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■血塗れの大鎚(ちぬ-れの-おおつち) 拷問に使用されていた大鎚。呪詛の言葉が染み込んでいる。唯一品。 暗国ノ殿B2Fの人形のミニイベントを進めると手に入るが...。 手に入れる過程が非常に怖くて、今も宿屋の倉庫に眠ってる・・・。なんか使うの怖いよう・・・。 入手してからずっとフォト子に装備してるんですけど…呪われませんように 呪い×4(確か)とまあまあ優秀。だが…だが… うちのギルドでは逆毛フォトが嬉々として使っている 周りが言ってるほどこのイベント怖くなかったな。俺の想像力が足りてないだけかもだが 結末を見ていないのかもね。それはそれで幸せだと思います。 ↑ あのイベント続きあったの? 鎚入手した時点で終わりだと思ってたのだが。 ↑ 槌を拾ったら振り返ってみよう 装備したらヤンデレになりそう なぜあんなところに拷問道具があったのか・・・ 女将さんなら使いこなせる気がする まあ大方のプレイヤーはアイテム手に入って終わりだと思うだろう 言われてみれば、むしろなぜ振り返ってしまったのか…これもあの迷宮が持つ魔力か 六層の資料と併せて、避難所内の深刻な食糧不足>子供が備蓄食料に手を出す>殺気立つ犯人探し>両親子供を隠す>結局拷問にかけられて一家死亡、まで想像して鬱になった・・・ ↑ いやまったくだな……どうして俺も振り返って確認してしまったんだろう。やっぱりまだ何かあるかもという、怖いモノ見たさだったんだろうな。 俺ぁてっきりパーティの誰かが鎚持った瞬間取り憑かれたように振り回して人形をブチ壊したのかと…… これに限らず破滅の花びらの巣窟など6層は全体的に悪趣味感が漂う 振り返らなければ幸せだったのに…ここを見たばかりに… この鎚を取ってハッとなるから振り返ってしまうのだろう。悪いことをしてしまった感 この鎚、人形一家からの怨念ギフトなのか、加害者の怨念的な何かから人形一家を連れてきた冒険者へのお礼の品なのか…どっちもいやああああ(SAN値直葬) 本作において2周目でスルーされるであろうイベントの一つ ↑武器を手に入れて「家族元通り良かったね♪」と後ろを振り向かず結末を脳内補完して逃げてきた人ならここに← 別の考え方として、冒険者の背後にあの槌を構えた何者かが忍び寄っていたのではないだろうか。そろえてもらった人形が宿った力を振り絞りソレを消し去って力尽きて木っ端微塵になったとか考えてみた。長文失礼 ↑ 考えとしてはしっくりくるし怖いわw 人形を揃えることで上から槌が降ってくる術式みたいなのが発動し、役目を終えた人形がブッ壊れたのかもしれない。ドラクエ1の魔法の鍵みたいに。 もしくは人形一家自体が拷問官で、『次はお前がモンスター達に拷問を加えるのだ』ってプレゼントしたのかもしれない バラバラ アカイ ブヨブヨ ミンチ オイシイ モットタベル 誰がこの仕掛けを仕掛けたのか、なぜこの鎚が冒険者の目の前に現れたのか、この一連のイベントが何を示唆していたのか、それはいつまでも暗闇の中……… 個人的妄想としてはこの槌は人形が最後の力で作ったプレゼントと妄想していた。槌の解説文なんて知らない。知らないったらしらない…orz 人形「鎚をプレゼントしてやるから、ありがたく思いやがれですぅ」 ↑そしてその後ジャンクになるんですねわかります 妻子を顧みないで計画を進めた結果の代償とも思ったが、家族が計画から造られた使徒だから、別れを告げたんだろうか。研究者の妻子が現実には存在しなくて実験体を・・・過程と家庭をかけたんじゃないですかね! もし立ち去るのが少しでも早ければ、冒険者の脳天をかち割ってたかもしれない、と思うと… 現実で、屋根裏を掃除してたら人形2体出てきた。さらに1階のガレージからセットであろう人形が出てきた。どうすりゃいいんだ… 状態異常の中でも呪いはかなり優先度が高いので、他のバステを良く使うPTの場合は注意。これで通常攻撃して他のバステを呪いで上書きしてしまうことが多々ある。 ↑ 揃えちゃ駄目だぞ!絶対だぞ!! 呪いがレアドロップ条件のあのコに使うと、因縁めいているよね 血塗れのこの大槌 止められるのは ↑ 何もかもが終わる時だけ 狂ったデステニー 研究者が別れを告げたアレだとおもってた 親元から命辛々逃げ出した子供をまた戻してくれて有難うなのか、やっとの思いで逃げたのに余計な事したねこの野郎なのか ボウケンシャーは血塗れの大鎚を装備した!ボウケンシャーは呪われてしまった!(デロデロデロデロ 人形 失敗 揃えるな 実験をとめようとした研究者が書き残した手記があったから、その家族なんじゃないか?止めようとしたけど捕まって、見せしめに一家全員拷問の果てに惨殺された、そう考えるとあの人形の末路にも納得がいく。 この武器のイベントって最初ただのホラーだと思ったけど、上でも書かれてるように、当時拷問とか実際にそれっぽいことが行われていたかもしれないと考えると・・・このイベントの見え方も変わってくるから恐ロシア ↑1:僕はあなたの最後のアイスブレスに戦慄しましたよ^ ^ ↑2:夏場は寒いギャグに限るな。滑りパラライズしそうになったが…… ↑3 おそロシア、俺はうまいこと言ったと思うぜ。拷問っていったらロシアだもんな ↑ 第6層は6シア説…ってか? ↑ ごめんさすがに擁護できない ↑ …す、スルーしてくれ、頼む…なんか魔が差したんだorz 絶望は悪意からは生まれない。 良かれと行われる行為の積み重ねを温床に、それは育つ。 血塗れの大刃「ぽっと出のくせにちやほやされやがって…」 だが断る 安価が打てないのが悔やまれるな…… シカモフ「血塗れの大鎚×キングスライサー」は鉄板中の鉄板 呪った後に即死を伴った大ダメージを与える恐怖の攻撃・・・ 手に入れたはいいが、怖すぎて使っていない武器。もっぱら宿屋に預けっぱなし。さて、今日の宿屋の夕食は「鳥の丸焼き」かー、外からまるで物を叩き潰したような音と.血にぬれたハンマーが見えるのは気のせいだろう。 同時期に手に入る雷の戦槌がやや攻撃力の高いお陰で、うちの殴りメディがダークサイドに堕ちなくてすみました。ありがとうライデンジュウ!だが死ね 女将さん「なんか倉庫に禍々しい武器がいっぱいあんだけど・・・」 ↑あなたにピッタリじゃないですk(アラアラウフフ・・・ 人形、振り返らないで何周もプレイしちゃったよ・・・早く続きみたいな・・・ メガテンのように、非常に後味が悪いイベント。(あっちじゃ、シナリオルートによっては序盤の仲間2人も討たなくてはならなくなるからな。)アトラス名物と言えばそれまでである。 ↑ メガテン的な後味の悪さってのはⅢのラスボス戦みたいな「どうしてこうなった」感だろう。これは世にも奇妙な物語とか、ホラー映画にある「謎が謎のまま終わる」後味の悪さだ ↑ それこそメガテンだ。メガテンは秩序、中立、混沌それぞれのルートで違った楽しさがあるけど、ペルソナはベストの選択肢を選ばなければ最後まで遊びきれないし、しかもその選択肢が「後ろ向きな感情を無理矢理前向きに塗りつぶしていく」ものばかりなので、俺はメガテンは大好きだけどペルソナは大嫌い ↑ ここ世界樹の迷宮の話をする場所なんですが… 研究者の手記イベントと合わせると 微妙に性能がいいから怖いと知ってて第六迷宮まで行きましたよ・・・精神的にhageそう・・・ 怖く ↑ごめん間違えた なぜか自然と振り返ってしまった。ま、 普通にしまってあったこれが冒険者が歩いてきた衝撃かなんかで落っこちて人形に直撃、人形はバラバラみたいなオチと平和的に解釈してた。これは要らなかったので売った セカダン2に登場。ただしグラフィックがどう見てもアリスが持ってる叩き棒。 ところで、この武器についてる血ってなんの血だろう? おちない…おちない…この大鎚に付いた血がいくら洗ってもおちないよ… 神浜の香水をいくらかけても落ちないんだよ…この返り血がさぁ… 武器としてはこの段階で呪い武器を貰っても…って感じ世界樹4ほど金余りバランスじゃなかったらタダでもらえるだけで嬉しかったかもしれないけどさ ウロビトやイクサビトを創り、科学化学を操れても、人が人に対してする仕事はハンドメイドが一番ということになるのだろうか。そんなことを思わされた武器。 うーん怖いけどメディに持たせるか。医学で浄化してくれ コメント
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血塗れの悪魔:B (ジェロニモ(Grand order)) キャスターにあるまじき武勇伝を誇る。 銃、弓、槍、ナイフなどどれを取っても熟練の腕前。 近接戦闘力に大きなボーナス。
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血塗れの悪魔:C+ (ジャック・ド・モレー(ムレイ、バフォメット)) モンゴル将軍ムレイ、悪魔バフォメットなどの霊基を取り込まれた結果変異したスキル。 生前では優れた騎士であったライダーだが今では見る影もなく目の前の敵を屠る非道の騎士となり果てた。 本スキルの効果として勇猛、軍略、カリスマなどが含まれている他、近接・魔術戦闘に大きなボーナスがかかる。
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《血塗れの天使(ちまみれのエンジェル)》 効果モンスター 星2/闇属性/天使族/ATK1000/DEF500 このカードが墓地に送られた時、自分は500ポイントのダメージを受ける。 このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、 デッキから「血塗れの天使」をフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。 このカードが墓地に存在する時、自分の墓地に存在する「血塗れの天使」3体をゲームから除外し、 手札の天使族モンスター1体を公開する。そのモンスターはこのターンリリースなしで召喚できる。
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血塗れの蛮勇:A+ (コナル・ケルナッハ) 大英雄クー・フーリンの仇討ちでアイルランド全土を血に染めた逸話に由来するスキル。 このランクになると『一気呵成』の効果も合わさった複合スキルとなり、敵を攻撃すればするほど攻撃力と命中率が向上するが、引き換えに防御力が下がっていく。
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このページはこちらに移転しました 血塗れのナイフ 作詞/ものぐさ大臣 握りしめた 手の中には 気付かない内に 手に入れていた 小さなものを 握りしめていた 何も言葉が出ない言葉にできない 真っ赤な空に真っ赤な月 真っ赤な自分 まるで全てのものが 血で染まったようで 綺麗に染まった 赤には 誰一人としても 背けない 見とれたままで 動けない 赤に染まった 僕の心は 気付かないうちに 冷めていて 小さな肩を 震わせていた 何も言葉が出ない言葉にできない 真っ赤な雲に真っ赤な闇 真っ赤な自分 まるで全てのものが 血で染まったようで 緋色に染まった 空には 全ての人が 止まったまま 見とれたままで 動けない 綺麗に染まった 赤には 誰一人としても 背けない 見とれたままで 動けない
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血塗れの指先2 ◆2Y1mqYSsQ. 事切れたフランシーヌを抱いて、本郷は自らの無力を痛感していた。 毒に侵されていたとはいえ、誰一人救えずなにが仮面ライダーか。 フランシーヌの死に際の顔が穏やかであったとはいえ、それが許しだと思えない。思ってはいけない。 「この、死にぞこないがぁ!」 「くっ! 仮面ライダー、そっちに行くぞ!!」 ハカイダーの射撃を切り払いながら進むゼロが、本郷の視界に入る。 ソルティたちを連れて離れようとするが、身体が言うことをきかない。 生命の水によって毒は完治したもの、体力はまだ消耗したままだ。 今だ再生中の身でゼロの眼前へと躍り出たのだ。 理由は簡単。フランシーヌとソルティを救うため。 ソルティはまだ間に合ったが、フランシーヌは結局救えずにいた。 (いや。むしろ救われたのは俺のほうだ) 本郷はフランシーヌのおかげで、まだ戦える身体となった。 傷も幾分癒えて、どうにかまた守る力を得た。 だからこそ、ここでゼロの手にかかって死ぬわけにはいかない。 (せめてソルティもフランシーヌも救わねば……!) これ以上彼女達に傷を負わせたくない。たとえ命の灯火が消えていたとしても。 本郷が身を捻って、背中をゼロに向けた。ハカイダーが翔けるが間に合わない。 「ストームトルネード!!」 そのゼロを横に走る竜巻が直撃した。ゼロも獣のように唸りながら、大きく後方へと吹き飛ばされる。 本郷が見上げると、宙に滞空する青い鳥人が羽根を広げて地面に降り立った。 「俺はイーグリード、イレギュラーハンター第七部隊隊長。親友であるゼロを救うため、貴殿に力を貸す!」 急の救援に本郷は罠かと疑う。なにしろ、イーグリードという名は名簿に載っていなかったからだ。 しかし、イーグリードの視線を受け取って、本郷は大きく頷いた。 疑っていないわけではない。ただ現状、イーグリードの素性を疑っている暇がないのだ。 それに、イーグリードがゼロに向ける視線はどこか、本郷に向ける一文字の視線を思い出す。 だから用心しつつも、本郷はイーグリードを信頼する選択肢を取った。 フランシーヌたちを退避させる。そういった本郷に時間稼ぎを申し出て、イーグリードは羽根から暴風を発した。 風によって瓦礫やコンテナの残骸が浮き上がり、ゼロが宙を飛んでいく。 ゼロの顔は凶悪な笑みが浮かんでいた。イーグリードが始めてみる表情。そして見たくなかった表情。 シグマが知る本来のゼロの姿ということだ。 しかし、シグマはこうも言っていた。本来の姿をゼロが望んでいるとは限らないと。 「おい、キサマ……」 「ハカイダーか。キサマに言いたいことは山ほどあるが、今は協力しろ。ゼロや本郷が死ぬのは本意じゃないだろう?」 「俺に指図するな」 イーグリードはハカイダーの拒否する態度に呆れながらも、とりあえずフォローする準備を取った。 接近戦も遠距離もこなせるハカイダーは対ゼロ戦で有効な戦力となる。 少しでも戦力が欲しい中、手を貸す動機があるハカイダーは味方として扱ったほうがいい。 もっとも、性格的には問題あるのだが贅沢は言っていられない。 ハカイダーがイーグリードのフォローを鬱陶しげに見ながら、ゼロへと突進する。 ゼロが跳躍してバスターを撃ってきたため、イーグリードがストームトルネードで打ち消す。 しかし、その竜巻にハカイダーが撃った光弾が巻き込また。 「なにをしている! もっと周りを見ろ!」 「それはこっちの台詞だ。余計な手出しなどいらない! 邪魔をしないよう、部屋の隅にでも隠れていろ!」 「……ッ! ふざけるなッ!」 イーグリードはハカイダーの横柄な態度に怒りを示す。 その隙にイーグリードの肩をゼロの斬撃が掠めた。神速の攻撃に僅かの間、空に浮かぶコントロールをイーグリードは失う。 「……くっ!」 それも一瞬で体勢を立て直し、ストームトルネードでゼロの進軍を阻止する。 舌打ちするゼロに、ハカイダーが拳を振りかぶっていた。 (これでは一対二ではなく、一対一を二回に分けているに過ぎない……ゼロを戻すためには手を組まないとならないというのに……!) イーグリードは歯噛みしながらゼロを見る。 接近戦ですらハカイダーを圧倒し、蹂躙している。 イーグリードはただ一人、奮闘しながらゼロへと思いを馳せた。 イーグリードは訓練生時代、ゼロとトップの成績を争い続けた。 周りが持ち上げたこともあるのだが、イーグリードはゼロに対して妙な対抗心ももっていた。 顔を突き合わせて、互いに喧嘩をしたことは一度や二度ではない。 イーグリードは何度も喧嘩しているうちに、その喧嘩を心地よく感じることがあった。 成績優秀者同士、何度も事件を解決するために組んだこともある。 腹立たしいことにゼロを助けたことより、ゼロに助けられた回数が多い。 別の部隊へと異動になったときの心残りといえば、それくらいか。 (そして……俺たちは希望へと出会った) シグマの最初の反乱によって、一騎討ちに負けたイーグリードはシグマの軍門に下った。 部下を人質に捕られたこともあり、エックスが乗り越える壁として悪と動く。 そしてエックスにすべてを託し、ゼロが見守る中イーグリードは死んだはずだった。 (そして目が醒めればシグマ隊長は正気に戻ったのに、エックスもお前もそんな状態だ……。 俺には戦うことしか出来ない。それが償いになるとも思わないがッ!) ゼロが地面に拳を叩きつけて、光弾が地面から吹き出てくる。 イーグリードは羽ばたいて高速で移動して、避けながらゼロへと体当たりをする。 浅い。これではろくにダメージを与えられなかった。ハカイダーが間隙をついてくる光景を前に、イーグリードは吼える。 「ゼロッ! お前を正気に戻す!! だが、それが叶わないなら……俺が殺してやる! だから安心しろ!!」 イーグリードが風を巻き起こし、ゼロへと放つ。 それこそが、今の狂った状態を厭うだろう友に対しての最大の礼儀であった。 □ 「フランシーヌ…………さん……? ソルティ!」 「……くっ!」 武美とウフコックが嘆く中、本郷はそっとフランシーヌの瞳を閉じさせてやった。 彼女の唇が動くことも、歌うこともない。本郷が救えなかったことを強調しているようであった。 「ソルティはまだ助かる可能性がある。無理に動かさず、ここに彼女とともに隠れているんだ」 「無理だよ! 本郷さんだって完全には……」 「今は仲間がいる。それに毒もない」 本郷は立ち上がって踵を返した。その本郷を止めるように武美が叫ぶ。 「仲間といったって、どっちも知らない奴だったじゃない! あの黒い奴、本郷さんは知っているかもしれないけどあたしには危険人物にしか見えなかった。 あの青い奴だって名簿にない名前だよ? 信じられない! なにも本郷さんが行かなくたって……」 武美の不安が声に出ている。涙を出せないと言っていたが、もし流せるなら今流したのだろう。 本郷は仮面ライダーだ。恐怖に泣く人を放っては置けない。 「フランシーヌとの約束だからな。彼を……ゼロを救うと」 「だってゼロは、あのエックスの知り合いだったじゃない! 最初のやり取り、あたしも見ていたもの……。 あいつの、エックスの知り合いなのに……」 「助ける」 武美の怨嗟の声に本郷は迷いなく答えた。武美が上目遣いに本郷を見る。 不安げな表情に、すべてを安心させるように微笑んだ。 「俺はフランシーヌによって助けられた。そして今また、助けを呼ぶ声が聞こえる」 「そんなの幻聴だよ。あたしには聞こえない」 「それでも俺はいく。ウフコックの言葉を借りるなら――」 本郷は離れ、ゆらっと左手を動かす。刹那、右腕を左肩の方向へ真っ直ぐ伸ばし、左拳を腰に当てる。 ベルトの風車が回り、武美の髪が吸い込まれるように風になびいた。 半身から正面に身体を向けながら、右腕と左腕の位置を『ライダー変身ッ!』の言葉と共に入れ替える。 「正義。それこそが俺の有用性だ」 格好つけているわけでもなく、ごく当たり前に重い存在意義を仮面ライダーは告げた。 武美は仮面ライダーの言葉に僅かに俯いて、 「分かった。もうなにも言わない。だから……死なないで」 とだけ告げた。仮面ライダーは風に赤いマフラーをなびかせて、戦場へと舞い戻る。 正義。たった二文字の仮面ライダーの存在意義。 死ぬまできっと仮面ライダーはそうあり続けるのであろう。背中がそう語っていた。 「まったく、人の言葉を取るとはな」 「くやしい?」 「いや、特に」 武美が沈んだ声のまま、ウフコックに尋ねた。ウフコックはふさふさの金色の毛を揺らしながら、赤くつぶらな瞳を武美に向ける。 可愛らしい仕草に多少緊張をほぐしながらも、武美の恐怖は拭えない。 フランシーヌが死んだ。ソルティも危うい状況である。クロと草薙が死んだときを思い出す。 本郷までも同じ運命を辿るかもしれない。そんな恐怖が武美にはあった。 「ねぇ、ウフコック。あたしも……本郷さんやウフコックに黙っていたことがあったんだ」 「なんだ?」 「うん。今考えたらね、ウフコックなら気づいていたと思う。けど、聞いて欲しい」 「ああ」 本当にウフコックは優しくて、残酷だと武美は笑みを浮かべた。 軽蔑されるだろうか。するならとっくの昔にしていたか、と武美は自分の中で結論をつけながら、自分が選んだ選択肢をウフコックに告げる。 「あたしさ……エックスに復讐がしたかった」 「しかし、フランシーヌが言うにはエックスはゼロが……」 「うん。でもそれだけで終わると思うかな? ウフコック」 「……そうか。武美、ならばその気持ちとどう決着を着けるんだ?」 ウフコックは悟ったように告げる。相変わらず勘が鋭く、優しいネズミだ。 本人の有用性はそれで充分だと思う。だが、それを口にする前に武美はやることがある。 「分からない。けど、少し……本郷さんたちの戦いを見たいと思う」 そういって武美はケーブルを壁のコネクターへとさした。 監視カメラにアクセスして、戦闘の様子を探る。 ウフコックが携帯端末へと変身して、武美に自分にも状況が分かるように指示してきた。 「いいよ、一緒に見よう。ウフコック」 「君の心に決着が着くことを祈っている」 ありがとう。武美はウフコックに告げて、視界を監視カメラに同調させる。 本郷たちの戦いを見て、自分が何をえるか、まだ武美には分からなかった。 □ 「チィッ!」 「ハハハハハハッ! どうした? ハカイダー、弱いぞ!!」 ゼロの言うとおり、ハカイダーはゼロの攻撃に翻弄されていた。 なるべく距離をとり、ゼロバスターを駆使して迎撃してはいるものの、壁や地面についた傷がハカイダーに届くのもそう遠くはない。 事実、ハカイダーの身体に走る刀傷がショートして存在を示していた。 そのハカイダーに、スーッと上空からイーグリードが左隣に並ぶ。 無視しようとするが、イーグリードが声をかけてきた。 「ハカイダー、今だけ俺に手を貸せ!」 「俺は群れるのが嫌いだ。キサマのような奴に上から命令されるのもな」 「いいから聞けッ! 俺がもってきたPDAにはゼロを正気に戻せるアイテムがある。 そいつを使う機会が欲しい。その隙を作るのを頼みたい。お前とて、ゼロがあの状態であるのは本意じゃないだろう!」 「ほう、そのようなアイテムがあるとはな……」 ハカイダーは都合がいい、と内心呟いた。あのゼロは強くなっているが、いっこうにキカイダーが重ならなくてどうにもつまらない。 むしろあのゼロになにか不快な存在が重なって、苛立たしかったところだ。 イーグリードのもつアイテムは都合がいい。だから、ハカイダーはイーグリードへと手を出した。 「そのアイテムをよこせ。俺がゼロに使う」 「……ッ!? キサマ……」 イーグリードが怒りを滲ませて声を荒げるが、ハカイダーには関係ない。 さっさと渡せ、ともう一度告げようとしたとき、ゼロのバスターから光弾が飛んでくる。 ハカイダーは舌打ちして左腕をゼロバスターに変形させ、跳躍と応戦をしてゼロと距離をとった。 視界の端にはイーグリードも逃れたらしく応戦している。ハカイダーは肝心のアイテムが無事であることに安堵した。 「いいから渡せ。俺が有効に使ってやる」 「ふざけるのも……!」 イーグリードの怒りが頂点に達しかけたのにハカイダーは気づかない。 ハカイダーもまた苛立ち、渡さないなら奪うまでと思考したとき、その声は響いた。 「いや、ハカイダー。そのアイテムはイーグリードに使ってもらう」 ハカイダーは振り返らなくても、声の主が誰であるか分かった。 キカイダーともっとも重なる男。仮面ライダー1号。 「フン、遅いぞ」 「ああ、すまない」 ハカイダーは言葉とは裏腹に、仮面の下で笑いながら遅れてきた仮面ライダーを迎えた。 「しかし、その素性も知れない男にゼロを元に戻す道具を任せるというのは、どういうことだ?」 「単純な話だ。そのアイテムの使い方はイーグリードのほうが熟知している。俺たちに説明している暇もないからな。 だから、俺たちでゼロをひきつけて、イーグリードにそのアイテムを使うのを任せる。頼む、手を貸してくれ」 「…………キサマにはフランシーヌの借りがある。本来は怪我もなく返したかったのだが、いいだろう。 頼みを聞く。だが、俺は俺で好きに行動する。それでいいな?」 ハカイダーはそう告げて、ゼロへと向かっていった。 仮面ライダーは場が納まったことに安堵しながら、イーグリードの傍に立つ。 「すまない、助かった」 「いや、気にするな。奴は頑固だが、話が分からない奴ではない。それよりもゼロを戻すことを期待している」 「ああ、任せろ。それより身体は無事か? 毒は……」 そのことまで知っているのか、と仮面ライダーは不思議に思う。 とはいえ、今探っている暇などない。本人も隠すつもりはないのだろう。すべては後回し。 仮面ライダーのベルトのタイフーンが風を取り込む。 「フランシーヌのおかげで、毒の影響はもうない。体力もある程度回復した。今ならいける! それに……」 仮面ライダーはずっしりと、重い一歩を踏み込んだ。 赤い瞳に亡き女性の姿を乗せて、彼女の願いを叶えんと両腕に力を込める。 「俺に宿る魂は俺とフランシーヌ、二人分だ!」 だから示そう。仮面ライダーの正義とフランシーヌの願いを。 ゼロを正気に戻す、その願いを背に仮面ライダーは赤いマフラーを風に任せて力強い構えをとった。 ゼロが縦に大きくセイバーを振り、ハカイダーは半身で避ける。床が大きく裂けるのを見届け、ハカイダーはゼロの顔面を強打した。 舌打ちとともに、エアークラフトを起動して大きく後退する。 先ほどまでハカイダーのいた地点にセイバーの刃が通り過ぎた。 このままではまずい。今のゼロは以前よりずっと速くなっている。 追撃される、とハカイダーがガードを固めて覚悟した時、竜巻がゼロの進行を阻止した。 余計なことを、と呟くハカイダーの眼前で仮面ライダーが突進していく。 「ライダーパァァァンチ!!」 「チィッ! キサマ!!」 ゼロに仮面ライダーの拳が届き、上手くいかないことにゼロが苛立ちを示す。 ハカイダーは自分だけに力で追い詰めたわけでないことに不満を示しながらも、ひとまずはゼロが戻るまでと思考して宙を旋回した。 弧を描いて風に乗ってゼロへと蹴りを向ける。仮面ライダーはギリギリで離れて、ゼロに打ち込む隙が出来た。 「月面飛行蹴り!!」 音速に近い速度で繰り出される蹴りがゼロを吹き飛ばす。 地面に降り立ちながらも、ハカイダーはこの程度でゼロが倒されると思っていない。 「ハハハハッ! やるじゃないか!」 相変わらずゼロは余裕。チャクラム状のエネルギーの刃を飛ばし、ハカイダーの左肩が浅く切り裂かれた。 最小限の動きで攻撃を避けつつ、ハカイダーのバスターへのチャージを終える。 「ハイパーゼロブラスター!!」 ハカイダーは赤い光弾を開放してゼロへと放つ。 ゼロは右腕にエネルギーを溜めて、直接拳を叩き込んだ。 ゼロの放つエネルギーに、赤い光弾が相殺された。 ハカイダーの視界に光が溢れる。しかし、ハカイダーの目的は目晦まし。 ゼロが迎撃するのも計算の内。風がハカイダーの肌を撫でる。 「ストームトルネード!!」 気に入らない鳥型ロボットの声が室内に響く。 こうするのは読めていた。ハカイダーは自分の出番を待って、足に力を溜めた。 ハカイダーの光弾をゼロが真・滅閃光で相殺して光が満ちる中、仮面ライダーはこの瞬間がチャンスだと悟った。 ハカイダーが備えている気配を感じる。すぐさま、仮面ライダーはイーグリードに告げた。 「今だ、撃て!」 「なにッ!? いや、分かった。ストームトルネード!!」 イーグリードも歴戦の戦士。現在の好機を悟り、竜巻を放ってくれた。 仮面ライダーはそのストームトルネードへと、跳躍して巻き込まれる。 風は仮面ライダーにとっての味方。竜巻の中にはいったまま、ゼロへと迫った。 やがて光は晴れ、ゼロが竜巻に巻き込まれる。その竜巻の中で、仮面ライダーはしっかりとゼロを掴んだ。 「なにッ!?」 「掴まえたぞ……ゼロ!」 横方向の竜巻が晴れ、仮面ライダーが身を捻る。瞬時に今度は縦方向に竜巻が舞い上がった。 「離せぇ!」 「苦しいか? 今のお前はまるで、俺やかつてのZXだ」 吹き荒れる風の中、仮面ライダーはゼロへと問いかける。 今暴れるゼロへ、中で葛藤している本来のゼロへ、仮面ライダーは己の魂をぶつけた。 「安心しろ。ZXの時のように、俺が止めてみせる! だから戻って来い! それがフランシーヌの願いだ!!」 ゼロの身体を翻弄しながら、暴風に任せて仮面ライダーは振り回す。 イカデビルをも倒した仮面ライダーの伝家の宝刀の一つ。 「ライダ――きりもみシュ――――トォッ!!」 ゼロの身体が風に翻弄され、天井を砕いて天に舞い上がった。 ハカイダーは天に上がったゼロを逃がさず、脚力とエアークラフトを駆使してゼロを掴んだ。 偽の月が浮かぶ空で、ハカイダーはゼロの身体を大きく振り上げる。 「俺に触るなッ!」 「残念だが、その願いを聞いてやるわけにはいかんなッ!」 ハカイダーはゼロが蹴りを繰り出すのも構わず、ゼロの身体を大きく振り回す。 ゼロの絶叫が響く中、地面へと加速しながら四度空中でゼロを振り回す。 回転を増しながら、地面へと向けて五度目の振りとともに、 「地獄五段返し!!」 ゼロを地面へと叩きつけた。ハカイダーも威力を増すために落下の加速を利用したため、勢いを殺しきれずに地面に激突する。 エアークラフトで軽減したため、ゼロよりは損傷は少ない。 地面を転がり装甲にひびが入るのを確認しつつも、ハカイダーはイーグリードへと叫んだ。 「さっさと使え! 一度目のチャンスを作ってやったぞ!!」 「ああ、感謝する!」 イーグリードが光エネルギーを右手に掲げ、ゼロへと注入した。 ようやく役に立ったか、とイーグリードの内心吐き捨て、ハカイダーはよろめきながらも地面をしっかり踏みしめた。 ハカイダーの捨て身の特攻に感謝しながら、イーグリードはワクチンプログラムを一つ取り出して全速力でゼロへと翔ける。 風を切り、音を超えて光が宿った左手をゼロへと叩き込んだ。 (やったか!) 手応えはあった。ワクチンプログラムはゼロの胸の中央に叩き込まれている。 このまま左手に輝く白い光がゼロを包み…… 「な……に……?」 「ククク」 白い光がゼロを包まず、赤いオーラに侵食されて消えていった。 ゼロが低い狂喜の声をあげ、イーグリードの顎を殴りつける。 数メートル吹き飛ばされ、ゼロが上空で冷気を纏った剣を逆手に構えて襲ってきた。 まずい。そう思考するイーグリードを助けんと、仮面ライダーがゼロに飛び掛った。 「ライダーキック!」 ゼロが空中で体勢を立て直し、仮面ライダーの飛び蹴りを刃を盾にして耐えた。 そのまま離れたゼロを尻目に、傍に立った仮面ライダーへと礼を言う。 「すまない」 「いや、構わない。しかしどういうことだ?」 「そうだ。キサマのアイテムでゼロが正気に戻るはずだっただろう」 苛立ちを声に滲ませながらハカイダーが並ぶ。 イーグリードは疑問符を浮かべる二人に、ただ事実を告げた。 「ゼロはワクチンプログラムをあの赤いオーラで消し去った。誤算だ。 あそこまでゼロの対応力が上がっていたとはな」 「チッ、どの道気絶するほど殴らないと、意味がないということか」 「そういうことだ」 イーグリードがすまなそうに俯くが、仮面ライダーが肩に手を置いて『問題ない』と告げた。 ハカイダーはイーグリードの構わず、ゼロに向かって一歩踏み出した。 「ならば何度でも倒すまで。邪魔をするなよ、仮面ライダー。イーグリード」 ハカイダーから怒気が上がり、イーグリードをも圧倒した。 だが、ハカイダーの気迫をもってしても、今のゼロには届かないことをイーグリードは知っている。 歯噛みするイーグリードもその手しかないとバスターを構えたとき、仮面ライダーが二人を止める。 「少し待ってくれ。今、考えがあるという通信が入った」 どういうことだ、とハカイダーとイーグリードは疑問符を浮かべながら仮面ライダーの次の言葉を待つ。 仮面ライダーはそのまま、通信するように右手を右耳に当てていた。 結局今のゼロにはワクチンプログラムは通用しない、という現実を叩きつけられただけであった。 それでも仮面ライダーは諦めず、立ち向かう準備をする。 その時であった。武美の通信用電波を仮面ライダーが受信したのは。 『本郷さん、聞こえている?』 『ああ、どうした? なにか問題でもあったか?』 『ううん、違うよ。それよりも戦闘を見ていて考えたんだけど……あのゼロさんにワクチンプログラムが届かないから苦戦しているんだよね?』 『その通りだ。あとはゼロを気絶させてからくらいしか……』 『それなんだけど、あたしに一つ作戦がある』 なに、と仮面ライダーは思わず返した。イーグリードたちに武美の通信があると告げて、ゼロをひきつけてもらう。 そのまま少し戦場から離れ、武美に続きを促した。 『ゼロって人、監視カメラで見るとコネクトみたいな部品があったの。ウフコックにアダプターになってもらって、あたしが直接ゼロさんの心に乗り込む。 さすがに心の中なら、ワクチンプログラムが効かないはずないよ』 『待て。それは君の危険性が大きい』 『分かっている! それはウフコックだって承知した。危険と成功率、天秤にかければこれが一番いい手なのは、本郷さんだって気づいているはずだよ』 武美の言葉に仮面ライダーはしばらく沈黙を返す。 目の前には狂気に任せてイーグリードとハカイダーを吹き飛ばすゼロがいた。 『それにあたしにさせて。お願い、このままじゃ……あたしは一生エックスの恐怖から逃れられないから!』 武美の言葉に、彼女もまた苦しんでその上で戦おうとしているのだと仮面ライダーは気づいた。 隠していたエックスへの憎悪を、今仮面ライダーに告げている。それが証拠だ。 それに、武美に戦おうとする気持ちがなければウフコックが反対を示していたであろう。 いや、ウフコックが反対を示しても、武美は押し切ったのかもしれない。それほど決意が固い。 『分かった。だが無理はするな』 『ありがとう、本郷さん。でも、今回ばかりはあたしは無理する』 武美の覚悟を決めた声に、仮面ライダーは静かに頷くしかなかった。 彼女もまた、サイボーグとして背負うものがある。そのすべてを懸けた気持ちを無駄に出来るほど、仮面ライダーは独善的ではない。 直ちにイーグリードたちに作戦を伝えるため、仮面ライダーは立ち上がった。 □ 「本当にいいのか? 武美」 「言ったでしょう。エックスとも決着を着けるんだって」 心配するウフコックの声に武美は答えて、通路を駆け続けた。 早く合流してゼロを救う手段を実行する。正直言って怖い。 短い間とはいえ、対峙したゼロはあの時のエックスに負けないほど迫力があった。 だが、フランシーヌが命を懸けて望んだ。本郷が彼らしくあるために戦い続けている。 ソルティだって傷ついた。自分だけ逃げているわけにはいかない。 「このままじゃエックスを恨んだあたしは、あたし自身を認められない。柄じゃないって分かっていたのに、大神と違って手段があるから復讐を望んだ。 それが間違いじゃないと思ってはいるけど、本郷さんやウフコックには申し訳が立たないから……」 武美は足がもつれて、転びかけるが立て直す。 疲れが足に来ているらしい。それがどうした。 本郷はもっと辛い状況で頑張った。クロは今にも死にそうな身体で武美を守った。 草薙は死にいく身体で、武美にエールを送ってくれた。フランシーヌは最期まで、ゼロを戻そうと奮闘していた。 「だから今だけ、あたしにも戦わせて!」 きっとそれが、今まで生きていた自分だけが出来ることだから。 迷いなく前を向く武美に、ウフコックはもう何も言わない。 「そこまで言うなら好きにしろ。ただし、いかなる状況でも俺は君につく。サポートが俺の役目だ」 「ありがとう、ウフコック」 手を貸してくれる人もいる。武美は自分の戦場へと舞い降りた。 □ 「つまり、広川武美の能力を使って直接ゼロに干渉するということか」 「そうだ。イーグリードは武美にワクチンプログラムの使い方を教えてくれ。 俺とハカイダーがゼロを食い止める。説明が済んだら、イーグリードも加勢を頼む」 「フン。要するにゼロの動きを止めるのは変わらないのだろう? なら加勢など要らない。俺一人で充分だッ!」 「ハカイダー!」 仮面ライダーの制止する声を無視して、ハカイダーは地面を蹴った。 だいたい、仮面ライダーはイーグリードを信頼しすぎなのだ。 さっきから参加者の能力を把握しているような態度、怪しい以外何者でもない。 ゼロを元に戻し次第、化けの皮を剥がしてくれる。 「いい加減飽き飽きだッ! 滅べぇ!」 「そっちこそ馬鹿の一つ覚えだな。以前はもっと語彙があったぞ? ゼロ」 ゼロの斬撃を右にステップして避けて、脇腹に蹴りを放つ。 ゼロが左手で簡単に受け止めた。まるで風船を受け止めるかのような柔らかい動作に舌打ちして、ハカイダーは後ろに跳躍する。 間を仮面ライダーが入ってゼロのセイバーを手刀で受け止めている。 余計な真似を。 内心ハカイダーは呟きながらゼロバスターを撃つ。ゼロはそのハカイダーに気づいて、仮面ライダーから離れた。 軽業師のような動作で次々避けながら、逆にバスターを撃つゼロにハカイダーも動かざるをえない。 (くだらないな。ああ、くだらない) ハカイダーの視線がさらに鋭くなる。もしキカイダーがああなって現れたら自分はどう思うだろうか? 昔の何も知らない時期なら、単純にキカイダーと戦えることに喜んでいたのかもしれない。 だが今なら何かが違うと断じるだろう。 キカイダーをキカイダーとなすもの。そしてゼロたちが重なるもの。 それは強さでもない。そして、正義ですらない。 強いだけならメガトロンでもそうだ。正義をもつだけならドラスとか言う小僧だってもてる。 「クハハハハッ! 我はメシアなり! キサマら三人を殺して、俺は最強のレプリロイドになる! それが俺に与えられた使命だ!!」 ゼロの攻撃を両腕で防御して、後方に数メートルほど吹き飛ばされる。 腕が痺れ、間隙を仮面ライダーがつかなければそのまま一撃をもらっていた。 (ああ、そうだ) 強いだけでは、正義だけではキカイダーと重ならない。ならばなにがキカイダーと重なるのは、いまだに答えが出ない。 それでも一つ分かったことがある。 生まれ持った使命に固執して戦うゼロの姿は、もっとも嫌悪を示してしまうその姿は、 (今のこいつに重なるのはキカイダーではない。今のゼロに重なるのは……かつての俺だ!) ただのダークのロボットであり、キカイダーとの出会いが浅いころの自分。 そして『自分』がないただの木偶人形。キカイダーが死んで己を失ったハカイダーの姿そのものだった。 「……と、いうわけだ」 「うん、だいたい分かった。あたしがワクチンプログラムをデータ化して、ゼロの体内に持っていく」 イーグリードは武美の理解の早さに感謝して、PDAを渡した。 ウフコックはアダプターとしてすでに待機している。 「こんなことをいえた義理ではないが……ゼロを頼む」 「大丈夫。あなたのためじゃなくて、あたしのために行くから」 武美は警戒はしつつも、イーグリードを否定しなかった。 強い人だ、とイーグリードは思いながらしばらくはコンテナの陰に隠れるよう指示する。 「後は俺たちがゼロを食い止めるだけだ。任せてくれ」 「あたしには出来ないから……お願い。本郷さんに無理させないで」 「ああ」 イーグリードは答えて、ゼロに向かうために振り向いた。そこでイーグリードは目を見開く。 武美の頭を掴んで伏せさせ、イーグリードは目の前の脅威を武美たちに伝える。 「伏せろ!」 「なにす……」 「まずい! あの技はデータにあった……ゼロの最強技だ! 今は伏せていろ!!」 イーグリードの切羽詰った声に武美は危機を感じて頭を抱えた。 ゼロのもてる最強技。この程度で防げるのか? だが武美を失うわけにはいかない。イーグリードは覆いかぶさって守るように背を向けた。 「チッ、鬱陶しい! まとめて消してやる!」 ゼロが告げて、エネルギーを高める。右腕を通じてセイバーに宿る膨大なエネルギーが、シャトル基地全体を震えさせた。 仮面ライダーが危険を感じて飛び掛るが、ゼロは腹を蹴って払う。 これで邪魔者はいない。膨大なエネルギーを振り下ろして全員殺す。 幻夢零。 真・滅閃光や真月輪と共に思い出した最強の秘技。 すべてを滅ぼすため、今ゼロはそのエネルギーを開放した。 「クックック……キサマらにこいつを受け止められるかな?」 余裕たっぷりに告げて、開放したエネルギーがカーネルのセイバーの柄からあふれ出た。 炎のように吹き出る極大なエネルギーを仮面ライダーやハカイダーに見せ付けて、愉悦の笑みを浮かべる。 (やめろ! その技を使うな!!) そんな声など聞こえない。ただ快楽に任せて刃を振る。 正義の矜持も華麗なる赤き剣士の姿も捨て、狂戦士としてゼロはその技を振るった。 「幻夢零ォォォォォォォォォォォッ!!」 振り下ろされ、形成されていく緑色のエネルギーの刃を見つめ、ハカイダーの悪魔回路が怒りを発する。 ただ『自分』を失ったゼロが仮面ライダーを、無関係な人間を、友と呼んでいた男を殺そうとする姿が気に食わない。 「ハカイダー、いったん退け!」 仮面ライダーが忠告する。当然だ。これだけのエネルギー量、受ければただではすまないからだ。 だが、ハカイダーはその忠告を無視して無限のエネルギーへと突進する。 「ハカイダー!」 答える暇も惜しい。ハカイダーのフルチャージを終えた左手で拳を作り、腰溜めに構えた。 認めない。こんなゼロなど、認めはしない。 本能だけとなった姿の自分に屈するゼロにも怒っている。 (その程度しか力を持たない『自分』など、とっととくだせ! ゼロ!!) かつての自分が出来なかったことを、簡単にゼロへと要求する。自分勝手な自覚はすでにあった。 だが関係ない。目が覚めないようなら、この一撃を届けてやる。キサマがかつて使った武器のエネルギーだ。今のキサマならこの程度で充分だ。 そう思考して、ハカイダーは生み出される極大な緑色のエネルギーの刃に拳を突き出した。 かつて、エックスがチャージのエネルギーを手のひらに満たして、シグマの顔を焼いたことがある。 その事象と同じことをハカイダーは拳で再現した。 「幻夢零ォォォォォォォォォォォッ!!」 「早く目を覚ませ! ゼロォォォォォォッ!!」 三日月を思わせるような巨大な刃と、ハカイダーの赤いエネルギーに満ちた左拳が激突する。 悪魔回路から、全身からハカイダーはエネルギーを左拳に集中してすべてを注ぎ込む。 幻の夢の侵略は、ハカイダーを前にして防がれる。 拳と刃、共に拮抗してエネルギーが溢れた。 時系列順で読む Back 血塗れの指先1 Next 血塗れの指先3 投下順で読む Back 血塗れの指先1 Next 血塗れの指先3 149 血塗れの指先1 ゼロ 149 血塗れの指先3 149 血塗れの指先1 フランシーヌ 149 血塗れの指先3 149 血塗れの指先1 広川武美 149 血塗れの指先3 149 血塗れの指先1 ソルティ・レヴァント 149 血塗れの指先3 149 血塗れの指先1 本郷猛 149 血塗れの指先3 149 血塗れの指先1 イーグリード 149 血塗れの指先3 149 血塗れの指先1 ハカイダー 149 血塗れの指先3
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血塗れの指先3 ◆2Y1mqYSsQ. 溢れる緑色のエネルギーによってハカイダーの右腕が宙に舞う。 右太ももが深く切れ、オイルが流れ出す。右太ももだけではない。脇腹、胸部、肩、脚、無事でない箇所は一つもない。 顔に大きな横傷を作りながらも、ハカイダーは拳をさらに押し込んだ。 エネルギーの絶対量では負けている。ハカイダーの持つべきすべてのエネルギーを回し、赤いエネルギーをさらに増やす。 焼け石に水か。だとしてもハカイダーのすることは変わらない。 このゼロを認めない。 かつての自分を否定するように、かつて戦ったゼロを肯定するように、ハカイダーは前に進むのを諦めない。 別にゼロと戦うためでも、仮面ライダーとの戦いのためでもなかった。 単に意地。ゼロがかつて見せたキカイダーの影を、今のゼロに否定させないがための行動。ただそれだけ。 (そうだ。俺にとってはキカイダーがすべてだ。キカイダーとの戦いこそがすべてだ!) ゼロと戦うのも、仮面ライダーと戦うのも、凱と戦うのも、その過程に過ぎない。 だからこそ、キカイダーに誇れる己であり続けるために、決してこのゼロに負けるのだけは認められない。 以前のゼロなら、凱なら、仮面ライダーなら自分は殺されても構わないと考えていた。 だがこのゼロにだけは、自分の幻影にだけは負けてはやれない。 「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉっっ!!」 赤く光る左拳をさらに深く食い込ませる。同時にハカイダーの全身をあふれ出た緑色の刃が貫いた。 全身に穴が開き、傷だらけになりながらもハカイダーの拳は止まらない。 負けてしまえば自分が求めた正義の味方も、その果てのキカイダーも否定される。 全身を動かすエネルギーを最小限にして、すべて左拳に預ける。まさに全身全霊の一撃。 こいつに負けるのだけは、ハカイダー自身が認めなかった。 ハカイダーの喉が破れんとばかりに咆哮が轟く。 緑色の巨大な刃はひびが広がり、砕け散った。 中心にいたハカイダーは全身を刻まれながらも、 「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 「ば、馬鹿な……ぐぅっ!?」 拳をゼロの額に届かせた。 □ (ああ、そうか) 自分が勝ったと確信した瞬間、ハカイダーの視界が暗転して何も映さなくなる。 無理をしたのだ。しばらくは動けまい。 (ようやく……分かった。キカイダーのなにが、キカイダーとなすのかを……) よくある答えだが、ハカイダーには最期の最期まで気づけなかったもの。 それは心だ。 ごく当たり前なそれを、今まで考えもしなかった。何より、キカイダーはともかく自分に心があるとは考えもしていない。 しかし、戦い、悦び、そして意地を張る自分こそ心が存在するものだと認識した瞬間、ハカイダーに答えが満ちる。 キカイダーの信念を宿した心に、ハカイダーは惹かれていたのだ。 自分が決して手に入らないもの。それをもっていたキカイダーだからこそ、ハカイダーは拘ったのだ。 それは凱もゼロも仮面ライダー達も持っていた。 ハカイダーがキカイダーに拘ったのは、そいつを持った者で最初に出会い、拳を交わした相手だからか。 (いや、それ以上に俺は……お前に……――――かっただけ……かもな……。キカイダー……キカイダー……) 胸を焦がす想いは、口から漏れず。 呟きながらもキカイダーの影を求めて、手を伸ばす。空を切ったその手を最後に、ハカイダーの思考が止まった。 一度目の死とは違って、答えを見つけた満足感に満ちたハカイダーは気づかない。 それが二度目の死であることに。 □ 武美は暗闇が広がる中にポツン、と立っていた。周囲には星のように光が点在している。 地面がないようなどことも分からない場所。ここはゼロの心の中だった。 「ここがゼロの中なのか?」 「多分そう。周りがこんななのは、あたしがイメージしやすい風景に変えているだけ」 ちょっとした遊び心だよ、と現実世界ではアダプターに変身しているだろう金色ネズミに告げる。 ウフコックは感心したように大きくため息を吐いた。 「武美は凄いな」 「ありがとう。大神グループにとっては失敗作だけどね」 「これほどの能力の有用性を分からないとは……」 呆れるウフコックをよそに、武美はさらに歩みを進める。 ハカイダーがあの技を破り、ゼロを殴り飛ばし大きなダメージを与えた。 現実世界ではゼロを本郷とイーグリードが組み伏せて抑えている。 もしその拘束が解けて武美たちに刃を振るものなら、一貫の終わりだ。 「早く本物のゼロを探そうっか。ウフコック」 「了解だ。鼻でゼロの心を探す。指示に従ってくれ」 了解、と武美は返して闇の中を進んだ。 「この光の中だ」 「ふーん。一番古い記憶か……」 光り輝く星の一つに、ウフコックが鼻でゼロを見つけたらしい。 武美の能力を使って中身を確認すると、ただの古い記憶以外に情報はない。 武美が入り込むと、一気に景色が変わった。 「ここがゼロの一番古い記憶か……宇宙戦略研究所の実験室を思い出す」 「あたしも似たようなところにいたけどさ」 武美は苦笑を浮かべながら、脚を進めた。知らないロボットの残骸が目にはいる。 これが古い記憶とは、どれほどバイオレンスな過去をもっているのだろうか? 「武美、止まるんだ」 「いたの?」 「ああ。出て来るんだ、ゼロ。俺たちは敵じゃない」 ウフコックの言葉により、全然気配を感じなかった暗闇から赤いアーマーを着た金髪の青年が浮かび上がる。 武美は内心驚きながらも、平静さを装って話しかけた。 「あなたがゼロ……さん?」 「その通りだ。よくこれたな……」 「それってどういう……」 意味なのか問おうとした瞬間、部屋に爆炎があがる。武美が振り返ると、紫色のアーマーを着たゼロがいた。 武美が戸惑う中、ウフコックが冷静に解説を始める。 「落ち着け、武美! そいつは凶暴なほうのゼロだ! こっちのゼロとは違う匂いがするから、あえて避けていたんだ」 「そ、そういうことは早くいってよ!」 「こっちだ、こい!」 ゼロの導きで武美たちは離れて、後ろで暴れるもう一人のゼロに振り返る。 もう一人のゼロはこれ以上侵入できないらしく、忌々しげにこちらを見つめていた。 武美はゼロに引かれるままに任せた。 「しばらくは無事だ。その間にやって欲しいことがある」 「え?」 一息を吐いた時に、ゼロが急に切り出してきた。 真剣でとても断れる雰囲気ではない。武美はゼロの次の言葉を待った。 「俺を殺してくれ。ここまで来た君の力なら出来るはずだ」 ゼロの言葉に、武美は目を見開く。今なんといったのだろうか? ゼロから出た言葉を噛み砕けなくて武美は少しの間、思考停止をした。 「奴が俺を殺せず、屈しようとしているのは理由がある。俺と奴は一心同体。 俺が死ねば奴も死ぬ。だが、俺の手で俺が死ぬことはなかった……」 「だから……あたしに殺してっていっているの?」 「その通りだ。今の俺に奴を止める手段はない。君が持ってきたワクチンプログラムをもってしても、奴を消すことは出来ない。 そいつを持ってきたイーグリードや君は悪いが……俺を殺してすべては終わりだ。頼む、時間がない」 ゼロの真摯な表情から、彼の言葉が真剣なのが分かった。 武美の頭の中でさまざまな言葉が駆け巡る。別にゼロが死ぬのは構わない。 それで本郷たちが助かるのなら。だが、頭のどこかでその行動を否定していた。 浮かび上がるのはエックスの鬼の瞳。そいつを思い出した瞬間、武美の顔に怒りが溢れて声が喉元まで昇ってきた。 「ふざけ……」 「悪いが、自殺のために武美の力を使わせるわけにはいかない。断らせてもらう」 その武美の声を代弁するように、ウフコックの冷静な声が研究所に響いた。 声色には確かに怒りが滲んでいる。今の彼は煮え切らないまま【ウフコック】でなかった。 「だが、あいつは次々領地を俺から奪っていく。俺まで奴に取り込まれればそれで終わりだ!」 「だからといって武美に君を殺すことを頼むのか? 俺は認めない」 ウフコックは珍しく憤慨していた。説教するつもりはない。 ゼロが抵抗を諦めているのも怒りを覚えるが、もっとも許せないことがある。 「なにを迷う。俺はフランシーヌを殺して、いま本郷猛という風見や神の先輩を殺そうとしている。 一刻も早く止めることこそ、君や俺が取れる最良の手段だ」 「いいや、最悪の選択肢だ。現状に対してじゃない。彼女にとってだ」 ウフコックは頑としてゼロの言葉を否定する。 ゼロの幾多の戦場を潜り抜けた力強い視線を真っ直ぐ受け止め、赤いつぶらの瞳に力をこめた。 潜り抜けた修羅場の多さはウフコックだって負けていないのだから。 「彼女はエックスに襲われた」 「……ッ!? そうか」 「別にそのことで君を責める気はない。エックスがとった行動と、君に関しては何の因果関係もないからな。 知って欲しいのは、エックスの行動で武美が憎悪を抱いた結果だけだ」 ウフコックの言葉にゼロが目を見張る。他人の心情をずけずけ話すのは心苦しい。 それでも黙っていられない。黙っちゃいけない。 ここで言わなければ、ウフコックが武美についてきた意味がない。 「俺は彼女に、エックスに関する感情への決着を着けさせることへ賛成してここに来た。 だからこそ、君を武美が殺す結末は認められない。彼女がここで着ける決着は、俺が持てる力を持って幸せな結末にする義務があるからだ。 それが……俺がクロから、草薙さんから与えられた委任事件担当捜査官としての任務だ」 お前も意地を見せろ。饒舌に喋って、最後の言葉だけは瞳にこめた。 ゼロは一度だけ目を伏せて、武美に視線を向ける。もうウフコックに告げる言葉はなかった。 「俺は…………」 「あたしは風来坊さんにいったことがある。正しい生き方をしている人間なんて、そんなにいないって」 ゼロがまだ迷いを示していると、武美が話しかけてきた。 風来坊とは彼女の大切な相手だろうか? 発音が少しだけ優しくなっていた。 「けど、風来坊さんはそのことを受け止めていた。きっとあの人も正しく生きれなかったことがあると思う。 ……そうだったらいいな、っていうあたしの願望かもしれないけど」 武美の声は穏やかなままで、ゼロの胸元を急に掴んだ。 武美の瞳が鋭くなり、ゼロの顔を正面から除きこむ。 「あたしがここにきた理由はきっと正しくない。なにを犠牲にしても、あたしはこれ以上仲間を失わない覚悟がある。 あんたを殺すことで本郷さんやソルティが助かるなら、最後はそうする。けど、それじゃあたしが役に立ったことにはならない。 だから戻ってよ! あたしに本郷さんたちの役に立たせて!!」 武美の叱咤を耳に、ゼロは脱力した。頭の中に響く武美の言葉。 正しい生き方をしている人間なんて、そんなにいない。ゼロの生まれは正しくないといえる。 だからこそ、ゼロは今までの自分を含めて否定をしていた。 (ああ、そうか……) ゼロの脚に血塗れのエックスが絡みつく。幻影だ。武美やウフコックには見えない。 親友を殺したという罪から、ゼロは逃れたがっていたのだとやっと自覚できた。 その罪の意識があるから、もう一人の自分に勝てなかったのだ。いや、勝とうとしなかった。 「すまない、エックス。俺は前に進む」 瞬間、エックスの幻影は消える。逃れられたわけではない。 エックスを殺した罪は一生向き合いながら生きていかねばならないのだから。 武美に意思を伝えるため真っ直ぐ向けられる視線を受け止め、正面から頷き返す。 武美はすべてを悟ったように、光り輝くワクチンプログラムを差し出した。 「戦って、自分を取り戻して」 「そうする」 ゼロにもう迷いはない。武美のワクチンプログラムを手にして、踵を返した。 傷だらけの研究室に紫色のアーマーを着るゼロが現れる。そのもう一人の自分を前に、ゼロは静かに拳を前に構えた。 自分の姿を見て、もう一人のゼロが笑みを浮かべる。 自分を吸収し、一つになることへ悦びを示しているのだろう。 「ハハッ、ようやく覚悟を決めたか!」 凶暴な笑みを浮かべたもう一人のゼロがセイバーを掲げて、ゼロへと迫る。 もう一人のゼロの刃の軌道を冷静に見極め、ゼロは拳を振るった。 「こんな拳など、俺たちに効かな……なッ!?」 もう一人のゼロが拳を左胸に受け、盛大に転がって壁にぶつかる。 予想外の攻撃に目を剥くもう一人の自分に、ゼロはゆっくりと近づく。 「こ……こいつは?」 「ワクチンウィルスだ。こいつがあればお前もひとたまりもない」 「チィッ! だがお前に俺は殺せない! お前は俺なんだからなッ!」 もう一人のゼロが吼え、がむしゃらにセイバーを振り回した。 ゼロはその攻撃に怯えない。振り下ろす右手を受け止め、閃光が起きてもう一人のゼロの右腕が完全に消失する。 「な、なにをしたッ!?」 「簡単なことだ。お前がしようとしたことを、俺がしたまでだ」 「なんだと? 俺を取り込む気か!?」 「いや、そもそもお前を否定しようとしたのが間違いなんだ」 「捻じ伏せられただと……? そんな馬鹿な」 ゼロはもう一人の自分の左手を重ね、同化させていく。 もう一人の自分が恐怖を示すが、脚も吸収し終えていた。 「くるなッ!」 「俺を否定するな! 俺たちは一つなんだ。一つにならないといけないんだ。 暴力的な使命を持って生まれた俺と、イレギュラーハンターとしてエックスと共に生きた俺は別れちゃいけなかったんだ! エックスを殺す使命を持っても、俺はハカイダーのようには生きれなかった!」 自分の告げた言葉と共に、ゼロはなぜハカイダーを更生させようと自分が行動したか理解する。 自分の生まれを記憶でなく、本能で知るゼロはハカイダーが自分と同じ使命を持って生まれたのを感じていたのだ。 だからこそ凶暴性を秘めた自分を否定したく、ハカイダーに更生の道を示そうとした。 凱のように誰かを重ねたわけではない。自分の悪を重ねたのだ。 今だから分かる。その感情は否定するべきものじゃないと。 「や、やめ……」 「逃げるなッ! あいつと過ごした俺もまた、お前なんだ! お前と俺にハカイダーのように誇り高く生きることは出来なかった。 その代わりエックスと、多くの仲間と共に戦い続けた誇りがある! 俺たちはそれを胸に生きていくべきだ!」 「誇りを……胸に……」 ゼロの言葉がもう一人の自分に浸透する。声が届いたのか、もう足掻くことはない。 穏やかな気持ちになる中、ゼロはもう一人の自分に告げた。 「一つに戻ろう、ゼロ(おれ)」 その言葉は、もはやどちらのゼロが告げたのか判別つかなくなっていた。 ゼロの視界が光に満ちて、やがて彩を取り戻した。 □ 偽の月が覗く、穴が開いた天井を見つめてゼロの意識が覚醒した。 風を肌に感じ、焼け焦げた匂いが鼻をつく。現実世界に戻ったのか。 ゼロはそう認識して上半身を起こした。 ライダースーツを着た本郷が確かめるように顔を覗き、ゼロは頷いた。 イーグリードがいつもと変わらず、笑みを浮かべてゼロを見下ろしている。 「目を覚ましたか」 「相変わらず心配をかける奴だ、お前は」 「すまない、イーグリード」 「気にするな」 「はー、疲れた。もう二度と暴れないでよ、ゼロさん」 「同感だ。俺も他人の心に入るのはこれで最後にしたい」 現実世界に戻ったのだろう。ゼロと近い位置で武美とウフコックが笑みを返している。 ゼロはすまない、と目を伏せて礼を言った。フランシーヌはこの場にいない。 ゼロ自身の手で殺したのだから。ソルティという子は本郷の傍で寝息をたてている。 雷神撃の電撃は彼女に深いダメージを与えたのだろうか。目を覚ましたら、許してもらえるとは思わないが謝罪をしなければ。 「そういえばハカイダーはどうした? 奴にまた借りが出来てしまった」 「ゼロ……ハカイダーは……」 イーグリードが言いよどみ、ゼロは呆気にとられた。あの男が死ぬなど考えられなかったからだ。 本当がどうか確かめようとゼロが立ち上がったとき、瓦礫が破裂した。 全員が驚く中、立ち上がる影がある。 「ハカイダー!」 生きていたか。ゼロが安堵の笑みを浮かべる。本郷たちも生存を確認したのか、笑顔が広がっていった。 ゼロが礼を言うために、多少癪ながらも近づく。すると、ハカイダーが振り向いた。 「キ……カイダー……キカ……イダー……倒す……」 瞬間、ゼロたちの笑顔が凍りつき、足が止まる。目の前のそれはハカイダーであって、ハカイダーではなかったからだ。 ハカイダーは装甲が剥がれ回路がむき出し。右腕は切られて隻腕となり、また残った左腕も拳が破裂してコードを垂らしている。 左太ももから先はなく、右足も機能していないのか引きずっていた。 仮面は剥がれ、カメラアイがそのままゼロの顔を覗く。 「キカイ……ダー……倒……す……」 もはや視界に入るものはすべて、キカイダーと認識しているらしい。 メイン回路と思わしき箇所を破壊されながらも、キカイダーを求め戦おうと必死に足掻いている。 凄まじい執念。しかし、ゼロはそれを執念だけとは思わない。 「ゼロ……もう眠らせてやろう」 本郷がゼロにそう告げて前に出ようとした。本郷の優しさからだろう。 ゼロの罪の意識を軽くするため、これ以上殺させないと汚れ役を買って出たのだ。 その本郷をゼロは腕で制した。 「いや、俺がやる。……やらせてくれ」 ゼロは懇願して、一度の跳躍でハカイダーの眼前に立った。 ハカイダーは半壊しながらも、拳をゼロへと打ち込んでくる。 まったく力の入らない拳。それがかつてのハカイダーの姿を重ねるゼロには辛かった。 「キカイ……ダー、キ……カイダー」 「ハカイダー。俺はお前と同じ使命を受けてこの世に生まれた。だが、俺にお前のようには生きれない」 「キカイ……イダー……。……カイダー」 ノイズ交じりにキカイダーを求めるハカイダーを前に、ゼロは敬意を表してカーネルのセイバーを起動した。 何度も殴りつけるハカイダーの拳が悲しい。その原因は自分だ。罪から逃げてはならない。 「だからこそ、お前が望んだ道をいく。俺は迷わない。それが殺した者達への誓いだ」 だから地獄で自分を待っていろ。ゼロはそう心の中で呟いて、ハカイダーの胸の中央を貫いて動力炉を破壊した。 ハカイダーが機能を停止して、崩れ落ちる。ゼロはハカイダーを抱きとめて、結局道が交わることのない相手だと心で理解した。 ゆえに敬意を込めて、ゼロは血塗れの指先でその男の名を読んだ。 【D-3 シャトル基地内部/二日目・黎明】 【ゼロ@ロックマンX】 [状態]:健康、T-800を敵視。ハカイダーとフランシーヌを殺したことを後悔。 [装備]:チャージキックの武器チップ@ロックマンシリーズ、カーネルのセイバー@ロックマンX4 [道具]:支給品一式、PDA(ゼロ)、空っぽの平凡なデイバッグ@ゴミ処理場、サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS 謎の金属片(マルチの残骸から回収) [思考・状況] 基本:シグマを倒す。イレギュラーに容赦はしない。 1:ハカイダーと同じ道を歩まない。彼が望んだゼロの道を行く。 2:凱を殺したボブ(T-800)を最大の敵と認識。 3:ドラスと合流。 4:メガトロン、グレイ・フォックス、ボブ(T-800)は警戒。 5:シグマ、何を企んでる? 6:イーグリードがなぜここにいるのか、問い詰める。 [備考] ※覚醒した影響でゼットバスターが使えるようになりました。 ただし、覚醒時より威力は低いです。 ※真・滅閃光、真月輪、幻夢零は覚醒時のみ使える技のため、現在使えません。 【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】 [状態]:疲労中、ダメージ大、胸部に包帯。応急処置済み。破損は生命の水により回復(ただし、しろがね化はまだしていない)。 爆弾解除。フランシーヌを守れなかったことによる後悔。 [装備]:白いカラス(全体に焦げ跡あり)@人造人間キカイダー [道具]:支給品一式、トマト×97@THEビッグオー、謎の金属片(外装解除。解析は八割程度)、 PDA(グレイ・フォックス、ドロシー、草薙素子、ドラ・ザ・キッド)×4。 ロジャー・スミスの腕時計@THEビッグオー、ブルースシールド@ロックマン、ジローのギター@人造人間キカイダー 虹(ドクターケイトの毒が染み込んでいる)@クロノトリガー、ライドル@仮面ライダーSPIRITS、ラブラブビッグバンの音楽ファイル@パワポケシリーズ [思考・状況] 基本思考:殺し合いには乗らない、打倒主催。 1:ミーとT-800と合流。 2:武美の寿命タイマーをどうにかする。 3:コロンビーヌにフランシーヌ人形のことを伝える。 4:パンタローネを倒した者を見つけ出し、この手で倒す。 5:シグマに関する情報を集めたい。『ラブラブビックバン』のファイルを解析する。 6:イーグリードの素性を尋ねる。 7:放送がないのに疑問 [備考] ※原作8巻(第32話 称号)から参戦。 ※コロンビーヌの格好を旧式のものと勘違いしています。 ※シグマは新兵器を作るために、自分たちのデータを収集していると推察しています。 ※武美とは、一エリア以内なら通信が取れます。 ※T-800への疑いが解けました。 ※爆弾を解除するのに、一時間は必要です。 ただし、同時進行や武美の助けを借りれば、ある程度時間を短縮することも可能です。 また、手術跡の再生のため、生身部分のある人ははさらに一時間を回復ポッドで過ごす必要があります。 【ソルティ・レヴァント@SoltyRei】 [状態]:全身にダメージ(中)。疲労(中)。気絶中。爆弾解除 [装備]:なし。 [道具]:支給品一式、PDA×2(ソルティ、神 敬介)、ToHeartの制服@ToHeart スラッシュクローの武器チップ@ロックマン 紫の仮面@現実、K S Model 501(7/10)@SoltyRei、予備弾各50発、LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険 ミラクルショット@クロノトリガー、ガイアアーマー@ロックマンX5 [思考・状況] 基本思考:壊し合いに乗っていない参加者を守り、シグマを倒す 1:フランシーヌたちを守る。 2:武美を守る。 3:ロイさんやローズさんの元に帰りたい。 4:放送がないのに疑問 [備考] ※参戦時期はアニメ10話~11話です。 ※戦い自体への迷いは消えましたが、相手を躊躇なく殺せるまでには至っていません。 ※気絶のため、すべての思考が気絶前のままです。 気絶状態を回復するには、修理が必要になります。 【広川武美@パワポケシリーズ】 [状態]:健康。爆弾解除 [装備]:ウフコック@マルドゥックシリーズ [道具]:PDA(武美、クロ)×2、ランダムアイテム0~1 アポロマグナム@仮面ライダーSPIRITS(弾切れ、発電所内にクロの右手と共に放置)、風船いかだ [思考・状況] 基本思考:絶対に生き残り、ここから脱出する。 1:ミーとT-800と合流。 2:シグマの居場所を探る。シャトルの行き先を変更できるように干渉する。 3:軍事基地に行く機会があったら行ってみる。 4:元の世界のあの人のところに戻って、残り少ない人生を謳歌する。 5:イーグリードの素性を尋ねる。 6:放送がないのに疑問 [備考] ※A-1・軍事基地に『何か』があると考えています。 ※本郷とは、一エリア以内なら通信が取れます。 ※爆弾を解除する手順を、半分くらい理解しました。その技術を持ってエックスを殺す計画を立てています。 ※ウフコックは、ターンした物を切り離すこと(反転変身【ターンオーバー】)が出来なくなっています。 ※ウフコックの参戦時期は、ボイルド死亡後です。 【イーグリード@ロックマンX】 [状態]:全身にダメージ(中)。疲労(中) [装備]:なし [道具]:PDA(イーグリード用通信強化Ver。ラミア)、サブタンク(満タン)×2@ロックマンX [思考・状況] 基本:バトルロワイアルの真実を伝える。 1:皆にバトルロワイアルの真実を伝える。 2:シグマの自殺を止める。 3:来る途中で見た少女二人を助けに戻る。 【共通事項】 ※サイドマシーン@人造人間キカイダー、ゼロバスター(半壊。使用不可能)@ロックマンX ハカイダーのPDA(支給品一式)、風見志郎のPDA(支給品一式)、バタフライナイフ(刃がボロボロ)@現地調達 スズキ・GSX750S3 KATANA@仮面ライダーSPIRITSがD-3シャトル基地の一室で瓦礫の中に埋もれています。 【フランシーヌ人形@からくりサーカス:破壊確認】 【ハカイダー@人造人間キカイダー:破壊確認】 【残り10体】 時系列順で読む Back 血塗れの指先2 Next 呼びたかった名前 投下順で読む Back 血塗れの指先2 Next 呼びたかった名前 149 血塗れの指先2 ゼロ 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 149 血塗れの指先2 フランシーヌ GAME OVER 149 血塗れの指先2 広川武美 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 149 血塗れの指先2 ソルティ・レヴァント 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 149 血塗れの指先2 本郷猛 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 149 血塗れの指先2 イーグリード 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 149 血塗れの指先2 ハカイダー GAME OVER
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盾(Shield) 血塗れ DMG+1 アイテム名 マップ モンスター その他 Leather Shield ? ? JPでの皮盾LV15 Bronze Shield ? ? JPでの銅盾LV31 Iron Shield ? ? JPでの鉄盾LV45 Mythril Shield ? ? JPでの銀盾LV61 Hy-brasyl Shield ? ? JPでの金盾LV77 Talos Shield ? ? JPでの白金盾LV90 Talgonite Shield ? ? LV98(War)
https://w.atwiki.jp/usda/pages/63.html
靴(Boots) 血塗れ:DMG+1 アイテム名 マップ モンスター 基本効果(付加無し) Boots ? ? JPの靴、LV1 Grey Boots ? ? LV11 Cured Boots Crypt8 Scorpion JPの灰色靴、DEX+1、LV24 Shagreen Boots ? ? JPの緑靴、DEX+2、LV33 Saffian Boots ? ? JPのサフィアン、DEX+4、LV66 Magma Boots ? ? JPのクリムゾン、DEX+5、LV82 Enchanted Boots ? ? JPのマジックブーツ、DEX+6、LV96