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日が暮れる直前、バーバラは目を疑う光景を目撃した。 雪まじりの荒地に腰を下ろしている二人がいた。 探しものにとんでもない爆弾を結わえ付けられたような気分だった。 バーバラは人間一人分ほどはある岩の陰に隠れて恨めしい視線を送っていた。 ――冗談じゃないわよ なんであいつとテリーが一緒なの!? ソロがいてテリーがいる。悪魔と天使が手をつないでお遊戯している。 言い知れぬ嫌悪感がバーバラの身体を貫いた。 思わず鞭でテリーを絡めとって、強奪してやりたい衝動にかられた。 手にしている武器はナイフと短剣だけなので、それは無理な相談だが。 二人は今向き合って談笑している。 ひとまずテリーに危機はないとわかり安堵した。 しかし心の中の別のところでは憤りが収まらなかった。 惨劇の記憶が甦ってきて、血が滲みそうなほど強く唇を噛み締める。 手が、指が、ぴりぴりと痺れて勝手に動き出しそうになる。 このまま我慢を続ければ、バーバラの精神は限界を超えてしまうかもしれない。 何故ここまで怒りが沸いてくるのだろう。 理由を言葉にしてみればこういうことだった。 「レナお姉ちゃんを殺していながら笑ってる……」 【テリー 所持品:なし 基本行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る】 【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持品:エンハンスソード スーツケース核爆弾 イリーナの社員証 第一行動方針:助けを求める 最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明) 【現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原】 【バーバラ 所持品:果物ナイフ ホイミンの核 ペンダント メイジマッシャー 第一行動方針:テリーを救う 第二行動方針:レナの遺言を果たす 第三行動方針:仲間の捜索】 【現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地】 ←PREV INDEX NEXT→ ←PREV ソロ NEXT→ ←PREV テリー NEXT→ ←PREV バーバラ NEXT→
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その心笑ってるねおばさんとYouTube検索すると老害の動画が出てくる。 題名の通りその心笑ってるねやあんたよりよっぽど長く生きてんだよ!という言葉が何故か印象に残る動画。 そしてこの独特感が物凄く面白い。 したはニコニコ動画の転載動画である。 あと電車ではお静かに〜。 この人は看護師をやっているそう。 コメント欄 名前 コメント
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「なんで・・・・・・こんなことに・・・・・・!! 」 フグ田マスオは、唇をわなわなと震わせながらつぶやいた。 自分を本当の兄のように慕ってくれた、ワカメちゃん。 いつも晩酌に付き合ってくれた、波平さん。 婿養子のような身分の自分をいつも立ててくれた、フネさん。 そして、妻のサザエ。 みんな、もうこの世にはいないんだ。 放送がかかる度に、家族の死を知らされるなんて。 「パパ、どうしてさっきママの名前が呼ばれたですか? 」 タラオは、そんな父親の顔を不思議そうに覗き込んで、無邪気な疑問を発する。 あまりに幼い彼には、まだ自分たちがどんな状況に置かれているのかも、 そして母親がすでに死んだことすらも理解できなかった。 「タラちゃん・・・・・・ママは・・・・・・」 マスオは、息子に落ち着いて事態を説明しようとした。 でも、その声は夜の闇に吸い込まれるように消えて、代わりにただすすり泣く声 だけがビル街に響いた。 タラオは、どうすればいいのかもわからなくて、ただ泣き濡れた父親の顔を見つめていた。 (ああ、やっぱり、家に戻っていればよかったんだ。そうすれば、こんなことには) たまたまタラちゃんと遠出をしていて、今回の騒動に巻き込まれたマスオ。 すぐに家に戻ろうとしたが、駅で磯野家のある世田谷区は広範囲が対個人用核爆弾 によって放射性物質が撒き散らされているという情報を耳にし、世田谷に帰るのをた めらってしまったのだ。 戻っていれば、家族を救えたかもしれないのに。 マスオは、自分を責めることでしか平常心を保てなかった。 「パパ、泣いちゃ駄目ですよう」 そんな父親を慰めようとする、何も知らない息子。 (ああ。せめて、この子だけは) 満月が、二人の親子を照らしていた。 「いやあ、完全に道に迷っちゃったねえ。あはは」 白鳥隆士は、場を和ませるためにわざとらしく笑った。 でも、彼の隣にいるセーラー服の少女は笑わない。 不快そうな顔すらもしない。ただ、無言で彼を見上げるだけだ。 「・・・・・・ふう」 まったく、この子といると凄い疲れる。笑わないというか、まったく感情を表に出さない からだ。 ほとんど夜通し歩き続けて、もう足はとっくに棒になっている。それでも、ここが一体 東京の何区なのかもわからないとはどうしたことか。 「ねえ志乃ちゃん、やっぱりバスに乗ったほうが」 白鳥の提案に、少女、支倉志乃はそっけなく答える。 「バスは危険。電車と比べても、放火や爆破などのテロ行為を受ける危険性が高い。 そうなった場合は、まず助からないと思う。今、公共交通機関はどこも危険と考える べき」 「そ、そうなんだ・・・・・・」 この子の機転には驚かされる。しかし何よりびっくりしたのは、彼女はこの殺し合いの 真っ最中に大阪から単身新幹線で上京してきたらしい。 どう見ても小学生なのに。 「それは仕方が無かった。飛行機に比べれば格段に安全なことは明白だし、私は早く 東京に来る必要性があった」 そう言って、自らの無謀な行為については正当化する志乃。でもって、それを言い終 えると再び白鳥から視線を外して黙りこくってしまう。 こういう沈黙が苦手な白鳥にとっては、かなり相性の悪い相手だった。 (棗ちゃんに似てるかと思ったけど、なんかそれとも違うタイプなような・・・・・・むしろ、 珠美ちゃんに似てるかも) みんなは、どうしているだろうか。 まあ、あのアパートに隠れている以上は食料も当分は持つし心配ないはずだ。 今、唯一心配しないといけないのは梢だった。 (梢ちゃん・・・・・・一体どこに行っちゃったんだ) 殺し合いが始まった次の日に突然アパートから消えた、彼の恋人である青葉梢。 白鳥はその行方を追おうと、みんなの猛反対を押し切ってアパートを飛び出してきた。 何しろ、あの梢がこんな殺し合いの中で生き残れるとは思えない。 自分の身を守るための戦いだって、彼女には無理だろう。 (でも・・・・・・待てよ。確かに梢ちゃんなら無理でも、『早紀ちゃん』や『千百合ちゃん』だったら) 彼女の別人格である彼女たちならば、あるいはしたたかに生き延びられるかもしれない。 今はそれに賭けるしかない。 例え今の彼女が『誰』であったとしても、無事でさえいれば。 「ん? 」 気がつくと、志乃が白鳥の腕をつかんで立ち止まっていた。 「どうしたの、志乃ちゃん? 」 「見て」 そういわれて前方に目を向けた白鳥は、そこに大小二つの人影を見て息を呑んだ。 向こうはもこちらと全く同じように、足を止めて固まっている。 白鳥は、視線を全身に感じて気分が悪くなった。 「どうする? もしかしたら、味方になってくれるかも。で、でもやっぱり逃げたほうが」 「その必要は無い」 希望的な観測を言う白鳥に対して、志乃はあくまでも冷徹に告げる。 「しかし、相手は自分の存在を隠そうとはしていない。この距離なら当然こちらの存在 も向こうは認識しているはず。もし最初から私達を殺す気なら、身を隠して待ち構える かこの時点で襲ってくるはず」 「でも、悪い人じゃないと断言は・・・・・・」 「判断は、しばらく様子を見てからでもいい。私達はともにこの辺りの地理には詳しくな い。味方になってくれるなら好都合」 志乃は前方の人影を警戒して立ち尽くす白鳥を置いて、その二人の影に近づいていった。 「そっか、フグ田さんたちもこの辺の人じゃないんだ」 「ああ、ごめんよ、役に立てなくて」 マスオ、タラオ、白鳥、志乃の四人は自己紹介を終えて、お互いの情報を交換しあった。 だがマスオたちの持っていた情報もあまり役には立たないもので、白鳥は内心酷く がっかりした。 「キミ達は二人とも、人を探しているんだね」 「はい。なんとか、見つけて帰りたいんですけど」 白鳥は梢を、そして志乃はここ東京で消息を絶った『彼』を探していた。 『彼』が、先輩の命令だかで「ちょっと用事が出来て」と、東京へと発ったのは殺し合い の始まる前日。それ以来今日まで、『彼』からは電話一本も無い。 『彼』が普段から携帯電話を所持していないことを加味して考えても、『彼』がまだ生存 している可能性は低そうだった。 『彼』の性格からしても、「たとえ自分の命が危なくても他人を殺すことなんか出来ない」 などと甘いことを言いそうだ。 それでも、志乃は東京までやってきた。 『彼』が死んだという確実な情報を得るまでは、取れるだけの行動は取っておこうとの 考えからだった。 「それでキミたち、これからどこへ行くんだい? 」 マスオの問いに、白鳥が答える。 「どこと言われても・・・・・・特には。まあ、そろそろどこか安全な場所で休みたいですね」 「うーん。安全な場所かあ」 マスオは、どうしたものかと思案した。 磯野家は、現在放射線による汚染が酷くて近づけない。休む場所が欲しいのは自分 たちも同じなのだが。 「そうだ、うちの会社なら!! 」 マスオは手をポンと打った。三人は、怪訝な顔でマスオを見る。 「うちの会社なら、仮眠室もあるしみんな休めるよ。それに、僕の知り合いもいるはずだ。 ここからなら、電車で二駅のはずだ」 「でも、今電車は・・・・・・」 白鳥が口を挟む。 「徒歩で行くのが妥当。二駅なら、おそらくそれほどの距離ではない」 そう言ったのは志乃だった。 「そうだね。タラちゃんは、僕が負ぶっていくよ。タラちゃん? あれれ、さっきからおとなしい と思ったら、もう寝てるよ」 マスオは、いつの間にやら自分の膝の上で寝てしまったタラオを背負い上げた。 「さあ、行こうか」 その言葉に、白鳥は元気良く返事をして、志乃は無言でうなずく。 なんとも変な二人組みだな、とマスオは思った。 ビル街を抜けて、駅前にまで出た。 少し前までは華やかだった駅前も、今ではネオンもついていない。 発電所もロクに機能していないんだろう。 この分では、公共交通もいつまで使えるかわからない。 タラオは完全にマスオの背中で熟睡していた。その寝顔を見た白鳥は、微笑ましくて隣を歩く志乃に 「子供ってかわいいね」 と語りかけた。 もちろん反応は無かった。 白鳥が軽くショックを受けていると、前を歩いていたマスオが急に立ち止まった。 「フグ田さん? どうかしたんで・・・・・・」 志乃にわき腹をつつかれて、やっと彼も気がつく。 前方から、こちらに近づいてくる人影に。 その人影は、まっすぐに白鳥たちのほうに歩み寄ってきた。 「どうします? 」 「・・・・・・大丈夫そうだよ。普通のおじさんみたいだし」 マスオは答える。 実際、月に照らされたその男の顔は、凶暴さのかけらも無い温和な中年男のものだった。 この人なら敵ではないだろう。 白鳥は、確証もなく確信した。 だって、さっき出会ったばかりのこの人だって、僕らの味方になってくれた。 だから、今度の人もきっと大丈夫。 そう、何の疑問もなく思っていたから、彼は志乃の 「白鳥。少し下がったほうがいい。危ないかも」 という警告を心底以外に思った。 マスオとその男は、駅前の横断歩道の丁度真ん中で出会った。 「どうも。どうしてこんなところに? 」 あくまで友好的に接するマスオに、その眼鏡の中年男は少し意外そうな顔を見せつつ 答える。 「人探しです。早く見つけて、守りたい子供たちがいるんです」 「ああ、だったら僕たちと一緒ですよ。どうです、一緒に来ませんか? 」 その男は少し沈黙した。 「それはありがたい。しかし、すみません。私には、やらねばならぬことがあるのです」 そして、男は背中に手を回して、金属バッドを振り上げた。 「!! 」 あわてて飛びのいたマスオのこめかみをかすめて、金属の太い棒が宙を舞った。 「フグ田さん!! 」 「白鳥!! 」 飛び出そうとした白鳥の体を、志乃が押さえつける。 マスオは数歩あとずさって、タラオを背中から下ろした。 「パ、パパ・・・・・・? 」 今しがた目を覚ましたタラオは、目の前で何が起きているかもわからなかった。 「タラちゃん、白鳥くん、志乃ちゃん、逃げて!! 」 マスオはそう言うと、ポケットから黒い物体を取り出して男に突撃した。 男は、バッドを振り上げて迎撃姿勢を取る。 そして、男がバッドを振り下ろしたのとマスオが男に触れたのは全く同時だった。 「ぐっ・・・・・・」 男はうめき声を上げて、その場にうずくまった。 「スタンガン・・・・・・」 白鳥は、マスオの手に握られたそれを呆然と見る。 「あれ、私の。いつの間にかなくなったと思ったら、主催者に没収されていたみたい」 志乃が、なんだか恐ろしいことを言う。 しかし、当然ながらマスオも無傷ではなかった。 バッドの一撃を受けた額から、夥しく出血している。 「パパ!! 逃げて下さい!! 」 タラオが必死に呼びかける。 「いいや・・・・・・まだだ・・・・・・」 マスオは、目の前にうずくまる男を見やる。スタンガンの一撃を受けた男は、それでも 信じがたいことに、まだ失神していなかった。 「三人とも、逃げるんだ!! 僕の会社はこの線路沿いまっすぐ右手に言ったところに ある、海山商事という会社だ。そこの、アナゴさんという怖い顔のおじさんを訪ねてくれ」 「フ、フグ田さんも一緒に・・・・・・」 「いや、」 マスオは、白鳥の声を撥ね退けた。 「僕は、こいつを足止めする」 男はすでに、立ち上がってマスオと対峙していた。 「白鳥くん、志乃ちゃん、勝手な頼みだけど・・・・・・タラちゃんを、頼むよ」 「フグ田さん、ぼ、僕も戦う!! 」 白鳥は、飛び出そうとした。 「無意味」 その行動原理を全て否定するような、冷たい声。 「あなたや私の装備では、あれほどの相手に対して勝利するのは不可能。 出て行っても足手まとい。ここは彼の言ったとおりに逃げるしかない」 支倉志乃は、こんな時まで感情を見せず、冷徹だった。 その態度に、白鳥は激昂した。 「志乃ちゃん、キミは、キミは味方を放っておいて逃げるなんてことが出来るの!? そんなこと、どうして出来るんだよ!! 味方は助け合ってこその・・・・・・」 「彼は、自分の身を張って私達を逃がそうとしている。それを無にするのは、味方への 裏切りではないの? 」 その言葉に、白鳥は反応できなかった。 言葉が重かったんじゃない。目の前の少女の眼力が、彼を行かせまいとしていたからだ。 「パパ、パパ!! 」 泣き叫ぶタラオの手を、志乃が握った。 「来て」 「いやですぅ!! パパを助けるですぅ!! 」 「あなたの父の願いは、あなたが助かること。それがわかるなら、逃げて」 それでも泣いて暴れるタラオを、志乃は無理やり引きずるようにしてマスオから遠ざけた。 「タラちゃん、よく聞いて」 男に対峙しながら、マスオが口を開いた。 「パパは、絶対に生きてタラちゃんのところに帰る。約束する。だから、逃げてくれ」 「パパ・・・・・・パパっ」 タラオは、もはや声にならない叫びを上げた。 「行きましょう」 「・・・・・・ああ。フグ田さん、絶対、絶対生き残ってくださいね!! 」 その言葉が、白鳥の精一杯の手助けだった。 逃げる三人を横目で見ながら、先生は微笑んだ。 「賢明な判断です。あなたは、私と似ている」 「あんた・・・・・・なんでこんなことを」 ズキズキと痛む頭を抱えて、マスオは先生を睨みつける。 「生徒のためです。生徒を生かすため、他の参加者を全滅させる。 これだけが、『先生』たる私の使命です」 「あんたの生徒が、今のあんたを見たらどう思う? 」 「ええ、軽蔑するでしょう。そして、私は生徒達みんなが天国に行けたとしても、ひとり、 地獄に落ちるんでしょう。私のやっていることは、正しくなんかは無い」 マスオは、かすみ始めた視界の中で先生の目を見続けた。 「あんたは・・・・・・結局、少しも生徒のことなんか考えていない!! 」 先生は、驚いたように目を見開いた。 「どこの世界に、自分の教師が人を殺して喜ぶ生徒がいるんだ!! ましてや、それが自分たちを守るためにやったことだなんて知ったら・・・・・・ あんたのしてることは、あんたの生徒全員にあんたと同じ十字架を背負うことを 強いるということだ!! 」 「ち・・・・・・ちが・・・・・・」 先生は、反論しなかった。 反論のための言葉を持たなかった。それは、彼が必死に目を背け続けてきた、 事実だったからだ。 「言っておくが、タラちゃんに手を出したら僕が許さない。あんたがタラちゃんさえも殺す というんなら、今ここで殺す!! 」 マスオはスタンガンを構えなおした。 こんなもので、金属バッドに適うわけが無いとわかっている。 ましてや相手は、感電しても失神しない化け物だ。 それでも、先生は。 目の前の敵に、気圧されていた。 (私は・・・・・・一体、どこで間違ったんだ・・・・・・? ) マスオは、獣のような咆哮を上げながら先生に突撃した。 先生は、バッドを振り上げることでそれに答えた。 死闘が一方的な展開になるまでに、そう時間はかからなかった。 先生能力完全解放者に、普通の人間がかなうはずも無い。 先生は、マスオに向かってもう何度目になるかもわからない撲撃を振り下ろした。 それでも、マスオは死なない。 失神すらもしない。 眼鏡は割れ、顔は腫れ上がり、頭からは激しく出血し。 それでも、何度も立ち上がっては先生に向かっていった。 (この男・・・・・・なぜ、ここまで・・・・・・) 先生は、次のマスオからの攻撃を、あえて受けた。 こんな状態の男の突進など、ダメージにもならない。 スタンガンも、足で踏んで封じればいいだけのこと。 マスオは、先生の胸に抱かれる格好になった。 そして、先生はバッドの反対側・・・・・・柄の先の部分で、さらけ出されたマスオの 後頭部を勢い良く突いた。 「ぐっ」 それが、最後の一撃となった。 アスファルトの上に伸びるマスオ。もはや、その瞼すらも動かない。 ただ、呼吸音だけが彼の生命がまだあることを証明していた。 「・・・・・・見事でした。惜しい」 これほどの敵、あの禿頭の男以来だ。確か・・・・・・波平と言ったか。 「なあ、先生」 やっと聞き取れるほどの小さな声で。 マスオは、最後の言葉を敵に送った。 「あんた・・・・・・もうすぐ、絶対に後悔する」 タラちゃん、ごめん。パパ、約束を守れなかったね。 白鳥くん、志乃ちゃん。タラちゃんをどうかお願いします。 カツオくん、これからの磯野家はキミが担うんだ。頑張れよ。 タマ、お前も、どうか無事で。 ノリスケくん、この前飲みに行く約束したばかりだったのに、ごめんよ。 アナゴくん、辛いときは、いつも君のおかしな顔に癒されたよ。 課長、すいません。例の見積もり、まだ出来てません。もうクビですかね? ははは。 おふくろ。色々と、すまなかったね。 波平さん、また、一緒に飲みましょうね。 フネさんも、たまにはどうですか? ワカメちゃん、そっちには君の好きなお人形さんなんかはありますか? サザエ・・・・・・ごめんよ、タラちゃんを最後まで守れなくって。 ああ、でも。 また、磯野家のみんなで、楽しくワイワイ過ごせるんですね。 嬉しいなあ。 だって、僕は、磯野家の『マスオさん』なんですから。 【東京都環状線沿線 三日目20時】 【先生@ドラえもん】 〔状態〕先生能力完全開放 〔装備〕金属バッド、スタンガン@SHINO 〔道具〕支給品一式 〔思考〕 1 マスオとの戦いで負った傷を癒す 2 生徒を助けるため、他の参加者を殺す 3 生徒達、特にのび太のもとへ向かう 【フグ田タラオ@サザエさん】 〔状態〕健康 〔装備〕不明 〔道具〕支給品一式 〔思考〕 1 パパが戻るのを待つ 【白鳥隆士@まほらば】 〔状態〕健康 〔装備〕不明 〔道具〕支給品一式 〔思考〕 1 マスオさんの会社に向かう 2 青葉梢と、志乃の探し人である『彼』の探索 3 タラちゃんを守る 【支倉志乃@SHINO】 〔状態〕健康 〔装備〕不明 〔道具〕支給品一式 〔思考〕 1 『彼』を探す 2 今はひとまず白鳥、タラオと行動をともにする 【フグ田マスオ@サザエさん 死亡確認】
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【番組名】 笑ってる場合ですよ! 【放送日】 1982年6月29日 【放送局】 フジテレビ 【内容】 ①きよし・邦子の栄養料理学入門 ②日刊乾電池ニュース ③たけしの熱狂ライブ! ④お笑い君こそスターだ! ⑤若人あきらコーナー ⑥あの人に聞け! 【出演者】 司会:ツービート 出演者:山田邦子、東京乾電池、若人あきら、片岡鶴太郎他
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「穏やかな日」 「いい天気だねえ…」 「そうね…」 今は、2時間目が終わった後の休み時間。11時頃。 その日は、とてもいい天気だった。 太陽は燦々と輝き、雲は少なくきれいな青空が広がっている。 とっても穏やかな日。 私はかがみのクラスで、二人してぼーっとしながら外を見つめていた。 「こんないい天気の日はどっかに出かけたくなるよね」 「インドア派のあんたが言うなんて珍しいわね」 「私だってそうゆう時はあるんだよ」 「…」 「ねえ、かがみぃ」 「何よ?」 「今から学校抜け出さない?」 「ええっ!?」 「デートしよ」…とは言えなかったけど。 なんだか、天気がすごく良くて、雲一つない空で、とっても気持ちいい日。こんな日は勉強する気なんて起きない。 勉強もしなくちゃいけないけどさ、こんな日に校舎に閉じこもって勉強してるなんて、もったいない。 だから、大好きなかがみと、今日だけ、学校から逃げ出したい。私の気紛れだけど。 今だったらどんなに人目を気にせずデートしたって、他の皆には気付かれないよね。 そして、かがみを説得して、なんと了解させることに成功した。 かがみも勉強疲れしてるのかな? 「あはははははっ!」 「ちょっと、こなた今のはマズイわよっ!」 私たちは走って裏門から抜け出してきた。 「先生に出くわして『こんちゃ~』なんて挨拶しちゃバレるわよっ!鞄持ってるのに!」 「いや~、でも大丈夫そうだったよ~」 「まあ、そうだけどさぁ……でも本当に来ちゃったわね」 「こっそり学校抜け出すなんてワクワクするねえ~」 今日のこれからを期待する私とは裏腹にかがみは少し不安げだった。 「つかさとみゆきさんには先帰るってメール送っといたよ」 「明日なんて言い訳すればいいかしら…」 「それは、きょうの夜にでも相談しよ。とにかく今はさ、思いっきり楽しもうよ!」 バス停に着く。 「バスが来るのはまだまだ先か…当分待たなくちゃね」 「それなら歩いちゃおうよ。天気もいいしさ」 「…そうね」 普段、バスで通っている場所。 学校から駅までの道は、建物の少ない通りだ。 道路の両側に田んぼが広がり、間に草木の生えた道が続く。緑色の山もそんなに遠くには見えない。 この道をかがみと二人で話しながら歩く。 会話はだんだん少なくなっていくけど、とっても幸せな気持ち。 天気はいいし、勉強しなくていいし、それに、かがみと一緒。 とっても穏やかで、優しい時間。 穏やかすぎて、話すことも忘れてしまいそうな程。会話が少なくたって、気にならない。 恋の不安とか、テストの心配とか、受験とか、進路とか、今はなんにも考えなくていいんだ。 今は、この楽しい時間を味わいたいだけ。 「お腹空いたね」 「そういえば、もうすぐお昼ね。お弁当食べよっか」 道路脇の草むらの上に並んで座って、今日学校で食べるはずだったお昼ご飯を食べる。 「んー外で食べるご飯ておいしいよね。」 「あんたはチョココロネだけどな…でも、そうね。遠足みたいで楽しい」 「なんで高校では遠足ないんだろね?」 「高校生にもなって、大勢でリュック背負って歩くのか…」 「あ~、太陽がぽかぽかしてて気持ちいい~」 「そうね…あ、こなた私のお弁当少し分けてあげるわよ。そんなのじゃお腹いっぱいにならないでしょ?」 「ほんと!?わーい、かがみんありがとー」 「うふふっ」 「弁当が豪勢…今日はつかさの当番ですな」 「わ…悪かったわね!」 私は弁当のおかずを分けてもらう。 「ほら、こなた、ご飯粒付いてるわよ」 「ふえ?」 かがみは、私の頬についたご飯を取って食べた。 「おお…なかなか萌えることしてくれますなかがみんや」 「何言ってんのよ、あんたは…ふふっ」 こんな私にいちいち世話を焼いてくれるかがみ。 かがみは、とっても優しい顔で、私に微笑んでくれている。 いつか、かがみに「好き」って言おう。私は今、私の心とそう約束した。 お昼ご飯を食べ終わって、空にゆらゆらと浮かぶ雲をぼーっと見ている私は、ある視線に気付いた。 かがみの方に向くと、彼女はとても優しい顔で私のことを見つめていた。 「…なに見てるの、かがみ?」 「 …なんでもない…」 かがみは笑ってそう言った。 普段のかがみだったら、きっと顔を赤らめてツンツンした態度をとるのになあ… 私も今はあんまりからかう気にならない。なんだかすごく優しい気持ちで満たされてる感じ。 私たちの周りには家もなく、人もいなくて、静かだった。ときどき鳥の鳴き声が聞こえるくらい。 「う~ん…なんだか眠くなってきたねえ…」 私は草むらにころんと横になる。 「そこじゃ頭当たって痛いでしょ?ここ、いいわよ」 そう言ってかがみは、自分のひざをぽんぽんと叩いた。 「んー」 私は軽く返事をしながら、かがみに寄って、ひざの上に頭を乗せる。 結構、心地いい。ちょっとどきどきするけど、落ち着く。 空と太陽。 雲と風。 私とかがみ。 学校さぼって二人きり。 今はかがみのひざまくら。 何やってんだろ?でも幸せ。 日差しがぽかぽかしてあったかい。 私は眠くなって、目を閉じると、かがみが私の髪をなでてくれた。 気持ちいいな… 私は目が覚めた。 太陽の光がまぶしい。 すぐに寝る前の記憶を思い出して、自分は今寝る前と全く同じ状態にあると気付く。 「…私、どんくらい寝た?」 「少しだけよ。30分くらいかな」 私は体を起こして、背伸びしながら言った。 「むぅ~~~、さてと。そろそろ行こっかぁ」 私たちはまた歩き始める。 「こなた、起きたばかりだけどいいの?」 「んー、大丈夫…」 「うふふ、まだ眠そうよ…」 かがみ、今日は優しいね。 からかってるわけじゃないよ。 きっといい天気だから、気持ちが穏やかなんだよね。 「かがみ、手つなごっか」 さりげなく言ってみる。するとかがみは、 「…な、何言ってんのよ!あんたは…」 と顔を赤くしながら言った。 …いつものかがみだ。 すんなりいくと思ったのだが。 だったら。 「じゃあ、腕組みたいの?しょうがないな~」 いつもの私で。 「ちょ…ちょっとぉ、くっつくなあ~…わっ!」 あ~あ、かがみが暴れるから転んじゃったよ。 私はすかさず起きあがって、かがみの方に手を伸ばして、優しい声をかける。 「大丈夫?…かがみ」 「う…うん」 かがみは私の手をとった。私はかがみの体を起こす。…ニヤ。 「や~っぱり、かがみは手ぇつなぎたかったんだ☆」 「ち…違うわっ…!」 「…」 「…」 「…なに?」 「こなた…手、結構温かいのね」 「…」 私の胸がちょっとだけ、ぎゅってなった。 「と…特に意味はないんだからねっ!」 何も言い返さなかった私の様子に、かがみが慌ててツッコむ。 いつものかがみの反応に、私の顔がほころんでしまう。 こうして、手をつないでゆっくり歩いていく私たち。 …今、かがみに「好き」って言ってもいいけど、今はこの優しい時間を変えたくはない。 友達以上恋人未満て言うのかな?この微妙な関係。 きっと、かがみは私の気持ちを受け入れてくれると思う。 でも、今は幸せだから、何もしなくていいんだ。 今日はまだまだ時間がある。 またいつものように、私の行きたい所にかがみを振り回してやりますか。 これから、めいっぱい遊ぼうね、かがみ。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(*´ー`*)b -- 名無しさん (2023-01-03 18 59 10) まるで縁側の日向のような。ほっこりしますね。 -- 名無しさん (2013-01-11 18 05 55) なんど読み直してもいい話なので、全文一太郎で書き写してみた。やっぱりいい話だった←結論 -- 名無しさん (2009-09-02 16 13 09) あったかくて、泣きそうになった。 -- 名無しさん (2009-08-13 02 14 03) あったかい…あったかいよ…このSS… 引き出し多くてウラヤマシスwまたSS書いてくれるのを待ってますよ。 -- 名無しさん (2008-09-29 16 36 58) いいなぁ…いいなぁ… 某エロパロスレで超鬱モノを見てしまった後だから、よけいにほのぼのしてしまいます やっぱりこなかがには幸せになってもらいたいです GJ!! -- 名無しさん (2008-09-12 11 29 30) ほのぼのとした作品!こなかが最高ス! -- トウ?らき×2 (2008-03-23 00 04 29) これがすごく好きです…ええなぁ… -- 名無しさん (2008-02-27 13 37 42) ほのぼのとしたとても温かみがあるSSでした。 少し切なさい部分があるのもいいですね、GJです。 -- 名無しさん (2008-01-17 18 03 49)
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書籍情報 あらすじ 既刊一覧 書籍情報 タイトル 枯れた薔薇を包んで潰す 著者 樹下青虫 イラスト 秋月ルコ 出版社 ジュリアンパブリッシング レーベル フェアリーキス Nコード N2540BM(ムーンライトノベルズ) 連載開始 2013年 01月07日 あらすじ 何度でも教え込もう、貴方の体に、貴方が誰のものかということを…。 シスレー伯爵令嬢であるヒルダは知っている。自分が平民の娘であることを。 そのことを知らない誇り高い弟ヴィンセントの愛を受け溺れながらも、いずれ真実が暴かれ、嫌われ、運命が二人を割いてしまうことも。ヴィンセントと結ばれることは叶わない、それならば…。 決断したヒルダは開けてはいけない扉を開くーー。 許されない恋だから、優しくなんてできない。 「俺がそんな願いを聞くと、本当に? 馬鹿な姉さん。俺は絶対に諦めない」 既刊一覧 タイトル 発売日 分類 ISBN 値段 詳細ページ ストア ランキングデータ 枯れた薔薇を包んで潰す 2016年 02月29日 一般書 978-4-86457-284-2 1,200円 ジュリアンパブリッシング Amazon B☆W 書籍データ
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「うわー、何か寒くなってきてますやん」 ドアを開ければ吹き込んでくる風。 昼間はあったかかったんやけどのー、と、高橋さんの声が聞こえてくる。 「また明日も遊びに来ますねー!」 店内にそう言い残して帰ろうとした時、誰かにトントンと肩を叩かれて、愛佳は振り返った。 久住さんが「一緒に帰ろう」なんて言い出すのは、本当に珍しかった。 そもそも、超売れっ子アイドルの久住さんと高校生の愛佳が、 同じ時間にこの喫茶店から帰ろうとすることじたい、あまりないことやった。 「ええですよぉ」とカンタンに返事をしたけれど、 さて、愛佳はこれからこの人とどんな話をしながら帰るんやろうと、 一瞬、そんなことを考えてしまっていた。 だって、まだあんまりしゃべったことないんだもん。 久住さんと。 愛佳と久住さんは同い年ではあるけど、 久住さんの方が1年か2年早くリゾナンターのメンバーに入ってて、 だから、やっぱ先輩って感じがする。 芸能人やからかなぁ? オーラもすっごいあるし。 愛佳なんかが近づいたら何か場違いやと思う。 芸能活動が忙しいからやろうけど、なんかいっつも疲れてそうな感じするし、 別にまったく話さへんってわけやないけど、 話しかけづらいっていうか、こっちからはあんまり話しかけへんっていうか… それでも「リゾナント」はいろんな人が来るから楽しかったし、 久住さんやって、悪い人やないのはわかってるし、 一緒に何かをやるメンバーって言ったって、みんながみんな仲良いとかもないやろし、 そんなに必死に何かを考えんでもいいのかなぁって、そう思ってた。 ここから駅まで、いつも通りに歩けば20分くらい。 でも、二人で歩くからもうちょっとはかかるのかな。 ほら、並んでこうして歩いとっても、会話がまったく弾まへん。 お仕事大変ですか? なんて話を聞くのもどうかと思うし、 あんまり出動ないといいですね、ってのも話続きそうにないし、 あ、じゃあ、学校のこと聞いてみよっかな。 久住さん、通信やし、どんな感じかちょっと興味あるし。 「あのー、学校の勉強、通信って、どんな感じなんですか?」 突然口を開いた愛佳に久住さんはちょっとだけビックリした顔をして、 それから、あー、うーん、と唸りながら、 「小春ねぇ…、勉強、好きじゃないんだよなぁ…」 そう言った顔はどこか恥ずかしそうに、困ったようにも見えて、 え、この人、めっちゃかわええやん、と、芸能人相手に当たり前すぎる感想を抱いた。 「みっつぃは、勉強できる方なんだよね?」 聞き返された愛佳は、きっとどこかで久住さんから話しかけてくれるのを待ってたはずやのに、 いざ、そうなってみると、なんでか慌ててしまって、 「え、あ、うーん、まぁ」 と、意味わからんことを言っていた。 「だってみっつぃ、いっつも勉強してるもんねぇ? すごいなーって、小春いっつも思ってたんだ」 いっつも? 愛佳は思わず久住さんを見上げた。 あ、久住さんて、こんなに身長高いんやなと、その時初めて思った。 「えーでも、久住さんはテレビの中でめっちゃ輝いてはるし」 愛佳にはそっちの方がすごいと思うんですけど。 そうかなぁー。 そうですよぉー。 だって、アイドルなんて、なりたくてなれるもんやないですよ? 「愛佳、ソンケーしますもん、久住さんのこと」 愛佳がそう言うと久住さんはまた、照れたように、困ったように笑った。 初めて久住さんの前でこんな笑顔してると思う。そんだけ、愛佳は嬉しかった。 久住さんのこんな顔を見るのも、初めてやった。 なんやぁ、学校の話一つで、こんなに話って弾むんや。 勉強の話をしてるうちに、久住さん、記憶力には自信があるってことがわかった。 セリフ覚えたりしはりますもんね。愛佳も記憶力は負けへんけど! 「あー、久住さん、この公園知ってます?」 ちっちゃい公園なんですけどね? おっきな木があって、この街じゃみんなが知ってるいい公園なんですよぉ。 駅までの通り道にあるこの公園、実は、愛佳もちゃんとは来たことがなかった。 時間あるならちょっと寄って行きましょうよぉ、と、 愛佳は無意識に久住さんの手を引っ張っていた。 「久住さーん、月、めっちゃキレイですね!!!」 ベンチに腰掛けて上を向くと、もう真っ暗になった空にまぁるい月。 愛佳は空を指さしてはしゃいだ。 隣の久住さんは、空を見上げて、黙ったまま。 あれ、もしかして、あんまり好きじゃなかったんやろか… そう思って久住さんの顔をのぞき込むように身体をねじって、ギョッとした。 「え? え、ええ?」 慌てた愛佳の声に久住さんも慌てて、違う、違うと言いながら目元を拭った。 久住さんは、泣いていた。 「あああああ、あの、あのっ」 愛佳は慌ててポケットからハンカチを取り出すと、久住さんの目元に当てた。 久住さんは小さく、ありがと、とつぶやいて、また首を振った。 「違くてね、小春ね」 久住さんは夜空を見上げた。 愛佳もつられて見上げそうになったけど、月明かりに光る濡れた睫毛に目が釘付けになった。 「あんまし、こうやって月なんて見たことないなぁって」 小春、いっつも下ばっか向いて歩いてたし、 月とか星とかなんて気にもしたことなかったの、ちょっとバカみたいだなぁって。 月島きらり、なのにね。 そう言って目を豪快にグイッとこすった。 あああ、そんなんしたら目が腫れちゃいますやん!!! 「お月さまって、こんなにキレイだったんだね? 虫だって、こんなにキレイな声で鳴いてたんだね」 「そうですよぉ」 秋って夏暑かったのがウソみたいに涼しくなるし、 中秋の名月 なんて言葉があるくらい月がキレイになる時期だし、 虫の声聞いてると、秋やなぁって思うもんですよ? 久住さんが空を見上げたままだったから、今度は愛佳も空を見上げた。 大きな木の上に、まんまるお月さま。 自信たっぷりに秋を説明したけど、それにしてもこの風景はかなり幻想的かも。 「みっつぃ、小春はね」 友達って呼べる友達も作れなくって、 ほら、小春たちみたいな能力持ちって、バレたら避けられちゃうじゃん? それに芸能界に入っててあんまり学校も行けないし、 一人で家にいることなんて何にも淋しいと思わなかったのに、 一人で家に帰ることがものすごく淋しかったの。 だから、いつも下だけ向いて、ヘッドホンかけて、早足で何も見ないで歩いてた。 「今日、こんな素敵なことわかったの、みっつぃのおかげだよ」 久住さんはそう言って笑った。 やっぱこの人笑ったらめっちゃかわいいやん、そう思っていると両手をつかまれた。 「…あのさ、もし、よかったらさぁ…」 急に真剣な顔になるから、愛佳も身構えてしまう。 なんですか? そんなに言いにくいことなんですか? 「小春の、友達になってくれませんか?」 愛佳、たぶんぽっかーんって口開けてたと思う。 愛佳が何も言わんから、久住さんはちょっと泣きそうになってた。 「な、な、何言ってんですか」 その言葉で久住さんはもっと泣きそうになって、 ああ違うんです違うんです、そうじゃなくて、と、愛佳は久住さんの手を握り返した。 「だって、愛佳と久住さん、とっくに友達なんやないんですか?」 なんて言いましたけど、久住さん、愛佳も同じこと考えてました。 久住さんと友達になれたらどれだけ楽しいんだろうって。 久住さんはあこがれの人やから、そんな人と友達になるってどんな気分なんやろうって。 でも、そうじゃないですよね。 うちら、自覚してへんだけで、だいぶ前から友達やったんですよね。 二人とも遠慮ばっかりして近づかんかっただけで、仲良くなりたいって思ってたんですね。 愛佳の言葉に久住さんは数秒固まって、それからわーっと抱きついてきた。 なんか、久住さんって冷たい人やって思ってたけど、こんなにあったかかったんやなぁ。 「みっつぃ、また一緒に帰ろうね。 キレイなもの、素敵なもの、たくさん教えてね」 久住さんが愛佳の腕に腕を絡めて言うから、もちろんですよぉ、と愛佳も答えた。 「みっつぃー! 帰ろー!!!」 「っちょ、久住さん耳元で大きな声出すのやめてくれませんかー!!!」 どたばたと鞄を手にして愛佳を追いかけてきたこの人は、 おっつかれさまでしたー!!! と脳天気で大きすぎる声を店内に残して出てきた。 「みっつぃ! 月、月!!!」 外に出るなり久住さんが指さす空は、まんまるのお月さま。 そういえば、ちょうど1年前くらいですね、愛佳と久住さんが初めて一緒に帰ったのは。 「ねー久住さん、あの公園に寄っていきません?」 「いいねぇー、ベンチ♪ ベンチ♪ 大きな木♪」 ヘンな歌を歌いながらスキップで先を行く久住さん。 誰の作詞作曲ですか? ゼッタイに売れませんよそれ。 「久住さん、覚えてます? ここからこうして見る、あの木、あの月」 久住さんも愛佳も、本当は誰かに甘えたくて、誰かの体温を知りたくて、 でも、一人で過ごしてきた自分たちには、きっとそんな権利なんて無いんだって思ってた。 本当の「友達」を見つけたうちらは、その日を境に何かが変わったと思う。 変な遠慮とか、いらなくなった。それはお互いに対してだけやなくて、他のメンバーにも。 だからみんな、ビックリしてた。大人しかった二人の急変化。 違いますよぉ、たぶん、これが本当の愛佳と久住さんなんです。 高橋さんと新垣さんだけは、何も言わずに微笑んでた。 きっとわかってはったんやと思う。うちらがなかなか破れんかった壁を破ったってことを。 人生って、些細なきっかけで変わるもんなんですね。 愛佳、それで悪い方に転がるって経験はしたことありますけど、 こんなにいい方に転がることもあるなんて知らなかったです。 「忘れるわけないじゃーん、小春、たぶん一生忘れないもん」 大きな木の上の、まんまるお月さま。 久住さんが月を指さすから、愛佳もマネして一緒に指さしてみた。 ベンチで二人、月を指さしてるカッコがどうしても可笑しくて、二人で顔を見合わせて思いっきり笑った。 遠い向こうで指さされた月も、きっと一緒に笑ってる。
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imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Sanctum of Tranquil Light.png) 曇りなき 静けき心 調和せむ An untroubled mind Dwells in perfect harmony With a peaceful heart. 基本セット2021 【M TG Wiki】 名前
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やってらんねー、と思ったわけだ。 何がってもちろん殺し合い。 バトルロワイアルなんて言葉はそりゃもう飽きるくらい目にしてるけど、自分でやるなんて願い下げってもんよ。 ぶっちゃけあたしはそんなことする程ヒマじゃない。書くならそりゃいくらでも書くけどさぁ。 肝が据わってるって言いたい?別に、取り乱す一般人キャラなんてあたしのシュミじゃないだけ。 それにそんな珍しいもんでもないでしょ。超人変人なんでもござれの今どきのパロロワ、登場話から平然としてる奴だって珍しくなんかない。 あ、あたしの名前は「抉り〆る楽神の欠片《エックスカーテン》」 長いとか言うな。トリップで言えば◆tu4bghlMIw。 へいへい、先日めでたく完結しましたアニロワ2ndの書き手でござい。 どうにも、あたしのメンタルは「結城奈緒」をメインに固定されているようだ。 まぁ妥当と言えば妥当かな。一応登場話と死亡話を書かせてもらった訳だし、それなり以上の愛を込めたと自負してる。 いやだからって「そのもの」になって喜ぶのはちょっと違うけどさぁ。 つーかここまでがらっぱちなキャラじゃなかったってば。 それとも何だろうか。この感情は脱力系女子中学生を通したアニ2の「結城奈緒」だからこそのもので、リアルのあたしだったらまた違うのだろうか。 まー知らん。 なんにせよあれでしょ、なりきりって奴でしょ。ちょっとは聞いたことある。 それならまぁ、それなりにやらせてもらうとしましょうか。 とりあえず考察の真似事でも。そんな大層なもんじゃないけどね。 考えるのはもちろんあの主催、「◆ANI2to4ndE」のことだ。 何ていうか、何なんだろうね。あれ。 ご存知の通り、って言っていいのかはともはかく、あたしもアニ2の最終回制作には一枚噛んでるわけで。 つまりはあいつを構成する要素の一つな訳だ。 それなのにあたし本人もこうしてここにいる。思いっきり殺し殺されしてもらうつもりのようだ。 どういう理屈か。その理由は。あいつの腹かっさばいたら小さいあたしが出てきたりするのだろうか。 ん~、まぁ考えて分かる筈もないか。「結城奈緒」にゃ頭脳労働は似合わないしね。 あたしはあっさり考えることを止めた。100kbの大考察なんてできる人に任せとけばいいの。 それにあれよ。無理してあれこれ考えたってさぁ。 「多元宇宙」 「まぁいい」 この二つの便利ワードが飛び交うアニ2の関係者が主催ってんじゃ、するだけ無駄ってもんじゃない? あたしとしてはアニ2+主催=逃亡の公式を強く推したい所なんだけど。 首だけになっておかえんなさ~い、ってね。 さて移動移動。ここらで状態表を入れてスパっと短くまとめてもいいんだろうけど、そういう訳にもいかないらしい。 はい情景描写。 あたしは今船にいる。ほんのちょっと揺れてる。 情景描写終わり。 何よ短いって?書き手ならもっと心に響く描写を綴ってみろって? まじうっぜー。 四六時中そんなこと考えてられるかっての。それにあたしは今筆を取ってるわけでもPCに向かってるわけでもない。 いわば書き手としてはオフの状態なのだ。 それでもうるさく言う。ならこれでどうだ。 あたしは今「アニ2に出てきたまんまの豪華客船」にいる。 どうだ。 驚いたかこのやろー。 よりにもよってあたしはあの最大級の惨劇の舞台からスタートしているのだ。 何の嫌がらせだこれは。 それに描写っても、そもそもこの船は元ネタからしてそんな丁寧な描写はされてないのだ。 あたしに言えるのはせいぜいそこで誰それが死んだーとか、あっちで誰それが死んだーとか、ここで皆死んだーとか、そういう観光案内のお姉さんみたいなことだけ。 そんなので良いなら多少は詳しく話してあげるけど? ああいらない、と。それはへたれなことで。 まぁそんなえらい悪趣味な趣向で始まったわけだけれど、ぶっちゃけあたしはそこまで焦っては居ない。 一つには、やはりあたしが「結城奈緒」であることが大きい。 あの惨劇において奈緒は登場こそすれその役割は完全に部外者。 全部が終わってからやっと船に訪れ、ちょっとばかし不思議体験アンビリバボーしただけのちっちゃい存在だ。 つまりいきなり原作再現が起こるにしてもあたしはあの展開に関しちゃ唯一って言っていい「安全圏にいる存在」なのだ。 それにまだ序盤も序盤だしね。仕込みの段階でしょう、色々と。 あたしは悠々と、それこそ観光でもするように船の中を歩く。 完全に物見遊山気分で出口へ向かい、途中ゆったりした気分でトイレに立ち寄る。 ホラーものでトイレと言えば典型的な死亡フラグだけど、そんなことは関係ない。 外に出る前にちょっとばかし身なりを整えて、と思っただけだ。 まぁ、「結城奈緒」になった今の姿を自分の目で見て見たいってのもある。 やっぱ興味あんじゃん。間違いなく好きキャラだしさ。 あたしは取っ手を押しごふじょーへと入る。もちろん選んだのは女性用を示す赤の扉だ。 ひょいと鏡を覗いた。丁寧に髪を撫で付けていたのはいかにも胡散臭げな雰囲気をまとったタレ目気味の男……。 「高遠ぉ!?」 うわ、思わず全力で叫んでしまった。 つか叫ばずにいられるかっての。何だこの仕打ち、何だこの世界。 「結城奈緒」だとばかり思っていたあたしの外見は紛うことなき「高遠遥一」だ。 ああそうだと分かったとたん視界が高くなったような。心なし腕も太くなった気がする。 「多元世界は認識すると同時にその存在が確定する」ってやつか。いや過ぎる。 まぁいい、何て言ってる場合じゃないって。女言葉でずっと通してたのに、これじゃキモいおっさんじゃない。 ていうか本当に高遠だ……。声もまんま小野健一だし。 「いや~我が社としましてはこれ以上の出費はいかんともしがたく……」 「黙れ!そして聞け!我が名はゼンガー!ゼンガーゾンボルry」」 「ディオンドラの姉御~~」 ごめん。ちょっと調子乗った。アニ書き手だからということで一つ。 いやそんなことしてる場合じゃない。あたしの姿が高遠だった。この事実が指し示すことはたった一つ。 「船にいても安全である」というあたしの論理がが根底から覆されてしまったのだ。 つーか死ぬ。まじ死ぬ。高遠なら船で死ぬ。 そうと分かったら一秒でもこんなとこにいてられるか。三十六計逃げるにしかずだ。 さっきからちょくちょく「結城奈緒」とは思えない知的な単語が混じってたのも高遠成分だと考えれば納得が行く。 あたしは猛ダッシュで出口に辿りつくとどことも知れぬ真っ暗闇の中に飛び出した。 これはこれで危険だが死亡フラグで満干全席の場所にいるよりはまし……。 「ごっふぁ!」 って何だ。外に出たと思った瞬間急に体が重くなった。 頭がガンガンする。立っていられない。うずくまったあたしに追い討ちをかけるように吐き気が襲う。 暴走する胃液を押さえ込み、どうにか体を這わせる。視界がだんだん暗くなり手の平から漏れ出るように意識が遠くなっていく。 死亡フラグ、いきなり発動したかも。 一話死亡ならせめて、誰かしらに影響を与える形に……。 バイバイ。 とか言って死亡表記を入れてスパッと終わるのもありなのかも知れないがどうやらそうはならなかったらしい。 気が付くと、あたしは船の入り口(ってもさっき言った出口と一緒の場所なんだけど)に倒れていた。 気分はすっかり元通り。頭は痛くもなんともないし、吐き気だってしない。 一体どういうこと、とそれでも多少ふらつきが残る体を起こす。これで姿が高遠でなけりゃ多少は絵になったものを。 意味もなく首を振ると真っ白な壁に場違いに貼り付けられた紙が目にはいった。 粗雑なざら半紙にいい加減な印刷、セロハンテープによる貼り付けといい加減なことこの上ない。 何より気に入らないのがそれがちょうど「戻ってきたときに気が付くような」場所にわざわざ貼り付けられていたことだ。 そこにはこのように書かれていた。 『船から出たくば今度こそロワ内でミステリーを成立させること』 右下にはちっちゃく「どうしてもというなら惨劇でも可。死ぬけど」とも書かれている。 所謂、制限という奴らしい。 殴っていい? 「ばっ……!」 馬鹿じゃないの、とあたしは言い切ることができなかった。 ふざけている。まったくもってふざけている。 あたしの置かれたこの状況が、ではない。蛆が湧いてるとしか思えない(恐らく)主催の頭の中がである。 理不尽な制限を設ければ「ちょwwwww」とか言ってもらえると思ってるのだろうか。 一発ネタに芝を付ける者達が、本気で笑っているなどと本当に思っているのか。 だとしたらお笑い草だ。お山の大将だ。そんなのの一部に私が入ってるなんて考えただけで嫌になる。 ほんとどうしよ。あたしは初めて真剣に頭を使い始めた。 行動制限は無茶くちゃ。勝手に定められた方針は無理難題。そのくせそれらの出し方は一発ネタときている。 二話……いいとこ三話だろう。もちろん、賞味期限の話だ。 こんな扱い難いキャラが生かされる筈がない。 書き手は冷徹だ。腹を抱えて笑うその下で冷静に「切り時」を考えている。 「伸びしろなし」あるいは「ロワ運営に支障をきたす」と判断されれば最後、逃れようのない死が待っている。 つまりだ、しょーもないネタのためにあたしはいきなり死の危機に瀕しちゃったのだ。ロワ的な意味で。 一発ネタでキャラを食い潰すのはやめようねホント! あーむかつく。何か知らんがすっごいむかつく。 フラグを積んで積んでそれらが成就した結果の死ならまだしも、そんな大人の事情が見え隠れする死に方は絶対イヤだ。 やる方もやられる方も楽しくないんだってそんなのほんとは。 あたしは考える。書き手として、フラグ管理のプロとしての頭をフル稼働させて考える。 そして、導き出した応えは――。 ◇ がりがり。がりがりと特大の破砕音を立てて船は進む。 大地を割り裂け目に自らを割り込ませさらに道を作り上げるその勇姿はあたかも砕氷船の如くである。 豪華客船は進む。 問答無用で、陸の上を突き進む。 「こうすりゃ人とも遭遇しやすいでしょ。あたしが船から動けないなら、船を動かせばいいってね……」 優雅に舵を切りながら、抉り〆る楽神の欠片《エックスカーテン》は一人ごちた。 そうなのだ。 船が水の上しか進めないと、誰が言った。 【一日目・深夜/新潟県・信濃川上流から内陸にかけて進行中】 【抉り〆る楽神の欠片《エックスカーテン》◆tu4bghlMIw@アニメキャラバトルロワイヤル2nd】 【状態】健康。 【装備】なし 【道具】支給品一式、不明支給品0~3 【思考】 1:死ぬにしてもくだらないのはイヤだ 2:さて、どうしよ 【備考】 ※外見は高遠遥一@金田一少年の事件簿、キャラのベースは結城奈緒@舞-HIMEです ※制限により船から出ると行動不能に陥ります。「ロワ内でミステリを成立させる」と解除されるらしいが……? 時系列順で読む Back レベル1でラスボス遭遇 Next おしごと はじめました 投下順で読む Back レベル1でラスボス遭遇 Next おしごと はじめました 抉り〆る楽神の欠片《エックスカーテン》 謎符「U.N.オーエンからの挑戦状」
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