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私的独占のページです。
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問1 以下の単語を簡潔に説明せよ 1課徴金の納付 2再販売価格の拘束 3排他的条件取引 4不当廉価 5優越的地位の乱用 問2 以下に独禁法は適用されるか。各々検討せよ 1日本大学法学部 2NOVA 3代ゼミ 4自衛隊 5営団地下鉄 問3 米国反トラスト法制の仕組みについて述べよ 合理(条理)の原則と当然違法原則について必ず触れること。 【補足】 問2以外は教科書、六法におよそ書いてあります。 普段の授業は基本的に出席はとりません。
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#weblog 公正取引委員会は2006年12月27日、大手ネット 商店街事業者の楽天、ヤフー、DeNAの3 社に 優越的地位の乱用など独占禁止法違反につなが りかねない事例があったとする調査報告書を発 表した。それによると3社はそれぞれが運営する 仮想商店街で (1)出店手数料率を運営事業者側が一方的に変更できる (2)運営事業者が行うクレジット決済代行業務の 利用を義務付けて割高な手数料を求める (3)出店をやめた後に仮想商店街で得た顧客情報を 使うことを禁止している ことが、独禁法違反の疑いに該当する。 3社はいずれも独禁法違反ではないと主張している。 3社は仮想商店街で合わせて約9割のシェアを持っている。 いろいろ難しいですねぇ・・・。 9割占めちゃっているところがねぇ? 難しいことはわからないけど、 利益ばかり得ようとガツガツしているとね。 気をつけないとね。
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◇K-side◇ 昨夜、あ〜ちゃんと二人の掟を作った。 一つ、やたらとのっちを挑発して狼化させない事。 二つ、二人きりで会う時は、事前にお互いに連絡する事。 三つ、二人きりの時はチューまでOK。ディープはアウト。 四つ、二人きりの時に抜け駆け(エッチ)絶対厳禁。 …とまぁそんな感じ。これはのっち独占禁止法と名付けられた。 だけどそうなると、エッチの時は三人でするって事…?やだ、めちゃくちゃ恥ずかしいじゃんか。 まぁでも、あ〜ちゃんだったら別に良いけどさぁ。 だけど話によると、のっちはゆかのエッチの時とあ〜ちゃんの時、全然違う態度らしい。 あ〜ちゃん曰く「のっちはいつも優しいよ」…。ゆかのアレは何だったの?超意地悪だったよね? まぁ意地悪なのっちも好きだったけどさ。ゆかとあ〜ちゃんのその差は何?どーゆー事? 今までのっちにされた事を全部あ〜ちゃんに言うと、あ〜ちゃんは怒ってのっちを殺しに行く!と叫んだ。 うーん…ゆかも一発くらい殴って良いのかな?まぁ今頃あ〜ちゃんにボコボコにされてるだろうから良いか。 ◇A-side◇ 「どーゆー事じゃあい!」 のっちが、キレた。キレたとゆーか、狂った? 「まぁまぁ落ち着きんさいや」 「そーだよ落ち着きなよ」 「のっちに黙って勝手に変なの決めて!落ち着いてられんわ!そんなんのっちが我慢出来てもゆかちゃんなんか絶対我慢できん、むがっ」 のっちが何かを言いかけ、ゆかちゃんが赤い顔して慌ててその口をふさいだ。 なんなんよ、二人してイチャついてからに。どうせのっちはエッチなゆかちゃんが好きなんだろうよ。恥ずかしくて自分から誘えんあ〜ちゃんなんか面倒臭いと思っとるんじゃろ。 「ほら、あ〜ちゃん怒っちゃったじゃん!謝りんさいのっち!」 「なんでのっちがぁー」 「良いから早く!」 のっちは渋々あ〜ちゃんの前にやって来た。 「ごめん…ね、二人が決めた事なら、別にのっちは…」 「…」 「今度からエッチは…3Pになっちゃうけど良いの?」 「のっち!」 ゆかちゃんに後頭部をはたかれるのっち。そっか…そーゆー事になっちゃうか。 「三人でするのは…恥ずかしい…かな」 「ほらゆかちゃん見てみぃ!あ〜ちゃん恥ずかしいってさ」 「あ〜ちゃんが抜け駆け禁止って言ったんじゃん〜」 これは少し、困ったな…。 ◇2-09 End◇
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私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年4月14日法律第54号) 最終改正:平成26年6月13日法律第69号 不公正な取引方法(昭和57年6月18日公正取引委員会告示第15号) 最終改正:平成21年10月28日公正取引委員会告示第18号 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成14年7月31日法律第101号) 最終改正:平成26年6月13日法律第67号 下請代金支払遅延等防止法(昭和31年6月1日法律第120号) 最終改正:平成21年6月10日法律第51号 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年5月15日法律第134号) 最終改正:平成26年11月27日法律第118号 ※平成21年改正により「不公正な取引方法」が大きく変化しているため、それ以降に改訂されたものを読むことが必須。 【基本書・体系書】 根岸哲・舟田正之『独占禁止法概説』有斐閣(2015年11月・第5版)……大家二人による定番の一冊。白石説を採らない限り、これで経済法は充分かと思われる。やや薄いが、金井月ほか編には書かれていないことが書かれていることもあり、互いに参照しながら読むと良いと思われる。縦書き。A5判、464頁。ちなみに、根岸は考査委員になる前、所属事務所のHPで司法試験問題の解答例を公開していた(独禁法つれづれ草)。 金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄編『独占禁止法』弘文堂(2015年3月・第5版)……司法試験受験生内で多くのシェアを誇る。不公正な取引方法はガイドラインの解説にとどまる箇所も存在する。従って、ガイドラインを見つつ読むべし。記述自体は穏当な通説に沿って書かれており、経済法選択で白石説を採らない場合は、これが一番おすすめ。A5判、612頁。 谷原修身『独占禁止法要論』中央経済社(2011年2月・新版第3版)……A5判、320頁。 松下満雄『経済法概説』東京大学出版会(2011年6月・第5版)……A5判、400頁。 村上政博『独占禁止法』弘文堂(2016年2月・第7版)……この10年、国際標準の競争法へと大きく変わりつつある日本の独占禁止法。その実体ルールおよび手続を詳説した実務型基本書。ソフトバンク事件東京地裁判決、日本音楽著作権協会事件最高裁判決、ブラウン管国際カルテル事件審判審決等の重要審判決を加えるとともに、平成25年改正法が平成27年4月1日に施行され、行政審判の廃止に伴い大陸法系の行政手続が確立したことに完全対応の最新版。(弘文堂HPより引用)A5判、588頁。他に、『独占禁止法における事例分析―司法試験経済法過去問の検討と評価』中央経済社(2016年4月、A5判、202頁)等がある。 白石忠志『独占禁止法』有斐閣(2009年9月・第2版)、『独禁法講義』有斐閣(2014年4月・第7版)……論旨明快であり、著者の頭脳明晰さを随所に感じることができるが、判例ベースで論文を書くには使いにくい。下記「勘所」は副読本として必須。なお、「講義」は改訂の度に解説や語法の変更も多く、常に最新版を使うことを心がけたい。改訂予定などは、筆者ホームページに記載されている。白石説を採るときの注意点としては、体系の違いもさることながら、「市場支配”的”状態の形成・維持・強化」(白石)・「市場支配力の形成・維持・強化」(通説)などといった用語法の違いがあげられる。白石説をとっているにもかかわらず、後者の言い回しを用いていると、印象が悪いので注意(減点されるか、など実際に不利益があるかは噂レベルの話しかないため、明言は避けておく)。もっとも、通説の立場を充分に理解してからであれば、本書を読むことでより独占禁止法の理解を深めることができるため、白石説を採用しない場合であっても、時間に余裕があれば読むことをおすすめする。体系書は実務家向きの手続やエンフォースメントの解説にページが割かれており、受験生には全くもって不要。白石説を理解するためには、『勘所』も必須。A5判、754頁・310頁。 泉水文雄・土佐和生・宮井雅明・林秀弥『経済法(LEGAL QUEST)』有斐閣(☆2015年4月・第2版)……筆者が重なる金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄編『独占禁止法』を選ばずにこちらを選ぶ理由は特に無いと思われる。強いて言えば、章末にケースが付いていることくらいか。A5判、438頁。 岸井・大槻・和田・川島・向田・稗貫『経済法 - 独占禁止法と競争政策(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2016年4月・第8版)……判型はアルマなので小さいが、514頁あり、内容も充実している概説書。判例・通説および公取委の実務運用(ガイドライン)にも沿っているため、必要な知識は本書で概ね得られるだろう。改訂も比較的頻繁になされるので、法改正や重要判例にも対応している。受験対策としては試験委員が執筆陣に入っている金井=川濱=泉水がベストかもしれないが、肌に合わない場合は、本書を試してみてもよいかもしれない。第8版は、平成25年改正独禁法の施行(27年4月1日)にあわせて制定された「意見聴取規則」や,改正された関係政令・規則等を織り込んだほか、判審決の最新の動向を取り入れてアップデート。 四六判、514頁。(第8版については評価待ち。) 菅久修一編著、品川武・伊永大輔・原田郁著『独占禁止法』商事法務(2015年4月・第2版)……元も含む、公正取引委員会の担当者による独占禁止法の概説本。通称”赤本”。公取委の担当者執筆だけあって、実際の運用などについての信頼性は極めて高い。また、事例も多く引用されている。ただし、やや文章がくどく感じられるのが難点か。また、同じ事柄を複数の箇所で説明していることも稀にある。第2版において、審判制度の廃止を盛り込んだ平成25年12月の改正法を織り込んだほか、注目すべき新たな判決、審決や企業結合事例をフォロー。A5判、420頁。(第2版については評価待ち。) 川越憲治『独占禁止法』きんざい(2010年6月・第4版)……課徴金の適用範囲の拡大、不公正な取引等に対する罰則強化、企業結合規制の見直し、秘密保持義務違反への罰則強化、その他各種ガイドラインに対応。A5判、488頁。 岩本章吾『独占禁止法精義』悠々社(2013年3月)……通産省・公取委勤務を経た著者が、300件の判審決例と学説の分析を通して独禁法を体系化。A5判、640頁。 【入門書・概説書・論点本】 川濱・瀬領・泉水・和久井『ベーシック経済法 独占禁止法入門(有斐閣アルマBasic)』有斐閣(2014年5月・第4版)……平易に書かれ、ケーススタディを多用している。分量も適当で、読みやすい入門書。高度な内容を考える際に取っ掛かりとなる問題意識も随所にちりばめられており、体系書への橋渡しとしても有効。不公正な取引方法についての記述には定評がある。判例・通説で書かれた入門書を探しているならお勧めの一冊。四六判、390頁。 厚谷襄児『独占禁止法入門(日経文庫)』日本経済新聞出版社(2012年1月・第7版)……元公取委事務局長による平易かつ簡潔な入門書。分量も比較的少ないので、最初に読む1冊としてはお薦め。新書判、272頁。 村上政博『独占禁止法 -公正な競争のためのルール-(岩波新書)』岩波書店(2005年1月)……新書判、222頁。 谷原修身『独占禁止法の解説』一橋出版(2006年3月・第6版)…… 鵜瀞恵子『独占禁止法実務の手引き』判例タイムズ社(2006年1月)……B5判、221頁。 伊藤真監修、伊藤塾著『経済法 (伊藤真実務法律基礎講座6)』弘文堂(2013年1月)……いわゆる予備校本ではあるが、数少ない「まとめノート」として使えそうな一冊である。もっとも、前書きを読む限り、執筆したのは最近合格した弁護士であり、内容の信頼性にはやや疑問が残るものの、各類型のガイドライン等が整理されており、必須の定義も比較的網羅されているので、不足分を自ら書き足す気力があるのであれば、直前に見返すまとめノートとして選択肢になりうるのではないか。A5判、176頁。 土田和博・栗田誠・東條吉純・武田邦宣『条文から学ぶ独占禁止法』有斐閣(2014年10月)……わが国の独占禁止法制の全体像をおおまかにとらえ、学習上重要な条文の存在意義を具体的イメージ(重要判例)とともに理解するためのテキスト。概ね条文の並び順に各条文中のキーワード、概念・原則を中心として独占禁止法を逐条で解説。A5判、358頁。 鈴木加人・大槻文俊・小畑徳彦・林秀弥・屋宮憲夫・大内義三『TXT経済法』法律文化社(2016年5月)……国民経済全体の秩序を形成する「独禁法」が「経済法」の中心ないし基礎であることを前提とし、平成25年改正・27年施行の改正独禁法(審査制度の廃止、排除命令等に係る抗告訴訟の裁判管轄、適正手続の確保)を踏まえ解説。A5判、312頁。 菅久修一 編著『はじめて学ぶ独占禁止法』商事法務(2016年6月)……独占禁止法の重要な部分についての基本的な考え方に焦点を当てて記述するとともに、外国の主な競争法の概要も紹介。A5判、214頁。 酒井紀子『独占禁止法入門─基礎知識の修得から実務での活用まで─』民事法研究会(2016年6月)……公正取引委員会審判官である著者が独禁法の理念、基本的な概念をはじめ、要件・効果・論点を網羅的に解説した入門書。A5判、332頁。 【その他参考書】 村上政博『独占禁止法における事例分析―司法試験経済法過去問の検討と評価』中央経済社(2016年4月)……急速に積み上がった判例の蓄積が、過去10年20問の司法試験経済法論述問題に反映されているとの認識から分析を行う。議論が始まった裁量型課徴金制度などにも言及。A5判、324頁。 【独占禁止法】 東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編『独占禁止法の知識と実務(弁護士専門研修講座)』ぎょうせい(2010年3月)……「弁護士専門研修講座」シリーズの第10弾。平成20年度に開催された独禁法講座の講義録ではありますが、平成21年改正に対応すべく加筆をし、22年改正問題にまで言及した内容。A5判、頁。 村上政博・栗田誠・矢吹公敏・向宣明編『独占禁止法の手続と実務』中央経済社(2015年9月)……行政審判を廃止する平成25年改正の今年4月の施行を受けて、最新の判例等を踏まえて解説。行政・企業結合審査・民事・刑事の諸手続に加えて、域外適用も1章を設けて言及。A5判、552頁。 波光巖・栗田誠編『解説 独占禁止法』青林書院(2015年3月)……平成25年改正を盛り込んだ最新版。A5判、550頁。 宮坂富之助・本間重紀・高橋岩和・近藤充代『現代経済法 日本経済の法構造』三省堂(2010年2月・第2版)……A5判、384頁。 神宮司史彦『経済法20講』勁草書房(2011年5月)……A5判、440頁。 平林英勝『独占禁止法の解釈・施行・歴史』商事法務(2005年10月)……独占禁止法の理論と実務を結ぶ論文集。公正取引委員会で30年余、独禁法の運用実務に携わった著者が大学に転じて5年間に執筆した11編と新たに書き下ろした2編の論文を収録。A5判、414頁。 諏訪園貞明『平成17年改正独占禁止法』商事法務(2005年12月)……公正取引委員会の立案担当者による新法解説。平成18年1月施行の改正独禁法の改正条文を徹底解説する。各条の趣旨、実務上の留意点とともに関係規則・政令等との関係も明らかにする。A5判、289頁。 伊藤憲二・宇都宮秀樹・大野志保『平成21年改正独占禁止法のポイント』商事法務(2009年7月)……平成21年に改正された独占禁止法の主要ポイントを、簡潔かつ的確に解説。改正法全体の概要を確認するための入門書。A5判、199頁。 藤井宣明・稲熊克紀編著『逐条解説 平成21年改正独占禁止法』商事法務(2009年11月)……平成21年改正法の企画立案作業に携わった公正取引委員会の担当者が改正法の趣旨等について詳細に解説。「排除型私的独占ガイドライン」全文を収録。A5判、309頁。 岩成博夫・横手哲二・岩下生知編著『逐条解説 平成25年改正独占禁止法――審判制度の廃止と意見聴取手続の整備』商事法務(2015年6月)……平成25年の独占禁止法の改正は、昭和22年以来60年以上続いてきた審判制度の廃止、排除措置命令等に係る意見聴取手続等が導入されるなど、重要な改正がなされた。改正法や公正取引委員会規則の趣旨等について、改正担当者が解説。A5判、240頁。 【景品表示法】 真渕博編著『景品表示法』商事法務(2015年8月・第4版)……景品表示法は、前著刊行後、ホテル・レストラン等における食品表示等問題を受けて平成26年6月と11月に2度の改正がなされた。今回の第4版では、事業者のコンプライアンス体制の確立や行政の監視指導態勢の強化などを内容とする6月改正法と、不当表示に対する課徴金制度を導入した11月改正法の内容を追記。A5判、466頁。 片桐一幸編著『景品表示法』商事法務(2014年1月・第3版)……消費者庁の設立に伴い、独禁法の特例法から「消費者法」へ体系的な大転換を遂げた「景品表示法」について、立案および運用担当者による唯一の解説書。第2版刊行以降、数多くの事件で採られた措置や公正競争規約の変更等を踏まえて改訂し「景品表示法の今」を解説した最新版。A5判、376頁。 波光巖・鈴木恭蔵『実務解説 景品表示法』青林書院(2016年3月・第2版)……新しく導入された課徴金制度(不当表示に対する課徴金の賦課)の要点を実務に即して解説。A5判、366頁。 黒田岳士・加納克利・松本博明編著『逐条解説 平成26年11月改正景品表示法――課徴金制度の解説』商事法務(2015年6月)……平成26年11月改正法により景品表示法に課徴金制度が導入された。本書は、この平成26年11月改正法の作成作業の中核となった課徴金制度検討室のメンバーが中心となり、この改正に関係したその他の職員も協力して、同改正法について解説したものである。A5判、243頁。 【コンメンタール】 村上政博編集代表『条解独占禁止法』弘文堂(2014年12月)……4大法律事務所の協働による独占禁止法の逐条解説書。「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」及び「下請代金支払遅延等防止法」の全条文について逐条解説。平成17年、21年、25年等の法改正に対応。A5判、1004頁。 根岸哲編『注釈独占禁止法』有斐閣(2009年12月)……A5判、968頁。 田中誠二・菊地元一・久保欣哉・福岡博之『コンメンタール独占禁止法』勁草書房(1981年1月)…… 菊地元一・佐藤一雄・波光巖・滝川敏明『コンメンタール独占禁止法』勁草書房(1995年4月)……A5判、384頁。 白石忠志・多田敏明編著『論点体系 独占禁止法』第一法規(2014年6月)……逐条形式で、条・項ごとに問題となる論点を実務的な切り口から取り上げて解説した書。裁判例・審決例に加えて、公取委の企業結合審査事例・相談事例やガイドライン、日頃の法律実務の中で醸成された事実上の留意点を踏まえて詳解。収録情報は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」及び「下請代金支払遅延等防止法」。平成25年12月の改正に対応。A5判、760頁。 【判例集・ケースブック】 舟田正之・金井貴嗣・泉水文雄編『経済法判例・審決百選』有斐閣(2010年4月)……事案や判旨の引用に不安がある箇所が複数ある。判例集としては下ケースブックのほうがよいと思われる。同一の判例・審決例を複数の項目で扱うことがある(同一の筆者になるよう配慮されているようである)ので、見かけほど収録判例・審決例は多くない(但し、手続きに関するものなどは、1.2分の1頁に収められているものもある)。B5判、288頁。 白石忠志『独禁法事例の勘所(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2010年4月・第2版)……筆者曰く、「一人百選」を目指したとのこと(後書き参照)。白石説を採るなら必須。なお、判旨のまとまった引用はないため、下のケースブックとの併用がおすすめ。順番は事項順ではなく、年月日順のため、通読には向いていないか(事項索引は巻末に存在する。)。A5判、436頁。 白石忠志『事例教材独禁法』商事法務(2007年10月)……白石による唯一の、そして経済法分野における数少ない演習書…かと思いきや、平成21年改正に対応していないため、やはり現在は使えない一冊。白石自身もこれに言及されることもない(ホームページの改訂予定にも記載はない)。A5判、189頁。 金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄編『ケースブック独占禁止法』弘文堂(2013年4月・第3版)……判例百選よりも判旨の引用が多く、事実認定のトレーニングにも使用できる。また、判例集としても百選より使い勝手が良い…が、選択科目にここまで分厚い判例集が必要かと言われればやや疑問。もっとも、経済法の試験は過去の事案をそのまま引き写したかのような出題も多く、いかなる事案にいかなる条文を適用したか、ということを知っておくことは必須である(特に不公正な取引方法。また、私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法の複数が適用可能な事案も多く、それについて公正取引委員会がどのような当てはめをしたかを知っておくことも極めて重要である。)ため、ここまでおさえておくことが望ましいといえば望ましい。A5判、642頁。 鈴木満・鈴木深雪『経済法-判審決の争点整理』尚学社(2009年7月・第2版)……元公正取引委員会首席審判官が自分の講義の教科書として書いた本。第1部概説、第2部争点整理、第3部適用条項別主要審決一覧という構成になっている。2009年の独禁法改正を反映しての改訂。B5判、310頁。 泉水文雄・長澤哲也編『実務に効く 公正取引審決判例精選』有斐閣(2014年7月)……元試験委員と、実務家が編集した判例集。実務家が中心に執筆しており、分野毎に審決例が整理されている。もっとも、他の『精選』シリーズ同様、タイトルからも分かるように実務向けの一冊であり、司法試験には向いていないと思われる。B5判、248頁。 【演習書】 土田和博・岡田外司博編『演習ノート 経済法』法学書院(2014年10月・第2版)……数少ない演習書。法学教室に連載されていた「演習」10問とあわせて利用したい。第2版において、2009(平成21)年の排除型私的独占・優越的地位の濫用等に対する課徴金制度の導入、2013(平成25)年の審判制度の廃止という二度にわたる独占禁止法の改正を受け、また、この間、2010(平成22)年12 月のNTT 東日本事件、2012(平成24)年2月の多摩談合事件という排除型私的独占と不当な取引制限に関する基本的な最高裁判決が下されるに及んで、これらの内容を取り込んだ形で問題等の見直しが行われ、大幅な内容の改訂が施された。A5判、頁。 川濱昇・武田邦宣・和久井理子編著『論点解析 経済法』商事法務(2014年10月)……経済法受験生待望の(?)新法対応演習書。司法試験問題を含む、長文事例を提示し、それに関わる独禁法上の問題点を回答させる形。全分野を網羅している上、今まで明確な形で十分に示されているとは言い難かった、具体的な概念の使い方・あてはめ方が示されている。ただし、解説というより、答案例に近いものが各問題6頁程度付けられているのみで、独習には向いていないとの評価も可能。その記述がどういう意味を持つか、勉強会などを開いて複数人で検討することが望ましいのではなかろうか。編著者からも分かるように、体系は金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄編『独占禁止法』に近い。繰り返しになるが、網羅性は高いので、この一冊を潰せば独禁法について穴はなくなると思われる。A5判、288頁。 ☆大久保直樹・伊永大輔・滝澤紗矢子編著『ケーススタディ経済法』有斐閣(2015年4月)……A5判、324頁。(評価待ち。)
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【基本書】 【その他参考書】 【入門書・概説書】 【注釈書・コンメンタール】 【判例集・ケースブック】〔判例集〕 〔ケースブック〕 【演習書】 【基本書】 根岸哲・舟田正之『独占禁止法概説』有斐閣(2015年11月・第5版)……大家二人による定番の一冊。やや薄いが、下記金井・川濱・泉水編『独占禁止法』には記載のないことが記載されていることもある。第5版出版後の重要判例やガイドラインの改正を受けた、補遺が作成されている。縦書き。全7章。A5判、464頁。ちなみに、根岸は考査委員になる前、所属事務所のHPで司法試験問題の解答例を公開していた(独禁法つれづれ草)。 金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄編著『独占禁止法』弘文堂(2018年4月・第6版)……司法試験受験生経済法選択者の中で多くのシェアを誇る。「不公正な取引方法」はガイドラインの解説に留まる箇所も存在する。したがって、ガイドラインを見つつ読むと、より理解が深まる。記述自体は穏当な通説に沿って書かれており、「経済法」選択で白石説を採らない場合は、これが一番お薦め。執筆者(鈴木孝之・武田邦宣・田村次朗・土田和博・宮井雅明・山部俊文・和久井理子)。全11章。A5判、616頁。(第6版については、評価待ち。) 村上政博『独占禁止法』弘文堂(2022年11月・第10版)……国際標準の競争法へと変貌する日本の独占禁止法の実体ルールおよび手続を、判審決のみで解説した実務型基本書(弘文堂HPより引用)。全4章、全39節。A5判、664頁。他に、後掲の『独占禁止法における事例分析——司法試験経済法過去問の検討と評価』等がある。 白石忠志『独占禁止法』有斐閣(☆2023年11月・第4版)、『独禁法講義』有斐閣(☆2023年2月・第10版)……論旨明快であり、著者の頭脳明晰さを随所に感じることができるが、公取委・判例ベースで答案を書くには使いにくい。下記『独禁法事例集』は、『講義』が薄いこともあり、白石説の理解のためには必須。なお、『講義』は改訂の度に解説や語法の変更も多く、常に最新版を使うことを心がけたい。改訂予定などは、筆者ホームページに記載されている。白石説を採るときの注意点としては、体系の違いもさることながら、「市場支配”的”状態の形成・維持・強化」(白石)・「市場支配力の形成・維持・強化」(通説)などに代表される用語法の違いが挙げられる。白石説を採用しているのにもかかわらず、後者の言い回しを用いていると、印象が悪いので注意(減点されるか、など実際に不利益があるかは噂レベルの話しかないため、明言は避けておく)。もっとも、通説の立場を充分に理解してからであれば、本書を読むことで、より独占禁止法の理解を深めることができるため、白石説を採用しない場合であっても、時間に余裕があれば読むことをお勧めする。体系書『独占禁止法』は、実務家向きの手続やエンフォースメントの解説にページが割かれており、受験生には全くもって不要。序章+全3部、全17章。『講義』は全12章。A5判、908頁・268頁。 泉水文雄・土佐和生・宮井雅明・林秀弥『経済法(LEGAL QUEST)』有斐閣(2015年4月・第2版)……筆者が重なる金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄編『独占禁止法』を選ばずに、こちらを選ぶ理由は特に無いと思われる。強いて言えば、章末にケースが付いていることくらいか。第2版において、公正取引委員会の審判制度廃止といった平成25(2013)年改正等が踏まえられた。序章(独占禁止法とは何か)+全8章。A5判、438頁。 岸井大太郎・大槻文俊・中川晶比兒・川島富士雄・稗貫俊文『経済法——独占禁止法と競争政策(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2022年3・第9版補訂)……判型はアルマなので小さいが、約500頁あり、内容も充実している概説書。判例・通説および公取委の実務運用(ガイドライン)にも沿っているため、必要な知識は本書で概ね得られるだろう。改訂も比較的頻繁になされるので、法改正や重要判例にも対応している。受験対策としては試験委員が執筆陣に入っている金井=川濱=泉水がベストかもしれないが、肌に合わない場合は、本書を試してみてもよいかもしれない。第9版において、CPTPP発効に伴う確約手続の導入、2019年改正による課徴金減免の柔軟化などが織り込まれたほか、最新の審判決例が追加。巨大IT企業に対する規制といった新たな動向にも言及。全8章。四六判、510頁。 菅久修一編著、品川武・伊永大輔・原田郁著『独占禁止法』商事法務(2020年11月・第4版)……元も含む、公正取引委員会の担当者による独占禁止法の概説本。通称”赤本”。公取委の担当者執筆だけあって、実際の運用などについての信頼性は極めて高い。また、事例も多く引用されている。ただし、やや文章がくどく感じられるのが難点か。また、同じ事柄を複数の箇所で説明していることも稀にある。第3版において、平成29年の流通・取引慣行ガイドラインの全面改正や、TPP協定整備法による確約制度の導入など、独占禁止法の最新の実務を解説。全11章。A5判、448頁。(第4版については評価待ち。) 波光巖・栗田誠編『解説 独占禁止法』青林書院(2015年3月)……本書の前身は学部学生向けの解説書として刊行された佐藤一雄ほか編『テキスト独占禁止法(2010年4月・再訂2版)』であるが、今回の改訂を機に、書名を『解説独占禁止法』に改めることとされた。平成25年改正を盛り込んだ最新版。執筆者(松山隆英・横田直和・中出孝典・波光巖・鈴木恭蔵・滝川敏明・栗田誠・鵜瀞惠子)。全11章。A5判、550頁。 泉水文雄『独占禁止法』有斐閣(2022年6月)……A5判、832頁。 谷原修身『独占禁止法要論』中央経済社(2011年2月・新版第3版)……A5判、320頁。 松下満雄『経済法概説』東京大学出版会(2011年6月・第5版)……東大名誉教授。日本の経済法制を、競争政策と産業政策の調和という観点から捉えたテキスト。はしがきによると、今後の改訂はないとのことである。全2部、全12章。A5判、400頁。 川越憲治『独占禁止法 競争社会のフェアネス』きんざい(2010年6月・第4版)……課徴金の適用範囲の拡大、不公正な取引等に対する罰則強化、企業結合規制の見直し、秘密保持義務違反への罰則強化、その他各種ガイドラインに対応。A5判、488頁。その他、『実務経済法講義(実務法律講義)』民事法研究会(2005年8月)がある。なお、著者は、2011年7月に逝去された。 神宮司史彦『経済法20講』勁草書房(2011年5月)……著者は、2013年1月に逝去された。A5判、440頁。 岩本章吾『独占禁止法精義』悠々社(2013年3月)……通産省・公取委勤務を経た著者が、300件の判審決例と学説の分析を通して独禁法を体系化。絶版。A5判、640頁。 【その他参考書】 公正取引委員会事務総局編『独占禁止法関係法令集』『同 コンパクト版』公正取引協会(2015年7月・平成27年版、2019年10月・令和元年版)……「コンパクト版」は、『独占禁止法関係法令集』から主要法令を抜粋収録したもの。令和元年版では、同〔2019〕年6月に成立した「独禁法の一部を改正する法律」による改正内容を織り込んだ新たな独禁法全条文を補遺として収録。本書には独禁法のほか、下請法、景表法、官製談合防止法及び消費税転嫁対策特措法と関連政令・規則を収録。A5判、1300頁・460頁。 村上政博『独占禁止法における事例分析——司法試験経済法過去問の検討と評価』中央経済社(2016年4月)……急速に積み上がった判例の蓄積が、過去10年20問の司法試験経済法論述問題に反映されているとの認識から分析を行う。議論が始まった裁量型課徴金制度などにも言及。A5判、202頁。 【入門書・概説書】 川濵昇・瀬領真悟・泉水文雄・和久井理子『ベーシック経済法 独占禁止法入門(有斐閣アルマBasic)』有斐閣(2020年3月・第5版)……平易に書かれ、ケーススタディを多用している。分量も適当で、読みやすい入門書。高度な内容を考える際に取っ掛かりとなる問題意識も随所にちりばめられており、体系書への橋渡しとしても有効。「不公正な取引方法」についての記述には定評がある。判例・通説で書かれた入門書を探しているなら、お薦めの一冊。第5版において、確約手続の導入、課徴金制度の見直しといった令和元年改正や、各種ガイドラインの創設・改定などに対応。 序章+全7章。四六判、398頁。(第5版については評価待ち。) 土田和博・栗田誠・東條吉純・武田邦宣『条文から学ぶ独占禁止法』有斐閣(☆2024年4月予定・第3版)……我が国の独占禁止法制の全体像をおおまかにとらえ、学習上重要な条文の存在意義を具体的イメージ(重要判例)とともに理解するためのテキスト。概ね条文の並び順に各条文中のキーワード、概念・原則を中心として独占禁止法を逐条で解説。第2版において、確約手続の導入や各種ガイドラインの改訂に対応。序章(独占禁止法の全体像)+全9章。A5判、402頁。 厚谷襄児『独占禁止法入門(日経文庫)』日本経済新聞出版社(2012年1月・第7版)……元公取委事務局長による平易かつ簡潔な入門書。分量も比較的少ないので、最初に読む1冊としてはお薦め。新書判、272頁。 村上政博『独占禁止法-国際標準の競争法へ(岩波新書)』岩波書店(2017年1月・新版)……元公取委勤務経験を持つ研究者によるアカデミックな入門書。日本の独禁法がどのように変わってきたのか、また、どう変えるべきなのかを論ずる。新書判、256頁。 根岸哲・杉浦市郎編『経済法(NJ叢書)』法律文化社(2010年5月・第5版)……執筆者(根岸哲・泉水文雄・杉浦市郎・武田邦宣・泉克幸・土佐和生・瀬領真悟)は、関西経済法研究会のメンバーである。全4章。A5判、328頁。 伊藤真監修、伊藤塾著『経済法(伊藤真実務法律基礎講座6)』弘文堂(2013年1月)……いわゆる「予備校本」であり、当Wikiで取り上げるべきではないと思うが、数少ない「まとめノート」として使えそうな一冊である。もっとも、前書きを読む限り、執筆したのは最近合格した弁護士であり、内容の信頼性にはかなり疑問が残るものの、各類型のガイドライン等が整理されており、必須の定義も比較的網羅されているので、不足分を自ら書き足す気力があるのであれば、直前に見返すまとめノートとして選択肢になりうるのではないか。序章(経済法の意義)+全8章。A5判、176頁。 鈴木加人・大槻文俊・小畑徳彦・林秀弥・屋宮憲夫・大内義三『TXT経済法』法律文化社(2016年5月)……国民経済全体の秩序を形成する「独禁法」が「経済法」の中心ないし基礎であることを前提とし、平成25年改正・27年施行の改正独禁法(審査制度の廃止、排除命令等に係る抗告訴訟の裁判管轄、適正手続の確保)を踏まえ解説。全10章。A5判、312頁。 菅久修一編著『はじめて学ぶ独占禁止法』商事法務(☆2021年3月・第3版)……公正取引委員会の担当者らが、判決・審決、公取委運用実務に基づき解説した入門書。独占禁止法の重要な部分についての基本的な考え方に焦点を当てて記述するとともに、外国の主な競争法の概要も紹介。執筆者(南雅晴・天田弘人・小室尚彦・田邉貴紀・稲熊克紀・五十嵐俊子)。全11章。A5判、224頁。 酒井紀子『独占禁止法入門─基礎知識の修得から実務での活用まで─』民事法研究会(2016年6月)……公正取引委員会審判官である著者が独禁法の理念、基本的な概念をはじめ、要件・効果・論点を網羅的に解説した入門書。全16章。A5判、329頁。 久保成史・田中裕明『独占禁止法講義』中央経済社(2014年3月・第3版)……前講+全15講。A5判、320頁。 田中裕明『要説 独占禁止法 経済法入門』晃洋書房(2017年4月)……A5判、208頁。 公正取引協会編集『独占禁止法ガイドブック-研修用テキスト-』『下請法ガイドブック-同-』『景品表示法ガイドブック-同-』『入札談合と独占禁止法-同-』公正取引協会(2021年7月、2023年7月、2021年7月、2022年9月)……企業内や団体内での研修会・講習会など用テキスト。B5判、80頁・80頁・76頁・72頁。 泉水文雄『経済法入門(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2018年12月)……法学教室の連載に大幅な加筆修正が施され単行本化したもの。序章+全8章。A5判、420頁。 ☆菅久修一『独禁法の授業をはじめます』商事法務(2021年7月)……A5判、256頁。 ☆河谷清文編著、中川寛子・西村暢史著『経済法(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(☆2023年9月)……A5判、254頁。 (古典) 根岸哲・舟田正之・野木村忠邦・来生新『独占禁止法入門(有斐閣新書)』有斐閣(1983年5月)……絶版。新書判、238頁。 今村成和『独占禁止法入門(有斐閣双書)』有斐閣(1993年12月・第4版)……絶版。全7章。四六判、266頁。 谷原修身『独占禁止法の解説』一橋出版(2006年3月・6訂版)……絶版。A5判、112頁。 鵜瀞恵子編『独占禁止法実務の手引き』判例タイムズ社(2006年1月)……絶版。B5判、221頁。 【注釈書・コンメンタール】 村上政博編集代表『条解独占禁止法(条解シリーズ)』弘文堂(2022年2月・第2版)……5大法律事務所と研究者の協働による独占禁止法の逐条解説書。「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」及び「下請代金支払遅延等防止法」の全条文について逐条解説。A5判、1260頁。 根岸哲編『注釈独占禁止法』有斐閣(2009年12月)……独禁法研究者に圧倒的な支持を集める。「補遺」として、平成21(2009)年改正法の解説も収められている。改訂がない分少し内容が古くなりつつあるが、理論面での信頼度は他の追随を許さない。全12章+補遺(平成21年独禁法改正法)。A5判、968頁。 白石忠志・多田敏明編著『論点体系 独占禁止法』第一法規(2021年5月・第2版)……逐条形式で、条・項ごとに問題となる論点を実務的な切り口から取り上げて解説した書。裁判例・審決例に加えて、公取委の企業結合審査事例・相談事例やガイドライン、日頃の法律実務の中で醸成された事実上の留意点を踏まえて詳解。収録情報は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」及び「下請代金支払遅延等防止法」。A5判、856頁。 (古典) 今村成和ほか編『注解経済法 上巻・下巻』青林書院(1985年3月、1985年7月)……絶版。A5判、693頁・697頁。 田中誠二・菊地元一・久保欣哉・福岡博之『コンメンタール独占禁止法』勁草書房(1981年1月)……絶版。A5判、961頁。 菊地元一・佐藤一雄・波光巖・滝川敏明『続コンメンタール独占禁止法』勁草書房(1995年4月)……第1条から第26条を解説した正編に引き続き、「第8章公正取引委員会」以下(第27条以下)の手続法について近時の審判例・学説を織り込みながら逐条解説したもの。絶版。A5判、384頁。 【判例集・ケースブック】 〔判例集〕 金井貴嗣・泉水文雄・武田邦宣編『経済法判例・審決百選』有斐閣(2017年10月・第2版)……初版(2010年4月)から7年振りに全面改訂。133件を収載。初版から大幅な事案の入替えがある。さらに、判例や審決が少ない(若しくはない)分野については、相談事例が追加されている。B5判、276頁。 舟田正之・金井貴嗣・泉水文雄編『経済法判例・審決百選』有斐閣(2010年4月)……「独禁法審決・判例百選」を内容の一新に伴い改題。事案や判旨の引用に不安がある判例・審決例が複数ある。判例集としては『ケースブック独占禁止法』の方が事案や判旨が長く引用されているうえ、取り上げられている件数も多く、よいと思われる。同一の判例・審決例を複数の項目で扱うことがある(同一の筆者になるよう配慮されているようである)ので、見かけの厚さほど収録判例・審決例は多くない(ただし、手続きに関するものなどは、1.2分の1頁に収められているものもある)。142件を収載。B5判、288頁。 白石忠志『独禁法事例集(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2017年12月)……旧著『独禁法事例の勘所』(2010年4月・第2版)のコンセプトを引き継ぎつつ新規事例を40件以上追加したもの。収録件数100件を超す事例を収録。A5判、658頁。 鈴木満・鈴木深雪『経済法-判審決の争点整理』尚学社(2009年7月・第2版)……元公正取引委員会首席審判官が自分の講義の教科書として書いた本。第1部:経済法の解説(概説)、第2部:判審決の争点整理、第3部:適用条項別主要審決(一覧)という構成になっている。第2版は、2009年の独禁法改正を反映しての改訂。B5判、310頁。 泉水文雄・長澤哲也編『実務に効く 公正取引審決判例精選』有斐閣(2014年7月)……元試験委員と、実務家が編集した判例集。実務家が中心に執筆しており、分野毎に審決例が整理されている。もっとも、他の『精選』シリーズ同様、タイトルからも分かるように実務向けの一冊であり、司法試験には向いていないと思われる。B5判、248頁。 鈴木孝之・河谷清文『事例で学ぶ独占禁止法』有斐閣(2017年5月)……具体的な事例(裁判例・公取委事例に加え、ガイドラインや報告書等も広く扱う)を素材としたテキスト。補遺(「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」改正への対応)あり。全6部、全24章。A5判、584頁。 公正取引委員会事務総局編『公正取引委員会審決集(第1巻-第65巻)』公正取引協会(1970年月-2020年2月)……本書(第65巻)は、平成30年4月から平成31年3月までに出された、公正取引委員会の審決・決定・排除措置命令及び課徴金納付命令に加え、裁判所の判決・決定を全件かつ全文収録されている。第1分冊・第2分冊の2分冊。A5判、頁。 (古典) 白石忠志『事例教材独禁法』商事法務(2007年10月)……白石による唯一の、そして経済法分野における数少ない演習書…かと思いきや、平成21年改正に対応していないため、やはり現在は使えない一冊。白石自身もこれに言及することもない(ホームページの改訂予定にも記載はない)。絶版。A5判、189頁。 〔ケースブック〕 金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄編『ケースブック独占禁止法』弘文堂(2019年6月・第4版)……判例百選よりも判旨の引用が多く、事実認定のトレーニングにも使用できる。また、判例集としても百選より使い勝手が良い…が、選択科目にここまで分厚い判例集が必要かと言われればやや疑問。もっとも、経済法の試験は過去の事案をそのまま引き写したかのような出題も多く、いかなる事案にいかなる条文を適用したか、ということを知っておくことは必須である(特に不公正な取引方法。また、私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法の複数が適用可能な事案も多く、それについて公正取引委員会がどのような当てはめをしたかを知っておくことも極めて重要である。)ため、ここまでおさえておくことが望ましいといえば望ましい。第4版は、第3版刊行(2013年4月)以降の重要判例が追加される一方、使いやすさが考慮された結果、ページ数(約80頁)を大幅に減らしコンパクトに。執筆者(河谷清文・瀬領真悟・武田邦宣・中川寛子・平山賢太郎・宮井雅明)。全9章。A5判、560頁。 【演習書】 土田和博・岡田外司博編『演習ノート 経済法』法学書院(2014年10月・第2版)……数少ない演習書。法学教室に連載されていた「演習」10問とあわせて利用したい。第2版において、2009(平成21)年の排除型私的独占・優越的地位の濫用等に対する課徴金制度の導入、2013(平成25)年の審判制度の廃止という二度にわたる独占禁止法の改正を受け、また、この間、2010(平成22)年12 月のNTT 東日本事件、2012(平成24)年2月の多摩談合事件という排除型私的独占と不当な取引制限に関する基本的な最高裁判決が下されるに及んで、これらの内容を取り込んだ形で問題等の見直しが行われ、大幅な内容の改訂が施された。66件を扱う。A5判、224頁。 川濱昇・武田邦宣・和久井理子編著『論点解析 経済法』商事法務(2016年10月・第2版)……経済法受験生待望の(?)新法対応演習書。司法試験問題を含む、長文事例を提示し、それに関わる独禁法上の問題点を回答させる形。全分野を網羅しているうえ、今まで明確な形で十分に示されているとは言い難かった、具体的な概念の使い方・あてはめ方が示されている。ただし、解説というより、答案例に近いものが各問題6頁程度付けられているのみで、独習には向いていないとの評価も可能。その記述がどういう意味を持つか、勉強会などを開いて複数人で検討することが望ましいのではなかろうか。編著者からも分かるように、体系は金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄編『独占禁止法』に近い。繰り返しになるが、網羅性は高いので、この一冊を潰せば独禁法について穴はなくなると思われる。初版(2014年10月)は、A5判、288頁であった。第2版の刊行にあたり、学生が理解しにくいポイント等を踏まえて解説を書き改め、さらにわかりやすいように解説。問題文も一部改訂するとともに、新たな問題も追加された。第2版において、Ⅰ 共同行為が1問増え、Ⅰ 共同行為:12問、Ⅱ 企業結合:4問、Ⅲ 私的独占・不公正な取引方法:12問の合計28の演習用事例を収める。執筆者(池田千鶴・河谷清文・中川晶比兒・中川寛子・西村暢史・林秀弥)。A5判、316頁。(第2版については評価待ち。) 大久保直樹・伊永大輔・滝澤紗矢子編著『ケーススタディ経済法』有斐閣(2015年4月)……研究者と実務家がタッグを組んだ演習書。A5判、324頁。 (参考:法学教室における演習経済法) 武田邦宣『法学教室 2006年5月号(No.308) 演習 経済法』、『同 2007年5月号(No.320) 同』有斐閣(2006年4月、2007年4月)…… 河谷清文『法学教室 2006年7月号(No.310) 演習 経済法』、『同 2007年7月号(No.322) 同』、『同 2008年1月号(No.328) 同』有斐閣(2006年6月、2007年6月、2007年12月)…… 和久井理子『法学教室 2006年9月号(No.312) 演習 経済法』、『同 2007年1月号(No.316) 同』、『同 2007年9月号(No.324) 同』有斐閣(2006年8月、2006年12月、2007年9月)…… 中川寛子『法学教室 2006年11月号(No.314) 演習 経済法』、『同 2007年3月号(No.318) 同』、『同 2007年11月号(No.326) 同』有斐閣(2006年10月、2007年2月、2007年10月)…… → このページのトップ:経済法に戻る。
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犯罪(はんざい、英語 Crime)とは、一般には、法によって禁じられ刑罰が科される根拠となる事実・行為をいうが、それぞれの学問分野においては、より実質的な定義がなされることもある。犯罪について帰責され刑罰の対象となる者は、犯罪者(犯人、英語 Criminals)と呼ばれる。 主体による分類 少年犯罪 女性犯罪(女子犯罪) 外国人犯罪 組織犯罪 企業犯罪 精神障害者犯罪 常習者犯罪 客体及び行為態様による分類 高齢者虐待 児童虐待 行為者の心理による分類 愉快犯 模倣犯 確信犯 過失犯 状況、手段、社会的背景による分類 郊外型犯罪 都市型犯罪 交通犯罪 サイバー犯罪 企業犯罪 法律に定められた行為類型による分類 殺人 監禁 誘拐 窃盗 詐欺 薬物犯罪 罪刑法定主義が前提とされている社会においては、何が犯罪とされているかは刑法などの法典に明示されており、何らかの非行や逸脱行為、反社会的行為の類がただちに刑法上の犯罪とされることはない。法典の文言は一般の国民にとって難解で、しばしばその限界が問題になるため、法解釈学の一つとして刑法学が発展してきた。 また、事実としての犯罪の現象と原因、予防方法を研究する学問の分野を広義の犯罪学という。うち、犯罪の現象と原因を研究する学問の分野を狭義の犯罪学という。詳細は犯罪学を参照。 犯罪者に対する取り扱いや政策の問題を取り扱った学問の分野を刑事政策という。刑事学と呼ばれることもあるが、刑事学という用語はより広範な意味で用いられることもある。 日本を含む多くの国では、罪刑法定主義が原則とされており、刑法など法典に規定がない行為については犯罪とされない。 刑法学においての犯罪は、ドイツの刑法理論を継受する国(日本など)においては、構成要件に該当する違法かつ有責な行為と定義される(行為かどうかは構成要件の問題とする見解が多いので、その意味ではこの表現はあまり正確でないとも言える)。構成要件、違法性、責任のそれぞれについて、理論的な対立がある。各項目を参照のこと。 刑法上の犯罪かどうかは、日本の通説によると以下のような枠組みで判断される。 構成要件該当性 [編集] 第一に問責対象となる事実について構成要件該当性(充足性とも)が必要である。構成要件とは、刑法各論や特別刑法に規定された行為類型である。端的に言えば、犯罪のパターンとして規定されている内容に行為が合致するかどうか、が構成要件該当性の問題である。 行為でないものはおよそ犯罪たり得ないのであり、行為性は犯罪であるための第一の要件であるとも言える。行為性を構成要件該当性の前提となる要件として把握する見解もある。行為の意味についてはさまざまな見解が対立している(行為論)。行為でないものとしてコンセンサスのある例としては、人の身分(魔女など)や心理状態(一定の思想など)などがある(歴史的にはこれらが犯罪とされてきたことがある。)。犯罪が行為でなければならないということは、これらのものはおよそ犯罪たり得ないことを意味する。なお、行為とは作為だけでなく不作為を含む概念である。 また、主体は自然人でなければならないとされる。法人は犯罪の主体とならないとするのが通説である(但し、法の規定により処罰の対象とはなりうる。「両罰規定」を参照)。また、ヒト以外の生物も犯罪の主体たりえない(歴史的にはなり得るとする法制もあった)。 問責対象となる事実(行為態様、因果経過、結果、行為時の状況、心理状態など)が構成要件に該当するものでなくてはならない。各構成要件はそれぞれ固有の行為、結果、因果関係、行為主体、状況、心理状態などのメルクマール(構成要件要素)を備えており、問責対象となる事実がこれらの全てに該当して初めて構成要件該当性が肯定されるのである。なお、構成要件には基本的構成要件(直接の処罰規定があるもの)と修正された構成要件(未遂犯や共犯など)があるとされる。
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1.不当な取引制限とは 独占禁止法の本丸の部分ですよー。 独占禁止法2条6項 この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。 独禁法2条六項に定義が記されており、これを行うと独禁法第3条違反となる。このような定義規定を用意している法律は珍しい。 この定義規定は細かくbreak-downしていくことができる。 なぜこのような定義規定が必要なのか? →条文が極めて漠然としているので。でも、アメリカではそんな事してないけどね。<アメリカは判例法主義の国だから。アメリカから戦後押しつけられた(?)規定を日本的な法体系下でどうにか運用できるよう、このような詳細な定義規定が設けられた。 この条文のうち前半3行ぐらいはカルテルについて説明を行っている。 また、後半の「相互にその事業活動を拘束し、又は遂行すること」という部分は独禁法を考えていく上で中々面白い箇所なのでしっかりチェックをしておくこと。 上記条文を見て分かるとおり、独禁法は生き蠢くカルテルを縛り上げる法律である。文言そのものは「死んでいる」けれども、その裏には生きた経済学がある。試験では経済学の知識は問わないが、縦割りの世界から逃げ出したいのであれば、しっかり自分の専門分野以外の勉強もしておかないとダメよ。 第3条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。 なぜ「不当な」があるのか? 民法上の契約とは、そもそも取引行為の中に当事者同士で一定程度制限を盛り込むこと。 だから、取引制限全般を禁じてしまってはおかしなことになってしまう。 ちなみにアメリカではこの文言も削られているんですよ。アメリカでの「不当な取引制限」は必ずしもカルテルだけを指さないんです。これをカルテルに限っている日本の独禁法は一番重要なところで抜けている感じがするよね。相変わらずダメだね。あんま言い過ぎると学会から追放されちゃうからやめますけどw 2.違反するとどうなるのか ①排除措置独禁法第7条 ②課徴金独禁法第7条の2*大企業と中小企業でちょっと異なる。 ③刑事罰 違反行為者だけでなく、法人そのものにもとんでもない額の罰金が科される。
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共同の取引拒絶につき不公正な取引方法に当たらないとして独禁法24条の差止請求を認めなかった事例 主 文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事 実 及 び 理 由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人関西国際空港新聞販売株式会社は,関西国際空港島の売店に対する新聞(朝日新聞,毎日新聞,読売新聞,産経新聞及び日本経済新聞)の販売及び関西国際空港島における航空会社に対する旅客機搭載用の新聞(朝日新聞,毎日新聞,読売新聞,産経新聞及び日本経済新聞)の販売をいずれも中止せよ。 3(1) 被控訴人株式会社新販は,関西国際空港島における朝日新聞の販売のための控訴人からの新聞卸売取引の申込みを拒絶してはならない。 (2) 被控訴人株式会社大読社は,関西国際空港島における読売新聞の販売のための控訴人からの新聞卸売取引の申込みを拒絶してはならない。 (3) 被控訴人関西地区新聞即売株式会社は,関西国際空港島における産経新聞の販売のための控訴人からの新聞卸売取引の申込みを拒絶してはならない。 (4) 被控訴人株式会社近販は,関西国際空港島における毎日新聞の販売のための控訴人からの新聞卸売取引の申込みを拒絶してはならない。 (5) 被控訴人日経大阪即売株式会社は,関西国際空港島における日本経済新聞の販売のための控訴人からの新聞卸売取引の申込みを拒絶してはならない。 4 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,新聞の販売等を目的として設立された株式会社である控訴人が,①被控訴人関西国際空港新聞販売株式会社(以下「被控訴人関空販社」という。)は,その余の被控訴人ら(なお,被控訴人日経大阪即売株式会社(以下「被控訴人日経大阪即売」という。)においては,A社)による共同取引拒絶(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)19 条,不公正な取引方法(昭和57年6月18日公正取引委員会告示第15号)(以下「一般指定」という。)1項)に加功したものであると主張して,被控訴人関空販社に対し,独禁法24条の差止請求権に基づいて,関西国際空港島(以下「空港島」という。)の売店に対する新聞(朝日新聞,毎日新聞,読売新聞,産経新聞及び日本経済新聞。以下「全国紙」 という。)の販売及び空港島における航空会社に対する旅客機搭載用の全国紙の販売の中止を,②被控訴人関空販社を除く被控訴人ら(被控訴人日経大阪即売においては,A社)は,控訴人の平成6年1月28日付け書面による全国紙の卸売取引の申込みに対し,正当な理由がないのに共同して取引を拒絶した(独禁法19条,一般指定1項)と主張して,被控訴人関空販社を除く被控訴人らに対し,独禁法24条の差止請求権に基づいて,空港島における全国紙の販売のための控訴人からの新聞卸売取引の申込拒絶の差止めを,それぞれ求めた事案である。 2 原審は,①被控訴人関空販社が被控訴人関空販社,同日経大阪即売を除く被控訴人ら及びA社と競争関係になかったから,共同の取引拒絶は成立しないとし,また,②被控訴人日経大阪即売が,控訴人が主張する共同の取引拒絶があったという日以後に設立されたことから,共同の取引拒絶を行っていないことは明らかであるとし,さらに③控訴人には,差止請求が認められるための要件である「著しい損害」の発生が認められないとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。 3 控訴人は,原判決を不服として控訴した。 なお,被控訴人関空販社,同大読社及び同近販は,原審において,控訴人に原告適格がなく,訴えの利益がない旨主張していたが,上記被控訴人らは,平成17年1月20日の当審第1回口頭弁論期日において,この主張をいずれも撤回した。 4 争いがないか,証拠上明らかな事実 (1) 当事者等 ア 控訴人は,新聞の販売等を目的として平成2年6月20日に設立された株式会社であり,発行済株式の総数は1040株,資本の額は5200万円である(甲3)。 イ 被控訴人関空販社は,平成5年10月8日,空港島内における航空機登載の新聞,雑誌の販売,空港島内における売店での即売の新聞,雑誌の販売等を目的として設立された株式会社であり,発行済株式総数は2000株,資本の額は1億円である(甲1の1・2)。 ウ 被控訴人株式会社新販(以下「被控訴人新販」という。)は,主として西日本地区において,日刊新聞及びその他の新聞・出版物等の卸売及び小売等を目的として昭和36年9月19日に設立された株式会社であり,発行済株式の総数は8万株,資本の額は4000万円である(甲2の1)。 被控訴人新販は,株式会社朝日新聞社の系列即売会社である。 エ 被控訴人株式会社大読社(以下「被控訴人大読社」という。)は,新聞の即売等を目的として昭和48年7月2日に設立された株式会社であり,発行済株式の総数は2万株,資本の額は1000万円である(甲2の2)。 被控訴人大読社は,株式会社読売新聞大阪本社の系列の大手即売業者である。 オ 被控訴人関西地区新聞即売株式会社(以下「被控訴人関西即売」という。)は,新聞及び出版物の販売等を目的として昭和36年9月1日に設立された株式会社であり,発行済株式の総数は8000株,資本の額は1000万円である(甲2の3)。 被控訴人関西即売は,株式会社産業経済新聞社大阪本社発行分の産経新聞について,同社から直接に新聞の卸売を受けている唯一の即売会社である。 カ 被控訴人株式会社近販(以下「被控訴人近販」という。)は,毎日新聞大阪本社管内(近畿,中国,四国,北陸)において全国諸新聞及び諸刊行物の即売等を目的として昭和36年10月25日に設立された株式会社であり,発行済株式の総数は2万4000株,資本の額は1200万円である(甲2の5)。 被控訴人近販は,株式会社毎日新聞社系列の大手即売業者である。 キ(ア) A社は,昭和63年1月21日に設立された,新聞及び刊行物の購読の取次及び販売促進事業等を目的とする株式会社であり,発行済株式の総数は1000株,資本の額は5000万円である(甲2の4)。A社は,被控訴人日経大阪即売設立に伴い,A社が行っていた新聞卸売事業を同被控訴人に移管した(弁論の全趣旨)。 (イ) 被控訴人日経大阪即売は,新聞,書籍及び出版物の販売等を目的として平成10年9月22日に設立された株式会社であり,発行済株式の総数は600株,資本の額は3000万円である(甲2の6)。 被控訴人日経大阪即売は,株式会社日本経済新聞社の系列の大手即売業者である。 被控訴人日経大阪即売は,上記のとおり,A社から,新聞卸売事業の移管を受けるとともに,平成10年10月1日,被控訴人関空販社の株式400株を2000万円(1株当たり5万円)で買い受けた(乙オ1)。 (2) 京阪神地区における新聞の流通経路等 新聞の流通経路には,大きく分けて実配と即売がある。 実配とは,各地に存在する新聞販売店が顧客(一般家庭,会社等の月極購読者)に戸別配達によって販売するルートである。 即売とは,駅及び空港の売店並びにコンビニエンスストア等を通じて不特定の顧客に販売されるルートである。航空機搭載用の新聞を航空会社及びケータリング会社(新聞販売業者から新聞を仕入れてこれを外国の航空会社に販売する中間業者)に販売する場合は,即売に含まれる。 京阪神地区において,即売ルートで流通する全国紙のほとんどすべてが,被控訴人関空販社を除く被控訴人らを経由して流通している(ただし,日本経済新聞については,平成6年当時,被控訴人日経大阪即売ではなくA社を経由していた。)。なお,新聞の即売については,被控訴人らが直接売店等に販売する場合と,被控訴人らが別の即売業者に販売し,その即売業者が売店等に販売する場合があり,後者においては,売店等に販売されるまでに複数の即売業者が介在する場合もある。 (3) 被控訴人関空販社の設立及びその活動等 被控訴人関空販社は,平成5年10月8日,被控訴人関空販社,同日経大阪即売を除く被控訴人ら及びA社(以下「卸売5社」という。)がそれぞれ400株を引き受けて(発行済株式総数2000株,資本金1億円。),空港島内における航空機搭載の新聞,雑誌の販売,空港島内における売店での即売の新聞,雑誌の販売等を目的(空港島における販売窓口一本化)として設立された株式会社であり(甲1の1・2),設立当初,卸売5社から全国紙を一手に仕入れ,これを空港島内の売店や航空会社等に販売するという機能を有していた。 もっとも,被控訴人関空販社は,平成8年6月25日,上記目的を,①空港島内における航空機搭載の新聞(全国紙)の仕訳,包装,配送,代金回収業務の受託と雑誌,スポーツ紙,夕刊紙,その他新聞の販売,②空港島内における売店での新聞(全国紙)の配置,配送,代金回収業務の受託と雑誌スポーツ紙,夕刊紙,競馬専門誌,その他新聞の販売等と競馬専門誌,その他新聞の販売等とする定款変更をした(平成8年7月10日登記)(甲4)。その詳細は後記のとおりである。 なお,被控訴人らは,上記定款変更後,被控訴人関空販社が空港島で全国紙の販売をしていないと主張している。 (4) 本件各取引拒絶 控訴人は,卸売5社に対し,それぞれ,平成6年1月28日付けの書面によって,空港島内において新聞の仕入・販売をしたいとして,新聞の卸売取引を申し込んだ(以下,総称して「本件各取引申込み」という。)。 これに対し,卸売5社は,平成6年2月7日から同年3月10日にかけて,それぞれ,次のような理由を示して,控訴人からの本件各取引申込みに対し応じることをしなかった(以下,「本件各取引拒絶」という。)(甲6~10の各2)。 ア 被控訴人新販は,「弊社では,同空港内(関西国際空港の意味)での新聞販売につきましては,関西国際空港新聞販売株式会社を通して取り引きすることにしています。」との理由を示した。 イ 被控訴人大読社は,「その他の新聞(実配を除く意味)取扱いにつきましては,配送経費を含む諸経費や効率面を考慮し,関西国際空港新聞販売㈱と契約いたしております。従って,関西国際空港新聞販売㈱を窓口といたしたく存じます。」との理由を示した。 ウ 被控訴人関西即売は,「当社は,既に関西国際空港島内での新聞販売につきましては,「関西国際空港新聞販売株式会社」と取引契約を交わす事に決定しております。」との理由を示した。 エ 被控訴人近販は,「当社といたしましては,関西国際空港島内で弊社が取り扱う新聞,雑誌については,すべて関西国際空港新聞販売株式会社を窓口といたします。」との理由を示した。 オ A社は,「島内における搭載紙及び売店への即売につきましては,ユーザーへの安定供給と徹底した合理化の見地から設立されました「関西国際空港新聞販売株式会社」と取引することになっております。」との理由を示した。 (5) 控訴人から公正取引委員会への報告等 ア 控訴人は,平成6年6月8日,公正取引委員会に対して,被控訴人関空販社及び卸売5社が独禁法違反行為をしていると報告し,その差止めを求めた(以下「本件報告等」という。)(甲5)。 イ 被控訴人関空販社は,平成8年6月25日開催の株主総会において,同社の定款中,目的を次のとおり変更する旨を決議した(以下「本件定款変更」という。)(甲1の1,2,4)。 (ア) 「関西国際空港島内における航空機搭載の新聞,雑誌の販売」を,「関西国際空港島内における航空機搭載の新聞(全国紙)の仕訳,包装,配送,代金回収業務の受託と雑誌,スポーツ紙,夕刊紙,その他新聞の販売」と変更する。 (イ) 「関西国際空港島内における売店での即売の新聞,雑誌の販売」を,「関西国際空港島内における売店での新聞(全国紙)の配置,配送,代金回収業務の受託と雑誌,スポーツ紙,夕刊紙,競馬専門紙,その他新聞の販売」と変更する。 (ウ) 「関西国際空港島内における事業所,ホテル等への新聞,雑誌の販売業務の受託」を,「関西国際空港島内における事業所,ホテル等への新聞,雑誌の配達業務の受託」と変更する。 ウ 卸売5社は,平成8年10月30日,公正取引委員会(事務総局近畿中国四国事務所)に対し,本件定款変更の事実及び「卸売5社が,今後空港島内においては各社それぞれに新聞販売事業を行うことを確認した」旨などを記載した報告書を提出した(甲4)。 エ 公正取引委員会は,平成8年12月25日付けの書面によって,控訴人に対し,本件報告等の件について調査した結果,独禁法上の措置は採らなかったが,独禁法違反につながるおそれのある行為がみられたので,独禁法違反の未然防止を図る観点から関係人に注意した旨を通知した(甲5)。 5 争点 (1) 被控訴人関空販社についての共同取引拒絶の成否(争点1) (2) 被控訴人関空販社を除く被控訴人らによる本件各取引拒絶についての共同の有無(争点2) (3) 本件各取引拒絶の違法性の有無(争点3) (4) 著しい損害の有無(争点4) 6 争点に対する当事者の主張 (1) 争点1(被控訴人関空販社についての共同取引拒絶の成否)について (控訴人の主張) ア 卸売5社は,被控訴人関空販社を空港島における全国紙の唯一の一手取扱業者とする方法によって,空港島における全国紙の取引を事実上被控訴人関空販社に独占させた。この独占の利益は,被控訴人関空販社の共同設立者である卸売5社に環流することや被控訴人関空販社の設立の趣旨,役員構成及び運営の実情に照らせば,被控訴人関空販社の取引は,卸売5社の取引と同一視すべきものである。そして,そのために,控訴人は,全国紙を卸売5社から仕入れることができなくなったものである。 卸売5社は,単純に共同して控訴人に対して卸売を拒絶したのではなく,空港島では被控訴人関空販社を通じてのみ取引をし,被控訴人関空販社は空港島での販売市場独占の利益を収めるという態様で卸売を拒絶したものである。すなわち,被控訴人関空販社の存在と協働によってのみ,被控訴人らの共同取引拒絶の実効性が確保されるといえる。 したがって,被控訴人関空販社も,卸売5社と共同して取引を拒絶したものである(一般指定1項)といえる。 イ 被控訴人関空販社は,空港島において,全国紙を独占的に販売している。すなわち,空港島における全国紙の販売市場においては,私的独占が行われている。 独禁法24条は,独禁法が目的とする公正自由な市場を維持する責任を私人にも分担させることにより,より一層独禁法違反を抑止するために,不公正な取引方法の差止めを認めている。ここにいう「不公正な取引方法」とは,結果としてある市場において私的独占状態を形成又は維持するために,事業者等が行う行為であるところ,空港島においては,既に被控訴人関空販社が全国紙の販売に対する私的独占を完了しているから,控訴人は,その差止め(具体的には被控訴人関空販社による全国紙の販売の差止め)を求めることができると解すべきである。 (被控訴人関空販社の主張) ア 被控訴人関空販社は,控訴人に対して,卸売5社と共同して取引を拒絶したことはない。 イ 被控訴人関空販社は,卸売5社とは別個独立の事業者であり,同被控訴人を除く被控訴人らが被控訴人関空販社の株主であるからといって,同被控訴人の取引が,卸売5社の取引と同一視されるべきいわれはない。 ウ 共同取引拒絶(一般指定1項)は,「自己と競争関係にある他の事業者」との共同を要件としているところ,被控訴人関空販社は,全国紙の卸売事業を行っておらず,卸売5社と何ら競争関係にない。 したがって,被控訴人関空販社について,卸売5社との共同取引拒絶は成立し得ない。 (2) 争点2(被控訴人関空販社を除く被控訴人らによる本件各取引拒絶についての共同の有無)について (控訴人の主張) ア 被控訴人関空販社を除く被控訴人らは,共同して本件各取引拒絶を行った。 なお,控訴人は,平成6年7月19日,卸売5社に対し,卸売5社が揃った共同の場で,取引の申込みを行ったところ,卸売5社はいずれもこれを拒絶した(当審における新主張)。 イ 被控訴人日経大阪即売は,A社を引き継いで日本経済新聞を一手に販売するために設立された会社であり,実質的な経営には何らの変更もなされていないのであるから,A社がなした控訴人との取引拒絶の方針を引き継いでいるものであり,本件差止請求の相手方たる地位を引き継いだものとして,差止請求を受ける適格がある。単に被控訴人日経大阪即売が本件各取引拒絶後に設立されたことの故をもって,同被控訴人に対する差止請求を棄却した原判決は重大な事実誤認である(当審における新主張)。 (被控訴人関空販社を除く被控訴人らの主張) いずれも否認する。 (3) 争点3(本件各取引拒絶の違法性の有無)について (控訴人の主張) ア 公正競争阻害性 (ア) 控訴人は,被控訴人らが後記に主張するとおり,被控訴人関空販社を除く被控訴人ら(ただし,平成6年当時は,日本経済新聞については,被控訴人日経大阪即売ではなくA社。以下,総称して「被控訴人卸売会社ら」という。)から全国紙を仕入れることができなくても,多寡を問わなければ,他の業者から全国紙を仕入れることができるし,また,B社から全国紙を仕入れて,空港島で全国紙を販売している。 ただし,B社からの仕入れはいつ止まるか分からない。また,朝日新聞,読売新聞,産経新聞及び毎日新聞の泉州版については,被控訴人卸売会社ら以外の即売業者から仕入れることができていない。 (イ) 被控訴人卸売会社ら以外の即売業者から新聞を仕入れると,被控訴人卸売会社らから直接仕入れるよりも原価が5パーセント割高となるため,本件各取引拒絶によって,控訴人の利益が少なくなる。 イ 本件各取引拒絶の継続 被控訴人関空販社は,現在も,従前どおりの新聞販売行為を継続している。 (被控訴人らの主張) ア 公正競争阻害性 控訴人は,被控訴人卸売会社らから全国紙を仕入れることができなくても,被控訴人卸売会社らから新聞を仕入れる他の即売業者から新聞を容易に仕入れることができる。現に,控訴人は,B社から全国紙を仕入れて空港島において,航空会社,売店あるいはラウンジ等で全国紙を販売しているのであるから,仮に,共同の取引拒絶があったとしても,公正競争阻害性はない。 イ 本件各取引拒絶の効果の消滅 (ア) 被控訴人関空販社は,本件定款変更以降,空港島における新聞販売業務を行っていない。被控訴人卸売会社らが,自ら,空港島における販売活動,営業活動を行っている。 被控訴人関空販社の第7期(平成11年4月1日から平成12年3月31日まで)の「決算報告書」(甲13号証)中の損益計算書には,純売上高として,「新聞売上高(1)」「新聞売上高(2)」といった科目が計上されているが,「新聞売上高(1)」とは,全国紙の朝夕刊についてのものであり,「新聞売上高(2)」とは,スポーツ紙,英字紙,夕刊専門誌,競馬紙についてのものである。 被控訴人関空販社は,平成8年7月以降,全国紙の新聞販売業務をやめ,卸売5社から全国紙の配送及び代金回収等についての業務を受託することとなったが,取引先からは,新聞代金の請求については,卸売5社から個別に行うのではなく,従来どおり被控訴人関空販社名義で一括して行われたい旨の強い要請を受けた。また,同被控訴人としても,新聞代金の請求を卸売5社から個別に行うこととすると,従来の販売先及び仕入先に対する経理処理をコンピューターシステムを含め一括して変更する必要があったが,それを行うとすれば人的あるいはコスト的に過大な負担が見込まれ,その実施余力に乏しかった。 しかし,被控訴人関空販社の決算上,少なくとも受託業務分とそれ以外の新聞の売上げとを明確に区別しておく必要があると考えられたことから,第5期(平成9年4月1日から平成10年3月31日まで)決算から,損益計算書上,受託業務分については「新聞売上高(1)」「新聞仕入高(1)」として,それ以外の新聞については「新聞売上高(2)」「新聞仕入高(2)」として計上することとした。 その後,平成13年10月に経理処理を含むコンピューターシステムソフトのリース期間が満了し,平成14年1月から新システムが本格稼働を始め,事務処理の負担が相当軽減されることとなり,同年6月には社長が交代したことなどもあって,平成15年4月に経理処理を変更し,受託業務については受託料収入として計上することとなった。 (イ) 仮に本件各取引拒絶が共同取引拒絶であるとしても,上記のとおり,被控訴人関空販社は,本件定款変更によって,全国紙の仕訳,包装,配送等の受託業務を行っているにすぎないから,既に共同取引拒絶の効果は消滅している。 (4) 争点4(著しい損害の有無)について (控訴人の主張) ア 本件各取引拒絶がなければ,控訴人は,被控訴人卸売会社らから定価の70パーセントの価格で全国紙を仕入れることができるのに,本件各取引拒絶によって,定価の75パーセントの価格で全国紙を仕入れざるを得なくなっている。したがって,本件各取引拒絶によって,5パーセントのマージンを得ることができなくなっている。 上記損害(得べかりしマージン)の額は,平成7年3月期から平成15年3月期までの間で合計6915万0650円である。 イ 本件各取引拒絶がなければ,控訴人は,空港島の新聞販売市場において,50パーセントのシェアを占めることができたはずであるが,本件各取引拒絶がされたために,売店等に対する販売については3.8パーセント,航空会社に対する販売については9.09パーセントのシェアを占めるにとどまっている。 上記損害(控訴人が50パーセントのシェアを占めて得るはずであった利益)の額は,平成6年9月から平成15年3月期までの間で合計2億1841万9500円である。 ウ 控訴人は,本件各取引拒絶によって,次のとおりの損害を被っている。 (ア) 全国紙(日本経済新聞を除く。)泉州版(以下「泉州版」という。)の仕入れに関わる損害1796万8000円 控訴人は,平成6年から現在までの間,泉州版を駅売店等で購入して取引先へ販売している。本件各取引拒絶がなければ,定価の70パーセントの代金で仕入れることができるから,その差額が損害となる。 また,アルバイト等仕入れのための経費も損害となる。 (イ) 事務所経費3360万円 控訴人は,平成6年から平成9年9月までの間,空港島で新聞を販売するため,会社事務所を大阪府泉佐野市内に開設し,従業員を3名余分に雇用していた(3名分の給料及び事務所賃借料)。 エ 当審における主張 (ア) 「著しい損害」の判断については,相手方の違法性の程度・態様,相手方の差止めによって被る損害の程度,差止請求者が被っている損害及びその程度を比較考量して判断すべきである。 すなわち,卸売5社が共同取引拒絶を行っていることに対し,公正取引委員会は,平成8年12月25日付けの書面で,控訴人に対し,調査の結果,独禁法違反の措置は採らなかったが,独禁法違反につながる虞がある行為がみられたので,独禁法違反の未然防止を図る観点から関係人に注意した旨通知してきた。 しかしながら,被控訴人らは,同年6月25日開催の株主総会において,被控訴人関空販社の定款中会社の目的を「全国紙の販売」から「全国紙の仕訳,包装,配送,代金回収業務」に変更したにもかかわらず,被控訴人関空販社は,その後も全国紙の販売を継続しており,これは,公正取引委員会を欺く行為である。 (イ) 次に,控訴人が求める本件差止請求が認められたとしても卸売5社には何らの不都合も生じない。 さらに,控訴人は,本件各共同取引拒絶によって,常に納入打ち切りの不安をかかえたままであり,販路の拡大はおろか販路の維持さえ危うい状況にある。原判決や被控訴人らは,控訴人がB社から現に全国紙を仕入れているというが,B社は,控訴人に全国紙を売却していることを理由に,卸売5社から仕入れストップの圧力を受けており,いつ卸売5社がB社に全国紙の卸売を中止するか予断を許さない。このことは,控訴人が搭載紙の受注・数量調整及び梱包・荷分けなどの作業を行っているビルの所有権が平成14年9月30日に被控訴人新販に移転され,B社の発行済み株式600株のうち120株(40パーセント)を被控訴人新販が取得した上,同被控訴人の代表取締役が平成14年10月4日にB社の取締役に,同被控訴人の取締 役2名が平成16年4月30日にB社の取締役にそれぞれ就任しており,現在では,B社の取締役4名のうち3名が被控訴人新販の役員で占められていることからも十分予測できる。このように,控訴人は,空港島内における全国紙の販売については,いわゆる「ジリ貧」の状況に追い込まれている。 原判決は,控訴人が被っている損害について,控訴人が現在,空港島での全国紙の販売により5パーセントのマージンを得ていることを理由に「著しい損害」に当たらないというが,控訴人が被っているのは,卸売5社から仕入れることができれば,得られるはずの10パーセントのマージンがB社からしか仕入れることができないため,5パーセントのマージンしか得ることができないので,実に得べかりし利益の半分を失っているのであり,たとえその額が少なくとも,控訴人にとっては「著しい損害」であり,零細企業である控訴人にとっては死活問題である。 (ウ) 本件における著しい損害のポイントは,①控訴人の空港島における市場参入時期,②控訴人と被控訴人らとが公正な条件の下で競争できたかである。 ①については,控訴人は,関空開港前から会社を設立し,関空島での市場参入を狙い,関空対岸臨空島において営業活動を行ってきた。すなわち,控訴人は,将来の業容展開において十分の発展の可能性を期待できる時期に市場に参入したのである。 ②については,控訴人は,関空開港当時から約3年間,被控訴人らの取引拒絶により,空港島における新聞販売部数を十分に確保することはできず,公平公正な条件の下での競争を行うことができなかった。 上記①②により,控訴人は,実質的に「著しい損害」を被った。 (エ) 控訴人が被った損害(逸失利益)は,1億9656万円となる(全国紙一部定価を130円とし,定価の70パーセントで仕入れ,定価の80パーセントで販売したとすると粗利が13円である。そして,販売シェアを50パーセントとするとし(被控訴人関空販社に取り込まれている部数が1か月あたり13万5000部),侵害期間を平成6年9月から平成16年12月までの112か月であるとして計算すると,13円×13万5000部×112か月=1億9656万円となる。)。 (被控訴人関空販社,同大読社,同関西即売及び同近販の主張) 否認ないし争う。 控訴人が被控訴人らの独禁法違反行為によって侵害されたと主張している空港島における新聞販売等の業務は,実質的にはB社が遂行しているものであって,控訴人に「著しい損害」が発生していないことは明白である。 (被控訴人新販及び同日経大阪即売の主張) 否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 前記争いがないか,証拠上明らかな事実に証拠(甲23,24)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) 京阪神地区における新聞の流通経路等 新聞の流通経路には,大きく分けて実配と即売がある。 実配とは,各地に存在する新聞販売店が顧客(一般家庭,会社等の月極購読者)に戸別配達によって販売するルートである。 即売とは,駅及び空港の売店並びにコンビニエンスストア等を通じて不特定の顧客に販売されるルートである。航空機搭載用の新聞を航空会社及びケータリング会社に販売する場合は,即売に含まれる。 京阪神地区において,即売ルートで流通する全国紙のほとんどすべてが,被控訴人卸売会社らを経由して流通している。この際,被控訴人卸売会社らが直接売店等に販売する場合と,被控訴人卸売会社らが別の即売業者に販売し,その即売業者が売店等に販売する場合があり,売店等に販売されるまでに複数の即売業者が介在する場合もある。 (2) 控訴人の本件各取引拒絶前の新聞販売状況 控訴人は,平成4年6月1日から平成6年3月31日までの間,地元区域販売店から全国紙等を仕入れ,新聞販売機で販売していた。全国紙各紙の販売部数は,次のとおりである(甲23)。 ① 朝日新聞 6040部(1か月平均274部(小数点以下切捨て。以下同じ。)) ② 産経新聞 6040部(1か月平均274部) ③ 毎日新聞 5920部(1か月平均269部) ④ 日経新聞 880部(ただし,平成5年10月から平成6年3月までの6か月間) ⑤ 読売新聞 5920部(1か月平均269部) (3) 被控訴人関空販社の設立当初の活動 被控訴人関空販社は,空港島における販売窓口一本化のために設立され当初,卸売5社から一手に空港島向けの全国紙を仕入れ,これを空港島内の売店,航空会社等に販売していた。 (4) 本件各取引拒絶 卸売5社は,平成6年2月7日から同年3月10日にかけて,それぞれ空港島における新聞の販売については被控訴人関空販社を通して行うことを理由として,控訴人からの本件各取引申込みを拒絶した。 (5) 本件定款変更 ア 被控訴人関空販社は,平成8年6月25日開催の株主総会において,目的から新聞の販売を除外し,代わって新聞の仕訳,配送,代金回収業務等の受託を目的に加える本件定款変更を決議した。 イ 卸売5社は,平成8年10月30日,公正取引委員会(事務総局近畿中国四国事務所)に対し,本件定款変更の事実及び「卸売5社が,今後空港島内においては各社それぞれに新聞販売事業を行うことを確認した」旨などを記載した報告書を提出した。 (6) 控訴人の本件各取引拒絶後の新聞販売状況 控訴人は,本件各取引拒絶後から現在に至るまで,B社から,全国紙を定価の75パーセントの価格で仕入れ,空港島において,売店・ラウンジ等に対して1か月平均約800部を,全日空に対して1か月平均約3万部を,いずれも定価の80パーセントで販売している(甲24,弁論の全趣旨)。 2 独禁法24条に基づく差止請求権について 控訴人は,被控訴人らに対し,独禁法24条に基づく差止請求権に基づき,本件各差止請求をしている。 ところで,独禁法24条は,同法19条の規定,すなわち,「事業者は,不公正な取引方法を用いてはならない」という規定に違反する行為によって,その利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者が,これにより著しい損害を生じ,又は生ずるおそれがあるときに,その侵害の停止又は予防を請求することができると規定している。そして,同法2条は,同法において,「不公正な取引方法」とは,同法2条9項各号のいずれかに該当する行為であって,公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち,公正取引委員会が指定するものをいうと定義している。公正取引委員会は,これを受けて,昭和57年6月18日公正取引委員会告示18号において,「正当な理由がないのに,自己と競争関係にある他の事業者と共同して,取引を拒絶するこ と」を不公正な取引方法と指定している(一般指定1項・共同の取引拒絶)。 3 争点1(被控訴人関空販社についての共同取引拒絶の成否)について (1) 共同取引拒絶の成立要件と控訴人の主張の成否 ア 一般指定1項は,「自己と競争関係にある他の事業者」と共同してする取引拒絶について規定しているところ,共同の取引拒絶が認められるためには,まず,被控訴人関空販社が,①自己と競争関係にある,②他の業者と共同して,③取引を拒絶することが必要である。 イ 控訴人は,被控訴人関空販社の新聞販売による利益が卸売5社に環流すること並びに設立の趣旨,役員構成及び運営の実情に照らして,同被控訴人のする取引は,卸売5社のする取引と同一視すべきものである,卸売5社は,被控訴人関空販社を通じてのみ取引をすることにより,同被控訴人は空港島での販売市場独占の利益を収めるという態様で取引を拒絶したものであり,同被控訴人を介在させ協働することによってのみ,卸売5社の共同取引拒絶の実効性が確保される,などとして,被控訴人関空販社についても一般指定1項に基づく共同取引拒絶が成立する旨主張する。 しかしながら,被控訴人関空販社の新聞販売による利益が卸売5社に環流していることを認めるに足りる証拠は存在せず,また,仮に控訴人主張の事実関係が認められたとしても,卸売5社とは別個の法人格を有する被控訴人関空販社を卸売5社と同一視して,卸売5社の取引拒絶をもって,被控訴人関空販社を共同取引拒絶の主体とみることはできないのであるから,控訴人の上記主張は採用することができない。 (2) 被控訴人関空販社についての共同取引拒絶の成否 ア 証拠(甲40)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人関空販社が,平成6年7月11日付け内容証明郵便にて,控訴人に対し,控訴人からの取引の申出には通常の取引として対応する用意があることを連絡したこと,これに対し,控訴人が,卸売5社との直接取引を望んだことから,放置し,被控訴人関空販社に対して取引の申込みを行わなかったことが認められる(なお,この内容証明郵便は,その内容からすると,控訴人が,卸売5社に対し,取引を申し込んだところ,前記のとおり,いずれも,被控訴人関空販社を窓口とするなどとして取引に応じなかったことに対応してなされたものであると考えられる。)。 上記事実によると,控訴人は,本来,被控訴人関空販社との取引を希望せず,これ故に同被控訴人に対して,取引の申込みをしていないのであるから,被控訴人関空販社が,控訴人からの取引申込みを拒絶したということはあり得ない。 イ 被控訴人関空販社は,前記のとおり,卸売5社により,空港島向けの全国紙を一手に仕入れてこれを空港島内の売店や航空会社等に販売するなど,空港島における新聞等の販売窓口を一本化する目的で設立されたものであり,本件各取引拒絶当時,卸売5社から一手に空港島向けの全国紙を仕入れ,これを空港島内の売店,航空会社等に販売していた事業者であるから,被控訴人関空販社と卸売5社とは,新聞等の販売面での取引先が競合するなどの競争関係にもなかったし,上記設立目的からすると,将来競争関係が生じるということも考え難いといわざるを得ない。 ウ 上記の認定説示から明らかなように,被控訴人関空販社は,①控訴人からの取引申込みを拒絶したことはなく,しかも,②卸売5社とは競争関係にはなかったものであることが認められるから,被控訴人関空販社について一般指定1項に基づく共同の取引拒絶を行ったとは到底いえないというべきである。 (3) また,控訴人は,空港島においては,既に被控訴人関空販社が全国紙の販売に対する私的独占を完了しているから,控訴人は,私的独占状態を維持する行為である全国紙の販売の差止めを求めることができると主張するが,独自の主張であって採用することができない。 (4) したがって,控訴人の被控訴人関空販社に対する請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。 4 争点2(被控訴人関空販社を除く被控訴人らによる本件各取引拒絶の共同の有無)について (1) 被控訴人日経大阪即売について ア 前記の事実によると,卸売5社は,平成6年2月7日から同年3月10日にかけて,それぞれ,空港島における新聞の販売については被控訴人関空販社を通して行うことを理由として,控訴人からの本件各取引申込みを拒絶したことを認めることができる。なお,控訴人は,平成6年7月19日,卸売5社に対し,取引の申込みを行ったところ,これを拒絶されたと主張し,甲41(C作成の「卸売五社との取引協議について」と題する書面),45(Cの陳述書)を提出している。しかしながら,甲41,45の内容を裏付ける客観的資料が存在しないのみならず,その内容も結局のところは双方の主張を述べあったというものであり,改めての取引申込みといい得るものとは認め難いから,これをもって,控訴人の卸売5社に対する新たな取引の 申込みがあったということはできない。 イ ところで,上記卸売5社のうち一社はA社であるところ,控訴人は,被控訴人日経大阪即売は,前記第2,6(2)(控訴人の主張)イのとおり,A社がなした控訴人との取引拒絶の方針を引き継いだものであり,本件差止請求の相手方たる地位を引き継いだなどと主張する。 被控訴人日経大阪即売は,前記のとおり,平成10年9月22日に設立されたA社とは別会社であり,しかも,平成10年10月1日に,A社から被控訴人関空販社の株式400株を2000万円で買い受けたに過ぎないものであり,被控訴人日経大阪即売とA社とが形式的にも実質的にも同一であるとはいえない。また,被控訴人日経大阪即売の設立あるいは,A社から被控訴人関空販社の株式を買い取ったからといって,被控訴人日経大阪即売が,A社の地位を包括的承継的に引き継いだとは到底認められない。 そうすると,A社のした控訴人の取引申込に対する取引拒絶を,被控訴人日経大阪即売が引き継いだということはできないし,被控訴人日経大阪即売の前記設立時期に照らしても,同被控訴人が本件取引拒絶を行っていないことは明白である。 控訴人の上記主張は独自の主張であって,到底採用し得るものではない。 したがって,控訴人の被控訴人日経大阪即売に対する請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。 (2) 被控訴人関空販社及び同日経大阪即売を除くその余の被控訴人らについて ア 前記4(1)アの事実によると,被控訴人関空販社及び同日経大阪即売を除くその余の被控訴人ら(卸売5社)は,本件各取引拒絶を行ったものということができる。 イ そして,前記認定の事実によると,被控訴人関空販社は,卸売5社が,空港島における販売窓口を一本化するために共同して設立したものであり,卸売5社は,空港島における新聞販売について被控訴人関空販社以外と取引をしないことを当然の前提としていたことが明らかであるから,卸売5社の上記アの取引拒絶は,卸売5社が共同して行ったものと認めることができる。 5 争点3(本件各取引拒絶の違法性の有無)について (1) 本件各取引拒絶の公正競争阻害性の有無 ア 上記の卸売5社が共同して行った本件各取引拒絶が不公正な取引方法に当たるのは,その行為が正当な理由がないのに行われたこと,すなわち,公正な競争を阻害するおそれ(公正競争阻害性)がある場合である(独禁法24条,19条,2条9号)。そして,公正競争阻害性とは,一般的には公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれをいうところ,共同の取引拒絶の場合の具体的内容については,主として自由な競争状態を侵害するかどうかの観点から捉えるのが相当である。 イ すすんで,卸売5社による本件各取引拒絶が公正競争阻害性を有するかどうかについて検討する。 前記の事実によると,京阪神地区において,即売ルートで流通する全国紙のほとんどすべてが卸売5社(日本経済新聞については,被控訴人日経大阪即売設立後はA社に代わって同被控訴人。以下同じ)を経由して流通しているところ,全国紙を仕入れることを希望する者は,卸売5社から全国紙を仕入れるほか,卸売5社から全国紙を仕入れる他の即売業者から全国紙を容易に仕入れることができる状況にある。このことは,控訴人においても,空港島において,卸売5社は,被控訴人関空販社以外のB社を含む即売業者とも取引していることについて認めるところである(甲24)。 そうすると,控訴人は,卸売5社から,取引申込みを拒絶されて全国紙を購入することができなくとも,卸売5社から全国紙を仕入れる他の即売業者から全国紙を仕入れて,これを空港島で販売することができるのであり,現に,控訴人は,卸売5社から仕入れたB社から全国紙を仕入れて空港島で販売していることが認められる。 ウ また,前記の事実によると,控訴人は,卸売5社に対し,空港島内において新聞の仕入・販売をしたいとして,本件各取引申込みをしたのに対し,卸売5社は,空港島における新聞の販売については被控訴人関空販社を通して行う(被控訴人関空販社を窓口とする。)ことを理由として,控訴人からの本件各取引申込みを拒絶したものであり,他方,被控訴人関空販社は,卸売5社が被控訴人関空販社を窓口とするなどとして取引に応じなかったことに対応して,控訴人に対し,控訴人からの全国紙の販売取引の申出には通常の取引として対応する用意があることを連絡したが,控訴人は,あくまでも卸売5社との直接取引を望んだことから,被控訴人関空販社の上記申し出を放置し,被控訴人関空販社に対して取引の申込みを行わなかったことが認め られる。 エ 上記イウの事実関係からすると,控訴人は,卸売5社から全国紙の仕入れを拒否されたといえ,卸売5社以外の即売業者から仕入れることは可能であり,現にB社から仕入れているのであり,また,被控訴人関空販社においても,控訴人に対し,全国紙の販売取引に応じる用意のあることを申し出ているのであるから,控訴人が卸売5社との直接取引にこだわらず,被控訴人関空販社に対し,取引を申し出ていたならば全国紙を容易に仕入れることができたであろうことは推認するに難くないということができる。 そうすると,卸売5社のした本件各取引拒絶には,公正競争阻害性があったということはできない。 (2) 本件各取引拒絶の効果の消滅 上記(1)において,本件各取引拒絶当時及びそれ以後で同拒絶の状況に変動を生じていない状況下における公正競争阻害性の有無について検討したが,被控訴人らは,本件においては,その後,被控訴人関空販社が空港島における新聞販売業務を行っておらず,被控訴人卸売会社らが,自ら,空港島における販売活動,営業活動を行っているので,本件各取引拒絶の効果は消滅した旨主張する。 前記の事実と証拠(甲13,乙ア1の1・2,4~6)及び弁論の全趣旨によると,被控訴人関空販社は,平成8年6月25日開催の株主総会において,同社の定款中の目的を変更する,本件定款変更をし,そのころ以降,被控訴人関空販社は,空港島内における全国紙等の販売を止め,被控訴人卸売会社らから,空港島内における航空機搭載の新聞(全国紙)の仕訳,包装配送,代金回収業務の受託や空港島内における売店での新聞(全国紙)の配置,配送,代金回収業務の受託等を受けてそれらの業務を行っていることその事実は,遅くとも平成15年4月以降,被控訴人関空販社の「平成15年度月別決算実績表」(乙ア1の2)や損益計算書(乙ア4)によって確認することができること,卸売5社は,平成8年10月30日,公正取引委員会 に対し,上記定款変更の事実と「卸売5社が,今後空港島内においては各社それぞれに新聞販売事業を行うことを確認した」旨などを記載した報告書を提出し,以来,被控訴人卸売会社らが空港島内における全国紙等の販売を行っていることを認めることができる。 上記の事実によると,被控訴人関空販社は,平成8年6月に定款変更をし本件各取引拒絶当時に行っていた空港島内における全国紙の販売業務を止め(遅くとも平成15年4月にはそれを確認し得る。),被控訴人卸売会社らが空港島内における全国紙等の販売を行っているのであるから,卸売5社が本件各取引拒絶を行った主たる理由である,空港島における新聞の販売は被控訴人関空販社を通して行う(被控訴人関空販社を窓口とする。)との方針を採る理由はなくなったものということができる。そうだとすると,卸売5社が行った本件各取引拒絶によって公正競争阻害性が生じる余地はなくなったものということができる。 (3) 上記(1)(2)において説示したように,本件各取引拒絶は,結局のところ公正競争阻害性を生じさせていないものということができる。 6 争点(5)(著しい損害の有無)について 以上のところから,控訴人の請求は,いずれも理由はないことは明らかであるが,念のため争点(5)について,以下判断する。 (1) 差止請求が認められるためには,正当な理由のない共同の取引拒絶により「著しい損害を生じ,又は生ずるおそれがある」(以下「著しい損害」という。)ことが必要である。 ここにいう著しい損害とは,いかなる場合をいうかについて検討するにそもそも,独禁法によって保護される個々の事業者又は消費者の法益は,人格権,物権,知的財産権のように絶対権としての保護を受ける法益ではない。また,不正競争防止法所定の行為のように,行為類型が具体的ではなく,より包括的な行為要件の定め方がされており,公正競争阻害性という幅のある要件も存在する。すなわち,幅広い行為が独禁法19条に違反する行為として取り上げられる可能性があることから,独禁法24条は,そのうち差止めを認める必要がある行為を限定して取り出すために,「著しい損害を生じ又は生ずるおそれがあるとき」の要件を定めたものとも解される。 そうすると,著しい損害があって,差止めが認められる場合とは,独禁法19条の規定に違反する行為が,損害賠償請求が認められる場合より,高度の違法性を有すること,すなわち,被侵害利益が同上の場合より大きく,侵害行為の悪性が同上の場合より高い場合に差止が認容されるものというべきであり,その存否については,当該違反行為及び損害の態様,程度等を勘案して判断するのが相当である。 (2) これを本件についてみるに(なお,本件各取引拒絶の態様,程度等については,上記のとおり,公正競争阻害性を生じさせていないと認められるので考察の対象とはしない。),前記のとおり,控訴人は,本件各取引拒絶後から現在に至るまで,B社から,全国紙を定価の75パーセントの価格で仕入れ,空港島において,売店・ラウンジ等に対して1か月平均約800部を全日空に対して1か月平均約3万部を,いずれも定価の80パーセントで販売しているものであり,本件全証拠によっても,本件各取引拒絶によって控訴人が空港島における全国紙販売市場に参入できなくなった若しくはそのおそれがあった,又はその市場からの退出を余儀なくされている若しくはそのおそれがあるなど,本件各取引拒絶を差し止める必要性を基礎づける事情は認 められない。 (3) 「著しい損害」について,控訴人は,本件各取引拒絶がなければ,被控訴人卸売会社らから定価の70パーセントの価格で全国紙を仕入れることができるのに,本件各取引拒絶によって,定価の75パーセントの価格で全国紙を仕入れざるを得なくなっているから,5パーセントのマージンを得ることができなくなっている旨主張する。 しかしながら,「著しい損害」を要件とする規定の趣旨等に照らせば,前記のように既に市場に参入し5パーセントとはいえマージンを得ている控訴人が単に共同取引拒絶がなければより大きい利益を上げることができたというだけでは,差止めを認めるに足りる「著しい損害」に当たるとはいえないというべきである。 控訴人は,得べかりし利益の半分を失っているのであるから,その額が少なかったとしても,控訴人にとっては,著しい損害であるとも主張しているが,そもそも,控訴人が,仮に,被控訴人らから全国紙を仕入れることができたとしても,被控訴人らが,控訴人に対し,定価の70パーセントで販売しなければならない義務はないと主張していることに徴しても,被控訴人らから,定価の70パーセントの価格で全国紙を仕入れることができるとの前提事実を認めるに足りる証拠は存在しない。 (4) また,控訴人は,本件各取引拒絶がなければ,空港島の新聞販売市場において,50パーセントのシェアを占めることができたはずであるが,本件各取引拒絶がされたために,売店等に対する販売については3.8パーセント航空会社に対する販売については9.09パーセントのシェアを占めるにとどまっている旨主張する。 しかしながら,本件各取引拒絶がなければ,空港島の新聞販売市場において,50パーセントのシェアを占めることができたとの事実を認めるに足りる証拠はないし,前判示のとおり,単に共同取引拒絶がなければより大きい利益を上げることができたというだけでは,差止めの要件としての「著しい損害」は認められないというべきであるから,上記主張には理由がない。 (5) さらに,控訴人は,泉州版を駅売店等で購入して販売していることによる損害を「著しい損害」の内容をなすものとして主張する。 しかしながら,本件全証拠によっても控訴人が泉州版を駅売店等で購入して販売している事実を認めることはできない上,前記1(6)のとおり,控訴人は,空港島において,売店・ラウンジ等及び航空会社に対し,1か月平均合計約3万部を定価の80パーセントで販売して定価の5パーセント分の粗利を得ているのに対し,泉州版については,1日56部(1か月30日間で計算すると,1か月平均1680部となる。)を販売していると主張しているにすぎないのであるから,前記アの「著しい損害」を要件とする規定の趣旨等に照らせば,仮に泉州版を駅売店等で購入しているとしても,それだけでは,差止めの要件としての「著しい損害」は認められない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 (6) 当審における控訴人の主張について ア 控訴人は,独禁法24条が,差止請求が認められるための要件として定める「著しい損害が生じ,又は生ずるおそれがある」との要件は,民法,知的財産権侵害及び不正競争防止法において特段の損害要件が課されていないことを考慮する限り,これらよりも損害の程度が低いと考えられる独占禁止法違反行為による差止請求権についてのみ「著しい損害」の要件が課されていることは法体系上整合性を欠き,不適切であると主張するが,独自の利益衡量を前提とする独自の見解に過ぎず,採用の限りではない。(なお,控訴人の法体系上整合性を欠くとの点については,上記説示のとおり,知的財産権は,権利者に排他的・独占的権利が与えられている物権的権利であるから,その侵害につき当然に高度の違法性が認められると考えられるからであ り,また,不正競争防止法については,不正競争それ自体悪性の強い行為であり,かつ,これは営業上の利益に対する侵害について差止めが認められることとなっているため,相当の損害が生ずるケースが多いためであると考えられるのであって,法体系上整合性を欠くということはできないというべきである。)。 また,第2,6(4)(控訴人の主張)エ(ア)後段の主張が認められないことは,前記第3,5(2)に認定説示のとおりである。 イ 控訴人は,B社から全国紙を仕入れて空港島で新聞を販売していることについて,いつ,卸売5社がB社に対し,全国紙の卸売を中止するか予断を許さない状況にあること,そして,被控訴人新販は,控訴人が搭載紙の受注・数量調整及び梱包・荷分けなどの作業を行っているビルの所有権を平成14年9月30日に取得し,また,B社の発行済株式総数のうち,40パーセントにあたる120株を取得し,B社に,役員4名のうち3名を送り込んでいることを理由として,B社はいつでも控訴人に対する全国紙の供給を中止しうる立場にあり,かつ,それが可能である
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刑法における「犯罪論」「犯罪」論の概要 刑法における構成要件について 刑法における違法性の実質論(結果無価値論と行為無価値論) 刑法における保護法益「保護法益」について 「結果無価値論」と「行為無価値論」の保護法益との関係 刑法や刑事政策に関するQ&A刑法分野における「実務」とはどういう意味なのでしょうか? 経済犯罪の場合、罰金刑が高く設定されていますがこれは何故なのでしょうか? 「当番弁護士制度」というのは何故できたのでしょうか? 刑法における「犯罪論」 「犯罪」論の概要 「犯罪」は、以下の3条件を満たした行為だとされています。 ①構成要件に該当する(刑法に書かれている犯罪の定型・パターンに該当) →形式的評価 ②違法な行為(法益侵害がある) →実質的評価 ③有責の行為(行為者に故意や過失がある) 刑法における構成要件について 構成要件というのは、犯罪のカタログで、刑法に書かれている犯罪の定型・パターンです。 構成要件は、人々に「このようなパターンの行為は原則として違法です」と予告する機能をもっており、構成要件概念は罪刑法定主義の基本となっています(構成要件の罪刑法定主義機能)。 構成要件には、以下の3種類があります。 ①客観的構成要件要素 →法益侵害・法益侵害の危険の発生など ②主観的構成要件要素 →目的犯における目的・故意・過失など ③規範的構成要件要素 →わいせつ罪の「わいせつ」のように、裁判所の判断が必要なもの 刑法における違法性の実質論(結果無価値論と行為無価値論) 違法性の実質については、2説があります。 ①法益侵害説:法益の侵害(の危険) →法益侵害と法益侵害の可能性に注目。刑法の役割を法益保護に置き、あくまでも法益に違反する行為のみを刑法の対象と考える。法益の侵害は客観視しやすい内容であり、違法性論を安定させ、罪刑法定主義につながる。 ②社会倫理違反説:社会倫理・道徳違反 →社会倫理違反・社会益道徳違反を問題にする。法益侵害以外の行為者の意図・動機などを評価することができるが、倫理や道徳の客観化が困難なため、裁判官の主観が入ってくるという問題点がある(違法性と倫理違反との混同)。 2 法益保護主義 法益保護主義とは、法益の擁護が刑法の任務であり、犯罪は法益に対する加害行為(法益を侵害する行為、法益保護の危険を生じさせる行為)に限定されるべきだとする考え方であり、現在の学説における通説ないし定説になっている。 これに対して、かつては、社会倫理の維持を刑法の任務として強調する考え方が有力に主張されていた。こうした立場からは、社会の倫理に反する行為であって、その維持の必要性という観点から見て看過しえない行為が犯罪とされることになる。しかし、個人主義に立脚する現在のわが国の法制度下においては(憲法13条参照)、多様な価値観が許容される事が必要であり、「他人に迷惑をかけない限り」行動する自由が保障されなくてはならず、「他人に対して迷惑のかからない行為」に対して国家が積極的かつ強制的に介入し、一定の価値観とそれに従った行動を国民に対して強要することは慎まなければならないのである。こうした観点から、刑法の基本的な政策原理として、法益保護主義が採用される必要があることになる。しかし、後述するように、判例ないし学説における、社会倫理の維持への関心ないし執着には根強いものがあり、それは違法論を初めとして、さまざまな解釈論の場面に顔を出す事になる。(山口厚「刑法総論」p.4) 刑法の任務は法益の保護である。したがって、刑法はその目的に反する事態を、過度の介入の抑制という自由主義的原則を考慮しつつ、禁止の対象とするものである。こうした理解からは、違法性の実質は、法益侵害・危険という「結果無価値」の惹起と解される事になる(これを法益侵害説ないし結果無価値論という。現在、学説では、後者の名称がより一般的には用いられている)。このような意味で、違法性の実質については結果無価値論の立場から理解されるべきである。この立場からは、構成要件該当事実に対応した行為者の主観面であるに過ぎない故意・過失は、違法要素ではなく、また、主観的違法要素は例外的に肯定されるにすぎないのである。 これに対して、刑法の任務を社会倫理の保護に求める立場からは、行為の反倫理性(このような、法益侵害・危険に解消しえない行為の反倫理性を「行為無価値」という)が違法性の実質と解される事になる(これを行為無価値論という)。ここでは、行為者の主観面は、故意・過失を含め、行為の反倫理性に影響を及ぼす事情として、広く違法要素となる。そして、この立場を徹底する場合には、結果無価値は、独立の意義を有するのではなく、行為無価値を評価するための一資料にすぎないと解されることになる(行為無価値一元論)。 わが国の学説においては、刑法の任務を法益保護とする理解に立ちながらも、処罰の限定のためには、行為無価値を考慮することが必要だとする見解が有力に主張されている。法益保護という目的と、それを達成する手段とは別であり、後者の見地から行為無価値を考慮する事は(保護目的との合理的関連性がある限りにおいて)可能であり、必要であるとの指摘もされている。このような意味で、わが国の行為無価値論は、結果無価値に加えて行為無価値を要求するという処罰の限定性を強調しているのである(折衷的行為無価値論)(山口厚「刑法総論」p.93) 上記が教科書的な理解になりますが、弁護士の方に学会及び実務状況を聞いた所、以下のような回答をいただきました。 ①現在の刑法学界では、結果無価値論(法益侵害説)のほうが有力で、学界の主流は明らかに結果無価値論(法益侵害説)。但し、行為無価値の先生も学者も名前を挙げれば意外といる(団藤,大塚,大谷,川端,井田,佐久間,伊東(研)) 。 ②実務は行為無価値論(二元論)といわれているが、実際には実務(判例)は「行為無価値論が正しい」と考えてそこから演繹して結論を導いているわけではなく、常に具体的妥当性との均衡をにらみながら理論的裏付けを探って結論を出すという過程を経ている(そのため、「判例は行為無価値である」というような言い方は誤解を招くといわれるようです)。実務的な価値判断としては二元論というべきなのだと思うし、実務は行為無価値であると言っても大過はないが、そういうものだと理解すべき。 刑法における保護法益 「保護法益」について 法益 法によって保護される社会生活上の利益。権利より広い概念であり、何々権という権利として一般に認められるには至らないものであってもよい。 刑法上、違法性は法益侵害を中核とするとされる。 刑法の主な役割は、刑罰により法益を不法な侵害から保護することにあるので、個々の罪において、刑法が保護しようとする法益(保護法益)が何かを明らかにすることがその刑罰法規の解釈の重要な指針となる。 また保護法益の性質によって、個々の犯罪の体系的分類がなされる。 刑法各則の規定は、おおむね、国家的法益に対する罪、社会的法益に対する罪、個人的法益に対する罪の順に、体系的に整序されている(「法律学小事典」より引用) 。 なお、個人的法益と社会的法益は、全く別個のものではなくて、個人的法益でもあり社会的法益でもあるという場合もありえます。 2つの円の内重なり合う部分があって、その重なり合う部分を個人的法益として扱うのか社会的法益として扱うのかは、その時どきの法律・判例・運用などで変わります。 また、人権と個人的法益の関係でいえば、「人権≒個人的法益」になると思います。 憲法上の人権ではなくても、刑法上、個人的法益として保護されるものもありそうですし、刑法上処罰規定がないからといって、憲法上の人権を侵害していないことにはならないと思います。 参考サイト 法益 - Wikipedia 被害者なき犯罪 - Wikipedia 「結果無価値論」と「行為無価値論」の保護法益との関係 結果無価値論というのは、「法益侵害という結果を起こしたことが悪い」という考え方なので、個人的法益のみならず、国家的法益、社会的法益にも、刑罰法規を設けることはできます。 (例)列車を転覆させてはいけませんよー。通貨を偽造してはいけませんよー。←社会的法益の侵害という結果は発生している。 行為無価値論というのは「やってはいけませんと言われていることをやったのが悪い」ので、刑法等で「やってはいけない」とされていることをやったのが悪い、という考え方です。 学説でいう行為無価値論者は、行為無価値+結果無価値も考慮する、という感じなので、二元論であると言われています。 でも、実務は行為無価値か結果無価値か、というのとはあまり関係なく、事件ごとに「この辺りが落とし所」と考えてやっているようです。 参考サイト 主観的構成要件と主観的違法要素は、同じ意味ですか? 「特定の構成要件に該当する法益侵害の現実的危険性を有する行為」と、「構成要件的結果発生の現実的危険性を惹起する行為」はほぼおなじ意味でしょうか? 刑法や刑事政策に関するQ&A 刑法分野における「実務」とはどういう意味なのでしょうか? 刑法分野の場合、基本的に判例で出た判断が実務を回すときの基準になります。 そのため、法曹が「実務」というときは「判例」を指していることが多く、実務=判例というのが基本的な理解になります。 経済犯罪の場合、罰金刑が高く設定されていますがこれは何故なのでしょうか? 独占禁止法・不正競争防止法・租税法などに違反した経済犯罪の場合、「損害額を賠償すればいい」ということになると、脱法行為をする人が後を絶たなくなるので、「脱法行為をするくらいなら、きちんと法律を守った方が得だ」という考えになるように、罰金などを高額に設定する必要があります。 税金で言うならば、「脱税しても元々払うべき額の税金を納めればいい」という事になると、皆脱税します。 そのため、追徴課税などはかなり高額の罰金が設定されており、「脱税して後からごっそり持っていかれるくらいなら、おとなしく払うものは払ってしまった方がいい」という発想になるように制度設計がされています。 なお、独占禁止法の場合は、そうはいっても、企業はなかなか尻尾を出さないので、司法取引的なやり方も取り入れて、「一番に名乗り出た企業には、課徴金減額しますよ」みたいな事もやっていて、刑法典における経済犯(詐欺や強盗など)とは少し違った考え方で理論構成されているようです。 「当番弁護士制度」というのは何故できたのでしょうか? 当番弁護士制度 - Wikipedia http //ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%93%E7%95%AA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E5%88%B6%E5%BA%A6 当番弁護士制度とは、刑事事件で逮捕された者(被疑者)が、起訴される前の段階であっても、弁護士を通じた弁護権の行使を円滑に行うことができるようになることを目的に、日本弁護士連合会(日弁連)により提唱・設置された制度である。逮捕された人が警察を通じて、または家族や知人などが所管の弁護士会へ依頼することによって当番弁護士による初回の接見を無料で行うことができ、防御の手段等のアドバイス、法律相談、弁護の依頼を行なうことができる。 導入の背景としては、刑事手続きにおいて捜査機関(警察・検察)側と比較して、被疑者側は自分の周りを自分を有罪にしようとしている人達に囲まれるため、被疑者の味方となる弁護士側も裁判で不利になるという事情から、弁護人の弁護活動をもっと良くするためにはどうしたらいいかと考えて、作られた制度だそうです。 参考サイト 日弁連 - 逮捕されたとき! -当番弁護士制度について- 日弁連 - 知ってください『当番弁護士』