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【検索用 くしらとすいせい 登録タグ 2014年 VOCALOID く こんにちは谷田さん 初音ミク 曲 曲か 芽月】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:こんにちは谷田さん 作曲:こんにちは谷田さん 編曲:こんにちは谷田さん 写真:芽月 唄:初音ミク 曲紹介 曲名:『鯨と水星』(くじらとすいせい) こんにちは谷田さん氏 のデビュー作。 歌詞 二つの四次元的軌道。 始まりも終わりも受容できるのに、想起できないんだ。 明日は此所から生まれた今日はずっと、二人の声を 環状の軌道に沿って進行(すす)まない時間を、どうすれば? 僕らの身体に打ちつけられた針は、 ずっと留まることのない筈なのに、 それでも二人を追いかけて来るのは、 あの循環(まわ)り続ける迷星みたいな奴なんだよ! 「水星は歴史を纏っている。」 空白だった僕らの未来は、カーテンに包まっているけど。 慣性の愛に、恒星は脈打っている! 歪んだ扉の奥に隠れた過去だって 顔を見せて呉れないよ、当たり前さ 彼の背中でじっとしていなくちゃ 進め! 午前零時、量子化した時間の前に立ち尽くした君のもとに明日は訪れない。 連続的であるはずの「今日」の上に突如現れた国境線。 不確かな違和感に苛まれながら機械的に、現在を、 明日は此所から生まれた今日はずっと、二人の声を 鯨は航海を進めていく。 僕が知りたかったのは、彼の観想の向かう先。 彼の窓から様々な景色を見てきたが、 「終わりはどこにあるの?」 「わたしたちが生きたはずの『過去』はどこにあるの?」 人間が決して支配できないもの。 姿を明らかにできないもの。 不図この物理法則に抗いたくなったよ。 空白だった僕らの未来は、カーテンに包まっているけど。 慣性の愛に、恒星は脈打っている! 空白だった僕らの未来は、カーテンに包まっているけど。 慣性の愛に、恒星は脈打っている! 歪んだ扉の奥に隠れた過去だって 顔を見せて呉れないよ、当たり前さ 彼の背中でじっとしていて? 君に愛されてしまったらもう此処には居られないんだ コメント すこ -- 名無しさん (2018-06-05 22 32 06) ラスサビの歌詞が心に響く…好き… -- 名無しさん (2018-07-19 12 34 14) サビの高音すきだわ〜 -- 名無しさん (2018-10-04 17 14 58) ありがとう………………。 -- 名無しさん (2023-12-25 01 05 04) 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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菖蒲の出立・幕間SS 「おかえり、菖蒲(あやめ)」 静岡旅行を終え、帰還した菖蒲を出迎えた声の持ち主は古ぼけたベッドの傍らに立てかけられた巨大な画架(イーゼル)の上に腰かけていた。 画架、すなわちキャンバスに住まうもの、回りくどい言い方をした。つまりは絵の中の一糸まとわぬ少女が動き出すと……。 「よっと」 ヴィデオの中から抜け出す有名霊のそれをもっとカジュアルにした感じと言えば、わかりやすいだろうか。画架は既に彼女の住まいが占拠していたので、代わりにベッドに腰を落ち着ける。キィと音が鳴った。 シーツだけは新品に取り替えられているが、よくよく見れば雑然とした部屋だ。 部屋の隅などには野菜くずが捨てられ、なぜかあちらこちらに木炭が散らばっている。乾いたジャンクヤード、それを思わせる、そこが最近名を売り出し中の謎の部活『暦』支部の部室である。 革命の香りがした。 ナポレオンの第一帝政によって終結を迎えるまで欧州を長き戦乱で包み込んだフランス革命は現代にも続くメートル法をはじめとする革命的制度を導入したことで知られるが、消え去って行ったものも数多い。 その一つ『フランス革命歴』から名を取り、妃芽薗学園にて組織された集団『カランドリエ』。 その中でも三月下旬から四月下旬までを担当する彼女の名を芽月(ジェルミナル)・リュドミラと言った。 貧民窟の少年王、正確に言えば戯作にかぶれたブルジョワの考えそうな、と厳しい但し書きをつけねばならないかもしれないが。真実としては、そういう難癖を封じ込めるのが、彼女と言う名画であった。 乏しい胸の盛り上がりは未成熟な肢体と合わさって裸婦と言うには色気が足りないが、隠すことなく堂々と佇み、猥雑さを感じさせない。清廉さを感じさせる絵に描いたような、いや。 絵に描いた美少女である。 『夜(よ)の室(むろ)に 絵の具かぎよる 懸想(けさう)の子 太古の神に 春似たらずや』 思わず口ずさんでいた。愛の歌とはかくも直截的なのかと、思わず顔が赤くなる。絵の具で出来た君はどうしてこうも美しいのか。 彼女は見知った菖蒲が近寄るのを見るや即座に抱き寄せる。 突然だが、芽月(ジェルミナル)は添い寝相手を欲していた。人の体温が恋しかったのだ。 巻き付いたシーツは水辺に佇む構図から飛び出て来た少女に濡らされ、その輪郭を際立たせる。 「申し訳ありません。服は……脱いだほうがよろしいでしょうか?」 流石に手馴れたものである。人工探偵が生殖機能を持たない、と言うのは副次的であるが、まぁ、つまりは、そういうことである。 芽月はくすりと笑って少しベッドの上の間隔を開けると、頼まれていたことを説明し始める。 「冗談。私達『カランドリエ』は出来たばかりの組織と言うこともあって知名度も資材もまだまだと言ったところだけど、丁度いい人材がいたよ」 「その方は?」 「収穫月(メスィドール)。希望崎の園芸部に所属していた元園芸者で、サボテンしか愛せない性格破綻者。名誉の戦死を遂げた瑠璃丸君(しんゆう)の供養のために籠ってたから聞き出すのは苦労したよ。 何でもあっちには【魚沼産コシヒカリ】が封印されていて、あっちの部長さんはそれに執心らしい。で、恐れをなして逃げ出してきたと。おや、随分積極的だ。嬉しいね」 気付くと、肌が密着する距離にいた。慌てて離れるのも、探偵としての誉に関わる。よって。 「いいえ、絵の中の人の体温が気になったものですので、ございます」 「ふふ。有難う。私も生まれて百年以上、ずっと持ち主から添い寝をせがまれてきたものだから、逆はそうなくて新鮮な気持ちだ」 「わたくしも……素敵な経験が出来るでしょうか?」 一歳九ヶ月、平均を考えるとあと三ヶ月でイキオクレになってしまう。古い考えと言われるかもしれないが、生憎探偵の価値観には平穏な家庭を営む、と言うのも立派な選択肢として入っているのだから。 「君は焦り過ぎだよ。それ以前に、私は百歳を越えたおばあちゃんだ。 けれど私は絵画(アート)。百年を経た付喪神……、と言えば聞こえはいいけれど、この界隈ではまだまだ小娘に過ぎないよ。美術館に幽閉されているお偉方を見る度にそう思うのだから。 見方を変えなさい。そうすれば悩みが晴れることは多い。 確かに君は人である前に探偵として生まれてきたのかもしれない。だが、人の価値観を忘れてはいけない。 たとえば三十七歳、一児の子持ちなのに見た目は中学生とか、になると『えー、うっそー』とかになるはず。だけど、これが百四十三歳、となれば、ああそういうものかと現実味が薄れて納得だろう?」 だから目の前の、薹(とう)が立つと言うには少々無理がある娘……、いや探偵さんが一歳児であったとしても、納得するしかないのだ。うん。 「お言葉は大変ありがたく頂戴します。しかし、そんな方が本当にいらっしゃるとは思いませんし……、事は時間の問題ではないような気もするのです。有難うございました」 僅かな手がかりを得て飛び出そうとする探偵、未熟者には危険な兆候? いや、わかっていたことだ。わかっていて教えた私が悪い。 だが、私には止められそうにない。探偵に伍するなら探偵、劣るが怪盗を用意するのが定石と言うものだ。殴り合い、殺し合い、を除き、非探偵が話し合いで探偵を説得できるとは思わない。 と……、言うのが探偵菖蒲の持論なんだけど、どうしてこうも探偵にこだわるのかな? ただ、無理に止めようとして穏便に済むとも思わない。 菖蒲は職能集団や生き様としての探偵とは違って種としての探偵だから。それも集団の危機や過ぎた先鋭化としてではなく、人類が作り出してしまった探偵。 チャラ男やホストとは違って、人類が何世紀かを先取りして手に入れてしまった完全な形での人造人……探偵。 探偵の真似事をして九分の五殺しになったアマリ―の二の舞はごめんだった。 「私は見ての通り、絵、だろう? 同胞との横のつながりは広い方だったから怪盗に盗まれそうな名画を遠藤家に教示する機会は今まで何度かあった。 幸か不幸か、本格派が怪盗と対峙する例は乏しいけれど、何も自分が人間ではない探偵だからと言って備品の身分に甘んじることはないんだよ。私も遠藤には大恩があるのだからここで説得させてもらう。 【魚沼産コシヒカリ】なんて危ない橋は渡らずにここにいるんだ。生徒となって、この学園(おり)に閉じ込められたままでいなさい。 形だけでいい、何なら同じ遠藤さん家の柊さんと同じく風月(ヴァントーズ)と内縁の……探偵【注:第三の性(さが)である探偵に、妻とか夫とかいう呼称は似合わない】になればいい。 そうすれば、戸籍のない君たちも晴れて――いや、それが不義理と言うなら私から部長に頼んでもいい、あの人なら――」 「申し訳ありません。芽月様ではわたくしの伴侶(ワトスン)にはなれません」 要は体を張って止めろと言うことか。 けれど、全身をもって探偵の心を繋ぎとめるには私の存在(なぞ)全てを投げ出しても無理だろう。 自分自身、そして探偵と言う種の根幹に関わる謎に挑もうとする探偵を前にしては、下手な説得をして物わかりのいい大人を演じるのがお互いを傷つけずに済む、冴えたやり方なんだろう。 「風月様は早急に男女の別をつけるようにお願いなさいませ。いくら『探偵』とは言え、柊も八つを数えた頃、不憫でなりません」 「生きて、帰ってきなさい。その言葉は本人に言ってやらないと、私は一生柊さんに睨まれてしまう」 『春みじかし 何に不滅(ふめつ)の 命ぞと ちからある乳を 手にさぐらせぬ』 私の胸は高鳴らない。それがわかったのだろう、探偵は少し悲しそうな顔をした。 「生きて帰るには、『ライヘンバッハの滝』が必要となるでしょう。約束は出来かねます。相手は【魚沼産コシヒカリ】なのですから。 不躾なことを申し上げれば、どうか見守っていてくださいませ。それと、こちらはいただいていきます」 濡れた袖で衣服の乱れを正して立ち上がり、同じく部の備品のビスケット缶を袂に入れる。 あんなものと、菖蒲が同じ括りであることが腹が立った。 ここまでの非礼を詫びるように菅笠を取り去ると、ぴょこんと顔を出した菖蒲の花が可愛らしげに揺れていた。その顔は見えない。 部屋から出るまでその手は掲げられたままだった。 さよなら、菖蒲――。 「探偵ってなんなんだろう――?」 探偵が部屋から出た途端に言葉が漏れていた。探偵とは職業であり、生き様であり、そして種族なのだけど……。 菖蒲がそのすべてを兼ね揃えているとしても――それで説明がつくとは思えなかった。なぜなら私は依頼人ではない。ワトスンでも警察でもない。もちろん探偵でもない、単なる証言者だったからだ。
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?????・???????? プレリュードSS 「で、卯月副部長殿はどうするおつもり? 文月の抑えに置いた水無月の封印は解けてしまったみたい。本部を壊されるのはとっても嫌なんだけど」 「逆だ、皐月。文月は文月でしかない。劫穉がいなくなったから、その埋めとして水無月をでっち上げようと言う実験をやってみたに過ぎないよ。 一年前の俺とお前、文月を除いての皆殺し、にも関わらず存在を埋められない水無月の座。その矛盾はあいつの中で相当なストレス、記憶の混乱を招いたはずだ。おかげで制御はしやすくなったがな」 「悪趣味ね」 もちろん、それだけではない。 仕掛けも――しておきたかったしな。 「『暦』はもっと面白い使い方があるはずだ。 神無月に対する神在月(※1)と同じ封印に、たまたま空席になってしまったが、『暦』が十一人しかいないのは体裁が悪いっていうのもあるからな。文月に水無月の分を任せて魔人能力(リソース)を割かせることであいつの中の凶獣(けもの)を飼い慣らせればと思ったんだが、まぁ今後の課題としようか」 口舌院だった魔人は、今は卯月である。 魔人の家にとって重要なのは血筋より生き様であるとするなら、卯月言語は口舌院になお似ていた。 だが、彼は言葉を扱っても捉われないし、家に囚われようとしない。 自由であろうとする魔人に居場所を提供する、それが「暦」の役割の一つであるとするなら、その点で言うなら彼は姿見せぬ部長に感謝していた。姿見せないうちは、であったが。 「ふーん。見つけたというか、でっち上げたんでしょう? 実体のない部員で嵩を増しただけってことは、劫穉が戻ってくることは確信してるみたいね。私、あいつ嫌いじゃないけど。馬鹿だし」 「それをお前が言うかよ。嫌いじゃないのは同感だけどな。馬鹿だし」 「あら、初めて気が合った気がするわ。それにしてもまるで他人事みたいな言い方だけど本当に大丈夫? 展開上、実験動物の暴走に巻き込まれるマッドサイエンティストの末路になりそうだけど。 ハルマゲドンも終わったばかりだし、変な所で足を掬われるのは嫌よ」 「嫌なフラグ、か。皐月、俺を舐めるなよ。既に手は打ってある。……早いな」 「霜月惨状! ちわーっ。新鮮な死体二つ、お届けしましたー!」 背には巨大なビスケットを背負ったそのシルエットは女性としては巨大なもので――果たして、その両脇には血塗れになった文月ひさぎとジャン・マリー=クロワザールの身体が抱えられ、その時を待っていた。血の塊がぼとりと落ちる。 背負ったビスケットを投げ捨てる。 ガランガランと音を立てて廊下を転がっていく音が妙に侘しい。食べ物を粗末にしてはならないなんて、ありふれた常識にはもううんざりするの。 赤い風が吹いている。 吹くはずの無い風の色にちょっとだけ焦る。風の正体は水無月、こちらに向かい、殺そうとする目的のみで動くそれは単調な動きしかしないで、それでも予想外の敵が上乗せされることによって双方に傷を増やしていく。 腕が擦れ、爪が掠る程度で派手に血が舞うのはその手に刺さり、まるで一体のようになった瑠璃丸(※1)のためである。裸で持つはずがないのは必定で、その辺にあった凶器を手に取ったに過ぎない。 ああ、怒られるのが"私"だけで済めばいいなあ。 私が私であろうとしても、いつもこのお仕着せの姿が邪魔をする。そうと知っているのに皮膚に走る赤い筋を見て、恐れるのはなぜでしょう。 手持ちのビスケットを投げつける。非力なこの姿では牽制にしかならないが、そもそも食用でしかないのに本職の真似事をしようと言うのが間違っているのかもしれない。 「迷っているの?」 水無月ひさぎと言ってはみたが、実際に目の前に立つ水無月は酷く不安定。 あくまで自己保全のためにのみ出てきたのか、それは己の生存がかかっているからでしょうか。文月ひさぎの意志を捻じ曲げて出てはきたが、水無月を掠め取った偽物の月は能力の行使もままならない。 それでも――、この自身を傷つけ殺めるには十分な膂力を有しているのは紛れも無い脅威――! 「いいえ、恐れているんでしょう」 つまりは狂戦士に連なる能力の副産物は、皮肉にも酷くロジカルな存在ということ。 無色の存在、誰にも気付かれない空白の空間(スペース)を作る意味でのみ存在が許される。 哀れな存在――。 しかし、文月を生かすためには一切の慈悲なく始末しなければならない。 傷が増え、双方ともに血が流れていく。延々と続けていく意味はない。失血死まで待つ選択もなかった。 突貫――! 殺意さえ虚ろなその目元からは意志は希薄で、それ故に対処もしやすい! 「ポケット・ビスカッセ(窓満ちよ・二つに割かせ)」 そうして、掌が心臓を打ち、顔を突き刺されたところでした。 ついでに膝から崩れ落ちてしまいましたね。あちゃーですね。そいつも霜月のところまで転がってきたわけですよ。丁度、ジャストでモーメントなプリーズのタイーミングでしたねー。 「あーあ」 で。霜月さんは終わっちゃった。怒られるなぁ、と思いつつそいつを踏み砕いたわけです。 ぐちゃりとなんだか生々しい感触とともに、何だか生々しい液体が靴まで飛び散ってやーでした。 人の血の味を覚えたヤツは必ず始末しなければならない。そう聞いているので、責められる筋合いは全くないはずなのに憂鬱なのでした。 「霜月はそういうことですよ。卯月副部長! 皐月先輩!」 「霜月――? ふん、早速機能してくれたか」 「どうしたの、卯月。見ただけなら特に問題のなさそうな構図に見えるのだけど。相打ちも視野に入れていたんでしょう?」 「相打ちが関の山と思うか? これが本当なら上出来なんだがな。ああところで、水無月が落ちたなら、月次が繰り上がるのが道理と言うものだよな、皐月?」 「ああ、そういうこと。私は関係ないけど、だとするなら――」 二人が"霜月"に向ける視線が厳しくなり、続いて部長の口から紡がれた言葉はあからさまな詰問だった。 「誰を連れて来た? 部員でもないものをここまで運んでくるのはいくらお前でも権限を越えている。返答次第ではただでは置かないぞ」 「ああ、そんなことですか。"霜月"はこのサボテンさん、名前は瑠璃丸と言うらしーんですが、を連れて帰っただけですよ。大丈夫です、たとえ魔人サボテンだっとしても、こいつもう死んでますから!」 果たして、二人を床に転がしたのちに、立てかけられたビスケットの上に乗せられたサボテンは潰れたトマトのようになっていて、一見して死んでいるように見える。 だが――。 「サボテン? 文月から園芸部で手に入れたとは聞いたが――。いや。誰がそんな誤魔化しに乗ると思うか。『嘘』をついたな、霜月。いや――神無月」 嘘を付くと言うこと、それは言葉に関する魔人能力者、捨てたとはいえ口舌院の名を冠した男の前では危険なことである。それはたとえ能力に直接関わることがなくとも、否応が無きことに相手の土俵に乗せられる羽目になるから。 果たして、副部長の言霊に呼応するかのように皐月咲夢は動いていた。 「どうも、あなたが副部長の前では不自然な言動を取っていたのは気になってたのよね。確かにあなたは馬鹿だけど、劫穉と同種の匂いがしてたから。 馬鹿みたいに天邪鬼なあの男とおんなじで馬鹿でもルールがあるみたいな動きしてたでしょ」 そんな彼女に強制的に嘘を吐かせる。欠員が出た時、強制的に月が繰り上がる仕組みを利用した、それが「水無月」の仕掛けの一つである。 「はぐらかすような、ふざけた動きは半ば素なんだろうが、洗いざらい吐いてもらうぞ、バカ」 そして、副部長と皐月咲夢が唇を動かしても神無月サビーネは指一本動かせない……? 「あっはっは。副部長には参りましたねー。そんな罠仕掛けたところで霜月は嘘なんてついてませんよーだ」 動いている……、だと!? 慌て、互いの顔を見やるが首を振るばかり。 「どういうことだ……!?」 「種明かししましょうか?」 「誰だ!」 割り込む声に意外性はないが、予想外のイラつきのままについ声を荒げてしまう。 中性的なその声は、室内、もっと言えばビスケットの中から響いていた。 「よいしょっと」 ジャン・マリー=クロワザールの武装たる直径1.5mのビスケット、人を隠すとするなら相当薄っぺらくないと難しいだろうか。 だがそれが一面の絵画であるなら容易いことである。 ぱりりと、奥行きのない画面から突き出された掌はぺりぺりと、本体の絵画にまとわりついた表層を剥がしながら徐々にその輪郭を現していった。 濡れた体に張り付いたか大事なところは隠されているものの、腰骨や鎖骨と言った華奢な部分は丸見えで、だからこそ未成熟な少年とも少女とも言えるほっそりとした骨格と肉付きが、より強調される。 ビスケットが薄手の衣装張りにくっついていることは無骨な岩石の中に隠された宝石のような輝きを放つ小道具だと、自己主張するようだった。 彼女は――人ならぬ、かと言って魔でもないような不安定さを描いた妖しげな魅力を内に秘めていた。 「私はリュドミラ・ジェルミナル。『暦』の流儀で言えば芽月リュドミラとでも言うのかな。んー、どっちでもいいか。じゃあ、そこの霜月共々よろしくお願いするね」 「ありゃー、芽月サンでしたかー。霜月のピンチに助けに入ってくれるのはイイデスケド、なんかそれは刺激的と言うか、なんというかー」 「気にしないで。副部長さんにもごめんね。もっとも半分は気付いてたみたいだけど」 「ふん、別にいいさ。何かいるということはわかっていたんだ。別にそれが何であろうと構いやしない。それで、何の用だ?」 手をだらりと下げ、やる気のない姿勢を保っているように見せて、その眼光は鋭い。 隣に控える腹心は尚更のことである。それだからこそ、霜月の弛緩した声が高らかに響き渡った。 「それはですね。霜月は『暦』の神無月であると同時に、ずっと『カランドリエ(※4)』の霜月(フリメール)だからなのです! だからこそ、霜月はいつも何度でも霜月であり、嘘はついていないのです!」 「カランドリエ……? またフランス語か――!」 「『暦』の妃芽薗学園支部と思ってくれればいいと思うよ。副部長さんにとっては『テルミドールのクーデター』のような気分かもしれないね」 再び、芽月リュドミラ。ちなみに芽月とは三月下旬から四月下旬までを指す。 「なるほど。『フランス革命暦』ね。フランス革命を機にフランスでほんの僅かな期間採用された、時代の徒花。その理屈で言うなら『フリメール』の日本語訳は『霜月』になる。 馬鹿みたいに名前言ってるだけと思いきや、使い分けてこちらを欺いていたなんてやるじゃない」 「神無月――、いや先程の言葉は訂正だ。お前は"霜月"でいい。そうなれば、とっとと劫穉には帰ってきて来てもらわないと困るけどな。で、そいつは二重学籍者ってことでいいのか?」 「話が早くて助かる。私たちは同じ『暦』の同胞と相争う気はないもの。部長の指令で『葡萄月(ヴァンデミエール)』を回収しに来ただけ。別にいいでしょ?」 「別に構わないが、死体を持って帰っても仕方がないぞ?」 冗談だ。死体は二つと言うが、そこまで律儀にこっちを欺くのか、この馬鹿は。 「いつまでも寝てるな! 葡萄月、いい加減姿を現したらどうだ!」 言葉に呼応して現すのは、ジャン=マリーではない。もう、その魔人は自身をそう呼ぶ気はなくしただろうから。「葡萄月」と名付けられたその瞬間に無意識か、ビス(二つに)・カッセ(割れる)! 分かれる、分かれる、分かたれる。記憶が身体が体重が。どちらを己と定めるか。 同時に、これは証になるだろう。部員に姓を与えられるのは部長、もしくは全権を委任された副部長だけ、単に名を騙っただけでは絶対見せない反応が返ってくれば、彼女の言うことは真だろう。 残ったのは――、九分の四の方だった。 少女の前に首を垂れた少年はビスケットの欠片を差し込まれて、少しもがくとまた息絶えた。 それが、二回。 年齢十八歳、体重七二キロ。つまりは年齢八歳、体重三二キロである。三分の一の方が最期に悲しそうな顔をしていたのが気にかかったが、いきなり九分の五殺しをした当人はと言えば澄ましたものだ。 誰も止められないような、妙な雰囲気が作り出されていたのは確かだが、その空気をいち早く作り出したのが事態を把握して間もない副部長と言うのは驚くしかなかった。 ま、いっか。私リュドミラの肖像も伊達に長い付き合いはしていないし、彼・彼女の自殺を見るのは別にはじめてでもない。だから努めて明るく振る舞う。 「随分と思い、切ったんだね。葡萄月、私のこと覚えてる?」 「ん――、記憶はだいじょうぶかな? おーけーおーけー、おぼえてる。確か絵の具の一気飲みで――」 「ごめん、やっぱやめて。しかし初等部からやり直しとは随分思い切ったものだね。私達の苦労も少しは考えて欲しかったんだけど……」 「いやなの」 「は?」 「いらないものばかり詰め込んで、無駄に年を取っていくのがいやなの」 これだから嫌だ。私と同じ百年ばかり生きているようで、連続性がないから。本当に彼女と同じものを見て、共感しているのかはわからない。私と一緒に見た感動が捨てられてしまったこともあるのだから。 「部長はそんなあなたに望む『暦』の椅子を与えなかったよ? 葡萄月はそれでもいいの?」 「それでも部長を、閣下をあいしています」 即答だった。失礼な考えだっただろう、思わず頭を振る。私と彼女を繋ぐ関係性は部長だけで十分だから。 改めて向き直る。副部長が何をしようとしているかは知らないけれど、「カランドリエ」の一人として為すべきことは決まっているのだから。 「そっちがいくら死のうが別に構わないけどな。二人も殺しやがって。おかげでここは少々危ないから、ちょっと文月を運びたい。と言うか手伝え」 「――ごめんなさい。話が事前に通っていればよかったんだけど、『カランドリエ』は試行可能な全面において『暦』に協力します」 「ちょっちょ、芽月さん!」 「黙れ! 貴様は副部長と私、双方の命に従えないと言うのか!」 芽月に一喝された途端に萎縮する霜月を見る。なにこれ、面白い。 「で、死体って言うのはそこのサボテンと水無月のことでいいの? 死体二つでっち上げたのは驚いたけど。本当に部長の関わる案件は言葉遊びばっかりで困るわ。 もっとも、私の"探索"が用を為さない場面が多かったのは納得だけど」 人生ぶつ切りの百年戦争に、名前だけ二重スパイ、意味ないけど嫌がらせか! とりあえず同じ暦の本部でも河岸を変えて仕切り直し、ちなみに文月の血糊はきれいさっぱり。これも「ポケット・ビスカッセ」の効果らしいけど、年齢を削らずに水無月を切り離して消せたのは彼の特殊な在り方に原因があったんでしょうね。 とにかく、文月は現場から引き離したし暴走の危険は当座無いでしょ、そうでしょ部長? そうだ。分割効果ですぐ癒したとはいえ、心臓ごと記憶の一部分を持っていかれた文月はさすがに休ませてある。後遺症はないらしいが……、元々不安定なあいつのことだ。楔を打ち込むにも限度があるだろう。 さて――。 「一年前の事件は非常に痛ましい事でしたが、僕としては文月君の身柄をこのままで保持したい。君達としては異論があるかもしれないが――どうかな?」 「ん? わたしは別にいいとおもうよ。部長はなにもおっしゃらないし、わたしが興味あるのはいまの『暦』であって、むかしなにが起ころうがかんけいないもの」 「芽月も葡萄月と同意見だね。『暦』は何があっても断絶してはならないから。その点で言えば、副部長の采配は称賛するしかない。部の分裂の危機を防ぎ、新たな血を入れてまとめあげたことには驚嘆の念を感じるよ」 「霜月は――、部長と副部長の指示に従うだけでっす! と言うか、あんまりにも自然に話が進んでますけど、ひょっとして『カランドリエ』も副部長のパシリなんですかぁ?」 こいつら――、いや二人。長く生きた魔人は大体おかしなものだが、やっぱり異常だ。 それで気圧される俺と皐月ではないとはいえ、計画に組み込むには不確定要素が多すぎるか……? 「いいんじゃない? 学生のうちにぱーっと盛り上がりましょうよ」 「皐月、何をッ!?」 「いいのよ。こういう時は手駒が増えたと単純に喜べば、どうせこいつらそういう無意味なプライドとは無縁だろうし。副部長の要請に応えてくれるっていうなら……まぁプラスアルファとして扱いましょ」 「スゴい奴らだよ、君達は。敵っぽい連中の前で悪だくみをしている」 そうだな。イヤ……違うな。ここまで踏み込まれた時点で胸襟を開くしかないんだよ。 「ふふ、そうだな」 少し慎重になり過ぎていたようだ。 精々使わせてもらうぞ、「カランドリエ」の諸君――。 「ところで、閣下からほかに名前はあずかってこなかったんですか?」 「いや、葡萄月だけよ。下の名前は勝手に付けて」 途端に、ぶつぶつと考え込んでしまう子供。いけないな、この子は、ここまで研ぎ澄ませた幼女は見たことない。なにも恐くなんかないんでしょう。二人を邪魔するものはすべて消していくような、そんな顔をしてる。 だったら、こういうのはどうだい? 「花が、いいね。花か、獅子か……」 「え?」 「これは私の独り言。部長は、我々に自由でいて欲しいんだ。だから私の恋人(ルスラン)になる可能性を捨てることもないんだよ? なーんてね、冗談だよ。でもね、誰が誰を好きになるのも未だ来ない、だからこそ『未来』と言うんだよ、過去を振り捨て前を見る現在人(いまびと)さん?」 「バラの名前を持つひとにはいわれたくないわ。ライオンの名をほしがる騎士さま? なら、くちに含むには毒ある花をえらびましょうか。うん、そう、そうだ。――アマリリス」 どちらとは問うまい。根っこの部分に毒がある。 「はじめまして、ひさしぶり、こんにちわ、葡萄月(ヴァンデミエール)・アマリリス(※5)。私はあなたをアマリーと呼ぼう」 「はじめまして、ひさしぶり、こんにちわ、芽月(ジェルミナル)・リュドミラ。わたしはあなたをリューダと呼びます」 かくして、二人は「暦」の本部から出て「カランドリエ」目指して歩き出す。 後をなんとなくついていくのは霜月だ。ちゃんと副部長のお墨付きである。 えーと、なんですか、このキラキラした会話。 霜月はやっぱりおはなしから置いてけぼりにされていた。 この後、彼女は人目を避けるために絵の中に収納された二人組、七〇キロオーバー(推測)のクソ重い荷物を妃芽薗学園まで運ばされる羽目になるのだが、二重スパイ(笑)なんてこんなものである。 <補足> ※1:瑠璃丸 正式名は「刺伊座・瑠璃丸(しいざ・るりまる)」。 とある園芸部員の最初の友であったが、持ち出すこと叶わずこの度で永遠の別離を演じた。 曰く「『暦』の連中になんか渡すからこんなことになったんだよおおおおおおおおおおおおおおお!」 ※2:神在月 「神在月」の襲名者は部の内外問わず追放者に付与される。この月名は三重の封印の一環として与えられた便宜上のものであり、厳密な意味で襲名者は「暦」のメンバーではない。 神無月とは神々が出雲国に集い、男女の和合、縁結びについて話し合うため全国から留守居役を除いて神々が姿を消すことを言葉の興りとする。 そのため、肝心の集合地である出雲国は「神在月」と呼び名を変える。 この名が与えられた魔人は要は最低系二次創作のヒロイン(メアリー・スー)を体現した能力者。 詳細は省くが性質上、創作に携わる人間、特に編集者や文芸者には蛇蝎の如く嫌われ、彼女の出現した世界における「文芸部」は面識や事前情報がなかろうと、本能で即座に抹殺対象と見なす程である。 しかし、作中作にも介入可能なこの能力によって『忍者デブ丸伝』を原作レイプしようとしたところを、偶然読んでいた「暦」部長が発見。作中世界から引き摺り出されて捕縛され、氏名を奪われる。 「神在月」の姓は他の創作世界に逃がさないために与えられたもので、現在は「神無月」代々の申し送り事項として「暦」本部の一室(1LDK、風呂あり)に衣食住保障のニート生活付きで封印されている。娯楽は厳重に精査されて危険がないと判断された百合作品しか与えられていないと言う。 ※3:リュドミラ・ジェルミナル/芽月リュドミラ 絵画の魔人。「カランドリエ」の一員でもある。 ジャン=マリーの補佐の為に霜月の手を借りて事前に希望崎学園の美術室に持ち込まれていた。 絵の中から抜け出て自由に行動することが可能だが、実体が絵なのか人なのかはよくわかっていない。 制作者は不明だが、ここ百年以内の作と言うことだけは本人の口から確認が取れている。 全体的な構図としては水辺に佇み、一糸まとわぬ裸体のままこちらへ振り向こうとしている少女と言うもので、自らの境遇に思いを馳せる物憂げな表情と、人と魔の境界を彷彿とさせる揺らいだ肢体が多くの所有者を魅了した。 その来歴の中で多くの人間と添い寝をしてきたようで、結構達観しながらも求められるままに多くの女性と浮名を流す王子様的なところを持っている。貧乳の同性愛者。 絵の癖して全身は常に濡れそぼっており、火は効かない。 ※4:カランドリエ 「暦」の妃芽薗学園支部。 フランス革命暦に倣い、葡萄月(ヴァンデミエール)から果実月(フリュクティドール)までの姓を与えられた十二名の部員で構成される。 基本的な性質は「暦」に準じて部長も同一人物であるが、月名はバラバラに付与されるため部員間に序列がなく立場は平等である。なんか無駄にキラキラしてる部員が多いらしい。 希望崎の「暦」副部長に彼女らの指揮権も付与されるが、学籍を盾に一定の拒否を示すことも可能である。性質上ほぼ全員が女性である他、統制のとれた「暦」と異なり、組織に捉われない自由人が多いのも特徴。ただし部長には絶対服従。 ※5:アマリリス・ヴァンデミエール/葡萄月アマリリス 「暦」部長に絶対的な忠誠を誓う魔人。旧ジャン=マリー・クロワザール。 こちらが本来の性格に近く、余裕綽々の態度の中に直情的な熱情を秘めている。 今回が百年以上の終生において九回目の改名になるが、姓を部長から与えられたことも、名を自分で名付けたのも最初の経験である。 リュドミラとは古い友人で愛称で呼び合う仲。
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風月 ペルル(ヴァントーズ・ペルル) 基本情報 キャラクター名:風月 ペルル(ヴァントーズ・ペルル) 性別:女性 特殊能力『ペルルのキネマ』 “観客”と自分自身のいる空間の間に不可侵の銀幕(第四の壁)を下ろし、相互の干渉を防ぐ。 自身を中心とした空間を切り離しこの中だけなら現世へ干渉を行いうると言い換えることもできる。ちなみに外界と視認や会話も可能。 任意発動型の能力だが、彼女自身誰かに見られていないと世界に干渉できず、いずれは大元の映画の中に戻されてしまうという弱点を抱えている。 そのため孤独を恐れる心理もあって、ぺルルは仲間や家族の写真を手放さない。 キャラクター設定 キャラクター名:風月 ペルル よみ:ゔぁんとーず ぺるる 性別:女性 体型:普通 学年:その他 部活:『カランドリエ』 委員:卒業アルバム制作委員 武器:思い出のアルバム 初期ステータス 攻撃力:15 防御力:2 体力:3 精神:5 FS(ギャランティー/枚):5 アビリティ:魅力[charisma] 幻の映画「ペルル・キネ(Perle Quinet)」その人。 父・映画監督「マクシム・キネ」と母「マリオン」の間に生を受けた一人娘。 二人から溺愛され何不自由なく育つが、存在感が奪われる奇病≪彼(か)は誰か≫に冒され、世界のすべてから忘れ去られる。 22歳没。死因は未だに明らかになっていない。 娘の死と同時に完成した記録映画は世に出ることなく、本人と共に忘れ去られた。 意志を持つ映画にして生前の「ペルル・キネ」のすべてを覚えている肉体なき魔人。 「ペルル・キネ」の中に彼女以外の人間は存在せず、倉庫の片隅で埃を被りながら孤独なひとり遊びを繰り返していた。 そこを発掘し、彼女を現実世界に連れ出したのが「カランドリエ」の実質的指揮を執る芽月リュドミラその人。 真珠のように零れ落ちんばかりの輝く瞳はそのままだが、経年劣化によって美しい体にはところどころノイズが走っており修復が進められている。 プロローグ 「すずが死んだ……? そう」 赤、あお、きいろ、原色が散っている。真っ白なシーツを汚している。全身を弛緩させベッドに体ゆだねた女の汗というには透き通り過ぎていた。 「カランドリエ」の一席を担う芽月リュドミラに「涙」を問うてはならない。 絵画から生まれ出た水妖、それは若くして死んだ娘が変じたものとも人の心が生み出した慰みとも言われる。だが、人を誘う妖魔が本当にこの世にあるとするならば、見て微笑みを返すだけでいいのだろうか。 リュドミラは寝姿から立ち姿に、胸を当てて考える。 影の女王(アルジーヌ)からそう報告を受けた時、私の胸に去来したものはなんだっただろうか? 失望? 自責? 安堵? どれも違う気がするし、どれでもある気もした。 サビーネにお人形にされかけた命を救うという意味なら、あの場ではああするしかなかったと言えるし、単に一風変わったお人形に作り変えたとも言える。 芽月リュドミラは己の愚かさにただ嘆息するのみだった。 「カランドリエ」、その本分は部長、もしくは……副部長の手足となり、その代わりに命投げ出しても構わない部員を集めること――彼女はそう解釈している。 私個人のために死んでもらっては、困るのだ。それでは彼女たちが浮かばれない。 喉が渇いたので部費ゼロの中、みんなでお金を合わせて買ったミニ冷蔵庫から冷やした水を取り出す。 そのまま口に運ぼうとしたところで電話がかかってきた。今時珍しい黒電話が電話マニアのせいで我が部室ではいまだに現役である。金持ちはなぜか余計なところで渋っていた。 「もしもし。『カランドリエ』です」 「あ、リューダ? 久しぶり。アマリーですよ」 噂に出したわけではないが、図らずも当の本人だった。電話ボックスに住んでいる魔人「葡萄月アマリリス」、リュドミラの同志であり同じく部長信奉者、今は妃芽薗を離れて渉外に当たってもらっている。 ソプラノボイスから変じてそろそろ背も伸びた頃だろうか。ガラガラと雑音が入っているのがうるさい。 「話は聞かせてもらったわ。わたしが次の『風月(ヴァントーズ)』を用意したから受け取ってね?」 十二名の魔人からなる『革命暦(カランドリエ)』。欠員は速やかに補充されなくてはならない。 風月は今年に入ってから「藤原京(ふじわらきょう)」の失踪によって長期に渡って補充不可能な状態に置かれていた。それが解消されたのがつい昨今、熱月雉鵠(テルミドール・じかん)の功績だった。 「……どうしたの? まさか、適任者が見つかったとか? 流石……と、言いたいけど次の風月は『画廊(ガルリ)から出す手筈じゃなかった? 副部長と折り合いつけるの大変だったんですよ?」 「いや……、何でもない。認識は共通だ。それで、誰が来るんだ? ココン? それともサリシャ? まさかヴァンって言わないよな? 女装してもらう羽目になる」 胸騒ぎを隠せなかった、こういう時に限りアマリーは鈍感になる。 「ペルルにやってもらうことにしたよ。――フランスの『画廊』も古巣なんだからたまにはリューダもみんなに顔を見せてやったら? ん、聞いてる? おい、おーい……」 最悪だった。よりにもよってお前が来るのか。 「ペルル……ね。あの子が、命がけの仕事だってわかってるのか気になるね。『風月』も四度目。――この頻度で入れ替わってもらっては困る」 「通信状態が悪いのかな? あ、替わるよー」 電話ボックスを押す音が途切れ、また現れた。キャニスター付きとはいえ、きっと重いだろう。 はしゃいだ声が響く。もう三〇〇時間は観た声だ。 「お久しぶりですわ。リュドミラ様、わたくしが参った暁にはあなた様をおひとりになどさせませんわよ!」 年甲斐もなく、と言うのは野暮だろう。 姿形だけを見れば私は十も半ばの小娘で、ペルルは若奥様だが、経過年齢だけでいうなら倍は違う。 人間だったころから起算するにしても実質二十年も生きていないだろう。 「今のタイミングか……。悪くないね」 「リュドミラ様?」 「まず、君には少々薄汚れたところに行ってもらうが勘弁してくれ。その代わり存分に暴れてくれ、ぶっ壊せ。邪魔者を排除したら鮫氷しゃちとコンタクトを取ること、必要以上の会話はいらない。手紙を渡すだけでいい」 「わかりましたわ! それでその邪魔者というのは誰なんですの?」 「リストは送るが、まだ不明瞭なところもあるからね。一人、二人……? いや、直接会って話そう」 ああ、この無邪気な声は私には厳しい。 よりにもよって鮫氷しゃち相手に、「死ね」と言っているようなものだ。 電話ボックスを押す音はさらに激しくなる。うんしょよいしょ、そこまでして運ぶのかこいつらは。 ブランコに乗ってはしゃいでいる小娘か、いつになっても、もういくつになることも出来なくなってその時間に留まり続ける、それが私たち「画廊」。 部長に目を留めていただけなかったら、今もあそこにぶら下がっていただろう。 私たちは死んでも生きなければならない。 「最悪の場合は私も助けに行く。だから絶対に死ぬな。愛しているよ、ペルル……」 テレ隠しだとでも思っただろうか? 電話を切り、聞こえないように、されど力ある言葉で言った。 電話を切る瞬間、ガラガラ音が重なった。 扉を開く音。 そこには懐かしの電話ボックスと背が私を追い越したアマリーと顔を真っ赤にしたペルルが立っていた。続いて、私も顔が赤くなっていくのを感じていた。 飛びつこうとする主演女優。だが、戸惑っているようだった。 私が立場を分かつ無慈悲な銀幕に手をやると、スターは観客席に落とされる。いいや。 走る、胸元で泣く、受け止める。今は同じ銀幕の住人として肉も骨もない電霊を全身で受け止めた。 シャッター音が響く。 電話ボックス越しにたった一人の観客がこの一瞬を切り取った。 二人は泣いて、笑っていたという。
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探偵を巡る別世界からの反応(その2) prrr……。 電話が鳴ったのはその時だった。わたくし遠藤(中略)菖蒲がただの菖蒲と呼ばれるのはいつの日だろう。つい一月前の事だが、当たり前の姓と名だけに呼び名を変えた同期が少し羨ましかった。 「はい、もしもし。わたくしです。あ、向日葵(ひまわり)? どうですか、元気してました? え、いえそれはいいので。 うん、うん。ごめんね。それで――」 pi! 電話を切る。想定の範囲内とは言える。許容できるかは、微妙なところでしたが。 「情報が出揃いました。探偵が殺人鬼に敗れたそうです。遺留品は一切なし、こちらの動向は一切向こうに気取られていません、ご安心ください」 わたくしが向こう側から発ち、こちら側に出戻って数日のことだった。 わかっていたことでしたが、流石に堪えるものです。 「声が震えています。他流派とは言え、同胞が討たれたことは流石に堪えましたか」 「……はい。おそらく、御両人の敗因は相手を人間と見誤ったことであろうと。現代妖怪、人が変じたそれであるなら納得のいく話でしょう……。わたくし、ショックです」 シーツ一枚で立ち上がった麗人「芽月(ジェルミナル)・リュドミラ」に指摘され、すごすごと立ち去ろうとするわたくし。 まさか、二級相当と推定される彼女らが敗れるとは、四級として、どうにも、こうにも、腹立たしい。 叶うならこのドアを蹴破りたいと野卑な願望に身を委ねたくなる、そんな一瞬だった。 ――まて。 幼い声だった。持ち込まれた電話ボックスの中に座るのは、この場を治める芽月(めつき)の盟友たる「葡萄月(ヴァンデミエール)・アマリリス」。 古式ゆかしき電話ボックスに、ナポレオンコートを着たローティーンの少女が居座っている。 これは彼女の私物なので全く責められる筋合いはないのだが、たとえこの電話ボックスが公共の乗り物であったとしてもそれを咎める者は誰もいないだろう。一人と一つはそれだけ調和していた。 古都の風情と枯れた技術の美しさ、そんな老成された雰囲気をこの少女は放っていた。 言葉を引き継ぐのは芽月である。 「……仇討は許さないよ。これは君らのボスから念を押されたこと。 名探偵はこのことも計算に入れていた口振りだったよ。で、その日車とやらは君にしか連絡を寄越さないそうだが、それはどうなっているんだい?」 「わたし達も風月(ヴァントーズ)という姓(席)をわたしたのよ? 確実なとどめがさされたと百パーセント確証できないとこまるの。わたしたちの同胞になりたいとねがっている人たちのためにも」 ええと、要は空席になってくれないと自分の息のかかったものを送り込めないと? そんな悪魔の証明を、いえ。そうではなく。 「は? そんなここ数日の事ですよ。てっきり、わたくし経由で姉様(あねさま)に回すものと――」 「アマリ―、あまり苛めるのはよして。風月の椅子なら特に問題はないから忘れて。 情報は双方向に……、君の友人、いや探偵? は君のことも監視していたんだ」 「そうですか」 陰口と誹(そし)られるようなことはやった覚えはないし、かと言って向日葵は根も葉も無いことを告げる様な心根を持った探偵ではない。 ただ、籍を入れたばかりの伴侶「伊藤迷路」様相手に逃げ回っているのは確からしいし、人工探偵風情にと、気に入らない方々が僅かな瑕疵でも見つけ騒ぎ立ててやろうと感ずるには十分だろう。 言っては何だが、わたくしは睨まれるような経歴の持ち主だ。相互監視が機能するにはあまりにぐだぐだな関係過ぎる。言ってはなんですが、我々に甘々すぎますよ、花鶏(あとり)様。 ですが――、ここは乗っかりましょう。何を今更と、おっしゃられるかもしれませんがわたくしは大げさに声をあげる。ついでに顔を蒼褪めさせてもみる。そして、ここで乗っかってこられるのがこの方だ。 わたくしは信頼する。交渉相手にも、犯人相手でも、まず相手を信じるところから推理ははじまる故。 「そんな、花鶏様から? どうして――」 「そのどうしての意味について二つ答えましょう。ひとつめ、私達が君らを呼び寄せることが出来たのは私が受けた恩義のこともあるが、このアマリ―が伊藤園と言う姓を名乗っていた頃の縁もあるんだよ。 ふたつめ、組織の長と言うものは時に清濁を併せ持たねばやっていけないと言うこと。 君はあのメフィスト派にやたら肩入れしていたようだが、そんなことでやっていけるのかい? 日車さんはあちら側からも山禅寺ショウ子を追っていたが、淡々とした尾行に留まったそうだよ」 (大方、シシキリの本名が堀町臨次と言うことにも気付いていたんじゃないか?) いや、流石にこのリューダもそこまでは口に出さないが、探偵連中は一体どこまで掴んでいた? パイプ役になっている目の前の菖蒲(あやめ)もよくわからない存在だし、果たして我々はこのまま「迷宮時計」を追っていていいのか? 参加者も中々捉(つか)まらないし、おこぼれをもらうなんて消極案ですら覚束なくなっていないか? わざとらしい。ああ、じつにわざとらしい。だが、気障(きざ)にもこう言わざるを得ない。 「ふ、分からないなら聞き流してくれ、何さほど重要なことを言った覚えはない」 慣れないことをするものではなかった、考えてみれば私はこの菖蒲に知らず知らずのうちにペースを握られていたような気がする。ああ、そう言えばアマリ―が連れて来たのですね、探偵は。 私は、ついこの間再会したこの友人を胡乱な眼差しで見つめるほかやることがなかった。 あとのことはこの子が聞いているはずだ。 「あなたが、ここに来たときにちかった言葉をもういちどおねがいします」 「はい、探偵とは――事件を未然に防ぐのが探偵の仕事ではない、以上です」 「そう、あなたたち探偵は、わたしたちに協力してくれている。けれど、どうじに止めるけんりも有している。それは、ひどく曖昧なせいじと正義のつなひき、と言ったところだけど。 法偵のていたらく、その程度であゆみを止めるほどに、リューダ! あなたはじぶんの意志というものをもってしまったの?」 「……アマリ―」 押し黙るしかない。何だかんだで、私は彼女達に期待していたのだから。 我々の下に迷宮時計を持って帰ってくれるなんて、甘い幻想を抱いたほどに。 そうか――! 目の前の犠牲に目が曇っていたのは私も同じだったのか……。 「閣下からのたっしです。主客をころばせましょう。 ここからは探偵が主役、我々はそれにきょうりょくする端役なのです。 これを読めばわかってくれるでしょう。われわれの敵はスズハラ機関もそうですが、あやかし、妖怪変化のそれもひとしいということを!」 電話ボックスが開かれ、中から一枚の便箋がわたくしに渡される。 そこには『あやめ から ひまわり だから』と書いてあった。 「これは……?」 困惑しながらも、封を開けるとそこに書かれていたのはまるで意味不明の暗号だった。 たおやかな平仮名は、さらりと何でもないようでいても、一筋の流墨を一時に垂らし込んで長大な文面を作り上げたような感覚を与える。もしや――? 「はい、それは遠藤花鶏殿直筆、しょざいふめいの伊藤日車から送られたあんごうぶんのうつしです。 ちなみにあてなには当初『あとり から ひまわり だから』とかかれていましたが、そこをかえたのは差支えないからということでした。本文は一字一句かわりないですよ」 待って――! 一体これはどういう意味? なぜ、わざわざ連絡を閉ざした向日葵が姉様に――? 友人のマリッジブルーに、放浪の旅を勧めたばかりに何かよくない事が起こっていると――? 「ああ、それと『咎無くて死す』、がヒントだそうです。ついで、木様であるからこそ、単純であってもわからなくなってとうぜん。気を落とすことはないともおおせでしたね」 ……、気を使われた!? まずは文面の解読を手早く済ませましょう。 そして、数刻してわたくしは向日葵、いや日車の真意を知った。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
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多妮妲(復活) 多妮妲 復活卡Lv.1 固有必殺技 不潔女主角 災害投擲 生命剝奪 固有被動技 範疇錯誤 多妮妲(復活) 中文名字 多妮妲 日文名字 ドニタ 英文名字 Donita 生日 芽月12日 鵝耳櫟日 血型 不明 出身地 不明 稱號 The Sparkle 復活回到地上的戰士之一,邁向毀滅的暴走是化為混沌的過程。 地上へ復活した戦士の一人。破滅への暴走は混沌への道程 卡片取得方式 Premium Shop + 開啟對戰台詞 對戰台詞一覧 一般 「さあ、新しいショウの始まりよ」 「那麼,讓新的秀開演吧。」 「私のXXXXを味わいなさい」 「嘗嘗我的XXXX吧!」 「日文」 「」 vs 「日文」 「」 vs 「日文」 「」 多妮妲 復活卡Lv.1 能力值 HP 16 / ATK 8 / DEF 7Total 31 事件卡 ★ ★ ★ ★ ★ ☆ RARITY(稀有度) 10 ID 2151 必殺技 不潔女主角災害投擲生命剝奪 被動技 範疇錯誤 固有必殺技 不潔女主角 將精神變得更加敏銳,解放更強大的力量 條件 階段 移動階段 距離 近 中 遠 ○ ○ ○ 卡片 劍3↑,槍3↑,特2↑ 效果 「ATK+6」「DEF+4」「MOV+1」(6回合) 災害投擲 危險物質的投擲術 條件 階段 攻擊階段 距離 近 中 遠 ○ ○ ○ 卡片 特2↑ 效果 攻擊成功時,隨機對對戰對手造成「中毒‧麻痺‧封印.自壞」中的1~2個狀態 註:狀態的回合數為麻痺 封印(2回合)、中毒(3回合)、自壞(4回合),對手自壞存在時不會再次上自壞。 生命剝奪 操縱對手的生命,將其引向死亡 條件 階段 攻擊階段 距離 近 中 遠 ○ × × 卡片 劍6↑,特2↑ 效果 ATK+17,攻擊成功時對對戰對手造成「自壞」(4回合)。當對戰對手已有「自壞」的時候,吸收1個回合。 註:若是災害投擲附加到自壞,則生命剝奪會在災害投擲附加自壞後才減少自壞的回合數。 固有被動技 範疇錯誤 受詛咒的身體顛覆死亡 階段 防禦階段 效果 防禦時,HP變成0以下的場合,自身得到「不死Ⅱ」「自壞」「ATK+7」(2回合)當這個效果再次被使用時,發動成功的機率降低。
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古城のアジトに潜伏する永久機関員 しばらく単独で逃げた後の合流も大歓迎。 地下迷宮は生活に向いた場所ではないため、各自の異能で助け合えたらいいなと思います。 名前 アジトを訪れる日時 現状に対する意見 備考欄 フィデリオ 1/7 三組織に復讐したい 外とアジトの中継役 ライカ 未定 永久機関復活を願う ルイン 未定 ビジュ 1/7 とりあえず色々面倒なので捕まりたくない カスタネア 1/9 捕まるのは回避したい メルテェーデ 1/9 シェイド 1/10 捕まりたくないために立ち寄る 亥 未定 逮捕される永久機関員 名前 逮捕の日時 罪状 備考欄 ライカ 1/7 永久機関員であること 執行猶予で釈放される 00 1/7 10年前のパンドラ計画の主要人物であること ほぼ死刑確定 難波 1/7 永久機関員であること 激しい抵抗の末、施設を自身ごと破壊、意識不明 ルイン 1/7 傷害、器物破損 執行猶予で釈放後行方をくらます オルフェ 1/14 二件の殺人と余罪 収監後はひどく従順 ルカ 2/7 複数の殺人事件への関与と違法研究/実験 収監後少しづつ更生 マリモ 1/7 永久機関員であること 逮捕後に精神異常が認められた為、病院へ措置移管 神様たちの末路 詳しい死亡日が未定の 雨月/風月 は、日にちが決まり次第各自登録お願いします。 雨月 2月後半 残る神様が雨月、風月のみとなり、二人で逃走、汚染空間に身を投げ心中 風月 〃 〃 芽月 1/7 激しく抵抗したためその場で殺害 花月 1/14 衰弱死 牧草月 1/13 自殺 収穫月 1/12 処刑前にエスパー達と再会・満足した上で自ら命を絶つ 熱月 1/7 クオリアの手にかかり死亡 果実月 1/9 基地から逃亡するものの、途中で力尽きて死亡 葡萄月 1/10 退屈を極め自殺 霧月(跋) × ギアたちに協力し、神々の処刑に務める 霜月 2/7 自分の生涯に満足した上での自害 雪月 1/7 激しく抵抗したためその場で殺害 その他 他の人物に関わってくる動きをする方は、こちらに登録しておくと他の方が話を組み立てやすいかと思います。 登録は任意です。 名前 内容 備考欄 8/1(ホヅミ) スパイ行為が露呈 軍内にて、尋問拷問中 ガラ 森の奥で兄弟対決 軍に不法侵入してこようとした、ヴェリアと応戦後、不安定になるが、すぐに安定する アムリタ 軍から逃走 アルフォンソの助力を得て軍人に紛れ込み、逃走。 アルフォンソ 罪人の逃亡手助け・退役 自分の軍服を与えてアムリタを逃がした後、責任をとって軍を退役・一般人となる。
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史普拉多(復活) 史普拉多 復活卡Lv.1 固有必殺技 挑戰者 驚懼者 敬重者 固有被動技 覺醒者 史普拉多(復活) 中文名字 史普拉多 日文名字 スプラート 英文名字 Sprout 生日 芽月14日 山毛櫸日 血型 不明 出身地 異世界 稱號 Louve Garou 復活回到地上的戰士之一,為了修正原本的世界而帶著再生寶珠的使命的少女。 地上へ復活した戦士の一人。元の世界を正すために宝珠を再生する使命を帯びた少女。 卡片取得方式 Darkroom銀(普通卡)/金(普通卡) + 開啟對戰台詞 對戰台詞一覧 一般 「私はただ森を元に戻したいだけ。」 「我只是想讓森林回到從前的樣子而已。」 vs艾茵(復活) 「お姉ちゃん、その力は大母様の……」 「姊姊,你那個力量是大母大人的....」 史普拉多 復活卡Lv.1 能力值 HP 10 / ATK 11 / DEF 8Total 29 事件卡 ★ ★ ★ ★ ☆ ☆ RARITY(稀有度) 10 ID 2161 必殺技 挑戰者驚懼者敬重者 被動技 覺醒者 固有必殺技 挑戰者 對著天空咆嘯。 條件 階段 移動階段 距離 近 中 遠 × ○ ○ 卡片 劍3↑ 效果 必定變成近距離,自己的HP比對戰對手低的時候,移動力+2。移動卡0張時變身(攻擊力上升、防禦力下降、回復一半在變身時受的傷害)。 ※變身中白質ATK+10、DEF-5數值補正。(類似美味牛奶的型態變化) ※變身回合中受到的所有傷害的一半(尾數捨去),會在回合結束時補回。 驚懼者 使對手感到恐怖的架式。 條件 階段 防禦階段 距離 近 中 遠 × ○ ○ 卡片 特2↑ 防3↑ 效果 DEF+7,對戰對手「恐怖」(3回合),當對戰對手的HP比自己高的時候,對對戰對手造成2點直接傷害。 ※擲骰前就會給予恐怖,當次攻擊就會有恐怖的效果。 敬重者 預知將來的反擊而後退。 條件 階段 攻擊階段 距離 近 中 遠 ○ × × 卡片 劍4↑ 移1↑ 效果 攻擊力+移動x6,向後方退後一格。 固有被動技 覺醒者 能夠突破一切恐懼的心。 階段 攻擊階段 效果 攻擊時,無視「恐怖」效果 ※留言版區暫時重新開放,僅提供錯誤提醒修正、資料或翻譯提供,如有留言失序的情形版工有權撤除留言功能;FB留言仍能使用。 test 名前
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傑多(復活) 傑多 復活卡Lv.1 固有必殺技 因果之線 因果之門 因果之幻 固有被動技 跳躍 傑多(復活) 中文名字 傑多 日文名字 ジェッド 英文名字 Jead 生日 芽月16日 生菜日 血型 B 出身地 尹貝羅達 稱號 Supernaut 復活回到地上的戰士之一,可以自由地於世界線移動的航海士。 地上へ復活した戦士の一人。世界線を自由に移動出来る航海士。 卡片取得方式 Premiere Shop + 開啟對戰台詞 對戰台詞一覧 一般 「運命すら、ボクには書き換えることができる」 「就連命運我都可以改寫。」 「すべてはこれからボクが決めるんだ」 「從現在開始一切都由我來決定。」 vs阿貝爾(復活) 「ボクだけが全てを決められる。君の力は必要ない」 「只有我可以決定一切,我不需要你的力量。」 傑多 復活卡Lv.1 能力值 HP 10 / ATK 10 / DEF 10Total 30 事件卡 ★ ★ ★ ★ ☆ ☆ RARITY(稀有度) 10 ID 2061 必殺技 因果之線因果之門因果之幻 被動技 跳躍 固有必殺技 因果之線 操控可能性掌握勝利的線。 條件 階段 移動階段 距離 近 中 遠 ○ ○ ○ 卡片 特3↑ 效果 奪取對手2張手牌。 因果之門 干涉因果改寫命運。 條件 階段 防禦階段 距離 近 中 遠 ○ ○ ○ 卡片 特2↑ 效果 將對手出牌的上下方向隨機反轉。當自己所出特在8以上時,將場上所有卡片收回自己手牌。 因果之幻 操縱因果帶來更好的結果。 條件 階段 攻擊階段 距離 近 中 遠 ○ ○ ○ 卡片 特2↑,移1↑ 效果 ATK+14擲2次骰子並選擇結果較好的一次。 固有被動技 跳躍 航海士能隨心所欲選擇命運。 階段 防禦階段 效果 防禦時,就算死亡也有機會可以復活。復活時將一半手牌捨棄,接著抽取等量的牌。 註1:復活沒有次數限制。每次復活的機率約為50%。 註2:即便死於直接傷害、即死攻擊以及被縮短自壞回合而死亡也可以復活。 註3:當死於多階段的直傷時(例:月光+獵心獸、N幻影劍舞),復活後追加的直傷會被打消,但會再受到骰傷,而被骰傷打死一樣有機率可以復活。 註4:若死於骰傷混直傷的攻擊,復活後會回復到受直傷前的HP(不論直傷是發生在擲骰前還是擲骰後)。 註5:復活時有時會解除身上的異常狀態。(機制不明需要再測試) 註6:捨棄的牌量為尾數捨去,如手牌7張則復活後捨棄3張手牌。 註7:程序為因果之門發動→受傷死亡→因果之門回收手牌→跳躍→丟棄手牌接著抽牌。
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プロローグ 花降り積もる此処(ココ)は法の下に花刑を執行する庭。 スノードロップが鼻先に留まった時、彼女は花の意味を知った。 「お前は豆の搾りカスの塵(オカラ)だ」 心無い言葉を最後に『時逆順』は崩れ落ちる。 息の根止めてもジリジリと泣き喚くのは丁度いい時間だから? 時計草を見るとその頃合い。 腹を引き裂けばいいのでしょうか? 今度は目覚まし時計? ピーターパンの真似事なんてもう勘弁! あと何人『時逆順』を殺せばいいのか、わかりません。いつ終わりになるのか、わかりません。 ……絶え間ない頭痛に襲われ、慌てて法服を解(ほど)く。 髪の毛の本数は俗に十万本と言われるが、私の密度はそんなものではない。 一本一本の長さは優に3mを越え、実に艶やか、実は惚れ惚れしてしまう、その色は白。 何者にも染まる色だからこそ、法と則を冒涜している私のことを この子は「柊(ひいらぎ) 時計草(とけいそう)」と呼んでいる。 そして私はこの子を「風月(かぜつき) 藤原京(ふじわらきょう)と呼ぶことにしている。 「へぇ……SLGとは言え選りすぐりの『革命暦(カランドリエ)を一人やるとは、やる。やるじゃないか」 女の名前は芽月(めつき)リュドミラ。裸身にシーツ一枚を纏(まと)っただけの麗人だ。 絵画から飛び出してきたような、事実それを立証するような能力を持つ……美しさか。 まぁ、私達も負けていないがな! 薊(アザミ)に、鬼百合(オニユリ)、ダリア――。 花言葉が積み重なるここは、目の前に立つ法廷探偵の領域(テリトリー)。 つまりは「開庭(かいてい)」の言葉と共に花開く「花刑法庭 -フラワーコート-」だ。 そして私は春の訪れを告げる月「芽月(ジェルミナル)」を預かる者。 有体に言えば妃芽薗学園を暗躍する謎の部活の一員と思ってくれればいい。 彼女の足元に転がっている死体、それも割れたゴーグルからは白い液体が零れていた。 雨月杏花(うげつ・きょうか)。 同じく部長より姓を賜った「涙を豆乳に変える」と言うSLG能力者。そして、文芸者だった。 文芸と言う異能を相手にすると言えば多少手こずりこそしたが、如何せん二対一と言う差は埋められず、今は屍を晒しているというわけである。 論争の決着と共に死体は消失する。 いや、この花に埋もれるということは、花刑に処せられるということで。 この世でない処刑は、わからないことだらけだ。戻ってきたのは慣れ親しんだ私達の部室。 今は長机と、私の住処(かいが)、使い古されたベッドは廃品回収に回した。 「私はお前のことが嫌いだった。一度目は笑って許したよ」 ――けれど、三度目は待てなかった。脳漿が液のようになって滴り落ち、涙の色を染め上げる。 それがどうしても不快に思えた。最後くらいは綺麗に出来ないのか、と思う。 空間が溶け去る前、辛うじて掬い取れた白い液体は血の味がした。 「涙も乳も等しく血より変じた物。我も同じよ。それが為せぬ彼奴のことは不快であったな」 同じことをして、何を言うのか。お前も花に埋もれてしまえばいいのに。 この時代錯誤な喋り方をする女のことを「霧月槭(きりつき かえで)」と言う。 互いに派閥の長を張っているということもあり、私とはいわゆる犬猿の仲と言う奴だ。 「しかし、これで我等を遮る壁は取り払われた。汝(なれ)も後戻りは出来ぬぞ」 雨月はとりわけ容姿に優れていたわけではない、どちらかと言えば不美人に属しただろう。 自己評価が低く、を通り越して零であり、涙を形容する言葉でしか感情を発せなかった哀れな女だった。だが、魅かれるものがあった。 雨月は二人にとっての共通の愛人だった。 故に殺した。文芸に身の半分を喰われたこの女と同じ、女の取り合いで笑い種にされたくなかった。 「約束の物は菖蒲(あやめ)経由で作らせておる。 我らが身の内の暗黒料理人も『人工探偵』の技と併せれば更なる高みを目指せると喜んでいたものよ」 女の半身は白く、黒い。正中線を境に完全に色分けられたそれは、 単なる言葉の上でなら特撮染みた、らしさを感じさせるものであるのかもしれない。 だが、片側が常に不可視の物であるとするならどうだろう? 光の下では白い左半身が、影の中に黒い右半身が溶け込むなら、あなたはどう感じるだろうか? 「その前に見本(サンプル)をもらいたいんだけど、あと。どいて」 いくら半身が見えないとは言え、そこに無いわけではない。 能面のような無表情さを保ちながらも、ここは通さぬと立ち塞がる長身の女。 「いい? 僕もね。譲歩しているんだよ。愛する姉妹(ディア・シスター)を三ミリも渡しているんだから。 今すぐ渡せないならせめて、そこをどけよ」 少年らしい口調にソプラノの響き。同じ口で囀(さえず)るのは「風月(ヴァントーズ)」を不本意にも渡さざるを得なかった女だ。「風月 藤原京」――! 今はわざわざ手を拘束するようなマニアックな服を着ているが、その眼光は鋭い。 平行世界を渡り歩く部長が連れて来たと言うことは、私達が立つこの地平を重要に思ってくれている、 そのことの証左に他ならないのだけれど、そのために手札を二枚失うことになるとは思わなかった。 月が一つ欠けたのはまだいい。自前で押さえていた欠片の時計を奪われたことで、私達は「迷宮時計」に関わる上での自前の手段を失ったことになる。 「だからさ。ここは黙って引き下がってやるって言ってるの。 僕らの目的が何であるにしても、あんたらに危害を加える理由はないはずだけど?」 「危害――?」 「そう、危害。だから――」 見えざる手が女を突き飛ばした。霧月の力は大したものではないはずが、思わずバランスを崩し踏鞴(たたら)を踏む。 人工探偵は見た目より遥かに軽いと言うが、これは菖蒲と比しても相当のものだった。 髪を機織りに回していても、なお長く、引き摺るほどに長い髪が、ふわり体を持ち上げる。 「先回りさせてもらうよ。君らのオトモダチを処刑したのがムジュンだって? いい? 僕らは君達に場所を提供しただけ。そういうことだよ。『浅薄な考えをひけらかすな半人前の紙屑が』……、時計草は黙ってて!」 時計草とやらが口を挟んだ。言葉によると、髪に宿る人格らしい。 声量が囁くほどに絞られているか、くぐもっていることを除けば全く同じ声だった。 時計草は服の内側か? 通常、恥部や急所を人は晒さない。 「――ぐ」 「話がややこしくなる。文芸者が口喧嘩してどうするんだ。貴様の専門は即興詩ではないはずだが?」 能力に特化した文芸者相手なら、流石に私の方が力が強い。顔面を両側からがつりと掴み取り、 足を払って一気に床に叩きつけると、ようやく静かになった。 眠らせるベッドも、添い寝した寝具も、今ここにはない。そこでノビてろ。 「びっくりした。仲間じゃないの?」 「そもそも、私と部長の案件に横入りしてきたのはこの女だからな。さ、三人で話を進めるとしよう。菖蒲、入ってきなさい」 「は!?」 「覗き見とは趣味が悪『四人が正解だとか指摘しないで、話が進まな』自分で言うことじゃないよね」 二人納得する一人と、わざとらしい驚き方をする探偵、それと私、四人だ。 「お初にお目にかかります。わたくし遠藤之本格古笹ヶ菖蒲(えんどうのほんかくふるざさがあやめ)と申すものです。 探偵についての説明はご入り用でしょうか?」 「本格派か、手堅(てがた)『等級と年齢は?』……いところだな」 「お恥ずかしながら四級に位置しておりまして、歳は先日二歳の誕生日を迎えた所です」 ほうっと、息を吐いて本当に気恥ずかしそうな振る舞いをする探偵に、思わずにこりと微笑んでしまった。 重要な話し合いでも、相手が女性でなくて探偵と言う性であったとしても、これは反射のようなものだった。 正直、探偵については門外漢で、ちんぷんかんぷん、そっちの頭脳労働は丸投げのつもり、だった。 こほん。曰く、足払いをかけた場面からのデバガメだったらしい。 肝心なところは目撃されていなかったので安堵する。流石に殺人に立ち会わせて円滑な関係を保てる自信がなかったからだ。 ピリリとした一触即発な雰囲気は完全に立ち消えたと言えば、無理があるだろうが目当ての物を試供する以上はこの部室に留まざるを得ない。 「『ふ、芽月殿は人工探偵についてあまりご存知ないご様子。では、私達の事を紹介ついでに、簡単に説明しましょうか』 ……ん、え? 『続きを』いや、流れからしてこれって……『なら名前だけでいいから』 あ、う、うん『いいから早くしろ』 わ、わかったよ。名前は千葉之法廷古笹ヶ時計草(ちばのほうていふるささがとけいそう)、これでいいだろ? 『解説を』いや、それくらい、自分で『やるんでしょ。ならよろしい』はい……。 人工探偵、まぁ要するに植物(ササニシキ)を素材に作った人造人間だよね。 なんで名前も人間離れしてるわけだけど、探偵に戸籍があるわけじゃないから雅号に近いんだ。 結婚した人工探偵はちゃんと伴侶の戸籍に入るから姓を持っているからね。 で、この構成は「○○之△△□□ヶ××」と言う法則があって、それぞれが ○○:所属する探偵姓 △△:所属する探偵流派 □□:製造された工房名 ××:個体名(花の名前が多い) となるんだよ。まぁ、この辺は大抵の人にあまり縁がないから忘れて構わない。 で、次に探偵五原則、これはロボット三原則の探偵バージョン、人間とロボットの関係が 加害者とか被害者に置き換わってプラスアルファと考えてくれ。それで『話が長い』え? 『その辺いいの、私達何のためにここに来たんですか?』でも説明しろって言ったのは『いいから! 酔ったらそれで、言っちゃいけないところまでこぼしそうだから打ち切りね、う・ち・き・り!』」 何で飲みながら話をしているとかと言えば、先の話の「約束の物」が酒であったからに他ならない。 それも「コメ製ウオッカ」、アルコール度数通り越して含有カロリー量がガソリン並みと言うブツ。 こんな危ない食品作り出す葡萄月(私の親友)の人脈がどうなってるかなんて、知らない方がいいのだろうか。 どう考えても共飲み? いや、 「芽月様。お考え違いを為されていると思われます。人工探偵(わたくしたち)も普通にごはんを食べますよ」 (光合成もしますが) 筆記を代行する傍ら、走らせたその文の言わんとするところは分かっている。 (アルビノだ) そう、目の前に立つ探偵は自然界では滅多に見られない白化個体(アルビノ)。 保護色であるユキヒョウなどとは違い、本来と違う色無き色は特に植物にとって致命的だ。 ところで拘束服を身に着けて、一体どうやって、と思ったところの早着替えは眼福だったと言っておこう。 「しかし、量が少ないのが困ったね、探偵に未成年も糞も無いけどねっ 『クソって……ガキですか? 貴様は』おい、お前は――、 『貴重な私達の情報を垂れ流すと言う意味ではそう言えます』」 その稀少さから珍重されるアルビノを人の形(かたち)で当てはめる。 ほぼ例外なく美しい容姿をしている人工探偵、愛玩用にしようと言うなら妥当な所だろう。 (いえ、先の名。わたくしが自分探しの度に出ているときに見たことがあります) 「『最も、姿現すと言うだけで大きなリスクなのですが、覚悟決めますか』うん」 今まで、机の上に盛られたお菓子に手を付けようとせず、ちびちびとやっていた二人は立ち上がるや頭頂部からぱらりとかけた。 それは深雪に溶け込むようにして床に零れることをしない。 「『ごちそうさまでした』」 唐突な奇行に二人が全く動けずにいると、立ち上がった二人は一人の手を引き、その住処めがけて歩き出す。 芽月リュドミラの能力「隠れ画(エルミタージュ)」。 ――風景画・人物画などの絵画を一個の別世界への入り口と見なし、自由に出入りする能力。 偶然が許されるなら、どんな世界に移動することも叶う。 探偵菖蒲は人無き湖畔に二人の少女が立ったところで視線を外した。心配はしていない。 探偵の理性に、同じ探偵として、危うさを持つ同胞として期待していたからだ。 推理を開始する。 「人工探偵の製法が確立したのはここ数年――、なのに十五歳と言う彼女? おかしい、すべての原型となった三十年前の『四季枝(しきし)』の方々から何年空いたと思っているの? このプロフィール――、何かがおかしい」 沈思黙考、情報が足りない。孤児院? ヒイラギ、どこかで聞いたような……? ところで、背後で冷たい手が!? 「ひゃいっ!」 「私だよ。いやはや、酷い目にあった」 「驚かせないでください……。そちらの、手は?」 果たして、それは手であった。真っ白な手、もう生きていない手、その断面はまるで植物の根? 「手切れ金、いや手付金かな? 冗談と一緒に千切って渡されたよ。 決まりだ。あの女は狂っている」 「でしょう。あの髪を操作する能力を見るに探偵組織が既に生身の人体組織を侵蝕しているとは思っていましたが、 丸々腕一本が既に置き換わっていると言うのなら、双方の精神は、もう……」 ですが……、探偵は続けようとしてやはり止める。言葉を譲ったのだ。 「私も絵の具の一気飲みは止めたほうがよさそうだ。 おそらく、あの女は普通の食事はもう取れずにアルコールで摂取しているみたいだ。 腕一本分の養分をどこで捻出するかはわからないが、この切り取った一本で酒を作れと言われたよ。どうする?」 言葉は空回りするようだが、拾うことを期待しているのでしょう。 そちらは本家の方にも話を通している旨を説明する。加えて。 「相手が『法廷派』と言うならわたくしにも挑む意味はありましょう。 わたくしは『カランドリエ』の方々にとって単なる備品、喜んでこの身損ねましょう。 情報をくださいませ。この事件、名探偵には到底及ばぬ身であれどお引き受けいたします」 澄んだ目だった。 そこに献身の情のみで、いつ終わっても悔いはないだろうから。 後ろ暗いこの身では依頼を出すことが躊躇(ためら)われた。だが、言わんとするところを遮られる。 「ところで、その腕は左右どちらでしたか? 急所たる時計草の位置がわかるかもしれません」 その言葉で理解する。カランドリエはすべての時計所有者にとっての敵に当たるかもしれない、と。 ――部長の名の下に私達は「迷宮時計」を手に入れなければならない。 隻腕の少女探偵は眠らない。いいえ、眠れない。 本来は回らない時計草、それが「欠片の時計」が宿ることで動き出す。 それは脳と直結して掻き回すようで、痛覚を持たない脳髄であったからこそ、常に不快感と共にある。 苛まれるような幻痛をもって二十四時間止まらずに動き続けるそれに比べれば腕の痛痒など気にならない。 そちらは栄養不足が原因だ。衣食足れば、すぐにでも治るだろう。 肌の亀裂から外気に晒される時計草。 それは眼球と同じく露出した脳髄が変じた一種の臓器であり、人工探偵が必ず一輪は持つ証にして恥部・急所。 十二枚の花弁と萼(がく)を持ち、その内縁には六十枚の副冠。何より、絶えず時を刻む三本の雌蕊(めしべ)が機能を持つ時計であることを証明する。常は厳重に秘匿されるそれは、今は花開き目を楽しませるだろう。 自傷防止用の拘束服は今は着ていない。 二人はこう思った。 生まれてこの方、ゼロに落ち着いたことが無い気がする。 嵐に翻弄される浮き沈みが激しい人生の中で、穏やかな凪の時間が訪れた事なんてそれこそ生まれる前と死んだ時だけ。 度重なる負債に蝕まれて望まない労働と、貸付の中で命を取り立てて来たこの生き方に後悔はないが、もう眠りたいと思った。 ねむたい。 二人はこうも思った。 この体になってから眠るなんて大危機(ゼロアワー)。頭痛に邪魔され眠れない。 原因なんてわかってる。この忌々しい『時逆順』のせい! 頬をつねって目覚めたい? いや、逆か? なら、この生こそが目覚めるべき悪夢で万々歳だ、それでいいんだろ? 殺して、追放(とば)して、生き残れ。それがルールだ馬鹿野郎。 僕が、僕達が味わう死はこれで三度目か、これでお仕舞にしないといけないのはわかりきったことなんだよ。 くそったれ。 『忌々しいと思ったことが、既に私への侮辱なんだよ、愛しい姉妹(ディア・シスター)』 (はっ、わかってるよ、『時計草(パッションフラワー)』。受難の花とはイカしてるよなぁ、ふんっ) 笑っちゃうよなぁ。 どうせ滅ぶっていうのに、てんで散らばって使い物にもならない探偵術を五歳にもならない子どもに叩き込んだ父さんも――ッ。 それを理解して使いこなしてみせた僕も、それを知って殴り飛ばしたあの男も――ッ。 とっとと夢の世界に逃げ込んだ母さんも、キライだ。 「勝手に満足して、最後は笑って見せた父さんも、ダイっキライだ――ッ。『落ち着きなさい』 エンドウもイカリも、も、も! 糞ッ! どうして死んだ! 『頭を叩かないで』 僕が――くっ前にどうして死んだ! 探偵は力だ。『一杯、それで落ち着くから』 欺瞞で覆い隠された真実を暴いて『いいから落ち着け』復讐するための力なんだ! どうしてそれがわからない! 柊木(ひいらぎ)、お前も――、」 『黙りなさい。繰り返します。人目もある、静かにしなさい……、いいから黙れクソガキが』 「ぐ――『あぁ、なんだ。つまり貴様はいつ何処にあの忌々しい、屑の時逆順を持った頭の残念な連中と出くわすかわからないと言うのに、貴重な私達の情報を垂れ流す愚を犯すと言うんですか? さっきからクソクソって肛門期のお子さんですか?』」 「お前は――ッ」 どうしてだろう? いつから、こうなってしまったのか、終わりにしないといけないことだけわかっている。 だが、終わりにするのは他の誰でもない私達、僕たちの役目なんだ。それを邪魔するものは容赦しない。 そうだ、殺してでも、そうだ! そうだろう? そうだ! 悪酔いも混じった二人は渾然とする意識の中でまだ眠れずにいる。眠れずにいる、いる、る、る、るっるるるる――。 このページのトップに戻る|トップページに戻る