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このページはこちらに移転しました 許容範囲 作詞/280スレ25 乗っていい電車があって 使っていい机と 座っていい椅子があって 履いていい靴で 歩いていい道を渡っている 読んでいい本を開いて 吹いていい楽器を奏で それでも 生きていて良いかどうかは わからない
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第061話 許容範囲 ◆7NffU3G94s 三十分。その時間をここまで長く感じたことを、葦月伊織は今までなかっただろう。 俯き自分の手首を抱えたまま黙っている少女の背を、伊織は我慢強くずっと撫で続けていた。 今は大人しくなった少女の首には、黒い布が巻かれている。 本当は消毒をした上で清潔な包帯などを用意するべきだったのだろうが、ここでそんなものが都合よく出てくることはない。 在り合わせのものでもないよりかはマシだと、伊織は自らのタイをほどき少女の首に巻きつけた。 ……少女が手にしていた包丁は伊織が無理矢理彼女のデイバッグにしまい直したので、もう彼女いきなりあんなことを仕掛けてくることはないだろう。 しかし、それでも暗い少女の様子が晴れる様子は一向になく、伊織はそれが気になって仕方なかった。 「私、葦月伊織。名前教えてもらってもいいかな」 「……」 微笑みながら優しく声をかけるものの、そんな伊織の問いに返ってくる答えはない。 ……ある意味、この三十分は伊織にとってロスタイム以外の何物でもなかった。 友人に後輩、そして誰よりも優先すべきである恋人の存在が伊織の脳裏を瞬間掠める。 恋人である彼と伊織が正式に結ばれたのは、本当につい最近であった。 伊織は、正に幸せの絶頂だった時にこの島に召喚されたことになる。 また、伊織には夢もあった。 やっと女優になるための一歩を踏み出したばかりだというのに……自分の運の悪さに、伊織はその柔らかそうな自身の唇を強く噛み締めた。 「ひっ」 「あ、ご、ごめんなさいっ! 大丈夫、大丈夫だから……」 少女の背を撫でていた手に自然と力がこもってしまったのだろう、掠れた悲鳴に我に返った伊織は慌てて取り繕おうと笑みを浮かべる。 演技ならお手の物だった、どんな状況でも伊織は笑顔を作ることが出来る。 苦渋に満ちた伊織の表情に華やかさが舞い戻る、しかしどこか物悲しい様子がそこから抜ける様子はない。 ……そのせいだろうか。 どんなに伊織が宥めようとしても、少女の体の震えは増すばかりだった。 どこか虚空を見つめたまま少女はガタガタと全身を揺らしている、見開かれていく少女の瞳を慌てて伊織は覗き込んだ。 「え、大丈夫?」 少女の様子のおかしさに伊織も生まれた戸惑いを隠せないのだろう、思わず上ずった声を上げた。 少女の肩を抱くようにと正面に回り込もうとする伊織、しかし伊織が動き出すその前にガサッという雑音が彼女の耳に入りこむ。 自身が立てた訳ではないそれが草木を踏みつける音だと判断したと同時に、伊織はすかさず背後へと振り帰った。 それは、伊織は虚空を見ているものだと判断していた少女の視線の先に居た。 暗闇の中月の光に浮かぶは、長い金髪を湛えた一人の男。 どっしりとしたその構えに、思わず伊織も息を飲む。 気味の悪いジャケット、骨をかたどったデザインのそれが男の奇妙さをも表しているようで伊織の恐怖を煽らせた。 体格の良い男の面影を隠すかのごとく長い金髪が風に舞う、隙間から覗くサングラスでは男の表情を読むこともできない。 「……」 しばし見つめ合うことになる伊織と男。 しかし、伊織の中ではこの時点で既に結論は出せていた。 この男は危険である……男の放つ雰囲気で、伊織はこの場から一刻も早く離脱するべきだと判断した。 「立って、逃げなきゃ!」 振り向き、いまだ呆然となっている少女の手を引き伊織は立ち上がろうとする。 しかしいやいやをするように頭を振るだけで、少女が腰を上げる気配はない。 どうすればいいか、伊織の焦りは募る一方である。 その間も男は、沈黙を保ったままこの少女等二人を見下すだけだった。 このまま立ち去ってくれれば。そんな都合の良い考えが伊織の頭を過ぎるが現実はそこまで甘くない。 ついに男が伊織達の方へと足を踏み出してくる、このままでは危ない、どうすれば、どうすれば。 「ひっ……いやぁ、いやぁ……おにいちゃん……っ!」 冷静さがどんどん欠けていく伊織の頭に響いた少女の声。それで伊織は、はっとなった。 そう。今伊織自身に何ができるのか、何をするべきなのか。方向性の変化した考えが彼女の頭を満たしていく。 伊織の傍らには、庇護すべき対象とも言える少女がいる。 少女は怯え、震え、何もできない状態だった。 そんな少女を置いて一人逃げるか。否、そんなこと伊織ができるはずなどない。 友人に後輩、そして誰よりも優先すべきである恋人の存在。伊織にとって仲間と呼べる大切な人達が、この島にはいた。 早く彼等と再会し、この島から逃げ出したいという思いが伊織の中で一番強いのは確かである、それも一つの事実である。 しかし、それだけを優先する程伊織は冷酷ではない。 次の瞬間伊織は勢いよく起きると、ばっと両の手を水平に広げ男の進路を断つべく立ち上がっていた。 少女を庇うため自ら前に出てきた伊織の瞳に、一切の迷いも存在しない。 ……恐怖心が拭えた訳ではないだろう、それは伊織の小刻みに揺れる両膝が物語っていた。 しかし伊織がその構えを解こうとはしない。 キッと睨みつけるように男を見やりながら、伊織は男と対峙した。 「……誰かいるわ」 「ほ、本当ですか?!」 すかさず人差し指を口元にあてながら傍らの少年に牽制をかけると、野上冴子は木の陰から前方の様子を覗き込んだ。 体格の良い長身の男に、制服に身を包んだ少女が二人。 少女はどちらも違う制服を身に着けていたが、年頃は同じ程であろう。 少女二人は座り込み、見上げる形で男を見やっているだけだが、男の風貌から遠めに見て読める状況は最悪なものしか浮かばない。 冴子は装着しているメリケンサックの確認をした後、いざという時は飛び出せるようにと自身の準備を整えた。 「!! 伊織ちゃんっ」 漏れた声は冴子の隣にて同じように茂みに隠れながら場を覗いていた少年、瀬戸一貴のものだった。 思わず一貴へと視線を移した冴子の瞳に映ったのは、驚愕に満ちた少年の表情だった。 『伊織ちゃん』、少女の形容を表すであろうそれが指し示すものを瞬時に冴子は理解する。 「……どっち?」 「え?!」 「あそこにいる、どちらかの子でしょ? 瀬戸君の友達の葦月伊織さんは、どちらの子かしら」 「えっと、あの紫と黒の制服の子です!」 移動の際一貴は知人についての情報を冴子に流していた、それで冴子もすぐ思いつけたのだろう。 すかさず答えた一貴の言う伊織の特徴を照らし合わせながら、冴子は『伊織』に判別をつける。 「了解……ん、さすがに月の光だけじゃ分かりにくいけど、全体的に暗い制服の子ってことでいいのよね。 すぐにでも声をかけてあげたいけど、あの男が厄介ね……」 そうして冴子は、改めて男の背中を見回した。 がっちりとした体つきが男の筋力を表している、それは遠めから見ても容易く判断をすることができるくらいであった。 月の光の下、男は少女二人の前で仁王立つ。その姿に隙も見当たらず冴子は小さく舌を打つ。 と、ここでふと冴子の脳裏に何か閃くものがあった。 それは微かな情報であり、冴子の中にあるおぼろげな記憶では言葉には表せない程度のものである。 それでも、何故かその背中に冴子は何かしらの「覚え」があった。 (……何? ついこの間だった気がするわ、誰かから聞いた話だったかしら……) しかしゆっくりと溶かそうにも、曖昧な記憶の中からでは確かな情報というのは嗅ぎ取れない。 冴子は集中し、何とか事を絞り込めないかと必死に頭を動かした。 そうやって、冴子が考え込んでいる時だった。 一貴はそんな彼女の様子には一切気づかず、ハラハラと場を見つめていた。 座り込んだ少女二人といかつい体付きの男が一人、一見頓着しているように見える場だが伊織達が危険な立ち位置にいることに変わりはない。 飛び出して行きたいという思いが一貴の中に全くないわけではないだろう、だがここで軽率な行動を取り事態が変な方向に移ってしまうことを一貴は恐れた。 今一貴自身に何ができるのか、何をするべきなのか。一貴はその案を思いつくことが出来ずやきもきしながら、ただただ見守ることしか出来なかった。 と、その時もう一人の少女を庇うかのように伊織が一歩前に出る。 両手を開き、男の進路を塞ぐような形で伊織はその場に君臨した。 伊織が標的になる可能性はこれで一気に増したことになる、一貴は慌てて冴子へと目をやり彼女からの指示を仰ごうとした。 しかし先ほどから固まったままの冴子は、一貴の視線に気づかないのかただじっと前方を見つめながら押し黙るだけだった。 ……ゆっくりとした歩みで男が動き出したのは、それからすぐのことだった。 縮まっていく伊織と男の距離、二人がぶつかり合うのにそう時間はかからないだろう。 どうすればいいか、冴子から指示は与えられない、そうこうしている間にも男はどんどん伊織へと近づいていっている。 ……一貴の我慢が限界を迎えるのに、そう時間はかからなかった。 「……伊織ちゃんっ」 「?! 瀬戸君駄目よ、短絡的にならないで!!」 小さく叫び、一貴は決意を心に練りこむと同時に隠れていた茂みから飛び出した。 気づいた冴子がその場で制止の声を上げるが最早それは届かない、既に一貴は三人の男女の下へと駆け出している。 その手にはナイフが、一貴に支給された武器であるスペツナズナイフが握られていた。 「伊織ちゃんに何する気だああああああああぁぁ!!」 ナイフを振りかぶりながら大声を上げ、一貴は男の注意を引こうとする。 あまりにも目立つ行為、金髪の男以外にも伊織、そして伊織が庇っていた少女も同時に一貴へと目線を向けた。 「せ、瀬戸くん?!!」 伊織の声、いつもは耳に入るだけで甘酸っぱい思いに包まれるそれを無視して一貴はナイフを振り上げる。 ナイフが振り下ろされるまで五秒にも満たないだろう、一貴は無我夢中で走りながらナイフを男へ…… 「ぐぎっ」 まるで、人間のものとは思えないもの。しかし確かに人が発した声だった。 それが自身のものだと一貴が気づくのに、そう時間はかからないだろう。 一種の浮遊感、肌を裂く風の勢いを感じると同時地面へと叩きつけられた様な感触を得た一貴は口の中に広がっていく血の味に酔いそうになっていた。 細められた一貴の瞳が映す世界、そこに君臨するは裏拳を放ったであろうポーズをとる金髪の男が一人。 ああ、この男に殴られたのだと。次の瞬間一貴は既に理解できていた。 「瀬戸くん!!」 伊織の声、ずっと会いたかった愛しい彼女は今一貴の目の前にいた。 しかし一貴は体を動かすことが出来ないでいた、受けた体のダメージというよりも精神的負荷が大きいのかもしれない。 無我夢中になっていた一貴の体に、この段階で震えが走る。 溜まっていた緊張感が放出されてしまったのだろう、己の情けなさに一貴は泣きそうになった。 そんな一貴の視界に、こちらへと駆け出そうとする伊織の姿が映し出される。 一貴は男の足元に転がっていた、伊織が一貴のもとへ向かうにはあの男の横をすり抜けなければいけなかった。 その危険性に、一貴の鼓動は一際大きく鳴り響く。 (ダメだよ伊織ちゃん、こっちに来ちゃ……っ) 口に出したい、声に出したいという一貴の願望は叶わない、大きく切れてしまった口内のおかげで一貴はまともに声を出すことができないでいた。 だが予想外と言うべきか、男は伊織が彼の横をすり抜ける際彼女に対し何の手出しもしなかった。 男の真横を過ぎる伊織、一貴と伊織の距離がゼロに近くなっていく。 一貴は、心の中でひたすら彼女の名前を呼んでいた。 先ほどまでの恐れが掻き消える、大切な存在が目の前まで近づいてきたという現実が一貴の思考を麻痺させた。 あと数歩。伸ばされた伊織の手に触れたくて、一貴は震えの残る左手をゆっくりと彼女の方へと差し出そうとした。 「い、いやああああああああああああ!!!」 鮮血が飛んだのは、その時だった。 * * * 口内でガチガチと鳴り響く、それは少女の歯が奏でるリズム。今、彼女の脳はそれで満たされていた。 赤木晴子。最愛の兄の惨殺された死骸を見せつけられ、弄ばれ、少女は絶望に陥った。 自ら死を選ぼうにも戸惑いは拭えず、それが中途半端な覚悟だと自覚させられることも晴子の精神を傷つけた。 首に走る躊躇い傷が痛む、しかしそれは「彼女」のおかげで大分軽減されていた。 彼女は、自分の名を「葦月伊織」と名乗った。 何だか晴子も聞いたことがあるような名前だったが、それを思い出すことはできなかった。 暖かい笑みを湛えた伊織は尽きっきりで晴子を慰め続けてくれた、口に出すことは出来なかったがそれは晴子にとっても救いとしか表せなかった。 首に巻かれた、タイが熱い。それが伊織の優しさだった。 ありがとう、その一言を告げたくて晴子は落としていた視線を上げる。 ……伊織は何か考え込んでいるようだった、眉間に寄せられた皺が丹精な作りの顔に闇を落としている。 どうしたのだろうか、晴子が不思議に思った時であった。 顔を上げた晴子は、隣にて座っている伊織の向こうに一つの影を見つけることになる。 いや、影と表すべきではないだろう。少なくとも、月の光に反射するその長い金髪はこの暗い森の中でもかなり目立つ存在であった。 目を奪われる、その美しさに晴子は見惚れそうになる。 だが、次の瞬間確認できた金髪の持ち主である男の表情……サングラスに覆われているため目は確認できない、それでも硬く口を閉じ堂々としている男の雰囲気に晴子は寒気が隠せなかった。 「ひっ」 自然と漏れる掠れた声、晴子はそれでも男から目が離せなかった。 離した途端に男がどのような行動に出るか、それを想像するだけで晴子の思考はマイナスのものしか浮かんで来ない。 伊織が何か口にしている、しかし晴子は答えられなかった。答えられる余裕がなかった。 口内でガチガチと鳴り響く、歯の奏でるリズムが晴子の脳を満たしていく。 そこにある純粋なる恐怖、フラッシュバックする兄の死の光景に晴子は大きく目を見開いた。 (私も……死……ぬ…………お兄ちゃん……みた、いに……) 「立って、逃げなきゃ!」 誰かが何かを口にしている、だがそれを晴子の耳は言語として捉えることが出来ないでいた。 先ほど、晴子は自ら命を絶とうとした。 彼女の絶望は大きく、そのつらさから逃げるためにと晴子は自身に支給された包丁を自分の首へとあてがった。 しかし伊織のおかげで、晴子は自身を取り戻しかけた。 あの時の晴子には死ぬ覚悟はあったが、死ぬ勇気がなかった。 今の晴子はどうか。 精神的には落ち着いてきたはずだろう、だが今の晴子は……勇気はおろか、覚悟さえも希薄になっていた。 「死ねなかった」という事実が、晴子の弱さである。 それは逆に、「死にたくない」という晴子の内に隠されている人間の本能を刺激する。 晴子は混乱していた、友好的なムードの全くない男の登場で癒されかけた心にひびが入る。 殺し合いが強制されるこの島にて、疑うべきは全ての他人である。 生き残れるのはただ一人、そのために自らの手を汚す者がいてもおかしくはない。 いかにも力があるように見える筋肉の隆起は、男の着る気味の悪いデザインのジャケットの上からでも確認できる。 男の放つ相手を萎縮させるような雰囲気、サングラスで隠された冷たい表情、たくましいとしか表せない体格。 男の手は、両手ともズボンのポケットにしまい込まれていた。 では、その手がポケットから出された時一体何が出てくるのであろう。 銃? ナイフ? いくつも成り立つ憶測に晴子は頭がクラクラとしていくのを感じた。 死にたくない。 それは、間違いなく恐怖という言葉で表される激情だった。 死にたくない。 しかし死ぬ可能性など誰もが持ち得ている。 死にたくない。 いや、死んで楽になりたいと晴子も一度は願ったのだ。 なら、死んでもいい? 「ひっ……いやぁ、いやぁ……おにいちゃん……っ!」 晒された、晴子の大好きな兄の生首。 親しみのあるバスケ部の顧問は、躊躇なくそれを投げ打った。 放たれたシュートの描く軌跡、薄く開かれた兄の瞳が晴子の頭から離れない。 瞬間、その生首が自分のものに置き換えられる。 それは想像させるだけで晴子の涙腺を破壊した。 そしてそれが、傷ついた晴子が受け入れかけた現実の許容範囲を突破した瞬間だった。 * * * 「い、いやああああああああああああ!!!」 嬌声、場に響いたそれと同時に伊織の前進は止まった。 手を前に伸ばしながら地に落ちていく伊織の姿、言葉を発さなければ瞬きもせず一貴は目の前の光景を見つめていた。 手が、届かなかったということ。 もう少しで触れる所だったのに、何故か伊織の足は止まったということ。 「いや、いや! ぅあああああああああああああ!!!」 伊織の足は止まったが、少女の嬌声は止まらない。 聞き覚えのないその声の持ち主は伊織が庇っていた少女のものだった。 少女は喚きながら、ひたすら自分のデイバッグの中身を四方八方に投げつけていた。 全てをぶちまけ終わると、今度は頭を抱えてその場で小さく丸くなる少女。 「……ぃやぁ……死に……たくなぃぃいいぃぃ……」 こもったような声、しかしそれが少女の全てを表しているのかもしれない。 全身麻酔がかかったかのように身動きが取れなかった一貴の体はいつの間にか回復している、ゆっくりと半身を起こすと一貴はずりずりと膝を擦りながら倒れた伊織のもとへと近づいていった。 そこには、何故かじんわりと広がっていく赤い泉が形成されていた。 「瀬戸君!」 背後からの声。一貴が振り返ると、やっと追いついてきたのか真後ろにてこちらを見やる冴子の姿が目に入る。 応急処置を、そう口にして自らのジャケットを脱ぎながら冴子は一貴の横に膝をつき倒れる伊織を見下ろした。 「ぁ……」 伊織の声、弱々しいそれに一貴の心臓がドクンと大きく鳴る。 自らのジャケットを伊織の背中に添えながら、冴子はそれを引き抜いた。 ……赤く、赤く染まっていく冴子のジャケットから一貴は目が逸らせない。 冴子の右手には包丁が、銀の刃が光っている。 視線を伊織へと戻す一貴、冴子が何やらもぞもぞとやっているが一貴はその行為をどこか遠い世界で行われているようなものに感じていた。 何が、起きたのか。 自身の頭に手を沿え、一貴はゆっくりと場面を思い起こそうとする。 駆ける伊織の足が止まる、それは伊織の庇っていた少女が悲鳴を上げるのとほぼ同時だった。 少女は自分のデイバッグに入っていた荷物をひたすら周囲に投げつけてた後、自分の殻にこもるかの如く丸くなる。 今でもそうだった、自分以外の存在を近づけさせないためにとった行為なのかもしれないという憶測は容易く成り立たせることが出来る。 伊織の背中には一丁の包丁が刺さっていた。 伊織は、あの男の前を通り過ぎた後倒れた。あの男にやられた? ……違う、男はずっと両の手を自らのズボンのポケットに入れたままだった。 見上げる一貴の視線の先、男はまだ変わらぬ様子でその場に立ち尽くしているだけだった。 ふと、サングラス越しの男の目が一貴の方へと向けられる。 「……」 「……」 お互い、しばしの間無言で見つめ合う一貴と男。 興味無さそうに顔を背け、一人場から去っていく男の背中を一貴は止めようとは思わなかった。 少なくとも、この男は今関係ないと。一貴は、そう判断したからである。 変わりに視線をずらし、あの今もまだ丸くなったままの少女の姿を一貴は見つめた。 伊織の背中には一丁の包丁が刺さっていた。 駆ける伊織の足が止まったのは、伊織の庇っていた少女が悲鳴を上げるのとほぼ同時だった。 少女は自分のデイバッグに入っていた荷物をひたすら周囲に投げつけてた後、自分の殻にこもるかの如く丸くなる。 少女のデイバッグに入っていた荷物とは、水に食料などこのロワイアルに巻き込まれた参加者全てに共通して配布されたものである。 一貴のバッグにもあった、しかし一つだけ「共通」ではない支給品があった。 ランダム支給品。一貴が引き当てたスペツナズナイフのように、この少女に与えられたものが伊織に突き刺さった包丁であるならば。 疑問という名の氷は、瞬時に溶けきることになった。 「瀬戸君、ごめんなさい……」 名前を呼ばれ振り向く一貴の目に入ったのは、悔しそうに唇を噛み締める冴子の姿だった。 何故、冴子はこのような表情をしているのか。 「……せと……く、ん……」 か細い伊織の声、伊織は冴子に膝枕をされる形で横たわっていた。 真っ赤に染まったジャケットからは血が滴り落ちている、それが冴子の「ごめんなさい」の意味なのだろう。 「い……葦、月」 薄く開かれた伊織の瞳を覗き込むように、一貴は屈み込んだ。 光の見えない濁ったそれから、普段の彼女の愛くるしさは読み取れない。 「せと……く、ん……」 伊織の声、一貴は妙に冷めた気持ちでそれを聞いていた。現実と認識できなかったのかもしれない。 彼女が何故こんな目に合わねばという不条理さ、ふつふつと湧き上がる静かな怒りが一貴の中を満たしていく。 「死に……たく……ない……よぉ……」 「葦月?」 零れる伊織の涙を指で拭うと、一貴は彼女の手を握り締めた。 さっきは届かなかった伊織の柔らかい手、暖かくすべすべとした手触りに一貴の胸はせつなくなる。 現実とは認識できなかった、でも実際伊織の命は一貴の目の前でその灯火を消す寸前まで弱りきってしまっている。 少女が適当に投げつけた刃が、そんなにも深く刺さってしまうものなのか。 距離は……確かに、そこまで開いていない。 でも、何故。これは偶然なのか、恣意的なのか。それすらも一貴は分からなかった。 ただ、分かるのは。 「よし……伊織、ちゃん……?」 死にたくないと呟く少女が苦しそうに咳をする、吐かれたのは膨大な量の血液だった。 伊織の手と繋いでいた一貴に手にも血液がかかる、一貴はそれを避けようともせず真っ向から浴びた。 暖かい。だが、吹き抜ける風が瞬時に冷やして温度を消す。 それでも、一貴の握り締める伊織の手はまだ暖かかった。 暖かいうちは大丈夫。 生きている。死んでいない。 死なない。 「伊織ちゃん……死ぬわけ、ないよ……だって、こんな、さ……ありえない、だろ……」 現実と認識できない、現実。 一貴の目から涙が零れることはなかった、ただカラッカラに渇いた喉の痛みが一貴にそれを強要する。 泣けと。大好きなあの子が死んだのだ、悲しみに伏せ泣き喚けと。 しかし、一貴は泣かなかった。 泣いたら、それは認めてしまうことになる。 ――伊織が死んだと、認めてしまうことになる。 「思い出したの……神崎狂よ」 動きを止めた伊織の髪を指で梳きながら、冴子は言葉を紡ぎだす。 一貴は微動だにせず、ただ音としてそれを耳にした。 「私の判断ミスだわ、あの男がこれだけ危険な男だともっと早く気づいていれば彼女をこんな目には……」 目を伏せ、伊織の髪に触れていない方の手を冴子はきつく握り締める。 ごめんなさい、瀬戸君。もう一度そう呟き、冴子は一筋の涙を流しながら語った。 警察でもマークを徹底していた覚醒剤常習者、神崎狂。 冴子が直接の担当に回ることはなかったが、それでも噂だけは警察署内でも充満していた男のことを。 ぼーっと霞みそうになる意識の中、一貴は何故このタイミングで冴子があの男のことを話し出すのだろうと考えた。 「そうね、もう何を言っても遅いのかもしれないけど……奇襲をしかけてあいつを殺してやるぐらいの勢いがなくちゃ駄目だったのよ……。 あんな犯罪者をのさばらせた結果がこれなんて……この子が、浮かばれないわよ……」 冴子は一人、悔しそうに言葉を吐いている。 ……冴子が何か勘違いをしている、そう気づいた一貴はゆっくりと顔を上げ冴子の横顔を見た。 怒りに染めたその表情に初めて会った時のようなクールな面影はない、しかし冴子の認識している現実の間違いだけは修正しなければと今度は一貴が口を開く。 見る角度に問題があったのかもしれない。確かに伊織は神崎と冴子が呼ぶ男の横をすり抜けた後倒れたが、神崎の手が両ポケットに入ったままであることを確認していないと誤解も生まれてしまうだろう。 あの男が伊織を手にかけることなど物理的に不可能だった、それは一貴も保障ができる証拠でもある しかし。 「瀬戸君、何を言ってるの?」 一貴は、自分の血の気がさーっと引いていくのを自覚した。 己の目で見た現実を一貴は冴子に細かく説明した、相変わらず喉は掠れたままで長く喋るのはきつかったがそれでも一貴は丁寧に離した。 だが、冴子がそれを受け入れようとする様子は皆無である。それは一種の思い込みであった。 また神崎がナイフの使いに長けているという事実が、冴子の憶測を彼女自身の中で確定次項にまで昇らせていた。 事は既に過ぎてしまったことである、今更詳細の確認などできない。 一貴には一貴の、冴子には冴子の持論ができてしまい会話は平行線になりかける。 ……もし普段の冴子であれば、そのような軽率な判断を下さなかったかもしれない。 だが彼女の中には後悔があった、目の前で見殺しにしてしまった未来のある若き少女の存在が冴子自身を焦らせていた。 そして、ずっと考えていた「神崎狂」という男の存在。 焦りは唐突なる結論を突きつける、そして冴子の下したモノにいくら間違いがあっても。 今の彼女に正常な判断をつけることは、厳しいとしか言いようがなかった。 冴子から向けられる疑念の眼差し、その気分の悪さに一貴は吐きそうになるが、それでもここで無意味な口論を続けても仕方ないと引き下がる。 だが、押し黙った一貴に冴子がかけたのは、あまりにも残忍な響きを持った言葉だった。 「少し騒ぎすぎたかもしれないわね、場所を移したいわ。瀬戸君、あの女の子をつれてきてくれないかしら」 「……野上さん? 俺言いましたよね、あの子が……あの子が伊織ちゃんを……」 「瀬戸君、いい加減にして欲しいわね。……神崎を庇っているつもりなの? 怯えて固まってる、あの子を犯人に仕立てようとするなんてどうかしてるわ」 「野上さん!!」 聞く耳を持たないといった冴子の態度に、一貴の我慢も限界を迎える。 ついには大きな声を上げてしまう一貴だが、それでも冴子はクールに彼の言葉をかわした。 ……伊織の前でこんな口論を続けなければいけないなんて。 申し訳ない気持ちで一貴は泣きそうになる気持ちを抑えられなかった、しかし冴子にはとりつく島もなく一貴のフラストレーションは高鳴る一方となる。 確かに冴子は凄かった、刑事だという雰囲気も相成り彼女の頼もしさは一貴にとって安心感以外の何物でもなかった。 しかしそれでも、いくら頼っていたとはいえこのように無下な扱いをされる謂れは一貴にも微塵もなかった。 「俺の……俺の話を、もっとちゃんと聞いてください!!」 小さく溜息をついた冴子が、呆れた表情で一貴を見やる……その表情は驚きのものに一瞬変化するが、それでもいつもの余裕なものに戻るのに時間がかかることはなかった。 「またそれ? 瀬戸君、最初会った時も同じことしたわよね。……で、それでどうするのかしら。 もうちょっと頭を使って欲しいものね、私を脅す気?」 呆れた口調で振るいにかけようとする冴子。 彼女の視線の先、一貴は冴子を睨みつけながらスペツナズナイフを構えていた。 その切っ先は冴子に固定されている、冴子の態度が一貴の許容範囲を上回った結果彼はこのような強行に出てしまった。 もっと自分の意見も尊重して欲しい、一貴はただそれだけを望んだ。 脅しではあるが、一貴はこれで少しでも冴子の態度が変わってくれればと薄い望みをかけていた。 「伊織ちゃんの前でこんなことさせないでください、野上さん俺はただ……」 「後にしましょう、瀬戸君。今はここから離れたいわ」 「野上さん!!」 冴子の聞き分けの悪さに一貴はだんだん悲しくなってくる、ナイフを握り締める手にも思わず力が入ってしまった。 その時だった。 柄の上部にあったひっかかり、一貴は勢いでそれを押してしまっていた。 一貴が自覚した時にそれはもう放たれている。一貴は、それを呆然と見やることしか出来なかった。 放たれたモノ、それは冴子の額に突き刺さる銀色の刃だった。 瞬間噴出す血と共に冴子は後方にどっと倒れる、その膝の上ではまだ伊織が寝たままだった。 どさっと冴子が地についたと同時に、風の掻きたてるもの以外の音が場から消えた。 一貴は、そっと自分の手の中におさまっているはずの自身に支給されたナイフを見つめた。 そこには柄しかなかった。 月の光は少々引き、薄暗さも大分ましになった時刻。 残されたのは上半身に冴子の血液を浴びた一貴と、丸くなったまま小さく嗚咽を漏らす晴子だけだった。 ――あの場から既に離れていた神崎が、後に起こったことを知りうることはない。 ただ馬鹿らしいと、神崎は彼等に対し一切の興味も持たず今も一人黙々と山道を進んでいる。 神崎の中、じわじわと胸の奥からせり上がってくるのは多くのドラッグを使用したことによる副作用だけではないだろう。 胸の疼きを消すことが出来るのは、神崎の宿敵である日々野晴矢を討ち取るとこのできた後のみだった。 神崎は自身の欲の追求のためだけにただその足を動かしている、だがそれは彼自身しか分からない彼の「思い」である。 ――神崎があの場に残っていれば、もっと違う未来になったかもしれない。 零れた雫は一貴が流したものだった。 認めなければいけない現実を前に、一貴は重なり合う二つの死体を見つめていた。 【E-05/神塚山山中/一日目・午前4時30分過ぎ】 【女子01番 赤木晴子@SLAM DUNK】 [状態]:精神的に不安定、自分の殻にこもってしまっている・首に切り傷(伊織のタイが巻かれている) [装備]:なし [道具]:なし [思考]:1.何も考えられない [備考]:支給品全てを周囲に投げ捨てている 【男子20番 瀬戸一貴@I s(アイズ)】 [状態]:呆然 [装備]:スペツナズナイフ(柄のみ) [道具]:支給品一式 [思考]:1.呆然 [備考]:神崎狂の情報を知っている 【男子09番 神崎狂@BOY】 状態:健康 装備:なし 道具:支給品一式(※ランダムアイテムは不明) 思考:1.日々野と決着をつける 【女子10番 野上冴子@CITY HUNTER 死亡確認 】 【女子16番 葦月伊織@I s (アイズ) 死亡確認 】 伊織の支給品一式(ランダムアイテム未確認)は死体傍に放置 冴子の支給品一式は死体傍に放置、メリケンサックは装着されたまま 晴子の包丁も二つの死体の傍に放置 【残り47人】 投下順 Back Men in Black Next 前途多難、支離滅裂そして会者定離 時間順 Back Men in Black Next 前途多難、支離滅裂そして会者定離 護るべき者のために 野上冴子 死亡 護るべき者のために 瀬戸一貴 もう一度君に 銀色の刃 赤木晴子 もう一度君に 銀色の刃 葦月伊織 死亡 闇に抱かれて… 神崎狂 臥薪嘗胆不倶戴天
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543 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/11/28(木) 22 02 11.54 ID AnBSbVF50 ネットでもリアルでも図々しい奴って割といるよなー… 前いた鳥取の奴にもえらい図々しいのいたわ ・RP押し付け ・長ったらしいシナリオ作ってきて強制参加させる ・GMが持ってるのが義務だと他人がGM時にサプリまで全部買わせる ・自分は会場まで遠いからと電車賃分会場費を安くしろとごねる これだけのことやっといて注意したら 「TRPGプレイヤーってのは多かれ少なかれ図々しい部分はあるんだからこれくらい許容範囲だ」 って言って来てさ 何で俺らの許容範囲お前に決められなあかんのやと 544 名前:ゲーム好き名無しさん[] 投稿日:2013/11/28(木) 22 42 32.49 ID FyTkZ9pm0 それもう図々しいってレベルじゃないだろww 548 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/11/28(木) 23 57 56.68 ID N+qs6CJR0 505 ガイギャックス!ガイギャックス!! 543 ずうずうしいっていうか、それ単なるストレス発散の対象にされてるだけやん スレ367
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髪型・衣装変更 ⭕️ 女装・男装 ⭕️ 性別変更 ❌ 獣化・人化 ⭕️ 半裸(微エロ) ⭕️ 流血・青あざ(微グロ) ❌ パロディ・ギャグ ⭕️ R18エロ ⭕️ R18グロ ❌ メモ書きですん。 ファンアートは #てれみあーと、イラスト以外の出来事は #てれ屋さん、 R-18アートは #深夜のてれみあーと を使ってください!
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107 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/04(水) 22 09 37.18 ID cB09ao270 俺の思い通りのキャラを作らないと却下します、ただしどういうキャラを作ってほしいかは言わないから察してね。ってことですか 111 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/04(水) 22 20 20.60 ID bb4RhMCz0 [2/5] 107 そういうGMと卓囲んだことあるけど、そうそういない思考だと思うしまさか同一人物… 112 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/04(水) 22 23 00.22 ID KnVkwjmr0 [2/2] 困GM「みなさんが私の望みどおりのキャラを作ってくれるまでX時間かかりました」とかそういう? 114 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/04(水) 22 38 13.09 ID bb4RhMCz0 [3/5] いや、PCのデータとか設定見てまず先に否定から入る奴な訳よ 「いやこれは」とか言っちゃって。 じゃどういうキャラなら良いんですか?どこまで許容できるんですか?って聞いたら 「許容範囲を言ってしまったらリミットいっぱいで作られるから嫌です」と言う。 「却下されたくなければPL側で設定なりデータなりに自分でブレーキをかけろ」と言う主張を言われて ショートキャンペーン1本参加したけどストレスしか感じなかった 43が言うように説明不足な事が多くてハンドアウトも苦手と言って作って来ない。 その上シナリオは一本道かつ脳内当てなんで正解を導き出すまで別方向からクリアができない。 何せすぐ「そんな方法は考えていなかったので却下」とか言い出すから。 辛うじて戦闘のバランスだけはそれなりのものだったので俺的にはまだ何とかなったけど 戦闘バランスも散々PCのデータ却下した上で、こっちで丸く作ったから収まってるんだろうから そういうの無しでぶつけたら絶対ムギャオるだろうなという確信に似た何かまである。 ちょっとしか卓を囲んでない俺が分かるくらいだから長期間同じ鳥取な人たちはマジお疲れ様よ スレ368
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出会い さてそれじゃあ、クリスマスツリーに、飾りを追加してくるとしよう。…なんだと言われても、見ての通りだ。王将、飾りには丁度いいだろう? マイページ 通常 一緒に、飾り付けを手伝ってくれないか? あとは、クリスマスツリーの仕上げだけだ。 ハシゴを持っていてくれると助かるよ。 これ? これは、ツリーの頂上に飾るんだ。 王将が上にあると、丁度よさそうだろう? 登校 朝 今日の予定? うちのイベントに参加するくらいかな? おお、随分と大きなクリスマスツリーを用意しているな。 さすがに更衣室は混んでいるね。将棋でもして待とうか? プレゼントに欲しい物? 将棋に付き合って欲しいかな。 クリスマスソングを聴きながら指すのも悪くないかな。 昼 この飾りがライトアップされたら、綺麗なんだろうな。 食堂の飾り付けも、クリスマス仕様になっていたよ。 私の足元が気になるのかい? 寒さなら大丈夫だよ。 クリスマスツリーに王将の飾りは変? そうかな? [苗字]も好きな物をツリーに飾ってみたらどうだい? 夜 クリスマス会も終わりだな。さて、片付けでもしようか。 王将の飾りが欲しい? これなら、いくらでもあげるよ。 送ってくれる? 申し訳ない気もするが、いいのかい? 今夜の予定? 帰って詰将棋をするくらいかな? 町の飾りも綺麗? ふむ、それなら遠回りしてみるかい? アルバイト アルバイト代でクリスマスプレゼントを? 気持ちだけでも十分なんだがね。 好感度レベルアップ 飾りつけをしてくれるのかい? じゃあ、これを付けるから、支えていてくれるかい? 好感度MAX おかしい?そうか?別に、いいと思うのだけどなぁ。…ほら、あのツリーをよく見てみろ。達磨とか提灯とかもついてるじゃないか。それなら別に、王将飾ってもいいだろう?許容範囲というものだ。どうせ楽しく騒ぐためのイベントだ。それならあまり細かいことは言わずに、楽しめ。それがうちの流儀だぞ? デート 約束 当日 ボス戦 開始 [苗字]とクリスマスを過ごすと約束しているんだ。連れていくのはやめて欲しいね。 勝利 これで約束を果たすことができるな。安心したよ。 敗北 一緒にクリスマスを過ごすと約束したのに… すまなかったな。 バトル 開始 一緒に勝利を飾ろうか。 声援 楽しんで、勝ちに行けよ 勝利 敗北 タッチボーナス では、これを 覗くんじゃないぞ? いいと思わないか?
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05/26 01 52 藤堂 弥紗(ka00890)♀ 21 歳 陰傀 需要ないかもしれないけど、一応報告しておくわーですの。 機巧について、もし同じ事を思った人がいるなら参考にしてくれですの。 Q:機巧[獣]に関しては、必ず犬の外見でないといけないのでしょうか? A:NO。解説内に詳しい形状に関する言及がないものについては、アイテム分 類の範疇から外れなければ形状はある程度自由です。 また、申し訳ございませんが、機巧の解説につきましては現在は正しい形で はありません。 特殊能力欄に機巧の解説が表示されるのが正しい形であり、これにつきまし ては是正させていただきます。 しばらくお待ちください。 Q:機巧[獣]自体の大きさが同じで、外見のみ猫、狐、狸などの小動物はアリでしょうか? A:YES。上記で解説したとおりとなりますので、機巧[獣]であるので獣と いう分類の範疇であれば外見は自由です。 Q:機巧[裁縫]に関しても同様で、必ず熊のぬいぐるみでないといけないので しょうか? A:YES。これにつきましては解説内で形状についてテディベアという詳細な 解説がありますので、固定となります。 機巧[獣]は、解説に哺乳類、四足獣と書かれているからその範囲内ならOK、という事で、 機巧[裁縫]は、解説に典型的なテディベアと書いてあるので別のモノに変えるのはアウト、という事ですわね。 以上、報告終わりーですの。
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これは、二回目の放送が始まる前の出来事。 ウタが、とにかく今は身体を取り戻さなきゃと、行動を開始して直ぐのことだった。 轟音が響いた。 彼女のすぐそばで、巨大なモノが倒れるような大きな音が。 彼女が察したのは、既に戦闘が始まっていることと、その下手人が強力な力を持っているであろうこと。 ウタはシャンクス達と航海していたからよくわかる。 モノをぶって音を鳴らすのと壊して音が鳴るのではまるで違う。 破壊ということは対象のモノの耐えられる力を越えられるということであり、ただ道具なり素手なりでぶって音を響かせるのとは比べ物にならない。 彼女の脳裏に過るのは逃走と停滞。 逃走。 ウタには戦闘経験がない。あるのは、ウタウタの実に支配されているウタワールドでの絶対的な優位での蹂躙か、幼い頃のルフィとの子供じみた小競り合いくらいである。 いま、この会場にはそれらのような身の安全を保障されるものがどこにもない。 なにがなんでも身体を取り戻そうと決めているウタにとっては、ここで要らないリスクを背負う必要はなく、即座に逃げるのは決して間違いではない。 停滞。 ウタという少女は、人の死を許せない。 生死観こそ常人と異なれど、敵味方関係なく、目の前でたった一人でも瀕死になれば大いに動揺し冷静さを欠いてしまうほどに。 それは元来の性格か或いはかつてのトラウマか。 答えを知る者はいないが、誰かが争っているのであれば命を落とす前に止めたいという想いが足をその場に縫い留める。 逃走か。 停滞か。 その戸惑いが、彼女の足を止め、これからの運命をも変えてしまう。 ほどなくして、彼女の前に男が現われた。 その姿を視界に映した瞬間、ゾワリと全身の産毛が逆立ち肌が粟立つ。 現われた男は、巨大だった。 質実剛健を体現するかのような静謐な髭と顔立ち。 ウタの知る中でも大きな体躯の持ち主、ハウリング・ガブを優に超える巨体。 右手には湾曲した鉈のような大剣。 左手には刺すことに特化した巨大な三叉矛。 全身から放たれるプレッシャー。 その全てが見る者を萎縮させ、敬服を誘発させる。 だがそれ以上に。 ウタの目を引き付けるのは———隠すことなく曝け出された、股間のデッケェ『フルチン』である。 (うわ、スッゴ...でっか!!) 重力に従い頭を垂れるソレは、まだ彼が微塵も本気を出していない証左。 にも関わらず、幼き頃に男所帯の中で過ごしてきたウタの知る中でも最も大きなソレは、年頃の娘相手にも威厳を醸し出し、悲鳴をあげるという選択肢すら奪い去る。 「娘」 「へっ、あっ、なっ、なに?」 頭上よりかけられる声に、ウタはハッと我に返る。 「私は...上弦の壱『黒死牟』...貴様も...名を名乗れ...」 「あっ、えっと...あたしはウタ。映像電伝虫であたしの歌とか聞いたことないかな、ほら、新時代とか...」 「知らん」 ばっさりと切り捨てられたことにシュンと気持ちが萎えるウタ。 一方で、男、黒死牟は彼女を見て一考する。 (この娘...上弦という肩書にも反応はしなかった...鬼殺隊でもなければ...鬼でもないか...) 黒死牟はこの殺し合いに乗っても構わないと思っている。 だが、参加者が全員肉体と精神を入れ替えられているとのことから、彼は敢えて初手で斬りかかることはしなかった。 主たる無惨までもが巻き込まれ、己よりも脆弱な肉体を与えられている可能性を考えていたからだ。 万が一にも初手から斬りかかり、もしそれが無惨であれば、己の主を手にかけることになる。 そんなことになれば目も当てられない。 また、もしも鬼殺隊の面々であれば、上弦の鬼である自分に闘志を燃やし少しは楽しい戦いができるかもしれない。 だから、こうして踏み絵の如くまずは名乗りから入ることにしたのだ。 では、無惨でもなければ鬼殺隊でもない相手にはどうするか? 決まっている。 「剣を抜け...小娘...」 戦い屠るだけだ。 「ッ...!」 「ここは殺し合い...然らば...当然だろう...」 「あんた、殺し合いに乗るの!?」 「戦は嫌いではない...勝たねば帰れぬのなら...避ける謂れも無し...」 これ以上の言葉は不要、と言わんばかりに黒死牟は右手の大剣を頭上に振り上げる。 ただそれだけの動作で、ウタは己の死を予感させられる。 間違いない。 ここで動かなければ、この大剣は容赦なく自分を両断する。 わかっている。 わかっているのに、ウタの身体は震えるだけで動いてはくれない。 殺意。 ウタという少女は、大波乱の大海賊時代に産まれながらも、今まで誰にも高濃度な殺意を向けられたことがない。 幼き頃の航海中の海戦では、現場を目撃しないようにシャンクス達に大層大事に船室へ避難させられ。 エレジアでのトット・ムジカによる住民虐殺中には彼女は気を失っていて。 ライブに乱入してきた海賊たちからは景品扱いであり、且つウタワールドの中であるため命の危機には程遠く。 現実世界での海軍たちも、世界の歌姫という立場もあってか、まだ威嚇で済ませる程に手心が加えられていた。 そんな彼女の身体には、怒りもなく憎悪も無い、純然たる殺意と突きつけられる死の未来は重すぎた。 大剣が振り下ろされる。 動けない。 切っ先が迫ってくる。 目を瞑り現実から逃避する。 剣が彼女の髪の毛に触れ 「ドラァッ!!」 叫びと共に甲高い音が鳴り、黒死牟の身体が後方へと弾かれ、ウタは思わず尻餅を着いてしまう。 「間一髪ってのはこういうことを言うんだろうなぁ~」 聞こえてきた声に、ウタは瞑っていた目を恐る恐る開ける。 目に飛び込んできたのは、ズル剥けの赤黒い肉棒ではなく、小さく青白い体躯。 「おい、大丈夫かあんた!?」 「———ッ!」 くるりと振り返れば、そのくりくりとした大きな目と小生意気なギザ歯が向けられる。 その姿、まさに子供向けにデザインされた人形。 そんな彼にウタは。 「か...」 「か?肩でも痛め———」 「かわいいいいいいいいい!!!」 今までの緊張感が嘘だったかのように、頬を緩めて抱き着いた。 「どわーッ、なんだよ急に!?」 彼———東方仗助は、ハートマークを浮かべんほどに抱き着いてくるウタに大いに困惑する。 仗助は女子生徒にけっこうモテる。少なくとも不良のようなスタイルだからって毛嫌いされることはない。 しかし今しがた命の危機に陥ったばかりの少女にこうもすり寄られるのは予想外である。 仗助は知る由もないが、今の彼の身体であるアンチョビ究極体は、女子のみならず男子にも通用する癒し体である。 つい先ほどまで残虐ファイトを披露していたアンチョビ相手にも関わず、実況解説のポー、更には対戦相手であるTボーンやコロッケですらメロメロにしてしまうほどに。 そんな可愛さの塊であるアンチョビ究極体が窮地に助けてくれたとなれば、可愛いもの好きのウタが夢中になってしまうのもさもありなん。 (い、いや、こんなかわいい子に抱きしめられるのは悪い気分はしねえけどよぉ...) 仗助は健全的な思春期男子だ。 見た目可愛い女子に触れられれば普通に喜ぶし照れながらもイイ気分になる。 だが、状況が状況だ。 「いまはそれどころじゃあねえんだ...なあ、おっさんよぉ」 ウタを腕で除けつつ、仗助は黒死牟と向き合う。 「うむ...その体躯に見合わぬ膂力...実に興味深い...名はなんという...」 「東方仗助。そういうあんたは」 「私は...上弦の壱『黒死牟』...」 「こくしぼう...イカス名前じゃあねえか。尤も、丸腰の女の子に斬りかかるなんざ、名前とその立派なモンに比べてチト女々しいと思うがよぉ~」 仗助は煽りつつ、普段の癖で櫛をズボンから取り出そうとして、そういえばいまの自分は服も来ていなければ髪もないことを思い出して止めた。 「くそっ、髪の毛セットしねえとなんか落ち着かねえぜ...おい、あんた。名前は?」 「あたしはウタ」 「ウタちゃん。向こうの小屋に俺の仲間を待たせてる...ワリィが、そいつのところに行っててくれねースか」 「...!」 ウタは思わず息を呑む。 この子は自分を助けに来てくれた。それ自体は嬉しいことで、身体を取り戻すためにも非常に助かることだ。 けれど、彼はあの男を引きつけ自分だけ逃がそうとしている。その意味がわからないほど、ウタも馬鹿じゃない。 その不安を察した仗助は、安心させるようにフッと口元を緩めて笑いかける。 「別に犠牲になろうとか思ってるわけじゃねースよ。あんたに万が一のことがあったらヤダなぁっつーお節介心が湧いちまっただけだ」 「でも...悪いよ。お互い、なんにも知らないのにこんな、危険なこと...」 「それをこれから知る為に、お互い頑張ろーぜ...って考えるのはどースかね?」 その言葉にウタはぐっと唇を噛み締める。 少し会話をしているだけでも、この仗助という子が優しい人間だというのはよくわかる。 危険を自ら引き受けて。 こっちの重荷にならないように言葉を色々と考えてくれて。 言い換えれば。 彼は自分に対してなにも期待などしていない。 当然だ。 自分が支配するウタワールドの中でもなければ、自分の身体でもない。 いまの自分はただの歌が上手いだけの女の子。 求められた役割すらこなせないハリボテの救世主。 『助けてよウタ』 『助けて』 『助けて』 『助けて』 『助けて』 今まで何度も求められた言葉が、重荷になっていたはずの言葉が、今は誰からも求められない。 あれだけ多くを犠牲にしたくせに。あれだけ多くの人に迷惑をかけた癖に。 一歩違う場所にくれば護られるだけのお荷物でしかない。 それがかえってぽっかりとウタの胸中に穴を空け、胸を苦しくさせる。 「ごめん...ごめんね...!」 ウタは今にも泣き出しそうな顔で、仗助の示した方角へと走り始める。 「...?」 そんなウタの背景など知らぬ仗助にとっては、その意味が全くわからなくて。 そして。 その意味を推し測る暇も、時間は許してくれない。 「話は...済んだか...」 「ああ。ちゃんと待っててくれるなんざ、思ったよりも律儀じゃあねーか」 「かような弱者...私が下さずともすぐに散る...然らば興味深いお前に意識を注ぐのみ...」 「...もうちっとカッコイイ理由だったらこっちも色々と考えたけどよ。あんたにゃあ遠慮っつーモンは必要なさそうっスねぇ~~!!」 黒死牟が構える前に、仗助は地を強く踏み込み地面を蹴る。 繰り出されるは、アンチョビの身体から放たれる彗星の如き高速の跳び蹴り。 「ドラァッ!!」 雄叫びと共に放たれる蹴りを、黒死牟は大剣で受け止め踏みとどまる。 先ほどは不意打ちのために留まり切れなかったが、今度は互いに認識し合ってのスタートのため、まるで違う。 仗助の蹴撃を受け止めるために必要な力はどれほどか、黒死牟の経験値ならば見極めるのは容易い。 「うおっ、と...」 飛び蹴りが止められたことで、仗助の身体が宙に投げ出される。 その隙を逃す黒死牟ではない。 左手の三叉矛が仗助の身体を穿たんとはしる。 「『クレイジー・ダイヤモンド』!!」 穂先が身体に届く寸前、仗助の身体から脚の形をした像が現われ矛を蹴り上げる。 その威力を以てして、黒死牟の体勢が崩れ、仗助もまた射程距離から離れる。 「むっ...」 「そっちが二刀流なら、こっちも『俺』と『スタンド』の二刀流でいかせてもらうぜ」 仗助の背後より人型のスタンド像『クレイジー・ダイヤモンド』が現われ、共に黒死牟を見据える。 「そんじゃあ改めて———行くぜぇ!」 地を蹴り黒死牟との距離を詰めれば、仗助とクレイジー・ダイヤモンドの両拳が同時に振るわれる。 それを迎え撃つ、黒死牟の大剣と三叉矛。 矛と仗助の拳が、大剣とクレイジー・ダイヤモンドの拳がぶつかりあい、激しい剣戟は一帯に砂塵を巻き上げ甲高い音を響き渡らせる。 剣を振り抜き、弾かれる仗助に追いつくように高速で動き、回り込む黒死牟。 仗助の身体を両断せんと大剣を振り下ろす。 が、手ごたえはなく、ただ地面を叩き土煙をあげるだけだ。 (残像...) 背後に感じた気配目掛けて三叉矛を突き出す。 迫る矛にも一切動じず、仗助はクレイジー・ダイヤモンドの腕を支柱にし宙返りをして躱し、更にスタンドに矛を抑えさせ、その隙を突き仗助本人の拳が黒死牟の鎧に放たれ身体を揺らす。 (やっぱすげえぜこのアンチョビくんの身体は!) 仗助たちスタンド使いにおいて、多くの者に共通している弱点は本体である。 本来の東方仗助という少年は戦闘での機転は優れているものの、基本的な肉体スペックは普通の人間である。 クレイジー・ダイヤモンドは確かに強力なスタンドではあるが、ソレと同じことを本体が出来るかは別問題。 例えば高速で迫る乗用車と正面から出くわした時。 クレイジー・ダイヤモンドであれば能力を使わずとも車を殴りつけるなり跳躍で躱すなりすれば対処できるが、普通の人間である東方仗助本体では抵抗しきれず最低でも手傷を負ってしまう。 スタンド使いの戦いにおいて本体スペックの差は戦局を左右するものなのだ。 だが、このアンチョビ究極体はまさにそんな弱点を補うかのような性能をしている。 オリンピックスポーツ選手を優に超える、クレイジー・ダイヤモンドにも匹敵する身体能力。 小柄な身体からは考えつかない力。 なにより、多少の傷であれば自前の能力でカバーが出来る。 つまり、いまの仗助は実質二体分の近距離型スタンドを操っているのに等しいのだ。 「うむ...反射神経...力と速さ...血鬼術染みた人形...なにより慣れぬ身体でも衰えぬ経験からくる状況判断...これほどの戦士は久しく目にかかれぬ...」 「随分と余裕こいてるが、んなこと言ってられんのもいまの内だぜぇ!」 クレイジー・ダイヤモンドと共に躍りかかる仗助。 クレイジー・ダイヤモンドと自分に対する黒死牟が互角の身体スペックであるならば、相手に攻撃をさせる余裕を与えるべきではないという判断だ。 黒死牟は迫る仗助に対し、ぽつりと呟く。 「此方も抜かねば...無作法というもの...」 刹那。 下方向から殺気を感じた仗助は、咄嗟に両腕を交差させ防御の姿勢に入る。 そして。 黒死牟の下半身が光り輝くのと同時、『そういえば俺、亀が苦手だったなあ』なんてことが脳裏を過るのだった。 ☆ 「うぅ...いきなりとか勘弁してよ、もう...」 喜多郁代は、アンチョビの皮を被りながら小屋の隅で膝を抱えていた。 仗助と情報交換をしてほどなくして、なにかが倒れる音が響き渡り、仗助は様子を見てくると郁代を小屋に押しやり向かってしまった。 郁代としては一人残されるのは不安なので、向かってほしくなどはなかったが、万が一にも知り合いが荒事に巻き込まれていたらイヤなので、早く済ませて戻ってきてほしいと願うばかりだ。 (気のせいかまだ音が響いてるし...まさか、本当に殺し合いが...) 郁代の不安を遮るように、ゴンゴンゴン、と扉を叩く音が鳴る。 「東方くん!?」 郁代は不安から解放されたかのようにパァッ、と頬を緩め顔を上げる。 「ごめん、ここに仗助って子の仲間いる!?」 しかし現れたのは仗助ではなく、幸薄な雰囲気を醸し出す天使のような美少女だった。 「えっ?だれ!?」 「あたしはウタ。さっき仗助って子に助けられて...って、お化けぇ!?」 ギョッと目を見開くウタに、郁代は慌てて否定する。 「ちっ、違うよー!ほら、にんげんだよ、にんげん!」 被っていたアンチョビの皮をめくると、ぴかりんと光る禿げ頭が表れる。 「なんだハゲたお爺ちゃんか...なんでそんなもの被ってるの?」 「心は乙女なんで...いや、そんなことよりも助けられたって、東方くんは?」 「...ごめん、あたしを助けるために半裸のお爺さんを食い止めてて...」 「は?..ごめんもう一回言って」 「いや、だから、あたしを助けるために半裸のお爺さんを———」 ウタのその先の言葉は紡がれない。 バキリ、となにかが壊れる音がしたかと思えば、頭上を高速でなにかが通り過ぎていって。 その余波で小屋の屋根は吹き飛ばされ風が吹き荒れ埃を舞い上げる。 「ぶわっ!?」 「なっ、なに!?」 ほどなくして埃が収まり、飛来してきたソレの正体が露わになる。 月光に映し出される青白い臀部。 ピクピクと痙攣する小柄な体躯。 ソレはまさに、頭部を壁に埋め込まれた東方仗助の姿だった。 「東方くん!」 郁代は慌てて頭上の仗助の身体を引っ張り、身体を下ろそうとする。 「ちょっと、あんたもてつだっ、て...」 振り返り、ウタに手助けを求めようとする郁代だが、その言葉は飲み込まざるを得なかった。 ウタの背後より現れたのは、郁代の倍はありそうなほどの巨漢。 だが、彼女の目を惹くのはその大柄な身体ではなく、その下。 郁代の身長の倍はありそうなほどに大きくそそり、筋張った巨大な宝剣。 幼き頃、お風呂で見たお父さんのモノの何十倍はありそうなほどの大きなモノ。 万人が「ばっちぃ」と思うであろうソレを見ても、あろうことか郁代にはソレが輝きを放っているかのように見えていた。 「他愛のない...まだ半勃ちというのに...これで終わりか?」 ギロリ、と黒死牟は敵を見下ろす。 最初に出会った小娘も妙な皮を被った小柄な老人も、死への恐怖か、身を震わすだけでロクに動けない。 先ほどまで戦っていた小童も、壁に頭をめり込ませたまま動かない。 股間の剣を一度抜いただけでこの有様とは、期待外れだったか。 黒死牟は、屹立した肉棒をウタ目掛けて振り下ろす。 人の命を断つには十分すぎる重さのソレは、情け容赦なく少女に迫る。 「———させるかよぉっ!!」 雄叫びと共に青白い影が躍り出て斬撃を防ぐ。 もはや先刻の巻き戻しかのような光景だが、その実はまるで違う。 振り下ろされたのはズル剥けの巨根であり、仗助の身体もまた、先ほどとは違い、胸部に鈍器で殴られたような跡が刻まれており、顔面も腫れあがっている。 もはや勝負は明らかな有様であった。 「満身創痍で...よく動く...」 「へっ...ここからが仗助くんの本気だぜ、おっさん」 仗助は己の角を掴むと、そのまま引っ張り上げる。 すると、ずるり、と皮が脱げ傷一つない仗助の姿が表れた。 これぞ、アンチョビ究極体の技『完全再生(パーフェクトリバース)』である。 「ほう...鬼でもないのにその再生力...珍妙だ...」 「あんたには珍妙だのなんだのと言われたくねーな...さあ、第二ラウンド開始だぜッ!!」 仗助はクレイジー・ダイヤモンドで殴り掛かり、黒死牟は今度は聳え立つ宝剣一本で迎え撃つ。 「ドララララララララァァァァァ————ッ!!!」 クレイジー・ダイヤモンドから繰り出される機関銃の如き両拳のラッシュ。 黒死牟は内股で構え、腰のスナップを効かせることで四方八方に肉棒を走らせその全てを捌ききる。 「うぐ、こ、このおっさん...ち〇ぽ1本で戦ってる時の方が強くねぇーッスか...!?」 クレイジー・ダイヤモンドのラッシュを越える速さで襲い来る宝剣を前に、仗助は徐々に劣勢になっていく。 二刀流と一刀流。 どちらが剣術として優れている、という問題ではない。 どちらにも長所と短所が存在しており、使い手がどちらを好むか、という問題に過ぎない。 黒死牟は先ほどまで、ベオウルフの肉体に合わせた戦い方を試していた。 だが、本来の彼の戦闘スタイルは一刀流。 先ほどまではベオウルフの身体の慣らしとして二刀で戦っていたが、本来の得手は一刀なのである。 故に一太刀のキレも威力も、黒死牟本来の剣に近づいているのだ。 (クソッ、やっぱ俺の方でも攻撃しなくちゃ追いつかねえ!) 仗助としては、完全再生の為の腕を痛めつけるような危険は冒したくない。 しかし、このままでは再生どころか首を刎ねられるのもそう遠くはないと察し、己もまた攻勢に出る。 「ドラァッ!!」 クレイジー・ダイヤモンドと仗助の拳が同時に突き出され、迫る逸物の先端と衝突する。 ———が。 (う...ッソだろ!?) 拮抗したのは一瞬。 亀頭は瞬く間に仗助とクレイジー・ダイヤモンドの拳を押しのけ、パァンと甲高い音と共に弾き飛ばしてしまう。 しまった、と思った時にはもう遅い。 パァン、と音を置き去りにするかの如き腰の前後運動により、黒死牟の一物は仗助の胸部に被弾。 まるで鉄塊を直接ぶつけられたような硬さと威力に仗助は胸部を凹ませ吐血と共に再び吹き飛ばされる。 トびかける意識の中、仗助は角に手をやり、再び完全再生を果たす。 三度の仕切り直し。 だが、仗助のみならず、見ている二人ですらこれまでのやり取りで思い知らされた。 このまま戦えば、間違いなく仗助は負ける。 (いやだ) 郁代の背筋にドッと冷や汗があふれ出す。 半裸のハゲおやじに身体を変えられただけでも災難だというのに、始まって数分でこんな命の危険に晒されて。 親切な人に出会ったのも束の間、その人もろともいきなり巨大なちんちんに殺される。 嫌だ。そんなの、絶対に! 「ねっ、ねえ、貴女、このままじゃ東方くんが負けちゃう!お願い助けてよ!」 郁代は咄嗟に傍にいるウタに縋りつくように助けを求める。 彼女は死の脅威に晒され冷静さを欠いていた。 女の子一人に縋ったところで、あの超人バトルに混じれるわけがない。 そんなこと、冷静に判断できればわかるはずだが、しかしいまの彼女にそんな余裕はなかった。 けれど。 ただ我武者羅に言ったその言葉が。 救いを求めるその姿が、彼女の運命を大きく動かす。 『助けて』 その言葉は幾万も求められてきた。 『助けて』 ただ一人の歌姫には。 幾多の命を奪った罪人には。 それは過ぎた言葉であり重すぎる十字架であった。 『助けて』 その言葉に日々苛まれてきた。 吐き気を催したこともある。 けれど。 『助けて』 ソレは呪いであるのと同時に、彼女にとって救いの言葉でもあった。 ウタは求められたからみんなの歌姫になれた。 孤独に心を塞いだ10年から掬い上げられたから、再び前向きになることができた。 みんながウタに助けてと縋ったように、ウタもまたみんなの『助けて』に縋っていたのだ。 (そうだ。あたしがやらなくちゃ。どこでとか、いつだって関係ない。あたしはウタ。新時代を作る女なんだから) ソレはもはや強迫観念に近いモノだが、しかしそれがいつだって悪し様に働くとは限らず。 少なくとも、いま、この場では、初めての死地に怯える心を隠すのにはうってつけだった。 だが。 郁代の助けてに応えるにはどうすればいいか。 仗助と黒死牟の戦いに割って入ることはできない。 しかし説得は無意味だというのは、見ていればわかる。 ならばどうする。 どうすれば、仗助を助けることができる。 『ウタ。この世界に平和や平等なんてものは存在しない』 ふと過る、父と慕った男の声。 聞きたくない、けれどずっと聴きたかったその声に、ウタは思わず身を委ねる。 『だがお前の歌声だけは、世界中の全ての人たちを幸せにすることができる』 「あたしの、歌声...」 ポツリ、と呟く。 そうだ。 赤髪海賊団の音楽家の時も。 世界の歌姫になってしまった時も。 自分に求められたのは、歌だ。 みんながみんな、あたしの歌声を望んでいるし、あたし自身もみんなが望むことを望んでいる。 あたしにはこれしかないから。 歌うことでしか、みんなを助けることが出来ないから。 (だったら———ここでも、そうするしかない) そう決めたら、フッと頭が軽くなった。 自分のもとの身体のことも。 罪に縛られる汚れた手足も。 目の前の光景も。 いまだけは、全てが削ぎ落されていく。 たん、たん、たん、と自分の軽快な足踏みを楽器に、あたしはあたしの世界に沈んでいく。 荒れ果てた家屋をステージに。 鳴り響く剣戟を伴奏に。 (いくよ...3・2・1...) あたしは深呼吸と共に、思い浮かんだ詞を一気に吐き出した。 ———カミサマ、背界でどうか寄り添わせて サカサマの祈りを叩きつけて歌え! 叫ぶ。全てを絞り出すように、ありったけの想いを込めて、全力で叫ぶ。 ———幸と業よ、後悔を剥がさないで 背中合わせのハレルヤが 飛んでいかないように!! みんながギョッとして、あたしの言葉に集中している、気がする。 でももう止まらない。止められない。 あたしの歌は、まだ始まったばかりだから。 ようこそ、新しい×××へ 「え?これ、スピーカー?でもどこから...?」 ようこそ、新しい×××へ< 「いったい何事か...血鬼術か...?」 ようこそ、新しい×××へ 「こいつぁ...歌か?」 ようこそ、新しい×××へ< まるで今までやっていたことのようにしっくりとくる。 そうか、きっとこの子も、『リグレット』も、こうやって歌を送っていたんだ。 ようこそ、新しい×××へ 「な...なんか妙だぜ...さっきまで結構追い詰められてたのによぉ」 仗助は笑みを浮かべつつ、地面を踏みしめ、思い切り蹴る。 先も放った、高速での飛び蹴り。 黒死牟は既にその威力も速さも見切っている。 冷静に一物の先端を向け、仗助の跳び蹴りに備える。 ようこそ、新しい×××へ< 衝突。 しかし、今度は弾かれることなく、正真正銘、拮抗している。 「むぅっ...!」 「なんだか急に力がムンムン湧いてきやがったぜぇ~~!!」 ようこそ、新しい×××へ 仗助も、ウタ自身も自覚していないが、これこそがリグレットの『力』の恩恵の一端である。 彼女は特定の、あるいは不特定に対して己の歌を唄いあげることで対象の能力を増したり、洗脳して支配下におくことができる。 無論、大規模に支配する力は制限で封じられているが、いま、ウタが行っているのは個人に対しての簡易的な支配。 ウタは仗助を『助ける』ために、彼個人に対して歌による干渉を行い、思考に影響を及ぼさない程度の簡易的な支配———軽微なデジヘッド化現象を引き起こした。 言うなれば関域的なフロアージャック———本来は、リグレットに敵対するバーチャドール『キィ』の技を、疑似的に再現したのだ。 (そうだ...あたしは歌で救うんだ。あたしはウタ。みんなの歌姫、ウタだから!!) >ようこそ、新しい×××へ< 決意と共に、ウタの歌が鳴り響く。 それが2回目の放送を迎える直前の、前哨戦の顛末だった。 【一日目/深夜/G-4】 ※各キャラが魘夢の放送を聞き取れるかは次の書き手の方にお任せします。 【ウタ@ONE PIECE FILM RED】 [身体]:リグレット@Caligula2 [状態]:精神的疲労(中)、熱唱中 [装備]:ウタのアームカバー@ONE PIECE FILM RED [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2 [思考・状況] 基本方針:エンムから体を取り戻す。 1:仗助を『助ける』ために歌う。 2:体を取り戻す方法を探す。その後は… [備考] ※参戦時期はライブ会場に赤髪海賊団到着後~トットムジカを歌う前。 ※殺し合いの会場がウタウタの実の能力により創られた世界ではないかと考えています。 【黒死牟@鬼滅の刃】 [身体]:ベオウルフ@ローゼンガーテンサーガ [状態]:健康、フルチン [装備]:姑獲鳥の三叉矛@彼岸島 48日後... 十咎ももこの大剣@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1 [思考・状況]基本方針:生還し元の肉体を取り戻す。 1:まずは目の前の敵との闘争を愉しみ、斬る。 2:無惨がいないか確かめたい。 【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険】 [身体]:アンチョビ(究極体)@コロッケ! [状態]:疲労(中)、簡易的なデジヘッド化による能力の強化 [装備]:なし [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:エンムとかいうやつをぶっ飛ばして殺し合いを止める。 1:目の前の黒死牟に対処。 2:とりあえず郁代の為にまともな服を探す。 [備考] ※肉体のアンチョビは究極体以外の姿に変化することはできません。 ※ウタの歌を通じて、簡易的に支配下に置かれていますが、思考にはさほど影響はありません。 ウタの歌が止まればデジヘッド化も消えます。 【喜多郁代@ぼっち・ざ・ろっく!】 [身体]:アドバーグ・エルドル@魔法陣グルグル [状態]:健康 [装備]:アンチョビ究極体の皮@コロッケ! [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:元の世界に帰りたい 1:とりあえず目の前の危機をどうにかしてほしい。 2:とりあえずまともな服が欲しい。 3:キタキタおやじってなによ…いくら私が『キタ』だからってあんまりじゃない? [備考] ※「郁代」呼びよりも「喜多」呼びへの忌避感の方が強くなっています 08 私は完璧で究極のムスカ大佐だ 投下順に読む 10 岸辺露伴、温泉宿へ行く 時系列順に読む 登場話105 SuicidePrototype ウタ 16 眠れ赤子のように、消えよ数多の塵のように(前編) 登場話179 抜かねば無作法、ヌいたら無法 黒死牟 登場話07 キターン!東方仗助究極体爆誕! 東方仗助 喜多郁代
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【用語名】 矛盾許容概念 【読み方】 むじゅんきょようがいねん 【詳細】 終わりのクロニクル、及び一連の川上作品の重要なキーワード。 その名の通り、矛盾を許容できる概念。 Low-Gはマイナス概念しかないのに何故か存在できると言う答えでもある。 何でもありの概念のため、プラス概念が無くてもLow-Gは存在できた。 また、概念創造はこの概念があるLow-Gでしか出来ない。 全てのGの頂点であるTop-Gに無いと言うのは皮肉と言えば皮肉。 佐山が仮説として打ち立てた概念であったが、これが元で エーテルが発見されたり、流体が発見されたりとしたかと想われる。 川上作品が何でもありなのはこれがあるからとも言える。 しかし、矛盾許容概念とは言え万能ではなく、マイナス概念も 許容範囲を超えてしまうと働いてしまい、Low-Gは消えてしまう。
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1. 伝票番号範囲を登録する IMG 財務会計 → 財務会計共通設定 → 伝票 → 伝票番号範囲 → 定義 伝票番号範囲 会社コード FI## 「番号範囲 (変更)」をクリック 「間隔」ボタンをクリック No 01 年度 9999 開始番号 1 終了番号 9999999999 「番号範囲の移送」の警告が出たら Enter を押す。 2. 伝票タイプを登録する IMG 財務会計 → 財務会計共通設定 → 伝票 → 伝票ヘッダ → 定義 伝票タイプ 伝票タイプ ## 番号範囲 09 (または 99) 反対仕訳用伝票タイプ AB 勘定タイプ 資産 有効にする 勘定タイプ 得意先 有効にする 勘定タイプ 仕入先 有効にする 勘定タイプ 品目コード 有効にする 勘定タイプ 総勘定元帳 有効にする 伝票入力時の必須項目 参照番号 有効にする 前画面に戻る テキスト 伝票タイプ ## 保存 3. 会計期間を登録する 3.1. 会計期間バリアントを登録する IMG 財務会計 → 財務会計共通設定 → 伝票 → 会計期間 → 定義 会計期間バリアント バリアント FI## 名称 会計期間バリアント ## 3.2. 会計期間バリアントに会計期間を定義する IMG 財務会計 → 財務会計共通設定 → 伝票 → 会計期間 → 会計期間オープン/クローズ 新規エントリで下記の会計期間を登録する。 Var A 開始勘定 終了勘定 開始期間 1 年度 終了期間 1 年度 FI## + 1 2007 12 2010 FI## D ZZZZZZZZZZ 1 2007 12 2010 FI## K ZZZZZZZZZZ 1 2007 12 2010 FI## S ZZZZZZZZZZ 1 2007 12 2010 3.3. 会計期間バリアントの割当を行う IMG 財務会計 → 財務会計共通設定 → 伝票 → 会計期間 → 割当 バリアント- 会社コード 会社コード FI## バリアント FI## 4. 金額許容範囲を登録する 4.1. 一般従業員の許容範囲を登録する IMG 財務会計 → 財務会計共通設定 → 伝票 → 明細 → 定義 従業員の許容範囲グループ 新規エントリ 会社コード FI## 伝票最高記帳額 500000 未消込明細勘定別金額 100000 明細別割引 5% 4.2. 監督者の許容範囲を登録する IMG 財務会計 → 財務会計共通設定 → 伝票 → 明細 → 定義 従業員の許容範囲グループ 一覧から FI## を選択 別名コピー グループ SURV 伝票最高記帳額 1000000 未消込明細勘定別金額 500000 明細別割引 10%