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登録日:2011/12/20(火) 17 40 30 更新日:2023/08/31 Thu 19 38 32NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 かのう様ごめんなさい エロス ライトノベル ラノベ 七草 宮崎柊羽 漫画 神様 神様ゲーム 角川スニーカー文庫 願え、願え、この世の者はすべからく さすれば叶えてやらぬこともない―― 『神様ゲーム』は角川スニーカー文庫より発刊されているライトノベル。 作者 宮崎柊羽 イラスト 七草 既刊 長編8巻/短編3巻 漫画版 全3巻 ●あらすじ 願いをもつ者が集まるという叶野市。そこには『かのう様』という土地神様がいた。 主人公、秋庭多加良は叶野市の住人で唯一゙願い゙を持たないとして『かのう様』に人々に咲く願いの植物を100本摘まなければ一生叶野市から出られないゲーム(呪い)に参加させられていた。 ※登場人物※ 秋庭多加良(あきば たから) 主人公。叶野学園生徒会副会長。かのう様に願いの植物を100本摘まなければ叶野市から一生出られない呪いをかけられる。 日々厄介事を持ち込むかのう様と仕事をしない生徒会長に悩まされる苦労人。 自分が生徒会長でないのと泣く子も黙る自分の悪人顔が悩み。 しかし実際は悪人顔などではなくむしろ逆で誰もが息をのむほどの超美形。 不意討ちで目が合った女子が失神するなどもはや神の域。 鈴木朔(すずき はじめ) 叶野学園生徒会生徒会長。生徒会長ではあるが仕事はせず常に遊びあるいており、なにかイベントを行うときだけやる気になる。 突飛な行動で場の雰囲気をぶち壊すある意味で多加良最大の悩み。 桑田美名人(くわた みなと) 生徒会書記。お茶とお菓子が好きなクールだが心優しい女の子。生徒会長鈴木の奇行に頭を抱える生徒会メンバーを自前のお茶やお菓子で支える。 多加良に惚れている。彼の全快笑顔に真っ赤になったり、猫のもの真似に悶え死にそうになったりと恋愛感情が表に出たときの彼女はとても可愛い。 尾田一哉(おだ かずや) 生徒会会計。穏やかな性格だがキレると一番怖い。朝に弱く、寝起きのときには性格が豹変する。しかし自覚はないらしい。生徒会のツッコミ要因。 羽黒花南(はぐろ かなん) 神様を探すという任務である機関から生徒会に派遣された霊感少女。天然ボケで生徒会メンバーを和ませる癒し要因。 学園内でも密かに人気があり『はぐらー』なるファンクラブが存在する。 かのう様 願いを持つものが訪れるという叶野市の土地神様。美しい女性の容貌ではあるが根は腹黒でトラブルメーカー。毎回多加良達生徒会を厄介事に巻き込むため彼らからは警戒されている。 多加良に願いの植物を摘まなければ一生 叶野市を出られない呪いをかけた。 なにやら目的があるようだが… 見た目は『しにがみのバラッド。』のモモの胸をおっきくした感じ。 表紙は毎回彼女(?)が飾っているのだがこれがまた妙にエロイ。和風装束からこぼれる胸や太股が購買意欲を誘う。 和彩波(かのう いろは) 叶野学園理事長の娘。かのう様の憑坐。 常にハイテンションで多加良が大好き。そのためか美名人とは仲がよろしくない。 ※用語※ 叶野市 願いを持つものが訪れるという土地。人間のみでなく神様や魔神なども訪れる。 願いの植物(ねがいのはな) 叶野市を訪れた者のなかに自動的に蒔かれる゙願いの種゙から発芽する植物。その人の強い願いに反応し発芽、成長し花が咲いたのち結晶化する。この結晶化した花を多加良が摘まなければ意識を失い植物人間となってしまう。 発芽の際には多加良の目に立っていられないほどの激痛が走る。尚、視認できるのは呪いをかけられた多加良のみ。 ※余談※ 本作第一巻と同じ2005年には、偶然にも講談社からも『神様ゲーム』という題名の作品が発売(作者:麻耶雄嵩)。本作とはガチの神様が登場する共通点がある。 …但し講談社の『神様ゲーム』は、神様の干渉はこっちより少な目なのに全力で主人公と読者を翻弄し突き落とす展開となっており、同じ神の遊戯でも作者によってとらえ方が違うのがうかがえる。 なのでただ「神様ゲーム」と検索しても講談社の方が引っかかる事が多いため、ライトノベルとかスニーカー文庫等追加ワードを入れて検索するのをお勧めする。 ちなみにラノベの神様ゲームの英語題はそのままずばり「The God Game」だが、講談社の神様ゲームの英語題はその内容から「GOD’S TRUTH」(神の真実)となっていたり。 + 以下、本作のネタバレ情報もあるので注意 さらに2つの『神様ゲーム』には、神様が現世で「鈴木」という苗字を名乗って学校に通うなんて共通点も存在していたり。 (冥ω殿)ふふふ…wiki籠りに一生アニヲタwikiから出られない呪いをかけたぞ。解きたくば100のアナルを掘…いや、100の項目を追記、修正するのだ。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 友達に勧められて読んだけど、主人公の性格がいけ好かなくて読むのを諦めた思い出 -- 名無しさん (2022-06-15 15 33 13) 名前 コメント
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442 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/07(土) 17 13 13 ID 57XuZYRM 441 俺は両方一巻しか読んでないから、その後変わってるかもしれんしオヌヌメもしない。 『神様家族』 駄目人間の主人公(神様)が少し一般人に近づく話 『神様ゲーム』 かなり万能の主人公(人間)が神様に振り回される話 簡潔すぎるんで誰か補完を。 443 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 05 56 24 ID ntEy0D1u 俺も一巻しか読んでないんだけど 『神様ゲーム』 万能な主人公が神様のゲームほったらかして弱者に説法こく話。 こんな印象しか残っとらんな。 503 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 03 39 13 ID fGaIAptU 502 既読は一巻だけだが、内容は本当に 442-443だけだぞ? 何故かいる神様にゲーム(兎に角断れない)を持ちかけられて走り回る主人公、以上 この本嫌いだからかもしれんが、泣けないし ツンデレ風味はいた気もするが、良ではない そもそも主人公が自分では強面と思ってるけど 実は笑いかければ女子は顔を赤らめるような超美形で秀才で 自分の事以外は気が回るのに超鈍感とかいう設定だから、お涙頂戴も恋愛要素も期待しないほうがいい 後押しスレのほうが良い紹介文が貰えると思う
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神様ゲームについて 神様ゲームは、基本的に神様がやりたいゲームをふわっとやる場所です。 全クリは期待しないでください。気が向けば全クリします。 長期休憩、長期出張はデフォルトです。気長にいきましょう。 やって欲しいゲームは直接コメで言ってみるか、wikiのやって欲しいゲームへ投票しておくとやるかもしれないしやらないかもしれません。 タイトルに「神様ゲーム」と入っている時は、気持ちがふわついている時です。 生暖かく見守ってあげてください。 神様ゲーム in Ustreamの見方 ieはこちら http //www.ustream.tv/channel/%E7%A5%9E%E6%A7%98ust firefox,google chromeはこちら http //lonsdaleite.jp/stream_player/#%e7%a5%9e%e6%a7%98ust2//7133887/ 神様ゲーム in LiveTubeの見方 コメント欄一番上の鯖をクリック、暫く待つ それでも見れないやつは・・・ 1.Flash10を入れろ http //www.adobe.com/jp/support/flashplayer/ts/documents/tn_15507.htm ↑自分のFlashのバージョンチェックはここ http //get.adobe.com/jp/flashplayer/ ↑最新バージョンのDLはここ 2.同じ鯖を何回か押してみる 3.他の鏡を選んでみる 4.らいつべTOPから来てみる それでも駄目な場合は、コメに書けば優しい人が教えてくれるかもね! 配信中、画面の取り込みをやめると、IEだとバグるようです。 回避方法は、Firefoxを入れる。それだけです。 神様ゲームのお約束 神様がアニメを見るとかエロ画像を漁るとか、過度にヘラるとかした場合、コメ欄にて「今日はオフレコにした方がいいんじゃない?」と一言言ってあげてください。 きっと「オフレコって何や」と返って来ますので「らいつべのタグの事や。お前が言うたんやろがks」と罵ってあげてください。 また、アニメを見始める流れになった場合は「minaide入れろks」と暴言を吐いてください。 きっと喜んで「うほうほ」言ってくれます。 神様ゲームの配信通知登録 http //old.wassyoi.info/mail_form.cgi/3a2f108ca3dcd757a03ec313391a8bd9 ここでアドレス登録をしてください。 任意アドレスに配信通知メールが届きます。但し、遅延はデフォ。 また、下記のようなソフトもありますので、適宜DLしてください。 らいつべバルーン → http //www.konata.net/program/LivetubeBalloon.html Live Seeker → http //motta.toypark.in/tools/ls/ ustreamアラート シンプルで簡単 http //kamosankoubou.pa.land.to/ustreamoalert.cgi インストールするとタスクトレイに常駐して、配信開始をお知らせ http //kintokimame.sakura.ne.jp/ust/ ustreamの放送開始されると、twitterにDMを受信される。 神様ustと登録すればok http //twist.fm/
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神様ゲーム ◆qp1M9UH9gw 【0】 少女が一人、立ちつくす。 左手には携帯電話が握られている。 少年が一人、倒れ伏す。 何が起きたのか理解できないまま、意識を遠のかせる。 少年が一人、驚愕する。 少女の行動に、動揺を隠せないでいる。 【1】 遠山金太郎が島に転移されてから最初に出会ったのは、どこか中学生離れした少年である。 背格好は中学生のそれなのだが、妙に達観した雰囲気を醸し出しているのだ。 殺し合いの最中だと言うのに驚くほど冷静である点も、彼の「中学生らしさ」が薄い原因の一つだろう。 まるで数百年生きた仙人のようなその少年は、「天野雪輝」と名乗った。 「――で、その人達は全員信頼できるの?」 「当然やろ!テニスやる奴が殺し合いなんてするわけあらへんからな!」 「……その理屈はおかしいと思うんだけどなぁ……」 お互い殺し合いには乗る気がない事を知った二人は、歩きながらも情報交換を行っていた。 まずはお互いが持っている情報を交換するべきだと、雪輝が提案したのである。 その口調はまるで、殺し合いを既に体感しているかのようだった。 彼の話によると、この殺し合いでは雪輝の知り合いは一人も呼ばれていないらしい。 一方的に知っている人はいるが、親しい人は此処にはいない――まるで昔を思い出す老人のように、彼は話してくれた。 そう、とても十代前半の少年とは思えない眼つきで。 「……なあ、天野ってジジ臭いとか言われへんか?」 思い切って、質問をぶつけてみる。 体格は少年のそれなのに、雪輝は何故だか中学生に見えない。 四天王寺中にも中学生離れした風貌の者はいるのだが、彼はそれらとは比にならないほど「らしくない」のだ。 いや、「中学生離れ」なんてものではないだろう。 常に遠くを見つめているようなその瞳は、まるで人間であることを捨ててしまっている風にも見える。 「…………やっぱり、そう見えるかな?」 返ってきたのは、否定でも肯定でもなかった。 その台詞は、まるで何かを悟ったような言い方である。 触れてはいけなかっただろうか――金太郎の胸に罪悪感が生じていく。 しかし、次に雪輝から発せられた台詞は、彼の予想とは全く別のものだった。 「本当の事を言うと、僕は中学生とはちょっとだけ違うんだ」 「……へ?じゃ、じゃあ、なんやって言うんや?」 「……僕は――――"神様"なんだ」 【2】 今の所、神である事を証明できるものはない。 因果律も弄くれないし、神になってから1万年間の記憶もかなり曖昧になってしまっているのだ。 大方、この殺し合いを始めた者が自身に何か細工をしたのだろう。 しかし、「天野雪輝」は「神の座を賭けた戦い」に優勝し「本物の神」となった事は、紛れもない事実だ。 「……あまのがかみさま?」 「うん、一応神様って事になってるんだ」 金太郎はきょとんとした表情のまま、会話を続けている。 こんな突拍子も無い事を言われたら、そりゃ誰だってこんな反応を取るだろう。 そして数秒後にはこう言うのだ――「そんな馬鹿な冗談を言うな」、と。 「……あ、天野ってそんな偉い人やったんか!」 信じやがった。 半分冗談のつもりで言ってみたが、まさか本当に信用してしまうとは。 情報交換の時に「まさか」とは思ってはいたが――これは流石に純粋すぎるだろ。 「……てことは……ワイって神様と一緒におるってことやんけ!スゲエ!」 「え、ちょっと、今のは」 「さ、サインお願いしてええか!?」 「いや、だからさっきのは冗談で――」 と、そこで金太郎の動きが急に停止する。 彼の目を見てみると、視線が雪輝の真後ろに注がれている事が分かった。 「……どうしたの?」 「……人、人がおった」 そこでようやく、雪輝は自分がしでかした事の大きさに気付く。 こんな場所で大騒ぎするのは、「自分は此処にいる」と宣伝するようなものではないか。 殺し合いに乗った者にからすれば良い的である。 危機を察知した雪輝は、すぐにここから離れようと試みる。 が、金太郎の目撃した人間の正体が明らかになるにつれ、その考えは薄れていった。 「…………ユッキー?」 何故なら――二人の前に現れたのは、雪輝がこの世で最も深く愛した女性だったからだ。 【3】 雪輝は、知り合いの4人は全員"三週目の世界"の人間だと考えている。 何故なら、自身が生きていた"二週目の世界"では、彼らは全員死んでいるからだ。 消滅した魂は例え神であっても取り戻す事はできない。 死んだ人間は生き返らないから、彼らは"二週目の世界"の住人ではない筈だ。 とすれば、彼らは必然的に"三週目の世界"の存在と考えられる。 "三週目の世界"では未来日記そのものが存在しない為、雨竜みねねによる爆破テロも起こらない。 故に、"三週目の世界"の秋瀬と日向は雪輝を知っている訳がないのだ。 高坂も未来日記による騒動がなければ、友人にはならなかっただろう。 "三週目の世界"の人間は、"二週目の世界"の雪輝とは赤の他人なのである。 だから由乃も、雪輝を知らない。 どれだけ深く愛しても、"三週目の世界"の彼女には全くもって無意味なのだ。 ――しかし。 目の前の由乃は今、雪輝をなんと呼んだだろうか。 「ユッキー」と、確かに雪輝をあだ名で呼んでいた。 「どうして……それを……いま……ゆっきーって……」 「……?どうかしたのユッキー?」 この我妻由乃は、雪輝の事を「ユッキー」と呼んでいる。 そんな馬鹿な。 こんな事は決して起こらない筈だ。 だが、目の前にいる由乃は、間違いなく。 彼女は――――"二週目の世界"の由乃だ。 「ゆ……の!ホントに……!?」 目から勝手に涙が零れ落ちる。 足が自然と由乃の方へと向かっていく。 もう二度と出会えないとばかり思っていた彼女に向かって、ゆっくりと進む。 滝のように涙を流しながらゾンビのように進行する様は、さぞかし滑稽だっただろう。 だが、今の雪輝にとっては身なりなどどうでもいい話であった。 1万年間恋焦がれた相手が、すぐ目の前にいたのだから。 由乃と雪輝の距離が僅かになったその時――何かが、首筋に当たった。 一体何が起きたかと思う前に、雪輝の全身に衝撃が走る。 体を駆け巡る異様な感覚によって、彼の思考回路が混乱を起こす。 衝撃が止んだかと思うと、今度は全身から力が抜けていった。 事態を把握する前に、意識が遠のいていく。五感が消失し、精神が闇に沈んでいく。 由乃の手が、雪輝のズボンのポケットへと伸びていく。 そして、そこから隠してあった拳銃を抜き出した。 彼女はそれで何をするつもりなのか。 それを知る前に――雪輝の意識は消失した。 【4】 雪輝の支給品の中には拳銃が含まれていた。 彼は護身用にそれをポケットにしまっている事は、 雪輝日記を使用すれば簡単に判明する事であった。 由乃は奪った拳銃の銃口を、雪輝の頭部に向ける。 このまま引き金を引けば、彼の命を確実に刈り取れるだろう。 「な……何やっとんのやオマエッ!」 そういえば、一緒に行動していた奴がいたか。 由乃は雪輝に狙いを定めていた拳銃の銃口を、赤毛の少年へ向ける。 「決まってるじゃない――殺すつもりよ」 「な、なんでや!よく分からへんけど天野はオマエに会ったの喜んどったやないか!」 「ッ……関係ないわ……"この"ユッキーは殺さなきゃならないのよ」 そう、「"この"ユッキー」――すなわち、"二週目の世界"の天野雪輝は殺さなくてはならない。 自身に関する情報の漏洩と、そして自らの覚悟の証明の為に、真っ先に殺さなければならないのだ。 この雪輝は"二週目の世界"の存在だから、既に自身の暴かれてはならない秘密を知ってしまっている。 自分が神になる為に彼を殺そうとした事実を流されると、これから先、面倒な事になりかねない。 故に、雪輝はできるだけ早い段階で殺す必要があるのだ。 例え恋人であったとしても、死なせなくてはならない。 銃口をすぐさま雪輝の顔面に移動させる。 もう一人に対応される前に引き金を引けば、確実に彼の息の根を止められる。 それが雪輝日記に書かれた未来――回避不可能の予知なのだ。 日記の未来が変わらない事から、二人には未来日記は支給されていないだろう。 もう決して予知は覆らない――殺せる! 「…………ッ!」 殺せる――筈だった。 予知通りに動きさえすれば、この場にいる二人を殺せる。 それなのに、動けなかった。 彼の顔が視界に入った瞬間、僅かだが動きが硬直してしまったのである。 振り切ったとばかり思っていた迷いが残っていたが故のミス。 命の奪い合いという場面における"一瞬"がどれだけ重いかを、由乃はよく理解していた。 【5】 一瞬だけ生まれたスキを、金太郎は見逃さなかった。 テニスで鍛えた瞬発力を利用して、由乃に接近。 そしてそのまま重心を前方に持っていき――繰り出されるのは、渾身の体当たり! 決死の体当たりの威力は大きかったようで、 直撃を食らった由乃は勢い良く地面を転がる事となった。 その隙に雪輝を抱きかかえて、由乃の元から撤退する。 デイパックを拾い忘れていたが、もうそれを気にしている場合ではない。 さながら疾風の如く、金太郎は走る。 撤退する事しか選択肢がなかった自身の不甲斐なさを噛み締めながら。 ひたすらに、走る。 少年が一人、倒れ伏す。 事態を把握できないまま、意識を闇に埋める。 少年が一人、疾走する。 少年の体を抱えながら、ひたすらに。 【深夜 / E-1 / 市街地 】 【遠山金太郎@テニスの王子様】 [状態]:健康、雪輝を抱えている [装備]:無し [道具]:携帯電話 基本:殺し合いはしない 1:とりあえず天野と一緒に逃げる 2:知り合いと合流したい 【天野雪輝@未来日記】 [状態]:健康、気絶、金太郎に抱えられている [装備]:無し [道具]:携帯電話 基本:??? 0:由乃……? ※神になってから1万年後("三週目の世界"の由乃に次元の壁を破壊される前)からの参戦 ※神の力、神になってから1万年間の記憶は封印されています 【6】 殺せなかった。 あれだけ殺すと誓っていたのに、雪輝を殺せなかった。 二人が逃げ去った方向を睨みつけながら、由乃は歯軋りを立てる。 自身の「雪輝日記」通りに行動していれば、あの二人は始末できたのである。 しかし由乃自身が"動揺"という形で未来を変えてしまった為に、二人を仕留め損ねてしまった。 (……どうして) 何故、動揺してしまったのか。 もうあの周回の雪輝には未練は残っていないと言うのに。 心を揺らす要素なんて、もうどこにも無い筈なのに。 (そうだ――きっとアイツが全部悪いんだ!アイツさえいなければユッキーを殺せたのに!) きっと、あのタンクトップの餓鬼が悪いのだ。 奴が余計な口を挟まなければ、ちゃんと予知通りに事は進んだに違いない。 そうに決まっている――決して殺すのを躊躇しているのではないのだ。 自身の「HAPPY END」の為に、由乃はこの場にいる全員を殺す事を決意したのだ。 優勝者に与えられるであろう神の力は、恐らくはデウスすらも凌駕する力を有している。 死者の蘇生が、その代表的なものだろう。 その能力がなくては、殺した筈の三人が当然の如く殺し合いに参戦している訳がない。 あの力さえあれば、本当の「HAPPY END」に辿り着ける。 愛する者と一緒に生き続けるという最良の理想を実現できるのだ。 その為ならば、その恋人だって殺してみせる。 そう決意を固めながらも――彼女の表情には、依然として迷いが含まれていた。 少女が一人、立ちつくす。 左手の携帯電話からノイズが漏れている。 【深夜 / E-1 / 市街地 】 【我妻由乃@未来日記】 [状態]:健康、雪輝の殺害に迷い? [装備]:雪輝日記@未来日記、詩音の改造スタンガン@ひぐらしのなく頃に、来栖圭吾の拳銃@未来日記 [道具]:基本支給品一式 不明支給品0~1 基本:真の「HAPPY END」に到る為に、優勝してデウスを超えた神の力を手にする。 1:ユッキーだろうと殺す。殺せる筈。 ※54話終了後からの参戦 ※由乃のすぐ近くに金太郎のデイパック(基本支給品一式、不明支給品1~3)、雪輝のデイパック(基本支給品一式、不明支給品0~2) が落ちています Back 痛みなど感じない世界 投下順 Boy meets Girl and Gay Back 痛みなど感じない世界 時系列順 Boy meets Girl and Gay START 遠山金太郎 ネガティブコンディション START 天野雪輝 ネガティブコンディション START 我妻由乃 TRIP DANCER
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神様ゲーム ◆OZbjG1JuJM (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第218話 鬼超神聖究極世界魔帝王全知全能唯一神(アルティメットワールドインテリジェントデーモンエンプレス・ゴッドカーニバルアトランティス) 「……ここは、あの最悪な世界やないか」 ハルヒに精神を余すところ無く攻められた博之はひたすら逃げた後、限界が来たのか気絶してしまっていた。 そして彼が再び目を覚ますと辺りは元の戦場ではなく、かつて見た悪夢の世界。 「俺が……俺があんなことをしたから……ここに放り込まれたっていうんか」 頭を抱える。目を見開いても頭のおかしくなるような光景しか映せないため、まるでダンゴムシのようにまるまって闇に閉じこもった。 『そんなわけないじゃなぁい? ま、ある意味では合ってるけどぉ』 「……ッ!?」 そんな時、背後から女の声が響いた。 この殺し合いの中では、家族以外でもっとも馴染み深かったあの声。 あのTASとの戦いまで一心同体のごとく行動を共にしていたあの人形。 「水銀燈っ!! おま、何でここに!?」 『前もここみたいな場所で出会わなかったかしらぁ? ……まあいいわ。今の私は私であって私じゃないものね。幽霊と言えば感覚的には近いかしらぁ?』 「幽霊って……どういうことやが」 『私がどうなってるかなんて今はどうでもいいわよ。それより博之、あんたいつまでウジウジしてるつもりなのかしら?』 へたりこむ博之を見下ろしていた水銀燈が、彼の隣にちょこんと座りこむ。 どこからかヤクルトを取り出し、遊ぶように手で弄んでいた。 『アリスと彦麿が死んだわよ。あのジジイもなんとか倒せたみたいだけどね。 残った面々はボロボロながら……運命の打開のために獅子奮迅してるわよ』 「俺は……もうあいつらの所になんか戻れん。元の世界の戻れん。 ……人食いの腐れ外道に、行き場なんかないわ」 少し気にするだけであの呪われた感覚が蘇る。 ハルヒの言葉が蘇ってくる。その度に博之は頭を抱え―― 『それじゃ、博之は圭一や外山、そしてあんたの兄を裏切るのかしら? キバもこなたもピッピも妹も……そして私のこともね』 水銀燈は呆れたような視線を飛ばした。 「! ……それ、は……せやかて……!」 『少数派による運命の打開が終わってもいないのに、あんな脳みそパーンしちゃったガキの言葉攻めぐらいで立ち止まるつもり? あんな中身も何もない言葉だけで、あんたはもう戦いを止めるっていうの?』 呆然とする博之を尻目に、ヤクルトにストローを指して水銀燈は立ち上がる。 『……とっくに分かってるんじゃなぁい? 自分が何をすべきだとか、何をしたいだとか。 だけど、あの脳みそ花畑に余計なとこをつつかれて躊躇ってるだけだってことも。 本当世話しないわね、あんたは』 そのままゆっくりと宙に浮かぶ。思わず追いすがろうとしたが、その身体が何かに気付いたかのようにピタリと止まった。 『分かったなら、考える前にさっさと行動に移すことね。 ……まあ今更行っても詮無いことかもしれないけど。何せ、この私は博之そのものだから――』 ◆ 目が覚めてみれば、そこは再び戦場の跡だった。 あれだけ暴れていた巨大ロボットの姿が見えない。やはり、夢の中の水銀燈が言った通りあいつらが倒してのけたんだろう。 「人間じゃない……俺は化け物…… ……魔人になって、蛾にもなっといて俺は何を今更言っとったんやが」 よろよろと立ち上がる。自分が逃げたのだから当たり前かもしれないが、辺りに人影は見えない。 「俺が人食いだとか、化け物だとか……そんなんが許されるはずもないのは当たり前や。 ……けど、それを責めるのは……いつまでも罪に閉じこもんのは今やることやないんと違うかて。 そう言いたかったんやろ? 水銀燈」 この世にはいないはずの愛すべきドールに問いかける。答えが返ってくるはずがないのは分かっていた。 まだわだかまりが無いわけじゃない。人食いの罪を犯しておいて、一度寝ただけで戦場に戻るなんておこがましいと言えるかもしれない。 それでも、自分が罪人だとしてもこのまま朽ちることなど出来ない。 せめて、あの全ての罪を超えた悪そのものの存在を潰すまでは。 自分にはまだ力が残っている。 このまま未だに希望を捨てず戦ってる仲間達を見捨てて、いつまでも罪の殻に閉じこもる。 少なくとも、この戦場ではそれこそが最大の罪なのだ。 「俺はそこまで最低最悪になりとうない。……今までの罪のことは全部終わったあとで受け止めてやる。 ジーコにもおかんにも、仲間達にも、頭が擦り切れるほど謝る。 生きたいとかそんなんやない……バケモンがバケモンらしく、悪夢をぶっ潰したいだけやが」 誰に言われるともなく博之はある一点を見据えた。 そこにはいつの間に現れたのか二人の影が見えていた。 「けひゃひゃひゃひゃ! 随分遠くに逃げたと思ったのにこんなに近くにいたのね? 吐き気を催すような外道にまた会うことになるなんて遺憾と言わざるを得ないわ!!」 背中にデーモンの翼を生やした全裸のハルヒ。薄々感づいていたが、あの力はこっちに向かったということか。 「ねぇ狂人? 別に対主催の連中を皆殺しにするとか、そういうのはもう期待してないし別に放っといてもどうでもいいと思うけど…… あんたに残ってる能力だけは褒めてつかわしてもいいかもしれないわね。でもあんたは所詮はバケモンなのよ。 だからあんたはおとなしくく神の糧になりなさい!」 高らかに吠える神(笑)の横で、古泉は神妙な顔をしている。このままあれに続いて自分も博之を責めるべきか否か測りかねているのだ。 「そんなもん、断るに決まっとるわ。バケモノだろうがなんだろうが、俺はお前をぶっ潰すまでは止まることはできんのやが!」 「この狂人が! 人を食っておきながら神に逆らうなんて……」 「それに……狂人でバケモンなのはお前も一緒やろが!!」 博之の一言でハルヒの顔がさらに醜く歪んだ。 その顔に底知れぬ何かを感じた古泉は思わず後ずさる。 「折角精神をひねり潰したと思ったらゴキブリみたく蘇って!! もういいわよ、あんたみたいなクズは神聖究極魔神HALが断罪しあげるわ。 古泉、行きなさい」 「は……え!? 僕一人でですか!?」 「そうよ……博之。あんたが大罪を犯してなお立ち上がろうと言うのなら、私が直々に試練を与えてあげるわ。 私の配下の古泉、そして私に連続で勝てたらあんたの罪は許されるのよ。絶対無理だけどね!!」 再びけひゃひゃと笑うハルヒに背中を押された古泉は構える博之の前に突き出された。 (常識的に考えてお前が先に出てさっさと殺すべきだろ、この神(笑)……!) 「あと、DMカードは全部私が預かるわよ。部下を使役するのは神の役目って決まってるの」 (もっと先を見てからやれそういうのは!! この愚神がぁぁぁぁぁ!!) カードをぶんどられた古泉はもはや諦めたかのように震えていた。 「……今度こそ、決着をつける。罪のことはそれからや」 「仕方ありませんね。まぁそれはそれとして……貴方にはさっさと死んでもらいましょうか!」 言葉が終わるや否や、古泉の手に赤い球体が浮かぶ。博之はそれを警戒し羽でけん制する。 「その程度! ……ふんもっふッ!!」 まるでバレーのサーブを打つように赤球が発射された。そのスピードは博之でも完全には捉え切れず、何とか避けたものの右手に命中してしまう。 「……お前……」 「前回のようにか行かない、とだけ言っておきましょう」 だが博之は止まらない。すかさず猛スピードで古泉に接近した。 咄嗟に自らを赤球に変化させ後ろを取ろうとしたが、再び攻撃の体勢を取った時には博之の姿はなかった。 「読んでたぞ! こっちだこの野郎!」 上空からのキックが後頭部に炸裂する。そのまま吹っ飛ぶ古泉に羽の追撃が遅いかかった。 「くっ!!」 小さい赤玉を発射して羽をあしらう。だが今度はそっちに気を取られてる内に博之が接近していた。 対応し切れず古泉は一撃を喰らう。再びそこに羽の追撃。 地味ながらも効果的なコンボが古泉を追い詰めてゆく。 「舐めるなぁぁぁ!! ふんもぉっふ!!」 赤球のスピードを利用し、距離を取ってからの巨大赤球。これを博之が避け切れないのは理解していた。 威力もかなりのもので、着実に博之の体力を奪ってゆく。 「まだやがぁぁっ!!」 「ひでぶっ!」 しかし、連発する赤球を強引にくぐりぬけた博之が強烈なボディーブローをおみまいした。 流れはこちらにとって悪いものへと傾き続けていた。 今まで神人を相手にしてたのとは訳が違いすぎる。それに博之の方はあの姿での戦闘に慣れているのだ。 DMカードがあったとしてもそれを使う隙すら無かっただろう。せいぜい、甲羅を盾代わりに使うので精一杯だ。 「このままではジリ貧……かみ、じゃなくて神聖究極魔神HAL! やはりDMカードで援軍……がはっ!」 羽の集中攻撃を腹部にまともに喰らう。その威力で宙に飛んだところを博之の連続攻撃が襲いかかった。 「ほぁっがばぼっでべらばっ…………だぶぅっ!」 ボロボロになりながら古泉は地面に叩き付けられた。 神(笑)の方を見れば、自分が痛めつけられてるのを見て笑ってるではないか。 (こ・い・つぅぅぅぅぅぅ!! そもそもお前があの時博之を殺してれば……!) 身体を懸命に動かそうとするがその身体が思うように動かない。 よく見れば腕がひしゃげている。これではまともに戦闘なんかできっこない。 「……こいつはもうダメみたいだな。それで、お前はどうするんや。ハルヒ!!」 「私のことは神と呼べ!! ……全く役に立たないわね。元から期待なんてしてなかったけど」 古泉の元に来たハルヒは嘲るように見下ろす。そこには笑いを堪え切れないとでも言いたげな残酷な笑みが広がっていた。 「何故……こんな、こと…………僕は……」 「それはね、私が究極の力を手に入れてしまったからなのよッッ!!」 古泉の身体を蹴り上げたハルヒが、その腹に服ごと喰らいついた。 到底元は女子高生とは思えない、鋭い歯が古泉の肉を食いちぎる。ハルヒの口の周りがグロテスクな赤で染まったのを博之は見た。 「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 「んな! まさかそいつを……!!」 博之はハルヒの予想外の行動に呆気に取られていた。隙だらけのはずな彼女に襲いかかることすら出来ないでいる。 「そう、食うの。今の私にはデーモンの力があるからね。きっとこいつを食えばパワーアップできるはずよ。 それにやっぱり古泉じゃ超能力を使いこなせなかったわ。こういう力は神である私こそが使いこなせるものだったのよ」 苦痛に顔を歪ませる古泉の腕にかぶりつく。その度に凄絶な悲鳴が上がった。 「てめぇ!! 俺のことは狂人だのバケモンだの言っといて、自分は良いってのか!!」 「当たり前じゃない!! これは神による吸収……あんたの人食いとはワケが違うのよ。 それにもう配下なんていらないの。この会場全員の力を吸収して、私は鬼超神聖究極世界魔帝王全知全能唯一神(アルティメットワールドインテリジェントデーモンエンプレス・ゴッドカーニバルアトランティス)HALになるんだから!!」 もはや直訳も何もあったものではない、イカれすぎた名乗り口上を上げるハルヒに博之は立ちつくすしかなかった。 そもそも、この存在に元から常識など通用するはずがなかったのだから。 「さあ古泉! 光栄に思いなさい、これから唯一神として全世界統治への一歩を踏み出す私の最初の糧となるのだからッッ!!」 壮絶な顔で叫ぶハルヒを見上げ、今まさにハルヒに飲み込まれようとしていた古泉は既にハルヒを見ていなかった。 (元から……この女に付くのは間違いだと分かっていたはずだというのに……どこで道を誤ったのでしょうかね…… 利用されるだけ利用されて……最後はあっさり見捨てられて食われるなんて、自分で自分が情けないですよ……) 古泉の目じりには自然と涙が溜まっていた。それは後悔の涙か、悔恨の涙か。それとも…… (……キョン君……今、そちらに行きます……僕はもう、何も考えられない……) 両腕も食われた。両足も食われた。そして次に狙われたのは……頭。 (平行世界のキョン君がいるならば……せめて、そこの涼宮さんだけでも真っ当な道を歩ませてやって下さい……僕のことも、よろしく……それから、) 最後にほんのすこしだけ古泉の口が動いたように見えた。 (もう誰でもいい……この愚神を、なんとかして下さい……僕の恨みを晴らせとは言いませんが……) 頭。胴体。そして臓物も、骨でさえも。 古泉一樹は全てを残すところなく、愚神を呪いながら吸収されていった。 「まずかったけど、腹の足しにはなったかしら」 「……てめぇぇぇぇぇ!! 仲間を食っといて、言うにことかいてそれかぁぁぁ!!」 猛然と博之が突っ込む。それでもハルヒは表情一つ変えない。 「もう仲間じゃないのよ、あれはね。私が鬼超(ryへとして歩むロードの材料だったに過ぎないわ」 「お前はっ!! もう俺がなんであれっ!! 俺が、絶対に潰す!!!!」 博之が目にも止まらないスピードでハルヒに突っ込んでゆく。 しかし何かがおかしい。古泉の力を取り込んだとはいえ、何故ハルヒはあんな無防備に構えている……!? 得体のしれない違和感の正体。それは博之の拳がハルヒを突き抜けたその瞬間に明らかになった。 「……どういう……ことやが……」 博之の身体が薄くなっている。それはまるで幽霊が成仏するかのように、少しずつ薄くなっていた。 ……時間切れ。博之の頭に一つの単語が浮かんだ。 進化の繭の影響なのか、それとも今までの力の移り変わりに身体がついていけなかったか。 決定的なのは、博之の力がハルヒに届かなかったということ。 (……こんなところで……あの腐れ外道相手に何も出来ないで終わるんか……!) 膝をつきながら消滅が進行する博之。そしてハルヒはそれを最高に最悪な笑顔つきの無言で見下ろしていた。 (ちくしょう……すまん……俺、罪を滅ぼしつくすことも……運命の打開も出来んかった) それでも博之の瞳から希望が失われてはいなかった。 自分は負けた。だが、自分の仲間達こそはこの愚神を打ち破れる。 そのきっかけの欠片になれたかどうかは分からない……だから博之は託すのみだ。 (レナ、遊戯……皆…………お前らだけはこんなクソったれの神なんかに負けんなや……!) そして彼の身体もまた、古泉とは違った形で残すところなく消え去った。 そこに軽い音を立てて落ちた一つの宝石。 この存在の正体を理解していたハルヒは、躊躇うことなくそれを拾い上げ口に入れた。 「……くっひひひひ……けひゃーっはっはっは!!! ざまぁないわね、博之!! タイムアップでゲームオーバー、なんて滑稽なのかしら!! おかげで新しい力を二つも手に入れられたわぁ……くっくっく……げひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」 ハルヒの背中に、デーモンの二つのものに加え新しく二つの羽が生えた。 その姿の変化だけでもハルヒは更に歓喜する。 全ては予定調和。一時期博之の中に入り込んでいたハルヒは、彼に制限時間というものがあったことに気付いていた。 そこで『進化の繭』をひねり出す前に、その一部である制限時間を無理矢理博之に押し付けたのだ。 故に古泉一人に相手をさせた。博之の制限時間までの時間稼ぎ、かつ古泉吸収の手間を省くために。 「……さぁて、これからどうしようかしら。 もうあのバカ女はいいわね。きっと古泉とおなじ、クソの役にも立たないわ。 ……いいえ、残ってる奴はみんな……この鬼超神聖究極世界魔帝王全知全能唯一神が吸収してやるわよ。 永琳だけじゃない……あのレナや遊戯達も、私が死んだとかとち狂ってるマルク達主催も全員よ!! ここに在る存在は全て私の一部となるの!! そして私は真の神となるのだわ!!! くひゃーっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」 超能力者が食われ、魔人は消え去り、またも偽りの神だけが残った。 そして神は一切を切捨て、我が道を進み始める。 神のロードがいつ止まるか……それとも永遠に続くのかは、それこそ真の神しか知りようのないことだった。 【D‐1 /二日目・夜】 【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:ご満悦、鬼超神聖究極世界(ry、全裸、デーモンの肉体、水銀燈能力吸収、超能力吸収、 神への覚醒、首輪なし、超機嫌 [装備]:デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、 [道具]:支給品一式*19(食料7食、水16食分消費)、DIGIZO HYPER PSR(残り二十分程度)@現実、 テニスボール*2、雛見沢症候群治療セット1.5日分(C-120、注射器、注射針)@ひぐらしのなく頃に 、 マウンテンバイク@GTASA、花粉防止用マスク、ドリルアーム、笛@スーパーマリオ3 糸(あと二メートルほど)、裁縫針、武器になりそうな薬物、DCS-8sp、退魔の剣@怪~ayakashi~化猫、 アニマルマスク サラブレット@現実、ダンボール@メタルギアシリーズ、ヴェルタースオリジナル@ヴェル☆オリ、 携帯電話@現実、 庭師の鋏@ローゼンメイデン、おたま@TOD、 カワサキのフライパン@星のカービィ、ワイン(残り半分)、傘@現実 、A.C.E.3@現実(少し詩音の血がついている)、塔組の推理メモ、 塔の『バグ』について纏めた紙 、バルサミコ酢@らき☆すた、 グルメテーブルかけ(残り16回)@ドラえもん、 時計型麻酔銃(予備針残り0本)@名探偵コナン、アイスソード@ロマンシング・サガ、 スパイダーブレスレット@東映版スパイダーマン、ケンジのカメラ@ポケットモンスター、 津田英治ブロマイド(音声付き)@大変な途中下車シリーズ、ビー玉(30個ほど)@ピタゴラスイッチ、 黄色甲羅@スーパーマリオシリーズ、 【DMカード@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】 使用可:死者蘇生、黒騎士の魔剣少女、セイバー 深夜まで使用不可:ブラック・マジシャン・ガール、ホーリーエルフの祝福、ゴキボール、強制脱出装置 次の朝まで使用不可:オレイカルコスの結界、オシリスの天空竜、オベリスクの巨神兵】 次の午前まで使用不可:エネミーコントローラー [思考・状況] 1.残った者は全員神たる自分の一部とする 2.主催者や対主催を皆殺しにして新世界を創造する。神である私が絶対である世界に。 3.全世界の破滅を救う神として、すべての世界に名を残す。 4.ニコニコ動画という動画サイトが若干気になる ※狂いました。それを自覚していません。 ※自分の能力を信じました。神人を召喚したりなど、能力を使えるようになりましたが、 会場全体にかけられた制限があるためまだ完璧ではありません。 デーモンの能力と混じったためかなり弱まってしまいました。 ※古泉を『吸収』し、彼の能力を手に入れました。 ※水銀燈のローザミスティカを『吸収』して能力を手に入れました。 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】 【永井博之@永井先生 死亡】 【残り12人】 sm217:ふたりひとり 時系列順 sm219:クッパ城で会った怖いマルクに屈しない sm217:ふたりひとり 投下順 sm219:クッパ城で会った怖いマルクに屈しない sm215:THE 最終局面(後) 永井博之 死亡 sm215:THE 最終局面(後) 涼宮ハルヒ sm223:僕らのニコニコを守って! ~新旧外道対決~ sm215:THE 最終局面(後) 古泉一樹 死亡
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【宴会遊戯No.001:神様ゲーム】 <必要人数> マスター(神様)1名 プレイヤー複数名 <ルール> 王様ゲームの派生版。 ゲーム主催は「神様」となり、クジによって王様を任命する。 参加人数分のアルファベットのくじを用意し、1つだけ「王」のくじ、残りは1から順番に番号を割り振る。 参加者は早いもの勝ちでアルファベットを言っていき、神様はDMでそれぞれにくじの結果を言っていく。 !!注意!! 自分の番号が呼ばれるかゲームが終わるまで、自分の番号は明かさないで下さい! 全員にクジが行き渡ったら、まず神様が最初に「命令」をする。 この命令は、ゲーム終了後に「最後まで王様にもならず命令もされなかった人」が聞くことになる。 次に、「王様だーれだ!」という掛け声で王様が名乗り出る。 王様は番号を用いて1~2名(番号を呼ばれてないメンバーが2人しか居ないなら1名)までに「命令」をする。 その「命令」が終わった時、まだ番号を呼ばれてないメンバーが3人以上居るなら王様は番号を1つ指定。その場合が新たな王様になる。 こうして、命令が終わった後に番号を呼ばれてないメンバーが3人以下になるまで続けていく。 ~命令について~ キスやえっちな事はNG。また、どうしても無理な内容の場合は拒否できる。 ただし拒否した場合は「罰ゲームカード」を引き内容を実行する。 なお、命令には「モノボケグッズ」「罰ゲーム用品」「コスプレ衣装」を用いても良い。 ~罰ゲームカード内容~ 王様に嘘告白 一発ギャグ or 変顔 激苦茶 ミニスカメイド服 キン肉バスターを受ける 内容は入れ替わる事があります。
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――どうしちゃったんだろう、私は? 天王寺深雪は今更ながら、そんなことを思っていた。 このたった数十分ほどの間に、天王寺深雪という人間の価値観や世界が、随分と変わったように感じられた。 言うなれば、灰色だった世界に色がついたような。 塗り絵の白い部分にちゃんと色を塗った後のような、どこか充実した感覚。 これがどこから来るものなのか、深雪にはまるで分からなかった。 彼女は幼い。 年齢もさることながら、体つきもそれと同じく幼い。 白いワンピースも子供っぽいチョイスだし、その下のスクール水着はもう意味が分からない。 けれどここで言うのは、彼女の中身の話だ。 深雪の人生は、実年齢と同じではない。 彼女は一度死んで、生き返ったも同然なのだった。 ――『あの時』に。 自分が世界で最も偉大だと思うあのお方に拾われたあの時にこそ、深雪の人生は真に始まったのだ。 それから始まったのは、狂信的な人間たちとの共同生活だった。 感性も人並みで、力や技能も人並みのそれを出なかった深雪は役立たずと蔑まれた。 ただし、彼女の信仰は誰よりも厚かった。 神とされる男を何より貴び、彼へ危害を加えんとするなら許さない。 その姿勢は、真に狂信的であったと言えるだろう。 だがしかし、だ。 繰り返すが、深雪は人並みだった。 神である男への忠義は厚くても、幼い彼女には出来ることと出来ないことがある。 たとえば、力仕事は深雪にはまず無理なものだった。 深雪は非力だ。 他の信者たちと同じように動いていては、すぐにパンクしてしまうのが目に見えている。 また、彼女は人を纏め上げるカリスマ性は持っていなかった。 彼女が信仰の中に抱える幼さを、誰もが見抜いて軽蔑した。 彼女だけは自分が強いと信じたが、周りから見れば鼻つまみ者に過ぎなかった。 そして、何より。 彼女には、人が殺せない。 白鷺教は二分割されている宗教組織である。 ハト派と、タカ派だ。 深雪が所属しているのはタカ派で、その姿勢は攻撃的であった。 立ちはだかるなら裏から根回しして、殺してでも教団を守らんとする。 現に白鷺教が処分してきた人間の数は、既に相当数にのぼるとされていた。 ――もちろん、その手の工作に深雪だって関わったこともある。 しかし、彼女は一度も殺せなかった。 結果その尻拭いを他の信者がすることになり、彼女はそれにずっと負い目を感じながら生きてきた。 けれど、尊敬する神は彼女のような落ちこぼれにも寛大だった。 挨拶をすれば返してくれたし、頭を撫でて貰ったこともある。 彼は彼女を可愛がった。 深雪はその度に彼の優しさへと心酔し、信仰はやがて絶対のそれへと変わっていった。 ――それでも、殺せなかった。 殺せないまま、天王寺深雪はバトルロワイアルという殺し合いのゲームに巻き込まれる。 結果は、散々だった。 いきなり威圧に負けて、その後は半ば自棄になりながらどうにか一人を殺した。 その後は気絶させられたが、どうにか生きることはできた。 できたのだが――心は、弱っていた。 人殺しの重みは重く、同時にひどく底冷えしていて気持ちが悪かった。 きっと、一人だったらすぐに潰れてしまっていただろう。 狂いきれぬままに足掻き、狂った振りをしたまま死んでいた筈だ。 ……でも、自分はこうして生きている。 傷もないし、行動に支障はない。 今からだって、殺し合いに乗るのは遅くない。 ――まだ戻れる。 信仰の道に帰ることができる。 (帰れる……のに……) 一時的なだけだ。 白鷺教の教えを捨てることはきっと金輪際ないだろうし、考えたくもない。 そんなことをするくらいなら、この命だって投げ捨てよう。 あの方への裏切りを働くのに比べれば、この身体は安い。 あまりにも安く無意味で、価値のないものだ。 ――いいや、多分自分は死ねない。 深雪は半ば諦めた風に、自分の限界に立ち止まった。 天王寺深雪は誰も殺せない。 それはさっき分かったことで――そして、恐らくずっと覆ることのない絶対の道理(ルール)。 自分を殺すことも、立派な殺人だ。 白鷺の教えを宿す深雪にすれば似非聖者の教えなど、チラシの裏の妄言にも等しかったが。 とある異教では、自殺した者は地獄へ落とされるという。 それは自分という人間を殺したことだから。 殺人は――許されない。 繰り返すが、深雪はかの聖者の教えを妄言としか思っていない。 それどころか、妄言以下の単なる音節にも劣ると思っている。 軽蔑しているし、哀れだとも思う。 だが、自殺が殺人であるというのだけは納得できた。 (帰れるのに――どうして私は、こんなに穏やかな気分なんだろう) 自分は殺人者だ。 一人の人間を殺めてもなお、のうのうと生き延びている。 きっと死んだら、業火に焼かれるだろう。 それくらいなら、自分の信ずる神の言葉だけに従えばいいのだ。 そうすれば、天王寺深雪は救われるのだから。 ――分かっている。分かっていても、現実は変わらなかった。 深雪は今、とある少女を追っている。 どの方向に行ったのかは分からないが、少なくともまだそう遠くには行っていない筈。 そして隣には、彼女を信仰から外れさせた張本人がいた。 丹羽雄二。 阿見音弘之と比べれば品がなくて、神には遠く及ばないような有象無象。 しかし自分は、彼にまんまと砕かれた。 自分の盲信を砕かれ、阿見音へと背く道を選ばされた。 だから、本来は憎んで然るべき存在なのだが。 (……………………) おかしい。 冷静になってみればやっぱりおかしい。 どうして自分はこんなに気を許しているんだろう。 あまつさえ、自分は彼に付いていくこの感覚を心地よくさえ感じているのだ。 ……うう、なんだろうこれ……。 深雪は表情だけは澄ましていたが、内心では自分の変化に思い切り戸惑っていた。 だって、分からないから。 ――深雪は、決して他人と関わった経験が豊富な訳ではない。 その極端なまでの信仰のせいか、日常会話すら場合によってはままならないこともある。 それゆえ、他人と過ごして居心地の良さを覚えるなど本当に、初めてのことだった。 ちなみに阿見音弘之は神様なので除外とする。 (……とにかく、丹羽さんのせいで私はおかしくされた。これは確定です) ふん、とちょっと強めに息を吹いて、深雪はあまりに身勝手な決め付けを行う。 それはまるで、初めて玩具を与えられた仔犬のような反応だった。 困惑しながらも、その困惑に好意的なものが少なからず混じっている。 深雪にその感情の意味は分からなかったし、きっと辞書にも載ってはいないだろう。 ――言葉で表せない、感情の波だった。 こうして人が悩んでいるというのに、当の本人は何も憚ることなく歩いている。 がさつだ。女の子へのエスコートなんて欠片もない。 子供だからって馬鹿にされてるのだろうか。 馬鹿を言え、私は決して子供じゃないっ。 小学校は出てる。 中学二年生だ。 ……そういえば、卒業式には教団のみんなも来てくれたっけ。 ふと懐かしい記憶を思い出して、深雪はその心を少しだけ暖かくした。 とても優しい、微睡みのごときメモリー。 これからも、それを抱いて生きていく。 あの方に救っていただいたこの体を、大切に抱いて生きていくのだ。 ……なんだ、自殺なんて最初からできっこなかった。 だって、それはこの体を冒涜すること。 天王寺深雪の体とすれば、これはいくらでも使い潰して構わない。 元より終わった筈の命、もう一度取り零すことも覚悟しよう。 が、これは天王寺深雪であって天王寺深雪ではないんだ。 阿見音様に救われた命。 阿見音様に救われた体。 ――それを傷付けるなんて、なんて自分は愚かしい考えをしたのだろう。 ……がんばります。 深雪は口には出さずに、しかし瞳に確かな意志の光を宿して宣言した。 がんばる。彼に背くことになるのは分かっているが、今はこの試練をがんばって遂げよう。 そうしたら、きっとあの方は分かってくれると思うから。 あんなに優しくて素晴らしい人だから――うん、きっと大丈夫。 心配なんてしなくていい。 今は前だけ見ればいい。 信じることを信じればいい。 ――そうでしょ、丹羽さん? ◇ ◇ 狭山を追う。 まさかあんなことになるなんて、欠片も想像しなかった。 須藤が狭山に感情をぶつけたことが――俺には、あまりにも意外だったのだ。 だけど今は狭山を見付け出して、保護しないとならないだろう。 見たところじゃ、あいつは決して強そうな奴には見えなかった。 良くも悪くも年相応の、天王寺とそんなに変わらない女の子だった。 ……不味いぞ。 早く見つけてやらないと、取り返しのつかないことになるかもしれない。 ――俺は、自分の正しいと思うことをする。 今の俺が正しいと思うのは、狭山雪子という女の子を助けることだ。 彼女を取り戻せなかったなら、丹羽雄二は一生後悔する。 自分が彼女を助けられたら、須藤凜との間に生じたいざこざを解消することもあるかもしれない。 なればこそ、尚更――諦めるわけには、いかない――! (どうせ、俺は一度死んだ身だ) その時の記憶も、感覚も未だにはっきりと覚えている。 格好つけてみせはしたものの、二度と味わいたくない苦痛だった。 死の感覚は思っていたよりもずっと、気持ち悪い。 死に方が他殺だったのもあるかもしれないが、思い出すだけで薄ら寒くなるほどのものがあった。 しかし、自分はこうして生き返っている。 丹羽雄二は確かに存在している。 死人が蘇るなんて、今日びファンタジーの物語でさえタブーとされているのに。 いとも容易く――世界のルールがまた一つ覆された。 (ならいいさ。この命、精々有意義に使ってやるよ――!) 狭山雪子を探すことは危険な賭けだ。 この市街地は安息とはかけ離れた危険地帯と化している。 殺人者と遭遇する可能性は、恐らく他のどのエリアよりも高い。 その中をこんなに無用心に進むなど、殺してくれと言っているようでさえあった。 天王寺の方を、ちらりと見やる。 彼女は、決して救えないところまで落ちぶれた少女ではない。 壊れきれない彼女なら、まともに戻ることだってできるはず。 罪の十字架は重たいだろうけど、それにも耐えられると丹羽は思う。 彼女は、ちゃんと自分が悪いことをしたと分かっている。 反省して許されることではないのだろうが、その全てを糾弾して否定するのは間違っている――。 彼女は生きるべきだ。 こんな亡霊紛いの存在よりも、ずっと尊くて輝ける存在なのだから。 (天王寺を守る! 狭山も連れ戻す! どっちかを諦めろってんなら、俺はそいつをぶん殴ってでも先に行く!!) 自己犠牲の精神は、時に見苦しい。 しかしながら、捨てるものを無くした人間はとても強い。 自分の目的のためにどこまでも走れる、そういう強さを持っている。 そして丹羽雄二もそうだった。 一度の忌まわしい死が、彼を突き動かす原動力となってくれる。 代償は、少しばかり人間らしくなくなったことだろうか。 自己犠牲は――機械的だ。 (…………河田) 前の殺し合いで共に行動していた彼女の顔が、頭をよぎっていく。 彼女は、今頃どうしているのだろうか。 そう思うと――すぐに、まとわりつく偶像(イメージ)を振り払う。 振り払って、頭の片隅に追いやり、徹底的に縮小してやる。 (今考えるのはあいつのことじゃない。あいつじゃなくて、目の前のことだ) 狭山雪子。 天王寺深雪。 彼女たちを守る。 あまりにも弱すぎる少女たちを――この手で、守る。 意地でもやり通してやる。 この手には、特別な力なんて宿っちゃいない。 この体には、何の神秘も内包されていない。 ここにいるのは、ちょっとばかし力仕事に縁のあった若者だ。 ヒーローとは程遠い、バトルロワイアルが無ければ今も何となく日々を過ごしていたようなノーマルだ。 しかし。ノーマルがアブノーマルを超えられないなんて道理はない。 精々胡座をかいて待っていろ、人無結。 行くぞ、支配者。心の準備は十分か? ――これから俺は徹底的にお前の計画を台無しにする。 筋書きも目的も、何もかもメチャクチャにしてやる。 お前が期待していたような展開は潰す。 見ろ、俺は天王寺深雪を助けたぞ。 彼女は殺し合いは出来なかった。 でも、あんな風に震えながら全てを見失っていたら、彼女はきっと長生きは出来なかった。 早速、筋書きを狂わせたぞ。 そして最後は――お前のバトルロワイアルをぶち壊して、何もかもを終わらせる。 ……待ってろ、バーカ。 ◇ ◆ 少女は自分の変わりように戸惑い。 青年は自分を貫くために決意する。 二人とも自分の確固たる思いと願いを抱えて、もう一人の弱い少女を探すべく走る。 互いに、裏切りや策謀があるなんて疑うことはしなかった。 時間にすればとても短いのに、彼らの間にはもうある種の信頼関係が出来上がっている。 二人はもう、明確に心から繋がっていた。 「……丹羽さん」 暫く会話のない時間が続いていたが、先に会話を切り出したのは深雪だった。 静寂に耐えられなくなった、という様子ではなく、単純に話したいことがあったようなそれだ。 ただ、その声色はどこかばつが悪そうでもある。 申し訳なさそう、とも言うのだろうか。 とにかく、複雑そうな表情をしていた。 「どうした? 悪いんだけど、急がなきゃならないから後で――」 「丹羽さんは」 後でにしてくれるか、と言いかけた丹羽を遮って、深雪は自分の話を無理に通す。 自分勝手と言われても構わない。 彼女にしてみれば、わがままを言ってでも彼に聞いてほしいことだった。 自分を灰色の世界から連れ出した丹羽雄二なら、答えをくれるのだろうかと思って。 心の中に丹羽雄二と『神様』の顔を同時に描きながら、彼女は絞り出すように問う。 「……私は、白鷺の教えを捨てられません。きっと、これからもずっと阿見音様についていきます」 阿見音弘之の存在は、重い。 重いなんてものではなく、もはや一つのルールとして深雪の中に刻み込まれている。 確かに、丹羽は自分を助けてくれた。 阿見音がしたのとは別の形で、助けてくれたのだ。 ――でも。 それで簡単に捨てられるほど、阿見音弘之は軽くない。 彼は優しくしてくれた。 頭を撫でてくれた。 こんな自分を認めてくれた。 教えを守れば、褒めてくれた。 ――神様だった。 「私はこれから――どうしたらいいんでしょうか」 深雪には、それが分からなかった。 バトルロワイアルを無事に生き抜いて、果たしてそれから自分は元通りになれるのか。 仲間の暴挙を、黙って見ていられるのか。 白鷺の教えは戦いを救いの道標とする。 だから、殺人も破壊も何でもやる。 ありとあらゆる戦いを行うことで、初めて真の救いが得られるのだ。 ……けれど、深雪は丹羽雄二に触れてしまった。 触れてしまったことで、戦いを拒む自分に気付かされてしまった。 ころせない。 今はそれだけでも、いずれは『こわせない』になるかもしれない。 そうなったら――自分は、白鷺にいられない。 「……いいよな、天王寺はさ」 「はい?」 予想だにしない言葉が返ってきて、思わず拍子抜けした返事を返してしまう。 しかし丹羽の表情は真剣そのものだ。 真剣に――羨んでいる。 その意味を深雪が理解するよりも早く、丹羽は溜め息混じりに言った。 「俺達の神様ってのはさ、高い高い天の上にいるんだよ。だから、俺ごときじゃ姿さえ拝めない。 何か言葉を届けるなんて、出来るわけがない。そんな馬鹿みたいなこと、誰も考えたことはないだろうさ」 『俺達の神様』という言い方は、普段なら反論するべきところだった。 神様は唯一。八百万の神など、所詮は幻想だと。 普段なら反論するべきだった。 が、今はそのお決まりの反論が出てこなかった。 それが冒涜的な言葉だと理解することにさえ、わずかとはいえ時間を要した。 それだけ、彼の言葉は響いたのだ。 そうだ――丹羽さんは、神様と喋れない。 阿見音様といつも話していた自分は、その当たり前に気付けずにいた。 普通は、神様の姿を見ることさえ出来ないんだ。 じゃあ、尊い存在といつも顔を合わせていた自分はすごく幸運だということになる。 そんな深雪の表情を見て、丹羽はもう一度、深く溜め息をついた。 全然分かってねえな――彼が小さく呟いたのを、深雪は聞き漏らさなかった。 覚えの悪いペットに躾をするような口ぶりだった。 「あのなあ、お前のいう阿見音様って神様は、すぐ近くにいるんだろ?」 「……はい」 「じゃあ、当然会話も出来るんだろ? 言葉が届くんだろ?」 当たり前だ。 今まで、彼とは何度も話している。 白鷺の拠点の掃除プランを提出して、誉めてもらったこともある。 小学校の卒業式にも、彼は来てくれた。 天の上なんかじゃない。 ちゃんとすぐ近くに――存在していた。 言葉も届く。 話すことも触ることも、もちろんできる。 「なら――お前が神様に説教くれてやれよ、バカ」 「――あ」 思いもしなかった。 神様に説教するなんて、失礼どころの話ではない。 破門も通り越して、熱心な信者たちに殺される可能性だって十分ある。 「届き、ますかね」 「ああ、届くだろうよ。天王寺、お前は凄くいい奴だ。会ってから少ししか経ってないけどさ、俺にはよく分かるよ。そんなお前が、心から尊敬する神様なんだろ? ……まあ、正直俺もムカついたよ、お前に負担を掛けるクソ野郎だって思った。 だからさ、そんなとんでもなく素晴らしいクソ野郎を正してやれ。……できるよな?」 届く。深雪はそう確信した。 阿見音様は優しいお方だ。 彼なら、私の話をきっと聞いてくれる。 話を聞いた上で――何かを変えてくれるかもしれない。 彼もきっと、この殺し合いに心を痛めているだろうから。 希望を抱いて、深雪は笑う。 ――しかし、彼女は何も知らなかった。 自分が信じる神様のことすらも、何も知らなかった。 彼が内に孕ませる邪悪も、彼が自分に対してどのような感情を抱いているのかも。 天王寺深雪にとって最も善い未来は、阿見音弘之が彼女の目の届かない場所で死亡することだ。 どんな死に様でも構わないが、なるだけ綺麗に朽ち果てることだ。 そうすれば――深雪は幻想を守られたまま、悪夢から抜け出せる。 だが。 ぱち、ぱち、ぱち、ぱち、ぱち、ぱち、ぱち、ぱち、ぱち、ぱち、ぱち。 最悪の神様は、すぐそこにいた。 あまりにも近くで、いつものように笑っていた。 銀髪白衣に義眼の奇人・阿見音弘之は、そこに君臨していた。 丹羽と深雪の会話の一部始終を聞いて、心から感心した様子で拍手をしている。 彼は、心から丹羽雄二に感心していた。 その理由は彼にだけしか、分からない。 ただ、阿見音の興味に丹羽は引っ掛かった。 面白いくらいに――。 運命の悪戯はこんなところにまであるのかと、笑った。 「あ、阿見音様っ!? …………え?」 深雪は喜びと驚きに満ちた声をあげたが、すぐにその表情を固まらせる。 それは丹羽も同じだった。 驚きのあまり、硬直していた。 「――――…………狭山?」 狭山雪子が、阿見音弘之の隣にいた。 須藤と別れた時とは比べ物にならないほど、吹っ切れた顔をしている。 だがその瞳には、異質な光があった。 だから丹羽も深雪も、喜びより先に固まらざるを得なかった。 「ごめんなさい、迷惑かけてしまって。私、須藤くんのところへ戻ります」 笑顔で彼女は言う。 相変わらず物腰は柔らかい。 でも、彼女はこんな表情をしていたか? こんなにも――狂気を含んだ顔を、していたか? 「狭山……おまえ、どうしたんだ……?」 丹羽は思わず聞いていた。 阿見音弘之は傍らでにやにやと、にたにたと笑っている。 愉悦。人の苦痛がもたらす美酒に酔っているのは、誰の目から見ても明らか。 神の本性を露知らない二人は、狭山に釘付けにされる。 そして、彼女は言う。 儚げな笑顔に狂気を孕ませて、言う。 「もう大丈夫です。何も心配はありません。だって――」 彼女は、 「――阿見音様が、私を助けてくれたんですから」 ――白鷺の祟り神に、魅入られていた。 ◇ ◆ 「かみ…………さま…………?」 狭山は、息も絶え絶えの状態で小さく呟く。 走ったせいか、ぜえぜえと女らしくない息遣いが口から漏れていた。 そんな彼女にも、銀髪の男――阿見音弘之は変わらず微笑み掛ける。 微笑んで、彼女の呟きにゆっくりと頭を縦に振った。 肯定の意。阿見音は、少女に自らが救いの神であると自称した。 「くふふ――信じられないのも無理はありません」 狭山は弱っているとはいえ、決して馬鹿ではない。 いきなり現れた怪しい男に神を自称されて、すぐに信じるような真似はしなかった。 ちゃんと彼女なりに冷静な目で目の前の男を見て――その結果として、疑いを持っていた。 神様を名乗るなんて時点で胡散臭いのに、この男の風貌はその段階を通りすぎている。 不審者然とした容姿。 信用するには、あまりにも危険だ。 本来なら今すぐ走って逃げるべきなのに、動悸は治まってくれない。 これでは、逃げられない。 「では、こうしましょう。私は神様などではない。ただし、貴女のどんな悩みだって聞いてあげます。武器を隠していないかは、こればかりは貴女の信用に任せるしかありませんが」 男は笑う。 嫌らしい笑いだ。 楽しむような笑顔の意味は狭山には分からない。 でも、こんな風に笑う人間を狭山雪子が見たことがないことは、確かだった。 この人は、なんだ―― 心がざわつく。 恋なんて甘い感情じゃなくて、心という土台を根本から揺さぶられているような感覚。 これも、初めての感覚だった。 阿見音は笑っている。 武器を取り出す様子はないが、安心はできない。 いつ自分を攻撃するか分からないのだから、油断は禁物だ。 禁物――といっても、この様じゃ何もできないのだけれど。 (…………あれ?) と、そこで狭山はふと思った。 阿見音弘之が殺し合いに乗っているというのなら、どうして彼はすぐに自分を殺さないのかと。 自分で言うのもなんだが、今の自分がひどく弱っている自覚は狭山にあった。 体力的にも、精神的にも、今は衰弱している。 殺すなら簡単も簡単、赤子の手を捻るようなものだろうに――この人はどうしてそれをしない? 阿見音の危険性を知っている者なら、こんな疑問にはそもそも至らなかっただろう。 彼が人間の不幸や感情の破綻を尊く思う怪人であることを、知っていたならば。 狭山雪子がそれを知っているわけがない。 だから、彼女が阿見音を信用とまではいかずとも、少しだけ気を許してしまったのは仕方のないことだった。 仕方のないことで――しかしそれは、確実な破滅の始まりだった。 狭山にとって最善の一手は、とにかく阿見音を信用しないこと。 彼に気を許さないこと。 それを破った彼女は、まんまと神の毒牙にかかる。 「……友達と、喧嘩して」 喧嘩。 そう言っていいのかどうかは疑わしかったが、間違ってはいない筈だ。 あれは喧嘩だった。 互いの感情がちょっと擦れ違っただけで、崩壊が起きた。 雪崩のように、全てが崩れてしまった。 その光景を見ていない筈の阿見音は、しかしまるで張本人のように哀しそうな顔をした。 それから狭山は、クラスメイトが死んだことを話した。 そして、須藤との一件のことも。 「私は、彼から逃げたんです。でも、考えれば考えるほど――どうしたらいいのか、分からなくなって……。だから、走って、走って、走って……それで、阿見音さんが」 成る程、そういうことでしたか――阿見音弘之は心を傷めた様子で、うんうんと頷く。 もちろん、今の話は随分と端折っている。 全てを語れば長くなることは請け合いだったし、何よりそれを正確に語れば、自分が壊れてしまいそうだった。 須藤との一件。 クラスメイトの死。 立て続けに起こった二つの出来事は、少女の心を蝕み、すっかり衰弱させていた。 今の狭山は弱いし、脆い。 あとちょっとのきっかけがあれば簡単に壊れてしまうだろうし、きっかけが無くても同じかもしれない。 それは、目の前に立つ阿見音弘之からでも簡単に見てとれることだった。 「辛かったでしょう、お察ししますよ」 阿見音は悲痛そうに目を細める。 もちろん、これは彼の演技だ。 内心では、ひどい落胆を覚えていた。 "そんな面白いことが起きていたのなら、是非私も見届けたかった――"。 友人同士の決裂などありふれた話に見えるが、ありふれたものであるからこそ良い美酒となる。 それに、ここは殺し合い。 酒の肴として、もってこいのシチュエーションが揃っているのに。 なのに、肝心なところを逃してしまうとは、不覚だった。 「――ですが、私になら貴女たちをもう一度《繋ぐ》ことが出来ますよ」 「……え?」 阿見音弘之は転んでも只では起きない男だ。 美味しい酒を逃してしまったなら、もう一度瓶の蓋を開ければいい。 すなわち、狭山雪子とその友達、須藤凜を再会させる。 そこで何が起きるかは知らないが、仲直りなどされては興醒めも甚だしい。 ……その瞬間に銃撃してみるのも面白そうではあるが。 「言ったでしょう。私は神様なのですよ」 だから、ここで一つ仕掛けを施す。 料理番組でよく、味を良くするために一手間を加えるだろう。 それと同じだ。 愉悦の美酒もまた、一手間を惜しまなければ最高の酒へと化ける。 「――かみ、さま」 「ええ。貴女にお教えしましょう。私の教えを」 ここで阿見音弘之が施す一手間は、彼にとってはとても慣れたことだった。 それは、『布教』である。 疫病の蔓延して絶望した国が、宗教にすがるように。 弱っている者こそ、見えない何かに頼りたくなるものなのである。 「白鷺は――戦うことによって、多くを救う」 ◆ ◆ 教えを語るといっても、阿見音にしてみれば然程時間をかけることではない。 それこそ何度も何度も、何度も何度も繰り返した行為だ。 必要ない形式だけの教えを全て省き、一刻も早く目の前の少女を『白鷺』に染める為の教えだけを説く。 失敗などそもそも考えてはいない。 神を名乗るからという自信もあるが、何より阿見音弘之はちゃんと頭を使う。 懐柔できる人物と無理そうな人物くらい、ちゃんと判別してから言葉を吐く。 「――このくらいですね。そして私は、このゲームには乗らない。何故なら、不毛だからです」 最後に自分の立場を付け足して、阿見音は話を締め括る。 しかしそれは、狭山雪子の胸へと届いた様子はなかった。 それもそうだ。彼女には、あまりに多くの情報を一度に詰め込んだ。 これで堕ちるかどうかは、彼女の精神力次第といったところだろう。 ここで堕ちなければ一度は愉悦を諦めねばならないだろうが、決して無駄にはならない。 一度吹き込んだ希望は、忘れた頃に手を差しのべてくる。 白鷺の教えは厳しくもあるが、この殺し合いの中では十分希望とよべるものだ。 (……勝ちましたねぇ、これは) 阿見音の人間を見る目は、卓越している。 人の本質を誰であろうと一瞬で見抜き、その人物に何が有効かを即座に理解する。 その彼が見たところ、狭山雪子は絶対に希望の誘惑を断てないという結論に至った。 何しろ――狭山は、弱かったから。 彼女は一人で殺し合いの過酷を背負えないほどに、弱かったから。 「白鷺…………」 「どうです? 私の教えはお気に召しましたかな?」 狭山は、不思議な感覚に捕らわれていた。 嫌悪や不快感ではなく、しかし高揚ともまた違う感覚。 宙を浮いているような感覚といえば、それが最も適切だったろう。 白鷺教の教えは、狭山雪子にとって格好の支えだった。 支えが無ければ立てない少女が、己の重さを託すには最も適当な希望。 ――もう一つ変化はあった。 ついさっきまでは不気味だった阿見音弘之の笑顔が、慈愛に満ちたものにさえ見えてくる。 当初の嫌らしさはまるで感じず、胡散臭そうな見た目もすっかり彼の一部として捉えるようになっていた。 どうして私は、彼を疑ったのだろう? 弱っている私に素晴らしいことを教えてくれた人を。 そんな優しい人を疑うなんて――そんなこと、あってはならないことだった。 けど、彼はきっと自分を許すだろう。 優しいから。 白鷺教を開きし者として、笑って許してくれるだろう。 ああ、違う。 彼は人ではない。 彼は神様だから、『さん』付けで呼ぶなんてあまりにも失礼だった。 私はなんてことをしていたのか。 気付くと――頬が真っ赤に紅潮するような感覚さえ覚えた。 そんな当たり前を間違ってしまうなんて、迂闊にも程がある。 「あの……」 「言わずとも分かりますよ。……いえ、むしろ此方からお頼みします。――私と来てください」 阿見音は手を差し出す。 握手を求めていた。 狭山はそれに戸惑ったが、それは決して困惑ではない。 恐れ多いというような、謙遜の動作だった。 やがて彼女は両手で阿見音の握手に応じる。 まるでアイドルと握手をするように、丁寧に。 「こちらこそ、宜しくお願いします――――阿見音様」 神隠しは完了した。 少女は神の手に堕ちた。 駒は一体。 当然、神は笑って彼女に言う。 「それでは、早速須藤くんを捜すとしましょうか。……彼にも、希望を与えましょう」 「はい。白鷺の教えを、是非須藤くんにも」 「勿論ですよ、ええ」 狭山は酔う。 希望に溺れる甘美な感覚に。 だから気付かない。 隣の神様を名乗る男が、邪悪に笑んでいることに――。 自分の選んだ道は逃げずに問題と向き合うことなんかじゃなくて、問題から目を背けているだけだということに――。 気付かぬまま、歯車は廻っていく。 錆び付いた歯車は、二度と正しく回らない。 ◆ ◇ ――阿見音様……!? 狭山の変化に、丹羽と深雪は驚きに身を強張らせる。 何があったのかは分からない。 丹羽はそもそも、阿見音弘之という人物とはこれが初対面なのだ。 彼の孕む闇の大きさなんて知る筈がなく、故に状況をすぐに理解することができなかった。 もしかすると、彼女は元より彼と何らかの関係にあったのか? そう思いはしたものの、どうにも納得できない。 狭山雪子は、あんな風に笑っただろうか。 あれが彼女の本質なのか。 丹羽には何も分からない。 分からないまま、二人の人間を黙って見ていることしかできない。 不甲斐ないとさえ思えない。 事態がどういう経緯を辿ってここまできたのか――何も知らないからだ。 「…………?」 天王寺深雪はこれまでに、今の狭山のように憑き物が落ちたようになった人を何人も見ている。 白鷺の教えに救われた人々はみんな幸せそうだった。 阿見音に仕える名誉を誇っていたし、深雪もそう思っていた。 逆に、彼を胡散臭いだとか怪しいだとか評する連中を憐れんですらいたのだ。 なら、ここは狭山が救われた事実に喜ぶべき局面の筈。 しかし、深雪はどうしてもそう思えずにいた。 以前なら彼女も救われて幸せだろうと笑うべきところだったのに、今はとても笑えない。 この気持ちは、何なのだろう。 丹羽と一緒にいて感じたものとは明らかに違う、もっと居心地の悪い感覚。 ――分かんない……! 深雪はこれほど、自分の無知を嘆いたことはなかった。 この感覚の意味を知っていたなら、自分は正しい行動を取れるだろうに……!! 「どうしたんですか、二人とも?」 狭山と阿見音だけが笑っている。 狭山は相変わらず淀んだ瞳で。 阿見音は何を考えているのか分からない笑顔で。 異質な光景だった。 危機感さえ忘れてしまいそうな、とても現実からかけ離れた景色。 「……ああ、深雪。貴女とまた会えた幸運を、私は喜びますよ」 阿見音は深雪に笑いかける。 深雪も笑い返した。 でも、上手く笑えているかどうか心配だった。 このゲームが始まるより前の自分とは、何もかもが違っているから。 阿見音様に、嫌われてしまうかもしれないと思った。 「……私もです。また会えて嬉しいです、阿見音様……!」 だけど、やっぱり嬉しい。 彼は自分に人生を与えてくれた。 感謝してもしきれない、偉大な偉大な私の神様。 その彼が、自分ごときとの再会に喜んでくれることが嬉しかった。 だからこそ、深雪はやらなければならないと、決意を固めた。 こんなに優しくて暖かい人だから――正しくあってほしい。 「あの、阿見音様」 深雪は勇気を出した。 ただ話を切り出すだけでここまで心臓がはちきれそうになったのは、生まれて初めてだ。 緊張と恐怖を乗り越えて、でもちゃんと口にできた。 「ちょっと、お話があるんです……聞いて、いただけますか……?」 最後の方は、もう声が震えていた。 今ならまだ彼の僕に引き返せると、心の中で悪魔が囁いた。 けども、丹羽雄二がくれた一つの『答え』の方が、そんな逃避の一手よりもずっと尊く美しく見えた。 選び取ることができたのだ。 深雪の勇気を間近で見た丹羽は、どんな混乱も一瞬消えるのを感じた。 ずっと操り人形だった少女が、大好きな人に道を説く。 しかも相手は彼女にとっての神様。 あれが神様だとはどうしても思えない丹羽だったが、悪いやつではないのかもしれない、とも感じ始めていた。 確かに狭山の様子が急変したのは気になることだ。 しかし、深雪との再会に心からの喜びを見せていた。 彼なら、受け止めてくれるだろう。 一人のちっぽけな女の子が振り絞った勇気の言葉を、受け止めてくれるだろう。 そして、すぐにとはいかずとも、必ず改善してくれる。 ――だって、天王寺があんなに想っていた人なんだから。 だとしたら、狭山も救われただけなのか。 彼の教えを聞いて、希望を得たのではないか。 確かにちょっと極端なことにはなっているけど――自分の思い過ごしなのか。 そんな安堵さえ覚える。 「――ええ、分かりました。私からも伝えたいことがありますし、あちらの方へ行きましょうか」 阿見音は笑顔で頷くと、結構離れた方向を指差した。 少し不安感を覚えた丹羽だったが、その不安を汲み取ったらしい阿見音はまた笑った。 「心配ご無用。同じ教団の仲間ですからね、神に誓ってでも手はあげませんよ」 神様ジョークです、と陽気な一面を見せる銀髪白衣に、丹羽は考えすぎだという結論を下した。 この胸騒ぎも何もかも、自分の考えすぎ。 二人のシルエットが小さくなっていく。 やがて、曲がり角を過ぎて消える。 狭山と丹羽だけが残された。 「天王寺さんと阿見音様って、お知り合いなんでしょうか」 「あー……天王寺も阿見音様にご執心みたいだよ」 ――丹羽雄二は、この時の自分の行動を後悔することになる。 救いといっても、一概にそれが良いものであるとは決め付けられない。 精神操作(マインド・コントロール)――深く深い精神への病毒。 狭山雪子が、既に精神を冒されているとは思わなかった。 それに気付くとき―― 神の傲慢は、当に手遅れなところまで進んでいるのに。 ◆ ◇ 「丹羽雄二を殺しなさい、深雪」 ――阿見音弘之はいきなり、何の前振りもなく言い放った。 その声も顔色も真剣そのもので、冗談で言っているようには毛ほども見えない。 突然の展開に、深雪は用意していた言葉を忘れ去ってしまう。 どうして。どうして、阿見音様がこんなことを言うんだ? 困惑する深雪の姿を見て、阿見音は瞳の奥でせせら笑った。 「私は河田遥という少女と出会いました」 阿見音が深雪に同行者の殺害を命じたのは、ひとえに彼が最も愛する愉悦を得るためだ。 河田遥という少女と出会い、阿見音は彼女に洗脳とまではいかずとも、適度な毒を注いでおいた。 毒が彼女を冒し尽くすか、それとも打ち勝つかは分からないが、それは最早どうでもいい。 そんなことよりずっと簡単に、毒を凶暴化させる手段は転がっている。 彼もそれを考えたが、あまりに望みが薄いこと、手間が大きすぎることを理由として断念したのだ。 間違ってはいない。 河田遥にとって、丹羽雄二という存在は間違いなく重荷になっていたのだから。 そう、阿見音弘之は丹羽を殺害すれば、河田は完全に崩壊すると考えた。 それは凄く愉しそうなことだと思うし、是非見てみたかった。 だから、諦める時の悔しさは彼にしては珍しいほどのものだった――のだが。 まさか向こうから転がってきてくれるとは。 天王寺深雪という駒の一体が、最高の美酒の材料を連れてきた。 「彼女は苦しんでいました。丹羽雄二に傷つけられたと泣いていて、とてもいたたまれなかった」 嘘だ。が、深雪は信心の深さに限っては実に優秀だ。 何も知らない子供だというのもあるが、彼女相手じゃあ騙すために小細工をする必要もない。 真っ向からこんな風に嘘をついても、彼女は疑わない。 神の言葉を疑うなんて、最大の無礼だと心得ているからだ。 自分が間違っているのだと勝手に納得して、こちらの語る全てを信じる。 深雪は人を殺せないが――そうならない為に、銃がある。 《百発百中》――これでならば、下手な鉄砲を数撃たずとも当てられる。 「私は丹羽雄二が赦せない。一人の少女を傷付けた男が赦せない。……さあ、深雪。銃を取りなさい。戦うことでこそ救われる。お前の信心でなら、もう誰かを救うこともできますよ」 深雪には、普通の銃は扱えそうにない。 彼女は信じる心は強いのに、肝心なところがまだまだ子供すぎる。 未熟者というしかない、扱いにくい駒なのだ。 だから、そんな彼女にこそ四字熟語を冠された拳銃は輝く。 引き金一発、どんな下手糞でも一定以上の確率で弾丸を当てられる。 その効果は既に実証済みだった。 土御門伊織たちを銃撃した時にも、全くのノーリスクで勝利を勝ち取った。 丹羽雄二はここで死なねばならない。 何故なら、それが祟りの意志だからだ。 神の選びし贄は、大人しく供物として捧げられるが良い。 そうして朽ち果てるまで――苦しめ、足掻け。 それが、最高の美酒になる! 「……それは出来ません、阿見音様」 聞き間違えたかと思った。 阿見音弘之は間違いなく、このバトルロワイアルが始まって初めての驚きを覚えていた。 有り得ないことだったからだ。 天王寺深雪が、阿見音弘之の言葉に異を唱えるなど。 彼女はマリオネット。 神の言葉通りにしか動けない、操り人形だった筈なのだ。 なのに――今、彼女は何と言った? 「……深雪」 「何度でも、言います……! 私は丹羽さんを殺しません……あの人のことを、阿見音様は勘違いしています」 笑い声は漏れない。 これは愉快なことではなかった。 腹立たしく思いはしないが――驚きという感覚は、あまり好きではないようだ。 「阿見音様は私にとって、神様です。あなたが居なければ私は今ここに居ない……でも」 深雪はもう、無我夢中だった。 嫌われることを恐れながらも、けれど止まることはなかった。 丹羽雄二の名前が出たとたんに、勇気の炎は真っ赤に燃え上がった。 火柱さえ立てて――赤く赤く。 「――戦わなきゃ、誰かを傷付けなきゃ救われないだなんて。そんなの、絶対に間違ってるんです……!!」 丹羽雄二。 彼の評価を改める必要があるようですね――と、阿見音は心から感心する。 河田遥の重荷になるだけの存在かと思えば、一つの道理を覆してのけるとは。 見たところ『理想主義者』のようだが、それを他者に伝染させるとなれば面白い。 愚かで、粛清されるべき所業。 白鷺の存在そのものへ楔を打ち込むがごとき、悪徳。 「……ねえ、阿見音様。今からでも、変えましょう? 誰かを助けて救われる――そんな世界も、悪くないんじゃないかって思うんです。だから――」 深雪が内に燻る恐怖を圧し殺しながら喋っていることは、明らかだった。 人間の心に深く精通している阿見音には、勿論それが手に取るように分かる。 状況が状況なだけあって、流石にそれを愉悦とすることはできなかったが。 人の信心さえも動かす丹羽雄二の可能性を知れただけでも、収穫はあった。 潰すか否かは知らない。 まだその時ではないし、メインディッシュは後にとっておくものだ。 だから阿見音弘之は、左手を出して深雪を制した。 「……優しい優しい深雪。貴女は、頑張りましたね」 ああ、認めよう。 阿見音は現実主義の人間だが、誰かの努力に感嘆できるだけの神経は持ち合わせている。 彼女は恐らく、人生で一番の勇気を出した。 頑張った。頑張って、神の定めた戒律を揺るがそうと戦ったのだ。 「もう苦しまなくてもいいですよ――貴女の言いたいことは、分かりました」 そう言って、阿見音は笑った。 彼自身は気付かなかったろうが、それは紛れもなく慈愛に満ちた心からの笑顔だった。 深雪でさえも、彼のそんな顔を見たことはなかった。 深雪は心が温かくなるのを感じた。 彼は、分かってくれるんだ。 こんな無礼者の言葉でも、聞いてくれる。 「阿見音様……!」 嬉しい。 嬉しくて嬉しくて、涙が瞳を濡らす。 そんな深雪に阿見音弘之は変わらず微笑みかける。 「貴女が不要だってことは、よぉく分かりましたから」 がきゃん。 そんな音がした。 それは鈍い音で、何かが砕ける音もした。 深雪が崩れ落ちる。 彼女はしばらく、頬に走る熱い感覚の意味が理解できなかった。 理解なんて、できる筈がなかった。 それは夢の終わり。 分かったらすべてが終わってしまうと頭では分かっているのに、真実は深雪の前に存在していた。 阿見音は、冷たい表情で立っている。 笑っていない。怒ってもいない。伽藍。 右手には、拳銃を持っていた。ただし、変な持ち方で。 阿見音は、深雪の右頬を思い切り銃床で"ぶん殴った"のだった。 銃床は、意外と硬い。少なくとも、人間の骨くらいなら砕けるくらいには。 だから、深雪は頬の骨を砕かれなかっただけ幸運だった。 ただし、歯は何本かいってしまっただろう。 「今だから言いますがね、私は貴女を然程必要としてはいなかったんですよ」 呆然とへたりこむ深雪の今度は左頬に、再び銃床が叩き込まれる。 口の中が切れて血が口の端々から垂れる。 地面に倒れて、しかし立ち上がろうとは思えなかった。 口の中で、何か硬いものがいくつも転がっている。 それが自分の折れ、抜け落ちた歯であることに気付くのに、時間はかからなかった。 「人は殺せない、おまけに力もない」 「そんな貴女のどこの期待をしろって言うんです?」 「ええ、正直なところ。貴女はこのゲームで死んでもいいと思っていましたよ、私は」 「だってそうでしょう。穀潰しは必要ないのだから」 「死んでくれた方が、教団としても助かるのです」 「出来れば私の目につかないところで野垂れ死んでくれればよかったのに」 「折角良い玩具を拾ってきたかと思えばこれだ」 ――止めて。 深雪は薄れる意識の中で願う。 これが全て夢であることを。 夢なのだったら、いくらでも耐えてやる。 「私の教えに異を唱えた時点で、貴女にはもう一円の価値もありません」 失われてゆく。 今まで積み上げてきたものが、何もかも。 「――どうぞ何処へなりと消えなさい。そして、出来れば無価値に死に晒すがいい」 最後に残った夢の欠片は。 「言い忘れていましたが、私は他人の不幸を悦とする『人間』でして。私の教えを信じて踊る馬鹿どもを見て日々楽しんでいました……くふふ、それではさようなら。『誰かさん』」 ――がきゃり。 そんな音を立てて、今度こそ粉々に砕けて消えた。 ◇ ◆ 丹羽雄二は、一瞬意味が分からなかった。 阿見音弘之が、戻ってきた。 その表情はどこか晴れ晴れしていて、まるで善行を働いた後のようにさえ見える。 それだけならいい。 だが、一つだけ解せないことがある。 「……なあ、阿見音さん」 狭山とは何となく気まずくて、会話がまるで弾まなかった。 恐らく、文字に直せば三十文字も喋っていなかっただろう。 だからだろうか、ひどく久々に声を出したような気がした。 声は自分でも見苦しいと思えるほど、震えている。 その意味は恐怖。 嫌でも頭の中をよぎっていく最悪の結末を、必死に脳内で払拭する震えだった。 そんな丹羽の最悪への恐れを知ってか知らないでか、阿見音は事も無さげに言う。 まるで何でもないことのように。 言葉にするのも無駄とでもいうように、彼は適当な調子で言った。 「深雪なら、来ませんよ?」 阿見音は笑っている。 その笑顔の意味を、丹羽はすぐに理解した。 最悪の予想は――あまりに呆気なく、炸裂したのだ。 天王寺深雪。彼女は、この男のことを大好きだと言っていた。 一生ついていくに値する偉大な方だと誇らしげに語っていた。 それなのに、この男はこんな風に笑っている。 ふざけるな。 こんな野郎の、どこが神だ。 神様ってのがいるとしたら、そいつは随分性格の悪いやつなんだろうとは思う。 けれど、こいつだけは。 こいつだけは、その名前を名乗るにも値しない。 最悪の外道――自分を信じた少女を平気で裏切る、打倒されるべき害悪なのだ。 「痛め付けておきましたが、心の傷は深いでしょう。すぐには来られませんね」 事も無さげに言ってのけた阿見音の胸ぐらを掴もうとして、そこで見た。 阿見音の持っている拳銃は、自分の胸のど真ん中に向いている。 丹羽は、燃えるような激情に満たされていた。 それでも、どうにか命を守るためにそれを押し止めた。 ここで阿見音に撃たれれば、誰が深雪を支えてやれる。 自分が死んだら――誰が今のあいつを、守ってやれるんだ……! 「阿見音様っ!」 「大丈夫ですよ、雪子。彼は私を殴らない」 嫌らしく、目の前の外道は笑う。 丹羽雄二のやり場のない怒りを煽りつつも、自分の身を守る備えは万全。 引き金一つで、丹羽は死ぬ。 それを分かっていて、それでも愚を犯させようとしているのだ。 とことん腐った野郎だと、丹羽は思った。 「丹羽くん。貴方を一度だけ見逃しましょう。どうやら、貴方はまだまだ面白い可能性を秘めていそうだ。 このバトルロワイアルで貴方がどう化けるのか、どんな末路を遂げるのか楽しみですよ。 でも、出来れば全てを失い、理想の果てに朽ちなさい。――それは、きっととても素敵な美酒になる」 ぽん、と一度丹羽の肩を叩いて、阿見音弘之は丹羽の視界から消えた。 背後で、狭山と会話をしている阿見音の声が聞こえる。 彼は何の罪悪感も抱いてはいないのだろう。 救いようがない。 阿見音を殴れないことが、今の丹羽雄二にはひどく、ひどく悔しくて歯痒かった。 「天王寺……っ!!」 丹羽は走る。 それはまるで、スプリンター。 憐れでも道化でも、今だけは構わない。 どんな謗りを受けようとも、この足を止めることだけはできない。 丹羽雄二の誇りと意地に懸けて、あの弱い少女の元へ辿り着くまで、一度だって止まってはやれない――!! メロスの気持ちが分かったような気がした。 彼もきっと、セリヌンティウスを助けるために必死だったのだろう。 今の自分は、作品の中のメロスと同じだった。 事態は一刻を争う。 一秒の遅れが、深雪を殺してしまうかもしれない。 そんなことになるくらいなら、この肉体を壊してでも走ろう。 (もう、一生走れなくなったっていい――――) 地面を蹴る。 風は嘲笑うように過ぎていく。 けれどそんなものはどうでもいい。 全部どうでもいい。 大切なのは傷付いた彼女。 彼女を助けるために、走るのだ。 (――――だから、あいつを助けさせてくれッッ!!!!) そんなに長い距離ではなかった。 なのに、千里の道を駆け抜けるが如く長く感じた。 辿り着いたその場所に、彼女は倒れていた。 瞼を閉じて、両の頬を僅かに腫らして。 目の下に涙の跡をくっきりと残して、意識を手放していた。 「おい、天王寺……! 気絶してるだけか……」 見れば、少女は口の端々から一筋の血液を溢していた。 丹羽はそれを見て、思わず心臓がドキリとなるのを感じた。 吐血だったら。 内臓が傷付いて吐血したのだとしたら、それは本当に不味い。 仕方ない。 眠っている女の子の口に手を入れるなんて、気が引けたが。 血液が口内からの出血なのかどうか、丹羽は見極めようと彼女の口を開かせた。 悲痛そうな顔で眠る少女の姿が、どうしようもなく痛ましかった。 深雪の出血は、口の中を切ってしまったことによるものだった。 ひとまず安心するが、丹羽は阿見音弘之へと更なる怒りを燃やす。 深雪の歯は、硬い銃床で殴られたことで何本もが折れ、抜け落ちていた。 女の尊厳の一つが、あんな外道のせいで破壊されている。――その数はちょうど十本。 目を背けてはいけないと丹羽は思った。 彼女を無警戒に送り出したのは自分だ。 だから、彼女がこんな目にあったのは自分の責任でもあるのだ。 彼女の口の中に溢れていた歯を、飲み込まないようにそっと口から出させてやる。 ディパックの中に入っていたウェットティッシュで、その歯を包んだ。 「ごめんな……天王寺……ごめんな……!」 男の涙は、悔しさだ。 丹羽雄二は、己の無力さに――ただ、涙した。 時系列順で読む Back:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 Next:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 投下順で読む Back:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 Next:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 加藤清正 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 璃神妹花 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 須藤凛 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 銀丘白影 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 丹羽雄二 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 天王寺深雪 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 狭山雪子 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 被検体01号 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 稲垣葉月 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 被検体00号 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 佐原裕二 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 神谷茜 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』 076:パラべラム・アライヴ『Down to Zero we go』 阿見音弘之 076:パラべラム・アライヴ『仇返しシンドローム』
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親様ゲーム 親様ゲームとは・・・ 過去日本で大ブームとなった王様ゲームと良くにてる。 違う点は王様ゲームで言う王はここでは親となり、麻雀で言う親番に相当する。 親の指令は絶対従わなければならない。 1打目に親がリーチ不可と言えば親以外の人は全員リーチをしてはいけない。 まぁこんなのは生易しいほうで、 親がリーチ後に対面が⑥を捨てると言った場合親の対面(西家)は六筒を持ってる 場合必ず切らなければならない。 また、麻雀に限らず指令を出すことは可能である。 例えばシリトリをしながら打てだとか、好きな人の名前を言えだとか 対面と恋人同士のように会話しながら打てだとか・・・ 麻雀的にはチートイツ縛りとか結構厳しいお題が出されることが多い。
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【作品名】王様ゲーム 【ジャンル】実写映画 【共通設定】本作の王様ゲームはそれ自体が呪いのとされている。 王様ゲームとは出された命令の内容を必ず実行しなければならず、命令に従わなければ文字通り存在が抹消される。 その者自身が消え、その者が所持していた物品やその者の経緯や他人との繋がりまでなくなるし、 王様ゲームの参加者以外は誰もその者のことを覚えていない。 その存在が示すもの(写真などもその者だけが消えている)も残らない。 (存在が抹消された者の親に問い合わせてみるとその者は最初からいないことになっていたり学校側からしてもそんな生徒はいなかったことになってたり、 ついさっきまで倒れこんだのを見て気にかけてた通行人がその者の存在を消されるとまるで何事もなかったかのように平然とまた歩いてその場を去った) ゲームの進行の妨害を図る可能性がある者も存在が抹消される。 王様ゲームは伝達された内容を見て行動する自由がきく五体満足の普通の人間でなければできない内容の命令もあるので 殺害するのは勿論、睡眠させたり氷漬けで凍結させたり精神的に発狂させるなどの 王様ゲームの参加者が部外者に干渉されて行動不可にされるようなことがあればゲーム進行の妨げになると思われる。 【戦法】エントリーキャラにゲーム進行の妨害を図ろうとする(王様ゲームの参加者であるエントリーキャラに危害を加えようとする)対戦相手の存在を抹消させる。 エントリーキャラは全員王様ゲームに参加中の状態で参戦。 【先鋒】岩村莉愛 【次鋒】野上陽介 【中堅】八尋翔太 【副将】金沢伸明 【大将】本多智恵美 【名前】岩村莉愛 【属性】 「玉岡学園高校」2年B組(出席番号7番) 【大きさ】女子高校生並み 【攻撃力】携帯所持 【防御力】年齢相応の女子並み 【素早さ】年齢相応の女子並み 【特殊能力】【共通設定】参照 【長所】いいキャラしてる 【短所】王様ゲームを妨害してると判断されて抹消された 【戦法】【共通設定】参照 【名前】野上陽介 【属性】 「玉岡学園高校」2年B組(出席番号は不明) 【大きさ】男子高校生並み 【攻撃力】角材所持 【防御力】年齢相応の男子並み 【素早さ】年齢相応の男子並み 【特殊能力】【共通設定】参照 【長所】頭いい 【短所】頭いいらしいけどやってることがアホに見える 【戦法】【共通設定】参照 【名前】八尋翔太 【属性】 「玉岡学園高校」2年B組(出席番号30番) 【大きさ】男子高校生並み 【攻撃力】年齢相応の男子並み 【防御力】年齢相応の男子並み 【素早さ】年齢相応の男子並み 【特殊能力】命令の内容が「彼を王様として、彼の命令に従うこと」だった為、彼には王様と同じ権利があり、 どんな命令でも任意でできるし、相手はどんな命令でも従わなければならない。 劇中では彼がとある人物に「たった今すぐ死ねっ!!」と命令するとその者は死亡し、存在ごと抹消された。 なお、これをしなければ命令の内容を服従していないとみなされて八尋翔太本人の存在が消されてしまうが 半日以内にそれを実行したら服従確認。されたので少なくとも半日以内に命令を実行すれば大丈夫と思われる。 あとは【共通設定】参照 【長所】王様と同等のことが可能 【短所】後先考えずにそれをして怯えてる 【備考】王様からの命令を受けた状態で参戦。 【戦法】死ねと命令。あとは【共通設定】参照。 【名前】金沢伸明 【属性】 「玉岡学園高校」2年B組(出席番号11番) 本多智恵美の幼なじみ(偽) 【大きさ】男子高校生並み 【攻撃力】10cmくらいのハサミ所持 【防御力】角材で頭殴られても大して傷を負ってない(気を失ったけど) 【素早さ】年齢相応の男子並み 【特殊能力】【共通設定】参照 実は相手の携帯のメールに「死ね」と送ればその者は死ぬという王様からの命令を受けているが、対戦相手のメアドなんて知ってるわけがないので考慮外とする。 命令は達成した後でかつ、まだ王様ゲームに参加中の状態で参戦。 【長所】本多智恵美のことが好きだった 【短所】それすらも作られた記憶だったっぽい 【戦法】【共通設定】参照 【名前】本多智恵美 【属性】 「玉岡学園高校」2年B組(出席番号24番) 王様ゲームを最後まで生き残った者 【大きさ】女子高校生並み 【攻撃力】携帯電話所持。加えて10cmくらいのハサミ所持、男子高校生を殺害した 。 【防御力】年齢相応の女子並み 【素早さ】男子高校生との取っ組み合いでハサミで刺せるほど 【特殊能力】本多智恵美にはさらに呪いがかけられており永遠に年をとらない。本多智恵美はただ王様ゲームに巻き込まれるだけの人生。 本多智恵美が行く学校のクラスの先には王様ゲームが必ず起こり、その度にゲーム参加者のクラス全員が消滅し、また別の学校のクラスへ・・・を繰り返す。 ちなみに本人には自覚がなく(最終的には気付いたが)、ゲームが起こる度に記憶も一新される。 本多智恵美が死んでもゲームは続行し、生き返る。(自殺したのに半年後には別の学校の生徒として復活している) ちなみに状況に応じて王様ゲームの参加に全く関係ない周りの人間の記憶も改竄されている (全くの赤の他人の筈なのに家族としての偽の記憶が植え付けられて一緒に暮らしてたりとか)。 あとは【共通設定】参照 【長所】皮肉だが本人を苦しませる為の呪いやゲームによって相手の攻撃を利用して倒せる 【短所】矛盾点が目立ち、ツッコミ入れたくなる場面が多い 【戦法】【共通設定】参照 参戦 vol.109 415-416 修正 vol.109 431 vol.109 426 :格無しさん:2012/09/07(金) 23 46 37.21 ID 2SaydkA7 415 主人公スレの本多智恵美のページ見た感じ、世界観相応の相手の妨害依存の人間限定消滅攻撃ってことでいいのかなこれは。 しかし人間かどうかで勝敗が決定するからどの辺から始めればいいかわからん… 機動兵器の壁で超連敗するかと思ったが、ガンダム系って人乗ってるからそうでもないっけ?(逆にカモ?) 比較的人間が多い惑星サイズの壁周辺から上がっていっていいのだろうか? 427 :格無しさん:2012/09/08(土) 00 01 10.63 ID 54z6kyZ0 426 人類以外にも効くかもしれないっていう主人公スレのこれは参考にならんの? 334 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2012/08/27(月) 01 51 34.14 ID 0epwCRfF 326 参考になるかはわからんが過去の王様ゲームを調べようとしたら 妨害と見なされて何故か過去の王様ゲームにまつわる文献や資料まで消えてた(なら調べる前にさっさと消しと けよって話だけど)ことがあったから たぶん生物とか関係なく存在が消える 428 :格無しさん:2012/09/08(土) 10 18 36.07 ID s39ed7cJ テンプレにそいつが持ってる所有物も消えてるってあるから 人間限定で無機物、人外、非生物などは消えないって考えるほうがナンセンスだと思う 429 :格無しさん:2012/09/08(土) 10 28 38.38 ID xV695YpZ 427 428 最初に人間にしか効かないんじゃないかって見解出したの自分だけど それは「妨害する・妨害になる意思」によってしか発動しないんじゃないかって感じたから でも 427とか読むと意思じゃなくて「妨害する・妨害になる存在」みたいだから とりあえず現実相応のものなら消えるかもしれない 主人公スレでは 427はテンプレ本体に入ってないので再考察はされてないけど 430 :格無しさん:2012/09/08(土) 10 40 07.94 ID s39ed7cJ まあ考慮できるのなら考慮してもいいじゃないの?先にこのスレだけでも
https://w.atwiki.jp/houseofhero/pages/903.html
王様ゲーム くじを作って複数の人数で遊ぶゲーム。 ランダムで決まった王様(命令者)が、これまた ランダムに決まった参加者に命令(罰ゲーム)を 言い渡す事でゲームが成立するという ギャンブル性の高いレクリエーション。 『約束の邂逅』体験版におまけゲームとして収録され、 時間軸は三軍邂逅戦線直後となっている。 通常の王様ゲームとは若干意味合いが違ってくるが、 ローカルルールという事でごまかされており、 かなり無茶な指示も飛んでいた。