約 1,703 件
https://w.atwiki.jp/tanosiiorika/pages/3266.html
終端 シフトとはキーワード効果である。以下の様なテキストになる。 終端(このゲーム中、自分はもう○○をできない。) 基本的に相当ヤバいサイズのフィニッシャーに付与。 潰されたら終了するリスクを背負いながら、なお強力なカードを作ろうとした時に発案しました。 評価 名前 コメント -
https://w.atwiki.jp/cro-chro/pages/1147.html
レゼリア。 その名前を聞けば古の魔術王国ザクソン王国の後継者であると多くの者が知っている。 魔導王ミラ1世の建国した後期魔術の王国である。 しかし、どの王国にも斜陽の時期が訪れる。 レゼリア王国の最後は、惨憺たるものだった。 まさに終端の名に相応しいほどに。 4代に渡り、レゼリア王国は国王に恵まれなかった。 どの国王も国政を省みず、自らの欲望の赴くままに国を支配した。 ■『肥満王』ラフカンディ3世■ その名の通り、大食漢だった。 しかも、グルメで珍しい食材に目がなかった。 エルタリア産のフルーツ、ノーデ産の上質牛、黄金海岸産の魚介類、ロードリア産のキャビアやウィスキーなど金に射止めは付けずに食べ続けた。 最終的には、高コレステロールによる脳梗塞で、この世を去った。 ■『好色王』ゼリウス2世■ ラフカンディ3世の後を継いだ息子。 異常なほどの好色家で、5度の離婚と6度の結婚、愛人は3桁に届いていたといわれている。 この頃の王宮は、まるでナスルの王族のハーレムのようだったと伝えられる。 それだけの女性の維持に国の財を多量に消費した。 食中毒で没しているが、愛人たちの恨みを買った毒殺であると噂された。 ■『戦争王』ミラ10世■ ゼリウス2世の甥に当たる。 若い頃より軍務に就いており、国王即位と同時に軍備拡大路線に邁進する。 しかも、アドリア王国に宣戦布告をする。 親征するも、当時のオレオン公、カーペルタリア公の反撃を受けてレゼリア軍は瓦解する(第1次オレオン河畔の戦い)。 その後も、小競り合いを続け、再び大規模な軍を持ってアドリア王国に攻め入る。 しかし、今度もアドリア王国に敗北し、オレオン川を撤退する際に落馬して溺れて死んだ。 この戦争の賠償金として、多くの金がアドリア王国に支払われた。 ■『乞食王』ラフカンディ4世■ ミラ10世の息子。 3代続いた国王の暴挙によってレゼリア王国の財政は、大きく圧迫されていた。 しかし、ラフカンディ4世は、贅沢三昧をして、国民には重税を課した。 さすがのレゼリア元老院も、1254年に満場一致で国王の追放を決定する。 自らが国民に強いてきた乞食のような生活を送るハメになるが、その生活に耐え切れず翌年、冬の冷たい川に身を投げて自殺した。 こうして、レゼリアの終端は完了し、元老院の主導する共和国としてのレゼリアが、新たな出発をきった。
https://w.atwiki.jp/akios/pages/36.html
3. 字句構造 3.1. Unicode 3.2. 字句変換 3.3. Unicodeエスケープ 3.4. 行終端子 Javaコンパイラーは次にUnicode入力文字の列を行識別子(line terminator)を認識することで行に変換します。 LineTerminator the ASCII LF character, also known as "newline" the ASCII CR character, also known as "return" the ASCII CR character followed by the ASCII LF character InputCharacter UnicodeInputCharacter but not CR or LF 行はASCII文字CR、LFまたはCR LFで終端されます。CRの直後にLFが続く2文字は2つではなく1つの行終端子としてカウントします。 行終端子は//形式のコメントの終端を表します。 行終端子で定義される行はJavaコンパイラーの中で行番号を生成するのに利用されます。 トークン化処理を行う第3ステップの終端記号となる行終端子と入力文字の列が結果となります。 3.5. 入力要素とトークン 3.6. 空白 3.7. コメント 3.8. 識別子 3.9. キーワード 3.10. リテラル 3.11. 分離子 3.12. 演算子
https://w.atwiki.jp/vipdetyuuni/pages/3472.html
「豪傑英傑奇人変人、世に幾百過ぎればみな塵芥。」 「ごみ溜めへようこそ――――――――愛すべき、遠き隣人共よ。」 【】 体内に無限の格納庫を持っており、触れた物体を(そのモノの抵抗がなければ)吸収することができる機械人外。 全身が金属でできており、温度変化・湿度に弱い。もちろん属性への耐性は最悪。 しかし物理攻撃に対しては相当な耐久力を発揮する。ただし衝撃などは普通に食らう。 吸収した物体を体内で融合させ、ある程度手を加えて魔改造→胸のハッチから取り出すことができる。 例えばバッテリーと冷蔵庫と槍を吸収して融合させれば、冷気を放つ槍を生み出すことができる。 集中していれば元素を取り込んで火薬などの精製も可能とするが、威力は厨二補正がかかる。 身体能力→動きが遅めだが、人並みの生活は可能 初期装備→お好きな電化製品10種、人間の皮 Q A 格納庫とは亜空間に収納される感じでしょうか? つまりどれだけ収納しても本体の重量は変わらない? →そんな感じです。某青狸の四次元ポケットの自由自在に取り出せる版みたいな 無限の~~とありますが、胸のハッチから取り出せない大きさのものは収納不可という事でしょうか? →空間捻じ曲げてでも出てきます。某青狸の(ry 人間の皮とは人工皮膚ですか? それとも生モノでしょうか? →ナマモノでもいいですし、人口でも構いません ↑を被った場合、どの程度のレベルまで人間に擬態できますか? →ターミネーターのシュワちゃんレベルです キャラを廃棄物処理施設に住まわせようと考えているのですが大丈夫でしょうか? →おっけーです。ならば初期装備のところは無しにして、廃棄物処理施設から自由に材料とってもおっけーとします 何時から居るのか分からない。 誰が拵えたのか分からない。 何処が目的か分からない。 異形にして人形、有機の中の無機。 訪れた者の呟きを聞き、ごみ山からがらくたを引き摺り出す。 ひとは、彼奴を終端装置と呼んだとか。
https://w.atwiki.jp/lovelive_bushimo/pages/5.html
iOS版手機 平板PC Android版 留言板 iOS版 手機和平板電腦的屏幕大小有很大的不同,在兩者上玩的時候當成在玩不同的遊戲吧。 喜歡在哪邊玩都只是喜好問題,但是原因不明,在官方網站上寫出不推薦使用iPad系玩。(在利用條約上) +日文原文 (理由は不明ですが公式にはiPad系は推奨されていません(利用規約より)。) 手機 iPhone 3GS/iPhone 4/touch 3rd/touch 4th iOS5.1以上能運行遊戲,雖然能運行,但無法像正常音樂節奏遊戲那樣遊玩。 經常收到音符飛過來,按下去但是沒反應的報告。 iPhone 3GS/touch 3rd應該也不行,不過越獄后的iPhone 4/touch 4th有方法 脱獄済みiPhone4/touch 4thの改善 可以改善這個情況(請自行承担责任)。 iPhone 4S/touch 5th 恐怕是標準的遊戲配置。因為CPU是雙核所以大體可以舒適地遊玩。 是這些機種的話大概不需要買新的手機吧。 iPhone 5/5c 擁有A6芯片+1GB内存比4S的性能更加好,應該能更舒服地遊玩吧。 因為畫面稍微往左右方向擴展變大了,所以使用兩只手操作按鍵的話應該比4S稍微困難一點。 (這句不知道有沒翻錯) iPhone 5s 規格的5/5c是完全向上兼容。“因為自己的機器很差,所以才會輸。真苦惱呢”這樣的話還是不要說比較好。 +日文原文 (スペックは5/5cの完全上位互換。処理落ちやカクつきに悩まされることはまずありえないと言って良いでしょう。) 平板PC iPad 1 是不是感覺到Fps(幀數)下降了? 因為內置內存很小,關閉所有其他的程序才開遊戲是必須的步驟。 不能說很舒適地玩,姑且還是能玩的。 從更新遊戲后,平板PC會變得流暢起來,玩起來也不怎麼受影響。 需要使用鍵盤輸入文字的情況(郵件,玩家的自我介紹等),有時候會讓遊戲變得非常慢。 iPad 2/iPad mini(第1代) 規格與4S/touch 5th一樣,遊玩應該不會出現問題。 當初因為Retina顯示器的圖像處理很粗略所以不是很推薦。 不過在2013年7月8日更新了專用的分辨率之後畫面變漂亮起來了。 配合MINI的方便携带特性和恰到好處的屏幕大小說不定變成個不錯的顯示器了? iPad(第3代)/iPad(第4代)/iPad Air/iPad mini(第2代) 不可能玩得不爽。 Android版 選自官方網站 【可以下載的型號】 Android4.0之後生產(※一部份型號除外) ※推薦型號以外也能下载,但可能會出現動作不穩定的情況。 基本上Android的CPU是爲了製作成可變時鐘,比如推薦型號和平板電腦甚至是iphone版相比,要讓它們有同等的運行環境是非常困難的。 (推薦型號說到低只不過是根據廠商提供的CPU・內存性能數值去判斷) 由於通過Root化可以讓CPU的可變控制・超频使用,所以就算是非推薦機種也能做出接近iPhone版的運行環境。 但是如果做到這個程度,做了什麽問題請自己負責。 並且,Android會根據機種的不同,使用不同的液晶触摸屏。請周密地進行觸摸校正調整。 +日文原文 基本的にAndroidのCPUは可変クロックとなっているため、たとえ推奨機種やタブレットPCでもiphone版と同等のプレイ環境を常時作るのは非常に難しい。 (推奨端末はあくまで額面上のCPU・メモリ性能が水準を満たしているものを指している) root化する事でCPUの可変制御・オーバークロックが可能となり非推奨機種でもiphone版に近い動作環境を構築できるが、これらについては自己責任で。 また、Androidは機種によって液晶のタッチキャブリレートが異なるので、タッチ補正調節は念入りに。 ver1.5でもタッチ音遅れは解消できていない模様。気になる人はSEをOFFにしてBPMで譜面を叩く癖をつけよう。 Android2.3之後生產,下面有寫的型號 2013年7月6日05 00追加更新。 可以下載和運行遊戲,但是正常地遊玩就是另一回事了。(反應不靈敏,死機,強制關閉等等許多問題)。 GALAXY S II(SC-02C) GALAXY Note(SC-02E) AQUOS PHONE(SH-06D) LUMIX Phone(P-02D) MEDIAS ES(N-05D) GALAXY S II WIMAX(ISW11SC) Optimus X(IS11LG) Walkman Z(NW-Z1000シリーズ) Walkman F(NW-F800シリーズ) 雖然非正式但有人報告錯誤 【推薦型號】 Xperia Z(SO-02E) ARROWS X(F-02E) Xperia A(SO-04E) GALAXY NEXUS(SC-04D) GALAXY Tab 7.0 Plus(SC-02D) Xperia acro HD(SO-03D) Xperia GX(SO-04D) Xperia SX(SO-05D) GALAXY Note II(SC-02E) XPERIA AX(SO-01E) AQUOS PHONE EX(SH-04E) Xperia acro HD(IS12S) HTC J butterfly(CDMA HTL21) 請在留言板寫上遊玩時的手機型號和錯誤情況,這會幫到以後看到的人お願いします。 留言板 名前 コメント 本頁最終更新時間 2014年03月13日 (木) 19時11分07秒
https://w.atwiki.jp/gionshantveed/pages/1074.html
「終端記号」シリーズ(理:akrapt fon lususal)は、ファルトクノア映画庁によるマルチメディア連動企画。初作である映画「終端記号」から、数十年もの間大宇宙全体で親しまれる名作として知られるだけではなく、再始動企画や各地の作品とのクロスオーバーなども盛んであり、勢いは衰えていないとされる。 目次 沿革端緒 初作映画「終端記号」 沿革 端緒 ファルトクノア内戦後、復興のための政府再編においてファルトクノア映画庁は国家産業行政庁への再編を計画されていた。しかし、国家産業行政庁は財務省管轄であり、内務省管轄であったファルトクノア映画庁のキャリアは牙城を崩されかねないと大きく反発した。また、元映画庁の部署として計画されていた国家産業行政庁映像芸術局の予算は当初の六分の一に縮小されることが計画されていたことが、現場の映画庁職員や映画製作に関わったファルトクノアの映画監督、脚本家、果ては俳優にまで反感を抱かせた。 ファルトクノア映画庁管財管理部長は、内務省のツテを使って政府再編における統合を「最後の作品」の完成まで待つように言質を得た。管財管理部長は映画庁長官にこれを叩きつけ、これが後に大成功となる「終端記号」シリーズの成立に繋がることになる。 初作映画「終端記号」 詳しくは、「映画「終端記号」」を参照。 初作である映画「終端記号」はファルトクノア映画庁の全ての力を使って、最高の人材を集めることから始まった。 監督には「容疑者」(2004)や「北の国から」(2032)のターフ・ファーゲー・リファーリン、音楽は「5月12日の歌」や「国際革命主義活動よ、連合せよ」のアレス・レヴィア・クラン、脚本は「人を殺すフォント」や「ユフィアちゃんのおしごとっ!」のシャール・クラナント・ヌイビェルシャ・レーカなどとドリームチームが期待されていたが、内戦直後の情勢ということもあり、役者集めに想定以上に手間取っていた。 1803年1月12日にクランクアップ、3月の公開を目指していたが国際的な情勢不安により延期され、7月21日に公開された。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/188.html
The Terminal Velocity 「ゆうう゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅぅぅ!!?」 青空を一直線に貫く甲高い悲鳴。 日夜ゆっくりがさまざまな悲劇に巻き込まれている幻想郷だが、この母ゆっくり れいむの状況は一味違った。 彼女は落下しているのだ――高度四千メートルの高みから。 いきさつは単純だった。 「ゆっゆゆぅ、ゆゆゆっゆぅ♪」 「おかーさん、おうたじょうずー!」「じょーずー!」 いつものように野原でゆっくりと団欒を楽しんでいたゆっくり一家。 だがその頭上をバサリと不吉な影が横切った。それはトンビの姿。 大空のハンターはゆっくりにとっても大敵だ。 「ゆゆっ、あぶないよ! みんなきをつけて!」 母ゆっくりは注意したが、このままでは襲われると本能的に悟った。 「みんな、ちょっぴりがまんしてね! あむあむあむぅ!」 「ゆゆっ、おがあざん、なにずるのぉ!?」「ぜまいよ゛ー!」 母は五匹の子供たちを守るために、口の中にくわえ込んだのだ。 その直後、トンビの鋭いカギ爪が、わっしと母をとらえた。 「ゆう゛う゛ぅう゛!? いだいいだいいだいよぉ!」 もがく母をがっしりとつかまえて、トンビは舞い上がる。折りよく上昇気流が見 つかり、一気に高空まで輪を描いて昇っていった。 五百メートル、千メートル。二千メートル、三千メートル。 高く高く、さらに高く。 だがそこで、母の決死の抵抗が実を結んだ。 「はなして、はなしてね、すぐにはなじでねぇぇぇぇぇ!!!」 もさもさもさもさ、もぢっ! 暴れる母の皮の一部が切れてしまった。 「ゆうう゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅぅぅ!!?」 そこで彼女は、虚空に放り出されたのだった。 「……ゆうううぅうぅぅぅい゛い゛い゛いぃ゛いぃ゛ぃ゛ぃぃ……!!」 落ちてゆく落ちてゆく、母は凄まじい勢いで落ちてゆく。 吹き付ける強風に、柔らかな頬はバタバタと波打ち、髪とリボンは嵐の前の旗の ようにびりびりと震えている。見開かれた目に涙が溜まる。 その目に映るのは、幻想郷の雄大な俯瞰。 こんもりした茂る緑は魔法の森だ。小さな玉砂利の庭は博麗神社。その近くにご ちゃごちゃと固まっているのは人間たちの村だろうか。 少し高台になったところ、霧に包まれた湖がある。あそこには吸血鬼の主が住ん でいるだろう。 明るい緑の背高の林は、永遠亭のある竹林だ。 そのほかにも、地べたを這いずり回るゆっくりには、想像もできなかったような 広い広い景観が、広がっている。 しかしそれは、死の前の走馬灯に等しい。 「落ぉぢぃるぅのぉ い゛や゛ああ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛!!」 母は狂ったように喚いている。落ちると死ぬ、その知識は、やわらかいゆっくり の本能に刻み付けられている。 そのとき、開け放った口の中でもがもがと何かが動いた。 「ゆ゛ゆ゛うう゛う゛ぅ゛ぅ゛!!?」「おっごぢでるぅぅぅ!!」 それは子供たち。身を挺して救ってやったつもりの五匹の子らが、信じがたい状 況に気付いて、恐慌しているのだった。 「ごわい゛ごわ゛い゛ごわい゛よぉぉぉぉ!」 「おがあざん、なんどがじでぇぇぇ!!」 子供たちは、吹き込む烈風にもてあそばれ、母の口の中でころころと回転してい た。直下に地面はなく、気味の悪い浮遊感が体を包み続けている。それはやわらか いゆっくりにとって耐え難い恐怖だった。 子供たちの悲鳴が、母の母性本能を刺激する。なんら望みのないまま、母は必死 に励ました。 「ゆうぅ゛っ、だいじょうぶだよおおお、おがあざんがついでるよぉぉぉ!!」 「ごあいごあい、ごあいよぉぉぉ!!」「落ぢだくないいぃ゛い゛ぃ!」 母の慰めも通じない。子供たちはさらに狂ったように泣き喚いた。 が―― しばらく叫んでいるうちに、親子はじょじょに落ち着いてきた。 「おおおちいいいいるううううぅぅ?」 「おおおぉちぃいなぁいいいよぉぉ?」「だぁいいぃじょおぅぅぶぅぅ?」 強風は依然として吹きつけているが、いつまでたっても地面に激突しない。 雄大な景色は、ずっと変わり映えせず見えている。 ひょっとしたら、怖がることはないのかもしれない。 それどころか、これは楽しいことなのかもしれない! 「うーかーぶうーかーぶ、たーのしーいよー♪」 子供たちは母の口の中で、渦巻く空気を浴びてきゃっきゃと浮かんではしゃぎ初 めていた。それを感じた母も、うきうきしだす。 「たーのしーいねぇー♪」 「ゆぅっくーり、とーんでーるねーえ♪」 そう、彼女らは、Terminal Velocity――終端速度に達したのだった。 落下する彼女らを空気抵抗がささえ、加速を停止させていた。このとき母ゆっく りは下向きに口を開いて袋状になっていたため、抵抗はかなり強いものとなってい た。 秒速約五十メートル。 落下開始から三十秒、短いCM二本分もの時間、彼女たちはそうやって楽しみ続 けた。 だが、愚かなようでも、ゆっくりはそれなりに生きる力を持った生物だった。 母の心の中で、不安が少しずつ増大していた。 風は吹き付けるが、目に映る景色は変わっていない。落ちていると感じたのは錯 覚のはずだ――そう思ってはいても、何かが危険な気がした。 実は母の目に映る地上の景色は、高度が二分の一になったため、最初と比べると すでに四分の一の面積にまで減っていた。気がつかなかったのは、変化が全体にわ たってゆっくりと進む、モーフィング的なものだったからだ。クイズ番組などでご 覧になったことのある方も多いだろう。生き物の目はゆっくりとした変化を捉える のが苦手だ。 その危険な景色を前にして母が取った行動は、しかし、やはりゆっくり的なもの だった。 「ううううん、しょっと!」 皮に力を込めて、ぐるりと回転し、上を向いたのだ。 上を向けば、もう地上は見えない。 明るくきれいな青空と、優雅に舞う鳥が見えるだけだ。 ふわふわとした浮遊感だけを思うさま楽しむことができる。 「ゆっくりー!」 それに加えて、子供たちは落下風から守られ、一種の乗り物に乗っているような 気分になった。ゆっゆっと口の中から這い出し、大きな母の顔の上に乗る。 「わぁい、おかあさんえんばんだよ!」 「ゆっくりひなたぼっこができるよー」 「ゆっゆく、ゆゆぅん♪」 母は終端速度で落下している(自由落下ではない)ので、その顔面には若干の重 力が残っている。子供たちは落ち着いて座ることができ、母の顔の端からそうっと 下を覗いては、吹き上げる風に、キャッと後ろへ下がったりした。 そんな子ゆっくりたちのたわむれを顔の上に感じ、母もつかの間の幸せに浸るの だった。 落下開始から、四十秒がすぎた。 くつろぐ子ゆっくりたちが、ふと不安な声を漏らし始めた。 「おかあさん、だんだん近くなってるよ!」 「地面が見えてきたよ! ゆっくりとまってね!」 このとき、彼女らの高度は千メートルを割っていた。 これぐらいの高度まで下がると、地上の光景が鮮明に見えてくる。個々の人が見 分けられ、建物の看板なども読めるようになる。 「あ、神社にあかしろのひとがいるよ!」 「まほーつかいさん、ばいばーい♪」 唖然とした顔で見つめる、箒に乗った魔女を、ゆっくりたちはあっというまに上 から下へ追い抜いた。 そんなつかの間の面白みが去ると、急速に恐怖が頭をもたげる。 「おかーさん、おかーさん、ゆっくり近づいてるよ!」 「だいじょうぶなの? とまって、ゆっくりしないでとまって!」 母の縁から下を見つめる子ゆっくりたちが、叫び始める。 母ゆっくりは必死でそれに応えようとする。 「んんっ、んぎっ、んぐぐぅっ!」 体をそらせ、くねらせ、なんとか速度を落とそうとする。 「んぐくぐぅぅ! んぐんぐんぐぅっ!」 あまつさえ左右にばたばたともがいて、上昇しようとさえしてみた。 もちろん、効果はまったくない。 「おっ、おがあざぁぁぁん!!?」 子供たちの顔が、再び恐怖に引きつり始める。母は必死に励ます。 「だっ、だいじょうぶだからね! ゆっくりとまるからね! んぎぃぃっ!」 顔を真っ赤にして、体を平べったくし、少しでも抵抗を増やそうとする。知識は なくても、とっさの本能がそれを可能にした。 座布団のように潰れた母れいむは、奇跡的に横方向への速度を得る。 スィー、と空を滑っていくゆっくりれいむの後頭部は、地上から見たら相当な奇 観であったろう。 しかしそれもしょせんは気休め。時速百五十キロを越える速度は、親子を容赦な く地上へと導いた。 ぞっとするような速度で、山が森が木立が迫る。親子はとうとう悟る。助かる道 はない。硬くて痛い地面に猛烈な速度で叩きつけられる。自分たちは跡形もなく砕 けて死ぬ。死ぬ。死ぬ。死んでしまう! 最後の数秒もはや完全にパニックに陥った子供たちが、泣き喚いて母の上で跳ね た。 「落ぢでる、おぢでるよぉぉぉ!!」 「おがあざんのばかぁぁぁ!」 「どおじでお空につれでっだのぉぉぉ!?」 「ほっどいでくれだらよかっだのにぃぃ!!」 対する母もめちゃくちゃな悲鳴を上げていた。 「あんだだぢ乗ってるがらゆっくりうかべながったのよぉぉぉ!!!」 「ばがぁぁぁ!」 「ゆっくりじねぇぇぇ!」 「おりでぇぇぇぇ!!」 「い や゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛!!!!」 バヂャンッ! 一瞬の、高密度に圧縮された衝撃が、親子を粉砕した。 魔法の森のかたわらの道に落ちた母ゆっくりは、半径五メートルの放射状に飛び 散った。上からローラーでもかけたような平べったさが、衝撃の激しさを物語って いた。 だが、中心部にだけは、わずかに拳ほどの餡が盛り上がっていた。 それはセントラルピーク。隕石衝突などの際に見られる中央丘である。 その餡が、もぞもぞと動いたかと思うと―― 「……っぷぅ!」 なんと、一匹の子ゆっくりが顔を出したではないか! その一番小さな子ゆっくりは、インパクトの瞬間、母の喉の奥へ退避した。それ がために、分厚い餡子の層がクッションとなって、一命を取り留めたのだった。 餡子まみれで這い出してきた子ゆっくりは、家族の残骸を振り返って、涙した。 「うっうっ、おかーたん、おねーたん……ゆっくりちていってね」 子供ながらに、ゆっくりの心には強い使命感が芽生えていた。 不幸にして死んでしまった家族のためにも、自分がしっかり生きていかねばなら ない。 「れいむ、がんばるね!」 力強く宣言して、子ゆっくりは新たな一歩を踏み出したのだった! バッサバッサバッサ ぱく が、追ってきたトンビに食われた。 ================================================================ 思いつきで突貫工事しました。 ゆっくりが好きで好きで、ほんと可愛がってやりたいんだけど 情味のある可愛がりが書けないー。 YT このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/272.html
The Terminal Velocity 「ゆうう゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅぅぅ!!?」 青空を一直線に貫く甲高い悲鳴。 日夜ゆっくりがさまざまな悲劇に巻き込まれている幻想郷だが、この母ゆっくり れいむの状況は一味違った。 彼女は落下しているのだ――高度四千メートルの高みから。 いきさつは単純だった。 「ゆっゆゆぅ、ゆゆゆっゆぅ♪」 「おかーさん、おうたじょうずー!」「じょーずー!」 いつものように野原でゆっくりと団欒を楽しんでいたゆっくり一家。 だがその頭上をバサリと不吉な影が横切った。それはトンビの姿。 大空のハンターはゆっくりにとっても大敵だ。 「ゆゆっ、あぶないよ! みんなきをつけて!」 母ゆっくりは注意したが、このままでは襲われると本能的に悟った。 「みんな、ちょっぴりがまんしてね! あむあむあむぅ!」 「ゆゆっ、おがあざん、なにずるのぉ!?」「ぜまいよ゛ー!」 母は五匹の子供たちを守るために、口の中にくわえ込んだのだ。 その直後、トンビの鋭いカギ爪が、わっしと母をとらえた。 「ゆう゛う゛ぅう゛!? いだいいだいいだいよぉ!」 もがく母をがっしりとつかまえて、トンビは舞い上がる。折りよく上昇気流が見 つかり、一気に高空まで輪を描いて昇っていった。 五百メートル、千メートル。二千メートル、三千メートル。 高く高く、さらに高く。 だがそこで、母の決死の抵抗が実を結んだ。 「はなして、はなしてね、すぐにはなじでねぇぇぇぇぇ!!!」 もさもさもさもさ、もぢっ! 暴れる母の皮の一部が切れてしまった。 「ゆうう゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅぅぅ!!?」 そこで彼女は、虚空に放り出されたのだった。 「……ゆうううぅうぅぅぅい゛い゛い゛いぃ゛いぃ゛ぃ゛ぃぃ……!!」 落ちてゆく落ちてゆく、母は凄まじい勢いで落ちてゆく。 吹き付ける強風に、柔らかな頬はバタバタと波打ち、髪とリボンは嵐の前の旗の ようにびりびりと震えている。見開かれた目に涙が溜まる。 その目に映るのは、幻想郷の雄大な俯瞰。 こんもりした茂る緑は魔法の森だ。小さな玉砂利の庭は博麗神社。その近くにご ちゃごちゃと固まっているのは人間たちの村だろうか。 少し高台になったところ、霧に包まれた湖がある。あそこには吸血鬼の主が住ん でいるだろう。 明るい緑の背高の林は、永遠亭のある竹林だ。 そのほかにも、地べたを這いずり回るゆっくりには、想像もできなかったような 広い広い景観が、広がっている。 しかしそれは、死の前の走馬灯に等しい。 「落ぉぢぃるぅのぉ い゛や゛ああ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛!!」 母は狂ったように喚いている。落ちると死ぬ、その知識は、やわらかいゆっくり の本能に刻み付けられている。 そのとき、開け放った口の中でもがもがと何かが動いた。 「ゆ゛ゆ゛うう゛う゛ぅ゛ぅ゛!!?」「おっごぢでるぅぅぅ!!」 それは子供たち。身を挺して救ってやったつもりの五匹の子らが、信じがたい状 況に気付いて、恐慌しているのだった。 「ごわい゛ごわ゛い゛ごわい゛よぉぉぉぉ!」 「おがあざん、なんどがじでぇぇぇ!!」 子供たちは、吹き込む烈風にもてあそばれ、母の口の中でころころと回転してい た。直下に地面はなく、気味の悪い浮遊感が体を包み続けている。それはやわらか いゆっくりにとって耐え難い恐怖だった。 子供たちの悲鳴が、母の母性本能を刺激する。なんら望みのないまま、母は必死 に励ました。 「ゆうぅ゛っ、だいじょうぶだよおおお、おがあざんがついでるよぉぉぉ!!」 「ごあいごあい、ごあいよぉぉぉ!!」「落ぢだくないいぃ゛い゛ぃ!」 母の慰めも通じない。子供たちはさらに狂ったように泣き喚いた。 が―― しばらく叫んでいるうちに、親子はじょじょに落ち着いてきた。 「おおおちいいいいるううううぅぅ?」 「おおおぉちぃいなぁいいいよぉぉ?」「だぁいいぃじょおぅぅぶぅぅ?」 強風は依然として吹きつけているが、いつまでたっても地面に激突しない。 雄大な景色は、ずっと変わり映えせず見えている。 ひょっとしたら、怖がることはないのかもしれない。 それどころか、これは楽しいことなのかもしれない! 「うーかーぶうーかーぶ、たーのしーいよー♪」 子供たちは母の口の中で、渦巻く空気を浴びてきゃっきゃと浮かんではしゃぎ初 めていた。それを感じた母も、うきうきしだす。 「たーのしーいねぇー♪」 「ゆぅっくーり、とーんでーるねーえ♪」 そう、彼女らは、Terminal Velocity――終端速度に達したのだった。 落下する彼女らを空気抵抗がささえ、加速を停止させていた。このとき母ゆっく りは下向きに口を開いて袋状になっていたため、抵抗はかなり強いものとなってい た。 秒速約五十メートル。 落下開始から三十秒、短いCM二本分もの時間、彼女たちはそうやって楽しみ続 けた。 だが、愚かなようでも、ゆっくりはそれなりに生きる力を持った生物だった。 母の心の中で、不安が少しずつ増大していた。 風は吹き付けるが、目に映る景色は変わっていない。落ちていると感じたのは錯 覚のはずだ――そう思ってはいても、何かが危険な気がした。 実は母の目に映る地上の景色は、高度が二分の一になったため、最初と比べると すでに四分の一の面積にまで減っていた。気がつかなかったのは、変化が全体にわ たってゆっくりと進む、モーフィング的なものだったからだ。クイズ番組などでご 覧になったことのある方も多いだろう。生き物の目はゆっくりとした変化を捉える のが苦手だ。 その危険な景色を前にして母が取った行動は、しかし、やはりゆっくり的なもの だった。 「ううううん、しょっと!」 皮に力を込めて、ぐるりと回転し、上を向いたのだ。 上を向けば、もう地上は見えない。 明るくきれいな青空と、優雅に舞う鳥が見えるだけだ。 ふわふわとした浮遊感だけを思うさま楽しむことができる。 「ゆっくりー!」 それに加えて、子供たちは落下風から守られ、一種の乗り物に乗っているような 気分になった。ゆっゆっと口の中から這い出し、大きな母の顔の上に乗る。 「わぁい、おかあさんえんばんだよ!」 「ゆっくりひなたぼっこができるよー」 「ゆっゆく、ゆゆぅん♪」 母は終端速度で落下している(自由落下ではない)ので、その顔面には若干の重 力が残っている。子供たちは落ち着いて座ることができ、母の顔の端からそうっと 下を覗いては、吹き上げる風に、キャッと後ろへ下がったりした。 そんな子ゆっくりたちのたわむれを顔の上に感じ、母もつかの間の幸せに浸るの だった。 落下開始から、四十秒がすぎた。 くつろぐ子ゆっくりたちが、ふと不安な声を漏らし始めた。 「おかあさん、だんだん近くなってるよ!」 「地面が見えてきたよ! ゆっくりとまってね!」 このとき、彼女らの高度は千メートルを割っていた。 これぐらいの高度まで下がると、地上の光景が鮮明に見えてくる。個々の人が見 分けられ、建物の看板なども読めるようになる。 「あ、神社にあかしろのひとがいるよ!」 「まほーつかいさん、ばいばーい♪」 唖然とした顔で見つめる、箒に乗った魔女を、ゆっくりたちはあっというまに上 から下へ追い抜いた。 そんなつかの間の面白みが去ると、急速に恐怖が頭をもたげる。 「おかーさん、おかーさん、ゆっくり近づいてるよ!」 「だいじょうぶなの? とまって、ゆっくりしないでとまって!」 母の縁から下を見つめる子ゆっくりたちが、叫び始める。 母ゆっくりは必死でそれに応えようとする。 「んんっ、んぎっ、んぐぐぅっ!」 体をそらせ、くねらせ、なんとか速度を落とそうとする。 「んぐくぐぅぅ! んぐんぐんぐぅっ!」 あまつさえ左右にばたばたともがいて、上昇しようとさえしてみた。 もちろん、効果はまったくない。 「おっ、おがあざぁぁぁん!!?」 子供たちの顔が、再び恐怖に引きつり始める。母は必死に励ます。 「だっ、だいじょうぶだからね! ゆっくりとまるからね! んぎぃぃっ!」 顔を真っ赤にして、体を平べったくし、少しでも抵抗を増やそうとする。知識は なくても、とっさの本能がそれを可能にした。 座布団のように潰れた母れいむは、奇跡的に横方向への速度を得る。 スィー、と空を滑っていくゆっくりれいむの後頭部は、地上から見たら相当な奇 観であったろう。 しかしそれもしょせんは気休め。時速百五十キロを越える速度は、親子を容赦な く地上へと導いた。 ぞっとするような速度で、山が森が木立が迫る。親子はとうとう悟る。助かる道 はない。硬くて痛い地面に猛烈な速度で叩きつけられる。自分たちは跡形もなく砕 けて死ぬ。死ぬ。死ぬ。死んでしまう! 最後の数秒もはや完全にパニックに陥った子供たちが、泣き喚いて母の上で跳ね た。 「落ぢでる、おぢでるよぉぉぉ!!」 「おがあざんのばかぁぁぁ!」 「どおじでお空につれでっだのぉぉぉ!?」 「ほっどいでくれだらよかっだのにぃぃ!!」 対する母もめちゃくちゃな悲鳴を上げていた。 「あんだだぢ乗ってるがらゆっくりうかべながったのよぉぉぉ!!!」 「ばがぁぁぁ!」 「ゆっくりじねぇぇぇ!」 「おりでぇぇぇぇ!!」 「い や゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛!!!!」 バヂャンッ! 一瞬の、高密度に圧縮された衝撃が、親子を粉砕した。 魔法の森のかたわらの道に落ちた母ゆっくりは、半径五メートルの放射状に飛び 散った。上からローラーでもかけたような平べったさが、衝撃の激しさを物語って いた。 だが、中心部にだけは、わずかに拳ほどの餡が盛り上がっていた。 それはセントラルピーク。隕石衝突などの際に見られる中央丘である。 その餡が、もぞもぞと動いたかと思うと―― 「……っぷぅ!」 なんと、一匹の子ゆっくりが顔を出したではないか! その一番小さな子ゆっくりは、インパクトの瞬間、母の喉の奥へ退避した。それ がために、分厚い餡子の層がクッションとなって、一命を取り留めたのだった。 餡子まみれで這い出してきた子ゆっくりは、家族の残骸を振り返って、涙した。 「うっうっ、おかーたん、おねーたん……ゆっくりちていってね」 子供ながらに、ゆっくりの心には強い使命感が芽生えていた。 不幸にして死んでしまった家族のためにも、自分がしっかり生きていかねばなら ない。 「れいむ、がんばるね!」 力強く宣言して、子ゆっくりは新たな一歩を踏み出したのだった! バッサバッサバッサ ぱく が、追ってきたトンビに食われた。 ================================================================ 思いつきで突貫工事しました。 ゆっくりが好きで好きで、ほんと可愛がってやりたいんだけど 情味のある可愛がりが書けないー。 YT このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/xrossrowa/pages/100.html
見晴らしの良い草原に、マントを風に靡かせた白騎士が立っていた。 そのか細い足腰や、鋭い目尻に反し意外に丸っこい印象の青い瞳を持つ騎士の背丈はおよそ十四メートル。人間の相似形なシルエットながら、大きさは八倍前後にも及んでいた。 前触れなく。白騎士は非対称な両の手の内、竜の兜を模した左手を持ち上げた。 その竜の口から、奇妙な文字の記された黒白の剣が吐き出され――彼の首に巻き付いていた、銀の円環に突き立った。 拍子抜けするほど呆気ない金属音を奏でながら、首輪は一刀で断ち切られる。 次の瞬間、轟音と衝撃に驚いたように――世界が小さく揺れた、ように見えた。 白煙を衝撃波が吹き散らし、弾むように大地が震える。腹に響くような重低音が響いたのは、周辺の草花がその根を張った土壌ごと砕かれ、浚われて行った後のことだった。 首輪を構成していた金属片が転じた鋼の刃や、吹き飛ばされた砂礫の散弾がさらに広範囲に災厄を齎す中、爆心地から吐き出されていた煙は――突如煌めいた一閃によって切り払われ、霧散した。 「……バグラモン達の介入はない、か」 そう落ち着いた様子ながらも、どこか苛立ちを孕んだ声で呟いたのは、密着状態から首輪が炸裂したはずの白騎士だった。 大きさ相応の爆発に巻き込まれたにも関わらず、白亜の鎧や、剥き出しの黒い皮膚にも掠り傷の一つも負わず。完全無欠のまま、抉れた大地を両の脚で噛む者の名は、 最後の聖騎士、オメガモンといった。 ◆ (……何なの、あいつ?) まるで重力に囚われていないかのように、静かに、垂直に青空高くへと昇って行った白い影にヨーコがまず抱いたのは、その相手に対する根本的な疑問だった。 加速度を高めたかと思うと、瞬く間にヨーコの視界から消え去って行ったのはグレンラガンにも迫る巨体をした、人型に近似した姿形の何か。 素直に考えれば、ガンメンの一種という答えになるのだろうが――その考えは何かが違う、とヨーコは感じていた。 つい先日体験したテッペリン攻略戦には現存する殆どのガンメンが参戦していたはずだが、あんなタイプのガンメンは目にしなかった。 またトビダマを搭載したガンメンと飛行の仕方はよく似ているが、トビダマを用いた飛行の特徴である青白い発光が見受けられなかった。 そして何よりヨーコがその存在に気づくきっかけとなった、あの純白の巨人の近くで生じた爆発――あれが何だったのか、その跡地に輝く銀色の残骸を見たヨーコには薄々ながら、推測ができていた。 (あいつ……ガンメンなんかじゃ、なくて……) そこまで考えたところで、そもそも今この状況を悪夢などと現実逃避せず受け止めてはいても、それ以上の現状把握を怠っていたことを思い出した。 何しろいきなりだったのだ。バグラモンの言っていたBRデバイスを起動するよりも先に、大きな爆発音に気を取られることになったのは。 その様子を確認しに来たらあの白いのがいたわけだが、観察すら満足にできないまま、今はどこかに飛んで行ってしまったわけで。 あの白い奴についての考察は一旦放置し、ヨーコはデバイスを起動することにした。 「やっぱりあんた達も連れて来られているのね……シモン」 途中、上空から降り注いだチカチカとした眩い光や、遠い耳鳴りに妨害されながらも、参加者名簿に一通り目を通し終えたヨーコは静かに呟いた。 シモン、ニア、リーロン、キタン。共に辛く厳しい戦いの日々を過ごした大グレン団の仲間の内でも、特に親しい間柄の者達がこの殺し合いとやらに巻き込まれている。 螺旋王を倒し、その後に獣人達とも和解した自分達がどうしてこんな目に遭わされるのか、皆目見当がつかなかった。あれだけの苦難の後、ようやく勝ち得た平和と自由をどうしてまた剥奪されなければならないというのだろうか。 ……その理由を求めてみても、きっとヨーコが納得できるような合理性は得られないだろう。 だったら悩むのは無駄だ。それよりも、大グレン団の魂と呼ぶべきあの馬鹿(ヒト)が、今ヨーコが立たされている事態に直面していたのだとすれば、どう動くのか……それを考える方が、きっと自分達には意義がある。 彼は――カミナはきっと、こんなふざけたゲームを許さない。 爆弾なんかで皆の命を押さえつけ、王様気分で観戦するバグラモンをブン殴ると息を巻く。売られた喧嘩を高く買い、多くの人々に悲しみを植え付ける悪党どもを必ず後悔させる。 それがカミナ――ヨーコの愛したヒト。そしてそのカミナの魂を受け継ぐのが、彼の作った大グレン団の仲間達だ。 シモンを始めとする他の団員も、ヨーコと同じようにバグラモンとの喧嘩に臨むはず。それならヨーコがこれから選ぶ道に、迷うべき要素なんて存在しない。 こんな蛮行に及ぶ奴らを放ったままで、かつてカミナが願ったように、子供達が安心して空を見て暮らせるようになんてなるもんか。 自らに戦う理由を言い聞かせたヨーコは、現状確認を続行した。 いつも通り肩に背負った超伝導ライフルに、隠し武器である髪飾りはそれぞれヨーコの支給品という扱いらしい。全部で三つの支給品の内の最後の一つも、ヨーコがよく見知った代物ではあった。 「うーん……これ、本当なのかなぁ」 最後の支給品は、同郷の出身である大グレン団のメンバーの愛機・ダヤッカイザーである……らしかった。 らしかった、などと言葉を濁したのは……こんな腕輪の中に巨大なガンメンが入っている等と言われたところで、すんなりと信用できるわけがなかったからだ。 一先ずそれが真実なのかを確認しようと、ヨーコはデバイスの指示通りに指先でリロードというボタンに触れてみたところ、デバイスから吐き出された光の帯が重なり形を作り、物質化することで蒼い鉄兜と巨砲を融合させた、ダヤッカイザーの無骨な勇姿が本当に眼前に現れたものだから、驚きに目を丸くすることになった。 「うっそ……」 ぺたぺたと触ってみても、それで確信できるのは目の前の鋼の塊が夢幻の類ではなく、実在する鋼鉄のメカであるということ。念のため、実は燃料が入っていませんでしたというオチを疑ってコクピットに乗り込み確認してみたが、機体の状態はリーロンとレイテがメンテナンスしたばかりであるかのように万全だった。 「……どうしよう」 とりあえずコクピットの狭いシートに座ったまま、ヨーコはポツリとそう呟いた 普段ガンメンに乗っているわけではないヨーコは、望外に手にしたその強大な力の使い道について、それなりの真剣さで悩み始めていた。 人間同士の殺し合いの道具として、いきなりガンメンを支給するのも正直どうかと思うが、言うまでもなくこれは大きな当たり支給品だ。とりあえず乗り込んでおけば、ヨーコ自身の超伝導ライフルや、他ガンメンからの攻撃でも受けなければ大半の危機を回避することができるはず。もちろん、遠方の山を吹き飛ばしたエルシアという女を見るに必ずしもガンメンの防御力ならば万全、とも言い切れないだろうが。 それでもただでさえ露出の多い生身よりは間違いなく安全だが、電力で動くガンメンを平時の移動にまで用いていては、いざと言う時に燃料切れ……などという事態も想像できてしまう。 どうしようかな、と悩んだ、まさにその時だった。 《――っおーいっ! 誰かいねーのかぁあああああっ!!》 聞き覚えのある大声が、電子音に変換されて外から響いて来たのは。 「今の声、って……」 いやでもまさか、いくらなんでもそんな馬鹿なことはしないだろうと……淡い期待をヨーコは抱くが。 《聞こえていたら返事しやがれっ! おぉーいっ!》 さらに続く大声に、ヨーコは頭痛を堪えながら通信機を起動、周波数を絞って回線を開いた。 「キタンっ! あんた馬鹿なのっ!?」 《ゲェッ!?》 声の主は唐突な叱責に驚き、思わず口を閉ざした様子だった。 ヨーコが開いた通信画面に映ったのは、逆立てた金髪の粗野な印象の男。 同じ大グレン団のメンバーである、キタン・バチカだった。 キタンはヨーコの剣幕におっかなびっくりという様子で、おずおずと尋ねてくる。 《よ、ヨーコじゃねーか……どうしておまえが?》 「どういうわけだか、ダヤッカイザーが私に渡されてたの! それよりあんた、何で殺し合えって言われたその場で叫び出してんのよ!?」 それがどれほど危険な行為であるのかを、わざわざ説明する必要などない。 しかしキタンは平然とそれを、しかもガンメンの拡声器機能を使ってまで実行した。 理由は――おそらく、深く考えていないのだろうと、ヨーコには薄々と察することができていた。 《いや、このびーあーるでばいすって奴がどうも扱いづらくてよぉ……何とかキングキタンは出せたから、他の機能とかを教えてくれる奴を探そうかーってな》 ほら見ろ。 《それに、大グレン団のキタン様がここにいるって知らせりゃあ、いきなりこんなことに巻き込まれて困っている奴らも元気づけられると思ってよ! 殺し合いに乗ろうかなんて考えてる悪漢どもも、ビビって考えを改めるかと思ったわけよぉ》 「……いや、それじゃ危ない奴らも寄ってくるかもしれないでしょ」 《そいつぁ余計な心配ってもんだぜ! 身の程知らずにも俺様に挑もうなんて悪党どもは、バッサバッサと薙ぎ払ってやらぁ!》 ……つまるところ。とにかく他の参加者達を呼び寄せれば、保護対象や倒すべき相手を探す手間が省けるとか、そう考えていたわけだ、キタンは。 「あんた、本当に馬鹿ね……」 ヨーコは思わず嘆息する。 あのヴィラルも参加させられているし、先程見たエルシアのような規格外の存在もいる以上、彼の考えは甘すぎる。 そんなヨーコの手厳しい評価に、キタンはその幅広な肩を落とした。 「でも……それがあんた達よね」 だが――気づけば自然と笑みが浮かんでいたのを、ヨーコは悪く思わなかった。 「――キタン。ぶっ潰すわよ、あのバグラモンって奴」 真剣な声音のヨーコの言葉に、キタンは虚をつかれたように真顔になった。 しかし、それもまた一瞬。 《へっ! 言われるまでもねぇ……あたぼーのことよぉ!》 キタンは自らの拳を掌に打ち付け、口の端を持ち上げる不敵な笑みを浮かべた。 そんなキタンの淀みない眼に、ヨーコも心底からの頼もしさを感じ、引き締めていた口元をほんの少しだけ緩める。 ああ、やっぱり彼は自分の信じた通りだった、と。 それならきっと、他の皆も同じだろうと改めて確信することができた安心からだ。 「一先ず合流しましょう? 今どこにいるの?」 《おう! えーとな……》 キタンから告げられた情報を総合すると、ヨーコのいるグリンゾーン D-2エリアの隣、D-3エリアの茸の里を集合場所にするのが良いという結論になった。 「――って、あんたまた何してんの!?」 それからキタンの方に向けダヤッカイザーを進ませていたヨーコは、巨大なキノコ状の塔の上に天を指差し直立する一機のガンメンを目に収めて、再びツッコミの声を上げていた。 《おう、来たかヨーコ。この方が見つけ易いだろうと思ってな》 朗らかに答えるのは、鋭角的になった黄金の三日月に手足が生えたような目つきの悪い機動兵器。ともすれば悪者然としたトゲトゲしい外見に反して、大グレン団のグレンラガンに次ぐ主力であるキングキタンは、操縦者に合わせたかのような三枚目の印象を与えるメカだった。 「だからあんたは……無闇に目立つなって言ってるちゅーに」 何度目かの溜息と共に肩を落としたヨーコが、再び視線を上げた時だった。 そんな空気を一変させる代物が、ヨーコの視覚に捉えられたのは。 「っ――キタン、後ろ!」 《あっ?》 咄嗟の呼びかけに、キタンはキングキタンの黄金の機体を反転させていた。 ヨーコの視界に映った、キタンの背後に現れたもの。それは空から降りて来た。 目にも止まらぬ速度で落下していたはずのその白い流星は、ある一定の高度を過ぎたところで、まるで重力に逆らうかのようにその加速度を減少させる。空気を切る音が弱まったと思うと、そいつはキングキタンが立っているよりも少し高い位置で、足場もなしに静止した。 「あいつ……」 それは会場に飛ばされて最初に目にした、ガンメンにも劣らぬ巨躯を誇る白い人型。 赤い裏地の白いマントを靡かせたその姿は、ともすれば騎士のようにも見える何か。 異形の両手を持つ何者かが、キングキタンの数百メートル後方の空に現れていた。 《何だあのガンメンは!? あんなの見たことねぇぞ……》 「違うわ、よく見てキタン!」 最初にその存在に気づくことになった爆発の跡地から見つけた推理の材料。それを確信へと変えさせる物が、拡大した映像に映っていた。 「首輪はないけれど、左手にBRデバイスがある……あいつ、参加者よ!」 《こんなデッケェ奴がか!?》 キタンの驚きも当然だ。まさかここまで人間や獣人離れした存在が参加させられているなど、ヨーコも思ってもみなかった。 実際はそうではなかろうに、まるでそんなキタンとヨーコのやり取りでようやくこちらに気づいたかのように、白い巨人はその青緑の瞳を二機のガンメンへと向けて来た。 《っ、おいてめぇ!》 そんな未知の存在に気後れせず、より相手に近い位置に立っていたキングキタンが声を張り上げた。 《てめぇはバグラモンどもの言いなりになるのか、それとも俺達と同じようにあいつらをぶっ潰すつもりなのか、どっちの考えの奴だ!?》 「バグラモンに従う理由がどこにある」 《あ……っ?》 威厳のある声での返答に、しかしキタンは混乱を見せていた。 ……多分、馬鹿だから反語表現が難しいのだろう。 「それじゃあ……あなたもバグラモンを潰すつもりなの?」 「愚問だな」 ヨーコの確認に対し、白い巨人はそう短く返答を寄越した。 その尊大な態度に微かな苛立ちを覚えながらも、キタンがその短気さを発揮する前にヨーコは幸先の良さを逃すまいと言葉を続ける。 「良かった! それならあなたも、私達と一緒に……」 だがそこで、ヨーコは声を詰まらせた。 白い巨人が右手の蒼い獣の顎を開き、そこから黒く巨大な大砲を出現させたためだった。 《てめぇ、そりゃいったいどういうことだ!?》 巨人の明らかに不審な動きに、キングキタンは操縦者そのままな怒りを表明する。 「ちょっとあんた、バグラモンに反抗するんじゃなかったのっ!?」 ヨーコの疑問の声にも答えずに、白い巨人はその右腕の砲を静かに正面に――キングキタンに向けた。 その暗い砲口の奥から、蒼白い光の粒子を溢しながら。 「危ないっ!」 思わずヨーコは、ダヤッカイザーの頭部に備えられたカノン砲のトリガーを絞っていた。 《――ッ、んのヤロォ問答無用ってか、やってやるぜぇえええっ!!》 同時に血の気の多いキタンは、キングキタンを駆って明白な敵対行動を取った白い巨人へと飛びかかっていた。 《オラオラオラオラオラ~ッ!!》 気合の叫びを上げながら跳躍したキングキタンの脇を、超音速の榴弾が追い越して白い巨人へと襲いかかる。 「――――」 対して巨人は無言のまま、また息一つ乱すことなく右手の砲身をキングキタンに捉えたまま、左腕を上向きに一閃させていた。 一拍の後、巨人の背後でその体躯ほどの大きさの爆発が発生する。 (――弾かれたっ!?) 特別なことは何もしていない。巨人はただ無造作にその手を振るっただけで、高速の砲弾を傷一つ負うことなく――また着弾の衝撃で炸裂するよりも速く、殴り飛ばしていたのだ。 (こいつ、ヤバい……ッ!) 今まで戦って来た、どのガンメンとも桁が違う。その実力の一旦を垣間見たヨーコが、警告の声を放とうとしたその瞬間。 巨人が左腕を元の位置まで降ろし終えたと同時。蓄えた青白い煌きを漏らし始めていた砲口から、莫大な光子の束が解き放たれた。 「キタン!」 《うぉおっと!》 大気を焦がして疾駆した光に呑まれるその寸前、見切っていたかのように機体を捻っていたキングキタンは、その巨体を飲み込むほどの極太い閃光を鮮やかに回避した。 《へっ!》 自らの真横を掠め去って行く強力なビームを脇に余裕の声を上げるキタンの姿に、ヨーコはほっと胸を撫で下ろす。 仮にも大グレン団において、グレンラガンの次に活躍したガンメンとそのパイロット。その操縦技術はヨーコの遥か上を行き、この強敵にも通じるのだという安心を覚えていた。 ――――――――しかし。ビームの照射は、終わってなどいなかった。 蒼き獣の顎から吐き出された膨大な光の束は、どこまでも直進するその輝跡を残したまま。途切れることなくその場に光の柱として、キングキタンの真横に迸り続けている。 そして、巨人への距離をさらにキングキタンが詰めるより速く。 巨人は自らの右腕を、無言のまま横薙ぎにした。 「――――えっ?」 その右腕に装備されていた、砲の延長上にあった光条はあっさりとキングキタンのいる空間を横切って。 その後には、ほんの一瞬生じた焼き切れた音以外――消し炭の一つも、残しはしなかった。 「嘘、でしょ……?」 目の前で展開された、まるで冗談みたいにキングキタンがその姿を掻き消されたという事態を――ヨーコは現実の物として受け入れることができず、呆然と呟きを漏らしていた。 だって、キタンが……カミナやシモンが上から引っ張った大グレン団を、今度は下から押し上げてくれたあの暑苦しい馬鹿〈ヒト〉が。 あのキタンが。 こんなにあっさり……何も、残すことなく消えてしまうなんて。 放心しているヨーコの乗る、無防備なダヤッカイザーの前で――つい先程までキングキタンが足場にしていた山ほどの大きさのあるキノコ状の巨大な塔が、巨人の放つ光に貫かれた。 その光に触れた箇所は、怒涛の勢いを減退させることもできず瞬時に蒸発し。直接破滅の光に晒されずには済んだ箇所も、陶磁器のように砕け微細な欠片と化して風に消えて行きながら――徐々に白光は、ダヤッカイザーへと降下して来ていた。 ガンメン一機と塔一つを消滅させ、未だにその猛威を緩めることのない眩い断頭台に視界を灼かれて、やっとヨーコが正気を取り戻した時には……もう、全てが遅かった。 (カミナ……皆――っ!) 危機を前に、仲間達の顔が脳裏を掠めようとしたその刹那。 何の防壁としても機能し得なかったダヤッカイザーごと、大グレン団が誇る名スナイパー、ヨーコ・リットナーは爆光に呑まれ素粒子へと還り――走馬灯を見る間もなく、逝った。 ◆ エリア二つ分を優に越える極大射程の光線は、なおもその輝きに陰りを見せていなかった。 収束から漏れた衝撃波と輻射熱が高温の烈風と化して草原の緑を焼き払い、大地に黒焦げた直線を数キロメートルにも渡り間断なく刻み込んで行く。 暴力的な光の奔流は、長々と伸びたところでさらに、砲を構える腕の動きに合わせて軌道を変更。複数のエリアを同時に蹂躙する破壊神の刃となったまま、横薙ぎに一閃される。 射線上と重なった箇所を地盤ごと吹き飛ばしながら、轟音を伴った光の柱は即座にキノコの群生地のように無数の塔が並んだ集落へ到達する。 光はその先端を――まるで世界を隔てるように、天から地の底までを隙なく覆う灰色の極光壁へと突き抜けさせる。壁との衝突によりそれ以上直進できなくなってもなおも噴出を終えず、始端と終点の間にある地上の全てを焼き払って行く。 根元を貫き、残った部分が倒れる暇すら与えず次の塔を轟音と爆音を撒き散らしながら切断、まるで草刈りのように塔の群れを伐採して、歪で長大な光の鎌が茸の里を駆け抜けた。 超高熱によって発生した白煙が立ち込め、その発光によって世界を染める必要がなくなってからやっと。獣の砲は放出を止めて、その口を閉じた。 次いで倒落した建造物の奏でる轟音が爆風のように自らのマントを靡かせるのを感じながら、破壊を齎した張本人はその視線を一層鋭くしていた。 「…………」 機械的なまでに黙したまま、オメガモンは己の生み出した惨状をつぶさに観察する。 溜めによって照射時間を伸ばしたガルルキャノンの一撃で、茸の里と呼ばれたらしい集落と辺り一帯を焼き払ったわけだが――果たして討ち漏らしはいないだろうかと、その翠玉の瞳でこの世に顕現した地獄を睥睨する。 先程言葉を交わした二人の参加者以外に、今攻撃した範囲に他に参加者が居たのかをオメガモンは認識していなかった。ただもしも身を隠していた者がいたならば今の一撃で纏めて刈り取るか、燻り出すことに繋がっただろうし、また誰もいなかったとしても、他の参加者が身を隠し得る場所を消し去ったことで今後の索敵の手間を省ける意義があるだろうと、そんな程度に考えての行動だった。 やがて視界を隠していた白い蒸気が晴れ――黒焦げ、またはガラス質化した荒れ果てた大地の姿が明らかとなる。 そこに生きる者の気配が見受けられないと悟って、ようやくオメガモンは視線を逸した。 「……メカノリモン、ではなかったようだな」 ふと漏れたのは、結局それだけしかいなかったのだろう参加者二人の、搭乗していた兵器への感想。 雨の降る中で天気を口にするような、大した意味を持たないただの事実確認。 あれには人間が乗り込んでいたが、乗り物型のデジモンのメカノリモンではなかったということは同じデジモンであるオメガモンには感覚的に理解できる。 最も――所詮人間の有する物理的な兵器程度では、自らの脅威にはなり得なかったようだが。 そんな人間の、悲鳴のような訴えを思い出したわけでもなしに――オメガモンは、悠然と天を振り仰いだ。 自らをこんな場所に放り込んだ堕天使に対し、首を洗って待っていろと無言で告げながら。 首輪を外してすぐのこと。オメガモンは制裁のためにバグラモンが自らの前に現れなかったことから、まずは会場からの脱出を試みた。 ゾーンを四方から囲む次元の壁がどこまで続いているのか、上空から脱出はできないのか、はたまた本当に破壊できないのか。 それらを確認した結果、業腹だが現時点では困難であるという結論を得た。 知覚せぬ間にこんな場所に拉致されていたという屈辱を注ぐため、一刻も早くバグラモン達を打倒したかったところであるが、それは一旦後回しにせざるを得ない。 そう認めたオメガモンは、改めて他の参加者と接触できるところにまで降下し、早々に二人を葬ったわけだが……それは決して、殺し合いの主催者に屈したというわけではない。 ――ロイヤルナイツが、ゲームの駒になどなるものか。 「イグドラシルの決定は絶対だ。バグラモン、貴様らの介入などでは些かも揺るがん」 オメガモンの胸にあったのは、デジタルワールド最高神に仕える、聖騎士としての矜持。 世界の秩序を守るという使命のために相応しい力と精神を持つとして、神に選ばれたという自負。それがある限り、例え死の危険が付き纏おうとも、屈することなどあり得ない。 バグラモン達が知覚を許さぬまま、任務中であった自身をこんな場所へと放り込んだという事実には、確かに驚愕を禁じ得ないことだ。が、しかし。だからといって不覚を取ったと言うことを恥じはしても、恐怖し、怯えることなどありはしない。 オメガモンの信念も揺ぎはしないからこそ、迂闊と言えようともここで呆気なく死ぬ程度ではどの道ロイヤルナイツの資格もないと考えて、躊躇いなく首輪を外せたのだ。 オメガモンがあるべきは首輪に飼われた参加者などではなく、自らの信じる正義の体現者。 それは即ち主君より与えられし、至上の命の実行者だ。 だがそれは、その他の大多数の参加者にとって、何ら事態の好転を意味しないだろう。 「“プロジェクトアーク”を続行する」 天を睨むのをやめ、地上を見据えたオメガモンは、冷酷なまでに確固たる口ぶりで宣言した。 プロジェクトアーク。それは崩壊の危機に面した世界を救うべく、神が下した非情の決断。 繁栄と進化を繰り返すことによりその容量を肥大化させ続け、遂にはデジタルワールドそのものの容量さえも超えつつある、デジタルモンスターの全消去。 つまりはデジタルワールドに存在する、全ての生命の根絶である。 当初は選ばれたデジモン達を生存させ、新世界へと導く手筈であったが――“神”イグドラシルの用いたデジモン抹消の手段、Xプログラムに対する抗体を獲得したデジモン達によって、新世界さえも汚染されたが故の選択だ。 X抗体の登場により、最早Xプログラムさえ意味を成さぬ以上、プロジェクトアークを実行するのは唯一生存を許されたロイヤルナイツの役目だ。 そして、問題となるのがデジタルワールド内に生息する、デジタル生命体の存在であるなら。 この会場もまたデジタルワールドである以上、現実世界から転送〈デジタイズ〉されて来た参加者達も、生きたデータの塊――即ちデジタル生命体として存在するのなら。 デジモンだけではなく、人間や、もしくはそれ以外の未知なる存在も。その全てが、等しくロイヤルナイツの削除対象だ。 故にオメガモンは殺戮を行う。バグラモンの開いたバトルロワイアルなど関係なく、自らの主君の望みを叶え、救世を成すために。 ここに連れて来られる前と、何ら変わりない。イグドラシルに従い秩序を維持するロイヤルナイツ以外の全参加者と、主催者一味。この殺し合いに関与する、全ての者を殺し尽くす。 それが聖騎士〈ロイヤルナイツ〉オメガモンの行動方針だった。 参加者は僅かに65名――先程バグラモンが始末した二人と、オメガモンが消去した二人を合わせれば61名以下。ロイヤルナイツが直々に粛清するには、余りに少ない人数だ。彼らの逃げ隠れするゾーンが九つあるとはいえ、拍子抜けするような頭数と言える。 彼ら全てを討ち取って、イグドラシルに忠誠を誓うロイヤルナイツだけが会場に残るようになれば、バグラモンも何らかの干渉をして来るだろう。バグラモンの始末は、その時を狙えば良いだけだ。難しく考えるようなことでもない。 ただ、参加者の中にも決して無視できない障害は幾つか設置されている。 その一角が、暗黒の女神リリスモン。X抗体を獲得し、潜在能力の全てを開放した究極体のデジモンさえも鎧袖一触するロイヤルナイツに対抗できる、数少ないデジモンの一体である。 それなら見覚えはなくとも、主催者達からリリスモンと同等の扱いを受けていた他の二体もまた、自分達に匹敵する戦力を有していると見ておくべきだとオメガモンは考える。 だが、この場に連れて来られたロイヤルナイツは、オメガモン一人ではない。 それも、ロイヤルナイツでも最高の防御力を誇るマグナモンと、ロイヤルナイツ最速を誇るアルフォースブイドラモンの二騎。この頼もしき僚友達がいるというなら、ジョーカー達相手に油断はできずとも、彼女らだけならば大した問題とはなり得ないだろう。 だが、参加者に含まれたもう一騎のロイヤルナイツ。問題となり得るのは―― 「――待っていろよ、デュークモン」 口ずさんだのは、かつての友の名。 デュークモン。それはウィルス種のデジモンでありながら、ネットワークセキュリティの最高位であるロイヤルナイツに属する異端の騎士。全ロイヤルナイツでも屈指の実力者であると同時、オメガモンの盟友で――そして異端の名の通り、イグドラシルに背き反逆者となった聖騎士だ。 ここに連れて来られる直前。何故退化しているのかは知らないが、名簿にあったドルモン達にトドメを刺す寸前に駆けつけ、機密事項を漏らすなどして彼らに味方した裏切者。 彼を粛清するのはかつての友である己の役目だと思っていたオメガモンにとって、この会場のどこかにデュークモンがいるということは望外の喜びであった。 何しろバグラモンに不覚を取り、NEWデジタルワールドを留守にした間、デュークモンに好き勝手に動かれる心配も――他のナイツに彼を討ち取られる不安も、なくなったのだから。 デュークモンの最後の頼みを聞き入れ、一度は見逃した異分子〈レジスタンス〉のデジモン達もここにいる。彼らとの因縁もここで纏めて終わらせることもできるのなら、バグラモン達に囚われた己の不甲斐なさを少しは許すことができそうだ。 ただ、急ぐ必要はあるだろう。取るに足らぬ異分子のためにイグドラシルに背いたとは言え、それがデュークモンの信じる正義ならば、彼もまたロイヤルナイツに名を連ねた者としてそれを裏切る真似はすまい。この殺し合いを止めようとして、無用に消耗されたのを討ち取ったのでは名誉に関わる。 そこまで考えてオメガモンは、改めて移動を開始した。 プロジェクトアークの完遂。そして逆賊の粛清。明確な目的を見据え、聖騎士は往く。 自らが奪った命のことなど、瑣末な犠牲と気にも止めず。 全ては、自らの信じる正義のために。 【ヨーコ・リットナー@天元突破グレンラガン 死亡確認】 【キタン・バチカ@天元突破グレンラガン 死亡確認】 残り 60名 【一日目/日中/グリンゾーンE-2】 【オメガモン@DIGITAL MONSTER X-evolution】 [参戦時期]ドルガモン達を見逃した後、デュークモンと戦う直前 [状態]健康 [装備]BRデバイス@オリジナル [道具]基本支給品一式、不明支給品×3(確認済み)、キタンの不明支給品×2(未確認) [思考]基本行動方針:自らの正義に従う。 1:プロジェクトアークの続行。ロイヤルナイツ以外の参加者と主催者を全員消去(デリート)する。 2:マグナモン、アルフォースブイドラモンと合流する。 3:デュークモンは自分の手で粛清する。 [備考] ※首輪を外しました。 ※参戦時期的に成熟期に進化していたはずのドルモンが成長期の名前で名簿に載っていることに気づいていますが、特に意識する必要はないと判断しています。 【全体事項】 ※グリンゾーンのD-1、E-1、F-1、E-2が焦土になりました。 【支給品紹介】 超伝導ライフル@天元突破グレンラガン ヨーコ・リットナーに本人支給。ヨーコの身の丈程もある巨大なライフルであり、ガンメンにも対抗可能な強力な武器。 ヨーコの髪飾り@天元突破グレンラガン ヨーコ・リットナーに本人支給。名前の通り髪飾りだが、実は凶器としても使える隠し武器のため支給品枠を消費してしまった。 ダヤッカイザー@天元突破グレンラガン ヨーコ・リットナーに支給。獣人から強奪した「ホーダイン」を改造した西洋鎧型ガンメン。名の由来は搭乗者であるダヤッカと帝王(カイザー)から。大型カノン砲を装備する後方支援型の機体。カラーリングはブルー。 ヨーコに支給されているが、実はTVシリーズだと彼女が乗り込むのはさらに劇中では七年後のことである。 キングキタン@天元突破グレンラガン キタン・バチカに本人支給。キタン専用ガンメン。獣人から強奪した星型ガンメンで、名前の由来は搭乗者であるキタンと、王(キング)から。各部の突起状のパーツで特徴的な金色の機体での格闘戦を得意とする。 009:使命 投下順 011: GAME START オメガモン ???: GAME START ヨーコ・リットナー GAME OVER GAME START キタン・バチカ GAME OVER
https://w.atwiki.jp/miho7265_eguchi/pages/13.html
→ 此れは ... 終端の王と異世界の騎士達との 壮大な戦いの序曲である…… 世界を喰らう《終端の王》(エンディア) 継ぎ接ぎされた《偉大な可能性》(グランディア) 太陽の《狂詩曲》(ラプソディア) 騎士の名を呼ぶ…… ――忌避すべき終端 ... 王を退ける者 ... 《騎士》(ナイツ)とは即ち刃である 刻を孕む《終端の王》(エンディア) 調整された《偉大な可能性》(グランディア) 生命の《譚詩曲》(バレンディア) 騎士の名を呼ぶ…… 仮初の空に浮かべた追憶の《追走曲》(カノン) 《地平線を渡る旋律》(ものがたり)を口吟むのは誰の唇? ――異世界を繋ぐ鍵 ... 騎士を戴く物 ... 《門》(ゲート)とは即ち駿馬である 歴史を呑む《終端の王》(エンディア) 改竄された《偉大な可能性》(グランディア) 運命の《交響曲》(シンフォニア) 騎士の名を呼ぶ…… 争いの調べで躍る円卓の《円舞曲》(ワルツ) 《支配権の正統性》(ものがたり)を振り翳すのは誰の正義か? 点いて往く灯火を ...消えて逝く灯火を ... 漆黒の《髪》(やみ)が ...緋い《瞳》(ひかり)が ... 黙したまま見送るだけ ... 嗚呼 ... 唯 ...頁をなぞる様に ... 《戯曲》(ドラマ)通りに《役者》(ドール)は踊り ... 残酷な幻想の美しい棘が ... 仄甘い《陶酔》(ゆめ)を魅せ ... 残酷な幻想の華やかな毒が ... 仄昏い奈落へと《観客》(きみ)を誘う ... 願ったこと全てが叶う世界ではない → だからこそ →少年は大きく翔たくだろう ... 嗚呼 ... 希望も絶望も両手で抱きしめて → それでこそ →少年は大きく翔たくだろう ... 『嗚呼 ... どんなに強い向かい風であれ決意という 翼を折ることは出来ない!』 『どんなに強い風でも其の 翼を折ることは出来ない! 』 無限に繰り返す痛みは輪廻の《輪舞曲》(ロンド) 《世界が失った可能性》(ものがたり)を取り戻すのは 誰の剣か? 今 ... ハジマリの空に浮かべた追悼の《追走曲》(カノン) 《第五の地平線の旋律》(ものがたり)を口吟むのは 《少年》(かれ)の唇……