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放射線事故により全身に1Gyを超す放射線被ばくを受けると、急性放射線症候群(ARS Acute Radiation Syndrome)が発症します。急性放射線症候群の病期は、被ばく後の時間的経緯によって前駆期、潜伏期、発症期、回復期に分けられます。 前駆期は、嘔気、嘔吐、発熱、下痢、頭痛、初期紅斑、皮膚、粘膜の毛細血管拡張、唾液腺の腫脹等の前駆症状が一過性に発現する被ばく後48時間をいいます。消化管の蠕動運動ペースメーカーの亢進や消化管ホルモン分泌亢進、神経血管反応亢進等とともに、放射線感受性が高い組織の細胞死に伴う病態に基づく症状が観察されます。被ばく線量が高いほど前駆症状は早く発現し、程度も重篤です。これらの前駆症状の種類、発現時期、発現頻度等は、被ばく線量に依存するので“臨床医の最善の線量計”といわれます。 潜伏期は、組織の細胞欠落症状が発現するまでの比較的無症状の期間をいい、全身被ばく後、約1~2週間後に発症します。被ばく線量が高いほど潜伏期は短くなります。 発症期は、潜伏期以降から回復期までの期間で、全身被ばく後1~2ヵ月の時期をいい、線量に応じて種々の症候群が発症します。主な症状は出血傾向、感染症による発熱、下痢、下血および皮膚の紅斑、湿疹、糜爛、潰瘍等です。 回復期は、骨髄障害の治療が成功し、消化管障害や皮膚障害を乗り切った時点です。 急性骨髄症候群は、骨髄の造血幹細胞が細胞死により減少するために引き起こされる病態で、免疫不全症および白血球減少症による易感染性、血小板減少症による出血傾向が現れます。その発症時期については、後述する被ばく線量に応じた好中球数や血小板数の減少カーブから推定することができます。 6Gy以上の全身被ばくでは、粘膜面からの細菌移行(bacterial translocation)が増加することが実験的に示されています。被ばく直後にできる粘膜の上皮細胞間の隙間(tight junctionの開裂)が細菌移行の通路となります。消化管障害発症の直接の機序は、放射線による粘膜上皮細胞の再生障害です。小腸粘膜の絨毛は一層の上皮により覆われており、その小腸粘膜上皮は3~4日のターンオーバーで新しい細胞と入れ替わります。粘膜の上皮細胞に分化する幹細胞は腸腺窩の基底部にあり、クリプト(陰窩)細胞と呼ばれ、20~30個のクリプト細胞が周辺の2~3個の絨毛の再生を担っています(第2章放射線の人体影響参照)。10~15Gyの被ばくがあると、このクリプト細胞の分化は停止し、消化管の絨毛は退縮して、バリア機能が低下します。腸管蠕動障害、吸収障害、下痢に加えて細菌移行に伴う感染症や敗血症の発症も考えられています。粘膜の剥奪がさらに進行すると、制御不能の消化管出血を生じます。このような病態を急性放射線消化管症候群といいます。一般に、10Gyを超す被ばくでは、予防策を講じないと数日以内に発症します。 10Gyを超す被ばくでは、骨髄症候群や消化管症候群を制御でき、その時点まで延命できていれば、2~3週間後に放射線皮膚障害が問題となります。紅斑、脱毛、落屑、水泡形成、潰瘍、壊死等の皮膚の変化が、線量に依存し様々な潜伏期を経て発現します。 7~8Gyを超す被ばくでは、2~7ヵ月後に高率で放射線肺臓炎が合併します。また、腎硬化症等の組織の線維化に加えて、毛細血管閉塞等による組織再生障害が問題となります。 30Gyを超す全身被ばくでは、被ばく後2~5日に神経血管症候群のために死亡します。ショック、体温調節不良、虚脱、てんかん、意識障害等の多彩な症状を呈するといわれてます。 口腔から食道下端までの粘膜は扁平上皮からなり、放射線感受性は大体同じで中等度である。それ以下の胃、小腸、大腸までの粘膜は円柱上皮で構成されている。小腸には絨毛があり、この部位の深部にはクリプト細胞があり、消化管の中で最も放射線感受性が高い。
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死の灰が、首都圏に影響するかは、19時現在で不明です。ただ、気がついた時には、車にしろ電車にしろ移動はほとんど不可能になっています。準備をしましょう。 もしも脱出が不可能となったら、自宅に戻れる人は急いで戻り、会社にいる人は無理して家に戻ろうとせずに社内に立て籠もり、窓と換気扇を目張りし、放射能よけのマスクをして、何とか部屋の汚染を少なくして1週間を過ごすことです。1週間が屋内に引きこもる目安。 また降灰後の雨にも十分な注意が必要。引きこもり中に雨が降った場合にどうしても外出する必要が生じたら、帽子付きの雨合羽(あまがっぱ)を着用し、帰宅したら外に捨てて、中には絶対持ち込まないように注意することが肝心である。 そのためには、ポリエチレン製のレインコートを何着か用意しておく必要がある。靴もまた放射能が付着するので、ポリ袋で覆って、汚染を防 ぐ必要がある。 部屋の中の放射能のチリを除去するには、国産の掃除機では無理なので、0.3μmまでのチリをゼロに出来るスウェーデン製の掃除機が必要になる。マスクは携行用のDS2防塵マスクが安全。 備蓄 ① 食糧(米、缶詰、調味料、レトルト食品、飲料水、野菜ジュース、乾燥モチ、味噌、醤油、甘味類) ② トロロ昆布(放射能で一番症状が出やすい甲状腺癌を防ぐのに最も適したヨウ素をワカメの4 倍含む 但し乾いたまま沢山食べると腸内で膨張するので、お吸い物などに入れて食べること) ③ トイレ対策用の大きめのポリ袋(水洗トイレの便器に2枚重ねて使用する)/使用後にかける 猫用のトイレの砂 ④ 窓の目張り用のポリエチレンシート、ガムテープ、サランラップ ⑤ 停電に備えてLED(発光ダイオード)ライト(単3型アルカリ電池3本で50時間持続) ⑥ 避難用防じんゴーグル、マスク、ポリ手袋、ポリエチレン製レインコート、リュック
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陽「放射線防護三銃士を連れてきたよ。」 陽「外部被ばく軽減のために重要なんは距離、時間、遮蔽の三つや。」 七海「いや、上の画像は何!?」 陽「まあ、あんま気にせんでええよ。とりあえず外部被ばくの実効線量率は下の式で計算できるで。」 E 被ばく線量 Γ 実行線量率定数 Q 放射能 r 距離 t 被ばく時間 陽「Γは核種ごとに固有の定数や。γ線の場合やと"1MBqの場合"で定義されてるから注意せなあかんな。」 七海「放射能が300KBqだったら0.3MBqに直して計算しないとダメってこと?」 陽「そうや。あとベータ線の場合はΓ=3.2×10⁻¹⁰/4πになるっていうのは覚えといてな。」 七海「え、どうやったらそんな値出てくるの?」 陽「電子の質量阻止能が2MeV/(g cm^2)やからそこから吸収線量を求めて、放射線加重係数をかけたら出てくるで。」 七海「...たしかに計算できた! でも4πは?」 陽「私もあんま気に食わんねんけど、逆二乗則を使うなら本来、分母は4πr²になるはずなんよ。」 陽「ただ、γ線の場合はその4πをΓに含めてもうてるねんな、やのにベータ線は含めへんからややこしいんよ。」 七海「?」 陽「わからんかったらベータ線はΓ=2.5×10⁻⁹って覚えといたらええよ。」 陽「ほんで上の式を見て、被ばく線量Eを小さくするにはどうしたらええと思う?」 七海「ΓとQは変えられないとしたら、rを大きくするか、tを小さくすればいいよね。」 陽「そやな。rを大きくするのは距離をとるってことやし、tを小さくするっていうのは被ばく時間を短くするってことや。」 七海「それが距離と時間にあたるんだね。」 陽「そうや。遮蔽は線質によって変わってくるんやけど、物理の相互作用のところでだいたい説明しとるから省略していくな。」 α線 陽「α線は飛程が短いからゴム手袋付けとけば余裕で遮蔽できるで。」 β線 陽「β線の遮蔽は五十鈴が物理のことでしとるから省略するな。」 γ線 陽「これも光子の減弱のとこである程度説明しとるな。」 七海「じゃあお姉ちゃんの説明を読み直しておけばいい?」 陽「半価層の計算は半減期と同じやし...あ、ビルドアップ係数だけ説明しとこか。」 七海「ビルドアップ係数?」 陽「γ線は物質中でコンプトン散乱を起こすやん。そしたら電子線とかほかの放射線もだすわけやんか。」 七海「だからその分を補正しないといけないってわけだね!」 陽「そうゆうこと。そしたら強度IはI=I₀Bexp(-μx)で表されるで。」 七海「ビルドアップ係数はどうやって求めるの? 陽「それはむっちゃ難しいんやけどB=1+μxっていう値を使うことが多いで。」 陽「この値を使っとけば安全側で計算できるんや。」 七海「ベータ線の遮蔽でR=0.5Eを使うのと同じってことだね。」 中性子線 陽「中性子も相互作用とか核反応で説明してるのを読み直してくれたらええで。」 外部被ばくの算定 陽「最後に外部被ばくの計算方法について説明しとくな。」 Ha 頭部・頸部の1cm線量当量 Hb 胸部・上腕部の1cm線量当量 Hc 腹部・大腿部の1cm線量当量 Hm 外部被ばく線量当量が最大となる恐れのある部分におけるの1cm線量当量 七海「えぇ...こんなの覚えられないよ。」 陽「主任者試験やったら上の式は書いてくれるから、こんな風に計算するんやなっていうのだけ覚えといたらええよ。」 等価線量 陽「最後に等価線量の求め方だけ表にまとめとくな。」 皮膚 70μm線量等量 目の水晶体 1cmまたは70μm線量等量 妊婦の腹部表面 1cm線量等量
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「原子力施設等の防災対策について」原子力安全委員会 第6章 緊急被ばく医療 緊急被ばく医療の基本理念は、「いつでも、どこでも、誰でも最善の医療を受けられる。」という命の視点に立った救急医療と「最大多数に最大の利益を」という災害医療の原則に立脚することである。 具体的には、原子力施設の従事者と周辺住民等を分け隔てなく、被ばく患者を平等に治療しなければならないという共通認識から出発して、緊急被ばく医療に携わる関係者が適切な研修、訓練を受けることにより、円滑かつ迅速に被ばく患者を診療できる体制を構築する必要がある。また、医療の視点からは、原子力施設における原子力緊急事態の発生時のみならず、原子力緊急事態に至らない場合にも被ばく患者が発生する場合があり、これらにも対応できる体制を構築することも必要である。このため、「緊急被ばく医療のあり方について」(平成13年6月原子力安全委員会原子力発電所等周辺防災対策専門部会)の策定以来、整備が進められている緊急被ばく医療体制と日常的に機能している一般の救急医療体制、災害医療体制との整合性を図ることとし、原子力緊急事態を含めた異常事態の発生時には、救急医療体制に加え、必要に応じ、広域的な災害医療体制にも組み込まれて機能し、実効性を向上させることとする。 このような基本的考え方に基づき、以下の体制を整備し、実効性の向上に努めることが必要である。(図1参照) (1) 原子力災害合同対策協議会の医療班 オフサイトセンターに設置された原子力災害合同対策協議会は、国、地方公共団体、原子力事業者等を代表するもので構成される。原子力災害合同対策協議会に編成された医療班は、緊急被ばく医療活動の把握及び広域的な医療活動の調整を行う。また、地方公共団体の災害対策本部の医療グループ、医療機関等と緊密に連絡を取り、必要に応じて助言、指導等を行う。 (2) 地方公共団体の災害対策本部の医療グループ 地方公共団体の災害対策本部の医療グループは、地方公共団体、地域医療機関、保健所等の関係者によって構成される。現地の医療活動を把握し、初期被ばく医療機関及び二次被ばく医療機関等に助言、指導及び支援を行う。 (3) 緊急被ばく医療派遣チーム 三次被ばく医療機関を中心とした医療関係者等からなる緊急被ばく医療派遣チームは、地方公共団体の災害対策本部のもとで、被ばく患者等に対する診療や周辺住民等への対応について、初期及び二次被ばく医療機関の関係者を指導するとともに自らもこれに協力して医療活動を行う。 (4) 緊急被ばく医療機関等 緊急被ばく医療機関は初期診療や救急診療を実施する「初期被ばく医療機関」、専門的な診療を実施する「二次被ばく医療機関」、高度専門的な診療を実施する「三次被ばく医療機関」からなる。なお、これらの医療機関の連携はもとより、地域の災害拠点病院や救急医療機関との協力体制を構築しておく必要がある。 各緊急被ばく医療機関の役割、要件等の詳細については、「緊急被ばく医療のあり方について」(平成13年6月原子力安全委員会原子力発電所等周辺防災対策専門部会)等によるものとする(付属資料1(未作成))。 これらの緊急被ばく医療とは別に、周辺住民、原子力施設従事者及び防災業務関係者等の健康不安への中期的な対策としてメンタルヘルスに関する対策を実施することが重要である。なお、メンタルヘルス対策に関する詳細については、「原子力災害時におけるメンタルヘルス対策について」(平成14年11月、原子力安全委員会)によるものとする。 ※地方公共団体は、必要に応じ現地対策本部を設置する 図1 原子力緊急事態の発生時における緊急被ばく医療体制 「原子力施設等の防災対策について」原子力安全委員会
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ベータ線は体内被ばく、ガンマ線は体外被ばくに影響する http //radi-info.com/q-293/ Q ヨウ素やセシウムから出るベータ線は体内被ばく、ガンマ線は体外被ばくに影響すると考えていいのでしょうか。だとすると、皮膚にくっついていた場合はガンマ線、ベータ線ともに本人に影響するということになると思うのですが、線源から1m離れていた場合、5m離れていた場合と数値的にどのくらいの差があるのでしょうか。 A そのとおりです。 ベータ線はエネルギーの大きさにもよりますが、空気中の飛程は長いもので数メートル程度です。ヨウ素から出るベータ線は1 mも飛びませんし、セシウム137から出るベータ線も2 mは飛びません。したがって、少し離れると体には届かないので、ベータ線による被ばくが問題になるのは体内に取り込んだ場合と皮膚に付着した場合です。皮膚から体の中に向けてベータ線が出ても表皮のすぐ下で止まってしまい、中まで届きません(およそ、空気中の1/1000しか飛びません)。一方、ガンマ線は遠くまで飛びますし、体ぐらいは十分に突き抜けていますから、体の外からの方がより重要となります。ただし、急激に減るというのではありませんが、空気による吸収や散乱によって減衰します。 このようなことで、放射性ヨウ素や放射性セシウムを体内に取り込んだ場合、ベータ線が体内被ばくとして寄与が大きく、外部にある場合はガンマ線の外部被ばくとしての寄与が大きいことになります。
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「原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について」 2.放射線被ばくによる甲状腺への影響 2.放射線被ばくによる甲状腺への影響2-1 甲状腺がん(1) 広島、長崎の (2) 放射線治療後の患者の (3) 核爆発実験で (4) チェルノブイリ事故後 (1)~(4)の調査より 2-2 甲状腺機能低下症 2-3 その他の甲状腺疾患 甲状腺への放射線の影響は、外部被ばくによる場合と甲状腺に取り込まれた放 射性ヨウ素の内部被ばくによる場合がある。安定ヨウ素剤の予防服用は、放射性 ヨウ素の内部被ばくに対してのみ有効である。 放射線の甲状腺への外部被ばくは、放射性ヨウ素の甲状腺への内部被ばくに比 べて、放射線の影響が厳しくなることを踏まえ、ここでは、甲状腺への放射線の 外部被ばく及び内部被ばくの知見を考え合わせることとする。 2-1 甲状腺がん (1) 広島、長崎の 広島、長崎の原爆被災者の長期にわたる疫学調査(1)によると、甲状腺外部被ばく後、長期間にわたり甲状腺がんの発生確率の増加が認められている。すなわち、被ばく者の生涯にわたる甲状腺がんの発生確率(生涯リスク)については、 甲状腺がんの発生確率は、被ばく時の年齢が20歳までは、線量に依存して有意な増加が認められる(※2) 被ばく時年齢が、40歳以上では、甲状腺がんの生涯リスクは消失し放射線による影響とは考えられなくなる(※2) という結果が得られており、被ばく時の年齢により甲状腺がんの発生確率が異なることが判明している。 (注)本報告では、放射線の単位である「Gy」と「Sv」については、概念の混乱を避けるため、準拠した文献の記載どおりとした。また、β 線やγ 線の放射線荷重係数を1として、1Gy=1Sv とする。 (2) 放射線治療後の患者の 広島、長崎の原爆被災者のデータに加え、放射線治療後の患者のデータをまとめ甲状腺外部被ばくによる甲状腺がんの発生確率を解析した結果(※3)では、以下の知見が得られている。 5歳未満での被ばくに比較して、10~14歳での被ばくでは、その発生確率は5分の1に低下する。また、20歳以上では、1Gy 以下の甲状腺被ばく後の甲状腺がんの発生確率は極めて低い 若年時に被ばくした者の甲状腺がんの発生確率は、100mGy の甲状腺被ばくでもその増加が観察される 若年時に被ばくした者の甲状腺がんの発生確率は、被ばく後5~9年で増加し、15~19年で最大となり、40年後でも発生確率は残存する (3) 核爆発実験で マーシャル諸島における核爆発実験で生じた放射性降下物による甲状腺被ばくの影響調査(※4)では、小児の甲状腺がんの発生確率の増加が認められている。なお、甲状腺に集積した放射性物質としてヨウ素以外にテルルの存在が報告されている。 (4) チェルノブイリ事故後 チェルノブイリ事故後の国際的調査に関して、被調査集団の事故時の年齢が15歳未満で、その60%は5歳未満の小児を対象とした調査では、甲状腺内部被ばくによる甲状腺がんの発生確率は、有意な増加が認められている(※5,6,7,8)。 また、チェルノブイリ原発事故当時の乳幼児に関する調査では、事故直後の短半減期の放射性降下物による甲状腺内部被ばくによる甲状腺がんの増加が示唆されている(※8,9,10)。 さらに、ロシアで甲状腺内部被ばく者の甲状腺がんの発生確率に関する調査では、被ばく時の年齢が18歳未満の者では成人の3倍である(※11)。 なお、チェルノブイリ事故では、ヨウ素-131と甲状腺発がんリスクとの関連が報告されてきたが、最近の別の研究では、甲状腺がんの発生にヨウ素-131以外の放射性ヨウ素が寄与している可能性が示唆されている(※12,13)。 (1)~(4)の調査より 上記の(1)~(4)の調査より、以下の知見が得られている。 放射線被ばくにより誘発される甲状腺がんの発生確率は、特に乳幼児について高くなる 放射線被ばくにより誘発される甲状腺がんの大部分は、甲状腺濾胞細胞に由来する乳頭腺癌であり、一般的には、悪性度が高くないため、適切な治療が行われれば、通常の余命を全うできる なお、放射線被ばくにより誘発される甲状腺がんに関する上記のいずれの調査も、死亡に基づくものではなく罹患率に基づいて得られた解析である。 2-2 甲状腺機能低下症 一定量以上の放射線に被ばくした後、数ヶ月の期間をおいて、甲状腺の細胞死の結果として甲状腺ホルモンの分泌が減少することにより、甲状腺機能低下症が発症する場合がある。 甲状腺機能低下症の発症は、放射線の確定的影響であって、しきい線量が存在する。そのしきい線量を超えた場合には、被ばく線量が増加するに従って発生率が増加し、重篤度も高くなる。 現在、国際原子力機関(以下「IAEA」という。)並びに世界保健機関(以下「WHO」という。)では、内部被ばくによる甲状腺機能低下症が発症すると予測されるしきい線量として甲状腺等価線量で、5Gy が提案されている(※14,15)。このしきい線量については、下方に、見直しが行われているところである(※15,16)。 2-3 その他の甲状腺疾患 マーシャル諸島における核爆発実験で生じた放射性降下物による甲状腺被ばくの影響調査(※4,17)及びチェルノブイリ原子力発電所事故調査(※9)では、小児の甲状腺良性結節の発症が報告されている。一方、長崎の原爆被災者の最近の調査では、甲状腺被ばくの影響として自己免疫性と考えられる甲状腺機能低下症の発症も示されている(※18)。これら甲状腺疾患の発症に係る放射線被ばくとの関連については、さらに検討が積み重ねられているところである。 「原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について」
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チェルノブイリ事故の概要 代表的な放射線被ばく調査事例一覧 チェルノブイリ事故を放射線影響学会(http //www.rea.or.jp/)に「代表的な放射線被ばく調査事例一覧」という資料PDFがある。 http //www.rea.or.jp/wakaruhon/honbun/tyousazirei1.pdf 以下の画像は、上記資料のチェルノブイリの部分。 急性症状 チェルノブイリ事故では、急性放射線症で28人死亡 (2200mSv以上【急性】被曝した134人のうち28人が死亡) 慢性症状 小児甲状腺がん 放射線ヨウ素汚染地区を中心に682人発生、患者の甲状腺線量は【数千mSv以上】と推定 事故後6ヶ月以上経過して生まれた子供には少ない。 心理的影響 不安・抑鬱・精神的脅迫感などに起因する心身症がみられる。
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◆参考データ(Wikipediaよりhttp //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88) 自然に浴びる放射線/年2.4 mSv 80年で自然に浴びる放射線192,000 μSv 5%致死量2.0 Sv=2,000,000 μSV 50%致死量4.0 Sv=4,000,000 μSV 100%致死量7.0 Sv=7,000,000 μSV 異常あり200.0 mSv=200,000 μSV ◆ナチュラル研究所測定値(100CPM=1μSv/h)@東京都日野市 現在0.2 μSV/h この状態で1日では4.8 μSV この状態で1年では1,752 μSV この状態で80年では140,160 μSV 地震前0.16 μSV/h この状態で1日では3.8 μSV この状態で1年では1,402 μSV この状態で80年では112,128 μSV ◆福島原発正門前@NHK発表値 正門前10.0 mSv/h=10,000 μSV/h 5%致死量に至る時間200.0 時間 異常発生に至る時間20.0 時間 ◆茨城県ひたちなか市堀口@http //houshasen-pref-ibaraki-mirror.cloudapp.net/present/result01.html 1,032.00 nGy/h =1,032.00 nSv/h※放射線荷重係数1とした場合 =1.03 μSv/h 5%致死量に至る時間1,937,984.5 時間=221 年 異常発生に至る時間193,798.4 時間=22 年 ◆時間当たりの被ばく量と身体異常発生年数との相関 μSV/h,異常発生(年後),5%致死(年後) 0.10, 228, 2,283 0.20, 114, 1,142 ←今ココ 0.30, 76, 761 0.40, 57, 571 0.50, 46, 457 0.60, 38, 381 0.70, 33, 326 0.80, 29, 285 0.90, 25, 254 1.00, 23, 228 0.16, 143, 1,427 ←震災前
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「原子力施設等の防災対策について」原子力安全委員会 第2章 防災対策一般 2-2 放射性物質又は放射線の放出形態、被ばくの形態及び被ばく低減化措置 2-2 放射性物質又は放射線の放出形態、被ばくの形態及び被ばく低減化措置(1) 放射性物質又は放射線の放出形態[1]原子炉施設で想定される放出形態 [2]核燃料施設で想定される放出形態(イ) 火災、爆発等による核燃料物質の放出 (ロ) 臨界事故 (2) 被ばくの形態[1]外部被ばく [2]内部被ばく (3) 被ばくの低減化措置 原子力防災に係る計画の立案あるいは充実を図るに当たって基本となる、原子力施設からの放射性物質又は放射線の放出形態、被ばくの形態及び被ばく低減化措置の考え方は以下のとおりである。 (1) 放射性物質又は放射線の放出形態 原子力施設からの放射性物質又は放射線の放出の形態は、施設の特性や事故の形態により異なるものであり、対象とするそれぞれの施設等に応じた原子力防災計画の立案が必要である。 [1]原子炉施設で想定される放出形態 原子炉施設においては、多重の物理的防護壁により施設からの直接の放射線はほとんど遮へいされ、また、固体状、液体状の放射性物質が広範囲に漏えいする可能性も低い。したがって、周辺環境に異常に放出され広域に影響を与える可能性の高い放射性物質としては、気体状のクリプトン、キセノン等の希ガス及び揮発性の放射性物質であるヨウ素を主に考慮すべきである。また、これらに付随して放射性物質がエアロゾル(気体中に浮遊する微粒子)として放出される可能性もあるが、その場合にも、上記、希ガス及び揮発性放射性物質の影響範囲への対策を充実しておけば、所要の対応ができるものと考えられる。 これらの放出された放射性物質は、プルーム(気体状あるいは粒子状の物質を含んだ空気の一団)となって風下方向に移動するが、移動距離が長くなるにしたがって、拡散により濃度は低くなる。 [2]核燃料施設で想定される放出形態 (イ) 火災、爆発等による核燃料物質の放出 核燃料施設(原子炉施設以外をいう。)においては、火災、爆発、漏えい等によって施設からウラン又はプルトニウム等がエアロゾルとして放出されることが考えられる。これらの放射性物質は上記[1]と同様にプルームとなって放出、拡散されるが、爆発等により、フィルタを通さずに放出され、量的には多いとみられる粗い粒子状のものは、気体状の物質に比べ早く沈降すると考えられる。また、フィルタを通して放出される場合には、気体状の物質とほぼ同様に振る舞うと考えられる。 (ロ) 臨界事故 臨界事故が発生した場合、核分裂反応によって生じた核分裂生成物の放出に加え、反応によって中性子線及びガンマ線が発生し、周囲に放出される。この場合、施設の遮へいが十分な箇所で発生した場合は放射線の影響は無視できるが、遮へいが十分でない場合は、施設から直接放出される中性子線及びガンマ線に対する防護が重要となる。 施設から直接放出される放射線は、施設内外の遮へい条件にもよるが、施設からの距離のほぼ2乗に反比例して減衰するため、その影響は近距離に限定される。核分裂反応によって生じた核分裂生成物の放出は、希ガス及びヨウ素を考慮すればよいが、その潜在的な総量は原子炉施設に比べ極めて少ない。 なお、核燃料施設から液体状の放射性物質の流出があったとしても、多数の障壁や大きな希釈効果によって、周辺環境に重大な影響を及ぼすような流出の可能性はほとんど考えられない。 (2) 被ばくの形態 施設から放出される放射性物質及び放射線による被ばくの形態は、大きく「外部被ばく」と「内部被ばく」に分けられる。 [1]外部被ばく 外部被ばくとは、体外から放射線を受ける場合の被ばくであり、主に原子力施設から直接放出される中性子線及びガンマ線並びに放射性プルームからのガンマ線によって生じる。 [2]内部被ばく 内部被ばくとは、吸入、経口摂取等によって体内に取り込んだ放射性物質が生体の各所に沈着し、体内組織(甲状腺、肺、骨、胃腸等)が放射線を受ける場合の被ばくであり、主に電離効果の高いアルファ線及びベータ線によって生じる。 (3) 被ばくの低減化措置 放射性プルームによる被ばくは、その放射性物質の濃度、放射線のエネルギー及び放射性プルームによる影響の継続時間に比例する。このため、放射性プルームによる被ばくを低減化する措置としては、気密性の高い場所への屋内退避、放射線の遮へい効果の高い場所への屋内退避及び放射性プルームに遭遇する場所からの避難が有効である。 この際、風向きを考慮し、風下軸からある幅を持った範囲の住民に対して措置を講じることが重要となる。また、これらの防護対策を補完するものとして、放射性ヨウ素の内部被ばくに対しては、安定ヨウ素剤を予防的に服用することが有効である。 核燃料施設における臨界事故等により原子力施設から直接放出される中性子線及びガンマ線については、距離による減衰や建家等の遮へい効果があり、原子力施設から遠ざかることや遮へい効果の高い場所への屋内退避により被ばくを大きく低減できる。なお、この場合、屋内退避に当たっては風向きを考慮する必要はない。 飲食物の経口摂取等による内部被ばくに対しては、飲食物中の放射性物質の濃度をモニタリングし、必要に応じて摂取制限や代替飲食物の供給等の対策を講じることが有効である。 「原子力施設等の防災対策について」原子力安全委員会