが、これも彼の趣味なのか何なのか。 「どうぞ、構わず使って下さい。使い終わったら、道端にでも捨てておいて下さい。 その内勝手に消滅するか、気がむいたら私が体内に回収しますので」 一般人が聞いたら、彼が何を言ってるのかわからない事だろう。 夏実も本来一般人なのだが、周りにGetBackersなどがいるものだから、 妙な体質の人間には慣れっこだった。 「ありがとうございます。 ……赤屍さんは? 傘ささないんですか?」 「お気遣いには及びません。私は雨ぐらい平気ですから。 では、これで失礼し……」 「そんなの駄目ですよ! 私だけ傘借りておいて、貸してくれたご本人が濡れ鼠だなんて!」 世界広しと言えども、赤屍が喋っている最中に割り込める一般人は、夏実ぐらいのものだろう。 久しぶりに怖いもの知らずな女性と会ったものだと、赤屍は少し心が弾んだ。 まるで、初めて銀次に敗北した時のような高揚感だ。 「私、知ってます。赤屍さん、自分の血でいっぱい物が作れるんでしょう? だったら、ご自分の分の傘も、作れば良いじゃないですか」 「あまり血を出したくないんですよ」 もっともな返答だ。 普通の人間なら、これだけの量の血液を一度に体内から排出すれば、下手をすれば失血死だ。 超越者という概念を知らない夏実でも、何となく赤屍は死なないだろうと思っていたが、 彼とてあまり血を流したくない事には変わりないのだろう。 夏実は一頻り考えた。 ナンパから助けてもらった礼もしたい。喫茶店で働く彼女に出来る返礼は、すぐに思いついた。 「赤屍さん、今暇ですか?」 まるで先程のナンパ師のような口上で、夏実は赤屍に言葉をかけた。 「よろしかったら、ホンキートンクにいらっしゃって下さい。 コーヒー、ご馳走しますから」 赤屍は、夏実の好意を読み取った。 頑なに傘を使おうとしない自分を、それでも傘に入れてやるために彼女が選択した方法がこれだ。 赤屍は――彼にとっては珍しい事だが――少しだけ苦笑いすると、 彼女の言葉に甘えて相合傘で、ホンキートンクへと向かった。 店にはいつもの通り、波児とレナとGetBackersがいた。 雨が降っているので、奪還屋達も歌舞伎町に営業に行くのは控えたらしい。 案の定、赤屍を伴って帰ってきた夏実に、二人は心底驚愕した。 「てめぇジャッカルゥ! 夏実を人質にとろうたぁ良い度胸だ!」 「卑怯だぞ、赤屍ぇ! 夏実ちゃんを離せっ!」 勘違い甚だしい怒声に、赤屍が機嫌を損ねるより先に、夏実がキレた。 「二人とも、赤屍さんを悪く言わないで下さい! 私、赤屍さんに助けてもらったんですから!」 夏実はいきさつを四人に話し、納得してもらった。 飲み込みの早い波児と、赤屍に対する予備知識の少ないレナは、すぐに彼を受け入れた。 ここで殺人でもされない限りは、店にとっては良い客だ。節度も弁えている。 むしろGetBackersの方が、客としては迷惑なくらいだ。 そのGetBackersは、片方は赤屍の姿に苛つきながら、 もう片方は恐怖しながら、それぞれ我慢してカウンター席に座っていた。 隣には、コーヒーを待つ赤屍の姿。 「それじゃマスター、赤屍さんにとびっきりの淹れてあげて下さいっ」 夏実は波児にコーヒーを頼み、自分は買出してきた食材を冷蔵庫に仕舞いに行こうとした。 が、波児がそれを引きとめた。 「そっちは俺がやっとくから。コーヒーは、 夏実ちゃん自身が淹れて差し上げた方が、良いんじゃないか?」 それもそうだ。 夏実が礼をしたいのだから、夏実が淹れるのが当然だ。 この店で一番うまくコーヒーを淹れられるのは波児だから、彼に任せようと思っていた。 しかし、旨いとか不味いとかの話ではない。自身で礼を尽くす事が大切なのだ。 そう思い直した夏実は、精一杯心をこめて、会心の一杯を淹れてみせた。 「どうぞ。マスターのよりは、美味しくないかもしれないけど……」 赤屍のように黒いそのコーヒーは、落ち着いた良い味だった。 波児から習ったのだから、それもそうだろう。 苦味の中にも人を安心させる、安らぎが溶けていた。 赤屍にとっては安らぎとは、実に久しい感覚だった。 「ほう、これは……」 一口すすって感心した赤屍は、その後ゆっくり時間をかけて、夏実のコーヒーを味わった。 猫舌というわけでも、夏実のコーヒーが口に合わないわけでもない。 ただ、数秒で飲み干すのが勿体無いと思えただけだ。 「へぇ、赤屍さんって、AB型なんですね! レナちゃんと一緒だ」 赤屍が自身の血液から武器を作り出せるという話から始まって、 いつしか日本人にとって最もポピュラーな話題の一つ、血液型に話題は発展していた。 「知ってます? AB型の人って、O型と相性良いんですよ。 因みに私もO型です。あと銀ちゃんも!」 自分の名前を出された事に、銀次は心の底からビビった。 赤屍がいるこの場所で、うかつに自分の名前を出してほしくなかった。 クス……という耳慣れた声に混じって、赤屍がちらりと銀次を一瞥するのがわかる。 「あ、あのさぁ夏実ちゃん。血液型なんて、迷信でしか無いと思うし、その……」 一般的な血液型占いに対する批判を、銀次もそのままなぞってみた。 少しでも、話題が自分に触れるのを嫌がったのだ。 だがここで、夏実にとっての何度目かの予想外が起こった。 何と、夏実が反論するより先に、赤屍が銀次に異を唱えたのだ。 「良いじゃないですか、銀次君。科学的な考察は、あなたらしくありませんよ。 あなたと私の相性が良いと言うだけでも、私にとっては愉快な話です」 正直、赤屍にとって血液型など、輸血の際の指標に過ぎない。 だが銀次が慌てふためく様を見るのは、非常に面白い。 そして銀次にとって更に不幸な事に、今度ばかりは蛮も赤屍サイドに回ってしまった。 「傑作だなぁ、銀次。お前と赤屍が相性抜群だとよ!」 「……だから、そんなの迷信だってば。日本人だけでしょ、血液型云々言ってるの」 「いや、あながちそうとも言えないぜ。 確かに血液型だけで性格の全てが決まるとは思わないが、個々人の性格・性質に 血液型ごとの偏りが見られるのは、統計的に明らかにされてる事実だ。 そもそも血液型学は、学問としてまだ歴史が浅い。医学界でも中々認知されちゃいないが マレーシアや東欧といった辺りでは真面目に研究もされてて、書物まで出版されてる。 アメリカやドイツが否定してるからって、それが正しいとは限らねぇだろ?」 こんなものは屁理屈だ。 事実として血液型が性格に影響を及ぼすかどうかなど、蛮にも興味は無い。 単に赤屍同様、銀次が慌てる様を見て楽しみたいだけなのだ。 結局その日はずっと、血液型の話で終始盛り上がっていた。(銀次以外) 122 :名無しさん@ピンキー:2007/05/10(木) 11 54 09 ID 5BLrXn6p 血液型別の相性を論じるのは、真剣に血液型学を専攻する者にとって、愚でしかない。 心理学もそうだが、相性などという小賢しい遊びのために研究されているわけではないのだ。 それゆえ、市販されている心理テストの類の書籍は、心理学者から嫌われている。 あんなものは、心理学ではないというのが、彼らの主張だ。 だが、それでも敢えて血液型ごとの相性を語るならば、 確かにAB型とO型は相性が良いのかもしれない。 赤屍は銀次を気にいった時と同じく、夏実の事もすぐに気にいった。 思わず殺したくなる(おい……)程の愛らしさは、タレ銀に通じるものがある。 一方、B型の蛮とAB型の赤屍が、決して良いとは言えない相性なのも、納得がいく。 やたらとAB型の多いこの漫画を見ていると、各キャラの血液型は 案外かなりわざと設定されているのではないか、とさえ思えてくる。 雨が上がり、赤屍がコーヒーを飲み終える頃には、 赤屍と夏実は、すっかり打ち解けていた。 「それでは、私はそろそろ帰りましょうかね。 コーヒー美味しかったですよ、夏実さん。近い内にまた、頂きに来ます」 最初は水城さんと呼んでいたのが、いつの間にか夏実さんになっている。 蛮の事でさえ、赤屍は美堂君と、苗字で呼ぶのにだ。 夏実の人当たりの良さもあってか、彼らはもうそれ程までに仲良しになっていたのだ。 もっとも赤屍と仲良くなるという事がどれ程危険か、銀次はわかっていたのだが。 「あ、待って下さい赤屍さん。私もバイト上がりですから。 途中まで一緒に帰りましょう!」 「ちょっ、夏実ちゃん止めた方が良いって! 殺されるよ!?」 「ご心配無く、銀次君。 あのコーヒーが飲めなくなるのは惜しいですから、殺しはしませんよ……まだ」 ……まだぁ!? 最後に付け加えられた物騒な言葉に、銀次は過剰に反応した。 それが本気の言葉なのか、赤屍一流のジョークなのかは、検討もつかなかった。 かつてGetBackersが鬼里人と戦っていた時。 夏実は、赤屍が人を殺す瞬間を、その目で見ている。 ホンキートンクの床に飛び散った血を綺麗に落とすのは、中々骨が折れたものだ。 だが、夏実はそれでも、今まで不思議と赤屍に警戒心を抱けなかった。 夏実には、彼が好き好んで殺人を犯しているようには、見えなかったのだ。 確かに仕事の中で、敵対する相手を殺す事もあったろう。 或いは迂闊に彼を挑発する雑魚を、ゴミのように殺した事も。 だが、何もしていない人間を殺したという話は、一度も聞いた事がない。 本当に殺人が趣味というならば、運び屋などせずとも、 気が向いた時に通行人を適当に殺せば良いだけの話なのだ。 仕事の過程を楽しみたいのであって、オフの時に通行人を殺しても意味は無い、 と言われれば、確かにそれまでだが……。 「ねぇ、赤屍さんって、本当に人殺しが趣味なんですか?」 神経を逆撫でしかねない危険な質問を、夏実は赤屍にぶつけた。 彼が殺戮衝動に至った理由など、本人と銀次と、ブレイントラストしか知らない事だ。 赤屍としても、いくら打ち解けたからと言って、そう易々と教える気にはならなかった。 言葉を濁して、曖昧に答える。 「……弱い人間を殺す瞬間に、快感を覚えるんですよ。 破壊衝動は誰しもが保有する。私はそれを、オープンにしただけです」 雨上がりの水溜りの上で、夏実の足が水音を立てて止まった。 赤屍も立ち止まり、少女の方を振り向いた。 何故立ち止まったのか、その真意を探ろうするような…… 或いは、獲物を見定めるような、抉るような視線。 目が合っただけでも、眼球を裂かれそうにさえ思えた。 夏実は今日初めて、赤屍に寒気を感じた。 「私も……」 意を決して、言葉を紡ぐ。 「私も、弱い人間の一人ですよ。戦えないし、喧嘩も出来ない。 ……赤屍さんにとっては、私も標的の一人なんですか? 私の事も、いつか殺したいと思ってますか?」 せっかく仲良くなれた相手が、自分に対して殺意を抱いているかもしれない。 それは夏実にとって、想像だにつかない不安だった。 恐怖とも違う、言葉に出来ない感覚。 昼間、血のように赤い傘に頭上を覆われた時のような、微妙な圧迫感。 好意と嫌悪感が、ない交ぜになっていく。 態度を明確にして欲しかった。 殺したいと思っているのか、優しくしたいと思っているのか。 赤屍の二面性の奥で、自分はどのように映っているのか。 獲物か、友人か。 赤屍はそっと夏実の肩に手を置いた。 一瞬、夏実の肩が強張って震える。 努めて優しい声で、赤屍は本音を口にした。 その笑顔は、反則と言いたくなる程に暖かかった。 「……殺したいですよ」 それは、笑顔で放つような言葉ではなかった。 肩に置かれていた手が、ゆっくりと頬に添えられる。 今にも、その掌から刃物が飛び出して、夏実の顔を串刺しにしそうだった。 「切り裂いて、血まみれにして、背骨を素手で引きずり出して、 内臓を砕いて、肉を壊して、子宮をバラバラにして、路上に捨てたいくらいに…… あなたの事が、好きですよ」 歪んでいる。 狂っている。 こんなものが、彼の親愛の情なのか。 こんなものが、彼の愛情表現なのか。 友情とも、恋愛感情とも違う何か。 恐らくこれは、人類愛に近い感覚なのだろう。 その表現方法が、イエス・キリストの場合は弱い者を助け、親切にする事であり 赤屍の場合は、弱い者を傷つけ、殺す事……ただそれだけの、違いなのかもしれない。 現に彼がヘヴンの依頼を受けて、ヘヴンを来栖柾の元まで運んだ時など やっている事は親切だったが、そこには優しさなど欠片も感じられなかった。 むしろ誰かと戦っている時の方が、まだ人間らしい健やかな表情を垣間見られる程だ。 やはり赤屍はAB型だ。 物の本に、AB型が内面で考えている思考は宗教がかっていて、常人には理解出来ないと書いてあった。 まさに、その通りだ。表面から察する事はおろか、内面を知ってさえ、理解が及ばない。 「あなたを見ていると、銀次君を思い出します。 彼もあなたのように、天真爛漫で、実に輝いてらっしゃる。 壊して差し上げたくなる程に、ね……」 赤屍はそう言うと、夏実を壊しにかかった。 そっと瞳を閉じ、顔を近づけ、唇を奪う。 ファーストキスを捧げながら、夏実は思った。 あぁ、私、今日、この人に殺されちゃうんだ……。 都内某所にある、赤屍の部屋。 簡素で、家財道具は殆ど置いておらず、室内はすっきりしていた。 しかし、その事が逆に、夏実には窮屈に感じられた。 赤屍は手袋をつけかえてから、ベッドで待つ夏実の元に戻った。 「その手袋……さっきまでのと、違いますね」 「えぇ。ラテックスという素材で出来ている、外科手術用のものです。 ラテックスというのは、コンドームにも使われている素材でね…… こちらの方が、趣があるかと」 悪趣味だ。 だが、赤屍らしいと言えば赤屍らしい。 彼は一瞬で右手にメスを出現させ、それを一振りした。 途端に夏実の服が裂け、裸体が晒される。体には傷一つつけられていない。 「凄いですね。服と下着だけ切るなんて」 「手術とはこういうものですよ。癒着部分を切り落とすのに、1ミリ横にある臓器は傷つけられない」 赤屍はラテックスに覆われた手で、全裸の夏実をベッドの上にそっと寝かせた。 殆ど膨らみのない乳房に手を置き、その感触を確かめる。 ただの愛撫の筈なのに、赤屍に揉まれると、触診されているような錯覚さえ感じた。 「ふむ、心音が少し高まっていますね。緊張しているんですか?」 まるで問診だ。夏実は素直に、小さく頷いた。 赤屍は彼女の胸や腹を撫で続け、体調を診ていく。 「腸の調子は良さそうだ。しかし息が少し乱れてきていますね」 赤屍は姿勢を落とし、夏実の乳房に舌を突き出した。 円を描くように、ゆっくりと舐めずり回していく。 ビクン、と夏実の体が震え、「んっ」と声が漏れた。 だが、夏実の反応をうかがう赤屍の目は、戯れる恋人の目ではなく、 実験動物を見るマッド・サイエンティストのようだった。 赤屍はラテックスの指を、夏実の陰部に這わせた。 コンドームと同じ素材のこの手袋は、清潔で安全だ。 ラテックス・アレルギーでもない限り、相手に害を及ぼさない。 その滑らかな肌触りが、夏実の陰唇と陰核を、柔らかく崩していく。 「ひっ……あっ、ふぁ……っ」 「気持ち良いですか、夏実さん。痛くありませんか?」 そう尋ねる赤屍の声は、あくまで問診中の医者のようだった。 さながら、患者の腹を押してみて、その痛み具合や硬さから、腫瘍を見つけるかのようだ。 赤屍は腫瘍を探るかのように、陰核を重点的に責めた。 「ここ、硬くなってますね。大丈夫ですか?」 「ひぅ、くっ……やぁあん、もうっ、あぁっ……」 「……おや、粘液が分泌されてきましたね。正常な反応です」 処女の夏実が、短時間の愛撫で愛液を漏らすなど、余程のテクニックだ。 「な……なんで、こん……なに……上手いんです……か? 赤屍さん……」 「経験則という奴です……私程になると、どの女性の、どのポイントが 感じるかなどが、手に取るようにわかるんですよ……」 「あっ……す、ごいですね……」 溜息交じりに、途切れ途切れにしか話せない夏実と違って、赤屍は余裕気な表情だ。 夏実にはそれが、殊更悔しかった。だが、赤屍に勝てよう筈も無い。 諦めてこの場は彼の掌の上で鮪になっていようかと考えていると、 夏実の下半身を異変が襲った。 「うっ……ま、ちょっと待って、赤屍さん……」 「おや、どうしました?」 夏実は、しどろもどろになりながら答えた。 「そのぅ……オシッコしたいから、トイレ貸してくれませんか?」 バイトの休憩時間にコーヒーを飲んだのがまずかったかもしれない。 利尿作用が働いて、こんな時間になって尿意を催したというわけだ。 赤屍はM字開脚で彼女を抱きかかえて、バスルームまで向かった。 「やっ、ちょっ……赤屍さん!?」 「ついでです。採尿しましょう」 夏実は有無を言う暇もなく、バスタブの前で足を広げさせられた。 剥き出しになった赤屍の陰茎が夏実の尿道に擦れ、刺激を与える。 「ひぃっ、ぃや、ちょっと、待っ……あ、だめ、あぁ……」 夏実は堪えきれなくなって、空の浴槽に聖水を垂れ流した。 高度があったために、音はジョボジョボ……といった控え目な音ではなく、 ビチャビチャビチャと、やや激しいものになった。 夏実は真っ赤になった顔を両手で必死に隠して泣いた。 「うぅっ、うえぇ……ひっく、ふぐ……見ないでぇ……っ」 一度失禁してしまった夏実に、もう恥じらいなど無かった。 ベッドに戻ると、泣きはらした顔をろくに拭いもせず、黙って自ら股を開いた。 赤屍は夏実の腰を持ち上げて固定すると、そのまま挿入を開始した。 「それでは、注射をしましょうか」 「……あぁっ!」 「大丈夫ですか、夏実さん。まだ先端が入っただけですよ」 「あ、あ……かはっ……」 「痛かったらすぐに言って下さいね。もっとも、抜く気はありませんが」 「い゙、痛っ……ァ゙」 ゆっくりと時間をかけて、赤屍のモノが夏実の中を壊していった。 抵抗の膜を引き裂き、赤い血が滴り落ちる。 夏実は今や汗まみれになり、息も絶え絶えな状態だった。 「それでは、液を体内に注入しましょうか。 各種のミネラルやビタミンを含んだ、栄養価の高い液体ですよ」 夏実が痛がるのも気に留めず、赤屍はピストンを動かし始めた。 「あっ……痛っ、痛いっ……い、あっ、はっ……あはぁっ……いぎっ」 吐き出される大量の二酸化炭素に混じって、痛みに耐える少女の声が聞こえる。 だがこれも、すぐに快感に溺れる中毒患者のような声にかわる。 赤屍は経験則から夏実のGスポットの正確な位置を割り出し、そこを重点的に狙った。 「あぁん! やんっ! あふぅ! んやっ! ふあ、はっ、んあぁ! んにゃあぁ!」 いつしか夏実の声は、人間でない何かになっていた。 乳首をビンビンに勃たせ、仰け反り、シーツをぎゅっと握り締めて、上下の口から涎を飛ばす。 もはや痛みなど、欠片程しか感じていなかった。 そしてその痛みすらも、快感を助長する要素に過ぎなかった。 「あっ、かはっ、赤屍……さぁん……」 「もうそろそろオルガズムのようですね……では、射精して差し上げましょう」 「あぁっ、イク、イっちゃぅぅぅぅぅぅ!!!」 赤屍の腕枕に頭を預けて、夏実は心地よい余韻に浸った。 「赤屍さん……なんで、私を殺さないんですか?」 夏実は、てっきり行為が終われば、自分は赤屍に殺害されると思っていた。 しかし、いつまで経っても赤屍は自分に手を下さなかった。 「申し上げた筈です。あのコーヒーが飲めなくなるのは、惜しいと」 赤屍は――彼らしくない事だが――夏実の頭を、そっと優しく撫でて答えた。 夏実は、女性のように冷えた赤屍の胸に額をつけて、甘えるように眠りに落ちた。 赤屍は思った。 本当に、この少女と天野銀次は似ている。 血液型だけの問題ではない。気質そのものが似通っている。 ひょっとするとこの少女は、天野銀次の代わりに壊せるよう、 アーカイバが自分に寄越したプレゼントなのでは……とさえ思える。 赤屍はメスを取り出し、そっと夏実の乳首に当てた。 無論、そのまま切り落とすような事はしない。 だが、いつかは…… それまでは、天野銀次の代わりに、この肉体を蹂躙し続けてやろう。 いつか精神崩壊し、元の水城夏実は死んだも同然のような、性奴隷に仕立て上げてやろう。 それが、この少女を殺すという事だ。 赤屍は手袋を外した素手で、弄ぶように夏実の乳首を指先でプニプニと押してみた。 気づかずに眠りこける少女の寝顔は、間抜けな程に可愛らしかった。
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/38.html
「赤屍って性欲あるの?」言ってから、しまった、と思った。 別に悪意もなく純粋に疑問として浮かんでさして考えずに口に出してしまったが、いくら相手が規格外の殺人鬼でも失礼だろう。 続く沈黙に、卑弥呼は冷や汗をかく。 一殺那後にはコマ切れか。赤屍は何も、答えない。 なんで卑弥呼がこんなことを言い出したか、そもそもプライベートでは親しくないのに卑弥呼が赤屍の家に居るのか。 訳は数時間前に遡る。 タッグで仕事を組んで、成功して、依頼人から報償を受けとる。 それ自体は珍しいことでもない。 まずかったのは、依頼人の店選びのセンスだった。 いかにもなキャバレー。 下着の様な薄いキャミソールから豊かな胸を覗かせる女達。それを押し付けるように赤屍に身をすりよせる。 明らかに場違いな卑弥呼は不快に思ったが、赤屍はもっと不快そうだった。 「…失礼。離れて頂けますか」 絶対零度の微笑みで、女の首にメスをあてる。 「不快なので」 店は騒然となり、卑弥呼は依頼人から慌てて報償金を受けとると、赤屍をひっつかんで逃げるように店をでた。 クスクス笑いながらしかし、メスをしまわずますます殺気を濃くさせる赤屍。 ほっといたら気晴らしにでも通行人を切り刻みかねない。 そう思うと目をはなすことも出来ず、卑弥呼はそのまま赤屍の家まで来てしまった。 赤屍のいれてくれた存外に美味しいコーヒーを飲みながら、卑弥呼は店での出来事を思い返した。 男はみんな胸がでかくて頭の悪い女が好きだと思っていたが、赤屍はそうでもないらしい。 赤屍に常識を当てはめることこそ非常識なのかもしれないが、胸を押し付けられて「不快」と言うのはあまりにも極端じゃないか。 そもそも 「赤屍って性欲あるの?」 とここでやっと冒頭につながる。 「そうですねえ…」 脅える卑弥呼をよそに、赤屍はまだ思案顔。やがていいことを思い付いたと、笑った。 「確かめて頂けますか?」 「…は?」 「私に性欲があるかを」 実験を助手に頼む教授のように、ごく平然とお願いしますと言った。 「…いいわ」 こんな行為をしている自分を、自分が一番信じられない。 けれど信じる必要もない。これは紛れもない現実だから。 赤屍の下着から現れたそれは、くにゃっと萎れていて、なんだかグロテスクだった。 それはじいっと見つめる卑弥呼をみて、赤屍はおかしそうに笑う。 「意外、ですね。拒絶するかとおもってたのに」 「そうね」 とりあえずそれを、軽く握ってみる。 「……っ」 ただ握ってるだけでは面白くないので、揉んでみたり上下に擦ってみたりする。 「…卑弥呼、さん」 赤屍の焦ったような声。 …焦る?この男が?そんなものは一生聞けないと思っていた。 赤屍の表情をみると、目を閉じ眉を寄せ、口から時折、吐息がこぼれる。 「ずいぶんと、大胆、なんですね?」 からかう口調だが、とぎれとぎれなせいで強がりにしか聞こえない。 「そう…ね」 舌先をそれの先端に伸ばす。 「……ふっ、あ」 先から根本まで唾液を塗りたくるように舐める。 裏はこうなっているのか、と筋を舌を尖らして這わせる。 自分がまさかこんな商売女のような真似をするなんて。再び卑弥呼は自分に驚いた。 仕事中ゲスな男に狙われたことは何度もある。 全て撃退してきたが、そのたびに自分の女と言う性を嫌悪した。自分は性行為が嫌いだと思ってた。 だけど。 実力は足元にも及ばない、一瞬で自分を殺せるこの男が。 自分の手によって、舌によって、普段出さない声をだし普段見せない表情を見せて容易く悶えている姿は、悪くないと思う。 思いきって口を大きく開く。 「ちょ、ちょっとまってください」 狙いを即座に理解し、赤屍は卑弥呼の頭をつかんで押しとどめようとするが、力が入らず髪を弱々しくつかむだけだった。 髪をすく手を気持いいと感じつつ、卑弥呼は一気に口に含んだ。 じゅぷる、といやらしい水音が響く。 「…く」 苦い。でも気持悪いとは思わなかった。 歯を立てないよう気を付けながら、舌をうごめかす。頭を前後に動かす。卑弥呼の唾液と赤屍からでる液が卑弥呼の口と擦れあい、じゅぷじゅぷと響く。 「ん、んんっ」 理性などとうにとんでいる。ほほを上気させ髪をほつれさせながら、卑弥呼は懸命に奉仕していた。 「……っ」 赤屍の手が強く卑弥呼の頭を掴む。 一気に噴出し口の中に流れ込んできた液体に、驚いて卑弥呼は顔を離そうとするが、赤屍の手がそれを許さない。 なすがまま、喉にぬるりとしたモノが流れ込む。 「うー…」 赤屍の手がゆるまると、卑弥呼はぐったり床に倒れた。 「…すいません。つい」 さっきまでの姿は幻だったんじゃないかと思うくらい、いつもの赤屍の落ち着いた声。 「…いーわよ、もう」 「ありがとうございます」 「なにが」 「お陰で分かりました。私に性欲があることが」 「…そーいやそんな話だったわね」 途中からすっかり忘れてた。 なんだか余計にぐったりし、起き上がる気力もない卑弥呼に赤屍はそっとちかづいた。 「…なに」 「汚してしまったから、掃除です」 赤屍は微笑むと、卑弥呼の顔に付いた精液を舐めとった。 額、頬、鼻。くすぐったくて身をよじらせる卑弥呼を押さえ付け、顎、耳。 赤屍が舌を長く伸ばし奥までくすぐると、たまらず卑弥呼はあえぐ。 「…ふ、ぁ、…やっ」 「卑弥呼さんは耳が弱いんですね?」 赤屍のクスクス笑いが、卑弥呼の耳に触れ、それだけで卑弥呼は身を震わせた。 「るっさい、さっきまであえいでた癖に…」 精一杯の憎まれ口をたたくと仕置とばかりに耳たぶをかまれた。 やがて舌が卑弥呼の唇までたどりつく。上下の唇の輪郭を、なぞるように這う。「………あっ」 薄く開いた口の隙間に赤屍の舌がするりと侵入する。卑弥呼の舌と赤屍の舌が絡み合う。卑弥呼の舌が逃げようとすれば、赤屍の舌が追う。決して逃がさない。 「ふっ、んっ、…あっ」 まるで、恋人同士のキスみたいだ。 唇同士が離れたあと、まだはっきりしない頭で卑弥呼はぼんやり思った。 フェラよりキスの方が照れ臭いなんて、変な話だ。 …というかそもそもキスの前にフェラしたことがまず人間として終わってんじゃないだろーか。 そこまで気付いてずがーんと落ち込む卑弥呼。 「なんだか順番が逆になってしまったようですね」 「本当ね…」 「では最初から始めませんか?」 にっこり笑って赤屍は卑弥呼を押し倒した。ぱぱっと手早く卑弥呼の服を脱がす。 「…え?…えー…え!?わーわーちょっとまった!」 「待ちませんよ。貴方も待ってくれなかったじゃないですか」 先程のことをいってるらしい。根に持ってるだろうか。 「やっ、ちょ、…ふぁ、ま、やぁ…あか、ばね」 「貴方は本当に面白い」 赤屍は卑弥呼にキスを落とした。先程とは違う、触れるだけの。 なのに卑弥呼はこれまでで一番顔を赤らめた。 「本当に、ね」 そんなわけで、赤屍の性欲が人並み以上に旺盛であるということが卑弥呼の体を持って完全無欠に証明されました。 めでたしめでたし。
https://w.atwiki.jp/getbackersgirlslove/pages/39.html
予想通りの部屋だった。 壁紙一枚張られていない、素材剥き出しのコンクリートの壁。 机と椅子が一脚ずつ置かれてはいるが、使われているようにも思えない。 窓にはカーテンがつけられておらず、室内の様子が向かいのビルから丸見えだ。 ベッドは病院にあるような、パイプで骨格を組んだ簡素なデザイン。 布団をかぶるのが面倒くさいのか、冬だと言うのに敷布団の上には薄いバスタオル一枚のみ。 食器棚には最低限の皿とコーヒーカップがいくつか並ぶだけで、 普段から来客を全く想定していない様子が伺える。 天井には照明が備え付けられているが、多分一人の時は、夜になっても使っていないだろう。 彼は暗闇を苦にするような男ではない。 ヘヴンは、初めて訪れた赤屍の部屋を何と形容して良いかわからず、もどかしく思った。 これで中々掃除はまめにしているようで、清潔感だけはある。 従ってよく言う「監獄のような……」という雰囲気ではない。 さりとて温かみがあるかと言えば勿論無く、しかして機能性を追及しているという風でもない。 恐らく赤屍本人は、寝るための箱、という程度にしか考えてはいまい。 そもそも、彼が睡眠をとるのかどうかも疑わしいものだが……。 「……アンタって、寝た事あるの?」 「今現に寝ているではありませんか、あなたと」 「そう言う事じゃなくって……」 ヘヴンは、ベッドの上に横になった赤屍のペニスを、自らの乳房で挟み込んでいた。 風俗の世界で言うところの、いわゆるパイズリ。蛮あたりが好きそうなプレイだ。 赤屍の体の上に覆い被さるなどという、常人では不可能な筈の体勢を いくらそれなりの理由があるとは言え、まさか自分がさせられる羽目になるとは ヘヴンは思っていなかった。 「わかりませんね……これが『愛』というものなのですか?」 ヘヴンの巨乳に挟まれたペニスは、いつの間にか見事に硬くなっていた。 もっとも赤屍の事だから、性欲だとか生理現象といったものではなく、 それこそ任意で好き勝手に勃起を制御出来るのかもしれない。 まさかね……こいつも一応人間な筈だし、そんなワケ……と考えながら ヘヴンは懸命に彼のペニスを左右の乳で包み込み、上下に動かしていた。 「『愛』の形なんて、人それぞれよ。そりゃセックスも、愛の結実した行為の一種ではあるケド?」 「あなたも、来栖柾と愛を確かめ合うのに、このような戯れをなさってきたのですか? だとすれば、今私に対してこのような真似をなさるのは、いかがなものでしょう」 モノは立派に大きくなっているのに、赤屍ときたら、その表情は冷静そのものである。 「うるさいわねぇ。今アイツの名前出すんじゃないわよ。 アンタが『愛というものが具体的にどのようなものか教えて下さい』って言ってきたから私は……」 赤屍はしばし考え込んだ。 セックスが愛の証だと言う定説は、多角的に見ると単なる言い訳のようだ。 遺伝子を後世に伝えるための、生物に備わった本能を、無理矢理理性的に解釈しようとしているに過ぎない。 でなければレイプも、或いは今の自分とヘヴンの、興味本位からくる戯れも、愛という事になってしまう。 結局、後学の為にと思って彼女に教えを請うたのは、意味の無い事のようだった。 「もう結構ですよ。お疲れ様でした」 赤屍はそう言うと、ヘヴンの顔面に大量の精液を迸らせた。 「ちょ、待……っ!」 白濁の液体を顔いっぱいに受け止めながら、ヘヴンは目の前の男が、 結局何一つ人の『愛』というものを理解してくれていなさそうな事に、呆れそうになった。
https://w.atwiki.jp/gensouiri/pages/2994.html
クロノ・クロス×東方 東方次元交差 動画リンク コメント クロノ・クロス×東方 東方次元交差 1756人目の幻想入り 作者 ヤマネコクロト ひとこと 主人公 セルジュ 動画リンク mylist/18690889 新作 一話 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/wiki11_row/pages/386.html
ジョジョ×東方ロワイヤル ◆YF//rpC0lk氏主導により俺ロワ・トキワ荘にて継続中の企画。 参加作品が『ジョジョの奇妙な冒険』と『東方project』の二つのみというロワである。 書き手枠が存在し、『ジョジョの奇妙な冒険』または『東方project』のキャラクターであれば 更なる参戦をさせる事が出来る(現在書き手枠12名全ての投下が完了し募集は締め切っている)。 それぞれの単一ロワと比較すると、東方の原作や少年ジャンプが支給品として登場したり、一部の参加者が主催者(どちらも出展作品の原作者がモデルである)に既視感を覚えたりと所謂「メタフィクション」の要素が所々で見受けられるのが特徴か。 攻撃面の制限も比較的緩く、スタンドDISCといった強力な支給品も登場している為バトル色も強い。 更にジョジョと東方のそれぞれのテーマ・キャラクターの信念等が作中で絶妙に絡み合っており、王道クロスオーバーとしての要素も色濃い。 余談だが、以下の参加者名簿にもあるように、ズィー・ズィーが出てるロワはここぐらいじゃないだろうか? 当ロワは随時書き手を募集しています。 2013/5/18 企画発足 2014/5/30 第一回放送突破 2017/3/31 第二回放送突破 主催者 荒木飛呂彦 太田順也(ZUN) 参加者 『side東方project』 5/5【東方紅魔郷】 チルノ/紅美鈴/パチュリー・ノーリッジ/十六夜咲夜/レミリア・スカーレット 5/5【東方妖々夢】 アリス・マーガトロイド/魂魄妖夢/西行寺幽々子/八雲藍/八雲紫 5/5【東方永夜抄】 上白沢慧音/因幡てゐ/鈴仙・優曇華院・イナバ/八意永琳/藤原妹紅 5/5【東方風神録】 河城にとり/射命丸文/東風谷早苗/八坂神奈子/洩矢諏訪子 5/5【東方地霊殿】 星熊勇儀/古明地さとり/火炎猫燐/霊烏路空/古明地こいし 5/5【東方聖蓮船】 ナズーリン/多々良小傘/寅丸星/聖白蓮/封獣ぬえ 5/5【東方神霊廟】 幽谷響子/宮古芳香/霍青娥/豊聡耳神子/二ッ岩マミゾウ 8/8【その他】 博麗霊夢/霧雨魔理沙/伊吹萃香/比那名居天子/森近霖之助/稗田阿求/宇佐見蓮子/マエリベリー・ハーン 『sideジョジョの奇妙な冒険』 5/5【第1部 ファントムブラッド】 ジョナサン・ジョースター/ロバート・E・O・スピードワゴン/ウィル・A・ツェペリ/ブラフォード/タルカス 5/5【第2部 戦闘潮流】 ジョセフ・ジョースター/シーザー・A・ツェペリ/ルドル・フォン・シュトロハイム/ワムウ/カーズ 5/5【第3部 スターダストクルセイダース】 空条承太郎/花京院典明/ジャン・P・ポルナレフ/ホル・ホース/DIO 5/5【第4部 ダイヤモンドは砕けない】 東方仗助/虹村億泰/広瀬康一/岸部露伴/吉良吉影 5/5【第5部 黄金の風】 ジョルノ・ジョバァーナ/ブローノ・ブチャラティ/グイード・ミスタ/プロシュート/ディアボロ 5/5【第6部 ストーンオーシャン】 空条徐倫/エルメェス・コステロ/フー・ファイターズ/ウェザー・リポート/エンリコ・プッチ 5/5【第7部 スティールボールラン】 ジャイロ・ツェペリ/ジョニィ・ジョースター/リンゴォ・ロードアゲイン/ディエゴ・ブランドー/ ファニー・ヴァレンタイン 12/12【書き手枠】 エシディシ(第2部 戦闘潮流)/○秋静葉(東方風神録)/○ヴァニラ・アイス(第3部 スターダストクルセイダース)/ ○姫海棠はたて(ダブルスポイラー)/○ズィー・ズィー(第3部 スターダストクルセイダース)/○橙(東方妖々夢)/ ○トリッシュ(第5部 黄金の風)/○秦こころ(東方心綺楼)/○岡崎夢美(東方夢時空)/○リサリサ(第2部 戦闘潮流)/○蓬莱山輝夜(東方永夜抄)/○サンタナ(第2部 戦闘潮流) 外部リンク 支援サイト ジョジョ×東方ロワイヤル@wiki 現スレッド ジョジョ×東方ロワイヤル 第8部 したらば ジョジョ×東方ロワイヤル したらば掲示板
https://w.atwiki.jp/nicosangokushi/pages/430.html
【三国志×東方】空想勢集結 http //www.nicovideo.jp/watch/sm4931874 使用ゲーム 三國志11PK シナリオ・担当勢力 空想勢集結(英雄集結改)現在穣子軍 登録武将 東方project1名オリキャラ 投稿時期 2008年10月14日~ 投稿者名 mumu プレイ内容 シナリオ配布のためのテストプレイ プレイ目的 三國志11PKにおけるシナリオ配布 マイリスト 空想勢集結 備考 プレイ動画多め 解説 三国志と東方が好きな作者が三國志11PKのシナリオ配布を目指します 動画投稿開始時では、まだシナリオは未完成状態 テストプレイ動画の投稿を重ねることによりバージョンをアップさせ、 最終的には皆が遊べる三国志×東方のシナリオを配布することにある ゲームバランスはかなり弄られており、 まともに動くかさえ不明なので今後の修正にかかっている 動画投稿が初めてのうp主なため難しいことは期待してはいけない 視聴者のコメントによってゲームバランスや登場キャラを変えていくので ドシドシコメントを残して欲しい コメント欄 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/jujin/pages/321.html
ケモ学×東方 パロディ 244 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2008/11/29(土) 21 50 43 ID 8FmBa7q4 ≫235 丁度フォトショ開いていたからビビクーンッとなった。 サン先生はもうコラ画像まで作ってそうだなあw 白黒先生のヒミツ いつもぬるい話ばかり描いてるから、たまには暗い話の ネタになればいいかなーと思って数週間前に作ってたんだけど、 ルチャとか何か色々流れて、そこに横から出すのもちょっと 気が引けてた漫画。本当はこう…何か、厨二臭い成分も いれたかったん…です、よ…! あと、どうもキャラが多くなるとどんどんパロ物が描きたくなってくる。 …動かすのはとうの昔にやめたけど( ∀`) 最後のコマは保健委員さん、帆崎、リオたん、泊瀬谷先生、康太君。 (元ネタ ttp //www.nicovideo.jp/watch/nm3931214)
https://w.atwiki.jp/codename_noname/pages/19.html
東方キャラメイクシートリンク保管所 「Strike Ore」出演キャラ設定 現在編集中
https://w.atwiki.jp/jojotoho_row/pages/316.html
吹きすさぶ風を身に受け、漫画家岸辺露伴は歩く。 目指すは猫の隠れ里、そしてそこにいるであろう邪仙、霍青娥。 協力者であった文とジョニィの二人と別れてひた進む。 元々は三人で、さらわれてしまった宇佐見蓮子の救出と、霍青娥という危険人物の排除をするはずだったのだが、 突如現れたチルノという水色の髪の少女から、危険人物に襲われている友人を助けて欲しいと言う要請が舞い込み、 結果的に露伴の進言によって二手に別れて行動することとなった。 露伴にとってはこちらのほうが好都合であり、むしろ舞い込んだトラブルを好機と捉えていた。 それは自身をコケにした邪仙への、単独でのリベンジチャンスであるからだ。 露伴は自分が誰かを小馬鹿にするのは構わないが、逆に馬鹿にされることは絶対に許さない。 ましてそれは自身のミスによって起こってしまったことなのだ。 絶対に自分の力で雪辱を果たさなければならない。 文とジョニィの前では出来る限り冷静を装っていたが、内心には激情が昂ぶり続けている。 それに元より露伴は青娥のように軽薄で気まぐれな輩は大嫌いなのだ。 好奇心にかまけて他人を振り回す様など虫酸が走る。 かくして露伴は、汚されたプライドと溜まった鬱憤を晴らすため、 いかにして邪仙を屈服させるか考えを巡らせて歩き続ける。 しばらく歩いて行くと、風景は見晴らしのいい平原へと変化した。 敵を見つけやすいが、逆に見つけられもしやすい環境。 先手を取られる愚を避けるため、身をかがめ慎重に歩きながら周囲を探索する。 「さて、どこに行ったか……おそらくここではすぐ先程大きな戦いがあったはずだ。 となれば霍青娥もそこにいた何者かと接触しているはず…… ム、何だあれは」 露伴が遠方に目を向けると、その先には廃屋のようなものがいくつか建っていた。 しかし一軒だけ何か様子が普通ではない。直ぐ様様子を調べるため、廃屋に近づきつつ適当な距離で止まり、 大きめの石に身を隠して観察を始めた。 (あれは……霧か。何故か一軒の廃屋の周辺だけ霧が立ち込めているぞ…… おまけにただの霧じゃない。あれは極低温の環境だけで確認される氷霧に近しいものじゃないのか? おかしい……この気温で発生するはずがない。それにあの廃屋一軒にだけ発生してる時点で異常だ……) 現在の気温は体感で春先程度。そして湿度も霧が発生する程ではない。 明らかなる不自然だ。そして更に観察を続けると、新たな発見があった。 (ん?霧の流れに指向性があるな……霧の廃屋だけに気を取られていたが、 確かに発生源が存在する。霧に包まれた廃屋の斜向かいから霧は流れている。 となると――) ――スタンドか。 超常現象といえば導き出される答えは一つ。勿論風を操る天狗の文のような特殊能力者の例外はあるが、 スタンド被害の経験が多い露伴はスタンドの仕業だと結論づけた。 (能力は、霧を操作する能力か?しかしそうすると、何故決定力のない霧を仕掛けている……? 持久戦に持ち込んで疲弊させて叩く?いや脱出されれば元も子もない。 だとするとまだ何か奥の手があるのかもしれないな……ムッ!) 観察しながらしばらく考察していると、状況に変化があった。男が一人、斜向かいの小屋から慎重に出てきた。 その隣には人型のビジョン。やはりスタンド使い。 おそらく霧のスタンド使いだろう。その男は霧の廃屋に近づき、窓から屋内を確認している。 突然こうして出てきたということは、何かあったのだろう。 そして確認が済んだかと思うと、突如霧がまるで最初から無かったかのようにピタリと止み、 男は乱暴な所作で廃屋へと入っていった。 これで霧のスタンド使いがあの男であることはほぼ確定。 しかし一体何があったのかと露伴がまた観察を続けていると、 少しして男は廃屋から出てきて、ふと何かに気づいたように南の方向へと歩き出していった。 露伴は男が見えなくなったのを確認すると、岩陰から出て、廃屋の集落へと近づいていく。 果たして何があったのかを調べるために。 「……こりゃ酷いな」 廃屋は、温度こそ周囲と大差ない程度まで戻っていたが、 未だ霧の影響として各所が凍っていた。 屋内にもいくつかその痕と思われるものが確認できる。 しかし中はもぬけの殻。誰も居ない。 中に誰かいたのであれば脱出をしたはずだが、露伴が見ていた限り誰も廃屋から出てきてはいない。 床が掘られた痕跡もなし、壁の何処かが壊されている様子もない。 あの霧のスタンド使いは最初から誰も居ない廃屋に向かって一人相撲をしていたのだろうか。 「いや、そうか……中にいたものも『スタンド使い』という可能性があった。 それならば合点がいく。あの男はまんまと一杯食わされてご立腹ってところだったのかな?」 あの男の動きから見るに、確かに男は中に人間がいることを確信していた。 実際いたのだろう。しかし中にいた者の何らかの能力により男に気づかれること無く脱出をした。 そう考えるのが自然だ。 しかしだとしても、結果的に露伴にとってこの攻防戦は何の意味も持たない。 霍青娥を発見できず、数十分とはいえいたずらに時間を消費してしまった。 急いで廃屋の風景をスケッチにまとめると、男が歩いて行った方向と同じ南に、露伴はまた歩き出した。 理由として、男の足取りは何か確信めいたものがある動きだった。 つまり行く先には何か、もしくは誰かがいるはずと、そう露伴は考えた。 それが霍青娥であることを願いながら、露伴はまた慎重に歩を進めていくのであった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 露伴が丁度廃屋の調査をしていた時、姫海棠はたてはろくでもない目にあっていた。 便利な能力を与えられ、特ダネを手に入れ、歓喜冷めぬまま記事を書き発刊。 そして小休止として一旦栄養補給を済ませ、 更なる特ダネを求めていざ進まんとした時だった。突然の襲撃。 はたてとしては屈辱的なことに、接近されたことに気付くことさえ出来なかった。 襲撃者は前述の、露伴が霧のスタンド使いと仮称していた男――ウェス・ブルーマリン。 銃をつきつけ一方的な主張を繰り広げるその男には、一切の甘えだとか妥協といったものは感じられない。 ただただ深い『憎悪』と『執念』だけを感じる怨霊のような男だった。 肉体より精神に比重を置く妖怪としての本能が、はたてに警鐘を鳴らしていた。 この男は危険だと。 生命の危険を感じたはたては一か八かで逃れるべく逃げの一手を打ったが、無意味だった。 男はスタンド使い。それも生半可な能力ではない。 スコールと突風を操られ、一瞬でまた捕まった。 翼を踏みにじられ、今度こそ一巻の終わりと思ったが、意外なことを男から告げられた。 協力をしろとの『命令』。提案などではない。 男はメールを受信できるツールを持っており、はたての刊行するメールマガジンを知っていた。 故にそこに利用価値を見出したらしい。 協力の内容は、男はネタ作り、つまり事件を提供する。 そしてその代わりはたては参加者の情報を男に提供する、という内容だ。 拒否権がない上、はたて自身有益に思うところがあったので承諾した。 そして承諾するやいなや男はすぐに何処かへと歩き去っていった。 と、そんな内容のろくでもない目。 スクープのことを考えることで自らを奮い立たせ、男への苛立ちを忘れようとしたが、 どうも落ち着けば落ち着いてくるほど苛立ってくる。 「あーもうムカつく~~!!人間のくせに何よっ!」 石ころを蹴飛ばす。と同時に風が吹いてきた。 「……って寒っ……そういえばアイツのせいで全身びしょ濡れだったんだ…… くそ~絶対事が済んだらぶんのめしてやるんだから! でもその前にとりあえず服乾かさなくちゃ…… こんなくだらないことで体力消耗してる場合じゃないし」 シャツを摘んで浮かす。ぴったり張り付いていて気持ち悪い。 何より春先程度の気候とはいえ、全身が濡れていれば結構寒い。 服を乾かすための火を起こすべく、薪を探す。 ちなみに火により例え煙が発生しても、天狗であるはたてならば風を少し操るだけでどうにでもなる。 とりあえず辺りを見回すが、すぐには見つからない。 しばらくして、ようやく一本目の薪を見つけ、手に取り顔を上げた時であった。 男と、目が合った。 先ほどのウェスではない。ヘアバンドをした若い男。 今度こそ先手を打たれるものかと身構えた時であった。 「ヘブンズ・ドアー!」 「な……えっ」 男は目にも留まらぬ速さで空に線を描き、帽子をかぶったコミック漫画のキャラクターのようなビジョンが浮かび上がる。 それを見た瞬間、はたては一瞬で本へと変化し、何が起きたかも理解できずに崩れ落ちた。 「この命令を書くのも三度目だが、『30分意識を失う』と書き込んだ。 文の時のこともあるからな。先手必勝といかせてもらったよ。 ……どれどれ、時間が惜しいし早速読ませて頂こう。果たして『シロ』か『クロ』か」 男――岸辺露伴は、周囲を警戒しながらも嬉々として本となったはたてのページに手をかける。 霧のスタンド使い、ウェスを追い歩いた所、全身ずぶ濡れの少女が突っ立っていたので迷わずスタンド攻撃した。 という所で少々ひとでなしな行為だが、状況が状況だけに仕方ない。 それに、露伴はここに来るまでに荒れ果てた大地と3人の惨たらしい死体を発見した。 死因と推察されるものから考えればこの少女は犯人でないかもしれないが、目撃者や関係者である可能性は十分ある。 霍青娥や先程のスタンド使いの行方も知っているかもしれない。 話すか話さないか不確かな口頭による問答よりも、 他人の体験を自らのリアルに変えるヘブンズ・ドアーの方が確実であった。 だが懸念事項もある。スタンド使用による疲労だ。体力は休憩により多少回復したとはいえ、心もとない。 マジックポーションはあくまで緊急時の最終手段なので、基本的には節約を心がけなければならない。 それ故とりあえず必要最低限の命令だけ書き込み、急ぎはたてを読み始めた。 「えーなになに。名前は『姫海棠はたて』ねぇ……変な名前だ。そして『種族』……やはりコイツも『鴉天狗』か……。 羽は任意で出し入れ出来るのか今は確認できないが、見た目の感じがなんとなく文と似ていたからな…… しかも新聞記者であることも同様。そういえば文からの幻想郷住人の情報の中にいたな…… 確か、同族の三流新聞記者とか言ってたかな。 しかしここまで文と似通ってくるとなーんか嫌な予感がするが、ゲーム開始後のスタンスはどうだ?」 露伴は文の時のことを思い出しながら、はたてのページをなれた手つきで一気に捲る。 少し惜しみながらも何百年分かのページを飛ばすと、目的であるゲーム開始後のページに辿り着いた。 この後にもページがそれなりに残っているので、ゲーム開始後に多くの体験をしているらしい。 『大スクープだ!!!』 『90人によるルール無用の殺し合いなんて願ったり叶ったりの刺激的なネタ!』 『自らの足で現場に赴き、取材する』 『このゲームを徹底的に『取材』する! 』 (…………なんだコイツは……文以上に正気じゃないぞ。初っ端からここまで吹っ切れているとは…… しかし、頭の中身は文より少なそうだ) 露伴の嫌な予感は予想を上回る形で的中した。文以上にプッツンした新聞記者だ。 この時点でこの先に希望的内容が書かれていないことが予期される。 (とにかく続きを読むか……) 『参加者を煽るのもいいかも』 『事件は盛大な方がいいネタになる』 (…………) 『死なないように立ちまわる』 『文々。新聞のスポイラー(対抗新聞)として、出し抜く程の記事を書くッ!』 『でも文には死んでほしくない』 『記事を書かずに、死ねるか!』 (文とはライバル関係のようだな。ライバルってのはいまいちぼくにはよく解らないが、 良い関係のようだ。コイツ、根は悪くないヤツなのなのかもしれないな……) ライバルを思うところや、生きがいに燃えるその思考からは、多少の純粋さが垣間見られた。 もっとも純粋だからといって何をしてもいいわけではない。 そして次のページには、大きな変化があった。 『銃声が聞こえてきた』 『念写してみたら写ってる写ってる!』 『二人の男が睨み合って対峙している』 ページには鋭い眼光で睨み合う二人の男の写真が載っている。 (念写だと……?ジョセフ・ジョースターのハーミット・パープルのような能力か?) 急ぎ曲げて栞を作っておいたページまで戻り確認すると、記述があった。 『念写をする程度の能力――カメラにキーワードを打ち込むと、それにちなんだ写真が見つかる能力――』 (カメラにキーワードを打ち込むってのはイマイチ理解できないが、 やはり似たような能力か。便利だが、他人の体験を想像で後追いするだけの下らん能力だな) そう断定すると、また直近のページまで戻り読むのを再開する。 『現場に急行。おっ!これはこれは……!』 『殺人事件勃発!』 『念写で写しだされた男の一人が射殺死体になっていた』 『こうしちゃいられない、私も取材頑張ろうっと』 (既に、殺人事件を取材していたか……やはり文とは違うな) 次の写真は3発の銃創を受けた男の死体の写真だ。 はたては、殺人事件は記事にしたくないというスタンスの文とは対照的だ。 どんなネタであろうとセンセーショナルでインパクトがあればそれでいいというスタンス。 そのスタンスからはポリシーなど無い浅薄さと未熟さが透けて見えてくる。 机上で考えたような、正しいように見えて実際は単純で青い考え方だ。 文の時に感じた奇妙な親近感とは全く別物の、憤りのようなものを感じながらそれでも読み続ける。 『白黒魔法使いの叫び声が聞こえてきた所、念写したらバッチリ! 弾幕と入道使いらしき女の放ったパンチのクロス・カウンター! ツイてるわ!』 『現場急行!今度は現場の写真!』 『二人とも頭をぶつけて気絶してるだけね』 『殴り合いの理由は……うわぁ……要修正』 『事実は小説よりも奇なり、やっぱり現場って面白い』 今度は女同士の殴り合いの現場。少女の発射する光弾とスタンド使いの女のパンチのクロス・カウンター。 そして現場に駆けつけたはたては二人に対して何をするでもなくひたすら取材を続けている。 一通り撮影を終えれば二人をベッドに寝かせはしたが、それも善意からくる行動ではなく、 早く目覚めさせネタを提供してくれることを期待しての行動だ。 最早わざわざ反応するまでもない自分本位な方針。しかしそこから続く記述には興味を引くものが在った。 (花菓子念報メールマガジン……ねぇ……) 記述に書いてあるのは花菓子念報メールマガジンについてだ。 はたては携帯をいじる際、ちょっとした操作ミスから見知らぬアドレスが複数登録されている事に気づいた。 疑問に思ったが、直ぐ様そのアドレスが他の参加者の支給品ではないかと推察し、 それを利用してメールという形で、新聞を発刊出来るのではないかと考えついたのだ。 どうやらはたての持っている『カメラ』は露伴の知る携帯電話のようで、露伴の知るそれより多機能な代物のらしく、 メールを送れるだけでなく写真も撮ることや念写もでき、更にメールに写真を添付して送ることが出来るらしい。 露伴はこの発想自体は素直に感心した。 そして記事を一気に書き上げ登録されている全てのアドレスに対して送信し、 記念すべき第一号を発刊した。 (なるほどねぇ……FAXやコピーの進歩にも驚いたものだったが、こういった技術も存在するのか。 これは意外と使えるかもしれんな) 露伴は思案しながらページを捲る。 はたては発刊後もなおカメラをいじくり、自身の能力の制限を把握していた。 露伴のヘブンズ・ドアーの制限同様、能力使用に疲労が伴うほか、距離も自身から1エリア分の距離まで。 疲労の大きさは対象との距離に比例するらしい。 そして把握した直後、気絶していたスタンド使いの方の女が目覚める。 はたては直ぐ様インタビューを試みた。 はたてはまず名前を尋ねているが、その名は露伴にとって多少の驚きがあった。 (空条……徐倫か) 露伴の知る、最強のスタンド使い・空条承太郎と同姓。自身の推察では同じジョースター家の一員と仮定していたが、 写真に映るその姿から半ば確信が得られた。所々、承太郎と似ている。 先ほどの話し合いで考えたように、参加者はがそれぞれバラバラの時間軸から集められているならば、 おそらく1999年より未来の、承太郎の娘だろう。 その後徐倫は逆にはたてにいくつもの質問をしてきたようで、はたては 『人が話をしている時は話し終えるまで話しかけちゃいけないって寺子屋で習わなかったのかしら!』 『インタビューするのは私、されるのはあなたなの!』 と少し不機嫌になっている。 だが徐倫がはたての行動の真意を訊いてきたことで一瞬で上機嫌に戻り、 一言『取材よ!』と受け応えている。 まともに考えて、徐倫が東方仗助や空条承太郎と同じタイプの人間であれば、 はたての続いて答えた『ゲームの参加者への突撃インタビュー!』という言葉は悪い冗談としか受け取らないだろうし、 まして殺人事件の記事を『記念すべき第一号』などと言って見せたり、 『やっぱりこーゆう過激な殺人事件は、記事のネタとしても面白そうじゃないかなーって?』 などとのたまえば、 正義の怒りを燃やすに決まっている。 案の定、徐倫はスタンドではたてを攻撃。戦闘が勃発する。 はたての記憶に映るビジョンを見ると承太郎と同じ近距離パワータイプのスタンドのようだ。 しかしはたてはそれを鴉天狗特有のスピードであしらい、 有利になるや尊大な態度に変わって高説を垂れる。 ヘブンズ・ドアーの内容からも、はたてが煽動行為やこの殺し合いの取材に、 一切の躊躇や良心の呵責を感じていないことが読み取れる。 はたては自分自身の行為が悪だと気づいていない。 だが、こうして戦闘中にいい気になっていれば必然足をすくわれる。 先ほどの殺人現場で回収し腰に隠し持っていた拳銃を、 徐倫のスタンド能力(恐らく体を糸のように変化させ、それを自由自在に操れる能力だろう)によって奪われ形勢逆転。 殴り飛ばされる。このまま再起不能かと思われたが、しかしはたてはしたたかだった。 徐倫と少女が気絶している間にくすねていた支給品、 スタンドDISC『ムーディー・ブルース』の能力――過去の出来事をリプレイすることが出来る能力―― を発動し、先ほど殴りかかってきた徐倫の攻撃をリプレイさせることで油断を誘い、鋭い蹴りの一撃をやり返した。 そして直ぐ様退路を確保し、足早に逃げ去る。 文もそうであったが、鴉天狗という種族は高慢で尊大だが、それ相応の実力があり頭も切れる、 非情にめんどくさい種族のようだ。はたても多分にもれず、慢心は多いが機転は利くらしい。 もっとも、相手の性質を見極められずこうして争いの発展してしまっている時点で未熟なのだが。 だがそれでも逃げ延びることは出来た。 そして、ここからの内容が、露伴にとってもっとも衝撃的な内容だった。 『えっ何!?電話!?』 『ど、読者……かな?と、とにかくでなくちゃ』 『この声、荒木ッ!?』 「荒木だとッ!」 思わず、露伴は声に出して叫んでしまった。 しかし例えこれが露伴でなかったとしてもこの反応は当然だろう。 超ビッグネーム。この殺し合いの主催の片割れの名が、突然出てきたのだから。 「これは……姫海棠はたて、コイツ、思った以上に貴重な体験をしているようだな……」 参加者多しといえど、ゲーム開始後に主催と接触した参加者などそうはいないはず。 強力な情報アドバンテージを前に、自然とページを捲る手に力が入る。 露伴は、意を決して内容を精読した。 会話の内容の事実を要約すると、 はたての携帯に登録されていたアドレスの中には主催者のアドレスもあり、 メールマガジンは主催者にも届いていた。 主催者ははたてのメールマガジンを気に入ったらしく、より書かれることを望んでいる。 そして援助を申し出てきた。理由は『ただ楽しみたい』。それにははたての記事がベストであるから。 援助内容は、放送直前になる毎に情報の書かれたリストを送ることと、 はたての携帯に隠された機能があるという助言だった。 以上の内容だった。 はたては主催者の援助とその内容に懐疑的であったが、 通話直後、恐らく死亡時間、死亡場所、そしてその場にいた者の名前と思われるものが列記されたリストがメールで 送られてきたことで、真意はともかく援助は事実であると認識した。 そして確かに、主催曰くはたての懸念を解消できる代物、 隠された機能――アプリ「アンダー・ワールド」は存在した。 その機能は念写補助。 具体的には過去の現象を念写する機能であり、現在から4時間前までの現象を念写する事ができるらしい。 一応代償として霊力消費量とやらが増加するらしいが、それでも破格の機能、そして優遇だ。 まるで最初からはたてが念写で状況をかき乱すことを想定していたような周到ぶりに、露伴は憤る。 そしてはたては当然、荒木の提案に乗った。 完全なる利害の一致に、断る理由などどこにもないのだろう。 はたてはリストを確認し、その中で知った名である死亡者と殺人者の名を発見すると、 大スクープの匂いを感じ取り、迷うこと無く猫の隠れ里へと前進した。 この時点でようやく露伴が現在いる猫の隠れ里と話がつながった。 既に十数分読み続け、予想以上に長く濃密な体験に露伴は重い疲労を感じるが、 疲労ごときで止まるわけにはいかぬほど重要な体験ばかり故、露伴はマジックポーションの使用も念頭に入れながら、 またページを捲った。 そしてページを捲るやいなや、真っ先にでかでかと書かれた 『大ッッッッッスクープだわッッ!!!!!!!!』 の文字に露伴は面を喰らう。 どうやら猫の隠れ里の先ほどの殺人現場にて、『アンダー・ワールド』を駆使することによってスクープを得たらしい。 書かれていることによれば、現場には4名参加者がいた。 内3名は死亡し、1名は生存。そしてただ一人生き残ったその参加者は、幻想郷の賢者と呼ばれる八雲紫。 確かにスキャンダラスな状況だ。しかも『アンダー・ワールド』の念写によって、 『魂魄妖夢』と『星熊勇儀』を殺害したのは八雲紫であるという確証も得られた。 はたては余程嬉しかったのか、1ページまるまる興奮と喜びの感情で埋め尽くされていた。 そこまでは、まだよかった。だがそこからは露伴にとって度し難い内容だった。 「姫海棠はたて……タブーを犯したな」 小さく、つぶやく。露伴は元よりはたてにまともな報道は期待していなかったが、一縷の期待も枯れ果てた。 はたては、捏造というタブーを犯した。 過去をリプレイするスタンド『ムーディー・ブルース』の能力を悪用し、 八雲紫が殺していないはずの『ズィー・ズィー』という男の死まで八雲紫に仕業に仕立て上げ報道したのだ。 『八雲紫、隠れ里で皆殺しッ!?』などという低俗な見出しまで付けて。 憶測と推察だけで記事を書くにとどまらず、 過程をすっ飛ばして得られた念写という結果を更に歪曲し、発信した。 露伴は芸術追求の為、時には他人を巻き込むことをもいとわないが、リアリティを汚すことだけは絶対にしない。 漫画と新聞というコンテンツの違いはあれど、何よりもリアリティを重視する露伴にとって、 はたての行為は許せるものではなかった。 はたてはその後、先ほど露伴が遠巻きに観察した霧のスタンド使い (ウェス・ブルーマリンと名乗ったらしい) と遭遇し、逃げようとするも強風と豪雨の妨害を受け墜落し踏みつけられ、 殺人によるネタ作りをする代わりに情報の提供をしろ、という一方的な協力関係を結ばされる憂き目にあっていたが、 それでも露伴の溜飲は下がらなかった。 だが苛立ちにかまけて冷静さを欠くほど露伴は短気ではない。 先ほどの男について、見逃すべきでない情報がいくつかある。 まず男のスタンド。これは霧を操る能力以外にも、雨や風も操れるようだ。 霧、風、雨、と来れば、単純に考えて気象を操る能力だろう。 露伴の知るスタンド能力の中でも、群を抜いて優秀な能力だ。 規模や威力も、凍てついた小屋や鴉天狗を飛行不能に追いやる様を見れば十分なものがある。 そしてさらに問題なのは、その強力なスタンド使いが殺し合いに乗ったキレた殺人鬼だということだ。 はたての記憶から読み取っただけでもその異常性が見て取れる。 主催者を相手取る前に、大きな障害になるだろう。 次に男の正体。男は興味深いことをはたてに言いつけている。 『空条徐倫』『エンリコ・プッチ』『フー・ファイターズ』 この3人を見つけたならば手を出さずすぐ連絡をしろと。 コイツらは自身の手で決着をつけると。 つまりこの3人と何かしらの因縁があるということだ。 文とジョニィと話した際、名簿には何らかの縁があるものが、並べて書かれていると推定したが、 名簿のその3人の近い位置に『ウェザー・リポート(ウェス・ブルーマリン)』という名がある所から、この説はほぼ確定する。 そしてこの二つの情報を整理すると、ウェス・ブルーマリンは優勝狙いの無差別殺人鬼であり、 3名の参加者と因縁を持っている、ということだ。 恐ろしい相手だが先んじてその存在や能力を知ることが出来たのは幸運だった。 以上で、露伴ははたてがゲーム開始後からヘブンズ・ドアーによって本にされるまでの記憶を読み終えた。 随分と長かったので、重力が何倍にもなったかのような重い疲労を感じるが、得られた収穫の大きさから比べれば問題ない。 それに露伴は、ここからまた更に疲労を重くする行動を取ろうとしていた。 故に迷うこと無くマジックポーションの入った紙に手をかける。 が、その時。 ピロロロロッ! ピロロロロッ! 「ッッ!?」 突如として鳴り響く電子音。 露伴は驚愕しつつもすぐに臨戦態勢に入り、周囲を警戒した。 よく耳を澄ますと、音の発生源は近い。 そう、姫海棠はたての携帯電話から電子音は鳴っていた。 この状況ではたてに電話をかけてくる者で予想されるのは、 便宜上はたてと協力関係にあるウェス・ブルーマリンか、 援助者である主催者・荒木飛呂彦だ。 どちらが出たとしても対応は不可能に近いので、出るかどうかを露伴は逡巡する。 しかし出ないのも不自然だし、相手がウェスであれば不審に感じて戻ってきてしまうかもしれない。 同時に、はたてに仕掛けた30分意識を失うという命令のタイムリミットも既に残り半分を切っている。 故に、早く決断しなければならない。 露伴は意を決して、電話の応答ボタンをプッシュした。 一旦無言で出方を窺う。 「もしもーし。あれ?ちゃんと出てますよねぇ?露 伴 先 生 ?」 (くっ!この声、荒木飛呂彦ッ!もしや僕の行動は全て筒抜けなのか?) 電話の相手は荒木飛呂彦だった。しかも応答した人間がはたてでなく、露伴であることに気づいている。 盗聴、盗撮、位置測位のいずれか、もしくはその全てがされている可能性がある。 一瞬動揺したが、覚られる訳にはいかない。冷静に、向こうの狙いがなんであるかを見極めなければならない。 「フンッ、何が露伴先生だ馴れ馴れしい。 ……どうやら全てお見通しってところかい?荒木飛呂彦。 まさかこんなに早く君と話すことになるとは思わなかったよ」 露伴は本心からそう告げる。 「ふふ、知ってることは知っているだけで、知らないことは知りませんよ。 ただ、もしかしたら露伴先生が、僕達にとって不都合なことをしてしまうかもと危惧しただけです。 僕としても、主催者が干渉しすぎるのはあまり面白くないと思っていますしね」 荒木は声色を変えず、淡々と話す。ただ会話の内容から露伴は大体の狙いを察することが出来た。 「不都合なことだって?中々面白いジョークじゃないか。君達にとっては僕の能力そのものが不都合なくせに」 ヘブンズ・ドアー。いくつかの制限が付いているとはいえ、人の行動を意のままに出来るその能力は十分な脅威だ。 元から主催者にはマークされていたのだろう。 「そう、確かにそうなんですがね……時に露伴先生。貴方は今姫海棠はたてと同位置にいますが、 これから彼女に何をするつもりでしたか?今はそこが問題なのです……。 返答によっては……」 荒木は少し声を低くして言葉を詰まらせた。どうやら姫海棠はたての扱いが問題らしい。 「返答によっては殺すのか?もしそうだとしたらそいつは随分な話だ」 露伴は言われるより速く最悪の可能性から聞く。 「いやいやいや、まさかそんなつまらないことするわけ無いじゃないですか。 それに返答に問題がなければなーんにもしませんから。 で、どうなんです?ちなみに嘘をついちゃいけませんよ。 嘘は分かっちゃいますから」 冗談とも本気ともつかない語調で荒木は語る。どちらにせよ信用してはならないが、 はたてが目を覚ますタイムリミットが近いのでこれ以上会話を長引かせるわけにもいかない。 露伴は素直に全てを話す。 「読心術でも使えるっていうのかい?……まあ時間も無いし正直に言うさ。 はっきり言うと、僕はヘブンズ・ドアーではたてを奴隷にして、 花菓子念報とやらを僕好みのリアリティある読んでもらえる新聞にするつもりだった。 君達がコイツをやけに優遇してくれるお陰で色々便利だしな。 これで満足か?満足したなら電話を切らせてもらうぞ」 偽らざる本音だ。念写能力に加えてムーディー・ブルースのスタンドがあれば、 情報戦において圧倒的優位に立つことが出来る。それに露伴がはたてにムカついていたのも大きな理由だ。 そして全てを言い終わると同時に通話終了をほのめかす。 勿論これで終われるとは思っていない。 「そうですか……あっ、ちなみに電話を切らないほうがいいですよ。 切ったら死にます」 「……やっぱり脅すんじゃないか。まあ大体理由は察せるが一応聞いてやる。 何が目的だ」 予想通りの反応だった。そしてその理由も当然予想出来る。 そもそもはたての記憶を読んだ際、荒木の意図など既に分かっているのだから。 「目的って言うほどのことじゃないんですがね。僕達とっては今の花菓子念報がいいのです。 僕達が彼女に期待しているのは正義感あふれる真面目な報道じゃなくて、 いっそ清々しいほどに下衆で煽情的な、捏造とゴシップの塊のような報道なのです。 あと、彼女の今の能力を正しいことに利用されたら、真面目な参加者に不公平ですしねぇ」 「どうせそんな理由だろうと思った。ようはコイツの煽動行為で争いが激化することを望んでいるんだろう? それと真面目な参加者ってのは『乗った』奴らのことか。まったく公平過ぎて泣けてくるね。 それで、僕にどうしろと?このまますごすご何もせず回れ右して、 『生きているからラッキーだ!』とでも言えばいいのか?」 露伴にとってここまでは想定内。ここからが問題だ。 果たして荒木が何を言ってくるか。 「いやーそこなんですがね、姫海棠はたてに命令を書きこむのをやめて欲しいのも確かなんですが、 さっき行った通り、主催者が参加者間のやりとりに干渉しすぎるのは良くないとも思っています。 それに一人の参加者に肩入れしすぎるのはフェアじゃないし、ゲームの公平性を疑われることですからね。 そこで、不公平にならないよう露伴先生に提案します。 願いを一つ、叶えてあげますので、姫海棠はたてに何もしないことを『納得』して頂けませんか? 詭弁だとは思いますが、露伴先生自身がその条件を飲めば、 『強制』ではなく『同意』による平和的解決ということに出来るので。 あ、勿論叶えられる範囲内で、ですよ」 荒木が提案してきたことは、露伴の想像よりずっと平和的なものだった。 はたてに関する記憶を抹消して放逐するとか、ヘブンズ・ドアーに新たな制限を課されるとか、 そんなことを想像していただけに、若干の拍子抜けを感じる。 むしろ逆に、願いを叶えるという実益あるおまけまでついているので、メリットのほうが大きい。 だが。 「ふーん……じゃあ叶えられる願いの回数を増やせとか、今すぐゲームを中止して元の場所へ帰せとか、 そういうのはだめだってことか。それで、その条件を飲めば僕の命を助けてくれる、と」 露伴は、誰も居ない虚空を睨みつけ、静かに言う。 「ええそうです。約束を違えたりはしないので安心してください。ギブアンドテイクです。 さあ、願いを……まあ…… そして。 だが断る、と貴方は言うでしょうねぇ……」 「だが断る……ハッ!?」 露伴は自身の好きな事である『自分で強いと思っているやつに「NO」と断る』通りに要求を拒否しようとした。 それは露伴自身のポリシーのようなものでもあったし、大上段からにやけ声の一方的な話に鬱憤が溜まっていたし、 なにより乗ったかのように見せかけて断った時、どのような反応をするか期待していたからだ。 しかし、見抜かれていた。まるで最初からそうだと分かっていたように。 「やっぱり。驚かなくてもいいですよ。 先生は僕のことを知らないでしょうが、僕は先生のことをよーーく知っているので。 こんな上からの一方的な交渉じゃあ先生はうんと言わないでしょう」 (コイツ……まさか僕のヘブンズ・ドアーと同じような能力でも持っているのか……? それとも本当に読心能力でもあるのかもしれない……クソッどうする…… 屈辱だが、条件を飲むしかないのか……!?) ゲーム開始前の説明の時からそうであったが、この荒木飛呂彦という男は得体が知れない。 横にいた大田もそういった意味では同じなのだが、特に荒木には形容しがたい奇妙な雰囲気を感じる。 まるで全てを知っているかのような余裕のある態度が、その奇妙さを助長し不気味ですらある。 露伴が生きてきた20年の中で、このようなタイプの人間はまるで見たことがない。 絶望するにはまだ早いが、対処の活路は見えない。 だがしかし、今はとにかく自分の処遇がどう転ぶかが肝要だ。 露伴は余計な怯懦を振り払い、率直に自身の処遇を訊いた。 「当然だろう。で、条件を飲まなければどうする気だ?」 「露伴先生には『消えて』いただきます……と言いたいところですが、僕達としてはそれじゃつまらない。 先生にはもっと活躍して欲しいのです。 ですので言い方を変えます。これは交渉ではなく僕達からのお願いです。 願い1つを対価に、今はまだ姫海棠はたてに手を出さないでください。お願いします」 答えは意外、先ほどと変わらぬ平和的内容。そしてお願いという言い回しまでしてきた。 開幕早々逆らう少女を爆殺するという所業を見せつけてきた人間と同一人物とは思えぬほど甘い。 つい今しがた言っていた、干渉し過ぎたくないとかフェアがどうとかいう話は本心らしい。 ようはゲームの進行自体はまっとうまともに進んでいって欲しいのだろう。 ただ『面白くなりそうなこと』の方が優先順位がずっと高いようだが。 (ここで断れば本当に命は無いだろうな……だが、安易にコイツの言う通りになっていいのか?岸辺露伴。 結局それじゃあ命惜しさに主催者に屈したってことじゃないか…… 屈さずこの場を切り抜けなければ青娥の時の屈辱の二の舞いだ。 考えろ……僕自身が納得してこの場を切り抜ける方法を……) 露伴は思考する。ここで安易な願いを言って事なきを得た所で、主催者には永遠に勝てないだろうし、 なにより露伴のプライドがそれを許さない。妥協は敗北主義の考えだ。故に最適解を見つけ出さなければならない。 最適解には必須条件が二つある。 まず一つ目、それははたてを上回る力を得ることだ。 当初考えていたのははたてを従属させることだが、これは最早直接的には不可能だ。 荒木はその点において一切妥協する姿勢を見せない。 露伴は自分の溜飲を下げるためと、その利便性の高さ故はたてを従属させようとした。 なのでその代替、もしくは上位互換となるような力を得ること、それが必須だ。 だがそれの枷となるのは、荒木がそんな願いを認めるか、だ。 はたてに一方的な援助をしていて公平性を語る二枚舌だが、 その基準の根底は面白いかどうかという単純なものだ。 だから結果的に面白みが薄れてしまうと判断されれば、その願いは却下されてしまうだろう。 つまり二つ目の必須条件として、荒木が面白いと思うものでなければならない。 以上二つが条件だ。その条件を満たす願いが浮かばなければ露伴は精神的に敗北し、 そしてその敗北は弱さに繋がり、やがて荒木や青娥を倒す以前に破滅を迎えるだろう。 そうならない為にも、露伴は最適解を模索する。 (『はたて』、『花菓子念報』、『願い』、『荒木』、『面白さ』か…… ようは情報通信や情報伝達が出来て、はたての俗悪コンテンツを上回る面白みがあるものだ…… 面白み……そうか!最も僕好みで納得出来る手段があるじゃないか!) 露伴はこの短い時間でなんとか答えに辿り着いた。荒木が乗るかどうかという懸念は消しきれないが、 露伴にとっては考える限りもっとも素晴らしい答えだ。 後はなんとか荒木をその気にさせるのみ。 「そうまでして姫海棠はたてに拘るのか理解できないが、分かった、願いを聞いてやるよ。 僕としては命を賭けてまではたてに拘る気はサラサラないしね」 「よかった、それじゃ早速願いを……」 「ただし条件がある。僕が君に願いを叶えてもらったとして、後からその願いにケチをつけないこと、だ。 それを認めてくれるならば僕は納得する。勿論安っぽい口約束じゃないぞ。キチンと誓ってもらう」 例えこの場で願いが叶えど、今回の介入のようなことが起これば無意味だ。 なので露伴は念を入れて条件を提示した。荒木の公平性へのこだわりも鑑み、誓いという言葉も入れて。 「そうですか……まあ願いの内容を聞いてみないことには明言出来ませんが、問題なければその条件を飲みましょう。 それで、どんな願いでしょうか」 帰ってきた荒木の返答は当り障りのないものだったが、とにかく願いを言うしかない。 露伴は満を持して、堂々と願いを言う。 「そうか、その言葉決して忘れるなよ。じゃあ言うぞ……僕の願いは―― ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 所変わって、アルコールとお香のような香りが漂う、仄暗い部屋に男が二人。 露伴の願いを叶えた荒木は電話を切り、自分の相方である大田と会話をしていた。 「ンフフ、まあ面白いとは思いますが、本当にあの願いを叶えちゃって良かったんですか?荒木先生?」 大田はグラスに入った酒を手で弄びながら、痩せた顔に笑顔を浮かべて訊く。 その声色、態度からは本気で心配しているような素振りは見えない。 「流石に、ちょっと緩すぎたかもしれないね。あの岸辺露伴が僕の言葉に折れたんだから、絶対なにかする気だろうし。 でも何より彼の願いを聞いたその時、面白い!って思ってしまったんだ。それに僕もマンガ家だしねぇ……。 ま、面倒を防ぐためにこっちからもいくつか条件を付けさせてもらったし、多分大丈夫だよ」 荒木はモニターを見つめながら淡々と言う。 「僕としても、僕のところのはたてと荒木先生のところの露伴先生が対抗するのは、実に混沌としていて、 この世界らしくて、お酒が美味しくなりそうなので楽しみなんですがね。 まあ楽しくなるだけなって足元を救われないよう、気をつけませんと」 そう言うと、大田は手に持ったグラスを一気に傾けて、中身のビールをうまそうに飲み干した。 「そうだね……まあ今はともかく楽しくなることを期待して眺めようじゃないか。 しかし、君にとってお酒が美味しいのはいつものことだろう?」 「ンフフ、確かにそうなんですが、『朝酒は後を引く』という言葉がある通り、 時、場所、状況でお酒の味は変わるものなんですよ。結局いつ呑んでも美味しいんですけどね。 さて、じゃあ荒木先生の言う通り、会場に思いを馳せて幻視でもしましょうか。 でもその前に新しいお酒を」 大田はそう言い、新しい酒を探しに置き場所に向かった。 ゲーム開始時から呑み通しだが、その足取りは確かだ。 荒木はそんな大田を苦笑しながら見ていたが、すぐにモニターに向き直り、 凄みのある不敵な笑みを浮かべた。 「さてと、これでもっと楽しくなりそうだな。頑張ってくれよ、姫海棠はたて、岸辺露伴」 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「ふう~~~……」 電話が終わった露伴は、ゆっくりと深呼吸をしながら携帯を元あった場所に置き直す。 そしてストレッチをしつつ、これからのことを考え始めた。 そう、露伴は願いを認められた。 『僕の願いは、この岸辺露伴に漫画を描かせろ、だ』 という願いを。それだけ聞けばどうということはないマンガ家らしい願いだが、 その願いには、勿論意図があった。 まず願いの内容を仔細に言えば、『はたてのメールマガジンのように、漫画をメールで配信出来るようにしろ』 というものだ。 画像を添付してメールを送る技術があるならば、それは新聞形式以外にも、 つまり漫画の配信にも使えるのではないかと露伴は気づいた。 そして全ての支給品の出元である主催者なら、その手段を与えることも可能であろうと睨んだ。 情報を発信する者を従えるのではなく、自分自身が情報を発信する側になればいいと露伴は考えたのだ。 それにそうすれば、自分の漫画の力で真っ向からはたての新聞モドキを叩き潰すことも出来るとも。 マンガと新聞とではそのコンテンツの持つ力、意味は異なるが、読んでもらうという一点においては同様だ。 より読ませる力があるものがこの場では強い影響力を持つ。 結果的にその願いは『通信機器』、『マンガ道具一式』を同時に望むという大きな願いであったが、 荒木はその願いを面白がり、前記二つの道具だけでなく『モバイルスキャナー』という、 紙媒体のマンガを取り込むことでメールで送信可能な形式に変化させられる道具まで与えてきた。 曰く写真ではマンガの魅力を十分に映し出すことは難しいと思ったから、だそうだ。 まさに至れり尽くせりだが、何もなしに済むほど甘くはなく、当然条件付きだ。 その条件は、今あったことやはたてが煽動行為や捏造報道を行っているという事実を発信してはならない。 マンガ以外の紙や文章を発信することもNG。ゲームの進行を著しく妨げる行為も駄目。 という三つの条件だ。露伴は三点目の条件だけ曖昧だったので文句を言ったが、 余程悪質な行為でなければ許容範囲なのでそれで納得して欲しいと言われ、仕方なく折れた。 以上が、岸辺露伴の願いの結果とその全容だ。露伴は望む願いを叶えおおせたが、 この願いを活かすことが出来なければ勝利ではない。 故に、これからどうするかが肝心だ。 しかし今露伴が考えていたのは、願いをどう活用するかのことではない。 それ以前に直近の別問題があった。 後数分もせず目を覚ます、姫海棠はたてをどうするかだ。 出会って早々ヘブンズ・ドアーで失神させてしまった以上、 何も知らない初対面な風を装っても無駄だろう。 かと言って考えなしにそのまま話そうとしても、敵とみなして襲いかかってくるかもしれない。 逃げるのも、既に文の存在により鴉天狗の敏捷を知っている露伴からすれば論外だ。 なので、いかにしてはたてを面倒を起こさず対処するか、それが露伴の目下の悩みだ。 先ほどから考え通しで、スタンド使用の疲労も合いまりいよいよ体が休憩を欲しているが、 ここが正念場。出来る限りマジックポーションを節約するためにも、自然回復で凌ぎたい。 「ふーむどうするかな……荒木との駆け引きに構いっきりでそこの所をすっかり失念していた。 大体コイツのリアクションとその対処は想像がつくがね」 ヘブンズ・ドアーでその体験を読んだので、露伴ははたての性格を粗方理解している。 問題はどう切り込んでいくだが、その突破口もある程度見当がついていた。 あとはうまくはたてを考えている通りに誘導できるかだ。 加減を間違えれば即、面倒なことになるが、他の方法を考えている時間もない。 「う……うーん……あ、あれ?私……何でこんな所で……?」 そうこうしているうちに、はたてが目を覚ました。 「えーっと……あー!そうだ!変な男にいきなり襲われて、体が本みたいになって、それで…… ハッ!あの男は……って後ろにいるぅ!?」 はたては見事なまでに動転していた。さしもの優秀な鴉天狗の頭脳も、 理解不能の体験に巻き込まれれば陰るものらしい。 「やあ」 「やあじゃないわよっ!あんた一体何者!?私に何をしたの!?事と次第によっては酷いわよ!」 はたては熱り立ち次々と怒鳴り立て臨戦態勢だ。対する露伴は猛牛を相手取る闘牛士のように、 飄々と応対する。 「まあまあ、落ち着けよ。質問の答えはひとつずつだ。まず僕の名前は岸辺露伴。マンガ家だ。 そして君に何をしたかというと……まあそれはどうでもいい。重要な事じゃない」 「重要に決まってるでしょうが!あんたフザケてるの?人をおちょくってるんだったらぶっ飛ばすわよ!」 露伴の不誠実な回答にはたては怒りを更に煽られ、拳を突きつけて威嚇する。 今にも殴りかかりそうな勢いだ。 「まあ待てよ。僕は君と闘うつもりはない。うーん、僕が君にしたことか…… ま、簡単にいえば僕の能力なんだが、どんな能力かは教えられない。 君だってこんな状況で他人に安々と自分の能力を教えないだろう? ただ何もしていないことだけは保証するよ。そんなことよりも、 僕はある手段によって君の花菓子念報とやらの存在を知ってね……」 「おっ!何をしたのか曖昧にされたままなのはアレだけど、読者ね! それでそれで?どうだった私の記事?」 話題に自分の新聞が出た途端、はたては急に怒りを好奇心に変えた。 余程承認欲求が強いらしい。 露伴もそんなはたての気質を考えた上での話題のすり替えだ。 「感想かい?一言で言うなら『最低』ってところかな」 そして、酷評。 折角話題をすり替えて怒りを逸らしたのに、露伴は褒めるだとか嘘の感想をいうだとか穏便な事は一切せず、 ただ思ったままはたてに酷評を告げた。 「なっ……そう……あんたもそーいうくだらない正義感とか安っぽい感情で物事を考えるタイプなのね」 はたては興奮から一転、今度は一気に冷め、露伴を睨みつける。 空条徐倫が花菓子念報を読み、怒りの炎を燃やして殴りかかってきたように、 目の前の男は自分と波長の一切合わないタイプだと気付き、 乱れた感情が急速に冷えきっていく。 「いやそうじゃない。単純に僕は読み物として、コンテンツとして、 つまらない低劣なものだと思っているのさ。そこに正義感という補正は無い。 君の新聞は全く読んでもらえるものになっていない」 だが更に露伴は追い打ちをかける。 ともすれば自殺行為でしか無い煽りだ。 「あんたいったい何が言いたいわけ!?闘うつもりはないとか言ってるけど手の込んだ自殺志願者か何か? 人様の新聞をボロクソに言って……! そんなに死にたいならすぐに楽にしてあげるわよ……!」 はたては最早いつ攻撃してもおかしくないほどの殺意を露伴に向ける。 意図の見えない言動に苛立ちは臨界間際だ。 能力の未知さが懸念事項だが、はたては自分の速さなら勝てると踏んでいる。 しかし、いざ攻撃せんとはたてが構えたその時、露伴は静かにつぶやいた。 「僕のマンガと君の新聞で勝負しないか?」と。 露伴が唐突に投げかけてきた言葉は、はたてにとってまたも理解不能で判断に困る、 意図不明のものだった。いきなりこの男は何を言い出すのかと、 頭のなかでクエスチョンマークが乱舞している。 「あ、あんたいきなり何を言っているの……?もしかして気でも触れてるの? 勝負?」 「いいや、正気さ。大真面目。まあ何が言いたいかというと」 露伴ははたてに真っ直ぐ向き直り告げる。 「僕は君の新聞を認めない。僕がマンガ家としてなにより大事にするのは、 作者自身のリアリティだ。 どんな奇妙なことも、現実味を帯びた正確な描写で描かれることで、 いっそ生理的な嫌悪を覚えるほどに感情を動かされる。 リアリティこそが作品に命を吹き込むエネルギーであり、リアリティこそがエンターテイメントなのさ。 マンガだろうが新聞だろうがリアリティがなければ僕は真に人に読んでもらえないと思っている。 しかし、君の新聞からは一切リアリティを感じない。 いかにも人が興味を引くようなセンセーショナルなネタばかりだが、 人が読むのはそのネタ、浅瀬の部分だけさ。決して君の書いた新聞だから読むわけじゃない。 想像や捏造によって手の加えられた紛い物に、人はゴシップ以上の価値を見出さない。 倫理も信念も魂もない、上っ面だけの三流新聞以下のものだね。 だが、君はそれを認めはしないだろう。今書いているその花菓子念報こそが、今の君にとっての最高なのだから」 「それで、何が言いたいのよ……!」 露伴は持論と、正直な感想を粛々と言い続ける。 次々と露伴に否定され、はたては悔しさから目を伏せ拳を強く握りしめるが、威勢は失わなず、 強く真意を問う。 「僕が君のスポイラー(対抗コンテンツ)になって勝負してやるって言うのさ」 「はあっ!?」 スポイラー、それこそが露伴の真意だ。直接的に花菓子念報を潰すわけでもなく、 はたてに命令を書き込むわけでもなく、真っ向から勝負する。 それが露伴の考えたはたてへの対処であり、自身が花菓子念報とはたてに感じた憤りを公正に晴らす手段だ。 露伴がはたての性格を鑑みて導き出した答えは、その高い好奇心と対抗心を刺激するというやり方だった。 「僕はさっき行った通りマンガ家だ。 それに運良く支給品によって、描いたマンガを君のメールマガジンのように、 発信することが出来る。つまり僕はマンガで、君は新聞で、競うわけさ。 勝敗を明確に判断する材料は無いが、作品の反応で大方分かるだろう。 君も自分の作品に自信があるだろう?まさか得体も知れないこの僕に負ける気はしないよなぁ……? さてどうする。この勝負、受けて立つかい?」 露伴はニヤニヤと笑いながら間延びした声ではたてを煽る。 誰がどう聞いても挑発しているようにしか聞こえないし、実際挑発だ。 ヘブンズ・ドアーで攻撃したことを忘れさせ、ついでにはたてを勝負の土俵に引きずり込む。 「受けて……受けてやるわよ!人の新聞をボロクソにけなしたこと絶対後悔させてやるわ! 今まで以上に最強になった私の花菓子念報にびびって後悔しても遅いんだからね!」 そしてはたては乗った。見え透いた挑発であることも、話題そらしだとも気づいていたが、 それ以上に露伴の物言いに我慢ならなかった。 はたてはもとより負けず嫌いの気質と上昇志向の気質を併せ持っており、 勝負と聞けば受けて立たずに入られない。 それに、作品に受けたそしりは暴力でなく作品で見返さなければならないとも思っている。 露伴の見立て通りだった。 「そうかそうか。分かった勝負成立だな。僕もこれから頑張るとしよう。 君の新聞も……まあ少しは楽しみにしているよ……お互い頑張ろうじゃないか、フフ……」 「私もあんたのリアリティがどうだとかいうのは作品を読んで判断してやるわよ! 口だけじゃないってことちゃんと証明して見せてよね! 天狗はマンガにも詳しいんだから!」 互いに言葉を掛け合い、これで戦いの火蓋は切って落とされた。 あとは言葉でなく互いの作品によって語られるだろう。 「じゃあ僕はこれで失礼する。ネタ探しもしなくちゃならないし、行く場所があるんでね。 君も勝負の前にくだらないことで命を落とさないように。それじゃ」 そう言い露伴ははたてに背を向けた。 「あんたも精々気をつけることね。もし何も出来ずに死んだら大笑いしてあげるわ!」 はたても露伴の背に言葉を投げかける。 露伴は手だけをヒラヒラと振って返事をし、そのまま歩いて行った。 「ハァ~……行っちゃった。結局一体何だったのよアイツ。 人間のくせして全然物怖じしないし生意気だし得体も知れないし。 おまけに口車に乗せられて変なことになっちゃった…… 結局何されたのかも分からずじまいだし……」 はたては座り込み、肩をがっくり落として嘆く。 終始露伴のペースに乗せられて、情報も引き出せなかった。 ウェスといい露伴と言いこの会場にはろくな人間がいないのかもしれない。 「でも!勝負となったら負けないよ! 絶対に私の花菓子念報の素晴らしさを分からせてやるんだから! 今に見てなさい!気合入れていくわよー!」 はたては顔を上げて拳を前に突き出して気合を入れる。 くよくよしていても仕方ない。今はただとにかく取材あるのみだ。 アプリもリストもスタンドも協力者も依然変わらずあり、はたてに吹く神風は未だ止んでいない。 (ウェスも、露伴とか言う奴も、私が必ず打ち倒してやるんだから…… 私はこれで間違っていない、間違っていないはずなのよ…… スポンサー(主催者)だってそれを望んでるんだから……) しかし実ははたては露伴の言うことに少しだけ気づいていた。 文のスポイラーになり、彼女の取材スタイルに学んだはずなのに、 今現場にいるとはいえ、自分がやっていることは結局後追いではないのかと。 文に宣言したような『人間が記事まで読むような新聞』を書けていないのではないのかと。 それでもはたては止まらない、いや止まれない。 最早この取材スタイルから後戻りはできないのだ。 決意を新たにし、はたては立ち上がった。 「って寒っ……」 そして自分の服が未だ濡れていたことを思い出し、またのそのそと薪を集め始めるのだった。 今の花菓子念報を文が読んだらどう思うのかな、などと考えながら。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 一方露伴はゆっくりと、考え事をしながら歩いていた。 はたての問題がうまく終わったので、いよいよ何を描くかを思案する。 ちなみに当座目指しているのは、猫の隠れ里の見晴らしのいい場所だ。 霍青娥が発見できなかった以上、むやみに歩きまわるより一度ジョニィと文と合流した方がいいと露伴は判断した。 待つ間に同時に休憩とネタを考えられるので丁度いい。 (しかし……短い時間の間に随分色々なことがあったな…… 康一くんに出会ってスタンドのことを知った時ような衝撃の連続だ。 だがそれがいい。創作意欲がふつふつと湧いてくる。 なによりマンガが描けるようになったってのは大きな収穫だ。 この体験をマンガに活かせないのは惜しい話だからな。 荒木もはたても青娥も関係ない、僕は僕自身の体験による読んでもらえるマンガを描くだけさ…… ま、そのついでに全員必ず叩き潰してやるよ。 さて、まずどんなネタで描くか……フフ……) 露伴は抑えきれない笑みを手で覆いながら歩いて行く。 読んでもらうためだけにマンガを描く露伴だ、こうしてマンガを描けるようになったことの喜びはなにより大きい。 常軌を逸したこの世界でもやることは変わらない。 岸辺露伴は自身のマンガを読んでもらうため、動く。 【D-2 猫の隠れ里前/朝】 【岸部露伴@第4部 ダイヤモンドは砕けない】 [状態]:疲労(大)、体力消耗(小)、背中に唾液での溶解痕あり [装備]:マジックポーション×2、高性能タブレットPC、マンガ道具一式、モバイルスキャナー [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:情報を集めての主催者の打倒 1:ジョニィと文を待ちながらマンガのネタを考える。 2:はたてのスポイラー(対抗コンテンツ)として勝負してやる。 3:主催者(特に荒木)に警戒。 4:霍青娥を探しだして、倒し蓮子を救出する 5:射命丸に奇妙な共感 6:ウェス・ブルーマリンを警戒 [備考] ※参戦時期は吉良吉影を一度取り逃がした後です。 ※ヘブンズ・ドアーは相手を本にしている時の持続力が低下し、命令の書き込みにより多くのスタンドパワーを使用するようになっています。 ※文、ジョニィから呼び出された場所と時代、および参加者の情報を得ています。 ※支給品(現実)の有無は後にお任せします。 ※射命丸文の洗脳が解けている事にはまだ気付いていません。しかしいつ違和感を覚えてもおかしくない状況ではあります。 ※参加者は幻想郷の者とジョースター家に縁のある者で構成されていると考えています。 ※ヘブンズ・ドアーでゲーム開始後のはたての記憶を読みました。 ※主催者によってマンガをメールで発信出来る支給品を与えられました。 操作は簡単に聞いています。 【D-2 猫の隠れ里 広場/朝】 【姫海棠はたて@東方 その他(ダブルスポイラー)】 [状態]:体力消耗(小)、霊力消費(中)、腹部打撲(中)、全身ずぶ濡れ [装備]:姫海棠はたてのカメラ@ダブルスポイラー、スタンドDISC「ムーディー・ブルース」@ジョジョ第5部 [道具]:花果子念報@ダブルスポイラー、ダブルデリンジャーの予備弾薬(7発)、基本支給品×2 [思考・状況] 基本行動方針:『ゲーム』を徹底取材し、文々。新聞を出し抜く程の新聞記事を執筆する。 1:記事のネタを掴むべく奔走する。 2:とりあえず服を乾かす。 3:掴んだネタはメールマガジンとして『姫海棠はたてのカメラ』に登録されたアドレスに無差別に配信する。 4:岸辺露伴のスポイラー(対抗コンテンツ)として勝負し、目にもの見せてやる。 5:ウェスを利用し、事件をどんどん取材する。 6:使えそうな参加者は扇動。それで争いが起これば美味しいネタになる。 7:死なないように上手く立ち回る。生き残れなきゃ記事は書けない。 [備考] ※参戦時期はダブルスポイラー以降です。 ※制限により、念写の射程は1エリア分(はたての現在位置から1km前後)となっています。 念写を行うことで霊力を消費し、被写体との距離が遠ければ遠い程消費量が大きくなります。 また、自身の念写に課せられた制限に気付きました。 ※ムーディー・ブルースの制限は今のところ不明です。 ※リストには第一次放送までの死亡者、近くにいた参加者、場所と時間が一通り書かれています。 次回のリスト受信は第二次放送直前です。 ※花果子念報マガジン第3誌『隠れ里の事件』を発刊しました。 ※はたてが今後どこへ向かうかは、次の書き手さんにお任せします。 ○支給品説明 『高性能タブレットPC』 主催者が岸辺露伴の『マンガを発信させろ』という願いのため用意した道具その一。 その性能は東方紅魔郷から東方輝針城まで遊ぶことが可能な程高性能。 色々なアプリを実行することが可能だが、どの程度か不明な範囲で制限がかけられている。 もちろんメール機能は使用可能。電話機能も付いており、主催者が直接コールすることも可能。 この会場に存在する全てのメール受信可能な機器のアドレスも入っている。 おまけで大容量モバイルバッテリー付き。 『漫画道具一式』 主催者が岸辺露伴の『マンガを発信させろ』という願いのため用意した道具その二。 露伴が望むマンガ道具全てが揃っている。 『モバイルスキャナー』 主催者が岸辺露伴の『マンガを発信させろ』という願いのため用意した道具その三。 絵や文章の書かれた紙を取り込むことでそれをデータ化することが出来る。 持ち運び可能で、対応した機器に繋げればそのデータを送ることが可能、同時に充電もされる。 性能も高く、短時間で取り込めて画質も十分。ただし画像を綺麗に取り込むのに少しコツがいる。 説明書付き。 109:回天伝説 ~True Executioner? 02 投下順 111:リンノスケ・ザ・ギャンブラー 109:回天伝説 ~True Executioner? 02 時系列順 111:リンノスケ・ザ・ギャンブラー 097:進むべき道 岸部露伴 122:岸辺露伴は動かない ~エピソード『東方幻想賛歌』 095:薄氷のdisaster 姫海棠はたて 118:紅蒼の双つ星 ― ばいばいベイビィ ― 085:第一回放送 荒木飛呂彦 143:Lucky Strike 078:禁写「過去を写す携帯」 太田順也 143:Lucky Strike