約 1,225,031 件
https://w.atwiki.jp/mangaaa/pages/1365.html
528 名前:河豚 ◆8VRySYATiY [sage] 投稿日:2006/03/24(金) 00 43 16 ID lDENH5pE ティータ (英雄伝説6 空の軌跡) __/ i i / i i // i i / / _====ヾ i i /===== / / // リ i i i i \\ 「 / ii / i い l l // \i √ii / ノjjjjjjjjj l l .// √ヽ \ / /jjjjjjjjjjjl l l //\ / l\i,_,____ ソノ゙/ i \ヽ丶 // i ./ \__________/ノ l i ii 丶. ー-―=" /\ i l l / i l i i l i i i \_____/\/ i . !` l l l ;;;;,,,--=l i i=;;l l i i i i i k l \ l i . l; l l、 l . !i l i l l i i i i i k l \ i \ \l i li . l l l i i i i i ! i k l l li i i l| i ,,,,,,,,,,,,, i ii ,,,l i i l ll . l ! l、 .〃″ `ヾ ,,,,..,,,,, i i /.l / l ぃ! l 〃 ゙゙゙ゞ,, !ノ ;;;;;/ .! l. "/// ,, ./ i lヽ l l. v //// i l 丿 . i 八 ._________ ./ i l \ . ./ \ yr  ̄ヽ ./ i l= \ . i ノ \ .ゝ、 ,, ゜ イ i l = /. \ \ ` " / l i l i `ヽ ヽ \l ヽ、 .. / l i l \ ヽj.\ l. ヽ- ´ i i l == / \..\ i ,,/__,,,,,,,.../ ̄i / l= / ア j===\\ i/ー――― / / l ヘ /⌒)/ ==∥___// _ / / / i 533 名前:黒澤怜 ◆NiaVD3lwrE [sage] 投稿日:2006/03/24(金) 02 25 25 ID e3QmHL5h / //! \ / r , ===、ヽ | ! |r ―‐-、 \ / ! ! // / /ー f |´⌒ 、\ 丶 ヽ/{!\` ー‐ ,ィニrヽヽ // / ,/ ヽ r "´ ゝニ,ィ " メ `ヾヽ`ー _/ヾ ト / /// / _/j / !! |! `、ー \/\ ! l l∧.l ! l ´ l! `!| ヾ! ィ - 、ヽ \ノイ ゞ、|ヾ- _ー ` ヾ`ゝ,_ j!`l ! /!/ ( !`! ´ ⌒` , = 、`",,/、/j | イ! |│ , ,, //!ィトン~ / ∧イ! ト r ―- //! j | | r!/ /! l ヽ.\ ヽ _ ノ /| ! | ヾ\ /ト ! ! ゝ\r\_! 、 __ ,.. ´ ││==__=_ノ . /rj , - > ソ_/\| _/ ==== _ノ! ├ ヽ\ l / ヽr ヽr‐、_r _,ー_ 、ー...、二二r´ _,ノ ト、\ | !` / 〃 /_r-、γrヾ\ `f( r= ≡ヽ、 ,∧ \.ヽ Y / ノト!`f巛(!ト〔◎ Y ! _ //っノ-‐ \\_j// ! l ヽ´|│!rーイゝメ≡r ´ ⌒ヾjー 、 ゝ二 | ! メr!ヽヽGヽ\! / _ヽ_ , ! ト、 ー--r!-r!ノヾヽ. rf_ト, 530 名前:河豚 ◆8VRySYATiY [sage] 投稿日:2006/03/24(金) 00 46 33 ID lDENH5pE ノ /  ̄ ̄ ̄\\ ---/ // /=、、 / // / \\_____ i i r""" ヽ,\ .. /i \ ヽ ヽ_ノ つ ヽヽ --i 丶 \ i \_ / i/i i ぼ ぎ | | i i i i \ _ \__ ,// l l け /⌒ヾ / / \____/ ( ノノ て / ゛iミ i i ν _ i / "") ./ヽ、 i i ヽ、 - / l ヽ() / \ / ,,ir ソ. i y_ == -- /i i iノノヽ \\ t__ソ 丿 r / / . ̄ ___ // .//i i i \\_ ,.._ 〃 " ./ナ / /-//-//ノ i / ヽ と_ クr " t ̄ / il . / ̄ ̄ \__ / \__ li __/ / /  ̄ ̄ \ \______// = / 、 / / i\___ _/ / 丶,,/ / / \____/ / / / i ./ い /"=--___ _ ___/ 339 名前:(´∀`(゚∀゚(゚∀゚ ) ◆3bakaHG3X2 [sage] 投稿日:2005/12/09(金) 17 50 26 ID /wEA0dwb /l _ ._ ._ __ _ _ | l /丶 |ヽ | |_ | /丶 / ̄` |_ |_ | |_ |_ /丶 | 丶 ヽ._,. --、) | l / ̄ヽ | ヽ| |_ |_ / ̄ヽ ヽ__,ノ゙ |_ |_ |_ | |_ / ̄ヽ |_ノ ./´  ̄ハ ̄`、,.-、 /\l───────────────────────────────-{ / /ハ リゝ∧ヽ\── | ○ || .... . . . . . . . . . . . . . . . .i/|/// //|i | |ト、_ヾ!iV |\\ \. . . . . . . . . . . . . . . . .ヽヽェァ, ィj| !|l l.ノヽ. . | . o || ................................................ |/l!i |_lリ廾、 レ ゝ、ト、| l ヽ ヽ、ノ............................................/l ! 、ワ,イlノ |lノゝ{彡ヽ \/l .. ヽ人ゝ|{ ㌫ {㍊j|;|. | ヘ | \ { .!_「|==「l/ - 、 ヽノ ) | l ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... .. .. ../l!i゙| / | j /|~ ,.. ... ... ... ... ... ... ... ... ../ /.ノ { / ,ヽ |二l \l .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. ../イi!i!ヽ. ヽ ̄ノ ,イlノi- - ´ .| |-ー./¨二ヽ .. .. .. .. .. .. .. .. ./ /|/∨| /| /|l⌒l. | || . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. ./ {!l|!il!i|l` .、`_/ |//;ノ___l| | . .〈/´./ ,ヽ . . . . . . . . . . . ゙/ {. `/\ .| /l . . . . . . . . . . . . . . . . /{ .{!l|!|l!ili!!;;=--=「゚//=-、ii| |ii!ノ .〈ヽ/ /´/}、 . . . . . /\/ヽ=-=ニ二/ . . .\__.ノ | l . . . . . . . . . . . . ヽ . _!}i|!i| ̄|三ニ/.//, -ー ̄,イ`, . `-ゝ´_,./ヽ . . . /\/ ./ l | l | . . . . . /\l / //∠| |// / \ | /\ / / }二因二ニ{ | ○ ||────────────────────────────-./ /-/7/7 \ \ ̄\── | . o || ア ネ ラ ス ・ エ ル フ ィ ー ド (18) / ̄¨7 / / ./ /_. \ \ \/l lヽ-,"./ /| | /__ }\ | | \{ {ミ) |./ |ヽ.| ./ 二ニニノ \| \ シェラザードの後輩で、剣の道を志す若き女性遊撃士。 . ./ \ノ. | `/ ̄ ̄ヽ/ ,.. | 向上心は強いがさっぱりとした性格で、細かいことにこだわら.. // ./ \ |__/ /| ̄ヽl / ない。正遊撃士になって日が浅く、実戦経験が足りないこと // ./. | { /} | l | | を自覚しており、エステルの活躍を目にして「自分も頑張らな.// ./ | \. ノ//= "| /\ きゃ」とやる気を出している。かわいいものに目が無く、仕事// ./ | `| ´ ̄ヽ_ノ | > | の合間にファンシーショップめぐりをしているらしい。. // ./ | { | < | // ./ |. ヽ | _ | ┌─────────┐ ┌─────────┐// / l====-丶 | 因 | | ノ彡三ニミヽ、゙\\\|. .|三三三三三三三三ニニ |// / |二二二| \/ .|// `/ /\\|. .|三三三三三三三三ニニ |/ / 〉___ノ | ||l!il ノ⌒ヽ // \|. .|三三三三三三ri゚三ソl三 | / | .//} /\. | i!| |i!i || ソ /ヽ |l|!li!!| |. .|三三三三三三三三!/゙!| {´/ ヽ| | ○ | |-=oノ△} -=ヽ/ ノノノ゙ノ |. .|ノハ)) アネラス |// | ノニ=- } | . o | | ヾヽ /∧ 三二=-”¨´ |. .|^ー^ノ::::::::|/゙ | / ̄ ̄ヽ{ \/. ゙└─────────┘ └─────────┘ (二ニ=-. ノ アネラス・エルフィード(空の軌跡SC)
https://w.atwiki.jp/basyo/pages/113.html
6-2-b 終わりの刻 6-2-b 終わりの刻マップ内での入手アイテム 敵の情報 ボス攻略終わりの刻 はじまりの丘 攻撃パターン マップ内での入手アイテム アイテム名 個数 薬 3 秘薬 4 敵の情報 忍者×3 一定条件下で出現 ボス攻略 さあ、いよいよ最終戦です。 ロケーション名は変わってますが、黒蜥蜴城と同じ場所です 大鎧戦で消耗している場合は四方の回復アイテムの回収に向かいましょう。 大鎧戦で全て取り尽くしていたとしても、復活してますので安心してください。 またクリア後にセーブが出来ますが、 コチラを参考の上、よく考えた上でセーブをしてください。 終わりの刻 ラスボスです。 妹のような存在が巻き添え食らったのに、 「紅、お前も来い」とは随分ナメてます。 ボス自体はさほど強くはないのですが、 増援の忍者トリオがものすごくウザイです。 戦闘が始まると、 まずはラスボスが宙に浮きますので、ロックオンしつつ様子見。 このとき、武器は分銅に切り替えてください。 「風!」と言って、白い風を纏ったらラスボスに近づいてください。 といっても近寄りすぎないように、遠距離攻撃が入る中距離を保ちます。 相手をロックオンしつつ、ラスボスと少しだけ距離を置いてグルグル回って様子を見ます。 なお、ロックオン走り中の攻撃だと避けつつ攻撃できますので、ロックオンしつつ常にぐるぐる回ります。 風が来たらタイミングよく□を押せば避けつつ攻撃できるはずです。 「ほぉっ!」というと風攻撃をしてきますので、 スティックを入れながら分銅の遠距離攻撃を頭に巻きつける。 この時の分銅は、瞬刻同様、ボスの頭にヒットした瞬間に攻撃ボタンを押してください。 なお、ラスボスが攻撃中でないと分銅は当たりませんので注意。 うまくいくと巻きつくので、□連打で引きずり落とす。 落ちたラスボスを近距離攻撃で斬り刻む。 ちなみに、この時のやられ判定は、 最初の攻撃ヒットから一定時間しか残らないため、刃のノーロック4連がお勧め。 蛇使いとは違い、神速を使おうが連撃止め→連撃はできないので注意。 一応、分銅一段止め→分銅4連は可能ですが、減りません・・・。 また、ノーロック4連を当てる際は一発目が当たったらロックオンをするのがお勧めです。 ロックオンしないと時々あさっての方向に攻撃してしまいますので・・・ 面倒なら少々ダメージは下がりますが、ロックオン3連でOKです。 攻撃をヒットさせるとまた空中に浮かびますので、ロックオンして様子見です。 ある程度減らすとイベント。 ラスボスが苦しみ始め、忍者3匹が登場します。 この状態のラスボスは、神速の発動中でないとダメージが入りません。 ここまでにゲージが溜まっている場合は、 さっさと神速を発動して、ラスボスを引きずり落とし攻撃を与える。 この状態の空中にいるラスボスに対しては、とにかく神速中に攻撃を与えれば落ちます。 刃の遠距離攻撃やジャンプ攻撃辺りがお勧めです。 ゲージが溜まっていない場合は、 一旦、ラスボスから離れて忍者を始末して忍術ゲージを貯める。 忍者の始末は、複数いる+ラスボスの攻撃で結構厄介です。 忍者は、初級だと刃の遠距離攻撃を頭にブチ当てれば1発で倒せるはずです。 落ち着いて処理してください。 難易度が低い場合なら刃のノ-ロック4連を適当に、 難易度が高いなら分銅のノーロック5連で攻撃しましょう。 忍者を始末次第、ラスボスの元へ向かい神速忍術を使います。 ちなみに、 纏っている氷塊を飛ばしている間~次の嵐を発動するまでの間は、やられ判定がありませんので注意。 ラスボスの周りに物が飛んでいる時に神速を発動してください。 正気に戻ると最初の風飛ばし動作に戻ります。 ある程度減らすと、また苦しみますので神速発動して落とす。 この、 【風を避けつつ分銅で落とす】→【攻撃】→【ある程度減らすと苦しみだす】 →【忍者を倒しゲージを溜め、神速を発動する】→【引きずり落として攻撃する】 ・・・を繰り返します。 ここまでにちゃんとダメージを食らわせていれば、3回目のもがきを停止させれば戦闘終了となります。 難易度初級だと、こっちのダメージが高すぎて、 スムーズに行き過ぎると最後の暴走止めを2連続で止めなくてはならなくなりますので注意。 一度引きずり落として、ラスボスに攻撃判定がないときは、 急いで離れて忍者を撃破し、再度ラスボスを落としてください。 攻撃パターンはコチラ はじまりの丘 久しぶりに赤いおべべに戻ります。 目的は、 目の前のラスボスを付近の桜の木の低い枝に分銅で吊り下げればクリアです。 注意したいのは、ラスボスの周囲には広範囲にバリアが張っており、 うかつに近づけばバリアの餌食となります。 分銅を装備し、 構える距離(遠距離攻撃有効範囲)になったらラスボスの頭めがけて分銅を放ちます。 この時は、瞬刻ではなくて、ただ頭に向かって放つだけでOKです。 撒きついたら、そのまま走って目の前の枝をジャンプで飛び越えましょう。 なお、ジャンプ力は高くなってますので、下手に引き付けなくていいです。 むしろジャンプは早めです。 うまく枝を経由して吊ることができればクリア お疲れ様でした! これで紅忍は終了です! クリア特典?周回プレイの引継ぎ? い っ さ い ご ざ い ま せ ん 引継ぎは出来ないことはないのですが、 スタートはラスボス戦一歩手前からと、「なんやねんそれー!」な引継ぎです。 攻撃パターン 開始時から使用 風 風のバリアを纏う。基本的に紅が近づきすぎると逃げる。ラスボスの攻撃時以外は無敵。 烈風(開放型) 放射状に風の柱を飛ばしてくる。隙間があるので避けやすいのだが、スピードが速い。なお、ラスボスのHPが減るごとに飛ばす風の数も増え、避けにくくなる。 烈風(集中型) 1方向にカーテンのようにして飛ばしてくる。ダッシュで避けつつ攻撃しましょう。コレも後半になるにつれ、紅の進行方向から飛んでくることがあります。 暴走 ムービー後に使ってくる。氷の塊のようなものを飛ばしながら悶える。台風のようにラスボス付近には攻撃判定がない模様。神速を発動しない限りはラスボスに攻撃が当たらないので注意。暴走時に紅の忍術ゲージが満タンではない場合、忍者が3組登場する 氷塊飛ばし 暴走状態のラスボスを放っておくと、一定時間後に纏っていた氷塊(?)を飛ばしてくる。攻撃範囲はステージ全体なので逃げようがありません。どこに居ようが食らうので注意。 6-2-a 黒蜥蜴城 紅忍攻略表紙へ戻る
https://w.atwiki.jp/tensyokukue/pages/17.html
最終戦 ブラフマーx1と取り巻き 名前 LV 属性 HP SP STR CON INT WIS AGI 備考 ブラフマー 200 火 60000 13000 580 480 380 300 600 (SPD1400) 神鳥カルーダ 103 風 16800 1004 56 52 65 60 76 (SPD) ガネーシャ 105 水 15000 996 69 75 57 59 55 (SPD) グリュプス 102 土 13500 868 71 63 47 51 74 (SPD) スフィンクス 155 土 27600 9000 140 60 100 105 60 (SPD356) アヌビス 150 水 27800 9500 110 60 110 110 60 (SPD348) サソリの王 150 火 27850 9000 120 60 115 110 60 (SPD348) 竜神 180 風 58000 12000 550 400 350 295 590 (SPD1460) 蒼地の闘神 170 土 29500 8500 125 80 100 125 80 (SPD410) 雪天の闘神 175 水 29000 8000 110 80 125 130 80 (SPD418) 狂暴の闘神 170 火 29500 8500 125 80 100 125 80 (SPD410) 爆風の闘神 175 風 29000 8000 120 80 100 125 100 (SPD547) 隠れ竜 160 土 25600 8500 140 60 90 120 70 (SPD382) 應竜 165 水 25650 8000 120 60 105 140 70 (SPD390) 亜竜 160 火 25600 8500 115 60 100 135 70 (SPD382) 天竜 160 風 25650 8000 120 60 105 130 80 (SPD480) 配置と増援内容 グリュ→スフィ→竜→闘神 ブラ ガネ→竜 闘神 カル→竜→闘神 アヌ→闘神 サソリ→竜→天竜 取り巻き、増援は闘神全種、竜神、アヌビス、サソリの王、スフィンクス、亜竜、應竜、天竜、隠れ竜、カルーダ、ガネーシャ、グリュプス。 カルーダ、ガネーシャ、アヌビス、グリュプスの4体は先行可能。 最初にブラフマーの取り巻きとして出てくるのは水闘神、アヌビス、蠍王、グリュプス、神鳥カルーダ、ガネーシャのみで、宝箱のスヴィンと同じくらいの強さの奴3体と、100↑通常MOBと大差ない火力の奴が3体なので、最初にブラフマーさえどうにかできれば活路が見えてくる。なおブラフマー以外にはフリードの攻撃が結構、普通に当たる。 =攻撃レパートリー= ○ブラフマー 火LV200熱火呪、真コメット(6体)、単体スキル?を使うほか、 ○雪天の闘神 水LV175 水属性単体攻撃魔法使用。 ○アヌビス 水LV150 インキュバス、単体回復魔法使用 蒼地の闘神 土LV170 大地の鏡使用 ○グリュプス 土LV102 単体攻撃魔法使用 スフィンクス 土LV155 大地の鏡、石化使用 雑竜 水LV165 ○ガネーシャ 水LV105 物理スキル使用 天竜 風LV165 捕縛使用 ○神鳥カルーダ 風LV103 単体攻撃魔法、麻痺使用 亜竜 火LV160 狂暴の闘神 火LV170 コンフュ使用 ○蠍王 火LV155 コンフュ使用。 隠れ竜 土LV160 竜神 風LV180 作戦: 倒す順番は、 2→3→4→7→6→5→8 が一般的だそうな。 ここで蠍に芋を使います。 3→6インキュ。攻撃はブラフマーから3→4の順で。 4を集中して狙って5まで倒してしまうと鏡使いが2体沸いてくるので注意。 4を倒したら増援でコンフを使ってくる7を狙う。 5番の増援が鏡使いなので、6から倒し、5、最後に8の順番がよさそう。 もし、7,6の前に5のスフィンクスがでてきたら5優先に切り替えた方が? インキュ狙いで2→3→4→5→6→7→8でも? 臨機応変に(`・ω・´) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4205.html
×××××× わたしにとってショッピングセンターは娯楽施設だった。 近所に友達もいず、貧乏でおもちゃも買ってもらえなかったわたしにとって、 パパとママがおかいものをしてる間に遊べるチルドレンコーナーが唯一の遊び場だった。 だからあの日もわたしは、うきうきしながらショッピングセンターに行った。 ――ねえ、××××。 ――ちょっと長いおかいものを、するから。 ――このスナック菓子を食べていてね。すぐ、戻ってくるから。 あの日パパとママはそう言ってわたしにスナック菓子の袋を渡して、 ――そして、ショッピングセンターの人の波に消えた。 わたしは言いつけはちゃんと守る子だった。 だからわたしはちゃんと待った。 ショッピングセンターの営業時間が終わるまで、涙なんて流さずに待ち続けた。 世界が時に残酷であることを、幼いわたしはまだ知らなかったから。 バカみたいにずっと、スナック菓子を食べながら、待っていた。 夜になって、 ショッピングセンターの人につかまって。 おまわりさんに引き渡されて、いろいろあって施設のひとに引き渡されても、 わたしはスナック菓子の袋を離さなかった。 こうなってまでもまだ、わたしはパパとママを信じていたのだ。 きっと帰ってこれなくなっただけなんだ。 パパとママはわたしのもとに帰ってこなかったのではなく、 あの娯楽施設に吸い込まれてしまって、帰ってこれなくなってしまっただけなんだと。 そう信じてしまうくらいに。 ううん、いまでもたぶん、信じているんだ。 だってあの日のわたしはまだ、あの幼い姿のまま、娯楽施設の中に居て。 パパとママの帰りを、永遠に待ち続けているのだから。 ×××××× 「……ずいぶんと勝手な真似をしてくれましたね」 スナック菓子をひたすらにほおばりながら、私はモニターに向かって言葉を吐く。 「でもまあ、いいでしょう。誰の願いが叶おうと、実験に滞りなし」 電話線を指で弄びながら呟くのは余裕のことばか、それとも、負け惜しみなのか。 ゲームの進行役たる私にもそれはまだ、分からない。すべてが決まるのはこれからだ。 盤に残るは六つの四字熟語。明確なマーダーは残り一人。 しかし複雑に絡み合った約束(ルール)は、ここからさらに局面を二転三転させることだろう。 「さあ、まだまだここから、世界は回る。きっとわたしも退屈しない」 モニターの向こうをゆったりと見つめながら、私はそんなことを思っている。 まるで無我夢中にヒーローアニメの続きを待つ子供のように。私たちは殺し合いを楽しんでいる。 そして――最終戦は、始まった。 37◆最終戦Ⅰ 作戦開始 この娯楽施設からは、何故か徹底的に時間の経過を示すものが排除されている。 空はいつまでも変わらぬ曇天だし、風なんかも弱く、空気の湿度や温度も変わらない。 なにより時計がある場所を探す方が難しいくらいに時計自体が常在しない。 どうして、娯楽施設には時間の経過を知る術がほぼないのか。 かつて施設の作成者を女性ではないかと推察した勇気凛々は少しそれについても考えていたが、 結局その答えは見つからないままだった。 ともかく――紆余曲折、一刀両断、切磋琢磨、優柔不断、勇気凛々の五名は、 その短い放送によってようやく、休憩時間の終わりを知ることとなった。 『準備は済んだか。では、来い――己は中央階段だ』 簡潔に、最終戦の提案者にしてジョーカーたる傍若無人は、決戦の場所だけを告げた。 約束通りの、二回目の臨時放送。最終戦の開始の合図。 こちら側が休憩時間の長さを指定する代わりに、あちらは最終戦の場所を指定する。 そして告げられた場所は、C-1中央階段。 A-1、B-1、そしてB-3、C-3の四ヶ所が禁止エリアに指定された現状において、 ある種の袋小路となっている場所だ。迎え撃つには、うってつけ。 だから傍若無人がその場所を指定してくることを、五人はすでに読んでいた。 「やっぱり中央階段か。ま、あそこに構えとくのが一番戦いやすいよな」 「作戦も最初に決定したやつで大丈夫ですね。他のパターンもありましたが、杞憂でしたか」 一刀両断が憮然とした反応を返し、紆余曲折が続けて胸をなでおろした。 ただし紆余曲折のそれはちら、と横にいる一刀両断のほうを見ながらで、 傍若無人に対してではない。 実は、彼の考えている“作戦”は最終戦の場所が中央階段でなければ不可能なものだった。 それを一刀両断は知らない。ゆえに二人の反応は、同じように見えて少し異なった反応になった。 二人の後ろで切磋琢磨と優柔不断もまた、胸をなでおろす。 こちらは紆余曲折から真の作戦を聴いているので、彼と同じ反応。 そして一刀両断と同じ反応をしたのは、彼女とガールズトークをしていた勇気凛々。 同じく何も知らされていない彼女は、少しバージョンが古い方の作戦の確認をする。 「では予定通り、わたしと優柔不断さんの二人と、紆余さんたち三人。 二グループに分かれて挟撃する作戦――これで行く、ということで良いですか?」 「ん、そーいうことになるな、凛々ちゃん」 「ああ。俺と一刀両断が先に奴と交戦。その間に二人は奴の後ろに回って隙をつく。 奴は対応できるだろう。だがそうしてさらに生まれた隙に、俺がクリーンヒットを、打ち込む」 優柔不断が軽く返し、 がしんとボクシンググローブを撃ち合わせて切磋琢磨が問いに応える。 「決めの一撃は、任せてくれ。凛々ちゃんと戦ってさらに俺は《強くなった》。 そっちは気を引いてくれるだけでいい――“他にはなにもしなくていい”」 本当は優柔不断たちには役目が増えたのだが、それはまだ伏せておく。 まずは新旧どちらの作戦でも、五人は二手に分かれる。 メインで戦闘するのは切磋琢磨。その補佐に一刀両断と紆余曲折。 不意打ちを狙うのは身軽な勇気凛々。その補佐に優柔不断。 「結局、戦力配分とか考えたらこの分け方になってしまったな」 切磋琢磨が呟く。奇遇にも、五人は綺麗に合流前のチームに分かれた形だ。 「ですね。コンバートできるとしたら優柔不断さんと紆余さんですが、わたしたちの移動距離と時間を考えると……」 「目の見えない紆余には少しきついからな。ま、変える必要性も特にないし」 「すいません。僕は正直、この局面では足手まといにしか……。 本来ならここに置いていってもらったほうが、勝率が上がるかもしれないくらいですが」 「そんなこと言うなよ。オレだってせいぜい凛々ちゃんの壁にしかなれんのだぞ」 「まあそうですが」 「ってあれ、否定してくれなかった!」 紆余曲折は少し俯いた。 実際のところ、彼の考えた作戦すべてにおいて彼の出番はない。 目が見えない――自発的に動けないという縛りのある駒は乱戦では役に立たないのだ。 本人に戦闘能力が無く、回避能力しかないならなおさら。 紆余曲折の能力は攻めにはとことん向いていない。 「ですが、やはり僕だけ安全な場所に居るというのは我慢できません。 付いて行かせてください。それで僕が死んだら、僕の責任で構わないですから」 しかし紆余曲折には、それでも決戦の地に行く理由があるのだ。 「――あのな。忘れたのか紆余。お前はあたしが殺させねーよ」 と。少し身体をこわばらせた紆余曲折の肩を、一刀両断がぽんと叩いた。 「リョーコさん」 「元よりお前を1人にさせるとかねえから。傍若無人はジョーカーなんだぜ。 もしかしたらこっちにあたしたち4人を引きつけておいて、 残ってる紆余を会場に潜んでるもう一人のジョーカーで殺すなんて算段かもしれねえだろ。 相手がどんな手を使ってくるのか分かんない以上、あたしのそばに居てもらわねえと困るんだよ」 「……そう、ですね。ありがとう、ございます」 「うーんアツアツですなあ。オレも凛々ちゃんにそばにいてよって言ってほしい」 「おいおい違うぜ優柔不断。これは契約の話だ。個人的感情は、無ぇよ」 「ほんとにー?」 「ああ」 「……ふぅん」 冷やかしの奥で、一瞬優柔不断は言いかける。 ――ほんとにその“契約”はまだあんの?。 でも胸にしまう。今はそれを問いただすべき時ではないからだ。 若干の沈黙。 何も知らない勇気凛々は頭にハテナを浮かべて、その後恐る恐る問うた。 「ええと、それじゃあ、意思確認も終わりましたし。そろそろ動きましょうか?」 「あ、ああ、そうだな」 「作戦通りわたしと優柔不断さんがC-2方面から裏へ。 紆余さんたちは、C-1の入り口からそのまま中央階段へ」 改めて作戦の流れを確認する流れに入る。 紆余チームは正面から突入。 相手が待ち伏せしている可能性を考慮し、紆余曲折を中心にした陣形をとる。 突入タイミングがばれることはないはずだが、 こうすることでもしものとき《迂回》による回避行動がとれるという算段だ。 勇&優チームはC-2方面から回って、中央階段に裏から突入。 切磋琢磨や一刀両断と戦闘している傍若無人に時間差で攻撃を行う。 「手筈どおり、おおよそ三十分後。裏からわたしが飛び出て切りかかります」 「ああ。それまでは持たせる。むしろ、三十分でカタをつけるつもりで行く」 「おいおい、オレらが行くまでにバテられても困るぜ」 「でもタクマさんが手を抜いていたら、向こうには奇襲に対応する余裕が生まれてしまいます。 どちらにせよタクマさんにはフルで全力を出してもらうしかありません」 「なぁに心配いらねーよ。あたしもサポートするし、三十分は必ず持たせる。むしろ問題は奇襲の一瞬だ。 そっちがヘマしたら下手したら全滅。しっかりやれよ、お嬢ちゃんと優男」 「……言われなくとも」 「誓いますよ。わたしたちは――もう、間違えない」 確認を終えると、ハリボテの車でつくったバリケードの線を越え。三人と二人は分かれた。 紆余曲折たちは斜めにC-1へ。勇気凛々と優柔不断はC-2方面へ。 様々な思惑を秘めつつ。粛々と、前を向いて歩き始めた。 ◆◆◆◆ 赤、黒、白、黄、茶、青、緑。 色とりどり、車種は数種類をランダム配置したかのような車の群れ。その中を三人は横切る。 紆余曲折は一刀両断に手を引かれている。ときおり小石を踏みそうになったり、 車にぶつかりそうになったり、そのたびに一刀両断に軌道修正をされながら歩いている。 一刀両断は平常通りといった表情で淡々とそれをしながら、自分は一定のリズムで静かに歩く。 緊張しているのか、会話はない。ただ二人とも真っ直ぐに前を見ている。 「――こうして駐車場の景色を見ていると、老師のことを俺は思い出す」 ただ一人だけ。切磋琢磨は辺りを見回したあと、灰色の空を見上げて呟いた。 「老師……東奔西走のことか。あたしや紆余は、会ってないが」 「ああ。たった小一時間の間だけだったが、確かに老師は俺の師だった」 この実験に連れてこられた人間もとい四字熟語には連れてこられる前の人間関係の記憶がない。 あるいは、肝心な情報が思い出せなくなってしまっている。 だから切磋琢磨が完璧に思い出せて、懐古できる最古の記憶は、バトルロワイアル開始直後。 老師・東奔西走と出会い、手合せし、手ほどきを受けたわずか小一時間の記憶。 「もし――もし、なんてことを少し、考えるんだ。 もし俺が最初に老師に出会わなかったらどうなってたか。 老師に出会い、強さの意味を知って。正しく自分を律せなかったら、どうなってたか。 最初の俺は幽鬼のように強者との戦いを求めていた。いや、とにかく戦いを求めていた。 だからもし、最初に傍若無人や一刀両断に会ってたら返り討ちにされていただろうし、 もし最初に凛々ちゃんや紆余に出会ってたら、殺してしまっていたかもしれない」 可能性の話をすればキリなどない。 だが、戦うたびに強くなる彼にとっては特に、最初に戦ったのが誰なのかは重要となっただろう。 もしもう一度、どこかで同じようなバトルロワイアルに参加させられたとして、 今回のような自分になれるかどうかは分からないのだ。 「そう考えると、なんつーか……数奇なもんだって、思うんだよな。 俺がここにいるのはいろんな偶然が重なった結果で。いろんなものに、感謝しなきゃってさ」 「はっ。数奇ってんなら、こんなふざけた実験に参加させられた時点で天文学的数奇だぜ」 しんみりとしかけた切磋琢磨を鼻で笑い、一刀両断は軽めに突っかかった。 「考えんな、そんなの。人生にもしもなんてねーんだよ。自分で見て、考えて、選んだものだけが全てだ。 最終的にどんな結果が訪れようと、やりなおしなんて利かねえんだから。思うだけ無駄」 「それは……そうだが」 「過去を振り返るのを悪いこととは言わねーけどな。 今からあたしたちは、未来を作りに行くんだぜ。もっと前向けよ、タクマ」 「む」 「前には何がある?」 促されて前を向く。 そこには、六枚続きのガラス――中央の二枚が左右にスライドするタイプの自動ドア式入口。 C-1エリアへの、入口が存在していた。 「入口――そうか。そうだな。大切なのは、今から何をするか、だ……」 「タクマさん、ドアを抜けたら僕を前衛に。僕が風避けになります」 「お、おう。了解だ」 「道が開いたら中央階段まで真っ直ぐ進みます。二人はついてくる形でお願いします。では、リョーコさん」 「ああ。任せろ、すぐ“開ける”」 三人はC-1へと入り込んでいく。 まずは慎重に、《一刀両断》のルール能力で道を開くところからだ。 「自動ドアが開く音で気取られたら、突撃の意味がねぇからな」 六枚続きのガラスの右端一枚を枠に沿って綺麗に《一刀両断》。 そっと押すと、静かにガラス板は倒れていく。 切磋琢磨がそれをひょいと横から掴み、割れるのを防ぐ。 床にそっと下ろすと三人は施設内へ。 包帯を顔に巻いた紆余曲折がここで前に出る。不意打ちへの対抗策。 ……中に入ってしまえば、中央階段まではすでにおよそ二十メートルとなっている。 後ろの二人はすたすたと歩きはじめた紆余曲折越しに、そこに罠が仕掛けられていないか、 注意深く観察した。――無し。どころか、むしろ、威風堂々としたものだった。 中央階段のさらに中央。 ソファー地のベンチを移動させてきて。 そのベンチに、男が座っている。軍服めいた服を着た、大柄の男。 傍若無人だ。 二人はごくりと唾を呑み、日本刀に、ボクシンググローブに、力を込める。 一歩。また一歩。 中央階段に近づきながら相手の出方を伺う。 ソファーに座る大男のシルエットは帽子を目深に被って俯いている。 両手をソファーの背もたれにひっかけて脱力体勢。片手にやわらかく手斧を握っている。 まるでかかってこいとでも言っているかのような、挑発体勢だった。 小声で一刀両断が切磋琢磨に告げる。――いっせーの、の「の」で行くぞ。 ――ああ。切磋琢磨は答え、中央階段のある広間に差し掛かる二歩ほど前で構えをとった。 「いっせー……」「……二の型」 バネ仕掛けのように力をため、弾くように躍りかかる準備をする。 最小限の動き、最適切な動きで、 狙いを定めた、 その頭上。 中央階段二階から、獲物を牙の圏内に収めた獣の吐息が漏れたのを、 聞くものはおそらく三人の中にはいなかったのだろう。 「「の」!」「“突進”!」 刀は居合、拳は直線で、中央の「それ」に飛びかかった二人は、 ず……と。 まるで太陽を雲が隠すかの如く、自分たちの頭上を黒い影が通過した感覚を得た。 一体何だ? 思う間もなく彼らの初撃は中央の「それ」に吸い込まれる。 胴に地響き。拳のインパクト。 首を狙った極めて鋭い横薙ぎ。 反撃を想定していたこれらはあっさりと、抵抗一切なく「それ」に受け入れられ、 首は飛び、胴体はひしゃげた。――プラスチックと腐肉の感触。 「「!!」」 気付いた二人は「それ」が何だったのかを確認する前に先の影の方へ振り返る。 そこにはまさに今、二階から中央階段広間へと飛び降りてきた、大男の姿があった。 大男は嗤った。 黒いTシャツとGパン、腰にポシェット的な巻き鞄という軽装な出で立ちに着替え、 帽子も脱いで茶の短髪をあらわにした、軍人風の意匠を一切捨てたその姿で。 二人を軽く、嘲笑った。 ……切磋琢磨の視界の隅。 衣装売り場のマネキンの首と軍帽とカツラが合わさったものが映る。 そう、忘れていた。 忘れていたのだ。ここはショッピングセンター。 首の代わりも、それに被せる髪も、簡単に手に入れることが可能で。 例えば洒々落々の胴体に厚着をさせた上でマネキンの首を刺して自らの服を着せ、 トレードマークの軍帽を被せてしまえば、この世で最も単純かつ有効なトラップは完成する。 人形を使ったオトリの罠だ。 二階から一階を注視し――こちらの奇襲に返す刀で襲撃できるよう、準備していたのだ! 「……己が四時間の間、指を咥えて待っているだけだと思ったか。 己が四時間の間、傲慢に胡坐をかいて椅子に座りこむと思っていたか。 この最終戦を、己が勝算無しに、自暴自棄に開催したと――そう思ったのか? もし一塵でもそう思っていたのなら。願ってしまっていたのなら。その甘さを恥じるべきだ」 「紆余!! 逃げ、」 「リョーコさん!? なにが起きてるんですか? なんで僕の目の前に――?」 「己はモノどもに対し、慢心も油断もない。まずは“一つ”」 眼前に敵の存在を感じ取ったのか、狼狽する紆余曲折。 そのか細い体をへし折ろうと傍若無人が歩みよる。一刀両断が叫びながら駆ける。 だめだ間に合わない――いや、間に合う、 まだ、辛うじて間に合うはずだ。 自らも駆け出し始めながら、熱くなった血が冷えた頭で、半ば傍観的に切磋琢磨は分析した。 紆余曲折には攻撃を《迂回させる》ルール能力が備わっている。 たった4秒。されど4秒。 それだけあれば二人で攻撃の間に割り込み、紆余を救うことは可能だ! とん。 しかしそんな切磋琢磨の予測をせせら笑うかのように、 傍若無人の拳が、紆余曲折の腹部に“密着”した。 「……な」 「え」 「“ゼロ距離から攻撃を始めれば”、《迂回》などできまい?」 ――傍若無人は言っていた。 開始時点で自分には、参加者の簡単なルール能力が全て分かっていたと。 つまり、どの四字熟語に対しどうすれば有効打を与えることができるか。 その思考に費やせる時間は他の誰より長かったということだ。 押す。 全身の力の流動を拳の先の一点に集めて、傍若無人はゼロ距離から紆余曲折を押す。 押すまでの動作は攻撃ではない。 銃口をこめかみに当てるまでの動作を攻撃とは呼ばない。 だから、押し付けられたその場所から放たれたゼロ距離のインパクトは、 《迂回》させる余地のない衝撃は、紆余曲折の体に突き刺さった。 「がっ、、!!?」 「紆余!!」 衝撃により感じる痛覚がオートで《迂回》されても、ダメージを喰らった事実は消せない。 紆余曲折はふわりと浮きあがって数mほど空中を横に移動する。 2秒ほどで状況を把握する。 どうやら奇襲を受けたのは自分だったと。 知った紆余曲折は、無理矢理に――とっさの拡大解釈で、 不可避な床への激突を《ダメージを受ける=攻撃である》として《迂回》させようと試みる。 だがせいぜい空中で体を捻るのが限界だ。 ゆっくりと、しかし確実に紆余曲折は床へと近づく。 その途中で《迂回》させていた痛みもフィードバックしてくる。せめて受け身は取れないか。 無理だった。肺と腹部に突き刺さるような痛み。気づけば口から血を吐いている。 とてもまともな体捌きができるような、状態では、ない。 「紆余ッ!!!」 紆余曲折は一刀両断の声を聴いた。すぐ近くで泣きそうな声でこちらに向かってきている。 ああそうかと紆余曲折は合点した。 あれだけ守ると言っておいて、いきなり傍若無人による攻撃を許してしまったのだから、 申し訳ない気持ちでいっぱいなのだろうと推察できた。 でもそれで周りが見えなくなってしまってはダメだった。 まっすぐこちらに駆け寄る一刀両断の横に、二撃目の拳を振りかざす傍若無人の姿があることは、 例え見えずともはっきりと、ありありと想像できるというのに。 風切る音。 「そしてこれで“二つ目”」 ヒトの骨が、きしむ音。 ……次いで蛙の鳴き声にも似た、断末の吐息。 サイドから。 今度は大きく拳を振りかぶってのクリーンヒットだった。 一刀両断は防御態勢すら取れずにむなしく吹き飛ばされる。 紆余曲折が床にぶつかり、ごろごろと転がって階段の下あたりで止まった。 その近くへ狙ったかのように一刀両断が飛ばされてきて、 階段の手すりに腰を打ち付けて、ぐるんと回転して頭から落ちた。 最終戦、開始からわずか一分。 力を失った一刀両断の右手から日本刀がカランと落下したのを、切磋琢磨は呆然と見つめる。 「なんだこれは」 「現実だ」 思わずつぶやいた言葉に傍若無人が残酷な回答を返した。 そう。紛れもなく今、目の前で行われたことは、圧倒的な現実だった。 予想はしていた。事前に立てている作戦や計画など通用しないかもしれないと。 予測はしていた。でも実際にそうなってしまうのが、あまりにも、早すぎた。 いきなり一刀両断と紆余曲折が瀕死。 つまり――勇気凛々と優柔不断が奇襲をしかける三十分後まで、 切磋琢磨は“彼らにとどめを刺されないようにしながら”、傍若無人と戦い続けなければならない。 「群れるモノどもに対し、もっとも有効な戦い方を己は知っている。 さあ、どうする“三つ目”。後ろの二人を見捨てる気でかからねば、己は倒せぬぞ?」 参加者たちにとっての枷である首輪を狩り続けた男は、そう皮肉りながら中央へ歩んだ。 切磋琢磨は歯噛みすることしかできない。 後ろに二人がいなければそれを阻害することができるが、守る立場となった今ではそれは不可能となった。 傍若無人は悠然とした態度で、中央の木偶に握らせていた手斧を再び手に取る。 そして手斧を切磋琢磨に向けるようにして構えた。熟練した構えだった。 熟練。 この実験で初めて殺し合いをしている切磋琢磨たちに対し、 傍若無人の持っている最大のアドバンテージが、その二文字だ。 「さて――モノどもはここには三つしか来ていない。つまり二つは時間差奇襲。 小賢しいな。何分。あるいは何十分持たせる気だったかは知らないが……。 残りが来る前に先陣が全滅してしまっては何の意味もない作戦を、よく己の前で取ったものだ」 「……全滅はしない。俺がいる。 二人が来るまで、全力で俺がお前を止め続ける」 「虚勢、ではないな。切磋琢磨の四字熟語。相当《強化》してきたと見る。 確かにこれだけの策を弄してもなお、“進化する化けモノ”であるそれと己とには差があるだろう。 だからもう一つ。そちらにとっての状況を悪化させてみよう。これが見えるか?」 と。一旦構えを解いて、 傍若無人は腰に巻いていた横付け鞄から、紐で吊り下げた円形の機械を取り出した。 「それは……なんだ?」 「知らないか。成程、あの三つとモノどもには直接の接点がないようだ。 己もそうだがな――この機械。B-1で死んでいた三つの、傍にあったデイパックの中に入っていたものだ。 発見時はどこかに落としたのか、一部が破損していて使える状態ではなかったが、 直してみれば実に良い装置だったぞ。この局面では、さらにな……見ろ」 切磋琢磨に円形の機械の一面を見せるように傾ける。 すると古めかしい液晶画面には、四つの小さな点がちかちかと光っていた。 ひとつ、ひとつ、ふたつの順に上から下にほぼ等間隔。 その位置関係とぴったり合致するものが何なのか、切磋琢磨はすぐに察した。 あれは――参加者の現在位置を表示するレーダーだ! 「対象範囲は現在いるエリアのみだ。 だが、これがあればこのエリアに居る参加者の位置は分かる。やってくるタイミングも、方向も」 「!!」 「先陣のモノどもの奇襲を読み、逆奇襲をかけることができたのもこれのおかげだ。 つまり、これがある限り己は同じことが何度でもできる。これを――ここに置いておこう」 傍若無人はレーダーを、自らに偽装した首なし死体の首の上へと置いた。 そして自らはそれを守るようにして切磋琢磨の前に立ちふさがる。 「……なるほどな。二人が来るまでに俺は、“一刀両断と紆余曲折を守りながら」 「このレーダーを壊さなければ、勝機はない”ということだ」 一見、お互いに守るものがあるという対等な条件に見える。 しかし切磋琢磨側からすれば、必ず二人を守りつつ必ずレーダーを壊さなければならないのに対し、 傍若無人のほうはレーダーが破壊されても切磋琢磨を殺せれば良いし、 別に一刀両断や紆余曲折にとどめを刺しに行かなくても問題はない。不平等条約(パラドクスルール)の決戦方式。 「大切なものを守りながら攻めこまなければならないとき、ヒトは最も脆くなる」 呼吸のリズムに隙を作らず、自然体で傍若無人は言い放つ。 「さあ、始めようか。モノどもにとっての最終戦……最期の戦いを」 苦しい状況に追い込まれた切磋琢磨に向かって、斧の先端を振って挑発しながら言い放つ。 言われた切磋琢磨は。 「そうだな」 現状を揶揄した「自分たちの最期の戦い」というフレーズに曖昧に頷いた。 その言葉が自分たちの死を意味しているのだと、気づいているのかどうかも分からない返し方だった。 だって、切磋琢磨にとって、戦闘前の前口上など。戦闘に関係ない会話など。 戦いを飾りたてるデコレーション程度の意味合いしか持たないのだから。 飾りの意図なんか考えている暇は、そろそろなくなってきてしまっていたのだ。 「ややこしいことにはなっちまったけど。要は、俺がお前を、レーダー見る余裕がないくらい追い込めばいいだけだ。 ――結局はシンプルなんだ、戦いってのは。勝つか負けるか、やるかやられるか、生きるか死ぬか。 二択。紆余も俺にはこう言った。『いろいろ作戦はあるけれど、タクマさんは楽しんでください』ってな」 「楽しむ?」 「ああそうだ」 切磋琢磨は試合前に気合をこめるボクサーのように、グローブを合わせた。 ぱしんと気持ちのいい音が響いて、そして彼は前向きに歯を見せて笑った。 目の前の大男はその笑顔が見えているのかいないのか不思議そうに首をかしげる。 ああ。何を不思議に思うのだろう。何を考えることがあるのだろう。 「戦い、それ自体を楽しみながら成長する。それが俺の《切磋琢磨》だ」 どんなに不利な条件だろうと、どんなに計算尽くされた相手の独壇場だろうと、 最初から切磋琢磨に出来ることは全力で戦い尽くすたったそれだけのことでしかないのに。 ならば全力で楽しむだけだというのに。 雑念に囚われて可哀想なことだと彼は思った。 同時にそれが、四字熟語に引きずられて変質した自らの特殊な考え方だということも彼は分かっている。 冷静に自分を見ている。その上で、切磋琢磨は反旗を翻さずに自らに従っている。 なぜなら――その方が強くなれるから。 全力で楽しんだ奴が一番強いのだと、ここまでの戦いで悟ったからだ。 もう言葉は必要なかった。 切磋琢磨は四点流その二の構え「突進」をとって傍若無人に対峙した。 短く息を吐いた。 東奔西走、破顔一笑、一刀両断、青息吐息、先手必勝、そして勇気凛々。 六回の戦闘で六段階《強化》された体躯、筋肉が、さらなる戦いの感覚によろこんだ。 「――――ハァッ!!!」 彼は一歩を、踏み出した。未来への一歩を踏み出した。 空間から戦闘以外の要素を消し去るかのような鋭い正拳突きが、傍若無人に繰り出される! ◆◆◆◆ かくして切磋琢磨は、傍若無人の作り上げた最終戦に臆することなく戦い始めたが――。 背後で床に伏せて苦悶する紆余曲折としては、 大男の作った戦闘状況は好ましいとはいえないパターンのものだった。 優柔不断と勇気凛々の奇襲が知られてしまうというのもそうだが、それよりなにより。 彼が秘している「本当の作戦」の要となるアイテムのことを思うと状況は最悪と言わざるを得ないものだ。 「ちょ――ちょっと、どこいくんですか優柔不断さん!」 「後で説明する! 今はとにかく走ってくれ、凛々ちゃん! 時間がねぇ!」 「時間がないって……じゃあどうして“正反対の方向”なんですか!」 そんな現場のことはつゆしらず。 別働隊たる二名、優柔不断と勇気凛々のユウユウコンビは、 娯楽施設の駐車場B地区……先ほどまで居たB-2エリアを言い争いながら走り抜けているところだった。 一度C-2エリアに行くと思わせて、引き返してきた形となる。 どころか優柔不断は正反対のA-2地区へと向かおうとしているらしい。と知った勇気凛々は、 正気を失った病人を見るかのような目で優柔不断を見ながら叱咤する。 「意味が分かりません! 遊んでるんじゃないんですよ、わたしたちは! これから最終戦で、しっかり作戦立てて、ちゃんとそれ通りに動くって言ったばかりなのに、こんな!」 「だから! これも作戦の内なんだって!」 「ええ……。ああもう、どういうことなんですか!」 優柔不断は勇気凛々の片手をしっかりつかんで走っているため、 勇気凛々はその手を振り払うことも出来ずついていくしかない。 その腕を斬ってでもC-2へ戻りたいくらいだが、《不断》のルール能力により《りんりんソード》が無効なので、 実は勇気凛々は強制的に優柔不断を止めるすべを持っていないのだった。 「だいたい、A-2エリアなんて行って何をするんですか!? 誰もいないし、何も――あっ」 だから言葉で問い詰めるしかないのだが、その過程で勇気凛々はあることを思い出した。 確か話し合いの最中、A-2エリアについて全く言及がなかったわけではないのだ。 紆余曲折や切磋琢磨が戦った先手必勝・青息吐息コンビは、 それ以前にA-2でとある参加者と殺し合ったような発言をしていたらしい。 実際に、走って走って見えてきた該当エリアは、 あれから四時間以上たったにもかかわらず未だ「氷漬け」になったままだった。 車も、エリア表示の看板も、道路まで氷漬け。激しい戦闘の果てでなければこうはならないだろう。 ということはだ。 「A-2にあるはずの、死体?」 「ご名答。さすが凛々ちゃんだぜ。オレらが用があるのは、鏡花水月の死体だ。 死んだ十人のうち、六人は首を飾られちまってる。 飾られてない四人の中で先手必勝、心機一転は禁止エリアに死体があるから触れねえ。 洒々落々は……首がアレだから飾られてなかっただけで、 軽妙洒脱と一望千里が飾られてた以上、たぶんもう、取られちまってると考えるのが自然だ。 消去法で鏡花水月しかない。むしろ鏡花水月のが残ってんのが、奇跡なくらいだ」 「……なんの話か、少し見えてきました。 ですが、それは今じゃないでしょう? 参加者の死体から“それ”を取るのは、 傍若無人を倒してなお脱出方法が分からないときのはずで」 「違う。違うんだ凛々ちゃん。今必要なんだ。 あの大男のルール能力を破るために、オレたちは今から“首輪”を取りに行かなきゃいけないんだよ」 「ルール、能力……?」 いまだよく状況が理解できない勇気凛々はそれでも、前を走る優柔不断の焦りに満ちた顔から、 どうやらこれは「知らされてない、本当の作戦」の一部なのではないかと推測するに至った。 作戦が練り直されたのはガールズトークのときだろう。 あれは始まり方も不自然だったし、確かあれをしているとき、他の三人は何やら話し込んでいたようだった。 そのことは少しハブにされたような気がして頭にきていたものだったが、今なら納得できる。 首輪を、取る。 なんて行為が作戦の要になるのだとすれば、作戦段階で自分は反発すると思われるだろうから。 本番で実行に移す過程で無理やり納得させるしかないと立案者が考えても、不自然ではない。 「よく分かりませんが。分かっているんですよね。 首輪を外すということは、死体の首を斬るということで。 一刀両断さんが先陣側に向かってる現状、それができるのはわたしの《りんりんソード》しかないことは」 「分かってる。凛々ちゃんに辛い役目を負わせちまうことも、分かってる。 それでもオレは――紆余くんの作戦が正しいと思う。傍若無人の虚を突けると思う。 だから凛々ちゃんにも協力してほしい。なんなら《りんりんソード》さえ貸してくれればオレがやるから」 「無理ですよ。わたし以外が持っても重いだけでとても扱えないのが《りんりんソード》です。 《凛の型》じゃ威力が足りないですし。タクマさんならともかく、 もやしな優柔不断さんじゃ小鹿みたいにぷるぷる震えて持ち上げるので精いっぱいです」 「う。って、いやまあそうかもだけどひどい言われようだな!」 「ですから結局、わたしがやるしかないんです。そうですね?」 「……ああ、そうだよ」 「そうですか。じゃあ、やります」 「いやホントやりたくないだろうけど――って、え?」 「やります。それで真実がつかめるのなら、汚れ仕事だろうとやりますよ」 勇気凛々はハブにされたことの意趣返しか、優柔不断が驚くほどあっけなくそれを承諾した。 そしてやるなら急ぎましょうと走り出す。 手を引かれる立場から、手を引く側になるくらいに。 「紆余さんたちも、それに優柔不断さんも。わたしを少し、子ども扱いしすぎです。 “いまさら”、わたしがわたしでありたいという理由で死者に傷をつけるのを拒むと思ったのなら、 わたしが理想のヒーロー像にこだわると思ってたのなら。その拙い考えを恥じてください」 「……別に、そんなことは思ってねぇよ。ただ女の子にやらせるってのが、倫理的にさ」 「倫理ってなんですか? それで人が救えるんですか。 もう。誰かを救うことができるなら、倫理も論理も法律も、わたしは無視してみせます。 それを教えてくれたのは優柔不断さんじゃないですか。 汚れた手でも。誰かを殺した手でも、誰かを救っていいって。そう言ったのは、貴方ですよ」 走りながら首を優柔不断のほうに向けて、勇気凛々は言った。 「わたしはその言葉を信じることにしました。 貴方を信じてもう一度、やってみることにしたんですから。 だから、貴方もわたしを信じてくださいっ。勇気凛々をもっと信頼してくれて、いいんです!」 「り、凛々ちゃん」 優柔不断は驚いた。 そして、今まで自分がどこか、か弱い少女として勇気凛々のことを見ていたことを恥じた。 自分が助けたこの少女は、自分が救ったこの少女は。 物理的にだけじゃなく、精神的にも――自分の言葉が救っていたらしい。 いつのまにやら乗り越えて、強くなっていた、らしい。 「すまなかった」 思わず口から言葉が漏れる。 「すまなかった、凛々ちゃん。なんつーか、それしか言えん」 「分かったならいいです。あと、走りながらその“作戦”とやらを教えてくれればそれで。 それと――なんとなくですけど。一刀両断さんについても、何か隠してないですか?」 「なっ!?」 「だって首輪外したいなら、チーム分けで一刀両断さんとわたしをコンバートしたほうが良いでしょう。 ルール能力的にも、客観的に見て説得の必要が無さそうという意味でも。 それをこの振り分けのままにしたということは、“わたしでなければならない”というより、 “一刀両断さんにはこの作戦は知られたくなかった”と考えるのが自然ですよ」 「すげ……い、意外に勘が鋭いのな凛々ちゃんよ」 「伊達に生徒会長やってた(っぽい)わけじゃないです。たぶん」 えっへん、といった感じの顔をする勇気凛々。 「あ。かわいい」 「……。あのー」 「いやいやすまん! つい! つい本音が漏れた的な! ――ほ、本題に戻るぜ。凛々ちゃんの要求に応える。とりあえず細かい作戦は後にして、 オレたちが一刀両断についてどう扱ってるかってのは、こいつを見ればわかるはずだ」 そう言い、優柔不断は肩にかけた自分のデイパックの口を繋いでないほうの手で開けて、 中に入っているものを勇気凛々に見せつけるようにした。 作戦会議の前に全員のデイパックの中身を検めたのは記憶に新しい。 だが最終的に、支給品の受け渡しなどは特になく、 集まる前に当人が持っていたものをその場から回収したはずだった。 しかし優柔不断のデイパックの中に入っていたのは、もともと彼が持っていた団子の包み紙と、 最初期に集めた雑貨類。だけではなく。 「切磋琢磨さんの釣り糸と――紆余曲折さんの、《百発百中》?」 「釣り糸は“作戦”に使うやつだ。で、この銃は……こう言って紆余から渡された」 A-2の中心部付近へとたどり着き、若干当たりに冷えた空気を感じながら。 優柔不断はデイパックからその銘入りの銃を取り出し、撃つ真似をしつつ、言った。 「『もしものことがあったら、一刀両断さんをこれで撃ってください』ってな」 そして、偶然にも彼が向けた銃口の数メートルほど先。 雑に転がっているハリボテの車の影に、彼らの求める鏡花水月の死体は、横たわっていた。 休憩時間4 前のお話 次のお話 最終戦Ⅱ 用語解説 【三十分】 ラーメンタイマー十回分。学校の休み時間三回分。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
https://w.atwiki.jp/eiden6/pages/66.html
浮遊都市の探索 浮遊都市《根源区画》 浮遊都市の探索 [高速巡洋艦《アルセイユ》] オリビエ、クローゼ、ケビン神父が合流。 食堂で【ビターオムレツ】、【リベール通信 第11号】購入。 [公園区画《カルマーレ》] アルセイユから南へ進み、建物の中へ。 エレベーターに乗る。 [西カルマーレ駅] 端末を調べる。 「レールハイロゥのご利用」→「起動する」で、レールハイロゥが利用可能に。 「ゲートのロック解除」→「解除する」で、先へ進めるようになる。 エレベーターに乗って公園区画へ戻る。 [公園区画《カルマーレ》] エレベーターの右上にある建物から、リベルアーク地下道・1へ。 [リベルアーク地下道・1] 奥に進むと戦闘。 戦闘:フェノメノン、ウェザーシード×2、ダークランプ×3 宝箱:ドミニオン(魔獣入り)、銀耀珠、地・水・火・風・時・空・幻のセピス×100、セラスの薬、EPチャージII、ティアラルの薬、黒耀珠、ゼラムパウダー、キュリアの薬 [居住区画《クレイドル》] 民家の端末を調べると【 リザレクトゼリー 】のレシピが、【 ゼムリアストーン 】を所持している場合はレストランの端末を調べると【 データクリスタルZ 】がそれぞれ入手出来る。 ※この時点でアルセイユに戻って博士に話しかけると【 データクリスタルZ 】が回収されてしまうので、次のイベントは先に済ませておくこと。 ↓ 【 データクリスタルZ 】を所持状態で、入口近くの民家の端末にて【 データクリスタルZ 】を照合し、【 ゼムリアストーン 】入手(PSP版、PS3版のみ)。 ↓ 次のマップに移動すると、直後に戦闘。 戦闘:レオールガンイージ、ヴォーグル 235×4 NPCにジョゼット。 ↓ 戦闘終了後、ジョゼットが参入。 PT編成。(※エステル、ヨシュア固定、同行メンバー2名+ジョゼットの中から選択) 山猫号の中に回復装置あり。 ↓ クローゼがメンバーにいる状態で、市役所の端末を調べる。 選択肢「ゴスペルの再発行申請」→「クローゼ」→「セレスト」→「D」→「アウスレーゼ」で【 オリジナル・ゴスペル 】入手。 ↓ エレベーターに乗る。 宝箱:EPチャージII、(水・風・空のセピス×100)×2、魔獣の目玉・魚肉・ゼラチン・魚卵×10、魔獣の角・尻尾・牙・甲羅・獣肉×10、魔獣の羽・骨・鳥肉・鳥卵・種×10、リーベの薬、ティア・オルの薬、金耀珠、S-タブレット [第35クレイドル駅] 端末を調べる。 「レールハイロゥのご利用」→「起動する」でレールハイロゥが利用可能に。 端末に【 オリジナル・ゴスペル 】を使うと先へ進めるようになる。 エレベーターに乗って居住区画へ戻る。 [居住区画《クレイドル》] エレベーター下の建物から、リベルアーク地下道・2へ。 [高速巡洋艦《アルセイユ》] (寄り道) カペル内、データクリスタル4~7の解析完了。 ラッセル博士に【 データクリスタルZ 】と【 ゼムリアストーン 】を渡すと、最強の武器を作ってもらえます。 ちなみにジョゼットがメンバーにいる状態で人々に話しかけると挨拶会話が見れます。 [リベルアーク地下道・2] 奥に進むと戦闘。 戦闘:エボニースケイル×3、プルートアングラー×2 封技対策をしておく。 宝箱:ヘルメスギア(魔獣入り)、地・水・火・風のセピス×100、ブレアレオス、アセラスの薬×2、風耀珠、獅子王剣、ペルセディア [工業区画《ファクトリア》] エレベーターに乗る。 宝箱:Ωクラフト、幻耀珠、地・水・火・風のセピス×100 [第7ファクトリア駅] 端末を調べる。 「レールハイロゥのご利用」→「起動する」でレールハイロゥが利用可能に。 「ゲートのロック解除」→パスワードが必要だという事が分かる。 [高速巡洋艦《アルセイユ》] (寄り道) カペル内、データクリスタル8~11の解析完了。 (次イベントでジョゼットが必要) [工業区画《ファクトリア》] 奥に進むとグロリアスが停泊している。 ジョゼットがメンバーにいれば突入可能。 一度艦内に入るとクリアするまで出られないので、準備は入念に。 戦闘:強化猟兵(大剣)×2、強化猟兵(銃)、スティールクーガー×2 [グロリアス] 監禁室でキール達と再会。 ↓ 甲板で戦闘。 戦闘:ペイルアパッシュ×3 ↓ 前部第2層の宝箱から【 セキュリティカード 】入手。 ↓ 後部第1層で戦闘。 戦闘:新・ギルバート、ライアットアームズ ↓ 監禁室に戻り、端末を操作する。 2番と4番の障壁を解除すると牢の中の宝箱が回収できる。 1番の障壁を解除でキール達を救出&自動で居住区画へ。 宝箱:ティア・オルの薬×3、リヴェルダー、EPチャージII×4、ティアラルの薬×5、グラールロケット(魔獣入り)、ティアの薬、リーベの薬、七星剣、(地・水・火・風・時・空・幻のセピス×100)×2、アセラスの薬×3、ダークメサイア、ゼラムパウダー、S-タブレット、オーレリアドレス、ヤクトパンツァー、ティアラの薬、セラスの薬、ローゼンクランツ、セキュリティカード、地・水・火・風・時・空・幻のセピス×300、ヤクトガーダー [居住区画《クレイドル》] ジョゼットがSクラフト「ワイルドキャット」を修得。 山猫号の中にいるキールと話す。 選択肢「端末のパスワード」 [第7ファクトリア駅] 端末に【 オリジナル・ゴスペル 】を使う。 選択肢「【 O・R・P・H・E・U・S 】」で先へ進めるようになる。 エレベーターに乗って工業区画へ戻る。 [工業区画《ファクトリア》] エレベーター左上の建物から、リベルアーク地下道・3へ。 [リベルアーク地下道・3] 奥に進むと戦闘。 戦闘:カイラス・グレイ×8 気絶対策をしておく。 宝箱:(地・水・火・風・時・空・幻のセピス×100)×2、キュリアの薬×3、EPチャージII×2、EPチャージIII、アセラスの薬、シュピーゲル(魔獣入り)、木耀珠、水耀珠、S-タブレット、土壇場マペット、ティア・オルの薬、パルテノンギア(魔獣入り) [中枢塔《アクシスピラー》] エレベーターに乗る。 [アクシスピラー前駅] 端末を調べる。 「レールハイロゥのご利用」→「起動する」でレールハイロゥが利用可能に。 [高速巡洋艦《アルセイユ》] (寄り道) カペル内、データクリスタル12~15の解析完了。 ブリッジにいるユリア、またはミュラーに話しかけると二人が参入。(PSP版・PS3版のみ、7対応版を含めwindows版では参入しない) [中枢塔《アクシスピラー》] 塔の前で戦闘。 戦闘:ライアットクロウ、ソリッドシーカー×2 以降各執行者に対応したキャラクターを連れて戦闘するとイベント発生 ↓ 第二層でブルブランと対決。 (パーティーにクローゼとオリビエのいずれかまたは両方がいると戦闘前後の台詞が変化するが、ヴァルター戦やルシオラ戦のような特別なイベント展開は無い) 戦闘:怪盗ブルブラン、バランシングクラウン×2 戦闘終了後、奥の端末を調べると先へ進めるようになる。 また転送装置で入口まで戻れるようになる。 ↓ 第三層でヴァルターと対決。 パーティーにジンが居るとイベント発生 戦闘:痩せ狼ヴァルター、シャドウクーガー×2 戦闘終了後、奥の端末を調べる。 ↓ 第四層でルシオラと対決。 パーティーにシェラザードが居るとイベント発生 戦闘:幻惑のルシオラ、ジュボッコ、ザックーム、アルラウネ×2 偽分身ルシオラを攻撃すると味方が身代わりに攻撃を受ける 戦闘終了後、奥の端末を調べる。 ↓ 第五層でレンと対決。 (パーティーにティータがいてもちょっとした台詞の変化があるのみ) 戦闘:殲滅天使レン、パテル=マテル パテル=マテルの攻撃力が非常に高いので、アースウォールやガイアシールドを使えるキャラがいると便利 (例として、近接単体攻撃を食らった場合、DEF約900のキャラに対するダメージが5000超) レンを倒したときにパテル=マテルが健在だと、パテル=マテルの行動順のときにレンを残りHP10000の状態で復活させてくる 硬いのでアーツが有効。 戦闘終了後、奥の端末を調べる。 ↓ 第六層、回復装置の先にあるエレベータに乗るとニ連戦。 これ以降、アルセイユに戻れなくなります。やり残したことがあれば戻って済ませておきましょう。 (小ネタ:パーティにケビンを入れておくと3rdに繋がる話が聞けます。3rdでの会話と照らし合わせるとなるほどとなります) 一戦目:剣帝レーヴェ、ライアットセイバー×2 ラスボスよりも強い最強の敵。 全滅しても先に進めます。 戦闘終了後、ヨシュアが戦線離脱。 ↓ 二戦目:T・M・ドラギオン 宝箱:セラスの薬×2、ゼラムカプセル、土壇場マペット、ティア・オルの薬×5、ロングバレルIII、ブレイブスタッフ(魔獣入り)、アセラスの薬×3、ヨルムンガント、(地・水・火・風・時・空・幻のセピス×100)×3、S-タブレット×4、EPチャージIII×4、タイガーハート、キュリアの薬×5、ティアラルの薬×2、プロメテウス(魔獣入り)、シャインスフィア、リリーネックレス、EPチャージII×2、ガイアスーツ(魔獣入り)、機甲バルバロッサ、絶縁テープ、オーラフェンサー(魔獣入り)、機甲ジークリンデ 浮遊都市《根源区画》 [根源区画《テメリオス》] 回復装置の先に進むと四連戦。 戦闘開始前にヨシュアが戦線復帰。 一戦目:ワイスマン、戦術殻×4 ↓ 二戦目:アンヘルワイスマン イベント戦。 敵のSクラフト発動後、戦闘終了。 ↓ 三戦目:アンヘルワイスマン、グリードルーパー×4 全員のHP EP全回復でスタート。 ワイスマンはアーツ詠唱中にDEF ADFがダウンするので、その時に一斉攻撃をかける。 ↓ 最終戦:アンヘルワイスマン、アルファオメガ×4 [リベルアーク地下道・3]→[リベルアーク地下道・4] 一本道です。 最後まで進むとエンディング。
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4223.html
最終戦Ⅳ 嘘と約束 日本刀の柄を二本指で掴んでぷらぷらと遊ばせながら、ジャージ姿のそいつは言った。 オレたちに向かって。 勝利宣言を――たったひとりで、した。 たったひとりで。 二人殺した。 ……はあ? 「は、……はあ?」 …………はああああああぁあああ!? 待て待て待て待て待て待て待て待て!!!!!!!!! それを床に這いつくばって薄目で見ていたオレ、優柔不断は、 一回心の中で「はあ?」って言って、そのあと口に出して、もう一回心の中で言って、 それくらいにはパニクった。パニックてとにかく、 脳が理解を拒否した。ノイズがかかるみたいに思考がまとまらなく××、 ×××××オレたちは××××××××、 ××勝ったはずで××、 ×だって×、 ××××殺して?××××何で××××ちょっと、××××待てよ、オイ。 おい。 ×××おい。 「おい! ……痛ッ!」 オレは立ち上がろうとした。思ったよりダメージがあった。すぐには立ち上がれなかった。 痛みを抑えて何とか立ち上がろうと、 もたもたしていたら先に凛々ちゃんが一刀両断に斬りかかっていた。 「一刀両断さん! あなた、何をッ!!」 「言ったろ」 「!? う、くっ、」 「“あたしには感謝するな”って」 「きゃあぅ、かはッ!!」 一刀両断はふらふらさせていた《一刀両断》の日本刀をきちっと立てて一閃、 突っ込んでいく凛々ちゃんに向かって斜めに太刀を振った。 前のめりに潜り込んで、凛々ちゃんはその刃を躱す。 背中を見せる形になったが剣を《消失》させ、 片手を床に付きながら、もう片方の手にソードを《再出現》させて、 そのまま回転しながら跳ね返る勢いで喉を狙ってソードを突き出す。 この間二秒もなかった。 なのにまた翻った日本刀があっさりとりんりんソードの刃自体を《切断》した。 たまらず凛々ちゃんは《消失再出現》、体制を立て直そうとする。 しかし隙を突かれ足払いを受けて、 バランスを崩したところをさらにお腹を蹴り上げられ、くるりと宙に浮かされて、あぶない、 不味い、一刀両断は浮いた凛々ちゃんの心臓に向けて日本刀の刃先を――差し込もうと、 その突き 攻 撃が、《曲がる》。 「!」 「……へぇ」 攻撃軌道が《曲がっている》間に、その場に乱入してきた者が凛々ちゃんを押し飛ばした。 凛々ちゃんは床に勢いよく叩き付けられ、乱入者もバランスを崩して床に倒れる。 「う、……ぅ」 「っ……どういうことですか、リョーコさん」 見えない暗闇の中で、音のみを頼りに戦闘地点に突っ込んでいったのだろう。 ギリギリで凛々ちゃんを救った紆余くんは起き上がりながら一刀両断の方を向き、 包帯の下から睨む。 問い詰める。 そうだ。オレもようやく状況に追いついて、いろいろと把握してきた。 だから声を! とにかく今の感情を! 無理やり立ち上がりながら、オレは叫ぶ。 「そうだ! そうだぜ! なんでこんなことになってるんだ。 だって今さっき、オレたちは傍若無人に勝利して――! それですべて終わるはずだったんじゃねえのかよ! なあ! どうして、」 「ふうん、そういう話だったのか? ――なあ紆余。お前、どういうシナリオを頭ん中で描いてたんだ?」 「……」 「どうやら、お前の思い描いたのとは、ずいぶん違うものになっちまってるみたいだけど? いちおう、訊いてやるよ」 オレの叫びは横から斬られ、 澄ました調子の一刀両断が上から目線で紆余くんを挑発した。 床では凛々ちゃんが浅い吐息。しばらくは動けなさそうだ。 傍若無人の一撃で柱に叩きつけられたダメージも回復しない中で、激しく動きすぎたのだ。 つまり、この場での一刀両断の優位性はさらに高まるばかり。 「答え合わせをしようぜ。あたしの思ってるお前と、お前の思ってたあたしの、さ」 「……リョーコさん」 「さあ。言え」 「……」 「言、え。」 刀を翳して。 答えなければどうなるか、を言外に匂わせながら一刀両断がさらに挑発した。 紆余くんは、悔しそうな声のトーンで。口を開き、その場に全てを吐露した。 ゆっくりと。 苦虫を噛むような口調だった。 「……僕は。 作戦会議の、最後に……優柔不断さんたちにこう言いました。 リョーコさんが僕に付いているのか。傍若無人に付かされているのか。 最終的な結論は土壇場で判断するしかない。と。 “すべてが杞憂である”場合に加えて。 “傍若無人に付くフリをして、開始と共に傍若無人を裏切ってこちらに付く”、 という可能性が残っている以上、戦力的にも、戦闘前に、リョーコさんを無力化するわけにはいかなかった」 そう。一刀両断に疑心を抱いたオレたちには、 そもそも最終戦に一刀両断を連れて行かない、 あるいは開始と共に切磋琢磨に不意打ちで無効化してもらう……そういう選択肢もあった。 でも紆余くんはそれをしなかった。 裏切られるリスクを取ってでも、そうすることを望まなかった。 「そして。リョーコさんが最終戦の開始とともに、どちらに向かって寝返ろうと。 どちらにせよ、傍若無人を倒せば――貴女は僕の元に戻って来てくれると。そう言いました」 「……へえ。なるほど、なるほど」 「そう、思っていました。だからそのまま。・……僕は。あなたを、助けようと」 紆余くんは一刀両断の言動や行動を疑いこそすれ、 一刀両断自身のスタンスは疑わなかった。 信じていた。だから、助けようと、していた。 オレたちも、紆余くんほどじゃないが、感覚的には同じように思っていた。 一刀両断は約束(ルール)は守る。と。 例え傍若無人にその契約(ルール)を上書きされてしまっていたとしても。 向こう側にいるのだとしても。それは変わらないはずだと、信じていた。 そして、傍若無人を倒すことが最終戦の勝利条件である以上、 傍若無人さえ倒せば一刀両断の契約(ルール)は解け、紆余曲折との契約(ルール)に戻り、 最終戦はそこで終わりになるはずだ、と。 「でも……違ったんですね、リョーコさん。あなたは。違ったんだ」 「ああ。そうだな。その通り。百点満点の百点満点で、だからこその、大間違いだ」 なのに結果は……違った。 一刀両断は傍若無人を、殺し。 切磋琢磨も、殺した。 “どちらの仲間でもなかった”。 つまり。最初から。 一刀両断は。今までずっと。一人だった。 「ありがとう。――本当に、ありがとな。紆余。 お前ならあたしのヒントから、正解を導き出すと思ってたぜ。 そして傍若無人を切磋琢磨に倒させてくれるって、あたしはちゃんと信じてた。 信じていたから、あたしは死んだふりで万全にフェードアウトできてたんだ。誇っていいぜ」 一刀両断は嬉しそうに話す。 オレはその声を聴いてひどくきもちわるくなった。 なんなんだ、あんたは。 そう言おうとしても声が出ない。 それくらいにひどい気分になった。 「お前らの読み通り。 あの後あたしは傍若無人に負けて、あいつの言葉に従った。これが正解だ。 傍若無人との“契約”も大体お前らの考え通りだよ。 一つ目は、対主催側に潜り込んで、嘘の情報を流すこと。 あいつの弱点であるルール能力を悟られないように撹乱すること、これが一つ。 二つ目は、もしもの時の助っ人役、だ。 最初に傍若無人があたしを攻撃すんのは既定路線だった。で、 負けかけたときに、それこそ奇襲で、あたしがあいつを助ける役目を負うはずだったんだ」 だってそりゃ、あいつからしたらあたしが疑われているはずがないんだし、 実際あたしに攻撃もしてるんだからなあ――さぞ意表をついた一撃になったはずだぜ。 「保険のつもりだったんだろうな、あたしの存在は。 全員殺すのはひとりでやるから出来る限り邪魔すんなって釘も指されてたよ。 結局あいつは、ただの戦闘狂だったってことなのかもしれねえな。 ……だからこそ、すげー騙しやすかったけど」 と一刀両断は笑った。 オレは、手を硬く握りしめて震えさせていた。 怒りとかなんかその辺のやつが蛇口から漏れていた。 心の蛇口から。血まみれの感情が。どばどばと。 それを目線に入れずに一刀両断は続ける。続けてぜんぶを笑い飛ばす。 「まあなんだ、そうして契約を“させられた”あたしは、難しい演技を要求されたわけだ。 すなわち――」「“契約を守っている体を保ちつつ、僕たちにも疑われる”ような演技」 紆余くんが言葉を挟み込む。 何かを言わなければ、紆余くんも感情を抑えられないのだろう。 言葉を途中で切られて、一刀両断は少し不機嫌な顔になった。でもまた笑う。 「はっ、正解、正解。さすがだよ、紆余」 「……」 「そうじゃなきゃ、今の状況は作れないからな。 傍若無人に寄りすぎたら、お前たちはルール能力を暴けずに殺されて、傍若無人が残る。 だがお前らの方に寄りすぎたら、今度はタクマが傍若無人を圧倒しちまう。 万全な準備とあたしの全力の参加がありゃ、あの弱点の前に苦戦も何もないはずだろ? で・どちらにせよ、“あたしが勝てない”やつが残って。“あたしの勝ち”が無くなるわけだ」 「……必要なのは一度欺いて、そのあと推理させることだった。 最初に立てた作戦をギリギリで変更させて、可能性を五分五分にもっていって。 出来る限りタクマさんと傍若無人の、両方を消耗させる……そうして」 そうして。一刀両断にとって目障りな存在の、同士討ちを。 漁夫の利を狙う。 それこそが、一刀両断の、作戦。 たったひとりで――優勝するための。作戦だった。 「最初から……最初から、そのつもり、だったんですね。リョーコさん。 あなたは最初、から……約束(ルール)のために命を捨てる宣言をすることで、 自分がまだ優勝を狙っていることを……隠し通してきた……」 「うん、そうだな。騙されてくれてありがとな、紆余」 にこり。 「でも一手、遅いよな。だってもう、作戦は成功しちゃってんだから、さ」 そう言って、くるりと日本刀をまた、手で遊ばせて。 「もうここから先は消化試合だ。ボロボロのお前らをあたしが順番に殺していく。 それでゲームセット、実験終了。語るほどの話でもねー、つまらない終わりだ……ははっ」 ははは、はははははははっ。と。一刀両断は満面の笑みで嘲笑う。 その笑みは――他人の気持ちを弄んだ奴の笑みは。 オレの怒りを頂点に達させるのに、十二分なまでに、充分なものだった。 なんだよ……なんなんだよ。 てめえは。ずっと。ずっと。ずっとずっと、ずっと! ずっとオレらを! 笑ってたのか! 「……ざけんなよ」 「あ?」 ざけんな。 オレは。 優柔不断は。 自分の懐に、手を入れた。 「まだだ。まだ終わってねえぞ一刀両断。 オレはお前には《斬られない》し。オレはちゃんと、お前を“殺せる”」 一刀両断がオレのほうへ振り向いた時。 オレはすでに、紆余くんから譲り受けた《百発百中》の拳銃の銃口を、一刀両断に向けていた。 「逃げろ、紆余くん、凛々ちゃん。こいつは――オレがなんとかする! でも。できねえかも、しれねえから! お前らは逃げて、少しでも回復してくれ!!」 オレは凛々ちゃんたちに逃げるよう促す。 大丈夫。握った銃は《百発百中》。外すことはない。 どれだけオレがヘタレようとも引き金を引けば弾は一刀両断を貫く、はずだ。 だからこれは、オレがやらなければならない。 これはオレの役目なんだ。オレの、戦いなんだ。 「優柔不断、さん……!」 「逃げろっつってんだろ! えっと、そっちの方向だ!」 「……すいません方向はさすがにちょっと分からなくて」 それはそうだった。 「ええとじゃあ……おいどう伝えようこれ!」 「大体右です、紆余、さん……大体70度くらいの位置に。道が」 「凛々ちゃんのも少し分かりづらいぞそれ!?」 「おいそこコントしてんなよ。 ……はぁ。しかし紆余、お前。さすがの保険だぜ。 なるほど、確かに銃弾はちょっと《一刀両断》は無理かもな。そうか。っはは……。 そうだな……じゃあ、ラストゲームだ。優柔不断。凛々、そして、紆余」 ひゅん。と空気を切り裂く音。 日本刀の切っ先が1の字を描いた。 中央に置かれていた、傍若無人のダミーが座るソファー地のベンチが斬られた。 斬られた傷から、中の綿や羽根が勢いよく吹きだして舞う。 それらは中央階段を照らすライトに反射して――ちらちらと無機質に輝いた。 少し緩みかけた空気も、切り裂かれて引き戻される。 「紆余。今のお前の向きから見て、2時の方向だ。C-2方面への道はそっちだ、 だから逃げろ。勇気凛々と一緒に、無様に逃げてみろ。あたしに殺されないように」 一刀両断は冷たく指示した。 「こいつを殺してから、あたしはそれを追いかける。それが、最後のゲームだ」 オレはそのゲームの開始を、 銃を一刀両断に向けながら、見守った。 「さあ、始めようぜ。 殺し合いの、終わりを」 ◆◇ ラストゲーム。 舞った羽根が床に落ちきる頃には、 紆余くんと凛々ちゃんは中央階段からいなくなっていた。 オレと一刀両断、ふたり。 ふたりきりの、戦い。 その状況にしたのは、オレだ。 そうしなければいけない気がしたから、そうした。 とでも言えばかっこいいのかね。実際はもっと、つまんねえ理由だよ。 「さてと。クク、お前もカッコつけたなあ。優柔不断。 逃げろだって? おもしろい方便じゃねーか。 お前は単に、見られたくなかっただけだろ? 自分が人を殺すところを、 あるいは……殺せなかったところを。特に、凛々に」 「……ああ、そうだよ。クソほど察しがいいなあんたはやっぱり」 「分かるに決まってんだろ。お前がそういうのを気にしないようなやつなら、もうあたしは撃たれてる」 銃口を向けられ、命を掴まれているのに、一刀両断は物怖じしない。 何故だ? 簡単だ。オレに勇気が、覚悟が足りてないことを、見抜いているからだ。 オレはこの期におよんでまだ引き金を引くのをためらっていた。 人を殺すということを、ためらって、いた。 できるのはオレしかいないのに。 やるしかないって、分かっているのに。 ちくしょう。畜生が。 優柔不断、その通りだっていうのかよ! ……でも指は、動かなかった。 代わりに口が動いた。思っている感情だけ、すらすらと口から出ていきやがる。 それがオレをある意味で安心させた。 言葉が続くうちは、まだ、決意はしなくてもいいと。 甘すぎる考えで、だけどそれに酔いたかった。 そのくらいは……許してほしいんだ。ホントに。 「なあ……この際だ。まだいまいちはっきりしねーこと、訊いてもいいよな、一刀両断」 「いいぜ」 「最終戦の報酬。“脱出方法を教える”って傍若無人の言葉」 「はっ、嘘だよあんなもんは」 「……」 やっぱりか。 「じゃなきゃ、あたしが優勝狙いのままなわけがねーだろ。 もともと、こうなるしかなかったんだよ、あたしたちは。そんな都合のいい話なんか、ねーんだ」 「だよな。でもオレたちは糸にすがった。 一生懸命だった。そしてそれをお前は、笑ってた」 「ああ大笑いしてた。で、お前はそれを許せないんだろ。 だったら、いますぐあたしを殺せよ。その銃弾で。《百発百中》で。さあ、早く」 オレは、急かす言葉には聞き耳を立てずに、一刀両断に質問を続ける。 「次の質問だ」 「あたしがお前を蹴り飛ばして傍若無人に充てたのはただの人員調整だ」 だが、そう目論見通りに上手くはいかなかった。 「傍若無人がやばいってのはタクマから聞いてたからな。数人でかかる形を作りたかった。 お前らを助ければ因縁もできるし、合流して集団も作りやすそうだと思ったしな。 ちなみにそのあとわざと負けて、 あいつとの“契約”に持ってったときが、あたしが一番肝を冷やしたところだったよ。 あそこで殺されてても全然おかしくなかったからな……で、他に聞きたいことは?」 「質問内容を先取りするなよ……」 「お前に決意する暇を与えないことがあたしが勝つ方法だからな」 一刀両断のほうは当然、 オレが自分の心のために時間稼ぎをしていることを見抜いている。 だからオレが質問できそうなことを、先回りでどんどん潰していくことができるのだ。 「大体のことには答えられると思うぜ。そしてその答えはきっと、大体お前が思ってる通りだ。 もう答え合わせは終わった。無駄なんだよ、Q&Aなんて今さら。前を向こうぜ優柔不断」 さあ、引き金と向き合え、と。 不毛なQ&Aは通用しないことを宣言され、オレは致命的に揺らいだ。 どうすりゃいい。どうすりゃこいつを殺せるんだ。 いや、“引き金を引けばいいだけ”だ。でもじゃあどうすりゃこれを引けるんだ。 っていうか殺していいのか? なんでオレはこいつを殺すんだ。 殺していいようなものなのかよ? そもそも殺すってなんだ。 わけが分からなくなってくる。 それでも逃げられない、目を背けられないのは、目を背けたらオレが殺されるだろうからだ。 相手はオレを簡単に殺せる、からだ。 そりゃあ《斬られ》はしない。 《刃物を通さない》オレに《全てを切り裂く刃》は“触れることができない”から、 相手のルール能力の発動そのものが無効化される。 実際作戦会議中に試してもみたし間違いない法則(ルール)だ。 一刀のもとに斬られてしまう――ってことはありえない。 (ちなみに優柔不断は知らないが、 傍若無人の《蟷螂の斧》を優柔不断が完全に受け付けなかったのもこの理屈だ) でも、覚悟が違う。 人を殺したと言ってもいまいち曖昧でおそらく反射的だったオレと、 明確な意思を以ってヒトゴロシをした一刀両断の間には。高い高い壁がある。 それを飛び越えるものが何なのか、オレには全く分からなかった。 つーか分かりたくねえよそんなもん。 分かったらそれ、なんかやべえだろ。 ……でも今必要なのは、きっと、それなんだ。 オレは。一刀両断に、ふざけてるとは思うが、こう質問した。 「……けど、質問だ。なあ、一刀両断。 どうしてあんたは。・……あんなに簡単に人を殺せたんだ」 一刀両断もこの問いには面喰らったようで、「はあ?」って顔をした。 お前それを敵のあたしに聞くのかよって? バカだろって? オレもそう思う。 でも一刀両断はこの期に及んでもけっこう誠実で。ちゃんと答えてくれた。 わりと真剣な顔で、オレにレクチャーしてくれた。 「取捨選択だ」 四字熟語で、答えてくれた。 「行動の取捨選択。あたしはそれをしているだけだ。 一つ選んで、他を全部捨てる。そして捨てたものはもう見ない。そう意識すること」 たった一つを選ぶこと。そして選んだもの以外は見ないこと。 惜しいとか、不安だとか、思わないこと。 自分がそれを選択したのだということを強く意識すること。 これからのすべては、すべて自分のせいで、自分の勝手な選択で起きることだと。 意識、すること。 「言うなら。そうだな。意識そのものを、一つだけにすることだ。 他を切って捨てて、考えないようにすることを意識して。 そしてそれすら考えないようにすることができれば。人間は、なんだってできる」 「オレにできると思うか?」 「できるかじゃねえ。やるんだろ」 一刀両断は、こっちに向かって一歩踏み出した。 「お前はもう、“選択した”んだから。あとは他を切って捨てるだけ、なんだよ。 あたしが一振りの刀になったみたいに。お前は一発の銃弾になれ。それができないなら」 二歩踏み出す。 「お前はあたしに、切られるだけだ」 オレは。 オレは確かにそのとき、一刀両断に切られる自分のイメージを見た。 《斬られない》はずなのに。気迫だけで、そう思わされた。 やっぱり無理だ。 オレは、一刀両断に、勝てない。 勝てずにこのまま。殺されて、しまう。 そう思った瞬間にさらにイメージが続いた。 オレが負けたあとに一刀両断が何をするかの映像が脳内を蹂躙した。 死。血。叫び声。 泣きながら死んでいく、オレが守って、助けた、少女。 凛々ちゃん。 ……ああ、畜生。それは、嫌だ。嫌だぜ。 ここでオレが頑張らなきゃどうなるかなんて分かりきってんのに。 むざむざとその未来が現実になるのを見ているだけなんて、オレはできねえ。 せっかく。 せっかく心から浮かべられるようになったあの子の笑顔を。 目の前の、こんなやつの笑顔に、消されたく、ねえ。 じゃあどうする。どうすればいい。 答えは決まってた。 あとは心の中で、エンターキーを押すだけだ。 「……止まれ、一刀両断」 「あたしは止まらないぜ、優柔不断」 「じゃあ、止まらなくてもいい。聞け」 「ああ、訊いてやる」 「死ね」 オレはたった二文字だけを一刀両断に告げて。ぜんぶ捨てた。 捨てた。 殺していいか考える自分を。 捨てた。 殺してしまう自分を責めることを。 捨てた。 誰かのためとか、そういう方向に逃げる自分を。 捨てた。 捨てた。 捨てた。 捨てて。 ぜんぶ切り捨ててオレはオレの意志でたった一発の銃弾になった。 そして――《百発百中》の引き金を、しっかりと引いた。 でも、それが。 それが。 それこそが、“あいつの”罠だったんだ。 「……ごめんな」 オレに向かって一刀両断は言った。 「お前みたいなヒーローには、あたしは嘘はつきたくなかったんだけどさ。 これが約束(ルール)だから。本当に……申し訳ねえ」 「あ……あ、が……?」 「誇っていいぜ。お前は。お前は自分の意志で、引き金を引ける人間だった。 この一刀両断が保障するぜ。絶対にお前は優柔不断なんかじゃない。だけど」 だけど。 だからお前の負けだ。と。 薄れゆく意識の中で、オレはその言葉を最後に聞いた。 ああ、そうか、そうだったのか。 全てを悟ったオレはじゃあ、最後にこれだけを言って終わろう。 許さねえ。 死んでもてめえは許さねえ。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 許さねえからな。許さねえからな。許さねえからな。 紆余曲折。 オレはてめえを地獄の底から恨んでやる。 ◆◆◆◆ 中央階段広間の中央、ジャージ姿の一人の女性が佇む。 その目線の下に、前のめりに床に倒れている青年の姿があった。 青年はもう動かない。 残酷にも眼窩の奥、脳髄を貫かれて、血の涙を流しながら、もう二度と動かない。 でも、それをやったのは女性ではない。 女性はなにもしていない。 女性が持つ刀では青年の脳は絶対に《貫けない》。 青年が床に倒れているのは、青年が銃の引き金を引いたからだ。 《百発百中》の銃は今、青年から少し離れた場所の床に転がっている。 それは非常に奇妙なシルエットに変形している。 銃身の大部分が、撃鉄に近い部分まで。内部爆発したように裂けて中身を露出している。 ころり、と。 そんな奇妙な状態の銃口から零れ落ちたのは、通常ならば銃身から出てくるはずのない、 小さな鉄のカケラだった。 銃身の爆発と共にそれらの鉄片の一つは、青年の目を穿った。 刃物ではないそのは火薬による加速を以って、青年の脳へ到達した。 鉄片。 元は鉄で出来た盾の一部だった、鉄片。 包帯の切れ端と一緒に、銃口の奥に詰められて。 《発射さえすれば狙った場所へ飛んでいく》その銃を、爆弾へと変貌させた、鉄片。 その持ち主は誰だったか。 それを《小さく切り刻ませ》、誰が銃口へ詰めたのか。 それを、爆弾であると知りながら、誰が青年に託したのか。 殺し合いはまだ、終わっていませんよ。と。小さくつぶやいたのは、誰なのか。 「さてと。……それじゃあ、そろそろ行くか」 ジャージ姿の女性はそれをもちろん知っている。 そして、だからこそ行かなければならない。彼女が信じた、彼の元へと。 「約束は、ぜんぶ守らなきゃ、だからな……」 それは――彼女がこのバトルロワイヤルで行った、すべての約束を、遂げるための。 一刀両断の。最期の歩みだった。 【優柔不断 死亡】 【残り――三名】 最終戦Ⅲ 前のお話 次のお話 最終戦Ⅴ 用語解説 【嘘】 嘘。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/39464.html
なつのさいしゅうせん【登録タグ Ephemeral star IA な 曲】 作詞:Ephemeral star 作曲:Ephemeral star 編曲:Ephemeral star 唄:IA 曲紹介 "僕等が望む最終戦へ" なゆと深夜月のユニットEphemeral starの楽曲。 Mix・Mastering:zunx2 歌詞 (piaproより転載) 夏風に飛ばせ最終戦 僕等が望んだ最終点 駆け出す想いは最頂点 溢れ出して 儚き僕等の将来に 掲げた最後の挑戦状 冷めない逸らせない 生命の息吹が咲いた 流れる時間は存外に 僕等を蝕んでゆく もう歪み揺られる世界 苦しみながらも超える 幾度となく夜はくる いつか僕等は望む明日へ行ける? 真っ暗だから 僕は何も見えなくなった いや、そうじゃないだろ だけど 空に馳せるは想い 世界よ応答せよ 行き場無くす命 僕には何が出来る? もう何も消えるな 命を奮い立たせる そんな歌を僕は 歌い続けるように どれくらい歩いてきたんだろう 僕たちは大人になりたくはなかった 夢なんかみるものじゃなかった なのに 胸の中 痛い 痛いよ 何もない僕を誰か誰か 世界から救い出してねぇ 夢なんかみるものじゃなかった 何か僕が今生きてる意味を 夏の風に歪めた この快晴はこの手に 最終戦へ 空に馳せるは想い 世界よ応答せよ 行き場無くす命 僕には何ができる? 朝焼けの空は 僕等の背中を今押してるんだ 僕は歌う世界へ 時の中に刻め生命を 生きていて コメント 作詞作曲違う -- 名無しさん (2019-09-05 09 31 45) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/t0944520022/pages/32.html
英雄伝説 空の軌跡 経験値表縦一列は50刻みです。 Lv EXP Lv EXP Lv EXP 1 0 51 26010 101 102010 2 0 52 27040 102 104040 3 0 53 28090 103 106090 4 160 54 29160 104 108160 5 250 55 30250 105 110250 6 360 56 31360 106 112360 7 490 57 32490 107 114490 8 640 58 33640 108 116640 9 810 59 34810 109 118810 10 1000 60 36000 110 121000 11 1210 61 37210 111 123210 12 1440 62 38440 112 125440 13 1690 63 39690 113 127690 14 1960 64 40960 114 129960 15 2250 65 42250 115 132250 16 2560 66 43560 116 134560 17 2890 67 44890 117 136890 18 3240 68 46240 118 139240 19 3610 69 47610 119 141610 20 4000 70 49000 120 144000 21 4410 71 50410 121 146410 22 4840 72 51840 122 148840 23 5290 73 53290 123 151290 24 5760 74 54760 124 153760 25 6250 75 56250 125 156250 26 6760 76 57760 126 158760 27 7290 77 59290 127 162190 28 7840 78 60840 128 163840 29 8410 79 62410 129 166410 30 9000 80 64000 130 169000 31 9610 81 65610 131 171610 32 10240 82 67240 132 174240 33 10890 83 68890 133 176890 34 11560 84 70560 134 179560 35 12250 85 72250 135 182250 36 12960 86 73960 136 184960 37 13690 87 75690 137 187690 38 14440 88 77440 138 190440 39 15210 89 79210 139 193210 40 16000 90 81000 140 196000 41 16810 91 82810 141 198810 42 17640 92 84640 142 201640 43 18490 93 86490 143 204490 44 19260 94 88360 144 207360 45 20150 95 90250 145 210250 46 21060 96 92160 146 213160 47 21990 97 94090 147 216090 48 22940 98 96040 148 219040 49 24010 99 98010 149 222010 50 25000 100 100000 FCは、Lv3〜49,SCは、Lv35〜99 3rdは、Lv90〜149、
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4216.html
38◆最終戦Ⅱ 「――――――ウオォオオオオオオオオオッ!!!!」 ばきり。床面がきしむ音がした。 ぐらり。天井からぶらさがる、シャンデリアから帯を垂らしたようなモニュメントがゆらいだ。 どど、ど、ど。 前を見据えた切磋琢磨の放つ威圧感はもはや可視化されて擬音すら成す。 風が流れる。一流バッターのスイングが風を呼び込むように。 あるいはトラックの走り抜けた先を風が埋めるように。 拳に込めた力の流動が、周りの大気さえ震わせて、 唸りながら、うねりながら、一点目指して吸い込まれていく。 戦闘開始から数分。早くも放たれるはかつて先手必勝を屠った全力の一撃。 「“拳語り”か。くだらん」 出し惜しみなどしない赤毛の青年を前に、傍若無人はつまらなそうな顔をした。 「暑苦しいのは苦手でな。語る前に止めさせてもらおう」 傍若無人は前に斧を突きだす。 寸分の狂いなく、切磋琢磨の構える拳の先へ。 凛。 腕の先端と斧の先端、点と点の衝突は空間に静寂をもたらした。 拳語り発動せず。爆発しようとしていたエネルギーが、振り切る前に殺された。 「……さすが最後の敵なだけはあるな」 「感心している場合か?」 遅れて、 拳を振り切れば纏うはずだった風だけが再度現れて、傍若無人の短髪を強く後ろに撫でた。 そのころにはもうすでに、傍若無人は次の動作に映っていた。 左で正面を固めながら右で大きく斧を振りかぶる。 「己の斧は――重いぞ」 傍若無人の斧。両刃の片手斧、全長は大男の片腕とほぼ同じ。 刃の大きさはそうでもない。柄の太さもそこまででもない。 大剣のほうの《りんりんソード》と比べても同等かそれ以下といった軽斧の部類だ。 通常であればその斧から繰り出される斬撃に、重いという言葉には見合わないだろう。 使い手が傍若無人でなければ。 重くはならないだろう。 筋繊維の盛り上がりが見えた。放たれる前に、限界まで引き絞られた弓のようだった。 切磋琢磨は後ろへ一歩。目はしっかりと斧を見る。 (……“銘”?) 一瞬、握りこむ手の奥に斧の“銘”が描かれているような気がした。 気のせいかもしれない。握る指の隙間から少しの窪みが見えて、すぐに見えなくなった。 視界から消えた。 切磋琢磨の左腕、肘から手首にかけての部分に一筋の血線が走った。 「!?」 「ガードしたか。だが、己の斧でも傷は付く程度の硬さのようだな」 感覚信号が痛みを認識すると同時に、遅まきに耳に音が届く。 斧を振った音、反射で上げた防御腕に斧の刃が掠める音、傷口が生成された音。 切磋琢磨は一歩下がっていた。その一歩で、斧の射程から逃れているつもりだったのだが。 (思っていたより奴の踏み込みが深かったか――! しかも、“防御”の型に傷をつける威力!) びゅう。遠心力を推進力に、 振り子の要領で放たれていた二撃目を、切磋琢磨はさらに距離を取って避けた。 二歩。いや、三歩か。それだけ下がれば確実に避けられる。 だがそうして下げさせられ続けてはいけない。 背後では初手の交戦で気絶に追い込まれた二人がまだ倒れている。 “二人を守りつつ、傍若無人の持つレーダーを時間内に破壊する” それが切磋琢磨の勝利条件だ。退くことはできない。 (しかも、横に避けるのもダメだ。紆余と一刀両断のほうに向かわせないために、 俺は奴と向かい合っている必要がある。直線状での戦闘……まるで老師と同じだな) 一刀両断には「後ろを振り返るなよ」と言われたが、こうも似せられるとやはり思い出してしまう。 あの優しすぎる最後の掌底、小さくなっていく老師の背中。 無力だった自分。たくさんの教えてもらったこと。 強さを求めることの意味。……あれから《強く》なった自分。 「どうした。向かってこないのか。“あれ”は最後まで己に向かって来たぞ」 切磋琢磨の心境を読んだかのように、傍若無人は東奔西走の話をした。 「あれも不思議なモノだった。ほんの一時間にも満たない邂逅で繋がりを結び、弟子を守ろうと拳を振るう。 自分の記憶すらおぼつかぬ世界で、他人のために死のうとする。全く、理解に苦しむモノだ。 「……」 「己はな、切磋琢磨。他人のために力を使う、というモノが理解できないのだ」 「……!」 「力とはリソースだ。自分が持てる財産だ。生きていくために、使っていかなければならないものだ。 他人のために使ってしまえば、そのぶん己は財産を失う。生きづらくなる。 あれもそうだった。周りなど考えずに全力を自分のために使えば己と渡り合えたものを、 切磋琢磨と言うモノを守って。くだらない死に方だ」 傍若無人は淡々と言った。 「そして切磋琢磨もまた、くだらない死に方をする」 「――そんなことはさせない」 切磋琢磨は彼の言葉に食い下がる。 あからさまな挑発に熱くなりつつも、握った拳は硬いまま、芯からは動じていない。 「お前の考え方は分かった。やっぱり、名前通りの傍若無人だ。 “放送”でお前が戦う理由を言ったときから、思ってた。お前は自分のためにしか戦っていない」 「そうだな。己が信じるのは己だけだ。だから強い」 「でもその強さは、孤独だ。昔の老師と同じだ。ひとりぼっちだ。 俺の信じる強さは……老師が教えてくれた強さは、“ひとりぼっち”のお前には負けない!」 「勝利宣言は勝ってから言うことだ、モノども!」 恫喝とともに死合は再開する。 傍若無人は右に構えた斧を引きながら、左の足で前に踏み込む。 そのまま流れるような動作で前方の虚空に左掌底を放つ。 二の型・突進、香車の型を使用して空中飛び込み前転していた切磋琢磨は 掌底のインパクト点で型を解き、ライダーキックへと移行しようとしていた所だった。 「くッ!」 「読めるぞ」 次に傍若無人は空中の切磋琢磨に向かって斧を縦に振るいつつ 左の腕は引いてボクサーじみたガード体制に入る。 切磋琢磨は先の掌底をぎりぎり防御型に移行することでいなすも、空中で勢いを殺されている。 それでも向かってくる斧を裏拳で弾き、反発でサイドに重心を移動。 視界もおぼつかないまま空中横捻りからの鋭い回し蹴りを放ち、それは傍若無人のガードへと吸い込まれていく。 「だったら……押し切る!!」 「ぬ……!」 体勢すら正しくない、普通なら放つことすら困難な回し蹴りだが、切磋琢磨のそれは重い。 しっかりと固めたガードの上からでも傍若無人の腕をみしみしと鳴らす。 さらに地面に付くまでの間に、切磋琢磨はもう二撃は放つことが出来てしまうだろう。 人間の限界点のみならず物理的限界点も越えていく。 《切磋琢磨》はそういうルール能力だ。きちんとそれを傍若無人は知っている。 知っているから対処ができる。 普通ならば苦悶に顔をゆがめてもおかしくないところ、 傍若無人は涼しい顔をして、右足による蹴り上げ動作。 落下中の切磋琢磨を飛ばすと見せかけて相手の意識を足へ向け、上方から斧を横薙ぎに振るう。 確実に薙ぎきった斧に血は付いていない。反動を利用して再度振る。 空中に軌跡だけが残る。切磋琢磨は全て避けている。だが空中でのさらなる連撃は防いだ、 「一の型待機、解除――起き兎!」 いつの間にやら切磋琢磨は地面に降り、 傍若無人の懐へしゃがみからバネ仕掛けのように勢いよく顎下アッパーを放っていた。 首を軽く横にずらして回避。鼓膜が拳圧で異常な音をたてる。近い。逆に言えば反撃圏内 「ははっ」、と笑い声がした。 切磋琢磨は楽しんでいる 斧をさらに斜めに振るう。当たればどこかを欠損させる斧、 尋常の相手ならば恐れをなして退く。だが退かない。 傍若無人の前でいま、極限に戦闘に集中した切磋琢磨は、前に進むことを止めてこない。 むしろ凶刃を軸に自らの次の攻撃へと繋げている。 それは紙一重の繰り返し。一ミリでもミスれば即死亡の危うすぎる戦闘組み立て―― 「読めて……」 「いても、関係ない!!」 戦闘組み立ての内容だけをみれば押しているのは明らかに傍若無人だ。 前回優勝者としての知識と経験、それ以前にもおそらくは軍服を着るような場所で戦闘経験を積んだのだろう、 切磋琢磨の攻撃を先読みして初動を抑え、場をコントロールし、十全な攻撃ができている。 なのに相手のHPを削ることができない。自分のHPばかりがガードの上から削られていく。 立ち回りで完封しているにもかかわらず……単純な戦闘能力のみで、押されている。 「当たればやばい斧、だったら当たらなければいい。 攻撃が全部読まれている? だったら読み切れなくなるまで、速く! 多く! 拳を打つ! がむしゃらでも、めちゃくちゃでも! 進めれば! 前に踏み出せれば、それでいい!!」 「自らを危険にさらすことも厭わぬか……切磋琢磨!」 「そうだ。俺はひとりじゃない! 仲間が後ろにいることが、俺を支えてくれる!」 切磋琢磨はさらに加速した。傍若無人の肩、脇腹、左太もも、同時に打撃音が響く。 血の線が飛ぶ。三つの打撃と交差した傍若無人の斧は切磋琢磨の右足首を半分斬っていた。 ぱかりと割れて空気が入る。アキレス腱が逝ったか。痛みを感じる前に次の打撃を叩きこむ。 拳さえあればいい。 それだけあれば切磋琢磨はいつまでだって戦っていられる。 「四の型、爆発」 全てを置き去りにしていい。周りは考えなくていい。 楽しめばいいと紆余曲折が言った。だからそれだけ、ひとつだけ。 他を任せることができるから。切磋琢磨は、傍若無人より、《強い》。 「――明眼連武!!」 考える前に体が動くようだった。最適な状態に握った拳が高速ジャブを連打する。 斧を両手で横に構え、傍若無人はひとつひとつを捌いてくる。七、八、九、 十で反撃がくるその前に次の行動に移る。 斬られた足を強引に地面に叩き付け、 反動で跳躍しつつ傍若無人の斧の柄をするりと掴み、 軸にして回転、半月の軌跡を描けば頂点、そこからかかと落としを脳天へと刺す。 上手くずらして肩で受けられるが、見越して両足で傍若無人の首を絡めにかかる。 傍若無人はすばやく脱力し、 切磋琢磨の足のホールドが極まりきる前に下へとしゃがみ抜ける。 同時に両手を前に突き出して軸斧を動かす。 さすれば斧を掴んだままの切磋琢磨は後方へ動かされ――るはずだった。 傍若無人の視界に、掴んだ形のまま外された、グローブの脱け殻が映った。 「……!」 次いで背中に足裏の感触、すぐに離れてすたりと降りる音。 さすがの傍若無人も歯噛みする。 “乗り越えられた”。 このミスは大男にとってとても大きい。 アキレス腱のダメージなどモノともせずに走る切磋琢磨には、傍若無人では追いつけない。 乗り越えられた時点で、レーダーを破壊しに行く切磋琢磨を止めることが出来ないのだ。 誤算は三つ。 一つ、仲間を守るかと思われた切磋琢磨が、周りを気にせず攻めてきたこと。 二つ、我武者羅な攻めから、“倒して”進むのだと傍若無人に思わせ、 “乗り越える”という選択肢を完全に隠してきたこと。 「……待て、切磋……!?」 そして三つ目は、 傍若無人が後ろを振り向いたとき、 レーダーがすでに死体の首から消え、地面に落ちて壊されていて。 靴を脱ぎ捨て素足となった切磋琢磨が、すぐそばで、拳に風を集めていたこと。 「当たるかは賭けだったけど、案外俺は得意だったのかもしれないな、“靴飛ばし”」 ばき、ばきり。床面がきしむ音はさらに大きく。 ぐらり。天井からぶらさがるモニュメントは再びゆらぐ。 風が流れる。握られた拳へと吸い込まれていく。傍若無人の対応は、間に合わない。 傍若無人の三つ目の誤算は。 “切磋琢磨には飛び道具が無い”と、思ってしまったこと。 「さあ、語り合おうぜ傍若無人。お前の強さと、俺の《強さ》を」 「切磋……琢磨……!」 老師のこと。仲間のこと。 これまでの戦いのこと。これからの未来への願い。 切磋琢磨は四の型・爆発、“拳語り”に様々な想いを載せて。 放つ。 拳圧が生み出す熱気が視界をゆがませるほどの一撃が、やはり床をみしみしと鳴らす。 みし、りと。また鳴った床が――ばきり、と。鳴って。 ばきり? ――ばきりって、何の音、 だ? 「……哀れなモノの誤算は一つ」 視界が下方向にずれていくなかで、 傍若無人が悠々と、上段に斧を構えながら、言った。 「この場に己が仕掛けたものが、あれで終わりだと思ったことだ」 床が 抜けた。 ◆◆◆◆ イモムシのようにもぞもぞと。床からなかなか起き上がれないながらも、 そばに落ちているはずの自らのデイパックを探していた紆余曲折はそのとき聞いた。 ばきり。カーペットで覆われた娯楽施設の床、 切磋琢磨がちょうど居た場所が、踏み込みの力に耐え切れず抜けた音だった。 「……!!」 本来ならばありえない。 カーペットの下はコンクリートのはずだ。床が抜けることなんてない。 つまり、傍若無人は……斧で破壊し穴を空けた床に上から薄板を張り、 さらに上からカーペットを敷きなおして、場を平たい床に見せかけていたのだ。 こうしておけば、必要に応じて斧で簡単に足場崩しができる。 今回は切磋琢磨の踏み込みが強すぎたせいで自分から罠にかかる形になってしまったが、 これは「場」を最大限に活かすための傍若無人の当然の手だったのだろう。 思えば――あの一刀両断vs傍若無人の長い報告の中に、こんな言葉があった。 傍若無人の斧は床を破壊する威力だったと。 そこで気づくべきだった。 傍若無人が床に罠を仕込んでくる可能性に、至るべきだった。 (まずい、な……タクマさんにはもう少し粘ってもらわないといけないんだけど……) 奥歯にぐっと力を入れて悔しむ。 レーダーは破壊できたが、切磋琢磨が稼がなければいけない時間はまだ残っている。 勇気凛々と優柔不断が到着する前に彼が死んだら、作戦は失敗だ。 耳に届くは――切磋琢磨の唸るような悲鳴。 傍若無人のあざける様な声もする。 どうやら、腕に甚大なダメージを入れられたらしい。 斬られただけならいいが、切り離されている場合はかなり危ない。 切磋琢磨がここで死ねば。次に死ぬのは紆余曲折と一刀両断だ。 ここには死ぬために来たわけではないのに。 (それと……それはどういうことなんですか、リョーコさん……?) 紆余曲折にとって気がかりなことはもうひとつあった。 階段下に伏せて完全に動かない一刀両断。 さまざまな違和感ある行動から傍若無人と繋がっていると思われた彼女は、 紆余曲折を守る形で傍若無人の攻撃を受け、間違いなく瀕死のダメージを受けてそこに転がっている。 すべてが杞憂で、繋がりなんてなかったのか? それはありえないと紆余曲折は思う。 でも、この場にて寝返るでもなく、 いきなり傍若無人の手によって戦線離脱したという事実が、 紆余曲折の中にあった確信をあやふやなものへと変えていた。 (本当に……) だから紆余曲折は問う。誰にも聞かれないように心の中で。 (……本当に、“うまくいく”ん……です、よね?) そのときだった。 包帯越しに、彼の目は強い明るさを感じた。 どうやらメインフィールド、切磋琢磨vs傍若無人の状況が、また変わったようだった。 ◆◆◆◆ 傍若無人の斧には銘がある。 四文字のその銘は、かつて先手必勝に支給され、 いま優柔不断が持つ《百発百中》の銃と大男の斧が同じような武器であることを示している。 《蟷螂之斧》と名を打たれたこの斧には、さすがジョーカーというべきか、強力な効果があった。 《絶対の掟たるルール能力に、ささやかな反抗をする》。 すべてを斬り裂く刃にほんの少し耐えたり、 強化された肉体の鉄のような防御にもダメージを与えることができるルール能力。 対四字熟語専用武器と言っても過言ではないこれであれば、 主催のルール能力によって造られた《娯楽施設》の床を破壊することは容易だった。 「ハァーッ……ハァーッ……」 この斧の力を使い、床に罠を仕掛けるという案を実行した傍若無人は、 研ぎ澄ませた上段の一撃によって、罠にかかった切磋琢磨の左腕を肘から断ち切ることに成功した。 今も血が切断面から床に垂れ続けている。 処置をしなければ遠からず切磋琢磨は死ぬだろう。そうすれば傍若無人の勝ちはぐっと近くなる。 しかし。 それでも。 「ハァーッ……」 傍若無人は目の前に映る七色目の光に、人知れず唾を呑みこむ。 「……俺はまた、《強くなった》。 腕はやられたけど、これで戦力的にはプラマイゼロだ」 片腕から紅い血を流しながらも。 紫色の光の中、乱れた呼吸を再度ととのえて。赤毛の男はしっかりと構えを取る。 四点流・一の型――待機。 グローブと靴を捨て、片腕を失ってなお、 切磋琢磨は基本の構えを崩すことなく傍若無人に対峙する。 「さて」 そして言う。 宣言する。 「……“仕切り直し”だ、傍若無人」 最終戦Ⅰ 前のお話 次のお話 最終戦Ⅲ 用語解説 【蟷螂之斧】 向かい来る車に立ち向ったカマキリの斧を車に乗っていた人が褒めたという逸話から生まれた四字熟語。 弱くても一矢報いようとする意思とかそんな感じ。絶対に破れないルール能力への小さな反逆手段。 余談だが、前回のバトルロワイアルで傍若無人が持っていた四字熟語もまた斧に関係するルール能力だった。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4217.html
39◆最終戦Ⅲ 時間の経過した死体の首を切っても、血はどろりとしか流れない。 新たに手にした知識だった。 まったく、英単語や歴史の年号、数学の公式を詰め込んでいたはずの頭の中が、 たった半日でずいぶんと血生臭くなってしまったものだ。 走る足は休ませぬまま、勇気凛々はそんなことをふと考えた。 「……なあ、大丈夫か? 凛々ちゃん」 少し目線が下がっているのを気づかれたか、 横について走っていた優柔不断が心配そうに尋ねてきたので、勇気凛々は言葉を返す。 「ええ。今も手が震えてるし、すごい吐き気もしますよ。だから総じて、大丈夫です」 「なるほどだったら大……大丈夫じゃないじゃんそれー!? すまんマジで! 無理でもオレがやりゃよかった!」 「いやいや、優柔不断さんには無理ですよ。 さっきわたしが作業してる後ろで、めちゃくちゃびびってたでしょう?」 「ぎく」 「ふふっ。見てましたからね、わたし。ちゃあんと」 「ぎくぎく」 「ちゃあんと見てましたからね横目で」 「は、はずかしい……ッ! オレより小さな子が真剣に汚れ役をやっている横で、 正直おしっこちびりそうなくらいびびっていたあの時の顔をまさか見られていただなんて!」 「超はずかしい顔でしたね」 「追い打ちやめてえ!」 「ホントなにやってるんだろうこの人って思いました」 「ひぃ呆れられちゃってる!」 「……でも。だから大丈夫でした」 「え?」 「優柔不断さんは、わたしに、じゃなくて。わたしと一緒に、びびってくれてましたから」 柔らかい声で、勇気凛々は言う。 優等生で、ヒーローであろうとした過去の自分には、まず出せないだろう声だ。 「ひとりじゃないって、思わせてくれたから。だからわたしは。怖くなかったです」 「!」 「だから――ありがとう、です、優柔不断さん。 わたし、貴方に救われて、本当に良かったと思いました」 「!!!」 二人は娯楽施設の中に入る。 両サイドに雑貨屋テナントとパンクな服屋が並び、 反対側にはにはゲームセンター、お茶専門店などが立ち並ぶのが見える。 吹き抜けの上には薬局などの影も見える。C-2の一階の風景だ。 ここより少し北、C-1の中央階段では現在、最後の決戦である最終戦が行われている。 優柔不断と勇気凛々の二人は“対主催側”の作戦を遂行するため、 一度逆方向のA-2へと走って、 そこに斃れる鏡花水月の死体から首輪を入手してきたところだ。 「り、りんりんちゃんが。ありがとうって俺に。もう死んでもいい」 「……優柔不断さん、感極まってる場合じゃないです。 “正しい作戦”を実行するなら、 一刀両断さんに伝えた三十分という時間より早く、中央階段に到達しなければいけません」 「はっそうだった」 足を止めかけた優柔不断を急かして二人はさらに走る。 あとは辿り着くだけ――しかし急がなければならない。 もし、“対主催側”にいながらその動きに不審点があった一刀両断が“マーダー側”だった場合、 彼女は傍若無人にこちらの作戦をリークする可能性がある。 その場合、奇襲が三十分後ということがバレてしまい、奇襲が意味をなさない。 「だから、二十分」そう紆余曲折は優柔不断に言った。 「凛々ちゃんをなるべく早く説得して、二十分で全ての準備をしてもらいます。 A-2との往復を考えると、非常に厳しい時間になりますが……お願いします」と。 「今、たぶん十五分くらいです。足を止めてる時間も無ければ、 他のことを考えている余裕もないですよ。早く“準備”に取り掛かりましょう。 その先に何が待っているかは、分かりませんけど。あの大男は、わたしたちで倒すんです」 ちなみに優柔不断は走りながら“正しい作戦”をすでに勇気凛々に教えている。 作戦は、プロセス自体は変わらない。 勇気凛々が奇襲することにより傍若無人に致命的な隙を作り、そこを切磋琢磨が叩くというものだ。 “正しい作戦”は、その奇襲の方法をさらに先鋭化させたものだ。 大男のルール能力、その弱点。 それを突いた最適な奇襲の方法を実現するのに、首輪が必要不可欠だった。 「ああ、そうだな。あいつ倒したところで、その先なんか分かんねーけど」 優柔不断はデイパックから血のついた首輪を取り出し、釣り糸を巻きつけながら吐き捨てる。 「とにかく今は、あいつを――《首輪しか見えてない》あの大男を、盛大に驚かしてやろうぜ!」 二人は二階へと続く階段を駆け上がっていく。 レストラン街を抜けたら、中央階段はすぐだ。 そして彼らの到着と共に……この最後の戦いは、あっけなく終わるだろう。 《人をモノとしか見れない》大男は、そのルール能力の裏を読まれて、負けるのだ。 ◆◆◆◆ 傍若無人の視界には紫色の光が映っていた。 対戦相手の身体から発される、《ルール能力による光》だ。 仕切り直しだと宣言したその《光》は、能力の発動を知らせたのち、徐々に弱まり消える。 あとには「首輪」だけが残る。 空中に浮いた、「首輪」だけが――モノだけが残る。 《彼の目に人の姿は映らない》。 《当人が自分の一部だと認識しているもの、服やグローブなども、彼の目には映らない》。 《ルール能力が起こす、先ほどの光のような現象》 《各人が自分の一部とは認識していない、包丁や銃などの武器、あるいはデイパック》。 《そして、「首輪」。大男の目に映るモノはそれらだけ》。 傍若無人のルール能力《傍若無人》はそんな、言葉通りのルール能力だ。 破顔一笑の《破顔一笑》を回避することができること以外になんの使い道もない、最悪のルールだ。 「行くぞ、傍若無人!」 視界制限の中で傍若無人もまた、ずっと薄板を踏むような戦いを強いられていた。 素手が武器である目の前の「首輪」はデイパックも置いてきているため、 先ほどまでは宙に浮いた「首輪」だけが、そこに相手がいるということを教えてくれていた。 今はそれに加えて、右腕から離れて空中へと垂れる「首輪」の血液も《見える》。 よって傍若無人の情報制限は少しは緩和されている。だがやはり格闘戦相手は神経を使う。 「二の型、突進――疾槍!!!」 もちろん戦えぬわけではないし、不利になるというほどのことでもない。 すべては計算によって補える。 前方、 「首輪」が発奮し声を発する。 「首輪」は一直線に向かってくる。 「首輪」の傾き具合は比較的高いことから、身体を前に突き出していることが想像できる。 傍若無人は「首輪」の中心から、「首輪」の身体部分を貫くように中心線を試算する。 中心線は正中線。 人間の身体の構造上、その線を狙って攻撃すれば狙いを大きく外すことはない。 「単純なモノだ! まだ直線で戦いたいか!」 斧を薙ぐ体制に入る。 リーチの長い致命武器で相手を寄せ付けないことで、認識の誤差をある程度ごまかし、 さらに斧を潜り抜ける方法を数パターンに限定することで、対処方法を画一化する。 横に薙がれる斧に対しての基本は、 ①飛んで躱すか、 ②潜って躱すか、 ③振り切るまでいったん待つかだ。 どれを向こうが選択したかは「首輪」の動きで判断可能。 その選択に対する次の行動も大脳に織り込み済み。当然イレギュラーも考慮済み。 戦術的な相手の動きのコントロールに加え、 声、床を踏む音、近くに来られれば息遣いや汗の香りなど、 目以外の情報も加味する。それらを総合して大男は「首輪」と、 一見してルール能力で視界が制限されているとは思えない戦闘を演じきっていた。 「おう!! 何度だって……真正面からぶつかってやる!!」 「首輪」が加速。イレギュラー。 《強化》による速度上昇をもって振られる前に突っ込むつもりなのだ。 アキレス腱が切られている事実は一体どこに行ったのか? 全くもって驚異的だ。 傍若無人は対処する。 振る手前、斧を後ろに引いていた体勢から、 そのまま床に倒れこむことで「首輪」の攻撃を回避しにかかる。 腕は《見えない》が、その攻撃距離の最大値はここまでの戦闘で把握済みだ。 どのタイミングでなら綺麗に避けられるかは、容易く計算できる。 チリッ。 「……!」 しかしイレギュラー・セカンド。 「届いた、ぜ。七点流、五の型――“変節”、延長」 あるはずのない場所に「首輪」の指先があり、その貫手が傍若無人の服をかすめた。 かすめただけ、だが、 七段《強化》した「首輪」の鋭い槍は薄生地の黒シャツを破き、皮膚を数枚えぐる。 水が沸騰した時の気泡のように、切れた毛細血管から血の球がぽつぽつと湧き出る、 完璧なタイミングで避けたはずなのに何故――? 傍若無人は一瞬そう考えそうになり、しかしすぐに思い至る。というか相手が教えてくれた。 七点流。 その名を聞くのは、はじめてだ。 「切磋琢磨……《進化》したか! 技すらも!」 「そうだ! 俺は今、師を! 老師の全てが詰まった四点流、そのものを“発展”させた! ――六の型、“気導”!」 「首輪」がふざけた動きをした。 床を転がり追撃を回避しながら傍若無人が振った斧に対し、「首輪」は足を使わずに後ろへ跳躍、 次の瞬間にはヨーヨーが引っ張られるようにして元の位置へ戻ってきたのだ。 意味不明だ。 五の型“変節”の仕組みは恐らく単純だ……間接を外すことで物理的に腕を伸ばしたのだろう。 しかしこのアクロバティックな動きはどうにも説明がつかない! 「空気の壁を叩くことで反発により俺を移動させた! それだけだ!」 「……化けモノが!!」 暴虐的な速度で攻めてくる「首輪」を、傍若無人はひたすら受ける。 アキレス腱を、ひいては左腕を切っておいて本当に良かったとしか言えなかった。 六の型“気導”を使うには足の力はもう足りず、使えるのはどうやら片腕となった拳だけらしい。 空を飛ぶようなことは出来ないし、使用と同時の攻撃動作もない。 それでも六の型の人間離れした動きは傍若無人の計算を狂わせるには十分だったし、 「“変節”、発展――増節!!」 五の型のほうも関節を伸縮させるだけかと思いきや、 明らかに人体を構造レベルで変化させる挙動を実現しており、総じてふざけていた。 《七段の強化》。 七は虹の色数であり、虹は文字紙の招待状のインクの色であり、 四字熟語にとって四の次に大切な数字だ。 虹色をなぞっていた《強化》の光が七色目を数えたということは、 それはつまり、《切磋琢磨の完成》を意味する。いや文字だから《完筆》か。 「厄介、な、モノだ……!」 目の前の「首輪」は、たったさっきを以ってして、ヒトから文字に化けたのだ。 「だが……」 傍若無人は目を凝らす。同時に五度ほど拳撃が肉をかすめて身体に血を刻んでいく。 骨にヒビを入れるほど強く身をよじって回避する。なおも目を凝らす。 認識を再定義。 完全に《文字化け》したのであればそれはもうヒトではない。ヒトではないのなら、 「《見えた》ぞ、“切磋琢磨”」 文字ならば。認識できる。 蟷螂の斧。ルール能力に反抗し、文字を殺すための刃が、 視界に完全に敵の姿を捉えた傍若無人によって振られ、切磋琢磨の右腕を断ち切らんとす! 「もうその拳は、己には届かん!」 「来い、傍若無人!」 切磋琢磨も構えを変える! 四の型・爆発か? いや、違う。あれは……。 あれは、 ◇◆◇◆ その時だった。 傍若無人は、見た。 「――――!」 視界の端に銀刃が見えた。 同時。蹴る音。手すり。 “上”。 それはこの戦いにおける。傍若無人の初手と同一。 イレギュラー・サード。 奇襲。 ついに来たか。 傍若無人は斧を振る動作は止めないまま声の方向へ目線。 上方の空中に「首輪」と大剣。 《りんりんソード》。――勇気凛々。 (上空からの攻撃。己の弱点を的確に突いてきたな。これは……) 傍若無人にとって空中の相手からは得られる情報が少ない。 先ほど切磋琢磨にまんまとレーダーを破壊されたのも。 斧を起点にされ飛び上がられ。空中を使われたからというのが大きい。 そこへこの的確な奇襲。訝しむ。 傍若無人は。《傍若無人》のルール能力が突き止められた可能性を思案した。 ありえぬ。とは断ぜぬ。傍若無人はその可能性を考慮に入れた上で、 シミュレート。 斧は。このまま。目の前の切磋琢磨に縦に振るう。 その後。勢いを利用して斬り上げ上空の「首輪」へと繋げていく。 おそらく大剣で受けられる。踏み込み押し込んで吹き飛ばす。 次いで片手を放して正面をガードする。 斧を回避しジャブに移行してくる切磋琢磨はこれで止める。 腕は軋んで半死だろう。が。奇襲さえ防げば二対一にも問題なく対処できる。 強くなりすぎた切磋琢磨にとっては。もはや逆にチームプレイは足かせとなる。 さて。その後の手は。後々の手は。 あるいはこの方法はどうか。あるいは。 傍若無人は鈍化した時間感覚の中で数パターンの戦闘フローチャートを組む。 斧はもう振り始めている。結論。八割方対処可能。 残り二割。イレギュラーの可能性を高速検討。 心配無しとは断ぜぬ。 可能性が。可能性を。可能性は。 周囲がスローモーションになるほどの高速思考の中で傍若無人は。ある可能性に思い至る。 (待て。あれは――本当に――勇気凛々か?) ここに居ぬもう一名。 優柔不断。 の存在が脳裏に浮かぶ。 勇気凛々の《勇気凛々》は文字武器の具現化。それ自体が能力。 具現化させた《りんりんソード》は他人に使わせることができるはずだ。 もしいま見える「首輪」が勇気凛々ではなく優柔不断であり。 こちらのルール能力を把握したうえで。 わざと《りんりんソード》を持って飛び降りてきているのだとしたら。 空中からの奇襲には。《りんりんソード》の重さをごまかす意味も含まれているとしたら。 あの少女が今。 己の死角に居る。 (成程な。だが――その程度では――己は揺さぶれぬぞ、モノども!) 傍若無人は。斧を振るう。 眼前、切磋琢磨に向かって――“振るって投げる”。 「!?」 切磋琢磨は反応遅れ、るも避けようとする、しかし背後を思い出す。 一刀両断。紆余曲折。狙いはそちらだ。 「ぐっ……ぬッ、おおお!!防御ッ!!」 切磋琢磨は三の型「防御」を駆使し鋼と化した腕で弾くしかないだろう。 無理な体勢からの弾き動作、それも《蟷螂の斧》。 血しぶき。 しばしの硬直。 そして弾かれた斧を。傍若無人はフィギュアスケートのような回転跳躍をしながら、 再度掴み、掴んで勢いそのまま、空中の「首輪」へと思い切りぶつける! 「なッ、……!」 「二度は同じ手は食わん」 「が、はっ」 ただし。フライパンで殴るようにして。蟷螂の斧の、横の平たい面をだ。 《面で殴れば、ただの鈍器》。ルール能力は発動しない。 ホームラン。潰れたカエルのような低い声を出しつつ「首輪」が横方向に飛んでいく。 「……り、んりん、ちゃん!」 次の瞬間《りんりんソード》が消える。「首輪」が死にかけの声で叫ぶ。 《消失と再出現》による奇襲のつもりか。 だが、先の跳躍時の回転で、傍若無人にはすでに勇気凛々も見えていた。 三つ目の「首輪」は中央階段のちょうど中央。 天井からぶらさがる、シャンデリアから帯を垂らしたようなモニュメントのその真下に。 その場所に向かって傍若無人は首を向けた。 《りんりんソード》が「首輪」の横に《再出現》し、浮かんでいる。 まだ攻撃態勢には移れていない。傍若無人の方が、一歩先だ。 「首輪」の中心線に向かって。 傍若無人は自らの持ちうる攻撃力の頂点を合わせにいく。 イメージは槍。 優柔不断にぶつけたフライパンの斧の、持ち手をギリギリまで長く持ち替えながら、 さらに身体を捻り真反対を向く。着地。足を大きく開く。 一歩、踏み込むと同時に捻られた身体を解放し――蓄えたエネルギーごと、 斧の先端を「首輪」の腹部に向かって押し出すように。 「“暴虐ノ――――――槍玉”」 その攻撃はビリヤードのキューが白球の中央を突くような正確さで、「首輪」へと吸い込まれていった。 これで終わりだ。傍若無人はそう自負した。 「首輪」の位置から弾きだされた想像上のシルエットに。 傍若無人の斧の先端が。 刺さり。 刺さって。 すりぬけていった。 疑問の言葉を発する暇なし。 一切の感触をもたらさず虚空を突いた攻撃は、ストッパーを失った特急列車と成り、傍若無人自身の体勢を大きく崩す。 崩れた視界の正面では、さらに新たなイレギュラーが生まれて大男を襲っていた。 《りんりんソード》がこちらへ向かって来る。 「首輪」から連想されるシルエットから計算できたリーチを大きく逸脱し、 大剣がまるで、自立意思を持つようにして。傍若無人の開いた懐へと迫り。 そして鋭く舞う。 傍若無人の肩から腰にかけて一閃。 傷。 痛み。 次いで。剣の位置が変わったことで。 新たに傍若無人の視界に、「首輪」が映った。 「“見えました”、傍若無人。貴方の、負けです」 大男に攻撃を加えた四つ目の「首輪」は。 かつて心機一転のボウガンを防いだときのように。幅広の《りんりんソード》で自分の首輪を隠していた。 隣にもう一つの、ダミーの首輪を配置して。 “ひとり分、自分の位置をずらして、誤認をさせた”。 ダミー首輪を操作していたのは優柔不断。 天井のモニュメントへと釣り糸で引っかけ、そこから垂れる帯に隠すように、静かに中央階段へと降ろした。 自身もまた《りんりんソード》で二階から跳躍し、傍若無人の目を引いた。 すべては一瞬のため。 勇気凛々による奇襲を完成させ。 切磋琢磨の大技を決めるための、二重三重の撹乱作戦。 「七点流、七の型」 傍若無人は苦し紛れの膝蹴りで勇気凛々を攻撃する。 勇気凛々はかわさず《りんりんソード》で膝を狙う。 相討ち覚悟の攻撃。叩きこみ、その反動で後方へ逃れる手はず。 それでもさすがに傍若無人。 膝に剣を受けながらも勢いを落とさずに、蹴りの威力を勇気凛々に押し込んだ。 勇気凛々は床を転がり威力を消そうとするが、柱へと叩きつけられた、 背中を衝撃が打った、こひゅうと肺から胃液交じりの息を吐いた。たった一撃で。なんて世界だ。 しかし彼女は笑った。 大それた風が吹いているわけでもないのに、左方から巨大な力の高まりを感じていた。 「“終点”」 その力は、切磋琢磨の右こぶしにすべて集まっている。 最後の型は終点にして集約点。 生きるために使っている全エネルギーを心臓と拳のみに集約し、 ただ一つの拳となって相手へぶつけるための型。 爆発もしない。虹色の光が出たりもしない。ただ全てがぶつかりあうだけ。 こちらの全てをぶつけ。 あちらの全てを引きずり出し、終わらせるための拳。 切磋琢磨はそれを――これまでの高速戦闘からすればひどくゆっくりと。 がら空きの傍若無人の脇腹へ。 繰り出した。 「……俺たちの明日のために。ここで終われ、傍若無人!!!!」 そして。 最終戦は、終わった。 ◆◆◆◆◆ ええ。 殺し合いはまだ、終わっていませんよ。 ◆◆◆◆◆ 紆余曲折。一刀両断。優柔不断は、戦闘不能。 勇気凛々はすぐにはダメージ回復できず。おしなべて満身創痍の中央階段。 その中央。 終点にて、切磋琢磨と傍若無人。 二者の全てが静かにぶつかり合い、数秒、時が止まったかのように空間が硬直する。 そして。 ――傍若無人が大の字に倒れる。 口から血を吐いて、その場へと沈んでいく。 「……ぐ、ぬ」 全てを引きずり出され倒された大男の、呼吸は弱く目はうつろ。しかし意識はある。 最終戦の勝利条件に則って、傍若無人は殺されてはいない。 まだ聞くことがたくさんあるからだ。 「待て……動、くな」 切磋琢磨がその上に馬乗りになる。 彼もまた呼吸は荒く、疲労が目に見える。 左腕からは未だ血が流れ、早急な手当てが必要だ。 けれど、切磋琢磨はそれを気にしていない。 どうせ傍若無人は負けたのだから、 早急に手当てし、まず命を確保してから、脱出手段を聞くのが正解のはずだ。 しかしその前に彼には、やることがあるようだった。それ以前に。聞くことが。 「はぁ……、お前……いや、あんた……どうして? どうしてだ?」 「……」 「どうして……おかしいぞ。ありえ、ない。はぁ……あんた、なんで、“同じ”なんだ」 「……」 「ど、うしたんです、切磋琢磨さん?」 「なんでだ。ふざけてる。こんなの……はぁ……なんで、あんた」 彼の様子がおかしいことに気付いたのは、 階段の柱にもたれかかるようにして休んでいた勇気凛々だ。 切磋琢磨の表情がおかしい。 哀れむような。驚くような。戸惑う様な複雑な表情で傍若無人に疑問を投げている。 勝利の喜びがそこにないことに一抹の不安がよぎり、勇気凛々は声をかけた。 だけどその言葉が聞こえていないかのように、切磋琢磨は錯乱じみた言葉を吐いた。 終点の交錯にて。 全てをぶつけ全てを引きずり出して、 ある種、傍若無人と深い深い“拳語り”をしたのだろう切磋琢磨が。 こう言ったのだ。 「傍若無人。あんた、……“誰のために戦ってたんだ”?」 「それはお前には知ることはできねーよ、タクマ」 そして切磋琢磨は。 己が胸から刀が生えたのを感じた。 「な」 「!?」 切磋琢磨が、そして勇気凛々が目を見開く。 大男に跨る赤毛の青年の背後、ジャージ姿の女性が静かに立っている。 立って、日本刀を突き刺している。 切磋琢磨の、心臓へ。 いつの間に? 疑問を返す間もなく、その女性は――。一刀両断は、そのまま刀を、前へ突き出した。 疲れ切った切磋琢磨の身体はその動きにつられるように前へ倒れこむ。 《全てを切り裂く》日本刀の切っ先は。 傍若無人の身体も、貫く。 「だって――もうそいつは何もしゃべらない。 あたしが今から、お前と共に殺すから、だ」 一刀両断は横に振り抜いた。 切磋琢磨と傍若無人。二名の心臓が、真っ二つに裂けた。 「……さて。状況を確認するぜ」 ごとり。と。何か致命的なものが失われたような雰囲気が、重く、あたりに充満した。 その恐ろしく濁った空気の中で、ひどく軽快に彼女は語り始めた。 「傍若無人と切磋琢磨は今死んだ。この場の最大戦力は失われた。 次に強いのは誰だ? 今から戦って、殺し合って、生き残るのは誰だ。 さあ。この殺し合いで、いま一番有利なのは誰だろうな? まあ、聞くまでもないか」 ひどく楽しそうに。狂気を孕んだ目で。 一刀両断は笑った。そして竹を割ったような声で言った。 「あたしの勝ちだろ? これ」 二人の亡骸からは、赤い血が流れ続ける。 血の水たまりに浸かった彼女の、それは勝利宣言だった。 【傍若無人 死亡】 【切磋琢磨 死亡】 【――残り、四名】 最終戦Ⅱ 前のお話 次のお話 最終戦Ⅳ 用語解説 【奇襲】 不意打ち、闇討ち、隙あり! なんだかんだ言っても命の奪い合いはいかに相手の意識の外から致命打を与えられるか、だと思います。 この四字熟語バトルロワイヤルでも予想外の一手で殺された参加者が多く、見返すとあっさり死が多めになってるような? 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ