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聡「ねぇ、姉ちゃんのこと。嫌いじゃないよね?」 澪「え!? な、なんでそんなっ」 聡「いや、なんとなく」 澪「……嫌いじゃないよ。そうだったら今ここにいること自体がおかしいだろ?」 聡「まぁ……」 澪「す、好きっていうのもあれだけど……律は私の大切な友達」 澪「律が友達になってくれたから、今の私がいるんだ」 聡「そ、そっか……」 澪「もちろん。その弟の聡だって私の大事な友達だよ」 聡「え!?」 聡「あ、あっそ……!」 聡(なんかついでにみたいな言い方……)ムスッ 聡「じゃあ姉ちゃんが澪姉の友達じゃなかったら俺は友達じゃなかったってことだね」 澪「そ、そういうわけじゃっ」 澪「うーん……でもどうなんだろうね」 聡「は?」 澪「もしかしたらさ、私と律。私と聡が出会ったのは偶然とかじゃなかった……とか」 聡「……はい?」 澪「う、運命とか!」 聡(よ、よくそんなこと恥ずかしがらずに言えるなぁ……) 聡「へぇ」 澪「運命……出会い……」 澪「あ、なんか良いインスピレーションが頭に」 聡「?」 澪「すっかり外暗くなっちゃったな」 聡「大丈夫なの? 帰り」 澪「まぁ、うん。なに? 聡が私と一緒に帰ってくれる?」 聡「なんでそうなるんだよ! 言ってない!」 澪「あはは、ごめんな」 聡「……ど、どうしてもって言うなら家まで送ってやらないことも…………」モゴモゴ 澪「ん? 聞き取れなかったよ。もう一回言ってくれない?」 聡「……///」 澪「聡?」 聡「み、澪姉のでーぶっ!」 澪「なっ!?」 ゴツン! 聡「っ~……」ヒリヒリ 澪「さすがにデリカシーがないぞ」 聡「み、澪姉のゲンコツは姉ちゃん以上の威力があるよ……」 澪「それは褒め言葉として受け取っておこうかな」 聡「マジかよっ」 聡「……」ジー 澪「……どうしたの? 手なんか見つめて」 聡「いや、澪姉の手の大きさは俺と同じぐらいかなって」 澪「っ!!」 澪「うわああんっ」ブンブンッ 聡「いたいっ、痛いってば!?」 澪「……」 聡「て、手が大きいからって拗ねることないでしょ?」 澪「うるさい……」 聡「あー……ほ、ほら! 手が大きいから澪姉はベースが上手いんだよ!」 聡(いや、手の大きさはまた違うか……) 澪「あれ?」 澪「私がベース弾いてるところ聡に見せたことあったか?」 聡「え? ああ、姉ちゃんから学園祭でやってた演奏のDVD見せてもらったんだよ」 澪「あいつ、家になんで持ち帰ったのかと思ってたらそういうことだったのか」 澪「それって去年のやつ? それとも今年の?」 聡「ううん。澪姉たちが1年のときの……」 澪「 」 聡「澪姉? あ、あれ?」 ガチャリ 澪・聡「あ」 律「ただいまー」 聡「おかえり。澪姉が待ってるぞー」 律「へ? 澪?」 澪「律、遅かったじゃないか。メールしたのに」 澪「ていうか今日スコア取り来るって言ってたでしょ?」 律「そ、そうだったっけ。いやー、ごめんごめん!」 律「携帯、部屋に置きっぱで外でてっちゃってたからさ」 澪「もうっ」 聡「うちのダメ姉が申し訳ない」 澪「まったくだよ」 律「ふ、二人で私をいじめんなぁ~!」 律「澪、せっかくだしウチで夕飯食べてけよー。なんか悪いことしちゃったし」 澪「いいの?」 律「聡が是非っ、だってよ」 聡「おい!?」 澪「ふぅん……じゃあ、聡が言うなら仕方がないな。ご馳走になります」 聡「あー、好きにしろよちくしょう!」 律・澪「あははっ」 律「待ってろよー? シェフ田井中が腕によりをかけてハンバーグ作ってやるから」 澪「あれ、またハンバーグ?」 聡「姉ちゃんはメニューに困るとすぐにハンバーグなんだな、これが」 律「文句言うならお前の分ぬーき」 聡「し、シェフ田井中のハンバーグは世界一だよ!」 律「ん、よしよし」 澪「姉弟だなぁ……」 律「はい。たーんと召し上がれっ」 澪「やっぱりご飯はつけるんだな」 聡「うちはみんな米好きだからさ、澪姉んちはパン?」 澪「ん、どっちも好きだと思うよ」 律「……お前たち。よーく目の前のご飯を見てみるがいい」 澪・聡「?」 律「ただの米ではない! 十殻米なのだ!」 澪・聡「お、おおぉ……?」 律「私が求めていたリアクションとちがーう!」 澪「なんだよそれっ」クスッ 聡「ねぇ、もう食べていい? 俺けっこう腹減ってるんだけど」 律「ちくしょー! 勝手に食べろよぅっ!」プンプン 聡「ふぅ、満腹」 律「おいおい、育ち盛りがおかわりなしなのか?」 聡「腹八分目って言うでしょ? ていうか姉ちゃんは常に大盛りでだしてくるからこれでいいの」 澪「あ、確かに律ってやけに多く盛るよな! 昔からそうだった」 聡「昔?」 澪「うん。小学校での給食のときに……」 小律「はい! 澪ちゃんの分!」デデーン 小澪「り、律ちゃん……これじゃあ多すぎて食べられないよぉ……」 小律「ダメだよー。いっぱい食べなきゃ大きくなれないもん!」 小澪「うぅ……」 澪「ってことが」 聡「想像つくなぁ」 律「で、でも! そのお陰で澪大きく成長できただろ! 身長とか、胸とか!」 澪「……こっ、このっ///」 ゴチーン 律「いちゃいっ!! な、なんで殴る!?」 聡「でも姉ちゃんはいっぱい食べてもあんま大きく成長しなかったな」 律「わあぁー!! うるさいやい、うるさいやい! 私はこれから大きくなるんだいっ!」バタバタ 澪「……フッ」 律「きぃー! 見たかあれ! 今あいつ鼻で笑ったぞ!?」 聡「騒がしい姉だよ……」 律「ほんとにもう帰っちゃうの?」 澪「うん。そろそろおじさんたちが帰ってくるころだろ? 長居したら迷惑になるし」 聡「別にそんな気にしなくていいのに……」 律「あ、聡ぃ。お前もしかして澪ともっと一緒にいたかったんじゃないのー?」ニヤニヤ 澪「え、そうなの?」 聡「あ……いや、別に…………なんでもねぇよ///」 澪「……ふふっ、それじゃあ。ばいばい、律、聡」ガチャリ 律「うん。暗いから気をつけて帰りなよー」 聡「……」 律「聡? なにボーっと……ははーん」 律「さ・と・しくん。 お姉ちゃん命令だ。澪を家まで送ってきな」 聡「は? な、なにを勝手なっ」 律「いいから。ほら!」ドン 聡「うわわっ!?」 ガチャリ 聡「あ、姉から家を閉め出されてしまった……!」 澪「聡?」 聡「わあぁっ!?」 澪「!」 聡「って、澪姉……」 澪「なに急に大きな声あげて……もう、びっくりしちゃったじゃないか」 澪「それで? どうかしたの?」 聡「あ……えっと、その、い……い……」 澪「ん?」 聡「……家まで送るよ。澪姉一人だと……その、心配だから」 澪「!」 澪「……へぇ」 聡「なんだよ……」 澪「ううん。なんでも! じゃあ帰ろうか、聡っ」クスッ 澪「あ、見ろよ。この公園」 聡「ん?」 澪「覚えてる? ここで昔よく遊んだよね」 聡「そうだね……」 澪「いつからだろうな。ああやって遊ばなくなっちゃったのは」 聡「澪姉が大人になってから」 澪「え?」 聡「な、なんでもない!」 澪「……さっきさ」 澪「大人の階段がなんとかって話したけど、実際まだ私は子どもだよ」 澪「大人になりたがりの中途半端な大きな子ども」 聡「……」 澪「変わらなかったんだ。なにも」 聡「うん。たぶん知ってる」 澪「ふふ、聡は大人だな」 聡「姉ちゃんはいつまで経ってもガキのまんまだよな」 澪「あははっ、そうだな」 澪「でもあれが律なんだよ」 聡「かなぁ?」 澪「うん」 澪「律は律。聡は聡。私は私」 澪「このまま、変わらないままでいたいな」 聡「そんなの大人になったらわからないんじゃないの?」 澪「……どうかな」 澪「私はいつまでも今の私を忘れずにいたいよ。大人になっても」 聡「そっか」 聡「……俺たちってさ、大人になったら大人になれるのかな?」 澪「わからない。なってみなくちゃ」 聡「澪姉は高校卒業したら大学生?」 澪「まだ受験してもないんだからそれはまだわからないよ」 聡「でも、卒業したらどこ行くの?」 澪「……できれば大学に行って、みんなとバンドし続け……」 澪「……し続け」 聡「え?」 澪「ねぇ、聡。私、律たちと離れたくないよ……」 澪「みんなとずっと一緒にいたい……!」 聡「で、でも澪姉は姉ちゃんとは違う大学目指すんでしょ? だったら……」 澪「……あはは、私って臆病っていうか、寂しがりっていうか」 聡「?」 澪「決めた!」 聡「え!? な、なに急に……?」 澪「聡! 私もみんなと一緒のところに行く! もうしばらく離れない!」 聡「ほ、ほんと突然だっ」 聡「でもそれってそんなに簡単に決めていいこと?」 澪「だからいっぱい悩んだ。すごく悩んだよ。その上でこういうこと言ってるんだ!」 聡「あははっ、澪姉はガキだなぁ!」クスッ 澪「言ったろ? 私はまだ子どもだって」 聡「はいはい。よーくわかりましたよ」 澪「ふふ、聡は私のいい理解者だな」 聡「ま、姉ちゃんの弟やってるぐらいだからね」 聡「……あ」 澪「もう家着いちゃったな」 聡「う、うん」 澪「ごめんね。ここまで連れてきちゃって」 聡「俺が送るって言ったんだからいいの。気にしないでよ」 澪「そっか、ありがとうな。聡」 聡「うん。それじゃあ俺はこれで……」ス 澪「聡!」 聡「え?」 澪「ほんとにありがとう。大好きだ」 聡「!?」 聡「……う」 聡「お、おう……///」 聡「ただいまー」 律「おっかえりー。ちゃんと送れた?」 聡「しっかり輸送してきたよ」 律「ん、上出来、上出来。褒めてあげちゃう」ナデナデ 聡「だっっ、そういうのやめてよ! うっとおしいなぁ、もうっ」 律「可愛い弟だからこうしたくなるんだろ~」 聡「可愛くない姉」 律「前言撤回、憎たらしい弟めっ!」ビシッ 聡「いてぇよっ!」 今日の私の弟はちょっぴり大人に見えました。 聡のくせに生意気だっつーの。 おしまい 戻る
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澪「ごめんくださーい」ピンポーン 澪「……?」 澪「あのー」ピンポーン ガチャリ 聡「はーい。どちらさま――」 聡「あ」 澪「あ」 聡「……えっと」 澪「おっす、聡」 聡「お、おっす……」 澪「律は?」 聡「ね、姉ちゃんに用事?」 澪「まぁ、そんなところかな」 聡「あいにくだけど今家にいないんだよ」 澪「あれ? そっか」 澪「じゃあ出直すよ。たぶんまた来る」 聡「そ、そう……?」 聡「……」 聡「姉ちゃん、もう少ししたら帰ってくるかも」 澪「本当?」 聡「もしかしたらだけど」 聡「……」 聡「よかったら、上がって待ってたら?」 澪「いいの?」 聡「……悪いなんて言わないよ」 聡「それにうちに今、俺しかいないもん」 澪「えー、それは心配だなぁ」 聡「あ! ば、ばかにすんな!」 澪「あはは、そうだよね。聡、もうこんなに大きいんだし」 澪「中学生なんだしな」クスッ 聡(またそうやって!) 澪「でも、心配だから上がらせてもらうかな」 聡「上がるならはやくっ、寒いんだから」 澪「ふふ、はいはい」 聡「ジュースとお茶どっちがいいー?」 澪「へー……」 聡「な、なんだよ……目丸くして……」 澪「いや、聡ったらそういう気遣いするようになったんだなぁって」 聡「で、できたらおかしいのかよっ」 澪「ううん、聡偉いね」 聡「……~///」ドタドタドタ 澪「あれ?」 澪「……」ポチポチ、ポチポチ 聡「結局ジュース持ってきたよ……?」 聡「メール打ってんの?」 澪「んー? そうだよ」 聡「ふぅん……」 澪「なぁに、興味ある? 携帯?」 聡「べっつにー」 聡「ていうか俺携帯とか別にいらねーし全然興味ねーし」 澪「んー……いつかは聡も持つことになると思うなぁ」 聡「ないない! ありえないって」 澪「どうかな?」クスクス 聡「ちぇっ……賭けてもいいぜ」 澪「ぷふ、あはははっ」 聡「え、え?」 聡「じゃあ、俺……」 澪「どこ行くんだ?」 聡「どこって自分の部屋だよ」 澪「どうして?」 聡「どうしてって……」 澪「私は聡ともっと話したいんだけどなぁ」 聡「え!」 澪「こうして久しぶりに聡と話すことができたんだし。ねぇ、だめかな?」 聡「いや、えっと……だめとか……///」 聡「……げ、ゲームしたいから……」 澪「じゃあ、ゲームしてるところ見せて欲しいな」 聡「うぅ……」 澪「それがPSP?」 聡「そうだよ。知らないの?」 澪「実物は初めて見たよ。でもPSPって色んなことできるみたいだし、私も欲しいかも」 澪「それで、カセットは何だ? カセット」 聡「ダサい呼び方すんなよなぁ」 澪「べ、べつにそれぐらいいいだろっ」 ジャジャジャーン、ジャジャジャ 澪「わぁ、すごい。映像がきれいだ!」 聡「ふぅん……そんなこと気にしたこともないや」 澪「えー、きれいなのに。……このゲームあれだな」 澪「怪獣を倒すだっけ、そうそう狩るとかってやつだ!」 聡「怪獣……まぁ、怪獣ちゃあ怪獣か」ポチポチ 澪「ちょっ、ちょちょちょ!」 聡「は?」 澪「これ! 血が、血がブシューって出てるじゃないか!?」 聡「そりゃ、相手は生き物だし」 澪「い、痛々しい……最近のゲームってみんなこんなのばっかりなのか……」シュン 澪「……もっと可愛いゲームが好きだな、私は」 聡「そんなの面白くねーって。だせーもん」 澪「なんでだよぉ」ムスッ 聡「……」 聡(今気づいたけど、結構距離が……ち、近い……///) 聡(いい匂いがする……昔はこんな匂いしたっけかな……) 澪「あ、この猫は可愛いから許せるぞ!」ニコニコ ブチッ 澪「あれ、ゲームやめちゃうのか?」 聡「あ、飽きたの」 澪「そう」 聡「……」 聡「姉ちゃん来ないね」 澪「そうだなぁ、メール気づいてくれてるといいんだけれど」 聡「……」 聡「な、なんかお菓子持って来る」 澪「え!? そんなっ、気使わなくてもっ」 聡「持って来る!」 澪「うぅ……」ハラハラ 聡「ポテチしかなかったけど、どうぞ」 澪「あ、ありがとう……」 澪「……」 澪「……」チラ、チラ 聡「……食べないの?」 澪「あ、たっ、食べるよ! 食べる食べる!」 澪「うぅ……」 聡「もしかしてお腹いっぱい? それとも腹痛いの?」 澪「えっと、ね……いやぁ……あはは……」 澪「さ、聡が食べてよっ!」 澪「いっぱい食べて大きくなって欲しいんだ! 聡にはっ」 聡「ダイエット?」 澪「っ!?」ガガーン 聡「へへ、図星だね」 澪「あ、ち……ちがっ……///」カァァッ 澪「お願いっ、律には言わないでっ」 聡「え~、どうしよっかなぁ~」 澪「さとしぃっ」 聡「えっへっへー」 澪「……」ムスッ 聡(す、拗ねた……) 聡「ごめん。ちょっと調子乗りすぎちゃった」 澪「……別に気にしてない」 聡「澪姉ぇ……」 澪「え?」 聡「え?」 澪「……ぷっ」 澪「ふふっ、あはは……うふふふっ」クスクス 聡「ど、どうした?」 澪「あはははっ、いや、聡! やっと私のこと……ふふっ、呼んでくれたなぁって」 聡「え……あっ」 聡「……///」 聡「……」 澪(なんかよくわからないけど拗ねちゃった) 澪「別にからかったわけじゃないんだぞ? 聡」 澪「久しぶりに私のこと呼んでくれて嬉しかったんだぁ……」 澪「だって、聡ってば恥ずかしがっていっつも」 聡「お、俺がいつ恥ずかしがったんだよ!?」 澪(お……) 聡「そんな覚えない!」 澪「えー、恥ずかしがってたぞ?」 聡「ないよ!」 澪「本当に?」クスクス 聡「あ゛ぁぁーもぉぉっ!!」 聡「にしてもなんでダイエットなんてしてんさ」 澪「おいおい、まだ言うか……」 聡「澪姉は全然太ってないじゃん」 澪「そ、そう見える?」 聡「あ、やっぱデブだぁー」 澪「さ、聡ぃっ」 聡「あはははは!」 聡(女の人ってなんでそんなにダイエットとかしたがるんだろう?) 澪「次言ったらぶつぞ……」 聡「おっかねー! 澪姉ってばいつからそんなに暴力的になったんだよ」 澪「さぁ? どこかの誰かさんのお姉さんのせいじゃないかな」 聡「も、申し訳ない……」 澪「にしても、聡変わったね」 聡「え? ……ど、どこらへんが?」 澪「うーん、なんて言えばいいのかな」 聡「なんだそれ」 聡「それ言うなら澪姉だってすっごく変わった」 澪「私?」 聡「小学生のころはもっと、すっげぇ照れ屋で恥ずかしがり屋で……」 聡(こんなにお姉さんっぽくなかった!) 澪「……まぁ、人ってどんどん成長していくものなんだよ。あの頃のまま大きくなるなんてありえないんだ」 澪「色んなこと覚えて、さ。良いことも、悪いことも」 聡「へー……」 澪「だから、聡も同じ。大人の階段登り始めたばかりだろうけどな」クスッ 聡「なんかムカつく……」 聡「ねぇ、澪姉。覚えてる?」 澪「ん?」 聡「昔さ、こんな感じでウチに二人っきりになったこと」 澪「……いつだっけ? 小学生のころ?」 聡「うん」 澪「んー、ちょっと覚えてないかなぁ」 聡(自分に都合が悪いことは覚えてないのか) 聡「澪姉ってばいくつか歳離れてる俺にでさえビクビクしててさ」 澪「は、ははは……///」 聡「俺が一生懸命話しかけてもボソボソボソボソって聞き取れないぐらいの声でしゃべって」 聡「正直、よく姉ちゃんの友達でいられるなぁってずっと思ってたよ!」クスッ 澪「……」 澪「だよなぁ」クスッ 澪「それもこれも、律が私にしつこく迫って来たのが原因だ!」 聡「その言い方だと姉ちゃん完全男だよっ」 2/2
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その1・いつも通りの朝? それはいつもと変わらない朝だった。 聡はいつも通り用意を済ませ、部屋を出た。 律「おっはよ、聡」 聡「おはよう」 律「ふぁ~あ、ねむ…」 聡「昨日また遅くまでゲームでもしてたんだろ」 律「ご名答ー」 そんなやり取りをしながら階段を降りはじめる。 いつも通りの朝―――になるはずだった。 聡「あっ!な、今週の日曜さ、『二十世紀梨少年』見に行かない?」 律「おっ、いいねいいねー。今回最終章だっけ…おわっ?!」 聡「えっ??」 振り返った聡の上に律が降ってきた。 ドダダダダダダダ……ゴン! …………。 聡 律「あいたたた…」 うう、おでこ痛てぇ…。 いつの間にか聡が上で律が下になっていた 身体の下に姉の体温を感じる。 「わっ、ごめん姉ちゃん!大丈夫か??」 聡は慌てて身体をどかせる。 …―――――って、あれ??? 「あいたたた…………。ゴメン、聡こそ大丈夫?―――って、ん?」 ………………。 お互い目が点になる。 当たり前だ。 聡の目の前には聡がいた。 ドッベルゲンガー?? いや、違う… ばばっと自分の身体を確認する。 スカートを履いている。 これは桜校の制服だ。 髪を触ると肩まで長さがあった。 ……しかもカチューシャをしている。 ………………。 え。 律(聡)「ええええええ~~~~~?!?!」 その2・いつもと違う朝 律(聡)「うそだろ…」 どうやら聡と律の身体は(正確には中身?)入れ替わってしまったらしい。 律も呆然としている。 「ちょっと、なに??今の音!」 尋常じゃない物音に母が駆付けた。 聡と律は困り果てて母を見た。 二人「か、母さぁ~ん…」 ※※ 二人「行って来ます…」 力なく玄関の戸を閉める。 二人で必死に母に説明してみたはものの、 「馬鹿なこと言ってないで早く支度なさい!」 と結局全く信じてもらえなかったのだ。 律(聡)「………姉ちゃん、どうする…?」 聡(律)「どうするっつっても……………」 2人でう~んと考える。 いくら考えても解決策など見つからない。 聡(律)「………しゃあない、とりあえず学校行こう」 律(聡)「ええっ、このまま?!」 聡(律)「だってそれしかないだろ?」 律(聡)「無理無理無理!姉ちゃん女子校だろ?!」 聡(律)「ええい、覚悟を決めろ!取りあえず戻る方法は帰って来てから相談!」 律(聡)「ちょおっ…」 聡(律)「何かあったら携帯で連絡とろ。分かった?」 律(聡)「………………」 ヤバい。 不安すぎる。 その3・唯様 ※※ 聡は教室の前に立っていた。 手には律と交換した身の回りの基本情報を書いたメモを握っていた。 けどこんな紙切れ一つで乗り切れるのか…? 紬「おはよう、りっちゃん」 律(聡)「うっわあ!!!」 紬「きゃッ、………ど、どうしたの??」 後ろには紬が立っていて、きょとんとこちらを見ていた。 一応聡は軽音部メンバーとは面識はある。 不幸中の幸いかもしれない。 律(聡)「あ、いや、おはよう紬さ………じゃなくてムギ」 聡はうふっと笑ってごまかした。 紬も笑い返してくれる。 紬「ね、教室入ろ?」 律(聡)「そ、そうだね…」 紬に促されてなんとか聡は教室に足を踏み入れた。 (確か姉ちゃんの席は一番後ろの左から2番目… …………ここか。) 律(聡)「………ふぅーー…なんとかたどり着いた…」 しかし大変なのはここからだ。 気を引き締めていこう。 聡はふと前の席を見た。 (確か姉ちゃんの前の席って…) キーン、コーン、カーン、コーン… 唯「わわわっ、遅刻遅刻…っ」 聡は声のした方を見た。 慌だしく教室に入って来たのは唯だ。 リボンはほどけているし、髪は所々寝癖ではねている。 唯はへろへろになりながら聡の前の席についた。 唯「ぜぇ、はぁ…、よよよ良かった~…、ぎりぎりセーフ…」 律(聡)「…………」 唯「あ、おはよぉりっちゃん」 律(聡)「お、おはよう、唯」 唯「む?」 律(聡)「え?」 唯「むむむむ??」 律(聡)「え?え?え?」 唯「むぅーーー……」 律(聡)「????」 な、なんだなんだ?? 聡は緊張する 唯「君、だれ?りっちゃんじゃないでしょっ」 いきなりバレたーー!?! その4・唯様様 律(聡)「あは、あはは。なに言ってんだよ、唯…」 唯「むぅ、間違いないよっ。何かねぇ、色が違う!君はニセ者さんだね!」 色ってなんの!? ……やばいぞ、唯さん天然に見えて意外に手強い。 聡は焦った。 律(聡)「え、いや、ちょ…」 唯「正体を現わすんだっ……むぐぐ!」 律(聡)「ちょ、お願い静かにして」 姉ちゃん助けて~~~~っ 聡はホームルームが終わるとすぐに唯を教室から連れ出した。 こうなったら事情を話して助けてもらおう。 唯「どうしたの??」 律(聡)「……………さっきの話なんだけど、どうして分かったんですか?」 唯「さっきの話…?」 律(聡)「さっき、俺の事ニセ者って」 唯「あっ。あれは昨日のドラマだよ~」 はい?ドラマ?? 律(聡)「ドラマ…」 唯「双子の姉妹が入れ替わって生活するっていう話でね、さっきのはその中の台詞なんだぁ」 律(聡)「………」 唯「えへへ~」 律(聡)「あ、はは、なんだ…」 唯「あっ、でも今日のりっちゃん何か違うなぁって思ったのは本当だよ。何でか分かんないけど…」 律(聡)「…………………。 ―――――――――あの、実は…っ」 とりあえず聡は事情を話してみた。 とはいえ階段から落ちただけなので二分ほどで説明できた。 律(聡)「――――という事なんです」 唯「えええ~!…そっかぁ、違和感あると思ったら中身は聡君だったのかぁ」 律(聡)「…信じてくれる?」 唯「びっくりしたけど、信じるよ?」 律(聡)「よ、良かった…」 はああ、と安堵の息をはく。 唯「聡君よっぽど困ってるんだね…」 律(聡)「既にいっぱいいっぱいです…」 唯「………よぉし決めた!今日一日聡君は私が守るよっ。」 唯は「ふんす!」と立ち上がった。 後光が射して見えた。 その5・ふんす 言葉通り唯は全力で聡を守った。 先生「おーい、田井中。この問題前出て解いてみろ」 唯「はいはいはいっ!!先生その問題私やりますっ」 もちろん解けなかった。 唯「聡君、角のロッカーとっといたからここで着替えるといいよっ」 律(聡)「あ、うん…」 唯「私壁になるから安心してねっ」 あの、そしたら唯さんの着替えが丸見えなんですが… 聡は姉の身体も見るわけにいかないので結局目を瞑って着替えた。 女子「ねー律、この間言ってた話なんだけどさー」 律(聡)「え?え??」 唯「あ!それって二日前の昼休みりっちゃんと南川遙ちゃんが盛り上がってた阿井ドル子の話かなっ??」 不自然すぎるがありがたかった。 そんなこんなでなんとか午前中は乗り切った。 で、ここで問題が発生。 ト、トイレに行きたい… その6・人間だもの できるだけ考えないようにしてたんだけど… 今は授業中。 聡は先生の目を盗んで鞄の中から携帯を取り出した。 『トイレ、どうしたらいい?』 律宛てに素早くメールを打つ。 ぽちっと送信。 返事を待つ。 ブブー、ブブー… うわ、電話来たっ。 予想外の事態に聡は慌てた。 静かな教室にはバイブ音すらよく通る。 ……やばい! 唯「…うっ、げほんげほん!うえっほん、えほげふん!!かふんちくしょーべらぼうっ」 ゆゆゆ唯さんあなたって人はーーー!!(涙) クラスの女子達が「唯大丈夫?」「どうしたの?」とざわめき始める。 今しかない! 律(聡)「せ、先生、ちょっとトイレ行ってもいいですか……?」 先生「はい、いいですよ」 教室を出る際、唯の方を見た。 唯はぶいっ、とこっそりピースをした。 聡は急いでトイレの個室に駆け込むと通話ボタンを押した。 律(聡)「姉ちゃん今授業中…!」 聡(律)『ごめん!……で、さっきのメールの件なんだけど… ………………どうしても我慢できない…?』 律(聡)「我慢はできるけど帰るまでは無理…、かも」 聡(律)『………』 律(聡)「…どうしよう?」 聡(律)『……………………………………………………………………………… ……………分かった。―――ぜ、絶対絶対見ちゃだめだからなっ!約束な!』 律(聡)「あ、当たり前だろっ」 聡(律)『してる間は水流しっぱなしにしてよ』 律(聡)「わ、分かった…」 聡(律)『絶対の絶対な!ほんとお願い…!』 律(聡)「う、うん」 姉弟でなんつー会話…。 何か恥ずかしくなってきた… 律(聡)「―――あ。と、ところで姉ちゃんの方は大丈夫、なの…?」 聡(律)『えっ…………………………………………………もうした…』 律(聡)「えっ?……あ、そ、そう…」 聡(律)『も、もちろん見てないぞ!?見てないからなっ』 律(聡)「う、うん……………」 聡(律)『………』 律(聡)「………」 ―――――で、した。 もちろん聡は言われた事を守った。 だか聡は思った。 …俺、しばらく姉ちゃんの顔まともに見る自信ない…… その7・誰? そして放課後。 律(聡)「今日は、ほんっとにありがとう唯さん!」 唯「えっ、いーよいーよぉ」 唯は「えへへ~」と照れている。 今日一日を聡が乗り切れたのは確実に彼女のおかげだった。 聡はもう一度お礼を言った。 すると紬が来た。 紬「唯ちゃんりっちゃん、私先に部室行ってるね?今日のケーキ、楽しみにしてて」 唯「わーいっ、ありがとうムギちゃん~!私もすぐ行くねっ」 紬「うんっ」 紬はケーキが入っているらしい紙袋を持ってルンルンと教室を出て行く。 聡と唯も鞄を持って教室を出た。 唯「う~ん、聡君はもう帰った方がいいよね…。私みんなに言っとこっか?」 律(聡)「そうしてもらえると有り難いっす…」 澪「律ー、唯ーっ」 後ろの方から澪の声がした。 唯「あっ、澪ちゃん」 澪「2人共こんなとこで何してるんだ?部室行かないのか?」 律(聡「あ、澪。今日私ちょっと帰るわ…」 澪「どうかしたのか?」 唯「えっとえっと…」 律(聡)「ちょ、ちょっと気分悪くて」 唯「ええっ?大丈夫!?」 ……唯さん………。 澪「…………じぃ~~~~」 律(聡)「あ、えっと…」 澪「………顔色はいいしどう見ても気分悪そうには見えないけど。…さてはサボる気だな?」 律(聡)「いや、…その…」 澪「文化祭もうすぐなんだぞ?一番気合い入れてたの律じゃないか」 うう、これは素直に出た方がいいのか… いやいや俺ドラムできないじゃん。 聡が迷ったその時、 女生徒「ちょっと待ってください田井中先輩っ!!」 太ぶちメガネにおさげの髪。 背も低い。 リボンがないので分からないが口振りから多分後輩だ。 澪「…?」 女生徒「先輩、約束忘れたんですか??」 律(聡)「え?え?」 女生徒「今日放課後私の相談にのってくれるって約束しました。ええ、しました!」 律(聡)「えええ??」 おさげの生徒はぐいぐいと詰め寄ってくる。 聡は助けを求めて唯を見た。 唯はぽへっと女生徒を見つめている。 駄目だ。 澪「……なんか事情があるみたいだな。分かった、その子の話聞いてあげなよ」 唯「うん、それがいいと思うよ~」 がーーーん、唯さん…! 女生徒「じゃあ、行きましょう!ええ、行きましょうとも!」 律(聡)「あ、ちょっ………ええええ~~~っ???」 女生徒に腕を組まれた聡はぐいぐい引っ張っていかれる。 唯が手を振っている。 さようなら… 人気の無い校舎の裏庭まで来るとやっと女生徒は足を止めた。 女生徒「ふう、ここまでくれば大丈夫か…」 律(聡)「……あ、あのー…」 女生徒「私だよ、私!」 律(聡)「え、誰?」 女生徒「わたし!り・つ!」 そう言って女生徒はカツラととメガネを取る。 ――あ、俺だ。 聡が納得するのを見ると、律は再びそれらを装着した。 聡(律)「聡が文化祭で使ったやつ勝手に借りた。オカマバーだっけ?」 律(聡)「うっ、思い出したくないのに……」 聡(律)「あは、ゴメンゴメン。ちょっと、心配でさ。……………」 律(聡)「あ……………」 会話が途切れた。 何となく2人そわそわして視線を巡らせる。 その末にバチっと視線が合った。 2人「……………」 聡も律もゆでダコのように赤くなる。 しかしその事は決してツッコんではいけない。 暗黙のルール(?)だ。 律(聡)「…―――か、帰ろっか姉ちゃん…」 聡(律)「そ、そだな…」 律は意味もなくメガネをかけ直すのだった。 その8・再現作戦 聡は律の部屋にいた。 聡はベッドに、律は椅子に腰掛けている。 聡(律)「聡は何が原因だと思う?」 律(聡)「うーーん………やっぱ階段から落ちたことが原因じゃない?」 聡(律)「だよな。私もそう思う」 律(聡)「どうする?」 聡(律)「よし」 2人は部屋を出ると階段に移動した。 律(聡)「………」 聡(律)「…………………もうやるしかないな」 律(聡)「え?」 聡(律)「朝の状況をもう一度再現する」 律(聡)「ええぇえ??」 聡(律)「だって、聡だって一生このままは困るだろ?」 律(聡)「そうだけどさ…」 聡(律)「とりあえずそこに立って」 律(聡)「え、ああ。…うん」 聡(律)「私はこの辺だっけな…」 お互い朝の状況に合せてスタンバイする。 聡(律)「………じゃ、いくぞ?」 律(聡)「う、うん」 ごくりと唾を飲んで待つ聡。 律(聡)「…………」 聡(律)「い、いくぞ?」 律(聡)「ど、どうぞ」 聡(律)「いっちゃうぞ?」 律(聡)「いっちゃって」 聡(律)「いいい行くからな!」 律(聡)「いいい行きなさいよ!」 聡(律)「………」 聡(律)「………」 律(聡)「―――なあ、姉ちゃん」 聡(律)「なんだ、聡」 律(聡)「これ、戻る以前に死んじゃったら意味ないよな」 聡(律)「………私も今思った」 はああ~~~~… 聡と律は深いため息をついてその場に座り込んだ。 朝の再現作戦失敗。 その9・最後の難関 結局、特に解決策も見つからないまま夜になった。 そして母のこの一言から新たな問題が発覚したのだった。 母上「あんた達、どっちでもいいからお風呂沸いたから入りなさい」 テレビを観ていた聡と律は思わず顔を見合わせた。 律(聡)「ね、姉ちゃん…」 聡(律)「だだだ駄目だめダメ!」 ぶんぶんぶん!と律は頭を振る。 顔は真っ赤で必死な様子だった。 そりゃそうだ。 律(聡)「…………」 聡(律)「…………」 律(聡)「……ていうかまじな話、もし元に戻れなかったとしたら こういうのこれからどうするの……?」 聡(律)「…………」 律(聡)「…………」 聡(律)「………………………………………………………… ……………………………………………………………… ……………………分かった。」 律(聡)「え?」 聡(律)「―――私の身体は私が洗う!」 律(聡)「…――――えっ、は!?」 聡(律)「聡、おいで」 律(聡)「あっ、ちょっと…」 律は聡の手を引っ張って脱衣所へと入った。 なんか、おかしな流れになってきたぞ。 律(聡)「あ、あのさ、姉ちゃん?」 聡(律)「いいから目つぶって」 律(聡)「…ちょ、ちょっと、待ってよ」 聡(律)「絶対目開けちゃ駄目だからなっ。ほら早く!」 律(聡)「………………はい…」 聡(律)「…………」 言われた通りに目を閉じる。 律が服を脱がせにかかる。 ………………。 あの、ええっと、うわっ。 ………なんか、布の音が生々しいんですけど…… 聡(律)「聡、手あげて」 言われた通りに手を上げる。 ん…? 考えてみれば。 これって外から見たらすごい状況なんじゃないのか……? 今、律(の身体)の服を脱がしてるのは聡(の身体)なのだ。 ……………。 ……………ッ。 かっと顔が燃え上がる。 こ、こここれは考えちゃだめだっ! おかしくなる…! 聡はぶんぶんと頭を振った。 聡(律)「はい、入って」 全て服を取り払われた聡は風呂場へと連れていかれた。 人の身体とはいえ自分だけ裸なのは流石に正直恥ずかしい。 その10・聡の憂鬱 聡(律)「じゃあここ座って聡。身体、洗うから」 聡は言われた通りに湯船のふちに腰掛けた。 律は泡立てたスポンジで身体をこすりはじめた。 ごしごしごしごし… 律(聡)「…………あのさ、姉ちゃん」 聡(律)「なに?」 律(聡)「……こそばいっす」 聡(律)「馬鹿、ガマンしな」 律(聡)「………」 ごしごしごしごし… (我慢、我慢…) ごしごしごしごし… (我慢、我慢、が、まん……) ごしごしごしごしごし… (~~~~~~~っ) 律(聡)「っっ、―――――――も、もう駄目!あはははっ」 聡(律)「あ、こら!暴れるな!…………と、わっ、きゃあ!」 ツルッ…―――ゴィン! 律(聡)「てッ」 聡(律)「たッ…」 ばっしゃ~~~~ん!!水柱が立つ。 …………。 「―――――あいててて…」 「いったぁ…」 額がじんじんと痛い。 湯船に落ちたらしく、服はびしょぬれだ。 ん?服? …俺、服着てる……?? っていうかいつの間に俺が上に… 身体の下には柔らかい感触。 聡はおかしいなと目を開けた。 とすぐ目の前に律の顔。 聡「…――――あ。」 律「たたた……………、ん??」 至近距離で目が合う。 湯船の中で身体を密着させたまま二人は固まった。 見る見る、律の顔が赤くなる。 律「あ、ああ、あ……ッッ」 聡「わああゴメッ――」 律「ままま待て、動くな!動かないで聡っ!」 ぴたっと動きを止める。 律「わ、私がいいっていうまで動かないで…。目も絶対開けちゃ駄目だからな…っ」 聡「わ、分かった…」 律「……ちょっと、右手あげて聡…」 言われた通り右手を上げると律はゆっくりと器用に聡の下からすり抜けた。 一瞬ボディーシャンプーの香りが鼻先をかすめる。 さばっと湯船から上がる気配。 律「ま、まだだかんな!まだ開けちゃ駄目だぞ!」 ぺた、ぺた… 律の足音が脱衣所の戸の向こうへと消えた。 聡「…………」 どうしよう、俺。どうしよう。 心臓は尋常じゃなくバクバクいってる。 やばいよやばい、これはヤバい。 わああ、と聡は顔を覆った。 律「聡、もういいぞ…」 脱衣所から服を着た律が顔を出す。 目が合う。 あはは、とお互い笑ってすぐに逸らした。 律「…聡はそのままお風呂入んな」 聡「うん、そうする」 律「………………見てないよな?」 聡「みっ、見てないって!」 律「あ、そう。…じゃあゆっくりな」 聡「おー…」 律が去ると聡はとりあえず湯船から身体を起こした。 何はともあれ元に戻って良かった。 良かった良かった。 うん。 ………………。 はあ。 今夜はとても眠れそうにない。 《終わり》
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律「聡、お見舞いに来たぞー」 聡「ああ、ねーちゃん」 律「今日はジャンプの発売日だから買ってきたぜ」 聡「おーサンキュー。続きが気になってたんだ」 律「読み終わったら、次私にも貸してくれよな。私も続きが気になってるんだ」 聡「うん」 医師「聡くん、具合はどうかな?」 律「あ、先生。こんにちは」 医師「おお、聡君のお姉さん。毎日感心だね」 律「まあ、大事な弟ですから」 聡「ねーちゃん、恥ずかしいこと言うなよ・・・先生、今日はだいぶ調子がいいです」 医師「それは良かった。病は気からだからね。いつも元気を忘れずにね」 律「というか、元気だけが取り柄な奴ですけどねー」 聡「ひでーな、ねーちゃん」 律「ははは」 律(聡・・・こんなに元気なのに、何でなんだ?何で聡の余命があと3ヶ月なんだよ・・・!) 律「聡、リンゴ剥いてやるよ」 聡「子供っぽくて恥ずかしいから、うさぎの形にしないでよ」 律「何をー私の特技なんだからな」 律(神様、どうか聡を私から奪わないで下さい・・・!) 聡「・・・あのさ、ねーちゃん・・・」 律「んー?なんだー?」 聡「毎日お見舞いに来てくれてありがとう」 律「だから、弟なんだから当たり前だって言ってるだろー」 聡「入院してから、今までよりねーちゃんのことずっと大事に感じるようになった」 律「聡・・・」 聡「本当は分かってるんだ。俺、きっともうダメだって・・・」 律「何言ってんだよ聡!すぐに退院できるかr、弱気になるなよ!な!?」 聡「ううん、さっきは元気だっていったけど、本当はすげー苦しいんだ」 律「え・・・」 聡「みんなに心配かけたくないから我慢してたんだ。でもだんだん怖くなってきて・・・ ねーちゃん、俺どうなるのかな!?」 胸にしがみつく聡の頭を、律は優しくなでた 律「大丈夫、聡。私がずっと傍にいるから・・・」 聡「俺、ねーちゃんと離れたくない・・・」 律「離れたりなんかしないよ」 聡「ねーちゃんの弟に生まれて良かった」 律「私もお前のねーちゃんで良かったよ」 律(この時間がずっと続けばいいのに・・・いつかは・・・) 律の頬を涙が流れ落ちた 聡「ねーちゃん、泣いてるの?」 ー律の部屋ー 澪「・・・という小説を考えてるんだけどどうかな?」 律「どうかなって、この先どうなんの?」 澪「聡は一気に具合が悪くなってピンチになるんだけど、律の愛のパワーで 奇跡が起こって元気になるんだ。最後は二人が結ばれてハッピーエンド」 律「いや・・・そのへんの意味がよくわからないんだけど・・・」 澪「結構いい話だと思うんだけどなー」 律「そうかな・・・?」 聡「ジュース持ってきたよー」 律「お、サンキュー」 澪「ありがとう、聡」 聡「あ、ねーちゃん俺のジャンプ勝手に取っただろ。まだ見てないから返してよ」 律「えーまだ読み終わってないからもうちょっと待ってくれよ」 聡「もう、俺が買ってきたのに」 律「なんかお返しするからさー」 聡「じゃあ今度映画に付き合ってよ」 律「おう、いいぞ。何にする?」 聡「見たいのがあって・・・」 楽しそうに会話する二人を眺める澪 澪(この二人ならどんな話でもハッピーエンドだな)
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澪「聡は大人だなぁ」 http //raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1298566735/ 1 2 戻る 名前 コメント
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[ 田井中家・居間 ] ・・・ 休日 唯「りっちゃ~ん!」 律「唯!来たかー!」 聡「こんにちは、唯さん」 唯「聡くんだぁ~!」ガバッ! 聡「はいはい」ナデナデ 律「ありゃ?『うひゃあっ!?ちょ、唯さん、離して フガフガ』ってならないのか?」 聡「あのね、いいかげん慣れたっての」 唯「あ、あれ・・・?(聡くん・・・背がのびた?肩も広くなってるし、これって・・・なんか・・・)」 聡「・・・唯さん?」 唯「・・・(私のほうが・・・聡くんに抱きしめられてる・・・みたい)・・・///」 聡「唯さん?どうしました?」ユサユサ 唯「はひゃっ!?う、ううん?ナンデモナイヨ?」 律「なんだー?めずらしく唯のほうが、あわててんじゃないかーw」 聡「じゃあこれからは、こんな感じで俺のほうから抱きついちゃいますよーw」ギュッ 唯「え・・・う、うん・・・・・・ポッ///」 聡「あ、いや、その・・・冗談ですからね?」 唯「ガーーーン!もてあそばれたー!?シクシク・・・」 律「聡・・・おまえ、姉の友人を泣かすとは・・・」 聡「ち、ちがっ!」 律「これは聡になんか埋め合わせしてもらわないとなぁ~唯?w」 唯「聡くん、デートしようよ」 聡「え!?」 律「・・・あー、デートのマネごと、とか・・・そういうことか?」 唯「ちがうよ~~!マジメに聡くんとほんとのほんとのデート!」 律「え?あ~、つまりその~・・・」 聡「・・・これってねーちゃんが仕掛けた、なにかのドッキリ・・・とか?」 律「知らんわ!あ、あのな、唯・・・こういうのは、私の目の前で言うことじゃないっつーか・・・」 唯「ほえ?なんで?私、聡くんのこと大好きだよ?」 律「ぁぁーーー・・・」 聡「・・・(天然って、すごい)・・・」 [ 駅前 ] ・・・ 次の休日 聡「唯さん遅いな・・・時間はとっくにすぎてるし・・・電話したほうがいいかな?」 唯「聡く~~ん!」 聡「唯さん!」 唯「ごめ~~ん、待った~~?」 聡「・・・・・・いや、今きたとこ・・・(もしかして『お約束』のこれがやりたかったのか!?そうなのか!?)・・・」 唯「なんだ~~w じゃあ聡くんも遅刻だね!」 聡「え?・・・ハ、ハハッ・・・そう、ですね・・・?」 唯「準備してたら遅くなっちゃって・・・」 聡「なるほど・・・服装とかいろいろ迷ってたと」 唯「ほえ?着てくものは昨日の夜に決めたよ?」 聡「??・・・じゃあ・・・」 唯「あわわわ・・・は、はやく行こう!聡くん!」 [ 遊園地 ] 唯「は~~楽しいね~~!そろそろお昼にしない?」 聡「そうですね・・・ちょうどここ、座れますし」 唯「ふんふん♪ふふんw」ガサゴソ 聡「・・・その、唯さん・・・その荷物ってまさか」 唯「ムフフw 私の手づくり弁当なのです!ドキドキする?」 聡「・・・(なんか、違う意味でドキドキするッ!)・・・」 唯「じゃ~~ん!」パッ! 聡「・・・(とりあえず『お約束』とは違って、黒くない・・・見た目も普通だ)・・・」 唯「えへへ・・・初めてだから、ちょっと不安だな~w」 聡「・・・(ものすっっっごく不安だ!)・・・」 唯「はい、聡くん・・・あ~ん」 聡「ちょ、いくらなんでもそれはハードル高すぎます!まわりに人もいますし、自分で・・・」 唯「聡くん・・・私のお弁当、食べたくないんだ~~・・・シクシク」 聡「食べます!食べますから!・・・・・・あ、あ~ん」 唯「は~~いw・・・///」 聡「・・・モグモグ」 唯「・・・どう、かな?」 聡「!?・・・おいしい!!」 唯「わ~~いw」 聡「唯さんのことだから・・・黒くてゴリッ!とか、砂糖と塩が!とか、そういうのを想像してたんですが」 唯「ひどいよ~~聡くん!・・・憂に見てもらってたけど、ちゃんと全部自分でつくったんだからね!」 聡「マジすいません・・・でも、ほんとにすごくおいしいです」 唯「いっぱいあるからいっぱい食べてね~~w はい、あ~ん」 聡「あ~ん・・・モグモグ・・・これもうまいです!///」 唯「わ~~い♪///」 紬「ほぅ・・・///」 律「うおおお・・・か、体が・・・かゆいっ・・・!」 梓「あれって、唯先輩・・・ですよね?憂の変装、とかじゃなくて・・・」 憂「お姉ちゃんかわいいー///」 澪「よし、いい詩ができそうだな・・・」 (おしまい)
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※ 日曜の午後。 映画を観終わり街をぶらぶらしている聡と律。 律「今日の映画、予想外に面白かったなー」 聡「な!最後のビバボンとラリルロンの戦いんとこなんて凄かったよなっ」 律「凄かったー。…―――――あ、なあ聡、ソフトクリーム食べよーぜ」 ふと目に入ったソフトクリーム屋を指差す律。 聡「姉ちゃんのおごり?」 律「んーー、まいっか。おごったげる」 ※※ 律「えーと、このチョコミント1つ。――聡は?」 聡「うーん、俺あんましアイス食べねーしなー…」 律「パフェは食うくせに」 聡「それは言うな」 律「えーい男ならズバッと決めんかっ。…――じゃあイチゴチョコ練乳たっぷりで!」 聡「あーーーっ、勝手に決めんなよ!」 律「ほっほっほ、優柔不断な奴が悪いのさ」 聡「くぅっ…」 奢ってもらう身としては何も言えない聡であった。 ※※ 聡「あ、おいしい…」 律「聡は案外甘党だからなー。いい加減認めるがよい」 アイスを食べながら歩く二人。 聡「い、いやだ。認めない…」 律「別に男が甘党でもいいじゃん」 聡「良くない。何かカッコ悪いだろ」 律「あ、そー。私は別に気にしないけどな」 聡「チョコミントおいしい?」 律「ん?食べる?」 聡「えっ?いや…」 律「ほい」 差し出された食べ掛けのアイスに聡は少し戸惑う。 ぎこちなさを隠しながら一口かぶりつく。 聡「――――おいしい」 律「な?もう一口食うか?」 聡「も、もういいよ。……。…――姉ちゃんも一口食べる?」 律「ん?いいよ、聡が全部食べな」 聡「あ、そう…」 ちょっと残念な聡。 (ちぇーーー…) 最近、間接ほにゃららとか妙に気にしてしまうのは姉ちゃんには秘密だ。 おわり
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本屋 澪「おーい、律、本屋で会うなんてめずらしいな」 律「私だって本ぐらい読むわ!ってほんとは聡が寄りたいから付き合っただけなんだけどねー」 聡「あっ、澪さん、お久しぶりです(相変わらずきれいだなぁ)」 澪「おっ、こんにちは、聡。なんか探してるのか」 聡「夏休みの宿題で読書感想文が出たんですけど…」 律「いやー、私の昔の作文丸写しさせよっかなと思ったんだけどね~」 聡「それ、ズルだし」 本屋2 律「ねー澪、なんか、ちゃちゃっと感想書ける本ないかなぁ」 澪「おいおい、せっかく本読むならそれないた゛ろ、よし、聡!今から私の家にくるか!気に入った本があったら貸してやるぞ」 聡「いいんですか、澪さん…迷惑じゃないかな…」 律「いいって、いいって。本のことになると人が変わるからな~澪は」 澪「なんていうかな…読書っていうのは救われてなきゃだめなんだ…孤独で静かで…」 澪の部屋 聡「おっ、おじゃましま~す(なんかいいにおいだな)」 律「遠慮すんなって」 澪「おまえがいうな。聡、お茶いれてくるから適当に本棚を見ててくれ」 律「みーおー、あいす~も~」 律「やるな、聡、澪のテンションが上がってるぞコノ~」 聡「そっそんなこと、あるわけないだろ、いつも俺はねーちゃんのオマケだし」 律「そうかな~?」 聡「そうだよ」 律「まあ、少年、それよりこの部屋には本棚のほかにタンスがある」 聡「?」 律「今からお姉さまは御手洗いに行ってくるのでこの部屋の警備隊長に任命する、でわっ」 澪の部屋2 善聡(落ち着け、聡。タンスなんか開けているところを見られたら死ぬしかないだろ) 悪聡(いや、やるなら今だろ、5秒で目的を達することができる) 善聡(おいおい、バレたらねーちゃんに半殺しだぜ) 悪聡(だいだいねーちゃんが姉弟共有パソコンにあんなデータ入れとくが悪いんだせ) 聡「っ、みずしまパ…」 律「隊長警備ごくろー」 澪「み…ずしま?」 聡「みっ、澪ねーちゃん、なんでもないっていうか、これはパソコンの中に…じゃなくて、何いってんだ俺」 律「なにあわててんだー聡?まさかタンスの中を物色しようとしてたのか~?」 聡「ちっ、ちげーよ、澪ねーちゃんの部屋がいいにおいだから、じゃなくて、まだ何もしてないだろ!」 律「まだ?」 聡「いや、その俺も久しぶりに澪ねーちゃんの部屋に入ってテンションが上がったっていうか」 澪「聡」 聡「はいっっ!」 澪の部屋3 澪「…久しぶりたな、澪ねーちゃんって呼ばれたの」 律「そういやそうだな、なんでだ、聡」 聡「…だってさ、澪ねーちゃんさ、ここ数年ですごいきれいになってさ、澪さんのほうがいいかなって…」 澪「…」 律(聡、恐ろしい子) 澪「さっ、聡とは、幼なじみみたいなもんだからな、みっ、澪ねーちゃんでいいぞ」 聡「なんか、うれしいな、昔に戻ったみたいで」澪「じゃあ、今回は《潮騒》を貸すからな、読んだら直接私に返しにきて感想をいうこと。わかった?」 聡「うん、ありがとう、澪ねーちゃん!」 澪「…」 律(おおっ、澪がもえもえキュン状態っ) 聡「澪ねーちゃん、あとこの本借りていい?クラスで三国志流行ってるんだー、この《天の華》が一巻?」 澪&律「それはダメ」 了
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※作者複数名 ある日僕は出会ってしまった、もう1人の僕に… 聡「えっ…、僕?」 恥「チッ、しまった」 そいつは僕を見ると逃げ出した 聡「ちょ…待って!」 僕はそいつを追っかけた。そして曲がり角を曲がった時 プップーーー! トラックが突込んで来た、駄目だ避けられない!! 恥「聡ーっ!」 ドーン!! 僕は体当りされた。僕は助かったが、代わりにもう1人の僕がそこには倒れていた 恥「ぶ、無事か…よ、よかっ…た」 聡「大丈夫?」 恥「聡、お前は次スレに行け…俺はここに残る」 聡「そんな!君を置いてなんか行けない!」 恥「俺は俺が嫌いだ」 恥「でも、ここに居てもいいのかもしれない」 恥「俺はここに居たい」 恥「俺は次スレにも行っていいんだ!」 恥「↑訳分からんが元ネタはエヴァだろう。とにかく聡、早く次スレに行け!」 聡「…わかった、待ってるからね」 恥「・・・・・待ってるからね、か」 恥「フッ、この傷で行けないことぐらい分かるだろうに・・・・」 恥「これまでか・・・・・。」 津「・・・~!」 恥「!?」 津「おーい!恥~!」 恥「姉貴?」 津「恥っ!やっと見つけた!」 恥「え?どうして・・・・」 津「心配させんなよ、まったく・・・・」 津「痛くないか?」 恥を抱き起こす 恥「俺たちは痛みに鈍感にできてるだろ?」 津「そうだったな」 恥「でも、流石にこの傷は・・・・」ウルッ 津「大丈夫だよ。夜中の十二時を過ぎれば」 津「イヒヒ。私たちは夜中の十二時に完全復活するんだ」 津「だから安心しな」 津「恥が復活するまでは姉ちゃんが聡も守ってやっからよ」 恥「そうだったのか・・・・ありがと。姉ちゃん・・・・・」 津「そうだ、聡にお前の無事を伝えとかないとな」 津「お前は家で休んでな。ワタシはちょっと聡に会って来る」次スレへ 前スレの900番後半あたりでトラックに轢かれそうになった聡だが、間一髪の所で恥に助けられた しかし恥は大怪我をしてしまった 心配する聡に恥は 《このスレは終わるから、早く次のスレに行け》 と言った 言われた通り次スレ(ここ)に来た聡、しかし恥は中々やって来ない… 聡「やっぱあの怪我で動けないんだ…」 と、その時 「聡~!」 聡を呼ぶ声が聞こえて来た。それは姉の律だった 律「聡どうしたんだよ、顔色が悪いぞ?」 聡「それが僕そっくりの奴が現われて、僕の代わりに事故にあっちゃったんだよ」 律「聡は大丈夫なのか?イヒヒ…」 聡「僕は大丈夫だよ……えっ、イヒヒ?」 実は田井中律ではなくニセモノの田井中津であった 聡の事を心配していた恥だが、動けそうも無かったので恥の姉の津がやって来たのだ 聡「なんかお姉ちゃん、いつもと雰囲気が違うよ」 津「何言ってるんだよ!私は私だよイヒヒ…」 聡「そうかな… それより、もう1人の僕は大丈夫かな?」 津「…なら私が見て来るから、とりあえず聡は家に帰ってなさい」 聡「え、でも~」 津「いいから任せなさい!イヒヒ…」 こうして聡は家に帰って行った それを見届けてから津は叫んだ 津「もう大丈夫だよ、出ておいで恥!」 曲がり角から恥が現われた 恥「気付いてたのか姉ちゃん、ゲヘヘ…」 津「聡の事が心配で来ちまったんだろ、イヒヒ…」 トラックに轢かれた恥であったが、今はピンピンしてる 津や聡などのニセモノ達は夜の12時をすぎると体がリセットされ、怪我などは治ってしまうのだ 津「あんた…、まさか聡と友達になりたいんじゃないのかい?」 恥「・・・まさか」 津は急に怒り出した 津「分ってるのかい、私達は陰なんだよ!」 恥「姉ちゃん…」 津「決して光と交わる事はないんだ! 私達は光を守るタメに存在するんだよ!!」 かつて津も律から“友達になりたい”と言われた事があった だが、津は断腸の思いでそれを拒絶したのだ 弟に同じ思いはさせたく無かった 津「・・・大きな声を出して悪かったね、イヒヒ…」 恥「分ってる、大丈夫だよ、ゲヘヘ…」 津「さぁ家に帰ろうか、今日の夕飯は麦飯にふかし芋だよ!」 恥「ふふ、俺達にピッタリな質素なメシだね」 イヒヒ…ゲヘヘ… 不気味な笑い声がこだまする そして姉弟は消えて行った…(おわり?)
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嫌われてもいい。 今日こそ、この想いを伝えよう。 俺はそう決めた。 日曜日。 人気の無い公園のブランコに、二人並んで座っている。 突然の呼び出しにも関わらず、快く応じてくれたその人は、「青いなぁ」と空を仰ぎながら気持ち良さそうにブランコを漕いでいる。 その隣で、俺は一人緊張していた。 「…あのさ」 「んー?」 「ーーー俺、お前の事好きなんだ」 「へ??」 きょとんとされた。そりゃそうだ。 予想はしていた。 たっぷり三秒ほど間があって、その人は言った。 聡「…いや、俺も好きだよ?友達だし」 73 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/07/23(木) 11 06 45 ID gbQQHGyB 俺「…俺が言ってるのは友達としてじゃない」 聡「お前、そーゆーリアクションに困る冗談やめろよな」 俺「冗談のつもりはないけど」 聡「…」 最初は驚いたように真ん丸に開いた瞳が、次は落ち着きなく左右に揺れる。 たっぷり10秒ほど間があった。 聡「…え、えっと…、つまりあれか?お前は俺の彼女とか、そういうのになりたいわけ?」 俺「違う!彼女はお前だ聡」 聡「はあ?!おっ前ふざけんなよ!」 俺「細かい事は気にするな」 聡「気にするわ!」 俺「………………ん?これは交際を前提に話が進んでいるではないか?」 聡「ちょっ、進んでねーよ!…………と、とにかく無理だよ。俺は、お前と友達で居たい」 俺「諦めるな聡!諦めたら全てはそこで終わってしまうんだぞ?!そんなのは駄目だ…ッ。うッく…、未来は、…無限大にあるのだから………ッ」 聡「ごめん、お前のテンションついて行けない…」 俺「とにかく、まずは親睦を深めよう!答えはそれからだ!さあ行くか!」 聡「ぎゃーーーーッ、助けて姉ちゃんーーー!」 かなりアホなのを書いてしまった… きっと律が助けに来てくれる 36[俺×聡SSまだ?]にやる