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聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2- 聖なるかな -オリハルコンの名の下に- 機種:PC, PSP 作曲者:たくまる、matur suksema 開発元:ザウス 発売元:ザウス、サイバーフロント 発売年:2007, 2012 概要 ザウスより発売された18禁転生神話SRPGゲーム。副題が示すとおり、『永遠のアセリア』の続編「永遠神剣物語第二章」。 ストーリー、キャラクター面において前作の雰囲気と全く異なり、「異世界修学旅行」と揶揄されている。 ラストバトルでは前作のOP曲「永遠のアセリア」のアレンジが流れる。 当初のサントラには収録されていなかったが、PSP版のサントラで収録された。 収録曲(PSP版サウンドトラック順) 曲名 作・編曲者 補足 順位 Disc 1 GREAT JOURNEY matur suksema 歌:川村ゆみPSP版オープニングテーマ 聖なるかな 歌:川村ゆみエンディングテーマ オリハルコンの名の下に The Bravery たくまる Fight it out Cross Sword Last Battalion Eternal Warrior Glorious Brilliance Raise our Mind Inevitable Confliction Gathering Heart The Lamentations Face down Critical Phase God of Demiurge Liberation and Evolution Twilight Song Ultimate Sin Voice of Triumph Disc 2 Sanctus たくまる Haze in Maze Holiday Let s be Easygoing Malicious Activities Tense on Border The Fellowship Take Hands, each other The Lovers Majesty of Absolute The Euphoria The Primordial One Wind from Continual Sky Ordinary Days You and Me My Only Word Macrocosm School Life The Anxiety 永遠のアセリア ~聖なるアレンジ~ 作:畑亜貴編: 歌:川村ゆみラストバトル 第11回662位ゲームソング146位和風321位パソコンゲーム109位第2回ラストバトル178位 サウンドトラック 聖なるかな -オリハルコンの名の下に- サウンドコレクション PSP版新規OPムービー
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聖なるかな せいなるかな【登録タグ:Matur Suksema アダルトゲーム 吉田ユースケ 川村ゆみ 曲 曲せ 曲せい 聖なるかな/作品】 曲情報 作詞:吉田ユースケ? 作曲:Matur Suksema? 編曲:- 唄:川村ゆみ ジャンル・作品:アダルトゲーム 聖なるかな/作品 カラオケ動画情報 ボーカルキャンセルワイプあり オンボーカルワイプあり コメント 名前 コメント
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聖なるかな 【作品名】サン=サーラ... 【作者名】ドラケン 【URL】https //novel.syosetu.org/11133/ 【原作】聖なるかな 【地雷要素又は注意事項】 しばらくの間主人公最弱、ヒロイン不明 【あらすじ・概要・感想】 主人公はハードボイルド 全体的に設定が練られていて描写が丁寧で戦闘描写に至ってはかなりの出来 ただ原作をプレイしていないと設定を読み込むのに時間がかかるかも 俺としては原作の雰囲気を感じさせるしハメでは数少ない永遠真剣系だからおすすめ 現在70話ほどだが話はまだまだこれからインフレしていくところなので是非読んでみてほしい
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タグ おっとり 曲名せ 歌 川村ゆみ 作詞 吉田ユースケ 作曲 matur suksema 作品 聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2-OP ザウスボーカルコレクション4
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聖なる、聖なる、聖なるかな 第357話及び第358話のBGM 有名な賛美歌の題名である 当然ながらエボバのイメージソングである 歌詞 『聖なる、聖なる、聖なるかな 三つにいまして 一つなる 神の御名をば 朝まだ来。 起き出でてこそ 誉め奉れ 聖なる、聖なる、聖なるかな 神の御前に 聖徒らも 冠を捨てて 臥し拝み 御使い達も 御名をほむ 聖なる、聖なる、聖なるかな 罪ある目には 見えねども 御慈しみの 満ち足れる 神の栄えぞ 類なき 聖なる、聖なる、聖なるかな 御手の業なる 者みなは 三つにいまして 一つなる 神の大御名 誉め奉らん―――』
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禍々しくも聖なるかな ◆devil5UFgA 「それじゃあ、行ってきます」 島村卯月は暗い表情のまま、家の内に居る母親へと声をかける。 心配そうな声が帰ってくる。 卯月は、いつもとは異なる弱々しさで、笑顔を見せる。 母に背中を向け、制服に身を包み、しかし、普段の通学路は異なる道を歩き始めた。 卯月が向かう場所は自身が通う高等学校ではない。 葬儀が行われる会館へと向かうのだ。 ――――本田未央の葬儀へと、足を運んでいるのだ。 「未央ちゃん……」 『裁定者 ルーラー 』の使いが現れたのは、今朝方の事だった。 まだ陽も登りきらない時間帯、早朝のトレーニングへと向かっていた卯月。 その卯月へと、『ジョーカー』なる『軽』違反者の討伐令を持って現れたのだ。 『彼』は『ジョーカー』と『バーサーカー』への怒りを露骨なまでに現した。 状況に戸惑っていた卯月には、どこか劇がかったような仕草に見えた。 まるで、テレビのニュースを見ているような感覚だった。 「……ッ」 その『怒り』と取れる感情を納めた『彼』は、少々言いにくそうに、言葉を告げた。 卯月は、そこで理解した。 聖杯戦争を、ではない。 聖杯戦争から生まれる死という意味を、だ。 『裁定者 ルーラー 』の使いである『彼』は、NPCとしての『本田未央』の死を、告げたのだ。 『彼』――――『東金朔夜』は大きな動きは行わなかった。 ただ、卯月にジョーカーの討伐令と、本田未央の死を告げただけだった。 大きな揺さぶりは行わなかった。 なのに、卯月の心は嵐に曝される吊り橋のように不安定なものになっている。 その不安定さのまま、東金朔夜は放っておいた。 渋谷凛へ行ったアプローチとは異なるアプローチであった。 『マスター』 「……なんですか?」 重い足取りの卯月へと向かって、ライダーのサーヴァントが念話によって話しかけてくる。 卯月はその歩みを止めることなく、短く返した。 そこの声は、足取りよりも重かった。 マーズは二の句を躊躇ったが、言葉を続けた。 『彼女は友人だったのかい?』 「……はい」 『これから、彼女を弔いに行くんだね』 「……はい」 『地球の人間は、どういう意図を持って、死んだものを弔うんだい?』 マーズの言葉に卯月はついに足を止めた。 目頭が熱くなるのをこらえ、なんとか言葉を口にした。 自身のサーヴァントは、答えを求めているからだ。 「その、詳しくはわからないです」 『……わからないのに、その儀式に足を運ぶのかい?』 「きっと、意味は別にあると思うんです。 でも、私にとっては、確かめるためなんです。 確かめなきゃ、何も出来ないから……心が、落ち着かないから…… その、未央ちゃんが本当に……その……」 『わかったよ』 マーズは卯月の言葉を遮るように応えた。 その言葉を、言わせることで卯月を傷つけたくはなかった。 『マスターを守る、その事実になんの変わりもない。 僕は貴方のサーヴァントだ、従います……だから、しっかりと、確かめてください』 「……」 『大事なことです、親しい人をきちんと『知る』ことは……とても、大事なこと』 彼女は理解しきれていないのだ。 死という概念を、二度と会えないという事実を。 知識としては知っていても、それを現実のものだと捉えきれていない。 マーズが、人間というものの真の姿を知りたがっているように。 本田未央という存在の終わりを知ろうとしているのだ。 「それじゃあ、行きますね……わがままばかりで、すみません」 『いいさ……それが、人間だ』 マーズはその言葉を最後に、言葉を出さなかった。 卯月も、自身の中の感情を、上手く言葉に出来ないため、会話を行わなかった。 故に、マーズも卯月も、自身の思考を深めていく。 マーズの思考を深めていくのは、卯月と同じ、地球人への思いだった。 地球人のことは、鮮明に思いだせる。 最後の言葉を、幾らでも思いだせる。 『全部お前のせいじゃないか!』 『顔も見たくない! 消え失せろ!』 『俺たちはマーズなんてしらねえよ!』 『なんで俺たちだけこんな目にあうんだ!』 違う、マーズは地球を破壊させる爆弾の、直接的な引き金に過ぎない。 爆弾のスイッチを握ったのはマーズだ。 しかし、爆弾を作らせたのは人間だ。 人間の攻撃性だ。 地球を破壊させたのは、人間なのだ。 その想いに、マーズは納得していた。 しかし、しかしだ。 『わたしの夫と息子を返して!』 『わしの息子を返せ! 家族を返せ!』 その言葉が、マーズの耳に響き渡る。 あまりにも醜い姿から飛び出した、哀しみを塗り固めた言葉。 爆弾を作らせたのは人間だが、人間とは、本当に悪なのか? それがわからない。 マスターである島村卯月が見せるこの哀しみは、悪から生まれるものなのか? 人間は、醜い。 それは間違いない、と、思ったのだ。 その想いを、今でも抱くのかどうか。 それを確かめるために、マーズは、明日笑うために泣く理由を確かめに行く少女の後ろ姿を眺める。 『……マスター、ぶつかるよ』 いつの間にかついていた葬儀を行う会館ビルへと辿り着いていた。 マーズと同じように、卯月もまた、考え事をしていた。 そのため、目の前に置かれた『箱』に気づいていないようだった。 マーズは念話で注意を促し、卯月はハッとしたようにぶつかりそうなった身体を動かした。 「あわっ、す、すみません!」 「……」 卯月がぶつかりそうになった『箱』は、清掃用具を詰めた台車だった。 埃を遮るためにマスクをつけた清掃員は、卯月の声に振り返し、帽子を抑えながら軽く頭を下げた。 そして、神経質な性質なのだろう、心配そうに用具籠の中を覗きこんでみせる。 「あ、ありがとうございます、ライダーさん」 『君が怪我をすれば本末転倒だよ……しかし、彼は日本人ではないようだね』 「そうですね」 『……それほど珍しいことじゃないってことか』 卯月の相槌と呼べる簡素な言葉から、マーズは外国人の労働者など珍しいものではないと読み取った。 事実、この東京に限らず、この時代の東京と呼ばれる類の街には、様々な『人間』というものが詰め込まれている。 日本の各地から東京に集まり、また、外国からも様々な理由で東京に居着く人間が居る。 物理的な土地こそが狭いが、あらゆる『深さ』を持った都市だった。 その『深さ』を潜っていけば、あるいは、人間の本性というものが確かにわかるかもしれない。 『……それを僕に見せてくれ、マスター』 「えっ?」 『なんでもないさ、さあ、行こう』 マーズは思わず零れた言葉を誤魔化し、歩みを促す。 卯月は一瞬だけ不審な表情を見せたが、すぐに本田未央の葬儀の場へと向かった。 場所は五階、階段よりもエレベーターを使うべきだろう。 見れば、周囲には卯月と同年代の少年少女が集まっている。 未央の葬儀に参加するものだろう、みんな表情が暗い。 NPCという言葉に、未だに慣れを見せない卯月だが、こんな場所でも未央が皆から慕われていたことに、安堵した。 「っ………! 卯月、じゃない……」 どこか浮いたものを感じながらエレベーターを待ち続ける。 そんな卯月に、声がかかった。 聞き慣れた声だった。 恐らく、今一番聞きたかった声だ。 「あ、あれ……? 凛ちゃん?」 居ても不思議ではない。 島村卯月と、渋谷凛と、本田未央。 ある意味、この三人は同じ場所にいて当然の存在なのだ。 卯月は前髪を無造作に流し、後ろ髪を無造作に縛っている。 そして、縁の大きな伊達眼鏡で顔の輪郭を誤魔化している。 見知ったものならばわかる、といった類の変装だった。 「あ、その、え、凛ちゃんも……」 「……今は、ね」 卯月の動揺の前に、凛は小さく人差し指を口元に当てた。 凛はトップアイドルだった。 ここで騒ぎ出せば、未央の葬儀に『未央を弔う』という意図以外のものを生みかねない。 「……今日は、静かに、ね」 「う、うん……」 ふと、死んでしまった『本田未央』のように、トップアイドルとして設定された『渋谷凛』が遠い存在のように感じた。 そこから生じる感情は、妬みでも祝福でもなく、心をざわつかせる孤独感だ。 それが深くなれば嫉妬へと変わり、それを乗り越えられれば祝福へと変わる。 そんな、別の何かを生みだす類の感情だった。 『マスター』 「……?」 『霊体化したサーヴァントは、マスターのような人間はもちろん、僕らでも殆ど認識できない。 気配察知の類のスキルがあれば、別だろうけど、僕にはない ……だから、気を抜いちゃダメだ』 マーズの言葉の真意が分からず、卯月は曖昧に頷いてみせる。 言葉の裏に潜む、真意。 『渋谷凛は卯月の生命を狙っているかもしれない』 そんな意図を読み取ることが出来なかったのだ。 マーズはそれを明確な言葉にして、告げるようなことはしない。 相手の善性を信じているような卯月を悪戯に弄ぶようなことはしたくなかった。 「その、未央ちゃんの……」 「……今日の朝、偶然知ってさ。お通夜には行けなかったけど、せめて葬儀ぐらい」 ともに葬儀の行われる五階会場へと向かいながら、卯月と凛は言葉を交わす。 普段よりも少ない言葉数と、消すことの出来ない違和感を覚えていた。 『二人になった』という事実が、二人の間に重く伸し掛かっていた。 沈黙の中で、チン、とエレベーターが目的の階を知らせる音を立てた。 二人は、互いの間に蔓延する空気と同じような重い足取りで向かう。 そこには、喪主である本田未央の両親が居た。 凛が頭を下げながら、ペンを走らせる。 卯月も、習うようにペンを走らせた。 「あの、その……今回のことは……」 「……未央の、未央の顔を見てもいいですか?」 卯月が、どのような言葉を言えばいいのか迷っている中で、凛は柩へと顔を向けながら尋ねた。 親は顔を伏せた。 卯月は、哀しみと受け取った。 凛は、その一歩先を察した。 「訳あって、その、未央……は、葬儀に……出ないことになっています」 両親の、何かを隠すような言葉。 卯月は『哀しみ』と『疑問』を相混ぜにした表情で、その言葉を受け止めた。 一方で、凛は心のうちに『哀しみ』と『怒り』を織り交ぜた。 凛の中で、八つ当たりから生まれる勇猛さが芽生え始めていた。 卯月は、ただ哀しみを深めた。 ◆ 僧侶が車から降りてきて、葬儀屋が出迎えた。 【筒のついた】【拳銃】 葬儀屋の背後に居た道化師が、サイレンサーのついた銃を取り出した。 空気を抜くような音を立てて銃口から銃弾が飛び出した。 【血の滴る】【法衣】 僧侶の額を綺麗に貫き、返す銃口で葬儀屋も殺した。 清掃員はズルズルと、物陰へと僧侶の死体を引きずっていく。 【転がる】【人間】 追い剥ぎのように僧侶の法衣を剥ぎとった。 道化師は懐から白塗を取り出した。 【手についた】【白塗】 幾度と無く塗り続けたために白く染まった指を使って、道化師は自身の顔を白く染めていく。 清掃用具入れの中から幾つかの銃器を取り出した。 【安っぽい】【爆弾】 そして、法衣の懐へとリモコンを入れた。 ◆ 隣だって座った卯月と凛の間に、言葉はなかった。 周囲も同じだ。 皆が、何かの人形のように、呆けた表情で時を待っている。 死体の入っていない柩を眺めていると、本当に、まるで悪い冗談なのではないかと思える。 『フフ』 そんな中で、凛にだけ聴こえる嘲笑があった。 歯を食いしばる音で、凛は自身が従えるランサーのサーヴァントであるアドルフ・ヒトラーへと不快感を訴えた。 『確かめに来たのであろう?』 「……」 『本田未央の死を……『死』は間違いではなかったようだ』 「……」 『マスター、これで歩くしかなくなったぞ。我が神聖にして魔に染まりし槍を持って、打ち払うしかなくなったぞ』 凛がここに訪れた意味は、ただルーラーの使いの言葉の真偽を確かめるだけではない。 ただ、顔を見なくなっただけで、実は本田未央は死んでなんかいないのじゃないか。 ここに来なければ、そんな想いを抱いたままに日々を過ごしてしまうのではないかと思ったからだ。 そして、それが葬儀の大きな意味でもある。 他者の死に直面することで、その死を確かに受け入れる。 それをどう受け止めるかわからない。 わからないが、受け止めなければ先に進むことが出来ない。 そこから生まれる感情が、善きにせよ、悪しきにせよ、だ。 「……静かにして」 『御心のままに』 ヒトラーは、やはり嘲るように言った。 不快感だけを募らせる言葉であった。 それを振り払うように、隣を見る。 曇った表情があった。 彼女もまた、この場に来て、落ち込んでいた。 胸が裂かれそうになった。 彼女を、守らなければいけないと思った。 そのためにも、自身こそが未央の死を受け入れ、乗り越えなければいけないと思った。 自身が、卯月を救うために。 「それでは、そろそろ住職さんが来てくださるそうです」 「……本日は、娘の葬儀にお越しいただきありがとうございます」 暗い表情のまま、未央の両親が 人が死ぬということが、理解出来つつあった。 もう二度と、誰も未央に会うことは出来ないのだと、そう感じた。 静寂が場を支配した。 エレベーターの扉が開いた。 ふと、ぴちゃ、と水温が凛の耳に届いた。 血だ。 『……マスター、どくんだ!』 凛も、卯月もその意味に気付かなかった。 マーズだけが反応した。 ヒトラーは、気づいていたが、反応しなかった。 攻撃を仕掛けようとして、その腕が動く姿が見えた。 マーズは実体化し、その姿を衆目に晒した。 「ら、ライダーさん!?」 「……卯月、まさか、そんな!?」 卯月と凛の反応は、いや、周囲の人間の視線はライダーにだけ注がれる。 その全てを無視して、マーズは卯月と凛の前に立ち、髪を翻して硬化させる。 それで、マーズの燃えるような赤い髪を盾となる。 『銃弾』なら弾けるほどの、あまりにも強固な盾に。 しかし、その盾が覆ったのは、卯月と凛だけだった。 故に、葬儀のために呼ばれた住職、その姿をした道化師が手に持った銃器。 サブマシンガンという、人を殺す弾を幾つも弾き出す武器から守ることが出来るのは。 卯月と、凛だけだった。 「サプラァァーーーイズ…………パァーティィイー!!! 」 サブマシンガンは耳をつんざく音を立てて、銃弾を発射し続ける。 住職に扮したジョーカーは狂ったようにサブマシンガンの引き金を引き続ける。 人々の身体に穴が空いていく。 卯月や凛の心のように、穴が空いていく。 ジョーカーの嬌笑と耳をつんざく銃声が響いた。 「な、なに……なに!?」 「HAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!!!!」 「ジョーカーとやらだろうなぁ」 「ジョー、カー……!」 気づくと、ヒトラーも実体化していた。 いや、ジョーカーが引き金を引いた瞬間から実体化していたのだ。 なんせ、凛が死ねばヒトラーも退場せざるを得ない。 それがルールだからだ。 故に、すぐに庇えるようにしていた。 「ああ……」 やがて、銃弾が切れると、ジョーカーをサブマシンガンを躊躇いもなく投げ捨てた。 そして、手袋を脱ぎ捨てる。 そこには、奇妙な刻印が刻まれていた。 「――――令呪を以って命ずる」 ジョーカーの手に刻まれた、捻くれた悪意のような刻印が光りだす。 銃声と硝煙によってチカチカと空間が歪む中で、光る令呪。 その令呪の光は、ピエロの嘲笑のようにも、赤ん坊の泣き顔のようにも見えた。 「一緒にクソヤローどもをぶち殺しまくろうぜ、バーサーカー」 瞬間、空間が歪む。 そこに現れたものは、世界を侵食するものだった。 周囲が赤く染まる。 紅い月による月光ではない。 バーサーカーのサーヴァント、ギーグ。 もはや実態すら持たないそのサーヴァントは、周囲を歪めて、無数の赤ん坊のような黒ずみを生み出した。 その赤ん坊のような空間の歪みを、ジョーカーは『ギーグ』と呼んだ。 「HAHAHAHAHA!!! 楽しいか、おい、楽しいかバーサーカー!」 『アァァア……』 その者の持つ超自然的な力は、人の心に潜む悪を増長させる。 膨らみに膨らんだジョーカーを、興奮剤さながらに掻き立てる。 この安っぽい、それこそ一ヶ月の給与で買える銃器で人を殺すのも悪くない。 お前の生命は一ヶ月の労働で賄える、そんな悪いジョークを呟いているような気分になる。 しかし、ギーグで遊ぶのは、それよりも楽しい。 「HAHAHAHAHAHA!!!!!」 束縛してくるような法衣の中に溜まった熱気を吐き出すように、ジョーカーは笑った。 卯月は恐怖に瞳を歪め、凛は恐怖と怒りに瞳を染めた。 マーズは卯月からジョーカーを隠すように仁王立ちし、ヒトラーは凛の視線を遮らぬように並び立って実体化した。 「おう?」 「フハハハ! これは当たりだぞ、マスター!」 「……凛、ちゃん?」 「我が聖杯を手にした仮面の幸運とシンデレラの逸話、伊達ではないぞ。 恐らく、我々が討伐競争の一等賞だ! おっと、同率一位というべきか。 失礼したな、御友人」 「……………卯月、下がってて。逃げて」 卯月もまた、凛がサーヴァントのマスターであることに気づいた。 凛は、卯月の問には答えず、逃げるんだと言った。 自身の中に生まれる、抑えきれない怒りを、無謀な蛮勇へと変える。 しかし、凛の脚は震えていた。 蛮勇では覆いきれない恐怖の現れだった。 「リ、凛ちゃん……凛ちゃん……」 凛自身は逃げないのか、と卯月は問いたかった。 ただ、言葉が出なかった。 何を言えばいいのか、そもそも何が起こっているのか。 卯月は、何も理解が出来なかった。 「眠るんだ、君は今、悪い夢を見ている」 「……ライダー、さん」 「……耐えられないことを耐える必要はない」 そんな卯月へと、マーズは、努めて優しく語りかける。 卯月は今にも倒れてしまいそうな目眩の中で、その燃えるような赤い髪を眺めた。 赤い髪が、まるで意思を持つかのように棚引いた。 その髪の毛が一本の針となり、ジョーカーへと向かう。 『ネス、サン……?』 しかし、その針はピタリと空中で止まった。 そして、空気を震わせない声が響いた。 バーサーカーのサーヴァント、ギーグの超自然的な声である。 『ネス、サン……ネスサン、ネスサン……ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン』 その声は力強さを増していき、ついに空気を震わせる。 卯月はおぞましさに顔を引き攣らせ、凛は自身を叱咤するように唇を噛み締めた。 それでも、恐怖は凛の蛮勇を嘲笑うように這いより、卯月の恐怖と共振し始める。 「……チッ!」 空気の震えは増していき、マーズから飛び出した針のような髪の毛は砕かれた。 そして、周囲の死体もまた震えていく。 パン、と、物体が弾けた。 「あっ…………」 本田未央の両親の死体だった。 『あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ』 「ああ……あ、ああ……!!」 釣られるように、周囲の死体全てが震えだす。 パン、パン、と。 時間差を置いて死体が弾けていく。 床を突き破って、死体が湧き上がっていく。 天上が崩れてきて、死体が落ちてくる。 「ああああああああああああああ!ああ!あああああああああ!!!!」 「……いや、これ……やっぱり、未央……!!」 ギーグの超能力によって、死体は弾けていく。 ただ、弾けるだけではない。 表面の皮膚だけを弾き飛ばされた遺体があった。 眼球が脳みそを突き破り、後頭部に両の目が埋め込まれた死体があった。 ギュルギュルと両腕と両脚、四本の棒を交差させて、シャンデリアのように天に突き刺さった屍体があった。 顔のない死体と、前頭部と後頭部に二つの顔がある死体があった。 腕が四本ある脚のない死体があった。 鼻の穴に目がある死体があった。 ギーグが震える度に、奇天烈な死体が増えていった。 ギーグに意思があるのだろうか。 それは違う。 ギーグと直接的なパスが繋がれたことで、ジョーカーのはただギーグを見るだけの人間よりも強く刺激されている。 それは同時に、ジョーカーがギーグへと影響を与えることも出来る、ということである。 ジョーカーの歪んだユーモアセンスが、ギーグの心へと影響を与えているのだ。 そのユーモアは、その死体を見たいからでも、死体を芸術品と見ているからでもない。 ただ、目の前の少女をおちょくるためだけのユーモアだった。 「……ッ!」 その惨状を見て、マーズは怒りを露わにした。 言語化しづらいほどの怒りだった。 ただ、マーズは両手を天へと掲げた。 一度、そうしたように。 両手を天へと掲げた。 世界を破滅へと導く、その姿とその言葉。 「ガイアアアアアアアァァァァ!!!!!!」 蜃気楼の如き歪みの中から、巨大な『指』が飛び出る。 その指は光を放ち、卯月の身を包み始める。 これこそがマーズの宝具だ。 存在そのものが、地球規模で『例外』とされる人類に訪れる禁忌。 ――――『軍神よ、光の力を振るえ ガイアー 』の限定的な解放だ。 指から放たれる卯月とマーズを包む繭のようになり、ギーグの超能力を拒絶する。 念動力によって生み出される隔絶障壁は、ギーグの絶対的な超能力をも弾き飛ばすのだ。 もっとも、何時迄も防ぎ続けることが出来るわけではない。 その様子を見て、ヒトラーは小さく笑った。 『フフ』 「あっ……」 瞬間、卯月は気を失った。 膨大な精神的なショックと、大きな魔力消費が重なったことによる失神だ。 「面白い玩具を持っておるな」 「卯月……!」 「我がマスターも入れてくれんかね、このままでは首輪を付けられた野良犬になってしまうよ」 「……」 マーズはヒトラーの言葉を無視する。 ヒトラーは肩をすくめた。 「ならば、我が仮面で守るしかないと来たものだ……あまり、良いものではないぞ、マスター」 言葉とは裏腹に、ひどく嬉しそうに顔を歪めて、ヒトラーは槍を翻した。 血に染まった床から、青白い光が伸びる。 ヒトラーを円で囲むように照らすその光は、地から天空を照らす。 「くとぅるふ・ふたぐん、にゃるらとてっぷ・つがー、しゃめっしゅ、しゃめっしゅ……」 ヒトラーの呪言が響き渡る。 凛に、マーズに、ジョーカーに、眠っている卯月にすら。 形容しがたい、悪寒と呼ぶのが最も近い感情が走った。 槍兵は、仮面のように張り付いた嘲笑をそのままに、言語化不能のおぞましさを増していく。 何かが変わったわけではない、だが、何かが変わっていく。 何が変わったかわからないのに、ただ、変わっていくことだけがわかる。 「にゃるらとてっぷ・つがー、くとぅるふ・ふたぐん……」 穂先を向ける槍兵の涅が這いよるような異常に、ジョーカーは笑みを深めた。 自らが従える槍兵から溢れだすおぞましさに、凛は目を背けた。 思いがけず、窓から外を覗く形となる。 いや、正確に言えば外を眺めることはなかった。 いや、しかし、そんな。 居るはずがない。 こんなものが、この世界に居ていいはずがない。 「にゃる・しゅたん、にゃる・がしゃんな…… にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな!」 いや、そんな! あの手は――――あの顔はなんだ! ああ! 窓に! 窓に!!! ◆ 【Sainty Check】 ジョーカー『成功』 ギーグ『無効』 渋谷凛『失敗』 ヒトラー『チェック対象外』 島村卯月『気絶中によりチェック対象外へ』 マーズ『失敗』 ◆ 禁止された宝具の一部を掠め取って使用するスキル、『月に吠えるもの』を開放したヒトラー。 『あ、あ、あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああああ!!!!』 ギーグはそのおぞましさを否定するように、攻撃を仕掛けた。 しかし、その超能力による攻撃は、正体不明の触手に弾かれる。 触手には、無数の仮面が張り付いていた。 ヒトラーと同じような、余りにも不快な嘲笑が張り付いた仮面だ。 「ぁあ…………」 「おやすみ、シンデレラ。靴のサイズを合わせる時には起こしてあげよう」 その仮面の群れを見た瞬間、凛の意識が途切れる。 膨大な魔力の放出……というよりも、理解の内から生まれる理解の外の存在を直面したがゆえの、精神的ショック。 同時に、ガシャン、と激しい音を立てて、窓の外から異形のものが乗り込んできた。 これこそが、触手の主。 ヒトラーのペルソナ、『月に吠えるもの』。 「ふははは! 太陽と並び立つ紅き月へと向かい、吠え続けるもの! これこそが我が仮面 ペルソナ よ!」 人は誰しもが仮面を被って生きている。 その仮面、ペルソナを集合的無意識の中に眠る神霊などを媒体にして現界させる。 ヒトラーのペルソナは、スキル名と同じ、『月に吠えるもの』。 複数の触手を携えた、名状しがたき存在が窓を突き破り、ヒトラーの背後へとそびえ立つ。 「冒涜の偶像聖槍が貴様を貫く、存分に暴れさせてもらおう」 『神聖魔槍・失楽園 ロンギヌス・オリジナル 』と『偶像聖槍・失楽園 ロンギヌス・コピー 』。 月に吠えるものの触手は二つの槍を握り、存在すら曖昧に歪めたギーグへと向かって放たれる。 空気が、いや、ギーグが震え、槍を弾く。 月に吠えるものの触手が蠢く。 ギーグが染めた赤い空気が蠢く。 激しい音だけが、響き渡る。 「……ああ、アンタ知ってるぜ」 「ほほう」 「誰でも知ってるさ。俺たちアメリカ人と、会ったこともないドイツ人ならな。 アレだろう、アレ」 ヒトラーはニヤニヤと嗤いを続け、ジョーカーもまた嘲笑いを作り続けた。 マーズは、覚めた目でその二人の様子を見ていた。 同時にこの狂気にその身を晒され、顔を歪めて気絶する二人の少女へと顔を向けた。 この二人と、目の前の二人。 同じ地球人だとは思えなかった。 そんなマーズを無視して、ギーグと月に吠えるものは攻撃を繰り返し、ジョーカーとヒトラーは笑みをかわし続ける。 「アンタ、『チャールズ・チャップリン』だろう」 「…………ほほう」 釣りあがった頬を、さらに釣り上げる。 ジョーカーもまた頬を釣り上げた。 マーズは不快感を募らせる。 『チャールズ・チャップリン』、すなわち、世紀の喜劇王だ。 恐らく、機会が機会ならば、サーヴァントとして召喚され得る人物。 ヒトラーを『演じた経験』のある、ある意味では、『アドルフ・ヒトラー』以上に『ヒトラー』に近い人物と言えるだろう。 「なるほどなるほど、面白い男だ。殺すには余りにも惜しい」 ジョーカーとて、本気でヒトラーのことをチャップリンだと思っているわけではないだろう。 しかし、『ヒトラー』を『アドルフ・ヒトラー』と認識していなかった。 そして、ジョーカーを気に入ったというのもまた、真実だった。 「よく見たさぁ……喜劇は好きだ、大好きだ。 ただ、今のアンタの姿の映画はちょっとメッセージ性が強すぎてな。 もっと、馬鹿らしく行こうじゃないか……それがアンタの持ち味じゃないのかい?」 「同意見だ、演者に固めた仮面を与えるのは一時の間だけでいい」 「なら、一緒に遊ぶかい? 俺は別に、アンタと組んでもいい。 いや、こいつはいい玩具だし、正直な話はアンタよりもバッツと遊びたいがね」 「貴様なら私を『バッツ』に出来るかも知れんぞ?」 その瞬間、ジョーカーは表情を固めた。 すぐに嘲笑ってみせるが、ジョーカーにとって、そのジョークは面白くないジョークだった。 「気を悪くするな……何、貴様のように、私もこういった悪意のないイタズラが大好きでね」 「悪意のない……悪戯だというのか?」 釣り上がった頬から生み出される、嘯くようなヒトラーの言葉。 その言葉に反応したのは、マーズだった。 「おおっと、そう怒るな……恐らく、ライダーのサーヴァントだろう? 話し合おうじゃないか、我々はそのために言葉を持っている。 違うかな、白塗の道化師に紅い騎兵よ」 「話し合うことなんてない、僕のマスターは傷ついている」 自身の感情は語るまでもない、と言外に伝えていた。 「造られた生命であり、与えられた設定とは言え、友達を失った……その痛みに癒やすための儀式さえも穢された。 きっと、マスターの心は、もう癒えない。 一生、その痛みを思い出すんだ。 お前のマスターもそうなはずだ……なのに、なぜだ。 なぜ、そんな弄ぶようなことが出来る」 「人間こそ、所詮は宇宙の中心で蠢く盲目にして白痴なる者よ、そう脆いものじゃあない。 癒えない傷かもしれないが、しかし、お前のマスターはいつか楽しそうに笑ってみせるさ。 本当に楽しそうに、幸せを謳歌してみせるさ。 この惨状を忘れても居ないのに、幸せになってしまうさ。 人間とは、そういうものだ。 だからこそ、愛おしい――――」 『玩具なのだよ』 ヒトラーは笑みを深めこそしたが、その言葉は口にしなかった。 相変わらず釣り上がった頬はマーズに不快感を与えてくる。 「その言葉と行動で傷つけたんだ、お前たちの言葉はそういう類のものだ。 知識はそんなものじゃないはずだ、言葉とはナイフになり得るはずのないものだ。 そんな奴と、交わす言葉はない」 「私を理解したと?」 「そうさ、お前たちは、悪だ。死を笑うものだ」 「自分たちはそうではない、と。死を笑うことはない、と」 「そうだ、人が死んでいるんだ……なぜ、笑える」 「フハハ! お前も笑うさ、お前の仲間も笑うさ!」 人の死を笑う、とヒトラーは言った。 マーズは否定しようとしたが、ヒトラーの言葉が重なった。 「汚いものが浄化されるさまを見て微笑むように、貴様も笑うだろうさ。 笑みに上等も下等も有りはしない」 「世界は神様の出来の悪いジョークなのさ」 ジョーカーも言葉を続ける。 マーズはただ、その言葉を聞き続ける。 「この舞台に立たせてもらったお礼に、精々笑ってやろうじゃないか。 出来の悪いジョークでも、相手を思うなら笑ってやるのが優しさってもんだぜ」 この世界こそがジョークなのだと語る。 本気になどなるな、と言っているかのように。 マーズは、その言葉で確信した。 目の前の二人は言葉こそ同じものを使っているが、会話が出来ない存在なのだと。 「話すことなんてない。 そして、信じられない……君たちが人間であるかどうかすら」 「俺ぁ人間だよ」 「私は人間の模範存在だ、教科書にだって載るぞ」 戯けるような二人の言葉に、マーズは怒りを募らせた。 「……特別だよ、お前たちは。 あの人達やマスターが、お前たちと同じ生き物だなんて思えない。 あの醜い獣ですら、お前たちと同じだとは思えない。 お前たちは、獣ですらない、醜くすらない、何かだ…… お前たちが人間の全てなら、何千年も待つ必要はない。即座に爆破していたさ」 「しかし、人間だ」 ヒトラーの言葉を無視するように、マーズは光の中へと消えた。 卯月を優しく抱き上げ、月に吠えるものが破壊して吹き抜けとなった壁の穴から飛び降りようとする。 地上五階の高さだが、サーヴァントであるマーズには大きな意味はない。 「忘れるな、盲目の騎兵よ」 マーズの背中へと言葉を投げかける。 マーズはその類まれな聴覚で、その言葉を聴いてしまった。 「目の前の道化師は人間だ……ならば、全ての人間は道化師の可能性を持っておる。 我と我が相対者すら見抜けぬ人間の本質を、貴様ごときが見抜けると思い上がるでないぞ」 嘲笑に彩られていた言葉。 ジョーカーは消えていったマーズへと、肩をすくめながら呟いた。 「俺が知りたいって言うなら、ナイフの刃を自分にむけて、口に咥えてみりゃいいのさ」 「その心は?」 「世の中のこと全部を笑いやすくなる」 ヒトラーはまた笑ってみせた。 出来の悪いジョークには、笑ってやるのが礼儀というものだからだ。 「しかし……いっそのことお前のようなものの影となれば、私も楽なのだろう。 だが、しかし、今の私は灰かぶり姫の影よ。 もっとも、そこに不満などないがね。良き光となれる人材だよ、あの少女はね」 「交渉決裂だな、スポンサーとは不満ってわけだ」 「私をチャールズと称する貴様のセンスは……正直な話、大好きだよ」 ヒトラーは笑みを深める。 その答えこそを待っていたと言わんばかりの笑みだった。 「チャールズを気取るにしては、今の脚本には喜劇性が足りなくてね。 舞台演出と脚本とスポンサーがぶつかり合っていて、『我輩』も第三帝国の領地から出られんわけだ。 我輩なりに仮面を揃えようとしているのだが、なかなか上手く行かぬものよ。 そんな中で、スポンサーの申し出は悪くない」 「じゃあ、遊べばいいさ。俺と一緒にね」 「ただ、状況が揃いすぎていてね。 喜劇を演じようとしたところに、灰かぶりを導く道化師と死のメタファーが姫の前へと都合よく現れる幸運。 いやはや、これは天啓……その礼に、一つ挨拶と行こうか」 ヒトラーは神聖魔槍を翻した。 ギーグの超能力と数十合打ち合ったその槍と偶像の聖槍には、傷ひとつない。 もっとも、代わりにギーグにも傷一つ与えていないが。 ギーグも、ヒトラーもただ刃を交えるだけで、本気で生命を狙いに行った一撃は行わなかったからだ。 「無貌の我、千の貌を持つもの……故に道化なり」 瞬間、ジョーカーは、ヒトラーの顔に自身の顔を幻視した。 しかし、それは一瞬と呼ぶのも馬鹿らしいほどの間であった。 単なる幻視にすぎない。 「我は◆◆◆◆◆◆◆◆、運命を嘲笑う者」 月に吠えるものが、蠢いた。 その奥に、更に潜む、形状し難き淀んだ土のような影が見えた。 ギーグを嘲笑で迎えたジョーカーですら、その背中を震わせた。 人だけを震わせる、闇だった。 「ふははは、機会があればまた会おうではないか! 白い顔に、渾沌の仮面を持つ道化よ!」 ◆ 「フラレちまったよ、ギーグ」 契約を捨てて、ヒトラーと再契約を結ぼうじゃないかとすら言っていた口で、ジョーカーは着やすく語りかける。 しかし、ギーグの破壊された精神は、ジョーカーのその意図すら捉えない。 ただ、自身が赤く染めた空間を震わせるだけだ。 ジョーカーは肩をすくめた、しかし、不満はなかった。 ジョーカーと同じ聖杯戦争の参加者には逃げられたが、元々会うことすら予想外だったのだ。 今回は花火を上げるだけのつもりだけだった。 ジョーカーは懐から一枚の封筒を取り出した。 ――――『討伐令』だった。 「――――『ジョーカー』と『バーサーカー』を倒したものに、令呪を与える。 だってよ、HAHAHA!」 ジョーク、と言いたいところだが、そうではないだろう。 恐らく、本気でジョーカーにもジョーカーの討伐令を出したのだ。 ジョーカーが『ジョーカーとバーサーカー』を討伐した場合、ジョーカーに令呪の一画と情報が与えられる。 そう言った仕組みだ。 「まあ、もっと、笑ってやろうじゃないか。 俺たちの笑い声さ、全員に聴こえるぐらいがいいだろう?」 ジョーカーは法衣を脱ぎ捨て、階段を伝って降りていく。 多くの人間が避難をしていた。 数少ない人間はギーグが内側から破壊していく。 ジョーカーは懐の栄養剤を口にした。 疲労は少ない。 恐らく、ギーグの攻撃に耐えられる人間というのは、本当に限られているのだろう。 ギーグは手の届かないところに手が届く。 ジョーカーが爆弾でないと出来ない殺人を、ギーグは動くような容易さで行うことが出来る。 そう、爆弾だ。 ギーグはあまりにもお手軽な爆弾なのだ。 爆発させて、自らも含めた全てを壊してしまう。 だから、自分たちの存在を爆弾で知らせてやるのだ。 清掃員の振りをして、ビルのあちらこちらに爆弾を仕掛けた。 それを爆破して、自身の存在を知らせてやるのだ。 ジョーカーはビルから離れながら、遠隔操作のためのリモコンを取り出す。 足元には血と赤で染まっている。 「Let s go!」 そら行け!と勢い良く、ボタンを押した。 そして、すぐさまに耳を塞ぐ。 「……Oh?」 しかし、爆音を響かなかった。 ジョーカーは眉を潜めて、何度もボタンを押す。 押して、押して、押して。 一向に反応をしない。 さすがに安上がりにし過ぎたかと、ジョーカーが思いかけた瞬間。 「おっ」 ドン、と音が響いた。 ジョーカーは満足そうに笑みを深め、遠隔操作用のリモコンを放り投げた。 背後から爆音が響く。 会場が壊れ、死体達は土とコンクリートの中へと消えていく。 世界が見せたジョークへの、ジョーカー流の反応だった。 時計の針が、十二時を指した。 ジョーカーの花火によって、新しい情報が記された。 【A-3/渋谷/1日目 十二時】 【渋谷凛@アイドルマスター シンデレラガールズ】 [状態]気絶中。精神的に不安定。犯罪係数不明。間力を消費。 [令呪]残り3画 [装備]手持ちバッグ(散歩グッズ入り)、変装用の伊達眼鏡。 [道具]なし [所持金] 手持ちは高校生のおこづかい程度。 [思考・状況] 基本行動方針:私は…… 1:気絶中。 2:ジョーカーに対し強く敵意を抱きました。人を殺す……? [備考] ※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。 ※ジョーカー&バーサーカー組の情報と容姿を把握しました。 ※島村卯月をマスターとして認識し、マーズの容姿と宝具の一部を把握しました。 【ランサー(アドルフ・ヒトラー)@ペルソナ2罪】 [状態]健康、魔力を消費。 [装備]ロンギヌス [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:愉しむ。 1:事件が起こって凄く愉しい。 [備考] ※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。 ※ジョーカー&バーサーカー組の容姿と情報を把握しました。 ※島村卯月をマスターとして認識し、マーズの容姿と宝具の一部を把握しました。 ※ 検閲済み 【島村卯月@アイドルマスター シンデレラガールズ】 [状態]気絶中。精神的にひどく動揺。魔力を消費。 [令呪]残り3画 [装備]なし [道具]なし [所持金]手持ちは高校生のおこづかい程度。 [思考・状況] 基本行動方針:何もわからない。 1:気絶中。 2:ひどく動揺しています。 [備考] ※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。 ※ジョーカー&バーサーカー組の情報と容姿を把握しました。 ※渋谷凛をマスターとして認識し、ヒトラーの容姿を把握しました。 【ライダー(マーズ)@マーズ】 [状態] 健康 [装備] なし [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:人間を見定める。 1:ヒトラーとジョーカーへの強い嫌悪感。 2:ギーグの悪を刺激する有り様と、月に吠えるもののおぞましさを目撃し、無自覚に動揺しています。 [備考] ※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。 ※ジョーカー&バーサーカー組の容姿と情報を把握しました。 ※渋谷凛をマスターとして認識し、ヒトラーの容姿とスキル『月に吠えるもの』を認識しました。 ※ 検閲済み 【ジョーカー@ダークナイト】 [状態]魔力を消費。 [令呪]残り2画 [装備]不明 [道具]不明 [所持金]不明 [思考・状況] 基本行動方針:この世界流のジョークを笑って、自分なりのジョークを見せる。 1:楽しい。 2:。 [備考] ※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。 ※ジョーカー&バーサーカー組の全てを把握しています。 ※渋谷凛をマスターとして認識し、ヒトラーの容姿を把握しました。 ※島村卯月をマスターとして認識し、マーズの容姿と宝具の一部を把握しました。 【????@????】 [状態]?? [装備]?? [道具]?? [所持金]?? [思考・状況] 基本行動方針:?????? 1:???????? [備考] ※?????? ※?????? ※?????? ※?????? ※ギーグの宝具が発動しているため、ギーグの状態表を閲覧できません。 BACK NEXT 014 disillusion 投下順 016 Who is it that she was summoned? 012 私の鳥籠の中の私 時系列順 018 遠き山に日落ちずとも -あるいは命堕ちる家路- BACK 登場キャラ NEXT 008 Who is in the center it is chaos? 渋谷凛&ランサー(アドルフ・ヒトラー) 019 GOSSIP→PERSONA 000 DAY BEFORE:闇夜が連れてきた運命 島村卯月&ライダー(マーズ) 025 人間(ひと)の手がまだ触れない 000 DAY BEFORE:闇夜が連れてきた運命 ジョーカー&バーサーカー(ギーグ) 018 遠き山に日落ちずとも -あるいは命堕ちる家路-
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冬木教会。 その名の通り、冬木の郊外、新都の丘の上に広い敷地を持つ大規模な教会である。 極東の地方都市に過ぎない冬木市にここまで本格的な教会が存在するのは、外来人居留者の多い環境に由来する。 歴史も比較的古く、前身となる教会は戦前に建てられたという記録が残っている。 ……無論、"聖杯"戦争の地に建つ教会が、ただの教会である筈がない。 この冬木教会は、かの宗教の一側面である『聖堂教会』と呼ばれる組織が冬木の地に建てた拠点である。 実際のところ、かつて冬木に降臨した聖杯自体は、神の子の杯そのものではないとの確証は取れている。 だが、聖杯戦争の熾す火を民衆の前に晒すわけにはいかないという目的の前に、魔術師との密約の下この教会は『聖杯戦争の監視役・監督者』の住処として作られた。 今回の電子の海での聖杯戦争においても、非戦闘ゾーンとしてこの建物は再現され、内部には管理者が存在する。 これ自体は、マスターたちには最初から公表されている事実である。 ところでこの建物。 現実の冬木市では、管理者の名前を取って『言峰教会』とも呼ばれていたのだが―― ◆ セレスティア・ルーデンベルクとの一線を終え、フロントに戻ってチェックインし、部屋を取った後。 ホテルの一室で一息を吐いたジョセフ・ジョースターは、途中の売店で購入した品を確認していた。 まずは冬木の市街地図。 隅から隅まで読み込み、ジョセフの頭脳へと叩きこんでおく。 都市部での戦いである以上、これから戦う土地の地図は非常に重要なものだ。 実際DIO打倒の旅においても、DIOの送り込んで来たスタンド使いの刺客、"女帝《エンプレス》"との戦いにおいては地図が重要な役目を担った。 更に言えば、ジョセフのサーヴァントである天龍の本質は軽巡洋艦だ。 水場を戦場に選びたいこと……そして後々河川や海を見に行きたいことを考えると、やはり地図の確認は急務と言ってもよかった。 「とはいえ、ウ~~~ム……やっぱ海の面積なんて限られとるの」 冬木市は海に面する都市である。 それは吉事ではあるが、やはり一都市における海が面する割合など限られている。 常に海辺で行動することなど難しい以上、全ての戦いで海を戦場に選ぶのは無理だと考えていい。 幸い、冬木は南北を河によって横切られ、東西に区切られている。 この河を戦場に選ぶのも考えれば、選択肢は広がってくる。 「……つーかよぉ。オレが海で戦うのはいいけど、ジイさんは大丈夫なのかよ?」 「うん? どういうコトじゃ?」 「オレが海に陣取っても、ジイさんはそうはいかないだろ。 孤立したところを襲われてたら仕方ない」 「ああ、なるほど。 心配せんでいい。波紋を用いて水面の上を歩くのは、波紋の修業では初歩に教わることじゃ。 流石に若い頃みたいにはいかんが、逃げるくらいならなんとでもなるわい」 「そいつはスゲぇな。も一つ見直したぜ、ジイさん」 地図の確認を終えると、ジョセフは次に新聞を取り出す。 買ったのは地方紙の朝刊。 この都市で何らかの変事が起こっていないかの確認のためだった。 が、しかし、新聞に載っている限りの記事では、そういった明らかに異常な事件はほぼ確認できない。 あるいは事故記事の幾つかは聖杯戦争絡みのものなのかもしれないが、それを確認する手段などなかった。 (聖杯戦争が始まらんうちは、派手な事件はない……ってとこかの) ただし、事件などよりも、余程ジョセフの意識を引いたことが、一つある。 それはそもそも記事などではなく。 『新聞の発行された日付』。 「……2015年、か」 2015年の冬。 それが新聞の示す、『今日』である。 最初は新聞の誤字をジョセフは疑った。 だが携帯端末やTVニュースを確認し、そして先程のセレスとのやり取りを思い返すことで、ジョセフはある確信へと至る。 (妙なところはあった。あの嬢ちゃんがわしとのギャンブルで使おうとした『ユーロ』という通貨。 そしてギャンブルの後に聞いてきた質問……どれもわしの知らん話だった。最初は単にわしが日本に疎いだけかと思っとったが……。 『未来』じゃ……あれは『未来について知っているか』の質問ッ!) エジプトで戦った、DIOの操るスタンドの能力をジョセフは思い返す。 『時を止める能力』。 時を操るスタンドがあるのだから、時を未来に進めたり、あるいは過去にする能力があってもおかしくはない。 (……つまりわしは、タイムトラベルしちまったってワケか? いや違う、ムーンセルとやらについての説明を信じるならここは『未来を再現した世界』……、 あの嬢ちゃんはわしにとって未来にあたる世界からやってきたマスターってコトかッ!?) 完全に違う文明に放り込まれたわけではないのだから普段に問題はないだろうが、しかし『自分の知らないことがあるかもしれない』というのは、情報戦ではやはり不利となる。 ジョセフの世界は1989年。26年分の誤差は、そう意識してしまうと小さくない。 (現に電話やテレビは結構進歩しとるみたいじゃしの……今じゃ音楽聴くのもウォークマン要らずってワケかい。 この携帯端末とやらも、今の時代じゃ普通に使われとるみたいじゃしな) 慣れない手つきで、ムーンセルに渡された携帯端末を操作するジョセフ。 インターネットやメールなどの機能を完全に把握したわけではないが、『情報のネットワークがかなり発達している』ということはそれでもわかる。 流石にこれ一つでなんでも把握できるわけではないだろうとは考えたが、それでも慣れないジョセフと慣れているセレスでは情報の入りは違ってくるということは自明の理だ。 (とはいえ……無理して差を埋めようとしても仕方あるまい。 やはりわしのやり方でやるしかないか) 聖杯戦争を積極的に戦うつもりはジョセフにはないが、しかしそれは聖杯戦争に対して無策でいることを意味しない。 戦わなければならなくなった時、無策のままであることは愚者の行い。 なにより、戦いに際しては策を以て望む、それが『ジョセフ・ジョースター』の流儀だった。 「……聖杯戦争の情報も集めておきたいな。 あとで情報屋と接触しよう」 「情報屋? いるのかよそんなモン」 「あのお嬢ちゃんがギャンブルで稼いだ、と考えるならば、それは違法な賭博場でと考えるのが自然じゃ。 この国じゃカジノは違法のようだし、そもそも彼女は成年しとるかも怪しいからな。 となると、この市には違法ギャンブル場を生かすだけの裏社会の基盤があることになる。 情報屋の類がいてもおかしくはない」 「成る程。スジは通ってる」 「ま、それはあくまでも後でじゃな。まずは出発しよう」 納得した様子のアーチャーを尻目にしながら、ジョセフは再び外出の準備を整えた。 出先で買った荷物は置いていく。これは再びこの部屋に戻って来ることになった場合のものだ。 「ああ。水場の確認と準備か、資材の確保か、だっけ?」 「いや……その前にひとつ確認しておきたいことができてな。 まずは教会に行くとしよう、車を借りんとな」 「教会? 戦いの前にお祈りでもするのか?」 「教会には管理役が常駐している、って話だったろう? 少し話を聞いてみたくなったんじゃよ」 ◆ 太陽が中天を僅かに離れた頃、ジョセフ・ジョースターとそのサーヴァント・アーチャーの姿は冬木教会へと続く坂道にあった。 所持品の準備を整えた後に昼食や車の調達に時間を取り、出発したのは12時を過ぎた頃。 一度目の通達を受けた後だった。 そして今、教会へ向けて車を運転するジョセフが考えているのも、その放送の事である。 たった三行の連絡事項。 誰でも感じることであろうが、通達された情報が少な過ぎる。 参加しているマスターとサーヴァントの数の情報だけでもそうだ。 陣営ごとのサーヴァントのクラスすら明らかになっていない。何なら陣営を限定して味方陣営のサーヴァントだけでも教えるという手段もあっただろうに。 "連絡路"についてもそうだ。 本当に団体戦をやらせたいのなら、このようなまだるっこしいやり方より、一度陣営のマスターを一同に集めるか、あるいはマスターの情報を渡すなりしてもいいはずだ。 まるで……そう、まるで意図的に情報を絞っているかのようだった。 もしも本当にこれが意図的だとしたら、狙いはなにか。それを次にジョセフは思考する。 団体戦を円滑に進めるならば味方陣営の情報は絞らずに積極的に公開するべき……ならば逆に、団体戦を円滑に進めさせたくない、という可能性。 そして団体戦が上手くいかない場合、どうなるか。 (同士討ち……そして残った主従は消耗するじゃろうな) 本当にそれが狙いならば、何故ムーンセルはマスター達を消耗させようとするのか。 いや、そもそも。これはムーンセルが課したルールなのかさえも、ジョセフは疑った。 この月の聖杯戦争は、ムーンセルが地上の参加者を観測するための実験だという。 そこに黒幕がいるという可能性もないとはいえない。 (もっとも、事態がそこまで深刻に絡んでいるなら安全に抜けるのなんて不可能じゃろうし、 できれば遠慮したいがね……) 【……おい、ジイさん】 実体化したまま後部座席に座っていたアーチャーが、不意に運転中のジョセフに念話を飛ばした。 それに反応し、ジョセフはすぐに路肩に車を停めた。 アーチャーを実体化させたままにしているのは、何も不注意からではない。 その索敵範囲を買ってのことである。 元よりアーチャーのサーヴァントには、クラスの特徴として、スキルとして備わっていなくともある程度の千里眼があることが多い。 ましてや天龍は元は軽巡洋艦の逸話から形造られたモノ。 電探こそ装備していないが、その索敵範囲はけして狭くはない。 そのアーチャーがジョセフに声をかけた、――それも他人に聞かれることのない念話で――、というのはつまり、何らかの異常が発生したということだ、とジョセフはすぐに察した。 【……新手のサーヴァントかの?】 【みたいだな。この道の先にいる。 ……動かねえな。こっちには気付かれてるかもしれない】 【ふむ……】 念話の相槌を返しながら、ジョセフは対応を思考する。 この道路は教会へと続く一本道だ。迂回することはできない。 となると待ち伏せだろうか、とまずは考えたが、わざわざ教会という管理役の目の前で待ち伏せなどしたいだろうか、と言われると難しい。 仮令待ち伏せが目的だとしても、いきなりの遠距離攻撃や攻撃的な接近を受けていない以上、手当たり見境なく襲いかかる輩ではないだろうと推測する。 あるいは希望的な観測をすれば、ジョセフと同じように教会の管理役に話を聞きたいマスターという可能性もある。 最悪敵対的な接触を受けたとしても、相手の向こうを突破すれば教会だ。 非戦闘区域まで辿り着ければ、追撃を受ける可能性はなくなる。 賭けではあるが、有利な賭けであるようにジョセフには思われた。 【接触してみるか。警戒を頼む】 そうアーチャーに指示して、ジョセフは車を再発進させた。 少し進んだ先、地平線の向こうに、おそらくはアーチャーが感知したのだろうサーヴァントの姿が見える。 紅い外套を纏い、弓を構えた浅黒い肌の男。 陣営は黒。クラスは改めて確認するまでもないだろう。 (天龍もアーチャー、セレスと名乗ったお嬢ちゃんのサーヴァントもアーチャー。 そしてここでもアーチャーか。アーチャーに縁でもあるのかね、わしは) 「止まりたまえ。止まらないならば、敵対の意思有りと見て攻撃に移らせてもらう」 赤衣のアーチャーが、ジョセフ達の乗る車両へと警告を飛ばす。 ジョセフは素直に車を停めて、アーチャーと共に外へ出た。 交渉しようというのならば車からは外に出るのが礼儀だろうし、サーヴァント相手に乗用車が役に立つとも思えない。 「まずは敵対陣営でありながら、問答無用にその矢を撃って来なかったことに礼を言おう。 そして。出会い頭に攻撃してこないなら、交渉の余地があるということでよろしいのかね?」 そう問いかけながら、ジョセフは赤衣のアーチャーを観察する。 サーヴァントに年齢など関係なかろうが(実際、ジョセフのサーヴァントである天龍は彼女の話が本当ならばジョセフよりも年上だ)、年は思ったよりも若い。 肌色から中東人かとも思ったが、遠くから顔立ちを見る限りではむしろ東洋人、孫である空条承太郎や旅の仲間だった花京院典明に近い。 もしも本当に東洋出身の英霊ならば、日本の文化に疎いジョセフの知識では正体を推測するのは難しい。 「そちらの目的次第だな。こちらの方向に何の用事だ?」 「何の用事と言われても、教会に行きたいだけなんじゃがね。そっちの方向にはそれくらいしかないじゃろう?」 弓を構えたまま問う赤衣のアーチャーに、ジョセフは平静を保ったまま答える。 「問い直そう。何が目的だ? 今この段階で教会に行ったとして、聖杯戦争の役には立たないと思うが」 「その聖杯戦争から抜けたいんじゃよ。わしゃ聖杯には興味もないのに巻き込まれてな。他にも色々と聞きたいこともある」 更なる問いに、これもまた冷静にジョセフは回答。 「――巻き込まれた? ……いや、月の石のみが基準ならば確かにその可能性はあるか。 だが、私の知る限りでは月の聖杯戦争に中途で離脱する方法はないぞ。敗者はムーンセルに消去されるルールだ。 この聖杯大戦ではサーヴァントが敗北しても残留を許されるようだが、やはり自らの陣営が敗北すれば帰還は不可能だろう」 その答えに赤衣のアーチャーは一瞬思考し、しかし現実的な答えを返した。 「悪いが、そう言われてハイそうですかと言えるほど素直じゃあないんでの。 勿論降りかかる火の粉は払わせてもらうし、脱出の手だてが勝利以外にないならば戦うがね」 「最終的に敵となるならば、ここでその芽を潰しておくのもいい手だろう?」 「本気でそう思っとるなら、待ち伏せしておいてこちらに話しかける理由はないのう。 その弓で車ごと狙撃すればいい。陣営を確認する手間をかけたにしろ、敵陣営とはっきりしたなら言葉を交わす必要はない。 ここまで悠長に話をしているのは、最初から交渉をするつもりだからではないかね?」 確認を兼ねた質問に、赤衣のアーチャーの否定は無い。 それを確認してから、ジョセフは続けた。 「そしてわしも、そちらと話をしたいと思っておる。どうやら君……あるいは君のマスターは、聖杯戦争に詳しいようじゃからな」 赤衣のアーチャーが、動きを止める。 ジョセフはその表情から思考を読み取ろうと試みたが、失敗した。 (カマかけてはみたが反応がわからんのォ~~……失敗じゃったか?) 『目の前のサーヴァントは、ムーンセルから与えられたもの以外の聖杯戦争に関する知識を持っている』。 無論、ジョセフも何の根拠もなくカマかけなどしたわけではない。 それなりの理由があっての行為だが、賭けには違いない。 外していればマヌケにしか見えないだろうし、そうでなくとも悪印象を与えかねない行為だ。 だが、それを押してでも、聖杯戦争に関する知識を持った主従と接触できる機会は貴重だとジョセフは判断した。 それ故に、ここまで話を早く進めたのだが―― 「……いいだろう」 その結果は、不意に沈黙を破った、――あるいは、沈黙している間マスターとの念話を行っていたのか――、赤衣のアーチャーからの返答となって表れた。 「ついてくるといい」 赤衣のアーチャーが弓を降ろし、ジョセフと天龍に背を向ける。 それを許可と取ったジョセフは、離れていく赤衣のアーチャーを追う。 「またオレの出番はなしかよ」 愚痴っぽく独り言してから、天龍もそれに倣った。 ◆ 赤衣のアーチャーのマスター――ロード・エルメロイII世は、自らのサーヴァントが連れてきた主従を観察した。 マスターは白人の男性。既に老人と言っていい域の年齢に入っていることは外見から窺えるが、体格のよさ、そして立ち振る舞いの隙のなさからして只人でないことは一目でわかる。 時代錯誤なアクション映画じみた服装も、この男が着ているならばむしろ当然。現代に生きるインディ・ジョーンズにすら見えてくる。 おそらくは魔術師ではない。が、油断ならない相手だ、とエルメロイII世は判断する。 サーヴァントである"白"陣営のアーチャーは、ある意味それとは真逆。 少女の姿にハイスクールの制服のような衣装は年相応のそれにしか見えないし、装備しているヘッドパーツや帯刀も、コスチューム・プレイの一種と言われたら納得してしまう可能性もある。 さらに目視で確認できる限りでは、ステータス・パラメータも低い。エルメロイII世のサーヴァントである赤衣のアーチャーもパラメータのスペックだけを見るならば低い方に位置するが、それよりも尚低い。 冬木における第四次聖杯戦争にも参加したことのあるエルメロイII世ではあるが、それでも彼女より低いパラメータのサーヴァントは見たことがない。 だがやはり、サーヴァントとはパラメータひとつで判断していい相手ではない。 「こうして話す機会をくれてありがたい。わしの名はジョセフ・ジョースター」 「私は……、ロード・エルメロイII世、と。今はそのように呼ばれている」 「II世? 貴族には見えんが……ああいや、失礼」 「構わない。過ぎた名だとは、自分でも思っている」 帽子を脱ぎ礼の姿勢を取るジョセフに、エルメロイII世もまた同じく礼を取る。 「ここまで足労させてすまないが、まずはこちらから質問させていただく。 何故我々が聖杯戦争に対する知識を持っている、と判断したのか。お聞かせ願いたい」 「フム」 機先を制する形で発された、エルメロイII世の質問。 それに、ジョセフは軽く考える姿勢を取り、答える。 「まず第一に、教会前で待ちの姿勢を見せていたこと。 わかっておると思うが、教会の付近は待ち伏せに適してはおらんな。もしも教会側に逃げられれば非戦闘エリアで取り逃がす可能性もあるし、戦闘の余波が教会の敷地にまで及べばルーラーに目をつけられかねん。 確実に仕留めたいならば――そうじゃな。ビルの上にでも陣取って、橋を渡ろうとするサーヴァントを狙い撃つくらいした方が効率はいいじゃろう」 「アーチャーを擁するならば効率が悪い、と」 「そう。そこでもしかするとわしらと同じ目的かもしれん、と考えた。 二つ目は、その赤衣のアーチャーの口ぶりじゃ。先程の会話で、そのアーチャーは『"月の"聖杯戦争』、そして『"この"聖杯大戦』と言った。 まるで"この""月の"聖杯戦争以外の聖杯戦争を知っているかのような口ぶりじゃった」 赤衣のアーチャーが肩を竦める。 「失言だったか」 「ともあれ……あと幾つかの態度も小さな根拠ではあったが、それで、『何らかの事情がある』『聖杯戦争について、この月で得られる以外の情報を持っている』 と推測した。わしたちにそれを聞かせてもらいたい。交換条件は……『君達の陣営に属するマスターとサーヴァントひと組の情報』でどうかね」 ジョセフ老人が切り出したその条件に、エルメロイII世は目を細める。 味方陣営の主従の情報。それは確かに魅力的な条件だ。 この聖杯大戦、陣営戦とは言っているが、味方陣営に関して与えられる情報は少なくなっている。 それがII世がこの聖杯大戦に不信を抱く理由のひとつでもあるのだが、今はそれは重要ではない。 昼の通達の後に連絡路も確認してはみたが、今のところ他マスターと接触できそうな情報は皆無だった。 同じ陣営と接触できる機会がある、となれば、興味はある。 「そちらにとっては敵陣営の情報を持っていると?」 「昼前に接触した相手じゃ。情報収集を優先していたらしく、一時的に交渉相手として認めてくれた。 同盟とまではいかんがな。……これ以上はそちらが取引に応じるならば話そう」 「ふむ」 虚偽ではあるまい、とII世は判断する。 ここまで来て虚偽を話して情報を引き出そうとするほど、目の前の老人は短絡的ではないだろう、と。 ならば、交渉に応じても問題は無い。 聖杯戦争から脱出することが目的ならば、こちらの目的にも協力してくれる可能性はある。 「了解した。こちらの知っていることを話そう。 ……まずお聞きしたいが、魔術について知っていることは?」 「ない」 先ずの質問に、ジョセフ老人は断言しての否定を返した。 これはII世にも予想できた答えではある。 「だろうな。私は魔術師だ。そして、聖杯戦争とは本来魔術師の参加する魔術儀式である、とまず承知いただきたい」 「……オイオイ。わしゃあ魔法使いの知り合いなんかおらんぞ。せいぜい占い師の知己が……いた、くらいじゃが」 「あなたが魔術師ではないだろう、というのはわかっている」 II世のこの言葉は嘘ではない。 目の前の老人には、魔術の気配を感じない。 場慣れした雰囲気から、何らかの戦闘者、あるいは異能者である可能性はあるが。間違いなく魔術師ではない。 「場合によっては"素養がある"というだけでもマスターとして選ばれることはあるが……。この聖杯大戦のような事例は、私も聞いたことがない。 その他にも、この聖杯大戦には私の知る聖杯戦争との差異が多々ある。この聖杯戦争は、魔術師から見れば明らかに異常な要素が多すぎる。私の目的はその調査となる」 「……なるほど。で、わしらが脱出する手立てはあるのか? まずはそこを聞きたい」 「本来聖杯戦争に、マスターの命を奪う必要はない。戦争である以上、殺し合いは常ではあったが」 そう。聖杯戦争にマスターの命は必要ない。 第四次聖杯戦争は、マスターの内4人が死亡する(そして、最終的には一人しか残らなかった)殺し合いではあったが、勝者以外は死ぬということはない。 もしもそうであれば、II世はこの場には生きていない。 「この聖杯大戦がマスターの死を確定させているのは、ムーンセルから出ることができるのは勝者のみだからだ。 故に、この聖杯戦争から脱出するならば、まずムーンセルから脱出する手段が必要となる」 「フム。その方法は?」 「……調査中だ」 「……Oh,my god.」 「元々ムーンセル自体、謎の多い構築物だ。このような聖杯戦争を開く理由自体、はっきりしていない」 「つまりは何にもわからんってコトか? ……よくそれでここまで来たもんじゃな」 悪態を吐くジョセフに、II世も同じく溜息を吐きそうになる。 元より、II世がここに来てしまったのも事故のようなものだ。事前の調査が足りないと責められれば、それを否定することはできない。 話題を転換する必要があった。 「……。ところで、黒陣営のマスターの情報だが」 「名前はセレスティア・ルーデンベルク……と名乗っとったが、ありゃ偽名じゃな。多分日本人じゃ。 ゴスじゃったか? コッテコテな服装したお嬢さんじゃよ。サーヴァントはアーチャー。 おそらく、聖杯を手に入れるのを目的にしている主従じゃろう」 「ふむ……」 顎に手を当てる姿勢を取りながら、II世は情報を吟味する。 もしも現実の冬木と同じく、黒の陣営の聖杯も"この世全ての悪"に汚染されていたならば、黒の陣営に聖杯大戦を勝利させるわけにはいかない。 ゆえにII世は、『真面目に聖杯戦争を戦うつもりの』『同じ陣営の』主従と組むことはできない、という普通のマスターならば有り得ない十字架を抱えている。 ジョセフ老人が情報を持っているマスターとも、本来の目的まで交えての協力関係は望めない。 それを考えると、目の前の老人と陣営を越えた協力関係を築くことは有益だとII世は判断した。 「脱出の手がかりはなくとも、調査の手がかりくらいはあるんじゃろう? わしらはそれに同道か、協力させてほしい。 その途中で脱出の手段がわかれば万々歳じゃからな」 「……こちらからも頼みたい。こちらにも事情がある、おいそれと協力を頼めることではない。 敵対陣営であっても、こちらの事情をある程度汲んでくれる同盟相手は歓迎しよう」 「ありがたい」 無論、陣営を越えた同盟関係にはリスクもある。 裏切り者と見なされれば、敵陣営のみならず味方陣営からも追われる身となるだろう。 だがやはり、ここで機会を逃すというのは、II世も、そしてジョセフにも考えられないことではあったのだった。 「このまま教会へ?」 「そうしよう。元々私達もその予定だった。そちらもそうだろう?」 ◆ 「こんにちは。監督役の"間桐サクラ"です」 「同じく。監督役の……"エンリコ・プッチ"、だ」 冬木、聖堂教会。ステンドグラスから差し込む光が、ある程度の広さを持つ教会堂と、その中に並べられた席を照らす。 祭壇前に運び込まれた椅子に座った"二人の監督役"は、昼間からの訪問者――エルメロイII世とジョセフ――へと向けて、そう挨拶した。 片方は、黒衣の少女。むらさきの髪を長く伸ばした、整った美貌。 もう片方は、黒人の神父。剃り込みの入った白髪に、落ち着いた風貌。 (教会に神父……ってのはわかるが、隣の女子はなんじゃ? ズイブン刺激的なカッコしとるがのォ~~) いぶかしむジョセフの横。エルメロイII世は、顔を顰め動きを止めている。口を開く様子はない。 黙っていても仕方ない、と溜息し、ジョセフは先に質問することにした。 「わしはジョセフ・ジョースター。今回は聞きたいコトがあってここまで来た。 この聖杯戦争から、戦わずに抜ける方法は?」 「ありません。貴方のサーヴァントも、そう答えたはずですよね? このムーンセルから抜け出す方法は、聖杯戦争に勝利することだけ」 にべもない否定。 もっとも、ジョセフにも予想できたコトではある。 ここで"ハイ、抜けられます"などと言われたら、そちらの方が拍子抜けだし、疑わしい話だ。 「ムーンセルの管理とは、そんなに厳しいモンなのか? 正直適当に呼び付けられたとしか思えない身としては、疑わしい話なんじゃがね」 「ムーンセルは真性管理の怪物。その演算能から逃れ得るモノは、同じくムーンセル由来のモノのみです。 月の石に呼び寄せられてしまったことには、同情しますけど……」 「いや、そもそもわしは、アレが月の石とは……」 そこまで言って、ジョセフは言葉を止めた。 そもそもあの月の石は、どのように入手したものだったか。 苦難の連続であったエジプトへの旅、その最後、DIOの館から押収した……そう。 あのDIOが、月の石を持っていた。 その事実に、今更ながら、ジョセフは符合を感じずにはいられない。 (偶然……いや、DIOが"たまたま"月の石を持っていて、それが"たまたま"聖杯戦争への切符だった? そんな都合の悪い偶然が、たまたまあるものか?) 無論、すでにDIOは消滅した。 そこに何らかの企みがあったとして、ジョセフにそれを知ることはできないし、企みを持つ本人が消滅したのだから意味は無いかもしれない。 しかしそれでも、何らかの不気味さを感じるのは、事実だった。 「……ジョセフさん?」 「あ、ああ失敬。わしの質問は終わり……いや、もうひとつあった」 いきなり言葉を止めたのを首を傾げるサクラに、ジョセフが動揺を取り繕うように次の質問へと移る。 「マスターがいなくなったサーヴァントのコトじゃ。 マスターが先に殺されたり、あるいは――それが可能なら、じゃが――聖杯戦争から離脱したりしたとして……マスターを失ったサーヴァントはどうなる? あるいは、サーヴァントのマスター権の受け渡しなどはできるのか?」 「マスターがいなくなり魔力の供給を受けられなくなったサーヴァントは、魔力を使い果たし次第消滅します。 令呪を持ったマスターならば、マスターなきサーヴァントと契約するコトも可能でしょう。 ただし、聖杯からマスターへと行われるサーヴァントへの魔力供給の補助は一騎まで。魔力の素養がないマスターがサーヴァントを二騎従えるのは危険です。 そして、マスターが他のマスターにサーヴァントの所持権を譲り渡すコトですが、令呪を持ったマスター間ならばこれも可能です」 「わかった。ありがとう」 一見不可解な質問に、首を傾げる素振りでサクラは返答する。 それに礼を言って、ジョセフは隣に譲るように一歩下がった。 「では、私から質問させてもらってもいいだろうか」 入れ替わるように、エルメロイII世が前に出る。 「どうぞ。ですが、あなたが聖杯戦争について質問することは特にないのでは?」 「ああ。私が質問したいことは、聖杯戦争そのものについてではない。 ……この教会の管理者は、言峰綺礼、あるいは言峰璃正ではないのか?」 教会に入った途端にエルメロイII世が顔を顰めた理由。 それは、予想とは違う人物が教会の監督役を務めていたからに他ならない。 ここに来るまでII世は、ムーンセルはおそらく、冬木の聖杯戦争を極力再現して聖杯大戦を行おうとしているのだろう、という仮説を立てていたのだ。 となれば当然、教会で待っているのは第五次冬木聖杯戦争の監督役、言峰綺礼……そうでなくとも、その親である言峰璃正と予想していた。 しかし現実には、教会の監督役は見知らぬ神父と、そして間桐桜――第五次聖杯戦争当時の冬木にいた関係者ではあるが、教会とは何の関係もない――だった。 違和感がある。言葉には上手く出せないが、頭の隅に引っかかるタイプのそれだ。 そしてこういった違和感は往々にして、後々災難として降りかかってくる。 「そうは言われても、私達が監督役なのは事実でね」 椅子に座ったまま、プッチ神父が応じる。 その表情は淡々として、内になにを秘めているかどうか推し量れない。 「私は記録を見ただけだが……元々のこの教会の管理者であったというコトミネキレイは、不正を行っていたそうだ。 その前代も、聖杯戦争の裏で特定の陣営と協力関係にあったと記録にある。 たとえNPCとはいえ、そういった人物を管理者側に置きたくないという推測はできないかな?」 「……ふ、む」 確かに、言峰綺礼は第五次聖杯戦争、その黒幕と言ってもいい人物の一人ではあった。 第四次の監督役であった言峰璃正にしても、遠坂のマスターと裏で支援関係にあったコトは記録からはっきりしている。 ムーンセルの重んじる、公平さ、とは確かに離れた人物ではあろう。 (であるならば、監督役から外されるのは道理には適っているのか……?) 違和感は完全には拭えないが、一応の答えが示され、そしてそれに対する反論は今のII世にはできない。 これ以上の追及は無理か、とエルメロイII世は判断した。 「……了解した。今回はこれだけにしておく。すまない、時間を取らせた。行くとしよう、ジョースター氏」 「ああ」 質問を済ませたならば、ここに用は無い。 ジョセフもエルメロイII世も、教会に長く留まる気分にはなれなかった。 陽が当たっている癖に、ここはやけに昏い。 「……ジョセフ・ジョースターさん」 監督役の二人に背を向け、教会堂の扉に手をかけたジョセフに、黒人の神父――プッチ神父が声をかける。 「あなたは"引力"を信じるか?」 「……は?」 唐突な質問。 呆気に取られたジョセフに、プッチは首を振った。 「いや……無用な質問だった。忘れてくれていい」 ◆ 【……おい、ジイさん】 【なんじゃ】 教会堂を離れ、住宅街の坂道をエルメロイII世に少し遅れて下るジョセフ。 そこに、霊体化して追走する艦のアーチャー、天龍が念話をかけた。 【オレにあんまり気を遣わなくていい。オレはジイさんのサーヴァントで、艦だ。道具なんだからな】 教会にてジョセフが行った、第二の質問。それは、ジョセフが天龍を慮ってのコトに他ならないというのは、当人にもわかった。 脱出を目的とするジョセフがムーンセルからの脱出に成功すれば、サーヴァントである天龍は取り残される。 もしその時に天龍が脱落するしかないならば、天龍の願い――戦うこと――は果たせなくなっていた。 無論、ジョセフの質問によって、そのようなコトが起きないのは確認できたわけだが―― マスターであるジョセフを守るのは己の役目。それをマスターに気を遣われるのは、正直天龍にすればむず痒く、そして不甲斐無い気分だった。 【そうかい。じゃが、なあに。できる範囲でやれるコトをやっとるだけじゃよ。このままだと、最後には覚悟を決めて戦わねばならんようじゃしな】 だというのにはぐらかされる。 実際の年齢で言えばどっこい、あるいは天龍の方が年上だろうに、まるで子供のように扱われている気がしてならない。 【……そうかよ。じゃあ、その時こそ、この天龍サマの出番だな】 ならば。天龍の役目――アーチャーのサーヴァントとしての役割を、十全と果たしてやるしかあるまい。 元より軍艦として、戦うコトこそが彼女の存在意義なのだから。 マスターの配慮には、サーヴァントとしての奮戦で返そう。 「すまない、ミスター・ジョースター」 艦のアーチャーの決意の外、エルメロイII世が、ジョセフへと声をかける。 「この後は一旦別行動を取りたいが、どうだろうか。現状で敵陣営同士で行動しているのを見られても、あまりいいことにはならないと思う」 「フム。確かにそうじゃな……」 敵陣営の者と一緒に行動しているのが知られれば、不審、疑惑の的となりかねない。 連絡先だけを交換し、適宜連絡を取り合う形にした方が、揉め事は少なく済むだろう、というのはジョセフとII世の共通の結論となった。 「では、私はホテルへと向かいセレスティア・ルーデンベルク嬢に接触する。そちらは……」 「ちと事情があってな、実際に目で確かめたいコトがあるのでそちらに向かう。ホテルには後で戻る予定じゃから、直接話したいコトがあればその時にしよう」 「了解した。車には乗せてもらわなくて結構、徒歩で向かおう」 そう言って、II世とその後に続く赤衣のアーチャーは北――ホテルの方向へと歩き去る。 それを見届けてから、ジョセフは海へと向けてハンドルを切った。 [C-10/教会近くの住宅街/一日目 午後] 【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険(第3部)】 [状態]健康 [陣営]白(月) [令呪]残り三画(右手の甲に存在。二つの茨が絡み付く星の形状) [装備]義手 [道具]携帯端末、カメラ、最低限の旅支度(義手の整備用具、キャッシュカードなど他)、トランプ×2、レンタカー [所持金]大富豪級 [思考・状況] 基本行動方針:脱出し、娘の待つ家に帰る。 1.海や河川の下見をしておく。 2.脱出のための情報や仲間を集める。陣営に拘るつもりはない。 3.資材の確保もどこかで行いたい。 4.機会があれば改めてセレスとの情報交換も考える。 5.聖杯についての情報を集めたい。 [備考] ※B-9近くのどこかに空条邸@ジョジョの奇妙な冒険 が再現されています。そこに休暇で来ている設定ですが戻るつもりはありません。 具体的な場所は後続の方にお任せします。またSPW財団は再現されていませんでした。 ※セレス、アーチャー(セッツァー)を確認しました。パラメータと陣営を把握、セレスは偽名で日本人と看破。 ※アーチャー(無銘)のパラメータ、陣営を把握しました。 ※B-9のホテルにチェックインして部屋をとりました。 ※エルメロイII世と連絡先を交換しました。 【アーチャー(天龍)@艦隊これくしょん】 [状態]健康 [陣営]白(月) [装備]刀 [道具]特に無し [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:マスターの指揮の下、存分に闘う。 1.とりあえずジョセフに従う。 [備考] ※帯刀していますがNPCは特にそのことに触れていません。 怖がって聞けないのか、気付いていないのか、仕様なのかは後続の方にお任せします。 [C-10/教会近くの住宅街/一日目 午後] 【ロード・エルメロイII世@Fateシリーズ】 [状態]健康 [陣営]黒 [令呪]残り三画 [装備]魔術礼装の葉巻をいくつか所持 [道具] [所持金]不明 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の調査及び、ムーンセルからの脱出。 1.ホテルへ向かい、セレスティア・ルーデンベルクに接触する。 2.聖杯に関連する調査を行う。できれば仲間を増やしたいが、黒の陣営に事情を明かしていいかは思考中。 [備考] ※ジョセフと連絡先を交換しました。 ※アーチャー(天龍)のパラメータ、陣営を把握しました。 ※住居や冬木市における役割については後続にお任せします。 【アーチャー(無銘)@Fate/Extra】 [状態] [陣営]黒 [装備]『無限の剣製』 [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:現状はマスターに従う。 1.マスターに従い行動する。 2.黒と白のルーラーに対しては……? [備考] 投下順で読む Next.[[]]
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タグ 2007年 XUSE 作品名せ 聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2- SPECIAL PACKAGE 曲名 歌手名 作詞 作曲 ジャンル カラオケ OP 聖なるかな 川村ゆみ 吉田ユースケ matur suksema おっとり ED オリハルコンの名の下に 川村ゆみ 吉田ユースケ matur suksema 感動 挿入歌 永遠のアセリア~聖なるアレンジ~ 川村ゆみ 吉田ユースケ matur suksema かっこいい
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聖なるかな/作品 せいなるかな【登録タグ アダルトゲーム作品 品せ】 曲一覧 永遠のアセリア~聖なるアレンジ~ 聖なるかな 映像に聖なるかな/作品を使った動画のある曲の一覧 まだ曲が登録されていません コメント 名前 コメント
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本ページではWindows用ソフト『聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2-』とその移植版『聖なるかな -オリハルコンの名の下に-』を紹介しています。 聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2- 聖なるかな -オリハルコンの名の下に- 概要 特徴 評価点 問題点 総評 移植版 関連作 余談 聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2- 聖なるかな -オリハルコンの名の下に- 【せいなるかな ざすぴりっとおぶえたにてぃそーどつー】 【せいなるかな おりはるこんのなのもとに】 ジャンル 転生神話SRPG 対応機種 Windows 2000/XPプレイステーション・ポータブル 開発元(共通)発売元【Win】 ザウス【本醸造】 発売元【PSP】 サイバーフロント 発売日 【Win】2007年8月3日【PSP】2012年4月19日 定価 【Win】10,260円【PSP】6,264円(税込) レーティング アダルトゲーム 【PSP】CERO:C(15歳以上対象) 配信 2010年8月20日/4,094円 判定 なし ポイント システムや世界観は大幅に強化前作ファンは反感 ザウス作品リンク 概要 前作の『永遠のアセリア』によって広大かつ深みのあるシナリオとシステムで、ザウスの名を一躍轟かせた『永遠神剣シリーズ』の続編。 しかし、続編とはいうものの、あくまで前作の主人公の血縁者が少し出てくる程度で、同じ世界観ではあるが舞台等は一新されている。 また、シビアだった前作とは変わり全体的にマイルドでわかりやすい設計となっている。 特徴 部隊パート 複数の部隊でマップを攻略する。レベルアップやオブジェの管理もこのパートで行う。 戦闘パート 前作とほぼ同様。3人一組の部隊を組む。攻撃を担う「アタッカー」、防御を担当する「ディフェンダー」、補助を行う「サポーター」の各ロールを担う。これらは戦闘前に変更可能。レベルが低い間は基本的におすすめのロールがあるのでそれに準ずるとよい。また1人で全ロールを受け持つ「オールラウンダー」というものもある。ある程度能力が秀でているキャラでないと少々辛い。ダメージ属性にはマテリアルとフォースが存在する。マテリアルはいわゆる物理で、フォースは魔力(実際は理力)となる。リメイニングゾーンという新要素も登場。特定のアクションにおいて発動する、自動スキル装置のようなもの。うまく使えば有利に攻防が可能になる。 評価点 深いシステム 難しいわけではないが、決して簡単ではないバランスにより、歯ごたえのあるバトルが楽しめる。 また、前作では「クリアーさせる気がなかったほどの難易度」は鳴りを潜め、1周目でもクリアーは簡単になった。2周目以降はとあるキャラが非常に強化されているため、また違った育成を出来るのが嬉しい。 深い設定 世界観がより大きくなった。だからといって核心にまで触れられることはなく、ある程度ぼかしている程度なので、更に肥大化した設定を考察する楽しみがある。本シリーズの考察サイトは非常に多岐に存在し、あらゆるプレイヤーがあれやこれやと考察を深めた。所謂「最強」を決める格付けの話では、本シリーズは必ずといっていいほど登場する。この吹っ切れたまでの規模や設定は、他の全ジャンルの作品の追随を許さないほど。 数々のドラマ 世界の数だけドラマがある、といったように様々な人間ドラマが存在する。王道であったり不可思議であったりと、はたまたそのどちらでもないものであったり。特に、過去と現実の狭間で繰り広げられる主人公、望と絶の敵対は長大な物語全体に浸透し、その決着までのもったいぶりもなかなかである。 CGモード おまけ要素だが、CGモードでは、登場キャラたちが表示されたCGについて掛け合い形式の論評している。これが聞いていて結構楽しい。 問題点 とにかく長い シナリオも長いが、とにかく部隊及び戦闘パートが長い。広大すぎる3Dマップを幾度と無く進行しているとあっという間に日が暮れる。 個別への分岐が終盤になってから。ADVのように長すぎる共通パートをスキップすることが出来ないので完全クリアには根気が必要となる。 使われない設定 スキルの解説でコラムという形で設定が紹介されているのだが、ゲームで生かされていないので全くの無駄になっている。キャラによっては割を食ってしまっている事も。生かそうとしたのだけれど、製作期間やらの事情で生かされずに終わったとも邪推できるが。 とにかく主人公至上主義 主人公である望は、本人自身は特に重い設定などはない。しかし過去生と呼ばれる望の「前世」が望のバックグラウンド全てを孕んでいると言っても過言ではない。つまり、転生したとはいえ、望の過去生が非常に強力であるため、現在の望にもその要素が次々に引っかかる。簡単にいえば「前世がすごかったので現世でもすごい」。ヒロインも疑問を持たずに惚れる。また、前作の「自我を失う代わりに神剣の力を発揮させる」設定が使い回されているが、設定のみで別段何の問題もない。あくまで演出上で言われているだけである。前作にはちゃんと「マインド」(*1)という裏付けシステムが存在したのに、本作では廃止になった。このため、あらゆるご都合展開を望むまま得られている望は「んへw」(*2)と呼ばれるのが定着した。このことから、マインドを取るか理性を取るかのシビアなバランスを好んでいた前作ファンには受けが悪い。 唐突すぎる展開とシナリオ 今作の舞台の管理人が世界各地で起こった騒乱で世界が大変なことになるので、唐突に現われてリセットするといった打ち切り展開。この管理人もはっきり言うと被害者なのだが…完全に悪役扱いされて報われない。しかも別のルートだと、この管理人を倒したあと、モブだと思われていたキャラが唐突に登場し、管理人を食う。比喩ではない。そして「エネルギーを全部いただく」と言ってバトル。これがラスボスである。 バランス崩壊キャラ 前述にあった前作の血縁者「ユーフォリア」である。このキャラがいれば大抵収束可能。しかし目立った出番はなく、「たまたまこの世界に落ちてきたので主人公についていく」というだけのキャラ。そのため「客寄せパンダ」呼ばわりされる始末。これもまた前作ファンの反感を買った。 + ネタバレ なお、ルートどころか、Hシーンすらないのが残念。ただし前作ファンからすれば「何処の馬の骨とも知らない奴とくっつかなくてよかった」とも言えるのが複雑でもある。 望の神剣である「ナルカナ」も相当…どころか反則級に強い。ユーフォリアとこのナルカナがいれば大体なんとかなってしまう。ただ、エロゲーなのでシナリオを進めたい人たちへの救済策とも言えなくもない。 緊張感皆無の学園 世界を往々に旅する一行だが、旅するのは主人公達だけではない。主人公が通っている「学園」(在校生含む)そのものもである。学園がどうやって世界を旅するんだ? という問題はかなり大雑把に解決しているので触れないでおくにしても、学園漂流物ではありがちな「パニック」や「騒動」等は開始時を除いて一切起こらない。このため「修学旅行」と揶揄されるほど。元の世界に帰れる機会が早めにあったのにもかかわらず、主人公達が先延ばしにしてしまい、その決定に特に異を唱えたりもしない。神剣は人の魂を糧にするという設定があることから、「神剣で生徒達を脅しているのか?」とユーザーから推測もされている。 前作のプレイヤーが違和感を覚える設定。 + 折りたたみ 第一位の永遠神剣についての設定変更。 前作では全ての大元になったのは第一位の永遠神剣で、これは現存せず、実質的に第二位が最上位の永遠神剣だった。 続編(本作)を作るにあたって世界観を広げるために設定が変更され、第一位よりも上の位である「天位」「地位」「鞘」などの永遠神剣が設けられ設定のスライドが行われた。そのため第一位の永遠神剣は普通に何本か存在していることになり、本作には第一位の永遠神剣「叢雲」「聖威」などが登場している。また旧設定で第二位だったエターナルのリーダーの永遠神剣も第一位に設定変更された。 前作には異世界に移動すると元の世界から痕跡が消滅して他者の記憶からも消えてしまうという設定があった。 本作で追加された時間樹やナルの設定によって、下位宇宙「分枝世界」をいくつも内包する中位宇宙「時間樹」があり、さらに上位宇宙はいくつも時間樹を内包しており、上位宇宙はマナ宇宙とそれに相反するナル宇宙の2つがある、という世界構造になった。 これに関連して、痕跡や記憶の消滅は同じ時間樹内の別の分枝世界なら移動しても起こらず、別の時間樹に移動した時のみ起こると設定し直された。 別の時間樹に移動すると、元の時間樹のプレーンベース(アカシックレコード的なもの。複数の時間樹に記録を持つことはできない。)から記録が消去されて最初から居なかったことに世界が修正されて移動先の時間樹のプレーンベースに真っ更な記録が新規作成、別の時間樹の世界から元の時間樹の世界に戻ってきた場合も消去&新規作成が行なわれるだけという原理になっている。(*3) また、前作で「時の迷宮」の入り口の前に居た時点ではまだ他人の記憶から消えておらず入った時点で消えた設定は、「時の迷宮」がある世界は別の時間樹にある分枝世界なので入り口の前に居た時点で既に消えていた設定に変更された。 神名や守護神獣などの設定 本作の舞台となる時間樹のみに永遠神剣「星天」の力で課せられたシステムという設定。 前作の世界(ファンタズマゴリア)は別の時間樹にある分枝世界なのでこのようなシステムはない。 前作主人公たちが暮らしていた元の世界(ハイペリア)も本作の時間樹内にある設定になったため、前作後半のイベントで敵と共にハイペリアに行った際にも実は神名のシステムによる制限が適用されていたことになった。なお守護神獣は、敵はハイペリアでは守護神獣を出せたが必要ないので使わなかった、主人公たちは弱いので神名は適用されていたが守護神獣はなかった設定。 上記のフォローは本作以降に出た設定資料集によるものが多く、本作発売当時は矛盾点や疑問点が多々あると受け取られた。 総評 パートの端々が長い、シナリオが少々ご都合すぎる、といった粗があるが、ボリュームに嫌悪感がなく『永遠のアセリア』に興味がある、という入門者にはよい。 そちらの未経験者が本作をプレイしても問題ないのは、この点においてありがたい。 とはいえゲーム媒体の問題が無ければ続編に類する作品でもあるため 入門者にとっても基本的にこちらの作品よりはシナリオ・システムともに良い『永遠のアセリア』のほうがまず薦められるのが悲しいところか 移植版 シナリオが一部改訂された。 新規OPムービー収録。 PSP『永遠のアセリア -この大地の果てで-』と連動すると特別なミッションが受けられる。DL版は最初から実装。 関連作 ※全て18禁 スペシャルファンディスク(2008年7月25日) 本編では出番が多くなかった、本編への補完的なキャラのスピンオフストーリー、並びにクイズゲームを収録。 スピンオフストーリー自体は悪くないが3つあるストーリーのうち、2つのストーリーの前提が似通っているのが引っかかる。 聖なるかな外伝・精霊天翔 ~壊れゆく世界の少女たち~(2010年1月29日) モブ、というより不足しがちなロールを補うための存在、クリスト(幼女キャラ)に焦点を当てた外伝。シナリオ全体が暗く陰鬱だが、バランス等を考えても好評。原案者は関与していない。 聖なるかな外伝・精霊天翔 ~Crystal Friends~(2010年10月29日) 上記のファンディスク。 スペシャルエディション(2012年9月28日) PSP版のWin逆移植版。ドラマCDのみ存在したシナリオのADV化。 あるアイテムを入手すると、上記外伝のHシーンが閲覧出来るように。 戦闘を実施せずとも、無条件で勝利するパッチが配布されている。これで一応、長い部分については改善されたと言えるが…なお、DL版のみ対応。 余談 本作を最後に永遠神剣シリーズの正統な続編は途絶えていたが…。 その後、スタッフが軒並みザウスから離散し、その後徒党を組んで制作したのが 『輝光翼戦記 天空のユミナ』、いわゆる『輝光翼戦記シリーズ』である。 2014年にはザウスで再結集して『新世黙示録 ―Death March―』をリリースしている。が、ゲームの出来は…。 その後ザウスと『永遠神剣シリーズ』の生みの親である高瀬奈緒文氏の間で権利譲渡契約が結ばれており、2018年6月27日より同シリーズの権利は高瀬氏のものとなっている。今後に期待したい。 ちなみに、高瀬氏はこれ以前よりユーフォリアを主人公に据えた新たな物語を同人作品として展開し活動していた。