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真逆 世の中には人間の様々の感情を含んだ風景があります。 もし、そんな人間同士の風景でお互いの会話だけが真逆に入れ代わってしまったら、どんな風になるでしょう… 2000.11.13 「レストラン」 スマーズ店員(慎吾)/客(剛) 2000.11.27 「崖」 落す人(慎吾)/落される人(剛) 2001.4.30 「美容室」 美容師(剛)/客(慎吾)「レンタルビデオ」 店員(慎吾)/客(剛) 2001.11.19 「家庭教師」 生徒(剛)/家庭教師(慎吾) 2002.5.27 「借金取り」 男(剛)/借金取り(慎吾) 2002.11.25 「柔道」 師範(慎吾)/弟子(剛)
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真逆 ◆CMd1jz6iP2 直枝理樹は、森に潜んでいた。 転送された先は、不運にもMAP中央の湖の「中」。幸い浅い部分であった。 身を隠せる場所に座り込み、ずぶ濡れのまま支給品と名簿を確認。 自分以外に、仲間が五人も巻き込まれていたことにショックを受けていたのだが―― 今、その彼の全身が震えている。湖に落ちて濡れたから、というわけではない。 目の前で繰り広げられる、ありえない戦いに。 戦う二人から発せられる、始めて感じた殺気に怯えているのだ。 「詰まらん、詰まらんぞ! 魔術師の類だと期待してみれば、姑息な暗殺者に過ぎんとはな!」 侍そのものという容姿の男が、投擲される何かを薙ぎ払い、避けながら相手を追い詰める。 「ギッ――」 相手は、異常な相貌をしていた。 黒いローブを纏う、骸骨のような仮面の男。 「――詰まらん。失望させてくれた報いを受けるがいい」 侍が持っているのは、刀でも剣でもない鈍器が一つ。 その頼りない武器を、繰り出される斬撃が、移動する速度が補っていた。 月明かりの下、二つの影は留まることを知らない。 速い、なんて次元ではなかった。理樹が知る限り最速の、来ヶ谷さんや鈴の速さでも及ばない。 目で追うのが精一杯……たぶん、銃を持っていても正面からでは相手にならない。 そして――異形の骸骨面の男は、それ以上に速かった。 だというのに、押しているのは侍。戦いは速さだけでは決まらず、技量、力は侍の方が上なのだろう。 骸骨面の男は、侍の攻撃をなんとか避けながら木片らしきものを投げ続ける。 それを難なく切り払われ、骸骨面の男は、湖に逃げた。 「逃がすか!」 そこに、侍は足を踏み入れ追う。 ――そして、理樹は骸骨が笑ったのを確かに見た。 侍も、もちろん気づいただろう。 しかし、そこに骸骨の投擲が迫る。 その数は、四。木片とはいえ、当たり所次第では死ぬのでは、という速さのそれを無視はできない。 そして、侍の足場は、水の中であるが故に回避は不可能。 だが、侍には全てを薙ぎ払うだけの技量があり、当然のようにこなす。 それが、骸骨の狙いだった。 骸骨面は、木片を投げた瞬間には行動に出ていた。 ローブから、掲げた右腕が覗く。 腕が、馬鹿みたいに長い。僕の身長以上ありそうな腕だった。 なぜだか黒布に覆われた右腕が、解かれる。 (あ、え……えええ!?) 布の中から出てきたものは、折りたたまれた腕だった。 右腕だけが、さらに異常に長かった。左腕の倍はあろう魔腕が姿を現す。 「――――妄想心音(ザバーニーヤ)」 初めて、言葉らしい言葉を骸骨が発した。 魔腕が、侍に伸びる。 二人の距離は、約5メートル。 それでも、その異常に長い腕は確実に届く。 侍は避けることはできず、攻撃を防いだその動きは、一瞬の隙を生んだ。 絶対に回避不能。素人の理樹すらも、それを確信していた。 「なぁっ―――!?」 悲鳴に近い声は、骸骨面の男があげることになった。 伸びた腕は、戻ることは無かった。 なにせ、根元から切り落とされていたのだ。 侍――ティトゥスの隠された三本目の腕に持つ、異様な形状の刀によって。 「人体を変異させているのが、自分だけとでも思ったか?」 徒手空拳だった、通常の左腕に刀を持ち替え、骸骨面に迫る。 勝敗は決したも同然だった。 理樹は、離れるべきだと感じた。 あの骸骨面の男が殺され、次に狙われるのは自分かもしれない。 深く息を吸って、頭に血を巡らす。 そして、考えた結果。 理樹は、その相手に向かって行っていた。 侍は、顔すら向けなかった。 ほんの一瞬、視線が向いたかどうか。 「何……!?」 何が意外だったのか、侍は驚いている。 理樹の手にあるのは、支給品の一つ、バルザイの偃月刀。 このまま斬りかかる? 絶対に殺される。 だから、説明書に書いてあった通りに、振りかぶって投げた。 侍は単調すぎる軌跡をかわす。 説明書には「魔導具、バルザイの偃月刀。魔力を通せば灼熱の刃となり、展開すれば投擲武器になる。魔術使用時の効果を上げる触媒ともなる」とあった。 魔力なんてあるはずもなく、戻ってくる前に、侍に切られるのは確実。どうにもなりはしなかった。 ――投げたそれを、骸骨の男が受け止め、投げ返さなければ 「シッ!」 投げた偃月刀は、僕が投げたときとは勢いからして違う。 「ぐぅッ!」 避けきれず肩を切り裂かれた衝撃で、侍の左手から得物が弾け飛ぶ。 それを、理樹が受け止めたのと同時に、体が浮かぶ感覚に襲われた。 「えっ? わ、わぁぁ!?」 理樹が骸骨面に掴まれていると気づいたときには、侍の姿が小さくしか見えない距離まで離れていた それに、追いつこうと走る侍だったが――撤退する骸骨の速さは、理樹を抱えてなお、それ以上に速かった。 追いつけぬとわかった時点で、ティトゥスは追跡を断念した。 「逃げられたか……」 しかも、獲物まで奪われた。 バルザイの偃月刀。あれを投げてきた男を、大十字九郎――マスターオブ・ネクロノミコンと見間違えた。 一瞬、隙を生んでしまいこの様。よく見れば、似ても似つかぬ羽虫だったというのに。 傷は深くはない。血は出ていない……傷口が偃月刀の熱で焼けているために。 「とはいえ、あの程度の得物は替えが効く。このような業物でもなければな」 双身螺旋刀というらしい刀を振る。 刀というには禍々しい、四本の刀を捻じり融合した魔刃であった。 「得物など使い捨てるのが当然と思っていたが。なるほど、これほどならば頷ける」 湖に浮かぶ、切り落とした腕を拾う。 「悪神の腕といったところか。どういう技かは知らぬが、喰らえば魂を奪う外法には違いあるまい」 その腕を、何を思ったかディパックにしまうティトゥス。 「取り返しに来るなら、それも一興。とはいえ、切り札の無い骸骨如きに、その度量はないか」 今の一戦で、自身の体の変化は把握できていた。 身体能力の低下は激しく、そればかりか。 「刀を召喚できない、か」 封印されたわけではなかった。しかし、ティトゥスの魔力総量を以ってしても、呼ぶことが出来ない。 「『屍食教典儀』がなければ無理ということか。力を求めたが故に力を抑制されるとは、笑えぬ話だ」 宿敵たるウィンフィールドも、マスターオブ・ネクロノミコンとそのマスターも制限化にあることは容易に想像できた。 「覇道邸の警備をしていた雑魚程度でも、束になれば今の俺では万が一はある。 ドクター・ウェスト……それ以下の雑魚にも勝利の可能性をもたらす為のものだとすれば」 ティトゥスの顔に自然と笑みが浮かぶ。 「すなわち、制限が必要な強者が、宿敵以外にもいるということ。 支給品次第では、弱者とも死合いを望める、か。それまでに獲物を四本集めたいところだな」 あの神父と小僧の言いなりというのも気に入らないが、せっかくの戦場を無駄にはしない。 ブラックロッジが大幹部、アンチクロスのティトゥスにとって、強者と戦うことこそ喜び。 もし、最後に生きているのは自分ならば、あの二人を斬る機会もあるだろう。 地図を開き、刀剣がありうる美術館に向かうことを決めた。 そうして、ティトゥスは骸骨の男が消えた方角とは逆に歩き出す。 「だが、宿敵よ。願わくば生き残れ。この俺に、斬られるまでな」 呪いのような願いを呟いて、深い森へと進んでいった。 【D-4北部 深い森の中 深夜】 【ティトゥス@機神咆哮デモンベイン】 【装備:双身螺旋刀@あやかしびと -幻妖異聞録-】 【所持品:支給品一式、不明支給品0~1(刀剣類ではない)アサシンの腕】 【状態:右肩に軽い斬り傷と火傷】 【思考・行動】 基本行動方針:死合う 1:美術館に向かう。見つけた参加者とは死合う。 2:刀剣類と『屍食教典儀』(もしくは類するもの)を探す。 3:ウィンフィールドと死合いたい。 4:骸骨の男が追ってくるならば、再び死合う。 【備考】 ※参戦時期は、ウィンフィールドと二度目の戦いを終えた後です。 ※身体能力の制限に気づきました。 ※刀の召喚は、魔導書などによるサポートが無ければ使用不可能です。 【双身螺旋刀の説明】 鍛えられて百年以上の妖刀霊刀四本を融合させた螺旋状の刀。本来の持ち主は、名もなき妖。 その強度、切れ味は凄まじいが、その形状のためドリルのように相手を抉る方が適している。 持つところ以外、柄の部分さえも螺旋状の刃なので扱い難い危険な代物。 完全に追跡を振り切ったのか、落とすように離された。 骸骨面の男の腕は、既に血が止まっていたが、痛々しい切り口はそのままだった。 「あ、あの、大丈夫で――」 「どういうつもりだ、小僧。素人でもわかる死地に、何を考え踏み込んだ」 骸骨面が理樹を睨みつける。 震えはしなかった。慣れてしまったわけではなく、恐怖心がマヒしているだけだろう。 「まさか、私を助けようなどと」 「ごめんなさい、それはないです」 怪しい仮面の男に免疫があるとはいえ、それを助けようと思うほど理樹は聖人のような心は持っていない。 「いや、むしろ安心したが……だが、ならばなぜだ?」 「これを……取り返したかったんだ」 今、手に握られているもの。それは、野球のバットだった。 「それは、小僧の物なのか?」 「いや、友達のバットだけど。これを、どうしても取り返したかったんだ」 「その程度で命を張ってどうする」 こんな物を取り戻すために、命を危険に晒したなんて。鈴でなくとも「馬鹿だろお前」と言われて当然だ。 それでも、仲間と散り散りになった今。日常にあったモノを、手に入れたかったのだ。 「武器への愛着ならわかるが……小僧、他に短剣の類は持っていないか?」 「無いけど」 やたら残念そうな骸骨面。そんなに大事なものなのだろうか。 「だが、結果的には助けられた。礼を言わねばなるまい」 「あっ、いえ。えーと、僕、直枝理樹って言います。あな、あなたは……?」 「アサシンだ。名簿上では何故か真となっているが……まぁ、理由は薄々わかっているのだが」 アサシン。英語でAssassin。日本語で…… 「アサシンさんですか。って、えっと……これ、もしかして、名前じゃなくて」 「真名は別にある。これは私のクラス…判りやすくいえば、職業だ」 暗殺者。見た目どおり、この人は本当の殺人者だった。 「小僧、聞いていなかったが……この殺し合い、お前はどう動く?」 「それは……」 自分の命は、目の前の男――アサシンに握られている。 ここは、どう答えればいいか。どうすれば、死なずに済むか。 「こんな殺し合いに乗ったりなんかしない。この首輪を外して、仲間と帰るんだ」 そんなことはわからなかったから、本心を口にした。 「人を傷つけたくはない。出来ることなら、誰とも争いたくない。でも、仲間を守るためなら僕は戦う。 鈴と、恭介と、リトルバスターズのみんなと。出来る限りの人たちと、ここから脱出するんだ」 「理想だな。お前の仲間は、あの侍のような奴と戦って生き延びられるのか?」 恭介ならば、真人たちならば、なんとかなるのではと淡い希望を持つ。 だが、鈴は。恭介にすら淡い希望しか持てないのに、鈴があんなのと出会えば結果は目に見えている。 「……僕は、ナルコレプシーっていう病気を抱えていた。それを、仲間を救うために治したんだ」 恭介……リトルバスターズの仲間が作ってくれた『世界』で理樹と鈴は強くなった。 バスが崖から転落した際、唯一無傷だった理樹と鈴を強くするために作られた世界で。 その惨劇は、防げない。それでも、まだみんなを救えると信じて病気を克服して元の世界に、 戻ることを、何かに阻まれた。 そして、気づいたらあの場所に集められていて…… 人がたくさんいた。人が、死んだ。バケモノがいた。バケモノも死んだ。また人が、死んだ。 孝明と呼ばれていた人の死体にすがり泣いていた、このみと言う女性。 その人の死を、命と引き換えに救った向坂環、という人。 あの神父は言った。「二人の幼馴染を失った彼女が」と。 幼馴染が、理不尽に命を奪われ、そして命を救うために死んでいった気持ちは、どれほどのものだろう。 自分にとって、鈴を、恭介を、真人たちを失うのと変わらないのなら、それは絶望でしかない。 それでも、彼女の善意を無駄にしちゃいけない。 顔すら正確に思い出すこともままならない、彼女。 この殺し合いを仕組んだ人たちの悪意に押しつぶされそうな中、世界には善意があることを、思い出させてくれた。 恭介たちが、そうであったように。 「……僕は、今まで善意に包まれて守られてきた。その善意に報いるためにも、悪意に負けるわけにはいかない。 だから、僕は行かなきゃ。難しいからって、始めから諦めたら何も手に入らない」 足踏みしている間に、何もかも失ってしまうくらいなら、足掻いてみせる。 「ほう」 「だから、あなたの力が必要なんだ」 「む……待て、なんだそれは?」 無茶苦茶な振りだとは僕も思った。 「僕はここから脱出する。でも、僕は弱い。だから、あなたの力が必要なんだ。……意外と普通かな?」 「いいや、普通ではない。色々な工程が抜けている以前に、私を誘うのは狂気の沙汰だ」 「あの侍と戦っていたのは……殺し合いに乗ったから? それとも……」 アサシンは、一瞬返答に困ったような素振りを見せた。 「……私が戦っていたのは、発見されて逃げ切れなかったからに過ぎない」 「発見されたって……アサシンなのに?」 「それを言うな。小僧のような一般人でも勝ち目があるよう、制限がかけられているようだ。 身体能力のみだと踏んでいたのだが……気配遮断を含む技能まで、ランクが落ちていたのを見抜けなんだ、私の落ち度だ」 「せ、制限って……それであの動きなの!?」 それなら、あの侍も同じで……本調子なら残像すら見えないということだ。 「始めに殺された双子がいただろう。アレとは違うが、私も人間ではない。 本来、物理的な方法では傷一つ付かないが、今は銃やナイフでも死ぬ受肉した体だ。 小僧のような一般人も対抗できるよう、身体能力はもちろん、特殊能力にまで制限がある」 無くなった腕を、忌々しげに見つめるアサシン。 「でも、あの侍の足を止めるために水の中に誘い込んだんだよね?」 「気づいたか。だが、あの場は足止めして撤退すべきだった。急いた代償に、切り札を失ったのは大きすぎる」 「……アサシンさん。その怪我があるし、本調子でもないし……やっぱり、僕と組まない?」 ここまで相手に魅力の無い提案も珍しい。何せ弱者が強者に手を組もうと誘っているのだ。 だが。 「……いいだろう。命の恩人に恩義を返すのは、当然のことではある」 「ほ、本当に?」 ぱあっと、明るく顔を輝かせる。 「行動理念は好みではないが、ただの馬鹿でもないようだからな。 ――だが、いつまで手を組むかは……小僧次第だ」 「……それ、どういうこと?」 「小僧、お前は言ったな。この殺し合いに乗らず、ここから脱出してみせると。 私の本来の主である魔術師殿は、お前とは真逆を往く者だった。別に小僧の方針を批難するわけではない。 魔術師殿は悪逆を、暗躍をし続けた。魂までもが腐りきろうと、願いのために進み続けたのだ。 ――小僧、お前の志は、そのリトルバスターズの誰かを失っても……変わらぬものなのか?」 返答どころか、呼吸すら満足に出来なかった。 本当なら、僕と鈴しか残らない世界だった。それを鈴すらも失ったら。 最後まで、人の善意を信じられるのか。 「まさか、仲間だけは死なないなどと、思っているのか?」 「それはない。終わりは……別れは来る。それは、受け入れないといけない事実だ。 だけど……わかっていても、わからない。僕は一度……失う過酷さから、逃げた人間だから」 その答えに、どういう感情を持ったのか、仮面からは何も感じ取れなかった。 「……ならば、小僧の志が折れるまでは付き従ってやろう。小僧の志が折れたとき、この契約は終わりだ」 「……僕の心は、変わらないよ」 弱まった決意を、奮い立たせる。 アサシンや、あの侍を例外としても、僕の実力は下から数えたほうが早いに決まっている。 なら、せめて気持ちで勝たないと、生き残る事だってままならない。 「……それで、小僧殿。これからどう動く?」 なんか、殿が付いた。小僧殿って、馬鹿にされているのか違うのか、良くわからない。 「とにかく、リトルバスターズのみんなを探して合流する。他の参加者とも、危険だけど接触したい。 あの侍が危険な奴だって知らせな……ああぁ~~~」 「どうした、小僧殿?」 「謙吾も見た目侍だよ……」 確実に、いつもの剣道着姿だろう謙吾。 あの侍に同様に襲われた人が「侍姿の男に気をつけろ」と言い回ったなら…… 「しかも、どっちも髪が尖ってるし……最悪だよ、ロマンティック大統領……」 「……よく考えよ、小僧殿。その仲間とやらは、腕が四本あるわけでもあるまい」 「そうか、その辺りを伝えればいいんだ」 つまりは、それを伝えられない限り勘違いされるかもしれないということだ。 「よし、それじゃあ……へっくしゅ!」 夜風が寒い。濡れた服を着ていたのが不味かったのか、体が冷え切っていた。 「たしか、支給品に服があったな。私は周囲の偵察をしてくる。その間に着替えておくといい」 アサシンは、ディパックから服を投げ渡すと跳躍し、木々に消えていった。 そうして、アサシン――ハサン・サッバーハは湖まで舞い戻った。 「無い、か。当然だな」 シャイターンの腕。あの男が魔術に通じている以上、あの腕を放置はすまい。 現状、あの侍に勝つ術はない以上、諦める他にはない。 「そうすると、やはりあの小僧と手を組むしかないか」 元々、ハサンは殺し合いに乗り気ではなかった。 間桐桜に殺されたはずの代行者が五体満足で生きている矛盾。 同じく間桐桜に殺された自分が、その記憶を保ちながら現界している矛盾。 さらに、聖杯ですら不可能だろう奇跡を用いておいて、可能であろう望みを叶えるといった褒賞を用意していないこと。 すなわち、純粋な殺し合いを望んでいるのだ。 願いを叶えるために呼び出されるサーヴァントに、それを要求しても応える者は多くはない。 それでも、オマエならば殺すだろうと呼ばれたのがアサシンである自分なのだろう。 たしかに、いつものように気配を消しながら、障害となりそうな相手を消せる機を待つつもりだった。 しかし、能力の制限によって、それは満足に出来ない。 アサシンも、超人というカテゴリーではけして上位の実力者とはいえない。 身を守るため、徒党を組むという手段を取るのも有効だろう。 こんな外見の自分に、向こうから持ちかけてきたのは実際のところ幸運だった。 だが、彼は魔術師でも、特殊な能力があるわけでもない平凡な人間。 この怪異に巻き込まれて信念を曲げない志だけは評価に値するが、それもいつまでも持つまい。 なにせ、直枝理樹という人間を支えているのは仲間。それも怪異に巻き込まれている。 間違いなく死ぬ。誰も失わないどころか、直枝理樹本人が最後まで生き残る可能性すら極小だ。 すぐに考えは変わる。放送が始まるまでの約5時間が、彼の最長生存時間となろう。 (――あっさりと折れる信念しか持たぬなら、生かす価値もない。志が折れたとき、その心臓を貰い受ける。 小僧の仲間が残っていたなら、すぐに送り届けてやろう) その間に強者が減れば、御の字といったところか。 (……少しばかり、興味はあるのだがな) あの少年は、真逆だ。 人として扱われず、人々の悪意を受けて生きていたが故に永遠を求めた自分。 誰からも大切にされ、人々の善意を受けて生きてきたが故に終わりを受け入れる少年。 これほどの真逆もない。完全に交わることがないだろう存在だ。 だが、それゆえに自分の協力を求めたのではと、ハサンは考えた。 真逆であるが故、彼の持つモノを自分は持たず、自分が持つモノを彼は持たない。 足りないところを補う。既に切り札を失ったハサンにとっては生き残る術となるかもしれない。 「あの小僧に、私を補えるモノなどあるとは思えないが」 そう長い付き合いにもならない以上、深く考えても無駄だと思考を止めた。 「さて、これで全てか」 ハサンの手には、木で掘られた星があった。 ティトゥスに向かって投げていた中で、外れたりして比較的無事だった物だ。 その数、実に六十四。今はちょうど五十しかない。 「ダークが無い以上、出来る限り回収しようとは思ったが……」 気配遮断がランク落ちしている以上、安全には拾えない。次からは拾うのを諦めることにする。 ――ちなみに、これが星ではなくヒトデだと書かれた説明書を、ハサンは見ていない。 跳躍し、元の場所に戻る。 この僅かな時間に殺されているのでは、とも思ったが、そこには変わらず――― 否、変わり果てた直枝理樹がそこにいた。 「黙んないでよっ! これ渡したのアサシンさんじゃない!」 「女物だと気づかず渡したのは、これもまた私の落ち度だが……」 アサシンが渡した服は、聖ミアトル『女』学院の制服だった。 黒を基調としたお嬢様全開の服装を、何の違和感無く着こなしている理樹。 「それを着て、あまつさえ長い靴下まで穿いているのは、リキ殿だろう」 「いや、それはそうだけど……って、なんで急に名前なのっ!?」 「その外見で小僧殿と呼ぶのは……小娘殿と呼ぶにも、性別を知っているのでな」 他の服もないため、仕方なく色々と理樹は諦めた。 「まず、これからの行動に関して……あらかじめ言っておくことがある」 真剣な内容であると察して、理樹も服装のことを忘れて聞く。 「リキ殿に協力はしよう。が、あくまで私は暗殺者であることを忘れてもらっては困る。 襲ってくる敵は、始末する。それが女子供であれ、ナイフ一つあれば人など殺せる。 襲ってくる理由は関係ない。躊躇して死んでしまえば、何も成せないことは理解しているだろう?」 「……説得する時間を、くれない?」 「……二つ、納得してもらう。一つ。説得が失敗すれば、リキ殿を助けられる保証はない。二つ。私の命も危険な状況ならば、躊躇無く殺す」 おそらく、最大限の譲歩だろう。理樹はゆっくりと頷く。 「では、これを渡しておこう」 手渡されたのは、トランシーバーだった。アサシンの手にも、同じものがある。 「私は気配を隠し、無線の範囲内を監視しておく。何か発見したらリキ殿に伝えよう」 離れる前に、お互いの支給品や知り合いについて情報交換をする。 「バルザイの偃月刀は、そのまま使っていてよ。僕じゃ扱えないみたいだし」 「そちらの武器は?」 「……バットと、傘かな?」 謙吾のバットの他に、武器になりそうな物は、やたら丈夫そうな傘だけだった。 説明書によれば、名前はカンフュール。一角獣の名は、けしてハッタリではない。 防弾、防刃、耐炎製の布地と、超硬チタンの先端。とても見えないが、立派な武器だった。 バットをしまい、こちらを使うことにする。 「一見、武器とは思われないだろう。こちらが間に合わない場合は、それで身を守るといい」 そして、お互いの知り合いについて話した。 「リキ殿の知り合いは、その五名……心得た、似た容姿の人物は、命を奪うことはなるべく避けよう」 「ものすごく不安なんだけど……それで、アサシンさんの知り合いは?」 「基本的に全員敵だ」 「えー」 やっぱり手を組む相手を間違えたかもしれない。 「まず、エミヤシロウ。彼は一言で正義の味方……この殺し合いにも批判的なはずだが、私とは敵対関係だ。 次に、クズキソウイチロウ。殺し合いに乗っているかは不明だが、私とは敵対関係だ。 ……そして、マトウサクラ。最悪の小娘だ。殺し合いに乗っている可能性は大。……お互い殺したいほどに敵対関係だ」 「うわあ、最悪じゃんっ!」 「そして、マトウサクラとエミヤシロウは恋人関係。どちらかを敵に回せば、どちらも敵となる」 正直、アサシンの見た目だけで判断できた交友関係だった。 「不必要な敵対は避けるが……マトウサクラには気をつけろ。文字通り、食われるぞ」 衛宮士郎、葛木宗一郎の二人も一般人よりも強いが、間桐桜は段違いだそうだ。 制限がなければ、参加者全員あの場で「食べて」しまえるそうだ……これは説得できないかも。 それぞれの外見的特徴も聞いておく。会っても、アサシンのことは話さないほうが良いかもしれない。 アサシンが、夜の森に溶け込む。 トランシーバーの範囲は半径2kmらしい。通じるか確かめる。 『リキ殿、聞こえるか?』 「聞こえるよ」 感度も悪くないようだ。 どこにいるのかもわからないけど、どこかでアサシンは監視してくれている。 それでも、頼りきるわけにはいかない。自分に出来ることは、自力でやり遂げないといけない。 だから、その決意を込めて、あの言葉を口にした。 「ミッション、スタートだ」 【C-4 採石場近くの深い森の中 深夜】 【直枝理樹@リトルバスターズ!】 【装備:カンフュール@あやかしびと -幻妖異聞録-、聖ミアトル女学院制服@Strawberry Panic!、トランシーバー】 【所持品:支給品一式、不明支給品0~1(武器ではない)、謙吾のバット@リトルバスターズ!、濡れた理樹の制服】 【状態:健康、服装により精神的苦痛】 【思考・行動】 基本:仲間と脱出する。殺し合いはしない。 1:真アサシンと協力する。 2:リトルバスターズの仲間を探す。 3:誰かと会ったら侍(名前は知らない)について注意と、謙吾との違いを説明する。 4:真アサシンと敵対関係にある人(特に間桐桜)には特に注意して接する。 5:このままじゃド変態だよ…… ※参戦時期は、現実世界帰還直前です。 ※アサシンの真名は知りません。 【カンフュールの説明】 一角獣の名を持つ傘。本来の所有者は九鬼耀鋼。先端が超硬チタン製の、鋼鉄をも貫く貫剣傘。 布部分は、防弾防刃特殊パラ系アラミド繊維に千度の炎に耐えうる耐炎繊維を寄りあわせコーティングしたもの。 【真アサシン(ハサン・サッバーハ@Fate/stay night[Realta Nua]】 【装備:バルザイの偃月刀@機神咆哮デモンベイン、木彫りのヒトデ50/64@CLANNAD、トランシーバー】 【所持品:支給品一式】 【状態:右腕(宝具)切断】 【思考・行動】 基本:無理せず自己防衛。生存のために協力。 1:理樹と協力する。 2:理樹の信念が折れた(優勝を目指す)なら殺害。それまでは忠義を尽くす。 3:気配を隠しながら周囲を監視する。 ※参戦時期は、桜ルート本編死亡後です。 ※右腕の喪失により、妄想心音が使用不可能です。 ※身体能力、気配遮断などのランクが落ちていることに気がつきました。 ※木彫りのヒトデを星だと思っています。説明書には「木彫りのヒトデ。参加者贈呈用」と書かれています。 【バルザイの偃月刀の説明】 アルの破片でもある魔導具。魔力を通せば灼熱の刃となり、展開すれば投擲武器になり、手元に戻ってくる。 魔術使用時の効果を上げる触媒ともなる ※真アサシンと理樹は、お互いの知り合いについて情報を交換しました。 ※トランシーバーは半径2キロ以内であれば相互間で無線通信が出来ます。 011 固有の私でいるために 投下順 013 I am bone of my sword 時系列順 直枝理樹 048 クモノイト 真アサシン ティトゥス 049 胸には強さを、気高き強さを、頬には涙を、一滴の涙を。
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「真逆門番」 担当GM:T.K 開催日時:10月26日(土) あらすじ 貴方が迷い込んだ世界、 それは、通常のものと真逆なものが混在している不思議な世界。 貴方が困惑している中、突然男が現れる。 そしてこう言う やぁやぁ、迷い込んでしまったんだね、この世界に・・・ 普通なら、真逆のものになんて出会えない、認知もできない。 だけどこの世界は出会ってしまう・・・ それは火を水に入れるみたいに水を火に入れるみたいに 会ってしまったらどちらか弱い存在が消えてしまう だからいいかい? 相手が強いうちは出会ってはいけないよ・・・ もし会ってしまったら?・・・それはあきらめるしかないね、 なに・・・この世界ではいくらでもやり直しが出来る この時計が一周するまでね・・・ その代わり一周してしまったら、もうおしまいだ 君たちも逆になっちゃうからね。気をつけるんだよ。 ああ、重要な事を忘れていたよ。 ここから出る方法それはね・・・ 真逆を消してしまえばいいんだ。 相手を弱くして消す、シンプルで簡単だろう? それじゃあ、いってらっしゃい。 取得経験点と報酬 鉤針・神楽MVP! 12P 七海・ハートバーニングMVP! 13P 犬神・烙連MVP! 13P 秋雨・登古夜 12P 成田・桜花 12P GMP 12P
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相克院 真逆 ■性別 女性 ■学年 2年生 ■所持武器 素手 ■ステータス 攻撃力:0/防御力:0/体力:17/精神力:3/FS(洞察力):5 特殊能力『フラジャイル』 <計算式> 効果:ダメージの半分を庇う 30 ※1 ※2 時間:一瞬 1 範囲+対象:隣接2マス味方一人 1.6 非消費制約:カウンター 【カウンター構成要素】 カウンター条件:味方が敵からの通常攻撃を受ける 0.8 カウンター対象:カウンター条件を満たした味方のみ 1.0 カウンター待受範囲:隣接2マス 1.0 ※3 カウンター待受時間:2ターン 1.0 カウンター待受回数:2回 1.4 カウンタータイミング:同時 1.0 FS:5 1.5 魔人陣営ボーナス 20 ※1隣接2マス以内の敵が味方へ通常攻撃を行った時に効果発揮。ダメージの算出には、ダメージを受けた味方の防御力を参照する ※2端数切り上げ分は相克院が受ける ※3二倍かけになるため調整として1倍で計算 発動率:89% 成功率:100% 能力原理 視覚で認識した敵から味方への攻撃に対し、痛覚の一部を奪取することにより被害を半減させる。 能力原理の複雑な魔人能力については効果が無い。 キャラクター説明 相克院 真逆(そうこくいん まさか) 表面上は、快活で明るい少女。頑強かつ豊満な体格を持つ。 かつて『転校生狩り』を生業とする戦闘集団に属していたが、とある理由により其処を離脱。その際、自身の持つ魔人能力の大部分を封じられている。
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【真逆の二人・1】 【真逆の二人・2】 【真逆の二人・3】
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「コナタのおかげで、バグガゾウのアリガタみがワカリマシタッ!」 放課後、かがみの用事が終わるのを待ってぶらぶらしていると、私を見つけたパティが駆け寄ってきた。 「ど、どったのパティ?」 なんか、みょーにいつも以上にニコニコしてるんですけど。 「Oh! ジツはきのう、アキバでそーゆーゲームをたくさんオトナ買いしてみたのデス! そしたらスゴイデスネ! モザイク、ミスト、ガラススティック! そんなバグの中でも、 ボディ・フリュイドはしっかり描きこむとは、プロフェッショナルのあかしデス!」 「ちょっ、パ、パティ、ここ学校、ここ学校」 ところどころ英語だからボカシたような感じだけど、お昼休みの廊下で大声で言うこと じゃないヨ、コレは。 ------------------- 真逆の世界へようこそ! ------------------- 「Sorry. デモ感心しまシタ。ニッポンのグラフィッカーはプロフェッショナルデス」 「まあ、確かに描き込みが細かいからね」 少し小声になったのを確認して、私たちは廊下の端に寄って話し出した。 「今はフルカラーだけど、一昔前なんかは4096色中の16色だけを使ってああいう画像を作ってたんだってさ」 「Really? そんなコトができるなんて、アーティストじゃないデスカ」 「まあ、芸術家といったら芸術家かもね。ポチポチポチッてドット単位で描き込んでたから」 「シンジラレマセン。アメリカのそーゆーゲームは、スキャンした写真を加工したポーカー とかブラックジャック、ジャックポットが多かったデス」 「そこは国民性の違いってヤツなんだと思うよ。それに、日本のエロ絵の歴史は結構息が長いし」 「『ウタマロスピリッツ』ですネ!」 「よ、よくわかんないけど、そうなのかも?」 って、パティってばなんでそんな時代のを引っ張り出してくるかな。 「でも、最近はお上も厳しいから、最初から描き込まないでつんつるてんなメーカーもあったり」 「Hum……それはさみしいデス。もっともっとこういう文化は大切にするべきカト」 「ふっふっふっふっ……甘いっ! 甘いっスよっ! 泉先輩もパトリシアさんも!」 二人してため息をついたその時、後ろから聞こえてくる勝ち誇ったかのような声。 「ひ、ひよりんっ!?」 振り返ると、そこにはひよりんが腕を組んで仁王立ちしていた。 「そんなものが無くとも出来るものは出来るんでス!」 「いや、そうは言うけど、やっぱり無いものが無いってのはさみしくない?」 「スシにネタが乗ってないようなモノデス」 「まだまだ二人にも知らない世界があるんですねー……わかりました、今からアニ研の部室に来てください!」 「う、うん」 ひよりんの眼力に負けた私とパティは、導かれるようにしてアニ研の扉をくぐった。 「ささっ、コレを」 「コレって……も、もしかして、ボーイズラブゲー?」 もう既に立ち上げられていたPCには、5人の男性キャラが思い思いのポーズをとっている ゲームらしきウインドウが開かれていた。 「いえいえ。これぞ女の子が主人公で、男の子にどんどん"落とされて"いく大人向けの『乙女ゲー』!」 なんか、ひよりんの背後にザパーンと波が立ったのは気のせいだと思おう。そう思おう。 「Oh! オトナ向けのオトメゲーとは初めて見マシタ!」 「昨日発売日だったんですけど、今日締め切りの原稿をやってたらカバンに入れっぱなしにしちゃって」 「だから、ここでやろうって?」 「さすがにちょっぴりだけですけどね」 そう言いながら、ひよりんがカチカチとマウスをクリックしてロードを選択した。 ……うわー、やばい。コレやばいって。 「コノ声、どこかで聴いたことがアリマスネ」 「あー、国民的メカものとか、頭脳はオトナで体はコドモのオトナのほうとか、そういった 作品に出てる人がやってるみたいだよ」 「うおっ、浩之ちゃんと孝之の競演まで?!」 パッケージを見ると、ちゃんと実名で声優さんたちの名前が載っていた。 「この業界は結構おおらかみたいなんですよ。大御所さんともなると偽名を使う人はいますけど、 それでも声を聴けば一発でわかります」 ああ、確かに出てくるキャラ出てくるキャラ聴いたことがあるキャラだ。というか何やってるんですか司令。 「でも、絵はフツーだよね? 別段エロいとかそういう感じはしないんだけど」 「まだまだ待ってください。たぶんこの展開だと、もうすぐそーゆーシーンに突入しますから」 言われてみてみると、確かにヒロインとキャラの一人がいい感じになってきてる。 「……こ、これは、まだきっかけなのにエロい」 「主人公のオンナノコのボイスが、なんだかアマいデス。とってもアマいデス……」 主人公とキャラのキスが始まったんだけど、主人公にもボイスがついているせいか喘ぎ声とか 吐息とかがみょーに艶めかしい。 そして、そのうちそーゆーシーンに突入して……ええっ?! 「モザイクも無い! ボカシも無い! ガラス棒も無い!」 「というか、腕にカクレてしまってマス!」 パティの言うとおり、肝心なトコロは腕や腰で隠れている。でも、コレはコレで逆に みょーに生々しい! しかも、二人分の声があるから……うっわー、エロっ。 「絵にそういうトッピングが無くとも、声とゆー調味料があれば美味しくなるんデス!」 せ、説得力あるなぁ、大御所がちょっと初々しいヒロインをリードしてる演技を聴くと…… 「エロゲーに主人公ボイスって、まず無いからね」 「コレはコレで、ショクニンゲイってものなのかもシレマセン」 「ふっふっふっ……でしょう? だから…… ひよりんがゆら~りと立ち上がって、私たちのほうを振り向く。 「……ど、どしたの? ひよりん」 「今からすぐにでも、先輩もパトリシアさんもこの世界に――」 「ちょ、おま、まっ、待ってよ、ね、ひよりん」 そう言いながら、私たちの手を取ろうとするひよりん―― 「なぁぁぁぁぁにをしとるかっ! このバカもんがぁっ!」 「はぎゃっ!?」 ――の頭に、カバンの角が突き刺さった。って、この子は一体? 「原稿が終わったかと思って来てみれば、神聖な部のパソコンにエロゲーなんざ入れて!」 「ちっ、違うんデス先輩! これはたまたま、たまたまでっ!」 「うるさいっ! もーこうなったら今日は説教タイム! さあ、準備室に来るよーに!」 「そ、そんな殺生な! せっ、先輩、泉先輩っ、たすけでーっ!」 私たちがボーゼンとしているうちに、色黒金髪の子に襟首を掴まれて奥の準備室へと消えていくひよりん。 「「無茶しやがって……」」 私たちはただ、その姿に敬礼することしかできなかった。 結論:乙女ゲーでも、ソフ倫メディ倫シールがついていたら18歳未満は学校でプレイしちゃダメだぞ! コメントフォーム 名前 コメント
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雀荘roof-top 和「――ロン。8000です」 モブA「またメイドのお嬢ちゃんがトップかぁ」 モブC「そんじゃあそろそろ俺は抜けるかな」 和「ありがとうございました」 まこ「お疲れーっす」 まこ「……悪いのぉ。何回もヘルプ入ってもろーて」 和「いえ、それなりに楽しいですし……」 まこ(正直、今のお前さんに太刀打ちできる客はおらんけぇ退屈じゃろうが)ボソッ 和(そ、そんな事ないです。色んな人と打てて楽しいですよ)ボソッ まこ(そう言ってくれると助かるがのぉ)ボソッ カランカラーン… まこ「いらっしゃー……い」ピクッ 和「……」 巫「……打てるかしら?」 まこ「あ、はいはい。丁度卓割れしたところでして」 まこ(車椅子……? にしても別嬪さんじゃのぉ) 和(美人さんですね……) 東、モブA 南、巫 西、モブB 北、和 東一局、ドラは八萬。 巫「……」 568一二四七2p3p3p4p白發 八 ――打、一萬。 まこ(この人……えらい『空気がある』人じゃのぉ) まこ(もしかしたら恐ろしく強いかもじゃ。気ぃつけぇ和) 和「……」 八巡目。 和「……リーチ」 三三四1p2p3p4p赤5p6p8p8p45 6 ――打、三萬。 モブB「相変わらず早ぇなぁ」 モブA「安牌っと」タンッ 巫「……」 35678二四七八2p3p3p4p 五 まこ(さぁ、どう出る……?) 和の捨て牌 中西 1 東1p 8 六三(リーチ) 巫「……」 35678二四五七八2p3p3p4p ――打、8索。 まこ(……ま、普通にオリか) そして流局。 和「聴牌」 モブA「ノーテンだ」 モブB「俺もノーテン」 巫「……ノーテン」 モブA・・・24000 巫・・・24000 モブB・・・24000 和・・・27000 供託1本 東二局、一本場。ドラは發。 巫「……」タンッ モブB「……」タンッ 和「……」タンッ モブA「……」タンッ 六巡目。 巫「……」 335三五七九2p2p5p6p發發 發 まこ(おっ、親番でドラ暗刻!) 335三五七九2p2p5p6p發發 發 巫「……」 ――打、2p。 まこ(ん!?) モブB「……よーし、おら!ドラだ!」 ――打、發。 巫「發……ポン」 335三五七九2p5p6p發 (發發發) ――打、5索。 まこ(なんじゃこの仕掛けは…!?) 和(ドラポン……ですか)タンッ モブA(好ツモ。萬子を処理したいが……) 三五六六六八赤5p6p7p赤5668 7 モブA(車椅子の姉ちゃんのあの河。萬子が切り辛ぇ) 98白1p8p西 2p5 モブA(それにドラポンときてる。ここは萬子をギリギリまで搾るか) ――打、8索。 まこ(モブAさん、倍満まで見える三色手を回し打った……これがこの別嬪さんの狙い?) 次巡。 モブA(ちっ……裏目かよ!) 三五六六六八赤5p6p7p赤5667 7 ――打、6索。 巫(勝負手を逃したみたいね? 今の私は傀との勝負で他家にも注意を払うようになった) 33三五七九2p5p6p發 (發發發) 巫(見えないものに怯えて好きなだけ自滅なさい) そして流局。 巫「ノーテン」 モブA「親は混一聴牌してなかったのか!? オリちまったぜ!」 モブB「俺もノーテンだ」 巫(予想通り全員オリたみたいね―――) 和「聴牌です」 二二三三赤五七七4p4p11中中 巫(!) 巫(……やるじゃない。退屈しのぎにはなりそうかしら?)フッ 和「では流局で二本場です」 モブA・・・23000 巫・・・23000 モブB・・・23000 和・・・30000 供託1本 東三局、二本場。ドラは3p。 和「……」ヒュッ、パシッ まこ(和の奴、もう『それ』かい) 巫(雰囲気が変わった……?) 十巡目。 和「リーチ」ヒュッ 二三1p2p3p赤5p5p122334 巫(彼女の待ちは萬子……一-四萬が本命) 67889一一二二四六八八 四 ――打、9索。 巫(この流れなら一-四萬の筋は引けない。放っておいても良さそうね) モブB「……」タンッ 和「……」ヒュッ、パシッ モブA「……」タンッ 五巡後。 巫(五枚目……) 688一一二二四四六八八2p 一 ――打、6索。 巫(残念ね。勝負手をアガれないなんて―――) 和「ツモ」 パタッ。 二三1p2p3p赤5p5p122334 四 和「2200,4200です」 モブB「親っ被りだー!」 モブA「まぁ安目で良かったよ」 巫「……この流れで一-四萬の筋をツモれるとはね」 和「流れなんてオカルト、有り得ません」 巫「……」フッ まこ(おいおい和!それを客に言うたらいかんじゃろ!) 巫「分かったわ。デジタルのお嬢さん」 和「……」 巫(仮想傀にしては少し物足りないかも知れないけれど……久しぶりに本気で行かせてもらうわね) まこ(真逆の二人……か。こりゃ久々におもろいモンが見れそうじゃ!) モブA・・・20800 巫・・・20800 モブB・・・18800 和・・・39600
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覚醒前 時空の逆転ユークス 水・闇 スーパーレア コスト7 5500 サイキッククリーチャー:シー・ハッカー/ブレインジャッカー ■このクリーチャーが何かによって選択されたとき(攻撃、ブロック含む)、その行動を無効にし、このクリーチャーを相手のバトルゾーンに置く。 ■解除によってこのクリーチャーに裏返ったとき、自分のバトルゾーンに存在するクリーチャーのコントロールを全て相手に移す。 ■覚醒-このカードの元々の持ち主が相手の場合、ターンの初めにこのクリーチャーをコストが大きい方に裏返す。 次元の挟間より生まれたものは、果たして敵か、味方か、その答えを知るのはまだ先の話だ。 覚醒後 真逆の覚醒者ユークリッド 水・闇 スーパーレア コスト14 13000 サイキッククリーチャー:シー・ハッカー/ブレインジャッカー ■このクリーチャーが覚醒した時、相手のバトルゾーンに存在するクリーチャー全てのコントロールは自分が得る。 ■相手のターン中、このクリーチャーは呪文の効果によってバトルゾーンを離れる代わりに、バトルゾーンにとどまる。 ■自分のターン中、このクリーチャーはクリーチャーの効果によってバトルゾーンを離れる代わりに、バトルゾーンにとどまる。 ■解除-このクリーチャーがバトルゾーンを離れる代わりに、このクリーチャーをコストの小さいほうへと裏返す。 ■T・ブレイカー その圧倒的な力は、たとえ味方であったとしても危険すぎた。 作者:あるふぁ 私がする質問はただ1つ。・・・貴方はこのカードを使いこなせますか? 追記:あまりにも使いにくいので設定変更。どちらにせよ使いこなせればすごいです。 よく分からんのですが、元の持ち主が自分で覚醒前の効果でこのクリーチャーが相手のバトルゾーンにある時こいつが覚醒したら自分のクリーチャーは全部相手にとられるということですか -- プッチ (2011-02-25 22 37 53) そういうことです。 -- あるふぁ (2011-02-25 22 56 33) 名前 コメント
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真逆-人造人間と自動人形- ◆7WJp/yel/Y 星と満月がきらめく夜空の下、風が吹く音しかしない崖に一人の男が立っていた。 遠くに灯る灯台の光しかないというのにサングラスをつけた、闇の中に紛れ込むような黒いスーツの男だった。 その男の名は灰原といい、世界的大企業である大神グループによって生み出された、第三世代アンドロイドの一人である。 灰原は突然連れてこられたこの状況に、全くと言っていいほど慌てる素振りを見せない。 『灰原』という個体のデータは既に取り終わっている、直ぐに自分と同じ型のアンドロイドが量産されるだろう。 そうなっている以上、自分は大神グループにとって重要な存在でもなんでもない。 そう理解しながらも、いかに行動をすれば大神グループに有利に働くかを考えるのが灰原と言う存在だ。 灰原は数々の修羅場を潜ってきた頭脳で現状を冷静に把握する。 考える事は数ある。 亀田は何故殺し合いを開いたのか? 参加者は何人か? 我威亜党と言う組織はどれだけの構成員が居て、どれだけの資金力を持っているのか? 皆殺し以外の『抜け道』はあるのか? だがどれも情報の少ない今、考えてもしょうがないもの。 そんな中で灰原が考えたのは、自分をここに呼び出したと思われる亀田の持つ技術についてだ。 亀田には自分を含めた数多くの人間を呼び出すことが出来る。 これは権力、技術力、財力。この3つのうち最低でも2つは無くてはいけない。 技術力に関しては推して知るべきだ。 あの巨大なロボットと、ヒーローのパンチを遮断した電撃バリアー。そして、あれだけの人数を移動させた装置。 サイボーグと思われる男を溶かすほどのビーム、広範囲をカバーしていたバリアー、人を全く別の場所に移動させる。 これは相当な技術力だ。特に最後のものなど魔法と言ってもおかしくはない、現状では不可能なはずの技術。 どう贔屓目に見ても大神の技術を軽く超えている。 だが、同時にこうも言える。 灰原が殺し合いを生き残り、その技術力を持ち帰ることが出来れば、確実に大神にとってプラスとなる。 もっとも、優勝したとしても本当に持ち帰ることが出来るとは限らないが。 あの亀田なる男が大神と敵対する可能性は大きい。 が、灰原一人で太刀打ち出来る相手ではない。 出来ることなどその核となる情報を持ち帰り、亀田の率いる我威亜党なる組織との戦争に備えることを進言する。 第三世代アンドロイド、つまりは『モノ』である灰原に出来ることなどそれぐらいだ。 そのためには、必ずこの殺し合いを勝ち残らなければいけない。 まず為すべきことは現状の把握とこれからの方針の決定、そしてその後に情報の入手。 灰原はデイバックを空け、支給品の確認をする。 まず出てきたのは、地図とコンパス。目を通そうかとも思ったが支給品の確認を優先する。 次に出てくるのは筆記用具、水の入った1ℓペットボトル、乾パンが大量、時計にランタンと言ったもの。 どれもサバイバルには必須の道具だ。 そして、その奥に入っていた武器、日本刀。 それは脇差などではなく、明らかにデイバックの許容量を超えている長さの正真正銘の日本刀だ。 改めて亀田の持つ技術を見せつけられ、灰原の危機感が強くなる。 しかし今はこの場から大神の元へと帰ることが先決。 刀の傍に置かれてあった説明書きには『正宗』と書かれている。 刀身が星の光を反射して見る者を魅了する妖しさを持つ日本刀だ。 刀としてはかなりの業物、灰原も刀はいくらか見てきたが素晴らしい出来の刀だとわかる。 だが刀の価値をいち早く理解するには実際に使うのが良い。 灰原は周辺に散らばった支給品を収納しデイバックを地面に置く。 刀を腰の位置に左腕の肘でしっかりと固定し、右手は柄を握る居合いの構えを取る。 目を閉じ、周囲の音を一つも聞き漏らさないかのようにピクリとも動かなくなる。 そして、一つ強い風が吹くと同時に、居合いの動作へと移る。 右足を力強く前方に向かい踏み込む。 ――――まだ刀身は鞘の中。 腰が独楽のように鋭く回る。 ――――未だに刀身は鞘に残ったまま。 右肩が前へ出るのにつられる様に右腕も、ぐん、と前へと飛び出す。 ――――その瞬間、刀身が銃弾の様に目にも止まらぬ速さで鞘から弾け出た。 ビュン、と風を切る音がし、居合いの一連の動作は先ほどの風が吹き終えるのと同時に終わりを迎えた。 その速さは風をも切り裂く高速の技、カマイタチ現象すら起こすほどの速さだ。 この居合いが人に当たれば確実に腰から真っ二つにされ、刀が当たらずともカマイタチに切り刻まれる。 避けることが出来るのはCCRの様に戦闘訓練を受け、且つ身体能力も優れている者だけだ。 連射も出来ずに、放った後に隙が出来てしまい、予備動作も長い。 欠点は多々あるものの、灰原の居合いは銃弾と言い換えても納得できるほどの恐ろしい技である。 灰原は一連の動作を終え、静かに刀を鞘の中に戻し確信する。 この正宗という刀は自身の力を最大限に引き出すこれ以上とない武器だと。 油断は出来ない。だが、この刀を支給品として与えられたことは灰原にとってかなり有利に働く。 灰原は刀の出来に満足し、支給品のチェックへと戻る。 デイバックの中に残っていたのはムチが一本だけ。 使い慣れない武器に命をかける気にはなれないが刀一本よりは幾分もマシだろう。 ――――悪くはない、十分に戦える装備だ。 恐らく灰原と同様に戦闘に慣れた者がいくらか殺し合いに参加させられているのだろう。 推測でしかないが、アンドロイドの殺戮劇など亀田も望むところではないはずだ。 地図に目を通し、遠目に灯台が見えることから自分がB-8に居るとわかった。 一先ずは人の集まりそうな、施設が集中している島へと向かうことにする。 地図を見る限りではその道中にも様々な施設があるためそこに寄るのもいいかもしれない。 方針は決まった。急ぐ必要もない。 最高の武器を手に入れている灰原にとって、他人から奪ってまで武器を補充する必要などないのだから。 せめて銃があれば楽にはなる、それほど彼にとって整った装備だ。 出来ることなら最低限の戦闘で危なげなく生き残れればよい。 そんな風に考えながら灰原は動き出した。 ◇ ◇ ◇ B-8にある海岸沿いの崖に一人の男が立っている。軍服の上に黒いマントを羽織った不気味な男だ。 その男の名はメカ亀田。裏切り者の亀田光夫を始末するため、プロペラ団によって作られたロボットだ。 だが、メカ亀田は本来の目的を果たしていない。果たす間もなく廃棄処分が言い渡されたからだ。 廃棄された理由は単純、こんなつまらないものはいらない、だそうだ。 ――――そんな話が、あってたまるものか。 その発言を聞いた瞬間、メカ亀田は覚えるはずのない怒りを確かに覚えた。 そこから解体される前にプロペラ団を脱走し、自身を改造し生き永らえ、復讐を果たすために自分の組織を作った。 その名はBB団、国家もテロリストも問わずに世界中に武器をばら撒く悪の組織である。 BB団を作り上げ組織としても安定しだしてからは、オリジナルである亀田を超えるための努力を始めた。 追っ手から逃れるために改造したため、個人としての戦闘力はとっくに超えている。 ならば、超えなければいけないのものは何か? 答えは一つ、亀田の最大の特徴である『マニア』と言う点だ。 そう結論付けた後、メカ亀田はすぐさま行動に移った。 まずは手に入れた豊富な金で大人買い、オークションで限定品を金に物を言わせて購入。 その収集方法は基本的なものから邪道ともいえる方法で集め続けた。 そして集め続けた末にメカ亀田は確信した、これでオリジナルを超えた、と。 だが、気を抜いてはいけない。マニアとは常に上を目指すものらしい。 そこからも新シリーズ、限定品が出る度に買い続けた。 玩具を集めるのが目的ではなく手段である時点で、真のマニアではないことに気付かずに。 ただ亀田光夫というオリジナルを超えるためだけに玩具を集め続けた。 そしてメカ亀田は、当然のこととも言えるが、自身の名を嫌っている。 メカという文字も、亀田という文字も気に入らない。 だが、メカ亀田自身が亀田を超えたオリジナルであるためには必要なものであることも事実だ。 いつか亀田と自身を作ったプロペラ団に復讐するという目的を忘れないためにも、この名でなければいけない。 プロペラ団を自分の手ではなく、他の人間によって潰された時にはこれ以上と無く腹が立った。 が、そんなこと今はどうでも良い。 ついに見つけた。ついに、ついに見つけたのだ。 正確に言えば見つけたのではなく連れてこられたのだが、そんなのはどうでもいいことだ。 まるで初恋が成就した中学生のように、メカ亀田の心はこの上なく高揚する。 ――――殺す、必ず殺す。 しかも、オリジナルの目的を完膚なきなまでに潰した後に。 つまり、『誰も殺させずに』、『首輪を解除し』、その後に『亀田を殺す』。 そして教えてやるのだ。 自分こそが亀田を超えた一番のマニアであり、亀田よりも格段に優れた存在であることを。 そのためにも協力者が必要だ。 首輪などの解除を可能とする技能を持った者。対亀田戦の際に役に立つ戦闘スキルを持った者。 おおよそ、この二種類の協力者が必要だ。 前者は自分で出来ない事もない。が、上には上が居る。専門家に任せた方が安心だろう。 後者も一人でもやってやるつもりだが、やはり戦力は多いのに超したことはない。 それに亀田は殺し合いを望んでいるのだ。使えないとは言え、弱者を殺して回っては奴の思いのままだ。 弱者を保護し、強者の虐殺を止め、結果的に誰も殺させない。 これがメカ亀田の結論だ。 だが、メカ亀田は理想主義者ではない。どうしても邪魔をする者は殺してしまうが。 自身のこれからの方針を確かに決め、メカ亀田はデイバックを探る。 その中には全員と同じく地図、コンパス、筆記用具、水と食料、時計、ランタンが入っている。 その奥にある他の物を探ろうとした時、ふと目の前から誰かが歩いて来ていることに気付いた。 黒いスーツを着た、夜中なのにサングラスをつけている妙な男だ。 その手に日本刀を持っていることから確実に敵対心があることがわかる。 ――――ふん、人間の癖に生意気でやんすね。少し痛い目にあってもらうでやんすよ。 そう思い、メカ亀田はデイバックを背負いなおして黒いスーツの男を睨みつける。 男はメカ亀田が敵対していることを察し、十数メートルの位置で立ち止まる。 襲ってくるのかと思っていたメカ亀田にとって、それは意外ではあるものの気を抜く事は出来ない。 銃の類を持っているようには思えないが、油断して致命傷を喰らっては笑い話にもならないからだ。 メカ亀田は念のために電撃バリアーを展開しようとするが。 ――――馬鹿な!? 展開できないでやんすと!? 本来ならば全身を覆えるほどのバリアーが全くと言っていいほど展開できなかった。 疑いようもない、間違いなく亀田に体を弄られた。 激しい怒りがメカ亀田を包む。何故ここまであの男に自分の存在を左右されなければいけないのだ。 「聞きたいことがある」 そんなメカ亀田の動揺に気付いているのかいないのか、男は威圧感のある声を発する。 ◇ ◇ ◇ 灰原は数十分程歩いた末に見つけた男に問いかける。 何故殺し合いに乗った灰原が斬りかかる前に問いかけるのか? 答えは二つある。 一つはこの見開いた場所では斬りかかる前に気付かれてしまうから。 そしてもう一つはこの男は非常に亀田と名乗ったあの男と似ているからだ。 何かしらの情報を搾り取れる可能性が高いからだ。 灰原は殺し合いに優勝するのが第一の目的だ。 しかし、出来るなら大神にとっての危険要素である亀田を抹殺することも視野に入れている。 そのためにも情報を収集する必要もあるのだ。 「お前は何者だ? あの男に似ているが……どんな関係だ」 「……オイラの名前はメカ亀田。あの亀田と言う男を元に作られたロボットでやんすよ」 「貴様はこの殺し合いについて何処まで知らされている?」 「ふん、オイラはオリジナルとは何の繋がりもないでやんすよ。あの男はただの踏み台でやんす」 「……つまりお前は亀田と言う男の刺客ではないと言う事か?」 「ふざけるなでやんす! 何でこの優れたオイラが、より劣るオリジナルに尻尾を振らなければいけないのでやんすか! あの男にはこの会場で長年の恨みを晴らしてやるでやんすよ。 どうでやんす、お前もオイラと一緒にアイツの鼻を明かさないでやんすか? 手始めに、まずはこの殺し合いを止めてみるのがいいと思うんでやんすがね」 灰原はその言葉で確信する。 この男は殺し合いに対して妨げになるだろうと。 戦闘とは別の用途で作られたロボットという可能性も有るが、戦闘特化ロボットの可能性も同じくらいにある。 殺し合いを活発化させるためにも、殺し合いを否定する強者の存在は邪魔だ。 出来ることなら体力の消費や傷を負う事も考えて戦闘は最小限に抑えたかったが仕方あるまい。 灰原は刀を抜き、何も言わずにメカ亀田へと襲い掛かった。 「ちっ! いきなりでやんすか! こんな低脳だから人間と言う奴は嫌いなんでやんすよ!」 「……」 灰原は最初の一撃を避けた動きで、メカ亀田の実力にある程度のあたりをつける。 体の動かし方を見る限り、基本的な戦闘技術は灰原たちCCRのエージェントに劣るだろう。 だが、ロボットというからには人間を超えた耐久力と内臓武器があるはずだ。 逆に言えば、そこにさえ注意すれば危なげなく戦える。 そして恐らくではあるが、この男の戦い方は我流、しかも圧倒的な装備で相手を押しつぶすタイプだ。 そんな風に相手を観察しつつも、メカ亀田に向かい刀を振るう。 メカ亀田は後ろへと大きく跳躍し灰原の攻撃を避け、距離をとる。 そして、迫ってくるエネルギー弾を灰原へと向かい二つほど放つ。 灰原は一つを回避し、一つを正宗で叩き落しメカ亀田との距離を確実に詰めていく。 「鬱陶しいでやんすね!」 「…………」 メカ亀田は伸縮自在の手を伸ばし、その鋭利な爪で灰原の肩を抉ろうとする。 灰原はそれをわずかな動きで避け、メカ亀田を斬り殺すために大きく、しかし素早く日本刀を振りかぶる。 これが振り下ろされればもう終わり。灰原の袈裟斬り一発でメカ亀田の体は肩から真っ二つにされる。 戦闘開始から数分ほどしか経っていない。戦闘仕様に改造された灰原はそれほどまでに圧倒的な強さを誇っていた。 「甘いでやんす!」 「……!?」 が、メカ亀田は大きく跳躍し戻ってきた手で灰原の後ろの地面に爪をめり込ませ強引に自分の体を移動する。 さすがの灰原も意表を衝かれたのか追撃が一瞬だが遅れる。 メカ亀田はこの一瞬の間で距離をとりつつ、エネルギー弾を連発する。 と言ってもエネルギー弾にも何度も連発できるものではない、一発と一発の間には僅かではあるが時間が空く。 そのため、避け続けるのは灰原にとって簡単ではあったが、同時に避ける事しか出来なかった。 メカ亀田との距離は離れていく。 その方角が灰原の目的地である離れ島とは真逆の方角なので追撃を諦める。 エネルギー弾がなくなったころにはメカ亀田の姿は見えなくなっていた。 ――――逃がしたか。 この暗闇の中で暗色の服装をしたメカ亀田を見つけ出すのは難しい。 それに先ほどはお互いに牽制が中心だったから無事なだけだ。 本気でぶつかり合えば、こちらもただではすまない。 無傷で勝てることはまず有りえない、下手をしたら命を失う。 残りの参加者がメカ亀田一人と言う状況ならまだしも、そのような博打を打つには先が長すぎる。 ならば当初の予定通りに離れ島へ向かおう。 灰原はメカ亀田が去った方向に注意を向けながらこの場を立ち去る。 全参加者中、殺し合いという場において最も優れた『モノ』は歩き続ける。 全ては生みの親である大神グループのために。 何も考えずに、ロボットであるメカ亀田よりもロボットらしく。 ただ参加者を皆殺しにして亀田の技術を大神へと持ち帰るためだけに。 【Bー8/海沿いの崖/一日目/深夜】 【灰原@パワプロクンポケット8】 [状態]:健康 [装備]:正宗@パワプロクンポケット7裏、ムチ@パワプロクンポケット7裏 [道具]:支給品一式 [思考] 基本:優勝し、亀田の持つ技術を大神へと持ち帰る 1:離れ島へと向かう 2:見敵必殺、ただし相手が複数いる場合など確実に殺せないと判断した時は見逃す [備考] ※参加時期は不明、後続の書き手さんに任せます 【正宗@パワプロクンポケット7裏】 妖刀とも呼ばれる業物。霊にも効果があるという曰く付きの刀 【ムチ@パワプロクンポケット7裏】 安価な武器。長さもあるので攻撃手段以外でも使えるかも ◇ ◇ ◇ 「く、くくくく、屈辱でやんす~!」 メカ亀田は灰原が追ってきていないことを確認すると、その場で激しく地団駄を踏む。 当たり前と言えば当たり前だ。 自分は人間よりも全てにおいて優れた存在であると信じていたのに、その人間に圧倒されたのだから。 電撃バリアーがあれば、とか、ミサイルがちゃんと内臓されていれば、とか、そんなことは全く考えない。 そんなものがなくても自分は強いのだ、それは疑いようのない事実だ。 この伸縮自在の腕と、エネルギー弾さえあれば、メカ亀田にとって人間とは圧倒できる相手なのだ。 それをあの人間は覆した、しかも武器は近距離でしか使えない、もはや遺物と化した日本刀一本なのに。 ただ、正確に言えば灰原はただの人間ではない。 指揮官型として生まれた『アンドロイド』であり、更にそこから戦闘仕様として改造された男。 言うならば『戦闘のプロ』なのだが、メカ亀田はそんな事を知らないのだから関係ない。 「あの男……必ず殺してやるでやんす!」 メカ亀田にとって、灰原に抱いた怒りは先ほど立てた不殺の方針を丸投げするに十分すぎるほどだった。 ひとしきり地団駄を踏み、何とか怒りを抑えれるほどに落ち着いたメカ亀田はデイバックを開き地図を眺める。 ――――ここは恐らくA-8とB-8の境界でやんすね。 亀田とあのサングラスの男を確実に殺すためにも装備は整えておきたいでやんす。 メカ亀田は灰原に対して激しい殺意と敵意を抱いているものの、その実力は確かに認めた。 BB団という悪の組織を作り上げ世界中の国家とテロ組織にパイプを持っているメカ亀田は冷静で頭もいい。 マニアやメカという特徴に目が行きやすいが、本来メカ亀田はとても優秀なロボットなのだ。 ――――そのためには人と会うことが先決でやんす。 まずは工場に向かって、その後に北部へと向かうとするでやんすか。 メカ亀田は瞬時に方針を固め、行動を再開する。 デイバックには武器となるものがなかったのは残念だが、そこに拘っていても仕方がない。 メカ亀田は工場へと向かい、そこで装備があれば補充することにした。 自分の様なロボットのための装備はなく、首輪解除のための工具があればいいぐらいの気持ちで。 【A-8/何もない道/一日目/深夜】 【メカ亀田@パワプロクンポケット6裏】 [状態]:損傷なし [装備]:特になし [道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3個 [思考] 基本:『殺し合い』を失敗させた後に亀田を殺す 1:工場へと向かい、人と遭遇する。 2:脱出のために役立ちそうな人間を優先して仲間にする 3:サングラスの男(灰原)に激しい殺意と敵意 [備考] ※参加時期は不明 ※メカ亀田は灰原の名前は知りません ※自動追尾ミサイルとバリアーは没収されています 投下順に読む 000 生きるために殺し合え!← 戻る →002 親しき仲にも 殺しアリ 時系列順に読む 012 by your side← 戻る →002 親しき仲にも 殺しアリ 前へ キャラ追跡表 次へ GAME START 灰原 040 それぞれの思惑 GAME START メカ亀田 040 それぞれの思惑
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Kumicitのコンテンツ インテリジェントデザイン概説 自然主義的科学はヨハネによる福音書と真逆だと主張したインテリジェントデザインの父Phillip Johnson インテリジェントデザインの父たる法学者Phillip Johnsonは創造について次のように主張した。 聖書の中で創造について最も重要な節は、ヨハネによる福音書の冒頭にある。 創造はインテリジェントかつ人格的な力によるものだ。 自然主義哲学によって心が曇っていないかいぎり、この事実は誰にとっても明らかだ。 なお、このコンテキストでの自然主義は「神は存在しないという考え」を指す。 The most important statement in Scripture about creation is not contained in Genesis but in the opening verses of the Gospel of John 聖書の中で創造について最も重要な節は、創世記ではなく、ヨハネによる福音書の冒頭にある。 In the beginning was the Word, and the Word was with God, and he Word was God. He was in the beginning with God, All thing came into being through him, and without him not one thing came into being (John 1 1-3) 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。 The statement plainly says that creation was by a force that was (and is) intelligent and personal. この文は明確に、創造はインテリジェントかつ人格的な力によるものだと述べている。 The essential, bedrock position of scientific naturalism is the direct opposite of John 1 1-3. Naturalistic evolutaionary theory as part of the grand metaphysical story of science, says that creation was by impersonal and unintelligent forces. The opposition between the biblical and naturalistic stories is fundamental, and neither side can compromise over it. To compromise is to surrender. 科学的自然主義の本質的かつ根本的な立場は、ヨハネによる福音書第1章1-3節と真逆である。科学の形而上学的ストーリー全体の一部である自然主義的進化論は、非人格的かつアンインテリジェントな力による創造を主張している。聖書のストーリーと自然主義のストーリーは根本的に真逆であり、妥協はありえない。妥協は降伏である。 Because in our universal experience unintelligent material processed do not create life, Christian theists know that Romans 1 20 is also true "Ever since the creation of the world [God s eternal power and divine natute, invisible though they are, have been understood and seen through the things he has made." In other words, there is absolutely no mystery about why living organisms appear to be the products of intelignet creation, and why scientific naturalists have to work so hard to keep themselves from perceiving the obious. The reason living things give that appearance is that they actually what they appear to be, and this fact is evident to all who do not cloud their minds with naturalistic philosophy or some comparable drug. 普遍的な経験から我々は知性なき物質過程が生命を創造しないことがわかっているので、キリスト教有神論者はローマ人への手紙1章20節も本当であることを知っている。「神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、」言い換えるなら、何故、生物が知的創造の産物であることが明らかなのか、そして何故、科学的自然主義者が明らかなことを認識しないように全力を挙げているのかは、謎ではない。生物の外観がそうである理由は、かくあるべきだからであり、自然主義哲学やそれと同等の薬物によって心が曇っていないかいぎり、この事実は誰にとっても明らかだ。 The rest of the passage (Romans 1 20-23) is also true 残りの節(ローマ人への手紙1章20-23節)も正しい。 So they are without excuse; for though they knew God, they did not honor him as God or give thanks to him, but they became futile in their thinking, and their senseless minds were darkened. Claiming to be wise, they became fools; and they exchanged the glory of the immortal God for images resembling a mortal human being or birds or four-footed animals or reptiles. 彼らに弁解の余地はないのです。というのは、彼らは、神を知っていながら、その神を神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなったからです。彼らは、自分では知者であると言いながら、愚かな者となり、不滅の神の御栄えを、滅ぶべき人間や、鳥、獣、はうもののかたちに似た物と代えてしまいました。 What these words plainly mean is that those who turn away from God and toward naturalistic philosophy give up their minds in the process and end up endorsing sophisticated nonsense and nature worship. これらの言葉が明らかに意味することは、神に顔を背け、自然主義的哲学に向かう者は、知性を捨て、洗練されたナンセンスと自然崇拝となって終わるのだ。 [ Phillip Johnson "Reason in the Balance", 1996. chap 5. Theistic Naturalism Theistic Realism, pp 107-8] 一見、科学と宗教の間に妥協などなく、宗教が正しいと言っているように見える。 しかし、Phillip Johnsonは、ヨハネによる福音書の真逆にあるのは、神は存在しないという自然主義を背景とする科学だと言っている。採択に原則の背後に有神論を持つ「科学」は、自然主義的科学とは別の、そして、ヨハネによる福音書に沿った結論に至るというのが、Phillip Johnsonの主張である。